運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1955-09-22 第22回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年九月二十二日(木曜日)    午前十時五十二分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長    小笠原二三男君    理事            伊能 芳雄君            石村 幸作君            小林 武治君            森下 政一君    委員            伊能繁次郎君            西郷吉之助君            高橋進太郎君            安井  謙君            島村 軍次君            館  哲二君            秋山 長造君            森崎  隆君            小柳 牧衞君            中川 幸平君   説明員    自治庁税務部長 奥野 誠亮君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政の改革に関する調査の件  (改正地方税法の施行に関する件) ○委員派遣要求に関する件     —————————————
  2. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 委員会を開会いたします。  本日は地方税関係について調査を進めたいと存じます。従って先般の地方税改正に伴う政令その他が出ておりますので、事務当局からその措置並びに経過等について御説明を願いたいと存じます。
  3. 奥野誠亮

    説明員奥野誠亮君) 先般の税法改正に伴いまして、政令規定をゆだねられている事項がございましたので、これに基きまして制定いたしました政令内容を先に御説明しておきたいと存じます。  お手元政令案要綱をお配りしているわけでありますが、三つございまして、第一は宿泊及びこれに伴う飲食料金から一人一泊につき五百円を控除する旅館に類する場所政令指定することになっておりましたので、これを宿泊所、寮、クラブ、宿坊等道府県知事指定するもの、こういうように定めたわけであります。指定をいたしておきませんと、五百円の基礎控除の恩典に浴し得ないということになるわけでございます。  第二は、領収証を交付する必要のない場合で、道府県政令で定めるところにより交付するものを政令できめることになっております。これにつきましては、その一つはいわゆるチケットを使う場合でありまして、均一制料金カフエーバー等道府県知事指定するものにあっては、道府県の交付する用紙によるチケットと定めたわけであります。その二は領収証を交付することが適当でないと認められる場所道府県知事の承認を受けたものにあっては、道府県の交付する用紙による帳簿というふうに定めたわけであります。いわゆる特殊の飲食店においては帳簿を使ってもらえばよろしい、こういう考え方でおるわけであります。  第三は、私製の領収証使用を認める場所指定でありまして、その一つ外国文領収証道府県知事の認めるものを使用するカフエーバー旅館飲食店等であります。その二はクリスマスのパーティ券というように前売券等道府県知事の認めるものを使用する場所であります。その三は列車の食堂などで使っている伝票でございますが、提供品目及び品目ごと料金が印刷されている伝票がついている領収証道府県知事が認めるものを使用し、一人一回の飲食料金が五百円以下であっても領収証を交付することとしている食堂等であります。その四は、領収証を交付する必要のある者の数が当該場所飲食する者の百分の五以下である飲食店喫茶店等、こういうようにいたしたわけであります。  改正税法が出ましてから、さらに業界の中で私たちのところに賛否両論意見が持ち込まれたわけでありますが、一番問題になりましたのは、どのような領収証使用を求めるかということでございまして、この点につきましては、それぞれ関係業界に対しまして、私たちの考えておりますところを率直に示していろいろ意見を徴して十分話し合いをしながらきめて参りました結果、最終的には完全に業界の納得された形で領収証様式を定めることができたわけであります。これらにつきましては、総理府令で定めることになっておりまして、いわゆる領収証につきましては九種類伝票につきまして二種類チケットにつきまして二種類帳簿につきまして一種類、今伝票種類と申し上げましたが、伝票領収証一つの形態、こういうふうに考えておりますので、伝票を抜きますといわゆる領収証が七種類、こういうことになるわけであります。合計いたしまして十二種類ということになります。これらの領収証のうちでそれぞれの店がどの領収証を使うかということにつきましては、原則として現に使っておる型のものを使用してもらえばよろしいじゃないか、かように考えておるわけでありますが、なお店の希望をも十分徴しまして、希望に従ったものを使用してもらえばよろしい、こういう考え方のもとに、各府県にそのことを通達いたして参っております。従いまして、現在のところこの問題をめぐりましていざこざが起きることはないだろうというふうに私たち予想をいたしておるわけであります。なおまた業界から、まだ改正税法に習熟しないうちに領収証発行しなかったということでいたずらに罰則を振り回されても困る、こういうような意見が寄せられて参りました。もとより罰則制裁のための罰則でもございませんし、善意の者を保護するための罰則でもございますので、もっぱら啓蒙に力を注ぐことにして、営業の妨害になるような検税行為はできる限り値しんでいきたい、当分の間もっぱら啓蒙に力を注いで、この改正制度の実施が円滑にいくように努力してもらいたい、こういうことを地方に通達いたし、またよく話をいたして参ってきております。  なおこの制度は国会でおきめになりましたように、もとより業者が客から税金をもらいやすいようにし、もらいやすくすれば道府県に納入しやすい、そうなれば自然に業者相互間におきましても、納入金額売上金額に応じて公平になるのだというふうに心得ておるのであります。そうしますと、また消費者領収証を進んで受け取ってくれなければならないわけでもございますので、こういう意図をも兼ねまして、国税庁、大蔵省とも話し合いをいたしました結果、一つ閣議決定を先般行なったわけであります。その内容は、「公給領収証制度の制定に伴い、国の税務官署は、法人税又は所得税調査に当り、公給領収証発行することとなっている遊興飲食宿泊その他の利用行為に係る経費公給領収証のないものを損金又は必要経費に算入しようとしているものを発見した場合には、その経費支払の実否を念査するものとするとともに、その旨を都道府県税務機関に通報するようにすること。」と、こういうことを閣議決定したわけでございます。国の税務機関の協力を得、さらに消費者の自覚に基きまして、業者の方々が遊興飲食税を徴収しやすいように将来とも努力をいたして参りたい、かように考えているわけでございます。
  4. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  5. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記を起して。
  6. 森下政一

