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1955-05-25 第22回国会 参議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十五日(水曜日)    午前十一時四十三分開会   —————————————   委員の異動 本日委員苫米地義三君辞任につき、そ の補欠として小柳牧衞君を議長におい て指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長    小笠原二三男君    理事            伊能 芳雄君            森下 政一君    委員            伊能繁次郎君            西郷吉之助君            高橋進太郎君            安井  謙君            島村 軍次君            秋山 長造君            小柳 牧衞君   国務大臣    国 務 大 臣 川島正次郎君   政府委員    自治政務次官  永田 亮一君    自治庁行政部長 小林与三次君    自治庁財政部長 後藤  博君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       後藤  清君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人の出頭に関する件 ○地方行政の改革に関する調査の件  (地方自治法等改正に関する件)   —————————————
  2. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 本日の委員会を開会いたします。このただいま調査を行なっております昭和三十年度地方財政計画に関する件につきまして、参考人より意見を聴取いたしたいと存じます。従ってその参考人の人数、並びに人選、またその意見を聴取する日時等につきましては、便宜委員長に御一任を願うこととし、参考人出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) なお参考人は、議長を経由して出席を求めることになっておりますので、委員長より議長に提出する要求書の内容その他手続は、便宜一任を願います。   —————————————
  4. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) さて、本日は地方財政計画に関して質疑を続行するわけでございますが、伊能君から発言を求められておりまするので、伊能君に発言を許します。
  5. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 地方自治法改正という問題がいろいろ論議されておる。しかも地方自治法改正は、主として地方財政の確立という上からの狙いが、今の焦点であると思うのです。実際今の地方財政赤字というものは、まあ病膏肓に入って、どうしてもこの辺でとめて、必死な努力をしなければならない段階に来ていると思うのです。それにつきまして、政府の所見を伺いたいと思うのですが、まずきわめて簡単なところから入ってみたいと思いまするが、最近地方議会の改選があった機会に、条例によって議員歳費の二重取りをしておる。地方財政がこんなに苦しいときに、そういう事実があるということを新聞が盛んに伝えておる。条例の定め方がそういうふうになっておる。つまり任期が切れて再選された人は、その時期から就職すると、一月が解任、就職と両方に勘定されて、二ヵ月分歳費を受ける、これはもう非常に条例のきめ方自体が悪いのだと思いますが、これについて自治庁のお考えを伺いたい。それからあわせて実例もわかっていたらお願いしたいのです。
  6. 小林与三次

    政府委員小林与三次君) ただいまのお話でございますが、実は新聞に出ておりますので、私の方でも今実情を調べておるのでありますが、今はっきりした資料はございませんが、お話し通り各県あるいは各団体条例を見ますというと、条例のきめ方は二通りありまして、その条例をいわゆる月ぎめできめておりまして退職したときはその月分をやる、就職のときもその月分をやるというように読める規定一つ。それからもう一つは、条例退職その他のときは日割り計算でやるということをはっきりきめておる条例が実はあるのでございます。そこで日割り計算のところは問題が起っておりませんが、そうでないところにつきまして、いまの問題が議論になったのでありまして、私はかりに条例規定がどういう規定でありましょうとも、そのいわゆる退職というのはほんとう議員をやめてしまう、こういうのがまあおそらく条例の本旨だろうと思うのでありまして、引き続いて議員に再就職されたような場合のことを考えてその条例は作られているものじゃないと、こう考えるのが正しいものの考え方じゃないだろうかと、まあそういうふうにわれわれとしては考えておるのでございますが、まあ個々の条例自治団体が自主的にきめて自主的に運用するという建前になっておるものだから、そこでそういう問題が起るのでありますが、これは世間の批判も強いですし、私はまあそう現実にやっておるところはそれほどないのじゃないかと思っております。まあわれわれといたしましては、むしろ正しい条例趣旨精神を生かして適用されることを強く期待いたしておるわけでございます。
