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1955-06-28 第22回国会 参議院 商工委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十八日(火曜日)    午後一時四十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     吉野 信次君    理事            古池 信三君            高橋  衛君            山川 良一君    委員            上原 正吉君            深水 六郎君            加藤 正人君            河野 謙三君            海野 三朗君            栗山 良夫君            上條 愛一君            白川 一雄君            苫米地義三君            石川 清一君   政府委員    経済審議庁計画    部長      佐々木義武君    通商産業政務次    官       島村 一郎君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省通商    局次長     大堀  弘君    通商産業省企業    局長      徳永 久次君    通商産業省公益    事業局長    中島 征帆君    中小企業庁長官 記内 角一君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       内田源兵衞君   説明員    公正取引委員会    経済部長    坂根 哲夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○中小企業等協同組合法の一部を改正  する法律案内閣提出、衆議院送  付) ○輸出入取引法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○経済自立方策に関する調査の件  (日本開発銀行融資計画に関する  件)  (電源開発株式会社資金計画及び  開発計画に関する件)   —————————————
  2. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それではこれより開会いたします。
  3. 記内角一

    政府委員記内角一君) 先日の当委員会におきまして、今回の法律認証制度、一種の届出制から認可制度に変ったについて、一定期限を付して、その期限内に処置ができなかったならば認可制度にするというような昔例があったようだが、どうかという委員長の御質問でございましたが、いろいろ取り調べました結果、わかりました結果を御報告申し上げますと、この例は、戦争中の国家総動員法その他によりまして許可認可事項が非常に多かった時代に、これを戦争末期におきまして整理する意味許可認可等簡素化に関する法律ができまして、そういう手続が行われたのでございますが、総動員法の廃止に伴いまして、これも取りやめに相なりました。ただ終戦後になりましてまだ連合軍が進駐当時に、すなわち昭和二十二年に農業協同組合法が制定せられまして、その際に農業協同組合設立認可制度にいたしましたが、二カ月以内に何らかの措置をとらなければ設立されたものと、認可を受けたものとみなされるという規定が置かれております。これが現在まで続いておるわけであります。これに関連いたしまして、これと同じような趣旨をとりました水産業協同組合漁業協同組合等昭和二十三年に作られております。また森林法によりまして、森林組合設立昭和二十六年に行われております。それから同じく昭和二十三年に消費生活協同組合設立につきましてほぼ同じような規定がございます。これはいきさつを調べましたところ、中小企業等協同組合法におきましては認証制度になっておりまして、当時進駐軍の意向によりまして、この種のものはすべて認証制度でいくべきだと、会社の設立と同じように公証人認証によって設立されるというふうにとり行わるべきだというふうに大原則はきまっておりましたが、当時の社会情勢上、農業協同組合とか、あるいは消費生活協同組合水産業協同組合等はどうしても許可制度にせざるを得なかったということで、種種折衝いたしました結果、認可制度はとるけれども、ある期間内に何らの措置がなければ当然に認可ざれたものとみなすという規定を挿入いたしまして、まあ事実上認証制度と同じような効果を持たせるというふうないきさつでこれができたと承知いたしております。その後におきましては、各種の法人の設立認可免許等ございますけれども、これ以外には、たとえば酒造組合塩業組合——塩業組合認証制度でございますが、酒類業組合設立あるいは輸出水産業組合設立等につきましてはいずれも認可制度になっておりますが、そういう期限の問題はございません。信用金庫法等についても同様でございます。それ以外に、たとえば武器製造事業法あるいは火薬類取締法その他各種認可制度許可制度のとられておる法律も他にございますが、法制局にも照会いたしましたところ、戦後におきましてはこれらのもの以外にはそういう許可認可事項について期限を設けておるという例はないということでございまして、われわれも大体そういうふうに見ておる次第でございます。  しからば本組合についてなぜとらなかったかという点でございますが、御案内通り中小企業等協同組合の対象になりまする業者は、農業などと違いまして非常に複雑多岐でございます。従いまして、これらの一つ一つ組合につきましてもなかなか調査もむずかしい面もあるわけでございますが、もちろんわれわれ力を尽しまして、早期にこれの認可、不認可のことをとり行うべく努力はいたすつもりでありますけれども、たとえば一カ月とか二カ月という期限を切るのもどうか、かえって期限を切るとその間にいろいろ安易に流れてそれまでほったらかすというふうなこともないだろうかというふうな心配もございますので、またいつから期限の開始が始まるか、受付の日がいつになるかというふうな点がはっきりいたさない。またたとえば中央認可いたしますような場合に、地方庁を経由してやる場合でございますが、地方庁を経由した場合は、地方庁に受け付けた日から計算するか、あるいは地方庁を経由して本省に届いた日から計算するかというふうなこともやっかいになって参りますし、また受付自身も過表の例によりますと、受付を拒否しましてそのまま書類不備ということで受付をしないで返してしまうというふうな事例どもあるようでございまして、必ずしもこれが妥当ともいい得ないのではないかというふうにも考えられるわけであります。  なお、御案内通り組合につきましては登記手続が必要になって参りますが、登記認可を経た後に登記することになっておりますが、認可になりますれば、認可証がありまするので、そのままでよろしいのでございますけれども一定期限経過後で自然に成立するというふうな場合におきましては、登記の際に期限経過しておるという行政官庁証明書を添付しないと、登記を受け付けないというふうな慣習にもなっておるようでございます。これは便利のようで、かえってそういうふうなことになりますと不便にもなってくるかというふうに考えるわけでございます。あれやこれや考えまして、私どもといたしましては、最近例もあまりございませんので、こういう認可について期限規定を設けなかった次第でございます。
  4. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまのお話はこの前の私ども質問いたしましたことに対する御答弁になっていないように思うのです。受け付けてからそのままほうっておけば、無期限にほうっておかれるので、つまりそういうふうな怠慢をもどういうふうにするのかという質問であったのでございます。それに対してはそういうことにしないからいいのだということでは御答弁にならないのじゃないか。受け付けてほうっておけば、それはそれなりになっちゃうですよ。それでは政府としては、そういうことではいけないのじゃないか。そこにちゃんとくさびがなくちゃいけないのじゃないかということも、この前お伺いしたと思うのですが、それに対しての答弁には私はなってないように思うのですが、いかがなものでございましょうか。こういう場合はこうだ、ああいう場合はああだったとおっしゃるけれども認可制にすると、認可しないでほうっておけばどうなるか、一体いいのか、悪いのか、つまり当局がそれを受け付けただけで、何とも、うんともすんとも返事しない場合はいけないのじゃないか、いわゆる官僚の威望を発揮するのかもしれないけれども、それじゃいけないのじゃないか。何とかそれに対処するのに期限がここに必要ではないかという質問に対しての、あなたの方の御所見をもう一ぺん私は承わりたいと思う。それじゃいけないのじゃないか。
  5. 記内角一

    政府委員記内角一君) ごもっともでございますが、私どもといたしましてはそれぞれの行政庁に対しまして厳重に注意を喚起いたしまして、そういうふうなことのないように一ついたさせたいというふうに考えております。また個々の一般業者に対しましては、十分事前連絡をとって、行政庁連絡をとりながら設立手続を進めさせるというふうに指導督励して参りたい。御承知の通り組合を作ります際には、いろいろ発起人が最初の定款を作って、発起の計画を作りましてから創立総会を終了いたしますまでには、相当の期間手続を要しますので、時々いろいろ各方面の指導、相談をしながらやって参るのが通例でございますので、そういうふうな手続によりまして、行政官庁とも十分密接に連絡をとらせて、そういうことによって、逆に行政官庁をも業者の方から督励できるようにして参りたいというふうに考えております。また今度の法律改正になりますのは、中央、地方に中央会設立されまして、この中央会自身組合設立、また設立後の運営等について、いろいろ周旋、斡旋、指導というふうなことをいたすことに相なっております。その面からも、業者自身にもいろいろ啓蒙宣伝いたしますと同時に、行政官庁自身に対しましても、そういうことのないように、絶えず連絡監視を緊密にやらせて参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  6. 海野三朗

    海野三朗君 それはよくその御精神はわかりますけれども、たとえば借金したような場合に、おれは金を返すのだというようなことをいわれて、もし返さないときはどうするかということになっていないと、どうもそれは幾ら弁明をなさっても、この法案というものは、ここに大きな穴があると私は考えざるを得ない。で、あるいは一カ月あるいは二カ月、その間に全然長くなるときには、政府の方からちゃんとこれに、今これは調査中であるからこうだというような通牒をするかなんかしなくて、この法案だけを一方的におきめになるということはどうも私は妥当でないと思うのですが、これはいかがなものでしょ。抜けておるでしょう。御自分は法案だけを通すつもりであって、一方業者の方から見たときには、どうもこれは片手落ちだ、大きな穴があると私は思う。どういうものでしょう。その期限に対して、ちゃんと期限をつけるなり、こういうふうに今やっているのだということにしないと、とにかく官庁に対しては一般組合などというものはまるでネコにネズミのようなものですから、おそるおそる何とか言われることを待っておるのであって、ほうっておかれれば二カ月も三カ月も長くなってしまう。それは長くなったときには不許可ということであるか、どうであるか、そういう点がはっきりしていない。つまりこの法案というものは、そこに大きな穴があるように私は思うのですが、そこはいかがなものでしょう。
  7. 記内角一

    政府委員記内角一君) いかにもごもっとものよりでございますが、今までの例から見まして、あまりそういう事例はございませぬし、ことに今度の場合は相当ごく特殊なものに限って不認可にして参る予定に相なっております。従いまして万々そういうことはないと思いますが、先ほど来申し上げておりますように、中央会等もできました暁におきましては、この面からまた別の監視を十分にやらしてもらいたいというふうに考えておる次第でございます。
  8. 吉野信次

    委員長吉野信次君) これはこの間私が質問をしたのですが、大体お調べになったからそれでわかったのですけれども総動員法関係の……戦争になってからの問題じゃなくて、実は官庁てこの立法がいいというのはずっとそれより前のことなので、つまり認可許可事項というものは非常に多くてしょうがないといって、何べんも認可許可事項整理というものを内閣がかわるたびにやった時代があるのです。そういうときにたまたま何年ですか、千九百三十何年だと思っていますけれども、ドイツの新しい電力に関する立法があって、その立法認可をうたっているけれども、一カ月なら一カ月という期間内にその官庁認可をしないときには、認可したものとみなす、こういう規定があるので、その間ほうっておくというのじゃなくて、期限があるから官庁としては一生懸命勉強してその一カ月内に認可をする、こういう建前であるわけなんですね。そういうふうに官庁の方で急いでやる責任をその法律によって負う、こういう新しい立法提出があったものですから、これを今後の認可事項というものには応用したがよろしい、こういうのでぽつぽつやり出したと思うのです。私も古いことで記憶はありませんけれども、おそらくそのことを調べれば、総動員法の前にそういうふうな立法例を私は開いておったのではないかと思うのです。それで今のお話で、それでよろしいのですけれども、これはこの問題だけでないでしょうが、とにかくなるべく認可事項はやめる、そうして届出というか、あるいは認証というか、それだけに整理をしたのですから……、ところがこの法案は一度届出に似たる認証になっていたやつをもう一ぺん認可に返す、こういうことだから、こういうふうな法案であるから、その場合に前のような立法例を参酌するのが一つ考え方じゃないかと、こういう意味で実は質問を申し上げたわけですから。しかし今のお話でどういういきさつか知らぬが、農林省系統協同組合はちゃんと私が言うたような意味の、二カ月というのですが、そういうふうな立法になっている。通産省関係はそうなっていない。そういうことですから、これはほんとうは政府としてもやはり組合関係の同じような法律ですから、やはりどっちかにきめた方がいいと思いますけれども、きょうはこの法案の問題で別にそういうことを申し上げる何もないのですけれども、これは将来のやはり立法例にもなりますから、今お話を聞くと、どうもそういう新しいというか、古いというか、そういう制度をとるとわからなくなる、こういうのだけれども、そういう制度をとったからといって、今のあなたの説明を聞くというと、一カ月なら一カ月以内に認可したものとみなすというから、いつ認可したかわからなくなるというけれども、それはまれな例外であって、一カ月のようにやれというふうに書いてあるから百中九十九まではちゃんと一カ月以内に認可を正式にする、ただたまたま一つのものがきまらないのであればいつ認可したかわからないで、登記のときにそういった書類が来るというわけですが、それはまれなわけで、そのまれな、百のうち一つしかない場合をもってせっかく新しい立法の出たやつを、それがいかぬのだという理由には私はならないと思うのです。そういうような危険があれば必ず一カ月以内には役人は勉強して認可を正式にやるという心がけをしなければならぬので、それがたまたまいけないというのは、よほど特別な事情があるわけですから、そういう特別な事情がある場合も少いし、またそういう場合があればおそらくその期間をむだにはしないと思うのです。その間に時効の中断する手続を役所はとられると思いますから、それですから今の説明のように、その規定を置いたからいつ認可したかわからなくなるのだという心配は、これはあり得ないのじゃないか、こう思うのです。これから先は議論になりますから、それでいいのですが、やはりこれからもあることで、認可をやるというときには、今、海野委員が指摘された通り、やはりいつくるかわからないのだというのじゃ困る、やはりある期間内に認可というものは官庁はする、その間もし来なければ認可したものとみなすという立法の例は、これはやはり将来の立法例としては考えておかれた方がよくはないかということをつけ加えておきます。
  9. 海野三朗

    海野三朗君 ちょっといま一言、この届出制認可制にしたのですから、そんなら認可制にしたということに対しての責任を持たなくちゃならない、その責任をとらなければならないのに、その責任をのがれておるのじゃないかというのです、一言にして申し上げれば……。今までは届出制であった、ところが今度は認可制になったというときには、認可制にしたということのためによって生じてくる責任をとるときにはとらなければならぬじゃないか、その責任がちゃんとこれでは逃げておる。ですからこの法案には穴があいておるということを私が申し上げるのです。どうかその点をよく一つお考え願って、私はどうしてもこれでは届出制認可制にしたということには理由がなくちゃならない、その理由がなければならぬから、それに対しては責任をとらなくちゃいけない。いつ幾日までにこれをやるということにしなければいけない。ただ縛るだけ縛っておいて、あと責任をとらぬような法案ではちょっとおかしいですよ。常識から考えても私は穴があいていると思う。
  10. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記をとめて。   〔速記中止
  11. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて。  それでは組合法関係のやつも御質問をまだやっていただいていいのですけれども、同時に輸出入取引法の一部を改正する法案、これを議題にしていきたいと思います。
  12. 加藤正人

    加藤正人君 今回提出されました輸出入取引法の一部を改正する法律案、これを現在の貿易事情を考えまして相当重大な意義を持つものとして、われわれは非常に関心を持っておるのであります。漸を追うて改善の跡が見られることば多とするのでありますが、ちょうど昨年輸出入取引法改正に関する案をわれわれが示された当時に、通産当局と会見して、その案が輸出業者届出を認めておるということは非常に進歩した考え方として大いに賛成であるが、同時に生産者の場合においてはこれの認可ということがはなはだ画龍点睛になっておらぬというような意味で、われわれの意見を申し出たことがあります。その当時当局の言葉として、改革は漸進的にやりたい、この輸出業者に対する緩和でも相当な思い切った緩和であるからして、今日の段階ではこの程度にとどむべきものである、こういうことを言われたのであります。そのとき私どもは、現段階であればこそもう少し緩和をよけいにしなくちゃならぬ、そこは意見が違うということを申したのであります。しかし、もっともそのときは、これはまだ成案でないからというので、われわれはさらに善処を要望して会議を打ち切ったことを記憶しておるのであります。その後約一年経過した今日、この改正案を見ると、われわれの要望に対して何らの善処がなされておらぬ、はなはだ微温的である、また内容輸出貿易実態に対する認識がはなはだ少い、こんなことではとうてい輸出ドライブというようなことは思いも寄らぬと思うのであります。従ってこの法律というものは実際の輸出貿易実態と遊離しておる、輸出振興にははなはだ縁遠い改正であるというわれわれは不満を蔵しつつ、質疑に入るのであります。  まず、伺いたいのは、輸出業者とは何ぞやというデイフィニション、定義についてでございます。現行法において、輸出業者とは輸出意思と能力ある者をいう、という解釈に立ちまして、たとえば鉄鋼であるとか、繊維なりのメーカー輸出業者とみなされることになっていたのでありますが、今回の改正案によって新たにメーカー協定という新しい形が出て来た関係で、その解釈に何らかの変化があったもののように思うのであります。依然として解釈は旧来の通りであるかどうか、その点について御説明を願います。
  13. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) ただいまお尋ねの輸出業者解釈でございますが、現在の解釈といたしましては、輸出を業とする意思と能力のある者という解釈をいたしておりまして、メーカーでもみずから輸出をされる方は当然輸出業者として取り扱われる、かように考えております。
  14. 加藤正人

