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1955-07-23 第22回国会 参議院 商工委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十三日(土曜日)    午前十時四十二分開会     —————————————  出席者は次の通り。    委員長     吉野 信次君    理事            古池 信三君            高橋  衛君            山川 良一君            三輪 貞治君    委員            上原 正吉君            小野 義夫君            加藤 正人君            上林 忠次君            海野 三朗君            栗山 良夫君            小松 正雄君            白川 一雄君            苫米地義三君   衆議院議員            小平 久雄君   国務大臣    通商産業大臣  石橋 湛山君   政府委員    大蔵政務次官  藤枝 泉介君    大蔵省主計局次    長       原  純夫君    通商産業政務次    官       島村 一郎君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省通商    局次長     大堀  弘君    通商産業省繊維    局長      永山 時雄君    通商産業省鉱山    局長      川上 為治君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       内田源兵衞君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○株式会社科学研究所法案衆議院送  付、予備審査) ○石油資源開発株式会社法案内閣提  出、衆議院送付) ○石油及び可燃性天然ガス資源開発法  の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それではこれより開会をいたします。  まず冒頭に、衆議院から可決になりまして送付になり、この委員会に付議されました株式会社科学研究所法、この法案衆議院議員提出でございますから、提案者の方から提案理由お話を承わりたいと思います。
  3. 小平久雄

    衆議院議員小平久雄君) ただいま議題となりました株式会社科学研究所法案について御説明いたします。  狭隘な国土に八千万を算する膨大な人口を擁し、しかも天然資源に乏しいわが門が苛烈な国際競争に伍して経済の自立を達成するためには、科学技術振興し、もってわが国産業技術的基盤を強化することが、必須不可欠の要件であることは、論を待たないところであります。さらにわが国産業技術的基盤を強化するためには、研究活動の一そうの推進が必要であります。思うに最近の研究は、研究分野が著しく専門化して行く傾向が強く、今後の研究方向は、これら分化発達した各分野研究総合化を必要としている段階にあるのであります。換言しますならば、現代科学技術振興は、電気、化学、機械材料等、各研究分野の知識を総合結集するのみならず、基礎研究から応用研究工業化試験までを一貫して行う強力な総合研究に待つところきわめて大きいのであります。  現在わが国におきまして、かかる総合研究を行う研究機関としては、株式会社科学研究所がありますが、同研究所は、わが国唯一総合研究所として歴史的伝統と優秀な研究員を擁し、財団法人理化学研究所として創立して以来三十年わが国科学技術発展に幾多の貢献をしてきたのでありますが、昭和三十二年財団法人より株式会社に改組され、民間法人たる株式会社科学研究所として再発足したのであります。しかるに同研究所は発足後なお日浅く、産業界よりの数度にわたる資金援助にかかわらず、資金的基礎が脆弱なため極度の財政的不振に陥り、現状のまま推移すれば、総合研究所としての機能はますます弱体化し、国家的にも重要な研究の続行が不能となり、ついには閉鎖の悲運に陥る懸念なしとしない状況にあります。元来、基礎研究を含む総合研究機関は、最初からコマーシャルベースにおいて経営することはきわめて困難で、国家からの援助がぜひとも必要なのであります。これは、旧理化学研究所の改組に当り、衆参両院財団法人現化研究所に関する措置に関する法律昭和二十二年法律第二三号)の付帯決議として、同研究所に対し財政並びにその他の援助をなすべきことを決議している事情に照らしても明らかなことであります。  本法律案は、右の趣旨により科学技術に関する総合研究を急速、かつ、計画的に行う実施主体として、広く産業界資金の参加を得て、半官半民の特殊会社として株式会社科学研究所設立し、所要助成措置を講ずるとともに、他方では、研究所に対し、必要な監督を行おうとするものであります。  すなわち、私どもがあえて本研究所設立を企図いたしましたゆえんのものは、第一に、試験研究総合的実施推進する主体として、国の意見を反映することのできる機構が必要であり、そのためには、本研究所のごとく国の強力な支持と、また研究自主性を不当に拘束しない程度監督とを期待し得る研究所設立が望まれたこと。  第二に、わが国産業界がかかる試験研究に投下し得る資金にはおのずから限度があり、またリスクに富む研究特殊性からして科学技術総合研究を純然たる私企業の運営のみにゆだねることは、資金収得危険負担の両面において少からぬ困難が予想されたこと。  第三に、科学技術総合試験研究産業界に与える直接、間接の利益を考慮すれば、研究に要する資金の一部をこれらの企業の協力に待つことがむしろ適当でもり、また、これにより従来よりも民間資金の活用が可能であることにあったのでありまして、私どもといたしましては、このような強力な機構の確立により、科学技術の今後における飛躍的な進展々期待している次第であります。  次に本法律案概要を御説明申し上げます。  第一には、研究所設立目的は、前述のように、わが国産業振興及び発展に寄与する科学技術の向上に必要な事業、特に総合的な試験研究推進に存するものであり、従って、研究所の行う事業範囲は、これら試験研究及び研究成果の普及を主たる事業として行うのほか、付帯事業としては、研究所目的達成に必要な事業通商産業大臣認可を受けたものに限定いたしました。  第二には、研究所は、国の科学技術行政施策に協力して、試験研究業務推進する機関とする趣旨から、研究所は、本法に基く特殊会社たることを明らかにし、かつ、政府は予算の範囲内において研究所に出資を行うことができることといたしました。  第三には、研究所性格にかんがみ各種の助成措置を講ずることとし、研究所に対しては、その設立及び資本の増加に際し、登録税を免除するとともに、国は、研究所試験研究業務に必要な経費の一部を補助金として交付することができることとし、さらに社債発行限度の特例を規定することにより資金の確保に遺憾なきを期しました。  第四には、以上と表裏して、研究所代表取締役及び監査役選定等決議、合併及び解散の決議事業計画等の設定及び変更、定款の変更社債発行利益金の処分、重要財産譲渡等については、通商産業大臣認可を受けることとし、右のうち所要事項については、大蔵大臣と協議すべきことといたしたのであります。  第五には、研究所設立経過規定につきましては、昭和二十七年八月四日設立された株式会社科学研究所は、株主総会特別決議を得て、研究所に対してその営業の全部を出資することができるものとし、かつ、その出資する営業の価格の評価については、臨時に通商産業省に設ける評価審査会において評価するものとするほか、設立委員任命等研究所設立に必要な諸規定を設けることといたしました。  以上本法律案提出理由並びにその内容に関する概要を御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことを切望する次第であります。
  4. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  5. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて。
  6. 海野三朗

    海野三朗君 少し話が古くなりましたけれども、やはりこの問題に関係しておると思いますからお伺いをいたすのでありますが、去る昭和二十二年に理化学研究所株式会社になるということで私が衆議院におりました時代に仁科君と尾形輝太郎博士とが出席をいたしまして、株式会社にすることについての理由説明がございました。そのときに私はこの研究というものは商売とは全然違うのであって、研究自体はもうかっても、もうからなくても一路真理の探求にあるのであるということを私は力説いたしました。株式会社になるというと、もうかったときはいいけれども、もりからないときは会社が立ち行かないことになる。それでは本来の研究の要旨が達せられないのじゃないか、ということを申し述べたのでありまするが、その当時仁科君はとにかくペニシリンで相当もうかるからぜひその株式会社でやらせてもらいたいという意見でございました。当時反対をいたしましたのは私が強くこれを反対したのです。研究所株式会社をやるなんてとんでもない話である、学者商売をやるなんということは研究使命を忘れたるものであるということを私が申した。ところが仁科君の説明ではとにかくもうかるからやらせてくれと、こういう主張でありました。それで私が研究の本来の使命を説いているのにその使命には関係せずにただもうかるからやらしてくれと言われるならば、理屈の範囲を越えたるものであるからわれまた何をか言わんや、私は当時そういうふうな要求に対しては反対理由を述べただけでそのままこれを通過せしめたのであります。ところが二、三年を出でずして仁科君が死んでしまい、私が仁科君が死んだあと理研をたずねましたところが、各部門研究担当員たちが、私のところに寄りまして皆ざんげをした。尾形輝太郎君始め、衆議院においてあなたが、反対をされたのはもっともであった。今日われわれの給料も遅延というような状態になって何ともしようがないありさまになっておって、どうもあなたに対しては頭が上らないと尾形輝太郎博士初め皆申しておったのであります。今日この研究所の、株式会社科学研究所法案が出るに当りまして過去の事案に徴してみると、確かに株式会社で出発したのが誤まりであったということを事実において証明しておるものであると私は思うのでありまするが、この点に対してはこのままで将来株式会社でいく方がいいとお考えになっておるのであるか、今現実のこの現われたる姿は株式会社ではだめなのである、やはり私が以前に述べましたように財団法人組織にして政府が年々少くとも十億くらいの金を出さなければならない。そうしてこの十億の金というものはちょうど息子の学資にひとしいのである。学資にひとしいのであるからして、これは国家が年々この研究に対して金を支出すべきものであるということを私が申し述べたのであります。ところがその説が当時不幸にしていれられず、終戦直後でありましたために、アメリカの圧力があったのかしれませんが、いわゆる学者の畑に育ちました私どもから申しまするならば、株式会社にしたということはいわゆる曲学阿世の徒のやったことである、仁科君のやり方曲学阿世の徒のやり方であろうといって痛烈にこれを攻撃した、果せるかなその後の理研のありさまを見ますというと、私か当時極言したことが的中している。この事実を率直に認めていただきまするならば、株式会社でやって行くということそのこと自体が誤まりであると私は考えるのでありまするが、この点に関しまして提案者方々はどういうふうな御所見を持っていらっしゃいますか、その点をお伺いいたしたい。
  7. 小平久雄

    衆議院議員小平久雄君) お答え申し上げます。このただいま御審議願っております科学研究所性格の問題と存じますが、海野先生お話通り研究というものの本来の使命からいたしまして海野先生のお説の通り株式会社形態では理想的ではない、理想としては株式会社形態をとるべきでない、こういうお説はまことにごもっともだと思うのであります。従いまして私どもといたしましても、この研究所につきまして、ただいまは株式会社という形態において御審議を願っておるわけでありまするが、将来に当りましていつまでもこの形態でよろしい、かように考えておるわけではないのであります。ただ御承知通り終戦以来のわが国財界状況等からいたしまして、この研究所資金を集めるというこの立場からいたしますというと、以前のこの財団法人形態をかりにとるといたしまするというと、これに資金を提供する側におきましていわゆる寄付の立場をとらなければなりませぬし、そうしますと財界の方からの金の出し方も非常に困難になるというような説もございましたので、この株式会社形態を従来もとって参ったと思うのでありますが、その間御承知通り現在の研究所は払い込みが四億二千万円ばかりになっているわけでありまするが、いずれにいたしましても、四億ほどの金がとにかく株式の形において財界から提供され、今日までどうやらやって参ったのです。さらに政府の側におきましても年々若干の補助金を交付して参ったのでありまするが、それにもかかわらず研究所の最近の財政というものは非常に苦しいものがございまして、どうしても二年間に一億数千万は足らない。さしあたりだけ考えましてもそういう状況であります。そこでわれわれといたしましては、この研究所をすぐさま昔の財団法人的な形にするということは今後財界からさらに資金を仰ぎ、また政府からこれに資金を投じて行くという便宜の点から考えて、当分はこの株式会社形態がやむを得ないじゃなかろうか、いわば次善の策ということで、とりあえず株式会社という形でここに御提案を申し上げたような次第でありますので御了承を願いたいと思う次第でございます。
  8. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまのお話をお伺いいたしましたので、私はとにかく研究ができるように、そういうふうにこいねがっておるのでありますから、私はただむちゃくちゃに反対をするものではございません。本来は私大賛成なのでありますが、このあり方及び運営について一言御所見を伺っておかなければ、将来取り返しがつかないことが起ってくるということが想像されるのであります。この財団法人理化学研究所に関する措置に関する法律案付帯決議衆議院の方から出されましたうちの第二番目に、「会社役員は濫りに干渉すべきでない。」とこうありまするが、この「濫りに」というのはどの程度でありましょう。これを一つお伺いいたしたいのであります。それから理化学研究所としての運営の方針なんぞにつきまして、各部門担当責任者が少しもこれに容啄することができないような格好になっておると思うのでありますが、ここなんです、大事なのは。科学者の説を十分取り入れなければならない、これを取り入れずして単に科学というものを利用しようというような考えであってはならないので、学問というものは大義名分を明らかにするものであることは申すまでもない、大義名分を明らかにする。一例をとって申しますれば、たとえば濃縮ウランの問題にいたしましても、外務省が勝手に解釈をして仮調印をやった。何というふざけたざまであろうかと私は考える。なぜかと申しますれば、濃縮ウランについては専門学者がおるのである。専門語解釈については外務省あたりの役人にはわからない。そのわからない頭でもってあのアメリカ英文で書いてあるものに向って仮調印している。とんでもない話なのであります。それでありますから、今日の朝日新聞にも書かれてありますように、誤訳が非常に多い、誤まって訳しておることが非常に多いのであります。これも過日の新聞に出ましたが、外務当局は何を言ったかというと、それはあとから直しさえすればいい、かようなふざけたことを言っておる。英文で訳をしたものを日本文あと幾ら解釈をしたって始まらない。向うの原文自体を改めなければならない。その原文解釈を誤まって日本がやっておる。こういうことは何でそういうことが起ってくるかと申しますると、学者意見を尊重し、これを十分活用するという念慮が乏しいからであると思うのであります。理化学研究所の場合におきましても、ただ研究費を与えて学者研究をさしておけばいい。まるで豚か牛を買うようにしておる。そういう考えではならないのであって、学者自身考えをも十分運営という方面に反映させなければならない。私はなぜ学者を重要視しなければならないかと申し上げますると、これに学者の説というものは大義名分を誤まらないようにするのが科学の本来の使命でありますから、これが最も私は大切なところであると思う。でありますから、「濫りに干渉すべきでない。」という、「濫りに」というのはどの程度でありましょうか、またその運営については、会社自体運営についても学者の説を取り入れるだけのそこに含みをお持ちになっておるのかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  9. 小平久雄

    衆議院議員小平久雄君) お答え申し上げます。ただいま海野先生から御指摘になられました衆議院付帯決議でありますが、これは二十二年に理化学研究所を改組する際の付帯決議であったわけでありまするが、この精神は今回の場合においても十分これを尊重をいたして参りたい、かように考えておるわけでございます。今回の法案におきましては、研究所運営というものはできるだけ自主的にやっていただきたい、逆に申せば、当局監督するに当りましても、研究所自主性というものを尊重していく、不当にこれを拘束しない、こういうことを特に第九条の第二項にうたったわけであります。さらにまた役員の選任につきましても、単に代表取締役及び監査役についてだけ通産大臣認可を要するようにいたし、さらに取締役兼職制限等につきましても、これを代表取締役だけにこの法案ではしぼったのであります。この法案といたしましては、主として政府当局研究所との関係規定いたしておるわけでありまするが、先ほど申し上げました第九条第二項の、通産大臣の側においては研究所における研究自主性を不当に拘束しない、こういう精神監督をいたすという建前からいたしまして、研究所内部における研究員個々方々自主性というものも、今後この研究所運営に当りましては、それぞれ役員等も選任されるわけでありまするが、これらの点においての研究個々自主性ということも十分尊重して運営をして下さるものとわれわれは期待をいたしておるわけであります。
  10. 海野三朗

    海野三朗君 この研究部門担当責任者会社運営に干渉することができるようになっておるのでありますか、どうでしょうか。
  11. 小平久雄

    衆議院議員小平久雄君) 今回の案におきましては、研究所内部における研究所役員研究員方々との関係というものについては何ら触れておりません。ただ先ほど申しました通り政府研究所監督するに当りましては、この研究所における研究自主性というものを不当に拘束しないと、こういう建前でやらねばならぬということをうたっておりますので、この精神から研究所内部における役員研究員との関係というものも当然この精神が貫かれて、もちろん自主的な、それぞれ自主性というものを重んじながら運営されるものと期待いたしておるのであります。ただ、根本的に申しますと、研究所として株式会社形態をやはりとっておりますので、その間に個々研究員方々の完全な自由と申しますか、自主性と申しますか、それが守られることはあるいは至難かと思いますが、しかし重ねて申し上げますように、われわれの期待するところは、政府研究所関係というもの、また研究所研究員との関係は、その貫く精神というものは同じであろう、そういうことを期待をいたしておるわけであります。
  12. 海野三朗

    海野三朗君 そこで私はこれを思うのであります。この研究所のその運営の面におきまして、各担当部門責任者方が熱意を持ってその会社運営にあずかるというふうにしておかないと私はこれはとんでもないものになってしまうと思うのであります。そうでなければ、単に研究費だけやるということになりますと、ちょうど豚か牛を飼っておくようなもので、どうも理科学研究所自体の本来のあり方がほかのものによって学者と説とは全く異なった方向に引きずって行かれるおそれがあるのであります。そういう点に対してはいかようにお考えになっていらっしゃいましょうか。あのアメリカの原爆の研究も皆様御承知のように何も原子爆弾研究にあれは没頭したのではない。仁科君が初めこの理研でサイクロトロンでもってあの原子分裂の方の研究をやった、原子爆弾研究じゃない、ところが研究というものはいろいろなブランチが出てくる、平和利用ブランチも出てくればあるいは兵器利用ブランチもいろいろ出てくるのでありますが、アメリカ研究あり方は私ども学者立場から申しましたならば少し間違っておると考えられる、それはなぜかというと、まず戦争の方に持っていって学者研究をこう仕向けていった、そこにアインシュタインなどの考えがゆがめられておるのであって、学者の、科学者の本来の願いというものは人を殺し、殺戮のための研究じゃない、民生の安定をはかるのが科学目的なんだ、それを科学者全体が考えておったのでありますが、軍備の方に対しまして原子爆弾そういう方面研究ばかりをぐんぐん進めて、学者自身がいつとはなしにその方向に引きずられていったのが今日のアメリカの姿であって、このごろおくればせながら平和利用なんというのを唱えられてきておるのは研究者を冒涜したお茶濁しの結果であると私は考えておる、そこでこの科学研究所に対しまして強く要請いたしたいことは、研究部門担当責任者考えをも会社運営については反映せしめるようにしておかなければならない、単にお前たちに金やるから研究さえしておればいいのだお前たち研究することに干渉しないのだと言うだけでは何にもならない、もしそうでおるとするならば豚とか馬を飼っておいてこれに食料を与えておるのと同じだ。そういうあり方ではいけないのであって、この研究所自体の本然の姿をデェビエイト、曲げないようにするためには、大義名分を明らかにし、大義名分に向って進んでおるところの学者考えを経営に反映せしめて行かなければならないのじゃないかと私は思うのでありますが、そのことに対しての条文は何らここにまだお見受けしないように思うのでおりますが、この点についてはいかにお考えになっていらっしゃいましょうか。
  13. 小平久雄

