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1955-06-07 第22回国会 参議院 商工委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月七日(火曜日)    午後二時一分開会     —————————————   委員の異動 六月三日委員上林忠次君及び栗山良夫辞任につき、その補欠として豊田雅 孝君及び中田吉雄君を議長において指 名した。 六月六日委員中田吉雄辞任につき、 その補欠として栗山良夫君を議長にお いて指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     吉野 信次君    理事            古池 信三君            高橋  衛君            山川 良一君    委員            上原 正吉君            小野 義夫君            深水 六郎君            松平 勇雄君            加藤 正人君            河野 謙三君            海野 三朗君            栗山 良夫君            上條 愛一君            白川 一雄君            苫米地義三君            石川 清一君   政府委員    公正取引委員会    委員長     横田 正俊君    通商産業政務次    官       島村 一郎君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省軽工    業局長     吉岡千代三君    中小企業庁長官 記内 角一君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君    常任委員会専門    員       桑野  仁君    常任委員会専門    員       内田源兵衛君   説明員    通商産業省軽工    業局アルコール    事業長     菊地 順一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○過度経済力集中排除法等を廃止する  法律案内閣提出) ○アルコール専売法の一部を改正する  法律案内閣送付予備審査) ○中小企業等協同組合法の一部を改正  する法律案内閣送付予備審査)     —————————————
  2. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは本日これから開会いたします。  まず、過度経済力集中排除法等を廃止する法律案、これを議題に供しまして前回に引き続いて質疑を続行いたします。
  3. 海野三朗

    海野三朗君 この前この委員会におきまして、この集中排除法においての質問におきまして、分割された会社がこの法案を廃止することによって、また再び合併して過度経済力集中を来たすようなおそれはないかということを三輪委員からの質問がありました際に、公取委員長は一応の基準として生産能力の三〇%という線を想定して、これより大きくならないように警戒しているという御答弁であったと思いまするが、この一応の三〇%という基準はどの産業でも一般的に適用されるものと解してよいものでありますかどうか、それとも業種によって、場合によってはあるいはこの三〇%よりも五〇%以上となっても差しつかえないというようなふうにお考えになっておるのかどうか、その点をはっきりと公取委員長に伺いたいと思います。
  4. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) 先般も申し上げましたように、この三〇%と申しますのは、きわめて一応の基準でございまして、われわれが合併、あるいは営業の譲り受け等の事件を取り扱います場合に、合併営業譲り受けの結果できまする会社能力と申しますか、それが三〇%くらいございますと一応注意をする、まあこういう一応の基準でございまして、個々事件におきまして必ずしも三〇%をこえておるから絶対にいかぬというふうには扱っておりませんが、しかしこれが大体すべての産業を通じましての一応の基準というふうに考えております。なぜパーセントだけで単純にいかぬかと申しますと、これは御承知のように業界にはいろいろ事情がございまして、きわめて小さな企業がたくさんあるもの、あるいは大きな企業がわずかしかないものというようなことで非常に事情が異なっておりますので、たとえば二つ企業が合同しまして三〇%になりましてもほかに現在もっと大きなパーセンテージのものがあるというような場合には、その他の企業のあり方とにらみ合せましてそれが実質的の競争制限をもたらすかどうかということを考えなければなりませんので、この点は一がいには申せないのでございます。きわめて特殊の例を一つ申し上げますると、旭硝子日本板硝子、これが現在板ガラス製造ではいわゆる三社独占でございまするが、その前に徳永板硝子というやはり板ガラスを作っておる会社がございまして、この会社がいよいよ行き立たなくなりまして何とかいたさなければならぬという場合に、その設備を大体二つに割りまして旭硝子日本板硝子に併合になったのでございます。これは形式的に見ますと約五〇%に近いものが二つできることになるわけでございまして、形式的に申しまするとさつきのパーセンテージをはるかにオーバーしているわけでございます。しかし、これは諸般の事情から考えましてこれがもし片っ方へだけにつくというようなことでありますといろいろ問題がございますが、ちょうど折半をいたしまして三社に併合されたという場合にこれを別に独占禁止法上問題にしなかったという事例もあるわけでございます。これは個々の場合々々によりまして考えて参りたいと考えております。
  5. 海野三朗

    海野三朗君 もう一つ。そういたしますと、日本製鉄というものが元ありました、それを二つにぶち割った、そうして競争をさせているわけでありますが、同じ一つ会社であったやつが二つに分割されて、その間に非常にロスがある。国家としても非常なロスがあるのでありますけれども、これをまあ公取立場から言えば、分散したからいいのだというふうに見ておられるかもしれませんが、ほかに川崎製鉄とか、あるいは日本鋼管とかそういうものがたくさん起ってきた後においてはこの八幡富士合併するようなことがあっても差しつかえないのか、またその点については、国全体として考えまするというと、非常な損をしておる、一つの一軒の家を二つにぶち割ったから非常な損をしておるのでありますが、そういう点についての公取としての一つの御所見を承わっておきたいと、こう思います。
  6. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) 独占禁止法観点から申し上げますると、なるほど競争には、そこにいろいろむだも伴うのでございまするが、しかし、やはり競争によって企業活動が活発になるという面が見のがせないわけでありまして、むしろそれを促進するのが独占禁止法考え方であります。従いまして今も鉄の例をおあげになりましたが、鉄の場合につきましても、いろいろのロスもあるでございましょうが、しかしそれにも増して競争を促進することに利益があるというふうに一応考えられるのでございます。ただ実際問題といたしまして、現在の八幡富士のこのままの姿で合併をするということは、前回にも申し上げましたように、独占禁止法上問題がございますが、今後非常に業界の様子が変って参りまして、他に有力な業者が出てくるというような場合がもしございますれば、これは非常な仮定論になるわけでございますが、そういう非常な変動が生じました場合につきましては、もちろんそのときの状態において考えなければなりませんが、永久にこの二社が合併できないというようなことは独禁法の観点から申しましてもないわけでございます。しかし、これはまあ仮定論でございますので、ただ一応の理屈の上からそういうふうに申し上げるわけでございます。  なお、前回申し上げましたように、独占禁止法観点から申しますと、ただいま申すようになりますが、しかしまた、別な政策の見地からいたしまして、ある意味独占を認めることがむしろ有利であるというような特殊な事情がございますれば、その点はまた別途政策問題として考える、その場合には、独占禁止法をある程度適用を除外するというようなことも考えられるのじゃないかと思います。
  7. 海野三朗

    海野三朗君 それから、ちょっと先の問題に戻りまして、この三〇%という基準は必ずしもそれを固執しない、ある場合には五〇%くらいまでにもいった場合もあったというお話でありまするが、まずばく然とでありまするけれども、その五〇%がまず限界というふうに考えてよろしゅうございますか。その境界線ばく然としておるのでありまするけれども、まず大体五〇%前後であればやむを得ぬ場合がある、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  8. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) どうもパーセントだけで申し上げるのは非常にむずかしいのでございすますが、確かに五〇%ということになりますと、これは非常にむずかしいというふうに申し上げてよろしいかと思います。  なお、御参考のためにイギリスには独占禁止法とはちょっと違って、独占による弊害を排除するような別途の制度がありまするが、その場合にもやはりある産業において三〇%以上の能力を持っているものというのが一応対象になって、その対象につきましていろいろこまかな調査をして、もし弊害があればそれを除去するというようなことになっておったように考えられますので、この三〇%というのは一つの、経験的から見ましたあるいは一応の基準というふうに考えられるのではないかと思います。
  9. 海野三朗

    海野三朗君 三〇%は基準でありまするけれども、場合によっては五〇%くらいまでは行く場合があると考えてよろしゅうございますか。
  10. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) 先ほどの実例で申し上げましたように、きわめて特異な例ではございまするが、そういう取扱いをした事案もあるわけでございまして、これによってその他の場合も御想像願いたいと思います。
  11. 海野三朗

    海野三朗君 わかりました。これで私の質問は終ります。
  12. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと私から、この間も相談したのですが、つまり企業の大きいか小さいかということは、これは一応の基準であって、やはり法律を解釈するときには、実質的に取引制限するかしないか、それが公共の利益に反するか反しないかという、こういう点をやっぱり主においてやらないといけないのじゃないか。その場合に、そのことを判断する一つ資料として、三〇%とか五〇%とかということがあれば、一応は取引制限を支配的にやっておるという、こういう結果になると、こういう読み方でいいだろうと思うのですが、そうすると海野委員の御質問趣旨ははっきりしてきますから、それでよろしゅうございますか。
  13. 横田正俊

    政府委員横田正俊君) 全くおっしゃる通りです。
  14. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ほかにこの法案につきまして御質疑はございませんでしょうか……御発言がございませんなれば、本法案については質疑は尽きたものと認めてよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 吉野信次

    委員長吉野信次君) では御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。何か御意見がございましたならば……。  別に御発言がなければ採決に入ってよろしゅうございましょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 吉野信次

    委員長吉野信次君) では、御異議ないものと認めまして、これより採決に入ります。  過度経済力集中排除法等を廃止する法律案、これを全部議題に供します。本法案に御賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  17. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 全会一致で、本法案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお慣例によりまして、本会議における口頭報告内容、それから議長提出すべき報告書作成等委員長におまかせを願いたいと思います。よろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それではこの法案の御署名をお願いいたしますから、よろしくお願いいたします。     —————————————
  19. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは次に簡単でございますから、政府の方からアルコール専売法の一部を改正する法律案提案理由の御説明を願いまして、それから引き続いて中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案提案理由の御説明を願います。
  20. 島村一郎

