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政府委員(
記内角一君) 今御指摘の
政府金融機関としての
商工中金、
中小企業金融公庫、
国民金融公庫の三者の
関係を何か調整すべきじゃないか、あるいは一体化すべきじゃないかというふうな御
意見でございましたが、
商工中金はもともとは御
承知の
通り、
協同組合を
対象といたしますが、
金融機関ということに相なっておりまして、現在直接
貸しを実施することもできることには相なっておりますが、それは
組合員に限るということで限定されて参っております。で、従いまして
個々の
企業者を
相手方とする
方面につきましては、
中小企業金融公庫と、
国民金融公庫と、この二者になるわけであります。もちろん
協同組合の
組織化というようなことは
中小企業育成のための基本的な
方法といたしまして、われわれ大いにこれを
推進しなきゃならぬというふうに
考えておるのでございますが、しかし非常に多数に上る、しかも
全国に散在いたしておりまする
中小企業者を
個々の
性格—業種、
業態の
性格、あるいは
所在地等によりまして
組織化し得ない部面も相当あるわけでございます。従いましてその面についてはやはり
組合だけの
融資ということでは十分を期待し得ない、どうしても
個々の業者に対する直接の
貸付ということが必要になって参ると思うのであります。しからばそれに対して
国民金融公庫と
中小企業金融公庫と二つも必要ないじゃないかという御
意見も出て参るかと思うのでありますが、御
承知の
通り国民金融公庫は、いわゆる零細な
資金の
貸付を
中心といたしておりまして、建前も十万、二十万を
限度といたしております。まれに例外的には百万円近くも出しているところもないではないようでありますけれども、これはきわめて例外的でございまして、このほとんど大
部分は二十万せいぜいで二十万前後ということに相なっております。
平均からいたしましてもはるかに小さな
金額に相なっているわけであります。従いましてこれはどうしてもいわゆる
零細金融ということに相なって参るわけでございます。
中小企業金融公庫は最低が二十万
程度でありまして、むしろそれよりも五、六十万、現在の
平均は二百万、二百五十万前後に相なっておりますが、いわゆる
中規模を
中心にねらって参っておるわけであります。もちろん零細な
方面も扱わないではございませんけれども、原則としては今言ったようなところで
国民金融公庫の扱う面よりもやや高いところに
自然分野があるわけでございます。むしろこれは両方合せたらどうかという御
意見も出て参るわけでございますが、やはり金町が張って参りますと、しかも
長期の
資金ということになりますと、それ相応にいろいろ
貸付の
方針等についてもある
程度の慎重さを期しなければならないのでございますが、十万、二十万という
融資になって参りますと、
担保というふうなものよりもむしろ個人的な
信用というようなことが
中心になって参ります。もちろん
中小企業金融公庫も個人的な
信用を重んずることにはなりますけれども、それ以上に零細な
金融につきましてはさらに一そう
信用ということが
中心になる。またある面におきましては十万、二十万の
資金を二十カ月近くで
貸しておりますが、これも大
部分が
月賦返済ということになりますと、一回の
返済金額はきわめて微々たるものになっております。この
程度のものであれば相当のものも誠意さえあれば
返済が可能な面が多いわけであります。従いまして
融資の
方法、
扱い方等につきましてもきわめて簡略軽便な
方法でやって参っておるわけでございますが、
中小企業金融公庫がやはり
中規模のものを
中心に
考えるということになり、金高も二百万円前後、われわれとしてはこれじゃ少し大きい。もう少し小さくてもいいというふうに
指導をしておりますので、そういうふうになって参りますと、やはりある
程度の慎重さというものが必要になって参ります。従いまして同じ
機関でいわゆる
零細金融をやる軽便な
方法と、ある
程度の慎重さを要する
貸付と併設することはかえって何と申しますか、零細な
方面に対して軽便にすべきものが慎重になるようになりまして、従来の簡便さのよさというものがなくなってはこないか、またある
程度の
金額のまとまって慎重さを要する面に対して零細な
金融と同じような、何と申しますか簡略ならばけっこうなんですが、簡略を
通り越したような粗雑な
貸付に堕するというようなことにもなりかねない。従いましてこの
両者の面についてはむしろ
別個の
機関にした方がいいんじゃないかというふうに
考えている次第でございます。ことに御
案内の
通り国民金融公庫は
全国に支店も持っておりますが、現在におきましてもその職員が毎年増加せざるを得ないような
事情に相なっております。ここに新しく直接
貸しを実施するということになりますと、さらに膨大な陣容を必要とするわけでございます。
中小企業金融公庫は直接
貸しは実施いたしませんで、
全国に店を持っておりまする各種の
金融機関を
代理店として扱って、いわゆる
代理貸しの
制度を扱っております。従って今回ごく例外的に直接
貸しの
方法も扱って参りたいというふうに
考えておりますけれども、この基礎的な
方向としてはやはり
代理貸しの
制度になるわけでございます。従いましてきわめて簡素な少数の人数で処理し得ることにもなるわけであります。従いまして、ここに両方の
性格も違って参ります。事務的な
扱い方の
考え方も違いがございます。また人的な面においても
両者を一体化するということはいかがなものかというふうに
考えまして、われわれとしてはやはり
別個の
機関ということにいたしておる次第でございます。