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1955-06-21 第22回国会 参議院 商工委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十一日(火曜日)    午後一時三十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     吉野 信次君    理事            古池 信三君            高橋  衛君            山川 良一君            三輪 貞治君    委員            深水 六郎君            松平 勇雄君            加藤 正人君            河野 謙三君            豊田 雅孝君            海野 三朗君            藤田  進君            小松 正雄君            白川 一雄君            苫米地義三君   国務大臣    通商産業大臣  石橋 湛山君   政府委員    通商産業政務次    官       島村 一郎君    中小企業庁長官 記内 角一君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       内田源兵衛君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○中小企業金融公庫法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○中小企業信用保険法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○商工組合中央金庫法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それではこれより委員会を開会いたします。  本日は、中小企業金融に関する三法、すなわち中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、まずこれを一つ議題に供します。
  3. 加藤正人

    加藤正人君 私のただいま質問しようとする問題は、ただいま議題となっておる三つ改正法律案そのものではないのでありますが、これに関連を持つ重要な問題と考えております。中小企業重要性、特に輸出貿易の面における重要性一般に認識を得るに至って以来、これが保護育成の第一義とも申すべき金融の問題に特に関心を持たれるに至った結果、対中小企業金融機関と称するものの数が非常に多数に上ったにもかかわらず、種々な条件の拘束からいずれもその機能が十分に発揮せられず、いつまでたっても中小企業金融難の訴えの声が一向減少する様子はなく、むしろ年々増加していく傾向にあるのはまことに不思議であり、かつ大いに遺憾とするところであります。これらの金融機関は金庫、公庫等のほかに、相互銀行無尽会社信用金庫、信用協同組合、大銀行中小企業専門店舗等があり、このほかに市中銀行、地方銀行もそれぞれの分野で参加しておるのが現状でございます。一見雑然また混然としております。それぞれの分野もありますが、一面相互に競合している面も少くないありさまであります。しかもかく多数の中小企業に対する金融機関があるにもかかわらず、前に言ったように中小企業金融難は何ら改まっていないとすればおそらくどこかに欠陥があるか、あまり多数に分散されておる結果自然眼目である中小企業育成に対する熱意の不足、責任の欠如のためであると想像されるのであります。ここは、一般金融と異なり、中小企業対象とする金融に対しては特殊の考え方が要請されるゆえんであると確信するのであります。この中で私が特に強調したいことは、商工中金中小企業金融公庫及び国民金融公庫整理統合の問題であります。これら三つ金融機関はそれぞれ設立の時期と動機、目的が若干異なっているけれども、いずれも中小企業相手方とする金融機関で、しかもその資金の全部または大部分政府資金に仰ぐ機関であります。このらち国民金融公庫は遺族、母子家庭恩給担保交付等を行い、若干性格を異にしているように見えるけれども、それは全貸付の約一割にすぎません。大部分生産資金貸付であって、中小企業向き資金を供給しているのであります。従ってこれら三つ金融機関最初から単一の機関として発足し、漸次その業務範囲を拡充するという形をとった方がよかったのではないかと思われるのであります。こら感じるのでありますが、この点は政府はどう考えておられますか、一応この点について質問いたします。
  4. 記内角一

    政府委員記内角一君) 今御指摘の政府金融機関としての商工中金中小企業金融公庫国民金融公庫の三者の関係を何か調整すべきじゃないか、あるいは一体化すべきじゃないかというふうな御意見でございましたが、商工中金はもともとは御承知通り協同組合対象といたしますが、金融機関ということに相なっておりまして、現在直接貸しを実施することもできることには相なっておりますが、それは組合員に限るということで限定されて参っております。で、従いまして個々企業者相手方とする方面につきましては、中小企業金融公庫と、国民金融公庫と、この二者になるわけであります。もちろん協同組合組織化というようなことは中小企業育成のための基本的な方法といたしまして、われわれ大いにこれを推進しなきゃならぬというふうに考えておるのでございますが、しかし非常に多数に上る、しかも全国に散在いたしておりまする中小企業者個々性格—業種業態性格、あるいは所在地等によりまして組織化し得ない部面も相当あるわけでございます。従いましてその面についてはやはり組合だけの融資ということでは十分を期待し得ない、どうしても個々の業者に対する直接の貸付ということが必要になって参ると思うのであります。しからばそれに対して国民金融公庫中小企業金融公庫と二つも必要ないじゃないかという御意見も出て参るかと思うのでありますが、御承知通り国民金融公庫は、いわゆる零細な資金貸付中心といたしておりまして、建前も十万、二十万を限度といたしております。まれに例外的には百万円近くも出しているところもないではないようでありますけれども、これはきわめて例外的でございまして、このほとんど大部分は二十万せいぜいで二十万前後ということに相なっております。平均からいたしましてもはるかに小さな金額に相なっているわけであります。従いましてこれはどうしてもいわゆる零細金融ということに相なって参るわけでございます。中小企業金融公庫は最低が二十万程度でありまして、むしろそれよりも五、六十万、現在の平均は二百万、二百五十万前後に相なっておりますが、いわゆる中規模中心にねらって参っておるわけであります。もちろん零細な方面も扱わないではございませんけれども、原則としては今言ったようなところで国民金融公庫の扱う面よりもやや高いところに自然分野があるわけでございます。むしろこれは両方合せたらどうかという御意見も出て参るわけでございますが、やはり金町が張って参りますと、しかも長期資金ということになりますと、それ相応にいろいろ貸付方針等についてもある程度の慎重さを期しなければならないのでございますが、十万、二十万という融資になって参りますと、担保というふうなものよりもむしろ個人的な信用というようなことが中心になって参ります。もちろん中小企業金融公庫も個人的な信用を重んずることにはなりますけれども、それ以上に零細な金融につきましてはさらに一そう信用ということが中心になる。またある面におきましては十万、二十万の資金を二十カ月近くで貸しておりますが、これも大部分月賦返済ということになりますと、一回の返済金額はきわめて微々たるものになっております。この程度のものであれば相当のものも誠意さえあれば返済が可能な面が多いわけであります。従いまして融資方法扱い方等につきましてもきわめて簡略軽便な方法でやって参っておるわけでございますが、中小企業金融公庫がやはり中規模のものを中心考えるということになり、金高も二百万円前後、われわれとしてはこれじゃ少し大きい。もう少し小さくてもいいというふうに指導をしておりますので、そういうふうになって参りますと、やはりある程度の慎重さというものが必要になって参ります。従いまして同じ機関でいわゆる零細金融をやる軽便な方法と、ある程度の慎重さを要する貸付と併設することはかえって何と申しますか、零細な方面に対して軽便にすべきものが慎重になるようになりまして、従来の簡便さのよさというものがなくなってはこないか、またある程度金額のまとまって慎重さを要する面に対して零細な金融と同じような、何と申しますか簡略ならばけっこうなんですが、簡略を通り越したような粗雑な貸付に堕するというようなことにもなりかねない。従いましてこの両者の面についてはむしろ別個機関にした方がいいんじゃないかというふうに考えている次第でございます。ことに御案内通り国民金融公庫全国に支店も持っておりますが、現在におきましてもその職員が毎年増加せざるを得ないような事情に相なっております。ここに新しく直接貸しを実施するということになりますと、さらに膨大な陣容を必要とするわけでございます。中小企業金融公庫は直接貸しは実施いたしませんで、全国に店を持っておりまする各種の金融機関代理店として扱って、いわゆる代理貸し制度を扱っております。従って今回ごく例外的に直接貸し方法も扱って参りたいというふうに考えておりますけれども、この基礎的な方向としてはやはり代理貸し制度になるわけでございます。従いましてきわめて簡素な少数の人数で処理し得ることにもなるわけであります。従いまして、ここに両方の性格も違って参ります。事務的な扱い方考え方も違いがございます。また人的な面においても両者を一体化するということはいかがなものかというふうに考えまして、われわれとしてはやはり別個機関ということにいたしておる次第でございます。
  5. 加藤正人

    加藤正人君 御説明は一応ごもっとものように聞えますけれども、私などがこういう考えを起すのも今の中小企業の問題が、今御説明のように非常に円滑に理想的にいっていない結果があるので自然私のような声が起るのじゃないか。しかも気軽に貸す機関といっても必ずしも気軽に簡単に借り得ないような苦情も一方にあるようでもあります。われわれはこれを整備統合いたしましても、これの起った分野というもの、分立していたということの根本を全部払拭しようというのじゃない。一つ機関においてもやはりデパートを設けてこの分野のあとを受けて円滑に一つ機関の中で今御説明のようなことを行い得ると私は考えておるのであります。しかも今までの経過を見ましてもこの三つ機関特色の差異というものが漸次縮小してきたものと見ることができるのであります。従ってこれらを整備統合する時期にもはや到達しているものと解釈できないか。たとえば業務相互に接近してきた例として、今御説明がありましたが、国民金融公庫貸付限度最初は十万円であるものが最近は二十万円にもなっておる。また二人以上の連帯保証があれば二百万円までとなって、零細金融からだんだん大きな金融に移行してきているのであります。それから中小企業金融公庫も今回の改正によって直接貸しを始めることになり、また設備資金から漸次長期運転資金に比重がかかりつつあるのであります。商工組合中央金庫組合員個人貸しが一割を上回ってきている。競輪の納付金貸付組合員でなくてもこれを行なっている。  以上のように業務範囲が漸次三者相互それぞれ接近してきているのでありまして、今日はもはや統合整備の時期となっているのではないかと思うのであります。しかして単に統一するにとどまらず、一そう機能を整備して今まで中小企業金融の経験したもろもろの障害を除去するということが肝要と存ずるのであります。とかく今までの制度を改廃するということは非常におっくうなことでありまして、相当な勇気を要すると思うのです。まして中共貿易というものも漸次拡大して行くような傾向にあるときには、中小企業の雑貨その他の面における輸出貿易に貢献する度合いがだんだん大きくなってくる。従って今日までこれらの金融機関のやったことで十分とはいえない。しかも従来非常に苦情だらけであるようでありますからこんな工合であったら、今後中小企業活動面がだんだんふえ、従って金融必要性がだんだん起ってきた場合に、こんな状態では対処できないと私は思うのであります。わが国の経済の現状からかんがみまして、政府機関といわず、民間機関といわず、いやしくも合理化の余地があれば即刻これを整理簡素化して、冗費をはぶいて能率の向上をはかるべきときと私は考えるのであります。この質問は今議題となっている三法案に直接関係はないのでありますけれども、これに関連した重要な改革問題だと思うのであります。今の御説明に対しては、現状になずんだ御答弁であって、改革する必要性に対する勇気が必要であると思う。今日これをどらというのではありませんが、私はこの問題はぜひ一つ何とか解決をしたいと、将来のために一言申し上げておくわけであります。以上私の質問を終ります。
  6. 記内角一

    政府委員記内角一君) ただいまの点につきましては、われわれも御趣旨のほどよく考慮いたしまして検討してみたいと存じます。  なお、この機会にお許しを得まして、商工組合中央金庫改正法案につきまして、衆議院で一部修正がございましたので御説明申し上げたいと思います。お手元に衆議院から送付の際に送られていると思いますが、要領といたしましては、結局四十九条が修正になりましたが、これはもともと配当免除規定でございまして、御承知通り商工中金ができましてから十五ヵ年間は政府出資に対しては配当することを要しないという規定でございます。これが昭和二十七年でもって終了いたしておりますが、それ以後は毎年一般組合出資同率、最近では年五分を配当いたしておりますが、その配当をいたしておったのでございます。ところが今回、それまでの出資は御案内通り二百十万円ということになっておりましたが、今回政府出資が十億増加いたしました。これに対しまして衆議院の方ではこの十億と従来からの二百十万円、この合計いたしました政府出資に対して、むしろ一般出資と同じ扱いをすべきでなくて、後配出資と申しますか、劣後灘当と申しますか、一般が六分までのときは配当しなくてもよろしい、六分以上を配当しようとするときには一対四の割合で配当するというふうに規定修正せられたのでございまして、これによりまして六分までは配当はございませんが、七分の配当のときには政府出資に対して四分、八分になりましたときには、以後八分以上になりますれば同率配当をするということになるわけでございます。こういう修正がありましたことを御説明申し上げておきます。
  7. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 中小企業金融公庫法が成立いたしましたときに、当時いろいろ政府側からの説明その他を思い起すのでありますが、中小企業金融公庫ができるそのもう一つ前の構想というものは、一種の特別会計にしまして、そうしてこの特別会計政府資金を導入して、これを中小企業既存金融機関にそれぞれ配分をしていく、要するに一つ中小企業金融資金プール機関を作ろうという構想が当時問題になったのでありまして、その考え方から特別会計でいこうということに当初はなっておったようでありますが、途中から中小企業金融公庫という行き方に変ってきたのであります。しかしながらやはりその沿革に基きまして、中小企業金融公庫に対しては、政府資金を導入し、これを既存金融機関に適正に配分して、そうして中小企業金融の円滑を期しよう。要するに当時政府委員などから、タンクを屋上に設定するようなもので、そこに水を入れて、それでパイプで既存金融機関にそれぞれ配分をしていくような行き方をするというようなことを聞かされておったのであります。従って今日まで中小企業金融公庫というものは、既存金融機関に対して代理制度をとって参ったのでありますが、今回中小企業金融公庫は直接貸しを始めるということになってくるようでありまして、そうなると従来のこの中小企業金融公庫あり方、これは実質的に考えた場合に、従来の実質的なあり方というものと、今後の直接貸しをやるようになって後の中小企業金融公庫というものは、実質的に見た場合には、これは性格が変ってきたものだというふうに見ざるを得ないと思うのであります。従ってこの際何ゆえ中小企業金融公庫が直接貸しをしなければならなくなってきたのか、その点を明らかしておくことが必要だと思うのでありまして、先ほど加藤委員からも質問がありましたように、まことに金融機関相互の間の関係複雑多岐であり、混淆をきわめておるというふうに言われたのでありますが、今度直接貸しを始めるように中小企業金融公庫がなると、一そうそういう傾向がはっきり出てくると思うのでありまして、そういうことにも関連し、この際まず第一に何ゆえ中小企業金融公庫が直接貸しを始めざるを得なくなったか、制定の当時の趣旨と違うような行き方を実質的にせざるを得なくなった理由をまず伺いたいと思います。
  8. 記内角一

