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1955-06-28 第22回国会 参議院 大蔵委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十八日(火曜日)    午前十一時十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     青木 一男君    理事            西川甚五郎君            山本 米治君            土田國太郎君            平林  剛君    委員            青柳 秀夫君            岡崎 真一君            木内 四郎君            藤野 繁雄君            宮澤 喜一君            小林 政夫君            前田 久吉君            菊川 孝夫君            野溝  勝君            天田 勝正君            井村 徳二君            小柳 牧衞君            中川 幸平君            木村禧八郎君   国務大臣    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    文 部 大 臣 松村 謙三君   政府委員    大蔵政務次官  藤枝 泉介君    大蔵大臣官房長 石田  正君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    大蔵省主計局法    規課長     村上孝太郎君    大蔵省主税局長 渡邊喜久造君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君    文部省調査局長 内藤誉三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣提出参議院送付) ○租税特別措置法等の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○補助金等臨時特例等に関する法律  の一部を改正する法律案(閣第五〇  号)(内閣提出衆議院送付) ○補助金等臨時特例等に関する法律  の一部を改正する法律案(閣第九一  号)(内閣提出衆議院送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案衆議院提出) ○登録税法の一部を改正する法律案  (衆議院提出) ○農業協同組合中央会が不動産に関す  る権利を取得する場合における登録  税の臨時特例に関する法律案(衆議  院提出)   —————————————
  2. 青木一男

    委員長青木一男君) これより委員会を開きます。  まず、所得税法の一部を改正する法律案閣法第一五号)  法人税法の一部を改正する法律案  租税特別措置法等の一部を改正する法律案  右三案を一括議題として質疑を行います。——御発言がないようでございますから、次に  補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案閣法第五〇号)  補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案閣法第九一号)  右二案を一括議題として質疑を行います。
  3. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 文部省関係ですが、今日の社会情勢からいうならば、公民館運動というものは非常に盛んにやらなくちゃいけないという段階に入っていると思うのであります。しかるに今度の改正法によってみまするというと、公民館に関する補助金が削減されておるように見受けられるのであります。それでその補助金が削減されるのは、公民館職員に対する補助金が減ぜられるのじゃないかと思っているのであります。社会教育法の第三十六条によってみますると、第一項の第一号には「公民館職員に要する経費」、第二号が「公民館における基本的事業に要する経費」、第三号……と、こうなっておりますが、社会教育公民館職員を減じても社会教育に支障がないとお考えであるかどうか、そういうのが第一点。  第二点は、この補助金がなくなったために、日本全国におけるところの公民館職員がどのくらい減員になったか、それが第二点。  第三点は、この補助金がなくなったために、政府負担金は少くなったけれども、地方公共団体負担金がどのくらい増したのであるか、またこれが地方財政にいかなる悪影響を及ぼしておるか、こういうふうな点についてお尋ねしたいと思います。
  4. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) ただいまの御質問でございますが、われわれも社会教育関係のことの重大性というものは認識いたしております。公民館職員に関しまするところの経費補助停止したということで、一体大いにやるべき社会教育施設というものの状態はどうかという御質問でございます。まず第一点の、この公民館職員に関する補助金停止という問題でございますが、これはまあわれわれが昨年この臨時特例法案を出しましたときにも御説明申し上げたのでありますが、こういう公民館というふうなものの施設は、地方の利害、あるいは地方文化意識というものとも非常に関係がありますし、従来やってきましたところから、公民館必要性というものはある程度地方の認識も得ているということで、むしろ地方に自主的な財源を与えるという意味から申しますというと、公民館職員はもともと地方公共団体職員でございます。従ってむしろ交付税の方にこの経費を算入いたしまして、地方公共団体自分の自主的な財源としてたくさん職員を持っているわけでございますが、その一部として使えるのがいいんじゃなかろうかということで、こちらの方で停止はいたしましたけれども、それとちょうど見合い財源というものを交付税の方に算入している、こういうことになっておりますので、補助金停止しっ放しということではございませんので、その点をまず御了解願いたいと思います。  それから第二に、公民館職員がどう減ったかということでございますが、私の方の調査では、公民館職員の数字につきましてははっきりした資料を持っておりません。しかし公民館の数そのものは、二十九年度この臨時特例法によりまして直接に文部省からのひもつき補助金のかわりに交付税として自主的な財源をみました結果、どうなっているかと申しますと、やはり公民館の数はその後もふえております。ちょっと申し上げますというと、二十七年度には二万九千三百九十五カ所となっておりますが、それが二十八年度には三万四千二百四十四カ所になっております。それがこの臨時特例法によりまして交付税財源を転換しましたあと公民館の数は三万六千百六十八カ所というふうに、約六%ばかり数がふえております。従って職員の数全体といたしましては、私はこの公民館職員につきましては減少しているのではなくて、むしろふえていると、こういうふうに考えているのであります。  それからこの結果、どの程度地方的な財政的圧迫を与えることになったかという点でございますが、これは先ほど申し上げましたようにそれと見合い財源交付税でみておりますので、直接的には圧迫ということにはならぬかと思います。ただ振替になりました財源につきましては、公民館関係といたしましては約五百万円程度のものが従来の補助金から交付税関係財源的に振替えられている、こういう結果になるかと思います。
  5. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次は、農林省関係漁船損害補償法関係でありますが、資料によって見ますると、漁船損害補償法関係では「漁船保険特別会計へ繰入」目で、細分、「普通保険勘定へ繰入」ということで減じておるのでありますが、私この方面のことはあまり詳しく存じませんからお尋ねするのでありますが、もしこの繰り入れが減ずるということだったらば、あと不足を生じ、さらに追加しなくてはできないというようなことになりはしないか、こういうふうに考えるのであります。それで昭和二十九年度でもこれを停止したということであれば、その結果あとで再保険普通保険に繰り入れなくちゃできないようになった金額と、削減されたところの金額の差はどういうふうになっているか、そういうふうなことをお尋ねしたいと思うのであります。
  6. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 漁船損害補償法関係臨時特例法につきまして、御存じだと思いますが、ちょっと中身の御説明を申し上げますと、この漁船につきましては、事故が起りましたときにその再建造と申しますか、事故が起りました船と大体代替し得るような生産手段を漁民に与えるというのがこの漁船損害補償法建前でございますが、従来はその漁船付保をいたします場合、その付保しました保険料負担の二分の一を国が負担すると、こういうふうになっておりまして、この臨時特例法によりまして提示せられましたものは、漁船損害補償法建前は、百トンまでの漁船について純保険料負担の二分の一を国が負担すると、こうなっておりましたものを、昨年の臨時特例法によりまして、大きな船につきましては、それぞれ負担能力もあるんだから、従って二十トン未満までにしていただきたいというのが、この臨時特例法趣旨であったわけでございます。その後この臨時特例法審議に際しまして、参議院でございましたか、付帯決議をいただきまして、これを漁船損害補償法の命ずる百トン未満まで国が負担をすべきであるというような御趣旨であったわけでございまして、その御趣旨に従いまして、昨年の補正予算におきまして政令を改正いたしまして、二十トン未満とありましたものを事実上百トン未満まで、国がある程度、逓減はいたしますけれども、保険料負担をいたすということにいたしたわけでございます。そこで現在といたしましては、ほとんど漁船損害補償法建前と変っておらないのでございますが、ただ従業員三百人以上とか、あるいは保有船舶一千トンというような大きな漁業会社と申しますか、そういうもののみをある程度除きまして、あとは大体御趣旨のように百トン未満というようなところまで国が保険料負担するという、こういうことになっております。  そこで昨年の保険会計でございますが、再保険料不足を生じたという事実はないようでございます。従ってこれによりまして国庫の負担が減りましたことと、それから逆にあとで再保険料負担が、この特別会計保険料負担が足らなくて、また一般会計から繰り入れたというようなものとの比較は、現在のところちょっとできないのでございます。
  7. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 これも十分承知していないからお尋ねするのでありますが、外航船舶建造に対する融資利子補給というところで、これは利子補給をやっておったのを打ち切るというようなことになれば、それだけ日本開発銀行負担が増加するのではないかと思っているのでありますが、増加するかどうか、まずお尋ねしたい。
  8. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) この臨時特例法によりまして開発銀行利子補給を受けない結果どういうことになるかと申しますと、開発銀行船主に対してその利子分を全部徴収する、ただ私今正確には記憶いたしておらないのでありますが、その徴収の仕方にはある程度船会社がよくなった場合にというような猶余の規定がついておったかと思いますが、この点はよく記憶いたしておりませんけれども、この結果開発銀行が損するというのでなくして、開発銀行船主に対してきまっておりますところの利息を取り立てる、こういうことになるのであります。
  9. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 開発銀行はその金を取り立てるというようなことであるとしましたならば、最初からその金は、補助金があると思っておったのを出さないのでありますから、船会社の方もそれだけの余裕がないというようなことになれば、自然その金は、利息というものは滞納になって、日本開発銀行収支計算からいえば、未収入の債権というものが計上されて、だんだんだんだんと開発銀行経営不振に陥るというようなことになりはしないかと思うのであります。ただ利益があったらばあとで払うというようなことであれば、それでもいいというようなものの、日本開発銀行経営というものはおもしろくないところの結果を自然来たしてくるというようなことになると思うのでありますが、その点お考えをお聞かせ願いたい。
  10. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) ただいまお答え申し上げましたように、その徴収仕方いかんによっては、開発銀行といたしましてはある程度利ざやは薄くなるわけでありまして、その限度におきまして開発銀行収支計算というものは悪くなるわけであります。しかし開発銀行といたしましては、大きな金をこの外航船舶建造関係のみならず、ほかにも融資をいたしている。従ってこの関係だけが開発銀行全体の収支利ざやになるというふうには考えないのでございますが、この点はもう少しはっきり調べましてから御返答いたします。
  11. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 日本開発銀行の二十九年度の決算予定であるとか、あるいは三十年度の予定であるとか、あるいは二十八年度の決算であるとかいうようなものを比較してみまするというと、だんだんだんだんよくならなくちゃならないところのものが、逆に悪くなっているようなふうに見受けられるのであります。あるいはこういうふうなものがしわ寄せになっているというようなことだったならば、今後日本開発銀行経営方針についても変えていかなくちゃいけないかと考えるものですから、今のようなことをお尋ねしたような次第であります。  次に九十一号関係で、国立公園補助金停止するということなんです。外貨獲得の上からも、国民保健の上からも、この国立公園政府は奨励しつつあるということは、最近国立公園がだんだんだんだんと増加しつつあることによってもわかるのでありますが、そういうふうな際に、国立公園に関する補助を、災害復旧のときのみに限って補助金を出して、その他を打ち切るということは、政府方針が一方の方にには奨励し、一方の方においては補助金を打ち切って奨励しないということであれば、口の先で言うことと実行とは相反するような結果になって、国立公園の将来の発展のため、また日本外貨獲得の点からも、国民保健の上からも悪影響を及ぼすのじゃなかろうかと、こう考えるのでありますが、これに関する御意見を承わりたいと思います。
  12. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 日本外貨収支の面から、観光事業というものが非常に重要であるというお言葉でございますが、われわれも同感でございます。そういう意味から国立公園に対する重点というものを置かねばならぬのに、なぜ補助金を削ったかという御趣旨であろうかと思うのでありますが、国立公園に関しますところのいろいろな観光施設の整備というものにつきましては、いろいろやり方がございまして、まず一つは、国が直轄事業といたしましていろいろな施設を作ります方法、それからこの今度提案いたしました法律によりまして停止いたしますことになるわけでございますが、国が地方公共団体等補助金を出してやらせる場合、それから地方公共団体が独自で単独でやる場合、それからさらに特許事業と申しておりますが、地方公共団体以外のものが国立公園施設を完備する場合、いろいろあるわけでございます。それらのものを総計しますと約八億ないし十億の金が毎年国立公園事業に投ぜられるということになっております。今回なぜこの三千六百万円を削ったかということでございますが、実は国は補助金特例法によりまして三千六百万円を停止いたしまするけれども、大体そのほぼ同額を国の直轄事業に移しまして、従来約四百万円程度直轄事業をやっておったのでありますが、今年度からはその国の直轄事業を約三千四百万円程度に増加いたしまして、従来地方公共団体補助をいたしておりましたとほぼ同額のものを国は直轄事業としてやっていこう、こういうふうに考えております。  なぜこういうふうに地方公共団体に対する補助を切りかえたかという点でございますが、これは補助金整理という大きな予算編成の眼目の一つといたしまして、地方公共団体に対するひもつき補助金というふうなものをできるだけ少くいたしまして、地方公共団体に対する財政圧迫というふうなものを、現在の地方財政の現状からしましてなるだけ少くしたいという建前から、その三千六百万円を削ったわけでございますが、他面観光事業と申しますか、日本の将来の外貨収支というものも考えまして、それとほば同額のものを国の直轄事業の方に切りかえてこれを行いたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  13. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この補助金の問題について、衆議院では一番問題になっておったのは、一応学校の新たに入学する児童に対して教科書をまあ給与するというか与えるということになっておったやつが、これを今年度はやめるということになるわけでありますが、この点はもう全然これはやる見込みがないものか、それとも来年度からやると、こういうのであるか、これを一つ伺っておきたい。
  14. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 非常に大きな問題でございまして、私からお答え申し上げるのが適当かどうか存じませんが、御承知のように衆議院特別委員会で問題になりましたときに、大蔵政務次官から御答弁になりましたところのことをお伝え申すわけでございますが、その際のお答えといたしましては、いろいろ国会の御意思におきましても、この義務教育制度というものの重大性という面から、ぜひ新入学生に対する算数及び国語の教科書無償給与というものを来年からやってもらいたいという御意思も承わりましたし、またその際、文教政策責任者であられる文部大臣からも、その点につきまして、現在の制度がそのままでよいかどうか、目下検討中であるが、加えるべき改善策は加えて、ぜひ来年からやりたいと、こういうふうな御趣旨でございました。そういうふうな御趣旨を体しまして大蔵政務次官は善処いたしますということを申し上げたのでございますが、その御答弁が私といたしましてもお答えし得る限度ではないかと思っております。
  15. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると来年からというと、来年の四月一日はまあ大体入学期となるのですが、これは、来年は三月三十一日までで打ち切るということになっておりますと、来年からやろうとする場合にはこれはまた特例法でも出すのか、それを技術的にできますか。四月一日から実施するということになっておった場合に、予算の通るのはまあ四月一日ごろ成立すると見られるのですがね、三十一年度の予算は。それからその教科書をこれから買って貸与するといっても、五月、六月ごろになってからでないと算数も何も子供には渡らぬということになって、来年からは実際にはできないということになるのですが、その点はどうなんですか。かりにやるということになった場合。
  16. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) かりにやるとなりました場合にどうかという御質問でございますが、仮定の問題でございますが、法律的に申しますと、あの無償給与に関する法律と申しますのは、その第二条で、新入学生教科書無償で給与すると書いてございまして、そうしてその法律の第五条におきまして、無償で給与するために国は出版会社契約をいたしまして、出版会社が、学校管理者と申しますか、当該の小学校に対しまして、その国から対価を払ってもらう教科書無償で交付して、それを管理者児童に給与する、こういう格好になっております。従って三月末にこの法律が終るということになりますというと、国といたしましては、その時限法の効果が消滅しましたあとで、形式的には出版会社契約をいたしまして、そうして出版会社に代金を支払う。しこうして出版会社が、学校管理者に対して教科書を交付する、支給するということになるであろうと思いますが、法律的に申しますと、四月一日以降においてそういう建前になるわけでございますが、もしやるとするならば、私はそれでやれるだろうと存じます。
  17. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それはやっぱり債務負担行為支出負担行為とか、財政法上のあの措置をしておかなくてもやれますか。
  18. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) それはこの法律臨時特例法が失効いたしますというと、先ほども申し上げましたように、無償給与法律の方が生きて参るわけでございまして、無償給与法律の第六条によって、そのとき直ちに予算がなくてもそういう債務負担行為はできる、こういうふうに解釈いたしております。
  19. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今の課長は、そういう問題になってくると、あまり政治的な問題であって、ここで自分答弁するのはどうかと思うが、政務次官の受け売りだと、こういうようなお話でありまして、これのままで終るというのはどうかと思いますので、これはやはり関係——あと大蔵大臣出席されるそうでありますが、文部大臣がこの問題につきましては、衆議院などにおきましてもこの補助金等特別委員会におきまして、一番その問題やかましく言って、文部大臣があるいは謝罪をするとか何とか、——参議院ではそんなことをする必要はないと思いますが、一ぺん文部省側意向を私は聞いておきたい。今まで聞いておりますと、このままに三月三十一日に失効になれば、技術的にはできないことはない、こう言っておられるのですが、そこで文部省側はどういう意向でおるか。これはもうわからぬならわからぬで、来年もやることのないものならないでやむを得ないと思いますが、一応意向をたしかめた上で、この法律はそういうものだ、来年三月三十一日までであって、四月一日以降については考慮をされるものであると、こういう了解のもとにこれに賛成なり反対なり意思表示をするか、それともこれは一時、三月三十一日ということになっておるけれども、その後については何ら方針もまだ立っておらないのだという了解のもとにこれは賛成するか反対をするかという愚直をきめたいと思いますので、そういう処置を一つお取り計らい願います。
  20. 青木一男

    委員長青木一男君) 菊川委員に申し上げますが、文部大臣出席を要求いたします。
  21. 平林剛

    平林剛君 簡単なことを一つだけお尋ねしておきます。  補助金等臨時特例法等に関する法律の一部を改正する法律案というの一は、閣法九一号と閣法五〇号の二つによって審議が行われておりますが、これを一つにできなかったのでありますか。なぜこれは二つに区分をしなければならなかったか、特別の理由があったらお答え願いたいと思います。
  22. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) もっともな御質問でございますが、御承知のように、第五〇号の方の改正法律案と申しますのは、期限を延長する法律案でございます。従ってこの法律案はいわば六月末に失効いたしますところの臨時特例法そのものを七月一日以降来年の三月三十一日まで延期していただきたい、こういう時限法の延長をお願いする法律案でございまして、これはいわば時間的に限られているわけでございます。そこでそうしたいわば実体法を引き延ばすというもの、しかもこれは昨年度の予算編成の際の補助金整理方針から引き続いてやっておりますところのものでございます。  九一号の方は、これは昭和二十九年度から引き続きやっております臨時特例法の上に、さらに昭和三十年度の予算編成方針といたしまして、さらに追加すべき補助金整理というものを企図しているところの法律案でございまして、そこに実体的な差がございますので、その点からいわば二つ法律案に分けて提出したわけでございます。
  23. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 補助金につきましては会計検査院等批難事項等も相当多いし、いろいろの経済雑誌その他からも、補助金の使途については非難をされている、非難の対象になっているわけでありますが、なかんずく、まあ農林省関係補助金については従来からとかくの批判があるわけです。ところがこれは農民に対するものだ、こういうものですから、一番大事な今後育成していかなければならぬ農村の問題であるので、ややもすると国会における論議が農村補助金を削っては大へんだというので皆割合に言わない。それをかさに着て農林省補助金をとっている。ところが実際に下にいってみますと、届くまでには相当むだづかいをされて、また下にいったときにはごくわずかであって、たとえば稲の害虫を駆除するのに補助金を与えるのは当然だ、ところが下にいったときには石油一合くらいの補助金になってしまって、もらってももらわなくても意味をなさないというような補助金もあるのでありますが、それらについてはもっと別な角度で一つにまとめてしまって、もう農村対策補助費というので農村へまとめてしまって渡す。あまり数が多過ぎて何の補助金をもらったかわからないので……。農村におきましても、補助金をもらったが、十円ずつ補助がきたというので、今の場合十円玉一つ国から補助がきたんでは何もならない。なるほどたくさんきますので、国が一番最初に出すときには相当なものだが、これらについても再検討する。そうしてほんとうに有効に補助金が行き渡るというようにされることが必要だと思うのですが、それはあまり手を加えられておらないようでありますが、なぜ手を加えておらないのか、河野農林大臣がなかなかがむしゃらなので、さすがの大蔵省もこれには歯が立たないのか、これを課長からちょっと説明願いたい。
  24. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) ただいまお話しのごとく、会計検査院の批難事項といたしまして、補助金の中には一戸当り何円というふうな非常に零細な補助金もあるようでございます。そうしてそうした零細な補助金が現在の農業政策という上からもあまり実際の効果を与えずして、しかも年々歳々交付されているということもあるようでございます。今度の補助金整理昭和三十年度予算におきますところの補助金整理という際にも、そうした零細補助金整理ということは一つの眼目になっております。  そこでその関係でいろいろ財政当局といたしましても、理想的なというところまではいかないにしても、補助金整理案というものを作ったわけでございますが、結局国会に提案されたところは、あまり大したものではないじゃないかというおしかりだろうと思うのであります。まあ補助金というものはいろいろの利害関係もからんでおりますし、補助金を打ち切りましたあとのいろいろな問題ということもございまして、一気に抜本塞源的な措置を講じるのはなかなかむずかしいものでございまして、今度の昭和三十年度における補助金整理というものも、そういう意味から参りますというと、まだ非常に十分でないというおしかりは受けるかと思います。ただ、この臨時特例法として提案になりましたところのものは、昭和三十年度新しく加わりますものとしてはわずかに国立公園補助金だけでございますけれども、こうした法律補助のみならず、一般に予算補助といわれておりますところの、予算だけで補助をいたしておりますところの補助金につきましても、約十三億程度整理をいたしているわけであります。その中に今御指摘の一戸当り何円という、会計検査院の批難事項に入っているものかどうか、私今のところ確かな資料を持っておりませんけれども、今度の昭和三十年度の予算編成方針一つといたしまして、そうした少額補助金というものの整理にもとにかく努めることは努めたんだということを御説明いたしたいと思うのであります。
  25. 青木一男

    委員長青木一男君) 菊川君に申し上げます。文部大臣が午後一時過ぎ、多分大蔵大臣と同じになると思いますが、そのとき出席されると思いますから、そのとき質問をしていただきたいと思います。  それからこの際、お諮りいたします。前に一応質疑が終了しております衆議院の提案にかかる租税特別措置法の一部を改正する法律案登録税法の一部を改正する法律案農業協同組合中央会が不動産に関する権利を取得する場合における登録税の臨時特例に関する法律案、この三案の採決をいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   —————————————
  26. 青木一男

