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1955-09-21 第22回国会 参議院 地方行政委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年九月二十一日(水曜日)    午前十時四十五分開会     —————————————   委員の異動 九月二十一日中田吉雄君及び深川タマ エ君辞任につき、その補欠として菊川 孝夫君及び中川幸平君を議長において 指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長    小笠原二三男君    理事            伊能 芳雄君            石村 幸作君            小林 武治君            森下 政一君    委員            伊能繁次郎君            西郷吉之助君            高橋進太郎君            安井  謙君            岸  良一君            島村 軍次君            館  哲二君            秋山 長造君            菊川 孝夫君            森崎  隆君            小柳 牧衞君            中川 幸平君   国務大臣    国 務 大 臣 川島正次郎君   説明員    内閣官房長官  根本龍太郎君    警察庁長官   石井 榮三君    自治庁長官官房    調査課長    松村 清之君    自治庁行政部長 小林與三次君    自治庁財政部財    政課長     柴田  護君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方行政の改革に関する調査の件  (地方財政に関する件)  (町村合併促進に関する件)  (警察行政に関する件)     —————————————
  2. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 委員会を開会いたします。  本日は昨日の申し合せの通り、なるべく午前中において地方財政に関する件並びに町村合併促進に関する件等につきまして、自治庁より御説明をいただいて質疑をし、午後は官房長官——午前にお呼びしておったのでありますが、都合が悪くて午後の出席になるそうでありまするから、臨時国会等の問題に関して官房長官への質疑は午後に譲りたいと存じます。そして警察行政に関する問題について調査をいたしたいと思います。さよう御了承願います。
  3. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 前国会において継続審議になりました地方財政再建促進臨時措置法案に関連しまして、地方団体におきましては、あの法案が大体通るという予想のもとにいろいろ施策を練っておったところも少くないのでありまして、継続審議になりましたために、これに対処する緊急の措置が必要になりましたので、自治庁といたしましては、とりあえず資金関係におきまして二、三の手を打っておいたのであります。それは一つは交付税を繰り上げ支給をいたしたことであります。それから第二は、国庫支出金早期地方配付をいたしました。第三は、国庫支出金の決定を、これまた早期にやるようにいたしまして、まだ決定しない役所もありますが、これにつきましては、私ども督励をいたしております。それから第四といたしましては、百十億政府資金でもって地方財政再建促進特別措置法通りますれば、地方に融資する金があるのでございます。これを見合いまして、地方団体におきまして特に資金難帯しんでおる所には資金を融通しよう、こういうことを大蔵省と協議をいたしまして、この措置をとって参ったのであります。一応資金繰りにおきましては十分でありませんが、手当はできたと考えておるのでございます。一十年度におきまして、自治庁がいろいろ調査いたしましたところによりましても、現在の歳入だけでは相当程度不足が出ることを予想されるのでありまして、せっかく政府補助金を出しましても、これに見合うだけの資金がありませんで、補助金を返却するような地方団体も出るのではないかということを私どもも憂えておるのでありまして、三十一年度は、ぜひ三十年度の当初におきまして決定しました以外に何らか財源的措置が必要だと、かように考えております。これにつきましては知事会市町村長会等におきましても御要求もありますので、大体最小限度において三十年度において幾ら不足かという点を今調査をいたしております。この調査ができ上りますれば、それらに対してどういう財政措置をとるかということを早急に決定いたしまして、会に提案いたしたい、こう考えておるわけでございます。大体三十年度に対する考え方は以上申し上げた通りでございます。  なお、三十一年度に関しましては、根本的に地方財政立て直しの考え、補助金整理、その他いろいろ考究をいたしております。  以上でございまして、なお御質問によりましてお答えを申し上げたいと存じます。
  4. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 財政課長、三十一年度配付された資料について簡単な御説明いたしますか。
  5. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) お聞き取り願った力が——ちょっと読んでわからない点がございますから。
  6. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) それでは説明を願います。
  7. 柴田護

    説明員柴田護君) お配りいたしました、「明年度地方財政について」という刷りものにつきまして簡単に御説明を申し上げます。  今年度地方財政状況は、御承知の通り非常に困難の度合を増して参っております。地方団体の中には、経費支払い繰り延べ等を行いますかたわら、昇給無期等措置も行なっておりまして、非常に苦しい道を歩んでおりますけれども、もっぱら単年度収支の均衡を維持するために一生懸命にやって参っております。本年度地方団体が当面いたしました最初の問題は、国会におきます予算審議状況等によりまして、国の予算がなかなかきまりませんでしたのによりまして、本年度当初非常に資金繰りに困ったのであります。それに対処いたしまして、政府といたしましても、義務教育費国庫負担金を繰り上げて交付いたしましたり、あるいは地方交付税を繰り上げて概算交付いたしましたりして参りまして、ようやく年度半ばまで何とかやって参ったのでありますが、なお、今後におきまして、地方財政資金繰りはなお大へんなものがあろうかと思いまして、私どもといたしましても、せっかくその間のあっせんに努力いたして参っておるようなわけでございますが、ただ、来年以降の問題を考えて参りますと、地方財政は単純なその年度限りのつじつまが合わないということを通りこえまして、地方財政の立て方の問題に何らかのメスを加えなければならぬのじゃないか、以上のような状況に実は参っておるわけであります。  お手元に配付いたしました資料の三ページの表をごらん願いたいと存じます。三ぺ−ジの表は、一応現在までいろいろ指摘されております地方財政計画というものの欠点をかりに無視いたしまして、現在の地方財政計画自身の上に立って明年度以降の収支計算して参りますと、当然増加いたしまする経費、当然減少いたしまする経費、当然増加いたしまする歳入、当然減少いたしまする歳入といったものにつきまして、今年度に加えました上の増減計算いたしたものであります。備考欄に書いてありますように、交付団体と不交付団体との区別は、五大市警察移管になりまして、その結果、明年度神奈川県はおそらく不交付団体になろうかと思いますが、一応ここでは交付団体計算をいたしました。計算をいたして参りますと、昇給による給与費の増、恩給受給権者の増によりまして、これは大体年間にいたしまして三%くらいというような計算が過去の実績等から出て参っておりますので、それを採用いたしておりますが、年間昇給率を二・五%と見て、恩給受給権者増加率を三%程度といたしますと、そこに書いてありますように、二十一年度交付、不交付入れまして八十四億円、三十二年度増加八十六億円、三十三年度八十八億円といったようにふえて参るわけでございます。これは、新陳代謝を頭に入れまして昇給率二・五%という数字が出て、参るのであります。新陳代謝が鈍化して参りますと、これについてはさらに実際としては増額になるというように考えられるのであります。ここでは、従来の計算方法に従いまして、新陳代謝を入れて平均昇給財源計算いたしております。平均増減に伴う給与費の増は、これは小中学校の児童生徒数増加に対応いたしまする教員増加数を本年計算いたしましたやり方に従いまして、言いいかえましたならば、義務教育費国庫負担金計算方法と同じ方法をとりまして計算いたして参ったわけであります。三十三年度以降におきまして増減がございませんのは、これは三十三年度以降におきましては、児童生徒数増加がないわけでありまして、逆に、三十三、三十四、三十五、三ヵ年間におきましては、児童生徒数は減って参るのであります。二十六年ごろからまた再び増勢に転じて参りますけれども、三十三、四、五の三年間地方生徒児費数は落ちて参ります。行政整理不要額の平年度化の減と申しますのは、主としては警察職員行政整理の平年度化であります。警察職員行政整理は三十九年度から三十二年度まであります。この四年間に行われます行政整理によるところの経費の節減を計上いたしております。交付財源交付額は本年度程度の、つまり一般会計で七百九十億円程度公債普通会計におきまして毎年発行していくという前提に立ちました場合の計算でございます。毎年百二十億、百億前後の公債費はふえて参るわけであります。選挙費増減は、これは地方選挙、それから教育委員会選挙、海区漁業調整委員選挙、こういったものの選挙声を行います年度に応じまして計算をいたしております。そうして参りますと、三十一年度におきましては、交付、不交付合せまして、財政需要で百九十九億、三十二年度は百九十二億円、三十三年度は再八十八億旧といったように、大体百、五十億円ないし、一百億粒度の増加が当然出て参るわけであります。  歳入の方は、本年度行われました地方税法改正の平年度化を見込んでおります。従いまして、三十一年度事業税基礎控除引き上げ等、それからタバコ消費税の平年度化に伴いますところの税率引き上げ、それから都道府県民税市町村民税法人税割税率、そういったものの平年度化によりまして計算をいたしたのであります。地方譲与税が減っておりますのは、地方道路譲与税が平年度化いたしまして、税率も半減して参ります結果であります。地方交付税の五十七億減って参りますのは、所得税法人税の減税が平年度化いたして参ります結果であります。たばこ専売特別地方配付金はこれは本年度限りの措置でございますので、来年度は減って参ります。義務教育費国庫負担金増加額の三十六億円の計算昇給財源に見合いますもの、それから教員増減に見合いまする義務教育費国庫負担金増加であります。そうして差し引きして参りますと、三十一年度で百八十九億円、三十三年度で百二十億円というように、毎年百億円ばかりの歳入不足が積み重なってくることになるのでありまして、従いまして始末といたしましては、どうしてもこの毎年々々もとよりいろいろな事情の変更によって変って参りますし、この淡の中には税の自然増収は見込んでおりませんので、その自然増減状況にもよるのでございいます。また経費につきましても、人口増加等によります経費自然増考慮に入れておりませんし、社会保障関係経費増加考慮に入れておりません。さようなことを考えて参りますと、それを入れませんでも、なお毎年このような財源不足額が大きくなって参りますということは、やはり相当長期的な見通しのもとに立って財政措置というものを考えていかなければならないのではないかということを暗示しているものではないかと思います。  それを各地方団体の例で若干見て参りますと、その八ページに「財政構造変遷に関する調」というのがございますが、ごめんどうでございましょうけれどもごらん願いたいと思います。八ページ以下に別表と書いてございまして、財政構造変遷に関する調というのがございます。これは若干の地方団体につきまして、財政状態がどのような変化を過去から今日まで遂げてきただろうかということを決算基礎にいたしまして見て参ったのであります。そこに歳出と書いておりますのは、いわゆる消費的経費であります。人件費物件費公債費、その他の消費的経費とあげておりますように、いわゆる消費的経費の合計をあげまして、それからその他の中に通常ぶち込みます繰上充用金を引いて参りまして、その年度限りの消費的経費の純計を一出したわけであります。歳入の方はいわゆる経常財源と考えられますものをあげまして税、交付税国庫文出金消費的経費に見合うものであります。従いましていわゆる人件費に対する国庫補助金だとか、あるいは義務教育国庫負担金であるとかいうものがその内容をなすものであります。雑収入も同じように消費的経費に見合うところの経常的な雑収入、内訳を申しますと使用料、手数料、いわゆる恒常的な、たとえば預金利子とか、そういったも一のをあげているわけであります。それから同じように純粋の歳入と言えないところの繰上充用金を落しまして、純計と書いてありますものがその年度限りにおきます、その年度限りに使われます経常歳入であります。BマイナスAと書いてありますのは、言いかえますと経常歳入でもって経常歳出をまかない、なお剰余が出まして、その部分を結局投資的な建設事業財源に充てるわけであります。従いましてBマイナスAというのは投資的経費に充てるべき一般財源の額、こういうことであります。BマイナスAが逐次減って参りますと、これは財政構造的には弾力性がなくなってくることを示すものであります。逆にこれがふえて参りますと、財政構造的にはよくなってくる、つまり財政弾力性がふえて参るということが言えるのではないかと思うのでございます。  ここにお示しいたしました事例は長野県、栃木県、いろいろございますが、それぞれその財政構造は実は悪くなっております。この計数の中に人件費がふえたり減ったり、いろいろいたしておりますが、地方は二十七年から、二十八年にかけましては給与改訂がございました。二十八年から二十九年にかけましても給与改訂があったことを頭に置いていただきたい、かつ府県におきましては二十八年から二十九年、二十九年−三十年は警察制度移管があったものということを考えていただきたいのであります。そういう眼でごらん願いたいと思います。  長野県でございますが、最初長野収は二十九年度末におきまして十三億五千二百万円の実質赤字を持っております。この団体は二十七年から見て参りますと、財政弾力性はやや改善をされてきております。これは二十八年度、三十九年度にある程度収入が上りましたのと、この年に財政再建計画を立てまして実際的に財政立て直しに着手しております。三十年度におきましては物件費等ごらん願いましてもむしろ節約しているような状態でありますけれども法人事業税が思ったように見込まれませんのと、それから人件費公債費の伸びでもって弾力性はまた悪くなっております。逆に投資的経費につきましては、一般的に言いまして投資的経費補助事業費というものは、国庫補助事業がこういう財政弾力の推移のもとにどのような形で行われているかということを御参考までにあげたのでございますが、国庫補助事業は二十八年に非常にふくれまして、二十九年度は大体同規模間でもって推移いたしましたが、三十年度は思い切ってこれを切り詰めております。このような傾向赤字団体には漸次見られるのでありますが、黒字団体といわれる財政構造が比較的よろしいという団体におきましても、構造的には弾力性は逐次失われてきているのであります。  その次の栃木県をごらん願いますと、同じようなやり方をして参りましてBマイナスAは二十七年度の五億九千万から二十八年度九億七千万、これは二十八年度には非常に税収入がよかったのであります。二十九年度になりましては税収入がさらに上っておりますにもかかわらず、弾力性は滅って参っております。三十年度におきましてはこれが非常に悪くなっているということが見られるのであります。もっとも、ただ三十年度計数ごらんになります場合に、税収入につきましては下期の、九月期の法人決算がわかりませんので、若干下目に組まれたきらいはあるのでありますが、それにいたしましても弾力性は非常に悪くなって参っているのであります。  宮崎ごらん願いますと、宮崎県はこれもずっと黒字を維持している県でございますが、二十八年には、これはあそこにあります旭化成でございましたか、延岡の工房に非常に収益があったわけであります。その関係で税が比較的伸びております。二十九年度はこれはたばこ消費税等も新らしく加わりまして税が伸びておりますけれども災害等がありました関係も若干ありましょうが、財政弾力性は逆に逆調になってしまっている、三十年度はさらにその逆調がむしろ深まりつつあるというような傾向にあるのであります。  岩手県は赤字団体であります。岩手県の赤字昭和二十九年度決算で五億七千六百万円実質赤字がございますが、この団体昭和二十八年度から財政再建計画を立てまして、きびしい財政運営をやっております。にもかかわらず国政状況は必ずしも好転いたしておりません。補助事業事も逐次縮小して参っております。なお財政弾力性というものは非常に悪くなりつつあるということが見られるのであります。  十ページの滋賀県、岐阜県は、これはともに黒字団体であります。でありますが、いずれもこの表の示すところはまだしも、滋賀県等につきましても財政弾力性はあまりございません。大分県、香川県等も同じように黒字団体でありますが、これもごらんのように財政弾力は非常に失われております。こういう財政弾力性が少いにもかかわらず黒字を維持してきてたということは、やはりそこに非常な努力をしてきた結果であると言わざるを得ないのでございますが、このような団体におきましては、さような努力の結果黒字を維持してきているわけでありますが、なおその将来は非常に寒心にたえないものがあるということが言えるのではないかと思うのであります。最後の埼玉県もやはり黒字団体でありますが、同じような傾向を示しております。  このような表から、特に公債費が非常に著しく伸びて参っておるということがごらん願えると思うのでありますが、こういうような状況を見て参りますと、地方財政の問題は長期的な観点から大きな対策を立てなければ、その場限りの行き当りばったりでは何ともしようがないんじゃないかということがまあ一つ言えるのでありまして、その措置を講じます場合には、やはり経常的な財源経常費をまかなえる、いわゆる正常な財政構造に持っていこうという観点から財政措置をすべきなのであって、従来誤まってとられておりましたように、歳入歳出が合わなければとりあえず地方値をつけていくというやり方は、この際断ち切らなければ悪循環を来たしまして、結局収拾つかないような状態になるのではないかというような心配が持たれるのであります。四ページにはそのことを書いているのでございますが、地方財政計画を是認いたしました場合に、三ページの表でごらん願いましたような、いろいろの収支のバランスがなおかつとれないのでありますが、あの財政計画と実際の財政の間には従来から指摘されておりますように非常な開きがある、その開きの主なものは給与費とそれから恩給費国庫補助事業費単独事業費等が指摘されております。しかしまあ端的に申し上げまして、大きな問題はやはり給与費恩給費の問題が主であります。給与費につきましては、大ざっぱな計算をいたしますと、三百七十五億円くらい違う、交付団体で二百九十億一下交付団体で八十五億円くらい違っております。恩給費につきましては四一億円、これはほとんど交付団体でありますが、これも計算が違っております。もちろん二十九年度末から今日までいろいろこの間に合理化努力が匂われておりますので、この計数はなお実際の現実において見ますならば、言いかえますならば、本年一月十日現在でやっております給与実態調査が出て参りますと、この計数はなお変って参るかも知れませんけれども、大体まあこのくらいの違いと考えたのであります。  それからなお明年のことを、それだけの違いと、それからこの違いと先ほどの数字の当然増減の差というものとを頭に置いていただいて、なお来年のことを考えて参りますならば、このほかに生活保護費とか失対事業、いわゆる社会関係経費増額道路整備五カ年計画に基く道路整備事業費というようなものにつきましても若干の増加が避け得られないのじゃないか、もとよりその数字は未確定でございます。ただ従来の増加率等を参酌いたしまして推計いたして参りますと、そこに古いでございますように、三十一年度において約六十億円、地方負担分二十億円程度増加がどうも必至じゃないかというように思うのでございます。  で、それから一方明年度におきます地方債でございますが、地方債につきましては投資的経費総額つまり公共事業費単独事業費総額を今年度通りとかりにいたしまして、それから従いましてその地方債ワク七百九十億円も、かりに本年度程度といたしましても地方公営企業、上水道、交通事業、電気、ガスといったようなものにつきましては、現在の地方債ワクでは継続事業を何とか続けていくのがやっとではないか、特に町村合併等要求もございますし、どうしてもこの部分におきまして、ある程度増額をしてやらなければ十分な事業もできませんし、民生、の安定もできないのじゃないかというような小ごとが考えられるのでありまして、公営企業には来年大ざっぱにいって四百億円程度は要るのじゃないか、財政再建債につきましては、今年の地方財政状況いろいろまだ年度半ばでありますのでわかりませんけれども、必ずしも楽観は許さない状態でもございます。二十九年度決算におきまして、予知されているより以上に赤字が出そうだというような傾向もございます。やはり財政再建債といたしましては、さらに今年度程度二百億ないし三百億円程度財政再建債を認めることが必要なんじゃないかというように考えられるのであります。その表の四ページの4の下に書いております三十年度財政再建債借替分と申しますのは、本年度公募をいたしております百五十億円が、明年度以降におきまして政府資金に切りかえるという条文が地方財政再建促進特別措置法案の中にございますが、それが振りかわってくるという前提のもとに計算をいたしております。そういった因子を統合して参りますと、税の自然増収が現在まだ見通しがつきませんので、一応税の自然増収考慮の外に置きまして、国庫補助負担事業増加に伴う経常経費増減額公共事業費等投資的経費増減額等を頭の外に置いて参りましても、一応次のようなことになる。当然増減経費の増と申しますのは、先ほどの表の昇給財源児童生徒増に伴う経費公債費増等でございますが、百五十億円程度、当然増減収入の減と申しますのは、これは交付団体計算でございますが、すべて交付団体計算でございますが、当然増減収入の減というのは税制の改正の平年度化等に伴いますところの減収であります。それは給与費及び恩給費算定不足と申しますのは一応財政計画とネットの間、現実財政との差額であります。一応それを算定不足額というものを補てんするという前提に立ちますと、三百三十億ぐらいになる。地方債一般財源への振りかえ分と申しますのは、これはこういうような地方財政状況でございますので、一般会計におきます財源といたしましては、できるだけ地方債というものは避けるべきじゃないか、まあ大ざっぱに言って地方債というのはこれは六百億円前後というのがいいのじゃなかろうかという程度の大ざっぱな見通しだけでありまして、確たる算定根拠はございませんので、ただ差額だけをそこにあげております。そうして参りますと、まあ七百億円前後の数字が出て参るのでありまして、これは税の自然増収が見込まれて参り、経費自然増加が見込まれて参りますと、この数字はなお若干縮まって参りましょうけれども、いずれにいたしましても、来年度並びにそれ以降におきまする財政問題は決してそう簡単に扱えるものじゃないのだということが言えるのじゃないかと思うのでございます。  五ページ以下にはその問題が掲げてございますが、大ざっぱに申し上げましてこういう状況でございますので、結局地方財政の問題は大きく申し上げまして三つあるのじゃないか。一つは給与費の問題をどうするか、給与費の問題はもとより現実に支払っております地方給与費の問題につきましてこれを直視いたしまして、財政計画を是正いたしまして、必要財源措置を講ずるかたわら給与総額合理化、つまり財政計画現実給与費というものを近づけていくという努力をいたすことだと思うのでございますが、その問題がございます。それからもう一つは来年以降の地方債の扱い方をどうするか、従来のような財源措置的な見方のそれを変える必要があるのじゃないかということが第二の問題で、それから第三の問題は公共事業費、補助事業費等の合理化の問題、これはまあ従来から言われておりますので、もう議論は尽きておるのでございます。具体的にどうするかというだけの実行の問題かと思うのでありますが、これをやはり強力にやるべき段階にきているのじゃないか、行政機構及びその運営の合理化も同様であろうと思うのでございます。そういう措置を講じまして、財政計画を適正化いたしまして、財政計画に指導性を持たすと申しますか、そういうような方途を講じまして、その上で地方交付税税率なり何なりにつきまして再検討をする、そして地方財源の充実をはかるという措置が必要じゃないかというふうに私どもは考えております。もとより、国、地方を通ずる租税負担の問題もございまして、財源の増強だけを所期するのではございませんが、経費合理化とあわせまして、財源の増強につきましても根本的に考え直さなければならない段階にきているのじゃないかというふうに考えているわけであります。  非常に簡単でございますが、資料につきまして御説明申し上げました。
  8. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 次に、昭和二十八年度二十九年度赤字団体赤字額の比較表がお手元に配付せられておりまするが、これにつきまして、松村官房調査課長より簡単に御説明を願います。
  9. 松村清之