  7. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 大体その場合に、その条例には歳費という言葉を使っておりますか、どうですか。
  8. 小林与三次

    政府委員小林与三次君) 歳費という言葉までは使っておらないだろうと思っております。全部よく今覚えておりませんけれども、はっきりした記憶ございませんが……。
  9. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 大体議員のそうしたまあ給与という言葉を言っていいか何だかわかりませんが、歳費という観念が昔からあったので、歳費ということは一年間どれだけの報酬というものを出すかという考え方なんで、それをただ戦後の経済状態の変化から月割りにしておるということなんで、月割りを十二倍したものが歳費なんだ、こういう解釈をとるべきではないか。そうすると、十三ヵ月分取る人ができるということは、これはもう議員報酬建前からいっても、精神からくずれておるのじゃないか、こう思うのですが、その方の考え方はどうですか。
  10. 小林与三次

    政府委員小林与三次君) 歳費という考え方は、まあ国会議員に御承知のようにとられておりますが、地方議会には自治法建前からないのでありまして、議会議員、その他の委員会委員、その他非常勤の職員と同様に、要するに自治法では「報酬を支給しなければならない。」という規定があるだけでありまして、普通はやはり大ていの条例月幾ら、こういうふうにきめておるように存ずるのであります。それでありますから、歳費という考え方はないけれども、かりに、ないにしろ、あるにしろ、その退職とか就職のときにその月分をやるという意味は、これは引き続いてそのまま再任されたような場合のことを考えておるのじゃないのでありまして、全然新たに議員になったから、あるいは全然議員をやめたから、そういうことを前提の規定とこれは考え、運用するのが正しい筋じゃないかと、こういうふうに存ずるのであります。
  11. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そうすると、自治庁解釈としては、条例解釈というよりは精神としては、そういうとり方は適当でない、こういうふうに考えておるというふうに解釈していいと思うのですが、そういうような関係地方団体自治庁はどういうふうに措置をしたのか、しようとするのか、条例で自主的にきめたものだから黙っておるのかどうか、あるいはその条例解釈は適当でないというようなことを批評してやるのか、あるいはやったか、この点伺いたい。
  12. 小林与三次

    政府委員小林与三次君) われわれは条例についてそういう趣旨考えておりますが、いまのお話で、条例自治団体がそれぞれ自主的にきめて自主的に運用しておりますものでありますから、あまりこちらから今のところ積極的にどうこうすべきだということは申しておりませんが、しかしいろいろ問題にもなっておりますので、扱い実情だけはやはり調べておく必要があろうと思って、その情勢を見ておるのであります。それでその実情の結果によっては、あまりひどいかどうかということでまた考える必要があれば考えなくちゃならぬのじゃないかと思っております。
  13. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そうすると、一応の段階としては今そういうものを調べるだけ調べてみよう、調べた上で、あまりひどいものであれば、そのときにどういうような方法をとるか考えよう、こういうことなんですね。
  14. 小林与三次

    政府委員小林与三次君) その通りでございます。
  15. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 こういう問題は、実際地方財政の困難、苦しいと言っておる場合ですから、おそらく地方団体の住民といえども非常にひんしゅくしておることは事実だと思うので、地方自治法精神地方自治精神を害しない程度自治庁はやはり相当強く要望なり勧告なりして、こういうことに対しては、今回阻止できないとするならば、条例改正されるような希望を出されることが私は適切ではないかとこう思う。  次に、地方自治法改正について事務当局がいろいろ考えておるようですが、政府が、鳩山内閣が非常に弱腰で、われわれから見れば非常にいいと思う改正を適宜適当にくずしてしまっておる、こういうような感じが非常にあるのですが、まずその一つ常任委員会の問題。地方議会常任委員というものがどのくらい地方財政を紊乱させておるか。この常任委員がなかったら、おそらくそうしたいわゆるむだづかいと言われるものが相当整理できるのじゃないかと思われるので、私どもはできるだけこの常任委員会というものの職能をなくするか、あるいは職能を圧縮したいという気持を多分に持っておるのです。当初の事務当局の案はかなりわれわれからすれば積極的であったのですが、だんだん民主党はこのせっかくのねらいもくずしてしまって、骨抜きになりはしないかというように思われるような最近の状態ですが、長官はこの間にあってどういうような考えでおられるか、一つこの点について長官からお答え願いたい。
