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1955-07-22 第22回国会 参議院 商工委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十二日(金曜日)    午後二時一分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    理事            古池 信三君            高橋  衛君            山川 良一君            三輪 貞治君    委員            上原 正吉君            松平 勇雄君            上林 忠次君            河野 謙三君            海野 三朗君            栗山 良夫君            藤田  進君            小松 正雄君            白川 一雄君            石川 清一君   国務大臣    通商産業大臣  石橋 湛山君   政府委員    大蔵省主税局税    関部長     北島 武雄君    通商産業政務次    官       島村 一郎君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省繊維    局長      永山 時雄君    通商産業省鉱山    局長      川上 為治君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       内田源兵衛君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○経済自立方策に関する調査の件  (ガット加入に関する件) ○派遣委員報告石油資源開発株式会社法案内閣提  出、衆議院送付) ○石油及び可燃性天然ガス資源開発法  の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 古池信三

    理事(古池信三君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず最初に、大蔵省北島税関部長から、ガット関税の問題について、御説明を願いたいと存じます。
  3. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) ガットと申しますと、関税及び貿易に関する一般協定、英語で申しますとジエネラル・アグリーメント・オブ・タリフス・アンド・トレード、この頭文字をとりましてガットと略称いたしておりますが、現在国際間におきまして通商上に大きな役割を占めておるところの協定であります。これができましたいきさつは、一九四七年、すなわち昭和二十二年の十月三十日に、その当時アメリカ以下二十三ヵ国がジュネーヴへ集まりまして、とりあえず戦後の世界経済を回復するために、相互関税障壁を低減し、その他通商上の障害を除去することが先決問題であるという観点に立ちまして、二十三ヵ国の間で関税交渉をいたしまして、その効果を各加盟国の間におきまして最恵国約款に及ぼす関税上の措置のほかに、なお通商上の諸種の障害を除去するところの協定を結んだのがこの始まりであります。当初の加入国は三十三ヵ国でありましたが、その後アソシー及びトーケーにおきまして関税交渉をいたしまして、逐次加盟国がふえて参りまして、現在では三十四ヵ国がこれに加盟いたしております。このうちソ連圏からはチェコスロバキア一国のみが加盟しておるのであります。この三十四ヵ国の加盟しております国々貿易総額は現在の世界貿易総額の約八割を占める大きな規模と相なっておるわけであります。  ただ、現存の関税及び貿易に関する一般協定は、実を申しますと、正式にはいまだほんとうは発効しておらないのでありまして、その当時の国際情勢からいたしまして、ガット規定をそのまま全部強行的に実行するには各国とも難点がありましたので、そのうちとりあえず、ガット規定は三部からなっておりますが、第一部、第二部、第三部、合せて三十五条でございますが、関税以外の通商障壁をできるだけ軽減するという第二部の規定につきましては、これを現行国内法令において許す範囲において極力実施するという意味合いにおきまして、ガット規定を暫定的に適用する、こういうことに相なっております。ガットの一番目的といたしておりますところは、各加盟国相互関税交渉をいたしまして、高かったところの関税相互引き下げ、あるいは据え置き約束をすること等によりまして、そういう関税上の障壁をできるだけ低減していくということ、並びにその他の通商上の障壁をできるだけ除去するという目的であるのであります。  わが国加盟問題のいきさつを申し上げますと、昭和二十七年の七月に、わが国から正式にガット加入を申請いたしたのでございましたが、その当時におきましては、英国フランス初め、英連邦諸国日本ガット加入に反対いたしましたので、昭和二十七年の秋の総会におきましては、何らこれにつきまして積極的な解決は見なかったのでございます。翌年昭和二十八年になりまして、アメリカの現政権が成立後、対外経済政策を根本的に再検討するまでは大規模関税交渉ができないということになりましたので、従って、従来の慣例によりますれば、新しくガット加入いたします場合には関税交渉を経ることが先決問題でありましたが、アメリカ国内事情のために一般的な関税交渉ができませんのでありました。そこで窮余の一策と申しますか、仮加入という便法が講ぜられまして、昭和二十八年の秋の総会におきまして、わが国は現在の関税率の約九制二分五厘に相当するところの品目につきまして引き上げない、すなわち現行税率を据え置くという約束のもとにガットに仮加入をいたしたのであります。そういたしまして現在にまで至っておるわけでありますが、昨年になりまして、アメリカ政府日本ガットに入れるための関税交渉をする用意があるということを声明いたしましたので、ここに初めて日本ガット正式加入の問題が非常に大きな望みをもって取り上げられたのでございます。昨年のこの情勢を見まして、昨年の夏の会期間委員会におきまして、日本ガット加入させるための関税交渉を一九五五年、すなわち今年の二月二十一日からジュネーヴにおいて開催するということを総会に勧告する旨の決議案を採択いたしました。これが昨年の秋の総会におきまして、現加盟の三十四ヵ国の中の二十七ヵ国の賛成を得まして、いよいよことしの二月二十一日から正式に日本ガットに入れるための関税交渉を開く、こういうことに相なったわけでございます。  今回、日本交渉いたしました国は十七ヵ国でございます。まずもってガット事務局から、日本ガット加入させるための関税交渉をすることに賛成の国を各国慫慂いたしまして、その結果、あらかじめ昨年中から日本関税交渉をする用意ありという国々との間に、お互い要求表を交換しておりまして、これに対しまして相互にこれに対する回答を研究の上、ジュネーヴに持ち寄った、こういう次第でございます。で承るだけ多くの国と関税交渉をいたしますことは、これはわが国対外貿易を促進させる上において効果があることはもちろんでございますが、それのみならず、結局多くの国と関税交渉をいたしますことは、それだけ日本ガット加入賛成する国を多く獲得することになりますので、代表団といたしましては極力多くの国と関税交渉をすべく誘引にこれ努めたわけでございます。結果におきまして、関税交渉ができました国は十七カ国であります。この国々をちょっと地域別に御紹介申し上げますと、北米及び中南米でございますが、これはまず御承知通りに、北米におきましてはアメリカ合衆国及びカナダ、中米におきましてはドミニカ共和国、ニカラグア、それから南米におきましてはチリ、ウルグァイ、ペルー、北米及び中南米におきましてはこの七カ国でございます。東ア地域におきましてはインド、ビルマ、パキスタン、この三カ国、欧州方面におきましてはギリシャ、イタリア、ドイツ、デンマーク、フィンランド、スウェーデン、ノルウェーの七カ国。合計いたしまして十七カ国と関税交渉ができたのであります。なお、このほか関税交渉には至りませんでしたが、日本との間に相互ガットによるところの最恵国待遇を与え合おうという文書を交換した国が、そのほかにセイロントルコの二カ国あるのであります。結局何らかの意味におきまして協定いたしました国が十九カ国であります。  先ほど申しましたように、できるだけ多くの国を関税交渉誘引すべく代表団としてこれ努めたのでありますが、もちろんあらかじめ英国フランス濠洲、ニュージーランド、南ア連邦南ローデシアチェコスロバキア、オスタリー、こういう国々は当初から日本とは関税交渉をしないと言っておりましたので、誘引する余地もなかったのでありますが、その他の国々で比較的態度のあいまいだった国につきましては、現地におきまして、あるいは直接相手国萩原首席代表が乗り込み、あるいはまた出先の在外公館を通じまして誘引これ努めたのであります。これらの国々を御紹介いたしますと、ブラジル、ハイチ、インド、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグ、いわゆるベネルックス三国、こういう国国であります。しかしこれらの国々は、あるいは国内事情から、あるいは日本商品に対する特殊な条件の問題から、ついにわが国との関税交渉には入ってこなかったのであります。  関税交渉は二月二十一日から開催されまして、十七九国の間にそれぞれ回答表交換の上、二十数次にわたりまして交渉をいたしまして、結局六月七日ぎりぎりになりまして、最後議定書及びその付属譲許書ができ上ったのであります。御承知通り、六月七日から加盟国手続のために回報されております。今後の手続といたしましては、日本ガット加入させるための条件に関する議定書目下国会で御審議中でございますが、この議定書に付属いたしまして、日本ガット加入に同意する決定書というのが別に各国に流されておりまして、この日本加入に同意するという旨の意思表示を八月十一日までに加盟国事務局に通告することになっております。八月十一日までに現在の加盟国三十四カ国の三分の二、二十三カ国以上が日本加入賛成という旨をガット事務局に通告いたしますと、それから後三十日間、すなわち九月十日に日本ガット加入が実現する、こういう段取りに相なっております。  すでに議定書には十四カ国が調印いたしておりまして、わが国加入賛成する決定書の方にはまだ十一カ国しか通告いたしておりませんが、ただわが国関税交渉いたしました十七カ国、そのほか先ほど申しましたように、お互い最恵国待遇を与え合うという約束をいたしましたセイロントルコ、この二カ国を合せまして十九カ国は、もちろん日本ガット加入賛成であると思いますが、なおそのほか、現在まだ政府がはっきり態度を表明しておりませんので、私が積極的に申し上げるのはちょっと工合が悪いのでございますが、一応政府部内におきましては二十三カ国の賛成は当然得られるものと期待しているのであります。従いまして、九月十日には、よほどのことのない限り、日本ガット加入は実現するだろう、こういうふうに予想しております。  今回の関税交渉によりまして各国譲許いたしました税率の数を申し上げますと、アメリカ以下十七カ国、税率の数といたしまして二百八十八になりまして、この二百八十八の中に現行税率引き下げとなりましたものが二百十五でございます。あとの七十三税率現行税率据え置きということに相なっております。これに対しましてわが国譲許いたしましたものは二面四十八でありまして、このうち現行税率引き下げとなりましたのが七十五、残りの百七十三税率現行税率を据え置くということで協定がきまったわけでございます。  今回の関税交渉につきまして代表団といたしましては、その率といい、あるいは量といい、最も重点を置きましたのは、申すまでもなく、アメリカとの関税交渉でございます。御承知通りに、アメリカ関税率というのは一般的には非常に高いのでございますが、前三回の関税交渉によりまして譲許された税率もかなりに上っております。しかし、何分にも日本は今までアメリカ関税交渉する機会がございませんでしたので、日本主要産物につきましてガット税率のない、すなわち非常に高い関税率のまま残されておったのが非常に多くあったのでありまして、代表団といたしましてはこれらの品目につきまして、極力アメリカ側大統領最高限度までの引き下げを要求したのであります。結果におきまして、アメリカから得ました譲許税率の数が百九十六ございまして、このうち引き下げと相なりましたのが百七十九、残りの十七が現行税率据え置きでございます。この引き下げとなりました百七十九の税率の中で大統領最高限度引き下げ、すなわち当時の互恵通商協定法によりますと、千九百四十五年一月一日現在の関税率に対しまして、大統領は五〇%の範囲内において関税を下げることができることになっております。すなわちこの限度まで引き下げになりましたのが百七十九の中の九十に上っておりまして、約半数が大統領の権限の最大限度引き下げをいたしております。これをすでに過去三回におきまして、アメリカ各国譲許いたしましたその割合に比べましても、今回の関税交渉によりまして、アメリカ既往の三回の交渉において各国に与えたほぼ近い程度譲許わが国に与えてくれたものと思うのであります。  品目につきましては、特にわが方といたしまして対米重要輸出品でありますところのなまマグロカン詰、綿織物、絹織物、陶磁器竹製品、玩具、真珠あるいはグルタミン酸ソーダ、こういったものにつきましては極力引き下げを要求したのであります。一番問題になりましたのは、何と申しましても、マグロ缶詰の問題と陶磁器の問題でございます。御承知通りに、アメリカ国内問題といたしまして、マグロ関税問題が非常に大きくとの数年クローズアップされております。何かの機会にこの関税引き上げ運動が起っておった次第であります。今回の関税交渉におきまして、十分とは申しませんが、とにかくなまマグロ及び冷凍マグロにつきましては、現行無税税率を据え置こうという約束になりました。ただし、これは全品目ではございませんが、わが国アメリカ輸出しておりますところのマグロ対象でありますところのビンチョウマグロについてだけ無税にしようということになりました。なお油漬けマグロ缶詰につきましては、現在四五%の関税率でございますが、三五%まで引き下げるということになっております。また塩水漬けマグロ缶詰でございますが、これは一二・五%の関税率でありまして、低いというので非常にアメリカ国内的に問題があったのでありますが、これは現行税率に据え置くという約束になったのでございます。ただし、アメリカの前年中のマグロ缶詰生産量の二割に達するまでは一二・五%の関税率を適用するという約束でございます。これをこえますと直ちに高い税率になるかと申しますと、現行ではそうならないのでありまして、かりに現在のアメリカ税率が変りまして、一二・五%というのはアメリカアイスランドとの協定によってそうなっておるのであります。もしアイスランドとの協定が破棄されますと、直ちに二五%になる運命になっておりますが、かりにアメリカアイスランドとの協定が破棄されまして二五%の関税率に復しましても、アメリカの前年のマグロ缶詰生産量の二割に達するまでは一二・五%の低い関税率を適用する。こういうことになっております。その他陶磁器につきましても、アメリカ国内に非常な引き上げ運動があったのでありまして、従来高い関税率のために日本業界は悩んでおったのでありますが、これにつきましても、もちろん当方要求通りではございませんけれども、たとえば磁器につきまして従来常識的なものといたしましては、一ダース当り十セント・プラス七〇%というような高い関税率でございましたが、今回一ダース当り十セント・プラス四〇%という関税率と、一ダース当り十セント・プラス六〇%、こういう二種類になりました。日本から輸出されるおもな品目につきましては、大体この低い方の関税率、こういうことになっております。  アメリカに次ぎまして、ドイツとの関税交渉相当骨を折ったわけでありますが、交渉の途中におきましては、あるいはドイツ側日本関税交渉を妥結しない意思であるかのごとく私ども受け取ったのであります。最後になりまして、これも無事に協定ができたわけでございます。  今回の関税交渉の結果、日本輸出、ことに対米輸出がどのくらいふえるだろうということをよく御質問を受けるのでありますが、これはなかなか算定がむずかしいのでありまして、あるいは当るも八卦当らぬも八卦という状況になるかもしれないのでありますが、各品目につきましてアメリカ関税引き下げましたその率、わが国当該品目質等をあわせ考えまして算定いたしますと、まあ大体二千万ドルから三千万ドル程度輸出増加が望めるのではなかろうか、こういうふうに考えております。専門家の間で一応そういう算定をいたしたのでありますが、なお大蔵省におきまして、ごく最近でございますが、アメリカは御承知通り輸入制限をいたしておりませんので、価格の低下が直ちに輸出増加になってくる今まで統計がございます。こういう資料をもとといたしまして、価格がどのくらい下れば輸出がどのくらい伸びるという一定の関係をとらえまして、数学的に算出いたしたのでありますが、これもまた約三千万ドルという数字が出ました。結局二千万ドルないし三千万ドル程度輸出増加が期待できようかと、こういうふうに考えております。これに対しまして、わが国譲許いたしました税率は、数は二百四十八ございますが、そのうち大部分現行税率据え置きでございまして、引き下げになりましたのは七十五税率でございます。このアメリカとの関税交渉の過程におきまして、アメリカとしては非常に譲歩している。しかるに日本側が譲歩しないというので、一時非常に暗礁に乗りかけたことがあったのでありますが、わが方といたしましては、低関税据え置きは高関税引き下げと同様の価値を有するというガット関税交渉原則を極力主張いたしまして、それとともに当方貿易尻アンバランス等をとらえまして、極力関税引き下げないようにいたしたのであります。今回引き下げました品目につきましては、その大部分があるいはわが国のまだ生産できてない、すなわち、あるいは競合する品目がない、かりにまた競合する産業がございましても、この引き下げ税率でもって大体対抗できるだろうというふうに私どもは考えておるのであります。アメリカ側につきましても、その後アメリカ国内におきまして、各業界におきまして相当な批判があるようでございまして、ことに繊維製品陶磁器マグロにつきましては、日本に対して譲許をし過ぎたというので非常に大きな問題になっておるようであります。わが方といたしましては、この関税引き下げられましたに乗じて、特に価格引き下げを出すということではなくして、できるだけ既往の悪かった取引条件を改善することに努めまして、いやしくもダンビング等の非難を受けて、これがためにアメリカ側の世論を刺激して関税引き上げの機運をかもすことのないようにすることが肝要ではないかと考えておるわけであります。  簡単でございますが、一応御報告申し上げまして、さらに御質問ございますればお答えいたしたいと思います。   ―――――――――――――
  4. 古池信三

    理事(古池信三君) ただいまの説明に対しまして御質疑もあろうと思いますが、議事の都合によりまして、ちょっとその御質疑あと回しにしていただいて、この際派遣委員の御報告をお願いしたいと存じます。
  5. 山川良一

    山川良一君 福岡市におきます石炭合理化臨時措置法案に関する現地調査の結果について、御報告申し上げます。  派遣委員は深水君、三輪君、白川君と私でございますが、小松君が現地参加されました。  現地における参考人は、お手元に差し上げております資料の第一ページにありますが、大手炭鉱経営者関係が一名、中小炭鉱経営者関係三名、炭鉱労働組合関係四名、ただし一名は当日欠席されました。その他九州電力会社、福岡銀行の代表者及び鉱業市町村関係者二名、計十一名でございます。  現地参考人公述要旨につきましては、同じようにお手元に差し上げました資料に、当日の発言順に従って記載してありますから、詳しくは後ほどこれをごらん願うごとにいたしたいと思うのでありますが、ただいまから簡単に現地における参考人の本法案に対する意見につきまして、御報告申し上げます。  まず、全般的に見まして、炭鉱労働組合関係者以外は、ほとんど本法案賛成でございます。ただ九州電力の社長だけは、明確な意思表示がなかったのであります。なお賛成者も無条件というわけではなく、それぞれの立場で条件ないし要望事項を付しておる次第でございます。  まず、大手炭鉱経営者代表、ただし二、三の大手炭鉱を除くということでございますが、その大手炭鉱経営者代表三菱鉱業の大平氏は、次のような条件を付して賛成したのであります。すなわち、その条件は、第一に、エネルギー総合需給対策確立、第二に、失業対策の樹立、特に炭鉱関係失業者は他産業にも優先的に就労さすべきである。第三には、合理化資金確保のため、自己調達ができるような状態にするため、たとえば金利引き下げ税制改正等を実施するとともに、財政金融対策を整えること。第四に、標準炭価については実情に即した運用を行われたいということでございました。  次に、中小炭鉱経営者関係としまして、北九州西九州山口の各石炭鉱業会代表の方々の御意見を承わったのでありますが、おおむね次のような条件を付して賛成しているのであります。その条件で各代表の一致しております点は、第一に、標準炭価制廃止、第二は、事業団の財源は、本法案のごとく残存炭鉱負担とせず、全額国庫負担とすべきである。第三は、総合燃料対策確立、特に石炭需給計画を法文上明確化し、政府年間国内出炭量確保に責任を持ち、もし過剰貯炭のできた場合は、貯炭買い上げ公団を設置して、それを買い上げる等の措置を講ずべきである。その他は大手炭鉱経営者代表と同じく、炭鉱経理の改善、労働対策の徹底、合理化資金確保について要望がございました。  なお、個別的な意見といたしまして、北九州鉱業会代表者は、標準炭価制廃止原則とするも、やむを得ざる場合は、少数の炭種について簡単なる基準に示す程度としまして、公表の時期は少くとも法執行後一年半としてもらいたい。また整理炭鉱買上資金は、これも全額国庫負担原則とするけれども、不足の場合は三分の一以内程度業者負担とすべきであるとの要望がございました。さらに、買収する採掘権及び鉱業施設評価基準については、買収代金整理炭鉱の正常なる負債、人員整理資金鉱害賠償金等を支弁するような特別措置を講ずべきである。次に、買収対象については、一、天災その他不可抗力のため、申し込みの目前に事業休止のやむなきに至ったもの、または六カ月以前に休止したものでも事情の特殊なもの、二、租鉱権自体並びに租鉱権自体鉱業施設をもその対象とすべきであるという問題が提起されたのであります。特に後者の租鉱権については、参考人とは別に、現地におります間に種々なる陳情がありましたことを付言いたしておきます。  それから西九州石炭鉱業会代表より個別的な意見としまして、一、買収炭鉱対象は、中小炭鉱のみに重点を置かず、大手老朽炭鉱をも対象とすべきではないか、二、合理化資金縦坑開発資金のみでなく、採掘運般系統設備合理化も含むようにしてもらいたい等の要望がございました。  また、山口石炭鉱業会代表の特殊な要望がございまして、当該地区特殊事情、すなわち山口炭の炭質が、カロリーは低いが灰分が少く、揮発分が多いため、特殊需要、たとえば化学工業原料としての効用と需要が多く、同カロリーの九州炭と比較して割高である等の点よりして、標準炭価制の運用についてはこの山口の特徴を十分考慮してもらいたい。さらに坑口の開設制限に関する運用についても特殊事情を勘案されたいとのことでありました。  次に、労働組合関係者の御意見について申し上げますが、炭鉱労働組合関係者は、炭労九州本部長、これは全炭鉱福岡地区及び同じく山口地区の代表者の方々が出席されたのであります。労働組合の方々の御意見は、すべて本法案に絶対反対の意思表示をせられたのであります。反対理由の一致しております点は、まず第一に、本法案は労働者の整理と賃金ストップ等、いわゆる労働者の犠牲において大資本を擁護するもので、政府の考えている失業対策は一時的処置で、きわめて甘い見通しである。第二に、石炭需要拡大に対する法的裏づけがなく、総合燃料対策に欠ける。第三に、合理化資金確保の裏づけがない。第四に、労働者に発言の場がない。第五に合理化五カ年計画の生産及び需要確保について政府の責任態勢がないということであります。  なお、山口地区代表者は、先ほど申しました経営者とほぼ同様でありますが、標準炭価買収炭鉱の買上基準等において、山口灰の特質、山口地区の特殊事情については何ら考慮が払われていない、また福岡地区の代表者は、目下社会党の提出しています臨時石炭鉱業安定法案に全面的に賛成である等の意見の開陳がございました。  次に、九州電力社長の佐藤氏は、賛否について明確な意思表示はございませんでしたが、本法案の運用については、第一に、石炭の原価引下げの場合、その反映を市場価格に及ぼすこと、第三に、標準炭価決定については電力業界意見を尊重すること、第三に、本法案実施後の石炭の市況変動に対する応急対策について万全の措置を講ずべきである等の要望がございました。  次に、福岡銀行の代表は、本法案に全面的な賛成をいたしましたが、次のごとき要望を付しております。第一は、採掘権および鉱業施設買収につきまして、その買収価格を、政府の考えているトン当り二千三百五十円より最低三千円程度まで引上げるごと、及び買収条件を緩和すること、第二に、買収代金の配分については、抵当債権者に対し代位弁済をすること及び登記上の諸権利間の紛争調停をなすこと、並びに政府の金融機関の抵当権は一般抵当権に譲歩すること等、本法案の運用面に関する要望でございます。  次に、鉱業市町村を代表して、長崎県松浦市長と福岡県直方市長の御意見はほぼ同様でございまして、やはり条件づき賛成でございます。両参考人とも、もっとも強調せられた点は、本法案の施行によって炭鉱が整理された際、地方自治体の税収の減少と、失業対策のための経費の増加による財政支出が増大し、たださえ逼迫している地方財政をますます困窮せしむるから、その点十分なる考慮を払われたいとのことでした。その他、鉱害復旧の完全化、あるいは石炭鉱業審議会に鉱業市町村代表をも参加せしむべきであるというようなことでございます。  以上で概略の報告を終りましたが、この際炭鉱の経営者、労働組合、直方市長をも加えまして、すべて一致して要求している点は、重油ボイラーの設置制限に関する法律案及び関税定率法の一部改正案は、ぜひ本国会で成立せしむべきである。その理由について、本石炭合理化法案賛成者は、石炭合理化法案と、いわゆる重油関係法案は三位一体で、重油関係法案の成立がなければ本法案効果ははなはだしく減少する。それからまた石炭合理化法案の反対者も、合理化法案とは別個に、今後の石炭鉱業の建て直しの大前提として、重油関係法案を成立さすべきだという主張であります。  なお、幾らか蛇足とは思いますが、十八日に福岡通産局におきまして、福岡県商工部長、それから財務局長、それから鉱害復旧団の理事長等に参集願い、種々意見の交換を行なったのでありますが、県の商工部長からは、県及び県議会は条件づきで本法案賛成する。また鉱害復旧事業団理事長も、その業務上の立場から一日も早く本法案の成立を要望する旨の強力な発言がございました。この際にも、右の人たちから重油関係法案の成立方を強く要望しておられたのであります。さらに租鉱権自体の買い上げの問題につきまして、当日も熱心なる意見の交換があったことをつけ加えておきます。  以上で報告を終りますが、この席をかりまして、現地参考人及び種々お世話になりました関係者各位に厚く御礼申し上げます。
  6. 古池信三