    委員長青木一男君) それではあらためて租税特別措置法の一部を改正する法律案(衆第二号)を議題として質疑を行います。——別に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。(「討論なし」と呼ぶ者あり)別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。租税特別措置法の一部を改正する法律案(衆第一一号)を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  29. 青木一男

    委員長青木一男君) 全会一致であります。よって本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条により、本委員会における質疑、討論、表決の要旨を報告することとしてあらかじめ御承認願うこととし、本院規則第七十二条により、議院に提出すべき報告書の作成等につきましては、慣例により委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二条により、委員会の報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     山本 米治  土田國太郎     平林  剛  青柳 秀夫     木内 四郎  岡崎 真一     藤野 繁雄  宮澤 喜一     菊川 孝夫  天田 勝正     井村 徳二  小柳 牧衞     中川 幸平   —————————————
  31. 青木一男

    委員長青木一男君) 次に登録税法の一部を改正する法律案を議題として質疑を行います。——別に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。登録税法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  34. 青木一男

    委員長青木一男君) 全会一致であります。よって本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条により、本委員会における質疑、討論、表決の要旨を報告することとして、あらかじめ御承認願うこととし、本院規則第七十二条により議院に提出すべき報告書の作成等につきましては、慣例により、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二条により、委員会の報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     山本 米治  土田國太郎     平林  剛  青柳 秀夫     大内 四郎  岡崎 真一     藤野 繁雄  宮澤 喜一     菊川 孝夫  天田 勝正     井村 徳二  小柳 牧衞     中川 幸平   —————————————
  36. 青木一男

    委員長青木一男君) 次に、農業協同組合中央会が不動産に関する権利を取得する場合における登録税の臨時特例に関する法律案を議題として質疑を行います。——別に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。農業協同組合中央会が不動産に関する権利を取得する場合における登録税の臨時特例に関する法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  39. 青木一男

    委員長青木一男君) 全会一致であります。よって本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条により、本委員会における質疑、討論、表決の要旨を報告することとしてあらかじめ御承認願うこととし、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成等につきましては、慣例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二条による委員会の報告書には多数意見者の署名を付することとなっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名願います。   多数意見者署名     山本 米治  土田國太郎     平林  剛  青柳 秀夫     大内 四郎  岡崎 真一     藤野 繁雄  宮澤 喜一     菊川 孝夫  天田 勝正     井村 徳二  小柳 牧衞     中川 幸平   —————————————
  41. 青木一男

    委員長青木一男君) それではなお先ほどの補助金に関する法案の質疑を継続いたします。速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  42. 青木一男

    委員長青木一男君) 速記を始めて下さい。  暫時休憩いたしまして、午後一時より再開いたします。    午前十一時五十七分休憩    ————————    午後二時三十分開会
  43. 青木一男

    委員長青木一男君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案を議題として質疑を行います。まず文部大臣に対する質疑を行います。
  44. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案のうちで、衆議院特別委員会におきましても、一番論議の中心になりましたのは、あらたに入学する児童に対する教科用図書の給与に関する法律、これを来年の三月三十一日まで適用しない、こういうことでありますが、これに対しまして、まあかねがね安藤さんが文部大臣をおやりになったときから引き続いて、今度は入学児童に対しては無償で、国語及び算数の教科用の図書を給与するということは、一つの公約のようになっておったと一般には受け取っておるわけであります。従いまして今回のまた一年延ばすということになりますというと、来年もおそらくはこの給与ということはできないようなことになるのではないかと思うのですが、文部大臣はやはりもう来年も見込みのないものと、こういうふうに考えておられるか。そういうふうな了解のもとで、この法案を審議すべきかどうかということについて、文部大臣から所見を承わっておきたい、かように考えます。
  45. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) お答え申し上げますが、そういう特別法のあることでもございまするし、また数年間それをやったこともあるわけでございまして、できればことしも復活いたしたいものと私も心得ていたのでございまするが、すでに特別法に関するものはことしの一年中止するという原則も閣議できまっておったことでもございましたので、やむを得ず、ことしはあきらめたような次第でございます。そういうようなわけ柄でありますから、どうかして明年度においてはぜひその特別法を復活いたしてやりたいものだということで、ぜひこの次の予算の編成にはそれを実現いたしたいと思って努力をいたしておるわけでございます。大蔵省におきましても、今からこれはどうかわかりませんけれども、ことしのこともありまするし、十分御考慮を願いたいと、こういうふうに考えております。
  46. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 文部大臣として文教政策と申しますか、教育政策上、これに費す金は、国の予算全般から見ました場合におきましては、そう大した金額ではないと思います。従いましてこれだけくらいの金はほかの方で節約してでも、やはり教育に及ぼす影響等を考えた場合に、実施をした方がいい、こういうふうなお考えのもとに、来年からはぜひ復活したい。で、率直に申しまして、たとえば先ほども、補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案審議する質疑応答をいたしておりまする過程におきまして、たとえばせっかく補助金が、予算の面におきましては、国全体としては十億なり、十五億というふうにきまりましても、それは本当の一番下部、末端へ行ってから、たとえば農家に対する病虫害の補助、薬剤の補助というようなことになって、補助金として年に渡るようなときには、いろいろ途中でも必要経費を差し引いて、手に渡るようになったときに、一戸当りまあ十円か十五円くらいな補助金になる。これであったならば、せっかくもらった農家といたしましても、まあありがた迷惑だ。ないよりましだと言われまするけれども、あまり効果はない。しかし教科書でありましたならば、これは三十円か四十円でありましても、一冊の教科書としても、入学した当初において国からもらえるということになりますと、その与える影響というものは、同じ金額でもだいぶ違ってくるのじゃないか。で、補助金全般から考えましても、この程度だけは一つぜひとも復活させたいというふうにわれわれも考えるのであります。そこで文部大臣が、来年からは必ずこれは復活させるというようなお約束ができるのでありますか。その点をもう一ぺんお伺いしておきます。
  47. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) これは私といたしましては、ぜひこれを復活いたしたいと考えております。ただしこのままの形で復活いたしますか。またはこれはいろいろの方法があろうと考えますので、この法律によりますと、一年生には全部に出すわけでございますが、これを困窮者だけに出すといたしますれば、おおよそこの費用で、全学級のそういう困窮な人たちに渡すこともできるのでございます。しからばそれがいいか、一年生が初めて営業につくというので、お祝いとして全部に上げた方がいいかということは、これから少し十分検討をいたしてみたいと心得ておりますので、このままの形で出しますか、または法律の改正もお願いをして、そういうふうに特殊の人たちに分けることにいたしますか。これはただいま研究中でございまして、何ともどっちがいいかということは、ちょっと見定めがつかないのでございます。ただいまといたしましては、その法規による、特別法による制度の復活をいたしたいと思う次第でございまして、内容においては今そういう研究をいたしておるということを申し上げます。
  48. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それは一番効果的な方法を御研究になる——いずれがいいかということについても、われわれはまたいろいろ意見を持っておりますが、ここでは意見を述べる段階ではございませんから、十分検討されて、ぜひ実現願いたいと思うのです。従ってこの法案の議決にあたりましては、少くともこれは来年度からは復活されるものである、そう考えておるものであるという了解のもとに、われわれはそれを期待しながら、一つ議決に加わりたいと思っております。  次にこの補助金等臨時特例等に関する法律でございますけれども、文部省関係は一番たくさんやられている。第一条から第六条まで六つあるわけであります。厚生省は三つ。まあこれは条文の数によって云々するわけではないのですが、文部省関係のこの停止になっている関係が一番多いのであります。で、松村さんは、まあ副総理格として御入閣になっておるので、少くともこのうちの一つに対しましては、はずさせるくらいやられるというふうにわれわれは期待しておったのでありますけれども、文部省のやられているのが一番多いのであります。で、これはもうほかのものの、たとえば公立図書館問題にいたしましても、産業教育振興法にいたしましても、博物館にいたしましても、これらは一体皆どういうふうに文部大臣はお考えになっているか。一つ伺っておきたい。
  49. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) こちらの方におきまして、こういう特別法によるものが多うございましたので、それでこういうことになったのでございます。しかしながらまた他の方で埋め合せ等もできるものもあるかと思いますのでございますが、全般的に申しますと、特別法ののは全部中止せざるを得ないということを御了承をお願いいたしたいと思います。
  50. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 まあたとえば第二条の公立公民館、それから第三条の公立の図書館、これらは公立で建てさせようとすれば、どうしてもやっぱり国である程度補助金を出さなければなかなか建設ができないのじゃないか、こう思うのであります。従いましてこれらの補助につきましては、でき得る限りこれは復活するようにせられなければ、今までに建ったところと、これから何とか建てようと思って計画しておるところとが非常にちぐはぐになる。これも期限がありまして、一年という期限になっておるのだから、国民に、一般に向っては一年間だけはとにかく国の財政上許せないので停止をするのだ、来年になったら一応復活をするのだという含みがあって、一応時限法になっておるのだろう。それから、永久に停止ならば、五年も十年も期限をつけて停止というなら、あるいはこの法を廃止ということなら、法律改正ということなら、これは受ける方ももう当分補助金もなくなったのだから、新たな計画で一つ考えなければならぬということになるのでありますが、これらは時限法時限法ということで、また来年になって一年延ばすということになったら、羊頭狗肉ということになると思うのであります。これらの点については、文部大臣はいかに考えておられるか。時限法である限りは、あくまで時限的に処理をしていく、こういうふうに文部大臣はお考えになっておられるかどうか、一つ伺っておきたい。
  51. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) お話しの通りに考えておるのでございますが、なお、それらの事情につきまして、当時会計課長をやっておりました内藤調査局長がここに来ておりますから、ちょっと説明させておきたいと思います。
  52. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 社会教育関係のうち、ただいまお尋ねの公民館、図書館、博物館、これは従来運営費を補助する建前でございました。そこでこの関係は建て物の方の経費は公立文教施設に入っております。そこで相当建て物が竣工したのにもかかわらず、設備の方が十分でないので、運営費を設備費に変えたわけでございます。そのほかに、ことに大臣のお骨折りによりまして、本年度は社会教育特別助成費として一億二千万、そのうち特に社会教育関係では七千万円を新たに計上しておるわけであります。ですから、この関係と両方ございますので、こちらの方は運営費を設備費に変えた。運営費ですと事務費や何かで流れますのですが、むしろ設備費を充実した方がいいのじゃなかろうか、こういう観点でございます。ですから、ここに落ちておるのは産業教育の教科書の発行補助金でございますが、これと新たに入学する児童に対する教科用図書の無償給与に関する法律、この二点が落ちておるのであります。で、産業教育の方につきましては、発行部数の少いものは国で編集しております。ですから、さらに補助するかどうかについては疑問がありますけれども、教科書制度全体とも関連して研究したい、こういうことで一年見送るわけであります。それから教科書につきましては、先ほど大臣からお話のございましたように、全体の関係もございまして、本年度この関係特例法関係は全部はずさないという方針でございましたので、遺憾ながら今年はこういうことでやることにしたわけでございます。
  53. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでは、くどいようでありますが、最後にもう一言お伺いしておきますが、今の局長の説明では設備費の方に廻すから、だから運営の方の分は削って、そのかわりに設備の方へそれだけふやしたのだが、それでは、この補助金等臨時特例等法律が出る前と比べました場合に、どれだけ増額になっているか、その点伺いたい。
  54. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 設備の方が増額になったという意味ではございませんで、運営費の方は、これはある程度交付税交付金の方でも見られますので、そちらの方に譲って設備に重点を置いて法案をそういうふうに直したわけでございます。ですから、設備費だけがどれだけふえたかとおっしゃいますと、まあ運営費に相当する部分が大体回っているわけです。節約を受けた程度が設備費に回ったということでございます。
  55. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 しかしその額はわかっているのでしょう。運営費の方の減らしたものは全部これは設備の方にそのまま振りかえられていると、こういうふうなあなたの今のお話しでございましたけれども、その額はどれだけ振りかえられているかということはおわかりになるでしょう。予算折衝の面においては、それは当然やられたことだと思うのでございます。
  56. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) それは公立の社会教育施設、これは公民館でございますが、五百三十一万円、図書館関係では、これが設備費の関係が四百九十八万円、それから博物館の関係で百八十三万五千円、これだけが設備費に向いております。合せて二千二百万円です。
  57. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると、二千二百万円だけは、これだけは運営費の方へ回るはずであったものが設備の方に単に振りかえられたに過ぎない、こういうふうに了解してよろしゅうございましょうか。この第二条、それから三条、五条の方の規定は……。
  58. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 大体そういうふうに了解していただいてけっこうだと思います。なお運営費については、交付税交付金の方の地方財政関係の方で見るということにいたしたのでございます。
  59. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 じゃ、文部大臣に伺いますが、この法律は三月三十一日までは適用されないことになっておりますので、四月一日は大体入学期になると思うのです。従って四月一日にもし支給をするということになりますると、来年度の予算が通ってからでなくてはできない。三月三十一日まではとめてある。大蔵省の方では、政府方針さえきまったならば、もし四月一日までに予算が成立して、その予算に計上をされておるということであったならば、事務的には文部省の方で準備をしておけば、この特別法に基くところの教科書の給与ということは実現できる、で四月一日には渡せると、実際には現金を。で、予算が成立しなかったらできないけれども、そういう準備もやれることは、やろうと思えばできる、こういう答弁があったのですが、文部省側としてそういう処置が必ずできるのかどうか、一ぺん伺っておきたい。
  60. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) 大体例年そういうふうにやっているように承わっておりますのでございます。次に復活をいたしますれば、やはり以前から用意をいたしまして、そうして出版会社からの予約もいたしてもらわなければならぬ。いろいろそういう場合の準備をして学年の間に合せるようにいたすつもりでございます。
  61. 天田勝正

    ○天田勝正君 せっかく文部大臣がお見えでありますので、一言だけ質問申し上げます。  先ほど菊川委員に対するお答えで非常に重要なお答えがあったわけであります。それは特例法によって入学児童に対する教科書の無料給与をするということにつきましては、もしそれだけの額があるならば、むしろ一年だけでなくて、全学年を通じて貧困児童全体に与えることができるというお話でございました。私どもの考え方も本来その方がよろしい、理屈から言えばそう考えるわけであります。というのは上級学校へいける家庭の子供たちは、むしろ上級学校に対して国の援助が、かりに私立学校でありましても与えられるのであって、その方面から当然に他の上級学校へいかれない貧困児童よりもより多くの国費を与えられている。それに対して貧困児童はその同額は別の方面で与えられる道がないのでありますから、せめても義務教育のうちで、全学年を通じて教科書が与えられるということになれば、まことにアンバランスを解消することができるのでありまして、たしかに理屈の面ではけっこうであります。ただわれわれが児童の心理を考えるときに、小さい児童が一方は与えられる者、一方は与えられない者と、こういうことになって、そこに与えられる者が卑屈感を持つということがあってはいけないから、せめても新入学児童が対等に教科書だけでも持ち得るように、ここに競争がないように、その競争をなくするには、ほかの学用品の競争はございますけれども、無料に配給される教科書があれば、他の費用に分ちましてその面でやはり対等のものが持ち得ると、こういうことに押せ押せでなってくると思う。そういうことから、まあ現行——といっても特例法でなくて、補助法が望ましいということになるわけでございますけれども、先ほどこれを研究するということを仰せになったので、一応それは十分研究して、もし貧困児童だけに与える場合はそこに卑屈感を与えないような措置をとりながらやらなければならない問題だと存じますので、一つぜひ十分研究していただきたい。  そこで、すでに先ほどお答えになって、お答えになる限界を申されたと思うけれども、この際、大蔵大臣も列席されておるところでありますから、少なくともこの教育の出発点であります教科書の配付ということは、今日の財政において、いわゆる平等の生活を与える憲法の保障する条章を適用するところのたった一つのまあ私は道ではなかろうかと、今日の日本財政からみてそう考えるわけでありまして、このことは少なくとも現内閣の続く限り、必らず実行するという強い決意をお示し願いたいと思うのであります。説明が長くなりましたが、その点お答え願います。
  62. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) 今お話の貧困児童にただで教科書をやって、卑屈の感じを持たせないようにという御心配でございますが、これはわれわれも非常に心配をいたしているわけでございます。従いましてこの案をやるかやらないかということをきめる一つの大きな問題はその点にあったと思います。技術的にそういうことを除くことができるかどうかという研究もいたしているわけでございます。たとえばそれを児童に渡さないで家庭に渡すとか、何らかのいろいろの方法がとれぬものかどうかというように考えて研究をいたしているわけであります。
  63. 平林剛

    平林剛君 先ほどの菊川委員の御質問に対して文部大臣から答弁がありましたが、私はそれをもう少し砕いてお尋ねしたいと思います。明年度には、新たに入学する児童に対する教科用図書の給与に関する法律関係の今回の措置をぜひあらためて実現をしたいというお答えがありまして、その内容についてもいろいろやり方があるから検討されているという構想が述べられました。この次の予算の編成にはぜひ間に合せたいというお答えもありました。しかし一歩考えてみると、教科書の配付は明年四月新らしく学校に入る人たちの措置でありますから、それ以前に準備がされなければならぬ、そうすると、今の問題のお答えは、明年度から実施するためには具体的にはどういう措置をお考えになっているか、その点が明確を欠いていると思うのであります。この次の予算を編成するときにはぜひ努力をしたいと、こういうことと明年から実施するように努力をしたいという、この二つを結び付けるには、もっと具体的な答弁がないというと、ただ漫然とお答えになったことだけに過ぎないと思います。この点について文部大臣、もっとはっきりお答えを願いたいと思います。
  64. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) 大体これまでも同様の場合がございまして、それには予算が含まれる法が復活して議会に出ておりますと、その間に、もしも予算が成立したならば、これこれのものを政府へ納めるようにという予約を出版社といたし、そうしてそれをどこで、四月の一日、もしくは三月の幾日に受け取るかというようなことまでをして、そうして今日までやってきたようでございます。これは詳しくは内藤局長から申し上げさしてよろしゅうございますか。
  65. 平林剛

    平林剛君 私のお尋ねしたのはもし来年から実施したいというお話であれば、当然補正予算でも具体的に協議をされるようなときには、この問題もその予算の中に組まなければ来年から実施できないじゃないか、こういうことを申し上げたのです。そこであなたがこの次の予算を編成するときには十分考慮したいということは、補正予算ということも暗々のうちに考えて今のような答弁になったのかどうかという点が知りたいわけなんです。
  66. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) これは次の通常国会へ提出すべき予算の中へ予算を組み込み、そうして法律案も出しまして、その審議のうちに今申したようなあらかじめの手段を整えておきまして、それが三月中にできますれば、それによってやりまするし、国会の都合で本予算が成立しない場合はこれは暫定予算のうちにでも組み込んでやりたい、こういうふうに思います。
  67. 平林剛

    平林剛君 今度は大蔵大臣に伺います。
  68. 青木一男

    委員長青木一男君) 平林君にちょっと……。文教委員会から文部大臣出席をたびたび求められておりますから、文部大臣に対する質疑を先に終了したいと思います。
  69. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでは簡単に。こういう法律がありながら別の法律で、特例法でもって、法律を殺しているということは、元来は邪道であると思う。もう緊急やむを得ない場合の非常処置だと私は思うのであります。従ってどうしてもこれはもう復活する見込みのないものならば、これを改正するなり、廃止するなり、どちらかの処置を講ずべきだ、これか私は一番正しいすっきりしたやり方だ、そうすべきだと思うのですが、どちらにもよう踏み切れぬ、もう一年放っておこうということは、一番ずるい、最近もうなんでもすぐ反撃を受けるものだから、まあまあそれを勘案しながら、しばらく一年——来年は何とかすると、こういうふうにして順送りにやって来ているこの種のものがずいぶん多いのですが、最近この傾向がますます強くなって、さらに一年で済むならいいがもう一年延ばそう、また来年になったら、また一年延ばすと、こういうことでは本当の正しい法律の姿ではない。一つ法律をこしらえておいて、そうして別に特例法でさっと殺してしまうというようなごときは、これはもう邪道もはなはだしいと思うのです。これらについて一ぺん根本的に今年中には考える、文部省関係としてですね、文部大臣考える余地があるかどうか、考えるつもりであるか、それともまた殺さず生かさずにしばらくぐずぐずしておこうと、こう思っているのか、どっちか一つそれだけお答え願いたい。
  70. 松村謙三

    ○国務大臣(松村謙三君) お話の通りでございまして、経済状態がこういう緊縮予算をやっているときであるがゆえにやむを得ないと思います。従いまして来年度におきましては、復活すべきものと、これでやめていいものとは、きっぱりきめて措置をいたしたいと心得ております。   —————————————
  71. 青木一男

    委員長青木一男君) ただいまの法案のほかに所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案租税特別措置法等の一部を改正する法律案の三案を加えまして一括して議題として大蔵大臣に対する質疑を行います。
  72. 平林剛

    平林剛君 昭和三十年度の税制改正全般について大蔵大臣に若干質疑を行いたいと思います。今回の所得税法の一部を改正する法律案は、政府の提案説明によると、低額所得者の負担軽減を中心として所得税負担の軽減合理化をはかるために、法律が用意をされ、税制の改正が行われていると、そういう少くとも説明があったのでありますが、今日までいろいろ審査を続けて参りますと、どうもその額面通りになっておらぬ。たとえば二十万の事業所得者の今回の税金の軽減というものは、大体において千七百五十円、同じ事業所得者百万のものが三万七千円の軽減になっております。俸給生活者を例にとれば、給料が月に二万円の人は月に百四十一円の税の負担が軽くなるわけでありますが、同じ十万の所得者になると、三千六百四十五円税金が軽くなる。また配当金の例をとれば、扶養家族四人の者で配当所得、年額八十四万円の者までは税金がかからんようになっている。ところが同じその八十四万円の所得が勤労所得である場合には、その三分の一近くが——これは勤労者だけに限らず、農民にしても、商工業者にしても同様でありますが、所得税や住民税、事業税という形で取り上げられる、こういうことを考えますというと、どうも今回の所得税法を初めとする税制改正の政府措置というものは、低額所得者の負担軽減を中心としていないのじゃないだろうか、こういうふうに思われるのでありますが、この際、大蔵大臣の基本的なお考えをお聞かせ願いたい。
  73. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 今度の低額所得者の税はなるべく軽くするという方針でやったのでありまして、大体あれは絶対額を比べた場合に、お説のように減り方がどうも違うのじゃないかということはあり得るかもしれませんが、従前の税負担に比べて、今度の減り方が割合的に見た場合に軽減しているというように、私はこの所得税については考えておるのであります。なお、配当所得等の関係についても今御批判があったのでありますが、あるいはそういうふうに見える点もあるのでありますが、一方配当につきましては法人税でとっておりまして、大体配当に対する税を法人税という形で取るということに考え方がなっておる点も御考慮願いたい、かように考えております。
  74. 平林剛