    政府委員記内角一君) 御承知通り昨年以来の金融引き締めでございまして、一般金融機関につきましては、新規の取引をほとんど打ち切っておるわけでございます。いわんや、まして従来から取引しておったところまで取引をとめるというふうな傾向すら見えるわけでございます。新しく貸し出しを受けようとしましても、なかなか門戸を閉ざして取引ができないという事情にございます。こういう面に対しまして、しかもそれが重要な産業を構成し、また優良な企業であるというふうな場合におきましては、何らかの金融措置を講ずる必要があろうかと思うわけであります。従いまして、そういう最近の金融情勢にもかんがみまして、こういう部門に新しく門戸を開いていくという意味合いで公庫が直接貸しを実施したらどうかということに相なったのでございます。もちろん従来からの金融機関取引のあるもの、あるいは組合等によって商工中金取引があり、あるいは取引ができるもの等につきましては、個々にそういう金融機関とあらかじめ十分な連絡をとりまして、お互いに競合することのないように指導して注意させるつもりでございます。
  9. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 そういう従来いわゆる金融ベースに乗っておったが、乗らなくなった、どこかに中小企業として欠陥が出てきたというような場合には、これを組織化に誘導して、そうして組合形態をとることによって中小企業合理化をはかり、そうしてそれに対して金融の道を系統金融機関からとるというような方向に進むということに対しての政府考え方はどうなんですか。
  10. 記内角一

    政府委員記内角一君) 個々ケースケースによっていろいろ違って参ろうかと思うのでありますが、もちろん既存組合があり、あるいは同じような立場にあるものが相当存在するような場合には、それらをもって協同組合組織させまして、商工中金等との結びつきを行い、これによって金融をつけるということは指導方針として当然とっていかなければならぬと考えますので、われわれといたしましても、金融機関あるいは府県庁などを督励いたしまして、そういう方向にもって参りたいと考えておるわけでございますが、しかし中にはそういうようななかなか実行し得ない面が業種業態あるいは地方等によりましてはいろいろございますので、こういう面につきましては、協同組合を作ろうにも作れないというふうな面もあろうかと考えるわけです。こういう面に対しまして、今言ったようなところで補完的に直接貸しを実施させたいという考えを持っている次第でございます。
  11. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 大臣にこの点は伺いたいと思うのでありますが、今のように金融ベースにも乗らないような中小企業に対して、直控貸し個人貸しをやるというようなことになりますると、しかもこれは政府委員の方から聞いた方がよいのでありますが、中小企業金融公庫貸出金利は年一割だと、商工中金の方へ行くと、系統金融機関でありながら金利は一割三分、しかも中小企業者がそういう場合に組合を作るとすれば組合費を負担もする、さらにまた出資相互金融機関であるがゆえ商工中金に対してはしなければならない、さらに預金も商工中金に対してしなければごきげんがあまりよくないというようなことになりますと、組合を作ろうにも組合を作ろうという意欲が全然なくなってくるわけです。場合によると組合員でも直接貸し中小企業金融公庫分から受ける、しかも金利は安くなるということになったらどんどん組合員はそっちの方に行く、そうして組合強制加入でもない現状ですから、組合は崩壊に向っていく。こうなると、政府中小企業組織化ということを重要政策に掲げられてもおるし、それからまた民主党の公約にも中小企業組織化推進ということが出ておるのでありますが、そういう点を考え合せると、今度の行き方というものは、将来日本の中小企業組織化に非常に反する行き方がここから生まれてくるのではないか。将来大きな問題をここに投げかけられてくるというふうに考えておるのでありますが、これについて基本問題でありますので、大臣の御所見を伺いたい。
  12. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 中小企業指導方針としてなるべく組合を作らせたいということは申すまでもございません。そこで問題は商工中金金利が高いということでありますが、これは一つ商工中金金利一つもっと安くなるように処置をできるだけしていきたいと考えておるわけであります。それからまた私は今の公庫のできたいきさつはよく存じませんが、金融機関はさっき加藤氏からお話があったように、統合していくことも確かに一つ意見だと思いますが、いろいろな機関がある方がいいじゃございますまいか。つまり一軒になってしまうということは金利上、これは民間金融機関でもそうでありますが、一軒一個になったことは必ずしも利益ばかりでないという実際の状況もあるのでありまして、やはり商工中金もあり、中小企業金融公庫もあり、それから国民金融公庫もあるという、三つがいいかどうかということはいろいろ問題もありましょうが、とにかくこれを一つに統合して必ずしもいいというわけではないと私は思うのであります。現在いろいろな歴史もありますから、とにかくこの三つを並立さしていきたい。金利の調節のごときは、ほかの手段で一つ商工中金等金利もできるだけ下るような措置を考慮したいと、こう考えております。
  13. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 いろいろな金融機関があることは、私はいいことだと思います。ことに、この中小企業組織化をはかるための系統金融機関なんというものは、これはもう絶対なければ、これがあわせていろいろなことをやるということで、特色がぼやけてくれば、中小企業組織推進ということは、私はそこからもこわれてくると思うのですが、特色のある組合組織化推進していき得るような特殊金融機関があることはもちろん必要だと思うのですが、そういう場合にこの他の金融機関があることはけっこうだと言いながら、組織化の線がこわれてくるような他の中小企業金融機関あり方というものは、これは困ると思うのです。その点について大臣ほどういうふうにお考えになるか、その点。  もう一つは、商工中金金利というものを安くするというお話ですが、具体的にはどういう方法をおとりになろうというお考えでありましょうか。
  14. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 直接貸しの問題が第一であろうと思いますが、これはまあさっき政府委員からも説明申し上げたように、現状において多少この中小企業金融公庫の方も、非常なそういう中小企業者からのたっての希望がございますので、その門戸を多少あけるということはこの際適当ではないかと、こう考えたわけであります。  それから商工中金金利を下げることは、まあ本年わずかでありますが、とにかく政府出資を十億円増加したということもその一助というつもりでありましたし、それから今後預金部等からもなるべく低利の資金を供給するようにいたしたいと考えるのであります。
  15. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 中小企業者からの希望で直接貸しを始めるようになったと言われるのでありますが、これは中小企業というものは、ちょうど政府を親とすれば、中小企業者というものは子供のようなものだと思うのであります。中小企業者はもう今苦しいのだから、何とか金が借りられればというようなことで、極端に言えば、手段方法あるいは先のことも考えぬという傾向もあるのです。従ってこの組織を作るなんということは、よほどやっぱり腹をきめてかかってなければできないことであるし、これには政府の方でもよほど適切なる方策でやっていかないと、組合組織化なんということはなかなかできないのです。御承知のように、戦前はまあそれがためにあらゆる手段方法を尽してやってきて、ようやく中小企業組織化というものもある程度進んだのですが、終戦後もまあある程度進んできておるわけでありますが、なかなか困難なる面、これは組合制度強制加入でないなんというような点もありましょうし、そういうところへ持ってきて、さらにまた今度は個人でやっていけば、さらに安い金利の金が借りられるというような行き方が出てくると、もう中小企業組織化なんということは実際できなくなる。そういう点で、中小企業者からの希望があると言うけれども、これは私は一種の毒まんじゅうみたいなものだと思います。直接貸し、あるいは個人貸し、それを受けることによって、すぐ体は悪くならぬかもしれんけれども、一時はうまいような気がするかもしれんけれども、中小企業全体の組織化合理化ということを考えると、その食ったまんじゅうはだんだん、だんだん体にこたえてきて、結局中小企業組織化合理化という線は根本的にくずれてくるのです。そういう毒まんじゅうというか、それは今、目先に困るという中小企業者から出てくる声は、これは当然かもしらんのですが、政府の親心としてはもっと大所、高所に立って合理化組織化の線をお考えになって、金融機関としていかにあるべきかということを考えないと、これは何のために政府があるのやら、私はわからぬことになると思うのです。その点どうです。
  16. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) いや、ごもっともの点がありますが、しかしその組合を作らなきゃ金融ができないということを、この際一挙にやることもいかがかと思うのであります。それほど窮屈にしてまでこの組合のいわゆる強制、一種の間接の強制になるのでありましょうが、ということもいかがかと考えるわけであります。
  17. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 大臣はよく御承知のように、今、中小企業としては何やかや言っても、一番の魅力というのは金融なんです。従ってこの金融の面から合理的な面に誘導していくという以外にはちょっと手がないのです。ほかにもいろいろな方策はありますし、政府もやっておられるわけですが、要するに一番現実な問題としては、金融によって適切な施策を講じ、それによって合理化をはかっていくということが必要だと思うのですが、それがこわれてくるというところに非常に問題があるわけなんでありまして、そういう点から見まして、この際系統金融機関としてのこの貸出金利が少くとも個人で借りる場合と同等の程度金利、安い方がいいのですけれども、少くとも同等程度には金利を引き下げていくということでなければ、何度も申すように、組合を作らぬ方が金利が安い、またその他の負担も少いという行き方を放任しておったのでは、民主党としての公約も、政府の施策も私は全然意味がない、逆のことになっておるということになると思うのですが、今の金利を少くとも個人融資を受けるのと同等程度系統金融機関金利を引き下げるということについてお考えを伺いたいと思うのです。それはなぜかと言いますと、今度もちろん商工中金に対する出資配当免除修正案が衆議院で通過したわけでありますけれども、しかしこれはわずかに五千万円ぐらいのもので、今日系統金融機関たる商工中金貸し出している総額の五百何十億に比べれば、一厘ぐらいになるのですね。この一厘くらいの金利が下るか下らんかじゃ、一方中小企業金融公庫で借りれば一割、系統金融機関にいった場合には一割三分、もうそこに三分の違いが出てくる。ですから一厘ぐらいのことをやってみたって、これは焼石に水ということであって、きわめてナンセンスだ。じゃないと思っておられるでありましょうけれども、それよりもう少し、これは、という手をここで石橋通産大臣に打っていただかなければ、これはもう組織化は先の見込みがないということになるのです。これはいかがですか。
  18. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 本年度は残念ながらお話しの通りのことで、十分なことはできませんでした。まあ辛うじて十億円の増資をしたというようなことでありまして、その点はまことに遺憾に存じております。これを一つ逐次御趣旨に沿うように、系統金融機関から借りる方が何らか有利だということに、これば持っていかなければならぬかと存じます。
  19. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 基本方針ほお認め願ったようでありまして、その点は私も満足いたしますが、具体的にここで三つ四つこういうことをおやりになれば、系統金融機関としても個人の金融金利と、あるいは同等程度まで、かなり近くまで行きゃしないかという道が考えられるわけでありますが、その第一は、資金運用部資金、もとは預金部資金と言ったわけなんでありますが、石橋大臣もよく御存じだと思います。昔はこの預金部資金を低利資金として系統金融機関などには貸し出しておるのです。それで低利の融資をしておったのですが、その道がGHQの政治が浸透するに際して、法律から抹殺せられて、もとやられておったことがやれなくなっておるのです。これは占領中は、まあやむを得なかった、あのアメリカ式のやり方も仕方がないということだったでしょうが、もう今日独立している以上、これは昔の預金部資金の低利資金運用制度というものは当然復活せられるべきだと思うのです。それは資金運用部資金法を改正してもらいまして、そして系統金融機関に直接低利資金貸し付け得るように、これはもう一行の改正でできることなんですね、これはぜひともやっていただきたいと思うのですが、この点どうなんでしょうか。
  20. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) これは私だけでどうというわけにもいきませんが、御趣旨には賛成であります。
  21. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 実はきょう大蔵大臣、それからあるいは政務次官にでも来てもらおうと思ったのでありますが、どうしてもやりくりがつかんようでありますから、予算委員会等でまた大蔵省には直接質問もいたしますけれども、この道をぜひ復活するように通産省としては一つ石橋通産大臣御在任中これをぜひとも解決をしていただくように希望をいたしておきます。  それから資金運用部で現在保有しておる商工債券等があるわけでありますが、と申しますのは、従来商工債券を資金運用部資金で引き受けます際の金利が市中の引受金利と同じでありまして、年利八分五厘、日歩にいたしますと二銭三厘三毛ぐらいになる。これは業界に二銭三厘三毛ぐらいで貸すというのならいいのでありますが、政府が債券引き受けのときに二銭三厘二毛もとっておるというような行き方であったのであります。この点は、前に私予算委員会で一萬田大蔵大臣を追及いたしましたら、必ずこれは金利を引き下げるということを明言され、また確約せられたのであります。ところが、そのあと民主、自由党の共同修正によって資金運用部引き受けの債券というものを市中消化に持っていくということになりましたので、せっかく大蔵大臣が確約せられたものが画餅に帰したというわけなんであります。それで今後市中消化の方へ向けられた商工債券引受金利の引き下げについては今度大蔵大臣を私はさらに前の関係がありますから追及しようと思いますけれども、現在資金運用部で引き受けしておる現在手持ちの商工債券引受金利、かつて引き受けた金利というものはこの際引き下げて、そうして系統金融機関金利引き下げの一端にこれを資するということが必要だと思うのであります。この点通産省からこれはやっぱり応援してもらわなければいかぬのでありますから、その点通産大臣に伺いたい。
  22. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) これももっともなことですから、大蔵省の方はどういう都合かしりませんが、十分大蔵省に申し伝えます。
  23. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 もう一点でありますが、それは今まで政府の余裕金を指定預金という形で商工中金等に預託をしておったのであります。ところがこの金利は他の金利と比べますと安いのでありまして、これを引き上げられるということになると、また系統金融機関としての貸出金利に影響を及ぼしまするので、指定預金の引き揚げをこの際長期にわたって延期する、とにかく今度中小企業金融公庫商工中金との間の相互関係が生まれてくるために中小企業組織化に非常な危機を与えるというこの際でありますので、その指定預金の引き揚げを延期するということをこれまた通産省から交渉をしてもらわなければいかぬと思うのでありますが、この点についても一つ御同意を得ておきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  24. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) これも承知いたしました。
  25. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 それでは私は中小企業金融公庫商工中金に関しての質問はこれで終ります。
  26. 小松正雄