    理事(古池信三君) 御苦労さまでした。   ―――――――――――――
  7. 古池信三

    理事(古池信三君) それでは、先ほどの北島関部長説明に対しまして御質疑のある方はどうぞお願いいたします。
  8. 高橋衛

    ○高橋衛君 先ほどの御説明におきまして、アメリカとの関税協年の結果、多分二千万ドルないし三千万ドルの輸出の増加ができるであろうという見通しを御説明願ったのでありますが、その他の各国に対してはどういう見通しを持っておられるか。  それからいま一つ、日本においてもそれらの外国に対して関税引き下げをしてきたのでありますが、それが日本に対する外国からの輸入についてどの程度の影響――これはもちろん外貨予算というものを持っておりまして、外貨の割当をしないという事柄と関連してくるわけではありますが、何らかの影響があるかどうか、どの程度の影響があるかどうか。
  9. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 実は現在諸国家の中で為替制限を実施しておりません国はごくわずかでありまして、今回関税交渉いたしました十七カ国のうちでは、アメリカとカナダが為替制限を実施いたしていないわけであります。関税引き下げました場合に、直ちに効果が及びますのはこれらの為替制限を実施いたしておらない国であります。アメリカにつきましては先ほど御説明申しましたが、その他の国の中で特にカナダでございますが、カナダにつきましては、今回引き下げました品目は五品目でございました。と申しますのは、実はカナダはわが国と今回大規模関税交渉を比較的望まなかったのでございます。と申しますのは、昨年の日カ通商協定の結果、わが国の洋品に対しまして全面的にカナダはガット税率を昨年の上半期の末から適用することに相なりました。その結果、昨年の下半期からの日本からカナダヘの輸出が非常に伸張いたしましたので、今回の関税交渉においてさらに相当の品目引き下げるということにつきましては、カナダに難色のあるのはもちろんでありまして、結局獲得いたしましたのは、カナダから五品目引き下げでございます。品目といたしましては、実はこれらの品目の現在カナダにおける輸出額はそう大したものではございませんで、この面からは特に取り立てて大きく申し上げるほどのことはないのであります。一応試算いたしましたのはございますけれども、アメリカに比べますときわめてわずかなのでございます。他の国につきましては、ドイツにおきましては九品目引き下げがありました。なお北欧四カ国、あるいは南米のうちウルグァイ、それから中米のニカラグア、これらの国におきましてはわが国に対して若干の引き下げをいたしました。これも数字的には大して申し上げるほどの数字ではないかと思います。ただ、これらの国につきましては、アメリカ、カナダと違いまして為替制限を実施をいたしておりますので、関税引き下げ効果がかりに算出されましても、直ちにこれが実現するかどうかというととは非常に疑問があるのであります。  これに対して、日本譲許いたしました品目関税収入に及ぼす影響を申し上げますと、昨年の一月から十二月までの各物資の輸入額をもとといたしまして、今回の引き下げ率によりまして算定いたしますと、関税額におきまして四億七千七百万円程度でございます。ただし、この引き下げました関税のほかに、映画フイルムにつきましては、アメリカで引き上げてもいいという逆に引き上げ権限を受けており、これに基きまして目下国会の御審議を願っておるのでありますが、この映画フイルムの従量税が実現されますると、これが四千六百万円程度の増収になりますと、差引四億三千百万円程度の減収になります。なお、わが国引き下げに伴いましてどの程度の外国からの輸入増が見込まれるかということでありますが、御承知通り、為替制限を目下実施いたしておりますので、ほとんど影響は微々たるもので、かりに為替制限を実施しなかった場合にどの程度の影響になるかということは、単純に試算してみますと実はばらばらな数字が出て参りますので、ここで御紹介申し上げるのもいかがかと思いますが、ある試算によりますと五億円程度の輸入増、ある試算によりますれば十数億の増、ある試算によりますれば二十億の増ということになっております。
  10. 高橋衛

    ○高橋衛君 今回のガット加入に関する交渉を通じて、私どもはこの委員会で輸出入取引法の一部を改正する法律案について審議しておるわけでございますが、日本の商品をばらばらに売ることによって、値くずし等によって、それが関税交渉等にいかなる影響があったかというようなことについて、日本貿易商社が各種の商品の値くずしをして、場合によっては不当競争と思われるようなことがありましたことによっていかなる影響をもたらしたか。もう一つ、それから英国ガット加入に対する態度について伺いたい。
  11. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) 多少デリケートなところがございますので、速記を実は停止願った方が……。
  12. 古池信三

    理事(古池信三君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  13. 古池信三

    理事(古池信三君) 速記を始めて。   ―――――――――――――
  14. 古池信三

    理事(古池信三君) それでは次に、石油資源開発株式会社法案並びに石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案、以上二法案につきまして審議を始めたいと存じます。  なお、ただいま当委員会として通商産業大臣、大蔵大臣、大蔵政務次官、この人たちに御出席を願っておるのですが、通商産業大臣はただいまちょっとここに出席されましたけれども、衆議院の本会議に出席のために向うに行かれました。用が済み次第こちらに参るからと、こういうことでございますから、御了承願います。それから大蔵大臣は参議院の大蔵、決算連合審査会に出席中であります。大蔵政務次官もただいま衆議院の本会議に出席中で、連絡をとっておるそうでありますから、御了承願います。
  15. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私は先ほども申しました通り、本法案については通産大臣並びに大蔵大臣に質問をいたしたいと思いますが、この際帝国石油労働組合より要請書をつけまして、石油資源開発五カ年計画の早急なる趣旨貫徹方について署名が出ておりまするので、これを披露いたしまして、皆さん方の御了承を得たいと思います。  要請書は   当組合は日本経済の自立化の為に石油地下資源開発の急務なることを世論に訴えその賛同を求めて参りましたが、第一次分としまして一四三、四三一名の賛成署名を得ました  これは種子ケ島から北海道に至る地域を包含いたしております。   依って謹んで貴委員会に署名簿を提出いたします   本件に関しては既に政府石油資源開発株式会社法案を国会に提出し、既に衆議院に於ては去る七月十二日全会一致で通過を見ておりますが、貴委員会においても署名の一端に表われた世論の動向と吾々の意向を充分考慮されて本法案のすみやかな成立をみますよう貴委員会の一段の御高配を要請致します  こういうのであります。その署名簿は向うの机にございます七つの梱包になっておりますものであります。  右御披露しておきます。
  16. 古池信三

    理事(古池信三君) ただいま三輪委員から御紹介のありました多数の署名による陳情は、当委員会として受け付けまして、いずれ委員長が明日出席されますから、委員長に私からお伝えをし、それ以後の処理は従来の慣例に従っていたしたいと考えますから、さように御了承願います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  17. 古池信三

    理事(古池信三君) 速記をつけて。  この署名簿は便宜委員会において回しますから、どうぞ御回覧を願います。
  18. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はこの際、前回質問を留保してある全漁連の石油割当の問題にちょっと結論を得たいと思いますから、質問をお許し願います。  私はもちろんこの全漁連の問題は、全漁連の問題でなくて、私の通産省にお尋ねしている結論は、川上局長さえも認めておられる、現在の石油が不適性だ。私は不当だと言ったが、あなたは不適性と言ったが、不適性と不当とはどこが違うか知らないけれども、あなたは不適性と認めておられる現行石油の市価というものを、いかなる手段方法によってあなたは適性な価格に安定させようとしておられるか。将来の問題もありましょう。しかし現在いかなる手段方法によってこれを適性な価格に直すという具体案を持っておるか、これを私は伺いたい。
  19. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 現在の石油の、これは特に重油の価格でございますが、この価格は私は非常に適正ではない、必ずしも適正ではないということは、申し上げてあります。この適正でない価格を何とかして一日も早く適正な価格に持ってゆくように、私どもとしましても努力したいと考えております。現在の価格が、これは特にA重油について見ますというと、現在全国平均一万四千七百円で実行しておるわけでございますが、この価格が私は必ずしも適当ではないということを言っておるわけでございまして、これをもう少し一つ安くするように持ってゆきたい。その方法としましては、私は現在の価格についての資料を一日も早く取りまして、その資料によりまして大体どの程度がいいかということを私の方で判定をいたしまして、その価格で各漁港別の標準価格というものを作って、そうしてそれで販売するように指導してゆきたいというふうに考えております。  しかし、これは一つの方法でありますけれども、この前全漁連に対しまして約十万キロリットル程度のひもつき外貨と申しますか、そういう措置をとりましたが、これによりましてある程度全漁連から出すものの価格が安くなりまして、それでほかの一般のものを牽制するという方法も一つございますけれども、そういう意味でこの前の十万キロリットルについてはそういう措置をとったのでありますが、私はそれ以外に、現在の全石協と申しますか、特約店の連合会でありますけれども、この連合会の系統を通しまして流しますものにつきましても、この際統制配給というと非常に語弊がありますけれども、ある程度全石協におきまして自主的なやり方によって、価格なりあるいはその配給の方法を規制して、そして安い価格で販売されるように持ってゆきたいというふうに考えております。ただ、その際どの程度の量を、かつまたどういう程度価格でその特約店の方から販売させるか、あるいはまた元売り業者の方からどの程度でこれに対しまして販売させるかというその具体的方法につきましては、全漁連の方の方法も今いろいろ検討中でありますので、それとあわせまして研究し、そして実行に移してゆきたいというふうに考えております。私は現在全石協に対しましても、どういう方法で安くするかというその方法を一つ出してもらいたいという要求をいたしておりまして、まだ私の方の手元に出てきておりませんが、私としましては全石協の方から出ましたそういう方法も参酌いたしまして、なるべく早く全漁連の方の方法ともあわせまして、全体の値段が少しでも安くなるように持ってゆきたいというふうに考えております。
  20. 河野謙三

    ○河野謙三君 全石協から要求があったとかないとかそんなことは知りませんが、そうじゃないのです。油の市価が不適正であるということは一体だれの責任ですか。責任は政府でしょう。そうじゃないですか。そこなんです。要求があったらそれを一つ取り上げて何か考えてやろうと、そういうことですか。そうじゃなくて、私は政府の責任において不適正な市価は適正な市価に直すということは積極果敢にやるべき責任があると思う。あなたの誠意は疑いません。ものを考えずに乱暴にやられちゃ困るけれども、考えるったって限度がありますよ。幾日考えておりますか。私はいつも冗談に言うけれども、今に、今にといって、死んじゃった人がある。死なないうちにやらなければいかぬのだ。あなたがきょう一日考えただけでも、どれだけ時間がありますか。きょうあなたが一日考えて、きょう一日解決することをあとにすれば、きょう一日はどうなる。消費者はいたずらに千円か千五百円か知らぬけれども、不当に千円、千五百円、不当なものを消費者は買わされているのです。そのかわりに、精製業者、元売り業者は不当な千円なり。千五百円というものを消費者から搾取しているのです。これがあなたが一日考えるということは、そのかわりにはそんな現象が毎日繰り返されている。それが半年じゃないですか。  いつか七百円下げるということを政府は声明した。これは通産省か農林省かどっか知らないが、とにかく新聞に出たあの七百円、あれは今年の一月か二月でしょう。いまだに七百円下っていないじゃないですか。だから、私はあなたがお考えになっている誠意は疑わないけれども、いかに誠意は疑わないといったって、しょうがないじゃないですか。これは一体いつやるのです。
  21. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 現在その価格について私どもの方で、これはこういう価格が最も適正な価格であるという結論を出す資料というものはなかなかこれはつかみにくいことは、御承知通りであると考えます。現在の価格についての調査権というのも持っておりませんし、またあるいはその精製費なりあるいは販売経費なり、そういうものについての調査権というのは持っておりません。私どもとしましては、これは一つの常識、これは従来私ども価格についてのいろんな仕事をやりましたので、そういう関係から見まして、どの程度がいいじゃないかという一つの常識というものをもって判断するより私どもはないと思うのですが、現在におきましてはそういう法律のバックもないわけでございますけれども、現在商工委員会に、衆議院に出しておりますボイラー設置制限等に関する法律案におきまして、この第六条でありますが、その次の第七条、第八条等におきまして、やはり価格についての調査権というものが今度は設定せられることに、この法律が出ますというとそういうことになるわけなんですが、そういう法律のバックによって的確に調査した上で、そうしてこれが適正価格であるということを認定してやることが私は最もいいことではないかと思うのですが、しかしそれを言っていましては相当、これは法律が通りまして、相当期間がたってからということになりますので、私どもとしましてはその前になるべく一つ常識的にも考えまして、またいろんななかなか取れない資料も極力一つかき集めて、そうしてこの検討をしまして、どの程度が一番いいかということを判断して、そうしてその程度に下げるように私は持ってきたいと、ただ、きょうそれを今やるか、あしたやるるかということをおっしゃいましても、これはなかなか各方面に影響する大きな問題でありますので、私としましては慎重にやりまして、なるべくすみやかにやりたい。それには先ほど申し上げましたように、あるいは全漁連なり、あるいはまた全石協方面のいろんな意見なり資料も取り、また元売り業者の意見も入れて、そうして私はなるべく民主的にこと問題は解決していきたいというふうに考えております。  それから七百円、これを実行しましたのはこの四月一日からであります。私はこの七百円下げというものが、末端、いわゆる漁港別の価格について下っていないというふうには必ずしも考えていないのでありまして、私ども各方面からのいろいろ情報を入れますというと、大体において守られておるというふうに聞いておりますが、ただ七百円を下げた、その七百円そのものが元売り業者の方から全部はき出していないということは、これは事実であろうと思うのであります。従いまして、元売りの所が七百円下っていないということは、これは私はおそらく言えるのじゃないかと思いますけれども、まあ漁港別の四月一日から実行しておるA重油については大体私は守られているのじゃないかというように考えております。
  22. 河野謙三

    ○河野謙三君 いや、あなたは影響するところが非常に、各方面に影響するところが非常に大きいから慎重を期しておると言うけれども、それはその通りですよ。ところが、その影響とは一体何だ。あなたが慎重を期しておる間に、非常な好影響を受けておる人が多いのですよ。油業者ですよ、それは。消費者は、先ほど申し上げましたように、あなたの慎重の度合が深ければ深いほど、その間において被害者ですよ。影響というのは、被害者と、好影響を受けるのと、両方あるのです。通産省は、ここに政務次官もおられるけれども、通産省の油の行政というのは、何も大資本のために油の行政をやっておるのじゃないでしょう。極端に言えば消費者のためにやっているわけです。私は漁業者とかなんということは言っていない。油全体のことを言っておるのです。  あなたは七百円下げておると言うけれども、そういう認識不足だからだめなんです。四月一日からいまだに下げていないですよ。下げているのは一、二の会社ですよ。それは世間には多少良心的なものはありますよ。一、二の資本家系統のものは下げていますよ。けれども、大部分は実施していませんよ。見てごらんなさい。あしたから調べてごらんなさい。そういう現状で一体いいか悪いかということなんです。  この際私はあらためて伺いますが、適正な価格かどうかということにつきまして、ついこの間まで石油は統制をやっておる。油は、たとえばA重油ならA重油一つについて、統制撤廃時のCIFの価格、それから同時に消費者価格、これと、現在の自由市場におけるところのCIF価各と消費者価格、これを説明して下さい。不適正価格ということはすぐ出ると思う。油が適正価格であるということがどうして言えるのですか。
  23. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 重油について申し上げまするというと、現在の価格につきましては、先ほども申し上げましたように、末端の小売の標準価格これは四月の一日から全国平均一方四千七百円ということに一応してあります。この一万四千七百円の内訳を見ますというと、その計算の基礎でありすまCIF価格につきましては……。
  24. 河野謙三

    ○河野謙三君 他の方にもいろいろ御質問があるでしょうから、私は内訳は別として、その二万四千七百円と、それとA重油のCIF価格を教えて下さい。もとと裏だけ教えて下さればけっこうです。
  25. 川上為治

    政府委員(川上為治君) そのCIF価格は九千三百四十九円、九千三百四十九円という価格で計算をいたしております。それからマル公時代におきましては、この末端の価格が一万五千三百十七円、同じA重油につきまして一万五千三百十七円、これのCIF価格が一万九百十七円、こういうことになっておりますが、この中で、小売のその販売経費の中で、マル公時代におきましては千百円ということになっておるのですが、この一万四千七百円を計算しました小売の販売経費は千七百円、その間に六百円程度違うのですが、この中で五百円程度はマル公時代におきましては計算の中に入れておかなかった、いわゆるその持ち込み費というものが入っております。マル公時代におきましては持ち込み費というのはこれは需要者の方が持つということになっておりまして、今回の一万四千七百円の中には持ち込み費というものを販売業者の方が持つということに一応計算しております。
  26. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、あなたはあれですか、現在九千円足らずのCIF価格のものが末端において現在一万四千七百円に売られておる、これは適正だということですか。
  27. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 私は、現在CIF価格が九千三百四十九円で買っておるものを、これを一万四千七百円で売っていることが適正であるということは、一ぺんも言っておりません。
  28. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はなぜそういうことを言ったかというと、マル公当時の価格と、現行価格のCIF価格と末端の消費者価格と比例して、その幅がいかにも当然であるかのような御説明をされたから、私はそういうふうに誤解したのです。誤解だったら取り消します。それで、たとえば現在CIF価格が約九千円、九千円のものを一万五千円で売っているということについて、適正じゃないとあなたはおっしゃったが、それじゃ幾らが適正だと思いますか。私が聞いておるところによるというと、これらの中間業者がただいまそれぞれの段階において口銭を取っても、一万三千五百円以上にはならぬということを業者が言っておる。これはあなたは聞いておりませんか。しかも、これは業者のことですから、どうせサバを読んでおる。サバを読んでも、一万三千五百円以上にはならぬということを言っておるのを聞いてみると、これは当然だと思うのです。あなたがおっしゃる適正価格は幾らですか。
  29. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 私は、先ほども申し上げましたように、いやしくも役所がこの程度は適正価格であると発表いたしますときには、私は慎重な資料を収集して慎重に検討して、その上で私はやるべきものだというふうに考えております。従いまして、これは適正ではないだろうというふうには私は言っておりますが、しかし、それではこの計算はいずれが一番適正であるかということは、現在の私のところではまだ十分検討ができておりません。
  30. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はもう驚き入った怠慢だと思う。マル公の制度にならなければいけないとか、法的裏づけがなければ調査できない。それはその通りです。だから、あなたは今手のつけようがないから、こういうまるで捨てぜりふのようになる。同じ通産行政の中で、現に支持価格というものがあるではないですか。行政指導で価格を指導するというのがたくさんあるじゃないですか。たとえば、肥料でいえば過燐酸なら過燐酸、カリ肥料というものは、通産省で指導してちゃんときめるんじゃないですか。通産省はそういう態度でいいですか。  私は島村政務次官に聞きたい。法律によって裏づけがなければ、通産行政の中で、通産省のあなたの手元で、監督指導のもとにあるところの商品というものは、どんな価格でも通産省は手をつけないのですか。
  31. 島村一郎

