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1955-07-25 第22回国会 参議院 商工委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十五日(月曜日)    午後一時四十四分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     吉野 信次君    理事            古池 信三君            高橋  衛君            山川 良一君            三輪 貞治君    委員            上原 正吉君            小野 義夫君            深水 六郎君            松平 勇雄君            加藤 正人君            上林 忠次君            栗山 良夫君            藤田  進君            上條 愛一君            小松 正雄君            苫米地義三君            石川 清一君   衆議院議員            小笠 公韶君            山手 滿男君   国務大臣    通商産業大臣  石橋 湛山君   政府委員    通商産業政務次    官       島村 一郎君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省通商    局次長     大堀  弘君    通商産業省繊維    局長      永山 時雄君    中小企業庁長官 記内 角一君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       内田源兵衛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人の出頭に関する件 ○小委員会設置の件 ○小委員の選任の件 ○繊維製品品質表示法案内閣提出、  衆議院送付) ○中小企業安定法の一部を改正する法  律案衆議院提出) ○輸出入取引法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それではこれより委員会を開きます。  ちょっとお諮りいたしたいのですが、石炭鉱業合理化臨時措置法案の審査のために、二十七日参考に、かねてお打ち合せをした人ですね、多少向うの方の都合で出席ができない人もありますけれども、大体十人ばかりおいでを願うことにきめましたのですが、一つ、水曜日には本会議もありますけれども、十時から参考人を午前、午後にわたってお呼びして意見を聞きたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それではそういうふうに取り計らいをいたします。  なお、やかましくいえば、参考人人選も一応お諮りしなければならぬのですけれども、かねて理事の方などにも下打ち合せをしておきましたから、これもまた委員長に御一任を願いたいというふうに考えております。
  4. 三輪貞治

    三輪貞治君 幾らか変ったんですか。
  5. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 大したことはありません。
  6. 三輪貞治

    三輪貞治君 読んでみて下さい。
  7. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  8. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて。  それでは、参考人人選その他の手続は、委員長に御一任を願うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 御異議がないと認めます。     —————————————
  10. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それからもう一つお諮りしたいのは、請願が三十四件参っておるのです。実はこれはやはり日をさいて御審議願わなければならないのですが、だいぶ迫っておるものですから、もし皆さんに大した御意見がございませんならば・請願に関する小委員会を設けまして、この委員会の審議と並行して小委員の方に御勉強してもらって、小委員会の方で請願の方を一つふるいにかけていただいて、そうして本会議に報告していただくと、こういうことにしたらどうかと思うのですが、いかがでしょう。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは、小委員の数とその選定についてどういたしましょうか。これも委員長におまかせ願えますか。   〔「委員長一任」と呼ぶ者あり〕
  12. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それではおまかせを願ったものといたします。  それでは、おいでにならないけれども、自由党から古池委員上原委員緑風会から上林委員、それから社会党左派の方から三輪委員、右派の方から小松委員、無所属の方から石川委員、民主党は白川委員、この方に請願の方の小委員会をお願いいたしたいと思います。     —————————————
  13. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは、本日はまず繊維製品品質表示法案、これを議題に供しまして、御質疑をお願いしたいと思います。
  14. 栗山良夫

    栗山良夫君 私はこの際二、三の点について当局お尋ねいたしたいと思います。  まず最初に、政府は、化学繊維あるいは合成繊維育成につきまして、品質表示関係においてどういうお考えを持っておられるのかということを尋ねたいと思います。と申しますのは、わが国の古い慣習によりまして、何ら、新しい化学繊維あるいは合成繊維品質等について、綿あるいは羊毛を材料とした織物との特質等を突っ込んで理解することなくして、何となく純綿がよろしい、純毛がよろしい、こういう風潮があると思います。しかしわが国繊維事情考えてみまするというと、ほとんど全部綿も羊毛輸入に仰いでおるわけでありますから、国内消費のために使っておりまする外貨というものは、これは軽視ができないわけであります。従って、外貨節約の高い観点から申しまするならば、あげて化学繊維あるいは合成繊維国内において増産し、そうして綿あるいは羊毛輸入を防いでいくということが政策でなければならぬと思います。通産省はすでにそういう政策を取り上げておられるやに私にはうかがわれる。しかし、そういう政策を取り上げ、またその効果を上げようといたしまするというと、消費者でありまする多くの国民諸君に向って、化学繊維なり合成繊維というものの最近のものすごい進歩に対する認識というものをPRしていかなければならないと思うわけであります。これなくして、決してその所期の目的を達するということは困難であると考えます。もちろん、最近における靴下等につきまして、ナイロン優秀性ということにつきましては認識をいたしておりまするが、さらに広範な用途に供せられていく化学繊維合成繊維等については、まだまだその域に達していないと私は見ておるのであります。そこで通商産業省としては、品質表示に直接関係があるわけでありますが、化学繊維あるいは合成繊維というものを、外貨節約観点に立って、国民諸君が進んで消費すべき化学繊維合成繊維のまざっておりまする繊維品といえども、決して純綿物、純羊毛物と比較いたしまして劣るものではないという言葉をかえていいますならば、化学繊維混用奨励政策といいますか、そういうものを強く打ち出していかなければならないと思いますが、これについてどういう工合にお考えになっておられるか、どういう工合政策をとられようとしておられるか、これをまず伺いたいと思います。
  15. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) ただいまの御意見まことにごもっともでございまして、私ども合成繊維お話のような観点において育成をいたしておるのでございますが、ただ、この品質表示制度につきましては、先般御説明申し上げましたように、何千万点、何億点というような繊維品対象にいたしておりまする関係から、すぐに全面的に表示制度を及ぼしていくというととはなかなか事実問題として困難な点が多いものですから、従いまして、さしあたりのところといたしましては、綿、毛あるいはスフ、そうしたものに限定をして出発をするということでございますが、特に合成繊維ナイロンとかビニロンというものにつきましては、追っかけこれを表示対象にできるだけ早い時期に取り上げまして、一般消費者の不便のないように制度を拡充して参りたいと、かように考えております。
  16. 栗山良夫

    栗山良夫君 今度のこの品質表示法案のねらっておられまするものは、今おっしゃった通りのように思います。化学繊維合成繊維が抜けておることは承知をいたしております。しかし、ただいま市販されておる繊維消費物資というものの中には、相当多い部面にわたって、相当重いウエートにわたってこの近代繊維が使われておるのは事実なのであります。従って、国民の中には綿なりあるいは羊毛模造繊維だという認識がまだ抜けていないと思うのです。しかし化学繊維合成繊維というものはもう模造繊維の域を脱して、新たなる使命の下に、その性能なりあるいは性能から来るところの新しい用途なりをはっきり持っているわけであります。従って、通産省としては、もしこの品質表示をやったことによって、化学繊維が入っておるものがこの表示を要求せられておる品物よりも一段劣っておる、こういう認識国民の間に植え付けられていくとすれば、私は繊維政策としてとらないところであろうと思うので、従って、今度の品質表示の中に直接入っておりませんが、具体的に市場の中にその姿を出して、しかもますますその勢いを広めてゆこうとしておる化学繊維なり合成繊維に対する国民認識を深めて行く政策というものが、やはりとられなければ、今いずれ後日になって考えるとおっしゃっておりますが、それでは私は少し手おくれになりはしないか、積極性が乏しいのではないか、こういう工合考えるのであります。
  17. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) 合成繊維につきましては、御承知のような新興繊維関係から、厳密に申し上げますと、たとえば他の繊維との混紡率あるいは交織率、そういうような点も、たとえば靴下についてはどの程度混紡率がいいか、あるいはどういうようなものとの交織が非常に適しているかというような段階が、まだ相当研究状態として残されておるのでございます。従って、今直ちに法律対象として取り上げまして、固定的にこれを表示制度対象にするということが、そういう意味からいたしますと、若干疑問の点がございます。お話のように、PRと申しますか、宣伝の方は極力努めまして、国民一般認識を広めるということと同時に、早く表示制度対象になり得るように事を熟せしめまして、できる限り早い時期におきまして表示対象にし得るように政府といたしましても努力をして参りたい、かように考えております。
  18. 栗山良夫

    栗山良夫君 政府の今申し上げました化学繊維合成繊維に対する基本的な政策というものは、私は伺って承知はしておりますが、その具体化について私どもが希望するほど、われわれが期待するほど高い熱意になっていないのじゃないかということを私は常日ごろ考えております。それは、そういう国産繊維の増産に対する問題にいたしましても、あるいはまた消費者に対するPRの問題にいたしましても、国の政策としてなかはか積極性がとられていないということについて、私は非常に遺憾に思っておるものであります。今の繊維局長お話によりますと、まだ私が完全にそれならばけっこうであると申し上げるところまではお考えが行っていないようでありますが、さらに一段の努力をせられるように要請をいたしておきます。  それから第二点といたしましてお尋ねをいたしたいのは、この表示法におけるところの繊維品質という問題であります。品質というのは一体どういうことを指摘せられておるのか、これがきわめてばく然としておるように私は思います。品質という言葉の中には、綿であるとかあるいは毛であるとか、そういうことのほかに、さらに製造技術あるいは加工技術というものが当然加わっていなければならぬわけであります。また同じ材質といたしましても、毛だけを取り上げましても、羊毛もあればヤギの毛もある。その他いろいろな毛があります。またそれらのものの中でも、新しいものもあれば古い、極端なことを申しますと、古着から毛を再生いたしまして作っておる、非常に見ばはけっこうでありましても品質的に弱いものがあります。そういうようなものの区別というものが、この法案にはほとんど出ておりません。また最近の染料等関係からいいましても、その染料の扱い方あるいは染め方等によっても、ずいぶん品質には相違がきておるものと私は思います。織り方においてももちろんそうであります。従って、品質というものをただばく然とここに指摘されておりますが、私の考えるところでは、ほんとう意味品質消費者立場に立って考え品質というものは、この法案の中では十全を期し得られないというふうに考えるのでありますが、通産省品質というものをどういう工合考えておられるか、この点をお尋ねをしておきたいと思います。
  19. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) これまた、まことにごもっともな御質問でございます。この繊維品質と申しますと、まず代表的なものは、お話しのような毛であるかあるいは綿であるかという、いわゆる組成、繊維性質というものがその代表的なものでございますが、そのほかに、お話のような染色堅牢度、染めた色が洗たくをして落ちるか落ちないか、あるいは日光に照らしてどの程度耐久性があるかというようなこと、その他防縮防水というような点も品質でございまして、また古い繊維であるかあるいは新しい繊維であるかというような点も、むろんこの法律にいわゆる品質考えておる対象になり得るのでございますが、ただ現状からいたしますると、これを法律対象、つまり違反をいたしましたならば罰則が伴うという意味法律対象として、直ちにこれらの品質を取り上げるには、必ずしもすべてのものが熟していないという点が一つあること。それから再々申し上げておりますように、表示制度そのものが、事の性質からいきますと、非常に理想的にすべての品目について各種の品質表示をすることが好ましいわけでありますが、事実問題としてなかなか困難であります。従って、われわれの方といたしましても一歩一歩漸進血義で参るというような意味で、必ずしもあまり最初においては手を広げていかないという方針をとっておるのでございます。  そこで、さしあたりの問題といたしましては、綿、あるいは毛、あるいはスフというような三種類の糸につきまして、各これは生地もございますし、あるいは二次製品もございますが、これらの三種類品物について表示を励行していくような指導をしていくということでございまして、染色の問題、防縮防水問題等につきましては、逐次、これらが表示制度対象として熟してくるに従って対象として取り上げるというようにして参りたいと思います。特にお話しの古い毛があるいは新しい毛かというような問題は、これは事実問題として鑑別することは困難でございますが、強度の問題として考えてみまする場合には、比較的ある種の基準が立ちやすいのではなかろうかということで、ただいませっかくこの問題も研究中でございます。
  20. 栗山良夫

    栗山良夫君 私が申し上げるまでもありませんが、品質のうちでやはり一番問題にしなければねらぬのは再生繊維、これが巧みに、消費者の目ではとうてい識別し得ないような状況で混織をせられまして、そして消費者は非常に丈夫なりっぱな品物だというので買ってみたところが、実際は強度が完全に落ちてしまった、そして思わないときにすでにすり切れて使い物にならない、こういうものが相当あるわけであります。消費者ほんとうに保護するということであれば、そういう消費者の目をかすめて、そうして消費者鑑識力のないところの盲点をついて、そして利潤を上げていこうというような、そういうものを取り締るということが私は一番重要じゃないかと思います。技術的にはなるほどむずかしい点があろうと思いまするけれども品質表示をやられるということは、決して形式的に綿が何%、羊毛が何%というようなことをされることだけで消費者が満足するわけではないわけでありますから、その点は、今のお話だと、なかなか緊急に間に合いそうにありませんが、一番私は大事なことだと思うのです。それでちょっと伺っておきますが、そういう問題についても今までちゃんと認識をせられて、通産省は今度の品質表示法案を立案する過程において、その問題について研究をせられた結果、この法案に間に合わなかったということをおっしゃるのか、そういうものはまだ研究を具体的にしていない、工業技術院その他を使ってそういうことを研究されるわけでありましょうが、研究はしていない、新しい問題としてこれから研究をしていこう、こういう工合にお考えになっているのか、その点を明らかにしておかれたいと思います。
  21. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) お話しのように、この強度の問題は、繊維としては相当大事な本質的な問題でございますので、これはわれわれの方としても極力研究を促進いたしております。現在でも綿糸につきましては、検査につきましての最低強度という一つの標準がほぼできております。ただ毛については、まだそこまで行っておりませんので、従ってこれらの問題をできる限り早く的確な基準を得まして、お話しのような表示対象として取り上げるように進めてゆきたいと、せっかくかような気持で努力いたしております。
  22. 栗山良夫

    栗山良夫君 その次に、この法案が可決しまして施行されるようになったときに、一番私が心配をしておりますのは、中小商工業者立場であろうと思います。特に小さい問屋あるいは小売等について心配をいたしております。それは、ただいま労働関係法律のうちで、労働基準法に対しまして、ただいま労働基準法は大企業に適するものとして一応作られておるけれども中小商工業の場合にはあまりにもきびし過ぎる、これを緩和しなければならぬという声が、中小商工業者の中から強く叫ばれておることを私ども承知いたしております。しかし、私は私の立場からして、労働基準法というものがおくれた日本の労働条件というものを全勤労者に引き上げてゆくものであるから、中小企業そのもの経済力を引き上げて、そして大企業に匹敵するような力を与えることによって、これを守り抜いてゆかなければならぬということを私は唱えております。唱えておりますが、この品質表示の問題についても、労働基準法ほど深刻な問題ではないかもしれませんが、とにかくそれとよく似た現象が起きるだろうと思う。大商社なり大企業であります場合は、品質表示任意表示をするとしても、人手を持っております。費用も持っております。そしてそれらの人手なり費用というものは、そんなに価格に影響を及ぼすことのないような操作もできると思います。しかし中小商工業者におきましては、今まででもきわめて苦しい経営の中において、最も家族労働までも強制的に動員をして、そしてわずかな利潤を上げながら経営をしてきておる。それでもなおかつ不況にある今日の状況であります。デパート販売戦には常におくれをとっておる、非常な恐慌状態にあります。そういう中小企業がこの表示を励行しなければねらぬというときにおいては、相当な費用が私はかさんでくることになろうかと思います。そこで通産省当局としては、中小工業者中小商業者に対して、この表示を励行させてゆく場合に、どういう方策をとったならば一番これらの諸君負担を軽くして行わせることができるか、その具体的な構想というものをお持ちになっておるか、それをお尋ねしたいと思うわけであります。すなわち中小商工業者に対して協同組合等を通じて任意表示を奨励するとか、検査機関というものを協同組合において委任経営をさせるとか、それらの協同組合の行います仕事について政府は特定の経済的血助成保護を加えるとか、こういったような具体的構想をお持ちになっておるか、この点をお尋ねいたしたいと思います
  23. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) この表示制度というものが中小企業に及ぼす影響というものを考えてみますると、従来の繊維製品につきましては、大体信用のあるメーカーは、別にこの表示法とか表示制度というものがなくとも、御承知のように、自分の所の会社の名前を、商標を表示するとかいうようなことで、購買者安心感を与えておるのでございますが、中小企業関係はそれがないために、ことに今日のようにバイヤーズ・マーケットといいますか、消費者が非常に選択権が強いというような市況におきましては、とかく中小企業関係製品がそういうような面において事実上不利になる、不利をこうむるということが多いのでございます。ところが、この表示制度というものがしかれまして、中小企業製品といえども綿は綿、毛は毛ということで、少くとも法律がバックをいたしまして表示が行われるということになりますと、それだけ消費者には一応の安心感を与えるということで、その面におきましては、私ども中小企業者に対してむしろ若干の、何といいますか、プラスになるのではなかろうか、かように考えておるものでございますが、ただ御指摘のような表示あるいは検査という問題につきましてはむろんこの検査を受けるというようなことに伴ういろいろな費用が、たとえわずかでも、何分かかかるわけでございます。従って、そ面のにおいて、特に今のような経済状況になりますると、中小企業者としては負担をおそれるという問題があろうかと考えます。この点につきましては、法律の中でも必ずしも国が検査をするとか、国の検査機関のみが検査をするという建前をとりませんで、民間検査機構でも、その能力があり、信用がおけるというものは、これを積極的に活用する、むしろ活用をしなければならんというような法文の書き方をいたしておるのでございまして、積極的に民間機構をできるだけ使ってゆきたい、さように考えております。その意味で、たとえば中小企業関係協同組合検査機構というようなものもできるだけ育成をいたしまして、自治的な検査、自発的な検査で事が足りるようにというような指導、援助をして参りたい、かように考えておるものでございます。
  24. 栗山良夫

