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1955-06-09 第22回国会 参議院 商工委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月九日(木曜日)    午後二時十六分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     吉野 信次君    理事            高橋  衛君            山川 良一君    委員            上原 正吉君            深水 六郎君            加藤 正人君            河野 謙三君            海野 三朗君            藤田  進君            上條 愛一君            小松 正雄君            白川 一雄君            苫米地義三君   政府委員    通商産業政務次    官       島村 一郎君    中小企業庁長官 記内 角一君    中小企業庁振興    部長      秋山 武夫君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       内田源兵衛君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○中小企業等協同組合法の一部を改正  する法律案内閣送付予備審査) ○中小企業金融公庫法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査) ○中小企業信用保険法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査) ○商工組合中央金庫法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査)     —————————————
  2. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それではこれから委員会を開会いたします。  ちょっと御報告を申し上げておきますが、先般経済審議庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、高碕長官から説明がございました。これは内閣委員会に付託されておるものですから、そこで、当方から内閣委員会連合審査会を開きたいということを申し入れましたところ、内閣委員会から、あす金曜日午後一時から連合審査会を開きたいという返事が参りましたから御報告申し上げておきます。従ってあしたは向うの方にお集まりを願いたいと思います。  それでは、本日は中小企業関係法案が四つかかっております。これを議題にして質問を続行したいと思います。
  3. 記内角一

    政府委員記内角一君) この前、当初に中小企業関係予算について御説明申し上げましたが、先般衆議院修正可決されまして、目下参議院で御審議中の予算に変更がございまして、若干中小企業関係にも関連がございますので、この機会にそれを御説明申し上げておきたいと存ずる次第でございます。  まず第一は、一般会計の問題でございますが、中小企業振興費の中に一億円追加になったのでございます。それの内訳といたしましては、これを協同組合共同施設及び設備近代化の費用に一億円追加する、これは従来は三億二千万円でございますが、これを四億二千万円にするということに相なった次第でございます。  それから予算の第二点は、中小企業金融公庫に対しまする出資が、政府原案では十五億円ということでございまして、それに関連いたしまして、目下提案いたされております中小企業金融公庫法の一部改正におきましても、十五億を増資して、資本金を百五十五億から百七十億にするということになっておるわけでございますが、これが十五億が五億に削られました。すなわち十億の減少をみたわけでございます。おそらく近く衆議院商工委員会においてこれが修正に相なることと存じております。  それから、これは直接こちらの法律には関係ございませんが、国民金融公庫出資が二十億というふうに当初政府原案では予定されておりましたが、これが十五億削られまして、同じく五億だけが今年度の一般会計からの出資ということに相なりました。これは大蔵委員会の方に目下法律改正案が上程されておりますので、この方面でしかるべき修正が加えられるだろうというふうに存じます。こういうふうに、一般会計からの出資は減少いたしましたが、そのかわりといたしまして、資金運用部資金中小企業金融公庫には二十億増加する、従来九十五億でございましたものを百十五億にする、すなわちこれを裏返しますと、従来十五億の一般会計からの出資を十億削りましたが、かわり資金運用部資金融資を二十億ふやし、運用可能資金としては差し引き十億を増加するということに相なった次第でございます。国民金融公庫につきましては、同じく五億になりまして、十五億が一般会計から削られましたが、資金運用部資金融資につきましては二十億を増加する、すなわち十五億の一般会計を削りましたかわりに、資金運用部資金から二十億増加しまして、差し引き国民金融公庫運用資金は五億増加するということに相なっております。結局一般会計から出資する無利子資金運用部資金に振りかわった、しかしながら、運用資金が増加いたしまして、若干金利のコストは高くなって参りますが、運用資金としてはいずれも増加に相なるということになっておる次第でございます。しかし中小企業金融公庫予算の面を見て参りますというと、資金量十億程度のものが運用部資金貸付というふうに振りかわりましても、若干貸し倒れ準備金等操作によりまして、収支には変りないというふうなことに相なっております。中小企業金融公庫につきましては、従来原案では貸し倒れ準備金を千分の十積み立てるということにいたしておりましたが、それを千分の九・八を積み立てるというふうにいたしますれば、収支におきましては変化なしというふうな計算が一応出るわけでございます。われわれ目下、先般申し上げましたように、公庫金利引き下げという点についても検討いたしておりまするが、この辺の操作によりますれば、金利引き下げもそう支障なく行い得るのではないかというように存じておる次第でございます。  それから商工中金に対しましては、一般会計からの出資十億、これに伴いまする法律改正がございますわけでございますが、この点については変りはないわけでございます。それで御承知通り資金運用部資金から今年度金融債を百七十億引き受けるということに相なっておりましたが、これを四月、五月分ですでに引受済みのものを除きまして、残余は全部引き受けを停止するということに相なりました。従いまして、商工中金としましては、本年度二十四億の預金部引き受けという計画であったのでございますが、そのうち四月、五月分四億だけはすでに発行済み引き受けに相なっております。残り二十億は預金部資金では引き受けてもらえない、これはすべて市中引き受けて公募する以外に道はないということに相なった次第でございます。ただ御承知通り、両党の決定をもって資金委員会というふうなものを設けまして、この公募金融債等の措置を講ずるというふうな建前にいたしておりますので、この方面の活躍に期待いたしまして、できる限り商工中金中金債発行が減らないように、計画通り発行できまするように努力して参りたいというふうに考えておるのでございます。  大体今回の予算修正に関連いたしました中小企業関係の問題は以上のようになっておりますので、御了承を願いたいと思います。
  4. 海野三朗

