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1955-10-13 第22回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十月十三日(木曜日)    午前十一時二十一分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長    小笠原二三男君    理事            伊能 芳雄君            伊能繁次郎君            小林 武治君            森下 政一君    委員            小幡 治和君            西郷吉之助君            高橋進太郎君            安井  謙君            岸  良一君            島村 軍次君            館  哲二君            秋山 長造君            森崎  隆君            小柳 牧衞君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   説明員    自治庁財政部理    財課長     大村 襄治君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省理財局長 河野 通一君    大蔵省理財局地    方資金課長   牧野 誠一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政改革に関する調査の件  (地方財政に関する件)     —————————————
  2. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 委員会を開会いたします。  本日は日程に従って地方行政改革に関する件中、地方財政に関する問題の調査を進めます。本日は大蔵省から森永主計局長河野理財局長牧野資金課長、あるいは宮川主計局次長等がお見えになっております。主として最近の財政懇談会大蔵省側として説明せられた資料について、当委員会に御説明をいただき、また臨時国会に対処する財政当局の所見を伺いたい、こういう点がおもなる問題であります。加えましては、昨日質疑をいたしました経過で、理財局長財調資金の扱いに関する答弁で、一応了解点には達しておりますが、その後の理財局側から各府県要望等資料をとりまとめて報告してほしいという要請もございますから、その報告も伺いたいと思います。そういう取り運びで本日進めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) ではさよういたします。  まず森永主計局長より財政懇談会における説明内容について御説明願います。
  4. 森永貞一郎

    説明員森永貞一郎君) お手許に地方財政と題する資料をお配りしてございますが、この資料につきまして御説明申し上げます。  この資料は、地方財政の現況についてどう考えるかという現況の分析にとどまっておるわけでございまして、今後いかなる方針をもって臨むべきかといった対策の面には触れていないわけでございます。現況をどう考えるかということについての資料を出しまして、財政懇談会でも目下検討をいただいておる、そういう性質のものでございます。専門家でいらっしゃる皆さま方に対しましては、いささか冗長にわたるかとも存じますので、要点々々を拾い読みしながら御説明したい、さように存じます。  第一は、地方財政の現況と題しまして、赤字の現状を書いております。この赤字数字は、これは自治庁数字そのものをとっております。すなわち二十八年度末におきまして、決算上の実質赤字は四百六十二億、赤字団体数等につきましても、自治庁数字をそのままとっております。ただ一つここで申し上げたいのは、この四百六十二億の数字そのものにつきまして、実はいろいろ問題があるわけでございまして、たとえば事業繰り延べ、支出の繰り延べ等につきましては、これがそのままこの中に入っておりますが、それらの点につきましては、果してそれが実質上の赤字であるかどうか、いろいろ問題もあるわけでございます。試みに大蔵省でそういった点につきまして検討いたしますと、この四百六十二億が三百二、三十億くらいに減るのではないか、ほんとうの赤字というものはそのくらいに減るのではないかという推算もあるわけでございますが、ここでは一応自治庁数字をそのままとっております。来年度がどうなるかという問題でございますが、御承知のように給与の問題、これにつきましていろいろ問題があるわけでございまして、目下その点につきましては地方公務員給与実態調査をいたしております。その結果ならびにそれにいかに対処すべきかという問題の結論が出ませんと、来年度それがどうなるかという見通しが立ちませんで、それは一応除外いたします。また公共事業その他の国庫補助金が来年度どうなるか、これも来年度の予算編成を待たないと的確な予想がつかないわけでございまして、そういう未確定の要素を除外いたしまして考えました場合に、どのくらい来年度財政需要がふえるか、児童生徒増加に伴う教員給与費増加約二十六億、職員の昇給費約八十億、公債費増加百二十億、こういった当然増加的の要因が予想されるわけでありまして、一方におきまして、二十九、三十年度の行政整理による経費の節減もございますが、それらを計算に入れまして計算いたしますと、大体二百億円くらい、そのうち交付団体関係では約百五十億円くらいの財政増加が見込まれるのではあるまいか。一方歳入の方は事業税基礎控除引き上げ市町村民税改正等に伴う減収が見込まれるわけでございまして、これだけの事実をとって考えますと、来年度におきましては収支のつじつまを合わせることが困難であるということは十分想像がつくわけでございます。もっとも歳入面におきましては、国民所得増加に伴う税収の増加といったような要素も他面においては考慮に入れなければならないわけでございまして、もう少し時間が推移いたしませんと的確なことは申し上げられませんが、一応それを除外して考えますと、百五十億程度のものがつじつまが合わなくなるのではないかというような感じがいたすわけでございます。  それから第二段のところで、なぜこういうふうに赤字が累積して来たかという原因を分析いたしておるわけでございます。その原因はなかなか根深いのでございまして、またこれは必らずしも一がいには言えない、個々の団体によりまして特殊な事情によって赤字が出たもの、あるいは健全財政を維持しておるもの、いろいろあるわけでございまして、一つ一つを洗っていかなければなかなか真相はつかめないのでありますが、一応共通の原因と考えられるものをあげましたのが(1)ないし(6)、六点にわたっております。そのうち初めに出て参りますのは、制度上からくる赤字原因とも申しましょうか、地方団体だけの事情ではなくして全体を通じた問題として考えなければならない。その第一としてまず地方行政制度の問題でございます。第四表をごらんいただきたいと思います。戦前昭和九、十、十一年、その平均、これは物価換算がいたしてございます、それと三十年との比較が出ております。歳出の方で庁費が千六百七十九億円、戦前は四百八十一億円、まず庁費の非常に膨大な膨張が見られるのでございまして、地方行政機構の大幅な拡充、地方職員数の膨大な増加がここに現われておるわけでございます。今日各府県の知事部局その他の出先機関市町村事務部局の膨張、これはもう常識になっておりまして、昔に比べますと、非常に膨大な機構になっております。そのほかに教育委員会その他各種の行政委員会がございます。また県議会におきましては常任委員会であるとか、あるいは事務部局であるとかいうようなものもできておるわけでございまして、昔に比べますと、行政機構が実に膨大になっております。また職員数も、教員を含めまして百三十七万人、昭和八年の七十四万人に比べますと、約二倍近くに増加しておるわけでございまして、こういう地方行政機構が非常に膨大なものになっておるという点をまずあけたいのであります。もちろん国の方でも決して自慢はできないのでございまして、戦前に比べますと、相当膨脹いたしております。この点は国の方も大いに反省をしなければならないのでございますが、地方財政の問題を考えまする場合に、まずこの膨大な行政機構をあげたいのでございます。  次は教育費でございますが、三十年度は二千七百十七億円、戦前平均は千六百四十八億円でございまして、これまた七割近く膨張いたしております。言うまでもなく、六三制の実施による義務教育年限の延長、教員組織の充実、校舎の増築というようなことがこの負担をもたらしておるわけでございまして、たとえば学童数増加学制改革前との比較で二割一分でございましたが、教職員の数の増加は小学校だけで申しますと、約四六%ということにもなっておるわけでございまして、また校舎の増築のためには国も地方学制改革以来、非常に膨大な負担をいたしておることはつとに御存じの通りでございます。また社会及び労働施設費保健衛生費等も非常に顕著な増加をいたしております。これはいわゆる福祉国家として当然な数字でもございます。生活の保護、児童福祉等の福祉諸立法が整備された結果、当然かさんで参りました。また失業対策事業の充実をはかりました結果、歳出がふえておるわけでございます。それらの増加も相当顕著なものがあるわけでございます。これは地方だけの問題ではなく、国が全体として考えなければならない問題とし、まず第一にあげたわけでございます。  その次は、これも制度上の問題でございますが、地方財政歳入歳出の構成が赤字を生みやすい構造になっておるということを指摘しなければならぬと思います。これは歳出歳入両面にわたっておりますが、歳出面では人件費が四〇%を占めておる、非常に弾力性がないわけでございまして、公債費とか公共事業国補事業等地方がどうにもならない義務的ないしはこれに準ずるような経費をとりましても三五%ということになっておるわけでございまして、弾力性が非常に乏しい。歳入の方でも、この歳入全体で税収入の占めておる地位が三六%程度にすぎない、交付税譲与税を含めましても、五三%ということでございまして、自主性が非常に乏しいような制度になっておる。ここらに地方財政赤字を生みやすいような原因の一半がひそんでおるのではないか。これまた国、地方を通ずる制度の問題として、第二にこれを特記したわけでございます。   〔委員長退席理事小林武治君着席〕  それから第三は、平衡交付金国庫依存性シャウプ勧告によりまして補助金制度交付金制度に改められまして、平衡交付金という制度に移ったのでございますが、この制度本来の目的がどうであったかは別といたしまして、この平衡交付金が運用されて参りました姿を眺めてみますと、どうも地方にしりが出ましたのを、それを国に持ち込んで、国がまたそのしりぬぐいをするというようなことになっておったことは否定できないわけでございまして、こういうことが地方団体に対しまして国庫依存の惰性を醸成したという事実もまたいなめないと思うのであります。もう一つの点は、この平衡交付金算定方式が非常に複雑多岐でございます。私どももなかなか簡単にはのみ込めないような組織になっておるわけでございます。地方団体、なかんずく市町対等になりますと、なかなかこの的確な見込みが立ちがたいような仕組になっておる。予算編成時におきましては大まかな見込み歳入を計上する。しかるに実際はじいてみると、それだけの交付金がこないというようなことにもなりがちでございまして、そういう点がやはり赤字発生一つ原因になったのではあるまいか。ドイツにおきましては、各州間の財政調整制度が昔からとられておりますが、最近覚えたところによりますと、非常にすっきりした標準で行われておるわけでございまして、なかなか日本の制度は精密ではございますが、実情から考えて今のような欠点もあることをやはり反省しなければならぬのではないかという非常に気を強くしたわけでございます。この平衡交付金の結果生まれて参りました国庫依存性、これは交付税制度に切りかえました際にその弊を断つということが一つのねらいであったことは御案内の通りでございますが、しかしこの分け方はこの平衡交付金と同じような分け方が行われておるわけでございますが、かたがた交付税全体に対する地方側考え方も昔の考え方がそのまま漫然と続いているような気がいたすわけでございまして、ここにも赤字が出やすい一つの素地が見出せるわけでございます。  その次は起債公債費悪循環ということを申しております。償却の不可能な消費的経費相当起債を充当して参ったのでございますが、その結果起債額の累積が年々膨大な額になりまして、公債費増加が実に顕著でございます。これが非常に地方財政に対して重圧をもたらしております。その公債費をまかなうためにもその起債をしなければならぬという悪循環的現象が起っておると思うのでございまして、ここらでこの起債に対する依存の程度をどうするかというような問題につきましても検討をしなければならぬのではあるまいか。このまま続いて参りますと、起債額償還額と匹敵して元利償還が非常に困難になるというような団体を生ずるおそれもあるわけでございまして、この点も真剣に考えなければならぬのではないか。特に今日問題になっておりますのは、貧弱団体がより多く起債に依存し、富裕団体起債に依存する程度が少い。これは金を貸す方から申しますと、まことに困ったことでございまするし、また地方財政不健全化を招いておるわけでございますが、そこらにもやはり根本的に考え直していく余地があるのではあるまいか。たとえば富裕団体、これは財源も豊富にあるわけでございまするし、起債をいたしましても償還能力があるわけでございますが、それらにより多く起債を回し、一方それらの財源を他の貧弱団体に回すことによって貧弱団体の方の起債を減らしていく、そういったようなこともそろそろ考えていかなければならぬ問題ではないか、そういう感じがいたすわけでございます。  その次は補助金の関係でございます。地方財政赤字原因として、よく補助金制度が批判の対象になっておるわけでございまして、いろいろ国の方でも反省すべき点が少くないと思います。たとえば零細補助金総花的配分、先般も驚いたのでございますが、一村当り何千円、あるいは一戸あたり百円とか、あるいは百円未満の零細な補助金が分けられておる。しかもそれにまた地方負担が伴っておるというようなこともまだ依然としてあるわけでございまして、私どもこれらの点につきましては大いに改めなければならぬと思います。また国庫補助職員給与であるとか、学校、住宅地建築費補助単価が実情に沿わない。これは過去においてはまさにそういうこともあったわけでございまして、私どもそれらの点をできるだけ適正に直すように思います。こういう点、国の方でも反省し、改めなければならないのでございますが、一方地方団体の側におきましても、補助金とあれば、財源いかん負担力いかんを問わず、それに飛びつく、あるいは非常に陳情をされまして、幾らかでも余計に補助事業をとって行こうというような空気がやはり相当強いのでございまして、財源負担力に見合わない補助事業をみずから招いておるという面も無視できないと思うのでございます。これらの点につきましては、補助金の問題としても地方財政の関連を最も重視して検討をして参らなければならない点の一つであるというふうに考えておる次第でございます。  以上はまあむしろ制度の問題で、地方だけではどうにもならない問題でございますが、しかしこれだけではないのでございまして、地方団体財政運営それ自身に由来する赤字の金額もまた実に膨大であることを申し上げておるわけでございます。この地方団体財政運営上の問題として、まずあげておりますのは人件費の膨張でございます。二十三年ごろから七年ごろにかけまして一斉昇給とか、いわゆる特別昇給が行われまして、それが随時のベース・アップによって末広がりに累積しておるわけでございます。今日地方財政計画に見ております給与費、これは国家公務員に準ずるということで計上いたしておりますが、それと実際の地方給与との開きは、これは目下実態調査をいたしておりまして、その結果的確な数字がまとまると思いますが、府県で大体百八十億、市町村で百七十六億、合計三百五十億ぐらいの見当であると言われております。もちろん最近になりまして、地方財政の現状からあるいは昇給昇格の抑制というようなことも行われておりまするし、最近におきましては、この割高な給与を是正しようという動きが顕著でございますが、現実には三百数十億の開きが生じておる。それが地方財政の最も大きな赤字の要因であることは言うを待たない次第でございます。この乖離を生じました原因につきましては、地方公務員給与実態調査、これは三百万公務員の各人別の調査をいたしまして、これを構成別にも分析いたしまして、実態がどうであるか、その原因がどうであるかということを検討しているわけでございます。その結果によりまして適切な対策を立てなければならぬと思いますが、ともかくこの乖離が起っておるわけでございます。もっとも地方団体だけの責任とも言い切れない面がないではないわけでございます。たとえば教育職員の問題これは給与負担者決定者とが違っておる。まあそういう制度からくる問題もございましょう。また新陳代謝が行われないために、国家公務員に対して比較的年令が高いというようなこともございましょうし、そういった原因につきましては、詳細はこの地方公務員給与実態調査の結果によって根本的に検討をいたしたいと思っております。  それから単独事業の問題、ことしあたりになって参りますと、地方団体相当自粛をされておるのでございますが、過去におきまして国の公共事業費の膨張に伴いまして、地方単独事業も相当膨張して参ったのは事実でございます。ことに昭和二十六、七年ころのブームのときに、地方団体税収入が非常に増加しまして、その際事業の規模が拡大された、しかもその後ブームの鎮静に伴い収入が減少する傾向にあったにかかわらず、一たび膨張した事業規模財源に合せて縮小することが行われなかった、まあそういったようなことも赤字の有力な原因であるというように考えるのであります。  もう一つは、徴税について果して万全の努力が行われておるか。率直に申しまして、まだまだ努力をしていただく余地があるのではないかというふうに私どもは考えます。それらの点の一つの問題として滞納の問題でございます。二十八年度におきまして六百六十四億円の膨大な滞納があるのでございまして、徴税努力を強化することによりまして、もう少し税収入も上るのではないかと思います。また固定資産の評価でございますが、国が相続税の基準といたしておりまする評価に比べますれば、建物は大体パラレルにいっておりますが、田畑等、あるいは宅地等つきましては、まだもう少し評価を充実する余地があるのではないかというふうにも考えられるのであります。さらにもう一つは、赤字が出ておりますが、その赤字を解消するために標準超過課税をしてもこれを解消するというような努力がほとんど行われていないのではないか。なかんずく府県では今日標準超過課税を行なっておるものは皆無でございます。市町村になりますと、オプションIからオプションIIあるいはオプションIII方式に漸次移行して参ってはおりますが、市におきましては、ほとんどまだオプションIでやっておる。そこにはいろいろ技術的な問題もございましょうし、なかなか簡単に参らぬ点もございますが、さらに標準超過課税を徴収することによって赤字を解消するという余地が、私どもといたしましてはまだ相当に残されているというふうに考えるわけでございまして、これらの点も地方財政対策を考える場合に無視できない非常に重要な要素であるというふうに考えておるわけでございます。  時間がございませんので、この表の説明は省略をさせていただきたいと存じます。ただ一つ申し上げたいことは、二十三ページに類似する赤字及び黒字団体財政比較、これは財政運営やり方いかんによって赤字にも黒字にもなるという一つの例をあげておるわけでございます。人口その他の条件が似通った二つの県をとりまして、その一つの県は十億以上の赤字になっておる、そのもう一つは四億、形式的には四億八千五百万の黒字、実質におきましても六千七百万の黒字になっておる、その二つの県を比較してみたわけでございます。そうしますと、人件費単独事業のところでやはりこの両県のやり方が非常に違っておることがわかるわけでございます。人件費は、失礼いたしました、人件費は大した問題じゃございませんですが、上から申しますと、人口はそこに書いてある通りでございます。地方税収入B県の方が一人当りをとってみますと若干多いわけでございます。Aの方が十億の赤字で、Bの方が黒と、この二つの県でございますが、一人当りの税収入B県の方がいいわけでございますが、しかしその程度はまあ大したことはございません。全国平均に比べるとまだ相当低いわけでございます。その両県につきまして著しく違っておりますのは、その一般補助事業費A県は千三百三円であり、B県は八百八十一円である。これはまあ国の補助政策に関連あるわけでございますが、もう一つの点は、一般単独事業は、A県の方はB県の倍にもなっておる、各府県の平均の数字に比較しましても二倍ぐらいの大きさになっていることでございます。それからその他の消費的経費、これもA県では千三百七十七円、B県では九百十六円でございまして、全国平均が九百十六円でございまして、赤字の大きいと言われているこのA県では著しくその金額が多いわけでございます。これらの点からも、同じような財政状態、人口も同じような県で、やり方によっては非常に違うのだという一つの例をお示しいたしたわけでございます。  以上簡単でございましたが、一応の御説明を終りたいと思います。
  5. 小林武治

