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1955-07-26 第22回国会 参議院 商工委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十六日(火曜日)    午前十一時二分開会     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員      吉野 信次君    理事            古池 信三君            高橋  衛君            山川 良一君            三輪 貞治君    委員            上原 正吉君            小野 義夫君            深水 六郎君            松平 勇雄君            加藤 正人君            上林 忠次君            河野 謙三君            海野 三朗君            藤田  進君            上條 愛一君            小松 正雄君            白川 一雄君            苫米地義三君            石川 清一君   衆議院議員            小笠 公韶君            小平 久雄君   国務大臣    通商産業大臣  石橋 湛山君   政府委員    公正取引委員会    委員長     横田 正俊君    農林省農林経済    局長      大坪 藤市君    通商産業政務次    官       島村 一郎君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省通商    局次長     大堀  弘君    通商産業省繊維    局長      永山 時雄君    通商産業省鉱山    局長      川上 為治君    中小企業庁長官 記内 角一君    中小企業庁振興    部長      秋山 武夫君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       内田源兵衛君   説明員    厚生省薬務局企    業課長     川島 三郎君    工業技術院調整    部長      讃岐 喜八君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○中小企業安定法の一部を改正する法  律案衆議院提出) ○繊維製品品質表示法案内閣提出、  衆議院送付) ○株式会社科学研究所法案衆議院提  出) ○石油資源開発株式会社法案内閣提  出、衆議院送付) ○石油及び可燃性天然ガス資源開発法  の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○輸出入取引法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ではこれより開会いたします。
  3. 河野謙三

    河野謙三君 中小企業安定法の一部改正につきまして一点だけ一つ提案者にお尋ねするのですが、われわれが常にわが国の行政を見ておりまして非常に遺憾だと思いますことは、二省、三省にわたる共管事項が多いことであります。この共管事項弊害というものは、これは提案者自体も十分御認識だと思います。しかるにここに新しく出て来る法案につきまして、さらに共管事項が起るということにつきましては、われわれどうも納得もいきませんし、これを容認するわけにいかないのですが、この法案に関してもこの共管事項を一切認めないという御方針ではないんですか、これを一つ伺いたいと思います。
  4. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) 提案者として提案の当時の状況を申し上げますと、昨日も御質問に答えて申し上げたのでありますが、今度の改正の要点は必要要件を緩和して本法律適用をできるだけ円滑にするというところに趣旨を置いたのであります。従いまして、第二条、並びに第二十九条、また事案関係における十八条の修正を中心として提案者としては法律案を提出いたしたわけであります。従いまして行政官庁関係につきましては何ら触れずに実は出したのであります。その後御承知通り衆議院におきまする修正によりまして、本法所管官庁に関しまする限り、従来は通商産業大臣に一本になっておる現在も、各省設置法に基きますところの所管の区分によりまして、他の省の所管する業種について本法適用する場合については、所管大臣同意通産大臣が得なきゃならぬという法律になっておるのであります。これに対しまして、今回は通産大臣通産大臣以外の、各省設置法に基いて事業を所掌しておる大臣との共管にするという修正案が提出されたのであります。その修正案は御承知通り可決をいたされたのでありまして、私はその可決同意をいたしてこちらへ回ったという状況であります。
  5. 河野謙三

    河野謙三君 いや、修正案衆議院で成立され、可決されたんですが、この修正案に対する率直な提案者の御意見を私は伺いたいんです。
  6. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) 先ほどお答え申し上げましたように、私は所管関係に関して、どう回そうという意図は当初から一つも持っておりませんでした。要するに、本法適用を、中小企業界適用する場合に、より円滑に行けるような点として、先ほど申し上げましたような個条の修正をのみ意図したのであります。衆議院の方でそういうような修正になりましたので、私はそれを了承いたしたということでありまして、それ以外に何らの他意はございません。
  7. 河野謙三

    河野謙三君 はなはだくどいですけれども、提案者行政事務にも明るいんだし、共管についてのいろいろな弊害というものを十分身をもって経験しておられると思いますが、でありますから、衆議院修正は出たのでありますけれども、この修正案に対して、提案者として別個の立場でこの修正案について、実にその共管が起った場合に、いいか悪いかということについての御見解を、経験者としてお尋ねしたいのですが。
  8. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) 経験者というお言葉でありますが、私はあんまり経験は実はないんでありまして、ただ実際問題として今度の修正案に私が同意いたしましたのは、従来よりも各省所管物資をしておるところがそれぞれの省においてイニシアチブをとって行ける、そして結局中小企業行政統一性を保持する、こういう意味から中小企業安定審議会所管する通産大臣に連絡をして行くというふうな形になると、現行法よりも、より機動的になり得るんじゃないか、こういう考え方同意をいたしたのであります。そこで河野委員お話のように、今日の各省権限の所属に関しまする限り、いろんな問題がございまするが、実際割り切れない点が多々ございます。単独の省に一元化したいという意向が多多ございますが、たとえば、貿易の振興というような面を考えてみましても、外務省と通商省、あるいは農林省という関係を見まするとき、これを一元化した方がいいという議論はできますが、他方から見ると、一元化することによって相互の関連性が失われるという問題もまた出て来るようであります。ここに、非常に何かいい工夫が出て来ればけっこうでありますが、現在のところ割り切りにくいということが今日の各省設置法から来る一つの悩みではないかと私は実は考えておるのであります。
  9. 河野謙三

    河野謙三君 私よりも提案者の方が共管事項弊害というものについては数多く体験もされ、従って御意見もおありと思って伺ったのですが、私から進んで申し上げますと、たとえば私昨日肥料審議会に出たのですが、肥料行政通産農林両省にまたがっておる、このために私ははたから見て、実に醜態きわまる、通産省いたずらにメーカーの肩を持つ、農林省はまた極端に農民の方の立場に立つ、そうして少しも中正妥当な肥料行政というものが生まれない。これがかって昔のように一本であったならば――私は通産省に一元化しろとか、農林省に一元化しろと言うんじゃない。一元化すれば、もう少し中正妥当な政策というものが出て来る。これは今砂糖の法案にしてもしかり、あらゆる問題について共管事項弊害というものは、単に役人のなわ張り争いのためということである。これは私の意見じゃなくて、これは天下一致した意見であると思う。既存の事実を整理することができないで困っておる際に、さらにここにまた共管事項をふやすというようなことについては、私はどうかと思う。こういうことなんですよ。進んで申し上げますれば、たとえば医薬関係なら厚生省所管物資なんです。農林物資農林省所管なんだ。それぞれ各省所管物資があって、その所管物資については、中小企業対策というのはそれぞれ所管官庁がやっておるのが現状でありましょう。そういうふうに一応中小企業といえども、中小企業何でも通産省じゃないんだ。厚生省中小企業の扱いをするんだ。農林省もやる。運輸省もやる。そういうふうに分れているところに、その一角においてこういうふうなまた共管事項が出るということは行政混乱が起りはしませんか。私はそれを言うんだよ。そういう点について提案者見解一つ伺いたいと思う。
  10. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) 衆議院における修正によって行政体系混乱が生じはしないかという御心配でありまするが、この本法の構成が品種を指定して特定中小企業の安定をはかるというところに重点がございます。従いまして、その限られた範囲内において所管共管になるということにおきましても、行政混乱ということは私は起らないのではないかと実は考えておるのであります。これが一つ行政組織運用の問題は共管であろうと専管であろうと、あるいは協議事項であろうと、いずれにいたしましても、所管運用の衝に当る人々の心がけによって、私は円滑に行く場合が非常に多い、そういう意味から考えまするとき、この法律が今申し上げましたように特定のものに限られておるというふうな点から考えますと、現行法よりも今、特定中小企業所管行政が同じ所管大臣として現われてくる、そうして通産大臣と一緒になってやっていくということによってそれぞれ熱がかかるとしては興味なりなんなりが強まってくるということも一応いい面としては考えられるのではないかと私は考えておるのであります。従いまして、河野委員の言われるように混乱が生ずるほど心配はないんじゃないか。もしそれ本法特定中小企業にせずに、広く中小企業というものに適用するという段階になりますれば、お話しのような点を十分再検討しなければならないと私ほそう考えております。
  11. 河野謙三

    河野謙三君 共管になりましても、この行政官良識をもってやれば、この弊害は起らぬだろう。こういうふうな意味の御答弁のようでありましたが、私はこの行政官良識というものが期待できないから申し上げる。期待できないというのは、期待できない事実があまり数が多いからです。たとえば非常に露骨に言いますけれども、今度の衆議院修正というものはおそらくこれは農林省役人か、厚生省役人かどこか知りませんが、これらの連中が国会へ働きかけて、それぞれこれらの所管委員会から通産委員会に圧力をかけたとか、そういう関係で生まれたのが衆議院修正でしょうが、この出どころは、これは所管争いから来ているところの各官庁の官僚のこれはいたずらですよ。私はそうじゃないとは言えないと思うのです。もうすでにこの法案が出たときになわ張り争いというか、そういうものがこういう事実になって現われて来ているんじゃないのですか。私はどこにそういう事実はどうやれということじゃないのでありますから、今あなたがおっしゃったようにその弊害行政上の良識ある措置によって十分ためることはできるであろうとおっしゃったことは、これはあまりに今までの実情と合わない御意見だと私は思う。そういうふうな私は見解を持っているのですが、衆議院修正案というのはそういう経過において出たのでしょう。これは提案者も十分御承知なんだ。私も大体そういうふうに聞いてもおるのですし、私は大体いつもこういう修正案というのは必ずそういうところから出て来るのですよ。そういうものをわれわれ参議院でそういう修正案を、ただこれはけっこうですというわけで私はのむわけにいかぬと思う。それも提案者の心からこの修正案というものが動機が純であり、またこの修正案というのは提案者自体が心から賛成したということならこれは別であります。
  12. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) 修正の動議につきましては、どういう事情かいろいろなことはあると思いますが、少くとも院議として決定した以上、私はこれを尊重すべきものと考えておるのであります。行政官吏良識の問題でありまするが、これは場合々々によりまして、そういう行き過ぎの場合もあるし、そうでなしにお互いがよく話し合っていくと案外トラブルなしにいける場合も私は多々あると思うのであります。ともすれば弊害の面が強く強調されがちでありまするが、広く行政全体の運行の状況を見まするとき、割合うまくいっている点も多々あることを私は率直に認めなきゃいかぬ。そういう意味から今度の修正案に対しまして私は了承いたしておるのであります。この点につきましては、いろいろお考え方の相違はあると思うのでありまするが、少くとも本法適用に関連いたしましては、御心配のような弊害はそう出ないのではないか、こう私は確信いたしております。
  13. 河野謙三

    河野謙三君 私は決してこの法案そのものに根本的に反対しているのではございません。従ってこの法案いたずらに引き延ばそうというような意図もありません。しかし今提案者からの御説明では、この衆議院修正動機等につきまして、院議は尊重しなければならぬ、もちろん提案者としてはそれ以上のことはおっしゃれないでしょう。もう少し私はこれを掘り下げて聞いてみたいと思う。ついてはとりあえず厚生省なり農林省のこの事項関係する局長を私は午後お呼びいたしたいと思う。そして私はこれらの省の意見もはっきり私は聞いてみたいと思うのですが、この点、委員長お許し願えますか。
  14. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと提案者に伺いますが、何かきのうも伺ったのですが、この法案をできたときに追加する品目について今河野委員からお話しがあったのですが、何か農林省、あるいは厚生省所管に関するもので、この法案というものの適用を拡張するというが、指定するというか、そういうものがありますか。
  15. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) 私の耳にいたしますのでは、農林省所管に関する分ではカン誌、合板が一応考えられるのであります。厚生省所管に関しましては、昨日の御説明があったようでありますが、アンプル、いわゆる注射薬が最近指定になっておるのでありまして、現在のところ二品種を聞いておるのであります。
  16. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  17. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて。  それじゃ今、河野委員お話もありましたから、お話し通り、向うの方に連絡いたします。  速記をとめて。   〔速記中止
  18. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて。
  19. 海野三朗

    海野三朗君 この中小企業安定法の一部を改正する法律案を提出なさったそのわけがありましょうが、なぜこの一部を改正する法律案を提出しないと都合が悪かったかという具体的な事柄に逢着されたと思いますが、その二、三の事例を具体的にちょっとお伺いいたしたい。どういうことがあって、これはいけなかったから、ここをこうやる、その具体的の二、三の例を承わりたいと思います。
  20. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) 今度の改正をやらなければならぬ、した方がいいという考えに至りました理由につきましては、昨日御説明申し上げたわけでありますが、第一点は、最近の経済界というものが、経済正常化に伴いまして順次不況が慢性化するというような方向に動いておるのであります。従いまして、中小企業の中には慢性的に困難な事態にあるものが相当出て参ったようであります。こういうような業界に対して、本法によって調整組合を作らせ、自主的な調整を行わしめるためには、本法調整組合設立要件を若干緩和する必要がある、こういうふうな考え方から一条、二条、二十九条の要件の緩和をはかるというのが提案者として提案いたしました趣旨であります。御承知通りに、本法昭和二十七年の夏の国会特定中小企業の安定に関する臨時措置に関する法律として提案されましたときには、ごく特定のものについて臨時調整を行わしめるということに相なったのでありますが、当時の経済情勢は今日とはだいぶん変って来ておること、御承知通りであります。従いまして、当時の経済界情勢が変って来た中に、中小企業の少しでもお互いの努力によって安定の状態を招来させるのによりやりやすくする、こういう趣旨が今申し上げました関係条文修正をいたした理由であります。すでに御承知通りに、現行法におきまする規定の仕方は、もしほんとうに厳格な解釈をいたしまするときには、適用が非常に困難になる、その適用の困難なるままに本法がともすれば動きにくくなる、こういうふうに見ざるを得ないのであります。そういう点から今回の改正をしたらどうか、こう考えまして、提案をいたした次第であります。
  21. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまの御説明、私それを伺っておるのじゃありません。こうしなければならなかったんだというその具体的な二、三の事実をはっきり伺いたいのであります。今理論を伺っているのじゃありません。実際問題としてこういうことがあったんだ、こういうことがあったんだからこれを改めなければいけない、そのためにこの法案が出て来たんだという具体的な事例を二、三お伺いいたしたいと思うのです。
  22. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) こういう事態に追い込まれたから法律を直さなきゃならぬ、こういう考え方一つと、現在の一般経済界情勢中小企業現状から見て、将来起るであろう事態に対処して直していくと、こういう考え方と二つあると私は思う。で、今回の改正の主たるところは、現在の中小企業現状というものから見て、非常に先行きが案ぜられるというような点から直したというのが主たる理由であります。具体的という言葉にはいろいろあろうと思うが、具体的と申しますと、私、条文を引っぱった方が具体的だと思う。どういう商品がどういう事態になったから因ったという事態ではなくして、条文のこういうところがこういうふうな解釈になるからここを直しておいた方がいいと、こういう考え方の方が主として出たのであります。たとえば、第二条の関係の、第二条第一項第一号並びに第二号の関係、これをゆっくりお読み願いたいのでありますが、「当該業種に係る製品の需給が著しく均衡を失しており、且つ、かような事態を放置しては当該業種に属する事業の経営において相当の損失が生ずる虞があること」と書いてあるのでありますが、均衡を失していなくても均衡を失するおそれがあるという場合にも予防的に考える必要があるのであります。また第二号に、「企業合理化によって、前号に掲げる事態克服することが困難であり、当該業種に係る産業及び関連産業存立に重大な影響を及ぼす虞があること。」と、こう書いてありますが、たとえば、また「業種に係る産業及び関連産業存立に」、この「及び」でつないでおるところに解釈上非常に問題が残ると私は思うのであります。もう少しさらりとして、困難な事態がきたときに本法適用ができるというふうに直しておいた方がいい、こういうふうに考えたのが一つであります。さらに二十九条の問題等考えてみましても、二十九条命令発動要件というものが非常に困難な状態に書かれておるのであります。むずかしくこれを文理的に正確に解釈をする場合には、非常に判断がむずかしいし、中小企業現実情勢としては、なるべく通観的に見て必要な規定発動を要するという場合が多々あると、そういう趣旨からこの二十九条の命令発動要件をわかりやすく、また出しやすく直すといったのが、この具体的な一つの例であります。たとえば、一つの問題として業種別にどういう問題が具体的に直さなければどうしてもいかないということは、私は、実はそれほどその場面にあってはおらないのでありますが、実は実施の衝に当っておりませんので、そういうふうな経験は少いのでありまするが、最近の繊維関係状況等を見ましても、本法発動を容易にすることによって、不況克服に、克服というよりも少くともより悪くなる悪化を食いとめるためには、もう少しやわらかく書いておいた方が、この安定法の効果を十分にしていく、こういうような考え方が今度の改正提案いたしました主たる事例でございます。
  23. 海野三朗

    海野三朗君 そういたしますと、これはまるで憲法みたいなものですか、こうやっておけば将来いいというような漫然たるお考えであるならば、何もそんなに取り急いでこの法案をおやりになる必要がないのではないか。私は具体的にこういう事態が起ってきて、それで困っているから、どうしてもこういうことにしなければならないんだという、その実際的に困っている事実をお伺したい。各政府委員の方がよく御承知だと思いますから、その二、三の事例を私はお伺いしたいと思います。どうか政府委員の方から一つお答えを願いたいと思います。どういうことで困っているんだ、こういう差しつかえがあったからして、これをこう改めなければならないということ、それで今、小笠さんからのお話のように、漫然としたることであるならば、まるで憲法みたいなものだ、そうなったら困るから、こうやっておくというのなら、そう大してそう早急に急がなければならないものではないのではないか、そう考えるが、具体的に今まで実際困っている、これでどうしてもこうしなければならないんだというその具体的な二、三の事実を私は政府御当局からお伺いしたいと思います。
  24. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっとお待ちを願います。今政府委員の方へ連絡しておりますから……、もし何でしたらほかの方を御質問のうちに参ると思いますから……。
  25. 海野三朗

    海野三朗君 私、今非常に意地の悪いようなことをお伺いしたようでありますけれども、この前もこの中小企業安定法案が出たわけでございますが、それでこれがこの法案の一部を改正するというからには、改正しなければならぬそこに現実の問題がなくちゃならないと思います。で、こういうことで困っているんだということの具体的な一つ事実をお伺いいたしたいと思います。この法案の内容のよしあしを私は伺っているのじゃありません。どういうふうに困った事実が起ってきて、こういうことで困っているんだということのその事実を私は一つ御親切にお示しを願いたいというふうに考えるのでございます。  もう一つ、この法案を見ますと、この「通商産業大臣」というところを「主務大臣」に、こうやっているというところを伺うというと、やはりなわ張りで大いに争ったる結果を見ておられるのでないか、こういうふうに思うのですが、そのやはりなわ張り争いのようなことでは困るからというので、これはやはり「主務大臣」を持ってこられたのではないか、通商産業省で縛られるのはけしからんと言って、これを各省の省に改めるというふうに持ってこられたのではないかと思いますが、やはり先ほど河野委員の言われましたように、関係主務省局長の方に来てもらって十分私はその辺の消息をもお伺いしたいと、こう考えるのであります。
  26. 吉野信次

    委員長吉野信次君) まあ、はなはだつかんことをお伺いたしますが、今河野委員との質疑応答でそう思ったのですが、最初の原案を「通商産業大臣」と書いてあるわけですね、今度は「主務大臣」と直した……。
  27. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) 通産大臣及び主務大臣というふうに……。
  28. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 入れたわけですね、そこでですね、入れなくても通商産業大臣と書いてのみあれば、通商産業大臣権限にない事項についてはこの中小企業安定法というものは適用がないじゃないのですか、できますか。
  29. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) それは中小企業という一本でいきますから、そこで通産大臣一本にまとまるわけです。
  30. 吉野信次

    委員長吉野信次君) そうすると、さっきのお話厚生省゛も、農林省所管事項でも、小さい業であれば運輸省関係であっても……。
  31. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) 本法適用に関する限り通産大臣の……。
  32. 河野謙三

    河野謙三君 それはおかしいですよ。なぜかというと、この中小企業の基本法である協同組合にしてもこれは物資別に各省に分れておるわけですね。それから行政にしても物資別に縦割りでいっているわけですね。厚生物資、通産物資、農林物資と、こうなってこれはみんな縦割りにいっているわけです。それで中小企業も物資別に、中小企業協同組合に物資別に各省に分れておるわけです。そこを直してもらわないとおかしなものになるんですよ。ただ形式だけですよ。だから通産省でこれをやると形式だけの問題になっちゃって、役所は形式だけで済むかもしれないけれども、しかしこれは形式を二つとられると、中小企業は迷惑千万ですよ。そういうことも考えられてやらなければいかぬ。
  33. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) それはざっくばらんな話で、中小企業設置法というのは御承知通り、戦争の時代にできたのです。中小企業設置法第一条は、中小企業一般、全部についてこれを統括総合計画をし、振興対策を講ずる、しかもこれが通商産業大臣の監督下にある。ここにものの種類の面から見ると、各省設置法において分割されておる。中小企業一般というところにおいて、中小企業庁という設置法で一本にまとめておるのです。ここに設置法自体に若干のお話しのような点があるとすれば二通りがあるのです。それで中小企業設置法で御承知通り通産大臣の監督下にありながら、中小企業庁は中小企業振興に関しては国会へみずからの力でいわゆる意見提案できるような設置法になって、実を言うと、これは各省設置法にないのです。そこでこの中小企業庁がこれを所管していくということで、中小企業一般をまとめていく、こういう形で実は動いてきておるところに、お話のような交錯点ができておる。
  34. 河野謙三