    説明員(松村清之君) ただいまお手元にお配りしました二十九年度赤字状況について簡単に御説明申し上げたいと存じます。  二十九年度決算状況につきましては、東京都の町村分のみまだ報告が来ておりませんので、それを省きました数字によりまして、一応きのう現在で取りまとめたのでございます。一番最後の合計欄という欄を見ていただきますると、この合計欄で二十八年度におきます実質的赤字、これは御承知のように四百六十二億円になっておりますが、二十九年度の実質的赤字の欄におきましては、これが六百四十八億円になっているのでございます。この六百四十八億円の上にカッコいたしまして、六百九十九億円という数字をあげておりますが、これは二十七年度以前の直轄工事の負担金で、国に対して未払いの分につきましては、二十九年度から大体三年間に分割して納付するような制度になったのでございます。それで二十八年度におきましては、そういった二十七年度以前の直轄工事負担金の未納分が全額支払い繰り延べとなりまして、赤字の中に入っているのでございますが、二十九年度におきましては、二十九年度に支払うべき分で未納分だけが入っている、従って二十八年度との比較におきましては、一応同じ基礎に立って考えるのが適当なのではなかろうか、そういうことで同じような計算をいたしますると、六百九十九億円と、こういう数字になるのでございます。従いまして、合計欄の一番右の欄の単年度収支の欄で実質的赤字の欄をごらんいただきますと、百八十五億円という数字がございます。これは二十九年度一年でこれだけ赤字がふえた、こういう数字でございますが、実際にはただいま申しました直轄工事の負担金がございまするので、カッコの数字にありますように、二百三十七億円ふえたことになるのでございます。御参考までに二十七年度と二十八年度と比べてみますと、二十七年度は三百億円の赤字でございまして、これが二十八年度に四百六十二億で、百六十億円ばかり二十八年度はふえた形になっておりますが、三十九年度には名目的にも百八十五億円、実質的には二百三十七億円二十九年度でふえている、こういう状況になっているのでございます。  なお、二十九年度の欄の実質的赤字の欄をごらんいただきまして、各団体別に概況をお話し申し上げてみますと、都道府県におきましては、四十六の団体のうち、二十九年度は三十四団体となって、二十八年度の三十九団体より五団体減っております。これは今申しました直轄工事の負担金の支払い方法が変更されたことによって減っておりますわけで、この点を考慮に入れますならば、カッコ内にありますようにやはり団体数は三十九となるのでございます。赤字は二百六十四億と昨年より三十九億増加しております。しかし実質的には三百十五億円で九十億円増加している格好になっているのでございます。それから市の中で特別区、これは東京都の特別区で、このことは大した問題でございませんので省きまして、五大市のところを見ていただきますと、これは昨年と同じように名古屋を除きましてあとの四つの市が赤字で、二十九年度は六十六億、昨年の四十七億に比べて十九億円増加している。それからその他の市につきましては、これは市が一年の間に非常にふえましたので、二十八年と二十九年とをそのまま比較するということは適当でないかもしれませんけれども、そういう点をお考えに入れて見ていただきたいと思うのでございますが、二十九年度は実質的赤字団体数が四百八十一の市の中で三百六十一、その額は二百十五億円、昨年の百四十六億円に比べて八十九億ふえております。これはむろん今のように市の数そのものがふえていることによるものでございます。  最後に町村、これは少し注目すべき点があるかと思うのでございますが、町村数というのは町村合併等によって減っております。中には市にも入っているものも相当あるのでございまするが、しかし赤字の点におきましては、二十八年度の四十四億円が二十九年度の百二億円と、五十八億円増加しているのでございます。これにあと東京都の町村分が若干加わることになるのでございます。大体以上が今までわかっております赤字状況でございます。
  10. 秋山長造

    ○秋山長造君 今の調査課長赤字の御説明なんですが、ただいまの御説明によりますと、二十九年度に形式的な赤字が百八十五億円ふえて、実質的には二百三十七億円もふえているということなんです。ところが先ほど財政課長説明された資料によりますと、二十九年度赤字は大体百二十四億円程度だろうということを書いてあるのです。これは同じ自治庁数字でこんなに違うのはどういうわけですか。
  11. 柴田護

    説明員柴田護君) 調査課のお調べは九月二十日現在でございますが、私の方で出しました資料は少し日にちが前でございます。
  12. 秋山長造

    ○秋山長造君 これは少し前といっても、あなたの方は九月十二日付の資料でしょう。八日しか違わない。
  13. 松村清之

    説明員(松村清之君) 財政課長のお話しになりましたのも、これも基礎は私の方で調べた数字でございますが、これは六月ごろの数字でございます。そのころは電報とかあるいは聞き取り等の調査でまた正確な集計でなかったわけで、今回の数字がこれが最終的にきまる数字でございます。なお、そのお話と特に異なりますのは、町村の数字というものがただいまのお話の百二十六億という場合には四十四億ぐらいで推計しておったのでございますが、これがいざ全国のを集計してみますと、ここにありますように百二億とふえております。こういうところで違ってきておるわけでございます。
  14. 秋山長造

    ○秋山長造君 そうすると、明年度地方財政計画をこれから立てていかれるわけですが、その資料として基礎数字として使っておられるこの二十九年度赤字額が、今おっしゃるように最新の数字でなしに、非常に古い六月ごろの数字基礎にしてやられるということになると、やはり今後の財政計画を立てていかれる面においても、また本年度地方財政の問題を再検討される場合にも、非常にこれは数学的にそごを来たしてくるんじゃないかと思う。当然われわれここで委員会を開いて自治庁の方から最新の数字に基いて、ほぼ確定的な数字に基いての話を聞けると思っておったのですけれども、今の調査課長の話によると、どうも財政課長の話は、六月ごろの数字基礎としての話だということになると、国会が済んで休会中にあらためてわれわれここで委員会を開いて、何も今さらあらたまって聞かしてもらうほどの価値がないと思うのです。その点どうですか。
  15. 柴田護

    説明員柴田護君) もとより計数は新しい計数を使うのが当然でありまして、この今御説明申し上げました資料数字にこだわっておるわけではございません。この今御説明申し上げました資料の中に出て参ります数字は、その当時におきまする最近の数字基礎にして大体の傾向をながめたのでありまして、ここにあげております計数基礎にして来年度財政計画を立てるつもりはもとよりございません。その後におきまして最後の財政計画を立てます場合におきまして、最も新しい数字を使って措置するのが当然だと存じます。
  16. 秋山長造

    ○秋山長造君 そうすると、今説明をされた数字は百二十四億という五月か六月ごろの古い数字ではあるけれども、しかし今後作業を進めていかれる場合に基礎にとられる赤字額というものは、ただいまの調査課長の発表された数字基礎としてやられる、こういうのですね。
  17. 柴田護

    説明員柴田護君) お言葉の通りでございます。
  18. 秋山長造

    ○秋山長造君 ではあらためてこれは長官にお尋ねしますが、このただいま調査課長が発表されたところによると、まあ二十七年度赤字が三百億である。二十八年度が四百六十二億で、そして二十九年度はそれに百二十四億円を加えて五百八十六億円ということが、まあ大体われわれの今までの通り相場というか、常識の数字だったのです。ところが今調査課長のほぼ確定的な最終的な数字の発表によりますと、五百八十六億円なんかではなしに、さらにもっともっとふえて六百四十八億円、さらに実質的には六百九十九億円、ほぼ七百億ですね、まあこれがおそらくこのただいまおっしゃるように確実な数字だということになれば、これは第一従来長官がいろんな機会に御説明基礎に使われてきた地方財政赤字額というものとは、はるかに大きな赤字が実際には出ておるということになる。そういたしますと、本年度すでに決定して、着々実施されておる三十年度地方財政計画というものも、これはもうこの面からもこれは根本的に再検討をしてかからなければならぬ。で、先ほどの財政課長の御説明の中にも、地方財政の行き詰まりの有力な原因として、自治庁で立てられる地方財政計画と、それから実際の地方財政というものとの間に非常な隔たりがあるということをあげておられる。だから自治庁自身もすでにこの財政計画と実際の現実地方財政というものとが非常にずれておるということはお認めになっておるのですが、ところがそのずれ方がただいまのような赤字の額の大きな、この従来発表されてきた赤字額とこうずれておっては、これはもう一そう大きなズレができてくるということは、もう想像にかたくないと思うのです。そうすると、これはもうこの面だけから考えましても、当然これはまあ明年度以降の根本的な地方財政に対する制度面、あるいは財政面からの再検討ということはもちろんこれは必要でしょうけれども、しかし三十年度を乗り切るということのためだけでも、これはもう三十年産の財政計画というものは根本的に再検討しなければならぬ。早い話がまあ臨時国会の問題は、午後おやりになるんですけれども、しかし今度の臨時国会は、いずれにしても地方財政の問題が実質的には中心になると思う。そうすると再建整備法だけでなしに、やはり今現にふえつつあるこの赤字の問題をどうするか、今まあ手っとり早くいえば交付税率の引き上げというようなことが出てくる。こういう点について三十年度の今進行中の地方財政というものに対して、長官はどのように具体的にお考えになっておるか、それをお伺いしたい。
  19. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 従来私どもが発表しておりました二十九年度の推定赤字額は百二十四億ということであります。これは前国会の際、御審議の過程においていろいろ御質問がございまして、大体の推定を申し上げたのでありまするが、今日この委員会が開かれるのに間に合せるために、急速に実際の調査をいたしまして、ようやく昨日集計ができまして、ただいま御説明申し上げたのでありまして、ここに大きな食い違いができましたのは、私どもはかねて想像しておりましたのと違って、町村の赤字というものは非常に大きくなったということであります。約六十億ばかり私どもの推定よりも赤字がふえておるのが原因でございまして、ここに百八十五億という数字が出たわけでありまして、従いまして三十年度なり、また三十一年度地方財政を扱いますのには、むろんきょう御報告申し上げた数字基礎に扱うことになるのでございます。三十年度におきましては、相当各地方とも財政の運営に支障を来たすことは、これは想像にかたくないのでありまして、これにつきましては、各地方団体におきまして人員の整理をやっておる所もございますし、また物件費事業費等の整理をやっておる所もあるのでありまするけれども、なおそれだけでは足りないのでありまして、ある程度国において財源的の措置をする必要があるということを私どもは考えております。この財源的な措置交付税引き上げによってやりまするか、あるいは他の方法によってやるかということにつきましては、まだ政府としては結論が出ていないのであります。しかし何らかの措置が必要であるということは、これははっきり認めておるわけであります。
  20. 秋山長造

    ○秋山長造君 何らかの措置ということは、まだ今の段階では構想がまとまっておらないということなんですか、あるいは、自治庁長官としての一応の構想はあるけれども、現に開かれている地方制度調査会なり、あるいは税制調査会なり、まあそういうものが一応結論を出してから後に、長官の考えておられることもそのとき発表したいということなんですか。その点いかがですか。
  21. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 私どもといたしましては、最小限度にみても幾ら要るかということを今研究いたしておりまして、これを出しますが、ただこれは財源の問題がありますので、大蔵当局とも相談をいたさなければならぬのでありますからして、はっきりその点申し上げる段階に至っておらぬのであります。交付税引き上げか、あるいはたばこ消費税からして持ってくるか、また知事会の方で要求するように、今年元利償還が五百十億にわたるこの他方の起債をこれをどうするかというようなこともありまして、それらの点をいろいろ勘案している最中であります。
  22. 秋山長造

    ○秋山長造君 実は私、そういうこの御答弁を今もう十月を迎えようというときに聞くのは、はなはだ心外なんです。長官があらゆる機会に地方財政の問題についての政府一部内、あるいはその他関係方面の大いに啓蒙に努力しておられるということは、よく新聞その他で承知しております。で、その点はわれわれも非常に長官の御努力に対しては、これは大いにその労を多としておるものでございます。けれどもしかし長官だけがどれだけ地方財政が困難だということをあちこち説いて回って下さっても、現実に困っている地方財政に対する具体的な手当というものが一歩も進んでおらない。もうすでに国会が済んでまる三月になんなんとしているのですが、いまだにどうするかということもきまらない。で、しかもそのうちに財政はますます泥沼の中にのめり込んでしまっている。今ほとんど全国各府県はもう昇給、昇格はほとんど——ほとんどじゃない、全部が全部ストップしておると思う。それからさらにその給与の支払いにしても遅延しがちだということも御存じの通りであります。で、そういう状態を目の前にしながらじんぜんどれにするかあれにするかということで、口をむなしくしておられる。しかも国会野党各派からは臨時国会を早く開けといって、矢のような催促が出ているというようなことですがね。で、かりに今交付税引き上げていくと必ずしも限らないというお話なんですけれども政府としてはやはりこれは一番どういいますか、尊敬される、この政府の具体的な施策の一番基礎になるものというのは、やはり地方制度調査会の答申ですか、それともまた別にあるんですか、その点はどうなるのですか。
  23. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) とりあえずの資金繰りに対しましては、私の方でいろいろあっせんをいたしまして、それぞれ手当をいたしておるので、あります。根本的の問題はこれは臨時国会が開かれます際、国会の御審議を願う問題でありまして、それまでに間に合うように私たちは案を立てるわけでありまして、交付税引き上げにいたしましても、その他の方策にいたしましても、これは臨時国会で御審議を願わなければ実施ができないのでありますから、それまでにはしっかりした案を作って御審議を願う、こういうふうに考えておるのであります。とりあえず資金が困っておる地方に対しては、これはいろいろ手当をいたしております。地方制度調査会の意見なども、これは尊重いたしますけれども政府の責任におきまして方策を決定するつもりでおります。
  24. 秋山長造

    ○秋山長造君 この点は臨時国会の問題と関連もするのですが、まあせんだっての鳩山さんの野党三派代表との会見のときの御答弁、あるいはその後の記者会見での御答弁、それからさらにまたこの間根本官房長官が日曜の国会討論会でしゃべっておられること、こういうことを聞いておりますと、やはり今度の臨時国会地方財政を中心にしたものであるが、しかしそれは地方制度調査会なり税制調査会なりの答申を待たなければ政府の方針がきまらないのだ、だからそれが出たあとでなければ開けないということを言っておられる。根本官房長官はこれは午後直接聞こうと思っておるのですが、この間の日曜の国会討論会では、今度の国会ではぜひとも交付税率の引き上げというような問題もあるので、もう少し案を練ってというような交付税率の引き上げというようなことをこれはもう具体的におっしゃっておる。そうすると今の長官のお話では、鳩山さんや官房長官が言っておられたように、地方制度調査会だとか税制調査会の答申を待っておる、つまりその答申というものがほとんどそのまま政府の施策の基礎になるんだということではなしに、長官のお話では、それも一つの参考にはなるかもしれんけれども、しかし根本の案を立てるのは、やっぱりあくまで自治庁長官の下でお立てになるというようにも聞えるのです。その点はどうなんですか。政府全体としての御方針というものはどちらにウエートを置くかということ……。
  25. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 私は税制調査会並びに地方制度調査会に出まして、なるべく速急に結論を出すようにお願いをいたしておるのでありますけれども、その審議の模様によりましては、あるいは臨時国会までに間に合わぬ場合があるかもしれませんけれども、税制調査会なり地方制度調査会なりが結論を出しませんでも、臨時国会には政府としてこれは提案する必要があるのでありますから、やるつもりでおります。
  26. 森崎隆

    ○森崎隆君 今秋山委員からいろいろお尋ねがありました。私も聞きまして非常に意外に存ずるわけなんでありますがね。法案まで出しまして地方財政再建の問題と政府が取っ組んで参る。そのときには当然こういう基礎的な調査その他はもう完了しているのじゃないかと私たち考えていたのですが、今の長官の御答弁から考えますと、何もかも全然まだ手がついていない。今からもう一カ月ばかりぐらいだと思いますが、一カ月以内に早急にいろいろ調査をして、臨時国会に間に合わすというようなお言葉のようですが、実際間に合うのですか。また正確なものができ得るかどうか、その点御自信があるかどうか付いたい。
  27. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) この赤字を見ましても、六月の推定と昨日調べたのとは六十億も違うということでありまして、前回に私ども地方財政再建促進臨時措置法を出しましたときと、今日の地方財政の実態とは相当に食い違いがありますので、あの当時にはまだ案が立たなかったのでありますけれども、ごく最近の地方財政資料を集めまして、それに基いて案を立てたい、こう考えておるわけであります。臨時国会までには間に合せます。また間に合せる必要があると考えております。
  28. 秋山長造

    ○秋山長造君 先ほどの長官の御弁明で、今度の臨時国会は必ずしも地方綱度調査会なり税制調査会の答申とは必然的な関連はない、こういうように了解してよろしゅうございますか。
  29. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 税制調査会なり地方制度調査会から答申がないからといって、臨時国会に具体策を出さぬというようなことはいたしません。政府の責任において必ずやるつもりであります。
  30. 秋山長造

    ○秋山長造君 そうすると、これも臨時国会の時期に関連してくるのですが、長官のお考えでは結局臨時国会の召集時期というものは、この税制調査会なりあるいは地方制度調査会なりの答申の時期というようなこととは直接関連なしに、自治庁として地方財政に対する今問題になっておるような何か方針がきまれば、きまり次第直ちに召集する、こういうことになるわけですか。
  31. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 臨時国会の召集の時期につきましては、ただ地方財政の見地からだけを考えられないのでありまして、これは内閣全体として考える問題でありまして、ここで私は何とも申し上げられないのでありますけれども、臨時国会までに間に合わせるように私どもは作業をいたしたい、こう考えておるわけであります。
  32. 秋山長造

    ○秋山長造君 いまの臨時国会の問題は、鳩山さんや根本長官の話では、地方財政の問題が中心だという話で、われわれもそういうように了解しておって、まあ地方財政を中心にした臨時国会というようなものは前例がない、それだけでもわれわれとしては画期的な臨時国会だといって大いに期待を寄せておったのですが、今の当の自治庁長官のお話では、臨時国会は必ずしも地方財政だけを中心にしたものではないというとで多少期待がはずれるのですか、その問題は午後あらためてお尋ねいたしますが、そういたしますと、いずれにしても自治庁長官の御見解、御方、針では、今度の臨時国会では交付税率の引き上げになるか、たばこ消費税の引き上げになるか、あるいはこの元利償還五百十億円、公債費の問題であるか、まあいずれにしてもこの三つのどれかの方法によって今非常に困っておる地方財政に対して、何らかの具体的な手当をやるのだということだけははっきりしておるわけですか、その点は。
  33. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) その点ははっきりいたしております。また臨時国会を野党の各位が要求した点も地方財政立て直しのためでありまするからして、私どもは臨時国会には地方財政立て直しのための案を出すつもりであります。
  34. 秋山長造

    ○秋山長造君 そうすると、これはどれをやるにしてもいずれ予算に手をつけなければならぬということになりますけれども、これもまあすでに予算に手をつけるということも既定の方針として了承してよろしゅうございますか。
  35. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) その問題になりますると、これは大蔵大臣とよく協議しなければなりませんので、従ってどういう形式でもって財源的措置をするかということを今私ははっきり申し上げられないのはそこにあるのでありまして、大蔵大臣と財源の相談をいたしまして適当な措置を講じたい、こう考えておるわけであります。
  36. 秋山長造

    ○秋山長造君 その点は大蔵大臣が帰って来られなければおそらく確定はしないだろうと思いますけれども、ただわれわれの従来の経験から言いますと、財政的なそういうこの予算に千をつけずして、そうして地方財政のこの窮乏に相当きき目のある千というようなものはこれはあり得ないと思う、これはどんなに知恵をしぼられても。だから予算に手をつけずにそれをやられるとすれば、それはおそらくほんとうにここの説明書にあるように一時的な弥縫策にすぎないで、何ら地方財政の問題の解決にも何もならぬのではないかと思う。だからどうしてもこの際は一つわれわれもそういう点について微力ですけれども協力はやぶさかでないと思う。どうか一つこの地方財政の窮乏に対する具体的な手を、これはもう補正予算を組んでもぜひ有力な手を打っていただきたいと思う。これはぜひやっていただきたい、お願いしておきたい。  それからもう二、三点簡単にお尋ねいたしますが、先ほどもちょっと触れたのですけれども、全国各府県、あるいは市町村、ほとんど全部が全部といっていいほど給与の支払い遅延だとか、あるいは昇給昇格の延期というようなことをやっておるわけです。どうも最近の全国の状況を見ておりますと、これは何か自治庁あたりで一つの方針のもとにそういうような指導をしておられるのではないかという感じを持つのですが、その点はどうなのですか。
  37. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 自治庁といたしましては、人員整理につきましては、かつて勧告も助言もしたことはございません。ただ地方の実際を見ておりますと、府県にしましても市にしましても、やむにやまれずして人員整理をしている所がかなり多いようであります。これはやむを得ず自発的にやっておることでありまして、特に私の方からしてこれを示唆したことはこれはないのでありまして、また自治庁としてはそういうことをすべき権限も打っておりません。そういう立場にはないのであります。
  38. 森崎隆

    ○森崎隆君 ちょっとそれに関連して。今の長官のお言葉では、まあやはり私としても聞き捨てならないことだと思う。たとえば三十年度予算で考えましても、児童の自然増が七十七万人あるわけです。どうしても教職員の新たな増員は三万人近く必要だ、それを実際量は一万二千五百名しかやっていない、こういうような予算上の問題は、長官を含めた閣議のはっきりした結論として出ておるわけですが、もちろん文部省が当面その責任者でありますけれども、長官だってこの問題については積極的に勧奨されたか、あるいは消極的に勧奨したかわかりませんが、人員削減については政府の方針もそのようだろうし、長官としましてもそういう線でこれまで来たのじゃないかと私としては考えておる。今ここで御答弁を聞きますると、そういう意図は毛頭ないというような、ちょっと私から考えますと、逃げ口上のようにもとれるのですが、そういう点は一つはっきりしていただきたい。
  39. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 七十七万人の生徒増に対しまして、大体基準から計算しますと約二万人近くの教員増になるのであります。実際は一が五千人前後になっておると思うのであります。これは増加をある程度地方財政関係で抑えているのでございまして、これは人員整理ではないのであります。今御質問になっておる点は従来の現職の職員を首切るという点でありまして、人員を増加することにつきましては、これは教職員以外にも一般に多少押さえている傾向が各地にあるのでありまして、私の方からして現におる職員を整理しろということを指示したことはないということを明らかに御答弁申し上げておるのであります。   〔委員長退席、理事石村幸作君着席〕
  40. 森崎隆