    政府委員島村一郎君) 本日ここにアルコール専売法の一部を改正する法律案提出いたしました理由について御説明申し上げます。  アルコール専売法が実施されましたのは昭和十二年でありまして、当時に比較しますと現在は物価水準が著しく変動し、現行法罰則では、アルコール専売における違反取締りの実をあげることに支障を生ずるに至りました。  このような事態に対処いたしますために、法律改正し、罰則関係の諸規定を強化整備するとともに、あわせて取締り関係の諸規定を整備して取締りの徹底を期するべきであると考えましたので、ここにアルコール専売法の一部を改正する法律案提出いたした次第であります。  この法律案のおもな改正点は、まず、罰則を整備いたしたことであります。現行最高五千円の罰金最高三年の懲役または三十万円の罰金に改め、場合によっては懲役及び罰金を併科し、更に不定量刑をも科し得ることとしますこともに、以下、犯則の内容に応じて二十万円以下、十万円以下または五万円以下の罰金もしくは科料を科することに改め、その科罰基準を最近の実勢に照らし整備したことであります。次に、専売法のうち取締り関係規定の不備な点を若干改正いたすこととしまして、第一はアルコール製造者及びアルコール売捌人製造及び貯蔵設備を新設または変更いたしました場合、政府の検査を要することとしたことであります。第二はアルコール製造者及び売捌人等帳簿作成義務を課したことであります。なお、その他これらの関係条文を若干改正したことであります。  以上が、この法律案提案理由及び主要な内容の概略であります。何とぞ御審議の上、御賛同あらんことを切望いたす次第であります。  次に中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案につきまして提案理由を御説明申し上げます。  このたびの改正目的は、本法施行後の経験にかんがみまして、組合の組織及び運営合理化並びにその健全な発達をはかろうとするものでありまして、その内容はおおむね次の通りであります。  第一は、組合設立について、従来の定款認証制度設立認可制度に改めることであります。これによって著しく不健全な組合設立を防止し、組合質的向上をはかり、組合事業活発化並びに組合信用向上を期待しようとするものであります。  これに伴い、信用協同組合については、従来、設立についての定款認証のほかに事業について行政庁認可を必要としていたのでありますが、組合設立認可をもって事業認可にかえることといたしまして、「協同組合による金融事業に関する法律」に所要の改正を加えたのであります。  第二は、役員の選挙方法について、従来の無記名投票による方法のほかに、定款の定めるところに従って、指名推選方法もとることができるようにいたし、その方法を簡素化し、組合運営円滑化ならしめようといたしたのであります。  第三は、組合指導連絡団体として、法的根拠に基く中小企業等協同組合中央会を設けさせることとし、共同経営体としての組合運営合理化及び健全化指導に当らせることといたしたのであります。  中央会の構想の概要は、都道府県中央会全国中央会の二種類とし、都道府県中央会は、各都道府県ごとに一個とし、都道府県の地区内に事務所を有する組合をもって構成するものとし、これらの都道府県中央会をもって全国中央会を構成することとしているのであります。中央会事業といたしましては、都道府県中央会については、共同経営体としての組合に対し、従来比較的行き届かなかったきらいのある設立に当っての指導経理面指導等の個別的、具体的な指導に当らせるとともに、組合に関する調査研究及び情報の提供を行わせることとし、全国中央会については、都道府県中央会事業指導及び連絡に重点を置き、都道府県中央会事業の健全な発展をはからしめるような事業を行わしめることといたしております。  第四は、従来、行政庁は、組合から定期的に業務についての報告を受けることができず、組合指導上遺憾な点が多かったので、今後は、定期的に決意関係書類行政庁提出させることといたし、行政庁組合との関係を緊密化いたしますとともに、組合の実態を把握いたしまして、組合指導円滑化をはかろうとするものであります。  第五は、設立認可制度の採用に伴い、行政庁組合に対する監督権を若干強化いたしまして、組合法本来の趣旨を逸脱した組合休眠組合に対する適正な指導監督を行い得ることといたしたのであります。  以上がこのたびのおもなる改正事項でございます。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたします。
  21. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと申し上げますが、今、中小企業関係法案説明ですが、そのほかに前回中小企業金融に関する法案が三つ当委員会にかかっております。すなわち中小企業金融公庫法改正案、それから商工組合中央金庫法改正案、それから中小企業信用保険法改正案、この三つかかっておりますから、中小企業に関連しておりますからこの際前回の分をあわせて何か御質問があればお述べを願いたいと存じます。  政府にちょっと伺いますが、この間何か資料の何がありましたね、中小企業等金融について要求が。あれは前にできて配りましたか。
  22. 菊地順一

    説明員菊地順一君) 最初の分はお配りしまして、二度目の分はまだになっております。
  23. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 委員からの要求になっておりますね、あの分が済まないのですが、なるべく早く御提出を願いたいと思います。
  24. 栗山良夫

    栗山良夫君 今の、一括質問していいのですか。
  25. 吉野信次

  26. 栗山良夫

    栗山良夫君 私、その質問に入ります前に、アルコール専売の問題についてちょっと伺っておきたいと思います。罰則の強化を目的とした提案であるようでありますが、私はアルコール専売の場合には、その以前にまだ問題があったことを承知しておって、それがどういう工合になったのか不勉強で確かめてみませんので、その点をちょっと伺っておきたい。と申しますのは、アルコール専売について通商産業省所管事項として行政処理をしておられる間にかつていろいろ問題になったことは御承知だと私は思うのです。それは売りさばき人の問題であろうと思う、売りさばき人を非常に強く締めて、そうして売りさばき人とどこどことの間に好ましくない事態があったというようなことであったと思います。私、今手元に資料を持っておりませんので、それ以上具体的なことはちょっと自信がないので申し上げられないのですが、とにかくかつてそういう問題があったことを通産省はよく御認識になっているかどうか、これを承わりたいと思います。
  27. 菊地順一

    説明員菊地順一君) お答え申し上げます。ただいま御質問のありました問題は、アルコール興業株式会社酒精産業株式会社という二つの普通売りさばき人がございますが、これに対して、この会社政府に対しまして売掛金の滞納が相当たまりました問題であろうと存じます。その額は二十六年末において三億円以上に達しておりました。その後強制監査を実施いたします等厳重な監督指導をやって参りまして、二十九年の三月に裁判上の和解が成立いたしまして、自後滞納分は年賦で支払うことになっておりまして、現在までにその和解通り順調に返済して参っております。その計画によりますと、アルコール興業会社の分は三十七年の三月、それから酒精産業株式会社の分は三十二年の三月までに完済の予定でございますが、その後会社の方も不良債権回収等について努力をいたしておりますので、この予定は若干繰上りげられて完済されるものと考えております。
  28. 栗山良夫

    栗山良夫君 過去の、そのたな上げ負債はよろしゅうございますが、それからあとのことはいかがですか。
  29. 菊地順一

    説明員菊地順一君) それから以後におきましてはこういう問題は厳重な会計上の監督もいたしておりまして、むしろ今までの滞納分を返しておるくらいでございまして、その後問題はないように考えております。
  30. 栗山良夫

    栗山良夫君 あれは荷を渡してから政府に金を納める猶予期間といいますか、あれはどんなふうになっていますか。
  31. 菊地順一

    説明員菊地順一君) 売り渡しましてから三カ月延納を認めております。
  32. 栗山良夫

    栗山良夫君 ただいま三カ月の延納期間中に確実に全部収納できているのですか。
  33. 菊地順一

    説明員菊地順一君) 三カ月の期間に確実に納付いたしております。
  34. 栗山良夫

    栗山良夫君 毎月の国庫へ入っている金は各社ごとにどのくらいの金額になっていますか。
  35. 菊地順一

    説明員菊地順一君) 三十年度計画におきましては、アルコール興業が年に十五億一千九百万円、酒精産業が八億五千四百万円の収入予定でございます。それが大体上期、下期におきまして多少売り上げの数量が違いますけれども、大体平均した月割りになるものと考えております。
  36. 栗山良夫

    栗山良夫君 政府アルコールの売りさばき人はこの二社以外にはもう絶対に許さないという御方針ですか、あるいは将来とも一定の条件をそろえれば許してもいいというお考えですか、どうですか。
  37. 菊地順一

    説明員菊地順一君) この売りさばき人は元売りさばき人でございまして、そのほかに小売の売りさばき人がございますが、その小売の方は、末端に対する配給の便宜上必要に応じてふやす必要があると考えておりますが、元売りさばき人の方は、仕事性質政府代行機関と申しますか、そういう性質仕事でございますので、あまりたくさんになりますと、かえって二重に経費が要するというようなことも考えられますので、ただいまのところではこの二社で十分であろうと考えております。
  38. 栗山良夫

    栗山良夫君 実は、このアルコール販売代金が未納になった当時非常に問題になったのは、こういうわがままな会社を二社放置しておいて、そうして良心的な第三者が売りさばき人としての認可を与えられたいという申請をしてもちっとも認可をしない、通産省おかしいじゃないかという声が相当あったことは、あなた方御承知だと思う。今法律的に何ですか、この二社以外には絶対に認可をしないというはっきりした明文があるのですか。
  39. 菊地順一

    説明員菊地順一君) そういう明文法律上ございません。
  40. 栗山良夫

    栗山良夫君 それでこの前巨額の政府納入金が焦げつきになっておって相当問題になって、通産省が三十七年ですか、ずいぶん長期の返済計画で一応これを解決せられたことは了とします。了としますが、その陰には、長年こういう三社だけに限って通産省が保護、助成のごとき意味にとれる立場をとられて、そうしてこういうような不始末なことを知っておるために第三者が申請しても一向相手にされなかった、そういうことがそのまままだ国民感情としては残っていると思うのですね。従って、ただいまの説明だけではまだ国民感情としては了承し得ない点があるのじゃないかと思いますが、その点はどういう工合にお考えですか。
  41. 菊地順一

