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1955-09-16 第22回国会 参議院 商工委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年九月十六日(金曜日)    午前十時四十分開会     —————————————   委員の異動 本日委員左藤義詮君辞任につき、その 補欠として松平勇雄君を議長において 指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     吉野 信次君    理事            古池 信三君            高橋  衛君            山川 良一君    委員            深水 六郎君            上林 忠次君            河野 謙三君            海野 三朗君            藤田  進君            上條 愛一君            小松 正雄君            白川 一雄君            苫米地義三君            石川 清一君   国務大臣    通商産業大臣  石橋 湛山君    国 務 大 臣 高碕達之助君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君   説明員    経済企画庁計画    部長      佐々木義武君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省企業    局次長     松村 敬一君    通商産業省企業    局企業第二課長 乙竹 虔三君    通商産業省石炭    局長      齋藤 正年君    通商産業省公益    事業局長    川上 為治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○経済自立方策に関する調査の件  (財政投融資に関する件)  (電源開発に関する件)  (四日市の旧軍燃料廠の貸下げに関  する件)  (日本生産性本部に関する件)     —————————————
  2. 吉野信次

    委員長吉野信次君) これより委員会を開会いたします。  きょうは財政投融資の問題と生産性本部の問題について政府側説明をまず聞くことにいたしたいと思います。午後には通産大臣なり、それから企画庁長官も今出席を求めておりますから、多分見えられるだろうと思います。午前中はとりあえずその報告を事務の方から聞きたいと思います。それからもし午前中時間があれば、委員からの希望がございまして、四日市燃料廠の払い下げというのですか、あの経過だけを聞いてみたらどうかと思います。  それじゃ一つ政府側の方から財政投融資について御説明を願います。
  3. 松村敬一

    説明員松村敬一君) それでは最初にお手元にお配りいたしました昭和三十年度政府資金産業設備に関する運用基本方針という資料がございます、それをごらんいただきたいと思います。それを御説明申し上げます。  これは八月二日に閣議の了解ということできまりました日本開発銀行農林漁業金融公庫中小企業金融公庫に関します運用方針でございますが、主として日本開発銀行関係でございますので、それにつきまして簡単に御説明を申し上げます。  日本開発銀行資金運用方針につきましては、ここに書いてございますように、国際収支改善国内自給度の向上、基礎産業の強化安定、輸出産業合理化中心にいたしまして、効率的かつ重点的な資金運用をはかる。で、この点につきましては昨年等と比較いたしまして、特に顕著な差異があるわけではございませんけれども、同じような主たる目的につきまして、より合目的的かつ効率的に、重点的に資金運用をするということを主眼にいたしまして個々事業をやるというような方針に従いまして、以下各産業別運用方針がきまっておるわけでございますが、なおその点に関しましては、別にお配りいたしまして通商産業省と書いてございます昭和三十年度日本開発銀行融資対象事業計画についてというのがございますので、これと合せた形で御説明いたしました方が便利かと考えております。  最初運用基本方針の方の一番最後のページを、ごらんいただきますと、参考資料といたしまして大体の対象事業融資見込額というのが書いてございますが、その中で、ごらんのように、電力二百八十億、海運業百六十億、それから石炭鉄鋼硫安合成繊維機械全体を含めまして百十億、その他三十億、予備十五億というような内訳になりまして、全体で五百九十五億という総額融資見込額ということになっております。  それで最初電力につきましては、従来電源開発の促進を進めておりますが、そのほかに送変電設備の整備、特に今回は既着工電源開発工事の完成に重点を置くということで計画を作った次第でございまして、その通商産業省の方の電力資料の方をごらんいただきますと、特に電力につきましては従来はいわゆる対象工事につきまして一走比率の割合で融資をいたす、工事額につきまして比率融資をする、パーティシペーション方式と申しておりますが、そういう方式に従いまして融資をしておったのでございますが、この点はいろいろと研究をいたしますと、企業間の借り入れ能力相違とか、あるいは資金コスト相違等によりまして、電力会社ごとに資金繰り状況とか、資金コスト点等にいろいろと不均衡が生じますので、今回は電力融資につきましては特に方針を変えまして、従来のパーティシペーション方式を変えまして、今申しました各企業資金能力調達能力等十分に加味した融資方式をとるということが在来と非常に違った運用方針でございます。いろいろ個々事業内容等につきましては、こまかくなりますので、後ほどもし御質問がございますればお答えするということにいたしまして、大綱だけを進めさせていただきます。  次に石炭工業につきまして、——海運の点はちょっと通産省の所管でございませんので、省略させていただきまして、石炭鉱業の方をお話しいたします。さっき御説明いたしました表で、石炭鉱業以下機械工業までの五品種につきまして、全体で百十億ということになっておりまして、それを以下申し上げます個々企業融資方針に従いまして通産省でいろいろ検討いたしました結果、大体の額の内訳が、さっき申し上げました通産省の方の資料業種別資金額という一番初めのところに書き直してございますが、電力二百八十億のほかに石炭を約五十五億、鉄鋼十五億、硫安十五億、合成繊維十五億、機械十二億というふうな大体の額になりまして、これを合計いたしますと約百十二億になるのでございますが、これはまたいろいろ具体的な融資案につきましては、個々事業につきましていろいろと増減もございますので、大体そういう内訳で百十億におさめたわけでございますが、そのまず五十五億を一応通産省としては予定しております石炭の分の基本方針といたしましては、縦坑開さく等コスト引き下げに特に寄与すると認められる設備合理化をはかるということが当然主目的でございますが、そのほかになお本年におきましては低品位炭利用による石炭鉱業合理化に寄与する顕著な事業というのも融資対象として考えておりまして、これはたとえば低品位炭利用によります製塩事業というようなものをこの中に考えておる次第でございます。その内訳といたしまして約五十五億のものを計上しておりますことは、先ほど申し上げた通りでございます。  なお、通産省の方の資料の三をごらんいただきますと、もう少しその点が詳しく述べてございます。縦坑開さく、第二に縦坑工事に準ずる重要性を有するものとして代替切羽造成のための新坑深部開発工事、あるいは採選炭の機械化、坑道の集約という方式、そこの第四に、石炭利用合理化事業として低品位炭による製塩事業、これは特に本年新しく取り上げました項目でございます。  次に、鉄鋼業につきましては、国際競争力を増強するため特に緊要度が高く、コストの引下げが顕著であると認められる部分の合理化目的といたしまして、いわゆる第二次の合理化工事といたしましては、あるいは厚板設備、あるいは中径管の設備等中心に考えておりますが、その詳細については通産省の方の資料の4をごらんいただきたいと思います。これで約十五億五千ほどの融資を予定しております。なお、つけ加えますが、この中には世界銀行の借款とかみ合わせになっておりますものも含んでおります。  それから硫安工業につきましては、コスト切り下げに寄与することが顕著であるもの、そのほかに特に今回は独立の尿素肥料工業を含めておるわけでございまして、この点も詳細はやはり通産省の方の資料の5をごらんいただきたいと思いますが、これで約十五億のものを予定しております。  次の合成繊維でございますが、今回は特に酷酸繊維工業関係を新たに含めておりまして、その点昨年よりもやや範囲が広範囲になっておりますが、いずれにしても繊維工業の、特に合成繊維工業の確立ということを主眼にいたしまして、約十五億のものを組んでおる次第でございます。  その次の機械工業でございますが、これは非常に内容は相当多岐にわたっておりますので、こまかく御説明するのも省略させていただきますが、要するに外貨獲得に直接寄与することが顕著であると認められる機械工業設備及び国産化を特に必要とする機械工業設備、それに機械工業の基盤となるべき設備、たとえばベアリング、軸受でございますとか、そういうようなものをいろいろとしさいに検討いたしまして、非常に数多くのものを積み重ねて、全体が十二億ということになるわけでございまして、その点は通産省の方の資料の中に詳しく書いてございますので、それをごらんいただきたいと思います。  その他の業種といたしましては、いろいろ各省に関係がございますものでございますが、通産省の方の資料8のその他をごらんいただきますと、いろいろと木材利用合理化都市ガス建設パルプ工業関係、あるいは、さらに地下未利用資源の活用、その他新しい石油化学工業というようなものも含めまして、いろいろ積み重ねましたものが、大体見当といたしまして三十一億ということになっておりまして、全体を合せまして大体五百九十五億の総額のうちの通産省関係といたしましては、さっき申し上げました表に上っておりますような数字になっておりまして、これを開発銀行の方に通産省意見として正式に渡しまして、中身の検討をいたし、具体的な融資の手続を進めておるというような状況でございます。
  4. 海野三朗

    海野三朗君 ちょっと聞きたいのですが、石炭鉱業に五十五億、鉄鋼業の方は何ぼですか。
  5. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 参考資料というところに百十億という数字は出ているけれども、内訳は書いてないのだよ。
  6. 松村敬一

