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1955-05-30 第22回国会 参議院 大蔵委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月三十日(月曜日)    午前十一時七分開会  出席者は左の通り。    委員長     青木 一男君    理事            西川甚五郎君            山本 米治君            土田國太郎君    委員            青柳 秀夫君            木内 四郎君            白井  勇君            宮澤 喜一君            小林 政夫君            岡  三郎君            天田 勝正君            井村 徳二君            中川 幸平君            木村禧八郎君   政府委員    大蔵政務次官  藤枝 泉介君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    大蔵省主計局法    規課長     村上孝太郎君    大蔵省主税局長 渡辺喜久造君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省主計局主    計官      小熊 孝次君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○補助金等臨時特例等に関する法律  の一部を改正する法律案(閣第五〇  号)(内閣送付予備審査) ○昭和二十八年度昭和二十九年度及  び昭和三十年度における国債整理基  金に充てるべき資金の繰入の特例に  関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○昭和三十年分の所得税予定納税及  び予定申告期限等特例に関する  法事案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 青木一男

    委員長青木一男君) これより大蔵委員会を開きます。  まず理事補欠互選の件を議題といたします。去る四月十四日松永理事が死去されました結果、本委員会理事に欠員を生じておりますので、この際理事補欠互選いたしたいと存じます。互選方法成規の手続を省略し、先例によって委員長より指名することに御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。それでは委員長より本委員会理事森下委員を指名いたします。     —————————————
  4. 青木一男

    委員長青木一男君) 次に本日本委員会に、補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案(閣法第五〇号)が付託されましたので、本案内容緊急性にかんがみまして、この際、本案議題といたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。まず本案について政府より提案理由説明を聴取いたします。
  6. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) ただいま議題となりました補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして提案理由を御説明申し上げます。  昭和二十九年度におきまして、政府は、国の財政健全化等の目的から補助金等につきまして整理する必要を認め、昭和二十九年度予算において所要の措置を講ずるとともに、第十九回国会補助金等臨時特例等に関する法律案提出し、御審議の上、これが成立を見たのであります。しこうして、同法は、本年度暫定予算期間中につきましてもさきに本国会提出し、御審議の上、成立を見ました国債整理基金への繰入及び補助金等に関する特例期限を変更するための法律により一時延長措置を講じたのであります。  政府といたしましては、補助金等整理につき検討の結果、同法の対象となった補助金等につきましては、昭和三十年度におきましても昨年度と同様の措置をとることを妥当と考え、これがため右特例法有効期限昭和三十一年三月三十一日まで延長するため本法案提出した次第であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  7. 青木一男