    理事小林武治君) 理財局長の方からこの前のことに関連して、何か御発言ございますか。
  6. 河野通一

    説明員河野通一君) 先般の委員会で、財政の再建をいたします場合の必要な財政調整資金融通に関しまして、ことに退職金の問題に関連してどういうふうな地方団体側からの申し込みがあるかという点についての資料を提出するようにということで、帰って調べましたところが、今のところではまだ一件も申し込みは出ていません。今出先きの方でいろいろこの問題について相談を受けておる個所はあるようでありますが、まだ正式に借り入れの申し込みを出してきておるという件数は一件もまだない、こういうことでございますので、資料の提出をお約束いたしましたが、そういうわけで、該当事項なしということで、一応御報告申し上げます。
  7. 小林武治

    理事小林武治君) ただいまの主計局長説明並びに理財局長のお話に対して御質疑ございますか。
  8. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今の理財局長の御説明申し込みがないということですが、それは地方団体がこの間御説明財政調整資金が用意してあるのだということを知らないのではないですか。私も先般地方を歩きましたが、そういうことがよく徹底していないために申し出がないんじゃないかと思いますが、その点と、さらに主計局長でも理財局長でもいいですが、最近の新聞を見ますと、いつも、前議会にも問題になりました交付税の税率の引き上げに関しまして、本月の初めころの新聞では、何か大蔵省自治庁長官がその問題についてだいぶ話がきまったようにも書かれておりますし、最近聞くところによると、大蔵省の考えでは交付税引き上げないでもやり得るのだというような結論が出たようにも聞きますので、その問題について一つ説明を願いたい。
  9. 河野通一

    説明員河野通一君) 財政調整資金融通に関しましては、この前申し上げましたような大体の方針に基きまして、自治庁からよく地方団体には説明が徹底いたしておると思います。また私の方からも出先の財務局及び財務部を通じてよくそういった取扱いについては徹底させておるつもりでございますが、なお西郷委員のお話のようなことで徹底を欠いておるような点がございますようでしたら、あらためてとくと相談いたしまして、周知させるようにいたしたいと思います。  交付税の方は主計局長の方から申し上げます。
  10. 森永貞一郎

    説明員森永貞一郎君) 最近地方団体側から交付税税率の引き上げの要望がございますことは御指摘の通りでございます。また前国会にも交付税引き上げの提案が行われまして、審議未了になったのでございます。この問題について大蔵省としてどう考えるかということでございますが、申すまでもなく、交付税はこれは交付税の本質から考えまして、そう軽々に動かすべきものでないことは今さらここで申し上げるまでもないことでございます。同時に目下府県知事側で言われておりまする本年度の地方財政計画上五百億くらいですか足りないと言われるその点に関する理論的な根拠について、私どもといたしましてはいろいろ納得できない点が少くないわけでございまして、もし時間を与えられまするならば、それらの点につきましても申し上げたいのでございますが、交付税率を今直ちに引き上げるべき根拠を見出ださないのであります。もちろんだからと申しまして、地方財政につきまして全然問題がないわけではないわけでございまして、先ほども申し上げましたように、非常に深刻な財政難に陥っておる。それについては私どもといたしましては、根本的な対策を考えていかなければならぬのではないだろうか。その時期は三十一年度の予算編成を目ざしまして、目下根本的な地方財政、税制、歳出全般にわたります検討をいたしておるわけでございます。その際に三十年度を振り返りまして、何らかの措置を必要とするかどうかという問題が再び出て参るわけでございますが、とにかく現在ではそういう根本的な検討なしに軽々に交付税率を改訂することに対しましては、非常に消極的な態度をもって臨んでおるわけでございまして、ただ、今お話がございましたように、大蔵大臣と自治庁長官との間にこの問題につきまして何らかの結論を得たという新聞記事があったというお話でございましたが、私どもはさような事実は何ら伺っていないのでございます。大蔵省の態度はただいまも申し上げましたような態度に終始いたしておることを御了承いただきたいと思います。
  11. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 交付税の問題はわれわれも非常に関心を持っており、地方団体にも影響するところが多いのでありますが、もう少し初めからそういう点につきまして具体的に伺いたいわけでございますが、実際に新聞を拝見いたしますと、来年度の予算編成の準備なり査定を開始するような新聞記事が出ておりましたから、もうそういう交付税の問題でも結論は出さなければならない時期に直面しておるのですから、具体的に実際のお話を伺いたいけれども、本日はその点をさらに追及はいたしませんが、もう一点伺いたいのは、先般御承知の通り委員会におきまして、警察関係初め各省の寄付金について厳重に警告を発し、やたらに予算外の寄付金を県や市町村から取らない、非常に困っておる地方財政現状から寄付金はいかぬということになったのでありますが、たとえば警察関係におきましても、年度の途中でこういうことにいたしましたから、感心したことではありませんが、現在までは過去の陋習に従っていろいろの団体から寄付を今も取っておる。急にそれができなくなりましたから、各府県でも年度の途中でもありますために、警察運営のための寄付金にかわるべき財源がなければ困るわけであります。しかし府県にいたしましても、なかなかそういう財源がないわけでありますから、その結果支障を来たしてはいけないと思いまするので、そういう警察費の財源についても大蔵省としては百十億の中からそういう必要な経費をお出しになるお考えですか。百十億からはそういうものは出さないのですか。その点を伺いたい。
  12. 森永貞一郎