    海野三朗君 ちょっとお伺いしますが、この中小企業金融公庫貸付決定の実績におきまして、「運転」と書いてありますのは運転資金のことでありますか。
  5. 記内角一

    政府委員記内角一君) 運転資金のことでございます。
  6. 海野三朗

    海野三朗君 設備運転と、こう分けてありますが、設備というのはつまり旅館とか歯医者さんとか、そういう方面の増設に使った金であって、運転というのは工場運転資金に使ったわけでありますか。
  7. 記内角一

    政府委員記内角一君) 設備の方は物的な設備を設けまするときの資金でございまして、歯医者であれば、歯医者の道具と申しますか、治療器械を買い付ける資金でございます。ただこれも、たとえば簡単なピンセットその他のいわゆる消耗品に類するものは、これは運転資金として貸すということで、大体機械設備に類するものがこれに該当いたします。旅館でありますれば、主として衛生設備浄化便所あるいは台所の改造だとか、あるいは防火設備でありますとかいうもののいわゆる物的設備のものが設備資金でございます。運転資金と申しますのは、工場商店等が原料の仕入れに使いまする資金であるとか、あるいは労務者に対する支払い賃金資金というふうなものに相なっております。ただ御案内通り中小企業金融公庫は一年以上の長期資金を貸すことに相なっておりますので、いわゆる短期運転資金はこれを貸しておらないわけでございます。設備資金は大体相当金額の張る物的設備を設けまして、それを何年間かで返すということで、自然に長期に相なってくるわけであります。運転資金につきましては、短期のものはこれを認めておらないということに相なっております。
  8. 海野三朗

    海野三朗君 長期は大てい五年ぐらいになっておりますか。
  9. 記内角一

    政府委員記内角一君) 総平均いたしまして二年九カ月というふうになっております。大体三年前後が一番多い、長いものは五年も入っておるということであります。
  10. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまのお話では、十五億が五億減らされて、あと融資するものが二十億というようなお話でありましたが、その融資というのは、ほかからつまり金を借りてきて貸すわけですか、それで利子が高くなるわけなんですか、その辺ちょっとお伺いいたします。
  11. 記内角一

    政府委員記内角一君) 今申し上げましたのは、一般会計から、国の会計から出しますものが十五億でありましたのが、十億減らしまして五億になったわけでございまして、これはもともと無利子でございます。ただし剰余金がありますれば、これは国庫に納めたければならないことになっております。それから今の運用部からの融資といいますものは、御案内資金運用部資金でもちまして、いわゆる郵便貯金その他で政府利子をつけて集めました金を公庫に貸しつけるわけでございます。これには六分五厘の利子がつくということに相なります。
  12. 海野三朗

    海野三朗君 そうしますと、その六分五厘といいますのは公庫からの利子になりますか、公庫融資してきたときの利子はいかほどになっておりますか。
  13. 記内角一

    政府委員記内角一君) ただいまの状態で参りますと、公庫運用部資金から借ります際には六分五厘の利子公庫が払うわけでございまして、この利子を払いまして借りて参りました資金を、今度は公庫は一割で中小企業者に貸しつけておるということに相なっております。
  14. 小松正雄

    小松正雄君 ただいまの御説明の中で、諸般の金融公庫に対して政府が無利子貸し出しておりました、一般会計から出ておったのが、運用部資金と一応切りかわったことになったというように言われたように思いますが、それでいいですか、そうでしょうか。
  15. 記内角一

    政府委員記内角一君) はい。
  16. 小松正雄

    小松正雄君 そうといたしますならば、たとえばこの国民金融公庫などは一般会計から十五億というものを削られた、まあ金利のつかないものですね。それが今度運用部資金の方でまかなうということになると、この国民金融公庫貸出金利というものは相当大幅に高くなるのじゃないかと思いますが、この点はどういうことになりますか。
  17. 記内角一

    政府委員記内角一君) 全体の運用資金量から見ますというと、十五億というのは比較的少い資金になって参りますので、それに多少の金利がつきましても、もちろん採算は悪くなりますけれども、金利を引き上げるまでのところには参らないかと考えております。
  18. 小松正雄

    小松正雄君 今度は逆に中小企業金融公庫には一般会計から二十億というものが回されたのですね。一般会計から中小企業に対しては二十億増額しておる、こういうことになりますと、それらのまた金利は逆に中小企業は安く貸し出しができることになりますが、この方はやっぱり同じことでいっているのですか。
  19. 記内角一

    政府委員記内角一君) 中小企業金融公庫一般会計からの分を十億引き揚げる、減らすわけでございます。減らしまして、運用部資金から六分五厘の利子のついたものを貸そうということに相なります。従いまして、やはり中小企業金融公庫はそれだけ利子負担が多くなるわけでございますが、この程度負担であれば公庫中小企業に貸しつけます際の貸付利子を引き上げるほどのことはございません。われわれといたしましては、むしろそれにもかかわらず利子引き下げたいということで目下検討をいたしておる次第でございます。
  20. 小松正雄

    小松正雄君 それから商工中金の方は一般会計から十億の増になっておるし、なおそれに関連して二十四億の運刑部資金が流れておるということでありますが、しかしこれは商工中金では十億を一般会計から借してもらうために、増額されるために二十四億、四億は当然あれしておるから、二十億だけはこの引き受けを停止する、こういうことでありますが、との二十億を停止するという理由はどこにあるのですか。
  21. 記内角一

    政府委員記内角一君) もともと商工中金には政府原案といたしましては、十億を一般会計から出資いたしまして、そのほかに二十四億金融債引き受けをしようというふうに考えておったわけでございますが、両党の折衝の結果、金融債引き受けないことにしようということに話し合いがなりましたので、そういうふうにいたしたのであります。政府がこれを取りやめたのではございません。
  22. 小松正雄