    森下政一君 それは必要があるのだと思いますが、領収証様式がそんなに何種類にも分れるというのはどういうことなんですか。
  7. 奥野誠亮

    説明員奥野誠亮君) 一つは待合その他の料理店の方で使われる領収証でありまして、業界話し合いをいたしました際に、婦女の接待を伴う店ではあるけれども芸妓接待はない、そうしますと、芸妓花代につきましては三割課税になっております。芸妓の入るのが常例でありますような店につきましては、領収証の中に通常の遊興飲食の代金につきまして一五%、花代につきましては三〇%ということになりますので、両方印刷いたしております。入らない店におきましては、花代の欄を抜いてもらいたいという希望もございましたので、その関係で二種類になっております。  それからキャバレーの関係におきましては一五%課税でありますけれども、営業の実態におきまして、料金内訳を他の業態のように示さないのが普通なんだと、こういう強い意見の開陳がございまして、従いまして、また営業内訳をこまかに——こまかにでもございませんが、ある程度に明示することを建前にしたような罫線を入れた領収証は不適当だという強い要望がございましたので、内訳を書く欄は空白の欄にして領収証様式を定めることにしたわけでございます。これが一種類でございます。  それから旅館につきましては基礎控除の問題がございますので、やはり五百円を引く欄を設けなければなりませんので、別の様式にいたしております。これが一種類でございます。  それから第五に、五%、一〇%課税普通飲食店領収証がございます。これは税率が違って参りますので、別の様式にいたしております。これで五種類になるわけであります。  それから伝票を使う店は、これはお客さんの前に伝票を置きまして、品物を持ってくるたびに鉛筆で記入していくわけであります。これはその端っこに総計の金額を明記するものさえつけておけば、そこに総額を鉛筆で記入いたしまして、切って渡してくれればよろしいとなっております。これは領収証と心得ております。それが一つであります。これで六つになりましょうか。  それから伝票式領収証でありましても、大阪方面でよく使われているようでありますけれども、複写式伝票を使っている店があります。こういう店はこれをそのまま認めてもいいのじゃないかというふうに考えておりますから、今のような伝票式領収証に、もう一つ複写式伝票式領収証、これをも様式として規定いたしております。  それからもう一つ内金領収証、全部を一ぺんにもらいませんで、一部ずつもらう場合がございます。その場合は内金領収証を渡しまして、内金領収証様式規定いたしております。  それからチケット様式をきめております。チケット様式をきめます場合に、全部が二百円単位金額をきめています店につきましての簡単なチケットと、五十円、百円、二百円と三つの段階があっても差しつかえないようなチケットと、二種類きめております。  それから最後に帳簿様式をきめております。これらを合せまして十二種類になるわけであります。それぞれの業界希望をできる限り尊重することにいたしまして、その結果こういうふうに領収証がかなり種類が多くなったわけであります。
  8. 石村幸作

