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1955-07-21 第22回国会 参議院 大蔵委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十一日(木曜日)    午前十一時五分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     青木 一男君    理事            西川甚五郎君            山本 米治君            平林  剛君    委員            青柳 秀夫君            木内 四郎君            白井  勇君            藤野 繁雄君            宮澤 喜一君            片柳 眞吉君            小林 政夫君            岡  三郎君            天田 勝正君            中川 幸平君            最上 英子君   政府委員    大蔵省主計局法    規課長     村上孝太郎君    大蔵省主税局長 渡邊喜久造君    大蔵省主税局税    関部長     北島 武雄君    通商産業省鉱山    局長      川上 為治君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○連合審査会開会の件 ○関税定率法等の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○関税定率法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 青木一男

    委員長青木一男君) これより委員会を開きます。  まずお諮りいたします。建設業法の一部を改正する法律案が、議員提出で、ただいま参議院建設委員会に付託になっております。内容を見ますると、財政法の入札に関する制度の大きな特例を開こうとするものでありまして、当然本委員会所管事項に大きく関連いたしますので、建設委員会に対して連合審査の申し込みをいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。さよう取り計らいます。   ―――――――――――――
  4. 青木一男

    委員長青木一男君) 関税定率法等の一部を改正する法律案関税定率法の一部を改正する法律案、以上二案を一括議題として質疑を行います。  なお関税定率法等の一部を改正する法律案は、衆議院において修正されておりますので、この際、右の修正点について、便宜、政府側から説明を聴取し、引き続き両案の質疑を行いたいと存じます。
  5. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 今回政府提案いたしました関税定率法等の一部を改正する法律案は、その施行期日を本年の七月一日と予定いたしておったのでございますが、国会におきまして、御審議関係上、さらに現在続けております暫定的の軽減免税の六月一ぱいの期間を七月一ぱいに御修正になりましたので、これに伴いまして、政府原案施行期日を八月一日に改める、こういう修正案でございます。
  6. 小林政夫

    小林政夫君 前に少し出席しておりませんから、すでに質問があった事項と重複するかもしれませんが、今度の原油重油関税一部復活は、石炭対策のためにやろうとしておるのか、あるいは国産原油保護するためにやろうという考えなのか、どうなんです。
  7. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) この点につきましては、提案理由説明には非常に簡単に書いてございますので、あるいは御了解できにくいかと存じますが、そもそもの起りから申し上げますと、昭和二十六年に関税率を一般的に改正いたしました際に、国内原油保護見地から、原油重油、粗油については従価一割という関税をかけるということに相なったわけでございます。その以前におきましては従量税率によっておりましたが、その当時のインフレーションの結果、ほとんど名目的な課税にとどまっておったわけでございます。これを一割という恒久的な関税率にいたす提案をいたしたのでございます。その当時におきましては、主として海上運賃の割高の関係から、輸入される原油重油価格は非常に高くあったのでございまして、今までほとんど名目的な課税に過ぎなかった原油重油、粗油というものに対しまして、一挙に一割の関税をかけるということは、これは国内産業に及ぼす影響が大きいというので、免税ということになりまして、その後毎年引き続き国会におきまして御審議をお願いいたしまして、一年ずつ期限を延長して参った次第でございます。その後、当初に免税いたしました事情がだいぶ変って参りまして、タンカー運賃の料金のごときも、一時に比べますと四割強になっておる。これに伴いまして原油重油輸入CIF価格も、一時に比べますと約一キロリッター当り二千円見当下っておるわけです。全般的に申しまして、当時免税をいたしましたその基盤というものが、がらっと崩れて参ったということは、これは申し上げることができるかと存じます。そこで、この一、二年来、原油重油等単価引き下げ等につきましては、関税軽減免税は必要なかろうではないかという御議論が一部に起っておったのであります。なお政府におきましては事態推移を慎重に見つめて参っておったのでございます。ところが御承知のごとくに、今回国産原油の開発五カ年計画が立てられまして、政府といたしましても今後鋭意国産原油を増産していこうということになった次第でございます。現在国産原油生産量年間三十四万キロリッター程度にしか過ぎないのであります。これを五カ年後におきましては約百万キロリッター、十年後におきましては約百五十万キロリッターにまでこれを増産しようという情勢に相なっております。かてて加えまして、石炭対策一環といたしまして、原油重油等関税につきまして、ぜひともかけてもらいたいという要望が一部にあるわけであります。かれこれ事情を勘案いたしますと、この際といたしましては、原油重油につきまして免税をもはや続けていく当初の基盤が大きく崩れております。この際といたしましてはある程度復活することがよかろうということに相なっております。ただし、直ちにこれを復活いたしますと、海上用、特に水産用等につきましては、影響がまだ多い際でございますので、これにつきましては、主として海上に使われるところのA重油免税BC重油につきましては、海上に使われるものにつきましては、これは、行政指導によりまして関税負担を実際上に及ぼさせないという措置考えるに至ったわけであります。結局におきまして税率の算定といたしましては、主として消費面につきまして、石炭と競合する陸上用の、ボイラー炉用重油に対しまして関税負担を及ぼしていこう、こういう関係に相なっております。もちろん石炭対策一環として策定はされておるのでありますが、根本事情を申し上げますとただいま言ったような裏に事情があるのであります。
  8. 小林政夫

    小林政夫君 御説明によると、国産原油保護するためでもあり、また石炭対策でもある、こういうことになるわけであります。この国産原油保護するという場合に、現在国内石油精製業者は、国産原油引き取りについては、国際価格を度外視して、山元渡し一キロ九千五百五十円、運賃等を含めて大体一万円以上で引き取っておるようであります。また輸入原油は、CIF価格で、あなたの方から出された資料等を見ても、六千五百円程度であると思われるわけであります。そういうふうに非常に輸入原油は安い。だから価格の点から考えると、国産原油輸入原油とは比較にならぬほど値段が違うにもかかわらず、精製業者は、国産原油を、無条件と言うか、とにかく国内でできたものは全部買い取るんだ、ある程度行政指導でもそういうことが行われておるのではないかと思うのだけれども、とにかく買い取っておる。だから国産原油保護するという見地から言うならば、今のわずかに原油二%、BC重油六・五%というような関税復活では意味をなさないんで、やるならば五割以上の関税をかけなければ、とても価格面国産原油保護するということにはならぬと思うのですが、その点は、どういうお考えですか。
  9. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) これは関税の機能というものにも関係するものでございますが、関税を単純に国内産業保護見地だけから考えますと、確かに現在の従価一割という関税でもそれは低い、こういうふうに考えております。ただ何分にも原油重油というものは生産に基本的な資材でございますので、消費者の立場も考えなければならぬ、あるいは関税率の全体の体系といたしましても、バランスのとれたものでなければならぬ、そういう関係でございますので、現在従価一割ということに基本税率は相なっております。そこで、今回のように、原油二%、重油六・五%程度では国内原油保護にはならぬではないかというお話でありますが、これはまことに一応ごもっともでありまして、本来ならば、実は基本税率あたりまでは少くとも持っていくのが、将来の対策としては実は適当なところかと存ずるのでありますが、他面におきまして、水産用BC重油等に対して関税負担を及ぼさないということになりますと、実は国内原油保護という見地から申しますと、いささか徹底を欠くおそれ、嫌いがあるのでございます。ただし先ほど小林先生がおっしゃいましたように、現在国内原油が非常に高いのだけれども国内業者はそれを無条件に買っているというお話がありましたが、これは実は相当中には無理があるのであります。国内原油は、産地は主として、北日本であります。裏日本であります。裏日本精油所で使用いたします場合には、ある程度国内原油が高くても済むわけであります。しかし現在ではその価格の開きが非常に大きい。従いまして、現在国内石油会社原油を、国内原油を買ってもらってはおりますけれども、これにつきましては、おそらく通産省におきまして、外貨割当の面においてある程度面倒を見るということで、実は変則的に消化されているというふうに私は解釈いたしております。しかしこの外貨割当制度によりまして、国内原油を無理に買わせるということは、これは基本的な政策としては私はいかがかと、こう考えます。そういう事態は、将来の貿易自由化の方向から考えましても、次第に緩和するなり撤廃しなければならない次第でございます。現在国内原油石油会社が喜んで実は買っているわけではない。ただいま申しましたように外貨割当の面から結びつけて買わせているというような実情でございますので、この現状を是認してゆくわけには参りません。こういうふうに考えております。
  10. 小林政夫

    小林政夫君 それは外貨割当の面でやむを得ず国産原油を買っていると、それでは将来一割に関税を復治しても、今のような値開きは到底解消されないということはお説の通りです。だから、これは、やはりある程度、百万トンなら百万トンの原油国内生産するという、こういう石油五カ年計画等によって増産する、増産した分は、まあいろいろな事情で国際的に自由に輸入できないという事態になった場合には、やはり日本原油生産というものを確保しなければならない、こういう意味において、精製業者等の利害も考えて、純コマーシャルベースでゆくならば、国内原油の採掘をやる必要はない、こうも言えるわけだけれども、そうはいかない。たとえば米を自由に輸入するならば、むしろ外米の方が安い。準内地米についても……。けれども、われわれは少くとも三分の二くらいの米は自給しなければならない。その米の比重とはえらい違う比重だけれども原油石油もある程度国内で出るのだと、こういう態勢が必要だから、五カ年計画等を作って増産しようと、こういうわけですから、ただ価格の面、取引として考えるときに、日本原油を買うよりも少くとも石油については輸入石油の方が企業採算的にはよいにきまっている。で、そういうことからゆくと、この為替管理がやまっても、何か別の方法で、中には精製業者としても、採算本位に立って、いや、国内石油は見向きもしないと、いうものもできてくるかもしれません。こういうものを適当な行政指導により、ある程度国内でできたものは一応買う、そしてこれを輸入石油とプールしてやってゆくということに、こういう態勢にゆくべきであって、関税で調節してうまく全部できるという事態ではなかろうと思うが……。
  11. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) これは関税には関税の限界がございまして、関税のみによって国内産業保護するというのは、これは場合によっては行き過ぎの面があるかと存じます。たとえば今のお説の原油の点につきましては、関税のみによって保護するということとは、場合によっては国内原油保護の点について十分でない点があろうかと思います。何分にも現在の基本税率従価一割、しかもこれ以上に上げるということは適当でないと考えております。やはり関税において国内産業保護するというのにも限度がある。それ以外におきましては、他の方法によりまして国内原油コストを引き下げて外産原油に対抗する、こういう措置が必要であろうかと存ずるのであります。
  12. 小林政夫