    栗山良夫君 これもまた消費者の方の認識の問題になろうかと思いますが、先ほど申し上げました品質の問題と関連することでございますが、一点伺っておきたいと思います。それは、ただいま、有力メーカーと申しますか、有名メーカー製品マークだけで消費者信用する、こういうことをおっしゃったのであります。しかし私ども消費者信用を与える方法としては、もう一つほかの手段が強力に使われていると思います。それは、最近問題になっておりまするデパート百貨店販売戦術であります。百貨店の売り上げの相当部分繊維が占めておることは、だれも否定しません。繊維百貨店経営の中核をなしておるとすら言われておるほどであります。従って、一たび有名百貨店に並べられる繊維というものは、有名でありましょうとも、無名でありましょうとも、その百貨店マークによって消費者は安心して買っている、こういうことになるわけであります。ところが、中小企業等の特に繊維関係小売等におきましては、この百貨店の圧迫によってただいま非常な問題を提起し、百貨店法を早く制定しろという声すら起き、衆議院においては、一部の政党がこれを法案として国会へ提出せざるを得ないという状況にまでなっておるわけであります。  そこで、質問申し上げる点は、今あなたのおっしゃったように、国が法律をもって検査をしてゆくところの、あるいは法律をもって表示をさせてゆくところのこの品質表示をしておるものであります場合には、デパートに並べられておる商品であろうとも、どんな小さな小売店に並べられておる商品でも、全く同じ信頼度を置いてよろしいものだ、こういうようなことを——やはり通産省としては、デパート通産省ではないわけであります、大商社通産省ではないわけでありまするから、こういう制度を作られる以上は、広く消費者である国民に向ってこれまたPRを強力にせられなければならぬ、こういう工合に思うわけでありますが、そういうことについて御用意があるかどうか、これを伺っておきたい。
  25. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) この表示制度というものは、申し上げるまでもなく、消費者一般がやはりこの表示制度というものを理解をしていただきまして、その理解の上に立って品物の選択をする、あるいは表示というものを識別をしてもらいたいということが、何といいましても一番根本でございます。従って、その意味におきましても、PR、宣伝ということは、この表示制度施行に伴いましてできるだけ強力にやって参りたいと、かように考えております。しこうして、これは現在のさしあたりの表示対象といたしましては、再々申し上げましたような比較的限定をされた品質のものから出発をするわけでございますが、漸次一般に広くその制度を及ぼして参りまして、できるだけその品物自体の信用で売られるというようにいたして参りまして、中小企業のものといえども表示制度対象として合格をしているというものは、信用の置けるものだというようなところまでできるだけ早い時期に持って参りたいと、かように考えております。
  26. 栗山良夫

    栗山良夫君 次に尋ねるのも、やはり政府消費者に対する啓蒙、普及に対する考え方の問題でありますが、私はもう少し具体的な積極的なやり方というものについて親切に一つ、本委員会を通じて答弁をせられておかれるのがよろしかろうと私は思います。これは、どんなに法律でこういうものをやりましても、消費者である国民認識がない限りにおいては、効果を上げることはできない、こういう私は深い認識を持っておるからであります。たとえば、今度のこの表示でも、ほんとうに効果を上げるためにはどうしたらばいいかということは、まず第一に、表示のない繊維品というものは消費者が買わないようにするということも一つの方法でしょう。そこまでやはり消費者が進んで来ればよろしいわけです。そういうことになれば、業者は進んで表示をやっぱりしてゆくことになる。またその表示がごまかしのないもの、全く法律の定めた通り正直にせられておるものでなければ、これは効果は上らない。表示品質とは実際はいいかげんものだ、表示表示品質品質というようなことでは、これは効果は上らないわけでありますから、正直でなきゃならぬということも一つの条件かと思う。それから生産者や販売業者というものが進んで表示をして行くようにしなきゃならぬ、こういうことも一つの条件だと思います。要するに、こういうような表示方法というものは、消費者がよく繊維を見分ける力があればもう全然必要のないことでありますが、それが残念ながらできないために必要性を生じてきたわけであります。そこで、消費者に向って表示制度の重要性というものから認識させ、表示のない繊維というものはなるべく買わないようにした方がよくはないか、こういうような意味のやはりPRということも必要じゃないか。そういう点についてどういうお考えを持っておられるかということが一つ。  それからその次には、最近の新しい繊維を見ておりますというと、法律できめられた表示を必要としないようなものがたくさんあります。たとえば化学繊維合成繊維等を見まするというと、もう混毛しておる割合から、また洗たくの仕方、保存の仕方まで丁寧に一品々々書いてあります。それから非常に丈夫な綿と比較してどれだけの強さがある、羊毛と比較してどれだけの強さがあるというようなことまで、至れり尽せりに書いて、そうして消費者に安心をさせるようなことまで進んでやっておるのであります。従って、これはまあ業者がみずからやっておられることでありますが、そういうまことに望ましい方法が現に行われておるわけでありますが、一般繊維についても通産省はそういうような奨励政策というものも進んでとられる必要がありはしないかと私は考えます。  今までずっと御質問申し上げました中の主要部分は、この法律を適用する場合に一番効果を上げる方法としては、消費者そのものの繊維に対する認識というものを深めてゆくようなPR通産省当局がやる用意と、そうして具体的政策がなければ意味がないということを私は結論として申し上げたいのであります。これについての所信を伺っておきたいと思います。
  27. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) 消費者に対する宣伝といいますか、啓蒙といいますか、という点はお話しのように一番大事な点である、かように考えておりますので、従いまして、表示制度に伴う若干のPR予算もあるのでございますが、むろんこれはわずかなものでございます。さらにナイロン、ビニロン、そうしたものの育成対策に伴う経費というようなものも、そういうような共通した目的でございますので、従って、できるだけそうした手段を講じまして、説明会あるいは展示会というようなものを従来以上に強力に展開をして、消費者に対する宣伝、啓蒙を促進をいたしたいと、かように考えております。  それから第二点の合成繊維について行われているように、親切な表示といいますか、注意書といいますか、というようなものをほかの繊維についてもとる必要があるのじゃないかという問題も、まことにごもっともなお話しでございまして、これまたこの表示制度の施行に伴いまして、われわれとしてはできるだけ任意表示、自発表示ということを建前にいたしております関係から、業者相互間で申し合せをできるだけ奨励をいたしまして、自分のところの各組合員の扱う品物は積極的にお互いに自発的に検査を受けていこうじゃないか、あるいは表示をしていこうじゃないかというような意味の申し合せをできるだけ指導する。それからまた、今直ちに染色あるいは防水防縮というような問題につきまして法律対象とするところまで品質が確立をいたしておりませんが、それらの問題につきましても、少くとも自発的な表示といたしましてはこの程度防縮度がある、あるいは防水度がある、染色堅牢度があるというような意味表示を、業者あるいは組合が自発的に表示をするというようなところをさしずめ実行させたい、かように考えておる次第であります。
  28. 栗山良夫

    栗山良夫君 それから法律案の内容について二、三お尋ねをいたしておきます。実はこういう極端な表現をいたしますというと、立案者であられる通産省としては迷惑だと思いますが、僕はこの法案をずっと通読いたしまして、これくらいわかりにくい法律案というものは私は今までにあまりないと思います。終戦直後英文を訳して日本の法律にしたところの通称独占禁止法であるとか、経済力集中排除法であるとか、ああいうむずかしい、何べん読んでもよく意味がわからぬというような法律がございましたが、あれと非常に似通って、この法案というものは一体何を業者に要求しておるのかよく私はわからぬように思います、読んだだけでは。ところが、この法律というものは、末端の繊維の小売商でもこれを読んで直ぐうなづけるようにわかる書き方をすべきである。それが私は親切だと思います。おそらくこの法律を末端の業者が読んで、自分は一体何をすべきかということはよくわからないだろうと思います。こういう不親切な法律というものは私はあまり見たととがありません。  なぜ、こういう状態になったかということについて、私も二、三聞いてみますというと、通産省が初めてこの問題に関心を持ち、法制化しようというので、業者とだんだん相談をせられておりまして、大体工合よくまとまったところが、その後法制局にこの最後の成案を依頼されたところが法制局において筆を入れたために、すこぶる難解なものになってしまったということを私は聞いておるのであります。これは事実かどうか知りませんが、そういうことを風のたよりに聞いておるわけです。そういう意味で、これが法律者の手先によってこういうむずかしいものになってしまったとするならば、私ははなはだもって遺憾だと思います。法律の書き方の建前によって、あるいはそういうふうにならざるを得ないかもしれませんが、しかしそういうことは最近の法律の作り方としては好ましい問題ではないのでありまして、従って、どうしてそういうことになったのか、それをまず伺いたいと思います。  特にこの法律で問題になることは、政令の委任事項がすばらしく多いことであります。まず政令というものをちゃんと読んでそれを頭に入れてからこの法案を読まないというと、何のことだかさっぱりわかりません。これを逆に言えば、私どもはこの委員会でこの法案を審議いたしましても、通産省が実際に何を根拠にして運用されるのかということは、政令を見せてもらわない限りは、自信を持って審議するととができないという状態であります。政令の案というものは、私ここに立案の方針というものをいただいているのですが、これはまだ説明を受けておりませんけれども、この政令の立案の方針を読んでも、これもなかなかむずかしいのです。従って、どうして難解になったのか、私がただいま申し上げましたことについて解明をいただきますとともに、政令の重要な点についても説明を願いたいと思います。それからさらに、今度は各条についてのむずかしい問題についてあとで質問を続けていきます。まあ全般的な問題として、そういうことをお尋ねをいたします。
  29. 古池信三

    古池信三君 ちょっと関連して。ただいま栗山委員から御意見がありましたが、私もちょっと同感な点があるのです。と申しますのは、この法案は確かに政令及び省令が非常に多い。この法律の適用の実際面からいって、あるいはやむを得ない点もあったかもしれませんけれども、しかし要するに、との法律によって政令以下に白紙委任しておる点が非常に多い。それでありますから、一応ここでこの政令ないしは省令について、大体どんな点を規定しようとしておるか、これは一々政令案なりあるいは政令要綱案でも示されればはっきりするでしょうけれども、そこまで言わないでも、この政令でも第何条第何項の政令ではどういうことを規定しようとしておるか、あるいは省へではこういうふうに考えて、おるという点を、私はここでやはり御答弁願いたいと思います。もっとも、この法律のしまいの方を見ますると、第七条でこの政令及び省令のあるものにつきましては審議会に諮問するということになっておりますから、諮問しない限りはその答弁はできないというふうなお考えもあるかもしれませんけれども、それほど固くこだわらないで、審議会に諮問することは諮問するとして、一応今のととろは政府側としてはこんなふうに考えておるのだ、そういう点だけでもけっこうですから、私はお聞きしておきたい、かように考えます。
  30. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) 栗山委員からお話しの、法文が難解過ぎるという御指摘は、私どももはなはだ申しわけない点であると、かように考えておりますが、ただ、こうしたいささか一般国民に難解だと思われるような書き方になりましたことにつきましては、いろいろとわれわれもこの点については苦心をしてきたのでございます。ただ、この法律が、一面におきましては非常に数多くの繊維対象にしており、また数多くの人を対象としておるという関係から、書き方に疎漏があるために不必要に範囲を広げるということになりますことはむろん困りますし、また大きな穴が出てくるということも困る点でありましたので、従って、そういうような意味で、法令技術の上からいろいろと検討を加えてもらったのでございますが、しこうして、また一面におきましては、お話のように、これを一般国民にわかりやすくするというととも大事な要請でございますので、その意味の検討をいたしたのでございますが、どうも今日までの段階におきましては、遺憾ながら、この程度にしか書けないというふうな状態なのでございます。ただ、われわれといたしましても、今申し上げたように、この点については遺憾な感じを持っておりますので、従って、今後機会あるごとにこれの改善方策、あるいはまたこれのもっと平易なわかりやすい解説、PRというものをできるだけいたして参りまして、一般国民に不便、支障をかけないように努力をして参りたいと、かように考えておる次第でございます。あしからず御了承を願います。  それから古池委員お話の、政令の関係でございますが、この政令委任事項が多いという点も事実でございますが、大体は手続的なことが多いのでございまして、ただ、特に実体的な一般国民の利害に影響のあるというような問題につきましては、その政令はお話のような品質表示審議会というものに付議をいたしまして、その意見を聞いた上で政府としてきめるということで、手続としてはできるだけ慎重な手続をとっておるのでございます。内容としては、しからば、どういうようなことを考えておるかということでございますが、この御指摘のように、表示審議会というものの結論を得ませんと責任のある確定的なことは申し上げかねるのでございますが、私ども一つの私見といいますか、私見あるいは参考的な意見という意味で若干御説明を申し上げたい、かように考えます。  第三条で「繊維製品品質を示す文字であって政令で定めるもの(以下「指定文字」という。)」その「政令で定める」という意味は、たとえば「混紡綿織物」とかあるいは「純毛生地」とかいうようなものが指定文字になるのでございます。それで「指定文字ごとに政令で定める品質」というのは、純毛というのは一〇〇%毛のものだ、スフの全然入っていないもの、あるいは混紡綿織物という場合には、綿がたとえば五〇%以上のものが混紡綿織物と、そういうような品質をこの政令できめるのでございます。こうした純毛生地というような名称、あるいは五〇%以上スフ綿が入っておる場合に混紡綿織物という、そうした品質はいずれもこの表示審議会にかけまして、五〇%がいいか、四〇%がいいか、八〇%がいいかというような点の審議を受けまして、政府で政令できめるということになるのでございます。  それから第二項では、一番最後に「ただし、通商産業省令で定める場合は、この限りでない。」とれは表示をする場合には氏名、名称を必ず表示しろということが第二項の本文でございますが、そのただし書きに「通商産業省令で定める場合は、との限りでない。」ということがございます。これはたとえば商品についての商標、そういうようなものをかわりに用いるということを認めようという趣旨でございます。それからなおその他に工場番号等も便宜代用として認めるというような趣旨が入っておるのでございます。  それから第四条で、「製造業者又は販売業者は、次の繊維製品のうち政令で定めるものについては、」表示をしなければ、「販売し、又は販売のために陳列してはならない。」という、いわゆる強制表示の問題でございます。これは従来からの御説明で申し上げておりますように、われわれの方といたしましては、強制表示を発動いたしまするのは、任意表示制、できるだけ自発表示を業界にやらして、それで効果が上らない、なかなか実効が上らないという場合に、初めて第四条を発動するつもりでございますが、従って、今からどういうような繊維製品についてこの強制表示を用いていくかということは、これは全然私どもとしては今予定をいたしておりません。任意表示、自発表示で目的が達し得ておるというものでありますれば、第四条を用いる限りではございませんので、従って、現在のところでは品目の予定しておるものはないのでございますが、ただ、さしずめのところで、一応予想して考えますると、綿糸あるいは綿織物、特に綿糸につきましては、すでに業界におきまして合理化カルテルというようなことで、自発的に一種の強制表示、強制検査が行われているのでございます。ただ、どうも合理化カルテルというような業界だけの申し合せでは、必ずしもその実効確保が十分でないというような意見がだいぶあるようでございまして、せっかく業界としてはある程度までまとまってきておることであるから、この第四条の裏づけをしてもっと完璧なものにしてもらいたいという意味の希望がかなりあるようであります。従って、それらの点を十分せんさくをいたしまして、支障がなければ、あるいはそうしたものに一部発動して参るということになろうかと思います。  それからカッコ書きで、たとえば「その品質のうち政令で定めるものについては、通商産業大臣がその通商産業省令で定めるところにより指定文字を用いて表示したもの」、これは本来は、強制の表示の場合はいずれもそれぞれ業界関係者がみずから表示するメーカーならメーカー表示する、あるいは問屋なら問屋が表示するという建前でございますが、ある種の品質のものについては、通産大臣が、これは結局検査機関でございますが、検査機関がみずから表示をするこういうふうに表示をする主体を分けましたのは、このカッコ書きの中は大体通俗にいわゆる検査の問題をいったのでございます。ある種の品物については、強制表示というだけでは必ずしも的確に正確な表示が行われるかどうか疑問がございますので、大事な品物については検査を受けさせる、国の検査なり、あるいは民間信用のおける一定の検査機構検査を受けさせる、ただしその検査を受けた場合に、結果において間違った表示が行われたときに、表示者が責任を負うのか、あるいに検査機関が責任を負うのか、その辺がかなり責任の所在があいまいになりますので、むしろその場合には、常識的に検査機関検査をしてしてパスさせたものでございますから、検査機関が責任を負うのが正しいという意味におきまして、この表示を直接検査機構がやるということに書いたのがこのカッコ書でございます。従ってこの検査を受けさせる品物は、強制表示の中でもまた特に限られたものございまして、たとえば純毛ものとか純綿ものとかいうような、比較的間違いが起りやすいものを検査制度にひっかけたものでございます。みずから称して混紡綿織物とか、あるいは混紡毛織物だとかいう表示する場合には、比較的間違いが少いと思いますが、純毛あるいは純綿という表示は、とかくうそが起りがちがでございますので、従ってそういうものは検査制度に場合によってひっかけようというのが、このカッコ書きでございます。そうしてこの四条の一般の強制表示の場合の品目、あるいはカツコの中の検査にかける品目、いずれも実体的に利害の相当関係の強いものでございますが、表示制度審議会というものにかけて決定をするということにいたしておるのでございます。  それから四条の三項目でございます。第三項に「第一項の規定の適用に関して必要な経過的措置は、政令で定める。」、たとえば一月一日なら一月一日からある品物、綿織物なら綿織物について強制表示が発動されたという場合に、メーカーでもあるいは小売商でも、いずれもそのときに相当手持ちの商品があるわけでございます。一月一日から発動されますと、その日から表示がなくては売れないということに理論的にはなるわけでございます。そこでそれを直ちに全部の品物について、表示がなければ売れないということの効果を発生させることは酷でございますので、その場合に、たとえば三カ月間は問屋ついては免除するとか、あるいは小売商については六カ月なり一定の期間免除をするという、あるいは表示なくしても売ってもいいという証紙を張らせることによって、その経過的措置を及ばせるというような、そうした措置をきめようというのが第三項の政令でございます。  それから第五条は、すでに御説明を申し上げた事項と同じでございますので、これは省略いたします。  第六条は、表示制度審議会、先ほどから申し上げております表示制度審議会についての規定をしたものでございますが、その第四項における政令は、専門委員会あるいは部会というようなものを政令できめるということでございます。  その他の事項では大体実体的な事項はないのでございまして、おおむね手続的な問題のみである、かように考えております。
  31. 栗山良夫