    説明員森永貞一郎君) 国の出先機関ないしはそれに準ずるものが地方団体から寄付金を取る、あるいは場合によっては強制的にも取っておるということにつきましては、私ども困ったことだと思っておりまして、地方財政現況にかんがみまして、そういうことをやめるようにという方針には全然賛成でございます。本年度の地方財政計画におきましても、それらの寄付金を廃止することによりまして、若干の地方財政の節減も期待しておるわけでございまして、ぜひその通りに実行していただきたいと思っておる次第でございます。そこでそれでは警察費が不足するのではないかというお尋ねでございますが、私ども警察関係補助金を査定いたします場合には、一応そういう寄付金を見込まないでも、警察としての機能が十分達成できるという前提の下に要求も出て参りまするし、それに対して私どもの方も査定をいたしておるわけでございまして、今寄付がもらえなくなったからというので、すぐにそれが警察機能の達成に支障がある、従ってそれを国費からさらに追加的に支出せよということにはすぐにはならないのではあるまいかと考えておるわけでございます。来年度の予算要求に関連いたしまして、警察庁あたりも今お示しがありましたようなことを理由に経費の要求も出て参っておりますが、これは来年は警察機能の最小限度の発揮をするためにはどの程度経費が必要かということによって予算を編成し、査定をすればいいわけでございまして、本年度百十億の中から寄付金の減に伴う分を追加的に支出して参るということは考えていないわけでございます。
  13. 森崎隆

    ○森崎隆君 今の寄付金の問題ですが、ある本部長から、まあ公けじゃないのですけれども、いろいろ話を聞いてみますと、寄付金の今までの使途というものは割合に公正に使われていたらしいです、事実は最もひどい場合には夜勤の暖房費もないので、これで補わなければならない、また官舎なんかの畳の表がえ、こういうものにも充当しておる、当然これは予算を組んでやらなければならぬものがやれないで、寄付金に仰いでおるものが多い。寄付金が落ちると、その結果は非常に警察関係は困るという具体的な話をいろいろお聞きしたことがあるのですが、今のような大蔵省方針でしたら相当これが問題になるんじゃないかと思いますが、やはり今のところはそういう方針を堅持して動かせないというはっきりした態度でおられるのかどうか、一応お聞きしておきたい。
  14. 森永貞一郎

    説明員森永貞一郎君) 本年度の問題といたしましては、今これを寄付金を取らなくなったからというので、警察費をふやすということは考えておりません。ただ来年度の問題としては警察庁から寄付金を取らなくなったから、警察費がよけい要るのだというような要求は出ております。また地方財政計画を考える場合にもそういうあるべき警察費につきまして、十分検討を遂げなければならぬかと存じますが、これは来年度の予算を考える場合に、警察費は最小限度の警察機能を発揮するためにはどの程度が必要かという問題として考えればいい問題でございまして、特に寄付金と結びつけて考えなくてもいいんじゃないか。さような趣旨の答弁を申し上げたわけでございまして、それによって御了承願いたいと思います。
  15. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 きのう災害関係でいろいろ各省の御意見を承わりましたが、大蔵省に伺っておきたいのは、この間の二十二号台風では、特徴として九州地方は非常に個人の住宅の被害が多い。しかしそういう個人の補修費というものは御承知の通り的確な法文とか、そういうものがないために、これはどうも明確な対策が立たないと思いますが、そういう個人の被害等については大蔵省としてはどういうふうにお考えですか、その点を伺っておきたい。
  16. 森永貞一郎

    説明員森永貞一郎君) 従来国の制度といたしましては、個人の災害による被害に対しましては、御指摘のように補助等はいたしていないわけでございまして、国で補助すべき限界があるわけでございます。農地等の場合には、これは原始産業でもありますし、主食というような問題もありますので、そのものについては補助が行われておりますが、これはむしろ唯一の例外でございまして、他の場合には直接個人に対する補助は行なっていないわけでございます。しかし現実の問題としてお気の毒な方もあるわけでございますが、それらに対しましては、たとえば災害救助法による応急住宅の供与であるとか、あるいは公営住宅、これは国が各府県に補助をいたしておりますが、公営住宅の中の第二種住宅の配分の問題であるとか、一応そういったような府県市町村に対する補助によってそれを活用して対処する以外に道がないわけでございます。個人に対しましては住宅金融公庫等の融資、これは災害の場合にはできるだけ差し繰って融資をするというような運営にもなっておりまするし、そういう面で極力被害者の救済に資して参る、さような仕組に相なっております。
  17. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今回の災害につきまして、御承知の通り九州地方等でも災害救助法も発動されておりますが、こういう関係から考えまして、大蔵省では特に国税の点において、そういう災害地方に対しては税の減免等は今回の台風にはお考えであるかどうか、その点を伺っておきたい。
  18. 森永貞一郎

    説明員森永貞一郎君) 国税庁長官の方から何も伺っておりませんのですが、過去の実例に照しまして、災害激基地に対しましては、現在ございますところの災害減免法の規定に基きまして適正な措置がとられるのではないかというふうな理解をいたしております。
  19. 森下政一

    ○森下政一君 伺っておきたいのですが、いつの時期になりますか、とにかく来月は臨時国会が開かれると私は思うのです。その臨時国会はもう国民全体がどういう目で見ておるかということは、昨今の新聞にもしきりに書いておるように、これは地方団体赤字、この問題を取り上げて、何とかこれに対する解決を与えるのが中心課題になる国会である。もとより、たとえば日ソ交渉とか、日比賠償とかいう外交問題もあるでしょうが、少くとも地方財政赤字問題の解決ということが臨時国会一つの重要な課題であるという期待をもって、国民は全部これを見ていると思うのです。ところが先月の委員会自治庁長官にただしてみても、どうもこの重要な課題を解決する臨時国会に臨む自治庁側の態度として、何も新しいものはないように聞くのです。何の用意もできていないように、私どもは前の委員会ではそういう印象を受けたわけです。というのは、今本院で継続審議になっておりますところの赤字解消の臨時措置法というもの、それが通れば非常によい。もっともあの法律が提案された当時においては、御承知のように二十八年度までの決算が明らかになっておって、二十九年度の決算の結果がどうであるかということはわからなかった。ところが今日ではもうその結果が出て、さらにあの当時よりも赤字がはるかに累積したことも確実になっておるけれども臨時国会には別段それを対象としては何もそれを考えていない。というのは、事務的には必要ないのだ、三十一年度予算の中で何とか二十九年度にふえてきたものに対する財源措置は考えたら間に合うことなんで、今が今あわててどうこうする必要はない、こういう自治庁側の考えのように私ども了承したわけなんです。そこではなはだどうもこれでは世間が期待するような国会にはならないというふうに私どもには考えられる。同時に先般大蔵大臣をここに出席願って、大蔵大臣の御意見を聞いてみると、地方赤字と言われる問題は、国自体のやり方も悪かった点もあるだろうけれども、それだけではない、地方やり方も悪かったための財政不振、たとえば今あなたの御説明になった財政の運用が非常に放漫だというようなことも確かにあるに違いない。それは私どもも認めるわけです。ところがそういう問題を地方側が、少くとも地方やり方の悪いことによって赤字原因づけたというふうな点については、今後赤字を出さないようにこういう措置をやりますというふうな反省が行われ、検討が行われて、そうして地方側でも赤字解消のために非常な努力をするというところが見えて、初めて国がこれじゃなお足らぬというものに対しては、国の責任においてどういう財源措置を講じなければならぬか、どういう方策をとらなければならないかということを考えるべきであって、ただ一方的に何とか財源をよこせとか、大蔵省がはき出せというふうなことを言われても、これはちょっとおかしいというふうなまあ御意見があったわけです。これはごもっともだと私は思うのです。地方側も大いに反省して改めるところがなければならぬと私は思う。思うけれども、それなら地方側にそういう反省を求めて、自主的に何とか財政再建のためにあとう限りの努力をする、そのためには大蔵省の見解においてはこういうことをやってもらいたい、こういう点を改めてもらいたいというふうなお考え方があるに違いないから、それを大蔵省は直接でないまでも、あるいは自治庁を通じてでも伝達することをなさって、そうしてどういうことが行われ、どういう自主的な努力が払われて、今後においては赤字がこういうふうにこの程度までには解消するという、何か大蔵大臣の期待するような効果が上るような呼びかけをなさって、そうしてそれがやがて明らかになるというようなことを期待するような努力をしておられるかどうかということを私は知りたいのです。大蔵大臣がただ委員会に出てきて、どうもおかしい、地方も何とかしなければいかぬということを言うておるだけでは、これは私は何にもならぬと思う。たとえば全国知事会あたりが幾ら足らぬとか、大蔵省がこうすべきだ、あるいは交付税率をこの程度に上げてもらいたいということを一方的にどんどん言うのをただ聞いておって、何もそれを反省しない。そうでなく、あなた方はこういう点はこうしてくれ、大蔵省はこう思うんだというようなことを伝達し、また真剣に考えせしめるというふうな、そうして中央と地方と双方寄って、赤字が出ないようなやり方をやっていこう、あるいはどうしても足らぬというものについては、それじゃ大蔵省は考え直そうというふうな、何か真剣な努力をしておるかどうかということを聞きたい。何もなしにそれを口の先だけでこの委員会に出てきて、大蔵大臣が自分の考えだけを一方的に言いっぱなしておいて、そうしてやがて出てくる臨時国会を、国民全体が赤字問題と取り組む国会だと思っておるのに、今継続審査になっている法案だけをここで何とか通してもらったらいいのだというような考え方では、どうしても私は感情的にも納得できないのだ。私自身としては、大蔵省は一体どんな努力をしておられるか、大蔵大臣の趣旨に従ってどういうことを努力しておられるか、一体地方に要求しておられるか、あなた方の方で直接でなくても、自治庁なら自治庁を通じてこういうことを地方に言っておるのだということが占めるなら、教えてもらいたいのだ、私は。
  20. 森永貞一郎

