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1955-07-27 第22回国会 参議院 大蔵委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十七日(水曜日)    午前十一時十三分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     青木 一男君    理事            西川甚五郎君            山本 米治君            土田國太郎君            平林  剛君    委員            青柳 秀夫君            岡崎 真一君            木内 四郎君            白井  勇君            藤野 繁雄君            片柳 眞吉君            小林 政夫君            杉山 昌作君            前田 久吉君            岡  三郎君            天田 勝正君            松澤 兼人君            中川 幸平君            最上 英子君            鮎川 義介君   政府委員    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    農林省蚕糸局長 塩見友之助君    運輸省自動車局    業務部長    岡本  悟君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    労働省労働基準    局労災補償課長 松永 正男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○糸価安定特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○労働者災害補償保険特別会計法の一  部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○自動車損害賠償責任保険特別会計  法案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 青木一男

    委員長青木一男君) これより委員会を開きます。  糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案を議題として質疑を行います。
  3. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 糸価安定の特別会計法の一部改正案につきまして一、二点質問いたしたいと思いまするが、内容としては、本法案の内容については非常に繭の買入れまで進んでおりますから、実体的には賛成でありまするが、ただ従来三十億の一般会計からの繰入金が財源でありまするが、さらに今回仕事の幅を拡張したにつれて、三十億ですか、三十億を限度として借入金なり、あるいは証券の発行ができることになっておるのでありまするが、ただこの特別会計歳出の面を見て参りますると、第四条第一項の改正に属しまするが、農業団体で繭の保管をする場合に、その経費助成することになっておりまするが、まあかような生糸なり繭の売買会計においてその助成金のようなものを出すことは、売買会計の性格から見て、やや邪道ではないかという実は感じなんです。言葉をかえして言いますれば、そういうような乾繭保管等に要する費用というものは必要がありますれば、これはむしろ一般会計で持つべきであって売買会計健全性を保持する点からも、この特別会計助成を出すということは多少どうであろうかという感じを持っておりますが、この点がどういうお考え方政府はとっておりまするか、その点をまずお伺いをいたしたいのであります。
  4. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) あるいは大蔵省の方からお答え願うのが適当かもわかりませんけれども、私から一応お答え申しますが、特別会計補助金を出す例はほかにもあるそうでございまして、大蔵省との折衝の過程においては、政府でもって繭を最後には買い上げるというふうな形を今般はとりましたものですから、その買い上げの予備的な行為というふうにも、特別会計から見れば理解できるわけなんであります。またこの数量や、それから従って補助金額等もその年の市況、それから繭の生産状況等によって相当ふれまするので、そういう関係からして、大蔵省と協議いたしまして、その特別会計の方から、予備費から支出するというふうな方式をとったわけでございます。で、御懸念の向きは全く、特別会計運営者であるわれわれの方としても、全くそういう心配はあるわけでございまして、その点につきましては大蔵省と協議いたしまして、予備費の方からこの補助金が、繭の共同保管に対する補助金が出ました場合には、翌年度一般会計からの繰り入れでもってこの会計健全性を確保すると、こういう話し合いになっておりますので、そういうふうに御了承を願いたいと思います。
  5. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 それでありますれば、その年に予備費から助成費を出した場合においては、翌年度一般会計から肩がわりをするというのであれば私はけっこうと思います。要するに三十億は一般会計からの繰り入れ財源でありまするが、あとの三十億は借入金をして助成をするということになると、きわめて私は、むしろこの会計の将来のために、そういうようなものはやはりそういうような一般会計で次年度において肩がわりをするということが私はけっこうだと思いますが、大蔵省でもその方針について御異議がないのですか。