    栗山良夫君 第三条の「正しい表示の義務」というのと、第四条の表示の強制ですね、ここの区分けがどうしてもまだのみ込めないので重ねて質問いたします。この第三条の第一項ですね、これも何べん読んでもピンと頭に入らないのですが、もう一度具体的に、一つ何か例をあげながらよくわかるように御説明を瀬いたいと思います。  それから文章のことですが、「品質のものでない繊維製品にその品質表示し」とありますね、これは繊維製品にその表示をしなければならない、「又はその表示と紛らわしい表示をしてはならない」、こういう意味なんですか、このところは。そこのところちっとも強い意思が出ていないわけなんですが、それから前の文字と政令との関係等がよくわかりませんので、もう一ぺん御説明願いたいと思います。
  32. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) これは製造業者あるいは販売業者あるいはこれらから委託を受けて品質表示する事業を行うもの、そうしたものが「繊維品品質を示す文字であって政令で定めるもの」というのは、先ほど申し上げましたように、純綿織物とか、あるいは混紡毛織物地だとか、あるいは純綿毛織物とかいうものが、ここにいう「繊維製品品質を示す文字であって政令で定めるもの」、いわゆる指定文字というのがそれでございます。この純毛織物というその指定文字を用いて指定文字ごとに政令で定める品質、たとえば純毛織物というのは百パーセント毛の織物、あるいは混紡綿織物というのは五十パーセント綿が入ったものだとかいう、五十パーセントとか百パーセントとかいう品質が各指定文字ごとにきめられるわけでございます。従ってたとえば純毛織物という文字を用いて、百パーセント毛織物、純毛でない、そうした品質のものでない繊維製品に、純毛織物という指定文字の表示をしたり、あるいはその表示とまぎらわしい表示をしてはならない、こういうことでございます。
  33. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、指定文字と、その指定文字が政令で定義をせられておる内容と違う、要するに指定文字とその品質が偉うものですね、そういうものが出たときに、ごまかした指定文字を使ってはいかないぞと、こういうことなんですね。そうすると違わないものの場合はどうなんですか。指定文字と品質とぴたっと合っている、それは表示をしなくてもいいということですか。
  34. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) これは不正な表示を取り締っていく、押えていくというだけのものでございますから、従って百パーセント毛織物について純毛織物という指定文字を用いて表示をしているということはちっとも差しつかえないのでございますし、また指定文字を用いて表示しなくてもいいのであります。要するにこの第三条は表示をしろということじゃありませんで、不正な表示をしてはいかぬというだけのことであります。
  35. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと百パーセント指定文字で純綿といえば、百パーセント綿のものだ、こういう工合に政令できまりますね。指定文字もきまる。そのときに実際にここに純綿の百パーセントのものがあって、指定文字にも、また指定文字と示しておる政令の品質にも合うと、そういうものは業者としては表じしなくてもよいと、こういうことですね。
  36. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) してもしなくても自由であります。
  37. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、町の中にありまするいろいろな品物について表示をしてないものは結局純綿のものであって、業者が良心からして純綿として表示をしないで売っている、そういうものがあったときには消費者はどうして見分けるのです。
  38. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) 第四条は強制表示でございますが、第三条は今申し上げたように不正な表示を押えるというだけでございますので、従って百パーセント純綿の織物であるにもかかわらず、純綿織物の表示をしないということは、その業者の自由でございますが、ただ表示制度のねらいとしては、不正な表示を押えるということと同時に、他面できるだけ表示を励行させようという一面の要請があるわけでございます。従ってその面はできるだけ業界の指導あるいは組合の申し合せ、そうしたような形で自発的な表示政府指導するという形でもって参りたいと、かように考えております。
  39. 栗山良夫

    栗山良夫君 そういうことがこの法律の条文に書かれていないので、まことにわかりにくいということですね。おそらく小売商がこれをそのまま法律を読んでみたって、私はそこまでわからないと思うのですね。まあそれは私の意見ですが、次に第四条のところで、もっともこの繊維製品というのは定義が第二条にありますから、この一番しまいに書いてある別表のものを言うわけですね、これが全部そうなんだろうと思うのです。この第四条の「繊維製品のうち政令で定めるもの」というのは、ただいまあなたの御説明によるというと、任意表示をやらせた、ところが非常に偽わりが多くて消費者に迷惑をかけて困る、そういうものに対して表示の強制を発動するのだ、こうおっしゃるわけですから、従ってこの「政令で定めるもの」というのはそういう意味の不工合な点を織り込んで政令できめられるわけですか。その「繊維製品のうち政令で定めるもの」というのはどういうものですか。
  40. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) これは第三条の不正表示の禁止ということを武器にいたしまして、できるだけ不正表示は押えていく、そういう積極的な表示は行政指導あるいは個々の業者の自発的な意思というものでできるだけ自発的な表示をさせるように努めるわけでございますが、ただ、たとえば今綿糸のメーカー、あるいは綿織物のメーカーにおきましても自発的な表示を、自発的な自分たちの検査もやっていこうという運動がかなり進んできておるのでございますが、何分にも業界の人の数が多いわけでございまして、多数の中にはこれに必ずしも同調しないで、表示の秩序を全体八、九割が守っていこうという態勢であるにかかわらず、一、二割の者のために表示制度というものが攪乱される、正直者がばかをみるというような状態も場合によっては出て参るということになりますので、そうした事態を防ぐ意味におきまして、一般に強制表示を場合によっては命ずるということになるわけでございます。そこで第四条の品物は当初からは予定いたしておらないのでございまして、できるだけ一般の者にこの自発的な表示を勧奨というか、指導をいたしまして、それで目的が達せればむろん第四条の問題はなくなってしまうわけでございますが、第四条の発動をそれでもなお必要だというときに初めてこの問題が出て参るということになろうと思います。
  41. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、たとえば純綿なら純綿製品について業界を指導をして自発的に表示をさせていく、そして純綿製品の八〇%が表示をされた、しかしあとの二〇%が表示をしない、そういうときに強制表示をやる、こういうことですか。
  42. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) ただいまのお話のような場合がおもな場合であると考えます。
  43. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと八〇%は行政指導によって公正な表示が行われた、ところが残りの二〇%は行政指導の漏れがあって表示はしない。しかしそれは費用の問題その他で表示はしないだろうが、製品そのものは表示をしなくてもちっとも偽わりでなく純綿のものであると、こういうようなことがあり得ると思うのですが、そうすると一番最初にあなたの説明されたこととちょっと違ってきはしませんか。要するに表示任意表示表示の自由ということから逸脱してきはしませんか。
  44. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) 私の先ほどの答弁が言葉がたりなかっようでありますが、八割方正確な、まじめな表示が行われている、ところが残余の一、二割のものが不正表示をするとか、これは表示するしないはもともと自由でございますから、表示をしなければそれでちっとも差しつかえないわけでございますが、不正な表示がどうも一、二割のものがあるということのために、全体八割方のものが信用を失墜するというような場合には、この四条を用いまして、検査なり何なりの問題に引っかけていく、かようなことでございます。それからまた組合員がかりに百%同調をしていくと、ところが組合外の者がこの表示に同調をしないというような場合に、消費者として非常に普遍的な表示を希望して参るというような場合にも、この四条の強制表示というものば発令するというようなことになると思います。
  45. 栗山良夫

    栗山良夫君 いや、その二割残ったものが不正の表示をするとかということであればこはれ問題は別であると思います。そのときは表示が当然強制発動されるということはわかりますが、その残りました二割はあくまでも任意表示の建前に立って間違いのないものを売っている。しかしうちは表示するのはいやだということになった場合に、これを強制表示にかけるというととは、これは今までの説明では少し行き過ぎになりはしませんか。それは行政指導力が足りないということは言われるかもしれませんよ。行政指導力が足りなくて二割のものを全部任意表示で完成できないということはあり得るかもしれませんが、それがいきなり第四条で表示の強制まで持っていかれるかどうか、そこのところが私よくわからないのです。
  46. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) 第四条は、法律の別表で掲げておりまする繊維製品の中でも特に第四条の発動品目は、その第一項の一号にも書いてございますように、「生活必需品たる繊維製品」ということで、別表の繊維製品の中でも、とりわけ生活必需度の高いものに品物を限定いたしておるのでございます。従いまして、その意味からいたしますと、消費者、購入者の方の立場からいたしますと、単に不正の表示がないというばかりでなく、そうした品物についてできるだけ普遍的な表示がほしいという希望が出て参るわけでございまして、従ってそうした品物につきましては、積極的に表示を命ずるようなことが場合によって必要になって参るかと、かように考えております。
  47. 栗山良夫

    栗山良夫君 それで問題はだいぶはっきりしてきたのですが、あくまでも表示の強制というものは、あるものを持っているのですよ。今まで説明された通りのものでないことだけは今はっきりしました。要するにある品物について、生活必需品とか何とか例証をあげてありますが、そういうものについては全部任意表示を一応さしていくと、しないものについては、かりにその品物がちっとも間違っていなくても表示をさしたい、こういうやはり強制というものを含んでいる、こう解釈していいと私は思いますが、この点はわかりましたけれども、そういう意味であれば、この法律の書き方もまたちょっと不親切だということを私ども言わなければならないと思います。  それからもう一つ問題になるのは、第三条にある「正しい表示の義務」、これを裏からいえば不公正な表示の禁止ですね、そういうことですね。これはまあこれでわかりますが、この第三条とその次に来る表示の強制とを並べるならば、第三条の前に、繊維製品というものは業界が自発的になるべく品質表示をすべきであると、こういったような指導条文というものがなぜ入らなかったのですか。それが入るとこの法律というものはもっとわかりやすくなると私思うのですが、それが全然入っていない。原則として業者は品質表示はすべきである、するのが好ましいというのか何か知りませんが、そういう奨励条文というものをやはり、法律的に体裁をなすかどうか私知りませんが、そういうものがないからまことにとんちんかんになって法律がよくわからない。その点の御見解はいかがですか。
  48. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) お話の点はごもっともでございますが、この法律の趣旨は、第一条の目的に規定をしてございますように、「繊維製品品質の正しい表示の実施を図ることによって、一般消費者の利益を保護する」ということで、できるだけ法律の建前として表示というものを普及さしていこうということは、法律一つの大前提、大目的になっておるのでございます。ただ同時に、従来の日本の法律の規定の掲載の仕方といたしまして、自発的に表示をすべきだとか、あるいは政府が勧告をするとかいうような形のものが、従来の日本の法律では比較的そうした行き方、そうした形がとられておりませんので、この法律におきましても、大体従来の型に従ってこの法律の制定をしたという事情でございます。
  49. 栗山良夫

    栗山良夫君 あとまだ少し質問が残っておりますが、ちょうど一番重要なところですから、私委員長にお願いしておきますが、この法律案をもう少しわかりやすいように当委員会の力で修正できるかどうか私は自信がありません。これは法制局が手がけてできなかったというのですから、おそらくこれはできないのでしょう。そういうことだろうと思いますがね。しかし、できないからといって、今のような、すらっと読んでどこに中心があるのか、業者は一体何をすべきかということがよくわからないような法律でも、これは困ると思うのです。従って、法律の修正はできないとすれば、決議をするか、あるいは本委員会なり議場を通じてもう少しさらっとこの趣旨がよくわかるようにするか、何らかの方法を講じなければ、このままでは私はいけないと思いますので、この点はいずれまたあとで私ももう少し考えてみたいと思いますが、委員長としても、今お聞き及びの通りでありますから、一つお含みおきを願っておきたいと思います。  それから第四条でもう少し伺います。「繊維製品のうち政令で定めるもの」ということは、生活必需品等であって、別表にたくさん並べてありますが、この中にもそうたくさんはないとおっしゃいましたが、大体どれとどれくらいを審議会にかける予定でおられるか、これを伺いたいと思います。
  50. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) 先刻御説明申し上げましたように、われわれの方といたしましては、できるだけ業界の自発的な表示で、不正な表示が行われないように、また正しい表示が普及をするということを希望をいたしておりまして、その意味の行政指導というものをできるだけ積極的にやって参りたいと、できるだけ第四条の発動をするということの事態を避けたいと、かように考えておりますので、現在のところでは第四条をこうした品物に発動をするという特定の具体的な予定をまだ持っておりません。
  51. 栗山良夫

    栗山良夫君 しかし、さつき純綿を引き合いに出されたのですが、やはりそういうお気持があるのではありませんか。
  52. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) 先ほどは一例として申し上げたのでございますが、綿糸につきましては、すでにその合理化カルテルといいまするか、業界の自発的な形で一種の強制表示、強制検査が行われておりますので、あるいは場合によってはこれを取り上げるということも可能性があるだろうという程度でございまして、別段綿糸について今発動するとか、いわんや、その他の品物についてこれを現在予定をしておるということはないのでございます。
  53. 栗山良夫

    栗山良夫君 この綿糸について合理化カルテルが行われておるので、あるいはこれに適用するかもしれぬとおっしゃった意味は、カルテルの協定に服さないものが若干あるので強制表示をしようということだろうと思いますが、その点はやはり行政指導の余地というものがまだ残っておるのではないですか、もう全然残っておらないのですか。
  54. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) 合理化カルテルの問題は、なお今の合理化カルテルのままで行って差しつかえないかどうか。それからまた若干ありましてもごくわずかだと思いますが、そのごくわずかなもののために果してこの合理化カルテルというものが阻害をされておって、第四条の発動を必要とするかどうかというような点は、もう少しくわれわれの方としても慎重に検討いたしたい、かように考えております。
  55. 栗山良夫

    栗山良夫君 要するに私が申し上げたいのは、品質表示をするにしても、技術的にいろいろな繊維製品に絶対に脱落をしないようないい方法を通産省として考えおいでになるのかどうかしりませんが、戦争中によく繊維にはべたべたといろいろなものが張られておりましたが、あれがとれておったことをたくさん私ども散見いたしております。従って技術的な一つ表示の仕方だけでも、もし研究の余地がまだ残っておるとすれば、いたずらに表示の強制をして業者を苦しめるということでなくて、任意表示という建前をやはり堅持して、良心的な品物が販売されるようにして、漸進的にやっていくべきだと私は思いますが、そういったような配慮がやはり行われておりますか。
  56. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) 第四条の発動につきましては、われわれの方もできるだけ慎重な態度をとっております
  57. 栗山良夫

    栗山良夫君 それから第六条の繊維製品品質表示審議会でありますが、実はこの条文を見まするというと、審議会の会長、委員の中には、いわゆる業界の代表ということが書いてありません。しかしこれは前に——私記憶が間違っておるかもしれませんが、計量法をやりましたときに、やはり計量器の審議会には行政機関の職員と学識経験者だけだったと思います、原案は。そういうことでは十全を期するわけにはいかないだろう、業界の代表というものを積極的に入れるべきであるという主張をいたしまして、これは委員会の同意を得て、修正がなったことと私は記憶いたしております。それと同じ考え方で、やはり繊維については、扱う人は業者であります。業者もやはり品物の権威を高めて消費者にサービスするという観念はもちろんあるべきことなんですから、そういうものをしいて拒否する必要はないので、業界の代表というものを委員に当然選ぶべきだと私は考えますが、そういうお考えはございませんか。
  58. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) 業界代表も十分に入れて、その意見を審議会に反映させたいと、かように考えております。
  59. 栗山良夫

    栗山良夫君 委員は三十人ですけれども、三十人のうちでどれくらい入れますか。
  60. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) 大体思半数程度考えております。
  61. 栗山良夫

    栗山良夫君 半数というと十五人くらいになりますが、それだけありますと、繊維にもいろいろな部門があるわけであります。だから部門の代表者というものを公平にこれは選ばれるべきだと私は考えますが、片寄らないで各繊維の部門の方が公平に入られ、そうしてこの表示法の運用に協力をすることができるというような、そういう運営方法を考慮しておられますか。
  62. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) 御意見のような方針で選考して参りたいと思います。
  63. 栗山良夫

    栗山良夫君 私一応質問は終ったわけでありますが、いずれ他の委員の御質問等もあろうかと思いますから、それらも伺いまして、さらに不審な点はお尋ねしたいと思います。一応これで終ります。
  64. 古池信三

