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1955-05-27 第22回国会 参議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十七日(金曜日)    午後一時二十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     吉野 信次君    理事            高橋  衛君            山川 良一君            三輪 貞治君    委員            上原 正吉君            深水 六郎君            松平 勇雄君            加藤 正人君            河野 謙三君            海野 三朗君            栗山 良夫君            上條 愛一君            小松 正雄君            白川 一雄君   政府委員    法制局第三部長 西村健次郎君    大蔵省主計局法    規課長     村上孝太郎君    通商産業省重工    業局長     鈴木 義雄君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       内田源兵衛君   参考人    前主婦連合会副    会長      船田 文子君    日本自転車産業    協議会会長   大蔵 公望君    産業経済新聞社    政治部長    塚本 寿一君    読売新聞社編集    局次長     高木 健夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○自転車競技法等臨時特例に関する  法律の一部を改正する法律案(内閣  提出、衆議院送付)   —————————————
  2. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それではこれより委員会を開会いたします。  本日はかねてお打合せしました通り参考人としておよったりおいで願っております。  どうも皆さん大へんお忙がしいところをおいで下さいまして、まことにありがとうございます。実はこの委員会で今付議されておりまするのは、法律の名前が大へんめんどうくさいのですが、自転車競技法等臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案、簡単に申せば競輪ですな、それから自動車の方のレースです。それからモーター・ボートですか、ああいったようなまあレースに関する競技法というものは前からございまして、それについて、まあ終戦直後は別ですけれども、御承知通り終戦後に大へんこの射幸行為といいますか、ギャンブリング・スポーツというものに対してだいぶ批判がございますので、それと、それから産業振興費の一部にあの上り高を廻しておるのですが、そういったような点がかねて議会の委員会で問題になっておるようですから、それを従来は一年限りの臨時立法になっておりましたのですが、それをまた当分延ばすか、延ばさぬかというような法案が参りましたものですから、それでこのギャンブリング、射幸的な競技というものですな、そういうものに対する世論のいろいろな鋭い批判もあるようですから、そういうことに対する全般についての御意見なり、あるいはまたこの運用の方法について、今納入金制度もございますし、そういったような点、それから百歩譲って、まあかりにこういうものをやむを得ないとして、今地方財政の事情やら何かあるようですが、あるいは期間を限ってなしたとしても、そういうものの弊害最小限度にとどめる方法があるかどうかというような点、そういう点が今問題になっておりますものですから、一つ皆様よう世論を代表されている方から御意見を承わりたいと思いまして、御足労を願ったわけであります。どうか腹蔵なくお話しを願ってけっこうかと思います。  なお、はなはだあれですけれども、議事の進め工合から申せば、最初十五分間ぐらいの時間で一通りお話しを願っておいて、あとまた各委員からの御質問もございましょうから、その質問に対して補充的にお話しを願うというふうにしたらばけっこうかと思います。  それからなお委員の方に申し上げますが、きょう参考人として御出席になっておりますのは、お席を占めておられる順番に申し上げますと、主婦連合会船田先生、それから自転車産業協議会大蔵先生、それから産業経済新聞社編集局次長政治部長を兼ねておられまする塚本先生、それからなおもう一人読売新聞編集局次長高木先生がお見えになる予定ですが、少し遅れるというお話しでございましたので、やがてお見えになるかと思います。  それじゃ、どなたからでもいいのですけれども、席におすわりになった順序で、船田先生から一つお話しを願ったらけっこうだと思います。
  3. 船田文子

    参考人船田文子君) 今、委員長さんからもちょっとお言葉がございましたように、賭博的な要素を含みましたところの競技につきまして、私ども最初に、たしか水谷商工大臣のときだったと思うのですが、競輪を施行されるということになりましたときに、私たち全国婦人会からいろいろ意見を聞きましたが、一斉にこれは反対だということでございました。まことに単純な、理由もなしにただ反対だというだけの形ではございましたけれども、それをもちまして当局にもお話しをいたしましたときに、これは今戦災都市復興非常手段を用いなければならないから、その手段一つとしてやむを得ないと、まあいいことではないかもしれないけれども、できるだけ弊害を少くするようにしてやりたいと思うから、しばらくがまんして、戦災都市復興するためにがまんして、みなさんもその弊害のないように協力してくれないかといったようお話しがございました。そのときには、私どもは一時のやむを得ない非常手段日本復興のためにやむを得ずやるのだということで了承いたしまして、そのつもりでおりましたのです。それから後の経過が御承知通りに、最初政府としてもそういった御方針であったのが、そのねらいがだんだんに曲って参りまして、私どもの目には非常に弊害の方が多く訴えられて参りました。新聞身上相談などにも、この頃はあまりに出なくなったかもしれませんが、当初の頃は、夫が競輪にこったために一家離散するとか、そういうことで子供が泣くとか、まあほんとうにニコヨンに自分が出なければならなくなったとか、いろいろそういう泣き言を並べました投書が非常に多かったのであります。そうして私たちは、どうもその地方財政の立て直しのためのしわを全部家庭がしょっているよう感じを持たされたわけでございます。その後新たに競輪場新設するというようなときに、私に競輪運営審議委員の一人になれというお話しでございましたので、私は全国主婦母親を代表いたしますつもりで、その委員の一人にならせていただきました。それで、私のところへ全国から非常に多くの投書が参りまして、投書と申しますか、ぜひこの競輪場新設しないようにがんばってくれ、その発言を十分してくれという激励が婦人会から参ったのでございます。で、私は全国でこれは反対であろうと思いまして、非常に競輪運営審議委員会のお席でも、まあ私はずいぶん激しい言葉で、これはどうしても一日も早く競輪を初め、こういう賭博要素を含みましたところの競技についてはやめていくよう方針をとっていただきたいということを、まあ意見と申しますより歎願いたしたわけでございます。その後地方庁責任者の方がずいぶん私のところに、これはいいことではないけれども、やむを得ず、地方財政のためにあまり反対しないでほしいといったようお話がたびたびございましたのです。私は各地の婦人会の声を代表しておるものでございますから、地方婦人会がどうしてもこれは新設を要望するということに変って参りませぬ限り、私としてはそれではやむを得ないから御賛成いたしますとは申し上げかねますと御返事申し上げたところが、皆様お帰りになりましたあとに参りました婦人会からの手紙と申しますのが、これは人は変っておりますけれども、ぜひ新設をしてほしいという手紙が参っておる。それで私いろいろ反対の説を唱える人の手紙の申しようと、それから新設してほしいと申します婦人たちの申しようと、直接会ってよく話し合いいたしましたし、手紙の上でも話し合いいたしましたところが、どうしても反対理由の方は、なるほどと筋の通った理論正しい主張でございますが、新設を許可してほしいといったよう方面の話でございますと、これを競輪場ができたならば、すぐ学校がたくさん建って二部教授は直ちに解消して、子供たちが非常に幸福になるだろうという、そういう理由であったり、競輪場ができますれば直ちに風土病が一掃されてしまうだろうというような非常に飛躍した安易なことを理由といたしておりまして、反対理由の方は実によく研究もしたり、いろいろ数字にあたっても地方庁に行きまして、よく調べた上での弊害と益との比較したよう投書でございましたりいたしまして、これは何かしら大きな説得力が途中にかかっておるということをありあり感じるのでございまして、何かこれは無理にも競輪場新設するために、地方婦人に対しての説得なさった御努力というものを十分に私は感じたわけでございます。それでなお今日もちまして、婦人一般といたしましては、そういう割合に簡単に単純に考えます人は別といたしまして、ほんとうに真から考えますありのままの心持ちというものは、やはりこれは反対であるということを申し上げることができるだろうと思います。  それから私自身かねて念願いたしておりますことは、競輪オートレース、競馬だけではございませんで、ラジオその他一般にいま世をあげてクイズ時代であり、賭博時代である。その上にパチンコようなものも弊害と益とどちらがプラス、マイナスであるかということはよく議論されますけれども、どうもこういうことでまあぬれ手にアワという気分がみなぎっておるということが、なまいきを申すようでございますけれども、それでよろしいのだろうか、非常に嘆かわしいことではなかろうかといったよう気持が非常に強うございます。それから以前ほんとう終戦前の家庭争議と申しますものの原因が、よく昔から申されますように、夫の飲む、打つ、買うのこの三つが原因家庭争議になり、非常に不幸な家庭が出ておるのでございますが、今日何か主婦たちがやけを起しまして、飲む、打つ、買うじゃなく売るの方でございます。それが一部に非常に出ておりまして、主婦賭博にこっているのが出ておる状態でございます。今まで私たち家庭の破壊を主婦のがまんとしんぼうとで防波堤になっておったと思うのでございますが、この節の状況身の上相談に、やはりそういう賭博といったようなものについての罪悪感を訴えたものが少くなりまして、非常にうらやましい、自分たちもやりたい。自分たちにもする権利があるじゃないかといったよう主張が出て参っておるという、世相の傾向というものが非常に頽廃的になって参ってきておる。まあ私自分が女でございますが、家庭母親主婦がそういうことになってしまったら、ほんとう家庭がだめになってしまう。これだけはどうしても引き戻さなくてはならないという気持に燃えておるわけでございます。それでまあ財政の方に非常に寄与している事業自転車や、まあオートレースなどのことについては私よくわかりませんけれども自転車事業の発達のために非常に寄与しているということは十分ございましょうと思いますが、この点は必要とお考え下さいましたならば、何かほかの方法で、私は自転車が非常に発達するということは願ってもないことでございますし、貿易の振興ということをほんとうに心から願うものでございますけれども賭博という風習を仲介といたしましての振興ということは、なお考える余地が非常にあるのではなかろうか。それで政府にぜひお願いしたいことは、政治の上の指導理念といたしまして、非常に消費面合理化ということの指導が欠けているのではないかという感じが非常にいたします。法律が作られまして、これならばできる、こうやってきびしく監督して行くならば、正しく運営して行かれるというふうに思われて、法律が作られましても、それを実際に実行いたしますときの末端に参りますと、非常に形が変ってきて、法律の網をくぐろう、くぐろうとする気持がそれに乗じまして、末端では、最初法律が作られましたときの意思といったようなものが無視されて、そうして逆の面ばかりが巧みにあやつられているという面を非常に見ますことがございますし、また一般の風潮といたしまして、生活が苦しい、貧乏だ、収入を得たいといったよう気持が非常に強いのでございますが、それの方面の声は非常に強うございますけれども、それでは一定収入をどんなに有効に使うか、どういうふうにして少い収入でも心豊かに暮すかといったよう方面指導が非常に欠けております。政治全体にそれが欠けておるように思いますし、そういうことは地味でございますけれども、その消費合理化努力をいたさなければ、日本ほんとうの経済の立ち直りはできないのじゃないかというふうに私は考えまして、家庭の中での消費を上手にやりくりする家庭浪費をする家庭では、同じ収入で非常に相違がある、生活の豊かさに相違があるのでございまして、この点の指導が全体に欠けているという面は、最近の新聞にもよく出ますし、地方財政の非常な貧困といったような面も、やはり浪費の面の規制がまだまだ努力が足りないのではないか。競輪なり、オートレースなりをこれから先どういうふうにして行くかということを考えますときには、やはり地方財政の根本的な立ち直りから考えていただかなければ、現在の膨大な収入源というものをこのままやめてしまえと無責任には申し上げられないし、そちらの方の努力と相待ってやっていただかなくちゃならないことじゃなかろうかと、切にこれをお願いいたす次第でございます。  それから法律の条文の中に「当分の間」という言葉がございます。この「当分の間」という言葉は非常に意味深長でございますが、私ども最初競輪の始まりますときに伺ったのでは、やむを得ない処置だから、しばらくの間がまんせいとたびたびおっしゃられましたが、そのときにも当分の間のつもりであった。その当分の間のつもりが、やがて七年、八年となって参る。これから先「当分の間」というのは、どの程度と解釈をしてよいのか非常に苦しむのでございまして、その「当分の間」を、受け取る人によりましては、どのようにでも受け取られる非常に含みのある言葉でございまして、これを悪く解釈いたしますと、引き延ばし引き延ばしにすれば、永久にということにもなるのではなかろうか、そういう懸念を非常に持つのでございます。そうして大体収益の使途についてはどうかというお尋ねでございますけれども、この面は私などが申し上げるまでもなく、もっと専門家の方の御意見を伺いまして、私といたしますればよくわかりません。ただ私ども家計簿の方で家の消費をいたしまする場合に、いろいろ工夫をいたして、もうある一定収入でやりくりいたします苦心、それと同じ心持ち苦心地方財政の上にもなさっていただけましたならば、私もう少しじみながら、何とかこの賭博による益金を当てにしないでも行く道はあるのじゃなかろうか。切に専門家の方方の御研究を待ちたいと存じます次第でございます。  まことに単純な申しようでございまして、何の御参考にもなりませんかと存じますが、以上申し上げました。
  4. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは一通り参考人の方にお話を願いたいと思いますから、大蔵さんから……。
  5. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) 私、今日実はここへ出て参りましたのは、自転車の方では振興費を何に使っておるかということのお尋ねかと思っておったのであります。今のお話によりますと、ここに書いてありますものによりますと、一体お前競輪をどう思うかというようお話もあるようでありますが、二段にお話を分けてしようと思います。  第一段の方の、何に使っておるかということは、今皆さんのお手元書類を回したのでありますが、時間を頂戴しますれば少し詳しく申し上げたいと思いましたが、あまり時間もないようでありまするから、きわめて簡単に申し上げます。私どもこの金を使っております目標は、輸出をしたい。戦前におきましては日本自転車が世界中に行っておりましたのでありますが、戦後はイギリスにすっかり負けました。台湾までイギリス自転車が来ておる。昔は南米、南アの果てまで行っておりました分が、今では台湾まで押し寄せられたという状況であります。金にしますると、日本では昨年が七百万ドル、イギリスが八千六百万ドル出しておる。これを何とかしてまた元の、日本を世界一の自転車輸出国に持って行きたいというのが念願であります。これが第一の念願であります。第二は、これはあるいはちとうぬぼれの考えかもしれませんが、今お手元に回しました材料で、中小企業がどうしても大事な問題だと思うのであります。もう日本中小企業しか振興ができないと思います。ほんとうの世界に対して競争し得るものは中小企業です。その中小企業振興しないのはいろいろ原因があります。けれども、何とかして振興せしめるというためには、幸い自転車の方でもって金もありまするし、組織もありまするししまするので、徹底的に中小企業がこうやれば振興できるのだという、一つ犠牲的にやってやろう、こういうふうな考えをもちまして、もう自転車振興できなければ中小企業はだめだ。このくらい私どもは実はうぬぼれかもしれませんが、考えておりますので、この二つの目標を持ってやっておるのであります。そのためにいろいろ工夫をいたしまして、今お手元に回しましたような、これは一昨年の夏でありまするが、自転車業界振興対策というものを作りまして、これによりまして今徹底的にやっております。だんだん効果が現われて参りました。今ここに積み上げられましたのはその関係書類でありますが、こういうふうなのを作りまして、輸出振興せしめるには、どうしてもコストを下げなければだめだ、品質をよくしなければだめだ、並びに組織化しなければだめだと、こう考えますので、今お手元に回しました書類の中に、その組織に関する専門家コスト引き下げに関する専門家、これは日本の一流の人であります。技術に関する専門家を総動員いたしまして、これはごらん下さればわかりますが、その人々に相談いたしまして、徹底的にイギリスに負けないだけのものを作る。しかも安く作るということをやりまして、今のところでは、たとえばビルマならビルマに出しまして、大体七千円くらいの車を出すということをやっております。そうすれば徹底的に勝つと思っております。これは可能だと思っておりまするので、そういうふうに努力いたしております。まあそういうふうなことによりまして、実は今五ヵ年計画を作ったのであります。今のお話で今後競輪がどうなるかわかりませんけれども、ある限りは徹底的に努力しまして、今の目的を達成しようというのがわれわれ自転車業界目標であります。ことに私自身としましてはもう老人でありますが、一つ一生を打ち込んで、必ず自分が生きているうちにそれを実現さしてみたい。すなわちイギリスを負かしてみたいということに努力しておる。金に関しましては、私のおります限り絶対に一文たりともその目的を達成するように使いたいということを念願しております。さようにしまして、だんだん成績が上って参りまして、今お手元に回したよう書類によりまして、コストは必ずこれから引き下げができると思います。また品質も外国の車を全部、イギリス、ドイツ、フランスの車を全部取り寄せまして、それを徹底的に解剖しまして、それに負けないものを今作りつつあるよう状態であります。またここのところに実物を持って参りませんでしたが、ポリエステルの、合成樹脂自転車があります。あとでこれを回して下さい。これは女の子が片手で持ち上げている、軽い自転車を今見本に作っておるのであります。こういうふうないろいろの研究をしておりまして、ここにありますのは全部それに関する研究資料であります。あとでごらん願いたいと思います。さようにいたしまして、私の方に関する限り、自転車事業というものは相当の力をもって最も有益に使われつつあるということを申し上げていいと思います。何か御質問がありましたら……。  それから競輪の問題ですが、今、船田さんのおっしゃったことは私は全然同感です。私も老人でありますから、どうか日本が、ギャンブルはもちろん、ギャンブルスポーツがなくなるよう時代が来ればまことにけっこうだと、私は心から念願いたします。ただ私、実はまだ競輪場を見たことがないのです。非常に盛んだという話でありますが、自分はあまり興味がありませんので見に行きませんが、だんだん入っていろいろのことを聞いておりますと、今戦災都市復興とか、私の方の自転車に関する産業振興ということは別問題としましても、なお三点、政府としてはお考えにならなければならぬ点がある。第一には、今日まで政府は九十億の税金を取り上げられておる。これは一昨年までです。昨年からはなくなりましたけれども、一昨年まで税金として九十億取られた。民間ではこのために施設費に数十億の金を使っております。政府は金を取り上げた。民間はがまんしろというのではどうもいかぬ。結局やめる時分には買収しなければならぬのではないかと、こう思っております。それから第二には、競輪、ほかの方は知りませんが、競輪だけで飯を食っている人間、選手ばかりでなぐ、関係のある人間、すべて合せて四、五十万人、家庭人々を合せるとやっぱり二百万から三百万の間かと思いますが、その人たちが直ちに失業するということも、政府としてはお考えにならなければならぬ。ことに第三には、私まだ見ませんけれども、この辺の競輪場へ行きますと、毎回何万かの人間が集まっておるということを聞きますが、それだけいわば大衆スポーツになっているので、これを急激にやめるということはどうかというふうな気がしますので、おやめになるならばやはり政治的にお考えになって、十分御研究の上、漸次これを善導する。今、船田さんのお話通りに、消費方面においても、もしくは地方財政方面においても、またギャンブルスポーツにかわるべき他の娯楽方法にいたしましても、十分御研究の上、これをやめるという目標をもって漸次その方向に進めらるべきものではなかろうかと思います。先日もたしか朝日新聞でしたか、パチンコをやめたので、私はパチンコをやったことはありませんが、パチンコをやめたのでいろいろな弊害が生じたと書いてありますが、これは必ずそういうおそれもありますので、今回聞くところによると、競輪審議会とかいうもので政府の今後徹底的の方向をきめるのだということがこの案にも書いてあるようであります。これなどは最も賢明な方法だと思うので、十分御研究の上、やめるのならやめるという方法をお考えになった上で十分御研究あらんことが一番いい、こう思います。  さように私は競輪について考えます。
  6. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは塚本さんどうぞ……。
  7. 塚本寿一