    河野謙三君 通産省を大きく開放しておいて、通産省企業庁と大きくかぶせて、実際は各省に皆縦割りになっていっておるのです。協同組合の扱いも、それから行政の扱いも皆そこを何かしないと、実際中小企業はあっちへ引っぱられ、こっちへ引っぱられ、今お話厚生省のアンプルというのは実際問題として通商行政の方に、これらの業者はノータッチですよ。実際こういうことになってくると、通産省にも形式上かもしれないけれども、やはりやらなければならない。
  35. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 海野委員に申し上げます。中小企業庁の政府委員が見えておりますから、先ほどのをもう一度。
  36. 海野三朗

    海野三朗君 この中小企業安定法を一部改正するこの法律案でありますが、何ゆえにこれを一部改正しなければいけないかというその理論は、小笠議員からも伺いましたが、具体的にどういうふうな差しつかえがあって、こういうことを改正しなければならないというその具体的の二、三の事例をお伺いいたしたい。実際問題です。それをちょっと御説明を願いたいと思います。
  37. 秋山武夫

    政府委員(秋山武夫君) 中小企業安定法を現在適用しております業種から申しますと、実は繊維関係が非常に多いのであります。繊維の例で申し上げると御了解願いやすいかと思いますので申し上げますが、今回の改正、これは政府提案ではございませんで、議員提出法案でございますから、その面について触れることは私どもとしては少し筋が違うかと思いますが、ただいまの実際面でのお尋ねに対しましてお答えを申し上げるわけでございます。たとえば中小企業と申しましても非常に種類が多い。ことに需給関係が非常に戦後変動が激しかった関係から、従来のような形での安定法で、改正前の現行法のような形での安定法条文をその文字通りに厳密に適用するということになりますると、たとえばこういうことになるわけでございます。非常に厳密な条件によって調整組合を作らせる、あるいは第二十九条の発動をするというようなことになっておりますが、いずれもこれ現在の法規の建前はいわば臨時のしかも非常に激しい不況、まあ俗には危機という言葉で呼びますが、たとえば次々ともう倒産のおそれすら見られるというような非常に激しい、しかも臨時的な不況に対処して生産調整をするというような考え方で作られたものでございます。ところが実際の市況は必ずしも一ぺんにどかっと落ちて、また回復するということでなしに、いろいろと波を描き、変化がございます。従ってある時期非常に不況であったからということで、調整組合を作り、あるいは二十九条を発動する、ことに現在では設備が一般的に過剰でございますから、設備の制限をするというやり方が普遍的でございますが、これらは事の性質上、本来臨時的なものではないわけでございます、いわば中小企業全体として見ました場合には、恒久的な不景気、一般的な設備過剰という状態にあるわけでございます。従いまして現にやっておりますような、たとえど六カ月間というような期間を切って二十九条を発動するというようなことは、理論的に考えましても少し無理がございます。実情は次々と六カ月ごとに命令を延長と申しますか、更新いたしまして、事実上は一年、二年というように継続してやっておるというのが実際でございます。たとえば設備を封印するというようなことを、少し景気がよくなったからといってその封印を解くというようなことは、再び不況をもたらす原因にもなりますので、われわれとしては、そういうことは実際はなかなかできないわけでございます。そういう意味では、今回の改正は少くとも現在の実情に一歩近づくという意味において、私どもといたしましても歓迎いたしておる次第であります。
  38. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまのは、今一つ事例を伺ったのですが、そのほかもう一つぐらいありませんか。関係政府委員の方から、どなたかから御説明を承わりたい。
  39. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 補足的に御説明申し上げますと、たとえばミシン製造業が現在すでに指定に相なっておりますが、これは御承知通り、アメリカに非常に輸出が伸びておりまして、ある意味におきましては相当景気がいいはずなんでございますが、ところが逆に相当競争が激しくなりまして、二十ドル近く売れておったものが十六ドルになり、十五ドルになり、十四ドルになる。結局政府としましてあまり安売りするのでは、今向うでいろいろな問題を起しておりますので、いわゆるチェック・プライスを設けまして、十四ドル以下では売ってはならぬというふうにいたしておりますが、現実といたしましては、さらにそれを下回って十三ドル、十二ドルというので売っております。従いましてこれを指定する必要がある。これによって生産を調節し、出荷を調節しまして、できるだけ安く出さないように相当高く売れるミシンでございますから、これをできるだけ高く売らせたいというふうにも考えて参ったのでございます。  さてこれを現実適用しようといたしますと、果してこれがいわゆるここに書いてありますような不況要件、非常に不況かどうかというふうに検討いたしまするというと、必ずしもそうも言えない。まあこの程度の不況であれば若干の赤字のところもあり、黒字のところもある。この程度ならば相当極度の不況ということは果してどうかというふうなことも若干われわれ調べておるうちに問題になったのでございます。結局それが回り回りまして物品業者の方をたたくというふうなことで、関連産業をそのままにほっておきましたら関連産業も参ってくるということにもなりますので、若干まあわれわれとしてこの法律をそのまま適用するについては若干疑問といいますか、じくじたるものもあったのでございますけれども、輸出という面もあわせて考えまして、この要件に該当しておるということで指定をいたしたのでございます。これによって現在調整組合を組織し、出荷の調整等について協定を結ぼうということまで立ち至っておるわけでございます。そういう面からいたしましても、今の規定をそのまま適用いたしますと、特に輸出品等につきましては、厳密な計算をいたしますと、あるいはむずかしいのじゃないか、従いまして今度のように改正していただきますれば、これらの点についても必要に応じた措置ができるのではないかというふうに考えておる次第でございます。この種のものはこのほかにもたとえばライターでありますとか、アンチモニー製品でありますとか、ブラッシュというふうなものが今後出て参るのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  40. 海野三朗

    海野三朗君 間接聞くところによりますと、通産省ではミシンの輸出は二十九年度に輸出した約九〇%を今年度は許可しようというような意向があるやに聞いておるのですが、それはやはりこれと関連がございますか。
  41. 記内角一

    政府委員(記内角一君) その出荷の調節につきましては、あまりに競争が激しく安売りをいたしましたので、ある程度これを抑えて参りたいというふうに考えておりますが、しかしこの改正とは直接の関係はないわけでございます。要するに、その出荷の数量の問題は第二義的な問題でございまして、直接のねらいはこのことによりまして輸出価格の調節をして参りたい、ただ先ほど申し上げましたように、十四ドルというチェック・プライスがあるにもかかわらず、それ以下でいろいろな形でもぐってきておるわけでございます。しかしこれをずっと適用して参ろう、強行して参ろうといたしますと、自然輸出数量についてもある程度の制限をしなければならぬのではないかというふうなことになろうかと思うのです。従いまして出荷の問題等につきましても今検討をいたしておる次第でございます。
  42. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  43. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記をつけて。  農林省から見えましたから河野さん。
  44. 河野謙三

    河野謙三君 農林省にこの中小企業安定法の一部改正法律に対して伺いたいのですが、今回この法律が議員提案原案を衆議院修正して所管物資所管大臣通産大臣が協議の上でということでいわゆる共管事項ということに修正してきておりますが、これは非常に当該業者としても煩瑣な手続等も起りますし、その点だけでも非常に迷惑千万なんですが、われわれはこの事の大小を問わず共管事項というものは極力これは避けなければいかぬ、かような基本的な考えに立ってこの立法府に臨んでおるわけなんですが、農林省ではこういうふうな修正案に対してどういうお考えを持っておられるか伺いたいと思います。
  45. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) ただいま河野先生の御質問にお答えいたしたいと思うのですが、いろいろの政府行政のやり方といたしましてあらゆるものにつきましてできるだけこれを簡素化していくという御要求につきましては、まことにその通りと思うのでございます。本問題につきましても、いわゆる純然たる農林物資につきましては、私どもといたしましては、できるだけ行政を簡素化するという意味からは農林省の専管にしたらどうかと、かように考えております。
  46. 河野謙三

    河野謙三君 いや、農林省の専管にしろと私は言っておるのじゃなくて、原案が通産省の専管で出ているものを、衆議院でこのそれぞれの所管大臣だとか、農林大臣とか、厚生大臣とかいろいろ出てくるでしょう。そういうものと協議の上やらなければならぬということになっておるので、これは原則的に共管を廃さなければいかぬ、現在までできておる共管事項でもできるだけすみやかにこれを修正していかなければならぬと、行政の一元化をはからなければいかぬというのは、これは私のみならず一般の人のこれは共通の考え方だと思うのですよ。しかるにこの新しく出てきた法案に対して共管事項というのが出てくると、これはわれわれはすみやかにのめないで、一体農林省の方では、この共管事項についてどういうふうな御見解を持っておられるかということを私は伺っておるのです。
  47. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 本問題につきましては、当初の原案によりまして通産省の専管でありましたのを後ほど農林物資については農林省との共管というふうに御改正になったのでございますが、その意味合いにおきましては、従前は全然これにつきまして農林物資につきましても通産大臣が専管でありましたのを、農林物資につきましては農林大臣がそれに共管としてそこに協議し得るということになりましたことは、その点だけからいたしましても、これはわれわれとしてもけっこうなことだと考えております。ただその場合のやり方につきましては、これは通産省でそういうことに決定をいたしますれば、できるだけ関係の業界に迷惑を及ぼさないように連絡を密にやっていくという問題が最も必要じゃないかと考えております。
  48. 河野謙三

    河野謙三君 いや、連絡を密にして関係業界に迷惑をかけないように努力するとおっしゃいましても、これは何と申しても頭が二つになったのだから、これは二つの頭を一つにするわけにはいかないでしょう。でありますから、私は具体的に伺いたいのですが、あなたの方の所管の物資ですぐ不況対策で中小企業安定法の対象物資になるものはとりあえずありますか。
  49. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 具体的に直ちに問題になるということになりますと、あるいは精麦、製めんこういうものが直ちにあるいは問題になり得る事項じゃないかと思うのでございます。こういう場合には大体やり方といたしましては、主として農林省がそういう問題につきましては、需給その他をやっておりますので、その具体的計画につきましては通産省とよく相談をしてやるということになっております。
  50. 河野謙三

    河野謙三君 厚生省の方でも同様な意味一つ厚生省所管中小企業所管物資の中で、この法の対象になるものでとりあえず考えられておるものはありますか。
  51. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 申し上げますが、厚生省から薬務局の企業課長と製薬課長が見えておられます。
  52. 川島三郎

    説明員(川島三郎君) 御質問の点、ただいま私自身直接お聞きできなかったのですが、現在厚生所管では衛生材料を指定されておりますが、そのほかに指定を希望しておる所管物資がございます。予想されますのは、たとえばワクチン企業などであります。それから医療機械のメーカー、これも大部分が中小企業でございまして、同様に希望しておる向きもあろうと思います。それも将来予想される物資だと思うのです。
  53. 河野謙三

    河野謙三君 これは通産大臣に伺いたいのですが、各省設置法によって、はっきりと所管事項は物資別に縦割りになっておるわけです。それから先ほど申し上げましたが、また重ねて申し上げますが、中小企業の基本法である中小企業等協同組合法も、やはりこれは物資別に、所管省別になっておるわけですね。それと今度の法案と非常にここに紛糾が起るわけなんです。現に今も聞きますと、医薬品であるとか、また精麦であるとか、製めんであるとか、およそこれは通産行政の中で縁遠いものですよ。私はどうせ縁遠いことだからだめだというのではないのです。現在は縁遠いことでありますから、通産大臣がこれは共管だと言われても、精麦だ、やれアンプルだと言われても――アンプルはどうだかしらんが、医薬品だと言われても、私は困ると思うのです。でありますから、そういうものをこの法の中の対象としてやるならやるとして、物資別の縦割りでするならば、今の協同組合法のように行政官庁別のやつは、こういうものはある修正を加えなければすっきりしたものにいかぬと思う。またほんとうに国民に、中小企業に親切であるならば、一つの窓口で済むものを二つ、三つにわたらないように、先に一つの窓口にするような行政措置をとっておいてやるべきであって、そうして今までとってきたものには、縦割りのものには手はつけられない、しかし今度の法律では、これは一つ大きく網をかぶせる、しかしかぶせ切れないから所管大臣と相談するのだ。これは私は所管大臣に相談するということは、形式だけのことだと思う。ほんとうに実質的の相談はできないと思う。それは通産大臣がいかに万能であっても、こまかな薬やなんかのことまでわかりませんよ。精麦にしても、通産大臣は御存じでしょうけれども、あなたの下の方は裸だか、大麦だか区別のつかない人ですよ。農林者にしたって、本省で麦と米の区分けぐらいできるだろうけれども、裸と大麦の区分けのできる人は半分くらいしかいないでしょう。それほど専門にわたっていることを役所の行政上ただ大きな網をかぶせて、共管というようなことにいくことは、それがスムーズにいくならいいけれども、非常に中小企業、当該業者としては迷惑ですよ。これは私はもう少し提案者政府とよく相談されて、この不況対策としてこの法律の必要なことはよくわかりますけれども、しかしこの運用に当って、もう少し中小企業に煩瑣な手続、迷惑を及ぼさないように、ここまで親切に提案者考えてくれたなら、今私が申し上げたようなことにまで思いを及ぼして、そうして根本的に出直してもらわなければ不親切じゃないかと思うのです。単に役所の共管というのは形式上の共管だけで、実質上の共管ではありませんよ。今聞いて見ますと……。通産省の方の機械工業だ、重工業だ、またその下請関係のいろいろな業界のことを農林省にもっていったってわからんと思うのです。わかりっこないですよ。わからんものをただ役所の面子を立てるためにそういうことを言って――これは言い過ぎかもしらぬけれども、なわ張り調整するために、幾らか共管というようなことでごまかすということば、官僚出身の大臣なら別だけれども、石橋通産大臣がとるべき措置ではないと思うのです。これはあなたが提案者でないけれども、この点を私は伺いたい。
  54. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 私はそういうことを答弁する資格があるかどうかわかりませんが、この安定法の目的は中小企業全般というわけで、従ってわれわれの方の中小企業庁でそれを所管しておるのでありますから、内容の麦だとか、どうだとかいうことを一々われわれの方で指図するというようなわけにはいかないですよ。これは何かうまい方法があればそれはどのようにでも……私自身は意見はありませんが、現状におきましては、やはり農産物においては、いろいろ輸出の問題、輸入の問題、非常にたくさんありまして、そのために農林省と人事の交流もやっているし、ある課長は農林省から来ているというふうにして、できるだけ調整をやっておるのですが、むろんお話のようにそれでもなかなかむずかしい点が事実たくさんあります。だからして、もっとすっきりと全体の制度が立てられれば、それは私はけっこうだと思うけれども、今のところでは中小企業全体としての統轄としては、中小企業庁にやらせるのが適当じゃないかと思うのです。ですから、麦とか何とかいうことで必要があれば、いずれそういう業者からは農林省へ要求があって、そこからわれわれの方へ相談があるというふうなことになるのじゃないかと思うのであります。ですから実際の当面の処置としては、今ここに提案されているような方法でいくよりほかないのじゃないかと思う。今後もし縦割りなり横割りなりでもって、非常にうまい制度が各方面にできますと、それはそれにこしたことはありませんが、実際の仕事はなかなかそうさつばり河野君の言うように、非常に割り切ったものを作るということは、これはこの問題ばかりでなく、むずかしいのじゃないかと思います。
  55. 河野謙三

    河野謙三君 通産大臣御存じのように、中小企業というものは通産省所管であって、他の省にないような中小企業庁というようなものも置いて、そうしてやっているわけです。ところがその内容を見れば、中小企業庁というけれども、中小企業全部をほんとうに実質的にかかえているのじゃない。さっき申し上げたように物資別にみな縦割りになっている。日本全体の中小企業のうちで、半分以上は各省へみな行ってしまっているわけです。わがひざにかかえているのじゃないわけです。それが今の通産省中小企業行政の実態です。それが実態なんですよ。しかるにこういうものを今度また共管だというようなことでやっても、実態は里子に出しちまっている。里子を引っぱり戻しておいて、その上でこういうことでなければ私はいかんと思う。これは割り切ったとかおっしゃるけれども、私はそこまで割り切っておやり下さらなければ……、通産省通産省らしく中小企業全部中小企業庁のもとに、全部ほんとうに里子に出したやつを戻しておやりになるということは、私はこれはできないことじゃないと思うのです。それを今の政府の責任じゃないかもしれませんけれども、行政機構そのものは各省設置法によって、物資別にちゃんと縦割りになってしまっている。協同組合法で縦割りになってしまっている。こういう現実の上に立って、通産省中小企業行政をやっておられるわけです。里子の方にまでいろいろ手を出していることはいいことなんですけれども、これは戻したらいいじゃないかと私は思うのです。戻すことができなければ、とりあえずこれについては戻す前提で、とりあえずは通産省所管中小企業のものだけにこれをとどめておいて、次の通常国会あたりまでに十分相談されて、根本的にあれをやられたらいいのじゃないかと思う。  同時に、私はこの際伺いたいのは、農林省なり厚生省の今のお話のような物資で、これは三カ月、半年待てない、立ちどころに不況対策をやらなければいかぬという事態に追い込まれておるのですか。同時にこの方途によらずして、その不況対策は立たないのですか。どうも私は不自然だと思うのだ。どうも役人の悪口を言って申しわけないけれども、役人のなわ張り争いがこの陰にあって、そうして国会役人のなわ張り争いのお先棒をかつぐというようなことになってはいかぬと私は思っているのです。初めの原案通りでいけば、まだそれでいいのです。それを何か農林委員会か何か厚生委員会か何かしらんけれども、方々へ頼んでそんなこと言うと衆議院は怒るかもしらぬけれども、そういうことの原案を修正してそれで共管になるように修正した。この修正自体が私はどうもよくないと思う。そんなもの参議院でわれわれは、私は皆さん全部を代表しているわけじゃありませんけれども、私は一人の参議院議員としてそういうふうなものにみだりに私は賛成できないんです。
  56. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) 河野委員お話各省設置法が縦割りになっておるというのは、これは一つの事実であります。だが、中小企業設置法も同じような同格を持った設置法であります。これは横に一本に、中小企業一本として書かれております。ここに問題があるわけです。従いまして各省設置法の再検討をどうしていくかという問題が先決にならなければ、今お話のようなことがなかなか解決しにくいんじゃないか。この特殊立法のいわゆるごく一部分的な特殊立法の適用に関連して各省設置法のもし誤まりがあれば誤まりを正すというのはちょっと私はむずかしいのじゃないか。お話のような点は僕は十分わかるのですが、ただこれは特定中小企業の安定をはかるために、現行よりも、より能率的になり、また現行の中小企業の要望する線に一歩でも近づく、こういうような趣旨改正法案でありますので、今河野委員のような御趣旨各省設置法行政機構の立て方として別途考えるというようにお願いできれば私は非常に幸甚だと実は考えておるのであります。
  57. 河野謙三

    河野謙三君 それはそうちょっとできないけれども、こういう機会にやらなければできるものじゃないんですよ。提案者自体が矛盾を認められておられる。私は提案者が認められる矛盾の上に立ってこういうことをやっちゃ、この対象になる中小企業が迷惑するだけだと、こう言うんですよ。私はそういうことは政治の上において親切にできないことじゃないんですから、やるならばやったらいいじゃないかと思う。
  58. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) 河野委員一つ伺いますが、このいわゆる修正案というのは、衆議院修正案というものを、関係所管のところをやめて現行法でいくという考え方一つですね。
  59. 河野謙三

    河野謙三君 私は共管は絶対にいかぬと思う。
  60. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) そういう考え方はあるわけですよ。が、実際問題としましては行政――河野さんはずいぶんおくわしいようでありますが、この問題にかかわりませずたとえば為替管理の問題一つをとりましても、外貨割当を一つとりましても、やはり横に連なっていくというふうなのが現状の日本の行政組織なんです。この行政組織全体を一つの窓口にきちっと解決することができれば非常にけっこうでありますが、なかなかそこまでいかん、いっていないという現況でありますので、少くとも中小企業に関する限りは、先ほど私も申し上げたように本法が広く中小企業全体を対象として考えていく、中小企業等協同組合法と同じような体制にまで持っていくというようなときには当然考えなければいかぬということを先ほど申し上げました。中小企業等協同組合法は御承知通りに協同組合法としての一つの母体であります、基本法であります。従いましてこれが各方面に適用されるので、今お話のようないわゆる縦割り的な関係所管庁を認めております。しかしこれは、この安定法は二十七年の立法当時から特殊な事態に応じて持っていこうという特殊立法である。特殊立法が順次先ほど申し上げましたような景気の、経済の変動、中小企業現状の推移に伴って若干広くなってきた、こういうような事態でありますので、できることなら一つこの際は基本的問題の解決を将来に残して、御賛同願いたいと私は思うのであります。
  61. 河野謙三

