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政府委員(
小林与三次君) ただいまお配りいたしました
資料について、簡単に御
説明申し上げます。
一つは
促進法第三十三条の
規定に基き、
内閣総理大臣に対し
審議の
請求をしたものの
事例でございまして、これはお手許に配りました三件が現在参っております。そのうちの
一つは、神奈川県
平塚市ほか五カ村の
合併でございまして、この
合併につきましては、この
関係五カ村はそれぞれ
合併の
議決をいたしたのでありまして、それで県へ
申請がありましたところが、その県では
関係五カ村の
合併が
地勢上その
まん中に
大野町というのがございまして、
大野町のいわば
飛び地合併、こういう形になっておりますの、県ではその
合併は適当でない、こういう
考え方で
審議が進んでおらなかったのであります。その結果、県へ出ましてから四カ月の期間が経過したので、
自治庁へ
参つたのでございますが、
自治庁といたしましては、
関係県並びに
市町村の
意見を聴取いたしておりまして、その結果に基いて始末をしなくちゃならない、こういうふうに存じておるのでございます。これにつきましては、
関係町村間には異存がないのでございますが、今申しました
通り、
大野町というのが
まん中にございまして、これを経由しなければ
平塚と神田その他の四カ村は結び付かないのでございまして、
大野町と
平塚とはほとんど連檐いたしておりまして、きわめて密接な関連にある状況なのでございます。県におきましては、できるものならば全部の
合併が
考えられぬものか、こういうのでいろいろ
指導あっせんをしておったのでございますが、なかなか話が進まなかったのでございます。最近
選挙の結果
関係市長が変られましたので、ほかの村の方はこの前の
特例法の改正で任期が延長になっておりまして、そのまでございますが、
市長が
選挙の結果更迭せられましたので、できるものならば
事態を円満に
解決するように、われわれとしても希望しておるのでありまして、新しい
事態に即して
事柄の進展を見きわめて、われわれとしても物を
考えたい、こういうふうに存じておるのでございます。
それからいの
一つの問題は、栃木県
鹿沼市外一カ村、
南摩村の
合併でございまして、これは
鹿沼市と
南摩村の
合併の
議決ができまして、県に
申請にな
つたのでありますが、県の
合併計画によりますと、
南摩村は
鹿沼市でなしに隣りの粟野町という所に
合併をすることになってお
つたのであります。それと共に
南摩村の中には相当
賛否の
意見がありまして、それで県としても
処分を決しかねて今日に
至つたのであります。しかしながら県におきましても、ちょうど最近
地方選挙も済みましたので、新しい
町村合併審議会の
委員の
意見も聞いて、
南摩村の
住民の
意向の帰趨を明らかにして善処したい、こういうので
事柄を進めておられまするので、われわれといたしましても、県のその措置を待って事を取り計らった方がよかろう、こういうので日を送つているのでありますが、大体県におかれましても、積極的に今動いておられますので、いずれ右にしろ左にしろ、
南摩村の
住民の
総意を
基礎にして、あるいは
審議会の新しい
委員の
意向を
基礎にして、適切な
解決がはかられるものと存じておる次第であります。
いま
一つの件は、
名古屋市外八
町村の
合併の問題でございまして、これはこの八
カ町村のほかに、もう二
カ町村の
合併の
議決が先になされたのでありまして、それが県に出まして、その二カ村は
名古屋市への編入が適当として県の方で
処分をいたしたのでありますが、この八
力町村につきましては、現在の
段階では適当ではない、こういうようことで
県会の方で
否決したのであります。その結果
内閣総理大臣の方へ
審査の
請求が参っておるのでございます。それで
自治庁といたしましては、直ちに法律の定むるところに従って、
現地知事並びに
関係市町村の
意見を聴取いたしておるのでありますが、これもちょうど
選挙が介在いたしまして、現在のところ各
町村の
意見が全部出そろっておらぬのであります。むしろ
意見が来ているのが少いのでありますが、いずれもそれぞれ新しい
町村会なり、
市長なりが出ておりますので、そういう新しい意識でそれぞれの御
意見の提示があるものと見ているのでありまして、その
意見が出そろったところで、妥当な処置を
自治庁としていたさなくちゃならないというふうに存じているのでございます。これが大体県の
段階で片がつかないので、一応
自治庁まで参っておる
意見の全部でございます。
それからいま
一つの
町村合併に関する
紛争等の調でございますが、これは
合併をめぐっていろいろ
新聞その他で直接お耳に入る問題もありましょうが、いろいろ
紛争問題がありましたので、そういうものの
全国的な傾向がどうなっているだろうかというので、
一応集めた
資料でございますが、なかなかこういう
資料は正確を期しがたい点はございますが、何らかの御
参考にと思って提出した次第でございます。
一つは、
町村合併に関して
訴訟を提起したもの、これは
合併そのものについて
訴訟が提起になった
事件を調べたのでございますが、そのうちその
事件が片づいたものも半分ほどございます。それ以外は