    ○小松正雄君 私はこの公庫と名のつく国民金融公庫中小企業金融公庫、それと商工組合中央金庫、この三つの中から国民に貸し出す金の金利が区別されてある。これは当然区別されなくてはならないかとも考えますが、それでなくても公庫と名のつくものに対して政府がここに政府資金をある程度投入してある限りは国民に対して貸し付けるのであるからしてその部分だけでも金利は別途にすべきだと考えますが、大臣はどういうふうにお考えですか。
  27. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) できるだけこれは政府関係機関金利は引き下げるということがむろん方針でなければなりませんので、そういうふうにいたしておるわけでありますが、ただその中で商工中金だけはどういういきさつか、私もよく存じませんが、ここ数年といいますか、あるいは戦争後と申しますか、何か少し立場を異にし、何か解釈を興にしているようでありますが、政府機関でありながら、政府機関の待遇からはずされたような、少し冷遇を受けてきたように思われます。そういうようなところから今、豊田さんからいろいろ御質問のあったような問題も起きておるのですから、これは私として毛商工中金商工中金として今直ちにほかの公庫と合併するというようなことは考えておりませんが、商工中金商工中金として一つ組合金融としてりっぱに特色を発揮するようにしなければならぬと私は考えておりますから、そのことは大蔵大臣ともよく話し合いまして、今までも多少話し合っておるのでありますが、話し合いましてなお善処いたしたいと思いますが、国民金融公庫中小企業金融公庫は大体同じだと思います。商工中金だけが特別な待遇を受けておったわけであります。
  28. 小松正雄

    ○小松正雄君 記内長官にそこでお尋ねいたしますが、この政府資金、さっきも豊田先輩からもるる御質問がありましたが、この三つの、あるいは一般市中銀行の、たとえば百万円のもの、あるいは二十万円のものとか、そういう貸付に対する金利の利率が何段階になっておるか。
  29. 記内角一

    政府委員記内角一君) 金利は、たとえば長期貸付と短期の貸付、あるいは手形の割引、その手形も優良の手形と必ずしも優良でない手形、また金融機関の実体によっていろいろ差等がございますが、これを大別いたしますと、一般銀行は大体短期の貸付、あるいは手形の割引をするのが常態になっておりまして、これは従来は二銭五厘であったと思いますが、これが二銭四厘に下ったわけでございます。ところが、そのうちで興業銀行とか、あるいは日本長期信用銀行というふうな、いわゆる長期信用銀行につきましては、これは御案内通り短期資金よりも長期資金を出すことに相なっておりますので、現在いずれも一割一分から一割二分程度資金、従いまして日歩にいたしまして三銭幾らというふうな三銭以上の金利が実施に相なっております。ところがこんにち相互銀行になりますというと、相手方一つはいわゆる無尽の形で積み立てながら、また無尽給付をするというような格好に相なっておりまして、この金利の利率がいろいろの段階に、計算の仕方でいろいろあるようでございますけれども、四銭近いものになっておるかと考えます。で、直接貸しにつきましても三銭以上の金利になっておるかと思います。貸付限度相互銀行におきましては二、三十万程度平均貸し出しに相なっております。相当小さいものになっております。公庫金利につきましては国民金融公庫中小企業金融公庫、いずれも一割ということに相なっております。で、商工中金につきましては短期が日歩三銭、長期が一割三分、約三銭五厘ばかりに相なっております。これが信用金庫、あるいは信用組合というふうになりますと、もともと一般銀行でありましても百万円以下の貸付については利息の制限がございませんで自由に相なっておりますが、一般銀行は比較的低い金利になっておりますけれども、信用金庫、信用組合等におきましてはもちろん平均いたしますれば二十万円前後になるわけでございますが、規制外の金利ではございますが、四銭から四銭以上ということに相なっております。
  30. 小松正雄

    ○小松正雄君 もう一点、たとえば国民金融公庫中小企業金融公庫商工中金から借り入れようとする場合に、その金額によっては担保物件が設定せられると思いますね。この担保物件を設定せられる場合に、その金融機関が出張して担保物件の調査をするということがあると思いますね。その場合に、その調査費というようなものは借り入れをする方に負担を加えさしておるかどうか。
  31. 記内角一

    政府委員記内角一君) 調査費はとらないのが建前になっておるわけでございます。
  32. 小松正雄

    ○小松正雄君 はっきりそう確認してようございますね。
  33. 記内角一

    政府委員記内角一君) とっておらないはずでございます。
  34. 小松正雄

    ○小松正雄君 それで、はっきりここでとっておらないと、もしとっておったら、借りた方に払い戻しを私はさせねばならないという責任が私にもあると思うのです、ここでお問いする以上は。ですからはっきりここで大臣の口から、貸付に対しては貸付担保に対しての調査する費用はその銀行で持つ、借受人の負担でなさないと、かようであるならば、そのように一つ大臣からここではっきり答弁をしていただきたい。
  35. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 私も今実は存じませんが、ここで調べまして、登記費用はとっておるのでありますが、調査費はとらないというのが建前でありますから、さように御了承願いたいと思います。
  36. 小松正雄

    ○小松正雄君 もう一点だけお伺いいたしたいと思いますが、今聞いておりますと、百万円以下とか、二十万円以下の金融をしてもらうというのは、これは全く零細企業であって、金融的にもどうにもならないものが借り入れをするということに相なっておると思いますが、この零細企業である一番貧乏な者に対して金利が高い、こういうことは私は全く遺憾に考えるわけであります。大臣はこういうことに対してこの法案を通じ、あるいはさっきも豊田先輩からも指摘されておりましたように、金利というものに対して合法的に運用をなさしむる上においては、当然その銀行がそういうふうにとらなければならないという規定を設けられておるかもしれませんが、聞くところによると、これは何にもそういうふうにきめてあるということではないけれども、二十万円以下と二十万円を限度とする、そういう零細企業の借方については四銭以上をとっておると、こういうふうに言われておりますから、これを大臣としては、少くともこの一番借入金の少いものは貧乏であると、こういう前提に立って私は申し上げておるのですが、そういう意味から申しまして、少い借方に対してこそ金利を安くして、大きな金を借りる者、その大である資本の差し繰りのできる大きな金を借りようとする者には金利が安い、それから貧乏でどうにもならないで、少額の金を借りようとする者に対しては金利が高い、こういうようなことが金利利率に対する不均衡ではないか、こういうふうに考えますときに、大臣は少くともこの中小企業全体の、商工業者の親であるという仮定に立って、この金利の問題については大臣の力によって、少くとも先ほども申し上げましたように、政府資金をそういった金融機関貸し付ける場合にも、金利を安くして貸付をし、そうしてまたその貸付政府資金に対しては金利をまた安く貸し付けるというように、大臣からはっきりそれらの関係金融機関に勧告をするというか、示唆をするというようなお考えはありませんか。
  37. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 民間の金融機関は、少額の貸付についてはいろいろ手数もよけいかかりましょうから、従って多少金利が高いということはあると存じますが、国民金融公庫や、それから中小企業金融公庫については、少額の貸付だからといって特に金利は高くしておらないはずであります。
  38. 小松正雄

    ○小松正雄君 私は重ねて申しますが、金利が高いということを前提にいたしまするときに、政府資金、たとえば資金運用部資金とか、政府一般会計から出して金融機関貸し付けていこうとするその金の利子を、政府は安くし、もってその金を利用する部分にだけでも、金利を別途に安くしようとすることを、大臣から忠告をする考え方はないかと、こういうことを聞いているわけです。
  39. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) これは政府関係から出している資金については、現在まででも一般よりは金利を安くするという方針でいっているわけであります。今後におきましても、むろんそれを継続する方針であります。ただ先ほどからお話がありましたように、資金運用部からの資金というものは、昔のような低利資金というものがなくなったものですから、そこで一般的な金利が幾らか以前から見ると高くなっている、こういう欠点が戦後起っておりますが、その点はさらに修正をするように、大蔵省と十分打ち合せをしたいと存じております。
  40. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 もう一点、この中小企業金融公庫関係について伺っておきたいと存じますが、直接貸しの貸出方針、これは従来のいき方と、今度直接貸しが新たに出てくる、この相互関係がどういうふうになっておるのか、要するに直接貸しをどういう場合にやるというような、それからまたその資金は全体のどれくらいまでのパーセンテージを占めさせるつもりなのか、それから貸出金利がどうなるかというような貸出方針について、この際承わっておきたいと思います。
  41. 記内角一

    政府委員記内角一君) 目下その貸出先等についての具体的なやり方については検討いたしておりますが、大体の方向といたしまして、先ほど来申し上げておりますように、相手方が重要な産業であって、しかも金融機関との取引を持っておらないというふうなところに限定してやって参りたいというふうに考えております。金利は一割でやって参る予定でございます。
  42. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 その全体の資金のどれくらいを直接貸しに向けようかという……。
  43. 記内角一

    政府委員記内角一君) 計画といたしましては、大体月三億を限度にするくらいに考えております。今までの、今年度の計画が大体二百五十億で、月約二十億ちょっとであります。そのうち三億ばかりのものを直接貸しに充てたらどうかというふうに考えております。これも今年度中にそれが月三億程度平均でやれるかどうか、まだ具体的にはわかっておりませんが、大体最高その程度の目安をおいておる次第でございます。
  44. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 今後直接貸しをだんだんふやしていこうというつもりなのか、あるいはこの程度で横ばいで進んでいこうと、こういう方針なのか、その点を一つ……。
  45. 記内角一

    政府委員記内角一君) 直接貸しは御案内通り、店舗のあるところが中心になって参るわけでございまして、さしあたりの問題といたしまして、現在本所は東京に、支所が大阪にございますが、そのほかに今年度中に札幌、名古屋、福岡、この三カ所、合計四カ所の店舗で直接貸しを実施することにしております。従いまして今後の方向といたしましては、そのほかにまあ各一ブロックに一カ所くらいに支所を設けたいというふうに考えておりますので、これを設けますれば、若干ふえて参るかと思いますけれども、その四カ所の支店になりますれば、大体この趨勢で、今のような計画で五カ所に関する限り進んで参りたい。また、ほかの支所のできまするについては、それに相応するだけに増加する程度はやむを得ないと考えております。
  46. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 そうすると、支所は五カ所程度でとめるというのじゃない、将来各都道府県にも支所を置くのでありますか。さらにまたそれに伴う人員の増員計画というもの、そういうようなものはどういうふうに考えておられるのですか。
  47. 記内角一

    政府委員記内角一君) 各府県に支所を持つということは考えておりませんで、御案内通り代理貸しをやって参りまする甲種方式、乙種方式、いずれも代理店との連絡貸付と、あとの債権の管理というふうないろいろな事務がございますので、それを管理することを目的にいたしまして、何と申しますか、一ブロック一カ所くらいの予定で進めたいというふうには考えておりますけれども、これも順を追って進んで参りたいと思うわけでして、そういうふうに支所ができました際に、せっかくできました支所を利用いたしまして、補完的に直接貸しをやって参りたいというふうに考えております。この支店網を各府県に一カ所ずつ置くというふうなことは考えておらないわけであります。
  48. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 この際確認しておきたいと思うのでありますが、この直接貸しというものは、やはり補完的なものであって、将来これを中心にやっていこうというふうなお考えはないというふうに了承していいのでありましょうか。
  49. 記内角一