    平林剛君 まあ政府の一般的な答弁としては、そういう建前になっておると思うのでありますが、私やっぱり大蔵大臣がもっと国民生活の実態というものを掴んで税制を考えてもらわなければならんと思うのです。ただお役所と同じように、率がそれだけ下っておるから、だから低額所得者も軽減になっているのだということは、実際の国民生活の水準というものを考えないというと、非常に官僚的な答弁になるのではないかと思うのであります。こういう点について一体今日の国民生活上における、たとえば俸給生活者二万の人と十万の人との生活の実態から考えて、やっぱり大臣は同じお考えをお持ちでありますか、もう一度私念のためにお聞かせ願いたいと思います。
  75. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 特に私は勤労階級の所得税については、何とかして低くしたいというのが私の多年の願いであります。特にこれはほかの事業所得なんかに比べまして、まあ事業所得等についてはなかなか捕捉が困難なところもあるのでありますが、この勤労所得についてはほんとうにこれは百パーセントはっきりしているわけであります。それで特にこういう点も考えて税率等なるべく低くしたい、が同時に私の考えではやはり税負担について、勤労所得税だけについても、やはり一番この生活に苦しい段階のところがあるだろうと思うのであります。たとえばごく若いところというよりも、子供が一番数も多く、かつ出費も多いというような階級のところは、やはり税も幾らか——これはまあ扶養家族等の控除もありますけれども、それ以外にやはり考えてあげたらいいんじゃないか。そういう考え方を私はいたしております。
  76. 平林剛

    平林剛君 大蔵大臣答弁は、その考えそのものを聞いているというと、なかなかいい考えを持っておられるけれども、現実にお出しになった法律案を見るというと、その言葉と全く離れたような内容になっていると私は思うのであります。これはまあ幾ら追及されても、大臣の国民生活水準に対する感覚が変らないというと、この点は理解できないかもしれませんが、これ以上追及はしませんが、現実の今度の税制というものは、そういうものになっているということだけは将来検討すべきときにも十分お考えを願わなければならぬと思う。  次の点について質問いたしますが、今度の税制改正の中には、所得税法、つまり低額所得者の負担軽減を中心とした措置か行われないそのほかに、逆な面では租税特別措置法一部改正法律案の中にあるような、銀行利子の免税であるとか、配当に対する課税の軽減が行われておるようであります。私は今日の政府の基本的な政策からいきまして、資本の蓄積をはかり、あるいはいろいろな経済政策の必要から税制においても所要の改正を加えるという考え方は理解できないことはありません。また税そのものについては、ある意味では税の法則を離れて経済政策の面が強く前面に出るということも現実の推移の上から全くいけないというものではありません。けれどもそれがあまり過度になりますというと、税制全般に対する不信ということになって参りまして、そのために思わざる結果になってくると思うのであります。どうも今回の政府措置を一般的に見ますというと、税制の原則をはずれて経済政策に走り過ぎた感じがする。しかもその経済政策そのものが本筋を行っているというのならまだ私どもも理解しないことはありませんけれども、どうも輸出の振興をはかるために輸出業者に対する税の措置を講じたからといって、根本的にそれで輸出振興ができるかというと、そうではあり得ない。あるいは銀行利子の免税を行なったら、必ずではそれが資本の蓄積に向うかというと、今日、前からの質疑を通じて、どうも政府の明確なる考えがあって行なっているとも思えない。こういう点からいきまして、どうも政府の根本的な考え方が私にはうかがい知ることができません。この際今回の、今あげた措置は一体どういうことをねらっているのか、もっと大蔵大臣としての所信を十分聞かせてもらいたいと思うのであります。
  77. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 今回のこの銀行等の預貯金の利子の免税その他株式配当に対する軽減について御審議をお願いしておりますが、結局これは何と申しましても、今申し上げられましたようなお考えも十分わかりますが、またごもっともな御意見と思うのでありますが、そういうことで行き過ぎがないように、これは二年だけに限定いたしております。私どもの考えは、何としてもここで資本の蓄積、銀行も今日においてはやはり資金が足りないということで、いろいろなことに支障が起っております。しかしこの税自体から見ると、いろいろと議論があるかとも私は思うのでありますが、ここで資本の蓄積を十分にいたしまして、そうして金利も下げ事業も興して、そしてここに雇傭の機会をなるべくふやすようにやっていこう、かつまた従って集った資金については、相当の私は指導、今度は資金法ができるのでありますが、必要に応じては、相当な指導も加えるということで、かように考えてやっているわけであるのであります。どうぞ御了承を得たいと思います。
  78. 青木一男

    委員長青木一男君) ちょっと申し上げますが、ただいま衆議院本会議で大蔵大臣に対する緊急質問がありますので出席を求められておりますので、それが終ってから、また大蔵大臣質疑をするということにして、それまで三十分間休憩いたします。    午後三時十四分休憩    ————————    午後三時五十八分開会
  79. 青木一男

    委員長青木一男君) 休憩前に引き続き会議を開きます。大蔵大臣に対する質疑を継続いたします。
  80. 平林剛

    平林剛君 先ほどの質疑を続けます。  先ほどは、民間資本の蓄積を促進することが非常に政府にとって急務であるという御説明がありました。また今回の法律の提案説明の際にも、民間資本の蓄積を促進することが急務であるという説明がしばしば行われたわけでありますが、いろいろの参考人の意見を聞きましても、問題は、この蓄積された資本というものがどういう形で有効に使われるかということにかかっている。だから、もしも今回の減税措置のような、銀行利子に対する免税や配当課税についての軽減などがあって、そのため蓄積されたところの民間資本が有効に使われるかどうかということが、やはり政府の功罪をきめるものにもなる、こういう意見もあるわけであります。私はこの点について、現在の全般的な状況から見て、政府一つの成案があって、そこに押し進めるためにこの措置をとったと理解したいわけでありますが、どうもそういう点も今日までの質疑ではうかがうことができない。  最後に、本日は大蔵大臣から、もし具体的な構想があって、その確信の上に立って今回の銀行利子の免税やあるいは配当課税の軽減が行われているかどうか、こういう点を明らかにしておきたいと思うのであります。具体的構想があれば、それを示してもらいたい。
  81. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) お答えします。先ほどの考えを若干繰り返しますが、まず今回の措置において政府としてねらっておりますることは、資金量をふやすということが第一であります。民間資金をふやす、そうしてその結果、特に問題になっておりまするこの金利の低下をはかっていく、当然これは下がるわけでありますが、資金関係にはそういうところがあります。さらにこの資金をどういうふうに向けるかということも、政府考えておりまする六カ年にわたる経済の長期計画と関連いたしまして、この六カ年にわたる長期経済計画によって日本産業についていわゆる産業構造がどういうふうになり、どういうふうな規模を持っていくか、従ってそれを達成するのにはどういうふうな産業に重点をおくべきか、こういうふうな……。従ってまたその重点をおくべき産業の規模という毛のも大体きまる。これに所要する資金を供給確保しなくちゃならない。そういう意味合いにおきましても、資金が要る。そして従来、終戦以後において大体税金という形で、これは貯金という見地から見れば強制貯蓄になるのでありますが、ああいうインフレ的な時代におきましては任意貯蓄がなかなかふえない。むろん財政的な要請もありますが、同時にまた貯蓄というような意味合いをもちましても、税がどうしても高く、多く取られる、そうして国が財政融資を強くやる、多くやる、こういうような過程は、当然どこの国でも、特に敗戦後等においては経過するのでありますが、今後におきましては、財政からする投融資を、もはやなるべく少くして、他面、減税を行う、そして民間の資本蓄積をはかる、なるべく投融資というものは民間資金をもってやろう、こういうふうなまあ全体の構想下において、それをまず糸口を促進していくという意味合いにおきまして、臨時的に今回のこの特別な税法上の措置をお願いしているわけであります。
  82. 平林剛

    平林剛君 考え方は先ほどから私も繰り返して申し上げているように、わかるのでありますが、現実の政治になるというと、どうも間に合せ的なものが多くなる。たとえば米価の問題についても、あるいはこの減税の問題についてもそうでありますが、政府が今お答えになったような一つの構想や具体的な計画に基いて減税政策がとられておるとは、私にはどうも理解できないものがあるわけであります。特に今回の政府の態度を見ておると、最初提出された法案が、のちにおいて何ら定見がないままに変更されてしまって、しかも、それが改善をされる方向にいくならばまた別でありますが、今日の新聞を見ましても、一般の税制を少しく検討しておる者は、今度の修正案がいかに改悪であるかということを伝えておるわけであります。私はこのことにつきまして、最初提案されたところの税の改正案と、のちに民主党自由党が話し合いをして修正をされた税制の改正の構想と比べてみて、なぜそういうふうに政府考えが変更されていったのかという点を第一にお聞きしたい。第二には、その二つの案を比べてみて、大蔵大臣は一体どっちがベターであると思うか。改正された方があなたの今のお考えにぴったりくるものであるか、それとも前の方がよかったのか、どっちの案の方が比較的によいかという点を答えてもらいたい。もし、もっと具体的に言えば、しからば修正をされたものはよい点があるとすれば、具体的にはどことどこがよくなっているか、こういう点を、第三点としてお尋ねをしたいわけであります。
  83. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 今回の修正案のうち、税につきましては、法人税につきまして二段階の税率の差違があったようであります。また概算所得控除制度というのを採用——これらにつきましては、私はやはり検討を要する点が多いと思うのでありますが、しかしこれは、やはり私は考え方の相違からきておると思うのでありまして、にわかにいずれがよいかということも、いろいろと議論があるだろうと思うのであります。私どもは大体この法人税につきましては、個人の企業者との関係において、個人との関係において特に重きをおきまして、そうしてこの特にというのは、中小の法人について減税措置をとらなかったのであります。今回のこの修正におきましては、個人との関係ではなくして、大企業との関係において中小の法人を保護するがいいじゃないか、こういうふうな見地に立っておるようであります。これはまあ現実における実情の把握の仕方にもよります。なかなかむずかしい問題じゃないかと思うのですが、しかし今回の修正には、同時に概算所得控除制度を設けまして、またこの個人について特別の減税の措置もとっておるようでありますから、まあ私は、こういう修正を受けたことにつきまして、今日の政情におきましては、実際問題としてやむを得ないと、かようにまあ考えておる次第であります。
  84. 平林剛

    平林剛君 どうも私の質問のポイントをちっとも答えてくれていないので、答弁になっていないと思うのでありますけれども、どうも大蔵大臣は、あまりこちらの方についてしっかりした考えを持っていないように思うから、これ以上私は聞きませんけれども、しかし今度の修正案というものは、大蔵大臣がいかに答弁されようとも、あまりいい改正でないことは、あなたも大体衆議院委員会においてもいろいろ質疑があったから、おわかりになったと思うのであります。特に私どもは、今回の政府と自由党との間に話し合いをされてまとめたものは、税制の根本をはずれてしまっておるような感じを持っておるわけであります。結局あれは自由党と民主党の力のバランスをとったのであって、税全般のバランスをとった改正というふうに見にくい点が多いのです。この間もこの修正案の提案者に私は質疑を行なったのでありますが、特に修正要綱の中の選択控除にはかなり議論がありました。そうして提案者も、この問題については、提案した直後からいろいろな批判と矛盾があり、検討すべき余地がたくさんあるから、これについては今回は通してもらうけれども、近く税制審議会においては検討を加えたいと思っておるという答弁がありました。大臣はいかがお考えになりますか、あなたのお考えをお聞きしたい。
  85. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) これはまあ先ほども申し上げましたように、いろいろ議論もあることでしょうが、税制審議会の意見も徴してみたいと思います。
  86. 平林剛

    平林剛君 明確でないのでありますが、税制全般について検討を加えるというお答えですか。
  87. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 税制審議会で十分一つ検討していただきたい、かように考えております。
  88. 平林剛

    平林剛君 税制審議会において提案をした当初から検討を加えてもらわにゃならんというやつを、今回出すというのは、どうも大蔵大臣としてまことに遺憾なやり方だと考えるわけであります。税制審議会で検討されるまでもなく、今回の委員会においていろいろ指摘された通りなんです。その選択控除の新設というものは、どうしてもこれは、理論的から言っても、現実のはね返りから見ましても、よい法律改正であるとは考え得ないのであります。しかし、今日どうしても数の力で押えるということになれば、これはまたやむを得ませんけれども、私は大蔵大臣も、この税制の最高の責任者として、次の税制審議会においては、必ずこれが公正なものに引き直されるということを要望いたしまして、この辺で質問はやめることにいたします。
  89. 天田勝正

    ○天田勝正君 私は、せっかく大蔵大臣が見えておりますから、根本的な問題について一言聞きたいのですが、わが国の税制についてはおよそ私は三つの大きな問題があろうと思うのであります。  一つは、いかにいたしましても税制があまりに繁雑である、かりに租税特別措置法その他の規定によりまして、免税の恩典に浴せられる条件がございましても、あまりに繁雑なるために、専門家でも抱えておらない小法人とか、あるいは個人、農民等の場合では、その恩典に浴することができないという状態であります。何しても非常に繁雑であるという、この繁雑さを何か処置しなければならないという問題が一つであろうと思います。  第二の問題は、もし現行の税法をなまのままでかけられた場合には、ほとんどの人がその地位もしくは生活を維持していくことができない、こういう問題が一つであろうと思うのであります。  第三の問題は、あまりにアンバランスである、これは、私、例をとって申し上げますと、たとえば、これは私自身が減税について一つ交渉の依頼を受けたことがあるのでありますが、その依頼者が旅館を経営し、かつ、ふろ屋を経営しておる、そういう人が、扶養者が多いにいたしましても、年額四万円ぐらいの税金である。それに対して、われわれになりますと、年額三十万円ぐらいの税金にどうしてもなる。一つの例を見ましてもこのくらいアンバランスである。また実態から言いますと、もし勤労所得税を納めておる者であったならば、年額二十万円ぐらいの所得税を納めなければ、標準家族で、一人の子供をアルバイトなしに大学へやることができない。これに反して、かなり多くの数を持つ階層が七、八万円の年額の税金によってアルバイトなしで大学へやっている。また一千円の所得税を納めれば、十分アルバイトなしで大学へやれるという階層が例外でなしに相当ある。このくらいまあアンバランスがあるわけでありまして、これらの基本的な問題をもうこの辺で何とか処置をするという方途が私はなければならんと思う。実はずいぶん古い話でありますが、昭和二十四年に本院の大蔵委員会でもこの問題を検討いたしまして、実態調査から始めなければということで、全国各班に分けまして調査をいたしたことがございます。その直後にシャウプ勧告案が出ましたので、当時占領治下でありましたために、それらの独自の研究点が打ち切られて、シャウプ勧告案が施行される、こういうことになったのを私は承知をいたしております。そういう経過がありますが、民主党の内閣において、この際これらの根本的な問題を解決するために、現在税制調査会の話も出ておりますけれども、これはやはり政府の案が出されて、これを基礎にして積み上げて検討するというのが主だと思います。実態を掘り下げて、検討をするという方途を、この際講ずるところの意図があるかどうか、まずこの点をお伺いたしたいと存じます。
  90. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) ただいまの御意見は私も全く同感であります。ぜひとも今後この税については、制度の面もあるいはこの徴税執行面についても改善を加えなくてはならんと思っております。まあ私も、この税が今日国民生活にかなり大きな比重を持っているということを前から感じまして、実は私は数年前に汐見三郎君にお願いをして、それで大日本租税協会というものを実は作っていただいて、今日租税制度について相当な私は貢献をしてくれていると思うのでありますが、こういうふうに私は、今後民間の方でも租税というものについて研究をする、あるいは関心を持つべきだ、しかも組織的に持つべきだという考え方をいたしているのであります。お説全くその通りであると思いますので、私は単に従来の調査会というような意味ではなくて、ほんとうに税について深い理解と知識を持ってアヒリテイのある人、ほんとうの働く方、ただ顔を並べるというようなものではなくて、そういうような調査会をほんとうに作りまして、根本的に今申されたようなことを再検討したい、かように考えております。
  91. 天田勝正

    ○天田勝正君 その次にお伺いしたいのは、先ほども平林委員からも御指摘があったと存じますが、今回の法人税法の改正で、政府案によれば四二%を四〇%に切り下げるということであり、衆議院修正によって五十万円以下は三五%に切り下げるということであります。そこで私どもが大資本奉仕の減税であるとなぜ指摘をするかと言えば、大資本に対してはもろもろの減税施策がすでにたくさんあるのでありまして、たとえば価格変動準備金の控除とか、あるいは貸し倒れの準備であるとか、輸出減税の特別の措置であるとか、増資配当の免税だとか、企業合理化の特別償却、あるいは重要物産の免税、交際費の損失算入、新鉱床の買い入れ金の控除であるとか、数えれば数限りないものがございまして、税法では大企業に対してはなまのままは、かかっておらない。およそこれらを合算いたしますならば、七、八百億と推定されるものでございますけれども、そこで、もし現行の四二%としても、これらの減税措置を十分に使いこなしまして、減税をしてもらっておる大企業においては、実際の納税は、四二%どころか三〇%にも及ばない、こういうことになっておる。ところが、それらの処置のとれない中小企業においては、四二%なまのままでかかってきております。もうすでに、先に私が指摘したアンバランスがここに現われておるわけであります。であるから、私どもといたすならば、もし政府案のごとく四〇%に切り下げるならば、それは対等に切り下げることなしに、四〇%に切り下げるものを、小企業においては平等の原則からしてこれを二五%なり二七%なりに切り下げればちょうどバランスがとれる、こういうふうに私どもは存ずるわけでございますけれども、政府案にいたしましても、ただ税率という表に出たところだけは、対等に、こう下げている。いかにも対等のようにみえるけれども、先にあげましたようなもろもろの減税措置がなされておるのに、形だけ対等にして中身は全くアンバランスである、こういうことについては、政府はこの際に考え直すか、もしくは近い将来にこれらも含めて考え直さなければならないものだと存じますけれども、これらの問題についてはいかがでございましょうか。
  92. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) お話承わりましたのですが、これはあまり——理屈にあるいはなるかと私自身も思うのでありますが、大企業等のいろいろの内部保留といいますか、積立金等に、税法上の措置もとってあります。これは中小の事業も同じような待遇を受けないわけではないように思うのでありまして、これについては、やはり、もしもそういうことがないとしますれば、そういうふうなことを特殊の指導といいますかをする必要があるのじゃなかろうかと私は考えるのであります。  なお今回の税制におきましては、そういう意味も付しまして、中小企業については税率も低くいたしたわけであります。
  93. 天田勝正

    ○天田勝正君 これは税法でありますから、そういう名目のものがあれば、中小法人といえども同じく免税措置は講じられる、これは当然政府側の立場に立てばそういうお答えがあるにきまっている。けれども、内容を見ますと、そうなっておらないから、私は申し上げておるので、これ以上議論したくございませんが、たとえば船会社の特別修繕費の控除であるとか、こういうようなものは、普通のどの法人でも適用されるものではございません。大かた、それは大きな造船所に適用されるものであるし、それから証券会社の違反損失準備金、これだっても、もちろん普通の法人に適用されるものでない。証券会社とか、相当多額の資金を擁するもの、しかも大資本ほどこの適用をどうしても受けるということが実態であるから、申し上げておるのでありまして、とにかくこれは、ぜひこれらも含めて御検討を願いたいことをつけ加えておきます。  次には、先ほど平林委員からも指摘されて、かりに所得税にしても、低額所得者と高額所得者と非常にアンバランスであるということが指摘されたところが、大臣は、そうおっしゃるけれども、なるほど絶対的な数字は指摘のようであるけれども、按分すればそう弱い者いじめになつていないというようなお答えがあったと存じますが、私が申し上げたいのは、さっき平林君がおっしゃった標準家族を持っておる二十万円の事業所得者が千七百五十円減税になれば、一万円当りには八十七円ということになるのです。百万円の者では、今度は一万円当りは三百七十円になる。つまり同じ一万円を単位にした場合に、そこに差がある、こういうことを平林君が指摘されたのであります。だから絶対的数字の違いがあるということだけでなくて、基礎的な数字の上に立ってもこういう違いがあるということであります。でありますから、これらを大蔵大臣はむしろ少額所得者の減税なりと言い切ることが一体できるのか。まだ例を挙げますが、同じ計算で二万円の月給取りなら、一万円当りは七十円にしか減税にならない、十万円の月給取りならば、三百六十円の——同じ一万円当りについて三百六十四円の減税になる、こういうことで低額所得者の減税をなし得たと一体おっしゃるのでございましょうか。この点の御見解如何でございましょうか。
  94. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 御意見は私よくわかりますし、拝聴いたしておるのでありますが、やはり現行——今どういう税を実際負担しておるかということもやはり考えなくてはなりません。その現行の税に比べて今度の減税がどういうふうに軽減になっているか、という考え方で、従って比較的に考えてみれば相対的に税は実は軽くなってくる、ずっと上の人になると重い、こういうふうに考えておるわけであります。
  95. 天田勝正