    古池信三君 私もごく簡単に二、三御質問いたしたいと思いますが、まず第一に、この法案の目的であるところの第一条の「繊維製品品質の正しい表示の実施を図ることによって、一般消費者の利益を保護することを目的とする」、この点は非常に私は賛成です。これはおそらく異議はなかろうと思うのでありますが、問題はこの目的を達成するその手段方法いかんにあると思うのです。で、これだけの繊維の大きな需要面に密接な関係のある問題として取り上げた場合においては、これはあくまでも政府が強制的にこういうことをやらせるのだという観念でなしに、やはり多数の製造業者あるいは販売業者が、心から積極的にこの方針には協力していくのだ、そういうふうな態勢をあくまでとっていただかなければいかぬ。すなわちこの法文でいえば、自発的な表示を徹底していくということをあくまでも前提として考えていただきたいと思うのですが、それでなるべくこの第四条のような表示の強制ということは最小限度にとどめる、できるだけ自発的な表示によってやる。そうして三条における不正表示の防止、禁止ということは、これは当然やらなくちゃならぬことだと思うのでありますが、あくまでも業者の自発的な協力に待つという方針をとられるだろうと思うのですが、その辺のところをもう一度一つ御答弁願いたい。
  65. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) ただいまの御意見にわれわれも同感でございまして、方針といたしましては、できるだけ業界の自発的表示任意表示というものを育成していくという方向で、第四条の発動はできるだけ避けたい、かように考えております。
  66. 古池信三

    古池信三君 そこで少し重複するかもしれませんが、もう一度確認しておきたいのですが、やはり第四条の政令を発動する場合においては、あくまでも製造業者なり、販売業者の中において、すでにこれ以上は任意表示では十分でない。やはり第四条によって指定をすることが必要であるというような気持が動いてきたような場合であるとか、あるいはまた第三条による禁止をされるべき不正表示が相当多い、このまま放置したのでは、国民大衆の利益を非常に害することになるから、どうしても四条を発動しなくちゃならぬというようなごく限られた場合に限定すべきである、こういうふうに私は考えるのですが、これについて繊維局長の御所見を伺いたい。
  67. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) ただいまの御意見に私どもも同感でございまして、さような方針で処理いたしたいと考えております。
  68. 古池信三

    古池信三君 それからもう一つ伺いますが、よくこういうような取締りをやりますと、善意でしかも無過失、あるいは無過失であるとまでいかないにしても、大きな過失のない人たちが、うっかりしてこれにひっかかって、罰則の適用を受けるというようなことがあってはならない。これは非常にこまかい点になりますけれども、先ほどもそういう話が出ましたが、この表示の方法を単に証紙をもって貼付するというやり方でありますと、多くの繊維品の取扱いの間には、簡単に証紙が脱落することがあり得ると思う。そういう場合には、結局販売業者あたりが全く無過失、善意でもって罰則の対象になるというようなことであっては、これは非常に不合理であると思うのです。そういう点についてはどんなお考えを持っておられるか、これについて一つ意見を伺いたいと思います。
  69. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) 表示の技術的な方法につきましても、十分準備をして参りまして、先ほど申し上げた審議会にはそれぞれ専門家を代表に出していただくのでありますから、それらの意見も聞き、たとえばスタンプを押す、その他の処置を十分並行して考慮していくというような準備を整えた上で進むことにいたしたいと考えております。
  70. 古池信三

    古池信三君 それから次いで品質表示審議会の構成に関する問題ですが、会長一人のほかに委員三十名、この委員三十人の中で、大体関係行政機関の職員として委員に充当する者は何分の一くらいであるか。それから学識経験者というものが自然その余りの分になるわけですが、その中でいわゆる学者と称する人たちは何割くらいであるか。実際の業界を代表する人、これは私は必ずしも法文を修正せぬでも、広く学識経験者という中に十分包含できると思いますけれども、そういうような場合には業界代表として何割くらいの人員を充てるお見込みであるか、この点もおよそのところをお聞きしたいと思います。
  71. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) 審議会の構成は、大体先ほど栗山委員に御答弁申し上げましたように、業界の代表者を約半数考えております。残りの半数の中の大体三分の一は関係行政機関、三分の一は学識経験者、三分の一が消費者という程度であります。
  72. 古池信三

    古池信三君 大体よくわかりました。それから最後に、これは運用の面において希望を申し上げておきたいのですが、従来かような審議会は間々政府の原案をそのまま押しつけてのみ込ませるという形式的な機関として役立たせるにすぎないというような例もあったように思うのでありますが、この問題は非常に利害関係もこまかいところに及んでおるのでありまするから、できるだけ実質的に審議会というものを活用して、そして民間意見を十二分に聞いてこれを応用するという運営の仕方をやってもらいたいということと、もう一つは、かような場合にはただ中央の代表ばかりでなくて、ものによっては地方の実際家というもののその知識経験というものを十分生かすような方法を講じてもらいたい。これだけ、二点を私は運営の方針として特に御考慮願いたいという希望を申し上げておくわけであります。これについて何か御意見があったら承わります。
  73. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) 審議会の意見は無論十分尊重するつもりでございます。また昔と違いまして近ごろなかなか民主主義で、審議会も簡単に政府の言うことを聞きませんので、その点は御安心願ってけっこうだと思います。それからまた地方の関係も十分審議会の委員なりあるいは意見に反映するようにしていきたいと思います。
  74. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと一つ局長に伺いたいのですけれども、だんだん質問応答を伺っておるのですが、なかなかわかりにくいので、今までの質問応答の結果、これは違っていたら一つ違っているとおっしゃっていただきたいのです。私の受けた感じは、非常にたくさんある繊維製品のうちで、ある範疇のものはこれは消費者保護の見地から、あるいはその商品の声価を維持する見地からこれは表示をしたいのだ、だだその表示の仕方を法の強制によるかあるいは業者の任意の団体の表示によるかという区別はあるけれども、大体この法案を出す以上は何をやるかわからぬというではなくて、やはり政府として数ある繊維製品のうちで、今いうような消費者保護の見地からとにかくある範疇のものだけはどうしてもこれはやらしたいのだ、俗な言葉では強制といってもいいと思う。ただそのやる方法について法にまで書いてしゃにむに強制するというのじゃない。業者の大体任意による、しかしどうしてもいけないものについては法の強制もやむを得ないのだ、こういう大体の立法の考え方だと了解して間違いですか、どうですか。その通りかあるいは間違いかということだけ伺えばいいのです。
  75. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) 大体お話のような趣旨でございまして、ただ一ぺんになかなかそこまでゆきませんので、漸を追うてそうした趣旨を実現して参りたい、かような趣旨でございます。
  76. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それからもう一つ、小さいことですが、罰則ですが、たとえば純綿でないものに純綿と書けばこれによって罰則を受けるわけですが、この罰則規定をやられるときに、他の刑罰法との関係はむろん御考慮になっておると思うのですが、たとえば、私も知らないけれども、知らないと言ってはなんですが、少し古くて今日の刑罰法律を知りませんけれども、常識で考えると、純綿でないものを純綿という表示をすれば、これは一つの詐欺行為だろうと思う。そこでそういう行為は刑法上の詐欺というものの方の一体適用を受けるのか受けないのか。ということは、刑罰法令の刑の量定が違ってくるだろうと思う、詐欺の場合とこの法律と。それらの刑罰法令との関係もしさいに御研究になった上で立法になったものならば何をかいわんや。私は何も質問いたしませんが、その点は十分に御研究になってこの法案を編まれたかどうかということだけ一つ伺っておきたいと思います。
  77. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) これは私の方も、また政府部内では法制局あるいは法務省その他とも十分打ち合せを遂げまして作った法律であります。
  78. 吉野信次

    委員長吉野信次君) そうすると、今の場合は刑法の詐欺になりますかなりませんか。そうすると、詐欺の罰と本条の罰と両方科せられるのですか。
  79. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) 詐欺の方の要件を備えております場合には、詐欺罪も成立をするということになると思います。
  80. 小野義夫

    ○小野義夫君 今のに関連しまして、刑法罰と行政罰とありますけれども、一体証紙の表示の義務者というものを登録か、もしくはその他にして限定しないというと、末端の小売商がいやこれは証紙がないとかあるいは偽わりの証紙であるというようなことで取締りになるというと、お巡りさんみたいなところまで取締りが下へだんだん下ってゆく、そうするとちょっと預ってゆくとかちょっと来いとかいろいろなめんどうなことが起るので、一体表示の義務者というものは、これこれについてはだれだれである、その義務者をあらかじめ定めないと、店頭に来て証紙の表示の張ってあるかないかというようなことを単純に——、先ほど承わるというと、純綿というものであるものが八割、二割は任意であるというと、その任意なる純綿と、それからあやまってではない、故意にやった偽わりの織物とがいろいろ混淆することによって末端、小売商のところで、もしそういう小売商の義務があるものとすれば非常に困難ではないか。そこで、ですからこれは卸売商とか何何、何の何兵衛というようなちゃんと表示義務者というものをあらかじめ定めおいて、その責任を問うということにでもしないと、非常にめんどうではないかと思うが、それはどういうことになっておりますか、実際の運営は。
  81. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) 表示の義務者の問題は、第三条といいますか、要するに任意表示、自発表示の場合には別段これは表示の義務を課していないわけでございます。従って表示する希望のある者、表示したい者、それがみずからの名前を表示をするということで事足りるわけでございます。強制表示の場合がおそらく問題だと思いますが、これは現在の繊維の加工形態、製造形態が非常に複雑でございまして、一律にこういう作業をする者ということになかなかきめることが実情からいって困難だというようなこと、それから要は消費者の保護ということでございますから、表示のないものは売っちゃならぬ、あるいは陳列してはならないということにしておけば、それで最小限の一応目的が達成されるということに考えましたので、特に表示の義務者というものを特定しない行き方をとったのでございます。実際問題としては、たとえば綿糸について強制表示を発動するということになれば、綿糸を作った者が売る場合には、表示がしてなければ売れないわけでございまするから、従って作った者が表示をする、あるいは織物二次製品、いずれも同じような形になって参る、かように考えております。
  82. 小野義夫

    ○小野義夫君 そうするとどっかに法文にその制裁規定があるでしょうが、故意に、まあ何々商社というようなものの製造として、そしていわば昔の商標侵害みたように、その表示のときに故意に変造、改造等をいたした者は、刑法上の先ほどの問題ではないが、どういう、公文書偽造、変造ということになるのか、それとも商標権侵害というようなことになるのか、どうなるのですか、その問題は。
  83. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) ちょっと御質問の趣旨が理解しかねたのでございますが、表示を、たとえば詐称をするとか、あるいは変造をするとかいうような場合には、むろん間違った不正な表示ということになるわけでございます。従って第四条の何といいますか、正確な表示をしたものでないという意味にも該当しますし、あるいは第三条の不正な表示をしたものということにも該当して取締りを受けるということになろうかと思います。
  84. 栗山良夫

    栗山良夫君 この文句がちょっとふに落ちないので、もう一ぺん質問いたします。その今の任意表示ということですね、それは第一条には、先ほど局長が説明したように「繊維製品品質の正しい表示の実施を図る」と、こういうふうに言われておりますから、これが任意表示のスタートだと説明がありました。しかしこれは国の方針をここに示しているわけだと私は思います、法律として。従って任意表示をした方がよろしいという意味の注意規定というものがないものだから、どうしても私はよくわからないのですが、法律的にそれを入れることがどうして悪いのかそれを一つ説明を願いたいと思います。そのことは第三条の前に、私がしろうとはしろうととして考えたことは、製造業者あるいは販売業者は、進んで政令の定めるところによって、品質の正しい表示をすることに努めなければならない、と、そういったような注意規定を入れておけばここがあとがずっと私は体裁が整うと思うのでありますが、どうしてそういうことをしてはいけないのですか。
  85. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) お話のような趣旨の規定を置いてはいかぬという別にルールもないと思いますが、ただ在来の法律の書き方といたしましては、たとえば役所のやることでは行政指導の問題を法律の上に表わすということはないのでございます。また国民なり一般の業者が自発的にやるということを法律に書くということも比較的例が少いのでございまして、大体従来の日本の法律の行き方というものは、やるべき義務のあること、あるいはやってはならないというようなことを法律対象として書くという、まあ一つのならわしといいますか、慣行といいますか、というものがあるのでございます。従ってその例にならって法律ができたということでございます。
  86. 栗山良夫

    栗山良夫君 もう一つ伺っておきますが、とにかく局長もこの法律案というものは非常に難解でわかりにくいということは先ほどお認めになりました。そこで問題は、もし国会で可決、決定になった場合にはすぐ施行されるか、施行されるときに、このままではとても末端の小売業者は読んでもわからない。どうしていいのかおそらく私は迷うだろうと思います。そのときに迷わないようにするために、通産省は一体どういう手をおとりになりますか。このまま修正をしないで可決、決定になったときに、業者としては非常に困ることがわかっておりますから、困らないようにするためには、何らかの手を通産省が用意しなければならぬと思います。どういうことをお考えになっておりますか。
  87. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) ただいまお話のような点もございますし、それからまたもともとこの表示制度というものが、先ほどからの御注意にもありましたように、PR——一般の啓蒙ということをその本質からして必要としてておるわけでございまして、従ってこの法律の施行後直ちにできるだけ広く説明会も開き、あるいは解説書も頒布いたしまして、よく一般消費者にも、あるいは業界にも今回の表示法の内容、表示制度のねらいというようなものをできるだけ普及させたい、かように考えております。
  88. 栗山良夫

    栗山良夫君 解説書などの用意はもう大体できておるわけでございますか。これが可決になりますと、施行される施行日は一体いつに予定されておりますか。それまでに一体間に合いますか。
  89. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) この法律では、付則にございますように、審議会の規定は直ちに施行いたしますが、自余の規定は、三カ月間の猶予があるのでございまして、その間にいろいろ万般の準備を整えまして実施に入る、かように考えております。
  90. 高橋衛

    ○高橋衛君 私もこの法律はあまり勉強しておりませんので、あるいは誤解であるかもしれませんから、その点お答えを願いたいと思いますが、第三条の任意表示の場合においては、その品質表示する場合に、指定文字によるところの品質表示であってもよろしいし、またはその指定文字によらない——その指定文字にまぎらわしい表示であってもよろしいということではないかと思います。ところが第四条の場合においては、指定文字によってその品質表示したものということに指定文字に限定をしております。これを考えてみますと、たとえば純綿といい、あるいはオール・コットンといい、またひらがなで「じゅんめん」と書き、かたかなで「ジュンメン」と書いたりこの指定文字を一々列挙するということが困難だから、その指定文字とまぎらわしい表示をしてもよろしいということを第三条で簡明に書いてあるのであります。ところが第四条においては、指定文字でなければいけない、こういうふうな限定をしておるわけであります。この点の解釈はどういうふうにしたらよいか。
  91. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) 三条の場合は任意表示制でございますので、その点は四条の場合より比較的緩和した考え方をいたしておりまして、たとえば純綿という指定文字にかえてオール・コットンというような表示もいいのでございます。第四条は、要するに消費者に強制をしてまでも的確に、間違いなく表示をさせるという趣旨でございますので、そこを第三条と比較してやや厳格に考えておる次第であります。
  92. 高橋衛

    ○高橋衛君 この指定文字というのは一つに限るように考えておられますか。たとえば漢字で書く場合、純綿という一つの文字だけを考えていらっしゃるか、あるいはひらがなで書いてよろしい、あるいはかたかなで書いてよろしい、あるいはオール・コットンと書いてよろしい、幾つかの、実質は同じものだから、表示するものを並べて指定文字にして指定されるのか、その点をお伺いしたい。
  93. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) これは審議会の意見を拝聴いたしまして、妥当な結論を得たいと、かように考えておりますが、私どもといたしましては、必ずしもそう窮屈には考えておりませんで、社会通念的に同一品種で表わすものだというようなことでありますたば、できるだけその通念に合せて参りたい、かように考えております。
  94. 高橋衛

    ○高橋衛君 先ほどの局長の御説明によりますと、できるだけ第三条の任意表示でもってやっていきたい、第四条はできるだけ社会の慣行によってやっていきたいという御説明のようであります。私はむしろ第三条の場合と第四条の場合と同一の規定にして、そして栗山君も御指摘になったように、第三条の場合は読みづらいということは、「その表示と紛らわしい表示」という文字が入っているので、三条が非常に読みにくくなるのです。従って指定文字の数を多くして、しかも政令で定めるものですから政令の中において、特に必要がある場合においては、認可を得て別の表示を用いてもよろしい、「政令で定める品質のものでない繊維製品にその品質表示し、又はその表示と紛わしい表示」とあるのは全部やめてしまったらその方が法文は非常に読みやすくなるのじゃないか、非常にすっきりするのじゃないかという感じがするのであります。その点はいかがでありますか。
  95. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) 指定文字のきめ方に関係をしてくるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、われわれといたしましては、指定文字をできるだけ社会一般の通念に合せたようなきめ方をして参りたいと考えておりますが、それにしても、やはり何といいましても、法規できめるわけでございますので、そこが多少窮屈なことも出て参るだろうと、かように考えております。一方第三条は、しばしばお話がございますように、要するに任意表示制というもので不正表示を押えようというだけの趣旨でございますので、従ってある程度自由な余地を残しておくということの方が実態に即しやすい、かように考えたもので、さように規定しようとした次第でございます。
  96. 高橋衛