    委員長青木一男君) 事務当局から補助的説明がございますか。
  8. 小熊孝次

    説明員小熊孝次君) ただいま提案理由説明のございました補助金等臨時特例等に関する法律の一部改正案につきまして、敷衍して御説明申し上げたいと思います。  さきに四、五月につきましては、すでに本委員会におきまして、暫定予算措置とあわせまして延長していただいたわけでございますが、政府といたしましてさらにこれを来年の三月三十一日まで延長するのが妥当であるというふうに考えまして、ここに一部改正法案提出しておる次第であります。  それで、内容につきましては、すでに四、五月の暫定予算の際におきまして御説明申し上げたところでございますが、簡単にもう一度繰り返して御説明申し上げますと、まず第一が、公立高等学校定時制課程の職員の経費国庫補助関係でございます。これは実体法によりますと、予算の定めるところに従い、国庫がその十分の四を補助すると、こういうことになっておりますが、この法律は従来から交付税回しで見ておりますので、これを一時停止していただくというのが内容でございます。それから社会教育法関係図書館法博物館法関係につきましては、それは従来運営費的な分を見ておったわけでありますが、そういう施設費とそれから設備費と、そういう基本的なものに補助していくという建前にいたしまして、むしろこれは合理的な面を考えておるわけでございます。それから産業教育振興法関係でございますが、これは産業教育教科書発行に要する経費の一部補助でございますが、これも民間団体に対するところの補助というような見地から、一応現在の財政状況のもとにおきまして停止をする、こういうことにいたしたいと考えております。それから新たに入学する児童に対する教科用図書給与に関する法律、すなわち教科書無償給与の問題でございますが、これにつきましては、貧富の差々問わずに、すべて小学校に入学した者に対して一律に教科書を配布すると、こういうような考え方でございますので、それよりはむしろ盲ろう学校とか、そういうような気の毒な人に給与するというような体制を整えまして、そしてこの法律は一時停止をする、こういうことにいたしております。  以上が大体文部省関係のものでございますが、次は厚生省関係といたしましては児童福祉法母子手帳、これもまた、その制度が設けられました当時の状況、すなわちいろいろな配給とか、そういうようなものの一つの要件であったわけでございますが、そういうような事態が、感覚がだんだん簿らいで参りました。そういうような見地から一応停止しようというわけであります。それから性病予防法につきましては、これはまあ従来二分の一であったところの政府補助につきまして、これを四分の一に改正をする、臨時的措置として改正するということでございます。それから精神衛生法関係でございますが、これは公立精神衛生相談所の運営につきましても同様に二分の一を四分の一にする。それから母子福祉資金貸付等に関する法律でございますが、これも母子相談員に要する経費につきまして二分の一となっておりますのを、これを停止いたすことにいたしております。  それから漁業法関係でございますが、漁業調整委員会、それから内水面漁場管理委員会経費につきまして、従来全額負担、こういうことになっておったわけでございますが、政令で定めるところにより負担する、こういうことにいたしまして、その補助率を低減いたすことにいたしております。それから家畜伝染病予防法関係でございますが、これは家畜伝染病以外の寄生虫病発生予防に要する経費につきまして全額負担することになっておりますが、これは他の伝染病等と違うというような見地から考えまして、これを二分の一に低減いたしたい。   〔委員長退席理事山本米治着席〕  それから水産資源保護法関係でありますが、これは都道府県知事管理計画に基いてやるところの保護水面管理費でございますが、これも全額負担になっておりましたが、その地方的な関係考えますと、これを一部補助に改める。それから漁船損害補償法ででございますが、これは強制付保漁船につきまして、保険料の二分の一を負担することになっておりますが、これを当時一トン以上百トンというものが二十九年度から実施されることになっていましたが、これを若干変更する、まあこういうことでございます。それから外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法の問題でございますが、これは開発銀行に対する利子補給金の支給というものを停止する。  それから地方鉄道軌道整備法関係でございますが、これは重要な新線の建設費、それから重要な路線の改良費、それから重要な老朽線に生じた欠損額、こういうようなものにつきまして、前二者につきましては、固定資産の百分の六相当額補助することになっておりましたのを、百分の六を限度として補助するということに改めようというわけであります。  それから公営住宅法でございますが、これは第一種公営住宅建設費につきましては、これは二分の一を補助するということになっておったわけでございますが、これを特殊な、高層の高級な建築につきましてはこれは二分の一以内、こういうことでございまして、まあそういう負担力というような点も考えまして若干低減ができるように措置いたしたわけでございます。  大体大ざっぱでございますが、今度延長せんといたしますところの補助金等臨時特例等に関する法律案内容がどうなっておるかという点につきまして簡単に御説明いたした次第でございます。
  9. 山本米治

    理事山本米治君) ただいまの御説明に対する質疑をお願いいたします。
  10. 小林政夫

    小林政夫君 だいぶ衆議院で問題になっている、衆議院で問題にしているところは一部新聞に報じられておりますが、どういうことですか。
  11. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) 先ほど提案理由の御説明に申し上げましたように、本予算提出いたしまして、その際にこの昨年に行いました補助金等の一部停止の問題はそのまま三十年度も続けたいという意味で、来年の三月三十一日まで延長していただきたいという法案提出したわけであります。その後に至りまして、御承知のように、六月の暫定予算政府提出いたしましたので、衆議院補助金等に関する特別委員会におきまして、一部の方から、その暫定予算に合わせたような法案を別に区切って出すべきではないかという御意見がありまして、これをめぐっていろいろ御議論があるのでございまして、私どもといたしましては、実は本予算提出し、そうして一年延長を願いたいという考え方を持ちましたので、六月の暫定予算は本予算をもとにした一部でありまするから、この法律の方は、来年の三月三十一日までの延長法律に含まれるものとして、実は別に区切って出す必要がないという結論に達しまして、このような措置をとったのでありますが、それに対しまして、ただいまのような御議論があるということが、目下の衆議院委員会における審議状況でございます。   〔理事山本米治退席委員長着席
  12. 小林政夫

