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1955-07-26 第22回国会 参議院 大蔵委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十六日(火曜日)    午前十時四十一分開会     ―――――――――――――   委員の異動 七月二十二日委員小林孝平辞任につ き、その補欠として、野溝勝君を議長 において指名した。 七月二十五日委員菊川孝夫辞任につ き、その補欠として、松本治一郎君を 議長において指名した。     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     青木 一男君    理事            西川甚五郎君            山本 米治君            土田國太郎君            平林  剛君    委員            青柳 秀夫君            岡崎 真一君            木内 四郎君            白井  勇君            藤野 繁雄君            宮澤 喜一君            片柳 眞吉君            小林 政夫君            杉山 昌作君            岡  三郎君            野溝  勝君            松澤 兼人君            中川 幸平君            最上 英子君            鮎川 義介君   国務大臣    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    国 務 大 臣 高碕達之助君   政府委員    経済企画政務次    官       田中 龍夫君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    大蔵省主計局法    規課長     村上孝太郎君    大蔵省主税局長 渡邊喜久造君    大蔵省主税局税    関部長     北島 武雄君    大蔵省銀行局長 河野 通一君    農林省蚕糸局長 塩見友之助君    通商産業省鉱山    局長      川上 為治君    運輸省自動車局    長       眞田  登君    運輸省自動車局    業務部長    岡本  悟君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    大蔵省理財局資    金課長     福田  勝君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○本委員会の運営に関する件 ○連合審査会開会の件 ○火災共済事業に関する件 ○小委員補欠選任の件 ○関税定率法等の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○関税定率法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○日本開発銀行の電源開発株式会社に  対する出資の処理に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○資金運用部資金法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○余剰農産物資金融通特別会計法案  (内閣提出衆議院送付) ○厚生保険特別会計法等の一部を改正  する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○糸価安定特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○自動車損害賠償責任保険特別会計  法案内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 青木一男

    委員長青木一男君) これより委員会を開きます。  まず連合審査会についてお諮りいたします。去る二十二日、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律案について、決算委員会と第一回の連合審査会を開いたのでありますが、その後決算委員会より連合は一回のみにてやめることに申し合せた旨連絡がございました。よって右の連合審査会は前回をもって終了することに決定いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。     ―――――――――――――
  4. 青木一男

    委員長青木一男君) 次に去る十六日、内閣委員会に対して連合審査会を申し入れました国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当の支給に関する法律の一部を改正する法律案についてでありますが、先般内閣委員長より、本案は付則の所得税免税規定を削除修正することに意見の一致をみた旨の連絡がございました。これによりまして、連合審査会を申し入れた趣旨は消滅するわけでありますので、この際、右の申し入れを撤回することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたします。  なお、昨日開きました建設委員会との連合審査会は、明日午後第二回を行う予定でございますが、あらかじめお含みを願います。     ―――――――――――――
  6. 青木一男

    委員長青木一男君) 本日の議題に入ります前に、前回留保されました小林委員質疑を許します。
  7. 小林政夫

    小林政夫君 かねて火災共済事業についていろいろわれわれも憂慮しているわけであって、第十九国会には一応この規制の法案を提出したことは、一萬田大蔵大臣は御承知ないけれども銀行局長は十分承知しておられるだろうと思う。その後善処されることを期待しておったわけでありますが、承わったととろによると、との国会においてはそういうことになっておらない、こういうことでありますが、しかし現実情勢は、われわれが憂慮した当時と改善もされておらなければ、むしろ危なっかしい傾向がいろいろ強くなっておる。ほうっておけば必ず、かって問題になった保全経済会の二の舞を火災共済を扱っている各種協同組合が演ずるのではないか、こういう心配もされるわけでありまして、国政を担当するものとして未然にそういうような、かっての保全経済会加入者よう犠牲者を出さない、こういう意味において何らかの措置が必要ではないか、こういうふうに考えて、いよいよ銀行局長がかわられるようなうわさもあるのですし、大蔵大臣は新任でもありますから、十分その事態大蔵大臣銀行局長から引き継ぎをしてもらう意味においてきょうは質問を展開したいと思います。  まず損害保険事業というものは、法律の上においてもどうも定義が明らかでないし、一体大蔵大臣損害保険事業という、実質的にいってどういうものが損害保険事業か、こういうことについての解釈論から承わりたいと思う。
  8. 河野通一

    政府委員河野通一君) かわって私から法律解釈の問題でありますからお答え申し上げます。小林さんお話しように、保険事業ということの定義、これは非常に実はむずかしいのであります。非常にむずかしいので、実は保険業法にもその点の解釈が実はあいまいになるよう規定になっております。しかしこれは実体的にははっきりいたしておるのでありまして、要するに契約者全体の保護という点から見て、政府監督をしていかなければねらぬかどうかという実体論からこの点は私はっきり線は引けると思っております。お話しような、協同組合によって行われておりまする、共済事業という名において行われておりまする保険類似の行為、これは私どもは非常に保険事業として考える必要があると考えるわけであります。ことに契約者保護しなければならぬという観点からいたしますと、これらの事業に対してはもっとはっきりした監督、あるいはそういった契約者保護のために必要な法制を整備するということの必要性は、今御指摘ように私どもとしては考えておるわけであります。これは大蔵大臣も、従来からこういう事柄について私から十分申し上げております。それでこの立法化につきましては、小林さんも御承知ように数年前から具体的に検討して参ったのでありますが、御案内のようになかなか制度としてこれを法制化いたしますためには実はえらい問題がございまして、現在まだ検討いたしておる段階で、はなはだ申しわけないのでありますが、できるだけ早い機会にその検討を終えまして、この必要なる立法を御提案申し上げたいと、こういうつもりで現在鋭意研究いたしておる段階である、こういうことを申し上げておきたいと思います。
  9. 小林政夫

    小林政夫君 この前の保全経済会問題もわれわれこの委員会で取り上げて、取締り法規の整備ということを、現行法でどうしても取締りにくいということであれば、特殊は法律を作ってすみやかに善処されることを強く要望した。ところが今の御答弁と全く同じで、いろいろ研究はしているが、なかなか立法技術上むずかしいと、あるいは関係省との話し合いにおいて調整がつかない、こういうことでだらだらきた結果が、われわれが本院で取り上げてからまあ二年たってついにああいう不幸な事態を発生したのであります。この火災共済の問題もこのままずるずるいって同じ答弁を繰り返しておられるわけでありますが、もうすでに各所につぶれかけた、あるいは実質的にはもうつぶれたと同じよう共済事業を行なっておる組合ができてきつつある現状であります。こういうことについて今のよう研究研究中ということでじんぜん日を送って、たとえばまた新しい協同組合として火災共済をやろうと、こういうのができて、またすでに全国には連合会等も発生しつつある現状であって、この点についてまだそのやっておる当事者さえも必ずしも安心してやっておるようにも思えない。ある程度法制的根拠も与えてもらいたい、こういうよう希望もあるやに聞いておりますが、いつまでも既存の協同組合法あるいは消費生活協同組合法農業協同組合法漁業協同組合法、こういうよう事業協同組合法組織法のみのわずかな共済事業ということで、それはあるいは各省省令等である程度監督らしいことを、まあ監督基準経理基準というようなものを示しているにしても、どうも不十分である。こういう点についてはすみやかに行政措置を、法的措置をとる必要があると思うのでありますが、今の御答弁では満足できないので、どういう点が一体むずかしいと言われるか。私自身この前出した案もあるし、そういう点については具体的にどういう点がむずかしいか。
  10. 河野通一

    政府委員河野通一君) 私はまず第一に、卒直に申し上げますと、第一に、現状をもう少し私は把握しなければいけないと私は考えております。法律をただ作って、いきなり法律ワクの中にはめても、一体それが直ちに法律ワクの中で適当に動き得るような態勢になるかならんか、これはまず第一に、私は現在ある共済事業というものの内容をまず当ってみなければならない。  これははなはだ具体的な例になって申しわけありませんが、北海道において先般岩内の火災があった。その際におけるこの共済事業状況をいろいろ報告を聞きましたところによりますると、なかなか法律を作って、非常にその保険会社に対してやっておりますようなかちっとした制度を作りました場合に、それとうまく今の実情とがマッチするかどうか、つまりそれにうまくワクの中に入るものであるかどうかについてもう一度検討しなければならんという気がいたして参りました。そういった意味で今私どもは、まず現在の状況をもう少し的確に把握したい、そうしてその実情と、この法律制度というものをどういうふうに合せていったらいいかということをもう一度検討し直さなければいかぬじゃないかという考えに立ったのであります。今小林さんもおっしゃった通り小林さんからも御提案になっておりまする法案も実はあるわけであります。これらの点につきまして、私どもつぶさに検討はいたしておるのでありますが、そういった新らしい事態と申しますか、に考えまして、もう一度その実情をつぶさに調べてみまして、こういう観点に立って現在研究いたしております。御了承をいただきたいと思います。
  11. 小林政夫

    小林政夫君 どうしても現状把握等においてむずかしいというようなことで、ほうっておけばだんだんそういうものがふえてくる。あれがやっているからおれもやろうということで、相当蔓延しつつある現状であります。だから保険業法によっても損害保険制度は認めているのであって、非営利の相互扶助の精神によってやっていこうということならば、現在の保険業法による相互会社制度をとることになって、十分所期目的は達せられるのではないか、こういうことですから、漫然と今のようなあり方を自然発生的に許しておく、それについて特別な根拠法を与えることがむずかしいということなら、いっそのことやめさしてしまって、保険業法保険会社にのっけていく、のらないものはしようがないから落すと、こういうことさえ考えてみてもいいのじゃないか。ただ研究研究中ということでずるずるして、認めるがごとく、認めざるがごとく、こうやっておくこと自体相当問題が残るわけで、ますます扱いにくくなってくる。早く制度というか、そういうものをきめるということが必要じゃないかと思うのですが、一体提案者としては、今の協同組合組織による共済事業としての火災共済というものは、やはりある程度現状を認めざるを得ない。保険業法による相互会社組織に切りかえさせる、もし切りかえ得るものは……、そういう点についてはどうお考えですか。
  12. 河野通一

    政府委員河野通一君) ただいまのところ、これらの共済組合保険について、これを保険業法によっておりまする保険会社に切りかえるということは考えておりません。それから現在の実情から見まして、これを一挙に禁止してしまうというととも実情に合わないと考えております。従って結論は、先ほど御指摘もありました通りに、私ども考えでありますが、やはり法制化して、できるだけ大衆契約者保護に欠けないよう制度を作る、これをなるべく早く作るということに努力すべきだという考えに変っております。
  13. 小林政夫

    小林政夫君 もうだいぶ大蔵大臣銀行局長答弁されたわけですが、事態の認識もされたわけで、一体大蔵大臣としてはどう考えられますか。
  14. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私も小林さんの御意見と同じようにやはり心配いたしております。従いまして、この共済事業とか、あるいはまた福利厚生事業保険類似のことが多いのでありますから、お説のように――むろん今銀行局長答弁いたしましたように、実情を把握しなければならぬことはむろんでありますが、実情を把握した上で所要監督強化の方法をとりまして、そうして一般大衆並びに組合自体が不良の内容とならないようにいたしたい、かよう考えております。
  15. 小林政夫

    小林政夫君 まあ先ほども申したように、との前われわれはもう非常に苦い経験を持っているわけです、保全経済会の問題については。しかも現状保全経済会くずれのごときものがまた火災共済のごときものを始めかけておる例もなきにしもあらず、そうしてさらに最近は地方公共団体の別動隊として、ある市等は市長が理事長とかいうような、あるいは収入役会計担当理事であるとかいうようなことで、当該市を区域とした消費生活協同組合共済事業としてこの火災共済を積極的にやっておる。そうしてしかも消防団を手足に使って積極的に勧誘する。こういう事例が発生しておるのであります。そういうことについては一体どのようにお考えになっておるのか。  まあ今自治庁長官の御出席を要求しておりますが、一体大蔵当局としてはそういう事態についてはどういうよう考えを持っているか。
  16. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) そういうふうな事情もありますので、関係各省とも相談をいたしまして、なるべく早く立法措置等所要措置をとりたいと、かよう考えております。
  17. 小林政夫

    小林政夫君 それらは消費生活協同組合のやっておることは保険だと言っているのですね。火災保険だと言っているのです、この宣伝には。そうして安い保険、こういうよう標傍で、しかもある程度消防団でありますから、火災が起ったときには、おれの言うことを聞いておかなければうまく手配をしないというよう含みを持った、いわゆるこわ面でもって勧誘をすると、こういう事例も起りつつあるわけで、そういう点については……。ところが一体その経理というようなものがどうなっておるか、ただ掛金で、火事がまあ起らなかった、相当金が余っている。これは全部利益だと、場合によったら市財政は赤字だからちょっとそっちの方に融通しようかというようなことまで起る可能性があるような話しぶりも一部にはあるわけであります。また大蔵大臣は御承知かどうか、各県の事業協同組合共済事業としての火災共済については、県によっては再保証しておるところがあるわけです。一たび大火でも起れば、たちまち地方財政としてはどうするかというような問題も起っておるわけであります。そういう点については、結局は住民の負担になるでしょうが、非常に、さなきだに苦しい地方財政現状において、ますます負担を重からしめることになるので、この加入者というか、組合員の損失のみならず、地方財政にも相当影響を及ぼすおそれもあるわけけであります。これは漫然と研究々々というよう段階でおるべきものではなかろうと思うのであります。速急に対策を立ててもらわないといけないと思う。まあこの事柄の性質上、われわれもまあ議員立法というような形よりも、むしろ政府の方で十分研究をして、一つ政府提案としてしかるべき処置を講ずる、こういうことが望ましいと思っておるわけであります。従ってまあ今国会の初めから銀行局長にはどうするんだどうするんだと言って催促をしておるといった現状であります。大蔵大臣一つ、まあ今の質疑応答の過程においては、まだ実態については十分大蔵大臣は把握されたことにはならぬであろうし、よく実情をお聞きになりまして、速急に一つ次回国会までには政府処置をとるようにお運びを願いたいと思うのですが、その点はいかがですか。
  18. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 小林さんのお考えと私も大差はないのでありまして、よく具体的な実情をすみやかに完全に把握いたしまして、所要措置小林さんの御希望ようになるべくすみやかにとるということを申し上げます。     ―――――――――――――
  19. 青木一男

    委員長青木一男君) 次に、関税定率法等の一部を改正する法律案、  関税定率法の一部を改正する法律案、右二案を一括議題として質疑を行います。
  20. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 改正案のうちに今回小麦免税のうちに入れられた理由を伺いたいのでありますが、最近の外国小麦はだんだんだんだん安くなりつつあるのでありますが、小麦をここに入れられたというのはそういうふうな関係であるのであるかどうか、お伺いしたいと存じます。
  21. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 現在関税定率法の十二条におきまして、米、もみ、大麦小麦につきましては、一定の条件を備える場合におきまして、政令で期間を指定して、関税軽減または免除できることに相なっております。その条件と申しますと、外国から入りますところの以上の米、もみ、大麦小麦につきまして関税をかけることによって、国内産のこれらのものよりも高くなるという場合において関税軽減または免除ができるというのが第一点であります。  第二点は、飢饉その他天災事変の場合において緊急必要ある場合、こういうことに相なっておりまして、従来ではこの関税定率法の十二条の規定に基きまして、小麦につきましても関税が免除されておったのであります。その根拠といたしましては十二条の第一号でありまして、小麦関税をかけることによりまして、国内産小麦よりも値段が高くなる、こういう条件がございましたので、その根拠によりまして、政令で免除いたしておったのであります。最近御承知通り外国産の小麦価格が次第に下って参りました。最近の状況ではかすかす、場合によりますと、この法律条件を満さないこともごく短期間をとりますれば出てくるよう情勢でございますので、この関税定率法十二条の規定に基いて、政令によって免除いたしますよりも、さしあたり関税定率法のただいま御審議願っております附則の甲号において小麦を特別に来年の三月まで免除いたしたいと、こういう考え方でございます。
  22. 小林政夫

    小林政夫君 大蔵大臣に伺いますが、先般来事務当局質疑応答を重ねたわけでありますけれども、どうも私の心配は除かれないのであります。まず大蔵大臣にこの原油重油関税復活ということは一体何をねらっておられるのか。石炭対策であるか、あるいは国産原油保護するのか、こういうことについて大蔵大臣の所信を伺いたいのであります。
  23. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これはまあ私自身に言わしても、将来のこの日本燃料政策エネルギー政策、あるいはまた石炭政策等から考えて、こういうふうな措置をとることについてはいろいろと意見があり得ますし、私自身も持っておるのであります。しかし今私が当面問題にしていることは、今日のこの日本の、あるいはある程度将来にわたっての日本経済を見た場合にどういうふうに措置するか、こういうふうな考え方に基礎を置いておりまして、今日やはり石炭鉱業・あるいは国内資源開発というこれについて相当なやはり保護を与える必要があるという考え方を一応今持っておるわけであります。そういうふうな意味から、これひとり石炭の方ばかりでは安いので、全体として国内資源開発というか、国内資源に関連する産業を当面保護せざるを得ない、こういうふうなわけで、今回原油重油関税復活する、かよう考えております。
  24. 小林政夫