    ○森崎隆君 これは長官には首切りについてははっきりした態度を示したことはないとおっしゃるのですが、自然増を抑えるということは、言いかえるとこれに関連する問題だ私は考えます。大いに関連いたします、私から申しますると。もし定員が増になりますと、首切りの度合いも現在のようにひどい——教員などについても四十五、六才で首を切るというむちゃなことはあり得ないと思う。これは関連したことです。ここに現われている問題は自然増に対する定員増、首切りとは関係ないと言うが、これとは関連があると考えますが、それも長官には一体の関係でお答えを願いたい。非常にその点はここで答弁されることと閣議で決定されることとの間にお言葉の上にいろいろ食い違いがある、私はそう考えます。
  41. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 教員の増は主として文部省でもって決定いたしまして、この文部省の決定に合せまして私ども財政措置をいたしたわけでございます。私どもとしてこれを指導して教員の数を決定するのではないのであります。文部大臣の意見に従いましてそういうように決定したわけであります。
  42. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私も最近地方財政調査に行って参ったのですが、帰ってまた最近自治庁等から発表になっている給与状況について見ますると、昇給昇格がストップせらるる、あるいは延伸せらるるという措置をとっていられる府県が一般的傾向としてもう多くなって来ているというふうに考えられますが、そういうことはもう特殊な事情ではなくて、地方の今日の一般的な傾向になって来ておるということは、自治庁としてもお認めになっていただけますか。
  43. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 地方状況は確かにお話の通りに一般地方公務員の昇給をストップしている事例が多いのであります。まあそれだけ地方財政が行き詰まっている、こういうことを言えるのでありまして、それがために臨時国会を開く場合には相当の財源措置を講ずる、こう考えております。
  44. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 地方公務員の給与が国家公務員の給与とどうあるかということは、給与実態調査の上これが明らかになった際において措置をする、こういうことはわれわれ了承しておる。しかし今日の地方公務員の給与の実態というものは、合法的な給与の実態として両者が認め合って支出をされ、また支給もしておるものです。しかも地方公務員法によるこの給与の問題は、国家公務員に準ずるものとしてそのまま適用される形になっておる。これはいわゆる地方公務員の労働組合法の適用を排除してその罷業権を取り上げる代償として給与、身分の保障を与えるがためにこういう措置がとられておるはずだ。そういう基本的な立場から言えばですね、この給与がストップせられ、延伸せられるということは一般的にはあり得べからざる、他の労働関係の諸問題から言っても政治的にもあり得べからざることであるとわれわれは考える。それを先ほど来いろいろの資料説明にある通り地方財政の窮乏をそこにしわ寄せして、そして基本的なこういう既得権を侵害するまでに至っておる。これが一般的な傾向になっておるということについては、これは望ましいことであると長官はお考えでございますか。
  45. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 地方財政運営の実際を見ますると、まず事業費、それから事務費等節約をいたしておるのであります。なおそれで足りない場合に給与昇給ストップというようなことをいたしておるのでありまして、地方財政の困難のしわ寄せを全部人件費に持って行くということは私はなかろうかと考えておるのであります。しかしながら現実はとにかく人件費に相当の制約を加えておるのでありますから、そこでそれらも勘案いたしまして、臨時国会には相当の財源的措置をしようという考えておるわけであります。各地方ではただ全部の財政困難のしわ寄せを人件費にしておると、こう私は考えておりません。いろんな方策を講じまして、まあ最後に人件費にそれが行ったとこういうふうに見ておるのです。しかしそれは決して健全な姿ではないのでありまするからして、そこで三十年度においても足りない額は臨時国会において御協賛を得まして、財源的措置をしたいとこう考えておるわけであります。
  46. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、一般的な傾向となって来ておるそういう状況は健全でない、望ましくない、従ってそれが常態になるように人件費等にしわ寄せにならぬような措置を今後において努力したいと、こういうことでございますか。
  47. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 昇給等はいずれも条例できまった既定の事実である。それをストップしておるのでありまするから、それは決して好ましい状態ではないのでありまして、お説の通りなるたけそういうことをすみやかに解消するために、臨時国会におきまして財源措置をしたいと、こう考えております。
  48. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ちょっと長官が前に御説明になったことと、私が新潟県、石川県を調査して来た実態とは考え方において結論が違うのです。今日の石川県、新潟県の先ほど森崎君のお話のような小中学校の義務教育費というもの、給与費というものは基準財政需要額を下回っておるか、上回っておるとしても一千万円程度だ。これが今日の地方財政の窮乏の最大の原因ではない。原因の最も大きなものは警察費の県の持ち出し分と公債費が基準財政需要額で見られておらぬ。こういう点が一番持ち出し分として大きく出ておる、統計的に。それでなおかつ昇給ストップという問題が両県とも起っておる。だからこういう点はもう一度自治庁におかれても十分お調べ願いたいということを私は希望しておきます。それが一般的な傾向である。給与費特に義務教育費が一般的に膨脹しておる。基準財政需要額から見て上回っておるということが他の一般行政費なり、公共事業費以上に上回っておるものかどうか。この点は調査の上資料としてお示し願いたいと思っておる。それだけ申し上げておきます。   〔理事石村幸作君退席、委員長着席〕
  49. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 今のお話の資料は、至急に調査いたしまして提出いたします。
  50. 秋山長造

    ○秋山長造君 さっきのお話に戻りますが、今の小笠原委員に対する御答弁で明らかになった点ですが、すなわち長官としては、今地方団体で行われている昇給の延期というようなことは、これは正常なやり方でないから、これをすみやかに完全実施の線に返すためにも今度の臨時国会財源措置をやるつもりだ、こういう御答弁。これは一つぜひその線でおやりになっていただきたい。そうして少くともこういう最小限度の義務的な経費昇給昇格なんという経費、これはぜひその程度のことは最小限やれるような手はぜひ政府においてお打ちいただきたいということをお願いしておきます。その点についてもう一度長官の御確認をいただいて、あと……。
  51. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 給与費も含めまして、地方財政の困難を打開するために何らかの財源措置をしたいとこう考えておるのであります。給与費もその一つであります。
  52. 秋山長造

    ○秋山長造君 それからもう一つ。最近の傾向として地方団体が先ほど来明らかにされましたように、これは思いのほかのテンポをもって赤字がふえて深刻になっておる。しかも政府の方では交付税引き上げてくれと言っても四の五の言うてなかなかやってくれない。またいろいろなつなぎ融資とか何とか言って政府の方でやっておられるにしても、これは地方団体としてなかなか思うような点にまで来ないというようなことで、これは進退全くきわまって、続々として法定外独立税の新設というような窮余の策を考えざるを得ないという状態になりつつある。たとえば犬に税金をかける、あるいは牛馬にかけるとか、ミシンにかけるとか、ラジオにかけるとか、ずいぶんそういうおよそ考え得るあらゆる法定外独立税というものをいやおうなしに新設せざるを得ないような状態です。こういうことになりますとですね、これは国の方では減税だ減税だと言って国税をどこかで若干減らして、政府、民主党としては減税した減税したと言っていい顔をしておる。そしてそのしりは全部地方団体がしわ寄せを受けて、逆に地方団体政府並びに与党が減税々々と言ってやられたその穴埋めをまず全部地方団体の責任においてやらされておるという形になると思う。これは私は非常にまずいと思う。国の政治にしても、地方の政治にしても、やはり政治としては一体なものです。国だけ、国税だけ減らして減税々々と言って知らぬ顔をしておる。そのしりを全部地方の増税に持って行って、そうして犬、ネコにまで税金をかけてやらせるということは、これは自治庁としてはあまり手放しに認められては困ると思う。こういう法定外独立税の新設ということに対して長官としては今こういう事態を前にしてどういう方針でおられるのか、その点ちょっとお伺いしたい。
  53. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 根本の税の考え方といたしましては、国税と地方税と両方あわせまして、すでに担税力の限度にきているのじゃないかという感がいたすのでありまして、従いまして、税制調査会において審議願っておることは、増税でなしに、国税と地方税の配分割合をどうしようかという点に重点を置いて御審議願うようにいたしておるのであります。  それから今の法定外課税のことにつきましては、各地方団体といろいろ研究いたしまして、許可の申請がきているのがございます。私どもといたしましては、地方財政の現況にかんがみまして、地方自治体自体において無理でないという考えのもとに、法定外の課税をしようというものは大体認めております。
  54. 秋山長造

    ○秋山長造君 それは従来の方針を抽象的におっしゃっただけだと思うのですけれども、今おっしゃるように、もう税負担は国も地方も限度にきている。だから今後の方針としては、税配分をどうするかという問題だとおっしゃる。それはもうわれわれもその通りだと思います。ところが今地方がせっぱ詰まって起しつつあるこの法定外独立税というものは、そういう政府の長官のおっしゃる方針とははずれた行き方なんです。その税体系を乱してしまう行き方だと思うのです。だから犬、ネコにまで税金をかけるというようなことはどの面から考えても、いかに地方が困っているからといって、地方のやるがままにほうっておくという手はないと思うのです。これはやはりそういうことをさせないで、そうして政府の責任においてもう少し国税を地方に分配する、国の財源地方に分配するという方針で解決をつけないと、地方税の体系そのものがほんとうに私はもう乱れてしまうと思うのです。だからもう少し抽象的なことでなしに、具体的にやはり地方に対する指導方針といてりか、長官としての方針をやはりはっきり確立されておく必要があると思うのです。これはますます出てくると思うのです。
  55. 柴田護

    説明員柴田護君) 実は私の所管ではございませんけれども地方税法の建前は、法定外普通税の申請がありました場合には、国税と税源が重複しない、それから物の流通を阻害しない、それから国の経済政策に対して悪影響を及ぼさない、この三つの条件にふれません限りにおいては、自治庁長官は許可をしなければならぬ、こういう規定になっております。
  56. 秋山長造

    ○秋山長造君 私が言っているのはそういう事務的なことでなしに、やはり政治の方針、あるいは地方財政に対する政府の方針として、やはり地方があまりせっぱ詰まって何もすがる途がないから、せっぱ詰まって、だれが考えてもそんな税金をというようなつまらぬ税金を無理をして起して、わずか一千万円か二千万円、府県にして一千万円か二千万円程度の税収をあげるために犬に税金をかけたり、あるいはミシンにかけたりというようなことをさせて、そのままほうっておくということがよくないということを言っているのですよ。今の昇給昇格を延期しているような問題と似たり寄ったりの問題だと思うのです。だからそういうことをさせないでも何とか切り抜けられるくらいな程度の手当てということは、政府として当然やるべきが、地方団体に対する思いやりのあるやり方ではないかということを御質問しているのです。どういう手続で許可するとかせんとかということじゃないのです。
  57. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 地方団体におきましても、なるべく増税でありますとか、法定外の課税はいたしていないのだと思うのでありますが、やむにやまれずしてそういう措置をとるわけであります。それにつきましては、なるべくそういう措置をとらさぬためにも、やはり国家としても財源的措置が必要だと、こう考えるのであります。従いまして、とにかく三十年度の問題につきましては、臨時国会において何なりの措置をしよう、こういうふうに申し上げておるわけであります。
  58. 秋山長造

    ○秋山長造君 それでその点について、やはり地方団体が、臨時国会で一体地方財政に対する手当を、具体的な手当をしてもらえるのかどうかということについて、やはりはっきりした見通しを持っていないと思うのですよ。だからなおさらあわてて、目先に火がついているものだから、あわててこういうむりな税金を新設しようというようなことになってきているのだと思うのです。そこでやはり長官の方に、ただいままでおっしゃるような確固たるこの地方財政に対する何か財源の裏づけをするという確固たる見通しがおありになるのならば、地方団体に対してはっきりどれだけ、どうしてやるということまではいかないにしても、何らかのやはり一つの見通しが、手がかりという程度のものは与えてやることが、やはり地方団体としてはいいのじゃないか、ちょうど二十二特別国会が終って、地方税法なんかが一応通ったものですからね、地方団体としてはちょうど昨今補正予算をお組みになるときなんですよ。だからもうどうしてもこの機会に将来に対するある程度見通しというものを与えてやることが、これは事務的にも絶対に必要だと思うのです。その点は何かおやりになっているのですか。どうですか。
  59. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 今日のところではまだはっきりしたことを地方に対して知らせる段階になっていないのでありまして、これはやはり臨時国会まで待っていただきませんと、私どもとしては明言するわけにちょっと参らぬわけであります。しかし地方団体に対しましても、会議等におきましては、三十年度において何らか処置するということだけは言ってあります。しかしそれはどういう形式で幾らということは、これは説明する段階に至っておらぬわけであります。
  60. 秋山長造

    ○秋山長造君 もう私もだいぶ長く質問していますから、いい加減で打ち切りますがね。たとえば昇給ストップなんかの問題にしてもですよ、これはたとえばさっき長官がおっしゃったように、今度の臨時国会においてそういう昇給ストップなんかをやらずに済ますように、財源の手当をするのだという方針だけでも地方がわかれば、これは昇給ストップなんかというようなことの扱いなんかでも、これはうんと変ってくると思うのですよ。だからこれは非常に政府としては、これは地方のいろいろな地方議会の開会時期だとか、補正予算の編成時期だとか、いろいろなことをもよくにらみ合わせて、そのときそのときのタイミングなやはりやり方だけはしていただかぬと、地方の方ではもううろたえて、もう先の見通しはないということでうろたえて、非常に地方で政治問題を起してまで犬やネコにまで税金をかけるようなことをして、そのあとで、今度は臨時国会である程度手当をするのだというとき、何も早まってそんなむりをしてまでそんな税金を起す必要はなかったじゃないかというようなことで、地方に要らぬ混乱を起すという面があると思うのです。まあこの点はぜひ一つ自治庁において、臨時国会の召集時期がいつになろうとも、これははっきりしたその程度の指導はやはりやっておかれる必要があると思う。どうですか、何かおやりになるつもりはないですか。
  61. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 臨時国会地方財政財源的措置をするといたしましても、それはただ給与の面だけではないのでありまして、全般に見て地方何故の困難を救おうという点でありまして、その中には給与も一つの問題だと、こういうふうに申し上げておるだけでありまして、従いまして私どもといたしましては、この際昇給のストップ等は見合せろ、こういうことはまあ言える立場ではないのであります。またどの程度の金額を地方交付するかということも今日まで決定しておりませんから、これもまた言い得ないのでありますが、ただ何らかの財源措置はするということだけは、はっきりあらゆる機会におきまして地方には言っております。その程度でもって地方はよく了解を願っておるわけであります。今直ちにどのくらい処置する、どういう方法でやるということはまだ言い得る時期ではないわけでありまして、それは御了解願っておきたいと思います。
  62. 安井謙

    ○安井謙君 関連質問。今の秋山委員から法定外課税の問題が出たので、ちょっと関連してお伺いしたい。今年のようにたとえば農作物が非常に豊作で、農民とか地方民の経済状況が比較的よくなっておるにもかかわらず、地方自治機関の方は依然として赤字で、私は税制自体が非常にむりになっておると思う。地方税の体系自体が。そこでその穴埋めに今のような制限外課税のような問題が起きてくるんじゃないかと思うのですが、放置しておくと地方がそれぞれまちまちになるし、今秋山委員の言われるような欠陥も出てくると思いますので、私はそういった地方の経済状況にマッチした地方税の増減というか、伸縮のできるような点をもう少し根本的に考えていただきたい、これは要望として申します。
  63. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 農業に事業税を課したらという議論も前からあるのでありまして、参議院の予算委員会におきましてもしばしば御議論があるのでありますが、これはなかなか影響するところも広いのでありまして、政府といたしまして、これにつきましてはまだ結論が出ておりません。お話のように今年は非常な豊作でありまして、相当多額の金が農村に入るのでありますけれども、これは地方財政にはあまり影響はないのであります。その点は安井さんのお話の通りであります。
  64. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) ちょっと各委員にお願いしたいと思いますが、ただいま十二時二十分でありまして、秋山委員も一時間半使っておりますが、この際他の委員に譲れるならば譲っていただいて進行させるようにお願いしたいと思います。
  65. 小林武治

    小林武治君 臨時国会のお話が出ておりまするが、私は長官の御返事を聞いていると多少気強く思いますが、私は長官は必ずおっしゃった通りにはできない。すなわち臨時国会におきまして、根本的な財源措置などということをあなたがやろうといってもできないと思います。ことに先ほどから問題になっておる二十九年度赤字はどういうふうにして始末されるつもりであるか。現在われわれが継続審査中の再建措置法案は二十八年度までの赤字しか出ておらぬ。従ってもうすでに百八十何億二十九年度予算赤字が出ておる。これをどういうふうに措置するかが一番の問題じゃないかと思います。二十九年度についてはどういうふうにお考えでありますか。
  66. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 臨時国会で根本的に地方財政の問題を解決しようと私ども考えておりません。これはとうてい不可能であります。それは三十一年度予算編成の際に譲りまして、とりあえず三十年度不足分だけを処置したいと、こう考えておるわけでありますが、かように御了解願っておきます。それから継続審議になって今後御審議願う再建促進措置法におきましては、赤字債券として二百億予定しておるのであります。これではとうてい足りなかろうと思うのでありますが、とにかく一応二百億で発足をしまして、再建団体等が希望がふえまして不足になりますれば、これは別に措置する、こういうことは前田会に衆議院で御審議の際に私並びに大蔵大臣からして御説明申し上げて御了解願っておる点であります。お説の通り、今出しておる案は二十八年度決算じりの四百六十二億を基礎にした数字でありますが、その後の出ました赤字につきましては別に起債を許し、それに対しまして政府資金を出す、こういうことは当然起り得ると思っております。
  67. 小林武治

    小林武治君 そうすると、二十九年度赤字をこの再建措置法に包含せしめて措置する、こういうお考えですか。
  68. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) その通りであります。従来の赤印を全部たな上げいたしまして、今後赤字が出ないような措置をしたい、こう二つに分けて考えておるのでありまして、二十八年度までの赤字だけはたな上げしたけれども、その後の赤字は放任するというのでは、これでは地方財政の建て直しはできませんからして、三十九年度までの赤字は、これは長期低利に借りかえるようにいたしたい、こう考えております。
  69. 小林武治

    小林武治君 二十九年度赤字がそういうふうな措置がなされるとするならば、その金額は相当な額に上ると思う。従ってこれは補給する利子についても相当の影響を与える、こういうふうに思いますが、あの法律を変える必要、あるいは予算において利子補給なり何とか計上する、こういうふうな必要は生じてきませんか。
  70. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 幸いに御審議願っております再建促進法が通りましても、これを実施に移しますのはおそらく来年の一月あたりからではないかと思うのです。事務的にそうなるのじゃないかと思うのであります。そうしますと、今予定しております二百億で大体今年度は間に合うのじゃないか。それ以外に漸次再建団体もふえまして、二百億で足りなければ、これに対しましては資金の面も考えますし、また利子の補給の点も考えなければならぬ、こう思っております。
  71. 小林武治

    小林武治君 そうすると、繰り返してお尋ねしますが、増加額もおそらく百億あるいは百五十億、こういうふうな起債の増加になると思いますが、これが衆議院の修正のような利子補給額では、また相当な金額の政府出資が必要になってくると思いますが、これは三十年度の補正予算等でこれをカバーする、こういうふうなお考えですか。
  72. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 今御説明申し上げました通り、三十年度においては大体二百億程度で間に合うのじゃないか、こう考えておるわけであります。従いまして、二百億以上の赤字値が必要な場合は三十一年度において処理すればいいのじゃないか、三十一年度予算編成のときに先の見通しをつけまして処置したい、こう考えておるわけであります。この考えは前国公におきまして、衆議院であの法案を御審議願う際もはっきり申し上げておる点であります。
  73. 小林武治

    小林武治君 それで二十九年度は今のような応急の措置をとられる、こういうことにして、その不足額は三十一年度で考えるということでありますが、三十年度につきまして同じような問題が起きてくる。ところが三十年度については別に今年度のうちに財源措置をしよう、こういうお考えのように聞えますが、そういうようなことはほんとうにおやりになりますか。たとえば先ほどお話しになったような交付税率の問題、あるいは公募債の支払い延期の問題、あるいはたばこ消費税、いずれにしましても長官が言われるようなことをするには、何らか予算補正の措置が必要になる、こういうふうに私は思いますが、補正の必要なしに、補正をしないでそうして始末をつける、こういうようなことは私どもの考えではできないというふうに考えますが、補正予算との関係はどういうふうになりますか。
  74. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) ただいまから三十年度で幾ら赤字が出るかということは想定できないのでありますけれども自治庁として計算いたしまして、最小限度幾ら要るかということを出しまして、それだけを臨時国会措置しよう、こう考えておるわけであります。その上になお三十年度決算時において赤字が出ることはあるいはあるかもしれません。それはそれとして例の問題として考究したいと考えております。とりあえず今のところでは、二十八年度の面に二十九年度赤字を加えたものを赤字債として処理したい、こういうことでありまして、三十年度につきましてはまだ未定の問題でありますからして、今日考究はいたしておりません。
  75. 小林武治

    小林武治君 今その問題が考究されておらなければ臨時国会も開けない、こういうふうに私どもは考えまするが、臨時国会はさっきからお話にあるように、地方財政のとにかく三十年度以降赤字の出ないようにする。従って三十年度にどういう結果が出るかということは、大体の推定をおつけになるのは当然です。その推定がなければ私は臨時国会は開けない、こういうふうに思いまするが、いかがですか。
  76. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 私どもの方といたしましては、三十年度でもって赤字が出ないような措置をするつもりでおります。しかしなおその上に地方団体によって赤出が出るかもしれない、それをどうするかというお尋ねでありますから、そこまでは今考えておらない、こう申し上げたわけであります。現実の問題といたしまして、ある程度財政的処置を臨時国会でいたしましても、なお地方財政の運営のために三十年度赤字が出ないとは言い切れないのであります。これは全国多数にわたる地方団体でありまするからして、私どもとしましてはそこまでは見通しがつかぬわけであります。ただ臨時国会におきましては、私どもは推定しまして必要な金は盛るつもりではおりますが、地方財政の運営が何らかの関係におきまして絶対に赤字が出ないとはこれは言い切れないわけでありまして、それをどうするかというお尋ねでありまするからして、それに対しては今日考えてはおらぬということを申し上げた次第でございます。
  77. 小林武治

    小林武治君 今の推定の数字はここでお示しになるわけにはいきませんか、三十年度のあなた方が臨時国会で始末をしようとする……。
  78. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) ちょっともう一ぺん。
  79. 小林武治

    小林武治君 三十年度のために臨時国会で始末しようという数字、推定されている数字があったら一つ。
  80. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) それをただいま自治庁におきまして各方面の資料に基いて研究をいたしております。それができますれば、その推定ができますれば、それに基きまして財政当局と相談をして財源的処置をしたい、こう考えておるわけなんであります。まだそれが出ておりません。それを臨時国会に間に合うように操作をいたしております。
  81. 小林武治

    小林武治君 臨時国会に間に合うようにというのは、臨時国会はいつかということがやはり問題になってくるのであって、間に合うというのは、あなたの方が間に合わなければ臨時国会は開かぬのか、臨時国会をいつ開くのかどうかきめておいて間に合わせるのか、その点はどういう関係になりますか。
  82. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 臨時国会の開催の時期につきましては、先ほど申し上げたように私限りで何とも申し上げにくいのでありますが、まあなるべく早急に自治庁としまして案を作ろう、こう考えて操作をやっているわけでありまして、自由党の御要求のように十月半ばに開くならば、それまでに間に合わせなければならぬと考えておりますが、そこのところがなかなかこれはちょっとむずかしいのでありまして、追及されるとちょっと私も返事に困るので、これは政府全体の問題でありますから、はっきりした御答弁は申し上げにくいのですが、とにかく臨時国会には間に合うように操作をいたしますからして、その点は御了解願っておきます。
  83. 小林武治