    加藤正人君 いや、その解釈に変りないということですね。じゃ、なお伺いますが、私は解釈は依然その通りでありましても、この法律に盛ってある内容を見ますと、何か解釈が違って来たために起って来たと思われる点が諸所に見えるのであります。それでなお伺いますが、メーカーとの協定ができることにこの改正案ではなっておりますけれども、かりにメーカーだけが協定できることとなったとは言え、輸出業者と全然同じ立場にあり、同じ条件下であるならとにかく、いろいろの制約を受けて輸出業者のたとえば補充的の立場であるのでありまして、解釈は同じであっても、そういう補完的の立場差別待遇をするというようなことは、どういう点から起って来たのか。つまり輸出業者としての実質的な資格、待遇ではない。何か付随的な輸出業者の補完的の立場においてメーカー待遇されておるというようになっておるのでありますが、どういうわけでそういうことになっているか。
  15. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 今回の法の建前から申しますと、輸出取引行為の態様によりまして規定をいたしておるわけでございまして、五条規定輸出取引についての協定、つまり輸出取引に関する協定と申しますことは、対外的に、われわれは波打ちぎわと称しておりますが、外国との間の取引、これについての協定でございまして、五条の二は輸出業者国内販売業者なり生産業者協定する場合、それから五条の三は生産業者輸出向けについて協定する場合、こういうふうになっておるのでございまして、メーカーといえども輸出業者立場にあります場合は、波打ちぎわ取引について五条協定が締結することができる、しかしそれで足りない場合には生産業者輸出向け取引につきまして協定することができる、こういうまさに五条の三は補完的な意味でございますか、この点につきましては先ほども御付見ございましたように、国内取引になりますと、やはり輸出向けと申しましても、なかなか国内向け取引と区別することが非常に困難でございまして、一般の独禁法の関係から申しましても 第五条にありますような輸出取引における届出輸出取引の場合はこれは対外的の取引でございますから、届出に対しましても国内に対するはね返りということはまず考えられない。国内的な取引についての協定でございますと、純粋の国内取引と紛淆いたしまして、国内カルテルになるおそれがある。その点におきまして一挙に届出まで飛躍するということに少し現行法の体系から見ますとむりがあるのではないかということで、今回は生産業者協定を認めたわけでございますが、認可制によりまして運用して参りたい、かように考えておるわけであります。
  16. 加藤正人

    加藤正人君 一応の御説明もっとものようでありますが、それでは輸出業者輸出業者責任をもって完全に今日輸出貿易の業務を実行しつつあるか、またすることができるか、要するに現在の輸出取引実態というものを見ました場合に、これは国内取引である、これは波打ちぎわから外の取引である、というようなことを区別するのが非常に困難な場合が多いのであります。たとえば鉄鋼取引というものは、バイヤーとの実際の商談メーカーが行なっておるのであって、取引数量なり価格なり品質なり、あるいはまた納期なりといった取引内容が事実上取りきめられた後に初めて輸出業者というものが単に形式的に契約の当事者として顔を出して来るというようなわけであります。また人絹のメーカーにいたしましても、インドなり台湾なりに人を派遣して実際の商談に当っているのであります。綿紡績の場合でも大体さようなことになっております。しかもキャンセル等があったような場合には、その最終責任を背負い込む者もまた実はメーカーであります。これは現在の鉄鋼とか、繊維とかの輸出取引実態であるのでありますから、最終のキャンセルとか苦情のあったような場合には、責任を背負い込むところのメーカーが条件なり何かを先方の輸入業者と話し合った後に契約の形式を整えるために輸出業者はそこに初めて顔を出すというような事情にあるときに、この輸出業者届出という非常に緩和な態度をとらすことを認めておいて、実質的に責任を負うべき、しかも輸出貿易に最終の責任まで負うべきメーカーを、これは波打ちぎわの内の国内取引であるということだけでほとんど補完的なことより認めぬというような扱いは、実際の輸出貿易実態に非常にかけ離れた取りきめである。こういうようなことでは、この法の所期した本来の目的を遂げることは非常に困難だと思う。その取引の実際にかけ離れておる点をどうお考えになるか。
  17. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 御指摘の通り、業態によりましては、たとえばお話鉄鋼の場合、また紡績の場合につきましても同じことが言えるかと思いますが、メーカー立場が現状は非常に強い、同社の方が非常に弱い。従いましてそういう業態につきましては、本法律の体系から参りますれば、五条輸出業者協定していくということができることになっておりますが、それではとてもまあ実行ができない。従いまして、五条協定がない場合におきましても、五条の三の最後に生産業者協定ができる場合が書いてございますが、その八号のところにございますが、輸出業者協定五条のイの協定ができない場合、ない場合で、しかも今後これをやってみても効果がない、とてもこれでは実行できないという場合には、この五条の三によりまして生産業者協定ができるわけでございます。その場合にはやはり認可届出の問題は先ほど申し上げました通りでありますが、そういう必要があればこれは当然認可されるものである、かように考えておるわけであります。
  18. 加藤正人

    加藤正人君 およそこの輸出商談なんというものは、非常に商談が起った場合に、諸外国の国際競争がある今日、しかもこれから貿易自由の原則が方々で行われて、ドル獲得のために各世界の市場で血みどろの輸出競争を行うような場合に、こんな輸出業者協定では目的は越しないからとか、その場合においてというようなこの段階をつけて、最後にメーカー協定を認めるというような、こんなゆうちょうなことをして、この激しい国際貿易戦のさ中に打って出ていって勝ち得るというようにお考えになっておりますかどうか。まことにこんな、これは全くその輸出貿易なんということについては、まことに失礼ながら無知な取りきめだと思うんであります。現在輸出業者というものは、戦前のように相当の商品々手持ちしておって、それを有利な時期に売りさばくというような、ゆうちょうな余裕がないのであります。いわばその日その日のマージンをかせぐというのがその実情でありますから、マージンかせぎのためにはいきおい売り競争になり、売らんかなが第一となり、その結果として、ともすれば投げ売り競争々激化し、海外のダンピングの非難をつねに招きがちになっておるのであります。そうして、かかる貿易の実情について最も大きな利害と関心を持つものは、過去数十年にわたる血みどろな努力によって市場を開拓してきたメーカーなのであります。この意味におきまして、協定を発議したいのはむしろメーカーの側である。従ってその段階的に、最後にやむを得ずメーカー協定し得るというような、これはチャンスを与えたと言っておりますけれども、非常に商機を逸する、チャンスを失うような、従ってまたメーカーが発議しなければ過当な競争を防止し得ない、これは過去の経験から痛感してきたところであります。従ってこの九条の二におきまして、メーカーの側からも輸出業者に対して協定の締結を発議し得るよう改正する必要があると痛感するのであります。こういうふうに政府は改める御意思がないでありましょうか、伺いたい。
  19. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 御指摘の点はお話通り、貿易の問題につきましては非常に迅速を要することはお話通りだと思いますが、この法律建前といたしましては、まあ形式といたしましては、五条の二でいき、さらに五条の三でいくというふうには書いてございますが、これは時間的の関係から申しますれば、五条の二の協定がない場合に直ちに五条の三の協定もできるわけでございまして、現実の情勢が非常に逼迫しておりまして、輸出業者協定では初めからとてもうまくいかないという見通しの場合に、五条の三によってメーカー協定でやっていくということもできるわけでございまして、その点は行政の運営によりまして、事態に応じまして迅速に処理いたすように運用して参りたい、かように考えているわけでございます。
  20. 加藤正人

    加藤正人君 迅速にやる御意思があれば、結局こういう無意味段階法律上に設けるということが私はわからない。もう少し取引実態を御研究になって、今日の市場でどういう輸出貿易が行われているかということを、実際に完全に把握されれば、こういうよけいな手続建前というものを法文の上に何も書く必要はないと思います。私はこれは、おそらく官庁が今までのしきたりとか、面子とかということを、例によってごたごたなさって、お互いに譲り合って、妥協して、ここらにしようというような結果、ここに現われてきたんだ、まことにわれわれは迷惑しごくです。少数の官吏が互いにこの立場によって、おれの面子をどうするとか、おれはこれを育成しなければならぬとか、いやおれの方はこうだというようなことを言っている間に、日本の商機はどんどん失われていく、まことにわれわれは一生懸命国益のために働いているのに、一部の官吏の諸君がそれを妨げているという形に実際なるんです。私は重大だと思います。今申すように、もし輸出業者の方から協定の発議が行われない場合には、メーカー輸出業者の協力によって解決するという方法が段階的にきて、最後にメーカー協定が認められるのでありますが、もう初め、いわゆる波打ちぎわから向うは自由に商社だけが協定し得るということになっておって、向うから呼びかけがない場合はいつまでもメーカーはこれを待っていなければならない。現に輸出貿易においても、もう筋の通った綿布の輸出はチョップの品物が代表的でなければならぬのに、これはとうてい輸出業者だけでは勝手にきめるわけにはいかない、やはりメーカーに相談しなければ実際に輸出ができない、またスワッチというようなごく少量のものだけが彼らの自由に協定ができるでしょう。それから、たとえば今問題になっております。パキスタンとの加工貿易におきましても、メーカーというものがございます。輸出業者がこれにどういう商売をする、パキスタンの例ばかりでなく、ある特定の地域に輸出する場合も、これは輪番制にして、商社が輪番的に輸出をしよう、こういうことを勝手にきめられても、その輸出する輸出品のメーカーがこの輪番制で困る場合がある。というのは、各メーカーとの系列が皆同社にありますから、勝手にそういうことを同社で取りきめられても、輸出貿易の実際にそぐわぬ結果が出る。それから値段を海外の市場に提出する場合におきましても、各社の製品の差額というものがあるからして、各メーカーの横の連絡が、申し合せができなければ輸出が実行できない、商社のみに協定届出で大幅に自由を許しておいても、実際それが行われるという場合は案外少いと思います。こういう点について、特になお御研究が必要であると思うからこの点についてあらかじめお願いをきょうはいたしておきます。  それから今度は生産業者の、同じようなことを繰り返すことになりますが、協定でありますが、メーカー協定は第一の段階といたしまして輸出業当の協定と、先ほど申した段階的、第二段階としての輸出業者生産業者協定という二つの段階に分けまして、それだけでは所期の効果をおさめ得ないという場合とか、あるいはその協定そのものの締結が困難であると認められる場合に初めて認められるということを今申されましたが、これはおそらくあくまでも輸出業者だけの協定が主体であって、他は補完的のものになるという取扱い、それは今申し上げたことの結果こういうことになったと私は考えるのです。そういう考えも考え方自体としては了解できないではないのでありますが、しかし取引実態から見ますればこれははなはだ不完全であることは言うまでもないのであります。すなわち今日の輸出業者というものは先に申したように売らんかなが第一でありまして、従って常に投げ売り競争を伴いがちであります。これを是正するには根本的にメーカー協定というものが欠くべからざるものである、特に繊維産業のごとく生産設備そのものが過剰であり、これが投げ売りを招来する原因となるような場合には特にしかりと言わなければならない。しかして国際取引というものは何よりも商機を逸しないということが大切であります。かつどういう品質のものを幾らで幾日までにという話し合いが実際に当って特に繊維産業においては人絹、スフ、綿を問わず、輸出業者メーカーが表裏一体となった形において常に相談しつつ外国商人に当っておるのであります。こういうことでありますから、 メーカー協定に至るのは二つのステップを経なければならないということは取引の実情に即せず、商機を逸するおそれがあるということを私は幾度も強調したいのであります。またわが国においてよく見られる例でありますが、国内価格が高く、国際価格が低い、いわゆる二重価格になっているような場合、すなわちかつての硫安や人絹がその適例でありますけれども、このような場合に外国の競争者に対抗して将来のために市場を確保するというためには、多少の利益を犠牲にしても、極端に言えば多少の赤字を背負ってでもなお輸出を続けなければならない。これが大局から見て国家的に必要であるという場合において、ほうっておけば商社といわずメーカーといわず利益の多い内需に、国内需要に製品を売りさばくのが人情であります。このようなときには何よりも共同行為が必要であり、かつメーカーのそれが先行するのでなければ解決の望めない性質のものであります。このような場合にこの改正案のように二つの段階を経なければならない、もし輸出業者が自発的に動かないとすれば問題の解決をはかれないことになる。大局的に見て国家的損失は私ははかり知れないと思うのであります、この意味において段階を取りはずして三つの協定はそれぞれ同列にすべきものと思いますが、これはいかがなものでありますか。
  21. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 先ほど申し上げましたように、法律建前としましては論理的には段階になっておるわけでございますが、時間的には段階はないわけでございまして、実際の問題といたしましては鉄鋼の場合でありますとか、セメントの場合でありますとか、あるいは綿紡の場合も該当する場合があるかと思いますが、 メーカーの方の、自主的にメーカー協定いたしませぬと輸出協定ができないという場合には五条協定——五条の二の協定がなくても直接五条の三の協定が締結できるわけでございまして、私どもは現在非常に価格の競争をいたしておりますのは輸出業者の間の非常な不当過当競争、雑貨の例におきまするごとくメーカーも非常に数多くてなかなかまとまらない。輸出業者側が非常にせり合って価格をくずしておるという場合もございますし、またメーカーの競争が激しいために価格がくずれておるという事態もあるわけでございまして、対米雑貨等の多くの場合は五条協定でおおむね実効が確保せられる場合が多い。ミシンの例の場合のように、中間の販売機関を設けましてその国内取引まで入って統制をしなければならぬ、こういう場合も出るわけでございます、先ほど来お話のようなメーカーの非常に強い業態におきましては結局輸出業者協定というものは実際上は実行ができないというような事態になりました場合には、これは直接五条の三の規定によりまして生産業者協定もできるわけでございます。これは論理的には段階がございますが、時間的には段階がないわけでございまして、運用におきまして十分この目的は達成できるんじゃないか、かように考えておるわけであります。
  22. 加藤正人

    加藤正人君 私は不幸にして論理的にも段階があり、時間的にも大いに段階がある。これが非常に災いをなすと思います。今お話のように強いメーカーとか、何か強いなんというといかにも圧力をメーカーが加えるようなふうに感じられる人があるからそういう表現は私ははなはだ迷惑だと思います。この問題につきましては、過般東京の繊維会館で繊維協会の懇談会がありました席に国会議員とメーカー及び商社の代表がいろいろ時局について話し合ったときに、商社の輸出業者の代表も、このメーカー輸出業者が同時に協定のできないのははなはだ不便である。輸出をドライブする上においてはやはり同じ資格をもって商社とメーカー協定を同時に結ぶことが願わしいということを商社代表が言っておるのであります。こういう点は特に私は御注意願いたいと思う。商社自身も体験によって、それをわれわれメーカーが言っておるわけじゃないのです、商社自身もそれを希望しておるんですから……。それからまた先ほど来、るる申し上げました通り繊維といわず鉄鋼といわず、わが国の輸出貿易の大部分の取引におきましては輸出業者というものは単に形の上の代行機関にすぎない、業者は表面一体の形において取引が進められておるのが実情であります。現状におきましてはこの形の上に立って取引を行うのでなければわが国の貿易の振興は期し得ないのであります。今回の改正案によりますればわざわざこの表裏一体の形を打ちこわすような取扱いをなし、それぞれ両者を対立的な形において扱っておる根拠は何であるか、現在の輸出取引実態から合せてそうさせざるを得ないのか、あるいは独禁法的、あるいは法理論からそうざるを得ないのですか、私はこの点に非常に疑問を持っておるんです、この点はどうして、取引の実情はどうなっておるかを御承知ないはずがないと思うにもかかわらず、何だか遠回りな段階をつけてこういうふうになった直接の原因は申し上げたようなものじゃないんでしょうか。
  23. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 御趣旨の点はよくわかるのでありますが、輸出の場合は、輸出取引につきましては、これは国外向けの取引、従って世界の大きなマーケットで競争するわけでございまして、協定いたされましても直接国内へはね返るという場合はまずないと考えてよろしいかと思います。国内取引におきましては、たとえば紡績なり鉄鋼なり特に国内協定いたしました場合に、それを届出制にいたしますと、たとえば国外に非常に安値で売りまして国内価格をつり上げ、国内市場というものは非常に狭いものでございますから、国内に対して一種の現在の独禁法の体制から参りますと、あるいは相当商社に対する影響が生ずる場合も考えられるわけでございまして、そういう意味におきまして国内取引についてはやはり認可制で参ります。輸出取引につきましては、届出制がよろしい、こういう差異を設けたわけであります。もちろん先ほど来お尋ねのように、いわゆる業者生産業者が同時に協定でもって実効を上げるという必要性は十分ございまして、法の建前からいたしましても、そういう必要がありますれば、同時に輸出業者協定をし、生産業者協定をするということができるわけでございます。その点が運用によりまして十分実行できるんじゃないか、かように考えております。
  24. 加藤正人