    説明員森永貞一郎君) ただいま御指摘がございましたように、地方団体に対する指導と申しますか、そういう言葉を使っちゃいかぬのかもしれませんですが、再建への努力を鼓吹する意味においての努力が、現状で十分であるかどうか、これは私も率直に決して十分であるとは思っておりません。それは一つにはこの制度の問題もあるわけでございまして、今日政府が各地方団体個々の財政にはこれは何らの監督権、関与権もないわけでございまして、わずかに起債の許可ないしは交付税の配分の際に、いろいろと地方財政実情を拝見しておるという程度にとどまっておるわけであります。そういう限られた機会におきましては、これは自治庁も、また大蔵省起債関係のある理財局といたしましても、極力地方側に対しまして再建の努力を鼓吹し、またいろいろと御相談にも乗っておることと思いますが、一般的に各団体財政に対してこうしたらいいとか、ああしたらいいとかいうようなそういう仕組みになっておりませんものでございますから、勢いどうも大蔵省といたしましては、まあ国会で申し上げるだけじゃございません、知事会その他機会あるごとにそういう趣旨のことをお願い申し上げてはおりますが、しかしやはり隔靴掻痒的な感がどうしても出てくるわけでございまして、決して十分であるとは思っておりません。御指摘のような面に今後も一そう努力をしていかなければならぬと思います。各団体に対するそういう問題についても、今後そういう努力をしなくちゃならぬと思いますが、財政地方中央全体として考えました場合は、私どもはほんとうにこれはもう実は地方財政実情は容易ならぬ事態であるというふうに考えておるわけでございまして、その解決につきましては責任論の段階をもはや過ぎておる。地方と国とが双方一緒になって、ほんとうに真剣にこの財政を立直す努力をしなくちゃならぬというふうに考えております。その点につきましては、自治庁の方でも地方制度調査会がございまして、目下せっかく御検討中でございまするし、私どもの方でもあるいは財政懇談会、あるいは税制調査会の方でもせっかく御論議願っておるわけでございまして、そこに非常に真剣な論議がかわされております。ただ私どもそれらの問題を考えまする前提といたしまして、もう弥縫策ではいかぬのじゃないか。やはり根本から地方財政の全般に触れる検討をやって、国も地方も両方とも反省して協力して、今度こそもう最終的な地方財政立て直しの努力をしなくちゃならぬのじゃないか。そのためにはやはり相当時日をかしていただきたい。たとえば赤字の補てんと言われますが、三十年に一体どれだけの赤字が生れるのか、これは実はなかなか見当がつかないわけでございます。給与の問題が問題になっておりますが、この給与にいたしましても、先ほども申し上げましたように、国家公務員より果して相当高い給与を払っておるのだといたしますれば、これは国が一律に交付税でまかなうのがいいのかどうか、そこには相当問題があるわけでございます。公平の観点から申しましても、また国の財源の面から言いましても、相当問題があるわけでございまして、もし他の団体より高い給与を国民が払っておるという場合には、それはその団体でそれだけの努力をしなくちゃならぬという面もどうしても出てくるわけでございまして、それらの実態、並びに対策につきましては、よほどこれは慎重な考え方をもって臨まなければならないと思います。また二十九年度末までに累積した赤字が六百億をこえると言われておりますが、その内容につきましても、先ほどその一端を申し上げましたように、いろいろ問題があります。また単年度をとってみますと、一体どの程度の二十九年度の経常的赤字であったか。これは市町村合併等で表面に出た赤字もこの中には入っておると言われますし、また災害に伴う政府仕越し工事等も入っておる。そうしますと、経常的な赤字の額が一体どのくらいあるかということについては、やはりそれ相当検討を必要とするわけでございます。結局根本的対策は来年度の予算編成と同時にでないとしにくい。その前につかみ金と申しますか、なまじっかのことで解決弥縫策を講じたのでは、これは根本的解決のかえってじゃまにもなるんじゃないかと実は考えておるのでありまして、そういう意味で根本的解決策を立てて、その上でもって三十年度を振り返ってみるということがやはり順序になるのではないか、そういうような考え方をいたして先ほどもその趣旨をお答え申し上げたわけでございます。その点は御了承いただきたいと思います。
  21. 森下政一

    ○森下政一君 そうしますと、自治庁長官も常に本委員会でわれわれの質問に答えて言うのは、赤字解消の問題は三十年度限りではどうにもならぬ、従って三十、三十一両年度にわたる一つの大きな政府の施策の上において何とか根本的な抜本的な解決をすべきものだということは、これは口くせのように言っておられる。そこで自治庁長官みずからもこの委員会では、先ほど申し上げましたように、今継続審議になっておる法案を通してもらえば事務的にはとりあえず間に合うのだ、そこで二十九年度の赤字がわかってきたけれども、それについては来年度予算で財源的措置を講ずることができる、さらにそれだけではない、もう来年度予算ということだと、抜本的な具体的な施策をしなければならぬときだ、こういうことを、長官みずから説明されるのです。そこでそれにしても、先刻西郷君からもそういう意味の言葉があったが、もうそろそろ結論を出さなければならぬ時期がきているのじゃないか、何か腹づもりがなくちゃならぬじゃないか、私も同感なんです。もっともたとえば地方制度調査会の結論が出ていない、自治庁側にすれば。あるいは大蔵省側とすれば財政懇談会結論がまだ出ていない。税制調査会の結論が出ていないというようなこともあるでしょう。あるが、これも遠からずみな出るということは、両省とも至急にその結論を出してほしいということを要請しておるのですから、出るだろうと私は思うのですが、そうなってくると、いま臨時国会はそれらの結論というものは何にも反映してこないけれども、政府側の提案するものには来年度の予算、これに伴ういろいろな改正というものにはその具体策が必ず出るのだ、こう期待しておって間違いない、こういうことになりますか。  なお言葉をちょっと付加しますが、あなたはもう少し時間をかしてほしいというお話があったのですが、その時間ということは、しかし三十一年度の予算のときには何か具体的なものが出てくると、こう解釈していいのですか。それまでの時間、こういうことなんですね。
  22. 森永貞一郎

    説明員森永貞一郎君) 地方財政の問題は実は来年度の予算編成の一番大きな問題になるのじゃないかと思うのでありまして、この意味で来年度の予算編成が固まるのと同時でないと、最終的結論には達しないのではないかという意味で、時間をかしていただきたいということを申し上げたわけでございます。  それともう一つ、これは事務的なことで恐縮なんでありますが、赤字の一番大きな要素であり、また一番の大きな圧迫原因になっておる人件費でございます。これは先ほども申し上げましたように、昨年から本年にかけまして、三百万人の公務員全部につきまして、カードをとりまして集計を目下いたしておるわけであります。この集計もなかなか簡単ではございません。学歴別、年令別、そういった要素までも加味して国家公務員地方公務員比較したい。果してどの程度高いのかという実態をきわめたいということで念を入れてやっておるわけでございますが、それを極力急がせておりますが、現在のところではやはり地方公務員の方の集計が出て参りますのが十月の末ごろではないかということが言われておるわけでございます。国家公務員と今申し上げましたような年令、学歴別、その他経歴別ですか、そういった意味での比較をいたすことになりますと、もう少し時間もかかるわけでありますし、この肝心な給与問題についての信頼すべき資料ができますのがやはり相当おくれるのではないか、根本的な対策を考えます場合には、ぜひこの資料の結果を見届けた上で、あとから悔いのない対策を考えなくちゃならぬというふうにも考えておりますが、事務的にはそういった準備の都合でちょっとおくれるのじゃないかという感じがいたしております。ただ臨時国会が開かれました場合には、できるだけ来年度以降の問題としてもこれに処すべき根本方針ぐらい、もちろんそれまでにぜひおきめいただかなければならぬのではないかと思っておりまして、その意味でもこの公務員実態調査等がなお一そう急がれている、そういうような現状でございます。御了承願います。
  23. 森崎隆

    ○森崎隆君 給与の問題で、何か今いろいろお話があって、昭和二十三年度以降一斉昇給とかいろいろなものがあってふくれ上ったということですが、大蔵省の方では現在の公務員給与について、どのような御見解を持っておられますか。
  24. 森永貞一郎

    説明員森永貞一郎君) これは地方公務員給与実態調査の結果を待たなければ的確なことはわかりませんのでございますが、地方公務員給与は、国家公務員に準ずるということになっておりまして、地方財政計画上におきましても、同じような水準で給与表を積算いたしておるのが、現実にはそれより相当高い給与が支払われている。これは各団体によっても違いましょうし、また職員の種類によっても違いましょうが、おしなべて申しますと、やはり国家公務員より相当高い給与が支払われているというのが事実ではないか。その事実を今度の調査によって的確にきわめ、さらにその原因その他を究明いたしたいということでございまして、それは今後のわれわれの地方財政に関する対策を考える場合にも最も重要な基礎資料になるのではないか、そういうふうに考えているわけでございます。
  25. 森崎隆

    ○森崎隆君 たとえば定期昇給なんかの問題につきましても、もちろんある都道府県等におきましては政令の通りやっているところがある。国家公務員に比べまして既得権といいますか、従来の有利な特典が現在確保されている場合もあるわけでありますが、どの府県におきましても、これはほとんどストップしている。これは大蔵なり自治庁の方から資料を出してもらえばわかるのですが、指摘がないのだが、再建プランの中で好ましからざる事項ということで、これは暗に禁止的な圧力をかけたのかもしれませんが、事実上昇給昇格ということはほとんどストップされている。従来よりも非常に悪いときがあったのだが、この上に劣悪な様相が加重されてきているという面もあるわけであります。だから国全体の地方公務員というものを全体的に考えて、今申されたようになお国家公務員よりも有利な条件にあるかないかということにつきましては、どうお感じになりますか。個々の府県につきましては有利な県もあります。僕らは不利な場合の方が多いと思っております。この点は大蔵省と意見が偉うのだが。
  26. 森永貞一郎

    説明員森永貞一郎君) お示しの通り府県、各団体によってさまざまでございましょう。高いところもありますし、また低いところもあろうと思います。しかしおしなべて申し上げますと、平均で出て参りますところでは、国家公務員より相当高い。これは先ほど来申し上げますように、的確なことは今度の調査によって判明いたしますが、私どもはおそらくそういった高いという事実が如実に出てくるのではないかと思っております。その一つの例になるかどうかわかりませんが、たとえば教育職員、国の方にも附属学校が方々にございまして、そこに先生方が大分おられるわけでございますが、その先生方の給与と公立学校の先生の給与比較いたしますと、これはまあ上下によって若干の幅は違いますが、平均して一割二、三分以上公立学校の先生の方が月給が高いのです。それから警察官、これは国警と自治警時代において給与の差がございまして、それは今日今の調整手当というような形になって表われておりますが、これまたやはり一割ぐらい違っておったのではないかということが推測される一つ要素でございます。その他の府県職員市町村職員等についてどうなっておるか、これはなかなか的確な資料がございませんので、今度調査をするわけでございますが、年令も違ったりいろいろなこともございましょうから、簡単には結論が出ませんが、おしなべて高いのではないか、しかし団体によっては低いところもございましょう。それを十分に今度きわめたいと思っておるわけでございます。
  27. 森崎隆

