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政府委員(中島
征帆君) 三十年度の開銀資金の配分方式というものと、それから電源開発会社の三十年度の
資金計画、この二つの資料をお配りいたしております。まず開銀資金の配分方式について御
説明申し上げます。これにつきましは先般の
委員会におきまして本年度の配分方式につきまして従来と多少構想を変えてやる必要があるだろうということで研究を加えている旨の御報告を申し上げましたが、今度の本
委員会までに大よその腹案を得まして、それを資料とともに御
説明する予定でございましたけれ
ども、その後部内におきまして当初公益事業同で考えておりました案につきましていろいろ研究いたしましたが、いろいろな
意見が出まして、なおさらに再検討をするというふうなことになっております。従って本日はまだ省といたしましても、あるいは局の原案といたしましても固まった数字を出し得ませんので、少し古い資料になりますが、こういう
考え方でもってやった結果、さらに再検討するものだというふうな
意味でこの資料をお配りしたわけです。これは日付も入っておりますが、五月の初めに大体こういうふうなことで、本年度の
資金計画を立ててみたらどうかということで検討をしたわけであります。それでは従来どういうふうな方式でやっておるかということを申し上げた方がおわかりやすいかと思いますが、その点から申し上げますと、今までは大体開銀資金の融資率というものは各社一律に、まあ年によって違いございますけれ
ども、五〇前後の比率でもって配分いたしております。何によってそういうような率を適用するかと申しますと、各社のその年度の
資金計画のうちで工事用の資金をまず取り上げまして、その工事用の資金を一応検討いたしまして、全体の工事資金を出すわけでありします。そのうちから開銀資金の対象として取り上げるべき工事というものを洗いまして、その洗いました対象工事につきまして五〇%等の
一定の率をかけて開銀資金の金額を算出いたしております。対象工事以外に何があるかと申しますと、たとえば配電
関係の工事は開銀の対象といたしておりません。それから同じく送変電の
関係におきましても、これはまず電源開発の方を最重点に見ます
関係上、電源開発に開通してどうしても必要なものを取り上げるという趣旨におきまして、大体送変電
関係は二分の一を取り上げるというふうな
考え方でいっております。これは特に配電あるいは送変電の二分の一が不必要だということではなくて、国家資金として全体の限度がございますので、その対象として考える場合には、ウエイトはそういう程度で考えざるを得ないということで、そういう
考え方をとったわけであります。そういう方式をとって従来は一律の、たとえば五〇%ということで各社配分をいたしております。ところが最近料金の改訂をいたしまして、各社の事業は大体平均化されておるはずだということば、まあ申さなければなりませんけれ
ども、しかし実際上各社の経理の実情というものは、必ずしもバランスがとれておりません。従って各社の経理上の実力と申しますか、
事情というものを、さらに考究いたしますというと、多少そこで差が出て参ります。で、いわゆる工事資金に対します比率というものを一律にやるということは、これは開銀資金の金利がほかの借入金に対しまして安いということ、さらに国家資金をつけるというからには、必要な工事に対しましては同じ率でつけるべきだという二点の両方面から考えたわけでありますけれ
ども、一面におきまして、会社の実情というものが違えば、多少その点も考慮すべきだという
考え方が当然出てくるわけであります。その場合におきまして、経理的な実情、つまり各社の自己調達能力がどの程度あるか。また内部留保はどの程度あるかということを十分検討をいたしまして、実力に応じて、残りのものに国家資金の割当を考慮するということをむしろ考えるべきだという
考え方ができるわけであります。ところがこれに対しまして、他面におきましてはそういうふうな、いわゆる実情の相違というものは必ずしも各社の企業努力によるものばかりでなく、またほかの外的要因に基くものもあるわけであります。従って実力の相違をそのままとりまして、自己調達して行けるものは十分見て、残りの分を、不足分を開銀で見るという
考え方は、必ずしもそういう
意味におきましては妥当でないという