  6. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答えいたします。先ほど塩見局長の言われました御趣旨は、大体予算折衝の際におきましても、そういうお話しが出ておったように承知をいたしております。ただ、ただいま御指摘のように、この繭あるいは生糸等につきましてのこれは売買をいたす会計でございまして、この本来の目的を逸脱する、あるいは本来の目的を阻害するようなことに相なっては、御指摘通り困るわけでございまするから、この会計の収支につきましては、毎年これは予算をもちまして、むろん国会の議決を経るわけでございますが、その際ただいまのような点につきましては、常に一般会計との関連を考慮いたしまして、この会計が本来の目的とする機能を営む上に支障のないようにして参りたい、こういう考え方をとっておるわけであります。御承知通り幸いにして今日のところこの会計相当の余裕を持っております。御心配の点は今のところないわけでございますが、将来そういう懸念が生ずるような場合におきましては、一般会計におきまして本来の目的たる機能を営む上に支障のないようにして参りたい、かような考えを持っております。
  7. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 大体了解いたしました。要するに売買会計健全性を保持する点から、そういうものは私はむしろ一般会計で持つべきだということで了解をいたします。  その次に資金調達証券の発行あるするか、あるいは借入金はどういう方面から融資を受けるか、大体その見当をお答えいただきたい。
  8. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。証券はこれは日本銀行であります。それから一時借入金でございますが、これは国庫予備費の繰替使用をいたす場合が多いのでありますが、その他の場合は運用部資金をもちまして借り入れをいたす場合もあるわけでございます。
  9. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 それから最後にこれはきわめて形式的なことでありますが、繭糸価格安定法で、相当今度繭の買い入れまでできる、養蚕農家等に徹底した改正案今本会議にかかっておるわけでありますが、名称だけの問題でありますが、繭でもおかしくはございませんが、片方は繭糸価格安定法でこっちは依然として糸価安定になっておるわけですが、これは名前だけのことでどうこう言うことはないのですが、実体的に今度は繭に相当力を入れてきておりますので、名前についての何かそんなような議論はなかったのでありますか。
  10. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 内輪話を申し上げて恐縮なんでありますが、実は予算を先にいたしまして、糸価安定特別会計予算ということで出まして、法律あとから出ました際に、繭糸価格安定法という名前法律になったのでございますが、特別会計の方は予算に合わすということで従来の名称を残しております。お話の点は多少しっくりいかない点があるわけでございますが、一応本年度はこういうことにいたしまして、適当な時期になお検討いたしたいと、かように考えております。
  11. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 これは蚕糸局長に御質問いたしたいのですが、今度のこの改正案でいって、さしあたりこの特別会計損益関係が、遠い将来はいざ知らず、今年なり、来年ぐらいに……、これは今までの助成金が出ても相当黒字が出るようなお話でありますが、私も過去の例からすれば相当黒字が出るのではないかと思いますが、これくらいの見当ならば、本年度あるいは翌年度の数字の見通しがありますれば御説明願いたい。
  12. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) やはりこの特別会計黒字と申しますのは、基金であります三十数億の金利が主体であります。それから支出はこの会計に従事しております二十名余りの職員の経費、それから事務費等になっております。それでその差額が大体七千万円ぐらいと記憶しておりますが、その程度のものでございます。ですから乾繭共同保管によりまして補助金を出しますとすると、乾繭共同保管をやりまする数量がわければ、それはその年はとんとんぐらいでやっていけますが、乾繭共同保管数量が百万貫をこえるというふうなことになりますると、その年自体は赤になります。それは先ほど申し上げましたように翌年度一般会計から繰り入れという形で健全性を維持していきたい、こういうふうに考えております。来年度状態は、まだ私の方は市況、それから法律の施行によりましてどれだけ生糸買い入れが起りまするか、あるいは繭の買い入れ等が起りまするか、その点の予測がつかないものですからちょっと見当はいたしかねますが、たとえば会計の方としましては、糸を買い上げました場合でも、金利のつかない基金でまずやっていくというふうな形をとりまして、借り入れをやりました部分の金利だけはどうしてもこれは三十億以上に糸を持つ場合には払わなければなりませんから、それはまあその糸を最高価格で売った場合に黒が出てくる、こういう形になりますので、市況の差によりましてその点は変ってくるので、来年度のことはちょっと今のところ予測はつかない、こういう関係でございます。今年度については黒字が出ると、こうお考え願ってよろしいと思います。
  13. 山本米治

    山本米治君 蚕糸局長にお伺いしますが、この三十億円の資金で今までこの操作をやる基金となっておったわけでありますが、今度新たに三十億を限度として一時借入金ができることになったわけですが、この安定法対象の中には玉繭による糸——玉糸と言いますか、それは多分入っていないのではないかと思うのですが、今までこれを入れてくれという要望相当あったように聞いておりますが、この点についてはどういうふうにお考えになっておるかお伺いいたします。
  14. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 玉糸につきましては八割以上九割ぐらいのところが輸出に向けられております。そして今般の法律では国会からも強い御要望がございましたし、それで第九条の二によりましてその輸出適格生糸特別買い入れという、輸出適格生糸といたしますと、玉糸を十分に取り入れましてそしてそれで買っていく、それでもって八割から九割のものは価格が実際上は維持されます。ですから特別買い入れというのは、上値を押えるための一つは特別買い入れでもございまするけれども、しかしながら一方は下値に対しまして十分買い入れ価格によって支持されるわけでございますから、間接にはそれで玉糸も十分安定できる、こういうふうに考えております。
  15. 山本米治

