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1955-05-31 第22回国会 参議院 商工委員会 第12号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十年五月三十一日(火曜日) 午後二時三分開会
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
吉野
信次
君 理事 古池 信三君 高橋 衛君 山川 良一君 三輪 貞治君
委員
小野 義夫君 河野 謙三君 海野 三朗君 白川 一雄君
苫米地義三
君
政府委員
公正取引委員会
委員長
横田
正俊
君
事務局側
常任委員会専門
員 林 誠一君
常任委員会専門
員
山本友太郎
君
常任委員会専門
員
小田橋貞寿
君
常任委員会専門
員 桑野 仁君
常任委員会専門
員
内田源兵衛
君
説明員
公正取引委員会
事務局調整課長
丸山 泰男君
—————————————
本日の会議に付した案件 ○
過度経済力集中排除法等
を
廃止
する
法律案
(
内閣提出
)
—————————————
吉野信次
1
○
委員長
(
吉野信次
君) それではこれより
委員会
を開会いたします。
過度経済力集中排除法等
を
廃止
する
法律案
、これを議題に供します。この間
政府
から
提案
の
理由
だけは一応
説明
を聞いたのですが、何か
政府
から補足して御
説明
でもありますか、あれば伺いたいと思います。
横田正俊
2
○
政府委員
(
横田正俊
君) この
法案
に関しまして特に先日の
提案理由
につけ加えます点はございませんが、
過度経済力集中排除法実施
の
経過
というものをプリントにいたしましてお手元に御配付申し上げておりますので、詳しいことはそれについてごらん願いたいと思います。前に
提案理由
で申し上げましたように、この
法律
によって
指定
されました
会社
は御
承知
のように二百五十七社というおびただしい数に上っておったわけでございますが、その後
アメリカ
の
占領軍当局
の方にもいろいろ
事情
がございまして、御
承知
の五人
委員会
というようなものがこちらへ参りまして、これはどうも少し
日本経済再建
のために多少
行き過ぎ
であるということを
占領軍当局
の方で認めました結果、正式に
指定
になりましたものは非常に数が少くなりまして、その大部分は
指定
が解けたということになったわけでございます。そして
指定
されましたものにつきましては、順次に
手続
がとられまして、これは御
承知
の
持株会社整理委員会
で処理をいたしておったわけでございますが、その跡始末を
公正取引委員会
が引き継ぎまして、これが今回
廃止
しまする
法案
の中に
一つ公正取引委員会
に
事務
を引き継ぐ
関係
の
法律
がございます。その
法律
の
規定
に従いまして
公正取引委員会
に
事務
の引き継ぎがございまして、引き続き
委員会
で注意しておりましたが、つい最近になりましてその全部につきまして
終結決定
が行われたわけであります。なおすでに前の
国会
にこの
廃止
の
法案
をおかけするというようなこともあったのでございますが、その当時はごくわずかでございましたが、まだ残ったものがございましたので、
一つ
延びましてこの
国会
にこの
廃止法案
を提出することにいたした次第であります。 なお、この
持株会社整理委員会
はすでに消滅いたしておりまするし、これらの
法律
もここで
廃止
になりまして、その後は結局
独占禁止法
が、こういう
経過
的な
法律
でなく、
日本
の今後の
経済
の
あり方
を示す
一つ
の
法律
といたしまして残りましたわけでございまして、
あと
は
独占禁止法
で処理せられることになるわけでございます。従いまして、この
集中排除法
で処理せられましたものも、さらに
独占禁止法
の
観点
から見直しますれば、あるいはこれほど
集中
を排除する必要のなかったものもあるのではないかと思われます。要するに、それらの点は、今後
業界
のいろいろな
動き
とともに、
独占禁止法
の線に沿いましそれらの点があるいは修正せられるという場合も出てくることかと思うのでございす。この点も前回簡単に申し上げた
通り
でございますが、一言つけ加えて申し上げておきます。
吉野信次
3
○
委員長
(
吉野信次
君) これはよく見ないでお尋ねしちゃ悪いのですが、
過度
の
経済力集中排除法
というものをよく克明に見てお尋ねしないといかんのですが、
経済力
の
集中
が
過度
になれば、それはまあその
過度
の認定というものはむずかしいと思いますが、ただそのことの客観的事実といいますか、その事実だけで排除するのですか。
過度
に
集中
されましても、
理論
上からいえば
国民経済
に
利益
こそあれ害のない場合もありますわね。そういう場合もそれにかかわらずとにかく大きいものはいかんのだと、こういう
法律
ですか、大体立法しましたその
方針
で処理されたのですか、ちょっと伺いたい。
横田正俊
4
○
政府委員
(
横田正俊
君) 大体
過度経済力集中排除法
はややそれに近い
考え方
でできております。それに反しまして
独占禁止法
は、実は一昨年
改正
になりました前にはややそれに近い
規定
もあったのでありますが、それも一昨年削除になりまして、
独占禁止法
上は
経済力
が大きいということ自体が違法という
考え方
をとっておらないわけであります。
吉野信次
5
○
委員長
(
吉野信次
君) それからもう
一つ
、今の
お話
で、まあ少し
行き過ぎ
のようなやつで解体されたものが今日また一緒になるということも将来あり得るわけですか。人については、人というか、その当時の
重役
ですね、何か私よく知らないが、それに
指定
されると、そのときの
重役
というものはみなやめなきゃならぬでしょう。そうすると、人の
関係
は、どうもやめてしまえば
あと
どうすることもできないで、ずいぶんみじめなことになった人もあったと思いますけれ
ども
、それは
切り捨てごめん
で、どうにもこうにもしようがないという、こういうこれは
建前
なんですね。
横田正俊
6
○
政府委員
(
横田正俊
君) その人事問題につきましては、やはりいろいろ非常にやかましい
規定
がございまして、いわゆる
一種
のパージが行われたわけでございます。あるいは
一つ会社
に、たとえば
三菱系
の
会社
には、
三菱
のかつて社員であった人は百人以上は置いてはならぬという、非常にやかましい
規定
があったわけでございます。しかし、それらの
関係
の
法律
は、現在はもうなくなりましたから、
理論
的にはそういう
制約
は全然なくなったわけでございますが、ただすでに時期的に申しまして、そういう方が
実業界
からだんだん遠ざかられまして、今さらもとの
業界
に復帰するということが事実上困難になっておる場合はどうもいたし方ないのでございます。しかし、これも場合によりましては、また昔の方がお帰りになって、仕事が、ほかの
関係
が許されるならば、そういうことは一向
法律
的にはその点は妨げがないことになっております。
吉野信次
7
○
委員長
(
吉野信次
君) お尋ねありませんか。 これは大体臨時の法でしょうから、もう過ぎちゃたものだから、これを今どういうふうにといってもしようがない問題だと思いますが、むしろ問題は
独禁法
ですか、その方の点に、これが
運用
について、あればあるのだろうと思うのです。それに私が、
委員長
があまり発言しては悪いのですけれ
ども
、ほかの
委員
の方がお尋ねがなければ、
独禁法
に関連しまして、大体私もよく
内容
をしさいに読んでおりませんけれ
ども
、
アメリカ
の
占領時代
にできた
法律
が尾を引いているのだろうと思いますので、そうすれば
取引
の
制限
というものに関する
アメリカ
の
思想
というものがやはり
一つ
の根底になっておるのじゃないかと思うのです。大変こまかいことを申し上げるようですけれ
ども
、大体
取引
の
制限
、いわゆるリストレイント・オブ・トレードというものの
観念
は、御
承知
の
通りイギリス
のコンモン・ローで違法とされたというのが始まりであって、それを
アメリカ
に来て、なぜああいう
シャー
一
マン法
みたいな
法律
になったかというと、当時の特殊の
事情
があったことは御
承知
の
通り
だと思うのです。あのときに
カーネギーはじめロックフェラー
にしても、いわゆる
事業界
の天才が出まして、非常な強大な
経済力
というものを乱用したので、ああいう立法が出て、それから後に
グレイトン法
に発展したという
事情
がありますから、どうも
カルテル
、
トラスト
というものに対する取り締りの非常な峻厳なことにおいては、
アメリカ
が一番であって、
世界
に例を見ないのだろうと思うのです。それですから国によっては、むしろ
カルテル
というものは助長こそすれ、これを取り締らないという国柄もあることは御
承知
の
通り
だと思います。そこで
日本
の現状において、
日本
の明治以来産業の発達した過程をよくお
考え
になって、
アメリカ式
のこの
カルテル
、
トラスト
をむしろ罪悪とするような
思想
の
経済政策
というものは妥当であるとお
考え
になるかどうか、まずその点を
一つ
伺いたいと思います。
横田正俊
8
○
政府委員
(
横田正俊