    小林政夫君 要するに石炭対策もさることながら、また国産原油資源保護、こういう点も加味しておると、こういう両方の意味をかねての原油重油関税復活だと、こう言われるようでありますが、この国産原油保護するという場合において、この程度関税復活ではほとんど九牛の一毛にすぎない、まあ関税をかけるとすれば五割くらいの関税をかけねければ、現在の国内産原油価格と、そうして輸入原油との価格はつり合いがとれないのであります。しかも今国内精製業者というものは、国産原油については、国内資源保護というよう見地も加味して全量を買い取る。それには外貨の割当とかいうよう行政措置もありましょうが、そういうことで、現実には高いけれども、全部国内原油精製会社が買い取っておるという情勢でありますから、将来国産原油国内資源を維持培養するという見地からいっても、そこには何らかの行政措置によって、その国内で産出したところのこの原油は優先的に日本精製会社に使わせるという措置はできると思うのでありますが、こういうようなわずかの関税復活することによって国産原油保護すると、こういうことにははなはだまあ手ぬるいというか、そういう関税復活ということによっては何らその効果はないと、こう申していいと思うのでありますが、その点はどうでしょう。
  25. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは結論的にいって、こういう程度関税の引き上げが手ぬるいのじゃないかという点は、これは私やはりその通りだと思います。が、しかし関税を引き上げた場合のいろいろな方面に及ぼす影響考えてみなくてはならん。従いましてこういう程度でいたしておるのでありまして、もともとこれは私の考えでは、このエネルギー燃料政策というものが基本的に確立しておらん。これは政府としてもはなはだもって遺憾だと思うのでありますが、すみやかにこの燃料政策を確立しなければいかん。ですからもうここ数年来を見ましても、あるいは重油に、あるいは石炭にいくというこういうふうないき方、これは私は当然今後において根本的に考えなくてはならんと思うのでありますから、それにしてもやはり日本経済の今日の現状というものをやはり考えて、これに大きな変化を急に与えるということについては非常に問題も生ずるのでございますので、一応今申したような形で、各そのときの石炭産業というものの現状考えて、今の程度保護を与えつつ、今後燃料政策をすみやかに樹立してこの問題を解決する、こういうふうに考えておるわけです。従って手ぬるい点はやはり手ぬるいと私も思います。
  26. 小林政夫

    小林政夫君 どうもよくわかりませんが、まあ国内資源を維持し、国産原油を十分に増産して、できるだけいわゆる五ヵ年計画で百万トンくらいの線まで持っていこうと、こういうことは私は何も関税政策でやらなくとも、その他の行政措置によって十分目的が達せられるし、そうしてわずかな関税を、たとえば関税定率法上に定めるところの、本来の一〇%というまるまるの関税復活してみても意味をなさないことなんで、関税政策国内資源保護及び培養ということにはならない、こういう考えを持っておるのであります。  またこの石炭の需要を増す、そういうよう意味で、今度はまあBC重油にこの関税引上げのしわを寄せることによって、石炭と競合関係にある重油消費者の重油価格を上げていく、こういうことでありますが、常に石炭との価格とにらみ合せて関税を上げ下げするということになると、これはよほど問題、……常にその関係者というものは関税石炭価格とにらみ合せて考えていかなければならんということで、一割や二割は上げたり下げたりというようなことがしょっちゅう起ってくるのじゃないか、こういうことについて、まあ石炭と競合関係にあるBC重油の需要者に関税引き上げのしわを全部寄せるということでありますが、そういう問題も起りますけれども、しかし衆議院における付帯決議の状況等から考えて、果してこの関税引き上げによって重油の需要を押えて、そうして石炭の需要が増大するということがはかれるかどうかということについては、多大の疑問があるわけであります。そういう点について大蔵大臣はどういう見通しを持っておられるか。
  27. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私はこの関税の引き上げだけに依頼するということは、それは大きな意義を必ずしも感じない。まあいろいろな関係から、大体あの手この手というよう考えで、関税の点からも石炭のこの需要を喚起するようにしょう。その他あるいはボイラーの重油制限、いろいろなこれは具体的なものもありますが、いろいろなことから石炭の需要をふやす、こういうことであります。  なお、私この機会に申し上げておきたいのは、私自身として基本的な点を申し上げれば、私はやはり今日の日本として、そう関税をこういうふうなときに上げるということを好んでおるわけではありません。しかしそれにはやはり基本的な国策、たとえば石炭重油、あるいは原油、いろいろありましょうが、こういうふうなエネルギーについて基本政策をやはり確立しなければ私はいかんのじゃないかと思う。それがないものですから、やはり当面日本経済を動かしてゆき、あるいはまた安定を期する上から、自然妥協的といいますか、何だかすっきりしないような形の事柄でやはり当面いかなくてはならんということで、そういうのがやはり今回のこれも私はそういうふうな点があるんじゃないかと思っているんですが、従いまして私としてはこの燃料政策の確立――体石炭はたくのかたかないのか、これは工業原料になるべく限定するような今日の国際的情勢に順応して、石炭というものはなるべく工業原料に使う、燃料は別個の方から入れる、こういう何らかそこにはっきりした線を打ち出すべきだと思います。そういうことが出れば、おそらく小林さんあたりのお考えもすっきりした形で現われてくるのじゃないかと思っております。
  28. 小林政夫

    小林政夫君 大蔵大臣考え方としては非常にけっこうであり、全く同感でありまして、予算委員会等において官房長官に対しても、また大蔵大臣に対してもいろいろ質疑を重ねた点からお考え願いまして、全く大蔵大臣の今お述べになったお考えと私が同様の考えを持っているというととは御了承だと思いますが、そういう立場から考えますと、政府委員の申すところによると、これは一応は半年のことなんで、まあその間にまた検討して、この原油関税復活をやめることもあり得ると、まあ半年ほどだからそうやかましく言わずに見てくれというような、腰だめ的な考えではなかなかわれわれとしては了承しがたい。しかし大蔵大臣のお考えは今のようなお考えであるけれども現実経済六ヵ年計画というようなものも、実際には六ヵ年計画にならずして、計画ではなくして、ただ一つの将来を見た見取り図にすぎない、希望的見取り図にすぎないという現状においては、どうも今のエネルギー政策というものは大蔵大臣の持っておられるようには政府の方針として確定しておらない。国策として樹立されておらない。従ってこの際この程度の、二分及び六分五厘というよう関税復活するというととはもう少し慎重に、今まで一年刻みで暫定的々々々ということで免税にして来たものをこの際復活すると、こういうことは少し軽卒ではないか、こう思うのであります。特に輸出振興ということで、相当国内の合理化を通じて低物価をきびしく各企業に要請している現在の事態において、なるべく関税復活のしわを物価に寄せないと、こういうことであっても、現実の姿というものは、外貨割当等を通じて重油等の輸入量は規制されるわけであります。売手市場の重油関係においてこの関税引き上げのしわがどうしても需要者に寄ってくる。そういう場合にこれは当然物価にはね返ってきて、せっかく政府の所期しているところの低物価政策とも相反する問題で、大きく私は大蔵大臣等の掲げておられるところの政策とこの原油重油関税復活ということは矛盾した政策である、こういうふうに痛感をしているわけでありまして、その点についてはいかがお考えでありますか。
  29. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 御意見はよく私も了解をいたすのでございますが、しかし日本石炭産業というものの日本産業における比重を考えてみなければならぬのでありまして、要するにそういう点については、ある程度傾向としては好ましくないにしても、それほど大きな影響はないと、こういう現実に即してやはり仕事をやっていかなくてはならぬというふうに御了解願いたいのであります。  この関税をこうしたからと申しまして、今日の重油あるいは原油等の国際価格等から見まして、私は理論的に言えばまあいろいろと意見もありますが、低物価政策に反するというところまでは理論的にはともかとくして、現実はそういうことにはならぬのではなかろうかと私は考えております。
  30. 青木一男

    委員長青木一男君) 今決算委員会から採決について大蔵大臣出席を求めておりますから、決算委員会出席のため退席されてけっこうです。決算委員会の採決が終りましたら再びお戻りを願います。その間他の政府委員に対する質問を願います。
  31. 小林政夫

    小林政夫君 今の点は経審の田中政務次官はちょっとおくれて見えましたのでお聞きになったかどうか……。重油原油関税復活ということについては経審としてはどういうふうな心組みでおられるのか。今の総合六ヵ年計画の樹立というような問題とも関連し、将来の総合燃料施策等から考えて、これは本来は関税定率法で定めるところの一〇%に復活すべきであるけれども、急激にやったのでは関係方面に対する影響が大き過ぎるので、二あるいは四というようなところからいってだんだん一〇%に戻すんだ、こういうことなのかどうか、その点と、今の現実の問題としては、地固め財政経済政策とこの原油関税復活とは相反する政策ではないと、こういうことを言っているわけでありますが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  32. 田中龍夫

    政府委員(田中龍夫君) お答えいたします。経済企画庁といたしましては、とのエネルギー源の基礎といたしまして、石炭重油の問題とを特に慎重に考えている次第でございまするが、重油の消費というものも、御案内の通り石炭の生産を五千万トン、重油の消費を千百三十九万キロリッターで安定させるという見地に立ちまして、通産省の方とも相関連をいたしまして重油の規制をいたしているような次第でございまするが、この際の関税によりまするそのしわが物価の安定性に急激に変化を与えるというようには心得ておらないのでございます。むしろ石炭の消費を特に刺激いたしまして、一方また重油の消費をばいわゆる統制経済的な行き方でなく、自由経済におきまする原則に従いましてその抑制をして参ろうという施策に対しましても、この問題は相当影響があると思いますが、そういう需給面から考えました場合と、それからもう一つは、全体の物価の問題から考えました場合におきましても、物価の方ではさしたる影響はないだろう。また需給の面から考えました場合におきましては、むしろ石炭重油のバランスが安定するのではないか、かよう考えております。
  33. 小林政夫

    小林政夫君 物価にさしたる影響がないということは、どういうことからおっしゃるわけですか。先ほど大蔵大臣にもその点をお尋ねしようと思っておりましたが、まず経審の方でお答え願いたいと思います。
  34. 田中龍夫

    政府委員(田中龍夫君) もちろん企画されました関税率によりまする転嫁が消費の方に移って参りますというととはあり得ましても、問題は価格形成におきまする燃料のウエートの問題であろうと存ずるのでありまするが、特に運賃その他輸送面におきまする問題と、ボイラーその他いろいろあると存じまするが、大体われわれとしまして、低物価政策をとり、物価の安定を施策いたしておりまするが、との関税定率法によりまする関税復活が直接物価に対して――なお詳細に検討しなければなりませんけれども、今日のととろでは大した影響はないのではないか、かよう考えております。
  35. 小林政夫

    小林政夫君 どうもただ一つも科学的な御答弁ではないわけでありまして、大して影響はないであろうと、こう言われるわけであります、従ってその御答弁をもってはわれわれ納得できないのでありますが、いろいろ政府委員等の答弁によってみると、行政措置によってこの業界に関税復活の値上りの影響がきたさないようにする、これに影響はないようにする……行政措置でやれるかどうか、はなはだ疑問でありまして、その点も問題なのでありますが、そうなってくると、一体本来この関税復活目的というものが国内資源の維持培養ということと同時に石炭対策、こういう二つの目的を掲げて関税復活をしようというのでは、一方国内資源の維持培養ということは全然意味をなさない。もしそういう見地関税復活するならば、五割程度関税にしなければ全然意味がない。そうなってくると問題は石炭対策にある。石炭対策にあるということになると、今のように物価へのはね返りはほとんどこの関税復活によってはないんだという御見解ならば、全然これは石炭対策にはなりません。重油の消費を規制するということにはならぬわけです。物価にはね返ってこそ石炭と競合関係にある重油消費業界が重油の値段と石炭の値段と比べてみて、まあ石炭を使おうかと、こういうことになるのであって、物価へのはね返りなくしてはこれは石炭対策にはならない。その点についてはどうお考えになりますか。
  36. 田中龍夫

    政府委員(田中龍夫君) 要するに石炭対策として、重油に高関税を賦課することによっていわゆる価格の面から消費者が重油から石炭に切りかえて、石炭の消費が刺激されるということの施策もさることでありますが、さよう意味ではなくて、いわゆる国全体としてのエネルギー源として、石炭に対する価格の低下並びにそういう消費の転換というものも強く施策いたしておる次第であります。で、いわゆる関税障壁を設けますことによってコストの値上りをきたし、それによって重油が消費できない。ぜひ重油を使いたいのであるが、やむを得ず石炭の方に転換をしていくんだといったような施策でございますならば、これは物価の方にも強い影響が与えられるでございましょうが、さよう意味ではなくて、エネルギー全体としての見地に立ちまして、一方においては石炭のコストも低下させ、それからあらゆる行政施策と相待ちまして、との基幹産業でありまする石炭の消費を指導して参り、かつまた石炭業におきましても操業の安定度を保つように、三十五年には六千万トンという目標に向って施策をいたさなければならない。でありまするから、ただいまも申し上げましたように、石炭重油とのかね合いによって、重油に非常な高関税を課して抑制するという意味じゃございません。  さよう意味から申しまして、石炭対策の一方には、施策と相待って重油に対しまする物価の面にも強い影響を与えないで、そうして石炭に切りかえて参るというのが、これが私は総合燃料の、国としての政策でなければならぬ、かよう考えておる次第であります。
  37. 小林政夫

    小林政夫君 要するに今の御説明だと、この関税復活ということによっては、石炭対策もまた国内資源の維持培養ということも大して重きは置かないのだと、こういうようなことになるわけで、他のたとえば重油規制の法律等、あるいは石炭合理化促進法等の他の措置によって、それらのまあ石炭対策等が講じられることを期待されておるわけで、との重油原油関税復活というものについてはあまり意味を持てないということの御答弁に結論としてはなるわけです。しかも世界各国の事情を見ると、わが国のような国柄においてこの原油に、重油に課しておる国は皆無です。ないのです。私はここではっきり、少くとも重油に、原油関税を課しているところはありますけれども国内の生産量がおおむね需要をまかなうところであって、輸入するのは全く例外的輸入で足りると、こういうようなところがある程度関税を課しておるわけであって、日本ように消費の僅かなパーセンテージしか国内生産ができない、こういう国柄において原油重油関税を課しておるというところはないと申せるのであります。そういう、しかも世界の燃料はだんだん固形燃料から液体燃料にエネルギー源というものは行きつつある現勢において、そういう点から考えても、この日本の国柄において、大部分の原油を輸入に仰がなければならぬ国、しかも輸出に、貿易に依存しなければならぬ国のわが国において、これら重要な輸入原材料に対する関税復活ということは全く私は逆行ではないかというか、筋が立たない、こういうふうに思いますが、その点は経審としてはどういうふうにお考えになりますか。
  38. 田中龍夫

    政府委員(田中龍夫君) ただいま御指摘ように、わが国の輸入物資の中で米と繊維原料に次ぎまして液体燃料は第三位を占めるほどの重要なものであります。しかしながら国家といたしましてはできるだけこういうような動力源を自給するということは、これは最も望ましいことであり、しかもまた非常に少い外貨資金を、できるだけ国内の燃料資源に転換をしていくというとともまた重要な自立経済上の施策でございます。ことに石炭鉱業等におきましては、有効需要の激減から相次ぐ倒産を来たし、さらにまたたくさんの失業群をちまたに出しておるというよう現状に対しましても、政府といたしましてはこれを黙視することはできない。同時にこういうふうな重要な資源でありまする燃料としての液体燃料が、これが逐次使うのにも非常に便利だというふうな意味からいいましても、放置いたしておくならば、石炭等の固形燃料からどんどんと液体燃料に転換をして参るということも、これも必然の流れでありまするが、国策といたしまして、その点の抑制なりあるいはまた外貨資金上からくる施策を出さなければ相ならぬのじゃないかというふうに考える次第であります。  もちろん頭割りから申すならば、わが国の液体燃料の消費量というものはさほど大きいものではございません。また昭和三十五年の六ヵ年後におきましても、総合エネルギーにおきまして、一人当りの石炭換算で一・四トンといったようエネルギー量も決して国際水準からするならば高いものではないのでありまするが、しかしながら外貨の面、それから一方におきましては、国内の自分の持っているエネルギー源に切りかえるというような施策の面から申しまして、企画庁といたしましては総合エネルギー観点から重油の当面の規制にも賛同をいたしておる次第でございます。  で、同時に関税障壁の問題でありまするが、私の寡聞にして聞き及んでおりまするところによりますれば、ドイツ等におきましては、ドイツでもフランスでも、こういったものに関税を課すると同時に、これによって得た財源によって石炭液化なり、あるいはまた何なりの国策的な施策にも財政投資をいたしておるようなことも聞き及んでおる次第でございまして、私はこの際にかよう関係から考えましても、今回の施策というものにつきましては妥当である、かよう考える次第でございます。
  39. 小林政夫

    小林政夫君 今の御説明で違う点は、私の申し上げたのは、日本ような国柄においては関税をかけておるのはないと思います。それは西ドイツでもフランスでもオストリアでも、スイスでもポーランドでもイタリアでも、チェコスロヴァキアでも全部かけております。かけておりますけれども、これらの国は国内消費量よりも国内生産量が上なんです。日本の場合においては、ほんとうにわずかな量を日本で需給できる態勢であって、ほとんど大部分のむのを輸入しなければならぬ国柄だ、こういうところにおいてはわれわれはかけるべきではないのじゃないか。しかも今の石炭対策とか国内自給燃料を維持培養するという見地からいえば、この程度関税復活では足りないのだということを申し上げておるわけで、しかもあなたの先ほど来の御説明によると、今度の関税復活によって大した物価へは影響にならないと、こういうことであれば、価格操作の面からいっては何ら消費規制の役は果さない、こういうことになるわけなんでありまして、私は今の世界の大局から考えても全然意味をなさないし、また具体的な施策としても効果のない施策で、他の施策によらなければ、政府の所期しておる施策はあげられない、こういうことを指摘をしておるわけであります。私の意味内容にも、また御指摘の点についても多少違う点がありますから訂正しておきます。
  40. 平林剛