    ○森崎隆君 今のような具体的な面においては、ある程度そういう面もわれわれも知っておるわけなんですが、国家公務員と並んで地方公務員給与というのは国民全体の給与一つの基準という意味においてやはり絶対にそれ以上おろせない、基本線は持たなければならぬ。現在民間の給料と比べますと、もちろん中小企業関係がデフレ政策の結果非常に給与が劣悪に陥りつつありますけれども、大企業なんかになりますと、ものすごい給与、たとえば私らの県でも県庁職員の中で課長級の人を考えますと、電力会社の課長と比べますと、電力会社の方は大体二倍半の給料ですよ。電力会社の社長になりますというと、知事の五、六倍取っておる。月に数十万円取っておる。この税金がどうなっておるか知りませんけれども実態はそうなんですね。こういう面も考えて国民全体の給与の基準というものをわれわれが示す。それよりも有利になる場合もある程度抑えていくべき責任があると同時に、中小企業関係もある程度それに近付けるような有利性を持たせなければならぬという一つの基準というものを確立しなければならぬと思う。それがやっぱり現在の給与法じゃないかと考えるのです。その観点に立っていただきますと、今のような個々の付属小学校の問題、中学校の問題とその他の公立学校の先生の問題、そういうような細かい問題は別にしても、公務員給与というものはおのずからそこに具体的な日本経済のあり方の中において一つの基準というものが出るのじゃないかと思うのですよ。そういう面で一つ一見ていただきたいと思います。  もう一つは、二十三ページの資料ではA県B県比較がありましたが、その比較されておるのをじっと私たとえば地方自治体の一公務員の立場のような気持で聞いておりましたが、今のように主計局長の話がこれが一つの事項として話されて、私はまあ公務員として聞いた場合、明らかにB県のような行き方をやらなければいけないという暗にそういう圧力を感ずるわけなんですね。実際指令じゃないですけれども、圧力を感ずるわけです。それをもっと極端に言いますと、この中に、人件費の問題を別にしまして、県単の事業補助政策事業等いろいろございますけれども、これは府県によっていろいろ特殊事情があると思う。ある県によっては災害なんかの多い所もあるし、また農地の改良その他にどうしても力こぶを入れなければならない場合もあるだろうし、いろいろその府県府県によって事情が違う。その二つA県B県を出して、何かB県の方が非常にりっぱだ、極端に言うと、これは仕事をしなければいいということになる。給与だけ出して仕事をしなければこれは黒字になるにきまっている。そこに現在の地方自治体の苦労というものがあるわけです。どうしてもやるだけのことはやらなければならない。現在学校の建築関係でもそうでしょう、一昨年あたりまでは幾らでしたか、あれは半額国庫補助になっている。だから結局子供を学校に出している父兄の負担というものはある程度軽かったが、それが一昨年あたりから三分の一に切られた、その切られたあとのしわ寄せは結局は地方自治体並びに父兄の方へ間接的な税金という形で出ておるわけです。私はそういう点をやはり十分に考えていただかなければならんと思う。  もう一つは、滞納の問題がいろいろ問題になりましたが、滞納は極力なくさなければならぬと思いますが、脱税の問題もあるんです。私は局長の話を聞いてひょっと四、五年前のことを思い出しました。私の香川県の国税庁の方で摘発した問題があった、あれは昭和二十六年だったと思いますが、新聞にも出たと思うんですが、全国の事業所をあなた方の方で押えまして、数千万円の脱税があった。その後聞きますと、この数千万円の脱税は利子をつけて取ったとか、回収したとかいうんですが、聞いてみると回収していない、ほんの一部だけしか払っていない。これは上の方でそういうような操作がなされておる。せっかく下で一生懸命やってもだめなんです。高松の税務署がやってもやり切れないから国税庁の方へ問題が回って国税庁の方でやりましても、結局上の方で押えられてしまってできない。もう一つ問題は、数年前に港区ですか、吉田総理のかかりつけのお医者の所に税務官吏が入りまして、資料を押えて脱税を強力に摘発したわけなんです。ところがこれが吉田総理の手を経て上から押えられてきた、そしてそこの税金がうんと減ってしまって、それで港区の医者が全部一緒に税金を下げて行ったんですよ。そういう事実をあなた方は知っておるはずです。そういうことを一方で上級官吏の方でやっておいて、一方で納税納税と小さな納税者に対しては利子をつけて日割計算でやっている。このやり方のアンバランスというものは私らに言わせれば不正と言いますか、こういうものをほったらかしてあなたの方で地方自治体の方に対して赤字財政はいけない、何のかんのと、それだけを言ったんでは、それはやはり国としては筋が通らないと思う。こういう点についてはどう考えておられるか。事実そういうことがある、あることしか私は言わない。
  28. 森永貞一郎

    説明員森永貞一郎君) 第一点の問題でございますが、これはむしろ国家公務員給与の水準がどうあるべきかという点の問題になるわけでございまして、現在一万五千四百八十円というベースでやっておりまして、最近の物価、生計費、賃金その他の推移から考えますと、今直ちにこれを改定する必要はないというような考え方をもって本年度の予算編成に臨んだわけでございます。民間給与との間には若干差がまだ残っておると思いますが、だんだん縮まって参ったのは事実でございます。昨年一カ年間の昇給率をとってみますと、むしろ国家公務員の方が民間よりも昇給の幅が多かったというようなこともあるわけでございまして、だんだん民間給与の水準に近づきつつあるということが言えるのではないかと思っております。で私が先ほど申し上げましたのは、この国家公務員に準ずる給与でございますから、同じ水準まではこれはやはり地方財政計画上においても地方公務員に認める、そういう財源措置が必要であると思います。それをさらに切り下げるということは私どもは考えておりません。ただ現実に国家公務員よりも高い水準の給与が支払われておるという結果が出て参りました場合には、これは無条件に国民一般の税金で埋めるべきかどうか、あるいはその県限りで標準超過課税努力をされるなり、何らかの調整措置を講ぜられるなり、とにかくその県なり、その団体なりの責任において解決せらるべき問題が少くないんじゃないかというような観点から申し上げたわけでございまして、その点をご了承いただきたいと思います。  それから第二点でございますが、これはA県B県と出しましたが、やはりお説のようにA県にもB県にもそれぞれ特殊な事情があるわけでございまして、それを全然捨象してこの数字だけから絶対の真理が出てくるというわけではもちろんないと思います。そういう特殊事情も考えなければならぬと思いますが、しかし比較的経済力、人口その他の似通ったところを取った場合にあまりにも著しい対照になっておりますので、やり方によってはこうも違うものだという趣旨で申し上げたわけでございます。この表でもおわかりの通り、一般補助事業A県の方は非常に多い。これはその県が置かれておる地勢的な関係その他からあるいはやむを得ない結果であるかとも思うわけでございまして、この点はその県の問題というよりは、むしろそういうやむを得ざる条件ないしは国の補助政策によって左右せられる面が多いわけでございまして、その点をそう取り立てて申し上げるつもりはございません。ただ単独事業をいたしました場合に、A県の方がB県の方よりも倍以上もある。このA県単独事業のうちには果してどういうものが入っておるか、りっぱな県庁舎が建っておるという事実はこの中にも含まれておるわけでございまして、そういう点もあわせて考えますと、やはり自分の財政力に似合った財政運営をもう少し心がけていただく。それによってこの赤字が解消する余地相当残されておるということを痛感せざるを得ないのでございます。そういう意味でこの二つの例をここに出しておるわけでございます。  それから最後に脱税の問題でありますが、これは私今お話がございましたような事実は全然関知いたしておりません。しかしもう申すまでもなく税務行政は、これは徹頭徹尾公正に行われるように努力をしなくちゃならぬわけでございまして、現にその線で五万の税務職員が職務の遂行に当っておるわけでございます。この上ともそういう努力を続けていかなくちゃならぬと思います。しかしここに出しました事実は滞納が案外多い。国の方にももちろん滞納は絶無じゃございません。毎年度の税収入が八千億近くございますが、これに対してやはり六、七百億の滞納がございます。国の方もできるだけこれを減らす努力をしなければならぬと思いますが、地方財政税収入が三千数百億に対して七百億近くの滞納ということでございまして、滞納の率も高いわけでございます。また中身で考えましてもいろいろ問題があるわけでございます。たとえば自治体の関係者の滞納などが問題になったこともございますが、そういう点はぜひとも改めていきたいと思いまするし、また遊興飲食税なども果して規定通り徴収されておったかどうか、これは相当問題があったところでございまして、今度法律の改正で税率を低めると同時に徴収を励行するというようなことになりまして、この制度がうまく運用されてもっと実績が上ることを私どもも期待いたしておりますが、二、三の例で申し上げたわけでございますが、もっともっとやはり努力余地がある。これはもう事実だと私ども確信いたしておるわけでございまして、その面の努力を一段と強化していただきたい、そういう気持をここに表わしておるわけでございます。
  29. 島村軍次

    ○島村軍次君 先ほど主計局長のお話によりますと、二十八年度の赤字は四百六十二億、しかし実質的には三百二十億となるというようなお話があったのですが、これはまあ見方の問題だと思うのでありますが、その計算の仕方をどういうふうにお考えになっておりますか。そういう意味であったとすれば、一つ資料をあとからでも出していただきたいと思います。  それから先般来地方財政を、ほかの用事で参っていろいろ承わってみまするというと、まあ通論的に申し上げれば、やはり財政需要の見方についての議論はどこでもあったようでありますが、そこで来年度の予算をお考えになる場合に一番問題になるのはやはり人件費の問題、これは給与関係がはっきりして、大よそ自治庁なりあるいは大蔵省でお考えになるだろうと思いますが、そのほかに警察法の改正に伴って府県負担が非常に増してきた。それも当時考えたことは、財政計画なりあるいは国で考えておった警察費の総額よりはどうもどこの県でも意外の増高を来たしておるというふうな見方であり、かつさようなことを強く要望しておったようであります。従ってたとえば大阪のような富裕府県であっても、数年後においては現在のままをもってすれば、結局赤字原因が警察費とあるいは教員の義務教育費の増額等によって起るのじゃないかということが気ずかわれておるようでありますが、そういう将来計画についてどういうふうなお見通しをお持ちになっておりますか。大よそ根本的な改正をやられる場合には、公債費についてはここに表がずっと出て、将来の公債費の二十年後のものまでも出ておりますが、これはまあ性質上そういうようなことが出ることは当然でしょうが、警察及び義務教育に関する問題、人件費に関する問題は、地方財政としての将来計画、ことに三十一年度の予算をやる場合には、少くとも数年後の大よそ見通しをつけてからでなければならぬと思います。そういう点についてどうお考えになっておりますか。
  30. 森永貞一郎