    山本米治君 ちょっとはっきりしなかったのですが、この三十億円の基金、これで買うわけですか、この中でワクでも設けてあるわけですか。
  16. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 三十億円プラス三十億円計六十億円のワクの中でもってやりくりするわけでございます。本法では第九条の二で輸出適格生糸特別買い入れというふうな項目がございます。これは輸出適格生糸としまして現在その第九条で買い上げておりまするもののうち、まあ十四中あるいは二十一中、輸出適格品とは見られないようなものは、これは除きまして、輸出として非常に高いものを買います。そのほかに今まで買い入れはやっておりませんけれども、玉糸のように輸出として非常に比重の重いものを加えまして、そして輸出適格生糸政令で指定する予定でおります。玉糸についてはそれで十分価格安定ができるだろう、これはそのねらいもございまして、輸出適格生糸買い入れということを考えたわけでございます。
  17. 山本米治

    山本米治君 それでは基金三十億円プラス今度の借入金三十億円の限度内において輸出適格という条件に合する限りは、別にこの中でワクというのでなしに、その条件に合する限りは、この資金の範囲内で売買ができると、こういうことになっているわけですか。
  18. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) これは本法の第九条に書いてありますのですが、大体輸出価格の方を優先して押えたい、国内の方は今のような市況で、それで繭も足りない、糸も足りないという場合には、紺屋の白ばかまと申しますか、外国にだけは迷惑をかけない。最小限度もし政府が持ちました糸があれば、こういうことで輸出の分だけは価格をしっかりかためたい、こういう考えでございます。その輸出のために必要な数量というようなものですね。価格を保持するために必要な数量というものを、本法の方では政令でもって定めることになっております。大体現在のところは民間の権威者の意見も聞き、われわれの方もいろいろの資料で検討しておりまするが、一月半ぐらいのものは、少くとも輸出最高価格で続けられるぐらいの数目黒を持てば、その間には相場は平静化して、それで大体安定をみるであろうと考えまして、輸出実績の大体一月半ぐらい、こう押えております。おそらく政令といたしましては、今われわれの方の腹ぐみは一万俵ぐらい、大体二十数億というところが輸出適格生糸として買い上げられる数量になるだろうと、こう思います。そのうちに玉糸が含まれております。玉糸普通生糸との輸出実績等をにらみ合せまして、これは年々変動もございますから、その中でいくらかの調整は行われると思います。その中で玉糸を買う、こういうことになると思います。
  19. 土田國太郎