    政府委員記内角一君) その通りであります。
  50. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 この際希望といいますか、意見を特に申し添え、今後十分に配慮してもらいたいと思うのでありますが、通産省は昔の商工省時代と違って、重化学工業の戦時、準戦時態勢以来の勃興に伴って、なかなか行政というものが複雑多岐になってきた、従って物資別の局というものができ、その欠点を補う意味で中小企業庁というようなものができたと思うのでありますが、ものの考え方についても中小企業庁の考え方と物資別の局の考え方という4のは、どうも違っているのじゃないかというふうに外から見られておりますのでありますが、というのは、もっと具体的に言いますと、物資別の局の方では、たとえば、大企業とその下請たる中小企業との系列化というような考え方から、むしろ中小企業というものは、組合化するより個人企業、あるいは会社企業であった方がいいというような考え方が一部にやはりあるのじゃないか。中小企業庁の方は組織化していこうというような考え方が当然あってしかるべきだと思いますが、あるにしても、そこが渾然一体化して昔のような中小企業組織化一点ばりでいこうというような考え方、あるいはその推進力にどうも弱いところがあるように思うのでありますが、今度のこの中小企業金融公庫の直接貸しが始まったりしたのも、どちらかというと、運用方針等、発表せられたものによると、重化学工業関係の下請などに対する具体的な、特に貸出方針もきまってきているようでありますが、そういう点から考えると、どうも物資別の局の考え方というものに、別に意図したところはないのかもしれないけれどもが、結果的に引きずられてきているというようなふうに私は考えるのであります。これが今日通産省の中小企業行政が組織化中心主義というものが強く掲げられておりながら実質が伴わないという欠陥が強くここに出て来ていると思うのでありまして、今後中小企業金融公庫の運営に当っては、今のお話だと直接貸しは補完的だということでありますから一応それでいいのでありますが、あくまで中小企業組織化中心にしていくのだ、そういう気持ですべての施策を考え、また中小企業金融公庫の運営について、また商工中金金利の引き下げについてもぜひお考え願いたい。その点、特に通産大臣にお願いしておきたいと思うのであります。
  51. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 御趣意は十分了承いたしましていたします。
  52. 加藤正人

    加藤正人君 新聞で見ますと、全国銀行の全貸し出しに占める中小企業の比重がだんだん減ってきているということであります。資本金一千万円以下の比重は、二十八年六月が三六・五%で、二十九年六月が三四・六%、同十二月が三四・一%、三十年二月が三三・五%、だんだん減ってきている。だから商工中金などでは、貸出先の資金需要が減っているにもかかわらず、市中銀行から締め出されている金融亡者が殺到してくるために商工中金貸出額はむしろふえている、こういうような結果になっている。つまり中小企業金融を求める者が、さっき豊田氏の言われるように、始終方々で思うようにいかないで資金需要に因っている。今、大臣はいろいろな種類の金融機関があってもいいじゃないかと言われるが、それは皆機能を全うしているものがたくさんあればそれに越したことはないのだが、こういうふうにときどき自分たちの都合で締めていって、締め出しをして、中小企業者がぶらぶら始終路頭に迷っているような状態であっては、いたずらに数ばかり多くて複雑多岐で、外部から見ると混然雑然たる金融機関の存在よりも、もっと中小企業の貿易面における使命を尊重し、これが育成に熱意を持っているという専門機関に統一してやる方が……。自分の都合で締め出して、それがまたうろうろほかに信用の道を求めているというようなことがあるから、僕は心配して言っている。大臣は多い方がいいじゃないかと言われるが、多いのは皆機能を全うしているのが数が多ければそれに越したことはないのだが、こういうことでは僕はいかぬと思うのです。しかも金利の面でも、中小企業向け金利は並手形貸付が去る十日から日歩一里引き下げられたのに比べるとその開きが大きいと言って、「中小企業金融の前途には、政府の「中小企業振興」という表看板にもかかわらず、一段とそのむずかしさがのしかかろうとしている。」そういうふうに書いてある、新聞には……。私はもうこの通りだと思う。通産大臣一つ大いに考えてみていただきたい。その点滅っているのですか、市中銀行の比重は……。それを伺いたい。それは事実ですか。
  53. 記内角一

    政府委員記内角一君) 全国市中銀行貸し出しのうちで、中小企業向けの、資本金一千万円以下のものに対しての貸し出しを総計いたしますと、去年の四月は三五%六というふうになっておりましたが、金融引き締めの影響で、去年の九月末におきましてはこれが三三・八%というふうに著しく減少いたしまして、最低は十一月の三三・四というところまで下って参ったわけでありますが、その後になりまして、これが多少回復して参りまして、この暮には三四・一となりましたが、二月にはまたそれが三三・四、十一月のベースのところまで返ったわけであります。三月におきましては三三・八というところまでやや回復いたしております。総高、絶対額におきましても去年の三月末の九千六百億に対しまして九千八百億ということで、やはり差引いたしまして二百億ばかり絶対額はふえておる次第でございます。ただ全体の中小企業向けの、たとえばそのほかにあります相互銀行信用金庫、各政府金融機関等を合計いたしますと、一兆六千五百億というふうに相なっておりますが、そのうちで銀行貸し出しが九千八百億ということでございまして、六割以上を占めておるわけでございます。で、従いましてまあこの市中銀行から借りないで、ほかの金融機関に集中すべきじゃないかというふうに言われるのもごもっともと思いますが、大小を問わず自己資金が不足してあらゆる金融機関に頼らなければならぬという実情は、さらに中小企業についても多いわけでございますが、そのうちで六割以上が銀行のお世話になっておるという実情もこれは無視できない実勢でございます。従いましてよほど思い切った何らかの資金中小企業金融機関に投入すれば別でございますけれども、これだけの資金量の開きがあるという現実に着目いたしますと、やはり一般銀行の活動ということにも相当期待せざるを得ないわけでございまして、われわれといたしましては一般中小企業金融機関に働いてもらいますと同時に、全国金融機関に対しましてもさらにこういう情勢をよく納得してもらいまして、これ以上に今後はまあ預金もふえる超勢にもあろうかと思いますので、そのうちの相当部分中小企業の方へ向けてもらうように話し合いをいたしておる次第でございます。
  54. 加藤正人

    加藤正人君 今の全国銀行貸し出しが中小企業に対して漸減しておるということは、何ですか、中小企業市中銀行にこの漸減しておる期間は頼らなくてほかに頼ったということですか、あるいは銀行から締め出したというふうに報じられておるのであるが、何か銀行金融の方が受けにくくなって、やむを得ず減ったという意味なんですか。その点はどうなんですか。
  55. 記内角一

    政府委員記内角一君) これを数字的に見ますると、昨年の三月末が全国銀行の総貸出額が二兆六千七百億でございました。それが金融の引き締めによりまして去年の六月末には二兆六千九百億、去年の九月末には二兆七千六百億、約ここで七百億ばかり貸出総額がふえておりますので、中小企業に対しましてはその間におきまして約三百億ばかり減っておるわけでございます。従いまして総ワクといたしまして中小企業向けの貸し出しが去年の金融引き締めによりまして一般貸し出しがふえたにかかわらず、中小企業向けの締め出しをくっておるということになろうかと思います。
  56. 加藤正人

    加藤正人君 どうもこの金融引き締めの影響がすぐさま中小企業に風当りが強くなるということも私はどうかと思うのですね。中小企業育成という線を貫いて行く以上、何らかここに調節をするようなことが必要じゃないか、つまり市中銀行というものは特に中小企業、先ほどから申し上げます通り中小企業金融を主として行うというだけでない、一般金融顧客を相手にしておる、その中に同時にやっておるのですから、これはこういう点はやむを得ぬと思うのですけれども、何らか中小企業にすぐさま金融引き締めが影響するというようなことでは、中小企業の育成、これが貿易面における活動をわれわれが庶幾するという点について、遺憾な傾向だと思うのですが、こういう点について何らか策を考えていただきたいというようなことから、私は先ほどのような発言をしたようなわけでありますが、どうぞこの点について大臣一つできるだけこういう金融の影響がすぐさま中小企業に悪い影響を与えないようにしていただく方途を考えていただきたいということを希望しておきます。
  57. 河野謙三

    ○河野謙三君 この商工中金たり金融公庫関係資金、需要量、これに対しては資金のワクですね、これはどういう工合な比率になっておりますか。一般中小企業資金需要量、これはばく然とした数字でもけっこうですから、これに対する資金のワクというものはどれくらいになっておりますか。
  58. 記内角一

    政府委員記内角一君) 中小企業金融公庫が昨年代理店から需要見込みをとりました際には九百億という数字が出て参りました。それに対しまして、昨年の貸し出しは二百二十七億という数字でございます。それから国民金融公庫は直接貸しでございますので、窓口に相談に見えて、ある程度の意思表示があったものに対しましては約三割が貸し付けられているという状況でございます。
  59. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、需要量に対して資金のワクというものは非常に少い、この運用は従って非常にむずかしいわけですね。そこで通産省としては商工中金なり金融公庫、特に商工中金に対してどの程度の監督指導をされておりますか。商工中金と通産省の間の関係は監督指導についてはどういうような了解事項といいますか、打ち合せになっておりますか。
  60. 記内角一

    政府委員記内角一君) 正確にどういうものというふうななにもございませんが、少くとも毎月の役員会議に出まして、定例的に役員及び関係の官庁、日本銀行等が集まって報告を受けておりますが、その際に毎月の総貸出資金の動き等を検討いたしますと同時に、貸出先別の報告を受けまして、おかしいと思うところについては、随時注意を喚起いたしているのであります。
  61. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、一応この貸し出しの業種別、また貸出先の組合別、こういうものについては、一応通産省は監督もし、指導をしている、こういうふうに了承していいのですか。
  62. 記内角一

    政府委員記内角一君) 業種別の動きは見ておりまするし、組合別になりますと、これは非常にたくさんの数でございますので、いたしておりませんが、特に大口の貸し出しにつきましては、届け出をさせまして、これの動きを注視しているという事情でございます。
  63. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、その結果があなたの方で指導されているような、いわゆる指導方針と違った結果が出た場合には随時警告なり注意を喚起していると心得ていいのですか。
  64. 記内角一

    政府委員記内角一君) その通りでございます。
  65. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はもう少し積極的に指導してもらいたいと思う。というのは、この前もちょっと指摘いたしましたが、商工中金組合対象に金を貸してその組合が事務費と称して三銭の金利にさらに二銭の事務費をプラスして五銭の金利貸している事実がある、これに対しては妥当な金融ということになりますか、一体事務費を取る場合にはどのくらいを限界に考えておりますか。
  66. 記内角一

    政府委員記内角一君) まあ、われわれといたしましては、大体一銭程度を付加するのはやむを得ないかというふうに考えておりますが、それ以上については、できるだけこれをほかの形のもので事務費が要りようになればとるように、これを全部金融にぶっかけることのないようにという一般的な指導をいたしておりますし、最近におきましてもそういうふうに注意を喚起しておる次第でございます。
  67. 河野謙三

    ○河野謙三君 過去において、そういう事実があれば、直ちにそれは改めさすというだけの御答弁をいただけますか。
  68. 記内角一

    政府委員記内角一君) できるだけそういうふうに改めさせたいと思っております。
  69. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうすると、三銭で貸して一銭の事務費をとって四銭、そのほかに歩積みとか何とかいうことで、実費上は金利が四銭五厘になりますね。四銭五厘くらいの高金利中小企業対策の金融ということになりますか。四銭五厘というのは商い金一利じゃないですか。それが果して中小企業の救済の金融になるでしょうか。
  70. 記内角一

    政府委員記内角一君) まあ四銭五厘ほどの絶対的な金利になりますと、これはもちろん高いわけでございますが、組合にはそれぞれ事務費等も多少は要ることでございまするので、もちろん望ましいことではありませんが、まあ一銭程度ならば目をつぶるより仕方がないかというふうに考えておる次第でありますが、われわれとしては、できるだけそういうことのないように望んでおる次第でございます。
  71. 河野謙三

    ○河野謙三君 これはこの際通産大臣に伺いたいのですが、この中小企業金融と称してこういう機関を作っておりながら、今私が指摘いたしましたように、決して三銭の金利でその金が使われているのじゃない。四銭五厘、五銭、今私が申し上げたのは、三銭で借りて事務費を二銭とって五銭にして、その上にさらに歩積みその他の金で五銭五厘というふうになっている。この前当委員会で高橋委員も指摘されましたが、国の税金を滞納しても今は三銭なんです。滞納の金利が三銭であって、国家機関によって中小企業を救ってやるのなんのと恩着せがましいことを言って、その金利が五銭五厘で一体通産大臣いいでしょうか。これは何とか抜本的にお考え願わなければならぬと思いますが、これは今すぐできる問題じゃありませんけれども、通産大臣はこの問題についてお考え下さるかどうか伺いたい。
  72. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) ごもっともです。私は一体三銭もあまり安くないと思いますが、いわんやそれに二銭以上もくっつくということは、これははなはだべらぼうな話だと思います。これは十分一つ研究しまして考えましょう。
  73. 河野謙三

    ○河野謙三君 もう一つ伺いたいのですが、まあいろいろ指導監督しておられるというが、この間資料を要求して、いただいた中に、業種別の中で、いわゆる不良貸付に嘱するところのものが、たとえば皮革の場合に三〇%不良貸付というものがある、こういうものは、できたものは仕方がないといえばそれまでですが、この善後措置について、何か特殊なこういう不良貸付につきましては、通産省はどういう措置をとられるのですか。
  74. 記内角一

    政府委員記内角一君) 皮革等は御承知通り数年前に、いわゆる新三品という名前でございましたか、称されたように、非常な不況があったわけであります。その後も依然として相当不安定な状態が続いておりますので、なかなか回復は容易ではないわけであります。従いましてこれの回収あるいは再建ということにつきましては、単に回収という面ばかりでなくて、これの建て直しというふうな意味でわれわれも努力いたしておるわけでございますが、なかなか現在までのところ、思うようにはかどっておりませぬけれども、われわれとしては今後とも、単に金融という面ばかりでなくて、そういう面の建て直しということに努力したいというふうに考えておる次第でございます。
  75. 河野謙三