    小林政夫君 その問題はそれ以上言っても水掛け論になるので、今一応その段階で、それでやめておきますが、それでは今度BC重油値段を上げて、少くともボイラー用等石炭競合関係になるであろうと思われる陸上用BC重油値段に今度関税引き上げのしわを寄せることによって、石炭消費増大をはかることが目的のようでありますけれども、もし石炭価格が現在よりも上った場合に、あるいはまた国際的に重油値段が現在よりも下ったと、こういうような場合に、その都度、税率について調整せざるを得ない、こういうふうな考えですか。
  13. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) もちろん政府ただいま御審議願っておりますところの原油重油関税の一部復活につきましては、これは昨年の三月末日までの期限であります。その都度その当時の経済情勢とにらみ合せまして、この税率をそのまま続けていくか、あるいは変更するかにつきまして、慎重に考慮を仏って御審議を願うことになろうかと思います。
  14. 小林政夫

    小林政夫君 やはりそういうことにならざるを得ないかと思うのですが、非常に暫定的な関税措置でありますから、そういう答弁が成り立つわけですが、非常に、一年々々不安定な状態であるということは言えると思う。それから世界的にエネルギーというものは固体燃料から液体燃料に移行しつつあって、各国とも経済的燃料である石油というものを豊富低廉に支給するように努力をしておるわけです。日本だけが関税をかけて高いエネルギーをしいるという結果になる。特に日本貿易立国として相当輸出の増進を期さなければならない。この国際競争に耐え得る価格ということのために、われわれは過去一年間、また本年一年間も、デフレというか、地固め経済に歯を食いしばってがんばっていこう、こういうときに、国際趨勢とも逆行し、輸出コストを高めるような方法は、政府のとっておる地固め経済政策と逆行するものではないか。こういう点についてはどうですか。
  15. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) これはなかなか大きな問題でございまして、ちょっとお言葉を返すようで恐縮でございますが、世界の各国がいずれも原油重油関税をかけてないということはないのでありまして、むしろ相当多くの国が、原油重油に対して関税をかけているわけであります。一番高い税金をかけておりますのは西ドイツであります。これを従価に換算いたしますと、たしか一五〇%くらいの関税をかけている。これによりまして国内原油並びに人造石油保護を確立いたしたのであります。その他アメリカにおきましても、もちろん関税をかけております。ただ、かけておりません所は、ベネルックスの関税同盟、これは明らかにかけておりません。それからフランスイタリアにおきましては、日本保税工場式に、原油でもって精油所に入るのには関税をかけない。精油所に入らないものについては一八%の関税をかける。こういうことになっております。ただフランスにつきましては、一般税率が一八%でございますが、協定のない国に対してはその三倍の五四%の関税がかかっております。  なお世界的な傾向といたしまして液体燃料に転換する、こういう問題につきましては、非常に大きな、国家としても総合燃料対策を要する次第かと存ずるのでありますが、今回の原油重油に若干の関税をかけることによりまして、産業界に及ぼすところの影響は、実は私どもの方の試算におきましてはほとんど軽微なものではなかろうか、こういうふうに考えております。  ちょっと数字的に御説明申し上げますと、今回の原油重油復活によりますところの関税額は、年間におきまして約十六億でございます。このうち鉄鋼部門が比較的多うございまして、五億くらいの関税負担することになっております。各業態につきまして、一応この関税をそのままはね返らした場合に、どのくらいの影響があるかということを、数字的に御説明申し上げますと、鉄鋼につきましては、平炉の鋼塊でございます。これも重油を使っている部分だけについて、そのはね返りを計算したもので、全体をひっくるめたものではございません。これの関税復活によりますところの燃料費の総経費あるいは総原価に対する値上り率、これは〇・三一%、それから線材は〇・五三%、棒鋼は〇・六三%、鋼板は〇・一六%というふうに、まあ全体の大勢から申しますときわめて微々たるものではなかろうか、こう考えておるのであります。ただいま申しましたように、ただ、この数字は単純に重油を使っておる部分だけについてはね返りがあったものとして計算した場合の話でありまして、なお重油を使ってない部門も含めて計算しますと、さらにこの率は低下する、こういうことでございます。
  16. 小林政夫

    小林政夫君 諸外国で原油課税しておらないということを申したのは、私も課税しておる国があるということは承知をしております。無税としておる国は、英国、オランダ、ベルギー、フランス、デンマーク、スエーデン、スイス、ルクセンブルグ、イタリア、フインランド、ノルウエー、チェッコスロバキア等の十三カ国、それから課税しておる国は、今おっしゃったように西独、オーストリア、ポルトガルの三カ国、で、西独はお説のようにトン一万一千五十八円というように五割にも相当するような重税をかけておる。けれども、これはナチス当時のアウタルキー政策遂行上、人造石油の増産のためにやむを得ずとった措置であって、現在は、かなり重油が、人造石油が製造される状態になっておる。そうしてこれら関税をかけておる国の原油国内生産量考えてみるとおおむね国内消費量国内生産量がマッチしておるわけです。マッチしておるというか、むしろそれ以上普通の国内消費量を上回る生産国内において確保できる状態にある国々であります。従って輸入は、まあ緊急輸入とか何とかごく例外的な場合に輸入すればいいという国々関税を設けておるのであって、日本のごとく、その消費の一割にも満たないような原油生産国がこの原油課税をしておるということは皆無だ、こういう意味原油課税国は皆無だということを言ったわけで、その各国事情は私も一応調べてございます。  それから、いまの鉄鋼等についてのコストはね返りの問題について〇・三あるいは〇・五というような値上りが見込まれるということでありますが、これら鉄鋼業者等がいわゆる合理化のために血の出るような努力をしておって、そのゼロの何ポイントというコストの低下ということが相当問題な措置なんです。そういうことについて、わずかゼロの何ポイントの価格だけのはね返りだから、がまんしてもらっていいということにはならないのであって、また少しでも、ただのゼロの何ポイントでも価格を低下せしめて国際競争力を養成する、育成するということが、今の日本経済のとっておる大きな政策なのでございます。そういう意味からいえば、今度の原油関税復活は逆行するものである。その影響がわずかだからといって、いいということにはならないのじゃないか。こういうことが私の言っておることで、まあこれは意見でありますから、もちろんあなたの方はこれをかけるという案を出しておるのだから、それに賛成されるはずはないわけなんで、まあ一応そういう意見を言っておきます。  それから次は、一体まあ石炭重油価格が、よしんば同一であり、あるいは重油価格が一割くらい高くても、経済的な観点からいうならば、熱エネルギー効率化というような点から考えて、おそらく石炭を使わずに重油を使う。また、ある一定温度を均一に、四六時中均一に保っていかなければならない、百度以上の温度、百八十度というような温度を均一に保っていかなければならない、たとえばスレン系染料で染める工業染色業等については、石炭では火落し等によって熱が一定に保てないというような業種もあるわけであって、これは相当その一定温度を四六時中継続するという業態においては、一割や二割の値段の差では石炭は使いたくないという傾向でありますが、今度のこの関税復活によって、一体、政府石炭需要増大というものはどの程度期せられると考えておられるわけですか。
  17. 川上為治

    政府委員川上為治君) 私どもの方としましては、関税を一部上げるということと、それからもう一つは、現在衆議院商工委員会審議しております重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律案、この法律案によりまして、重油ボイラーについて極力石炭の方へ転換させる、そうして石炭需要をふやしていくという考えでやっておるわけでございますが、大体ボイラー関係のものとしましては年間百八十万キロリッターぐらい使っております。そのうち五カ年計画としまして百万ぐらいを転換さしていきたいという考えでおるわけでございまして、今小林先生がおっしゃいましたような、たとえば染色でありますとか、そういうものにつきましては、これはどうしても石炭よりも重油でなければ技術的に非常に困るという問題も、単にこれは値段の問題だけではなくて、技術的に非常に困るという問題がありますので、そういうものは無理に石炭の方へ転換させるという政策はとらないわけでございますけれども、たとえばセメントのボイラーでありますとか、あるいはキルン関係のものでありますとか、そういうものにつきましては極力石炭の方へ転換さしていくという考えでやっておりますが、大体今申しました百万キロリッター程度というふうに考えております。百万キロリッターと言いますと、これを石炭に換算しますと大体二百万トン程度というように考えますので、現在の石炭の市場から考えますと非常に大きな問題ではなかろうかというふうに考えておるわけであります。
  18. 小林政夫

    小林政夫君 二百万トンの需要拡大を期待しておるということでありますが、それも御説明のごとく、石炭合理化法、特にボイラー規制法と合せてやれることであって、この関税復活というか、今度の関税引き上げ措置のみによっては、とてもそれだけは期せられない。そうして、いわばこの関税復活というものは心理的な効果にすぎないので、おそらくボイラー規制法が成立した場合に、それによって初めて二百万トンの石炭需要拡大ができると思われます。まあ、そのボイラー制限法石炭合理化促進法一環として考えられておるにすぎないのであります。この今の国会審議状態から考えて、一体これは成立する、成立せしめる確信があるのかどうか。
  19. 川上為治

    政府委員川上為治君) 成立せしめる確信があるかというお話でありますけれども、これは国会審議されておりますので、果してどうなりますかわかりませんが、私どもとしましては、ぜひともこれは成立さしていただきたいというふうに考えております。
  20. 小林政夫