    石村幸作君 今奥野税務部長説明領収証についての罰則に関する意見があったが、制裁のための罰則ではなく、善意業者を保護する、だからみだりにこれによって業者を威圧するようなことをしないで、十分啓蒙運動をする、こういうふうにあたたかい気持を述べられた。その通りいけば非常にけっこうだと思いますが、地方でいろいろ様子を聞くと、大分府県関係吏員等は、この罰則規定伝家宝刀のように振り回して、すでにもう大分威嚇をしているという事実がたくさんある。そこでそういうことのないように、あなたの今説明されたように、十分啓蒙運動をして、そうしてもしも違反の事実があったとかいう場合にはこれを注意する、そうしてどうしても反省の見込のないような場合には、組合とか関係団体等によくこれを是正させる、こういうふうにしたらいいと思うのですが、いかがでしょうか。
  9. 奥野誠亮

    説明員奥野誠亮君) おっしゃっておりますこと、まことにごもっともだと思っているのでありまして、その御趣旨に従って善処して参りたいと思っております。ただ従来お示しのように往々無鉄砲な議論をいたします税務職員のおりますのは、やはり業者の中にもかなり悪意といいますとどうでしょうか、そういう方もおられたようでありまして、なかなか法定の遊興飲食税を納入してくれない。そこでずいぶんすったもんだをやってきているようであります。しかもそれはそれなりで納まればよろしいのでありますが、他の業界の方からは、あの人に遊興飲食税をほとんど納めてもらえなくて、われわれだけにおっかぶせてくることはけしからんじゃないか、業界からも突っつかれている。こういうことで困り抜いておった対象もあったようであります。そういう人たちに対しましては、今度は法律でこういうふうになったのだから適正に納入してもらうぞと、こういうようなおどしを言っている向きもあるように府県税務課長から聞いておるわけであります。もとよりこういうような刺激的な言動は避けなければならないわけでありますが、従来非常に困り抜いてきた、これによって非常に明朗な適正な税務行政ができるのだ、そういう勢いが余ってお示しのような言辞をはいておるのだと思います。こういうことについてもそういう刺激的な言動にわたらないように十分戒めていきたいと思います。
  10. 石村幸作

    石村幸作君 要するにこの遊興飲食税というのは非常に困難な税種なんで、これはどうしても取る方も、それから負担する人も、また特に徴収義務著、こういうふうなのがほんとうに一体となって、円満な、円滑な運営ができなきゃならない、そういう意味であなたの御意見通りになればけっこうだと思いますが、そこで業者いろいろ要望を聞いてみると、あなたの今の言った御趣旨に沿うように円滑な納税ができるように、それでいろいろなトラブルのないようにというので、遊興飲食税運営審議会のようなものを作ってくれということを自治庁の方へ申し出ているそうです。自治庁でもすでに消極的な指示地方に流しておるそうですが、こういうふうな点については特別徴収義務者の負担であるから、この義務者が集って、各業界府県単位に集って一つ協議会とか懇談会というような制度を作って、そして円満に運営できるようにするのも一策じゃないかと思うのですが、これについて意見を開きたいと思います。
  11. 奥野誠亮

    説明員奥野誠亮君) ただいまの御意見に対しましても全く賛成でありまして、またそれぞれの業界からもその趣旨希望を文書で申し出てこられたわけであります。先般全国の府県税務課長を集めて会議を開催したわけでありますが、その場合にも各業界から私たち手元に提出されました意見を全部複写をとりまして配布いたしたわけであります。同時にまた今お示しの問題につきましても、事業経営者等意見を聴取する機会を持つように配意しなさいということを依命通達示し、また席上におきましても十分そのことは話しておるわけでありまして、大体どの府県もそういうような方向努力しておるようでございます。
  12. 石村幸作

