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1955-07-30 第22回国会 参議院 商工委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月三十日(土曜日)    午前十時六分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     吉野 信次君    理事            古池 信三君            高橋  衛君            山川 良一君            三輪 貞治君    委員            上原 正吉君            小野 義夫君            深水 六郎君            松下 勇雄君            加藤 正人君            上林 忠次君            河野 謙三君            阿具根 登君            海野 三朗君            栗山 良夫君            上條 愛一君            小松 正雄君            白川 一雄君            苫米地義三君            石川 清一君   衆議院議員            山手 滿男君   国務大臣    通商産業大臣  石橋 湛山君   政府委員    通商産業大臣官    房長      岩武 昭彦君    通商産業省鉱山    局長      川上 為治君    通商産業省石炭    局長      齋藤 正年君    労働政務次官  高瀬  博君    労働省職業安定    局長      江下  孝君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       小野橋貞寿君    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       内田源兵衛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○継続調査要求の件 ○継続審査要求の件 ○重油ボイラーの設置の制限等に関す  る臨時措置に関する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○石炭鉱業合理化臨時措置法案内閣  提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それではこれより開会いたします。  ちょっとお諮りいたしますが、経済自立方策に関する調査につきましては、本院規則第五十三条によって継続調査要求書を議長に提出することにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 御異議がないと認めましてさよう決定いたします。  手続等委員長に御一任願いたいと存じます。     —————————————
  4. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 次に、本委員会に付託されておりまする法案あと六つございます。一、砂利採取法案。二、特定の物資の輸入に関する臨時措置に関する法律案、これは予備審査でございます。三、百貨店法案。四、百貨店法案。二つございますが、衆議院の方の法難の第十八号と第六十七号、これが両方とも予備審査でございます。五、下請関係調整法案、これも予備審査でございます。六、ガスの普及に関する臨時措置法案予備審査でございます。  この法律案継続審査にするかしないかということは、正確に言いますと、衆議院の方のなにの関係もございますのですが、もしできますならばこれを継続審査要求書を提出するならば、その提出するかしないか、並びにその手続というようなことを、会期切迫折柄でございまするから、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 御異議がないと認めます。それではさよう決定いたします。     —————————————
  6. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 本日は、昨日に続きまして両法案の質疑を継続いたしたいと思います。
  7. 阿具根登

    ○阿具根登君 大臣に御質問申し上げますが、きのう相当長時間質問があっておりますので、あるいは重複するかもわかりませんが、一、二納得のできない点がございますので、具体的に御答弁を願います。昨日同僚議員海野君からの質問がありまして、いわゆる関税は縮少しておいてそうしてこういう法案を作るととは、中小企業にしわ寄せを持ってくる。たとえば石炭にいたしますと、終戦直後のあの混乱時代工員を集めるために、あるいは社宅を作る、あるいは施設を作るということで、鐘、太鼓で工員を集めておいて、そうして今度は一部の人は最高所得者になるというような批判まで受けてきて、その結果はたくさんの労働者が首を切られるような結果になった。今度は重油無税に入れておいて重油業者がまた最高所得額の人になってくるというふうにのし上ってくる、こういうときに一割の税金をかけるようになっておる法律をわざわざ六分五厘に下げておいて、こういう法律を出されたということは、中小企業にしわ寄せされる何ものでもないのでないか、こういう御質問がありましたが、大臣答弁では納得できませんので、一割かけ得られなかった、いわゆる関税復活ができなかった理由を御説明願いたい。
  8. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) お話しのように確かにそこに矛盾は感ぜられる。ただ重油の方ば御承知のように非常に多く水産事業に使われておりまして、石炭と競合しない部分が非常に多いのであります。その部面の関税を上げるということは水産の立場、あるいは魚を安くするという点から、ちょっと差し控えねければならないような状態があります。結局今度は関税を上げようとすれば、陸上、ことにボイラー方面に使われるものが関税を上げられるということになります。その場合にどうも水上の方は無税陸上の方は急激な、とにかく今まで定率法を停止しておったということが習慣になっておる。それが急に定率のままに引き上げるということになりますと、やはりそこにフリクションが大き過ぎると思いますので、はなはだなまぬるいことでありましたけれども関税定率法まで持っていかずに低いところで、一応一年間様子を見まして、どうせ来年改めなければねらぬから、その場合に考慮いたしたいと、かように考えております。
  9. 阿具根登

    ○阿具根登君 くどくなりますから…。それでは今の油の値段は適正であるとお考えになっているか。たとえば石炭につきましては少し上げればこれを押えるような方法をとられてきた。いわゆるこれが法でなかったにしろ、石炭の高炭価問題が世上にやかましくなれば、重油の奨励をして重油を入れて石炭の炭価を下げてきた。こういう方法をとられてきたが、今の御答弁では、関税をかければ水産業者に直ちに高い油をやらなければできない結果になる。私たちは水産業者に高い油を売ることは全く反対でございますが、今の油の値段が適正であるかどうかという点について率直に大臣の御答弁を願いたい。
  10. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) この間からこの委員会においてもしばしばお話がありましたように何と申しましても、現在はほとんど全部が外国からの輸入でありますので、その関係で今の日本の油が果して適正であるかどうかということは、いささか疑問がないではありません。ことにガソリンのごときは比較的税も安いから外国と比較してでありますから、精油あるいは輸入業者利益を相当得ておるということも事実でありますから、これは今までも行政指導でなるべくこれを安くやるように、たとえば水産業において安くやるように指導はして参っております。今後もそういう方向で……。それからさらに外国の油にしても、なるべく違う方面からの外国のものが入るようにして、その間の競争をさせる、あるいは国内の重油をできるだけ増産をするという方法で、結局経済的な力でこれを下げていくということが根本であろうと思いますからそういう方式を考えたいと思ひます。
  11. 阿具根登

    ○阿具根登君 わかりました。この法案に表裏一体する石炭合理化臨時法案と関連いたしますが、重油ボイラー措置法案というのを出されたのも、相当無理をして出されておる、相当無理を承知して出されておると思います。その陰にはこういう無理なことをするかわりに炭鉱労働者が六万人近い人が首を切られていく、三百からの炭鉱は買い上げられる。こういう反面にもっと大きな無理があるので、油の中小企業者もしんぼうしてくれというような考え方が底に流れておるものと私は思っております。としますと、業界のあり方というものについて考えましたときに、日本は九千万近くの人口をかかえておりながら、わずか四千二百万トンの石炭が二十九年度ではたかれないような現状であるわけでございます。ドイツにおきましては一億数千万トン、英国におきましては二億トンをこしておる今日、日本がこういう現状でしかも合理化法案あるいはボイラー制限法案等を出さなければならないような実情になっておりますが、今の炭鉱労働者はこれでも最低の生活をしておると私は思っております。たとえばお互い税金生活をしておりますが、暑いとはいいながらこういうりっぱなととろで仕事をさしてもらっておる。なお各官庁すべての人々に考えを持っていきましても、この暑さより以上の暑さの坑内で眞っ黒になって身命をすり減らして働いておる人が、ずっと下の生活をしておる。その賃金を五年間もそのまま据え置きにしなければならないというととは、私は石炭企業が私企業ではもうやっていけないようになっておるのだ。おそらくごらいう無理な法案を出されても、これはまた形の変った法案にならなければならないようになると思うのでございますが、石炭政策が今のようなあり方でいいかどうか、その点につきまして御答弁願います。
  12. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) お説は全く同感でありまして、四千二百万程度石炭がこの日本におって需要がない、需要しきれない、ということは、これは確かにどこかに間違いがあるということは私もかねがね痛感いたしております。昨日もお話が出ましたように、どうしても日本エネルギー消費量というのが人口一人当りについてもっとはるかに大きくなるというところへ持っていかなければ、日本としては今後やっていけないものと思いますから、その点においては努力をいたす覚悟はいたしておりますが、現状においては何と言うても御承知通り一応かような法案によりまして調整をはかって、その間に需要の増進もはかり石炭企業の確立をしていきたい、かように考えてこの法案を出しております。労働者等の問題につきましても全くお話し通り同様に私も考えております。
  13. 阿具根登

    ○阿具根登君 エネルギーの問題で同僚三輪委員から質問がございましたが、五年間の計画を見ましても一・三五トン、こういうことであるといたしますならば、この法案重油を幾分規制されたにいたしましても、五年後の四千九百万トンの石炭と、また五年間の間には私はこれで規制するような重油はそう大した期待はできないと思いますので、おそらく一・三五の個人当りエネルギー消費量ではとういう問題がまた起ってくると思うのでございます。昨日の大臣答弁でも、それはわかっておるけれども、急激にそれを変えることはできないと吉われておりました。それも私はわかります。しかしアメリカの八分の一あるいはドイツの三分の一、英国の四分の一こういうことを考えます場合に、これが急にできないとは言いながら、それに対する大きな抱負を持っておられるはずと私は思う。それは実現が困難であるけれども、考究しねければならないという抱負を持っておられると思いますが、その点お聞かせ願いたいと思います。
  14. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) それはもうお諾しの通り、ただいま申し上げました通りどうしてもエネルギーの数字の上から言いましても、これを増加する、はるかに何倍かに増加するということにしなければ、日本の現在の失業者を吸収して、生産をふやして、国民生活を向上するということは困難だと思います。その点については政府においても、例の経済六カ年計画というようなものもいろいろな御批判がありますが、そういうところを目ざして一つ強力にいきたいという考えであります。その点は私、個人としてはかねがね同様に、あなたと同じように考えておりますので、これは全努力を払いたい、かように考えております。
  15. 阿具根登

    ○阿具根登君 何か具体的にお示し願えるかと思っておりましたが、御承知のように衆議院ではわが党は石炭安定法案を出しております。これも万全であるとは決して思っておりませんが、こういうことについては大臣はただいまのお言葉から考えましても積極的に御協力願える、取り上げていただけると思いますが、いかがですか。
  16. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) これは私も近代化の促進ということはぜひ必要がある、かように考えております。これは政府としますると財政とか何とかいろいろのことで、私個人がどう努力いたしましても、いろいろの関連がありますから、すぐにあの案を呑んでいくという御回答もできかねると思いますけれども、私はもう全面的に賛成であります。
  17. 阿具根登

    ○阿具根登君 わかりました。それでは今度は法案の内容について一点どうしても納得で巷ないところがございますので、御質問申し上げます。提案者がおられませんために、大臣に御答弁願いますが、昨日の提案者説明では、第四条でございますが、第四条は大臣の御意向も聞いて、そうして俗な言葉で言われましたが、朝ごきげんの悪いときにはこのボイラーをぶち切ってやろう、夕方ごきげんの悪いときにはここをどうしようというようなことになっては困るからというようなことで、こういうことをしたのだと、しかもこれによって大臣の気持はちっとも変らないということを言われたが、事実そうであるかどうか、御質問申し上げます。
  18. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 四条につきましては大体その通りでありまして、いろいろ質問の間にも私ども重油ボイラー規制はいたしますが、たとえばこの中小企業に属しますが、染色、陶器つきましては、どうしても重油を使わなければならぬ、そうしなければ品質の均斉なものができなくて輸出にも不便をきたすというようなお話は、これはむろん初めからわれわれはそういうものまでも切って捨てるという考えは持っておらぬ。ですからここに三号にわたって書いてありますように、また第一号の重油ボイラー以外のボイラーを持っているかどうかというのがありますが、これも私どもはこれは不可能をしいようと考えているわけじゃありませんから、むろん重油ボイラー以外の予備ボイラーを持っているかどうかということも考慮に入れて考えよう、またそのほかの生産関係等についてはむろんの話でありますから、そういうことをしばしば繰り返して申しております。従って第四条については私が申しましたことが大体衆議院修正案に、文章に盛られたと言っても差しつかえないかと存じます。
  19. 阿具根登

    ○阿具根登君 私はただいまの大臣の御答弁は全く意外に感ずるのでございます。なぜならば私は今言われました修正の第四条の問題で骨抜きになっていると私は思うからでございます。私は大臣の御答弁はもっと違う方面を期待しておりました。非常に危険はあるけれども、いわゆる予定されている七十万なら七十万は何とかこれで確保しなければならない、こういうように御答弁になると思っておりましたが、意外な御答弁であったので、残念に思うのでございますが、それならとの法律案の第四条は、政府の提案された字句あと字句とがほんとうにマッチして法案になっているかどうか、私は疑問を持たざるを得ないのであります。当初申し上げましたように、こういう法案を出されるときには、相当無理を覚悟でされている。極端に申し上げますならば、重油専焼缶を切りかえねばできないのだというお考えが、これに私は盛られておったと思うのでございます。ところがきのうの修正提案者説明に率直に申されたごとく、自由党ではこういうやつを規定づけたいと、こういうことを言われております。それから各党間の修正でかくなったということを言われておりますのは、いわゆる骨抜きになったのだと思うのでございます。なぜならば第四条の二項のところで、「生産若しくは加工に係る製品の品質を損じ、又はその品質に与える影響のため輸出に支障を及ぼすこととなるおそれがないかどうか。」ということは、そういうおそれがあるものはやってはいけませんということだと私は解釈します。そうすると第一項の方は「重油以外の燃料を使用することができるボイラーを設置しているかどうか。」ということは、設置しているボイラーであるならばいいけれども重油専焼缶だけのところはこれは困る、こういう一意味だと思うのでございますが、一つ大臣の御答弁衆議院山手先生、おみえになっているようでございますから、御答弁願いたいと思います。
  20. 山手滿男

    衆議院議員山手滿男君) いろいろ御議論もあろうと思いますが、この第四条にございますのは、抑制する必要があると認めるときは処置をするということでございまして、その必要があると認めたときというのが非常に抽象的で明らかでございませんので、一、二、三と箇条に書きまして、もう少しどういう必要性なりそのほかの場合を、法文に明記して明らかにしようというようね意図で、いろいろ議論はございましたが、こういう修正をいたした次第でございます。大体さっき大臣答弁をされました通りでございまして、私ども政府考えている規制措置をこの一、二、三と明文にしたことによって、一そう明らかにしたにすぎない、こういうふうに了解いたしております。
  21. 阿具根登

    ○阿具根登君 政府の方は。
  22. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 重油ボイラーを全部思い切って規制すれば、御承知のように百八十万キロリッターぐらいの規制に相なるのであります。それがわれわれの計画は大体七、八十万キロを制限しようと、こういうので、実は初めからそう無理をしいる、これは実際中小企業などに対して無理だと思いますから、そう無理をしいるつもりはございませんし、また技術的に申しても、さっきの染色というようなものがあることを承知しておりますから、そういうものは初めから私ども計画としても相当はずすつもりでおりましたのでありますから、実際においては衆議院修正を受けましても、私どものさっきの計画に大いにそごをきたすとはただいま考えておりません。
  23. 阿具根登

    ○阿具根登君 大臣考えはこういうととだと、いわゆる重油専焼缶を必ず切るということじゃなくて、混焼岳があったならば混焼缶の方を早く切っておいて、そうしてどうでもできないときには、専焼缶も切らなければできない、こういうお考えだと私は思います。それが当然だと思います。ところが修正案では極端にいえば混焼缶は残しておいても専焼缶を切るようなおそれがあるからというようなことは、非常に考えの中にあると私は思う。大臣は信用できないけれども審議会でやるならよかろう、こういうことになると思いますが、今の答弁ではそうでございますが、この法文にこれが入っているねらば今後問題が起ります場合には、この一条は必ず混焼岳があるかねいか、これは混焼である、これは専焼であるという問題において非常にもめてくる、こう思うのです。かりに、大臣は勝手にやるから困るということは言われておったのでございますけれども、その裏言葉としてはこれは専焼は切ってはできない、混焼だということの裏言葉になって、非常にもめてくると思うのですが、そういう点は修正提案者のお方はどういうふうにお考えになりますか。
  24. 山手滿男

    衆議院議員山手滿男君) やはり改造いたします場合にも、それがどういうふうな改造をして効果があるか、あるいは経費や何かについてもいろいろ問題もあろうと思いますから、やはり重油ボイラー以外のものに指示をいたしまして切りかえるような場合にも、さっき大臣からお話がありましたように、いろいろな場合があると思うので、こういう第一号のような場合も、十分そういう諸条件を勘案をして慎重にいく、こういうことでございまして、さっきの大臣の御答弁通りでございます。
  25. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうしますと、私は法律家じゃないので、この法律文章がよくわからないのですが、法制局を呼んで聞こうとまでは思いませんが、この文章修正されたあと追加文とはこれは一致しておるでしょうか。どうも私は何か木に竹を継いだような感じがいたしますが、どうでしょう。
  26. 山手滿男

    衆議院議員山手滿男君) 私どもは一致しておりますが、さっきも言いましたように必要があると認めるときこの指示をするわけでありますが、それはもう少し、ただばく然とこの際はすでに設置したものをこういうふうに改造指令をしたり何かする場合でありますから、やはりいろいろな点を十二分にしんしやくして、指令をしてもらわなければいかんということで、こういう例示をいたしたわけでございまして、全然一致をいたしておるつもりでございます。
  27. 阿具根登

    ○阿具根登君 最後に念を押して聞くようでございますが、この第四条を修正なさるときには、これは七十万キロの重油規制するということよりも、規制をできないようにするというのが皆さんの考え根本になっておったと思いますが、そうですが。重ねて……。
  28. 山手滿男

    衆議院議員山手滿男君) いや規制をできないようにするということではなしに、まあこういうことでむちゃくちゃに大きな権限をばく然と与えましても、さっきもお話がありましたように、計算をしますと、百何十万トンというようなボイラーの量を使うわけでありますから、むちゃくちゃに切られてもこれはまた困る。特にこの二号にありますような輸出の問題とか、あるいは事業操業度の問題とか、あるいはボイラー改造しますためにかがる経費や、いろいろな問題を勘案をいたしますというと、十二分に慎重に、現実に即したようにやらす必要がある、こういう考えで、まあ慎重にやらす規定を作ったというだけで、特に重油制限をすることができないようにしよう、こういう意図でやったわけではございません。
  29. 阿具根登

    ○阿具根登君 大臣じゃなくて事務局の方にお尋ねしますが、これによって七十万キロ重油の節約をしよう、こういうことでございますが、七十万キロと申しますと、日本重油ボイラーの何パーセントくらいに当りますか。日本にある全部の重油ボイラーの……。
  30. 川上為治

    政府委員川上為治君) ボイラー全体だけで使います油が大体大臣が先ほどお話しましたように、百八十万ないし百八十五万キロリッター程度でございます。ですから七十万キロリッターと申しますと、大体三分の一弱ということになります。
  31. 阿具根登

    ○阿具根登君 わかりました。昨日の栗山委員の御腰間が残っておったと思いますが、私からこれを言うのは恐縮ですが、その点もお聞かせ願いたいと思いますのは、六条の審議会委員の構成はどういうふうにお考えつきになったか。
  32. 川上為治

    政府委員川上為治君) 昨日私は委員の数としましては十名ないし十五名程度というふうに申し上げましたが、その後いろいろ検討し、相談をいたしましたところが、それではちょっとやはり少いのじゃないかというふうに考えまして、組織としましては、委員の数としまして二十名以内、それからほお専門事項について調査させるために専門員を若干名置くということにいたしまして、委員のうちから会長を一人置くと、委員の任期としましては大体ほかの例もそうなっておりますが、一年程度、それからこの審議会部会を置く必要があるのじゃないか。その部会というのは第四条の場合におきましては重油転換関係でございますので、それから第六条は緊急ね要途に対しましてのあるいは出荷についての勧告とか、あるいはその価格についての勧告とか、そういうようなこともしなければなりませんので、この仕事が若干違いますので、部会を二つ置く必要がありはしないだろうかというふうに考えまして、部会を置くということにいたしたわけでございます。それから問題になりました委員選定基準につ誉ましては、どういう基準でゆくかということをいろいろ検討したのですが、やはりこれは重油に関する学識経験者ということになっておりますが、利益代表から選ぶというととはどうかと考えますので、次の範囲によって選ぶ必要があるのではないかというふうに考えまして、第一は、ボイラー及び熱管理に関する専門技術家、これはたとえば機関士協会とか、あるいはその熱管理協会とか、あるいは燃料研究所とか、そういうところの専門的な代表者、そういうものを数名考える、それから第二には、産業界における学識経験者、これにつきましてはいわゆる利益代表という方面に傾かないように、たとえば商工会議所あるいは経済団体連合会、あるいは中小企業関係の団体、そうした方面のエキスパートをもってくる必要があるのではないか、これも大体数名と、四、五名と考えております。たとえば商業会議所におきましても、やはり燃料部会というようなものがありまして、そして専門的にいろいろ従来から検討しておりますので、しかも総合的に検討しておりますので、そういう方を入れる必要があるのではないか、それから経団連におきましてもやはり燃料部会というのがありまして、そしてどっちにも片寄らないように公平な方が、たしかあすこにおきましてはこういうような問題に当っておりますので、そういう方を持ってきたらどうかというふうに考えております。それから第三は、学界の専門家、学界におきましてもたとえば技術方面、あるいは重油の流通方面、そうした方面についての専門家を入れたらどうか、これも数名と考えております。それから関係官庁につきましても、やはりこうした方面関係の人をやはり入れた方がよくはないか、たとえば運輸省とか、あるいは農林省、通産省、大蔵省とこうした方面の職員を数名入れて、そうしまして合計大体二十名以内でやってゆきたいというふうに考えております。
  33. 阿具根登

    ○阿具根登君 まあ本法案で、重油に関する学識経験者ということになっておりますから、まあこの範囲内でやるとすればそういうことになると思うのでありますが私は二十名もの審議会委員ができるとするならば、その中にいわゆる各界の代表が数名おって、そしてその立場の主張をするものを大多数の人が学識経験者が判断してゆくのが一番正しくなるのではないかと思うのでございますが、その点はいかがですか。
  34. 川上為治

    政府委員川上為治君) 昨日もその問題につきしてはいろいろ御意見がありまして、やはり利益代表という方は避けた方がいいのじゃないかというような御意見もありますし、またいやその利益代表も適当な人数をそれぞれ出したらいいのじゃないかという御意見もあったわけなんですが、まあわれわれとしましていろいろ検討をしてみますというと、先ほども申し上げましたように産業界における学識経験者と、たとえば経団連の燃料部会の方をやっておる方々などにおきましては、両方につきまして相当学歴なりあるいは経験を持っておられる人がおりますので、そういう人が入って参りますれば、それでまあよろしいんじゃないだろうか、そういうふうに考えまして、一応この案としましてはなるべく利益代表からは入れないで、公正な中立的な立場にある人を入れた方がよくはないかというふうに考えまして、そういう案に一応いたしたわけでございます。
  35. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は当初提案者にお尋ねしました四条も六条も含んで、この法案に対して骨抜きをされておる、こういう感覚をもって言っておりますから、間違っておったら御指摘を願いたいと思いますが、ただいま言われたものも、この法案に書いてある審議会委員も、重油に関する学識経験者というならば、極端にいうならば重油利益代表者だと私は考えざるを得ないのでございます。これが燃料に関する学識経験者であり、ガス、石炭重油、すべての問題の経験者を集めるということならわかりますが、重油に関する学識経験者というならば、だれだってわが田はかわいいです。いかに学者といえどもわが田はかわいいと思うんです。そうすればこれは公正な審議会では安くなるのではないかと、かような考えをいたしますが、これは提案者の方から御説明願った方がいいかと思います。
  36. 山手滿男

    衆議院議員山手滿男君) これを修正いたしますときには、その点についていろいろ議論をいたしたのでございますが、何といいますか、身近に利益が錯綜しておりますから、相互に利益を主張する者をこの審議会の中に多数を入れますと、問題がいたずらに紛糾するだけで、こうした方がいい、ある一つの利益につながって入っておられる方が説を曲げられるということも非常に困るであろうから、初めから公平な判断のできるような学識経験のある公平な人をこの審議会の中に多数送り込む、そういう考え方の人選をした方がよかろうということでこういう案件にしたわけでございます。
  37. 阿具根登

    ○阿具根登君 言われる言葉はわかるんです。しかし重油の専門の学者は重油を主体にして考えていく、電気の専門の学者は電気を主体にしてわが国のエネルギー考えると私は思うのです。石炭石炭、ガスはガス、それぞれの専門の畑を利用する、拡大する、私はこう思うのです。そうすれば、これは、極端にいえば利益代表にしかならないではございませんか。そういう公平な立場からならば、何も学者を私は疑うわけではございません。しかし神様でない学者の方がよその専門分野ということは、学者は特によその畑には入らない方だと私は思います。そうすれば、ただいま答弁された言葉がら割り出すならば、わが国の燃料対策ということから考えて、ガスに非常に経験のある方、あるいはその方面の専門家、あるいは電気の専門家、石炭の専門家、重油の専門家、こういう人たちが集まって初めて公正な審議会だと私は言えると思うんですが、これからいけばこれは重油に関する学識経験者でございます、どうですか。
  38. 山手滿男

    衆議院議員山手滿男君) 学識とか経験者とか申しますのは、重油に関して私はただ、重油でなければ何でもいかぬというふうに思っている人ばかりじゃなくて、やはり総合燃料対策の見地に立って、重油と競合する上うね立場にあって、むしろ重油規制をして、総合燃料対策の上からこうしたらいいというふうな人々もたくさんあるし、そういう人たちの中にも重油に関してはいろいろ研究も積んでおられるし、公平な学者的な、ふるいは経験者としての判断を下し得る人は多数私はあるのであって、必ずしも重油の肩を持つというだけでは私どもはないと考えております。
  39. 阿具根登

    ○阿具根登君 あなたの考えをそのまま受け取るならば、それは電気の学識経験者でも、ガスの学識経験者でもちっとも変らぬじゃございませんか。なぜそういう専門家を入れないんですか。あなたの理屈からいけば、ガスの専門家も石炭の専門家も一緒じゃございませんか。なぜ重油学識経験者だけ入れたんですか。あなたの言われる言葉とこの文章は違うじゃございませんか。
  40. 山手滿男

    衆議院議員山手滿男君) 御説もっともなところがございますが、この法案は、重油ボイラーに関する規制法案でございますので、やはり重油関係をする学識経験者と申しますか、重油に関する経験なりあるいは学識がやはり相当なければ困るだろう、こういうことでございまして、決して油関係の方だけの肩を持つような人を入れようというふうな考えではない。逆にむしろ利害関係のあまりない人をここに多く送り込んで、公平な判断をさせようということであります。
  41. 阿具根登

    ○阿具根登君 私はそれが利害関係があるんだということを言っているのです。それで一方においては学識経験者という人格を非常に尊重されていると言われるんです。そうして一方には非常に学識経験者であっても他の人をけなしておられる。なぜ重油学識経験者だけが非常な人格者であって、ほかの電気やガスの学識経験者が非常に危険であるか、それは私が言っているのは、今山手さんが言われることもわかりますけれども、そういう問題は政令で定めて私はいいと思うんです。たとえば二十名の中に重油関係の人が十名おってもいいでしょうし、ガス関係の人が二名おっても、電気関係の人が二名おっても、それはそういうことは政令で定めていいんですけれども、この法律の中に重油に関する学識経験者でなからねばならないとなぜうたったかということなんですね。答弁されることととれはどうしてもぴっちりこない。重油に関する問題であるから重油学識経験者だというならば、石炭に関するこういうものができたとするならば、石炭に関するだけの学識経験となってくる、それこそ大へんなことだと思う。石炭の問題の中にも、重油に関する学識経験者が堂々と入ってきてもらわなければ、わが国のエネルギー対策というもののほんとうの対策はできない、片寄ってしまう、どういうお考えですか。
  42. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 関連して。これは私はこう思うんです。重油に関する学識経験者を非常に尊重しておられますが、しかし問題はそういうところじゃないんですね。問題は、これはわれわれ資料をいただいておりまするように、必ずしも石炭重油の価格が非常に接近をしておって、ある場所では重油の方が高いんだということでなしに、重油を使った方がいいから皆重油を使っている。しかし今の石炭事情からはそれを規制しなければならない事情があるために、これは政治的意図をもってある場合には規制をするわけです。それを重油を使った方が輸出品に、品質上あるいは価格上の影響を与えるかどうかとか、そういうことをずっと考えたら、これはもう規制しなくてもいいという結論が出てくる。たとえば甲家と乙家がけんかをしているみたいなものです。石炭家と重油家がけんかしているみたいなむのです。そのときの調整を、甲家に関係ある人をもって構成する審議会というものを作ろうとするのと同じごとなんです。そこに非常に妥当性を欠く。あるいはまた本法の目的としていることが達せられないんじゃないかというおそれが出てくるわけで、実はわれわれこの規制をすることがいいということの理論に立ってものを言っているんじゃない。私は規制はほんとうは反対なんです。ほんとうは消費者が、安いからこれを使った方がいいとなれば、実は低きに水がつくごとく、それを使うのがほんとうであると思うけれども、しかし大臣もずっと今まで言われたように、そういう野放しでできない日本の燃料事情にあるから、これを規制しようとするのであるならば、これはもっと公平な人を選ぶととになるべきじゃないか、これが私は阿具根さんの聞いているほんとうのつぼだと思います。そういう意味で答えてもらわないと、これは幾ら聞いてもそうならないようなんですが、われわれの考えでは、だからとれはそれこそもっとそれを規制するような決議なりいろいろなごとをしなければ、この文章からはどうも山手さんの言われるようなととがそのまま行われないようなことであって、質問をいつまでやっても私はきりがつきませんから、もっとはっきり、われわれはここで問答をしたり、あげ足をとったりいろいろしているのではないのです。この運営がそういう目的のためにはずれないように運営されることを期待するがゆえに聞いておるので、その点から御答弁願いたいのであります。
  43. 山手滿男