    加藤正人君 おそらく国内取引の影響、それから独禁法の建前から影響を受けてきていると私推察するのでありますが、実際問題として国内取引でも、輸出品に関する限り協定を行うような品種はもうほとんど狭い範囲のものであって、それが国内に影響を——価格の上、供給数量の上に影響を及ぼすということは今まで多く見られないところです。しかもそういうことが起り得ればまたほかの法律をもって禁止する方法もあるのでありますから、たまたま多少その国内価格に影響する場合が万一あるというその配慮のために、輸出全体を規制するようなことは私はおもしろくないと思う。大幅に輸出が出ていくのをたまにそういうことがあるだろうという懸念から、とうとうと出ようとするものをせきとめるということは、私はこれはかんじょうを知らぬ人間のやり方だと思う。そういうことがたまにあればそのときにそれを禁止なり、是正する方法をほかに講ずればいいんです。たまにあるだろうということの心配のために全体を規制してしまう、活発な輸出の腰を折るというようなこと、これは全くどうも私はかんしょう知らない人間のやることだと思う。独禁法の問題と申しますれば、商社の協力そのものもまた当然に独禁法の問題である、これを貿易秩序の確立、輸出振興の名のもとにおいて単独法をもって独禁法に穴をあけるということでありますから、輸出取引というものは単にその字句にとらわれて波打ちぎわから向うだとかというものだけにとどまらず、これを波打ちぎわまでもっていくという部分を含めて輸出取引解釈して、またそう取り扱うのでなければわが国のごとき特殊な貿易形態の国といたしましては、今後の国際競争に対処していくことは非常に困難だと思うのです。この意味におきまして輸出取引というものをもっと広く解釈して輸出品の生産段階から輸出取引までの一貫したものの形において独禁法の適用を除外することは、法理論としても決しておかしくないのではないかと思うのであります。貿易振興上政府はどうしてこういうふうな積極的な立場をとり得ないのかと私は不思議に思うのであります。もしこういうことのために——今日考えてみると、特定の市場に特定の輸出物資を輸出するための協定なんというものは、もうだんだん市場が高級な——高度の生活をしているヨーロッパ、アメリカの国を目ざすのでなければ日本の綿業その他はやっていけないというときとしますれば、内地物と輸出物とは区別ができるのであります。決して内地価格に影響を及ぼす憂いはない。たまにあったらその弊害を伴う場合には、それを差しとめる方法が政府にあるのであります。権限があるのでありますから、それをやれば私は目的は達すると思います。そういうことがたまにあるからという懸念のために、輸出を大幅に阻害するような法を設けるということは、私は何回も言うのですが、かんじょうを知らぬ人間のやることじゃないか。  なおこの際ついでに伺っておきますが、「政令で定めるもの」ということが、この法文の中で所々にありますが、その「政令で定める」ということは、具体的にどういうことをいうのですか。これを伺っておきます。
  25. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) お尋ねの点は五条の三の規定かと思いますが、これは価格、数量についての協定ができる、あるいは窓口商社をきめる場合がある、先ほどお話の輪番制でやることもきめられる、そういうようなことを政令によってやり得る方法につきまして規定をいたしたものであります。
  26. 加藤正人

    加藤正人君 そういう政令で定めたもので何か書いてあるものができているのですか。
  27. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) ただいま具体的に検討中でございまして、まだ政令案としてはでき上っておりません。
  28. 加藤正人

    加藤正人君 それからなお伺いますが、「特定の種類の貨物」という字句は、五条それから五条の二及び五条の三の三つの協定の場合に使われておりますけれども、その内容はそれぞれ三つの場合ともに全然同一のものでありますか。すなわち五条及び五条の二でいう特定の輸出貨物がたとえば英国向けの未ざらし綿布である場合、第九条の三においてこの未ざらし綿布につきメーカー協定ができるかどうかということです。
  29. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 同じでございます。
  30. 加藤正人

    加藤正人君 聞くところによりますと、このメーカーの場合には、この未ざらし綿布というものが、品質上輸出と内地用の区別が明瞭でないというような場合には協定を認めない方針であるということでありますけれども、どうでございますか。
  31. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) それは品質が国内向けと同じでございましても、対米向けの未ざらし綿布の輸出につきまして協定が必要であるという場合に、五条輸出業者協定ではなおいけない、なおそれでは初めから実行できないという場合には、対米向けの未ざらし綿布について業者協定を九条の三の申請がございますれば、認可いたすわけでございます。
  32. 加藤正人

    加藤正人君 一応きょうはこのくらいに伺っておきます。また伺います。
  33. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記をとめて。   〔速記中止
  34. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて。  加藤委員質問に関連するのですが、非常にごもっともな点もあるだろうと思います。つまり、独占禁止法を輸出貿易についてはずすと、こういうのには、なるべく日本の品物が今の売りくずし競争をしてはいけない、これを防止しなければならぬことが一つたけれども、あとは外国で買ってくれれば、今日の為替の市場から見れば、われわれとしてはなるべく高く売ることを考えなければならぬと、こう思うのですね。そこで、輸出業者の今の協定もさることですけれども、私どもの知識は少し古くておそれ入りますけれども、昔は雑貨類をやった中小企業者というものが、規模が小さいために無謀に売れもしないものを数量的に作る。それで、たとえば、昔の例ですけれども、綿ネルの統制をやったことがあります。綿ネルというのは、あのときで月に三十万反外国に出るのです。ところが、内地の小さい業者は五十万反、六十万反作るのですね。それだから、何としても供給過剰なんですから値段が下らざるを得ないのですね。それで、今加藤委員の言われました通りに、輸出品というものは、もう大体、内地向けと輸出品は違うのだね。同じ品物が両方に行くというのはごくまれなる場合であって、ネルといえばどこでも内地で使いそうなもんだけれども、それは違うので、輸出綿ネルは内地では使わない。そうすると、それをどうしたらいいかというと、値段の統制ではいけないので、生産業薪が生産協定をして、外国に売れるだけの品物を作る。これ以外に方法がない。そうすれば、売れるだけのものしか作らないから、自然値段が上ると、こういう方法で、ちょうど昭和五年、六年、産業合理化問題で当時の商工省のやった輸出協定というものは、むしろ、今の生産者協定であったわけなんですね。だから、今度の、この間も聞いたんですけれども協同組合というものが、そういうものもできるそうだけれども、ところが、協同組合の中に入らない、大きい人も入らないと工合が悪いのですね。つまり加藤委員のような大紡績業者も、中小業者も、ある特定の輸出品というものをやる場合には、それを一緒になって協定しなければならぬ場合がくるわけですね。それは、そういうものが入るときには、協同組合の共同的な協定ではできないのです。黙っていればやっぱり独禁法ですか、それに触れるわけですね。そういうものの生産者の間の協定というものが、今政府委員が言われた輸出業者協定と、これは同じ重みがある重要な問題だろうと思うのです。それを加藤委員が言われた通りに、それを二つに区別して、一つ認可じゃない、一つ認可だと、こういうことにすることが、私は非常にどうかということを加藤委員の発言に関連して、あるいは一そう加藤委員よりはもっと強く私はそういう点が私には感ぜられるのです。そこでかりに、公取の方もおいでになるだろうと思うが、そういう綿ネルと言うても、内地のものとは違うのですから、そういうものは国内に行かないのですから、そういう輸出関係のそういう協定をやるというときに、独禁法の関係があるからと言うて、相談を受けても——同意を求めるというふうに書いてあるのですね、相談を受けるといってもお困りになるのじゃないかと思うと、これはもう輸出貿易の振興上必要なものというなら、その権限をやはり通産省に全部おまかせするのがいいのであって、それをおれの方にもってこいと言われても、私は少し判断がつきにくいと思うのです。これははなはだ失礼ですけれども……。というのは、公正取引委員会で、それだけ輸出貿易の各方面にわたってそれだけの人を今日のスタッフでお特ちにはなっていないと思う。そうすれば、結局、自然相談を受けてみたところでめくら判を作っただけの話であって、商売の方からいえば、公正取引委員会に相談をするために若干の時日をむだに経過する、こういうたぐいのことではないかと思うのでありますが、それ以上のことは申し上げる必要はないのですけれども、この間も申し上げました通りに、この独禁法というものは、大体アメリカ流のきびしい考え方からきているのですけれども、そのアメリカのシャーマンなりクレートンなりの法律についても、輸出行為につきましてはみなはずしているのですね、御承知の通りに。私の知っているだけでもエッジ法というものがあるし、ウェッブ・ポメリン法という法律がありますし、それからあと二つばかり何か具体的な部面についてはあるのです。そういう場合には、はずしたらきれいにはずしてあるのですね。それをまだクレートン法なりなんかの権限を持っておる国際商業委員ですか、フェデラル・トレード・コミッション、 ああいうふうにもう一ぺん設けるというやり方にはどこもしてないと思うのです。だからその点につきましても、そこまで言う必要はないのですけれども、さっきの政府委員答弁で二段に段階があるがごとくするのは、あるいは意地悪く考えれば公坂委員会の方に一方が同意を求めるということがあるものだから、それで二段の関係にしたのじゃないかというふうに思われるのですけれども、ただ輸出貿易というものの振興の点から考えると、やはりはずすならきれいにはずされぬというと、せっかくこういう改正をされましても意味をなさないのじゃないか。はなはだ半分意見みたいになっておそれ入りますけれども、その質問に対して、公取委員会の方でもし伺うことができれば一つ何ってみたいと思うのであります。  それから通産省の政府委員の方にも、ことに雑貨類のそういうメーカー生産業者というものが同じように、今のような価格のくずれるのを防止するために、輸出業者関係なく、生産業者だけを自由にやるというようなときには、やはり輸出業者の場合と同じように、片方が認可なら片方も認可、片方が届出なら片方も届出というふうに同じように取り扱うべきではないかということについての、一つ私の質問といいますか、に対する御見解を承わりたい。
  35. 坂根哲夫

    説明員(坂根哲夫君) きょうは公正取引委員会委員長がちょっと旅行で参れませぬので、私経済部長でございますが、ただいま委員長の御質問と申しますか、御意見輸出振興の点から独占禁止法をはずしたらとうかという点は、私どもとしても何ら異議がございませぬので、独占禁止法の適用除外を初め一番大きくやりましたのは、やはり輸出入取引法から始まっております。われわれといたしましても、輸出業者協定というものが大幅に適用を除外し、しかし生産業者協定につきましては、先ほど通商局次長が言われたように、国内の関連業者あるいは消費者に対する影響に相当な問題が起るのじゃないか。そういたしますれば、これを認可制にいたしまして、そうして私どもの方の独禁政策の観点からこれに同意を与えまして、その結果できました国内輸出カルテル、メーカー輸出カルテルは非常に法的安定性を得るといいますか、そういう意味で親切な法案ではないか、こう考えまして政府原案にわれわれとしては賛成をいたした次第であります。なおウエッブ・ポメリン法のお話が出ましたが、これは確かに委員長のおっしゃいましたように、アメリカではウエッブ・ポメリン法を中心といたしまして輸出業者のカルナルを認めておるわけでありますが、これは私の記憶いたしておるところによりますと、フェデラル・トレード・コミッション、連邦取引委員会にそのカルテルを全部届出いたしまして、その届出の規制を受けておるのであります。そういうような点からいたしまして、私どもとしては十分輸出取引の特殊性を認めながら、原案に賛成いたしたような次第であります。
  36. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 私の伺ったのは届出は知っているのです。あなたのは同意を得るということになっている。そこがアメリカの法律よりも厳粛になっているということ、国内々々とおっしゃるけれども、実際は国内関係ないのだ、加藤委員が言われたように、輸出綿布にしても、輸出絹織物にしても、国内ものは意匠から違うし、ことに最近のことは知りませぬけれども、昔は幅から違うので、一つも内地のものには関係ないのです。それが売れないからといったって、内地に向けようのないものが主なんです。そういうもの、だったら今私の言う通り、あなたの方の同意を得なくてもいいということになりますか。
  37. 坂根哲夫

    説明員(坂根哲夫君) そういうものでも一応国内に全然関係がないかもしれませんが、いろいろ国内の他の産業との関係その他で、アンチ・トラストの関係から、一応検討する必要があるのじゃないか、こういうことであります。
  38. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それから先は議論になりますけれども、そうすると、輸出の場合も同じことをいわなければならぬのです。商人との間のあれが違うから、そこを考えて、おそらく同じものが国内にも流れ、外国にも行くという頭で、ああいう法律ができたのだろうと思うけれども、それが実際は輸出というものは通うのですね。違わないものもありましようけれども、違うものが多いです。だからはずすならきれいにはずした方がいいのじゃないか、 これは意見になりますから、 これでけっこうです。   〔委員長退席、理事高橋衛君着席〕
  39. 海野三朗

    海野三朗君 この輸出入取引法の一部を改正する法律案の中で「不公正な輸出取引」、この不公正というのはどういうふうなことでしょうか。それを御説明願いたい。「不公正な輸出取引」、何をもって不公正というか。
  40. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) この法律におきまして「不公正な輸出取引」と申しておりますのは、例を申し上げますと、仕向国の法令によって保護されております工業所有権とか、著作権を侵害するというような取引、 虚偽の原産地証明、虚偽の原産地の表示をする、日本品であるにかかわらずメイド・イン・イングランドというような式の証明を使う、その他国際取引におきまして通常行われております商習慣にもとりまして、著しく公正を欠くような取引、こういったものをさしております。
  41. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまのそういうふうに署しく不公正なとこう言っておられますが、はっきり条文にしますとどういうことになりましょうか、この不公正というのは……。
  42. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 現行法輸出入取引法第二条に定義がございまして、参考資料でお配りしてございますが、その中に「この法律において「不公正な輸出取引」とは、左に掲げるものをいう。一仕向国の法令により保護される工業所有権又は著作権を侵害すべき貨物の輸出取引。二 虚偽の原産地の表示をした貨物の輸出取引。三 輸出契約において定める要件を著しく欠く貨物の輸出。四 前各号に掲げるものの外、国際取引における公正な商慣習にもとる輸出取引であって、政令で定めるもの」かように書いてございます。
  43. 海野三朗

    海野三朗君 このほか国際間の云云、第四号以下のものは、たとえばどんなものが入りましょうか。
  44. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 現在政令の指定はしておりませんが、不当なキャンセルをする場合、あるいは不当なリベートをやる場合、こういうような場合がこれに該当する、かように考えております。
  45. 海野三朗

    海野三朗君 不当なリベートをやる、たとえばどんなこと、どういう場合になりましょうか。輸出においてその不当にリベートをやるということはちょっとどんなことに、どういう場合でしょうか。
  46. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 普通の一般輸出しております価格、表面上はそういう価格でありまして、実際は相当額をリベートするというそういった場合に、これは為替管理法その他からいいましても、やはり違法行為になるのでありますが、そういうふうなことを行なった場合に、それが非常に大きなものであればやはり不公正な取引ということに入ると思います。
  47. 海野三朗

    海野三朗君 次にお尋ねしたいと思いますのは、中共貿易についてでありますが、中共側が現在提案している大豆とか、米、塩、アンチモニーなどに関する新決済方式について、通産省はあくまでもグローバル方式に切りかえを固執する方針であるように思いまするが、この切りかえ発表は、いつごろからおやりになるおつもりですか。
  48. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) お尋ねでございますので、ちょっと少し立ち入って申し上げたいと思いますが、中共との貿易につきまして現在私どもが、従来実施してきました方法はいわゆる逆トーマス方式というのが一般でありまして、物によりましてはバック・ツー・パック、物上物とが直接に交換されるというバーター方式、大部分のものが、大きなものは逆トーマス方式と申しまして輸入先行であります。向うから米なら米を入れた場合に六カ月以内に向うの方が買い付けるということを約束するわけでありまして、これは信用状に約束を書きまして、固い約束をしてもらうのであります。バーター方式としましては、あるいは輸出先行方式もございますし、その他のエスクロという方式もありますが、逆トーマス方式とバーター方式としましては、先方にとって寛大な方法となっているのであります。それで昨年来やって参ったわけでございますが、今度の新しい協定によりまして、先方はそれを理由にして大豆の決済について、まず第一にストレートのポンドで決済してもらいたい、こういう要求が出て参ったのであります。引き続きましてその他の品物につきましても、従来の逆トーマス方式によらないで、ストレートの決済をしてもらいたい、こういうことをいって参っておるわけであります。日本側といたしましては、従来の貿易から見ますと、中共に対しましては非常な入超になっておりまして、昨年一年とりましても輸出が約二千万ドル、輸入が四千万ドル、ごく最近までの実績をとりますと、輸入が六千万ドル、輸出は二千万ドルまで参りません。輸出の力がはかばかしく伸びないのであります。もちろん禁輸の問題もございますが、われわれといたしましては、禁輸以外の品物でも相当買ってもらいたいということで、昨年来日本が輸入をしますたびに、先方に買い付けて個々に要求して参ったのであります。逆トーマス方式で日本は買えますが、見返りで物を買えということを強く押して参ったのでありますが、この点について先方は非常に出超になっておりますから、向うとしてはストレートで決済するということが有利である、フリーポンドで好きなところから買った方がいい、これは当然出超国の立場としては理由があると思うのですが、わが方としてはやはり日本の輸出を伸ばしたいという見地で逆トーマスを主張しておるわけであります。しかしながら大豆は今度の協定によりますと甲類品目に入っているのであります。中瀬品目は甲類品目と交換する、乙類品目は乙類品目とやる。こういう協定建前になっておりまして、甲類見返りとしては禁輸品目以外にない。現在日本から出し得る品目はないわけであります。そこでバーターに逆トーマスによりましても、こちらから実際出せるものがない、しかも現在先方からきておりますオファーの値段を見ますと、FOB四十三ポンドです。これはヨーロッパあたりの輸出の例を見ますと、大体シフで三十八ボンドであります。FOBは四十三ポンドということに、さらに品目が、品質がいいからというので、それ以上メリット計算があって、これに約二ポンドのボーナスがつく、それに運賃を加算いたしますと、運賃が約二ポンド程度でございますから、シフで四十七ポンドくらいになるわけです。これは非常に高い値段でありまして、ストレート決済で見返り物資は出ない、しかもこんな高いものを買わされるということでは、これは非常に日本経済から見まして不利益である、従いましてもしこの際見返り物資が出ないために、これをストレートで入れるということになりますれば、これは先方の大豆の値段を国際価格まで下げてもらいたい、つまりアメリカの大豆でありますれば、シフでおそらく百十五ドルくらいでありますから、相当の値開きがあるわけでございまして、少くともストレートでありますれば、国際価格まで価段を下げてもらいたい、これがこちら側の希望であります、その下げさす方法としては、グローバルという方式がございまして、どこから買ってもよろしい、競争して一番安い値段を出した人に割り当てますというのがグローバル方式でございまして、そういう方式にこの際切りかえるのが適当ではないかというふうに私ども考えておりまして、先ほどのお尋ねのように、あるいは今週中にでもそういう手段をとりたい、さように考えおる次第でございます。
  49. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまのお話の中に、つまりポンドがだいぶ余っているでしょう、日本としては手持ちのポンドが異常にもう余っておるので、イギリス側の方から、かえって手持ちが多過ぎるといって文句を言われておるようなありさまである、昨年のようにポンドが不足しておる場合とは事情が全く異なっておるから、このポンドを対中共輸入に使用したらいいのではないかと思うのですが、それはなぜポンドをその方面に向けることをきらうのですか。
  50. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) お話通りポンドは比較的余裕があるわけでございます。もちろんポンドは余裕があるからといっても、絶対的にはやはり十分ではないわけでございますが、相対的にはポンドの買付はいいわけでございますが、中共大豆をただいまのグローバル方式によりまして、中共大豆の値段が国際価格に下って参りますれば、これはポンド決済で支払うわけでございます。私どもといたしましては、グローバル方式によって中共は値段を下げてくるはずだ、そうしますれば、これをポンド・ストレートで支払って差しつかえない、かように考えておるわけでございます。
  51. 海野三朗