    小林武治君 それが非常に困るので、官房長官に聞けば自治庁の用意ができたら開きますとそう言っているし、あなたの方は一体いつまで待っていたら臨時国会に間に合わせるか、さっぱりわからない。地方財政の問題は相当窮迫しているので、一日も早い方が必要であるが、内閣に聞けばあなたの方が間に合ったらやる、こういうわけで、そんならそちらで早くやってもらいたい、こう言わざるを得ないのです。  またもう一つの問題は、一体その財源措置法というものはそんなにいつまでも長く適用なさるおつもりですか。たとえばまだ本年度に結果的に赤字が出れば、またこれを使う、こういうふうにお考えですか。
  84. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 今継続に御審議願っている措置法は時限的のものでありまして、永久にこれを繰り返して使おうとは考えておりません。  それから臨時国会の問題でありまするが、私どもとしましてはなるべく早く結論を出しまして、政府としての考えをまとめて臨時国会に持っていきたい、こう考えております。
  85. 小林武治

    小林武治君 どうも今日は長官としては比較的私は元気のある答弁をなさったと思うのでありまするが、要するにその財源措置をするというのは、額の問題ですね。これを二十億にしても三十億にしても措置したいのだと、こう言われればそれまでの話でありまして、今地方が非常に望んでおるのは、一体どの程度やってもらえるかということであって、してもらうということが、僅少な金額をしてもらっても、もうこれはやらぬと同じことになる。要するに臨時国会を開くためには、とにかくもうこういうふうにどんどん三十一年度赤字の推定まで出てきておる、こういう次第でありますので、そういう金額の問題が一番大きな問題であります。従いまして、これはある程度地方の納得し得る数字でなければ意味がないと思いますので、私どもはできるだけ早くその推定の数字を出してもらいたい、こういうふうに考えております。  それからもう一つの問題は、一体自治庁からお出しになっておるものが、こういうふうに毎年赤字が累増していく、こういうことでは交付税なんというものは意味がなくなってくると考えるのでありますが、交付税の問題はあなたはどうお考えですか、毎年々々いじるのでありますか、これは。
  86. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 平衡交付金を交付税に切りかえた考え方、これは毎年いじるというのではなしに、これは一つの調整財源ではありますが、独立の財源として与えておるわけであります。平衡交付金でありますれば、これは地方不足分だけを見る、こういう建前でありまするけれども交付税はそうではないのでありますから、必ず毎年これをいじるということは申し上げにくいのでありますが、法律にも書いてあります通り地方で非常に多くの欠陥ができた場合にはこれは修正するのだ、こういうふうに法律ではっきり明記してありますので、その精神に従ってやりたいと考えておるわけであります。  それからかりに交付税を上げるとして幾ら上げるか、こういうことのお尋ねでありますけれども、それは先ほど来申し上げた通り自治庁としてはまだ案ができないのでありますが、今まで出ておる案は、知事会としては三〇%、それから社会党のお出しになりました案は二七%、自由党は二八%、ただし三十年度は一五%、こういう各種の案が出ております。これらも参考にいたしまして、どの程度が果して必要かということを検討いたしておるわけであります。
  87. 小林武治

    小林武治君 今のようにこういうふうに赤字が毎年々々次から次へと累増する、これではやはり交付税の意味がなくなる。すなわち交付税法というものはもっとまた考え直さなければならぬときではないかと思いますので、交付税法そのものの考え方はどうですか。
  88. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 私としましては、今すぐ交付税をいじくろうとは考えておらないのでありまして、三十一年度におきまして財源的にも措置をいたしまするし、同時に支出の面におきましてもいろいろ地方でもって規制をしてもらいまして、地方財政というものをしっかりした姿に持っていきたいと、こう考えておるのでありまして、交付税の制度そのものをこれを変更しようということは今のところはまだ考えておりません。
  89. 小林武治

    小林武治君 そういう考え方だとすれば、たとえ参考の数学にしても、毎年こういうふうに膨大な赤字が出るような数字を今からお立てになるということは私はおかしいのではないか。すなわち交付税法の意味をなくするものではないかというふりに考えますのですが。
  90. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 先ほど財政課長から御説明を申し上げた三十年度地方財政でありますが、これは二十九年度基礎にいたしまして、当然増加すべき金額、当然減少すべき金額を推定するとこうなるのだということを一応参考として御説明申し上げたわけでありまして、私どもはなお進んで国で策定しておりまする経済六ヵ年計画に合せまして、地方財政五ヵ年計画というものを作りまして、今後の地方財政のあり方というものを世間によく示しまして、なるべくその線に沿ったような財政調節をしたいと、こう考えておるのでありまして、ここに御説明申し上げたのは、この通り実行するという意味ではありませんで、大体二十九年度基礎にすればこうなるのだということを参考に御説明申し上げたわけでありまして、こういう資料をいろいろ御説明申し上げて御研究願うことが必要じゃないかという考えで御説明申し上げてあるわけであります。どうか一つ、これを資料にして御研究願いまして、いろいろ御指導を願います。その点について地方財政を、処理したい、こう考えておるわけであり出す。
  91. 森下政一

    ○森下政一君 いろいろ質疑応答があったのですが、そこで混乱しないようにはっきりもう一ぺん要約して確かめておきたいのですが、前国会継続審議になりました財政措置法、これは先刻も小林さんが御指摘になったように、あれの審議、また提案された当時の御説明では、二十九年度赤字というものは決算が、完了していないのでわからない、二十八年度までは大体四百六十二億だ、それに対する一つの措置として提案された、こう私は理解しておるわけですが、その四百六十二億に対する措置としても原案ははなはだ不十分だといううらみがあるというふうに考える。これに対して長官は、根本的な解決は三十年度、三十一年度年度にわたってやらなければならぬので、とりあえずやるのだというふうな御説明があったように記憶しておるわけです。ところが今日御説明を受けると、二十九年度の実際上の赤字というものは思ったよりも膨大な額だということかはっきりしてきた。そうなると、今度臨時国会を開いて、財政措置についての問題を解決しようというのには、今継続審議になっておる法律だけをとりあえず通すということだけでははなはだ不十分だ。二十八年度赤字に対する措置としても不十分だと思いますが、今日二十九年度赤字というものかはっきりしてきて、しかもそれがあなた方の予想よりも六十億も多いというような状態がはっきりしておるのですから、今継続審議になっておるものだけをとりあえず通すということだけでは私は不十分だと思う。先刻来の長官の御決意を伺っておると、いや、それだけではなくて、二十九年度赤字に対する財源措置も必ず何らかの方法でやる。それはどういうふうにし出てやるかということはまだわからぬが、大蔵省とも相談しなければならぬから言明はできぬけれども、二十九年度赤字に対する措置も必ずやる。そこで、今度の臨時国会では、少くとも二十八年度、それから今はっきりしてきた二十九年度赤字、これに対する財源措置として政府としてはこうするのだ、両方合せて一本で二十九年度までのものは解決できる、こういうものを少くとも御提案になるお考えのように了承したわけですが、そう考えてよろしゅうございますか。
  92. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 臨時国会におきましては、継続審議中の再建促進法の御協賛を願うと同時に、三十年度地方財政不足分の処置のために交付税率の引き上げ、その他をしよう、こういうわけでありまして、三十年度分の処置をしよう、こういうわけであります。二十九年度赤字につきましては、二十八年度赤字と合計した金額を再建促進法でもって処理したい、こういう二つの考え方であります。二十八年度、二十九年度、せんじ詰めますと、二十九年度に集計した総額赤字をどうしようかということはこれは再建促進法でやります。それ以外に三十年度、現に今年度赤字が予想されますから、それに対しましては臨時国会でもって別に財源措置をする。その方法交付税の率の引き上げでいくか、その他の方法でいくかということは、まだ結論に到達していないことを先ほど来御答弁申し上げているわけであります。
  93. 森下政一

    ○森下政一君 そうしますと、二十九年度で明らかになった赤字を、現在継続審議になっておる措置法、これで処理しようということでありますか。
  94. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) その通りであります。
  95. 森下政一

    ○森下政一君 そうすると、先刻長官の御説明の中に、とりあえず二百億という金の用意がある、そこで二十八年度及び二十九年度の分もそれで大体事務的には実際来年の二月ぐらいから必要が生じてくると思うから、今のところはそれでいいじゃないかというお話があったが、そうすると、二十九年度赤字は予想以外に大きいものだということがわかったけれども、現在審議中の法律の内容を変えるということには何にも考えておられない、今のままで二十八、二十九、これに対する措置をするという考えですか。
  96. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 法律は変えなくても差しつかえないと思います。ただ、起債を幾ら許すかという問題であります。これは一応今では二百億、こう決定しておりますが、二百億で足りなくなれば別に起債を増額しよう、そうしてそれに対する利子初給等は、これは三十一年度予算においてこれを見よう、こういうことを申し上げているわけであります。
  97. 森下政一

    ○森下政一君 そこで、そうなってくると、三十年度は明確に推定はできないけれども赤字が出るということは必然的だ、それに対する措置というものを見よう、こうおっしゃるのですが、これは私は非常にけっこうだと思いますが、小林さん同様に私の心配することは、長官が希望的な御自身の決意を述べておいでになるが、実際問題としてむつかしいじゃないかという懸念をするのです。ということは、前国会の末期に長官からも、一ぺんこの委員会に大蔵大臣を呼んで、そういう点についてはただしてほしいというようなお言葉でもありましたし、一萬田蔵相の臨席を求めて、何らかの財源措置を講ずることが必要だということを各委員がこもごも立って質疑したときにも、一体赤字の原因は何だ、たとえば地方団体側においで改めなければならぬものがあるとするならば、それも改めていかなければならぬのだから、原因をいろいろと探求した上でないと、大蔵省が財源措置に乗り出すということは今言明の限りではない、これはまあ事実そうかもしれませんけれども、そういうふうな言葉で濁されたのだが、そうすると、どういう措置が講じられるか、交付税増額であるか、あるいは国の財源を委譲することになるのか、何か固有の税というものを地方に渡すようにするのか、それはいろいろの方法が考えられるけれども、いずれにしましても、大蔵省がほんとうに来たるべき臨時国会までに短期の間に決意をして、長官の希望に沿うような態度をとるかということは、非常に私は望みうすじゃないかという心配をするのですが、しかも、長官がおっしゃる通りに、国も地方も、もう税負担の限界にきておるということは各党各派の意見はいずれもあげて同じ考えだと私は思いますが、そういうときに民主党では、たとえば砂田防衛庁長官のごときは、どんどんらっぱを吹いて、国防軍なんということを言っておる。そうして一そう経費がそういう方面にかかりそうなことを言うておるが、今まで何とかして経費を抑制してでも税直川を増強しないと同時に、この困難な地方財政というものを何とか打開しなければならぬという段階にあると思うので、私は非常な決意を、もって長官がかかっていただかんと、単なる希望を述べておいでになるのを今日われわれがここで承わるということになるじゃないか、これは非常に残念なことで、これは長官の御意図にも反するような結果になるのですが、その辺どうでしょうか。お見通しを承わりたいと思います。
  98. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 臨時国会開会の要求は、自由党の要求はもうはっきり地方財政一本であります。社会党の御要求は、地方財政のけかに外交問題等も含んでおりますが、いずれにしても、地方財政のために臨時国会を召集されるのでありまするから、当然何らかの措置をしなければならぬような立場に置かれておるわけでありまして、これは前国会に大蔵大臣からいろいろここで説明があったかしれませんが、大蔵大臣どう考えましょうとも、地方の実情は、これを提供することを許さぬことになっておるのでありますからして、これは大きな政治問題といたしましても当然措置すべきものだと私は考えております。この点につきましては、大蔵大臣留守中でありますが、先般の閣議においてもこれはよく説明し、了承を得ております。総理大臣にもこの点はよく話しております。大体最近閣内ではこれに対する異論はございません。また世間の世論も要求いたしておるので、ありますからして、当然実現をさせまければいかぬし、またすべきものと考えております。なおこの点については、皆さまの御協力を得たいのですが、実は私は自治庁長官になりましてから非常に遺憾に思うのは、地方国政に対する世間の関心が薄いということでありまして、今日国家財政は一兆円でありますが、そのうち地方交付税として千三百億、補助金交付金として二千七百億、約四千億円の金というものが地方に流れている、一兆円のうち四千億円というものが地方に流れているにかかわらず、地方財政に対する関心が薄いということは非常に残念でありまして、この点につきましては、啓蒙と言っては少し行き過ぎでありますが、前回の国会が終了すると同時に、私は各方面に向いまして、地方財政に関する認識を高めてもらって参りましたので、最近では各方面をも地方財政を放置することができないと、こういうふうに御認識を得ておるのでありまして、臨時国会の召集は私一人でありません、閣内においてもこれをぜひ措置しようという意見に一致しております。
  99. 森下政一