君) ただいまのは非常に基本的なむずかしい問題でございまして、いろいろ
考え方
の分れるところでございますが、ただいま
公正取引委員会
として、大体
考え
ておりますることを申し上げてみようかと思いますが、
日本
の
独占禁止法
は全く
アメリカ
の
法制
な移し植えたものであることは御
承知
の
通り
でございます。そうして移し植えたのみならず、事柄によりましては、
アメリカ
の
法律
よりもさらにきつい面すら出ておったわけでございます。これは
独占禁止法
及びその後にできました
事業者団体法
というのがございますが、この
二つ
をあわせましてその当初の形を見ますと、きわめて
アメリカ
の
法律
よりもむしろ峻厳な
法律
になっておったわけでございます。これは
制定
当時からすでにいろいろな批判の対象になっておったのでございまして、常に
国会等
におきまして、その
改正
が論議せられて参りましたが、
何分
にも
占領
当時におきましては、若干のごくわずかな
改正
は
司令部
許してくれましたが、基本的な問題に触れます点につきましては、ごうも
改正
を許すという態度に出て来なかったために、
かなり
長い間その形で推移して参ったわけでございます。 なお、
法律
の
施行
も、そういう
司令部
の
方針
でございますから、
法律
がきつい上に、
施行
につきましても、その担当の役所でございまする
公正取引委員会
に対して、
かなり
やかましい干渉をして参りました結果、
施行
の結果がやはり
かなり
きびしいものであったことは当然のことでございます。幸いにいたしまして、
日本
もだんだん独立を回復する機運に向いまして、ついに
平和条約
というところまでこぎつけました結果、さっそく起りましたものが、この
独占禁止法
を
日本
の独自の
経済事情
に即応したものに
改正
する、
司令部
のいろいろそういう
関係
を全然なしで、
日本
人の頭で
考え
て、これを
日本
の国情に即応したものにするという
動き
が、直ちに、
業界
はもちろん、官界においても起りまして、結局それが結実いたしましたのが、
昭和
二十八年の九月に
施行
になりました
改正独占禁止法
でございます。この
内容
につきましては、ここでくだくだしく申し上げることを省略いたしたいと思いますが、ただいま御指摘の
トラスト
と
カルテル
の点につきまして申し上げますと、
カルテル
につきましては、前の
法律
は、いやしくも
事業者
が
価格
の
協定
、
数量協定
その他につきまして、
協定
をいたしますれば、ごくごくつまらないものでない限りは、すべてそれが当然に違法というようなきついことになっておったわけでございますが、この
改正独占禁止法
におきましては、
カルテル
の
影響
が相当大きな、いわゆる
競争
の実質的な
制限
というようなところまで行きませんければ、問題にしないという線がはっきり出ましたこと、つまり
カルテル
の
影響
を
考え
るということと、それから場合によりましては、そういう
実質的制限
に至りましても、たとえば
不況
を打開するために必要な場合につきましては、
カルテル
の
結成
を認める、あるいは
合理化
を促進するために必要な場合につきましては、
カルテル
を認める、この
二つ
の道を
独占禁止法
の中に開いたわけでございます。もちろんこれは野放しに認めたわけではございませんで、そこには
一定
の
要件
、それから
公正取引委員会
の
認可
というような、
手続
上、あるいは実質的な
要件
としての
制約
はございまするが、ともかくも
二つ
の道が開かれて来たわけでございます。それと並びましてこの
カルテル
につきまして申し上げますと、
独占禁止法
には非常にたくさんの
適用除外法令
がございまして、たとえば
中小企業関係
でございますれば
協同組合
の
行為
は大体特殊なものを除きましては
独占禁止法
の
規定
の
適用
がないというようなことになっておりまするし、また
中小企業
の
一種
の
不況打開
ということにつきましては
中小企業安定法
という
特別法
がございまして、その
調整組合
というようなものを通じまして、いろいろ
不況打開
のための
操短行為
その他の
カルテル的行為
をすることができるように認められておりまするし、あるいは
輸出入取引法
、これは先般の
改正法
と前後してできた
法律
でございますが、
輸出入取引法
におきまして
輸出入
に関しましては特にやはりこれは
認可
というような
手続
上の
制約
がございまするが、
カルテル
を認めるというようなことにもなっております。あるいはその他特殊の
金融関係
、あるいは
運輸関係
、
農業関係
というような、あるいは
海運業
というような特殊の
業界
につきましては、その
カルテル結成
というものがある範囲において認められておるというような状態でございまして、これらの
特別法
と、それから二十八年に行われました
独禁法
の
改正
とによりまして、
アメリカ
によって植え付けられました
独占禁止法
が
かなり
の程度に
日本
的なものになって来ておると
考え
ております。もちろんこれは基本にはやはり
アメリカ
の
考え方
でございまするところの、
カルテル
には
弊害
が伴いがちであるという基本的な
考え方
はやはり
現行法
の中にも残っておるわけでございまするが、しかし実際上の
法律
の
あり方
から見ますと、その点は
アメリカ
の
法制
よりはよほど緩和された形になっておるわけでございます。 それから
トラスト
の
関係
におきましては、御
承知
の
株式
の
保有
、
役員
の
兼任等
につきまして非常識にも近い
かなり
の
制約
が当初の
独占禁止法
にはございましたが、それはほとんど撤廃されまして、いわゆる
競争
の実質的な
制限
をもたらすような場合、あるいは不公正な手段によりまする場合を除きましてはこの
株式
の
保有
や
役員
の
兼任
が
かなり
自由になったわけでございます。これはもちろん
金融会社等
につきましては、たとえば
株式
の
保有
について
制約
はございまするが、その他の一般の
会社
につきましては、
かなり
この点が自由になって来ております。 それから、先ほど
委員長
から御質問がございましたいわゆる
事業
の巨大なこと、
ビッグネスそのもの
が悪いという
考え方
があるのかないのかという点でございますが、この点は先般の
改正
前の
独禁法
には
事業能力
の
較差
という
規定
がございまして、ある
事業分野
におきましてある
企業
のその
能力
が非常にひいでておりまして、その大きさ
そのもの
から
独占
ということが必然的につながって出て来るというような段階になりますと、その大きな
企業
を解体をするというようなことが認められておったわけでございますが、その
規定
は先般
改正
されて削除せられたわけでございます。この前の
考え方
はやや
集中排除法
の流れをくんだような
考え方
でございまして、これはむしろ
アメリカ
が、
自分
が
独占禁止政策
を本国において実行しました結果、やはりそこまで手をつけなければ
独占
による
弊害
を十分に是正できないのではないかという
一つ
の
考え方
からいたしまして、
日本
の
独占禁止法
の中にそれを盛り込んだものと私は
考え
ておりまするが、その
規定
は下手に
運用
いたしますれば
企業意欲
を阻害するというような
弊害
がございますので、二十八年の
改正
の際にそれを取ってしまったわけで、これを取りました結果、たとえば
会社
の
合併
が行われる場合に、従前の
法律
によりますれば、その結果
企業能力
の
較差
が生ずるというときには、
合併
が許されなかったということになっておりますが、
現行法
ではそういう
制約
はなくなったというような結果になっておりまして、
合併
もその
意味
におきましてその他の
要件
に触れますれば別でございまするが、やりやすくなったということは言えるわけでございます。そういうような
観点
からいたしまして、なおこれは二十八年の
改正
でございまして、その後の
運用
、実績というようなものが大いに
考え
られなければならないわけでございまするが、
何分
にもまだ
改正法施行
後間もないことでございまして、もう少しこの制度を動かしてみませんければ、はっきりしたことは申し上げられないと思いますが、私
ども
の
考え方
によりましては、これらの
改正
並びに
適用除外
の
特別法
の
制定
ということと合さりまして、
独占禁止法
が
かなり
の程度
日本
的なものになっておるというふうに思っております。
吉野信次
9
○
委員長
(
吉野信次
君) 私のお尋ねしたのはそういう
法律
の輪郭ではなくて、つまりこういう
企業連合
なり合同なりというものを
アメリカ流
に取り締るというその
政策
が妥当かどうか、
日本
の
現実
から見てですよ、言葉をかえていえば、一体
トラスト
の例についていえば、
日本
の過去の
経済界
において
アメリカ
のあの
シャーマン法
が
制定
当時のような
企業独占
の
弊害
が
現実
にあったのかどうか、そこなんです。だからただ妥当かどうか、しかしこれは
一つ
の
政策
の問題ですからあるいは
取引委員長
としては答えにくいなら答えにくいという御答弁でけっこうです。そこだけをまず
一つ
お聞きしたいと思います。
横田正俊
10
○
政府委員
(
横田正俊
君) ただいま