    ○平林剛君 さっきの総合燃料対策のことに関連をしてお尋ねをいたしますが、今まで議論を聞いておるというと、小林委員質疑もそうですが、石炭かあるいは石油かという面だけが議論されておるように思うのですが、むしろ私は国内資源確保という点からも、国策としては十分検討していかなければならぬ問題だと、そういう角度から関税の問題も考えてよいと思っておるわけであります。  そこで国内原油の生産量が、質疑を通じてわかりましたように・現在年間国内需要量の五%にしか当っておらない。そうして他は全部輸入原油に依存をしておるわけであります。これは今後産業の復興に伴って石油の需要量が増大して参りまするというと、ますます輸入原油に頼らなければならぬようになってくる。この場合私は国策の面から考えますというと、国内資源開発にもっと力を入れるべきであるとむしろ考えておるわけであります。  そこで日本の石油事業外国資本に関して若干お尋ねをしておきたいのでありますが、日本の石油事業に対する外国資本の支配力についてですが、石油精製株式会社七社のうちで、約五社が株式の過半数を譲渡して外資の経営参加を解しておる。その投資総額は七社の合計資本金額の約六五%に達しておる。重役の半数は外国人で占めておるという例もあるわけであります。こういうことに対して政府の国策の上から見ての考え方といいますか、こういうことについての政府の所信をこの際お聞きをしておきたいと思います。
  41. 田中龍夫

    政府委員(田中龍夫君) ただいま御指摘の点でございますが、まず第一点の総合エネルギー見地から申しまして、決して石炭と液体燃料だけではございません、なおそのほかにもりと考えられまする点は、電源の開発でありまするとか、その他がございまするが、さらに御質問の第二点の外資の点におきましては、全くわれわれも同じような気持を持っておる次第でありまして、いわゆる英米トラストと申しますか、外資によって日本産業の非常に重要なエネルギー源でありまする液体燃料が願断せられるようなことがあってはならぬと思うのであります。さよう意味から、特に国産原油の増産、かような目標から、昭和三十五年目標に少くとも百万トンは国産化いたしたいという意味合いのもとに一生懸命に努力をいたしておる次第でありますが、なお資源の探求によりまして、もっともっと国産原油の増産もどうしてもやらなければならない重大な国策だろうと思いますし、また各会社の外国資本の点でありまするが、ただいま御指摘通りでありまして、この点は日本の国家の自立の上から申しましても、真剣に考えていかなければなりません。しかし一方におきましてはだだいま申しましたように、英米トラストといったような非常に強大な経済的政治的な力があるとともこれも事実でありまして、これをいかにするか。ことに、たとえば現在のドルとポンドの関係から申しまするならば、ドルに依存し過ぎております。同じ外油でありましても、米国系の油と、現在のポンド市場からいいましても、これをポンドの方に切りかえて、いわゆる英系と米系とのバランスをとるといったようないろいろな施策もあわせて考慮しなければならぬだろうと考えております。
  42. 平林剛

    ○平林剛君 御承知よう外国の資本がわが国の石油産業の支配権を確立するに当っては、戦後アメリカの占領政策を利用して、当時破滅に瀕した国内の石油産業に対していろいろな方法でその支配権を確立してきたということを私ども承知をいたしているわけであります。特に現金による投資あるいは貸付ということはなるべく避けたようでありますけれども、石油の独占供給を引き受けるかわりに、あるいは代金の支払いにかえて短期クレジットを与えるなどによって株式を所持し、その後原油、タンカー、特殊使用量あるいは技術援助費をもって株式やあるいは貸付金に振りかえて、今日の支配権を確立しているわけであります。私はこういう支配権のもとで、今日の石油の原価がすべて自由にされているという現状に対して危惧の念を持っているわけであります。特にこの間資料をちゃうだいいたしたのを見てもわかりますように、生産原価九百円のアラビア原油が、アメリカ本国の生産原価と同額の四千三百七十円で独占的に供給されているというよう実情も、あるいはこの原油日本に運ぶことによって、わが国の港湾施設に到着する値段が六千六百七十四円になっている。こういう工合に、この石油は、原油を精製することでもうけたり、あるいはこれを元おろしすることで販売市場でもうけたり、いろいろな形でもうけているわけであります。ことにいろいろな関係者からお話を聞きますというと、こうしたやりくりによって、年間において百数十億円の利益がある。アメリカ国内市場においても精製業の一ヵ年間の収益は二十九年度で百億にもなる。そのうちの六〇%の六十億円程度は、今申し上げた外国資本の中に持っていかれているという実情を聞いているわけであります。  私はこれに関連をしてお尋ねをしたいのでありますが、今回は関税を免除しておったところの炭化水素油の中から、燃料として使用される一部のものに軽減税率を課する、こういう内容だけにとどまっておりまするけれども、なぜこれを基本税率にまで引き戻されなかったか、いろいろ小林委員質疑を通じて伺っておりますというと、これに対してはたとえば国民大衆に対するはね返り、あるいはその他のことが考えられます。また大蔵大臣が先ほども答弁をした中でも、今一ペんにそれを戻すというと、いろいろな影響を与えるからという抽象的な答弁をされておりましたが、その影響の中にこういう外国資本の圧力というものが入っていて、今回は基本税率に戻すことができなかった、こういうふうに理解していいのですか、その点を私はお聞きしたいと思うのであります。
  43. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 国産原油保護のために、基本税率まで一割を復活する必要があると思うが、なぜこれを中途半端にせられたか、こういうお尋ねでございますが、これにつきましては、ただいまのような御質問の意向ももちろん一部にはあるわけでありまして、ただこの反面、これを一挙に一割にいたしますと、当面の問題といたしまして、海上用、特に水産用の重油につきまして相当なはね返りがあるわけであります。御承知通りに水産業の現況等を考えますと、今回の関税復活によりまして、その影響を水産用の方面に及ぼすことは、これは妥当でないという政府部内の解釈政策が統一されまして、その結果、海上用部門には実際上関税負担を及ぼさないという趣旨の下に税率が算定されました結果、このよう提案を申し上げておるような率になっておるわけであります。
  44. 平林剛

    ○平林剛君 私は先ほど指摘したように、日本の石油精製業その他の産業資本の利潤などから考えて、すぐそれが大衆の消費の面にはね返ってくるということについては、すぐには納得できない面があるのであります。むしろその中において何らかの措置政府がとるならば、一般の消費の面には、はね返りをしないで済むのじゃないかという考えがあるのじゃないかということを考えるのでありますが、そういうことは全く考えられないのでありますか。その点をお聞きしておきたいと思います。
  45. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 今回のBC重油関税につきまして、私どもとしましては、これはボイラー関係のものにつきましては石炭と競合する面が非常に多くありますので、またコストの面に及ぼす影響というものは、どちらかと申しますと、それほど大きくないというふうに考えますので、こういうものにつきましては、関税のはね返りが響いても差しつかえないのじゃないかというふうに考えるのであります。その他のたとえば鉄鋼関係の平炉とかあるいはガラス関係の炉とか、そういう特殊のものにつきましては、関税のはね返りにつきましてはなるべく石油業者の方で吸収して、そしてその需要者の方になるべくかからないようにしたいと考えて細ります。そういうような行政指導をやりたいというふうに考えております。しかしながら、そういうものでありましても、これがそれほど影響はないというようなものにつきましては、これは私は自然の価格にまかせておいても差しつかえないではないかというふうに考えております。
  46. 平林剛

    ○平林剛君 その点については小林委員質疑で何回も聞いておりましたから、大体私もわかっておるのでありますが、もう一つお尋ねをしたいのは、先回の委員会小林委員質疑に対して、あなたがお答えになった中で、基本税率を課するということは、単価の値下りその他から見て当然の措置よう考えるというお答えがあったのであります。これは議事録を調べてみました。そうすると、一体今回の措置は一部のものに対して軽減税率を課しておるだけでありますけれども、この法律を施行してみて、どういう影響があるかということを調べてみた上で、今議会で議論になっておるような悪い面の影響がなければ、基本税率の方に戻してゆくようにするのかどうか、その考えがあって、様子を見て、次の機会にはさらに基本税率に戻すよう考えをするのか。小林委員のごときは、この逆を考えているのだ、この次は、とりあえずやって、全廃をするかのよう考えているのだが、私は政府答弁から見ると、当然次の機会には、様子を見て、いろいろな影響がなければ、小林委員でも五割ぐらい課するのが当りまえだと言っておる。いよいよ基本税率に戻してゆくということを考えなければねらないと、こういう点をお聞きしたいのであります。
  47. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 私は数回の委員会におきまして御説明申し上げたところでは、結局、昭和二十六年当時において基本税率一割を課したその当時と、状況、基盤が、がらっと変ってきておるということを申し上げたのでありまして、本来ならば基本税率一割にすべき時期ではないかというふうに感ずるのであるけれども、海上用特に水産用等への影響考えてこの程度が妥当だと、こういうことを申し上げたのであります。今後これをいかに持っていくかにつきましては、それは非常にむずかしい問題でございますが、ただいま御審議願っております法律案は、一応来年の三月末日まで効力を有するものでありまして、なお実施の経過を見まして、関係各省とよく打ち合せの上、そのときには改めた月をもって御提案申し上げたいと思います。
  48. 平林剛

    ○平林剛君 これは衆議院の大蔵委員会でも特に今後取り上げられた水産用に対するはね返りの面につきましては、政府がその施策のよろしきを得て影響がはなだくしはならぬように注意をするということに相なっておるわけであります。私はその面については大いに期待をしておるわけです。同時に免税措置はそういう情勢からみまして、私は現在はいろいろな影響、つまり今現われている以外の目に見えないところの影響がもしなければ、むしろ基本税率を課すべき段階であると思っておるわけです。そういう点では、政府の方がせっかく水産用の油に対するはね返り等を極力少くするようにして、ある期間を経た後においては私は自然の姿に返していく、国策の上からみても当然必要なことだと思っておりますから、一段と政府の方ではその施策をしっかり進めてもらいたいということを要望いたします。
  49. 小林政夫

    小林政夫君 今大蔵大臣がおられないので、川上さんに質疑をしますが、前回だいぶ質疑応答をやった際に、あなたの答弁もなかなか苦しかったようですが、なかなかこの行政措置によって水産には影響を及ぼさない、あるいは輸出に重要な関係を有する中小企業その他の産業についてもこの関税復活のはね返りの影響を及ぼさないということは、行政措置として一応この委員会ではあなたはやれると答弁せざるを得ないけれども、実際問題としては非常にむずかしい。これは前数回の委員会において、るる質疑応答を重ねた通りでありますが、これだけの行政負担を通産省は負って、そうして、しかも実質的には石炭対策にもならないし、また国産原油の維持培養施策にもほど遠い。こういう施策をしょわされるということは、何か一つ魅力があるのじゃないか。というのは、この関税収入十六億というものを、たとえば石油資源開発に使おうと、こういうことであなたの方は同意をしたのじゃないかと思うのですが、そういう、今国会に上程されておる石油資源開発株式会社法案、こういうものとの関連においてはどう考えているのですか。
  50. 川上為治

    政府委員(川上為治君) この関税収入によって、そこから国産資源の開発の財源を見つけたいと、単にそれだけの魅力によってこれに賛成したということでは、私どもの方ではないわけでございまして、やはり総合燃料対策から見まして、特に石炭との調整から、どうしてもこの際BC重油につきましては、この程度関税をかけることは、これはやむを得ないことではないかというふうに考えましたので、従いましてこの関税引き上げに対しまして、われわれは賛成をいたしたわけでございます。総合燃料対策のこれは一環でありまして、先ほど経審の次官からお話がありましたように、それ以外のいろんな措置をあわせ用いまして、そうして石炭との関係の調整はしなければならないものと考えておりまして、そのために現在衆議院の商工委員会でいろいろ審議いたしておりますが、ボイラーの設置の制限等に関する法律、これもやはりその一環として考えておるわけでございます。従いまして、私はそういういろんな方面からこの石炭との調整ということをやっていかなければならぬのではないかというふうに考えておるのであります。また一面、国産原油開発につきましては、私どもはどうしてもこの際百万キロ程度は出さなきゃならぬというふうに考えておりまして、これは別に関税に対しまして特に財源を求めておるわけじゃありませんけれども、とにかく国としましては、こうした方面に対しまして相当の金を出すことが私は大事じゃないかというふうに考えまして、幸いに衆議院におきましても会社法が通過しまして、今参議院でいろいろ審議中でございますが、私は先ほど申し上げましたように、ただその国産原油開発の資金をかりに仰がんがためにこれに賛成したわけではないのでありまして、あくまでも総合燃料対策の一環として賛成しておるわけでございます。
  51. 小林政夫

    小林政夫君 答弁はそうならざるを得ないと思いますが、まあ私の考えとしても目的税的考え方にはかねてから賛成はしておらない。目的税設定ということについては賛成ではございません。ではございませんが、通産当局がかなり熱意をもってこの原油重油関税復活に賛成した、しかもしょい込んだ行政負担というものは相当大きい負担をしょい込んでおる。にもかかわらず、まあこれを何とかやっていこう。それで、われわれがこれはどうだ、これはどうだというと、それには影響を及ぼさないようにいたします。どんどんやっていくと、何も影響がなくなるというような先ほど来の質疑応答によっても、ほとんどねらっている石炭対策あるいは国内資源維持培養ということについては意味をなさない。しかも今の国の大きな経済政策の点からいっても矛盾をはらんでおる。この法案にある程度賛成、積極的に賛成すると、とう言うには何か餌を考えたのじゃないか。そうやってみると、なるほど石油資源開発株式会社法案というものが出て、通産省の一般会計予算の中で三億円を計上してこの会社に出すと、こういうそろばんからいくと、少し割が悪かったのじゃないか。もっとよけいもらえるつもりが、えらい失望しておるのじゃないか。どうもあまり賛成するのじゃなかったという気持が出ておるのじゃないか。石橋通産大臣が来れば、率直な人だから聞いてみようと思うがあなたがどうも割が悪いことになってはおりませんか。もっとも、ちょっと待って下さい。十六億という税収があっても、平林君が言うように石油精製会社がもうかっているのだから、全部負担させるということになると、法人税収がそれだけ減ることになるし、差し引いてみると十億足らずの国のふところ勘定になっておるので、まあ十億あなたはもらえば、そろばんは合う。どうも三億じゃそろばんが合わんように思うのですが、どうですか。
  52. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 私は別にそろばんが合うとか合わんということでやったわけじゃないのですが、まあ石油開発のためには相当の金が要りますので、少くとも七、八億ないし十億程度の金が国からつぎ込まれることを私は非常に希望しておるわけでございます。先生はそれをよく御存じで、実は割が悪いのじゃないかというようなお話をされたのじゃないかと思うのですが、私の方としましては、先ほども申しましたように、やはりこの問題は総合燃料対策の一環として、今、先生は、どうもその石炭に対して影響がないのじゃないかというようなお話でありましたけれども、この前も申し上げましたように、大体そのボイラー関係の油が百八十万キロリッターぐらい年間に消費されております。少くともその半分程度はこの五ヵ年間に石炭の方に転換さしていきたいと考えておりますので、このはね返りのものにつきましても、私はそうした方面にはね返りがいくように行政指導をしていきたいと、こういうふうに考えておりまして、大体九十万程度の石油ということになりますと、石炭に換算しますれば百八十万トンぐらい、その百八十万トンというのは、私は石炭の問題から見まするというと非常に大きね問題ではなかろうかというふうに考えますので、私は先生のおっしゃいましたように、これがそう大した問題ではないというふうには考えていないわけでございます。
  53. 小林政夫

    小林政夫君 まあその後段の点は、そういった面への関税復活による値上げをしわ寄せするということだけでは、重油消費規制はせられないので、もう一つ重油規制法の通過を待って、初めてその効果が現われるので、その関税復活による値上り分をそっちへ石炭と競合関係で、しかも石炭を使っても差しつかえないと、こういう面へのしわ寄せによって、価格操作によってその規制がされるという点は大して効果がないのじゃないか。これは今の経済企画庁の政務次官も、あまり物価にはね返らんようにすると、こういうことなんで、その面で意味がなくなって来る。むしろもう一つ重油規制法案によってあなたの消費規制の効果が現われるわけであります。この関税復活のこの程度措置、しかもそれをなるべく物価へのはね返りを防ぐ、こういうことでやっていこうとされればこれは意味がない。その規制という点からいけばそこに問題があるわけで、まあもちろん私が率直な質問をしたところで、そうです、割が悪かったというよう答弁がないことは承知しておりますけれども、まあそういう答弁は要りません。
  54. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 衆議院の大蔵委員会の付帯決議は、これはまあ政府側でも了承したということでしょうが、先ほど来も特別の行政措置が問題になっておるのですが、一体どういう方向で、措置としてどういう方法をとるのか。水産用重油及び沿岸運航用重油については、まあ値段を安くするという特別措置の方法を伺いたい。というのは方法いかんによっては、一体そのしわがどこへいくのかという問題が出て来る。業者が負担するのか、それとも生産用重油及び沿岸運航用重油以外の重油を使用する人の方へおっかぶさっていくのかということをまあ聞きたいわけです。
  55. 川上為治