  16. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 現在の常任委員会は御承知通り縦割りになっております。土木委員会農業委員会商工委員会などの制度になっておるのですが、ここに弊害がありますので、これを縦割りをよして、横の連絡のあるような、横割り委員会にしたい。予算委員会決算委員会請願委員会法規委員会などを考えておるわけであります。予算委員会の場合は歳入と歳出と二つに分けたらどうかというような考え方もあるのですが、そうしますると、今日世間考えておるような弊害は是正することができるのだ、それがために地方財政膨張することを食いとめることができる、こういう考えもとに、いわゆる縦割り委員会はこれを一切廃止して、ごく少い横割り委員会にして地方議会議員諸君の活動を期待する、こういう考え方でございます。
  17. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そうすると、大体横割りにしようという考え、そうしてそれはどんな小さな市町村でもやろうというのですか、その点の限界ですね。今の段階で大体この辺で腹をきめなければ、この国会には間に合わないのですが、大体どの辺で一この間ちょっと漏れ聞くところによれば、大体人口何万以上の市、そういうことを言っておるのですが、その市の限界をどの辺に腹をおきめになっておるのですか。
  18. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 議員の定員にして三十六名以下のものは一切委員会は認めない、三十六名以上の議会については横割り委員会を認めよう、こういう構想であります。三十六名としますと、人口五万以上の市ということに計数はなるわけであります。そういうことを考えております。それ以下の小さい町村に対しては一切認めないということであります。
  19. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 人口五万以上のところには常任委員会を認めて、これは横割りにする。府県も同様ですね。人口五万未満の市並びに町村常任委員会は全部置かない、こういうような大体線でおきめになっておるようですが。
  20. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) ただいま私どもが練っております草案は、御案内の通りの案であります。五万以下の市に常任委員会を置くということは実際上にも必要がない。またこれは経費膨張一つ原因になりますから、これは一切認めないようにしようと思っております。
  21. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 経費膨張を避けるという意味から言えば、それをできるだけ強く——おそらく地方議会から相当反対が出るでしょうけれども、思い切って強くやらないと、これは赤字を生む大きな因子になっておると思う。これ一つがどうということはありませんが、まだほかにもいろいろありますけれども、この問題はこの問題で一つ強く腹をきめていただきたいことを強く希望しておきます。  次に、議員とその地方団体との請負の問題があるようですが、基本的人権だとか何だとかいろいろなことを言っておるようですが、自分の所属する議会地方団体契約をできないことにするぐらいのことは私は当然だと思います。地方府県でも市でもこれは土建業者が非常に議員になっておる。しかもこれが選挙界を乱すことも事実であります。つまり選挙に金をかけてやっても、このくらいはもとが取れるという考えなんです。選挙もとを取ってしまえばいいというようなつもりで出てくる議員が相当ある。これはやっぱり一つ膨張を避けるというばかりでなく、スキャンダルを断ってできるだけ清新な地方自治をやっていくという意味から言って必要なんであります。この問題にもあまりこだわらずに一つぜひ強力な意思で実行してもらいたい。この問題については、もちろん同じ特別職といっても執行部である市長や助役、収入役等立場が違うのですから、それと同じようにやるわけにはいかないにしても、そういう契約をできないくらいのことは少くともやるべきではないか、こう思うのですが、この問題についても一つ事務当局は案を持っておるように聞いておりますが、一つぜひ非常に地方弊害の多い問題だということは長官御自身もおそらく御郷里の選挙区の問題で御承知だろうと思います。これも強く取り上げられることをお願したいと思います。この点について一つ……。