    ○森下政一君 最後に一点だけ確認しておきたいと思うのですが、先の特別国会の終りました直後に知事会等から、おそらく皆さん御一緒だと思いますが、この委員会委員にもいろいろ陳情書等が参っておりまして、来たるべき臨時国会において、特別国会に成立しなかった臨時措置法をぜひ成立させていただきたいという陳情が来ております。それから自治庁内部にも、要するに臨時国会ではあの不成立に終った臨時措置法をとにかく成立させてもらおうというのが一番眼目だ、問題をそこだけにしぼっているというような気持が自治庁自体にも、あるいは外部にもあるのじゃないかということを私は心配しておったのですが、先ほど来の長官の決意を承わりまして、三十年度にも赤字が出てくる、だからそれに対して一つの見通しを持った何らかの財源措置ということも臨時国会で解決したいのだという御決意のように聞いたのですが、その点は間違いなくそれに邁進してもらえると、こう了承してよろしゅうございますか。最後にそれだけ一つ確めておきたいと思います。
  100. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) お話の通りでありまして、ただ従来の赤字をたな上げするだけでは三十年度は追っつかんでありましょうからして、三十年度財政を何らかの方法においてこれを解決するためには相当な措置がいると考えております。国時に三十一年度以降におきましては、さらに根本的に地方財政をどうするかということを考究していくと、こういうわけであります。
  101. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 委員長としてもお尋ねしますが、先ほどからの答弁では、いろいろな御答弁になっておりますが、委員長としましては、財政再建法を継続審査にし、閉会中も審査をしてくれという政府側の要請もあるので、この取扱いについて苦慮しているわけでありますが、今までの質疑の過程で、どうも私もはっきりしない点がありますから、端的にお尋ねします。この財政再建法は二十八年度までの赤字の克服である、しかし二十九年度のそれは見込額がはっきりしないので、あとへ回ったのだというだけのことだったのでありますから、従って二十九年度のそれがはっきりきょうの資料でわかってきております。そうしますと、これはやはり財政再建法の一環として起債、あるいは利子等で将来見ていくのであるか、こういう方針であるかどうかお伺いしたい。
  102. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 委員長のお話の通りであります。その点は特別国会の御審議の際にもはっきり申し上げてあります。
  103. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) ところがそれが先ほどの答弁では、今度は実際の取扱い上とあなたは混同してお考えになっておられる。この法の精神によって財源措置すべきことと、その時期的な取扱いのこととを混同して、すりかえて答弁になっておられる。すなわち二十八年度財政再建で二百億使うものは、事務的には一月ごろ要求が出てきて決定せられ、配分にもなる。それを使っているうちには、二十九年度分のは来年度のあれで措置しても間に合う、今年度使わないでもいいのだ、こういうことを言っている。ところが法の建前から言えば、過年度分の赤字を再建するがためには、二十九年度のそれが出て来ております、つまり財政再建法はまだ通らぬという段階で今度の臨時国会が開かれるのだから、従って二十九年度赤字についてもこの際一本にして処理せられるということを法の建前から言い、またわれわれ委員から言えば強い要請としてこれは出てくるわけなんです。従ってこの臨時国会においてこの二十九年度赤字も加えて始末し得るようなこの財政再建法の裏づけをなさるのかどうか。これがなされないとなれば、われわれが閉会中にこれを審議する意味はおよそ過年度赤字の克服ということから言えばなくなる、この点はっきり所信をお示し願いたい。
  104. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 私どもは二十八年度、二十九年度と、こう分けて考えているのではありませんで、二十九年度決算上の赤字がただいま御報告申し上げたように六百四十八億、これを目標にして処理するわけであります。しかし事務的に考えまして、三十年度内におきましては大体二百億程度あれば済むのじゃないか。それ以外に逐次各地方におきまして再建団体となって計画をしたところにつきましては、足りない分はあらためて起債の処理もするし、また利子の補給もしよう、それは三十一年度予算編成のときで間に合うのじゃないかと、こういうことを申し上げているのでありまして、大体二百億で発足いたしまして、これでいけば地方の要請に応じられるのだ、こういう考えに立っているわけであります。委員長のお考えとそこはちっとも食い違っておらぬのであります。
  105. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) いや、それはとんでもない話ですよ。二百億を出したのは二十八年度までの赤字を克服するためだということは言明しているのです。そうしてまた二十九年度のがすぐ現われよう、この現われたものに対しては二百億以上に金が必要であるということはあなたの方でもお認めになっているのです。ようござんすか、お認めになっている。ところが今日たまたま財政再建法は継続審査になっておって、まだ通過しておらない。そうして結局この臨時国会で成立するのでありますが、その事前に今日の段階で二十九年度赤字はもうはっきり見えてきている。それで見えてきているこの七百億、ひっくるんだ七百億というものに対して本年度は二百億でいいのだという話になれば、これは問題はまた別になってくる。四百六十二億に対して二百億なのであって、七百億に対しては二百億を上回らなければならない、それをいつ出すかということの事務的な問題であなたはすりかえて御答弁になっている。われわれの方は七百億とわかった以上は、その七百億についての赤字克服財源というものが、今日出るように、たまたま幸い継続審査になっているのですから、その裏打ちをするのかということを尋ねているわけです。
  106. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 大体今年度は二百億でもって足りるのじゃないかということは想定しているわけです。これは来年にも続くわけでありますからして、それで大体やり得るんじゃないかと思います。
  107. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) わかりました。そうしますと、二百億で間に合うんでないかということは、過年度赤字とか、二十八年、二十九年度と分ければそうなりますけれども、三十年度にそれはしわ寄せになって来ていて、結局三十年度決算じりで七百億がここの例から見れば、単年度が二百三十七億の赤字になりますから、少くともこの分が大体含まれる。われわれが示された地方財政計画によりますと、九千八百億台で二百億からの節約を要請せられておる。ところが資料で見る通り現実地方財政ははるかにそれを上回っておる。現実的にはズレがある。そのズレのある分と、二百億からの節約を要請されておって、それができないという分とを含めますならば、少くともこの二百三十五億という過去の単年度赤字以上の赤字が今年度内だけで出る。七百億を上回ることおよそ少くとも二百億はこえるで、あろうと思われる。そういう九百億なら九百億という金のうち、本年は二百億で間に合うんだとあなたがおっしゃることは、本年の出てくる赤字に対してはこれだけこれを補てんしてやるんだから間に合うんだということで、総体的な数字を示してもらわなければ、間に合うか間に合わないかはこれはわからぬことなんです。そうでしょう。だからあなたがさつき言っておる、本年の赤字は推定して必要な金は臨時国会で盛るんだと、その推定は今日できていないんだということをあなたは言いました。ところがそれができていないんだということで、どうして累積せられる赤字に対して起債分の二百億が間に合うんだと言えるんですか、あと幾ら出すから間に合うんだということであればそれは言われる。同じ赤字が出るにしても、今年においてはこれだけ措置する、過去の分は三百億の措置をする、だから本年はしのげるんだということでなければ首尾一貫しないじゃないですか。だから本年は臨時国会において少くとも赤字は二百億以上出るんだ、単年度において。けれども同じ出る赤字でも、これだけ縮小するために自治庁としては臨時国会交付税率を引き上げてこれだけの金は見たいと思う、だが、それは大蔵省との交渉でどうなるかわからぬ、けれども自治庁の考えはこうなんだということを示されなければ、この財政再建法の審議は委員長としてできません、総体的なものなんですから。だから二百億でいいんだという根拠をお示し下さい。
  108. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 一応再建促進法では、三十年度は見ませんで、二十九年度決算じりにおきまして六百四十億というものが出ていますから、これを対象にして考えておるわけであります。三十年度にどれだけ赤字が出るかということは、今後私どもが臨時国会財源措置をすることと、また地方でもって事業費その他でもってどれだけ節約するかということがはっきりいたしませんと、これは計算が出ないわけであります。再建促進法では六百四十億を対象にして処理をするわけです。そこで再建促進法が通りまして、これを事務的にやっていきますと、相当時間がかかるのでありまして、一応今年度内では二百億ぐらいの消化力しかないんじゃないか、従いまして、再建促進法は来年に尾を引くのでありますからして、それ以上の金額が必要な場合は、三十一年度予算で見れば大体足りるんじゃないか、こういうことを私は御説明申し上げておるわけであります。それで私は大体いけるんじゃないかと、こう考えておるんです。
  109. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) それでいくんじゃないかとあなたはお考えであろうとも、実質赤字は七百億ですよ、六百九十九億八千万、このうち二百億を見たとしましても五百億というものが借金ですわ。これのために本年度予算から充用していくという部分もございましょうし、財政操作というものがこれは逼迫して来ておる原因になっておるわけです。ですからこのままではしのいでいけない。従って単年度の本年度において交付税率の引き上げ等によってどれだけ金をみるということでしのげるのだということが初めて出てくるはずなんだ。どうして六百九十九億に対して二百億金を出せばあとは金繰りができるのだということが言えますか。それはむちゃな話ですよ、どうしてできるのです。
  110. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 私は二百億でできるとは言っていないのでありまして、事務を操作していく上におきまして、なかなか再建団体が急にはそうどんどん運ばないのでありますから、大体三月までには二百億程度で足りるのじゃないか。なお足りない分は財源措置をしますけれども、それは三十一年度で間に合うのじゃないかということを申し上げておるわけでありまして、三十年度赤字とはこれは別に考えておるわけであります。三十年度におきましては、赤字でないようにしたいと、こういう考えに立っておるわけであります。二十九年度決算じりのこれにあります六百四十億、まあ実質赤字は六百九十億でありますが、この差額は、これは三ヵ年間の長期に切りかえて政府へ納付する金でありますから、これは一応六百四十億とみていいと思うのです。この中に、これ全部再建団体ではないのでありまして、この中で赤字の最も多い県が、あるいは市が再建団体となってこの適用を受けるわけでありまして、それならば一体再建団体とならぬところはどうするのか、これはごく零細の赤字で、再建団体にならずに自己でもってこれを処理しようというところ、ことに町村なんていうのは多いのでありまして、そういうものを一々再建団体に指定して赤字債を許可するということではないのでありまして、ただ全国五千に余る地方団体赤字を累計するとこうなりまするけれども、再建促進法によって赤字団体になるという団体は特に赤字の多い団体でありまして、零細な赤字のところは、これは別に地方でもって経費の節約、また交付税増加等によってこれを処理したい、こういう考えでありますから、この六百四十億全部がこれが再建団体として処理される、こういう考えに立っているわけじゃないのであります。
  111. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) それはわかりました。しかしあなたが財政再建法を提案しました際において説明されていることによれば、四百六十二億の二十八年度までの赤字に対して、これを対象として解消していくのだ、たな上げしていくのだということなんで、その際の説明からみても四百六十二億全部が二百億でまかない得るものではない。けれども四百六十二億のうち再建団体に指定されるものが大体二百億程度の金で間に合うのだ、こういう考え方であったということで了承しているわけなんです。それに加えるのに二十九年度は七百億でございますから、従ってそれだけふえてきている分は、これはものの考え方とすれば、同じ方針でたな上げをしていくのだとなれば、ふえてきておる分の何割かはやはり再建団体として手当をしてやらなければならないもののはずなんだ。そうでございましょう。この点だけは明らかなんだ。だから三百億以上金が必要であるということもあなたとしては否定できない。ただあなたはあくまでもそれは三十一年度で必要ならば措置すると言っておる。私の方はこの財政再建法を成立させるためには過年度赤字を克服する最低にして十分なる財源を必要としなければならぬ。これはもう法を審議する建前から言って当然であろうと思う。それをあなたはこれをひっくるめて、そうして二十九年度までの七百億全体について、そのうち財政再建団体にするのに金を必要とするものが二百億程度で間に合うであろう、間に合わないにしても、それは事務的には三十一年度まで繰り延ばして、あとで金を逐次出してやることで間に合うのだ、こういうことであれば、これは首尾一貫しないと委員長としては考えるわけなんです。ただ出さないよりは出した方がいいからというのでなくて、法の建前から言えば、首尾一貫した裏づけが、これは期待されるということを言っているのです。そうして私どもこの法案の審議ができるように、あなたの方でも十分な努力をしてもらわなけりゃならぬということを申しております。  それからもう一つ、もう時間がありませんから、あれですが、単年度、今年度赤字がどれだけ出るかわからない。それでそれを推定して必要な金を出すと言いますが、推定して必要な金を臨時国会に出すということはおよそ不可能だろうと思う。おそらく二十九年度の推定でさえも本年の六月を越えてなお推定し、九月になってようやくこういう統計が出てきたわけなんですから、あくまで論理的にこれを推定した上で一つ金額をきめて行こうというなら、これは不可能なことなんです。あなたのおっしゃっていることは、赤字は出るには出るが、それをどれだけカバーするかという、そのどれだけまず当面金があればいいかという、財源をどれだけにするかということをきめかねているんだ、こういうことならわかるけれども、今ごろどれだけになるか推定してというようなことなら、それは責任当局の長官としては聞えない話です。これはどっちなんです。推定してということなら、十一月臨時国会に間に合いません。財源的な必要額というものをどこに基準を置くかということをきめかねているというならわかる。どっちなんですか、これは。
  112. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) まあ財源的な措置につきましても、地方財政が三十年度でもってどう運営されるかということを考究しませんと、その数字が出ないわけでありまして、推定はなかなか国難であります。たしかに困難でありまするが、それを見合いませんと、一体三十年度でもって臨時国会で幾らそれじゃ財源的措置しだいという基準が出ないわけであります。それとにらみ合せて操作をすることになっているわけであります。それでなければ、三十年度じゃあ今度幾ら地方交付税なら交付税として出すかというその根拠か出ないわけであります。各方面でいろいろ御意見があります。御意見がありますけれども、私の方といたしましては、やはり基礎がありませんと、これは御審議願うこともできませんし、また財政当局と相談もできないのでありますから、その根拠を今調査をしていると、こういうことを先ほど来申し上げているわけであります。
  113. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) それでは重ねてお尋ねしますが、その大蔵当局に折衝する根拠は、いまだ自治庁にはないのですか。白紙であるということでございますか。
  114. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) これは各方面から、各視野から検討しているのでありまして、何としても一本の財政じゃなくて、五千に近い府県、町村の財政をこれを見るのでありますからして、なかなか困難な作業には違いないのでありますが、しかし三十年度としてどうしてもこれだけ足りないんだというようなことをやはり見当をつけませんと、財源的措置をする根拠、けがないのでありますから、この点につきましては市長会、町村長会等の意見もありまして、この意見も聞いております。自治庁自体としてもいろいろ調査をいたしております。いろんな資料を集めまして、結論を得て、臨時国会で幾らの財源措置にしようかということをきめようと考えているわけで、各方面の意見を集めている、こういう段階です。
  115. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) それではそれと私たちも見合になるので、再建法の審議の都合がありますから、この委員会の招集の時期にも関連しますのでお尋ねしますが、いつごろまでにその結論が出ますか。
  116. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 臨時国会をいっ開くかというさっきの御質問とも関連をいたすわけでありますが、なるべく早急に自治庁としての腹案をきめたいと、こう考えているわけであります。
  117. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 臨時国会のことをお尋ねしているのではないのです。
  118. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) いや臨時国会を開くのは、地方財政がはっきりきまらなくちゃ開かぬというふうに言われているが、一体それではいっきまるのかというお尋ねの際に、なるべく早くやる、しかしいつということは今申し上げられません、こういうのと同じお答えでありまして、なるべく早くそれはやりますけれども、いつまでとこう切られても、それはできにくいということを申し上げているわけです。私どもはできれば直ちに大蔵当局と折衝をいたすつもりでおります。私どもといたしましても、なるべく早い方がいいとこう考えているのであります。
  119. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) そうすると自治庁としてはあくまでも推定の上客観的な必要額を、数字的な金額じゃなくて客観的な必要額を出して、それが交付税でまかなうとすれば、交付税率は幾らになる、こういうことである。そして大蔵当局と折衝し、大蔵当局が予算上の措置としてそれを下回るというようなことがあっても、実は自治庁としては客観的な推定に基いてこれをきめていくんだ、そういう方針でございますか。すなわち自由党あるいは社会党から交付税率の引上げのパーセントが出ておりますが、それらとの関連で自治庁が考えるということであって、あくまでも地方財政の克服という、赤字克服という意味で客観的な計数を出して、それがたとえば交付税でまかないたいとなれば、そこで初めて交付税率の引上何パーセントと出てくる、あくまでも論理的にそうするのだ、あと大蔵当局との折衝は財政的な問題として、予算上の問題として折衝し、それがどうなるかはわからない、こういう態度を堅持せられてお進めになるのですか。
  120. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) まあ自由党にいたしましても社会党にしても、交付税率の引上げについてはよほど根拠があってああいう数字をお出しになったことと考えるのであります。そういう御提案ににらみ合せ、また自治庁自治庁といたしまして、地方財政の現況から考えまして、これだけの金額が要るのだという点を推定して、両方にらみ合してよかろう、こういうことであります、大蔵大臣との折衝の結果がどうなるかということについては何とも申し上げられないのですが、両方勘案してやる、こういうことを申し上げておる。私どもといたしましては、やはり国会で御審議願うにいたしましても、また財政当局と交渉するにいたしましても、やはり数字基礎がなければできないのでありますから、それを今資料を集めて勘案中ということを申し上げておるわけであります。
  121. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) それではお願いしておきますが、資料がまとまり、結論が、自治庁としてのお考えがまとまる時期を委員長にお知らせ願いたいと思います。このころにまた委員会を開けるように手続をしたいと思います。それで今度の臨時国会は自由党、社会党からも提案になっておるこの議員立法で措置するということでなくて、政府交付税率の改訂に伴い、地方交付税の一部改正法案というものを政府提案として出すのだというように自治庁としてはお考えになっておられる、こう了承していいのですね。
  122. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 交付税率の引上げでいきますか、他の方法でいくかということは、先ほど来申し上げておりますように、決定いたしておりません。何とか財源的措置をするということはこれは政府の見方でありますからして、政府の提案としてあります。しかしその方式はまだ決定しておりません。
  123. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 自治庁としてもあなたは森下委員の答弁で、単年度交付税でみるということを言明しておることを、私はここのノートに先ほどもあれからとっておるのです。
  124. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) これは私は幾回も繰り返しておるのですが、一応交付税率ということを目標にして、いろいろな金額の必要量は算定しておりますが、しかしこれは田全体の財源関係がありますからして、交付税率でいくか、それからたばこの益金からしてこれを繰り入れするのか、そういう点についてはまだ決定しておらぬということは冒頭に御説明したわけであります。しかし何らかの財源的措置はするという、こういうことをはっきり申し上げているわけであります。
  125. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) そうすると、委員長として推定しますと、たばこの呼応益金から渡してやる、あるいはその他のことでもやり得る程度の金額にもなる場合があるということですか。そういうことでは間に合いかねるとわれわれは考えるのですが。
  126. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 私どもとしましては、大体金額が幾ら要るということを出しまして、その財源につきましては、これは大体財政当局にまかすより仕方がないのでありますから、大蔵当局と相談いたしませんと、どういう方式でもって地方への財源的措置をするかということは、ここで御返答できかねるわけでございます。私の方では幾ら必要だということで、こういうことをまず大蔵当局と折衝するわけでございます。それをどういう方式でやるかということは大蔵当局の考えもありますからして、そこで私はここではっきり申し上げることはできない、こういうことを言っているわけでございます。
  127. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) はっきり申し上げることはできないが、あなたの考え自身はあるのだと、こういうことですか。  大蔵省まかせで、金さえ出ればよいという態度ですか。そこでよほど違ってくるのです。
  128. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 私の方といたしましては、来年度をどれどれの金額を一つ財源として地方交付したいということをきめます。しかしその財源につきましては、その方法についてはこれは大蔵当局にもいろいろ考えがございますので、大蔵当局と相談しない限りここで私ははっきり申し上げることはできません。従いまして、交付税一本でいくか、それとも他の方法でいくかということは今申し上げることはできないと、こういうことを、言っているわけでございまして、この点は……。
  129. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) だから私は聞かなくてもよろしい。あなたは腹がありますかということです。方針がありますかということを聞いているのです。答弁はしなくてもよろしいのです。
  130. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 承わっておきます。
  131. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) いやそれはそうは……。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  132. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記を始めて下さい。  午前はこれで休憩いたします。午後は二時半から再開いたします。    午後一時二十四分休憩      —————・—————    午後二時四十九分開会
  133. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 再会いたします。  午前に申し合せております通り地方財政の問題並びにそれに関連する臨時国会の問題等について質疑を続けていただきたいと存じます。政府側からは根本官房長官も見えております。
  134. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 来たるべき臨時国会地方財政の問題を中心として開かれなければならないということは、野党側の要求もそうでありますし、官房長官自身もすでにラジオあるいは新聞等においてそれを認めておるかのように拝見しておりますが、そうだとすると、前国会において再建促進特別措置法ですか、この法案、これが審議未了になった、継続審議になったということは非常に残念だったことでありますが、これの成立ということは、ひとり政府が希望するばかりでなく、国会もひとしく希望しておるので、ただ参議院における時間の関係上審議の余裕がなかったということが継続審議に持ち込まれた理由なんでありますが、従って早ければ早いほどこの法案の成立も早い、こう見ていいと思うのです。その意味において臨時国会が早く開かれることをわれわれは非常に強く要望しておるのです。長官の、あるいはまた総理大臣の新聞等に話され、あるいは長官が参議院の議運において話されたことを考えましても、あまり早くはないようです。おそくなればおそくなるほど地方財政がますます悪くなってくるということを御承知になって、早くするならば、じゃあいつごろになるのか、いつごろには臨時国会が開かれるか、長官の御見解を伺いたい。
  135. 根本龍太郎

    説明員根本龍太郎君) 臨時国会召集の要求書が先には自由党から、また若干時期をおいて両派社会党から正式に手続をもっていたされましたので、これは当然政府として開かなければならないと思います。従いまして、この正式な手続に基きまして、閣議に私は御報告いたしまして、すみやかに国会が開かれるように、関係大臣において国会の召集のために必要な政府としてなすべき諸般の問題を準備していただきたい、こういうふうに私の方からも強く要請いたしたのであります。ところが地方財政の問題が単に再建整備法そのものの成立だけではなかなか困難な問題がある、臨時国会を召集する理由としても、広く地方財政の現在の困難なる状況を解決するためのというような理由でございますので、そういう要請にこたえるためにも政府の責任として、諸般の法律なりあるいはその他の行政措置をやらなければならぬということで、その当時における閣議におきましては、これは相当複雑で、かつ深刻な問題であるから急には間に合わない、どうしてもやっぱり十一月の中旬以降にまで時間がかかるというような当時の関係閣僚の仰せでございましたので、その旨を私は参議院の議連で申し述べた、こういう状況でございます。しかるところ野党の国会対策委員長の方々の会同がありまして、あらためてこの問題を促進するために鳩山総理に出向かれまして要請したところ、総理はできるだけ準備を整えて御期待に沿うように努力はいたしたい、こう回答した旨を私は連絡報告を受けておる次第であります。現在この問題の中心になるところは自治庁と大蔵省でございまして、自治庁、大蔵省において諸般の準備を鋭意進められておると聞いたのでありますが、この準備ができますれば、すみやかに開きたい、こう思うのでございまして、その時期はいつかということについては私が的確に申し上げることは困難でございますが、その問題を解決するための法案なり、その他の政府としてなすべき手配について見通しがついたときと、まあ一般的に申し上げる次第でございます。
  136. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そうしますと、今の段階では閣議ですか、閣僚の懇談会ですか、あれは十一月半ばという線を出し、総理大臣は野党国会対策委員長の申し入れに対して十一月初めということを答えられたということですが、どっちを今目途にして進めておりますか。
  137. 根本龍太郎

    説明員根本龍太郎君) 総理から申されておりますので、総理がそういうふうに目標を十一月上旬ということにいたして準備するようにという連絡がありましたので、その旨を関係閣僚に申し伝えました。それを目標として今準備をお願いしておる次第でございます。
  138. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 午前中の自治庁長官のお答えになったうちには、税制調査会と地方制度調査会の答申を待ってというような言葉があったのですが、そのうちにそれも消えてしまって、必ずしも待たないでもやると、政府の独自の案を出すというようなふうにも言っておりますが、一体今の自治庁長官のお答えによれば、大体自治庁と大蔵省との準備ができれば、できるときを開会の時期と大体考えるというふうに言っておるのですが、そうすると、やはり自治庁というものは非常に今度の召集時期をきめるのに大きな発言権を持っておるわけです。一体税制調査会の答申、あるいは地方制度調査会の答申を待つつもりですか、それとももうそう行ってもおれないから、早くしなければならぬという考えなんですか、その点を伺いたい。
  139. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 先ほどお答えしたのでありますが、私は税制調査会と地方制度調査会に出まして、なるべく早く意見を聞かしてもらいたいということは要求したのであります。臨時国会に間に合えば意見を取り入れまして何らかの成案を作る、間に今わなければ政府のいずれ責任でありますから、政府の責任においてやるつもりであります。
  140. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そうすると、税制調査会及び地方制度調査会の答申というものは、非常に期待はするけれども、必ずしもそれは答申があるということを要件とはしない、こういうふうに解釈していいですか。
  141. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 税制調査会、それから地方制度調査会はただ三十年度調査だけではありませんで、根本的に三十一年度以降どうしようかということの御検討を願っておるわけです。税制調査会並びに地方制度調査会としては、ほかにもいろいろ御審議願うことがあるのです。むろん伊能さんのお話のように臨時国会に間に合いませんければ、政府としては政府独自の見解によってやるつもりでおります。
  142. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 前々から国会の答弁でも言っておりました給与実態調査というものが、初めは九月ごろにはできるだというお話でしたが、最近伺いますと、十月末でかかるというお話なんです。この資料を臨時国会の提案する議案に使うということを予定しておりますか、どうですか、この点を伺いたい。
  143. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 給与実態調査は、先般来私は非常に急がしておりまして、一日も早く出せということを言っておるわけでありますが、もし私どもが臨時国会に消えるために予算措置なりまた法制上の措置をするのに間に合いませんければ、これはやむを得ませんからして、現在の給与の範囲内においてやるつもりでおりますが、もし間に会えばそれを取り入れたいと、こう考えております。
  144. 小林武治

    小林武治君 ちょっと関連して。けさからのお話だと、臨時国会に間に合えばということを言っておりますが、間に合うとはどういうことか。臨時国会の時期をきめないで間に合うとか間に合わぬというのはおかしい。これが十一月下旬ならどうとか、あるいは初旬なら間に合うとかいうこういう問題ですが、川島長官は臨時国会に間に合せる、こう言っておられるし、根本長官は自治庁、大蔵省の用意ができたらやると、お互いになすり合いをしておってさっぱりわかりませんが、大体長官は間に合せる、要するに臨時国会に間に合せると言っておりますが、その間に合せるというのは一体いつか、これがわれわれは聞きたい。官房長官どうですか、自治庁長官は臨時国公に間に合せるということを言っておる。あなたは自治庁の準備が整ったらやると言っておる。
  145. 根本龍太郎

    説明員根本龍太郎君) 私は先ほど申し上げた以外に申し上げる何らのあれはないと思います。自治庁長官が間に合せる間に合せないという事由については、私はまだよくお話を承わっておりませんから、それについて批判を申し上げることはできないのであります。
  146. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 私が間に合せると言ったのは、税制調査会なり地方制度調査会の答申が間に合えばそれを使いたいと、こういうふうに申し上げておるわけであります。もともと臨時国会の主要目的は地方財政問題でありますからして、これは私ども準備ができればむろん開くことになるのでありますが、準備ができなければ臨時国会は開けないことでありますから、私はできるだけ早く案を作りたいと、こういうことを考えておりますし、こういう意味で御答弁を申し上げておるわけであります。
  147. 小林武治

    小林武治君 今の関連ですが、間に合うということはどういうことをおっしゃるか、今現にわれわれは財政再建措置法を持っておる。それからして第一あなたの方は二十九年度赤字までこの法案で始末するということを言っておられる。これらの赤字の始末がつけば臨時国会としては相当大きな目的を達したということになるので、私どもはもうこれらの問題だけで、二十九年度までの赤字を処理するだけでも臨時国会として相当大きな収穫じゃないかと思う。しかもこれらはすでに法案が拠出になっておる。こういうものはもう十分私は議題としてすぐに役に立つものだと思いまするが、さっきのお話でありますと、三十年度のある程度赤字の推定がつかなければやれない、イタチごっこのお話ばかりしておりますが、内閣としても大体今言うように再建措置法でもって二十九年度赤字を始末する、こういうことであれば、これだけでも早くやるということが絶対に必要であると思います。長官はいつもこの赤字の始末がつけばこれで地方資金繰りも相当容易になる、従ってこれに非常な大きなウエートをあなたは置いておる。ところがこの方を忘れて、もう三十年度の始末をいろいろ考えておられる。三十年度の始末よりも今困っているのは二十九年度までの赤字の始末に困っておるので、この始末をしてやることが必要だ、これをやれば地方財政というものはある程度ゆとりができる。また今のいろいろの資金の苦しさというものは相当緩和できると思うので、このことを地方団体としては非常に大きく希望しておる。従って私は用意ができるとかできないとかいっても、これらの大きな問題はすぐにでも国会を開いてやれる問題でありますから、さっきのように財政再建措置法にあんな弾力性を認めて二十九年度赤字まで始末をする、それはまことにけっこうでありますが、どうですか、そのことを非常に地方は希望しており、あとのことは三十年度はあなたはまだこれでもって完全に始末はつけられぬ、あるいはあとにまた残るかもしれぬ、こう言っておりますので、われわれの要求しておるのはせめて財政再建措置法でも甘く通すことが現在の地方の窮状を救う一番大きな道であろう、こういうふうに考えておりまするが、これだけでも早くやったらどうか。いかがですか、その点官房長官もこれはわかると思いますが、ほかのこと、根本的なことはやれないということも先ほどお話があったのでありまして、どうせ三十年度のある程度のしりぬぐいということが今あとに残っておる問題だと思います。しかし二十九年度までの赤字の処理ということが一番大きな問題で、当面の問題であると思いますが、その点はいかがお考えになりますか。
  148. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 特別国会の審議の過程におきまして、国会の大多数の御要求は、再建促進法と同時に交付税率の引き上げをして三十年度においても赤字の出ないようにしてもらいたいということでありまして、ただ再建促進法を通すことが臨時国会の御要求ではないのであります。同時に三十年度財源的措置をしろということを強く要求されておるのでありますから、ただ再建促進法だけを通すために臨時国会を開くというのでは、それは御要求の趣意には沿わないのじゃないかと私は考えるのであります。やはりある程度財源措置をする必要があるということになりますと、準備期間が要るのでありまして、従いまして、すぐには臨時国会を開くことはできない、こういうことになります。間に合わせる、間に合わせないということを非常に御議論になりますが、それは税制調査会なり地方制度調査会の答申が間に合うか間に合わないかと、こういうことを申し上げておるのでありまして、私といたしましては、臨時国会に対する準備ができますれば、これは臨時国会を開くことができるものとこう考えております。
  149. 小林武治

    小林武治君 今の関連で、三十年度のためにも何らかの措置をする、まことにけっこうでありますが、それなら官房長官は今の臨時国会にどういうような法案をお出しになるつもりか、たとえば自治法改正案まで出すのか、交付税改正案も出すのか、どういうふうなことをお考えになっておりますか。
  150. 根本龍太郎

    説明員根本龍太郎君) 政府といたしましては、今どういう法案をこの国会に出すかということについてはまだ各省で検討中でありますので、政府としては何らきまっておりません。
  151. 秋山長造

    ○秋山長造君 ちょっと関連して。今のどういう法案ということですが、実はこの間日曜日の国会討論を聞いておったら、根本長官の口から、臨時国会地方交付税税率引き上げ、その他地方財政関係法案を云々と言って、地方交付税率の引き上げということがあったのですが、これはやはり先ほど長官がおっしゃった、今度の臨時国会地方財政問題中心の国会であるということからいえば、当然そういう結論が出るだろうと思うのです。今の御答弁ではまたその点少しぼやけておるのですが、やはり政府交付税率の引き上げということを考えておられるのじゃないですか。
  152. 根本龍太郎