経過
の
お話
に少し熱中いたしまして、御質疑にまともからお答えいたしませんようでございましたが、少くとも
公正取引委員会
といたしましては、こういう形の修正のもとにおきまする
カルテル
なり
トラスト
の規制というものは、少くとも
日本
の現在の実情に即しておるのではないかというふうに
考え
ておるわけでございます。
吉野信次
11
○
委員長
(
吉野信次
君) そこでだいぶ前とは変った点もよく了承しますし、そうすると
一つ
の例ですけれ
ども
、たとえば
トラスト
ですね……、モノポリイで条文の第二条の五項ですか、
私的独占
の
説明
がございますね。この読み方ですが、「他の
事業者
の
事業活動
を排除し、又は支配することにより、
公共
の
利益
に反して、
一定
の
取引分野
における
競争
を実質的に
制限
することをいう。」とありますが、これは
理屈
ですが、そうすると前に掲げてあることが
公共
の
利益
に反しなければ、そのまま認めてもいいというお
取り扱い
になりますか、なりませんか。それとも
取引分野
における
競争
を実質的に
制限
するという客観的の事実があれば、これがいかなる場合にも
公共
の
利益
に反するというお
取り扱い
になっておるのかどうか、そこを
一つ
伺いたいのです。
横田正俊
12
○
政府委員
(
横田正俊
君)
公正取引委員会
の大体の、これは
いろいろ人
によりまして
議論
がございますが、
公正取引委員会
の今までの
取り扱い
を素直に申し上げますれば、要するに
一定
の
取引分野
における
競争
の
実質的制限
ということが行われます場合は、一応それは
公共
の
利益
に反するというふうに見ておるわけでございまして、この
公共
の
利益
に反するというところにいろいろな
政策
的な、あるいはその他の
考慮
をあまり入れない、入れないで扱っておるというのが実際の
扱い
でございます。
吉野信次
13
○
委員長
(
吉野信次
君) それでしたら、これはただ私の
希望
ですけれ
ども
、そういうお
扱い
になっておるということは、やっぱり
占領治下
の
アメリカ流
の
思想
に多少とらわれているのじゃないか。これは
議論
になりますから、これ以上は申し上げませんが、たとえば
アメリカ
でも、過去の
経済
の歴史をごらんになれば、あれだけ峻厳な
法律
がありますけれ
ども
、
運用
においてはずいぶん
手かげん
をしておりますね。たとえば自動車でも、今日
アメリカ
は、フォード、シボレー、それからパッカードのやつと、それからスチュードベーカー、あのやつと、それからクライスラーですか、たくさんメーカーがあるけれ
ども
、ほとんど
五つ
の方にやっておりますね。これは実際はしかし
価格
の
協定
やなんか実際やっている。表向きのあれはありませんけれ
ども
、しかしこういうものは実質的に市場を支配しているのだな、四つか
五つ
で。
あと七つ
、八つありますけれ
ども
ね。それでも
トラスト禁止法
の
適用
はないのです。
デュポン
が一番いい例でしょう。
デュポン
の場合が、あれだけの大コンツェルンでも、前の
内閣
じゃそれを取り締るようにやったけれ
ども
、結局人が死んだ
関係
もありましょうけれ
ども
、やっておりますから、ただ
公共
の、私はそう思うのですね。さっき申し上げた
通り
、
過度
の
経済力
が
集中
したことそれ自身は大した
害悪
がないのです。それが乱用したときに初めて
害悪
が生ずる。それですから、むしろ
過度
の
経済力集中排除
をするよりも、
ドイツ流
に
経済力
の乱用を取り締るということに私は重点を置くべきものだ、こう思うのですが、これは意見になりますから、これ以上は申し上げません。ただ将来の運営についてそういう点も、殊に
世界各国
のこのごろの情勢をも
考慮
に入れてお
考え
になった方がよろしかろうということを老婆心までに
希望
を申し上げておきます。 それと、もう
一つ
非常に重大だと思うことは、
中小業者
の場合なんです。
自由競争
というものは、
自由競争
というものの何と申しますか、学者の言う結果は、
現実
には現われない場合がずいぶんあるんですな。
理論
的にいえば、
自由競争
によって
能率
の悪いものは倒れて、そうして一番いい品質を一番安く作る者だけが残るという
建前
になっておりますけれ
ども
、
経済
の実際においてはその
自由競争
のアダム・スミス以来の
理論
というものは実現されていないことは御
承知
の
通り
だと思う。それが
日本
の
中小業者
の場合においては特にそれが著しいのですな。だから、
中小業者
の場合に、数が多いから、
自由競争
にやっておけば自然に整理されるだろうと、こう思うけれ
ども
、それは整理されないですね。私はよく言うのですけれ
ども
、つまり個人は
能率
の悪い者はそれは破産して退きますけれ
ども
、その
能率
の悪い
設備そのもの
を二束三文に買う人があると、また新しい
経営者
が出て参りますから、決して
自由競争
の
理論
というものは
日本
の
中小業界
においては全然行われないと言っても過言でないと思う。それからこの間この
委員会
にも出ておりましたけれ
ども
、
原料代
にさえつかないような値段で製品を売るという人が出て来るわけです。そこで、それは困るから、
業界
というものに
一定
の
秩序
を与えるために、
組合
を
結成
してこれを強力にやろう、あるいは必要があれば国家がそれに
強制力
を用いる、こういう行政を私
ども
は過去においてとって来たのですけれ
ども
、そのことを私
ども
はこれは決して
カルテル
、
トラスト
のリストレイント・オブ・トレイドの
観念
じゃないのだ、
理論
的にも。
業界
に
秩序
を正しく立てるというのであるから、これはいわゆる
独占禁止法
なり何なりの何には本質が違うのだと、こういう解釈をとり、今でも私は
理論
的にはそういうものだと信じておるので、従ってこの
適用
で、今
お話
のところ詳しく読んでいませんけれ
ども
、
中小業者
の
組合
にこの
独占禁止法
を
適用除外例
とか何とかいうよりも、一歩進んで私はワクの外にあっていいものだというふうに
考え
ておるのですけれ
ども
、しかしそれは
理屈
ですから、
理屈
は別として、
運用
上私が言うたような場合はこれを全面的にこの
法律
の
適用
から除外するような
建前
になっているのか、あるいは
運用
でどういうふうになっておるのか、その点だけ一応伺っておきたい。
横田正俊
14
○
政府委員
(
横田正俊
君)
中小企業関係
の
規定
は多少複雑になっておりますが、基本的な
規定
は、御
承知
の
独占禁止法
の二十四条にございまして、これは主として
協同組合
を
考え
ておるわけでございますが、この
協同組合
の
行為
につきましては
独禁法
の
適用
を除外するということが
建前
になっておりまして、ただ
中小企業
といえ
ども
やはり
独禁法
上問題にするという点が若干ございまして、それは
一つ
は
中小企業
が団結をいたしまして
価格
を引き上げる、それがただ単に引き上げるだけでなく、著しく不当な
価格
に引き上げる、結局それは主として
消費者
の面におきまして出てくるわけでございまするが、そういうような特殊な場合、本来
中小企業
は共同いたしまして
自分たち
の力を共同によって強めるというところに
意味
があるわけでございますが、その共同の力をより弱い
消費者
の方に向ける、しかも
価格
を非常につり上げるというようなことになって参りますと、その面におきまして初めて
独占禁止法
が働いてくるというような形になっておるわけでございます。その他、先ほ
ども
ちょっと申しましたが、
不況
を打開するための手段といたしましても
独禁法
の中に本来
不況
カルテル
というものを認められることになったわけでございますが、さらに
中小企業
を主体といたしまする業種につきましてはそれをもっとゆるやかにかつ有効な手段がとれまするように特に
中小企業安定法
というような
法律
で
規定
しておるわけでございますが、まあ大体
現行法
も御趣旨のような形にはなっておると思うのでございます。
吉野信次
15
○
委員長
(
吉野信次
君) つまり、今の場合、値段引き上げのことをおっしゃったけれ
ども
、
原料代
にも行かないめちゃくちゃに売っておるやつを正常なコストの値段まで上げることはかまわないのですか。
横田正俊
16
○
政府委員
(
横田正俊
君) 全然ございません。
海野三朗
17
○海野三朗君 私がお伺いしたいのは、最近スクラップの
カルテル
を認められたのでありますが、そのねらいはどういうところにあったんでありますか。
横田正俊
18
○
政府委員
(
横田正俊
君) 最近に銅と鉄のスクラップにつきまして
公正取引委員会
の
認可
ということがあったわけでございますが、鉄の方でございますか。両方申し上げましょうか。
海野三朗
19
○海野三朗君 ええ、両方。
横田正俊
20
○
政府委員
(
横田正俊
君) 実は鉄の方が問題は先でございましたが、正式の
手続
といたしまして
認可
になりましたのは銅の方が先になりましたので、銅の方から申し上げますと、銅は、輸入の銅だけでございまするが御
承知
のように、外国から銅くずを伸銅業者が買います場合に、むやみに
競争
いたしまして非常に高いものを買うというおそれがございます。これは