    衆議院議員小平久雄君) 海野先生のお説ごもっともなんでありますが、かつまたただいま御指摘通り研究所内部における運営機構ということにつきましては本法では深く触れておらないのであります。ただ本法といたしましては先ほど申しました通り研究所役員についてだけ規定をいたしておるのであります。以上の通りでありますので、研究所内部におきまして、研究所運営について、研究部門幹部の方の意見というものが研究所運営にどう反画すベきかということにつきましては、この法案自体としては何ら規定をいたしておりませんが、われわれといたしまして期待いたしますところは、この研究所というような機関役員となられる方は最も良識に富んだ方々がなられることでありましょうし、従ってこれらの方々が今後この研究所運営につきましては各部門幹部方々の御意見というものを十分取り入れてこの運営をされて行くということを御期待いたしておるわけであります、この法案はいわば研究所設置法とも称するものでありまして、研究所内部運営については深くタッチをいたしておらないわけであります。
  14. 海野三朗

    海野三朗君 ただいま私がお伺いをいたしました点につきましては確答を私が要求するというのはあるいはこの席では無理かもしれませんけれども、この何としてでも研究所運営ということについても、学者意見をある程度反画せしめなければならない。それがためには役員研究者の代表の方を入れておく必要があると私は思うのでありますが、そのことに対しての、この条文にどうもその点に対して一つ何とかはっきりした御見解なり御自信のあられるところ々御表示願いたいと思うのであります。つまり研究者も後員の中に入れるという、そういうことに対して私は強く要望するのでありますが、そういう点についてはいかよりにお考えになっておりましょうか。
  15. 小平久雄

    衆議院議員小平久雄君) 研究者役員に入れるという点はどうなっておるかというような御質問でありますが、先ほども申しました通り本法におきましては研究所役員に関する限りは代表取締役の選定及び解職、それから監査役の選任、解任、この関係だけをこの通商産業大臣認可を受けなければ効力を生じない、第六条にさように規定いたしておるわけであります。従って取締役は七人以内という規定が第九条にございますので、この七人以内の取締役をどの方面から選定するかということは全くこの総会に一任されておるわけでございますので、ただいまの海野先生の御意思等も十分尊重されて、それでこの役員が選定されるものと期待いたすものであります。この法案自体としては、この研究所研究幹部の方をお入れしなきゃならぬとは別にそこまではうたっていないわけであります。
  16. 海野三朗

    海野三朗君 私はそれで、いずれその点につきまして通商産業大臣にただしておかなければならないと思いまするので、その役員にどれだけの程度学者を入れるかということ、それについては通商産業大臣のはっきりした御答弁を私は得たいと思いまするので、本日は、私はこの点だけでありますから、あと質問を保留しておきます、通商産業大臣に……。
  17. 小平久雄

    衆議院議員小平久雄君) 今のに関連して。さきの御質問でございますが、今度の役員通商産業大臣が選任するという規定にはなっておりませんで、総会でもちろん選ぶわけです、選んだ役員のうちで代表取締役関係、それから監査役関係、これだけが通商産業大臣認可を要するということになっておるので、その他の役員につきましては全く研究所にまかせてある、こういうことになっておるわけなんであります。どうぞ一つさよう御理解を願いたいと思います。
  18. 吉野信次

    委員長吉野信次君) いずれきょう初めて提案理由を聞いただけでございますから、もうほかに御発言がなければきょうは提案理由を聞いただけにしておきたいと思います。ただ何せ会期が迫っておるものですからいろいろ答弁をされるときの都合上私からもあらかじめこの法案自体について、この次にお見えになるときに、それは提案者の方か、あるいは政府の方か、あるいは今現にある科研、これも重大な関係がありますから、多分そういう方の意見もこの法案には取り入れると思いますが、どちらの方か知りませんが、これだけ法案を拝見し、また提案の御説明を聞いただけでは、何ゆえに現在ある株式会社の何とかというものを、ここにあるものを、この法律でやらなければならぬかということがはっきりしないわけです。それだから、現在のままじゃどこがいけないのだ、それを今度の法律によって、どこをどういうふうにやるのか、この点を一つ突き詰めてお聞かせを願いたいと思います。ことに資本金の点ですが、おそらく今の科研で金が足りないのだろうと思うのですが、そうしますと、この法案を見ますと、付則で、今の科研のものは、何か財産を評価して営業を、権ですか、全体のものを譲り渡すことができると書いてある。そうすると、一体こういう法案が出るけれども、現在の科研会社が、実際はまあそういうことはないでしょう、実際はないでしょうけれども、やるかやらぬかということは現在の科研会社がきめるのですから、特別決議で、今の株主総会において。そんなことをやるより、これはばらばらにして解散して分けた方がいい、かりにですよ、そういう意見が出れば、それを強制するわけじゃないのだが、これはその場合でもなおこの法律をおやりになるつもりであるかどうか。そういうことも、これはへ理屈かもしれませんけれども、立法する方としてはそういう場合のことも考えておかなくちゃいけないと思う。それで、またかりにそれは何かの方法で強制して今の会社のものの財産権といいますか、営業権というものは譲り渡すとしても、それを委員会できめるというけれども、おそらく現在のを水増しをしてやるという手はないと思うのだ、常識上。それだから、今持っておる何億円かしれないが、それよりか少い金でくるわけですから、そうするとどうしても政府資金的に大いにやるというならばやって、予算面で相当額というものを出資するということがきまらぬと新会社が効能を発揮しないのじゃないかと思うのですが、まあ予算面にはそれがないと思うのですから、その点は一体いつどういうときに予算面の措置を講じて、具体的に今度この法律によってでき上った会社か、どのくらいの資本でどのくらいの研究項目をどういうふうにやるか。それが果して効果があるので、現在よりはましだと、こういう具体的の、これは会社方面のこれからやる方の人かきまらぬとわからぬのかもしれませんけれども、どうもこの法案審議するには、ただ組織法でこういうものを作っておれば、いずれこれにひっかかるものがこれから出てくるのだろうというのでは、この会則押し詰まったときにわれわれはこの法案に取っ組んで、ほかの委員の方はどうか知らんが、取っ組んで、こまかいところまで審議する余裕がないのじゃないかと考えるが、そこらのところは一つ今度おいでになるときまでに、はなはだ口が過ぎたかもしれませんが、会期が迫っておりますから、そのくらいの御注意を委員長として申し上げておくことをお許しを願いたいと思います。
  19. 小野義夫

    ○小野義夫君 今、委員長の言われるごとく、われわれは預っておるだけのものをおそらく通すことができないという、こういう会期の切迫した状態です。月曜はすでに二十五日でしょう。何日間やれますか、それでわれわれは石炭合理化でも資金計画その他について相当疑問がある。衆議院は蒸すだけ蒸してみずからひよこになって来るのを待っておるのですが、こちらはうのみにするわけにいかないのです。ですから、緊急やむを得ない法案に限ってもらわぬと、幾ら衆議院を上げて、来ても、参議院としては緊急にあらずと認めるものについては、どうも審議をやるわけにいきませんから、その点も新しい法案を今この会期末にどさくり回しに出して乱雑な審議をしておいて、あとで後悔するというようなことになっても困るのだから、よほど緊急のものに限り御提出になるように一つしていただきたい。委員長あとででも理事と御相談あるでしょうが、われわれもっと少数にしぼって、そうして精密なる審査を加えたいと考えておるのでありますから、従来もしばしば衆議院やり方についてわれわれは不満を言っておるのですから、この際特に会期延長が困難であれば、よほど議案を整理してもらわぬと、何でもかんでもうのみにせよということは、自由党でも本部の言うことを必ずしも聞きませんから、その点は一つよく御了承願わないと困るのであります。
  20. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 小平さんだけじゃなくて、要するにこの法案につい  ていかに緊急であるかということだけをわれわれに御説明願えるようにして下さい。
  21. 海野三朗

    海野三朗君 私はこの科研のあり方をあまりによく知っておりますので、実にそれは何とかしてあそこを救わないと、あれだけ寄った学者が困る。ですから私は科研に金を出してやらなければならぬということはよくわかるのです。出すに当りましてもこの前と同じようなことじゃだめなんだと思うのでありますから、ただいま委員長の言われましたように、これじゃいけないのだということをはっきりと一つお示しを願えれば、なに二日も三日もやっていなくても、皆さん頭のいい方がおそろいですからすぐおわかりになるのです。で、私一つともかくも……。
  22. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは続きまして石油資源開発株式会社法案石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案、これを議題に供しまして御質問を願いたいと思います。
  23. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 通産大臣は今日は……。
  24. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 今内閣委員会に出ておられるそうで、それが済んだらこちらに回る……。
  25. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 大蔵大臣はどうですか。
  26. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 大臣の御都合がつきかねるのですが、大蔵政務次官が間もなく見えられるそうです。
  27. 海野三朗

    海野三朗君 鉱山局長から石油のことについていろいろ御答弁願っておったのでありますが、どうも私今なお釈然としないものがありますので、重複いたしますけれども、もう一つ私念を押して伺っておきたいと思う。石油に対する関税の問題、これは法律でもって何割かけるということが国法でもってきめてある、それを昭和二十六年の大蔵委員会の時代から、この税金は今年度だけ免税、今年度だけ一割減らすというふうにして、ずっと今までの大蔵委員会でやって来ておる。それはなぜそうであるかと私は申しますと、黙っておけばその法律に従って関税をかけられるのですよ。ところがそれを通産省が、つまりいろいろ年々この法案を出しておられたわけでありまするが、これをよく検討いたしますると、昨日いただいたところのあの石油会社、あの石油会社を擁護するためにあの関税を免除しておられる、これを免除するためにまた通産省がその法案を出すというふうにしか考えられないのでありますが、大蔵委員会で関税のことをきめるんだと言っていつでも逃げておられるけれども、そういうものを出すからいけない、出さないで黙っておれば期限が切れてしまって、法律の定めるところによって税金がかけられるのである。ところがそれを、いや漁業が困るから、いや農民が困るからという理由でもって、大蔵委員会ではこの関税をいつでも免除して、またこれを延ばそうとしておる、やんやんやかましく言われたから仕方ないから三%くらいふやそうというようなことになっておりますが、昨日三輪委員からのこの資料の提出の要求によって私どもが知ったのでありまするが、あの外国資本の入っておるあの商社が、えらいぼろいもうけをしておる。みんな日本国民からの油をしぼり取られておる。実に巧妙なやり方である。私は関税を、法規の定むるところに従って関税を徴収しないくらいであるならば、直ちに法案を改正するべきものである。その法案を改正しないでおいて今年一年だけ、また一年だけというような、そういうふうなこそくの手段をとっておることは私は根本的に誤まりであると考えるのでありまするが、政府当局はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、それをお伺いいたします。
  28. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 海野先生のおっしゃいますことも、私はまた一面から見ますというと、まことにごもっともな御意見ではないかというふうに考えております。石油業者は相当現在利がふえておりますので、関税をある程度かけましても、これを十分吸収し得るのじゃないか。従って一割の関税くらいではこれは大して問題はないので、従いましてかけてもいいじゃないかということでございますけれども、この問題につきましてはいろいろ私どもの方も大蔵省と相談したのですが、結局関税をかけるということに対しまして、かけましたときにそれが実際問題としてこの石油業者だけで吸収できるだろうかどうだろうか、もちろん行政指導をいろいろやりますけれども、果してそれでうまく全部が吸収できるだろうかどうだろうか、これは需要者の方にやはりある程度ばね返りがあるのじゃないだろうか、そうしますというと、この際どうしても一割あるいはそれ以上の関税を復活するということばいろいろ問題があるので、従ってそういう影響を受けるかもしれないというようなところに対しましては極力この際かけないで、しかもある程度パーセントを低くしてそうして実行してみたらどうだろうかということになりまして、昨日も申し上げましたように原油につきましては二%、B、C重油につきましては六・五%をかけるということにいたしたわけでございまして、これは特に水産関係とか、そうした方面に相当影響があると認められますので、今申し上げましたようなかけ方を今年はとろうということにいたしたわけでございます。ほうって置けばこれは復活するのじゃないか、その点につきましては仰せの通りでございますけれども、この問題につきましては昨年の国会におきましてもいろいろ問題になりましたし、今年におきましてもしょっちゅう問題になっておりますので、私どもとしましてはこれをほおかぶりして、そうしてほったらかして置いて自然に復活させるというようなことは、やはりこれはとてもできませんので、国会の審議を経た上で措置をとろうということにいたしたような次第でございます。
  29. 海野三朗

    海野三朗君 私はそこを重ねてお伺いいたしますが、この国法をもってきめてあるやつをなぜ実行しないのであるか。それを需要者にみなはね返っていくというのは、業者はそういうふうに言うでありましょう。それは安ければ安い方がいいのであるから関税がかからない方がいいことはもちろんである。そこでこの石油の精製につきましても、どれほどの生産費がかかっておるのか、つまりそこが問題になった、昨日も問題になったわけでありますが、どうもそれは影響するところが大きいと言われますけれども、国法をもってきめてあるやつをなぜ実行できないのですか、もしこれが実行できないとすれば法律をもっと改正したらいいのですよ。また一般の勤労大衆の所得税にしたってそうなんです。これほど今日も騒いでおりながら馬耳東風の態度でもってこの勤労者階級の税金を減らすことをやらない。やったかのごとく見えておっても事実そうではないのです。しかるに一方ではこの石油、外国資本の入っておる大商社、何十億という資本金を持っておる大商社、アメリカ石油が入ってきて、しかもそれが関税一割も減らしておって、そうしてしかも生産費については通産省が一つも知らない、わからないのだというような、逃げ口上を使っていらっしゃるとしか、私はどうもそこがはっきりしないのでありまするが、それをかけないで、かけなければ法律を改正するのがほんとうでしょう。昭和二十六年以来年々、今年一年だけ、今年一年だけと言って、六、七、八、九、十ときておる。ところが二十九年度におけるあの一割ずつ頭をつまりはねた、税金を安くした額がどれくらいになっておるかと申しますると、実に七十九億に達しております。今度、石油会社が八十億になっている。そんな金は一年でできる。なぜその関税をはっきり法律に従ってかけられないのであるが。いろいろ鉱山局長からも御答弁がありますけれども、もしかけられないならば法律を改めたらいいでしょう、法律を。法律が存在している以上法律に従えばいい。それを便宜的に業界の反応がどうだとか、こうだとかいうことで、二分、あるいは六分五厘というようなこそくな手段をなぜとるのか。正々堂々と法律に従そてやっていったらいいじゃないですか。もし法律が誤まって、おればその法律を改正したらいいではないですか、その点をお伺いいたします。この点は私通産大臣にお伺いいたします。
  30. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 事情はただいま政府委員から申しました通りの次第でありまして、法律があるのですからそれを黙って実行すればいいというお説はこれは正論でありますが、現在の事情上いろいろの関係があって関税を上げるということは各方面に相当影響がありますので、暫定的にもう少しこういうことをやって、その状況を見てからなお最後の法律を改正するなり、あるいは法律をそのままに実行するなり処置をする、最後の方策を講ずる必要がある、かように考えるのでありまして、本年度はかような御審議を願っている次第でございます。
  31. 海野三朗

    海野三朗君 それは何年間……これは昭和二十六年からずうとやっているのです。六、七、八、九、十と、お考えになるのもほどほどにして下さらばなけれいかないのじゃないか。こういう法律があるにもかかわらずこの法律を実行しないで、実行しないくらいならばその法律を改めたらいいでしょう。改めるべきものである。そしてまた一方この石油会社の方も調べてみますというと、大部分が外国資本が入っている、そして一方ではこの石炭の問題が起って石炭業者がぎゅうぎゅういっている。こういうようなことは私は一言にして申しますならば、もう少し政府当局が事実を率直にごらんになったらいいのじゃないか。影響するところは甚大であると言われますけれども、この重油の関税に対して反対しているところの組合なり、あるいはずうっとずいぶんたくさんありますけれども、あれはああいう方面を専属して雇われているわけですから、ところが実際の方面に行ってみるというと、あまり考えておりません。とここがこの関税のことが国会に出るというとどうっと陳情書が出てくる。それはなぜかというと、その方面を担当しているこの陳情なり請願の方を担当しているグループがあるので、事実その点感じております、実際をもっと率直にごらんになってこれをいけないならいけないで法律を改正する、法律がある以上はこれを実行するという方面はそういうふうにおやりになるべきものであると私は考える。いろいろ影響するところが大きいとおっしゃるけれども、これは関税ばかりではありません。影響するところが大きいのは勤労者所得の所得税だって影響するところが非常に大きい。いろいろこの点について片びっこな行政をやっておられると思うのでありますが、今までのこの法案を、法律がある以上これを実行されるべきではないか、実行できないなら法律を改めたらいいじゃないですか。こういうことを私はこの際率直に石橋湛山先生にお伺いいたします。
  32. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 先ほども申し上げましたように、お説はまことにごもっともであります。ただ、今までは何年間かあれを事情上延期して参りました。そして今度はとにかく関税をかけたいというわけでありますが、それを一挙に果して定率法通りにしてよろしいかどうか、もう少し状況を見る必要があるのではないか、こういうことで本年は関税をかけますが、その中間処置として定率法通りにはしないで一部関税率を下げていった法案によって実行してその結果を見たい、かように考えておるのであります。
  33. 海野三朗