    説明員松村敬一君) 通産省という方の資料の第一ページに業種別資金額というのがございます。書き流しにして書いてございまして、ちょっと恐縮でございますが……。
  7. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと伺いますが、この百十億という電力のほかのやつをこういうふうにやったのは、どこどこへという具体的の会社がきまって、それで開発銀行に出しているのですか。
  8. 松村敬一

    説明員松村敬一君) そうでございます。内訳を積み重ねた額がそういう額になっております。これは大へんこまかいものでございますから額が非常に多ございますから……。
  9. 吉野信次

    委員長吉野信次君) われわれがそこまで何する必要はないと思うけれども、おそらく通産省側にそうしてほしいという希望会社はたくさんあるだろうと思うのです。そのうちをあなた方が選択されたのだろうと思うのです。その選択の標準がここに抽象的に何とか書いていますね、いろいろこういうもの、こういうものと書いてありますね。たとえば国際収支改善するためになるとか、こうだとか書いていますね、そういう標準でいずれ選んだものだと思うけれども、実際はそういうところにあるのじゃないか、問題があれば、意見があればあるのじゃないかな。洩れた方は不平を言うということはないのですかな。
  10. 松村敬一

    説明員松村敬一君) ちょっと補足いたしますが、これは大体こういうふうにお考え願いたいと思います。国会で予算の審議したときには電気と船の方は大体きまっておって、その他一本となっております。それでわれわれの方で経審基本方針に従ってどういう業種にどういうふうに融資を行うかというときに、各業種でそれぞれの問題がございます。まあ何でも投資するものというわけにはいかないので、たとえば石炭でいいますれば縦坑並びに坑内の機械化の問題を中心にするとか、硫安においては最近は尿素設備新設等も加えてある程度の線を引きまして、事業一般的な対象をまず選びまして、それから具体的に申せば各企業等における現実の仕事の進行状況、あるいは調達能力等も一応考えまして、そうしてまあざっくばらんに申し上げれば積み上げということでもありませんが、大体の金額をはじき出して開銀の方に推薦いたすということであります。開銀の方は専門金融機関でありますから、通産省の意向を取り入れまして、また自分の独自の判断で金繰り、あるいは経理状況、将来の見通し等を考えまして融資を決定するわけであります。
  11. 吉野信次

    委員長吉野信次君) なぜそういうことを言ったかというと、たとえば自動車の問題です。国際収支改善ということから言えば、輸出増進もさることながら、どっちかというと、輸入を防渇する方が今急務じゃないかと思う。日本自動車国際市場をやり回ると言っても、なかなか日本国産自動車国際市場に行くよりも、むしろ外国車の入る方を輸入をとどめる方が重点ではないかとこう考えるのです。そこで国産自動車会社がこうしたいと言って申し込んでこなければ別問題だけれども、だからその項目のうち、ここには輸出増進のためと書いてあるけれども、輸入防止見地自動車会社財政投融資を申し込むということがあり得ると思う。まあ机の土で考えたものですがね。そういうわけでただこの数字だけではちょっとわかりにくいということだけ申し上げたのです。今その問題だけについてはどういうことになりますか。そういうこまかい問題について……。
  12. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) ちょっとこれは言葉が少いので……。国際収支改善ということを基本的にうたってあります。従いまして国産車の方も……。
  13. 吉野信次

    委員長吉野信次君) この機械工業のところで、自動車については輸出の増強をはかると書いてある……。
  14. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 言葉がちょっと不正確でありまして、国際収支改善のためというように書いてありますが……。
  15. 吉野信次

    委員長吉野信次君) やっぱり輸入防遇の方も入っておりますか。
  16. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 入っております。
  17. 吉野信次

    委員長吉野信次君) そういうふうな疑問が生じたものですからね。
  18. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまの御説明で、たとえば鉄鋼業に対して十五億、これは鉄鋼業のどういう会社に対してどういう設備に対してということがはっきりしておられるだろうと思うのですが、この振り分けについては通産省当局がおやりになったのでありますか。
  19. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 鉄の関係はこれは御案内のように、数年来第一次の合理化計画をやって参りました。これは主として製銑あるいは鋳鋼の方が中心でございます。それで昨年あたりまで残っておりますのは一部の厚延部門であるわけでございます。それでその一次工事の残に伴いまして、第二次の合理化計画を別の方で出しておりますが、これは全体的にはなかなか大きな規模になりますし、その内容厚延関係、ことに厚板あるいはブリキその他の品種厚延設備拡充中心になっております。これはなかなかいろいろマーケットの状況あるいは設備調達関係等を考慮する必要がありますので、とりあえずは第二次合冊化計画をそのままということではなくて、そのうちで緊急、しかも設備関係を見ましてあまり問題のないものに重点を置きまして選んだわけでございます。これも片方で進行しております例の世界銀行関係もございます。それとにらみ合せましてまあ選んだわけでございます。大体は厚板あるいは薄板の残りの工事あるいはパイプ等中心でございますが、なお特殊線機関係も一応考えております。
  20. 藤田進

    藤田進君 今の問題に関連してですが、これだけではどうも何か、新聞にはこの間出ていたようですが、ここで審議するにはもう少し官房長、この内容を、電力事業でも一般工業でも、何でもないですから、若干何か報道されていたようにも思うのですが、今どうも秘密で運動がひどくて発表できないと言われればそれまでですが、そこでどうですか、この電力とか石炭というものですね、半ペらでなしにもつと権威あるものを出して下さい。
  21. 小松正雄

    小松正雄君 金額を、電力ならたとえば中部にどのくらいとか関西にどのくらいとか、こういうふうな内訳をしていただきたい。たとえば電力に限らずその他一般ですがね。これがないと私どもの審議する上には、片寄っておりゃせんかとか、何かそういうこともいろいろ考慮に入れたいと思う。縦坑の掘さくにしてもそうなんだ。どんなところにどれだけ金を融資するようになっておるか。こういうふうに具体的に内訳を示してもらいたい。それが今わかりますか。
  22. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 電気の方はこれは総額がきまっておるし会社もきまっておりますから、こちらの考え方数字等は申し上げて差しつかえないと思いますが、ほかの業種の方はこれは役所の一応の考え方もございまするので、個々企業あるいはその金額等はこれはちょっとはなはだ勝手でございまするが差し控えさしていただきたいと思っております。
  23. 海野三朗