    参考人塚本寿一君) おふたりの方からのお話で大体尽きているよう感じで、私申し上げることはないのでありますが、なるべく重複を避けて、ただ私が政治記者でございますので、一つ政治問題、社会問題、経済問題になっている、今政治問題としても大きく考えなきゃならない段階に入っていると、かよう考えますので、私はそういった角度から見たところを申し上げてみたいと存じます。  私も実は非常に不調法で、こういった問題についてはやったこともございませんし、競輪に限らず、賭けごとはともかく、そういうことはきらいな方でやりませんので、実体に触れた観察ができないかもしれませんけれども、しかしそういった政治問題として扱った場合、これは大いに真剣に考えております、重大問題として……。いろいろ情報を収集しておるわけでございます。さようなわけで、この根本的な問題としては、おふたりお話通り、これはない方がいいにきまっていることだと私は思います。しかしこれは法律を作る場合と、それから改正をする場合と、この二つの角度から考えてみたいと思いまして、これから新しく今の段階で作るという場合は、私は根本的に反対を申し上げなければならぬと思うのでありますが、ここに改正論を取り扱う場合には、最初の根本法ができました当時の事情等も考え合わせまして、それからそれによって起る社会的影響等も考え合わせまして結論を出さなければならぬと考えまして、いろいろまあ考えておるわけでありますが、そういった意味においては、私は非常に大局的な見解に立って判断を下さなければならぬという大まかな結論を持っております。つまりこの今の競輪の悪いという評判を受けているところが何に原因しているかというと、結局のところ、人間性の弱点でもってそれをことさらに悪用するということ、端的に言えば、八百長問題だとか、何とかいう点が非常に新聞なんかに扱われる。従ってその原因が、結局は競輪があるからということになりますし、また先ほど船田さんのおっしゃったように、家庭不和の原因もそういうところにあるというふうな、結局根本法を制定したときの地方財政の充実という観点と、それから自転車業の奨励というような点の目的の点からはずれた方向の方の、派生的な問題の方が非常に大きな問題となって、今日賛否両論が非常に激しくなり、むしろ賛否というよりも、否定的な方面に向っていると思うのでありまして、この点を一つ根本に振り返って考えてみたいと思います。  あの当時は、たしか各政党の共同提案になってできたと承知しておりますが、そういったよう状態のものを今日改正して、まあ改正して存続するのがいいかどうかという問題になっておりますが、この点で第一に、競輪というものが大衆娯楽の中の範疇に入れていい問題かどうかという点になりますというと、そういったいろいろ社会不安を起しております点を是正して行けば、今の段階では大衆娯楽のある線に沿うているような点も見える。それですから大衆娯楽が云々という点から言えば、根本的にいろいろ悪い点をとって、そして最初目的地方財政自転車業の振興という点の目的を達成する一つ方法として、あるときまでこれを認めるということも、今の段階ではやはり考えられる筋だろうと思うのであります。しかし、この不道徳な行為をどうしても改善する余地がないか、こういうふうによい面、悪い面のバランスを見て参りますときには、私はこれは運営の方法によっては改善し得るという一つ考え方を持っておるものでございます。  ところで、この今申し上げたよう一つの娯楽機関として認めるかどうかという点は、パチンコの問題がこれまた全面禁止という話が先ごろ一つ政治問題として取扱われましたときにも、これを全部中止したならば、結局まあ大衆の娯楽としておるものがやみにひそんで行く、結局なお悪いような、社会的害悪を流すような事態がかもし出されはせぬかということをお話しになって、今のような悪い点は直すけれども、まあまあ認めようというふうになったように私も承知しておりますし、私もこれは一理あるというふうに考えておるものでございます。従ってその考え方が、この競輪の問題にも、なるたけ早い機会に根本的な考え方を案出して、そして取り除きたいという気持ではありますけれども、現在の段階において、いわゆる大衆娯楽の線がいかにもこの今の過渡的な社会現象、政治現象の間にあっては、これを急激にやめた場合にどういうことになるかというようなことも政治的に考えられるわけでありまして、非常に甘い考えでありますけれども、これは一つのやはり考え方の根本に触れることじゃないかと、かよう考えるわけでございます。要するに、この今批判の対象になっておりますことが、これが主催者、あるいはいわゆるファン、または選手というようなものが、ほんとうにこれは大衆娯楽としての線に沿うよう努力するということになれば、これはその目的を達し得るのじゃないかと、かよう考えるわけでございます。それで、私個人のこの全廃か、改善かという線は、大体今述べましたことでもっておわかり願ったと思うのでございますけれども、されば、現状よりももっとふやしてもいいかというようなことになりますと、これは最初に申し上げました通り、理想的な形態としてはこれを下げなきゃならぬ立場でありますから、現状よりはふやす必要は絶対にないという考え方でございます。  それからちょっと具体的の例となって、平日開催禁止云々というようなこと、つまり存続の意味からのみ入った問題でございますけれども、これは非常に形式論でないかというようなことを考えるわけなんで、大体日曜とか、祭日という点は、これは大多数の者が休むということにきまっておりますけれども、最近の生産状況、いろいろな観点から見ては、日曜、祭日、平日というものの、休日という観点からは、これは一がいにきめつけることはできないと思います。月曜、祭日だというので、その日に限ってやると言えば、休日出勤の者のいわゆる大衆娯楽的な価値というもの、これはできなくなるような立場になりますので、そういった意味の日にちでもって制限するというようなことは、私はかなり形式的な点じゃないか。だからむしろ主催者側で、金の入る点が少いとか、多いとかいうので御判定もあるようでありますけれども、これはファンの方でも、また主催者の方でも、また選手の方でも、三者一体になって考えるべき問題だろうと思います。  それで結論的に申しますと、私はそういう立法の場合と改正の場合という点については、非常になまぬるい考えではありますけれども、徹底的に悪い点を改善して、そうしてこの全廃した場合の社会的影響というものを合わせ考えて、そうしてこの改善案を立てて進めて行くというふうなことを考えるわけでございます。と同時に、国会の御決議に対する私の希望でございますが、こういった国の各種の時事、社会問題、経済問題、ことに政治問題となっている場合の結論を出す場合、賛成、反対というのは、私は賛否をはっきり言うことは割合に簡単なことじゃないかと思うのでございますが、その結論を出します場合の反対も賛成も、大体最大公約数というものは打ち出せるものじゃないか。たとえば廃止するにしましても、これを存続するにいたしましても、国会で御決議になったものに、賛成論者は非常に不満かも知れない、あるいは反対の者から言えば不満かも知れないけれども、しかし最大公約数を打ち出された結論が、この問題に対する最後的な結論だということが一般国民に対して出た場合には、その影響というものが比較的少くて済むのじゃないかというよう気持がいたします。  もう一つ、娯楽というものの考え方について、消極的に悪い面をのみ打出す、勿論悪いことはしちゃいけないのですけれども、これがある程度許さるべき状態における問題を、おとなの問題とし、また青少年の問題、あるいは児童の問題として考える場合に、これはおとなだからやるものだ、これは子供だからやるものだというふうに、一つの何と言いますか、昔の言葉で言えば死守という考え方も積極的に考えてもいいのじゃないかというようなことも関連して考えられるわけなんです。実は私新聞を編集いたしておりますと、それは大きなニュースとして扱われる社会的罪悪の問題は、それはそうしょっちゅうある問題ではないので、全国のうちで異例の問題を扱うわけなんですが、それによって及ぼす影響というものは大きいわけで、それをのっけないというか、のっけないよりも、むしろそれをのっけて、それに対するいましめとするという傾向が終戦後のいわゆる新聞のあり方、ジャーナリズムのあり方になっておりますために、こういう事実があったならば、たとえば競輪場でいろいな事件があった。これはおとなとしてみっともない問題だというようなことに関連して、一つの教育の仕方というものもあり得るわけなんで、実にちょっと考えますと、そんなことがあり得るという問題でありますが、政治の実態というものは、今理想を目指しながら、理想に近づける過程における現在において、非常にある意味の過渡的な、何と申しますか、進め方をしなければならぬことも考えられるわけでございまして、私はこの法案に対しましては、「当分の間」ということを、なるべく最短期限に短縮して、しかも過渡的な、先ほども大蔵さんが申されたような、自転車の発達等に、あるいは地方財政の見地に立って考え一つ方法としてのまあやむを得ざるものとみて、改善方策を徹底的に打ち立てていただきたいということをお願いして、そうしてこの大衆娯楽の健全な一つの範疇というものも打ち立てる一つ考え方の資料としてみたいと、かよう考えるわけであります。
  8. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょうど高木さんがおみえになりましたから、読売新聞社の編集局次長高木さんからお願いいたします。
  9. 高木健夫

    参考人高木健夫君) 突然参考人で出ろと言われまして、まあこの法案を拝見いたしましたのですけれども、私こういうことをよく読んでものみ込めませんので、これから申し上げることは、大分的はずれになるかもわかりません。そのことを非常に私心配しておりますのですが、あらかじめお許しを得たいと思っております。  主として競輪の問題だろうと思うのですけれども、これが始められたころ、それから競輪のいろいろな焼き討ちとか、持ち逃げとか、いろいろな犯罪があったころ、そうしてそれが地方自治体の非常に有力な財源になり始めたころは、私たち競輪のあり方について、ずいぶん反対的なことを書いたり言ったりいたしました。今から考えると、かなり書生論みたいな、理想論みたいなものが多かったのでありますけれども、その後のいわゆる競輪のあり方をずっと眺めて参りますと、今一がいに、これはもうギャンブリングだからいけないというような、簡単に割り切ったことはだんだん言えなくなって参りまして、実はこの点については、私自身は非常に憶病と申しますか、慎重になって参ったのであります。しかしその競輪の今のようなあり方がいいか悪いかということになりますと、あまり好ましくない。一番好ましくない状態はどういう状態かと申しますと、地方自治体が有力な財源として競輪を公営しているということだろうと思うのです。ああいう純粋のばくちかどうかわかりませんけれども、そういうばくち類似のものを地方自治体が公営している。しかも地方自治体の財源がないから、小学校が建たないから、あるいは勤労者の住宅が建たないから仕方がないじゃないか、これ以外にやる方法がないのだ、そういうやり方で競輪が進められており、何となく競輪というものが、地方自治体がやっているということで正当化されているような気がするのです。その正当化されながら、それが既成事実として積み重ねられて行って、今は大体民衆の娯楽、健全かどうかわかりませんけれども、民衆の娯楽的な要素として、これは動かすべからざる一つの存在となっていると思うのであります。こういう状態になりますと、私たちが純理論といいますか、書生論みたいなことを持ち出して、これはいろいろな弊害があるから、いけないからやめろと言っても、もうやめられない段階に来ているのではないかと思うのです。たとえば今それならば、急にやめちゃったら、これはもう地方自治体の財政その他に大混乱が巻き起るだろうと思いますし、とてもそんなことはできないよう状態ではないかと思われます。しかし一方に地方自治体が、いつまでもこういうものを経営し、興行といってもいいと思うのですが、これをやって、その上り高財政の大部分を、大事なところをまかなって行くあり方は非常に、どこからみてもあまりいいことじゃないと思うのです。いいことがないばかりでなく、今競輪が一番わかりやすいので問題になると思うのですけれども、そのほかにも競馬であるとか、オートレースであるとか、モーター・ボートであるとか、あるいはまたさらにハイアライとか、いろいろなギャンブリング全体が、それぞれの理由をもってやられるということになると、やはりほうっておけないような気がするのです。自治体では、これはばく然とした言い方で申しわけないのですけれども、この競輪地方自治体の収入、その金の扱い方ということは、非常に厳密に監査がされているのかどうか私よくわかりませんけれども地方版なんかによく出ているのをみると、地方自治体が競輪をやって行くということ自体が、地方自治体の腐敗を招きやすい因子をそこに持っている、大げさに言いますと、時限爆弾を抱いているよう感じがしてならない。これが杞憂だったら大へんけっこうなんですけれども、この点がどうも私には心配なんです。この法案はよく存じませんけれども、特例で何年間か延ばすということだろうと思いますけれども、その間に競輪のあり方というのをもう少し吟味して、そうして徐々に地方自治体にやらせないで、これを私営、私の企業に持って行く、もともと禁止とか、取締りとかいうのは、どうもあまり好ましくない傾向でありまして、何かというとすぐ禁止だとか、取締りということを持ち出されるのはあまり愉快でないのです。そういうこともありますし、これは禁止するというよりも、むしろ個人の自由な企業にまかしておく、それに対する一つ法律のワクというものは相当きびしくあってもいいと思う。個人にやらして、そのかわりそこからは高い税金をとる。その税金をとにかく……、それから先のことはどうも私はよくわからないのですけれども、中央にまとめるなり何なりして、それをまた地方自治体に再配分するという形の方がまだいいのじゃないかと思うのです。どうも私が一番心配するのは、非常な収益のあるこういう、しかもあまり社会道徳的にみて好ましくないものを地方自治体が経営しているということに問題があるような気がいたします。  それから、競輪自体の問題なんですけれども、これもやり方によっては大へん健全なものになるだろうと思うのです。たとえばプロ、アマを問わず、駅伝のようなもの、あるいは本州縦断レースなんというものも、春秋二回やってもいいでしょうし、あるいはアジアなり、国際的なそういう競技日本でやってもいいと思うのです。この競輪一つ目的は、いわゆる輸出産業振興というふうなことがありますけれども、これもしろうと考えで恐縮なんですけれども、ああいうコンクリートのすりばちみたいなところで、一定のコンディションのところで特定の車だけを走らしていたところで大したことはないのじゃないか、それよりも自転車というものは、庶民の足として、自動車や何かの行けない悪い道路を非常にいい能率で走るということがやはり大事なんじゃないか、その点から言いましても、やはりそういう駅伝のようなクロス・カントリー・レースようなものがもっと発達してもいいと思いますし、それから交通公社あたりもやっておりますけれども、いわゆる自転車によるハイキングのようなもの、そういうものをもっと盛んにして、自転車の健全なレクリエーションのあり方というものは、いろんなふうに考えられるのじゃないかと思うのです。  大体そんなことぐらいでありまして、別に御参考になるよう意見も持ち合わせませんので、まことにお粗末なことで恐縮なんでありますけれども、何かの御参考になれば大へん光栄かと存じます。
  10. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 以上参考人皆さんから御意見を伺いましたから、お尋ねがございましたら、どうかお述べを願います。
  11. 河野謙三