    海野三朗君 そういたしますと、石炭の合理化、そういう方面と照らし合せてお考えか、どういうふうにお考えになっていらしゃいますかどうですか、関税の問題。  それから石油の、つまり内地の石炭の値段、そういうものと輸入の関係をお考えになってどういうふうにお考えになりましょうか。もし現在の政府が幸いにしてもっと長続きされるならば、これを断固改められるだけの御決心が通産大臣におありになるのですか、どうなんでしょう。
  34. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 石炭の関係、それから国産の石油を開発するという関係から考えますればむろん関税はかけるのが、高い関税をかけるのが至当だと思います。でありますから、これは先ほども申し上げましたように、日本石油の開発状況、あるいは国内の石炭の状況、燃料全体の対策の上から今後さらに十分検討しまして定率法通りに関税をかけるのがいいということになりますれば、むろんこれをかけることをいたしたいということを考えておるわけであります。
  35. 海野三朗

    海野三朗君 今、大臣の御答弁によってかけた方がいいとなればというような至ってまことに低調な御答弁でありますが、三十九年度における関税免除した数だけが七十九億円に達しているのですよ。一年間に、二十九年度だけで、二十八年度、二十七年度、二十六年度から計算をいたしますというと、優に百六十億に達します。そういう方面の収入というものをお考えになるときには今日のこの石油開発会社に八十億とか何とかそんなことはもう問題にならない。そういうことをずっと通してお考えになりますときに今日までの関税をああやって下げてきたことが、関税を免除してきたことが誤まりであったとお考えになるんではありませんか。私は誤まりだったと考える、今日までの通産行政は。それだから今日の石炭も不況に立ち至っている。いっとき石炭は掘れ掘れと言って、やらせておいて、今度は重油々々と言って重油を使う。しかも関税まで免除している。それだから、石炭が今日の苦しい状態に至った一つの原因がそこにあると思う、それを考えてみたときに過去を顧みて今日までのあり方がこれでよかったと考えていらっしゃいますかどうか、その点一つ御所見を承わりたい。
  36. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 今まで関税の徴収を延期して参りましたのは、当時の燃料の事情、ことに石油の輸送、運賃の関係等を考えて、国内全体の産業の燃料に対して相当安い重油を供給する必要があるという観点から実行されて参ってきたかと思います。従ってその当時としては、これはもっともな政策であったと考えるわけであります。ただその結果がある程度石炭にはね返ってきたというようなことで、今日矛盾を生じていることは事実であります。従ってその矛盾をどうして解くか、これを一挙に解くという考え方ももっともでありますが、しかしとにかく重油は、これは陸上用ばかりでなく、水産業等に非常に重要な燃料でありますから、それらに対して関税を一挙に引き上げる、そしてその影響が及ぶということになりますとこれまた相当問題でありますので、そこではなはだいくじがない、中途半端な施策であるという御批評はあると思いますが、本年度においてはとりあえず水産業にはできるだけ影響がないような処置、それから陸上機関におきましても、一方において重油のボイラーの規制をして、実際の消費はある程度の規制をいたそうと思いますけれども、しかしそうかといって、これはどうしても輸出産業その他において重油も使わなければならぬ産業もございます、こういうわけでありますから、関税の影響がもしどこへ転嫁するかということは、これはなかなかあらかじめ決定ができません、幸いに石油の輸入業者がその関税を全部負担するような状況になればけっこうなんでありますが、しかし現在の日本の燃料、それから重油の輸入その他の石油の輸入の状況から申しますと、何しろ自由に輸入しているのではないのでありまして、非常に数量を制限しておりますから、どうしても今のありさまでは関税は消費者に転嫁される傾向が強いと一応考えられると思います。それは、なるほど石油会社は、もうけているかわかりませんが、もうけているからといって、それにすぐに転嫁ができあというわけにはいかないと思います。こういうことからできるだけ行政措置によって、先に局長も言いましたように、製油業者に転嫁されるようには仕向けていくつもりではございますが、これは経済の法則で、需要供給の関係でどうしてもうっちゃっておけば値段が上るというような状況にある場合には、影響はどうしても消費者にいく、こういうこともありますから、一挙に割り切った方策をとることはその状況を十分にきわめてからでないと危険がある、かように考えまして、中途半端だというおしかりはあるかと思いますけれども、かような状況にいたしたい。かように考えております。
  37. 海野三朗

    海野三朗君 それでは状況を見てやはりこの法律の定めるところに従っての関税をかける方向へ持っていこうというお考えがあらっしゃるのでございますね、将来に……。
  38. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) それはむろん定率法があるのでありますから、それに持っていくのが当然でありますからそういう考えを持っていることは事実であります。
  39. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 昨日の質疑によりまして、初年度の資金計画が九億円であるという御説明を承わったのですが、次年度以降これは衆議院の質疑の状況から考えましても、政府が七億円継続的に出資するというふうに言われておりますが、さように了承してよろしゅうございますか。
  40. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これは資料としてお配りしてあると思うのですが、次年度以降におきましては、出資金として、毎年十四億という計画にしてあります。従いまして、政府におきましては、この法律規定によりまして、二分の一以上株式を持たなければならないということになっておりますので、計画としては一応七億円はどうしても政府の方で持たなければならないということに相なるわけでございます。
  41. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 昨日授権資本についてお伺いしましたが、少し納得がいきませんので、重ねてお伺いいたしますが、その御計画によると八十億ということは大体確定しているわけですが、昨日の説明で七十九億が妥当であるか、九十億がいいのか、六十億という説もあるしというので、法律に明記しなかったというような御説明のようだったのですが、八十億というものがはっきりしている今日においては、これを明記するのに何ら差しつかえないのじゃありませんか。
  42. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 私は、この七十億というこの内容につきまして、これははっきりこの際、法律をもって八十億というのを書いた方がいいかという点については、相当いろいろ議論もありますので、しかもまたこの八十億というものに対しまして、七十億というくらいの程度で授権資本を書いておいた方がいいんじゃないかというような意見衆議院内部におきましてはありましたので、私どもの方としては、定款のこれは必要記載事項でありますので、定款においてはっきりと八十億というふうに書いておきたいというふうに考えております。
  43. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 次年度以降十四億の出資金であるので、二分の一以上であれば七億出さなければならぬということにはなるだけは、これはちょっとおぼつかないので、はっきりそれを政府としては次年度以降七億出すんだということを、大蔵省との了承の上で御言明できますね。大臣に一つ。
  44. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) これはむろん財政の許す範囲にいたさなければなりませんが、われわれとしては七億円ということをきっちり申し上げることは、これは毎年の予算もございますから、困難と思いますが、さようなつもりでおります。
  45. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 しかし、政府が七億円出されないときは、政府の出資額が減るということにとどまらないわけです。民間もそれに伴って減らなければならぬので、五カ年計画の遂行のためにこの会社を作るとすれば、その点から非常なそごが出てくるわけですが、そうなりますと、本法の第一条に書いてある目的の「石油資源の開発を急速かつ計画的に行う」という、この五カ年計画を遂行するんだということは、多少五カ年後においてその目的が達成できないという事実が出てくるんじゃないか、こういうふうに考えますので、財政状況においてなどというようなことではちょっと困るのです。この際大蔵省からどなたか見えているんですか。
  46. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 主計局次長が見えております。
  47. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私は大臣を要求しておいたのですが。
  48. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 大臣はちょっと差しつかえがありますので……。
  49. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 では今おいでになっている政府委員の答弁は、これを大臣の御言明と聞いていいんですね。
  50. 吉野信次

    委員長吉野信次君) もうじき政務次官がお見えになると思いますから。
  51. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 一応主計局の次長から聞いておいて、あとでまた政務次官の方から聞きます。今お聞しているのは、石油資源開発株式会社政府資金のことなんですけれども、次年度以降七億円の出資をするということになっておるわけです。それをはっきり大蔵省の御了解の上に次年度以降七億円出すということになっておるのかどうか、その点をはっきり一つ御説明願いたいと思います。
  52. 原純夫

    政府委員(原純夫君) それははっきりとした後年度へのお約束はできておりません。財政全般が御承知通り非常に苦しいところでありまするので、できるだけのことはいたしたいと思いますけれども、七億をはっきり出すということはお約束はできておらないのでございます。将来財政の許す限りということでございます。
  53. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そうなりますと、次年度以降七億円出し得ない事態もあるということを、すでにもう設立の当初においてお考えになっておるわけですね。通産大臣に。
  54. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) これはまあ財政のことでありますから、そのときどきの事情もございますから、必ず七億出すとかいうことのお約束は、これはむろん大蔵省としてもできかねると思います。しかしながら石油資源を開発しなければならぬ、こういうことも、これも同時に認めておるわけでございます。ですからこれは財政の許す限りにおいて出す、こういうことで、私はやはりこれはわれわれとしては七億円は少くも出してもらう、こういう決意を持っておるわけであります。実際の予算の折衝は、どうもそのときにならないと決定ができかねますから、今大蔵省から申したようなことは、大蔵省としてはさような答弁になることと思います。
  55. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 この点は大臣なり政務次官がおいでになってから質問をすることにして留保しておきます。
  56. 小野義夫

    ○小野義夫君 この石油資源開発株式会社法案を作るに関連いたしまして、従来法律に定めておりますところの石油及び可燃性天然ガス資源開発法第三章を削除するということになっているのですが、この第三章を削除するということは、つまり石油のみに非常に重点を置いて、天然ガスを軽視して、これらの助成その他の方法を法文上取り除くということになるのでありまして、そうすれば、この可燃性天然ガスの開発というものは、この五カ年計画の上から見ましても、非常に軽く取り扱われておりますし、それからエネルギー資源の方の説明についても、ほとんど天然ガスについてはこれに多く触れておらないのでありまするから、政府が地下資源の開発を意図するその根本の精神において、すでにまあ一種の既得権と申せば、天然ガスはこれから政府が、その限度はともかくとして、大いに力を入れるべき法律上の保障のあったものを、今回突如として、しかも天然ガス業者の意見も何も徴することなく、これを法文の上から抹殺しようというところに私は非常に不合理なものがあると思いますが、この点大臣はどうお考えになりますか。
  57. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 私どもとしては、天然ガスを決して軽視しようとは思いませんし、私個人の意見としては、日本の天然ガスというものも、なお大いに開発の余地があるだろうし、また開発すべきものと考えております。ただ今回の法律案においては、新しい石油開発会社によって、可燃性の天然ガスも処理ができますから、そこで一応今までの補助金の制度は落しておるということであります。
  58. 小野義夫

    ○小野義夫君 それは一部の天然ガスは、ただいまこの法文にもあります通り、この開発会社事業範囲のところに、「石油の採取及びこれに伴う可燃性天然ガス」と、こう書いてある、だから「これに伴う」ということになれば、大体この計画から見ましても、ことごとく油田を選定しておる、それからまた縦坑、油井の数も何本何本として、たまたまそこに出てきた場合に、これを可燃性天然ガスの開発というところに、「これに伴う」ということが出てくる。だから法文の上から、この新会社の点から見ましても、これに伴わざるものにつていは会社はタッチしないということになるし、またそれならば、この定款というものは、全然初めからそういう二つの目的を打ち出してこなければならぬ。石油及び天然ガスをやるので、これに伴うということは限定点で、私はしかしながら天然ガスの開発を、かかる非常に不確定な会社に依頼したくない。天然ガスは天然ガスとして、それを目的とするところの独立会社をもってやるべき、であって、従来石油をやるものは天然ガスは軽視しておる。これは歴史的にそうである。最近たまたまやってみるというと、ガスが出るものだから、これに対して相当の興味を持っておることは新潟の実例においてこれを徴することができますけれども、その他の地点について、石油会社、帝国石油が天然ガスの開発に従事したという事例は知らない。かくのごとく軽視しておる。石油オンリーである。でありますから、これは私は法文は修正の上存続すべきであろうと思うんですが、根本的のこれはもう観念になるのでありますから、この際法文の上から削除するということになれば、これはよほど慎重を期していただかなければ同意をしかねる、いかがですか。
  59. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 先ほど大臣からお話がありましたように、天然ガスの開発につきまして、私どもの方としましては、決して軽視はいたしておりません。ただ従来からのいきさつを申し上げましても、やはり天然ガスに対しましても、ある程度補助金を出しておるわけでございますけれども、やはり軽視はいたしませんが、石油をこの際どうしても開発しなければならぬという観点で石油の方に重点を置いておることは、これは事実でございます。今回こういう会社を作りまして、この株式会社法によりましては、第七条の第一号あるいは第四号において、ガスの開発の方もできるわけでございます。しかしやはりこの会社は前からいろいろ申し上げておりますように、石油の五ケ年計画というものを、この際どうしても遂行したいという考えでやっておるわけでございまして、石油に非常な重点を置いておりますので、私どもとしましては、この法律としてはこういうふうに書かなければいけないのじゃないかというふうに考えまして、こういうふうにいたしたわけでございます。しかしながら従来通り程度につきましては、私はやはり天然ガスについても、この会社のみずからやるか、あるいはその共同鉱業権者という形でやるか、あるいはまた若干のこの会社から助成をするのだというような措置によりまして、従来と同じ程度のことはやっていけるというふうに考えるのであります。しかしこの際小野先生がおっしゃいますように、天然ガスについて、何か計画的な大きな増産をこの際やるべきかどうかという点については、私どもさらに検討しまして、そして将来の問題としてその問題は十分研究いたしたいと考えております。ただ何を申し上げましても、この際石油の開発も計画的にやればガスの方も計画的にやればというように、いろいろなものを一緒に、計画的にやりますと財政その他の面から非常になかなかむずかしいということになりますので、この際はやはり石油の方に一応重点を置きまして、そうして石油の計画増産を完成さして、と同時に、ガスの問題についてもいろいろ検討して、また計画的にどうしてもやらなければならぬという問題が起きますれば、われわれとしては、そういう措置をとりたいというように考えておるわけでございまして、この法律からは、第七条の第一号と第四号において、この従来通りのことはできるとわれわれは考えておるわけでございます。
  60. 小野義夫

    ○小野義夫君 それは非常に思想の混乱があるので、この開発会社が、他のつまり業者ですね、たとえば天然ガスのみをやっておる会社に助成を出すとか、あるいは共同でやるとか、こういうことは目的の主たる目的お話しのごとくから逸脱することになりますし、またそれらの会社から援助やその他を受けるという意思は、天然ガス会社においてもないと思うのです。そうでありますからこれはやはり法文上、今すぐこれと並行して開発をするというように私は主張しておるのではありませんけれども、この開発法という基本法の中から援助をしないというて打ち切り、また予算面に現われておるものを、予算の中に、その予算行為を従来やってきたものを、石油開発会社ができたから、政府の予算には計上しないというそのやり方が悪いというのでありまして、これは筋を通して、石油を重点にやられるということは、まことに私どもはある意味においてけっこうだと思うのです。ただしそれには相当の、いろいろ私はかく質問申し上げたような、もり少し堅実性を加えなければならぬと思いますが、ともかくも石油開発それ自体は非常にこの際重点的に取り上げになるということは、私は賛成でありまするが、その余波を食って法律の上にも予算の上にも顔を若干出しておるところの天然ガスをこの会社に移譲して抹殺するというやり方には、私はこの天然ガスの開発、将来の全体から見まして、一応とどめをさされることになるのでありまして、これはやはり何かの形でこの法文の上にも予算の上にも……あえてたくさんの金額を、今使うだけの何がありませんから……生かすような措置をしていただければ今度はむしろ何も心配なしに、石油石油会社一本でうんと力を入れて、他からかれこれ言われる理由なしに、むしろそういうようなやむを得ず出てくるものはともかくとして目的外予算外のことをやらないという、一本調子の会社にすっきりさしてやった方がいいのじゃないかと思うのであります。
  61. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 実はこれに伴う天然ガスの採取、こういうもれではなくて、私の方としましては、第一号で石油の採鉱というものがありますが、当然その石油を探鉱する場合におきまして、ガスの探鉱もしなければならないという問題がしょっちゅう起きてくるわけでありまして、現にこの五カ年計画の中にもやはりこのガスの鉱区と相当競合しておるものもありまして、やはり石油を探鉱し開発するためには一面におきましてはガスの方も探鉱しなければならぬという問題が随伴して起きて参りますので、この探鉱で、石油の探鉱とありますけれども、当然石油を探鉱する道程においてガスをこれはどうしても探鉱しなければならぬという問題が起きて参りますので、私どもとしましてはそういうことで十分先生のおっしゃいますようなことはできるんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。ただこの際天然ガスの非常に計画的な非常な増産をはかるということになりますというと、こういう法律ではとうていこれは無理でありますけれども、しかし従来程度のこと、あるいはそれよりもある程度ふやすということは、こういう法律でもわれわれは十分できるんじゃないかと考えております。  具体的に例を申し上げますというと、油田地帯だけではなくて、関東平野におきましてもやはりこれは石油があるんじゃないかということも言われておりますので、そのガスの開発についていろいろこの会社がやるということは、石油を探鉱する一つの道程でありますので、われわれとしてはちっとも差しつかえないじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  62. 海野三朗

    海野三朗君 関連質問、この山形県あたりのあのたんぼの中にふき出ておるあの天然ガス、この広範なる範囲にわたってぼこぼこ出ているやつは、メタンガスに、それからプロパンでしたか、そういうような種類のガスがたんぼの中に非常にふき出ている。一面川の中にぼこぼこ、ああいう状態は局長ごらんになったのでありますか。あのもう自然に出ておるんです。ガスが出ている。たんぼの中一面です。見渡す限り一面の中にぼこぼこ。それでその近くの農家では燃料としては皆そのガスを集めていってやっておりますが、あの地帯のガスなんぞはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのでありますか。石油よりももう一歩先だ。石油はまだ地上に現れてきていないんだけれども、ガスはもうふき出てきているのです。もう大したものなんです。あの山形県の、名前を申し上げますと安楽城地方ですね、あの地方を私は三日間にわたって踏査して参ったわけです。ガスだけでも大へんなんです。しかもメタンガスとプロパン、ああいうようなガスが出ておるんです、分析した結果。あれごらんになったんでありますか。この天然ガスはどういうようにお考えになっておりますか。
  63. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 私は山形県のガスについては一部見たところがございますけれども、今先生のおっしゃっておる地方は見ておりませんけれども、これは、やはりガスと石油というものとは非常な関連を持っております。これは関連がないというようなガスもあるというふうに聞いておりますけれども、これは必ずしも学者の説においてはそういう説ではなくて、大方の学者の説としましては、やはり石油というものと、この天然ガスというものとは関係が非常にあるというふうにわれわれ聞いておりますので、今先生のおっしゃいましたようなところにおいて、これはやはりこの石油が出るのじゃないかというようなふうに考えますれば、われわれとしてはもちろんそこのガスの開発なり石油の開発も一緒にこれはやりたいというふうに考えております。
  64. 小野義夫