    海野三朗君 そこでこの計画をお立てになるのはまことにけっこうでありますが、それは何によって計画立てられたか。民間からの申請をもとにして通産省がお考えになったのか。何を基準にしてこういうふうな案をお立てになったか。そこを私はっきりさしていただきたい。たとえば電力の問題にしても、どの会社には幾ら、どの会社には幾ら、その理由はいかんということをはっきりしないと、どうも納得がいかないのでありますね。で申請によってやったと言われるが、果してその申請がどの程度正しいのか。大局的見地から見てこれは当然と考えられるのかどうか。そういう点が私は問題であろうと思うのです。で鉄鋼業部門についても同様なんでありまして、それならどこの会社をどうやるつもりであるか。それは申請によってやったのか、あるいは申請がなくても通産省がはっきりある根拠によってやったのかどうか。その辺を一つはっきりさしていただきたい。こういうふうに思います。
  24. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) これは申請がないものを考えたことはありません。いずれも申請のあるものであります。先ほど申し上げましたのは、鉄についてはどういう種類の事業、たとえば設備でありますが、設備の投資を開銀に要望しておるかということは、これは別段説明する必要はありません、申し上げた通りでございますが、どの会社のどれに幾ら金額をあれしたというその希望額をこれは何カ年計画でどうなるのかということを申し上げても、会計の方のいろいろな審査もありまして、われわれの金額とはまま違っているのが普通でございますね。まあその辺は一つ御勘弁願いたいと思います。  それから電気の方は総計二百八十億というのは国会の御審議の越中できまった数字でありますので、この配分各社別はどうなるかというのはその資料をお配りしてもよろしゅうございますし、あるいは私現在持っておりますので申し上げてもよろしゅうございますが、その配分につきましては前国会栗山先生からもいろいろ御意見がございまして、それで今度は先ほど次長から申し上げたように今までの配分の仕方を少し変えまして、おもな工事ごと電源関係工事とそれから送変電工事、これの各社別比率自己調達との関係を考えまして、それによって各社別にどういうふうな外部調達が必要か、それに対して開銀資金をどういうふうな配分でつけるかというこの比率を一応出しまして、それが考慮すべき第一点であります。第二点は、各社外部調達比率が同じになるようにと申しますのは、御承知のように開銀電力事業融資金利が年六分五厘であります。従って市中で一割の金利でまかないますのと違いまして資金コストがだいぶ違います。ひいては電力料金にも響きます。これは各社に均等な比率で考えることが必要じゃないかというのが第二の考慮すべき点であります。従ってこの外部調達比率各社資金計画に応じて考慮いたします。最後に、資金のしりをもう一ぺん洗いまして、それに応じて配分するということで、この三つの要素を加えまして、各社別を出しております。もし必要でしたら、私口頭で申し上げてもよろしゅうございます。あるいは資料をお配りしてもよろしゅうございます。そういうふうに今年は、昨年のように主要工事だけを対象といたしまして、それにたとえば工事資金の四割の開銀資金を割り振るというふうな行き方を変えて、金利要素、あるいは金繰り要素等もあわせまして、より合理的にまあ考えたつもりでございます。
  25. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 私ははなはだ委員長で悪いけれども、つまり電力のようなものは全国で九つしかない。それだから、聞かなくとも、こまかくいえば問題があるけれども、比較的まあ問題がないのだと思う。むしろ金額個々のものは少いかもしらぬが、たくさんあって、いろいろここに掲げてあるようなものは、一体どういうふうにやるかということが、ほんとういえば、問題なんですね。たとえばガスですね、ガスを見ると、都市ガス五カ年計画と書いてあるが、これは都市ですが、全国都市がみな各自五カ年計画を持っておるというものではなろかうと思う。あるいはそうかもしらぬ。たとえばあなたの方の出した資料です。8に、その他にありましょう。その他に、都市ガス施設拡充五カ年計画と書いてありましょう。これがもし東京都だけの五カ年計画、あるいは全国至るところの都市がみな五カ年計画でやっているのか。それで一つのこまかい例ですが、ガスのようなものになると、私たちは実際問題として非常にこれは問題がおると思う。よく知らないけれども、一体どの程度まで会社の管の負担金需要者の方からいうと、私ら常識で考えて、屋内管自分のものはこれは自分で出すのは当りまえだけれども、そこまで持ってくるのは会社が負担するのが当然だと思うのですが、実際はその金を出せということなんですね、そうでしょう。ところがその金を出して、自分で取ったものが自分の所有にならないわけだ。そうすると、あとから管を引いたところの近所に家が建つというと、その管からみな引いているという例がありましょう。そうするとどうも一番先に出した人が人の分まで負担しなければならぬということがあるので、それで実際問題としてガスというものの普及がむずかしい。こういうただ私の体験した実例を申し上げたのです。そういうことからいえば、東京ガスというものは、燃料からいって、この間からここでもいろいろ議論が出ました通り石炭需要の方面から言いましても、石油にしなくちゃならぬ、なるべく薪炭を使わないようにしなければならないというのならば、大都会について、やはり政府方針をきめて、どの程度までは会社負担だ。そうすると会社としてはまだ住宅が建たないところへ線を引くのは金が困る。初めて財政投融資という問題が出てくる。これが一つの例です。おそらくそういう観点でなされたのだろうと思うのですが、そういうこまかいところまでやっていない、そこを聞きたい。そういう観点で、一つの例をとれば、やったのだというなら、われわれも納得するけれども、そうじゃなくて、東京ガスがこれをやりたいというので、しかも東京ガスのやり方というものは結局非常に太いのは別だけれども、常識で考えて、これは屋内管自分のものだから、出してもいいんだけれども、そこまで持ってくるのに、五軒あれば五軒に負担させるべきじゃないか。ところが五軒のうち一軒しか建たない。一軒がやったとき、最初のやつが負担しっ放しで、あとはどうなったかわからないというような状態を、もし監督官庁として放置しておくというのなら、まずそういうところを正して、しかる後に財政投融資をやるということがいいのじゃないか。こういう一つの例です。そういったような例がほかの財政投融資のものにも、こまかいとあなたはおっしゃっているけれども、あるかないかということを、おそらく委員の方が御心配になっておると、こう思うのです。それだからあまりこまかいことを全部というわけにはいかぬけれども、大体こういう方針でやるということを、ただここにある国際収支とか何とかいう紋切り型の文句だけじゃその説明には少しならないのじゃないかという気がするのです。どうですか、少しこまか過ぎますか、私の聞くことは。わかりやすいように一つその例を申し上げたのですが。
  26. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) これは一例でございますが、ガスの方は、お話しの出ました普及計画は、これは東京ガスだけでありません。中部声ぐらいから上の大体のあれになっております。ガスに対する融資、投資の考え方は、いろいろな見地から考えられると思います。開発銀行からいきますのも一つ考え方です。それから最近の新しいガス会社状況を見ておりますと、これは地元の市、あるいは町が相当出資しております。これは地方の起債のワクで大体援助されている。こういうガス会社も相当ございます。それから先ほど負担金の問題がございました。これはちょっと実はわれわれもガスの供給を受けて認可いたしますときにいろいろ検討いたしておりますが、今お話がございましたように、時の先後による非常なあれもあるようでございます。これはあるいは便宜解決する方法も、やっているところもあるやに聞いておりますが、これはもう少し行政的な指導が要る。それで開銀で考えておりますのは、開発銀行というのは全国にあまり手足を持たない金融機関でございますから、地方の新設小都市ガス事業はなかなか審査、あるいは事後の維持管理等も行き届きません。比較的中都市以上くらいのところをねらっております。そうしてその対象もおもに老朽施設、つまりガス工場の建設を大体中心といたしまして、一部の圧送装置といいますか、ガスだめ程度までを一応対象にいたしております。それから先の導管、それから配管等はちょっと性質上むずかしいものでございます。一応はっきりしましたワンブロックの設備の増強を中心に考えております。それからもう一つは、これはガス事業というのは、ずっと中小のガス会社では、数年にわたる大工事というのはございませんで、大体一年ないし二年で片づいてしまう。われわれの考え方も、順々に地方の中都市あたりのガス会社開銀に推薦して、できるだけ普及さす。あわせて大都市におきましては、東京ガスでは豊洲の埠頭に新しいものを作っております。これは二、三年の継続事業でございます。これはそれを継続して推薦しております。あとは順繰りに回っておるということで、本年八社ばかり一応融資対象にしてはどうかと考えております。
  27. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 五カ年計画というのは政府計画ですか。
  28. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) これはガス協会で一応礎案を作りまして、それをわれわれの方で検討しまして、一応この程度ならいいだろうというので内閣全体の計画ではございません。通産省では一応きまった計画で、今度の六カ年計画でもこれを織り込もうと考えております。
  29. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 私はこれでいいのですが、ただ皆さんの御希望ですね。この程度じゃちょっと困るのじゃないかな。
  30. 藤田進

    藤田進君 だいぶん横道に入ったが、要するに帰着するところは、八日にきまった閣議、極秘裏にいたされたものが、ようやくここに発表されたというならばまた意義があるかもしれないけれども、これを聞いて、私どもどうということはない。午前中私が数字的なものをずっと頭に入れて、そうして午後大臣が見えれば、総括的な重要な問題について各委員とも質疑があろうと思っていたわけです。財政投融資に関する案件をここにあげているのは、今のような話では意味がないので、国政調査の一環としてももう少し内容がなければ、あに電力のみならんやで、その点は何か刷りもの、ガリ版にやってあるものでここへ出せないというのはおかしいじゃないですか。もう少し出してもらいたいです。ごく大臣と政務次官と局長くらいで扱っているのですか、この五百九十五億の配分を。そういうことは……、そうじゃないのでしょう。新聞なんかに始終出ているじゃないですか。
  31. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 私が申し上げたのは、この会社のどの工事幾ら融資してほしいということも、これはわれわれ開発銀行の方に一応連絡しておりまするが、その金額企業名は申し上げますのは御容赦願いたい、こういうのでありますが……。
  32. 藤田進

    藤田進君 かえってそういうふうに不明瞭にするから、いろいろな問題が、リベートや、汚職なんかしもやうんですね。
  33. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) それはただ個々の、たとえば自動車工業はどういう趣旨で、どういう事業をねらっておるのか、あるいは木材利用合理化というのはこういうふうな業種を考えておるのだということは、これは先ほど簡単に御説明したと思いますが、なお御要求を得まして、今ガスで申し上げましたように、十分御説明したいと思っております。ただ個々会社名、あるいは事業名、あるいはその希望金額といったものは、これは事柄の性質上あまり公けにしない方が……、と思っておりますので、まあここで申し上げるのは御勘弁願えないか、こういうことでございます。
  34. 海野三朗

    海野三朗君 そこで、それを私は官房長にはっきりただしたいと思います。必要があって、出さなければいけないものであるならば、だれが見たって差支えないでしょう。何もこそこそ言われなきやならぬという理由はないじゃないか。そこがどうも私らには納得がいかないのです。国家的見地から見て、こういうことが理由なのだ、それでここに融資するのだということにはっきりした理由があればいいのだけれども、そこにはっきりした理由がなければ、とかく公けにできないということはすぐ考えられるので、その辺は官房長どうなんですか。私はほんとうにそう思うのですが、必要ならば言って差しつかえないのです。だれが何と言ったって、これは必要なんだ、こういうように思うのですが、その割当のところを公表しないなんていうのは、実に痛くもない腹を探られる。つまり疑われるのは、そういうところに私はあると思うのですが、官房長、どういうようにお考えになりますか、あなたは。虚心坦懐に一つ
  35. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) いや、別段こそこそ言ったわけじゃございませんで、もう十分御説明のつくことばかりでございますが、ただこの融資の問題は、一つ金融機関と、まあその企業との一つの信用関係でもございまするし、それからわれわれの考えました、この一応の予想しました事業資金、あるいは開銀に対する期待額等も、これは開発銀行等がいろいろ考えまするものとはまたおのずから違っておるので、これは例年の例でございまするので、まあそういう点をあまりにここで公けにいたしまして、いや、通産省開銀意見が違うということも、これも変な話だろうと、まあこういうこともございますので、まあその辺は一つ御容赦願えないか、こう申し上げたのでございます。別段どういう事業にどういう改良工事、あるいは合理化工事に、こちらが考えているその件数が幾らだということくらい、これは別段お隠しすることじゃございませんので、申し上げるつもりでございます。
  36. 小松正雄