    衆議院議員山手滿男君) 御趣旨はよくわかりますが、私どもも同様にただ重油の方の肩を持つとか、そういう色彩の人ばかりを入れようとするのではなしに、その逆で、できるだけ重油に対する知識はやはりある程度なければ困るのでありますから、重油に関すると書いたのでありますが、そういう利害関係のない人を入れて公平に判断をさせようということで、特に学識経験者を入れまして、消費者代表だとかあるいは生産者代表ということを抜いたわけでございまして、御趣旨の点はよくわかりますので、できまするならば提案者の方の、われわれの方の意向もおくみ取りをいただいて、附帯決議か何かでそういうことを要望していただき、政府に十二分に注意してその人選をするようにしていただけば、さらによろしいかと思います。
  44. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 これはもし再修正することが許されるとするならば、これは燃料に関するとした方がよかったのではないですか。これは燃料政策上の審議会であって、重油政策上の審議会ではないのですね。石炭との関連においてですから、これは石炭合理化との関連で問題が出ておらないので単独として重油の問題として取り上げたのなら、重油に関するとしてもいいわけです。ところが燃料に関する一貫政策として考えられているから、ほんとうは燃料に関するとした方が公平であり、妥当であったのではないかと思います。別にこれは時間的にも修正したりする余裕もないと思いますが、そういうふうにした方がよかったじゃないかと思います。としますならば、運営はそういうふうにしてもらいたい。こういうふうに言っておるわけです。
  45. 上林忠次

    ○上林忠次君 これは重要な質問でもありませんけれども、一つ聞いておきたいと思います。大体こういうような法律で昔の戦争中の臨時物資統制令ですか、あのような力を持たせるわけにもいきませんので、勧告とか何とか弱い言葉で出ておりますが、実際は本音はどちらにあるのか、ちょっと見当がつかないのですけれども、今の審議会なんかの様子を聞いておりますと、重油業者をなるべく温存してやる。あまり大きな変化はきたさないということに聞えるような気がするのであります。今三輪さんからのお話のように・どうしても重油関係の業者がここに入るということになると、重油の畑を守ろうとする。だから燃料全般についての関係者を入れたらいいじゃないかというような問題も起ってくるのでありますが、さような面から見ると、重油方面をなるべくゆるやかにしてやるという気持が表われておるのじゃないかと思いますが、第六条の点なんかを考えますと、これは勧告とか何とかやわい言葉では表わされておるけれども、実際に配給の方で、相当規制する、強い法律の条項ではないが、これで配給で規制して消費を規制するのじゃないか。古い業者、古い使用者はそのままにしておいても、新しいやつはこれを押えていく、あるいは特に重油ボイラーを使う必要のないところの業者はこれで押えていこう、これは十分発動ができると思うのであります。果してそういうようなことになりますと、今回のこの措置は業者の損害に対する賠償も何も考えておらん。ただ税の方で、所得の方で見てやる。免税してやるというような簡単なことで、金額におきましても設備しただけの資金は返ってこない弱い調整であります。ついでにこの際山手さんにお聞きしますが、衆議院の方ではかような無理なことを実行する、これは六条のこのままでいきましたら、相当無理なことを実行することになる。文面はやわらかですが、相当強いことができる。さようねことをするならば、なぜ政府の方で補償をするとか、賠償規定を設け血いか。賠償をしてやって初めてこういうことはできるのでありまして、ただとんな簡単なことで自由企業を圧迫する自由競争を阻害する、混乱に陥れるということになるなら、大問題じゃないか。そういうようなことがあなたの方で、衆議院の方で問題にならなかったか。言葉はやわらかく出ておりますが、これはどうでも運用はできるのじゃないか。戦争中の物資統制のようなことも第六条でできるのじゃないか。初めの修正前の文章を見ますと、特に必要な措置がとられなければならない、こういうような強いことを表わしておる。多分こういうような文句でいっては、これでは損害賠償もせずにけしからんじゃないかというすぐ問題が出ますので、文章をやわらかくしておるのじゃないかと考えておりますが、このやわらげた文章でもっていくならできるとやられては困るのじゃないかとわれわれも考えますが、しかしながらなまぬるい方法でやっていくならば、現在温存されんとする業者、これは楽な仕事ができる、コストは下げられる、競争も楽だ。同じような業種は全体を同じレベルの線に引くならいいけれども、片っ方はすでに重油ボイラーを設置しているからこれは温存しておいて、新しいのは許さんぞ、そういうことをやるならば経済界の混乱をきたす、この重油ボイラーの新設設置をしないものは、中小企業の弱い連中です。資金も少いものですから、これから同じようなレベルで競争場裡に立とうとするときに、お前の方はいかんぞということは、これは簡単な問題ではない。経済界の自由競争を阻害するものと私は考えるのであります。それならばそういうようなほんとうにそういう工合にがっちり規定をするなり、もっと賠償を考えなければいかんじゃないか、ゆるやかな規定をするならばこれはけしからんフェアな競争じゃないぢゃないか。どっちにしたってこれはおかしいじゃないかと考える。こういうことについて衆議院では問題にならなかったのでありますか。
  46. 山手滿男

    衆議院議員山手滿男君) いろいろそういうことにつきましても、衆議院の方でも論議がかわされたのでございますが、六条あるいはとの法案を作らなければいけなくなった一つの理由は、今日問題になっておりまする全漁連なんかのような問題でございまして、行政当局は全漁連の問題については非常に心痛もし、手をやいたような格好で、今日もなおいろいろな問題が起きておりますが、ああいう行政措置をとるにいたしましても、法の根拠がなくては力強くすることもできないからということで、こういう法律を出して参ったわけであります。ところが重油の出荷または販売価格について必要な指示をするというようなことになると、あまりにも行政官庁に具体的に今お話しのように補償までもしなければいけないような強過ぎると申しますか、強力な権限を与えることにもなりますので、この点はあまりどぎつい表現はよしたがよかろう。そうして今までやっておりまする行政措置のようなことはある程度この法律によって裏打ちをされつつ行政官庁が全漁連のような場合には善処をする、こういうことでまあああいうふうに修正をいたした次第でございますから、今の御質問のようなことは政府当局もいろいろ考えたのでございますが、とりあえずこういう修正でいこう、こういうことにいたした次第でございます。
  47. 上林忠次

    ○上林忠次君 今から予算の計上もできないかもしれませんが、予備金も少いし、予備金が果してこういう方面に使われるかどうか、使おうと思ったら使えるじゃないか。このような措置をせずに強行しようとすると、これは経済界の混乱をきたす、そのようなことをやるというのはおかしいじゃないかと私は思います。これは何とかできるならもうすでに設置してあるのは、石炭重油との燃料確保の関係その他の関係で、相当従来のおるうちに、償却もで嘗ているし、利益も上げているということで、今そういうような点をしんしゃくしながら考えていくならば、二十億、三十億という金は要らないのじゃないか、ボイラーの新しい専門のボイラーを置いている所だけではなしに、大部分は従来の石炭ボイラーを少し改造した程度であります。そういう程度の今の残存価格、あるいはこれまで使用した上においてもうかった所得の増加を考えていくならば、そういう金を出さなくてもある程度納得がいくような賠償ができるのではないか。そういうようなことについては政府はどういうふうに考えておられますか。
  48. 川上為治

    政府委員川上為治君) この四条にしましても、これはあくまでも勧告でありまして、命令ではございませんので、私ども最初は実は命令でいこうかというような意見もありましたけれども、いろいろ予算も折衝して最初ちょっとやってみましたが、なかなか命令というのは今やることがどうかというような議論もありますし、またそういう補償についての予算をとるということも、これまた非常にむずかしい問題もあるというようなことで、やはりこの際は勧告でいった方が、一番いいのじゃないか、現在のいろいろな情勢からいきましても、まあ勧告程度が一番いいのじゃないかというようなことになりまして、勧告というふうになったわけでありますが、勧告ということになりますと、結局損害賠償とか、あるいは補償という問題は、どうしても起ってこないというようなことから、そういうことになったわけでございまして、それから私の方としましては、非常にむちゃな勧告はしないということは、先ほども大臣かおっしゃった通りでありまするけれども、まあこの程度のことはやっぱりやらざるを得んのではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。
  49. 上林忠次

    ○上林忠次君 けれどもですね、そういうような中途半端なことで私は業界、これは規制するなら、ほんとうにかっきり規制してもらいたいという気持なんです。これは同じスタート・ラインに立たして競争させる。しかもそれでなくても弱い中小企業者がこれでまた劣等な地位に置かれるのじゃないかということを私は心配するのであります。ただそれまでできておるやつを温存するというようなことにねらないように、そういうようなことをこいねがいますために、もっと強硬な措置をとってもらいたい。また三年間、三十三年までに七十万というのですか、七十万トンの重油を節約させるというような目標を掲げるならば、そういうような今のようなやさしいやり方で、しかもその言葉通りにやさしくいくなら、業者間の不均等ということもあるけれども、それでは七十万トンの規制はできないと考える。規制ができないならば、昨日も申し上げましたように、石炭の方の増産計画、今の立ち直り計画、再建計画に支障をきたす。これはただ口先で言っているだけで実行されないことになるのじゃないか、そういうようなあいまいな案が今出ておるならば、今直したらどうか。実行できなようなこの燃料・エネルギーの対策を考えておられるならば、今直さにゃいかぬじやないか。そういうような今の重油ボイラーの設置の制限だけを考えましても、これじゃ今考えておられるような七十万トンの規制ができないと考えるのであります。やりそこないをするならば業者間の不当な競争をさせる、この点がまた大きい問題だと思う。相当がっちりいかないと、これはあなたたちの燃料対策の今の計画は実行できないと私は考える。何とか今からでもどこかから予算を引っぱり出すことを考えて下さい。私らも協力いたしますが、この点どうですか。
  50. 川上為治

    政府委員川上為治君) 私の方としましては、やはりこの法律に基きましての行政指導としましては、従来と同じように相当がっちりとしてやるという考えを持っております。七十万キロリッターといいますと、先ほどお話しが出ましたように、ボイラーだけで大体百八十万ないし百八十五万キロリッター使っておりますので、その三分の一くらいでありますので、従来の経験からいたしますというと、これは私の方としましてはやっていけるというふうに考えております。現にこの問題につきましては、こういう法律案がなくても昨年から行政指導でやって参っております。その効果につきましては、たとえば大工場の大きなボイラーにつきましても、三十以上昨年度において転換をいたしておる。そういうようなこともありますので、こういう法律が出ますれば、この法律をバックにしまして、従来の行政指導をあわせましていきますれば、七十万キロリッターくらいを五年間におきまして、これを抑制するということは私はできるというふうに考えております。
  51. 上林忠次

    ○上林忠次君 もう一つちょっと、これは重油ボイラーの転換を勧奨したのは、二十八年の初めからですが、その後車油はいつまでもこう安くないぞ、また重油の供給がされない時代が来るかもしれぬというような気持で、民間もこれは実はやっているのじゃないか、まあ今さらあらためてこういうようなものが出たわけでありますが、政府としていつごろから重油ボイラーを作るなら考えろ、将来油がなくなってくるのでは困るぞというような勧告は、勧告といいますか、注意、そういうようなものは一応出しておられるかどうか。出しておられるならいつごろ出されたか。私はもしも賠償してやるなら、そういうようなあぶないぞと、通産省としてはこれの現在転換の勧奨はしないぞと、ストップしてもらいたいというようなことが出ておるならばいつごろ出たか。私は賠償するなら、そういうような連中に対しては、向うの危険負担でいい、それは賠償しなくてもいい、その前に通産省として相当奨励された時代に作った連中に対しては、これはどうしても賠償してやらなければいかぬのじゃないかと考えるのであります。そういうような通知をされたようなことがありますならば、お聞きしたいと思います。
  52. 川上為治

    政府委員川上為治君) 昨年の三月の末に閣議決定によりまして、総合燃料対策というものができまして、それによりまして転換をするような措置をとったのでありまして、四月からそういうことを予告しまして、そうして転換するように指導してきてあります。
  53. 上林忠次

    ○上林忠次君 そうですか。
  54. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと念のために申し上げますが、両法案とも同時に議題に供しておるつもりでございますから、どちらの方を御質問になってもけっこうでございます。
  55. 河野謙三

    ○河野謙三君 これは通産大臣というよりも、むしろ川上さんに聞きたいのだが、今度の重油ボイラーの設置の制限というのは、もちろん石炭合理化の措置の一環としてこういうものができたと思うのですが、しかしそれだけでなしに、従来の重油の市場における、私がこの間からたびたび申し上げておるような、精製業者というか、元売りというか、こういう価格の暴利をためるという一つの方途も今度の法案のねらいじゃないのですか。
  56. 川上為治

    政府委員川上為治君) これは第六条におきまして、やはり緊要なものにつきましては、数量を確保すると同時に、やはり値段を少しでも安くして、そうしてまたそういう元売り業者とかそうした方で暴利をむさぼらないように、そうして需要者の方を保護してやるようにというようなこともむちろん含まれております。
  57. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうだとすれば、あなたはこの行政指導の範囲では、いろいろ言われる石油資本の横暴というものは、行政指導だけではどうにもならねいということは、もうすでに過去二年なり二年半御経験済みなんだな。あんた手を焼いたでしょう。この間も意識してやったのではないのですけれども、結果的にはあなたは重油の市価を抑制することができなくて、この精製業者、元売り業者に不当な利潤を与えた結果になっておるということはお認めになったわけだね。行政指導の範囲ではできないということは、これはだれよりもあなたが一番御経験済みじゃないのですか。勧告程度でいきますか。今度の勧告はあなたは勧告でいいと思うのですか。やむを得ずこれは大蔵省その他が承知しなかったから私は勧告というようなことに、自信が血いけれども一応勧告にしたと、こういうことですか。
  58. 川上為治

    政府委員川上為治君) 私はやはりこういうことにつきましては、命令ということでいきますと、一番びしびしいけてそれは一番都合がいいと私たちは思っておるのですけれども、しかしまあ命令までいくということが、現在の段階でいいかどうかというよう癒議論もいろいろありましたし、また従来は何も法律のバック落しに行政指導をやっておりましたので、こういうバックに基いてやるということになりますというと、それは結局国会におきましてやはりそういう強い行政指導をすべきだというようなことともなりますので、私どもの方としましては、その意を受けてやることになりますから、従来行政指導をやりましたことよりも、相当私は行政指導そのものがやりよくなり、強くなっていくのじゃないかというようなふうに考えますので、これでお前は価格を抑制し、そしてまた数量を確保するということが絶対にできるかという問題につきましては、これは私はできるだけこの法律のバックによってやってゆきますということを申し上げるよりほかないと思うのですが、従来よりも、従来の行政指導というむのは、そういう法律のバックが全然ありませんので、私は従来より相当やれるものと考えております。
  59. 小松正雄

    ○小松正雄君 今のに関連して、重油の単価が高いと河野委員も言われておりますが、この両法案に関連してであります。現在の石炭の価格とそれから重油の単価というものは、ちょうど私の考えではトン当りの計算から見ると現在の石炭の倍に重油はなるというように考えますが、その点はどうでありますか。
  60. 川上為治

    政府委員川上為治君) トン当りに言いますと大体そういうことになるのじゃないかということであります。しかしメリットとかそういうものを考えなければなりませんので、メリットその他の問題をいろいろ考えますと、大体産炭地におきましては、現在におきましては石炭の方が若干安い、しかし消費地に恥きましてはまだある程度重油の方が安くなる、こういうふうな形になるのじゃないかと思います。
  61. 河野謙三

    ○河野謙三君 川上さん、あなたとたしか二年か三年前、あなたは今のポストにおられたか、安本におられたか忘れましたが、私は記憶があるのだが、油の規制をやろうと言うて、足らぬものを行政指導でゆくというようなそんな甘っちょろいことではいけない、あんたと勝負しようということを言ったのを覚えておる。あんたも覚えているでしょう。それで私はあなたが勝ったとか負けたとかいうそんなことを言うのじゃない。しかし結果において行政指導でゆかなかった、あなたの責任じゃないかもしれんが、政府全体の責任だろうけれども、失敗した。ここであらためてもう一ぺん言うけれども、あなたは今までの行政指導より一歩前進した、この程度ならば、やれるということだけれども、やれるかやれないかあらためてかけをしよう。これであなたがうまくいったら首をやるとかそんなやぼなことは言わぬけれども、どんなことでもかけしますよ、覚えていて下さい。こういうことでゆくものではねい、外国資本とつながった石油資本というようなものは、そんな甘っちよろいものではない、これは通産大臣よく御存じだと思う。そんな甘っちょろいことで罰則も何もない、単にあなたの方の勧告とかなんとかいう程度で、そんなものは金もうけにはきかないのですよ、それでは天下の金持ちにはなれないですよ。これはあなたの意図かどうかわからはいが、あなたはやらざるを得ないだろうが、こんな制度でやれると大言壮語したら大へんですよ。私はこれだけ申し上げて、次の段階ですが、石炭は今後の合理化によって一応コストを二割下げるという目途ですね、そうですね、このコストの二割安というととが即消費者価格二割安ということにならないということをこの間申し上げたのですが、一応石炭のコストは二割低下を目標にしておるわけですね、油の方は非常にむずかしいそろばんだろうが、やはり油の方は今後三年なり四年の間において、たとえば重油ならば重油の市価というものが一体どういう価格を想定しておりますか。今の価格より幾ら下げるということを想定しておりますか、これを私は伺いたい。これは法律だけでは石炭重油関係は解決しません。これはやはり政府重油石炭関係において、価格政策というものが裏づけされなければできるものじゃない。石油においては私は一応ナンセンスだと思うが、二割下げると言っておるが、油の方についてはどういう目標を持つのですか、一応その目標を……。
  62. 川上為治

    政府委員川上為治君) これは油と申しますと重油のことだろうと思います。ほかの油につきましてはほとんどとれは需給関係で価格を形成するようになっております。ただ重油だけが特に石炭との関係から需要に対しまして供給が相当少いために、そのために値段が上っております。私の方としましてはこれは三年なり四年の後において重油の価格をどの程度下げるかという問題でございますけれども、まあその重油につきましても、これは一般の油もそうでございますが、FOBの価格というものはほとんど変りありません。それで最近、これはどういう理由かよくわかりませんが、FOBの重油の価格が少し上ってきておる。それからフレイトにつきましては最近におきましては相当下っておりますが、今後三年なり四年の間にさらにこれが大巾に下るかどうか、その点については私は疑問があるのじゃないかというふうに考えております。従いましてFOB価格にフレイトを加えましたCIF価格につきましては、これはあるいは三年ぐらいの間におきましてはそう私は大きな変動はないのじゃないかというふうに考えて、それは結局あとの問題でございまして、あとの問題の価格について私どもばたとえば特にその必要な漁村関係、たとえばA重油というようなものにつきましては、これは私は現在の小売の標準価格の二万四千六百円でありますけれども、との一万四千六百円というものを、これは相当程度どうしても私は切り下げたいというふうに考えております。しかしその価格につきましては、いろいろ今検討しておりまして、じゃ今幾らで出すのだというところまで実はぎておりませんが、私はこれは相当程度切り下げたいというふうに考えております。それから陸上の方につきましても、私は必要な方面につきましてはなるべく値段を安く持っていきたいというふうに考えております。ただそれほどコストに対しまして影響を及ぼさないようなもの、そうして、それは特に石炭と競合するようなものにつきましては、これは今値段を相当引き下げるというような考えは持っておりませんが、逆に関税をある程度かけまして、そうして石油業者の方で極力吸収するようにもっていくようにしたいというふうに考えております。
  63. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はかりに石炭が二割下りましても、極端なことを言いますと、油の国内市価が今よりも三割、四割下ったという場合には、石炭合理化法案というのは根本からくずれるのですよ。そういうふうなことは石炭局長考えになっておるのか。
  64. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは今のお話しでございますけれども、一応この重油に対する対策が、価格面の対策と消費面の対策と両方考えておるわけでございまして、値段が相当下りましても消費面の対策、この重油ボイラーの設置法が、消費面の対策が十分の効果をあげ得れば、そう大きな影響はないのじゃなかろうか。ただし価格が現状よりもさらに重油が有利になるということになりますれば、この現在の重油ボイラーの設置法、あるいは一般の重油につきましても配給数量制限というような現在やっておる措置、あるいは今後とろうとする措置に影響があるのじゃないかというふうな御意見でございますれば、これはまあそういう一般の世論としてそういう現在とっておる措置、あるいは今後とるべき消費節減に関する措置に影響があるのじゃなかろうかという御意見でありますれば、これはそういう点も起ってくるかもわからないのでございますが、そういう点につきましてはちょっと私としては申し上げかねます。
  65. 河野謙三

    ○河野謙三君 いや、申し上げられないとかいうのじゃなくて、私はこの石炭重油の価格の比率というものは、消費者からみてどちらが損だ、どちらが得だという一つの比率があると思うのですよ。だから石炭が下れば重油がここまで下らにゃいかぬ、重油が下れば石炭も下げなきゃならぬ。それはうらはらのものだと思うのです。ここに双方の石炭重油の価格政策というものの一つの基本が通産省で立たなければ、ただ一片の法律ではこの石炭合理化法案というのは推進できないと思う。また重油ボイラーの設置制限なんていうのはできないと思う。しかも強硬な命令をもった法律ならば別でありますよ、今の勧告程度で罰則もないようなことで、行政指導でやっていこうというのならば、どうしても今後この法律を生かしていくためには、双方の価格政策というもののバランスというものを確立しなきゃいかぬと思うのですよ。それについて一体石炭の方を二割下げると言われたが、重油はかりに国際価格がずっと下った場合には、関税でこれをアジャストするとか、さもなければ消費量を統制するとかいう一つのものを持って、そうして常に石炭重油関係を価格はかくあるべきだという比率をお持ちになっていなければいかぬと思うのですが、それを聞いているのです。
  66. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) それは全くお話し通りでございます。そういうことで、法的な消費節減の面から重油ボイラーの措置法というものを作りますと同時に、石炭の方は合理化する。油の関税はある程度復活するということで、価格のバランスは、少くとも五年先には十分とれるようにする、そういうことで無理なしに転換をやりたいということでございます。お話しのように、重油が、われわれのお出しいたしております資料にも、現状の価格で、しかも関税がかかった場合には五百円ぐらいさらに現状より上るものだという前提で考えまして、五カ年後にもやはり二割下るという前提で考えましても、まあとんとんぐらいにしかならないということになっておりますので、お話しのように重油がなお現状よりも二割も三割も下るということになりますれば、それはお話しのように当然考えなければならない問題ではないかと考えております。
  67. 河野謙三

    ○河野謙三君 そこで私は通産大臣に伺いたいのですが、現在の重油の価格というのは、この間大臣おいでにならぬときでしたが、局長自体も、現在の重油の市場価格というものは不適正だ、国際価格からいきましても、軽油やなんかは国際価格にある程度バランスしている、ところがわが国の重油市場だけは飛びぬけて高いのです。これはどういうわけだと言ったところが、重油業者がもうけ過ぎておりますということを局長も認めておられるわけです。このもうけ過ぎておる点をある程度抑制することだけによっても重油価格は下るでしょう。さらに今後私は石炭重油の運賃関係を聞きたいのですが、私が承知しておる範囲では、重油のコストの中に占める運賃というものは三割五分から四割だと思う。しがも今まで一万トン程度の油船で運んでおったものを、このごろは、聞くところによると、私は新聞程度しか知りませんけれども、四万トン、五万トンの船で油をだんだん運ぶようになってきたと、こういうことでしょう。そうすると、今まで重油のコストの中に占める三割五分なり四割の運賃というのは、これが三割なり二割五分に下るということも予想される。ところが一方では石炭の運賃はどうかというと、石炭のコストの中に占める運賃というものは、そんね三割五分や四割のものではないでしょう。そうだとすると、運賃の上り下りというのは、コストの中に占める運賃が、石炭重油も同率であるならば、運賃の上り下りというのは、双方同率に作用するんだけれども、コストの中に占める運賃比率が違うことによって、運賃の上げ下げというのが、全体の価格にも大きく作用の仕方が違うわけですね。こういう問題についても私は御研究になって……。こういうことを私は申し上げるのは、どうも今後国内の価格の不適正な価格を適正にし、さらに国際価格が重油が下る、さらに運賃が下るというようなことを考えますと、石炭の運賃が上る、従って重油の運賃も上る。けれどもその上る程度が違うということを考えなければ、いかにこの法律を作りましても、双方の価格そのものがアン・バランスになって、みんなが重油々々ということになって、再びこの法律ではいかんから、今度は強権発動でやらなければ仕方がないというように追い込まれるか、さもなければどちらでも安いものを使えというように全く手放しになるか、どちらかにいかざるを得ないと思いますが、はなはだしろうとの意見がつけ加わりましたが、その点について通産大臣に伺いたい。
  68. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) お説は確かに想像すると、そういう場面も考えられる。問題は、その場合に日本石炭鉱業というものをどうするか、日本石炭鉱業というものを生かす道は、需要を喚起するとか、低質炭を利用するとか、いろいろありますが、それらの施策をやろうというのが今度の法案でありますが、それでなお重油と価格上の競争ができない。しかも日本石炭鉱業をどうしても生かしていかなければならぬというならば、これはもう外国でやっておますように、きのうから海野氏がしきりに言われるように、現在の定率法を適用して関税を上げることはむろん、そのほかにも場合によったら関税を引き上げて価格の調整をするということが一つの定石であろう、そういう方法をとっていかなければならぬと思います。
  69. 河野謙三

    ○河野謙三君 今後の石炭重油の価格の比率というものにつきましては、一応の目安をおいて、もし重油が下ったような場合には、関税政策を主体にして、そのほかに消費面もあると思いますが、そういう税制の面を調整していくということを取りあえず通藤大臣考えておられる、そういうことですね。
  70. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) そうです。
  71. 河野謙三

    ○河野謙三君 それからはなはだこれは言いにくいのですけれども、今度の法律において行政指導の面が多い。これは行政指導やる上において、通産大臣に特に申し上げておきますが、これは行政指導はやりやすいものにしておかなければなりません。ところが従来私が要求しました資料に上ると、通産省の中で局長、課長をやった人で、この狭い油業界の中に、なんと人数にして、しかも相当通産省の幹部を勤めた方がここにありますが、一々名前を申し上げてもいいんですが、十二名行っている。しかも最近におきましては、油の為替を担当しておった人がある会社に行って、そうして毎日通産省に出入りしてそうしてどうとかこうとか、またある石油の課長をした人が油の会社へ行ったとか、これは通産行政をやっている人が非常に経験者でありますから、通産物資の関係というものはそれはもうそれでけっこうでありますが、あまり極端じゃないですか。こういうことは狭い油業界に、しかもチンピラが行っているんじゃない。局長なんというは、ざらざら行っているんです。こういうことにつきましては、いかに通産省が公平な行政指導をやると言っても、それでは公平な行政指導はできませんよ。通産省の大先輩の委員長がおられますが、委員長が通産省に在任中はこんなことはしなかったと思う。しかも今為替は統制なんです。為替そのものが統制されている。これが利権を伴っている。こういう際に私は通産省の人事につきましては、もう少し私は厳正公平な態度で通産大臣に臨んでいただかないと、私は公平な行政指導ができないじゃないかと思う。この点につきまして私は通商大臣に伺います。
  72. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) これはいきさつは私は古くから存じませんが、やめて、そうしてどうもほかへ就職するのはいたし方ないと思いますが、二十年にやめて、最近何か石油協会の専務理事になったというような事例があるようでありますが、これはどうもまあなるべく業界とそういう妙な縁は結ばないのがけっこうでありますが、そうかといって就職を押えるわけにもいかないだろうと思います。通産省の方から好んでここへ入れ込んだわけではございません。
  73. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は自然の形にいけば何も言わない。こういう役所の、しかも幹部の人事というものは、大臣が口をきくとか局長が口をきくとかいうことでやらなければ行くものじゃない。そういう形において出発した人事であるから、私のところへ来ているのでは、いろいろ言いわけをして、行政整理のために行ったとか、その会社から懇望されたとか、役所から推薦したとかいうことがありますが、これはあげて役所の推薦にきまっている。特に油のように、統制されていないときはいいけれども、外貨の割当統制を受けている際でもありますから、特にこういうことについては弊害のないように、過去のことは言いませんから、今後のことについての御善書方を言っているわけです。
  74. 海野三朗

    海野三朗君 今、河野委員の言われましたことにつきまして私はお伺いしたい。今通産大臣は、これは就職だがら仕方がないというが、それはもちろんでありまするが、そこに幾多のくされ縁が想像されるのであります。それですから、多少それは通産省に勤めた人がかりにある会社に行く、それ自身は決して悪いことじゃありませんが、証券時報に示されたこの結果を見ただけでも、油会社の油ぶとり、実にけしからないことになっている。こういうふうなものにはおのずから限度というものがあると私は考える。それは就職だからしようがないとおっしやるけれども、それは民間会社へ勤めて行っても、それはやむを得ません。得ませんけれども、それによって日本のつまり燃料対策の方針をあやまるがごときに至っては、私ははなはだ心外とせざるを得ないのであります。私はその程度問題を言っておる。その点については通産大臣いかようにお考えになっていますか。
  75. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 通産省といたしまして、現在はとにかくかように旧役人が石油会社に入っておる人があることは事実でありますが、それによって通産行政が動かされるということは絶対ございません。
  76. 海野三朗