    ○小野義夫君 鉱山局長お話は一応わかるのでございますけれどもですね、これは実際上から言うたら石油を東京の、たとえば関東平野で石油が出るというので油井を作るというようなことは、おそらくそれはよほどの場合でなければやらんし、やってはいけないのです。やはりここに規定されたような秋田、山形の、あるいその海中とかその油田として、もう明確にある、そして手の届かんところをやるべきである。そういう方面に手を伸ばしてはいけない。そこでまたここに油があるかもしれんといってガスを、まずその石油に関連あるガスが出るか出ないかというようなことを検査するということも、これは大いに後のことであります、そうするというと、まあ完全にこれを申しますると、第一期五カ年計画をやる場合はガスのことはもう手に触れないというのが、そうならなくちゃならぬと思うのであります、そこで私ども考え方は、やはりこのガスというものは石油とはたまたま同じところもありますけれども、全く縁故のないところの、今ありますところの千葉にしても、東京にしても、あるいは将来最も大いに嘱望しておる各地の状態も、これらはみんなメタンガスに属するものであって、石油層とは全然その地質の構造も違っております、でありまするから、これは私はやっぱり今法文の上にも予算の上にも残しておいて、そして必要ならば、みんな私は、これは国民的に利害関係はむしろ石油よりも重大であると思うが、石油は幾ら努力されてもまず一〇%くらいにいけば非常にこれは成功だ。需要量の一〇%まで持っていくことができれば非常な成功だ、そしてこれが関税とか何とかいう国内物価に非常に影響を持つ、ところが天然ガスに至っては、関税問題とも関係がなければ、そういうような製油業者とも関係がない。むしろ今化学の方面で非常に要望せられておるところの問題でありますし、それから一般のタウンガスにも非常に接着するものでありまして、小規模なる企業経営でやっていけるわけなのであります、それがこのガスにはガスの非常に特有性の問題があります。たとえば新潟地方では、なかなかガスがあっても掘れない。それは悪水の排除という大きな経費が要るのである。これらの問題は石油を開発していくというようなことは、とうていそれは望み得べきことでもないし、ガス独自の見解において、それらの悪水の処置であるとか、あるいは土地の問題にしましても、いろいろ府県によりましては、地層沈下の理由によりまして絶対反対を表示しておるものもあります。でありますから、私はこれはどうしても石油会社は自分がやるために出てくるものはやむを得ないということであって、非常に目的を減縮するためにも、どうしてもこれは二本建にして、従来残っておるところの天然ガス開発に対するそういう法律及び予算上のものを存続する方が、将来のためにいいと考えるものであります。
  65. 川上為治

    政府委員(川上為治君) お言葉を返すようですけれども、実は私の方としましては、秋田とか山形とか新潟とか、そういうかっての油田地帯に対しまして、ほとんど全部やろうという考えは持っておりません。もちろんこういう地方をたくさん構想としてはやることになりましょうけれども、関東平野におきましても、これは石油があるんじゃないかということは、これは学者の方で相当検討されて言われておりますので、関東平野におきましても、これは、ことしになりますか、来年になりますか、地震探鉱もいたしますし、またボーリングも五カ年計画の中には当然考えておるわけでございまして、私どもの方としましては、やはりいわゆるメタンガスとか、そういうものと石油というものがある程度関連しておるということも、これはいろいろ言われておりますし、また現に新潟あたりのガス田の下で、三千メートルぐらいのところで石油の開発をやろうという計画も現在は立てられておるのでありますが、これはそのガス田が見つかりまして、そうして地下の構造も大体わかりましたために、非常にこれが有利な手がかりとなりまして、その下の石油の開発をやろうということを考えておるわけでございまして、そういう意味からいたしましても、私どもはガスというものと石油というものとが常に関連しておるというふうに考えておりまして、従いまして関東平野とか、あるいは長野県とか、そうした方面におきましても、このガスの開発を石油の開発の道程として私どもはやりたいというふうに考えておるわけでございまして、そういうことでありますから、この会社におきましても、従来通り程度、あるいはそれ以上のことはできるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  66. 小野義夫

    ○小野義夫君 この問題は議論になりまして、私は納得しないのでありますが、政府の意図するところがわかっておりますから、ほかの問題に関連して質問を一応さしていただきます。この問題はなお他日に保留いたしたいと思います。  次に、会社設立事業範囲が先ほど申しましたように、「これに伴う」というのはおもしろくない。むしろ天然ガスを削除すべきであろう、会社の方から削除すべきであろうという点でありますが、そのほかに、末段におきまして、「会社目的を達成するために必要な事業」ということが、非常に広範なる目的をもって最後のところに入れてある。そうしますと、この「会社目的を達成するために必要な事業」というのは、この全社が失敗したときの逃げをはるようにも見えるのだし、それからどこまでの範囲をやる、たとえば会社目的を達成するために資金が欠乏してきた、だから、おれの方は特殊会社だから製油会社も始めるんだ、外国から輸入して製油を始めて、その資金によってこれを開発する、あるいはこれこれの事業をやって、その目的を達する、こういうふうにこの「会社目的を達成するために」というようなことは、これは普通民間からこういう定款が出ても、昔であれば、承認なりがたきものである。でありますから、どういうよりな文句を入れるべきであるかというと、これに付帯するという、つまりガス々開発するに付帯する事業、たとえば、さきのドリルの保全修繕をやるようなために工作場を持つとか、あるいは何かそれをするような特殊の設備をするというようなことはいいのだけれども、販売並びに会社目的を達する、これははなはだしく私は、会社事業範囲を拡大しておきますと、これはもう前例もあることで、かって肥料会社が、肥料の統制を目的とするといったら、今度はみずからが製造する、こういうことに陥りやすいので、私はもっとこの会社目的を、今の「これに伴う可燃性天然ガス」とか、あるいは「達成するために必要な」というような広範な目的を持たずに、非常に厳格にしぼるべきではなかろうかと思うのでありますが、その点、大臣はどうお考えになりますか。
  67. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 第七条の第二号の「これに伴う可燃性天然ガスの採取」というのは、これは石油をやはり探鉱し開発いたしますというと、先ほど申し上げましたように、ガスが当然出て参りまするので、その当然出てくるガスの採取ということでありますので、これはどうしてもこの法律の中に書いておかなければならないのではないかというふうに考えます。  それから第四号の「会社目的を達成するために必要な事業」というのは、私ども考えておりますのは、たとえば先ほどちょっと話がありました委託探鉱でありますとか、あるいは委託調査の実施でありますとか、あるいは会社の所有するタンカー等による石油の輸送でありますとか、こういうこの会社目的であります石油資源の開発の急速かつ計画的な遂行に直接間接に寄与する事業考えておるのでありまして、製油事業というようなところまではこの中には入らないというふうに考えております、それから、そうしてまた、その次の項におきまして、「会社は、前項第四号に掲げる事業を営もうとするときは、通産大臣認可を受けなければならない。」ということになっておりますので、先生の今おっしゃいました非常に広い仕事をするように見えるような措置はこの認可におきまして、とらないように考えておりますので、その点は御心配がないと考えております。なおこれは法制局ともいろいろ相談したのですが、今その付帯事項というような、たとえば修理工場というような、そういうものにつきましは、この一号、二号、三号、四号の各号にそれぞれ付帯事業というのは入っておるそうでありますので、特別に四号に前各号に付帯する事業というようなことを書かなかったわけでございます。
  68. 小野義夫

    ○小野義夫君 それならば、こういうおだやかでない、「会社目的な達成するために必要な事業」というように、会社目的を達するならば今のように製油業もやる、何もやるというようなおそれのあるような、広範な拡大的な意義をもっと厳格にしぼる方が妥当ではないかと思うのですが、これもまあ後に保留しまして、その次に取締役の兼任を非常に制限しておられますが、実際的として、たとえば帝国石油会社は、兼務をこの会社と新会社に許すのですか、許さないのですか。その点を明らかにしてほしい。
  69. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 第六条におきまして兼任を認めていないのでありますが、これはやはりこの会社は少くとも石油の計画的な増産をやらなくちゃならぬという考え方から、一意専心その事務に当ってもらいたいという関係から兼任を認めないことにいたしておりますけれども、これは通産大臣の承認を受けたときは、すなわち非常にやむを得ない、どうしてもやむを得ないというような場合におきましては、これは認めるわけでございます。現実に、じゃ帝石の重役さんがこの会社の重役さんを兼ねるという問題につきましては、私どもは今のところ全然考えておりませんが、これはどうしてもそういうことをしなければうまくいかないという特別な事情がありますれば、通産大臣の承認を受けまして、そしてその兼任を認めることになるものと考えられるのであります。
  70. 小野義夫

    ○小野義夫君 これは第二の帝石会社設立でありまして、その前途については相当楽観と、悲観と両面が非常にある。非常な成功をおさめるかもしれぬが、非常な失敗をする。かかる場合においてその痛切な利害を感ずるところの帝石の重役がこれを兼務をするというようなことは私はこれは許されないことではないかということを申し上げたいのです。しからば製油会社に属する人の、この重役は兼務ができるのですか、どうですか。
  71. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 先ほども申し上げましたように、それは帝石でありましても、あるいはその精製会社でありましても、非常に特別な事情があって、通産大臣がこれはどうしても兼任を認めなければこの会社運営上うまくいかないという場合だけに限定しておりますので、私どもとしましては現在のところは帝石を兼務したり、あるいはまた精製会社を兼任したりと、そういうことは考えておりません。
  72. 小野義夫

    ○小野義夫君 どうも大臣の認定というのは、現大臣がいつまでも通産大臣でおられるならば、立法のときの精神を尊重せられるのですけれども、大臣も一年もたてばかわっていくというような現状から見まして、これは大臣の行政権にこういう重大点を一任するということはすこぶる危険ではないかという、まあ私の考え方なんですが、これも後でまた質問することとし、次の点は、探鉱費の繰り延べという言葉を使って、珍しい言葉を使っておりますが、これに普通の民間であれば、やはり繰り延べというのでなく、企業費として、いわゆる財産に、探鉱に要したのをその営業費でやれる探鉱と企業でやる探鉱とあるのでありまするが、これは後に資金計画その他にいろいろ矛盾したような、あるいはむずかしいような問題がたくさん入っておりまするが、繰り延べることができる。そうしてこれ々何々に消却しなければならないという規定がある。これは普通の会社観念から言うたら、当然こういうおもな大きな企業費に関係しては、当然これは財産の一部としてやるのだから、その財産を消却するというのは当然であって、その出した金を欠損もしくは損失とするということであったら探鉱というものは成り立ちはしないのだから、これは私はそういう特殊のむずかしいことを言わないで、普通のこれも一種の会社なんだから、会社の普通の経理のやり方をやっていけば、そういう意味のことは要らないであろうと思う。ただ消却年限を規定しております。これはそういう企業費の消却に関しましては、一般のこの大蔵省の取締り方法がありまして、この会社の、やはり免税会社ではなくて、やはり適当の営利事業というような意味で、まあ課税がある年限は免税でありましょうけれども、行く行くはやはり税を払って営業していくのじゃないかと思うのですが、その点、この企業費という言葉を使わないで、探鉱費の繰り延べというのには何か理由があるのですか。
  73. 川上為治

    政府委員(川上為治君) この会社は、最初におきましては探鉱に対しまして非常に大きな仕事をやります関係から、この探鉱費用の、これは当然赤字が出て参るわけでありますが、そういう探鉱費用のすべてを損金で処理して、非常に大きな赤字を計上しますということは、これは企業会計力安定から非常におもしろくない面が出て参りますので、そういう意味からこういう条文を入れまして、繰り延べができるようにいたしたわけでございます。従いまして、私どもとしましては、これは普通の会社とは非常に違っておりますので、やはりこういう条文をおいて、この企業の会計の安定というものをどうしてもはかっておかなければならないのではないかというふうに考えましたので、この条文をおいたわけでございます。
  74. 小野義夫

    ○小野義夫君 今の私の言うように、企業費として会社財産に計上しておいて、その消却年限について、たとえば特例を設けてもらうとか何とかいうことはでき得ることなんだから、そういうなるべく同じの会社経理の面に、だれでもが納得いくところの企業費を赤字で出す、損失で出すというようなばかげたことは必要はないので、探鉱費は財産目録のうちの探鉱費勘定というものを別途に設けてもよし、そういうもので整理をしたらどうかということで、なるべくその特殊会社というようなことをあまりうたわない方がかえって民主的なんでいいのじゃないか。まあそれは大した問題でない。  次に、登録税の特例とはどういうことを意味するのですか。
  75. 川上為治

    政府委員(川上為治君) この会社におきましては、たとえばその鉱凶税でありますとか、あるいはその登録税でありますとか、あるいは法人税でありますとか、そういうものについて特別の措置をした方がよくはないかというふうに考えるのでありますけれども、この鉱区税におきましては、これは地方税であまりすので、いろいろその地方財政関係もありますし、また地方によりましては、この会社に対しまして特別の措置をし得るところもあるようでありますので、その問題は地方にまかせることにいたしまして、それから法人税につきましては、現在法人税法によりまして特別な措置ができるように三年間はなっておりますので、それを適用した方がよくはないかということに考えまして、免税措置をやらなかったのでありますが、登録税につきましては、やはりそういう特別なものがありませんので、この際登録税は免税をするという免税措置をとったわけでございます。いずれにしましても、この会社は五カ年の間非常に探鉱に対しまして努力をしまして、そして利益がそんなに出て参りませんので、この際やはりこういうものにつきまして免税措置をとったわけでございます。
  76. 小野義夫

    ○小野義夫君 その次に資金計画の面でございますが、まず五カ年だけの資金計画を申しまするというと、この支出の面におきましては、大体これらの経費は過大でなく、むしろ当然要するんじゃないかと思うのでございまするが、この調達面の方について幾つかの疑義があります。第一点はただいま三輪委員から御指摘のあったように、財政負担を五カ年間見ておる。つまり本年度は九億であるが、その九億の調達についても大いに考慮する点があると思うのでありまするが、あと十四億ずつの調達について三十五年まで継続国庫が負担義務を負うような、こういう出資が可能であるかどうかということが一点と、それから第二の問題は原油の収入をえらく見ておる。百億見ておる。その百億もこの五カ年間に原油の収入があるということがこの会社の、私はそんなに確実性のあるものということは考えられない。確実でないから、帝国石油がやれない。これだけの収入があるならば、私はこれで相当もう企業的に私企業でやり得るのじゃないか。しかるにそれを財源に繰り入れて、百八億八千七百万円というものをここに計上しておるように見えるのですが、それから第三点は、この借入金の四十九億という借り入れでありまするが、これは一体政府は保証義務でも負うでありますかどうですか。なかなかこのような危なかしい、山勘といっちゃ失礼かもしれぬが、つまりわれわれが常に悩んでおるところの鉱山のリスクですね、それを保証することなしに銀行が貸し出しをするということも、これもなかなかむずかしいかと思うので、この資金調達の二百三十九億八千七百万というものが、どうも絵にかいたぼたもちで、実際にこれができるかどうか。企業の計画の方はこれは一ぺん始めますと、途中で打ち切るなどということはできないので、どうしてもこれはある規模を立てれば、その規模で推進するということになる。そうすると私がくどいことを申し上げるようだけれども、そういう惨たんたることはかっての何にはなかったけれども、私はこれを一つ資料としていただきたいのは、過去の産金会社及び帝国鉱発の出発及び最後に至るその始末の、一体どういうふうに、あれが株主の損失になり、あるいは政府の損失になって、その結末がついたかということは、この会社の将来にも非常に参考になる点でありますから、これは資料として一つ……。一体一こういうものが、なかなかいい思いつきではあるのだけれども、なかなかもって実際われわれ実業人から見ると、容易にこれは、補助金の方は困難なように、今の政府補助金を打ち切るとか何とかいっておるけれども、これはもう年々歳々……。そのときには国会が見る。そういうことを考えれば、それは出して、ぽんときめてもらえばあとにくされが残らない。ところがこういう方式で、何といいますか、たとえば結婚して、りっぱなむすこさんをこしらえたら、これらの養育費というものは大ていのことじゃない。あとに残る。だからまず初めは容易であるけれども、これを五カ年間守り続けるという自信が、いかなる人がそれだけの手腕を持ち、いかなる人物がこれに当るかしれませんけれども、これは並み大ていのことじゃなかろうと思う。資金調達面においては、私は非常に遺憾な点があると思うのは、第一この原油がこれだけの、百何十億というようなものが出ることが立証されるならば、これはもうそれ自体でやったらいい。それからあと資金もそういうふうに開発銀行が必ず貸すということを誓っているのかどうか、保証なくして貸すことができるのどうか、これらの面が私は非常に、もっと大いに通産大臣はそれに対して御成案があられるかどうか、一つ一体どうなるのか、大臣からお答え願いたい。
  77. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 原油の収入が果してこれほどあるかという問題ですが、これは資料としてお配りしてあるのですが、資料の三ページ、生産計画につきまして、すなわちその新油田からの生産量が、来年からこれはすぐ油が出てくる計画にいたしております。そうして三十五年度におきましては新油田から五十万キロリッター、三十六年度におきましては六十七万キロリッターという程度出る計算にいたしております。これは実際出るか出ぬかという問題でありますが、これは私どもの方では約二年にわたりまして開発審議会の方で相当こまかく検討しまして、この程度のものは、最もこれは確実に見まして出るものというふうに検討されております。そうして最初は何と申しましても、なるべくそのうちでも最も有望なところから着手したいと考えておりますので、私はこれはいろいろ見方なり、おっしゃり方はあるかと思うのですけれども、少くとも日本の相当のエキスパートが集まっていろいろ相談をしまして、そうして実地に調査もし、検討した結果でありますので、私どもとしましては、これは十分出る可能性があると考えております。  それから借入金の問題でありますが、これにつきましては、この試掘についての金融というのはなかなかむずかしいのでありますけれども、これはここに計上しておりますのは採掘機械、採掘設備、そうした方面の実は金でございまして、従いましてそういうものについては、従来からも金融の対象になっておりますので、私どものあっせんによりまして、金融はできるものと考えております。もちろんこれはこの法律においては債務保証という法律はありませんけれども、条文はありませんけれども、私どもの方のいろいろなあっせんによりまして、これは確保できるものと考えております、それにどんどん油が出て参りますれば、そういう関係からいたしましても金融は得られるものと考えております。もちろんこれは債務保証が、それがあるとなおさらいいのですけれども、それがなくても私どもとしましてはできるのではないかというふうに考えております。
  78. 古池信三