    ○天田勝正君 それでは角度を変えまして、先般来問題になっておりました配当所得、利子所得の問題ですが、配当所得については現行税法におきましても七十万円までは無税になる、ところが今度の衆議院の送付案によりますと、百二十万円くらいまで無税になるはずであります。こういうものと対比した場合に、先ほどから指摘しておる月額二万円程度の月給取りと比べた場合には、何とも、つじつまが合わないと私は言わざるを得ないと思う。そこで、これは何か国家目的に大きく投資するという、そこに論理がなければ、とうてい許し得ないことだと思うわけでありますが、政府の説明は、資本蓄積を行なって直接投資をふやす、こういうことにおそらくなるであろうと想定するわけですが、これを全部この減税分だけを政府が握って、国民に納得せしめるような国家の目的に沿う産業に投資するのには、いかなる方途を講ずる用意があるのでしょうか。
  96. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 二十五を三十にいたしました、これはお話のように直接投資をふやしてゆきたい、こういう点でございます。(「答弁が違う」と呼ぶ者あり)  これは現行預貯金を免税にする関連もありまして、一般の資金を株式投資に向ける、そういうものとの均衡をとる必要がある、こういう考え方からであります。
  97. 天田勝正

    ○天田勝正君 その均衡がとれないから私は申し上げているのであって、所得に対する税というだけを考えると、あまりにアンバランスなんですよ。配当所得だけで言えば、現行法でも七十万円くらいまでは無税になる。それが今度の衆議院送付案によれば百二十万円くらいまでは無税になってしまう。それに対しまして、年額二十四、五万円の所得を有する勤労者とすれば、これは全然無税どころか、もうその程度でも税金がかかってくるという始末でありますから、これはもうアンバランスであることは私は明瞭だと思うが、しかしそのアンバランスというものが国家目的に非常に役立たしむる方途があるということでなければ一応の筋も通らんじゃないか。われわれがかりにこれに反対するとか賛成するとかは別として、私は同じ議論の根拠に立たなければならないから、そういう質問をしておるのであって、そうすると、この配当所得を受くるようないわゆる大きな金持ち、こういう人に対する減税は、ほとんど政府が握って、これを国家目的の面に大きく投下する、こういう用意がなければならないと思うけれども、これに対して御用意がございますかと、こう聞いておる。
  98. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 一つはアンバランスのお話でありましたが、今日のこのごろでは、法人税が所得税の前取りになる考え方になっております。これを加えて考えてみなくてはならぬと、かように考えておるのであります。そうしてみると、特にこのアンバランスというわけにも参るまいかと、かように考えます。
  99. 野溝勝

    ○野溝勝君 一、二お伺いいたします。大体平林さん、天田さんの質問で、政府御当局、特に大臣の御所見の片りんをお伺いすることができましたが、この際お伺いしておきたいのは、私は皮肉のように当るかもしれませんが、実に政府というものは御都合のよいものでありまして、いわば手品師のようなものでございまして、労働者の諸君が夏季手当を少しふやせと言えば財源がない、免税してくれと言えば財源がない、子供の教育のために文房具を免税にしてもらいたいと言えば財源がない、そういうことを言っておるかと思うと政権を維持するとなると二日、三日の談合で二百億くらいぽんと修正妥協をしてしまう。どこから財源が出てくるかわからん。国民から見ると不思議に思っておる。大臣は、これは予算の問題ではありますが、一つには財源としての所得税とのにらみ合せの問題でありますから、関係があるという建前質問するのです。予算の大修正に追い詰められた結果、無理な財政措置、税制措置を講ずることになると思うのだが、さようなことで、大臣といたしましては、特に今議題になっておりまする所得税法並びに特別措置法その他等々の問題と関連いたしまして、この予算の大幅修正との関連において、別に大きな矛盾はないとお思いでございますか。この点を一つ忌憚なきあなたのお気持をお伺いしておきたいと思います。
  100. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 率直に申し上げますが、私といたしましては、むろん私の御審議を願ったこの原案が私はいいと思っておるのです。しかしながら、やはり私といたしましては、予算国会を通過をして、これが実行に移っていかなければならんという点もひっくるめて考えているわけでありますが、そういう意味合いにおきまして、私のこの構想をこわさない限りにおきまして修正に同意いたしたのであります。減税との関係におきましては、私も減税を今回いたしたのでありますが、その減税が若干多くなりました。これは私は、今いろいろここで御審議を願っておる内容については御意見もあったことと思いますが、減税という点については、それほど問題はないのではなかろうかと、かように考えておる次第であります。
  101. 野溝勝

    ○野溝勝君 大臣の御答弁でございますが、これを深く掘り下げて質問をいたそうと思いませんが、今申し上げましたように、国民は、あまりにも不見識きわまる大修正に対し、政府当局ないしは財政当局のやり方に対し一方は懐疑的となり、一つには政治不信をもってこれに答えています。今申しました通り、国民はなかなか重い税金がかかっておるのでございます。大臣の今季林さんや天田さんに対する答弁を聞いておりますと、働く階級にも無理はないと言っておりますが、無理のないどころか、無理があるのでございます。われわれとても日本の底の浅い経済をよく承知しています。決して無理を言うのではございません。しかし大臣御承知のごとく、戦前は百円の月給取りに税金がかかったわけです。物価が三百六十倍するか、あるいは四百倍するか、とにかくこれを為替レートの関係からまあ三百六十倍とりたしまして、とにかく戦前に百円の月給のものが四万円近く取らないと、税金をかけては戦争前とは対比できないということになる、常識的に申せば——。それが今日では、源泉課税で取られ、そのほかに綜合所得税がかかっておるわけでございます。そういうようなわけでございまして、大臣の側には著述家の渡邊主税局長がおられますが、なかなか税に対しては三冊も有名な本を出しております。私は全部は見ておりませんが、一冊だけ見た。さらに平田国税庁長官も、先般、税の関係の本を出しておる。その中にも書いてございまするごとく、西ドイツでは所得に対する大体四%の税を労働者階級に対してかけておる。ところが日本では一四%と言われておりますが、それが最近においては一五、一六%になっておる。そういう点から見ても、勤労階級に対する所得が、戦前との対比及び物価に比較して正当を期しておらぬのにもかかわらず、重い税金がかかっておる。こういう点に対して大臣がまあ無理はないと思うという点については、私はこれは平林さん、天田さんと同様に承服できません。しかし、何といいましても、大蔵大臣はまだまだ識見抱負が下に浸透しない時代だと思います。そう申すと失礼でございますが、そこにおけるところのいわゆる主税局長ないしは主計局長、あるいは官房長、あるいは次官、こういう諸君がまだ実務をやっておるのでございまして、あなた自身の威厳と申しては失礼でございますけれども、考え方が下へ浸透しないのでございますから、今のところ事務当局がこういう案を作っておるに違いないと思うのですが、この際これ以上は質問はいたしません。ただ一言この際最後にお伺いしておきたいことは、所得とも関係がある問題でございます。一体、金庫や盆栽や、そういうものは免税するのでございますけれども、学校用品であるところの文房具や用紙などに対しては税金をとっておるのでございますが、この考え方は私は無理だと思うのですが、いかがでございますか。
  102. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 大へん比喩がお上手ですから、私どういうふうに答えていいか、ちょっと答えにくいのでありますが、おそらく御趣旨は、もう少し勤労者を中心とし、社会政策的な意味をもって税を考えたらどうかということであろうかと私は想像申し上げるのですか、そういう点について私、決して異論があるわけではありません。今後税制の改革をやることについても、そういう点を十分考えて、私は今日どうもある一部の人だけが勤労者と言っておりますが、私は日本国民全体が勤労者と、こういうふうに思っているのですから、そういうふうな見地から、一つそういうふうな考え方で、今後処していきたい。昔と今日の日本は非常に違うという認識の上に立っております。
  103. 野溝勝

    ○野溝勝君 一萬田さん、なかなか考え方を披瀝されまして、一応私もそれに対しましては別に否定するものではありません。大体勤労者の中にもあれは階層があるんでございますよ。あなた方みんな画一だという考え方は、これは間違っておる。そういうなら、私は幾らでもあなたに対する意見もまだあります。しかし、そこで今あなたが私の質問の中で、社会政策として十分考えると、こう言われました。その点について了解できます。なお、具体的に申しますならば、所得財源一つであります盆栽とか金庫というものを免税するというのは物品税のことなんです。特に文房具、用紙関係のことは、直接国民大衆……勤労大衆という言葉が気持が悪ければ国民大衆でもよろしゅうございますが、経済的に影響するものでございますから、あなたがこの際、今後主税局長とともに相談をされて、この問題については善処することに対して、あなた自身からその点をはっきりお答えされるならば、これで質問を打ち切りますが、いかがでございますか。
  104. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 私はあなたのお考えと非常に似通っておるようであります。私も今日所得税が非常に重いということは感じております。税を今度変える場合、その点は十分考えていくつもりでおります。
  105. 野溝勝

    ○野溝勝君 似通っておると考えているというだけでなく、一萬田さんには私個人、人間的に好意を持っている、ざっくばらんに言って私の大体質問は普通以上に穏やかだと思うのです。これは一萬田さんの人格、人となりに対して私は敬意を表しているだけに、質問もなめらかに言っておるわけですから、一萬田さんもなめらかにかつ率直にお答え願います。議会というものは、ただなめらかだけでは承知できませんので、一応やはり理論的に、数字的に扱うべき、特に政府、大蔵省でございますから、今の問題に対して、具体的に答へられてはどうかたとえば物品税の問題に対しては、十分検討して、ただいまの社会政策的の道に沿うて検討善処したいと御答弁が願えるならば、私はこれで打切りたいと思うのですが、いかがですか。
  106. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) よくわかりました。今後十分御相談を申し上げますが、この税全体について、先ほども申しましたように、本当にいいことは、調査会を作りまして、いろいろ検討してもらうつもりでございます。その際、私の考えとしては、所得税が重いということ……、それからなお将来物品税についても考えてみますが、こういうふうに考えておりますということを申し上げておきます。
  107. 小林政夫

    ○小林政夫君 将来税制改正について税制調査会を開いて改正するということを聞いたように思うのですが、いつごろからおやりになるのですか。やられるのか、やられないのか。
  108. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) なるべく早く、私は八月ごろから……暑いですから、やりたいと思います。
  109. 小林政夫

    ○小林政夫君 その改正の方法といいますか、どういう点に主眼をおいておやりになるおつもりですか。
  110. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 私は、主として今回の国会において御議論になったところを最も中心にいたしましてやってゆこうかと、こういうふうに考えておりますが、今具体的にここでごうごうというところまでは、まだいっておりません。
  111. 小林政夫

    ○小林政夫君 この国会ということの、まあ大体一番の問題は、租税特別措置法の扱い方をどうするかという問題なんですが、いろいろこまかい税制の問題になると、今、大臣に質問するのはどうかと思いますからやめますが、私は特に大臣の耳に入れておきたいのは、農業課税について、昨日の予算委員会でもいろいろ意見がありましたが、食糧管理制度と関連して、ああいうような米価の一環としてのような減税政策が要求された、また現実の農業課税、農業者に対する課税の実態というものから、そういうこともあわせて、税制調査会においてもとくと検討をしてもらいたい、その点はいかがですか。
  112. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 無論検討いたしたいと思います。
  113. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 まず第一番に、先ほど松村文部大臣は、来年度から学童の算数等の図書を無料で給与するということについては、十分文部省としては次期予算の編成に当って努力をして、これは実現をしたい、こういう答弁を当委員会においてやってゆかれたのですが、これに関しまして、大蔵大臣としても、やはり同じような考えを持って、この次の予算の編成には、来年も一兆予算を、あるいは上回るかもしれないという答弁をすでにされているのですが、そういう場合にはこの問題を考慮されるか。補助金等臨時特例に関する法律案審議するに当って、文部大臣答弁とあなたの答弁考えは一致しているのか。そのことをお伺いしたいと思います。
  114. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 文部大臣答弁と一致すると思いますが、私も、学童に教科書を与えるということは、私、心理的に、社会連帯といいますか、あの頭にそういうことを植え付けるという意味において非常に有意義ではないかと、前から思っておるのでありますが、ただ三十年度においては、いろいろの関係から、国費もなかなか緊急に要ることが多かったものですから、安藤文部大臣と話して、これは実施できませんでしたから、来年度においては、やり方も文部省において、改善といいますか、見直して、かえるというと、どういう御案になりますか、まだ、つまびらかでございませんが、まあ、そういうふうな御案ができますれば、よく相談をいたしまして、私もこの実現には協力いたしたいと考えております。
  115. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に、それでは、先般の衆議院から送付されました所得税法の一部を改正する法律案以下の三税法につきまして、今回の税制改正について衆議院から修正を送付されましたので、この修正送付されるに当りましては、自由党と民主党との間におきまして、いわゆる俗に言われる予算折衝というのがなされまして、最初自由党の方では、投融資に百五十億円、歳出増に百十億、減税が百七十億の合計四百三十億を要求され、これが半分の二百十五億になって、減税に振り向けられるものが六十七億になった、こういうふうに承わっておるわけでありますが、この減税に六十七億が振り向けられますけれども、あと資金委員会というようなものを設けまして、今度の税制改正に伴って預貯金の利子に対しては免税になる。で、この免税処置に伴って預貯金がまあ五百億ぐらいはふえるだろう、自然に増加するであろう、こういう見込みのもとに債券を発行してやると、こういうような、これを財政融資の方に回すと言われるのですが、どのくらいの額を、一体この預貯金の利子の免税に伴って、これは三十五億ぐらいは預貯金の免税による減収を見込んでおるわけでありますが、どのくらいぐらいはこの方面に回す、こういうつもりであるか、この点を一つはっきりお話を願いたいと思います。
  116. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 今度の免税をお願いして、これが実現した場合に、それによってどれほど預金がふえるかということは、これはなかなか算定がむずかしいので、いろいろな事情で預金がふえるわけですけれども、これはむずかしいが、まあ相当私はふえる。これはまあ、この前、あれは無記名でございましたかの預金が認められて、税がなくなったことがあるのですが、そのときにやはり相当ふえました。そのときには事情がまた異にしておりまして、その後における預金に対しては減免の税の特別措置も行われておるし、経済情勢等いろいろありますから、どうということは今ここで申せませんが、そういう経験から見まして、これを機にして相当ふえる。まあ今の目標は、全体として金融機関が八千億というのが大体三十年度の預貯金増加の目標であります。私ども、八千億は少し今日の経済情勢からして、まあ努力目標になるんじゃなかろうかと、まあ七千億程度は私は増加するのではないかと考えております。まあそういうふうに考えた場合に、これをどういうふうに向けるかという問題ですが、今度の予算の修正にも現われましたように、また今後の財政規模等を考えます場合に、一般会計から財政融資に振り向ける財源というものは、私はやはり来年度においても困難だ、ほとんどないだろう。そうしますと、やはり投融資は、金融機関としては、政府の預金部資金あるいは簡易保険、こういう金、その他については民間資金を動員する以外にはない、動員してもよろしいと思います。そうあるべきだと思います。これが正常化の一歩、それがゆえにまた減税もしておる、こういうふうなまあ循環になるわけでありまして、そういう方向にいきたい、かように考えて、今回の減税措置において、いかに預金がふえ、金利も下っていき、事業活動の上における資金の需給関係はよくなる、そこに私は雇用の機会を大きく発見しよう、こういうような構想のもとにやっているような次第であります。
  117. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それで、あなたの言われる七千億が目標だと、大体そうなるだろうとおっしゃるのでありますが、従ってこの預貯金の免税措置に伴ってふえる分を、これはもう限度、これだけは回すと、財政融資の方に振りかえて回すというふうなことで、今あなたはお考えになっておられるが、どれだけ程度回すか、かりに七千億が八千億になると非常に違ってくると思うのですが、これは自由党との間のこの予算修正の話し合い限度一ぱいであって、それ以上はふえても回さぬのか、この点を伺っておきたいと思います。
  118. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) これは財政融資にそういうのを増加額を幾ら回すかということは、これは来年度におきましては、特に今の経審ですか、今度企画庁になりますか、ここで三十一年度のこの経済計画というものが策定されまして、そうしてそういう産業資金の需要額というものができまして、それに基きまして民間からいかに調達するかという金額も出てきます。それをまあ融投資しよう、それは優先的にどうしても融投資しよう、というふうに考えております。
  119. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そこで民間の銀行で預金がふえて、これでまあ財政融資の方へその分から幾分かは振り向けようとした場合に、公債なり、債券を発行するんでしょう。そうすると、その公債というものは、結局は日銀へ持ち込まれてしまって、そうして日銀からまた金を借りてくるというふうに、結局は日銀の負担になってしまうのじゃないか。それで私、そうするとインフレの傾向へ向ってくるのじゃないか、そう思いますが、この点どうですか。
  120. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 今のところあなたからお話の、この来年度公債を発行するということは考えておりません。これは公債のみでいくと、結局まあ財政、いわゆる債務の問題となります。それは今のところ考えておりませんが、しかし今申しますように、民間において七千億に及ぶ金がこれは蓄積されるわけでございます。従いまして三十一年度の経審のこの産業経済の計画にいたしましても、特にこの投融資の額がそんなに大きいものはあり得ないと思います。それはことしの全体の財政の投融資の総額を考えてみても、ほとんどわかるわけでありまして、従いましてこれが充当されたから日本銀行へすぐ持ち込んでいく、こういうふうに考えるのは私は間違っているし、またそういうふうなことがあれば、それは財政に限りません、投資なりあるいは融資が多過ぎるということは、私はいわゆるそれは過大な計画である、こういうふうに批判されるものであろうと思うのであります。まあ昨年二十九年のことを申し上げると、もうすぐわかると思いますが、二十九年度におきまして、この銀行だけの預貯金の増加が約四千億で、それに対して貸し出しは二千五百億くらいでございました。そうして日本銀行に返還になったものが約千九百億である。ですから日本銀行に千九百億も返す金が昨年二十九年度はあったわけでございます。それで来年、あるいは三十年度になりますと、日本銀行に返されなくてはならない金が約五百億ですから、この日本銀行に返す金は五百億程度で、かりに二十九年度なみにはいきますまいが、かりに二十九年度の資金需要を見ると、銀行だけをとってみると、二千億、二千四百億程度と思いますが、そういう程度、そうしますと、そこにどうしても、どこかに投資や融資を求める資金がここに出るわけです。問題は、その金をここに計画に沿うて国民経済に役立つように流せぬかという点にあるので、私はもっぱらそういうふうな、来年は資金をいかに指導していくか、ほんとうに国家有用な道に資金を流し得るかどうかというところに一番問題があろう、かように考えておる次第であります。
  121. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に預貯金の利子所得に対する所得税を免除することと、それから配当所得に対する所得税の源泉徴収税率が百分の十五であるのを百分の十に引き下げる、これでもっていわゆる預貯金とそれから投資との間のバランスをとれるとあなたはお考えになって、まあ税制改正案をお出しになったわけであります。ところが今回の修正によりまして、これではまだとれないというところでもって、今度は配当控除の率を百分の二十五から百分の三十に引き上げて、おまけに今度はこれはもう申告の配当所得に対じまして、税務署に支払者から出すところの申告書について、今までは一回に対して三千円、年額六千円であったのを、今度は五千円にする、この二つの、投資に対してはもちろん均衡はとれてないから、預貯金に免税するなら株の方にももっと免税せよ、こういう折衝が行われまして、ああいうふうな修正案がこちらに回付されたと思うのでありますが、そこで大蔵大臣としては最初にはこれでもって均衡がとれると考えておったようであるが、考え方がお変りになったのですが、そうするとこれでは大蔵大臣としては少くとも少し株式の方に対する優遇が非常に比重が重くなった、こういうふうにお考えになるかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
  122. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 大へん預貯金と株式配当とか、金融あるいは株式投資というものは資金の流れがやはり違いますし、預貯金と株式とはやはり違う点もありますが、しかしまあ私は大体原案でいいだろうと思って実は御審議を願ったわけでありますが、これは率直に言った場合に、預貯金の方はきわめて勤労所得みたいなもので、(笑声)なかなかこれははっきりしております点もあります。いろいろまあありまするが、しかし修正をされた税率も、これもまあ株式に今日自己資金の充実が叫ばれておるときでもありますので、今日のまた財界の情勢から見まして、株式の方に資金を呼ぶ意味からもよろしかろう、かように考えております。
  123. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 どうもはっきりせんので、大蔵大臣はごまかしておるようだが、大蔵大臣としての考えを承わっておきたいのだが、これで均衡はとれると思ってお出しになったやつが、株式の方はとにかく、どうしてみたって実質上優遇に修正されたのでありますから、これでもって株式重点主義に変った、この資金の吸収面におきまして株式重点の方に少くとも変ったとあなた自身がお考えになるか、それとも前のは間違っておったと、こう考えているかどうか、こういうことです。これをはっきりしておいて下さい。
  124. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) そうやかましく言われてもなんですが、(笑声)株式重点というところまではいきませんけれども、株式に若干資金がいくのに便利になったと、こういうふうに私は考えております。
  125. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうするとそれだけ便利になったことによりまして、今これは大蔵大臣は、われわれが申し上げるまでもなく十分御存じの通りに、今の株式市場は相当閑散であって、閑古鳥の鳴くようになっているのだが、このねらいというものは、一つには株式取引所をもっと繁栄さして、また繁栄せぬと資金が集まらぬから、閑古鳥が鳴いておるようなことでは資金が集まらぬのだから、その点も考慮に入れてあの修正案をおのみになったのだろうかどうか。
  126. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 株式市場がよろしくないという、ただそういうふうなことではとてもよくなるものじゃない。かりにまたそういうことでやってみてもとうていいけません。結局において日本経済全体の問題が株式というところに敏感に現われるということで考えなければならぬと思います。今日すでにデフレ政策、しかも本予算も通らずに暫定予算というような形で、ここに約一年半以上経過しておる。私が考えるところでは、今日はやはり一番日本の経済の悪い、悪いと言っては悪いのですが、はなはだ苦しいときである。それはやはり株式市場に現われてくる。ここを乗り切ってしばらくすれば、私日本経済もだんだんとよくなっていく。そうすると株式も、さらに他面において資本の蓄積ができて、金利も下っていくという情勢が出てくれば、株式は私は当然よくなる。そういうふうな経過をもって株式が今後よくなることを期待しなきゃならぬ。しかし、従いまして株式市場を特によくするというような意味をもって今回の修正を認めたというのでは決してないということだけを申し上げておきます。
  127. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今の大蔵大臣のお話では、まことに今は一番底であって、だんだんとよくなってくる、こういうふうな御答弁でございましたが、この大蔵省から出されました「租税及び印紙収入予算の説明」という書類を見ますると、どれを見ましても非常にもう底どころの騒ぎじゃない。今年度は非常によくなるように、たとえば申告所得税にいたしましても、「実績にかえりみて向上するものとして計算した。」、あるいは法人税につきましても、「販売量の推移、物価の見方については、申告所得税の場合に準ずるものとし、企業の収益は、二十九年下期を底として、その後は漸次向上するものとして計算した。」、こういって、どの箇所を見ましてもだんだん向上するのだ。あなたは今年は一番底だと言っておる。ところが実際に大蔵省から配られた資料によると、底どころか二十九年度に比べても向上しつつあるのだ、こう言っておりますが、ここに幾らも見方の違いがありますが、この書類と違ってくるのですが、その点伺っておきたい。これはどこでも向上々々と書いてありますよ。
  128. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) それは私違っておる。今私が気がつきませんでしたが、ちょっとこの本を見ましたら、二十九年の下期を底としてというふうに書いてあります。ですからこれはなかなか幅がありますから、そういつ幾日を、かりに大きな経済、特に世界経済をまたにかけて動く経済が、いつ幾日を境としてよくなる、悪くなるとか、これはやはり私、底と書いた人がどういうふうな意味に書いたか、これはそう責めらるべきじゃないと思う。かりに書き方が、これを実は私見まして、この文字が何でしたらこの文字はここで修正してもよろしいのであります。下期ごろ、まあ下期ごろからというようにお読み下さってけっこうじゃないかと思います。これはなかなか幅が広うございますのですから、なかなか一カ月や二カ月、三カ月の違いでこの景気がどうとかこうとか、これはちょっと私受け合いかれる。
  129. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでは次にお尋ねしたいのは、あなたはこの減税の問題について意見を発表されました際に、将来この減税をする原資は、酒をたくさんこしらえて飲ましてそれで酒税の増収をする、こういう問題でやっていこうというので、現に現われてきた直接税と間接税との累年比較を見てみますると、戦後直接税と間接税との比率を見まする場合に、戦後ずっと見てみまして、一番間接税の率は今年は直接税に比べて多くなっておるわけです。将来あなたの税制方針というのは、この直接税に比べて間接税の率をふやしていくというのが考え方であるかどうか、これを一つ、砂糖をたくさん輸入して砂糖の消費税で、——消費税もふえていくわけですが、こういうふうにして、そういう方針でやっていこうとするのか、間接税と直接税の比率についてお考えを伺っておきたいと思います。
  130. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 御指摘のように、だいぶん間接税の改正によりまして間接税の上る率も高くなっております。まだしかし、今日私は直接税が重いという感じを持っておりますので、これらについては先ほど申しました近く有能な人によって御検討を願う税制調査会の意見をよく聞いた上で考えてみたいと思います。
  131. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 すでに今年は戦後初めて間接税の直接税に対する比率は一番最高を示しておるわけです。戦後の、だからそういう方向をたどらす。重いからいうので一番身にこたえます。直接身にこたえますけれども、間接税というやつは何としましてもこれは大衆課税、これはたばこ、しんせい一つすって二十八円税金を納めるにいたしましても、一萬田さんがおすいになっても二十八円なら私がすっても二十八円、同じようにこれは税金を納めることになるのですから、それはまたニコヨンの労働者でも二十八円の税金を納める。これは間接税というのはしらずしらずにとりよいかもしれぬけれども、結局負担が大衆にかかってくる、こういうことになるわけであります。比率を引くならば大したことはないようでありますけれども、戦後の最高の比率を示した。これは減税をしなければならぬので、苦しまぎれに今度は間接税の方へ転嫁をさして、そしてここを切り抜けようとあなたはされたような傾向があるのですから、今後これを続けていくかどうか、こういうことを伺っておきたい。
  132. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) これは続けていくかどうかは、ここまできましたが、先ほど申し上げましたように、いろいろな専門的なかつ練達な人の御意見を聞いて私はいきたいと思いますが、私の考え方では、ちょっと考え方を申しますと、直接税が非常に重いということは、国民の大多数の人が皆同じようなこの所得関係にあるということは、私は概して意味がないのじゃないか、こういうふうに思います。従いまして、この間接税に対する考え方が昔とは、非常に直接税が重くなかったときとは、間接税の大衆課税というような考え方はよほど私は修正する余地があるのじゃないかと思うのであります。それはもとのルンペンとかいうものを取り上げれば非常に何ですけれども、大体国民の大多数の人の所得の関係と今の税制とは似たような結果になるのです。少くともこの所得が、それはむろんありますよ、違いはありますが、前に比べて、ずっと直接税が重くなかった時代に比べると、私はよほど情勢が違いはせぬかという、これはまあそう思いますが、大体少くとも勤労階級にとっては、それは会社の重役であろうがあるいは守衛であろうと大した違いは……、実は昔はなかったのです。これは具体的にいいましてもほとんど違いはない、そういうような情勢は昔はなかったのです。昔はそういうことはなかった。しかし今ではそういうふうになる。これはやはり私は直接税が重いという大きな証左じゃないかと思うのであります。これはいろいろ練達有能な方々の意見を聞かなければならぬので、私ちょっと頭に考えたことだけお答え申し上げます。
  133. 天田勝正