    海野三朗君 いや、それはとんでもない御答弁なんです。大体重油ボイラーの設置の規制なんということをおやりになる前に、なぜ関税でもって、この燃料対策についておやりにならなかったのですか。一方においては油を安くして、ずんずん入れておいて、そうして石炭業者の今日のこの惨状を招来しておる。その根本は那辺にあるかというと、この油に対するところのやり方が悪かったからでありましょう。それはなぜかと言うと、ただいま河野委員が言われたように、古い役人がみんな油の会社に頭を突っ込んでおる。そうして国民の前をたぶらかして、こういうような油ぶとりを作っておるというのは、これは何事でありますか。外国資本が五〇%以上も入っておる。昨日も栗山委員が言われましたように、パイプが外国の方からつながっておるのだ。そうしてこれをふとらせておいて、通産行政は悪くなかったというようなお考では、私はどうしたってこれは納得できない。これは率直にあなたの信念を私は伺いたいのです。あなたはかって宗教人としての方であると思って、私は陰ながら尊敬の念おくあたわざる御仁の一人であります。率直にお認めになったらいいでしょう。これは確かに今日までの、通産省のやめた人たちが行って、ほんとうにまずかったと思うということは、率直にお認めにならなければいかぬのじゃないかと私は思う。そうしてこの重油ボイラー規制をする、昨日も私は申しましたように、水が高きより低速に向って流れるのは、人力のいかんともなすことができないものである。石炭よりも重油を使った方がはるかに有利であることは、私がその方の専門でありますから、熱の経済の……。これは何と言ったって二倍以上、三倍の利潤を得ておるのであります。カロリーの点につきましても、あるいはヒート・エフェクト、熱の合理化についてもそうであります。それをただその法案によってしばるといっても、それは実に愚の骨頂であって、それよりもとの関税率を高めるなり、英国における、あるいは西独におけるように、この輸入の油に対しての関税を相当高くして、そうして今日までの石炭あり方を救わなかったということは、私は一大失政であると考えざるを得ない。しかし今日までのありさまがよかったとお考えになっておるか。あなたの率直なる信念を承わっておきます。
  77. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 詳細のことば私どうも存じませんが、関税定率法の適用を除外して今日まで無税に石油をいたして参りましたことは、当時としてはいろいろの燃料事情上やむを得なかったことであろうと、これは私がやったことじゃありませんけれども、そう想像しておる。しかし今日は事情が変りましたから、そこで関税もかけたい。しかしながら、昨日も申し上げた通り、すべての石油に関税をかけるということにほりますと、さしずめ水産業等に相当の打撃を与えますから、そこではなはだなまぬるいというおしかりを受けるかもしれませんが、一部分の水上のものについては、すなわちA重油というようなものについては関税を復活しない。しかしそれに対して陸上のものに対しては関税を復活しますがそうかといって、水上は相変らず無税だ。陸上は非常に急激に定率法でやるということも、これまた時間の関係上、突然やっては、やはりここにいろいろのフリクションを生じますから、そこで本年はとりあえず低率の関税を復活することにして、そうして一年間事情を見て、その上でさらに考慮いたしたいと考えております。先ほど河野委員にも申し上げた通り、将来もし重油の価格がどんどん下って、そのために日本の燃料政策全体を混乱に陥れる場合には、さらにあらためて関税の問題も考えなければならぬと存じております。
  78. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと委員長差し出がましいことを申し上げてはなはだおそれ入りますけれども、御承知のように、非常に会期も切迫して照りますから、皆さんの御発言を制限する意思は少しもございませんけれども石炭鉱業合理化法案も非常に重要な法案だと思いますから、これに対する御質問があればしていただきたいと思います。別にそうしなければならぬという意味で発言を申し上げておるのではなく、ただ迫っておりますものですから……。
  79. 小松正雄

    ○小松正雄君 石災鉱業合理化法案質問に入る前に、一、二点重油の点についてお伺いしておきたいと思います。重油は今おもに現在輸入先はどの方面から入っておりますか。
  80. 川上為治

    政府委員川上為治君) 大体五百二十万キロリッター程度のうちで……。
  81. 小松正雄

    ○小松正雄君 そうじゃなくてどこから入っておるか。
  82. 川上為治

    政府委員川上為治君) 入っておるものにつきましては、あるいは米国のものもありますし、あるいはイラク、イラン、それからアラビア、ああいう方面のやつも入っております。いろいろな方面から入って嘗ております。しかし日本に着く価格につきましては、大体同じ価格でございます。
  83. 小松正雄

    ○小松正雄君 私の聞くところによりますと、原価は四百五十円ぐらいからまあ九百円ぐらいまでの間だというととであって、これが石油国際カルテルの持売によってCIFの価格で六千五百円ぐらいで入っておるということでありますが、そうですが。私の聞くところではそういうふうに聞いておりますが、通産省の方ではどんな価格になっておりますか。六千五百円ぐらいになっておる。
  84. 川上為治

    政府委員川上為治君) これは重油の種類によりましていろいろ違います。たとえば一番高いA重油ということになりますというと、九千円程度で入っております。
  85. 小松正雄

    ○小松正雄君 まあ国内での精製過程においては、これはまた六千円から七千円ぐらいであるということであるが、これを非常に利潤をかけてまあ現在売っておる。というのは、一万三千円、この前も言われたように、平均一万三千円ぐらいで売っておるということですね。そうすると、今河野委員お話しを聞いても一万五、六千円にもなっておるというのですが、非常にこれはもうけが多過ぎはせぬか、こういうようなことを考えますが、実際問題としてそういうふうなあり方で今日重油の単価というものは消費者に流れておるのかということをお伺いしておきます。
  86. 川上為治

    政府委員川上為治君) 重油につきましては、これは石油業者の方で、石油業者と申しましても、精製業者あるいはその元売り業者、そういうところにおいて相当の利潤を得ておることは事実であると思います。
  87. 小松正雄

    ○小松正雄君 それではこの石炭鉱業合理化法案に関することについてお尋ねをいたします。昨日伺いましたところによりますと、今から四年先は、まずまあ四千九百万トンないし五千万トンにまで消費をすることになるだろう、それだからそれだけの石炭が必要になってくるてあろうと、かようにおっしゃられたのでありまするが、そういたしますと、ごとに六、七百万トンの石炭がここ三、四年のうちに増量される、現段階よりも増量される。こういうことに相なるのでありまして、その石炭が増量されるに当りまして、機械の近代化あるいは縦坑の掘さくによってその七百万トン増量を見込んでおるのか、あるいはそういうものに頼らずに、現在のような人の手をもって増量をされようと考えておるのが、その点を伺っておきたい。
  88. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) もちろん現在でも、現在の設備に対してぎりぎりの必要な人の教というものからいえば、若干過剰であるというふうな見方もございます。なお今後はもちろん縦坑工事あるいは機械化工事というふうなことをいたしますので、従って人手の方は現在よりもはるかに節約になるわけであります。従って四千九百万トン出しましたときには、二十二万人程度の人間でできるはずだというのがわれわれの計画でございます。
  89. 小松正雄

    ○小松正雄君 なぜ人員のことについて尋ねるかということでありますが、この法案に対してあなたのおっしゃることから考えますと、いずれにしても人員は過剰になる、過剰になるということは、その配置転換その他のことが考えられていない。まず失業対策という問題が、この中に一つも見受けられない。こういうことからしてお尋ねするわけであって、その整理人員の対象とする数は、およそどのぐらいに見積られているか、五カ年後ですよ。
  90. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは資料をお配りしておいたと思いますが、最終年度、すなわち昭和三十四年度末に二十二万人のとれは実軌労務者、実動労務者にほるものという考え方で計算しておりまして、そういう見通しによりますと、昭和三十年度は二万人強ぐらいの離職者が出る見込みである、こういうふうに考えております。
  91. 小松正雄

    ○小松正雄君 二万人強というのは本年度だけですか。
  92. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) その通りであります。
  93. 小松正雄

    ○小松正雄君 そういたしますと、三十一年、二年、三年、四年というのは、資料出ているかもしれませんが、まだ見ておりませんからお尋ね申し上げますが、今年度二万の人が減るということであれば、およそ五カ年で十万の人間が減るような考え方をして、もつとよけい減るような実情に触りやしないか。というのは、縦坑は今六十何カ所掘さくをしようという政府計画であるといたしまして、現実の問題としては一挙にかかっていない。そこで漸次これが掘さくにかかるということになりますると、完成は五カ年後でありましょうが、この間漸次、たとえば来年にもう十本できた、再来年度は二十本できた、こういうふうになってくると思います。そうすると今の場合二万人の、本年度二万人の退職者を見込んでいるということであれば、来年度はこれよりも平均して幾らか変ってくるのではないか。再来年度はまたなお変ってくるのではないかということを考えますと、年別に三十一年、二年、三年、四年、四年はまあわかりましたから、……までには二十二万ということによって一応運営ができるということでありますから、三十一年、二年、三年、年別の人員整理しようとする数、わかっていれば、一つ知らしていただきたいと思います。
  94. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 本年度は二万七百人程度、三十一年度は一万七千五百人程度、三十二年度は一万一千八百人程度、これがこのわれわれの計画によりますと、三十年度から三十二年度までの三年間に買い上げが大体終る、こういう考え方をいたしておりますので、それからずっと減りまして三十三年度は三千五百人、三十四年度は四千人というふうな計算になっております。これは確かに縦坑を掘ると非常に労働能率は上るのでございますが、しかし縦坑の対象炭坑は、縦坑を掘る場合には大てい五割ないし十割ぐらいの増産を見込みまして、現在の切羽ないし坑口の切りかわる分を差し引いても五百万トン程度の増産になるということになりますので、従って縦坑なり機械化なりで、人員の減る率が増産によってかなり変ってくる。結局、買上整理の終了いたします三十二年度までに大半の整理が終って、その後ほとんど自然減耗程度ということで終るようにわれわれは考えておるのであります。なお、三十年度は買上げ整理の方は、ほとんど年度の終りごろにしか実際上の実施は手がつきませんのでありますが、二十九年度から引き続きまして、まだ業界の状態が安定いたしませんので、そういう関係で相当整理者が出るという予想をいたしまして、二万人という数字を予定しておる次第でございます。
  95. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 今の完成年までの合計は何人ですか、あとの方をちょっと聞き落しました。もちろんこれは常用労務者ですね。
  96. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは常用労務者のうちで実動労務者の教字でございまして、常用労務者の長期の欠勤その他を除きました人数でございまして、二十九年度末に二十七万七千人でございますが、それが三十四年度末に二十二万になる、こういう計算をしておりますので、五万七千人ぐらいが五カ年間で減る、、こういうふうに考えております。
  97. 小松正雄

    ○小松正雄君 この三年間に六万なにがしの人員を整理することは、私は中小炭鉱の整理、要するに買取りによる人員だと、かように考えておりますが、いかがでしょう。
  98. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 三十年度の分につきまして、二万人のうちで、先ほど申しましたように、買上整理の分はごくわずかでありまして、五千人ぐらいというふうに計算しておりますので、それ以外の分は一般の不況なり、あるいは何と申しますか同然減耗というような形での減員と申しますか、そういうふうな形であとの分は減る、それから三十一年度、三十二年度につきましては、先ほど三十一年度が一万七千五百、三十二年度が一万一千八百と申しましたが、これは大半が買上炭鉱の分というふうに考えておりまして、それ以外の分は三千人程度というふうに考えております。
  99. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 ちょっと数字を修正しておかぬと……。実はもらっている数字は常用労務の推移というのでもらっているのです。今のお話は実動なのでどっちかに数字を整理しておかぬと、差が非常に大きくなるのです。私たちもらっているのは三十年が二十八万六千四百七十二名という常用労務者の数が渡されているのです。だから二十二万というのは常用労務者の数にしたら何名ですか。この実動二十二万というのは。
  100. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは何と申しますか、配給でありますとか、そういったふうな問題を考えます場合には常用労務者でございますが、労働能率を考えます場合には実稼と申しますか、在籍労務者のうちで実際に稼動する人間というものを基準にして考えますので、今申し上げました数字は実際に稼動する人間というものを基準にして申し上げたわけであります。その数字は附帯資料と申しますか、とじ込みの分がございますが、そのうちの長期生産計画という資料の中に寄せてお出ししております。
  101. 小野義夫

    小野義夫君 これから三万八千ですか、三万七千出るという予定は、これは予定であるから一応了承いたしますが、過去の二カ年に何ほどの離職者を出したのですか、伺っておきたい。かつそれらの離職者に対する失業問題その他の対策が行われて、その結果まだ思わしくうまくいっていないというのが何名くらいあるかということを伺っておきたい。
  102. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 さっきから聞くというと、労働者の数のときに、われわれは配給なんかのときはどれを対象にするとか、出炭のときはどれを対象にするか、一体何人ほんとうに炭鉱に在籍があって、この合理化のために何人整理されるかということを今基準にして考えておるのです。だからその点をほんとうに首になる人間の数を言って下さい。そうでないと、われわれの参考になりませんから。今のもそうです。過去のあれは……やはり首になって、ほんとうに失業者群の中に投げ込まれた人数ということです、私の伺っておるのは。
  103. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) とれはわれわれの計画は、失業者を出す計画ではございませんで、生産能率がどれだけ上がるか、それがまたコストに響いて参るわけでありますから、そういう面から計算しましたので、そうなりますと、実働労務者としてこれだけ人数が減らなければならぬ、こういうととで実働労務者を基準にして計算してございます。でこの常用労務者と申しますのは、それに出稼率、これで割ったものということでございますが、出稼率は、好況のときと不況のときと若干違いますけれども、大体九〇%ないし九五%程度、最近では大体在籍労務者で実働しねい者が大体月一万人程度くらいというふうになっておりますので、この数字に、大体そういう修正をしていただけば、それが在籍労務者になるわけであります。  それから今の御質問でございますが、これは失業対策の方は、労働省の政府委員がおりますから、そちらからお答えいたしますが、整理人員でございますが、これは先ほども申しましたように、実働労務者基準でここで申し上げますと、大体二十九年度が約三万四千人、それから二十八年度が四万人くらい、これは一年間そのくらい減っておるという状態であります。
  104. 小野義夫

    小野義夫君 大体九万人という数字がどの方面から……離職者が九万人あるというふうに了承しておりますし、現在でもなおかつ毎月二千人程度の者は離職しつつあるということを聞いておりますが、それはどういうことになりますか、実情を一つ明らかにして下さい。
  105. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと三輪君の話もありましたから、ここでやるときには、実働とか何とかでなしに、やはり在籍の数字でやられて、九〇%はその比率をかけた数字でとお述べになった方が……。
  106. 小野義夫

    小野義夫君 われわれ人間が対象なんだから……。
  107. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 在籍で申し上げますと、二十八年度が約五万六千人くらい、それから二十九年度が三万五、六千人くらいでございまして、大体両方合せまして今お話しの九万人くらいになるわけであります。
  108. 江下孝

    政府委員(江下孝君) 離職しました失業者がどうしたかというお尋ねでございますが、労働省といたしましては、離職しました失業者に対しまして、大体山炭鉱地方で離職されます方はほとんど全部が失業保険の適用を受けるわけでございます。まず失業保険に……、直ちに就職あっせんできない方は、失業保険金を六カ月もらう、こういうことになるわけであります。なおその期間に就職あっせんができません方に対しましては、政府といたしまして実施いたしております失業対策事業をこれは労働省の予算で組みまして、各地方の団体に補助いたしまして、各地方団体がこれを実施するわけでございます。これによってとの事業に働かせる、こういう一応建前をとっておるわけでございます。そとで炭鉱地方につきましては一昨年とろから比べますと、これは相当失業者もふえたことは事実でございます。そこで私どもの方でも、単に失業対策事業だけに吸収するだけではどうしても不足でございますので、御承知のことと思いますが、鉱害復旧事業を特に昨年度一部繰り上げ実施をいたしまして、これによってまた相当な失業者を吸収いたしております。現在までに、現在これは統計が少し古くて恐縮でございますが、今年の六月の実情でございますけれども、これは炭鉱失業者ということと炭鉱地方の失業者というととは実は区分できませんので、炭鉱地方ということで一応調べておるのでございますが、これによって吸収が大体なされておるという数字が、いろいろな失業対策事業その他鉱害復旧等も合せまして約四万七千五百程度を今失業者として吸収をしておるという一応の報告になっております。
  109. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 時間がありませんので労働問題が出たときにして、労働問題を主として聞くことになりますから、大臣か政務次官が誉のうは見えておったのですが、できるならば呼んでいただいたらどうかと思います。
  110. 小松正雄

    ○小松正雄君 ただいま労働省の方から話を聞いておりますと、失業保険で一応まかなうということが一つと、それから現在までの失業者というものは、ある程度そういう土地々々の方でいろいろな失業対策事業を起させて政府が補助を出して吸収しておる、こういうふうな話ですが、現実の問題としてそうでない。と申しますのは、私の町の川崎町の炭鉱の状況からお話しいたしましても各位はよくおわかりになると思う。というのは、私たちのととろの炭鉱、私の川崎町の駅で積み出しておった炭鉱が、江田、衛藤、上田、高倉、大森、沖本、稲員、小松、こういった中小炭鉱が、これが年間三十万トン以上出して知る。それでこれに従事しておった直接な坑職員、直接なということは工員社宅にいるものの従業員が約三千人くらいおった。これは今現在でも二千五百人くらいは実際問題として仕事がない。失業保険をもらっておる間はどうにか食うていった。しかしその間に仕事を求めていますが、あなたが田川郡の職安をお調べになっていただけばわかりますが、川崎町の者が千人で約二百人ぐらいは今就職しておるかと思う。私どものところには、何もまだそういう失業の仕事も何もやっていないわけです。ただ一部行別鉱害でやっておる。そこに収容しておるのは百人入る、あとの者はどうにもならないという現状であります。それで、またなおとの法案によって非能率炭鉱の整理をされるということになれば、多数の失業者がこれ以上に川崎でも出てくるのじゃないか、かように考えますので、現在のあり方でもそうであるので、私ども非常にこれを憂えておるから、失業の対策というものが、ただあなたのおっしゃられたことのように、ただ失業したら六ヵ月はそれで食べてゆけ、そうしたらそのうちに失業対策的な国の補助費を出して、その関係市町村で鉱害の復旧等の仕事をさせてやる、そのうちにまあ吸収しようというような考えぐらいですが、そんなことじゃ今後とても吸収するどころじゃない。それはまあ実際問題としてできないと思う。それは国が積極的にやろうとする大きな事業であり、それがまた五年なら五年、十年なら十年という大局的な見地から、予算の裏づけをして予算をもってやろう、それでそのうちにそれだけの人間を確保してゆこうというようなことなら、わかる。しかしそうでないからして、私はまずこの炭鉱の整理をされるということについての人員整理を、どのくらいやるかということを聞いておったわけでありますが、そとで局長にお尋ねいたしますが、私の考え方がまあ違っているかもしれませんが、私は少くとも六万余りの……。この法案に基いて機械近代化、縦坑掘さくあるいはまた非能率炭鉱の整理、買い取りをやってゆくということになってくると、六万人というものはとの中小炭鉱の三百鉱あるいは二百四、五十鉱の弱小炭鉱を入れると、そういったととろのものがおもな買い取りの対象になると、こういうことを考えますと、中小炭鉱のうちで該当する部分の中におよそ三、四万ぐらいばおるのじゃないか、かように私は考えるわけであります。残りはまあ二万余りということになると、機械が近代化されてゆく上においては、大手炭鉱でそれは石炭が三十年から三十五年度になれば六、七百万トンの石炭は一応増産してもよろしいという形になりますので、業者としてはその六、七百万の増産をしたものによってコストをこれに合せてゆこうというのであれば、またなお政府考えておるところでは現在の単価よりも、これによって五年以後ば二割以上下げると、こういうふうな考え方からいたしますと、少くとも人員が相当整理されるということを、私は現実に自分がその炭鉱関係をしておりますので、これはもうだれもが否定できないことと思うのです。一例といたしましても先般の参考人の方の事業家代表の、石炭協会の代表のお話でも、大手として十八社のうち縦坑掘さく、近代化によってこれが五年後に完成した暁には、相当の大手としての人員を整理される考えがあるじゃないかと、かようなことを聞きましたときにも、それに匹敵したお答えがなされたわけです。およそその人員整理というものがなされてなくては、機械が近代化されても決してコストが下がるものではないと、私どもかように考える、そういうふうに考えてきますと、私どもはこの整理される私ども同僚がどういうふうになってゆくかということを憂うるために、その数字を特にあげて私は質問をしておるのであります。六万の中には四万と二方ぐらいは、機械が近代化されて五年後の暁に、二万ぐらいの大手の私はまあ整理対象の人だとは考えられない。そとでまあ局長としては私の今六万人に仮定して、四万人は中小炭鉱の買い入れ対象の中にある人、そういう人になされるだろう。残る二万人は機械近代化、縦坑の掘さくによってなされていく、大手の中から二万人ぐらいの人員の整理と私は思う。局長はその大手の方が二万人ぐらいであるかどうかあわせて一つお聞きしたい。
  111. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは五万七千、まあわれわれはこの五年間の離職者を五万七千人程度考えておりますが、そのうちで買い上げ炭鉱の分が二万七千人でございます。従って残り三万が一般の合理化その他による離職者ということになるわけでございますが、従ってその比率は大体今小松委員のおっしゃられるようなぐわいになるのじゃないかとそういうふうに考えております。
  112. 小松正雄

    ○小松正雄君 まあ局長お話を信じてみましても、五年間に大手の人員整理が三万ぐらいだろうとこう言われますが、この三万あるいは合せて五万七千とか、こういった人たちが配置転換とか何とかいうものば差し引いて、実際問題として失業になろうというのが、こういった五万七千というのであるかどうか。
  113. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これはそうではございませんで、製塩事業でございますとか、発電事業でございますとか、あるいはガス化でありますとか、そういった事業に吸収される人間も、炭鉱労務者の離職君というふうにもちろん考えております。五万七千の人間のうちからそちらに吸収されるものが一部あると考えております。
  114. 小松正雄

    ○小松正雄君 この三万人と推定される失業者はどういう炭鉱から、要するに大手炭鉱の縦坑掘さく、近代化によって減らされる対象になる、三万人はおよそどういう方面のところの炭鉱の中の人であるか、お考えを一つ。
  115. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは山別に具体的にとういうふうな減員になるだろうというふうな、そういう計画ではございませんで、縦坑の対象になるものについては全部ひっくるめまして大体このくらいの能率に上がるだろうということを調査いたしました。しかしそれ以外の分は大体平均的にみてこのくらい能率が向上していくというふうに考えて計算しておりますので、具体的に、どの炭鉱は何人というふうな数字は持っておりません。
  116. 小松正雄

    ○小松正雄君 それではこれはもう確定的に、あなたが五年後には三万人大手の中から減るであろうという想像によってこういうことを出されたのですか。
  117. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) ちょっと、大手三万人というお話しでございますが、先ほど私小松委員は大手二万人程度ではなかろうかというふうにお話しになったように実は了解いたしまして、私はその程度でございましょうと申し上げたわけです。繰り返して申しますが、五万七千のうちで二万七千が買い上げ関係の分、それからあと三万人がその他の分でございますので、三万人の内訳は大手、中小というお話がございましたから、大体今のような数字になった。こういうふうに考えたわけです。そこでこの計算は今も繰り返して申しましたように、縦坑対象炭鉱につきましてはある程度具体的にこの山が縦坑ができればどのくらいになるかという数字が出ますので、それはそういうふうに計算いたしましたけれどもあとのもにつきましては平均的に見まして、この程度の能率増進ができるであろうというふうに考えまして計算いたしましたので、どこにどういうような人数が減るというところまでは計算いたしておりません。
  118. 小松正雄

    ○小松正雄君 私はまあ一応局長が申されたように三万というものは大手から、買い取り対象でない、三万人というこの人間は大手の縦坑掘さくされたり、あるいは機械を近代化されたりするために、人員が過剰になって整理される対象のものが三万人だと、さように受け取っておるわけです。従ってこの三万人の退職者がどういう方面から退職することの予定にされておるか、たとえば明治鉱業の嘉穂郡の平山であるか、あるいはまた北海道の雄別なら雄別の炭鉱の縦坑掘さくをするためにどれだけ減るのであるか、こういう地理的なことについてお聞きをするわけであって、それを聞くということはどういうことかと言ったら、私どものところにおいて相当な人員の整理があるのに、また現に三井が私どものところに縦坑が掘さくされて、そしてすでにもう着手……ということはまあ完成ですね、完成して人員がそこから入坑することに相なろうとしているわけであります。そうしますと、今現在の失業者の対策にすらどうにもならないという地方団体の考え方であり、またその業をなしておる人たちの考え方である。要するに、縦坑がその中にまたできて、またそこで大量の首切りがあるとするならば、それが合せてまた仕事場が大きく、何といいますか、ならなくちゃならない。政府が補助することにして一つの仕事場ができた。たとえば河川の修理ができた、片一方には鉱害の修理をやるようなことになったとか、こういうふうに二軍にも三軍にもならなくてはならないという意味からいたしまして、どの土地から、どういう方面からどういう名前のもとの炭鉱からどれだけ減るのかということを、こういうことをまず聞いているわけです。それをあなた方は全体を合せて五カ年後には三万人ぐらい馘首されるだろうと、こういうようなお考え方であろうと思いますが、それであったのでは、私どもお尋ねすることについては当ってこない。当ってこないということは、私の考えているということは、もうすでにのけてしまわなければならないと、かように思うわけでございまして、本日これがすぐ局長としても明示されないことでありますならば、ここ幾日かたった末でもようございますから、一つこの資料だけは教えてほしい。というのは、ただいま厚生省のお話しでは、ある程度その失業者を吸収するために、そのところそのところによって鉱害の復旧、あるいは河川、あるいは道路とか、こういったことに仕事場を作らせて国の補助によってやろうと、こういうふうに言われておりますが、そういうことからも参酌いたしますと、やはり失業者の出る対象になることが大きくなってくる、私たちの見ておるととろでは。それでぜひそれは実行の上に必要な資料ですから、お願いしておきたいと思います。  そこで今労働政務次官が見えられたようでありますがお伺いいたします。  この法案を提出されるときに、大よそ重要法案でありますので、労働省、通産省において相当突っ込んで話し合いをされたものと私は考えますが、話し合いをいたしたのであるかどうか。
  119. 高瀬傳

    政府委員(高瀬博君) その点については労働省と通産省と相当に慎重に協議いたしました次第であります。
  120. 小松正雄

    ○小松正雄君 そういたしますと、この法案に基いてみますと、労働対策たとえば今局長から結局五万七千人というものがとの五カ年後には馘首される、失業するということになるのであって、この失業者をあなたの方ではどういうふうに振り向けて翌日から失業者としてのことではなくて、真に仕事場を与えられる従業員としての立場に置かれようとしておるのかお伺いします。
  121. 高瀬傳

    政府委員(高瀬博君) その点につきましては、実は閣議決定で、各省がこの炭鉱合理化法案が通過いたしましたら、まあ極力失業対策その他のことも協力をするという閣議決定のもとに、われわれも慎重に対策を考慮いたしました。
  122. 小松正雄

    ○小松正雄君 それで閣議が決定されておるということであれば、源であるあなたとしては、閣議が決定容れたのであるからして、この法案が通過したら何とかなるだろう、こういうふうな甘い考えのもとにおるんじゃないか。かように申し上げることは、はなはだ過言かもしれませんが、私どもはこの失業救済的な仕事を、ただ単に、一時的にもくろんでやってもらうということではならないと思う。根本的に五万七千というものを完全なる雇用し得る対象の場所を見つけておくべきだと、責任ある労働省としてはせなくちゃならないのじゃないか。かように考えながらお問いしているわけであって、その決意はどうであるのですか。
  123. 高瀬傳

    政府委員(高瀬博君) ただいまおっしゃった通り、その通りの線に従ってわれわれは今後対処いたして参りますが、実はこの法案が出ます前に、本年度のいわゆる失業対策に関する全体の予算は決定いたしております。従って御承知のように百六十八億程度の失業対策の総予算を盛りまして、私どもは三十年度の失業対策に対処いたしたわけでありまして、これは前年度と比較いたしまして、特に特別失業対策、河川、道路あるいは水道の修築等、比較的生産増強に資するような特別失業対策に対しましても、約四十億の新しい予算を盛りました。ほとんど五分の四国庫負担というような方策をとりまして、百六十八億の初めて最近にない多額の予算を組みまして、ただ、この閣議決定の線に従っての具体的の失業対策に関しましては、実は私どもも閣議決定の方針に従いまして、予算の最後的決定の際に約五億程度の失業対策の費用を要求いたしまして、それにつきましては先ほどから問題になっておりますこの約五万人くらいの失業者が将来出るというその算定につきまして、もしこの炭鉱合理化法案が両院の賛成を得ますならば実施される、従ってまた約本年度の第四・四半期ごろには、約四千七百名程度失業者が出るだろう。従ってそれに対する具体的な失業対策の裏づけとして二億一千万円程度の失業対策費の追加を私どもは要求いたしました。それから特に九州の炭鉱地帯においては、長年の懸案になっておりまする川崎線の建設、これは石炭の輸送の面から見ましても、炭価の引下げという点から見ましても、非常に重要な線でありますので、これは約五年計画で二十五億の金がかかります。しかしながらわれわれとしては、とりあえず本年度着工する費用として二億七千万円程度要求いたしまして、従って総計で約五億程度の新しい失業対策の裏づけになる具体的の費用を要求いたしましたが、遺憾ながら諸種の事情でその実現を見ることができないことになりました。従って川崎線の問題は、その後それと同時に追加要求に認められました新線建設の五億という金がございました。従ってこの五億の新線建設の金、これは約二十一線に対して加えられた追加の金でありますが、この五億の新線建設の中にも当然失業対策としての川崎線建設の考慮は、その金額の中に含むという私どもば見解のもとに、この点は各種の委員会においても、あるいは鉄道の建設審議会等においても主張し、閣議においてもそれを主張していただき、通産大臣もその点は強く主張をされましたが、建設委員会等におきましては、使途の性質上、これを新線にまかすことはかなりむずかしいようでありまして、別途考慮で、たとえば失業対策の一環として、川崎線の建設に対しては、本法案が参議院を通過さしていただきまするならば、ある程度までの金額が別途支出されるようにわれわれは承知いたしておるような次第であります。従って労働省といたしましても、具体的にはさような閣議決定の線に従いまして努力は続けておる次第であります。
  124. 小松正雄