    石村幸作君 もう二、三ちょっと聞きたいのです。この政令とか依命通達ですか、のうちに知事指定、または知事の認めたものとか、裁定を知事にまかすというような文句が大分あるのです。それについてですね、やはり漫然と知事にまかせずに、やはり中央ではっきりした指示を与えて、その線に向って知事が形式的な指定なり、認めるというようなことをしてもらわないと、この前の大衆旅館制度、あれがまんまと失敗したのもそこにある法律とか政令通達等をすなおに読まないで都合のよいように読んで、指定とか認めるとかということになる、この点をよほど注意して法、政令、その他の精神に反しないように十分やっていただきたいと思いますが、いかがですか。
  13. 奥野誠亮

    説明員奥野誠亮君) 現在知事指定をするとか、認めるとかいうふうな言葉を使っておりまする部分でありましても、さらに具体的に細分をいたしまして、明示できるようなものがありますならば、どんどんそういうように具体的に取扱いをはっきりさしていくように努力して参りたいと思います。
  14. 石村幸作

    石村幸作君 もう一点聞きますが、先ほど申し上げた府県税務吏員行き過ぎというか、これはどうしても是正してもらわなければならないので、こういう例がもうすでにある。料理店とか旅館、そういうところへ張り込みをさして、四時間、五時間の間台所、つまり調理場、そこにすわり込む、そうしてまた帳場にも三時間、四時間すわり込む、その上お客があると客の座敷の入口にすわり込んで、業態を把握するためだというのでやっておる、そういう事実がある。言えといえば私は何県の何々郡の何村何町というところまで知っておる。しかしそれは言いませんが、そういうような行き過ぎ、それからさっき言ったように伝家宝刀を振りかざして非常に脅威を与える威嚇、こういうような点、非常にこれは事実各県である。これはどこまでもこういう行き過ぎを是正してもらわなければならない。これは一種威嚇だけではなくて脅迫にもなる。こういう点を一つ十分是正する必要があると思うが、御意見はいかがですか。
  15. 奥野誠亮

    説明員奥野誠亮君) 今度の遊興飲食税に関しまする制度改正によりまして、今お話しになりましたようなことが必要がなくなるんじゃないだろうか、かように考えておるわけであります。従来は一種業界への割当みたいな形になっておりまして、実績からいえばもっと納めてもらうべきではないか、業界ではなかなかそれに応ぜられない、また業界の内部におきましても、業者個人々々の割当が必ずしも適正でないし、もっと納めてもらいたいというような人もあったわけでありまして、そういうような店につきまして、全体の売上金額を把握するというようなことから今お示しのような行き過ぎ行為があったのだと思うのであります。将来は一件々々につきまして領収書を出していただきまして、機械的に税金を徴収していただいて、機械的に納入していただくわけでありまして、朝から晩まで張り込んでいなければならないというような問題も生じない、かように考えておるわけであります。お示しの点につきましては、そういう誤まりのないように私たち努力をいたして参りたいと思っております。
  16. 石村幸作

    石村幸作君 それに関連しまして、かつてこの委員会自治庁当局にどなたか質問した。それによると、国税徴収経費地方税徴収経費とを比べると、地方、非常に多いという、数字まで示して答弁があったことを記憶しておるが、最近聞くところによると、これは各県とも徴税吏員を、税務吏員を三百名、五百名増加さして徹底的に今度やるのだというようなことを各県で聞いておるのでありますが、そうすれば徴税費はますますふえる、これは非常におもしろくない傾向だとこう考えますが、おそらく自治庁でもそういうことを指示してはいないと思っております。そういうことのないように一つ十分努めてもらいたい。同時に参考資料としてあとでよろしゅうございますから、国税徴収経費地方税徴収経費県別一つ出していただきたい、お願いしておきます。
  17. 奥野誠亮

    説明員奥野誠亮君) 税務行政に熱心な人たちはできる限り税務職員をふやしたい、こういう希望を述べるのもむりからぬところだと思うのであります。しかしながら御承知のように府県全体といたしまして、職員をできる限り縮減していきたいというふうなことで努力を払っておるわけでありまして、そういう場合には税務職員は減らさないで現状にとどめる、こういうやり方をしておるところが相当多いだろうと思っております。しかし半面ふやしたというような話は実はあまり私たち聞いておらぬのでありまして、もとより今度の改正によりまして、ふやすというような方向はとるべきではない、こういうような考え方府県に対して話しております。  それから徴税費の問題は「地方税現状分析」という冊子をいつかお手元にお届けしたと思うのでありますが、その中の五十九ページ以下に書いてございます。もしなお足りませんところがございましたら、お示しによりまして資料を作成したいと思います。
  18. 石村幸作