    小林政夫君 問題の中身はどうなんですか、そういう六月暫定予算と合わないということだけが問題なのか、具体的なその軽減あるいは打ち切りの問題にしている点はどういう点があるのですか。
  13. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) 現在の衆議院委員会における御審議の経過におきましては、この中身の具体的な問題についての御論議よりも、ただいま申し上げた切るか切らないかというこの御論議を中心にしておられるようでございます。
  14. 岡三郎

    岡三郎君 たとえば家畜伝染病予防法ですね。こういったようなものが二分の一になるということで、まあこのほか関連する法案もあるかもしれませんけれども、地方財政の不如意のときにこういったような減額をするということで、基本的な仕事はそのままというてふうな形になるというと、地方財政というものにどうしてもしわ寄せになる心配がないのか、そういう点について一つ当局意見を伺いたいと思います。
  15. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) ただいまの岡先生の御質問にお答えいたしますが、一方に地方財政窮乏化と申しますか、一般地方財政赤字のことを言われております。それから補助金整理というものも、こうした地方財政窮乏に対して、従来ひもつき負担金あるいは補助金ということで地方財源を非常に拘束しておりましたものを、できるだけ自由にしようという考え方があるわけでございますけれども、ただいまおっしゃったような補助率を二分の一にするというような形で補助率を削減しますというと、その点で真正面から地方財政財源と衝突するという問題も起るわけであります。それに対しまして、政府といたしまして別個に、そうした地方財源真正面から衝突するものにつきましては、この補助金の率を削減するという見地、これはこの前も御説明申しましたけれども、馬とか牛の寄生虫というものにつきましては、受益者負担という関係もございまして、これを全額国が見るのはおかいしということで二分の一に削減する。しかしそれによって起るところの地方財政との矛盾の面は別個に、たとえば地方再建整備法とかあるいは今回の地方道路税の創設、あるいは専売益金の譲与というふうないろいろな財源を別個に考えまして、いわゆる地方で自主的に使える財源をふやそうということで考えておりますので、そういった二つの理念の調和という点につきましては矛盾なきように考えておるわけであります。
  16. 岡三郎

    岡三郎君 家畜といってもいろいろ広いわけですが、養鶏事業にしたって、牛にしても馬にしても、一般酪農事業にしたって非常に不況なわけですね。非常に苦しいわけですね。そういったところでしかしこういったものが発生すると、放っておくわけにはいかん。緊急にやはり処理しないというと他に累を及ぼすということになるわけです。やはり必然的に地方財政にしわ寄せするということになって、今言ったように調和するようにうまくやるというのですが、実際にうまくいきますか。
  17. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) この寄生虫という問題でございますけれども、家畜伝染病予防法建前は、非常に伝播力の強い病源というものに対して、これを駆除することが国家的見地からも非常に重要だというような考え方から、国が全額負担というようなことになっておるのだろうと思うのでありまするが、この寄生虫につきましては、同じ伝染性疾患といたしましても、その伝播力というもののいかんということにつきましても程度がありますし、それからまた寄生虫を駆除した馬や牛が非常に太りまして、これは駆除した農家の所得というものも増加するわけでございまして、そういうふうな見地から受益者負担という点を考えますというと、全額というのを二分の一に引き下げるということは大して差しつかえぬのではなかろうか。  それから今おっしゃいました地方財源との関係でございますが、その点につきましては、先ほどから申し上げまするように、別途地方公共団体赤字処理ということにつきましては地方再建整備法その他の法制的措置を講じましてやっていこうということでございまして、その間の矛盾調整ということについては顧慮しておると、こういうふうに考えております。     —————————————
  18. 青木一男

    委員長青木一男君) 次に昭和二十八年度昭和二十九年度び昭和三十年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案議題といたしまして、質疑を行います。
  19. 小林政夫