訴訟継続中、こういう形になっておるのでございます。最近の一番新しい
事例では、あるいは御
承知かもしれませんが、福井の鯖江の
市制の
施行をめぐって、市の
市制施行の
処分が違法である、こういうので
訴訟本訴が起り、その
執行停止の
訴訟が起ったことがございますが、そのときは
内閣総理大臣といたしましては、別段
市制の
施行について特に非とする
理由がないし、またこういう
行政事件の特質上、それぞれ民主的な機関によって民主的に決せられた
処分の
執行停止というのは適当でないというので、
総理大臣が異議を申し立てた
事例がございまして、その結果
裁判所でも
執行停止の
処分を却下いたし、それからその後
関係者の方でも
本訴を取り下げまして、
事態円満に
解決をしている、こういう例がございます。これは
新聞に相当出ておりましたので、あるいはお目にとまった
事件かと存じております。
それから二番目は、
合併に関連して
刑事事件を惹起したもの、
合併の結果
関係者の
議論が沸騰して、特に暴行といいますか傷害といいますか、そういう
刑事事件にまで発展した
事例を調べたのでございまして、
全国で二十九件、
事件として九件は落着を見て、
あとはまだそれぞれ
検事局なり
裁判所なりに
事件が係属している
事件でございます。
それから三番目に、
合併に関する
市町村議会の
議決に際して
議長採決としたもの、なるべくならば
合併はわれわれといたしましては、やはり
住民の
大半の
意向を
基礎にして事が進められることを希望しているのでありますが、ときには非常に
賛否の
意見が分れまして、すれすれになった、こういう例もありましたので、
全国的に調べた結果がこういう六件ございます。これらはそれぞれ
合併の際に
議論が分れておりましたが、
合併後は必ずしもその後対立しているわけでもない、逐次問題が平静に化しつつある模様のようでございます。
それから次は、
合併の
申請のあったもので、
都道府県知事において
保留しているもの、
関係町村では
議決をしたが、
知事がまだ
県会に
提案をしない、こういうものが
全国で二十五件ございます。そのうち先ほど申し上げました
総理大臣のところに来ているものも、この中に一応
数字の上では入っているのでございます。こちらの
手元には来ませんが、
知事の
段階で握っておりますのは、これは大てい一応
議決がありましたが、
反対が一部に相当あって、その間の
調整なり冷却をはかる必要がある、こういう
考え方で
提案をさしあたり
保留しておるものでございますが、これはいずれも新しい
県会が構成されれば、また
関係住民の気分の落ちつきを待って、それぞれ
知事において善処せられる
事件でございます。
次は、
知事は
議会に
提案をしたけれども、
議会において
否決または
継続審査になったものでありまして、その
否決の
事例の
一つが先ほどの
名古屋の
事件でございます。その他
継続審査になっておるものが
全国で十四件ございますが、十四件のうちの八件が
名古屋事件でございますから、それを除くと六件になっております。これも大体先ほどの
知事が
保留したのと同じ
趣旨でありまして、多少
現地における
意見が分れて
調整がつかなかったものだから、一応
県会の
選挙もあるし、
地元の
選挙もあるしというので、
保留になったものでございまして、新しい
議会において、それぞれがそれぞれ新しい
住民の
意思を
基礎にしてしかるべく善処せられるものと存じております。
次は、
合併に際して
住民から
分離の要求のあったもの、これは一応
合併として進みますが、
分村請求のあったものの調べでございまして、大体
合併をめぐる
紛争のほとんど全部は——ほとんど全部と言ったらちょっと言い過ぎかもしれませんが、
大半は結局
分村の問題でございまして、現在におきましては、
合併そのものについての
反対よりも、どこの村へ行くかと、こういう問題で
意見が分れるのが多いのでありまして、そのうちでこの
分村は、
町村としては一応の
方向がきまっておるが、一部
地域の
住民が
分離を要求している、こういう問題が一番多いのでございます。これらもこの表を御覧願いますればわかりますように、逐次県によっては
解決が非常に進んでおるところがございまして、それぞれ
促進法が、最近はこういう問題につきまして割と円滑に事が処理し得るように態勢がなっておりますので、その
趣旨によってだんだん問題が処理されておると思うのでございます。われわれの方といたしましても、
分村問題が円滑にいくことが、結局
合併を合理的に推進せしめるゆえんであると思いまして、何と申しますか、この
分村の基準というか、これは今日ちょっと持って来るのを忘れましたが、その
扱い方の基本的な
考え方を一応
合併推進本部にお諮りしてきめまして、それを今県に流して、それにのっとって
住民の
総意を
基礎にして、しかも全体の
合併が合理的に進むようにという
趣旨からうまくいくことを望んでおるのであります。今後この問題をすみやかに合理的に
解決をするということが、
合併問題を片づける一番大事な要点の
一つだろう、こういうふうに存じておるのであります。大体これは四月一日現在でありますから、その後なお事が落ちついておるものも多いと存じておりますが、一応これをまとめました
数字の概要が以上でございます。