    石村幸作君 それは府県別になっていますか。
  19. 奥野誠亮

    説明員奥野誠亮君) 府県別数字は出ておりません。
  20. 石村幸作

    石村幸作君 それを一つお願いします。
  21. 奥野誠亮

    説明員奥野誠亮君) 承知いたしました。
  22. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記をとめて。   〔速記中止
  23. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記を始めて。
  24. 安井謙

    安井謙君 今、森下委員石村委員からいろいろお話があったので、私は蛇足の程度ですが、実は、この法律案を出す趣旨は申すまでもなく、なるべく適正な税率と公正な徴税ということを目標にして議員提出案が成立したわけです。しかし、実際にはこれが業界に与えた衝激というものは、われわれの予想以上に非常に手ひどいものであることは事実であるのです。これについて自治庁事務当局とも業界の実情をよく打ち合せた上、かなり誤解のある点は取りのけられたし、相当な程度了解点までいっていると思いますが、まだ実際問題として業界自体が非常に気持よく納得していない部分も相当あることは事実です。一例をあげますと、風俗営業といっても、これの限界が今日実際の適用上非常にむずかしい。  一面からみれば、風俗営業として当然取り締られなければならぬ点が現在適用を受けていない面があると同時に、非常に形式的な風俗営業の取締りを受けている面もあって、それがある程度行き過ぎになっているというようなことも事実上ないこともない。また未収金であるとか、貸倒れというようなものに対しても、これはお客には一切の義務がなくて、徴収義務者、いわゆる業者に対してだけ一方的な過当な業務が課せられているというような、いわば欠陥とみなされるようなものも事実上ないでもない。これは今後とも十分検討される必要があると思うわけです。一番大事なことは、何といっても遊興飲食税という税が徴税技術上に非常に困難というか、トラブルの多い税種であるということから、これもなるべく公正なものに持ってこようという趣旨にほかならないので、まあ一つこれの実際上の扱い方については、今後とも自治庁も十分そういう点を考慮せられて、いわゆる末端官吏行き過ぎによる弊害というもののないように、十分気をつけていただきたいと思う次第であります。私は要望だけ述べておきます。
  25. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) それではちょっと私からも遊興飲食税だけをお伺いします。先般、地方調査に行きました際に、業界で現にそういうことが言われておるということで陳情を受けたので、まずそれを伺います。それは領収証で予定だけ取れない場合には、領収証があろうがなかろうが、従来通り割当で取る、こういうことが一部言われて、業界に衝動を与えているという向きがあるが、この割当という従来の実際上の課税の仕方というものはこの制度ではっきり排除されますか。
  26. 奥野誠亮

    説明員奥野誠亮君) お話のように、従来の遊興飲食税のあり方でありますと、割当的な、話し合い的な課税がずいぶん行われておったわけでありまして、自然また納入されたものにつきましても、さらに更正決定の線で話し合いをするというような行き方も行われておったわけであります。しかし、今般の改正によりまして、領収証発行を必要とする部分につきましては、原則として更正決定というふうな問題はあり得ないのだということを県に示しております。ただ、しかしながら普通の飲食店でありますと、五百円未満飲食領収証発行を必要といたしません。この分につきまして、もし売上金額から見まして、過少な申告納入が行われておりまする場合には、この部分につきましての更正決定という問題は残ると思っております。しかし、そういうふうな部分は、遊興飲食税対象から見ました場合には、かなりわずかなものだろうというように考えております。
  27. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 私の尋ねておるのは、公給領収証を出しておる向きに言っておるので、それはないということはわかりました。それから五百円未満のところですね。領収証を出さないところに対して、公給領収証制徴税実績があがらない部分の、中央からの何と申しますか、予定されてきておる徴収額との差を、領収証を出さない部分に水増し課税して刷り当ててこられるのじゃないか、こういうことを非常に懸念しておる。そういう更正決定の仕方は断じてやらない、いわゆるその店の売上金に対して申告が少いというような場合にだけ限る、こういうことでいいですか。
  28. 奥野誠亮