    ○河野謙三君 大蔵先生一つお伺いしたいのですが、これはむしろ通産省に聞いた方が適当かと思いますけれども、せっかく御出席でありますから、あなたの自転車産業協議会競輪振興会の関係は、ただ経費だけで結ばれているだけでございますか。
  12. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) そうです。
  13. 河野謙三

    ○河野謙三君 経費は一体どのぐらいとっておいでですか。
  14. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) おそらくほかの産業界にはないと思いますが、自転車産業界だけはメーカーも卸売も小売も一本になっております。お手元に回しました書類でごらん下さったと思いますが、そのメーカーの団体、小売の団体、卸の団体、競輪の団体というものが会費を出しまして、集まって月に五十円足らずの金を集め、それでやっている団体なんです。ですから、これはもっぱら競輪の方に関係しません。ただ、もっぱら自転車業界振興、すなわち輸出振興を中心とする振興考えている団体なんです。
  15. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、いわゆる競輪から上がりました収益からは、あなたの協議会の方へは一文も金が入ってない。一般の業界にありますように、同業者の団体として、同業者がそれぞれ賦課金を出しておる、こういうことがあなたの方の協議会の経費の内容でありますか。
  16. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) その通りです。ちょっと申し上げたいのは、振興会に出している金は、おそらく競輪の方から出しております。振興会に入れまして、振興会がまたメンバーの一つとして、会費を私どもに出しているのであります。
  17. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうすると、それぞれの業者の会費のほかに、振興会もやはり……。
  18. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) 振興会はメンバーの一員として出しております。今お手元に出しました資料によりまして……。
  19. 河野謙三

    ○河野謙三君 今資料をいただいたばかりでありますから、まだ拝見してないのですが、振興会も一メンバーとして会費を納めている……。
  20. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) さようです。
  21. 河野謙三

    ○河野謙三君 その振興会の納めている会費というものは、一般の業者の会費よりも莫大な額になっておりますか。
  22. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) 一番多いです。一番多い金を振興会が負担しております。
  23. 河野謙三

    ○河野謙三君 先ほど輸出の話がございましたが、一般のあらゆる産業におきまして、それぞれ輸出につきましては政府自体が輸出振興についての相当の予算を組み、それに加えて各業界がそれぞれ自主的に輸出振興に対しての経費を負担してやっているのであって、単に自転車産業だけが輸出に対して、競輪輸出振興の経費を依存しなければならぬということについて私は疑問を持つので、今お尋ねしたわけですが。
  24. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) 別段、依存しなければならぬということの考え方よりは、競輪の方から上ってくる収益を、そもそも競輪というものが、自転車業者が、業界が非常に不振だからというので、試みにやってみようというのでやったのが、たまたま思いがけなく繁昌した。そうしまして、目標というのは、自転車業者がそもそも金を作って競輪というものを作ったときには、自分たち振興考えたのです。そのために無理やりに、その時分になかなか金を出すことを応ずる人は少かったそうです。それを自転車業者が苦心惨たんして金を集めまして、方々に競輪場を作ってやった。それが大いに当っただけなんです。そもそも自転車業者が自分たちの業界振興のためにそれをやった制度なんです。そのために自転車競技法の第一条にも自転車振興という文句が第一項に入っているわけです。そのことは自転車業者が自分で儲けるということよりは輸出振興に持って行こうということになりまして、その金をできるだけ輸出に集中しようということでやっております。ですから別段輸出するために自転車業者だけが持つということよりは、自転車業者が競輪というものを作りあげたことによって得る金というものをもっと輸出に持って行こう、こういうことです。
  25. 河野謙三

    ○河野謙三君 ちょっと質問の範囲を超えるかもしれませんが、実は輸出振興のために競輪の収益から一部分を負担させるということは、その内容を言いますと、通産省から私たちがもらった資料によりますと、競輪の収益とは一体何だということになると、二万五千円以下の低収入の人がこの競輪のファンの中の大部分なんですよ。そうして年代別にいうと、二十代、三十代の人が大部分なんです。職業別にみると、会社員もしくは無職者が大部分なんです。ファンとおっしゃるが、ファンとは何かというと、これは決して生活に余裕のある人が行っているのじゃなくて、これはむしろファンというものは御承知ように固定しているのです。競輪そのものを商売にしているのが、これが競輪のファンなんです。そういうことをずっとしぼって結論を出しますと、貧乏人から金を巻き上げておるのが競輪の収益であるということに申し上げてあまり間違いないのです。そういうものから出てきた収益を振興費に使うならば、むしろこれは政府の責任の問題でありますけれども一般国民の負担において正しく割り当てられた税金から国家が予算を組んで、自転車産業振興のために当然国家が負担すべきであって、ただでさえ社会問題のやかましい、社会政策の非常に唱えられているときに、一番極端に言えば下層な層からテラ銭といいますか、収益を上げて、そうしてこれを国の産業輸出振興の費用に充てようということは、少しこれは私は社会政策的に考えても筋が違うのじゃないか、こう思うのであって、この点につきましては、もう振興会の方で十分内容を御承知でしょうが、先ほどからいろいろ競輪一般からとおっしゃいましたけれども、私は、今日参考人としておいでになった方が、われわれと同様に競輪にはいらっしゃらないでしょう、私も行かないのです、行かないのですが、今申し上げたような通産省からの資料によりますと、大体それを要約すると、競輪のファンというものは内容はそういうものなんですよ。従って一万円や一万五千円取っている人が競輪に行って大体二千円から二千五百円かけるのです。そうすると娯楽どころの騒ぎじゃないのです。血眼になって命がけでやっているというのが競輪のファンなんです。私は娯楽の域を脱していると思うのです。そういう意味合から、私は自転車産業振興には賛成するのだが、なぜ進んで大蔵さんの方の協議会は堂々と国家の予算においてそういうものを負担しないのだ、振興会の方から負担してやるべき性質のものじゃないというふうになぜ御主張にならぬのかということを申し上げたいのです。はなはだ質問が脱線しましたけれども……。
  26. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) 河野さんの御質問、私も十数年間議会の飯を食ったのですけれども、とてもそれは政府が何百という中小企業があるうち自転車業者だけに、お前の方の振興をはかってやるということは、とてもできないと思っています。ですから、政府がやるとすればもういつでも総花式であって、通産省全体の予算がわずかに何十億という金なんですから、そのうちでもって自転車業者だけに、お前たちにこれをやるというふうなことは、政府はできるものじゃない、ほかの業者から非常な反対を食いまして、不可能なことと思います。私の申し上げているのは、自転車の方を盛んならしめるために競輪がほしいのじゃないのです。競輪があるから先ほど申しましたような経緯で自転車のほうでいただいておる、競輪がなくなればしようがないというこういう考えなんでありまして、自転車の方が大事だから競輪をやってくれと、こういうことを申し上げているわけじゃない。あなたのお話を伺うと自転車が大事だから競輪を存続しているように伺えるのですが、そうじゃないのです。そういうふうな経過で起った競輪だからして、それに伴って法律のあるのは当然なことだ、それをできるだけいいことに使おうと、こういうことなんです。
  27. 河野謙三

    ○河野謙三君 私も国家の財政の現状からいって、各産業別にそれぞれ輸出振興費というものを、あなたのほうで振興会からもらっているような経費を、そのまま国家の財政に振りかえようというようなことは無理だということはよくわかっています。しかし今あなたの方が振興会の方からもらっている金というものは、その振興会から出てくる金の根源というものは、今言うように大衆というよりもむしろ貧困階級といったほうがわかりいいと思うのですが、そこから出てくる金であるというこの根源というものを見れば、何か協議会でも自主的にお考えにならなければいかぬし、国家としても何か別の方途を考えなければいかぬのじゃないか、こういうふうに私は思うのです。
  28. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) まあ御議論でしょうけれども、協議会としましてはただ頂戴している金を一生懸命最も有効に国家のために使っているという程度なんです、問題は。その金が、私の方としますれば、どこからこようと、国家が下さろうと、競輪の方からいただこうと、今申し上げたような、一つ日本を世界一の自転車輸出国にしようという努力だけに集中しておるんですから、金がどこからくるかということは、あえて私どもは論じておらないんです。
  29. 河野謙三

    ○河野謙三君 もう一つ伺いたいんですが、コストの切り下げに非常に努力されておるということですが、コストの切り下げのいろいろなパンフレットをちょうだいしましたが、この内容をつぶさに拝見しておるひまもないんですが、この自転車産業自体においてのコストの切り下げの努力というものは、もちろんまだ十分幅があると思いますが、根本的に国際価格にさや寄せして、そこまで日本自転車産業コストを下げようとするには、やはり基礎産業であるところの鉄とか石炭とか電気の問題に入って行かなければ、ほんとうにあなたの目ざすところの国際価格というところまで行かないんじゃないかと思うんです。
  30. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) それは現在のままでおっても専門家が言うているのは、この本によりますれば、ほんとうにやったらば二割五分ぐらい下るだろう、こう言っています、現在のままでもって。そこで、基礎産業がもっと安くなれば、これは最もありがたいんです。今、日本自転車の一番の欠点は、今お話通りに鉄なんです。鉄が高いということなんです。イギリスに比べて約四割高い。その品質並びに価格とを合せますと約四割高い。その四割をこえて、これをどう負かすかということは、結局中小企業という強みで負かすということしかないんです。それをどうするかというと、これは東京で十二、大阪で十一、名古屋で八つの工場の直結にしまして、ここに専門家がついて一年間みっしり研究しまして、ほんとうにこうやれば下るということの結論を作ったのです。これはおそらくほかの中小企業にない最上の参考書と思います。これはほかの中小企業もならっております。こういうことで徹底的に下げてみよう。その結果大体イギリスで売っているのは九千円ぐらいです、アジアの地域で。これをわれわれの方で一つ七千円ぐらいで出そう、二千円ぐらいの差をつけてやろう。今の九千に対してこちらの方が八千五百円ぐらいです。それをコスト引き下げによりまして七千円でやろうという今努力の最中なんです。そうすれば今相当に出るということを、至るところの各地から言うております。日本の品物が七千円以下ならば自分のところでは月に一万台ほしいとか、二万台ほしいとかいうことを言ってきておりますから……。そういうふうにしまして徹底的にコスト引き下げということを実行してみて、これはまあ作文ができたんですが、これによりまして、そうなれば私は輸出は可能だ、こう思っております。
  31. 河野謙三

    ○河野謙三君 これは政府お尋ねすることでありますけれども、同時にこの機会に一つ大蔵さんにお尋ねしたいんですが、今お話ようほんとうコストを切り下げるためには、自転車工業自体のみならず鉄その他の基礎産業にも合理化を求めなければいかぬ、そういうことですね。
  32. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) そういうことです。
  33. 河野謙三

    ○河野謙三君 しからば競輪の収益の中から出る金を、自転車産業そのものにのみ振り向けずに、この収益の一部を基礎産業の、たとえば鉄なら鉄に、これは僅かなものでありましょうけれども、振り向けるということが私は必要であると思うし、またそれが正しいと思いますが、収益の使途の幅をもっと基礎産業に持ってゆくべきだと……。
  34. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) そうなっております。昨年からは収益の半分を自転車にもらい、半分を基礎産業に廻しております。昨年からそういうふうに実行されております。
  35. 河野謙三

    ○河野謙三君 その詳細は政府の方から聞きます。  それから最後に塚本さんと高木さんに伺いたいんですが、いずれも現在の競輪は改善の必要がある、運営を改善しなければならぬということの御意見でございましたが、たとえば改善につきまして何か具体的に御意見がございましたらお伺いしたいと思うんですが、私先ほど申し上げましたように、現在の競輪の内容というものは低収入の者が、しかも職業別にみると、会社員もしくは無職の者が、しかもファンは固定化しておるというような、非常に改善どころか競輪をずっと続けてきておる間に最悪な、およそこの法案を立案した当時予想もしなかったような最悪なところに追い込まれておるのが現在の競輪状態です。でありますから、これをわれわれもできることなら弊害を少くして運営が行くなら願ってもないことだと、こう思っておるんですが、そういう点につきまして改善の方法につきまして何か一つ意見を伺いたいと思うのですが……。
  36. 塚本寿一

    参考人塚本寿一君) 私は先ほども競輪を血眼になってやるというそういった原因が、やはり金額の点ね、高い、何といいますか、そういった方面で非常な引力もある、そういった点と、それからそれに関連すればもっと全般的な問題ですけれども、選手というものが、これは場合によっては子供にいろいろな自転車競走というよう一つスポーツ等の関連において間接的な影響があるわけでございましょう。そういった意味で、選挙自体の自粛といいますか、これが一番根本になってくるのじゃないか。今の場合はいろいろ新聞を見ていますと、八百長の問題もあります。ああいういろいろな方面の誘惑があると同時に、本人自体に弱い人間性の弱点があるわけです。そういった点からいって、この競輪というものを存続させたいという意欲は、主催者側にも選手自体にもあるいはファンの方にもある、そうすれば、そこに三者一体となってうまい道が開かれるのじゃないかというよう考えが、ちょっと甘い見方かも知れませんが、あるのですね。そういうふうにすれば、先ほど高木さんがおっしゃたように、自転車そのものにも、何というか、関係なく、一つの健全娯楽の線に近付けるあれがあるのじゃないかという気持がいたしまして……。お話ような点の改善の点についてはいろいろ話としては聞いておりますけれども、私自身のあれはないのですけれどもね。
  37. 小松正雄

    ○小松正雄君 関連してですが、塚本先生お尋ねいたしますが、まず改善の方法ということについてはいろいろあろう。これは私もさよう考えますが、根本的に塚本先生お話を伺っておりますと、今の競輪場、今の競輪経営というものはまず国民的な大衆的な娯楽だ。であるからしてすぐこれを廃止するというようなことには考えられないと、かように私は受け取りましたが、そう受け取っていいのですか。
  38. 塚本寿一

    参考人塚本寿一君) これは先ほど冒頭に申し上げた通り、新しく法律を制定するというようなことには私はこれはもう反対ですよ。だけれどもね、今の改善するという意図でこの案が出ているわけですね。そういった意味で、改正となりますと、全廃する、中止するといった結果現われる現象、それともにらみ合せて考えなければならぬ。現状は非常に不満であるけれども、そういった面で逆にまあ近所を見てみますと、大衆も動員されておるというような観点からいって、内容の運営を改善すれば、一つのやはり娯楽の面が出てくるのじゃないか。それがとまった場合に、いろいろなマイナスの点がそれ自体の面でまた出てきはせぬかと私は思うのですがね。
  39. 小松正雄