    河野謙三君 はなはだくどいようですけれども、同じことばかり言うようですけれども、今度の衆議院修正案というのは、中小企業のための修正案じゃございませんよ。少くとも両省の顔を立てる意味修正案ですよ。はなはだ口が悪いですが、当該役人の両方の顔を立てる修正案ですよ。私はそういう修正案はいかんと思うのです。そういう意味に立った共管ですよ、共管をやらなければならぬという事情があるなら、共管はやらないで済むようにものの考え方を私は改めたらいいと思うのですよ。たとえば暫定的に厚生物資は厚生省所管されると、次の段階において基本的に、今提案者が言われたような矛盾を基本的に直して、そうして中小企業というのは全部、形式的にも実質的にも通産行政として通産大臣のもとにおくというような、実質的なものを修正した上でやる、それまでとりあえずつなぎには厚生物資は厚生省でやり、農林物資農林省でやる、こういうことにしたって私はいいのじゃないかと思うのですよ。とにかく今申し上げますように、だれが何といったって今度の共管というのは、とりあえず共管というのは役人の顔を立てる、両省の顔を立てるという以外に何ものもありませんよ。それがためにその対象――中小企業が迷惑しないならいいけれども、迷惑するのですから、現実に。提案者はこれによって決していささかの迷惑をかけないということは断言できないのですよ。
  62. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) 私はその点は先ほども申し上げましたように、大坪局長お話しがあったと思うのでありますが、現行の同意を得るという条項から一歩前進しておる、従いまして、これは運用によっては私は現行よりも改善である、従って現在以上に迷惑を付加するというふうな事態はないものと実は考えておるのであります。そこはものの見方だと私は考えるのであります。
  63. 河野謙三

    河野謙三君 それは全く見方です。私の見方と提案者の見方が違うのです。提案者はそういう業界で苦労をされたことは私はないのじゃないかと思うのです。私たちみたいに民間で育ってカバンを下げて……、役所くらい始末の悪いものはない。一省ならまだしも、二省、三省にわたったらどのくらい迷惑するか。これは見解の相違といえばそれまででありますが、私は身をもって体験しているから言うのです。これは通産大臣もずっと昔のことになるかもしれないけれども、民間人として役所にずいぶんいろいろお通いになった経験もあるのじゃないかと思うのです。これは通産大臣には、私のきょう申し上げたことは通じると思うのですが、こういう不親切なことをやっちゃ私は絶対いかぬと思う。両方の役人の顔を立てるだけじゃありませんか、実質上。通産大臣はさっき申し上げたように、通産大臣が薬のことについて厚生大臣と相談する、川崎君と相談して一体どうなるのですか。農林省は私は兄貴だからちょっと工合が悪いが、私は別に兄貴と政治的に一本じゃないから、その点これだけは誤解のないように。農林大臣通産大臣とで精麦や製粉のことで相談して、うどんがどうだの、乾めんがどうだのと相談して、実質上相談になりますか。およそこっけいですよ、こんな共管というのは。だから私はこんな共管になる衆議院修正はいかぬと言うのです。もっとこんなところまで修正するなら、衆議院の方にわれわれの側から言うならば、なぜもう少し、一本でいくように根本的な行政のあり方について検討する、それがすぐできなければ、三月なり半年かかっても私はいいのじゃないかと思う。しかしあまりこれ以上申し上げることは意見になって、提案者の御努力に対しても非常に失礼になりますから、私はこれ以上申し上げませんが、私はどうしても法律というものは国民を対象に、この法律中小企業を対象にして当該業者を対象にして、こうしたら親切だということを一から十まで親切から始まって親切に終るようにしてやるのが、私は法律だと思うのですよ。
  64. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ほかに御発言もなければ、質疑は終了したものと認めてよろしゅうございましょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 御異議ないものと認めます。  それでは本案に関する討論に入ります。御意見のおありの方はお述べを願いたいと思います。
  66. 河野謙三

    河野謙三君 私はただいま質疑で申し上げましたような理由によりまして、この法案を、このまま衆議院修正案を含めてのこの法案をわれわれが容認することは、いたずら行政機構が混乱し、ひいては当該業者に非常に迷惑を及ぼすということがあまりに歴然としておりますから、私は本案には反対でございます。
  67. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました中小企業安定法について、政府並びに提案者に若干の要望を付して賛成いたします。  本法改正の目的は、その提案理由にも述べられ、また条文に書いてありまするように、中小企業安定等輸出振興にあるのでありますが、本法については、中小企業の困窮せる実態は抜本的に救われないのではないかと心配をいたしておるのであります。そこで政府は、すみやかに中小企業救済の対策を別個樹立いたされまして、特に注意すべき点は、本改正により零細な企業が圧迫を受けるおそれもございまするので、中小企業の内部にありまする特に小企業の部分を振り落す結果にならないように、またこのような結果を来たさないような措置と、調整組合の運営が組合員中の小企業の権利を侵したり、非民主的な運営にならないように格段の御指導が必要であると思うのであります。また調整組合中小企業に対する政府の当然の救済の責任を転嫁するようなことのないように注意をしていただきたいと思う次第であります。以上の点を要望いたしまして賛成をいたします。
  68. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ほかに御意見がなければ討論は終結したものと認めてよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 吉野信次

    委員長吉野信次君) じゃ、御異議がないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  中小企業安定法の一部を改正する法律案、これを問題に供します。本案を衆議院送付案の通り可決することに賛成の方の挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手〕
  70. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 多数と認めます。それでは本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における口頭報告書の内容、それから議長に提出すべき報告書の作成その他の手続については、慣例によって委員長におまかせ願いたいと存じますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それではさよう決定いたします。  なお、報告書には多数意見者の署名を附することになっておりますから、どうか本案に御賛成された方は順次御署名を願います。
  72. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 ただいま討論の中において述べました要望の点について、政府並びに提案者の所信を御披瀝願いたいと思います。
  73. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) 今三輪委員お話の中で、私は中小企業、特に中小工業ですね、対象にしている中小工業の維持育成という立場から考えまするとき、本案だけじゃ不十分だと実は考えております。これは諸対策の一つの一環だと考えておるのでありまして、自余の問題を十分さらに検討して作案しなければならないと考えます。お説のような趣旨で今後も研究を続けて参りたい、こう考えます。  よく問題になります第二の点の、いわゆる組合制度、いわゆる調整組合とかその他の団体行動におきまする一部有力者のボス的な動きに対する御警告でありましたが、私はごもっともだと思います。組合制度運用の点において一番弊害になるのは、ともすれば理事会の専横、一部有力ボスの専横にあると従来から考えております。従いまして、民主的な運営と、すべての人に平等なチャンスを与えるというような考え方で制度は運用されるべきものであると考えるのであります。この点は、もちろん法律執行の任に当る政府当局にあると考えるのでありますが、そのような考え方で私も全く同感だと思います。
  74. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 今提案者から申しましたことに私同感であります。ことにこの零細な企業者はどうするかという問題は非常にむずかしい問題でありますが、なおわれわれとしては十分研究して善処しなければならぬというふうに考えております。組合運営のことについては提案者の言われた通りであります。一つは教育だと思いますが、とにかくみんなが公正な少数意見でも、あるいは小さなものの意見でも公正にこれを受け取っていくというのであれば、全体の、これはやはり国民の一つの全体の訓練もありましょうと思いますが、なおそういう点についても政府として十分注意をいたすつもりであります。     ―――――――――――――
  75. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それではだいぶ時間も何して参りましたが、繊維製品品質表示法案、これは前回質疑は終了しておりますが、これを議題に供します。御発言がなければ本法案につきましての質疑は終了したものと認めてよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 御異議ないと認めます。  それでは討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。
  77. 古池信三

    ○古池信三君 私は自由党を代表いたしまして、本法案について賛意を表するものであります。繊維製品は申すまでもなく、国民の日常生活に不可欠の必需品でございまして、きわめて重要なるものであることは申し上げるまでもございません。さらに今後繊維の面におきましてはますます多種複雑になって参りまして、その品質の正しい表示をこの際励行して、これによって一般国民大衆の利益を保護するということは最も適切な措置であると考えます。その意味におきまして本法案には賛成をいたすのでございますが、ただこの法案にも記載せられておりますように、この品質表示の実行に当りましては、あくまで国民、いわゆる消費者並びに業者の双方友好円滑なる協力を得るということが第一であろうと存じます。政府はあくまで強制的な手段に出ることを避けまして、またその運営等については十分に民主的な方法をもって審議会の運営等の行われるということを強く要望をいたしたいと思うのであります。そこで私はこの法案につきましては次に述べますような付帯決議を付して賛成をいたしたいと思います。付帯決議をここで朗読をいたします。なお、この付帯決議につきましては昨日の本委員会におきましても栗山委員から大体同趣旨意見が述べられたということをこの際つけ加えて申し述べたいと思います。  一、政府は、本法の実施に当っては、任意表示に重点をおき、業界の自主的表示の励行によって品質表示の目的を達成し得るよう、指導、援助を行う等運営に留意し、必要やむを得ざる場合のほか、強制表示、強制検査を極力避けること。  一、政府は、強制表示、強制検査をなさんとするときは、中小商工業者、特に小売業者に対し無用の混乱と過重な負担を生せしめないよう適切な処置を講ずること。  一、政府は、検査機関の認可に当っては、受験者、特に中小企業者の立場を考慮し、受検のために物的にも精神的にも過重な負担とならないよう留意すること。  一、政府は、繊雑製品品質表示審議会の運営については、広く繊維業界各部門の代表者を参加せしめ、中小企業者の立場をも十分に反映し得るよう慎重な考慮を払うこと。  一、政府は、消費者の利益を保護するため、将来落綿、綿反毛及び毛反毛を使用する繊維製品の品質表示について直ちに検討を加えること。  以上付帯決議案を付しまして賛成の意を表するものであります。
  78. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私は日本社会党を代表いたしまして本法律案に賛成をいたします。  本法提案理由説明書にも述べられておりまするように、現在非常に繊維類の品種は多種多様でありまして、それらの繊維はそれぞれ特色を持ち、そのすぐれた特質を生かすことは繊維製品の消費者にとりましては最も大切なことでありますが、そのためには消費者が容易に繊維製品の内容を知り得るということが必要であります。しかしながら、かような法律によりまして必要やむを得ない場合のほかにもなお強制表示、強制検査のようなことが行われますることはこれは極力避けなければならぬということをば、実は質疑の過程においても十分にただされたところでございます。  なおきのうも栗山委員から言われましたように、この法律案は全く難解なところが多いのでありまして、これを実施するには各種の注意すべき事項がありまするし、その点は昨日同委員から詳細に述べられております。また、ただいまは古池委員からそれらの趣旨をくみ入れました付帯決議案も御提案になっておりまするので、政府がこの法律案の、あるいは付帯決議案の精神を十分くみ取られまして善処せられることを要望しながら、本法案並びに古池委員提出の付帯決議案に賛成をいたします。
  79. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ほかに御意見もなければ討論は終結したものと認めてよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  繊維製品品質表示法案、これを問題に供します。本案に賛成の方の挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手〕
  81. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 全会一致。本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました古池委員提出の付帯決議を議題に供します。古池委員提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手〕
  82. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 全会一致と認めます。よって古池君提出の付帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
  83. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 繊維製品品質表示法案について慎重な御検討をいただきまして御可決下さいましてありがとうございました。  なお、この付帯決議につきましては、われわれとしても最初からこの御趣旨のように考えておりました次第でありますから、何ら異議がないばかりでなく、十分にこの御趣旨に従って処置するようにいたします。  なお、この最後の落綿等の表示の方法、これも御趣旨を尊重いたしまして検討いたしましてできるだけのことをやりたいと考えておりますから、それだけを申し上げましてお礼を申し上げます。
  84. 吉野信次

    委員長吉野信次君) なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成その他の手続につきましては慣例によって委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それではさようにいたします。  なお、報告書には多数意見者の署名を附することになっておりますから、本案に御賛成の方は順次よろしくお願いいたします。
  86. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは暫時休憩いたします。  午後は一時半から開会いたします。    午後零時三十五分休憩      ―――――・―――――    午後二時八分開会
  87. 吉野信次

    委員長吉野信次君) これより開会いたします。  午前に引き続きまして、本委員会に付託されました法案について御質問をお願いいたします。
  88. 海野三朗

    海野三朗君 この石油開発会社につきましての株は、民間の石油会社の協力を求めるのはどの程度になっておりますか。民間側の、つまり石油会社の協力を求めるというのですが、それはどの程度求めることになっておりますか。
  89. 川上為治

    政府委員(川上為治君) この前もちょっと申し上げましたように、初年度におきましては、九億の出資にするわけなんですが、そのうち四億五千万円程度をこれを民間の出資に考えておるわけであります。その四億五千万円のうち、帝石のほうから三億円程度、それから残りの一億五千万円程度をこれを精製業者その他一般の方から出してもらいたいというふうに考えておりまして、帝石を除きましての一般の出資は大体一億五千万円というふうに考えております。
  90. 海野三朗

    海野三朗君 その民間の、つまり石油会社、精製会社から出すところの資本、それについてはつまり関税の方とからんでつまり関税定率法、その方についての要求を含めてこの株に応ずるというような態度をつまり通産省がのんでおるというような話を聞いたのですが、そういうことがありますか。つまり石油の輸入に関しての関税、その関税を元に返す、そういうことはやらないという条件付で株の蒐集に応じようという態度であるということを私はこの間聞いたのですが、そういうことがありますか。
  91. 川上為治

    政府委員(川上為治君) そういうことは全然ありません。関税のいかんにかかわらず精製業者等は出資をすると言っております。別にそれとは全然関係ありません。
  92. 海野三朗

    海野三朗君 それでは、それは単なるデマと考えてよろしいですか。
  93. 川上為治

    政府委員(川上為治君) それはデマと思います。
  94. 海野三朗

    海野三朗君 この外国の資本が相当入っておって、そうしてしかも関税の定率というところから精製会社のもうけ方を見るというと、実にすばらしいもうけ方をしておる。こういう点から考えてみましても、この国策会社としてこの石油開発の必要なることは痛感するのでありますが、たとえば名前をあげて申しますなら、日本石油昭和石油、丸善、三菱、東亜燃料、そういうふうな会社が実にぼろいもうけをやっておる。それでこの精製についての価格について何か通産大臣としてはお考えがあるか。これは専門家であるから何ぼかかるかわからないといっておられるのか。この石油の会社のぼろいもうけについてはどういうふうに通産大臣はお考えになっていらっしゃるか、私はこれをお伺いいたしたい。この株の配当にしたところで、あるいはまたこの積立金にしたところで、実に石油会社の方はぼろいもうけをしておるように見える、証券市場を見ますというと……。そういうものについては、つまり通産行政立場からはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。この開発会社と、また関連をした見地においてどういう御所見であるか、それも承わりたい。
  95. 川上為治

    政府委員(川上為治君) この精製会社がある程度これは利潤を得ておることは事実でありますので、私どもとしましてはなるべく必要な方面に対しましては安い価格で販売をするように行政指導をしたいと考えております。現に漁業関係につきましてはA重油については昨年の初めからある程度価格を押えてやっておりますが、その他のものにつきましても、あるいはまた今やっておるものにつきましても、さらに値段を切り下げて販売するように持っていきたいというふうに考えております。
  96. 海野三朗

    海野三朗君 これはやはり通産省としてはそういうふうなこの値段についてはもう少し専門的の立場からお調べになっておるのですか。ただ調べたいという意向だけでありますか、何か着々お調べになっておりますか。
  97. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 現在におきましてもいろいろその調査をいたしております。またそういう資料も現在どんどんとりつつあります。
  98. 海野三朗

    海野三朗君 それから、もう一つお伺いいたしたいのですが、このたびの開発会社の法案を見ますると、一方からは帝石救済の策であるというような悪口か何か知らないが批評も聞えるわけであります。そこでこの帝石というものをわれわれが考えましたのでは国策会社にできないかということ、こういうことでありますのに、この前鉱山局長はいろいろここに困難があるというお話でありました。そこで開発会社にこの帝石がつまり株を持つということになっていったときは帝石の持っておるもともとの株に対する権限というものは相当強力なるつまり発言権を持っておるわけであろうと思うのです。大体の資本は国家が出すのであるけれども、いつとはなしに一部株主たちによって将来の開発会社のあり方が左右されるようなおそれはないのでしょうか。そういう点に対するはっきりした見通し、それから政府の信念とをお伺いいたしたいのです。
  99. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 新しい会社に対して帝石が相当株を持つということになれば新しい会社が左右されるのじゃないかというような御意見ではないかと思いますが、それに対しましては、この会社は政府の方で少くとも二分の一以上は出資するということになっておりますし、それから帝石以外のものも相当出資するということになりますので、この会社が帝石に支配されるということは全然ないというふうに考えております。
  100. 海野三朗

    海野三朗君 そうしますると全体、国家としてのつまり政府の資本は五〇%以上になるわけでありますか、いつでも。
  101. 川上為治

    政府委員(川上為治君) この会社法の第二条の第二項でありますが、「政府は常時、会社の発行済株式の総数の二分の一以上に当る株式を保有していなければならない。」ということになっておりますので、常に二分の一以上の株を政府が持つことになると思いますから、その点は御心配ないと思います。
  102. 海野三朗

    海野三朗君 それから帝石の方からいろいろ、つまり鉱山の試掘権といいますか、そういうふうなものやら、あるいはボーリングの機械とかそういうものは、つまり出資に計算されるわけでありましょうが、そういうものに対する評価というものは何を基準にしてお定めになりますか。
  103. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 鉱業権とか、あるいはその他の機械とかそういうものにつきましては、これは出資にはしないわけでございます。これは鉱業権につきましてはこの会社が帝石の方から買い取るわけでございます。それからまた一般の機械類につきましても必要なものにつきましてはこの会社が適当な価格で買うということになるわけでございます。
  104. 海野三朗

    海野三朗君 その買うときの値段の評価ですね、それは何か一定の基準がありましょうか。
  105. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 従来その慣習としましては、試掘権につきましては、帳簿価格で譲り受けをしまして、そうしてあとで油が出ましたものにつきましてはいわゆる歩油と称しましてそのうちの五%なり、あるいはその六%なりをこれを払っていたわけでありまして、いわゆる鉱業権の対価として帳簿価格プラスの歩油ということになっておりますのが、これが従来の慣習でございましたので、私どもとしましてはそういうことでやったらばというふうに考えておるわけでございます。しかしこれにつきましては、この条文にはありませんけれども、何か特別な委員会で設けましてそうしてそこで適正に評価しましてやるということもまた考えられると私は思いますので、その点は、あるいは条文をそういうふうに改めることもまた一応現在考えております。
  106. 海野三朗

    海野三朗君 つまりその点がこの法案としては少し、これだけが足りないように、弱点のように思うのですが、やはり、そういうふうにお考えになっておりますか。
  107. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 私どもとしましては、第十条で、鉱業権の譲渡の問題につきましては、その対価につきまして通産大臣の認可を受けなければならないということにしてありますし、この認可につきましては、大蔵大臣と協議することになっておるのですが、なおこれではどうしても足りない、何か公正な委員会でも設けて、委員会でいろいろこれをきめるというような方法がよろしいということも一応考えられますので、その点も一つ研究したいと考えております。
  108. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと今の点に関連するのですが、この間から政府委員質問申し上げているのだが、どうも私の考えと少しピントが合わないところがあるのですが、つまり、普通の試掘権の処分ならば、そういったような慣習もありますから、帳簿価格プラス歩油ということでいいと思いますけれども、この帝石というものは、特殊会社じゃないけれども、とにかく国から非常な援助を受けておるのだ。この間大蔵省の政府委員説明によれば、今の金に直すと三十五億といいます。三十五億以上の金がここにつぎ込まれておるわけですね。それからまたそういうふうな会社であって、日本の石油資源の開発を目的とするこれは特殊のやはり使命を持っておるのだから、その意味においては一つの国策会社だと思う。その国策会社なるものが、いろいろ今日の情勢から見て、もはや金のかかるその試掘をするにたえない、こういうて、つまり俗な言葉で言えばおじぎをしたわけですね。あるいはおじぎをしようとしているわけですね。それで、せっかく日本にある資源が、それでは開発に困るからというので、今度は国が今の御説明のように半分以上も資本を出して国が乗り出そう、こういうことですから、そうすると、どうしても今までの帝石というものの始末といいますか、国の三十五億以上の金をつぎ込んだ会社というものに対する始末という問題が起ると思うのです。ただこれは、しかし政府委員お話通り、もう特殊会社でないのであって、普通の会社であって、株主総会できめるのだから指図することはこれはできないのだ。これはそれでいいと思います。いいと思いますが、少くとも本来そういう意味で方々からかき集めたものもあるのですからそういうものを、今のように歩油の制度をとるということになると、試掘権はおじぎをしたことにはならない。やはり試掘権を売ると、こういうけれども、売るのだけれども、考えようによっては、当ったときに分け前は少いかもしれないけれども、危険は今度の新しい会社がみな負うのですから、そうして当ったときに安全なものをとるということですと、そういう意味で帝石が出した試掘権を集めたものじゃなかろうと思う。帝石が試掘権を集めたものが、自分で危険を負うて掘るということで集めたと思うのです。だからどうもそこは自分で歩油をやるというと、私の考え方からいうとピントが合わないのであって、普通の場合はどうか知らないけれども、帝石に関する限りは、やはりそれはもし帳簿価格というまあもので渡すか何かで、そうしてやはりちょうど鉱業権のこの間のあなたの方の何か臨時措置法のお話しもありましたし、それから普通の鉱業権なり試掘権を設定しましても何年かやらなければ当然これは消滅するのだ。補償も何にもないのだ、当然消滅するのだ、それと同じ観念であって、期間は何年かこれからあるかもしれぬけれども、もうやりませんと、こう言うのであるから、今日もう試掘というものを採掘する意思がないということもはっきりしているのです。ほっておけば何年かの間には、ほかに売るかどうかはわかりませんけれども、当然これは消滅すべきような性質なんです。そう言っちゃ少し極論かもしれません。その間にだれもぼやぼやして消滅するのを待たぬでしょう。どこかへ売るでしょう。しかしどこかへ売るといっても買う相手がないでしょう。買って採掘しても引き合わないからこそ国が今度新しく会社を作ろう、こういうのですから、それだからどうも財産権というけれども、普通の財産上の価値というものは、今度政府が作る会社がこれをやる以外にはまあいわば買い手がないような、これは性質のものだから、どうもプラス歩油というところが少しおかしいのじゃないかという気でこの間からしばしば質問も申し上げているのだが、そこがどうでしょう。私の考えは間違っているのでしょうかどうかということを一つお教えを願いたいと思います。
  109. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これは逆に教えてもらった方が私はいいと思うのですが、私どもとしましては、今委員長のおっしゃいましたこともこれも実にごもっともなことだと考えております。ただその帝石がかつて鉱業権者の方からその鉱業権を譲り受けましたときの実はその試掘権の評価を調べてみますというと、採掘権につきましては、これは評価委員会を設けましてそして適正な評価をやったようであります。ところが試掘権というのはこれはもうどうしても評価ができませんので、これはですから当時としましては、やはりその鉱業権者の帳簿価格の二倍というところでほとんど買い取っておるようであります。その二倍というその中に歩油の観念も若干入っておるのじゃないかというふうに私は考えておるのですが、今回におきましても実は簿価で買い取っておる。そうして当りましたならばこれは最低の歩油をある程度出したらというふうに実は考えたわけでございます。しかもその歩油というのをこの会社が勝手に出しますというと、今先生のおっしゃいましたような従来の問題もありますので、私どもとしましてはこれはもうなるべく最低の線でしかも通産大臣の認可事項にしてやろうというふうに考えたわけでございます。この試掘権の評価を何か最も適正な方法でやることができれば最もいいと思うのですけれども、どうも実際当るか当らぬかわからぬというような試掘権でありますというと、従来からもどうもその方法がないようでありまして、結局今申し上げましたようなそういう慣習がありますので、そういう慣習をこれを元に厳密に一つしまして、そうして最低の歩油程度を出して、そうして通産大臣の認可事項にしたらというふうにまあ考えたわけでございますが、なおこの問題につきましては、私どもとしましては、今委員長からおっしゃられましたような点がありますので、これは何か委員会でも設けまして、そこで適正な一つ措置をとった方がよくはないかというふうに、そう考えております。
  110. 吉野信次