    説明員菊地順一君) 先ほど申し上げましたように、相当多額に上ります政府に対する滞納金計画的に納めさしておるわけでございますが、その取扱い数量との関連におきましてその額も変更して参りますので、ただいまの和解上ではこの二社に一定予定される数量を扱わせるという計算上の根拠からこの返納計画というものができておりますので、取扱い数量が分散されますとまた滞納返済期限が延びるのではないかというおそれが考えられますので、目下のところではこの二社ということで考えておるわけでございます。
  42. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、結局負債整理をする計画は一応立てたのだけれども、その負債整理は表向きは二社がやることになっておるのだが、結局政府と二社との話し合いによって将来の営業権と申しますか、荷扱い数量というものを保証してやってそうして中から弁済をさせる、こういうことなんで、この二社のやった不始末をそこまで政府がいつまでも責任を負って庇護しなきゃならんものですか。そこがわからないところだ。そういうことをちっとも根本的に解決しないでおいて罰則の強化なんといって取り締るということは片手落ちじゃないか。取締りを強化するということは反対じゃありませんよ。反対でありませんけれども、通産省がやるべき何十億という金を焦げつかしておいて、それは業者の全く責任なんですよ、放漫な経営をやったために。当時これを非難をして、通産省に向かって、そんなでたらめなことならやめて、僕がもっと良心的にやるからと言った業者があったのに、これを認可しないでおいて、そうして不始末をでかしたものについて弁済させるために、表向きは業者が自己弁済するような格好をとって、内面には将来三十何年まで政府が二社に対して荷扱いの保証をしてそうして形式的に弁済相ととのったというような格好をとろうとすることは、あまりにもなれ合い過ぎやしませんか。
  43. 菊地順一

    説明員菊地順一君) ただいまの点につきましては、この二社の経営者もすっかり現在では変っておりまして、内部の機構も立て直し、また、われわれ政府の方も厳重なる予算統制を実施いたしておりまして、甘目に扱っておるということではなくて、厳重に監督しておりますので、またサービスの点につきましても二社が独占企業として需要者に迷惑をかけることのないように十分に監督して参りたいと思っております。
  44. 栗山良夫

    栗山良夫君 しかし、これは民間企業でしょう、政府出資でも出ていますか。
  45. 菊地順一

    説明員菊地順一君) 紙然たる民間会社であります。
  46. 栗山良夫

    栗山良夫君 民間企業でしょう。その民間企業に対してどういう法律根拠でそこまで厳重に監督ができますか。
  47. 菊地順一

    説明員菊地順一君) それは法的根拠ではございませんけれども、裁判所の和解が昨年の三月に行われましたが、その条件といたしまして、完済するまでそういう監督政府がやるということになっております。
  48. 栗山良夫

    栗山良夫君 その場合に政府はあれですか、弁済が済むまで荷扱い数量の責任を持つということになるのですか。
  49. 菊地順一

    説明員菊地順一君) そういう約束はございません。
  50. 栗山良夫

    栗山良夫君 裁判所がそういう非常識なことは私はしないと思うだろうから聞いたのですが、これじゃどうも私その点がはっきりしないのですよ。だから、これはやはり何ですね、通商産業省に来てもらって一ぺんはっきり始末をつけてもらわなければ、私どもの方は簡単に罰則の強化だけでは、はい、さようならというわけに行かない問題だと思うのです。
  51. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 問題は、私から言うのでは何だが、今の話は、ほんとうに会社が金を払わないから訴えた、それで和解したというので、その根本にさかのぼって何ゆえに純然たる民間会社にそういう特権を二つだけに与えたかというその説明がないのです。問題はそこにあるのです。これ以上ふやさなくても間に合うというのは現実の問題であって、しかし需要者の方からいえば全国的に、たとえば酒屋でも何でもここから買うのでしょう、よく知らないけれども、その会社がみな全国に配給するわけですから、アルコールというものは、そこの実情を私は知らないのだけれども、とにかく金額にしても両方合せれば二十億に近いものを商売するのですから、必ずしも二つ以上に置いてはいかんというものではなくて、需要者の便宜からいえば、もう少し地域的にあってもいいのじゃないかという疑問が起るわけですから、その点をもう少し御説明になったらどうか。何ゆえに二つの民間会社にそういう特権を政府は与え、そうして不始末をして、なおかつ和解の点はあっても、これはただ手段であって、金を取れるために仕方がないから置くというのは、説明にならないので、それは便宜の方法で、この二つをどこまでも政府というものはこれに特権を与えて将来も置くのだというのならその理由を少し御説明願ったらどうでしょう、こう思います。もし、そういう根本の問題になって、今日は局長も見えていないから、あるいは説明員だけじゃ無理だというのなら、どうでしょう、ほかの委員の方にお伺いしますが、この次に責任ある当局からその点についてもう少し御説明があれば御説明を伺っておいた方がいいと思うのです。政務次官が今日は見えておりまして……。
  52. 栗山良夫

    栗山良夫君 私、最近のことを知りませんが、二、三年前にアルコールが非常に生産過剰になって、政府アルコール工場も民間へ売却して整理をするとか、あるいはサツマイモの買い上げ数量がとうてい保証できないでこれを整理するとか、いろいろな複雑な問題があったことは皆様御承知通りでありますが、今日のアルコールの需給状況というものは一体どういう工合になっておるのか。この説明書を読みますと、やはり国庫収益ということを考えてできればアルコールの増産をやって工業原料としてたくさん使ってもらうことが農家の救済にもなるし、農家の救済ということは言葉は悪いのでありますが、水田を持たない地方の一番唯一の資源であるサツマイモの増産によってアルコール原料を作って、そうして工業原料としてこれを、需給して行くということは非常にいいことでありますけれども、それは一時頭打ちをしておる、そういうアルコールの需給見通し、アルコールの増産ということについて通産省はどういう考えを持っておるか、さらに農林省はどういうことをしておるのか、こういうことについて……。
  53. 菊地順一

    説明員菊地順一君) アルコールの需要につきましては、大体本年は二万八千キロの生産を計画しておりますが、過去の需要の動きから申しますと大体二万六千、七千、八千というようなところで、そう大した動きはない状態になっております。この需要に対しましてどういう原料、たとえば糖蜜からどれくらい作るか、あるいはサツマイモからどのぐらい作るか、あるいはパイプの廃液からどのぐらい作るかという原料別の生産計画を立てまして、それで生産を実施しておるわけでございます。イモにつきましてはイモの産地の工場ではイモを使って生産しておりますが、何分にも価格がほかの原料と比較いたしまして原料価格が高くなっておりまして、従ってコストが高くなる関係もありまして、やはり糖蜜等の原料を使ってバランスをとりませんと値段が非常に上りますので、それとにらみ合せて計画を立てております。
  54. 栗山良夫

    栗山良夫君 戦後最高の生産は、年次において最高できたのはどれくらいが一番多かったのですか。
  55. 菊地順一

    説明員菊地順一君) 戦後におきまして最もアルコールの主産の多かった年は昭和二十六年でございます。二万八千七百二十キロ生産しております。
  56. 栗山良夫

    栗山良夫君 アルコールはこれは輸出に全然向きませんか。
  57. 菊地順一

    説明員菊地順一君) アルコールそのものの輸出といたしましては、国際価格に比較いたしまして高うございますので、そのもの自体の輸出はできておりません。ただセルロイド、そういう輸出製品の原料として使われて間接に輸出されておる数量は相当あります。
  58. 栗山良夫

    栗山良夫君 政務次官にちょっとお尋ねいたします。アルコールというものは国際価格に比較して安ければ輸出の可能性がありますか。
  59. 島村一郎

    政府委員島村一郎君) どうも遺憾ながらはっきりしたお答えはなし得ないのでありますが、ただいまでは最近引き合いが少しもないそらであります。従って今のところ見通しがつかないということになっております。
  60. 栗山良夫

    栗山良夫君 今、イモが非常に原料高でアルコールの価格が高くなるというお話ですが、あるいはその通りかもしれません。しかし、今日やはり農家経済を支えておる一つの支柱は畑作をどうするかということだろうと私は思います。従って一番まとまって多量に収穫され得る、また作るのに一番簡単なサツマイモというものはやはり増産するということは農業政策上何よりも必要だと思う。従ってサツマイモの有効利用についてはいろいろ考えておられますが、今のところそうないわけです。澱粉あるいはアルコール以外にないわけです。従って若干原料高であっても、今後の政策としてアルコールというものを作り、そうして海外へ輸出がきくならばそこに何らかの助成措置も講じてでもやはり外国へ輸出をする、こういうような農業政策から輸出政策まで一貫したものを私は立てる必要はあるのじゃないかと思いますが、そういうことは全然見込みのないものか、またやるべきことであるのかないのか、こういうことについて次回まででけっこうですから、一つ通産省と農林省と一つよく御相談をなさってお答えをいただきたいと思います。特にこういう二社だけにこれだけの損失が出ても十分めんどうを見ておいでになるくらいのことなんだから、私はやはり国全体のことを考えるならば国の政策としてそのくらいのことはやらなければいけない。国内でアルコールの原料が割合に需要が少いということですが、もっとこれをふやす方法がないだろうか。そういったことを通産行政だけでなくて農林行政とあわせて私は考えられる必要があるんじゃないか、こういう工合に痛感しているわけですが、一つお調べ願いたい。この法案と直接関係がないことを御質問申し上げましたが……。
  61. 吉野信次

    委員長吉野信次君) さっきの、つかぬことを伺うようですが、二つ会社は酒屋で使う、工業用アルコールでないものを扱っているのですか、それとも二つ会社は工業用アルコールだけの扱いですか、そこのところを一つ……。法案を見ればわかるかもしれませんが……。
  62. 菊地順一

    説明員菊地順一君) いや、法案には出ておりませんからお答え申し上げます。この二つ会社は、酒用のアルコールは原則としてアルコール専売法のらち外にございますので、この会社は工業用のアルコールを扱う会社でございます。ただ若干国税庁と相談の上アルコール専売法の工場で酒用も作っておりますので、その分若干はこの会社を通っておりますけれども、原則として工業用のアルコールを扱う会社でございます。
  63. 吉野信次

    委員長吉野信次君) なぜそういうことをお尋ねをしたかというと、アルコールの需給いかんという問題のときに、何か酒屋の方はもっともっとアルコールが足らなくて困っているといううわさを聞くものですから、だから国全体として見るときはおそらく酒の方に使うアルコールの分量は非常に多いだろうと思うから、やはり国内の需給関係いかんというのだから、工業用だけじゃ多いのか少いのか判断がつかんと、こう思ったものですから、それで実は伺ったのです。国全体としてアルコールというものは一体今の需給関係はどうなっているのですか。
  64. 菊地順一