    土田國太郎君 今の玉糸ですが、玉糸原糸で出るのですか、あるいは織物で出るのですか、あるいはまた輸出先はどこですか、それから大体の額ですね。
  20. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 大体玉糸原糸で出ます。輸出先はアメリカが圧倒的な比重を持っております。それから数量は大体一万俵見当で、かなり振ればございまするが、大体最近の二年ぐらいは一万俵程度に落ちついております。ちょっとして八千俵に落ちたり一万六千俵に上ったりいたしますが、大体一万俵見当で、価格としましては大体十六、七億、二十億円見当足らずというところになります。輸出実績は大体ここ数年の状態では安定しているように見受けられますが、そう一時のはやりとは言えないように大体思われます。これは政府として買い上げてよろしいのではないかと思います。
  21. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 片柳委員との問答を聞いておりますというと、この特別会計は黒になるというふうなお話のように承わったのであります。予算書を見てみますと、前年度までには約一億三千万円の黒字があるが、三十年度損益計算予定によると約五億円の赤字になっておる。そうするというと、今ままでの予算書とは違っておるようなことになるが、その相違の理由はどこにあるか。
  22. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。昭和三十年度糸価安定特別会計予算書をごらんいただきますと書いてあるのでございまするが、予備費を十一億四千万円計上いたしておりますが、この点が従来と違いまして、そういうふうにそれを経費の方にあげました関係で、御指摘のように損失という格好に一応なっておるのでございますが、これは立て方の問題でございまして、実質的には従来よりも特別会計内容はむしろよくなっておる、こういうふうに御了解いただきたいと思います。
  23. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうすると今御説明になったような理由で赤になるのだ、しかし実質的には黒だと、そうしますというと、今度繭を買い入れるということになり、繭の買い入れということになったらば、その数量は幾らかわかりませんが、それには保管料金利も要る、保管料金利というものも相当金額になるだろうと思うのでありますが、そういうような保管料金利というようなものを払ってでもなおかつ黒になるという御見当でございますか、その点お伺いいたしたいと思います。
  24. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) それは保管料金利を払いまする対象の繭の数量によります。きわめて市況が悪くて大量の繭を保管しなければならないというようなことになりますると、この会計だけでは足りないということになって赤字になりまするので、翌年度一般会計の方からそれは繰り入れてもらう必要か起ります、それから少量でありますれば、会計としましてはこの黒字の中でまかないまするが、本来やはりそういう補助金というものは特別会計……、先ほど片柳委員から御質問もありました通り売買価格安定を目的として特別会計で操作するのは本旨ではございませんし、この会計健全性を保つ意味において、一般会計から翌年度繰り入れてもらうということになりますので、その年としましては赤字が出ることがございます。
  25. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 繭を保管する場合においては農業協同組合連合会倉庫を利用する、こういうような説明のようでございますが、その乾繭倉庫保管するのに十分安心ができるような倉庫を持っているものかどうか。もし持たないということであったならば、保管のいかんによっては品質に重大影響を及ぼすのでありますから、完全な保管方法は別に何かお考えになっておられるか、その点お伺いしたい。
  26. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 現在繭の共同保管をやります場合の必要な施設として農業団体で持っております乾繭設備は全国で七十六カ所ございまして、乾繭器が百三十二台、繭倉庫が九十五棟ございまして、乾繭保管能力は全部で二百九十六万貫ということになっております。普通の乾繭共同保管をやります場合には、これだけの数量であれば十分足りるわけでございまするが、事実問題としましては地域的に非常に偏在しております。これをやはり全国的に一部の繭をたな上げいたしまして価格を維持するのでございますので、あまり地域的に偏在していたのではその効果は達成しがたい、こういうことになります。それでどうしても一部は営業倉庫であるとか、あるいは場所によっては製糸の倉庫であるとかいうものを利用して参るということではなかろうか。そういうやり方といたしましては、繭を担保として金を貸しまするところの農林中金なり信連なりというふうなところが、政府が買い上げるだけでなくて、団体共同保管をやる場合の金融機関が非常に関心が深いわけでございます。  それで本法通りましたならば、金融機関とそれから農業団体、それから政府及び県の方と共同いたしまして、それで地域的にいざというときに、どういう設備で、どういうような神域に分配して、どのくらいの倉庫を使用するかという計画をあらかじめ立てておきませんと、そのときに手違いを起す危険もありますので、できるだけ早くそういう倉庫調べをいたしまして、それでもし農業団体倉庫等でもって設備等が十分でない場合には、それは農林漁業金融公庫における特殊融資もございますし、そういう点で設備を補修してもらうなり、そういう点での態勢は十分整えていきたい、こういうふうに考えております。
  27. 小林政夫

    小林政夫君 今の藤野委員の前段の質問で、この特別会計経理の仕方ですがね。これは食管会計にもそういうことは言えるわけでありますが、予備費として購入するものを買う金を使うための支出予算、これを予備費として計上する、ところが、当然相手方には予定予備売上費といいますか、売上収入、それを立てれば、こういう赤字損益計算書を出さんでもある程度済むのです。食管会計米等については、当然買えば赤字が何がしか出るのだけれども、予算書に書いてある通り赤字にはならんわけです。どうもわれわれがこういう事業会計を見るときには、何かそういう経理予備収入費というような項目はない建前になっておりますから、そういうことになるのでしょうが、工夫してみる必要があるのじゃないでしょうか。
  28. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 御指摘の点につきましては、私どもも実はただいまこの形について話をいたしておりまして、あまりいい形ではないと考えております。今小林委員の御指摘になりましたように、収入について検討を加えるか、また予備費としての支出権をどうしてもお認めいただきたいということでこういうことになっているのでありますが、一方におきましては、毎年特別会計予備費を非常にルーズに組んでおりまして、決算委員会でおしかりを受けているようなこともございますので、今回は法律改正に伴いまして、いろいろ予備費見積り等についても多少むずかしい点があったかと思うのでありますが、だんだん経験を積むに従いまして、予備費見積り適正化と、同時にこれに見合う収入を見ていくというような点につきまして、今後さらに研究を進めてゆきたいと思います。
  29. 杉山昌作