    小松正雄君 政府が取りやめたのではなくして、商工中金が取りやめたということでしょう、そうじゃないですか。
  23. 記内角一

    政府委員記内角一君) 国会修正によりまして取りやめになったわけでございます。
  24. 小松正雄

    小松正雄君 そうなりますと、この商工中金金融ですね、一年間の金融が二十億も違うということになると相当支障を来たすというようなことはございませんか。
  25. 記内角一

    政府委員記内角一君) そのかわりこの分を一般金融機関からの引き受けでやってもらおう、その引き受けを促進する意味におきまして、特別な法律を設けまして、商工中金発行しまする金融債とか、あるいは農林金融公庫発行しまする債券、あるいは住宅公庫発行します債券というふうなものを一般市中引き受けてもらおうというふうに計画いたしておるようであります。
  26. 小松正雄

    小松正雄君 私のこうして尋ねておることは、商工中金が二十億の運用資金引き受け政府と自由党の折衝によってこれが停止されたとしまして、このまた二十億はそのままでなくて、市中銀行に回すというようなことに言われたと思いますが、これは市中銀行に流れるということになると、金利の問題ですね、預託金をこの商工中金引き受けて、商工業者に貸し与えてもらえば、安い金利で借りられるというのが、市中銀行へこの二十億が流れて行って、市中銀行から、たとえば二十億を商工業者が借りんとする場合に金利が高くなりはしないか、こういう意味でお尋ねしているのですが、金利は依然として商工中金並み金利であるか、市中銀行貸付金利であるとするならば、その間の金利率というものが相当借りる方には高くなると、こういうふうに考えるわけでありまして、商工中金に回すことができないものであるならば、市中銀行にも回せないのじゃないか、かような考え方をするのですが、市中銀行に回す金をやはり商工中金引き受けてもらえば、その分を商工業者商工中金を通じて貸してもらうということになると、金利市中銀行よりか商工中金の方が安いという関係から、そういうふうにした方がいいのじゃないかという意味からお尋ねいたしますので、金利の利率、商工中金で借りるということと、市中銀行で借りるという場合の金利はどういうふうなことになっておりますか。
  27. 記内角一

    政府委員記内角一君) ただいま金融債引き受けます際についての資金部操作の問題で申し上げたのでございますが、これは商工中金金融債引き受けるのをやめましたけれども、これをほかの、たとえば政府機関に回すことにいたしたのでございます。従いまして、この金が一般金融機関に回って参るわけではございません。たとえば先ほど申し上げましたように、国民公庫だとか、中小企業公庫が五億、十億ずつふえたのも、この方面資金を回すということになるわけでございます。またこれをほかの政府機関に回しまして、一般会計から出資しておりましたのを引き揚げまして、一般会計余裕を作り、その余裕でもって、たとえば減税に充てるとか、あるいは最初に申し上げました補助金の増額に充てるとかいうふうに使い分けをいたしたのでございます。従いまして、一般金融機関預金部資金が流れるというふうなことはございません。むしろそういうことになりました結果、商工中金自身には預金部から引き受けてもらえなくなったので、その分は、この金はどうしても必要だから、これを一般銀行に是が非でも引き受けてもらいたい。ただそのためには一般銀行から預金の増、その他もございましょうから、こういう方の政府機関債券を優先的に引き受けてもらいたい、それらの操作をするために特別の立法を考えておるというふうな状況でございます。それにつきまして、それでは金利が非常に大きくなるのじゃないかというふうな御懸念もあろうかと思うのでありますが、現在におきましては、預金部引き受けます金利市中引き受けます金利は同額でなければならぬというふうに、預金部資金運用部資金の方がなっておりますので、商工中金といたしましては、運用部引き受けてもらっても、一般市中引き受けてもらっても金利の面においては同じでございます。ただ運用部からの引き受けになりますと、一括でございますので手数がかかりませんから、手数料というものが全然ないのであります。一般金融機関から引き受けてもらうためにはいろいろ手数料がかかります。その手数料の分だけが若干負担増になるということに相なります。従いまして、その辺の金利の面もさることながら、むしろ手数料負担増ということもさることながら、われわれとしてはぜひこの二十億の金、振替の分をぜひ一般銀行方面引き受けてもらいたい、この面に特別の努力を払いたいというふうに考えておる次第であります。
  28. 海野三朗

    海野三朗君 中小企業金融関係資料中小企業庁が出しておりますこの資料の表をずっと私拝見したのですが、この十四番目の表を拝見いたしますと、業種別貸付残高表というところにサービス業と書いてありまするが、これは旅館業ですか、料理屋ですか、一体どういうふうな業種なんでしょうか、サービス業。これには相当出ておるように思うのですが、それにも運転資金も入れてあるようですが、その内訳サービス業といってありますが、どういうふうなのがサービス業になっておるのでしょうか、それを承わりたいと思います。十四表、中小企業金融関係資料というので、中小企業庁から出したこの表、第十四番目。
  29. 記内角一

    政府委員記内角一君) これは旅館業も入っておりまするし、それからたとえばクリーニング洗たく屋というふうなものも入っております。一般サービス業と言われておりまするものがこの中へ……、いわゆる物品製造業ではございませんで、そのほかのたとえば自動車修理、あるいはクリーニングというふうなもの、旅館も入っております。そういう式なものが含まれておるわけでございます。
  30. 海野三朗

    海野三朗君 この中ではやはりそういうふうな一般に言われておるサービスといえば、旅館業とか、それからクリーニングも入っているわけですか、すると、そのほか自動車修理というふうなものも入っておるわけなんですか。
  31. 記内角一

    政府委員記内角一君) その通りでございます。
  32. 海野三朗

    海野三朗君 そういたしますと、その上の方の金属の製品とか、精密機械器具というような部分には、その自動者の修繕とか、そういうものは入っていないわけなんですか。
  33. 記内角一