    説明員菊地順一君) 工業用だけに限りますと生産能力から申しまして余裕がありまして、需要に合せて作っておる状態でございます。酒の方につきましては設備はこれは大蔵省の所掌になっておりますので詳しいことは承知しておりませんが、設備には余力がありますが、出荷の数量について規制をしておるように聞いております。
  65. 吉野信次

    委員長吉野信次君) なぜそういうことをお尋ねしたかといいますと、私は間違っておるかもしれませんが、本質的に工業用アルコールも酒に使うのも同じもので、ただ何か変なものを入れるのじゃないですか、工業用アルコールというのは変質物を入れる、それだから一方もし酒用が足らなければ工業用が余っているというならそちらの方に回せばいいというふうに、ちょっとしろうと考えにそう思うものですから、やはりアルコールの需給度はどうかという問題をお答えになるならやはり国全体として酒の方も含めた数字でないと工合が悪いんじゃないかと、こう思ったものですからその点伺ったのです。この次でよろしゅうございますが、もしあれば数字を御提出願いたいと思います。
  66. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまの二つ会社の名前というのをちょっと伺いたい。
  67. 菊地順一

  68. 海野三朗

    海野三朗君 ちょっと私よくわからないのですがね。つまりどぶろくですね。いなかのどぶろくです。このどぶろくを作って、つまり自分の家で飲むどぶろくを作ったというような場合に、あれはやっぱりどぶろくを作ったということだけで罪になるのですか。あれはどうなんですか。
  69. 菊地順一

    説明員菊地順一君) 酒の関係は国税庁で扱っておりますが、酒税法におきまして酒の密造として罰せられることになっております。
  70. 栗山良夫

    栗山良夫君 私はどうもその点理解できないので、今度、まあ政府委員なり、あるいは大臣からはっきり一つ納得のできるような御説明を願いたいと思うのですが、たとえば、私、ほかの例を引例するわけですけれども、公務員が公金の横領だとか、そういう悪意でなかったと、まあ一応いたしましょう、悪意でなくて、たとえば公務員の夏季手当なり年末手当ですね、そういうものを財源がないのに費目流用なり何なりをやってそうして支出をした、そういう善意な場合ですね、この場合においてもやはりこれは国の規則を乱して公金を使用したわけですから当然本人は責任をとられるでしょう。ただその本人が責任をとるとり方としましては当然裁判上の結論を得なければならぬでしょうけれども、公務員の地位を退き、そうして国に与えた損害という本のは自分の力で返済をするというのが通常の建前だと思うのです。ところが、お前は国に損害をかけた。従って将来何年間は身分を保障してやるからもらった給与の中から毎月弁済をしなさい、こういうやり方とちっとも変らないわけですね。そういうやり方というものが妥当であるかどうかということについて私はどうも了承できないのです。これはなぜ私が記憶をしているかというと、かつて決算委員をやっておりました当時、これがずいぶん問題になって、私は若干その研究をしたことがあるのですからね。たまたまきょう出てきてアルコール法の説明を受けたから思い出したので、決して巷間伝えられておるデマなどを根拠にして申し上げたわけじゃないので、これは御了承願っておきたいと思うのですが……。
  71. 海野三朗

    海野三朗君 今の政府委員説明ではどぶろくの話は国税庁の扱いだというお話でありますが、百姓がつまり自分の家で自分が飲むだけをどぶろくにして作っておいたというのがやはり処罰されるのですか、あれは……(笑声)私は農民の生活を親しく見ておるものですからそれでお伺いするのですがね。百姓がね、自分の作ったお米でこっそり作って飲むというようなことは、これは見つけられた際には一升作っておっても二升作っておっても密造をしたといってみな罰せられるということになるのですか。あれはどういうのですすか。私はその限界が非常にこうぼんやりしているのじゃないかと思うのですけれども……。
  72. 島村一郎

    政府委員島村一郎君) これは私どもからお答えするのはどうかと思うので、むしろそちらの専門であられる高橋委員がおられますので(笑声)そちらからお聞きいただくとけっこうだと思います。酒税法では少しでも作ってはまずいことになっております。ひっかかることになっております。
  73. 海野三朗

    海野三朗君 ああ、そうですか。(笑声)
  74. 河野謙三

    ○河野謙三君 ちょっとお尋ねしますがね。先ほど工業原料のアルコールは大体需給関係は合してあると、こういうことでしたが、しからばその工場の能力に対する生産量というものはどうなっているのですか。工場の稼働率です。
  75. 菊地順一

    説明員菊地順一君) アルコール製造工場には官営と、民営の工場に委託して生産させる分と両方ございますが、官営におきましてはこれも各工場ごとに非常に違いまして、糖蜜を主とする工場、それからカンショを主とする工場というふうにございます。カンショの工場につきましては、カンショの収穫の時期の関係で非常に操業率がどうしても制約されて参りますので短こうございますが、全体としてはこれは約五割強ぐらいの操業率になっております。
  76. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうすると五割程度ということは、五割だけは過剰設備ということですか、現在のところでは。
  77. 菊地順一

    説明員菊地順一君) 現在の設備は戦争中液体燃料としてガソリンに混用して使いましたときの材料を基礎として建設してございますので、その需要が減っておりますものについては設備に余裕があるわけでございます。
  78. 河野謙三

    ○河野謙三君 その工場設備については今後どういうふうに処分されるのか、何か方針がきまっておりますか。これを民間に払い下げるとかその他適当に処分するとか、さもなければ生産量をふやして、工業用は需給関係は一応バランスがとれておるから、一般用の方に、一部設備を改造して一般用に向けるとか、何か過剰設備五〇%に対しての政府の今後の処分方法について何か御計画がございますか。
  79. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 通産局長会議説明しておりまして、大へん遅れて失礼いたしました。ただいま御指摘の過剰設備と申しますか、現在五〇%程度の生産しかやっておりませんので、それをいかにするかということは、今後われわれの最も重要な問題として検討しなければならぬと思っております。それで、これの将来の需要を一体どう見るかという問題があるわけでございまして、たとえばヨーロッパ諸国においてやっておりますガソリンに対するアルコール混入というようなことを一部でも実施いたしますと、これはフル生産いたしましてもとうてい足りない、こういうふうな関係がございます。それから溶剤等の今後の需要の増加ということも考慮に入れなければならぬと思いますが、一面におきましてパルプの廃液でありますとかあるいは今年度あたりから企業化に着手されようとしております石油化学の将来のアルコール競合品の生産高というものも相当に考慮に入れなければならぬと思います。しかしこれにはまだ数年の時間的余裕もあるかと思います。また工場の整理ということになりますと、労働問題等の関係も慎重に考慮いたさなければならぬかと思います。払い下げという点につきましては、そういう工業用アルコール自体の将来の見通しが立ちませんことには、かりに払い下げると申しましても、これは無償で払い下げれば別でございますけれども、現状におあきしてはこの工場を民間企業対象として相当の代価をもって払い下げを希望するというような情勢でもないわけでございます。現に昭和六、七年に払い下げました工場のその後の状況を見ましても、ただいまのところ直ちにこれを払い下げると、かりに方針を決定いたしましても、実際問題として困難な事情があるかと思います。それらの点につきましては、特に慎重に考慮しなければならぬという見地から、本年の四月にアルコール事業庁というものを設置いたしまして、このアルコール専売官営工場の問題等につきまして根本的に合理化対策を立てると同時に、将来のあり方についてただいま鋭意研究中でございます。
  80. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は何も払い下げをしたらいいだろうという結論を申し上げておるのじゃなくして、とにかく一般工業の基礎原料として非常に各製品のコストに大きな影響力を持つアルコールでありますから、これをいかにして合理化して安くするかということは当然考えておられると思います。それが故に、国内でできるイモも、原料としてイモは間に合うけれども、コストが高くなったからこれを糖蜜にかえるというようなことも言っておられるのですが、そういうことをお考えになって合理化されるのもけっこうですが、コストの中に非常に大きなウエートをかけておる稼働率ですね、これがしかも七〇%、八〇%動いておるならばまだいいのですが、五〇%しか動かぬというような状態において、これは非常に私は、こういうことを二年も三年もほっておくことは怠慢と思います。でありますから、これは払い下げがいいか、貸与がいいか、さもなければその設備を一部を改善して工業用のアルコールじゃなくて、一般用のアルコール製造設備に切りかえるとか、設備切りかえができるかできないか、そこはしろいとでありますから、切りかえることがいいかどうかしりません、しりませんけれども、何か遊んでおる五〇%というものを処分することによって、大きくコストに作用してくるのじゃないか、これを何とかされなければ、ただイモがいけないから糖蜜を入れるのだ、それも私はけっこうだと思いますが、もう少し基本的に工場の稼働率を上げるということについて何か抱負をお持ちになっておるかどうかということを伺っておる。今はいろいろお考えになっておりますけれども、私はいつでも悪口を言うけれども、考えるのはけっこうでありますけれども、これからだ、これからだと言って死んだ人がありますから、死なないうちに何とか具体案を出していただかなければいけない。何か具体的にその過剰設備についての設備の一部改善とか、貸与とか、払い下げとか何かそういうことについてやや具体的に何か進んでおるものがあるのですか。
  81. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) この操業率を申し上げます場合に五〇%ということを申し上げておるのでございますが、これは御承知のように、イモを主たる原料といたします工場につきましては、申すまでもなく大体この秋ごろから冬場が主として生産する時期になっておるわけであります。それで、それに対して現在の労務者の制度は、これを一年間常用するという仕組みになっております。その辺にも一つの問題があるかと思います。それから大体今申しましたように、イモの主産地を中心に工場を配置建設いたしましたので、その工員のうち約半数はいわゆる半農半工と申しますか、つまり朝早く起きまして畑をやって、時間中は工場に出て来る。日曜日は家でまた畑をやっておる。こういう形になっております。この辺にも非常にむずかしい問題があるわけでございます。そういう関係で、工員の平均年齢等もたしか三十三、四歳ということになっておる。しかしこれらの点はやはりそういう従業員の立場も十分考慮いたしまして、慎重に扱う必要があるわけでございまして、ただ最近衣では御承知のようにイモの値段が比較的安いと申しますか、イモが、アルコール工場で使ってくれなければなかなかさばけないというような事情がございまして、その面からさらにむずかしい問題があったわけでございます。最近はわれわれの立場から申しますと、非常に苦しい一面もあるわけでございますが、イモの値段は相当以前に比べますと上っておるというふうな事情もございますので、かたがた先ほど申しましたような事情等も考慮いたしまして、これは御指摘のように特に現在において考えなければならぬということで、慎重に検討いたしております。今申し上げましたように、いろいろ微妙な問題等もございますので、十分にその辺の話し合いなり、準備をいたしまして、これは決定、実行に移したい、こういうわけでいましばらく御猶了をお願いしたいと思います。
  82. 河野謙三