    ○小松正雄君 それはこれから起り得る三万ほいし五万七千ばかりの失業者が五ヵ年間に出るだろう。それをまあ順次吸収していくために二億の予算をもって仕事を行なっていこうと、そういう労働省の考え方でありますが、ただいま聞いてみますと、川崎線ができたといたしましても、川崎線にあの筑豊炭田の失業者を汽車賃まで出して吸収するということはできないと思う。しからばこの川崎線が五億と、三億七千万、労働省の予定通りの金は出るといたしましても、これを区切って着手するといたしましても、これは労働大臣も御承知のように、稲築から油須原までの新設をしようというのであって、炭鉱地帯からある程度はずれておるところもある。なおまたこの川崎線にのみ吸収をすることとなっても、筑豊あるいはまた佐賀地方、いろいろな所からここまで仕事に来るというわけにはいかない。ですから私さっきも局長にお伺いしたように、要するに三万、二万七千、こういった失業者の出ようとする所はどことどこにあるかということは、そういう意味合いから尋ねておるわけであって、そういうわけです。そこでまあ労働大臣としては、このことによって失業者を吸収し得ると考えておるかどうか。
  125. 高瀬傳

    政府委員(高瀬博君) ただいまの御意見でありますが、実はこの石炭の合理化の臨時措置案の規定によりますと、炭鉱の整理離職者というものは、われわれの予定するところでは、三十年度には、まあ実施が第四・四半期と仮定いたしましても約四千七百名程度、三十一年度には一万四千二百名程度、三十二年には八千三百人程度、合計で二万七千二百人程度、先ほど来通産大臣の方からお話し下すつたような数になるのであります。右に示された離職者のうち、実際に失業対策の対象になる要対策者の数は、三十年度には四千二百四十九名、三十一年度には、一万五千三百三十一名、三十二年度には二万七千三百名程度、まあこういうふうに推定いたしております。従ってこれらの失業対策を要するもののうち、地区的に申しますと、留萌とか、天北、朝倉三池、天草等、僅少な離職者しかない炭鉱には、その数が事業を起す程度の規模に達しませんので、今回の就労計画からはとれらの土地は除外いたしまして、一般の失業対策でとれらの人を吸収して対策を講ずることにいたしたわけであります。それからなお特別就労計画は別途いたしておりまして、三十年度には河川事業に千七百名程度、それから道路に千名程度、それから鉄道建設には九百名程度、電源開発等に四百人か五百人程度・合計約四千名程度を失業対策の対照にしたい、かように考えております。なお三十一年度には、やはり前同様、大して相違はございません。こういったような観点から三十一年度には約一万五千名程度を救済いたす。そして三十二年度には、河川、道路、鉄道建設、電源開発あるいは水道、住宅というようなものに一万六千名程度吸収さしたい、こういうふうにわれわれとしても具体的に計画は進めておるような次第でございます。
  126. 小松正雄

    ○小松正雄君 計画はそういうように持たれておるでしょうが、果してその現実の問題として、あなたが立てられておるようなことで、そう思う通りに吸収できるか。たとえばこの千代田区にそういう仕事ができて、その仕事場に当てはまるだけの失業者がいるとするならばいいですが、千代田区には失業者が大量おる、そして仕事は一ヵ所であるとするときはどうなるかというととが一つ、それからまた逆に仕事場は千代田区に作ったが、世田谷やその他の方の失業者がそこまで仕事に来るということになれば、汽車賃もいる、それから行ったり来たりの時間もかかる、こういうふうなことから、雨が降れば、仕事は昼の土方であろうと思いますから、なかなかみのかさ持たないとか、かっぱを持たないとかいうことで、雨が降ればほとんど休みになるということは、これはほとんど常識です。そういうことからいたしますと、あなたの立てられている何千人、何百人、何万人というようなことでもってその仕事も完成しようが、それに付随して失業者も吸収できると、かように考えておられるということであれば、私は非常に誤まりである、かように考えますが、いかがですか。
  127. 江下孝

    政府委員(江下孝君) 私からお答えさしていただきます。仰せの通り失業者の発生というのと事業の施行個所というのは、これは結びつかなければこれは失業対策にならないわけでございます。今政務次官から申し上げましたことは、大体この失業者の発生地域に即応してこういう計画考えていく、こういうつもりで申し上げたのでございます。それから現実にはそうは申しましても、なかなか徒歩で行っては間に合わぬという所もございますので、これは事業主体の方に御勉強願いまして、トラック等で輸送してやる、つまり失業者吸収に現実に役に立つようにこの失業対策を実施するつむりでおります。
  128. 小松正雄

    ○小松正雄君 五ヵ年間に五万七千人に対する失業対策と私はみなしておりますが、そう考えてよろしゅうございますか。
  129. 高瀬傳

    政府委員(高瀬博君) 大体さようお考えおきを願ってけっこうです。
  130. 小松正雄

    ○小松正雄君 そこで私は誤まりをまた一つ感ずるのでありますが、すでにこういう法案が出るというのは、中小炭鉱でどうにもならないということになってさっきも小野先輩からも指摘されており、局長に聞かれておりましたが、今までの間にどれだけの人間が失業しているか、こういうことを聞かれておったんですが、この五ヵ年間にはそういう予想したことでもってやられるということを仮定として認めると私はいたしましても、今日までの間に相当な失業者が出ている。たとえば川崎線が出てくるとしたら、川崎線だけに集中するくらいの人員は、少くとも川崎町の失業者だけでも、炭鉱が七つ八つ閉鎖することになった、これは低品位炭であったためにどうしても販売計画がなかったためにみずから倒れてしまった。倒れてしまって、とれに従事しておった人たちが、今なお二千四、五百人は残っておるというのは、私たちのところでもはっきりしておるのであります。それはどういうことであるかといったら、失業保険をもらておったが、もうそれが期日が切れたが行く所がない、炭鉱で建ててあった灰住にじっと住まっておる。所によっては炭坑が閉鎖されたために電気も切られて、やはり住む所がないから暗やみでおるというととであって、これらが川崎線ができるということになれば、川崎町だけの人員でむそれに集中するというと、余るようになりはせぬがかように私は考える。それはこの五カ年の間であなたが立てられたその予算と人員整理の対象と違って、そのくらい別途に今までの間にもうおるということであって、これらのものの方についてはどういうふうな考え方を持っておるか。
  131. 高瀬傳

    政府委員(高瀬博君) ただいまの御意見はごもっともでありますが、実は私どもはこの炭鉱合理化法案を実施するに当りまして、やはり現内閣の立てております経済六ヵ年計画、とれとにらみ合せて私どもは失業対策も考えていきたい、かように考えております。従ってわれわれの計画では、ちょうど六年目の昭和三十五年には、この稼働労働人口というものは約四百三十万程度、それから現在約六十数万の失業者がございますが、だんだんと六年目には経済の規模も拡大いたし、それから生産も増強いたしまして、経済界も非常に安定して参りますから、失業者は約四十三万程度とわれわれは推定いたしております。従って御説のような、現在の状態で非常なほかにも失業者があるというお言葉はごもっともでありますが、もしわれわれの経済自立六カ年計画が参りますれば、経済の拡大、生産も十分実を結んで参りまして、雇用条件もよくなり、従って失業者もだんだんと減って参りまするから、その点はわれわれの政策が進むに従って、自然と私は有利に解決していく、かように考えております。
  132. 小松正雄

    ○小松正雄君 もう一点だけ。はなはだこれは私も申し上げかねることでありますけれども、こういう政府として石炭の問題についての法律としての案が出される前から、本委員会に私とともに主張してきました西田君が幸いに労働大臣になっておられる。労働大臣になっておられるから、私はきょうここに見えられると思った。そうすればとの中の根底は、私よりももう西田君の方がわかっておったかもしれない。こういうことからいたしますと、大臣を実際問題として午後ここに呼んでもらいたいと思います。そうして私は大臣に直接あり方をお互いにここで論じ合ってみたいと思う。今一言だけでも、あなたは全国の失業対策という観点からお話しになさっておられるかもわからぬ。私は炭鉱の危機をどうするかという問題からこういうふうになってきたごとと私は思う。そうすると今日のこの買い取りの対象になるとかならぬとかいう問題、前に低品位炭を出しておったために、川崎でも年間三十万トン、これだけ出ておった、この人間が鉱業所へ出ておった。それがもう漸次資金難にあい、石炭は売れないまあいろいろなことは西田大臣が来たら私もお話しするし、また本人もわかっておる。そういうことからして、現実の問題として、この炭坑に従事しておった人たちだけが現在川崎でも二千五百人くらいの失業者がおる。ですから今あなたのおっしゃることは、総合的に四十七万か五十万かの対象としてやっていとうというような考え方のお話しですが、私はそれでなくて、この石炭合理化法案に基いての失業者対策はどうかといえば、五万七千人に対するもの、こういうことだと、そうすればその五カ年の間のことはあなた方の推定通りになるとしても、その前にこれと同じ仕事をしておって、きのうまでは息をしておったが、もうどうにもならないということで倒れてしまったというのが、川崎町でも例をあげて局長にも申し上げましたように、江田、上田、衛藤、高倉、大森、沖木、稲垣、小松、これ以外にも租鉱権者としても相当な人が休坑しておる。これらの使っておった従業員がどこにも行き場がなくて、現在そのまま住んでおるというあり方であって、その人たちの失業救済というものも考えずにおるようであるからして、あなたの考えておるような五ヵ年計画の労務者に対する、あるいは失業対策の方を遂行しようとするのは、決してそれは合わない、こういうことであるのであって、私はそれだけ申し上げておいて、そして西田大臣が午後来られるかどうか。
  133. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと申し上げますが、実は今朝来労働大臣の御出席をお願いしておるのですが、健康上のよんどころない御事情でお見えにならないのですが、しかしたってのなにですから、もう一応委員長から今の申し入れをしておきます。
  134. 小松正雄

    ○小松正雄君 健康を害されて来られないということであればまあ別ですけれども、でき得ればこの際とこに来ていただけば、この法案として生れてきた前提も、相当西田君も私も本委員会でお願いをしたんですから、そういうことからくると、わかりきっておる西田大臣は、なぜもう少しこの炭鉱関係失業者に対しての認識ある大臣計画を立てておらないかということについて私もお尋ねしたい、かようなことです。
  135. 高瀬傳

    政府委員(高瀬博君) ただいまのお言葉でありますが、西田大臣は、実はこの国会が始まるときから非常にひどい黄だんをわずらいまして、国会中も非常な無理をして出席され、答弁その他に当っておられましたが、最近法案通過についてやはりだいぶ心労されたとみえまして、何か非常に固いとりみたいなものができてしまったんです。ときどき病院に行って注射をいたしませんと、なかなかからだが持たぬというので、そういった事情で、御本人は進んで出られる御意思を持っておられますが、生理的にどうむそれが不可能なようでありますので、はなはだ不十分でありますが、私がかわって伺ったような次第でありますから、御了承を願います。
  136. 阿具根登

    ○阿具根登君 ただいまの小松委員議論に関連して申し上げるんですが、ただいまの答弁では百六十八億の失業費を組んでおる、こういうことでございますが、これは政府が言っているように、七十万近くの失業者が現在いるのに、今年はさらに二十万人の失業者を見込んで、そのためにとういうものが生れたものと思うのでございます。それから閣議に諮って、この炭鉱合理化法案のために出てくる失業者救済のために五億の予算をお願いしたけれども通らなかった、こういうことで言っておられる。さらに川崎線が幸にして通って、そうして失業者を救済できるということを言われておりますが、それに対する質問は小松委員がやりましたので、私が申し上げたいのは、川崎線はもともと失業対策の対象でなくて、そうしてあれは石炭のコストを下げるために、あの線ができれば百数十円コストが下がる、これが第一の目的で前々から考えられておったのでございます。しかしこれが失業対策の役に立たないとは私は申し上げないのでございますが、これは全般的ね失業対策に絶対にならない。としますと、今度の炭鉱合理化法案のために労働省として考えられました五億の金は一銭も出ておらない、こういうことになると思うんですが、どうですか。
  137. 江下孝

    政府委員(江下孝君) 川崎線につきましてはお話し通りでございますが、特に今回の石炭鉱業合理化臨時措置法案の提案に伴いまして、失業対策面からも、強くこれを推進する必要がある、こういうことで大体実施がきまったように聞いております。そこでこれが相当あの地方における失業対策の役に立つということは、これは否定できないことだと思います。ただ仰せのごとく川崎線だけで、地方々々の失業対策をやるということを考えておらないのであります。先ほど言葉が足りませんために、誤解を招いた点もあるのでございますが、実はこの今回の閣議決定におきましては、石炭の合理化臨時措置法の実施に伴い、多数の離職者が発生する。従ってこれに対しまして炭鉱地帯に対しまして建設的ね事業を全般的に実施していく、これがもう閣議決定になっております。こうしますと、従来労働省、建設省あるいは農林省というようにばらばらになっておりまして、各公共事業が実施されておりましたのが、今回はこの閣議決定によりまして、必ず各省はこれによって建設的な事業を、労働省の指示する数字によりまして実施をしなければならぬ、こういうことに実際になるわけであります。そこで具体的にそれでは何と何をするかというお尋ねでございましたので、先ほど政務次官から申し上げましたように、明確にありまするのは、一応川崎線であるが、そのほか地方地方で考えておりますのは遠賀川の改修工事と、あの辺の国道、地方道を全面的に改良を行うということを一応きめております。そこでこれをどういうふうに実施していくかということについて、今建設省と折衝いたしておりますので、おそらくそう長くなくして具体的に、地方々々におきまして、どういう公共事業が行われるということが決定されると思います。それから失対事業につきましていろいろ御質問がありましたが、確かに先ほど小松委員が仰せになりましたように、これは地方自治団体の負担能力という関係から、なかなか思うように行われてないというのが実際でございます。田川地区におきましても、私どもといたしましては極力県あるいは市に参りまして、失業対策事業のワクの拡大ということについては、絶えずこれは懇請をしておるのでございます。おそらくこの点については御承知と思いますが、ただこの失業対策事業で実施し得ます範囲と申しますかは、これは国が失業対策事業として実施するものでございますので、どうしても一定の資格条件がございますので、仰せの通り炭鉱失業者を全部これで吸収するというわけには参らぬのであります。そこで田川地区等におきまして経過的に、確かに仰せのようなまだ働きたくても仕事のないという人があるということは私ども承知しております。そしてそのために今申しました閣議決定によって、公共事業なり、鉱害復旧、あるいは下水道の工事というものを重点的に実施をするということを今案はきめて、各省と協議をしておりますので、これはまあ具体的にどこのどこということを申し上げられないのは残念でございますが、各省が一応了解して実施しておりますので、大体私は御期待に沿って、今後の失業対策が実施されるというふうに確信いたしております。
  138. 阿具根登

    ○阿具根登君 非常に田川地区に縮小されたことになりまして、質問も片寄って参りますが、労働省が苦心されておることはわかるのです。しかし田川の問題になりましたから、田川だけ考えてみましても、現在の失業対策事業で吸収しておるのは月に十三日しか仕事をしておらない。こういう現状からみて、現在出ておる失業者にさえほんとうの対策が立てられておらない。それにもってきて田川地区には相当の炭鉱失業者が出てくる、また田川地区以外の常磐、長崎、佐賀、山口等の問題も相当出てきておるけれども、苦心はされておるけれども、問題はこの法案が通れば、本年度中に五千人の失業者が出ることは現実なんです。ところがその五千人の吸収策というものは全く考えておらない。少くとも為政者が考える場合は法律によって首を切るならば、出てきたあとからどうしようかといって考えるのではなくて、すでに出てくることは法律で首を切るのですからわかっている。そうするならばその対策はすでに立てられておるべきが至当である。ところがこの法案が先で失業者は町に放り出されて、それから何とかしなければならぬというような間ぬるい対策を立てられておらないか、こういうことを私は憂うるのであります。
  139. 江下孝

    政府委員(江下孝君) 田川地区につきましては、これは私どもまだ五月までの分しか把握いたしておりませんが、登録労働者が千七百五十二名、そのうち就労いたしますのが毎日千百九十八人、これによりますとまあ十九日の就労日数を確保しておる、これは五月でございますが、一応そういう数字に私どもとしては相なっております。なお六月につきましても調査をいたしましてお話し申し上げたいと思います。それから今のこの確かに五千人程度失業者が出るということはいえるのでございますが、これは先ほどもお話しがございました通り、本年度の大体第四・四半期ということに相なると思います。そこで必ず私どもとしては間に合うように計画を立てて実施をいたしたいと考えております。
  140. 小松正雄

    ○小松正雄君 ただいまの御説明から考えまして、まあ遺憾なきを期してやるから決して心配せんでもよかろうと、かように言われる。私どもはそれでよかろうと仮定して考えたといたしましてもまだ残るものがあるのであって、それが五カ年間の間にはどうにか吸収できるような仕事は作っておいでになるでしょう。そういうことを考えて、私もそうだといたしましても五カ年後に対してはやはりそのときには今の現われておるより以上な失業者が一ぺんに出てくる、かようなことに相なろうと思いますが、それらのと誉にはどういうふうな年次的な考え方をしておるか、その点を……。
  141. 江下孝

    政府委員(江下孝君) 五カ年後の問題でございますが、まあ要するに私どもとしましては毎年一定数を計画いたしまして失業者として吸収いたしております。そういたしますと、まあこれは五年たちますれば、その間に相当自然的な減耗というものも考えられますし、あるいはその間に他の職業に配置転換されるという方もあると思います。そこで五カ年後におきましてはこの数字が相当減るということは予想されるのでございます。もちろん現在から五カ年後におきまして、それじゃどのくらいになるかという点は、これは予想するのは非常に困難じゃないかと思いますが、もしそうだとすれば、やはり五カ年後におきましても失業者生活ができるだけの事業というものは、これは実施をしていかなくてはならないものであると考えております。
  142. 小松正雄

    ○小松正雄君 五カ年後には相当失業者がこのうちから、あらゆる角度からまあ五カ年の間にはあなたのおっしゃるように配置転換を考えて自分自身で仕事を求めて外へ行く人も出てくるでしょう。しかしながらおよそ炭鉱に従事しておったという者は、その土地から離れて行くというむのは少ないようにも考えられるし、そうすればどうしても半分くらいは五カ年後にははっきりと私は残ると、で、失業の対策はどんなにされても五カ年後の、あなた方の計画された川崎線も五カ年で終ろうとするし、それからまた地方の遠賀川の改修も二年くらいで終るのじゃないか、そういうようなことを考えて一般的に地方のことを考えましても相当な失業者が残る。との残る失業者に対してのことを尋ねたのであって、どうする考えを持っているかということをまずお尋ねしてみたわけです。
  143. 江下孝

    政府委員(江下孝君) これは今申し上げましたように、まあ五カ年後どのくらい失業者が残るかということが明確でございませんで、そこで今から実はどうするという計画を立てるということが実際は困難でございます。しかしねがら仰せのように相当な失業者がそれでも残るということになりますれば、その際におきましては、あるいは他の地域への集団的な配置転換というものも当然考えなくてはならぬと思っております。
  144. 小松正雄

    ○小松正雄君 そういうふうに考えられておるということでありまするならば、これは私の私見として申し上げてみたいと思うのでありますが、日本の国は御承知のように一番必要である食糧というものが足らないということですね。それでこれはあなたは労働省の人だから専門でないからわからぬかもしれませんが、およそ人として、その失業救済的なことばかりを考えずに、永久に残す仕事として本人に与えてやろうという角度から考えられる場合には、私の考え方もあなたも同じだと思う。そういうことからいたしますと、国内の食糧事情として足らない、悪いということからいたしますと、との炭鉱がもしやまったとします。そうするとその山間には田面になろうかというところが相当多いわけですね。これは全国考えられれば植林、森林その他から考えても伐採してでも、田面の開発をやることが私は一番必要じゃなかろうか。これはもう食糧難である国である限りは、一番また必要なことじゃなかろうか。これに吸収する考えを持てば、たとえば炭鉱をやめられたあとに今度そこにもう相当な田面ができる。これは田面を作るためには、その所の者を吸収して、そうしておのおのにまあ反別幾らという補助方法をしてもらって、そうしてそういうふうなことにされるということになりますれば、平地でなくとも山の上まで田面ができていく。これはどういうことかといったら、炭鉱をやっておるところにはすでに電気がきておる。電気でポンプ・アップして山を耕して谷を埋めて、個人的に田畑を作るということになりますと、それには水がないじゃないかということになりますが、電気はきております。きておれば政府の施策によってそうしてポンプ・アップによって水田を開発する、そうして永久的に農村に従事をせない者もあるかもしれませんが、仕事がねいということになれば、国の一貫した施策として将来を考える上において、この仕事をなさしめようという考え方が労働省の方にもあるか、あるいはまた通産大臣として責任ある上からにおいて、これは炭鉱のためにこの法案が出ている。この法案によって首を切られる。これが五年たったらやはり行き場がなくて余ってくる者が相当出てくるということを大臣も予想されておると思います。そこでそれらの一貫した将来の職業に対する対策としての中に、こういうものを吸収して、そういう者に対して仕事をさせていく、そうしてできたものはそれらに年賦償還で金を貸してやらせるとか、こういうふうなお考え方をお持ちであるか、一つお聞きしたい。
  145. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) この炭鉱合理化のために生ずる離職者については、先ほどから政府委員、あるいは労働政務次官等からお答えした通り、非常に苦心をしております。またわれわれの責任として、これはこの合理化法案を通して実行するというと、通していただくまても努力を要しますけれども、実は通していただいた後の実行については、非常な責任を私自身感じておりますし、政府としてもむろん感じなければならぬことでありますから、これはいかなる方法をもっても、この離職者の救済ということをやりたい。ただ本年度は予算の関係も間に合いませんでしたことははなはだ遺憾でありますが、しかしこの新しい合理化のために生ずる離職者は、まあ先ほど申しましたように五千人足らずということでありますから、これについては場合によったら予備金支出等でも間に合うであろうと、との川崎線の方もそういうふうな考えをもって、実は労働大臣と私どもと話し合っておったわけであります。ただあれは鉄道審議会関係がありますので、それにかけないといけませんので、この間かけまして、幸いに小委員会だけは特別の措置として今までの残っております新線の別ワクとして、川崎線を認めてもいいという小委員会の決議だけは経ました。さらに審議会も通過するものと思うのです。そうしてこれも一つ実行の段取りに入ります。それでなおずっと先のことについては、これはもういわゆる日本が今のように失業者をかかえて、これから五年も六年も七年もいくというようなことでは日本は成り立たないのですから、そういう観点から経済六カ年計画というものも立てましたわけでありますから、私どものこれは理想であるのでございますが、とにかく五、六年先においては現在のような失業者のない状況を一般の事業の振興によって行いたい。その中にはお説のような田面の開発というものもむろん含まれておるわけでありますから、どうか一つ御了承いただきたいと思います。
  146. 石川清一

    ○石川清一君 私もただいまのに関連してもう少し真剣にお考え願いたい、そういう点で質問をいたしますが、この治山治水の根本的改修は、やはり河川の総合的な調整なのです。それでダムを作りますそのダムの中には相当公共事業費が入って、その国の、出ておる公共事業費のある程度のロスを見て、そうして電力会社に発電をさしていく。今日の日本のダムの大方はいわゆる治山治水の面である程度のダムの建設費をカバーしている。そういう点がすでに明らかになっております。先ほどのお話しのようにほんとうの炭鉱失業者を一般の土木事業、建設事業に向ける場合には、今までの熟練した技術者から見ると相当落ちます。必ず落ちるにきまっております。従ってその落ちる分をいわゆる失業対策費用の中で見るという考え方をはっきり計数的に出さないと、新しい雇用は私は生まれてこないと思う。先ほどちょっと申し上げましたように、一定の密集している炭鉱地帯のもとのままに失業者を置くということは、私はいけないと思う。従って炭鉱失業者を区分しまして、中小企業に向く者はある程度持っていく。それからいわゆる肉体的な労務にたえる者は、やはり一般土木の労務者として集団的にある程度建設事業のある方に出していって、そうして五年なら五年の間に国がまあ運賃、交通費、そういうものを見て現場で熟練をさす、そうして一般公共事業の中に自然に吸収させていくように、そのロスはやはり失業対策費で見ていく・こういう形をとらないと、これは解決できない。これが今までのお話しのように自治体に、公共団体にまかせておいたのではそういうととはしない、これは話だけで必ず出ると思う。これを今出さなかったなら出す時期は私はないと思う。こういうような点は今までのダムの建設の場合でも、はっきり公共事業費でいわゆる電力を開発して、それが両方のプラスになるように持っていく。漫然と町村にまかしていては将来役に立たない、役に立たないかもしれないと思うのです。役に立たないような失業対策は私はやるべきではないと思う。従ってこの百五十八億の中でそういう点を計算をすると、実際日本経済の再建復興にやはり七・八までは役に立つと思う。それが即新しい生産にはね返ってくると思う。このためには単に町村にまかすだけでなく、国が大まかな線を立てて、その半分くらいをやはり有効に財政効果を生かし、労働市場が新しく生まれてくるようにすべきだと思いますが、こういう点について建設省や、あるいは運輸省の、との労務を担当している建設関係と具体的に、いわゆる建設省の考えておる失業者を吸収した場合のその労働の生産性の落ちている面をどの程度に見て、これを失業対策でどの程度カバーできるか、こういうような点について御検討されたことがございますか。
  147. 江下孝

    政府委員(江下孝君) 先ほど申し上げるのを落したのでございますが、もちろんこの石炭の離職者が、全部が全部直ちに河川、道路、電源開発等の事業に向くとは私は考えておりません。従ってどうしてもこれはこれに入れます前に、ある程度の予備的な訓練をやる必要がある人が相当にあると思うのであります。そこで実は閣議の決定の中にも必要な職業補導をするということが一応入っております。これは決して飾り文句ではございません。私どもとしましては、できるだけこの技能訓練を必要とする人には技能訓練を実施して、それから入れていくと、昨年でございましたか、閣議決定をいたしまして、公共事業へとの失業者を吸収するということを出しましたときに、今先生のおっしゃった通り議論が非常に出たわけでございます。そこで建設省としてはそう無技能の者を入れては困るということでございまして、私どもとしても考えたことが二つございました。  一つはまず従来安定所におります失業者の体力検定をまず実施する、身体の程度を十分調べておく必要がある、一日行ったらすぐへばるというようなことでは困る。  もう一つは、失業対策事業の現場におきましてその公共事業に向くように訓練をやる、こういうことを二つ営めたわけでございます。予算等の関係でこれが十分に行われていないことは認めざるを得ませんけれども、特定の地域等におきましては相当これが活発に行われまして、公共事業への吸収も相当行われておるという実情でございます。  なお、今回の閣議決定に当りましても、その点については一応建設省の方から昨年と同様な意見もございまして、一応先ほど申し上げましたような事項も入れまするし、なお体力等につきましては十分私の方で精選をいたして公共事業につかせるように考えております。そうでない体力の劣る人に対しましては、今のところといたしましては一般の失業対策でまかなっていくという、大体そういう考え方でこの炭鉱の離職者を考えておるわけであります。
  148. 石川清一

    ○石川清一君 その考え方はそれでいいと思うのであります。ところがこれは国が施行する一、二級の国道であるとか、あるいは直轄河川の場合はいいのであります。しかしながら主として県費河川あるいは市町村費河川でそれを行う、これは今問題になっている補助事業でありまして、毎年こま切れ予算で、従って大きな計画は立たない。こういうような場合は少くも五カ年間の河川改修の敷地だけは買収するという計画を立てておかなかったら、問題は解決できない。ことに失業者をそこへ入れてこま切れ予算でやろうというような場合は、もうどうしても仕事をしなきゃいかんというので、敷地の買収ができない、そういうことが非常に多いのであります。今度特に炭鉱のこの失業者を目当てにする場合には道路にしても河川にしても、先に敷地を買収しておく。どちらの方にも関係なしに買収をして、そこに安心して事業費がつけば仕事ができると、こういうようにして集団的に移転をさせなかったら、私はだめだと思います。今までのずっと例を見てみると、これは一省あるいは一局の問題ではなくて、やはり大きな国の完全雇用に持っていく基本的な問題として、そういうものを立てなければならねと思うのであります。実はこの間やはり新冠川の氾濫したとき、河川局長が、これについて河川課長会議を開くと、こう言っておりましたが、そういうような形で何か起きたときに思い切ってそういう線を出さなかったならば、府県あるいは町村の河川、道路等も私はできないと思いますが、そういう点を積極的にやるお考えはありますか。
  149. 江下孝