  22. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 御承知通り、これは非常に弊害があることは公知の事実でありまして、その弊害を是正するためにただいまお述べの御趣旨のような修正をいたしたいと考えて、準備をいたしております。
  23. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 長官もその腹になっておりますか。
  24. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 断行するつもりでおります。ただ先ほど伊能さんがお話し通り、なかなか風当りが強い問題ですから、ことに地方議会権限縮小の問題はもうすでに各県に利害がありまして、皆さんのところにも陳情がくると思いますが、われわれのところにも、政党にもむろんくるのでありまして、政党の方にもそれぞれ了解を求めておる際であります。一つ各党の御協力を得て、ぜひこれを立法化したいと、こう考えておるわけであります。
  25. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 次にそういう問題を少しずつ聞いていきたいと思いますが、まずその次には、徴税秩序の維持という問題で二つの問題がある。この点についてまず地方議員地方税を滞納しておる者については、滞納期間職務執行停止をするという案が事務当局に出ておる。ところがこれも運動してどうやら影が薄くなったように聞いておる。このくらいのことができないのなら、もう地方財政赤字の解消だとか、あるいは地方財政健全化ということを言う資格はないと思います。どうも腰砕けじゃないだろうかというふうに私にはみえますが、この点についてはどうですか。
  26. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) これもまた弊害の多い問題ですが、しかしこれを実行する上に相当やはり考慮しなければならぬ点があると思います。一片の督促状がきただけで職務停止するということは果していいかどうか。そうした督促状を、ときには長と議員との政党的な立場が違ったり、その他の感情問題で悪用される点が起りはしないかという研究すべき点があるので、これは残された問題として研究しておるわけでありまして、私どももこれを全面的に放棄しているのではないのでありまして、これを立法化した場合に、反対にどういう弊害が起ってくるかという点を今考えておるわけであります。御趣意のように議員だからといって特権があるのではないので、滞納者については相当処置することは必要と思いますが、立法の技術の上に若干考慮する余地があるわけであります。
  27. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 議員は言うまでもなく先ほどのお話し報酬をもらっておりますが、報酬からの源泉課税は当然取られておる。そのほかにそういうものを持っておる人は議員としては相当余裕のある事業をやっておる人なんです。しかもそういう議員が一番議会の中で地方団体財政膨張させる因子になっております。そういうところから考えてみても、一方で自分では税金を納めやしないで、そうして地方財政は大いに膨張させよう、おそらくどこでお調べになってもそういうような人は財政膨張に拍車をかける人です。職を解くのではなくて、納めない間停止をするということであり、また納めないといっても、税額について不平のある者はそれぞれ手続があるので、手続中の者はもちろん手続中なるがゆえに納める必要がない場合もありましょう。それは租税の法律によってやっていけばいい。明らかにきまっていたら、納めないというのは、これはもうそのくらいのことは当然議員としてすべきなんで、地方団体議員として地方財政の問題を審議すべき人がみずから地方税の納税を怠っておる、こういうような人が議員として一体職務を執行する資格がありやいなや、まことに私はこういう問題から見たら問題ではないと思うのですが、この点一つしり込みしないで、強力にやってもらいたいと思う。これもやらないようだったら、全く先ほど言ったように地方財政健全化だなどという資格はないと思う。聞くところによると、自治庁で、新聞で私見たところでは、全国で十億くらいあると言われます。十億といえば、少いといえば少いが、決してそんな少い額ではない。どうかこの点についてはしり込みしないで、一つ勇敢にやっていただきたい。  もう一つ伺いたいのは、やはり税の問題ですが、遊興飲食税はこれくらいでたらめな税はほとんどない。全くこれは腰だめで、なかなか実際は捕捉できない。