    ○古池信三君 今の資金の調達につきましては、私も小野委員と同様な心配を持っているのですが、五カ年間に四十九億の借入金という計画になっておりますけれども、今お話しのように、なるほど試掘についての借り入れは困難である。その点はよくわかりますが、しかしながら試掘をしまして油田を見つけたとしましても、それがやはり本格的に開業状態になって油を出せるというまでには、ある程度の年数を要すると思うわけです。その間どうして、何を担保にして借りるか。この会社はほとんど担保力としてはあまりないのではないかと思うのです、その時代においては。そういう場合に政府の保証がないとすると、非常に困難じゃないか。たとえ政府で大いにあっせんをされるとしましても、これだけ多額の金融を得るということは非常にむずかしいのではないかという心配を持っているのですが、その点は、今鉱山局長は大丈夫だというお話でありますけれども通産大臣はいかにお考えになりますか。
  79. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) この点は保証を法律に盛り込むという説もありました。いろいろ大蔵大臣と相談したのでありますが、どうも法律でそれを入れるのも工合が悪いから、これはその場合、実際に採掘に必要な資金なら、今局長から申し上げましたように、むろん内閣がかわればというようなことらがありますか、われわれの今申すことが次の内閣でどうなるという御心配な受ければ別ですが、現在の大蔵大臣は、とにかくその場合には資金を十分心配するという口約束でありますが、約束しておるのであります。
  80. 古池信三

    ○古池信三君 通産大臣のお答えはよくわかりましたが、ちょうど幸いこの席に大蔵当局がきておられますから、そういう点については心配はない、責任を持ってこういう資金のあっせんには万全を期するということを言明していただけますかどうか。
  81. 藤枝泉介

    政府委員(藤枝泉介君) ただいまお話がありましたように、この油が出るということがきまりました以上は、相当この点については十分この金融に乗るものじゃないかと私ども考えます。もちろん先ほどからお話がありましたように、この点についてはいろいろ困難もありましょうが、大蔵省といたしましても、この採油の段階になりましたその資金繰りにつきましては十分努力をいたしまして、会社資金繰りに支障のないように努力をいたしたいと考えております。
  82. 古池信三

    ○古池信三君 この会社はそもそも提案理由にもありましたように、政府石油開発五カ年計画をほんとうに強力に、また有効に実施する機関である、こういう会社でありますから、政府としてはあらゆるこれは援助を憎んではならぬと思う。従いましてただいま御説明になったような方法でこれをやられるとしても、これがうまお成功すればはなはだけっこうですが、それによってなおかつ借り入れに困難を来たすというような場合に立ち至ったときは、政府はすみやかにこの法律を改正して政府保証というような条項を入れるお考えがあるかどうかということを一つお尋ねしたいと思います。
  83. 藤枝泉介

    政府委員(藤枝泉介君) 大蔵省側の考え方といたしまして、ただいまお話のように、この事業を進めて参りまして、そうしてしかも油が出るというめどがついた分については、先ほど申し上げましたように、十分この金融に乗るのじゃないかというふうに考えておりますが、もしただいま古池さんのお話のような事態が、むしろこれはなかなか出るめどもつかないというような事態になった場合じゃないかと考えられるのでありますが、そのときには全面的に計画そのものを再検討いたしまして、どういう措置をとるかということを考えなければならぬ事態になるのじゃないかというふうに私ども考えておる次第でございます。
  84. 古池信三

    ○古池信三君 油田が見つかって、なるほど石油が出るだろうということがわかりましても、それから果して一体どれだけの石油がそこに埋蔵されておるかということを確認し、またそれが実際に稼働状況に入るまでにはある程度の年数がかかると思うのです。その間が非常に不安定であって金融にむずかしいのではないかということを心配しているのです。本格的に埋蔵量もわかり、また着々開発が進んでいくようになれば、これは御説のように金融も案外楽になるのではなかろうかと思うのでありまして、その間が心配されますから今お尋ねしたのであります。その点どうなりますか。
  85. 藤枝泉介

    政府委員(藤枝泉介君) ただいま御指摘のような場合につきましては、なるほど御説のように相当金融に乗せることに苦しい点はあろうと思います。しかしその点はこの会社法を御審議いただきまして成立いたしました以上は、金融を預かっておりまする大蔵省といたしましても最善の努力をいたしまして、この金融に支障のないように努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  86. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 借入金の確保については可能な限りの協力を惜しまないという大蔵省の御言明でございますが、その前に政府の出すべき出資金について、自分の方の借入金の確保に協力するということだけでなしに、政府が来年度から七億円出すということについて、大蔵省ではそれをはっきり引き続き次年度以降お出しになるという腹づもりができているかどうかということをばお伺いしたいと思います。これは人のことでありませんから、あなたの方の腹づもりなんですから……。
  87. 藤枝泉介

    政府委員(藤枝泉介君) 原次長からも先ほどお答えいたしたようでございますが、この出資の確保につきましても、できるだけ努力いたしたいと存じます。しかしこれは率直に申し上げまして政府財政状態全体のにらみ合せもございますので、ただいま必ずこの計画通りに、七億以上のものを毎年出資をいたしますと言明を申し上げることは非常に困難であると存じますので、その年その年の財政状態その他をにらみ合せて、できるだけこの探鉱費に見合うところの政府出資と申しますか、出資金のうちの相当部分を、政府が持つということにつきまして努力をいたしたいと存じますが、ただいま申しましたように財政関係もありますので、今この五年間にわたって七億を必ず持ちますということを申し上げるわけにはちょっと参りかねる次第でございまして、できるだけつけていきたいというふうに考える次第でございます。
  88. 吉野信次

    委員長吉野信次君) そうしますと、五年にわたって不確定なれば、こういう会社法を今日出すことが、まだ時期がどうかということになりますか、今の御答弁によればこういう会社法を新しく編むのです。すでに帝石があるのにそういうお考えであると、こういう際に現下の財政上から見て、この法案というものをこの際提案するということ自体どうお考えですか。
  89. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そういうことだからお伺いしているのですが、この法律の出された経緯というものを考えてみますと、きのうからしばしば質問しましたように、初めは政府提案の用意をされて、通産省と大蔵省の折衝の過程において重大なる方針の相違があった。それはやはりこういうところにあったのだろうと思うのです。それが二転三軽して政府提案になった以上は、はっきりそれまでの御決意ができたものとわれわれは考えているがゆえにこういう質問をしたいのであります。委員長の今の御質問と合せて伺いたいと思います。
  90. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 大へんいきさつが多いことでございますので、私から申し上げたいと思います。率直に申し上げまして、政府は長い間帝国石油株式会社を通しまして石油の資源開発ということに努力いたして参りました。昭和二十四年に同会社が特殊法人でなくなりましたことはありますが、しかしながら自後も補助をつけておりまするし、同社が石油資源開発の中心であるということについては、もう一向変りはない、こういう気持でやって参ったのでございます、従いまして同会社には相当多額の補助も出ておりますし、出資も出ております。私ども実は石油資源の開発をやりたいという気持に対しては、第一の考えは当然もう帝国石油株式会社が中心になってやる、もし特殊法人の必要があるならば、同社を特殊法人化するような話し合いを進めたいという気持でありまして、それは同社がいやだということで、これは特殊法人でなくなっておりますので、拘束するすべがないということになったわけであります。その点は実は政府と申しますか、金を長年つぎ込んだ立場を代表するものといたしましては、非常に率直に申しまして残念でございます、同社がやって参れば、長年の経験と知識と技術というものがそのまま生きて参るし、また長年苦労して出てきて八橋の油、その他の油の資源が使えるわけでありますが、それができないということは、石油資源開発自体に対しては非常に大きな、いわば後退のような感じがいたすのであります。その観点から実はこの会社を作ることに、私どもは話の経過において相当異議申し上げたのでございます。それはそういう真意でございます、その方がよくやれると思ったのであります。しかしそれがどうしてもこの会社はいやだということでやめられる、そこで石油資源開発が空白になっていいかどうかという問題に当面して、いわばその立場においては何と申しますか、今までせっかく持っておった力がゼロになって、そこで石油資源開発か空白になっていいかどうかという問題に当面したわけであります。それはいかぬだろう、やっぱりやらなければいかぬ、やろうというのでございますが、従いまして、非常に資源開発のワクと申しますか、スケールを十全にいたすということのためには、もう最初の出発点において大きな力をそぐような事実が起っているわけでございます。私どもももちろん石油資源の開発に十分力を注がなければならぬというととは思いまするけれども、ただいま政務次官もお話通り、この財政全般の見地もございますから、できる限りこれに力を注ぐということで、五カ年計画が必ず五カ年にでかしたいという御希望にはできるだけ沿って参りますが、しかしそれができなければ、こういう会社を作る必要がないかどうかということになりますと、ただいま申しましたように、やはり日本石油資源の開発が必要ないという判断のもとに立てば別でございますが、やはり必要であると、まあもっとその前に望ましいやり方は、先ほど申したようなやり方でいくのがいいと思っておりますが、法律上それができないということでありますれば、次善の措置としてこうなるということを考えまして、われわれも途中までずいぶん反対もいたしました。そうしてどうしてもやろうということでございますので、通産当局に御協力をして法案を作ったというような次第でございます。
  91. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 過去において石油資源の開発に大口の補助が流され、しかもかつ新会社設立に当っても、国家資金の問題が重要な関心を持たれるのは、やはり石油資源の開発というような事業が、非常にリスクの伴う事業であるためにこういうことが起ってくるわけであります。諸外国の例で見ましても、大体その成果は、少くとも投資の直後には出ていないのでありまして、西独の場合のごときは、一九四八年に試掘計画を拡大して、その成果は三年後の一九五一年ごろから現われているようであります。またフランスの場合で見ましても、一九四五年以降、第一次、第二次のモレープランによりまして総合燃料対策の一環として開発事業を進めておりますが、その成果は五年後の一九五〇年ごろから現われているようであります、その他イタリア、豪州におきましても、やはり同様のことが言えるのでありまして、もし第一次五カ年計画で所期の目的が完遂できなかった場合、これは容易に想像できるわけであります。もし政府が七億出さないということになれば、この法律によりまして、二分の一を国が持つのでありますから、六億になればすでに民間の方もまた一億減って十二億というふうに、二億減少してくるのであります。それだけ重要政策にそごを来たしてくるのでありますから、もし第一次計画でできない場合には、続いて第三次五カ年計画を樹立してまで所期の目的を完遂する御決意は通産当局におありであるかどうか。さらにその点について大蔵省当局の御所信も伺っておきたいと思います。
  92. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 大蔵省としては財布の方から勘定しますから、今の政府委員の答弁のようになるのは、これは実際のいきさつであります。しかし石油をやらんでいいということにはならないのでありまして、どうしても日本としては大いに石油資源の開発をしなければならぬということは、これはまあ大蔵大臣も認めて、とにかくこの法案に最初から賛成しているのではございませんか、この法案を出す場合には賛成する、出資の半分は出そう、こういう決意をしたわけであります。ただ、今その額が幾らになるかということは、今申すように、これは全くその年の財政にもよりますから、私どもとしても七億円を必ずというようなことをはっきり大蔵省に言わせるということは、これは無理だろうと思いますから、そこまでは突っ込んでおりませんが、大体この計画は大蔵大臣も知っておりまして、それでその半分は出す。それは先ほど申しました保証の場合は試掘に対しての資金国家が半分出すのだから、その上に採掘の場合の借入金まで保証の条件をつけなくてもよかろうというようなことで、保証条件は引っ込めたというようないきさつになっておるのでありますが、私どもとしては、やはり国策として、すでに五カ年計画は立っておりまして、すでに三輪さんのお話のように五年やって全然やった結果が望めないということが学術的にも実際的にも結論がつきますれば、これはまた別に考えなければなりませんが、しかしなお続けてやる望みがあるという場合には、むろん続けてやらなければならぬというふうに考えて、それだけの決意はいたしております。
  93. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 関連ですが、大事な点ですから、差し出がましいですが、明らかにしておきたい。特に大蔵省の方に答弁を求めるについて重要な点ですから、少し差し出がましいですけれども……。つまり今、財政計画云々ということを言われました。けれどもこの法案は、これは一つの産業政策なんですね。これは産業政策上、そうしてさっき、この間から政府委員説明もありました通りに、これをやれば石油が出て外貨をこれだけ節約ができるのだ、そういう実際的な評価に基いてこの計画というものを立てたのですか。やってもその通りいかなければ産業政策面からこれをやめるとか、あるいはどうするとかいう始末の問題が起ると思うのですけれども、産業政策面で予期の通り進んで、そうして例の予期したような外貨の節約になるということであれば、そのときになおかつ財政の方は別だ、そのふところかげんは別だというのでは、それじゃ長期の計画は立たぬということですね、長期の計画。それじゃ、何年計画だというけれども、そういう計画というものは一切立てちゃいけないということなんです、今の財政計画からいえば。その年その年でなければ出さぬということで、こういう案をここに持ってくるというのならば、これはよほど考えものだろうと思います。その点です。だからやってみて、しかしそういうても財政の現状ですから、あるいはいかないこともあろうから、そのときは五年の計画を六年、七年に延ばしてやる。しかしながら産業政策上効果がある場合なら必ずこれをやる、財政のやりくりで多少延びるかもしれないが、その目的に達するだけのことは財政当局としてはやるという御言明がなければ……、これは予算のテクニックに継続費を組むとかなんとか、こういうことまでわれわれは要求しているのじゃない、政府として少くとも何年計画という表題のもとに出す以上は、それから先のことは財布かげん一つだということでは、私はこういう重大なる産業政策上の案というものを国会に提案されるということが私はどうか、こう実は率直に申し上げて感ずるのです。
  94. 藤枝泉介

    政府委員(藤枝泉介君) ただいま委員長から御指摘通りでありまして、こういう計画々を立てる、これは日本の資源開発の長期の計画でございます。そうして必要であるとして御提案をいたしました以上、この計画が実施できまするように努力をいたさなければならぬことは、これは政府全般の責任としてそうであろうと考えます。ただ先ほど来申し上げ、通産大臣からもお答えがありましたように、この金額をその年その年に必ず確保できるかどうかということになりますると、財政全般の考え方もございます。しかし、こういう計画を立てました以上、これが、先ほど通産大臣からお話がありましたように、学術的にもう見込みがないということならば別でございますが、こういう計画を進めていくことによって日本の資源開発、石油資源の開発ができるということでありまする以上は、この計画達成のために財政当局といたしましても最善の努力をいたしていきたい、ただ財政の都合上、あるいは年度の計画に多少の狂いがあるいはありますから、その場合におきまして多少計画を延ばすとか、その際に適宜の処置をとるというようなことはあり得ると思いますけれども、この計画全体をぜひとも遂行するように努力をいたしたいと大蔵当局としても考えておる次第であります。
  95. 小松正雄

    ○小松正雄君 私はこの法案についてあとで質問したいと、かように考えます点から、ただいま同僚から質問されたことに関連して、一、二点大蔵省に聞いておきたいのですが、ただいまの大蔵省の次官の話では、帝石に対しての今日までつぎ込んだ金は相当な価額になると、こういうことを言われましたが、その価額というものが、今日までの間に帝石に対して政府はどのくらいの補助をしておるかということが一点と、それから次は、帝石が今日の経済内容が赤であるか、黒であるかということ、この二点だけを一つ……。
  96. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 それに関連して、今の試掘補助金が幾ら出たかということなんですが、じゃその納付金は成績はこうであったか。  それから先ほども小野さんからも御質問があったように、石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部改正法で、第二章の削除で試掘補助金がなくなるわけです。そうなると今までの納付金制度の取扱いはどうなるのですか。これも一つあわせて御答弁願いたい。
  97. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 初めの三つを私の方からお答えいたします。今まで帝石に対して補助が出ておりますのは五億円余りでございます。だいぶ前の価幣価値の高い時分のが入っておりますので、かりに通常用いられております率で現在価他に直しますと三十五億円という額でございます。なお、うち返していただいておりますのは三千二百万円であります。貨幣価値としては大体現在の貨幣価値に近いというところで返していただいておるわけであります。
  98. 小松正雄