    ○高橋衛君 先ほどの御答弁によりますと、できるだけ任意表示でもって慣行に従って、そして強制的な方法はできるだけ避けていきたいという御趣旨のようでありますが、そうすれば特に第四条の場合は非常に厳格に、第三条の場合は非常にルーズなことになって、慣行に従うという考え方もあると思いますが、その点もう一回。
  97. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) 第四条は御承知のように強制表示で、先ほど申し上げましたような強制力を用いてまで国民に、消費者に的確にわからせよう、間違いなくさせようという趣旨でございますので、従って慣行と申しましても、なかなか一般に必ずしも周知徹底をしているものだけにも限りませんので、できるだけ第四条は明確を第一に尊ぶという趣旨で、多少第三条よりは窮屈に規定ができておるという趣旨でございます。
  98. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  99. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記始めて。
  100. 加藤正人

    ○加藤正人君 質問ではありませんけれども、希望を申し上げたいと思います。この法律はだいぶ私が個人的に御相談を受けたのがもう三年くらい前です。ようやく今次日の目を見たような、その間ずいぶん通産者としては御研究になったものと思います。にもかかわらず、今先ほど来承わっておるように、もろもろの疑惑がからまっておるということほど、さようにめんどうなむずかしいことではないけれども、厄介なめんどうな法律だと思うのです。要するに一般消費者を保護するのが目的でありまして、末梢に至るとなかなか厄介です。私はこの法文を議論するとなかなか厄介でありますが、案外説明会等で売る者、買う者にも徹底をするようなことに今後は努力をしていただければ、案外にスムーズに行くのではないかと思うのです。それから同時に、これから起ってくるいろいろなトラブルに対して、できるだけ気軽に改正をしていただきたい。それを重ねることによって、目的を達するのではないか。それからまたこの法案の審議に際して、できるだけ罰則を緩和する、強制というものはやらない、これはわれわれの今日の理想で、けっこうな御希望でありますが、なかなか業者の多い業界でありますので、とっても酢でもコンニャクでも手に合わぬ手合いもある。中には罰則を覚悟の上で違反をするという者もあります。第三国人がおもです。そうすると紳士的に強制はいかぬ、罰則も軽いということで、一応は理想でありますれども、実質的に、実際的に考えてなかなかそうばかり言っておられぬ、そういう意味においては法の執行上、また一般消費者の利益のためには、相当な私は強制表示、強制検査というものもある意味ではやむを得ぬと思う。その点を御考慮の上において、で承るだけそれは一般に強制とか罰則を強くするということは避けられるということは理想でありますけれども、そういう分子もあるということを十分に御了承の上、今栗山委員の言われたような説明会のような方面に努力をされて、徹底されたら案外私はスムーズに行くのじゃないか。それからそういうことで気のついた点は、手軽に改正をしていただきたいという希望を申し上げておきたいと思います。
  101. 苫米地義三

    苫米地義三君 私は簡単なことを伺いたいのですが、品質表示ということは、品質保証ですか。品質を保証するという意味を含みますか。
  102. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) お話品質保証という意味は、ちょっと私には十分にはわからないのでございますが、要するに、これは純綿織物だとか、あるいは純毛織物だとかというような、ここにいわゆる指定文字を使って表示をしたという場合には、国の方としては、それの取締りによりまして、そうした不正表示というものをできるだけ摘発をする、あるいは取締りで押えていくということでございますから、その表示が励行されることによって、国民は安心してこれは純毛だとか、あるいは純綿だとかいうことの、何といいますか、安心感を持って物を買うということになると思います。
  103. 苫米地義三

    苫米地義三君 表示即保証みたいなことになると思います。その保証というものはですね、同一に表示をされ保証すれば値段が大体同じだということを意味するだろうと思うのですが、どうですか。
  104. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) この、さしあたり本法で考えております品質の問題は、ただ純綿か、あるいはスフが入っているかどうかという程度のところを考えておるのでございまして、従って、綿の中でもいろいろ高級もの、あるいは普通もの、いろいろございますし、あるいはまた、強度——強さの点からいっても、先ほどの栗山委員お話のようにいろいろあるんでございまして、ただ、要するに、消費者には、購入者にはこれがスフは入っていないのだ、純毛だということだけを認識をさせようということでございます。
  105. 苫米地義三

    苫米地義三君 その単純な純綿とか純毛とかいう種類のものは簡単ですからいいですが、混紡製品というものは、混紡が非常に複雑に行われておるその場合に、表示ということは非常にむずかしいと思います。そして、同じ表示のもとに、これは同品位のものだから同じ値段だというふうに消費者は通常考えると思うのです。もしその場合に、いろいろな弊害の方もあるようですが、間違えば弊害の方が非常に多くなりはしないかという懸念があるのですが、その点はあまり御心配になりませんか。
  106. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) お話のように、われわれの方としては、弊害の方の問題をおそれますので、従って、今直ちに一般品目を広くするとか、あるいは表示制度対象とする品質を広く範囲を広げるとかいうような点まで参りますると、かえって弊害も出て参る、かように考えまして、順を追うて理想に進みたい、かような気持で考えております。
  107. 苫米地義三

    苫米地義三君 これは、輸出品に対してはきわめて重要であり、また簡単でいいのですが、国内製品をことごとくこれで押えるということは、よほどめんどうであるし、またある意味においては犯罪も起るですね、同時に、消費者は、利益を受けるよりかも非常に損を受けるという場合が当然起ると思うんです。で、私は、特にこれ以上伺いませんが、そういう点を、応用面において、運用面において十分に一つ御注意あらんことを希望しておきます。
  108. 上原正吉

    上原正吉君 簡単に二、三お伺いしたいのですが、大へんけっこうな法律だと思っておりますが、あらゆる繊維製品について、繊維原料の割合だけ—繊維の割合だけでも表示させるということは必要だと思うのですが、あらゆる製品について品質表示させて、ただ表示させるだけでは意味がございませんで、その表示通りかどうかということを検査する機関があって検査しなければ無意味だと思いますが、あらゆる繊維製品にそういうことを実行することはほとんど不可能に近いと思うわけです。そこでこういう法律を作ってこれを実施する段になると、やりやすい品質、やりやすい品物からやりやすい方法で行われるということになりがちだ。それではせっかく法律を作ったかいがないということになりはしないかということを心配するわけでございます。そこで消費者保護の見地からこれをおやりになるのが目的のようにも存じますし、またそれが一番大切なことだと思いますので、消費者保護の見地からやりにくかろうとも、困難であろうとも、消費者保護の建前から困難を冒して実施するという覚悟がなければ、せっかくこういう法律を作っても実効が上らぬと、こう思うのですが、その点においては御用意はどんなものですか。
  109. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) お話の点まことに御もっともでございまして、私ども法律を作りました以上、もともと消費者の保護ということがその第一の本旨でございます。従いましてできるだけ業界の積極的な指導をいたしまして、必要な品物につきましては業界自体が自発的に表示をするように、それからまたお互いに自発的な検査をしてできるだけ間違いの少いようにして行くというような、業界自体の自発的な運動を誘致をするということにさしずめの行政指導の重点を置いていきたいと、かように考えております。そしてある程度その態勢ができてきた、しかもその裏づけとして、法律の裏づけなりなんなりが、保証が必要だというような場合に第四条を用いることによりまして、必要な生活必需品につきまして、できるだけ的確な表示が行われるようにというような進み方をしておるのであります。
  110. 上原正吉

    上原正吉君 それから表示の方法の問題ですが、たとえば昔から久留米がすりとか結城つむぎとかいうようなものにはそれぞれ組合がありまして、組合が登録商標を持っておって、その商標を印刷した証紙を織物の端につける方法によって品質表示をしてきたわけです。これが実際は実効を上げませんで、本物の久留米がすりあるいは結城つむぎはそんなものがあってもなくても鑑識眼のある人にはちゃんとわかりますから、証紙を張ったものはよく脱落しがちでありまして、わざわざはがしたり、いかがわしいものに本物の証紙を張る、本物の結城つむぎか久留米がすりはそんなものがなくてもどんどん信用されて売りさばかれておる。こういう結果になりまして、かえって逆効果があったというような実例もあるのでありますが、従って、この織物に証紙を張ってその品質表示するという方法は不適当だと思うのであります。一番安易な方法で最も不適当だと思うのであります。そこで、そういうような方法でないようなものを何かお考えかどうか、これを一つ伺っておきたいと思います。
  111. 永山時雄

    政府委員永山時雄君) これは個々の品物につきましてどういうような表示をとったらいいかということは、おそらく具体的のケースによって相当違って参るものと思いますので、一律に今お答えを申し上げかねるのでございます。また私どももあまり専門的な知識がございませんので、表示制度審議会等に諮って十分その意見を拝聴した上できめて参りたいと思っておりますが、たとえば証紙を張るというような問題にかえまして、転写マークといいますか。マークを転写していく、そういうような方法を用いることによって証紙のはがれたり、証紙に伴ういろいろな欠点をある程度カバーされるのじゃないかと思います。
  112. 上原正吉

    上原正吉君 どうか品質表示がかえって逆効果を生まないように十分の御考慮あらんことを希望いたしまして、私の質問を終ります。     —————————————
  113. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 提案者が参っておりますから、中小企業安定法の一部を改正する法律案について御質問おありの方はこの際お述べ願います。  ちょっとそれでは私から伺いますが、この改正は前の第一条の点でいえば、前は「製品の需給が著しく均衡を失した場合」と、こういうのですから、これはおそらく需要に比して供給が多い場合を言うだろうと思うのです。あとの場合ではないだろうと思う。今度は「過度の競争により当該部門の製品に関する」と、こうなってきましたが、これは意味が大体同じなんですか、それとも違うのですか。今度の場合は幾らか具体的になってきているようですが。
  114. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 結局平たく申しますと、非常に過度の競争によって全体的には需給が供給過剰、そこでそのためから過度の競争が行われてくる、そこで中小企業の相互間において共倒れ的な不当競争をすると、こういう場合を予想いたしておるわけであります。従いまして、供給不足の場合を考えておるというわけではございません。
  115. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ないのですね。ただ前は著しくつまり需要に比して供給が多いときは発動するんだけれども、今度はそれだけではだめなんで、過度の競争により当該部門の製品に関する国内取引又は輸出貿易の円滑は運行が阻害され」云々というようなときにやるのですから、前よりは制限的になっている、そう解釈していいのですか。
  116. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 前よりも逆に広くしたつもりであります。実は「製品の需給が著しく均衡を失した場合」とございまして、第二条です、第二条におきまして「当該業種に係る製品の需給が著しく均衡を失しており、且つ、かような事態を放置しては当該業種に属する事業の経営において相当の損失が生ずる虞があること。」それから第二号としまして「企業の合理化によって、前号に掲げる事態を克服することが困難であり当該業種に係る産業及び関連産業の存立に重大な影響を及ぼす虞があること。」、ここに非常に実は一条に比較して楽なように書いてありますが、二条の一項の一号、二号で非常にしぼってきているわけです、条件を。そこで今度の考え方といたしましては、別に「輸出貿易の円滑な運行」ということを入れましたが、一般国内中小企業に関する場合におきまして、製品の需給が著しく均衡を失した場合ではありまするが、第二条の第一項一号、二号の関係に若干の緩和を与える。こういうのが改正のねらいであります。
  117. 吉野信次

    委員長吉野信次君) あわせて読めばそうなりますが、一条だけについていえば、前の方は広く書いてあるんじゃないですか。需給の均衡が失した場合と書いてある。今度の場合はそうでなくて、過度の競争によって云々と狭く書いてあるのですから、一条だけの関係においては私の読み方の方が正しいのじゃないですか。
  118. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 一条だけの関係で読めばそういうふうな感じになると思います。
  119. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それから何ですか、今度今どのくらいの品質に適用されているか。政令、これはいずれ出るでしょうが、今度これをやるために提案者として新たに適用を追加する品目というものは御予定になっておるのですか。
  120. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 具体的には提案者としては予定はいたしておりませんが、現在通産省の方へは相当多数の政令による指定の希望があるそうであります。
  121. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは一つ政府の方から伺いたいのですがね。せっかく法律を改正するのですから、改正するからには現行法じゃ足りないのでまあ条文をいじるわけですね。それだから品目もまああとを読めばわかるでしょうけれども、一体今現在どれだけの品目に関してやっておりますか。今度新たに追加する見込みのものはどれくらいですか。それをちょっと伺いたい。
  122. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 現在法律で指定されておりますのは二十六でございます。
  123. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 政令ですか。
  124. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 法律で、この本法の方で附則で指定されておりますのは二十六でございます。そのほかに政令で指定されておりますのは、最近の分を合せまして八つございまして、合計三十四ということに相なっております。で、そのほかについ最近になりまして、そのうちで四業種、ことにミシンの部品ともいうべきミシンのテーブルというものを指定いたしましたので、これを合せますと五業種でございます。これも他に問題はあろうかと思いますが、大体今度の改正法の精神に織り込みまして、ここに指定をしたわけでございます。なお、このほかに指定してほしいというふうな動きのあるものも若干ございますが、これは目下調査を進めておる状態でございます。
  125. 吉野信次

    委員長吉野信次君) この法案について皆さんに御質問がなければ、輸出入取引法の一部を改正する法律案、これもきょう議題に供したいと思いますから、もし御質問があればお述べを願いたいと思います。  ちょっと提案者にお尋ねしますけれども、この方は何ですかね、原案通り衆議院通りましたか、それとも修正になりましたか。
  126. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 修正になりました。
  127. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ではその修正された個所を一つお述べを願います。
  128. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) それでは修正の個所を簡単に一つ御説明申し上げます。  だいぶ長いのでございますが、改正案の修正議決されました修正の第一点は、中小企業安定法におきましては、主管大臣が二十七年来通商産業大臣であるのでありますが、順次品種の指定が追加して参ってきますので、今回第一に通商産業大臣及び各所管大臣を加えまして、共同所管というような形にいたしたのであります。すなわち、中小企業安定審議会というものを通商産業大臣が握りまして、それに伴いまして、あるいは法律の二十九條の命令が出る、あるいはまた必要な資金的な応援をするというような関係から、ここに所管大臣が通産大臣一本であったのを、通商産業大臣所管のものは通商産業大臣、それからしからざる省のものにつきましては通商産業大臣及び当該所管大臣というふうに加えたことが一つであります。  それから事業の中に、実は令度の改正案の中に「品質」と及び「品種」という言葉を入れておいたのでありますが、その間に意匠、特にこれは陶磁器業界の方で意匠問題が若干輸出ものについて起っておりますので、品質、品種のほかに意匠に関する制限ということを加えたことが第二点であります。  第三点といたしましては、この書類の事務的な処理につきまして、通商産業大臣へ認可事項その他の申請手続が参りましたときに、到達の日から三十日内に認可、不認可の処分をしなければならぬ、こういうことにいたしたのであります。もし不処分のときにはその翌日から認可あったものとみなす、こういうふうな形で変えたことが第三点であります。  それから第四点は、公正取引委員会通商産業大臣との関係におきまして、通商産業大臣がたとえば調整組合の調整規定の認定をするというふうな場合に、公正取引委員会の同意を得なければならぬことに相なっておったのを、一応協議するということに変えたのであります。協議に変えますと同時に、その後通商産業大臣が認可処分をする、その後におきまして、事態の変化によりまして独占禁止法の精神に反する場合の生ずることもあり得るわけでありますから、その場合には独占禁止法本来の趣旨において不公正な取引方法を用いておるとか、あるいは組合員または会員に不公正な取引方法をやらせるというふうな条件の場合には独禁法が当然に動いてくる、こういうクローズを入れたのであります。  以上四点が修正案の内容でございます。これに伴いまして関係条文の字句を修正したということであります。
  129. 高橋衛

    ○高橋衛君 私政府側に御説明を伺いたいのでありますが、先ほど委員長からも御質問がございましたが、この中小企業安定法の改正に伴って、さしあたり通商産業省として適用しようとする品目はどういうふうなものが希望されており、大体どの程度のものをこの法律によって結局認可しようと考えておられるのか、その点。
  130. 記内角一