これを実際捕捉しようとすれば、営業権侵害のような程度の問題がしばしばあっちでもこっちでも起るので、これは非常にむずかしい問題であります。その調整方法として、事務当局団体が発行する受取書を取るということにして税率をうんと下げる、それでも当初の税額は上げるという一つのねらいをもって出した。私はこれを新聞で見たときに、こういうようなことを発表すれば、民主党でおそらく政調でああでもない、こうでもないと、さんざん練られた末に税率だけ下げて、そうして税率を下げたままにしてしまいわしないかと心配したのですが、さすがに良心的にそこまではいかないけれども、全部引っ込めてしまった。しかもこれは担税力のある者が担税するのではなしに、でたらめな点がずいぶん税率にはある。せっかく事務当局がこういう案を考えたのに、とうとうもみ消してしまってものにならない。今日地方財政がこういうような事態になっておるときだけに、私も非常に残念だと思いますが、これについてどういう事情で引っ込められたのか、長官の御説明をお聞きしたいと思う。
  28. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 一応の考えといたしましては、都道府県庁で発行する公給領収証というものを各業者に配っておいて、受け取りについて出させるという考えですが、これがほんとうに完全に実行できるかどうかということは非常に疑問があるのです。カフェー、キャバレーなどに行って二次会、三次会で酔っぱらって歩いていて、一々受取りを出さん場合もあるし、また要求しない場合もある。そういう人をも一々犯罪者扱いにするということもどうかと思いますし、また公給領収証制度がありますると、公給領収証を出した以外には一切税金はかけることができない、こういうことになりまして、かえって徴税が減るのじゃないかという心配もありますし、この公給領収証制度を徹底的に断行しますと、業者いろいろ仕事税務関係の公務員が介在しまして、弊害が起る一つ原因にもなるのじゃないかという、いろいろ考えました結果、この公給領収証というのは、役所がこうした受取証を一々遊興飲食者に渡すということは、何か少し昔の官僚主義制度に立ち戻るのじゃないか、現にこれは戦争中やっておりまして、戦争中決していい結果が出なかった制度でありまして、そんなことを考えて一応これはとりやめにしたわけでありまして、いかに遊興飲食税を公正に取るかということを今後別の角度から研究しようと、今こういうことにしているわけであります。従いまして、今年度の地方税法改正の中には、遊興飲食税については税率の点も一切触れない、一応現行通りにしまして、なお完全に取れる方法を考究した上に次の国会で御審議願う、こういう今気持になっておるわけであります。
  29. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 どうも今の御説明を聞いていると、初めから反対にきめておいて、あとから理由をつけたような非常に強い感じを受けるのですが、そういうふうに疑うことはこの際ともかくといたしまして、この税金はただ適当な方法をほかに考えようというようなことでなく、やっぱりもう少しすっきりした、多少税率は低くなっても、正確なそうして公平な徴税ができるように一つ工夫を願いたいと思う。確かに公給受取証なんというのは、飲んだり食ったりする人に対して、お客さんに対していい感じを与えないことは事実ですけれども、一番反対がありながらも、やっぱりこの税などは一番余裕のある、担税力のある立場にある私、適当な税だと言わなければならない。そうであるとするならば、これをできるだけ公平な、すっきりした取り方をするというふうに、さらに一段の御工夫を願いたい。私はこの公給受取証について、このままで決していいとは申しませんけれども、大きな一つのねらいだということは申し上げられる。ほかになければ、やっぱりできるだけ弊害を少くする方法でこれを認めるということもやむを得ざる方法ではないだろうか、こんなふうに考えるわけです。今後のりっぱな研究を経て、ぜひすっきりした税にしていただきたいということを希望しておきます。  次に、前の西田長官は参議院の本会議でもはっきり言いましたし、そのほかの機会にも言っておったことですが、地方団体寄付金抑制の法案を出すということをはっきり言ったのですが、私も前回の予算委員会では長官にもちょっと御質問申し上げましたが、この点についてどういう程度に扱われるのか、扱っておるのか、せっかくはっきり、少くも第一次鳩山内閣の閣僚として非常にはっきり、これはこっちから聞きもしないのに、西田長官は閣議決定したかのごとくしゃべったが、これをおやめになるのか、おやりになるのか、おやりになるとするならば、どういう工合にお扱いになるのか、これを伺いたい。
  30. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 寄付金負担金相当程度これを抑制するつもりでおりまして、地方財政法改正案を今作っているわけでありまして、できますれば提案して御審議を願うのですが、どういう程度に修正するかということは、政府委員から一つ説明申し上げたいと思います。