    海野三朗君 そうしますと、つまり中共の方の大豆の値段を下げてくるのを待っておるわけでありますか。下げてきたときに、そのときにポンドでやってもいいと、こういうふうにお考えになっているわけですか。
  52. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) これは商売でございますから、やはりグローバルで各国との競争があるということになると、向うも値段を下げるのではないか、現在のように中共だけから五万トン買うという方式をとっておりますと、向うの立場は強くなりまして、どうせ買うなら強くやれといって、なかなか値段を下げない。グローバルで競争するということになると、国際価格まで相手側は下げるということが常識的な線でございますので、私どもはどうしても値段が下らないという場合は、これはほかから入るかもしれない。値段が下ってきさえすれば、中共の物は買えるわけでございまして、その際はポンドの支払いにたるわけでございます。
  53. 海野三朗

    海野三朗君 向うから輸入がべらぼうに多くて、すなわち輸出が少い。この間雷任民団長がここの議長室に来てあのときに益谷議長も出ていろいろ話があったのですが、その際に向うではこう言っておる。中共では要る品物は何でも日本に差し出しておるのであるから、中共のほしいというものも日本が提供してもらいたい、こういうことをやはり言っておりまして、お互いにそうしてもらえば、つまりこの輸出入の、輸入超過ということがなくなるわけであるのですね。ココムの条約があってなかなか思うようにいかない。思うようにいかないといって、この前も通産大臣に私がそこを迫ったところが、自由諸国全体がそういうことにやっておるのであるから、というのんきなことも言っておりました。しかし今日本の現状、この中小商工業がばたばた倒れて行く、人心の悪化しておる今日背に腹はかえられないのじゃないかと私は思う。で中共に対してももう少しこの輸出入については通産省あたりでは考えなければいけないのじゃないか、こういうふうに思っておるのです。で生活に困らない人はココムの条約を守っておるでしょう。そうだけれども、今現在日本のこの置かれておる状態は実に精神が悪化しておる。中小企業は破れかぶれになっておるのです。すでにこういう状態にあっての中共の貿易に対しては、もう少し通産当局が考えなければいけないのじゃないかというように私は考えるのでありますが、通産当局としてはどれくらいのこの熱意を持っておられるのだか、その辺の御熱意も一つ伺っておきたい、そう考えるのであります。
  54. 大堀弘

    ○府政委員大堀弘君) 禁輸品目の解除につきましては、政府といたしましてはできるだけ現在努力いたしておるわけであります。ただ、ただいまお話ございました問題ですが、この禁輸品目は大部分が重工業製品が多いのであります。中小企業なり日本の国民が一番に非常に熱望しておりました品物はどっちかといいますと雑貨といいますか、消費物資が多いわけです。これらはおおむねは禁輸品目になっておらないわけでございます。それで現在まあわれわれとしましては努力をいたしておりますけれども、禁輸が大幅に解除にならない現状におきましては、できるだけ現在出し得るものを買ってもらいたいということで、私どもは個々の認可の際に相当やかましくいろいろ言っておるわけでございますが、たとえて申しますれば、昨年塩を入れます際にもなかなか見返り物資を買わない。そういうふうに買わないならどうもわれわれも買うわけにいかない。非常に強硬に言って結局やりました結果は過燐酸石灰も買いましたし、人絹糸も買ったのでございます。これは個々の契約の際にわれわれとしてはできるだけ可能なものを買えということを強く要求しておりますのですが、なかなか先方はこういう消費財物資は買いたがらぬ。どちらかといえば生産財だけ、あるいは肥料でありますとか、日本の輸出余力が少いものであります硫安でありますとか、そういったものをいって参りまして、一般のものはなかなか買わないのでございます。この点については先ほど申し上げましたように、われわれは逆トーマス方式に拘泥しておるように見えますけれども、これは一つやはり向うに物を買わせるためには、現在のバーター方式を存続していく以外はないではないかと、かように考えるゆえんでございまして、われわれば十分努力いたしておりますが、現状はさような状態になっております。御了承願いたいと思います。
  55. 海野三朗

    海野三朗君 雑貨を向うが買ってくれればいいと言われますけれども、それはあなた方の認識が御不足なんじゃないか。中共ではそんなものは要らないのです。すでに作っておる。それだから要らないのです。ないものは何かというと、つまり鉄鋼製品とかそういうものがないので、しかしこれをやらないでおればどうなるかというと、今度は中共の方がみずから作るようになるのです。日本からやらない、そうすると結局向うの力がもう窮すれば通ずるでいろいろなことですばらしい進歩発達をしてぐんぐんのして来るわけです。やらなくて、つまり戦略物資であるといって押えて大いに得意然としておる。あにはからんや中共はすばらしい長足の進歩をなしつつある。雑貨は向うにたくさんあるから要らないのである。そういうふうなものを押しつけようとしたって売れないのが当然なのです。実は私はその点に至るとココムの約束以外の製品を買ってくれればいいと言ったって向うが買わないのは向うが品物が余っておるのである。それに困っていないのである。そういうものを押しつけたって全然お話にならないのですから、向うが困っておるものを売って初めて向うの進歩というものがそれによって幾らかでもおくれる。将来日本が競争し得る、日本みずからが自由諸国に入ってその足場をくずすと私は思うのですが、売らないでおれば、つまり向うにやらないでおれは向うは窮するからいろいろなことを工夫しますよ。製鉄業でも何でもやり出して来ますよ。雑貨が売れないというけれども中共の方はすでにもう日本から雑貨を買うほどに困っていないのである。そういうふうに考えると、実にばかの骨頂をやっておるように私は思うのですが、そうでもないのでしょうか、どうなのでしょうか。どうも実におかしいのです。
  56. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) お話通り大筋といたしましては昔のようないわゆるちり紙だとか雑貨といったようなものはなかなか出にくくなっておると思うわけでございますが、現在でも人絹糸でありますとか、あるいは化学繊維そういういろいろなものが売れるわけであります。それから薬のストレプトマイシン、機械にいたしましても紡織機その他のものは出し得るわけでありまして、そういったものでわれわれももちろん今後の大陸輸出というものの中心はどうしても重工業製品になるであろうというふうに考えられると思います。当面の状況といたしましては、やはりこういったものでも相当向うは買い得る余地があるのではないか、できるだけやはりこれを買わせるのが利益ではないかと、かように考えまして努力をいたしておるわけでございます。
  57. 海野三朗

    海野三朗君 買わせようとしたって向うが買わなければしょうがないのです。要らないものをそれを日本が押しつけようとしたってそれはだめなので、戦争が済んだあとでしたか、米の配給を守ってそうしてやっておった裁判官があの栄養失調で死にましたね。あれは法律を守って死んでしまったのです。それでどうもそういう点から見ると人間は生きる方が大事じゃないか。生きんがための法律であり、国際間の関係である。それを今背に腹がかえられないところまで来ておるのであって、そういうことをもう少し真剣に考えていただかなければならないのじゃないかと払は思う。要らないものを押しつけようとしたって売れないのだ、私はそう思います。  それからもう一つ伺いたいのは、このポンドの片道現金決済では中共大豆の値段が高いと言われるのだが、中共と東欧のような何らココム・リストのような制限のない互恵貿易をやっておる国の輸出価格と日本の輸出価格と比較するのは間違っておるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、その辺はいかがなものですか。
  58. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 東独あたりの取引と直ちに比較するのは適当ではないと思いますが、しかしながら先ほど申しましたように、FOB四十三ポンド、ボーナス付きというのはこれはCIFに直しますと、先ほど申し上げましたように四十七ポンドないし四十八ポンドになるわけであります。これはいかに考えましても、これは相当に高い。ヨーロッパに行きます場合に三十八ポンドというのはこれはあるいは政策的な値段があるかもしれませんが、いかに考えましても、幾ら安く見ましても一割くらいでは少くとも高いのであります。一割ないし二割ぐらい、相当高いわけであります。従いまして、これは一般の大豆は国際商品でありますから、国際価格取引相場があるわけでありまして、その基準から見まして妥当な価格まで下げてもらうということが適当ではないかと、かなうに考えております。
  59. 海野三朗

    海野三朗君 通産省は、この新形態方式を認めるというと、中共向け輸出がますます出なくなると言うけれども、問題はそんなところにあるのではなくて、向うからこの甲類の輸出物資であるところの米や大豆を輸入しておきながら、見返りに先方が最も要求しておるところの船舶あるいは鉄鋼製品、カーボン・ブラックなどを出さないで、そうして向うじゃあほしくないといっているその人絹糸や不急不要品を無理に買わせようとするところに問題があるのであって、純粋の軍需品以外にココム・リストを大幅に撤廃すべきだと私は考えておるのですが、政府当局者としての御所信はどんなものですか。
  60. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) これは私から御答弁申し上げるにはあまり大きな問題でございまするので、あるいはどうかと思いますが、やはり現在の情勢から参りますれば、西欧各国との協調という点から見まして、 ココムのアンダスタンデイングによって輸出を規制していくということは現状からしてやむを得ない線ではないか。できるだけこれを緩和いたしまして、できるだけ輸出を伸ばしたいということはおっしゃる通りでございますが、現状におきましてはやはりこの共同の線を守っていくことが全体としてやはり有利であるという考え方に立って措置いたしておるわけでございます。できるだけ解除はいたしたいとわれわれも思っておりますが、また、特認品目等につきましては個々に折衝いたしまして、相当連続的に折衝もいたしておりまして、最近ぼつぼつ実績も上げておるわけでございまして、その点からも一つ御了承いただきたいと思います。
  61. 海野三朗

    海野三朗君 もうここまでくれば見解の相違ということになってくるのでありますが、まああまりその点はもう追及したってしょうがないから、それくらいしかお答えになられないでしょうから、それはまあそれといたしまして、この輸出入取引法の第二十三条は、現在のように対中共貿易に不均衡を生じておる、輸入が五千二百万ドル、輸出が二千二百万ドル、こういう場合に、この不均衡を除去するための調整措置をとることとなれば、どうしても輸入禁止を行わなければならない、そういう部面があるのですね。せっかく現在まで拡張してきたところのこの中共貿易を今度は縮小していこう、こういうふうな意図があるのではないかと、そういうふうに見えるのです。不均衡というけれども、多過ぎるこの手打ちのポンドを払って輸入するのに何の差しつかえがあるのかということを私はつくづく思うのであります。もしこの不均衡を問題にするという点になりますと、対米貿易のように輸入十億ドル、輸出三億ドルというこの最大の不均衡、これを是正すべきではないか。対米輸入品は決して安くもないし、また重油のように、無関税輸入で日本の石炭産業を苦境に追い込んでいるようなありさまである。こういう点についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  62. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) ただいまのお尋ねの点は、条文の解釈の問題でございましょうか。ちょっと、大へん恐縮でございますが……。
  63. 海野三朗

    海野三朗君 中共に対しての輸入が多く輸出が少い、だからほかの雑貨を売りつけよりと……、売りつけようといったって、なかなか売れない、そうしてその決済方式を改めないということになれば、今までせっかく拡大してきたところの中共貿易がだんたん縮小されていくのではないかと、こういうふうに思うのです。で、一億ポンドも余分に狩っておるのであるからして、やはりこのポンドを使ってやったらどうか、こういうことも思うのです。で、中共に対しての貿易は、なるべく中共と貿易しないような方向、しないような方向というふうに施策を施しておるかのごとく見えるのですが、その辺はどうお考えでいらっしゃるか。
  64. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 先ほど申し上げました、もちろんこの貿易はできるだけ輸出を伸ばしましていきたいということは当然でございますが、われわれとしては、縮小均衡を希望しているわけじゃございません。できるだけ拡大して参りたいという考えでございまして、ポンドの問題その他のお尋ねでございますが、今度大豆につきましてグローバルを実施するということはどういう意味かと申しますと、今後かりに大豆の輸入を全部グローバルにいたしました場合は、従来ほとんどアメリカから入っているわけでありまするが、中共がもし国際価格まで値段を下げて参りますれば、あるいは中共がその大豆を全部取るかもしれないということが予想されるわけであります。私どもは、国際価格で中共の大豆が入って参りますれば、これは一つストレートで払いましょうという腹をきめたわけでございます。これは決して輸入を抑制するという意味じゃないわけでありまして、むしろ、中共側が国際価格まで輸出価格を下げれば、従来以上に大豆の輸入がふえてくる格好になる、かように観測をいたしておるわけであります。
  65. 海野三朗

    海野三朗君 今の最後の、アメリカに対しての貿易ですね、輸入が十億ドルで、輸出が三億ドルというようなこの不均衡、こういうことに対してはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。そうしてしかも、米国から入ってくる物は皆必ずしも安いとは限っておりません。具体的にいろいろありますけれども、それはまあやめるといたしまして、重油の輸入にしましても、関税を一例だけ安くして、昨年度の二十九年度のこの油の関税に対しては実に七十九億というお金を、その関税を政府が取らないでおって、そういうふうなことで、その反面においては石炭産業が今日のような状態に追い込まれておる。その結果、今度は石炭の合理化法案なんて出しできておる。実におかしいあり方である。で、この対米輸出の不均衡に対してはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
  66. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 御指摘の通り、対米関係は非常な入超にたっているわけであります。この輸入の方につきましては、もちろんわれわれとしましては、ドル・ポジションの関係からいたしましても、できるだけポンド買付なりオーブン・アカウント地域からの買付に最大限度転換をいたしまして、これらの地域からの買付を進めるように努力いたしておるわけであります。現にもう非常に努力をいたしております。しかしながら、これはお話もございますが、やはり価格の面から見ますると、アメリカの品物が国際的には一番安いのでございます。これはもちろん例外もあると思いますが、全般的に申しまして、現在買っております物は安いわけでございます。かりに、一般的に同じ条件で買付いたしますると、ドルの物が先に入ってしまうという傾向が強いわけであります。しかしながらわれわれといたしましては、外貨の状況から見まして、できるだけドル地域からの買付を他の地域の買付へ転換いたしていくということについて現在でも具体的に相当努力いたしましてその方策をとっているわけでございます。しかしながら、輸出の方は関税がありますけれども、現在のところは輸入制限の割当制度、外貨割当というものがございませぬので、これはやはり対米輸出を今後大幅に伸ばしていくという点について積極的な方策を講じなければいかぬ、かように考えまして、この点につきましては、先方には相当大きな購買力があるわけでございます、製品の宣伝あるいは意匠、品質の改善、先ほど申し上げました値段の協定、不当な売り込みに対しまして関税引き上げ連動を起すということを予防いたします意味において輸出入取引法改正をお願いいたしておるわけであります。協定の運用によりましてできるだけ輸出を伸ばし、外貨が獲得せられていくという方に努力いたします。輸入の方はできるだけ他へ転換していくように努力をしておるわけであります。そういう現段階でございますが、現状は御指摘の通りでありますが、なお相当輸入超過になっておる現状でございます。これはいずれも必需品を買っておるわけであります。
  67. 海野三朗

    海野三朗君 最後にもう一つついででありますからお伺いしますが、油に対しての関税はどういうふうになりましたか。つまり原油、重油、ガソリンおのおのずっと一割ずつ免税しておったのをただいまどの程度改められましたか、それをお伺いいたします。それで今日石炭がああいうように困ってきたのは、昭和二十六年以来油の関税が一割ずつ免除してきた、二十六年から七、八、九年、それらがやっぱり石炭の方にひどく私はたたっておるんだと思う。今になってきてから今度は石炭の合理化法案なんというものを出されて、実に子供のままごとのようなやり方のようにしか思われないので、そういう点についてどれくらいの関税をもとに戻されましたか。   〔理事高橋衛君退席、委員長着席〕
  68. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) はなはだ恐縮でございますが、この問題は鉱山局の方で処理いたしておりまして、私もちょっと具体的な説明をいたしかねますので、後ほど鉱山局長の方から御答弁申し上げます。
  69. 海野三朗

    海野三朗君 とにかくお願いします。
  70. 河野謙三

    ○河野謙三君 ちょっと私は一つだけ荷いたいのですが、先ほど輸出入の不公正な取引の御解釈がありましたが、その中にあまり不当なリベートが出た場合にも該当する、こういうことでございましたね。これは輸入の場合ですが、すでにお耳に入っておるでしょうけれども、輸入業者が沿岸の荷役業者、はしけ業者、倉庫業者、これあたりから相当私から見ると不当なリベートを現にとっておりますが、これはどう処置されておりますか。
  71. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) 実は具体的にまだ……ただいま伺いまして承知いたしました次第で、実は実情よく聞いておりませんでしたから、よく調べまして御回答申し上げたいと思います。
  72. 河野謙三