    ○河野謙三君 しろうとで、はなはだ扱いにくいでしょうけれども、その糖蜜を原料とする工場設備というものと、生イモもしくは乾燥イモを原料にする設備とは、全然これは別なものですか、従ってこれは工場は全然別でございますか。そうだとするならば、その稼働率というものを二つに分けて私はお答え願いたいと思います。要するにイモを原料とする工場の稼働率と、それから糖蜜を原料とするところの稼働率と、こういうものは、もし私が前提とするものが別々のものであるとするならば、工場を別にして稼働率を一つ出していただきたいと思います。
  83. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 設備といたしましては、本質的に相違はございません。ただ特にイモを前提にして工場を作りましたものは、極端に言いますと、山の中にあるというふうな関係上、輸入糖蜜を使います場合には、タンクの設備とか、これを輸送いたします場合にも、タンク・カーを作らなければならぬ、いろいろな面で非常に糖蜜を使いにくいという関係がございますが、設備自体は本質的に差異はないわけでございます。
  84. 河野謙三

    ○河野謙三君 最後にもう一点。先ほど工業用のアルコールについては、需給バランスがとれておる、しかし工業用のアルコールを作っている工場でも一部酒等に専売、大蔵省と相談して出しておる、こういうことですが、工業用以外でもっと需要があるわけですね、あるんですから、その方面の需要にこたえるために、今主として工業用のアルコールを作っておる工場で、その工業用以外の用途に供するアルコールを作って需要にこたえるということによって、稼働率を上げるということも可能じゃないかと私はこう思うのですが、そういう点はどうなんですか。
  85. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 工業用以外と申しますと、いわゆるもろみ添加、酒の関係になるわけでありますが、これも終戦前までは相当にいわゆる許可制度によりまして新規の企業を、統制と申しますか、やっておられたようでありますが、終戦後占領軍の意向によってそういうことは一切まかりならぬということで、急激に増加いたしまして、ことに酒の方は比較的小規模でやれるという関係がございますので、数百に現在なっております。それで、全国の稼働率を平均しますと、やはり六割何分のようでありまして、しかもこれは個々の業者の利害が御承知のようになかなかむずかしくなりますので、造石数を多少ふやす場合にも、いわゆる重点的にあるところに集中生産するということは、なかなかできない。何と申しますか、過去の実績によってふやして行っているので、実は非常に国税庁としても困っているという話がございます。それで現在の国税庁の方策としては、むしろそういう実績と申しますか、小さい工場で採算的にも苦しいようなところののれんを優秀な工場に、買収と申しますか、そういう形で集約化をはかっておるというふうな話でございまして、その点われわれもいろいろお話し合いをしたこともございますが、酒の関係もなかなか困難な事情があるようでございます。ただ酒の関係とほかの工業用アルコール関係の違います点は、酒のほうは全部イモとか、そういう農作物を原料にいたしております。これはアメリカ等におきましても、コストからいえば二倍以上になっておるそうでありますが、やはり酒用のアルコールについては、一つは農業政策の立場もあるのでございます。同時に万一飢饉等の場合に、いつでも食糧に切りかえられるというふうなことも、伝統的に考えられておると申しますか、各国ともそういうふうな態度をとっており、従いましてわが国においても酒用のアルコールについては、これは多少原料が高くなっても、やはりこれはイモなりその他の農作物の原料で進むべきであるというのが、専門家の一致した意見でございます。ただ工業用アルコールにつきましては、先ほど御指摘のように、これは他の化学工業その他の原材料という立場をとっております。国際的に競争して行かなければならぬ立場でございますので、これは何といたしましてもコストを下げて国際競争力を増すという建前で行かなければならぬと思います。その点は若干考え方を区別して措置すべきものかと考えます。ちょっと酒の方の工場をさっき言い間違えましたが、三千七百だそでございます。操業率は六割そこそこである、こういう状況でございます。
  86. 河野謙三

    ○河野謙三君 最後にちょっと伺いますが、そうすると現在でも今御説明のように過剰設備を持っているのですから、今後この種の新設につきましてももちろん許可はしないということには厳格になっているのですか、新設もしくは設備の増加、こういうことについては厳重に押えている、こういうふうに承知していいですか。
  87. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) これは原則としてそう考えております。ただちょっと先ほど申し上げたかと思いますが、パルプ工場におきましてパルプの廃液を利用いたしまして工業用アルコールを作るわけであります。これは現に王子製紙の苫小牧工場、国策パルプの旭川工場、二工場がやっておりまして、大体生産額は約三千キロ・リッターでございます。現在の工業用アルコールの一〇数%を占めております。これは木材資源の利用という見地からも、またそういう廃品の利用という面から申しましても、コストも安くできる関係もございますので、この面はやはりこれは押えるわけには行かぬのではなかろうか、それで、現在ある一社におきまして計画中のものがございしますので、これはやり推進することにいたしたい、こう考えておる次第でございます。一般のものは、これは申し上げるまでもなく絶対に新規許可はいたしておりません。また今後もいたさない考えでございます。
  88. 河野謙三

    ○河野謙三君 バルブ工場は今二社やっておるのですか、これはやはりパルプ工場が他にたくさんありますが、そういう工場でもこの設備を今後作るという傾向はございますか。
  89. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) これはやはり数億円の資金を必要とするようでございまして、それで現在、今年度にやるという所は実は半分ぐらい設備が以前できておったわけです。それで、それを若干継ぎ足しまして、これはおそらく本年の終りごろから稼働するだろうと思います。その他の工場はちょっと、研究しておる所は一社あるようでございますが、相当の資金を必要といたします。また石油化学等新らしい、さらにコストの安い競争品等の関係考えまして、慎重に今後の需給関係その他を見ておる、こういう状況でございまして、今直ちにはそれ以外に急にふえるものはなかろうかと思います。
  90. 上原正吉

    ○上原正吉君 アルコールの専売というのは最近のもので、昔は自由だったように思っておりますが、結局日支事変時分から工業原料というよりむしろ内燃機関の燃料として非常に重要であるから、その生産設備政府が掌握しよう、こういうことで専売法ができたのじゃないかと思うのですが、現在そういう必要は消滅しちゃっておるので、いつまでもアルコールの専売を継続する意義を失なっているのじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。
  91. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 確かに当初の目的は、御指摘のように内燃機関の燃料という立場から、これは主としてとられた制度でございます。ただ現状におきましては、先ほど来申し上げますように、現在並びに今後ますます重要となってくる化学工業の原料といたしまして、極力これは安いものを供給することを考えなければならぬ。で、かりにこれを専売制度をやめましても、やはり同じ品物が酒の方に利用されるという関係がございますので、その面の取締りは別途にやらなければならない。それから官労工場を持っておりますことによりまして、原価の否定その他にも比較的便宜がございます。まず現状におきましては、これを維持することが適当であると思います。一般の関係業界でも、専売制をやめてくれというふうな要望は別段ないわけでございます。
  92. 上原正吉

    ○上原正吉君 安く作るためにも専売法が必要であり、それから政府が直接製造する必要があるというふうに聞えたのですが、どうも私には、政府が官営でやれば民間でやるよりも安くできるということが得心できないのですが、現在民営の工場でやっておる四五%と政府が公営でやっておる五五%の製造のコストはどんな割合ですか。
  93. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) これは両方の経理の制度が異なりますから、直接に比較はなかなか困難だと思いますが、たとえばいろいろの製品の歩どまりと申しますか、そういう技術的の関係、それから同じようにイモの買付を行いますが、その購入価格等を比較いたしましても、決して民間の工場に劣っていない、むしろ政府側が原料は安く購入する、製品の歩どまり等もよいというのが数字的に出ておるのであります。まあこれは以前から相当の歴史を持っておりますし、私どもとしてはまあ今後なお大いに努力はいたきなければならぬと思いますが、その点につきましては技術的にもその他の点にもある程度の自信は持っておるのであります。
  94. 上原正吉

    ○上原正吉君 私は現在のアルコールの専売が意義を持っておるとすれば、アルコールは飲料に供される、そしてこれは十分な管理ができてないと、酒税の収入に大きな影響を与える。だからアルコールを専売にして生産の設備政府が掌握しようとしておる、こう解釈するわけなんです。そうなんでしょうか。
  95. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 私どもの考え方といたしましては、基本的には関係の化学工業その他の工業に、なるべく安く、また安定した価格で製品を供給したい、いわば産業政策的の見地を基本と考えておりますが、同時に御指摘のように、酒税確保の関係から申しましても、この制度は必要であろうとこう考えております。
  96. 上原正吉

    ○上原正吉君 化学工業の原料として必要なのはアルコールだけでなくて、ほかにたくさんあるのです。むしろアルコールより重要なものが現在はたくさんある、そういうものも大切な工業原料だから、政府が掌握して専売にするということは筋が通らないと思うのです。すると、政府は将来重要な化学工業の原料は専売法を施行して政府がこれを掌握すると、こういうふうなお考えなんですか。
  97. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 現在やっていないものを新規にやるかどうかという点については問題があるかと思います。ただ現在やっておりますことそれ自体は、私は意義を十分持っておるし、また今後企業的にもなかなか困難な面がございます。そういう面から申しましても現在の制度が適当であろうと考えておる次第でございます。
  98. 上原正吉