    政府委員(江下孝君) 特別失業対策事業という予算を今年初めて組んだのでございますが、実はこの単価等につきましても建設省と相談いたしまして、率直に申し上げまして、その単価では今先生のおっしゃるように敷地の買収は非常に困難である、これはまた来年度におきましても私ども相当がんばるつもりにしております。私もそういうことができない場合にはこれは残念ではございますが、やはり公共事業費でこの面をカバーしていくということ以外に、現在のところ方法がないのでございます。そういうことでもちろん建設省の方にも依頼をいたしております。
  150. 石川清一

    ○石川清一君 今お聞きしたような通りであります。この建設省とかあるいは労働省だけできまらない問題だと私は思います。従って今度のこの石炭合理化法案をまあ国が一つの政策として通し、政府が従ってこの失業対策だけは、日本のこの産業行政の中からやはり一本大臣がお立てになって、いわゆる一つの線を残しておくべきだと私は考えるのでありますが、どういうふうにお考えですか。
  151. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 原則として同感であります。具体的には三十一年度からの問題になりますから、三十一年度にその実現をはかりたいと思います。西田労働大臣もいわゆる失業対策事業というものではなくて、失業者にせずにある程度の安定せる事業に人を吸収する策をとりたい、私も同感であります。さようなお考えのような方法を講ずる決心をいたし、三十一年度には実行するように努力したいと思います。
  152. 石川清一

    ○石川清一君 労働省の方にお伺いしますが、この法案に基いて離職する炭鉱地帯の失業者に対して、まず公共団体をして仕事場を作らせると、こういうようなお言葉に私は受け取ったのでありますが、そういたしますと御承知通りにこの炭鉱というものがなくなったために、ここにある責任をもって仕事をしようということができるかどうかという点についてお伺いしたいと思いますが、地方の公共団体というものは炭鉱がなくなったために、御承知のように鉱産税も入ってこない。固定資産税も入ってこない。ひいては住民税が入ってこない。こういうことで現実の問題としてこの地方公共団体はどうにもならない。この法案に基いてそういうことになれば、そういうことで収入というものは全然なくなってしまう。こういうことについて非常に苦労されておることであるからして、あなたの思っておるように公共団体に仕事をやり、国が何割かの補助をしろ、こういうことで失業者を救済しようというようなことを考えていても、これは当らない。それでそうなった場合にはあなたの方ではどういうふうに積極的にやられるというのか、お伺いしたい。
  153. 江下孝

    政府委員(江下孝君) 今回の失業対策につきましては、できるだけ私は国または府県が事業主体となって実施することが望ましいと思っております。建設省方面等へできるだけそういう線で実施をしてもらうように要請をしております。  それから失業対策事業、これを実施するために困っている市町村があることは知っております。この地方負担分の裏づけをどうするかということにつきましては、実は予算も通過した現在ではありますけれども、なお私どもとしては慎重に研究をいたしておる問題であります。最悪の場合におきましても、地方自治法におきましてその負担分については必ず何らかの裏づけができるような措置を考えてもらうように、今私どもとしましても調査をいたしておるということを申し上げておきます。
  154. 小松正雄

    ○小松正雄君 もう一つ、公共団体の困っておることを申し上げておきます。終戦後どうしても石炭が第一、国の再建の本であるという意味において、政府が押しつけて石炭増産に寄与させた。それに伴ってその事業主は政府の責任にこたえるためにあらゆる角度から炭住を建て、人を入れた。それに基いて公共団体は学校を建てんでもよかったのが、人口がふえるに連れて校舎の増築をやり、あるいはへんぴ止所には出張所をこしらえたり、あらゆることを国の施策に沿うてさせられたわけですね。公共団体も今言ったように、これが疲弊するにつれて、失業者が出たが、失業者がそこにもおらないということで、すでに校舎があいておるというような現状ですね。そんなものを作るときには起債を起したり、その起債も払えんでおる、こういう状況であることも加えて話しておきたい。かように思うわけです。  それから厚生省の方にお尋ねしますが、この失業対策事業に従事する諸君は、失業保険の対象になるのか。
  155. 江下孝

    政府委員(江下孝君) 保険関係のととは私の方で取り扱っておりますので、私からお答え申し上げます。今の御質問は現在の失業保険法では、炭鉱等で六カ月以上働きますれば、必ず失業保険がもらえるのでございます。なおもらいきっても仕事がないという場合に失業対策事業にいく、こういうことになります。
  156. 小松正雄

    ○小松正雄君 重ねて伺いますが、たとえば川崎線に従事して六カ月間仕事をしたとしても、仕事は雨が降ったり、からだの都合で一カ月に十日か、雨が降れば結局仕事ができないですからね。これは現在の問題ですけれども、それで六カ月の間に基本になる労働時間というものがなされてなくても、その対象になるかどうか。
  157. 江下孝

    政府委員(江下孝君) 一般の常用労働者につきましては、これは途中で休んだらどうという問題は起らないと思います。日雇労働者の場合にそういう問題があると思います。これにつきましては失業保険として特別な制度が設けてありますので、一定の資格要件は必要でありまするが、資格要件に合致いたしますれば、日雇いの失業保険を受領できるようになっております。
  158. 小松正雄

    ○小松正雄君 それで今申しますように、川崎線なら川崎線に従事する失業者は、これは雇用と見なされるのか、日雇いとして見なされるのか。正規な場所として、事業場として見なして、それに従事する者は、六カ月経てば失業保険をもらえる対象になるのか、これを聞いておる。
  159. 江下孝

    政府委員(江下孝君) この日雇いの失業保険と一般前用者の失業保険は一応立て方が全然別になっております。炭鉱等で常用者として使われました者については……。
  160. 小松正雄

    ○小松正雄君 私それを聞いているのではない。失業者が今立てられておるこの川崎線なら川崎線に吸収しようとする。吸収された失業者が、それが、正常な事業場としての川崎線に従事するという考え方で従事した場合、あなたのおっしゃるように、これらはあなたはやはり日雇いという対象で考えておるか。
  161. 江下孝

    政府委員(江下孝君) それは日々雇用されて日々賃金をもらうという建前になれば、これは日雇いということになると思います。
  162. 小松正雄

    ○小松正雄君 それをもう一ぺん繰返して問いますが、この法案によって買い取りその他によって離職をし、失業者ができる。これはもう国としてもどこかに配置転換をせなければならん義務がある、責任もあるわけです。しかしながら幸いにそういう所々に地方団体がやるし、あるいは国の政策、仕事としてたとえば川崎線なら川崎線というものができるようになって、これに吸収するのだ。これを甘んじて受けたとしても、これを正常臓所に転換がされれば、六カ月たてば六カ月も失業保険としてもらえる。これはりっぱな労働者ですものね。これが国の施策に沿ってやはり川崎線に従事をしようというのであるから、私は失業保険の対象に航る従業員として考えられると考えておりましたが、念のために尋ねてみようと思って今尋ねておるのですが、その点についてのはっきりした御答弁を聞いておきたい。
  163. 江下孝

    政府委員(江下孝君) 現実には私は適用になる場合が多いと思いますが、ただ具体的にはどういう事業主体でどういう雇用形態になるかという点をもう少しはっきりつかみませんと申し上げることができませんが、大体適用される場合が多いと思います。
  164. 小松正雄

    ○小松正雄君 さきに石川君よりも指摘されましたが、鉄道の場合、河川の場合でもそうでしょうが、鉄道の場合はことに聞くところによりますと、鉄道はできても、炭鉱失業者を吸収されるとあなたはおっしやるが、鉄道関係の人の話を聞きますと、そういうものでその鉄道に使ったんでは用をなさないというととは、技術的に鉄道というものを施設する場合には、そういう人を使ってやるには値しないと聞いておりますが、技術面等によってでなくても、実際問題としてそういうことに触れずに川崎線の中に吸収し得るということであるかどうか。
  165. 江下孝

    政府委員(江下孝君) これはどうも技術的な点になりますと、私詳細申し上げることができませんが、実はこの閣議決定も一応各省と相談いたしまして決定したのでございます。その中にも新線建設という言葉も入っております。もちろん運輸省等もこの点については承知いたしております。私どもとしては当然まあある程度は吸収できるというふうに考えております。
  166. 小野義夫

    小野義夫君 だいぶ御議論も進んで質問いたしましたが、第一、時間が今すでに一時何分かをこしておる。われわれも食事をしなければならないのですが、どういうふうに議事を御進行なさるおつもりであるか、ちょっとお示しを願いたい。
  167. 吉野信次

    委員長吉野信次君) まことにごもっともなことでありますけれども、なにせ会期が迫っておりますことですから、これは皆さんのお考えですけれども委員長としてはもう少し質問を続行してい誉たい、こう思っております。
  168. 小野義夫

    小野義夫君 これは今小松委員が触れているのは実際深刻なるものがあるのでの御質問でありまして、私の経験によりましても、石炭を戦争中に北海道地方はみな整理をしまして、全部やめてその機械とか設備を内地に移駐し、それから労働者を移駐するというようなことをやったけれども、北海道でなれた者が内地に移駐するということも困難と思います。また事業を整理しましたところが、何年たっても長屋をあけてくれない。そこで長屋を市町村に寄付したこともあるのでありますが、そこで思い出すのは、この労働問題に対しましては、今ここのところでいろいろ論議されましても、私は結局労働問題の大きな問題は、この法案を通過の後に追っかけて臨時国会で出ればけっこうだけれども、おそらく予算を伴うので、臨時国会というわけにはいかないでしょうけれども、いろいろな観点に立って失業者の対策といつものが、従来とりきたった対策では、不十分だということは明らかに証明されております。たとえば過去において炭鉱で九万人できたものに対してどうやら処置のとれたものは四万七千人ということである。まず大半というものが常磐地方から証言があったごとく、雨漏りの長家の中に入っておって、雨が降ればむしろをかける、またむしろをかけるといってだんだんむしろを積んでおるうちに、その家は重さにたえかねて崩壊した。これは実際の実情であることを私も認める。かくのごとく炭鉱地帯にあらゆるそういう問題が起ってくるのであるから、これは非常に総合的に今の閣議決定ということは、一応閣僚の申し合せでいいのだけれども、閣議決定などで、そういう一片の机上の結論で、これは非常にうまくいくとは思われない。そこで今度ば、住宅公団等ができまして、新しく家を建てるというのであるけれども、炭坑長屋を修理するというようなことも一つあるし、また炭坑長屋を山の方へ移して、そごに住宅を建設して、そうして炭鉱地帯を田面にするとか、いろんな私は対策があるので、これはここで幾ら論議をやっても、私はおそらくりっぱな結論は得られないと思うのです。今までの御答弁で満足せざるを得ないわけであるから、そとで私どもとしては、小松委員その他の人の強い要望を、やはり政府は全面的に、いわゆる次の機会といえば、次の議会ですが、三十一年度議会までに、この法律によって生ずる失業者はもちろんのこと、そのほかの事業といえども、日々に、整理をやっていくということであれば、一方に新しいことの建設で労働吸収をやるのでなければ、これは日進月歩の機械化の前途に向って、失業を出さないというようなことはでき得ない。ですから、出てくるのであるから、これはいうてみれば、超党派的な大きな一貫した失業対策及びこれらの処遇、設備、たとえば失業保険で六カ月給料をやるなんということは、はなはだ、先ほど言うがごとく、ある意味において不生産的でありまして、これを有効適切にやれば、全額じゃなくて、二分の一を供給して、他の二分の一をもって他の労働に従事するとか、あるいはこれを三分の一に減縮して、これを一カ年間継続するから、その間仕事に従事するとか、まだまだ……。われわれ会社を経営してもそうなんです、で、退職金と何をやればそれでいいというものではない。であるから、これは日本も、われわれも当面しているところの大きな問題でありまするから、政府は次の機会までにこの根本的な、この法律によって生ずるところの労働不安もしくは労働失業その他に対するほか、これを含めて、そうして根本内ね考え方を、従来のようななまぬるい対米で日本の国の安全、もしくは私は産業の平和とか、その他のことは行われはいであろうということをおそれるのありますから、この点について今ただちにこれで全責任を持てというても困難でございましょうから、大体通産大臣のしはしばいろいろ言葉もありましたけれども、適切にこれはなんとか取り上げてやらなければならぬという御信念があるとするならば、まあ、そこらでもって、はなはだ潜越ではございまするけれども、労働問題の問題だけは他のまだ幾つかの質問もございましょうから、終りをつけるということはいかがでございましょうか、委員長ならびに大臣に御意見を伺いたい。
  169. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、私としては特に石炭合理化法案を実行する責任者として非常臓責任を感じておりますから、これについての離職者については特段の注意をいたす覚悟はかねていたしております。しかしながら、これは先ほども申しましたように、日本現状のように失業者を作って、そうしてわずかな失業手当を出すとか、あるいは非常な不完全は失業対策事業を起すとか、こんなことでいったら、日本はだめになってしまう。だからどうしてもこの状態を、そう長くない、少くともここ数年の間には全く面目を変えるようにいたさなければならぬと考えておりますから、それには私微力でありますが、全力を尽すつもりであります。
  170. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  171. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて。  それでは二十分間だけ休憩いたします。    午後一時三十一分休憩      —————・—————    午後一時五十五分開会
  172. 吉野信次

    委員長吉野信次君) これより開会いたします。  質問を御継続願います。
  173. 海野三朗

    海野三朗君 私は、燃料の総合対策の見地から二、三質問をいたしまして、通産当局の御意見を聞きたいと私は思うのですが、今度の石炭合理化法案、それから重油ボイラー法案というのは、これを見ますると、ちょうど言ってみれば、できものができてうみをもってきた、ここに今こうやくを張るという、こうやくの法案だと私は思うのです。ところが、これだけで済まないのであると私は思う。次々に問題が起る。たとえば鉄鋼の合理化ということも当然とれは起って来なければならぬ問題だと思うのですが、まずこうやくを張るにいたし残しても、だんだんこのうみが、こうやくを張っていても一時押えればいいかもしれないけれども、どうしてもうみが出てこれは困るのじゃないかとこう思うのです。この石炭と申しますのは、私が申すまでもなく過日千葉大学の雀部教授の話にも、アメリカでも石炭が教年前は八〇%だったのが昨今では三八%に下っている、燃料としては、とこういう話でありましたが、実際この石炭というものは非常に現代におきましては燃料としてはその範囲が狭められてきておると思うのであります。そこで、石炭を利用するということは天然資源を使うということでありますから、なるべくこれを活用させる方向にもっていかなければならないのではないか。そういたしますると、その活用せしむる方向へ果して政府努力してきたかどうかということを思いまするときに、はなはだ感心することができない今日までのあり方であったように私は思うのです。たとえば再三申しましたこの関税の問題、何とかして関税の障壁でも設けて、そうして重油をあまり使わせない方向へ努力しなければいけないのに、安い重油をどんどん入れておいて、そうして熱効率がすばらしくいいのでありますから、だれでも石炭の方は捨ててこの重油の方に走るのは当然であります。それが再三申しますように、高き所から水が流れるということは、何としても阻止できないのだと私は申しましたのはここにあるのであります。それでありますから、この燃料総合対策の見地から申しましても、この関税の問題、それからまたこの石炭をなるべく使わせるようにしねければならない。従ってガス化の問題、それから石炭を使うという点につきましては、重油を切りかえて石炭にするならば、何かここに政府が多少の補助でも出すというようなぶうにやって、そうして幾分でも今落ち目になっておるこの石炭をなるべく使わせるようにしなければならないのじゃないか。で、効率の点がら申しますならば、石炭をそのまま燃やすことよりは、ガス化して使う方がはるかに熱効率が大になるのでありますから、そういうふうな、この今重油規制というような、ぴしゃっと頭をたたかないでも、自然と重油の方には手が伸びていかないような方策を通産省としては打っていくべきものではないか、こういうふうに燃料の総合対策の見地からして、私は思うのであります。  もう一つ私は申し上げたいことは、先ほど河野委員も言われましたように、なぜ今日まで石油会社がこういうふうにほってあるのであるか、ほかの会社はみな赤字で苦しんでおるのに、この会社だけはすばらしい状態になっておる。これは何であるかというと、今までのこの重油に対する政策というものは通産省が間抜けておったと申さざるを得ない。ところが通産省の古いお役人が皆この精油会社に入っておるということを聞くに至っては、実にあきれざるを得ないのであります。私はその就職を一会々するのではありません。そこに入っても国策をあやまるようなことにしてはならないのだというふうに私は考えるのでありますが、この点につきましては大臣からの御所見を承わりたいし、また政府委員としてもことの石炭をなるべく活用せしむるという方向に対してはいかなる努力を払っておられるか、そのお考えを私はお伺いいたしたい。
  174. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 前段の御趣意はその通りまことにごもっともでありまして、私どももまあ過去の点は足らないところが多々あったと存じますが、お話し通りに今後はしなければ、これは幾ら法律重油規制をいたしましたところが、これはお話しのように水の低きに流れるのをとめるわけにはゆきませんから、さように処置いたしたいと存じます。  それから後段の方の問題は、これも今まで必ずしも捨てておいたわけではなくて、行政指導によってできるだけ重油の販売価格を低くするようにいたします、それを言いかえれば、それだけ精製業者の利益を削減することになるのでありますが、今までの行政措置においては法律の根拠がありません。そこで今回の法律によりまして一応法律の根拠を作っていただきたい、かような考えでございます。
  175. 海野三朗

    海野三朗君 もう一つ関税についてのお考えを。
  176. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 関税については先ほど申し上げました通り重油はことに水上における漁業面の使用が非常に多いのであります。その方面関税は実は上げたくない。なるべく価格を低くしたいというので、関税を上げないのみならずその方面の価格を低くするような行政措置を今までもやって参りましたし、今後もさようにいたして参りたいと考えておりまして、今回の関税の改訂といいますか、定率法まではゆきませんが、関税をある程度復活するという場合にも水産業に関する関税は上げたくありませんので、一応これは上げないことにする。そうするとそれとの見合いで陸上のものだけが急激に関税定率法通りに実行するというのもいかがかと思いますので、この一年間だけは低い関税を一応つけて、その様子を見てさらに明年度から新たな構想をもって考え直したい、かように考えております。
  177. 海野三朗

    海野三朗君 石炭の方の値段と、先ほど河野委員も言われたように、石灰の方の値段重油の方の値段重油の方の値段が安くて石炭の方が高くあれば、これは全く石炭鉱業合理化法案なんというものは何も意味をなさないことになってしまうのでありまして、そういうことがあってはならないから、石炭をなるべく活用するような方向へはどういう努力を払おうと通産当局はお考えになっておりますか。政府委員からその点をはっきりお伺いしておき、ただいまのガス化の問題につきましてもそうであります。石炭を使わせるということに対してどういうふうな努力を払っていらっしゃるか、燃料として。
  178. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 利用拡大についてどういう措置をとるかというお話でございますが、これはこの法律に載せる問題ではございませんので、法律に載せてはございませんが、特に低品位炭を活用しまして、上級炭の値段を下げる一助にするという意味におきまして低品位炭の活用には力を入れておりまして、今回はさしあたり現在大体きまっておりますのは三社ございまするが、機械製塩と申します、要するに蒸気を圧縮して潜熱を利用して塩を作るという、海水から塩を作る方法でございますが、三社が計画が大体きまっております。そのほかに一、二社なお計画をしておるものもございまして、これらについては開発銀行の資金をめんどうをみるというつもりでおります。それから前にも御説明したかと思いますが、常盤地区に低品位灰専門の発電所を作りたいと考えまして、現在電力会社と話し合いをしておりまして、大体近いうちに固まってスタートできるものと思います。それからこれにつきましても計画が固まりましたならば、政府資金の手当をすることに関係局と話し合いをしております。  それからガス化の問題でございますが、一般のガスにつきましては、御存じのように拡充五カ年計画というものがございまして、それを今後さらにスピード・アップするように改正しまして、財政資金のめんどうをみるということになっておるのでありますが、低品位炭のガス化につきましては、残念ながらまだそこまで技術的に確立しておりませんので、いろいろ試験段階でございます。これにつきましては、通産省所管の資源技術研究所で特に重点を置いていろいろ研究をやっております。それからこの方面の研究につきましては、民間のものでも相当重点研究として試験の補助の対象にいたしております。この辺のある程度技術的な見通しがつきますれば、工業化については十分応援していきたい、縦坑その他の資金と同等のウエイトをもって応援していきたいというふうに考えております。
  179. 海野三朗

    海野三朗君 この精油会社の精油に対するつまり利潤ですね、それと売り値と、そういうふうな点については鉱山局長はどういうふうなお考えを持っていらっしゃるか、その一つ御所信を承わりたい。このままでいいと思っておられるか、これにいかなる手を打たんとしておられるのか。
  180. 川上為治

    政府委員川上為治君) 石油の価格につきましても、その種類によりましていろいろあるわけなんですが、先ほども申しましたようにガソリンでありますとか、それから燈油とか、軽油とか、こういうものにつきましては、これは現在むしろガソリン等においてはダブついているというような傾向にありまして、価格につきましても私はそう高いととろにはないというふうに考えておりますが、もしこれが高くて、そうして相当の利潤をそれから受けているということであれば、これは供給の方を相当ふやしまして、そうして値段を下げるように持っていきたいと考えております。  それから問題は重油でございますが、重油につきましては、いろいろ御指摘がありますように相当値段が高いととはこれは事実でございます。従いまして、精製業者等におきまして相当の利潤をとっていることはとれまた事実でございます。私どもとしましては、重油の中でも特にA重油、これは水産関係に最も関係の深いものでございますが、とのA重油につきましては、現在の価格をもっと下げまして、そうして精製業者の方なりあるいは元売り業者の方でその負担分はかぶるように持っていきたい、こういうふうに考えております。またB、C重油につきましても、先ほど問題になりました関税のかかった分につきましては、そうして輸出産業、そうした方面に非常に影響のあるものにつきましては、そういう関税分は極力こういう精製業者なりあるいはその元売り業者、負担するように持っていって、そうして御指摘のありました精製業者等の利潤を極力少くしていくように持っていきたいと考えております。
  181. 海野三朗

    海野三朗君 そういうことに対して、ただいま行政的な措置はお考えになっていらっしゃるのですか。
  182. 川上為治

    政府委員川上為治君) A重油につきましては、昨年の四月からいろいろ行政的に指導を行なっております。具体的にとれはやっております。しかしその具体的にやっておりますことが、まだこれは非常に強力ではございませんので、今回の法律のパックをもちまして、もっと強力に私どもの方としては行なっていきたいというふうに考えております。B、C重油につきましても、これに準じた方法によってやっていきたいというふうに考えております。
  183. 海野三朗

    海野三朗君 ボイラー重油を使わないで石炭を使った場合に、何かこれを政府が幾らかでも援助するというようなととはお考えになっておりませんか。重油を使った方が確かに得なんである、得なんだけれども使うことを今後一々許可しなければならない、こういう場合でありますから、石炭を使えば、つまりその設備に対して、あるいは石炭を使うことに対して幾らかづつ補助でも与えていって、石炭を使うことを奨励していくというお考えはないのですか。
  184. 川上為治

    政府委員川上為治君) 今回の私どもの措置としましては、そういう助成金を出して石炭の方へ転換させるというような措置は講じなかったわけでありまして、それ以外のいろいろな方面から石炭の方へ追いやっていくというふうな措置を講じておるわけでございますが、助成費の問題につきましては、これは財政上の問題もありましたので、今回の措置ではそうした措置をとっておりません。
  185. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 だんだん時間もなくなって参りますので、重要な点について三、四点伺っておきたいと思いますが、まず第一番に、先ほどからずっと、出ておりましたこの合理化の実施によりまして、はみ出してくる失業者の問題でございます。これは政府計画で見ますると、北九州の一例をあげますれば、川崎線の新設工事、遠賀川の改修工事、あるいは水道工事で吸収を一部するようになっております。しかしこれらは、川崎線のごときは四年間の計画でございますし、その他もやはりこれは計画的な継続工事に相なってくると思うのでございます。その場合にもしこういう計画でありましても、予算が将来において計画通りに獲得できないということになりますると、この計画は画餅に帰するわけです。ですからこの際はっきりお聞きしておきたいことは、これは予算措置は間違いないのかどうか、もしまさか間違った場合にはどうするのかということです。その点を一つこれは大臣からお伺いしておきたいと思います。
  186. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) これは将来の予算のことでございますから、かくかく確定的のことを申し上げることは行き過ぎかと思いますが、私は責任をもってこれを遂行するようにいたすつもりであります。
  187. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 もし不幸にして予算がこの計画通りに獲得できないというときには、その他の方法ででもぜひこれを実施していただくものと、かように私はただいまの御弁明を確信いたします。ただしかし、これでも決して満足ではないのでありまして、みんなこれは日雇人夫なのです。一日千名雇い入れるとか、あるいは遠賀川の改修工事に当っては三千名にふやす予定とか、水道工事では一日干名雇い入れることになっておりますが、これはいずれも産業労働者ではありません。不安定な条件に置かれるのでありまして、その工事が終ったときには再び失業者群に投じられるわけであります。私は微温的な一時的な労働対策のほかに並行して、産業労働者群の中に吸収していくところの方法考えられなければならぬ、かように実は考えておるわけでありますが、その点はお考えになっておりますか。
  188. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) これは先ほど労働省の関係の方から申しましたように、職業補導をやっていくということが一つであります。それから同時に全体の日本の産業の雇用量を全体として増す方策をとる、こういうことの二つでいくほかないと考えております。
  189. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 根本的には確かに日本産業の雇用量を増大していくことがその対策になりましょうが、さしあたって職業補導を職業安定所でやられる、その場合に本年度の予算には特に炭鉱労働者がこの合理化によってはみ出してくることを予想して予算的な措置はできておりますかどうか。これは労働省の方にお伺いいたします。
  190. 江下孝