一つ
は
輸出入取引法
の
運用
をもってあるいは処理できる面もあるのでございまするが、これはむしろ生産業者である伸銅業者が団結いたしまして、そういうばかな買い方はよそうではないかということが主となりまして、結局
独占禁止法
の二十四条の四に基きますいわゆる
合理化
カルテル
の
一種
といたしまして銅くずの購入に関する
カルテル
の申請がございました。三月三十一日に
認可
になったわけでございますが、この方は、もちろんこの銅くずの輸入くずは、全体の所要の銅くずのうちではごく一部分ではございまするが、しかし、それがコンスタントの
価格
で入る、比較的買いあおりということでなく、安く入るということは、結局伸銅業者にとっては非常に
利益
でございまするし、いわゆるコスト引き下げという面に非常に役立つわけでございまして、
合理化
の目的に沿っておりましたので、これを
認可
いたすことにいたしたわけでございます。 それから鉄くずにつきましては、一昨年の幕から問題がございまして、一度申請がございましたが、諸般の
事情
によりまして、昨年の春ごろ一応取り下げになりましたが、御
承知
のようにくず鉄につきましてはいろいろな
価格
の変遷がございまして、その結果ことしになりまして、三月の三十一日に鉄くずに関しまして八幡製鉄ほか十八社から国内のくず鉄の職人の
価格
に関する
カルテル
と、それから輸入鉄くずの購入
価格
、その他の購入方法等に関する
カルテル
と、この
二つ
につきまして
認可
の申請があったのでございます。この輸入につきましては先ほど申し上げましたように、銅くずの輸入と全く同じ
理由
でございます。国内くずにつきましても、やはり御
承知
のようにくず鉄が、これは普通の原材料と違いまして、必要に応じてどんどん生産できるというものではない性格を持っておりまする結果、その
価格
が非常に浮動でございまして、あるいは非常に高くなったり、安くなったりいたしますので、これはやはりある程度のところへ落ちつけるということは、これは製鉄業にとりましては非常に重大な問題でございまするし、またその結果作られまする製品のコストの切り下げということにも役立つわけでございます。この点を、いろいろその他の
関係
も
考慮
いたしまして
認可
いたしたわけでございます。ただ御
承知
のように、輸入の場合はともかくといたしまして、国内のくずに関しましては、くずを
扱い
まする業者というものの
利益
を十分
考慮
して、幾ら安ければよいといいましても、これを非常に安い
価格
で買うと、結束して買いたたくというようなことになりますれば、その結果は国内のくず鉄業者にとって不当な圧迫になるわけでございまして、こういうような点を十分に
考慮
いたしまして、さしあたり一万五千円に下げる、順次、しかもこれは急にでなくて、順次下げていって、一応一万五千円の線に持っていくという点につきましては、諸般の
考慮
をいたしまして、大体くず鉄の
価格
というものはどこら辺に落ちつくのか、一応の目標はどの辺にあるべきであるというようなこともいろいろ
考慮
いたしました結果、一万五千という線に徐々に持っていくということについての
カルテル
は一応
認可
をいたしましたわけでございます。もちろんこれはくずの
扱い
業者の意見を十分に尊重してそこまで持っていくというような条件の上で認めたわけでございます。
海野三朗
21
○海野三朗君 そういたしますと、値段の方もそういうふうにおきめになった、数量の方もおきめになったのでありますか。それからその値段というものは外国のスクラップに比べて一体どういう値段の位置にありますか。それをお伺いいたしたい。
横田正俊
22
○
政府委員
(
横田正俊
君) 数量の点につきましては、やはりいろいろ検討いたしまして、数量の
カルテル
ももちろん
合理化
カルテル
として認められないことはないのでありまするが、この点は主としまして御
承知
のように、くず鉄は国内くずと輸入くずが非常に深い関連があるわけでございますので、その輸入くずに関して、輸入につきまして権限を持っておりますところの通産の方面におきまして、その輸入くずとにらみ合せて国内くずの所要量というものを行政指導と申しますか、そちらの方の指導をもって適当に処理するというようなことになりました結果、現在の形におきましては一応この力ルテルから数量についての問題ははずされているわけでございます。しかし、これは今後の推移を見ましてあるいは場合によってはもっとはっきりとした
カルテル
の形にいたしまして、
認可
を受けて、その監督の監視のもとに数量の
カルテル
が動いていくというような形に持っていった方がいいかどうかという点は今後の問題として残されているわけでございまして、
価格
の面と申し、この数量の点と申しまして、いずれにいたしましてもこの
カルテル
は今発足したばかりでございまして、今後の推移を私
ども
といたしましてはもう少し見たいと
考え
ております。
海野三朗
23
○海野三朗君 今輸入をしておりますこのスクラップの値段と、公取委の方でおきめになったスクラップの値段とは相当な開きがあるんではありませんか、どれほどの開きがありますかということと。それから数量の方も
制限
なさったのでありますか、この二点をお伺いしたいと思います。
会社
々々によって数量を幾らしかお前のところは国内のくずを集めてはならないというところの指令を出しなさっているのでありますか。
横田正俊
24
○
政府委員
(
横田正俊
君) その点につきましては、先ほど申し上げましたように、数量につきましては
カルテル
の中では別段何らのきめがないのでございまして、その点は輸入との
関係
とも
関係
ございますので、通産省の方で数量を指示するというような形で今動いているのでございます。 それから輸入くずとの
価格
の点でございますが、私はただいま正確な数字を心得ておりませんので、本日ここに参っております調査課長からお答えいたしたいと思います。
丸山泰男
25
○
説明員
(丸山泰男君) ただいまのお尋ねでございますが、
カルテル
が目ざしております特級くずの値段は先ほど
委員長
から
お話
しのありましたように一万五千というところを目ざしております。しかしながら現在の値段は
カルテル
側は一万八千円で購入するということでございまして、これはほぼ五十ドルに当ると思います。で、メーカーが外国から輸入いたしております外国、主として
アメリカ
のくず鉄は値段は私
ども
は聞いておりますところでは非常にまちまちでございまして、大体平均五十ドルから五十二、三ドルが現在の相場ではないかというふうに聞いております。で、東南アジア方面はこれよりも高い場合がしばしばであるというように聞いております。そこで国内の
価格
が外国の値段よりも低くきめられているのではないかというような点もないではございませんけれ
ども
、現在の
カルテル
では外国の値段と国内の値段を直接に関連せしめて申請があったわけではないのでありまして、大体の目標といたしましては、
アメリカ
の特にピッツバーグあたりでのくず鉄の相場というものは、四十ドルあるいは四十ドル以下というような相場であるから
日本
でもその程度の相場で
日本
の国内で買い得れば一番好ましいということは当初話があったわけでございます。で、そういうふうになりますと、現在目標にしておりまする一万五千円以下で国内の業者は国内コークスを買わなければ
アメリカ
の業者とは条件が同じにならないというような点が出てくるわけでございますけれ
ども
、本
カルテル
では
アメリカ
のピッツバーグにおけるメーカーの買手と同額であるということはあえて望んでおりませんで、一万五千円というものを最終の目標というようにしてもってきたわけでありまして、これは先ほど
委員長
から
お話
がありましたように、国内のくず鉄の取
扱い
業者の立場というようなものをできるだけ
考慮
して
考え
られたものであるというように言われております。そこでこの一万五千円程度というものが適当な値段であるかどうかという点に関することでございますが、大体
公正取引委員会
におきましては、銑鉄の値段の七割というところが今日までのくず鉄の値段の大体平均したところであるというように見たわけでございまして、現在の銑鉄の相場から見ますと、一万五千円以下に持っていくというようなことは少しバランスがとれないのではないかというような
観点
からこの一万五千円を目標とする
カルテル
を
認可
と申しますか、最終的には
認可
したわけでございます。そういうことであります。
海野三朗
26
○海野三朗君 そういたしますと、この一万五千円というのは業者の要求によっておきめになったわけでありますか。
丸山泰男
27
○
説明員
(丸山泰男君) そうであります。申請書にそのように書いてあったわけであります。
海野三朗
28
○海野三朗君 その申請書は使う方ですか、供給の方ですか。
丸山泰男
29
○
説明員
(丸山泰男君) 買手側の方でございます。
海野三朗
30
○海野三朗君 私はここでお伺いしたいと思うのは、買手側の方のその値段の要求だけに重きを置かれてはいけないのじゃないか、公取できめるような場合にはやはり
世界
情勢ともにらみ合せて、そうしておきめになるのがほんとうではないか、私はこういうふうに
考え
られますが、その辺はいかがなものでございますか。使用者の方は安ければ何ぼ安くてもいいわけです。
横田正俊
31
○
政府委員
(
横田正俊