    ○天田勝正君 先ほど私が大前提でお伺いしたのにも関連するし、今の菊川委員質問にも関連いたすのでありますが、どうもものの考え方の根拠が、質問いたしておりますわれわれの方と大臣との中ではえらい違いがあるので、何べんやっても焦点が合わない、こういうことになってくると思うのです。昔のように所得税を納めるのが、農村に例をとれば、一村に五軒か六軒で赤い色で印刷された国税の徴税令書を下げて村道を歩いていくことが何か鼻が高いというような時代と比べれば、確かに大臣が言うように所得税が今日大衆課税にあらずと、こうきめつけておることは、それはよほど考え方を違えなければなりませんけれども、私は先に申し上げましたように、生活実態というものははなはだしく違う。たとえばそれは重役さんも小さい会社では五万か六万、しかし勤労者といえども、ちょっと腕のいい職人は三万ぐらい取る。表から見たところでは大した変りはないじゃないか、こういうことを思って私は言われておるのじゃないかと思う。ところがさて、確かにその差は二万か三万しか違わないように見えるけれども、生活実態というものにはおそろしく違う、ここに私は問題があると思うのです。であるからそういうアンバランスの問題を含めて再検討をする用意があるかということについて、用意あり、十分研究いたしましょうと、こういうお答えであった。私はそれがだんだん質疑を展開していくうちにおかしくなってしまって、根本的な物の考え方が違って、どんな大きな重役さんも勤労者も大した差はない、こういうことではこれはきょうの質疑にはおえなくなってしまうのですが、一体この生活実態と税との関係を根本的にどう調整するか、例をあげると長くなりますから、一つあらためて僕はこの点をはっきりしていただきたい、そこをはっきりいたしませんとあと質問をいたしてもむだだと思います。
  134. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) いや、私は重役と職工が皆同じと、こういうわけではない。昔の開き工合と今の開き工合が、やはり所得税の関係等もありまして、今度は近寄っておる、その関係を私は申して、そうして全体の社会関係を申し上げたわけであります。何も重役と何が一致しておるとは言いません。またしかし、その人のほんとうの所得と所得税との関係を見れば、これはやはりほかの生活の、現実の生活がそれはいろいろのことで、あるいはいろいろな生活の様式をしておるかもしれませんが、今日ほんとうにその人の個人の所得と所得税の関係を見ると似通っておる。従ってほかの生活態様については、おそらくはほかの方法は何か悪いところがある、正しくないところがあると、別個に考えなくちゃいかぬだろうというふうに考えておるわけであります。かりに、いかにそういう場合に重役だけを所得税を高くしてみても、ほかの方が悪ければ、やはりこれは生活態様が変らないと思うのです。ですからそこのところはやはり区別しなければならぬのじゃないかと思うのであります。私は決して一緒ということを申したわけじゃありませんから、そういうふうな誤解がありますればつつしんで修正をいたします。
  135. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そこで具体的にもう少しお尋ねしておきたいと思うのですが、あなたはいかにも平均みたいになっておると言われるが、この預貯金に対する、預貯金利子所得に対する所得税を免除するということになって、これは五千万円かりに無記名定期で預けてあるという人につきましては、これはもう税金がかからないことになってしまう。だから寝ておってそこから入ってくる利息に対しては税金がかからないものでありますから、これが今までは源泉徴収というようなことで、何かこれにも税金をかけるのだ、だから無記名にしてもよろしいといってあの無記名定期というものを考え出された。それが今度は免税になってしまう。そのかわりに弁当持ちで満員電車にゆられて通っている者については、五千万円の預金をしておいて、そこから上ってくる利子所得と、それから今度は給与所得と比べた場合に、家族も養って、そうして給与によって生きておるものについては税金がかかってくるということにつきましては、あまりにもこれは開きが大き過ぎるのじゃないか、こういうふうに私は思うのですが、あなたのは、預金に対して利子が入ってくるのは勤労所得みたいなもの、預金の動労所得とはどうしても私は考えられないのだが、そういったものには免税されて税金がかからない。ところが毎日月給取りで通っておるものについては、同じ額の所得で税金がかかっている。これらについては不均衡だと思うのですが、それが不均衡ならば、もっと利息を下げて、だんだんと金利を下げると、こう言っておられるのですが、世界の水準からすれば、日本の金利ほど高いのはない。また借りる方にすれば、公定の金利だけではなかなか借りられない。だから金融費というような名目からして、実際には一割五分も二割くらいも金融費がかかるという実態なんです。従ってこれを下げていって、うんと金利を下げるようにしまして、その下に立って免税ということなら話はわかるのだが、これらの点についてはほとんど考慮されずに、そして免税だといっておられるのだから、ここに均衡を失するものがあると思うが、将来は金利の引き下げということを免税とからみ合わせて考えておるのかどうか、これを伺っておきたい。
  136. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) むろんそれを考えておるのであります。この貸出金利を下げていくためには、どうしても預金金利……、だんだんまた資金が集まれば当然預金金利も高くなる。そうするとこれは預金をしないという限界がくるかもしれませんが、そうして下げていって、両方、貸出しも預金も下っていく、こういうことです。その糸口を初めの二カ年で、こういう状況ですから一、二カ年で作る、そしていこうと、こういう考え方であります。それはお説の通りであります。
  137. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 もう一つだけ伺っておきたいのですが、これは主税局長からお答え願ってもいいと思いますが、このあなたの方から配られました租税及び印紙収入予算の説明書の「預金利子は定期性預金の伸長によって、前年に対し増加するものとして計算した。」と、こういうふうに述べられておりまして、今度は八ページに参りまして、預金等利子の課税免除による減収見込額は三十五億九千六百万円、こうなっておる。次にこれを差し引いて預金等利子に対する税額として十七億九千七百万円、こういうふうに載っておるのですが、これは一体どういうことになるのか。この預金については全部これはもう免税ということになるのじゃないですか。この点を一つ食い違っているようだが、伺っておきたい。
  138. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 今御質問の点は、預金利子の免税は、政府の原案で参りますと、七月一日以降に支払われる分が免税になるのです。従いまして、四月から六月までに支払われる預金利子については課税になる。これは本年度の歳入として入ってくるのであります。従いまして、本年度の歳入の中には、やはり預金利子に対する課税の税額が一応見積られなければならない。そういう意味におきまして十七億という数字が入っているわけであります。
  139. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうしますと、平年度でありましたら五十三億ばかりの減税になるわけです。そうすると、五十三億の減税をすることによりまして——それでは大蔵大臣にこれをお聞きしておきたいのですが、預金利子の免税は平年度は五十三億の免税になる。五十三億の免税を行うことによって、そのことによってふえる預金の額は一体どのくらいを見込まれておられるのか、それを一つ
  140. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 数字の点だけ先に申し上げておきます。平年度におきましてはお説の通り五十三億円源泉課税の方では減税になります。ただ、これはまあ菊川委員よく御承知だと思いますけれども、法人税の関係で、法人に支払われる預金、これは通常でございますと、源泉で納めた分だけは申告の方から差し引かれますが、今度源泉で取られませんと、申告から差し引くものがございませんから、それだけ法人税がふえます。その分は平年度におきまして約十四億と見込んでおります。従いましてそれを差し引きますと、歳入としての純減で平年度三十九億、こういう数字になっております。とりあえず申し上げます。
  141. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それで大体わかりました。  それからもう一つ、今度はこの減税措置とそれから修正に伴いまして、当然地方地方税のはね返りがくるだろう、これは考えなければならぬことです。それで、地方税のはね返りについては、二百十五億の修正については二十億地方債を認めておる、これでまかなっていくつもりですか。修正の二百十五億の中から地方債で二十億でもってはね返りはまかなうと、こういうのか。この二十億は一体どういう関係から出てきたもんだか、それを伺っておきたい。
  142. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 修正による減税の方が地方財政に及ぼす影響は二つの面で現われてきます。一つの面は、所得税、法人税が減じました場合に、それを一応の標準として住民税をかける、それで住民税の中で個人に対する関係におきましては、御承知のように所得税割と所得割と、オプション・ワンとオプション・ツウといっておりますが、その二つのやり方でやっております。所得割につきましては、今度の修正では大した影響はない。従ってこれについては措置はしておりません。所得税割の場合につきましては、そのままにしておきますと、それだけ一応の従来の標準の税率でありますと、住民税が減るわけでありますから、この分につきましては、別途衆議院地方行政委員会で御審議願っておりますが、大体これは政府原案の場合においても同じだと思いますが、現在納めている絶対額程度は納めていただくという意味におきまして、その所得税割の実は標準税率を上げるのです。それは現在納めている程度は納めていただくという趣旨でございます。それから法人税割につきましても同じようなことを考えておりまして、今度ある程度減りますものでございますから、別に絶対額でふやすという意味ではございませんが、一応率としてはふえる。で、これが一つの影響する面とそれに対する措置でございます。  もう一つの面は、今度六十七億減りましたもんですから、六十七億減ると、それに応じまして御承知交付税の額が減って参ります。これは二二%ですから十四億、この分につきましては、とりあえずの措置といたしまして、たばこ専売益金から本年度当初三十億繰り入れることになっておりました地方交付税特別会計繰り入れになっておりましたその額を、十四億ふやしまして、そして一応今度の減税措置によりまして地方財政がすぐにマイナスが出るということのない措置は講じております。  なお、今の交付税関係の問題につきまして、明年度以降の問題としましては、たばこ消費税の税率を上げるということを、これまた別途地方行政委員会で御審議願っておりまして、それによって措置すると、こういうことで、今度の減税措置及び修正案によりまして地方財政が直接それによってすぐに影響を受けるということのないような措置考えておる次第でございます。
  143. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 補足いたしますと、御質問の中に二十億というお言葉がございましたが、これは二十億は、今回の修正増加の歳出が当初百八億といっておられましたが、百八億のうち国費としては八十八億にいたしまして、この国費の支出に伴う地方負担、この二十億を地方の起債で見たということでございます。従ってこれが今回の歳出、補助金等地方負担分を見たわけでございまして、経常的な財源措置は先ほど主税局長から御説明申し上げた通りであります。
  144. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうすると租税特別措置法の一部を改正する法律案の修正に伴いまして、地方税の率を上げるということに相なったら、現在給与所得者に一ついてはほとんど社会保険料の控除その他で、一万五千円の限度のものはもう控除はされない、社会保険料で控除されていますから。従ってこれによって控除をされる人たちこそはいいけれども、控除をされない者についてはほとんど現行通りに近いような税金を取られて、それがオプション・ワンによって地方税をかけられるということになりますると、給与所得者は非常に重いこれは実質上の地方税の増徴ということになると思うのでありますが、これはなるほど選択によって、一万五千円の選択の適用を受ける者はいいけれども、受けない者はそれだけ重い税金をかけられる、こういうことになると思うが、この点はどうでしょう。
  145. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 一応平均的な率でもって措置してございますので、今お話しのような点が多少出る面もある……。
  146. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 多少ところではない、出てきておりますよ。
  147. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) ということは考えられますが、ただその率の関係からしますと、非常にわずかな率でございますので、あまり大きな額として御心配になる必要はないのじゃないかというふうに思います。今の六十七億の関係は非常に私は金額としては少なかったと思いますが、先般の率の変更も非常にわずかであったと思いますが、その率はすぐ調べまして御答弁いたします。
  148. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 それでは大蔵大臣にもうこれで質問を打ち切りますに当りまして、大蔵大臣が非常にしぶしぶ予算修正に応じられたことを伝えられております。最後にまあ大蔵大臣は保守連携のみやげとしてならのむというような談話を発表になったようであるし、この点について伺っておきたいと思うが、保守連携のみやげものとしてやられる、税金を減らすのですからいいですけれども、それによって株式を持っておる人に有利なふうな保守連携のみやげで、予算案が修正されて、ただ、一般勤労者にとって原案よりいいのは、所得税法の一部を改正する法律案の寡婦控除だとか不具者控除というようなごく特定な人たちだけがいい。これにちょっぴりうまい汁を吸わせておいて、あとは主として株式を多数持っておる……、百分の二十五を百分の三十にすることによって得るのは金持ち連中が得る。これが保守連携のみやげものになるということは、まことにおもしろくないと思いますが、あなたは信念を持ってこれに応じられたのであるか、あるいは誤りであった……、巷間伝えられるようなことてあったならば、われわれちょっと納得できんと思いますので、この点を一つ最後に伺って私の質問を終りたいと思います。
  149. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 決してそういうふうに巷間伝えられるようなことを言ったわけではありません。私は誠心誠意、予算をいかにすみやかに通過させるかという、ただその考え方から、現在としてやむを得ないというふうに考えただけであります。ただ伝えられたことは、何も私はうそを言う必要はありません。私はそのときにただ自分自身で、自分考えとして、もう少し強い政治力があればいいなというような、そういう感懐を心のうちに持っておったということだけは、これはもう私のそのときのやはりほんとうの心境であるのであります。ただしかし、それでどうしたというわけでは決してありません。これは私の気持はそうであるわけであります。それはうそではありません。そういう感懐があったということであります。
  150. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 最後の方はどうもわからんのですが、大蔵大臣はだからこれは単に保守連携というようなことを考えてやったのではなしに、これの方がいい、これはもう今後この予算の執行に当ってあなたは責任を持たなければならぬ方でありますし、この修正された税法につきましては、責任を持って執行に当られなければならぬのでありますから、信念を持ってこの方がよかった、いいのだという考え方のもとに執行に当られるのか、それとも政治力が弱かったのでやむを得なかった、あるいは保守連携という大局から見て、これは修正案に応じたのだからやろうというのと違うので、そんなことで税法の改正が保守連携の具に供されるというのであったならば、国民として納得できないものがある。われわれは大して期待もしておりませんけれども、その期待しておった、せっかくこういう修正もされて、そうして期待しておった保守連携が雲行きがあやしくなってきたということにおいては、何らこれはもうただ予算が通るというにすぎない。予算が通るのはむずかしいということは初めから、百八十五名の少数でもって組織されたのでありますから、非常に難航するのは目に見えておる。いろいろの面から各党それぞれ政策の違いがあるのでありますから、それは修正の意見も出てくるのは当り前でありますから、当然のことであります。それは予想せられて乗り切る自信を持って臨まれたはずである。私は最後に申し上げておきたいのは、あなたのこの予算修正に応じられ、税法の修正にも応じられたという裏には、保守連携のみやげものがついておったといっておるのだが、そのみやげものの方はあやしくなって、いよいよ肝心の税法の修正だけは通ろうとしておる今寸前にあるのですから、その点をはっきりと一つお答えを願っておきたいと思うのであります。あなたの心境を聞いておきたい。これは大事だと思うので、国民の代表として……。
  151. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 私は全体としてこの修正された予算がいいと確信をして応じたわけであります。
  152. 平林剛

    平林剛君 修正案の方が全体としていいという答弁は、私はどうも、あなたが委員会へ出て当初私に答えた答弁とは食い違いが出てきております。なぜかというと、私が今度の修正案全般についていろいろ具体的なことを指摘して大臣の答弁を願ったわけなんです。そうするとあなたの答弁は、いろいろな面において矛盾やあるいは批判をされる点はよく承知しておるが、これは近く税制の調査会において識見のある人の御検討を願うというつもりであるという答弁がされておるわけです。今菊川委員へのお答えでは、それがいいと言うし、また税制調査会に対しては、私が指摘した点については十分検討してもらう、選択控除の点についても、あるいはその他の点についてもお答えがあったのでありますが、この食い違いはどういうわけであるか、はっきりと……、それは私は大臣のこの委員会における前とあと答弁が違っておるので、やはりこの点は正確にしっかりした考えを持って答弁してもらいたいと思います。
  153. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 私の申しますのは、予算の通過ということまで考えて、全体としてということを申したのでありまして、むろん個々について、私は初めから断わりましたように、私自身としては原案を確信を持って出しておる。原案が私はいいと思うが、しかし全体という意味は、全局の予算の通過までやはり大蔵大臣としては考えるべきだと思っておりますので、全体を通じてみた場合に、個々についてはいろいろと意見、批判もあるのでありますが、全体として見た場合に、私はこれに同意をして通過をはかりたい、こういう意味合いであるのであります。  なおまた今調査会にかけるのは、これは今度の修正には関係なく、いろいろのことについて全体として一つ御研究を願う、こういう考えであります。どうぞあしからず御了承をいただきたいと思います。
  154. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 もう一ぺん念を押しておきたいと思う。そうすると修正に、税制改正全般に対するところの衆議院で修正されたというのは、予算の通過のための一つの手段として税制改正が修正をされた、こういうことですね。政府の原案が修正された、それに応じたのは、予算通過の道具といいますか、手段として修正されたものである、こういうふうに受け取った方がいいわけですね。
  155. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) そういうふうに通過のための手段ではないのであります。そういうことまで含めてのことと、こういうふうに御了解を願いたい。
  156. 天田勝正