    ○小松正雄君 私の尋ねておりますことは、この今日の段階にある競輪を通じて、あなた方の率直に申しますと隔意ない御意見を伺われるのだ、こう考えておるわけです。その意味からいたしまして私の今聞かんとしておることは、今の競輪場が、競輪経営が、これがあなたのお言葉から聞いておりますと、正常なものになることは望ましい。しかしながら現在でもこれは国民大衆の娯楽場というようなことになっておるから、ここで廃止をするということはどうか、かよう考えておるような話をされましたから、それを聞いておるのであって、これが大衆の娯楽場とあなたがお考えになるということになりますと、私は続いてお尋ねをしたいと、こういうことなんですがね。どうでございますか、大衆の娯楽場だとあなたは今見ておられるかということですか。
  40. 塚本寿一

    参考人塚本寿一君) 現状では私は不健全だと思います。不健全なるがゆえに改善すべき要素がある。しかし最初の原案をお通しになった、つまり立法されたときに、そのときの目的といいますか、そこに目標を掲げられた筋が今解消したかというと解消していないと思うのですよ。やむを得ざる一つ手段方法としてこれも使ってもいいのではないかというのですね。現状のままでどんどん悪い方が影響してくれば、先ほど言ったつり合いのバランスの問題で改善の余地なしということになれば、これは全廃するにしかない、こう言うのです。
  41. 小松正雄

    ○小松正雄君 そこのところは別といたしまして、私は現在の段階では、この競輪場というものを大衆の娯楽場だとは考えていないという一つの例といたしまして、これは私の考え方ですから違っているかもしれませんが、恐らく大衆の娯楽場だと仮定いたしまして、入って行くというのなら、映画とか、あるいは芝居とかまず入場料を払って見る、技を見るということが主眼になる、それが娯楽場だと言えると思うのです。いやしくも競輪場の中に車券を売っているということからいたしまして、これは悪の原因であり、これをしてまで娯楽場だとは考えられないと思いますが、あなたはどういうふうに考えていますか。
  42. 塚本寿一

    参考人塚本寿一君) 現在の内容から行きますと、さっき言った通りで、内容から言えば不健全だと思うから、健全な娯楽場だとは思いません。しかし今の目的手段の点で、手段の点においての弊害が表われていますから……。
  43. 小松正雄

    ○小松正雄君 そういたしますと、車券でも売らないようなことになって、そうして入場料だけでこの競輪を経営して行く、たとえば娯楽場だと見なしていく形に立ってやるのならばいいという考え方を持たれるのか。
  44. 塚本寿一

    参考人塚本寿一君) その点は私は最小限度にやって車券の弊害を及ぼさない程度におけるものであれば、そういうものは中に入れてもいいものだと思いますね。
  45. 小松正雄

    ○小松正雄君 ただいまも同僚河野委員からもお話がありましたように、少くとも国民の一番勤労を中心とするものが これらに入って車券を買っているということからいたしまして、車券というものを売ってまでするところが、これが娯楽場だとあなたはおっしゃったが、私はそう考えないということで、車券というものを売らないようなことにすることには賛成かどうかということをもう一ぺん。
  46. 塚本寿一

    参考人塚本寿一君) そこまで徹底することも必要だと思いますが、要するに私はこう思うのですよ。最初にできたときに、少くとも国会で四党が共同的に提案して、それが可決されて今日になっているという点で、その点を政治問題として私はまず重視しているのです。ですからその点で、どの党でも反対ということはあり得るわけですけれども、共同提案になってこれは可決されているという点に、国会というものが国民の代表的な総意を汲んで可決されたものと見なして、そこからずっとやっているのだから、そこに話が食い違っているように思うのです。現在の段階においては今の競輪の運営の方法から言えば非常に不健全だと思うのですね。
  47. 小松正雄

    ○小松正雄君 それはそれといたしまして、なおあなたのお話の中に子供らがこれらを見たりこれらに入ってはいけないということであるが、少くともこれらに対してのしつけとおっしゃったですね、子供たちをそういう所に行かせないというしつけをすることは、責任ある親がすべきだということを言われましたが、私はこれは全くあなたの考え方と反対である。ということは、この競輪場があるが故に、競輪場に行くために、さっきも船田先生からおっしゃられた、今日の段階では、もう男女同権だと、そこで悪いということは考えながらにも、飲む、打つ、何というか、売ると、こういうふうに思想が必ずそこまでなってきている今日ですから、亭主が行かなくても家内が行くとか、家内が行かなくても、亭主が行く。で、行って来た環境を必ず夜の飯食いのときか何かに子供を置いておいて話をしていることが相当あると思うのですね。そうすると、この競輪があるために、知らない子供にまで賭博を知らせるということになると私は思う。そこであなたのおっしゃったように、子供に対して親のしつけさえすれば、競輪場があってもいいというように私は聞こえましたが、どうでございましょうか。
  48. 塚本寿一

    参考人塚本寿一君) それは言葉の足らない点があると思いますが、そういった一面も考えなければならぬというので、教育の面において競輪だけがかけごとじゃないので、いろいろ射幸的なものがありますね、これも理想的な形態から言えばやめなければならぬのです。けれどもそれが一つの過渡的な現象として、非常に不幸だけれども、国会を通過して公認されておる、こういうような観点らか言って、一つの積極的なしつけの方法としては、こういういろいろの子供子供、大人は大人ということがあるということをお話したので、私の言い方が足らないかもしれませんけれども、今のものをそういった点が肯定して、それがいいとか悪いとかいう点じゃないのですよ。
  49. 小松正雄

    ○小松正雄君 一つ伺っておきたいと思いますが、まず、さっきも申し上げましたように、今日先生に来ていただいて、先生の御意見によって私ども参考にもしようという考え方でありましたために、私のしつこく問うことについて悪く思わないように御理解願いたいと思います。なお、結論として、そういう意味から今度の法案というものを現状通り永久に残すべきか、あるいは時期的にこれを清算して、なくすべきかという結論について一言お伺いしておきます。
  50. 塚本寿一

    参考人塚本寿一君) 先ほども申し上げました通り、理想的な日の近いことを願うということは、私もう最初に申し上げておるわけでありまして、当分の間ということも、なるべく短くということを申し上げたつもりでおります。
  51. 小松正雄

    ○小松正雄君 それはあなたは基本的にそういうふうに考えられておることじゃなくて、改善の度を加えて行けばこれを残すべきだというよう感じを与えられたようなことがあったから、私は最後の段階として、結論として、あなたの意見を、実際問題としていかなる改善が加えられようとも、近くこれを廃止すべきだということに考えていいかどうか。
  52. 塚本寿一

    参考人塚本寿一君) そういった点は誤解されたと思うのですね。私は理想的な形態を最終の目標としておりますが、過渡的な現象としてやむを得ないのじゃないかという、これも大いに負けてそういった気持になっておるわけです。従って、今の政治現象と最後に申しげましたことは、これは非常に重大問題であって、この結論というものはいろいろな影響を及ぼすと、それだからこそ国会に最大公約数が打ち出されるものならば打ち出さして、そうして少くとも全会一致できまったというような工合に、賛成でも反対であろうとも、どちらでも全会一致で国会で意見が統合したと、そういうふうに国会できまったものは、一般の国民も全廃なら全廃にもとるし、改善をして存続させるならそれでもいいという点において結論を出していただけば、そうしてその結果が実際の上に現われるとするならば、同じ競輪が存続しておっても、悪いのだ悪いのだという印象があまりに強い今よりも、同じ存続でも効果があるのじゃないか、ちょっと考えにくいところなんですが、確かにそういったところがあると思うのですね。だから賛否いずれにしても、むしろ私の意見の実感よりは、実際の面に出入りされておる人の方が実感を伴うかもしれませんが、私はしかし自分が入っていなくても、政治問題としてこういうふうになった以上は、いろいろな情報を総合判断して、そうして今のように理想的にはやめた方がいいけれども、改善案としては、過渡的な現象としては、大負けに見て存続やむを得ないという条件つきの改善案を徹底的にやれということを条件として、今の場合は認めてもいいのじゃないかと、こういうふうな考え方です。
  53. 河野謙三

    ○河野謙三君 塚本さんからいろいろ御意見伺いましたが、その問題につきまして私は今度大蔵さんからいろいろ伺いたいのですが、大体今日御出席いただきました参考人皆さんは、現在の競輪の運営については、きわめて不健全だという前提に立っておられることは、皆さん共通されておるようですが、そこで大蔵さんもこの不健全な競輪の現在の運営を改善するということの希望を持っておられると思うのですが、その改善方法について、今度は私は大蔵さんから伺いたいと思うのですが、実は時間の関係上私が意見を差しはさむべき席ではありませんけれども、私はこう思うのです。実はもともと賭博というものに、健全なんていうものはこれは求めて求められないものだ、屁をひってくさくない屁をひれという注文をつけるというのと同じであって、私は求める方が無理だと、こういう前提に立っているのでありますが、しかし国会で四党が共同で提案して、国民の意思として決定された法案でありますから、私は実は現在それがそのうちに何とかもう少し弊害が少くなって、プラスの方が多くなるのじゃないか、今に、今にと実は私は期待しておった。ところが昔、今に今にと言っていて死んじゃった人がある。死なないうちにこれを何とかしなければならない。ところが今全くこれは私が想像したように、不幸にして一番悪い段階に一年増しにきているわけです。しかしここで最後にじゃもう一度今にという何か期待があり、また今にという方法があるならば、私は伺っておくことは非常に大事だと思うので、はなはだしつこいようでありますけれども、お伺いしたい。
  54. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) 私は別に競輪に対しては何にも関係しておりませんので、私は何とも言いようがありません。ただ先ほど申し上げましたように、競輪を御廃止になるなら、廃止になった方がよろしいと、ただ、今直ちにこれを廃止するということは、いろいろな、先ほど言った三つの理由でもってお考えにならなければいけないのじゃないか。従って政府としては慎重審議せられて、どうするかということを、あるいは教育の方面からも、あるいは風紀の方面からも、また実際の賠償の方面からもお考えになっておきめになるべきだと申し上げたので、今河野さんのお話しような具体案は、私は何ら持っておりません。考えたことがないのです。
  55. 河野謙三

    ○河野謙三君 いや私、期待をする方が無理かもしれませんが、実は私は大蔵さんがおいでになったら、今お尋ねしたことについて、もっと専門家としていい改善案をお持ちになっているのじゃないかということを期待しておったのですが、それを人ごとのように、いややめるならやめたらいい、やるならやった方がいいだろう、私はそういうことは興味ないということじゃ、これは仕方がありません。
  56. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) 実際私は産業協議会の会長として、一生懸命輸出の方ばかりやっているのです。ですから競輪の方よりはその方に主力を注いでおりまして、私など老人ですから、ほかの仕事はできませんから、それだけ一生懸命やっているので、あとのことは何にも考えておりません。
  57. 河野謙三

    ○河野謙三君 最後に一点だけ船田さんに一つお伺いしたいのですが、先ほどいろいろあなたの方の関係婦人等からの訴え等もいろいろ伺いましたが、これはあなたの方で今日本全国主婦から、いろいろの調査資料を求めるという機関もないでしょうけれども、これはきわめてわずかな例でも結構ですが、何か主婦から、先ほどお話しになりました以外に、特にこの競輪のためにこういう問題があって家庭が破壊されたとか、こういう問題があって子供の教育が中途でできなくなったとか、その他いろいろ喜劇はないでしょうが、悲劇がたくさんあると思うのですが、何かもう少しこれを伺えれば非常に参考になると思います。私が知っている範囲内で、私の町でこの間、小さな町でですね、わずかではありますけれども、五百万円ほどの資産を残して亭主が死んだ。未亡人がいつの間にか競輪にこるようになって、初めは平塚でやっておりましたが、そのうち川崎、東京の方まで行って、今度関東一州の競輪場を飛んで歩くようになって、遂にその五百万円を全部使ってしまった。家屋敷まで売ってしまって、そのうちに、知らないうちに借金が二百万円もできて、今、夜逃げしまして、大阪、神戸の方に行っている、こういうのがある。私の家あたりは職業柄いろいろな町の声が投書できます。つい三、四日前にも、子供が五人いるけれども、とうとう家財道具はおやじが競輪にこって一切売ってしまったが、まだ競輪をやめないので、いよいよ今度家を売らなければならなくなったが、何とかおやじを競輪から引離す方法はないでしょうかというような、全く苦しんでいるような悪質の投書がきている。われわれの立場でさえそういうのがあるのですから、そういうことよりももっと広範囲の事例があると思うのですが……。
  58. 船田文子

    参考人船田文子君) 極端な例ですが……。
  59. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 ただいまの河野委員の御質問に私具体的な点を一点加えてお答えを願えればいただきたい。それは、この委員会で、かつて非常な重要問題として取り上げたのは、立川の競輪場を許すか許さぬかという問題、当時この問題につきましては、地元は、競輪場の近くに、児童の目に見える範囲内に学校が数校ある。そこの中心地に置かれては困るので、当時、東京都がもうすでに認めてあった問題について国会でいろいろ審議をいたしました。競輪場の施設について、他の競輪場とは違った若干の保護施設を加えて、あれは当時収拾したはずであります。その後立川にはほかの風紀問題でいろいろ問題がありますが、競輪場そのものの開設によって、当時地元の御婦人のかたがた等が非常に強く反対をせられましたけれども、その当時の心配と、現在の立川の競輪場の施行の後における状態は、どういうよう状態になっておるか。この点について、もし具体的なことをお知りであれば伺っておきたいと思います。
  60. 船田文子

    参考人船田文子君) 立川の方の婦人会とはあまり連絡はございませんので、直接聞いておりませんけれども、三鷹の方の婦人会人たちが申しますのには、立川に競輪場というものができましてから、急に三鷹の方も発展したとはいいながら、その発展のしようが、非常に暗い面の発展が多い。あちらの立川という土地には、いろいろの面で問題がある土地でございまして、いろいろの面が要素になってはおりましょうけれども、三鷹の婦人会はやっきとなって、何か立川から悪い面が三鷹に入ってこないように、必死になってあそこは浄化運動をいたしておる所でございます。その具体的なことは私はあちらの方から聞きませんけれども、私のところにございます一番極端な例は川崎でございまして、川崎の方の労働組合の人たちが、競輪の予想表を売りますのを内職にいたしております。その予想表を売りますと非常に工合がよろしいので、家の中で何か造花なんかをしておりますよりも、はるかにいい賃金が得られますので、みな喜んでやっております。それで、そうしておりますうちに、予想というものをだんだん内容までみな見ますと、今度は自分が車券を買ってみたくなる。そうして、その内職で得ましたお金のうちをへそくりまして、車券を買って一度当った。またおもしろくなって車券を買う。この車券は場外車券でございます。競輪場まで行く時間もないとみえまして、場外車券を買う。それがまたはやりだしまして、女房たちがみな場外車券を買うことを覚えてしまった。その弊害というのはもうお話になりません。子供たちに食べさすものがなくなってしまったり、子供たちに怒りちらして、それこそ子供たちは、自分の家が楽しくない。お父さんお母さんは夢中になって競輪のことばかり話している。それはお話にならない子供たちの悲劇です。そして、そのうちにお母さんはやっと目がさめまして、泣いて泣いて後悔して、その手紙を私のところへよこしております。こんなに自分が身をもって家庭を不幸にしたのは、初めは内職で収入を得ようと思ったきれいな気持で、子供たちに教科書の足りないところを買ってやりたいばかりに内職を初めたけれども、結果はこうなったんだ、場外車券売場というものは一日も早くなくして下さいという訴えがきております。一番極端な例でございますが……。
  61. 上原正吉

    ○上原正吉君 船田さんにちょっとお尋ね申し上げたいのですが、競輪にこって家庭を破壊したというふうな主婦なりあるいはおやじなりはたくさんあると思いますが、ほかのギャンブルには全然興味はなかったのに、競輪が始まったために競輪に夢中になった、そういう例と、それからまたほかにもたとえばマージャンだとか競馬だとかいろいろございますが、そういうものから競輪に転向したらしい者と、どちらが多いものなんでしょうか。
  62. 船田文子