    政府委員(島村一郎君) ただいま鉱山局長の申し上げましたことは、役所としてはあくまで慎重を期するということであろうと思います。これにつきましては、私も全く同感でございます。でありますから、できる限り念入りに検討いたしました結果を発表することが、当然のことであろうかと考えます。
  32. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は慎重でなくていいというのではない、慎重であることは望ましいのですが、今のように、たとえば半年この問題があるでしょう。油の問題は片づかないでしょう。ところが、今の段階になって、この法律でも通って調査権でもわれわれに与えてもらわなければできないというような捨てぜりぶでいいかということです。
  33. 島村一郎

    政府委員(島村一郎君) あるいは、その言葉の誤りのために、そうお聞き取りであるかと存じますが、私どもといたしましては、あくまで局長の方に努力をしていただきまして、一日も早くこれが適正価格を見出してもらうように努めてもらいたいというふうに考えておりますので、どうぞさように御了承を願います。
  34. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は、これは先ほども申し上げたように、もうけ主義の業者でさえも一万三千五百円なら売りますということを通産省に言っている。それを、現在市価が一万五千円以上になっているのに対して、最悪の場合でも、業者が一万三千五百円に売ることはちっとも差しつかえないじゃないかと言っておる。さらにそれを切り下げるということは、これは慎重を期さなければならない。業者の言っている価格でさえ、政府はそれに同調しないということはどういうことですか。
  35. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 私の所へ一万三千五百円で販売しても、それでももうけるのだということを言って来ておりません。また私は全石協に対しましても、また元売業者に対しましても、どの程度なら君たちが最も適正な価格であると思うか、その資料を一日も早く出してもらいたいということを言っておりますが、まだ公式には持って参っておりません。再三言っておりますが、なかなか持って参りません。
  36. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうすると、あなた自体は何かお調べになったことがありますか。
  37. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 私の方といたしましては、私自身が直接調べているわけではございませんが、私の部下ではしょっちゅう各方面から資料を出してもらってはいろいろ検討しております。しかしながら、今のところでは、これを公表して、どの程度が一番いいかという自信のある価格はまだできておりません。
  38. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうすると、鉱山局長として、油に対しての試算した価格さえもあなたは持っていないと、こういうことですか。
  39. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 私はいろいろな方面からその資料なり情報なりを得て、そうしていろいろ皆と検討して、その上で私はこの程度が一番妥当ではないかという価格を出したい、しかもそれはすみやかに出したいというふうに考えております。
  40. 河野謙三

    ○河野謙三君 そういうことを聞いているのじゃないのですよ。あなたが現在までどういう方法かで、部下にしろあなた自身にしろ、試算したものさえ一つも持っていないかどうかということを聞いているのです。
  41. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 価格そのものにつきましては、私はまだ自信のある試算した価格を持っておりません。
  42. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はそれを怠慢だと言うのです。そういうことで、政務次官、いいのですか。一体油というものは重要なものですよ。通産行政の中でも重要なものですよ。これは、ここに繊維局長もおられる、いろいろなそれぞれそういう部門もありますけれども、それぞれの局においてのこまかなことは別ですよ。重要なものについては、それが全くの自由であろうと、間接統制であろうと、直接統制であろうと、すべてそれらについての原価計算くらいして、試算をしておくのは当り前じゃないですか。それを持たないで、何で行政ができます。あなたは一体、何で油の行政をやっておる。物さしがなくては、行政ができぬでしょう。これは何も個人的に、川上さん、何もないのだ。ないのだけれども、そういうことで一体通産省というのはいいか。そんなことでは通産省は要りませんよ、私に言わせるなら。しかしここで文句を言っても仕方がないので、私はあらためて伺いたいが、通産省の中から石油関係の会社なり、あるいは石油関係の組合なり、団体なり、こういうものに、かって通産省に籍を置いた人で今まで何人いて、だれの何兵衛が何であるということを、私は資料を出してもらいたい。これは今と申しません、この次までに出ますか。
  43. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これはできる限りお出ししたいと思います。
  44. 河野謙三

    ○河野謙三君 できるだけじゃありませんよ。いつ出ます。私は根本的に疑惑を持っておる、石油の行政については。
  45. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 月曜日には出したいと思います。
  46. 海野三朗

    ○海野三朗君 今のに関連をいたしまして、ただいま鉱山局長からのお話には、法律がないからこの精製の値段というものを調べられないというお話でありますが、何もそういうふうに固くならぬでも、通産省には専門の技術者がおることだと私は思うのですが、それをお調べになられないといういうことはないと思うのですが、私はその点、一つお伺いしたい。
  47. 川上為治

    政府委員(川上為治君) この問題につきましては、われわれも調べてはおるのです。しかし、いやしくも私どもがこの価格が適正価格であるといって発表する場合におきましては、これは余ほど根拠のある計算をもってでなければいけないのじゃないかというふうに考えますので、私としましてはもちろんその調査はいたしておりますけれども、どうしてもこの際、じゃこれがいいという適正な価格というものを出すまだ段階に行っていないということを申し上げておるわけでございます。
  48. 海野三朗

    ○海野三朗君 通産省には技術者は入っておりませんか。あなた方のような事務系の人ばかりですか。私はこういう方面に対して通産省あたりが最も私は不まじめなんじゃないかと思うのですが、ただいま河野委員からいろいろ鋭い質問がありましたけれども、私はたとえば硫安にいたしましても、セメントにいたしましても、ぼろいもうけをやっておる。つまりこの油の行政なんというものは、実に一言にしていえば、伏魔殿と言ってもいいくらい、世間からそういうふうに目されておる。生産費が何ぼかかるかわからない、それは調べられないからというような、法律がないというようなことを盾にとって逃げていらっしゃるのは、私ははなはだ不まじめであると考えざるを得ないのでありますが、政府御当局はどういうふうにお考えになっておりますか。通産省には事務官ばかりじゃないだろう、技術者もたくさんおるはずである。こんなことはわかる。石油の精製に何ぼかかるか、こんなことはもう常識ですよ、技術者の。それをよくわからないというようなふうにして御答弁になるのは、逃げておられるとしか考えられませんが、いかがなものでございましょうか。ごまかしていらっしゃるとしか思われない。
  49. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 私は決してごまかしておるわけじゃないのですが、私のところの技術者もたくさんおりますし、事務屋もたくさんおります。しかしながら、先ほども申しましたように、この中身につきまして相当検討して、これが適正である、これが最も適正な経費であるということをはっきりと申し上げる段階まではまだ行っていないということを申し上げておるわけでございまして、私としましては法律のバックがなくても、なるべく早く、大体常識的に見てこの程度が最も妥当ではないかというものを、一日も早く作って出したいが、しかしそれは現在のところまだそこまで行っておりませんということを申し上げておるのでありまして、しかし、ほんとうに的確なものを出すためには、何と申しましても、法律によって調査し得る権限を与えてもらって、そうして調査して、その上で出すことが私は最も正しい行き方ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  50. 海野三朗

    ○海野三朗君 ただいまの御答弁はどうも、努めて早くとおっしゃるけれども、いつごろまでにそのお見通しがつきますか。いつごろになったならば、その私が申し上げるのはすっかり正確なる数字を出せ、それの正確にも程度がございます。プラス、マイナス〇・五%ぐらいの誤差はやむを得ないのでありまるけれども、大体この辺が適正であろうという御判断のできますのは、いつごろの時期になりましょうか。
  51. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 現在、先ほど申し上げましたように、元売業者の方からもいろいろその資料は出さしておりますし、また特約店の方からも出さしておりますし、またこの前一種のひもつき外貨をやりました全漁連の方からも出さしておりますので、私はその出してくるものを調べました上でやることになるのですが、もちろん私の方ではそれと並行していろいろその計算をやっておりますけれども、まあ二月も三月もおそいということではなくて、一月以内には私は何とか出せるのではないかというふうに考えております。
  52. 海野三朗

    ○海野三朗君 今お示しなさった二十九年度石油精製八社外資提携状況というところで、一番下のところに注として、外国人役員に対する賞与は、昭和石油は百四十四万となっておりますが、これは外人の役員は何人おるのでございましょうか。この三菱石油の方は何人おるのでございましょうか。一人の頭割り何ぼぐらいにいっておるものでございましょうか、ちょっとお示しを願いたい。
  53. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 昭和石油に現在外国人の役員が何人いるか、はっきり私わかりませんが、大体四、五名じゃないかと思います。四、五名ぐらいですか……。それから三菱石油につきましても大体五、六名じゃないかと考えておりますが、はっきりしたことは私覚えておりません。
  54. 海野三朗

    ○海野三朗君 そういたしますと、最低、この賞与というのは一人当り三十万ぐらいになるわけですか。
  55. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 私、実はそこまで調べて参っておりませんので、何とも申し上げかねると思います。
  56. 海野三朗

    ○海野三朗君 それからこの外資の比率でありますが、五〇%、それから東亜燃料工業は五五%、三菱石油は五〇%、昭和石油も五〇%、興亜石油五〇%と、こうなっておるようでありますが、そうしますと、主権はどっちにあるのでございますか。(笑声)主権と申しますか、こういうふうな資本を入れたとすれば、この会社の、つまりマネージメントといいますか、これはどうなんですか、外人の方との関係は……。
  57. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 私はこの会社の内容によっていろいろまあ違うのじゃないかと考えますが、外人の方が非常に力が強くて、そうして日本人側の方が、経営の点においてなかなか日本人側の意見がその通り行われないというような、そういう点が、会社それぞれの内容によって私は違うと思うのですが、私どもは、これは全部日本人側の方といろいろ交渉いたします。
  58. 海野三朗

    ○海野三朗君 それでは外資導入と言ったって、みんな外国の会社になってしまうわけじゃないのですか、資本が五〇も出されておれば……。その辺どういうふうにお考えになっておるのですか。通産省としては四五%をこえないというような限度がないのですか。
  59. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 別にそういう限度はありませんが、大体五〇くらいならば、いいのじゃないかということで、これは従来からそういう考えで認めて参っております。
  60. 海野三朗

    ○海野三朗君 これは私は非常におかしいのじゃないかと思う。これは日本人の石油会社だと思っておるうちに、いつの間にかもう色が変ってこれは外人の所有に帰するような形に持っていかれるのではないかと私は憂うるのでありますが、通産省としてはこういうふうな資本を五〇も入れるということはやはりお許しになったのですか。
  61. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これは許しましたからこういうことになっておるのでありますが、その弊害におきましては、最近御指摘の通り、まあいろいろな点言われておりますので、私の方としましては、今後はやはりこういう点におきましては、よほど注意して、そうしてそういう非難を受けないように持っていきたいと考えております。
  62. 海野三朗

    ○海野三朗君 ここの、この五〇というのは、ばく然とお考えになって、外国資本をこんなにたくさん入れてしまったのでは、将来日本人は、お前たちはどうにでも行かっしゃい、資本はみなこっちのものだぞと言われるような時期がきはしないかということを私は非常におそれる。通産省としてもこういうような資本を入れることをお許しになったということは、はなはだ納得しかねる。こういう貸本の五〇も入れるということは、そうして、またこの点も私は通産当局の御決意を伺いたいことが一つと、それから過日四日市の石油会社の火災がありましたが、あの際に大ていの会社なら、あのくらいの大損害をこうむるというと、あるいは銀行から融資するとか何とかいう方法をとるものでありますが、あのときもよく話を聞いてみると、自己の所有金でもってまかなうから、銀行方面のせっかくの御親切はありがたいけれども、持ち金で処分するという、ことほど油ぶとりをやっておるのが日本石油会社なんであります。これは実にもうけ過ぎておる。先ほど河野委員も言われたように、どうしたってこういうところの適正化というものに対しては、これはもう厳重に通産省がやっていただかなければ、通産省の存在の意義がなくなってしまうと私は思う。で、るる述べましたように、どうしても一カ月後においては適正なる価格を出していただいて、そうしてこれを実行せしめるようにしていただきたい。そういうことが一つ、それからこの五〇%以上に対する通産省のほんとうの腹を伺いたい。これはどういうようになさるつもりか。いつの間にか外国人に取られてしまう。この御決意を伺いたいと思うのです。
  63. 川上為治

    政府委員(川上為治君) この五〇、五〇という比率ができました時分は、たしか三年くらい前であったと思います。その時分におきましては、精製工場の急速な近代化ということを非常にやかましく言われておりましたし、また当時設備の拡充についても、なるべくやらなくちゃいかぬというような考えでやっておりましたので、そういう近代化の問題と、それから設備拡充の関係から、こういう外資を少しでも導入して、そしてそういう設備を作るようにしたものと私ども考えております。現にその石油精製会社におきましては、開銀融資というのはもちろん、今まである程度やっておりますけれども、これはきわめて金額は少くありまして、大部分はやはり外資導入とか、あるいはその販売利益によって近代化を実はいたしております。そして最近におきましては、従来ガソリンのオクタン価が六〇程度というものが、最近におきましては非常に上って参っております。私はそうした設備を作るために、あるいは近代化するために、こういう金を入れまして、そうしてそういう功績は、私は一方から見ますれば、ある程度評価していいのじゃないかというふうに考えますが、ただ一面におきましては、最近、先生もおっしゃいますように、いろいろ問題視されておりますので、私どもとしましては、最近言われておるようなことがないように、今後におきましては増資の場合とか、あるいはその他の方面で監督をやりまして、そして日本側の方でも十分発言をもって、同時にまた日本政府意見も十分入れられるような方向に持っていきたいというふうに考えております。
  64. 海野三朗

    ○海野三朗君 もう一つこの石油の原油、ガソリン、その税金でありますが、この税金の方はどういうふうになさいましたか、一つ政務次官にお伺いをいたします、重油関係の……。法律に従って税金をかけていらっしゃるのか、法律はそうであるのだけれども、特別にこうだというふうにやっていらっしゃるのか、この前の話では二%とか何とかということの答弁があったようでありますが、そういう点に対して私はもう一つはっきり伺っておきたいと思う。
  65. 島村一郎

    政府委員(島村一郎君) 詳細につきましては私はよくわかりませんので、政府委員からお答えすることをお許しいただきたいと思います。
  66. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これは関税につきましては、御承知通り原油等につきまして一割かけることになっておりますものが、現在に至るまで延期されておるわけでございますが、今回これはもうすでに衆議院の大蔵委員会を通過しまして、現在参議院の通産委員会で審議中でありますけれども、原油については二%、それから重油の中でBC重油につきましては六・五%で税金をかけるということで審議をいたしております。それからガソリン税につきましては、従来からも一キロリッター当り一万一千円かけていたのですが、これに対しましてさらに二千でありましたか三千でありましたか、はっきりした数字をちょっとど忘れしましたが、その程度上げるということ、これまた大蔵委員会におきましていろいろ審議をいたしております。ただ、関税について従来原油について 一割程度、重油についても一割程度というものが今回は、原油については二%、BC重油については六・五%引き上げるということにしまして、衆議院の大蔵委員会は通過いたしております。
  67. 海野三朗

    ○海野三朗君 ここが、私が黙ってさえおれば、大蔵委員会にかけなければ、黙って一割に戻るわけなんでしょう。期限つきなんでありますから、それをいつでも油のこの税金のことを国会に提出される通産省自体の考えが、私は非常に了解ができないのでありますが。黙っておけば法律に従ってちゃんとやる。それを今度大蔵委員会にかければ、それは税金は高いよりも安い方がいいにきまっておりますから、それはあまり上げないことになるんでありますが、ところがそういうことの関税を上げないでおいて、一般の消費者の方にこのガソリンの税金をかけるなんということは、見当違いもはなはだしいと私は思うのですが、そういう点に対してはいかようにお考えになっておりますか。
  68. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これは今まで永久延期になっておりますものを、延期しないでまあ復活と申しますか、どういうことにするか、それともじゃあどの程度これを改めてかけるかということも、まあいずれにしましてもかけるにしてもしないでも、やはり国会の審議をわずらわさなければならない法律の建前になっておりますから、別に通産省が黙っておればよかったというわけではありませんから、まあいずれにしましてもこの国会にかけなければならんということになりますので、そういう意味で大蔵委員会にかかったわけでございます。
  69. 海野三朗

    ○海野三朗君 それは大へん違うんですな、あなたの。六月まで前の関税をかけたやつを一割に減ずるということでやったのであるから、黙ってさえおれば六月過ぎれば一割になってしまうでしょう。それをまた再びいかがでございましょう、あなたが国会の方に出されるから、これは今度ここに問題が起って、いや高くしない方がいいのだ、関税をかけない方がいいのだということになって、それはあなたの方でちゃんと下心があるから、この油の方に対してそういうふうに私どもは考えられる。黙ってさえおれば、国の政策によって一割かけるものだということになっておるのですから、六月なら六月にちゃんと期限は切られておる。黙ってさえおれば、またすぐもとに戻って関税はかかるべきものである。それが今度これはいかがでしょうかと国会に出されるものだから、国会の方で関税はもう少し下げた方がいいのだ、こういうことになるのであって、そうしてしかも、そして関税をかけないでおいて、消費者の方に対してのガソリンの税金をかけるというようなことは、大衆課税を目当てとしておって、大きなこういう油ぶとりしておるところの大会社、そういう方面のことは一向等閑に付しておられるように考えられるのでありますが、この点に対しての御答弁をお願いしたいと思います。
  70. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これは私は、やはり関税がかかりましても、消費税がかかりましても、現在石油業者は、これは油ぶとりというとどうかと思うのですが、いずれにしましても、ある程度吸収できる私は力を持っておると思いますので、そういう意味からいいまして、ある程度関税をかけてもこれは差しつかえない、消費者の方へ負担させないで、この石油の販売業者あるいは精製業者の方へ負担させるように持っていきたいということについては、全く同感でありますが、ただやっぱり国会がありますというと、どうしてもこれは国会で問題に触りますので、やはり頬かぶって、われわれの方で知らん顔してほったらかしておくわけにもいきませんので、やはりこの国会で審議を煩わしたいわけであります。
  71. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 今海野委員から質問になっておりましたこの資料なんですが、これは私が要求したやつですが、実はこれでは私は少し不満足なんです。これはたとえば日本石油でいえば、四十億の資本金に対して、二十億外国資本が比率を占めておって、その配当は二割のようですが、これ以外に、こういう表向きに現われた株式に対する配当以外に、実はこれらの日石であるとか、カリフォルニア・テキサス・コーポレーションという米国の会社が、自分みずからが株を持つと同時に、またみずからが油を入れるわけですが、それらのすべての利益は一体どのくらいになるかということを私は聞いたわけです。これはその他のほかのものについてもそうですが、これはどういうふうになっておりますか。ただこれにとどまらないと思う。しかもこの二十億という資本金が、金を持ってきて積み立てた資本金じゃない。物を持ってくるとか、工場の設計のときの青写真とか、そういうもので換算されたものであって、これはもっともっと下回る金額だ。それによってかような二割の配当をして、しかも原油を売りつけることによって、莫大な利益を上げておるということは想像にかたくないわけですが、その数字をとらえたいわけです。
  72. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 私はそこまでの資料とは考えてなかったのですが、そこまでの資料が果して私の方で的確につかめるかどうか、これはすぐ調べまして、そして、もしこれができましたら、なるべく早く持って参りたいと思います。
  73. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 それから日英通商航海条約の話の過程において、こういうふうの状態であるので、たとえば硝石の五〇%という外資の比率によって、シェルが今度の日英通商航海条約のときに、日本の外貨割当はどうもうちの会社に対しては不当であるということを途中で持ち出しておる。外国電報の伝えるところによると、どうも日本はそれに対して何かまた次によけい割り当てるんじゃなかろうかというようなことまでいわれておる。これは全く内政干渉もはなはだしいのであって、私は日本経済の記事を見たときに非常に遺憾に思ったのですが、そういう事実がありますか。  それからどれくらい向うはほかの会社に比べてシェルが少いと思っておるか。またそれに対して、どういうふうに政府は、次の外貨割当の機会に、その言葉におびえてまた出そうとしておるか。その間のいきさつを少し詳細に話してもらいたい。
  74. 川上為治