    政府委員(江下孝君) 職業補導についての御質問でございますが、職業補導の本年度予算を組みましたときには、まだこの石炭合理化法案が問題になっておりませんでしたので、特に石炭関係として幾らということを組んではございませんけれども、しかし相当全国的に失業者がふえるという予想のもとに、特に夜間補導、つまり働きながら補導を受けられるという点に重点を置きまして、今年は六千五百人の予算を一応組んでおります。そこで大体との予算をもちまして、ある程度今年は実施できるのじゃないかというふうに見込みを立てております。
  191. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 ただいまの御答弁にありましたように、今年の労働省の予算としては、もちろん合理化法が出ていないから、それを予想して組んでおられない。とすればそのほかでも六千五百人ぐらいの補導はその他の産業から出てくる失業者についても必要なわけです。これは全然予算に考えておらない、そうなれば公共職業安定所において職業補導をすると申しましても、実は予算がないということが言えるわけです。だから今度の国会の審議状況から言いましても、近い機会に臨時国会が開かれなければ収拾できない事態も起って来ておるようであります。そういう機会にはぜひ一つ補正予算を組まれることをお考えになって、職業補導なりその他の他産業に対する吸収合併の指導のできるような措置を講じてもらわなければ、やるといわれても信ずることができないから、この点は一つ大臣から御答弁願います。
  192. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 実は御もっともでありますが、本年度中にこの合理化法案によって起る失業者数は比較的少く、五千人足らずとみておりましたから、その程度のものならば、何かほかのたとえば予備費の支出なり何なりの支出によってまかなえるのではないか、主として三十一年度からの問題と、そのように考えておりました。もし臨特議会を開いて補正予算が組まれるかどうかはしれませんが、そういう場合には十分考慮をいたしたいと思います。
  193. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 労働問題については私はそれだけにしておきます。  次に合理化資金の問題でありますが、いただいておる資料によってこれを検討してみますると、四百億円の縦坑開発資金を含めまして、大体合理化資金が、その他の工事を合せて九百十五億円ほど要ることになっております。しかもとの期間内に炭鉱が返さねければならぬ借金がす旭に財政資金、一般銀行からの借入金等を合せまして六百六十五憾あります。これを合せますと、全部で千五百八十億なければこの合理化計画が予定通りに進捗しないということになるわけであります。そこでこの資金をどう調達するかという問題でありまするが、これは資料によってみますと、勘定に合わない点があります。すなわち開発銀行を通じて炭鉱が借りる財政資金三百七十億、一般銀行からの借入金四百五十億、その他炭鉱自身がひねり出せる自己資金六百七十五億、合計千四百九十五億というものが計算されておる。そうしますと、差し引き八十五億足りないのでありますが、この八十五億というのはどごからどういうふうに調達されるのですか。
  194. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 今お話の点は、自己資金の中で償却分のみを合計いたしますと、大体六百九十億程度になりますので、その話じゃないかと思うのでございますが、これは償却だけという計算をいたしますと、確かにその通りでございますが、市中借入金の中には一般市中銀行及び興長銀というような銀行からの直接借り入れだけでありまして、社債の借り増しその他を全然考えておりません。また増資その他も全然考えておりませんが、現在石炭鉱業が現在のような収支状況では困難でございますが、ある程度安定いたしますれば、増資の余力がございます。それからもしコストに対してある程度の利潤が見合うような状態になりますれば、内部留保というものも考えられますので、その程度のものは十分調達できるのではないか、実はこの財政資金の六十億ないし八十億という数字は、自己資金なり市中借り入れなりでとの程度調達できる、その足りない分は財政資金でみると、こういう考え方で、法律の規定にも資金の確保に努めるということは、大蔵当局もこの計画の達成についてはできるだけ財政資金の方でめんどうをみよう、こういうことになっておりますので、そういう考え方で出したのでありまして、われわれはノーマルな経営状態になりますれば、またこれは急速にてうしなければならぬのでございますが、そうなれば、この計画は大体いけるのじゃないかとかように考えております。
  195. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そこでこの数字を、資金需要、それから調達計画というものをみますと、結局資金需要の方ではこの借入金、借金ですね、借金の返済の方がもっと何とかなったら、一方の方はいじくらないでも何とかできるとこう思われる。その借金をそのままにしておくと、今度は調達の方で財政資金をもっといじくったらできるのではないか、こういうふうに両方に調整すべき因子があるように思うのです。そこで借金の方なんですが、昨年度でも開発銀行が石炭鉱業に貸し出した金は二十一億であるにかかわらず返済予定の金は五十億もある。しかし実際にはそれだけ払わなかったので三十七億円を返しておる、そうしますと、二十一億の借りで三十七億円返す、十六億円も余計に借りた分よりも払っておるわけです。だからこういう借入金の返済条件についてもっと考慮する余地は血いのか、それから財政投資についてもっと考える余地はないのか、この点を一点率直にこれはお話し願いたいと思います。
  196. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは大臣からも別の機会にお話がございましたが、今度のとの法案を国会に提出するにつきまして、大蔵大臣との間には財政資金の返済については、これはわれわれは大体計画通りに返すということで計画を組んでございますが、返済については特別に考慮しようと、こういうふうに大蔵大臣も了承しておられますし、開発銀行にもわれわれのほうから話をいたしまして、事務的にもこれは現実に資金需要返済能力というふうなものと見合って一つ返済の計画を立てよう、こういうことになっておりまして、実際問題としては相当返済の延期が可能であるというふうに考えております。まだ具体的に本年度が六十数億の予定がどのくらい減らし得るかという数字を申し上げるところまで至っておりませんのは残念でございますが、事務的にもまた政府の方としても了解はついておる。それから新規の借り増しにいたしましても、むしろ合理化方針がもっと進んで参りますならば、それにつきましてその資金をつけるには法律にも規定がございますが、政府としては十分努力をするつもりでございます。
  197. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 なぜこれをくどくど質問するかと申しますと、やはり問題はこの辺にあるのでありまして、法律でみますと、資金の融通確保については実に簡単に片づけてあるわけです。第六条に「政府は、石炭鉱業合理化実施計画に定める石炭鉱業の合理化のため実施すべき工事に必要な資金の確保に努める」とある。ところが今度は事業団に対する観点、すなわち炭鉱の出さなければならぬ納付金等については実に詳しくあげまして、強制徴収あるいは延滞金の細則までずっとあって、血かなか大へんだろうと思うのです。だからその点を御計画になっておる通りに出されなければならないし、またさっき申しましたこの八十五億円残っているものは炭鉱の増資その他によって自己捻出をしてもらいたいというこの期待ですね、こういうようなことも資金計画が十分に参らないと非常にむずかしいのじゃないか。そうすると、その辺からこの計画が実際の計画通りにゆかないことになって、二割の引き下げもゆかない、ただ首を切ったにすぎない、こういうような結果になっては、これは労働省の負担において、犠牲において遂行されるということになって、この合理化計画が全く水泡に帰してしまう、こういうことをおそれるがゆえに質問をしているわけでありますので、この資産計画について特に財政資金の問題と借入金の返済の条件等について、あるいは税制上の考慮についてこれは大臣から一つ御答弁を願っておきたいと思います。
  198. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 資金の問題につきましては、ただいま政府委員からもお答えいたしましたように、話し合いはいたしておりますが、まだ固まっておりませんので、ここで計画としてこれこれを出すというわけにゆかなかったのであります。ともかく石炭の合理化をやって石炭鉱業を確立するということが国民経済の上からもぜひともやらなければならない要請でありますから、とれに必要な資金の処置はいたしたいと私が思うばかりでなく、現に大蔵大臣からもその点については、石炭鉱業の確立のためには一つあらゆる努力をするという約束はいたしておりますから、今後十分努力をいたすつもりであります。
  199. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 それからもう一つ非常に心配になるのは、これはこの前から参考人の御意見にもございましたように、われわれが現地で意見を聞いたときに非常に切実に述べられておりましたが、この関係市町村ですね、この市町村の買い上げによる——廃坑による税制上の打撃、その他についてもまた生活保護費も要るでありましょうが、失対事業費も増してくるわけです。そういうように収入の方が減って出す方が増してゆくというとのことについて、十分に親切な政治が行われなければわれわれたくさんの請願書もいただいておりますが、そういうことがりっぱに並行して行われなければ、これには反対だというふうに地元はみな言っているわけです。この点についても一つ大臣からはつきり御答弁を願っておきたいと思います。
  200. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) これはこの合理化法を実施するために、直接に打撃が市町村にどれだけあるかということはわかりかねますが、ともかくこれを実行するしないにかかわらず、現在炭鉱地方は労務者が非常に多いということは、すなわち半面からいえば、地方財政等にも非常に打撃を与えておるということでありますから、これは十分地方財政全体の問題として考慮をいたしたいと考えております。
  201. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 それは通産大臣が一人お考えになっているのですか。自治庁並びに大蔵省とも打ち合せしてそういうことになっているのですか。
  202. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) ただいまのところはまだ地方財政のことについては打ち合せしておると、ここで申し上げるほどの打ち合せばいたしておりません。しかしながら閣議においてはそういう話も出まして、十分考慮をしなければならぬということは話が出ております。
  203. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 その点について、この合理化計画の遂行によって地方の関係市町村に与える影響というものはわからないというのは、ちょっと私解せないのですがね。これは三百三十坑というのがわかっておるとすれば、それからはじき出されてくる失業者数も大体勘定されますと、そうすればこれはわかっているはずなんですね。当然出されるまでに自治庁なり大蔵省と私は折衝があっておるものと、こういうふうに考えておるのですが、ほんとうにとれは事務当局の方はわからないのですか、関係市町村の受ける財政的打撃。
  204. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは確かに買い上げをいたします炭鉱につきましては、その炭鉱生産分、ただし三百万トンは能力でございますから、現在の実生産はむろんそれよりは若干低いと思いますが、その点については確かに減るのでございますが、それにしても具体的にどこの山というようなことはまだきまっておりません。そとに生産計画でも資料として出してございますように、五カ年後には四千九亘万トンに生産がふえるわけであります。そういたしますと、むしろ鉱産税その他は増加いたすことになるのでございます。  それから、実は買い上げの対象になりますような炭鉱では、実は鉱産税と固定資産税を納付すべきものの滞納になっている分が非常にたくさん現在はありまして、それが相当地方団体の負担になっているが、これを買い上げいたしますと、その部分が相当むしろ事業団側から支払われまして、かえって回収がよくなりまして、財政面が楽になるというふうな面もございますので、具体的に買い上げ炭鉱がきまりまして、差し引きどういう打撃になるかという、数字的にきまりましたならば、その点については自治庁等でも特別交付税その他で十分考えるということを申している次第であります。
  205. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 その点は了解いたします。そこで、この法律では、もう合理化されて得をするといっては語弊がありますが、中にはなかなか納付金も払えないところも出てくるのです。しかし、大体においては残ったものはよく触るということは事実である。しかし、その蔭において中小が被害を受け、労働者が首切られる、こういう得をするものと損をするものははつきりしている。だからその犠牲を最小限度というよりも、与えないで済むようにしなければならぬことは、これは私が言うまでもないことでございますから、一つ今までの御答弁でもその熱意は十分わかりますが、さらに重ねてその点を要望しておきます。  それからもう一つ考えらることは、結局この残存をして参ります炭鉱の中にも大手と中小がやはりあるわけであって、自分の仲間がたくさんあったときと、今度はだんだん小さい方が整理されて大きい方が比重が増してくるという形においては大手炭鉱の圧力といいますか、支配が従前よりも強大になってくるのではないか、条文中にありますが、独禁法の除外規定を設けて、従来御法度になっていたカルテルを生産、販売の両面にわたってできることになるのでありますから、その懸念が大奪いわけですが、それを防止する方法としてはどういうふうにお考えになっておりますか。これは大臣から一つ。残存する大手の圧力によると申しますか、支配の強化による残った中小の受ける被害というものがないか、それがあると予想されるのですね。それを食い止める保障と申しますか、どういう手を考えておられるか。こういうことです。
  206. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) これはいろいろ実際に当ってみませんと、はっきりしたととは申し上げられません。しかし、中小炭鉱の方もいわゆる弱小のものが気の毒でありますが整理をされて相当強力になります。従って私は中小炭鉱も立ち直ってくると同時に発言力が強くなるのではないか、かようにごく大ざっぱでありますが、考えております。特に大炭鉱のひどい圧迫を受ける、こういうことが少くも経済的には今までよりは軽くなる。しかしもし、非常にそういう大炭鉱の圧迫というようなととが起ったとするならば、それは今どうするということは申し上げかねますが、むろん十分考慮してやるつもりであります。
  207. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は需給調整の点について大臣にお尋ね申し上げますが、水主火従の電力において豊水、渇水の場合に一割の、上下では二百万トン以上の上下があるというととが言われておる。公益事業局では八百三万トン、または通産局では七百九十二万トン、こういうものを電力用炭に見込まれておりますが、これは衆議院でも御質問があっているようでございますから、簡単に私は御質問申し上げておるのでございますが、そういう実情にあって、最近三年間非常に雨量が多かったために電力会社は準備金が百五十億近くの金ができている、こういうことまで言われておりますが、ただ石炭山は炭をかかえてつぶれて行っている。こういう現実から見る場合に、需給調整がとれておらない。そういう場合に炭鉱に対する考え方について、衆議院の多賀谷値稔君が質問しているようでありますが、大臣の御答弁ではいかんともしがたい、こういうような御答弁になっておったと私は記憶いたしておりますが、そういうお考えでございますかどうか。
  208. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) その言葉は忘れましたが、それは天候の変化、つまり今年雨が多いか少いかということはこれはどうも人力をもってはいかんとむしがたい、こう申したわけでありまして、しかし御質問のつまり炭鉱会社と電力会社との関係は現在でも、豊水でありましてもで承るだけ石炭業になるべく打撃を与えないように、石炭を電力会社に買ってもらうというような措置をとっております。今後も天候のことはこれはわかりませんが、まあ毎年実施計画を立てることでありますから、非常な狂いもあるいは起らないかと思いますが、万々一番の狂いが起れば、そこの問題でありますが、そういう場合にはやはり今までと同じように電力会社に相当貯炭してもらって、そうしてなるべく製炭会社の負担を軽くする、こういう措置をとっていきたいと考えております。
  209. 阿具根登

    ○阿具根登君 弾力性のない石炭でございますから、雨が降るから少く出す、天候がいいから多く出すというととはできない。それだから結局そういう雨が降ったり豊水の場合には石炭が余ってくる、たとえば言われたように電力会社の協力は非常に得ておりますし、愛知通産大臣のときも特に電力会社から買い上げてもらったとともございます。しかしそれには限度があるものでございまして、事実は豊水のために電力会社は百五十億からの利潤を残している。今度は逆に石炭会社は数百万トンの石炭を残して倒れていっている。こういうときにただ電力会社、相手側に対して買うようにあっせんする、こういうことでなくて、政府自身が力を入れてやるようなことは考えておられないかどうか、そういうことなんです。
  210. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) ただいまのところでは政府自身が貯炭を持つというふうには考えておりません。
  211. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうしますと、私が心配しているのは、現に起っているから心配しているのでございます。それに対して、天変地変に対してはこれはいたし方ない、こういう御答弁でございますが、そうすれば今石炭が余っているけれども、また石炭の必要な場合、こういう場合にでも、あるいは政府が一応きめられた石炭を出す場合には出して、余ったときの責任は政府は持たない、そうして、しかしとれだけは出してもらいたいというのでは、炭鉱の方もそう簡単に応じられないし、非常に不安があると思うのでありますが、その不安を何かの形で取り除くというようなことはやはり考えられないのですか。
  212. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) これは今後にこの計画を立てますと、とにかく年々の実施計画を作ります従って万一本年豊水であって石炭が余るというような場合には、次の年次の計画を立てるときにやはりこれは考慮されますし、その間のつなぎということくらいのものはこれはできると思います。
  213. 阿具根登

    ○阿具根登君 大臣は豊水で石炭が余ったら次の年度はこれを考慮するとおっしゃると、またとういうような法案で次の年度は首をお切りになるのか、それとも炭を出さないようにするならばどうされるか、結局これはやっていけないということになりはしませんか。今のお話では、たとえば二百万トンなら二百万トンの石炭が余った、それは二百万トン貯炭がふえるけれども、それが四百万トンになった場合に、来年は二百万トン差し引いて出す、こういうことになるかと思うのでありますが、そういうことであったならば石炭業者が安心して出せないと、私が先ほど言ったことになるのですが、そういうことでございますか。
  214. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 電力用炭だけの問題に限定いたしまして、ちょっと事務的な点を御説明いたします。  お話のように天候次第でございまして、天候についてはどうにもならない、これはいたし方ないことでございますが、ただ天候によります増減分、これはお話のように二百万トン、あるいはそれ以上にもなり得るわけでありますが、それを全部需給関係で供給者側で負担するということは、いかにも理屈が通らない話だとわれわれも思っておりまして、その点公益事業局の方に最低購入限度というふうなものを一つ保証するような措置を考えてもらいたいということで、実はだいぶ話し合いをしたわけでありますが、今回の問題では、結局物理的に置場がないということに、これは昨年からの持ち超し貯炭がございまして、置場がないので、それでは足りない分は金融をいたしましょうということで、電力会社から必要ならば先買いと申しますか、先金と申しますか、そういうものを出しましょうということで話がついたのでございますが、そのかわりに水が出まして石炭の消費を節約いたします場合には、割当てられた油の消費も大体それに比例して減らしてもらうということにしまして、これは大体石炭の消費の減る比率くらいで油の消費も減っております。それから逆に非常な渇水になりまして、石炭の供給が間に合わないような場合には、これはまた渇水の程度に応じて油の消費をふやしていくというふうな形で、天候の全体の幅をある程度に圧縮する、その圧縮した幅程度のものは、これはどうしてもやはり供給側が負わなければならないことになりますので、その点はどうしても完全ではございませんが、しかしこれは現在のように生産能力が、人員を基準にして考えましても四千六、七百万トン、切羽の面からいえば五千万トン近い生産力があるというようなときに、四千万しか出ていない場合は非常に問題でありますが、生産能力と実際の供給量とある程度のバランスがとれて参りました場合には、百万トン程度そこそこのものならば、そう問題を起さないでいけるのじゃないか、こういうふうに考えてるわけであります。
  215. 阿具根登

    ○阿具根登君 局長がお答え下さいましたので、次に進みたいと思うのですが、先ほどの大臣の御説明では非常に懸念するところもございますが、こればかりで時間をとっていてもいけませんから、今度は大臣じゃなくて局長にお答え願いたいのですが、先ほど失業問題についてほかの方々が質問されましたから、私は今度は残った人のことについて質問いたします。こまかくなりますので局長でけっこうです。  通産省の計画では、コストの二割ないし三割の引下げを目途としてこれをやられておる、そうして賃金は今年の三月で据え置きだ、資材は何%か忘れましたが、わからなかったのですが、相当減るように計画されておるが、それでやっていけるとお考えになっておられるかどうか。
  216. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 実は将来の賃金の水準でありますとか、価格でありますとか、そういうものについて仮定と申しますか、あるいはわれわれだけである数字を作るということになりますと、その方がむしろ皆さんの御承認を得られにくい。どういう根拠で作ったと言われますと、かえってあまり自信がないのでございまして、むしろその点は現在の数字をそのままベースにして延長する以外に仕方がないので、この数字をとったのでありまして、この点は労働大臣からもはっきりほかの機会にお答えがございましたが、これは決して賃金据え置きを政府計画として織り込んでおるのではございませんで、ただその計画を立てますときに、今のように将来ごれだけ賃金が上るはずだというような数字はちょっとわれわれに立てようがございませんので、まずすべての物価も賃金も全部現在据え置き、こういう仮定で計算をした、こういうことで計算上の便宜だというふうに御了解願いたいのでございます。
  217. 阿具根登

    ○阿具根登君 賃金も資材も据え置きでこれだけに下るのだ。ところがお聞きのように、参考人が見えましたときに、私が参考人にお尋ねしましたところが、政府考えておる通りに賃金は一銭も上げないで、今のままで資材を政府の言う通りに減らすならば、二割くらいコストは下るかむわかりません、こういうことを言っているわけでございます。そうすれば、これは通産大臣にお尋ねいたしますが、炭鉱労働者は一般産業の労働者よりも高い賃金をとっておるとお思いになるか、安い賃金をとっておるとお思いになるか。また先ほど重油ボイラーのときもちょっと質問いたしましたが、なんぼ暑いといっても、われわれはこういうととろで仕事をしておるのです。ところが坑内の人は毎月数十人の人が死傷しておるのです。そういう人たちの賃金をいかに計算の基礎とはいいながら、据え置くということをいっておりながら、六カ年計画では一般産業の賃金は、国民所得は一一四・九%になっておるのでございますが、一般産業が上っても炭鉱労働者は、今でさえも私は低いと思っているのが、そのままで計算された、その大臣のお考え方をお伺いいたします。
  218. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 私は現在の炭鉱労働者の賃金が特に高いと思っておりません。しかしながら今局長が言いましたように、計算の都合上、一応こうしたのでありますが、しかし一般の物価が上り、あるいは一般の賃金が上る場合に、炭鉱だけを下げておくという意味ではないのであります。その場合にはおそらく石炭の価格も、一般の物価その他に比例して上るものと思います。ですからこの一般の動きをここに否定しておる意味ではございませんと私は了解しております。
  219. 阿具根登

    ○阿具根登君 局長どうお思いですか。一般国民所得は一一四・九%上るというあなた方は計算をされておるわけなんです。そうしてとの合理化法案によれば、炭鉱労働者の賃金は据え置きになっておるじゃありませんか。
  220. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは実はこの計画を立てますときには、六カ年計画の所得の増加というふうなものを基準にするということを考えつきませんで、物価も賃金も、すべてほかの原単位その他の要素も、われわれの計算で送る分だけは入れましたけれども、全部現状ベースで考えた次第でございます。また労働省の方に、一体国民所得が一一四%ですか、これだけ増加いたしました場合に、賃金水準というふうなものがどういうふうになっているかということを伺いましたが、まだそういう賃金水準にそれを直した場合に一体どういうふうになるのだというような点も、別にあまりはっきりしたお答えもなかったようでございまして、もし何かそういうことではっきりした基準がございますれば、それをベースにして計算してもちっとも差しつかえないわけでございます。ただごれはあくまでそういう計算の某礎だということでございまして、労働大臣からもお答えがありましたように、実際の労賃というものは、労働能率がもし上昇した場合には、それは経営者と申しますか、出資者と申しますか、そういった経営者側と労働者側と消費者側と、三つの間にそのときの情勢——一般産業のあり方、そういった情勢に応じて適当に分配さるべきであるということをはっきり言われておりますので、これによって何も政府意図として賃金をくぎづけにするというようなことを申しているのでも何でもないわけでございます。
  221. 阿具根登

    ○阿具根登君 私が心配いたしますのは、こういうととろに来られた会社の代表が、政府はたとえそういう気持で書かれておったのであったにしても、はっきりと賃金は今のままでなからねば、政府の思っておるようなコストの引き下げにはなりません、こういうことを言っておる。そうすればことしの十月は直ちに賃金交渉が始まる。政府のこの数字によって私は大きな問題を引き起すような結果も招来するのではないかと心配するのでございます。さらにこれを広げていって、石炭のコストに占める労務費の割合についてお尋ねするのですが、アメリカでは六五・三%、イギリスでは六六・七%、ルールでは五三・三%だと私は聞いております。日本では五〇%に満たないのでございます。こういう点を考慮する場合に、どうして人件費が全然考慮されずに、ただいまの据え置くというようなことが考えられるか。  なおまたもう一つお尋ねしたいのは、外国日本の数倍、十倍からの石炭を出しておるが、その中の労務費は、ただいま申し上げた比率になっておる。日本はわずか四千二百万トンそこそこで五〇%ぐらいの労務費になっておるが、これはどういう関係でこういうふうになるか、局長の御見解を承わりたいと思います。
  222. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 実はアメリカのコストが、人件費が六十何%だというお話でございますが、私実はそういう資料を持っておりませんので、一体どういう計算になっておりますのか、実は御返事のしようもないわけでございますが、日本現状、従来の戦前の例あるいは戦後の事情というふうなものを考えますと、これは人件費というものが五〇%程度というものは、従来の例あるいはそういったものを考えますれば、日本の場合にはどうも少し高いのじゃないか、もう少し低いところがノーマルな状態ではなかろうかと考えます。どうしてそうなったかと申しますと、結局現在の炭鉱操業度が非常に低いという点がかなり大きな原因をなしておるので、操業度が上っていきますと人件費のウェートも——これは人件費がほとんど大部分が固定給でございますから、相当負担が減ってくるのじゃなかろうかというふうに考えられるわけであります。
  223. 阿具根登

    ○阿具根登君 私がお尋ねしたのは、外国は六〇%以上の労務費であり、日本は五〇%以下であるということは、現在の石炭政策の欠陥にあるのではないか、中間で非常に利潤を取っておる、こういうようなのが外国から見て非常に多いのではないか、こういう意味でお尋ねしたわけなんです。そういうことはございませんか。
  224. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは大口需要者に行っております——大手炭鉱は大口需要者に売ります。いわゆる直売と申しておりますが、こういうような場合の経費を比べてみますと、これは運賃諸掛りを差し引いたもので考えますと、いわゆる経費というものは、比較的ほかの物資等に比べまして少いように思います。決してそれで値段が高いというふうには考えられないのでありますが、ただ中小炭鉱その他の場合におきましては、これはまあ山の実際の手放した価格とそれから現実にそれが最終消費地で売られる価格との間には相当大誉な差額がある、特に小口の家庭用その他の需要になりますと、現在の販売組織がほとんど不完全でありますので、これはかなり高い中間経費と申しますか、マージンかいずれかわかりませんが、かなり高いものがあって、これは確かにもっとそういうものが合理化されれば安くなる、しかも大手炭鉱から大口需要に納めておりまするものについて申し上げますれば、今までわれわれの手元でわかっております経費の分析からしましても、そういった販売差額が起るとは考えておらないのであります。
  225. 阿具根登

    ○阿具根登君 どうもはっきりしませんが、私の質問もまずいかもしれませんし——次に進みますが、次に、標準価格の問題ではどういうような基準を当てはめて標準価格を作りたいと思っておられるか。
  226. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは法文にも書いてございますように、石炭生産費を基準といたす考えでございます。で、生産費はどういうものをとるかということでございますが、大体のやり方は、現在硫安につきまして価格をきめておりますが、硫安の価格決定のやり方と似たようなやり方で一つ生産費というものを計算したい、それに適正利潤を加えたものがそれがまあまず価格の基礎になる、それに法律にありますように輸入燃料、すなわち輸入炭なり何なりのそういった要素を加えて考える、と申しますのは、いわば需要者の立場というものをもあわせて考えまして、先ほど申しました適正コストに利潤をプラスしたものを、そういった需要者の立場からもう一ペン考え直してみて、それが一つの基準になるわけであります。それを特定の価格といたします場合には、それをいわゆる開くと申しますか、特定の規格のものについてどのくらいになるかということで示さなければなりませんので、最もまあポピュラーと申しますか、取引の多い上級炭、中級炭みたいなものをとりまして価格をきめるというふうにいたしたいと、そういうふうに考えております。それでこれはあくまで標準価格というものが実際の取引の標準と申しますか、そういうものになればよろしい、こういう考え方でありますので、ごくわずか、まあ二、三ないし四、五くらいのものを作ればいい、そういう代表的な規格のものについて、まあ引き渡し条件も比較的一般的な引き渡し条件のもとにおいて、それがこうだというものをまあ数個作るということにしたい、そのように考えております。
  227. 阿具根登

    ○阿具根登君 カロリーとはどういうふうに考えられるのですか。
  228. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 別にカロリー別に、たとえば標準を六千カロリーときめました場合に、六千五百の場合にどうなるのか、あるいは逆に五千カロリーの場合にはどうなると、そういうふうな点はあまりこまかいことをきめないで、市場の取引の実勢と申しますか、それが大体従来からのまあ慣習的と申しますか、常識的と申しますか、そういうところにおさまりますれば別に標準価格としてはそういう取りきめをしないということで、市場の取引の実際にまかしていきたいと、このように考えております。
  229. 阿具根登

    ○阿具根登君 次にこの法案によりますと、縦坑の該当炭鉱六十八本の縦坑を掘る炭鉱は十九・一トンの能率、それから縦坑非該当の炭鉱は十六・九トンの能率、こういうことになっておりますが、これを出された基礎は何でございますか。
  230. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 縦坑対象炭鉱につきましては、この縦坑計画についてかなりいろいろ資料を出してもらいましたので、それに基いて大体このくらいに能率が上るのじゃないかというふうに……、その他のものにつきましては大体過去の実勢なり何なりから、今後この程度の能率の増進が可能である、こういうふうに考えて計算したわけであります。
  231. 阿具根登

    ○阿具根登君 縦坑のやつは、私も技術者ではないし、資料も持ちませんのであまり質問はで誉ませんけれども、縦坑を使わない中小炭鉱がどうして十六・九トン、十七トンにもなるか、私はただいまの答弁では全く納得ができません。
  232. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 現在中小炭鉱の平均の能率が十一トン程度でございます。しかしわれわれこの買い上げ対象炭鉱につきましては、平均九トンという計算になっております。これは中小炭鉱のうちでも、特別に能率の悪い山を買うと、こういう考え方でございますので、従ってそれを除きました中小炭鉱の、平均能力がどのくらいになるかと申しますと、現在でもまあ、十三トンぐらいにはなるような計算になるわけでございます。従って、三十四年度におきまして、そういった非能率の山が全部整備されまして、同時に残存炭鉱が、先ほど申しましたように、現在切羽能力としては四千九百万ないし五千万トンぐらいある。それから人員その他の面で一番隘路の面をとりましても、四千五、六百万トンぐらいは確実にあると考えております。それに対して、生産が現在四千二百万トンぐらいの計算になりますが、そういたしますと、九〇%の稼働率になるわけでありますが、その操業度が上ることによる能率の上昇というものと、それから中小炭鉱につきましても機械化その他の工事をいたしますので、これは、まあわれわれの計画通りに、能率の一番悪い炭鉱がみな買い上げを希望して、計画通り整備されまするならば、約十七トンぐらいの能率には十分なり得るんじゃないか、こういうふうに考えたわけでございます。
  233. 阿具根登

    ○阿具根登君 全く納得のできない私はただいまの説明だと思うのです。四千六百万トンから出せる能力を持っておりながら、縦坑を掘った十九・一トンぐらいの能力で差し引いていけば、そうすれば自然これくらい出るだろうという御答弁でしかなかったと思うのです、ただいまの御答弁では。そういたしますと、現在全炭鉱でも四千六百万トンの能力を持っておるその中でも三百万トンは買い上げて取られてしまうのですね。そうすれば、残った炭鉱は、今までの形とするならば、四千三百万トンか四千四百万トンしか出ない。それにもってきてこういうことをされる。特に局長は御存じのはずでございますが、中小炭鉱は縦坑を掘れるわけではないし、労働者はぎりぎり一ぱいの時間を働いておるんです。それが直ちに四トンも五トンも能率が上ってくるということは、どうしても考えられないじゃありませんか。どういうことをお考えになっておりますか。
  234. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 今申しましたように、中小炭鉱は、現在平均いたしますと十二トン足らず、十一トンぐらいでございます。しかしそのうちで、買い上げ対象の炭鉱を除いて考えまして、十三トンぐらいに現在なっておるわけでございます。それが、もちろん、先ほど申し上げましたように、全体平均で九〇%程度の、あるいはそれ以下——切羽能力からいえばそれ以下になるのでありますが、それくらいになっておるわけでありまして、操業度の上界だけでもそれだけ上ります場合には、ほとんど人員増加しないで能率が上ってくるわけであります。それに機械化その他の工事を五カ年かかってやりますので、現在十三トンぐらいの能率のあるものが、十六トンぐらいになるということは、そう困難ではないように—二割程度のものですから、そう困難ではないとわれわれは考えております。
  235. 阿具根登