    委員長吉野信次君) なお言いたいほうだいのことをお許しを願えれば、帝石を最初作るときは試掘権というものは財産上の価値があったわけです。その帝石はこれを買って大いにやるのだから。ところが今日はもはやだれも引き合わないものはやる人がなくなったわけです。だから第二の今後の石油資源の開発の会社ができさえすれば試掘権というものは引き合わないのですから、本家本元の帝石もやらないというのですから、まれな例外はあるかもしらぬけれども、もはや財産上の価値が極論すればなくなったと言っちゃ語弊があるかもしれませんけれども、著しく減殺されておりますから、少くとも最初帝石を作るときと同じように評価するというのは私は公正じゃない、こういう考えなんです。実はこの間大臣にも言葉が少し下卑ておりましたけれども、罪滅ぼしと言っちゃ語弊があるけれども、今の帝石がせっかく政府の補助をもって今日までやって参りましたけれども、もはやこの上もう負担にたえませんと言って、そっくりそれを帳簿価格は何ぼか知らんが、ただで提供するくらいな美挙があってもこれは少しもおかしくない性質のものじゃないかというふうに私は考えるのです。これはしかし言い過ぎの点もございますから、しかし政府の方でもお考えになるということですから、その点はこれは私個人の意見です。委員のお方のいろいろ意見があるでしょうが、どうも通常の場合と違うのです。あの帝石を作るときと今日と違うのです。やり手がないのです。もはやだれもやり手がないから政府が半分以上の株を出してやるのだというところにやはり問題があるだろうと思うのです。まあ大臣なんか違うと言われるならば、一つ啓蒙のために……。
  111. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 僕のしろうと論を一つ…‥。私は帝石を弁護するためにも、彼らの利益をはかろうとも思っていないのですが、帝石というものも何ですね、国家資金でやるから帝石というものができたのです。これはだれでも民間資本で日本の石油の試掘ができるということは考えていなかった。帝石ももし国家資金をうんとつぎ込んでくれれば帝石がやるでしょうけれども、しかし今の状況では国としても今のままの帝石では国家資金をつぎ込んでやるということもできないし、わずかばかりの補助金では思うようにいかん。国家としてはこの際五カ年間で一つ少くも百万キロリッターまで出そうということで促進をするのですから、帝石が頭を下げて、いわば国家の方針に従って国家の言う通り帝石自身がやらないという点は事実ですけれども、しかしながら国家の要請があるのだから、どうもそう委員長の言うように帝石が頭を下げて来たからしようがないから拾い上げてやったというほどのものではないと思うのです。
  112. 吉野信次

    委員長吉野信次君) その点は少し言い過ぎかもしれませんが、しかし帝石の成り立ちも多少私知っておりますが、あなたのおっしゃる通り、あなたの言う意味は今日の事態において五カ年計画なら五カ年計画で大規模の試掘を民間がやるということはないかもしらんが、前にやっておった、帝石の以前はみな一つ企業としてもう民間で日本鉱業もやれば日石もやればみなこれを採算に合う仕事として製油事業をやっておったのです。それを民間でやるべからずと言ってみな巻き上げてしまったのだから、それでもしそういう議論をなさるならば、私はここにまた疑いを持っておるのであって、それはできないとおっしゃるからそこまで言わないけれども、もし空な議論だけすれば、むしろ帝石のもとに返して、そうしてあの持っておる試掘権をもとに、日本鉱業なり日石にみな返されたらいいと思う。そうすれば日本鉱業なり日石なりで、今の石油関係のある人が絶対にやるかやらんかということはこれは問題だろうと思う……。
  113. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) もちろんやんらだろう。
  114. 吉野信次

    委員長吉野信次君) これは私は問題だろうと思う。これはどうも当事者でないからやるともやらんとも言われないけれども、そうでなければ何でしょう、まあそれ以上のことになると少し話がくどくなりますから、やめますけれども、それは五年計画、六年計画というものの大規模の計画というものなら、これはお話通り国がやるのでなければいかぬかと思います。しかしこれもお話が出たけれども、その六カ年計画というものについても政府の骨子も実はきまっていない。この間も資源計画を伺ったけれども、それに対してどこまでも政府がやるとも仰せられない。ただ一応の財政計画だけで、やるかどうか知らんというようなふうにお話しになっている。どこまでも五年計画で、長期計画で政府の全責任をもってこれをやるのだということになれば、これは民間では太刀打ちはできないでしょうが、しかしその計画が先にあって、そういう計画を立てたら帝石もきん然それに参加したという今の大臣お話だが、あるいはそうかもしれません。しかしそういう見方が世間に必ずしも定説ではなくて、逆な見方をしておる、世間では帝石は行き詰っておるからどうかしてくれと政府に泣き込んだんだと、これは流言飛語です。私は大臣の御言明を額面通りとりたいのでそういう流言飛語は耳を傾けたくない、しかし世間に伝えられておることは絶無ではないと思う。政府が今の百万キロリッターですが、五カ年計画の大方築を立てたと、しかし大方策の前には、帝石は仕方がないからきん然参加いたしましょうと言って、いわゆる脇役であって、政府の方針に脇役として滑石が参加したと、こういう大臣の今のお話ですから、それが額面通りしかりとすれば私は何をか言わんやであるから非常にけっこうなことであると思いますが、ただ不幸にして世間ではその逆のような、少くとも私自身もそれとは逆な感じというものを持って今日まできておるのですから、まあこれ以上は意見になりますから申し上げませんが、まあ私の立場、私がなぜそういう議論をしたかというと、そこに根本に大臣と認識の違いがあるのだな、そういうことからそういうことがきたんだろうと、こう思うのです。
  115. 小野義夫

    ○小野義夫君 私はねらいと申しますか、石油を国家の資本、国家の力をもってそしてああいう非常に危険の多い仕事をやって、そして日本のいわゆる経済五カ年計画の一環としてやるというそのねらいについては私は非常に賛成であるのみならず、これは一面まず石油を初めとしましてあるいは今問題になっておる原子力のウランの原鉱であるとか、あるいはゲルマニュウムであるとか、あるいはそういう希有元素に関する採鉱問題も国家が主力を注いでやろうという観点に立ちますれば、今まで金をつぎ込むところは農林一点張り、あるいは公共事業一点張りといったような今の国家の資本をどっちかと申すと非常に、国の急用であるか急用でないか、採算圏内に入るか入らないかということのいわゆるほんとうの研究調査が未熟のうちにいろいろな予算が早急に編成され可決されるというようなことは非常に慎しむべきであって、まあ今度は従来からそうであるけれども経済審議庁を企画庁として大いに企画を盛んにして、その企画の一端としていろいろな地下資源その他の天然資源を堀り出していくと、そのねらいは非常にいいので、その意味から私はこれに反対ではないのでありまするが、さてその会社は、これは私どもははなはだ失礼だけれども、三、四十年もボロ会社を経営した経験がありますが、私などは鉱山で四十何年の月日を今日まで一日も休まずにやっておるのでありますが、この鉱業経常の資本形成というのは非常に困難であります。ここにある、今のこの会社がもくろんでいる資本形成が非常に僕は危ない、危ないからこれを作られて、通産大臣なりあるいは鉱山局長が作られたときにあとでこれが二、三年、大体会社というものは作ってから大てい三年ぐらいに参ってしまうのです。つまり企業費の方はどんどん要る、手配をする、人も集める、人はいいのですけれども、人の和は困難、重役陣もなかなか統制困難、あらゆる問題が起ってきて三年目くらいに…‥結果が十年、二十年後に現われるならあなた方は責められることはないんだけれども、二年、三年で参ると必ずやそら見たかと言って、証拠が残るからそれで私はそのしっぽをつかまえて、大いにあなたに迷惑じゃないかと、まあこういうふうに、従って政府も政策の批判を受けるのじゃないか。もしそういうことになりますと、今後どんどん起ってくるところの国策会社ないしはこれに類似するものが、先達がつぶれれば、その巻き添えを食って生まれてこないということになるのは、非常に国家のため憂慮すべきことであるから、念には念を入れて、一番おもな点はやはり人事でありますけれども、さらに金融の問題であります。そこで私の方が、これは今はできないかもしれませんけれども、慎重審議するという点もそこに一つはあるのです。この会社に限っていえば、すなわちこれは授権資本を初めから百億とか何とかというような、あまり膨大な、これは二百三十億の資金計画なんです。そのうち当分がこれから掘り出すというものが百億、あとの約八十億は資本金、それからあとの約五十億は借入金ということで、百三十億の方は、つまり資本ないし借入金となっておるのです。ですからこれをもう少し圧縮して、百億くらいな授権資本の株式会社をぶっ立てて、その授権の株はどういうふうに持つかというのが、これは一つ問題になるのですが、私は石油八社の成績から見まして、百八十億の投資に対して、百五十何億の一応利潤をあげている。精油会社は一面、国家の資金をむだに使わないという義務があると同時に、あまり暴利をとっちゃいかぬという義務も負っているのだ、今後はどんな会社でも何でも、多数人の消費物件によって、ある一社、一個人が通常の利潤以上のものをとるということは、いかなる点からも託されないという観点からしまして、石油会社は、今の精油会社は、みずから原料を求むる義務があるのです。外国から買ってくるという……。たとえば砂糖でいえば、北海道でテンサイ糖を植えることに大いに砂糖会社は協力してやろう。これもたとえば精油会社が大いに協力してやろうということで、株の一部は引き受けるということであるけれども、私はまずもって精油会社が百億の授権資本を五カ年間に払い込みするというと、年額二十億ずつになります。そこで政府はむしろ配当保証のごときものを、この会社に対して他の恩恵は与えないで配当保証をやるか、あるいは従来の三億が足らなければ、これを七億出すならば、毎年七億出したって、あるいは十億出したっていい。補助金の形で十億出すか、あるいは七億出すか、あるいは百億に対する配当保証を一割とするならば、ちょうど年額十億になるが、これを六分の配当を保証するとすれば六億になる。そういう格好にしておくならば、これは今のような、あの会社はへまにいったじゃないかというような批判も受けないで、政府は堂々とこの会社を育成するためには配当保証をするから、みんな一ぺん精油会社なり、あるいは帝石なり、その他また金あるものは一般大衆でも、保証付の株だから引き受けるというふうにして、授権の株をまず大体の計画の百億か百五十億というものにして、そうしてそれに保証制度なり、あるいは今の補助金制度というものなりやれば、禍根が残らずに、そうして三年でも五年でもその資本金を徐々に使っていけば、この仕事がやっていけるのじゃないか。あまり急激に一気に成功しようということは、これはやはり何といっても新店は新店なんだから、漸を追うて進むのでないというと、幾らそこにたくさん掘ったからというても、乱掘になり、経費のむだが起ります。人も不熟練な人でも仕方がないということになり、失敗が多いということになるから、これはいわゆる急がば回れで、安全な制度をとっていくということが非常に必要ではないか。このこと自体は、これはわれわれ政治に連なる者が、日本の石油を開発せんでいいとか何とかいうような、そういう結論には容易にいくべきではなかろうと思う。その点は資本構成が、今の格好と政府の援助方式が、この方法が最善だというふうに考えていないということが一つ。その次に私の根本問題は、これは同僚議員の賛成を得られれば、私はガスは第二次、第三次にやはりこの会社の成績を見、あるいは出発が完全にいったならば、同じ格好ではなくても、これに応じて日本の天然ガス開発のための探鉱会社といった方がいいでしょう。探鉱会社一つの小さな、これは資本金数千万円もしくは最大一億もあればいいような会社で、あとは政府のできるだけの範囲で、毎年五千万出してもらうか、一億円出してもらうかしらんが、これはその場その場の消耗的な探鉱でございまするから、そういう探鉱を順次各府県にわたって、一応地質の調査にもなりますし、それからガスの何にもなるから、そういうことを考えているので、この際は法文の上に石油の対策と、天然ガス対策というものをはっきりするために、今の二つ並行的に規定してあるのを、石油だけはずして、ガスだけ生かしていただくのが妥当じゃないかと思うということが一つ。それからそれはいろいろ差し迫って困難であるといえば、私自身としてはそれを切り離すということで一応私のその理念は明確に通るのでございますから、その先はむしろ御注意を申し上げるわけであって、従ってこれは非常に急がれている事情はわかるのだけれども、あまり功を急いでし損ずるよりは、少し何カ月か、三、四カ月くらいおくれても、万全の処置を講ずる、このことをやるという意思が、みなここで委員が確認されるならば、衆知を集めてもっとうまい、味のある会社ができるのじゃないかというような気持も私はいたすのでありまするが、まあどうしても延ばされぬから、あす、あさってのうちにぜひとも、何でもいいから多少の修正はしてもやるとおっしゃるのか、通産大臣のお気持を一つ承わっておきたいのです。
  116. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 資本の構成について、小野さんの御意見はなかなか興味の深い御意見と思いますが、そうしますと、私はいろいろ考えた末こういうことになったのですが、やはり民間の出資を主体にした会社へ政府が配当保証をするとか、あるいは補助金を出すとかいうことの方が、かえっていろいろの批判を受けるのじゃないか、かように考えまして、むしろ政府の出資を主体にして、そうしていわば補助的に民間の出資をさせるという方が、かえって皆さんの御協賛を受けるのにも、あるいは国民全体の感じも、これはあくまでも政府の仕事だ、こういうところでいく方がいいだろう、こういう考えから、いろいろ迷った末に、こういう特殊の会社を作ろう、こういうことにいったわけであります。これが最善の唯一の方法とまでは申し上げませんが、今まで考えたところでは、これが一番無難ではないかということで、こういう結論にいったということを申し上げます。  それから急ぐか急がぬか、これは法案を出した限りは、私どもとしてはぜひ一つ成立をするようにお願いをするのであります。それから仕事としましても、何もそれは一日、二日を急ぐ仕事ではないといえば仕方ありませんが、とにかく一つ五カ年計画の石油の試掘をこの際大いにやろうという意気込みが各方面にありますうちに、やはりスタートした方がいいと思いますから、なるべく早い期間にスタートができるようにお願いをしたいと思います。
  117. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 大臣の今御答弁されたのに付言して申し上げますが、ガスの開発の問題につきましては、これはこの前から申し上げた通りなんですか、この会社によりしましても、この会社を通しまして、助成なり、あるいは援助なり、あるいは共同鉱業権というような格好でやるなり、そういうことはできる建前になっておりますけれども、これは衆議院の方でも実はこのガス開発の問題につきましては、十分一つ考えてもらいたいという付帯決議もついておりすので、これは場合によりましてはこの会社を通さなくても直接助成するというような建前をとっても実はいいかともかように考えております。これはまたその点は法律修正ということになりますが、もちろんこれは衆議院の方とも御相談しなければならないことになります。私どもの方としましては、その点はそういうことでも差しつかえないじゃないかというように考えておりますが、私はこの前申し上げましたように、これでもとにかく十分いけるんじゃないかというようなふうには一応考えております。
  118. 小野義夫

    ○小野義夫君 今、鉱山局長から御答弁がありましたのでありまするけれども、これはもう同じことを繰り返すので申し上げませんが、これは他日に大いに天然ガスに期待することが大きければ大きいほど、この際はつまり石油政策と分離してそして法文上並びに予算上において独立する、付属のものではない、独自の資源であるという見解におきまして、法文及びそれに付帯するところの若干の予算上の経費を残しておいていただきたいと思うのですが、このことはいずれ修正案を提示しまして、そしてこれを可決していただく前に、はなはだ失礼でありまするが、委員長におかれまして政府並びに衆議院委員会なりその他の、まあこれなら認容し得るという見通しができるかどうかというような点まで一つ念を押してそして修正案を出していただく、相談をしていただきたいと、こう希望いたします。
  119. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 今のに関連しておるのですけれども、ここに手元に修正案なるものが回っておるわけです。それを読みますと、今小野委員から御質問になっておったようなことが取り上げられておりまして、石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案修正いたしまして、可燃性天然ガスの探鉱についての助成金を残す、こういうことにもしなった場合に、今年の三億円は全部新会社に使う、来年からは新たに新会社の出資金とこの可燃性天然ガスの助成金は別に組まれるとしても一体本年度はどういう処置でこの修正案を生かして、もし通った場合ですよ、いかれるのか、予備金から支出をしていかれるのか、あるいは三億円を分けられるのか、その辺を一つ
  120. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと申し上げますがね、その修正案というのは、まあ高橋委員から一つの試案として今配っているわけです。まだこの委員会には付議していないのです。そのつもりで一つ
  121. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 だから、もしそういう修正が通った場合にはどこから今年の分を出すかという、こういうことです。
  122. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 今年の予算面におきましては三億と、こういうことになっておりまして、その三億はこの会社に全部出さなければならないというような決定にはなっておりませんので、そういうような文章もありませんので、この三億のうちから二千万円なら二千万円、あるいは千五百万円なら千五百万円というものをこれは直接ガス関係の方へ、天然ガスの試掘業者の方へ出す、残りの二億何千万円というものをこの会社の方へ出す、こういうことになるかと思います。
  123. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 それは、では三億円というものはくずれるわけですね、政府の新会社に対する……。
  124. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 三億まるまるというのはそういうことにいたしますというと、くずれるということになります。
  125. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 それはそれといたしまして、この前ちょっと質問をしてどうもその答弁がなかったのですがね、この前お聞きしたところでは今まで帝石に対して国が助成をした金額は、この額は三億くらいだけれども、貨幣価値が変動しておりまするから、今日の貨幣価値に直せば約三十五億円になる、しかも納付金で国に入っておるものがわずか三千数百万円である、こういうことなんですが、ここで帝石としては国の助成によって相当に油田を開発して、その部分は、新しい帝石は純然たる民間会社としてこれを受け継いでいる、しかもその譲る鉱業権については歩油が幾らになるか知りませんが、そういう制度まで考えられております。そうして納付金は一向に納めていない、これではあまりに虫がよすぎるので、将来助成金が打ち切られたあとにおける納付金の納入計画、そういうものは一応立っておりますか。
  126. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 実は納付金の制度というのは、これは最近から実行したのでありまして、従来相当額の助成金を出したのですが、これは別に納付金を出せということにはこれはなっていなかったわけであります。五億幾らというのは、これは戦前からずっと前からのやつを入れまして、総計五億ということになっておりまして、この五億の中には昨年の一億三千万円も入っておりますので、前はそうたくさんの助成金をもらったという格好にはならないわけでありますが、その時代においては別に納付金というような制度はなかったわけでございまして、終戦後たしか二十七年と思いますが、その時分から納付金の制度ができまして、その納付金の額というものは大蔵省とも相談してきめたのですが、非常に低くございまして大して返らぬという格好になっておったわけであります。それをまた二、三年前に改正しまして、ある程度返るということになっておったのですが、実際は当らないところにその助成金をやりましたのが相当ございまして、そのために納付金が現在五、六千万円しか返っていないという状況になっておるわけであります。
  127. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 この新会社が成立した後に帝石の企業運営方針がどういうふうな方向に向いていくかということはわれわれの非常に深い関心を持っているところであります。それにつきましての御答弁を伺いますと、帝石は新会社の発足後におきましては、ガスの方向に企業通営を持っていく、こういうことがはっきりいたしてきたわけであります。そうなりますと、現在の帝石の技術陣及び従業員は既存油田の減退にいわゆる比例して不必要になって参りまして、半面新しく生まれる特殊会社は、これらの従業員が必要となってくるわけであります。ここで大きな問題は、特殊会社は極力少い人員で事業運営を進めようとするでありましょうし、帝石は極力特殊会社にこの従業員を送り込む方法をとると考えられるのであります。この場合、間にはさまった従業員の間には、大きな不安が生じてくると考えられるのでありますが、このようなトラブルをなくいたしまして、衆議院の付帯決議にありまする点を実行していくためには、政府はどのような措置を講じた方が最もよいと考えられているか、衆議院の付帯決議に対する政府行政指導の方針についてお伺いしたいと思います。
  128. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これは資料としてお配りしてあるかと思うのですが、五カ年計画を遂行するためには、その最後の年におきましては、少くとも五千人くらいのこれは人員が必要でございます。最初の年は千百人以上ということになっておりまして、現在帝石におきましては、大体従業員五千名ちょっとと思うのですが、この会社がこの通りの計画で活躍するということになりますというと、私は少くとも現在の帝石の人員だけでは足りなくて、もっと外部からも入れなくちゃならないような状態になってくるのじゃないかと思います。原則としましては、どこまでも帝石の方を優先的にこの会社に入れるように私どもの方は持っていきたいと思うのですが、なおそれでも足りないということになるかと思いますので、その点は御心配はないのじゃないかというふうに考えております。
  129. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 ただいまおっしゃいましたこの資料なるものをわれわれもらっておりますが、石油資源開発株式会社の事業概要の六ページがそうだろうと思うのです。「油田開発所要人員予定表」というのによりますと、昭和三十年度が千二百二十五名、三十一年度が千九百十三名、以下ずっと増員をして参りまして、最後の年に五千八百七十五名になっている。これはそのままそっくり帝石から受け入れるものであるというふうに了解していいのですか。
  130. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これは所要人員でございますが、私の方としましては、帝石の方から入れることを最優先的に考えておりますので、帝石の方で出せるということであれば、いつでもこれは引き受けるような考えでおります。
  131. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 この表によりますと、本社関係というのが初年度百人で、次、百人、百五十人、二百人、二百五十人というふうになっております。二百五十人というのが最高で、あと横ばいになっているようであります。新油田開発関係、探鉱関係は順次年を追うてずっと増していっておりますが、さらにその場合、身分もそっくりその新開発会社に移っていくのでありますか、あるいは委託炭鉱というような形で、身分を帝石におきながら、新開発会社の開発事業に協力していくという形になるのでありますか。その辺をもっと詳細にこの表を御説明願いたいと思います。
  132. 川上為治