君) この点は向うとしては
公正取引委員会
ののめないような数字は出さないように、もちろん私の方の意向を
考え
ながらこの線が出ていると思いますし、またもしこの線が非常に不当なものでございますれば、取
扱い
業者の方はおそらく反発して参りますわけでございまして、御
承知
のように
認可
に対しましては利害
関係
人から不服の申し立てが一ヵ月内にできるような道も開かれておりましたが、その点につきましても別に取
扱い
業者その他から不服の申し立てもないということから見ますと、一応この線というものは妥当な線であったのではないかというように
考え
ております。
海野三朗
32
○海野三朗君 ただいまのはもう私はそれで質問を打ち切ります。 次にお伺いいたしたいと思いますのは、二十八年の
独禁法
の大
改正
に際しましては公取と通産省との間に、今後通産省の勧告による操短は行わないという了解ができてあったと思うのでありますが、最近また勧告操短が行われんとしているようでありますが、これに対して公取の御見解はいかがなものでありますか。
横田正俊
33
○
政府委員
(
横田正俊
君) その点に関しましては確かに二十八年の
改正法
が成立いたしました
国会
におきまして、
独禁法
がいろいろ
カルテル
の規制をしているのに行政官庁の指導というような形、勧告というような形で事実上操短等も共同
行為
が行われておって、これは結局
独占禁止法
がその面でしり抜けになってしまうんじゃないかというようないろいろ御質問なりございまして、たしかそのときの通産大臣から、今後そういう行政勧告による操短は行わないようにするということを言明されたように記憶しております。これは何も
公正取引委員会
と通産省との間にそういう申し合せがあったわけではございませんで、むしろ
国会
においてそういう声明がなされたというふうに私は了解いたしております。そこで公取としてそういう問題についてどう
考え
るかということでございますが、これはもちろん私
ども
としましては
法律
上そういう勧告という形をとりましても、業者が積極的にそれを守っていく、共同の態勢をとって守っていくという場合に、それを普通の
カルテル
と同じように取り上げて、
独禁法
抵触というふうに認めるかどうかという
法律
問題が
一つ
ございまするが、その点はさておきまして、やはり
独禁法
上のみ許されるものはいろいろな
一定
の条件のもとにそういう
カルテル
が認められることになっておりまする以上は、行政庁の勧告によりまして、たとえばその条件に当てはまらないような状態のもとに実質的に
カルテル
と同じような効果を持ちまするところの共同操短が行われるということに対しましては、われわれは常に反対の態度を持っておるわけでございまして、現に最近行われておりまする操短に関しましては、まだ積極的にこちらからいろいろ申し上げてはおりませんけれ
ども
、その操短に入るよほど前、今年の一月当時にこういう操短の計画があるがどうであるかということを
公正取引委員会
に通産省の繊維局の方から尋ねられました際にも、
独禁法
上の問題もあるし、また実質的な問題としても
公正取引委員会
としては現段階においてそういうことが行われることは好ましいと思わないという御返事をいたしておるわけでございまして、大体公取といたしましてはそういう
方針
で臨んでおるわけでございまして、しかし行政官庁としましてはその他いろいろな行政上の
観点
から、また
業界
に対して勧告をするという場合はこのほかに幾らもあるわけでございまして、それらの問題と関連いたしますると問題はそう簡単ではないように思いまするが、いやしくも
不況
対策としての操短というようなことになりますれば、われわれの
考え方
は先ほど申し上げた
通り
でございます。
海野三朗
34
○海野三朗君 私は次にもう
一つ
お伺いしたいのは、この石炭鉱業
合理化
法案
における
価格
の
カルテル
です。生産
制限
ということに対しましては公取の御見解はいかがなものでありますか。
横田正俊
35
○
政府委員
(
横田正俊
君) 基本的な問題としましては、われわれとしましてはいわゆる自由公正な
競争
の促進ということは一応表看板になっておりますので、もし統制の必要がございますれば、それはその必要がある最小限度ということがわれわれの立場からいたしますれば当然出て参るわけでございますが、
価格
の点でございまするが、これはやはり石炭業、この基幹産業につきましてはある程度においてその
価格
の統制ということもやむを得ないのではないかというふうに
考え
るわけでございます。 また操短につきましても、これも一方におきまして
価格
の上ることを押えます以上は、値が非常に下りまするような場合につきまして、それを単に業者の恣意的な
行為
でなく、行政官庁の指導のもとに、指示のもとにある程度の操短が行われる。それによって
価格
が維持せられるというようなことも、上の方の
価格
を押えることと関連して
考え
ますると、許されてもいいのではないかというふうに
考え
まして、あの
法案
につきましてもいろいろ検討いたしましたが、特に後の方の操短の点に関しましては
公正取引委員会
に協議をされるということを条件にいたしまして同意した次第でございます。
海野三朗
36
○海野三朗君
価格
の
カルテル
でありますが、石炭、たとえばまあ炭鉱は何百とあるわけでありますが、そのうち背に腹はかえられないので、特に勉強して安く掘っておる、量はもっとも少いのでありますが、そういうふうな業者が非常に困るのじゃないか。この一般、大きな機械掘りでもってどしどしやっておるところであれば、
価格
をきめるのもいいでしょうし、生産も
制限
できるのでしょうが、たとえば炭鉱にしましても二、三十人でやっているというようなちっぽけな炭鉱は数多くあるのです。そういうところにこの生産を
制限
されたり何かいたしますというと、結局食えないものがたくさん出てくるという結果になりはしないのですか。そういう点についてはいかようにお
考え
になっておるか。 もう
一つ
は操短です。たとえばカーボン・ブラックのごとき国内では売れないので、
アメリカ
品には対抗ができない結果、だんだん縮小してきておる現状にある。そうすると、こういうのが操業短縮、勧告などによって、これはだんだん生産が少くなってくるとすると、結局はもう国内でのカーボン・ブラックを作るものはやめなきゃならないということになってくる。そういうことでは産業を育成していく上においては、勧告の操短もよほど
考え
ものじゃないかと私は思うのでありますが、そういう点についてはいかように公取ではお
考え
になっていらっしゃいますか。
横田正俊
37
○
政府委員
(
横田正俊
君) 私は今例をお引きになりましたような実情を実は正確に存じておりませんので、はっきりしたお答えはできないと思いますが、要するにやはり勧告によりまする操短の場合にはもちろんそういう点は十分にしんしゃくして必要以上にそういう
関係
業者の
利益
を害するというようなことのないように取り計らうべきだと思いまするし、またわれわれ
公正取引委員会
の立場で協議を受けるという場合には、やはりそういうような点ももちろんわれわれの方で
考慮
される問題の
一つ
になるのではないかというふうに
考え
ておるわけでございます。
海野三朗
38
○海野三朗君 結局このままでは
独禁法
というのはだんだん後退していくような感がするのでありますが、一体どこに公取は一線を画しておられるか。この
独禁法
につきましてその点いかがなものでございましょうか。
横田正俊
39
○
政府委員
(
横田正俊
君) これは非常にむずかしい問題でございまして、一応二十八年の
独禁法
は御
承知
のように、
競争
の
実質的制限
、不公正の
取引
方法、いわばこの
二つ
を一応の線といたしまして引きまして、それをさらにいろいろな各種の
事情
に応じまして、その線に多少の修正を加えているというのが現状でございまして、これはなるほどごらんになりますると、多少の修正とはいうけれ
ども
、いろいろたくさんあるじゃないかということになるかもしれませんが、やはりこの点はまあ後退は後退でございまするが、それがやはり
日本
の
経済
の実体に即したものでございますれば、やはりある程度の後退も応じを得ないように私は
考え
るわけでございまして、これはこういう
日本
に新しい
独占禁止政策
というようなものは、もう少しいろいろやってみませんと、最終的とは申しませんが、どこら辺に大体の線を引くべきであるかというようなことがはっきりとなかなかきまらないのではないかと、これは私の個人的な
考え
でございますが、
考え
ておるわけであります。
三輪貞治
40
○三輪貞治君 一点だけ。この集排法が
制定
されました第一
国会
における審議の記録を見ますと、こういうことが質問をされ、答弁されております。「この
法案
の実施により、再編成後は公正自由な
取引
ということが
建前
になるので、その結果再び大きなものが出てくるということが
考え
られるが、そういうものに対しては、本案はいかなる
関係
をもつものであるか」という質問に対して「この
法案
自体では未だそこまで
考え
ていないが、
独禁法
の方では公正なる
競争
が許されている、ただそれが再び
公共
の
利益
に反するほど大きくなって、
独占
的な支配力をもつようなことになればいけないというのであって、
独禁法