    政府委員(川上為治君) この問題につきましては、通商局長が今いろいろ当っておりますので、私もまだはっきりしたことはよく聞いておりませんが、詳しいととは聞いておりませんが、何か向うの代表団の中から、どうもシェル石油ということを言ったのかどうかわかりませんが、どうも少し外貨の割当が不適当ではねいかというようなことを言ったらしいということは、私の方も耳にはさんでおります。またどの点についてどういうふうにしたというようなことも聞いておりますが、私の方としましては、これは今お話がありましたように、そういうシェル石油の割当の問題について、向うからそういう公けの場所において、とやかく言われるのはどうかというふうに私は考えております。またシェル石油に対しまして、従来割り当てた外貨が果して不適当であったかどうかという点については、私の方としましては、現在においては必ずしもこれは非常に不適当ではないというふうに考えておるのですが、また向うに言わしめれば、これはどうもこの点は納得がいかないということはあるわけでございます。まあ外貨割当におきましては、実はシェル石油だけではなくて、あらゆる方面から、どうもわれわれのところは割当のやり方がおかしいとか、どうもおれの方は少いとか、そういうことはしよっちゅう聞いておりますので、私はシェル石油の問題につきましても、従来からそういうことはたびたび聞いておりますけれども、私の方としましては、外貨の割当についてそうむちゃなことはやっていないつもりでおりますので、私はその点についてはもちろん調べて、あるいは私の方の落度からシェル石油に対して割当てたものが非常に少なかったということであれば、これは私は全体の公平な意味からいいまして、改めなければなりませんけれども、もしそうでなかったということでありますれば、私の方ではこれを改める気持は毛頭ありません。
  75. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 それから同じくシェルの極東支配人の立場にある人が、今、日本で問題になっておる軍用の製油所の払い下げ問題等について何らかの申し入れをし、現実来て政府機関と話し合ったりしていった事実がありますか。
  76. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これはそのシェルの方の代表者が私の方にも参りまして、この徳山の問題でありますとか、あるいは四日市の問題でありますとか、そういう問題について向うの意見、希望を述べて帰ったことは、これはございます。
  77. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 これは通産大臣にお聞きしなければ不適当かと思いますが、株式の状態もかようなことであり、しかも、その持っていく利潤においては、ここに現わされるものは全くその一部であって、われわれはもっとこれに数倍する利潤を持っていかれると思う。しかも日英通商航海条約等の公式の会談の場合におきまして、日本政府の外貨割当についてまでも容喙する、しかも日本政府の権限で払い下げをしようとする製油所についても、希望を申し入れることは差しつかえないでしょうが、これもある程度私は容喙と思わなければならぬ節もあるわけですが、こういうふうに考えてくると、国際石油カルテルというふうなものの脅威と申しますか、これは実に大きなものがあると思う。これに対して政府は一体、国際石油カルテルというものに対する恐怖をいかに認識され、しかもこれを将来において解くというとおかしいが、どういうふうに対処していくかという根本的なお考えをお持ちでありますか、政務次官にお伺いしたい。
  78. 島村一郎

    政府委員(島村一郎君) ただいまのお尋ねは非常に大きな問題だと思いますので、大臣への御希望も、大臣から一つお聞き取り願うように、大臣に申し伝えますから、さよう一つ御了承願います。
  79. 河野謙三

    ○河野謙三君 さっきの質問の結論をつけたいと思いますから、調子を一つ落しますから、あなたも一つ気楽に御答弁願いたいのですが、全漁連へ十万キロ割り当てましたね。これは一体価格は、消費者価格はどうなんですか。
  80. 川上為治

    政府委員(川上為治君) まだ価格につきましては話し合いをしておりません。これは農林省といろいろ相談することにしておりますので、まだそこまでいっておりません。
  81. 河野謙三

    ○河野謙三君 方針としては、消費者価格を一つの指示価格のようなものについて示すということですか。
  82. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これは全漁連がやはり勝手に販売するのはどうかと思いますので、販売価格なり販売方法につきましては、私の方の承認を受けて販売してもらいたいというふうに考えておりますが、その販売価格なり販売方法については、先ほど申し上げましたように、特約店系統を通して流すものと私は十分調整をしてやるべきじゃないか、こういうふうに考えております。
  83. 河野謙三

    ○河野謙三君 特約店系統と十分話し合って同じように扱いたい、こういうことは、言葉を返せば、今度の全漁連に割当をしましたものと同様のものを特約店の方にも外貨の割当をする、こういうことになるのですか。
  84. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これは私はそこまではっきりしたことは申し上げませんが、これは実は特約店系統の方につきましても、どういう方法でやったら一番いいか、その諸君の最も妥当であるというその方法等を出してもらいたいということを言っておりますが、まだ実は出してきておりません。いろいろ検討はしておるようでありますけれども、まだ私の手元には入っておりませんので、入りましたらそれを十分しんしゃくして善処したいと考えております。
  85. 河野謙三

    ○河野謙三君 あなたは消費者価格を、全漁連の系統でいこうが、販売店の系統でいこうが、消費者価格は同じにしたいと、こういうことでしょう。末端が同じであれば、元も同じでなければいかぬわけです。だから元と裏は同じにすると、こういうことですか。
  86. 川上為治

    政府委員(川上為治君) それは今河野先生からお話がありましたように、私は元売業者の方でも相当これは一つまけてもらって、この価格を低くしてやってもらいたいというふうに考えておるわけでありまして、今ここで私が正確に、あれをきめてないのに、ではこうしますということは申し上げかねますので、河野先生その点十分御了承じゃないかと思うのでありますが、一つ私の方で善処いたしますから、御了承願いたいと思います。
  87. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はそういうことを根掘り葉掘り聞こうというのじゃない。要するにこれは全漁連と同じように販売店を扱わんと、全漁連の価格は安くて、販売店の価格は高いという、こういうことになるわけです。あなたは販売店も全漁連も同じ消費者価格でいくのだ、こういうのであれば、これはスタートも同じでなければならぬ。これは当然のことです。当然のことであるけれども私は当然のことを聞きたい。これはスタートを同じにするというのですか、価格面においてスタートを同じにする、これだけ聞けばよい。
  88. 川上為治

    政府委員(川上為治君) その点につきましても、実は私ははっきり全漁連を通して出す価格と、それから全石協を通して出す価格を全く同じ価格で販売させるべきか、させるべきでないか。それからまた、元売業者から出す価格についても、同じでいくべきか、同じでいかないでいいか、私は検討していただきたいと思うのですが、少くとも私自身としては、この際二つの価格が出ることは非常に好ましくありませんので、なるべく末端価格につきましては一本価格で販売した方がよくはないかというふうに考えておりますが、なおこの問題については、私の方で詳細これは検討いたしまして、一つなるべく両方で矛盾したことがないようにしたいというふうに考えております。
  89. 河野謙三

    ○河野謙三君 仮定として伺いましょう。あなたの希望は末端は一本にしたい、こういう仮定のもとに立って、これは当然スタートにおいても、全漁連にいくものも、消費系統の方にいくものも同じである。これは簡単な算術ですね、との算術に間違いありませんね、このくらいはあなた、はっきりするでしょう。
  90. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これは全漁連を通す場合と、それから一般の特約店を通す場合と、これは私はやはりいろいろな事情があるのではないかというふうに考えます。たとえば元売業者とある特約店との関係においては、いろいろな取引の関係から、ある程度高くするとか、あるいは非常にまけてやるとか、いろいろな問題があるのじゃないかと思うのですが、一応標準としましては、私はできるだけ同じような歩調でやった方がよくはないかというふうに考えておりますけれども、この問題については、私の方でもっと検討した上で、はっきりした考え方を立ててやりたいと思います。
  91. 河野謙三

    ○河野謙三君 くどいようですが、僕は頭が悪いから、頭の悪い僕にわかるように言って下さいよ。要するに個々のケースは、商売はあいきょうであるから、元売は相手に安く売ってやろう、相手が金払いがいいから安くしてやろう、こういうことはわかるのですよ。そうでなくて、役所の指導としては、末端の消費者価格を一本にするというのなら、当然スタートも一本でなければならぬ。こういう指導方針を聞いているので、個々のケースを聞いているのじゃありません。これは間違いありませんね。一つ違ったらだめですよ。これはチョッキのボタンと同じで、第一ボタンが合わないと最後まで合わない。
  92. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 河野先生のおっしゃる御意見は、私はそうだと思いますので、その点は私十分検討して、調べた上で処置をしたいというふうに考えております。
  93. 河野謙三

    ○河野謙三君 はなはだ私は、そういうことはおかしいと思う。あなた政治的な答弁をする必要ないじゃないですか。簡単な算術をどうしてはっきりしないのですか。あなたは末端の消費者価格を一本にしたいと言ったでしょう。元も一本でなければ一緒にならない。別の算術がありますか。
  94. 川上為治

    政府委員(川上為治君) その末端と申しましても、地域別に非常に違います……。
  95. 河野謙三

    ○河野謙三君 そんなこまかいことは聞いてない、指導方針を聞いているのだよ。
  96. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 指導方針といたしましては、なるべく先生のおっしゃるような考え方で私もいきたいと考えております。
  97. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、これは最後に末端価格を一本にするということになると、先ほどあなたが言うように、あなたの方では、今の法律的裏づけがなければ、原価計算もできなければ、消費者価格、適正価格もできないと、こうおっしゃられたが、全漁連に割当をした、さらに消費者価格を指示するのだ、ここまで言った以上は、どうしても原価計算をせざるを得ない。これはやりますね、全漁連の割当は済んだのだから。
  98. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 全漁連の方からまだ私の方へどういうやり方で、どういう価格で配給するということを言ってきておりません。また農林省の方でも言ってきておりませんが、私どもの方としましては、なるべく早くそれを出してもらって、そうしてそれがもし適正であれば、そういうことでやってもらいたいと思うのですが、そういうものと、今申し上げました特約店系統を流すものと、私はよく調整をして、そうして歩調をそろえて販売させるように持っていきたいというふうに考えております。
  99. 河野謙三

    ○河野謙三君 私が言っておることは、全漁連の割当が済んだのだから、この油がすぐ動くでしょう。それをいつまでにおきめになるのですか。
  100. 川上為治

    政府委員(川上為治君) まだ全漁連に対する措置はとっておりません。これはなるべく早く私の方としてもやりたいと思うのでありますが、ただ十万キロよけいということになっておりますので、それと従来の関係が相当ありますので、私はこの問題は慎重に一つ、もちろん早くやりますけれども、いつまでと言って期限を切られることは、私自身としても、なかなかむずかしいことでありますが、なるべく早く誠意を持ってやりたいと思います。
  101. 小松正雄

    小松正雄君 いろいろ先輩からの御質問に対して当局からの御答弁がありましたが、私は一、二お伺いしたいと思いますが、このマル公を解いたために、消費者価格の方に大きく単価がはね上って迷惑をしておるというようなふうに私は考えられるのでありますが、そういたしますと、マル公を解かざるマル公時代のときは、たとえば一万一、二千円であった。それが今日では一万四千七百円に相なった。それでそんなに高くなったら、あまりにももうけ過ぎるという意味で、通産省の指導の一環として、元売業者から小売業者の方に払い戻しをしようというようなことを示達をしたということでありますが、そういたしますと、このマル公のあることの方がよかったのじゃないか、かように考えますが、その点について。
  102. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 現在、石油につきましては、一番問題になっておるのは、重油だけでございます。重油以外の、たとえばガソリンでありますとか、あるいはまた軽油でありますとか、あるいは桐油でありますとか、機械油でありますとか、そういうものにつきましては、これは別に、もちろん価格がある程度高いものもあるかと思うのでありますが、もし価格が高くなったり、あるいは需給が逼迫したり、そういう場合におきましては、いつでもある程度の外貨を出して、そうして輸入して調整したいというふうに私どもは考えております。従いまして、そういうものについて今マル公を作りたいという考えは毛頭持っておりません。ただ重油につきましては、先ほども申し上げましたように、これは石炭との特に関係から、どうしても一定の数量に限定をされて配給しなければならない状況になっておりまして、実際の現在の需要は少くとも年間六百万キロリットルは私はこえるのではないかというふうに考えておるのでありますが、それを本年度におきましては五百十万とか、あるいは五百二十万程度でこれを抑制しようというととろに私は価格の問題が非常に大きく問題となっておると思うのであります。従いまして私どもの方としましては、今この重油についてマル公を作るかどうかという問題については、これはもっと慎重に考えなくちゃならないと思いますけれども、少くとも価格について現在ある程度上っておりますので、これを何とかして引き下げるようにしなければねらぬ。特に石炭と競合しない部門、たとえば水産関係とか、そういうものにつきましては、私は特にこれを引き下げるような措置を講じなければならないのではないかというふうに考えておりまして、従いまして今衆議院の商工委員会に提案しております重油ボイラーの設置制限等に関する法律案におきましても、その第六条におきまして価格についてこれを調整するような措置、これは勧告等でありますけれども、そういう措置で何とかやりたい。また一面におきましては、行政指導で価格を抑制するように持っていきたい。そういう考えでやっておるわけでございまして、今直ちにこれをマル公制度を復活するということは果していいかどうかについては、相当私は慎重に考えなければならないものである、こういうふうに考えております。
  103. 小松正雄

    小松正雄君 それでありますと、一万四千七百円というものは石炭のトン当りと換算した場合に、どれほど高いということに考えられますか。
  104. 川上為治

    政府委員(川上為治君) この一万四千七百円というのはこれはA重油の価格でありまして、A重油というのは石炭とほとんど競合しません。これはほとんど海上用に使われておりまして、陸上用につきましては、農業関係に若干使われておるという程度でありまして、ほとんど海上関係でありますので、石炭とはほとんど競合いたしておりませんので、石炭の単価と比較して考える必要はないのじゃないかというふうに考えます。
  105. 小松正雄

    小松正雄君 それはわかりましたが、A重油の現在の小売がそういうことであるのについて七百円払い戻しといいますか。元売業者から消費者に売っておるいわゆる小売業者の方に向けるべきものは四月実施すべきだという期日の勧告を出した。勧告だけでもしきかないという場合には、これは河野先生のおっしゃるように、消費者の方が一日、二日たつ間にそれだけの商い物を消費していかなければならぬ、こういうことになると思うので、いつに実施期日をするかということを攻められておったということ、私はそれまでは申し上げませんが、この価格があなた方のお考えのように下らないという場合は、少くともマル公に戻してでも実施するということにお考えになることが、私は国民に対するほんとうの生活の上からにおいても安い割当にしていくというととは、あなたの指導的な責任からでもすべきじゃないかと思いますが、その点はどうですか。
  106. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 私はこの価格につきましては、現在A重油の一万四千七百円というのが必ずしも適正じゃないということも申し上げましたので、これはなるべくもっと検討しまして、これをもっと引き下げて、それを漁港別にはっきりしたその標準価格を作ってこれを実行させたいと考えておるのでありますが、その価格が極力守れるような措置を考えておりますが、その知れるような措置と申しますのは、結局漁業関係につきましては、特約店と元売業者とのつながりというものがきわめてはっきりいたしておりますので、もし実施しなかったものがあるときは、元売業者の責任といたしまして、元売業者の外貨を、協力した者につきましては外貨をよけいやる、協力しない者に対しては外貨を切るというようなことで、これをなるべく行政指導によってうまくいくように持っていきたいと考えております。もしそれでもなおうまくいかないというようなことになりますれば、今おっしゃいましたようなことも考えなくちゃならないかと思うのでありますが、私はやはりまだマル公制度にすぐいくということは、これはまだ早いのじゃないかというふうに考えております。
  107. 小松正雄

    小松正雄君 次官にお伺いしますが、石油資源開発株式会社法案について、いろいろ責任ある御回答を受けたい。かように考えているのは、さっき三輪同僚らの質問に対しては、私よりも大臣に聞いてくれ、こういうことですがどうですか、あはたで責任をもって私の問わんとすることができるか。あるいはそれができないというなら、初めから三輪同僚も大臣の出席を求められておりますので、ただここに次官がおられるだけでは、審議の過程に立っても、そういうことは答弁できないというようなことであれば、どうにもならないことだと私思いますから、そこでもう時間も相当たったと思いますが、一つぜひ出席していただくように、あなたから急いでここに来られるような手配をとっておられるか。とってないなら、すぐとっていただくようにお願いいたします。
  108. 古池信三

    理事(古池信三君) 通産大臣の御出席についてはさらに催促いたします。
  109. 小松正雄

    小松正雄君 ですからいつごろ来るか、来るまで待つか……。
  110. 古池信三

    理事(古池信三君) ただいまの状態は、通産大臣は衆議院の本会議で石炭鉱業合理化臨時措置法案がただいま上程されているようであります。従ってその採決のすむまではちょっと席を離れがたい、こういう情報でございますから、その間できるだけ政務次官にかわっていただくことにしたらいかがでしよう。
  111. 小松正雄

    小松正雄君 一つ開いて見ましょう。政務次官にお伺いいたしますが、私は今の問題に関連しまして、石油資源開発株式会社の法案については、非常に重要な考え方をするものなんであります。そこでお伺いすることは、第一にこの法案で一応元になる通産大臣が設立委員を命じて発足するということに相なるわけでありますね、そうすると設立委員というものは、通産大臣が人選に当って、どういうところからどういう人を命じようと考えておるのかということですね、第一に。
  112. 島村一郎

    政府委員(島村一郎君) 実は小松委員からも三輪さんと同じように先ほど御意見がございましたが、あれはエネルギー資源の非常に重要な問題だと思いますので、かえって慎重を期して、大臣から答弁申し上げる方が、皆さんに御満足いただけると思って、決して横着をいたしたわけではございませんので、さよう取り計らい願いたいと思います。  ただいまの設立委員の人選等につきましてのお尋ねでございますが、これはまだ内定もいたしておりませんというのが現段階でございますから、さよう御了承願いたいと思います。
  113. 小松正雄

    小松正雄君 内定もせずに、この法案がたとえば本日これがもう終ったとするときは、その日からどのくらいたってそういう人選をしようと考えておるのですか。
  114. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 大体法律によりましては、委員の設立は人数というものは別に限定しておりませんが、私の方としては大体二十名程度はどうしても委員を任命しなければならぬと考えております。それから二十名の委員の中には、あるいは金融業界代表者、あるいは現在の帝石その他石油採掘業者の代表者、あるいはその他この精製業者とか、そういう石油需要する代表者とか、あるいは天然ガスの関係もありますから天然ガスの関係者とか、あるいはその他の関係者、あるいは衆議院、参議院の代表者というような方々も入れまして、そうして設立委員を任命しましてやっていきたいと考えておりますが、これは今のところまだはっきりじゃこうするというところまではいっておりません。
  115. 小松正雄

    小松正雄君 その衆参というものの中からも入れていきたいというその政府の意図に対しては、私はとくと聞いてみたい。ということはこの地方の公共団体で、わずか地方公共団体の中の村会議員とかというような方々が、その土地で一つの公共的な土木建築の仕事が出た場合に、請負人でありながらもその請負に参加することができないというのが今日の世論であると思う。またそういう指導方針になられておると私は思うのであります。そういうときに至りまして、たまたまこの石油資源開発株式会社の社長にまだだれもしていられないとおっしゃるが、新聞では鮎川さんがなられようというようなことが出ておるわけですね、それはどうですか。鮎川さんをもう指摘して通産省ではその会長に持っていこうと、社長に持っていこうということになっておるのかどうか、それを一つお伺いしたい。
  116. 島村一郎

    政府委員(島村一郎君) 私はまだそれを伺っておりません。
  117. 小松正雄

    小松正雄君 じゃ新聞に出ておるというのは、新聞社から聞いて、どこから出ておるかということになったときに、あなた責任を持ってそうでないということを言われますか。
  118. 島村一郎

    政府委員(島村一郎君) たぶんそれはこういう誤伝ではないかと想像いたします。衆議院の商工委員会におきまして、幾日でしたか鮎川さんにおいでいただきまして公述をお願いしたことがございます。その席上鮎川さんの一句の中に、もし私にやれと言われればどうこうというようなお言葉がありました。たぶんそれを新聞が書いたのではなかろうかと想像いたしております。
  119. 小松正雄