    ○河野謙三君 それじゃ私一つさっそく研究してもらいたいと思います。どの程度をあなたの方では不当なリベートと言われるか、その御解釈が非常に不明瞭でしたが、私は二割とか三割とかというリベートをとっていることは不当だと思うんですよ。特に運輸省関係の倉庫料、荷役料、はしけ金というものは認可料ですね、役所が一方において——運輸省が認可せられておる料率の範囲内においてやっておる、それを貿易業者が二割、三割というリベートをとっておるんです。しかも実情はリベートを出さなければ、たとえば私は具体的に一つの例を申し上げますが、私の地元の横浜の業者にそういう問題があった。刑事問題にまでならんとした。ところが横浜のそういう弱い沿岸荷役業者や何かがリベートを出しておる、しかもそういうことな問題にしてもらっちゃ困る、こういうようなことなんです。どういうことかという、これを、もし貿易業者にリベートを出さないと、たとえば神戸なり、大阪なり、名古屋なりこの方へみんな荷物が行ってしまう。それはそうでしょう、二割、三割というリベートーを出すところと出さないところがあれば、出さないところより取れる方の港へみんな入れてしまいますよ。そういうことで港の振興上これは非常に大へんな問題になってきた。こういう具体的な事実があるのですよ。それはまた刑事問題になるのでしょう。
  73. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) リベートの問題につきましては、やはり商習慣で行われている程度の通常の場合に、それを不当だという——不公正だという解釈までにならぬかと思いますが、具体的に申しますと、最近私どもがやりましたのは、ミシンの輸出の場合において表面はチェック・プライスで売って、ひどいのは三割くらいのリベートをやっているというケースがあるわけであります。これはやはり一般の商慣習を見まして、不当に高いものを出している場合は、これは不公正であるという解釈になるかと考えております。
  74. 河野謙三

    ○河野謙三君 私の今申し上げるのは、これはきょうの問題とはちょっとはずれるかもしれない認可料の場合ですが、ともかく運輸省の厳密な原価計算をされた結果でしょう。認可料率をきめているわけですね。その認可料率を大幅に下回って二割、三割というリベートを出さなければ仕事をさしてやらぬ。またそれだけリベートを出してもぜひ仕事をしなければならぬということで、現在港の業者がやっていると思うのですよ。これにつきまして役所は適当な措置をとらなければいかぬと思う、どうなんですか。
  75. 大堀弘

    政府委員大堀弘君) よく調査いたしまして、内容によりましては処置をいたしたいと思います。
  76. 河野謙三

    ○河野謙三君 それから私は別の機会においてそれの運輸省の見解を——何も責任者の出席を求めるわけじゃありませんが、運輸省の見解もあなたの方から聞いてお答えしていただきたいと思います。
  77. 吉野信次