考え方も出てきます。それからさらにこの金利が、国家資金の金利が安いということを考えました場合には、やはり各地区の料金のベースというものをそろえるという
意味におきましては、各社の経理の実情というものを考え過ぎるということは、料金的にはむしろ妥当を欠くといううらみもありますので、 その点どうかみ合わせるかということが非常な問題でございます。それからさらに先ほど申しましたような、一律方式で参りましたのを、今度一挙に、かりに融資能力と申しますか、実際の経理上の実力に合せまして変改をいたしますというと、会社間の借入比率というものが非常に変って参りまして、その受ける影響も非常に大きくたりますので、過渡的問題ということを考えましても、この点で何らかある程度妥協的な道も探さなければならぬというような要請がありまして、それをどういうふうにするかということは、いろいろ議論があるわけであります。その
関係におきまして、なおまだこれからさらに検討を続けなければならぬようなことになっておるわけでありますから、ここで一応考えしましたやり方は、ここに簡単に
説明と書いてございますが、これによりますと一のところになります。ただいま私が申し上げましたような
事情から、少し変更するのだということを書いておるのであります。それから二、三が今回の方式の大体の骨子でございますが、二に書いてあります各社の総工事量、それから妥当と思われる内部留保、自己調達資金との差額。内部留保、自己調達資金とこの合計額がいわゆる各社の内外合せての資金調達能力であります。で、この両方合せました広い
意味の自己調達能力が大きいものは、それだけは当然自分で弁ぜられるものといたしまして、残りのものにつきまして開銀の配分を考えたらいいじゃないかという
考え方が、非常に進めた
考え方では出てくるわけであります。非常に理想的と申しますか、こういう
考え方であります。それでやりますとどうなるかということを一応数字を出しますために、この内部留保、自己調達資金と——これは内部留保の見方、特に自己調達の見方につきましてはいろいろな見方がございまして、これにつきましてはいろいろ問題がございますが——これに一応公益事業局としての見方を加えまして数字を出しまして、その両方合計いたしましたものを、各社の総工事量から差し引きますというと、その差額が穴埋めをしなければならぬ資金というふうになっております。
かりにそれだけのものを全部開銀資金で埋めたらどうなるかということになりますと、当然これはたとえば本年度予定されております二百八十億という資金ワクをはるかに突破いたしますので、それをどの程度まで埋めるかということが問題になるわけであります。
そこで次に今度は別の見地からいたしまして、この総工事量の中で開銀の対象となる工事を拾うわけでございますが、これをまず電源につきましてはこれは継続分もありますし新規もございますけれ
ども、継続分はもとより新規につきましても、これは当然将来の需給
計画を考えた場合には、各社といたしましても、また国家全体としても手をつけなければならぬ
計画でありますので、電源の工事につきましては全部を見る。それから送変電につきましては従来と同じように継続分につきましては半分を見る、こういう
考え方をとっております。ただ送変電の中で新規のものについて別の考慮を払うが、それは継続分につきましてはもうすでに工事に着手いたしておりますから、それをさらにまた減額をするということは少し影響が大きいので、継続分は一応従来と同じような
考え方をとるというようにしたわけであります。そうして残りの新規分について、いわゆる自己調達能力とにらみ合せまして、できるだけその間の調整をはかるというような
考え方をとったわけであります。で、今の電源工事とそれから送変電工事の半分というものは、これは一応対象工事として拾い上げられましたものの四〇%を開銀の融資額として見ております。四〇%といたしましたのは、従来の金額に比べまして今度の開銀資金のワクが少し減ったのと、工事量との比率から申しまして五〇%等の数字になりませんので、大体四〇%くらいになるという見当をつけまして、まず四〇%くらいを本年度は電源並びに送変電
計画の半分につきましてつけるという
計画にいたしたのであります。