    説明員奥野誠亮君) お話しのように考えております。
  29. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) それからもう一つは、従来割当と申しますか、そういうことでやっておるところでは、免税点以下のものだけ売っているところについても、その店の仕入れその他について月例の報告をとっておってやる、あるいは税を納める店であっても、普通の飲食店等でも、その業態、その仕入れやその他一切を月々申告しなくちゃならぬようになっている制度があるそうですが、そういうのは何の根拠でそういうことをやっておるのですか。
  30. 奥野誠亮

    説明員奥野誠亮君) 従来の制度でありますと、大てい飲食店指定をして、その店におきまする限りは、百円ないし百二十円までの飲食に対しては課さない、こういうことになっておったわけであります。従いまして、その金額が若干低い点もございまして、場合によっては課税対象になりまするような部分が例外的にあったかもしれません。そういう部分につきましての保税を認める、こういうことは法的には許されていると思います。しかし、そういう面が全然ございませんければあり得ないじゃないかというふうに思うのでありまして、またの点が、業界の幹部の方から若干はつき合ってくれ、おつき合いをしてくれ、こういうことで遊興飲食税申告納入を求められるのだ、こういう不満もずいぶん業者の方々から伺っておるわけであります。今回の改正によりまして、店のいかんを問わず免税点制度がとられ、しかも免税意の金額がかなり引き上げられて参りますので、相当多数の店が遊興飲食税課税対象から完全にはずれていのじゃないだろうか、こういうふうに思っておるわけであります。
  31. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記をとめて。   〔速記中止
  32. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記を始めて。
  33. 奥野誠亮

    説明員奥野誠亮君) ただいま委員長からお話があり、先ほど安井さんからもお話があった点でありますが、第一は売掛金に対応する遊興飲食税を、従来のように業者が立てかえて県に納入しておかなければならないかどうかという問題であります。この点につきましては、領収証制度によりまして、代金を領収しておりませんので、行為のあった際に領収証となるべき書類にその金額を記入しておくことになりましたので、売掛金になっているか、現実に料金をもらえたかということがはっきりして参るわけであります。従いまして、売り掛けの経理を明確にしているような店につきましては、売り掛けになっている部分については徴収の猶予をする、こういうやり方をすべきだと考えるのでありまして、そのような趣旨を先般各府県に通達いたしたわけであります。また業界からもその趣旨希望を申し出てきておられまして、これに対しましても同趣旨の回答をいたしております。  第二は、風俗営業取締法の規定適用が非常に区々になっておりますので、この法の関係業態に属するものをどういうところで線を引いていくかという問題であります。税法の上で一五%の高卒課税を行ないます店は婦女の接待を伴うような店でありますし、またこういう店は風俗営業取締法の規定対象になる店であります。しかしながら、従来の市町村自治体警察でこの法の適用を行い、それぞれの主観的な判断がまじえられておりました結果、本来この法の適用を受けさせるべき店でありながら、受けさせていなかったり、不必要にその範囲を拡大してこの法の適用を受けさしておったり、市町村によりまして非常に区々であったわけであります。しかし原則的には風営法の適用を受ける店であるかないかということによって、高率課税を行う店であるかどうかを推定すべきものでありますので、警察当局とも話し合いをいたしておりまして、業態の区分を明確化する努力をやっております。しかしこれにつきましては、なお相当の期間を要しますので、さしあたりは必ずしも風営法の適用の有無によってきめるだけではなしに、その店の実態に応じて高率課税をするか、低い税率適用をするかという区分を、税務当局と警察当局等の意見をもよく聞いた上で決定をしていきなさい、こういう指示をいたして参ったわけであります。  第三点はいわゆるチップの問題であります。このチップの性格も業態のいかんによりまして、むしろ芸者の花代類似のチップがあって、それであるならば三〇%の課説をした方が均衡が得られるのじゃないかというふうな式のものもございますし、反面にまたむしろ客が必ず相当のチップを払うのだが、店の方で一定のものを徴収してくれておいた方がしやすいというふうなところもあるのであります。しかしそういうものをどこで線を引くかということになって参りますと、非常にむずかしい問題もございますので、この点につきましては、客が任意に提供したチップは課税対象にはならない、しかしながら一律に一〇%とか二〇%とか一方的にチップを計算して請求する、こういうものは他の飲食等の代金と同じように一種料金と目して課税対象にしていく、こういうふうに考えておるわけでありまして、そのような考え方業界の御質問に対しましてもお答えをしておりますし、府県に対しましても、そういう扱いをするように指示して参ってきております。
  34. 小林武治