    参考人船田文子君) 私どものところへは割合に地味な主婦の場合が多いのでありまして、私自身競馬場へ参りましたし競輪場へも参りました。これはまあ勉強のために私は馬券や車券は買いませで参りましたのですが、これは伝統的なものかと思いますが、競馬場の馬券を買うところの窓口でみんな買う人の表情と、競輪場の車券売場で買う人の表情と、非常に違うところがあるように思いました。馬券の方は楽しい顔が多いのでございます。車券の方は服装から申しましても、いろいろ表情を見ましても、実に真剣そのもので、本当にのるかそるか、百円のお札を出しておいて、手からなかなか離れないのでございます。いよいよ窓が閉まるというときにさっと買ってしまうといったそういう表情を、私勉強に参ったんでございますけれども、見まして、自転車というものが非常に大衆の乗物でございますから、自転車に愛着を感じて、競輪場の方が割合に低い……始終自分自転車に乗る方たちが行くのじゃなかろうか。それから競馬の方は昔から貴族の遊びというような観念がまだ未だに残っているのじゃなかろうか、これは私の個人の観察でございますけれども、そんな気持から、競馬場の方がまだスポーツとしての、要素を多分に持っております。競輪場の方は非常に何か陰惨な賭博場という感じを私は受けるのでございます。
  63. 上原正吉

    ○上原正吉君 それから主婦連合会の副会長でおいででしたから、まあ競輪に限らずいろいろ家庭の悲劇を訴えてくることだと想像するのですが、その中で競輪によって起った家庭悲劇が一番多いということになるようでございますか、その割合は……。たとえばいろいろ賭博にもございますけれども、ヒロポンのようなものとかいろいろございますけれども、そういうふうにいろいろ家庭の悲劇の原因になるものがございますが、その中で大体どんな割合であろうかということが伺えれば大へん参考になると思います。
  64. 船田文子

    参考人船田文子君) 私どものところではそうは申せませんのでございます。まだ競輪の悲劇は家庭悲劇の中では多い方には数えられないので、何と申しましても恋愛悲劇でございます。恋愛悲劇が一番つらいのかもわかりませんが。それから失職悲劇、その次がこの賭博の悲劇でございます。それ以上に母親の立場といたしますと子供賭博にふけることの方が、おやじが賭博にふけるよりももっとつらいという実感は訴えているように私は思います。ですから先ほどからのお話にもございますように、私も現在のおとなたちの影響、弊害といったようなものよりも、育ちます子供たち賭博というものを日常の生活に当り前のこととして、日常の生活賭博が入り込んでいるというこの姿の方が将来おそろしいのじゃないか、私はそう思っております。
  65. 上原正吉

    ○上原正吉君 それから、順序は大体わかりましたが、賭博の中では競輪が一番多いと、こういうことでございますか。
  66. 船田文子

    参考人船田文子君) 私はそう思います。
  67. 上原正吉

    ○上原正吉君 ほかとの比率はどうなっておりましょうか。
  68. 船田文子

    参考人船田文子君) そのほかの訴えはほとんど私のところへは参りません。私が競輪の審議会委員のせいかと思いますけれども主婦連合会の方で聞きましても競輪弊害は聞きますが、競馬で苦労したというのはまだ参っておりません。
  69. 上原正吉

    ○上原正吉君 それから塚本先生高木先生お尋ね申し上げたいのですが、世界各国どこでも賭博を奨励している国はないようで、それぞれ禁止をしておりますことは禁止をしておりますけれども、禁止の程度におのおの国によって緩急があるようでございます。そこで皆様方の御商売柄広い知識をお持ちであろうと思って伺うのですが、国の勢いと申しますか、あるいはその国の産業の勢いと申しますか、そういうものと、その国が実際に取り扱っている賭博の禁止の寛厳とどんな関係がありますか、相対関係がありますかどうか、お感じ一つ御発表いただければと思います。
  70. 高木健夫

    参考人高木健夫君) よくわからないのですが、不勉強でまことに申しわけないのですが、先ほどからお話を承わっておりまして、私もちょっとその考えたことがあるのです。御質問のお答えになるかどうかはわかりませんですが、非常に感心したのです。というのは、どっか千葉県の方だったと思うのですが、街頭録音で競輪をどうするかという街頭録音がありました。普通の男の人が、あったっていいじゃないか、おれたちが出した金で皆学校やなんか建てているのだからいいじゃないか、税金が安くなるからいいじゃないかというような、半分ヤジったような賛成論があったのです。そのときに主婦の人が一人立ちまして、それで私のところの亭主も競輪が好きで、一千円か二千円ぐらい月持っていく、そうしては負けて来るだろうと思うのですが、勝ったときはくれないというのです。そんなことをされるくらいなら税金で二千円払った方がはっきりしていいというのですね。税金が高くなってもいいというのです。僕はこの奥さんの態度をとってもりっぱだと思って感心したのです。そういうふうな人たちも非常に多いと思うのですが、競輪がどんな美辞麗句かなんかしりませんけれども、やられていても、あれはばくち以外にはちょっと考えられない。スポーツ的な要素ももちろんございますけれども、ばくち的な要素が非常に多いと思う。で先ほども申し上げましたように、そういうばくち的な要素が八〇%あるとしますと、そういうものを地方自治体がそれをやっているということが、そんなら、ばくちなんかやってもいいじゃないかというふうな、そのばくちの正当化と申しますか、それの一種の国民感情みたいなものになって、そうしていろいろなばくちが連鎖反応的に経営されたり行われたりしているようなのが今の現実じゃないかと思うのです。で、まあ禁止といったようなのは私の感じとしちゃいやなんですけれども、しかしこれをいい方へ向けていくためには、やっぱり法律で禁止をやるとか、あるいはこれをいい方へ向けていくというふうな努力は絶対に必要だと思うのです。
  71. 上原正吉

    ○上原正吉君 私は競輪の話を伺っているのではなくて、賭博一般のことを伺っているのです。賭博を奨励している国はないのでして、世界各国どこでも賭博に類するものは禁止しているが、その禁止に緩急がだいぶあるようでございます。例を申し上げると、私の感じでは一番賭博の盛んなのはアメリカじゃないかと思う。一番産業の盛んなのもアメリカじゃないかと思う。そういう意味で賭博を禁止することが必ずしも産業を隆盛に、国を隆盛にする直接の理由になるかどうかということに疑問があるものですから、皆さんの博識で世界各国ではどうであろうかということをお伺いいたしたい、こう思ったのです。
  72. 高木健夫

    参考人高木健夫君) 私よくほかの国全部を知りませんけれども、中共の話をちょっと聞いたことがあるのです。あそこは昔からばくちの国と言われていますけれども、あの今度の政権になってからばくちを禁止したのです。そうしてその禁止を犯す者があると、理由を聞くのです。そうしてこれはばくちをやったっていいじゃないか、楽しみにやっているからいいじゃないかという、お前は好きか、大好きだ、どんなに好きか、徹夜してでもやる。こういうふうな返事をする。そうすると、その四人を広場へ出して、それでマージャンをそんなに好きだったらそこでやれというんでやらせる。それでいつまでもついておりまして、二十四時間でも四十八時間でもとにかくやらせる。へとへとになるまでやらせる。好きなことはやったらいいじゃないかというふうにして……。そういうふうな大へんユモーラスなやつで、そういうマージャンのばくちというものを、やっぱりこうなったら、あんなつらい目にあうぐらいだったらやらなくてもいいというふうな感じにだんだんなってくると、おとぎ話みたいな話ですけれども、半分ぐらいはほんとうじゃないかと思う。そういう話を聞いたんです。
  73. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 参考人の方に聞く前にちょっと鈴木局長に、二十九年度の車券売上額等の調査表という前にもらった資料の中で、施行者の収益というのが四十七億七千万円ほどあがっておりますね、このうちで六大都市がもらっておるもの、これはどのくらいになりますか。
  74. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 今ちょっと手元にございませんので、調べましてお答えいたします。
  75. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと申し上げますけれども大蔵さんはお宅に四時までに帰られなければならんということですから、もし大蔵さんに御質問があったら先に……。
  76. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 それでは、競輪場の総数のうちで、六大都市にあるものは幾らですか。
  77. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 東京都が三、神奈川県が四つ、愛知県が三、大阪府が四、京都府が二でございます。
  78. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 合計幾らで、六大都市関係が幾らですか。
  79. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 全部で六十三でございまして、十六でございます。
  80. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私はこの施行者の収益の約五十億近くの大部分は六大都市じゃないかと思うんです、数においては大部分になっておりませんけれども、しかしその人口等を考えますと、これは大部分は六大都市である。そうすると六大都市はあまり財政が赤字になっていないんで、先ほど高木さんの仰せになりました、自治体が財源をかような射幸的な賭博行為に類似するものに依存をしておることは好ましくないけれども、しかしこれを急にやめれば非常に地方財政上の混乱を起すだろうということをおっしゃいましたけれども、しかし大体において地方財政の非常に困っておる府県なり、あるいは市なりというものは、大体その賭博さえも、競輪さえもできない、幾らやってみたってそこではあまりお客さんも集まらない、そういうところではないかと思うんです。競輪をやって多くの収益をあげ得るところは旅館もあるだろうし、飲み屋もあるだろうし、映画館もあるだろうし、たばこもたくさん買うだろうし、とにかく財政の豊かなところである。そうすれば地方自治体の財政に非常な混乱を来たすということはないんじゃなかろうか。まあ、これは私はそう考えるわけなんですが、これはどうなんでしょうか。
  81. 高木健夫

    参考人高木健夫君) 私、そう説明されると、なるほどそんなものかなと思うぐらいの大しろうとでございますが、しかしやっぱり私が聞いておりますところでは、地方自治体の財政が非常に困難だと、これでまかなっているんだというものがあり、それはまあ京浜線に乗りましても、川崎などはいろいろなアパートが建ったり、きれいになっておりまして、それで競輪のおかげだと乗っている連中がみなそう言うのでございますね。そういうことから考えますと、やはり相当なものが六大都市以外の、かりに二十六都市と申しましょうか、そういうふうなところにはあるのじゃないかと思うのです。これが一番競輪のそもそもの出発からのほんとうは間違いじゃなかったかと思うのです。こういうことになったからいつまでたっても抜き差しならなくなって、それから地方自治体も大へん失礼な言葉になりますけれども、どろぼうにも何とかの理屈というふうな、理屈を振りかざして競輪を正当化するというふうな、ばくちを正当化するというような形になってきているのじゃないか、今になって見ますと、もうこれをいきなりぱっと禁止してしまうということはどうも私のしろうと考えでも大へんな冒険で、非常にむずかしくなってきているのじゃないか、徐々に健全なスポーツに変えていくという方向を、大へんまだるっこいのですけれども、持つ以上にないよう考えられます。
  82. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私もあとにおっしゃいましたそのことには非常に同感なんです。競輪そのものが非常に好ましくないのですけれども、しかし一回やってしまえばなかなかその全面的な廃止は急にすることが困難だろうし、またそれをやめてみたって賭博行為というものがこの社会からなくならないということになれば、終戦後のどさくさの中でできたこの異常な形のものを正しい形に変えていくという再検討と申しますか、再出発と申しますか、そういうことが真剣に考えらるべきときに来ておるのではないか。先ほどの御意見の中に、たとえば二年なり三年なりの間に、この県営の形を私営なりに移していって、あるいはそのやり方については駅伝のような、クロス・カントリーのような健全なものにしていったらいいのではないかという御意見がございましたが、これは非常に傾聴に値する御意見だと私は思うのです。そこで常に私は、競輪のみならず、一般のギャンブリング・スポーツその他に対して眉をひそめておる一人であり、しかしこれをば正しい形にしていかなければならぬということを痛切に感じておる一人なんですが、その立場から高木さんに競輪を主とした、競輪のみならず、競輪を含んだこういう射幸的な賭博のごときものを純真な子供、あるいはどこでも目に見えるというような形でなしに、どこかまとめてしまって、そこでさっきあなたがおっしゃったように高率の税金もとるなり、あるいはルーレットなり車券なりについての一つ法律上の規制をしていく。幾ら以上買ってはならないとか、そういうような形のもので一応この転換をはかっていって、徐々にそういうものがなくなるような社会環境を作っていくと、こういうことが私はいいのではないか。さっき上原さんからいろいろ諸外国についてのことをお話になっておりましたが、どこでも好ましくないと思いながらやはりやっているわけですね。しかしやり方が非常にきれいにやってあるというふうに私は実は考えておるのであります。まあよく言うのですけれども、北欧あたりでやられておるチボリなどというのは、非常に高級な音楽堂と食堂を中心にして、その中であらゆる種類の賭博が行われておって非常に大それた金をかけないために家族全部で楽しんで帰るというようなことになり、しかもその収益が非常に公益的な面に使われておる。こういうような形にだんだん持っていったらいいのじゃないかと私はそういう私見を持っているのですが、一つ高木さんの御高見を拝承したいと思います。
  83. 高木健夫

    参考人高木健夫君) もう大賛成でございます。しかしそれも、それをやっているうちに、それが恒久的施設になってしまって、一つの名物になってしまって、もうそれを健全に持っていくとか、ばくちをだんだんなくしていくとかいう方向にいかなくなる危険も、どうもあるように私は思われるのでございますが、そこが大へんむずかしいところじゃないかと思います。
  84. 小松正雄

    ○小松正雄君 大蔵先生に一、二点お伺いしたいと思います。ただいま問題としております自転車競技法の問題ですが、自転車競技に使っておる自転車というのは、大体どのくらいですか。
  85. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) 自転車競技に使っておる自転車はどのくらいであるか知りませんが、わずかなものだと思います。全体としまして何台あるかちょっと資料を持っておりませんが、六千台くらいだそうであります。
  86. 小松正雄

    ○小松正雄君 なおまた、こういったものを製造して、そうして海外に輸出をしているということがありますか。
  87. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) いや別に——御承知通り自転車競技というのは世界的な国際スポーツもあるのです。それでスエーデンでもやったり、方々でやっておりますが、それには日本自転車は重いのでなかなかむずかしいのです。どうしても軽くしなければならぬ、という工夫が今やられているのです。しかしこれは数においてはしれたもので、やはり一般大衆用の自転車を製造することに努力しなければだめだ、こう思っております。
  88. 小松正雄

    ○小松正雄君 劈頭の先生からのお話の中で、ギャンブリング的な競技というものはやめてしまうべきだ、かようにおっしゃられたですね。そう考えていいですか。
  89. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) 私は日本ギャンブルも実際なくなり、またギャンブルスポーツもなくなる日が一日も早く来てほしいと思います。
  90. 小松正雄

    ○小松正雄君 そこでこの自転車競技振興会というものがあって、これからの吸い上げによって幾らかの分け前をもらってあなたの方の協議会がやっている。こういうことからいたしまして、まずあなたの真剣なお考えで、そういう競技がなくなってもいいという前提に立って、この自転車競技振興会というものがなくなったとしても、あえてわずかな分け前をもらっているのだからどうでもいい、こういうふうに考えられているようなことも、さっきの他の委員の御質問の御答弁にも何回となく繰り返されましたが、そういうふうに考えていいですか。
  91. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) ちょっとお話が違うようですが、もう一ぺん……。
  92. 小松正雄

    ○小松正雄君 自転車競技振興会というものがなくなってもいいかという前提で、この中からわずかな金をあなたの方の協議会でもらっているのだから、あろうとなかろうと大したことはない、だからやめてもいい、こういうふうに考えているかということです。
  93. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) そうじゃございません。それは何かちょっとお聞き違いがあると思います。私の御返事申し上げたのは、私の方でもらっている金は他のメーカー、卸売、小売組合等からもらっている金でただ会費にすぎない。ですから振興会がなくなれば、私の方の会というのは他の会が出さない限り非常に収入が減りますからして、私の方の、振興会なんかどうでもいいのです、問題は振興費として年に何億かちょうだいしている金を、先ほど申しましたよう目的に使えなくなることを心配しているので、別段に私の方の自転車産業協議会の存在については何ら私どもは心配しておらないのです。問題は日本自転車というものを世界的にしようということの努力がし得なくなるという点を心配しているのです。
  94. 小松正雄