    政府委員(川上為治君) この水産用重油につきましては、特にA重油、それが一番使われておるのでありますが、今回の関税措置につきましては、A重油にはかからないということになっておりますけれども、このA重油につきましては、昨年の四月からその価格につきましても通産省から標準価格を定めまして、各漁港別にこれを実施しまして、その漁港別の各元売業者あるいは特約店はそういう価格で販売すべきであるということにいたしまして、現在におきましては、その標準価格は、いわゆるその特約店の協同組合の協定価格として実施されておりますが、そういう価格を現在設定をいたしております。そしてその価格で販売するようにさしておるわけなのですが、特にこの水産関係につきましては、元売業者と特約店のつながりというのがきわめてはっきりいたしておりますので、どこどこの特約店はどこの元売の系統である、そしてどのくらい流れておるということもはっきりしておりますので、もしある漁港におきましてそれが守られないというようなことになりますれば、すぐそれはどこどこの店でどこどこの系統であるということがよくわかりますので、私どもは元売業者に対しまして外貨の調整によりまして罰則的な措置をとって、そしてその威令が行われるよう行政措置をとっておるわけでございます。昨年の四月からこれは実行されまして、そしてこの四月からさらに値段をある程度下げましてやっておるわけなんですが、大体において私どもの聞いておるところでは、また調査しておるところでは、うまくいっているように聞いております。また地方におきましては各県別に苦情処理機関というのがありまして、この苦情処理機関というものに対しまして、非常に問題がありますれば、いつでもこれに訴えるという、価格の面におきましてもあるいはその配給量の問題につきましても適正が期せられるような仕組みを現在とっておるわけでございます。A重油につきましてそういうよう措置をとっておりますが、BC重油につきましても、私どもは同じよう措置を……この水産関係につきましては、これは零細なる漁業者の関係でありますから、大きな漁業者につきましては、別に私どものほうとしては、価格の引き下げとかそういうよう措置はとりません。零細なる漁業者に対しましては、そういう措置をとりたい。大体今申しましたA重油に準じました措置をとりたいというふうに考えておるわけでございます。
  56. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 そうすると、今の方法でやると、一体輸入の原価は同じだ、関税も同じようにかかるのだ、ところが末端の買値は違う。そこの差は一体どこで消えていくことになりますか。だれが負担することになるのですか。
  57. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 先ほども申しましたように、大体私のほうとしましては、A重油については関税はかけない。B・C重油にはかかるわけなんですが、――C重油についてはほとんど漁業関係はございません。B重油のうち、これは半分に足りないと思うのですが、三分の一ぐらいが漁業関係でありますが、そのうちの、この特に零細漁業関係のほうにかからないように、先ほど申し上げましたように値段をきめて販売するようにするわけなんですけれども、結局そのはね返りというものは、これはさっき申し上げました陸上の重油ボイラー、そうした方面にだんだんしわが寄っていくように持っていきたい、こういう意味のことを申し上げたわけであります。もちろんこれは石油業者の方にもある程度吸収をされることになるわけではございます。
  58. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 私はそれがちょっとおかしいと思うのだね。その水産用の税金を負けただけを、税金という関係でなしに、ボイラー用の重油にひっかけていく。また表面的には関税がかかったというのが、片っ方免税しだだけのものが片っ方にかかっていく。そうすると片方が一割二分のものが一割三分の税率をかけられることになるのだが、一体それまでの必要があるのなら、水産用重油については免税にすべきだ。そのしわを商人なり取引機構で消えさせるような指導をするのならいいのだが、ボイラーのほうへだんだんしわが寄っていくというのじゃ、税率のきめ方として理論的に納得できないじゃないか。まあ金額としてはB重油だけだというので、そう大きな問題はないのだけれども、税率をきめるときの考え方としてはおかしいのじゃないかと思います。
  59. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) ただいま杉山先生の御指摘ように、かりに水産用のB・C重油については関税を免除すると、こういうことをはっきり書けば、まことにすっきりした法案になるのでありまして、ただ御承知通りに、その輸入品が特定の用途に使われるという場合に免税いたします場合には、税関においてその確認ができることが必要でございます。ところが御承知のごとく、水産用の重油につきましては消費者もきわめて多数でございます。それから、重油を輸入して果してどの業者がそれを使ったかということの関連は行政的に得ることはほとんど不可能でございますので、ただいま御提案申し上げておるような案になったわけでございます。
  60. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 ちょっと二つ三つ、ちょっと関係がないのですけれども、先ほどいろいろ各委員からのお話を聞いておりますと、石炭等の関係においては、やはり相当関税をかけなければならない。しかしそれが物価にしわ寄せされるということは避けなければならない、こういうことなのでありますが、すでにいろいろお話がありましたように、石油精製業者というものは相当大幅な利益を上げている。これに対してはわれわれも何か措置をしなければならないと思うのですが、その一つの関連した問題といたしまして、たとえば石油精製業者のある者が大型タンカーの申請を出して、しかもこの石油精製業者に対しては過去開銀から相当の資金を、石油精製の設備拡張と申しますか、あるいは設備の改善ということの名目で金を出しておる。その石油精製業者が今度は大型タンカーを建造することを申請している、こういうことを考えてみると、大型タンカーを作るほどの利益金があるならば、開銀からそういう特別な資金を受けないでもいいのじゃないか。その状態を見ていると、あまり石油精製業者というものが勝手な仕事をしているというふうに考えられるのですが、こういう石油精製業者が自分で大型タンカーを建造する、しかもそれに対しては、十四億かかるもののうち約十億程度はやはり外国資本で建造する、こういうことを考えているようでありますが、大蔵大臣としまして、こういういろいろ矛盾したやり方ですね、これをどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
  61. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 全面意見の点は、これは私はわが国の海運政策から判断をいたすべきだと思うのであります。従いまして、私がここでその行為について断定を下すのは当を得ないと思います。ただしかしこれは資金的な関係から申し上げれば、この石油会社が今お話のように、外国資本の、結局これは借入金によってやっているということになるのであります。まあ資金の関係から、借入金というよりもこれはやはり合理的にそういうふうないわゆる船を持つことを業としておるこういう船会社以外に、それぞれの業者が自分で所要するものを、こういう船を持つととが海運政策全体としていいのか、あるいはまたそういうことが原則論としてどうか、あるいはまた例外的には認められるのかというようなこういう問題に私はなるのだろうと考えております。今、私はそれについて腹案は持っていませんが、一応私はそういうふうな観点からこれは見るべきだということをお答えいたしておきたいと思います。
  62. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 資金の問題だけに限定して考えてもいいのですが、アメリカから約十億の金を借り入れる、こういうことはすでに許可になっておるのでございますか。外資を導入するということですね。
  63. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 外資委員会で一応外資を入れるということについては許可があったように私報告を今はっきり聞いておりません。そういうことを申し上げておきます。それはあくまで海運政策として運輸省でそういうことがよろしいというときにおいて考えられるわけだ、こういうことであったと思います。
  64. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それは単なる私は海運政策の上からばかりでなくて、大蔵大臣としても十分にこの問題については発言をなさる権限もあるのじゃないかと、こう思うのです。もう一つの問題は、自己資金を四億程度この船の建造に出す。しかしこの会社はすでに開発銀行から、先ほど申しましたように、石油精製のために一億五千万円ですか、借り入れているわけなんです。私はこれだけの自己資金を持っているならば、開銀からそういう巨額の資金の融通を受けなくてもいいのじゃないかと、こう思うのです。これは金融政策としてはいかがなんです。あるいは財政投融資としてですね。
  65. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 今お話の会社はたしか丸善石油ではないかと思うのですが、この開銀の融資につきましては、これは二、三年前の問題でありまして、それからずっとこれまで続いていたと思いますが、もう最近におきましては済んでしまった問題では臓いかと思うのですけれども、まだ少しあるいは残りがあるかもしれませんが、これは当時どうしてもその設備の改善をしなければならない、たとえば接触分解装置でありますとか、そういうきわめて近代的な設備をしなければならないということで、また当時におきましては、それほど収入が大きくありませんでしたので、どうしてもこれは開銀の方からある程度融資してもらわなければならなかったというような事情がありまして、そしてそういう開銀の融資を受けたと私どもは記憶しておるのですが、現在におきましては、もう開銀融資につきましてはいろいろな問題について石油精製業者に対しましては私どもの方ではほとんど考えておりません。ただ四、五年前から二年ぐらいの間どうしても国内の設備を改善しなければ……、でないというと、外国の製品と比べまして非常に劣る、競争ができないというよう関係から、単にこれは丸善石油だけではないのですが、ほかの石油会社、特に日本の資本だけでやっておる会社に対しましてはめんどうを見たことはございますけれども、現在におきましては石油会社は相当収入がありますので、自分の力でやりなさいというところで、私の方では別に開銀融資等は考えておりません。
  66. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 海運政策の問題ではありますけれども、ただ私資金の面でもう一度一萬田さんにお伺いしたいのです。これは丸善だけならまだいいのですけれども、続々としてこういう形式の石油精製業者が大型タンカーを建造するということになって参りますと、先ほど来、いろいろ問題もありましたけれども、タンカーも含めて計画造船に政府資金を出しております。こういうふうな荷主が自己の船舶を建造して、これは海運界に相当影響を及ぼして来る、資金を融通しております、あるいは利子の補給をやっておりますこれらタンカー業者を中心として、政府が貸し出しておりますところの資金の元利金が回収できなく捻るのではないかと、こういうことを心配するのです。この点については何か保証するような、そういう危険のないようにするという方法がございますか。
  67. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私ちょっと質問の要旨が……、どこに保証するのかわかりません。
  68. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 こういうことなのです。続々として石油精製業者がタンカーを持つようになると、これまですでに政府から資金を出しておりますね、そういう人たちは非常に影響を受けて事実上まあ営業ができなくなってくるだろう、そうすれば今まで貸し付けたものを回収することもできなくなってくる、そういう回収ができなくなるということを防ぐような保証の道があるかどうか、これは金を出すという意味ではない、何かそれを守ってやる、こういうことをお考えになっておるか。
  69. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) それは私の考えでは保証をするというよう事柄ではないのでありまして、そういう事態を招来するような海運政策をとるべきではないということに私は今さよう考えております。
  70. 小林政夫

    小林政夫君 経審長官お急ぎのようですからかいつまんで質問しますと、先ほど政務次官から御答弁があったので、一体今度のこの原油重油関税復活というものがどういうところをねらいにしておるのか、石炭対策とも・また国内原油資源の維持培養と、こういう両面のねらいがあると一応は提案理由で言われており、だんだん研究してみると、国内資源の培養という点からみると、この程度関税復活では全く意味をなさない。国産原油のコストとまた輸入原油のコスト等から考えてみると、もし関税制限だけで国内資源の維持培養ということをやろうとすれば、五割ぐらいの関税にしなければならないし、それから石炭対策という点から考えると、水上は除き陸上のBC重油・主としてボイラー用の燃料として使われるBC重油にしわ寄せしていく、従ってまあ基本税率一〇%に近い八%ぐらいの負担になるようにしわを寄せてゆくというわけでありまするが、だんだんあれにもしわを寄せてもらっては困る、これにもしわを寄せては困るということで、衆議院の付帯決議等によれば、輸出に重要な関係を有する中小企業その他の産業に対してはその値上りのしわを寄せるな、こうなってくると、ほとんどしわを寄せるものがなくなって来る、そういうことで、一体これはまあ通産当局においてそれだけの行政措置がとれるかどうかということは非常に疑問なのでありまして、疑問なのでありますが、まあ一応とれたとすると、やはりこれは石炭と競合関係がある重油というものに対する範囲というものは非常に狭いものになってくる。しかもそれでしわを寄せられたとすると、これはかなり物価にはね返ってくる問題です。これは今の低物価政策と言いますか、物価を上げない政策、また経審長官非常にお骨折りの生産性を高め、コストを安くしていく、この企業合理化を通じて低コストに持っていくという政策から言えば矛盾するのではないか、こういう質問を続けたのであります。その結論としては、政務次官の言われたのは、あまり物価にははね返らんようにいたします、ほとんどはね返りはないと思います、こういうことになると、実際価格の面から考えても石炭対策にはならないのです。  そうすると一体この原油重油関税復活というものは何か、こういうことになるわけでありますが、また総合燃料対策等から考えて、経審長官としてこの原油重油関税復活というものは、将来は基本税率まで持っていくと、こういうお考えでおられるのかどうか、というような点の御所信を承わりたい。
  71. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 現在六ヵ年計画におきましては総合燃料対策を立てております。それにつきましてはどうしても将来石炭というものを燃料に使うということは、これはやめてゆきたい、石炭というものをもっと高度化して使用したい、こういう考えでおります。と言って、今、それは理想でありまして、実現する上においては相当の日にちをもってかからなければならん。それまでの間は現在の石炭業者をある程度立っていけるようにしなければならん。それで現在は四千二百万トンでありますけれども、六年後には五千万トソの石炭を供給するものとして、石炭業者を自立するうよにしていかなければならん。その点から考えますというと、現在の石炭価格というものを維持する、持続する。むろん石炭価格はできるだけ生産原価を下げて参りますが、それにしても現在の重油が無制限に入ってくるということでは、五千万トンの石炭を消費するということにつきましては相当困難性があると存じまして、ボイラー用のようなもの、大量を使用するものは、できるだけ石炭にかえていきたい、こういうような根本方針でございます。同時に輸入の重油――油に対しまして適当な課税存加えまして、それによってその金が入れかわり立ちかわりして、それが結局日本の油を自給する、原油を自給するという方面に十分に力を注いでゆけると存ずるわけでありますが、現在の日本の石油工業というものは、決して私は現状で甘んずるものでないというよう事態であります。最近におきまして欧州におきましても探鉱の技術が非常に進歩して参りました。その結果今まで重油が出ないと思っていたドイツのような所は非常な勢いで今増産しておる、こういうことにかんがみまして、国内資源開発ということについては十分力を注いでいく、そういうような面からあれやこれやを考えまして、燃料対策を立てましても、ある程度原油に対する関税をかけるということは、国策上必要だと、こう思っておりますが、これをもとの規定のごとく戻すかというふうなことにつきましては、これはよほど考慮する必要があると存じまして、その点につきましては、今後の国内資源開発程度石炭業者の成り行き等から考慮いたしましてそれに手かげんを加えていきたいと存じますが、現状におきましては、現在の政府のとっております方針は、その意味からいたしまして私は必要だと存ずる次第であります。
  72. 小林政夫

    小林政夫君 まあお話の大体石炭をそのままの形において燃料にたくというふうなことは、まあいわば時代おくれで、何か物に変えて作っていくという方向へ考えていかなければならん、こういう御抱負に対しては全面的に賛成でありますが、大体世界の燃料というものが、そういうとともかね合せて固型燃料から液体燃料に変っていっておる。しかも日本ような国柄において、今のような方針で大いに探鉱等をやって、国内自給度を高めて行くといたしましても、現状は非常に輸入に依存する場合が多い。しかもわれわれは輸出に依存しなければならん。こうなると、あらゆるデータをつかまえて、それがコスト的に安くなるように、こういう態勢からいくならば、大部分輸入に依存しておる現状において、この原油に課税するというととは好ましい姿ではないと思う。で、今御意見をお述べになったときに見のがすことができないことは、要するにとうやってある程度国の収入をあげることによって、それを石油資源の探鉱費に使おうと、こういう意味の御所見があった。これは私は率直な御答弁だと思うし、まあそれならば多少意味があるのではねいかということなんです。それは先ほどお見えになる前に、川上局長に尋ねたのでありますが、そういう観点からいくと、どうもそろばんが合わないのではないか。十六億の税収をあげて、これがどこへしわ寄せされるか。一方、法人税等も減りますから、大体政府の歩どまりは、政府のふところ、財布へ残る金としては十億ぐらいだ。こう数えると、今度の石油資源開発会社への国からの出資というものは、通産省の一般会計で三億計上しておる。こういうものはそろばん勘定に合わないじゃないか。こういうことを鉱山局長に質問したのです。合いませんですとはおっしゃいませんが、通産省としては非常に行政負担を重く受けて、あれにも関税復活のしわを寄せないようにし、これにも関税復活のしわ寄せをしないようにと、これではなかなか、あの戦争中の徹底した計画経済と言いますか、統制経済の中においてもやみが横行し、価格が守れなかったときに、一片の外貨割当を武器として行政指導によって、との二重価格ようなことが行われる保証は私はつきにくいと思います。しかしそれはしようがない、この委員会でやりますと、こう言わざるを得ない政府委員の言明でありますけれども、そういうような大きな行政負担を背負って、一体何が通産省としていいのだと言いたいところなんですけれども、本心はそういった税源を確保して、目的税的な意味でこれでもって石油資源を開発する。こういうようなところにねらいがあるのじゃないか。その点いかがですか。
  73. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまのお説は私はごもっともだと思いますけれども、幾らか関税をかけるということは、これはやはり物価政策上非常に大きね問題だと思いますが、これは大きな影響を及ぼさない範囲におきまして、これをやっていきたい。これは低物価政策を持続する上におきまして必要でありますから、その方針は守らざるを得ないわけであります。その点は通産行政におきましてよほど困難性はあると思いますが、この困難に打ちかって通産省にやってもらいたい、こう思うわけであります。同時にやはり、どうしてもこの日本の石油資源の開発ということにつきましては、もっと深く力を注いでいきだい、こういうふうな所存でございます。
  74. 小林政夫

    小林政夫君 今の重油の消費を規制し、石炭の過渡的措置として、石炭の需要を喚起する、こういう建前からいくと、この関税復活で今の低物価政策に矛盾しないような、こういう措置とにらみ合せてみると、これでは本来の目的は達せられない。一番成功した形においては、石油精製会社が全部関税と言うか、輸入業者等がこの増加した関税を、自分の方で何と言うか、それだけ負担する。こういう形こなれば末端へ一つ影響はないわけです。けれどもそういうことをやったとすれば、石炭対策には、価格面から、ならない。一つも物価の値上りを来たさんわけですから、ならない。だからむしろ、そういう石炭対策という点から言うならば、もう一つ別の法案重油規制関係法案が主役を演ずるのであって、これでは効果がない。そこでそれをあえてこういうふうな措置をとるということは、世界の各国を調べてみても、大体日本ような国柄において、関税を設けておるところは皆無と言っていい。ないのです。おおむね関税を持っておる所は、国内の需要量に対して国内の生産量が間に合っておる自給可能の国において関税をかけるという状態でありまして、特に先ほど来言うような低物価政策の推進、企業コストの低下、低減をはかるという点から言っても、多少の、わずか〇・何ポイントという、価格のはね返りがあるとしても、それが石油業者に対して影響があるかもしれないというようなことを、政府委員から聞きましたけれども、そのためのコストの低下ということについて、今各企業は血みどろの努力をしておるのであって、コスト低減がいかに骨が折れるかということは、長官の十分御承知のところでありましょうから、ちょうちょうを要しませんけれども、そういう態勢から言いますならば、これだけの関税復活にしても相当矛盾したところであって、矛盾を忍んでやるというならば、何か目的があるのではないかと、こういうことになるのでありますが、どうもあまりそういう目的も石油資源開発ということも、三億程度DもDであれば大して目的を達しておらん。こういうことになると、あまり積極的にこれだけの復活をするという理由が乏しい。かえって悪い影響だけが残ってくるのではないかと懸念がされるわけで、まあ言っておるわけであります。
  75. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいま傾聴すべき御意見だと思いますから、よく検討することにいたしますが、現状におきましてはこの関税をある程度かえるということになるかと思います。     ―――――――――――――
  76. 青木一男