    政府委員(記内角一君) さしあたりのところとしましては、ただいまも御説明申し上げましたように、四業種追加いたしましたので、目下その他の業種につきましては調査を進めておるところでございます。ただ今後法律の規定からいたしますと、何と申しますか、製品の需給が著しく均衡を失しておる状態がずっと続いておるならばよろしゅうございますけれども、何と申しますか、相当強度の輸出要件が伴いまして、ある程度これが慢性化して参りますと、必ずしもその要件に合致しておるのかどうか、またその条件のもとでは現在指定されておる中でも指定を取り消さなければならぬのではないかというふうな部門も生じて参りますので、そういう意味をはっきりさせる意味におきましても、こういうふうに直していただいた方が適当ではないかというふうに考えておる次第でございます。なお今回新しく追加いたしましたのは、ミシン・テーブルの製造業、それからパンコック帽体の製造業、アンプルと申しまして注射薬を入れるガラスびんの製造業等四業種でありますが、なお目下申請をいたしてきておりますのは、正式の申請ではございませんが、打ち合せをいたしてきておりますものは、たとえば金網の業種でありますとか、それから雑貨関係の陶磁器のうちで、この法律の中ではディナーセットの問題あたりも含めてディナーウエヤー等の指定申請の打ち合せがきているような状態でございます。なおきておりますのが、たびのこはぜ、あるいはビニール印刷、それから毛織物の原料にいたしますポロの反毛、あるいはライター、アンチモニー製品というふうな輸出品等の申請打ち合せがありました。
  131. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 提案者に伺いますが、大体わかりますけれども、現行法のもとにおきましては不十分であって、それで今度の改正法がどうも必要であるという理由を簡単にもう一応——つまり何かこの法案で新しく追加するということになれば、一つの問題だと思ったが、その方は大した問題になっていないので、品種の方は大体今まで通りのもので大体ゆく、こういうのですから、それらの品種に対して現行法じゃどこが一体不十分であるか、この改正法になればそれがどういうふうに改善されてゆくかということを、ちょっとしろうとわかりがするようにもう一度御説明を願いたいと思います。
  132. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 中小企業安定法の今までの実施の経過から見まして、一つの問題は輸出の振興という観点も入れて、いわゆる一般的に需給の著しく均衡を失した場合のみに限りませず、それと並立的に輸出振興のために必要な調整を行わせるということが輸出振興上の一つの要請ではないか、こういう考え方が第一点。第二点といたしまして、一般国内中小企業をとって見まするときに、現在の現行法におきましては、この第二条の規定が非常に窮屈に解釈される、第二条第一号、第二号の解釈が非常に窮屈に解釈されることでありましょう。従いまして、これは運用の任に当る者の法律解釈の頭いかんによりましては、非常に狭く解釈される。ところが現実の日本の中小企業の情勢は御承知通り慢性的不況の状況に入りつつあり、非常に困難な事態に追い込まれている。これを比較的広く適用し得るようにするためには、何と申しましてもこの二条の第一項第一号、第二号の条件を緩和する必要があるということが第二点であります。  それから第三点といたしまして、中小企業の調整組合の活動の最終目標は、これはいいことではございませんが、やっぱり二十九条の命令の発動、いわゆる日本の中小企業の実態から見て、ともすればアウトサイダーの一割前後というものがいつも残るというのが実態であります。この調整組合の外におる人々の自由なる活動というものが全体の規律を乱しておるということが、日本の中小企業問題のむずかしいところだと実は考えるのであります。もっとも数が多く、地域的に広く分散いたしておりますので、やむを得ないところかとも思いますが、そういう点があるのであります。従いまして、この二十九条の命令の発動要件をもう少し楽にする、こういう必要があると考えるのでありまして、その意味において第二条第一項の要件の緩和と並んで二十九条の命令の発動の要件を緩和した、こういうことを緩和することによって少くとも中小企業の中の大多数のために安定をはかってゆく、こういうような必要性が感ぜられたことが第三点であります。  それから第四点といたしまして、事業上の問題につきまして、やっぱり品種だとか、そういうような若干の足りないところをついでに直してゆく——追加してゆく、こういうのが安定法を改正する必要を感じたととろだと考えております。
  133. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  134. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて。
  135. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は提案者である小笠代議士に、特に中小企業の御専門家だから伺いますが、この中小企業安定法というのは弱小な中小企業を少しでも法的な保護を加えて強くしてあげよう、こういうねらいでできた法律だと私は理解をしております。そうでありますとすると、ここに一つ私は提案者としてどういう意味でなさったか、その点ちょっと理解に苦しむ点があるので伺っておきます。ただいまここに提案になって審議中の輸出入取引法の一部改正法律案では、生産業者の調整というものは業種指定の必要がないことに大体なっていると私は理解しております。ところが、この中小企業安定の方の法では中小企業の指定がこれはあるはずです。私どもは今輸出入取引法の中での改正の法律案の中で中小企業立場からいたしますというと、独禁法を非常に大巾に緩和して、そうしてその結果は大企業が非常に利益をし、その結果がはね返って中小企業を圧迫するのではないかという疑いをもっておるわけです。従って大企業にそういう途が開かれるならば、それに幾層倍する便益を中小企業に与えておかないとこれは均衡を失することになる。口でいかに中小企業の振興を唱えても、法律改正を行なうたびごとに中小企業の方も少しは改正をするが、その何倍かの大巾な便益を大企業に与えていくということになれば、これは総体的に中小企業は後退をせしめられることになるわけです。そういう見方からいたしまするというと、中小企業に一番御熱心で御理解のある提案者はそこの点をお気づきになったかどうか、お気づきにならなかったということはないと思いますが、お気づきになっているとすれば、なぜそこまで手をお加えにならなかったか、また加える必要はないとお考えになったか、その点を伺っておきたいと思います。
  136. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 中小企業、特に中小工業の安定をはかっていく上におきましていろいろな方法がございますが、こういうふうな現実の事態が過度の競争に悩まされておる、従って若干の景気の変動にも耐久力が弱いこの中小企業者を特に不況時に維持していくという上におきましては、やはり自主的な一つの調整を行わせることが必要だと私は考えておるのでありますが、その意味から考えて、中小企業安定法が中小工業を目標とする以上、全部に平等なチャンスを与えたらいいじゃないか、でもっともな御意見だと私は思うのであります。この法律の改正のたびに問題になる一つの点でございます。理論的に率直に申しますと、私は業種指定はない方がいい、率直にそう個人的には考えているわけであります。でありまするが、一方現実の役所の処理能力の問題、それから物事の緩急の順序というふうなものを考えて参りますと、指定を順次していく、そうしてある程度の行政能力というものができてきたときにはずしていくのも一つの現実的な方法ではないかと私は考えておるわけであります。  もう一つの点は、輸出入取引法衆議院における修正に伴いまして、輸出業者と生産業者との間のカルテルが容易にできるように相なったのでありますが、こういう点に対して、私はあの輸出入取引法では生産業者とのカルテルを結ぶ場合に、生産業者自体にある意味においてより食いができる、いわゆる生産業者に中小企業のような場合に、中小企業者全体との協定でなくて、特定のそのうちの全部または一部と協定ができるような態勢に相なっているのでありますが、そういうふうな際にこの安定法によって一つの組織を作っていく、そして全体として輸出業者と相対応していくという必要があると私は考えるのであります。この意味からみまして、今度の改正による輸出の円滑なる振興のためにこれがやられるということは、これに対応するものだと私は考えておるわけであります。で、そういたしましても、一応輸出入取引法のカルテル結成の目標というものは、もっぱら税関線から外に向ってあるということは事実であります。その税関線との関連においてのみ生産業者とのカルテルを結んでいこう、こういうのがねらいであります。中小企業安定法は業界全体としてのいわゆるカルテルによる安定をはかろうというところにねらいがありますので、若干ねらいの相違はございますが、今度の輸出入取引法の修正に伴いまして、私は中小企業安定法の輸出振興上の業種指定の問題に返って参りまして、機宜の措置を行政当局でとっていくという必要がますます強く出てきているのじゃないか、こういうふうに実は考えております。
  137. 栗山良夫

    栗山良夫君 提案者は中小企業の業種指定をはずさなかったことについては、大体私の意見と同じこと並んでありますが、はずした方が、よかろうという意見です。中小企業庁の長官はどうお考えになりますか。ちょっとその前に、輸出入取引法の一部を改正する法律案をこの間審議しておりますと、中小企業に対してこれは少し思いやりが足りないじゃないか、こういう御質問をどなたかがなさったときに、いや、中小企業の方のことはこの取引法ではみないで、中小企業安定法の方で十全にみることにいたしてありますと、こういう御答弁がたしかあったと思います。私は速記録によっては確めておりませんが、耳に残っております、結論だけを申し上げますと。だからそういうお考え方からいうと、どうもそういう工合に現実にはなっていないようであります。もっともこれは議員提案でありますから、中小企業庁長官には責任がないかもしれませんが、しかしこれをお出しになる前にはそれらを御相談になっているはずだと私は思いますから、そこで中小企業庁の長官にお尋ねいたします。
  138. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 輸出の方は御承知通り何でも輸出できるのじゃございませんで、大体物は自然的に特定してやっておりますのが第一点でございます。  第二点といたしまして、御案内の通りこの安定法によりましては、調整組合を作って自主的にやるという面と、さらに二十九条の命令を予定していく面と両方の面がございますから、これらを両方合せて一体的に考えて参ります際には、ある程度調整組合を作ります際から一つの何と申しますか、全国的な背景というものを頭に置いてやっていかないと、なかなかアト・ランダムロ組合を作ってやっていくということでは、この目的が十分に達し得ないのじゃないか。そういう意味である一定の、ある種の交通整理をする意味においても業種の指定というふうなことをやるのがいいんじゃないかというふうに考えておるわけであります。さらに根本的には、まあ二十九条の命令まで出し得るような体制になっていく際に、全面的にとっぱなしておいていいかどうか、根本的にさかのぼって考えていく必要もあろうかと思うのであります。この辺までになりますと、相当慎重な考慮を、検討を必要とするかというふうに考えております。
  139. 栗山良夫

    栗山良夫君 元中小企業庁長官と現中小企業庁長官とはだいぶ話が違うのですがね。そこで、輸出は何でもできるものではないと、こういうことをおっしゃいましたが、そのことは、輸出入取引法の方の生産業者についても言えるわけでしょう。私は今のお話はちょっとまだ理解できませんが、もう一ぺん提案者に伺いますが、あなたは役所の仕事の磁力に限界があるということをおっしゃいました。それからもう一つは、物事は順序があるとおっしゃった。これら業棟指定をした方がよかろうという、今の場合はやむを得んだろうという意味だったと思うのですが、そういうことであれば、物事の順序からいえば、今非常に困っておる中小企業の方を少し重く見てやるということの方が順序じゃないでしょうかね。
  140. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 結局、この法律に基いて調整組合を作り、業界の安定をはかっていく、少くとも不況で将棋倒しにならぬような一つの防塞を築いていくというふうなことをやるには、現在の中小企業の実情から見ますると、同じ中小企業の中にも大きさが、大小がございます。ある程度指導を加えなければうまくいかぬというのが私は現実だろうと思う。現在中小企業等協同組合法に基いて組成されておる協同組合が三万幾つあると言われておるが、その中で睡眠組合が非常に多いとまで言われておる。やはりある程度一つ指導体制が要るのじゃないか。これが日本の中小企業の私は実態だと思う。そういうふうな考え方からいたしますと、この安定法による働きを各中小企業にできるだけ一律にやるとしたら、平等にチャンスを与えたらいいじゃないかと、私は理想は実はそうだ、先ほど申し上げた通り考えておるのであります。ところが、役所の方で指導能力の問題もございますし、またたくさんの中小企業の業種の中でより緊要なもの、より窮迫しておるものというふうなものから順次役所の指導体制をつけていくということが、かえってわあっと出てくるよりも効果を上げやしないか、こういうのが私の現実的な考え方であります。従いまして、もう少しこの制度一般中小企業界に理解され、宣伝されたときには、私は順次指定をはずしていく、現在の段階におきましては、当初二十七年に法律ができましたときには法定でありました。法律で業種を指定することになっておったのであります。その後政令で指定することに改めたのであります。この政令で指定するということは、できるるだけ行政当局の機宜な活動ができるようにと、こういうような趣旨であったのでありますが、この政令で業種を指定する段階をいま少しおけば、私は自由な形でもって行った方がいいじゃないか、こういうふうな考え方をもっておるのであります。今、栗山委員お話のように、困っておる中小企業に、少し輸出入取引法の修正案等を考えてみると思いやりが少いじゃないかと、こういうお話がございますが、これは実は輸出入取引法の運用の問題と比べて考慮すべき問題だと思いますが、私はこの案を考えるに当りまして、実は去年から考えておったのであります。どうしても法定要件が窮屈過ぎる。もう少し法定要件をやわらかくして、一応認められておる、指定されておる業種でも楽に法律の全機能がいわゆる享受で承るような形にしなければ、安定法というものは作っても大体形だけになりやせんか。こういう趣旨から実は安定法の改正を春以来考えてここまできたのであります。大体そういうふうな現実的な立場に立ってこの改正案を考えたというのが実情でございます。
  141. 栗山良夫

    栗山良夫君 今の提案者のお話の中にありました、お言葉を返すわけじゃありませんが、特に重要なるもの、特に困っているもの、こういうものをまず拾い上げなくちゃならぬ、こういうお話でありました。しかし、それはやはり比率の問題であろうと思います。重要なもの、あるいは困っておるものがあるいは二割であるとか三割である、そういうときならば私はその議論は正しいと思います。しかし、今日の中小企業の事情を見まするというと、重要なものは何パーセントあるかしりませんが、非常に困っておるものの、パーセンテージというものはおそらく可半数をこえているだろうと思います。そういうことであれば、今中小企業というものが日本の経済の特異な形態をなしておるということをおっしゃいましたが、その半面はもっと極端に申せば、日本の中小企業というものはもう少し整理しなければとてもしようがない、こういうよな意図であれば私はわかりまするが、少くとも相当に広い雇用市場を提供している中小企業というものは、いかに困難があっても私はこれをつぶすべきではない、こういう工合考えるのであります。その考え方からすれば、もうこの辺でやはり普遍的に救済の手を差し伸べていくようにすべきじゃないか、こう私は考えるのであります。提案者のお考えは、私は大体ねらっておられるところはわかりまするし、さらにそう努力しようという跡が見えておりますから、大体理解ができないわけではないが、中小企業庁の長官のおっしゃることは相当隔たりがあるのですがね。中小企業の長官としては、中小企業を守るためにある役所の長なんですがね。その長が今のようなお考えでよろしいわけですか。
  142. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 私どもこの法律の条件に合致する、あるいは立法的に考えますと、困ったものがこういう仕組みでやろうとする場合には、できるだけこれをチェックしない方向で進んで参るのが当然かと、またそのようにそれを何らの形でチェックするようであれば、これを直すような方向で努力して参るのが当然かと考えておるわけであります。ただ、現実の問題といたしまして、困っておるのは実情でございますが、さてこれを今の日本の法律体系からもって参りまして、ある地域だけをつかまえてこれを直すとか、あるいはいろいろなものがごっちゃになってこれをやるとかというふうなことは、現在の法律体系のもとではできないような格好になっております。従って、今のような安定法の形でやって参りますと、全国的にある一つのフォームを作って、その一種の法律を作った法律のもとに各業者が金国的に同じような条件のもとに適用を受ける。最後にはこれが調整命令によって、一種の通産大臣の命令によって法律的な規制まで受けるという体系にまでなって参ります。従いまして、これらを整理する意味におきましては、当分の間今のような業種指定ということが必要なんじゃないか。そういたしませんと、勝手に組合を作る、また組合の申請をする、それがいろいろ競合して参るというふうなことになり、事務的にも繁雑でございますし、かえってそのことによってあとで業界相互の間にいろいろな摩擦相剋を来たす。そのために無用の混乱を生じて、業者の方であとで手直ししなければならぬ、それも相当根本的に組合の再編成というふうなことまでやらなければならぬのではないか。従ってさしあたりのところでは、業種指定ということもやむを得ないのではなかろうかというふうに考えておる次第であります。  なお取引法との関係でございますが、取引法におきましては一時的な——たとえばある国とのこの種の入札についての協定というふうな、ごく一時的な協定もできる必要があろうと思うのでございますが、中小企業につきましては、組合というふうな団体を作って、調整組合という団体のもとにある程度継続的な体系的な形で安定をはかって参らなければ、根本的に立て直しはできないというふうな実質的な違いもございます。そういう意味で、組合を作る基本的な問題といたしましても、相当な配慮のもとにある程度将来を見越して、万一二十九条命令を出してもやっていけるようなことを頭に置いて組合を組織することも考えていかなければならない。そういう意味合いで、ただ単に一時的な協定をやるというふうな意味と安定法は違って、ある程度の慎重さが必要となってくるというふうに考えておる次第であります。
  143. 栗山良夫

    栗山良夫君 原則論としては中小企業の将来の発展的な展望もありますが、業種指定というものをだんだんはずしていく方が好ましいということはお認めになりますか。
  144. 記内角一

    政府委員(記内角一君) その通りであります。
  145. 栗山良夫

    栗山良夫君 そういう努力は、やはり中小企業庁としてはさらに続けていかれるでしょうか。
  146. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 根本的にはこの問題の裏には、あらゆる業種について何と申しますか、中小企業にアウトサイダー命令もどしどし出せるのだというふうなことをやるのがいいかどうかという、何と申しますか、中小企業者にとっては無条件に独禁法の規定を排除するというふうな考え方のもとにいった方がいいかどうかというふうなところに、いろいろ根本的に人それぞれの立場立場によって、御意見の差もあろうかと思うのでありますが、われわれといたしましては、長い従来の経験からいたしまして、中小企業に限りましては、そういうようなところまでいく必要があるのではないかというふうにすら考えておるわけであります。そういう雰囲気をさらに醸成するためには、われわれとして今後も大いに努力いたしまして、ゆくゆくはそういうことの業種指定というようなものもはずすところまで進んで参るべきだと考えております。
  147. 古池信三

    古池信三君 ちょっと議事進行について御懇談を願いたいのですが、速記をとめていただきたい。
  148. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記をとめて。   〔速記中止
  149. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは速記を始めて。
  150. 石川清一