    ○天田勝正君 私、税法だけの問題かと思っておりましたら、補助金等臨時特例法律も今議題となっておるということでありますので、大臣がおりますから、その補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案について一つだけお尋ねしたいと思います。  この法律を提出されました主たる理由は、昨年も本年も同様で、国の財政の健全化の目的からこういうことに相なっております。一方この法律は言うまでもなく時限立法でありますから、もちろん補助金の諸法律、これを全くやめるという考え方ならば話はまた別になり、論議もまた別になるのでありますけれども、一時的な措置である、こういう前提でありますが、さてそこでそういう前提に立った場合に、前吉田内閣におきましては、この措置は一年でよろしい、こういうことで、従って国の財政の健全化は本年の三月までにはどうやら直って、今年度においてはこれら、補助金は与えられるという推定に立つべきだと聞いたと思うのです。ところが今度は鳩山内閣ができますと、もう一年たたなければ国の財政の健全化がはかれない。私は自由党のちょうちんを持つわけではございませんけれども、どうも自由党から民主党に移っただけで国の財政の健全化が一年おくれるのだ、こういう印象をこの説明の中からは受けるのでございますけれども、これに対してどうした御所見を持っておられるか、これが第一点であります。  次には、かりにやむなく今年一ぱいこれをまた延期いたしまして、また厚生省関係の一定の補助金の制限を付け加えるとしまして、今度こそ来年の三月までには国の財政の健全化がはかれて、来年度においてはこれら十七項目にわたると存じますが、補助金を一切復活をするというお考えでございましょうか。あるいは根本的にこれらのものはやがて全部廃止してしまうという考えでございましょうか。またはその一部は廃止し、その一部は全般に復活する、こういう三つの方法があろうと思いますけれども、その三つのうちいずれをおとりになる考えでございますか、この点を伺っておきます。
  157. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 実は根本的に検討を加える時間がありませんでしたので、とりあえず一年間延長をお願いいたしたわけであります。来年度におきましては根本的に検討を加えてみたいと思います。そしてその結果、あるものは廃止するようになり、またあるものは改善を加えてあるいはそのまま存置する、かような結果になろうかと思う次第であります。
  158. 平林剛

    平林剛君 今の補助金等臨時特例等に関するこの法律案は、どういう補助金整理し、どういう補助金を残すかということを検討する期間がほしいから一年間延ばしたい、政府としては猶予を求めた法律案だと私は聞いたのであります。ところが今大臣はそういうふうに答弁をされた、それならば一年間かかって、これから長い期間かかって検討しなければならないものでしょう。非常に私はこれまで幾つかの問題点があって、なかなか結論がむずかしいけれども、それじゃなぜ今の政府は、自由党と民主党とこの間のときに補助金のやつを変えたわけですね、そんなに安直に変えられるわけですか。私は今度の政府措置というものは、非常にこの法案の趣旨を曲げたように、いろいろ政党間の折衝もうまくいかぬというとばたばたと方針を変えてしまう。非常に政府の態度というものはあいまいであり、矛盾をしておると思うのです。この点についての御見解をお聞きしたい。
  159. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 事実を御説明申し上げます。ただいま平林委員から御指摘のように、自由党の予算修正に関連をいたしまして、補助金の案を自主的に変えたという点は、当初の原案におきましては、防火地帯造成費補助というものを今年は新しく特例法の中に入れまして、一年限りで打切りたいということにいたしておったのでございますが、自由党との予算折衝の結果、これは本年はどうしてもこの予算を計上するようにということでございましたので、この分を削除いたしまして、これが実質的な修正の唯一の点でございます。  その他の修正につきましては、これはきわめて技術的でございまして、当初御承知の通り、六月から年度末まで期間を延長していただきたいというふうに原案を出しておったのでございますが、先般暫定予算の成立に関連をいたしまして、とりあえず六月一ぱいだけ従来の特例法の延長を認めるということに当委員会においても御議決になり、その法律が成立いたしました。そこで政府が最初に出しておりました法律のうち、六月分は、いわば無意味の規定になりましたので、この点を修正いたしまして、七月以降年度末まで延長するということに御修正を願ったわけでございます。御修正につきまして御同意を願ったわけであります。そういうふうに実質については、防火地帯造成費だけが修正になりましたが、その他の点につきましては、前年度の特例はそのまま年度末まで延長していただきたい。また国立公園整備費補助は、政府が当初原案として出しました通り、本年一ぱいはこれを補助金として計上しないということに御了承願いたいということになっております。御了承を願います。
  160. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今防火地帯の話がありましたが、質問に入るついでにちょっと伺っておきたいのです。項の復活なんでしょう。前は項に計上されておったと思うのです。そうすると項のあれがなくなった場合、これは今度新設と同じことになるのではないですか、復活ということは。部款項までは議決対象ですね、そういうものを修正をして、項を新しく設けたと同じことになるのではないですか、実質的に。
  161. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) この点につきましては、かねて予算委員会でも木村先生からも御指摘があったところだと思います。私ども両党の修正の御趣旨を漏れ承わっておるのでございますが、前年度は確かに一つの項として掲げておったのでございますが、本年はいろいろ科目の整理統合をいたしまして、この項はまあ予算の計上もなかったのでございますが、統合させてどこかの項に入ることができないかということを御検討になりまして、建設本省の方にお入れになったように伺っておるのです。それが一体予算の議決の関係から申しまして、全く目的外の問題であろうかどうかは、これは皆様方の御判断でございますが、たとえば建設省の予算の中には、都市計画関係の項もございます。そういうふうな項もございますが、やはり防火地帯造成費の今回修正増額になりました分を計上するのは、今日出しております予算のうちでは、建設本省の項が最も適当であるという御判断のもとにそういうふうに修正になったように漏れ承わっておる次第であります。
  162. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 項というもののきめる基準はどういうふうにする、これは大蔵大臣がきめるのですか、項の場合は。項の新設になると、予算の議決対象の、いわゆる行政科目ではないから、そこで問題になるので、いろいろ探して、結局そこに突っ込んだように伺うのですがね。これはかってに項というものはそういうふうに修正やるとき——これは今後の修正で問題になると思うのです。当然議決対象の修正に実質的にはなっているのに、そうなると国会で問題になるから、ほんとうなら政治責任を負わなければならないのを、いろいろ考えて、それを方々へ突っ込めばこれはごまかせるおけでしょう、一応は。しかしそういうような乱用は実際許されないと思うのですが、今度の場合は一つのいいケースなんですね、問題は一つでありますけれども。今後そういうことも出てくるようなふうに思われるのですが、それはどういう基準でどこがどういうふうにしてきめるのかということを伺っておきたい。
  163. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 款項の区分はきわめて重要でございまして、これをみだりに変更すべきものでないという御趣旨は、全く私どもも同感に感じております。ただ、現在今まで政府が提出いたしておりました原案の項の中で、たとえば今回のような防火地帯造成費補助を入れる項が全然ないという場合には、これは新設をせざるを得ないわけでございます。そういうきらいのありましたために修正をお断わりした例もございます。ところが、ただいまおあげになりました防火地帯造成費の補助につきましては、先ほども申し上げましたように、建設本省の項に入れるか、あるいは都市計画地帯の一般の補助金の項に入れるかという点につきまして御検討になりました結果、建設本省の項に入れて十分目的を達する、またそれが適当である、こういう御判断に相なって、政府側におきましてもその御判断に同意をいたしたようなわけでございます。
  164. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これはまあ税の質問じゃありませんから、これでやめますが、それは修正者にも相当責任があると思うのです。だんだん予算のあれが粗末になってきています、取扱いが。修正のたんびに非常にお粗末になってきている。今ここで責めてみたところであまり効果ないと思いますが、実におかしなことになっていると思うのです。始末に困ってそういうふうになったと思うのです。  それは別として、税制改正の問題について、大蔵大臣せっかくおられるのですから、おられる間に質問をいたしたいと思います。  第一に伺いたいことは、先ほど大蔵大臣は、今の直接税は現在でもやはりまだ重いということを言われたですね。これは国際的比較から見まして確かに重いと思います。なるほど国民所得に対して税額は比率はよその国よりは高い。比率は高いのですけれども、しかし国民所得個々の内容と比べてみますと、いわゆる税負担というものは、よその国の税制とにらみ合わせてみますと非常に重い。そこでまだ直接税は重いというお話だった。今後もやはり減税については考慮されるわけですか。
  165. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) これは結局税の起ってくるもとといいますか、今後の経済の動向にかかわることも多いのでございますが、税収が思うようにくれば、これは減税の財源も出ようかと思うのでありますが、今すぐに希望としては減税をやりたいとも思いますが、なかなかこれは歳出も今後において相当ふえる、今のところすぐに減税が可能であるとも言い切れないことと考えております。
  166. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、大蔵大臣さっきまだ直接税は重い、しかし今後も歳出がふえるからやはり困難だ、こういうようなお話でしたが、今度の、私これは実際問題としてですよ、今度の減税によって、来年また平年度化すれば減収になると思うのです。そこで問題になりますのは、今度の税制改革と関連して、今後は国民所得に対する税収入の割合に、国家支出の方のふえ方の方が速度は大きくなるのじゃないかと思うのですね、今の税収入ですと。これはどうしても歳出超過の傾向も出てくる。それを埋め合わせるには、公債政策をとるか、増税によるか、歳出を削るか、どっちかしなきやならんと思うのです。しかも大蔵大臣は、まだ税金が絶対的に重いんだというのです。なるほど確かに重い、国際比較でも確かに重い。世界一に私は重いと思う、主要国と比べればですね。そこでその矛盾をどういうふうに解決するか、私は実際問題としては、歳出を削る方向にいかなければ収拾つかない、国民負担の軽減というものはできない。この税収と歳出との関係について今後どういうお考えでいるのか、収拾つかなくなってくると思うのです。結局公債政策、インフレ政策に追い込まれるのじゃないかと思うのです。税収の問題と歳出との関係についてどうお考えになっておりますか。
  167. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) ちょっと一言前のにお答えしますが、先ほど直接税と間接税との関連においてどっちが重いかというような話し合いの場合におきまして、私は、減税する場合においてはこうというふうに申し上げて、すぐ減税するとは申し上げなかったつもりでおります。  そういうことはましばらくおきまして、お話のように今後においてどうしても私どもやはり、歳出を小さくするということを思い切ってやらなくちゃならんだろうと思っております。これは従来非常な強い内閣の、あるいは政府の場合においても容易でなかったのでありますが、この際、私はやはり中央地方を通じて思い切った行政整理といいますか、これをどうしてもやらなくてはならないのじゃないかと思っておるのです。これにはまた非常に強い政府と申しますか、確固たる政治を打ち出していく必要があるだろうというように考える。そうしないとなかなかこれはむずかしい問題じゃないかと思っております。   〔木村禧八郎君発言の許可を求む〕
  168. 青木一男

    委員長青木一男君) 木村君、あなたおいでになりませんでしたが、きょう採決する予定でございますから、なるべく簡単に。
  169. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 簡単にといって、税の質問していないのです。ですからこれからするのです。ほかの方が質問しておったから待っているわけです。
  170. 青木一男

    委員長青木一男君) 今までずいぶん何回となくやっております。
  171. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今菊川さんやっておったじゃないですか、その後ずっと私待っていたわけですよ、そう制限されても困ります。
  172. 青木一男

    委員長青木一男君) 今日まで……。
  173. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 おさえるならおさえるでいいですよ。あなたしょっちゅう僕の質問をおさえ、ますけれども。
  174. 青木一男

    委員長青木一男君) なるべく簡単に願います。
  175. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まだ質問を和めたばかりじゃありませんか。
  176. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 始めたんだから……。
  177. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ほかの人が質問されているのを私待っているわけです。順番をちゃんと待っているわけです。
  178. 中川幸平

    ○中川幸平君 出席していないで……。
  179. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最後だから来たのです。
  180. 木内四郎

    ○木内四郎君 木村君、違うよ、重複して……。
  181. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最後だから……。
  182. 木内四郎

    ○木内四郎君 今まで来ていないで待っていたということは間違いだよ。
  183. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 質問したばかりじゃないですか。
  184. 青木一男

    委員長青木一男君) なるべく簡単に……。
  185. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そんな時間に質問を続けます。大蔵大臣予算委員会で、来年の予算は一兆円というものは守れないだろう、こう言われておる。それで今極力やはり財政支出は削らなきゃならん、こういうふうに言われているのですけれども、その点はどうなんですか。来年はやはり一兆を続けるのですか、それとも一兆を続けられない、こう考えるのですか。
  186. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 私は財政規模は今日、日本の状況からしてなるべく多くないことを主観的には希望いたしますが、しかし客観的な諸情勢からいたしまして、来年も一兆ということは困難であろう、かように考えておるわけであります。かりに一兆を超えても、どう超えるか、これは今後のやり方いかんで、今ここでどうこうということは申し上げることはできないが、かりに一兆を超えても、これは私は歳入でまかない得るという考え方を今持っております。
  187. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと直接税は現在でも重いのだと言われておる。さっきのお話ですと、まだ減税をする余地があるやに言われたのですが、一兆を超えるということになりますと、それは希望しても結局できない、こういうことになると思うのです。  次にお伺いしたいのは、直接税と間接税の関係ですけれども、これはなるほどインフレ期においては間接税にこれは中心が行くことは、租税の負担公平の原則からいって、これは私はかえってその方が負担の公平になると思うのです。インフレ期になると所得の捕捉が困難ですから、前にインフレ期においては捕捉困難だから、むしろ間接税の方が捕捉しやすいので、間接税中心にあのインフレ期においては移行したわけです。インフレがおさまって通貨が安定してくると、そういう場合にはむしろ直接税中心に行くのがこれが常道だと思う。インフレ期においては確かにやみ所得その他で所得捕捉困難だから、間接税にウェートを置いていった方が、これはむしろその方が公平だと思うのです。ところが通貨が安定して所得の捕捉がしやすくなる。そういうもとで直接税中心をやめて間接税中心に行くのは、これは逆行だと思うのですが、その点さっきの御説明ではどうも私納得できない。その点いかがですか。
  188. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) これはまあこの程度の問題であると思う。どっちがいいからといって一方に比重をかけてはいけないと思う。そういう点は十分考え……先ほど私はいかにも直接税をすぐ下げるかのような御印象を与えたかのように思うのでありますが、私は直接税が今日の税のもとにおいても重いということを申し上げたのであります。今後減税でもする場合はやはりこの直接税というのは考えてやるのがいいじゃないか、かように申し上げたわけでありまして、来年からまた直接税を下げるということをお約束をしたわけじゃないのでありまして、これはなかなかむずかしいところにあり、十分の検討を歳入歳出ともに加えないと、何ともこれは言えん状況であります。
  189. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今度の税制改正は二つの点をねらっておるのですが、一つは資金の蓄積に役立つような税制改正、もう一つ負担の軽減、こういうことになっているのですが、今の税収をごらんになりまして、大蔵大臣どうお考えになりますか。この税収の負担公平の立場からいきましたら、あまりに今の税収から見まして負担不均衡になり過ぎやしないか。それは勤労源泉所得とそれから申告納税の比率ですね。これは今度の修正の数字を持っておりませんが、最初原案では、申告分は今度の改正見込みで六百六十八億、源泉分は二千九十一億です。三分の一以上なんですよ、この源泉分が。それで分配国民所得を見ますと、勤労所得とそれから業種所得、これはそんなに変りません。多少勤労所得の方が上でしょう。上でしょうけれども、勤労所得の国民所得の算定の仕方が昔と違っておりまして、動労所得の方は税込みで動労所得を計算しておったり、その他国民所得の計算に非常な昔と違って、昔は農林水産業がこれは勤労所得として入っていなかったけれども、今度入っておる。いろいろなそういう何があるが、それから民間企業実態調査、こういうものをもとにしておりますから、これを総理府の労働力調査資料として計算し直すと、大体三割くらい動労所得の方はこれは低い数字が出てくる。これはまあいろいろな意見があると思うのですけれども、それにしても業種所得と勤労所得があまりそう大して違わないと思うのです。分配国民所得ではそれにもかかわらずこの税収から行きますと源泉分が二倍以上ある、二千九十一億で、申告分が六百六十四億、これでは何と言ったってあまり不均衡過ぎやしないか。減税のたびに開きが大きくなってくるのです。それではその負担均衡からいってあまりひど過ぎるのじゃないか、これは大蔵当局も認めておると思うのです。しかしながらこれを減税すると、この負担の均衡をはかろうとすると税収が減ってしまうから、仕方なくこの不均衡を認めておる。ことにまた地方税収にも関係が出てくるでしょうが、この不均衡が地方負担でうんとまた不均衡になっておる。これは拡大されておるのです。これは何とかして直さなければいかんと思うのですね。そういう努力がちっともされてないのです。こういう税制改革にはこの不均衡を直す努力がされなければ、あまりにこれはひど過ぎると思うのです。この点大蔵大臣どうお考えですか。
  190. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 多少専門的な問題でありますので、私からまず一言申し上げておきたいと思いますが、源泉所得税と申告所得税の関係をごらん願います場合におきましても、源泉所得の中にはこれは多分に申告所得の前取り的な分が入っておるということも一応御計算に入れていただきたい。と申しますのは、たとえば具体的な事例としましては、そこにもございますが、社会保険診療の報酬でありますとか、原稿料でありますとか、こういったようなものはやはり源泉の分に入っておりますので、これはむしろ今木村委員のおっしゃったように、配分所得の方と見合って負担割合を見るときにおきましては、片方からむしろ引かれ、片方にプラスされると、こういった一応のやりくりがなされて比較されるだけなんだ、これは申し上げなくても十分おわかりだと思います。ただそういう計算をしてもなおかつおそらく給与所得の方が重い負担割合が出るのじゃないか。これはわれわれはいろいろ分析してみる必要があろうと思います。  現在御承知のように扶養控除の制度がございます。ところが給与所得に対する控除の人数と、それから農村所得あるいは中小企業の所得に対する控除の人数を見ると、給与所得でございますと一・七一であるのに、他方は四・何とか、そういったような相当の大きな開きがある。これはまあそういう税制の立て方がいいか悪いかという議論は一つあろうと思います。われわれとしてはやはりそういう点は、扶養控除というものはむしろ低くこそあれ決して高い額でないということもわれわれとしては考えなければならん。そういうことをさらに考慮に入れてもなおかつ、今おっしゃったような問題が残ってくるということが一つあろうと思います。その点につきましては、われわれは主としての問題としましては、税務行政の実態がやはり一つの問題になってくるのじゃないか。結局申告所得税におきましての把握という、言葉がいいかどうか知りませんが、動労所得の場合、給与所得の場合におきましては給与が、もらった額がそのまま税の対象になっておりますのに、片方の場合におきましては必ずしも全部が全部そういうわけには現在行きかねておるという実態ですね。これは私はやはりある程度現状においては認めざるを得ないと思います。しかし同時にそれは税制の問題としまして、そういう姿をもう当然のこととした上で税制を作るのが一つ考え方でありますが、それがいいだろうか、あるいはむしろ税務行政そのものを漸次たとえば青色申告とかそういう線に沿いまして直していく方がいいのであろうか、こういう問題が一つあるのであります。  分配国民所得のいろいろな形態、これにもいろいろ議論があるところでございますが、まあ総ワクとしては、これは生産国民所得の方とぶっつけられて、大体六兆、そういったような数字が正確さを示しておりますが、配分の問題になりますと、やはりまだ相当検討の余地もあるわけでございます。ただいずれにしましても、今おっしゃったような点が現在として残された問題である、あるいは当然検討されなきゃならない問題であるという点は、われわれも同じように考えておりまして、今後の問題として十分考えていきたい、かように考えております。
  191. 青木一男