    ○小松正雄君 もう一つ、帝石の経理内容が今田どういうふうなことにあるかということ。
  99. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 帝石の経理内容の詳細につきましては持って参っておりませんけれども、かつて四割程度の配当をしたことがありますけれども、最近におきましてはこの経理が必ずしもよくない状態になっております。大体今配当におきましては一割二分程度の配当をいたしております。  それから探鉱につきましては、従来約三億ないし四億程度の探鉱をいたして参っておるわけであります。探鉱というのは試掘のことでありますが、約三億ないし四億程度の試掘をやって参っております。これは世界的に考えますというと、大体収入の三割近い程度の探鉱をするということが普通のようでございます。この程度しなければどうしても拡大増産していくことはできないというのが世界的な常識のようでございます。ところが日本におきましては、帝石におきまして大体一割程度しか探鉱はできないという状態になっておりますが、これは一つは試掘というものについては金融の対象になかなかならない、これが一番大きな問題と思います。それから帝石それ自体石油の採油以外に何も仕事をやっていない、そうした方面から収入がほとんど入っていない。もちろんガス販売の方からはある程度入っておりますけれども、それ以外のものからは入っていないという点が世界のいろいろな会社と比べますと非常に違っている点ではないかというふうに考えます。先ほど申しましたように、現在におきましては帝石の経理状態は必ずしもよくありません。
  100. 高橋衛

    ○高橋衛君 先ほどの御質問に関連いたしまして、さっきの小野委員の御質問に関連いたしまして若干内容の説明をお願いいたしたいのでありますが、会社事業計画を見てみますと、十年後には収支計算において四十七億の利益が上るという計算になっております。非常に割のいい会社のようでありますが、この数字の根拠がはっきりいたしませんので、その点をお伺いします。  まず第一に、支出の面におきまして探鉱費として計上しておられます十年間合計に二百五十億、この二百五十億はその前の資金計画において計上しておられます探鉱費、約三百億でありますが、そのうち約五十億というのはこの法律の第一四条によって繰り延べされて残ったものと考えていいかどうかという点が第一。それからその次には借入金の利子の歩合をどれだけに見ておられるのかというのが一点。それから資金調達の面に参りまして、収入の面に参りまして、原油収入というのがございますが、原油収入には天然ガスの収入を含まれているかどうか。原油には単価をどう見ておられるのかどうかという点、それから収支の関係で先ほどちょっと触れたのでありますが、消却費というのが支出の分にないのでありますが、探鉱費につきましては、探鉱費を全部経費から落しておられるのか、また繰り延べをした場合においても消却していく方法を講じておるとすれば、それで解決がつくのでありますが、その他の設備につきましてやはり相当の消却費が必要じゃないかと考えるのでありますが、その消却費がどうなっているかという点、それから最後の主要資材発注量一覧表というものを見ますと、各種の資材が必要なのでございますが、その単価は、たとえばセメントについて見ますと、三万九千トンのセメントに対して三億七千万円の資金を必要とするという計算に相なっております。これを割ってみますと、トン当り九千四百八十円という価格に相なります。さらにまたその次の石炭についてもトン当り六千円という価格に相なっております。これは最近の市価について考えますと、セメントについては大体七千円ないし七千五百円という単価がわれわれの常識でございます。石炭についても六千円という単価は非常に高過ぎるという感じがするのでありますが、それらの点についてなぜさような高い単価をもって計算しておられるのか。またその他の資材につきましてもできれば具体的な単価を一つ御指示願いたいと思っております。
  101. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 探鉱費の問題につきまして三百億と二百五十億、差額五十億という問題につきましては今先生のおっしゃる通りでございます。それから借入金につきましては利子を八分というふうに考えております。それから原油収入につきましては、これは単価につきましては現在九千三百五十円程度でありますが、これをそのまま見ております。ガスの収入につきましてはこれは全然見ておりませんので、これはガスの収入はそれだけふえてくると思うのであります。そういたしますと、値段はある程度下げても差しつかえないというふうに考えておる次第でございます。それから消却につきましては採油費の中にたしか入れております。それから資材関係の面におきまして、これは石炭の単価につきましては、これはきわめて小口な消費でありまして、ガスの関係、冶金用関係に用いております関係から単価を実はよけい高く見ております。それからセメントにつきましては、これまた井戸に使われるセメントで、特殊なセメントなんかを用いることになっておるようでありますので、これまた少し高く考えておりまして、いずれにしましてもこれはもっと単価につきまして詳細な資料を出します。
  102. 小松正雄

    ○小松正雄君 私は昨日から大臣においでを願って直接答弁を聞きたい、かように考えておりましたが、不幸にしてきのう大臣は見えなかったので、本日ここに見えられたので、大臣に対して二、三点質問をしておきたいと思います。と申しますのは、この法案を見ますと、ほとんど通産大臣の力が強く打ち出されてある、かように考えるからであります。  まず、この石油資源開発株式会社というものが生まれる前提として、通産大臣設立委員を大臣の名前によって命じると、こういうことになっておりますね、その命ぜられる大臣の気持は、いろいろ同僚から御質問のある中に誠意ある気持でしたいと御答弁されておりまするが、あなたのような考え方でやられるのでありまするから、必ずしも国民の心配するような人は人選なさらない、かようにも考えられるのでありまするが、私は昨日へ申し上げましたように、この法案が通過いたしますると、この社長には現帝国石油の社長である鮎川氏がこれに就任されるかのようにも報道されてありましたので、その点について非常に私は心配をするものであります。そこで大臣に次官を通じてこの中の設立委員を命ぜられる場合に、大臣に対して御注文を申し上げておいた。というのは、少くとも労務者側からの代表と見られる者もぜひこの設立委員に加えるべきじゃないか、こういうふうにしておくことこそ民主的に大臣の率直な気持が現われてくる、こういうような意味合いから私は次官にその点を申し入れておいたわけであります。そこで大臣としてどういうふうにお考えになるか。この点が一つと、なお私はこの重大なる国内資源の開発の第一であった帝石が、今回この法案に基かせなくてはならないということになってきたことから考えましても、この法案をもって資源の開発をするという上においては、永久的なものである限り、なおここに労務者の代表が必要であるとともに、また半面に現職にある者からも入れるということをきのう政府委員から言われた。というのは、衆参両院の現職からもこの二十名ばかりの中に加えて入れる、こういうふうに伝えられましたので、私は少くともこういうものに対しては現職の衆参議員なんかが入るべきでないということで、この点には反対をするということをはっきり私は申し上げたので、この二点についてまず大臣の設立委員に対するお考え伺いたい。
  103. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) お尋ねの点は十分国民全体に納得のいくように人選をしなければならないということは痛切に考えております。しかし実はまだその人選をしておりません。お話のように、これは労務者関係といいますか、そういう方面の人たちの協力も受けなければなりませんから、今どの代表を入れる、この代表を入れるということはきめておりませんが、十分この点は考慮して人選をいたしたいと考えております。
  104. 小松正雄

    ○小松正雄君 なお、やむを得ず大臣として衆参現職議員から入れなければならないということになりました場合は、少くとも各党の代表として、各党から一名ずつこの中に入れてもらうということに対して大臣のお考えはどうですか。
  105. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) これはやはり各党の代表というような意味でお願いすることはいかがかと思います。やはり学識経験者と申しますか、たとえばここに小野さんがおられますが、参議院議員ではあるけれども、まあ小野さんがその選に当る人かどうかそれは知りません、そういうことではありませんが、ちょうど顔が見えたから申し上げるのですが、もし小野さんのような事業家が設立委員として適当であるというならば、これは参議院議員だからお願いするのではない、またある党派に属しているからお願いするのでなくて、一つの学識経験者としてお願いするというような立場をとりたいと考えております。
  106. 小松正雄

    ○小松正雄君 取締役の兼職制限についての問題ですが、大臣の承認を得なくてはならないという、要するに他の報酬のある職務または営業に従事してはならない、かように出ている。これについて小野先輩から御質問されたのに局長は、大臣の承認を得たらばこの限りではない、こういうことでありますが、この点について非常に私は心配するものであります。大臣が永久にこの通産大臣であれば、人選をされる場合にはっきりそういう石油資源開発会社ができて、この会社にのみ専念するものを取締役として従事させることに相なるだろうと思いますが、事かわって大臣がほかの人の大臣になるという場合に、誠実な考え方をもってやっている重役を、差しつかえるという考え方で裏からそういった問題が起させ得ることがないとも私は限らないと思う。そこで現実の問題として、この代表になる取締役は大臣としては絶対に兼職をしてはならないという信念から、この法案にこううたってある以上は、ただし書きの部分は削除するということの方がいいのではないかと私は考えますが、その点大臣はどうお考えになりますか。
  107. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 人事の問題はお尋ねのような弊害もしばしば起りますから非常に注意をしなければなりませんが、しかしそうかといって、あまり制限をやかましくすると、また人選に差しつかえる場合も起ろうかと思います。幾らかやはりゆとりを残して選考の範囲を場合によっては広げ得ることも実際問題としては必要じゃないかと思いますから、このただし書きがあることはやはり私としては実情に適している、かように考えておるわけであります。
  108. 小松正雄

    ○小松正雄君 そう申しますことは、この法案が成立いたしますると、精製会社からも出資がなされるということになり、そうすると精製会社からもまた多分重役にも入るということになるのじゃないか、かように考えますと、精製会社は単に自主的な資金だけでなくて、外資の部分が五〇%ぐらい入っているということがある。そうすると外人がこの取締役とか重役に将来は入り込んでくる、こういうおそれがないとは私は言えないのではないか、かように思いますが、大臣はどうでございますか。
  109. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 事実上そういうことは起り得ない、かように考えております。
  110. 小松正雄

    ○小松正雄君 起り得ないといいましても、この法が制定されますと、精製会社から出資をする、一億五千万なら五千万というものを出資をする。この一億五千万というのは、国内の金でなくて、外資導入の部分が一緒になって入るということになりますれば、将来において外人の何というか重圧というか、五〇%も精製会社が出しているという関係から入ってくるという場合に、それらの人たちが話し合いをして、この会社の重役にでも入るというようなことになってきはしないかということについて私は今聞いておるのであって、必ず入らないということが言えるかどうか、どういうわけで言えるかということをお聞きしておきたい。
  111. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) この法律のただ文面から申せば、それはお尋ねのような場合がないという保証をしておるわけではございませんが、まあ株式の半数は政府出資であります。しかし帝石等の日本側の出資が多いのでありますから、そのほかの精製会社の出資、今のところではまあ何分の一でありますか、ごくわずかであります。だから全然発言権がないとは申しませんけれども、それによって結局通産大臣認可をまで打ち破って、彼らの勢力が伸びて、そうしてそれらの勢力が入ってくるということは、これはこの法律建前の上から申しましてもあり得ないと、そのように考えております。
  112. 小松正雄

    ○小松正雄君 重ねてここではっきり明確にしておいていただきたいことは、しからば大臣がそうおっしゃる上においては、将来ともに外人がいかなる出資に基いてこようとも、この重役には入ることは絶対にさせないお考えであるかどうかという、そのことを伺っておきたい。
  113. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 外人ですか。
  114. 小松正雄

    ○小松正雄君 外人が重役に……。
  115. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) そのつもりであります。
  116. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私きのう質問いたしましたが、私の考え方について、大蔵省の先ほどの言明を開いておりますというと、非常に考え方としてはよく似ておるのです。この第二帝石のようなものはこさえなくても、帝石を特殊法人にもう一ぺん組みかえることができないかということを私は強く力説したのですが、まあ株主が承知しないからできない、そこで石橋通産大臣と二、三質疑をかわしたのでありますが、そこで私が一番疑問になる点は、何十年という長い間国家財政の庇護を受けて育ってきた今日の帝石が、一番仕事のうちで厄介な探鉱という仕事を全部開発会社の手に渡してしまうわけです。技術者もそっくり渡してしまう。そうしてみると、まあタイでたとえるならば、一番肉のおいしそうな所だけは帝石が持っている。工合の悪いところは開発会社に渡すと、こういうことになるだろうと思う。そうすると、帝石の経営というものは非常にゆとりができて楽になるだろうと思いますが、そのことについて通産当局はチェックしておられるかどうか、開発会社ができていわゆる帝石から分離した後における帝石の経営状態がどういう工合になるか、これのチェックを企図しておるかどうか、それを一つお示しをいただきたい、こう思います。
  117. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 帝石が、この会社ができましてからどういう経営の状態になって行くかという問題でありますが、これはきょう申し上げました通り、この帝石が現在探鉱を約三億ないし四億程度やっているのでありますが、この探鉱事業そのものは、すなわち試掘事業そのものは、全部この会社でやることになりまして、しかも大体帝石が従来やっていた程度の金額につきましては、この会社に対しまして出資という形で毎年提供することになります。従いまして探鉱を除きましたほかの採取とか、そういうことをずっと続けて行くわけになるのでありますが、従来この探鉱関係の三億ないし四億の金は、採取部門でもうかった金がそちらの方へつぎ込まれていたということになって、それが今度この会社ができますと、この会社にこれを出すわけになるわけでございますが、そういうことになりますというと、その面におきましては、大体従来と変りないということに相なるかと思うのであります。ただそれからこの帝石におきましては、八橋みたいな非常にいい鉱区の所と、それから新潟その他の、とにかく割りの悪い採油鉱区がございますが、これも大体従来と同じような考え方で一挙にこの悪い鉱区をば他に売却するというようなことも考えていないようでありますので、さしあたりとしましては、大体従来と変りないような経理状態で進むのじゃないだろうかというふうに考えております。  それからガス化学と申しましても、帝石としましてはこの際ガス化学の方に進出するという計画を持っておりますけれども、これまたガス化学というのはすぐそれが実行できるような状態にはありませんので、さしあたりの問題としましては大体従来とあまり変りない状況に置かれているのじゃないかというようなふうに考えます。
  118. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私はこの法案の開発会社を作ることについては、きのうも意思表示しておりますので、反対しません。賛成はしますが、その条件として、この帝石の始末ということについて私は重大なる関心を持っているのです。これが明確にならない限りは、私は賛成の結論を出すわけに行かない。これは明白に意思表示を申し上げておきます。なぜかと申しますと、今私が質問を申し上げますというと、そう相なるであろうかと思いますという通産省の説明なんです。しかし、事は私は帝石の問題についてはそういうことでなくて、綿密なる計算の上に立ってそうしてこうであるという断定をするくらいの御決意がなければならぬと思うのです。この開発会社として、海のものとも山のものともわらない将来のものについてすら数字的なテーブルをあげて御説明になって、既存の帝石会社について数字があげられないということはないはずです。しかもきのうの答弁ときょうの答弁とは、通産省の答弁食い違いがあります。きのうの質問については、帝石会社はそういうよくないところは切り取って、刺身の部分だけ取ることになるので、相当ゆとりのある会社になるということはお認めになった。しかし帝石の将来というのは、現在今いいところの油を取って、だんだん楽になって参るのです。従って先行きは非常に楽しみのない会社になるだろうと思うのです。私はその通りだと思います。そういう工合に思いますが、しかし現在帝石を切ったあとにおいてなぜもっと明確なる計数によって説明できないのか、私は非常にこれを不思議に思います。  さらに第三として、ここ数年来の帝石のかってのやり方をお考えなさい。鮎川社長が就任する前の状態は全く百鬼夜行です。帝石の労働組合の諸君が労働組合運動のワクをこえて帝石再建のために尽した努力というものは、あなた方まだ記憶に新ただろうと思う。これだけ国家の資源を開発するために重要な任務をまかされて、そうして国家の庇護を受けてやってきた帝石が、一たび社内に入った重役陣のやり方を見れば全くエゴイズムとなり、利潤追求以外何ものもなかった。しかも不始末な事件をたくさん出した。この会社にメスを入れることを当面は糊塗して、しかもイージー・ゴーイングに第二帝石会社を作るということについては私はにわかに賛成できない。これは通産大臣の決意を伺いたい。そこでこれだけの発展をしてきて、これがたまたま終戦後のいきさつによって特殊法人が民間法人会社になったわけです。そうすれば、これは帝石の現在の重役といえども、その四囲の経過というものは十分に理解できる。ほんとうに日本の地下資源の開発のために国がこれだけの犠牲を負ってやろうという熱意があれば、帝石の重役たるものは話がつかないという騒ぎはないのです。一身をなげうって国家に協力しなければならない。会社の再編成については快く協力すべきだと思う。そういうことを通産当局は行政指導の力をもって石橋大臣の力をもっておやりになることがほんとうの日本の産業政策として、あるいは地下資源開発に対する国家の政策でなければならない。そういう一番大事なところは通産大臣は逃げられて、いや株主が承知しないとかするとか、そういうようなことでごまかす。しかも帝石の現在の経営内容は、分離したあとの経営内容についてどうかと言って質問すれば、相なるかと思います、そういう不確定な御答弁をなさったのでは、私は承知できない。従って帝石の解体分離後における経営状態の見通しというものについては、これははっきりした資料を一つ御提出を願いたいと思います。それで、私の所見について、通産省と大蔵省とはおそらく意見の食い違いがあると思います。私は大蔵省から別に頼まれたのではないのでありますが、両省の御意向をここで一つ表明していただきたいと思います。
  119. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと大臣、関連して。この間あなたここにおいでにならなかったけれども、今の残りの帝石の始末の問題だが、私はちょっと政府委員にお聞きしたのは、今言っておる試掘権、これは帝石が国策会社時代に方々に持っておるものをかき集めたやつだろうと思うのです。もうすでに試掘はしないのだから、この会社は当分……。そうすると、それを一体私の気持から言えば、俗な言葉で言えば、きたない言葉で言えば、罪滅ぼしのつもりでただで今度の会社に提供するくらいの気持があってほしいと思う。そこまでは言わないが、試掘権の一つの小さい問題だが、その始末をどうされるかという質問に対して、そのときの政府委員は、これはちゃんと帳簿価格で第二に渡す、一定の割合でやる。そういうのはこれは普通の場合のことであって、石油開発の国策会社としての使命を持って、特殊会社でないかもしれないけれども、やっておって、それがおじぎしたわけです。それがどうもできないとおじぎをしておいて、さて持っておるものからまたそれによって利益……利益じゃないかもしれないけれども利益を得るようなことがあるということは、私はどうかと思うというので、特に質問を申し上げておいたが、これについても今ちょうど栗山委員の言われた跡始末の一つの小さな問題であるかもしれないけれども、一つの問題たけれども、それについても大臣から一つ御見解のお漏らしを願いたいと思うのです。
  120. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) いやごもっともな御質問でありますが、ただいまのところは、今の試掘権の問題はこの間政府委員からお答えしましたように、帳簿価格で一応引き受けてやる、こういう建前になっております。  それから帝石の今後のことにつきましては、帝石の中にもいろいろの重役もありますから、重役によってはいろいろ利益一辺の人もありましょうし、また仕事に興味を持っておる人もありましょうし、一がいに申せぬと思いますが、現在の経営陣の考え方は、帝石は帝石として現在出ておる油とガスを利用して日本の工業の新しい分野のガス化学へ大いに進出したい。油がだんだん今のだけでは減りましょうが、そのうちに新会社の油が出てくる。これは日本の油は、私は専門家でないからわかりませんが、鮎川さんなどに言わせると、日本の油はことに石油化学に適当ないい油だ、これを燃料に使うのはもったいないと言うておる。これがほんとうとすれば、その石油も利用できるわけです。この油を今後帝石に利用さしてもらって石油化学の方に大いに進出したい、ガス化学の方に進出したい、こういうわけでありますから、これは私としてはこまかい帝石の今後の数字的なことは事務当局から……、私自身は存じません、けれどもそういう大体の構想は了承ができるものと実は考えております。
  121. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それはお聞きしましたし、私もわからぬことはありませんよ。しかしそれ以前の問題を私は質問しておるのです。石橋さんが終戦後インフレ財政をおやりになって、当時われわれ倒れかかった日本の資本主義にてこ入れをして今日まで至った。貨幣価値の下落を巧みに利用してやった、そういう放漫政策を今日の段階においてとるべきではない。もっと経済というものは厳粛でなければならないと思う。だからあとのことは私も別に異議を差しはさみませんし、きのうもお聞きした。しかし現在の帝石というものはどうなっておるか。もう少し国家に対して帝石は、普通の民間法人と違って一応責任感もなければならないと思うし、何らか国家に尽すべき義務を持っておるものと思う。そういうものを全然追及しないで、あたかも民間の会社が自分で国家のためにやる、その政策を支援するがごときのうのうたる演説を通産大臣から私は聞こうとは思いません。
  122. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 戦後インフレ政策をとっておると言われたことに私は一つ弁解しておきます。インフレ政策はとりません、これはよけいなことでありますが。なお帝石としては十分か不十分かという批判はむろんあると思いますが、とにかく今までも試掘に相当の金を使ってきた、それによって国家に奉仕するつもりではあると思います。今後も新会社ができた場合には年々三億の試掘のために出資をしようということで帝石としては責任を果たすつもりでおります。
  123. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 わかりました。それならば川上局長の、今まで三億使っていた、その三億円を会社として出すのだからプラス・マイナス、ゼロだというそういう素朴な説明に対しては私は了承できません。会社の内容というものはそんないいかげんなものではありません。あらゆる複雑なエレメントが総合されたものですが、その金をもうけてきた金で出してきたのだから、開発会社に出資すればそれでイコールだ、そんな素朴な説明では私は了承しません。そうするというと計画の構想については石橋通産大臣が今述べられた。それならそれをなぜ数字的な根拠の上に乗せられないか。そういう数字的な根拠に乗せて御説明になれば私ども納得いたします。そういうことは将来のことで雲をつかむような話で、乗せられないとおっしゃるかもしれませんが、それならば今何千メートル下の土を掘って油を出すことも、海のものとも山のものともわからぬと言って説明されておるこの新油田開発法に対してすら、数字的な説明がちゃんとできておるじゃありませんか。何年後には採算のベースに乗ると、そこまで説明されておる。どっちから考えても通産大臣は少し不親切ですよ。
  124. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと関連して。大臣は帳簿価格で提供させると簡単に言われるけれども、これはやはり財産権だから、今のお話のよりに、帝石は普通の法人で株主がある。株主が今後試掘権を向うに渡さないと言ってお高くとまられたときにはどうするかというような心配もある。それだからそう簡単に帳簿価格で出させるのだと言って済ましておれないので、それはちゃんと法規的に……法規的というか、やはり不当に、持っておる試掘権によって今の帝石がもうけた、それは私はいけないと思う。そのことをもうけさせないというだけの口約束でなく、やはり法的の措置というものをとられるということが、やはり私は現在の帝石会社の始末の問題として一つ考えるべき問題ではないか。こういう意味で実はお尋ねをしたわけだ。これははなはだ、まだ私は言っては悪いかもしれないが、今の石油化学の問題でも、これは一つ鉱山局長から聞いては悪いけれども石油化学全体のことを通産大臣考えなければならぬと思う。そうすれば、帝石がこれからやるというのでなしに、天下には石油化学というものをやっておる人がある、計画を。ところが今通産大臣説明のごとくんば、外国から来る油は石油化学の原料としては不適当、不適当というか、悪い。日本の方がいいのだ、こういうことになると、原料の面で、おじぎをした帝石がほかの石油化学をやる連中に対して有利な立場に置かれるという結果になる。これもどうも見方の問題だから仕方がないといえば仕方がないのだけれども、それが石油化学というものに先進、と言っては悪いけれども、今の現在の帝石会社のその先に計画しておる多くの石油業者は私はあると思います。おそらくあると思います。そういうようなときに原料だけの関係において有利な立場に置くことがいいか悪いかということも問題になってくるんじゃないかと思います。そういうことをひっくるめて、栗山委員はもっと広汎なことを言われているけれども、現在の帝石というものは所期の目的を達しないで一ぺん御破算になる、そのときにあまりそれに対して利益を与える結果になるようなことは、なるべくやらないようにするということがいいのじゃないか、こういう意見が実は委員会に出ているようです。
  125. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 もう一ぺん繰り返しますが、帝石が、終戦後重役諸公なり株主がほんとうの裸になって日本石油資源開発のために尽してこられた称賛に値するような行為があれば、私は何も申し上げません。終戦後のあの状態はどうです。そういうことがあって、しかも現在の会長の鮎川さんも資源の開発をしなければならないから資源の開発に大いに努力していると。それほどまでに国を愛されるなら、なぜ帝石を投げ出して、改めて第二帝石ともいうべき同様会社のようなものを作らなければならぬか。ここに非常に私を疑問を持つ。この点は法案審議することとしてはあまりにも問題が大き過ぎるかもしれませんが、この基本的な考え方というものを明らかにしなければ、これから陸続と、こういういろいろなものが出てくる。そうして日本の産業というものはある考えを持った数人の人によってぐちゃぐちゃにされてしまう。それをおそれるからそう申し上げる。
  126. 小野義夫