    小林政夫君 二十八年度、二十九年度こういう臨時措置をやって、また三十年度同様の措置を継続するわけですが、国債整理について、政府としては最近の事態にかんがみて恒久的な処理方法について何か構想があるやに新聞で報ぜられたと思いますが、そういう何か構想があれば伺いたい。
  20. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 国債整理と申しますか、減債制度というものにつきまして、政府が根本的な構想を持っておるかどうかという御質問でございます。この点につきましては、特例法を四、五の両カ月暫定予算に伴いまして延期していただきますときの提案理由説明のときにも少し申し上げたのでありますが、現在の国の持っております国債残高というものは、一年の歳出規模から比べまして、約その二分の一程度、四五千億という程度のものでございます。これは諸外国、たとえばアメリカとかイギリスというふうな、ああいうふうな先進諸国におきましては、大体歳出規模の五、六倍の国債をかかえている。そういうものに比べますと、日本国債残高というものは、戦後のインフレーションということもあったわけでございますが、きわめて財政的には負担程度が軽い程度でございます。しかしまあ健全な財政という見地からいいますれば、これを全部なくすることが好ましいわけでございますが、そうした一年の歳出規模の二分の一程度のものではございますけれども、ただいま申し上げましたような健全財政という面から全部なくした方がいいということからいいますと、何らかの減債計画を立てなければならぬわけであります。われわれといたしましては、現在持っております国債を、まあ年々償還期というものは違っておりまして、ある年には五百億の償還をしなければならぬし、ある年には百億でいいというように、償還期が非常にまちまちでございますので、これを二、三十年かかって、ある程度平準化した償還をしていくということにいたしますれば、現在の国債についてあまり財政が年々不均衡な負担をしないでやっていけるのじゃなかろうかというふうな見地から、大体前年度国債残高の三十分の一程度のものを返していくという構想ででもやっていったらどうだろうかというふうなことを現在検討いたしております。まだ最終的にきまったというわけではございませんけれども、そういうふうなある程度ばく然たる計画は持っておるということは申し上げられると思います。
  21. 小林政夫

    小林政夫君 ばく然たる計画でこの国会提案するつもりで考えているのかどうか、どうなんですか。
  22. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 当初はこの国会提出する予定でございました。それは四、五月の暫定予算のときに、この特例延長していただきますときに、そういうふうなことを申し上げたかとも思いますが、その後本予算編成方針がきまりまして、各特別会計から国債整理基金への繰り入れが従来通り一万分の百十六の三分の一というふうに現行法によってやることにきまりまして、それによって予算が組まれておりますので、この国会提出いたしましても、その施行は来年度から、こういうことになるわけでございます。そこで来年度から施行ということになれば、この十二月の常会に出していいものではないかというふうな御議論も聞きましたので、本国会への提出は見合わせることにいたしました。
  23. 小林政夫