    委員長青木一男君) 高碕長官は他の所用で急がれますから、この際、日本開発銀行の電源開発株式会社に対する出資の処理に関する法律案議題に供しまして質問を願います。
  77. 野溝勝

    野溝勝君 委員長のお取り計らいによりまして、ただいま議題になりました日本開発銀行の電源開発株式会社に対する出資の処理に関する法律案に関連をいたしまして、私はこの際、ちょうど有力二大臣がおられますので、簡単に質問をしておきたいと思います。  私はしろうとでわからんのでございますが、特に電源開発会社はすでに促進法ができまして、これに関しましては政府といたしまして、積極的な支援をすることになっております。そこで特にこの法案のおもなるものは、言うまでもなく、従来の開発銀行の引き受けた株式を産業投資特別会計に帰属するということが重点でございますが、私はこの際、関連してお伺いしておきたいのは、一体日本発送電会社を解散いたしまして、九分割いたしまして、そのときの理由といたしまして、サービスをよくする、廉価配給するということが大義名文でございましたが、その後の、九分割後においては、何らあまりサービスもよくなっておりませんし、廉価配給もされておりませんし、年々歳々電力料は値上りでございます。この値上りが、これがいわゆる政府の言う低価、低廉配給と言われるのでしょうか。こういう点について、私は大いにその当初とは矛盾した動きを示していると存じます。しかるにこの発送電会社を解散いたしまして、九分割になったはいいのでございますが、その後また電源開発会社というのが生まれました。一体電源開発会社は、発送電会社とどういうところが違うのでございましょうか。ただ違うところは配電の点だけだと私は思っております。特に発送電会社当時の技術者からいろいろ聞いておるのでありますが、配電の状態が違っただけでございます。別の会社に移っただけでございます。あと大した違いはないというわけでございます。してみればどういう一体意図でかようなことをやられたのですか。私どもは、国民として非常に疑問に思っておるのでございます。特に私はこの内容については、今日はお伺いいたしませんが、この発送電会社といい、電源開発会社といい、われわれ国民の莫大なる血税を国策事業としてこれに支援しております。してみますならば、との育成というか、内容というものに対しては、われわれは関心を払わなければなりません。しかるに発送電会社が解散したときの清算委員長は最後の総裁でございました小坂順造君だったと思います。われわれはこの清算勘定がどういうふうに一体されているのか、それが明らかにされておりません。一体いやしくも経済審議庁長官は、今度は企画庁と攻めて、今までのような審議機関じゃない。要は、名のごとく行動機関だ。でありますから、特にこういう電源開発、特に資源開発として日本石油開発株式会社というような、これは三億円であっても、日本の資源開発には重大なる政策一つでございます。大賛成です。しかしかよう考えを持っている長官が、この発送電会社が九分割されたときのこの清算に対して、どういうふうな動き、内容等を示されているか、この際お聞かせ願いたい。さらに私は、十分なる御説明ができないと思いますから、時間の関係上。私はその間における動きに対して資料をこの際発表願いたい。特に監督官庁にあるところの大蔵大臣は、との問題に対してどういう一体関心を持っておられるか。かつまたその後の経緯に対してどういうことに一体了承されているのか。この間の、いわゆる電源開発会社と発送電会社並びに国家資金の関係等々に対して、特に日本発送電会社当時における事情はよく了承し、間違いないという上に立って、今回開発銀行に切りかえて、この産業投資特別会計に帰属するということになったのでございますが、特に今後電源開発会社に対してはどういうふうに一体これを処理し監督していく考えでございましょうか。この際この二つをお伺いしておきたいと思います。
  78. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) この電源開発会社は、御承知のごとく今後日本の水力電気を開発いたしますにつきましては、相当大規模で多額の資金を要する、分割されたる九電力会社にとれをまかすということは、なかなか実施困難であるし、のみならず今後の水力電気の開発なひとり電力ということだけによっちゃいけないので、水力をいかにほかに利用するか、灌漑用にあるいは工場用水、いろいろな方面から考えているわけであります。そういうふうな意味から国家と直接のつながりのある電源開発株式会社をしてこれに当らしめる、こういうようなことでやっているわけなんであります。で、電源開発会社が開発いたしました電力は、現在におきましてはこれを電力業者に販売する、こういうことが原則となっておりますから、電源開発会社自身は消費者に渡すのじゃなくて、これを一応分割されたる九電力会社にこの電力を売る、こういう方針で進んでいるわけであります。従いまして、今日の電源開発会社というものは、ますます国家とのつながりを密にして、そうして国家目的に沿うようにこれを運営さしたい、こういう方針で進んでいきたいと存ずる次第であります。
  79. 野溝勝

    野溝勝君 発送電会社の当時の、九分割するときの清算勘定の状態を一つ聞かして下さい。どういうふうに財産が引き継がれているかわからぬじゃないか。
  80. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) もとの日本発送電会社、これを九つに分割いたしましたときは、その資産は九電力会社に引き継いでいる関係でございます。そういうことになっております。その詳細のことは通産大臣からお答えすると思います。
  81. 野溝勝

    野溝勝君 通産大臣といっても、電源開発会社を九分割したのですから、もちろんそれは通産大臣の所管かもしれませんが、あなたがやはり審議庁長官といいますか今度企画庁の長官ということになっておられるのだから、日本におけるところの経済の総合政策をやっておられるわけですよ。それですから、あなたはそれをまた通産大臣をここに招致して聞くというけれども、それよりは、とりあえず私はその内容についてここで示すことができなければ、今その資料を持っていなければ、あとで通産大臣と相談されまして、その間におけるところの資料を一つ提示願いたい。
  82. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいま資料は持ちませんし、また通産省との連絡もとれませんですから、野溝委員のおっやるごとく、後日との数字を確かめまして御報告いたします。
  83. 野溝勝

    野溝勝君 資料出すというのですか。
  84. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) はい。
  85. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 大蔵省といたしましては、今生として私の方はこの関係においては――財政の投融資の面でありますが、御承知ようにこの雪源開発、電力を豊富にしようというのは、これは最近日本の国策でもあり、また日本経済の要請するところであります。従いまして御承知ように多額の財政資金を投入いたしております。従いまして大蔵省としても、この金が所期のよう目的に十分使われていくかどうかということは、非常な注意と関心を持っているのであります。特に開発銀行を通じて出る資金については、開発銀行を通じて直接にこの監督を厳にしたい、こういうのであります。また私の方としてはそういうところであります。     ―――――――――――――
  86. 青木一男

    委員長青木一男君) お諮りいたします。去る二十五日菊川委員辞任に伴い、請願に関する小委員に一名欠員を生じましたので、この際、その補欠を互選したいと思いますが、先例により委員長より指名することに御一任願って御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。  それでは請願に関する小委員に平林委員を指名いたします。  暫時休憩いたします。    午後零時四十九分休憩      ―――――・―――――    午後二時三十五分開会
  88. 青木一男

    委員長青木一男君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  お諮りいたす件がございます。社会福祉事業等の施設に関する措置法案が社会労働委員会に付託されて審議中でございます。この法案内容を見ますと、国有財産法の例外規定を作ることを唯一の目的とする法案でございまして、本来当委員会の所管に属するものではないかとすら思っております。先例によりまして連合審査の申し込みをいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。  なお参考のために申し上げます。昨日連合審査をやりました建設委員会との関係につきましても同じような事案があったのでございまして、それで昨日、私は議院運営委員会委員長に対して注意を喚起しておきました。委員長法案委員会付託を決する場合に、法案の名前だけ見てきめずに内容を見てきめてくれと、非常に実は遺憾の措置があることを大蔵委員会としてはみんな心配しておる。今後そういうことのないように十分法案内容によって付託委員会をきめるように議運の委員長としては十分に配慮するよう委員長に申し込んでおきましたから、さよう御了承願いたいと思います。
  90. 小林政夫

    小林政夫君 その申し入れば口頭ですか。
  91. 青木一男

    委員長青木一男君) 口頭です。
  92. 小林政夫

    小林政夫君 過去にも何回かそういう悪例がありますので、後世に残るように文書で申し入れをしてもらいたい。
  93. 青木一男

    委員長青木一男君) 適当に処置いたします。
  94. 青木一男

    委員長青木一男君) 関税定率法関係法案について質疑を続行いたします。
  95. 小林政夫

    小林政夫君 午前中の質疑応答において大蔵大臣は私の意のあるところを御推察になったと思いますが、今後総合燃料政策、燃料計画等も樹立したいという御意図もあるようであり、将来というか、当面の原油重油関係復活措置、この来年の三月三十一日までの措置でありますが、諸般の状況を見て三月三十一日以降、すなわち来年の四月一日以降はどうするかということについては、どういう場合にはどうするという、この今度の関税復活影響というかがどう現われたときにどうだという何か腹案をお持ちですか。
  96. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 来年の四月になりまして、まあ前から出ました諸般の情勢検討を加えまして善処したいと、かよう考えております。
  97. 小林政夫

    小林政夫君 その諸般の情勢はどのような場合に、たとえば基本税率一〇%に復するという、こういうことは今度やってみたが、おおむね物価へのはね返りもなし、そう大した支障もなく、また行政措置がうまくいった、それならばもう少し上げようか、こういうことになるのか。あるいは本来これは望ましい姿ではないんだ、もう少し諸般の関係措置を強化する、まあ強化するというか、対策を立てることによって永久に原油あるいは重油に対する関税は下げない、どうしても所期の目的は達せられる、こういうことになるのか、諸般の事情の現れた結果によって対策というものは上げる場合と、また全然免税にする場合と二つある。あるいは今はこの二分あるいは六分五厘という関税ですけれども、実際に引き上げのしわが寄せられるところは、政府の出した資料によれば八分が目安なんだ。この目安というか、全体にはまあ八分ですが、八分を目安にすると言っている。ほとんど基本税率には二分の開きがあるだけだ。こういうような状態ですか、基本税率まるまるかけるようにするのか、あるいは状況によっては免税措置をとる、こういうことになる、その状況というのはどういう状況によってどうするということになるのか、およそ現われる結果というものは政府の思惑通りにいくか、あるいは反対の結果になるか、われわれが心配しているこういうことはあろうと思うのですが、ただ諸般の情勢に対処して善処する、こういうことでなしに、もう少し具体的に……。
  98. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) いや、私が諸般の事情と申しますのは、これはこの通産行政にも関連し、またこの企画庁の方の経済六ヵ年計画の方にも関連しておって、私自身としては、これは先ほど申しましたように、そんなに時を費さずに、すみやかに私はこの燃料対策、あるいはまた物価対策というよう意味においてもこの石炭対策というようなものをすみやかに樹立することがいい、こういう観点をもって私は関係閣僚とはもうすでにしばしば前から談合しているのですけれども、まだそこまで実は話が具体化しておらない。しかしまだ来年の三月というと相当期間がある。こういう期間に、私はやはりそういう根本に触れて解決をしたいという意味合いで、こういう話し合いがどうなるか……、あるいはまたしかしどういうように、今後政局がどうなるかというとともあるので、そのことを私はあるいは何ですが、一応そういうことを続くと仮定した場合の考え方です、考え方はそういうふうに考えてみたいと、そういうふうに考えております。
  99. 小林政夫

    小林政夫君 どうも何も具体的にはお聞きすることができないということになるわけでありますが、押し問答しておってもしようがありませんから、この法案とも関係するガットの問題について、前々からアメリカは行政府と、特に国会の中でも上院とかなり通商貿易についての考え方が違っておる。まあおおむね行政府は自由化の方向にいく考えでおるようであります。上院の方は、どうも関税障壁を設ける、アウタルキー的な気持が非常に強い、こういう傾向があるのでありますが、最近の報道によれば、まあ新ガットヘの加入について非常に問題が、貿易協力機関に対する協定について批准を延ばすと、こういう報道が伝わっておるわけですが、これについて大蔵大臣はどういうふうな御所見を持っておられますか。
  100. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) かわりまして私からお答え申し上げます。ただいま御指摘ございましたごとく、アメリカの国内におきまして、互恵通商協定法を枢軸といたしますところの自由貿易化の傾向と、国内産保護見地からするところのこれに対する反対論、両論非常に激しい闘争が行われておることは御承知通りでございます。たとえばガットにいたしましても、現在のガットの協定というものはアメリカは国会に承認を求めておりません。と申しますのは、これは互恵通商協定法に基くところの、大統領の権限内の行為だという解釈でもって、国会に承認を求めておらないのであります。ところがこの点につきまして、アメリカの国内においても相当な疑問を持つ節もございます。ことにガットというものがだんだん大きな機構になりまして、やれ総会もあり、事務局もあり、会期間委員会もある、しかも会費の分担もあるということになりますと、そういう大きな国際機関に対して国会の承認を求めないことは違憲ではないかというような議論が実は国会にもあるわけであります。そこで今回のガット規約の改正に際しましては、ガットの規定そのものと組織に関する規定とを別に分けまして、組織に関するものはガットを執行するととろの貿易協力機関ということで、別な協定にいたしているわけであります。この貿易協力機関の協定について、アメリカとしては国会の承認を求めるという手続、段取りになっているわけでありますが、御承知通りな互恵通商協定法の期限延長につきましてもいろいろ疑義がありました際なんで、なお今回の会期も切迫いたしておりますので、この際としてはアメリカの行政府として、これを国会の承認を求めるのは適当でないという解釈のもとに、今回の国会にはこの承認を求めなかったのではないかと思われるのであります。一応事務的に御説明申し上げました。
  101. 小林政夫

    小林政夫君 北島関部長のその見解については前も聞いたわけでありますが、大臣に特に含んでおいてよく認識をしておいてもらいたいのは、御承知かもしれませんが、アメリカは一九二三年にジュネーブにおいて調印されたこの税関手続の簡素化に関する条約については批准をしていない。そうしてしかもわが国に対しては平和条約で、批准をすることを条件として平和条約の中に織り込んでおる。われわれにこの通関手続の簡素化についての国際協調を強要したわけです。もちろん大した協約ではないし、われわれのとっておるところの通関手続等について、それと抵触するものは現在一つもない。だからそれを批准したところで別に問題ではないわけでありますが、しかし、わが国においても一九二三年にジュネーブにおいて調印して終戦後の今日まで批准をしておらなかった。それで二十七年の五月でしたか六月だったかにわれわれは批准をすることにしたわけです。その際にもいろいろこのアメリカの態度ということを問題にしたわけです。ところがこの旧ガット第二部に定められておることは、一九二三年の税関手続の簡素化に関する諸協定をまあ何といいますか、敷衍したような条項がたくさんあるわけです。この二部、三部というものは、アメリカ等の意思もあっていまだに発動しておらない。新ガットにおいてそういうものが発効する段階に至るわけでありますが、その執行機関としての貿易協力機関、こういうものの協定について非常にしぶっている。こういうことは、新ガットを認めるのか認めないのかということについては、今のアメリカの行政府が調印したからといって、必ずしもアメリカとしてこれを認めるかどうかということについては非常に危惧される。こういう点についてよほどアメリカの情勢ということについては、われわれはまあそういう意味においては警戒をするというか、慎重でなくてはならん。  で、この貿易協力機関についての協定を見てみても、そう大してわれわれから考えて問題でもないことが、アメリカにおいてはなかなか批准されない。こういう点を相当アメリカの情勢判断としては、特に大蔵大臣等は十分心にとめて研究しておいてもらわなければいかんのじゃないか。今のような問題についても、一つ大臣みずから御答弁ができるように御勉強を願いたいと思います。  それから協定の、先般北島君に質疑をして答えられなかった点というか、十分な答弁が得られなかったわけでありますが、第三条の(d)は一体どういう意味なのかですね。
  102. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) ただいま御説明申しましたように、現在のガット及びガットの機構というものにつきまして、アメリカ国内に疑問があることは申し上げた通りでありますが、今回貿易協力機関に関する協定というのをガットで別にこしらえまして、ガットの規定そのものは、これは互恵通商協定による大統領の権限の範囲内だと、しかしガットを執行するところの国際貿易協力機関というものは、これは国会の承認を要するという一応アメリカの解釈によりまして、別な協定にいたしたわけであります。この第三条の(d)項においてもその考え方を最も率直に現わしたものでありまして、この(d)項の規定はもっぱらアメリカの要請によって設けられたものであります。すなわち「機関は、一般協定の規定改正する権限を有せず、機関の総会又は補助機関によるいかなる決定その他の措置も、構成国が引き受けることに特に同意しなかった新たな義務をその構成国に課する効果を有しない。」、非常に変な規定でございますが、考え方は、ガットそのものと貿易協力機関を別にいたしまして、ガットについては国会の承認を要しない、貿易協力機関については国会の承認を要するという建前に変えましたが、なお貿易協力機関につきましても、国内における重大な紛争をまき起すことをおそれまして、貿易協力機関はガット自体規定改正する権限を有せずというのが前段であります。しかも後段におきまして、貿易協力機関の「総会又は補助機関によるいかなる決定その他の措置も、構成国が引き受けることに特に同意しなかった新たな義務をその構成国に課する効果を有しない。」というふうに限定いたしまして、アメリカとしてはこれをもって国内に比較的説明しょいようにするために特にこういう規定が設けられたのであります。よく読んでみますと非常に変な規定でありまして、この規定につきましては、草案作成の際におきましても、各国から相当疑義が出たのでございますが、アメリカのそういう国内事情を了承いたしまして、特にこの規定が設けられたということを御了承願いたいと思います。
  103. 小林政夫