    ○小野義夫君 その問題に関連しまして今の石油化学というものとガス化学というものが二つあるわけです。ガス化学というのは可燃性ガス、メタンガス、酢酸、アセテート、その他いわゆる繊維の方へ向うところのアセチレンガス系統のガスはガス化学と称して今新潟に一社ある。それから石油化学は先ほど委員長指摘せられるように日本にたくさんある。今まさに三菱とかその他いろいろ発展の過程にある。であるのに帝石は今度こういうことになるとどういう結果をねらっておるかといえば、第一、政府監督権を必要とする。監督すれば補助並びに株券をもってせなければならない。今日政府は大株主であるわけです。大株主権を放棄してそして今度新会社にそれを乗りかえる。そうして帝石というものは全く民間会社として何らの拘束を受けないところの自由自在な企業形体として立って行こうとするのです。そして今のようにガス化学あるいは石油化学に発展するならば、今日政府が要求しておるところの産業合理化の基本方針を破壊することになる、そういうことのおそれが多分にあると考えておる。従って新会社についてもその目的を非常に厳格にしぼるべきである。というのは、達成するために何をやってもいいんじゃないかということになるからで、たとえば天然ガスができたらガス化学をやる。ところが既存のガス化学は今まさに発展の過程にありまして、その技術というものは非常な苦心惨たんの結果日本的技術でやっておる。これは外国からパテントを買えばあるのです。それを日本的にやっておるのです。これは新しくいろいろな有利な条件に立って……。それから帝石の先ほどの鉱区の問題、これはもう鉱区を非常にたくさんいわゆるガス鉱区で占領しておる。であるからほかの会社がそこへ進展しようとしても鉱区を侵さなければどうにもならぬ。いわゆる独占の弊を、ある意味からいえば独占の長もあったかもしれませんけれども、その弊害が現われておる。であるから自由自在というなら、過去のそういう国策によって統合したるところの鉱区その他を一般大衆に向って公開すべきではないか。それらのことなくして、いわゆる国家の特権によってやられたそういう利点をそのままにして、他のいわゆる付帯事業発展するなどということは、私はこれは正当な国家監督権の放棄あるいはその株主権の放棄で、これは重大な問題であるから、これらの処置をしようとすれば、一貫したる立法をもってやらなければいかぬであろうと考える。これはよほど深刻な問題だ。今後政府がいろいろして、ひとり立ちになったときにやるのはいいけれども、戦争の力をかりて帝国石油というものをでっち上げて、あらゆる鉱区をみな総合して、そうしてやった。今日戦争に敗けて、そのまま解体もやっておらぬ、独占資本の形体は解体しておらぬ。こういうものは解体して、それでその解体によって生ずる弊害があるから、これこれのところは新しく会社を作るとか何とか新機軸によって打ち出すならいいけれども、これはどうも一時的な思つきというか、その政策に原因が出発しておるので、単に六カ年計画というものならば、私は今の帝石にやらせしめる方途は幾らもあろうと思う。これは石油会社の点から見ましてもやたらに無用なわからぬ人が来て、いわゆる官界の干渉を受けたり、それから複雑怪奇な書類を出していろいろな統制を受けるというようなことでは、とうていこの自由手腕を振うところの鮎川君ではやれないだろうと思う。だからその理論の半面もよくわかるけれども、しかしながらこれは帝国石油に課せられたる一つの運命であるのだから、たとえばそこの探鉱費というようなものも普通の経常部の仕事として、これに専念して、これだけの範囲ということにして、たとえば探鉱夫を国家が委嘱して、その国家が委嘱した探鉱夫に補助金を出して、そうして所期の目的を達せしめるならば途中で失敗が起ってもなおこれは収拾がつくが、こういういわゆる不確定要素を非常に持っておるところの会社を作ってこれがうまく行かない場合には、これは僕は会社当局についてもあるいは今日の帝石の諸君についもあるいはその他も、これは大へんな責任問題に相なるかと考える。でありますから、そういう危険な企図をもってその石油を開発せんか……その開発ということはまことに必要だから従来の悪いところは改めて、そうして安全にしてかつ有効適切な方法はないかどうか、この点についてもう少し研究したらどうかという考えで、僕は非常に危険があると思う。それから不合理がある、かなりその弊害が起ってくる。
  127. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 今小野先生がおっしゃいましたが、その試掘権をばらして、やりたいものにやらしてそうしてやったらいいじゃないかという問題がございますけれども石油の試掘というものは非常に危険が伴いますし、これはほとんど金融の対象になりませんので、従いましてもしそういうふうなことになりますというと、結局その石油の開発というようなものは私はできないものと考えまして、何か力の相当大きなものがこの際総合的に開発しなければ、少くとも五カ年計画とかあるいは六カ年計画とか、そういう総合的な、急速な増産計画というのは実施できないものというふうに考えますので、従いましてこの際特別な会社を作ってやるというふうにいたしたわけでございます。さっき、じゃその帝石を特別な会社にしてそういう措置をとったらいいじゃないかということでございますけれども、これは昨日もいろいろお話し申し上げました通り、現在法律的にもそれは非常に無理だというようなことになりまして、結局こういう特別な法律によった会社を作てやらざるを得ないというふうに考えたわけでございます。私どもこういう法律を出すまでの間に、その点につきましてはあらゆる角度から一応検討しましてこういう結論に達したわけでございます。  それから帝石が持っておる試掘権をこの会社に簿価で譲渡するという問題につきましては、何か法律で規制して行くべきじゃないかという問題でございますが、私どもの方としましては、一応現在の帝石の会長から大株主また重役会の承認を得まして、この試掘権についてはこの会社に対しましてあげて譲渡をするという一札と申しますか、きのう問題になりましたが、通産大臣あて入っておりますけれども、私どもの方としましては、もしそれを実行しないというようなことが、これはもちろん実行すると思いますが、実行しないというような問題が、かりに起きましたとしましたならば、昨年この委員会を通過しました石油資源探鉱促進臨時措置法というのがありますが、この法律によりまして、この権利の上に、この試掘権の上に、三カ月以上眠っておる場合におきましては国家がその地域を指定しますというと、強制的にその試掘権を別な会社の方へ——この会社の方へ譲渡させるという、強制的に譲渡し得るという規定がございますので、これをどんどん活用して参りますますれば、試掘権は強制的にこの会社の方に譲渡されるということに相なるわけでございますので、別にその問題につきましては、特別にこの際条文を設けなくてもいいんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。  それから先ほどの簿価の問題でざいますが、帳簿価格でとにかく譲渡するということになっておるのですが、これは現在におきましては日本におきましても一応そういう商慣習が行われております。また外国におきましてもそういう商慣習が行われておることをわれわれ聞いております。その試掘権については、特に石油については、普通の鉱山なんかと違いまして、評価が非常に困難でありますので、たとえその評価委員会というものを設けまして、そこでやってみてもなかなかこれはむずかしいというような状態にありますので、慣習として一応帳簿価格で渡して、そうしてある鉱区が当りましたならば、その鉱業権の対価として歩油でプラスして返すと、こういうのが商慣習になっておりますので、私どもはそういう商慣習をとりまして、あとで歩油としてある程度返す、がしかしこれは対価でありますので、その対価については通産大臣認可を受けなければならぬということに第十条で出しておるわけでございまして、しかもこの認可に当りましては大蔵省と協議をするということも考えておりますので、そういう点で十分に不当なことがないように縛って行きたいというふうに考えておるわけでございます。
  128. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 まだ私の質問がちっとも結末ついておりませんよ。これはぼかされては困る、この点は非常にまじめにやっているのですよ、私、帝石だとか石油開発のことだけではなく、将来必ずいろいろなところへこういう思想が波及して行くから、それで私は非常にまじめに考えているのです。だから結末をつけて下さい。まだ大蔵省の見解をちょっと伺わなければ……。
  129. 藤枝泉介

    政府委員(藤枝泉介君) 先ほどの経過について、原次長が申しましたように、私どもといたしましても、帝石自体がこういり特殊な会社になって資源の開発に当たるべきじゃないかという考え方を強く持っておったわけでございまして、その点はただいまの御質問の通りであるわけであります。ただその研究の結果におきまして、どうもその点ができないということになりまして、このような新しい会社を立てることになりまして、この会社を十分に推進いたして行きたいというふうに考えておる次第でございます。残りました帝石につきましては、これはもちろん所管をされておられる通産省の方で、ただいま各委員の皆様方から御意見のありました点を十分に参酌をせられまして、御善処をいただくことと私どもは信じている次第でございます、
  130. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そこでさらに通産大臣にお尋ねしますが、現帝石を特殊会社として再編成することは、だれも原則的には異存はなかろうと思います、通産省の方も、大株主が承知をしないからということが原因になっておりますから。そこでもり少し立て込んで御質問しますが、現在の帝石の会長以下有力重役あるいは大株主、こういうもののどこに反対があるのですか。通産省が実際に交渉してみられて、だれが反対されたのですか、これを私は一つ承わりたい。
  131. 川上為治

    政府委員(川上為治君) だれが反対したということを申し上げることはどうかと思うのですが、鮎川さんにおきましては、この問題については非常に悩んでおられたことはこれは事実であります。われわれが鮎川さんから直接聞いたのですが、鮎川さんとしては帝石を特殊会社にするということも、これも一つの方法なんで、これも一つぜひそういうことも考えてみたい、しかしこれはどうしても各方面意見を聞いてみなければ、自分一人で決するわけに行かないというので、大株主でありますとか、あるいは重役にもいろいろ相談されたようでありますが、結局それ以外の大株主等におきまして、特殊会社にすることは非常にいやだと申しますか、それよりも根本的には、これは帝石が従来のような仕事をずっと続けて行くという程度のことであればこれは問題はないけれども政府が非常に今強く要請している五カ年計画という飛躍的な増産をはかる、そういう試掘をこの帝石がやるということ、これは自分たちとしては、現在の帝石においてそれをやれということは非常にいやだ。できない。それからまた現在の帝石をすぐそのまま殊会社にするということは非常に困る。こういうような反対意見もあって、そうしてそういうような関係から、どうしてもこの特殊会社に持って行くということはできないというふうに私どもも聞きまして、それをそういうふうに認めましたので、従いましてこういう会社を別に作らなければならぬというふうなことにいたしたわけでございます。
  132. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは一つの会社にするよりは二つの会社にした方が、役員の数もふえるし、いろいろ御便利な点もあるでしょう。あるでしょうけれども、国の石油政策ということから考えれば、もっと重点的にこれは考えなければならぬ。私は今のお話を聞いてみますというと、もっと掘り下げて、私も一生懸命調べてきて質問をしなければならぬかもしれない。それは認識の問題であって、法律の問題ではないと私は思うのです。鮎川氏がほんとうに石油資源を、あの人が巷間で演説をせられるように、国を愛し、石油を愛しておられるということがほんとうに骨の髄までしみわたっているならば、帝石のあらゆる面において自分のからだを投げ出して努力をして、特殊法人に切りかえることに専念せられるところだ、そういうことは私、寡聞にしてそこまで努力されたことを知りません。しかもあそこの中で、今強烈な反対をしている人は、数年前に帝石を混乱状態に陥れたところの株主が相当有力でしょう。それで、しかも今あなたのお話を聞いていると、通産大臣もそうだが、なるほど有利になって会社はもうかる、それで金の余裕ができたら、石油の他の仕事にまでも進めて行くようにしたいと、こうおっしゃる。帝石というのはそんなわき道を踏むような会社ではないと私は思うのです。まじめに事業をやるべき会社である。どうもそこのところをもう少しまじめに、しかも掘り下げて、慎重に一つ考えて、答弁をしてもらっただけじゃこれは意味ないのだが、通産行政をやらなくちゃならない、ところが今の話を聞いておると通産省ではそこまでの熱意がない。大臣か非常に便宜主義で、イージー・ゴーイングだ、こういうことで国費が乱費されてはたまりませんよ。
  133. 川上為治