    小林政夫君 来年度というか、今度の通常国会で、来年の予算には間に合うように政府構想は固まるということですね。
  24. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) そういう予定でございます。
  25. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 また公債発行の問題が最近自由党から修正が起っておりますが、この国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例は、これは見方によっては、実際は蓄積資金として蓄積すべきものを少くする、こういうことなんだと思うのです。それで今後国債発行の問題も起っておるし、大蔵大臣は本会計年度国債発行については反対である。しかし国債発行そのものについては必ずしも反対ではない。それで市場に消化能力があれば、これは発行してもいい、そういうふうな建前をとっているのですよ。そしてこれを今度の六月分の暫定措置として、これを一応認めさせようというのですが、原則からいえば、財政法で、国債発行については今度の財政法では特にきつい制限を設けている点から見て、どうもわれわれから考えると、だんだん国債発行についてルーズな考え方になろうとするような傾向があると思うのです。これなんかもその一つの現われであって、そういう点につていて事務当局としては一体どういうふうに考えているのか。公債の問題について財政法では特にきつくこれを制限をしているが、これはその特例なんですがね。こういう特例というものは、そう簡単にやっていいのかどうか。これはすでに二十九年度でやっているのですけれども、三十年度暫定予算でもこれを一応引き続いて認めさせようというのでしょう。ところが大蔵大臣は、少くとも三十会計年度では公債発行には反対であるという考えを持っているのです。そういう点で、こういう特例措置についてどういう考えを持っているのか、事務当局としては。
  26. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) ただいまの木村先生公債発行とこの特例との関係、私ちょっと意味がつかめないのでございますけれども、御承知かと思いますけれども、もう一度説明させていただきますと、この特例はポイソトが二つございまして、一つ一般会計からの国債整理基金への繰り入れ償還でございます。償還元利支払いにつきましては、二つ現在規定があるわけでございます。一つは、財政法の六条の前々年度剰余金の二分の一、もう一つは、国債整理基金特別会計法の二条にございます万分の百十六、それに昭和七年の特例が入っておりまして、それのまた三分の一になっておりまして、他方剰余金関係は、昭和二十八年度剰余金が四百八億円程度になっておりますので、財政法六条の関係から申しますというと、大体二百億円程度のものを償還財源として繰り入れすることになります。もう一方の万分の百十六の三分の一と申しますのは、大体十七億になるわけです。現在国債整理基金残高は四千四、五百億くらいといたしますと、二百億円くらいずつ返しても二十年で返せるわけです。そうしますと、この特例法によります償還をさらにこの剰余金に加えて行うかどうかということになりますと、少くとも現在の国債償還計画からいいますとあまり問題にならない、まあネグリジブルだということになりますのでこの特例法関係ははずしても差しつかえない、こういうふうに考えておるわけでございます。  もう一つの点は、電電と国有鉄道、これが特別会計でございましたときに、当時は特別会計として負担しておりました国債があるわけでございますが、これが公社になりますと同時に、公社でございますので国債負担することはできないということで、それを一般会計へ肩がわりいたしまして、公社はそのかわり一般会計に対してそれと同じような条件の債務を持つ、こういう形になっておったわけです。そこで公社負担します国債償還は、一般会計を通して国債整理基金特別会計繰り入れるということになり、いわばこういう三角関係で決済するわけでございますけれども、これは経理の簡易化意味からいいますと、大体従来通り公社から直接に国債整理基金繰り入れたらいいじゃないかというふうに考えております。この第二の繰り入れ関係は、全く経理的な簡素化意味だけである、こういうふうに了解いたしております。  第二の点は、これは国債発行関係があるわけじゃございません。現在の剰余金というものは、国債残高に比較しますと、償還財源としましては相当大きいものであります。大体二十年くらいで全額償還できる程度のものを毎年入れていくならば、それで一応十分じゃなかろうか。そこで十七億の方は、ほかにいろいろ財政的にはつらい年でもあるし、その適用を延期していただきたい、こういうことでございます。
  27. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どうも事務当局立場矛盾していると思うのです。今公債の額が少くなってきているというのでしよう、外国に比べて……。それならばドッジ・ラインのときなぜあんなにたくさん償還してしまったのか、あのときに無理に……、無理であるかいなかは立場によって違うかもしれませんが、とにかく非常にたくさんの蓄積資金でどんどん償還したのですよ。で、あのときわれわれ反対したのです。そんなに無理に償還する必要ないのだ、安い金利で債務を持っている方が……、それでその資金を、税金として吸い上げた資金をもっと効率的に使うべきだ。それをどんどん公債償還に……、どのくらい償還したか、非常にたくさん償還したのです。それで今になって公債が非常に全体外国の例から見て少い、こういうようなことを言っている。それだから公債をまた今後発行してもよいという議論はそこに一応出てくると思うのですが、そういう点がどうもおかしいと思うのです。  それからいま一点、第二点の方は非常にわずかだと思う。ネグリジブルである。そう大した問題にならない。それで前年度剰余金の方において、相当多額の償還基金として積み立てるのだからいいじゃないかというのですけれども、これはやはり関連があるのだと思うのです。全体の公債の信用というものに関係があるので、無関係じゃないと思うのです。それで実は私が言いたいことは、これは事務当局にも考えてもらいたいことは、どうも公債発行について財政法で非常にきつい規定を設けた趣旨というものが、だんだんここでくずされてゆく危険があると思うのです。で、それは現状ではどうしても防衛費がふえてくるのですね。それで公債発行は防衛費として調達するのじゃないといっても、結果としては防衛費の調達ということになるのです。で、防衛費は税金でやってゆくといっても、たとえば自由党の今度の産業公債みたいに、産業に対する投資として公債発行するといっても、実は投資の方を税金で賄うとすれば、防衛費は公債発行しなければならぬ、こういう結果になるので、今の現状ではどうしたって公債発行ということをやってゆくと、それがいわゆる赤字公債ということになる。赤字公債でないといっても、預貯金でこれを引き受けるといっても、インフレ要因になるし、そういうふうにだんだん公債発行に対する考え方がルーズになってくるような状態にあると思うのです。そういう意味でここでこれから財政法をわれわれ守らなければならぬと思うのですが、財政法で一番守らなければならぬ点はその点だと思うのですよ、公債に関する点は……。そこでわれわれは公債というものに対してルーズに取り扱うような、そういう法律とか規定について、必要以上に神経質にならざるを得ないのです。そういう点、どういうふうに考えていますか。
  28. 藤枝泉介