    小林政夫君 だから私がこの前これを取り上げているゆえんは、こういうことがあるのだからアメリカが批准しないのはおかしいじゃないか。これだけの用心をしてアメリカは自分の態度を留保しているにかかわらず、なぜ一体貿易協力機関に関する協定の批准をしぶるのだろうか、これが僕の疑問なんです。これだけの態度を留保することができるようになっているにかかわらず、なぜ一体批准をしぶるのか。
  104. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 先般の関税交渉の結果につきましては、米国の国内におきまして相当な非難があったのでありまして、特に特定の業種の分野、たとえば繊維、陶磁器、まぐろ等の業界におきましては、アメリカ側があまりに関税を引き下げ過ぎたというので、国内にごうごうたる声があるのであります。そういう声のあるときに、従来からも多少でも問題になっておったガットの組織に関することが、たとえ緩和してあるとはいえ、これは出すことは得策ではない、こういうふうにアメリカの行政府として考えたのではなかろうか、これは私の推測でございます。実は外務省に入りました電報にもそういう詳しいのは入っておりませんので、単なる私の推測に終るかもしれませんが、おそらくこの推測は誤りでないと、かよう考えております。
  105. 小林政夫

    小林政夫君 もう一つあなたの説明された前段のガットの方の本協定の方はアメリカは行政府にまかす、そうして貿易協力機関の方は国会の承認を要することにしたということも私にはわからない。というのは、一般協定に基くいわば執行機関、そうして一般協定においてこの貿易協力機関はどういう仕事をするということは一応うたってある。そのもとになる、根になるガット協定自体の、一般協定の方を行政府にまかして、その一般協定に基く執行機関だけは、この貿易協力機関の方がどういう構成だということについて国会の承認を得なければならない、こういうのはどういうお考えになっているのか。
  106. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) これは先ほど御説明いたしましたのでおわかりのように、当初はアメリカの行政府としてはガットについては当然互恵通商協定法の範囲内と考えまして、その後国内におきましてガットの成長ぶりを見るにつけ、どうもこれは国際機関にアメリカが入って、しかも分担金を払って、重要なメンバーをなしているということは、これはやはり国会の承認を要することではないか、ここに疑義が起りましたので、その点だけを避ける意味におきまして、ガットの規定そのものについてはこれは従来からのアメリカの行政府は、すなわち互恵通商協定法の範囲内であるという見解を固持するとともに、その構成の部面についてはこれはガットとは別だということで特別な協定を作って、今回国会の承認を求めた、こういう考え方なのであります。
  107. 小林政夫

    小林政夫君 それはしかしどうも今の説明を聞いても納得ができないのですが、まあ向うさんのお考えですから……。僕らだったらどうも了承しない考えであって、それならガットの一般協定の、改正協定というものはやはり行政府だけでアメリカはいいのですか。
  108. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) ガットの規定そのものにつきましては、これはあくまでも互恵通商協定法の範囲内によるというアメリカの解釈でございます。今回ガット規約を改正いたしまして、これをアメリカが受諾いたすのもやはり同じく国会の承認を要しない、こういう解釈をアメリカはとっているようでございます。
  109. 小林政夫

    小林政夫君 それから先般やはり問題にした、あなたに尋ねた第六条の執行委員会に関する協定、特に「経済の分野でもっとも重要な五構成国を含むものとし、」、この意味合いはどういうのですか。
  110. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 条文を御覧いただきますと、「執行委員会は、総会が定期的に選出する十七の構成国をもって構成する。」とまず書いてございます。当初大国の間に、ことにアメリカからの要求といたしましては、特定の大国は総会の選出を要しないで恒久的にこの執行委員会のメンバーたらしめるようにしたい、こういう意向が表明されたのでありますが、その他の国国から猛烈な反対が出まして、結局すべて「執行委員会は、総会が定期的に選出する十七の構成国をもって構成する。」という基本条項をおきまして、ただし「執行委員会は、経済の分野でもっとも重要な五構成国を含むものとし、」というふうにおきかえられておるのでありまして、いわば妥協的産物であります。これによりましてはっきり国名はあげておりませんが、アメリカ、英国、フランス、ドイツ、カナダは、とりあえずこの五つの国が重要な構成国ではなかろうかというように暗黙のうちに了解されております。
  111. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると今の経済の分野でもっとも重要な五構成国というのは一応の打ち合せであって、別にたとえば付属書にあげてある世界貿易における各国の占める比重というようなことは、いわゆる数字的な判断は除いての国際勢力等をかね合わしてやるわけですか。今のような大体の内輪話で、楽屋裏で大体これだけ入れる、こういうところでいくわけですか。
  112. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 御説の通りでありまして、表には五つの国名はあげてありませんが、付属に各加盟国の貿易分野におけるところの持ち分、何といいますか、貿易分野に占める割合などを掲げまして、これによりまして暗黙の間におそらく上からの五つの国が重要な五構成国ということになるものと理解しております。
  113. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると今のお話だと東亜といいますかは一つも含まれていないということですね。アメリカ、イギリス、カナダ、西独ですか……。この書き方でいくと「広範な地理的地域を代表するものでなければならない。」という。欧米偏重であって東亜の代表というものは考えないのか。
  114. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 御説の通りに、先ほどあげました五つの国は重要な五構成国になると思いますが、その他の十二の国につきましてはここに書いてありますが、「執行委員会は、構成国が属している広範な地理的地域を代表するものでなければならない。」となっておりまして、この面におきまして、東亜におけるところの加盟国ももちろんこの十七の執行委員会のメンバーとなることが予想されるのであります。
  115. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると第十三条の「例外的場合における義務の免除」というこの規定はどういう意味ですか。
  116. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) これはガットの規定の二十五条に一般的に、特定の場合にガットの義務を免除する規定があるのでありまして、その規定を貿易協力機関の方の規定にも持ってきたという関係にあるのであります。この十三条をおかれました理由につきましても、やはりアメリカ側からの要求でありまして、ガットにおいて、ウエーバーといっておりますが、ガットの規定からの逸脱を総会の決議によって認める効力、それをガットの規定だけにおいては工合が悪いので、貿易協力機関の方の規定にもおいて、そしてそれを国会の承認を得なければならぬ、こういう考え方で十三条が設けられたように私は承知しております。
  117. 小林政夫

    小林政夫君 まだ質問はたくさんあるのですが、ちょっと時間がないので、これで本日は私は失礼いたしますが、大蔵大臣に特にお願いしておきたいのは、とにかくアメリカというのはかなりわがままな国であるということを十分頭においていただきたい。傍若無人です。もしアリメカのようなことをやれば除名することができるのです。しかし除名したら意味がない、このガットの協定というものは……。そういうようなことでかなり国際社会においては、別に偏しないわれわれの立場から考えてみても、相当わがままな振舞があるということを頭においていただきたいと思います。
  118. 青木一男

    委員長青木一男君) 他に御発言もないようでありますが、関税定率法関係法案質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。  それではこれより二案を一括議題として討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  120. 平林剛

    ○平林剛君 私は特に関税定率法等の一部を改正する法律案について私どもの賛成の理由を明らかにしておきたいと思うのであります。  先ほど質疑でも申し上げましたように、わが国の石油資源確保の点は現状のままでよいかどうかという点から私どものこの法案に賛成する理由が出発するのであります。わが国の国産原油の生産量は現在年間三十四万キロ程度でありまして、国内の全使用量の五%にしか当らない。あとは輸入原油に依存しておるという状態にあります。もし国内石油資源を確保しなければ、今後石油の消費量の増加に比例をいたしまして、輸入原油に対する依存度はますます増大をしていくに違いないと思います。ところが外国原油の輸入先はほとんど強大な国際石油カルテルの支配下にありまして、精製設備、販売市場もその意のままに動いているという実情であります。私の承知をしておりますところによれば、日本の石油事業における外国資本の支配力はせきゆ精製七社のうちで五社が株式の過半数を譲渡し、外資の経営参加を許しておるし、また同資本総額は七社の合計資本の六五%にも達して、重役の半数は外人であるというところもあるということであります。この意味現状のまま国内石油消費量を増大させるということになりますと、経済の自立という点から見ますと大へん心もとない危険を感ずるのであります。もちろん産業の復興ということはあり得ましても、経済の自立という点においては欠けるところが現われてくるように思います。このため従来の免税措置を改めて、原油重油関税復活させるというととはむしろ妥当な措置だとわれわれは考えておるわけであります。  この法案を審議しておる中で反対の理由の一つとして、原油は原材料であるから課税すべきでないという意見がありましたが、しかしこの意見は私どもの見解によれば、一般論としては通用するけれども、個々についてはその産業現状や、あるいは将来性について具体的な検討を加えて、関税を課することによる影響やあるいは価値から総合的に判断をすべきものだと思うのであります。特に一般産業が不景気の状況におかれておる中で石油精製業だけは莫大な利潤をあげておるわけであります。この事情を検討してみますというと、石油は他の原材料とは異なる条件にあると思います。この際かえって、重油、石油に関税を課さなければ、ますます外国輸入に対する依存度が高くなりまして、国際石油カルテルの発言力が強くなるばかりであります。低物価政策を維持するという建前から関税をあまりかけるなという意見もありますが、逆に関税をかけることによってその目的を達することもできるという逆論もできるわけであります。私どもはむしろ現在は重油は原材料であったとしても課税すべきだという考えを持っているほどであります。ただ、その課税率をどの程度にしたらいいかということが今日の論議の対象になるべきものだと考えます。また関税復活によってその影響が一般消費者や他の産業原価にはね返るかどうかという点については政府のいろいろの答弁がありました。まだ完全なものとはいえませんけれども、私は儲けすぎておる石油精製業の中で吸収する道も、もっと根本的に研究していけばその道があるように存じますから、この面においてむしろ政府の積極的な指導を要望しておきたいと思うのであります。  課税をするというとすぐそれが消費者にはね返るということは、大衆に対する一つの威嚇として私は受け取っておるわけであります。いずれにしても石油関税免税措置を決定したときの根拠になった炭価、運賃等は、朝鮮動乱後急激に下落をして、その傾向は今後も続くものと思われますから、この際はむしろ自然に帰って関税復活は当然であります。ところが全度の法律案によりますというと、原油、石油、重油に対する基本税率を課することなく、単に炭化水素油の燃料として使用される一部のものに軽減税による関税を課したにすぎないのでありまして、私どもの見解によれば、むしろ関税当時の条件は消えておるのでありますから、基本税率をかける方がいいと考えておるのでありますが、なお諸般の事情と称してこの程度でお茶をにごすことについては、まことに遺憾に堪えない次第であります。しかし政府も今後の機会に諸般の事情を検討して考慮をせられるという答弁を私は得ましたから、今回はその答弁を了解いたしまして、この法律案に賛成をしておきたい、こう思うのであります。
  121. 青木一男

    委員長青木一男君) 他に発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  122. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。まず関税定率法等の一部を改正する法律案、本案を衆議院送付通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  123. 青木一男

    委員長青木一男君) 全会一致であります。  よって本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお次に、関税定率法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  124. 青木一男

    委員長青木一男君) 全会一致であります。よって本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は、慣例により委員長に御一任願いたいと存じます。  それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     山本 米治   西川甚五郎     土田國太郎   平林  剛     岡  三郎   宮澤 喜一     藤野 繁雄   片柳 眞吉     白井  勇   中川 幸平     杉山 昌作   松澤 兼人     最上 英子   岡崎 真一     ―――――――――――――
  125. 青木一男

    委員長青木一男君) 次に、日本開発銀行の電源開発株式会社に対する出資の処理に関する法律案議題として、質疑を行います。――別に御発言がないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。  それでは討論に入ります。御意見のある方は賛否を明からにしてお述べを願います。――別に御発言がないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。日本開発銀行の電源開発株式会社に対する出資の処理に関する法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います   〔賛成者挙手〕
  128. 青木一男

    委員長青木一男君) 全会一致であります。よって本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は、慣例により委員長に御一任を願いたいと存じます。  多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     山本 米治   西川甚五郎     土田國太郎   岡  三郎     宮澤 喜一   藤野 繁雄     片柳 眞吉   白井  勇     中川 幸平   杉山 昌作     松澤 兼人   最上 英子     平林  剛   岡崎 真一     ―――――――――――――
  129. 青木一男

    委員長青木一男君) 次に資金運用部資金法の一部を改正する法律案議題として質疑を行います。
  130. 平林剛

    ○平林剛君 資金運用部資金法の一部を改正する法律案につきまして若干の質問をいたします。  最近資本の蓄積ということを掲げまして、私どもの見解から言えば大衆収奪が行われておることは、政府は言葉の意味は別にして、お認めになると思うのであります。特に昭和三十年度の全国金融機関の預金残高を見ますと、銀行の場合三兆一千六百十四億、相互銀行が三千七百四十四億、信用金庫は二千四百二十七億、農協関係で四千三百二十三億、このほかに大蔵省の資金運用部に約七千七百二十四億円余がありまして運用をされておるわけであります。この資金運用部資金は大蔵省特別会計の一つとして二十六年に大蔵省預金部から改組をされて今日に至っておるわけでありますが、その構成内容は、郵便貯金とかあるいは簡易生命保険、厚生年金などが集ったもので、私に言わせればその八八%までが大衆の零細な預金の集積であると思うのであります。  ところがこの資金の運用に当りましては、勤労者に適正に還元をされるととなく、国であるとかあるいは地方公共団体の貸付金、金融債、地方債、こういうものに運用をされておる実情でありまして、私は大蔵大臣にこの点をお伺いをいたしたいのでありますが、前に大臣が銀行大会で金融政策の方向として、第一には金利体系の整備、第二には資金運用の適正化、第三には銀行経営の健全化というような御趣旨のことをごあいさつをされておった記事を読んだのでありますけれども、この資金運用の適正化、これを強調されておりました中に、この資金運用部の活用についてはどういう考えで処理をするおつもりであったのか、あるいは今私が指摘いたしましたような点を考慮して、こういう点について何か特別なお考えがあったのかどうか、その点大臣の御所見をお聞きいたしたいと思うのであります。
  131. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 一口に申し上げますれば、日本経済発展のために役立つように最も必要な方向にこの資金を回すのであります。そうしてこの雇用の機会をふやしていきたい、かよう考えておるのでありますが、また一面この資金運用部資金が大衆の金であるという点も、これはあなたと同じよう考えを持っております。従いまして、そういう一種の金融についてこの資金が活用されるという道もございます。特に地方債等については、地方からもずいぶん集まっております。地方債で調達いたしました資金の用途いかんは十分吟味されなくてはいけませんが、地方債なんかにこれを使うというととは、一面地方に資金を還元するということと考えているわけであります。お話しの点は十分私ども考慮いたしておるわけであります。
  132. 平林剛

    ○平林剛君 この問題は何回も論議されているようでありまして、今耳新らしいものではないと思うのであります。ただ私どもの見方からいくというと、ことしの資金運用部資金による財政投融資計画を見ても、開発銀行に対する二百四十五億円や、あるいは金融債引受の百五十億、国鉄の百五十五億、地方債も見方によりますけれども、住宅金融公庫とがあるいは中小企業金融公庫、勤労者の厚生資金等と比較をすると、必ずしも大衆に還元するというような方向に分類をしがたいというふうに考えるのであります。もしそうだとすれば、まだまだ現在の資金運用部の資金運用については、勤労者やあるいは中小企業者に対しては潤うところが少い。私はそういうふうに言って差しつかえないと思うのであります。大臣もこの点については、今のお説のような、それを具体的に運用の妙を得て、具体的な措置一つ一つ作ってやってもらいたい。こういう点を要望しておきたいと思うのであります。  そこで今日までの資金運用部資金の運営のやり方を見て参りまするというと、私は大へん御都合主義に流れているように思うのであります。それは前回の自由党と民主党の合作によるととろの予算組みかえの場合にも、何といいますか、変らない形でもってうまく切り抜け、うまく使ったということで大へん感心をしているわけでありますけれども、これは大へんとの資金運用部のやつをうまく利用しているというような感じを、国民大衆、あるいは一般の零細な資金を寄せた国民大衆の多くは考えたに違いないと思うのであります。問題はこの資金運用審議会の点に、私の質問はそこにかかるわけでありまするが、今日までの資金運用部資金の運営が、だれでも大衆の零細な金が集まっているのだとみな理解しながら、それに対する還元が少いというのは、一つにはこの運用審議会というものの構成に問題があるのではないだろうか、今回の法律案によりまするというと、委員の数をふやすことになっておりますが、この中に中小企業者、   〔委員長退席、理事山本米治君着席〕 あるいは勤労者の代表を参加させて、できるだけ資金運用の適正化をはからせるような具体的な努力をなさるおつもりがあるかどうか、私はその点を大臣に具体的な措置一つの現われとして期待をしたいわけでありますが、この新たに増員される二名につきましては、今どういうお考えをお持ちであるか、これによって私は大臣が具体的にどういう措置をされるかということの片鱗をうかがうことができるわけであります。どうかその点をお聞かせ願いたい。
  133. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) ただいま民間の方が資金運用審議会に三人おられます。電気、大きな企業、おもに銀行関係、出版、言論界、消費者等いろいろなそういう形で三人おります。さらに二名を増員するということにつきましては、そういう方面とは違って、今お話しがありましたように、たとえば農林漁業とか中小企業等に経験の深い方を、衆議院で付帯決議を受けたのでありまして、私どもその趣旨を体しまして人選をしたい、かよう考えております。
  134. 山本米治

    理事(山本米治君) 別に御発言もないようでございますが、質疑は終了したものと認めて差しつかえございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 山本米治

    理事(山本米治君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もないようでありますが、討論を終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 山本米治

    理事(山本米治君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。資金運用部資金法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに御賛成の方の御挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  137. 山本米治

    理事(山本米治君) 全会一致と認めます。よって本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続は、慣例により委員長に御一任願いたいと存じます。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 山本米治

    理事(山本米治君) それから多数意見者の署名をお願いいたします。   多数意見者署名     西川甚五郎   土田國太郎     平林  剛   岡  三郎     宮澤 喜一   藤野 繁雄     片柳 眞吉   白井  勇     中川 幸平   杉山 昌作     松澤 兼人   最上 英子     岡崎 真一     ―――――――――――――
  139. 山本米治