    政府委員(川上為治君) この表におきましては、いわゆるその帝石に対しまして請負をさせるというような考えでは作ってございません。全部この会社が直接やるという頭で作っております。これはすべて、資金計画もそういう頭で作ってありますが、私どもとしましては、この前も申し上げましたように、最初は移り変りの関係もありますので、これはある程度請負を帝石にさせなければならぬかと思いますが、これはなるべく早くこの会社が直接やることにもっていきたいと考えております。従いまして、この本社関係の二百五十人でありましても、これは私の方としましては、これは一日も早くこの計画に従って会社の方へ切りかえていきたいというふうに考えております。
  133. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そうしますと、特殊会社はもちろんのこと、帝石側におきましても人員整理等の労働不安を生じないように厳重に政府は監督をしていく必要があると思うのです。新会社に対する監督権は、これは多額の出資をするのでありますからもちろん考えられますが、しかし現在政府が持っておりまする帝石株というものは、特殊会社に現物出資をする関係上、帝石と政府関係は、全くこれは打ち切られることになるのであります。このようなことから、政府は一体どのような立場で帝石を監督して、今御説明のようなことを実行させていかれるのでありますか、その辺をはっきり一つ御答弁願いたいと思います。
  134. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これは法律的に見ますというと、帝石に対しましては実は特別な監督権はないわけでございます。しかしながら帝石とこの会社との間に、私は一定のやはり契約を結ばして、そうしてそれによって円滑に推移できるようにさしていきたいというふうに考えております。なお帝石と政府との間に、何かやはり関係を持った方がいいということであればあるいは株を早急に全部これを新会社の方へ持っていくということも、これを売却するということも、あるいは考える問題でありますので、ある程度は株を残しておくということも一つ考え方かと思いますけれども、いずれにしましても、帝石とこの新会社につきましては、はっきりとした契約を作りまして、それによって順次スムーズにこれが移っていくようにというようなふうにしたいと考えております。
  135. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 政府考え方はわかりますが、その場合帝石が新会社とそのような契約を結ぶことに応ずるという確言を得ておられますか。
  136. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これはこの前も申し上げたのですが、実は帝石の方としましては、この会社に対しまして鉱業権の譲渡その他いろいろな問題について、極力できる限りの協力をしますということを通産大臣あてに一札が入ってきておりますし、かつまたこれは取締役会あるいはその大株主の方の承認を得ましたことでありますので、私どもはそれを信じてやりたいというふうに考えております。
  137. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 この点については、これは一つあなたが信じておられても向うが応じなければどうにもならないわけですが、しかし確信を持って一つ対処していただきたいと思うのです。この前からだんだん質問の中にも、こういうように鮎川さんが帝石の社長になられたときの構想としては、自分は帝石の社長として国内の少い資源を掘るくらいで満足しているのじゃないのだ、東南アジア、中近東等にある多くの石油資源を開発するための技術人をこの帝石において養成をして、そのプールから適宜人を供出して国家の要請に沿うていくのだと、こういう大きなふろしきを広げておられるわけです。また現在の、帝石の今日の技術人というものも国の非常に大きな助成によって今日までなっておるのでありますから、帝石は当然それくらいの国家目的に沿うだけの用意を持つべきなんであって、その点は一つ一方的にあなたがお信じになっておるばかりでなしに、はっきりくぎをさして、帝石にそれだけの探鉱試掘に対する協力の形というものをは、しっかりと一つ打ち立てておいてもらいたいということを、これは要望事項として申し上げておきます。
  138. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと速記をとめて。    午後三時七分速記中止      ―――――・―――――    午後三時三十七分速記開始
  139. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて。  ちょうどさっきから小平さんがお見えになっておりまするから、この間ちょっと提案理由説明だけ聞いたのですけれども、株式会社科学研究所法案、ちょっとこの間申し上げた通り、大体今のままではどうして工合が悪いか、今度はこうなるのだということを一応御説明を願いたいと思います。
  140. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 前回の委員会におきまして、委員長から科学研究所が現状のままではどうしてまずいのか、こういう節の御発言があったわけでありますが、科学研究所の現状につきましては、皆さんにおかれましてもよく御承知かとも思うのでありますが、また現在の科学研究所がいろいろな意味において決して満足すべきものではないという状況にあることも御承知と思うのでありますが、一番何と申しましても問題なのは、現在の科学研究所が財政的に非常に困っておる。従ってこの研究が十分に行えない状態にある。一言にして言えば、これに帰するかと思うのであります。言うまでもなく研究でありますから、なかなかその成果が短時日の間に上るというわけには参りません。そこで従来の科研としましては、財界方面の援助のもとに、また政府の若干の補助のもとに今日までやって参ったのでありますが、その基礎がいかにも薄弱でありまして、思うような成果が上らぬ、こういう次第でありますので、ここに科学技術の振興という立場からして、政府の格段の力を入れ得るような仕組みを一つ考えることが必要ではないか、こういうふうにわれわれとしては考えておるわけであります。
  141. 海野三朗

    海野三朗君 この科学研究所につきましては、株式会社というような名前が、この前仁科君が所長の時につけるようになったのでありますが、大体研究の本来の使命は、そういうような商売気になって研究をやろうというその考え自体が誤りなんであって、当時、敗戦後日本はアメリカのケネディーでしたが、あれが来て、もうけてやっておるアメリカの会社、それをまねしてやれということにそそのかされたために、本末転倒したのであります。元来、研究というものは、むすこの学資みたいなものでありまして、もうかってももうからぬでも自分のむすこの学資は続けなければならない。それをむすこにアルバイトさしてお前は勉強しろというような行き方は、きわめて常道ではないと私は考えるものであります。で、この研究につきましては、過去三十年間の私の体験をもってここに忌憚なく申し上げるのでありますが、株式会社というようなものは、絶対これはやめなければならない。単にこの学者をして研究せしめる機関でなければならないのであります。それには政府が年々少くとも十億くらいの金をほうり出すくらいの意気込みがなければならないと私は思う。そうして、この科学技術の振興を目ざすべきものであると思う。研究は天然資源にかわるものでありますから、この研究に対しましては、研究の成果がどうとかこうとかいうことを度外視して、年々一定の金を政府が支出すべきものであると考える。その点から考えますれば、株式会社であるというようなことは、これは絶対やめなければいかぬと私は考えるのでありますが、当局としては、どういうふうな御信念を持っておられるか。近い将来において、この株式会社というようなものをやめてしまおうというお考えがあるのか、また永久にこの株式会社で行こうというお考えがあるのか、その根本のお考えを承わりたいと思う。
  142. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 私から申し上げますが、科学研究所がどうして株式会社になったかといういきさつは、古いことでありますが、これは必ずしも今海野委員が言われるように、研究所の方で喜んでそうなったものとも私は思っておりません。実はあのときつぶしてしまおうと、司令部の方針はむしろこういう日本の研究所というようなものはあまり盛んになることを好まなかった状況がありまして、それで、結局やむを得ず、妙ないろいろないきさつからこれを維持するためには政府からの出資が得られないから、そこで民間の出資を得る。民間の出資を得るには、寄付金ではなかなかうまく行かないから、株式ということにして出してもらう。これは会社の経理なども寄付金はむずかしいが、株式なら一応持てるということから、無理にこういうふうなことにしまして、それで各会社から事実は寄付金を仰いでどうやらこうやら維持してきたというのが実情のようであります。私はもう先年から、これはどうしても形を改めて、もとの財団法人が何かに直した方がいいんじゃないかということは申しておりますが、さて株式会社になってこういうようになって参りますと、急に財団法人に戻すということも手続上なかなか厄介な点がありますので、今度のこれは政府提案ではありませんが、今度の提案者は、形は株式会社ということにとりあえずしておいて、けれども事実上においては政府の機関と異ならないものにしようというのがねらいであると私は考えております。私はこれは今年度においてはどうにもならない。予算の上においてはただ補助金があるだけで、特別な株式会社を作りましても、政府の方で出資するということに参らぬと思いますけれども、しかしこの提案趣旨には私も賛成をしておるような次第でございます。
  143. 海野三朗

    海野三朗君 そういたしますと、やはり将来は株式会社であってはならないというふうにやはり大臣もお考えでございますね。
  144. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) あってはならないというほどに言わなければならぬかどうか。これはまあはなはだ疑問であります。けれども私はまあすっきりした形としては株式会社でない方がいいと考えております。
  145. 海野三朗

    海野三朗君 研究に対しては、やはり通産大臣としてはあまり干渉しちゃならないというふうになっておるようでありますが、この衆議院修正案などを見ましてもそういうふうになっておりますが、やはり研究というものは、自由に研究をさせなさるお考えでありますか。
  146. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) これはむろん政府の希望は申し述べていろいろやってもらわなければならぬと思いますが、しかしながら、不当にその研究を束縛するようなことは政府としてはやらない考えであります。
  147. 上林忠次

    ○上林忠次君 原案をあまり見てないのですけれども、理研ができた当時、中頃までは盛んに基本的な勉強をしてくれて研究を進めたのでありますけれども、株式会社組織にしてからかどうか、とにかく株式会社になってからは利益本位に仕事をした。中におる研究者も自分のしたい仕事もできない。とにかく利潤を追求するような格好に研究が進められたというようなことを私は戦争中聞いておりますが、今回やはり株式会社の格好で作られるそうでありますけれども、これではほんとうの基本的な純粋の日本の中心の研究機関としては値打がないのじゃないか。やはりこれは利益本位の研究題目を夢中で進むのじゃないか。そういうようなつもりでこれが計画されているのじゃないのじゃないかと私は考えます。それについて、私なぜ株式会社で初め進むのか。初めから財団で基礎的な日本のほんとうの、一番のトップを行く、最高水準を行く研究機関であらねばならぬと考えるのでありますが、その点で私は株式会社に不賛成なんですが、なぜこういうような理研の前に行なった悪い経過をまたたどらせようとするか。その点どういう工合にお考えになっておりますか。
  148. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) ちょっと私から先に申し上げますが、私の記憶しているところでは、財団法人で始めました研究所、これは研究所としてはどこまでも勉強してやりました。ただその当時でも、国家から出すあるは寄付金というものが少くて、十分研究ができなかったものですから、そこであそこでできました研究の結果を大河内正敏という、ああいう特殊な才能を持った人が所長だったために、理研コンツエルンと称せられる一つ事業を起しまして、その事業の果実をこの研究所につぎ込もう、こういうことで準戦時態勢ころから事業を盛んにやりました。そういうために、やや事業の方が世間の目について、研究所がうしろに隠れたような格好になりましたが、あの当時においては、研究所自身は決して金もうけのためにやっておったということはないと思います。ところが、戦争後、これが司令部の方針でたたきつぶされた。それでやむを得ず株式会社ということでどうやら存続することになりましたので、全く寄付金も何も十分取れぬものですから、そこでやや経営者はやむを得ないで、あすこへできるだけもうかるようなものを、何か売れるものを一つ研究するようにというような方針を一時とっておったことは、これはあるようであります。しかし近ごろはその弊害も認めまして、研究所自身もこれではだめだ、どうしてもやり切れないからというので、それでまたもとの本来の形に返りたいということを切望をしておるわけであります。これはなぜ今度株式会社というものをそのままにおくかということは、提案者から申し上げると思いますが、私の理解するところでは、先ほど申しましたように、行きがかり上株式会社になっておりますから、そこでとにかくこの際は株式会社という形をそのままにして行く、こういうことだろうと私は想像しておるわけであります。
  149. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) ただいま大臣から御答弁願った通りでありますが、御承知のように現在の科研に対しまする民間の出資が約四億二千万ばかりになっております。これすらなかなか容易ではなくて、先ほど大臣お話がありました通り、戦後の産業界というか、財界というか、これもなかなか特に寄付の形では容易ではない。そこで株の形で実質上の寄付をいただいてきた、こういう事情になっておりますので、今後も政府が一そうの力を入れていただくということもこれは大いに期待するのでありますが、さればといって政府ばかりでやることが果してどうか、やはり科研の性格から言って、引き続き民間の方にも相当やはり協力を願うべきではないか、そういう建前からしますと、やはり当分の間は少くとも株式会社という形においてそのまま行った方が財界の協力が得やすいのじゃないか、そういう見地からやむを得ず株式会社の形態を今度もとっておる次第であります。
  150. 上林忠次

    ○上林忠次君 よくいろいろな委員会で私言うのでありますけれども、通産省からも学術研究奨励金ですか、あるいは産業関係の問題について研究の補助金を出しております。文部省からも出しておる。文部省からのやつは学校へ行くという工合で、まだほかからもそういうような財団があるかもしれませんが、ああいうような研究の補助をあっちこっちからちびりちびり出しまして、しかも少額だと、一つの設備をして研究するのには設備代にも間に合わぬ、とても研究はできない、ああいうようなものをとりまとめてまあ総理府あたりでこれを企画するとか、何かもう少し重点的に有効にああいうふうな予算が使われないものか、今回のこの問題、こういうようなことは中途半端ではないか、やるならばもっと国費を出してしっかり好きなものを、やはり会社の補助金をもらったり委託を受けたりしながら利益本位に走るような経営をするよりは、ほんとうの学術のうんのうをきわめるような機関がほしいのだ、ああいう内容で、学校へ行っても、学校はばらばら散らばってて大きな予算も持たぬ、何もできないというような現状でありまして、何か国の大きな中枢研究機関が必要じゃないかと考えるのでありますが、今回のこの株式会社による前の理研と同じような仕事をするというようなことになりますと、大したまとまりのあるような研究はできないのじゃないか、これも捨て金じゃないか、もちろん研究者は今でも苦しんでおりますから、ないよりはよろしいですけれども、日本としてはもっと真剣に研究をする、自分の経済的な立場にあくせくせずに研究できるような機関を作ってやらなければいかぬと思うのでありますが、今のお話を聞いておりますと、中途半端な金を捨てるような機関に堕するのじゃないか、もう少し大きな、将来を期待するような仕事をやってもらいたいと思いますが、将来はどういう工合にこれを伸ばして行くつもりですか、従来のあの轍を踏まないような道を選んでもらいたいと考えるのです。提案者の方にその将来をどういう工合に考えておられるか、従来の理研のような方式でああいうようなことをやっておるくらいでは、日本のために大して役に立たぬ、これにかわるべきものがあるならいいのですけれども、ないような現状から考えて、もう少しもり立てなければいかぬのじゃないか、それには今回の措置はあまり適切な措置ではないのじゃないかというふうに考えるのでありますが……。
  151. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 上林さんの御意見ごもっともで、われわれも大賛成なのでありますが、この問題につきましては、実は御承知と思いますが、衆議院の方におきましても従来科学技術関係の国の補助というようなものがきわめて分散的に行われておる。そういうものを何とか統一をいたし、また研究自体も全面的に調整をとれるようにしたらどうだろうという構想に出発して、科学技術庁とも称すべきものを一つこの際作ってもらったらどうだろうということで、これは大臣がここにいらっしゃいますが、大臣にも再三お願いをいたしておるわけであります。そういうことが実現いたしますれば、逐次ただいま御意見のような方向に国の科学技術行政の全般が向いて行くのじゃないかとわれわれも期待しておるのでありますが、ただ今回そういうことを待たずしてこの提案をいたしたというのは、先ほども申しましたが、とにかく科学研究所というものが従来から長い歴史を持って存在を現にいたしておるし、それ自体がまた差し迫って非常に窮状にもあることでありますので、とりあえずこの科学研究所に対して国からの資金を受け得る道を開き、いわゆる受け入れ態勢をここに整えておいて政府の一段の力をいたしていただきたい、こういう考えで参ったわけであります。今後の科学研究所の研究をどう持って行くかということにつきましては、これはもちろんこの法律に基いて新しく役員も選任されるわけでありまするし、またこの法律に基いて当局の指導も相当強化されて行くわけでありますから、それらの合議の上に、また従来よりもそれだけでも困らない財政的な基盤のもとに研究というものが発展をして行くであろうと、われわれはそれを大いに期待いたしておるわけであります。
  152. 上林忠次

    ○上林忠次君 それでは提案者にもう一つ……これは提案者に対してよりも大臣に希望を申し上げますが、将来国立の大きな研究所を設けるのだという前提として、その過程としてこれを置いて、今の補助でやって行きたいということに了解していいのですね。そういうような目標に将来大臣としては考えていただく、ただこれは今の会社を大きくするのじゃなしに、大きな国立研究所を作るのだという目標に向って進むべきほんとうのワン・ステップだということに了解していいのですか。
  153. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) さっきお話のありました大学の研究所とかそれから通産省にも研究所がありますし、また農林省の方にもこれはそれぞれ……、通産省と申せば工業技術、むしろ基本研究よりも一そう実用的な研究をするというような意味でこれまた必要だろうと思います。ですからそういうものを一ぺんに一つ所に集めて必ずしも効果があるものとも思いません。ただ日本ではどうも研究というものに対して十分な資金を今まで出すことは、これは実際上できなかったと思いますが、出しておりませんので、どの研究所も十分でないといううらみがございます。一応その中において、科学研究所はとにかく戦前においてあれだけの設備を持ち、相当戦災も受けましたけれども、まあやはりあれは、私はしろうとでよくわかりませんが、話によりますと、相当世界的の水準に達しておる、そう恥しくない施設も持っておるそうであります。また人間から申しましても、なかなかりっぱな人間が集まっておるが、これをこのままに置きますと、つぶれてしまったらその人間もちりぢりばらばらになって残念でありますから、国としてはどうか一つあの研究所というものはもり立てて、お話の一大国立研究所というような意味になるかどうか知りませんが、とにかく相当国が力を入れたりっぱな一つの大きな研究所にして行きたい、こう考えております。それにはワン・ステップとしてこういう方法をとってもらうことはけっこうだと思います。
  154. 上林忠次

    ○上林忠次君 もう一言だめを押しておきますが、営利的な研究にならぬように、唯一の、ほんとうの基礎的な学術の研究をきわめるという研究所であってほしい、かわりがない日本の唯一の研究所にもり立ててもらいたい。ほかにないじゃないかというほどの。そのことを希望を申し上げておきます。
  155. 小野義夫