    説明員森永貞一郎君) 地方赤字数字の問題でございますが、見方によってはもう少し小さい見方もできると申し上げましたが、その点につきましては、理財局の資金課長から御説明をいたすことにいたします。  後段の警察費の問題でございますが、昨年警察制度の改正が行われました場合に、警察費の負担区分をどうするか、これはやはり一つの重要な問題でございまして、過去におきましては、人件費につきまして連帯支弁というようなことで、人件費を持つという形によって分担をしておったわけでございますが、今回は警察庁、自治庁、私どもも加わりました結論といたしまして、人件費府県持ち、そのかわり捜査活動費は国が持つ、施設費等につきましては半分ずつというような原則で処理いたしたわけでございます。この負担区分の方式がよかったか悪かったか、見方によりましてはいろいろ御批判もあるかと思いますが、私ども現状ではやはりこのやり方がよかったのではないかというふうに考えております。まだ一年間あとでございますから、さらにもうしばらく続けました上で、さらに再検討するという機会もあろうかと思いますが、現在のところこの負担区分の方法を変更するということは考えていないわけでございます。そういう私ども考え方に対しまして、一部の府県、知事会あたりのお考えは、昔と同じようにこの人件費を半額政府が持てというような注文も出ております。その裏には、人件費負担がだんだん大きくなっていく、結局府県は、府県財政の大部分は教員と警察官の月給の支払いに追われるというようなことになって、弾力性がますます乏しくなるから、これでは困るというようなお考え方だと思いますが、私ども財政当局の立場から考えますと、昔のような制度にいたすことは貴重な財源をより有効に使うというゆえんではないというふうに考えるわけでございまして、たとえば東京、大阪というようないわゆる富裕府県により多くの財源が流れていく。乏しい財源の中をそういう富裕団体により多くさくことが適当かどうかということにつきましては、消極的に考えておるわけでございまして、やはり今の負担区分で参りたい。  警察費の適正な見積りがいかがあるべきか、この点につきましては、先ほども御質問がございましたが、来年の予算編成当りましては十分調査をし、極力適正な見積りをいたすことに努力をいたさなくちゃならぬと思いますが、制度の問題といたしましては、これを変更することは考えていないわけでございます。これは将来どういう負担になるか、この点も実は的確なことは、今度の地方公務員給与調査の結果に待って将来の見通しも立ててみたいというふうに考えております。公債費と同じように、将来の負担がどうなるかという試算はただいまは持ち合わせておりません。御要請がございますれば、あるいは適当な機会にそういう試算もいたしてみたいと存じます。
  31. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) ただいまの赤字の見方の問題でございますが、これは地方財政赤字というのは何かということは、これは非常にむずかしい問題であるというふうに存じます。何か固まったものがあって、これが赤字だというようなそういう見方はなかなか困難じゃないかと思います。通常この赤字というのを言われております中には、大体大きく分けまして三つあると存じます。第一番目は繰り上げ充用と言われておるものでございますが、これは地方自治法施行規程第百六十三条にありますものに相当するわけです。「会計年度経過後に至って歳入歳出に不足するときは、翌年度の歳入を繰り上げてこれに充てることができる。」これを繰り上げ充用と言っておりますが、いわゆる形式的赤字というふうにいろいろな機会に世間で一般に称せられておるというものがこの繰り上げ充用、これに相当するわけでございます。このほかに事業繰り越し、やるべき事業をやらなかったというものがどのくらいあるかという問題が第二番目にありまして、それからさらに支払うべきものを払わなかったという、債務があるという関係、これが第三番目にありまして、この繰り上げ充用を形式的な赤字と称しまして、二番目と三番目の事業繰り越しと支払繰り延べをそれに加算しましたものを実質上の赤字だというふうに言われているかと存じます。それで私どもが試算をいたしまして出てきた数字というものが、二十八年度の決算において自治庁と若干食い違う見方もあるというふうに見ております点は、この二番目と三番目の事業繰り越しと支払い繰り延べの問題でございます。繰り上げ充用につきましても、これはいろいろ問題があるかと存じますが、これは実はそれぞれの団体財政の全部を洗ってみませんと、何とも申しようがないというふうな点から、われわれの持っておりますスタッフではとてもその仕事はできぬという関係で、これは一応団体の決算そのままをとっておるという形になっておりますので、これはあまり差異はないかと存じます。それで第二番目の事業繰り越しと第三番目の支払い繰り延べについて見方が若干異なっておるという点をちょっと申し上げますが、第二番目の事業繰り越しにつきましては、自治庁の方でごらんになった見方も、やはりそのやらなくちゃならない仕事をその年度にやらないで翌年に繰り越したというものを赤字だというふうに大体において見ておられるというふうに伺っておりますが、われわれの方で見た見方は非常に厳密にと申しますか、かたく見まして、それでこの補助金をもらっているとか、あるいは地方債がついていて歳入が入っておる、しかしその税金に見合う仕事がいろいろな事情でついおくれてしまった、そういうようなものをこれを施行義務額というようなふうに見まして、その団体がその年度に施行しなければならない義務が客観的にあった、それをやらなかった。で、翌年に延ばしたいというものについてこれを赤字と見るというような見方にいたしましたので、その単独事業的と申しますか、あるいは施行義務とは必ずしも言えないような数字が若干落ちたために差が出たのじゃないかというふうに思いますが、これは施行業務とは何ぞやと言いますと、これは団体によりまして判断の基準も違うと思いますし、それから外部から見ましても判断の基準が若干違いますし、われわれの見た見方はかなりきつい見方じゃないかとも思います。これにつきましては、さらにきつい見方もあり得るのじゃないかと思います。いろいろ問題はあるかと思いますが、その差はそういう点の施行義務というようなものをかなりきつくしぼって考えたという点が差になって出てきていると思います。  それからその次に支払い繰り延べという問題につきましては、これはいろいろございますが、大きく違いましたのは、二十七年度以前の直轄事業の分担金でございます。これがかなり大きな数字の差になって出てきております。これはたしか二十八年度以降は交付公債で納められることになっておるかと思います。二十七年度以前においてはそういう制度がなかった。それをいつでございましたか、はっきり記憶いたしませんが、制度の改正がありまして、二十九年度から五カ年間以内の分納の契約——契約と申しますか、これは政令で定めたと思います。そういう方法が開けたわけでございます。その際二十八年度の決算として二十七年度以前の直轄事業の分担金が国に対して未払いになっております分を自治庁の計算では全額赤字に計上してあるという数字になっておると思います。それでわれわれの方で見ましたのは、二十九年度以降五カ年間の分納であるという思想をとるといたしますと、二十八年度の末といたしましては、五カ年間の年賦償還の地方債というようなものと実質上あまり変らないという見方に立ちまして、これを二十八年度の末の赤字というものからは落したという点、この先ほど申し上げました事業繰り越しの点の見方と、この支払い繰り延べの点の見方、これが大きく違って参りました原因だというふうに思います。  それから資料の御要求がございましたが、これは整理いたしまして、あとで提出するようにいたしたいと思います。
  32. 島村軍次

    ○島村軍次君 第三表にありますね、繰り上げ充用額九十四億三千二百万円、それから実質赤字二百二十億、こういうものを大体合計すると三百二十億になると思いますが、そういう見方ですか。で、その内容についての見方の説明は今お話しになったので、わかりましたが、資料はあとで出す、こういうことに了解してよろしいですか。
  33. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) この第三表の数字は、これは県だけでございまして、これとはちょっと違ってくるかと思います。
  34. 島村軍次

    ○島村軍次君 そうしますと、二百二十億は、これは私の考え違いだったのですが、二百二十億は県の実質上の赤字、それに市町村も加わって三百二十億、こういうことと了解してよろしいですか。
  35. 牧野誠一

    説明員牧野誠一君) これは自治庁の計算いたしました赤字でございます。これは市町村の分が加わりますと、四百六十二億になるという数字になると思います。  それから資料の点は後日なるべくすみやかにお出しするようにいたしたいと思います。
  36. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 ただいま主計局長から説明のあったこの地方財政現況の後段ですね、「未だ不確定な要素が多く」云々と、この一番しまいが「ことが一部にいわれている。」と逃げているということは、これはあなた方はまだこれを事実を認めているのじゃないので、そういうこともうわさされているというような、非常に客観的な無責任な態度でこれを見ているわけですか。
  37. 森永貞一郎

    説明員森永貞一郎君) お叱りを受けましたのでございますが、この基礎控除とか市町村民税の改正に伴ってそれ自身が減収になることは必至でございます。その場合にほかの収入がどうなるか、その点につきましては、まだ実は今日的確な予測をするわけに参らぬわけでございまして、まあ国民所得がふえるに従って地方税収入もふえるというような面もあるわけでございますが、それらの要素は考慮に入れるわけに参りませんので、それを引きますと、この収支がなかなか合いにくいということになるわけでございます。「一部いわれている。」というのは少しどうもあまりにも第三者的な言い方をいたしております。あるいは表現が不適切であるかもしれませんけれども、そういう自然増収的な要因を除いて考えれば、収支のつじつまがなかなか合いにくい実情にあると、そのくらいの意味でお読み取りをいただきたいと思います。別にこれをもっぱら第三者的な立場から対岸の火災視するつもりは毛頭持っておりませんので、どうぞ了解して頂きたいと思います。
  38. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 さっき森下委員からの、地方財政と取り組んで大蔵省がこれを解決しなくちゃならんという気魄が足りないというお叱りがあったのですが、どうもこういうようなところにそういう片りんが見られる、こういう感じが起きるのです。この点はやはり大蔵省財政問題を、国の全体の財政というものと地方財政というものは切り離せないのだから、もっと真剣に取り組んでもらわなければならんと思うのです。こんな言葉は逃げれば幾らでも逃げる道はありますけれども、そういう大蔵省考え方もこういうところに出てくるのではないかと思うので、私はこういう言葉も実はここにあげたわけなんで、もっと真剣に国家財政と、国家財政の非常な大きな部分であるという考えのもとに取り組んでもらわなければならんと思う。そこでさっきも、大蔵省はなるほど直接地方行政あるいは地方財政について責任のない、またタッチすべき部面も少いというお話しだった。これはもっともなんですが、直接にはもちろん自治庁というものがあって、自治庁地方の行政を指導というか、そいうような立場におるわけであります。そこで責任ある問題をつかまえて、いろいろな施策を立てたら、それをやはり本当に開いてやって、これではだめだではなく、これはだめだということを言うとともに、だめならこれはどういうふうにするかということを考えてもらわなければいかんと思う。現に先ほど地方交付税の配付の仕方が地方平衡交付金考え方と同じようなことでやっておるという御指摘があった。これは実際確かにそういうふうに見られるのですが、それじゃ一体どうしたらいいのだ。交付税の一体配付の仕方というのは、これは今までのは確かにあまり微に入り、細をうがち過ぎた点はあるけれども、少くとも地方の収支を把握してそうしてやろうとすれば、自然ああいうふうな非常にこまかくなってくる。こまかくなってくるという点については、また私どもにも意見はありますけれども、しかし全体としては、やはり調整財源である限りにおいては、理論的にこの団体にはこういう収入があるべきである、そうしてこういう歳出があるべきであるというものを握って、その差額についてやろうとする、これはやはりこの建前というものはくずせないと思う。この点については平衡交付金と変らないといえば変らないのですが、現に平衡交付金時代でも、決してつじつまを合せるために赤字を出したものを現実の決算においてやっておるのではないので、こうあるべきものであるという理論的な数字からその差額を補てんしてやるという考え方だったので、交付税になったが、やはりその差額を見るという根本の考え方についてはこれは変えるわけにばいかない。やり方についての御意見があれば、これは自治庁と十分お話しになって交付税の方向もお考え願いたいと思う。ただそういうふうに批判的にやっておったのでは、いつになっても問題は解決しない。この点もっと真剣に取り組んでもらって、地方財政をいかにここで解決すべきかという考えに立ち帰ってもらいたいと思う。このことを特に申し上げておきたいのですが、そこでこの地方交付税の配り方がどうも平衡交付金と同じようで困るというような御意見、それについて何かこういうことはいかぬのだというお考えがあるなら私どもも参考に承わっておきたいと思う。
  39. 森永貞一郎