    ○小松正雄君 もう一点。そういたしますと、会長はまず自転車というものの製作品が戦前に戻って、世界をリードするような大量な製品を作るということに努力しているということであって、そうなりますと、これについての自転車競技のあるために自転車競技の上に立って、それが役立ってあなた方の作られている自転車に改善というか、改良というか、要するに益を得るというようなことがあるかないか。
  95. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) 非常にあります。
  96. 小松正雄

    ○小松正雄君 どういう点で……。
  97. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) それは先ほど申しましたように、技術の改良なり、コスト引き下げなり、また組織の強化なり、あらゆる面に金が使われております。何としても年に二、三億の金があれば、それがみな有効に使われておればやはりそれだけのことがあります。
  98. 小松正雄

    ○小松正雄君 私の尋ねておるのは、あなたの大量作られる自転車に寄与することが、この自転車競技をやるために、自転車競技をして自転車を使う、この作る自転車に改善を加えるとか何とかという、それを基礎として、それが益になるのかならないのかということを聞いておるわけです。
  99. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) 自転車競技法の、自転車競技会があればこそ何億という金をもらっておるのです。
  100. 小松正雄

    ○小松正雄君 金の問題と違うのです。自転車競技法というのがあって、使っておる自転車をして、あなたが大量作られる自転車に寄与することがあるのかないのか、あなたが考えてみた場合に……。
  101. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) 非常にあると思います。
  102. 小松正雄

    ○小松正雄君 どういうところにあるか……。
  103. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) よく実はお話がわからないのですけれども、はなはだ恐縮ですがもう一ぺんおっしゃっていただきたいと思います。どういうことですか。
  104. 小松正雄

    ○小松正雄君 わかりやすく言っておるつもりですけれども自転車競技をやっておる、それに六千台を使っておりますね、この六千台の自転車を作って、これを競技に対して使ってやっておるが、この使っておる自転車のどこかいいところがあって、これによってあなたの大量作られる自転車に寄与することがあるかということです。
  105. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) そういうことですか。その競輪に使っておる自転車そのものは、あれは特殊な車です。ブレーキも何もない、普通には使えない車です。それと私ども努力しておる一般自転車というものはだいぶ違います。ただし質をよくする、たとえばフレームに回転シャフトを使うとか、特殊な鋼材を作る、それが非常にいい結果というふうに、間接な利益があります。その六千台の車を作ることによって、一般自転車に非常に大きな効があるかとおっしゃれば、それは大したものじゃない。むしろ私どもは大衆的な車、日本の国内にも、輸出向きにおきましても、大衆的な車に全力を尽しておるというので、競輪用の車自身には大した重みはないのです。
  106. 小松正雄

    ○小松正雄君 最後としてお尋ねしておきたいことは、あなたのやっておられるこの日本自転車振興に関して、現在、今私が尋ねましたように、競輪に使う自転車をして、何もこの大量作る自転車には関係がない、かように私は考えていきたいというふうに考えますが、どうですか。
  107. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) 今の話は競輪の使っておる競走用の車というのは世界でも最高の技術を要する、いわゆるこれは勝、負ですから一番いいものを使っておるのです。ですから一番いい技術を作り出すためにいろいろの努力を払われておる、これは一般自転車にも自然といい影響を来たすということはあります。しかしそれが直ちに一般大衆と結びついておるのではなくて、それに向って最高の技術を用いる、いい自転車というものを作り出す技術、それが一般に大きな貢献をし得るということはあります。全く関係ないとは申しません。
  108. 小松正雄

    ○小松正雄君 そういたしますと……。
  109. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと参考人の方に申し上げますけれども、だいぶ時間も、長くなりましたから、もし大蔵さんのように特別のお差しつかえある方がございましたらちょっとお申し出願って……。
  110. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) 実は四時から私の母の四十九日でして……。
  111. 小松正雄

    ○小松正雄君 そこで自転車競技会の使う自転車のためには、今大量作られておる自転車には何もそうあえて益するようなことはないが、この自転車競技会というものがあるために振興会がある、この振興会があるためにあなたの方が幾らかの分け前をもらうという意味からしては、この自転車競技法、要するに自転車競技というものもあってもいいというのは、そのくらいのことであって、自転車を作るためには何も参考にそう大してなるものでないからして、これはやめてもいいというふうに考えて私はいいかということをお伺いします。
  112. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) そういうふうには全然考えておりません。ただ競輪によりまして金が出る、それをできるだけ有効に使わしてもらえるからまことにありがたいのだという話です。
  113. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 大蔵さんにちょっとお伺いしますが、私の持っている資料によりますと、自転車輸出状況なんですが、二十五年から六年にはちょっと金額も台数もふえまして、あと全部下っているのですね、七、八、九と。実際は五年間に国庫の納付金制あるいは納入金によって大体二十一億八千万円ぐらい振興会がもらって、そのうち幾らですか、あなたの方にいって、それぞれ御研究に役立って、生産の増加なり品質の向上なり生産費の節約なりに役立っているはずなんであり、また先ほどからそういう御説明を聞きましたが、しかし輸出においては伸び悩みになっているというのは何かほかに特別に要因があるのですか。
  114. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) 実は伸び悩みになっているというよりは、昭和二十六年に中共にぱっとよけいに車がいきました、一ぺんに。それが後全部とまりまして、それでどかっと減ったのです。その後だんだんとまたふえております。一時千万ドルから七百三十万ドルに下り、それから六百三十万ドルに下ったのが、六百五十万ドル、七百万ドルとだんだん最近では上って来ております。
  115. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そうすると二十五年にこういう競技が始まる前と始まってからでは、非常に目に見えてそれがはっきりしていますか。
  116. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) いませんね、努力しておりますけれども。これは中小企業……私は皆さんにお願いして一ぺん中小企業に関する話を聞いていただきたいと思いますが、中小企業振興ということは実にむずかしい。そのために悩み切っているのですけれども、これはやっぱり中小企業一つのモデル・ケースとしてやっている。私は必ず目的を達成するつもりではおりますけれども、少し金を使ったらいいかと言えばなかなかそうはいかないので、結局中小企業者の人格ということが非常に大事だと思う。金を使ったからすぐ中小企業振興するということはとても考えられません。
  117. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 その二十六年に、なるほど一千八十九万ドルですか、台数も四十三万九千台というふうに非常に二十五年に比べて上っている。これは中共向けの大量の輸出がされた。その後なぜこういうふうに落ちてしまったのですか。何かあってできなくなったのですか、中共の方に自転車が行かなくなったのは。注文が来なければ行き得べくもないが。
  118. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) 向うの政策なんです。日本がアメリカの関係で一切買わないという方針から、イギリス、ロシア並びに、チェコからだいぶ入った。それでその翌年に山本熊一君が行き、その後いろいろ交渉がありまして、一昨年はやっと四万台の注文をとれるようになった。それで見返り物資の関係で向うの方でもだんだん利口になって参りまして、見返り物資のむずかしいことを言うために、とうとう四万台のうち五千台しかとれなかった。それでだんだん今年に入って、この間も中共の代表が、今年取りあえず一億円買おうという、一億円は知れたものですが、一億円買おうという話がありましたが、私の方としましては中共と北米合衆国とを目標にして輸出のことを考えていきたい、こう考えております。
  119. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 英国の物との間にコストの差がありますか。
  120. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) コストの差はありません。今英国とほとんど一緒です。一緒では日本の方は買わない。戦争中に日本のとったマーケットを全部とってしまった。大きな商品は全部英国の方が受け出してしまって、今じゃ英国の品物と日本の品物の間じゃ千円か千五百円の差がなければ売れない。だからどうしても日本の品物を売るためには英国の品物より値段を千五百円ないし二千円下げなければならない。まず二千円下げればいいだろうと考えている。ところが現在ではほとんど同値なんです。詳しく申し上げる必要があれば申し上げますが、ほとんど同値なんです。値段を安くし、物をよくしなければどうしても出ないという状態です。
  121. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そうしますとこの競輪から上ってくる金が少くともコストの引下げに寄与するとするならば、あなたの方で作っておられるコスト引下げ研究委員会というものの充実をはかって、これによってコスト引き下げに寄与する、こういうこと以外には別にないわけですね。
  122. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) コスト引き下げに対しましては今お手元にお回ししましたコストをどうして下げるかという、それを中心にしまして、これから徹底的に講習会を開き、もしくは講演会を開きまして、それを実行に移すつもりでおります。
  123. 加藤正人

    ○加藤正人君 私はこれが最後ですから……、実は私個人が経営している会社で、戦争中に魚雷をやっておって、それで終戦でやめになった。私は紡績が主体ですけれども、急にそういう機械技術者など解雇するわけにいかない、それで自転車をやったのです。ところが厄介な仕事なんです。これは自分でやってみると、大量生産をやらぬととてもだめだ、しかもその当時は材料もやみで買い、製品もやみで売る、こういう不愉快な仕事はやめろというので、私は早い期においてやめたのですけれども、その後一般の中小業者が多いのですけれども、これはコストで、企業の経営が成り立っているのが大部分なんでしょうか。あるいはこの輸出なんぞは特にイギリスものに対する競争のような意味から、そういう競輪のテラ銭まで利用して初めて息をつくという程度で輸出を維持していくのか、もうすでにいろいろな合理化が行われて一応の非常な大量生産でなくとも、この企業がやや成り立って行くような段階に今日は到達しているのですか。
  124. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) しておりませんね、率直に申しますれば……。御承知通り参議院議員の山口君がやっておる自転車、あすこは一品も作らない、ただあっせんをしておる。今あの会社は一番もうかっておるんです。今あなたのお話は、全部品を作っておるような会社はもうかっていない、そこに日本の貧弱さがある。イギリスには大きな会社が四つあります。おのおのが月に十万から十五万作っております。日本の会社でただいま宮田で八千台、もうこれは量において競争することはむずかしい。そこで今協同組合を作って組織以外に対抗する道はない、という道を一生懸命やっておるわけなんです。
  125. 加藤正人

    ○加藤正人君 愉快か不愉快かわからんけれども、テラ銭が当分要るということですね。
  126. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) もしなかったら自転車は今日の発達を見ません、とても。
  127. 加藤正人

    ○加藤正人君 それはこれでけっこうです。
  128. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 大体参考人のいろいろお話を承わりますと、問題は二つあるようです。いずれこの委員会でさらにそういう問題については研究ができると思いますので、参考人の御意見を伺うのは大体この程度にいたしたらどうかと思います。で、特に私らこの二点について私の考えを申し述べておきますので、参考人の方々であとでまた特別に御意見等がありましてお聞かせを願えれば大へん仕合せだと思います。  その一つはただいまのコスト引き下げの問題ですが、私は根本的に今ちょうど話題が出ましたからはっきりしたわけですが、今どんな企業でもマス・プロでもって資本を集中して、大きく大きくなろうとしているときに、これだけ相当金額の値幅ののしてくる自転車産業についてはちっともそういうことが行われないというところに私は非常に一つの疑問を持っております。特に最近の産業の近代化をやりまする場合は、自転車一つを見ましてもとうてい中小企業などで、こういう相当精密な自転車産業などというものを手がけていくということは非常に困難だと思う。やはり相当大仕掛な機能で輸出などをやらなければならないと思いますが、そういうところまでなかなかいかないネックは一体どこにあるのかということを私は疑問を持っております。そういうことをいずれまたお聞きするような機会があろうと思いますがお教え願いたい。  第二点は競輪の健全化ということを叫ばれている。これはどうしても賭博行為ですからスリルというものがやはりあるから栄えておる。従って健全化して、競輪というものは漸次スポーツ化してくれば競輪の経営というものはだんだん黒字から赤字に転落して行くでしょう。そうして地方公共団体はそういうものを経営する何らの必要性も認めなくなってくる、私はそう思います。まさにそのラインはクロスです。従って抽象的に概念的には経営を健全化して競輪を維持していく、当分やるべしという説が成り立ちます。実際問題としてやっていけばもう地方公共団体はおそらく実施する興味も実益も求められなくなってくるのじゃないかと思うのです。従って競輪というものは結局不健全であればやめる以外にはない、こういう結論からやめざるを得なくなると思います。この点はきょうの参考人の方はいずれも健全化して当分やるべしというお話がありましたが、健全化してやるべしはよろしいけれどもそれがやれるかどうかという問題が疑問として私は一つ残ると思う。その点について若干意見を申し述べておきたい。後日また参考になることがあれば聞かせていただきたい。
  129. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 大へん長い時間皆さんお引きとめいたしましてまことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。  それでは皆さんに対するお尋ねはこの程度にいたします。
  130. 大蔵公望

    参考人大蔵公望君) 委員長にお願いいたしますが、今最初の御質問に対しましてまた別の機会を作っていただくようにお願いいたします。
  131. 河野謙三

    ○河野謙三君 この法案に関係した資料をこの間要求しておいたのですが、いまだに届きませんけれども、たとえば警察関係の犯罪と競輪関係についての資料、それから昨日でしたか施行者別の施行者実収入と運営費との明細、これはここにトータルしたものが出ておるんですが、当然これは新しく要求しなくても通産省にあると思いますが、これをいただきませんと審議に差しつかえますから。
  132. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 承知しました。委員長もちょっと気がついておりまして先ほど……少くともすぐ出すように今折衝しております。
  133. 河野謙三

    ○河野謙三君 もう一つ、資料ではございませんが、当然要求で、従来の警察費の中からの競輪の警備費は運営費の中から負担すべきである、私はこういう持論を持っておるんですが、これにつきましては趣旨はごもっともであるけれども、警察当局と通産省と御協議の上御回答をいただく、こういうことになっておりますが、この協議がまとまりましたならば至急御提出いただきたい、こう思います。
  134. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) お話の点の通産省の資料は今印刷に回しておりまして、でき次第すぐ提出願えると思います。  それから警察費と運営費の関係は今国警の方と協議中でございます。またしかしこれをすぐに結論……いろいろ国警の性格、あるいは予算の問題等ございまして、それをすぐ出し得るかどうか申し上げられないと思いますが、御趣旨に従って提出するということで一つ御了解願いたいと思います。
  135. 吉野信次

    委員長吉野信次君) いずれにしても時に限りがありますからできないならできない、なぜできないかということを、できれば一番いいのですけれども、やはり早急にこの委員会で言っていただきたいと思います。
  136. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は今の競輪の警備費は競輪の運営費で持つべきであるという主張につきまして、きょう大蔵省がお見えになっておりますから、ついでに通産省、国警両者以外に大蔵省の三者で一つ御協議願えればなおけっこうだと思う。私の主張を繰り返し申しますが、従来でも競輪の警備費は競輪の運営費の中から持つべきであったと思うのですが、最近のように自治警察がなくなって警察費を負担するのはこれは国民であります。一般国民であります。競輪の主催者は競輪からの利益を受ける、この利益を受けるのはその主催者たる市なり町であります。従って従来自治警察があったときは施行者が、同時にその市民が警察費の負担者であった。今度は警察費の負担者というものと、競輪の施行者であって利益を受けるものとは全然別個でありますから、従って運営費の中から莫大な警備費というものは当然負担すべきものである、こう私は主張しておるのであります。この点は大蔵省でも十分御検討いただきたいと思うのであります。従来は警備費というものは一切警察費の中で負担しておって、その施行者であるところの競輪を主催する都市が持っていなかった。しかもこれが非常に莫大な金である、延べ人員にして直接警備費、二十一万人のお巡りさんを動員しているということなんであります。この点は国家の財政に非常に大きな影響がありますので、御検討の上で至急御回答をいただきたい、こう考えております。
  137. 高橋衛