    小松正雄君 関連してでございますがね。たとえば今国民から、大きく言えば、いろいろなこういう使途については疑いの目を持っておられるということは、これは事実だと、否定できないと思います。そのやさきに、ただいまここに五百九十五億という投融資総額が載っておる。これにまあ今あなたのおっしゃることで言えば、いろいろな問題で、打ちあけることのできないという点から見ましても、その他の業種に三十億、予備が十五億とあるのですね。こんなことはあまりにもずさんじゃないか、こういうことがあるから、なお私ども真剣にこの内容をあなた方から披瀝していただいて、それによって審議を進めたい、かように思うからこういうことを申し上げておるわけでありまして、漠としたその他の業種三十億、予備は十五億、予備を十五億も取らなくちゃならないということは、どういうことでそういうふうになるのか。あるいは三十億というけれども、こまい金じゃない。これは何も業種別に現われていない。こういうことで私どもいろいろ疑惑をまあ考えなくちゃならない、こういうことなんですが……。
  37. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) その点はあるいは前国会で御説明を省略したと思いますが、はなはだ勝手でございますが、今申し上げさせていただきたいと思います。予備の方は、これはこういういきさつでございます。当時予算を組みましたときには、例の郵便貯金その他の資金運用資金の伸びがどうも思わしくないという状況もありまして、当時考えておりました千何百億でございましたけれども、どうも少し欠けるじゃないかというふうな大蔵省方面の意向もございまして、予備は一応安全率、まあ安全帯という意味で、あるいはこれは欠けることあるべしということでとったのであります。従ってその後の貯蓄状況等も引きまして、計画通り参りますれば、これはそのときあらためて関係省で相談いたしまして、それぞれの業種につけたい、こういうふうに考えております。  それからその他の方は、これはこういうことでございます。そのまとまったワン・グループの、ある程度のまとまった業種というものを一々こまかく列記するのもまあどうかという考慮がございまして、先ほどからお話がありましたガスの問題、それから同じく木材資源の合理化の問題でございますが、このさらしクラフト・パルプの設備の問題、それからいろいろなこの木材資源の合理化関係でございますが、繊維板でございますとか。あるいは、コンクリート・ボールの関係の問題でございますとか、それから最後に山の関係、銅鉱業その他山の関係、あるいはチタン等の金属の関係がございまして、これは何分当時の状況では融資希望の額、あるいは内容等があまりはっきりいたしませんので、一応総括いたしましてその他といたしておきまして、だんだんに固めて融資して参ろう、こういうことでございまして、そこで一応この業種別にこまかくガスに何億というふうに当時ではきめかねた状況でございますから、予算が成立いたしましてから固めまして実行して参る、こういうことでその他としたわけでございまして、今申しました種類のものがその他に該当するわけであります。
  38. 小松正雄

    小松正雄君 そこでその業種別を今私がお問い申し上げたから具体的にそう示された、こういうことですね。そういうものは少くともこの資料に、その他という問題でない方にはいろいろ業種別が出ておるわけですね。ですからこういうことは資料にはっきり、今あなたのお示しになったようなことを書き加えておくことが、一番疑惑を受けないもとじゃないか。尋ねてみたらこういうことだということじゃないように、内容がこうだということをはっきりうたっておくことが当然だと私は思うんですね。それからあなたさっき業種別に対しての割当等の金額はまあこらえてくれということでありますね。それはそうといたしましても、この電力業を中心として考えまする場合に、二百八十億の金が、九社電力があるといたしますれば、九社全体に対しての割当予算であるか。あるいは九社の中に最も急ぐものがある。ですからその急ぐものを完成させようとすることに主力を注ごうとするあなた方のお考えであるとして、割当を一方的にそちらの方に回わす、こういうことがあるとしますれば、九社の中の五社であるか、四社であるか、三社であるかしらぬが、二百八十億の割当の金額は示さなくてもいいですがね、どこの何電力会社、こういうことくらいは言えませんか。あるいはその石炭鉱業縦坑掘さくについても、その炭鉱の名前ぐらいはあげられぬことはないでしょう。金額は言われなくてもいい。
  39. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) お尋ねは二点でございまして、初めのその他の問題、先ほどお配りいたしました資料の中に書いてございまして、実は説明が長くなりまするので省略したようなわけでございますが、通産省九月十五日付の資料の二枚目の裏に「その他」とありまして、ここで先ほど申し上げましたようなことを述べておるわけでございます。どうも説明を省略いたしまして申しわけございません。それから電気の方は、これは九つの電力会社全部に先ほど申し上げましたような基準で二百八十億の金を割り振りまして漏れた会社はございませんし、このほかに追加した会社もございません。金額について申し上げますが、北海道が、端数を省略いたしますが、十四億八千万円、東北は二十八億八千万円、東京が七十、五億六千万円、中部が五十六億八千万円、北陸は十一億八千万円、関西が三十二億八千万円、中国が十八億五千万円、四国は九億、九州が二十九億五千万円、これは先ほど申し上げましたような基準で出したわけでございます。それから石炭の方でございますが、石炭の方は会社の数にいたしまして、大手のほうはほとんど各社にわたりまして、先ほど申し上げましたような縦坑あるいは斜坑等の開発あるいは運搬施設の改良等を炭鉱別に拾いまして出したようなものであります。それから中小の方でございますが、中小の方は例年なかなかわれわれの方でもこまかいところはわかりかねるものもございますし、それからいろいる開発銀行等におきましても年来融資等の関係もございまして、その辺と考えあわせて最終的な話をしたようなことであります。われわれといたしましては大体大まかなところで話をする……。
  40. 小松正雄

    小松正雄君 その内訳は言えませんか。鉱業のたとえば縦坑掘さく、斜坑、一般設備等改善に資する費用として投資されようとするその会社名ですね。金額が言われなければ言わずでいいですから、割当をしようという炭鉱名、会社名ですね。
  41. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) これはもう御承知かと思いますが、大手八社ほとんど全部融資対象になっております。炭鉱等も、これはまあ社によって違いまするが、主要炭鉱ほとんど全部にわたっております……。
  42. 海野三朗

    海野三朗君 何ぼありますか。
  43. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 炭鉱の名称等で、こざいましたら、これは言葉で申し上げても大分たくさんあるようでございますから、あるいは表にでも出して……。
  44. 小松正雄