    政府委員(川上為治君) かつての帝石でありますというと、これは私は政府の意思が相当反映してやらたと思うのですが、それから終戦になりまして、その後帝石というものは、これはむしろ政府の方針としては、帝石の政府か持っておる株をどんどん売り払って、そして一般民間会社にしようということでだんだんやって参ったのでありまして、しかもあの帝石法というのはなくなって、これは一般の会社と全く同じような状態になっております。ただ政府がある程度の株を持っていた。しかもそれはだんだん今日まで減ってきているというような状況になっていて、帝石の内部そのものも私はそういう点から従来の帝石とは非常に違ってきておるというふうに考えるのであります。ところがここにどうしてもこの際石油の開発をしなきゃならぬということが最近出て参って、そういう意味から、帝石をじゃ元の姿へ返して一つやったらどうかという意見が出て参ったのですが、われわれとしましてもまた一面においてはそれがよくないかというふうに考えたのですが、しかしもうそのときには帝石の内部そのものは従来の帝石とは非常に違った意味の帝石になっていたということが、私は一つは帝石を特殊会社にするということが非常にむずかしい状態になっておるということになっておるのじゃないかというふうに考えられるのであります。それからもう一つは、じゃその帝石をこの際特殊会社にしまして、民間のじゃ資本がどんどん入ってくるかというと、その点につきましてはむしろ新会社を作って新会社にした方がいいというような意見を出しておるものもたくさんありますので、私どもはそういうふうないろいろな観点からやはりこの際別な特殊会社を作った方がよくはないかというふうに考えたのであります。
  134. 小松正雄

    ○小松正雄君 関連してたった一点だけ……。さっきの大蔵省から話された中で、帝石にやらせることが一番ふさわしいことだ、長い間やってきている帝石に、経験もあるし、ぜひやらせるべきだというがどうしてもやらない、こういうことになったから、やむを得ずこの法案を出すことになった、こういう話でありましたが、この石油資源開発株式会社のこの法案が通過して実施に移る場合に、帝国石油がこの下請をやるということを聞いておりますが、そういうことになるのですか。
  135. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 私の方としましては下請を全面的に帝石にやらせようというような考えは毛頭持っておりません。やはりこの新会社が全部直接やるというふうに考えておりますが、ただ最初はこれはたとえば職員問題とか、あるいは機械の問題とか、いろいろな問題がありますので、ある程度は最初は下請をさせるようなことになるのじゃないかというふうに考えますけれども、これはなるべく早くそういうことはやめて、この会社が直接やるようなふうに持って行きたいというふうに考えるのであります。
  136. 小松正雄

    ○小松正雄君 そういうことを政府がさせるということは、全く問違いじゃないか、国の経費を費して三十五億、しかも四割も、あなたの話を聞いていると、配当した時代もあるのに、払い戻しを僅かに三千何百万円、こういうことであって、まあ監督権を持つ通産省としてもあまりにも横暴じゃないかというふうに考えているやさきに、ただいま申し上げますように、大蔵省の話を聞きますと、繰り返して申し上げますとはなはだどうかと思いますけれども、すでにこの帝石というものに手を焼いて、この石油会社というものに対しては自分の方ではやれない、ぜひ別に作ってやるべきだということになったから、やむを得ずこういう法案を出したというその心理からきましても、通産省の大臣といたしましては、その帝石の帝の字も言わしてはならないと思う。その帝石に下請のことまでさせようという意図があるということになると、この法案に対してはどこまでも掘り下げて質問を尽しまた参考人を呼んでその意見を聞いてしかる後にこの法案審議に私は入らなければならないという考えをするわけでありますが、大臣の一つしっかりした決心をここで聞いておきたい。
  137. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) いや何も帝石に請負わせて、帝石に利益を与えようという意味ではないのです。実際において技師その他の人員は帝石が現在日本においては持っておるのであります。ですから新会社ができまして、これが事業をする場合には、実際の話が、帝石から人をこっちへ受取って、そうしてその陣容を作ってやるということでありまするから、今局長が申しましたのはそういう移りかわりの過渡期に、場合によったら今の帝石の人員をそのまま、帝石に試掘をさせるということもあり得るということでありまして、帝石に特に請負わせるということを目的にするとか、あるいはそこに何らかの含みがあるという意味ではありません。
  138. 小松正雄

    ○小松正雄君 含みがないとは私は言えないと思う。この法案の中で帝石の中からも出資できるということが書いてある。それからいたしますと、必ずしも帝石との関係を結ぶということは将来ないというようなことは言えないと、私ははっきりこう考えますが、それはどうなんです。
  139. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 帝石は今申すように技術、人員等の関係で非常に深い関係がありますから、少くとも当分のうち、帝石からしかるべき人員をこっちに移す間の過渡期の処置というものは相当むずかしい問題だと思います。帝石の労組から現にいろいろの要求が出ておりまして、彼らも結局この新会社に移る以外にないと考えておるのでありますが、種々なる要求が出ているのです。人の問題からもうどうしても帝石から持ってくるということになります。それから今の資金は、いかにも出すことになっておりますが、これは帝石としては今までも試掘をしておった、その程度のことはむろん帝石としてもやらなければならぬから、新会社ができればそのかわりにこの新会社へ出そう、こういうのであります。
  140. 小松正雄

    ○小松正雄君 そういたしますと大臣にだんだんにまたお問いしたいようになりますが、今あなたは帝石に対してはそういうことをさせる考え方はないのだとおっしゃった。ところが反対にそういうふうに帝石が食い込むということになっているかどうか。資源とかあるいは資金等においては帝石がやっているものをこの中に吸収しようという考え方だということになりますと、重役の問題にまたはね返ってきますが、あなたが基本的に帝石というものは、さっきもるる栗山先輩からも指摘されているように、この帝石というものの鮎川さんが社長になられて、骨から身からもうとにもかくにも国のためになることならすべきだということが起っておることから考えましても、この帝石というものがある限りは、さっきも申し上げましたように大蔵省もやるべきだといっている、それを監督する大臣としてやらないから出てきた、出てきたやつについてはやらなければならぬ。帝石の責任でありながら、帝石はどうしてもこれには加入してやれないと言う、帝石の中から、また重役とか何とかいうようなことにあなたは引き入れるというようなことに相なってくるということを、私はここに特に申し上げて過言でないと思いますが、どこまでもこの帝石の中から、この法案が通過いたしましても、重役としては入れないという決心を持っているか、その点だけを特に一つここで聞いておきます。
  141. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 先ほども申しましたように人については今考えてはおりますが、まだ決定しておりません。従ってただこの場合ですからどこからとるとかとらぬということは申し上げない方がいいと思います。
  142. 小松正雄

    ○小松正雄君 それはあなたはほんとうに帝石というものに対する信念を持っていないと思う。真にこの国内資源の開発について国家資金を出してもやらせて行こうというような大きなねらいの大責任のある大臣の言うことではないと私は思う。と申し上げますのは、少くともやらなければならないこの帝石が、自分では大きな金をもうけて、そうしてここで尻ぬぐいをしようという形にも相なろうかと考える。なぜかというと、ここで私が率直に申し上げますならば、この石油資源開発のこの法案か通って会社ができた、そうすると政府は本年度は七億、あるいはまた続いて何億、だからして何億々々ということは、出せるかわからない、わからないということになれば、倒れる形が出てきたときにはどうも仕方がないから、帝石なら実績を持っておるから、お前の方に譲るからという形になるかもしれない。そういう前提になるかもしれない。そういう意味合いにおいて、いろいろな不満がある帝石の中から、重役等に入れることは絶対になされないあなたの立場であろうと思うのです。だからはっきり皆さんの前で明言できることと私は考えます。その意味において重ねてあなたの御意見を聞いておきたい。
  143. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 繰り返して申しますが、それは決して皆さんだけじゃない、国民から見て疑惑を持たれるような人事はいたしません。しかしながら、どこからとるとかとらんとかいうことは、そういう具体的なことは、ここでは言明を避けた方かいいと思います。
  144. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 最後に私質問いたしますが、通産省は、帝石の分離後の経営の方針並びにそれの経理的の裏づけのある資料、そういうものを用意なさって、この委員会説明願えますか。
  145. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 私の方としては、帝石は現在民間の普通の会社でありますので、これは政府の意図しておるような計画のものができるかどうかわかりませんが、帝石の方にもよく話をしまして、できるだけ御希望に沿うような資料を出したいと考えております。
  146. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは帝石が作ったら意味がないのです。今まで政府と不離不即の関係にあったのですから、その立場において、通産省としてかくあるべしという。含みのない裸の資料というものを私は用意をする努力をせらるべきだと思うのです。帝石に作らしてごらんなさい、いろいろなものができるでしょうから……。
  147. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 私の方では帝石は将来どういうふうになって行くかは別としまして、この会社を作りましたあと、帝石はどういう格好で、どういう事業また経理内容で行かれるかという一案は作ってお出ししたいと思います。
  148. 高橋衛

    ○高橋衛君 先ほどの委員長の質問に対して関連して一、二お伺いいたしたいのでありますが、先ほど鉱山局長は帝石から試掘権を譲渡させるという御説明でございました。しかもそれは、もしも帝石が言うことを聞かない場合においては、石油資源探鉱促進臨時措置法によってこれを強行するという御説明でございましたが、この新しい法律の第十条によりますと、この石油資源探鉱促進臨時措置法の第十二条によって決定をされた場合においては、これは、これは通産大臣認可を要しないということに相なるのであります。しこうして、その場合においては、この第十条によって認可する場合においては、大蔵大臣と協議しなければならない、しかしながら、探鉱促進臨時措置法の第十二条によって決定する場合においては、これは通産大臣限りにおいて決定するのであって、大蔵大臣認可を要しないことになるのではないかと思うのですが、その点の御説明をまずお伺いいたします。
  149. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 帝石が自発的にこの会社に対して鉱業権を、すなわち試掘権を譲渡する場合におきましては、この十条のその前文の方でやるわけでございます。従いまして、その場合におきましては、先ほども申し上げましたように、この帳簿価格で行くのか、あるいは歩油を払うとか、そういう問題につきましてはすべて通産大臣認可を得なければならないということで、御心配になるような歩油の程度をどの程度認めるか、あるいは帳簿価格をどの程度見るかという問題につきましては、これはすべて通産大臣認可を受けなければなりませんので、それで十分監督はできるのではないかと考えております。しかし今度は強制的に、自発的に譲渡しないで、どうしてもこの石油資源探鉱促進臨時措置法によりましてやる場合におきましては、これは強制的にやるわけなんですが、強制的にやる場合におきましては、それを受けた方とやる方とのこれは相談づくになっております。もし相談づくで話ができない場合におきましては、通産大臣がこれは決定をすることになっております。もちろんこれは地方の通産局長がやることになっておりますけれども、これは何と申しましても通産大臣の管轄下にありますので、十分その点はわれわれの方としましても統制なり調整ができるというように考えております。しかもこの会社は、そういうことによって受ける場合におきましても今申し上げました通りでございます。
  150. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 関連ですけれどもそこなんだね。大臣が認可するからいいとおっしゃるけれども、そこに今私ども疑点がある、つまり帝石というものをあなた普通の会社社だからどうもしようがないのだといっているが、その頭で認可されては困るので、こちらの方はやはり国が株を持ち、長年の間補助金を出してやったのにその本来の目的をこの際やめるというのです。だからその試掘権をどうするかということについて罪滅ぼしと言っちゃ語弊があるかもしれないが、まあせめてこれを提供されたらいいじゃないか、それには帳簿価格と言われるけれども法律的にはあなたの説明は帳簿価格じゃない、帳簿価格プラス歩油なんだね、帳簿価格に条件付なんですから、そのことが違っている。そういう甘いというか、普通の会社並に帝石というものを扱っていいかどうかということが問題の基本なんだから、そういう頭の相違のある通産当局認可をするということじゃ不安があると、こういうのが委員会の空気なんだ、それだからおれがやるから、おれが認可するからお前ら安心しろと言われても、その認識が帝石というものの、今度試掘権をやめた後の帝石というもののあり方に対する認識について、われわれと当局の間に多少の頭の違いがあるのだがね、それだからおれがやるからまかせろという答弁じゃ少し困るのでそこを何とか色よい……(国務大臣石橋湛山君「通産大臣に信用がないということだね」と述ぶ)信用じゃない、認識の問題だと、こういうことなんです。
  151. 高橋衛

    ○高橋衛君 ただいまの御答弁は私の質問に対してちっとも答えておられないのであります。私の質問は第十条によって、前段によって認可する場合においては、大蔵大臣に協議しなければならない、しかしながらこれを強制的に石油資源探鉱促進臨時措置法、この法律によって処理する場合においては通産大臣の権限であって、これに対しては大蔵大臣に協議しなければならぬという規定は全然働らかないと私は解釈するのでありますが、その点の御説明、御答弁がないわけです。
  152. 川上為治

    政府委員(川上為治君) それは今おっしゃる通りでございますが、これにつきましては地方の通産局長が行うことになっておりますけれども、これは地方の鉱業協議会の意見を尊重して実施することになっておりますので、その点につきましては第三者の厳正なる批判を受けてやりますから、大体これは何とか目的通りやれるのじゃないかというふうに考えます。
  153. 高橋衛

    ○高橋衛君 ただいまの御答弁によりますると、探鉱促進臨時措置法の規定によってなした場合においては、大蔵大臣に協議を要しないという点ははっきりしたわけでございます。従ってその両点はなおわれわれは今後検討を要する点であると考えます。  それからその次に、もう一つお聞きいたしたいのでございますが、先ほど来会社資金計画について政府の出資並びに借入金については相当質問があったのでございますが、この七十九億円という資本金のうち半額は民間の出資に相なっておるのであります。その民間の出資のうち帝国石油がどれだけ出資をし、またその出資をするということについていかなる自信を持っておられるか、いかなる措置をとっておられるかということが第一、それから帝国石油以外の会社の、どこからどれだけ出資をさせる御計画であるか、またそれについてどの程度の自信を持っておられるか、と申しますのは、帝石についてはなるほど過去において相当大きな補助金を出しております。また特権を持っておった、そういうふうな道徳上の責任がありますから、ある程度そういうふうな関係から出資をせざるを得ないという関係も生ずるかと思うのでありますが、他の会社につきましては、この会社は五年間配当の全然ない会社でございます。従ってその全然配当のない会社に対して協力せしめるということについては相当な裏づけになるところの条件がなければ、なかなかこれはいかに石橋大臣といえども困難ではないかと思う。その点の自信のほどを私どもにわかるように御説明願いたい。
  154. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 議事進行について。今日はずっとやって行くのですか、僕らも質問があるんですけれども、ある程度のめどをつけて、一応どの辺で今日の区切りをつけるのだということをはっきりして下さい。無限になりますからね。三時になりますよ。
  155. 吉野信次

    委員長吉野信次君) もうすぐですから。
  156. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 帝国石油の出資の問題につきましては、昨日も申し上げました通り、帝国石油代表取締役の方から、初年度三億、それ以降におきまして三億以上の出資をするのだということが、文書をもって通産大臣に参っております。これは大株主の同意も得てあると聞いておりますし、また取締役会において決定されております。従いまして、私どもの方としましても当然実行されるものと考えております。それからその他の精製業者におきましても、私の方としましては、こういう会社を作り、こういう資金計画で行く以上は、少くともそういう精製会社等についての積極的な意見も求めておかなければならないと考えましたので、精製会社の方に話をしましたところ、精製会社の方でも十分これに対しましては協力するということを各社の方からそれぞれ言って参っております。これも文書をもって出しております。それから何か条件があるかという問題でありますが、精製業者はこの会社の開発に対しましては非常な関心を持っておりまして、五カ年間の配当の制限がありましても、将来この会社から相当な油が出るということに対しまして非常な関心を持っておる関係から、別に条件を出してこうしてくれということは言って参っておりませんけれども、出資に対しましては十分協力するという一札を実はもらっております。
  157. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記をとめて。   〔速記中止
  158. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて。
  159. 高橋衛

    ○高橋衛君 それではもう少し掘り下げた質問をいたしたいと考えておりましたのでありますが、後日に譲りまして、資料だけをお願いいたしたいと思います。歩油の制度について、日本においても外国においてもそういうふうな商慣習があるというお話でございます、また帝国石油と他の会社との間についても三%ないし一〇%の歩油の制度が慣行としてあるという御説明でありますが、これについてもう少し具体的な、どの会社とどの会社の間にどんな実績があり、また外国石油についてどういう実績があるかということについて資料をいただきたいと思います。
  160. 川上為治

    政府委員(川上為治君) あまり個別的に、会社の名前まで出しますことはどうかと思いますが。
  161. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それはA会社、B会社でいい。
  162. 川上為治

    政府委員(川上為治君) そういうものはお出しいたします。
  163. 小松正雄

    ○小松正雄君 帝石の内容と申しますか、財産、人員等についての資料をこの次の委員会までに……。
  164. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 出します。
  165. 白川一雄

    ○白川一雄君 石炭の問題を協議するときにも必要ですからこの際ちょっと伺っておきたいのですが、鉱業権は憲法で保障された私有財産と同じような観点において当局考えておられるかどうか、その点を承わりたいと思います。
  166. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これは財産権でありますので、全く同じでございます。先生のおっしゃる通りでございます。
  167. 白川一雄

    ○白川一雄君 しかし、鉱区というものは大体国のものである。鉱業法を見ますと、三年間これを遊ばしておけば、それは解消するというような事柄があるのを見ましても、いわゆる憲法で保障された私有財産とは同様に考えられないのではないかという考が起るのですが、その点はいかがですか。
  168. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これは一般の財産権と同じでありますけれども、今先生がおっしゃいましたように、やはり鉱業権については特殊な事情もありますので、公共の福祉のためにどうしても早急に開発しなければならぬ関係がありますので、やはり法律によってある程度の制限をしていることは、これは事実でございます。そういう点において違っておるかと考えられます。
  169. 白川一雄

    ○白川一雄君 わかりました。
  170. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは本日はこれで散会いたします。    午後二時二十八分散会      —————・—————