    ○阿具根登君 実際炭を掘っておられない局長が非常にまあ安心し切ったような発言をされておりますが、こういうことを計算される場合に、実際炭を掘っている者、またそういう人を指導しておる者、いわゆる業者代表あるいは組合代表等にこういう意見を聞かれたかどうか、話し合いされたかどうかお尋ねいたします。
  236. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは、別に代表の方というふうな者に公式に御相談するというようなことは、それは何もしておりません。ただ協会その他の団体のこういった技術者の人たちとは十分いろいろ討議は何べんも、これはこの計画を立てますよりももっと前から、例の縦坑開発計画を立てますときから、しばしばこういう人たちとの話し合いは何べんもやっております。しかしわれわれのこの計画が、全部それがみんなの意見が完全に一致してこうなったのだというようなことを申し上げるわけではありませんが、十分話を聞き、意見も聞きまして、しかし—通産省としてこれは立てたのでございます。
  237. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は中小炭鉱を十三トンとおっしゃいましたが、十二・五が十三トンになってもこれはかまいませんけれども、そういうことで御説明を聞いたこともございますが、なぜこれをこんなにしつこくお尋ねするかと申しますと、政府考えている二割のコストを下げるために、重油ボイラー法案も出しておられ、無理もしておられる、これが炭鉱の立て直りの第一の策だということをお考えになるのならば、この二割下げるということが第一の国民に対する魅力でなければならぬと私は思うんです。ところが当初尋ねましたようにそのためには賃金も上げない——でもぜひ石炭の出るようにし向けられたとするならば、これは国民を非常に欺瞞することになる。私はこういう案を作られても、中小炭鉱が能力十六・九トン十七トンも出るとは私はどうしても考えられないのです。私は中小炭鉱技術者ではありませんけれども、実際坑内の——相当北海道も九州も当って探ってみているんです。そこでたとえ機械化ということがあっても、そこにどういう機械を据えたならば、これがどのくらい上るかというようなことも尋ねたこともございます。しかし今のままでは私は十七トンに上るということは考えられないのでございます。どういうお考えですか。
  238. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 御承知のように炭鉱は六百六十もございますので、一つ一つの山について正確にこれは何年たった場合にこうなるという計算をしたのではございません。また私は答弁をいたしますことは、もちろん技術軒でも何んでもございませんので、阿具根委員のように実際にまた生産に従事した経験も持っておりませんので、私自身としては、全くまあ阿具根委員に対して申し上げる資格はないのでございますが、通産省石炭局としては、十分この程度のものは実現可能であるということを確信をして出しているものでございます。なお、阿具根委員はよく石炭のことにつきましては御存じでございますから、阿具根委員日本の全炭鉱について大体こうなるというふうな御意見、御資料ございましたならば、いただきまして、なお十分検討をいたしたいとは思いますが、われわれとしては、この程度の能率の向上は十分可能であるというふうに確信して出している次第でございます。
  239. 阿具根登

    ○阿具根登君 次に大臣にお伺いいたしますが、一言私からお伺いして、あとは専門家の小松さんの方が質問があると私は思いますが、租鉱権の問題でお伺いしたいと思います。深くお尋ねしなくても、租鉱権と私が申したので、何を考えているかということはおわかり下さると思いますが、鉱業法によりますと、五万坪の鉱区でなからねば買い上げないというようなこと、買い上げじゃない、五万坪というととが言われておったと思うんです。またそのほかに租鉱権者は買い上げてもらいたい、ところが鉱業権者は売りたくない、こういう問題も起ってくるだろうと思います。九州で、ほとんど租鉱権者でございますが、一万坪かそこそこだと思いますが、これらの問題につきましてはどういうようにお考えになっているか。衆議院でも相当突っ込んだ質問があっていると思いますので、私は時間をとらないために特に簡単に質問しておりますが、答弁願います。
  240. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) これはお話通り衆議院でずいぶんいろいろな論議をいたしました。この法律と申しますか、制度上から申しますと、租鉱権を買い上げの対象にするわけにはどうも参りません。しかしながら買い上げの場合におきましては、祖鉱権者の利益も十分に考慮して処置をするという、たしか衆議院の付帯決議もございますが、そのようにできるだけ租鉱権者の利益も損しないように、それらの人たちの利益も十分考慮して善処いたしたい、かように考えております。
  241. 小松正雄

    ○小松正雄君 租鉱権についてでありますが、今同僚より指摘されましたように、なぜこの租鉱権が鉱業権者と同じような対象で非能率であるという名目からいたしまして——この法案の趣審にのっとって考えましても、租鉱権であろうと鉱業権であろうと、石炭を出しておったことは間違いないのだ。それからまた石炭を出すことについて、小規模のものも大規模のものもある。たとえば五万坪以上の租鉱権者もあります。あるいは三千坪くらいの租鉱権者もある。そういう大小の差はあっても、石炭を出すことについては何も変ることはない。こういうことを前提として申し上げますと、ただいま大臣の御答弁では、租鉱権はその対象にならないということに考えておると、しかしながら衆議院の方で付帯決議もつけられたので、とれに対してはその付帯決議を尊重して善処しようというくらいな考え方のように私は承わりましたが、実際問題として、そういうような考え方でおられるのかどうか、大臣にまず伺っておきたい。
  242. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) こまかい理由は政府委員をしてお答えいたさせますが、租鉱権者の設備についてはむろん同じように買い上げるのでありますが、いわゆる祖鉱権そのものについては、法律上少し鉱業権と性質が違い、どうも鉱業権と同じような取扱いができない、かような次第であります。
  243. 小松正雄

    ○小松正雄君 今大臣の御答弁では、租鉱権者の設備に対しては買収の対象になる、こういうように言われたと思いますが、はっきりそういうふうに私考えていいのでありましょうか。
  244. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) その通りでございます。
  245. 小松正雄

    ○小松正雄君 そうなりますと、私はここでいろいろ租鉱権と鉱業権者との間について、対等な義務を果してきたこれらのものに対して、租鉱権者は鉱業権者と違った立場にあるようにこの法文でもなされておるし、その問いろいろ聞いたところによりますると、租鉱権のものは鉱業権者と同一な立場に立って、同じところで租鉱権と鉱業権者とはともに買い取ってくれということになれば、租鉱権者の権利である租鉱権のものと、それからそれに付帯する設備も買い取る、こういうことになるということであったのと、同時にまた、さっきも同僚より指摘されましたように、鉱業権者はまだ継続してやりたい。ところがその鉱業権者の上にのっかっておる上の租鉱権者として設定して掘っておるその租鉱権者はぜひ買ってもらいたい、こういことになった場合には、鉱業法の建前によって、五万坪を所有する租鉱権者として五万坪有することにならなかった以上にはその対象にはらないと、こういうことに聞いておりますので心配しておりましたが、ただいま確認をしてもらいましたが、実際に確認されたとはいえ、私は心配でなりませんが、私の今言っていることが違うかどうか、局長一つ答弁して下さい。
  246. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 大臣は租鉱権という権利は対象にならないが、租鉱権者の施設は対象になるということをお答えいたしたわけであります。ただ対象にする場合に、この法律では条件がございまして、租鉱権の設定されておる鉱区とともにでなければ買わないと、こういうことになっておる次第でございます。その際に鉱区の買収につきましては鉱区は鉱業法の規定によりまして、十五ヘクタール以下の分割はで巷ないととになっておりますから、買収の際にも十五ヘクタール以下の形に分割して譲渡するということはできないということになるわけでございます。ただし、これは租鉱権者の施設につきましては、一つの租鉱権者の鉱区が十五ヘクタールに満たなくてもそれはちっとも関係がないわけでございまして、要するに租鉱権者の租鉱区が入っておる、それが全部含まれておる鉱区が五万坪以上、十五ヘクタール以上であればよろしい、たとえば五人なら五人の租鉱権者がございまして、これが全部まあ買い上げてもらいたいと申したといたしまして、それがたとえば三千坪ずつでありましたならば一万五千坪になるわけでありまして、それだけでは足りませんが、ほおそのほかに鉱業権者がそれに付属してあと四万坪分を合せて譲渡してもよろしいと、こういうことになれば、今の一人三千坪ずつの租鉱権者の施設も買収の対象になる、こういうふうな形になるわけであります。
  247. 小松正雄

    ○小松正雄君 それで重ねて聞いたわけであって、大臣は租鉱権者の租鉱権というものは、五万坪の対象になる鉱業権者とともにでなけらねばならない。しかしてそれとともに設定しておる設備は買収の対象になると、こう言われた。それならけっこうだと思う。けっこうだと思うけれでも、御承知のようにそれは対象にはなるが、さて租鉱権が、やはり施設を売らんとする租鉱権者は五万坪以上の鉱業権者にならなければ独自の立場で個人的には租鉱権というものの資設の買い取りの対象にはならない、かようなことでしょう。
  248. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 私の説明がちょっとごたごたしたかと思いますが、そういうことではございませんので、鉱業権者が租鉱権の設定されております租鉱区を含めて五万坪以上の部分を事業団に譲渡するということになりますれば、その上に乗っております租鉱権者は全部施設は買うことができる。その租鉱区が三千坪でも二千坪でもそれは関係ないわけであります。ただおよそ鉱業権というものを五万坪以下に、十五ヘクタール以下に分割するということができませんので、その関係ではそうなる、こういうことでございます。
  249. 小松正雄

    ○小松正雄君 もう一ぺん重ねて確認するためにお伺いしますが、私の言っているのもあなたのいっているのも同じことだと思います。ただどういうふうに感じられるかわかりませんが、あなたの言っておることから考えますと、租鉱権者が売ろうとする、買ってもらいたいという、ところがその租鉱権はむろん鉱業権者の建前にならないとしても、その上に乗っかっておるその仕事をやっておる諸般の設備だけは買収の対象になるかと、こう聞いたのに対して、なるとおっしゃったが、さて掘り下げてみたれば、やっぱりこの租鉱権者が買ってもらおうとするときに、租鉱権が一万坪であろうと三万坪であろうと五万坪にして鉱業権者から買収をして、そうして自分が鉱業権者になったときでないとその設備もともには対象にはならない、こういうふうにあなたの言っておることについては理解したのですが、そう理解していいですか。
  250. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは租鉱権者が買収して鉱業権者にならなくても、鉱業権者からその鉱区を売るという意思がありまして、その鉱区内の租鉱権者が全部設備の譲渡に同意しますれば、これは差しつかえないわけであります。
  251. 小松正雄

    ○小松正雄君 そうすると、鉱業権者が同意しない場合ですね、たとえば鉱業権者は自分は仕事するから売れないと、租鉱権者は買ってもらいたいという場合に、租鉱権者が買ってもらいたいという場合に鉱業権者がそれに同意をすれば、租鉱権者が買い取らぬでも、同意さえすれば租鉱権者は買収の対象になるということであるが、もし同意をしなかった場合はどうなるかということです。
  252. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) お話のように、これはそのままの形では実ば法律上は買収ができないことになるわけでありまして、その点について衆議院でも特にまあ付帯決議がつけられたような点もございます。政府の方といたしましては、その場合、鉱業権者に鉱区の譲渡をするように十分あっせんの労をとろうということを申し上げたわけでありますが、実際問題といたしまして、お話のように租鉱権は相当狭い面積もございます。それは租鉱権のあり方が大体残炭掘りというふうな形で、広い鉱区の中で大部分を取り尽して、一部分残しておるのを取るというのが中小の租鉱権の大半の形であります。従いましてその租鉱区自身として三千坪あるいは五千坪のものでございましても、そのまわりにはすでに鉱区としての価値のない鉱区が相当残っておるわけでございまして、そういうものをひっくるめて事業団に譲渡させるというととは、別にそう問題ではないのじゃなかろうか、実際問題としては、そういうふうな分轄のやり方によりまして十分お話のような点の大半が解決できるようになるのじゃなかろうか、それについてまた通産省の方として十分あっせんの労をとるということを申し上げたわけであります。
  253. 小松正雄

    ○小松正雄君 大臣にお伺いいたしますが、まずこの石炭鉱業合理化法案を出して、需給調節あるいは非能率のものをやめさせるかわりに、高能率のものにその石炭を掘らせるというようなことであるけれども——ということになりますと、これをここまでくるということについて私は一言大臣の信念をただしたいと思うのでありますが、これは大臣はその当時の自由党のやったことだからおれは知らないと言われればそれまでだが、いやしくもこの法をもってそういった現政府の施策あるいはまた大臣の管轄するところの通産省が石炭需要に対して施行しようという意味においてこの法案が出されたのでありますからして、必ずしも前の自由党内閣の当時やったしりぬぐいだとは私は言えないと思うのであります。そういう意味においてこの石炭をまず終戦後に出させるということについては、私が申すまでも除く大臣承知通りでありまして、何はさしおいても、日本の復興は石炭の面にある、石炭がどんどん出てこなければ平和産業の発達もないので、こういう意味において政府が押しつけて資本を出す——資本を出すということは融通資金、運転資金、機械設備資金とかこういった金を無理やりに政府は押しつけて貸した、そうして石炭が昭和二十七、八年ごろには六千万、五千三百万トンくらい出すようにせなければならない、こういう意味において押しつけられた。私どもも押しつけられた一人であった。私どもは五百何十万円かの金を押しつけられましたけれども、国の金だから払えないときには困る、こういう意味から労働組合のものとも相談をして、そうしてとの金を借りても払わなければならない、しかし能率が上って払えればいいが、払えないことになると困る。お前たちはこの炭鉱を建設しておるのだから、ほかに移りたいという人もあるけれども、おれの趣旨はそうだからお前たち一年だけしんぼうしてくれということで、五百何十万の金をもらわなかった。およそこまい炭鉱であろうと大きい炭鉱であろうと、私以外に伝いと思う。あの当時借りておつたらただ取りというやつが多い。私はその点においてはそういうことを申し上げるのは、おかしいと思いますが、そういう意味合いからして鉱夫とともに苦しんで石炭を出すことだけは努力してきたわけであります。ところが努力したと同時に、この租鉱権者もやはり努力をしておるのです。租鉱権者は今度はこの反対にそういう恩典がなかった、鉱業権者であればこそそういう恩典はあったが、租鉱権者はそういう恩典はない。しかし石炭を出すことについては同じ炭鉱をやっている責任上、たとえば鉱業権者に三千トンの割当をする。その三千トンの中から租鉱権者が五百トンの割当をもっておる。割当ということは強制的に出せということでもって五百トンば出さなければならない。五百トン出すためにはあらゆる方面から資金の調達等をやって五百トンを出すべく努力した。そうしてその五百トンを出さない限りにおいては、アメリカからの特賞というか、そういうものがもらえなかった。そこでそういうのをもらうためにもその鉱員の奨励の一つとして、どうしても自分の資金を投資しても、その五百トンの割当を出さなければならぬことになる。鉱業権者は今申しますように設備資金とか運転資金とかを貸してくれるのだが、租鉱権者にそういう恩典がなかった。ないにもかかりませず、そういう意味において国の施策に沿うてきた租鉱権者がとの買い上げの対象にならないということをどうしてなされようとするのが、とう申しますことは、との租鉱権者の中にもやはり労働者というものがおる。この労務はこの対象にならない場合は、隣りの——隣りというとおかしいが、たとえば私の鉱区と山川先生の鉱区の中に租鉱権が二つあるといたしまして、それは同じところに並んでいる、隣り鉱区ですから。そうすると私の方の租鉱権は私が同意して売るごとにした。それで政府の方針によって、退職金をもらえば、また政府からも特別にもらえるということになる。ところが山川先生のところにある租鉱権というものは、山川先生としてはどうしても切り離して売るわけにもいかぬし、同意しがたい、こういうことになると、同じ今言ったような国の施策に沿うてきた租鉱権者に対してもそういうことがあり得ないと思うと同時に、ここに働いておる同じ従業員であっても、そんなあわれな目にあわせなければならないということを見るときに、これはどうしても、たとえば付帯決議にうたってあるから、必ずしもそういうふうなことにならないというようななまぬるいととの考え方でなくて、うたってあろうとなかろうと大臣は私の今言うことを主としてお考えになれば、この問題がスムースに片づく思いますが、これはそういうふうなしこりのために——山川先生は同意してくれなかったために、その炭鉱の租鉱権というものが買い上げの対象にならなかったら、これに従事している従業員は黙ってはいやしない。そういう問題が起ってくるということは、先般私は福岡県の関係から種々の関係で現地参加として公聴会に臨んだのですが、この問題については非常に真剣にやってきておる。そういう話は、通産省の方からも行かれましたから、おわかりのことと思いますが、大臣はそういう見地に立って、この合理化法の施行に当って何よりも一番むずかしいというか、一番私どもの危惧することは、そういう点にあると思いますが、一つ真剣な責任あるとれに対する大臣の決意をことではっきり明確に私に答弁をしておいてもらいたいと思います。
  254. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 前内閣のやったことに責任を持たないとは申しませんのみならず、私も実は今お話の金を押しつけて掘らしたという責任を幾らか分担をしなければならぬときがありました。二十一年から二十二年の間に石炭の問題に主としてその衝に当りましたのは私であります。でありますから十分の責任は感じておる。ただし今の租鉱権の問題は法律上の今の問題がございますので、これはここで法律をはずしてやるというようなことを確言申し上げることは、ちょっと私としては十分なお研究をし、いろいろな法律上の疑義を解きませんと、何とも申し上げかねますが、しかしながら御趣意はごもっともであります。大体の処理は先ほど石炭局長の申し上げたことでできると思いますが、しかしなお十分研究いたしましてできるだけ御趣意に沿うように処理をいたしたいと思います。
  255. 白川一雄

    ○白川一雄君 重要なる法案の質疑がまだたくさんあるだろうと思いますけれども、本会議の関係等もありますので、この辺で質疑を打ち切る動議を提出いたします。
  256. 阿具根登

    ○阿具根登君 ちょっと質問いたしますが、三十四条代位弁済のことについてお尋ねいたしますが、三十三条では「鉱山労働者であって、その買収の日後二月以内に解雇されたものに対し、」というやつもあるし、「買収の日前三月以上」というようなやつもありますが、代位弁済の場合に、賃金遅配でもらっておらない、その人が買い上げ前にやめたな場合はどうなるのでありますか、やめた場合も当然これは代位弁済してくれると思うのですが、どうですか、その点局長に伺います。
  257. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) これは「その他の業務に従事していた鉱山労働者」とこうなっておりまして、お話しのように限定がございません。従って法律上は買収のときまでにすでに退職しておるものには未払い賃金につきましても三十四条を適用していかんという理由はございません。またこの規定の本来の趣旨は三十三条と同じように買収によって離職する人の保護の規定でございますけれども、しかしこれは一般にそのときまで一緒に働いておりましたこういう人の分を代位弁済から特別に除外する必要も、必要と言ってはむしろおかしいのでありますがそういうふうにがんばらなければならん理由も実はございませんので、できるだけそういうふうにやりたいと思っております。ただ、これは施行の関係がございますから、施行のそういうような関係では問題のないものにつきましては、できるだけそういうようで確保されるようにいたしたいと思います。
  258. 白川一雄

    ○白川一雄君 委員長今の動議を……。
  259. 小松正雄

    ○小松正雄君 二、三点お伺いしたいと思いますが、この法案に基いて買収しようということの部分でありますが、買収の対象になろうとするのには、大手も中小もひっくるめて非能率であるものを買収の対象になさっておるというのか、その点が一つと、それからもう一つはこの買収の対象になって、租鉱権であろうと鉱業権であろうと廃鉱して、それに付随しておる従業員の者に対して政府が特別に退職金を渡そうということがこの法文にあるわけでありますが、それは本年だけで打ち切ろうとしておるのかどうかというととが二点と、それから本年だけで打ち切りであるとするならば私はいろいろ質問をしたい、まあこういうふうに考えますから……。
  260. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) 第一の問題、大手、中小どちらか限定するようね考えがあるかという話しでありますが、そういう考えは一切ございません。大手も中小も基準に該当する申し出がございますれば、買収する考えでございます。  それからこの離職金を本年限り打ち切るかというお話しでございますが、そんな考えは毛頭ございませんので、この法の施行期間中かような買い上げ申し込みのあります場合は、全部支払いをいたすのであります。
  261. 小松正雄

    ○小松正雄君 そこで政府が渡されんとするものに対しては、買収の対象になるその炭鉱の離職者だけであるか、五カ年間に機械の近代化、縦坑の掘さくによって相当人が馘首されようということは、さきの質問の中にもはっきりあるだろうということを局長も言われておりますが、こういう人たちが、この法律に基いて石炭鉱業合理化法の建前から、一応促進される上において相当な犠牲になってくると思う。その人たちに対してもやはり政府の涙金というか、そういう今法によって示されておる、出さんとする買い取りのものの離職者だけでなくて五年間に出てくる離職者に対しても、渡そうというお考え方であるかどうかお尋ねしておきます。
  262. 齋藤正年

    政府委員(齋藤正年君) この離職金と申しますのは、これはこの事業団が買い上げをいたしますために廃業したものに支払うものでございます。また事業団はこの事業の買い上げをいたします炭鉱以外のところについては、全然関係ございませんので、これは当然支払うことは不可能、これは政府が支払うものでございませんで、事業団が支払うものでございますから、そういう意味から申しまして当然広げるということは不可能だと思います。
  263. 小松正雄

    ○小松正雄君 最後に大臣に確言を願いたいと思うのでありますが、この法案に基いて衆議院でも附帯決議を付されておりまするし、私は昨日大臣に特にお願いを申し上げましたが、本日またあらためてこれをお願いをしたいということでありまして、石炭鉱業の審議会の中に租鉱権者の代表、従業員の代表、地方公共団体の代表、鉱害者の代表四氏を、ぜひこの石炭鉱業に関しての審議会の中に入れてもらうように御考慮を願いたいと、こういうことでありますが、大臣の一つ確固たる御信念を聞かしていただきたい。
  264. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 十分御趣旨に沿うように善処いたします。
  265. 古池信三

    ○古池信三君 私もいろいろ質問する点があったんですが、今までに同僚委員の皆さんから相当詳しく質問が出ましたので、かつまた時間の関係もありますから、私はこの際種々の質問は取りやめますが、ただ一点だけお尋ねしておきたいことがあるのです。と申しますのは、この事業団が鉱業権等を買収する場合に、これに関連して債権債務の関係が相当複雑なものがあるだろうと思うのです。その場合にたとえば労働者に支払うべき賃金、こういうようなものは法律にも明文がありますし、優先されて支払われるということは存じておりますけれども、その他の債務の支払いということについてはどんなふうに措置がなされるか。これに対して政府は相当に指導をして、その間に不公平のないように適正にやられるような調整をされるかどうかということについて、ちょっとお尋ねをしておきたいのです。
  266. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) それは十分調整いたしまして、へんぱがないようにいたしたいと思います。
  267. 古池信三

    ○古池信三君 たとえて申しますと、との事業を今までやってくるについて必要だった杭木あるいは火薬、こういうようなものに対する買掛代金といいますか、その支払いというようなことと、それから抵当権を持っておる銀行の借入金に対する支払いというようなものが競合する場合ができると思うのですね、そのような場合におきましては、やはりそれらの事業に必要な資材を提供したような支払代金も、銀行の借入金なんかとよく考え合せて、そこに不公平のないように、単に銀行の救済というようなことを言われないように一つ注意をしていただきたいという希望を申し上げておきます。
  268. 白川一雄

    ○白川一雄君 重ねて質疑打切りの動議を提出いたしたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  269. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ただいまお聞きの通り、白川委員から質疑打切りの動議があって賛成がありますから、動議は成立したものと認めます。  この動議を皆さんにお諮りいたします。この動議に賛成の諸君の挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手〕
  270. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 多数でございます。よって質疑打切りの動議は成立いたしました。  これより討論に入ります。御意見のある方は……。
  271. 阿具根登

    ○阿具根登君 議事進行について。討論に入る前にしばらく休憩をさしていただきたいと思います。約二十分ぐらい。今まで質問があってそして討論と言ってもなかなかいろいろあると思いますから……。
  272. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  273. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは速記を始めて。  それではこれより討論に入ります。重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律案、これをまず議題に供しますから、御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。
  274. 栗山良夫

    栗山良夫君 ただいま討論の対象になりました重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律案につきまして、社会党を代表して意見を申し述べます。  私どもはこの法律案に反対であります。それで反対でありまする理由を以下申し述べまするが、その前に、こういう法律を作らなければならないようになった日本の産業行政のあり方ということについて二、三申し上げておきたいと思います。  実は本来ならば重油というむのは、非常に、その熱効率から申しましても、あるいは扱いやすい点から申しましても、自由に使わせるべきものだと私は考えます。しかしながらそういう便利なものでありまするがゆえに、どんどん政府も勧奨せられ、そうして今日に及んできたのであります。これは通産行政の一環として、数年前にそういう政策がとられたことは事実であります。ところがその後国産のエネルギー資源として重要な役割を果すべき石炭の方が、漸次不況に見舞われて参りました。そうしてその重要な部分が輸入重油のために圧迫を受けておるということがわかって参りましたので、そこで国内資源愛護の立場から申しまして、石炭企業を保護する立場から申しまして、どうしてもこの重油に再び手をつけなければいかぬ、こういう状態になったのであります。従って国が産業活動をいたして参りまするためには、一定のエネルギー源が必要であるということは、これはもうはっきりしておるわけであります。そういう総合エネルギー対策の中において、もし通産省がもう少し長期の見通しをもっておやりになったならば、こういう混乱は起きなかったものと私は考えるのであります。しかし遺憾ながらその通産行政の見通しに若干のあやまちがありましたものか、こういう法律案を提出しなければならない事情になりましたことについては、はなはだもって遺憾な状態であります。今後通産省は産業政策をお立てになる上においては、長期の見通しを立て、そうして短期の見通しとの間にこういうそごの起きないような措置をとられたいということを、強く私は要望いたしておきます。  で、そういう状態の中におきまして、私は、しからば重油の使用に関する規制をする法律が必要であるかどうか、必要でないかということになりまするというと、私は今日の社会においては必要であると思うのであります。これは重油の設備あるいはその設備に供給される重油の量につきましては、国の総合エネルギー対策の一環として、わが国の国産エネルギーの愛護の点と相待ちまして、そうして相当強い規制日本産業の立ち直りのために行わなければならぬと私は考えるわけであります。ところが私どもはさようなわけでありまするので、政府が提出せられました原案については、まだまだ不十分ではあると思いますが、一応賛成をいたしたいと思うのであります。政府が提出されましたところの原案をある程度配慮を加えながら運用いたしまするならば、おおむね所期の目的を達成するのではないか、こういうふうに考えまして私どもはこれに賛成をいたしたいと考えておりました。  ところが衆議院における院議をもちまして、この政府提出の原案について、重大なる修正が加えられたのであります。私どもは昨日来衆議院修正案について、関係せられた代議士諸君においでを願って質疑を尽しましたが、その中でも明瞭になりましたように、もし衆議院修正部分が提案者の意向の通りに、発議者の意向の通りに運用せられるということになりまするならば、おそらくこの重油ボイラーに関するところの法律案というものは、骨抜きになってしまうのではないかということをおそれるわけであります。そういう状態でありまするから、従って私どもといたしましては、残念ながら、政府原案には賛成でありますけれども、遺憾ながら、参議院に今日送られております法律案衆議院修正部分を含めて原案ということになっておりますから、反対せざるを得ないという立場に相なったのであります。この点はわれわれがいかに眞剣に燃料対策というようなものを考え、そのエネルギー対策を考えておるかということについて、理解をいただきたいと思うのであります。  特に衆議院修正案の中で、昨日もここへ自由党の内田君がおいでになりまして、私と質疑をかわしました中で明瞭になりましたことは、私が第二条、第三条、第四条を一括し、第六条と対比させまして質問を試みたのであります。そのときに、第二条、第三条、第四条の規定によりまして制限を加えていくことについては、これは通産省も責任を感じなければならない。今まで勧奨してきたものについて制限を加えるわけでありますから、これは大いに責任を感じなければなりません。そういう意味で、今日全国各地から重油の燃焼設備を持っている業者から強い反対のあることも承知をいたしております。しかし国策のためには、これもまた漸次エネルギー対策というものが一応安定の時期に達するまで、これはがまんをしていただかなければならない、こういうふうに私ども考えておるのであります。しかし二条、三条、四条の規制を加えましても、海を渡ってわが国へどんどんと重油が入ってくる。あるいはまた輸入の操作を大幅に投機的に行います。そうしてはなはだしく使用者に不便を与えるような人為的な操作が行われる場合、そこには当然販売価格にも大きな動揺を来たしまして、そうして重油をめぐって非常に好ましくない状態が起きることは明瞭だろうと思うのであります。従って、ほんとうに重油のことを考え規制を行おうといたしますならば、第六条の政府提出の原案にありまする規定をそのまま、政府説明いたしました通りに、伝家の宝刀としてこれを備えまして、そうして混乱が起きるようなときには、遅滞なく善処し得る道を開いておかなければならぬと思うのであります。ところが、この六条を衆議院におきましては大修正を加えたのであります。ほとんど骨抜きになってしまったのであります。しかも内田君のお話によりますというと、通商産業大臣並びに川上局長たどは大へん人のいい人である。(笑声)従って誤りはないと思うが、あとで悪い大臣局長が出てきたときには心配だから、修正を加えたと、こういうのであります。少くとも法律議論する場合に、その運用の衝に当る人物の是非を議論の対象にするなどということは、笑止千万のことでありまするが、そういう考え方の裏に一体何があるかと申しますというと、強度の統制を再び復活するようなことばまっぴらごめんである、こういうことでありましたが、その裏においては、いかに最終使用者の場合において重油の使用について規制を加えましても、生産業者あるいは輸入業者、販売業者が強いワクをはめられるといたしますならば、勝手気ままなことができなくなる。いわゆる通俗的な言葉で申し上げますならば、法律法律、実際は実際、その通りの横流しむ縦流しもできるようにしていただきたい、こういう意味の発言があったと私は思うのであります。きのうも、もう少し内田君が冷静に私の質問に答えますならば、私は委曲を尽して彼の考え方の誤っている点を明らかにしたいと思ったのであります。ところが、みずから興奮し、みずから私にけんかをふっかけるような状態では、私もこれに質問を加える余地がない。そこで打ち切ったのでありますが、とにかくそういうわけで、内田君の雷われるところを聞いておりますというと、結局私の手元へ来ております石油の精製業者、あるいは眼花業者、あるいはまた輸入業者等が中心になって陳情になっておりますよりな業者の自由商業権、自由権というものを圧迫するこのやり方は、よろしくない。およそ今日差し迫っている日本の燃料政策、エネルギー政策とは無関係議論を非常に重要視せられ、そうして衆議院においてその大勢がついに修正案を可決する段取りになったことについては、私ははなはだ遺憾に思うのであります。  きのうもそういう衆議院の態度について私が追及をいたしまするというと、衆議院を侮辱するとこう言いましたが、私は別に侮辱をするわけではない。侮辱をするわけではないが、そういう内田君のような考え方をもって運用をいたしますというと、結果において必ず経済の自然的な流れからいたしまして、そうなる、こういうことを私は指摘したのであります。これは私のただいま考えておりますことは、いささかも動揺をいたしておりません。必ずそういうふうになるであろうと思います。そこで非常に心配をいたしまして、通産大臣並びに局長にも伺いましたところ、衆議院修正案修正案として、実際の運用は政府原案第六条の精神を生かしてできるということであります。内田君は、大臣局長は人がいいからそういうことをやらぬという前提のもとにあれを修正したというのでありますが、しかし局長は、修正した部分においてもまあ原案の通り大体できるとおっしゃっております。しかしそういうことは国会の委員会において法律案を審議するときの言葉のやりとりの範囲を越えた私は問題だと思います。もう少し基本的なものの考え方をいたしますならば、人がいいとか人が悪いとか、あるいは運用の問題においてできるとかできないとかそういうことをただ単に速記録にとどめる程度ではいかないのでありまして、この法律案のもっとも中心でありますこの第六条については、はっきりとした態度を天下に表明するだけの私はものでなければならぬと思うのであります。そうしなければ、反対する人に対しても、賛成する人に対しても、ほんとうに問題の焦点を理解させることができないと思うのであります。  かような意味をもちまして、私どもは、まことに残念でありますが、腹の中においては政府の原案に賛成をしておるのであります。たまたま衆議院においてとういう骨抜きにするような修正を加えたがゆえに、私どもはこの法律案全部に反対をしなければならぬという——今までわれわれはずいぶん法律案をたくさん扱って参りましたが、こういう奇妙な立場に置かれたことは初めてであります。従って、どうか通産省当局におきましては、大臣以下その衝に当られる方は、原案の起草者でありましたから、その精神を十二分に御承知になっておることでありますし、また一日も早く日本石炭企業を安定させ、この安定の中がら重油等もさらに昔のように自由に使わしていけるような対策というものをお考えいただくことと思います。そういう時期が一日も早く来ることを私は祈念をいたします。そうしてこの法律案が最大の効果を上げるように反対をいたしまするが、(笑声)祈ってやまない次第であります。私の意見はとこで終ります。
  275. 古池信三