    ○河野謙三君 この内容につきましては、私は当委員会でなくてもけっこうですから、あらためて一つ御報告いただきたいと思いますが。  次に私は通産大臣にもう一点伺いたいのですが、中小企業対策といいましても、私は金融だけが中小企業対策でないと思うのです。もっと抜本的な問題に私はある程度入り得るし、また入らなければいかぬと思うのです。たとえば中小企業が担当する雑貨輸出等が非常に多いですね。この雑貨の中でも、いわゆる加工貿易であって、外国から原材料を輸入して、そうして加工して輸出するという種類のものも相当量あるわけです。こういうものにつきましては、国が保税工場等の面において、何かそこに中小企業協同組合と各保税倉庫との結びつきにおいて、この中小企業の育成に便宜をはかるという制度上の問題も私はあると思いますが、こういう問題について何かお考えになっておることがあれば、この際一つ伺いたいと思います。
  76. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) この中小企業者の輸出品につきましては、いろいろの面で援助を与える、今の保税倉庫的なものも現在多少やっておるのであります。そのほか技術あるいは設備の近代化とか、あるいは商品見本を向うから取り寄せて中小企業者に示すとか、もしくは日本の中小企業者の生産品を海外に持ち出して向うで展示をするとか、さようなことも本年度からことに強力にやりたいと考えて、多少の予算も取ってあります。
  77. 河野謙三

    ○河野謙三君 これは長官御記憶があるかどうか知りませんが、私は通産委員会の新米で、なったほやほやに今の問題については資料を要求したことがあるんです。中小企業で、雑貨の輸出で外国から原材料の供給を仰いでいる種類の中小企業について、何か御調査があったらいただきたい、こういうことをお願いしたんですが、その種類と、それに要する外貨、こういうものについての御調査がございますか。私はせっかく今通産大臣が、そういうものについては現在も一部あるし、今後も積極的に考えたい、こういうことでありますから、その資料はあなたの方でも、当然大臣にも御提出済みだと思いますが、それを一つわれわれにもいただけませんか。
  78. 記内角一

    政府委員記内角一君) さっそく取りそろえて御提出申し上げます。
  79. 河野謙三

    ○河野謙三君 それはすぐできますか。
  80. 記内角一

    政府委員記内角一君) 外貨予算の編成の何もございますから、速急に取りそろえて提出したいと思います。
  81. 河野謙三

    ○河野謙三君 それから、あちらこちらに質問が変っておそれ入りますが、大臣一つ伺いたいんですが、外貨割当で、通産省ば原則として外貨をインポーター割当という原則を立てておいでになるそうですが、これは事実ですか。
  82. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) それは多分その外貨そのものが商社に割り当てるという、最近全部そうしておるわけではありませんが、大体やはりメーカーから注文を受けた商社に外貨そのものは割り当ててやろう、こういう方針をとっておりますから、そのことだろうと思います。
  83. 河野謙三

    ○河野謙三君 現在はインポーター割当があり、メーカー割当があり、また実需者割当があり、いろいろなケースになっておりますが、これは通産省の将来の御方針としてはどこにまとめるという御方針であるのか、それともこれはどこにまとめるということでなしに、今後やはり実情に沿って業種別にそれぞれの方針は違うと、こういうことなんですか。
  84. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 方針としましては、外貨そのものが輸入業者、すなわち商社に割り当てるということを方針としていきたいと思います。
  85. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、こういうことはお考え願えませんか。たとえば中小企業でほんとうに健全な中小企業協同組合ができた、それがたまたま外貨に依存する物資関係中小企業であるという場合には、その中小企業協同組合に外貨の割当をするということはお考えになる余地はございませんか。
  86. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) ただいまそれは考えておらないのであります。そういう場合には、そのものに必要なる原料の輸入の、発注というか何といいますか、権利というか何か知らんが、割当をいたしますその品物自身のその割当の範囲においてメーカーが商社に輸入を注文すると、外貨そのものは輸入するときに割り当てる、かような方針を今とっております。
  87. 河野謙三

    ○河野謙三君 たとえば一例を申しますと、油なら油の販売業者がある、これが健全な協同組合ができたという場合には、その油の販売業者である組合に原油の割当をして、その販売業者の協同組合が原油の割当をもらって、これを精製業者に委託加工をするというこのケースはとれませんか。
  88. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) ちょっと油のことはややこしいのですが、まあ漁業協同組合やなんかのいろいろの問題がありますが、現在そういう方針をとっておりません。
  89. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はこれは一つ意見になりますけれども、それは大量そういうケースをとるべきじゃないと思いますけれども、一部この精製業者、今油の話が出ましたから油の例をとりますが、一部油の製造業者の横暴をためる、外貨の上にあぐらをかく、油の上に政商がばっこする、これは大臣は是正される、これを牽制する意味において、この状況においては今のような私はケースをとられることによって油の価格の適正化をはかり、同時に、油をめぐる業者の利潤の公平な分配をはかるという私は大きな目的の達成には非常に役立つと思いますが、そういうことは、これは措置といえば臨時措置でありますけれども、こういうことは現段階において必要をお認めにならんでしょうか。
  90. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) なかなか複雑でありますから、なお一つ研究をしてみますが、今すぐ即座にそれがいいとか悪いとかいうお答えはできません。
  91. 河野謙三

    ○河野謙三君 それは研究題目としてけっこうでありますから、それでは私は百歩後退して、それは一つの研究題目としておこう、こういうことでありますが、これを逆にいえば、大いに考慮の余地がある問題だと、こういうふうに大臣からお答えをいただいたと、こう了承してよろしいですか。
  92. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 具体的にはわかりません。その具体的なケースに当ってみないとわかりませんが、今のあなたの御議論は傾聴に値するから、その点だけば私了承しますと、こういうことです。
  93. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は、これは誤解のないように、油の問題だけじゃない。今、油の法案がここに出ておりますけれども、従って油の問題を出したのですが、この前これば私申し上げましたが、外貨割当というものは、非常にこれは大きな利権なんです。この利権をめぐるいろんな弊害というものを是正するために、あらゆる手段を私はこの際とらなければいかん。その手段の一端としてそういうことを御考慮願いたいと、こういうお尋ねをしましたところが、独断かもしれませんけれども、大いに考慮の余地ありという御答弁でありましたから、御考慮の結果を私は期待いたしまして、これで質問を打ち切り残す。
  94. 小松正雄

    ○小松正雄君 私はさっき御質問申し上げましたのに対して、もう一、二点加えてお聞きしておきてたいと思います。今日のこの金融関係して、先にもいろいろ私御質問申し上げましたが、この資金運用部資金というのは、もろ申すまでもなく国定があらゆる角度から倹約して預託したものと思いますので、さっき私が金利率の問題について触れてお尋ねしたことと特に結びつくものじゃないか、かように考えるわけでありまするが、そこで政府はこういう資金運用部資金とか、あるいは政府資金というものを金融機関に流す場
  95. 小松正雄

    ○小松正雄君 そういたしますと、それの三十万円に対する、たとえば地方銀行の定期その他であっても税の対象にはならないと、かように考えていいのでありますか。
  96. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) そうと私は了解しております。
  97. 小松正雄

    ○小松正雄君 もう一点だけ。それからこの金融に関連いたしまして、弱小商工業者は非常に金を借りるのに、こういった公けの金融機関から借りようとしても、まあそれに匹敵する担保だとかいうことでなかなか借りられない。そういう苦境に立っておる場合を利用するやみ金融というものが非常に横行しておりまして、これがために非常に逆にこれらの詐欺行為のものにひっかかって苦労しておるということは、私が申し上げるまでもなく、大臣はよく御承知だと思いますが、これらのやみ金融といいますか、不良金融といいますか、その会社、個人、これらに対して、即、取締りの意味において何とか中止させるとかいうお考えを持っておられるかどうかをお聞きしておきてたいと思います。
  98. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) これは実は私よく存じませんが、まあその所管省としては大蔵省になっていると思いますが、これは貸金業法でありますか等によって取締りはいたしておると私は考えております。
  99. 海野三朗

    ○海野三朗君 今度の中小企業金融公庫法では、十五億であったものが五億に減らされて、そうしてほかの方から資金を融通して借りて貸すというふうにまあなっておるようでありますが、業者の輸出につきましても、国内で生産したものが売れない。その原因の一つはココムの規定によって、売れるものも売れないでいる品物がうんとあるんです。今日町を歩いてみても、製品はもうどの製品でも国内にははんらんしている。それをつまりあのココムの規則によって縛られているこの現状に対しては、通産大臣はどういうふうな御決意と、具体的にどういうふうな手を打っておられますか。
  100. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 中共に対する禁輸、つまりココムにおいてきめております中共に対する輸出禁止品が、ソ連に対するそれよりも非常に範囲が広くて、ソ連に対してでも完全に自由じゃないのでありますが、それでも、せめてソ連並みくらいに中共に対する輸出禁止を緩和してもらいますと、日本の輸出貿易に非常に好都合であるということはもう申すまでもございません。ただこれをそこまでに広げさせるのに努力はしておりますけれども、なかなか容易ならぬ仕事でありますから、急激にそこへ持っていくことができるということは、ちょっとここで申し上げかねるようなわけであります。しかしこの一般中小企業者の製品のごときは、ココムの禁輸品にかからないものも相当ございますが、これはまた中共自身の都合、あるいは向うから日本が輸入するものの都合というようなことで、ココムの禁輸以上に実は中共との貿易は今非常に行き悩んでおります。たとえば大臣のごときものは、中共からこれが入ってくれば、そのかわり日本から何か輸出ができるかもしれませんが、しかしながら、そうでたく、最近の話では、大豆はこちらでは入れてもいいのでありますが、その入れる条件がかなりひどい。値段も高い、そのかわりに必ず日本から品物を入れるという約束もないというようなわけで、これはドル払いで高い値段を出して大豆を入れる、もし入れるとすればというようなこともありまして、実際中共と日本の関係そのものにも、今貿易をいろいろ妨げておる事情がございます。できるだけこれを解除して、何とか中共から入るものは入れ、そのかわり日本から出るものは出したいというのが私の念願でありますが、今申し上げるように、必ずしもココムの金融だけじゃない、それ以外にも相当の障害があるのが現在の実情でございます。
  101. 海野三朗

    ○海野三朗君 中共との貿易の方は、中共から買うものが四であって、日本から向うに売っているものは一という割合であるということを私は聞いておるのでありますが、過日雷通商代表団長が国会を訪れて、衆議院議長室での話に、中共では日本がほしいというものは何でもみなあげておるのであるが、何ゆえにこちらの方の要求するものをくれないのか、そういうふうなことを話しておりました。私もその席に同席しておったのでありますが、そこはぜひ互恵の精神にのっとって、中共では日本がほしいというものは何でもあげておるのだ、日本では中共のほしいというものもくれないんだということを言っておりました。今、日本が、日本の製品で中共に売れるものであっても、それを売ってならないということのココムの規則があるならば、それよりこうむるところの損害は、これは条約を結ばせた方面に責任があるのではないか。この損害はアメリカであるか、どこであるかわかりませんけれども、売れる品物を売っちゃならぬという以上には、その損害を補償してくれるのが当然ではないかというふうに私も思うのであります。その売れるやつを売っちゃならぬと言って押えておるところに、私はいつまでこのわが日本が忍従の生活をして犠牲になっていなければならないのであるか。そういう点に対しては通商産業大臣としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。売れる品物を売っちゃならぬと言うならば、それを補償してくれなければならないのじゃないか。これが正道であり、道ではないかと、こう思うのでありますが、その点についてはいかようにお考えになっていらっしゃいますか。
  102. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) ココムは、御承知のように、アメリカを初めとして、英国その他自由主義諸国がまずほとんど全部入っておる一つの協議団体でありまして、その協議団体で決定をいたして、ソ連にはこれこれのものは出さぬ、中共にはこういうものは出さぬという話し合いで行われておりまして日本だけが輸出を妨げられておるわけではございませんので、しかし日本としては特に中共貿易は大切でありますから、その点においては非常によその、西欧諸国よりも一層日本としては困る。従って日本としてはココムの解除ということを強力に主張しておるわけでありますが、しかしとにかく日本だけが輸出をとめられているわけじゃありませんから、その損害を賠償させるというわけにも参らぬと思います。これは各国とも共同で話し合って、お互いに出さない、こういうことに一応とにかくきめておるわけでありますから、損害の賠償問題にはならないと存じます。
  103. 海野三朗

    ○海野三朗君 大臣の御所信の点はよくわかりました。それで今、河野委員からも話が触れられたのでありますが、この外貨の割当です。この外貨の割当は通産省方面においては、あるいは妥当な制当であるとお考えになっていらっしゃるか、どうでありますか、その点を承わりたい。
  104. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 貿易はなるべく自由がよろしいのであります。かつまた、実は何ものでもこの別当制度を、政府が割当制度をとるということは非常に困難な仕事であり、また弊害も起りますから、できるだけそういうことのないように、いわゆるこの割当でありましても、ASA、自動承認制度にしまして、それで各商社とか、あるいはメーカーとかいうものに、一々幾ら幾らというような割当をするようなことのない、だれでも自由に輸入ができるという、いわゆるASAになるべく移すという方針でただいまやっておりますが、しかし、いかにも外貨の事情が、現在の場合何もかも自由にASAにするというわけには行かぬものですから、そこにかなり重要な商品については、かえってメーカーとか、あるいは商社の割当制というものをやっております。しかもこれは経審を中心にしまして、通産省は言うまでもなく、関係のある各省が寄りまして、それぞれ輸入の必要なものの数量を出し合い、その価格等も研究いたしまして、そしてやっておりますから、私はその点においてはまず間違いはない、妥当なものと信じております。
  105. 海野三朗