の
事業能力
の
較差
ということに触れない限り、大きくなることは許されるであろう」こういう答弁があっております。この
法律
によりまして
指定
されました
会社
が三百二十五ほどございまするが、これが再び
合併
統合等いたしまして、ここで心配されておるような再び大きなものが出てくるということは多分にこれは今日においては想定されるところでございます。特に二十八年の
独禁法
の
改正
によりましてこの
事業能力
の
較差
ということが取り除かれたのでございますから、なおその憂いは大きくなってきておるわけでありますが、この
指定
がはずされた後においてこれらの
会社
が
合併
統合するということについて公取ではどういうふうにお
考え
になっておりますか。
横田正俊
41
○
政府委員
(
横田正俊
君) 先ほど多少その問題に触れたわけでございますが、二十八年の
改正
によりまして
較差
の
規定
がなくなったことは事実でございます。従いましてその面におけるたとえば
合併
、営業譲り受け等の
制約
というものはなくなったのでございますが、われわれ
公正取引委員会
が主となりましてあの
改正
案——原案を作ったわけでございますが、何故にいさぎよくあの
較差
の
規定
を削除いたしたかと申しますと、先ほどから申しておりますように、
較差
の
考え方
は形自体で押さえていけば取締りの上から非常に便宜であって、もう一歩進んでその形からいろいろ
一定
の
取引分野
における
競争
の
実質的制限
というような段階に至りましたそのところで取り締るというよりも、もっともとの形
そのもの
で押えていくというところにこの
較差
の
規定
のあるいは妙味と言っていいかもしれませんがあるわけでございますが、われわれといたしましては、そういう形で押えるよりも、むしろもう一歩下りましても
一定
の
取引分野
の
競争
、
実質的制限
、そういうことを持ちきたさない限りは、形
そのもの
で押えるという必要はないんじゃないか。現に
合併
を
制約
します
規定
の中には昔の
規定
は第一号に
較差
を生じないことというようなことになっておりましたが、これは削られましたが、この次の二号に持って参りまして「
一定
の
取引分野
における
競争
を実質的に
制限
することとなる場合」、つまりそういうことになる場合には、
合併
が許されないというそういう第二の
規定
が控えておりますので、この第一のものを取りましても、いたずらに巨大なものができまして、そこに
一定
の
取引分野
の
競争
を実質的に
制限
するというような結果は、この第二号で押えられていくというふうに
考え
ました結果、第一号の
規定
の削除ということをあえていたしたわけでございます。先ほどせっかく集排でいろいろ分けられたものが、将来また併合、
合併
その他の方法によって
集中
して来るおそれがあるのではないかということに対しましては、
現行法
のもとにおきましても、十五条のただいま申しました
規定
がございまする以上は、この線において十分に取り締って参れるというふうに
考え
ておるわけでございます。現に集排によって分割されましたもの、その他の手段によりまして解体されましたものは、逐次あるいはもとの形に戻りたいというようなこともちらほら耳にいたしておりまするし、あるいは耳にいたすどころか、われわれの方に向ってもう集排はなくなったからいいのではないかというようなふうに、内意を伺いに来ておるようなものもございます。それはいずれもただいま申しました
独占禁止法
十五条の
規定
に照らしまして、まず大体むずかしいというようなものが多いのでございますが、そういうふうに
独禁法
の
規定
に照らしまして一々答えておりまするし、今後そういうふうに処理をいたしていく
方針
であります。
三輪貞治
42
○三輪貞治君 その十五条の第二の
規定
で具体的に規制をされておる事例は相当ございますか。
横田正俊
43
○
政府委員
(
横田正俊
君) これはたとえば具体的に例を申し上げると少し差しさわりがございますが、事実ございましたことですから申し上げますが、雪印乳業という北海道の御
承知
の有名なバターを作ります
会社
、これが集排法によりまして
二つ
の
会社
になりまして、現在も北海道バターと、それから雪印乳業、この二社になったのでございますが、この二社がいろいろな経理上の面その他の
事情
からいたしまして、
合併
をいたしたいという
希望
は相当古くから持っておりまして、具体的にもそういうような話を私
ども
の方に言ってきております。このバターの生産の面から見ますると、雪印と
二つ
を合せますると非常な生産
能力
と申しますか、大きなものになるわけでございまして、この点におきまして十五条のいわゆるこの二社
合併
いたしました場合には、相当に
競争
の
実質的制限
が行われるのではないかという点が疑問になっておるわけでございます。現在われわれの取り扱っておりまする実例から申しますと、これはパーセンテージで申し上げますのは非常に
弊害
がございまして、これはほんの
一つ
の標準——単なる
一つ
の標準というふうに聞いていただきたいのでございますが、大体
一つ
の
業界
で約三〇%近い——あるいは二五%から三〇%近い生産
能力
、実績を持っておりますものに対しましては、そういうものができますことに関しましては、われわれといたしまして一応相当に警戒をいたすと申しますが、注意をいたしまして、大体
現行法
で申し上げますと、十五条の第一号の問題にひっかかってくるんじゃないかということで見ております。これはもちろんそのほかにその
業界
が非常に小さなものがたくさんある場合と、比較的少数
独占
的な
業界
でございます場合と、非常に違いますが、大体三〇%あるいはそれ以下くらいのところが、一応の基準としまして危険なる線というふうにいたしまして、
合併
等の問題を見ておる次第でございます。
三輪貞治
44
○三輪貞治君 先年問題のありました不二ドロマイトと磐城セメントの
合併
、これはどうなっておりますか。
横田正俊
45
○
政府委員
(
横田正俊
君) これは実はこの
独占禁止法
の方で申しますと、この不二ドロマイトが現在もこれはいわゆる
独占
でございまして、それが今度は磐城に
合併
せられ、やはり
独占
の状態がそちらに続いていくということでございまして、これは非常に形式的に見ますれば、その状態に変更はないというので、特に
合併
によって
取引
制限
というものが、そこに生じたのではないというふうに見ますれば、これはやはり
独禁法
上の問題にならないのじゃないかというわけであります。そういう
観点
から申しますと、あの
合併
につきましては、その他いろいろな問題があるようでございますが、
独占禁止法
の方の問題としましては、あまりそう問題はないのじゃないかという
考え方
をいたしておるわけでございます。
河野謙三
46
○河野謙三君 この機会にちょっとお尋ねしたいのですが、ただいまの具体的事例に出ました北海道の雪印バターの問題ですが、先年
法律
に基く家畜導入資金、この
運用
を乱用して中央金庫が雪印バターですか、この
会社
の
事業
の拡張を大いに
制限
した、こういうことで問題があって、あなたの方で御取り調べになったはずですが、これは一体どうなりましたか。私はこういう機会にこのことを聞く事自体は、これほどひどい
法律
無視なことをやっておって、しかもなお結末がつかんようなことなら、こういう
法律
は要らんじゃないか、このくらいに私は思っておるのですが、そういうふうな
意味
から
一つ
お尋ねしたいのです。
横田正俊
47
○
政府委員
(
横田正俊
君) 実はその問題は審判事件になっておりまして、雪印、北海道及び農林中央金庫並びに北信連、この四社を被審人にいたしまして、正式の審判をただいま続行中でございまして、ある程度調べは済みまして、なお引き続き多くの参考人等を調べる段階になっておるのでございまして、まだあるいは結論にはすぐに到達いたさないかもしれませんが、要するにわれわれといたしましては、農林中金がああいう差別的な融資の方法によって雪印につながる農家には資金が回り、その他につながるものには資金が出ないというような差別的な
取り扱い
に対しましては、非常に疑問を持ちまして、いろいろ調査いたしました結果、これはどうしても審判を開始いたしまして、その間の
関係
を明らかにする必要がある。これは農林中金としましても、これは系統融資というようなことを一応申しておるようでございますが、これはほんとうの腹の中からそう思っているのかどうかわかりませんが、そういうことを一応申しておるようでございます。そういういわゆる系統融資ということが、酪農を育成するため許さるべきことであるかどうかということは、やはり相当何らかの形ではっきりさせる必要があると思いますから、あの事件につきましては特に注意を払っておるわけでございますが、まだ審判の段階でございますので、結論に達しておりませんので、一応そのことだけ申し上げておきます。
河野謙三
48
○河野謙三君 審判となれば、もちろん慎重はけっこうですけれ
ども
、あれは実は私があの問題を一番最初に聞いた本人なんですよ、当時——。その後において二ヵ月の間に農林省が直接行って調査をした結果、私がしてきた
通り
であるということの報告さえ受けておるのです。そういう民間の人が報告したのじゃなくて、責任ある官庁が調査して、調査の結果報告を得ておる、こういうことについて、審判の慎重もけっこうですけれ