    委員長青木一男君) もう一ぺんちょっと木村君に申し上げます。私先ほどちょっと希望を申し上げたのは、まあこの法案が七月一日施行を予定されておるということ、あるいは六月三十日に施行するという関係から、多数の委員は、とにかく賛否は別として、その期日前に議了しようという一般のお考えのようでございますから、その趣旨に基いて議事の促進をはかっておるのでございます。また明日は衆議院から五つの法案が回ってきまして、これをどうしても明日、明後日の二日間に議了しなければならないという同じような関係に立っておるのでございまして、この法案は今日の議題となっておる法案と違って、今日まであまりこの委員会でも審議しておらない法案でございまして、あすから全力をあげなければならないと思います。そういう意味におきまして、今日の議題の法案は、今日まで何回となく、審議をいたしておりまして、木村委員前の質問者のごときは、実に熱心にここに何回となく質疑を継続されまして、なお残っている質疑を今日されておるような状況でございます。大村委員は御出席がなかったから、その状況は御存じありませんけれども、とにかく明日の審議関係からいえば、どうしても今日この法案を討論、採決に持っていくことが、この委員会の運営としては私は必要に考えますので、その意味において、今御質問になっておるような税制の根本に関する御意見、これは私も傾聴いたしておりますが、これはいずれ会期も延長されることでありましょうからして、税制一般として本委員会におきまして引き続き、まだ法案が残っておりますから、その際にゆっくり御質疑をいただくことといたしまして、今日は多数の委員の方の御希望も、今日討論、採決までやろうという御希望でありますからして、その意味において、先ほど御注意申し上げたのでありますから、委員長の希望に沿っていただきたいことを重ねて申し上げます。
  192. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはもう御希望に沿うようにいたします。  今の税制の別に根本問題というのじゃないのですが、これは昭和二十八年ごろから、前から問題になっておることで、税制改正のときにこういう問題が是正されるかと思っていたが、いつも是正されてないから、三十年度の今回の税制改正でも、特に勤労控除の点について問題になっておったんです。これは地方においでになれば、だれだってみんなこの点は聞かれるわけです。地方税に非常に不公平な点が拡大されてきている。大体勤労控除から言えば、前に、三割ぐらいは不均衡である、勤労控除を三割ぐらい上げなければ均衡がとれない、そういうことを大蔵事務当局からこれは聞いたことがあるのです。そういう点で質問したわけです。そこで委員長も大へんお急ぎのようで、また各委員も十分御質疑が終ったようでありますが、私一人のためにあまり時間を費してはよくないと思いますから、簡潔に問題点だけについて大蔵大臣に御質問したいと思います。重複を避けまして問題点だけについて伺います。  株式の利回り、株式の配当についての自由党の修正、これについてはこの間質疑をいたしたのですが、しかし問題がはっきりしない点が一つあるわけです。それはですね、株式の利回りと預金利子は違うと思います。それで資本蓄積の観点から言って、今度の自由党、民主党の修正案のように、株式控除を二割五分を三割に上げる、それから報告義務の金額限度、これを年六千円から一万円に引き上げる、こうじて優遇した場合に、これが新しい資本蓄積に役立つかどうか、これは大蔵大臣一番よく御存じで、そうすれば、もう株は織り込んで上ってしまう、そうすると、それが新規の一体資本蓄積になりますか、それはなるほど増資については役立つ分かもしれない。ですから私は新しい資本蓄積にどれだけ役立つか、これは疑問に思うんです。預金利子の方については、これはただ預金や何かあるいはふえるかもしれない。株式の場合は私は違うと思うんです。資本蓄積という点から言って、結論としては、これは株の操作、投資信託なんか七百億もかかえて困っている。そこで株屋さんですか、何かてこ入れの一つの手段として、こういうことを頼まれて、献金したか何か知りません、それは。しかしそういうことがあって、てこ入れがあって、そういうことになったのじゃないか、そうでなければ私は意味がないと思います。資本蓄積に役立はしません、実質的に。それから預金利子についても、すでに十万円以下についてはかからなかった。それを今度全部免税にする、それは画期的なことですよ。預金利子について税金を課けないということは画期的なことですよ。それで果して正しい意味の資本蓄積に役立つかどうか。これは重大な今度の税制改革だと思います、そういう意味では。それは資本蓄積ということが主眼になってくる。そうして租税の負担の公平というのは犠牲になっている。こんな不均衡な税制改革はないと思います。不労所得を非常に優遇している。たとえば株式所得でも、二万円の所得については今度は五分減税をして千円の減税でしょう。ところが勤労所得は二万円ですと、この間もお話したが、四百円か三百円ですよ。不労所得者の方がうんと減税になっている。汗水を出している勤労所得者の減税が少い。こんな不均衡な税制改革はないと思います。それで資本蓄積にほんとうに役立つならいいが、また別の角度からはいいかもしれませんが、資本蓄積には役立たない。そういう点から私はあまりにこの負担の不均衡をさらに拡大するのじゃないか、こう思うのです。この点について大蔵大臣の御答弁をわずらわしたいと思います。特に株式の方の、預金利子との均衡上、株式を今度は優遇されるのか。その点について重点をおいて御答弁願いたいと思います。
  193. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) この点につきましては、先ほどからたびたび申し上げたつもりでございます。簡単に御答弁申し上げますれば、私はこの措置によって資本の蓄積が十分にできる。今日資本の蓄積なくしては今後の日本の経済はやっていけないという、もとに立っております。なお、株式につきましては株式市場をどうするとか、株屋がどうであるとか、株の値が上るとか、そういうような意味のものでは決してないのでありまして、この利子の課税に相応じまして、株式配当に対して、均衡を得よう、こういう趣旨から出ているのであります。
  194. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はそういう答弁を要求しているのじゃないのです。株式、いわゆる修正によって新しく資本が蓄積されるかということです。その利回りを利子と均衡をとることによって、今株を持っている人の株は上るでしょう。しかしそれで追加資本がそこでふえるんですよ。新しく新規の資本蓄積になるかどうか。
  195. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 新規に直接な株式投資を誘導すると私は考えております。
  196. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはどういうわけですか、株価が上れば利回りは平均してしまいますよ。そうして増資分については手当しているわけですから、それはどうもわからないのですね。どうしてそれが新しく株をふやすか。今持っている株の値段を上げるだけじゃないですか。
  197. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 私は、今まで持っている株というよりも、新しい株、言いかえれば増資ということを誘導している、かように考えます。
  198. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこのところがよくわからないのです。今までの政府原案でその点は優遇されているでしょう、増資分については。政府原案においてそれは新規蓄積になる。しかし、今度の自民両党のあの修正によってどうして新しく株がふえるか。現在持っている人の株の値が上るだけですよ。
  199. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 多少補充的に申し上げさしていただきたいと思いますが、確かに現状におきまして、法人税、同時にまた所得税を通じまして、配当についてはわれわれはまあ負担権衡の面からいいますと相当の余裕が出てくるとこれは思います。同時に、結局その優遇の程度がそれでいいか悪いか、いいかというよりは、足りるか足りないかという問題が出て参ったわけでありまして、預貯金利子の免税というものをバランスをとりながら、やはりもう少し優遇すべきじゃないかと、プラス・アルファーという問題だと思っております。現在の株が上るだけで、それはもう新規の方はちっとも誘導するあれはないのじゃないかというふうな御意見のようでございまするが、やはりそうした税負担が軽くなり利回りがよくなるということは、新規の株式投資を誘致するということにおいて、やはり相当の役割をするものではないかと、かように考えます。
  200. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 利回りがよくなって、それだけ株価に織り込まれるのじゃないですか、株が上れば。
  201. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) まあ一番端的な表われは、結局従来の旧株式、旧株主に対して新株を割り当てるといったような場合におきまして、すぐに端的にやはり税負担がそれだけ軽くなるということで、払い込みがしやすくなるといいますか、投資がしやすくなる、そういうことが言えると思います。新しく会社を新設する場合におきましても、結局税負担が軽いという面において、通常の配当をする場合におきましても税引きの手取りが多くなるということにおいて、やはり新規資本の投下ということを誘致する誘因になり得るのじゃないか、まあかように考えております。
  202. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私、いろいろ質問はあるのですけれども、これでまあやめます。
  203. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 ちょっと一点、最後に。主税局長に念を押しておきたいのですが、それは租税特別措置法の、今度の法人税の、輸出の振興に資するための輸出所得の一部を控除する制度について関連してでありますが、租税特別措置法の第七条の六の、対価の支払いが政府においてなされるものというのは、どういうものを予定しているのか、第一点を伺います。
  204. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 第七条の六は、これは輸出所得の免税に関する規定でございまして、今年その一項の一号に、カッコいたしまして「(対価の支払が日本政府においてなされるものを除く。以下本条及び第七条の七において同じ。)」と書いた条文、これを今度新しくつけ加えようとしております。これは、御承知のように今度賠償問題が具体化して参りました。特にビルマ政府との関係などにおきまして、賠償の問題が具体化して参りました。その場合に、御承知のように現在条約等で考えられておりますのは、役務の賠償、それから投資の賠償、資材による賠償ですか、そういったものがまあ考えられているわけでございますが、その場合において、結局賠償関係日本で、そうした資材関係を、賠償を受け取る国が調達しまして、そして代金を日本政府が払う。これはまあ賠償の一環として、賠償の一つの型としてそういうものが行われることが予定されております。で、元来その輸出免税の関係は、輸出振興をねらっておるわけでございまして、賠償の関係としまして、当然そうした物資による賠償をしようという場合におきまして、特に輸出免税を適用するということは、少し輸出免税の本旨に反するのではないか、こういう意味において、この規定を挿入したわけでございます。で、考、えられます型としまして、日本政府が資金を払う場合、これも当然考えられておりますが、あるいはその賠償を受ける国が一応はその資金を受け取るが、結局具体的に、ある資材の支払いのために日本政府から資金を受け取る、と同時に右から左へその国が支払うという場合にも、その場合におきましても、それは日本政府にかわってその国が払ったというように見るべきものじゃないかと思いますし、そういう型があるいは出てくるかもしれないという話をちょっと聞いておりますが、そういう場合におきましても、この除かれる分には当然入るべきものじゃないか、かように考えます。
  205. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 そうしますと、対価の支払いが直接に日本政府によって支払われるもののみに限定する趣旨であるかどうか、こういうことを聞きたい。
  206. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 対価の支払いが直接に支払われ得るものは当然これに入るわけでございますが。間接に支払われるといいますか、すでにAならAという資材を買うことがきまって、そうしてその対価を支払うわけでございますが、直接の支払い手は、賠償を受ける国でありましても、日本政府がまずその国に向って代金を支払う、それが右から左へ会社の方に支払われていく、まあ一つのクッションを通る場合があるかもしれないように予定されております。これはやはり日本政府が対価を支払うというように解すべきものと同時に、従ってこの条項に入るべきものである、かように考えております。  それから先ほどちょっと答弁が留保されましたけれども、御答弁申し上げておきたいのであります。  それは住民税の問題でございます。修正によりまして、地方の住民税の税収が減るのをカバーする意味におきまして、現在衆議院地方行政委員会で御審議を願っておりますのは、当初の百分の五、これは道府県民税でございます。道府県民税の百分の五を本年度においては百分の五・五、それから平年度は百分の六、これは所得税に対する割合でございます。それを引き上げようという案が出ております。ちょっと間違いました、初年度において百分の五・五、それから平年度において百分の六、これは初年度が三十一年度、明年度が初年度になります。これは、住民税は御承知だと思いますが、一年ずれております。従いまして三十一年度は百分の五・五、三十二年度から以降が百分の六、百分の一上げるわけでございます。従いまして菊川委員のおっしゃいますように、これはいろいろなケースがあり得ると思いますが、選択控除によりまして、全然利益が、フェイバーを受けない場合におきましては、これが上るということは、これはあり得ると思います。ただ私が言いましたように、所得税そのものの百分の一、あるいは百分の〇・五でございますので、金額といたしましてはそれほど大きなものでなく、ただそれを一々区別して、フェイバーを受けるものについては上げるけれども、フェイバーを受けないものについては上げないいうことはできませんものですから、一応そういう措置になったのであります。
  207. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それに関連して。今度の地方財政再建促進特別措置法、あの付則ですね。付則の第6に、今度の改正に伴って、あれは大体税割ではなく、所得割にするような付則がついているのじゃないですか、赤字団体に指定された場合です。そうなってなかったですか。今のあれは赤字団体でないところについてなんですか。それとも、あの附則を見ると、今度は所得税割ではなくて所得割になるように記憶しているのですが……。
  208. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) その点実は先ほど来ずっとお答え申していたのですが、もう一ぺんちょっと簡単に繰り返しますと、御質問趣旨は、修正でもって所得税が減り、地方財政がそれによって赤字を生ずるか——それは現在の住民税の方に問題があります。その場合におきましては、オプション・ワンとオプション・ツウという形で所得割と所得税割と二つのやり方、住民税でやっております所得割の場合には、別にすぐに所得税の方が減ったからといって問題はございません。所得税割のときに従来のままの率にしておきますと、この問題が出て参ります。そこで従来と大体同じ程度負担は住民税としていただくという意味で、たとえば住民税の方の率は、実は所得税の方で軽減になっただけ見合いに上げました。上げるように今御審議願っております。その場合において、個々の人におきましてはいろいろ軽減の程度が違いますから、全然修正によってフェーバーを受けない人におきましては、この上る分だけの影響を受けるという人もありますが、その額は比較的軽微なものじゃないか、こういう御答弁を申し上げたのです。
  209. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはわかりました。実は再建促進特別措置法案によると、赤字団体は、今度は税割かなくなって所得割になると……。
  210. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 今お話しになったような規定は入っていないと思います。
  211. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 附則の六ですよ。
  212. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 要するに赤字団体は所得割をとらなければいけないといった意味の制限規定は入っていないつもりでございます。
  213. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 改正するらしいですよ。あとで調べて……。
  214. 青木一男

    委員長青木一男君) 他に御発言もないようでありますが、ただいま議題となっておる五案の質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  215. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。  まず所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案租税特別措置法等の一部を改正する法律案の三案を問題に供します。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  216. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 私はただいま議題になりました三案につきまして反対するものであります。  反対理由の第一は現在の税体系があまりにも複雑過ぎるからもっと簡素化するようにせよということは、いつも税法改正案が当委員会にかかる際に、各委員から、これはもう保守党、あるいはわれわれの革進派といいますか、どの党派を問わず、強く要望されるところであり、主税当局におきましても、その要望にこたえて、次の機会にはなるべく検討する、あるいは次には検討するという御答弁がございます。きょうも大蔵大臣からも複雑過ぎるということにつきましては、大臣みずからも十分お認めになっておる。にもかかわらず、だんだんと複雑化してゆく、簡素化してゆくどころか、複雑化してゆく、従いましてすみやかに、これは大蔵大臣は新たに就任された今度の大きな一つの事業としてこの問題と取り組んでもらいたい、われわれはこういう要望を強く持っておるわけでございます。従いまして第一点として複雑過ぎるものを、さらに複雑化しつつあるという意味におきまして反対いたすものであります。  それから第二の反対理由は、租税公平の原則がどうも薄らいでいっておるということは、先ほどからの質疑応答、本法案審議に当っての質疑応答を通じまして、明らかにわれわれの意思はおわかりになったと思うのでありますが、特に大蔵大臣はわれわれが質問いたしますと、いかにもその考えは同じようだというようなことを述べられましたけれども、はからずも口をすべらして出た大蔵大臣の口の下から、預金利子は勤労所得だというふうな見方をしておられる発言をされたのでありますが、これは衆議院において、仮にそんな発言をされたとするならば、失言問題でこれはごめんなさいをやらなければならない。ごめんなさい内閣が一つごめんなさいを加えなければならないと思うのですが、そういう感覚で、預金利子所得が勤労所得だというような感覚でもって——これは速記をあとで調べればわかるが確かに言っておる。あるいは重役と守衛とが同じような水準になっておる、こういう感覚でもって今回の税制改正と取り組まれたとするならば、われわれとしてはまことにこれは心外の至りだと思います。従いまして公平の原則を失しておるという一、二の例をあげてみたいと思うのです。  それは第一に期末手当の五千円についてはせめてこれは免税にしたらどうかという強い要求がありまして、院外の要求もあり、これは民主党のかつての改進党時代にも案件としてわれわれと話し合ったのでありますが、次期の議会においては必ず実現するからといっておったんであります。今回の税制改正においても取り上げられておらないにもかかわらず、反面におきましては配当所得に対しての税務署に対する申告は五千円、一回に限り五千円、これも一社、一社五千円でありますから、百社持っておって、五千円ずつどの会社の株も配当収入が入るようにいたしておったら、これは税務署に捕捉されない。これはもうはっきり言いますと、税金をのがれるには、こういう途があるぞといって教えてくれるようなものであります。これは決して免税ということはうたっておりませんけれども、実質的に税金をのがれる途を教えておるようなものだ、こういう措置が講ぜられておる。また夜遅く勤務するものにつきまして、たとえば病院の看護婦であるとかあるいは警察官であるとか、鉄道の職員であるとかあるいは電話の交換手であるとかいうような人は深夜にわたって作業をいたします。深夜作業をやる者につきましては、これはどうしましても夜は一食ずつ余分にめしを食わなきゃならぬ。農家は農繁期におきましては四食、五食を食べますように、深夜作業を行う労働者につきましてはどうしても四食分、そういう夜一ぺん余分に食う食糧分として夜勤加給というものが支給されているんであります。これらについては夜の一ぺんのうどん代くらいは免税にしたらどうか。これまでもつかまえて税金をかける必要はないんじゃないか。この問題につきましては、過般の税制改正の際にも、主税当局においても十分考慮をしよう、検討をしようということを約束をされました。だからこの税制改正においてはそのくらいのことは配慮をされているんだろうと考えておったところが、そういう配慮はされておらないにもかかわらず、反面におきましては、今度は配当控除につきましては、もうかねがね申し上げましたように一千万円持って寝ている人は一文も税金がかからない。今度は現行法にさらに輪をかけて、これはもう一千二百万円くらいの株券を現在持って寝ておっても一銭も税金がかからない。ところが弁当を持って通って家族を養っておる者は、これに対して二十万なり二十一万の税金を取られる。こういうような点につきまして、われわれは公平の原則は完全に失われておりまして、ときの権力につながる方面には非常に減税の恩典が厚く与えられておる。なるほど今回の自民の修正によりまして出されましたのは、寡婦控除であるとか勤労学生の控除ということについては配慮されておりますが、これは名目的な、株式所得やあるいは利子所得にのみ厚くして勤労所得に対しては全然考慮されないということは、幾ら何でも世間の通りが悪いからというので、カムフラージュをするために、一番影響の少いところの寡婦控除であるとか勤労学生控除というところに、ちょっぴりと色を示したということについては、われわれとしては絶対に納得できないのであります。  それからもう一点私たちとして非常に不明朗なものを持っておるわけであります。今度の特に修正案、衆議院から送付された修正案を大蔵大臣はいいものとして、現在の情勢上いいものとして、これは推した、こう言っているでありますから、大蔵大臣に責任があると思う。で、一萬田大蔵大臣は長い間日本銀行総裁として、その敏腕をうたわれまして、俗に日本の法王だと言われるくらいまでに令名をはせられた。従って金融界については非常に温かい配慮がされておるということは、今度の税制改正に当りましても、銀行の預金がふえるように一つ預金の利子は免税と、こういう大英断を下されまして、今回の税制改正に出しておられる。まことにこれは勤労所得だというような考え方からお出しになったかもしれないが、こういう大英断をふるわれて出したのでありますが、しかしながら、待ち受けておったものは衆議院の百八十五名の少数でありまして、自由党はそうはいかん、と。そこでここで俗に言われまする、私は何べんも質疑応答の際にも繰り返しましたけれども、金融の方ではさすがに法王の威力には及ばぬが、証券界はこっちのものだぞというので、証券界の要望をいれまして、配当控除の引き上げ、それから配当所得に対する申告の限度を引き上げる、こういうようなことで勤労者の方には考慮をされずに、不労所得に対しましては修正に大きな考慮をされまして、そうして修正案として回ってきている。こんな修正がされるのであったならば、私は夏季手当の免税、ある程度の五千円くらいの免税、あるいは夜勤食糧に対しまして、せめてうどんの一ぱい代ぐらいは免税措置を講ずる。こういう配慮がされて、そうしてさらにそれでも余裕があるということで、次には預金の利子の免税、あるいは配当控除の引き上げということになって、両々相待ってくるならば、納得ができるのでありますが、一方において長年の強い要望で主税当局も考慮をすると約束せられているものが考慮されずに、そうしてしかも今まではこんなことは夢にも、こんな配当控除の引き上げということは今までにこの委員会におきましても要望事項として上ったことはございません。一ぺんもそんな議論が吐かれたことを今日まで聞いておりません。そんなものが突然出て参りまして、勤労者の方の減税問題についてはあまり考慮はされていない。もちろん言いわけ的にはされていますが、されていないということについて、公平の原則を失するという点から反対する次第であります。  次に、租税特別措置法につきましては、なるほど法人税の現行税率は四二%でありますけれども、あの三五%から四二%に上げると同時に租税特別措置法という複雑怪奇な法律をますます複雑にいたしまして、そうして大法人の諸積立金等に対しまして優遇処置を講じまして、実質的な税率というものは二五%くらいになっている。これはいろいろ見方がございますが、実質的には税率は二五%になっているんじゃないか、こういうようなことをやっておいて、さらに今度は——この四二%に引き上げをするに当りましても、実は主税当局が強くこの四二%に引き上げるべきだ、どうしても引き上げなければならぬといって引き上げた。それがいつの間にやら今度はそういうことはすぐ忘れてしまったかのように、ちょっとした経済の情勢の変動がありますると、すぐこういうふうに減税をする。減税をするならば、租税特別措置法でしたところの優遇についてももっと配慮をいたしまして、何らかの均衡を失しないように、これについても斧鉞を加えなければならぬと思うのですが、それらについては斧鉞を加えていない。こういう点から考えましても、今回の税制改正案がまことに、大蔵大臣がはしなくも漏らされましたように、政治力が弱いからやむを得んと言っておりますけれども、まことにどこに重点があるかまさしく自由党が証券界を背景に、そうして民主党は金融界を背景に取り組んだ一つの妥協的な、まことにわれわれとしては納得できない修正案であり、それから税制改正案そのものが公平の原則を失するところに、さらに輪をかけたこういう修正案に修正されまして回付されましたこの三案については、われわれは絶対に賛成することはできない。  社会党を代表いたしまして強く反対意思表示をいたしまして、次期改正に当りましては、簡素化すると同時に、もっと公平の原則を打ち立てられまして、すみやかに次期機会には正しい意味の税制改正案を提出されることを強く要望いたしまして、本案に反対意思表示をいたします。
  217. 山本米治

    ○山本米治君 私は自由党を代表いたしましてただいま議題の租税三案に賛成いたすものであります。  わが国の税金がまだ高いということはわれわれも認めておるのであります。今年度の国民所得六兆三千億という見積りに対しまして租税負担が一四、五%に当りますかどうか、この率といたしましては、あるいはフランス、イギリス等ともあまり違わない。アメリカは再軍備を強行しておる関係上少し高いのでありますが、かりにこの率は同じといたしましても、国民所得そのものが非常に貧弱であるということからみますと、国民に与える負担程度は非常に高い、こういう意味合いにおきまして、われわれも常に減税を要望しておるものであります。しかしながら、この租税の問題は一方歳出の問題と不可分にからむものでありまして、われわれは今日の日本の歳出を切り詰めることがもっと好ましい姿であると、こう考えておりますけれども、なかなか刻下多端でありまして、この方も思うようにいかないということであるならば、やはり赤字財政をやらない建前から、そう大きな減税はできないというのが日本の実情だろうと思うのであります。で、この今回の租税三案は基本ラインにおきましては、われわれ自由党内閣が考えていたこととまあ同じでありまして、むろん細かいところは違いますが、基本ラインはあまり大きな隔ったものでない。すなわち所得税の一部改正におきましては、低額所得に対しまして基礎控除あるいは給与控除等の限度を引き上げますし、また資本蓄積という建前からいろいろな措置を施しておるのであります。また法人税におきましては税率を四二%から四〇%に引き下げるというようなこと。あるいはまた租税特別措置におきましては資本蓄積の立場から、あるいは利子課税の減免、あるいは配当課税の軽減というようなことが行われておるのであります。もちろん税の理論から申しますれば、これは正しくないのでありますけれども、今日の現状におきまして、何といっても資本蓄積が日本経済再建の根本だと思うのでありまして、この意味合いにおきまして、われわれも過去において貯蓄推進等に携わったこともあるのでありますが、この面からこういう非常的な措置、むろんそういう意味合いにおきまして時限立法でありますが、こういう措置も必要であろうと考えておるのであります。  私はさらに去る日の自由党と民主党との予算修正問題におきまして、これは党の内部問題ではございますが、一般会計からする財政融資というものを一般会計からはずすという場合には、そのはずした金額を、私個人としては全額減税に振りあてるべきだという考えを私自身は持っておるのでありますけれども、遺憾ながら、その意見はいれられずして、一部歳出の増加、一部減税ということになったわけでございますが、先ほど最初に申しましたように、今日の日本の税金は国民所得との負担割合からいえば、あるいは諸外国以上では必ずしもないかも知れないが、何分日本が貧乏である、国民所得が少いという点におきまして、なお今後、あらゆる機会に租税の軽減措置を講ずべきだと思うのでありまして、それにはやはり歳出の切り詰めということがどうしても必要である、こういうふうに感じておる次第であります。  各法案につきまして、詳しいことを申し上げることはできませんが、私はこういう意味合いにおきまして、大体において自由党が考えておった基本ラインにのっとるものである。そうしてさらに政府原案から民自の共同修正がございましたが、これによりましてさらに低額所得者の一部たるところの不具、寡婦等に対するところの控除というようなものを引き下げたこと、あるいはまた法人税におきましても、中小法人と言いますか、所得五十万円未満の者に対する税率を特に一般税率四〇%と違って三五%に引き下げたこと、これなどは大蔵当局は非常に反対されておりましたが、われわれも租税徴収の実際面から見て、やはりこういうことが必要でないかと考えておったわけでありまして、これが三五%になったということもけっこうだとわれわれは考えておるのでございます。  大体以上の所論をもちまして私は本三案に賛成するものでございます。
  218. 天田勝正