    小林政夫君 だから、われわれとしては、果してそういう一環措置が成立するかどうかわからないが、気分的に、まあなるべく重油を使わずに石炭でやってもらいたいという、こういう心理的な効果だけしか、この関税定率復活によっては期待できないと思う。そういうことであれば、根本石炭合理化法、あるいはボイラー関係制限法、この二法律推移とにらみ合せて考える必要があるのじゃなかろうか。切り離した措置としてこれだけの復活考えてみるというのは、石炭需要拡大という見地から言えば意味がない、こういうふうに考えておるわけでありますが、異論があったらおっしゃっていただきたい。
  21. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) もちろん石炭対策一環として本法案が出ておることと思います。なお石炭対策の方策としましては、ただいま御説明がございましたが、重油ボイラーの制限に関する法律とかあるいは石炭合理化法案というようなものがあるのでありますが、しかしこれは、たとえて申しますと、ある病気を治すのに、注射も必要だ、それから、あんまも必要だという場合に、今注射薬がないから、あんまもしないでおこうというわけにはいかないわけで、これは関税関税としてお願いし、それから他の法案につきましては、もちろん政府といたしましては成立を信じておるのでありますが、それと切り離しても、これはこれとしての効果があるというように考えておるのであります。
  22. 川上為治

    政府委員川上為治君) 私どもとしましては、昨年から行政指導によりまして、重油ボイラー石炭の方に転換させることをやっております。従いまして、もしこの重油ボイラー設置の制限等に関する法律が成立しなかったというような場合におきましても、これはもちろんこの法律が成立しますと、私どもとしましてはもっと促進されることと思いますけれども、かりにこの法律が成立しませんでも、従来の行政指導はどこまでも続けていくつもりでありますので、従いまして、やはり関税と相待って私は石炭の方へ転換することが促進されるのじゃなかろうかというように考えます。
  23. 小林政夫

    小林政夫君 石炭局長としてはそういうことが言えるかもしれませんが、通産省としては、あまり大きな顔をしてそういうことは言えないはずなんであります。この前には大いに重油ボイラーを奨励して、それから一年もたたぬうちに重油ボイラーをやめて石炭に切りかえろと言う。こういうことは、通産当局は、そうあまりはっきり言えた義理ではないわけなんであります。  まあ、そういうことは別問題としましても、要するに関税復活の場合は心理的効果にすぎない。特に今度衆議院で付帯決議をつけたが、一体、何に今度は関税のしわ寄せがされるのか。水産用はまず省いた。それからもちろん水産用に限らず、海上用――海の方は全部関税引き上げのしわを寄せないのだ。そして陸上のBC重油の中で特に輸出に重要な関係を有する、中小企業その他の産業において使用するものは、関税引き上げによる悪影響を及ぼさないように措置する。こういう付帯決議があり、政府当局も了承しておるやに聞いておるのですが、鉄鋼だとか、あるいは輸出産業などに対しては、関税引き上げのしわが寄らんようにするということであれば、一体どの部分へ、しわを寄せるつもりであるか。
  24. 川上為治

    政府委員川上為治君) 水産関係につきましては、これはA重油ということであります。これは今回の関税はかからないことになっております。B重油もある程度使っておりますけれども、これも水産関係につきましては、極力影響がないようにしたいというふうに考えておるわけであります。この水産関係の、海上関係のものにつきましては、あまり石炭と競合しませんので、しかもこういう業種におきましては、相当零細な中小企業が多くありますし、かつまたコストの中で占める燃料費というものが非常に多くありますので、私どもといたしましては、この方面に対しましては、極力その関係はね返りをしないように措置を講じたい、こういうふうに考えておりまして、従来からも、去年の四月から、こういう漁業関係のものにつきましては、行政的な特別な措置をとって参っております。今後におきましてはさらに強化をしたいというふうに考えております。こういう案に対しまして関税がかかっている分につきましては、これは石油業者の方で極力私は吸収してもらうように行政指導をしたいと考えております。  それから陸上の方につきましても、もちろん私どもの方としましては、先ほど申し上げました重油ボイラーのこの法律と関連するような一般のボイラーにつきましては、値上りをある程度さしても差しつかえない。むしろその方が石炭転換に非常に役立つというような考えでおるわけでございまして、たとえば鉄鋼関係につきましては、平炉のごときはこれは相当問題がありますが、大体鉄鋼関係等につきましては、石油業者の方に相当これは吸収してもらいたいというふうに考えまして、そういう行政指導をやりたいと思います。  それからまた、これは具体的には、はっきりしておりませんけれども、もし輸出関係のもので、相当燃料費コストの中に大きな部分を占めていて、しかも現在なかなか輸出が非常に困難であるというようなものにつきましては、そういうケースがございますれば、われわれとしましては、そういうものはなるべく石油業者のほうで負担するような行政指導をとっていきたいというふうに考えております。
  25. 小林政夫

    小林政夫君 ある程度石油精製業者負担をすることを期待すると、こういう答弁ですが、これはまたあとに述べますが、一応衆議院の付帯決議によって取り除かれた残りの重油というものはどの程度であって、関税のしわをそこに寄せるとすればどれくらいの価格に対するはね返りになるのか。そうしてその結果が石炭対策として、今の二百万トンというのでありますが、この二百万トンの内訳は競合産業においてどうなってくるか、どういうお考えなのか、その数字を示してもらいたい。
  26. 川上為治

    政府委員川上為治君) 詳細な資料は持って参っておりませんが、先ほども申し上げましたように、こういう関税措置とか、あるいはまた先ほど申し上げました重油ボイラー関係法律とかいうことによって、五カ年間において少くとも百万キロリッター程度重油から石炭の方へ転換さしていきたいということを申し上げましたが、先ほども申し上げましたように、重油ボイラー関係だけで百八十万キロリッターくらい使っておりますので、大体その半分に近い百万くらいというふうに考えておるのですが、それ以外のものにつきましては、先ほども申し上げましたように、たとえば輸出に非常に影響があるものとか、あるいは非常に零細の企業であって、社会的な問題も非常にあるとか、そういうような問題について考えておるわけでございまして、今申し上げましたように百万程度というふうに考えておるわけでございます。ただ、ではその業種別に、どれは幾らどれは幾らということを申し上げるということは、現在実はそういうケースは具体的には起きて参っておりませんので、たとえばどこの産業が輸出に非常に貢献していて、そうして、そのために、これが値上りになったために非常に困るというようなケースは直接出て参っておりませんので、私どもとしましては、将来行政面においてそういうケースが出て来ましたならばそれを十分調査の上で善処したいというふうに考えておるわけであります。
  27. 小林政夫

    小林政夫君 これは、だいぶ聞くところによると、衆議院でも相当資料の要求をされて、ついに出ない、こういうことであったそうでありますが、こういうものはしわ寄せをしないのだという漠然たる言い方で、逆にどの産業とどの産業とは、どの業態とどの業態には、しわ寄せをするのだ。しかも重油ボイラーの規制をするということであれば、この石油消費規制の主たる部分ボイラー用の燃料でありましょうから、これはあなたもおっしゃった通りで、そうすると、少くともあれだけの規制をして、場合によったら行政命令まで出して、通産大臣命令まで出して、その石炭ボイラーに転換しろという発動までできるような法律を通そうとしておるのだから、全国のどこで重油ボイラーを使っておる、こういう程度のことは一応の調査ほおできになっておらなければならぬと思うわけです。そうして、それらの業態というものが、輸出についてはどうやっているかという、その業態の実体というものは、わからなければいけない。法律が通ってから調査いたしまして適当な処置をするのだ、こういうお気持かどうか知りませんが、とにかくどの業態がしわ寄せされるのか。逆の言い方で、どれとどれは差し支えないと思う、こういうことが言えなければ、われわれもこの法案の可否の判断がつかない。
  28. 川上為治

    政府委員川上為治君) この問題については、行政指導におきましては、先ほども申し上げましたように、昨年の四月から実行いたしております。従いまして、われわれの方としましても、大口工場につきましては、どこにどういうボイラーがあるということは、はっきりいたしております。それから、どのボイラーについては、これは改造して石炭の方に転換してもらいたいということも従来指導をいたしております。これは産業別に全部大口工場についてはできておるわけでございまして、ただ小口の中小企業については、そういう調べは、今のところは、本省におきましては十分できておりませんが、これは地方の通産局においていろいろ調べをいたしております。従いまして、今申し上げましたように、少くとも大口工場につきましては、どこどこの、たとえば電力会社については、どこの電力会社のどこのボイラーについては石炭の方に転換してもらいたい、しかもそれは、それほど影響がないというようなことは、一応調べが全部できておりまして、それによって行政指導をすることになっております。ただ一々の工場について、こういう席上において申し上げることはどうかと思いますので、私の方としましては、そういう資料は、これは実は提出することがいいかどうか非常に疑問に思っているわけでございますが、そういうことで従来からやっておりますので、その点一つ御了承願います。
  29. 小林政夫

    小林政夫君 それは具体的に、たとえば、ふろ屋のボイラーというのはどうするのですか。
  30. 川上為治

    政府委員川上為治君) 実は、ふろ屋のボイラーにつきましても、私どもとしましては、なるべく石油を使わないで石炭を使うように転換してもらいたいという気持を持っております。ただ今回の法律によりましては、そういう勧告なり指示なり、そういうことは、微量需要者でありますから、そういうものに対してはやらないという建前をとっております。しかし、そういうふろ屋等におきましても、極力石炭の方に転換してもらいたいという気持を持っております。
  31. 小林政夫

    小林政夫君 転換はさることながら、要するに転換の過程においては、かなり関税引き上げのしわは、ふろ屋に寄らしても差し支えない業種ですか。
  32. 川上為治

    政府委員川上為治君) これは実際はトン当り五百円程度上ることになりますので、私はそう影響は大したものではないと考えておりますから、はっきり申し上げますと、ふろ屋に対しましてそれくらいの影響があっても差しつかえないのではないかというふうに考えております。
  33. 小林政夫