    政府委員記内角一君) これはいわゆる製造業でございまして、修理業はこの中には含まれておらない予定でございます。
  34. 海野三朗

    海野三朗君 こういう中小企業金融公庫法が設けられたその目的というものは、おもに製造工業重きを置いたわけじゃなかったんでしょうか、中小企業を救うところに重きを置いたんじゃなかったんでしょうか、どうでしたか。
  35. 記内角一

    政府委員記内角一君) ここに掲げてございますのは商工中金、上の表示が悪くてそれは誤解があるかとも思いますが、その前ページにございすますように、商工組合中央金庫運用状況でございまして、中小企業金融公庫そのもの運用業種別は、それ以前の六ページにございまする第七表でございます。第五表以下の数字が中小企業金融公庫関係資料でございまして、これが第九表まで続くわけでございます。従いまして、十四表の方は商工中金運用でございますが、もちろん商工中金短期長期それぞれ貸しておりまするしいたしますので、製造業販売業サービス業、それぞれ必要に応じてやらなければならぬというふうに考えておる次第であります。
  36. 海野三朗

    海野三朗君 この中小企業金融公庫のこの法案の制定されました趣旨というものは、中小企業を救うというわけから出発したのじゃないか、それを旅館業とか、あるいはサービス業とか、そういう方面には相当金が流れているように私は思う。むしろ生産工業方面には比較的私は少いのじゃないか。それではなぜこういうふうになったのであるかと申しますと、つまり金を貸すというのを中央銀行にまかせておるからであります。窓口中央銀行にまかしておきますから何でもいい、その金を貸したら、利息が上ってきさえすればいいのだ、つぶれないことをおもなる大目的にして中小企業を救うということの眼目がずれている、それはつまり窓口銀行にばかりまかせておくから私はこういうことになるのではないかと、こういうふうに考えるのでありますが、中小企業庁長官はいかようにお考えになりますか。
  37. 記内角一

    政府委員記内角一君) その点はしばしば御叱責をいただいておるわけでございますが、われわれも大体同じような考え方のもとに、これらの旅館業等融資につきましては厳粛注意するようにという警告を発しておりまするし、また公庫方面といたしましても、貸し出し先につきましては厳に種類を限定し、さらにその旅館種類を限定しまするし、さらにその旅館の中でも、先ほど申し上げましたように、公安、衛生というふうな部門に重点を置いてやるようにということで、漸次そういう方向に動いておると思っております。なお今後ともこの方面の特に注意を喚起して参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  38. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまのことにつきまして政務次官の御所見を一つ承わりたいと思うのです。私はその根本が大体ずれておる、中小企業を救うという、そういう眼目から出ておるのであると思うのですが、ところがその貸付したところは非常にずれておるように思うのですが、こういうことじゃ、単に政府が金貸しをやるということでは意味をなさない、中小企業金融公庫という銘を打っておる以上は、中小企業眼目としてやらなければならないのじゃないか、それだのに窓先をそういう銀行屋にばかりまかせておくから、こういつぶざまが出るのである、この状態について政務次官はいかようにお考えになっておられますか。ただ金を貸した利益さえ上ってくるならどんな商売でもいいのだというような考えが幾らかこれに入っているように私は思う、こういう考えでは私はならないのじゃないか、こういうふうに思いまするが、政府当局として、政務次官としてはいかようにこの点についてお考えになっていらっしゃいますか。こんなことでは中小企業は救われない、この金融公庫が発足をした本来の目的よりも少しずれておるように考えるのでありますので、この点についてはいかようにお考えになっていらっしゃるか、その御所見を一つ承わりたい。
  39. 島村一郎

    政府委員島村一郎君) なるほどただいまの御意見はごもっともであろうと存じますが、政府におきましても、初めはこういう業種目別考えておりませんでした。ところが国会の御意向がここにありましたので、政令でこういうふうに定めて、この範囲内において対処をいたしたというのが現状でございます。
  40. 海野三朗

    海野三朗君 そこで、これを直して行くためには、どうしてもこの公庫の方の出店を出して、そうしてこの本来の目的に向って進むようにしなければならないのじゃないか。で、銀行屋にまかせてはいけないけれども、つまり出店が非常に私は少い、それでこういうことになった、こう考えるのであります。これに対する、つまり政府当局はどういうふうなお考えを持っていらっしゃるか。このままでいいんだ、十五億の金を十億だけ減らしてやったからいいんだというような、まるで厄介者扱いのような考えではならない。ほんとうにこの際中小企業政府が何としてでも救う熱意を示さなければならないのに、こういうふうなことを見ると、なかなか私は不明朗な不愉快な感じを抱くのでありますが、これに対してどういうふうなお考えを持っていらっしゃるか。
  41. 島村一郎

    政府委員島村一郎君) 政府の行き方といたしましては、ちょうどただいまの御意見に合致するような方向で指導をいたしておるつもりであります。どらかさよう御了承願いたいと思います。
  42. 海野三朗