    小松正雄君 私はこの石油資源の開発だけでなくて、たとえば帝石にいたしましても、国の持っておる国民の税からいたしましたその株券等に対する問題で、問題がないとかあるとかという問題があったようなことも知っておるわけでありますが、そういう国の経費をもってこういった大会社の発足あるいは帝石の将来に対しての援助方法をやろうとするのに、この衆議院であれ参議院であれ、職権としてその中へ入って、予算の裏づけに入ろうという人たちが、そういう所に入るということは決して私はよくないと考えておりますが、次官はどういうふうに考えておりますか。
  120. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 実は今までの例を見ますというと、たとえば電源開発株式会社の設立委員の中にはやはり衆議院、参議院の方々も入っておりますので、また日本航空株式会社の場合は、これはたしか入っていなかったようでありますので、私の方としましてはその辺も十分検討いたしまして措置をとりたいと考えておりますが、この石油資源開発株式会社につきましては、いろいろ国会関係の方面におきましても、これはぜひ作ってもらいたいという意見が相当ありましたので、衆議院では議員立法をしようじゃないかというようなこともありましたので、そういう点も考えましてただこれは私のきわめて私見でありますけれども、衆議院及び参議院の方からも入っていただいたらどうであろうかというふうに考えたわけでございます。
  121. 小松正雄

    小松正雄君 私はそういう人が入るということが、国民の疑惑を招く一歩ではなかろうかという考え方から、そういう人を入れるということについては私自身は反対なんです。であるが、通産大臣がそういうことを命令して、そういうものを作り上げて、そうしてその会長あるいはまた社長を命令によって命じて作り上げようというそのところに、私はどういう考え方でもってそういう人をしようとするのか、することがいいか悪いか、衆議院や参議院の中から現職にある者をそういう職につけることがいいと思っておるか、悪いと悪っておるかということを今聞いておる。
  122. 島村一郎

    政府委員(島村一郎君) この設立の問題につきましては、発足は非常に大事な場合でありますので、あらゆる方面からあらゆる知識を網羅していくことが、本格的にいくゆえんではないかと思っております。従ってあらゆる、両院の方々の御参加を願ってお知恵を拝借いたすというようなこともあろうかと思っておりますが、いまだはっきりしたことを申し上げることのないのをはなはだ遺憾といたします。
  123. 小松正雄

    小松正雄君 この法に基いてそういったことを網羅して、各般の中から網羅して作り上げていくことが一番望ましいと大臣は考えられるということになりますと、私は少くともこの中に、当然一緒になって働いていかなければならない人々の中からも、労働者の中からでも見出すものがあれば、人選の中に加えていくことによって、こういう政府の大きな金を持って臨まんとするこの会社の設立に対しては、国民の疑惑も解けていくということもあり得ると思う。そういう労働者の代表の方も相当の学識もあり、実態をよく把握し得る人があると思う。労働者だからそういうことに関係したって何もならないという考えであってはならないと思う。そういう意味からあなたの今申されるように、この会社を設立するためには諸般の中から網羅して作り上げていきたいと、かように考えておるということであるならば、そういう中からも入れるという心がまえがあるかどうか、それも一つ承わっておきたい。
  124. 島村一郎

    政府委員(島村一郎君) これもまだ大臣の御意向も伺っておりませんけれども、できる限り広い面から御人選申し上げようと、こういうふうにお考えであるのだろうと想像いたしておりますが、しかしこれは大臣に伺っておりませんから、自分の想像だけでありますから、そのおつもりでお聞き取り願いたいと思います。
  125. 小松正雄

    小松正雄君 それは話にならぬね。私はそうするならばあなたにとこに注文しておきます。お願いをしておきます。大臣に伺わなければわからないということであるならば、大臣に今あなたの言ったことを直接言うていただきたい、その一言だけ。少くともそういったものを作られるについて網羅してやろうというお気持に対しては、私は非常に喜びとするところであります。その中に労働者の代表を入れるということだけを、考えておるかおらぬではなくて、その中の一人としてでもこの際入れて設立委員というものを作り上げるということにしてもらいたいということを、あなたに注文しておきたいと思います。
  126. 島村一郎

    政府委員(島村一郎君) ただいまの御意見は間違いなくお伝えすることにいたします。
  127. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私はこの石油並びに天然ガス関係の開発のこの案件になっておる問題は賛成なんです。賛成なんですがね、やはり基本的な問題で大臣答弁をどうしても必要とする問題がある。これはこの法律に限ったことではありませんが、そのほかの法律でも、内閣がとにかく閣議を経て国会に提出した法律については内閣の所信というものはやはりただす点がどんな小さい法律案でも一、二点必ずある。従って石橋大臣は割合に気やすく国会へ出ておられるわけです。従ってよく手続をとって、法案の提案説明が終りました次の委員会とか、あるいはその次の委員会ぐらいはやはり基本政策をやるわけですから、大臣はちゃんと出て来られるようにしていただかないと、政府みずからが議事進行を阻害しておるようなことでは、私どもは一生懸命議事進行をやっているのだけれども、政府みずから議事進行を阻害しているようなものだ。その点は注意をしていただきたいと思います。  それから先ほど小松君が言われた新しい会社の人事並びに設立委員、あるいは次の役員等の人事の問題については、従来とかくの弊もあったわけだから慎重を期さなきゃいかんと思うのです。だからこれこそもう法律が通ればすぐできるわけだから、はっきりしてくるのですよ。どの人の知り合いでどうなったこうなったというととははっきりするわけだから、ごまかしがきかないのですね、この人事の問題は明確にこれは答えてもらわなければならない。しかも弊害は確かにあやまちを犯せば伴うわけですからね。この点はその場当りの答弁でなくて、十二分に慎重に研究されて答弁をせられぬといかんと思うのです、人事のことは。この点は小松君の御主張はごもっともだと思いますので、特にそういう意味で説明せられるようにお願いをしておきます。法律をみずから作り、そして作り上げた法律をもって会社を設立し、会社の仕事に従事したという実例もあることですからね、そういうことはよくないと思う。そういうことを明確にしておいていただきたい。  それから第三点として今三輪君もちょっと質問されておりましたが、私はその石油関係国際カルテルが日本に及ぼしておる影響、特にこの精製業者の経営内容その他について非常な疑問を持っております。たとえば私のところにもこういうパンフレットが来ておりますが、「石油関税の増徴は国民経済を脅かす」、中を読んでみると別に脅かすようには思えない。ただ自分のところの会社が今までの通りに工合よく自由奔放にやれぬということが書いてあるだけなんです。ちっとも国民経済を脅かすとは思えない。これは内容を一ぺん大臣がみえたら全部あらいざらいやってみたい。それから帝国石油の労働組合から出ている「原油及び重油関税復活に関する意見」、これを読んでみるとこれと全くうらはらですよ。どっちがこれ正しいのか同じ日本字で書いてあるが……。これはやはり大臣の責任において黒白を明らかにしてもらわなければならないと思う。これを全部やってもらおうとは思いませんが、一番重要なところだけ二、三点、こちらと合わないところだけをやってみたい。このパンフレットを読んでみると、石油業者と精製業者が利益をあげているということはみずからはっきり認めております。しかしその利益をあげていることを、関税をかけてどうこうというふうにやきもちをやくということはけしからぬと書いてある。それははっきり書いてあります。これは線を引っぱってある。こういう態度石油精製業者がおるやつをそのままにしておいて、そうして石油政策というのは私はないと思う。これは川上さん笑っておられるけれども真剣なんですよ。だからこれは次回に譲りますが、問題点だけを私は言っておきます。
  128. 小松正雄

    小松正雄君 局長に重ねて伺っておきたいと思いますのは、先委員会のときですか、重油規制に関して百万キロリッターは本年は抑制するんだ、規制するんだとおっしゃったが、これは間違いありませんか。
  129. 川上為治

    政府委員(川上為治君) この会社を作りまして、そしてこの会社が試掘に対しまして非常な力を尽していくということも、実は石油の五カ年計画であります。五年後におきましては百万キロリッターを出すという計画をこの会社に実行さしたいという考えで実はこれを出しておる次第であります。
  130. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 この法律案政府提案で出されれるまでのいきさつを、われわれ寡聞なあれて察しますに、初め政府で提案をされようとして準備されて、大蔵省との折衝の過程で国内石油開発の根本方針について重大なるそごがあって、そのために衆議院の商工委員会の燃料小委員会で議員提出でやろうとしておる。それが三転してまた政府提案になった、こういう事情であるように聞いているのですが、政務次官その通りですか。
  131. 島村一郎

    政府委員(島村一郎君) その間の事情を私は詳しく存じておりませんから、政府委員からお答えします。
  132. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 石油開発につきまして助成金のやり方でゆくか、それとも出資して会社を作ってそうしてやった方がいいという問題について、大蔵省とちょうど予算の折衝最中にいろいろその通産省との間に意見の食い違いがありました。結局最後のところでもその問題につきましては話がつかないで、一応助成金として出そう。もし会社ができましたならば、その会社に対しまして本年度におきましては助成金を出そうという了解のもとにそういう話し合いなっていたわけでございます。その会社を作るという問題について、大蔵省としては従来非常に反対をしておりましたことは事実でございます。現在の帝石に対しまして従来と同じようにある程度の助成金を出していけば十分それでいけるんじゃないかという見解を持っていたのですが、私どもとしましてはそれではとてもいけない、政府の助成金を相当出すということであれば、現在の帝石のままではとてもいけないし、また民間の方からも金を相当出してもらうということであれば、これまた現在の帝石ではどうしてもいけないので、帝石そのものを特殊会社にするということが、これがもしできないならば、どうしてもこの際特別な会社を作って民間の金を集め、政府の金も入れてそうして大きくやることが、それが最もいい方法ではないかという意見を出しまして、その間に話が最後までまとまらなかったということは事実でございます。それからこの問題が国会に持ち出されまして、国会でいろいろ論議しましたところが、衆議院におきましては各派ほとんど全部の方々がどうしてもこの際特別会社を作ってそうしてやるべきじゃないか、もし政府の方でこれをそういう会社案を提案しないならば、自分たちの方で提案しようというような話し合いになったことも事実でございます。われわれの方としましてはそれに対しまして、そういう国会の情勢も判断しまして、いろいろさらに大蔵省と折衝し検討しました結果、政府の方からこの会社案を出すということにきめましてそうして出した次第でございます。
  133. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そういう経緯をたどった結果政府提案になったとすれば、初め障害になっておった大蔵、通産両省間の根本的な国内石油資源開発の方針の相違というものは、その間において了解ができたのですね。
  134. 川上為治

    政府委員(川上為治君) この会社を作りまして、そうしてどうしてもこの際積極的て石油の増産をはかろうじゃないかということについては意見の一致をみております。これは大臣からも衆議院の商工委員会ではっきり申されております。
  135. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 その間大蔵省では百万キロリッターくらいのものなら、むしろ外国燃料を輸入した方がいいじゃないか、特殊会社まで作ってやる必要はないではないかというような御意見があったように聞くのですが、それは事実ですか。
  136. 川上為治

    政府委員(川上為治君) それは大蔵省の中でもそういうことを、これはいろいろ議論しておる間にそういうことを言ったことはございます。しかしこれは大蔵省全体の必ずしも意見ではないとわれわれは考えております。これはいろいろ見方がありますので、そういう意見を言った方もありますけれども、今申し上げましたようにこれは最後的には大蔵省も十分了承して、どうしてもこれはこの際計画的な大増産をしようじゃないかということになりまして、この会社を作るような法律を出したわけでございますが、その点は大蔵省との間に私の方は、話は、すでについております。
  137. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 この点はもっとほかにたくさんありますが、大臣に出てもらって所信を聞かなければならぬのですが、大蔵大臣は、まだ来れないのですか。
  138. 古池信三

    理事(古池信三君) 今、催促いたします。
  139. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 大蔵大臣も通産大臣も来れんということになりますと、どうも審議が進められないように思うのですが……。
  140. 古池信三

    理事(古池信三君) 通産大臣は、先ほど申した通り衆議院の本会議に行っており、大蔵大臣は参議院の大蔵、決算連合委員会に出席しております。ただいま催促にやりましたから、しばらくお待ち下さい。
  141. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 僕は質問は留保いたします。
  142. 藤田進

    ○藤田進君 それでは事務的なことを、二、三、伺いたい。この法律に直接ですが、出資が、九億ということでありますが精製会社の四億五千万円の割り振りですが、これを先ず第一にお知らせいただきたいと思います。
  143. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 初年度におきましては出資は九億と考えております。そのうち四億五千万円程度をこれを政府の出資にしたいと考えております。この政府の出資につきましては、これは現在政府が帝石が持っております株を本年度におきましては振りかえたいというふうに考えます。これが大体時価で評価しますというと、四億五千万円、それ以上になりますので、そういうふうに考えております。それから残りの四億五千万円につきましては、これは三億程度帝石の方から出すことになっております。これは出資として出すことになっております。この三億の出資につきましては、帝石の方からは通産大臣に対しまして、必ず初年度に三億出す、それから次年度以降につきましては、三億以上のものを出す、こういう文書を出してきております。なお株主総会ではまだ決定をしておりませんが、取締役会におきましては、はっきりそれを決定いたしております。残りの一億五千万円程度を本年度におきましては精製会社、主として精製会社でありますが、精製会社の方から出してもらおうということにしております。その精製会社の方はじゃどこが幾ら出すか、どこが幾ら出すかということは、まだ決定をみておりませんけれども、各社の方からは通産大臣に対しまして文書をもちまして、十分それに対して協力するという申し入れをしてきておりますので、本年度一億五千万円程度のものにつきましては、十分確保できるのじゃないかというふうに考えております。
  144. 藤田進

    ○藤田進君 それではですね、初年度が九億ですが、最終的に当面見通し得る増資計画ですね、次年度からのそれと、帝石が初年度三億出して、次年度三億五千万と、こうなんですが、帝石の出す財源ですね、これについて御説明願いたい。
  145. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 帝石におきましては、従来から毎年三億ないし四億程度の試掘をやっているわけでございます。その試掘を今後は帝石はやめまして、あげてこの会社でやることになりますので、その金はこの会社に出してくるということになるわけでございます。
  146. 藤田進

    ○藤田進君 それから一億五千万円の精製会社の分は、その精製会社の団体からそういうものを引き受けるということでなくて、個々の会社から通産大臣に回答があったように聞くわけですが、そうすると一億五千万円というのは、通産省の方できめたわけですか。
  147. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 本年度一億五千万円程度というのは、これは通産省できめたわけでございまして、五カ年計画を実行します初年度として少し、これはどうせ開始は十月の一日ごろからだと思いますので、そこで初年度におきましては九億程度のうち、精製会社、主として精製会社でありますが、そうした民間の方からは大体一億五千万円ということは、これは政府と申しますか、われわれの方で大体そういう計算をしたわけでございまして、この金額等につきましては、精製会社の方にも大体話してありますので、精製会社の方は団体から、じゃ、これを出しましょうということにはなっておりませんが、各社の方から大体応分のものは出せるということを言って参っておりますので、一億五千万と申しましても、精製会社ちょうど九社ありますので、まあ千五百万円から二千万円程度ということになりますので、これはまあそれほど大きな問題ではないのではないがというふうに考えます。現に二、三日前におきましても精製会社を集めまして、この会社に対する協力をいろいろ相談しましたところが、その程度の金は本年度におきまして出せるというようなふうに聞いておりますので、問題はないのじゃないかというふうに考えます。
  148. 藤田進

    ○藤田進君 この会社にかねて鮎川さんの主張を聞きますと、彼が帝石の会長になられたときに、商工委員と懇談した際にも言われていたことですが、もうすでに国内の資源を開発するということはいろいろな面から見て不得策であるから、たとえばアラブのごときところですね、自分も行ってきたのですが、そこのところの王様と会ったが、そういうところを開発する、そのための技術養成をし、資本を必要とすると、こういうふうに言われて、かなり固い信念と行動を用意されていたように思います。これは文書によっても各委員に配付されておりますが、そういう意見に対して現実の鮎川さんのところからも出資をし、開発は一応この会社に譲った形になってくるわけですが、非常に簡単ですが、しかし内容はすでに御承知でしょうから申し上げませんが、そういうような鮎川さんの意見がこれによって受け入れられることになるのか、具体的にはこれは国内、国外の隔ては法案としてはありませんが、国内資源の開発だけをこの会社は当面の目的としているようにも見えるが、そういう海外への進出についてこの会社がなし得るようなお考えが現段階であるかどうか、この点をお伺いしたい。  それからいま一つ先ほどの質問で残っているのは、将来の増資計画についてまだお答えがないと思います。
  149. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 関連して。帝石が初年度において三億円、次年度に三億五千万円、それから精製会社が一億五千万円出資をするという一札が通産省に入っているということですから、その一札なるものを一つ出していただきたい。きょうでなくてもいいです。それからそれは一体法的な拘束力があのものかどうかということについての御所見も一つあわせて承わりたい。
  150. 川上為治

    政府委員(川上為治君) この将来の増資計画でありますが、大体この会社は三十五年度におきましては七十九億、約八十億程度の資本金を持つ計画にしてあります。初年度は先ほど申し上げましたように九億、三十一年度が十四億、それから三十二年度が十四億であります。
  151. 藤田進

    ○藤田進君 それは資料をもらってありますか。
  152. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これは資料を差し上げてあります。
  153. 藤田進

    ○藤田進君 そうですか、資料があれば、その点はいいです。
  154. 川上為治

    政府委員(川上為治君) それから鮎川さんがどういうふうにおっしゃったか、これは私どもも余り詳しくは聞いておりませんが、鮎川さんのお考えも、大体われわれの方と同じではないかと思っているのですが、ただ海外進出と申しますか、海外協力と申しますか、そういう点が余り強く出過ぎておっしゃっているのじゃないかと思うのですけれども、やはり海外に出るにしましても国内資源を相当開発しまして、そうして技術の養成なり、そういうことをしなければ、外国に対しましては、なかなか出にくいというようなことも、鮎川さんはよくわかっておられると私は思っておりまして、そういう意味から、こういう会社をどうしても作らなければならぬということを鮎川さんも今までたびたび方々でおっしゃっておりますので、その点につきましては、これは私の方と大体考えは同じではないかというふうに思っております。ただ、この会社ができまして、この法律で海外に対しまして、この会社がその開発をやれるかどうかという問題につきましては、この第一条におきましては「石油資源の開発を」というふうになっておりまして、特にわが国のという文句を入れてありませんので、私の方としましては、この会社としましては、もちろん事業として海外の仕事もできるものと解釈をいたしております。しかし、この会社はどこまでも原則として国内石油資源をこの五カ年計画に基いてやりたい、これを主たる任務と考えておりますので、私どもの方としましては、この会社の運営につきましては、国内の開発を第一義的に考えたいというふうに思っております。  それから今三輪先生がおっしゃいました精製会社なり、あるいは帝石の方からの一札でございますが、今私ここに、手元に持って参っておりませんので、他日持って参りまして御説明申し上げたいと思います。
  155. 藤田進

    ○藤田進君 そうしますと、特にそういう点意識して、国内わが国石油資源の開発と書かなかったということであれば、将来この会社は海外の開発にも当るということで、一応立法する際の考慮としては考えていいし、そういう含みがあるということでありますか。重ねてお伺いしておきます。
  156. 川上為治

    政府委員(川上為治君) その点は今おっしゃる通りであります。しかしどこまでも、第一義的に私どもは国内資源の開発を行いたいと考えております。
  157. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 今の鉱山局長のお話は、法案の提案理由の説明には全然書いてありませんね。それにはどう書いてあるかというと、「国内における石油資源を急速に開発し、」ということになっておる。これはもし今の鉱山局長のおっしゃることが正確であり、しかもそれが将来行われるということであれば、この提案理由の説明のところを補足されておく必要があると思うのです。僕はあくまで国内資源の開発という意味で話を聞き、そういうふうに頭をまとめたのですから……。
  158. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これは私の方としましては、先ほども申し上げましたように、この会社はさしあたりにおきましては、国内資源の開発というものを第一義的に、とにかくこれに最重点を置いてやるというふうに考えておりまして、海外の石油の開発に対しまして大きな金をこの際出してやろうということは、今は考えておりませんが、これはそういう時期が参りましたならば、この会社においてできないことはないというふうに考えておりますので、特に提案理由の中に、海外の方も大いにやるのだというふうに書かなかったわけでございます。それからまたそういうことをはっきりこの法文等に書くことがいいかということは、国際的な関係もありますので、どうかと思いますので、そういうことは特に私の方としましては書いてございません。
  159. 藤田進

    ○藤田進君 この会社ができて試掘に入っていけば、当面は石油の探鉱だけになりますか。それともこれは七条では一応四つ書いてありますが、これを関連して、第四の場合は別としましても、一から三までは同時的にこれを行うという計画、これはいろんな資料も出ておりますが、どうも不明確ですからお伺いするわけです。ことに石油の販売をするということになりますと、これは精製の事業もかねて行うというふうに理解せられるわけですが、その点もあわせてお願いしたいと思います、どうなのか……。
  160. 川上為治

    政府委員(川上為治君) この会社はどうしてもこれは探鉱が非常におくれておりますので、探鉱をすることが、これが第一義的でございまして、探鉱に非常な力を尽したいと思うのですが、実はもう次年度以降におきましても、その探鉱したところから採掘するところまでを考えておりまして、次年度におきましても、あるいは三十二年度におきましても、相当の油が出るものとわれわれは考えておりますので、当然採掘の方もやることになるわけでございます。従いまして探鉱を、これはもちろん第一義的にやるけれども、それが当りまして、当りましたときは採掘の方へももちろん金を出しまして、そうしてやるということに相なるわけでございます。  それから付帯事業としまして、精製設備を持つかどうかという問題につきましては、現在のところ精製をやる考えは持っておりません。
  161. 古池信三