    小林政夫君 社会党の諸君は、えらい関税引き上げに熱心だけれども、庶民のふろ代というのは上るのだから、そのつもりで考えてもらわないと困ると思う。(笑声)  それから次は、今もお話があった、この引き上げのしわをできるだけもうかっている石油会社へ、石油精製会社で負担をして、価格には影響のないようにということを願っておられるようです。しかし一体、外貨割当というものが制限されておって、必ずしも国内需要に供給がマッチしておらない事態において、その希望は希望であっても、現実の価格というものは需要供給によって左右されるわけでありますから、うんと石油会社がもうかっておれば税金でうんととる、こういうことで、応分の法人税その他の負担はしているわけでありますが、この価格の面についてはなかなか期待通りにはいかないのではないか。そして今の海上用陸上用と分けて、陸上用BC重油の中で、いろいろ例外を除いて、大口になればまだはっきりしますけれども、中小企業の輸出産業には影響を及ぼさない、こういうようなものについても、比較的石油の販売ルートというものは確立されておるように見えるけれども、しかし仲間取引等もあるわけであって、行政措置によって二重価格のようなことが果して期待できるかどうか。  こういう点については、かつて戦時中のあのくらいきびしい統制、しかも相当の罰則を伴うあの統制時代においてやみが横行したということは御承知通り、今のような経済態勢において、あなた方の行政指導によってそういうような器用な価格の使い分け、標準価格等をきめてみたところで、それが期待通りにいくかどうかということは、はなはだ疑問なんでありますが、その点はどういうふうに考えますか。
  34. 川上為治

    政府委員川上為治君) まことにごもっともなお話しであるわけでございまして、私どもとしましても、何か非常に強い法律がありまして、その法律をバックにしてやれば、これは相当いけるのじゃないかと思うんですが、ただ海上関係、水産関係の点につきましては、これは特約店及び元売り業者とのつながりが非常にはっきりしておる。しかも漁港別の特約店あるいは小売店というものはきわめてはっきりしておりまして、主としてこれは専門に扱っておりますし、しかもその特約店というものと元売り業者のつながりというものはきわめてはっきりいたしております。たとえば小樽なら小樽においてどういう特約店がいて、しかもそれはどこの系統であるということはきわめてはっきりいたしておりますので、私どもの方としましては、現在協同組合が地方にありまして、この協同組合の協定価格によって販売をさしておりますけれども、もしその協定価格を守らないというような場合におきましては、ずっとその上の元売り業者までたぐって、そして元売り業者に対しまして外貨の割当等で調整をするというような措置をとっておりますし、しかも外貨の調整というのは、元売り業者にとっては非常に大きな問題でありますので、昨年の四月から現在まで実行しておりますが、比較的守られておるというのは、これはそういう点があるからうまくいっておるんじゃないかと考えておるわけでございまして、私どもとしましては、こういう漁業関係等につきましても、一面において外貨における調整をするという措置によって、私どもとしましては、その価格の維持なり、あるいは配給量の適正化ということをやっていきたいというように考えております。しかしながら、それだけではなかなかやりにくい点もありますので、今回重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律案というのを出しまして、これの第六条によって、緊要なものに対しましては価格に対する指示とか、あるいは出荷についての指示とか、そういう指示がなされるような措置をとって、この法律と相待って今申し上げたような措置でやっていきたいというように考えておるわけでございます。
  35. 小林政夫

    小林政夫君 結局行政指導通りにやらない場合の制裁措置としては、外貨割当の削減、しかもそれは元売り会社に対する外貨割当ての削減、これ一つ、きめ手はね、そういうことになってくると、標準価格を設定して、いろいろ段階的に価格を示してみたところで、元売り会社はまじめにやっておる。ところがそれから先に対する元会社からの統制、もちろんそういう元会社の統制に服さないものは販売店に認めない。こういうようなことでいかそうというお考えでしょうけれども、なかなかそれは……、戦時中のあのきびしい統制においてすらいろいろ抜け道を考えられたし、そう完全に価格は守られておらないわけです。一体全体の外貨割当量、原油輸入のための外貨割当量というものは、二十九年度と三十年度と比べてどうするのですか。大体ある程度ストックのできる程度までに供給をだぶつかせる。むしろまあ石油関係は売手市場です。それを買手市場に切りかえるような措置もあわせてやるつもりなんですか、外貨を削減するという趣旨からいって、輸入原油も引きしめる、そうしてその引きしめた分を転換等によって石炭等にかえていく、こういうことであれば、ますます需要供給の関係からいえば、価格は吊り上げ傾向になるわけなんです。元会社はなるほど直接外貨割当の問題があるから、表面上はとにかく履行するでしょう。けれどもいろいろそこには段階があって、販売段階等もあり、もうだいぶ戦争中に業者が訓練されておりますからね。物品統制に対する受け方については。そう政府考えるように、うまく配給価格統制というものが、しかも政治力の弱い現在において、行政指導だけで、しかもその罰則の面においては外貨割当だけ、元売りに対する外貨割当だけ、こういうことで、これも関税引き上げのしわは寄せません、これも寄せませんと、国会でどうだどうだと言われる分だけは除いてあるようになっておる。これはペーパー・プランであって、実際にはほとんどしわは全部に寄る、こう考えざるを得ないのですが、どうですか。
  36. 川上為治

    政府委員川上為治君) 石炭業者あたりからいいますというと、本年度におきましても、少くとも昨年よりも百万キロリッター切れというようなことを言っておりますが、私どもの方としましては、そういうむちゃなことはできない。今先生がおっしゃいましたように、やはり価格につきましては、需給関係からこれはできて参りますので、もし供給の方を非常に極端にしぼるというようなことになりますというと、価格が非常に上りまして、しかもこれを調整するのにはより以上苦労するのではないかというふうに考えますので、私どもの方としましては、五カ年で大体百万キロリッターぐらい転換させるように持っていきたいという考えを持っておりまして、順次石炭の方へ転換さしていく。そうしてまた石炭の方におきましては、石炭合理化法案におきまして、だんだんコストを切り下げ、そうして値段が下っていくように持っていく。そうして少くとも五年後におきましては、この重油価格石炭価格は大体うまく、ほうっておいても自然調整ができるようなところまで一つ持っていきたい、こういう考えを持っておるわけでございますが、今すぐ極端な圧縮をしようという考えは持っておりませんので、私はそうむちゃな値上りをして、そうしてそのために非常にいろいろ問題が起きる、しかも行政的な措置を講じてもなかなかうまくいかぬということにはならぬのではないかというふうに考えております。  特に水産関係につきましては、A重油というものが相当多いわけでありますが、A重油につきましては、これはほとんど陸上においては使っておりません、海上特有なものでありますし、しかもその価格相当高いですから、これは陸上の方で使うということはほとんどないと考えられますので、私はA重油等については、これはなるべく海上需要に対しましてマッチするように出していきたい、こういうふうに考えます。ただ、BCについては、これは非常に石炭と競合いたしますので、BCについてはなるべく圧縮していきたい。しかもそれも極端なことは私どもの方としましてはやりたくない、こういうふうに考えております。しかもある程度のストックは常に持たしておりますので、何か非常に問題があって、特に緊要な需要があるというところに対しまして、なかなか値段が高くて手に入らぬ、しかもどうしてもこれは石炭でなくて重油でやっていかなければならぬというような場合におきましては、そのストックの中からいつでも出すようにしていきたい。こういうふうに考えております。
  37. 小林政夫

    小林政夫君 値段が上るということもさることながら、今の石油精製業者で、この値上り分を関税引上げ分に吸収してもらうということを期待しておる、それが非常に困難だ、今のような輸出事情ならば、それは実際問題として困難だ、それから今のこの陸上のB、C重油の中で、いろいろここにたとえば輸出に重要な関係を有する中小企業、これに対しては極力関税復活をして悪影響を及ぼさないように行政措置を講ずる、こういうことが書かれてあり、またあなたの答弁としてはやると、こうおっしゃるかもしらぬけれども、実際問題としては、先ほど来申すようなことで行われないんじゃないか、こういうことです。それからまた農業用のものについて、これは明らかに陸上用なんです、こういうふうなものにはね返りがないかどうか。
  38. 川上為治

    政府委員川上為治君) これは昨年からやはりわれわれとしましては一応行政指導によって実行をいたしております。特に水産関係のものにつきましては、大体まあ私は比較的うまくいっているというように考えておりますし、各地方から具体的に非常な苦情が出たということはほとんどありませんし、この四月でしたか、静岡において若干問題が起きましたが、これも直ちに措置をとりましたので、うまくこれは解消いたしました。まあそういうこともありますので、私は大体これは行政指導によってうまくやっていけるんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。農業関係につきましては、これはもう重油を使っておるよりも灯軽油をほとんど使っておりますので、これにつきましては、私どもの方としましては、今灯軽油については別にこういう需要を押えるというようなやり方は全然とっておりませんし、もし足りないということがあれば、いつでもこれはふやせるという措置をとっておりますから、農業関係に対しましては、そう大きな影響はないんじゃないか、しかもこの重油につきまして、もしこの農業関係で使っておりましても、その量はきわめて微々たるものではないかというふうに考えておるわけなんですが、それに対しましては、まあ私の方としましては、そう大きな影響はないというふうに考えております。
  39. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) ちょっとただいまの説明を補足いたしますと、農業用において使われる重油は、主としてA重油でございます。これは三十年度におきまして約四万キロリッターも残っておりますが、A重油は御承知のように、今度の案においても免税ということにいたしておりますから、この点影響はございません。
  40. 小林政夫

    小林政夫君 大部分A重油であるということは承知いたしておるのでありますけれども、一部影響があり得る場合もあるわけで、それからもう一つ、外国では原油に、たとえば関税を付しているところでも、原油輸入して精製して輸出をするという場合におけるいわゆる戻し税というものもある。今度復活するにあたって、日本の場合でも輸出にも石油があることは御承知だろうと思うのです。そういう場合の一体関税の戻し税というものは考えておらないのかどうか。
  41. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 関税の戻し税をいたします場合におきましては、当初何を輸入して、そうしてそれがどれだけ生産に使われて、どれだけ輸出されたということがちゃんとプレスされないと工合が悪いわけです。ところが原油重油につきましては、もちろん輸入物ばかりではございませんので、果してそれが輸入されたものであるかどうか、そしていつ幾日輸入されたうちのどの量だということの判定は、全然といっていいくらい、おそらくできないのじゃなかろうか。そういたしますと、戻し税の方につきましては、行政の技術の面から申しまして、実は不可能というふうに考えております。
  42. 小林政夫