    ○海野三朗君 ただいまのお話では、細目今承わったわけではないのですが、外貨の割当、一例を申しますならば、国内でも産するが、アメリカの方の品物の方が安いというような品物に対しましては、日本品が多少悪くても、なるべく国内の人間を食わして行かなければならない、そういう方向へ通産行政というものが持って行かれなければならないのではないか、こう思うのであります。しかるに、この実例を今申し上げますならば、私はこの委員会の席上において、もう二、三度発言をしておるのでありまするが、この価格の方に関係いたしました、たとえばカーボン・ブラックのごときものは、アメリカの品物は非常にいい、また安いということで輸入しておるのでありまするけれども、この外貨の割当の際に、大体日本全体で使う量をまず按分しまして、そうしてその半分だけに輸入を許可しよう、こういうふうにお考えのようでありますが、その全体の使用量を見るときにおいて、非常なる水ぶくれがある。それでありますから、たとえば半分だけはアメリカから入れて、半分だけは国内のものでやって、業者を救おうというお考えであるべきはずなのに、そうでなくて水増しに考えておる。その水増しに考えたときには外貨の割当をとっておる。それでありますから、七割も、八割も輸入してきておる。従って国内における業者は首切らなきゃならぬとか、給料を払えないとか何とかというような実情に対しましては、もう少しこの外貨の割当については、実情に即した割当をしてもらわなければならないのじゃないか。この点は小さい問題でありましょうけれども、一をもって十を推すに足る。私はこの外貨の割当に対してははなはだずさんではないか、こういうふうに考えておるのでありますが、大臣承知なければ、あるいは政府委員の方からでも、このことについて御答弁をお願いしたいと存じます。
  106. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 非常に多い商品の中でありますから、これは絶対に時にあやまりがないということを申すのも、これは行き過ぎだと思いますが、実は非常な慎重な検討をいたしておりまして、今のカーボン・ブラックのことは実は私存じませんが、私から見ると、むしろこの国内産の奨励をするために、もう少しやはり輸入して、それを使用をする方面の、これはカーボン・ブラックにしても、それを使用して製品ができるのでありますから、その製品のことを考えますれば、あるいはもう少し輸入したらいいのではないかと思うくらいのものまでもかなり厳重に入れないで、国内産品を保護する、保護主義の行き過ぎではないかと思うほどやっているのが現状だと存じております。しかしこの中にはそういうお話のような、時に間違いがないとはわれわれ保証いたしませんが、もしカーボン・ブラックのことがお話通りなら、これはさっそく調査いたして、誤まりがあれば訂正をさせることにいたします。
  107. 海野三朗

    ○海野三朗君 全体に対しての大臣のお考えはよくわかりましたが、小さい問題のようであるけれども、これは決して小さくないのです。カーボン・ブラックを将来日本でもっともっと品質のいいものを作らせなければならないのでありますが、だんだん業者が仕事をやり得ないというところに追いつめられて、一方では首切りをやらなければならない。あるいは一方では給料を払えないというような叫びをしているのである。こういう際に通産省の外貨割当、割当は何を基本にして割当てているかと申しますと、まず年間たとえば二千トンの使用量がある、それなら千トンだけは輸入してもよろしい、こういうわけで外貨割当がある。そうすると、外貨の割当というものに対しては運賃を見ないで全部購入する。そうすると、事実は千四、五百トンしか使っていないのだ。そうすると、輸入するやつが千トンをこえているのです。そうしますと、国内のものは一つ本売れない、そうして国内にはたくさんのストックを持っている。このストックは今度中共の方ではぜひほしいといっているのに、ココムから縛られてカーボン・ブラックはやっちゃいかぬというようなことであって、つまり日本人がぐずぐずしていればもう死んでしまうという、こういうことに類似したことがたくさんあるのでありますが、そういうことを私が見るときに、この外貨の割当というものははなはだずさんな点があると私は思う。こういう点については政府委員からでも私ははっきりした御答弁を伺っておきたい。
  108. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) その点については具体的には実は私存じませんから、今ちょうどその係りの政府委員がおりませんので、後刻御答弁を申し上げます。
  109. 海野三朗

    ○海野三朗君 もう一点。昨今会社なり工場なりで、小さい零細な工場がばたばたとみないっている。これはみな金に困って、運転資金に困っているので、新聞紙上をにぎわしている一家心中というような事柄はよく御存じであると思うのでありますが、そういうことに対してはもう少し金融関係の方を何とかして押し広めて救ってもらいたいと思うのですが、小さいものに対してはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。それから中小企業の今日までの金の貸し方に対しましては、銀行の窓口ばかりを使っているが、銀行の窓口は貸した金が、つまり倒れないことが第一の要件である。それが国家のためになろうが工場のためになろうが、そんなことよりも、まずとにかく金が倒れないことを第一の主眼としているのです。そういう点については私は銀行だけの窓口ではならないから、せいぜい地方に出店を出してもらわなければならないのではないか。また仕事によっては政府のお役人がほんとうに公平に考え貸付けてもらわなければならないのじゃないか、こう考えているのでございますが、当局者としましてはどういうふうにお考えになっておりましょうか。
  110. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 金融機関といたしましては、お話のように償還の見込みもない、この金を出してもその金は結局生活に使われてしまうというような金は出せないと思います。これは政府機関であります中小企業金融公庫などでも、やはりある程度まではそういう観点から借主の状況を調べて出さなければならないと思います。しかしそれでは零細の非常に困っている者は殺していいかというと、そうではないのでありまして、これは一つ一つの場合になってみませんと、実際そういう方々をどうしてあげたらいいかということはわかりませんので、そこで各商工会議所その他に相談所が設けてございます。これは前から全国には数百カ所あるのであります。これも今年度の予算においては少しく予算をとりまして、その必要性のことに多いと思う相談所には多少の金をつけて、そうしてこれを強化をするということをいたすつもりでおります。そういう相談所に一つ相談をしていただけば、この人は金融をつければ助かるのか、それとも生活保護の方に持って行かなければならないのかというような判断をいたしてやりたいと思いまして、実は昨年の暮にも池袋に一家心中がありましたときに、そのあと私の本省の方にたくさんそういう手紙が参りましたから、今申し上げますような方針によって、それぞれ処理をいたしたようなわけであります。今後一つ一つの場合を検討いたしませんと、ただ金を貸せばいいという簡単なわけにも参らぬように思います。
  111. 海野三朗

    ○海野三朗君 最後にもう一つ私がお伺いしたいのは、そういうふうな状態に立ち至って来ておりまするのは、過去においてのいろいろな条件があってそういうふうに追い詰められてきたのであって、その点をよく考えていただかなければならぬのじゃないか。最後に足腰立たなくなってから、あいつに金を貸したってだめだから金を貸さないんだというようなお考えであっては、私ははなはだ遺憾だと思うのであります。そういうふうな状態に立ち至る前に、もう少しいわゆる友愛の精神をもって、この貸付に対しましても政府は臨んでもらいたいと私は考えるのであります。おそらく今、大臣のお答えになったのは、それは足腰立たなくなってからのものを救えということで私は言ったのじゃありませんが、そういう状態にまで追い込んできた過去の歴史は、今日まで救われなかったから、結局足腰立たなくなってしまった、そういうふうな状態にまで追い込むというのは、やはり通商産業の政策としては、もう少し前もってそれを救うように心がけていただかなければならないじゃないか、私はこういうように思うのでございます。いかがなものでしょうか。
  112. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) お説の通りでありまして、そういうふうな救済をしなければならないような人が出てくるということは、いわゆるそれより前に何かの誤まりがあるのでありますから、これは通産行政だけの問題じゃないと思いますけれども、全般にもっと仕事がふえて、みんなが働ける、いやしくも働く力があり、働く意思のある者は働く、そうしてそれぞれの相当の収入が得られるというような社会状態に全般的にいたすことが必要だと考えておるわけであります。
  113. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 ちょっと資料についてお伺いしておきますが、「商工組合中央金庫昭和二十九年度中業種別貸出回収調査表」でございますが、この貸出件数というのは中央金庫から貸されたこれは協同組合の数ですか、組合の数ですか。十二万二千八十七という合計は……。
  114. 記内角一

    政府委員記内角一君) 貸出件数と言いますのは、たとえば手形に、一枚ごとに貸し出しがありますと、その一枚ごとの件数でございます。従って一組合に対しましても手形が何枚か貸し付けておる、あるいは証書によって貸し付けておるという状況でございます。
  115. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 それでは、これは組合数はどれくらいですか。全部の組合数のうちの何パーセント……。
  116. 記内角一

    政府委員記内角一君) そちらにお配りしたものの中で、たとえば「二十九年度三月末残高」の一番最初に「貸出先数」というのがございますが、これが九千組合、九千組合もしくは個人九千軒ということになっております。
  117. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そうすると、需要の数ばこの何倍くらいなんです。どのくらい、何件くらいなんです。需要を申し込んだ数ですね。
  118. 記内角一

    政府委員記内角一君) 申し込んだ数ははっきりいたしませんが、そう多くはないのじゃないか、これよりもそんなに多くは断わっていないのじゃないかというふうに思っております。
  119. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 それではその貸付けを受けた組合がさらに自分の組会員に対して、組合員の需要に対して何。パーセントくらい貸付けに応じているのでし上うか。
  120. 記内角一

    政府委員記内角一君) これは個々ケースによりまして非常に違って参ります。先ほど来指摘されておりますように、商工中金金利一般市中金利よりも相当高いものでございますから、市中銀行からも貸し出し得られないところ、あるいは信用が薄くて借り受けのできないもの、あるいは信用がありましてもいわゆる金融のワクがございまして、その限度以上には貸し出しを金融機関は差しひかえておりますので、そういう面から、それ以上に借り出したいと思いましても借り出せないようなもの、こういうようなものがこの組合を通じまして商工中金から借り受けておるわけでございまして、と同時に、組合自身もまたいろいろ共同設備などを持ちまして自分で作業をいたしておりまして、それの共同設備の設置費用、あるいはそれの運転資金というふうなものを直接利用しておる面もございます。従いまして、この中で個々組合員がどれだけ利用しておるかはっきりいたさないわけでございます。
  121. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そういうことがあるから聞いておるので、金利が高かったり、また回収の見込みがなかったりで、現実に中央金庫の金を借れない人々に対する救済の措置と言いますか、指導措置というものがやはりまた必要なのであって、そういう必要な対象がどれくらいあるのかということが知りたかったわけです。
  122. 記内角一

    政府委員記内角一君) その協同組合法の改正の資料の中にお配りしてあるかと思いますが、現在組合数は三万をこしておるわけでございます。そのうちで商工中金出資をいたしております組合が約半数でございます。約一万でございまして、出資をしておらない組合には貸し出しができないようになっております。しかしまあ出資貸し出しもいたしておりませんが、自分で別個に事業活動をいたしておる組合も相当あるかと思いますが、まあ概括いたしまして、三万の組合のうち半分近くのものがあまり流動をいたしておらないのじゃないかというふうに考えております。これらにつきましては、今後ともこれを事業が活発に動き得るように、あるいは全く名目だけの組合等につきてましては、これを何らかの形で整理するようにというふうに今度の組合法の改正を契機といたしまして、いろいろの手続きをいたしたいというふうに考えております。
  123. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと予算委員会から大臣の要求がございますが、よろしうございますか。
  124. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 差しつかえありません。
  125. 河野謙三

    ○河野謙三君 これは大臣に直接じゃありませんが、ちょっと大臣に聞いていただきたい。私の先ほどの質問の補足ですが、商工中金金融で三銭のものを事務費と称して二銭加えて五銭で貸しておる事実がある。これについては通産省の方では事務費としては多すぎるから一銭程度にしたいと、こういう御答弁がありましたが、私はそれを是認していないということだけを私はお答えしておきます。私がそれで了承したと思われたら大へんな間違いなんです。一銭にしても、これは私が言うまでもなく、一億金を借りていれば月に三十万円ですよ。一億の金融を受けた組合が、しかも商工中金金融を受けた組合金利の頭をはねて事務費に三十万円とるなんということはとんでもないことです。同時に私は多い少いの議論より、そういう商工中金の金を基礎にして金融ブローカー的な組合性格を持たしてはいかぬと思う。組合の事務費は事務費としてとるべきである。結果は三十万円になっても、事務費は事務費として筋を通して取るべきで、三銭の金は三銭で貸して、事務費の運営費というものは事務費として賦課金で取るべきである。こういうふうにはっきり御指導なさるのが妥当だと思いますが、どうです。そうでなく、三銭の金利に事務費として一銭加えるとか、五厘加えるとか、一銭五厘加えるとかいう今までの考え方を妥当とお考えになりますか。その事務費と金利というものは画然と区別してやらなければ、商工中金の金を利用して金融ブローカー的な組合が現にあるのです。これは金のかさじゃない。そういうもので事務費を取るべきではないだろうと私は思いますが、これは大臣性格はどうです。そういうふうな事務費の取り方はいけないでしょう。
  126. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 組合でありますから、別に事務費をとるということもいかがだろうと思いますが、一般の慣行では、今の一銭つけるとか、二銭つけるというのは行き過ぎであるかもしれませんが、貸し付けの際に手数料として若干のものをつけ加えるということは今までの一般金融の慣行でありますから、全然禁止するのもいかがかと思います。これは私の今思いつきでありますが、なおその点は十分企業庁にも研究してもらいまして、しかるべく指導するようにしたいと思います。
  127. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は組合が自主的に事務費を幾ら取ろうと、そんなことは干渉する余地はないと思う。ただ商工中金の金を取次することによって三銭のものに幾らつけ加えるか、金利によって事務費をまかなうというこの思想は私は非常によくないと思う。これは非常に弊害を伴います。現に弊害が伴っているのです。組合員にすれば五銭であろうが、六銭であろうが金が借りられない。だから五銭でも六銭でも貸してくれればありがたいということで組合員は不平を言わないかもしれませんが、この虚に乗じて組合ボスが三銭の金に二銭加える、現に二銭加えているところがあるんです。大臣は聞いてびっくりしたでしょう。一億の金を借りていれば六十万円、一年に七百二十万円の事務費を使っていることになる。その組合の実体とすれば、そんなものが事務費にかかりっこないでしょう。かかったら事務費として賦課金をとればいい。賦課金として事務費をとるべきで、事務費を金利の中からまかなってやるこの思想は、はっきり分けていただかなければ、私は弊害が起ると思う。どうでしょうそれは……。これは私はっきりしていただかなければならぬと思う。
  128. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) 事務費はそうだろうと思います。ただ一件ごとの貸し付けについては、これは手数もかかるしいたしますから、わずかな手数料を加えるということの程度は認めてもいいんじゃないかと思うのであります。
  129. 河野謙三