    説明員根本龍太郎君) 私は放送討論会で申し上げたことは、地方財政の再建ということは問題が出て参りますれば、今御指摘のように地方交付税税率の問題、あるいは旧地方債をたな上げするかいなか、いろいろの問題が出るであろうということを申したのでありまして、政府がこれに対して政府提案として出すというようなことは申し上げておらないのであります。これらのことはあげてどういうふうにして地方財政の窮状を打出するかについて、せっかく自治庁並びに大蔵省との間においてこれが検討が進められておるわけであります。それによって必要とあれは法律の提案もしなければならぬかもしれぬ、あるいはまた政令でなし得るかもしれぬ、そういうことについては私は触れていないのであります。ただ当然地方財政の窮状を打開するためには、そうした問題が議題になるであろうということを申し上げたのであります。
  153. 秋山長造

    ○秋山長造君 今の地方財政の行き詰まりを救うために、政令をもってする方法いったらどういうことがあるのですか、その点まずお伺いしたい。  それからもう一つ、ついでに第二として、臨時国会の召集時明を十一月半ば、あるいは初めというようなことを目途として準備しておられるとおっしゃるのだけれども、一体その十一月半ばあるいは初めというような一応の目標か出てくるというその根拠ですね、どういうことをよりどころとしてそういう十一月半ばという目標が出てくるのか。まあたとえば準備しておられるということをしきりにおっしゃるのだけれども、一体その準備の内容というものはどういうことを準備しておられるか、あるいはかりに政府部内の意見がいまだまとまらないとすれば、一体どういう意でまとまらないために延び延びになっておるのか、この点をお伺いしたい。  それから第二にもう一点お伺いしますが、さらにわれわれが巷間いろいろの情報を聞いて判断するところによると、やはり政府としては、官房長官が今おっしゃるように、臨時国会の召集が非常に延びているということは、地方財政に対する手当の準備ができないために延びておるということはいわば表面的な理由であって、実質的な理由はむしろそれより自治庁長官が再々おっしゃっておるように、この問題とは別なところに延びている理由があるのじゃないか、あるいはむしろ延ばしている理由があるのじゃないかと思うのですがね。その三点について少し具体的なことを承わりたい。
  154. 根本龍太郎

    説明員根本龍太郎君) 私は政令によって処置するということを言ったのは、具体的のことは今私は考えておりません。あるいはそういうこともあるではないかということを言っただけでごぎています。
  155. 秋山長造

    ○秋山長造君 だから、政令でやれるといンうようなことが一体自治庁関係にありますか。
  156. 根本龍太郎

    説明員根本龍太郎君) それは今のところは考えておりませんが、そういうこともあり得るかどうかということを言ったにすぎません。  それから十一月中句と言った根拠を示せということでありまするが、これは先ほど私が冒頭にお答え申し上げた通りに、私か衆議院の両派社会党並びに自由党からの正式の手続によって国会開会の要求をされたとき、あるいはそれに関連して閣議で問題になったとき、これは関係閣僚の意見を聞いたときに、まあ現在の状況からすれば、十一月中旬ごろまでにならば大体準備ができるじゃないか、こういうような御意見だったので、これは私の私見を申したのではなくして、その当時における空気から私はそういうふうに申し上げたわけであります。  それから臨時国会の開会の時期は、純粋に地方財政の対策という問題でなく、他の政治的な理由によって政府がむしろ延ばしているじゃないかというお話しでございますが、政府としては、それは今考えておりません。(笑声)
  157. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 小林委員または秋山委員からも御質問がありましたが、大体さっき川島長官は、この来たるべき国会は再建整備のあの法案だけじゃないのだと言っておりますけれども、大体その通りなんで、さっき川島長官それ自身が、再建整備のこの法案は二十九年度赤字まで片づける法案だと言っておりますが、その通りこの法案自体が二十九角度の赤字を片づけるようにできてている法案なんだから、それで二十九度も今になって赤字数字がはっきりしたから非常に大きく言われるのだけれども、初めからこの法案というのは二十九年度赤字のたな上げ法案なんだ。それだからこの法案ができれば、政府の考えている通りとすれば、とにかく工十九年度のその赤字というものはこれで一応の処理がつくという考え方だと思うのです。それをねらった法案だと思う。同時に今年の赤出という問題は、三十年度の赤中というものは、政府がどうしてもなければ——あまりはっきりしていないから、われわれとしては交付税法案を末期に出しておる。社会党はそれよりも早く法案を出しておる。いずれも審議未了になりましたけれども、臨時国会を開かれればいつでも出せる用意があるわけです。従って今秋山委員が言われたように、他のほかに問題がない限り、地方財政の処理の問題であれば、十分大きな目的が達しられる態勢が整っておると思う。従って今根本長官も非常に苦しい答弁されましたけれども、何かほかに目的がない限りは、もうそれだけなら相当準備ができておるはずだということが言えるのである。そんなに先へ延ばさなければならぬ理由は見出せないと思う。延ばせば延ばすほど地方財政というものは悪くなる。泥沼に足を突っ込んだようだと言われておるけれども、ほんとうに泥沼に足を突っ込んだようにもがいておる。早いほどいいと思う。おそくなれはなるほど悪くなるということは、これは政府の責任においてだんだん悪くしているのだ、こういうことを言われても一言の抗弁の余地はないと思う。その点いかがですか。両方から……。
  158. 根本龍太郎

    説明員根本龍太郎君) 私は、先ほど答弁した通りであります。
  159. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 自治庁といたしましては、なるべく早く結論を出したい、こう考えておるのでありますが、しかしこれは財源に関する問題でありまして、大蔵当局ともよく熟議しなければ案ができないのであります。大体今年度自然増収などは相当あるということは大蔵当局も言っていますが、十一月にならないとこれがはっきりしないのであります。(笑声)いや、これは自然増収計算がそうなる。十一月になればはっきりする、こういうことを言っております。財源とにらみ合せもあるので、そうすぐにはできない、まあこういう状態にあるわけです。それにいたしましても、なるべく早く一つ成案を得たい、こう考えております。
  160. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 とにかくせっかく出した再建整備の法案というものは、われわれが相当実質的には研究していることなんです。臨時国会が開かれれば、とにかく審議はすぐ始まる。それでしかも自治庁長官もさっきお答えになっておる通り、二十九年度赤字までこれで考えて一緒にやっているんですから、少くとも二十九年度までの赤字の問題というものは何とか方法がこの法案の審議をめぐって当然考えられることなんだ。もうそれはある程度まで結論がなくちゃならぬはずです。さきほども川島長官も午前中お答えになった通り、この法案ができても一月ごろから実施だろうから、しかも財源としてはこのくらいで十分なつもりだとおっしゃっておられた。従って、問題は三十年度赤字を出さないようにするという問題だけが今政府としてはぜひ財源を考えなければならない問題だ、こう思うのですが、どうでしょうか。
  161. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 伊藤さんのお話の通りでありまして、さきほど小林さんからも御意見があったのですが、二十九年度までの赤字たな上げだけなら、これはもう決定しておるのですからして、簡単でありまするけれども、同時に三十年度に対する財源的処置もしたいというので私どもいろいろ今苦慮いたしておるわけであります。従いまして、今すぐに臨時国会の順序ができるかというと、その運びになっておらぬ、 こういうことが今日の現況であります。
  162. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そこで今一番地方が困っておるのは、せっかく見せた起債のワクが使えないということ。百五十億の公募公債の方は一応は公募公債に入れるのだから、それでも肩がわりしてもらえれば非常にいいのですが、最も歓迎されたのは政府資金の五十億なんだ。それから退職手当の金を起伏で貸してくれる。これも今法案が通らない限りにおいてはたな上げになっておるのじゃないかと思うのですが、これをどういうふうに利用しておられるのか、たな上げしっきりになっておるのかどうか、 それを一つ御説明願いたい。
  163. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 百十億金があるわけなんですが、これを基礎にしまして、地方でもって短期融資を希望するときにはあっせんして貸しております。ある程度はすでに資金を出しております。
  164. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そうすると、あの予定された資金というものはつなぎ融資のような形で利用しておると、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。それからその金額ですね。
  165. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 短期融資をいたしておりますが、まだ金額がわかっておらぬそうですから、これは調べまして御報告いたします。
  166. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 数字のお答えはいついただけますか。
  167. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 大蔵省の方で扱っておりますから、大蔵省に聞き合せまして、なるベく至急にご報告いたします。
  168. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 官房長官、私からまだほかの問題があるので、その問題を先に官房長官の御都合もあるよりですから伺いたいと思います。それは地方団体の寄付金を国または国の機関が取ってはいけないという問題です。まず第一には警察が非常に負担区分が乱れておって、当然国が負担しあるいは県が負担すべきものを市町村にしわ寄せが行っておるというような例が非常に多い。難物を建てるというような臨時の問題もさることながら、経常的な捜査費やら旅費やら、そういうような交際費のようなものまで非常に地方に負担をかけておるというので、そういうことは今日こういうふうに地方財政が非常に行き詰まった行き詰まったと言いながら、その行き詰まって赤字を出しておる地方団体からそういう負担すべきものでないものを負担させるのは適当でないというので、公安委員長あるいは警察庁長官の御出席を願って、以後こういうことを絶対にしない、法令による負担区分に従って厳格に守るようにするというはっきりした答弁をいただいて、それを地方に流した写しも当委員公に提示されたわけです。ついで法務省もなかなか多いので、法務大臣にもここへ来ていただきまして、それを確かめましたところが、法務大臣も予算措置でできた限度でやるようにして、一切そういう負担を地方にかけないということをここで確言して、地方へ通牒を出した写しをこの委員会に提示されたわけです。最後にこれはやはり非常に広範なので、一々これは各省大臣を呼んでそんなことをやったのではとても間に合わないからというので、総理大臣にここへ御出席順って、総理から国または国の機関が自分の予算外でやるべきものは自分の予算の限度でやって、貧弱な地方団体赤字にあえいでおる地方団体から負担をかけないという明言をしてもらいたいという要望をしたのです。総理大臣も御趣旨まことにけっこうだ、そのようにすると、私どもの方としては、閣議なり何なりに諮ってそれを各省大臣に厳重に申し渡して励行してもらいたい、その措置についてはどういうふうな措置をしたか当委員会に報告してもらいたいと言いましたところが、総理大臣はここで了承しましたといって帰っておる。それについて官房長官はどういうふうに総理からお聞きになって、閣議でどんなふうに取り扱いをし、各省でどんな、取り扱いをしたか、経過を御報告を願いたいと思うのです。
  169. 根本龍太郎

    説明員根本龍太郎君) 参議院におきましてそういうふうに総理に要請された、総理がそれを了承して参って、すぐその直後だったと思いまするが、閣議において、国会でこういうふうな質問並びに要請がありまするから、当然のことであるから関係閣僚においては十分この極言を体して、今後そういうことのないようにということを閣議で申し渡されました。それに基いて今御指摘のような各省で処置をとったことと考えます。  なおその際、その前からもありましたが、前に自治庁長官をいたしておりました西田大臣から実は今の問題が出たときに特に発言を求められておったのです。自分が実は自治庁長官を第一次鳩山内閣でやっておったときに、地方財政のいろいろの問題を調べたときに、これは非常に膨大である、特に今御指摘になりました警察閥係が非常に多い、こういうことであるならばほとんど地方財政計画が立たないし、いわば政府のやることのしりぬぐいをさせられるということは遺憾であるということを言われまして、特にその発言があったことを私は記憶しておりますが、総合的に政府が各省でどういう措置をとってどういう成果になっておるかということについては、まだ私の方には報告が参っておりません。これを閣議において各省大臣に要請しまして、その処置した方法、あるいはまたその成果においてわかっておるならば、まとめて報告いたしたいと思います。
  170. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 おそらく今長官もそう言われるのでしたら、各省大臣がやっておられることと思いますけれども、私の方ではすでに警察の方のそういう写しをもらってここで見ておるわけです。法務省も、法務事務次官からそういう通知を出した写しをここに出しております。これを一々私の方で各省からもらうのも適当でありませんかり、官房長官のところでどういう態度で取り扱っておるのか。地方あるいは部内に出した通牒の写しをそろえて次回の当委員会に御提出願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  171. 根本龍太郎

    説明員根本龍太郎君) できるだけすみやかにまとめるようにいたしまして、まとまったら当委員会に書類をもって報告するようにいたしたいと思います。
  172. 小林武治

    小林武治君 自治庁長官と官房長官に両方に伺いたいのです。私は最近この委員会関係で四国に参ったのでありますが、四国の各県は赤字が相当多い、また都市においても赤字が多い。ここで聞きますと、一様に国民体育大会を持って来たために相当な赤字を出した、ある県は七千万円出した、ある都市に至っては三千万円、四千万円出した、必ず国民体育大会のおかけでこれだけの赤字を出したということを明言いたしております。従ってかような地方財政の困難な際に国民体育大会をあのように持ち回る必要があるかどうか。すなわち赤字を今後出さないということのためにもこれらの点について政府もある程度考える必要がありはしないか。これについて自治庁長官あるいは官房長官はどういうふうに考えておるか一つ伺いたい。
  173. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) ただいまの点につきましては、私ども御同様に痛感いたしておりまして、国民大会を全国に持ち回るということは今後はいたさぬつもりでおります。これは文部大臣とも話しております。今年は神奈川でやるわけですが、今後は施設のできた県でなるべく開くようにいたしたいと、 こういうように考えております。国民大会のために地方財政に大きな負担をさせることに極力避けるつもりで文部当局と相談をいたしたわけであります。
  174. 小林武治

    小林武治君 その点を押しておきたいのでありますが、今年は準備ができたということで、あるいはお認めになると思います。来年度以降の問題もありまするが、これはもう各県並びに都市が声を大にして赤字をこれに転嫁しておる言っては悪いかもしれませんが、私が今度調べただけでも二億円近くのものがこのために赤字だった、こういうふうに称されておりますが、今の点に政府当局としてもぜひお考えを願う、そうして再来年度にはどうするかということを一つ御研究願いたい。
  175. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 地方の要請がございまして、その点はすでに文部大臣に相談をいたしたわけでございまいす。さようご了承願いたいと思います。
  176. 秋山長造

    ○秋山長造君 ちょっと今の関連ですが、そうすると、政府としてはやっぱり年々やるということは別に変更されるつもりでないわけですね。ただ既設の設備でやれるという所でやろうというわけでしょう。
  177. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) これまで私と文部大臣との話合いはそういう範囲であります。
  178. 秋山長造

    ○秋山長造君 ただ、これも議論になるかもしれんですけれども、一体今の戦災復興もいまだ終ってないような日本の国土でね、あれだけ大がかりな国民体育大会を既設の設備でやれるという都市がございますか。私はおそらくそういう都市はないと思うのです。まあ、東京あたりならともかくだけれども、それ以外にはないだろうと思う。どうしてもこれは体育大会をやる以上は、かなりなやっぱり費用を特別に使わなければやれぬだろうと思うのです。その点をどう考えておられるかということと、それからやはりほんとうにこの面からする地方財政への圧迫を排除しようというならば、やっぱり年々やるということを、その原則を再検討される必要があるんじゃないか、そうしないと既設の設備のある所でやるというようなことは、これはもう実際問題としては、これは何にもならぬと思うのですよ。財政の膨脹を抑えるという建前からいうて、その点はどうお考えになりますか。
  179. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 私は地方財政の見地からだけしか御答弁できないんですが、今の問題は、主として文部大臣に関係する問題でありますので、御意見のあるところは文部大臣にもよく伝えまして研究することにいたします。
  180. 秋山長造

    ○秋山長造君 いや、御意見というてね、私は私個人の意見よりも、官房長官なり自治庁長官のおっしゃっておることが矛盾しておるということを言っておるのですよ。それは、国民体育大会の経費によって地方財政を圧迫するから、それを排除するためにどうするかということが問題なんですよ。そのために既設の設備でやれるような所で持ち回りにすることによってそれが防げる、こうおっしゃる。しかし私はそういうことはただ議論であって、今の日本の実情で既設の設備で国民体育大会をやれるという所はない、こう言うのです。だから、この面からくる財政圧迫を排除するためにはそういうことではだめなんで、やっぱり長官自身の御議論からいうても、国民体育大会を年々やるという原則をまず再検討することの方が先決問題であり、また確実な道ではないかということを言っておる。そうあって初めて長官なり官房長官なりのおっしゃることが私は一貫してくると思う。私は私の言うておることを文部大臣に取り次いでくれということを言っておるのじゃないのであります。
  181. 根本龍太郎

    説明員根本龍太郎君) 私は、この問題については何ら発言してないが、私が何か言っておるように言われますが……。(笑声)今の体育大会の問題は、これは御承知のように国民の体育の向上ということで、これは非常に意義のあることであるとわれわれは考えています。ただそれが、そのために地方財政を破壊に導くというようなことは、これは考えなければなりません。そのためには開催地の問題もありましょうし、開催する規模並びに方法等もございましょう。従いまして、この問題につきましては、十分に関係大臣との協議によりまして、体育大会それ自身の精神を生かしつつ、しかも地方財政を破壊に導くことのないように工面するということが適当であると考えております。そういうふうに関係閣僚と協議してみたい、こう考えております。
  182. 秋山長造

    ○秋山長造君 ついでに官房長官へお尋ねしますが、まあ、いまの点は、いまおっしゃるような線でぜひ実行していただきたいと思います。地方へも負担がかからずに、しかも年々やって、そうして大いに国民の体育熱をあおるというこのいい方法をぜひ実行していただきたい、これは特に要望しておきます。私は何も年々やることはいかんと言っているのじゃない。  それからお立ちになったついでにもう一つお伺いしたいのですが、長官は地方財政の問題に関連して、先般義務教育費が地方財政を圧迫しているので、この地方負担を軽減するために全額国庫負担制度を来年からやる、こういうようなこの構想を言われた、これは何んですか、何か特別に長官のお考えがあるのか。あるいは政府の方針なのか。それからその後聞くところによると、そんなことはとんでもないことだというので、文部大臣なり自治庁長官はそれに対してきわめて冷淡な御見解のようだということも聞いているのです。その点についてどうですか。
  183. 根本龍太郎

    説明員根本龍太郎君) 私先般東北に旅行した際に、記者団からいろいろ質問を受けた中にその問題がありましたので、これは私自身の——私は所管大臣でもありませんし、大蔵大臣でも文部大臣でもありませんが、地方財政の現在の情勢から見まして、これを全額国庫負担ということにしますれば、町村財政並びに府県財政においても非常に安定したところの措置がとれるのでないか、従ってこの問題は取り上げで検討すべきで、私はその方がいいと思うということを意見を申し上げたことは事実でございます。しかしながら、これについて閣議に諮ってこれを議題として議論して出た議論でないことも事実でございます。これには非常に大きな問題がありますので、いろいろのこれは御意見もございましょうし、また実施する場合におきましても、これが関係法律の改正、あるいは行政運営等にいろいろの問題がありますので、これはいずれ三十一年度予算編成の場合においてもこういうものを取り上げるかいなか、また取り上げるとするならばどうするかについていろいろ議論があると存じますので、私は自分の個人的意見として記者団の質問に対して答えた、こういうことでございます。
  184. 秋山長造

    ○秋山長造君 じゃ、全然長官の個人的な感想を語られたわけですか。しかしまあ個人的な感想にしても、これは官房長官という肩書きでしゃべられたのですから、やはり全然根本個人の感想というわけではないので、やはりそれを官房長官の肩書きにおいて大きく発表され、全国の新聞が大々的に報道するぐらいの影響を持っているんですから、やはりそれを具体的に来年度からどういうふうにしてやるんだという構想がなければならぬと思う。また長官自身にはそういう構想がおありだろうと思います。その構想を一つ参考までにお聞かせ願いたいと思います。
  185. 根本龍太郎

    説明員根本龍太郎君) 私が個人的意見を申したことはその通りでございますが、しかしながら与党であるところの民主党内においてもこれを強く要望する向きもあることは事実でございます。また閣僚等個人々々話しているときも、この問題は研究する価値がある、そういうことを考えるべきだ、こういう意見の人もあったことも事実でございます。しかしこれは閣議の正式の議題として取り上げた問題ではございません。なおこの構想と申しましても、今私の個人的な意見として言っているだけ今度はここでその構想を述べたということになりますと、その構想自身について御質問の花が咲きまして、あたかも文部大臣の代りのようにやっているのはどうかといういろいろの問題もありましょうから、これは今申し上げるということは適当でないと私は思いますから、差し控えます。
  186. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 私からもお伺いしますが、私は東北出身で、根本官房長官の御出身県における談話発表の記事も見ております。そういうあいまいな個人的な御意見の御発表の形式ではないようであります。まあただいまのお話が本当だとしますと、結果実現しないとすれば、俗にいわゆる放言と言われるものであるということになると考えます。そうでないとすれば当委員会等所管しておる委員としては非常にこれは影響するところが大きい。われわれ今日地方財政の克服のために各種の検討を加え、自治庁長官その他と審議をしておるわけです。初めてそういう具体化されるのではないかという御発表を聞けば、委員会としては非常に重大なんです。それであの新聞談話発表後官房長官はぜひこれをなし遂げようということで関係大臣とお話し合いを進め、実現のために努力しようとしておられるのか、それは所管大臣のやることだから個人的意見として述べただけのことであって、結果については私は知らぬと言うのか、その点を明らかにしていただきたい。
  187. 根本龍太郎

    説明員根本龍太郎君) 私は先ほど申したように、あの発表は私の個人的意見を申し上げたということはその通りです。しかし政治家として自分がこういうふうな方針をとりたいと思うことがありますれば、現在私が鳩山内閣の末席を汚しておるという条件にありますれば、これは三十一年度予算編成等について閣議で議論になるときに、私は自分の主張を申し述べたい、こう思っております。またこれは与党とも重大な関係がありまするので、与党の政調会その他の諸方面の諸君とも話し合いをいたしまして、私自身はこの問題を具体化したいと、こう考えております。
  188. 秋山長造

    ○秋山長造君 三十一年度から実施されるという、少くとも個人的にはそういう希望を持っておられる、しかしそうすると早く急いでおやりにならぬと、文部予算にしてもどこの予算にしてもどんどん予算編成の作業は進んでいるんですよ。大蔵省へどんどん要求しておる。現に私どもはけさほど来地方財政関係についても、明年度地方財政計画というものをるるとして自治庁長官並びに財政課長から聞いておる。聞いておるけれども、根本構想なるものはどこのページにも一行も出ておらない。義務教育費国庫負担制度を改めるということはどこにも一字も書いてない。予算がきまってしまってから、あとになっていかに政治的に解決されるということでも、こういう大きな問題は、それはこの予算がきまってしまったあとで政治的にどうこうと言っても、それはそんなことで間に合うものではないんです。ほんとうに来年度からやりたいという希望を持っておられるならば、閣議も幾らか開かれて、この発言をされたのは大分前の話ですから、国会が済んでじきの話ですから、当然閣議で少くともそこに並んでおられる自治庁長官あたりには慎重に御相談があったはずなんです。自治庁長官にその点御相談ありましたか。
  189. 根本龍太郎