    ○小林武治君 遊興飲食税のことなんですが、公給領収証は法が成立してから非常に反対が強かった、このことについてある政党の関係者は次期の国会において直すからがまんしろ、こういうようなことを言った、また業界新聞によれば、そういう趣旨で引き下ったというようなことが書いてある。自治庁ではこれらの点について何か聞き及んでおるかどうか、お聞きしたい。
  35. 奥野誠亮

    説明員奥野誠亮君) ある国会議員の方が業者の方々を前にいたしまして、あの法の成立の過程においては問題があるので、むしろ法の実施を行政措置で延ばすべきである、こういうことをおっしゃったことも聞きましたし、また臨時国会では領収証制度廃止の改正法案を出すのだというふうなことをおっしゃったのも聞いたことがございます。しかしまた同じ人の言葉から他の機会に、もしそういうことを行なった場合には国民の間から非常な指弾を受けなければならないようなことにもなるので、言うてはみたものの、なかなか簡単なことじゃないという意見をおっしゃったことも聞いたことがございます。
  36. 小林武治

    ○小林武治君 私どもはこの公給領収証を出すということが遊興飲食税の把握ということのためにぜひ必要で、また正しいやり方だと思ってこういうふうに支持してやっておりますので、自治庁としてはこれを一つ適正に施行するという心がまえをくずさないように特に希望しておきます。  それから他の問題でございますが、実はきのうこの席で、安井君から地方税金の不権衡がある、こういうことが話が出ておったのでありますが、私も今度四国の視察の結果、至る所で住民税の賦課率について非常な不権衡がある、すなわち人頭割と所得割と両者の中で、所得割について非常に不権衡がある。すなわち所得税課税標準とするものについては、所得税そのものについて相当農村等において権衡を欠いておる。従って住民税を課する場合に非常な非難が出てきておる。従って地方希望としては、いわゆるこの所得割につきましては、従前のような多少見立て割りと申しますか、地方課税当局の自主性を少しでも加味してもらいたい、こういうふうな希望があるのでありまするが、私も負担均分の原則からいうて、今の住民税はいわば勤労所得者とその他のものとの間に非常な不均衡があるということは、これは自治庁もよく御存じのことと思いまするが、これらの是正について、すなわち今申すような多少見立て割りというようなものを加味することが今後できないものかどうかということについて強い希望がありましたので、その点について一つ自治庁意見を伺っておきたいと思います。
  37. 奥野誠亮

    説明員奥野誠亮君) 現在お示しのような問題が市町村を通じて非常に大きな問題になっておりますので、私たちも苦慮いたしておるわけであります。現在の建前は所得というものはだれが決定しても同じ額であるはずだ、もしその額が適当でないなら、お互いに力を合せ合って適当な所得の額を決定していくべきだ、こういう建前になっておるわけであります。従いまして、またかりに国の税務官署の決定した所得が過少であった場合には、市町村長の権限で引き上げていくことも可能であります。また国の税務官署が腐敗しているために地域全体に非常に酷になっている場合には、市町村長が独自で決定をしてもよろしい、こういうことになっているわけであります。実際問題として、しかし納税者に不利なようなやり方をこの法を根拠として運営することもなかなか容易のことではないと思います。現在市町村が困っておりまする点につきましては、二つあると思うのでありまして、一つは納税者の収入なり経費なりを把握していくのに適正を欠いている、たとえば給与生活者の所得でありますと、非常にはっきりつかむことができます。しかしながら事業者の所得でありますと、収入金額とか、あるいは経費というふうなものがよくわかりませんので、なかなか的確に把握されない、こういうような税務行政運営上から起って参ってきている問題であります。もう一つは国の制度から起ってくる問題でありまして、たとえばしばしば町村におきましては、給与生活者と農業生活者との問題が持ち出されるのでありまして、あるいは予約申し込みの米の代金につきまして特別な軽減措置が講ぜられているというふうな式の問題でありまして、そのようなことから相当な経営をやっている農業者であるにかかわらず、課税総所得金額がマイナスになっている。自然また給与生活者との間で非常な不均衡をかもし出していくと、こういう式の問題であります。制度の問題につきましては、できる限り所得税法の改正によりまして、国民に納得のいくような所得決定にもっていかなければならないのじゃないだろうか、かように考えているわけであります。もしかりに国の政策の点からそれが不可能であった場合には、国の所得税の場合にはそういうやり方をするけれども、市町村民税の場合にはそういう方式によらないのだということが立法上可能であるならば、それも一つの方法じゃなかろうか、こういう感じを持っておるわけであります。これらの問題を離れまして、おっしゃいますような見立て割りを加味したいという考え方、その考え方につきましては、従来の見立てというのは、資産の状況をも加味して所得をきめておったわけであります。この点につきましては、現在別途に固定資産税というものがございますので、やはり市町村民税の所得割というものは、相当な資産を持っている方でありましても、前年にむしろ事業である場合には欠損であったり、所得がなかったという場合には、所得割は軽減した方がいいんじゃないだろうか、そのかわり別途に固定資産税を課して行くんじゃないだろうか、こういう考え方を持っているわけでありまして、いわゆる資産の見立て割りを加味するという場合の、資産の状況をその中に織り込むということならば、現在の市町村民税の所得割は、純粋の所得という見地から決定して行った方がいいんじゃないだろうか、こういう感じを持っております。その他の意味の見立ての問題でありますならば、国と府県と市町村とが協力態勢をさらに強固にすることによって、税務行政をもっと適正に運営されるように努力して行くべきじゃないだろうか、やはりばらばらに決定するという行き方は避けた方がいいんじゃないか、かような考え方をもっております。しかしそれよりも現在は制度上の問題がはるかに大きいんじゃないか、こういう気持を抱いております。
  38. 小林武治