    ○上原正吉君 そうするとアルコール専売というものは、昔のようにこれを解除して、民間の企業にまかせて、そして自由に競争させるというような考え方は持っていないと、こう解釈していいわけですね。
  99. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) ただいまのとこうそういう考え通産省としては持っておらない次第でございます。
  100. 上原正吉

    ○上原正吉君 私はアルコールは燃料に供されるから重要だと、それから国庫の収入にこれは影響を与えるから重要だと考えておるのですが、むしろ専売にするならば、酒一般を専売にすべきだと、こう考えておるのですが、政府は酒類を専売にするという考え方は持っていませんか。
  101. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) これは国税庁の所管でございますので、私どもからお答えするのはいかがかと存じますけれども、やはり酒の関係は先ほどちょっと申し上げましたように、いわゆる収益専売と申しますか、そういう性格が基本であり、また原料等の関係も現在においても相当違いますし、今後はさらに異なってくるんではなかろうか、いわば目的において異なる点がございますし、ひいてはその指導方針等も異なると思いますので、私どもの立場から、いわゆる産業政策的の見地からのアルコール専売は、現在程度で十分ではなかろうか。その他の点につきましては国税庁の所管でございますので、私としては意見を差し控えさせていただきたいと思います。
  102. 栗山良夫

    栗山良夫君 さっきのアルコール会社のことをちょっと二、三点伺っておきます。そのアルコール会社は例の問題が起きてから、首脳部の入れかえがあって、人がかわっていると。どういう工合にかわったのですか。
  103. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 両社の社長並びに実際上の仕事を担当しておりました常勤重役の入れかえを行なったわけでございます。
  104. 栗山良夫

    栗山良夫君 それはそれぞれ何名ずつですか。
  105. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 片方が七名、片方が五名、両社で十二名でございます。
  106. 栗山良夫

    栗山良夫君 その十二名入れかえをせられた新しい役員の方々は、それはかって公務員あるいはこれに準ずる職責にあった人ですか、あるいは全然民間人ですか。
  107. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 両社の社長は以前、相当以前でございますが、商工省に勤務しておられた方でございます。これはただいま御指摘の不始末の収拾をしていただくという意味も含みまして、社長に就任していただいておるわけであります。その他にはあと一名くらいおったかと思いますが、これはごく例外的でございまして、それだけでございます。
  108. 栗山良夫

    栗山良夫君 それからもう一つ。この売りさばき人に許しておるマージンですね、マージンは不始末ができておった当時とそれからこの和解ができて再出発をしたあことでは、その率はどうなっておるのですか。
  109. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 別段変りはないそうでございます。
  110. 栗山良夫

    栗山良夫君 同一の率ですか。
  111. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) さようでございます。
  112. 栗山良夫

    栗山良夫君 それからもう一つ伺います。先ほど売りさばき人が政府に納める代金は三カ月の余裕期間があるとおっしゃったのですが、それはよくわかりました。大体三カ月ぎりぎりに納められておるだろうと思います。売りさばき人が末端の小売関係からずっと集金をしておるその平均売掛の期間というのは一体どれくらいですか。
  113. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) これはそのときどきの事情によっても違うかと思いますが、通常七十五日ないし非常に長いもので百二十日ということになっておるそうでございます。ただ、その際に必要なものにつきましては担保を取ることを実施しております。
  114. 栗山良夫

    栗山良夫君 この会社のそれぞれの利益率はどの程度に見ておられますか。
  115. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 現在のところ先ほど申しました政府に対する債務がございまするので、両方とももちろん配当はいたしておりません。経営上利益の範囲内においてその債務を納付することになっておりますので、何と申しますか、要するにそれが完済されるまでは少くとも黒字にはならないと、こういう状態でございます。
  116. 栗山良夫

    栗山良夫君 黒字にはならないというのは、黒字にしないように操作しておられるわけですか。
  117. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) さようでございます。
  118. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうしますと、黒字にしないように操作しておられる内容というものは、どういう工合にやっておられるのですか。
  119. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 和解をいたしました際、約三億円の債務を持っておりました。これを一方は昭和三十二年、一方は三十七年までに年賦で弁済すると、こういう契約をしておりましたので、会社といたしましては、一応年賦相当額をその都度債務に計上すると、こういう経理の仕方をいたしておるようであります。ただし、剰余金がそれ以上にあります場合は、さらにその和解をした年賦額にこれを追加いたしまして、余裕のある限り弁済をすると、こういう契約になっておりますので、その余剰のありました場合は、さらにそれに相当する債務を計上して落していく。でありますから、結論としては、先ほど申し上げましたように、完済するまでは、利益が出ればそれだけ債務も追加計上して落していくわけでありますから、完済までは利益は出ない、こういう仕組みになっております。
  120. 栗山良夫

    栗山良夫君 要するに、政府の操作されておるのは、両会社とも収支計算においてはプラス・マイナス、ゼロ、全然利益率ゼロと、こういうラインを敷いて、そして債務だけは即納できるようにしてあると、こういうことですね、そうしまするというと、私は一つ疑問が出てきたのですが、それはマージンが再建をするために再建前よりも少しでもよく見てあるということであれば、あるいはそういうことが理解できるのだが、事件が起きる前と今日とではマージンの率が同じだと、こういうことになって、しかもその同率で再建後はこれだけの負債を年々返して行くんだと、そんなふうに余裕があるというのに、再建前はどうしてそんな焦げつきを作って、べらぼうな負債を出して国に迷惑をかけたかということが一つ疑問になるのです。これは当時決算委員会でも問題になりましたけれども、はっきりした答弁がなかったのです。まあ通俗な言葉で言えば、うやどやに済んだのです。その点が第一の疑問です。それから第二の疑問は、三カ月、国庫収納について余裕が与えてありますが、当時問題になったことは、国の方へは三カ月あるいはそれ以上とって焦げつきにしておる。そうして小売の方からは苛責なく集めて利子かせぎをやっておったということが、当時だいぶ指摘された。私はこの点は記憶に残っておるのです。それをやって焦げつきを出したというので、当時だいぶ非難を受けた。今日も伺いますと、通常七十五日ということでありますが、そうするというと、これは二カ月ちょっとですから、日歩で勘定したって相当多額な金ですから、これはやはり利益が出てくる。そういう点について通産省としては、これは局長今おいでになりませんでしたから、この質問がどういうところから出ておるか、あとで説明員からお聞きを願いたいと思いますが、私が今たださんとしておるところはどういうところか一つお聞きを願いたいと思いますが、そういう点になお多分に疑問を持っておりますので、この次に御答弁を願うときまでに御準備を願っておきます。
  121. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 詳細の事情は私承知いたしておりませんが、大筋は、ただいま御指摘のように、いわゆる終戦後のああいう道徳的な波乱のときにおいて、まあ不良な幹部がおりまして、これが不良な金融ないしは浮き貸しと申しますか、そういうことをやったのが主として今の原因であるというふうに承知いたしております。その後もちろん会社自身として職員の整理でありますとか、経費の節約、その他の整理をやったこともございますが、実はただいま御質問の点は、私も参りましたときに疑問を持ちまして、いろいろ調べてみたのでございますが、普通薬局その他で売っております小びんに入れて、いわゆる一般用と申しておりますが、先ほど来御説明いたしておりますのは工業用の分でございまして、これが全体の八割以上になると思いますが、その他に家庭で使いますうがいのためのアルコールランプをつけるとか、そういう小口需用のために一般に市販しておるものがございます。これは工業用の値段で売りますと、これが直ちに酒の密造に使えるわけでありますが、この分につきましては酒税相当額と申しておりますが、要するに酒と同じだけの税金を加えまして売っておりまして、具体的に申しますと、工業用の分は八万三千円くらいで一キロリッター当り売っております。それから輸出用その他でありますと、六万円とさらに値引きして売っております。いわゆる一般用の分につきましては、キロリッター当り三十八万円程度で売っております。普通のガラスの二合びんくらいになりますと、普通の揮発油と言われておりますびんにいたしまして大体百円くらいで売っております。それでこの需要が最近相当ふえております。会社といたしましても、このいわゆる一般用の販路開拓については、いわゆる会社の工業的な意味において相当努力を払っております。従いまして、そういう非常に有利に売れる分の収入がふえております。もちろんそのうちの酒税相当額は国庫の方に納める関係がありますが、要するに、そういうふうにして売り上げをふやす、有利なものの扱い方をふやすというような点において、それだけ手数料は同じであっても、年賦金を弁済し得るという状況にきておるわけであります。しかし基本的には先ほど御指摘になりました通り、当時欠損を生じましたのは不良な幹部の背任行為によって生じたのであります。普通に努力してやっておれば、ある程度の利潤は原価上見ておるということであります。それから、最近はそういうわけで、以前に不始末いたしましたので、われわれはもちろんでありますが、会計検査院におきましても特に常時監督の目を光らしておりますので、今後はこういう不始末は絶対ないと、こういうふうに確信をいたしておる次第であります。
  122. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまの、その前の借財を出したということは一体どういうことですか、ちょっとお伺いいたしたいと思います。
  123. 菊地順一

    説明員菊地順一君) ずっとこまかい明細もございますが、要するに浮貸し的な行為によってそれがかけ倒れになった、そのために政府に納入すべき資金に支障を生じたというのが主たる理由であります。
  124. 海野三朗

    海野三朗君 それはどういうふうに政府としては処分をされたんですか、その人たちの責任に対しては……。
  125. 菊地順一

    説明員菊地順一君) 責任者は背任罪で告発いたしまして、ただいま訴訟を継続中であります。それから債権関係は昨年の二月頃だったと思いますが、裁判上の和解をいたしまして、会社の経理上可能な限り年賦で弁済するということで、その後は順調に入っております。当初の予定以上に促進されておるという現状でございます。
  126. 海野三朗