    ○小野義夫君 けさから、皆様のところ同様、この問題について外来の方々の促進方の陳情があって、受け取ったのでありますが、われわれ知識が乏しくて今さらの感を持つのでありますが、先ほどからのごとくここに株主名簿も出ておるのであります。いずれも日本の優秀なる大会社のように拝見するのでありまするが、結局これらの事業団体が非常に密接な株主になったから、密接というわけでもないでありましょうが、株主ということになれば、やはり利害も伴うし、いろいろあるので、そのときの説明によりますと、なかなか先ほどの御議論のごとく、株式会社というものは、私も非常に奇異に感じて質問をしたのでありますが、絶対に世界に類例がないというのではなく、むしろ日本の国柄のような所には、株式会社の成立が困難であろう、しかし幸いにしてうまく行くならば、株式会社の方がまあその従業員の学者に対する報酬にしても、あるいはその他の面におきましても、研究でも事業現実に接着するのですから、つまり象牙の塔に立てこもって学究にふけって、何年たっても一向に……学術に忠実だというわけで、いわゆる事業と離れがちになりやすいものから見れば、年に二回なり一回なり株主総会はあるし、考課状も出さなければならぬし、いろいろの意味において民間とのつながりもいい、現実に依頼によって収入を受けるものは、年額一億二千万にも到達するような収入を得てきておる、経常費としてはどうしても三億程度のものが要るのだ、そこで補助金とおっしゃるけれども、補助金というと、テーマを与えられて、これを一年なら一年にここまでやれという政府の指示があって、そうするとその指示期間中にその研究が成り立たないというおそれもあるし、非常に金融面において彼此流用という点もできないので、補助金が非常に窮屈だ、やはり民間同様に株主の応募によって、いずれ授権株が多いのでしょう、今現在資本と申しますか四億三千万円に達しておるというお話を聞いておるのでありまするが、政府も同様な意味において株式会社育成の、今の御質問とやや方向がわれわれの考えと違うのですが、育成という方向に発展して、漸次やってもらうならば、やがてはもう政府を相手にしなくても、独立自存の経済も立って行くであろう、従って補助金は非常に窮屈だから、むしろ株として出資をしてもらった方がいいのだと、私は非常に忙しい際にちょっと立ち聞きみたいな陳情を受けたので、お名前も記憶いたしておりませんが、ならほど、おもしろい構想もある、四十年の歴史を経て、その間紆余曲折、三度も四度も資本が困難な状態に陥って、今再建しつつあるというような陳情があったのですが、そのことを政府は御了解の上やはり補助金の方がいいというお考えですか、それとも今のような陳情の趣旨であると、自由自在に使えるところの株式も出していただきたいという、二つをやられるのですか、二つやれるという考え方もあるようですが、どっちですか。
  156. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 補助金というのは二いろほどありまして、今年科学研究所に一億円でありましたか出しましたものは、そういう紐つきではありません。しかし通産省から何かテーマを与えて、これを一つ研究してみたいという意味の補助金であるのです。これは大蔵省の予算の中でしかるべく、幾らだったか出したことはあります。数字は覚えてませんが、年々出しております。それのことだろうと思います。これは一年でやり上げなければならぬ、それほど窮屈なものと思いませんが、そうかといって私は一時、株式会社の方が都合がいいという議論を聞きましたが、そうじゃないと思います。株式会社といいましても、株式という形で補助を受けておるのです。会社の経理上株式の方が補助を受けいいですから、寄付金ではちょっと工合が悪いから、株式から表向きやってもがまんできるというような形で、株式会社ということでやっておったのです。これはそんな長く続くべきものと思いません。ある形で、株式会社の形で寄付を募るということで今後うまくやって行ければけっこうでありますから、反対はいたしませんが、とにかくこの提案によって一応の株式会社、そういうことで残そう、そういうわけであります。
  157. 上原正吉

    ○上原正吉君 株式会社でも財団法人でもけっこうと思うのですが、政府の出資を受ける、政府から補助を受ける会社が営利会社であっては困ると思うのです。そこで今後の科研はどのように監督され、運営されるおつもりか、それを伺っておきたいのです。と申しますのは、現在科研がいろいろ製品を作っておりまして、市場に品物を売り出しておりますが、それを新聞広告をやったり、ラジオ宣伝をやったり、民間会社と競争して、あまり大した品物もない、民間の会社で作るようなものを作って、それを新聞で宣伝したり、ラジオで宣伝をやって売っておりますが、こういうことをする会社に、政府が出資したり、補助金を出してもあまり意味がないように思う、これが現在科研は純然たる株式会社であるからまことにやむを得ないのですが、今後も政府が出資をする、補助金も出すということになると、おのずから形は株式会社であっても、内容が営利会社であっては困ると思うのです。それを一つ承わっておきたいのです。
  158. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) ただいまの御意見でありますが、先ほど来申しておりますように、現在の科研というものが非常に苦しい、研究の成果に従って製品の売り出し等をやって、その収入によってどうやらこうやらやっておる。こういうのが実情であります。今後どうなるかという問題でありますが、それにつきましては、もちろん今度の法案におきましても、事業計画につきましては、通産大臣の認可を要することになっておりますから、従って株式会社の形態をとっておりますが、普通の、いわゆる一般の株式会社のように営利本位でこの研究所が運営されるということは、これは財産の基礎が固まれば固まるほどそういう色彩はなくてこの運営が可能になる、またそういうふうに御監督下さるものとわれわれに期待いたしておるのであります。
  159. 上原正吉

    ○上原正吉君 法案を拝見しますと、特殊会社は登録税が免除されるという程度のことらしいです。それではどうも政府が出資し、補助金を与える会社に対する特典としては少し足りないように思うのです。営利会社でない以上、営利会社であらしめてはいかぬと思うのです、監督して。しからばかりに科研が利益を上げても、それから法人税を徴収するということは、それこそ免除しなければならぬのではないかと思うのです。そしてそれらの利益を、上がりました利益を、基礎的な科学の研究、サイエンスの研究に投資せしめて、初めて政府が出資し、補助金を与えるということが成り立ってくるのではないか、単に登録税の免除をするということで、普通の会社として扱うことは、はなはだ私としては不満なんです。この点はどうなんですか。
  160. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) ごもっともでありますが、先ほどお話のあります通り、この研究所は株式会社の形態はとっておりますが、その本来が、何と申しましても研究が使命なんです。従って通常の会社のようにこの会社の運営が利益本位で行われることはおそらくなかろうと思いますし、従って所得が、この税金を納めるほど出て来るということも、少くとも近き将来には、そう期待できないのじゃないかという点も実は考慮しまして、またあまりに表面からそう多くの特典を与えるということもいかがかと実は遠慮ぎみに考えまして登録税の免除程度で、実際上はこれで差しつかえなかろうということで、この形で御提案申し上げたのです。
  161. 上原正吉

    ○上原正吉君 では、この利潤が出て来るようになりましたら、そのときにはまたその営利会社として考えて法人税を徴収するというふうなことでなくて考えよう、こういう御用意はあったわけですか。
  162. 讃岐喜八

    説明員(讃岐喜八君) 差し出がましいのでございますが、株式会社の形をとります限りにおきまして、法人税の免除ということは非常な例外的措置になりますので困難ではないかと思います。ただいま財団法人等の公益法人におきましても、事業から利益を生じた場合は税を納めることになっております。よほど特別な場合でないと困難な問題と思いますので、念のために申し上げます。
  163. 上林忠次

    ○上林忠次君 先ほども申しまするように、私はかような補助金は、しかも監督は通産省でやらずして総理府でやったらどうかと、これだけの大きな補助金を出すなら、どういうような面にどういうような研究をやるのか、テーマはこれに重点を置く、これはこういうふうにというようなことは、総理府にスタックという機関もありますし、あるいはまたあれに関連して協同体になって働いております学術会議もあります。ああいうところでテーマをもんでもらいまして、利益に関係なしに、売薬を作るような会社でなしに、もっともっと研究してもらいたい。国民が要望するような研究をここでやってもらう。そこまで行かなければおかしいのじゃないか。こんなイージーな、金を簡単に与えて、困っているから少しやろうというようなことがあってはならないと思う。もっともっと慎重にこの研究課題については監督してもらいたい、それには通産省でやるのはおかしいじゃないか。これはスタックでやってもらいたい。それに対してはどういう工合にお考えになりますか。科学技術審議会というのがありますが。
  164. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 先ほど申しましたが、われわれとしましては将来は科学技術行政というものを一本にした行政機関も作って、各研究機関等の調整も強力にやってほしいという考えを持っておりますが、しかしそれが遺憾ながらまだできません。それで現在の科研の状況からして、とりあえずこの科研の強化ということを考えたわけでありますが、特に科研の場合におきましては、御承知通り従来基礎研究ももちろんやっておりますが、同時にいわゆる生産技術と申しますか、産業界といわゆる直結したような研究というものがむしろ主体というか、主流というか、そういう傾向にもありますので、これはどうしても通産大臣の指導のもとに、特に通産省には言うまでもなく工業技術院等があって生産技術の面を管理いたしておるわけですから、現在の機構のもとにおいては、少くとも通産大臣の指導が適当であろうと、こういうことで本法案を出した次第でございます。
  165. 上林忠次

    ○上林忠次君 先般も総理府の組織規程ですか、あれを見ておりますと今度は研究所ができる。これは航空研究所、航空関係の会社の下に今研究機関がないので、国で一つ大きなものを作って、これで民間の方の用途にも役立てよう、研究もさせようということになっております。ただ、この今の科学技術、こういうような大きな研究機関というのはこれしかない。幸い今の総理府にもそういうふうな機関がございまして、学術会議と協力してやろうというような機関がありますので、ああいう所でこそかような問題は処理すべきだ。ただ、これまでの関係で応用的な仕事をしているからというので、それに関連した行政機関がこれにタッチするというようなことではおかしいじゃないか、もう一回練り直さにゃいかぬじゃないか。先ほどからお聞きしておりますと、そういうような国の研究機関を作るというような趣旨からできたものなら、もっと監督機関を変えにゃいかぬじゃないか。
  166. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) それはわれわれ提案者考えも将来科学技術庁というような強力なものができれば、このような研究機関もその国の一つの機関、中心的な行政機関の中に入って行くことも考えられましょうが、お話の現在のスタックですね。これは私もよくあまり詳しく存じませんが、行政的な権限、そういうものはあまり持っておらぬようであります。特に先ほど申しました通りこの研究所は生産技術というような面に大いに研究を進めてもらわにゃならぬという関係もありますので、現在の行政立場からすれば、通商産業大臣の監督というものが適当であろうと、こう考えるわけであります。
  167. 讃岐喜八

    説明員(讃岐喜八君) ちょっと念のために申し上げたいのでありますが、航空研究所の問題でございます。これはお話通りこの国会で作ることになったのであります。あれは通産省とか運輸省ではいけないからあすこへ持って行った、こういうことではないのでありまして、航空に関しましては通産省でもやります。運輸省でもやりますし、防衛庁でもやる、こういう三者の関係がダブって参りまして、三者おのおのにやることが非常にもったいないから、内閣が共用に供する航空研究所という意味でできたのでございまして、あれは非常に例外でございます。その点を御了承をお願いしたいと思います。
  168. 上林忠次

    ○上林忠次君 けれどもあれじゃないですか。あれは大きな資金を要する施設で、とても各省でできない、不経済だというのであすこへ作られたそれを各関係省が全部利用するということで作っておる。もうこれにかわるものはそれならほかにあるか、これ一つしかないじゃないか。かようなものはあれ式に、どこか国の学術の最高機関がこれにタッチして、この研究を指導して行く。あるいはこれに注文をつけて行くというところへ行かなくちゃいかぬ、将来そこまで行くということでなかったら、これはおかしいじゃないか。こんな民間会社に少しの補助を与えて勝手なことをやらす、楽な仕事をやらすというようなことでは、こういうふうな、余った金をちょっとつまんで分けるような使い方はおかしいのじゃないか。これはもう少し内閣が真剣に考えていただくなら、現政府が真剣に考えるならば、これはおそらく通産省で扱わずにスタックを作りかえて、もう少しあすこを強力にしてやるということになって行ったのじゃないか。ただ省内で提案者との相談の上でできたから、たまたまちょっぴり通産省と話ができているだけで、もう少し掘り進んで考えるなら、これはスタックの問題になっておるはずだと考えます。だから私としては何とか数年後あるいは来年にでもスタックを強化して、もっと有効にこの機関を使うということにならないと困るので、それに対する大臣の御意見ですな、このままやっては困る……。
  169. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) その点は先ほどから申し上げておりますように、われわれとしましては、政府に科学技術庁と称すべきものを早急に作ってほしいという要望をこれは再三申し上げておるわけでありますが、政府の間においてもいろいろ御意見があるようで、今国会には間に会わんかったようであります。そこで私としましては、そういう中央の機関ができれば、その際においてはこの科学研究所の機関というものが役所へ行くかあるいは少くとも研究の調整というものはその役所に行くだろうと思いますが、現在はそれがないから、またこの研究所の性格から言って、一番関係の深いなるべく通産大臣の主管で解決することがよろしかろう、こういうつもりであります。
  170. 藤田進

    ○藤田進君 提案者質問いたしますが、結局赤字に悩んでいるものをどう救済するかというところが動機のように見えるわけですが、第三期営業報告書をいただいているわけでありますが、これを見ますと、最終的に欠損の処理を見ると、次期繰り越し欠損が千二百万円ということになるやにも見えるわですが、こういう経理内容について若干お伺いいたしたいのであります。私お伺いしたいのは、もし資料があれば示していただきたい。資料がなければ、数字だけでも四期に分けたところでどういうふうに現われてくるか。第一・四半期、第二・四半期で欠損がどういうふうになってくるかという点ですね、これが第一の点です。  それからこの経費の中を見ると、人件費は二千六百万円、物件費が約三百万円で、諸費というのは非常に大きいのですね、四千三百万円。これが諸費が非常に大きいというのはどういうことなのか、あらましの内容でよろしいですが、お聞かせいただきたい。これが第二の点です。  第三の点は、資産の再評価など新しく株式、現物出資になるのでしょうが、資産の再評価はどういう状況なのか。それからこれに関連して減価償却がここに三期報告書には載っておりますが、この減価償却はどういうやり方なのか、定率とか定額とかいろいろその他内容があろうかと思うわけですが、とりあえずそれだけお聞きいたします。
  171. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) ただいまの御質問でありますが、今までの決算の方法等が主たる問題かと思いますが、この詳細につきましては私も存じませんですが、従って資料等によってこれはいずれ御説明を申し上げたいと思いますし、また御都合によりましては現在の科研の幹部の方をお呼び願ってお聞き取り願ったらいかがかと思うのです。
  172. 藤田進

    ○藤田進君 今お尋ねしたことが提案者の方でちょっとお答えに無理がある、全部ですね。そうすると、その点は非常に残念ですがまた他の方に……。そうすればこの会社が新しくできまして収支の予想、バランス・シートの予想というものは当然立てられているだろうと思うのですね。その状況をお知らせいただきたい。
  173. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 工業技術院から来ていますから答弁をさせます。
  174. 讃岐喜八

    説明員(讃岐喜八君) 会社側で出しておりまする収支の予想表というのはあるのでございますが、私どもで立案したと申しますか、そういう収支の予想表はございません。
  175. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると、こういう窮境を打開して救って行き、かっこの機能を維持、発展させようという法案が世ているわけだが、その裏づけとなるこういうふうに会社ができれば切り盛りができるんだという、そういうものはないわけですか、全然。
  176. 讃岐喜八

    説明員(讃岐喜八君) 全然ないわけでもございませんので、補助金を審査するに当りまして多少の構想は持っております。しかし今般この特殊会社法案が出まして、構想がだいぶ変って参るわけでございます。この法案が成立しました暁におきまして、役員等も改選になりまして、政府の認可を得て役員が就任するわけでございます。正式にはその役員会におきましてそういう将来の計画というものは立つのであろうというふうに思いますので、さよう今申し上げましたようなことを御説明申し上げたような次第でございます。
  177. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) 将来の計画についても非常にばく然としておるというお感じかと思いますが、先ほど来いろいろ御質疑がございましたが、何と申しましてもこの科研が株式会社の形体をとっておりまするが、本来の使命が研究であります。従ってこの収支、特に収入の面においては一般の事業などと違いまして、なかなか研究が成功するかしないかというようなことが、非常にこれはいわゆるもくろみ的には困難な事情もあるわけであります。で、現在のこの考課状による欠損が比較的少く出ておるというのも、大体研究費等を繰り延べ資産等に取っておるという関係もあるようであります。そこで大体私どもが現在の科研の首脳の方から聞いておるところでは、政府からここ四、五年の間に十四億ぐらいの出資をかりにしていただく。また民間が現在四億二千万ばかりの出資をしておりますから、この政府の今後の出資と並んで五、六億の出資をしていただく、約二十億ぐらいの出資に、今後四、五年の間にわれわれの期待通りに行けば、なるわけです。そうなりまする際においては、収支は償うに至るであろう、こういうので、今までやって参りました研究等も逐次この成果を上げて行く、そういうことで四、五年の先には収支が償い得るに至るのではなかろうか、大体そういう見通しを持っておるようであります。われわれのまあ聞いたものを今ここに御答弁申し上げたわけです。
  178. 藤田進

    ○藤田進君 通産大臣にお伺いいたしますが、この法案を見ますと、通産大臣権限が非常に大きなものがあるように見受けられるのでありますが、今お聞きの通り、将来の会社運営、ことに経理面を見ますと、明確な見通しはついていないようでありまして、要するに、その収支のアンバランスがあるとすれば、その補てんはあげて政府において、これを通産大臣の責任においてなさなければならぬような状態になると私は考えるわけです。その際に、不特定な金額で今幾らになるか、これは予想し得ないという話でありますが、通産大臣とされては、そういう欠損が従来とどの程度改善されるか、これは私自身もわかりません。提案者御自身も御説明がないわけですが、その補てんについては、政府の責任をもって御処理なさるおつもりか、お伺いいたします。
  179. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) これは株式会社といいましても営利会社じゃございませんので、どうしても研究費の支出が大部分になって参るものでありますから、今後この株式会社の形体でやりましても、政府としてはこれの出資を今までは補助金を出すという形を科研にはしておったのでありますが、今後はこれに対して出資をして、そうしてまあ出資と申しましてもそれが研究費に使われて参るということになりますから、むろん収支等については十分の監督をいたすのでありますが、利益が上ってくるということは、これはまず絶対にないという関係になると思います。だからそうかといってしりぬぐいをする、従って商売をして、しくじって、そのしりぬぐいというようなこともこれも起るはずがない、こういうふうに考えております。
  180. 藤田進

    ○藤田進君 いや、商売をして、そういう投機的なものではないわけですが、おそらく物件費あるいは諸費さらに人件費等、こういうものは当然かかるわけでありますから、これが収支償わない場合が起り得る、現在も起きておるわけですね。そういう場合に、その欠損の処理について通産大臣の責任において処理なさることができるかどうか、そういう質問をしているわけです。
  181. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) それはこういうことになると思います。つまり予算の範囲内においてこの研究所に年々の計画を立ててもらう。ですから予期せざる赤字が出てくるというようなことは起らない、従ってしりぬぐいをするというような形にはならないと思います。
  182. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると将来の運営に直接関係を持つ御答弁ですが、当初予算を立てまして、それには大分類として人件費なり実験費なり、従来でありますとこれに諸費が加わって、諸費は相当多いのですが、そういう予算を立てる、これにはさらにこまかい款項目の予算が立てられるでしょうが、それを実施せられて行く、これは研究部門も相当多いようですけれども、予算の範囲内を守ってやって行く、予算を超過するというようなことについては、研究が中途であったり、未完成に終ったりするというようなことがあり得るわけですが、当初予算が立てられ、国の場合においては補正せられ追加せられるということが常で、そういう会社経営においてもそういうことが当然あるわけです。しかし今の通産大臣のお答えで行くと、予算を絶対に守らせるという運用になれば、勢い研究にワクがはまってしまういう結果になるわけで、そこのところをどう調整せられるか、これを承わりたい。
  183. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) その研究がぜひとも必要なものであって、これを継続しなければならぬということであれば、最初からその計画のもとに予算を組んで、それに応じた政府の出資をして行くということだと思います。
  184. 山川良一

    ○山川良一君 質問は一応抜きにしまして、運営の問題、この二十九年度の損益計算書を見ますと、研究費に七千六百万円ばかり出しております。そうして研究補助金が七千三百万円ばかり出ているわけであります。ですから、直接費を補助すれば営業に似たような面で大体収支パーで行くわけですね。ですから今後国から出資しようという面もありますけれども、一応研究費の範囲内においてこの補助をして行けば営業の面に政府が手伝いをしないということがはっきりしますから、その研究費の範囲内において政府が補助して行く、もっとも研究費は七千万円くらいのことではなしに、もう少し突っ込んで金を出してでもやれるように補助して行く、補助金を研究費の範囲内にとどめて、会社今後の運営も科研に……、そうすれば国が金を出して会社の運営を補助して行くというふうにはならぬと思うのですが、そういうふうなことではいけないですか、補助金の範囲を一つ限定したらいいだろう、そうしたらいろいろな疑惑が起らなくていいだろうと思います。
  185. 讃岐喜八