ども
、私はあまりに長過ぎるのじゃないか、こう思うのです。私はなぜこういうことを申し上げるかというと、商工
委員会
でこういう問題はどうかと思うのですが、農民の資本を非常に雪印バターというものは集めているわけですね。ところがこの雪印バターというものは非常に経営の
内容
が悪いのです。これを何とか早く結末をつけなければ、ただいたずらにこの雪印バターを中金あたりが家畜導入資金というような問題で応援した程度では、農民が多大の出資をしている
会社
が救われるものじゃないのですよ。でありますから、そういう
意味
合いで北海道の零細の農民が莫大な出資をしておるこの
会社
の運営というものにつきましては、私は非常に注目しているわけなんです。そういう
意味
合いで私はこの審判によってだれをやっつけろとか、かれをやっつけろとかいうことよりも、雪印バターに出資しておる農民の金というもの、それにつながる雪印バターの運命、そういうものに私は非常に関心を持っていたところが、ああいう問題が起ったわけです。あれはあなたのところで調べた結果おわかりのように、雪印バターに農民が牛乳を出さなければ、その農民に貸したところの家畜導入資金というものは取り上げてしまう、こういうことでしょう。その事実が審判になっておるのですか。その事実がわかっておって別なことで審判があるのですか、これをちょっとお伺いしたい。
横田正俊
49
○
政府委員
(
横田正俊
君) 大体そういうことでございます。
河野謙三
50
○河野謙三君 審判というのはその事実に対する調査なんですか。
横田正俊
51
○
政府委員
(
横田正俊
君) そうでございます。一応こちらといたしましては、十分調べて事実を握っておるつもりでございますが、まあそれに対して被審人は審判
手続
を通じまして、
自分
の方の言い分を言い、いろいろ事実を証明するというようなことを言っておるわけであります。しかしまあこれは先ほど審判
手続
を経てと申しましたが、実は最近農林中金の方から、三十年度の融資の
方針
等につきまして、まあ大体われわれの
考え
ておる線に沿った融資のやり方をする、いわゆる差別的なやり方はやめるというようなことの申し出もあるようでありまして、あるいはこれは三十年度の融資は目の先に見えているわけでございますから、そういうふうに農林中金の方ではっきりした態度を示すということになりますれば、できるだけ早い機会にはっきりした結末をつけまして、場合によりましては二十八年度、二十九年度にさかのぼって、多少の手直しをするというようなことも
考え
られるわけでございます。むしろあまり長いことかかって審判をいたしますよりも、そういうような早い解決をはかるというようなことも今いろいろ苦心しております。
河野謙三
52
○河野謙三君 私は別にもう答弁を求めませんけれ
ども
、先ほど海野
委員
からどの線まで後退するのだという
お話
がありましたが、それでは私はやはり同じような気持で今のようなことをお尋ねしているのですが、あれだけはっきりした事実ですね。それについての結末がなかなかつかない。しかも結末をつける場合において、今後将来にわたってこういうふうに改めるという程度で、これで解決がつくのなら、私はあなたの御担当のお仕事尊厳というものは、全く僕は疑わざるを得ない、こういうことになると思うのですよ、そういう点につきまして、私は
法律
がある以上はもう少し厳然たる態度でこの
法律
を
一つ
守っていただきたい、こういうことを私は
希望
いたしまして質疑を終ります。
三輪貞治
53
○三輪貞治君 先ほどちょっと忘れたんですけれ
ども
、近頃こういう計画があるように聞くわけです。それは初め
政府
が
提案
をして石油開発の特殊
会社
を作る予定であったようでありますが、大蔵省との予算の折衝のためにその案がくずれまして、今、議員
提案
で特別な石油開発の公社のような性格を持ったものを作ると、こういうことなんです。これに関連してお伺いをするわけなんですが、そういたしますと、現在の帝国石油というものは四千万株のうちで国が五百万株を持っておりますから、これは
独占
的な性格を非常に持っておりますけれ
ども
、しかし国のそういう出資面からくる規制もございまするし、また人事の面においても通産省出身の人がそちらに行っておりまして、やっておる仕事も新しい鉱区を探鉱するというような公的な
事業
があるために、この独禁の
法律
にも触れずに存在しておるんだと、こういうふうに
考え
ておるわけです。ところがそれを最近仄聞するところによりますると、新しいこの開発
会社
は国が持っておる株を全部引き上げまして、それを特殊
会社
に出資をし、しかも初めの予定ではその探鉱を帝石が請け負うというような形であったものが、全然探鉱はその特殊
会社
において行いまして、帝石は全くの既存の油田を守って行くというだけの民間の
企業
になるわけであります、そうなりますと、これは公的な性格がなくなりまするし、全くの現在の油田を守っているという点においては、ほんとど一〇〇%に近い
独占
であるわけでありますが、こうなった場合に、これは
独禁法
の立場から、一体そういうことが許されるものであるかどうかという点について私は疑問を実は持っておるわけですが、この点についての御見解をお聞かせ願いたいと思います。
横田正俊
54
○
政府委員
(
横田正俊
君) これも先ほどの問題に連なるわけでございますが、非常に
独占
的であるということ、これが直ちに
独占禁止法
の問題にならないのでございまして、先ほどのドロマイトの例で申し上げましたように、不二ドロマイトは事実上
独占
でございますけれ
ども
、あれ自信が直ちに
独占禁止法
違反という問題にはならない次第でございますので、帝石も、これもいろいろな面であるいは
独占禁止法
の問題を蔵しておるかとも思いますけれ
ども
、少くともあの形
そのもの
が
独占禁止法
の
規定
に抵触すると、かりにこれが国家の資金が引き上げられまして、純然たる民間の
会社
になったといたしましても、その形だけで直ちに
独禁法
違反というふうには必ずしも言えないと
考え
る次第でございますけれ
ども
、しかしまあああいう
独占
的な
会社
につきましては、それに関連いたしまして、
独禁法
的な問題が起きがちでございますので、この帝石の問題につきましては、もちろん公正
取引
委におきましては重大な関心をもって見ておることは事実でございます。
三輪貞治
55
○三輪貞治君 先ほどの国の出資株数はちょっと違っておりましたから訂正しておきます。七百六万株です。これはちょっとドロマイトと違うと思うのです。今のような帝石の形であるといいと思うのです。国も出資しておりますし、またあれくらい
独占
的にやらなければ、もうかる面の製油
事業
はほかの
会社
でやって一番損をする探鉱をやらなければならぬわけですから、これは今までのような形でやらなければできないわけですが、しかし今度、先ほど申し上げましたような新しい構想によりますと、株は引き上げるわ、また探鉱という一番金を食う面は特殊
会社
が持って純然たる民間
会社
になると同時に、既存の油田だけを守っていく、これはもうかるにきまっているわけです。下からわいてくるやつをそのまま売るだけの
会社
になるわけですから、こうなると、今の帝石とずいぶん変った性格になってくるわけで、その場合私は問題になると、こういうふうに実は
考え
ておるわけで、この点は
一つ
十分……。まだ表面化した問題ではございませんが、おそらく今度の
国会
でこれは表面化してくることは必至だろうと思います。しかも初めの構想のように、持株
会社
は予算だけを持っておって、それを帝石に探鉱を請け負わせるという形であればまだなんですけれ
ども
、全く帝石は既存の油田だけを守って行く民間
会社
になるという点に非常に問題がありますから、これは
一つ
もっと御研究を願って、また御見解をお聞かせいただきたいと思います。
海野三朗
56
○海野三朗君 今、北海道のバタ一の
会社
のことが出ましたから、ついでにちょっとお伺いいたしたいと思います。八幡製鉄と富士製鉄と
二つ
この前分れました。これは公取としては
一つ
になった方がいいとお
考え
になっていますか、これはこのままの方がいいとお
考え
になっていますか、その御所見を承わりたいと思います。
横田正俊
57
○
政府委員
(
横田正俊
君)
公正取引委員会
としてということでございますれば、まあどういうふうに申し上げていいかちょっと困りますが、ああいう製鉄
事業
を純然たる私
企業
の体制でやって行くということがよろしいという前提をとるといたしますれば、これはあの二社が
合併
いたしますことによりまして、ことに非常な
独占
的な状態が生じまするので、これはもちろん
現行法
の、先ほどから出ておりまする十五条の第一号に明白に抵触いたしますので、当然許されないことであろうと思います。ただここにいろいろな
政策
的な
考慮
を入れまして、あるいは国営というような問題も
考え
られるわけでございまするが、あるいはそれに近き形に持って行って、むしろ
独占
の
利益
というような点に着眼をいたしまして、それを別途の方法によりまして、
独占
から来まする
弊害
を押えながら
独占
のいいところを伸ばすということが、製鉄業ということの特殊の業務につきまして好ましいという
政策
をとるといたしますれば、これはやはり八幡と富士との