    海野三朗君 このアルコール専売によって、どれだけの利益が年間ありますか。
  127. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それに関連して、利ざやなんか何ぼとっているのですか。それからほかの専売、たばこなんか、元売捌人の利ざやの比率はどういうふうになっておるのですか。
  128. 菊地順一

    説明員菊地順一君) 最近の実績で申しますと、昨年度の売り上げは約三十億でございます。それに対しまして、国庫に納付いたしました額が約七億七千万円でございます。しかしこのうちには前年度からの繰り越し、その他の関係もございまして、いわゆる利益金として考えられるものは約五億円でございます。これは先ほどちょっと申し上げました、そのほとんど全部は一般用として小びんで一般に自由に販売しておる分の収入でございます。それからその他の工業用につきましては、これは要するにコストが下れば、それだけ値段を下げるという建前をとっておりますので、最近におきましても、昭和二十六年の一キロ当り十二万七千円が最高でございまして、その後十万円、九万円というふうに毎年下げて参りまして、現在は八万三千円ということにいたしております。従いまして、一般用以外は、これはコストが下ればそれだけ値下げの方に使って参る、こういう関係でいたしております。他の専売、私詳しくは存じませんが、これは常識的にコストよりまあ税収の分が数倍ということは常識でございますので、アルコールの方はただいま申し上げましたように、一般用の分についての利益を中心として国庫に納入しておる。工業用の方からは利益を期待しない、こういう建前で運用いたしておるわけでございます。
  129. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと関連しまして、平均して利ざやは何ぼもらっているのですか。一体元売売捌人は政府のものを扱って、何ぼの利ざやをもらっているのですか。絶対数はわからないでしょうが、一体何ぼの歩をもらっておるかということがわかりいいと思って……。
  130. 菊地順一

    説明員菊地順一君) 全体を平均いたしまして、販売会社の利ざやと申しますか、約七千円でございます。ただし、これには運賃、容器代等を含んでおりますので、純益はごく一部であります。
  131. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 一キロ当り平均して何割の利益になるのですか。
  132. 菊地順一

    説明員菊地順一君) 販売価格が工業用とその他のと異なっておりますが……。
  133. 吉野信次

    委員長吉野信次君) だから平均……。
  134. 菊地順一

    説明員菊地順一君) 八万五千円、一キロ当りに考えております。それからいたしますと、七千四百円でございますから、八%弱という程度だと思います。
  135. 海野三朗

    海野三朗君 そうしますと、年間の、ただいまのお話では利益金が約五億。そうしますと、そのうちからやはり人件費とか、いろいろなものを差し引かれるわけですか。それで年々返済して行くお金は昭和三十六年までどれくらい年返済して穴埋めをやっておるわけですか。
  136. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) ただいま申し上げましたのは、五億円と申しますのは、アルコール特別会計から一般会計に納付しております額が五億円でございます。これは純粋にそれだけ財政収入になっておる。ただし、この点については一体工業用アルコールから、そういうものを期待することはどうかという問題は一つあると思います。現在はその酒税相当額は国庫に、一般会計に納付する、こういう建前をとっております。それから販売会社に対する債権でございますが、和解いたしました際は約三億円ございまして、現在の残高が約二億円でございます。それで二社別々に和解の契約をしておりまして、一社は昭和三十二年の終り、一社は昭和三十七年の終り、こういう契約になっておりますが、先ほど申し上げましたように、最近業績も大体順調に推移いたしておりますので、その和解条項の期限よりはある程度繰り上って完済になるものと考えております。
  137. 海野三朗

    海野三朗君 そうしますと、これはもう返済してしまえば、あとはその会社利益になるということになりますか。
  138. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) その際にこの販売会社の利幅をどう見るかという問題になって来ると思います。それで、やはりこれは販売会社と申しましても、いわば公益的性格を持っておる会社でございますので、一般企業として適正な程度の利益は別でございますが、それ以上に余剰のある場合には販売価格の面それを調整いたしまして、最終製品の価格の引下げにこれを使いたい、こう考えております。
  139. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は一つ重複するかもわかりませんが、重ねて伺いたいのですが、先ほどの、これを民営に移したらどうだという御意見につきまして、私は非常に傾聴に値いするものだと思うのですが、民営に移さないで、現在のままがいいんだという一番大きな理由はどういうわけですか。これは戦時中出発したものであって、この専売法が出発した当時の戦時立法ですね。その当時の事情というものはもう解消しているのですから、現在なおこの制度を残さなければいかぬという一番大きな理由ですね、こまかなものは別として……。どうしてもこれでなきゃいかぬ、民営に移せないのだという大きな理由を。
  140. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) いろいろこまかい点を申し上げればございますけれども、端的に申しますと、産業の政策に応じたできるだけ安く、しかも安定した製品を供給するためには、やはり現在の制度を維持するのが適当であろう、こういう考えを持っておるわけであります。
  141. 河野謙三

    ○河野謙三君 私もその安いか、商いかの問題が一番大きな問題だと思います。そこでここに官営のものと民営のものと二つありますね。このそれぞれの民営、官営の工場についての精細な原価計算等をされて比較検討をなすったような資料はございますか。
  142. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 会計の制度が違いますから、これは直ちにこれで比較するということも困難かと思いますが、要するに消費者の負担になる最終的の原価というものを申し上げるのが一番手っ取り早いと思います。それで申し上げますと、二十九年度の実績で見まして、なまイモを原料にいたしております場合は、キロ当り官営工場の方が七万四千九百円、民営工場の方が八万五千二百円、それから糖蜜を原料にいたしております方が、官営工場の方が四万五百円、民営工場の方が四万二千三百円。これは比例費だけを申し上げましたので、その他に若干の固定費等もございます。まず結果的にこれが消費者の負担になっておるわけでございますから、もちろん賃金ベース等の違いもありますから、直ちにこれでどうということは申し上げられませんが、要するに最終的に消費者の負担になっておる額はこれであるということを申し上げれば一番手っとり早いかと思います。
  143. 河野謙三

    ○河野謙三君 私がこれをお伺いしたいのは、原料関係も同じ条件で出発して、そうして製品となっての運賃関係等を一応考慮して、いわゆる工場渡しの価格でですよ、それから一方民営の会社は公租公課、償却、いろいろあるでしょう、そういうものを一応官営の工場と同じ条件まで引きまして原価計算した場合にどうなるか、そういう計算をされたことがございますかというのです。私は突然ここでそういうむずかしい、こまかい問題について御即答を得ようとは思いませんから、至急そういう計算もされて、そうしてそういう計算もされたその基礎の上に立って、民営是か非かという結論をお出しになるべきであって、はなはだ私言い過ぎかもしれませんけれども、そういう基礎になる原価計算もこまかく検討しないで、そうして今までの専売制度そのままがよろしいんだ、こういうことは少し私は政府としては慎重を欠いているのじゃないか、こう思うので、私は官営か、民営かという問題につきましては、そういうことは考えていないということじゃなしに、十分検討の余地があるということで、もう少し検討をされたらいいのじゃないかと、こういうふうに私は思うのですよ。これは私は特に政務次官にお伺いしたいのですが常識から行けば、同じ条件のもとに出発すれば、官営より民営の方が安いということは、これは当り前なんです。ただ、民営であっては取締りができないとか、その他いろいろな条件であるやむを得ざる事情のために官営というものはあるけれども、そうでない限りにおきましては、これはもう何と申されたって民営の方が安いことは当り前なんだ。現在アルコールがもう生産費が安いか、高いか以外に、それ以外にこのアルコールを専売にしておかなきゃならぬという条件は、ごく微々たるものは別として、大きな問題にすれば残った問題はないと思うのですよ。そういう意味合いで御検討をなさる御意思があるかないか、それとも検討の余地なし、もうこれこれこういう事情で、これは専売で行くんだということなのか、これは政務次官に一つお答え願いたいと思います。
  144. 島村一郎

    政府委員島村一郎君) 御説はまことにごもっともだと存じます。それはひとりアルコールの専売の問題だけではないと存じます。他の問題も含めて検討いたして参りたいと存じております。
  145. 河野謙三

    ○河野謙三君 もちろん他にもありますけれども、このアルコールの専売のことについては御検討なさる御意思があるかないか、検討の余地なしとおっしゃるのか、大いに検討いたしましょうということなのか、それを伺いたい。
  146. 島村一郎

    政府委員島村一郎君) もちろん検討いたす予定であります。
  147. 上原正吉

    ○上原正吉君 今の質問の関連でですけれども、今お述べになった値段は、民営の場合のものは、民間から政府が買い上げる値段であり、官営の場合の値段は政府のコストだと、こう聞いて間違いありませんか。
  148. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 先ほど申し上げましたのは、原料費、副原料費、機関費、動力費というような、いわゆる比例費の合計を申し上げたのであります。従って公租公課とか、その他の負担は入っておりません。もちろんこれは買上価格の基礎になるものでございますから、これにつきましては実地に工場等も調査いたしまして、帳簿その他について調査した結果の数字であります。
  149. 上原正吉

    ○上原正吉君 私は民間の工場で作ったものの値段というものは、民間から政府が買い上げる値段ではないのですか、こう聞いておるのです。
  150. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 先ほど申し上げましたのは、比例費の合計を一番比較的比較の強いものとして一例として申し上げたのであります。
  151. 上原正吉

    ○上原正吉君 そうすると、民間から政府が買い上げる値段は、つまりこの法律による賠償金ですか、それはその値段とは別ですか。
  152. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) このほかに固定費、それから若干の利益その他を加えまして買上価格といたしております。
  153. 河野謙三

    ○河野謙三君 先ほどの原価計算は資料として頂けますか。例えば各原価計算の項目別にその中の原料費が幾ら、事務費が幾ら、こういうことで原価計算の形式に基く資料は頂戴できますか。
  154. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 十分御満足の行く程度のものが差し上げられますかどうかわかりませんが、できるだけ御参考になると思われるものを取り出しまして差し上げますことにいたします。
  155. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は決して疑うわけじゃありませんが、今お話のように、どうしても民間から買い上げる価格というものは公租公課を引いて、しかもなお先ほどお示しのように価格の開きが出るとは、どうしても常識上納得できない。でありますから、あなたに失礼でありますけれども、原価計算の様式に基いて原価計算をして一つお示しをいただきたいと、こう思います。
  156. 栗山良夫