    説明員(讃岐喜八君) ちょっと御説明申し上げます。今お話の研究費と一般収入とがバランスがとれるようなお話でございますが、研究費は七千六百万円組まれておる、ほかに繰り延べ勘定になっておりますところにも試験研究費というのがございます。これには八千百万円あるのでございます。合計しますと、一億五、六千万円になるのでありまして、金が足りないことはたしかでございます。
  186. 山川良一

    ○山川良一君 私はその七千万幾らか出すなんということではなしに、その八千万円を含めていいですから、その補助金を研究費の範囲内において出す、そうして営業の方でうんともうけが出てくれば、これは配当をそうしなくてもいい株主だと思うのですから、そこらに一つ配当の制約を設けながら、うんと利益を上げられるようになったら、さらに研究を拡大して行くというような考え方で、つまり研究費には補助をしないというようなやり方をはっきりしたらどうかと思う。
  187. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 御趣旨はその通りなんです。そのつもりで、今株式会社というへんてこなことになっておりますからいろいろ先ほど来の問題が起るのですが、われわれの気持は今までの理研に一つ研究をもっとしてもらいたい、それには研究費が足りませんからどうしても国の補助もほしいと、国からの援助もほしいと、それには今の形では出資にしてもらった方が研究所としてはやりいいというので、出資の形で、意味は補助金と同じことでありますが、出資の形にしてもらいたい、これはわれわれもそれがよかろうと、こう考え提案に賛成をしたわけであります。政府は研究費以外のものを出して、そして商売までやらして、そのしりぬぐいまでするという考えは毛頭持っておりません。また今後監督はそのつもりでやるつもりでおります。
  188. 海野三朗

    海野三朗君 その科研のことは、問題はそうないと思うのですが、一つ委員長から皆さんにお諮りになって……科研の方ほ問題はないと思うのです。
  189. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  190. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて。  ほかに御発言がなければ本案に対する質問は終了したものと認めてよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  191. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 御異議ないと認めましてこれより討論に入ります。御意見のおありの方はお述べを願います。
  192. 上林忠次

    ○上林忠次君 審議中にもお話が出ましたように、とりあえずこの際株式会社科学研究所というのに対しまして補助を出すということになっておりますが、私は日本の科学の向上のために、最高度の研究機関としての現在あります株式会社科学研究所、これがますます大きくなることを期待しております。しかしながら戦後におきます科学研究所のように、利益を追求するあまり、本当の科学技術の真髄に触れた研究をしておらん。利益本位な経営をしているというようなあの現状考えますときに、株式会社科学研究所に対して国が補助をするということはおかしいじゃないか。将来これが政府の直接監督する政府機関として、あるいは政府の直属の研究所として経営されるという審議中のあの御回答に対しまして、そういうような期待のもとにこの補助金に対して賛成いたします。  私は前にありました理研のあの進み方に対しましては、この際この補助金が出ますからには、政府の方で十分な研究題目に対しての監督、あるいは注文、こういうようなことをやっていただくとともに、将来技術庁ができますとか、あるいは総理府のスタックがますます完備されまして、こういうような機関を政府の要請に応ずるような研究に引っぱって行く、そうして株式会社を解体して財団法人にするとか、あるいは政府の直属の機関にこれを変えて行くというような注文をつけまして、この法案に賛成するものであります。
  193. 海野三朗

    海野三朗君 私は社会党第四控室を代表いたしまして討論いたしたいと思います。  この株式会社科学研究所は、先ほども私が質問の中に申し述べましたように、株式会社であってはならない、研究専門でなくてならないのだ、こういう意味におきまして政府委員に質しましたところ、将来はこの株式会社のあり方は妥当ではないというふうに考えておるのであるという御答弁でありましたので、やはり将来はこの株式会社というものは撤去すべきものであって、純然たる研究の機関にすべきものであると思いまするし、政府当局もこの方向に向ってお考えになっておるものと考えました。そうしてこの研究に対しましては、やはり干渉してはならない。問題を与えていただくのはけっこうだけれども、研究の分野に当っては、専門外でありますから干渉してもらってはならないものであると思います。これも政府の御答弁によって御趣旨のあるところはよくわかりました。ただ残念なことは、株式会社科学研究所でありますから、この点につきまして、私は現在の段階においては、はなはだ遺憾の意を表さざるを得ないのであります。しかしながら現在の科学研究所の研究員各位のあり方を思いまするときに、まず何としてでもこの法案を通過せしめることが焦眉の急であると考えまするので、私は株式会社であるということに対しての限りなき不満を覚えるものでありますけれども、この不満を忍んで本案に賛成の意を表するものでございます。
  194. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ほかに御発言がなければ、討論は終結したものと認めてよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  195. 吉野信次

    委員長吉野信次君) では御異議がないと認めましてこれより採決に入ります。  株式会社科学研究所法案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手〕
  196. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 全会一致本案は可決すべきものと決定いたしました。  なお、例によりまして本会議における口頭報告の内容、議長に対する報告書その他の手続は委員長におまかせを願いたいと思います。よろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  197. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 御異議ないと認めます。  それから多数意見者の署名をまたお願いいたします。
  198. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記をとめて。   〔速記中止
  199. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて。  それでは石油資源開発株式会社法案、それと石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案、これを問題にいたします。  両案に対して別に御発言がなければ、質疑は終了したものと認めてよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。
  201. 高橋衛

    ○高橋衛君 私はこの両法案に対しまして自由党を代表して賛成の意を表するものであります。  わが国の原油の生産量は現在年間三十余万キロリットル程度でありまして、わずかに国内総消費量に対して五%にも満たない程度でございます。エネルギーの資源または工業原料としての石油の地位が近来ますます重要の度を加えて参りました点から考えまして、またドイツ及びフランス等において、近年探鉱その他に非常な努力をいたしました結果、それぞれ三倍ないし六倍の増産に成功しているという事実から考えましても、わが国におきましても積極的に国が探鉱試掘に努力をすべきであるということ、しこうしてかような積極的な探鉱試掘によるところの石油資源の開発につきましては、かつて帝国石油株式会社を特殊法人として設立し、その使命に当らしめた経緯はございまするが、今日においてはさらに精製業者等から資金を供給せしめるという点並びに政府が新しい立場から積極的に開発に対して進ませるという観点からも、石油資源開発株式会社を新しく設立いたしまして、そうして帝国石油株式会社の所有しているところの鉱業権を譲り受け、開発に邁進することは妥当の措置であると考える次第でございます。しかしながらこの法案の内容を検討いたしますると、幾分不備な点もございまするので、私はこの際この石油資源開発株式会社法案並びに石油及び可燃性天燃ガス資源開発法の一部を改正する法律案に対しまして修正の動議を提出いたしたいと存じます。  まず第一に石油資源開発株式会社法案に対する修正案の朗読をいたします。   石油資源開発株式会社法案の一部を次のように修正する。   第十条第一項ただし書きを削る。   附則中第十三項を第十六項とし、第十項から第十二項まで順次三項ずつ繰り下げ、第九項の次に次の三項を加える。   (石油鉱業権評価審査会)  10 通商産業省に、臨時に、石油鉱業権評価審査会(以下「審査会」という。)を置く。  11 通商産業大臣は、第十条第一項の認可をしようとするときは、鉱業権の対価の額並びに対価の支払の時期及び方法について、審査会の意見をきかなければならない。  12 前二項に定めるもののほか、審査会の組織、運営その他必要な事項は、通商産業省令で定める。  次にこの修正案に対する説明を申し上げます。政府提案の原案によりますると、この会社が鉱業権の譲り受けをなさる際におきましては、第十条の規定によりまして、通商産業大臣の認可を受けることになり、かつその認可に際しましては大蔵大臣に協議をすることに相なっておるのでございます。しかしながら第一項のただし書きによりまして、政府が強制的に鉱業権の譲り受けをなさしめる決定をする際に当りましては、通商産業局長が決定をするという建前になりまして、従ってこの際におきましては通商産業大臣の認可にかからない、従って大蔵大臣に協議を要しないという建前に相なっておるのであります。私どもはこういうふうな強制権を発動する際においてはさらに事が重大でありますので、通商産業大臣の認可にかからしめ、かつ大蔵大臣に協議することが必要である、かように考えましたので、第十条の第一項は削りまして、そういう場合におきましても通商産業大臣の認可にかからしめるというのが第十条の一項を削らんとする趣旨でございます。  また付則中に石油鉱業権評価審査会を置いて、そうして鉱業権の譲り受けに際しまして、その評価につき、この審査会の意見を聞かしめるという制度を作りますゆえんは、この新しい会社は帝国石油株式会社から鉱業権の譲り受けを予定いたしておるのでございますが、この鉱業権の評価は非常に困難でございます。従ってこの評価自体については特に公正を期さなければならぬというふうな趣旨からいたしまして、この評価に当りましては通商産業大臣が認可をいたします際におきましては、特にこの石油鉱業権評価審査会の意見を聞いて決定するという慎重な措置をすることといたしたのが第二段の理由でございます。なお、この帝国石油株式会社はかつて特殊法人として政府が設立し、その当時民間の各鉱業会社から鉱業権の現物出資をせしめた沿革があるのであります。さらにまたその後この帝国石油株式会社は特殊法人として探鉱並びに試掘に関しましては、政府から、今日の価格に換貨いたしますると、三十五億円にも及ぶところの多額の国庫補助を受けておるのでございます。従ってそれらの点は十分にこの評価の際に反映して検討さるべきであるというように私どもは考えますので、かような観点から私はいま一つこの会社の法案に対して当委員会として付帯決議をつけられんことの動議を提出する次第であります。  次にその付帯決議案を朗読いたします。  一、政府石油資源開発株式会社が帝国石油株式会社より譲り受ける鉱業権の対価の額並びに対価の支払いの時期及び方法について第十条第一項の認可をするに当りては帝国石油株式会社が特殊法人として設立されるに当り民間より強制的に鉱業権の現物出資をせしめたること、自後探鉱試掘に関し多額の国庫補助金を受けたる事実を十分考慮の上適正を期すべきである。  一、政府石油資源開発株式会社の資金の確保につき万全の措置を講じ五カ年計画の完全なる遂行に努めること。  一、政府石油資源開発株式会社の設立に伴う帝国石油株式会社の従業員の職場転換に際してはその処遇につき不当なことなきよう監督すること。  以上でございます。  次に石油及び可燃性天燃ガス資源開発法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法案石油資源開発株式会社の設立に当りまして、石油及び可燃性天燃ガスに対する補助金の分に関して法案改正せんとするものでございますが、この政府提出の改正法律案のうち、改正案によりますると、石油に伴う可燃性天燃ガスは当然これに含まれるのでございますが、純然たる天然ガスのみを目的とする会社に対しても、補助金を他の会社が行なった場合に受けることができなくなる次第でございます。その点はある程度の欠陥を生ずるおそれがございますので、その点に関し純然たる天燃ガスのみを目的として探鉱試掘をいたしました際に、かかる探鉱の試掘に対して補助をなし得るように修正の動議を提出いたします。その修正の動議の案を朗読いたします。   石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   本則を次のように改める。   第一条中「その探鉱及び掘採」を「可燃性天然ガスの探鉱」に改める。   第十四条中「石油若しくは」及び「又は二次採取法(省令で定めるものを除く。以下同じ。)」を削る。   第十五条中「又は二次採取法」を削る。   第十六条中「又は二次採取法」及び「石油又は」を削る。   第十八条の見出し中「探鉱等」を「探鉱」に改め、同条中「、又は当該二次採取法の実施に必要な施設の工事の完了し」を削る。   第十九条中「石油又は」を削る。   第二十条を次のように改める。  第二十条 削除   第二十一条中「前二条」を「第十九条」に改める。   第二十三条及び第二十四条中「又は第二十条」を削る。   附則第二項中「交付の決定があつた」の下に「石油の探鉱及び二次採取法の実施に関する」を加える。  以上ただいま議案となりました二法案に対しまして修正並びに付帯決議の動議を提出いたしまして、賛成をいたします次第でございます。
  202. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私は日本社会党第四控室を代表いたしまして、ただいま議題となりました石油資源開発株式会社法案並びに石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案につきまして、高橋委員提出の修正案、並びに修正部分を除く衆議院送付原案、及び付帯決議案に対しまして、賛成の意を表したいと思います。  石油産業エネルギー及び化学工業原料としての最近の産業上に占める重要性と、外資の圧迫にあえぐ国内石油産業現状を見まするとき、国内石油資源の急速な開発を必要とすることは、論を待たないことであります。特に質疑の過程においても明らかになりましたように、石油産業に対する外資の占める割合は実に大きな部分を占めておるのでありまして、従ってそこから来る外国資本が上げて行く利潤も実に巨額に上っておるわけであり、国際石油カルテルの脅威につきましては、これをできるだけ排除して行きたいという通産大臣のお言葉もございまして、早い機会に国内の資源を開発いたしまして、この外国資本に握られておる部分を少しでも縮めて行くということが非常に大きな問題であろうと存ずるのであります。かようなときに当りまして、政府が国家の強力な意思を反映させまして、国内石油資源総合開発五カ年計画を実施するために本法提案されたことは、時宜を得た措置であると考える次第であります。しかし、まことに遺憾千万なことは、石油資源開発に豊富な経験と優秀な人員、機材を有しまする現存の帝国石油株式会社を特殊法人に改組する策をとらずして、新たに第二帝石とも言える資源開発会社を設立せざるを得なかったことであります。諸外国に比べまして貧弱な石油資源のわが国におきまして、二つの石油採掘会社が存在することは、技術的、開発資金等の面から考えて多くの障害を有することは事実でありますので、将来におきましてわが国の石油鉱業は本石油資源開発株式会社のもとに吸収、統合されることを期待いたしまして、わが党は、本石油資源開発株式会社法案に賛意を表するものであります。  なお、過日本委員会に帝国石油労働組合より提出されました国内石油資源総合開発五カ年計画の完全実施を要請する署名簿にも現われておりますように、石油開発五カ年計画の実施は、世論の指向するところでありますので、政府は本会社の目的の五カ年計画の実施に主力を注ぎ、ひとたび本法が通過して特殊会社が設立された場合におきましては、その運営に熱意を欠くような他の特殊会社の例にならわず、本会社については、計画実施に必要な資金確保に万全を期し、世論の指向するところに反せざるよう、会社の運営に当って適切なる行政指導を行うべきであります。  また、本会社は設立当初、人員、機材を保持していない会社でありまするし、これに反して帝国石油株式会社は、経験、技術ともにすぐれた従業員を保有しておるのでありますから、当然本会社はその従業員を帝国石油株式会社より委譲を受けるものと考えられまするが、往々にして経営者は第二会社への人員移行を口実にいたしまして人員整理を行うことがありますが、本会社の設立が石油開発五カ年計画の実施と雇用量の増大を唱えておる以上、このような事態が発生し計画実施にそこを来たさないよう、十分なる行政指導を行うべきであります。  最後に要請いたしたい点は、石油資源の探鉱は非常にリスクの多い事業であり、また計画通りに生産量が増大しない場合もあるのであります。そのことは政府も十分にお認めになっておるところであります。なお、諸外国特に西独、フランス、イタリア等に見られまするように、長期にわたるたゆまざる探鉱活動の結果、優秀な油田を発見しておる実例からいたしましても、わが国においても政府は五カ年計画の実施によって計画通りの生産量が確保されない場合におきましても、国内石油資源の賦存に問題が残っておる以上、さらに長期の石油開発計画を樹立いたしまして国内石油資源の開発に努力すべきであります。  以上の諸点を政府が完全に実施することを付言いたしまして、本法案に対する賛成討論といたします。  なお、修正案でございますが、これは鉱業権評価審査会を作りまして譲渡に際する評価を適正にしようとするのでありまして、帝国石油株式会社が特殊法人として設立するに当りまして、民間より強制的に鉱業権を現物出資せしめたこと、あるいはすでに探鉱試掘に対して三十五億にも上る多額の国庫補助金を受けたる事実等を十分に考慮の上、適正に評価されべきでありまして、その修正案に賛成をするゆえんであります。  なお、石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案修正点は、過日小野委員からもたびたび指摘されましたように、可燃性天然ガスの探鉱の重要性にかんがみまして、原案通りこれが通過いたしますると、その助成金が削除されるのであります。しかし、政府の答弁では、新会社においてもそれを行うとありまするけれども、ややもすれば石油に重点が置かれるあまり、可燃性天然ガスの探鉱に対する助成が弱められる結果にも相なりまするので、かような修正をされることは妥当であるというふうにわれわれ思考する次第でございます。  なお、付帯決議につきましては、第一点においては本法修正案の鉱業権評価審査会による適正なる評価をすべきであることを指摘し、第二におきましてはこの会社の成否のかぎともいうべき資金の確保について政府に万全の措置を要求するものであり、第三点は前に述べましたように会社の設立に伴う帝国石油株式会社の従業員の職場転換に不当なる処遇を与えない配慮によるものでありますから、この決議案に賛成をする次第であります。  以上をもって討論を終ります。
  203. 小松正雄

    ○小松正雄君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案に対する修正案以外並びに修正案、及び石油資源開発株式会社法案修正以外の部分、及び修正案、並びに高橋委員提案されました付帯決議案をあわせ賛成するものであります。  石油及び可燃性天然ガス資源開発は、総合エネルギー対策の一環として重要な国家的施策でありまして、一日も早くこれが達成を念願するものであります。今回提案されました石油資源開発株式会社法案は、必ずしも満足すべきものではありません。たとえば本法案石油資源開発五カ年計画に基く産業政策であるにもかかわらず、条文にこれを明記しなかった等々あることは、政府自体の計画達成に対する熱意の不足を示すものであると思います。新会社役員人事についても不明朗な下馬評が流布せられ、かつて石油資源開発事業において好ましからざる傾向のあった人物の蠢動も見られるのであります。従って当局はかかる人物をして新会社の役員とせざるよう留意されんことを強く要望いたします。さらに本案の審議を通じ、大蔵省当局の意向は、新会社への財政投資についてははなはだ不明確であり、五カ年計画の達成に関し一点の疑惑を持たざるを得ないのであります。従って本法案成立に当って、この際大蔵当局の猛省を促すとともに、資金面からする新会社の目的達成の遅延することのないよう、格段の努力を切望するものであります。新会社の事業計画に従い、帝石より必要人員の充足を行う場合に、いやしくもこのため労使の紛争の生ずるがごときことなきよう、所要の措置をとられんことを切望いたしまして、本全体法案に対して賛成をするものであります。
  204. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ほかに御発言がなければ討論は終局したるものと認めてよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  205. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは御異議ないと認めます。  それでは都合上別々に採決をいたしたいと思います。  まず石油資源開発株式会社法案について採決に入ります。先ほど討論中にありました高橋委員提出の修正案を問題に供します。  高橋君提出の修正案に御賛成の方の挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手〕
  206. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 全会一致。よって高橋君提出の修正案可決されました。  次はただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手〕
  207. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 全会一致であります。  よって本案は全会一致をもって修正可決すべきものと決定いたしました。  次いで高橋君提出の付帯決議案を議題に供します。  高橋君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手〕
  208. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 全会一致と認めます。  よって高橋君提出の付帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  次に石油及び可熱性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案の採決に入ります。  まず商橋君提出の修正案を問題に供します。  高橋君提出の修正案に賛成の方の挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手〕
  209. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 全会一致でございます。  よって高橋君提出の修正案可決されました。  次にただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手〕
  210. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 全会一致でございます。  よって本案は全会一致をもって修正可決すべきものと議決されました。  以上二つの法案の本会議における口頭報告の内容、議長に対する報告書その他の手続につきましては、慣例によって委員長に御一任願いたいと思いますが、お差しつかえございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  211. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それではさように決定いたしました。  なお、多数意見者の御署名をお願いいたします。
  212. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 特に御修正を受けました点については何ごとも申し上げることはございません。付帯決議につきましては私どもも十分この御趣意に従いまして善処いたすつもりでございますから、御了承願います。
  213. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと速記をとめて。    午後五時十五分速記中止      ―――――・―――――    午後五時三十一分速記開始
  214. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて。  それでは輸出入取引法の一部を改正する法律案を議題といたします。質問のある方お続けを願いたいと思います。
  215. 古池信三

    ○古池信三君 この輸出入取引法改正案に関連してお尋ねをいたしたいのですが、実はこの中共向けの例のココムの関係でございますね、これは制限緩和ということはなかなか容易なことじゃないと思いますけれども、大体今の国際情勢あるいはアメリカあたりの関係から見て、どんなふうなお見通しを持っていらっしゃるか、ここで発表のできる限りお話を願えませんでしょうか。
  216. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) お話しのようにこれはなかなかその何と言いますか、ケース・バイ・ケースで、多少の特別の解除を受けてやっておるのもありますが、全面的にあれの制限を緩和するということは非常にむずかしいことのようであります。しかしまあ日本も昨年の八月くらいまではとにかく一応西欧並みの禁止程度までは行っておりますが、あとは今度はほかの国と同じようにやはり解除をされる。しかしこれはこの間もドイツの大使が来て私に言うておりましたが、あそこいらでもこの解除を非常に希望しております。まあこの間中、日英貿易協定を今現にして、なかなか難航しておりますが、そういうときにも少しそういうものの問題を出したらどうかというようなサゼスチョンをしているようなわけで、ほかの国でもあのココムの禁輸の緩和ということは日本だけではない、ドイツとか英国というようなところでも希望しておるようでありますから、まあ全然見込みがないわけでもないと実は思っております。少しひまになりましたならば十分外務省とも打ち合せをして少し強力に働きかけるようなこの際方策を講じてみたい、こう考えております。
  217. 古池信三