    理事(山本米治君) 次に、余剰農産物資金融通特別会計法案議題として質疑を行います。質疑はございませんか。  ちょっと申し上げます。一萬田大蔵大臣が他の委員会に呼ばれておりますので、その旨御了承をお願いいたします。
  140. 平林剛

    ○平林剛君 ちょっと私は農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の中で、葉タバコに関する点をお尋ねしたいと思うのです。……だめならまたあとで一つ関係者を呼んでもらって、それで聞きましょう。専売公社だれかいないかな。
  141. 山本米治

    理事(山本米治君) 速記やめて。   〔速記中止〕
  142. 山本米治

    理事(山本米治君) 速記始めて。
  143. 平林剛

    ○平林剛君 さっきの協定によりますと小麦大麦、米、綿花とともに葉タバコが五百万ドル購入するように点っておるわけであります。この点今日までの国会における質疑の中で、タバコの件についてはちょっとも質疑がないから、この点タバコの関係で少し質疑をしてみようと思います。この協定によります葉タバコの買い入れと、通常の輸入葉タバコとの関係一体どういうことに相なっておるか、その点をお答えを願いたいと思います。
  144. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これはもう平林委員非常にお詳しいのでありますが、ただいまの御質問につきましては、一般原則といたしまして、葉タバコのみならず、小麦その他綿花等につきましても、この通常輸入量のワク内において所要量を調達する、こういうふうに了解をいたしておるわけであります。
  145. 平林剛

    ○平林剛君 私はこの余剰農産物の受け入れにつきましては、大体基本協定そのものが、この貧乏な国の中でむだな経済をやって、日本経済自立を危くしたり、あるいは国民生活の安定にあまりプラスにならないようなものを受け入れるということについては、あまり賛成をしないわけでありますが、一体葉タバコをこういう形で受け取るということは、どういう利益があってやったことか、アメリカから借金までしてこの葉タバコを買わなければならぬという理由がどこにあるか、政府答弁では、これはドルで買わんで円で買うことができるから、こういうことをお答えになりますけれども、どうもこの余剰農産物の受け入れ協定の中に葉タバコが入っておるということに合点がいかない点があるのですが、何か特別な理由があったのじゃないですか。
  146. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答えを申し上げます。これはなるほど御指摘よう小麦大麦、米、綿花というふうに並べて参りますると、御指摘ように、まあほかのものは主食であるとか、あるいは必需の繊維原料であるとか、あるいは輸出用の原料であるというふうな点からみまして、その緊要性がある程度劣っておるのではないかという御疑問かと思うのでございます。今日これはほんとうに釈迦に説法になるのでありますが、たばこというものが国民生活の必需品であるということにつきましては申し上げるまでもないかと思うのであります。しかも通常の場合におきましても、日本におきましては、やはり米葉をある程度必要といたしておりまして、輸入いたしておることも御承知通りであります。たまたま今回米国の余剰農産物の輸出の中に葉タバコがございまして、これをただいまお話のように・外貨でなくて買えるということでございましたので、先ほどもお答え申し上げました通り、通常の輸入のワク内におきまして必要な数量を買う、かようにいたした次第でございます。
  147. 平林剛

    ○平林剛君 私はその点については少し量見が違うと思うのです。それはたばこは今日の生活必需品になりつつありますけれども、何もアメリカのタバコを買ってまで吸わにやならぬということは今日の貧乏な経済の中ではおかしな話しだと思うのです。むしろ優良な葉タバコを国内で生産をして、それでまたまかなうというのが日本経済の中においては本筋だと思うのですね。それはいかにうまいからといったって何も借金までしてアメリカのタバコを買わなくたっていいですよ。この点に私は今度の協定の中で奇異な感じを受けるし、どうも本筋を違えているように思うのです。特にあなた専売公社関係でないからわからないかも知れませんけれども、このアメリカの黄色種ですね、外国の葉の増反計画が最近とまっているように聞くのですけれども、つまり余剰農産物の受け入れの中に葉タバコを五百万ドル買入れることによって国内で優良なたばこを作ろうとするととろの耕作者の意欲というものが押えられた立場になっておる。私はこの点は大へん遺憾に思うのです。大体ぜいたくな考えだと思う。みなさんがぜいたくな考えをもってこうやったのではなく、この協定はアメリカから押し付けられたのだからしようがないと言えば、そうですけれども、この点についてはあなたも政府の一員として考えなきゃいけない点だと思うのです。この点についてあなたのお考え一つ聞いておきましょう。
  148. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいまの平林委員の御説につきましては、これは専門の立場でもあられますし、私どもまことに傾聴すべき御意見かと思います。ただ今日の段階におきまして、アメリカ葉を全然用いないで国内の葉だけで作るということにつきましては、これはたばこが嗜好の面もございまするので、やはり今日御承知通り外国のたばこも日本にはあるわけであります。それらとの競争の意味から申しましても、ある程度品質、あるいは嗜好に投ずるところの要件も必要かと存じますので、それらの点につきましては、やはりこれは現実におきましてある程度こういう外貨を使って輸入をするか、あるいは外貨を使わずして米葉を獲得するかという違いはございましても、いずれにいたしましても、ある程度必要じあるということを私どもは一応認めておるわけでございます。将来の方向といたしまして、できる限りこういうものはやはり内地におきまして改良種を増産いたしまして、外国に依存するところを少くしていくというお考え一つのお考えかと思うのであります。私ども伺っておるところでは専売公社におきましては、今日黄色葉の増反計画を押えておるということは、いまだ伺っておりません。これはやはり従来に引き続きまして、品種の改良に努め、反当収量の増加というふうな面におきまして増加を、それらの努力を続けて参るものと考えておるわけでございます。
  149. 平林剛

    ○平林剛君 お答えの方が専門家の答弁でないから十分じゃありません。今の点は私はこの黄色種の栽培などについて若干の影響を受けていのるではないかという疑問を持っているわけでありますが、この点はまた適当な機会に専売公社の方にお尋ねをすることにいたしたいと思うのでありますが、目に見えない形でいろいろなことに影響している現状でありますから、私はこういう葉タバコのようなものをこの協定のような買い方でやることが適当かどうかという点は、もう少し検討を要するものがあるのじゃないか。この点を指摘をしておきまして、不満足でありますが、質疑はこの辺にとめて、また適当な機会にこういう問題について公社側の考えを聞きたいと思います。
  150. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 今の質疑を聞いておって、正示さんから通常の輸入のワク内で入れるという答弁がありました。大したとともないようですが、ちょっとそう言われると、やはり実体的にはそうかもしれませんが、MASにしても、余剰農産物でも一応通常の取引は害しないことを原則として、関連上は別ワクで入れるというふうに私は了解しているのですが、その辺は一つデリケートな問題ではないかと思うのです。それが第一点と、それから平林委員意見とは多少違うのですが、たばこの実は詳しいことは全然知らないのですが、現在でも食糧の増産とたばこの増産という問題が農村では一つの問題になっておるわけなんですね。いえばタバコの耕作面積が他の農業経営面積をむしろ侵犯をしているという意見相当ありますので、私はやはり外国から買うタバコの値段がどのくらいであるかということで、問題はそこからきまってくると思うのですが、何でもかんでも国内で食糧増産との関係で、タバコをあくまで国内で作るという問題については、これはもっと農林、大蔵両省で相談をすべき問題だと思うのですが、この余剰農産物受け入れの可否は別でありますが、今の答弁を聞いていると、是が非でも国内でやるということについては私は若干の疑義を持っております。何かそれに対して御意見があれば一つ
  151. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答えいたします。まず第一点でございますが、私がお答えを申し上げました趣旨は、やはり通常の取引のワク内と申し上げましたが、一応のこの通常の取引の量というものが非常にお説の通り問題でございます。一応、これは他の委員会におきましても御議論がございまして、通常、ただいま片柳委員がお述べになりましたように、通常の取引を害しないというような表現のお答えがあったように存じております。その辺多少デリケートでございますが、一応私どもといたしましては、今回のこの余剰農産物というものは、いわゆる余分なものを日本が買ったものではないというよう意味におきまして、先ほどお答えを申し上げましたような次第でございます。  それから第二の葉タバコの国内増産の問題でございますが、私平林委員にお答えを申し上げました趣旨は、絶対量をふやすという問題はしばらく別にいたしまして、黄色種の増反が、あるいは増産が押えられているという例があるかどうかという御質問でございましたので、そういうようなことは私としては伺っておりませんという趣旨でお答えを申し上げたのでございます。
  152. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の第三条ですか、これは「日本国の学校児童の福祉計画を拡大するため」に輸入するところのものが、小麦と脱脂粉乳と綿花と、こうなっておりますが、小麦、綿花はどういうふうにして福祉計画を拡大するために配給されるか、その内容を承わりたいと思います。
  153. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答えを申し上げます。この小麦と綿花でございますが、これは綿花の方はやや新らしい問題でございますが、小麦につきましては従来もいわゆる粉食奨励、あるいは食生活の改善という見地から、私どもの方におきまして食管会計の非常な御協力を得まして、一般の小学校におきまして学童給食をいたしております。その原料に今回のこの余剰農産物小麦を使おう、こういうことでございまして、これを利用いたしまして従来よりも広い範囲におきまして給食をして参りたい、それによりまして幼年の頃から粉食の習慣をつけるというのがねらいでございます。次に綿花でございますが、これはやはり学童服を今回新らしくこれによって給付しよう、非常にこれは安い値段で学童服を給付できるようになったわけでございます。
  154. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうしますというと、今の綿花の学童服というのは一定の生地で、同じところの形の服を作ろうというような御計画でございますか。
  155. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは具体的には文部省におきまして御計画をしておられるのでございますが、これは大体小学校の児童が対象でございまして、やはり一定の、ユニホームとは参りませんが、大体同じようなものを学校の児童に分けるということに相なろうかと思います。大体これは市価よりも相当安い値段でお分けできることになっております。
  156. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうしますというと、この贈与に関するところの品物を、贈与を受けて、そうして綿花で作った服は有料だ、それから粉食奨励の小麦粉及び脱脂乳はただでくれるのだ、こういうことになりますか。
  157. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ちょっと私の答えが不正確でございましたので訂正を申し上げますが、綿花につきましても、この受け入れましたものの一部を処分をいたしまして、それは有料でございますが、学童に配る分はその処分をしたものから加工賃を捻出いたしまするので無料で配る、こういうことになっておるようであります。
  158. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうしますというと、この贈与に関する経理のことは特別会計にはないのでございますが、経理はいかなる方法によってやられるのでありますか。その経理のことを承わりたいと思います。
  159. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) この特別会計は御承知通り借款の関係だけでございまして、贈与の分はこの会計には関係ございませんので、この贈与の分はこの会計外の問題と御了解をいただければけっこうであります。
  160. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうすると贈与外の経理はどこでどういうふうな経理をやられるのでございますか。
  161. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 学童給食は御承知ように学校給食会というのがございまして、こちらでやることになりますが、学童服につきましては文部省当局におかれまして目下その経営といいますか、配分の責任主体をどういうふうにするか御検討中のように伺っております。
  162. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから次に第四条の関係で、第四条の第一項を読んでみまするというと、「この協定に基いて日本国が取得する農産物は、両政府が合意する場合を除くほか、日本国内で消費するものとする。日本国によるこれらの農産物の取得は、これらの又は同様の農産物をアメリカ合衆国に対する非友好国が入手する可能性を増大する結果をもたらしてはならない」というふうなことになっておるのでありますが、この入れたところのものによって東南アジアに重大影響を及ぼすのじゃないかと思っております。たとえば米のようなもの……。それで「非友好国が入手する可能性を増大する結果をもたらしてはならない」ということであれば、友好国が入手する可能性を増大しても差しつかえないわけですか。
  163. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) この協定はすでに国会の御承認を得ましたので一ありまして、その際、外務省当局から十分御説明をいたしたと思うのでありますが、私どもの理解いたしておりますところでお答え申し上げますが、この余剰農産物を日本が取得することの前提といたしまして、これがアメリカ合衆国に対して非友好的な関係にある国が入手する可能性、すなわち日本を通じてアメリカに対して非友好的な国に入っていく可能性を増大する結果をもたらしてはならない、こういうことでありまして、ただいま藤野委員のお挙げになりましたように、まあこれがこの条文から反対にアメリカ合衆国に対して友好的な国の方へ出ていっても差しつかえないのかという点につきましては、一応私どもはこの条文からはその面は禁止されていない、かよう考えます。
  164. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから第二項ですがね、第二項でいろいろ書いて、おしまいの方に合理的な注意を払わなくちゃならない、こういうふうなことになっておりますが、との協定によって入れたところの農産物の価格、あるいは小麦ようなものであったならば、この値段と小麦協定による値段と、それからさっきの贈与によるところの小麦の値段と、それからそれによらないととろの小麦の値段とには相当の開きがあると思っております。そういうふうな関係は、合理的な注意を払わなくちゃならないという意味は、どういうふうに解釈すればいいのでございましょうか。
  165. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) この贈与の分は、これは売買の観念ではございませんで、従ってまたこれを日本国が受け入れまして売るという関係ではございませんので、その点はこの規定から言いましてもあまり大した関係はねいかと思うのであります。通常の取り引きの関係でございますが、これは先ほども申し上げました通り、通常の所要額、所要量のワク内であり、なお価格につきましても大体通常の価格ということで観念をいたしております。従いましてその価格の点から、ここにありますような貿易関係に悪影響を及ぼすというふうなことはないのでありますが、しかしこれは一応協定の建前から申しまして、かような合理的な注意を払うということに同意をするということをうたわれたものと考えておりますが、実質的にはさほどむずかしい問題があるとは承知をいたしておらないわけでございます。
  166. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから第五条第一項ですね。一、二、三、四、五号、資金のワクが定められてあるようでございますが、との資金のワクについてはいかなるものに……、大体の方針はこれでわかりますが、具体的にはどこの会社にどういうふうなものだというようなことが、ある程度明白になっているのであるかどうかお伺いしたいと思います。
  167. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げますが、との点はまだ関係各省庁におきましていろいろ立案いたしているのでございますが、結論はまだ私どもとしては承知をいたしておりません。
  168. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから特別会計の第一条の問題ですが、特別会計の第一条の「電源の開発、農地の開発その他本邦の経済の発展を促進するために行う資金」、こういうふうなものを予算書によって見ますると、電源開発事業資金に百八十二億五千万円、農地開発事業貸付金に三十億、それから日本生産性本部貸付金に一億五千万、こういうふうになっているのでありますが、その各貸付金がさらにたとえば電源開発の貸付はどこの会社にどういうふうな事業にいかすのである、あるいは農地開発の三十億というものは愛知用水というような話であったのですが、その後いろいろと変動しているようでありますが、そういうふうな詳細な内訳を承わりたいと思うのであります。
  169. 福田勝

    説明員(福田勝君) お答え申し上げます。電源開発事業貸付金というふうに予算に掲げられております百八十二億五千万円でございますが、これは全部電源開発会社の方にいくととになっているわけでございます。これは国会へ予算に関連いたしまして御提出申し上げております財政投融資の計画に、たしか資金運用部資金法の御要求資料にも一部入れてお出ししてございますが、それをごらんになりますとおわかりになりますように、あの九電力会社には全然関係はございません。電源開発会社の昭和三十年度における開発資金の大部分の資金源に充てられている次第でございます。そういうふうに予算に関連する財政投融資の計画で国会にもすでに御了承を得ている次第でございます。それから農地開発事業貸付金はこれもすでに何回か経済審議庁長官もしくは農林大臣から御答弁申し上げているよう考えますが、三十億の内訳といたしましては、一応愛知用水に二十四億五千万円、それから篠津地域に四億五千万円、それからあと残り五千万円づつを根釧地区と上北という地区、大体との三つは今国会に出ております開発事業団がやることになると存じますが、大体そういうふうな計画になっている次第でございます。
  170. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 日本生産性本部貸付金は……。
  171. 福田勝

    説明員(福田勝君) 一億五千万円の日本生産性本部でございますが、これもやはりこの余剰農産物協定と相前後いたしまして、日本国とアメリカ合衆国との間に生産性の向上に関連いたしまする協定が結ばれまして、そしてそれに即応して日本生産性本部という団体と申しますか、財団法人が設立せられまして、それの所要資金に充てられることになっております。この財団法人につきましては、別途一般会計の方から補助金も出るととが予定されている次第でございます。
  172. 山本米治