    杉山昌作君 ただいま小林君から特別会計の見方というようなことでお話があったのですが、それに関連して、法案第四条に繭の交換に伴う支出歳出、繭の交換に伴う収入歳入と規定されているのですが、交換に伴う収入とか支出というのは、いわゆる交換差額意味するのですか。
  30. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) さようでございます。
  31. 杉山昌作

    杉山昌作君 そういたしますと、百万円の繭を渡して百万円の生糸をもらうと、交換差額が出ないから歳入にも歳出にもちっとも計上されない。ところがわれわれ事業会計を見る場合には、小林委員のおっしゃるように、事業量がはっきり会計計算に現われるようなことが望ましい。実際は繭を百万円出して生糸を百万円受けたという事業をしていなから、会計面ではちっともこれが現われていないから、会計決算書を見たときに、どんな事業をしていたかということがわからなくなる。従ってこれは交換差額だけを計上するのでなくて、出した繭の価格を全部歳入に計上し、受けた生糸価格を全部歳出にあげるというようなことにした方が、事業の分量と会計計算とが合ってくるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  32. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 御指摘のような点がございますので、この法律におきましてはっきり交換ということをうたったわけでございますが、これは売買のほかに交換という関係になりますので、どうしても、今御指摘のように、現金の面に現われませんから、予算の全体の金額を見る上におきまして、明瞭を欠くのではないかというふうな疑念がございます。在高明細表というものはつけておりますが、これは一定の時期における現在高だけでございます。なお生糸の数昂は在高明細表ではっきりいたしますが、貸借対照表では金額で一応示しております。これだけではなお明瞭を欠くというような点はあろうかと思いますが、それらの点につきましては、現実に国会等に対しましては、どれだけの数量のものを交換したかということを明瞭に資料として御提出を申すべきではないかというふうに考えております。
  33. 木内四郎

    木内四郎君 正示さん、今の問題だけれども、繭と生糸交換の場合にはこれに入らないのですね。繭の交換に伴う繭同士交換の場合、繭の交換に伴うということで繭と生糸交換を含むのですか。含まないと言われるけれども、繭の交換に伴う支出という意味で、それで繭と生糸交換ということを含むのですか、ちょっと常識的に考えておかしいと思う。
  34. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 繭は保管上非常に変質もありますし、保管費もかかりますし、政府が取り扱うものとしては、糸に比べますと適当性はずっと低くなりますので、現行法では糸だけを買うことになっております。繭糸価格安定法の十二条の二で、本法の方では、「政府は、その保有する繭を売り渡し、若しくは加工し、又は生糸交換することができる。」というふうに本法では書いてございます。大体そういうような趣旨で、繭と繭を交換することは考えておりませんので、これは繭と生糸交換です。
  35. 木内四郎

    木内四郎君 そういうことはわかるのですけれども、それを常識的にいって、繭の交換に伴う収入とか支出とかいうことで常識的にわかるが、日本語としてわかるかというだけの話なんです。(笑声)
  36. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは御指摘通り、ただいま塩見蚕糸局長からお答えいたしましたが、本法の方の第十二条の二に一応対応する規定でございまして、さように御了解をいただけばけっこうと思います。
  37. 青木一男

    委員長青木一男君) 他に御質疑ございませんか。  私ごく簡単に一点だけお伺いしたいのですが、この法律は今のような経済状況の場合には繭糸価の安定に相当効果あることは明らかですが、一昨年のような事態ですね、経済界の好況のために最高価格よりも高くなってしまって、取引を停止するというような現象がまた起きた場合そういう場合にもなおかつ輸出増進という方に生糸を向けるだけの働きをこの法律がなし得るか、そういう場合にはまた法律改正しなければだめか、その点のお見込みを伺いたいと思います。
  38. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) これは現在は政府が糸を持っておりませんし、この改正によりまして糸を持ちまするチャンスは非常にふえると思います。ことに輸出についての糸につきましてはチャンスはふえるわけでございますが、御指摘のような事情におきまして、最近にそれを政府が持つ前に来ますれば、これはやはり防ぎ得ないというふうに御理解願いたいと思います。できるだけそういう点で、まあ十全であるとは言えません。数歩前進というところでございましょう。
  39. 青木一男