そういたしますというと、それだけで大体三百四、五十億の金額になると思います。で、結局残ります三十億ないし四十億というものが、これが新規分の拾い方によってどう配分するかという調整する財源になるわけであります。で、この新規の工事を拾います場合において、自己調速のものとそれから工事資金との差額、つまり開銀期待量というのがそこで出るわけですが、その開銀期待量とそれから算定いたしました電源と送変電の継続分の半分につきまして資金を判り当てました額との差額、これが各社ともあるわけでありますが、その差額がなるべく少くなるように新規の分を拾うという
考え方をとっておるわけであります。電源と送変電の半分ですでにもうその差額がなくなりましたものにつきましては、もう新規のものは拾わない、そういう
考え方をとるわけであります。
そういう
考え方でやりましたのが二枚目の試算表になっております。それからその次に三枚目にありますのはこれはわれわれの計算の基礎になりまする会社から出てきました一応の申請の表でありまして、これにはいろいろ誤算もございまして、さらにわれわれの方で検討を加えて行かなければならぬということででございますが、これをまずこういうふうな二枚目の表のようなふうにこちらの方で一応の査定を加えて試算をした、こういうことになっております。従って三枚目の表は大して
意味のある表ではございませんけれ
ども、その特徴を申し上げますと、二枚目の表におきましては総工事額は千百三十九億になっております。一番上の右にございますのはこれは各社の申請のものによりますと、これはちょうど中ほどに出ておりますが、総工事資金としまして千二百二十億二千九百万、こういうふうに会社の申請とそれからこちらで査定しました金額というものは若干違いがございます。その他自己調達資金、内部留保等も違いますが、開銀期待額といたしましてはこの会社申請のものはこれは中ほどのちょっと上にございますが、三百六十五億五千万という数字がございます。これに対しまして現実に開銀の方で出された額は二枚目の一番下にございますように二百八十億というのがありますから、これだけの、どこの面かでの圧縮ができる、こういうことでございます。
そこでこの三十年度の資金調達
計画という二枚目の表につきまして、もう少し御
説明申し上げますと、全体の工事資金が千百三九億円、これもその後いろいろ手を加えまして、若干変るかもしれません。それからそのほかに債務償還とか税金とかございますので、全体の所要金頭としては、まん中の合計欄にあります
通りに、全国合計をしまして、千六百五十二億、こういう数字になります。これに対しましてその下段の方にありますが、内部留保は幾ら行けるか、それから自己調達でどのくらい行けるか、この開銀ではどうなるか、こういうことになるわけであります。
まず内部留保につきましては、これは大体そう大していじるところはないと思います。各社のものとは若干違いがありますけれ
ども、大体において似たようなことでございます。これが全体で三百十五億ということになります。このうちで一番大きいのは減価償却、それからその他という項目がございますが、これは雑収入等でございまして、大した金額ではございません。
自己調達資金が千四十四億ということになっております。で、これは総所要資金の千六百五十億円から、内部留保と、それから開銀の全体できまっております二百八十億、それからその他の雑収入、この三つを差し引きました額がこの自己調達資金になるわけであります。従ってこれが計算上はこの表では一番最後になります。ということは、結局におきまして自己調達資金を各社別にフルに見るということをいたしますと、開銀資金の数字が変って参りますが、開銀資金の数字というものは先ほど申し上げましたような、電源開発の力の資金と、送変電の方の継続分の半分というものはまるまる見るということをいたしましたので、そこである程度さまってくるわけです。そこでその残りの三十億を調整するということで、開銀資金の各社別の配分が出ます。それによって残りの一応自己調達資金というものが出てくる、こういうまた逆な結果になっておりますが、この結果におきまして最後に、開銀資金の各社別の配分比率が一番最後の欄にありますようになるわけであります。この数字は従来の方式で行きました場合と比べますというと、相当変っておりますが、しかし理想
通りの、つまり各社の調速能力あるいは内部留保等を十分考慮しましてやった場合の数字と比べますというと、相当
緩和されております。その間の見方をどうするかということにつきまして、理論上もまた実際上も問題がございますが、そういう点についてさらになお検討したい、こういうふうに考えております。