    ○高橋衛君 私はこの法律に関連いたしまして二、三の質疑を行いたいと思うのでございますが、まず第一に通産省当局に対してお伺いいたしたいのでございます。第一点は、先般の臨時国会において二ヵ月間の延長を認める法律を承認したのでございますが、その際に政府当局の、特に通産大臣の答弁によりますると、すみやかに通産大臣ははっきりと五月中という言明をされたのでありますが、五月中において競輪法等の基本法にさかのぼって十分検討をするという答弁をされております。また同時に納入金の受入機関として簡素ながらも性格の明確化した新しい機関を設けるという答弁をしておられるのであります。そのことをはっきりとお約束されたのでありますが、ところが今回提出されましたところの法律案によりますと、基本法の改正でなしに、臨時特例法の一部改正という形でもって、従来のものをそのまま恒久法にするという方式になっておるのであります。この点は私どもいかにも遺憾に考えるのでありますが、その点についてまず政府当局がいかなる考えを持っておられるかはっきりとお聞きしておきます。
  138. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) これは昨日も御質問のあった点でございますが、実は基本法については一応検討いたしました次第でございますが、早急に結論を得ますことは非常に困難でございましたので、御承知通り運営につきましては、平日開催の制限あるいは競輪場新設の不許可等運営面で自粛の線を進めていくということにいたしまして、制度の根本については今回の法律の改正案におきまして御説明申し上げております通り競輪運営審議会の権能に制度の根本を加えるというふうにいたしまして、これで一分調査審議したい、こういうふうにいたしました次第でございます。それに従いまして基本法の改正を十分検討していきたいという考えであります。
  139. 高橋衛

    ○高橋衛君 政府競輪運営審議会の機構を拡充して、そうしてこの問題を十分審議させるという法案を御提出になって、それでもって一応逃げておられるようなかっこうでありますが、競輪運営審議会というのは過去三ヵ年くらいの歴史を持っておると思っておるのであります。ところがこの競輪運営審議会の機能と申しますか、実績を調べてみますと、その間ほとんど機能が行われていない。たとえば競輪場新設の問題、それと実際上の運営の問題等についてほとんど実績が上っていない。わずかに場外車券ですか、の取締り等についてわずかなことが答申されただけでございまして、何にもそれについて本質的な答申が行われていないというのが過去の実績であります。今回の改正案によりますと、その運営審議会の委員を五人に増して、それでこれによってやっていこうというお話がございますが、その五人というのは一体どういう関係の人を予定しておられるか、また今後その機能を目的通り発揮させるために、どういう御方針で人選をされるのか、その点をまず第一にお聞きしたい。
  140. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 五人の新しい委員は、競輪のことを知っている公正な意見を吐かれるという方を中心にして選びたいと考えております。しかしながらただいまお話がございました通り競輪の審議会の目的にかんがみまして、十分この目的に沿うような方を人選するように心がけたいと、こう存じておる次第であります。
  141. 高橋衛

    ○高橋衛君 ただいまのお話でははなはだ抽象的であって、具体的にはあまりぴんと来ないのでございますが、私の聞いておるところでは、競輪運営面の権威者、競輪施設に関するところの権威者、それから競輪選手関係の権威者等というようお話であるように承わっておるのであります。こういうふうな人たちは、もっぱら競輪をどうして運営するか、どうして続けていくか、続けていくことを前提として、その運営をどうしていくかという面の人たちであって、競輪そのものを根本的に、どういうふうに改善していくかという面については、私ども今まで聞いたところでは、通産当局には何らそういうふうな誠意が認められぬというよう感じられるのでありますが、その点もう一度お聞きいたしておきたいのであります。
  142. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) ただいま御説明申し上げました通り競輪について知識を有せられ、これに対して公正な御意見を言われる方という範囲で、できるだけ考えております。まだ具体的に御指摘になりましたような点まで考えている次第ではございません。従いまして、もしこの運営審議会の改組に当りまして、十分そういった目的からかんがみまして、適当な方を十分選考するように心がけたいと存じます。
  143. 高橋衛

    ○高橋衛君 しつこいようでございますが、その点をもう一度念のために伺っておきますが、私がただいま申し上げましたような例のような方を、競輪の運営審議会の委員に選任される御予定であるかどうか、その点を伺っておきましょう。
  144. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) まだそこまで結論を出しておりません。
  145. 高橋衛

    ○高橋衛君 そういうふうな運営の面の権威者を、今回増員する部分には入れないということが御約束できますか。
  146. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 必ずしも入れないとは申し上げませんが、先ほど申し上げましたような標準で、よくこの競輪の新しい改組された審議会の目的に合うような趣旨の方々を選考いたしたいと、こう考えているような次第であります。
  147. 高橋衛

    ○高橋衛君 政府はこの競輪運営審議会の機能を拡充し、委員数を増してこれでもって基本的な対策を樹立しよう、こういう答弁のようでありますが、その答弁にぴったり合うようなふうに持っていかれるかどうか、その辺のお約束をはっきり一つお願いいたしたいと思うのであります。
  148. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 十分その目的に合うようにやっていきたいと思います。
  149. 高橋衛

    ○高橋衛君 それから現行法の附則の第六項に、「この法律失効の際、自転車振興会連合会等に属する第二条第一項の業務に係る資産及び負債は、国に帰属する。」という規定があるのでございますが、この規定を今回は削除しておられる。この点あるいは質問があったかもしれませんが、御説明をお願いいたしたいと思うのであります。
  150. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) その点は実は衆議院で訂正になりまして、削除をまた削除いたしまして、元へ戻しております。
  151. 高橋衛

    ○高橋衛君 衆議院で元へ戻した趣旨、並びにこれを削除された趣旨を一つ御説明願いたいと思うのであります。
  152. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 当初は実は当分の間と原案にありましたものですから、当分の間でございますので、その当分の間におきまして審議会を開き、結論を出した際に、これは基本法をいじることになりますので、その際これも同時にきめたいとこう考えておったわけであります。しかしながら今回衆議院におきまして、期限を二年に限られましたので、その結果これははっきりしなければならぬというので、削除をまた削除いたしました。
  153. 高橋衛

    ○高橋衛君 その次の点は、法制局の方が見えておるようでありますから、法制局の方にお聞きいたしたいのでありますが、今回第五条の二として「金庫は、前条第一項の業務に関する会計について、会計検査院の検査を受けなければならない。」こういう規定を新たに挿入された次第でありますが、会計検査院は言うまでもなく、憲法上の必要機関として設けられたものであり、国の収入支出に関するところの検査をすることを目的とした機関でございますが、この規定をお入れになった趣旨は、この金が国の収入支出に関する金であるという観点からお入れになったのでございますか、その辺の御説明をお伺いいたしたいと思います。
  154. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) お答えいたします。御承知ように会計検査院の権限と申しますか、検査すべき事項としては、同法の二十二条と二十三条に必要的検査事項と任意的検査事項の二つあります。で今回の改正によりまして、実はこれは必要的検査事項ということに一応なっておるのでございますが、今、高橋委員のおっしゃることによりますと、国の歳入歳出だから、国の会計検査院の検査を受けさすのかという御質問でございますが、この何と申しますか、納付金でしたか、売上げですか、別にこれは国の歳入ではないと私は思います。しかし会計検査院は御承知と思いますけれども、国の歳入歳出に限ってやり得るというふうにはなっておりません。たとえば先ほど申し上げました二十二条の六号に、「法律により特に会計検査院の検査に付するものと定められた会計」ということがあります。もちろん何も国——国と申しますか、何も私的なものについてまで会計検査院にやらせる趣旨は、この二十二条の六号ではそこまでは予想しないと思います。こういった自転車競技法、その他こういったものによりまして上げられた金を、いわば完全な意味の私経済的なものと言うわけにいかないのじゃないか、こういった本来なら禁止されておることを、その法律によって実施されておるということのかわりに、実は法律で条件を付けまして、こういう連合会に移せ、従って連合会に納付しろ、それから商工中金に業務を委託しろというふうになっておりまして、この業務が適正に行われるということを確保するために会計検査院をして検査させるということは、ごうも差しつかえないことじゃないかと、こういうふうに思います。
  155. 高橋衛

    ○高橋衛君 私のお尋ねいたしておりまする趣旨は、ただいまの御答弁の趣旨と少し違うのでございまして、会計検査院は本来国の収入支出を検査する機関であり、憲法上の機関であり、同時に国の収入支出に関しまして、たとえば補助金を出す団体であるとか、または出資をした会社であるとかいうものについては、検査を、その出資が、または補助金が国の予定した通りに、適正に運用されておるかどうかという点を見るために検査をするという建前になり、それが必要的検査事項と任意的検査事項に分れている段階に応じて分れているのだと私は解釈いたしておりますが、このように強制的検査事項という、必要的検査事項というのにお入れになる趣旨は、この金の性格がもっと国の金としての性格が強いからという点からきておるのではないかというお尋ねをしておるのです。
  156. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 高橋委員のおっしゃる国の金という意味が実はよくわからないのでございますけれども、おそらくおっしゃる意味は本来国に歳入として入るべき金ではないかというようなことかと思いますけれども、これは先ほど申し上げましたように、法律により本来できないことをこの法律により地方公共団体にこれを認める、そのかわりその金について負担を付けるということだけでありまして、私は先ほど申し上げましたように、私的な金ではない、公的なものであることは確かでありますけれども、それが直ちにもってこれが国の歳入になるべき金だということに私はならないのじゃないかと思います。これはほかの立法の例におきましても、たとえば特別鉱害のあれでございますか、に関する立法に納付金の規定がございます。あれなんかもやはり事業団に納付するというようなことも従来やっております。やはりそれらと同じ性質のものじゃないかと、こういうふうに考えております。
  157. 高橋衛

    ○高橋衛君 憲法並びに財政法でもって国の収入支出に関する規定を規定いたしましておるのでありますが、この法律によりますると、この金は国の強権に基いて納付させるという点はこれははっきりいたしておるわけであります。それからこれが会計検査院の審査を受けなければならないということ、並びに第五条の三によって機会工業振興協議会という公的な法律上の機関によってこの運営のみが審査されるという性格の金に相なって参ったのであります。従ってこの経費が憲法上のいわゆる収入というものに当るものであるように私には思えるのでございますが、その点について法制局はどういう解釈をしておられますか。
  158. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 先ほど多分に、私の説明がまずかったからかもしれませんが、やはり同じことを繰り返すことになるのでございますけれども、私どもの見解といたしましては、これは国の収入というものに当然にはなって来ない、こういうふうに考えております。むしろ公的なものであるということは私はもちろん否定いたしませんけれども、国の収入になるもの、国の収入だというふうになるものとは考えておらないわけでございます。
  159. 高橋衛

    ○高橋衛君 私の質問の仕方が悪いから御答弁がしにくいかと思いますが、私の申しておるのは、実質上の観点から申しておるのであります。もちろん法律で国の収入として規定していないのでありますから、その形の上でこの法律に基くところの納付金である、こういう答弁は一応形式としてはその通りでございますが、私は実質上の観点からこれが国の収入じゃないかという点をお聞きいたしておるのであります。
  160. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) その実質上国の収入じゃないかという意味でございまするけれども、ちょっと何をもって実質上の国の収入と見るかという問題になると思うのですが、結局この金は先ほどからたびたび申し上げましたように、まあ公的なものであって、決して普通の私経済から出て来る金と違う、これはもうもちろんであります。そのことをもって直ちにこの金は本来憲法でいっても国の収入というものに該当するものだというところまで私どもはどうも見られないのじゃないか、何もそう見る必要は毛頭ないのじゃないか、こういうふうに考えております。
  161. 高橋衛

    ○高橋衛君 昭和二十八年度の末までは、この法律ができますまでは、これは国庫納付金として国に納める、あの時代においてもこれが国の収入であったことはお認めになると思いますが、いかがでございますか。
  162. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) この特例法ができる前におきましてはこれは国に納付されておりました。このことは事実であると思います。ただし申し上げたいのは、この法律によって初めて国に入ることになり、いわゆる自転車競技法の制定によりましてこういう制度ができ、こういう金ができ、その金は納付金として国庫に納めるということになったわけでありまして、本来これによって生じた金がその金の属性として国の収入になるというものじゃ私はないのだ。という意味は、たとえばこれはもう憲法に書いてありますけれども、租税というものは、これは国の歳入と言う以外にはしようがないのじゃないかと私は思っておりますけれども、このものについては法律によって初めてその金がどういうふうにいくか、たとえばこの特例法ができるまでは、これは国に入れるということをこの法律できめたのだ。従いましてこの特例法によりましてこれを特定の団体に入れるということをもって、これが本来国の収入をそこに、よそに持っていったということには私はならないのじゃないか、こういうふうに考えております。
  163. 高橋衛

    ○高橋衛君 この自転車競技法に、競輪等に基くところの国庫納付金は昭和二十八年度までは歳出に立て、しかもそれが自転車事業振興と最も緊密に歳出の面が結びついておったのであります。昨年の臨時特例法によりましてその範囲が機械工業全般ということで、相当自転車との関連が薄れて参ったのであります、運用の面におきまして。それでむしろ自転車工業との直接の関連が薄らいで来たということ、しかもそれが国の金と同じような運営のされ方がするということは、これはやはり公的な、つまり性格であり、むしろ国の収入として支出すべき性格のものである、本来は……。法律のきめ方によって一応法律上の答弁はできるかもしれませんが、本来そういう性格のものであるというふうに私は考えるのであります。その点についていかにお考えになりますか。
  164. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 今高橋委員の御指摘になりました点は多分に、多分と申しますより、実は立法論の問題であろうと思います。本来こういう金は国が入れるべきではないか、そのことと、現在ありますこの制度、この法律でこうやっていることとはこれまた別の問題であると思います。従いましてその立法論として本来こういうものは、いわばこういうテラ銭は国に取るべきだ、そしてまた国の歳出に立てるべきだということはこれはまあ一つの御意見として十分うかがえる。現に二十八年度特例法ができるまではそういう制度をとっておったわけでありまして、その点はもう私どもも十分傾聴に値する御意見だと思います。私が先ほどから申し上げておることは現在のこの法律の制度を作った場合に、制度下においてはこれをもって国の収入というわけにはいかない、こういうことだけを申し上げたのであります。御了承願いたいと思います。
  165. 高橋衛

    ○高橋衛君 私はこういうふうな性質の納付金を取って、しかもその金を一般的な行政費、その団体だけが使うのじゃなしに、一般的な行政費に使うという例はあまり聞いていないのでありますが、たとえば公共団体であるとか、各種の国から強制徴収の権利の与えられた団体等が、その団体の本来の仕事のために構成員から納付金を徴収するという制度は過去においても前例があり、今日においても例があるのでありますが、そういうふうな一般行政費に使うところの金をこういうふうな納付金という形でもって別の団体に納付せしめる義務を負担せしめるよう法律を作った前例がございますでしょうか。しかもこれは昨年度は議員立法でありますから、まだわれわれある程度においては認容せざるを得ない場合もあり得るかと思うのでありますが、政府が提案される際にその点をどういうふうな観点のもとにお考えになってお出しになったか、その点をお聞きいたしたいと思います。
  166. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 今の点は私ちょっとその条文が、最終的なものを持っておりませんので、間違っておるかもしれません。多分今度の政府提案についてはその点を特別に大きく変えたのじゃないよう承知いたしておるのでありますが、従ってもし変えたのじゃないとすれば、むしろその昨年の議員立法、議員の御提案によって制定された際における理由についてむしろ私の方が答弁するのはいかがかというふうに考えますが……。
  167. 高橋衛