    石川清一君 私はしろうとでわかりませんが、衆議院で修正されました所管大臣について、通産省以外の関係でも問題があって、これを共管するように承っております。これは今までこういう問題になった事例でもあったのでありますか。それともこのワクをある程度ゆるめました場合、予想される業種が特に出ておるのでありますか、この点を。
  151. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) 今この法律の運用に関係する省といたしましては通商産業省のほかに農林省、それから厚生省、大体この二つであります。それで御承知通り特に農林省におきましては、食糧加工品ですか、ああいう方面で食糧品工業を所管いたしておりますので、この不況に伴いまして漸次こういう制度を利用していきたい、こういう希望が非常に強いのです。そこで従来は現行法におきますと、この法律施行に関する限り通商産業大臣が主管大臣、ところが一々あれを通産大臣、関係部局へ持っていって頼む、その名において行う、そのときに通商産業省で行政処分をする場合に、農林大臣の同意を求める、こういうことになっております。これでは非常に動きにくい。だからやはり総括官庁として通商産業大臣があれば、各大臣が並立の立場においてできるようにしてほしい。こういうような希望が強かったものですから、この希望を入れまして直していこうというような実情でございます。具体的に農林省の方で今指定されておるのは清原飲料水だけでございますが、缶詰の問題その他が若干あるというお話でございます。
  152. 石川清一

    石川清一君 そういたしますと、今度業種の指定は今までよりもある程度楽になる。こういうように理解してよろしいのですか。
  153. 小笠公韶

    衆議院議員(小笠公韶君) その通り考え願ってけっこうです。特にその問題がありますので衆議院の商工委員会では付帯決議で、第二項として、要望のあった場合はすみやかに指定しろ、こういう付帯決議を実はつけたのであります。
  154. 石川清一

    石川清一君 先ほど中小企業庁長官のお詰を聞きましても、やはり予防的な性格、未然に混乱を防いで早く調整をさせよう、従って取り消しも早くすべきだ、こういうように理解しましたが、今までの中で法律で指定し、あるいは政令できめました中で、はずしてもいい、こういうような業種は出ておりますかどうですか。
  155. 記内角一

    政府委員(記内角一君) われわれ現在の法律では条件が非常にやかましゅうございますので、ある程度調整組合などの活動によって業界が安定すると、これをはずさなければならぬのじゃないか、ところがはずしてしまうと今度はまた混乱する、はずしたり入れたりというふうなことで、かえって困る状況になり、厳密に適用いたしますと、こういう状態になるのじゃないか、従って今回の改正によれば、そういうおそれがなくなる、従って現在のままに指定を続けていってよろしいのじゃないかというふうに考えております。
  156. 石川清一

    石川清一君 この法律ができました当時と、今日の日本の貿易の事情、あるいは政府のとっておる均衡ですか、この政策からみると、だいぶ違っておるようであります。法律も若干広げられたようでありますが、観念的には今おっしゃられたような措置でいいと思うのでありますが、実際問題として鉱工業の生産も、総体の数からいえば上昇率がとまっておる。まだ輸出なんかもある程度思ったよりも伸びておる、輸入は減少しておりますが、こういうような中でまあ特に明年度からは中小企業の安定のためにいわゆる調整組合のワクを広げて企業庁は一つの方針といいますか、これは議員提出でありますが、そういう中で積極的にやはり予防といいますか、そういう予防的な立場、そういうものをとらなければならぬ面があるのではないかと、こう思っておりますが、特に積極的に、これは議員提出でありますが、こういう一部修正がされたあとでやはり予防的に中小企業を守ろうという立場に立って、業種あるいは輸出の現況等から見てお考えになっておることがございますか。
  157. 記内角一

    政府委員(記内角一君) われわれから見まして、たとえば先ほど申し上げました反毛の関係、あるいはライター、アンチモニー製品というふうなものにつきましては、特に輸出の関係もございまして、ある程度何らかの手を打たなければならぬのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  158. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ほかに御質問ございませんか——それではいかがでしょう。繊維品品質表、不法案中小企業安定法の一部を改正する法律案、この二件に関して一応質問は終了したものと認めてよろしゅうございましょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は先ほど質問いたしました繊維製品品質表示法案が、指摘をした通りに非常にこれは難解でわかりにくくて、しかも運用上は相当慎重な配慮を当局がしないというと、所期の目的を達しないじゃないかと思います。法制局ですらできなかったというのでありますから、あるいはできないかもしれませんけれども、できれば本委員会において私は大修正を加えるべきであると思います。しかし運用の道で通産当局が当委員会の意向というものを十分にそんたくして慎重に当られるならば、あるいはまたその弊害を除去することができるかもしれぬと思います。そういう意味でよく各委員諸君において御勘案いただきたいと思いますが、もし私はあの法律案に修正を加えないで可決決定をするということであれば、今日の審議の経過に基いて委員会として付帯決議を付しておきたい、こういう工合考えるわけであります。で私は実はまだ自分の党にもほんとうはよく相談をしていないので恐縮でありますが、個人としての付帯決議の案を今用意しております。それで一応読み上げてみたいと思いますが、委員長の手元におきまして、これは一つ委員長で各会派に対して善処をお願いいたしまして、委員会の一致した付帯決議になるようにお取り回し願えれば大へん仕合せだと私は思います。もちろん付帯決議の案文等については私の粗末な原案でありまするから、各会派で十分お打ち合せをいただいて訂正をいただくことは一向差しつかえございません。大体私がただいま用意しておりますのは六点でございます。それでまず第一点としましては、   一、政府は本法の実施に当っては、第三条に規定する任意表示の趣旨に重点を置き、業界の自主的表示の励行によって品質表示の目的を達成し得るよう、業界に対し指導、援助を行う等運営に留意し、必要やむを得ざる場合のほか、強制表示、強制検査の発動を極力避けること。   二、政府は、やむを得ず強制表示、強制検査を発動するときは、中小商工業者、特に小売業者にとって表示または検査の技術的方法及び過渡期における経過措置等について、無用の混乱と過重な負担を生ぜしめることのない方法により実施するよう、適切な処置を講ずること。   三、政府検査機関の認可に当っては、受検者、特に中小企業者立場を考慮し、受検のために物的にも精神的にも過重な負担とならないよう留意すること。   四、政府繊維製品品質表示審議会の運営については、一部に偏することなく、広く繊維業界各部門の代表者をも参加せしめ、特に中小企業者立場を十分反映し得るよう構成その他について慎重な考慮を払うこと。   五、政府は、本法は、政令事項が多く、かつ法文が一般の者にとって難解な点があることにかんがみ、法の内容に関し、業界及び消費者が容易に理解し得るよう適切な方途を講ずること。   六、政府消費者の利益を保護するため、将来落綿、綿反毛及び毛反毛を使用して製造した繊維製品について識別し得る方法を講じ得るよう、直ちに検討を加えること。 これだけでございます。そうして私が読み上げました第五項の、法が難解だから善処をしろという政府への注文の中で、適切な方途を講ずることということは、将来法律の読みやすいように修正を加えるようなことも政府みずからも研究すべきであるということも含めて申し上げておるわけであります。以上御提案申し上げます。
  160. 吉野信次

    委員長吉野信次君) お聞きの通りでございまして、委員長は善処方了承いたしました。もしまだ突然のことでございますから、すぐには皆さんの御意見もどうかと思いますけれども、今およみになったことについて、お気づきの点があれば、皆さんからお述べ願いたいと思います。
  161. 古池信三

    古池信三君 ただいま栗山委員がお読みになった案を一応刷り物にして、明朝でもお配り願えませんでしょうか。
  162. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 承知しました。では栗山委員仰せのことは私の方で適切に取り扱います。  それでは本日はこれにて……。
  163. 古池信三

    古池信三君 ちょっと。これは皆さんの御意見によるのでございますけれども、今日は午後から始めたのですから、もう一時間ぐらい続けたらどうですか、輸出入取引法を。
  164. 吉野信次

    委員長吉野信次君) けっこうです。むろん皆さんの何ですから、まあいかがでしょう。隗より始めよというから、何か御質疑があれば、輸出入取引について……。
  165. 古池信三

    古池信三君 それじゃ簡単に一、二御質問いたします。先ほど来お話がございましたが、輸出入取引法改正案といたしまして、この間参考人に多数来ていただいて御意見を伺ったのですが、その中で、一、二やはり今回の改正の結果、中小業者が困るのじゃないか、中小業者の利益を阻害されるおそれがありはしないか、こういう御意見があったように覚えております。従って本案の改正によって、もし万一中小業者が不当に利益を阻害され、大事業者が不当な利益を得るというようなことになっては、これは公平の立場からいっておもしろくないと思うのですが、それらについて政府はどういうふうにお考えになっておるか、決してこの法案を施行いたしても大企業者には別段大きな利益はない、むしろ中小業者の利益もあわせて考慮さるべきである、そういう措置が講ぜられる、こういう御所見があれば率直にここで述べていただきたいと思います。
  166. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) お尋ねの点はしばしばお答え申したことがありますが、政府としては、中小企業者の利益を阻害するというような意図はむろん初めから持っておりません。それからまた機構といたしましても、組合を作るのでありますから、むろん組合内でその力の強弱があって何か中小企業者は発言がうまくできないということがあるがというようなことも言われますが、そういうこともないと思う、私は事実上。それから表決権は大企業であっても小企業であっても一つのつもりでおりますから、制度としてはさようなことはないつもりでおります。今日の場合ですから、中小企業者がその組合へ行って発言を非常に遠慮するということも実情としてはないのじゃないかと思います。政府としてはむろん中小企業者の利益をこれによって阻害するような意図は少しも抱いておりませんから、御了承を願いたいと思います。
  167. 古池信三

    古池信三君 ただいま大臣から明確な御答弁がございましたが、実際上中小業者の指導に当っておられる中小企業庁長官から、具体的な方策としてこういうような措置を講じ得るから大丈夫であるということを念のために御説明願えれば非常によくわかると思いますが。
  168. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 現在におきましても、輸出入組合の調整等につきましては、自由にやれることになっておりますが、今回はさらにメーカーの段階においてもやれることになっております。しかしこれに対しましては認可制度ということに相なっております。その認可に当りましては、われわれ担当の通商局と幸い同じ省でございますので、常時連絡がございますので、その間にもし中小企業に不当に不利益を与えるような協定がもし万一ありといたしますれば、われわれとしましては十分これを阻止して参るつもりであります。しかしながら今までの趨勢を見ておりますというと、そのためにすべての輸出入に関するメーカーの協定が直ちに中小企業に圧迫になる、あるいは不利益になるというようなこともないわけでございます。むしろ貿易振興のためにはある程度の協定はどうしても必要である。ただその間においてやり方のいかんによっては中小企業にある程度の不利益が出てくる場合があります。そういうことの予想されました場合には、その間の調整をはかってできるだけそれを防止するとか、あるいは不当にそれが起る場合にはそれを不認可の措置を講じてもらうという措置も十分とり得るというふうに確信を持っておる次第であります。
  169. 古池信三

    古池信三君 それからこの間の参考人の供述等から見ますると、たとえば中共に対して今まで努力をして貿易をして参られた中小業者の人たちが、今度の改正によって輸出入組合ができると、自分たちの今までの努力、今までの実績というものが全く無視されて、大業者のみがその利益を襲断するようになりはせんかこういう心配があるという発言があったように覚えておるのでありまするが、今度の改正案は全体として非常にたくさんの改正部分を含んでおりまして、輸出入組合はその一部であります。ことに政府の説明によりますと、輸出入組合は地域別に幾つかできるわけでありまして、ただ中共向けだけではないわけでありますので、しかしながら中共に対する貿易問題は、我が国としては非常にいろいろな面で重要性を持っておりますので、特に中共貿易に対しましては、この改正案が実施されても決して不当に大業者のみの利益になるものではなく、今まで一生懸命に努力をして積んできたそういう中小業者たちの実績の結果というものは必ず反映され、その権益というものは将来に向っても確保できるものであるという、こういう自信がおありかどうか、その点を一つはっきり言明していただきたいと思います。
  170. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) これは先日大豆問題がありましたなどから、そういう疑惑を抱かれたのでありますが、今までそういう中共貿易に実績のあるものについては、かえって輸出入組合ができた方がそういう人たちについては非常に便利だと私は考えております。なおこまかいことについては、必要がありますれば通商局次長が来ておりますから、説明いたさせます。
  171. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) ただいま大臣から御答弁がございましたが、補足して申し上げますれば、今度の輸出入取引法は先ほどお尋ねのように中共地区だけではなくて、インドネシアあるいは現在の貿易情勢から参りますると、中近東とか中南米等につきましても、こういった輸出入組合による調整によりまして、輸出入の拡大をしておるということについて、いい結果を得られるものと考えられる場合が多々あるのでございます。その意味におきまして、この制度はぜひ御了承いただきたいと思うのでございますが、中共貿易につきましても、先ほどお尋ねのございましたように、われわれといたしましてはもちろん大商社だけでなく、中小の方も皆一緒になりまして、特に現在中日貿易会とか、現在貿易をやっておられます団体がございまするから、組合を作ります場合はこれらのの団体の方が中心になって、また広く中共貿易をやられる業界の方が集まって、御相談の上で新しい組合ができますれば、それによって定款ができ、政府の認可を得て作ることになるわけでございます。従いまして、この業界の大多数の意見がまとまりまして、そこに始めて組合ができるわけでございます。私どもとしましては、一方的にこういったことでやるのだというような措置はとらないつもりでありますので、その点もあわせて御了承をお願いいたしたいと思います。
  172. 上林忠次

    上林忠次君 この組合ができますのにつきまして、かなり大きな実績を持っている大商社はどういうような考えを持っているのか、おそらく大きな従来の実績を持っている連中は、やはり組合の中で、先ほど大臣の申されましたようなパーの力できめていくのだといっても実績によって按分していく、こういうような意見も相当出てきて、実力をもってこの中小企業者を押えていくのじゃないかと考えられるのでありますが、特にメーカーとの連絡を相当強い綱で連絡しておる太商社におきましては、実際の力でいくなら、結局中小企業者というのは押えられて仕事ができないのじゃないか。またそのパーの力と申しましても、パーできめていくといいましても、それじゃ大企業者というのはこれに加担するのか、パーじゃ損だ、実績割りは八割にしろ、あと二割は平等割りでいこうじゃないかということも出ようと思いますが、そういうような大企業者はどういうようにこれに対する気持ちを持っているのか。  また業種種別に相当これは分れるものと思いますが、たとえば中共関係なら五、六品、あらゆる商品についてこんなことはできないと思いますが、どういうような今のところ予想を持っておられますか。何品目くらいのこういうような組合を作るのか、あるいは組合の分科会を作るのか、そういうふうな今のお含みですな、御計画、それがありましたら聞かしていただきたいと思います。
  173. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) ただいまのお尋ねの後段の点につきまして、中共に対して輸出入組合ができます場合は、これは中共に対する輸出入組合、一つの組合になるわけであります。その場合には各品種について輸出と輸入、それぞれの品種の関係の業者の方が全部集まって結成されるわけであります。これは現在のところどういうふうに結成されますか、これは民間の業界の話し合いの結果によりまして、業界の話し合いが円滑にまとまりました場合に、結成組合の申請が出て参ると思うのであります。私どもが想像いたしますところでは、大体まあ多数の方が入られると思いますが、今お尋ねのように輸出、輸入それぞれ商品ごとに適当は部会でも結成されまして、それが各商品についてはそれぞれの部会で御相談になり、全体の問題については輸出入組合全体として貿易の調整その他について統制規定を作っていく、こういうようなことになるかと考えております。もちろんこれは先ほど申し上げましたようにあくまで業界が話し合いをされまして、まとまりました上で定款を作成し、政府に団体の認可申請がくる、現在これは一応推測でございますが。  それから、最初の問題につきましては、やはり大商社といたしましては、自分の商売に有利なような主張をするだろうと思います。輸出入組合及び組合一般の建前といたしましては、表決権は一人一票になっておりますので、かなり小さい方の御意見も十分に反映できるような運営が可能じゃないか、かように考えております。
  174. 上林忠次

    上林忠次君 そういうふうなことで大商社がくつっいてくるというのは、私はむしろ不思議じゃないか。そういう工合に今おっしゃったような方向にいくなら中小企業者は救われますけれども、これまで相当実績を持っておる連中がパーできめられるということはおかしいじゃないか、それなら大商社は入らぬ方がいいじゃないか、そして中小企業者の組合と対抗してやっていった方が大商社としては利益じゃないか。割当がパーにいくから、いろいろな条件をパーに受けていくというととでは大商社はこれじゃ不服があるに違いないと思いますが、その辺の大商社の気持はどのようにくんでおられますか。
  175. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 組合を作ります利益と申しますのは、結局各業者が寄りまして、取引条件なり、そういった面で一本の取引ができる。従いまして全体としては、価格の面その他の面で有利な条件があります。従いまして業界全体としてはプラスの利益がある。今大商社と小商社の問題につきましてはシェアの問題があります。そこはやはり互譲の精神によりまして、何らか妥当な線を得まして、全体としてはプラスになるようにみていく、やはり妥協を求められる点がここにあるのじゃないかと考えます。
  176. 上林忠次

    上林忠次君 そういう場合にそれはけっこうなんですが、それでは大商社が納得せぬだろうと思う。特に大商社というものは親子会社の関係にあるメーカーを持っておる。あるいは従来取引上有利な立場にある、こういう連中がフェアなシェアでやっていくといってもこれはやっていけない。商社が立っていきません。そういうような、こんな組合に加担するよりは自分の力でやっていった方がいい、実力でやった方がいいということになると大へんなことになる。そういうことを入れて、中小企業者も、全部業界を救っていく、そういうお気持、そういう期待に誤まりがあるのじゃないですか。
  177. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) この点につきましては、現在でもたとえば対米のミシンの輸出競争がございますが、こういう場合でも、やはりメーカーの中に大メーカー、中小メーカーもございます。貿易商社も大商社、中小商社もございます。過当競争によりまして、お互いに十四ドルのものを十二ドル、十一ドルでやっておる。これが今回協定ができまして、ほぼ適正な値段でやっていくということになりますと、おのずから全体の利益がふえてくる。大商社も中小商社も結局はそこにまとまっていくということになるわけであります。私どもは大体さような方向にいくのじゃないかと思います。もちろん実績、その他につきましては、相当大商社の方は大きなシェアを持ちましょうし、比率はあるいは最低のものについては頭割り、相当の部分については実績といったような、いろいろ業界の話し合いによりまして、ある程度の妥協点が見出だされておりますのが現状でございます。大体さような方向にもっていけるものと考えております。
  178. 上林忠次