    海野三朗君 出店をもっとふやしなさるお考えがありますかどうか。
  43. 記内角一

    政府委員記内角一君) 出店を持ちまして、自分で直接貸しをするのが、ある意味においては適当かとも思うのでありまするが、実際問題といたしましてそういうふうな貸し出しをするには、相当熟練をしました人を必要とするのでございます。にわかに各方面に支店を設置いたしましても、そういう適当な人を求めることがむずかしいという事情にもございまするし、また、県にたとえば一カ所設けましても、その店舗の近くのものであれば、やはり相当便宜は得られますけれども、そこから離れた所にありましてはなかなか利用しがたいという面もございまして、やはり重点は代理貸し、つまり一般金融機関を使うということもぜひ必要になって参るわけでございます。従いまして、私ども目下のところでは、とうてい事実上人を求めることもむずかしゅうございまするし、経費も相当かかることでございまするので、各店舗を急激に増加するということは考えておらないわけでございます。ただ、そういうふうな間隙もございますので、一般の事務の簡素化ということで、現在東京に本所、大阪に支所を一カ所持っておりまするが、本年度におきましてはさらにこれを札幌、名古屋、福岡と三カ所増設する予定になっております。その機会に、ここでもって何と申しますか穴埋め的に、ほかの一般金融機関から相手にされないような費用でしかも重要な面につきましては、直接貸しを実施して参りたい、代理店を使わないで、自分自身で直接貸し付けができるようにして参りたいという考え方のもとにこの案を作っておるような次第でございます。
  44. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまのお話で、そう無限に出店を出すわけには行かない、それはごもっともでありまして、またお役人が直ちにそういうことをやって仕事ができるものだとは私は思っておりませんが、地方におきましては、やはり金融状況なり会社、工場金融関係方面のことはやはり専門家がおりますから、各銀行と連絡をとって調べればすぐわかってしまう。その経営状態でも何でもすぐわかるわけでありますから、それを見たときに、工場に貸せば一割の利益しか上らない、あるいはほかの所に貸せば二割の利益が上るというような、単にもうけることを考えておる銀行のみにまかしていたことが私はいけないと思う。それでありますから、そこであなた方のような、つまり本当に正しい見地に立って、利益が割合に少くても比較的堅実である、こう考えた所には、はっきり貸し付けるようにする。それをやるときには、銀行なりには専門の調査部がありますから、各銀行に電話一本で、調べて見ればすぐわかる。そういうことをおやりになって、そうしてこの事業には貸したらいいか、貸さないがいいかというところは、やはりあなた方が御判断になるのでなければ、ほんとうにこの日本の中小企業は救われない。もう皆全部将棋倒しに行ってしまうのではないかと私は思うのです。でありますから、急に各県に出店を置いたらどうだというような私は無理を言うのではないけれども、逐次出店をふやしていって、公平なるあなた方の判断を下して、そうしてこの金融関係を助けてもらいたい、こういうふうに私は思うのですが、その辺のあなた方の方針、御信念を伺いたい。これはしろうとでありますから、すぐ貸し付けるといっても、うまくいくものではない。それはわかっている。それは電話で各銀行の調査部に聞けばすぐわかる。そういうことを聞いた上で、勘案して、この事業に対してはやらなければいけないと、そういうことはやはりあなた方がお考えにならなければいけないのではないか。単なる金融業者にだけ窓口をまかしておいてはいけないというふうに私は思うのでありますが、この点についてのもう一言あなたの御信念を伺っておきたい。
  45. 記内角一

    政府委員記内角一君) まことにごもっともでございまして、われわれも公庫の方の貸し付けにつきましても、全部金融機関にまかしておるのじゃございませんで、その貸し付けに対しましては、一々本所のほうに書類を提出させまして、それをチェックしておる。ただそのチェックの仕方が今までとやかく言われておったわけでございますが、できるだけ簡素にいたして参って、現在では非常に早く、公庫の内容に関します限りは、できるだけ手っとり早く処理をいたしておるわけでございます。  ただ対象業種の選択というような面につきましては、これは御指摘のような考え方で行くべきでございますので、常々そういうふうな指導をいたしておるわけでございます。最近の状況を見ましても、たとえば旅館業等につきましては、各期貸し出しも減少いたしておるというふうな情勢でございますので、相当公庫としても努力しておる跡が見受けられるのでありますが、なお御趣旨の点もよく示しまして、遺憾のないように措置して参りたい、かように考えております。
  46. 河野謙三

    ○河野謙三君 ちょっと伺いたいのですが、商工中金なり公庫で、貸し出しの対象になっておるものは、組合と、組合外の会社、もしくは個人、こういうものはどういう比率になっておりますか、御調査ができておりますか、商工中金の場合ですと……。
  47. 記内角一

    政府委員記内角一君) 公庫につきましてははっきりいたしませんが、これは大体が個人ということで、組合はきわめて少いと思いますが、もっとも商工中金が代理貸しいたしておるものは相当、公庫から組合にいっておるというふうに考えております。商工中金自身につきましては、今年の三月末におきまして、組合に貸し付けましたものが、四百六九千億、組合員に直接参りましたものが六十七億というふうになっておりまして、全体のパーセンテージは、貸し付け五百三十五億に対しまして、約二一、三%というふうになっております。
  48. 河野謙三

    ○河野謙三君 一二、三%が個人貸付ですか。
  49. 記内角一

    政府委員記内角一君) そうでございます。
  50. 河野謙三

    ○河野謙三君 あとの分は全部組合対象になっておりますか。そこで今のは本年の三月のあれでしたが、過去一カ年で個人貸がふえておるのですか、減っておるのですか。
  51. 記内角一

    政府委員記内角一君) 昨年の三月の残高で見ますというと、四百六十四億の総貸し出し高のうちで四十六億が直接貸しでございます。組合に対しますのは四百十七億ということに相なっております。従いまして金高としましてちょうど二十億ばかりふえております。率といたしますとちょうど一割から一割二、三分に若干ふえております。
  52. 河野謙三

    ○河野謙三君 今のところこの個人貸しは大した金額ではないし、さほど問題ないと思いますが、将来の問題として、通産省としては個人貸しがふえる傾向はむしろ奨励されているのですか、それとも原則として組合貸しということにだんだんしぼって行こうということなんですか、この御方針を伺いたい。
  53. 記内角一