    小松正雄君 そういたしますと、この五十五億という石炭鉱業金額は大手八社に割り当てるのであるか、あるいはこの中から中小にも割当をしようということになっておるか。そういたしますと、中小の金額だけを示してもらいたい。
  45. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) これは先ほど申しましたような中小の方は、われわれの考え方よりもむしろ開銀等いろいろなことがございますから確定いたしません。大体五十五億のうちの十億見当は中小炭鉱というふうに一応考えております。
  46. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はどうも財政投融資について非常に疑惑を持っている一人であります。私が疑惑を持っているのは、財政投融資をする場合に、通産省なり開発銀行がどういう基準というか、どういう角度でチェックをするか、そのチェック方式というものが、時によって変るところに私は疑惑があると思う。たとえば業者の要求がありますね、それを通産省でチェックする、チェックしたものを開発銀行に渡しますが、開発銀行が最終的にチェックして最終決定になりますね。その場合に通産省なり開発銀行はどうチェックをしているのか、同じチェックをしているのか、たとえばチェックをする場合に、どういう要素を入れてやっているのかということをはっきりと、これこれこういう場合に限って融資をするという、そういうふうな基準があるわけでしょう。たとえば私が特に疑問を持っているのは、その投融資会社のいかに希望であっても、その設備そのものが過剰設備であってはならぬわけです。過剰設備に投資する必要ないでしょう。結果において過剰設備に投資している例があるのです。チェックが怠慢というか、故意にやったというか、そこらのところに疑問がある。どういうチェックをしておられるか。
  47. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) この開銀とわれわれの方と、チェックする問題はおのずから違ってくるわけでございます。通産省の方は御指摘ございましたが、拡張設備の場合には、過度設備になるおそれはないか、合理化設備でも、そういう問題も起る場合もございますから、大体の将来の需給関係等から考えて、まず第一にそれが大体の需要に合うものかどうか、それでその設備をやることによってどういう効果があるか、これはコスト引き下げの問題もございましょうし、あるいは品種、規格の問題もございましょうし、あるいはその他パルプ関係のような木材資源の合理化といいますか、資源の愛用という問題もあるのでございます。あるいは地下資源のように、新しい産物を積極的に掘り出すという問題もございましょう。そういうふうないわば国という立場からその投資の希望内容をチェックいたすわけでございます。それからその次に今開発銀行融資に期待しないと、現実の資金調達がむずかしいかどうかという問題でございます。これは非常に相対的な判断の問題でございまして、なかなか一概にできるかできないかということは、なかなかデリケートな問題でございますが、会社金繰りその他がありまして、ある程度開発銀行融資がないと、それに協調する市中銀行の融資もむずかしいだろうというふうな、これはある程度判断でございますが、そういう程度でございます。なおこれにつきましては、将来の製品のコスト等に及ぼす影響もございますから、たとえて申し上げますれば、電気の問題でありますとか、あるいは合成繊維等におきましては、ある程度そういうような金利の問題も加えまして考えたのであります。そうしまして大体の目安をつけまして開発銀行の方に送る。開発銀行の方は、これは私具体的によく存じませんが、おそらく金融機関でございまするから、会社金繰り、経営状況はもちろんのこと、この工事によります製品の将来のコスト関係、利益状況、あるいは償還の問題、あるいは今までの閥関連しております融資との関係の問題等を考え、なお開発銀行資金単独ではこれは現在どの設備も行われておりませんので、それに協調いたしまする興業銀行でありますとか、あるいは長期信用銀行その他の金融機関がこれに協調して融資ができるかどうかという辺の見通しも加えまして最後的に融資しよう、こういうことになるだろうと考えております。
  48. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は通産省開発銀行もチェックの方式一つのものでなければならんと思います。ただその深さにおいて、通産省が浅いとか、現業の開発銀行が非常に深く調査するとかいう点はあると思うのですが、開発銀行通産省と、今のお話聞きますとチェックの仕方において違う面もあるようですが、開発銀行通産省がチェックしないところで新たに加わるチェックというのはどういうところが加わるのですか。たとえば通産省といえども事業家から要求があっても、事業目録なり収支計算なり、原価計算書なりとって一応は見るわけですね、それを今度は開発銀行に回しますと、開発銀行はさらにその点について深く追究するという点はあるでしょう。深い浅いの差はあっても、開発銀行のチェックと通産省のチェックはそこに違う点はあるべきじゃないと思うのですが、そうじゃないのですか。開発銀行はまた別の角度からチェックされる要素が加わるのですか。
  49. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) お話しのように、深い浅いの差の問題もございます。ただ一番違いますのは、やはり何といいますか国の全体の考え方、ことに産業政策というふうな点のことは、これはおのずから開発銀行が判断いたすというよりも、むしろ通産省で判断すべきことだろうと思っております。それからまた御指摘のような経理内容、ことに新しい投資の効果等につきましては、通産省でもある程度検討いたしますが、これはなかなかわれわれの方の知識では十分にいきかねるところもございますので、これはなおより深く開発銀行の方が加える、こういうことでございます。金繰りの方の問題につきましては、われわれの方よりむしろ開発銀行の方が専門家でございますので、これはむしろ通産省の方が大体の見当で、開銀はさらに専門的知識から、ほかの関係等を見られましてやるということになります。
  50. 河野謙三

    ○河野謙三君 ですから結局通産省開発銀行のチェックの方式が同じであるけれども、浅い深いの違いであるということなんでしょう。私はそうでなければ大へんだと思うのです。そうでないところに従来開発銀行に対していろいろ疑惑があると思う。これは非常に重大な問題だと思う。各社融資についていろいろ説明しろという要求がありましたが、これはそのチェック方式というものがはっきりしておれば、必ずしも各社のことについて聞かなくてもいいと思う。開発銀行の持っておるものさしと通産省が持っておるものさしとずれというか、違いがあるところにいろいろ問題があると思う。ですから今いろいろ御説明がありましたチェック方式につきましても、何か一つあなたの方の作業される方はお持ちになっておるのでしょうがどういうチェック方式でやっておられるか、私は資料をいただきたいと思う。同時に最初に伺いましたように、チェック方式というのは開発銀行通産省というのは一つのものであって、ただ深さの違いだけである、こういうことに尽きなければならんと思うのですが、そうでないのですか。そうでないところに従来疑惑があった、因縁というものがこれにからんでくる。
  51. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) まあ大体のところは先生のお話しの通りでございます。ただわれわれ考えておりまする産業政策的な面と金融機関の考えまする金融的な面と深い浅い、あるいは角度の違いということはあるかもしれませんが、根本的にそうひどく食い違っているということはないと思います。
  52. 河野謙三

    ○河野謙三君 私の希望になるかもしれませんが、チェック方式というものは一つのものでなければいけないのじゃないのですか。一つのものにすべきだと思いますがね、そうすることによってよほど明瞭になります。同時にわれわれ国会議員にもそのチェック方式というものをちゃんと示してもらえば、チェック方式にはずれておれば、この点ははずれておるじゃないかということで追究できる。ところが事業別によって、会社別によってチェック方式が違う。しかも通産省開発銀行が違うというところに問題があると思う、こういうふうに私は幅があっちゃいかんと思いますがね。
  53. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) チェックの方式といっても、われわれの方にそうきまったものがございませんですが、先ほど申し上げましたような角度がわれわれとしては比較的中心になるわけでございます。開銀としましてはむしろ金融機関としての性格上ある程度また同じものを若干違った角度から見ておるということになるわけです。結局その差は今までのところそう違った例はあまりなかったんでございます。ただお話しでございますが、ぴしゃっときまったものさしのようなもので一律に当ててゆくわけに参りませんので、これはわれわれの方で考えておりまするいろいろな何といいますか、政策上の問題と、開発銀行で考えておりまする金融機関の、まあ融資の健全化という問題とのアングルの違いが若干審査の作業に、おのずから深い、浅い、あるいは重点の置き方が違ってくる、こういうことになっております。
  54. 河野謙三

    ○河野謙三君 ですから、たとえば通産省でも資金の要求があった場合に原価計算をしてみる、そうして応原価計算の検討の結果、これは是なりとして開発銀行に回す。ところが開発銀行の方で会社が出した原価計算なり、通産者が出した原価計算なりで、これはちと少し甘過ぎるというチェックはいいでしょう。しかしこれはチェック方式の問題じゃないのです、これは要するに深い、浅いという問題なんです。これは開発銀行通産省一つのダブル・チェック方式なんですよ、だからダブル・チェック方式じゃなくて……チェックそのものを見ると基準が違うということでは私はいかんと思うんです。開発銀行通産省とは別の基準でチェックするということではいかんと思うんですが、そういう事例があったと私は思うんですがね。それはいけないと思うんですが、それは今まで通り別の基準でチェックすることがいいんだ、こうおっしゃるんですか。
  55. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 基準と申しますか、考え方は同じでございます。深い、浅いの点、あるいは角度の若干の違い等から、両者完全に意見が一致する場合が多いわけですが、中には相談しあってやるという場合もあるわけです。
  56. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は一つここにはなはだほかの方には御迷惑かもしれませんが、一つの過去の例を申し上げますと、私は比較的資料のことは詳しいんだが、もっと詳しいことはここに苫米地さんがいらっしゃいますが、尿素工業合理化というものが出ておりますが、その工業というのが過剰設備になるか、ならんかということのチェックも大事だと思いますが、それに投融資することによって、たとえば今の場合は肥料ですが、肥料が低廉かつ豊富に流れるか、流れないかということが大事な問題ですが、ところが二、三年前に通産省は東北肥料という会社と九州の日本窒素という会社に化成肥料を作る場合に財政投融資していますね。私はあのとき非常に注意した、こういうものは何で必要なんだというと、これは肥料の合理化が必要なんだと、ところがいよいよその工場ができ上ったけれども、現在肥料界に何にも寄与していない。のみならずまた新らしく問題が起って、東北肥料に硫燐寸の化成肥料の工場を作らせた。財政投融資したところがその会社が二億で作るはずのやつが五億かかっちゃった。しかも今度硫燐安を作るためには原料がなくちゃならん。燐鉱石がない、燐鉱石は過燐酸工業でも足りないんだと、東北肥料に回す燐鉱石はないんじゃないか。ところが国家が財政投融資をして作った工場を能率化するために、どうしても過燐酸工業でただでさえ足りない燐鉱石を東北へ回さなければならんというまた新らしい問題が起っておる。こういう失敗が、これは一つの具体的な例なんですが、枚挙にいとまがないと思うんです。財政投融資じゃないけれども、砂糖でもそうでしょう、名古屋精糖にただでさえ精糖工業の設備というものは過剰で困っている。これは農林省と通産省両方の責任だと思うが、名古屋精糖にアメリカからわざわざ合理化ということで機械輸入した。それに対して金額にして七、八千万円の免税措置をやっている。こういうことは一体通産省がほんとうに国民経済から出発して、産業の合理化ということで、そういう尺度でものを考えれば、こういう問題は起ってこないはずです。精糖工業なんか、今百万トン砂糖必要量に対してこれは二百八十万トンか三百万トンの精糖能力がある過剰設備である。それはおととしからもそうです。しかるに過剰設備に悩んでいる際に、アメリカから新しい設備を入れて、しかも名古屋精糖に砂糖工業の合理化だといって、なかなか許さぬ免税措置をやって、八千万円も助かっているという話を聞いている。これは財政投融資ではありません。財政投融資も今は私は東北肥料の話を申し上げましたが、しっかりとした尺度が、基準がないからそういう問題が起ってくると思う。だから私は今結論として、通産省の作業される人が持っているところの基準を私はもらいたいと思う。どういう基準でそういう方々は作業していくか、開発銀行に回していくか、もらった開発銀行はどういう基準で作業しておられるか。基準がわからないところに、基準が常に動くところにいろいろな疑惑が起る。何か作業の基準になる要綱というものはございませんか。あったら戴きたいと思う。
  57. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) チェックの具体的なやり方等を書きましたものは、聞いてみましたが、ないようでございますが、どういうふうな業界ではどういうふうな投資計画を進めたらいいかというような実態の方は、ある程度業種業種によりまして、作成し検討したものがございます。まあそれに当るからといってそのままやみくもに進むものではございませんで、やはり先ほど申し上げましたような点から検討を加えたいと思っております。あるいは開発銀行の方に内部の審査基準があるかもしれませんが、それもそういう書面にしたようなものになっているかどうか、これもちょっとわれわれもよく存じません。まあそういうことでございますので、具体的な基準というものはなかなか審査すべき要点とかあるいは事項とかいったものは、担当課長もおられますから、あるいは口頭で御説明するなりいたしましょうが、ものさしで具体的な個々企業を判断するようなきまった尺度といったものは、どうも性質上むずかしいのではないかと考えております。
  58. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は性質上必要だと思う。過去のことはとにかくとして、今後財政投融資を明朗化するために、そういう基準が必要だとはお思いになりませんか。そうでなければ、極端に言えば、この財政投融資というものは、そのとき出てきた人の顔色なり、力によって動くものであって、顔で動くものであって、基準によって動くのじゃないということになってしまう。現に今まで顔によって相当動いた例があるからこういう問題になる。そういう一つの基準を、それはこまかい動きのとれないような基準でなくても、大よそ大体の基準というものは今でもおありだと思う。だけれども、私は大体でなくて、なるべくその基準というものは精細にわたった方がいいと思うのですが、今なければ将来そういう基準を必要とお認めになるかならないかということだけでも、私は官房長に伺っておきたい。
  59. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) お話しでございますので、まあ先ほど申し上げましたように、先生のおっしゃる基準というものとある程度合っているかどうかわかりませんが、要するに特定の業界の投資のあるべき方向、合理化計画といったものと、それからその計画に即応して出てきます個々申請をチェックいたしまする大体の考え方というようなものは必要だろうと思っております。またことに前の方の計画におきましては、これは現在六カ年計画が進行中でございます。そういうものの中でそういうような大きな方向は考えていきたいと思っております。それから具体的な企業を判断いたしまする大体の考え方、これ等ももう少し明確にいたしたいと思っております。
  60. 河野謙三