  31. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 委員長からも今の御発言についてお尋ねしたいのですが、地方財政法の方で研究しておられるのですか、再建整備の方で研究しておられるのですか。この点をはっきり御答弁の際に含んで御答弁願いたい。
  32. 後藤博

    政府委員後藤博君) お尋ねの法令に基かない寄付負担金の問題でありますが、これは私ども再建促進特別措置法の中で、地方財政法改正をいたしまして、抑制措置をとりたいと考えております。従って法律案地方財政法改正法律案として別に出すのではなくて、地方財政再建促進特別措置法の中で地方財政法改正をいたしたい、かように考えております。で、その考え方は、地方団体でございまするから、法令に基かない寄付負担金は絶対にいけないということではなくて、やはり再建整備一つ方法として暫定的にやる方法であるという考え方に立って、そういう促進措置法の中に入れたいと思っております。これを全面的に禁止するということになりますと、自治団体建前から多少問題がございますので、赤字団体、一応国に対する関係におきましては、国に対しては寄付負担金を出してはいけないという規定を入れたいと思います。これは現在は国の方から地方団体に対して強制割当の寄付をしてはならないという規定はございますが、裏側の出してはいけないという規定がないのであります。従って今は認意寄付という格好で出しているわけでありますが、その認意寄付もいけないと、こういう規定を一本入れたいと考えております。それから国以外の団体に対するもの、この中にはいろいろな性質のものがございます。会費に当るような寄付負担金がございまするし、それからそうでない純粋の寄付金のようなものもございます。従ってこの区別が非常にめんどうでございまするので、赤字団体におきましては、その基準財政需要額の一定限度以上を出してはいけないというような抑制措置をとりたいと考えております。全面的な許可制ということも考えてみましたが、非常にこれはむずかしい問題でございまして、一々の寄付負担金について許可制度をとりますることは、これは非常に煩瑣なことでありまするし、手数がかかりますから、そういう一定限度をきめまして、これは国、市町村、それぞれ財政規模と負担金関係というものは必ずしも一定ではございませんので、私どもがみますると、新しくなりました市ぐらいのところが、一番率で申しますとひどくなっております。県になりますと、全体の財政規模が大きいために率は非常に少くなっておりまするので、その辺を考えまして、政令でもって率をきめて、それ以上出してはいけないということにいたしたいと思います。そういう意味財政計画の方にも、しぼった額を節減額として出しているわけであります。二十八年度の決算では二百六十億ぐらいの寄付負担金がございまするが、そのうちで二十数億ぐらい節約する、こういうことにしております。それは今の財政計画は御存じの通り二十五年の決算を基礎にしておりますが、二百六十億を二十五年の規模に置き直してみますると、うんと少い額になってきます。その置き直した額を基礎にしておりますので、額が非常に減って参るのであります。財政計画では二十七年の決算を中心にした考え方でもって、大した額でない額を落すことにいたしました。
  33. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そうすると、一般的に寄付抑制をするのじゃなくて、再建整備法によって再建整備の適用を受ける団体だけについてそういう抑制をしようと、こういうことになったわけですか。
  34. 後藤博

    政府委員後藤博君) 国に対する任意寄付もいけないという規定は、これは全部の団体の問題であります。それから基準財政需要額の一定限度以上出してはいけないというのは、これは赤字団体に限ってやりたいという考えでございます。
  35. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 地方財政法の四条の三に、今のお話の強制をしてはいけないということがあるのですが、その強制をしてはいけないというところを、受けてはいけないというふうに直す、こういう考えですか。
  36. 後藤博

    政府委員後藤博君) 今あります規定は、強制割当をしてはいけないという上からの規定であります。ところが下の方の地方団体を縛っていないわけであります。地方団体の方も出してはいけないという規定を入れないと、合わぬわけであります。国は割当をしてはいけない、地方団体は出してはいけないということでなければ、この二つがなければ、はずが合わないわけであります。今は下がないから任意寄付の格好で皆逃げているわけです。その規定も置いておきまして、もう一本規定を入れると、こういうことであります。