    政府委員記内角一君) われわれといたしましては、できるだけ組合を通じて貸し出しをするというようなふうな指導をいたしておる次第であります。
  54. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうすると過去わずか一カ年の間に二、三%でも個人貸しがふえたということは好ましい傾向でないというふうに通産省はとっておられますか。
  55. 記内角一

    政府委員記内角一君) まあこの程度の比率であればやむを得ないかというふうに考えておるところでございます。
  56. 河野謙三

    ○河野謙三君 個人貸しの一日当りの平均貸し出し金額は幾らになっております。
  57. 記内角一

    政府委員記内角一君) 今年の三月末の平均で見まするというと、組合に対して一日一組合平均は七百五十万、直接貸しにつきましては百七十八万というふうに相なっております。
  58. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はこれはこの機会に個人貸しについて、もう少し厳格なる指導監督をされるべきじゃないかと思うのです。だんだん過去一年のような状況で、個人貸しに加速度がかかってくるということは、この種の特殊金融の性格からいって非常に邪道だと私は思うのですよ。この金融機関から個人で金を借りられるというものは、大体市中金融にも依存できる部類の人だと思うのですよ、大体が。市中銀行金融の斡旋を願えないという部類のところが私は大体さっき海野さんは別の角度から言われましたが、この金融機関によって救ってやるという私は大きな目的がそこにあると思うのです。でありますから、もう原則として組合オンリーだというぐらいで私は行くべきだと思いますがそうではございませんか。
  59. 記内角一

    政府委員記内角一君) 御案内通り商工中金金利一般市中金利に比べますと相当高くなっております。従いましてまあどちらか、信用金庫あたりから借りるのに比べますればあるいは若干低いかと、実質金利から見ますとまだ低い方かもしれませんけれども、銀行等から見ますというとやはり相当金利も高くなっておりますので、銀行と取引ができる、あるいはその限度を十分持っている所につきましては、おそらく商工中金は利用しないのじゃないかというふうに考えております。従いましてここへ出て参りますものは、どちらかと申せば金融機関を利用しがたい方々がやはり利用しているのじゃないか、金利行政から見まして、私どもこの程度貸し出し状況であれば、直接貸しをさらに押えるということもいかがかというふうに考えておる次第でございます。
  60. 河野謙三

    ○河野謙三君 いや、私は先ほどお話のように、原則として組合が対象になるのだ、こういうことであれば、やはりその原則を守って行くためには、もう少し指導されないと、過去一年の増加率というものは、これから迎える一年には、もっと個人対象の貸付がふえる傾向に私はあると思う。必ずそうなると思う。現在はまだ一割何ぼでありますからいいけれども、これが組合対象の貸付に対して二割になり三割になりということが私は必らずしもなくはないと思う。よほど通産省の方で指導されないと……。それからこの金利が高いのだからして市中銀行で借りられる人はみんなそこへ行くので、わざわざ力のある人が商工中金に依存しないだろう、こういうお話がありますけれども、これはそういうものじゃないんです。これは私自身でも小さないなかで仕事をやっておって、市中銀行でも金を借りるが、商工中金でも金を借りるのですよ。それはどういうことかというと、この特殊金融だと長期にわたって借りられるのですよ。それにもう一つは市中銀行だと金利以外の陰の金がなかなかかかるのですよ。表面は二銭五厘でも二銭五厘じゃ上らないのです。やれ箱根へ連れて行くとか熱海へ連れて行くとか、やれおつかい物をするとか、こういうものがなかなか大きなものなんです。だから決して表面に表われた二銭五厘と三銭なら誰も二銭五厘の方へ行くだろう、そう簡単にはいかないんですよ。でありますから、まあ話は脱線いたしましたが、どこまでも零細な企業に対する金融を国家が一部危険負担までしても救うんだという、この金融機関の趣旨を生かすためには、零細な人には何かというと一人では借りられない。組合の力によって借りるんだという人でなければならぬはずです。だから私は極端に言えば、もう組合以外は個人の対象のものは貸さないんだというくらいな、例外はもちろんありますよ、しかし原則は、はっきり分けてそこへお立てになって、通産省の方である一定の比率で、貸し出し限度の中の一割以上は個人対象は認めないというくらいな、一つの指導方針をお示しになった方がいいんじゃないか。私はここでかけをしてもいいが、このまま放っておけば来年一年たって、今度は組合貸し付けと個人貸し付けとどうなるか、必ず個人貸し付けがふえますよ。私は今の程度のことならどうとも言おない。個人貸し付けがふえるような傾向にあるから私は申し上げるんです。何かそういうふうな指導を強くされるような御意向はございませんか。
  61. 記内角一

    政府委員記内角一君) 私どもも毎月定期的にある程度の試算表が出て参りますと、商工中金で役員会を兼ねまして連絡会議を開いておりまして、こういう事情を逐次検討いたしておるわけであります。従いましてこの方の数字も絶えず注意をいたしておりますので、もしおかしな現象が出てくるようでございますれば、逐次警告をするつもりで進んでおりますが、なお事情が著しく変化して参りますれば、随次勧告をして参りたいというふうに考えております。
  62. 河野謙三

    ○河野謙三君 はなはだ念を押しておそれ入りますけれども、この程度というのは現在くらいのところでとどまっておるならばということで、これ以上個人貸しの比率がふえるようならば通産省としてはそれを押えるための適当な措置をとる、こういうことですか。
  63. 記内角一