    委員長青木一男君) 他に御発言ないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案を原案通り可決するに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  42. 青木一男

    委員長青木一男君) 全会一致であります。よって本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は慣例によって、委員長に御一任願いたいと思います。  多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     青柳 秀夫  山本 米治     西川甚五郎  岡  三郎     土田國太郎  前田 久吉     平林  剛  白井  勇     杉山 昌作  松澤 兼人     岡崎 眞一  小林 政夫     中川 幸平  木内 四郎     天田 勝正  最上 英子     藤野 繁雄     —————————————
  43. 青木一男

    委員長青木一男君) 次に、労働者災害補償保険特別会計法の一部を改正する法律案を議題にいたします。  本案は衆議院において修正されておりますので、この際、便宜政府側より右の修正点について説明を聴取いたします。
  44. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) それではこの労働者災害補償保険特別会計法の  一部を改正する法律案につきまして、衆議院の方の修正につきまして簡単に御前明申し上げます。  衆議院の御修正は、付則の施行期日につきまして、政府原案では、「昭和三十年九月一日」でございましたのを、「公布の日から」ということに修正をされましたのであります。  これはどういう趣旨かと申しますと、やはりけい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法といたしまして、この特別会計法改正のむしろ理由になりました本法が衆議院におきまして御審議の結果、施行期日につきまして同じような修正があったわけであります。その趣旨は、あらためて申し上げるまでもなく、従来けい肺関係の給付は三年間ということになっておりましたのを、今回政府の、国庫の負担におきまして五年間に延長をいたすわけでございます、これを九月一日から施行するのと公布の日から施行するのとでは、適用を受ける方々のうちに多少の何と申しますか、不利なことになる方がおられるわけであります。そこでその期間の延長の適用を受ける方々をできるだけ多くいたしまして救っていきたいという御趣旨で、本法の方の施行期日が変更になりましたので、それに対応いたしまして本特別会計法改正の施行期日をも「公布の日から」といたしたい、こういうふうな趣旨でございます。
  45. 青木一男

    委員長青木一男君) 質疑を行います。
  46. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 予算書を見まするというと、病院新宮費というのは十二億円組んであるのでありますが、けい肺病棟の病院を、この法律が通過いたしましたならば新たに作られるのであるか、この十二億円の予算の中にはそれが入っているのか、伺いたと思います。
  47. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 入っておるわけでありまして、現在のほかに新しく病院を設ける経費を計上いたしたのであります。
  48. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 どのくらい増加されるお見込みでありますか。
  49. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 大体の数字で申し上げますが、現在二百ベッド程度のものが四百ベッドくらいになるというふうに御了解いただきたい。
  50. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうするというとこの法律の通過によってベッドを増加されるだけであって、個町の増加はないのでありますか。
  51. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは現在専門病院は一個所しかございませんが、そのほかに労災病院がございますので、労災病院にけい肺関係のベッドを増設するので、従って個所もふえるわけでございます。
  52. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから、この特別会計は経営よろしきを得た結果、従来は赤字であったのが、三十年度において十億円以上の黒字になったということであります。その十億以上の黒字になった理由はどこにあるのか。
  53. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 場合によりまして、詳しいことを労働省関係からお答えをいたしますが、私の方で承知をいたしておるところによりますと、保険料の引き上げをやりました。なお給付につきましても常に厳重な方針で運用されておるように承知しております。それらによりまして会計内容は改善いたしたものと了解しております。
  54. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今改善されたというと、昭和三十年度予算書を見てみますというと、なお三十億円の赤字が残っているのでありますが、この三十億円の赤字はどうやって解消されるのか、計画を立てておられれば、その計画の内容を承わりたい。
  55. 松永正男

    説明員(松永正男君) 御説明申し上げます。昭和三十年度につきまして保険料と保険金、補償費と申しますか、この収支のバランスは十分に合いまして、やや余裕があるという状態でございます。しかしながら、御承知のごとく労災保険においていたします給付は三年間にわたる場合があるわけであります。従いまして当年度の発生いたしました災害に対します支払いが三十年度、三十一年度、三十二年度、三十三年度というふうに継続いたします。これを計算いたしまして、支払い準備金として支払うべき将来の額を計上いたしますというと、当年度までに発生いたしました災害に対しまして今後支払うべき金の合計が約八十数億円の必要額があるわけでございます。その全体を考えますというと、当保険の経済におきましては、厳密に言うと赤字があるという状態になるわけでございます。
  56. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 私が尋ねておるのは三十億円の歳入赤字の処分はどういうふうに考えておられるかということ、三十億円の処分の方法、補てん方法です。
  57. 松永正男