  37. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 それは売買と同じで、売手がないのに買手があるはずはないので、一方を禁止すればいいので、何も今の規定だから強制割当をしてはいけないというから任意寄付をする、取っちゃいかぬと言えばそれでいいのじゃないか。大体寄付する人までそんなに縛る必要はないので、第二条にも自主性をそこなわないようにするということが地方財政法の根本にある。寄付する人までそんなことをする必要はない。売っちゃいかぬというのは買っちゃいけないというのと同じで買うということを縛れば買えない。地方自治体を縛る必要はちっともないと思う。どうですか。
  38. 後藤博

    政府委員後藤博君) 従来の解釈が今申しましたように、強制割当をして取ってはいけないこういう法文である、こういうふうになっておりますので、結局まあ任意寄付だ、地方団体が、積極的に寄付したんだと、こういうふうな格好で逃げております。そういう実情でありますから、まあ念のためにもう一本規定を入れまして、そしてどちらからもできない、こういうふうにいたしたいと思ったのであります。
  39. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 これは非常に末節にわたりますけれどもね、大体今の規定がそうだから直す、こういうので、直すのは強制的にやっちゃいかぬのじゃなくて、寄付を受けてはいかぬということを政府みずからがやるべきなんだ。地方団体なんかを縛るよりは政府みずからがそれをやり、同時に県がこれをやることもいかぬ。ある地方団体が他の地方団体にやってもいけないと書いてある。これを強制割当をしてはいかぬということではなくて、受けてはいかぬというのは、売買をしてはいかぬということで、買ってはいかぬというのは、少くとも国の機関が闇取引をやるのはいけない。今の規定ではそういう弊害が起るからやっちゃいかぬというので、地方団体を縛る必要はない。これは意見ですから、そうこだわるわけじゃありませんから、お考え願いたいと思います。  それから地方行政の事務の節約に関するいろいろな法案を予定しておるようですが、まだあまり出てこない。参議院は今のところ割合手があいているのですが、予算がくると、予算委員になっている人もずいぶんいるので忙しくなる。そのころになってそういう法案が続々来たのでは、参議院の方の審議未了になるおそれもあり、落ちついて審議できなくなる、だからこういう法律をもっと早くてきぱきとお出し願うように長官御督励をお願いしたい。御督励というよりは、おそらく内閣の方がなかなかきまらぬので、事務当局の案はおそらくできておって、内閣がきまらぬのじゃないか、早くやらぬと実際ほんとうにみっちり審議できなとい思うのです。で、みっちり審議できないけれども、心ならずも通さなければならぬというような法律は私どもは作りたくないと思う。ほんとうに落ちついて、今のところこんなに余裕があるのですから、もっと早く腹をきめてお出しになるように一つ政府部内で督励をしてもらいたいと思う。
  40. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) ごもっともなお話でありまして、なるべく早く提案しようと思って準備を急いでいるのですが、何としましても地方団体の問題は各官庁にみな関係がありまして、各官庁間の事務折衝なんぞに非常な時間をとったがために提案がおくれて、まことに申しわけありません。非常に今せかしておりまするから、少くとも大体は今月中には提案したいという気持で準備をいたしておりますから、御了承願っておきます。
  41. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 あまり一人で占領しても何ですが、私もう一つで終りたいと思いますが、地方財政計画説明によりますと、既定規模の是正は、今秋の給与の調査を完了してからやるのだということで逃げてしまっておるようですが、事実調査々々といっても、何回もこれはおそらく自治庁と大蔵省とが共同調査をやっておるのです。また今年の秋ごろにそのまま行っても、また物になるかどうかわからない。大体大蔵省で逃げられて仕方なしにそういうことを言わざるを得ないのか、事実調査が完了していないのか、調査々々で日を暮らして、何度もやっているのですよ。それを今ごろになって今年の秋には調査完了するから、そうしたら既定規模を改正するというのですが、これでは調査々々でいつになっても片づかない。赤字の問題はこれでは解決つかぬと思うのですが、どうなんです、この点は……。