    ○小林武治君 今のお話でありますが、要するに一つの立法論としては、この負担の権衡と、要するに住民税の権衡ということについて、何か研究して行くべきだ、こういうふうなお考えありませんか。
  39. 奥野誠亮

    説明員奥野誠亮君) お話のように、非常に大きな問題になっているわけでありますので、よく研究して行かなくちゃならない、かように考えております。
  40. 小林武治

    ○小林武治君 もう一つ固定資産税の問題でありますが、いなかへ行くと、要するに、大きな家を持っておる者があるけれども、利用価値がない。それでしかも収入はない、固定資産税だけは政府にとられる、こういうことで非常に困難しておるのが農村地帯に相当多いのであります。これらの全くいわば遊休施設、利用価値のない固定資産について、何らか多少の税を緩和する道がないかどうか、それもやはり私どもとしては非常にもっともな、これは地方の税務当局からの話でありますが、もっともな希望だと思いますが、こういうことについて何かお考えありませんか。
  41. 奥野誠亮

    説明員奥野誠亮君) 農地改革等の関係もあったりいたしまして、いなかで相当大きな家屋を持っておった人が、むしろその家屋の相当部分が陳腐化したといいましょうか、遊休になっておるというふうな面も多いようであります。そういう点もかねまして、いなかにありまして、五十坪でありましたか四十坪でありましたか、それをこえるような家屋につきましては、大きくなるに従いまして逆にマイナスの補正をする、そういう評価の方式を示しておるわけであります。御意見もございますので、こういう点につきましても、さらに将来どういうようなやり方をするのが適当でありますか、一そう研究をいたして参りたいと思います。
  42. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記をとめて下さい。   〔述記中止〕
  43. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記を始めて。  次に、委員派遣についてお諮りいたします。  まず先ほどの御懇談に従いまして、地方公共団体の財政状況、その他地方行政の諸問題につきまして、実情を調査し、今後の委員会の審査、調査に資するために委員派遣を行うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 御異議ないと認めます。  なおこれも御懇談を願いました通り、派遣地は滋賀県とし、派遣期間は十月二十日より三日間、派遣委員西郷吉之助君及び森下政一君といたすことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。委員長より議長にその旨の承認要求書を提出いたします。  次に、これも御懇談の申し合せに従いまして、山形県大高根の軍事基地の立入りに関する先般の警備状況について現地調査をするために委員派遣を行うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 御異議ないと認めます。  なおこれは派遣期間、並びに議員三名派遣することとして、この人選も委員長に御一任願うことで御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。委員長より議長にその旨の承認要求書を提出いたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  48. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記を始めて。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十一分散会