    理事(古池信三君) ちょっとお諮りいたしますが。今通産大臣が御出席になったのですが……。
  162. 藤田進

    ○藤田進君 ちょっと、今の答弁が残っているのだから、それは通産大臣、ちょっとがまんして下さいよ。それで、今の精製はしないが、販売をするということになれば、この会社が探鉱、採取したものを、原油を一たん精製の会社、既存の会社に売って、その精製された石油をまたこの会社が買って、その石油の販売をすると、こういう手順になりますか。
  163. 川上為治

    政府委員(川上為治君) それはそういう意味ではなくて、これは石油の中で原油、この原油という意味でありますが、この原油を採取しまして、そうしてその原油を販売するというわけでございます。
  164. 古池信三

    理事(古池信三君) それでは、通産大臣が御出席になりましたから……。
  165. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 大臣にお尋ねする前に、先刻ちょっと答弁されておった授権資本が八十億という、資料によっての説明がありましたね。これはなぜ電源開発会社等のごとく、授権資本を法律に明記しなかったのですか、会社の定款ででも明記するというのですか。
  166. 川上為治

    政府委員(川上為治君) この点につきましては、われわれの方もいろいろ検討いたしたのですが、実はこの七十九億という金を、七十九億にした方がいいか、もっと実は九十億くらいにした方がいいか、六十億くらいにした方がいいかという点につきましては、十分検討を要する点もありましたので、実ははっきりとこの際八十億ということを書かない方が、かえっていいんじゃないかというふうに考えまして、やったわけでございます。ただしかし国としては、常に二分の一以上を持つということをはっきりしておけば、それでいいんじゃないかという意見も相当ありましたので、実はそういうことにいたしたわけでございます。
  167. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 先ほどあなたの御説明になった八十億というのは、これは一応の案なんですか。まだ固まってないのですか。
  168. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これは私の方でいろいろ検討しまして、一応の、大体これはこういうことで進みたいと思いますが、そういう意味の計画でございます。
  169. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 この前の委員会のときに、大臣もちょうどおいでになっているときに、日本の燃料政策の根本的な方向について御質問をしたときに、精製会社の資本構成と、外国資本が持って行く利潤についての資料を求めておったわけです。それと今日提出をされましたそれによりますると、大部分の精製会社が五〇%ないし五五%の外資比率でもって、資本構成がなされており、しかも外国株主に対する配当金も四億、三億、二億近く各会社が配当いたしておりまして、合計して十一億円以上に上るのであります。そのほかこれらの外国会社は、その出資している精製会社に原料を売っているわけですから、その面から受ける利益その他を加えますると、もっとこれは大きな数字に上るものだろう、かように考えられます。さらに先ほど質問をいたしましたが、このたびの日英通商航海条約の公式の会場において、日本の外貨割当は、不当に少いというような、聞きようによって、内政干渉と十分に認められるような発言もされておりまして、それが日本の将来における外貨の割当に影響を及ぼすのではないかということさえも考えられておる。またその他の事例等から考えましても、われわれはこの国際石油カルテルというものの巧妙な仕組み、その大仕かけな燃料支配というものに、実はびっくりしておるわけであります。日本においてもこの法律なりあるいは石炭合理化法その他の燃料に関する一連の法律は、これは日本の生産物の輸出コストをいかにして低下し、貿易を伸長するかということ、さらにたくさんかかえておる失業者を完全雇用をしていく道を、そういう産業発展の過程においてどういうふうに求めていくかという非常に大きな問題に遭遇しているわけです。そういう場合に物を作るその大もとである燃料をこういう形において握られておる、支配されておる。ちょうど首根っ子を押えられている形においてわれわれはそのワク内において政策を検討しなければならん。こういうような、言葉をかえれば、まことに植民地的な燃料政策というものが大きな波が日本に押し寄せているということをば考えざるを得ないのであります。この国際石油カルテルというものに対して大臣はいかに御認識になり、しかも将来においてこれをどういうふうに打開をしていって、日本の燃料政策の自主性というものをば取り戻す御決意があるかどうか、この辺を一つお伺いしたいと思うのであります。
  170. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) これはなかなか大きな問題でありまして、関係するところが大きいのでありますが、この現状はとにかく戦後、占領中にいつの間にかこういう形ができてしまいました。私どもも決してこれに満足しておるわけではありません。これは打開すると言っても、今の、この最近、今シェルの話が出たかどうか私は知りませんが、とにかく英国側では、米油でなくて英国系統の油をもっと入れてくれ、今よりも……。そうすれば、米国系統の油で抑えられておったことは事実であります。入れてくれという要求があることは事実と思います。現状においてはとにかく英米系統の石油というものが世界市場を支配しております。ほとんどみんなその最初の油の出るところを握っておるというような格好でありますから、これはある程度いかんともすべからざる状況であるということはありますが、これを打開するためには英米系統以外の石油を開発し、そうして日本へ入れる、あるいは日本自身が石油を生産するということでありまして、今度の開発会社もまあいささかさような野心を持って国内の油田を一つ開発してみようというわけでありますが、これはどれほど力になるかということは、まだやってみなくてはわかりませんが、そのほかにこれはあまりそう大っぴらに言うてはおもしろくないかと思いますが、インドネシアでありますとか、あるいは南米方面には相当日本人の開拓を待っている油田もありますので、この石油会社でこれは一つは技術の問題がありまして、この今度の開発会社によって最新の技術、最新の機械も取り入れて日本人の十分技術を養って、国内の油田を開発すると同時に、場合によったら外国の油田を開発するところまでいってもいいのじゃないか、これは私そう考えております。そういう方法で逐次それは英米系統の覊絆を脱するということ以外には、これは急激にどうするというふうにいかんと考えております。
  171. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 それから数少い会社が、精製会社で全く外資によらないものもあるようにこの資料に見受けられたわけですが、こういうふうに同じ精製業という中に、一方には五〇ないし五五%という外資が入り、一方には全然民族資本で経営されておる、こういう二つのものがはっきりしておる場合に、通産省としては何らかそとに外資の割当なりその他の政策において、行政指導において特別な自主的な手心を加えるというような保護育成とか、そういうようなことについてお考えになり実施されておることがございますか。
  172. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 外貨の割当の面におきまして、外国資本が入っておるものと外国資本が入っていないものとを区別してやりますことは、これは非常に問題があろうかと思いますので、従来特別に日本資本だけでやっておるからといって外貨をよけいにやるようなことはいたしておりません。ただ、たとえば開銀の融資の問題でありますとか、あるいは興銀等から融資してもらうとかいうような、そういう場合におきましては、私どもの方としましては外国資本の入っていない、この日本の資金だけでやっておりますような方面に、極力優先的にやっておりまして、外国資本の入っておるものはそれは外資導入なり、そういうことで適当にやったらいいじゃないかということで、私どもの方としましては、こういう日本資本のものだけに対しましては極力そういう資金のあっ旋んとか、そういう面で援助いたしております。
  173. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 それで直接この法律に入ってお伺いしますが、先ほど川上局長からも聞いておったのですが、この法律を出されたいきさつですね、初め政府提案を計画され、その後大蔵省との折衝の過程において国内石油資源開発政策に対する根本的な方針の相違から、衆議院の商工委員会の燃料小委員会で案をまとめるという段階になって、その後さらに三転して政府提案になった。この間のいきさつを考えますと、前においては相当通産大蔵両省の間にこの法律をめぐって、この石油開発をめぐって意見の相違があったということが考えられるわけです。それで今日においてはその意見の相違は全く解消されておるものか、またその相違しておったおもな点は一体どういうところにあったのか、これは大蔵省にもあとでお伺いしたいと思いますが、大臣から一つお伺いしたいと思います。
  174. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 遺憾ながら御指摘のように予算編成のときで非常にごたごたしているときでありましたが、われわれとしては開発会社を別途作る、これはいろいろ議論がありまして、帝石というものが元来特殊会社みたいなものだから、帝石にやらせた方がいいじゃないかということをわれわれも考えましたし、別個にやるのがいいかという、いろいろ論がありましたが、とにかくいろいろ検討の結果、帝石はもとは特殊会社でありますが、今はもう普通の会社になりまして、あれをまたふたたび特殊会社にするということは、現在の株主等の関係からなかなかむずかしいというので、開発事業だけを別個の特殊会社でやろうという案をわれわれとしては考えておる。大蔵省と話し合ったのでありますが、ちょうど予算編成と同時でありまして、非常にごたごたしておるときでありまして、この開発会社の法案と同時に予算の方との話し合いを一緒にすることは、事務の進行上に不都合をきたすというふうに私考えましたので、とりあえず今まで通り帝石に三億円の補助金を与えて、ことしは開発をやらさせるというつもりで、これは妥協いたしたわけであります。その後国会の方でいろいろ議論が起りまして、議員提案にするというような話もありましたが、だんだん落ちつきまして、大蔵省の方も考え直しまして、現在においてはこの石油開発会社に大蔵省も協力している、こういう形になっておりますから、今後の進行には支障はないだろうと思っております。
  175. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そういうふうに意見の違うことから考えましても、また常識的に考えましても、石油資源の探鉱事業のごとく非常に危険度の多い事業につきましては、これは営利企業の形態をもって行うことは不適当だ、こういうことがやはり基本的に流れておる考え方ではないかと、こういうふうに思うのであります。この点に対する大臣の御所見を伺いたいと思います。
  176. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) お説の通りでありまして、たとえ帝石にやらせるにしても、帝石だけの危険負担でやらせるというととは、とうてい困難でありますから、今年度も三億円の補助金を出しておる、こういうわけで、国家が資金を注ぎ込んでやろう、こういう決意を持っておったわけであります。でありますからむろん御説の通りであります。
  177. 海野三朗

    ○海野三朗君 そういたしますと石油開発会社と帝石との関係はどうなりますか、開発会社と言ったって、いつまでも開発会社でもっていかれるというわけのものではないでしょう。そうすると何年かの後においては帝石とどういう関係に結び付けようとのお考えがあるのですか。
  178. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) ただいまのところでは、新たに帝石と結び付けるという考えは持っておりません。ただ現状におきましては、大体鉱区は帝石が前からのいきさつで大部分持っているのでありまして、その鉱区を新会社が引き受けて開発させる。人間も実情に応じて開発に適する技師とか、労務者は大体帝石に集まっているのでありますから、初め帝石から人間を分けてもらってやるというような考えでありますから、従ってしばらくの間は、帝石とはあなたがおっしゃるような格好で非常な協力態勢をとらなければうまくいかない。そのつもりでやっておりますが、将来この会社が開発がいつ終るということは今見当もつかないわけでありますが、成功をおさめまして、そうして開発ができたという場合に、また帝石と一緒にするというような考えは持っておらないのであります。
  179. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 関連して……。実は私もこの法案で一番中心の点はそこだと思う。たとえば帝石の設立された時期はおそらく、私はよく研究しておりませんからわかりませんが、国家資本を背景にして作られて、今の開発会社法の精神と同じような格好でスタートをしたものだと思う。そうしてだんだん開発していって、行き詰りがきて今日の状態になった。この開発会社がまた国家資本を背景にしてやっていきますと、年月がたっていくと、今日の帝石と同じ姿になる。そういうふうに考えますと、完全な第二帝石と私は言ってかまわないと思うのですが、第二帝石になる。そうして今帝石は要するにもう油田の開発はやめて、今掘っている井戸を維持、補修して油をくみ続ける、そうして油がとまればそれでおしまい、こういうことになると思うのですが、そういうことの事実認識が間違っているか、あるいは正当であるかということをあなたにお尋ねしたいことが第一点。もしそういうことであれば、なぜ現在の帝石をもう一ぺん投資会社として再出発のできるような措置が講ぜられないのか。なぜ屋上屋を重ねるような体制をとらなければいかぬのか。そういうことをしなければならぬのには何か事情があると思いますが、それはどういう事情があるのか、それを伺いたい。
  180. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 別段大して深い事情はございません。ただ帝石は先ほど申しましたように現在はとにかく民間会社になって、政府も株を持っておりますけれども、大株主もおりまして、これをまた政府関係の投資会社に戻すということには、現在の株主の承諾を得るということが必要でありましょうし、それから帝石の希望は現在の油田を利用し、またガスと一緒にして、ガス化学と申しますか、それを一つやりたいというのが現在の帝石の希望でありますから、それはそれでけつこうであります。それはそれとして、日本産業としてガス化学をやってくれるということも大いに歓迎すべきことでありますから、帝石の希望にまかせて、一つ油田試掘の負担をこちらで引き受けてやる。そうして身軽にして帝石は帝石として新しい分野を開いてもらう、かように考えます。
  181. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私はそこが問題だと思う。なぜかと言うと、帝石をたとえば解散をして、もう一ぺん再編成をして投資会社に作り直すには、株主の承諾を得なければできないと言う。しかし今大株主というのはどういう株主かというと、長い間帝石発生以来政府の手厚い保護を受けてだんだん伸びてきたんで、株主だけの努力でそうなっているのではない。私はそれは今作られようとする会社と同じだと思います。そういう会社でありながら鮎川さんが会長になる前までは、終戦当時の帝石の内部の混乱状態はどうでしたか、株主のエゴイズムに左右されておった。鮎川さんが入ってやっと収拾した。そうすると、そういうような国家の手厚い保護を受けてここまで育ってきた帝石というものはわざわざ第二会社を作らなければスタートできないそんな弱い国家権力ではないと私は思う。なぜ一刀両断にできないのか。大株主の承諾を得なければできないとおっしゃるが、それは法律的にできないのか。現実に株主の中にそういうエゴイズムの人がおってできないのか。これは私は大株主の名前は当時あの会社の内紛のときには若干、直接関係はしておりませんけれども、陳情を受けておりますから知っております。どういう性格のもので、どういう男であるのか……。だからその点は私も帝石のことはまんざらしろうとじゃありませんから、それをお含みの上で一つお答え願いたい。
  182. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 現在帝石に対しまして政府としましては約一八%の株を持っております。残りはこれはすべて民間の株主でございますが、この帝石をこの際特殊会社に持っていくということになりますと、三分の二以上の議決を要するのでございまして、この点につきましては、私どもとしましても何とかしてこれをそのまま特殊会社にした方がよくはないかという意見もあったのであります。また鮎川さんとしましてもいろいろその点をおっしゃっていたのですが、この大株主、中株主等にいろいろ当ってみますと、現在におきまして帝石を特株会社にするということはどうも反対する人が相当ありまして、果して三分の二の決議を得るかどうかということが非常に問題でありましたし、それからまたこれを無理にやるということはこれは現在の法律上できませんので、従いましてわれわれとしましては、この際やはり別会社を作ってやった方がよくはないかと考えまして、こういう法律を出したわけでございます。
  183. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そのところ若干牽強付会のところがありますが、無理にできないとおっしゃいますけれども、鳩山内閣の有力閣僚の中には、電気事業の再々編成を唱えている。あっちの会社とこっちの会社をくっつけるとか、こっちとこっちをくっつけるとか、そういうことを堂々と述べている人があるじゃありませんか。これだって株主の承諾が得られなければ民間の会社はできません。その点ロジックが合いません。これは大臣の答弁を求めます。
  184. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 議論として電源会社の再々編成とかありますが、それをいよいよ実行しようとすればなかなか問題だと思います。ですから、同じ議論で帝石を特殊会社にして、これに開発をやらせようじゃないかという議論はわれわれの中にもありました。ただその議論をその通り実行することは相当無理もありますし、それで従業員関係もやはり今の帝石をそのまま存続してほしいというような意向もだいぶありましたし、かたがた、開発は別の会社でやった方がかえっていろいろなフリクションを起さずにやれる、こういう考えを持っております。
  185. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは、私はお言葉を返すわけじゃありませんが、あれが将来北海道の油田が開発されるとか、他の地区に開発されるということならいいのですが、おそらくは秋田にも、新潟にも、山形にも今の鉱区のあるところでどんどんやられるでしょう。そのときに採油の設備からその他送油の設備等全然別会社ですから、二重設備が行われる。もう一つの欠点は帝石から油を掘ることを取ってしまえば、その技術者が若干動揺することはもちろんでしょうが、それと同時に残された井戸だけをもらった帝石、現在の帝石というものは末細り、だんだん油を掘っていけば油がなくなる。有限ですから……。そういうこそくなことをしないでも、現在の帝石というものを投資会社に再編成して、そうして日本には国策会社、石油開発並びに採油会社は一つしかないのだという従来のやり方で一番いいと思うのです。大臣も話題に上ったとおっしゃいましたが、おそらく大臣も私の今述べているような方法がいいと私は腹の中では考えているとそんたくします。あえてこれはそんたくでありますが、そんたくする。その場合に株主が承知しないと言うのですが、電気事業と帝石と考えた場合、電気事業は明治以来発達してきたけれども、帝石ほど直接国家の庇護を受けておりませんよ。資金的にもその他にも……。なるほど独占地域の恩恵は受けているけれども、その他にはない。金銭的にそんな深いものはありません。ところが帝石というのは、とにかく政府が株を持って政府が投資をしてここまでやってきたのだから、株主になぜそう遠慮されるのか。電気事業の再々編成を唱えるだけの強い信念を持っておられる現内閣の閣僚がおられるそういう意思堅固な鳩山内閣が、なぜ帝石の株主に遠慮されるのか。行政指導力をもって十分できるじゃございませんか。話題になったとおっしゃるのならなぜ遠慮なさるのか、その理由。
  186. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) どうもそのお尋ねにはお答えしにくいのですが、それは力を用いてやればできない限りではないかもしれませんが、私はそんな力を用いてわざわざやる必要はない、こう考えております。
  187. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そういたしますと、電気事業の再編成の方もこれは純然たる民間会社ですから、これはやはり株主がいやだとおっしゃったら、そんなに強行されませんよ。
  188. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) これはむろん株主の方は十分尊重します。今政府として再々編成をするということをきめているわけではありません。ただ一部の閣僚の中に、したら非常に経済的になるのじゃないかという意見があることは事実でありますが、われわれとしては採用しているわけではない。
  189. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 まだ結論は出ておりませんけれども、事務当局で一生懸命研究されていることは事実でしょう。
  190. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) これは帝石の場合に……。
  191. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 内閣の命令によって……。
  192. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) いや、内閣の命令によってはやっておりません。ただ通産省としていろいろの場合があることを想定して、事務的な研究はむろんやっております。
  193. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 株主が承知しそうにないものをなぜこの急がしいのに研究されますか。帝石ですらできないとさじを投げている。これほど、政府関係のある帝石でさえできないというのに、それほどに圧力のかからない電気事業の再々編成などというよけいなことをなぜ研究されるのか。
  194. 川上為治

    政府委員(川上為治君) ちょっと大臣がお話をしましたことに付言いたしますけれども、実はこの帝石の会社を特殊会社にした方がいいか、それとも別個な会社を作った方がいいかという問題につきましては、先ほども問題になりました精製会社その他の方面のこれは協力も相当得なくちゃなりませんので、そっちの空気もいろいろ聞きましたし、また先ほど大臣からお話がありましたように、従業員の方面の意見も聞いて、やはりこの際新しい会社を作った方がよくはないか、むしろ新しい会社を作ったらこういうふうにわれわれに協力するのだという方々もだいぶありましたので、実はそっちの方をとったわけでございまして、ただ株主の方面を強引に押えてそして特殊会社にするという、それよりもむしろ特別に新しい会社を作った方がよくはないかという結論に達しまして、実はそういうことになったのであります。
  195. 海野三朗

    ○海野三朗君 今の株主云々を言われましたが、日本製鉄株式会社があの第二会社を作って、富士、八幡になったわけです。もともと言いますというと、あの資本というものは国民の税金でできたものであります。それを途中からしてあの株の下落か何かを理由として第二会社を作ってしまった、そしてその資本を非常に縮小して四十億の資本でもって今日あれほどの事業をやっている。つまりこれを要約すれば、国民の税金でできた莫大なる何千億というその資本を、わずかの金を持っておるもの、いわゆる銀行とか、わずかの資本家に安くこれを売り渡したという形が今日の八幡及び富士の状態であると私は思うのです。そこで今の石油開発会社もたくさん資本を入れていって、どどのつまりにはどうなるかと申しますと、ただいま通産大臣が株主の意向を押えられないとかいろいろ言われましたが、あの日鉄の第二会社ができた場合はどうでありましたか。同じ論法でいつでもできるのじゃないかということを私は思うのですが、その点の忌憚ない御意見を伺いたい。私は国家の資本を投じて大きな会社を作るが、いつとはなしの間にわずかの資本家に安くたたき売りしておる。バナナのたたき売りよりもまだひどい、八幡製鉄でも今日二、三千億の金がなければできません、それがたった四十億の資本金であります。それは安く銀行なり資本家に売り渡したにすぎぬのであります。私はここにおいて国民のこの税金の大なるスポイルを見るのでありますが、この点においてはどういうようにお考えになっておるか。株主がどうとうということを今おっしゃったけれども、あの第二会社を作るときはどうでありましたか、その辺も一つお考えになって御答弁を願いたいと思います。
  196. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 私もよく歴史を存じませんが、あの製鉄会社が分割しましたのは占領中で、いわゆる集中排除法というような、いろいろ財閥解体と同じような思想から参ったのでありまして、あれは特殊事情だったと思います。これは日本政府がわざわざそういう日本政府の財産を特殊の人間に安く払い下げるとか何とかいうような、そういう意図から起ったことじゃございません。で、今日になりますと、とにかく一応そういう法制上の点が安定しておりますから、今はやはり株主という――過去の歴史はとにかくとして、株主の意向というものも尊重しなければならぬ制度になっておりますから、これはそう政府の意向だからといってむちゃに合併したり、あるいは分割したりということはこれはできにくいと思うのであります。
  197. 海野三朗