    委員長吉野信次君) もしほかに御発言がなければ、砂糖の方は農林省関係政府委員説明員もきょうは米の方の関係で出られないということでございます。それでしたら、十六日でしたか栗山委員から開発銀行の融資計画についての御質問があって資料が出ておったのだけれども、あの資料をもう少し詳しいのを出せということを要求したのですが、まだ栗山委員におめにかけた以上の資料は省内の意見の調整がつきかねるので出せないそうですから、まああの程度で——あのときはほかの委員には配ってなかったのですから、もし何でしたらあれに基いて質問をお続け下さることがけっこうだと思います。  速記をとめて。   〔速記中止
  78. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて。  それじゃ政府委員から、ただいま配付いたしました資料についての説明を求めます。
  79. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 三十年度の開銀資金の配分方式というものと、それから電源開発会社の三十年度の資金計画、この二つの資料をお配りいたしております。まず開銀資金の配分方式について御説明申し上げます。これにつきましは先般の委員会におきまして本年度の配分方式につきまして従来と多少構想を変えてやる必要があるだろうということで研究を加えている旨の御報告を申し上げましたが、今度の本委員会までに大よその腹案を得まして、それを資料とともに御説明する予定でございましたけれども、その後部内におきまして当初公益事業同で考えておりました案につきましていろいろ研究いたしましたが、いろいろな意見が出まして、なおさらに再検討をするというふうなことになっております。従って本日はまだ省といたしましても、あるいは局の原案といたしましても固まった数字を出し得ませんので、少し古い資料になりますが、こういう考え方でもってやった結果、さらに再検討するものだというふうな意味でこの資料をお配りしたわけです。これは日付も入っておりますが、五月の初めに大体こういうふうなことで、本年度の資金計画を立ててみたらどうかということで検討をしたわけであります。それでは従来どういうふうな方式でやっておるかということを申し上げた方がおわかりやすいかと思いますが、その点から申し上げますと、今までは大体開銀資金の融資率というものは各社一律に、まあ年によって違いございますけれども、五〇前後の比率でもって配分いたしております。何によってそういうような率を適用するかと申しますと、各社のその年度の資金計画のうちで工事用の資金をまず取り上げまして、その工事用の資金を一応検討いたしまして、全体の工事資金を出すわけでありします。そのうちから開銀資金の対象として取り上げるべき工事というものを洗いまして、その洗いました対象工事につきまして五〇%等の一定の率をかけて開銀資金の金額を算出いたしております。対象工事以外に何があるかと申しますと、たとえば配電関係の工事は開銀の対象といたしておりません。それから同じく送変電の関係におきましても、これはまず電源開発の方を最重点に見ます関係上、電源開発に開通してどうしても必要なものを取り上げるという趣旨におきまして、大体送変電関係は二分の一を取り上げるというふうな考え方でいっております。これは特に配電あるいは送変電の二分の一が不必要だということではなくて、国家資金として全体の限度がございますので、その対象として考える場合には、ウエイトはそういう程度で考えざるを得ないということで、そういう考え方をとったわけであります。そういう方式をとって従来は一律の、たとえば五〇%ということで各社配分をいたしております。ところが最近料金の改訂をいたしまして、各社の事業は大体平均化されておるはずだということば、まあ申さなければなりませんけれども、しかし実際上各社の経理の実情というものは、必ずしもバランスがとれておりません。従って各社の経理上の実力と申しますか、事情というものを、さらに考究いたしますというと、多少そこで差が出て参ります。で、いわゆる工事資金に対します比率というものを一律にやるということは、これは開銀資金の金利がほかの借入金に対しまして安いということ、さらに国家資金をつけるというからには、必要な工事に対しましては同じ率でつけるべきだという二点の両方面から考えたわけでありますけれども、一面におきまして、会社の実情というものが違えば、多少その点も考慮すべきだという考え方が当然出てくるわけであります。その場合におきまして、経理的な実情、つまり各社の自己調達能力がどの程度あるか。また内部留保はどの程度あるかということを十分検討をいたしまして、実力に応じて、残りのものに国家資金の割当を考慮するということをむしろ考えるべきだという考え方ができるわけであります。ところがこれに対しまして、他面におきましてはそういうふうな、いわゆる実情の相違というものは必ずしも各社の企業努力によるものばかりでなく、またほかの外的要因に基くものもあるわけであります。従って実力の相違をそのままとりまして、自己調達して行けるものは十分見て、残りの分を、不足分を開銀で見るという考え方は、必ずしもそういう意味におきましては妥当でないという考え方も出てきます。それからさらにこの金利が、国家資金の金利が安いということを考えました場合には、やはり各地区の料金のベースというものをそろえるという意味におきましては、各社の経理の実情というものを考え過ぎるということは、料金的にはむしろ妥当を欠くといううらみもありますので、 その点どうかみ合わせるかということが非常な問題でございます。それからさらに先ほど申しましたような、一律方式で参りましたのを、今度一挙に、かりに融資能力と申しますか、実際の経理上の実力に合せまして変改をいたしますというと、会社間の借入比率というものが非常に変って参りまして、その受ける影響も非常に大きくたりますので、過渡的問題ということを考えましても、この点で何らかある程度妥協的な道も探さなければならぬというような要請がありまして、それをどういうふうにするかということは、いろいろ議論があるわけであります。その関係におきまして、なおまだこれからさらに検討を続けなければならぬようなことになっておるわけでありますから、ここで一応考えしましたやり方は、ここに簡単に説明と書いてございますが、これによりますと一のところになります。ただいま私が申し上げましたような事情から、少し変更するのだということを書いておるのであります。それから二、三が今回の方式の大体の骨子でございますが、二に書いてあります各社の総工事量、それから妥当と思われる内部留保、自己調達資金との差額。内部留保、自己調達資金とこの合計額がいわゆる各社の内外合せての資金調達能力であります。で、この両方合せました広い意味の自己調達能力が大きいものは、それだけは当然自分で弁ぜられるものといたしまして、残りのものにつきまして開銀の配分を考えたらいいじゃないかという考え方が、非常に進めた考え方では出てくるわけであります。非常に理想的と申しますか、こういう考え方であります。それでやりますとどうなるかということを一応数字を出しますために、この内部留保、自己調達資金と——これは内部留保の見方、特に自己調達の見方につきましてはいろいろな見方がございまして、これにつきましてはいろいろ問題がございますが——これに一応公益事業局としての見方を加えまして数字を出しまして、その両方合計いたしましたものを、各社の総工事量から差し引きますというと、その差額が穴埋めをしなければならぬ資金というふうになっております。  かりにそれだけのものを全部開銀資金で埋めたらどうなるかということになりますと、当然これはたとえば本年度予定されております二百八十億という資金ワクをはるかに突破いたしますので、それをどの程度まで埋めるかということが問題になるわけであります。  そこで次に今度は別の見地からいたしまして、この総工事量の中で開銀の対象となる工事を拾うわけでございますが、これをまず電源につきましてはこれは継続分もありますし新規もございますけれども、継続分はもとより新規につきましても、これは当然将来の需給計画を考えた場合には、各社といたしましても、また国家全体としても手をつけなければならぬ計画でありますので、電源の工事につきましては全部を見る。それから送変電につきましては従来と同じように継続分につきましては半分を見る、こういう考え方をとっております。ただ送変電の中で新規のものについて別の考慮を払うが、それは継続分につきましてはもうすでに工事に着手いたしておりますから、それをさらにまた減額をするということは少し影響が大きいので、継続分は一応従来と同じような考え方をとるというようにしたわけであります。そうして残りの新規分について、いわゆる自己調達能力とにらみ合せまして、できるだけその間の調整をはかるというような考え方をとったわけであります。で、今の電源工事とそれから送変電工事の半分というものは、これは一応対象工事として拾い上げられましたものの四〇%を開銀の融資額として見ております。四〇%といたしましたのは、従来の金額に比べまして今度の開銀資金のワクが少し減ったのと、工事量との比率から申しまして五〇%等の数字になりませんので、大体四〇%くらいになるという見当をつけまして、まず四〇%くらいを本年度は電源並びに送変電計画の半分につきましてつけるという計画にいたしたのであります。  そういたしますというと、それだけで大体三百四、五十億の金額になると思います。で、結局残ります三十億ないし四十億というものが、これが新規分の拾い方によってどう配分するかという調整する財源になるわけであります。で、この新規の工事を拾います場合において、自己調速のものとそれから工事資金との差額、つまり開銀期待量というのがそこで出るわけですが、その開銀期待量とそれから算定いたしました電源と送変電の継続分の半分につきまして資金を判り当てました額との差額、これが各社ともあるわけでありますが、その差額がなるべく少くなるように新規の分を拾うという考え方をとっておるわけであります。電源と送変電の半分ですでにもうその差額がなくなりましたものにつきましては、もう新規のものは拾わない、そういう考え方をとるわけであります。  そういう考え方でやりましたのが二枚目の試算表になっております。それからその次に三枚目にありますのはこれはわれわれの計算の基礎になりまする会社から出てきました一応の申請の表でありまして、これにはいろいろ誤算もございまして、さらにわれわれの方で検討を加えて行かなければならぬということででございますが、これをまずこういうふうな二枚目の表のようなふうにこちらの方で一応の査定を加えて試算をした、こういうことになっております。従って三枚目の表は大して意味のある表ではございませんけれども、その特徴を申し上げますと、二枚目の表におきましては総工事額は千百三十九億になっております。一番上の右にございますのはこれは各社の申請のものによりますと、これはちょうど中ほどに出ておりますが、総工事資金としまして千二百二十億二千九百万、こういうふうに会社の申請とそれからこちらで査定しました金額というものは若干違いがございます。その他自己調達資金、内部留保等も違いますが、開銀期待額といたしましてはこの会社申請のものはこれは中ほどのちょっと上にございますが、三百六十五億五千万という数字がございます。これに対しまして現実に開銀の方で出された額は二枚目の一番下にございますように二百八十億というのがありますから、これだけの、どこの面かでの圧縮ができる、こういうことでございます。  そこでこの三十年度の資金調達計画という二枚目の表につきまして、もう少し御説明申し上げますと、全体の工事資金が千百三九億円、これもその後いろいろ手を加えまして、若干変るかもしれません。それからそのほかに債務償還とか税金とかございますので、全体の所要金頭としては、まん中の合計欄にあります通りに、全国合計をしまして、千六百五十二億、こういう数字になります。これに対しましてその下段の方にありますが、内部留保は幾ら行けるか、それから自己調達でどのくらい行けるか、この開銀ではどうなるか、こういうことになるわけであります。  まず内部留保につきましては、これは大体そう大していじるところはないと思います。各社のものとは若干違いがありますけれども、大体において似たようなことでございます。これが全体で三百十五億ということになります。このうちで一番大きいのは減価償却、それからその他という項目がございますが、これは雑収入等でございまして、大した金額ではございません。  自己調達資金が千四十四億ということになっております。で、これは総所要資金の千六百五十億円から、内部留保と、それから開銀の全体できまっております二百八十億、それからその他の雑収入、この三つを差し引きました額がこの自己調達資金になるわけであります。従ってこれが計算上はこの表では一番最後になります。ということは、結局におきまして自己調達資金を各社別にフルに見るということをいたしますと、開銀資金の数字が変って参りますが、開銀資金の数字というものは先ほど申し上げましたような、電源開発の力の資金と、送変電の方の継続分の半分というものはまるまる見るということをいたしましたので、そこである程度さまってくるわけです。そこでその残りの三十億を調整するということで、開銀資金の各社別の配分が出ます。それによって残りの一応自己調達資金というものが出てくる、こういうまた逆な結果になっておりますが、この結果におきまして最後に、開銀資金の各社別の配分比率が一番最後の欄にありますようになるわけであります。この数字は従来の方式で行きました場合と比べますというと、相当変っておりますが、しかし理想通りの、つまり各社の調速能力あるいは内部留保等を十分考慮しましてやった場合の数字と比べますというと、相当緩和されております。その間の見方をどうするかということにつきまして、理論上もまた実際上も問題がございますが、そういう点についてさらになお検討したい、こういうふうに考えております。  それから次の電源開発会社の資金計画でございますが、これは中ほどに昭和三十年度というのがございます。これは目下調整中の数字でございます。この三十年度の欄の上から四番目の、まん中のちょっと上でございますが、財政投融資というが欄ございます。それが三百八億五千万円となっておりまして、内訳が、一つは産業投資会計、つまりこれは政府出資でありますが、それが三十億、それから運用部資金が九十六億、見返り円、これは余剰農産物の見返り円、これが百八十二億五千万円、こういうことになるわけであります。この資金の内訳が、二十九年度、昨年以前のものとこれは非常に構成が変っておりまして、政府出資金が減って、見返り円を含む借入れの方がふえたというような結果になっておりますが、これを二十七年度以降会社成立以来の金額を見ますと、去年度におきましては非常に国家資金の方が率が多くなっております。それが逐次減りまして、今年は非常に逆にマイナスになるというわけでございます。昨年度まで、二十九年度の終りまでの実績を見まするというと、これを三つ加えればいいわけでありますが、産特会計の分が、ちょうど三百億になります。それから運用部資金が三百三億、大体両者の比率が五〇、五〇と、若干政府資金が減りますけれども、大体五〇、五〇くらいまでには行きます。それが今年度の終りになりますというと、この通り減りますというと、政府資金は三百三十億になりまして、それから借り入れの方が合計で五百八十一億五千万円ということになりまして、両者の比率は、政府資金が二七・六%というふうに、現在の比率の半分近くに落ちてしまうというようなことになるわけであります。ただし運用部資金の金利と、予定されております見返り円の金利と比べますと、見返りの方は二分五厘くらいは安くなる見込みでございますが、金利的にはこの比率と同様に安くなるとは言えませんけれども、借り入れと政府資金との関係というのは、そういうふうになりまして、そうして発電に対しましてどれだけの工事ができるかという問題でありますが、これが使途の部といたしまして、そのあとに出ておりますが、全体の使途の部合計がちょうど下から四、五段目に三百五十三億としてあります。それで、われわれは本年度資金は全体として三百六十億を確保したいということをまあこの間から言っていますが、大体その線が確保されているわけであります。三百六十億、三百五十三億で、七億ほどここではショートいたしておりますが、現在発電をやっておりまして、営業に入りました部面の収入、支出を別に落しております関係で、全体に三百六十億の資金手当ということが言えるわけであります。そのうちで工事資金が一番上にあります通りに、三百二十九億ということになります。これは各地点これを配付しておりますが、各地点ともいろいろな今までのいきさつ等がございまして、どうしても最小限度はこれだけつけなければならないと考えておりましたのが一時危ぶまれましたけれども、大体その金額であれば、まずまず曲りなりにでも現在手をつけております点に必要な資金は確保できるだろうというふうに考えております。ただし三百六十億の資金に対しまして、実際についております政府資金というものは、三百八億五千万円でございますから、約そこで五十億のショートがございます。そのうちで電気事業収入等がございます、それから借り入れ、外資の導入、借り入れの残等もございます。そういうものを差し引きますというと、本年度政府資金のほかに調達しなければならぬものが、計算上は三十億ばかりですが、これは会社内部の操作、あるいは外部資金の借り入れ等によりまして、つじつまを合せるということにつきまして、具体的にどこまでどうするかということにつきましては、まだ大蔵省と折衝中でありますが、いずれはそういう方法によって所要資金は確保できるようにするというふうになっております。それから業務設備その他は、これは開発工事以外の関係の費用を入れてありますが、特に調査費につきましては、現在開発地点になっておりませんで、調査地点としていろいろ測量その他をやっておる所がございます。そういう地点につきましては、やはり従来と同様に最小限度の調査を継続しようという費用がこの中に入っております。  それから一番下段に各年度別の出資金と融資金との比率がございます。  これをもって御説明を終ります。
  80. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 このいただいた資料のうちで、文章で書かれております一から四までの内容に、私は若干疑問がありますけれども、その質問はあとにいたしまして、そこでちょっと伺いますが、会社から申請された計画表というなまのがございますね。このなまのを今局長説明されたように、融資をつけるためのいろいろな操作ですね。役所でやられた操作、そういうものを全然別途に除外して、会社から出した申請書というものを厳重にチェックして、それでチェックしたあとにおける役所で公正妥当と認められる数字、それの表というものはないわけですか。
  81. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) この二枚目の表がその一つでございます。たとえば総工事費を千二百億のものを千百三十九億にしぼるとか、内部留保につきましても若干の違いがございます。三百十一億という申請に対しまして三百十五億というふうに、これは各社で相当違いますが、トータルにおいてもそういう違いがありますが、一応これはこの段階においてこういうふうな数字が出ておりますが、さらにまた先ほど申し上げたように、総工費資金につきましても若干はしたの方はまだこれから動くかもしれません。
  82. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 役所の方で作られた調達計画、このテーブルは、先ほどあなたがおっしゃったように発電設備は全部、あるいは送変電設備は継続工事について二分の一、新規については自己調達能力云々、そういうやはり一つの手心というか、作業を経て出された結果がこうなるわけでしょう。
  83. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) それはこの表には直接出て参りませんが、たとえば総工事資金は、これは全部をひっくるめておりますから、今のように半分にしたりあるいは比例額を変えたりということはそういうことには関係ございません。
  84. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 まあそうでしょうが、ですから一番最後の欄の開発銀行依存分ですね。この金額については多分にそのことが入っておるわけですね。ですから会社の方から出されておる開発銀行依存の希望ですね。これとの関係が、相当役所の意向が入って出てきているのだから、それをなまで出せないか、こういうことです。要するにもう少し具体的といいますか、各社が出しておる自己資金調達計画というもの、これが果して各社がやっておるものが妥当かどうかということをなまでチェックできないかということです。
  85. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) これは少し細かくなりますけれども、まず総工事におきましては、総工事資金の会社申請の各欄かございますが、これとそれから二枚目の炎の総工事資金と比べますと、結局各社で合計においては千二百二十億やりたいというものを、千百三十九億まで圧縮しておりますから、各社別にはこうなった。それから開銀の対象工事としてどれだけということは各社の申請にも現われておりませんし、こちらの表にもないわけであります。
  86. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 配電、その他諸設備に対する開銀対象外の工事に要する資金、それは今ここに記載されている工事資金に対してどれくらいの割合になっておるかということはわかるのですか。
  87. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) これは二枚目の表で行きますと、全体が二百八十億でございます。開銀の資金がそれが開発工事の四〇%でございますから、従って逆算しますと七百億が対象工事になっております。それじゃ残りは何かと申しますと、この七百億と千百三十九億の差額、これはいわゆる送変電の継続分の半分がまるまる入っております。それから新規分については落されたものの全額、それから拾われたものの半分、それからそれ以外の非常に細かい工事でもりますとか、配電関係これは全額入っております。
  88. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 この会社申請の表のうちの総工事資金というものは、三十年度に要する全設備資金がその金額になっておるわけですか。
  89. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) そうです。
  90. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それからこの各社への融資をする場合に、この計画書の一番最初にあります二の方法、要するに内部留保と自己調整資金と、それから総工事量との差額を開銀資金によって補完するというやり方は、非常に割切ったやり方ですね。これに対する一番徹底したやり方というものをかりに一〇〇%としますと、三番目にある折衷方式、折衷方式で出た融資額と比較した場合、折衷率というのですか、そういうふうに一応表現してみますと、その折衷率というものはどのくらいになっておるのですか。
  91. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) これは各社刑にそれぞれ率が違いますが、全体で見ればこれは同じことになるわけです。一々ちょっと比べられませんけれども、たとえばこの折衷方式によりまして二割ぐらい全体の総工事資金に対しまして開銀資金がついておるものが、従来のやり方で行くと二割四、五分つくというものもございます。これに対しまして完全に理論的に今の前提で行った場合には二、三%というふうな非常に低い率になっておるというようなところもございます。
  92. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 実は各社別にちょっと計算するのに、この二の方式による結論があればすぐ出るわけです。きょうはその資料がありませんから私ちょっと計算ができないものでお尋ねしたのです。  もう一つ伺っておかなければならぬことは、将来おそらくこの割切った方向へ漸次進んで行かれるのだと思いますが、今の情勢から判断をして、従来の方式を一挙に改めるときの影響というものを漸次なしくずし的にやわらげて行く方向だということでありますが、大体見通しとして何年先ぐらいですか。
  93. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) これは将来はその理想通りに持って行くべきだ、そういう結論もまだ出せないと思います。それは先ほど申しましたように、それでやりますと、今度は資金コストの面からいって、安いものとそれから高いものとの構成比率が各社で違って来る。それが料金に現われますので、それでいいかという問題が一つ、それからそういうふうに比較的資金事情の豊かな会社というものは、やはりほかのそうでない会社と比べて相当に努力しておる面もあるわけであります。それを完全に取り上げてしまっていいかどうか、そういう点がありますので、これは早急に割り切ってしまうということは、今のところ私どもにはできかねるのであります。従ってあと何年すればきちんとそろえるかということにつきましては、もう少し本年度一応暫定的な方法をとりまして、さらに来年どういうふうにするかということで、毎年々々考えてか行かざるを得ないのでございます。
  94. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そういう工合になると、この間石橋大臣と私といろいろやり取りした内容とだいぶんずれてくるのですがね。もう一ぺん私はっきり確認しておきたいのですが、あのときには、開発銀行の融資金というものは、吉田内閣当時の閣議決定の精神というものを鳩山内閣も踏襲はしないけれども、同じ考えであるということが第一点、それから第二点として確認されたことは、開発促進法の第五条による精神に基いて、必要な資金を用意しなければならぬという、この二つの項目があるので、このいただいた資料の第二項に述べられておるような折衷方式でない方式、これで行くということが理論的に正しいのではないか、そういう質問をいたしたときに、大臣はその通りであるという答弁をしておるのですよ。これは私繰り返して尋ねたわけですから。そういう工合に言われておる。しかし、ただ一挙に改めるということは影響が甚大だからできない、こういう工合に言われたので、原則としてははっきり私はしておると思います。それからそのことはこの説明書についても、「会社の資金調達能力と必要工事量との関係からみて真に必要不可欠な会社に適切な資金量が配分されない憾みがある。」ということがはっきり書かれておるわけです。これはうらみの程度ですけれども、われわれがこの間議論したときには、もう開発銀行を通じての融資金というものは、これは国の金なんだから、国の金である以上はあくまでも国の方針に沿って、最も重点的に効率的に使わなければならぬ。こういうことを私も主張し、大臣もこれは認められたわけです。その点が第一点。ちょっと違うということを私は申し上げたい。それから第二点は、料金関係のコストのことをおっしゃったのですけれども、これは既往のいろいろな諸条件、すでにもう現存しておるところの諸条件、それからこれから新たに開発をし、設備をして行くものの諸条件、こういうものが全部総合されて、発電単価というものはできてくるわけです。従ってこの発電単価だけがここに切り離されて、この発電所でできた電気は発電単価がこれだけだったからこれだけでいいというふうに、こうはっきり区別されるならば私は質問しない。これが全部既往の諸条件の中に流れ込んでしまって、プールされて、それぞれの会社の電気料金というものはきめられるわけだ、従ってその場合料金政策として論ぜられるべきである。前に局長が言われたように、九会社の企業格差というものは、料金更改の時期に調整して、ある水準にそろえるような努力をしている、しかしたまたま計算あるいはその他の諸条件が変って、現実には企業格差が相当出ておる、こういうことを認められておるので、料金コストの高低の問題というものは、この開銀の投融資だけのことを考えて議論をするということは、私は少し間違いがある、そういう工合に考えるのです。ですから今局長のおっしゃったことをそのまま通産省の主張として述べられたとすれば、僕はまだちょっと理解できないので、もう少し質問を続行しなければならぬと、こういうことになるわけです。
  95. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 第一点について申し上げますと、ここに二に書いてありますことは、これはまあ一応の理想だと先ほど申し上げましたが、これにつきまして大体文字通りのやり方でもっていいかどうかという点につきましては、これは相当問題もございますし、われわれとしても自信がないわけでございます。これがもし間違いなく、理論的に言って正しいし、早晩これでやるベきだということであれば、当然この目標に向って、あと何年間でやるということも申されるのでありますが、こういう考え方を早晩出して、一応結論づけていいかということにつきましては、まだ検討の余地があると思います。その場合にここに書いてある簡単なことでございますけれども、内部留保の見方でありますとか、自己調達の能力の見方でありますとか、それからその場合の企業能力というものをどう考えて行くかということを十分考えまして、また考える必要のない場合は考える必要もないでありましょうが、そういうことも十分考えまして、それで最終的にはこれが一番合理的な開銀資金所要額というものが出されれば、それを理想額として取っていいと思います。ただ簡単にここに書いてありますように、私はいろいろな前提をとってやっておりますけれども、それには自信がないということで、それはこれから固めて行くべきだと思っております。それから、大臣がさっき言われたとおっしゃったことは、その意味で言われたんじゃないかと思っております。  それから第二点の問題は、これはお説の通りでございまして、ただどうせこれは今年度の工事に対しましてかりに金利が高いものが余計入ってくるという場合には、この工事に基く供給電力というものは、これは上るわけでありますが、それはもちろん全体でプールいたしますが、ただいずれにいたしましても全体のその会社の総合原価といたしまして入ってくるわけでありまして、バランスはとれますけれども、ただ他の地域と比べますと、ほかにもいろいろな問題がございますが、少くとも開銀資金の入り方によってAの地域とBの地域とは条件が変ってくるということはどうかという議論がこれは成り立ち得るわけでありますが、それからそのほかにも地域的な条件等もございますし、その他の条件がございますので、当然各社の条件としては違いますが、それを調整するかどうかということは根本的な問題として議論があるわけでありまして、これは根本対策としても十分検討しなければならぬ、さしあたり開銀の比率の関係だけでこれは全然そういう点は考えないで、自由な資金需要に伴ってやってよろしいということが言えるかどうかという点に、少くとも問題があるということは言えるんじゃないかと思います。
  96. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 この発電原価に影響を、及ぼすという理屈は、再編成してできた九電力会社、これの料金というものは、将来料金更改のときには全然同一条件でやって、決して地ならし調整を、しないと、そういう方針が確立されれば、私はその理屈はある程度了解できないことはありません。しかしこれは方針として必ずそうされるにきまっている、これは終戦後何回か料金更改がありましたが、それは常に行われてきた事態だから、これこそやめるわけにはいかないでしょう。将来にわたっては地域差を減らす努力をもさらにされなければならぬ。それから九電力会社というものは一応民間企業として自主性を持った形になっておるが、料金政策そのものからいえば、これはやはり国の強い行政指導、行政監督が行われると見なければならぬ、そういう立場にあるから、従って開銀融資をする場合の見方というものの一番重要な点は、今必要とするところの設備をいかに早くいかに有効的に進行させて行くかということの一点にかかっておって、営業状態であるとかその他の諸条件をあまり加味して行うということは、私は国の大切な金を投融資する立場からいうと、少し誤ってはしないか、それを指摘したい。もし今中島局長のおっしゃることを言うならば、たとえば今いただたいたこの電源開発会社の資金計画にしてみたところで、これは最初の、あの法律ができる当時の話というのは、政府出資というものに非常にウェートを置いて、そして金利ゼロの金をもって発電所を作って、非常に安い電気というものが起し得る、これによって料金の引き下げを行う、あるいは調整をやるのだということが言われておる。ところが現実にもうできてまだ数年を出ないのに、国家の出資金というものはもうがくんと減らして、あとは見返り資金、資金運用部の資金だとかその他相当金利のかさむ金を対象にして三百五十億円ばかりの資金を用意されておる。そうしてやっておるのですから、これそのものから言っても促進法の精神から相当逸脱しておると私は見なければならぬ。従ってこういう電源開発会社が最初作られるときの目標と違った形で、発電単価を上げながら開発されて行くわけです。その起きた電気を電力会社が受けて、そうして需用家に販売されて行くときの全体の料金の水準というものは、やはり既存の設備あるいは電力会社が開発した発電所というものとの全部相関関係において、総合的な形において公示料金というものは決定されて行く、従って個々の発電所の工事に投入する資金の利息あるいは発電原価というものに拘泥をして開発銀行の融資を云々すべきではないということを私は考えるのですがね。
  97. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) その点は個々の発電所を取り上げておりますのは、ただ開銀の融資額をどうきめるかという計算の仕方においてやるわけでありまして、結局あとの公平問題をわれわれが言いますのは、要するに今年度の資金も含めて、その会社の全体の資金内容、そのうちの開銀資金の比率というようなものを考えての話でございまして、もちろん総合的に考えておるつもりでございます。個々の場合のものをいつまでも、将来までそういうものを生かすということはもちろんございませんで、この際要するに今年度高い資金が入れば、これはやはり来年度以降のその会社の全体の発電原価にも影響を及ぼすということにおきまして考慮を要すべきことではないかというふうに考えております。
  98. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 将来の発電原価に影響を及ぼすことは私は率直に認めます。認めるが、かりに影響がきても、その影響というものは野放しに放置されない、必ず将来いつかは高くなり過ぎれば調整をされる、低くなり過ぎれば調整をされる、そういう運命を持っておるものだから、そてれまでもこの差し迫った国のなけなしの金を、最も重点的に使わなければならぬという状態にあるのに、その目的を少しブレーキをかけるような、そういう考え方で開銀の融資を操作すべきでない、そういう考え方を持っておるのです。そのことはこの前の委員会のときにも言葉は足りなかったけれども、大臣にもはっきり述べ、経済審議庁の方々も出ておられて私は意見を述べたわけです。そこのところがどうも私はまだ理解ができないのです。
  99. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) その点はわかりましたが、要するにもしその考え方を進めるとすれば、全国的に開発計画というものを見まして、そこで開発原価の高い地域の開発は見送って、安い地域からどんどんやって行く、さらに企業体別にみましても、たとえば電源開発でやった方が安ければまず電発に集中するというようなやり方をすればいいわけだろうと思いますが、そういう点を分けてやらなければならぬかどうか、またやったらどれだけの効果があるかということは、これは別途私どもの方で研究をいたしております。もしその点につきまして十分な見通しと自信を得ましたならば、電力の基本対策としてこういうふうに持って行くべきだというふうな考え方を出したいと思っておりますが、まだそこまで行き得ませんので、少くとも取りあえずは各社継続の工事もございますし、またここ二、三年先の見通しをつけての開発計画というものも必要でございますので、大体各社の開発計画をもとといたしまして資金を配分する、 こういうような措置をとっております。
  100. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私は内容についてもう少し各社別の方に入って行きたいと思っておりますが、根本的な問題があるので入れないので、また次回に譲るようになるかもしれませんが、もう少し時間をちょうだいして、原則論を少しお聞きしておきたいと思います。この説明書には「征来の方式を一挙に改めることは会社に与える影響も甚大なので、」というのは、その与える影響というものは一体どういう影響ですか、それを一応御説明を願いたい。
  101. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) これは先ほど申しましたようなことの関係もございます。それから各社に大体従来、ここ二、三年の間大体同じ比率において開銀資金が出ておった。従って今後の計画も大体それを根本として組み立てておりますから、新しい構想によって非常にそれが減るということになりますと、ちょっとそこで変化が多過ぎるための影響がある、こういうことも言わなければならぬと思います。それからまた特に各社の最近の経理状況、これは企業努力の面もございますが、それ以外の外的原因もございまして、それによって非常に内容が違っておりますが、企業努力によって大いに苦労して上げた成績というものが、そこで完全に今年は逆にマイナスの方に利用される、こういうことになってもこれはまた行き過ぎな点もございますので、そういう点を考えまして、新しい方式というものはそう大きな変化を持たせないならばけっこうでありますけれども、このように非常に大ざっぱな計算を立てて一応計算しますと、かなり開きが出てきますので、そこで漸進的に行きたい、従ってここにありますように、こういう考え方につきましてもう少しモデレートなと申しますか、もう少しどういう角度から見ても無理がなくて、しかも合理的な計算方式というものがあるのではなかろうか、こういう点を研究しなければならぬと思っております。
  102. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 一律主義で今までやってきたので、今ここでにわかにこわすというと、その用意がないために、ある程度混乱するかもしれない。あまり急激にこわすことはできないということが今の第一点の方の説明であったと思います。しかしにわかにこわした場合に混乱が起きるというのは、所要資金の調達ができないときに起きるわけですね。できれば問題はない。僕は不可能なことは申し上げてないので、余裕のある、できるところはやはり同じ比率でなくてもいいのじゃないか、できれば少い比率でいいし、できないところは高い比率ということが、今の一の説明については重大な影響の中に僕は入らなければいけない、影響を与えるということにならないのじゃないか。かえって同率にしておいた方が、この前もあなたが確認されたように、工事の重点度が移っておる、企業活動がさらにできかかっておるということから考えれば、同一比率にしておいた方が重大な影響を与えることになるのじゃないか、私の考え方は今の局長お話と全然別な考え方を持たざるを得ないということが第一点。  それから第二点の企業努力云々の問題がありましたが、私は今九電力会社に出ておる企業の格差というものは、各社の企業努力の影響よりはるかに大きいその他の条件というものから出ておると思いますが、その点はお認めになりませんか。
  103. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 第一の点は、これはそのほかにこういう点も考えなければならぬと思います。もし今のようなことを考えますと、これは程度の差はございますけれども、本年度と比べて昨年、一昨年もその多少の差異はあっても、やはり各社の経理的な力の相違というものはあるかと思います。もし今年度にそういうことを考えるとすれば、昨年度以前においても考えなければならぬ。ところがそれはなぜ考えておらぬかと申しますと、要するに今までは各社とも需給状態の開きの程度の相違はあっても、ともかく電源開発を大いにやることが最大の要請で、それに対して国家資金をつけてやるというふうなことから出発いたしておりますので、従って開発資金は各社平等につける、こういう開発に要する政府資金は平等につけるという方針をずっと昨年までとってきております。従ってその方針を本年度急にそれではやめていいかと申しますと、やはり相変らず電源開発というものが必要である段階にあることは、これはもう申すまでもないことであります。多少需給状況は緩和されたという事情がありますので、こういうふうなステップをとりつつあるというだけに過ぎないのでありまして、従って従来の方式をとった考え方というものが今急速に完全に裏返しになってもよろしいかという点は、まだそこまでは言い得ないのじゃないか、こういうふうに考えられるわけであります。  それからく会社別の事情の相違でありますが、これはお話のようにむろん他の外的原因による格差というものが現在は大きく響いておるところが多いと思います。しかしその間企業努力の相違による経理上の差異というものも当然ありますから、これは全然ネグるというわけにも行かぬ。ただ、どの程度が企業であり、どの程度が外的原因であるかということを見きわめることは非常にむずかしい点でありますけれども、その点はやはり考えなければならぬと思います。
  104. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それはあれですよ、企業努力というものが大いに差をなしているから、開銀の融資についてもこれを考慮しなければならぬ、こういう一つの前提の理由にされる以上は、それは資金繰りの問題なんですから、各社の資金繰りにおいて企業努力が余裕を作っている状況、その他の諸条件が作っている条件との比率というものがはっきり把握されないで、ただ漠然と企業努力には差がある、それを守らなければならぬというだけで説を立てられることは、これはやはり少し的がはずれているのじゃないですかね。私も企業努力というものは全然ゼロだとは言いません。各社それぞれ違った企業努力があるでしょう。あるでしょうけれども、それよりもはるかに大きいその他の諸条件に基いてただいまの企業格差というものはつけられておる。そうすれば、これはだれも否定しないと私は思うのです。もし否定されるならば、私はもっとこまかい具体的なことで御質問いたしますが、これはおそらく否定されないと思う。そうすれば、今日の企業格差というものがどういう状態になっているか、そのうちでほんとうの企業努力によってつけられている企業格差はどの程度の比率になっているか、こういう具体的な計算というものが根拠になって、そうして開銀の融資というものは企業努力をネグるわけに行かない、こういう工合に説明をされるならば、それは私は納得いたします。しかしただ抽象的に否定のできない企業努力というものがあってこれを開銀融資のときにネグるということはできない、そういう工合に昔の教育勅語でも納得せしめられるがごとくにおっしゃっても、これは私はおよそ科字的じゃないと思うのですがね。
  105. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) それはまさにその通りでございまして、結局そこの判定がつかないので、今ここに書いてありますように、その点を全然ネグった一応計算値をとったのであります。しかし、今のような点を考えなければなりませんので、企業努力というものをこの中でどれだけ見るかということを一つやってみようじやないかということを今相談しているわけであります。そういうことがかりに計算できれは、ちゃんとはっきりした数字で差し引くこともできますし、どうしてもその区分がつかないということになれば、結局この原則に戻るということも考えられますけれども、これはもう少しこれから研究したいと思います。
  106. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 今おっしゃった企業努力、少くとも資金繰りをよくするという意味における企業努力ですね、これは今日のいわゆる経済常識で判断のできるあらゆる努力というものがやはり入るのでしょうね、企業努力という場合には。それだから、そういうものを個々にやはり分析してチェックすれば、私は必ず不可能な問題でなくて、数字ですか、あるいは比率ですかね、そういうもので表わし得ると私は思うのです。特にこの電気事業だけを特別に行政指導し、行政監督していられる公益事業局長立場から言えば、それが紙背に徹するごとくおわかりにならんということは、私は断じてないと思うのだね、その点の問題は。ですから、今の重大なる影響というものを二つおあげになりましたけれども、どちらも私は開銀の融資の問題を議論するときには、そんなに大きな影響というものはないのであって、開銀融資の問題を論ずるときの影響でなくて、そのほかの影響というものが取り上げられてそうしてここのところへくっつけられている、こういう工合に判断ができるのですがね。まあそれはそれとして、企業局長は、今私と公益事業局長お話し合いをしているのですが、あなたは企業局長立場でどういう工合にお考えになりましょうか、理論的に。
  107. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) この問題は、先ほど来公益事業局長からお話し申し上げましたように、実は省内でも目下盛んに検討中でございまして、企業努力を先ほどお話ございますような計数でうまく表示できるか。企業努力のある程度の要素があるということも確かだと思います。しかしそれが目の子でほぼこの見当というものはできるかもしれませんが、理論的には正確に把握するということは、今お話ございましたけれどもお話のごとくは簡単には出ないのじゃないかというふうにも考えるわけであります。しかし、現実にそういう要素もあることも確かでございます。また、別な見方でございますが、自己資金といいますか、内部調達の内部留保の金というものは、これを、ここの二に書いてあります原則は、自分でできるものだということで新規工事をやります際には当然天引きしてよろしいということ、これもよく実体を考えますと、やはりそれ自身も問題になる事だと思うわけです。今までの議論に出ておりますように、新規の工事を内部留保によってできる力にも九電力に差異があり、また工事そのもの、新規の工事をかかえている量にも差がある。それが今までの方式でやれば自分の力だけでできる面が全然計算に入っていないということが穏当を欠くではないかという点は、これはまさしく言えることだと思いますけれども、しかしてこの二に書いてありますように単純に割り切ってしまいまして、新規に要る金のうちからまず天引きすべきものだという、そうして残りの要る金、外部から調達しなければならぬ金について、開銀のものとそれから市中のものとどう考えるかというふうに考えること自身が、従来の観念が穏当を欠くということの修正の要素としては十分着眼していい一つの……従来の方式の行き過ぎた欠点だということは指摘できると思いますけれども、しかし、だからといってそれがある着眼なり方向を指摘する問題には適当な説明の仕方でございますけれども、しかし内部償却等で出ます金というものは、それだけを新規の金にに当然全部充てるというふうに扱わるべきものだというふうに割り切っていいかどうか、そのこと自身理論的に突き詰めて考えますと、やっぱり相当問題のある事項ではないか。だから、方向としてこういう要素を加味して、最上における開発状況から見て、従来の方式そのままでやることが妥当でないということは確かに言えることでございますけれども、理論的にいかなる方式か最も正しい方式であるかという点となりますと、やはりまだこれははなはだ通産省十分自信のある案をまだ持っていないけしからんじゃないかという非難を受けようかと思いますが、それはなかなかむずかしい問題ではないか。まあそこまでなかなか突き詰めるということもむずかしい面がいろいろあるわけでございますから、今までのやり方の大きな欠点は適当に補正して行くという、なるべくみんなの十分合理的だと納得する線に近づいて行く、その努力は怠るつもりはないわけでございます。まあ今の段階では最も合理的なものはこの式だというそれ自身がまだ若干講論の段階でございまして、お互いが十分につかまえないで、いろいろな角度の議論もしてみているという段階でございまして、事例に申しまして、今申し上げたようなのが私どもの部内での議論の感じでございます。御質問に十分に答弁にならないと思いますけれども、御希望に沿うべく最善の努力をしつつある過程と言いますか、そういうふうにまあ御了解いただきたいと思うわけでございます。
  108. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私は今企業局長がそうおっしゃったから、これ以上あまり質問しないつもりでおりますが、もう少し突っ込んで伺いますと、開銀融資というのは全部これはひもつきで出るわけです。工事ごとにひもつきで出るわけですね。そこでせっかくある作業をして各社に割り当てて三十年度の工事に着手する、こういう場合にある会社は資金に余裕がある。それで自己資金を含めてどんどん工事を進められるかもしれない。あるところはせっかく開銀の融資を受けても自己資金の調達能力がないために工事が進まないということが私は起り得ると思うのです。それからもっと極端な場合は、進まないぐらいでなくて、年次計画というものをあるいは延ばさなければならない、延期しなければならない、こういうようなことも起り得ると思います。従ってそういうことになるというと、開銀融資をつけてなるべく有効的に早く設備を完全にして行きたい、せしめなければならぬという、その基本方針からズレてくるので、従って同率で、ある条件のもとに横にさっと引いてしまうのが公平中の公平のように見えるが、実はこれは不公平になる、結果からは不公平になる、こういう工合に私は大体言えると思うのです。で、従来の方針をずっと踏襲して行くということは役所としては一番簡単でしょう、また一番説明がつきやすい。しかし現実に市銀融資と開銀融資とは利息だけでも相当幅があるわけですから、従ってそういう大切な金が、看板は公平そうに見えていて、裏から見ると不公平だという、そういう融資のされ方が二、三年来のこの工事量の動き方、その他によって現実に出ているとすれば、やはり私は率直に、虚心坦懐に言って、融資のやり方というものを役所は是正されてしかるべきじゃないか、こういう工合に私は考えるのです。で、理屈をつけようと思えばいろいろ理屈はつくでしょう。つくでしょうけれども、そういうことはやはりある段階がくれば踏み切って直してもらう、こういうことがこれは国家の要請では私はなかろうかと思うのです。造船なんかお考えになれば、これはもう百パーセント割り切っている。造船融資の場合は、これは百パーセント割り切って、最も有効に使うように船会社と造船会社と市銀と、それから開銀と四者が話をして進めておるわけです。あの疑獄、汚職のリベートが発生したあの問題は別ですよ。ああいうことがないとすれば一番有効適切に使われているのです。そういうふうに進んで行くべきものではないかと私は考えている。実はこの間古池委員から、もう十日も待てば通産省が緒論を出す、その結論が出たところで聞いた方がよくはないかということで私も了承したのですが、十日以上たっているのですが、まだきょうは結論が出ていないというようです。しかしいよいよ予算は間もなく成立をするでしょうから、この成立を目前に控えて結論が出ない。そうして工事がその結論が出ないために停滞するということであれば、これは大変なことだと思います。従って緊急にやはり結論というものを出されることを私は要望します。と同時に、私は自分の質問の中で意見をだいぶ述べましたが、僕は僕の意見を別に固執をするわけではありません。皆さんの教えを請わなければなりませんが、僕の直感から言って、そう間違っていると私は今考えておりません。もし間違っているところがあれば、指摘をしていただければ、私も理解をするのに決してやぶさかでありませんけれども、そう間違っているとは思わないわけです。従ってそういう工合に努力をしていただきたいと思います。それから、ことしはまも何とかなる格好できまるでしょうが、来年以降は、今、局長はそこまで割り切って何年先にそのところまで落すと、重大なる影郷というものを緩和しながら落すというところまで、そこまで理論的に割り切っていないというお話しでしたが、しかし今までのやり方の弊害というものを認めておることだけは事実だと思うのです。一律配分というものを、そうすればことしよりも来年、来年よりも再来年と、認められている欠点を修正して行く努力をされる用意があるかどうかということだけは、これは伺っておかなければならぬ。
  109. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) その点はもちろんその通りでありまして、全体の方向につきまして、大体ただいま栗山委員のおっしゃいましたような方向について一歩踏み出すという決意をしていることは、もうこれは事実でございます。ただそれができるだけすっきりした案を作りたいということになるものでございますから、いろいろな意見を出し合って研究して、慎重にこれからさらに研究したい、こういうわけでございます。しかし予算の関係もございますから、できるだけ早くきめなければなりませんが、大体実施面におきましては、どれだけの工事をやれるかということは、大体千百三十九億にしましても、四十億にしましても、およその見当はついておりますし、それから総額の二百八十億のおよその配分の案というものは、大体まあ十二分の一なり、あるいは六分の一をはじきますと、およその大ワクが出ますので、大体ここ一、二カ月の工事に支障のないような金融だけは、これはつくだろうと思っております。しかしそれにいたしましてもできるだけ早くしたいと思います。それから将来の問題でございますが、かりに本年度の分につきましても、現在どうもわれわれの方ではっきりしませんために、ここにあります二と三の折衷みたいなものを考えておりますけれども、今後早急に研究した結果、早目にこういう方式がいいんだ、それは本年度でも適用できるのだということであれば、そこまで踏み切っても一向差しつかえないと思います。つまり二つの考え方をもう少し十分検討して、それが理論的に今年度から適用しても差しつかえないということであれば、今年度一挙に適用するということも考えられます。またその理想は理想として、本年あまりに踏み切るという幅が広過ぎれば本年度はまあ半分でもいいんじゃないかということで、実際研究しました結果が、どういうふうなものがそれでは一番いいかということが出ました上で、できるだけ早く理想的な方向に進めようということをわれわれとしても考えております。
  110. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私がこれに非常に関心を持って質問を申し上げているのは、現実の状態がすでに開銀融資の場合には再検討を加えなければならぬ事態にきているということも非常に有力な一つ理由です。私が関心を持っている理由です。しかし私はそれだけでなくて、将来のことを考えても、たとえばあなたが先ほどおっしゃったように、電源開発会社というものの性格を変更するように法的な改正を加え、そうして電源開発会社が将来日本の水火力の電源を全部開発するのだ。電力会社というものはただ電力の配給だけをやるのだ、こういうような工合に、かっての日本発送電と同じような考え方、これは高碕さんだか、だれか放送された、そういうような方に将来行くということになればこれは問題は別です。それは全然別なことなんですが、しかし少くとも今日は電源開発促進法の精神をそのまま百パーセント受け取ってあの線で推進をして行くということになれば、これはやはりその方針のもとにわれわれは問題を研究しておかなければいかぬと思う。それで今の電源開発促准法の建前からいえば、九電力会社というものは水力の開発をやって行くでしょう。その場合に今後の計画というものはどうなるかというと、今までの継続工事のほかに新たな工事が出てくれば、各会社の持っておる資金調達舵力をはるかに左右するような大きな工事金というものが必要になってくるわけです。そのときには工事の重点というものが非常に頻繁に移動しますから、そのときに開銀融資の方針というものが固定されちゃって、機動力を失って、そしての開発を妨げるというようなことであれば、これはゆゆしいことだと思う。これは通産省の融資政策というものに対する痛烈な批判を受けることになる。特に私が今考えておる点は、今どんどん開発されておる水力電源というものを最高有効度に利用して行くためには、将来相当な火力設備というものが方々に置かれなければならぬと思う。これはまとまった火力設備というものを置かなければ、せっかく開発した水力の利用率というのは非常に落ちて、結果的には非常に高い発電単価になってしまう。だから最優秀の火力設備というものを重点的に全国の各地に配置しなければならない、あるいは既存の古い火力設備を償却して新らしいものに置きかえて行く、こういうことになると、今まで予想しなかった資金量というものが、予定しなかったところにどんどん出て行くと思います。そういう場合に、開発銀行の融資を機動的にやらなければならぬのに、従来の慣習というようなものに通産省がとらわれて、機動力を失ってしまうということになれば、何のために開銀融資をやるのか、その意味を失うと思います。そういう意味で非常な関心を今私は持っております。この辺でそろそろ通産省が裸になって、問題の核心にふれた再検討をされないというと、うらみを相当将来残すのじゃないか、かういう心配を持っておるから、私はしつこく質問をしているわけなんです。そこで実は内容をチェックするといいのだけれども、今までに伺った説明ですと、あまりチェックしても価値のなさそうなお話しのようですがね。従って私は私の考えというものを述べましたから、いずれ本年度の開発資金の配分というものが決定しましたあとにおいて、これは一つここへその全文を示していただいて、全部一ぺん私どもこの委員会でチェックをして、そして来年度の開発銀行の融資のときに、もし本年度の決定計画というものがあやまっておれば、それを是正してもらうようにいたしたいという工合に私は考えております。どうか一つ本年度のやつをきめられるときには、非常に当委員会が関心を持っておるということだけはお忘れのないように願って、十全の計画を進めて御決定を願いたい、こういう工合に私は考えます。
  111. 古池信三