    小林政夫君 これはまあおっしゃる通り、技術的にはそうですけれども、外国でやっている例もあるのです。名前をあげますと、西ドイツです。
  43. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) おそらく小林先生の御指摘の場合は、これは保税工場におきまして精製いたしまして、それをそのまま出す場合でありまして、はっきりプレスできる、こういう場合ではなかろうかと存じております。個々の製品の製造につきまして、使用されたものについて戻し税ということは、これは技術的に私は不可能ではなかろうかと考えております。
  44. 小林政夫

    小林政夫君 たとえば西ドイツの場合は、再び輸出する場合に、輸出税は百キロについて一二・九マルクの戻し税を受ける、これはまあいろいろあなたのおっしゃる国産原油をも使っておるだろうし、いろいろあるだろうが、およそ輸出奨励という意味もあるかもしれない。そういう戻し税制度があるわけです。日本もだんだん、たとえばジェット・エンジン用のものを極東空軍あたりへ納めるというような場合は、これは戻し税を考えてもいいんじゃないか。
  45. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) あるいは小林先生御指摘の場合は、原油輸入いたしまして、それを航空揮発油等に新たに精製して、それを輸出する、こんなふうな考えではなかろうかと思いますが、そういう場合でありますと、技術的にできないのではないかと思います。この点については私どもの方でよく検討いたしたいと存じます。
  46. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 私は質疑応答を聞いておって、こういう若干の疑問が出たんですが、関税をかけたものを、用途別に従って行政指導で非常な価格差をつける、こういうことが強く政府当局から説明があった。実態的には漁業関係とか、あるいは中小企業関係等に影響がないことを希望はするわけでありますが、一体一律に関税が課せられたものを、何らの法律のバックなくして、行政指導ですれば水産用には安く使える、あるいは輸出産業用には安く使える、こういうようなことが果して許されていいのかどうかというようなことが、ちょっと私疑問に実は出てきたわけでありますが、技術的に漁業関係なりだけをはずして関税免除がむずかしいことも、あるいはあるかとも思うんですが、一応税のかかったものを、同じ国民で、商売は違っておるのであるが、これが非常に差等がつくことを、これをそういう行政官庁の強力な行政指導というものでやることが果していいかどうかという疑問が若干出るんですが、実態的には大いに希望するんですが、漁業関係なり、あるいは中小企業、ここに書いてあるような向きに実際上安くいくことは、実態的には望ましいんですが、しかしそのしわを寄せられるものは、関税で期待したあるいは数倍の負担をするというようなことは、ことに新憲法の精神のもとにおいて、果してそういうことがいいかどうか、何か今出ておる砂糖の価格安定法のように、何かそういう向きについては安く売るように勧告ができるというような条項があれば、これは問題はないと思うんですが、それがどうも多少私はそういう点が、実態的には私は異存はないんですが、やはり議論としてはそういう疑念が若干ありますので、これはあるいは大臣等に質問する事項かと思いますが、どういう考えを持っておられますか。今までもやっておったというんですが、多少どうも大へん行政指導が前面に強く出てきておるので、そういう点でこれはどういう考えを持っておられますか、一応意見をお伺いしておきたいと思います。
  47. 川上為治

    政府委員川上為治君) 現在の行政指導につきましては、昨年の四月から実行しております。これは私どもの方から見ますというと、非常にこれはきつい、非常にひどい行政指導ではない、まあその程度のことは行政指導をやはりやれるんじゃないかという考えでやってきておるのですが、しかしだんだん石炭の方へ転換させるように持っていきますというようなことになりますというと、ある程度きついこともしなければならないのじゃないかというふうに考えますので、何か法律のバックがなければよくないじゃないかというふうに考えましたので、今回商工委員会で今審議をいたしておりますが、重油ボイラーの設備の制限等に関する臨時措置に関する法律案、この中の第六条によりまして、「通商産業大臣は、緊要な用途に対する重油の供給を確保するため特に必要があると認めるときは、重油生産業者輸入業者又は販売業者に対し、重油の出荷又は販売価格に関し必要な指示をすることができる」、この法律のバックによりましてやっていきたいというふうに考えておるわけであります。
  48. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 そうすると、またこの法案と別の法案になっておるので、それがもしも不成立になるということになった場合にはできないということになるのですね。この法律の別の法案に出ておるので、そこだけということでいいのかどうかというところで若干の疑問もあるのですが、それが不成立の場合には行政指導はできないという結論になるんじゃないですか。
  49. 川上為治

    政府委員川上為治君) 私の方といたしましては、こういう法律案が通らなければ現在の行政指導ができないというふうには考えておりません。これは私はやはりある程度行政指導は当然やるべきことじゃないか、また外貨というものにつきましては、そうむちゃくちゃに、これは非常に貴重なものでありますので、しかも大事なところへ外貨を使ってもらわなければなりませんので、従いまして水産関係とか、鉄鋼ボイラーとか、そういう方面に対しましては十分石油を確保するように、また値段も上らないようにするのが、私どもはやはり日々の行政指導ではないかというふうに考えておりますので、私はこの法律が通らなくても、ある程度行政指導というものは当然やれるというふうに考えております。
  50. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 その辺は意見になりますから、あまり申し上げたくないのですが、ただ石油需要者別にある程度それが実態的に必要だといっても、同じ関税をかけられたものが、一部には関税がほとんどかからぬような措置がされ、その半面、一部の業者にはこの法律案で予定されている以上のものが実態的にいくという、そういう差等のある行政指導というものが私は果してできるかどうか、やはり法律の適用は平等にやるべきだというようなこともいえるのであって、業者を育成するということも必要でしょうが、不平等な扱いということになるんじゃないかと、こう思うのですが、そこに若干の私は疑問を持つわけです。しかしこれは私はこれ以上のことは申し上げません。
  51. 小林政夫

    小林政夫君 いろいろ私の今の質問に対する政府答弁で決して了承できないのです。そこで一応たとえば衆議院の付帯決議で、この関税引上げのしわを寄せないと言われておるあるいはこの精製業者、配給担当者等、関係業界の一ぺん意見を徴する機会を作っていただきたいと思います。
  52. 青木一男

    委員長青木一男君) 今小林委員からそういう発議がございましたから、理事会で相談いたします。
  53. 山本米治

    ○山本米治君 この問題の動機といいますか、私は二つあると思うのですが、一つは外貨の問題、一つは石炭対策じゃないかと思うのです。二十八年に非常に輸入が多くて、しかも重油関係だけを見ると、まあ年々ネズミ算的に多くなってきた。しかも当時国際収支が非常に悪化して、このまま重油輸入を多くしたら非常に外貨の問題として困るということが、この大きな動機の一つだったんですが、今日外貨の状況はポジションが非常によくなって、御承知通り十二億ドルをこえるという、今までになかったようになってきておるわけです。外貨というものはためておいてもつまらぬもので、外貨はやはり使うのがいいので、根本は国際収支がバランスするかどうかという問題はありますが、今現にドルも相当ある。そうすればこの重油輸入を非常に制限する方向への措置は必要でないんじゃないかということが考えられるのですが、今外貨のポジションもあるのですから、大いに重油輸入して、そうして日本の低物価政策に寄与するということが一つの考え方だろうと思うのです。この点二、三年前まで一時重油転換を非常に奨励し、またこれが逆転してきた。その逆転し始めた当時の状況は外貨の問題から見て違うと思うのですが、この点いかがでしょうか。
  54. 川上為治

    政府委員川上為治君) 二、三年前と現在の外貨の事情は、これは相当違っておりますことは、今先生の御指摘の通りであります。しかしながらこの石油の外貨というのは非常に大きいのでありまして、しかもそのうち重油というのはその半分以上を占めております。現在約一千万キロ・リッター程度輸入をやっておりますけれども、そのうち五百二、三十万キロ・リッターというものが重油に該当するわけでございます。もちろんこれは原油で入ってくるものもあります。原油で入ってきて、それから重油を作るものもありますが、全部、原油からとれる重油を入れますというと、大体五百二、三十万キロ・リッターということになるわけでありまして、一千万キロ・リッターの中で、半分以上は重油であります。しかもその一千万キロ・リッターを外貨に換算いたしますと、船賃を入れまして、約一億八千万ドルというような状態になっております。これはやはり輸入総額からいたしますというと、相当大きな私はウエイトを占めておるものと考えております。しかもそのうらで重油が半分以上だというふうに考えますというと、重油を放ったらかしておきますというと、ますますこれは外貨はふえる一方だというように考えますが、国内においては現在五百二、三十万で規制をやっておりますけれども、実際の需要がこれはどれくらいあるかということになりますというと、六百万をはるかにこえるんじゃないかというふうに考えます。そういうような状態でありますので、外貨の点から見ましても、私はやはり措置が要るんじゃないかというふうに考えます。
  55. 山本米治

    ○山本米治君 外貨面から見たこの問題として、今後も果てしなく重油転換を続けていくということは、これはおもしろくないんです。今後新たに作ることを規制する、これは別な法律審議中ですが、それはいいと思いますが、今でき上っているものを石炭に再転換させるという措置を今非常に強力に推進するかどうかという問題は、私は外貨の問題と関連して問題があるんじゃないか。だからふえていく分を押えることは私は必要だと思います。まあそれはその程度におさめておきまして、もう一つは、外貨の問題は全く問題ない。重油輸入の外貨はまあ相当ふんだんに出せるとしましても、これを入れる場合、もう一つの障害になるのは石炭対策であるわけで、石炭業界が特に最近非常に困っているということはわれわれも承知しており、また同情申し上げている。しかしこの問題は過去にさかのぼってみると、割合同情しかねる節もあるわけであります。終戦後石炭は黒ダイヤと称して、まあ何でも基礎物資である石炭一本やりで、たとえば復金の融資時代から非常に超優先にして融資をしてきた。ところが石炭価格はなかなか下がらない。これは一つには相次ぐベース・アップの問題、一つは炭鉱業者の経営のルーズさと言うか、放漫とこの両者相まって石炭価格は一こう下らない。わずかにこれが下ったのは、一昨年でしたか、炭鉱のストライキがあって、やむを得ず重油輸入した。この輸入重油との競合関係において、一挙にトン当り一千円くらい下った。そういう措置がない限りは石炭価格はちっとも下らない。いかに金融上、税制上優遇しても、なかなか下らないというようなことになっておったのであります。で、この石炭問題としましては、もう数年前からこれを合理化して炭価を安くするということは、国の国策の一つとして考えられて、しきりに縦坑問題が言われておったわけであります。今度はそんなことでは間に合わないで、石炭鉱業合理化法案が出ておるわけですが、縦坑の方は、どういうふうに進捗しておるのか。これで相当コストが下る見込みが、当時言われたようにあるのかどうか、簡単でいいですが、ちょっと……。
  56. 川上為治