    説明員根本龍太郎君) 今大蔵省で予算の査定をやっておりますということですが、これは財政法に基くところのあれをやっております。しかし現在の内閣といたしまして、予算の編成方針をまだ閣議できめておりません。これは例年のように事務的に八月、九月に当ってやっていることは事実でございます。従ってそこには純粋の事務的なものは出てくるでしょう、それは当然のことだと思います。この政治問題につきましては、これは私が自分の意見として申し述べたことであって、これが鳩山内閣の政策として取り上げられるかいなかは、まだ未決定のままでございます。未決定のことでありまするから、しかもこれについては地方財政の問題、あるいは文部省のいろいろと関係がありまするので、いよいよこういう問題を決定する、正式にこれが議題になったときには、私は自分の意見を申し上げます、こう思います。
  190. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  191. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記を始めて。
  192. 根本龍太郎

    説明員根本龍太郎君) 私はこういう方針を研究すべきであるということを二、三の閣僚に言ったことはございます。また自治庁に……。
  193. 秋山長造

    ○秋山長造君 自治庁長官におっしゃったのですか。
  194. 根本龍太郎

    説明員根本龍太郎君) さらに政調会の方でもこれは検討してほしいということを言ったことは事実であります。しかしそういう問題を今ここで、だれそれにどう言った、その返答はどうであったかということは、これは言うべき筋合いのものでないと私は考えます。
  195. 秋山長造

    ○秋山長造君 それは筋合いですよ。地方財政の一番の担当者じゃありませんか。担当者にそういうことを御相談になるのは、何も堂々とされるべきだと思う。
  196. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  197. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記を始めて。
  198. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 義務教育費全額国庫負担の問題は、今始まった問題ではありません。自由党内閣時代にも、当時の岡野文部大臣がこの構想を発表しまして、いろいろ世間の批判も受けておることは事実であります。次いで大連文部大臣も大体同様の考えを持っておったのですが、実現しなかったわけであります。自治庁といたしましても、事務的にこれを検討さしております。地方財政にどういう影響があるか、たとえば交付団体と非交付団体との関係はどうなるか、それから定員定額の問題がどうなるかというような幾多問題がありますので、研究はいたしております。むろん結論に到達する時期でもありませんし、そこまで深い研究ではございませんけれども、前からの問題でありますから、じっくり研究をいたしております。
  199. 秋山長造

    ○秋山長造君 こういう御答弁を聞くことは——。私は柴田財政課長に聞くのですが、一体われわれは毎回地方財政の問題について議論しているのだけれども、いまだかつて一回も自治庁の長官はもちろん、事務当局からもこの問題についてとやかくという報告も聞いたことがなければ、説明も聞いたことがなければ、あるいはそういうことを検討しているそぶりも見せられたことはない。ほんとうにそういうことを事実やっておられるのならば、何か財政計画を立てるときとか、あるいはその他何らかの機会にこれはこの問題は今まで出ておらなければならない。それが一回も出たことないのだけれども財政課長それは一体やっておるのですか、そういう際に。それはどうですか。
  200. 柴田護

    説明員柴田護君) 義務教育費の問題は地方財政自身の問題であろうと思います。地方自治全体の問題からもむずかしい問題であるわけであります。その後にどういうことになるかということを研究しろという指示は受けております。それは全く事務的ないろいろな方面からの昔からの歴史があると思います。あるいは現在においてどういうことになるだろうかというふうな問題がありまして、それを一々申し上げるまあ私は段階にないと思いますし、今まで別にそういうことを報告申し上げたことはないのであります。
  201. 森下政一

    ○森下政一君 私は根本官房長官に、この機会にたまたまただいまのようなことが問題になったので特にお願いしたいのですが、鳩山内閣は特別国会のときには、考えようでしょうが、たとえば国防会議構成法がつぶれたとか議員提出ではあったけれども、内閣と一脈の連絡をもって出したと思う憲法調査会の法案がつぶれた、こういうふうなことは内閣の威信にかかわるくらいの私は問題だったと思う。特別国会を切り抜けるためには自由党をいろいろ説得されてその協力を得るために一生懸命だったというふうな姿にわれわれには観測できた。ところが特別国会が閉じられてしまうと、閣僚諸君が方々へ旅行されて、そうして記者団会見等を行われて、私はもうこれぐらい各大臣がいろいろと放言をする内閣というものはけだし稀に見るものだったと思うのです。ほんとうに放言内閣だと思う。ことにただいまだんだん話を聞いてみると、義務教育費の全額国庫負担なんという問題は地方財政から考えると非常に影響するところが大きい問題で、私ども地方行政を担当しております委員会の者は、これはほんとうにそういう構想が具体化されるということになるならば、大へん喜ばしいことだというふうな重大な関心を払わざるを得ないというぐらいに、やはり官房長官であるあなたがおっしゃったことということは重大に考える。ところが今だんだんお話を聞いてみると、あなたの個人的な考えを述べたにすぎぬ。自分は文部大臣でも何でもないというふうな御答弁である。砂田防衛庁長官に至っては、きのうも何かそんなことが参議院の内閣委員会質疑応答があったようですが、いろいろ防衛庁長官が国防省を作るんだとか、あるいは今の自衛隊を国防隊にするとか、あるいは数をどのくらいにするとかいうようなことがいろいろ発言があって、質問の中には重光外相の対米折衝における援護射撃であんなことを言うたのだろうと言われると、いやそうではないと、しかし内閣の閣議できまったことでもない、鳩山総理の承認を得たことでもないけれども、自分の希望的意見としてあれを言うたのだというふうな答弁があったようですが、いろいろそういったような個人的な国民を迷わすようなことを放言するというようなことは、私は少し慎んでいいんじゃないかと思う。だからあなた幸い官房長官の地位におられるのだから、次の閣議にでも、みだりに責任のないいろいろな個人的な思いつきを放送したりなんかというようなことはお互いに慎しもうというようなことを閣議で一つ提議していただいて、申し合せしてもらうくらいの私はつつましい態度をとることに一つやってもらいたいと思う。特にこの機会にたまたまこんなことが問題になったものですから、私は希望的な意見としてあなたに申し上げておきたいと思います。御善処をお願いします。
  202. 根本龍太郎

    説明員根本龍太郎君) ただいまの御意見は閣議においてその旨を申し上げることにいたします。
  203. 小林武治

    小林武治君 さっきの国民体育大会のことをちょっと補足してお伺いしておきますが、もう三十一年度以降大体割当がきまっております。日本体育協会できめて通知をして、従って方々で準備段階に入っておりますから、もしこれをあなた方がおっしゃるように、持ち回りしなければ、その意思をはっきり意思表示をしておかないと、また不測の損害を地方に与える、こういうことになりまするが、その点の何か措置をおとりになりますかどうか、念のために伺っておきたい。
  204. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) たしか三十一年度は兵庫県の一番じゃないかと思うのですが、兵庫県は非常に赤字の多い県で、これを受け入れる気持は今ないようでございます。小林さんのお考えごもっともでありますから、よく文部大臣と相談をいたしまして、地方財政の負担にならぬような方法を講ずるようにいたします。
  205. 小林武治

    小林武治君 さっきの話で、もし既設設備でできる、こういうことになると、これは東京、大阪とか名古屋とか、こういう大都市しかできない、こういうふうになりまするが、政府の御協議にもさようにわれわれは承知して差支えありませんか。
  206. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) すでに北海道でも広島、徳島でも皆やったのでありますから、そういう所にある程度の設備が残っておるのじゃないかと存じます。私よく存じませんけれども、必ずしも東京、大阪、名古屋と限定するわけにいかぬのじゃないか、その点もよく文部大臣と話し合ってみることにいたします。
  207. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  208. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記を始めて。  では次に町村合併の問題でございまするが、名古屋市周辺町村の合併に関する問題、それから栃木県南麻村を鹿沼市に編入する問題についても処分が決定になったのでありますが、各委員の手元にこの資料配付せられておりますので、特段な説明を求めることなしに、御質疑のある方に御質疑を願うということにやっていきたいと存じますが、よろしゅうございますか。——ではさよういたします。
  209. 島村軍次

    ○島村軍次君 名古屋の合併につきまして、先般私は決算委員会で本件をほかの問題に関して視察をしたのですが、現にまだ今回裁定された町村内において多少の問題が残っておるやに承わりますが、この点はどうですか。
  210. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 今仰せられた具体的の事例はわれわれもよく聞いておらぬのですが、その後の模様につきましては、われわれの方といたしましても注意して情報を実は集めておるのでありますが、今までのところ、われわれといたしましては特に目立った問題を聞いておらぬのであります。新規編入になりました所はもちろんもう問題なくおさまっておるようでございます。編入にならなかった所につきましては、自治庁長官の談話にもありました通り、愛知の知事と名古屋の市長が中心になって、その他関係者を集めまして、さらに名古屋全体の問題という、名古屋を中部経済圏の中心都市として総合的に考えるという意味で、今後地方計画の全体的な審議機関を設けて、全体の問題を考えるという構想のもとになって、そういう組織によってさらに問題を検討すべきものは検討するという方向でいくことがきまっておりますので、そういう方向のもとにいろいろなことが今後進んでいくのじゃないかと考えております。そういうことでございます。それ以上具体的にどうこうという問題はわれわれの方にはまだはっきりした報告が入っておりません。
  211. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 私から、ではちょっとお尋ねしますが、これは当委員会として参考人を呼んで一応問題になった問題ですから、始末をつける意味で簡単にこの処分書についてお尋ねいたします。当委員会としては懇談会の形式で、特に長官並びに行政部長も御出席願って、政治的な扱いを排除して、事務的に処理せられることを強く希望しておきました。ところがこの内容で見ますと、鳴海町、有松町については、名古屋市への編入には十分に理由があるものと認められると、客観的な事情としては肯定しておられます。そうして議員の構成、町長選挙等、あるいは県、市の紛争、こういう関係からこの編入が適当とは認めがたい。鳴海町がそうなった関係から、有松町は自分みずから独立して町を経営する規模としては足らないものがある。従って鳴海町とともにこれは名古屋市に合併せらるべきものであるが、鳴海町が云々であるから、これも一体的に考えざるを得ないから、今回はできない、こういう趣旨の処分書であります。この点はどうも扱いとしては何者公平であるかのごときであって、やはり政治的に配慮せられたというふうに考えられるふしがあり、あるいは地元といえどもそういうことを考えられる向きがあるのではないか。この点について一応自治庁の御説明を長官からお願いしておきたいと思います。  もう一つは、これは合併せられることに十分な理由が両者ともあることが認められ、ただしこの政治的の問題から適当でないとせられているものについては、将来長官としてはどうせられるおつもりで処分をこういうふうに決定したのか、たとえば今行政部長からの御答弁でありますと、県市関係者において名古屋市のそれについての協議会が持たれる、一切そこでやるのだと言いますが、これが協議会は確実に持たれることになっておるのでございますか。そしてまたその協議会が持たれて自主的にこれだけの紛争を起した地域関係者で問題を円満解決できるような、対立抗争なしにできるということを長官は御信頼になっておられるのでありますか。またそれについて自治庁としてこういう裁定を下し、問題を将来に残して、客観的にはその事情を認めながら、現実には名古屋市に編入しないと裁定を下したのですから、自治庁としては責任上どういう指導、どういう援助を与えて円満に解決せられようとするのか、これは十分こういう裁定を下した以上は、残る問題について収拾してやるだけの親心と申しますか、温情がなければ、それぞれの意見を持つ者は承服しがたいというしこりが残るのではないかと思います。それで政府として、自治庁長官としてどういうふうにこれはやられるのか。談話で見ますと、地方においてそれぞれ円満な解決をはかられたい、紛争はやめてもらいたい、こういう趣旨のことだけであって、政府みずからがどういう援助を与えるということも何らないのであります。責任上今後どうせられるというのであるか、これらが決定が出た以上、この決定が守られなければならぬのは当然でありまして、つけ加えてお答えを願っておきたい。これは南陽町、鳴海町の問題であります。  それから十四山村、並びに飛鳥村に関してであります。この処分書を見ますと、市街地の形成ができない地域であるということが一つの条件になっております。しかし町村合併の市そのものが市街市の形成ができないということは、一般的に新市になる要件ではない。そこで次に見ますと、名古屋港の問題と一緒に東部臨海工業地帯の反対側になるわけですが、いずれ臨海工業地帯として造成することを考えておるのだから、将来の問題としてそのとき考えるということになっておる。これは将来の問題として名古屋港の問題として将来考えるということになっておる。ただしかし、この二つはそれぞれ人口五千前後の小規模の村であって、独立してやっていく規模ではない、だから適正化をはかる必要が認められるというのですが、適正化をはかるということは結果としてどうなればいいということを自治庁として想定せられて、どうなることを希望してこの処分をせられたのか、その構想をお示ししていただきたい。以上まず問題点となっており、地元側に今後しこりを残さないようにするために積極的な長官の御発言を願っておきます。
  212. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 今回の町村合併で問題になりましたのは八ヵ町村であります。八カ町村のうち鳴海を除いた全部の町村は賛成の決議をいたしております。受け入れる市もまたこれに賛成決議をいたしております。ただ県会が反対の決議をしておるために裁定を求めたわけであります。鳴海町につきましては、先般地方選挙後に町会が開かれましたところが、結局賛成十三、反対十三という形が出まして、結論におきまして、町長選挙は、前町長が合併問題に関係してリコールされるという状態になって辞職をいたしましたその補欠選挙でありまして、当然合併問題を中心にして選挙の議論が行われたのでございます。その結果は合併反対派の現町長が当選をいたしたわけであります。従いまして鳴海町の表面に現われました意思としましては、明らかに合併反対であります。私どもは自治の本旨に基きまして、関係市町村の意思を尊重する、こういう立場において合併に賛成しております山田村、楠村、南陽町及び富田町、この四ヵ町村の合併をすべしという裁決をいたしまして、鳴海町につきましては、前申し上げたような町会の状況、町長選挙の結果の状況などから見て、これは合併すべからずという裁定をいたしたのであります。同時に有松町は鳴海町を差しはさんでおる地域でありまして、直接名古屋市に接近をいたしておりません。いわゆる飛び地でありますから、鳴海町、有松町といたしましては合併を希望しておりましたけれども、これは適当でないと考えまして、合併すべからずという裁決をいたしておるのであります。十四山村及び飛島村につきましては、これは地勢をいろいろ検討いたしますると、いわゆるデルタ地帯でありまして、南陽及び富田と隣接はいたしておりますけれども、直接には鳴海町とは接触しておりません。純農村地帯であります。私どもは町村の意思を尊重して裁決はいたしましたけれども、しかしながらその中におきましても特に考えまして、合併することが今日の場合適当でないと考えました二カ町村に対しましては、合併すべからずという裁定をいたしたわけであります。  それから今後のことでありますが、この問題につきましては、知事と市長を呼びまして、知事、市長別々に私は懇談をいたしまして、何とかしてお互い話し合いで平和のうちに解決できないのかということを懇談を重ねたのでありますが、知事も市長も一切考慮の余地なし、自治庁にまかせるのだ、こういうことでありますので、やむを得ず両者を一緒に集めまして、私が立ち会いまして、さらに懇談を重ねましたが、結局結論といたしましては、今さら自分たちとしては合併、非合併に対しては意見は言えないのだ、すべて自治庁の裁定にまかせる。裁定が下った以上は決して異議は言わぬことと、並びに関係市町村が平穏のうちに合併が遂行できるように努力する、こういう御意見の申し合せがありましたが、それと同時に残されたる地域につきましては、今後協議会を開いて、知事、市長並びに関係町村、それに学識経験者を入れまして、円満のうちに話を進めていく、必ずその協議会を持つということと、その協議会には市長も知事も賛成して入る、こういう言明でありました。その際にもし協議会等において話がまとまらぬ場合には、自治庁がオブザーバーとして一つ参加して何らかの示唆を与えてもらいたい、こういう希望も出まして、これも私は了承いたしたわけであります。従いまして、残されたる町村に対しましては、今後協議会を持ちまして、円満にいくことを期待もいたしておりますし、まあそういくものだ、こう考えておるわけであります。まあ大体こういう方針と今後の考え方だけを申し上げました。
  213. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 小林行政部長に先に技術的に伺いますが、処分書にある十四山村、飛島村については「規模の適正化を図ることが必要と考えられる」とありますが、どうするのが望ましいと考えて、どういうことを前提にしてこういうことを裁定したわけですか。切ったことについて聞いておるのじゃないのです。
  214. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 飛島村と十四山村は今後どう持っていくかという問題は、先ほど長官からお話もありました協議会で全般的に考慮願っていいと思いますが、考え方といたしましては、この隣接町村と左側の町村と一体になる、あるいはまたその下の方に蟹江という町がありますが、そういうものと——蟹江は少し無理じゃないかと思いますが、そういうものと一体になる。差し当っての問題としてはそういう相似た農村地帯だけで一緒になって農業経営に専心する、こういう方式が考えられることだと存じております。
  215. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) お互い同志いやだということで反発し合うようなときには、自治庁としてやはり県を通し、その他の方法で円満に適正規模が維持できるように促進したいと、こういうお考えでおられますか。
  216. 小林與三次

    説明員小林與三次君) その通りであります。そうした方がいいという場合には、そういう方向に持っていくようにわれわれ努力をいたすべきだと考えております。
  217. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) それから鳴海や有松の問題でありますが、ただいまの長官の御答弁ですと、町長選挙、議員の選挙等々で紛争のことに関しての問題だけをさげてお話しになっておりますが、大前提としては名古屋市に一体になることが十分な理由があるものと認められるということですから、基本的にはこれは将来名古屋に合併になることが望ましい形である、客観的にはそういうふうにお考えになっておられますか。こう了承してよろしゅうございますか。簡単でようございます。
  218. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 名古屋市と鳴海町とは経済生活も大体同じでありますし、それから家も続いておる地域でありますからして、私といたしましては、名古屋市に編入されることが何らかの形でいいのじゃないか、こう考えております。何といたしましても町会の決議が先ほど申し上げました決議でありますから、町村の意思を尊重する立場から今度見送った、こういうわけであります。従いまして、当時私の談話の中にも、将来は一つ県、市、関係町村で円満にこの問題を妥結してもらいたいということを特にうたってあるわけであります。
  219. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) そうしますと、円満に妥結してもらいたいという関係者への自治庁長官の要望なり、また自治庁長官が関係者の要請があれば、オブザーバーを出しても指導をして、円満解決をはかりたいということは、この地域に関しては名古屋市に一体になるということについてしこりを残さぬように円満解決、またならぬ場合は自治庁も指導もする、こういう意味だと考えてよろしゅうございますか。
  220. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) これは知事、市長、私と三者の会談のときに、特に鳴海町を取り上げたわけじゃありませんが、なお周辺の町村で合併を希望する所があるのでありますからして、そういう場合には両者円満にやってもらいたい、ゆかない場合には自治庁がオブザーバーとして入るということは向うの強い要求でもありますし、また私もこれを承諾したわけであります。
  221. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) そうしますと、結論として政府の態度としては、前提として名古屋市に合併が望ましい、特にただ内部衷情がこういう事情であるから見送ったのである、従って将来町で問題を考える場合には、円満解決をしてもらいたい。この内容は政府前提となった処分の理由書がその結果として現われることが望ましい、政府としてはそれが期待される、論理的にはそういうことになるわけですが、そういうふうに了承してよろしゅうございますか。
  222. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) その通りであります。ことに鳴海の町長は私の所に参りまして、将来自分は円満に解決するよう努力する、こういうことを鳴海町長自身も私に言明しているわけですから、委員長のおっしゃる通りであります。
  223. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) そうしますと、それまでの間弱小町である有松町はがまんして待っておれ、それができなかったら、鳴海町なりに合併をするなり何かして維持せい、結果はそういうことになるわけですが、こういうふうな処分をいただいた有松町などについては自治庁も精神的にも、あるいは町村財政からいえば財政的にも特段の援助を与えなければ、これはその時期までは非常な困難を来たす町ではないかと思われるのですが、この点については自治庁もあたたかい気持で御援助を与えられるという御方針であるかどうか、伺っておきます。
  224. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 今度の合併町村においても、特に有松は熱心に合併を希望しておるのでありまして、有松町の立場から考えると実に気の毒だと思いますが、何としても鳴海をはさんでの地域でございますので、今度の裁定は涙をのんでやむを得ざる措置であると、こう考えております。従って有松町に対してはいろいろな方法でできるだけ援助いたしたい、こう考えております。
  225. 小林武治

    小林武治君 私は今度の視察の結果、どこの府県に行っても、町村合併促進法というものが羊頭狗肉にもならぬ犬の肉ぐらいはありそうなものだと思ったところがそれもないと、こういうことを言うて非難されておる。先般参議院でも合併町村の育成についての決議をしておるのでありますが、実際合併した町村の不平不満というものは相当深刻なものがありますが、これについて、あの決議に対する措置としても何か政府としておとりになったことがあるか、または今後どういうふうになさるかということを一つ伺いたい。
  226. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 先般の参議院の御決議の中にあります具体的な問題としては、山林の払い下げの問題、あるいは郵便局、電話局を増設する問題などがあります。これは直接私どもの所管でありませんので、それぞれ関係当局者に強く要請をいたしております。電信、電話局の問題につきましては、予算関係もありますが、とにかく新設は合併市町村を優先するということにきめまして、建築などについてはだんだん序列をきめておるようであります。その他自治庁限りでできますことにつきましては、特に合併町村に対しては起債を優先的に認めるということでありまして、庁舎の建築等につきましては、今年の起債におきましても相当希望に応じるようにいたしております。先般の御決議は私どもはもとより、関係の各省庁とも尊重してやっておるわけであります。
  227. 小林武治

    小林武治君 他省の関係もむろんぜひ口添えをしてもらわなければいけないと思いますが、自治庁自身の問題として、たとえば来年度予算関係にいたしましても、合併町村に対して、このように合併したために特別の措置をするというようなものを何か予算的にもお考えになることがあるかどうか、一つ……。
  228. 小林與三次

    説明員小林與三次君) これはごもっともでございまして、自治庁自身としては事業費というものは持っておらぬものですから、その点が非常につらいのでありまして、結局合併町村の仕事の大半は新しい建設事業をどう合理的にやっていくかという問題で、そういう面は税制面なり、起債の面なり、特別交付税の面で積極的に協力する以外に手はないのでありますが、それ以外にもできるものならば、自治庁の役割として考えられるものとすれば、すみやかに市町村の組織、機構というものを合理化して、しかも市町村の従来の建設計画がどっちかといえば、少しうつな総花式のものがあって、しっくりした合理的な経営計画ではないのでありまして、これをもう少し合理的ならしめるような積極的な措置を考えるとともに、組織とか機構というものを合理化するのを援助するための何らかの特別措置というものは考えられぬだろうかということ、こういうことを中心に考えて、来年度はどうせ合併に要する経費というよりも、むしろその新市町村育成のための経費というものを中心に予算を考えたい。こう思いましていろいろ頭をひねっておるのでありますが、町村会なり市長会の意見等も参酌して、自治庁としてできる問題につきましては、できるだけのことをやりたいと、こういうふうに考えております。
  229. 小林武治