  42. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 政府全体として意見がまとまっておるのでありませんけれども、私と大蔵大臣との間にはしばしば折衝もし、意見の交換もいたしました。地方財政を根本的に立て直すのはどうしたらいいかということについて、まだ最後的の案ができないのでありまして、とりあえずこの国会には間に合った改正法案だけを提出して御審議を願うことになっておるのですが、これ以外にも根本的に地方行政機構の改革、事務の簡素化等について処置しなければならぬ点がたくさんあると思います。そこでそういうものをすっかり整備した上で一つ地方財政というものを健全合理化しよう、それにはやはり三十一年度の予算編成を待たなければできないじゃないかという大蔵大臣の主張もありまして、これまた一つ考え方であります。私といたしましては、できるならば補正予算でも作る機会があったら、その機会にある程度地方財政に対しても考慮したいこういう気持で大蔵大臣には話しておるのであります。これはただ私と大蔵大臣との間の折衝の経過を御報告申し上げたわけでありますが、なお給与の調査につきましては、今どういう程度になっておりますか、政府委員からお答え申し上げます。
  43. 小林与三次

    政府委員小林与三次君) 給与の調査につきましては、現地の調査は大体終りまして、集計の段階に実は入っておりまして、その集計が意外にわれわれが考える以上に実は手かずがかかっておる模様でございまして、今のところこの九月ごろにならなければまとまらぬだろう、こういう状況でございます。われわれといたしまして、できるだけ早く結果が出ることを期待して、統計局の方で専門的にやってもらっているのでありますが、その方を督促いたしておる次第でございます。
  44. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 大蔵省にそういって逃げられて、逃げ口上に大蔵省に使われておるのか、ほんとう調査は済まないのか、大蔵省はそういって調査が済んだら済んだらといって逃げているので、仕方なしにやっているのか、あるいは事実秋ごろになったらほんとうに集計ができて、そうして大蔵省もいやと言えないようになるのかどうか、その点を伺いたい。
  45. 小林与三次

    政府委員小林与三次君) 自治庁といたしましては、わざわざ国が給与調査を、国家公務員並びに地方公務員を通じて全国一斉に全部やることにいたしたのでありますから、当然その結果の次第によって必要な措置を講ずべきものとわれわれ考えておるのでありまして、そういう考え方で今後も強く進みたいと思っております。
  46. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 今度の財政計画というのは、おそらく戦後最悪の財政計画なのです。しかも鳩山内閣は、もろ中央、地方を通じて財政健全化ということを強く言っているのにかかわらず、地方財政については、最も不健全な地方財政計画ができております。これはまことに残念だと思うのです。一ついい財政計画が立つように大いに御奮闘をお願いします。じゃ、私の質問はこれで終ります。
  47. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 委員長から先ほどの伊能君の質問にからんで資料の提出を求めたいのですが、それは寄付金、分担金に関する問題ですが、地方公共団体の全国的な連絡協議機関、そういう団体、それから地方公共団体の全国的な、あるいは地方的な外郭団体、それに対しての分担所要経費ですね、最近の調査がないということでは、西田長官の本会議発言は非常におかしいと思うので、調査中とは考えているのですが、結論は出ていないにしても、そういう団体名あるいは概算額、そういうものの調査を出してもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  48. 後藤博

    政府委員後藤博君) 行政管理庁でおっしゃいますような調査をしておったのであります。それはまとまっているかどうかは私どもは存じませんが、一応聞いてみたいと思っております。私の方では決算額の中から寄付、分担金を拾い上げたものが大体ありまして、それはこまかい、どこに何ぼを出すというふうなこまかいものはわかりません、大きな項目で出ているものはもちろんそれはわかりますけれども、こまかい寄付金、つまり会費のようなものというのがはっきりわかりかねるのであります。調査いたしたいと思っておりましたが、これは行政管理庁の方で調査させるということでありましたので、私どもその調査の結果を待っているわけであります。
  49. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  50. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記起して。  それじゃそういう資料の提出を願います。ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  51. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記起して。  では、本日はこれで散会いたします。   午後零時三十七分散会