    政府委員藤枝泉介君) 公債の将来の問題についての非常な御懸念につきましては、私どもほんとうにその通り考えております。財政法にも規定されておりますように、公債政策というものをどう取り扱うか、これはもう非常に厳重に考えるべきものであるということはお説の通りだと思います。私どもといたしましても現在のところ公債発行に非常なルーズな考え方を持ち出そうというような考え方は持っておりませんことを申し上げたいと思います。ただそれが何かただいまの御意見で、今回御提案申し上げておりまするこの法律と関連して、何かこの法律を出すこと自体に、将来の公債発行についての考え方が少し甘くなっているのじゃないかという御懸念でありますならば、これは先ほど規課長が申し上げましたように、この法律自体はさような点とは関連のないことを御了解いただきたいと思うのでございまして、先ほどから法規課長がお答え申し上げておりますように、現在の国債残高と、それから今までの歳計の純剰余金との額と、その二分の一を償還に充てるわけでございますが、その額とのにらみ合わせで当分これだけで少くともやっていけるのじゃないかという意味提案申し上げたような次第でありまして、その点は別といたしまして、先ほども申し上げましたように、公債の将来の発行については財政法の命ずるところによりまして、私どもも十分厳格な考え方でもって参りたいと考えておる次第でございます。
  29. 青木一男

    委員長青木一男君) まだ長いですか。
  30. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いや、そう長くありません。
  31. 青木一男

    委員長青木一男君) 先ほど他の質疑も途中で実は一時中止して、あと継続することにして、討論採決に入ろうという計画をしておりますから、簡単に一つ、あとまた……。
  32. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう討論採決をやるのですか。
  33. 青木一男

    委員長青木一男君) それで実は御都合を願っておいで願ったのです。明日の本会議にかけたいので……。
  34. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どうしてすぐこれを討論採決しなくちゃならんのですか。
  35. 青木一男