    上林忠次君 中共に対してはどの程度の品目についての組合を作られる予定ですか。今の見込みですが。
  179. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 先ほど申し上げましたように、中共につきましては、中共地区を対象といたしました一本の輸出入組合を期待しておるのでありまして、制度はそういうようにもって参りたいと思います。
  180. 上原正吉

    上原正吉君 大へん不勉強な質問で恐縮なんですが、この間の参考人の供述の中に、エキスポーターはバイヤーの代理であって、メーカーの代理ではないというような発言があって大へん心打たれたのですが、そこで組合カルテルを結成する場合に、輸出業者、貿易業者だけでなく、また輸出業者、貿易業者と一緒でなく、メーカーメーカーだけで組合を作ることができなければ困る、こういうような発言があったように記憶しておるのです。今改正されようとする輸出入取引法の定めでメーカーだけの共同団体を結成ができるものかどうか、これを一つ伺いたい。
  181. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 戦前の制度でございますと、貿易組合というようなものがありましたのですが、国内では工業組合がございました。大体輸出の場合には輸出組合の統制のほかに工業組合が同じような生産者として統制をやっておったのであります。今日の段階では、独禁法の改正以来まだ国内の組合につきましては、その段階にまで達しておりませんので、現在におきましては、先ほど来御審議ございましたように、中小企業安定法によりますと、中小業者だけの組合ができるわけでございます。この法律の建前としましては、輸出につきましては輸出組合は協定ができます。生産業者につきましては組合は結成いたしませんが、生産業者間の協定ができるということに相成っておるわけであります。先般の御発言で国内についても輸出品の工業組合というようなものを作る制度を認ゆたらどうかという御意見がございまして、私どもも相当考慮をすべき点じゃないかと考えておりますが、将来十分研究いたしたいと思います。現在のところは一応業者間の協定だけを認めていきたいと考えております。
  182. 小松正雄

    小松正雄君 輸出入取引法の一部を改正する法案につきましては、私どもは左右ともいろいろまだ御質疑をしたいというととも考えておるわけであります。ところがこれをきょう中にでも質疑を打ち切るまで委員長がやろうというお考えであるか、それを一つ伺いたい。
  183. 吉野信次

    委員長吉野信次君) そういう考えは持っておりません。
  184. 小松正雄

    小松正雄君 そうでなければ、引き続いてあすやりたいと思うので、時間も相当おそいのですかう、一つ委員長においてお諮り願って……。
  185. 石川清一

    石川清一君 輸出組合の中共向けだけは一応わかったのでありますが、過日の委員会ではインドネシア等にも同じようなものを作る、——これはやはり一本でやるのですか。
  186. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) インドネシアに輸出入組合を作ります場合は、法規によりますと一本の組合になると思います。
  187. 石川清一

    石川清一君 それじゃ輸出入組合は目下のところ一本として作られるのがどのぐらいできるのであろうという予想を持っておりますか。
  188. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) これは制度としまして輸出入組合ができる。これは特に輸出と輸入の調整……(「語尾が全然聞えない、速記も困っておるし、大きな声で」と呼ぶ者あり)輸出入組合につきましては、その当該地区と輸出入の調整をすることによって輸出の拡大ができる、貿易の拡大がで登るという必要のある場合に、法律によりまして輸出入組合が結成できるわけでございますが、これは先ほど申し上げましたように政府でやるというのでも何でもないのです。当面考えられますのは中共地区、それからインドネシア地区、これが当面考えられる点であります。なお将来の問題といたしましては中南米、近東地区あたりはそういった必要が生ずる場合が出るのじゃないかというように考えられますが、当面は私どもは……。
  189. 石川清一

    石川清一君 この間の説明にありましたように、インドネシアには焦げつきの債権がある、そういう点が御説明がありましたが、今度はその他ビルマ等で、損害賠償がフイリツピンも含めてできます。この場合は政府としてはやはり政策上一本にすることが好ましい、こういうような事態は予想されませんか。
  190. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 現在のところはビルマにつきましてその必要がありますかどうか、ちょっと私どもは必ずしも現在のところは必要ないのじゃないかと思っておりますが、まあ貿易の情勢はいろいろと動いておりますから、あるいは為替の関係が若干狂って来たような場合にはそういったような必要が生ずる場合もあり得ると思います。これに将来の問題としてちょっと今予測いたしかねます。
  191. 石川清一

    石川清一君 先ほどの中共の場合は、中小業者もある程度実績の上に立って発言権を持たなければならないし、また輸出組合の設立運営の面におきましても何らかの発言権を、表決権を十分生かすだろう、大メーカー等は、いわゆる大貿易業者等はある程度入ってこられんだろうという予想の上に立っておるようでありますが、これをインドネシアその他に伸して行く場合には、政府の貿易に対する政策というものは全部そうした人が握ってしまわれる、民間まかせだ、こういうような考えを持たされやすいのでありますが、これはその他の地域についても中共と同じような輸出入組合を作る場合は、指導といいますか方針なしに業者まかせというようにお考えになっておるのでありますか。
  192. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 決して業者まかせというわけではございません。輸出入組合を結成いたします場合には、あくまで業界が自主的にまとまって参るということが一つの条件になっておるのでありますので、もちろん政府が認可権を持っておりますので、不適当な内容のものでありますればこれは不認可になりますので、政府といたしましても、法規の内容に照して適正なものでありますとか、またそれが一般の貿易振興についての必要なものであると考えますれば認可いたす、こういうことになっております。
  193. 石川清一

    石川清一君 中共向けについては何とか手心を加えたい、こういう気持はよくわかるのでありますが、ほかの方が大資本家、大メーカー等の力が強くなってくる、こういうようなほかの地域向け、あるいはほかの業種別の方が強くなってきた場合には、その例が一つ基準になって、この中共相手の、中共向けの輸出入組合にもそういう力が入ってくることが常識として予想されるのでありますが、そういうことはありませんか。
  194. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) ちょっとお尋ねの趣旨私よくわかりかねたのでございますが、私どもといたしましてはやはり貿易でございますと、商品別でございましても、地域別の組合にいたしましても、やはりそれぞれの業界の大メーカーなり、大商社なり、あるいは中小の商社なりが全体としてまとまって行くというのが適当じゃないか、またそれが一般の例であると考えております。
  195. 石川清一

    石川清一君 それがやはり一般の例ですね。今までの取りきめの慣行、あるいは現在のそれぞれの情勢に応じて特に中共向けの輸出入組合だけが保護される。あるいは独自でまあ組合が結成されて歩んで行くというようなことは予想されないのですね。一般並みに行われるだろう、こういう予想なんですか。
  196. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 一般並みに同じような条件で行われると思います。
  197. 山川良一

    ○山川良一君 先ほど小松委員から質問はこのくらいにしておこうじゃないかというお話しには異議がないのですが、衆議院で相当長い文句の修正ができておりますね。この要点と、どういう理由でこういうふうに修正せられたか、どなたから御説明いただけませんか。
  198. 山手滿男

    衆議院議員(山手滿男君) この法案が出まして、いろいろ慎重に審議を衆議院でいたしたのでありますが、最後に自由党と民主党で共同提案をいたしまして、ただいまお尋ねの修正案を提出させていただきました。これは可決をされたのでございますが、その要点は第一点は、国内メーカーあるいは輸出メーカーがそれぞれカルテルを締結することの認可を得るために認可を申請いたしますと、二十日以内に処分をされない場合には、すなわち認可するかしないかが決定されない場合には当然認可されたものとみなすという点が第一点と、それからもう一点は、この協定の認可に際しましては、公正取引委員会の同意を得なければならないということになっておりましたのを、今度は通商産業大臣は公正取引委員会に協議をすれば足りるというふうに修正をいたしました。その二点が主な修正点でございます。   〔「それはわかっているのだ、その理由なんだ」と呼ぶ者あり〕
  199. 山手滿男

    衆議院議員(山手滿男君) それは第一点は、このメーカの協定をもう少し機動的にさしてやるようにいたしませんと、貿易業者と生産業者との間が現在の日本の実情からいきますとしっくりいってない、言いかえるならば、輸出業者は比較的弱い人が多くて、メーカーの方の足並みが揃いませんというと、なかなか輸出業者だけで協定をうまく結びましても、輸出の振興にいろいろ問題が起きるというととがございまするので、できるだけ早く、二十日間くらいには機動的にこの認可が下りるか下りないかはっきりさしてやろう、こういうことで第一点は修正をいたしました。  それから第二点は、公正取引委員会はいわば独禁法の番人のようなものでございまして、あらかじめ一々公正取引委員会の許可を得なければ商行為についてこまかい取りきめなんかができないというふうなことは、いわば初めから裁判所に伺いを立ててから商売をするとというふうな格好のものでございまするので、いやしくも独禁法に違反するような不公正な取引があれば、当然これはカルテルそのものについて変更を命ぜられたりなんかをするわけでございまするから、公正取引委員会は監視をすればいい、そうして通産大臣から絶えず協議を受けておれば、十二分にその機能は果せるであろうということで協議を受けることに修正をいたしたわけであります。
  200. 藤田進

    ○藤田進君 これはまたあらためてお伺いをする機会を作っていただくということになると思うので、今のに関連して質問があるわけですけれども、一点だけお伺いしておきたいわけですけれども、二十日を経過したならばその翌日から認可したものとみなすということになると、この種事案については無理がある。ことに外国のいろいろな商社の場合ならば、これは相手方によって違うけれども、そういうものを相手にやっていく場合に、そういう期限つきで認可したものとみなすというのは、他の種類のものとはおおむね違うから無理があるんじゃないか、たとえばかなり不利益な協定を結んでおるという場合もあり得ると思うのですけれども、そういう場合にいろいろ検討する時間的な余裕等がないままに過した場合、二十日くらいでこれは効力を発生してしまうという点は、むしろ政府原案の方が至当ではないかという考えがするわけです。この点について提案者の方の意見もあわせて聞いておきたいと思います。政府の方の原案者の方、それから今の点に対する解明は修正者の方がら御答弁をいただきたい。
  201. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 政府の提案者の方といたしましては、当初の原案には期限がございませんでしたけれども、これは貿易のことでございますので、私どもは常時非常にこれは急速に処置をしなければならぬ、非常に急いでやっておるわけでございます、現在においては。従いまして、原案によりましても相当短期間に処置を決定しなければならぬと考えておりましたが、たまたま修正案で二十日間という期限がついておりますが、私どもは二十日程度でありますれば、おおむね処理ができるものと考えておるわけであります。
  202. 上原正吉

    上原正吉君 関連して。協議しなければいけないと修正なされたそうですが、協議しなければいけないという法律上の用語はほかにもあるようでございますが、協議しなければいけないというのは、結局協議が整わなければいけないということが意味されているのじゃないかと思うのでして、ほかの法律でもそういうふうに解釈されているように思うのです。協議して、協議が整わなくても差しつかえないということであれば、通知すればいいとか、あるいは通知もしなくてもいいということになりましょうから、協議しなければいけないということは協議が整わなければならないというふうに解釈するのが当然のように思うのです。今までそういうふうに解釈されているように思うのですが、この点は政府の解釈が同意を得なければならないというのと、協議しなければならないというのとどういうふうに違うかということが決定しているんでありましょうか、  一つ
  203. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 最近の法律の例によりますると、同意という場合と協議という場合と二様あることになりますが、同意という場合は、同意を受ける人も完全な共同の権限を持っております。協議というと、いろいろ相談するのでありますが、相談する方の側に一応権限がございまして、相談を受ける方は一応相談を受ける。従いまして、もちろん法律の運用といたしましては、協議といいましたからといっても、これは協議なしに勝手にやっていいんだという、協議が整わない場合に勝手にやっていいというのではございませんけれども、もちろん協議が整ってやるのが当然でございます。しかしながら法律論としましては、同意の場合と違いまして、主務大臣が一応決定する権限は持っておるという法律上の差はございます。本法律につきましては、衆議院の方におきましても付帯決議がございまして、協議とは直っておるけれども、公正取引委員会意見を尊重して、独禁法の精神に違反しないように十分留意することになっております。私どもは運用の上におきましては、十分その趣旨を体してやって参りたいと、かように考えております。
  204. 藤田進

    ○藤田進君 今の政府原案者の方では、修正者にお伺いするのですが、従来のこの種案件は敏速に処理していたから、二十日間という期限がついてもさして問題ではない、そういう事態を原案としては予想していなかった。それがたまたま二十日間というものをつけられたので、さした支障はないのだと、これは、そういうことは予想しなかったとおっしゃるわけだが、あなたの方は二十日過ぎてもなかなか認可が下りないということを予想すればこそ修正されて、相当現実の認識が違うわけですが、あなたの方の御説明はどうなりますか。
  205. 山手滿男

    衆議院議員(山手滿男君) 従来はこの種の認可申請がありますと、通産省でいろいろ調査をしたり、協議をいたしたりいたします。それからさらに公取に持っていって、公取はいろいろ法律論そのほかでやかましい論議究明をいたしまして、その態度を決定をする。両者が相互いに協議をいたしたりするものでございますから、ずいぶん長くこういう種類のことが引っぱられて、業者もそのうちに商機を逸してしまうというふうなことが従来はままあったのでございます。でございますから、今政府委員の方から発言がありましたように、二十日間という期限を付しておけば大体二十日間の目安で通産省としても敏速に処理ができるという、そうしてその処理しなければならぬ期間としては十二分である、十分処理できるであろうということでございますので、そういう修正をいたしたわけでございますが、従来はままこういう問題の調査なり、あるいは通産省と公取との折衝そのほかで一月も一月半も長く引っぱられた例があるようでございます。
  206. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると、これはゆゆしい問題なんですが、衆議院の側ではそれがこの修正案については少くとも多数を占めたわけです。そういう期限をつけてあればやるが、そうでないとなかなかやらないという結果が出てきたわけですね。そうなんですか。政府の方の御答弁は。
  207. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 私どもも先ほどちょっと言葉が不十分であったかと思いますが、できるだけ早くやるように努力して参っております。期限がつきますれば、この程度の期限であれば大体処理ができると考えておるわけであります。従来やはり同意その他の問題がございますので、自然非常に時間がかかりまして、むろん非常に長期にかかった例もあるわけでありますから、今後の運用といたしましては、大体このくらいの期限でやっていけるのじゃないかと、かように考えております。
  208. 三輪貞治

    三輪貞治君 これは明日ゆっくりただしたいと思ったのですが、今たまたま協議と同意について政府委員の方から実にはっきりした御答弁がありましたから、ちょっと承わっておくのですが、同意の場合にはどちらも同じ立場で同じ権限で話し合う、協議の場合には協議をする方の方が強いのだ、こういうお話、そもそも独禁法にこれは抵触するかどうかというようなことを一体判断する機関、独禁法の番人といいますか、一体これはどこなんです、機関としては。大堀さん。
  209. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) 独禁法は公正取引委員会が権限があるわけです。
  210. 三輪貞治

    三輪貞治君 それじゃこれは一体独禁法に抵触するかどうかということについて相談する方が強くて、その独禁法の番人であるべき公正取引委員会が従の立場になるとかということは、これはおよそおかしいことじゃないですか。だからこそ通産省は同意という言葉を用いられたのでしょう。
  211. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) この法律輸出入取引法で独禁法をはずしておるわけでございます。それでその協定そのものにつきましては、これは主として貿易政策的見地で判断されるわけでございまして、このただ問題が独禁法をはずしたという関係で一応公正取引委員会に相談をするという態勢になっておりまして、主体はやはり輸出入取引について独禁法をはずすというのが大きな目的になっておりまして、それはあくまで貿易政策的見地が判断の主体になる。従って通産大臣が判断をされるというのがこの主体になるわけでございます。
  212. 三輪貞治

    三輪貞治君 大体あなたのお話は、あなたはまるで修正者を代表した御意見ですよ。あなたの方は前に同意という言葉を使って出しておられ、それが協議に修正されたわけでしょう。その協議に修正されたことについてあなたは弁解されておる。出されたときのそのお気持はどうなんですか。同意という文字を使って出されたときのお気持、それはどうなんですか。なぜ協議としなかったのですか。今の御説明のようなことだったら。
  213. 大堀弘

    政府委員(大堀弘君) これはいろいろその間の見解につきましては、やはりニュアンスの差がございまして、いろいろそれまでの段階におきまして公正取引委員会とも話し合いをいたしておるわけでございます。原案におきましては同意ということになっておりましたが、修正案では協議ということに直ったわけであります。私どもは修正案につきまして、今後の運用について十分万全を期していけると、かように考えておりますので、さように申したわけでございます。
  214. 三輪貞治

    三輪貞治君 この問題はあとまた質問を保留して明日でもただします。
  215. 吉野信次

    委員長吉野信次君) どうでしょう先ほど小松委員からの御発言もありましたから、きょうはこの程度にして散会いたしたいと思います。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  216. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは本日はこれで散会いたします。    午後五時四十九分散会      —————・—————