    ○河野謙三君 ここに具体的に尿素工業の問題がありますが、私の承知している範囲では、これは現在のところ過剰設備に私はなる性質のものだと思う。遠い十年、十五年先は別です。しかし少くとも目先の三年なり五年なりのことを考えますと、海外の市場その他を考えますと、過剰設備になると私は思います。こういうものが平気でここに載っているということについては疑問に思っている。こういうものにつきましても一つの基準によって十分チェックしていくということを私は特に希望しておきます。
  61. 藤田進

    藤田進君 ちょっと私質問する前に資料関係で申し上げておきたいのですが、約六百億になんなんとするその半分を占める電力について基準等の論議がありましたが、どうも私つかめないので、数字に当ってみてこれをチェックしてみたいと思うのですが、北海道から九州に至る九社についておのずからその営業範囲が区域があるわけで、その区域内に電源開発会社関係の投資が幾らなされているか、発電所ですね、開発で……。各社ともあるわけですが、ないところもあるが、電源開発会社に対する投融資があるわけですね。まずそれと、今御発表になった開銀の、たとえば北海道で十四億八千万円、これに北海道では電源開発会社幾らやっている、三十年度ですね、これが幾ら。これをまず各社別に。これは電源開発会社がやっていないところもあると思いますから、それはないところは零だと思いますが、これを一つほしい。それから建設勘定で、各社の三十年度どれだけこれは市銀その他でこの開銀融資以外はまかなうのだろうと思いますが、どれだけの事業に対してこれだけの融資がなされているかということを実は知りたいのですね。これは開発会社と今の直接電力会社と、これがまず二つ加えてみた数字が出ますね。そのほかに別途に調達される金額と合せてみたいと思うのです。全部ね。そうしてみると大体わかる。私の見たところでは、変な目で見ればきりはないのです。私はこういう投融資、ことに民間産業に対する融資と政治献金の表を作ってみたんですよ。とてもおもしろい表ができている。私は場合によっては発表してもいいと思うのですがね。これは実におもしろい表です。比例しているのですよ。大体一分くらいになっている、政治献金が。これはまあ将来そういうことがあっちゃならぬのですが、過去の問題ですが、そういう意味でも私は北海道それから中国、四国、九州といったような——、電力料金でもたとえば北陸、東京あたりが百万円であれば二百万円から払わなければならぬ。二倍も高いわけです。そういうものが開銀の四分なら四分という低金利のものが融通されないで、ますます高コストになっていく。そういう方画は割合勢力が弱いのですね。北海道は苫米地さんその他がおられるしいたしますが、しかし全体的に見てもやはりそういう料金面から見たところの操作がなされていない。で、低コストのところはあくまでも低コストで、どんどん電力開発会社が仕事をやる。こういう融資も、ここに見てもわかるように融資をする。そうでないところは一割前後、あるいは八分というものでまかなっていかなければならぬ。開発もなかなかできない。こういうことでいろいろな基準といってみても、時の政治力というか、何かそういう点が過去においては非常に大きな基準になってしまっているという感じがするし、今度の場合どうなるかということを知りたいので、今のような資料をすぐでなければ昼食後でもけっこうです。これは私はこのまま見て、単なる会社の規模というだけでなしに、何かどうもこれは着手しているところの既着工工事の完成ということに重点がありましょう。ありましょうが、そのほかにやはり問題があると思うのですしいたしますから、それを出していただきたい。電発と、それから当該電力会社が所要しておるところの資金ですね、そのうち一体何%ずつ投資をしているのか。今見たところ高い電力料金のところは高いところの四社を見ると、全体の二百八十億の約四分の一しかもらっていないのですね。四分の一しかもらっていない。私は全国区ですから、どこの地域がどうこうというあれはありませんが、公平にやってもらいたい。
  62. 古池信三

    ○古池信三君 ちょっと融資の時期についてお尋ねしたいと思うのですが、今年は本予算がだいぶん成立がおくれましたから、特殊な事情があるでしょうけれども、一体この五百九十五億という開銀融資はそのうちですでに融資されたものがあるのかどうか。
  63. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) これはまだ開銀の方から融資されておるものはないと思います。ただ電気の継続事業の一部はつなぎ的に先ほど申し上げました金額の内渡しというような格好で一部出ておるかと思いますが、ほかの方はまだないと思います。目下開銀の方で具体的な調査、あるいは審査に取りかかっておる段階だと思います。
  64. 古池信三

    ○古池信三君 この融資を受けたいという方からおそらくもういろいろ申請が出ておるだろうと思いますね。で予算は成立しなくても、通産省としてはやはりそれに対しての審議は進めていっておられるだろうと思う。そうなればもう今年もやがて上半期が終るのですから、融資するとなれば、これは早くやってやる必要がありはせんかということを思うが、すでに五百九十五億を開銀から融資するということは国として方針がきまっておるのですから、あとそれをいかに適切に融資をするかということが、行政機関とか、あるいは政府関係機関の責任だろうと思います。これがあまり年度末ぎりぎりになって融資されたんでは、せっかく国の助成でやろうという気持が非常に薄らいでくるのではないか、効果としても非常に少いのではないか、最も適切なる時期に適切な融資が行われるということで、初めて効果が百パーセント上るのじゃないだろうかと思うのですが、それで大体現在の見込みではこれはいつごろ融資されるものか、あるいはこれが一回じゃなくて何回かに分けてやられるものであるか、そういう見込みについてちょっとお尋ねしておきたい。
  65. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) これは開銀の調査、審査の手続もございまするが、大体におきまして今まで中央におきまして開銀融資を受けておるような会社は、これは経理状況金繰り等の審査が比較的早く済むわけであります。従って今年はまあだんだん早くなって、あるいは年末までには大部分のものの融資承諾の運びまでいくのじゃないか、諾否の運びまでいくのじゃないかと、 こういうように思っております。まあ特殊のものにおきましては、例年もよく年を越してやっておりますので、おくれるものはあると思います。それから現実の金の何といいますか、資金交付の方は、これは金の要る時期を見ましてやっております。承諾しまして、それから工事代金の支払い、あるいは機械代金の支払い等の時期に応じて現実に金を渡しておる、こういうような状況になっております。
  66. 古池信三