    政府委員川上為治君) 私鉱山局長でありまして、石炭の方は私はやっておりませんので、石炭局長の方から申し上げた方がいいかと思います。
  57. 山本米治

    ○山本米治君 それじゃ了承いたしました。そこで重油輸入を制限するということになると、これはまあ初めから考えられておることで、困るのは漁業用とか、農業用とかいうもの、そういう方面の値段が上っちゃ困る。それについては今度は通産大臣の言明にもありますように、外貨の消費者割当というような、東京から言えば異例な措置をとって、その方面には安くしようという措置をとっておられるわけなんですが、そこでこういう措置をとるということは、やはり統制の一歩なんです。すなわち二重価格を作ろうということなんでして、そこで先ほどから各委員から質問のありました、その行政措置で二重価格というものが維持できるかどうかという問題になるわけなんですが、統制をやればやみができるということは、これはほとんど必然の法則で、私はこれはなかなか困難な問題だと思っておるわけなんですが、先ほども関税は引上げるが漁業用等についてはこれをワク外として、あるいは、外貨の消費者割当をやるなり、その他の行政措置値段が上らないようにするということを言っておられるわけなんですが、そうして値段が上らないようにする。値段が上らんようにすることは、実は石炭対策としては意味をなさない。値段が上ってこそ初めて重油より石炭を使おうということになるわけですが、そこは矛盾じゃないか。そういう措置をやりながら値段を上るようにまた極力行政措置をする。そこで値段が上るから初めて転換するということは、経済上可能になるわけですが、そこの点はどう考えるか。私はこれは実は石炭対策になると思う。なるというのは、値段が上るということになるからだと思うのですが……。
  58. 川上為治

    政府委員川上為治君) 石炭重油と非常に競合する、こうした方面に対しまして、関税につきましてもしわ寄せをしていきたい。それからまた行政指導におきましても、こういうところに私どもは重点を置いて指導していきたい。石炭と競合しない部面におきましては、これはなるべく値段を安くするように持っていきたい。こういうわけでございまして、たとえば具体的に言いますと言うと、A重油、これはほとんど石炭とは関係ありません。従いましてこういうA重油につきましては、極力……ほとんど大部分が水産関係及び海上関係でありますが、そういうものにつきましてはなるべく値段を下げるような行政指導をしていきたい。それから陸上につきましても、石炭とそう影響しない、むしろこれは重油を使わせなければならぬという、たとえば鉄鋼の平炉関係、こういうものにつきましては、私の方といたしましては、重油をなるべく使わせて、そうしてなるべく値段を下げるようにいたしていきたい。しかし一般のボイラー等につきましては、これは石炭と競合いたしますので、石炭もわれわれ使ってもらいたいという気持を持っておりますので、そういったところにおきましては、値段が少々上っても差しつかえないし、また上げた方がかえって石炭との調整において、いいんじゃないか、こういう考え行政指導をやっていきたい。こういう考えでございます。
  59. 山本米治

    ○山本米治君 もう時間がだいぶたっておりますが、もう一点だけお伺いいたしますが、衆議院の大蔵委員会の付帯決議の最後の、先ほどからだいぶ問題になった何ですが、このB、C重油中、輸出等に関係のある中小企業及びその他の産業において使用するものは、極力この関税復活の悪影響を及ぼさないように行政措置をする。この点は先ほど、できるだけ石油業者に吸収させる、そしてできるだけ値段を上げさせないようにするということを言われましたが、この行政措置というのは、それ一点張りですか。具体的なこの内容ですが……。
  60. 川上為治

    政府委員川上為治君) たとえばその鉄鋼関係と申しますと、平炉関係がある。これは主としてC重油なんです。今度関税をかけますというと、かりに全部その関税がはね返って上るということになりますと、鉄鋼関係に、輸出にある程度影響があるかもしれませんので、私どもの方としましては、そういうものについては、極力石油業界の方で相当程度負担してもらいたい。かりに五百円ということであれば、三百円なら三百円、四百円なら四百円というものは、これは石油業者の方で負担をしてもらって、百円なら百円というものは鉄鋼業者の方で負担してもらう、そういう調整をしていただきたい。これはしかし別に鉄鋼の方で、私の方に調整してくれということは要求がありませんので、鉄鋼の方は、その程度だと自分の方で負担しても差しつかえないという気持を持っておるかもしれませんが、もしそれが非常に困るということであるならば、私ども中に入って、そして調整して参りたい。それからまた名古屋の陶磁器、これも現在何も私の方に言ってきておりません、具体的には。しかしまたこれはB重油なりを使っておりますが、もし関税をかけたために、そのために非常に影響があるということになりますれば、具体的に一つ話があれば、われわれの方で石油業者との間に立って調整をしていきます。こういう考えでおります。
  61. 山本米治

    ○山本米治君 もう一点だけ、今名古屋の陶磁器の話が出ましたが、私はちょっと陶磁器の方からもうすでに陳情があります。むろんA重油も使っておりますので、この分は今度は上りませんが、むろんB、Cも使っておりますし、今後は余計B、Cへの移行、B、Cを余計使う傾向になっておりますそうですから、それでは非常に困るという陳情もきておりますから、それじゃ一つ業界からも出しますから……、ここは陳情の場所ではありませんから、今そういう話がありましたから、業界が行きましたら一つ……。
  62. 川上為治

    政府委員川上為治君) 私はそういう具体的な問題については、調整はしますけれどもただ自分の方で相当負担できるものを、それをとにかく安くしてくれということは、これはわれわれとしては相当厳密に一つやりたいというふうに考えております。
  63. 岡三郎

    ○岡三郎君 一つ資料をお作り願いたい。輸入価格と、それから需要者に渡す大体の市場価格ですね。これと、それから外貨の割当を、まあ最近の二、三年でもいいから、どういう業者に、どの程度外貨の割当をしたか、それからそのときの輸入価格と、それから売渡し価格ですか、小売価格との……、それを一つ出してもらいたい。それは私具体的な例を言うと、昨年度の暮のボーナスに、まあ二人の兄妹があって、兄さんは鋼管に勤めていて、妹が三菱石油に勤めておった。ところが妹の方な二十一才で、兄貴は二十八とか、三十くらいに近い。それでボーナスをもらうときには、妹の方が倍くらいもらって、それで家の中でもう兄貴の権威かたなしという例を実際見ている。ですから私はいかにこの石油輸入している精製業者がもうかっているかという具体的な例をはっきり身近に感じているわけです。ですから関税も、この程度で、こんな些少なものではわれわれは不満なんだがね。こんな十六億ばかりの関税で、まるで取ったか、取らぬかわからないくらいに私は考えておりますが、それをすぐ需要者に影響を及ぼしていくというなんてことになったら、私は容赦できないという気持を今持っておるのです、具体的に。ですからわれわれは、先ほどふろ屋の例が出たけれども、ふろ屋に売り渡すような油を上げるということになったら、私は行政官庁、あなた方をここに一週間でも十日間でも置いて具体的な実効が上るまでは私は了承できないというくらいに思っておるわけです。だから、これは現に実需者の零細な者にしわ寄せが行くということが、今までの業者の通弊なんですね。もうけ過ぎておるというくらいに私は考えておるわけです。ただし、ほかのものとの均衡上、これをまた下げるというと、ほかの方がまた工合が悪くなるというような点からいろいろと考えられておるのだが、砂糖にしても、苦しまぎれに安定帯価格を作って、吸い上げて、これを財政投融資に回そうというのですから、この石油もだから大いに一応安定帯価格を作って、不当利潤といいますか、そういう利潤を財政投融資に回すというような方法も一考されなければならぬというくらいに私は考えておる。ですから、そういう点で資料を提出してもらって、具体的に政府自体が弱小企業等にしわ寄せしないということを一つ明確に具体的の中から言ってもらえば、私は不満足ながらもこの政府の法案を、珍しいが社会党は通してもいいというくらいに今思っておるのでありまして、そういう点で具体的に一つ資料を出してもらいたいと思う。
  64. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) お尋ねのような資料は衆議院の大蔵委員会で御要求がございまして、衆議院の大蔵委員会には御提出いたしました。おそらく当委員会におきましてもお手元に近く渡るのではないかと思います。ごらんの上もし不足の品がございましたならば、いつ何どきでも差し上げたいと思います。
  65. 青木一男

    委員長青木一男君) 速記をとめて。    午後零時三十四分速記中止    ――――・――――    午後零時五十一分速記開始
  66. 青木一男

    委員長青木一男君) 速記を始めて下さい。  暫時休憩いたします。    午後零時五十二分休憩    ――――・――――    午後二時五十四分開会
  67. 青木一男