それから次の電源開発会社の
資金計画でございますが、これは中ほどに
昭和三十年度というのがございます。これは目下調整中の数字でございます。この三十年度の欄の上から四番目の、まん中のちょっと上でございますが、財政投融資というが欄ございます。それが三百八億五千万円となっておりまして、内訳が、
一つは産業投資会計、つまりこれは
政府出資でありますが、それが三十億、それから運用部資金が九十六億、見返り円、これは余剰農産物の見返り円、これが百八十二億五千万円、こういうことになるわけであります。この資金の内訳が、二十九年度、昨年以前のものとこれは非常に構成が変っておりまして、
政府出資金が減って、見返り円を含む借入れの方がふえたというような結果になっておりますが、これを二十七年度以降会社成立以来の金額を見ますと、去年度におきましては非常に国家資金の方が率が多くなっております。それが逐次減りまして、今年は非常に逆にマイナスになるというわけでございます。昨年度まで、二十九年度の終りまでの実績を見まするというと、これを三つ加えればいいわけでありますが、産特会計の分が、ちょうど三百億になります。それから運用部資金が三百三億、大体両者の比率が五〇、五〇と、若干
政府資金が減りますけれ
ども、大体五〇、五〇くらいまでには行きます。それが今年度の終りになりますというと、この
通り減りますというと、
政府資金は三百三十億になりまして、それから借り入れの方が合計で五百八十一億五千万円ということになりまして、両者の比率は、
政府資金が二七・六%というふうに、現在の比率の半分近くに落ちてしまうというようなことになるわけであります。ただし運用部資金の金利と、予定されております見返り円の金利と比べますと、見返りの方は二分五厘くらいは安くなる見込みでございますが、金利的にはこの比率と同様に安くなるとは言えませんけれ
ども、借り入れと
政府資金との
関係というのは、そういうふうになりまして、そうして発電に対しましてどれだけの工事ができるかという問題でありますが、これが使途の部といたしまして、そのあとに出ておりますが、全体の使途の部合計がちょうど下から四、五段目に三百五十三億としてあります。それで、われわれは本年度資金は全体として三百六十億を確保したいということをまあこの間から言っていますが、大体その線が確保されているわけであります。三百六十億、三百五十三億で、七億ほどここではショートいたしておりますが、現在発電をやっておりまして、営業に入りました部面の収入、支出を別に落しております
関係で、全体に三百六十億の資金手当ということが言えるわけであります。そのうちで工事資金が一番上にあります
通りに、三百二十九億ということになります。これは各地点これを配付しておりますが、各地点ともいろいろな今までの
いきさつ等がございまして、どうしても最小限度はこれだけつけなければならないと考えておりましたのが一時危ぶまれましたけれ
ども、大体その金額であれば、まずまず曲りなりにでも現在手をつけております点に必要な資金は確保できるだろうというふうに考えております。ただし三百六十億の資金に対しまして、実際についております
政府資金というものは、三百八億五千万円でございますから、約そこで五十億のショートがございます。そのうちで電気事業収入等がございます、それから借り入れ、外資の導入、借り入れの残等もございます。そういうものを差し引きますというと、本年度
政府資金のほかに調達しなければならぬものが、計算上は三十億ばかりですが、これは会社内部の操作、あるいは外部資金の借り入れ等によりまして、つじつまを合せるということにつきまして、具体的にどこまでどうするかということにつきましては、まだ大蔵省と折衝中でありますが、いずれはそういう方法によって所要資金は確保できるようにするというふうになっております。それから業務設備その他は、これは開発工事以外の
関係の費用を入れてありますが、特に
調査費につきましては、現在開発地点になっておりませんで、
調査地点としていろいろ測量その他をやっておる所がございます。そういう地点につきましては、やはり従来と同様に最小限度の
調査を継続しようという費用がこの中に入っております。
それから一番下段に各年度別の出資金と融資金との比率がございます。
これをもって御
説明を終ります。