    政府委員記内角一君) まあこれは一二%がいいか一五%くらいまでいいか、二〇%くらいまでが適当かと、この辺がなかなかむずかしいところでございますが、二〇%以上になるような場合には当然何か警告しなければならんかと思っておりますが、その範囲でありますれば、われわれといたしましてその事情をよく観察しながら適当に措置して参りたい。いつまでもそれに近づくまで放って置くという形でなく、この動きというものを絶えず注意して参りたいと考えておる次第でございます。
  64. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は一二%がいいか二〇%がいいかというようなことの、これはそのつかみ方の話じゃない、個人貸しの内容を検討されたら私は一番早く結論が出ると思う。個人貸しの内容、どういう部類の人に個人貸しで金が出ているか、その個人貸しで借りている人は、一体資力は市中銀行に依存できる人かできない人かという点からも検討されたらいい。市中銀行に依存できる人はこういう特殊金融の金を使うというのはもってのほかですよ、またそういう金を使わせるべきでない。同時に先ほど伺いましたが、一口当り百七十八万円というんでしょう。片方は組合で一口当り七百五十万ですよ。一体組合員の平均は一口当りの貸出金額が非常に大きいでしょう、個人として百七十八万円というのは。そういう点から科学的に分析されて、この個人対象の貸付が果して特殊金融の精神に合っているものか合っておらんものかという角度から検討されて、例外的にこれは認めようということなら、例外であるならば、私はせいぜい一割が限度であって、これを二割に持って行くということは、私はとんでもない間違いだと思うんですが、そうじゃございませんでしょうか。
  65. 記内角一

    政府委員記内角一君) 各組合員の平均人数が出ておりませんが、当然個人よりも組合の方が数が多いはずでありますから、組合員一人当りに平均しますれば、若干減って参るかと思います。一般に言われている金高から見ますれば、まずまずこの辺ならばそうやかましく言うこともないかというふうに考えておるのでございます。なお個人につきましては、一千万円以上の分につきましては、一々報告を出さしておりまして、その間の検討もいたしておるわけでございます。なお御趣旨などもよく考えまして、さらに検討してみたいと考えております。
  66. 河野謙三

    ○河野謙三君 くどいようでありますけれども、かりに組合は一口当り七百五十万円だとおっしゃいますが、組合員がかりに十人で……十人ということはありませんね、もっと多いですよ必ず。十人にしたって一人が七十五万ですよ、二十人にしたら幾らです。三十七万五千円ですか、そういうふうに組合一口というと七百五十万円ですが、組合員一人に割ってみたら……、一方個人の対象のものは百八十七万ですよ、非常にその間に大きな開きがあるんですよ。でありますから、これは私はくどく申しませんが、決して私どもの方から具体的に註文はつけません、あなたの方の個人貸しというものは、先ほど申し上げたように、果してこの種の特殊金融に依存しなければならない階級の中小企業が対象になっているのか、それとも別の金融機関に依存して十分やっていける人に、この特殊金融機関のとうとい金を貸しているのか、そこらのところの内容分析をされて、十分私は検討されたらいいと思うんですよ、またされた結果の何か資料をいただければ、いただきたいと思います。
  67. 白川一雄

    ○白川一雄君 特殊金融の精神が末端では逆になっておるような傾向が認められるのでございますが、大体金融の援助を願おうとするものは、力が弱くて通常の銀行等に行っても顧みられない中小企業者を助けようというのが、この法律の精神だろうと考えるのであります。いなかのほうへ行ってみますと、金融機関に行っても貸し出しを願える人に対してむしろ金融機関が貸し出しを好むが、零細な者に対しましては、いろいろなむずかしい条件等をつけて貸し出しをしない。体験しました一例を申し上げますと、香川県に大川郡というところがございます。そこに零細な手袋業者がありまして、その三割ないし四割が輸出で、その他は国内用になっておるのでございます。これに協同組合を作らして、共同でこの金融を仰ぎ、きわめて零細なものでございますから、時代おくれの感があるので、新しい製品を作るように奨励してきましたが、この商工中金等は、百余の零細な協同組合というようなものは信用するに足らないというので、むしろその中から引っこ抜きで、大きなものだけに金融をして行くというようなことになるので、協同組合そのものが破壊されてしまう、また団結した精神が生まれてこないという悩みがあると相談を受けたりしておりますが、なるほど金融機関でございますから、貸した金が返る見込もないような所に、貸すわけにいかないのは当然ですけれども、この金融機関の精神から行くと、少々不安があっても、それを指導するという面から援助を与えてやるというのでなければ、零細な中小企業者は成り立たないのであります。というような感を深くする事実を見たのでございますが、御当局なんかでそういう事実に対しましては、どういう御意見をお持ち下さるのか承わりたいと思います。
  68. 記内角一

    政府委員記内角一君) 私どもそういうことのないように常々注意をいたしておるわけでございますが、ただ手袋のようなところになって参りますと、いわゆる賃加工のところと中間問屋のところといろいろ変化もあるようでございます。その間に、また何と申しますか、賃加工になりますと、農村の副業的なもの、これを業者と見るのかどらかというふうな問題もあるようでございまして、その間のどのへんをいわゆる事業者として対象にするかというふうな複雑なものもあるのではないかというふうに考えておるわけであります。さらにその資金貸し出しにつきましては、組合が直接利用します場合と、組合員に転貸する場合といろいろございます。また転貸する場合におきましては、いわゆる個人の保証が——資力信用が判明しかねるものですから、役員の個人保証というふうなことも要求して参ります。そうすると、役員がなかなか個人保証をしたがらないというふうな面もあるようでございまして、その辺の関係もありまして、あまり大きい組合員があることが、かえって融資しがたい。むしろ組合員は数の少い方で、共同に仕事をやって行くというものを建前にすべき面も出て参るわけであります。それやこれやのこともございますので、ただ小さいから貸さないというだけでなくて、いろいろな面があるようでございます。それらの点をよく検討いたしまして、しかも実態に即したような組合の作り方、また金融のし方というものを行わせて参らなければならぬのじゃないかというふうに考えている次第であります。
  69. 白川一雄