    ○河野謙三君 それは具体的の問題ですから、私はここで速急に、一つここで大臣と局長とよく御相談の結果御答弁願いたい。もし大臣がおっしゃるような性質のものであるならば、一銭というものは高くございませんか、三銭の金利にさらに一銭事務費として加えることは高くございませんか。
  130. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) それはもちろん高いでしょうね、一銭は少し高いと思いますね。
  131. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、先ほどの局長は一銭ということにつきましては御訂正なさいますか、私は大体そういう性質のものはいかぬと思うのですが、かりにいいとしても、そういう性質のものは私は認めたくないのであります。認めたとしても、今、大臣おっしゃるように一銭なんというものは法外なものだと思う。
  132. 記内角一

    政府委員記内角一君) これは組合の内容によりましていろいろ差がございまして、たとえば同じ一銭につきましても、単に貸し付けの事務手数料だけの意味でとっているところもございますが、あるいは一極の貸し倒れ準備と申しますか、保証の意味で手数料のほかにそういうような若干の利ざやをとって、万一貸し倒れになった場合の危険負担に備えるというような意味もございます。また同じ一銭と申しましても、率は一銭でございましても、百万円の場合の一銭もございますれば、一億円の場合の一銭もあろうかと思うのであります。事務費の方の一銭が高いかどうかということは貸し出しの金高の高にもよって参りますし、また危険負担ということも含んで参りますと、一銭がいいか悪いかということは、場合々々によっていろいろな差等があろうかと思うのであります。しかし現実は御指摘の通り一銭以上取っておるようなところもございますので、一銭程度までは目をつぶるということはやむを得ないかもしれないが、一銭以上はとにかく取ってはいかぬ、一銭まではいいかどうか、これは個々組合によってこれは可否いろいろ議論もございましょうけれども、とにかく一銭以上取るようなことはやめるようにという指導方針をとっておる次第でございます。
  133. 河野謙三

    ○河野謙三君 あなたは一銭に非常にこだわっておるようだけれども、事務費として取るというものはこれは消えて行くものです。危険に対する準備金なら、これはもし危険がなければ、それだけのものが組合にまた配当されるものです、そうでしょう。先ほどから事務費事務費とおっしゃるから、事務費に対しての一銭は大体多いじゃないか、私は多い少いよりも、事務費というものは本質論からいって賦課金というものはそういう形で取るべきでないと、こういう私は論者でありますが、いわゆる貸し倒れに対する準備金という意味なら私はおのずと別だと思う。あなたのおっしゃるのは事務費と貸し倒れに対する危険の準備金と、こういうものと一緒にされておるのですか。
  134. 記内角一

    政府委員記内角一君) その一銭の利ざやを取っておる場合において、その意味が事務費の場合もあり、あるいは貸し倒れ準備金という意味を含んでおる場合といろいろございますので、これの区別は一律には判定できない、従ってまあ一銭がいいか悪いかは、いろいろ議論もございましょうが、とにかく一銭以上取るようなものはやめるようにというふうな指導方針で進んでおるのであります。従いまして、もし一銭の分で事務費がかつかつまかなえるようなものであれば、これはやむを得ないかもしれませんが、その中に貸し倒れ準備金的なものを含んでおれば、当然貸し倒れ準備として備えておるのでありますから、ある時期に参りますれば、これが剰余金として完済されました場合には、そういうものは剰余金として残って参ります。これがいわゆる配当にもなるわけでございますが、現在の組合法の建前では、配当は一割を限度としてそれ以上はいわゆる利用分量用配当ということで、組合を利用したことに応じての配当ということを建前としております。従いまして、もし借入金等で相当手数料を納めておるということでありますれば、そこから出て参った、何と申しますか、剰余金の中から利用量に応じて配当する、別途一般出資配当のほかに配当するということをむしろ原則にいたしております。こういうことによって不当にと申しますか、ある程度危険がなくなった後における剰余金の分配については、不当にこれが処分されないような手配をいたしておるわけでございます。
  135. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は先ほど、あなたの方で監督指導をどの程度まで考えておるかということを伺ったのですが、監督指導しておると、今のたとえば一銭取ると、その一銭がこれが事務費に該当するものか、これが貸し倒れ準備金に該当するものか、そこのところが判然としませんね、判然とさせることが監督指導じゃないですか、そういうことについて何もあなたの方で意思を差しはさまないのですか、通産省として……。
  136. 記内角一

    政府委員記内角一君) これはそこの問題になりますと、中金の問題よりむしろ個々組合の監督の問題でございまして、組合指導監督は実は今までの法制ではあまり積極的にはできないような建前になっております。今回の改正法である程度指導監督できるような方向にまで法律を改正していただくように、今御提案、御審議を願っておるわけであります。しかしそれがないからといって、われわれほうっておきますわけではございませんので、従来ともいろんな指導方針を出しまして、あらゆる機会に一定の基準にのっとって運用して参るように注意を喚起し、指導をしておるわけでございます。今後ともそれを進めて参りまするし、また今度のように法律が政府案のように改正になりますれば、これを援用いたしまして、適正な指導をして参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  137. 河野謙三

    ○河野謙三君 それでは最後に申し上げますが、この間あなたには具体的に一つの例を申し上げたでしょう。天下の一流大商社が、自分の手足になって働く卸売業者を集めて組合を作って、その中に商社の幹部が入って、そうして自分の商売のかてに商工中金の金を使っておる。そうしてしかもそれが三銭のものを五銭で貸しておる、こういうことを申し上げたでしょう。この事実をあなた方は承知しておるから、先ほど商工中金の金に対しては、需要冠に対して資金は三割にも満たない、こういうことをおっしゃったでしょう、非常に貴重な金ですよ、これは政府も貴重に扱わなければならぬし、商工業者にすればこれは非常に貴重な金ですよ。この金の運用に当って、それが大資本の商売のかてになっておる。しかもこのような大資本のやり方につきましても、私はもう少し積極的にあなたの方で監督しなきゃいかぬと思うのですよ。そうですか。私はその点につきましても非常に手ぬるいと思うのです。それを今までの既成事実を弁護するにきゅうきゅうとして、二銭で多いから今度は一銭に抑えるように、そういうようなことで、あなたは他意あってそういうことを言っているのじゃないだろうけれども、結果においてはそのような既存の不良な組合の運営、不良な金融のこの操作、これをあなたは弁護しているだけであって、積極的にこれを解決しようというのは何ものもない、私はそう思うのですが、大臣どうでしょう。
  138. 石橋湛山

    国務大臣石橋湛山君) それは御説ごもっともでして、これは一つ中央金庫とも相談しまして、そうして今の一銭がいいか、二銭がいいかという数字はとにかくとしまして、今のお話のような点は十分監督ができるような措置をとります。
  139. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 それから先ほどの続きですが、サービス業三百八十件というのがありますね、この内訳はどういうことになっておりますか。
  140. 記内角一

    政府委員記内角一君) たとえば洋服のクリーニングというふうなものが入っておるわけでございます。
  141. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そんな一例だけじゃ困るのです。三百八十もあるのですから、ずっとこう内訳を……。
  142. 記内角一

    政府委員記内角一君) こまかい内訳は持っておりませんが、クリーニング業、あるいは機械修理業というふうなものが入っておるはずでございます。
  143. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 おもなものはこの二つですか。
  144. 記内角一

    政府委員記内角一君) おもなものは、主要なものはそういうものであったと思いますが。
  145. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 もっと調査して詳細に説明してくれませんですか。今の機会でなくともいいから、ほか三件とか、一件とか、十何件というのがあるのですから、サービス業というのが三百八十件もある。決して少くない数なんです。ただクリーニングと機械修理だけじゃ……。もっといろいろあるはずなんですよ。
  146. 記内角一

    政府委員記内角一君) 旅館業等が入っておったと思います。
  147. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そういうのもあるでしょうし、ほかにいろいろないのですか。
  148. 記内角一

    政府委員記内角一君) これは詳細調べまして御報告申し上げます。
  149. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ほかに御質疑はございませんか。
  150. 高橋衛

    ○高橋衛君 私は中小企業信用保険法関係で一点だけお尋ねいたしておきたいと思います。現在現行の中小企業信用保険法の第六条には「保険価額から金融機関がその支払の請求をする時までに回収した額を控除した残額に、百分の八十を乗じて得た額とする。」、これが保険金の規定であります。この回収額という文字解釈でありますが、これは中小企業庁でお出しになった融資保険約款の第九条に、「金融機関がその支払いの請求をするときまでに貸付元本の分をして回収した額」、こういうふうに解釈しておられる、言いかえれば、この回収した額という規定のもとには民法の規定が当然に働いている。そうして利息なり、または取り立ての経費というものが先取りされて、その残った貸付元本を差し引いた残額、そういうふうに解釈しておられるのだと思うのでありますが、その点を明らかにしていただきたい。
  151. 記内角一

    政府委員記内角一君) その通りでございます。
  152. 高橋衛

    ○高橋衛君 次に第八条にも、ここに「保険金の支払いを受けた金融機関は、その支払の請求をした後回収した額から弁済期以後保険金の支払を受けた日の前日までの利息を控除した残額に」云々と、こう書いてあるのですが、この回収した額というものについても同様第六条の規定と同じ解釈でもって民法の規定が働いて、これに必要なところの利息並びに経費というものはすべて控除した額と考えていいのでありますか。もう一つ申し上げますと、この第八条に関連する保険約款としてはどう書いてあるかと申しますと、「保険金の支払いを受けた金融機関が国庫に納付すべき回収金の額は、その支払いの請求をしたのち、回収した額から費用、利息及び弁済期以後保険金の支払いを受けた日の前日までの遅延利息を控除した残額に」と、こう書いてあるのです。従ってこの回収した額という文字は第六条と同じような、全然同じ意味で使っておるのでありますが、この回収した額という文字の解釈としては、全然同一に解釈していいかどうかという点をお伺いしたいと思います。
  153. 記内角一

    政府委員記内角一君) その通りでございます。
  154. 高橋衛

    ○高橋衛君 そういたしますと、回収した額というものには民法の規定が当然に適用されますから、従って第八条において、弁済期後の利息を控除するということが二重の控除になるように思うのでありますが、約款においてはそういうふうな規定を作っておられませんが、その点はどういうふうに考えておられますか。
  155. 記内角一

    政府委員記内角一君) これは遅延利息を含めた意味でございます。
  156. 高橋衛

    ○高橋衛君 そういたしますと、民法の規定の適用は利息及び費用についてのみ適用があって遅延利息は先取りするということがない、こういう解釈をとっておられるのでありますか。
  157. 記内角一

    政府委員記内角一君) そうでございます。
  158. 高橋衛

    ○高橋衛君 その点は私もあまり勉強しておりませんから、なお研究さしていただきたいと思いますが、いま一つ、保険金の支払いを受けた金融機関というのは、その保険金の支払いを受けたことによって銀行としてはすでに元本が八割までは返っておるわけでございます。従ってその運用ができるわけでありますが、その運用のできる金について支払期以後に回収になった場合に、さらにその利息を差し引かせるということは、銀行は元本を利用しながら、同時にその利息、別途回収した金についての利息も差し引いてもらう、二重の利息をとることになる結果になるように思いますが、その点はいかがですか。いま一つつけ加えますと、第六条においては、弁済期までに回収した金額でありますから、これは銀行に金が返っていない金額について利息を先取りする、私はこれは当然でありますが、保険金として銀行が金を受け取っておって、そうしてその金をみずから運用し得るにかかわらず、その後に回収した、弁済期後において回収した金額において利息をさらに差し引かせる、こういう法文の趣旨がどこにあるかということをお聞きしておるわけです。またその解釈でいいかどうかという問題です。なお御検討を要するようでしたら、別の機会にまたお答えを願ってけっこうでございますが、それならば、なぜ私がこういうような質問をするかと申しますと、今回の改正案で、第三条の第二項に「又は会社更生法の規定による更生手続開始の決定若しくは商法第三百八十一条の規定による整理開始の命令若しくは同法第四百三十一条第一項の規定による特別清算開始の命令のあった時における貸付金の回収未済に改める。」と、こういうふうな改正になっているのであります。そしてこの会社更生法とか、または商法による整理、特別清算等の場合は、必ずしも弁済期後ということにはならないのであります。もしも弁済期後であれば、こういうような改正は必要としない、弁済期前において保険金の支払いを受けることを必要とする場合に初めてこの改正が必要となって、改正規定の適用が必要になってくるわけであります。そして弁済期前でありますと、たとえば三年の期限の貸金であるという場合において、一年経過した後において、その会社更生法の決定を受けた場合には、それによって保険事故が発生し、保険金をもらうわけでございます。従ってその金についてはその後当然に銀行が運用できる、しかも同時にその金をその後回収した場合においては、この八条の規定においてもその矛盾はあるのでありますが、第八条の場合には弁済期以後の遅延利息のみと解釈することができる、あるいはできると思うが、かつ会社更生法を適用する場合においては、弁済期前の、ただいまの例で申しますと、あと二年間の分についても、なおかつ全部利息を二重取りできるというような解釈になろうかと思うのであります。それらの点が一体それでいいかどうか、あるいはそのようなことをこの法文解釈上当然排除できるかどうか、またはそういうように二重取りをさせることが、貸金の回収をさせる奨励策として考えているのか、それらの点もはっきりお示し願いたいと思います。
  159. 記内角一