    ○高橋衛君 これが今年もまた議員立法であるならば私はあえて政府にお伺いいたさないのであります。ところがとにかく政府は各機関を持って、そして財政法上の、憲法上のいろいろな問題もよく審査をされて御提出になったと思うのでありますが、従ってそれはそっちの方できめたらよかろうという御答弁ははなはだ不親切きわまる御答弁であって、その点について一体審査をなすったのであるかどうか、その点もう一度、議員立法だからおれたちはもうこれでいいのだと、こういうお考えで出されたのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  168. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 私の言葉は大へん足りませんので大へん失礼な御印象を与えたと思います。私の申し上げました趣旨は、もちろん私ども政府で法案を提出する際においてはいろいろな観点から検討をいたします。しかしこれは今度の法案についての問題じゃございませんけれども一般的なことを申し上げますと、およそ政府提案にしろ、議員提案にしろ、これは国権の最高機関である国会が、最終的に制定される法律であります。国権の最高機関である国会で最終的な結論を出されたものであります。私どもが先ほど申し上げたように、それについてかれこれ言うことは一般的には御遠慮した方がいいんじゃないか、その意味で制定のときの沿革なり理由と申しますか、その分が変っていないなら、むしろたとえば国会の法制局の方がいいんじゃないかということを私申し上げただけで、その点はちょっと私の言葉足りませんで失礼いたしたわけでありまして、高橋委員の御質問の趣旨はそうであっても、本来もしそういう点で憲法上の疑わしいところがあれば、政府提案としてそこの点は当然改正案を出すべきではないか、こういう御質問の趣旨かと思います。そういう点にかんがみまして私どもで検討いたしました際におきまして、これは自転車振興会連合会、これは一般的には金がどこへ行くかわからない、どこの団体に行くかわからないというならば一つの問題として考えられる立法論と思う。しかし行く団体は自転車振興会連合会等でございます。この行く団体というものが特定しております。従って受けた団体のやる仕事も一定の範囲に限定されております。これが自転車振興会連合会等が突拍子もないことをやるところではございませんので、この点は高橋委員の御指摘のように多少そこに議論の余地はあるかと思いまするけれども、必ずしもこれをもって憲法上はなはだ不当な立法であるというふうに実は私ども考えておらないのであります。
  169. 高橋衛

    ○高橋衛君 先ほどの前例その他の、こういうふうな性格のものがあるかどうかという点についての御答弁を願いたい。
  170. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 私今いきなり来たものですからちょっと思いつかないのでございますが、その点もし何でしたらまたお調べをしまして後ほどお答えしたいと思います。
  171. 高橋衛

    ○高橋衛君 立法でもっていかなることもできるというふうにもしも言う考え方に基くならば、こういうふうな純然たる行政費の性格を有するものを、国の一般会計も特別会計も通さずに自由にできるというふうな前例であるかと思うのでありますが、これを認めるというお考えであるならば、今後憲法解釈上に非常に大きな疑義を生ずると私は思うのでありますが、特にこの法律は六月限りでもって廃止になる法律である。従って議員立法だからもうおれたちの方はそう審査せんでもいいんだというようなお考えようにもうかがえるのでありますが、これは新しい政府の提案であります、従ってその点についても十分お考えの上で、そうして前例があるかないか、将来こういう前例が禍根を残すことになりはしないかということについては、慎重にお考えになることが必要であると思うのであります。ことにわれわれは政府提案の場合におきましては、政府の各機関がそれらの点を十分審査をしてお出しになるという非常な信頼感をもって接しておるのであります。それらの点についてあまり御審査がなくて御提案になったとすればわれわれとしては不安を覚えるのであります。その点もう一回御答弁を願います。
  172. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 私の言葉が足らなかったためにまたまた誤解を生じたわけでありますが、私どもは決して審査をゆるがせにして出したということを申しておるわけではございません。私の申し上げた趣旨は、やはり国権の最高機関である国会の意思というものは十分われわれとしても尊重していかなければならないということだけを申し上げたわけでございまして、ただ私どもとして考えますのは、先ほどから高橋委員はこれは本来国の歳入になるべきものだという前提のもとに御議論なさっておるように私どもは拝聴するのでありますけれども、私の考えとしましては、これはこの法律によりましてこういったものについて国の歳入としない、いわば自転車競技による上り金を機械工業の設備の近代化とか、こういったものに自転車振興会連合会等の特定の団体を通じて流す、こういう機構になっておりますので、これ自体がどうしても国の歳入になるべき性質のものだということであれば、そういう一般行政費に回すような金を使うという議論も出ますけれども、こういった特定のものについて特定の上り金を特定の方面に回すということにつきまして、これが直ちにもって憲法上非常に疑義があるということにはならないじゃないか。ただし、こういうものについての立法論として高橋委員がさっき申されたような点について私は十分傾聴に値する御意見だということを先ほど申し上げたつもりでございます。
  173. 高橋衛

    ○高橋衛君 大蔵省の政府委員の方にお聞きいたしますが、大蔵省はこういうふうな前例ができることが望ましいとお考えになりますかどうか。
  174. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) お答え申し上げます。望ましいかという非常に端的な御質問なんで非常に御答弁いたすのがむずかしいのでございますが、これは高橋先生も御存じのように昨年私の方で提案いたしました補助金等の臨時特例の中にこの納付金の規定を停止するという規定が入っていたのでありますが、これを議員提案の自転車競技法等の特例によりましてそちらの方に本体が移って立法されたわけでございますが、その際大蔵大臣が臨時特例法の提案をいたしますときに、国としましてはこういう射幸心に基く財源というものによって自転車産業等の振興をはかるということはもうやめたいのである、ただ地方公共団体は非常に財政が窮屈だから地方公共団体の財源として当分存続するということはまだある程度見のがしを願いたいと、こういうふうな説明をいたしたわけでございます。そこでわれわれの考えといたしましては、この納付金の規定を停止いたしますときに、先ほどからの高橋先生の御引用になりますところの財政法第二条の「収入とは、国の各般の需要を充たすための支払の財源となるべき現金の収納をいい、」のその現金に該当するのではないかという御議論に対しましてそのときにそういう現金の収納とは考えないのだということをはっきり一応明示したわけであります。しかしそれはお前の言うのは形式論であって実体的なこととなると従来と同じことをやっておるではないか、これをどう思うかという御質問だろうと思いますが、それにつきましては先ほどから法制局の第三部長がおっしゃいますように、立法論の問題としていろいろ御議論があるかと思うのでありますが、従来こうした上り銭をもって自転車産業等に補助金を出しておりましたものを一ぺんに削除するということになりますと、その後の業界の経済的な混乱と申しますか、そういうようなものの調整にいささか困難を感ずるので、ある程度過渡的な形態であり、かつ変則の形態ではありましょうが、今後自転車産業合理化その他自転車産業の将来ということも考えまして、競輪制度の根本的な制度の改正をいたしたいというのが主管省たる通産省の考え方であろうと思うのでありまして、その間そうした変則的な形で従来とあまり変らない実態における納付金の収納と、それから業界に対する補助金の支出というもの——これは民間の団体の収納支出でございますが——としてあるということは私はまあ差しつかえないのじゃなかろうかと、そういうふうなこの業界同士が自主的に一定のその産業界の振興なりあるいは助成というものを考えていろいろな組織化をいたしますときに、それに対して国が法律でもって明定するという例は必ずしもないわけではないのでありまして、たとえば現在別個に提案されております石炭鉱業合理化促進法でございますか、これも整理される鉱区とは関係のない石炭山から一トン当り幾らという納付金を強制的に取ることになっておりますが、そういうふうな形が現在の法制下において全く許されないわけではないと、こういうふうに考えております。
  175. 高橋衛

    ○高橋衛君 ただいま例としてお引きになった石炭鉱業合理化促進法の場合は同じ石炭鉱業であります。それでもちろん整理される鉱区と、それから残存するところの石炭鉱業者との関係は何ら利益がないというお話でありますが、大きな立場から言えば同じ石炭鉱業として石炭鉱業が成り立つためには、合理化されるためにはそれが必要である。いわば一つの業者団体として共同の利益のためにそれが必要だから出してくれという式のものでありまして、これとこの場合とは完全に違うと思うのであります。なるほどこの機械工業振興という目的のために一部には自転車が含まれておりましょうけれども、昨年の支出の、運営の内容を見てみましても、今年の運営の内容を見ましても、自転車の部分が一部分であって相当その他の部分にまでこれが及ぶという建前に相なっております。そういうふうな場合になおかつそれが望ましいかどうか、こういうふうな前例がどんどん出てきて差しつかえないかどうかという点を財政法の番人であり権威であるところの村上さんにお聞きしておきたいと思います。
  176. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) ますます御答弁がむずかしくなるのでございますが、なるほど高橋先生のおっしゃいますように業界としての緊密な関係のあるものから納めた納付金を出す場合と、こういうふうに非常に射幸心の盛んなる人から集めたものを還元するというのでは本質的に違うのではないかという問題でございます。これは確かにある程度違うかと思います。しかしまあ機械産業全体が振興すれば、それが国のいわば経済規模の拡張、あるいは国民所得の増加ということで間接的には還元することもあるかと存ずるのでありますが、しかし実際にこういう形で集めました金を散ずるというふうな程度によりまして一体国民全体はどういうふうな利益を得ておるのだ、そういう受益という、あるいはそういう面のこの実際の経済機構を分析しましたあとでこういう形がいいかどうかということは多分に先生のおっしゃるような御議論も立つかと思います。ただ、従いまして私の方も先ほど申し上げましたように、こうした変則的な制度はいわば過渡的なものであって、通産省といたしましても、あるいは政府といたしましても、この競輪制度というものの根本的な修正あるいは検討をいたしまして、もっとしかるべき形に直していくということに相なるわけでございまして、それまでのそうした過渡的な形としてこれが存在するということは私の方としましてはやむを得ぬものではなかろうかと、非常にお前は好ましいものと思うかとおっしゃれば、そんなに好ましいものとは思いませんという程度のものだろうと思います。
  177. 高橋衛

    ○高橋衛君 非常にしつこいようでございますが、ただいまの御答弁はこういうふうな金の納付金を取って、そうして産業全般の振興をはかるということ自体についての御答弁のようでありますが、その点は私別に異存があるわけじゃございません。問題は憲法並びに財政法の建前上その建前をくずすことがいいか悪いかという点をお聞きいたしておるのでございます。
  178. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) 私先ほどから実質論についてのみお答えいたしましたので恐縮でございました。少し答弁が食い違ったようでございますが、憲法あるいは財政法に申します収入支出あるいは予算という概念は従来もきめわて狭く解釈されておりまして、たとえば鉄道というふうな大きな独占事業、あるいは電信電話というような大きな独占事業を営んでおります公社につきましても、この収入支出は現在憲法上の収入支出あるいは憲法上の予算と申しておりません。それで、従って憲法八十三条におきますところの財政法の処理原則というものも当然にそれには適用されないという形になっております。従って現在のこの憲法なり財政法の収入支出あるいは予算というものが非常に限定的な意味に解されておるということは、これは現実でございまして、そういうものの中に競輪関係収入支出も中に入れていくべきではないかというふうな御議論につきましては、やはりそれぞれそうした非常に広範な経済活動にまで適用になるものとこの財政法は違いますので、そうした例外ができるということは必ずしも形式論的に申しますと問題にならんじゃないかと、こういうふうに考えております。
  179. 高橋衛

    ○高橋衛君 もう一回だけでやめます。問題はこの経費の使途であります。国鉄とか、専売とかいうよう一つの企業体として別にやっているものとは違ってこの経費自体が内容から見ましても完全な行政費であるという点に問題がある。しかも納付金それ自体が強制力を持って、団体を通じてでありますが、結局いわゆる機械工業振興協会ですか、これの諮問を経て、実質上は通産大臣が指示する通りに運営されるという面に問題があるのです。従ってそれは立法論だとおっしゃればその通りでございますが、従って立法論として望ましいかどうかということを先ほどから繰り返してしている次第でございますが、その点をもう一回一つ……。
  180. 村上孝太郎

    政府委員村上孝太郎君) なかなかするどい御質問なんで私もどうお答えしてよいかわからないのでありますが、少くともこの競輪の金が一般の行政費類似のものに流れているということは確かでございますが、いわば国の行政費と同じような実質を持った経費というものは、たとえば地方公共団体にも流れております。その他こういうふうな民間の助成金的なもの、あるいは業者相互間にも流れております。従ってそういうふうな実費をひとしくするという意味から申し上げますと、国の直接的な行政費以外にそれに類似したものが存在するということが必ずしもいけないというわけではないかと思いますけれども、ただ先ほども申し上げましたように、いわば一般の国民のふところから取り上げたものをそうした産業振興というふうな、しかもそれがほんとうに効率的に使われるかどうか、あまり国の会計のごとくはっきりした組織と保障のない、あるいは監督のない形で出るということにつきましては、まあやはりわれわれは過渡的な形として将来競輪制度の根本的な改正というものによって抜本塞源的な解決がもたらされるものであると、こういうふうに期待もし、希望もしておるわけでございます。
  181. 海野三朗

    ○海野三朗君 通産省の当局にお伺いしたいんですが、この競輪の二十九年度の技術関係というのでさっき資料をもらったんですが、ここに自転車生産技術研究指導と、こうやって出してあると思うのです。その次に生産技術研究と、こうしてありますが、この研究指導ということはどういう形において指導しておるのでありますか。その次の製造機械自動化試作、自動化試作というのはどういう会社にこれを、この金を融通してどういうふうな結果になっておるのでありますか。
  182. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) 今御質問の点は、資料の自転車生産技術指導委託事業の問題でございますか。
  183. 海野三朗

    ○海野三朗君 ええ。
  184. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) これは日本自転車工業会を通じまして工業技術院の名古屋工業試験所開放研究所を利用しまして、これに同試験所指導のもとに業界のエキスパートを数名常置して、自転車生産技術に関する標準作業方式の研究その他指導を行わしめるというのが大体昨年の使用の目的でございます。
  185. 海野三朗

    ○海野三朗君 生産技術の関係でありますからほかの研究所ではわからないでしょう、実際の品物を作る技術陣ですから他の研究と違う。こういうふうないわゆる生産技術の研究ですから、この名古屋試験所でやるようなことはできないと思うのです。ちょっと私ここはおかしいと思うのです。ここに羅列されたところの項目を皆見ますと、品質管理指導というようなことで、タイヤ生産技術研究と品目がたくさん並べてありますけれども、これはいずれも、私は研究者の立場から申し上げるのでありますが、非常に疑問的な項目を、金を使うために項目を羅列したよう考えられるのでありますが、通産当局においてはその金の使途についてよく御存じなのでありますか、いかがでありますか。
  186. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) その点は、私は標準の自転車生産技術研究という表現が正しかったかどうか、その点は御指摘の点があるかと思います。内容は、これによりまして、こういう系統を通じこういう事業をするということで、大体主務大臣が内容を見ましてそれで指示をしたものでございまして、内容の細目については十分監督いたしております。
  187. 海野三朗

    ○海野三朗君 これほど金を使っておるのでありますれば、相当な発達をすべきものであると私は思うのですが、どうもここに羅列してありまするその項目を、細目を通産省が監督をしておられるものかどうか。たとえばこの自転車コスト引き下げ研究と実にごまかした名目を出してある。このコスト引き下げ研究ということはどこにそういうよう研究機関があってやっておるのか。実にばく然たるものがあるのですが。
  188. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) これは先ほど参考人大蔵先生が来まして御説明されたように、大蔵先生関係されておる日本自転車産業協議会が中心になって研究者を集めて研究しておる……。
  189. 海野三朗

    ○海野三朗君 そういたしますと、通産省の方では、こういう項目について、項目だけ出てきたからといって、これをうのみにしておられるのでありますか。その研究費の使途については精細なる監督をしておられるのでありますか。
  190. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) これは実はこの本法案の提案にも、今後の使途については、機械産業振興協議会を設けて、使途について、十分配分について公正な並びに効果を期するということを申し上げてありますが、実際上、実は昨年二十九年度の資金の配分におきましても、関係専門家の方に集まっていただいて十分こういった計画を検討し、それによってこれは配分したものであります。
  191. 海野三朗

    ○海野三朗君 そこで私がお調べを願いたいのは、今直ちにお答えを願いたいと言うのじゃありませんが、この軽量自転車試作研究という名目、これはどういう方面にいって、いかに使われておるかということをもう少し精細なる使途を承わりたいと、こう思うのです。それからこのたとえば大阪のダイシンカー設置補助それによってどれだけの設備をしたか、こういうふうなもう少し細目の資料の御提出を願いたいとこう思います。
  192. 鈴木義雄

    政府委員(鈴木義雄君) できるだけ早く資料を整えましてお届けいたします。
  193. 海野三朗

    ○海野三朗君 どうぞお願いいたします。
  194. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは本日はこの程度で散会いたしたいと思います。    午後四時三十八分散会    ————・————