    委員長青木一男君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  36. 青木一男

    委員長青木一男君) 速記を始めて。
  37. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 簡単なんですが、もう一つちょっとはっきりさしておいてくれませんか。元利償還のための資金繰り入れについて、さっきの御説明剰余金の方の繰り入れと、それからもう一つ一般会計から繰り入れるのと二つ、これはやはり剰余金のほうで相当繰り入れの金があるから、そうしてまた国債自体は外国の例から見ても、日本の場合には非常に現在高が少くなっておる。だからそんなにたくさん償還しなくてもいいのじゃないか、そういう考えに立っておるわけですね、はっきり言えば……。
  38. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 少し先ほど私の説明が簡単過ぎたかと思うのでございますが、御承知のように剰余金の二分の一と万分の百十六の三分の一という規定がございます。万分の百十六と申しますのは、大正四年当時に、ちょうどその当時ございました国債に対して毎年三千万円くらいずつ償還しておったのでありますけれども、この三千万円が大体万分の百十六に相当しておったという歴史的な古い意味しか持っていないのでございます。それが昭和七年にちょっと非常に財政がつらかったときにまたその三分の一ということになっておりまして、現行法の体系というものは、いわば大正四年当時の国債とその当時の財政の規模と申しますか、そういうものからきまっておる、非常に今となっては現代的意味を持たない規定でございますから、かたがた剰余金の二分の一と申します二百億程度の金は、現在の国債残高に対して約二十二分の一くらいに相当いたします。これは国債を三十年計画で返すのが、普通いろいろなところでいわれます減債期間の常習でございますけれども、それから見ましても非常に上回っておるということから、一方それだけ入れておりますので、そういう意味のない規定は一時よしていただきたいということであります。
  39. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 財政法でこういうふうにきめるときに、万分の百十六の三分の一ですか、そういうものはそのまま残しておいたのですか。
  40. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) それは財政法の六条の規定は、今それを記憶しておりませんが、ほかの法律によって繰り入れるもののほか、剰余金の二分の一という規定の仕方になっておりますので、そこで非常に不合理がございますので、国債整理基金特別会計法の根本的改正をいたしますときに、その間の調整をいたしたいと、こう思っております。
  41. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 実際は剰余金繰り入れる方が大きいのですね。どのくらいの率になっておりますか、金額で、たとえば剰余金で、まああれは本年度は二百億以上でしたね。それから万分の百十六の方はどのくらいになりますか。
  42. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 剰余金の方は、昭和二十八年度の決算剰余金は四百八億でございますから、二百四億、万分の百十六の三分の一というのは十七億であります。
  43. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうすると、実際の国債の元利償還のための規定というのが何か主従関係が通で、本法の規定によるもののほかの方が大きくて、こっちの規定の方が小さいというような妙な形になるのですが、そういうわけですね。
  44. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) そうです。
  45. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうですか。その関係はよくわかりました。それでもうけっこうです。
  46. 青木一男

    委員長青木一男君) ほかに御発言ないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  48. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この法案には賛成です。別に異議はありませんが、たださっき、直接関係ないのですけれどもね、公債というので、関係というのは非常に間接的関係のようですけれども、公債の問題については、本年度よりむしろ今後三十一年度あたりから相当これは本格的に問題になってくると思います。で特に自由党は、もう少くともこの補正については公債を出そうとしているのでしようし、三十一年度では本格的に公債の問題を出してくると思うのです。そういう意味で今後公債の問題については十分財政法の精神を曲げないように注意されることを希望いたします。
  49. 青木一男

    委員長青木一男君) 他に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。  昭和二十八年度昭和二十九年度び昭和三十年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  51. 青木一男

    委員長青木一男君) 全会一致と認めます。よって本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条により、本委員会における質疑、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして、あらかじめ御承認を願うこととし、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成等については慣例により委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二条による委員会の報告書には、多数意見者の署名を附することになっておりますから本案を可とされた方は、順次御署名を願います。
  53. 青木一男

    委員長青木一男君) 次に、昭和三十年分の所得税予定納税及び予定申告期限等特例に関する法律案議題として質疑を行います。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 青木一男

    委員長青木一男君) 別に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めて、それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。昭和三十年分の所得税予定納税及び予定申告期限等特例に関する法律案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  57. 青木一男

    委員長青木一男君) 全会一致と認めます。よって本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条により、本委員会における質疑、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして、あらかじめ御承認を願うこととし、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成等については、慣例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 青木一男

    委員長青木一男君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二条による委員会の報告書には、多数意見者の署名を附することになっておりますから、本案を可とされた方は、順次御署名を願います。   多数意見者署名     西川甚五郎  山本 米治     土田國太郎  青柳 秀夫     木内 四郎  白井  勇     宮澤 喜一  小林 政夫     岡  三郎  天田 勝正     井村 徳二  中川 幸平     木村禧八郎     —————————————
  59. 青木一男

    委員長青木一男君) それでは再び補助金等臨時特例等に関する法律の一部を改正する法律案(閣法第五〇号)を議題とし先ほど中絶いたしました岡委員質疑を継続いたします。
  60. 岡三郎

    岡三郎君 質疑もあるのですが、先ほど質問の中で、現在衆議院の方で修正案を作っているという点で、修正案が明日なら明日出てくるということになると思うのですが、これに対して一応まあ質疑をするということにもなると思うので、修正案が出てきてから質疑をしようと思うのですが、どうでしょう。
  61. 青木一男

