○小野義夫君 その問題に関連しまして今の
石油化学というものとガス化学というものが二つあるわけです。ガス化学というのは可燃性ガス、メタンガス、酢酸、アセテート、その他いわゆる繊維の方へ向うところのアセチレンガス系統のガスはガス化学と称して今新潟に一社ある。それから
石油化学は先ほど
委員長が
指摘せられるように
日本にたくさんある。今まさに三菱とかその他いろいろ
発展の過程にある。であるのに帝石は今度こういうことになるとどういう結果をねらっておるかといえば、第一、
政府は
監督権を必要とする。
監督すれば補助並びに株券をもってせなければならない。今日
政府は大株主であるわけです。大株主権を放棄してそして今度新
会社にそれを乗りかえる。そうして帝石というものは全く民間
会社として何らの拘束を受けないところの自由自在な企業形体として立って行こうとするのです。そして今のようにガス化学あるいは
石油化学に
発展するならば、今日
政府が要求しておるところの産業合理化の基本方針を破壊することになる、そういうことのおそれが多分にあると
考えておる。従って新
会社についてもその
目的を非常に厳格にしぼるべきである。というのは、達成するために何をやってもいいんじゃないかということになるからで、たとえば天然ガスができたらガス化学をやる。ところが既存のガス化学は今まさに
発展の過程にありまして、その技術というものは非常な苦心惨たんの結果
日本的技術でやっておる。これは外国からパテントを買えばあるのです。それを
日本的にやっておるのです。これは新しくいろいろな有利な条件に立って……。それから帝石の先ほどの鉱区の問題、これはもう鉱区を非常にたくさんいわゆるガス鉱区で占領しておる。であるからほかの
会社がそこへ進展しようとしても鉱区を侵さなければどうにもならぬ。いわゆる独占の弊を、ある意味からいえば独占の長もあったかもしれませんけれ
ども、その弊害が現われておる。であるから自由自在というなら、過去のそういう国策によって統合したるところの鉱区その他を一般大衆に向って公開すべきではないか。それらのことなくして、いわゆる
国家の特権によってやられたそういう利点をそのままにして、他のいわゆる
付帯事業に
発展するなどということは、私はこれは正当な
国家の
監督権の放棄あるいはその株主権の放棄で、これは重大な問題であるから、これらの処置をしようとすれば、一貫したる立法をもってやらなければいかぬであろうと
考える。これはよほど深刻な問題だ。今後
政府がいろいろして、ひとり立ちになったときにやるのはいいけれ
ども、戦争の力をかりて帝国
石油というものをでっち上げて、あらゆる鉱区をみな総合して、そうしてやった。今日戦争に敗けて、そのまま解体もやっておらぬ、独占資本の形体は解体しておらぬ。こういうものは解体して、それでその解体によって生ずる弊害があるから、これこれのところは新しく
会社を作るとか何とか新機軸によって打ち出すならいいけれ
ども、これはどうも一時的な思つきというか、その政策に原因が出発しておるので、単に六カ年計画というものならば、私は今の帝石にやらせしめる方途は幾らもあろうと思う。これは
石油会社の点から見ましてもやたらに無用なわからぬ人が来て、いわゆる官界の干渉を受けたり、それから複雑怪奇な書類を出していろいろな統制を受けるというようなことでは、とうていこの自由手腕を振うところの鮎川君ではやれないだろうと思う。だからその理論の半面もよくわかるけれ
ども、しかしながらこれは帝国
石油に課せられたる一つの運命であるのだから、たとえばそこの探鉱費というようなものも普通の経常部の仕事として、これに専念して、これだけの
範囲ということにして、たとえば探鉱夫を
国家が委嘱して、その
国家が委嘱した探鉱夫に
補助金を出して、そうして所期の
目的を達せしめるならば途中で失敗が起ってもなおこれは収拾がつくが、こういういわゆる不確定要素を非常に持っておるところの
会社を作ってこれがうまく行かない場合には、これは僕は
会社当局についてもあるいは今日の帝石の諸君についもあるいはその他も、これは大へんな責任問題に相なるかと
考える。でありますから、そういう危険な企図をもってその
石油を開発せんか……その開発ということはまことに必要だから従来の悪いところは改めて、そうして安全にしてかつ有効適切な方法はないかどうか、この点についてもう少し
研究したらどうかという
考えで、僕は非常に危険があると思う。それから不合理がある、かなりその弊害が起ってくる。