    ○白川一雄君 お話通り副業的にやっている小さいものまで組合に入れておるわけではございませんので、それを入れれば全部で二千五百軒くらいある。そのうち五十軒ぐらいのものをもって協同組合を作って、そのもとにおのおのの賃加工は組合外としてくっついておるわけなんです。ただ五十ほどといいましても、一番大きなものとその中の一番小さいのを比べますと、非常に違いがあるのでございます。もちろん組合が連帯責任を負うて行くということにもなっておるのでありますが、これもなかなか組合の中にも二心、三心を持った動きのある人もあるので、組合として動きながら、また個人として金融を一方で頼みに行く、そうすると、個人の方は先にきまってしまって、組合の方はきまらないと、組合というものの団結というものがおのずから崩壊して行くという傾向が強いので、これには零細なものをこの金融機関としては指導するという要素がなければ、普通の市中銀行と同じ性格に変って行ってしまうのじゃないかという点が、自分らが見ておると痛切に感ぜられるので、そういう点何か報告でもありましたら十分実情を御検討願いたいと思います。
  70. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 今の河野、白川両委員の御質問に関連するのですが、これは別に質問でも意見でもないのですけれども、私の承知するところでは、商工組合中央金庫というものは、大体組合だけに貸すという建前でできた。ところが実際やってみると、われわれが昔やっておった、ことには、組合だけで金を借りるというと、今の役員の個人保証の問題が起るし、組合全体として共同施設でみんな潤うというときにはいいけれども、そのうちの個人はどうしても救われないのだ、それだから何とかして、その当時の商工組合、今日の協同組合ですが、その組合員のものにも金融の道を開いてもらいたいということは、ずいぶん長年の要望であったのです。今その法律を見ますと、その長年の要望は何年か前に改正して入れているのです。そこで今の、こういう金は組合本位が原則か、個人は邪道かという問題を議せられるときには、法律改正されたときにどういう立法の趣旨で政府が提案したものか、議員の方の提案になったものか、そこは私は存じませんが、そのときの立法の事情というものをよくやはり調べられて、その法律改正してから今日まで何年かたっておるだろうと思う。その場合河野委員の仰せられることはもっともなんで、金をほかで借りられるものが、それについて乱用したというか、便乗したという結果になってしまっては工合が悪いから、その間の法律改正後の今日までの状況ということをよく調べられて、そしてその立法の当時にさかのぼって方針をきめられないというと、ちょっと間違いが起るだろうと思う。それだからこれは質問でもありませんけれども、河野委員のさっきの御質問に対して、何か資料があれば伺いたいということですから、もしそういう資料を作るときには、法律改正にさかのぼって、そのときの立法の理由、その後の施行の状況というものをやはり徹底的にお調べになって、資料として示されるよう希望するということを一言つけ加えておきます。
  71. 河野謙三

    ○河野謙三君 委員長から何かちょっと助け舟が出たような格好ですが、私は議会におってそういうことを言うのはどうかと思いますが、商工組合中央金庫という名前がすでについておって、それでその法律改正をしたこと自体はやむを得なかったかもしれんけれども、私は原則的にはこの法律改正そのものが例外だと思うのですよ。だからそれは法律改正をされて、個人対象で貸すことができるようになっても、どこまでもこれはやむを得ざる措置であるという、その線というものをしっかり守ってもらわぬと、まず第一に商工組合中央金庫という名前から変えて行かなければいけない。ところがだんだん個人対象のふえて行く傾向というものは、先ほどの数字を聞くと、大したことはないけれども、今後を予想すると非常にその傾向が強くなるということをおそれますから私は申し上げたので、あって、それを何らかの方法で、現在の貸付状況についてよく検討されて、そうしてある一定の線で押えるようにしてもらわなければ、その性格が変ってしまいはしないか、こう思うのです。検討の方法はいろいろあるでしょう。先ほど申し上げなかったが、また別の角度から今の貸し付けの中で、個人対象の貸し付けと組合対象の貸し付けと、その帳尻についてどっちがどうなっておるかという回収状況を双方の内容にわたって検討されるのも一つの資料になると思う。今委員長のおっしゃったように、これはやむを得ざる措置としてやったのであるということは、私も承知しておりますが、どこまでもやむを得ざる措置という線を守ってもらわなければならぬ。法律改正になったからこれは組合も個人も対等だという指導精神であったならば、これは私はいかぬと思うのです。それはそうじゃないのです。これは全く法律がどっちに貸してもいいということになっておるから、どっちに貸したって自由だということならば、少くとも今の金庫の当事者はそういうふうな誤まった指導精神を持っておられるのじゃないかと思うのですが、そうじゃありませんか。
  72. 記内角一

    政府委員記内角一君) 最初に申し上げたかと思うのでありますが、やはり原則は組合員なのでございます。これは例外的な措置なのでございます。従いまして実際の扱いといたしましても、組合員に限定されております。一般中小企業ではございません。組合員に直接貸しをする際には、組合の役員の承諾書を取って貸しておるというような事情でございます。もちろんその役員あたりはそういうことを頼まれれば、直接組合の負担になるわけでもございませんので、乱発するというような画もあるかもしれません。一応組合との話し合いということを建前にしてやっておるわけでございます。そこまで中金自身も注意を払っておりますので、どんどんこれがふえて行くとは考えられませんけれども、なお御趣旨の点も考えあわせましてよく検討してみたいと思います。
  73. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと速記をとめて。    午後三時二十六分速記中止      —————・—————    午後三時四十一分速記開始
  74. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて。  それではほかに御発言もないようでありますから本日はこれで散会いたします。    午後三時四十二分散会