    委員長青木一男君) それもけっこうでありましょう。もちろんその際は十分いたします。なお予備審査としてこの際御質疑があれば願いたいのですが……。
  62. 岡三郎

    岡三郎君 そのときでいいのですが、大綱がはっきりしてから質疑をした方が明瞭になると思います。
  63. 小林政夫

    小林政夫君 今、岡委員から質問がありましたが、それと関連して資料がほしいのですが、それはこういう二十八年度特例を開いたことによって補助金の減額、または打ち切り等をやったわけですが、その結果として、実際の事柄はどうなっているかということですね。事柄というと、補助金を、今の岡委員からの質問で言えば、家畜の伝染病予防ということはどういうふうに執行されたか、県が国の補助金が減っただけのものを出したのか、あるいはそれだけ予防措置が縮小したのか、または受益者が負担したのか、こういうことが二十八年度と二十九年度と比べてどういうふうに行われているかということを全体にわたってわかりますか。
  64. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) ただいまの御質問は、一体補助金の減率あるいは停止ということの結果、実態の行政はどういうふうになったか、こういう御質問だろうと存じます。これは私の方で調べられるものはある程度調べたわけでございますが、あとで具体的に数字を申し上げてもよろしいのでございますが、ある程度遺憾なく行政の実態は伸びておるようでございます。  ただこれが一体地方公共団体に対するいかなる犠牲のもとに行われたかという御質問があとに続くのだろうと思いますが、この点は私の方も実際にこれが補助金の減率、または停止にもかかわらず、行政の実態がこう伸びたということは、地方公共団体財政に非常に無理をしたのじゃなかろうかというふうな懸念もあるかと思うのでありますけれども、その点につきましては、去年この関係の臨時特例の結果、どういうふうに計数的に、国の財政から地方公共団体に影響を及ぼすかというときの数字と、あまり変ってないのじゃないかとわれわれ考えておるのでございますけれども、その当時の数字といたしましては、大体国の補助金としまして、約二十四、五億の減少、それが地方公共団体としては、約二億程度の変化があったというふうに記憶しておりますが、行政の実態につきましては、今申し上げました御質問家畜伝染病関係が一体どういうふうに、その後寄生虫処理がどういうふうになっているかということは、まだ正確に農林省関係に問い合せても数字が出ておらないのでございますけれども、その他、たとえば公民館のごときはこの補助金特例施行になったあとも、たとえば二十八年度の三万四千カ所というのが三万六千カ所というふうに伸びておるようでございます。それからたとえば博物館のごときもこの臨時特例の結果、二十八年度の約九百万人の利用者に対して、二十九年度におきましては、補助金停止にもかかわらず、約その三割増しぐらい、千二百万人ばかりの利用者があり、個所数も約三割くらいの増加を見せております。こういうふうな数字が出ていると思います。
  65. 小林政夫

    小林政夫君 私は地方財政負担がどうなったかという、これは岡委員質問にもあったのですが、こういうことも一つの問題だと思うのですが、行政の実態がどういうふうに伸びているかということを純粋に知りたい。それで事柄によっては、もし伸びておらなければ、進める必要のある分については復活しなければならんし、そういう意味で実態ですね、これが知りたいわけです。その結果によってまた質問があるかもしれませんが、一応ありのままの実態はどうしても一年後で、今直ちに数字的な資料がないということであればやむを得ないこともあるでしょうが、あなたの方で調べのつく限りのものを資料で出してもらいたい。あなたが今一例として触れられたような問題よりも、私の関心は別の問題にある。
  66. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 資料として提出いたしますことはいたします。ただ……。
  67. 小林政夫

    小林政夫君 それが出なければこれを採決しないということでないから、できるだけ急いで……。
  68. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 事務的には努力いたしましたけれども、臨時特例法内容となっております十七本の補助規定の中で、具体的な資料が得られましたのは余りたくさんないし、小林先生の御疑問のところはないかもしれませんが、その点はあしからず。
  69. 青木一男

    委員長青木一男君) 他に御質疑がなければ、明日にあとは譲りたいと思います。  それではこれにて散会いたします。明日は午前十時より開会いたします。    午後零時三分散会      —————・—————