    説明員森永貞一郎君) 配り方の問題でございますが、実は交付税に変えます際に、今までのやり方で続けていいのかどうか、もう少しわかりやすい基準で分ける方がより交付税ということに切りかえた趣旨に合うのではないかという議論を政府部内ではいたしておったのでありまして、その当時はこの自治庁の方のやはり今までのようなやり方をする必要があるという御意見に私どもも従っておったわけでございますが、やはりその後の推移を見ておりますと、少し精緻過ぎるのではないかという……私専門家ではないのであります、むしろ主税局の方が専門の担当部門になるわけでございますが、そういう仕事はしろうとながらそういう感じがいたしておるわけであります。たまたま二、三日前でございましたが、ドイツの財政調整やり方をごくわかりやすく解説いたしました役所の調整を見まして、非常にはっきりできておりまして、日本の戦前やり方は、もうそれに近かったかと思うのでありますが、収支の差を見ていけばそれはそれだけ公平にはなるわけでございますが、それで、もう至公至平を期するわけには参らぬわけでございまして、その公平という精神とわかりやすいという精神をもう少し折衷させる意味で、現行の分け方につきまして簡素化を考えてみる余地がないだろうかという感じがいたしましたので、その感じを先ほど率直に申し上げましたわけであります。その点につきましては……その点だけではございません、地方財政全般につきまして、実は先般来自治庁当局とも集まって検討いたしております。そういう際にもそういう意見を大蔵省からも提案をいたしておりますが、なお具体的にどういういい方法があるかということにつきましては、幾多の検討を必要とするわけでございまして、ここでは具体案があるわけではございません。
  40. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 その点は私もあまりこまか過ぎるという意見、そうして従って各地方団体が、自分のところへは一体どれくらい取れるだろうという見当をつけるのに、あまりこまか過ぎて困るという意見は団体側からも聞いておるのでごもっともだと思うので、その点も一つ大蔵省でそういう御意見があるならこれは十分出して、自治庁と一緒に取り組んでいい案を作ってもらいたいと思う。  次に一つ特にこの際申し上げて、これは実は両大臣に申し上げたいのですが、あなた方から自治庁の方及び大蔵大臣の方に、大臣に申し上げて、ぜひこれは適当な方法で地方団体に、はっきりさせる方法を講じてもらいたいと思うのは、今給与実態調査をやっておる。その結果が十月出る、あるいはこれがおくれて十一月になるというようなことを今言われましたが、これが出れば、今まで赤字が三百何億出るだろうと言われる推定的のこの赤字を何とかして解消してくれる方法を考えてくれないだろうか。もっと簡単に言えば、地方団体側では非常に安易な気持から、あとで補てんしてくれるのじゃないかというような甘い考えを持っておるのです。これはおそらく自治庁長官ももちろん大蔵大臣もそんな甘い考えを持っておるのではないと思うのですが、それではどうするかということはちっとも言わない。それに触れるのは何かタブーであるかのごとく両大臣は触れない。これはわれわれは非常に困るので、去る二十二国会にもしばしばこの問題を取り上げて、どういうふうに考えるかという考え方だけ言ってくれぬと困るじゃないかと言ったが、とうとう言わない。言わないからますます安易な気持を地方団体側に持たしておる。これはいなむことができない事実だと思う。これは何とか交付税でもらえるくらいに思っておる、譲与税でもらえるくらいに思っておる、タバコの消費税でもらえるくらいに思っておる。そんな甘い考えを持たしてしまったということは、政府に責任があると思います。そういうものじゃないので、これはなるべく適正な給与体系に戻して、そして同時に今まで出た赤字についてはどういうふうに考えるかということまで、ある程度まで触れなくちゃいかぬ。そうでなければいつになっても実態調査の結果が出るのを待て待てといって待っている。いつまでも待っているということになると、地方側でそのうち数字が出ればその数字によって何とかするだろう、三百何十億という赤字についてはその三百何十億については何とかしてくれるだろう、こういうふうな安易な気持を持たしてしまったということについては政府の責任だと思います。この点についてはもっと早くそういう赤字については理論的に解決すべきものは解決し、また地方側に責任のあるものは地方側によって解決してもらわなければならぬ。政府がみるべきものをみなかったのは当然政府がみなければならぬ。大部分の赤字はとにかくこうこうして処置してやらなければならないという線を早く出さなければいけない。これは一つ自治庁長官大蔵省と相談してなるべく出しておかぬと、また地方側団体地方財政確立協議会というようなものを作って、猛烈に運動でもすればとにかく何とかなるだろう。国の財政を考えてもとの問題が安易に三百何十億あるかもしれないという赤字を国家財政から交付税の形であるいはそれらに似た形で補てんして出すということはできない相談であります。性質上から言っても出すべきものでないものも相当あるわけであります。それとだんだん地方がそういう期待をもって今進んでおる。これはほんとうに政府としては特別国会、去る二十二国会でもっとはっきり出すべきだったと思いますが、私は幾ら言っても大蔵大臣イエスと言わない。言わなかったことがいい方へとられたかというと悪い方ばかりとられている。この事実をよく大蔵大臣に報告されて、自治庁長官と相談して、もっとよく早く実態調査の結果が出たらどうするかということでなく、出たらこうこうすべきものである、少くも筋を出しておかなければいけないと思う。筋を出しておかないで、いきなり、望みをずっとつないできて、ふっと切られるということは、地方側に大きな衝動な起すと思いますが、この点一つ臨時国会を開く前に言った方がいいと思います。どうかこの点は至急に何らかの方途を講じて地方側にもしみ込まして、一ぺんに何十億という給与赤字がみられたからというので、これをどうするということもできないから、この点を一つ十分今から線だけは出しておきたい、こういうことをお願いいたします。自治庁の方では部長もおられないようですから一つあなたからよく長官に申し上げて一寸つなきに赤字が出たら何とかする、考えますと言っていると、考えますということは自分の都合のいい方ばかりに自治団体はとりますから非常にあやまちを起させることになる、そういう線が出ればむしろ自分の方は給与がよすぎるあるいは人が多すぎるということを感じている県もあるのですから、市町村もあるのですから、十分考えるようになる。どうかこの点をよく、当然国としてみるべきものはみなくちゃならぬけれども地方団体に責任のあるものは地方団体の責任においてやっていかなくちゃならぬということを、はっきり出す方がいいと思います。そのやり方についてはお互いに自治庁大蔵省と研究しなくちゃならぬ。また今から研究するということは実際おそいので、当然出るのはわかる、どうして出てくるかということは大体見当がつきます。具体的な数字が出るまでは初めの方法だけは出しておかなければならぬと思う。この点一つ強く、要望しておきます。  そこで理財局長見えておる機会に起債の認可の仕方の手続と言いましょうか、自治庁の方いないので私も少し困るのだが……起債大蔵省自治庁との間でどういうふうにしてきめていくかということを、一つごく簡単に御説明願いたいと思います。
  41. 森下政一

    ○森下政一君 私もそれに関連しておるのですが、さっき起債公債費悪循環説明を聞いたのですが、一般財源不足補てんのために起債なんということがかなり行われておるようなことになっておるが、戦後にはそんなものは全然ないと私は思う。一体そんなものは自治庁にしたって大蔵省にしたって許す道理はないと思うが、いつごろそんな法律をこしらえたか、ちょっとふに落ちない、それを一つ説明していただきたい。今の伊能さんの質問に対する答えのついでにお答え願いたいと思います。
  42. 河野通一

    説明員河野通一君) 起債の取扱いについて自治庁とのやり方はこれは起債の種類によっていろいろ違うものもありますけれども、大体各自治体から自治庁に対して起債の申し入れがあって一応自治庁が自分の立場でいろいろ検討されて案を作られます。その案を持って大蔵省に見えて、大蔵省自治庁とで個々に具体的に一つずつ当っていく。そうして両者の話し合いと申しますか、意見の一致したところに従ってその起債を許可していく、こういうやり方でいたしております。もっともこれは大ワクといたしまして事業別に大体のワクと申しますか、そういうものが一応きまっておるわけでありますから、水道なら水通というものについて大体百億なら百億といったようなワク的なものはきまっておりますから、その範囲内においてここに何カ所どの程度作るか、こういうことの話し合いをしておる、こういうふうに御了承いただきたい。  それから森下さんの御質問でありますか、ちょっと御質問の趣旨を取り違えておるかもしれませんから、もし取り違えておりましたらまた御質問いただきたいと思いますが、起債公債費とが悪循環をいたして参りましたということはやはりこれは戦後における特異な事態、ことにまあ先ほどもお話しがありましたような非常にインフレーションをいたしました時分に、何と申しますか、起債の基本的な扱い方というものについて、今から考えますと相当いかがであったかと思うものが実際あったかと思います。そういったものがだんだん重なりまして、やはり私が今から振り返って考えてみますと、やはり金さえつけばいいといったような考え方が全体的にある程度びまんをしてきたのじゃないか、従いましてほんとうの意味ではそれは金融という形において調達すべき性質のものでなかったものも私はあったのじゃないかと思います。そういったことがだんだん累積をいたして参りまして、結局公債費の累積という形で負担が多くなってきた。しかもそれが最近どんどん償還期がくるという時代に入ってきた。これが一方でその後の起債ということが本来ならば起債として扱うべきでないようなものが相当やはり起債として扱われてくるということが続いてきておる。私どもこれは数年前か強くこの点についての考え方をやはり改めていかなければならぬ、起債というものは先ほど主計局長ちょっと申し上げたところでありますけれども、やはり金融でありますから、金融ということの立場に立ったものでなければならぬ。従ってもちろん形式上は赤字ではありませんけれども実質的に赤字に対して金融をするということは極力やめていく。具体的に申し上げますればできるだけ起債の対象というものは、たとえばそれ自体の事業によって償還ができていくといったような、たとえば公営事業でありますとか、そういったふうなものへの起債ということを、重点をそこに置くということで、これは自治庁当局の基本的な考え方といたしましてはそういう考え方で進もうということにだんだんなって参りました。もちろん、しからば公営事業以外の起債ということは全然認めないかということは、これはまあ個々の場合について、私はいけない。たとえば小さい、財政部の非常に弱い村とか町あたりで、やっぱり学校校舎を建てる、そういったものをすべて税でやれということは、これは私はやはりいけないと思います。従いましてその辺につきましてはやはりその事柄の性質に従って、必ずしも公営企業でないものにつきましても起債ということは残り得ると思いますけれども、これらにつきましても、やはり確固たる償還の見通しがはっきりついておる、つまり金融の対象になり得る条件をそなえたものということに、今後さらに一そう重点を置き、はっきり起債の対象というものをしぼっていくということに努力をいたさなければならぬと思っております。この点は基本的には私どもの方と自治庁との間に考え方の相違はございません。過去の問題、いろいろこれは原因があると思いますけれども、まあその原因についてはいかようにもあれ、今後についてはそういった方針によって起債というものを考えていく、かようにして参りたいと思っております。
  43. 森崎隆

    ○森崎隆君 関連して。今の答弁を聞いておって、私はしろうとですからわからないのですけれども、具体的に聞きますがね、県庁の庁舎なら庁舎が火災にかかった場合、当然起債とか、いろいろ再建しなければならぬ。現在、これは香川県の例ですがね、庁舎があるのですが、今度これをことし起債を許可されないと、もうだめだという一つの理由でもって、たしか五億ぐらいの金で庁舎を作り直すという、これは事実上許可がおりて、もう始まっておる。こんな場合、今局長の言われた方針にかなっておるかどうか、これは特殊の事情があるのかどうか、こういう場合がこれからしきりに起きた場合には、新潟のような場合の火災のあと処理等との間にどれだけの優劣の問題が起るのかどうか、またそういう問題が教育問題の老朽校舎の再建築の場合、非常に予算がなくて因っている。こういうようなものとのバランスはどんなになっておるのかということ等について伺いたい。
  44. 河野通一