    委員長青木一男君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  関税定率法関係法律案についての質疑を継続いたします。
  68. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 最近輸入せられましたマイロは、その用途は飼料として輸入せられたところのものが相当多数あれはあるのでありますが、これが輸入せられた後には飼料以外に転用せられたというようなうわさを聞くのでありますが、そういうふうなことがあるかどうか、まずお尋ねいたしたいと思います。
  69. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) マイロ、すなわちアメリカ産のトウモロコシでございますが、これにつきましては目下自動承認制の品目になっておりまして、しかもライセンスの面におきまして飼料用に限ると、あるいは保税工場において配合飼料を製造するというような条件は別についておりませんので、もしかりにそれが正当に関税を支払って輸入せられますれば、これは何ら差しつかえないわけでございます。  ただいま御指摘ありましたように、飼料用として輸入を許可せられたものが他に転用されたというようなことにつきましては、私まだ情報を耳にいたしておらない次第でございます。
  70. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 御承知のようにわが国の畜産奨励上飼料が重大なるものであるということで、政府においては飼料の需給安定審議会というものを設けまして、毎年々々必要な飼料の輸入計画を立てたわけであります。今御答弁によってみまするというと、飼料で輸入したかどうか、不明のようなことでありますが、もし飼料用のものとして政府計画した需給計画に基いて入れたところのマイロが、飼料以外に転用されるということであったならば、これは重大問題だと思うのでありますから、この点十分に注意してもらいたいと思うのでありますが、なお今後、私の聞いたところによりまするというと、約三十数万トンのマイロが輸入せられようとしておるのであります。これも聞くところによれば、飼料として輸入し、それが他の用途に供せられるような疑いがあるのであります。この点についても政府の方でどういうふうにお考えであるか、またどういうふうな想像をしておられるのであるか、伺いたいと思います。
  71. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 先ほど御答弁申しまし先ように、もしそれが輸入割当の面におきまして、すなわち輸入承認証におきまして配合飼料の製造に使用するものとするというような条件がついておりますと、かりに税関に輸入申告いたしまして、関税を支払うということを申し出ましても、これは輸入貿易管理令に反するわけでございますから、もしそういうふうな条件がついておりますれば、税関としてはこれを通関することができないわけでございます。私のただいままで承知しておるところによれば、自動承認制の品目であり、かつ配合飼料の製造に使用するものというような条件がついてないようでございますので、この点につきましては、もしかりに正当に関税を支払って入れるのでございますれば、これは別に差しつかえないかと存じます。  ただ問題は、トウモロコシの中で関税を支払わないでこれを輸入することができる場合が二つございます。一つの方法は、保税工場にトウモロコシを入れまして、保税工場において配合飼料を製造いたします。すなわち食糧とか発酵用に使えないように配合飼料にいたしまして、それを保税工場から引き取る場合におきましては、保税工場より引き取るときの貨物の性質によって課税されますが、その場合には飼料として免税の取扱いになります。それからもう一つは関税定率法の十三条に、配合飼料で、政令で定むるものの製造に使用するところのトウモロコシは、これを輸入の許可を得てから一年以内に配合飼料の製造に使用いたしますれば免税ということに相なっております。従いまして、もしこの条件に従って配合飼料の製造に使用されておりますならば、これは免税して差しつかえないわけでございますが、かりに配合飼料の製造に使用するといって免税を受けましたものが、税関長の承認を受けた工場において、あるいは税関官吏の目をかすめまして、これを他に転用するということも、私どもといたしましては、万々ないとは存ずるのでありますけれども、最近の密輸の状況を見ますると、非常に知能的になっておりますので、あるいは場合によりましてはかかることが行われる危険もございますので、こういう点につきましてはさっそく税関の実情を調査いたしまして、いやしくもそのような事実がありましたらば、断固としてこれを取り締るつもりでございます。
  72. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 私の調査したところによりますというと、本年になって輸入しようというマイロの数量が約四万トンぐらいです。これをなまカンショに換算してみますというと、なまカンショで約三千万貫ぐらいになっておるのであります。なまカンショに換算して三千万貫ぐらいというと、本年産のなまカンショが処分に因ような窮状に追い込まれはしないかという心配をするのであります。そういうふうな点からすれば、もしもマイロが輸入されて、アルコール原料というようものに使われるというと、農家経済に対して重大影響を及ぼすことになるのではないか。そこで農産物価格安定法の審議の際においては、衆議院ではこういうふうな農産物価格安定法に定めた品物と競合するようなものは、できるだけ輸入を制限するようにして、農産物の価格安定をし、かつ農家経済の安定をはからなくてはいけないと、こういうふうな付帯決議がなされておるのであります。  そこで飼料として輸入せられておらないならば、まずそれはそれといたしまして、日本の農家に対する重大影響を及ぼすマイロというふうなものをたくさん輸入するということは、日本の現在の食糧問題の解決策としても非常に重大な問題であると思うのでありますから、これに対する政府のお考えを承わりたいと思います。
  73. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) ただいまの御質問の点は、通産省の所管にわたることが多いのでございますが、私の所管する範囲内におきましてお答え申し上げます。  トウモロコシにつきましては、昭和二十九年中におきまして約十九万五千トン輸入されております。このうち飼料の製造に使用されないで、食糧、発酵用等に使用されましたものが約四万二千トンあります。先ほどのお話しの、目下計画中のマイロ四万トンというのと、たまたま昨年中のこの数字に符節を合せるがごとく感ずるのでございますが、関税の面におきましては、実はトウモロコシにおきまして、昭和二十八年末まで免税措置を講じておったわけでございますが、御説の通りに、このトウモロコシの輸入というものが日本のカンショ、その他澱粉類と競合するという事態もございますので、その当時の経済情勢等を勘案いたしまして、昭和二十八年一ぱいにおきましてトウモロコシの免税は打ち切りまして、ただ配合飼料の製造に使用する場合にのみ保税工場、または税関長の承認を受けた工場において承認することによって免税ということになっておるのでございます。お説の通りに、このトウモロコシが多量に輸入されますことは、やはり国内生産のカンショ、その他澱粉類の生産とも重大密接な関係がございますので、税関の面におきましても、常々通産省側にいろいろ希望は申し出ておるのでありますが、御質問の点につきましては、さらにとくと通産当局に税関より申し入れいたしたいと存ずるのでございます。
  74. 小林政夫

    小林政夫君 ガット関係について質問いたします。  最近新聞の報ずるところによると、アメリカは今度できる貿易協力機関への加盟を一年延ばしたとかいうことでありますが、それはどういう含みなんですか。
  75. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) ただいまお話しの通りに、実は二、三日前の時事通信の外電によりまして、私もその点承知したのでありますが、よくアメリカの事情は存じないのでありますけれども、御承知のごとく、互恵通商協定法、すなわち大統領が一定の範囲内において各国関税の交渉をいたしまして関税を引き下げている、こういう方法につきましては、アメリカの国内に非常に反対があるわけでございます。先般の互恵通商協定法の延長につきましても、重大な修正が施されることによりまして、辛うじて通過いたしましたような次第でございます。あるいはそのような国内情勢考えまして、会期の少い今回のアメリカの国会にはこれを上程しない、こういう趣旨ではなかろうかと私は受け取ったのでございます。
  76. 小林政夫

    小林政夫君 そうすると貿易協力機関への加盟国にはなる意思は十分にあると、あなたは向うへ行かれて折衝して、それを間違いないという御観測でそういう御説明だろうと思うのですが、従来からアメリカの上院というのは、かなりそういう関税通関手続、あるいは関税関係についても、国際協調の線からいうと非常にアメリカ本位にものを考え傾向が強いようでございます。この前の委員会でも申し上げたように、一九二三年の税関手続の簡素化に関するジュネーヴにおいて調印された協定にも加盟しておらない。こういう一連の精神からいうとなかなか、この前も私はあなたに大丈夫かと念を押したけれども、あなたは大丈夫だと言っておったが、どうもそのはっきりこれに加盟するかどうかということは、私の印象としては危なかしいという気がしてしようがないのですが、大丈夫ですか。
  77. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) そういうようなアメリカの国内情勢につきましては、アメリカの行政府は非常に困惑しているような次第でありまして、関税交渉の機会におきましても、そういうような点をよくわれわれの方へ苦衷を訴えております。しかし今回の貿易協力機関に関する協定につきましては、実はアメリカが相当指導いたしまして、指導的地位に立ちまして作成いたしましたような次第であります。アメリカの行政府としては、もちろん現在のガットに加入しておるごとく、新らしい貿易協力機関にもぜひ加盟する、こういう意思であるかと存ずるのであります。ただ最近の国会の状況を考え、この貿易協力機関の協定は、必ずしも今直ちに国会にかける必要はございません。若干時期をずらして考えておられるのですが、この貿易協力機関への加入についてアメリカがもし反対というようなことになりますれば、これはガットとしても非常に大きな問題になるので、まさかそういうようなことになるまいかと私どもは思っておる次第であります。
  78. 小林政夫

    小林政夫君 アメリカは非常にわがままだとわれわれは思っておるのは、今のジュネーヴにおいて調印された一九二三年の税関の手続の簡素化に関する協定にしても、平和条約ではちゃんと日本に批准するという義務は負わしておいて、自分は加盟しない、そしてまあ歴史的にいえば、国際連盟を自分で作っておいていざとなったら加盟しない、逃げてしまう。行政府考えと上院の考えというものはかなり食い違っておる事例が多いし、特に税関、通関関係のことについては割合今の行政府国会、特に上院との考え方はだいぶ違うように思うのですが、しかもこの規定によると、国際協力機関へ加盟しないものはガットから除くこともできるような規定もある。しかし実際問題としてアメリカを除いたら意味がないじゃないか、こういうことになって除かれもしない。実は大国の権利というものをかなり傍若無人に使用しているきらいがあるわけでありますが、まあわれわれもはなはだ遺憾で、あなたに何ぼ言ってみてもしようがないのですが、そういう意味において相当警戒を要する国だと思う。  それからこのことはどういう意味ですか。国際協力機関に関する協定の第三条、Dの後段の方ですが、「構成国が引き受けることに特に同意しなかった新たな義務をその構成国に課する効果を有しない。」……。
  79. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) ちょっと私ただいま実は貿易協力機関に関する協定につきましては、今国会に御審議願っておりませんので、本日はこの条文を持って参りませんでしたので、直ちにお答えいたしかねますが、第三条でございますか。
  80. 小林政夫

    小林政夫君 第三条です。第三条のD。
  81. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 実はこれにつきまして、あるいは私、考え方が間違っておるかもしれませんが、国際貿易協力機関はいわゆる新ガットの執行機関でありまして、ここの意味は、執行機関であるところの国際貿易協力機関が機関において一般協定の規定を改正する権限を有しない。すなわち機関を構成しておるところの各国の三分の二以上、あるいは全会一致、その各締約国の総意によってきめるという意味でありまして、機関としては、その執行機関としては独自にそれを変える権限は持っていない、こういう意味ではないかと存ずるのであります。ちょっと確かなところただいま御答弁いたしかねる次第であります。
  82. 小林政夫