    ○海野三朗君 ちょっと今の大臣のお答えはまことに苦しい御答弁のように私は思うのですが、四十億のその資金で四十億の会社にしたわけですね。それが、政府としては幾らでもそんなことはできるはずであります。ところがあれを今日まで投じたところを時価に見積れば何千億という大資本で、その資本を安く民間の金を持っている人に譲り渡したという形であるからして、そのあり方から考えますると、将来のこの開発会社もあるところまでは、今国の八十億の資本を投じてやっておるけれども、これがある時期になるというと、また日本製鉄を作ったときと同じ論法でもって、するっと民間会社に譲り渡してしまうということが考えられるのですね。その点について忌憚ない御決意と、通産大臣としてのほんとうの良心的な御答弁を一つ私はお願いしたいと思うのです。
  198. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 先ほども申し上げましたように、この開発会社を将来民間に払い下げるとか何とかいうことは今何ら決定をいたしておりません。しかしこれは今のととろではとにかくまあ当るつもりではおりますけれども、実は当るか当らないかわからない非常に危険な仕事をやるということでありまして、それでその方に実は夢中になっておるわけであります。この会社が幸いに非常に当りまして、将来の経営についてどうするかというような問題が起れば、これはむしろ幸いでありまして、そのときにはそのときで一つ考えたらいいと私は思うのであります。
  199. 海野三朗

    ○海野三朗君 もう一つ、私はただいまの石油会社まことにけっこうだと思うのです、その趣意におきましては。しかしながら三輪委員からの要求によって配布されましたこの資料を見て実は私びっくりしてしまったのです。なお一そうこの状態を見て、私はこの犠牲を払ってでも石油を開発しなければならないということを感ずるものでありまするが、この先を思いますると、せっかく国の財産を投じてやったものがいつの間にかするっと民間のわずかの資本家に譲り渡してしまうということになりやせぬか、過去においては皆そういう経歴を経ているのですね。まず日本製鉄なんぞはその一つであります。それでありますから、今それをお考えにならぬとおっしゃるけれども、多分にそういう色彩が濃厚なんであって、私はその点を思う。それよりはむしろ今帝石を特殊会社にしてしまって、そうして国家がうんと力を入れておやりになる方がほんとうではないか。どうも将来帝石にするっと――その帝石の株はたれが持っているか、他にバナナのたたき売りみたいにして渡してしまう時期に必ずや至るのではないかということを思うのです。それよりはむしろこの帝石を初めから特殊会社にしてしまって、政府が資本を渡しておやりになった方が筋の通ったるあり方ではないかと、私はそう考えるのですが、しかしまあ通産大臣としてのもう一ぺんその御所見をお伺いいたしたい。
  200. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) お説非常にごもっともでありますが、今そういうことを考えておらないのです。で、どこまでも一つこれに開発をやらしたい。さっきの御質問にも答えたように、場合によったらこの技術をもって海外油田の開発までもやるという一つの現在においては開発に野心を持っておりまして、で、幸いに石油ができますれば、今の外国石油に圧倒されておる状況が改善ができるというつもりでありまして、その場合に今度いよいよ石油がたくさんに開発会社の手によってできた場合に、さてどうするかということは、これはまあ実際出てみないと言えないのでありまして、出ないうちにその処分を初めから考えるのも少し早い、いわゆる皮算用になる懸念もございますから、ただいまのところでは別段その案は決定はしておりません。
  201. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 当るか当らないかわからないとおっしゃったことまではよろしいが、当った先のことを考えておらぬとおっしゃったのですが、当った先のことは油を取って売るということは書いてある、経営されるでしょう。今帝石がやっておると同じ経営状態になる、当りさえすれば。それだから私は第二帝石だということを申し上げたのです。それで今の帝石というものは、ただ今ある井戸の油を取るだけだ、だんだんだんだん末細りになって、しまいには有限だから仕事がなくなってしまうでしょう、つまりそういう格好になりゃしないかということを私は申し上げておる。
  202. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 帝石のことは帝石がやっておりますから、ここで私から細かいことは申し上げかねるのでありますが、今の帝石の考えは先ほどもちょっと申し上げましたように、現在掘っておる油と、それからガス等を利用するいわゆるガス化学工業ないし石油化学工業に使う、こういうわけでありまして、将来も幸いに開発会社等から油が出ますれば、そうすれば開発会社が今の原油を売るわけでありますから、どこへでも、これは帝石に売ると限りませんが、帝石もその油を買って、そうしてこれによって事業を続けたい、こういうのが現在の帝石のねらいのようであります。
  203. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 これは何かとらぬタヌキの皮算用で、そういうようなことは望ましいということをおっしゃいましたが、実はこの辺を私たちでも非常に心配するわけです。これは非常に余談になりますが、資本主義というものの一つの発展過程というのを見ると、バーナード・ショウという人が書いている資本主義、社会主義、共産主義、ファッシズムという本によると、そのことを一番指摘しているのです。郵政事業を見ろということが書いてある。ところがその本を私見てしばらくしてこの国際電信電話ができた、これはまことにむべなるかなと思った。一番もうかる国際は純然たる資本家に、その当時の資産で二百億ぐらいもあろうと言われる施設が、あの当時はたしか二十何億かで払い下げてしまった。それでややもうかる電信電話を公社でやって、一番もうからない五円で山の中に達するところの郵便事業は国がやっておる。こういう形がまあ大体伝統的な形なんであって、今聞いておると、どうもそういうふうになれば幸いであって、とらぬタヌキの皮算用だけでどうなるかわからぬというので、これは非常にわれわれ危惧を感ずるのですが、しかしそれこそ全くとらぬ狸の皮算用ですから、ここでそのことをいろいろと追及したり、論議をするつもりはありませんが、国会はそういうことを監視する機関でもありますから、まあ一つそういうことは将来においてあまり今までの郵政事業でやられたような方法はこの際はおとりにならないように、たとえば一番金のかかる探鉱事業は相変らず国でやる、それからややもうかる既存の油田の開発はまたその下の別の会社、それからさらにそれを利用した石油ガス化学というのは今度は三つに分れちゃって、ちょうど郵政事業、国内の電信電話、国際という形と同じような形になるのではないかというような危惧もわれわれは実は持つわけなんです。しかしこれは今の目の前の問題でありませんから論議しませんが、そういうことがいいか悪いか別として、こういうことが今の場合懸念されるわけです。というのは探鉱技術が二分されるのではないか、一つは新しい探鉱技術を特殊会社で一本化してやるということ、それから既存の油田を開発していくというこの探鉱技術、そうしますと、だんだん長くやっておる間に、能率と技術に二分されて技術が低下していく懸念はないか、そういう面から合併、吸収というようなととが起って来やしないかということを心配するわけですが、その点はいかがですか。
  204. 川上為治

    政府委員(川上為治君) この試掘探鉱につきましては、これはこの会社が今後におきましてはほとんど全部やっていく。帝石におきましてはもう試掘は今後一切やらないということになりますので、試掘に関する限りは帝石の現在の技術者はだんだんこの会社の方の事業の発展に伴いまして吸収していく考え方でございます。従いまして両方でとにかく二分されて、帝石の方でも試掘をやればこの会社の方でも試掘をやるというようなことには全然考えておりません。
  205. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私はそういうことを聞いたんではない。それもわかっておるわけです。その既存の油田開発と探鉱の二つに分れていって事業の能率が低下していくという過程で、またその既存の油田の開発と探鉱とが合併して、すなわち新会社に帝石を合併するという事態は想像できはいが、こういうことを聞いておるんです。
  206. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 今そういうことは考えておりませんが、帝石は今後採油につきましては、従来の油田を守って採油をずっとやるわけでございます。その出て来ました油は、あるいはそのガスを、これをガス化学の方に使っていきたいという考え方でございます。この会社は、これはガス化学とかそういうことをやるわけではございませんので、少くとも五年、あるいはそれよりも長い年月におきまして石油の探鉱に極力力を尽していく、そうしてそれによって出て来た油についてはこれは採油をするという考えでございますので、もちろんこれは仕事そのものについて若干のダブることは私はこれはできると思いますけれども、大部分のものにつきましては、これは別々の仕事をやっていくというふうにお考えになっても差しつかえないのではないかというふうに考えます。
  207. 河野謙三

    ○河野謙三君 さっきの九億の資本のうち四億五千万円が政府で、三億円が帝石で、一億五千万円が精製業者、こういうことですが、そういう資本構成にされなければならぬ理由はどういうことですか。
  208. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 初年度におきましては大体九億、実際の仕事としましてはそれ以外に助成金が三億ありますので十二億程度の仕事をすることになるわけですが、資本金としましては九億でありますけれども、その九億のうち、政府はこの法律によりまして常に二分の一以上の株を持っていなければならぬということになっておりますので、資本金としましては、この政府の帝石に持っております株を現物出資しまして、それが大体四億五千万円、そうしてそれ以外に帝石が約三億程度出資する。それから精製業者等が一億五千万円程度というふうに考えておるわけでございます。それからまた初年度九億というふうにしましたのは、これは十月から実際の仕事はおそらく入ると思いますから、そんなにたくさん金は要らないと思います。
  209. 河野謙三

    ○河野謙三君 私の伺っているのは、政府の出資はわかるんです。政府は強要しないでしょうが、あっせんして帝石に三億持てとか、精製業者は一億五千万円持てとか限定して、そういうものに資本構成をさせる。どういう趣旨で政府はそういうことを言っておるか。もっと極端に言えばこういうことはあり得ない。帝石は幾ら持て、精製業者は幾ら持てということを言う必要はないが、なぜそういう拘束をされるか、どういう理由で三社ということに限定したか。
  210. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 私の方としましては、これは精製、帝石だけではなくて、ほかの方面におきましても、この会社に対しまして出資したいものがあれば極力一つ出資してもらいたいという気持ちを持って、従いまして三社に対しまして限定してこれ以外のものは株を持っては非常に困るというわけでは全然ございません。ただこの会社というのは先ほど大臣もおっしゃいましたように、なかなかこれは危険を伴う事業でありますので、果してほかのいろいろな会社が、あるいは個人でもこの会社の株を持ち得るかということには非常に私は疑問があるのじゃないかか。従いまして政府としましては、少くとも確実な出資者というものはこの際はっきりしておかなきゃなりませんので、政府におきましては少くとも二分の一以上、それから残りのものにつきましては、精製会社及び帝石において持ってもらうということにしてあるわけでございまして、もしそれ以外に株を持ちたいというものがあれば、別にちっとも限定はしない考えでございます。
  211. 河野謙三

    ○河野謙三君 九億ということにあなたは言われて、それを帝石が三億、精製業者が一億五千万円、政府が四億五千万円なら、それで一ぱいになっちゃうじゃないですか。
  212. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これは計画でございまして、実はそれ以外の方面におきましても、かりに五千万円くらい持つということになれば、あるいはその帝石の方から三億というものをことしは出資として二億五千万円にしておいて、残りの五千万円は、これはこの会社に対しましてあるいは貸しておくとかいうような方法もございますので、別に私の方はこれは一応計画として考えておるわけでございまして、どうしても帝石の方から三億ことしは出さなきゃいかぬ、それからまた精製会社から一億五千万円を絶対に出さなきゃいかぬと、それからほかのものは出しては困るというととは毛頭考えていないわけでございます。
  213. 河野謙三

    ○河野謙三君 あなたのお話しはときどき変るんだよ。さっき三輪さんから資料の要求があったけれども、帝石に三億出してくれと言ったら、向うで引き受けましょうと言った、精製業者に一億五千万出せと言ったら、出しましょうと、それならばその書類をもらいたい、出しましょうと言ったと、そういうことをあなたは言っているじゃないですか。向うへ三億引き受けさせたじゃないですか。精製業者も一億五千万円引き受けさせたじゃないですか。引き受けたということは、それでもう一ぱいになったということでしょう。そう思うのですが、そうしておいて、じゃ今度はあなたの言うことは話は変って、ほかに持ち手があるならば持たせるということは、ほかの持ち手があるならば、どこを減らすのですか、帝石を減らすのですか、精製業者を減らすのですか、私はここでそういうことをなぜ聞くかと言いますと、この機会に時間をかけて言いますが、私はそういうようなことを言うのは、先ほど通産大臣がおっしゃいました海のものか山のものかわからぬ、まったく山師の仕事に、こういうものに通産省があっせんして、あなたはこれだけのものを持ってくれと、向うが自発的に持つのじゃない、あなたの方で強要じゃないけれども、ある程度顔でこれは押しつけるわけです。それを引き受けた以上は、何か将来期待がなければ引き受けませんよ。それを私は先ほどから皆さんも心配しているのだと思う。だれだって金を持っているやつほどきたないのだ。金持が投資をするのは将来に期待がなければ出しゃしませんよ。貧乏人の方がきれいなんだ、金を出すについては。だからそこに皆さんが非常に将来に対して疑惑を持たれる。それを私は聞きたいのですよ。何か条件があるのですか。精製業者に一億五千万円持たせて、もしこの会社が間違った場合にはどうするとかいう、まさかそれは条件はないとは思うけれども、どうしてもそこに思いが動かざるを得ないのです。どうしても一億五千万円精製業者に持たせるというのは非常に問題です。先ほどからお話しがあったように、精製業者というのは即外国資本です。そうでしょう。全部の株主から見ればこの外国資本は少いかもしれないけれども、間接的に言えば外国資本が今度の特殊会社に入るわけなんですよ。こういう点において非常に慎重な考慮を要すると私は思うので、私は今伺っておるわけです。
  214. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これは私どもの方としましては一番心配なことは、この会社ができましても、これは相当その事業について危険がありますので、果して民間の出資が十分できるかどうかという点については、私の方としましては非常に心配を持っております。従いましてこの会社法律案を出しますときも、その点がある程度はっきりしなければ非常に困るではないかというような問題もありましたので、帝石の方から果してどの程度出せるかということを相談をしまして、この程度は出せると、そして必ず協力をするというその一札をもらっているわけであります。また精製業者についても、これはやはりこの原油が出ますというと、結局精製工場に販売するということになりますので、従いまして、やはりこの会社に対しまして相当な関心を持つことになるわけなんですが、果して精製会社の方からほんとにどの程度金が出せるかということについても、これはやはりこの会社を作る以上ははっきりしておかなければならぬと考えましたので、私どもの方としましては、精製会社の方で協力をするかしないか、少くとも初年度においてはこのくらい金が要るのだから、これは精製会社の方で持てるかどうかという点について諮問をしましたところが、それは協力しますということをもらっておるわけでありまして、従いまして、現在、じゃその精製会社に対しまして、どこの精製会社に幾ら、とにかくじゃこれを出してもらうということは別に何もきまっておるわけじゃないのでありまして、これはむし精製会社以外においても相当金をこの際出したいと、相当危険がありますので、危険を冒しても出したいということであれば、私どもの方といたしましては、もちろんそういう出資は大いに歓迎していきたいと思っておるわけであります。  なお、その精製会社に対して何か条件があるかという問題でありますが、これは別段私の方としましては条件は毛頭考えておりません。ただ精製会社は、この会社が原油を出しますというと、結局まあそれを販売していくということになりますが、これはその販売そのものについては全く一般の市販と同じでありますので、別に特別に、どこかの精製会社を特別にみるとか、どこの精製会社を特別にみるとか、そういうようなことは考えておりません。
  215. 河野謙三

    ○河野謙三君 いや、私はこの際大臣もおられますから、特に申し上げますが、そういう株を帝石に三億持てとか、精製業者に一億五千万円持てとかいうことは、軽い口をきくという程度ならいいけれども、政府の名において、かりにそれが責任判を押してなくても、政府の名において、先ほど三輪さんから御要求がありましたようなあの書類、ああいうものを政府がとることは、何と申しましても将来これは拘束を受けます。これはかりに通産大臣が在任中でなくても、あとの人に必ずこれは問題が起きます。これは私はそう思う。そういうことを、しかも投資する人がそれに期待を持って投資するならいいけれども、そうでない。多少何と言っても幾らか強制的な意味を加味しますよ。そういうものに通産省が中に入るということは、必ずこれは将来何らかの形で政府が拘束を受ける。その結果は政府が非常に不利な立場になるということを考えます。あなたは今三輪さんには、要求した資料は一札とってあるから出すと言うけれども、そういうものが出たら大変ですよ。私はそう思う。もしとってあるなら、これは私の個人の意見であるけれども、これはおやめになった方がいいと思う。そういうことは政府があっせんするものじゃないと思う。これは通産大臣どうですか。そういうことは責任ある政府のやるべき範囲外だと思っております。
  216. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 御心配ごもっともと思います。だからそれは強制をするというようなことはこれは絶対にいけませんが、これは帝石としては、今までどうせ三億円補助金を出されれば、自分の自己資本を三億円は出してやらなければならないので、その開発事業を新会社がやってくれるのだから、帝石としても協力しなければ相済まんという意味で、まあとりあえず三億円出すというふうな考えを持っておるわけであります。ほかの精製会社も、とにかく油が出れば彼らもこの油を買って幾らかでも原油の供給がふえるわけでありますから、そういうことに興味を持っておるものと思います。決して強制をするわけじゃありませんから、ただ協力するというような、これは事務当局の心配から、協力するというような一札が入っておるということは、私も実は見ておらないのですが、あると存じます。
  217. 河野謙三

    ○河野謙三君 だから、その協力するという形を私は書面でやることはいかぬと思うのですよ、こういうことは。書面で何もやらなくちゃいかぬというものじゃないと思う。そういうことでやると、かりにこれが非公式な文書であってもなくても、鉱山局長の机の中にそういうものが入っておるということはよくありませんよ。私はいけないと思う。さっき、とってあるから御要求であれば出します、月曜日にでも持ってきます、こう言う。そういうことは大臣がよく見ていただいて、そういうことで将来政府が拘束を受けないようにしてもらいたい。こう私は希望するのです。
  218. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 御注意をありがとうございました。承わって十分注意すべきであります。
  219. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そうすると、もう出さないのですか、私の……。(笑声)  それからそのときにと思ったのですが、実は商工委員会で私参考人に鮎川さんを呼んでおられる時に傍聴しておったのです。ところが伊藤さんから、帝石は御苦労さんだ、三億の金を出資して、しかも労働者には首切りをしない、大へん御苦労さまと言ったら、鮎川さんはそうじゃない、おれは事業家だから損の行くことはやらぬ、犠牲的精神というものではないとはっきり言っておるわけです。これは何かもうかるのですか、三億出すと。犠牲的精神どころではないということをはっきり言っておられるわけです。犠牲的精神というものでは商売はやれません、商売をやる以上は反対給付をはっきり考えて計算してやりますとはっきり言っておられるが。
  220. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 鮎川さんはああいうはっきりした人ですから、はっきり言うたのでしょう。(笑声)それは考えようによっては原油が出てくれば、その原油を利用してかれがやろうとしておる化学工業などに使えるのでありますから、そういうことをねらっておるということに考えればまああの答弁も受け入れられるものと思います。それはたしかに帝石として犠牲でただ三億円むだに出す、年々三億円むだに出すということはこれは言えないことでありましょうし、またやるべきはずもないと思います。
  221. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そうなりますと、私はそれを裏を返すと、まあ一番金のかかるあばれん坊がおったと、どうも金を使って仕方がない、これをどこかに養子にやって、ほかで育てて訓練してもらうという、こういう格好になって、あとの帝石はこれは既存の油田を掘ってもうかるばかりだと、こういう会社になるおそれはないのですか、この新石油開発会社なるものは。
  222. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 帝石は試掘を結局やらなければだんだん先細りになって参ります。現在ほとんど八橋だけから相当な原油を出しておるのですが、これは試掘をやって、そうしてまた新しい開発採油をやらなければだんだんとの数量は減って参りますので、私はこれは将来におきましてはほったらかしておきますと、先細りになっていくというふうに考えます。それから現在帝石においては三億程度の試掘をやっておりますが、この三億程度の試掘をやっていてはとうてい五カ年計画で百万キロリットル出すということは実行できませんので、従いまして帝石においてそれだけの力があるかと言うと、それはとてもそういう力はございません。三億乃至四億程度しか年々出せないということで、それ以上の試掘はほとんど困難であります。と言うのは、この試掘に対しましては融資の対象に全然なりません。開銀でありましても、なかなかわれわれがいかにあっせんをしましても、これは開銀の方では融資の対象にしませんし、いわんや一般の民間の興銀でありましても、ほとんどこれは融資の対象にしておりませんので、やはりこの際国が相当の金を注ぎ込んでやらなければ、どうにもこの百万キロリットルの増産はできないというところに私は問題があるかと思うのであります。そういうわけで実は帝石を現在のままにしておきますれば、これは現在程度の三十数万ぐらいのものは年々出していくと思いますけれども、しかし一躍百万キロリットルまで持っていくというのには、これはとうてい現在のところではできないかと思います。
  223. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そのことは帝石が先細りをすることは、新開発会社ができても同じことだと思う。開発会社は新しく開発した油田を帝石に売るようにはなっておらぬですから、帝石は既存の油田だけを守っておるだけです。新しい開発会社の開発した油田からできた石油は会社自体が売ることになっておる。そうすれば百万キロリットルになったところで、それは帝石がふえるということではなく、日本全体の油がふえるということではないか。
  224. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これはこういうふうに私どもは考えております。現在何もしないで、帝石だけにただ助成金を一億とか二億程度出して、帝石だけにやらせておくということになりますと、現状の維持程度あるいは若干これよりよけい出すかもしれませんが、その程度にとどまるであろうということを申し上げておるわけであります。この会社ができまして、そうして将来帝石がどうなるかということでございますが、帝石の方で三億程度のものを毎年この会社に注ぎ込むわけであります。それと同時に鉱業権をこの会社から帳簿価格で譲り受けることになります。それに対しましてこの会社としましては、これは一般の商習慣にそういうことがあるのですが、また外国におきましてもそういう例になっておるのですが、いわゆる対価としまして、油が出ましたら、出ないときはこれは問題ありませんが、もし出ましたらそのうちの何分なら何分というものを原油でこれを帝石の方に返すということになりますというと、その原油は帝石の方に返ってくる、そうして一方だんだん先細りしていくのとプラスして、その原油と合せまして、あるいはガス化学なりそうした方面をやっていくというわけであります。
  225. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そうしますと、それは大体何%ぐらいをお考えになっているのですか。
  226. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 現在商習慣としましては、七、八%ということになっておりますが、これは通産大臣の承認事項に考えておりますが、私どもといたしましては大体五%程度というふうに考えておりますが、この点は十分検討した上で、はっきりそのパーセンテージをきめたいと考えております。
  227. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そうしますと、鉱業権の対価を現物で一応支払う、こういうことなんですね。
  228. 川上為治