    説明員河野通一君) 香川県の県庁舎の問題、私もちょっと具体的な事例として頭にございませんので、その問題としてはちょっとお答えいたしかねますが、全体の問題としましては、先ほど学校の校舎の問題につき一例を申し上げた。これは公営企業でも何でもないわけなんですけれども、そういったものについて一年限りの税でまかなうということは非常にむずかしい。従いまして私どもはそういった相当長期にわたる建設事業について、しかもそれが非常に地方のために必要やむな得ないものであるということであるならば、これは私はやはり起債でもってやっていかなければならぬ。ただ今の県庁舎というものが一体そういうものに入るか入らぬかということは、これは具体的に考えて、ことに県庁舎というものを建てる場合におきましても、その県の財政状況がいいところと悪いところによっては、同じ県庁舎といいましても、やはり必要度とかあるいは緊要度ということについては程度が違ってくると思います。従いましてその県庁はどうかという点につきましては、なかなかお答えがむずかしいのでありますが、そういった必要やむを得ない建設的なものについて一年限りの税でまかなうということを強要するということはこれは適当でない、こういう考え方は持っております。
  45. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 今起債制度については根本的にいろいろな問題があるようですが、私が、今度はそういう根本の問題でなく、取扱いの問題であなた方に警告しておきたいことがある、というのは、今自治庁から資料を持って出る、自治庁から持って出る資料というのは県を通じて県自身の分、市町村の分、みんな自治庁がまとめて、自治庁ではいろんな検討を加えてこれだけというので集計したものを持ってくる。あなた方の方ではそれを個々に検討する、私は個々に検討すること自体についても異論がありますが、これについては今ここでは触れないとして、ここであなた方の方では、その持っていった範囲でやるかというと、そうではない。突然県庁も知らなければ自治庁も知らないのがすぽっと入ってくる、ときどきね。なぜ入るかというと、財務部がいろいろな注文をつけて、これだけぜひやりたいというのを持ってくるのです。あなた方の方でそれを加えることがある。だから本来ならば自治庁がまとめていくというのを、あなた方の方でこれをチェックする。これは必要かもしれません。しかしながらチェックするのを今度そこで加えてくる。だから自治庁も県も知らないのが、ぱっと入ってくる。それで本来当然もらわなければならぬのが、そのためにはね出されるという事例がずいぶんある。だから今財務部へ対しては、自分のところではとても県に相手にしてもらえないようなのが猛列に運動をする、それで財務部ではその運動によって動いて、それを財務局から上にきて、あなた方の方から加える。これは小さな問題ですけれども、しかも相手が地方団体、公共団体だものだからスキャンダルという問題が起らないでいくのですが、実際はスキャンダルです、これは。こういう問題があるということをぜひあなた方の方で十分考慮してもらいたいと思う。これはやはり本来の形に戻さないというと、そういうものがかりにあって、入れなければならないという意見が出ても、自治庁を通して県の方も納得さしてやらないと、そういうスキャンダルを生む余地が非常に多い。これは県にしても自治庁にしても見落しがあるのです。あるいは実際の財政事情がわからずに落していくことがあるかもしれない。しかし実際見込ないようなものがそこに載ってくる、こういうことはずいぶんある。これはおそらく自治庁も認めているだろうと思う。私らも見ている。そういうことはしばしばある。これはもうスキャンダルの温床になるのです、このやり方は。ですからあなた方の方で、ないというなら、私の方でもこれはそれまでですが、私は必ずあると思う。ずいぶんそういう話も今まで事実あった。ですからこのやり方を直していかないと、これは非常に不公平なものになる。スキャンダルの温床ができるということを一つ御承知になって、よく適正な割当をしてもらいたいと思うのです。
  46. 河野通一

    説明員河野通一君) 今お話しのようなことがありましては、これはまことに遺憾なことであります。そういうことがございましたら直ちに是正をするようにいたしたいと思います。  取扱いの問題を申し上げますと、先ほど来申し上げましたように、大体起債につきましては、自治庁とお話し合いで、もちろんその場合に見解の相違が最後にありますけれども、最後には両方でこれでやむを得ないということを両方で承諾ずくで処置をいたしておりますので、万そういうことはないと思いますけれども、よく調べまして、そういうことがございましたら、一日も早く根絶いたしだいと思います。
  47. 小林武治

    理事小林武治君) 最後に私、一つお聞きしておきますが、臨時国会で……これは大蔵大臣に伺うのが相当ですがおいでにならぬ、従って主計局長、事務当局に伺っておきますが、三十年度の地方財政に対しては、財源措置を臨時国会でする必要がないと、こういうふうにお考えになっているかどうか、それをお聞きしたい。
  48. 森永貞一郎

    説明員森永貞一郎君) 大蔵省といたしましては、今度の臨時国会財源措置を講ずることは不適当ではないかというふうふうに考えております。その理由といたしましては、せっかく根本的な対策をいろいろ考えなくちゃならぬときでもございまするし、また本年度の赤字と申しましても、給与費の問題につきまして、さらに自信のある基礎を持たなくちゃならぬということからいたしまして、臨時国会には対策が間に合わないのじゃないかと、さように考えているわけでございます。
  49. 小林武治

    理事小林武治君) そうすると補正予算はお出しになる意向はないと、こういうことにわれわれとしては考えるべきでしょうか、こういうことを一つ伺いたい。
  50. 森永貞一郎

    説明員森永貞一郎君) 大蔵省としては補正予算を出すことは考えておりません。
  51. 小林武治

    理事小林武治君) 前回の委員会の際にも、自治庁の長官は三十年度のこの不足に対して適当な財源措置をするということを明言されておったのでありますし、これに対しまして私は、そんなはっきりしたことを言うていいかということもこの前私はあえて反問をしておるのでありまするが、しかし官房長官も出て、とにかく何らかの財源措置はするということを言われておるのでありまするが、今お話しによりますれば交付税は別に考えない、また補正予算は組む考えがない、従って財源措置は何らかの財源措置もする意向はないと、こういうふうに大蔵省はお考えになっておりますか。すなわち前にはたばこ消費税について何らかのことを考えられる、あるいは公債の元利金の支払いの繰り延べというようなことについても何ら、考えられる、こういうようなことを述べておられましたが、これらの措置についてはいかがですか。
  52. 森永貞一郎

    説明員森永貞一郎君) 大蔵省といたしましては、今度の臨時国会にはただいま御指摘がございましたような措置を講ずることは不適当ではないか、根本的な対策を考えましてその上で振り返って三十年度の問題も考えるという措置はぜひともほしいというような考え方をいたしておるわけでございます。
  53. 小林武治

    理事小林武治君) 実は先ほど森下委員からお話しがありましたように、今度の臨時国会というものは地方財政赤字をどうかするということを主題として開かれるというふうに世間もわれわれも了承しておるのでありまするが、今のお話しによりますると、結局先ほどもお話しがあったように、財政再建措置法だけが問題になる、こういうことになるのでありまして、世間の期待にもわれわれの期待にも大いに反するのでありまして、それなら先般からわれわれ臨時国会を早く開けということを言うておることに対して、これは自治庁並びに大蔵省等の用意ができないから早く開けない、こういうことを今まで言うておるのでありまするが、それなら何を用意しておるのかということをお聞きしたいのでありまして、今のお話しならばすぐあしたにも開いていいというふうにわれわれは考えておるのでありまして、これは自治庁にも大蔵省にもお聞きしたい。今度の臨時国会が何の必要があって用意があっておくれておるか、あなたにお聞きするのは少し無理かもしれませんが、あなた方は何の予定があるか。
  54. 森永貞一郎

    説明員森永貞一郎君) 私からお答えするのはいかがかと思うのでありますが、具体的な補正予算なりあるいは法案の形で対策を講ずるということは先ほど来申し上げておりますように、むずかしいのではないかと考えております。しかし他方根本的な対策を考えると申しましても、これはまあ予算の編成期はもう年末に迫っておるわけでございます。できるだけその根本的な方針を早く立てなくてはならぬ。臨時国会が開かれまする場合には根本的な対策の方向につきましてはもちろん政府としての見解もまとまらなければならぬかとも思います。そういったようなことにつきましても論議をいただくというようなことにはもちろんなるのではないかと、こういうふうに考えておるのであります。
  55. 小林武治

    理事小林武治君) もう一つ。この前の委員会で、財源措置は二十八年までの赤字の始末と、こういうことで仕切っておったのでありまするが、今度は二十九年度の赤字も決定したからして、これも含ませて今度の法律によって措置する。ところが前国会におきましてはこれらの処置のために二百億円の起債を認めると、こういうことで政府は用意されておるのであります。ところが二十九年度にはさらに百八十五億の赤字が出る、これをもこの法案によって措置するということを前は自治庁長官がここでもって答弁されておりまするが、これらのためには二百億円のほかにさらにプラス・アルファ、何かの御用意があるかどうか、この点はいかがですか。
  56. 河野通一

    説明員河野通一君) 二十九年度の赤字の問題でありますが、これは自治庁から大体のお話しも伺い、また自治庁としても公表せられておる数字は私ども承知いたしておるのであります。ただ私どもといたしましては、果してその数字が、まあ実を申しますと、十分納得のいかない点も実は多々あるわけであります。これらの数字をもう少し詰めてみないと、どの程度のものが数字として出てくるかよくわかりません。従いましてこの点はもう少し詰めてみないとわかりませんが、二十九年度の問題についてもできれば一緒に処置をできるようにするのが適当ではないかというふうには考えております。
  57. 小林武治

    理事小林武治君) そういたしますると、二百億円のほかに今度の法律がもし成立した場合には何かの財源の追加が必要に当然なる、これが百八十五億でなくてもあなた方と話の間で、これが百五十億でも百億でもあるいは話し合いができる、その場合にこれを起債で追加するという用意がありますか。
  58. 河野通一

    説明員河野通一君) この点は御案内のように時期も大分実情とずれて参っておりますし、一方財源の問題もございますから本年度中にそういう措置を具体的にしなければならぬかどうか、これらの点につきましては、相当今後私どもは十分検討して参らなければならぬと考えております。その検討いたしますための一番大きな要素といたしましては、やはりどの程度一体二十九年度だけの赤字がふえたのか、この点はやはり相当詰めてみませんと、その対策及びその実際に処置をいたすべき時期等についてもはっきりしたことは出て参りません。御承知のように預金部資金の状況は決して実は豊かでないのでありまして、非常に苦しいような状態に現在立ち至っております。これらの点も十分に考えて実際に起債の対象といたします時期等については、今ここではっきりしたことを申し上げる段階に至っておらない次第でございます。御了承いただきたいと思います。
  59. 小林武治

    理事小林武治君) 今のお話し、大蔵省は三十年度のためには財源措置の必要を認めない。あるいは財源措置をすることは不適当だと、こういうような大体事務当局の結論を出されておるのでありまするが、これはもう自治庁長官のお話とは全く相反しておる。また今のお話しはわれわれとしてはきわめて不満としておるのでありまして、これらの点につきましてはまた自治庁長官にわれわれ十分これをただしてみたいというふうに思っておりまするが、われわれは今の御答弁ではいかんと思う。臨時国会が大した意義はない。ほとんど国民の期待を裏切るものであるというふうに断ぜざるを得ないということを今日のところは申し上げておきたいと思います。
  60. 森下政一

    ○森下政一君 河野さん。念のために承知しておきたいのですが、今あなたが知っておられる二十九年度、単年度の赤字というものは自治庁説明しておられるのは幾らですか。あなた詰めてみないとはっきりしたことわからんとおっしゃるが、数字は幾らなのですか。
  61. 河野通一

    説明員河野通一君) 自治庁から説明された方がいいのじゃないかと思いますが、私、計算の仕方でいろいろ違うようでありますが、二百四十億というような数字ではなかったと思いますが……。
  62. 大村襄治

    説明員(大村襄治君) 私の方の調査課から確か資料を差し上げまして、主管課長から御説明した機会があると思うのでありますが、私の現在試算しました資料によりますると、二十九年度の形式的赤字が四百五十一億円、詳しく申しますと四百五十一億六千万円、実質赤字は六百四十八億二千二百万円、これを二十八年度と比較いたしますと、二十八年度の形式的赤字が二百二十五億九千二百万円、形式的赤字だけで比較いたしますと約二百億円ぐらい出ております。実質赤字は二十八年度におきましては四百六十二億円でございますから百八十億円ほどふえて参った、こういうふうな数字でございます。
  63. 小林武治

    理事小林武治君) ちょっと速記をやめて下さい。   〔速記中止〕
  64. 小林武治

    理事小林武治君) 速記を始めて。  本日の委員会はこれで散会いたします。    午後一時四十一分散会