    ○古池信三君 私は自由党を代表いたしまして、重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律案について、賛意を表するものであります。  この法案は、元来こういう法律によって重油の使用を規制するということは、理想的にいえば、決して好ましいことではないのであります。われわれとしても必ずしも希望しないのでありまするが、今日の段階におきましては、特に同時に提案されておりまする石炭鉱業合理化臨時措置法案とうらはらをなす関係にもありまするので、われわれはやむを得ない法律といたしまして、賛成の意を表する次第であります。  ただ、これにつきまして一、二希望するところを申しまするならば、やはり政府はあくまで総合燃料対策あるいは総合エネルギー対策をほんとうに科学的に積み上げて、りっぱなものを作り上げて、そうしてこの大きな基本方針、基本原則にのっとって、あらゆるエネルギーあるいは燃料対策を進めてもらいたいということを、この際要望をいたしておく次第であります。それからこの法律は条文はきわめて短いのでありまするけれども、規定してありますることを見ますると、相当通産大臣なりあるいは行政官庁の行政の面において実質を左右し得るような点が多多あると考えます。もちろんこれにつきましては、たとえば第六条において、通商産業大臣が緊要な用途に対して供給を確保するために必要な措置を講ぜんとする場合は、この審議会に諮問をしてなすということにはなっておるのでありまするが、そうなりますれば、との審議会の権威というものは一そうこれは権威づけられなければならぬと考えられるのであります。この審議会と相待って、政府当局におかれましても、これが実際の運用面に当っては十分なる、周到なる配慮をされんことを切望いたす次第であります。  そこで私は本案に賛成をいたして、この際付帯決議を付したいと考えます。朗読いたします。   重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律案の附帯決議案  政府は、重油ボイラー規制審議会委員の選定にあたっては、広く燃料問題を中心とするエネルギー綜合対策に関する学識経験者を選び、もって本審議会の運営に万全を期すべきである。  内容についてはことさら説明をする要はないと存じますが、先ほどの修正案提案者との質疑応答の中におきましても、第七条の第三項にございまする「審議会委員は、重油に関する学識経験者のうちから、」云々とございますが、との「重油に関する学識経験者」という意味は必ずしも狭義に解せぬでもよろしい、そういう考えであるという修正者の答弁もございましたので、この辺は、通産大臣におかれましてはその委員を任命される場合に、本院のこの付帯決議の趣旨を十分に勘案されて任命をしていただきたいと考える次第であります。  以上をもって私の賛成討論を終ります。
  276. 小松正雄

    ○小松正雄君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、ただいま上程されております重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律案について、反対の意を表明するものであります。  本法案は、政府説明によれば、昨年衆議院通産委員会において総合燃料対策を決定した際に、この対策の一つとして、重油についてはある程度その使用を抑制し、かつ行政指導によって他の燃料に転換させるようにしなければならないという趣旨の決議をもとにして、閣議においても同様の決議が行われたのであります。通産省はこれに基いて、行政面において重油の工場別消費規制を意味するワクの設定や、重油専焼設備の石炭専焼設備への転換勧告を次々と出してきたのであります。このような過去の事実によって考えますと、本法案の目的は当然重油の一般的需給の調整であります。  従って、本法案上程の前提条件として、第一に経済政策的裏づけが必要であります。これについて、政府は総合エネルギー対策ありとして机上プランを提示されておるのであります。しかしながら、これは政府発表の三十年度財政投融資計画において全然無視されておりまして、実現の可能性が疑われるのであります。  第二に、法案の施行に当ってでありますが、行政措置の準備が完全になされているということが必要でありますが、政府答弁では、単に通産省官僚の一方的な統制を招く憂いを濃化させるのであって、弱小企業の立場や転換資金に関する問題等について、関連ある責任体制がないのであります。いわば本法案に必要な具体的な経済政策の裏づけなく、また行政措置の準備完了も待たずしてこの法案を出したととは、過去における通産官僚の行き過ぎた何ら法的根拠のない行政指導、すなわち官僚統制を正当化しようとするものであると思うのであります。かかる官僚独善の傾向は断じて許されるべきことではありません。  以上は本法案に反対する第一の理由であります。  次に、政府は本法案が総合燃料対策の一環であると称しているのでありますが、本来総合エネルギー計画は長期の資源対策でなければならないのにもかかわらず、約二年前に政府は積極的に、石炭ボイラー重油ボイラーに転換するよう勧奨し、それが現在では法の規制によって強制的に逆転換を要求するという、一貫性を欠いた政治では、果して妥当な総合燃料対策であるか、はなはだ疑わしいのであります。しかも政府勧奨によって石炭から重油に転換した業者は、その転換に要した金はおおむね開発銀行、興業銀行、その他地方銀行から融資を受けているのであります。その借入金の三分の二はまだ償還が済んでいない今日の段階であります。政府は本法案による逆転換に要する資金について、単に融資をあっせんするのみで、責任ある転換補償を行おうとはせず、単にこのための借入金は税務会計上の必要な経費に算入するにすぎないのであります。  二十七年度後半期において各企業が石炭から重油に転換したのは、単に当局の勧奨によるのみでなく、生産コストの合理的引き下げのために、石炭価格に比して割安の重油経済上有利であるとの合理的判断があったからでありましょう。従って、かかる経済効率観念を乗り超えるところの国民経済的見地に立った、筋の通った理由除くいたしまして、経済原則を無視した逆転換の強制は、一般産業界に異常な苦労と苦しみを与える以外の何ものでもございません。  もちろん政府は、この法案が国内資源である石炭の有効血使用度を高め、当面する石炭危機を突破するための総合的見地からする至上命令であると言っておるのでありますが、三十年度における重油需要の見通しを五百二十万キロリッターと見込んでいる政府が、本法案による規制を行なって、三十五年には五百三十万キロリッター需要を見込んでいるのでありますから、この程度重油規制であれば、石炭合理化のためには重油規制を行わずとも、他に幾多の有効な方法があるはずであります。  また重油のみに重点を置いてしぼるとすれば、使用の規制以前の問題がより重要であります。すなわち現在輸入重油は主として中東ものでありますが、これの原油は四百五十円から九百円がらみであり、これを石油国際カルテルの圧力によってCIF価格で六千五百円で入れている。また日本国内の精製過程においても、六千円以上の利潤をかけた一万三千円という価格で売られているようで、これはまことに驚くべき暴利であると思うのであります。かかる問題を国民経済的見地から処理するの良識なくして、単に当面の石炭対策のための逃げ道として、重油使用の世界的傾向に逆行し経済原則に反した方向を採用することは、戦時下の総動員法または物資需給調整法を想起させるものがあるのであります。  以上の諸点が本法案に反対する理由の第二であります。  以上申し上げましたような理由をもって、遺憾ながら本法案に対して反対をするものであります。
  277. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ほかに御発言がなければ、討論は終結したものと認めてよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  278. 吉野信次

    委員長吉野信次君) じゃ、さように認めます。  これより採決に入ります。重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律案、これを議題に供します。本法案衆議院送付通り可決することに賛成の方の挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手〕
  279. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、古池君の討論中にありました古池委員提出の付帯決議案を議題といたします。右付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手〕
  280. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 多数と認めます。よって右付帯決議案は、多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。     —————————————
  281. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 次に、石炭鉱業合理化臨時措置法案の討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにして、お述べを題いたいと存じます。
  282. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は日本社会党第四控室を代表いたしまして、石炭鉱業合理化臨時措置法案に反対の意思を表明するものであります。  本法案が可決されるとするならば、すでに七十万に近い失業者群の中に六万近くの失業者を追い込むものでございます。しかも、失業対策に対します質問中にもありましたごとく、法によって労働者の首を切るような法律を提出した政府が、その失業者の万全の対策を持っておらないことは、私たちはいかにしてもこれに了承を与えることはできないのでございます。  第二点といたしましては、需給調整でございますが、これも先ほどの質問にございましたように、石炭は天候に左右されることがきわめて多いのでございますが、石炭産業はこれの弾力性がきわめて乏しいのでございます。いわゆる電気産業にありましては百五十億の準備金ができたというにもかかわらず、石炭の不況を来たしておる今日、天候その他のあらゆる悪条件のために膨大な貯炭をかかえ込んで苦しまねばならないようになった場合に、何らその対策が立てられておらないということは、石炭鉱業に携わる者の不安をきわめて大きくするものと思うのであります。  第三点といたしましては、労使関係の問題でございますが、いかに法案が制定されましても、労働者の眞の協力がなくてはその目的を達することはできないと思うのでございます。にもかかわりませず、賃金の据え置き等が暗示されておる。しかも政府の言われた言明をそのままに会社代表は信じ込んで、参考人としての陳述の中にもそれを強調いたしておるのでございます。こういうことが今後の労使関係にきわめて悪影響を及ぼすことは、火を見るよりも明らかでございます。なおまた資材等の政府考え方も、実際坑内で作業しておる者にとっては、御承知のように、毎月数十人の死傷者を出しておる今日において、資材費を多く考えてこそ私は炭坑の安全は守られるものと思うのでございます。かかる点から、労働者がほんとうに協力できるであろうかということを考えます場合に、反対せざるを得ないのでございます。  なお、本日は時間がありませんで、買い上げ代金のことについて質問はいたしませんでしたが、あらゆる政府から出された資料、衆議院の討論等を考えました場合に、三百坑に近い炭坑をこれにより買収されるのでございますが、この買収された金額は労働者の手に何ほど渡るであろうかということを考えます場合に、抵当権者としての銀行がまずこれより取って、公租公課、社会保険等が差し引かれたあとで、労働者中小企業者の手に渡るとするならば、きわめて微々たる申しわけ的なものであろうと私は考えるのでございます。  第五点といたしましては、市町村の対策がなっておらないと思うのでございます。御承知のように、炭坑は都会のまん中にできたものではございません。山間僻地に開坑されてそれを中心に町作りがされてきたものでございます。この買い上げによりまして、町はそれこそ町ぐるみの失業者になるわけでございます。失業者に対する費用はうんと増すでしょうし、収入はうんと減るでございましょう。とれに対する対策が講じられておらないのでございます。  第六点といたしまして、能率に関する点でございます。先ほどの答弁で私はどうしても納得することのできないのは、縦坑非該当の炭坑が十七トンの能率ということは、机上の空論だと私は思うのでございます。  以上六項目において反対の理由を申し上げましたが、結論的に申しますならば、炭鉱が私企業としての限界に来ておることをとの法律は物語っておると私は思うのでございます。  以上の理由によりまして、反対の討論といたします。
  283. 古池信三

    ○古池信三君 私は石炭鉱業合理化臨時措置法案に対しまして、自由党を代表して賛成の意を表するものであります。  今日わが国の石炭鉱業がきわめて深刻な不況に陥りまして、重大な場面に直面しておりますることは、申すまでもないと思います。一々の企業について見ましても、大手、中小を問わず赤字に悩み・弱小の炭鉱は相次いで倒産のやむなきに至っておる。従って、炭鉱失業者は続出し、深刻な社会不安を惹起しつつあるような現状でございまして、これを考えますると、この際どうしても石炭鉱業に対しましては抜本的な対策を講じて、その再建をはかる方策の必要なことについては、おそらく何人も異論のないところであろうと考えるのであります。政府の今回の提案は、その対策といたしまして、石炭鉱業の合理化に関する諸般の措置を講ずることによって、石炭鉱業の今日の不況の原因をなしておりまする商炭価問題の解決をはかり、炭価水準の合理的引き下げを可能ならしめることによって、競争相手の燃料に対する石炭経済的優位性を確立して、その安定をはからんとしておるものと考えるのであります。石灰鉱業は国民経済の基礎をなす基本産業の一つでございます。しこうして炭価の割高は直ちに他の産業のコスト高を招来し、特に輸出産業の国際競争力の弱化をも招来することになりまして、他面また石炭鉱業自体についてもその不振の原因になるのでございます。従って、元来賦存状況あるいは品質におきまして、諸外国に比して決して優秀ではない。この点は先般の参考人の公述の際も、青山博士からそういう意見が述べられておりましたが、さような日本現状の条件下に置かれており、さらに年々自然的な条件は悪化をたどっておるように承知しておるのであります。従って、生産能率は低下し、生産費は高騰しておるという石炭鉱業の現状にかんがみまするときに、この際石炭鉱業の抜本的な合理化を行うことは、石炭鉱業の恒久的な安定、国民経済の発展ということを期待する上において、まことに必要な施策であると考えるのであります。  私は以上の理由をもちまして、石炭鉱業を合理化し、低廉な石炭を供給するその体制をすみやかに確立することが、わが国経済にとって焦眉の急務であるということを痛感いたしますがゆえに、本法案に対しましては賛意を表したいのでございます。  ただ、しかしながら、本法案の具体的な内容及び本法案に関連する一連の施策について見すると、本委員会の審議の過程におきまして各委員からも詳細に指摘されましたように、なお幾多の不備な点、あるいはまた今後十分研究を要すると思われる問題が存在しておるのでございます。特に本法の施行に伴いまして、多数の失業者の発生が予期されるのでありまするが、これに対する失業対策につきましては、本法の運用はもとより、労使双方の心からねる協力がなくしては円滑に実施することができないと考えまするので、就労計画等についてはよく実情に即し、適時適切に実施し得られまするように、予算上においても十分に措置をせられると同時に、配置転換、職業補導等積極的な雇用政策についても意を用いて、遺憾なきを期していただきたいと考えるものであります。  また本法案は合理化施策に重点が置かれておるのでありまするが、石炭鉱業の安定は、一面において合理化を進めるとともに、他面積極的に需要拡大方策を推進しなければならないのでありまして、この点は電力、ガス、石炭価格等、石炭需要分野の拡大をはかるために、今後政府の格段ほる努力を要望いたすものであります。  その他、先ほども質疑の中にございましたように、炭鉱の所在地の市町村、かような地方公共団体に不当な不利益を与え、あるいは著しい悪影響を与えるというようなことのないよう、極力政府は善処をせられたいということを希望いたします。  また鉱業権の買収に関連いたしまして、その債務の整理の場合には、十分公正かつ円満に実行せられるように指導をしてむらいたいと考えるのであります。  その他、法案の内容につきまして、なお改善を要すると考えられます点も幾多ありまするけれども石炭鉱業の現状にかんがみますときに、その対策の一日の遅延も許さない窮迫状態を思いますと、これらの問題点につきましては、本法の実施に当って、政府において十分なる留意をして、慎重に運営することによって、その不備を補っていただきたいということを最後に要望いたしまして、本法案に対する私の賛成意見とする次第であります。  なお、この際、私は本法案について、次に述べまするような付帯決議を付すことを提案いたしたいと存じます。お手元にお配りしてございまするが、念のために私から一度朗読をいたします。    石炭鉱業合理化臨時措置法案の付帯決議  一、政府は、本法の施行にあたり、エネルギーの総合需給見透しを確立し合理化推進の目標を明確ならしめること。  二、政府は、本法の実施により生ずる離職者に対し職業補導、就職斡旋等を行うとともに、特に所要の予算措置を講じて失業対策に遺憾なきを期すること。  三、政府は、本法実施に必要な資金の確保に努めるとともに、石炭企業の過大借入の現状の是正並びに租税負担の軽減等企業経理の改善につとめること。  四、政府は、都市ガス、火力発電、石炭化学の振興等石炭需要の喚起につとめるとともに、必要な資金の融通等適切な措置を講ずること。  五、政府は、炭鉱の買上にあたつては、租鉱権者の鉱業施設の売渡を円滑ならしめるよう斡旋指導を行うこと。  六、政府は、本法施行に伴い生ずる地元市町村の税収減および失業対策費等の増大に対し適当な措置を講ずること。  七、政府は、炭鉱の買収代金が関連産業の未払代金に対しても適正に支払われるよう指導すること。  八、政府は、炭鉱の整理にあたつては、買収した鉱区の鉱害の処理に遺憾なきを期すること。  以上でございます。その内容につきましては、今までの審議の過程において、質疑応答によって詳細に明確にされた点でございまするので、この際内容の説明は省略さしていただきます。  以上をもって私の付帯決議案の提案の理由といたします。
  284. 上條愛一

    ○上條愛一君 私は社会党第二控室を代表いたしまして、意見を申し述べたいと存じます。  わが国の炭鉱業界の実情を見ますると、直接にはデフレ政策の影響を受けまして、中小炭鉱が破産し、炭鉱の閉鎖、賃金の未払い等が続出しまして、多数の炭鉱労働者とその家族が飢餓、窮乏の惨状に追い込まれつつあります今日、本合理化法案の趣旨、方針についてあえて反対するものではありませんが、政府石炭対策並びに本法案の内容を検討するときに、これに賛成し得ないのでありまして、簡単にその反対理由を述べたいと存じます。  第一に、終戦後わが国のエネルギー対策は、計画的な総合対策が欠如しまして、石炭需要が漸次重油外国炭に侵食せられるに至ったのであります。また電力界においても、水力を中心とし火力を従にするいわゆる水主火従政策が重んぜられまして、総合的な見地から立地条件によって火主水従政策をとるべきであったと思われますが、これらエネルギー総合対策が樹立しておらなかったことが、今日の石炭産業の破綻を招来しました根本原因でありまして、政府の責任なりと信ずるのであります。  第二には、わが国石炭対策の最も重要問題は、言うまでもなく、石炭需要の確立であります。しかるに、政府はこの石炭需要の分野の拡大について、具体的な方策を示されておらないのであります。たとえば都市のガス施設の拡張、火力発電、特に低品位炭燃焼装置の急速触る開設、その他製塩、石炭化学等の重要施設に対する具体策が講ぜられておらないのであります。  第三に、現在の石炭の需給状況を見ますると、大手筋炭鉱は、国鉄、電力会社等大口需要に直結いたしておりまするが、中小炭鉱は、中間販売業者を通じて販売するという不利、不安定な立場に立っているのでありまするから、この際中小炭鉱の自主的共販組織を作るために、政府は法的保護並びに財政融資をはかり、これが実現を期すべきであると信ずるのでありまするが、その意図が講ぜられておりません。  第四に、本法案の実施によって、五カ年間に五万七千名の失業者が予定せられておるのでありまするが、これが対策は不明確であり、修飾的であり、形式的にすぎないのであります。国鉄川崎線、遠賀川改修工事等、公共事業、道路改修事業等に就労せしむる用意ありとせられておるのでありまするが、御承知のごとく、鉱山労働者とその家族はいわゆる鉱山長屋に生活するものでありまして、他地方への就労には住宅問題を解決しなければなりません。また中小炭鉱買収後、労働者の解雇に際しましては、退職金の規定もない。労使間の交渉にゆだねられて、わずかに本法案第三十三条中に賃金の三十日分を支給するとの規定があるにすぎないのであります。労使間の交渉は、罷業権が背景となっておって、労使が対等の立場におかれている場合の処置であります。買収鉱山はすでにこの背景がないのでありまするから、労働者が不利でありまして、公正なる交渉は行い得られないのであります。  第五に、本法案の実施にあたり、阿具根委員からも申し上げましたごとく、天災または特別なる経済事情の変動等によりまして、石炭も滞貨の激増を招来する場合、これら滞貨に対しては必要なる資金の融資を行うの処置を講ずるの要ありと思われるのでありまするが、これらの処置が講ぜられておらないのであります。  第六に、最後に、標準炭価について、本法案によりますと、五カ年間に炭価を二割の引き下げを行わんとするのでありますが、実情は大手十八社においても、現在トン当り三百円内外の赤字を続けておると言われておるのでありまして、さらに本法案の実施に伴い納付金が加わるのでありまして、果して炭価を予定のごとく完全な低下を招来し得るでありましようか。今日炭価の五〇%が物件費、他の五〇%が人件費である実情から、今後の炭価引き下げは、合理化による能率増進の名目のもとにおいて、人件費の切り下げで、労働強化による労働者の犠牲を強められるものと予想せられるのであります。  以上の理由によりまして、私は本法案に反対を表明するものであります。
  285. 山川良一

    ○山川良一君 私は緑風会を代表してではありませんが、本法案に賛成の意見を述べるものであります。  私は本法案ぐらい問題の多い法案はあまり低いと思っております。そのために古池委員から長い付帯決議をつけられたことと思いますが、私はその決議にも賛成するわけでございます。この法案に対しては、生産者側、それから炭鉱労働者、それから関係の地方等、みな賛成いたしておりません。私自身もこれを完全のものと思っておりません。しかし、その反対の人たちにも、心を打ち割って意見の交換をしてみますというと、やはり何とかしなければならぬ段階にあるから、結局やはり不満ながらもこの法案による合理化の実施はやむを得ないという気持を持っておられるのであります。ですから、私は賛成いたしますけれども、ただいまの決議案の趣旨を、ただ一片の決議案とせずに、それに盛られておる意思が十分に実現するようにぜひやっていただきたいということを申し添えまして、賛成いたします。  なお、不言申し添えますが、私は今後この石炭鉱業合理化臨時措置法案、それから重油に対する臨時措置法案と、こういう臨時措置法案は出さぬでもいいように一つやっていただきたい。それならばそういうことができるかというと、私、やるべき責任の立場にないのにできると断言するととははなはだ遺憾でありますけれども、私はできると思います。どうしてできるかというと、これは前の皆さんから意見が出ましたように、総合燃料対策をあらゆる情勢を検討して確立して、それを忠実に実行すれば、できると思います。その要点は、この日本石炭の賦存状況等をよく検討しまして、日本石炭生産はどの程度、どの程度生産費でやっていくかということをあらかじめきめまして、その石炭によって、過剰になれば別でありますが、これは過剰には、量的には過剰になると言えますけれども日本経済界、国が求めるような安い炭価で必要な燃料を供給することはまず不可能だと思います。では、その不足分に対して、重油によってこれを調整すると。ですから、その重油もただ安いから買うんだ、使うんだと、高いからやめるんだと、そうして石炭のしりをたたいて、一時的一に間に合わすんだというようなことではいけないんで、そうなりますと、またやがてこういう二つの臨時措置法案を出さなければならぬことになりまして、結局長い目で見て高い石炭を使わねばならぬことになるし、国民経済上非常にまずいことになると思います。余計なことを申し添えますけれども、一昨年国際連合で調査団を組織しまして、西独とイギリスの調査をやりましたときに、大体あそこは御承知のように、日本と燃料の資源状態は似ています。その結論は、石炭は弾力性がないから、その弾力性がないということを頭において燃料政策を立てて、ただいま私が虚しましたように、それは弾力性のある重油によってその足りない点、過不足の点を補うようにしろという結論を出しております。私もそれと同じ意見であります。ですから、むずかしいことのようではありますけれども、またこれが計画経済になります。それについての意見もありますけれども、それは一応申しませんが、ぜひそういうことになりまして、こういう法案は今後出さぬで済むようにしていただきたいということを申し添えまして、賛成いたします。
  286. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ほかに御発言がなければ、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  287. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。石炭鉱業合理化臨時措置法案、これを議題に供します。この法案衆議院送付通り可決することに賛成の方の挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手〕
  288. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中にありました古池委員提出の付帯決議案を議題にいたします。右付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手〕
  289. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 多数と認めます。よって付帯決議案は、多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
  290. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 炎暑の候、連日御熱心に御審議いただきまして、ありがとうございました。  本日、両法案に対してそれぞれ付帯決議が付されました。この御趣意においてはむろん私どもも異論のないところでございます。十分尊重いたしまして実行に移したいと考えますから、御了承願います。
  291. 吉野信次

    委員長吉野信次君) なお、本会議の口頭報告の内容、議長に対する報告書の作製、その他の手続につきましては、慣例によって、委員長におまかせを願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  292. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 御異議ないと認めます。さよう取り計らいます。多数意見者の御署名をお願いいたします。
  293. 河野謙三

    ○河野謙三君 この際、私は昨日通産大臣に宿題と言ってははなはだ失礼ですが、例の特殊物資並びに砂糖の法案、これがもし本国会に通過しなかった場合には、次の臨時国会に至るまでの措置をいかようにされるか、これを本日政府の態度を明らかにしてもらいたいということをお願いしておきましたが、いよいよ会期もあと数時間で切れることになりました。いまだに参議院にこの両法案は回って参りません。従いまして、これは審議未了になるか、継続審議になるかのこの二つであります。つきましては、この法案は、本国会には議決とならないことはあまりにも明らかであります。つきましては、それの措置をいかにされるか、この善後措置についての具体的な大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  294. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) お答えいたします。砂糖に関する法案、バナナ等に関する法案が、遺憾ながらもし継続審議等になりました場合においては、砂糖、バナナ等の超過利潤を国庫に吸収しようという法案でありますから、その超過利潤をそのままに放置して、いたずらに業者の利害をふやすことは適当でないと存じますので、何らかの差益吸収の措置を講じたいと考えておりますが、これはまだ具体的にどういうことをするというお答えをすることができません。関係各省等と十分相談をいたしまして、行政措置として可能な範囲において善処いたしたいと考えております。
  295. 河野謙三

    ○河野謙三君 それでは審議未了になりましても、継続審議になりましても、そのまま放置しておかない、放置しておくことを許さない、こういう御決意だけはあるのですか。
  296. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) さようでございます。いかなる十分の処置があるかということは、これから検討いたしませんと非常にむずかしいと思いますけれども、何らかの措置をいたします。
  297. 河野謙三

    ○河野謙三君 そういたしますと、ちょっと伺いますが、たとえばバナナのごときは輸入をストップしておりますね。法案が通った暁にはバナナの輸入を許可しよう、こういうことがあったと思います。しかるに、これが審議未了並びに継続審議になりますと、いつまでも、ぜいたく品とはいうもののバナナの輸入をストップしておくわけにいかないと思う。いよいよ外貨割当ということになると、砂糖と同様、何か政府が業者から一札とることによって、将来政府が予定しているところの金額で国庫に寄付させるというようなことでもやらなければならぬと思いますが、そういうことになりますか。
  298. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) これはどういうふうにいたしますか、審議未了の場合と、全然だめになった場合とは、また違うと思います。継続審査の場合には、今お話しのように、一札をとっていくという方法考えられるかと思います。しかし、そうでない場合には、どうも一札をとるというとともいかがかと思いまして、何か別の措置をとらなければならないかと思います。
  299. 河野謙三

    ○河野謙三君 いずれにしましても、政府がこれに向って、現実にわれわれの目の前で毎日々々不当利得をしているこれらの業者に対する措置は、政府が責任をもって私は善処されることを、私のみならず、おそらくここにおいでの各委員全体の私は政府に対する強い要望だと思いますから、何分御善処をお願いいたします。
  300. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  301. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて。  それでは、暫時休憩いたします。    午後四時五十七分休憩   〔休憩後開会に至らなかった。〕