    ○古池信三君 現実の金の渡し方はそれでけっこうだと思うのですけれども、やはりある工事を着手するかどうかということを手続するには、承諾がないとできないだろうと思います。ことに北の方の積雪地帯あたりでは、あまり寒くなったら、実際に工事ができない。そういうようなことも考えて、特に電力関係などはこれは継続事業でもあり、着々やっておるだろうと思う。そういうところが命回りが悪い。しかも開銀融資においては利子において特別な考慮を払ってあったと思うのですが、そういうふうな考え方からいいますと、やはりできるだけ早くこういうきまったものは融資をされてしかるべきじゃないかと、こういうふうに思いますので、今後できるだけそういうふうな趣旨で努力していただきたいと思います。そういうことを私は要望しておきたい。
  67. 白川一雄

    ○白川一雄君 ほかの業種は業者が大体数が限度があるのですが、この機械工業の方だけは業種の種類が非常に数が多いのであります。これはまあ私の考えでは、戦争中非常に乱造した機械工業を終戦のときに閉鎖するベきものを閉鎖しないできたということが今日非常に災いしておる点もあると考えるのですが、ほかの方にば今のようにそういう割当ということの問題になりますが、機械工業に関しては、それより前に日本機械工業をどう持っていくかという基本的な線を通産省としてやらなければ、現在のように総花的にやっておりますと、結局何もならぬことに金をたくさん使っていってしまうのじゃないかという点が実情から非常にまあうかがわれるわけであります。また業者の中にも防衛という問題が起ってきますと、昔の軍需産業を夢見るような錯誤に陥って、その実力がない工場もその一端に加わるかのごとく誤まって進んでおる現状があると思います。これを現状を見ると、むしろ通産省がその傾向を助成しておるような面も極端に言えば見られる。たとえば飛行機工業なんか見ましても、日本の現在の実情、需要、あらゆる面から見て二社か三社あればいいものを、現在八社も九社もあるという事柄は、少々のスズメの涙のような助成金を出したところでできる産業でないものを、たくさん総花的にやっておりますれば、かけた金は結局むだになってしまって、やがて工場を閉鎖して失業者も出るという実態に必ず私はなるものと思う。そうでなければ、アメリカの資本が入ってきて、その産業の大部分を占めるようになってしまう。現にそういう傾向があるわけであります。そうしますと、それに加わらないものは悲惨な工場閉鎖の状態にまあ近い将来に必ずなるのじゃないかということを考えまして、ほかの業種を見ますと、すでに地盤も固まっておりますが、機械工業に関する限りは、私は非常に日本は弱体である、かつ一番おくれておると、こういう観点から、通産省としてはこの機械工業をどういうふうに持っていくかという基本的計画というものが、今日非常に急務として必要ではないか。行き当りばったりに、またある政治力等によってそれが曲げられるということになると、災いをもう非常に将来に残すのじゃないかということがまあ機械工業界の現状から考えられるのでございますが、当局は何かそれに具体的な計画は、特に最近防衛産業ということに関連いたしまして、それは・申し上げるまでもなしに、戦争前の日本の産業は防衛産業が基準になっておったのでございます。最近のように飛行機を日本でやらせながら、またアメリカから古の飛行機を持ってくればそれを入れる。古の鉄砲も入れるということになりますれば、これは過渡期の方法としてはやむを得ないと思いますけれども、将来もそういうことに持ってくれば、ほんとうに日本の防衛計画というものは過去の日本の軍備よりも一そう国民の大きな負担と苦慮に変ってくるのではないか、こういうように考えるので、まあ機械工業に関連して、防衛生産というものに対して通産省で何か将来の恒久的な計画というものがおありでございましたら、その差しつかえない範囲に示していただきたいと、こういうように存じておるのであります。
  68. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 機械工業の現状は今御指摘の通りでございます。実はわれわれも機械工業をまあ全体としてどういう方向に持っていったらいいかという点は、抽象的にはいろいろ輸出の振興であるとか、いろいろ言えますが、具体的な業種々々を当って見ますると、非常に問題が多いわけでございまして、実は非常に困っております。そのうちの特に防衛関係機械工業におきましては、これは問題は今から反省するということでは、ちょっと変な話になりまするが、朝鮮事変後の特需調達に依存していた面が非常にございます。これは例の銃砲弾の関係でございます。これは現在相当能力は持っておりますが、たまの在庫が相当ふえているということで、今後の発注もなかなか新しいものは相当困難であるという状況でございます。さりとて現在の設備等におきましては、一部は相当いい部分もございますし、将来自衛隊の増強計画等とにらみ合せまして調達の問題を考え合せますれば、やはり目先要らないからなるにまかせようということでも困りますので、ある程度の、最低限度の設備を温存するということはどうかということでこれを検討しておりまして、その一部新聞等に出ておりますいわゆる国有買い上げの方式でございますが、これも実は最後的に腹をきめたわけではございませんし、関係方面ともいろいろ相談もしているのでありますが、何かそういう形で設備、あるいは技術保存という問題も考えておく必要があると思っております。それにしましても残余のものは、銃砲弾は相当企業の規模縮小になる、こういうことも避けられないと思っております。それから航空機の方でございますが、これは御案内のようにいろいろ日本は終戦後全然新しくスタートしたために、海外のいろいろな機種の関係等もありまして技術援助を得なければいかぬ。パテントその他の関係もございます。この初期におきましては、練習機等におきまして若干乱立といいますか、相当機種変更等もございまして、やや多過ぎはせぬかという面も一部あるわけでございます。今後ジェット機の問題が過般の国会で御承認を得ましていよいよノック・ダウンから始めまして一応の生産体制に入るわけであります。この方向に従いまして一応の企業系列の整備が行われるかと思っておりますが、これは関連工業は非常に広いわけでございますから、ある程度機械工業を起すことになるのではないかと思っておりますが、これと前々からの練習機、輸送機等のプロペラ機の一部と合せますと若干のその辺の機械工業に活を与えることになるのではないかと、こう考えております。  それから電気機械の方は、これは弱電気、重電気等は電話復旧、電源開発の振興等によりまして一応の体制を整えましてこの方は一応何とか格好がついております。もう一つ自動車でございます。自動車の方もほんとうに国産化への体制に一応進むことになりまして、純国産並びに国産化程度を進める部品輸入の社は合計六社ばかりございますが、このアセンブリーを中心に一応の系列整理が行われますので、その関係で一応の体制が出てくると、こう考えております。残っておりますのが工作機械あるいは歯車、ネジ、こういった共通部品、あるいは基礎の部分で、これは実は現在までの機械工業の悩みであります。これをどういうふうに持っていくかということをいろいろ考えておりますが、片一方最近のように投資の意欲が非常に落ちて参りますと、機械の発注もおのずから落ちておりまして、そういうふうに注文のない、需要のない業界に合理化あるいは設備更新ということを唱えましても、なかなかものになるわけでもございませんし、片一方過剰設備というような量的な面から申しますと、あるいは質的な面から申しますと、この工作機械その他の業界がおそらく日本では一番設備の余っている業界ではないか、これを何とか精度を高め、品質をよくし、あるいは新しい性能、スピードを持った機械ができるように、設備の面あるいは企業体制の面から立て直していく方法はないか、今いろいろ検討しておりまするが、現在までやっておりまするいろいろな国産化の補助金等も年額一億前後でございまして十分でありませんし、何か企業整備あるいは専門化といった面とこの設備の更新とをかみ合せました新しいやり方はないかと思っていろいろ考えておりますが、あるいは国で長期低利の金融を見る方法として、たとえば機械貸与というような形で新しい設備機械を入れさせたらどうかという考え方もございます。これもいろいろ難点がございまして、なかなか最終的な決定になっておりませんが、いずれにしましても、今年度あたりからそういうような、機械の基礎になりまする工作機械、あるいは共通部分でありまするネジ、歯車、バネといったようなものの生産体制を何とか整備して参りたいと、寄り寄り検討中でございます。
  69. 白川一雄

    ○白川一雄君 自動車を一例にとりましても、何百という部品が必要なんであります。親会社はもちろんアセンブリー工場で、その下に無数の中小企業がくっついて初めてできておるのであります。従ってアセンブリー工場も大いに合理化しなければいけますまいけれども、いいものを作るとすれば、まず下請の工場の充実をはからなければ、なかなか目的を達することはできないのであります。ところがこの広範囲の機械工業の投融資金額がわずか十五億だということから考えますれば、どうしてもこれは親会社の方へ多く行って、中小の方にはほとんど回らぬといったような結果に陥れば、名は合理化であるけれども実は現われないというような点から、中小と親会社との振り分けにつきましては、親会社は自己の金融力もありますが、中小の方は通産省の協力によって助けられる以外に生きていく道がないのもあるわけなんでありますから、どうしても下請の中小機械工業重点を置いて、この投融資というものを考えてもらわなければ、実際の効果は現われぬのではないかと思いまするので、その点十分御考慮を願いたいことを申し上げて終ります。
  70. 苫米地義三