    ○古池信三君 大体お話よく了解できましたが、日本は原則としては西欧並みになっておる、こういうことを聞いておりますけれども、ものによりましては、あるいはケース・バイ・ケースで特例というようなことになるかもしれませんが、ドイツあたりは相当に除外例といいますか、そういうような措置を講ぜられるような場合がある。その点は地域的な関係もありましょうけれども、同じ西欧並みといってもドイツあたりの方が日本よりはよほど有利だ、こういう話しをしばしば聞くのでありますが、やはりそういうようなことがあるのでございますか。
  218. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) これは詳細なことはよくわからないのでございますが、あまり差はそうないように聞いております。
  219. 古池信三

    ○古池信三君 それからこれは事務当局にお尋ねいたしますが、現在ココムでその交渉に当っておる人はどういうような人がやっておられるのか、それをちょっと御説明願いたいと思います。
  220. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 日本の在仏大使館がその衝に当っております。参事官専属でやっておる人があります。また通産省から出ておりましてその仕事を援助しておる人もあります。
  221. 古池信三

    ○古池信三君 また実際問題としては現在はココムはどんなふうな工合に開かれておるのか、月に何回ということになるのか、毎週一回くらいやっているのか、その辺はどういうふうですか。
  222. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 毎週一、二回やっておるようであります。現在は七月十五日から八月十五日まで休会になっております。現在は休んでおります。相当ひんぱんに折衝をいたしておるわけであります。
  223. 海野三朗

    海野三朗君 今のココムの制限のことでありますが、過日通産大臣は、自由諸国の約束を守って行くのだというお話でありましたが、国内のこの輸出業者、つまり中小企業現状をいかようにお考えになっておるのでありますか。この間のあの誘拐事件の問題とか実に今日まで想像もつかない犯罪が次々と起って行くのは何であるかと申しますると、つまり食えないからである。それは何であるかというと、日本の市場をごらんなさい、綿布にいたしましてもあるいはミシンにいたしましても、まるで洪水の状態になっておる。また今ココムのワクをはめられておるところの製品、そういうものが国内にもう溢れているのにもかかわらず、日本人が死んででもこのココムの約束を守らなければならないと通産大臣考えておるかどうか、その信念を一つ伺いたい。私はこれに対してはある一定の制限というものがあって、死ぬか生きるかというところの立場に立っては、何としてでもこのココムのワクを広げるなり、あるいは一次的なりにしてもこのココムのワクを制限してもらわなければならないと私は考えるものでありまするが、自由諸国の約束であるからというふうに簡単に過日はお答えになった。  私は現実のこの社会の情勢をどういうふうに通産大臣は見ておられるのか、この誘拐事件にいたしましてもそうだ、ああいうふうな現象はどこからくるかと申しますると、つまり日本人が食えないからである。そういうふうな現象が起ってきても自由諸国にくみして、言う通りになって、われわれが死んで行ってもやむを得ないとお考えになっておるのかどうか、私は通産大臣の率直なる御信念を承わりたい。
  224. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) お説のようにむろんわれわれ国民が食えなくていいなんということは考えておりません。あまりひどくなれば戦争さえも起るのでありますから、そういうことも起りましょう。しかしながら今私どもをして、それならばこの中共にだけは輸出を強力にしてそうしてほかの自由諸国との貿易に支障を来たして、それが中小企業者や国民全体の生活に大いに寄与するかというと、そうも思いません。中共とも貿易をしたいのでありますが、と同時にやはりほかの国、なかなか大きい貿易をアメリカとも英国ともあるいは東南アジア諸国ともやっておるのでありますから、そういう方面の貿易を伸張するということも同時に非常に大事だと思いまするので、こういう観点から、あまり手荒なことをやって、そうしてかえってけがを大きくするということもよろしくないと考えておるわけであります。
  225. 海野三朗

    海野三朗君 それは、私が今伺ったのは手荒なことをしろということを要求したのじゃありません。このココムに対してのどれだけの熱意を日本が示しておるかということなんです。それでありますから過日は私は政府当局に要求したのでありますが、いかなる努力を払ってきておるか、今までココムのワクを広げるためにどれだけの努力をしてきておられるか、私が率直に聞きたいと申しましたのはそれなんです。つまり物によってこれだけは何ともしようがないから何とか一回だけでも許してもらわなければしようがないというような切実なる今日までの交渉の骨折りの経過、そういうものを私は伺いたい。ただ漫然としておられるかのごとく見えるのであって、いやココムのワクでしょうがないのだというような、あっさりお考えになっておるようにしか大衆は見ていないのであって、業者自身は死ぬか生きるかの境目になっておる。そうしてだんだんこの社会悪がどんどんとふえて行っておる。こういうことはこの通産行政立場に立っては、もう少し真剣に考えていただかなければならないのじゃないか。ココムのワクを広げることに対してどれだけの努力を払っておられたでありましょうか。
  226. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) これはパリでやっておりまして、陰に隠れておりますからはなばなしくございませんけれども、相当強力に努力をして参りました。これは前内閣の時代でありますが、その結果、ともかく先ほど申しましたように昨年の八月までに一応西欧並みまでには全般的に解除、その後もこれは全般的な解除は受けませんけれども、そのときどきによっての特別の解除は相当数受けております。ことしになりましても八件ほどの解除を受けておるようなわけであります。なお今まで努力いたしておりまして、そういう特免的なものは受けられる見込みを持っておるものもございます。
  227. 古池信三

    ○古池信三君 議事進行について。  公取の委員長が御出席になりましたようでございますから、予定通り公取委員長に対する御質疑を進めていただきたいと存じます。
  228. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 公取委員長に対する質問をいたしたいと思いますが、ちょうど今ココム・リストの問題が出ましたので資料の要求をしておきます。今通産大臣の御答弁では、ココムに関する限り西欧並みに緩和されたという御発言でございましたので、私はその西欧の中で西独並びにイギリスにおいてA類物資の除外がどの程度まで行われ、しかもその貿易実績が種類別に金額がどういうふうになっているか、これを一つ資料を出していただきたいと思います。必ずしもこれは通産大臣の言われるように西欧並みに日本が除外されたということは、われわれはそのままいただけないのでありますが、資料で明らかになればもちろん納得します。  公取の委員長にお伺いしますが、衆議院から回って参りました修正議決報告書によりまするというと、第三十四条の原案におきまして「公正取引委員会同意を得なければならない。」、かようになっておりましたものが「公正取引委員会に協議しなければならない。」、かように共同修正を受けて回ってきておるのであります。この点については衆議院の審議を私は傍聴いたしておりましたが、実に簡単にきめられてしまったようであります。この修正案は、戦後の経済民主化法の大黒柱といわれ、またある意味においては経済憲法とまでうたわれて参りました独禁法に、大きな穴をあけるものとしてわれわれは非常に注目をいたしておる次第であります。もともとこの輸出入取引法そのものが米国におけるカルテル禁止の唯一の除外となっておりますウエッブ・ポメリン法にならいまして、貿易部門では一定の条件の下にカルテル行為を独禁法の例外として認めて行こうとするものでありまして、これについては原則的にわれわれ反対じゃないのであります。世界貿易競争の激化に対応するために、今回さらにカルテル結成をやりやすくするようにやられたのでございます。ところがこの原案に対しまして、経団連を初め財界からももっと条件を緩和すべきだというような修正の御意見が出ておりましたことは衆議院における参考人の意見を聞いても、またわれわれの委員会における参考人の御意見の中にもそういう意見が出ておるのであります。この財界の意見を大体とりいれまして民自の共同修正が行われたわけでありますが、この結果輸出商品に関する限り貿易業者でもメーカーでもほとんど無条件にカルテル結成の申請ができるようになる。認可申請して二十日以内に通産大臣が認可、不認可をきめなければ自動的に効力を発生するという、言葉は認可制でありますが、事実上の届け出制となったのであります。またその場合、通産大臣は今も申しました第三十四条の修正によりまして公正取引委員会に協議すれば足りる。その同意を受ける必要もなくなった。これでは横田公正取引委員長が商工委員会でむくれられたのもこれは当然のことであります。貿易商品の取り扱い分野に関しましては独禁法への治外法権ができたようなものでありまして、法律の成立以来、後退に次ぐ後退をいたしまして、あらゆる法律が骨抜きにされておる。独禁法はここに非常に重大な譲歩を余儀なくされたのであります。ところが申しわけに衆議院では付帯決議案においていかにもその法律改正の、「同意」を「協議」にしたことをカバーするがごとく見せかけております。これで一体公取委員長は満足されておるのか。あなたが番犬として城にして立て籠っておられる独禁法の厳重なる実施という任務が、いかような骨抜き修正によって果して将来ともにやって行けるとお考えになっておられるか。衆議院の商工委員会においてあなたの強硬な御意見のあったことは私十分知っておるのであります。その後何か考え方の相違が起っておりますかどうか。衆議院の付帯決議に満足されておるか。そういう点についてまずお伺いしてみたいと思います。
  229. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) 今回の輸出入取引法改正に関しましては、昨年の暮からことしにかけまして主として通産当局と公正取引委員会の間におきまして長い間の折衝を重ねました結果、政府提案の案がまとまったのでございます。ただいまお触れになりました公正取引委員会同意の問題につきましても、いろいろ折衝いたしました結果、通産大臣が認可をいたします際には公正取引委員会同意を得るということで案がまとまりまして国会提案になった次第でございます。ところが、衆議院におきましてこの「同意」を「協議」に改めるという議員の修正案が出て参りました。これに対しましては私どもといたしましては提案者の代表者とも目すべき山手滿男氏に対しまして、公正取引委員会としては不満であるという意味を申し述べておいたのでございまするが、それが最終の段階におきまして、討論採決のきわめて押し迫った段階になりまして、衆議院委員会におきまして公正取引委員会意見はどうであるかということを尋ねられる段階になりましたので、私といたしましては数次の折衝において通産省並びに公正取引委員会でこの案でよろしいという線において提案いたしましたものに対しまして、そういう修正を受けることについては不満であるということを申し上げたのでございます。その理由は、衆議院でも詳しく述べましたが、この案に示されておりまするように、このカルテルを認可いたします際、あるいは消極的にそのカルテルを黙認いたしまするにつきましては、法律にいろいろな要件規定してございまして、その中にはいわば独占禁止法的な要件が三号ほどあるわけでございまして、この要件の備わっておるかどうかにつきましては、あくまでも独占禁止法の主務官庁でございまする公正取引委員会意見が尊重せらるべきであるという趣旨におきまして、われわれも「協議」では足りず、「同意」でなければならぬということを主張して参ったのでございまするが、それが「協議」と改められることになりますると、これは形式上は公取の意見を無視しても認可ができるということになりますので、この点は反対をいたしたわけでございます。しかし通産当局におきましては公正取引委員会意見は十分尊重するという言明もございましたし、なお衆議院といたしましては付帯決議におきましてこの通産大臣の方針について、その方針でやるようにというような付帯決議もございましたので、われわれといたしましてはあくまでも、理論的にも、まあ実際問題といたしましても、政府の出しました原案が正しいという確信を持っておりまするが、しかし実際に事がただいま申されたような線で運ばれますれば、実質的には公正取引委員会の職責も果せるわけでございますので、この「同意」の点につきましては、しいてあくまでも反対するという態度をとらなかった次第でございます。しかしそうなれば公取の意見が全く無視せられて、ここに野放図に輸出に関する協定あるいはメーカー等の国内取引に関する協定ができてしまうのではないかという御懸念もあるかと思いますが、実はこの「同意」の点は認可をいたしまするいわば入口の問題でございまして、この問題とあわせまして、いわゆる不公正な取引方法に関しましては、この認可の問題とは離れまして、これは最初から独占禁止法の適用除外とはならない建前になっておりますことと、それから一応認可になりましても、その後の情勢によりましてそれがいろいろ独占禁止法的な観点からおもしろくないという事情が生じて参りました場合、特に関連事業者あるいは消費者に対しての利益を不当に侵害するというような事態が生じて参りました場合には、公正取引委員会通産大臣にその取り消しなり変更なりの請求をいたしますれば、一カ月を経って独占禁止法が全面的に発動するというような仕組にもなっておりますので、私どもといたしましては「同意」が「協議」になった点はいかにも現在でも遺憾に考えておりまするけれども、その他の点と考えあわせましてこの程度のことならば、まだわれわれの職責は果せるというふうに考えまして、しぶしぶ同意をいたした次第でございます。
  230. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 通産省との間に協議がなととのわなくて、公取の意に反して認可がされた場合に、その後においてその認可の取り消しを通産省に要求するだけのあなたは強い御決意はありますか。そのことは通産省との間では協議がととのわなかった。あなたの方では御同意ができなかった、そのことについてさらに追っかけて認可の取り消しを要求するだけのあなたに勇気と決意があれば、われわれの心配は杞憂に過ぎないことになるのですが、その勇気がおありですか。
  231. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) これは実は制度の問題と申しますよりも、ただいま御指摘のように、全く法律適用いたしまするわれわれの心がまえの問題と存ずるのでございまして、ここで私がこういう大きなことを申し上げるゆえんは、いざという場合にはこの取り消しあるいは変更の請求をするという心がまえで申し上げておるわけでございます。しかしその点は、ただいまここで大きなことを申し上げましても、実際の問題としまして私の決意をお示ししなければならぬことでございます。ただいま少くもそういうふうに考えておる次第でございます。
  232. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 将来ともに石橋通産大臣であり、横田公正取引委員長である場合においては、通産大臣衆議院の付帯決議を尊重する御意思であることもこれは速記録によっても明らかでございますし、また公取委員長の御決意もわかるわけです。しかし、通産大臣がかわり、公取委員長がかわった場合に、一体そういうことが厳正に行われるという保証がどこにありますか、付帯決議なんというものは法律の内容を修正するというような性質のものじゃないのです。あくまでも付帯決議なんです。あなた方がおかわりになったときに、そういうふうに行われるという保証は何らないわけです。こういうところから一角がくずれて行くわけであって、そういうおそれがあるからして、法案にはっきり明記して置かなければならぬ、こういうように立法府におるわれわれとしては考えるわけです。そういう保証があるとお考えになりますか。
  233. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) 私も全く仰せの通り心配を持っておりまして、その点は衆議院でもその保証がないがゆえに法律上「同意」であるべきであるということを申し上げたのでございまするが、しかしこの点はこの制度が動いてみませんと何とも申し上げられないのでございまして、もしこの衆議院修正案のような形において法案が成立いたしますとするならば、その後の運用というものについて十分留意いたしますと同時に、いろいろまたわれわれとしては考えなければならぬような場面も出てくるのではないかと思います。今後の動きをよく見まして、われわれとしてはできる限りの善処をいたしたいと考えております。
  234. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 大企業による不当なカルテルが消費者並びに中小業者に対して非常に脅威を与えるということは、これはもう理論的にも、また歴史的にも、また戦前の実際の状況においてもわれわれはあまりによくその事実を知っているわけであります。今後もカルテルによる生産の集中、あるいは版売価格の不当のつり上げの危険がないということは、この法律のどこにも保証はないわけです。もちろん公共の利益というものを守らなければならないという立場と、経済力の充実という二つの目標というものは、これはなかなか合致せずに矛盾する場合もあります。特に経済基礎の非常に薄弱な日本においてはとかく批判される傾向が多いということはよくわかるのであります。しかし何といっても一番先に優先するのは、これは広い層の国民の利益でなければならぬ、かように私たちは考えるわけです。その場合に、この公共の利益と経済力の充実ということを、どこに置いて調整をし、そうして広い層の国民の利益を保証するということは、あなたはこの法律において良心に期待するとか、そういったような行政措置ということでなしに、法文においてそういうものの保証がどこにあるかというふうにお考えでありますか。
  235. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) 法律的に申し上げますと、先ほど申しましたように、不公正な取引方法につきましては、最初から独禁法が発動し得るのでございまするし、その後の情勢によりまして、先ほど申しました手続によりまして公正取引委員会が活動する余地もございまするし、さかのぼりましては、この法案において独占禁止法がはずれまするのは輸出のみに関する協定、並びに輸出にかかわる貨物に関する国内のいろいろな協定のみでございまして、もしもこれがその範囲を逸脱いたしまして、その他の面におきまするカルテルを伴うという場合におきましては、その部分についてはごうも独占禁止法の適用除外にはなっておりませんのでございまして、この点も先ほどお示しの公正取引委員会としまして、そういう輸出を切り離した国内の取引について不都合な点を指摘し、かつそれを取り上げるという心がまえと、なお事務的な能力という問題がございまするが、われわれといたしましては、少くともこの法律ではずれておりません部分につきましては、公正取引委員会に与えられました権能をもちまして、ただいまお示しのような国民の全般、あるいは関連事業というようなものに不当な圧迫が加えられることのないように、十分の措置をいたしたいと考えておる次第でございます。
  236. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 あなたの今言われるようにそれは貿易上のカルテルであり、またそれに関連することのみに限定しているのであるというふうに厳格に行われるならば、われわれの心配は全く不要のものであるわけです。しかしこれはアメリカ等の実例で見ましても、非常に厳格にカルテル禁止が行われた場合に、地下カルテルができておる事実等もあるわけです。ところがこの場合は、公然とカルテルが許されるという一つの道が開かれてくるわけです。そうすれば、全面的に厳重に禁止されておった場合にも地下カルテルが行われておるということは、これは過去における実績が明らかに示しておるのです。ところがこの場合は輸出品か何かということは、これはしるしが付いてないからわかったものじゃないのです。それをカルテルの道がどこかでも一角からくずれて行けば、国内の一般消費物資に対して及ばないということは、私は保証ができないと思うのですが、公取委員長どうお考えになりますか。
  237. 横田正俊

    政府委員(横田正俊君) 実は地下カルテル一般の問題につきまして、ただいまお話のような、われわれの手の届きかねる面がございますことは率直に認めなければならぬと思います。従いましてそれがさらに輸出の許された面を伴った場合、なおさらその規制なり取締りがむずかしくなるということも、われわれは十分に覚悟はいたしておるわけでございますが、これは繰り返し申し上げますようでございますが、結局われわれの意思と能力にかかる問題でございまして、その点は今後のわれわれの仕事のやりぶりを十分にごらんいただきまして、もし足らざる部分がございましたら国会等におきまして十分に御鞭撻いただきたいと思っております。
  238. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 時間が、もう予定の時間が過ぎましたから、この辺で一応保留しておきますが、関連してこの際通産省にお伺いしておきます。  今申しました輸出向き貨物と国内向き貨物といかにして通産省は区別をされるお考えでありますか。もちろん品質規格等から国内向きと区別できるとか、あるいは輸出業者の取引方法を規制すればいいというふうにお考えであるようでありますが、しかし輸出すべき貨物かどうかということが不明であるものについては、協定を認めないという御方針であるかどうか。またこの際具体的な基準をきめる御意思がおありかどうか、承わっておきたいと思います。
  239. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 輸出すべき貨物であるかどうかということは、この判断はこれは具体的に相当むずかしい場合も出るかと思いますが、個々の場合につきましてはその商品の規格なり、あるいは品質なり取引方法によりまして、大体の場合におきましては輸出向けの貨物であると判断が私どもはできると考えております。  なお国内向けのものにつきまして、輸出向けと一しょに国内向けの取引のカルテルをするということは、私どもはこれを認める考えはございません。特に先ほどお話しがございましたように、鉄鋼その他の場合に国内カルテルが行われる、法律によりまして国内カルテルが結成されるということは、私も好ましい事態ではないと考えておりますので、その点は認可の際に十分に厳格に審査して参りたい、かように考えております。
  240. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 これはまああまり深くきょうは質問しませんが、非常に品質規格でわかるというふうにおっしゃいますが、この前のPXその他の機関に納めておるカメラその他の光学機械等を輸出と認めて検査を実施するという法律を本委員会は通過させたのですが、その際も質疑いたしましたように、これはしるしがついておらぬのですね。キャノンとかニコンとかいうのをPXに納める。それはやはり日本の国内のものと同じなんです。しかもそれが事実横流れて市場にあふれて、正しい製品の価格に影響を来たしておるということは、これはもう事実あるわけです。カメラ一つをとってみても、F一・五のキャノン八万五千円の品物が七万円以下で事実あるのです。それは製造会社から出たものでそんな扱いをしたら、それだけ損になりますから、それは必ずそういう性質のものが横流れしておるに違いないのです。その他たくさんな物資について品質規格で押えられるとおっしゃいますけれども、私は決してそういうことはできない。そうすれば私がさきに心配したような貿易カルテルが国内カルテルの様相を帯びてくるということは、これは容易に考えられることであって、私は決して――杞憂に終ればいいのですが――そう簡単なものじゃない、こう思うのです。この点どうです。
  241. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 御趣旨のように具体的には非常にむずかしいケースも出ると私ども考えます。しかしながら協定をいたします場合は、やはりその仕向け先の問題なり、あるいは取引の方法なりにつきまして具体的な規制がございますので、個々の場合につきましては、私どもは大体の場合はこれは輸出向け貨物についてこういう協定をするのだということが確認できる、かように考えておるわけであります。
  242. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 まだありますが、約束のことですから保留しておきます。
  243. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後六時九分散会