    ○古池信三君 簡単に一、二お伺いをしておきたいのですが、それは電源開発会社の資金調達計画についてであります。私がお尋ねしたいと思いまする点はきわめて大きな問題であり、また政府としての方針をはっきりここでお尋ねいたしたいと思います。この点は政務次官から御答弁願いたいと思います。それは先ほど同僚委員からも御質問がありましたが、電源開発促進法が制定されまして、電源開発株式会社ができましたゆえんは、この会社を通じてきわめてすみやかに大規模な電源の開発をやるということと、しかもそのコストを最も安く上げる、これが大きな目的だったと思います。また、われわれもそういう意味においてこの法案の成立には努力をいたして参ったのでありますが、三十年度の資金計画を見ますると、これはよほど趣きをかえておるように思います。ただいま配付された資料によりましても、政府の出資が二十七年度が五十億、二十八年度が百三十億、二十九年度が百二十億に対しまして、今年はわずかに三十億しか計上されておらず、格段の相違になっておるのであります。これはもとより国民の資金をここに投入して、利息のかからないできるだけ安い工事を進めよということが眼目でありましたのですが、こういうような資金計画になってきますと、その目的が達せられないというような結果になるのは、これは火を見るより明らかであります。さらに今年は余剰農産物の見返り円百八十二億という巨額の数字が計上されておるのでありますが、第一にお尋ねしたい問題は、この三十億というようなわずかの政府出資は今年度限りのものであるか、あるいはこれは来年度以降どういうふうに考えておられるか、この問題についての政府の方針を伺いたい。
  112. 島村一郎