    政府委員記内角一君) 八条の方の場合におきましては、延滞が生じてから後に支払いの請求をいたすのが通例でございますので、従って保険金の支払後の回収金の中には、いわゆる普通の利息は入っておらないので、もっぱら延滞遅延利息だけが入るわけで、従ってこの回収金には民法の規定によりまして遅延利息は入らないで、回収費用等を回収金から差し引いたものだけが適用になります。従いまして、その以後の、弁済期以後の保険金支払額の遅延利息は、もう一般利息がなくなって、遅延利息だけになりますので、この分を控除いたしまして、その後の分につきましては回収金を按分して取り合うというふうに相なっております。会社更生法の適用を受けました場合には、これは期限の利益を失いますかということになれば、これは当然普通の利息ではございませんで、この適用を受けることになります。期限がそのまま存続するということでありまするというと、まあ一種の二重取りのような現象も起ることにもなろうかと思うのであります。これは別途約款をもちましてこの間の調整をはかって、二重取りの起らないように措置して参る所存であります。
  160. 高橋衛

    ○高橋衛君 ただいまの御説明によりますと、この第八条に書いたところの「支払を受けた日の前日までの利息」という文字の解釈は、一般の利息じゃなしに、遅延利息であるという御解釈をなすったわけですね。この法文がその通り読めるかどうかということについては、ちょっと私も疑問があると思うのでありますが、かりにそう読むといたしました場合におきましても、そういうふうに会社更生法を適用した場合に二重取りにならぬようにという約款をおきめになるとしても、その約款はどこまでもこの法律に基いて決定されなければならない。もしもそういうふうな約款を規定するといたしますと、第六条に書いたところの「回収した額」という文字と、第八条に書いたところの「回収した額」という同じ法文の解釈が会社更生法の場合には違ってくる、こういうことにならざるを得ない。そういうふうなことはちょっと法文の解釈上おかしいと思うのでありますが、その点はいかがでありますか。
  161. 記内角一

    政府委員記内角一君) 六条と八条の関係におきましては、先ほど申し上げましたように、一般の民法の原則によりまして、利息ということで通常の利息は回収いたしますが、遅延利息は回収金からは除かないことに相なっております。ただ会社更生法の適用を受けました場合におきまして、それ以後の分が期限の利益を失うのかどうか若干問題がございますので、これについて会社更生法の適用を受けた以後におきまする利息の配分の問題につきましては、やはり不当利得等の起きないように、約款でもってこれを契約する上においては差しつかえないというふうに考えておる次第でございます。
  162. 高橋衛

    ○高橋衛君 私はこの保険法に書いてあるところの規定は、そういうふうな約款で自由にきめ得るという問題じゃなしに、法律上の権利義務の関係がこれで発生しているのであって、それを解釈するという余裕はきわめて限られた範囲である。どこまでも民法なり、この法律なりの規定に従って約款はきめなければならぬ。果してそういうふうな、今お話しのような約款がこの法文に基いてきめ得るかどうかということについて疑問があるからお尋ねしている次第であります。
  163. 記内角一

    政府委員記内角一君) 回収した金額という中は、一般的に何も約款に規定がない場合には民法の規定に従うわけでありますが、その原則について、特別の約款を持ちまする限り、「回収した」云々という中には、今言ったようなことは当然含み得るのじゃないかというふうに解釈しておる次第であります。
  164. 高橋衛

    ○高橋衛君 私は民法の利息なり、費用なりの先取特権に関する規定は、そういうふうな任意的な規定じゃなしに、やはり一つの何と言いますか、強行規定と申しますか、そういうふうな約款でもって自由になし得る問題じゃないんじゃないかというふうに考えられるのですが、その点はいかがですか。もう一つつけ加えておきますが、かりにそういうふうなお話しのような約款を作り得るとしても、第六条と第八条の場合において、「回収した額」という文字の解釈が二様になるというふうな法文の作り方は、いかにもまずいように思うのですが、その点についても一つ御回答をお願いいたしたい。
  165. 記内角一

    政府委員記内角一君) 民法の先取りに関する規定は、一般的な何らの契約等のない場合における一般通常の原則でございまして、これは強行規定ではないという解釈のようでありますので、約款でもって規定いたすことは差しつかえないかというふうに考えるが、この八条の点において、その後の受けた前日までの利息を控除するという、あるいはこれは延滞利息というふうな意味に書き改めた方があるいは適当かと思いますけれども、この保険事故がいろいろな事態がございますので、この分は遅延いたしました場合におきましては、この分の遅延利息という解釈のもとに一般的な規定を設けておいた次第でございます。
  166. 高橋衛

    ○高橋衛君 最後に申し上げました同じ用語でもって違う解釈をすることについての当、不当の点についてのお答えがないようでございますが。
  167. 記内角一

    政府委員記内角一君) 回収金という名目につきましては、六条、八条、いずれも違いないわけでございますが、この間におきまして、まあ回収金の中には利息を当然含んでおる、さらにそこに利息という文字を用いたのがあるいは妥当でなかったかと思いますけれども、先ほど申し上げておりますように、この間に発生いたしますのは、単に遅延利息でない場合も予想されますので、一応利息と規定いたしまして、他のそれにふさわしくない面は、一般約款においてできるだけの処理をして参り、これを補って参るというふうに考えた次第であります。
  168. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 この信用保険の特別会計が黒字になっておるのか、赤字になっておるのか、その点を伺います。
  169. 記内角一

    政府委員記内角一君) これは非常にむずかしい問題でございまして、われわれもいろいろな方法で試算をいたしておるわけでございますが、現在までのところ、いわゆる収入として入りまする保険料と、支出として出て参りまする一般事務費、さらには支払保険金、これを差引きいたしますと、六億近い余裕金が現在残っておるわけでございます。しかし御案内通り、現在五百億をこしまする保険契約が残っておりまして、これがいつどういう事態に事故が発生いたしまして支払いに充てなければならぬかということは不明瞭であります。いわゆる保険支払準備金というようなものとして考えておかなければならないわけでございます。従いまして、この分が先ほど五百億と申し上げましたが、六百十一億現在残っております。六百十一億に対して多いか少いかという問題もあるわけでございまして、その辺いろいろ試算をいたしておりますが、まずまずのところ、現在まででは単に受け取りました保険料と支払いました保険金に関しまする限りは若干赤字になっておるのじゃないか。ただし基本金が二十億ございまして、これが資金運用部に預託いたされておりますので、これの運用利息が入って参る。これを計算いたしますと、若干黒字になって参るという、ちょうどきわどい線を縫って、現在の保険制度が運用されておるという実情でございます。
  170. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 保険料の引き下げということが前々から問題になっておったのですが、今回、まあその他の改正は大体当を得ておるようですが、保険料率の引き下げということを織り込まれんのは画龍点睛を欠くとわれわれは思っておるのですが、今の信用保険特別会計の決算じりを聞くのですが、まああまりはっきりしないのです。これをまずはっきりし、そうしてその保険料率の引き下げということに最善の努力をしてもらいたいのです。それで今どういう努力をせられ、また大蔵省との折衝がどういうふうになっているのか、それを聞きたいと思います。
  171. 記内角一

    政府委員記内角一君) 御承知通り、従来保険料は年三分ということになっておりましたが、昨年の幕にこれを日歩百万分の六十、ちょうど年金に直しますと約二分二厘くらいになりますが、計算の便宜も考慮いたしまして百万分の六十という、従来はこれが八十四とかいう半端な数字でございましたが、これを切りのいい百万分の六十というところにまで落しまして、事務の簡素化をはかりますと同時に、保険料の引き下げに資したわけでございます。現在のところ各種保険制度もございますが、二分以下になっている分は今までのところないというふうな事情にもございますので、さしあたりはこれで参りたいと思っておりますが、われわれといたしましては、さらに特別会計に検討を加えまして、その収支のいかんを見きわめました上で、できるだけこれを、単にこればかりではございませんで、例の信用保証協会に対する保証保険もございますが、これは現在年二分となっておりますが、これらに合わせまして、できるだけ低めるように努力して参りたいというふうに考えておる次第であります。
  172. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 大体この中小企業金融の円滑化をはかるというようなことで、政府の方じゃもうしきりに選挙のときなどには公約に打ち出しておるわけなんですが、大体この信用保険など、国営的な行き方でやるということになるならば、これで黒字を出して行くなんという考え方を織り込むこと自身がどうかと思うのですね。大体もう国家が全部これを負担するくらいなことでいいんじゃないか、保険制度くらいは……。そういう点から、この保険料率をほかのものと比べてどうだ、こうだと言うのは、中小企業対策としてははなはだ不満だと思うのです。そういう点について今後保険料率のもう少し徹底的な引き下げをやってもらいたい。それには今の特別会計の決算じりはどうなっているか。これもはっきりしないようなことじゃ、とてもしっかりした交渉はできぬと思うのです。従ってまず特別会計の決算じりをはっきり明らかにすると同時に、保険料率の引き下げについて次回に十分検討をしてもらいたいと思います。  それからもう一つは、不渡り手形、ことに大企業から下請けの中小企業などにだかさせた不渡り手形、これを保険制度でカバーするようにということを昨年来問題にし、そうして昨年の中小企業危機打開に関する決議は本会議でも行われているのです。で、ほかのものは全部一応大なり小なり解決がついたのですが、全然この不渡り手形保険制度の問題については、いいのか悪いのか一向はっきりしていない。政府じゃ研究を一体せられたのか、どうなのか、それを承わりたいと思います。
  173. 記内角一

    政府委員記内角一君) 不渡り手形保険につきましては、われわれも慎重に検討をいたしたのでありますが、まず第一点は、どの範囲の手形を保険に付せるかという、手形の性格を研究する必要がございます。そうでないと、一種の書合手形、あるいは融通手形等がそのまましりを持ち込まれるという面がございますので、これらの内容を何か制限する必要がございます。しかし同時にそれを制限を下手に圧縮しますというと、せっかくの制度が活用されないというきらいがございますので、まず第一には、手形の範囲をどの辺にしぼって参るかということでいろいろ研究いたしたのでございます。第二の問題では、凡百の中小企業者があります際に、保険をどういう方法で簡便につけることができるかという問題でございます。従来の保険は金融機関が集めましたと申しますか、金融機関が保険に付せるということで数も限られておりますから、金融機関と保険者でありまする国もしくは特別会計との間も相当円滑に参るわけでございますが、凡百の中小企業者がその保険につけた場合におきましては、だれが一応つけたものを確認するか、あるいは受け取るかというようなことの解決が非常に困難でございます。できればこれを、各所に店を持ち、あるいは代理店を持つというふうなことも必要になってくるかと思うのであります。そこまでいたして参りますと相当な手数がかかって参ります。保険の費用等も多分にかかって参りますので、そこまでしてこれをやる必要があるかどうかというふうな面も検討いたしておるわけでございます。まあいろいろこの問題をめぐりまして、むずかしい問題が多分にございますので、現在までのところ結論に達しておらないという事情にございます。
  174. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 輸出貿易関係については御承知のように輸出保険制度というのがあって、これも当初からは改正改正を加えて、そうして保険制度範囲というものもだんだん広がってきたわけなんですが、これによると海外で商品の売渡し先が倒産した、あるいはその他の事情で支払いができぬというようなときには、この輸出保険制度でその事故がカバーせられている。それは非常に効果を上げていることは御承知通りでありますが、ああいう先例もあることでもありまするし、また不渡りは一時減ったかと思うとまた波状的にふえてくる。これがほんとうにふえたときには、にっちもさっちも行かぬようなことであわてなければならぬ、そういう点で私は真剣に政府は保険制度を研究してもらいたい。それもあらゆる不渡り手形という見地ではなくて、大企業から中小企業に、下請け、あるいは納入したというような関係で相当まとまった金額の手形が動く、それが不渡りになったようなときには、いかに中小企業が非常に堅実なる経営をしておっても、何らの罪とがもなく倒産をするわけなんです。それで中小企業者相互間の不渡り手形、これはまあ額も少いのでありますから、かりに不渡りが出てきても何とかお互いにしのぎ得るということが大体言えると思うのですが、大企業相互間においても大体そういうことが言えると思うのでありますけれども、今日中小企業と大企業との間の下請け、これが御承知のごとく非常に悲しむべき状態にある現状から見ますと、大企業中小企業間の不渡り手形については、日ごろから万一をおもんぱかって保険を契約し、保険料を支払っておったならば、ちょうど輸出保険のごとく、海外から支払いを受けなかったというときには保険制度でカバーできるという制度を真剣に一つ研究してもらいたいと思うのです。その点、次回に適当なときにその研究の結果を披露してもらいたいと思います。この点要望しておきます。
  175. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十一分散会    ————・————