    小林政夫君 このことだけに集中した資料を持ってきてもらって、また審議の機会を持ちますか。それとも午前中のようなことで……。
  83. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) ただちょっと御了承願いたいことは、今回国会において御審議願っておりますことは、現在の関税及び貿易に関する一般協定への日本国の加入条件に関する議定書の件でありまして、この貿易協力機関につきましては、この発効後まだ相当後のことかと存ずるし、その際にあらためて国会に御審議願いたいと存じますが、実はただいま御答弁するだけの用意がないわけでありますが、なお調べまして御質問の点につきましては次の機会においてお答え申し上げたいと思います。
  84. 小林政夫

    小林政夫君 しかしせんだってもあなたがおっしゃったように、旧ガットへ加入しておれば、簡単な手続で新ガットに移行することができるし、旧ガットへの加入ということは当然新ガットへの加入を前提としておるわけで、そういう意味においては旧ガットへ加入の是非についてわれわれが本国会審議する際には、当然このような新ガットの重要な改正点についてのどうなるかということは知っておらないと……。それはもう一ぺん新ガットへの加入のときには批准手続を経るということでしょうけれども、もう一ぺん批准手続を経るのですか。
  85. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) これは法的に申しますと、非常にややこしいのでございますが、実は今度ガットに加入すると申しましても、関税及び貿易に関する一般協定というものは、そのものはまだ正式に実は発効していない。一九四七年の十年に関税及び貿易に関する一般協定という規定ができました。その第二部の点につきましては、なお直ちに各国がそれを実施できるかどうかという見込みも立ちませんでしたので、さしあたり暫定適用に関する議定書というので、暫定的に関税及び貿易に関する協定を実施しよう。しかも第二部については現行の国内法令の範囲内において実施する。こういう格好になっておりまして、今回日本がガットへの加入と申しましても、正式に申しますれば、関税及び貿易に関する一般協定への暫定適用に加入するということになるわけであります。  なお、先般の総合におきましてガットの規定がいろいろ改正されることになったわけでありますが、今度の改正協定は、三つの議定書、一つの協定というふうになっております。また、この貿易協力機関に関する協定を除きました他の三つの協定につきましては、これはまだ実は発効していないところの関税及び貿易に関する一般協定の改正の条文でございます。これにつきましては、また政府限りにおいてこれを受諾できるという考え方をいたしております。ただ貿易協力機関に関する協定につきましては、この加入によりまして、新らしく新たな義務を負い、権利を有するということになりますので、貿易協力機関に関する協定につきましては、この加入について国会の御承認を経なければならんということになっております。しこうして三つの議定書につきましては、一応政府限りにおいてこれを受諾いたしまして、それから最後にガットとして、予想しておるところでありますが、関税及び貿易に関する一般協定の正式発効がその後において予想されております。その正式発効の際には、これを受諾するにはやはり国会の御承認を求める必要がある、こんな格好になっておりまして、非常にややこしいのでございます。  お手元に参考資料として出してありますところの三つの議定書につきましては、これは政府限りにおいて受諾いたします。貿易協力機関に関する協定につきましては、国会の御承認を必要とする次第でありますが、最後に関税及び貿易に関する一般協定が正式に発効する。これは規定が、実は十六条にあるのでありますが、この十六条によりまして正式発効する。その際の受諾は国会の承認を要する、こういう関係になっております。  実は今年の秋、または来年の春と申しましたが、相当おくれる見込みであります。と申しますのは、貿易協力機関に関する協定は、ガット加盟国のうちの、貿易総額八五%以上を占める国がこれを受諾しないと発効しない、こういうことになっております。まだ発効の時期も実は未定な次第であります。そのような複雑な関係になっておりますので、簡単に申し上げますと、非常にややこしくて、かえってわかりにくいかと思いますが、大体の法律関係を申し上げますと……。
  86. 小林政夫

    小林政夫君 三つの議定書というのは何と何ですか、名前を言って下さい。
  87. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 申し上げますと、お手元にあるかと思うのですが、関税及び貿易に関する一般協定の前文並びに第二部及び第三部を改正する議定書、関税及び貿易に関する一般協定の第一部並びに第二十九条及び第三十条を改正する議定書、それからもう一つが関税及び貿易に関する一般協定の機構上の改正に関する議定書、この三つが実は未発効の、法律的に申しますれば、まだ発効していないところの関税及び貿易に関する一般協定の規定上の改正、それから貿易協定に関する問題は別問題です。
  88. 小林政夫

    小林政夫君 それは調印するのですね。
  89. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) それは政府限りにおいて受諾いたしまして……。
  90. 小林政夫

    小林政夫君 受諾しておるの……。
  91. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) いや、まだ受諾いたしておりません。受諾の期間は、今年の一応十一月十五日までということになっております。政府限りにおいて受諾できることになっております。ただしこれが正式に発効する場合、すなわち現在の第二部の規定改正によりまして、第二部の規定、これを強行的に発動いたしますには、これは正式の発効でなければならぬわけであります。その際には日本としてこれを受諾するかどうかということにつきまして国会の御承認を得る、こういうことになっております。
  92. 小林政夫

    小林政夫君 その政府限りで調印するということですが、今の関税及び貿易に関する一般協定の機構上の改正に関する議定書、この中で、はっきりこれによっていわゆる貿易協力機関というものが一般協定の中に乗るわけですね。
  93. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) それともう一つ最後の貿易協力機関に関する協定、これが本体です。
  94. 小林政夫

    小林政夫君 だから、貿易協力機関に関する協定というのは、もちろん貿易協力機関に関する本体ですけれども、この協定を生む源泉というか、主文というか、親協定というのがこの関税及び貿易に関する一般協定の機構上の改正に関する議定書じゃないですか。
  95. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) むしろ親協定が貿易協力機関に関する規定なのでありまして、あとの機構上の改正に関する議定書というのは、現在のガットの規定はまだ正式には、ほんとうをいうと発効しておらない。その規定の中で締約国団とかあるいは会期間委員会というものを、今度の貿易協力機関の規定に合せまして訂正する、名前を改める、こういう内容でございます。
  96. 小林政夫

    小林政夫君 その発生的には、貿易協力機関というものを作ろうということになって、作る以上はあの旧ガットの規定の中でまだ発効はしていないけれども、いわゆる共同行動を律するのにまあ今までは締約国団書記局とかいうようなことであったのを、今度は協力機関の事務局というような機構で、共同行動の機構を整備するということになりますので、貿易協力機関に関する協定でも、発生的にはこっちが先に生まれてそうなったかもしれないけれども、一応できた形を見れば一般協定に基く執行機関ですね。だから親協定というものはやはり一般協定なんです。親協定というものがその執行機関なんだから、もとはいわゆるガットであります。だからそうするとそのガット協定の親を変える議定書というものは、今言われた関税及び貿易に関する一般協定の機構上の改正に関する議定書によって、ガットの主文に貿易協力機関というものが執行機関として頭を出すわけです。そうするとその貿易協力機関はどういうことをやるのかということかこの協定になるわけだから、この主文を政府限りで調印するという以上は、一体何をやるんだという、貿易協力機関について、あり方というものについてもう一ぺん今後研究いたしますということでは済まぬ。
  97. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) まことに御指摘の点ごもっともでございまして、ただ、今十分な資料を持って参りませんでしたことをおわび申し上げます。なおその他の点につきまして御質問がございますれば、私の現在知っておる限りにおいてお答えいたします。
  98. 小林政夫

    小林政夫君 私どももあまりよく研究していないのですけれども、まず第六条(a)の(i)の中で「経済の分野でもっとも重要な五構成国を含むものとする、」と、経済の重要な五構成国というのは、ここに貼付されている国際貿易における取分でやるのか、どういうことなんです。
  99. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) この点につきまして、どの国をもって五構成国、あるいはまた十七の構成国とするかということについては、実はまだきまっておらないわけです。その場合におきまして、わが国がこの十七の構成国の中に入るであろうということは、ガット総会における新ガットの規定審議の際に大体暗黙的に示されているようでありますが、この最も重要な五構成国というのはどの国かということは、これはガットでまだきめておりません。
  100. 小林政夫

    小林政夫君 これは地域的な事情等も考慮していろいろ構成国の性質の抽象的基準というものがあがっているようですが、なぜことさらに執行委員会は経済の分野で最も重要な五構成国を含むものとすると、こういう五構成国ということを入れなければならぬか、十七の構成国の選出についてはおおむねいろんな地域的事情、広範な地域を代表するものでなければならぬとか、あまり執行委員を選ぶ基準と、特に五構成国というものをクローズする必要等について、その五構成国の権限と一般執行委員の権限とはどうも違いはないようですが、そういう点はどういうことで特に五構成国というものをクローズ・アップしてここに書かなければならないのか。
  101. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 実を申しますと、改正ガットの審議は、昨年の秋からの総会において審議されておりまして、関税交渉はその総会の終了後実は行われたわけでございます。私は実は今回のガット規約の改正の方の総会には出席いたしませんで、その後行われました関税交渉に関する部門にもっぱら出席いたしましたので、この条文のできました由来につきましては、実は私まだ知識ございません。  ガットの規定を見ますと、往々にしてただただけではわからないような条文がずいぶんございます。これは過去の条文を見ましても、そのときの総会あるいは委員会における審議の内容に立ち入りませんと、なかなか実はわかりにくいのでありまして、あとでフォローいたしますにも非常に苦労いたすわけでございます。ただ、今御指摘の点につきましては、私はなはだ申しわけない次第でございますが、この点のいきさつを存じておりませんので、なお調べましてお答え申し上げます。
  102. 小林政夫

    小林政夫君 それは外務省のだれですか。
  103. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 外務省の経済局でございますが……。
  104. 小林政夫

    小林政夫君 行ったのは局長……。
  105. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) これはガットの昨年の総会、すなわち規約改正の際の総会におきまして、出席いたしましたのは大蔵省から私の方の課長が出ております。ただそれが中途で交替いたしましたので、その間のあとのフォローがあるいはできておらないかと思います。外務省におきましては経済局の事務官でございますか、ずっと終始フォローしたのは一人の事務官でございます。よく具体的に一つ調べまして、なおお答え申し上げます。
  106. 小林政夫

    小林政夫君 次回は外務省関係の人にも出席してもらって……。本日は僕はこれで質疑を終ります。
  107. 青木一男

    委員長青木一男君) 他に御質疑ございませんか。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十二分散会    ――――・――――