○国務大臣(石橋湛山君)
四日市、徳山、岩国と三つ一緒に処分を決定したわけであります。その経過の大体を申し上げます。もし詳細が必要であれば、また
関係局長等から
説明させてもけっこうであります。
あれは御承知の
通り、特に
四日市は長い問題になっておりまして、
最初三菱、シェルグループですか、あそこに
利用させるということであったが、それがどういうわけですか、前内閣時代にやめになりまして、結局
日本の九
会社の連合体であそこへ
事業をやらせるということに一応きまっておりましたが、これまた実際に
事業が起らずにそのままになって今日に至ったわけであります。ああいう大きな土地をそのままにしておくことも、まことに無益でありますし、また、ことに
四日市付近の現地の人たちはぜひともあれは早く
利用してもらわないと土地の繁栄に
関係するからということで、切なる
希望がありました。そこで私、
通産省に参りましてからいろいろ
事務当局にも研究してもらいました結果、やはりあそこは元の案に戻って、シェルの技術及び資本を
利用して、
石油化学のセンターにするのが一番経済的だという結論に達したわけであります。と申しますのは、あの
四日市がだめになったものですから、シェルは
昭和石油と一緒になりまして、徳山に敷地を払い下げを受け、さらに払い下げ以外に多少民有地を買いまして、敷地を作ってあそこで精油工場をやる。ついでにその精油工場から化学工業の中間体と申しますか、ある
程度の製品までを徳山で作って、その製品をさらに
四日市に持ってきて、三菱化成の手によって最終製品にするという考案で徳山の
利用を考えておったのでありますが、それにはすでに払い下げてある
昭和石油の徳山の土地だけでは足りない。
昭和石油及びシェルからはぜひとも徳山の全体の土地がほしい。ほとんど全部にわたる土地の
希望を申し出てきております。同時に、これまた御承知の出光興産がイランの
石油を——前には製品を
輸入しておったのですが、原油を
輸入する方がいいということで原油を
輸入することになったのでどうしても精油所がいる。これが競願になりまして長い間決定しなかった。どちらの言い分を聞きましても相当の面積がいる。これはもっともなんで、あそこで二つ、
昭和石油の
希望通りにすれば出光の方に非常に支障を生じます。出光の
希望に従えば
昭和石油、シェルの
計画に支障を生ずる、こういうことになりますから、そこで先ほど申しましたように
四日市の問題を解決する必要がありますから、やはり元へ戻ってシェル、
昭和は
四日市に行って、そうすれば三菱化成はすぐ隣りですから運送等の価利もいいというので、
四日市へ行ったらどうかという相談をしましたところが、いろいろ難点は言っておりましたが、結局
四日市でいこう、こういう結論になった。ただしはじまりは実は
四日市はこれまた御承知と思いますが、すでに東海
硫安とかそのほか二、三の
石油会社に土地の一部を貸し下げております。だから
昭和、シェルに貸すのはその残りであります。残りを
最初払い下げるつもりでありました。大蔵省もぜひ払い下げにしてもらいたい、そうしないと
あとがいろいろ厄介だからという話でありました。私どもも払い下げがいいと思ってそのつもりで話しておりましたところが、途中からこの
四日市をあるいは防衛
燃料に将来自衛軍の方で使わなければならぬかもしれないという説がかなり衆議院等にも出まして、そこでその問題が片づくまでは払い下げということにせずに貸し下げにしておいてもらいたい、こういうたっての要求がありましたので、その
意見も入れまして、とりあえず
昭和石油に
四日市の残地を
石油精製に必要な限度においてとれを貸し下げる。ただし地上物件についてはどうせ貸し下げてもしようがありませんから払い下げる、こういうことで話をつけたわけであります。今の東海
硫安の
関係は、東海
硫安もこれは
硫安会社の中では一番今
コストが高い
会社です。これは結局生産高の
関係がありまして、どうしても
設備の拡張をし、あるいは硫酸を作るというようなことをしなければならないので拡張の
計画をもっておりますが、そこでこれはむろんその拡張の
計画もわれわれとしては承認しまして、東海
硫安に必要な土地は保留して、その残りを
昭和石油に貸し下げるということにして、これまた話がついて、現在土地をどういうふうに——東海
硫安の工場はそこらじゅう物置とか何とかいうものも旧
燃料廠の建物を使っておりますために分散しております。そうすると非常にこの土地の
利用度が下りますから、これは東海
硫安はできるだけ
一つの所へ固めて、そして残った土地を使いいいようにしてやる必要がありますので、その調整を今東海
硫安とそれから
昭和石油の間で話し合っております。その話し合いは、まあ話が、もしいろいろわれわれが口を出す必要があれば口も出してやるつもりでおりますが、現在は両者の間で話をして、昨日あたりは話をして、もう大体何とか話がつくのではないかと思っております。
それから
あとのお話の河野農林大臣から云々と、あれは閣議了解事項であるのが本当でありまして、一体国有地の処分でありますから、大蔵省
関係でできるわけです。ただわれわれが関与しますのは、
石油化学、
石油製糖という
事業がからみますから
通産省がこれに参加してくる。それで大蔵省から国有財産としての貸し下げなり、払い下げをしてもらえばいいわけでありまして、別段閣議決定は要しないそうでありますけれども、まあ問題がかなり長いこと混雑したことでありますから、閣議の了解がついていないと、またいろいろ誤解が生ずるだろうと思いますので、そこで閣議へ出しまして、何回か話し合って、そうして了解をつけた、こういうわけです。ただ農林大臣の方は、ちょっとこれは直接に私は聞いておらないのですが、東海
硫安は非常に今のところでは弱い、これを少し強化して、農林省としてはあれを
一つの理想的な肥料工場にしたいという
希望を持っておるわけでありますから、そこで、そういう意味で東海
硫安の
希望は十分いれてくれるようにという農林大臣からの要求は、私も一度ちょっと聞いたことがありますが、これは、特に農林大臣はアメリカへ行く前に高碕代理農相や、それから
官房長官にはその話をして行ったのであります。別段干渉したとか、そのために閣議決定をすべきことを了解にしたということはございません。東海
硫安を何とかもり
立ててやりたいという農林省の
希望を観測して、そのことを申し伝えておるということは事実であります。それだけでありまして、新聞にもいろいろ推測記事が出ておったようでありますが、そういうことはないのでありまして、まあ、アメリカへ行った農林大臣もこちらの決定を了承しておるわけであります。非常に簡単でありますが、そういうことで御了承願います。