    小林武治君 今の問題はわれわれも本法案の提案者として大いに責任を感じているわけでありますが、われわれとしては何とかあの法案の趣旨を少しでも生かしてもらいたいということを政府に要望する以外にないわけでありますが、今までのところ合併のよさは何もないということを極論いたしておりますから、今までのところはともかくとして、来年度については何かこれが育成のための措置といったものをぜひ一つお考え願いたいということをあらためて要望しておきます。
  230. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) その点について専門員室の方でも研究してもらっているわけですが、あなたの方で合併市町村の建設計画を目を通しておられるわけですが、それについて何か整理せられて統計的なものにして、何が最大の地方の要請、要望であるか、何が当面の課題であるかということがわかるようなそういう資料を整えていただけないものですか。それによって政府並びに国会といえども何らか処置しなければならぬという問題点がはっきり出てくれば、前進だと思うのですが、いかがですか。
  231. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 従来の建設計画、今、委員長のおっしゃったような形でまとめたものはきわめて膨大な数字になっておりますが、ありますから、これは一つ提供いたしたいと思います。
  232. 秋山長造

    ○秋山長造君 けさほど長官のお話で、二十九年度地方赤字が二百億円以上もふえた、そのおもな原因として、町村の赤字が六十億もふえたというお話があった。この町村の赤字が六十億もどかっとふえたということと今の問題と関連はないのですか、その点伺いたい。
  233. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 合併の際に合併された町村が赤字を持ち込んだということが一つの大きな原因になっていることは事実であります。私どもが予想しなかった六十億がふえたということは、そういう原因だと思います。
  234. 秋山長造

    ○秋山長造君 合併するときに持ち込んだということならば、合併以前にもあった赤字だから、それは今までの自治庁の統計数字に当然町村の赤字として出ておったはずじゃないのですか。今度二十九年になって六十億ぽんと出てきたということは、つまりさっきの小林委員のお話のように、せっかくの合併をやらしてもその裏づけを与えないために、本来経費の節約をねらってやった合併が、実際には非常な経費を食い込んだ結果になっている、それが六十億の赤字になって出たのじゃないかというように思えるのですが、その点を伺います。
  235. 小林與三次

    説明員小林與三次君) 今秋山委員のおっしゃいました点はごもっともでありまして、われわれといたしましても一番気にして、市町村の赤字が多くなった原因を調べているのであります。そのうち特に新市町村の分につきましては注意をして、実態をもっと明らかにしようというので、今新市町村全体に個別的の精細な調べを実施いたしつつあります。で、今のところは私どもの想像でありますが、大体のところでは合併に直接関連していろいろ仕事をやったというもののあることもこれは事実であります。それと同時に多くはやはり前の町村——合併にかかわりのない町村自体のものでありまして、これは表に現れておらなかったのが合併によってはっきり表に出てきたというものもかなりあるのであります。そういうようなものをもう少し分析して見て、そうして合併市町村の財政の実状を明らかにし、これに対する対策を総合的に立てる必要があるだろうというので、さっそく今実情を調査しております。この調査の結果が明らかになればまたお知らせ申しまして、御注意を拝聴いたしたいと思います。
  236. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  237. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) 速記をつけて。  では次に警察関係の諸問題について調査することにします。まず神奈川県における通牒の問題と、砂川町、大高根における基地の測量の問題、強制立ち入りの問題にからんでの警備の状況、その始末、これらについて当局の御説明を求めます。
  238. 石井榮三

    説明員(石井榮三君) 最初警察寄付の問題につきまして、当委員会におきまして、去る七月真剣にお取り上げいただきまして、御批判、御鞭撻をいただきました趣旨にのっとりまして、七月二十一日付をもちまして通牒を発しまして、第一線の善処を促していることは、さきに御報告申し上げた通りでございます。その後の実際運営の状況につきまして一言御報告させていただきたいと存じます。  通牒を七月二十一日に発しまして、翌日七月二十二日に管区警察局長会議を開きまして、その趣旨の徹底をはかったのであります。管区警察局長は、それぞれ帰任の上管区内の各府県本部長にその趣旨の徹底をはかったわけであります。さらに引き続きまして八月十日に全国の都道府県本部長会議を招集いたしまして、この会議の機会を利用いたしまして、さきに管区警察局長を通じて趣旨の徹底をはかったものを、重ねて趣旨の徹底をはかるために議題に供しまして、十分その徹底をはかったのであります。とりあえず従来の警察後援会解財政援助を主たる目的とする後援団体等の寄付は一切受けないということをまずやってもらいたい、在来それ以外の寄付につきましても、抑制についてはかねがね私どもの方では指導をいたしておりますが、それは申すまでもないことであります。それ以外に新たに先ほど申しました通り警察に対する財政援助を主たる目的とするいわゆる後援団体式のものから寄付を受けるということは、この際即刻やめてもらいたいということを、これは直ちに実施をしてもらったつもりであります。趣旨は十分末端まで浸透いたしたと思っております。そうした後援団体の廃止の問題でございますが、これは警察自体で持っておる団体でなく、外部の方で組織されておる団体でありますので、これが廃止の手続等につきましては若干時間のかかるのは、これはいたし方ないのであります。形式的に会を廃止するというような手続につきましては、その後すでに実施した所もありましょうし、まだその手続中の所もあろうかと思います。そうした全国的なすべての調査、統計的なものはまだ私どもの手元に集計をいたしておりませんので、近い機会にそうした統計調査をやってみたいと思っておるのであります。現在そういう進行状況にあることを御報告しておきたいと思うわけであります。私どもの承知いたしておるところでは、各府県本部長はいずれもこの趣旨を十分了得してくれまして、その線に沿って着着措置をしてくれておるものと確信をいたしておるのであります。いずれ近い機会に具体的な数字その他の資料をもってあらためて御報告さしていただきたいと、かように存じておる次第であります。  次に問題になりました神奈川県の捜査に関する通達の問題でございます。これは神奈川県の本部長が犯罪捜査の実績を上げるために、特に知能犯捜査につきまして、神奈川県では従来あまり十分な成績が上っていないというところからいたしまして、知能犯検挙の態勢整備確立という観点から通牒を発することを計画いたしたのであります。これは八月の初めにそうした通牒の案ができましたが、事柄が事柄でありますので、ただ単に通牒を第一線の署長あてに流すだけでは趣旨の徹底が十分はかれないし、また誤解等があってはつまらないというので、署長会議あるいは捜査係長会議というものを招集いたしまして、その機会に十分趣旨の徹底をはかりまして、初めて通牒を発するということにいたしたようであります。それは八月の、日ははっきり記憶いたしておりませんが、中旬であったように記憶しております。それが日ならずしてある新聞の記者の察知するところとなりまして、日はあるいはちょっと違っておるかもわかりませんが、私の記憶では八月二十四日であったかと思いますが、の新聞にこういう通牒が神奈川県本部長から第一線に出された、これは行き過ぎではないかという意味の御批判があったのであります、それまで私ども中央におきましては、神奈川県でそういった通牒を出されたということは全然知らなかったわけであります。新聞にその記事が出るに至りまして、初めて新聞社の方から私自身にも、こういう通牒が神奈川県で出されておるようだがどう思う、こういうお尋ねがあったのであります。私何も正式に報告を受けておりませんでしたので、新聞社の方でおっしゃることをかりにそのまま正しいといたしますならば、その前提に立って私の意見を申し述べるならば、それは明らかに行き過ぎである、従ってさっそく実情を調査して善処させたい、こういうふうに私は答えたのであります。新聞にも私の談としてそういうものが載っておったと思うのであります。で、私は直ちにその日に神奈川県本部長に、こういう種類の通牒を出したということを新聞社から聞いてきたが、果して事実かということを確かめましたところ、そういう通牒を実は出した、内容はどういうものであるか、かくかくのものであるということで、おおむね新聞社の方にキャッチされておるものとほぼ間違いないものでありましたので、それはどうも適当でないと思うからさっそく善処するようにという注意をそのときいたしておいたのであります。神奈川県の本部長におきましては、さっそく私のその注意を受け入れてくれまして、即日でありましたか、あるいは一日間があいたか、ちょっとはっきりいたしませんが、とにかくこれはまずかったというので全面撤回をいたしておるのであります。従いまして、署の方におきましては、まだ実際にその通牒に基いての活動に入らないうちに、幸いと申しますか、これがそういう措置がとられましたので、実害を惹起することなくしてこれを撤回し得たということは、せめてもの不幸中の幸いであると、かように存じておるのであります。  次に基地の問題について御報告さしていただきます。最近基地の問題につきましては、特に具体的には砂川町の基地拡張の問題と大高根の基地拡張の問題につきまして、若干のトラブルがございましたので、これについて状況を御報告いたしたいと思います。  基地問題につきまして、私ども警察の態度と申しますか、これをこの際一言申し上げておきたいと思うのであります。基地問題に対しましては、地元の方々の熾烈なる反対運動があるのでありますが、この反対運動に対するわれわれ警察の態度は、反対運動そのものに対しましては警察は不介入、不干渉の原則を堅持いたして今日まで参ったつもりであります。また今後もそうでありたいと思っております。しかし、それはどこまでも反対連動が合法のワク内において行われる場合に限るのでありまして、いやしくも反対運動が行き過ぎのあまり不法事態を発生するということになりますならば、警察の職責上これを取り締るという態度に出ざるを得ないことは自明の理でございます。今日までこういう基本的態度をもってこの問題に対処してきたつもりであります。基地の関係の地元民の方々の心情を思いやりますと、先祖伝来の土地を国家的要請のためとは申しながら奪われるということは、まことに忍びがたいものがあることは、私どもも十分に御同情申し上げておるのであります。従って関係当事者の間に円満に話し合いが進められまして、納得の上で問題が解決されることが最も望ましい、できるだけそういうふうにありたいということを私どもは常に念願をいたしておるのでございます。そういう意味合いにおきまして、合法的な反対運動が行われることは、われわれはこれに対して、先ほど申します通り何ら介入せず、干渉しないという態度をもって今日まで参りましたし、今後もまたそういたしたいと思っておるのであります。  さて具体的に最近の砂川基地の問題あるいは大高根の基地の問題につきまして、経過を御参考までに申し上げてみたいと思うのであります。詳しいことを一々申し上げますのは煩にたえないと思いますので、私ども警察関係を持ちました部分だけについて申し上げたいと思うのであります。調達庁が基地拡張のために所要の手続をとられまして、いわゆる立ち入り調査をされることになりまして、第一回の測量を実施しようとされたのは六月三十日であります。六月三十日から七月一日、七月二日、この三日にわたりまして第一回分測量実施を計画されたのであります。この六月三十日にまず五日市街道の道路上の測量に着手をされたのでありますが、その際地元民約五十名、応援労組員約八十名の方が五日市街道上にスクラムを組みましてこの調査を阻止されたのであります。さらに翌日の七月一日には地元の方が約五十名、応援労組の方が約二百名、前日同様に阻止されまして、測量班員の乗っている自動車が取り巻かれ、あるいは押し返され、測量は結局二日ともできなかったのであります。さらにその翌日の二日には地元民約五十名、労組員約百五十名の方々によって、これまた前日、前々日同様阻止されまして、測量が結局できなかったのでありますが、そのときに調達局の不動産部長がみぞに転落してけがをするといったような事故もあったのであります。この際警察はどういう態度をとったかと申しますと、先ほども申しました通り、私ども警察といたしましては、できるだけ当事者間で円満な話し合いのもとに納得されて、この問題が押し進められることをかねがね念願をいたしておりました。地元民の熾烈なる反対の気持も十分にわかりますので、わずかの軽微なトラブルのために直ちに警察が出動してこれを抑えるといったようなことは、かえって地元の人たちの気持を刺激し、事態の解決のためにならないのではないか、こういう見地からこの第一回の測量の六月三十日ないし七月二日の状況の推移につきましては、警察といたしましては、おおむねこれを形勢観望をするという態度で臨んだのであります。若干の私服員等を現場に出しまして、状況等を見ておるという程度のことはいたしましたけれども、制服警察官を現場に派遣するといったようなことは差し控えたのであります。  第二回の測量実施がちょうど調達庁によって計画されましたのは八月二十四日であります。このときには前回の例もありまして、調達庁側といたしましては、警視庁に対しまして測量に対する警備を要請してこられたのであります。従って警視庁といたしましては、第一回の場合の状況にもかんがみ、ある程度警察力をもちまして、当日の交通の整理あるいは測量班員の業務に対する妨害を排除するということのために、若干名出動させるのが適当であろうという見地に立ちまして、約四百五十名を出動せしめたのであります。しかしながらこの日も調達庁の測量班員が現地に臨みまして、現地の方々といろいろ話し合いをしようという申し入れに応ぜられて、話し合いを一日ほとんどされまして、結局話しがまとまらないで、午後三時ごろになりまして、測量を実施したいということでありましたので、その測量が円満に行われるためには、その測量を妨害している状況にある事態を解決をしなければ測量はできないわけでありましたので、警察といたしましても、道路上にすわり込んでおられる地元民、あるいは労組の方々にどいていただくようにお願いをいたしたのでありますが、   〔委員長退席、理事石村幸作君着席〕 なかなか再三の警告では聞き入れていただけなかったので、この際は警察の実力を行使いたしまして、交通整理のために道路警戒の作業をいたしたのであります。測量隊が現場まで到着いたしましたときには、かなり時間もかかりました関係上、その日の測量は事実上ついにできなくなって、そのままその日を過ごした、こういう状況であったのであります。翌二十五日以後地元の方で話し合いをいたしたいということでありまして、また調達庁当局といたしましても、できることならば十分話し合いをいたしまして、事態を円満に解決したいという熱意をもちまして、調達庁長官あるいは東京都知事が地元民との交渉を行なったのであります。従って二十五日以後、そうした話し合いが続けられまして、測量は実際には行なわれなかったのであります。かねてこの測量実施の公告期間は八月、二十一日までということになっておりましたが、話し合いのために時間が費やされまして、とうとう八月三十一日までには実際上の測量はできないでこの期間は過ぎてしまったのであります。そこで調達庁といたしましては、あらためて立ち入り調査の手続を九月二日にとったのであります。そうして若干の準備期間をおきまして、九月十三日、十四日この両日に立ち入り測量を行うという実施計画を立てられたわけであります。この九月十三日になりまして、いよいよ調達庁は正規の手続に基く立ち入り測量を行うということに相なったのであります。警視庁におきましては、第一回の測量あるいは第二回の測量の計画が結局実施されなかったという状況にかんがみまして、第三回目のこの九月十三日以後の測量に際しましては、ある程度警察官を派遣をいたしまして、交通整理に当るとともに業務妨害等の不法事案の起らないようにこれを防止する、こういう必要があろうという見地から警察官の派遣を計画いたしたのであります。九月十三日に警視庁の方で情報等に基きまして、地元民並びに応援労組員方々おおよそ数千名が動員されるのではないか、こういう情報もありましたので、警察官の派遣も従来よりも若干分厚にしなければならないという見地から、九月十三日には約千六百名の警察官を用意いたしたのでございます。五日市街道の交通整理に当るとともに調達庁の測量の円満に遂行されるよう業務妨害等の不法事案を防止するという任務をもって警察官が配置に着いたのであります。実情は五日中街道に多数の地元民、応援労組員がすわり込みをいたしまして、これではとうていそのままでは立ち入り調査などできない状況でありましたので、交通安全確保のため妨害行為の停止を再三警告いたしたのであります。これを聞き入れていただけなかったので実力をもってこれを排除し、この日公務執行妨害容疑で三名の者を検挙いたしたのであります。翌十四日も警察といたしましては前日の状況にかんがみ、またいろいろ情報等によりますならば、やはり前日同様相当多数の者が動員され、測量の妨害をされることが必至でありますので、警察官をこの日も約九千百名出動させまして、前日同様道路上にすわり込みやピケをはり、交通を妨害している多数の労働員、地元民に再三の警告にもかかわらず立ちのいてもらえなかったので、実力の行使によってこれを排除いたしたのであります。この日には二十五名の公務執行妨害、あるいは往来妨害、道路交通取り締り違反容疑で検挙いたしたのであります。別に警察官のカメラを強奪した事件について三名の者を検挙し、合計この日は二十八名の者が検挙されたわけであります。なお検挙になりました十三日の三名、十四日の二十八名の方々のその後の状況でございますが、現在三名を残して他は全部釈放になっておるのであります。  なおこの九月十三日、あるいは十四日の砂川基地における警察取締りの際、相当のもみ合いがありました関係上、警察側にも相当数の負傷者、相手方にもかなりあったように聞いておるのでございますが、相手方の負傷者の方は私どもまだ調査中でありまして、正確な数字をつかんでおりません。警察側の負傷者の数は九月十三日六十四名、九月十四日に三十名、合計九十四名の負傷者を出しておるのであります。その中で全治十日以上の、重傷と申しますか、けがをした者が二十一名あったと記憶いたしております。なお警察官の装備、被服等に対する被害、破損したもの、紛失したもの等、約二百七十点あるのであります。いかにお互いにぶつかり合いが激しく、もみ合ったかということがこれで御想像願えるかと思うのであります。  次に大高根の基地の問題について申し上げます。大高根の基地の立ち入り調査は、今月の十六日から実施されることに調達庁の方で計画をされたのであります。九月十六日当日は測量班が現地に到着いたしましたところ、待機中の地元の方から、地元側の方から話し合いをしようではないかということでありまして、一応それに測量班は応じまして、話し合いをいたしたのでありますが、話し合いはなかなか円満に進まないと申しますか、平行線でありまして、結局この日は午前、午後とも話し合いで終始いたしまして、測量は全く行われなかったのであります。この日に地元側におきましては、地元の方並びに応援労組員の方々合せて約五百名くらいの人が要所々々にピケを張って、測量班が地元に到達するまでも再三阻止をされておるのであります。しかし先ほど申します通り、この日は話し合いで終始いたしまして、実際に測量は行われなかったのであります。警察といたしましては、一応万一に備えて、警察官を約五百五十名ぐらい待機をさせまして、実際にはこれを現地に全部出動させる必要はなかったのであります。状況視察、あるいは若干の警戒の意味を持たせまして、約二百名を近くまで派遣をいたしたのにとどまったのであります。この日は格別の事故もなかったのであります。むろん地元民の方々によって途中の道路で検問を開始し、あるいは六尺大の丸太を道路に持ち出して通行を妨害するといったような行為もありましたけれども、それは警告によりまして簡単に中止されました。それ以上私どもの方でも潔く追及するということなしに終りましたので、この日は特に大きな事故というものはなくて済んだわけであります。翌十七日に、もはや前日の経験に徴して話し合いを繰り返してもむだであるという結論に到達いたしました。調達局側といたしましては、計画通り測量を実施するという態度をきめたわけでございます。警察側といたしましては、調達局側より、従って警備の要請もありましたし、また警察自体の判断におきましても、前日の経験にかんがみまして、相当数の地元民並びに応援労組員の方々の動員があり、道路にピケを張り、すわり込みをする状況であることは必至であると見ましたので、警察官を必要数出動せしめることにいたしたのであります。こり日の警察官の出動数は、制、私服合せまして約八百名ぐらい出したかと思っております。地元民並びに労組員の方々の出動数はどの程度であったか、正確な数字は私どもつかみにくいのでありますが、大体推定されるところ五、六百名であったかと思います。警察の出動数が少し多過ぎなのではないかという感じをお持ちになるかもしれません。相当数動員されることと思ってわれわれの方は用意いたしたのであります。約八百名ぐらいのもので、これはむろん最高の数字がそうであります、状況に応じまして、必要のないものは適宜撤退、引き揚げということはやっておるのであります。この日の事故は道路上におきまして、丸太を横たえて測量班の測量を妨害したという悪質な者三名を検挙いたしたのであります。これは十七日の事故であります。午後に一名、これは測量班の測量器の足をつかんでゆさぶり、暴力によって測量を妨害したというかどによりまして一名検挙いたしたのであります。合計三名の検挙を見たのであります。この日の検挙者はこれだけであります。翌十八日は、やはり前日同様地元並びに労組員ほぼ前日と同数ぐらいではないかと私どもの方では推定をいたしておるのであります。道路上のピケ、すわり込みによりまして、測量妨害が行われたのであります。これを排除し、測量の円滑なる実施をはかるために警察側はやはり前日同様の派遣出動をいたしたりであります。これも先ほど申し上げた通り最高時が八百五十名でありまして、状況の推移に応じまして適宜撤退をいたしておるのであります。この日の事故は、業務妨害容疑で二名検挙いたしただけでございます。大体以上あらましを申し上げたのであります。  なお申し落しましたが、この九月十七、十八、両日における大高根における取締りに際しまして、警察官の負傷いたしました者は三十名、肋骨亀裂した重傷者一名、あとは軽傷でございますが、三十名の負傷者を出したのであります。地元民並びに応援労組員の中にも若干の負傷者があったのではないかと思うのでありますが、これは私どもの方ではまだ調査中でありまして、正確な数字はつかんでおりません。いずれにいたしましても、こうした砂川において、あるいは大高根において、警察と地元民の間にトラブルが起りまして、双方に相当多くのけが人を出すというような不祥事態を起しましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。われわれ警察側といたしましては、このような秩序の維持のために必要やむを得ない実力行使をしたつもりであります。その結果こうした双方にけが人を出すといったような不祥事態になりましたことは、返す返すも残念でございます。あるいはいろいろの御批判がありまして、警察の行き過ぎと申しますか、そういった声も聞くのでありますが、われわれ現地から報告をきいておるところでは、警察といたしましては、必要最小限度の実力行使をいたしたものであるというふうに聞いておるのでありますが、しかし一方的な部内の広告のみに基いて、われわれは何ら反省をしないということがあってはならないのでありまして、あくまで謙虚に反省すべき点は反省いたしまして、もし警察側でも行き過ぎがあるとするならば、そうした点については今後十分に反省をいたさなきゃならぬと存ずるのでありますが、今日まで私の第一線から聞いております報告におきましては、警察といたしましては、やむを得ない必要最小限度の実力を行使したものであるというふうに相なっておるのであります。  一応簡単でございますが、以上概況を申し上げまして、終りたいと存知ます。
  239. 石村幸作

    ○理事(石村幸作君) 速記をちょっととめて。   〔速記中止〕   〔理事石村幸作君退席、委員長着席〕
  240. 小笠原二三男

    委員長小笠原二三男君) じゃ速記を起して。  ただいまの各種の報告についての質疑は後日に回しまして、本日はこれにて散会いたします。     午後五時十八分散会