    政府委員(島村一郎君) 仰せの通り、これは産業上から考えましても、電源の開発はまことに重要な大きな問題であると考えます。政府の資金がだんだんに減って参りましたことは、まことに遺憾に存ずる次第でありまして、来年度以降は必ず御意思に沿うように、努力をして参りたいというのが、ただいまの考え方でございます。
  113. 古池信三

    ○古池信三君 私は政務次官の御答弁をそのまま正直に拝聴いたしますが、ぜひ一つ、今日だけの言葉でなく、来年度におきましては、ほんとうに通産省は一生懸命になって努力していただいて、本来の軌道に乗せていただきたいということを切にお願いする次第であります。  それから、なおこの表を見ますと、電源開発株式会社が市中銀行の借入その他をするというようなことがあるようであります。こういうものは当初においてほとんど予測されなかった問題であります。これを今日取り上げておるということは、これはどういうことでこうなったか、その事情もお伺いしたいと思います。三十億という政府出資と同額の金額を市中銀行から調達するというようなことになっておるのであります。これは全くあの法案の趣旨にかなわないものであると考えるのですが、政府はどういうふうに考えますか。
  114. 島村一郎

    政府委員(島村一郎君) これは一つには政府の状況等もあったかと存じますが、市中の借入は暫定措置と考えまして、来年度は先ほども申しましたように、できる限りこれらの問題を減らして行く、あるいはなくして行くというふうにやって参らなければならぬだろうと考えております。
  115. 古池信三

    ○古池信三君 それからこの余剰農産物の受け入れの関係は来年度はどういうふうになるのですか、これもついでにお尋ねいたします。
  116. 島村一郎

    政府委員(島村一郎君) 来年度の見通しにつきましては、まだわからないようでございます。とにかく当省におきましては、何とか政府出資に置きかえたいと考えております。
  117. 古池信三

    ○古池信三君 それから政府出資に対する配当は、むろんこれはおやりにならぬと思うのですが、どうお考えですか。
  118. 島村一郎

    政府委員(島村一郎君) 多分これは当分できないのではないか、やろうとしてもできないのではないかと思います。
  119. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 この電源開発会社の問題は、最近の運営その他が開発促進法の建前とだいぶ離れている面がありますから、いずれまた別の機会に、電源開発だけのいろいろな調査を私はいたしたいと思っております。この資金の問題ももちろん含めて、さように一つ御了承願いたいと思います。
  120. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 承知しました。
  121. 海野三朗

    海野三朗君 私はちょっと一言当局にお伺いしたいのですが、この電気会社ほど都合のよいものはない、何しろほかの製鉄とか、石炭とかいうものは、やっぱり値段の関係やら何やらで非常に不況になるけれども、電気の方だけは絶対にそれがない、これはまことにけっこうな御商売なんですね。それを政府が公益事業であるからといって、そういうふうな特権を與えている以上は、やはり政府が相当の内政に対して干渉しなければならないのじゃないかと私は思うのです。その点はどういうようにお考えになっているのですが、大ざっぱに見て……。この電気会社というものの存在、これは電気会社というものは水力発電とか、何とかいうけれども、何も水の権利は電気会社だけに与えているわけではない。みんなのために雨が降ったやつを水力に起す、それには金が要る、それに政府が金を貸して仕事をやらして、それで損が出ると今度は電気料金の値上げをやる。結局電気会社は困ることがない商売なんです。ほかの製鉄会社などは品物が売れないという、そういうマイナスのものがあるが、電気会社だけはマイナスがない、こういうような商売です。公益事業といってやらせるには、それに対して政府責任がある。ところがそういう方面は非常にぽかされているように私は考える、はなはだ不公平なやり方であると思うのですが、いかがなんでしょうか、その点は……。
  122. 島村一郎

    政府委員(島村一郎君) もちろん仰せの通り政府が電源開発に対しましては育成助長しよう。あらゆる面からこれの育成をはかっておりますので、相当の監督をいたしておると思いますが、その内容がわかりませんから政府委員からお答えいたさせます。
  123. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 今まで電気料金はいわゆる原価主義をとっておりまして、実績原価を元にして将来の原価を査定してきめております。その場合の実績の原価が正当に公正に計算されておれば、それによらなければならないというような現行の法規になっておりますので、標準的な原価というものはわれわれの方で見るわけにいかない法制になっております。従ってある程度実績というものが比較的大きく料金面に現われるという工合になっております。これにはいい面と悪い面がありまして、非常に企業努力をすれば原価が下りますが、その場合に将来その努力されたところまで下がる、また逆にルーズな経営をいたしました場合には原価は上ります。その原価につきましては、つまり一長一短があるのでありますしそれからそれ以外の外的原因といたしまして、いわゆる水の出方の問題そういうことによってかなり利益損失の出方が違って参りますから、この一番影響の大きい水に関しましては、これは渇水準備金という制度がございまして、豊水による利益を吸収する、渇水の場合はそれを放出することによって会社の経営に支障なからしめるという制度が、完全とは申せませんけれども、とられております。それからさらにその次に影響の大きい石炭につきましては、かって石炭調整というものがございまして、ある程度炭価の高低に応じて電力料金の割り引きをいたしておりましたが、これは現在停止いたしておりますけれども、ある程度の石炭費の増減というものは渇水準備金の方にも間接に現われておりますから、一部分はそこで吸収されるということを考えております。そこでそういうことを一応操作されておりますが、それにもかかわらず、非常に利益が出た場合に、それでは電力会社は非常に不当利得をすすというのじゃないかということでありますが、そういう場合は、それだけの利益が当然もう将来も見込み得るということであれば、これは次の機会において料金を下げるということをしなければならぬのであります。ところが仮に現在非常に業績を上げた会社がありましても、まだ今日の傾向といたしましては、将来ここ二、三年間は電源開発の進行に伴って発電費が上るという見通しになっております。直ちにこれを下げて、さらにまた実際の原価が上ったときに、追っかけてそれを上げるというようなことは得策でありませんので、できるだけ長く現状の据え履きということを期待いたして、こういう考え方からわれわれは考えているのであります。そういうことを別にいたしましても、電力会社が不当な利得を得た場合は、それではそれを自分のふところにできるかという問題でございますが、この問題は、まず株主配当というものは現在一割二分で抑えておりますが、これはやはり認可が要りますから、それ以上配当することはできませんが、いかに利益がありましてもそこで抑える。それから社内の諸経費でございます。まあ労費やをのほかのもございますが、そういうものにこれがむだに食われるということであれば、これは非常に遺憾なわけです。そういう点、特に労賃の問題はなかなかむずかしい問題でありますので、私ここであえて触れませんが、経費の点につきましては、時々監査をいたしまして、不当の利益につきましては、そのつど報告いたしますとともに将来の料金改訂の場合に、そういうものは見ないというふうなこともいたすわけであります。そうしますと、配当もできない、むだ使いもできないということになりますと、その差額は現実におきましては開発資金に向けられる、あるいは施設の強化、改善というものに向けざるを得ません。あるいはまた別の借入金償還ということに当てれば、それだけ利益が……、将来原価が下がるということになりますので、大体そういう方向に電源開発会社というのは、各方面から縛られて追い込まれたような形になっておりますので、そういう不当な形がいつまでも続くというふうには考えておりません。ただ最後の締めくくりは料金改訂のときにつけますから、料定改訂の間が非常に離れますと、その間に非常に苦しいところと、割合いに楽なところと、割合いにそういう状況が長く続くということも起り得ますが、料金の改訂はなるべく頻繁にやらない方がよろしいと思ってできるだけ延ばす方針をとっておりますので、中途にはそういう状況あるということは、これはやむを得ないのじゃないかと思います。しかし改訂する場合には十分そういう点も考慮いたしまして、余計なものは出ない、できるだけ締めて査定するというふうに、従来ともそういうふうに考えておりますが、さらに将来におきましては、やはり今度新規に電気料金等を考慮いたします場合には、現在のように実績原価主義というようなことでなく、標準原価というものを考えまして、それた標準にして常にいろいろの料金の計算等もする。そういたしますと、その標準より余計かかったものは、これは大体経常上の欠陥があるのではないかということが一応考えられます。それ以外の外的の原因があれば、これを考慮することも必要でありますが、それにいたしましても、標準原価か、どうかということをはっきり出せば、そういう監督も非常によく行くと思うので、そういうことにいたしたいと思います。しかしこれは先ほどから議論のありました標準原価を詳細に見れるかどうかという点でありますが、これは非常にむづかしい問題がございますので、果して簡単にそういうことができるかどうか、まだ十分に自信がございませんけれども、将来の方針としては、そういう方向に持って行くべきではないかというようなことを考えております。
  124. 海野三朗

    海野三朗君 もう一つ。この前から私は電気のつまりドロップ、そういうことがあってでも、零細なるつまり電気を利用している者、一般の民間からは既定の料金を徴収している、それに対してはどういうふうに監督しているかということに対しまして、今日までなお明快なる納得の行く御答弁に接しておりません。そういうふうに、実際からいうと通商産業省はなめられている。この前電気料金の値上げの問題に関しましては、こと審議中であってまだきまらないときに、すでに行政権でもって与えられたのだからといって、ぽかっと愛知通産大臣が認可しておる。ところがあのときには平均五分ということを言っておった電気料金の値上げは、実際やってみれば、普通のところは六割八分、はなはだしきは十割というような、むちゃくちゃな認可をやっておる、これを一言にして言うならば、そういうところの監督官庁になっておる通産省がなめられておると私は考える。あのときに参考人をたくさん呼んで聞いたのです。だれ一入電気料金の値上げに賛成するものはなかった。開銀の利子に対してはこういうふうにやりなさい、ああいうふうにやりなさいというように、いろいろの説があったにもかかわらず、やみ夜に赤子の寝首をかくような電気料金を値上げのぽかっと発表してしまった。われわれ参議院の通商産業委員会をばかにするにもほどがあると思って、私は今日もなおこの前の愛知通産大臣のときにやったことに対しては、限りなき不満を覚えておる。ところがその後石橋通産大臣になってからは、三割の頭打ちということをやった。安くしたから幾らかいいようなものだけれども、出まかせな、ずさんなやり方であって、あなた方が監督しておるといったつて、どこまで監督しておるのか、私ははなはだけげんにたえないのであります。いま栗山委員から電源開発のことについて問題が出ましたので、私は開銀とか、電気の方に対することについては、重ねてこの席でもっとお伺いたい数々がありますが、私はこれは他日にこの質問を保留しておきます。  私は最後に、今申しましたように、通産省はなめられておるという一言にしてつきると思うのです。それならば、どこまで入って調べましたか、いなかに行ってみると、みなドロップしておる。ドロップしておりながら、六十燭とか、三十燭とかいう料金を容赦なしに取っておるじゃないか、あれは電気会社が詐欺をやっているのだ。それを見ててん然としてこれをとがめないである。文句を言うならば電気を切るぞなんて、そんなことを言われておる。まことに電気会社の存在というものは、これは後日に大きな問題を残しておるのではないか、こう思うのです。このことについてはまた後日に質問をいたしたいと思いますが、そういう点をよく一つまじめに考えていただかなければならない。製鉄事業に比べ、石炭鉱業に比べ、他の事業に比べても電気ほど都合のいい商売はない。私はその点については、通産省ではこれはただ当り前な公益事業だとお考えになっておるか、これは特権を与えられた会社であるというふうにお考えになっておるか、どうお考えになっておるものですか、その点ちょっと最後にお伺いしたい。
  125. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 決して電気会社に特権を与えようというつもりはございませんが、ただいまの一例として御指摘になりました電圧低下ということでありますが、これは一年前に電気の需給状況が非常に悪かったときには停電もいたしましたし、また停電しないために一般的に電圧を低下いたしまして、電力を薄めて供給したというようなこともございます。もしそういうことをやらないで、電圧なり、サイクルなり一部にやりますというと、他の一部の地区においては停電せざるを得ないというような事情が出てきますので、当時としては緊急やむを得なかったので、そういう事態が非常に長く続いておりましたということは、これは御了解願いたいと思います。ところが最近はだんだん需給状況が緩和されて参りまして、大体停電もあまり起っておりませんし、電圧低下の問題も最近は、ことしの冬あたりを見ましても、非常に好転いたしております。ただそういうことが特にまだ問題になりますのは、ずっといなかの方であります。これは配電線の末端にはやはりそれぞれの事情に応じた変圧器を置きまして、一定の電圧を維持しなから供給するということをやっております。その変圧器の容量が足らぬというような関係で、その先の方は電圧が常に落ちているというところもあるいはあるかもしれません。これは当然そういうことがある場合は会社の責任でありまして、できるだけこういうものは、需給状態も緩和されて参りましたので、早い機会にそういう点を整備いたしまして、正常な電圧サイクルで供給するように設備を強化するということが必要なわけであります。これは当然の会社の義務であります。ただそれも今までの電源開発あるいは送電関係の重点主義によりまして、なかなか手が回らぬということがありまして、おのずからあと回しになっておるという点は、そこの需用者に対しましては申しわけないと思いますが、今後大いにこの点改善させなければならぬ、こういう点につきましては、われわれはさらに十分会社のしりをたたきまして、一そう努力するようにいたしたいと思っております。それでは現在そういう低下しておる場合、割引等をしないかという問題でございますが、これはどの程度下っておるかということを測定するのが非常にむずかしいのでございまして、たとえば従量電灯でありましたら、これはメーターでおのずから表われますけれども、定額の場合はこれは一軒々々違って参ります。変圧器から百メーター離れておるところと五百メーター離れておるところとは違っておるわけであります。一軒々々時間ごとに行ってはからなければならぬということで、事実上不可能だという点もございまして、料金規定の中にもそういう点に関してははっきりした規定を置いておりません。電力についてははっきりわかりますけれども、電圧低下についてはやむを得ない実情でございます。しかしこれは需給関係において暖和され、会社の配電設備というものがさらに十分整備されれば、当然そういうことはなくなるわけでございますから、今後逐次改善されるだろうと思っております。
  126. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 先ほど私ちょっと落しましたから、指摘しておきますが、企業努力はなかなかつかみにくいということを局長はおっしゃったのですが、私電気料金の調査に今までかつてほとんど全部関係しておりますが、あの電気料金の更改のときには、各社から企業努力に相当する部分の金額まで挙げて全部提出することを通産省は命ぜられて、しかも事業者はそれに応ずる数字を出しているはずです。従ってそう漠然たる抽象的なものでなくて、企業努力で幾ら出たからということは、それは正確であるかどうかは、それは人間のことだからわかりませんが、一応の目安としては、企業会社においてはある水準のもとにどの程度にあるかということはつかみ得ることになっていると思うのです。その点はさっきの議論で企業合理化というものがえらいつかみにくいものであるような印象をこの委員会で与えたから、私は一言申し上げたのであります。それからいずれ近いうちに今三十年度の融資が決定されるでありましょうから、先ほど申し上げました通りに、当委員会ではこの結論についてお聞きをし、そのときには私は十分納得のできるように一つ説明を願いたいと思っております。特に先ほどお話になった各社の折衷率の問題とか、そういったような点も私は十分腹に落ち着くまでお聞きしたいと思っておりますから、そういうふうに  一つ御用意を願っておきます。
  127. 海野三朗

    海野三朗君 今、局長お答えになりましたが、度量衡のごまかしがあったなら監督しているでしょう。度量衡の、ます目のごまかしがあったら監督している。電気の方のごまかしはさらに通産省が監督していないじゃないか、もしそういうことがあったならば、料金を安くさせるとか、何とかしなければならないのじゃないか、それが通産省の責任じゃないかということを私はお伺いしておるのであります。
  128. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 先ほど申しましたように、それは当然に会社としてはそういうことのないように防止する義務があります。またわれわれはもし設備上、設備の改修を怠っているためにそういう事態が起っておるといたしましたならば、私どもといたしましては、そういうことは十分監督して改善させなければならぬ、こういうことでございます。それから割引の点になりますと、ヴォルテージの関係が個々別々にありますので、なかなか規定化しにくいということでございます。
  129. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  130. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて。   それでは本日はこれにて散会いたします。     午後五時四十一分散会    ————・————