    栗山良夫君 実は私先ほども河野さんの質問の中で、民営ならば必ず安いのだというような前提のもとに御質問になったのですが、これについて通産省は全然反論になっていないのですがね。そういうことでいいのですか。私は民営が必ず安いということにはいろいろな前提条件がなければいかぬと思うのです。たとえば国の財政投融資を期待しておるような民間産業というものもあれば、完全に自己資本だけでやっている民間事業もあれば、いろいろなその形態があるのです。従って民間事業だから官営よりは安いのだという即断がそのまま成り立つとすれば、僕はこの間できている電源開発会社というものは、民主党の政府は、さらにあれを大きくして電気代を安くしたい、民間の電気会社などはだめだというのです。そういう理屈などはおよそ成り立たないものである。そういう工合に簡単に私は割り切れないと思うのですが、通産省は、委員質問に答えられるのに、間違っているところはやはり反論してもらわなければ僕らは困る。
  157. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) これは高いか安いかということになりますと、これは民間側にもいろいろ御意見もあるかと思います。実は毎年買上価格をきめます場合にそういう議論をやっておるわけであります。ただしかし、たとえば昨年のように、大体なまイモ一貫目三十円そこそこというふうに予定いたしまして生産計画を立てておったわけでありますが、現実には四十円をこすというような現状になりまして、そういう際には最初の計画では大体生産量の半分近くがなまイモで行くという計画をしておったのでありますが、そういう状況になりまして、逐次関係の工場には買付を停止する指令を出しまして、糖蜜の方に切り替えたわけであります。で、そういう場合に民間の工場にもある程度御協力をお願いしたのでありますが、これはもう非常なトラブルと申しては言い過ぎでありますけれども、なかなか円滑に行かなかったわけであります。またそれは民間企業立場としては当然の点があろうかと思います。しかし、そういう場合に官営工場におきましては比較的機動的な措置がとれる、それで糖蜜自身の値段にいたしましても、これは御承知のように主としてフイリピンから、一部台湾から買い付けておるわけであります。これ自身非常に価格の変動が多いわけでありまして、これも昨年来交渉いたしまして、トン当り確か二十四、五ドルのものを二十一ドルに値下げをしたわけでありまして、日本が一番の大口の買手でありますけれども、そういう場合におきまして、民間が買い付けになっておりますと、もう商社の手に渡ったものを途中で振りかえできない、また原料転換等にもこれは非常に問題が多いと思います。それから今後石油化学なり、あるいはパルプ廃液から非常にコストの安い原料ができるという場合におきましては、これは官営工場自身についても真剣に検討しなければならぬ問題がございます。またわれわれとしては、安い原料を供給するためにはそういう決意を持っておるわけであります。そういう場合、そういう関係で醗酵工業全体の前途が非常に多難でございますし、現実にそういうふうに機動的に切りかえをしなければならぬ場合が再三ございます。それから払い下げの実情から申しましても、当初北海道の二工場を払い下げたわけでありますが、これは結果的には二工場ともつぶれたといっては極端でありますが、結果的にはそういう状態になったわけであります。それからその次に九州の島原、高鍋の二工場を払い下げたわけでありますが、この際には、払い下げを受ける側において、一定量の原料を将来にわたって原料割当を保証しなければ契約を結ばないというようなことでございまして、最小限度の原料供給の実は約束をしておるわけであります。これを今後どうするかという点も実は苦慮いたしておるわけであります。現在の情勢はその当時よりさらに醗酵工業としては悪化しておりますので、そういう原料割当を保証することで払い下げをいたしましたのでは、これは払い下げの実益上あまり効果もないというわけで、その他いろいろ官営工場自体としも、いかにして集中生産をやるかという問題も真剣に検討すべきでありますが、これも労働問題等に十分の準備をいたした上でないと実行することが困難だと思います。いろいろ考え合わせまして、現在のところかりにこれを払い下げてやるといたしましても、おそらくそういう原料割当の保証のない限りは、実際問題として問題にならない点があるというのが現状であります。(河野謙三君「わかりました」と述ぶ)その点は一つぜひとも御了承をお願いしたいと思います。
  158. 河野謙三

    ○河野謙三君 今、栗山さんからのお尋ねは、私が何でも官業に反対しているかのようなふうなことを申し上げたようにお取りになったかもしれませんが、私はそう言っておるのじゃない。官業には官業でなければならぬ理由があるわけなんです。これは公共の利害に非常に影響があるとか、また一部官業にすることによって民間工業を刺激し、もしくは民間工業の暴利を牽制するとか、こういうことでおのずと官業には官業の理由があるのですが、今のアルコールの専売につきましては、先ほどからの御説明ですと、一番専売をこのまま持続しなければならぬという大きな理由はコストの問題にかかっておるようでありますから、コストの問題だけのことになってきますと、私は必らずしも官業というものにとらわれないでいいのではないか、こう思うのです。余談ですけれども、たとえば官業でなくても、澱粉工場で民間の人が民間の個人の企業でやっている澱粉工場と、農業協同組合がやっている澱粉工場と、この一体成績はどうなっておりますか。これはすでに御承知のように、農協のやっている澱粉工場というのはみんなコストが高いのですよ。これは大体原料の仕入れがまずいのです。それから固定費がよけいかかっている、人件費がよけいかかる。でありますから、民間の個人もしくは会社がやっている澱粉工場に対して農協がやってさえも、しかも競争ができない。しかしこの農協が澱粉工場をやるというのは、もうかる、もうからぬという直接の利害以外に、農協がイモの処理を澱粉工場においてやるということによって、イモの価格をある程度コントロールするというところに大きな理由があってやっておるわけです。だから私は能率という点から言えば、栗山さんはいろいろおっしゃるけれども、能率そのものからいっても農協と個人と比較しても農協の方が悪いのであって、これを官業にしたらさらにもっと能率が下るのは当りまえです。能率以外の理由があれば別でありますけれども、能率だけからの理由によって官業の方の能率がいいからという結論を出されても、民営に対して検討をする余地がないというような通産省の態度であってはならないと思います。私は官業をやめろというのではない、もう少し両者検討されるだけの含みがあってしかるべきじゃないか、こういう意味ですから、栗山さん、どうぞ誤解のないように……。同時に私がお尋ねいたしました、又要求いたしました資料はぜひ御提出願いたい、こう思います。
  159. 栗山良夫

    栗山良夫君 了解しました。了解しましたが、まあ私は社会党のものですが、われわれの経済政策は基礎産業の国有、国営をやっているわけですよ。やはりそのときには現在の産業を維持するには能率論は非常に重要なエレメントであることは否定しません。官営が民営より能率が低いというそしりを受けるような官営というものは大いに反省すべきだと思います。そういうくたびれた官営ではだめなんですが、なおかつ産業を維持して行くもう一つのエレメントは資本なんです。その資本を国の財政投融資において、国民の負担において産業を育成するか、しないかということについて、これは問題があるのであって、一般産業の理論から言うと、なかなかそうは参らぬと思いましたが、河野さんが今はっきりさしていただいたので了解しておきます。しかし政務次官はそのことに一ぺんに賛成されたが、これは少しおかしいですよ。(笑声)
  160. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと私から、さっき申し上げた法案とは直接関係ないのですけれども、扱っておるアルコールの平均の利ざやは何ぼかということですね。何か八分だということになったんですが、仮に平均八分の利ざやを、営業費、人件費というのに何ぼの割合で使っておるか、結局救済のなしくずしというものに、その利ざやの中の何ぼが回っておるかということをこの次までにお調べ願いたい。ということは、もしその八分の利ざやの中で相当の割合のものを救済のなしくずしの方に向けておるということになると、その跡始末を国民大衆の負担においてこれの尻を拭う、こういうことであって、政府はそれは債権者として貸した金を取れて安心かもしれないけれども、そういう見地から言うと、むしろ債権を取り立てる期間はもっと長くても、その費用、値段は、さっき聞くと何だか取れるだけ取れるというようなお話がありましたが、それを別にいい悪いと、そのことを私は批評する考えもなし、何にもないんだが、とにかく二つアルコール会社というものの性格についてさっきから問題になっていますから、そこをどういう割合のものであるかということを、この次でいいから、いい悪いを言うのじゃないのです。一応お調べがついたらこの委員会資料をお出し願ったらけっこうだと思います。これを申し上げておきます。
  161. 島村一郎

    政府委員島村一郎君) ただいまの栗山さんのお言葉にお返しじゃないのでございますから、どうか御了解をいただきたいと思います。現在といたしましては、通産省はやはり専売制度で行くべきだ、これが最善だとは考えておりません。しかしもっといい案がありますれば、これを採用することにやぶさかでないと存じます。でありますから、できるだけ一つ検討いたしまして、いい案があるかどうかということについて勉強してみたい、そういうことでありますから、どうか御了承願います。
  162. 海野三朗

    海野三朗君 今、委員長が言われましたその点でありますが、局長に私お願いしたいことは、そこの利ざやをはっきりきしてもらいたい。しかし今借金を、通産省が入って、そうしてだんだん切りくずしにして行くんだというお話は、まことにけっこうなことでありますが、その後のその利益に対してどういうふうなお考えであるか、まことにけっこうなやり方ですよ。相手は政府の金だから、大したことはないという道義的観念の衰退したときでありますから、それはやむを得なかったでありましょうが、その後順次正常な姿に立ち返っておるのでありますから、やはりそういうところ、あとからの措置、それをはっきり、つまり国民の疑念を払うためにもはっきりさしていただきたい、そういうふうに私は思いますので、この次までにその辺の資料一つ提出願っておきたいと思います。
  163. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時十九分散会      —————・—————