合併
ということも、これはもちろん
独禁法
がございます以上は、特別な
法律
が要ると思いますが、
考え
られることだと思います。しかしそれは
公正取引委員会
の
考え
ることじゃございませんので、私
ども
としましては、
独禁法
の立場から申しますると、あの
二つ
が
合併
するというようなことはとうてい
考え
られないというふうにお答えするほかはないと思います。
海野三朗
58
○海野三朗君 ただいま
独占
とおっしゃったのですけれ
ども
、同じ仕事をしておる
会社
がほかにもたくさんあるわけなんです。
日本
鋼管もあるですし、川崎製鉄もありますし、でありますから、そういう
独占
ということになりますか。同じ商売のものがもっとたくさんほかにもあるのです。ですから
独占
にはならないと思うのですが、どうですか。
横田正俊
59
○
政府委員
(
横田正俊
君) ここではっきり数字を申し上げられませんが、これはもちろん八幡、富士がやっております
事業
は非常に広範にわたっておりますので、その
一つ
一つ
をとりますると、先ほどのパーセンテージの問題から申しましても必ずしも
独占
とは申しませんが、少くとも銑鉄
関係
におきましての両者の
能力
というものが非常に大きなものになるのではないかと
考え
ます。
海野三朗
60
○海野三朗君 今の三輪
委員
の不二ドロマイト、あれこそ
独占
じゃないのですか。あれが他に
合併
されたから
独占
には触れないとあなたはおっしゃるけれ
ども
、今日ドロマイトを売り出しておるのは
日本
ただ
一つ
の
会社
でしょう。あれこそ
独占
じゃないですか。それが他に
合併
されたために
独占
に解しないというような
お話
でありますが、その辺はいかなる……。
横田正俊
61
○
政府委員
(
横田正俊
君) たとえば百パーセントの
事業能力
を持っておりましても、他に
競争
者がないために
独占
になっておるのと、今までいろいろありました
会社
がだんだんに合わさりまして、そこにだんだん
独占
的なものが出てくるのと、これは非常に違うわけでございまして、
独占禁止法
はむしろその
あと
の方の問題を規制をするという形になるわけでございます。たとえば今の八幡と富士の例でございますが、これはだんだん富士がふるわなくなってくる、八幡がだんだん伸びてくる、これは非常に経営がうまく行きまして八幡が伸びて行って、あるいは先ほど申しましたよりもずっと大きなパーセンテージをその
業界
におきまして占めるようなことになりますと、そのこと自体が直ちに
独占禁止法
違反ということにはならないわけででございまして、結局
独占禁止法
が押えておりますのは、いろいろな方法によりまして、そこに人為的に
独占
状態を作り上げて行く、すなわち他の
事業者
の
事業活動
を支配したり、あるいは他の
事業者
の
事業活動
を排斥いたしましたりすることによって、そこに
独占
的な形を作り上げて行く、これがいわゆる
公共
の
利益
に反する
競争
制限
と、こういうように見ておるわけでございます。
海野三朗
62
○海野三朗君 それではもう
一つ
。そういたしますと、今のドロマイトのようなものは
独占
ではないという御見解なんですか。
横田正俊
63
○
政府委員
(
横田正俊
君)
法律
の言葉で申しますと、先ほど
委員長
がお読み上げになりましたように、他の
事業者
の
事業活動
を支配し、または他の
事業者
の
事業活動
を排除することによって、
公共
の
利益
に反して
一定
の
取引分野
の
競争
を実質的に
制限
してはおりませんから、
独占禁止法
のいわゆる
私的独占
ではないと、こういうことになります。
海野三朗
64
○海野三朗君 あすこはドロマイト専門でありますから、ほかにドロマイトを売っておるところの
会社
がございますか、ないのであって、あすこが一手に握っておるわけなのであります。それでありますから、やはりこれは
独占
と見なければならないのではないですか。
横田正俊
65
○
政府委員
(
横田正俊
君) あるいは
経済
的な
意味
の、あるいは社会的な
意味
の
独占
ではございましょうけれ
ども
、
独占禁止法
の
私的独占
にはならないかと存じます。
吉野信次
66
○
委員長
(
吉野信次
君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
吉野信次
67
○
委員長
(
吉野信次
君) 速記を始めて。
三輪貞治
68
○三輪貞治君 実は前々のときに私質問して、動議としてお諮りをいたしておりました、クーバー法に関する本
委員会
の態度の問題でありますが、これは
アメリカ
の議会において両院協議会が持たれておるような情勢でしたから、何らかの申入れをしたらどうだろうということをば申しましたけれ
ども
、しかしだんだん調べてみますと、外国の議会に対してそういう干渉と申しますか、申入れをすることはどうであろうというような意見もございまして、実はこの
法案
の
アメリカ
における審議の状況等を見ますというと、これは明らかに
日本
政府
の在外公館が
経済
外交において欠くるところがあったのではないかというようなことが
考え
られまするので、この問題に対する結論としては、
一つ
委員会
としては、
政府
に対して今まで以上に
経済
外交の強力なる推進を行えと、そうしてそのことを在外各公館に対して訓令を発して徹底をするようにしてもらいたいというような
意味
の決議でもしたらよいのではないか。これが実際の実施面において非常に拡張解釈をされまして、
日本
の貿易に不利になることを避けると同時に、さらにほかの国において同様の
政策
がとられることによって
日本
の貿易の門戸が次第に閉されて行くということをばなるたけ避けるために、そういう
意味
の意思表示を
政府
に対してすることが、妥当ではないか、こういうふうに
考え
るわけですが、
一つ
皆さん方にお諮りを願いたいと思います。
吉野信次
69
○
委員長
(
吉野信次
君) いかがでしょう、この間三輪
委員
の御発言があって、それから当時外務省の局長に来てもらうように連絡をいたしましたけれ
ども
、都合が悪くて見えられませんでした。その際にいろいろ向うの方面の情勢も伺ったのですが、ちょうど今、三輪
委員
のおっしゃったように、外国の議会になっておるものですから、そうして
アメリカ
政府
としてはできるだけ努力しておるわけですね、何と言いますか、撤回と言いますか、にですね。それだから、そういう際に向うの、少くとも
アメリカ
政府
の意向を全く聞かずして、この
委員会
で決議してやるということもどうかというような意見もございまして、ちょうど今、三輪
委員
がおっしゃったような点が、多少デリケートな問題があったわけであります。それでそのままに実はなっておるわけであります。今、三輪
委員
から
お話
がございましたが、三輪
委員
の
お話
のうちに、
経済
外交におきまして大いに
政府
が弱いと言いますか、俗な言葉で言えばどじを踏んだようなきらいもないではないというような御発言もございましたが、ただその点
委員会
として、その事実に基きましてやるとすれば、やはり一応何と言いますか、外務省側の意見も聞いてやるのが穏当じゃないかと思うのです。私としては 一応被害の立場でもありませんけれ
ども
、そうして果してその点について向うの方が十分尽したか尽さないかという一応の弁明と言いますか、
説明
を聞いた上で
委員会
の意見をきめることにしてもおそくないのじゃないか、こう思いますが。
三輪貞治
70
○三輪貞治君 これは私大体
考え
ておる決議案としては、これを具体的に取り上げて指摘はしないで、一般的な問題として、その他のところでもそういうことは一般的に
考え
られる節がたくさんございまするし、また将来を鞭撻する
意味
において、あまり具体的な事例を上げていない、まあ穏当と申しますか、そういう案文にしていというふうに
考え
ておるのですが、そうすれば、何も外務省に被告の立場で弁明をさせるということも必要ではないというふうに
考え
ますが。
吉野信次
71
○
委員長
(
吉野信次
君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
吉野信次
72
○
委員長
(
吉野信次
君) 速記を始めて。
海野三朗
73
○海野三朗君 ビルマに対する賠償の問題でありまするが、去年の十二月にビルマに行きましたときに稲垣平太郎君が行っておりました。その後この商工
委員会
に久留島秀三郎君に来てもらいまして、その当時の状況を聞いたのであります。そのときに、ビルマの方では、すべての事柄を全部
日本
にまかせる、工場を建てるのも、経営の仕方も全部まかせるから早くやってもらいたいということであったという報告でありましたが、それからもう半年
経過
しておる、それに対して外務省及び通産省ではいかなる手を打っておるのか、あるいは業者を
指定
するなり、一体どういうふうな手を打っておるのか、それを私は商工
委員会
において聞きたいと思うのでありますが、
委員長
におかれては、その当事者をここへ呼んでいただくようにお願いをいたしたいと思います。これは重大問題でありますから、どうぞお願いいたします。
吉野信次
74
○
委員長
(
吉野信次
君)
承知
いたしました。ほかに御発言がなければ、本日はこれで散会いたします。 午後三時四十六分散会