    理事(山本米治君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 山本米治

    理事(山本米治君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  174. 平林剛

    ○平林剛君 私はこの法案に対して反対をいたします。農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定につきましてわが党は基本的に反対の立場をとりましたことは御承知通りであります。その理由はこの協定がアメリカの余剰農産物が過剰で困って、そのしりを外交的に隷属的な関係にある日本に求めたものであります。つまり敗戦後の経済立て直しのために余剰農産物がほしいにはほしいんだが、買うのに困っている日本の足元につけ込んで、自分の勝手な思惑でこれを押しつけたような感じのする協定であるというととはすでに指摘をされておったところであります。この協定によって得をするのはアメリカの方が多くて、日本としてはあまり得をしない。日本の一貫した外交政策がなかった結果、日本経済の自立に向うどころか、目先の条件につられて隷属的な関係を強くするのではないだろうか、こういう点が私どもの反対理由でありまして、従ってこの特別会計法案についてもその基本的な考え方から賛成し得ないのであります。その他東南アジアとの貿易に対しても、いろいろな障害を与えますし、との余剰農産物を受ける国は中ソとの貿易を制限されるという不利な面もあるし、日本の農業に与える影響も無視することができません。特に学童給食用の粉ミルクに関しましては児童に与える精神的影響は重大でありまして、わずか千五百ドルで児童に劣等感を与えるということはどうしても避けなければならないことであります。この協定につきましては、いろいろな理由から私どもは反対をしてきたのでありまして、今回余剰農産物資金融通特別会計法もこれをさらに具体化をするという意味で、この法案に対しては反対をせざるを得ない。以上が私どもの反対理由であります。
  175. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 ただいま平林委員から述べられたと同じような理由で私もこの余剰農産物資金融通特別会計法案に対しまして反対の意思を表明いたします。  第一は、この根本的な問題であります農産物に関する日米協定に対しまして私どもは反対をしているのであります。その理由といたしまして、政府は非常に安易な道をとりまして、わが国の食糧の自給度の強化という問題を忘れているのではないか、こういう点を考えるのであります。もちろんこの資金融通特別会計法の建前によりまして、また過般三十年度特別会計の補正特第一号によりまして、その資金を使用せられる内訳において農業開発のために三十億使われるということになっておりまして、これは長い歳月の後にはわが国の農業に自給度を強めるという結果にはなりますが、もしこれほど日本の農民を犠牲にして、アメリカの余剰農産物を入れなければならないとするならば、まるまる日本が借款の形において買い入れますところの資金を、直接に農業の開発のだめに使用するのであるならば、それはわが国の農業の開発及び食糧の自給度を増進するという点において役立つかもしれないのでありますが、そうでなくして、そのうちわずかに三十億だけしか直接農業開発に使われておらないということでありますならば、日本の農民に対して非常に大きな犠牲を要求して、しかも報いるところはきわめてわずかである、こういう結果になるのではないかということを私どもはおそれるのであります。  また、この資金の使用内容というものは、先ほど説明がありましたけれども、この資金の使い途の内容というものが、日本の自主性によって決定されるのでなくして、日米協定そのものによってすでにワクがきまっているのでありまして、これ以外の使用をするというととは全然できませんし、日本がこの資金を他に転用して、自主的に使用するということもできない厳重なワクがはまっているのでありまして、こういう状態で、この資金を受け入れ、またこの資金を融通するというこの特別会計法案に対しましては、われわれは反対をしなければならない。  簡単でございますけれども、私どもの立場を申し上げて反対の意思を表明いたします。
  176. 山本米治

    理事(山本米治君) 他に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 山本米治

    理事(山本米治君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。余剰農産物資金融通特別会計法案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  178. 山本米治

    理事(山本米治君) 多数であります。よって本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続は、慣例により委員長に御一任願いたいと存じます。  それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     西川甚五郎   土田國太郎     片柳 眞吉   白井  勇     中川 幸平   杉山 昌作     青柳 秀夫   最上 英子     藤野 繁雄   岡崎 真一     ―――――――――――――
  179. 山本米治

    理事(山本米治君) 次に、厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案議題として質疑を行います。
  180. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 これはこの前の説明のときに聞き誤まりかどうかわかりませんが、一応お尋ねいたしますが、厚生保険特別会計の二十九年度の赤字は四十億でございますか。
  181. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) さようでございます。
  182. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 もし四十億円であるとしましたならば、十八条ノ六で三十年度以降七ヵ年間毎年度一般会計より十億円を限り同勘定に繰り入れるという計算の基礎がどうやら疑われるような気がしますが、二十九年度の赤字は四十億円であるのにもかかわらず、七ヵ年間十億円ずつ繰り入れなくちゃならないという理由を承わりたい。
  183. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答えを申し上げます。二十九年度に発生いたしました赤字は先ほどお答え申し上げました通り四十億でございますが、三十年度におきまして御承知通り保険料率の引き上げは、これは行政措置だけでできたのでございますが、この引き上げにつきましても政変その他の関係でおくれまして、七月から料率の引き上げをいたしたわけでございます。それから今衆議院の社会労働委員会において御審議をいただいておりまする健康保険法の改正、これは非常に難航いたしておりますが、私どもはできれば七月からやはり標準報酬の改訂、あるいは継続給付の資格要件の引き上げ、あるいは診療給付医師監査の励行等の規定をお認めをいただくようにお願いをいたしておったのであります。これらが予定通り参りますと、大体三十年度に発生いたしまする赤字は三十億、こういうふうに見込まれたわけでございます。そこで二十九年度の四十億と三十年度の三十億とこれを合せまして七十億の赤字を一般会計から補てんをいたすことにいたしまして、とりあえば三十年度には十億、なおあと六ヵ年引き続きまして十億ずつ、かようなことでこの規定を認めていただくようにお願いをしたわけでございます。
  184. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうしますというと、健康保険の給付費が異常な増嵩を来たして支払い財源に不足を来たしたから、こういうふうなことで説明しておりますが、健康保険の給付費がなぜ異常の増嵩を来たし、支払い財源に不足を来たす異常な増嵩というのは、ちょっと今の説明からすればおかしいような気がするのですがどうですか。
  185. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいまの藤野委員が御指摘になりましたのは、私どもが御提案の説明にあげました中にそういうことを書いてあるわけでございますが、「異常な増嵩」というのは、今申し上げたこととは多少違いまして、むしろそれの原因をあげておるわけでございます。結局御承知ように最近は結核が一番多いかと存じますが、結核の治療につきましてはまさに日進月歩でございまして、ストマイ、パス、ヒドラジッドというような新薬がどんどん発見されておる。また実用に供されておるわけでございます。なお、その他に外科療法等もどんどん実際に行われております。さような次第でございまして、給付費がそうして逐年非常な勢いでどんどんふえておる。しかるに一方におきましては保険料収入が一般の景気の動向によりまして、給料のベース・アップ等がございませんで、むしろ最近は昇給等もやや頭を打っておるよう状況でございまするので、収入の方は一向に伸びない。しかるにただいま申し上げましたように、治療の方は日進月歩で発展をいたし、また一般の自覚も高まりまして、どんどん治療をお受けになるようになりました。そこで保険給付の支出の方はどんどんふえて参る。そこから昭和二十九年度までに先ほど申しましたように四十億の赤字を出し、昭和三十年度は放置いたしておきますと六十何億かの赤字になる、そういうふうな状況になって参りました原因は、ただいまお述べになりましたように異常なる給付の増嵩、一方収入の方は伸びない、それが原因になっておるということを申し上げておる次第であります。
  186. 山本米治

    理事(山本米治君) 他に御発言もないようでありますから、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 山本米治

    理事(山本米治君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。別に御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  188. 山本米治

    理事(山本米治君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  189. 山本米治

    理事(山本米治君) 全会一致であります。よって本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続きは慣例により委員長に御一任願いたいと存じます。  それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     土田國太郎   西川甚五郎     平林  剛   片柳 眞吉     藤野 繁雄   白井  勇     中川 幸平   杉山 昌作     松澤 兼人   青柳 秀夫     最上 英子   岡崎 真一     岡  三郎     ―――――――――――――
  190. 山本米治

    理事(山本米治君) 次に、糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案議題とし、先ず本案の実体法である繭糸価格安定法の一部改正案の概要について説明を聴取いたします。
  191. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 現在の繭糸価格安定法は生糸の輸出増進と蚕糸業の経営安定を目的として制定されましたもので、生糸の価格を安定帯、すなわち最高価格と最低価格の間に維持することを建前としております。ところが本法の施行以後の経緯にかんがみますと、出発当初政府が手持ち生糸なしで出発いたしましたために、二十七年と二十八年の両生糸年度におきまして最高価格をはるかに突破する、禁止価格をも突破するというよう事態を生じたのでございます。これでは本来の目的である海外の生糸の需要者のための最高価格の安定というふうな点に欠けるところがございます。これに対しまして現在の法律国内の生糸も輸出の生糸もそれを一本にして価格の安定をはかろうというふうな考え方で立っておりますが、現在のように繭の生産も少く、また糸の方も年度末になりますると不足するというふうな事態のもとでは、輸出の生糸について一段と強めた価格安定措置を実施してもいいのではないかというふうな考え方が成り立つわけでございます。民間においてもそれを非常に要望しておりますし、海外においてもその要望は強いわけでございますので、輸出増進に資することができますように、政府におきまして輸出適格生糸というものを現在の生糸の中でよりすぐりまして、それを決定いたしまして、輸出適格の生糸につきましては、国内用の生糸と違いまして特別の価格でもって買い入れ得るというふうな方法をとったわけでございます。  それから現行法では生糸の価格を安定帯の中で維持することによりまして、原料繭の価格も自然に安定できるといろ考え方をとっております。養蚕農民の経営安定のために直接関係あるととろの繭の値段につきましては、ただ、政府が繭価の低落防止のために、非常事態においては必要な措置が講ぜられるという抽象的な文句があるだけでありまして、それの具体的な方法については何ら明確な規定がなかったわけでございます。それに対しまして明確な規定をおきまして、これに基くところの措置によりまして、現在繭も糸も不足している、また海外の要望にこたえられないような状態にあるというふうなこれを救いまして、最低の繭価を維持しまして、それで養蚕農家が増産に進めるようにいたしたいというのが第二のねらいでございます。  法案内容についてちょっと概略を御説明申し上げますと、第一は、政府は最高価格によりまして売り渡す生糸としまして輸出適格生糸を保有する必要がある場合は、最低価格を越える価格で買い入れることができるということにしたわけでございます。現行法で今年の最低糸価は十九万円になっておりますが、アメリカの方ではもう少し高い値で、すなわち四ドル五十セント、日本価格にいたしますれば、大体二十万円というふうなところならば十分買い得るというふうな状態でございますので、特に指定しましたところの輸出適格生糸については最低価格を越える価格で買い入れるということができるようにいたしたわけでございます。もちろんその場合でも政府が買いますのに糸価に非常に悪影響を及ぼすような方法であってはならないわけでございまして、その買い入れ方法としましては、あらかじめ農林大臣の指定する者が農林大臣の定める条件に従って保管した輸出適格生糸のうちで一定の保管期間を経過したものを政府が買い入れるということで、その買い入れ契約を結ぶごとができることにいたしたわけでございます。この方法による買い入れは、当然輸出確保のための必要保有量に限定すべきものでありまして、国内の糸価及び海外市場の糸価両方を操作するために必要な量はまあ要らないわけでございまするので、買い入れ限度を政令をもって限定いたすというふうに考えておりまして、現在の状態では大体一ヵ月あまりの分をこれによって持てればいいんではないかというふうに考えて、概略大蔵省の方では一万俵見当を予定しておるわけでございます。あるいはその場合にすでに政府が最低価格を維持するために買い入れた生糸とか、あるいは繭の値段を維持するための繭の買い入れをやって委託加工あるいは交換というものによって政府が持っておりました糸の中で、それで輸出適格生糸がございますれば、その分はその数量の中から差し引いて買い入れができるということにしたわけでございます。で、現在特別会計がございまするが、特別会計で直接市場から買うということは非常に困難でございます、市価に悪影響癒しに。昔何回かこういう糸を政府が持ちました例がございまするが、その際は常に民間のこういう種類の値が落ちた場合にそれを大体保管するとか買い取るとかいう会社ができまして、その会社が一定量保有し、それをもし持ち切ることができなくなった場合に、政府が買い入れたという形態をとっておりましたが、この法律ができましたときには、特別会計だけがございまして、そういう形態はないわけでございます。十九万円の値段では、ここ数年間の経費では、政府がそれだけの資力をもって買い入れをするという態勢を整えておりますると、常に十九万までは下らないで、二十万円をちょっと下って十九万に近づきますと、大体半月以内には戻ってしまうという状態になって、上値押えの生糸は非常に買いにくいというわけで今般その道を開いたと、こういう形になっておるわけであります。すなわち特別会計とそういうふうな民間の買い入れ機関という二段がまえにならないと、政府が直接市場から買い付けるということではどうしても悪影響があるわけでございます。  それから第二に、政府の手持生糸の数量が生糸の価格の異常な騰貴を防止するに必要な数量をこえるような場合が起りました場合に、その超過数量につきましては、最高価格でなくても、時価によって売り渡すととができるということにいたしたわけであります。今般はそういう輸出適格生糸の買い入れであるとか、あるいは最低繭価の保障のために、繭の不当取引というようなことが行われますので、政府としては相当の数量を持つことが見込まれるわけでございまして、この会計で上値押えに必要な数量以上を持つ必要はないわけでございまするので、余剰分は最高価格でなくても売り渡せるということにしたわけでございます。ただしこの場合に、この売り渡しによって糸価を不当に圧迫するということは考えなければならないことでございまするので、その売り渡しは生糸の市場価格がその生糸の生産費をこえている場合だけに限ったわけでございまして、また売り方も一度に多量に市場に売り出すということは慎しまなければならないので、分割売りその他時価に悪影響を及ぼさない方法によるというふうなことで制限をしているわけであります。  それから第三は、繭値維持のための具体的の措置を定めたことでございます。繭の価格が生糸の最低価格に見合う価格、すなわち最近繭価以下に下るようなおそれがあります場合に、これは昔たびたびあったわけでございまするが、そういう場合におきましては、農林大臣の指定いたしまするところの農業協同組合連合会があらかじめ農林大臣の承認を得まして、繭の出回り調節によるところの最低繭価維持のために自主的に保管をしたときに、保管に要する経費について糸価安定特別会計から補助金を交付することができるということにしたわけでございます。このような、繭が非常に大量に出回って、それで値段が崩れるということでございまするので、この数量等は一部のものを共同保管して相当長期間保管いたしますれば、ほかの繭価は最低原価維持の目的を達成することができるようにはなるだろうということで、こういうふうに考えて、一部を共同保管するという考え方であります。保管した繭を一定期間中には最低繭価以上の価格で売り渡すことができないという場合もございます。その共同保管した繭につきましては、そういうふうに最低価格で売れないという場合に、政府が買い上げてやるという措置がございませんと、農業団体の方も相当な危険がございまするので、共同保管になかなか入りにくいというのが国会等の強い御意見でもございましたので、その部分につきましては、政府が保管繭を買い入れるということをいたしたわけでございます。  第四は、政府がそういうふうに保有する繭がございますが、この繭の処分といたしまして、売り渡し加工あるいは生糸の交換という規定を設けたわけでございます。政府が買い上げました繭につきましては、農業団体が一定期間持ちまして、そのあとでございまするから、それからあとは長期の保管には堪えない状態にあるわけでございます。これを一時に売り渡すことによって繭の価格に悪影響を及ぼすことも避けなければなりません。そういう状態でございますので、これは生糸に加工して保有するとかあるいは生糸の交換というふうな道も開きましたわけでございます。繭が売れるような状態であれば、農業団体の方は政府の方へ必ずしも売ってこないわけでございまするので、どうしても委託加工であるとか、生糸の交換であるとかいうような方法を講じなければならない、こういう状態にあるわけであります。  第五は、政府が生糸の買い入れ契約とか繭の買い入れ契約あるいは補助金の交付契約をする場合におきまして、その金額に限度を設けたことでございます。これによりまして政府が契約することのできる額の総計は、糸価安定特別会計における収納済みの歳入額と借入金の限度の総計をこえてはならないということになっておるわけであります。  以上申し上げましたところが、今般の法律改正の要点でございまして、これが御協賛を得ますれば、生糸の輸出振興と蚕糸業経営安定というふうな点で、多大の効果があると存じております。  大体概略御説明申し上げました。     ―――――――――――――
  192. 山本米治

    理事(山本米治君) 続いて自動車損害賠償責任保険特別会計法案議題とし、まず本法案の実体法である自動車損害賠償保障法案の概要について説明を聴取いたします。眞田自動車局長
  193. 眞田登

    政府委員(眞田登君) 自動車損害賠償保障法案の提出理由について簡単に御説明いたします。  最近におきます自動車運送の発達は非常に目ざましいものがあります。本年二月末の車両数は百三十四万両を算しておりまして、戦前最高でございました昭和十三年に対しまして、六倍をこえるという盛況になっております。とれとともに自動車事故の発生も急激に増加いたしまして、昨年一ヵ年におきまして七万二千五百人に上る死傷者をもたらすという憂慮すべき状態に立ち至っているのであります。  ここにおきまして、諸般の事故防止対策の強化徹底にもかかわりませず、どうしても起って参ります自動車事故による被害者の保護に万全を期しますため、諸外国立法例にねらいまして、自動車損害賠償保障制度を確立するため本案を提出したのでありまして、道路運送法第百二十五条の二にあります自動車事故による損害賠償を保障する制度の確立に努めるべき旨の規定の趣旨にも沿おうとするものであります。  次に本法案の骨子について御説明申し上げます。  第一は、自動車による人身事故の場合の賠償責任を適正にするための措置であります。このために人身事故におきましては、自動車側に故意過失がないとともに、被害者または第三者に故意過失があったことを自動車側で証明できない限り、自動車側に賠償責任を負わせることといたしまして、その責任を無過失責任主義に近づけたのであります。  第二に、自動車側の賠償能力を常時確保するための措置であります。  その一は、強制保険制度でありまして、原則としてすべての自動車について、賠償責任保険契約の締結を義務づけるものであります。との場合の保険者は民間保険会社といたしますが、本法案目的を達成するために引受義務、非営利的料率の算定等について、保険業法等の特例を設けますとともに、免責事由の縮減について商法の特例を設けることにいたしております。さらに本保険につきましては、その特殊性にかんがみまして、政府がその百分の六十を再保険する措置をも講じております。なお多数両数の所有者に対しまして、例外的に自家保障の道をも開いております。  その二は、自動車損害賠償保障事業でありまして、ひき逃げ事故のような、加害者が不明のような場合におきましては、政府が被害者に損害をてん補する措置を講じようとするものであります。  以上が本法案の要旨でありますが、なお本法案による政府の再保険事業及び保障事業措置につきましては、約二千六百万円を一般会計から繰り入れる予算案がすでに御審議を受けており、またこれに伴う自動車損害賠償責任保険特別会計法案が本委員会に提出されておるわけでございます。  以上によりまして、本法案の提出理由についての御説明を終りますが、自動車事故による被害者の保護をはかって、自動車運送の健全なる発達をはかりますためには、ぜひ本法を必要と考えますので、よろしく御審議をお願いいたしたいと存じます。
  194. 山本米治

    理事(山本米治君) 本日は採決をいたしませんので、これをもって閉会といたします。    午後四時二十九分散会      ―――――・―――――