    政府委員(川上為治君) さようでございます。
  229. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 新会社の開発した油田から出る油の単価でございますが、これはおそらく私は見込みがつかないと思います、幾らになるのか。採算点から言いましてね。しかしそれはどんなに高くてもやはり精製会社は買い入れようという約束がございますか。
  230. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 現在この帝石の油につきましても九千三百五十円程度で販売いたしております。その九千三百五十円というのは、輸入の原油と比較しますと、これは相当割高でございます。従いまして、もしこれを下げるというようなことになりますと、これはほとんど帝石はつぶれてしまうというようなことになるのじゃないかと思いますが、私どもの方としましてはこの新会社におきましても、最初の五年間におきましては、大体現在の価格程度の九千三百幾らぐらいで販売していきたいと考えております。それからその以降におきましては、相当これはコストが切り下げられますので、輸入価格と太刀打ちできるような価格になって参ると思いますので、少くとも百万キロリッターぐらい出しましたならば、その程度まで下げて販売さすようにしていきたいというふうに考えております。
  231. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そこのところがやはり大事な問題じゃないかと思います。先ほどから精製会社のことがいろいろと言われましたが、二千円以上も差のあるものを、精製会社に買わせておるから、精製会社の方では帝石なり日本産業に対してある程度これは貸し越しになっておるわけです。ですから精製会社に向って、なぜ原油の関税を上げないかと、こういう工合に迫っても、精製会社はそこにちゃんと貸し越しがありますから、なかなか言うことを聞かない。そうしてあやしげなパンフレットを出して消費者をおだてて、消費者の反対気勢をあぶって、原油の関税を変えちゃいかぬという声明をしておる、というのが実態なんです。その精製会社の内容自体はどうかと言えば、せっかく相当高利潤を上げ、しかもパンフレットの中でもうかっておるということをはっきり言っておる。精製会社がもうけるのはどこが悪いという行き方だ、こういうことを許さざるを得ないことになってきます。従ってそれをためるのには、やはり政府が力をもってしてはいかぬ。やはり若干摩擦は起るかもしれんが、日本産業を思うたならば、勇断をすべきだと考えております。この点が私の考えですが、鉱山局長はどういうふうに考えるか。  それから第二点の、先ほど株主に遠慮して、帝石を投資会社に再編成することは趣旨としてはよいとおっしゃるが、株主は承知しないからできないとおっしゃる。しかし憲法二十九条には、「財産権は、これを侵してはならない。」ということがあります。でありますが、しかし財産権というものは絶対なものではない。もしこれが金科玉条ならば、社会党が内閣をとったときには計画経済はできない。(笑声)ところがちゃんと「財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。」というようになっておる。第三項には、「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。」とはっきり書いてある。だから先ほど石橋通産大臣は株主に対する遠慮ということをおっしゃったが、憲法はちゃんとできるようになっておる。この点に対する御所見を伺いたい。
  232. 川上為治

    政府委員(川上為治君) この価格の問題につきまして、そういう御意見があることは、これは私はごもっともな御意見と思うのであります。ただ現実の問題として、帝石の販売価格を非常に安くして、国際価格と同じような価格で販売させるというようなことになりますというと、とてもこれは帝石は立っていくまいというふうに考えますので、私どもの方としましては、私どもの方が中へ入りまして、大体こういう価格で一つ買ってもらいたいということで、精製会社を納得さしてやっておるわけでございます。いつまでもこういうような状態でありますというと、価格を結局引き下げることはできないというような状態になって参りますので、この際われわれといたしましては、百万キロの増産をしまして、そうしてコストを相当切り下げますというと、たとえば外国原油が入りましても、十分太刀打ちするところまでやっていけるというような考えもいたしますので、従いまして私どもはこの際早急に相当な増産をいたしまして、価格を切り下げるということも非常に大事なのではないかというふうに考えておるわけでございます。もちろん関税との関係において矛盾しておるところはあるかもしれませんけれども、関税関税としてわれわれはある程度かけても差しつかえないのではないかということで、これは精製業者等におきましては、相当な反対もありますけれども、われわれとしては、この際関税をある程度かけていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから先ほど例の株主に対する遠慮という問題でありますが、この憲法の問題につきましては、十分その点は法制局の意見もわれわれ聞いてやったのですが、やはりそういうこの際株主を押えつけて、そして特殊会社にするということは、これは非常にむずかしいというような意見もありましたし、また、果してそういうことにした方がいいかどうかという点については、先ほども申し上げましたように、別会社を作った方が金も集まりやすいというような方々の意見もありましたので、私どもの方としましては、この際特別な会社を作った方がやりやすいのではないかというふうに考えまして、やったような次第でございます。
  233. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 株主の問題は現憲法ではむずかしいと、こういうふうにおっしゃいましたが、これは古池さんがおやりになった電力管理令、戦争中ですよ。旧帝国憲法時代ですよ。あのときでもちゃんとおやりになった。あなた、調書まで出しているわけです、委員長として。それでもできた。あれよりもうんと短かい憲法、今の憲法というものは私が今読み上げた通りです。そんなことができないなどというのはおかしいと思うのです。この点は私の今言った後段の意味も含めて、石橋通産大臣一つお答え願いたい。
  234. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) なるほどやればできるのでありましよう。これは戦時中とも違いますし、占領中とも違います。現在においては私はやはり大体において、社会主義の社会党の政府になりましたら、何をされるかしりませんが、これは根本方針が変ってくれば別でありますが、現在の政府としては大体自由主義、あるいは資本主義という言葉も語弊がありますが、大体資本主義で行くと、こういう建前であります。従ってこれはまあ万一やむを得ないときは、なるほど財産権の制約ということもいたさなければならぬと思いますけれども、これはいわゆる伝家の宝刀で、なかなかそう容易に使うべからざるものである。どうも石油開発会社くらいのことでそれをむやみに使うというととは、これはかえって弊害が多いと私は考えております。
  235. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 ちょっと資料なんですが、先ほどの御発言にもありました原油の価格が輸入原油よりも高い。しかし五カ年計画を完遂して、百万トンが出るようになれば、だんだん下っていくのだということですから、その過程においてどういうふうに下っていくのか。五十万トンになったときはどうか。もし試算があれば百万トンに達してどれだけ下るという、ずっと年次別のものを、試算されたものがあれば一つ出してもらいたい。
  236. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 一応の案がありますので、お出しいたします。
  237. 藤田進

    ○藤田進君 先ほど大臣の御答弁の中から見ても、ここに資料も与えられておりますが、きわめて高度な技術とチーム・ワークを必要とするという観点から、帝石の陣容をこれを横すべりに新会社に移したいという構想のようであります。なるほど技術を要することでありましょうし、なるほど勘を必要とする作業だと思いますが、しかしそれと同時に重要なのは、この会社の代表取締役がどういう人をもって充てるかという点が、今後の発展と会社とのチーム・ワークにとっても重要な要素を持つだろうと思います。会社ができれば、どこか探せばあるだろうという、そういう無責任な提案ではなかろうと思うのであります。七名の代表取締役をそれぞれお伺いはいたしませんが、少くともこの会社を主宰すべき人については、どういう人をお考えになっているか、この点を明確に御答弁願いたいと思います。
  238. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) これはいずれ設立委員ができまして決定をいたすことでありますが、しかし私どもとしても現在いろいろ考慮して、あれやこれやと考えておりますが、まだどこへもっていくかというようなことは決定しておりません。
  239. 藤田進

    ○藤田進君 そのあれやこれやといえば、これは二人以上になるわけですが、これはそう数が日本に考え方によってはなかろうかと思うのです。この法案に非常に熱心に賛成し、あずかったからといって、それをすぐに役所をやめさせて、現職で持っていくわけにもいきにくいだろう。そのあれやこれやというのは、こんなものを作ったって、その適任者がなければだめなんで、技術者の方はおるとおっしゃった。五千八百名なり、将来必要とする……。たとえばどういう人ですか。鮎川さんがおやりになるという話もありますが、あなたがおきめになることになっています。あなたでなければ答弁はできないはずです。
  240. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 私としてもまだ決定いたしておりません。むろん鮎川君という話も出ておらないことはございませんが、これにはこれでいろいろな難点もございましょう。ほかに財界方面でこういうことに適任な人を物色をしておるというわけであります。
  241. 藤田進

    ○藤田進君 たとえば小林中さんとかそういう人でありますか。
  242. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 今そういう方面の金融方面には結局どうなるかしりませんが、現在はむしろそれよりも産業界で、できるだけこういう地下資源に今まで経験のある人の中で、たれかないかというふうに考えております。
  243. 藤田進

    ○藤田進君 私はまだあまり知識はありませんが、金融関係でないとすれば、地下資源関係となれば非常に窓口は狭くなりましだが、それはどういう人がありますのですか。私はまだ全然わかりませんので、お聞かせいただきたい。これはこの会社に密接なる関係を持ちます。御承知のようにかつてできた特殊会社についても、その総裁のことについてもなかなかいざござがあって、あなたも御苦労になっていると思うのです。また内閣が変ればどうなるかわからないというような、それが政治資金にもからんだり、いろいろなことが伝えられているわけですから、明朗に一つ御答弁をいただきたいと思うのです。
  244. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) ちょっとお答えしにくいのですが、まあその形式からいえば、結局株主総会が選んで、これをこちらが任命するというような形になります。なかなかわれわれとしては、どういう人がいいだろうということは、これは実際問題として考えていることは事実でありますが、今のところではまだ見当はついておりません。
  245. 藤田進

    ○藤田進君 だけれども、株主総会の議決を経てくれば、それは全部、どういう人であろうともあなたはのむということになるわけですか。そういう先例を開いて第一回からおやりになるわけですか。法案はそうなってはいない。
  246. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 必ずしもそれを無条件にのむということも考えておりません。徹底的に調べなきゃいかぬ。
  247. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それはおかしいですよ。先ほどの大臣の民間会社尊重の精神とだいぶ違いますよ。というのは少くとも株主総会で議決したものをあなたがのまぬというのは、これは大へんなことですよ、通産省として。それはちょっとお取り消しになった方がいいですよ。(笑声)これはそれよりも、もっと正直に、そういう株主総会で議決になる前に、会社の方、株主の方と相談をして、意見の食い違いのないように善処をします、こうおっしゃった方がいいですよ。これはちょっと危ないです。
  248. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) いや、法律の建前からいうと、通産大臣が認可することになっておりますから、それだから今は形式から申すと云々と申し上げたのです。それは実際の問題としては十分話し合いをして、もうだれが見てもこの人ならと思われるような人を一つ何とか推薦されるようにいたしたい。
  249. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうそう、それがいいです。(笑声)
  250. 古池信三

    理事(古池信三君) どうでしょう、まだいろいろ御質問があるだろうと思うのですが、だいぶ時間も過ぎましたから……。
  251. 藤田進

    ○藤田進君 要するにこの会社の代表として統轄し得る自信がある人があるという見通しがついているのですか、いないのですか。この会社を作るのですが、御大になる者があるかないか。そんなことはわからないのですか、それがあるという確信があるわけですか、どうなんですか。
  252. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) いや、そう突っ込まれれば、最後の覚悟は持っております。しかしながらこれは私政府関係でありますから、そう人間はあの人、この人というわけにも参りませんから、ここで申し上げられませんし、また今物色しておる人も、うっかりこれは、さあだれがいいかというようなことを申して、これが実現しなかったりなどした場合には、申しわけありませんから、申しませんが、考えている人もあります。ありますが、もうどうしてもこのほかにない場合にはということは……。
  253. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 今の問題はちょっと今の設立委員ですがね。この会社の将来の消長、並びに石油資源開発について非常に関心を持っているのは、産業界の人や金融界の人ばかりじゃないのですね。一番深い関心を持っているのは、石油関係業者の、実際の仕事をしている人だと思うのですよ。で、石油産業関係の労働組合あたりから設立委員に入れるというお考えはありますか。
  254. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 設立委員にはなるべくそういう人達も入れてほしいと思います。
  255. 上林忠次

    ○上林忠次君 小さい話になりますけれども、私はこの石油関係に外資が入るということは一番困るので、なるべく国内のこの民間資本が成長するようにということを、初めのこの石油原案に対して申し上げたことがあったんでありますけれども、この表を見ますと、一部の会社は相当な外資を持っている。しかもこの一番苦しい採油をやっている帝石のような会社には入っていない。こういうのは、精製なんていうのは簡単な仕事で、その外資を入れなくちゃならぬような仕事じゃない。このくらいの技術は日本にもあるのじゃないか。何も外国の技術や資本に援助を求めなくても、大丈夫できるのだ。こういうようなところへ入れておいて、まあ石油資源としては少い所を無理して掘っているという帝石に対しては、外資を入れておらぬ。なぜああいう方面に入れないか。出たものは日本の輸入品に比べて原油は高いのだ。高いものをやっぱりそれを使って一般市場価格で売らせている。売らせるならば売らして、帝石の販売価格が相当これは苦しい値段で売っているのでありますから、これに対してはその苦しさをペイするだけの原油を外国から仰いで行かなきゃならぬ。入れてやらなきゃいけない。おそらくこの帝石には入っておらぬと思いますが、日本の原油に比べて安い原油を入れた会社がこの精製会社でありまして、精製会社はこれは不当な利得を得ているのじゃないか。かようなことで日本石油開発ができるか。まあ苦しまぎれに今回はまた別の会社ができまして、ああいうふうな採油、探鉱ですか、あのボーリングをやるようなあの苦しい仕事は、新しい会社で国の資本で、国の犠牲でやっていとうというようなことで、ああいうような会社ができるようになっておるんだろうと思いますが、私はこういうようなのは、なぜこの今のままでも苦しい原油を掘り出しておるその会社に、この外油を入れて、安い外油を入れて、これを立たせてやる――、生産コストの高いやつをそのままの犠牲で売らしているというようなのは、通産省としてはおかしいじゃないか。その点はどういうお気持でやっておられるのか。簡単な精製事業の方に外資を入れて、これで甘い汁を吸わせている。片一方日本の採油の方は、苦しまぎれそにういう高い原油を使いながら、精製しておる。それが現状だろうと思いますが、なぜそういう工合になっているのですか。もともとこの外資をこういうようなところに入れているのはおかしい。こんなところに入れるくらいならば、なぜ帝石のような、採掘からやっておる苦しい採算のとれないような会社にこの安い原油を入れて精製の方の仕事をやらして、高い原油をこれでプールしていくということをしないんですか。どういうようなわけなんですか。
  256. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 精製会社に外資を入れましたのは、これはいろいろな理由があるのですが、今お話がありましたまあこれは技術は大したことはないから、そういうものに外資を入れてやる必要はないじゃないかという御意見でありますけれども、やはりこの日本の精製技術と外国の精製技術とは格段の相違が実は従来あったわけでありまして、これは二、三年前におきましては、非常にその問題を指摘されたわけでございます。たとえば日本の技術におきましては、オクタン価の非常に高いガソリンというものはどうしても作れなかった。これを最近におきましてようやく八十をこえるようなものができるようになったのでありますけれども、それでもなお外国の精製業者と比べますると、技術はまだ落ちております。現在におきましてはなおそういう改良につきまして、向うの技術を入れて盛んにまだやっておる最中であります。そういう意味におきまして、やはり外国の技術を入れるということも、非常にこれは精製業者にとっては大事なことでございまして、そういう意味もからみまして、外国の資本も従来入ってきたものと私どもは考えております。これは私がまだ担任する前からやっておりますので、そういうふうに私は考えております。  それからまた実際問題としまして、相当のこれは金がかかるわけでございます。従いまして早急に特に太平洋岸の精製工場を復帰するというような関係もありましたので、外国の資本も相当入れまして、そうして復帰をやったわけでございます。そういう関係から、現在いろいろな会社に対しまして、相当の外国資本が石油業界にとっては入っておるわけでございますけれども、最近まあいろいろの弊害が起きておりますので、私どもとしましては、これは今後においては何とかこれを、その弊害のところをチェックするような方法を講じていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。  それから帝石の問題につきましては、従来実はこの国内においてそんなに資源があるだろうかというような疑問もあったわけでありまして、帝石において別に外国資本を入れて、そうして大々的に開発しようというような問題はほとんど起らなかったわけでございます。むしろ政府は帝石に株を持っておるものをだんだん売り払って、これは純然たる民間の会社にしちまって、そうして勝手にやるというような態度をごく最近までとっておったのであります。それが最近になりましてから、石油資源の開発審議会におきまして、いろいろ実地調査を二年間にわたりましてしましたところが、日本においても決して捨てたものではない、金を相当かければ、ドイツにも負けないあるいはフランスにも負けない、相当石油資源が開発されるんだというような、これは技術者の、エキスパートの答申がありましたので、従いまして、この際一つ大きな開発をしなければならぬのじゃないかというふうに考えまして、こういう会社を作りまして、そうしてなるべく民間の資本も入れて、一緒に開発をやりたいということに考えておるような次第でございます。
  257. 上林忠次

    ○上林忠次君 それではまあ帝石が掘り出します高い原油の割当の数量を別に按分して輸入を現在やっておるのですか。各社の割当ですね、高い原油を使っておる者は損だ。ところが外国の安いコストの石油を合せて使っていくなら、プールして適当な今の市販の値段で出せる。極端に言うなら、帝石のような自分のところで掘り出した、高いコストのやつを掘り出して使っていたらこれはやっていけない。市場価格が特別な価格で出るならいいけれども、同じ価格の値段で売るならば、原料の高いやつは損だ。行先はどこと、おのおの行先別に高い原油を使っている。その使っている数量、割合をもとにして安い輸入油を割り当てるということなら、これはわかりますけれども、その点はどういう工合になっておるのですか。
  258. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 私どもの方が中に入りまして、この帝石の販売する価格を大体九千三百五十円程度と考えております。ただ国内石油というのは外国の石油よりも実は非常に品質がよくありますので、これは物価庁時代のマル公価格があります時分に千円程度のメリットをつけております。しかしそういうメリットがあるにしましても、外国の輸入油よりも高いわけでありますや従いまして帝石関係の油を買う方面に対しましては、そういう工場に対しましては、外貨の面で私どもはよけいにつけまして調整いたしております。そういうことで、決して帝石の方から買うものが、この精製会社の方が大きなマイナスになる、負担になるというようなことにならないような調整は現在いたしております。
  259. 上林忠次

    ○上林忠次君 按分にして、高い分を使う割合で、おのおの輸入油も安い原油を割り当ててやっておりますか。
  260. 川上為治

    政府委員(川上為治君) これは厳密に言いますと、非常に厳密な意味の按分をやっておりませんけれども、大体ある程度の調整はいたしております。あまり厳密にすることがいいかどうかという点もまた疑問がありまして、いずれ日本海方面に工場を持っているのだから、その国産原油を買うのは宿命的なことではないかというような議論もありますので、厳密な意味の按分はいたしておりません。しかしある程度調整はいたしております。
  261. 古池信三

    理事(古池信三君) いかがでしょう、きょうはこのくらいで……。  それでは本日は、これをもって散会いたします。    午後六時十三分散会    ――――・――――