    ○天田勝正君 私は社会党第二控室を代表いたしましてこの租税三案に反対をいたすものであります。  政府がこの法律案を提出いたしました題目は、三つであろうと存じます。すなわち第一には、低額所得者の減税をはかるということであり、第二には、税負担の均衡をはかるということであり、第三には資本の蓄積をはかって日本の産業を振興して、ひいて輸出の振興をはかる、こういうところにあろうと思うのであります。そういたしまするならば、この三つの大きな前提にこの改正が当てはまっておるかどうか、論より証拠でここに論じなければならないと思うのであります。  第一に法人税関係を申し上げてみまするならば、先に私質疑において明らかにいたしましたように、今日、現行の法人税をもっていたしましても、大法人に対しては幾多の減税の条件が付せられまして、いわゆる特権的に大法人は減税されておるのであります。その総額は十三項目、およそ八百億と推定されますけれども、そのうちわずかにわれわれが見てこれなら妥当と思われる筋のものは退職準備の控除、それから貸し倒れ準備金、また一時的に積み立てる電力の渇水準備、これらの三つは別といたしまして、他のものはことごとく大資本擁護の項目であると言って過言でなかろうと思うのである。こうした減税措置がすでに講ぜられておりますために、現行四二%の法人税をもっていたしましても、大法人は実質的には二五%、多くても三〇%に満たない課税しかされておらない。これに対して小法人は四二%まるまる、今度の政府の原案によりまして四〇%まるまる、さらにまた修正三五%によりましても、これはまるまるである。しかも負担の均衡どころか、たまたま全体を五十万円以下のものはあげて三五%にするということでありますから、その範囲内に小法人も入るということであって、決して特別に五十万円以下の小法人だけを優遇するというのではないのであって、もし小法人、小企業者を擁護するという立場に立ちまするならば、これをこえる所得の者は、五十万円以下の部分につきましても三五%なり、四〇%なりのなまの税率をかけて、そうして均衡をはかるべきであると思うのであります。しかるにかような措置が何らとられておりません。  さらに低額所得者の減税の問題は確かに幾分か減税されることは事実でありますけれども、問題は均衡の問題であって、それについてはすでに各委員からも指摘されておりましたけれども、まことにもって不均衡きわまる、すなわち事業所得者にすれば二十万円の所得のものは一万円あたり八十七万円の減税、百万円のものは一万円あたり三百七十円の減税である。勤労所得者については二万円の月給取りは七十円の減税であるに対して、十万円の月給取りは三百六十四円の減税、これは同じく一万円あたりを基礎にして考えた場合でありまして、決して絶対値が違いがあるという筋のものではございません。こういうことからして低額所得者の減税は、それは名目だけであって、むしろ大所得者を助けるためにたまたま低額所得者もその範疇の中に入ったと、これまた言えると思うのであります。  租税特別措置法関係につきましては、政府の説明からいたしましても、そのうち六項目だけは純然たるこれは資本擁護の私は項目であろうと思うのであります。こういう点につきましては多くを申し述べませんが、私は政府みずからもこの点については認められるところであろうと思うのでありまして、かような不均衡にしてさらに低額所得の減税にもならず、資本の蓄積という問題については必ずしもそれが直ちに日本産業、しかも日本の国が施行いたしまする産業の投資にそのまま役立つものではないということは、これは先ほどの大村委員の指摘からしても明らかでありまして、この三点からいたしまして私は本案に反対をいたすものであります。
  219. 小林政夫

    ○小林政夫君 私は緑風会を代表して三案に賛成をいたします。  いろいろ他の方々から述べられたので、簡単に賛成の理由並びに希望を申し述べますと、まず先ほどの大蔵大臣の言明によると、八月から税制調査会を再開して、税制について根本的にいろいろ再検討をする、こういうことでございますが、まずその主眼は税法の簡素化と各納税者における負担の公平、給与所得者、営業者、農業者その他の所得者等の間において十分公平が保たれるような配慮のもとになるべく税制を簡素化した建前でやっていただきたい。まあ一般的に税負担が重いわけでありまして、従って個々の減免の要求が出ることは一応もっともな点がありますが、個々の減免措置よりも一率減免措置、こういうふうに方向を向けていただきたいと思います。特に最近は経済政策あるいは経済政策のうちとして産業金融政策、社会政策、住宅政策等のしわをことごとく税法に持ってくるような傾向もある。はなはだしきは食糧管理のしわまで税法に寄ってくる、こういうような傾向もあるわけでありまして、その点についても十分な検討を加えられることを願うのであります。  ただ具体的な問題について一点触れますと、少額所得法人の税率軽減については、今の税制を建前としておる限り、また特に租税特別措置法の存在を前提とする限り、私の年来主張しておったところでありまして、今回五十万円以下の所得について三五%の軽減税率を適用することは非常に欣快にたえない次第であります。がしかし、これは十分とは言えません。特にこれを百五十万円以下といたしましても、平年度にして十八億の税収減になるだけでありまして、五十万円ということは決して今の税制の建前においては十分とは申せないのであります。もし現状の通りに税制がいこうとするとすれば、来たるべき次の機会においては百五十万円までの引き上げをしなければならぬ、こういうふうに考えておりますが、一応それは将来の、現税制を建前としての方向として申し上げておきます。  いろいろ他にも申し述べたいことはございますが、時間の関係でこれをもって討論を終ります。
  220. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はこの三法案に反対をいたします。この法案の趣旨は、租税負担の軽減と資本蓄積に資するために改正をするということになっております。しかしその内容はきわめて不健全であると思います。  まず負担軽減について見ますれば、先ほど大蔵大臣も直接税としてはまだ租税負担が重いのであると言われましたが、各国と比較しまして、まだまだ日本の税負担はきわめて重いわけであります。もっとこれは税は軽減しなければならないのですが、なぜ軽減できないかといえば、歳出において非常に不生産的な支出をたくさんやっておる。日本の国力にふさわしくないところの再軍備をやっておるということが、これが大きな一つ日本負担になっておることが一つと、もう一つ日本財政において非常にむだな支出、特に公共事業費その他について非常にむだな支出をやっておる。会計検査院から常に不当支出を警告されておるような状態、そういうむだなあるいは不生産的支出がたくさんあるから、これを減税にまだ向けられるのに向けることができない。自由党は一千億減税を言っております。一千億円も減税はできるはずです。それができない。絶対に今の税は国民の今の生活実態からいって重過ぎる。この程度の軽減ではこれはむしろ足りないのであって、なぜできないかといえば、むだな支出、不生産的な支出が多いからできない。われわれはそういう支出をけずって、そうしてこれを全部減税ではありませんが、それをまた減税あるいは社会保障費あるいは日本の自立経済、そういう方面にもっと健全な方面に使用さなれなければならない、そういうふうに考えております。  それから税負担軽減については、先ほど社会党の菊川委員、天田委員から指摘されましたように、きわめて負担公平という点から見て遺憾の点が多い。イギリスの税制なんか見ましても、低額所得者については無税あるいはきわめて税率が低い。高額所得者については日本よりもむしろ税率は高いのです。そういう点については非常に不均衡になっておると思うのです。特にまた勤労申告納税と源泉徴収との間においては申告納税が約六百六十億に対して、源泉徴収は二千十億ですか、三倍以上に税をとっておる。それでこれを分配国民所得で見ますると、分配国民所得の比率から見れば、きわめてこれは不均衡である。これについては詳細に検討する必要があると思います。もちろん申告納税の方は地方税その他もあると思うのですが、それにしてもあまり不均衡すぎると思います。また高額所得者それから低額所得者との間の均衡もとれてないし、税金を納めることのできない低所得者の人は、日本国民の半分くらいある。そういう負担の権衡からいえば、税を納めることのできない低額所得者に対しては地方税、住民税において軽減しなければ権衡はとれない。その人たちは電気代が上ればそれだけ負担が重くなってしまって、何ら減税の恩典に浴せない。地方税と中央の税と勘案して、これが負担の軽減になるかどうか、これについて考えなければならないのです。今度の地方財政再建促進特別措置法によると赤字団体となれば経費の節減、徴税の強化、滞納の処理、新税あるいは増税、こういうことをやることになるわけであります。地方税はむしろ増税になってくるのであります。決して実質的に中央、地方を通ずれば減税になるということにはならない、また間接税と直接税との比率についてもだんだん間接税の比率をふやしていこうということは、これは民主的税制に逆行するものであると考えるわけです。ですから税負担の軽減という見地からこの内容を見るときわめて不健全な反動的、非民主的な税制にこれは一歩進めておる。こういう点が指摘されます。  それから資本蓄積の面においては、預金利子を全部免税するなんということは、そういう不労所得について非常に優遇する、これは画期的なことであると思います。また配当所得者については一割五分の税率を一割に下げる。さらにまた修正によって配当控除については二割五分を三割に上げ、または報告義務の限度については年六千円を年一万円に上げて、これは一種の不労所得者の脱税を許す、こういう改悪が行われておるのであります。また中小業者については三割五分に税率を下げましたけれども、他面自由党の修正で、政府財政融資を減らして、金融債の発行を期しておる。そのために中小業者の金利負担は軽くならない。むしろそういう逆な政策を一方でとっておる。また最近非常に地万から不満が出ておりますが、固定資産税について資産のまた評価の値上げが行われておる。そのために中小法人は税率は下っても税金は下らない、こういう実態になって来ると思うのです。こういう点から見ましても、きわめてこれは負担が不均衡であり、またそれが実質的に資本蓄積になるかといえば、これはいろいろ意見があると思います。結果から見るとわかると思います。資本蓄積に実質的に役立たない。すでに実体資本においてはもう設備過剰なのです。そうして資金とそれから実体資本との調整がうまくとれていないもとにおいて、ただ資本のみいたずらに蓄積しても、これは過剰投資になり、二重投資になる。こういうふうな態勢の整っていないもとで、そういう不労所得に対して非常な減税を期しても、これはかえって日本経済のむだを多くする。これはもう基本的には今の自由資本主義経済、利潤中心の資本主義経済の救いがない弊害から来ておるわけです。われわれとしては資本主義経済には反対でありますから、こういう経済が続く限り、この不経済というものはやまないと、こう思うのです。  こういう点からこの税制についてはわれわれは賛成できない。特に申告納税と源泉徴収との不均衡は、これはもう直さなければならぬ問題です。これを放置することは許されないと思う。地方税の不均衡にも、これは拡大されておる。こういうものを放任しておいて、いくら税制を改正してもこれはちっとも実態がよくならない。そういう意味で、むしろ今度の税制改正は改悪である。しかもまた自由党と民主党の政治的取引にこれが利用されておる。そういうような点からも、われわれはこの税制改正案に反対せざるを得ないわけです。
  221. 中川幸平

    ○中川幸平君 私は民主党を代表いたしまして、ただいま上程の租税三案に賛成の意を表する次第であります。  今回の税制改正について政府の案を見ますると、その改正の方針といたしまして、第一に低額所得者の負担軽減に重点を置いて所得税の一般的な減税を行うとともに、あわせて資本蓄積の促進、輸出の振興、住宅建設の促進といったような特別の目的のために、税制上の優遇措置を拡張しておるのであります。  また衆議院修正の内容におきましても、低額所得者の負担軽減をねらいとして、概算所得控除を新設し、寡婦控除、不具者控除の引き上げを行いますとともに、資本蓄積をさらに積極的に促進するという趣旨から修正されておるのでありまして、その内容につきましては、現在の経済情勢からみて妥当なものと認める次第であります。  次に法人税につきましては、衆議院修正においては、法人の所得のうち低額の部分に対する税率を一般の場合よりもさらに軽減しているのでありますが、この点はこの委員会においても論議の戦わされたところであり、法人課税の建前からはともかくとして、大法人と中小法人との負担の権衡が特に考慮された結果の修正と考えられるのでありまして、最近における中小法人の実情に顧みまして、一応妥当な措置と認めるものであります。個人事業者については、概算所得控除制度の創設によって、一応負担の軽減がはかられておりますものの、個人企業と中小法人、ことに同族会社との負担の権衡については、政府におかれても税制調査会が設けられる機会において、十分検討していただくよう希望するものであります。  次に租税特別措置法の改正によって行われることになっている資本蓄積の促進、輸出の振興などのための特別措置につきましては、このような特別措置が租税公平の見地からいって、なお検討の余地があると考えますが、自立経済の達成をはかりますために、資本蓄積の促進などをはかることが緊急のこととされているわが国の現状におきましては、この際相当思い切った措置を講ずることもまた必要であると認められるのでありまして、臨時特別の措置としては、やむを得ないところであると考えます。しかし税制といたしましてはなるべく一般的に所得税、法人税の負担を軽減することが望ましいことは言うまでもないところでありますから、経済の平常化に伴い租税特別措置と租税公平との関係については、十分検討する必要があると考える次第であります。  以上をもちまして私の賛成討論を終ります。
  222. 青木一男

    委員長青木一男君) 他に御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  223. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより採決に移ります。まず所得税法の一部を改正する法律案閣法第十五号)を問題に供します。本案を衆議院送付案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  224. 青木一男

    委員長青木一男君) 多数であります。よって本案は衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に法人税法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案を衆議院送付案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  225. 青木一男

    委員長青木一男君) 多数であります。よって本案は衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に租税特別措置法等の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案を衆議院送付案の通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  226. 青木一男

    委員長青木一男君) 多数であります。よって本案を衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。   —————————————
  227. 青木一男

    委員長青木一男君) 次に補助金関係二法案を問題に供し、討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  228. 平林剛

    平林剛君 私はただいま議題となりました法案に対して社会党第四控室を代表し反対の意見を表明いたします。  元来この法案は、補助金等臨時特例につきまして時限法として制定をせられたものでありますが、今回さらにこの期間を延長せんといたしております。政府の説明を聞きますと、まだ十分な検討をなされておらないから、若干の期間の猶予を求めたいという趣旨でありますが、これに対してこの法案が提出されておる過程におきまして、他の補助金等については、自由、民主両党の話し合いによって政治的に安直にそれぞれの補助金が出される、こういう事実から見まして、この補助金等臨時特例をそのまま引き延ばすということは、まことに無責任なものであります。こういう趣旨からいいましても、今回の提案を私どもはそのまま認めるわけにゆかないわけであります。  元来補助金につきましては、その効果についてかなり議論が多いところでありまして、また少からず問題が存在をいたしております。私どもは今回政府と自由党との間において取り引きされた予算修正において復活した補助金と比較いたしましたならば、今回の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案を通すことそのものが、まことにまだまだ慎重を要するものがあるし、いずれをとるが賢明であるかについては、まだまだ批判すべき余地が多いと思うのであります。  特に新たに入学する児童に対する教科用、図書の給与に関しては、わが党は常に政府の無責任な態度を攻撃いたしておりましたところであります。この法案がもし成立いたしますれば、現在の状態におきましては、明年度における児童の給付も不可能になるのであります。これに関して政府答弁を求めましたところが、具体的な措置を明確に与えませんでした。この意味から私どもはこの法案に対して賛成はできないのであります。この措置を明確にしない限り私どもはこの両法案に対して反対をいたすものであります。
  229. 山本米治

    ○山本米治君 私は自由党を代表いたしまして本案に賛成いたします。  補助金の問題につきましては、私は原則的にもっと大いに整理すべきものだと考えているのであります。さりとてこれは地方自治の問題等とも関連がありまして、もう少し地方にしっかりした財源を与えなければ、これも困難かと思いますが、今のいわゆる一兆予算のうちに補助金は三千億以上も入っておる、いわんや地方交付税、交付金を入れれば四千数百億円になるというようなことは、いかにも不健全でありまして、地方財政の赤字問題は今非常に問題となっております。これらは計画的に中央、地方財源を再分賦もしくは地方自治の問題を検討しなければならと思うのでございますが、ともかくこの補助金制度というものは一面むろん必要ではございますけれども、他面非常に国民の依頼心というものを高めることになるのでありまして、今後十分検討し、これを整理すべきものと考えておるのでありまして、さしあたりこの昨年の特例が一カ年延ばされるということに対して賛成いたします。
  230. 天田勝正

    ○天田勝正君 私は社会党第二控室を代表しまして、本法律案反対をいたすものであります。  この法律は、昨年第十九国会に提出されましたときも、また今回の延長を主とする提案理由の中にも、国の財政の健全化の目的からと、これが唯一の理由になっているわけであります。だんだん質疑をいたしておる中から、それは補助金問題を根本的に検討をいたすために時間がないから、とりあえずこういうことに変化して参ったと私は見ているのです。ところが昨年この法律が提出された当時、私どもといたしましては、その検討をいたすために、とりあえず、基本的にこれらの補助法律は一切無用である、こういう観点に立たない限り、これを継続して行きながら検討し、その上において不必要とあらば、基本法律であるそれぞれの補助法をば廃止または改正をしたらよかろうという態度をとって参ったわけであります。しかしながら、与野党の勢力に懸隔がありましたために、私どもは農林省関係の改良関係に対する補助の一条を削除することによって修正に賛成し、その残りの部分にももちろん賛成をいたして参りました。あくまで今平林委員が御指摘になりましたように、時限立法であって、一年間ののちに当然国の財政の健全化が全般的にはかれるか、百パーセントはかれるかは別問題といたしましても、これらの補助金は復活する用意の下に期限を付して法律が作られたはずであります。ところが政府は自由党から民主党の手に移りまして、その民主党になりますと、なおさら国の財政の健全化が一年延期される。こういうことは選挙等に当って民主党が呼号して参りましたもろもろの財政政策とは全く背馳しておるのでありまして、これは私は公約違反の一つであろうと見ているのであります。さて、質疑を通じて明らかになったことは、依然としてこれらの補助法律をば根本的に廃止するという理論的な根拠も実際的な根拠もないことが明らかになっております。ことに見逃し得ないことは、いわゆる文部省とか厚生省とか、そうした通常弱い省と言われる面に、またその内容においても母子であるとか、あるいは小学校の学童等のごとく、おそらく多少の無理をいたしても、これを国もしくは国会に迫って参らない、こういうような部面にしわ寄せしたきらいが歴然といたしておりますので、ますますもって、これには私は賛成いたしがたいのであります。他の委員から補助金が膨大であり、これを打ち切って参る方向が当然なりという御主張がございましたけれども、それならば先ほど議了されました租税特別措置法にいたしましても、あの内容を私が指摘したように、大資本に多くの減税をいたすならば、その部面を持ってくるならば、これらの補助金は、あげて補助を継続いたしましても、何ら国の財政には私は影響のないもの、かように存ずるのでありましてこの意味から本法律案反対をいたすものであります。
  231. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は補助金等臨時特例に関する法律の一部改正に反対するものであります。  反対理由はすでに社会党の両派の諸君が述べましたので、簡単に述べたいと思いますが、補助金制度の根本的な再検討、改正についてはすでにその必要が痛感されておったわけでありますが、その根本的改訂の結果ですね、結局今問題になっているような非常にこそく的な、非常に零細であってそうして文教とかあるいは保健衛生、そういう方に関係のある末端において、天田委員が指摘されたように、非常に要求の弱いような、そういうところを削って、もっと大事な補助については手を触れていないのです。こんなこそくな立法で補助金の処理なんということは、全く私は本末転倒だと思うわけです。しかもこれは時限立法であって、一年であったのをまたこれを延期している。ところが本格的に処理しなければならない補助金については、一応政府はこれを削減しましたが、自由党民主党の改正によって、そうしてまた整理しなければならないようなものまで復活して、聞くところによると、何々代議士というようなひもがみんなついているような、利権的なような感じをにおわせるような補助金が復活している。そうしてこの五億幾らぐらいの教科書の無料配付についての、そういうような補助金を、これをもう一年停止しよう、また保健所みたいな、そういうところの補助金をもう一年停止しようとしている、全くもう本末転倒きわまるものだと思うわけです。そういう意味でこの法案に反対するわけであります。
  232. 青木一男

    委員長青木一男君) 他に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  まず、補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案閣法第五〇号)を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  234. 青木一男

    委員長青木一男君) 多数であります。よって本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案閣法第九一号)を問題に供します。  本案を原案通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  235. 青木一男

    委員長青木一男君) 多数であります。よって本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条により、本委員会における質疑、討論、表決の要旨を報告することとして、あらかじめ御承認願うこととし、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成等につきましては慣例により委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  236. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないものと認めます。  それから本院規則第七十二条による委員会の報告書には多数意見者の署名を附することになっておりますから、五案を可とされた方は順次御署名願います。   多数意見者署名   〔所得税法の一部を改正する法律案外四件〕     西川甚五郎 山本 米治     岡崎 真一 木内 四郎     藤野 繁雄 宮澤 喜一     小林 政夫 前田 久吉     小柳 牧衞 中川 幸平
  237. 青木一男

    委員長青木一男君) 本日はこれにて散会いたします。    午後七時三十分散会    ————————