    説明員(松永正男君) これは保険経済だけから考えますというと、この支払い準備金相当額を保険料の収入といたしまして計上するのが正確な計上であろうと思います。しかしながら、一面におきまして保険料負担者の面を考えますというと、特に最近のような経済不況というような面におきましては、保険料負担の軽減、公平ということを常に考えなければならないわけでございます。そういった観点から将来支払うべき保険金相当額を、全額を計上するのはもちろん十分すべきでございますが、この負担の面から考まえして、この全額計上せずして、その一部について見合うべき保険料を計上しておるわけでございますが、これは保険料負担の負担能力の面をにらみ合せまして、できるだけすみやかにこれを積み立てていくという方向で運営をして参りたいと考えておる次第でございます。
  58. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 僕の質問に対するお答えになりません。現在赤字が三十億あるのだから、この赤字をどうやって解消するのかというのです。今の説明によってみるというと、三十億の赤字の解消方法はない、こういうふうな結果になるが、三十億の赤字は解消方法はないのだと解釈してよろしうございますか。
  59. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは先ほど労働省からお答えをいたしまして、大体御了解を得たと思うのでありますが、立て方がこういうふうに後年度分まで入れまして立てておりまして、現実に一応発生すると申しますか、債務の関係でこれが出ておるわけでございます。現実にこれだけ金が出ないわけでございまして、その関係で形の上でこうなっております。現実ではむしろ私どもの現金のベースにおきましては十五億くらいの黒字になっておるわけでございます。ただ保険の給付の債務の関係がございますので、一応こういうふうに立てておりまして、それを全体として貸借対照表の上に表わしますと、こういう形になるということを申し上げておるわけでございます。  そこでこれに対策があるかどうかという御質問でございますが、これは保険料を順次取り立てて参りますれば、ただいま申し上げましたように債務を現実に履行していく過程におきましては赤字にならないのでございますから、それによって赤字を消していくというふうに御了解願いたいのであります。
  60. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうしますというと、国会に出しておるところの予算書なるものは形式的のものであって実質的のものじゃない。実質的には黒になるのだというようなことであれば、形式は形式、実質は実質の予算書を出していただいて、私どもが審議するのにわかりやすくするようにやられることが適当じゃないかと思うのですが、いかがですか。
  61. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 決してさようなつもりではございませんので、この特別会計予算書ははっきりございますのですが、この予定貸借対照表を添付することになっております。その貸借対照表にはやはり真実をこういうふうに、債務の関係から申しますとこういう形になるという意味で添付いたしたのでございます。
  62. 青木一男

    委員長青木一男君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めで御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようでありますが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。労働者災害補償保険特別会計法の一部を改正する法律案衆議院送付通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  65. 青木一男

    委員長青木一男君) 全会一致であります。よって本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続は慣例により委員長に御一任願いたいと存じます。  多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     青柳 秀夫  西川甚五郎     岡  三郎  土田國太郎     前田 久吉  平林  剛     白井  勇  松澤 兼人     岡崎 眞一  藤野 繁雄     小林 政夫  鮎川 義介     杉山 昌作  中川 幸平     木内 四郎  天田 勝正     最上 英子     —————————————
  66. 青木一男

    委員長青木一男君) 次に自動車損害賠償責任保険特別会計法案を議題として質疑を行います。——別に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにして、お述べを願います。——別に御発言もないようでありますが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。自動車損害賠償責任保険特別会計法案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  69. 青木一男

    委員長青木一男君) 全会一致であります。よって本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は慣例により委員長に御一任願いたいと存じます。多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     青柳 秀夫  西川甚五郎     岡  三郎  土田國太郎     前田 久吉  平林  剛     白井  勇  松澤 兼人    岡崎 眞一 藤野 繁雄    鮎川 義介 小林 政夫    中川 幸平 杉山 昌作    木内 四郎 天田 勝正    最上 英子
  70. 青木一男

    委員長青木一男君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  71. 青木一男

    委員長青木一男君) 速記開始。本日はこれにて散会いたします。    午後零時六分散会