    苫米地義三君 私一点だけ伺いたいのですが、その前に希望を申し上げますが、財政投資の希望者が非常に多いわけです。そうして財政資金が足らないわけですね。これを国策上の必要度に応じて活用するということが要点だと思う。先ほど河野君の言われたような、ある会社の化成肥料を作るために財政投資をするというようなことは非常に邪道だと思うのです。それはやりたかったら、民間資金を融通してやるべきで、財政投資を用うべきものではないと思う。そういうところにチェックの仕方が、ものさしが違うと思う。ですから今後財政資金が不足して財政の投資を要求する需要が多いのですから、そういう点について十分注意をしていくことを私は要望いたします。  それから伺いたいことは、この第八の「その他」ですが、そこに未利用資源にある鉄資源の磁硫鉄鉱その他のことが書いてありますが、磁硫鉄鉱よりかももっと重要な砂鉄鉱業をなぜここに取り上げておらないか。今白川君の言われたように、日本機械類、自動車工業のごときも、鉄鋼の材質が悪いために発達しておらないことは事実なんです。その材質を向上さす上からいっても、鉱業を振興させなければならぬ。これは国家的な必要性があるわけです。それを磁硫鉄鉱だけあげて、砂鉄鉱業をあげないということは、何か事情があるのでしょうか、その点を一つ伺いたい。
  71. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) お話しの砂鉄の方は、山の方に適切な計画がなかったせいかと存じますが、本年度は製錬の方に少し力を入れたいと思っております。鉄鋼の方の計画は特殊鉄になりますか、普通の銑ですか、私確かなことはよく知りませんが、東北地帯でそういう仕事をやっておりまする会社に一応の融資を行いたいと考えております。
  72. 苫米地義三

    苫米地義三君 磁硫鉄鉱よりかも鉄鋼界に対しては貢献度が多いわけです。そういうことは一刻も早く助成しなければならぬ種類のものですから、書き落したものと思われますが、企画庁長官と通産大臣との間によくこの辺は調整して必ずこれを入れていただくことを、私は希望いたします。
  73. 海野三朗

    海野三朗君 今苫米地委員から申されましたし、さきに河野委員から申し述べられたのでありますが、これを要するに資料を出されまして、電力にこれこれ、海運にこれこれということを出されたのでは、一向審議の価値がこんなものはないのです。電力事業に対しましても先ほど藤田委員も言われた通り、はっきりとしたところの割当、海運にしても、石炭鉱業にしても、炭鉱はどこどこ、金は何ぼ、鉄鉱業にいたしましても厚板というばく然たることではいけないので、その細目にわたってはっきりとした資料の提出を要求いたします。そうでなければここでこんなものは審議する必要はない。ただ国民の税金をもって開発銀行が勝手にその金を融資しておる、今日まで幾多の弊害をみておる。これを是正しなければならない。これを審議するのが商工委員会だと思いまするがゆえに、その他としてありますが、こういうところのわかっておるだけの細目、どういうところにどれだけ金を融資する、どういうところには幾ら割り当ててあるということのはっきりした資料の提出を要求いたします。先ほど官房長はそれば聞かないでくれと言われますけれども、聞かないでくれ、そういう政治のあり方自体が間違っておる。だれに見られても差しつかえないような割当にしなければならない。また通産省がチェックしてあったのを、開銀が別にチェックして先ほど河野委員も言われたように、私は全然同意見です。ものさしをあてるようにいかないと官房長は言われるけれども、今日米を売るにしてもます目によらず手心で売っておりますか、すべてます目によらなければならない。そういう尺度というものがあって、それを基本にしてそうして割り出していかなければいけないので、ただばく然としたいろいろな状況からしてやるところに、そこに不純なことが行われ、また世間の疑惑を招く根本がそこにあると思いますがゆえに、この提示されました約六百億に近い国費を貸し付けるのでありますから、これは国民に納得のいく割当をしてもらわなければならない。ここにおいて審議の価値があるのである。今私はその資料の提出を求めます。ぜひ出していただかなければならないと思う。そうでなければ国会で審議する必要はない、こんなものは……。またこの割当につきましてもそれをいろいろチェックしていくところで、たとえば苫米地委員の言われた砂鉄は非常に大事だがそれが載っていない。そういうところをチェックすることが商工委員会の使命じゃないかと私は考えるのですから、ここに出されたところの割当の細目とまた昨年、一昨年度において開銀融資したその結果をも、あわせて私は資料の提出を求めます。努めて近い期間において、でき得れば明日あるいは今日の午後四時ごろになっても五時ごろになっても、それがなくちゃ全然こんなもの意味がないのです、私はそういうふうに思いますから、資料の提出を要求いたします。これに対して御答弁を願います。
  74. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) お話しございましたが、砂鉄のことは先ほど申し上げましたように、鉄の製練に対して出すように申し上げました通りでございます。それからお言葉でございますが、この金額は割当とかいうふうな何ではございませんで、大体この見当を開銀から出すことが適当じゃないかというふうな通産省側の見方でございます。過去の開銀融資実績等は今までどういうふうにしておりますか、企業別のものを国会の御要求で出しておりますか、私ちょっと存じませんが、今年私の方から開銀に話しております線は、先ほど申し上げましたような事情でございますが、何とか一つ御了承お願いしたいと、こういうふうに考えております。
  75. 海野三朗

    海野三朗君 私はこの割当を大体の見当とおっしゃるならば、腹案があってこういうふうにお出しになったのじゃないかと思う。たとえば電力業に対してはこういうふうだと言われましたが、鉄鋼業に対してはどういうふうになっておりますか、その目安があってお立てになったものだと思うのです。それをわれわれつまり国会にこれを報告することができないというようなことでは、国民が納得しないと思うのでありますから、それはぜひ私は資料の提出を要求いたします。私ばかりではありません。そのほかに皆さん、ここにおられる委員の方々がみなそれを要求しておられると思うのです。
  76. 小松正雄

    小松正雄君 私も海野委員意見に同意いたしまして資料の提出をお願いいたします。
  77. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  78. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて。  それでは暫時休憩いたしまして、午後は一時半から再開いたします。    午後零時三十五分休憩      —————・—————    午後二時十二分開会
  79. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは午前中に引き続いて再開いたします。
  80. 高橋衛

    ○高橋衛君 通産大臣がおみえでございますので、長年問題になっておりました四日市の旧燃料廠の払い下げ並びに施設の活用方針が先般の閣議了解において御決定になったようであります。それに関連いたしまして、その内容についても一応新聞等では拝見いたしておるのでありますが、御説明を願いたい。と同時に、あれが新聞の報ずるところによりますると、閣議決定でなしに閣議了解になっております。しかもアメリカにおけるところの河野農林大臣の横やりによってそうなったというようなことが伝わっておりまするし、またそれ関連いたしまして東海硫安の問題と、いろいろ新聞等においては流説が伝わっておるのでありますが、国民としては非常にこの点について何とはなしに割り切れぬ気持を持って見ておるような次第でありますので、その点についてわれわれが十分に安心できるように一つ通産大臣からその御決定になった内容、並びにその間におけるところの誤解がもしもあるならば遺憾でありますので、誤解が解けるように御説明を願いたいと思います。
  81. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 四日市、徳山、岩国と三つ一緒に処分を決定したわけであります。その経過の大体を申し上げます。もし詳細が必要であれば、また関係局長等から説明させてもけっこうであります。  あれは御承知の通り、特に四日市は長い問題になっておりまして、最初三菱、シェルグループですか、あそこに利用させるということであったが、それがどういうわけですか、前内閣時代にやめになりまして、結局日本の九会社の連合体であそこへ事業をやらせるということに一応きまっておりましたが、これまた実際に事業が起らずにそのままになって今日に至ったわけであります。ああいう大きな土地をそのままにしておくことも、まことに無益でありますし、また、ことに四日市付近の現地の人たちはぜひともあれは早く利用してもらわないと土地の繁栄に関係するからということで、切なる希望がありました。そこで私、通産省に参りましてからいろいろ事務当局にも研究してもらいました結果、やはりあそこは元の案に戻って、シェルの技術及び資本を利用して、石油化学のセンターにするのが一番経済的だという結論に達したわけであります。と申しますのは、あの四日市がだめになったものですから、シェルは昭和石油と一緒になりまして、徳山に敷地を払い下げを受け、さらに払い下げ以外に多少民有地を買いまして、敷地を作ってあそこで精油工場をやる。ついでにその精油工場から化学工業の中間体と申しますか、ある程度の製品までを徳山で作って、その製品をさらに四日市に持ってきて、三菱化成の手によって最終製品にするという考案で徳山の利用を考えておったのでありますが、それにはすでに払い下げてある昭和石油の徳山の土地だけでは足りない。昭和石油及びシェルからはぜひとも徳山の全体の土地がほしい。ほとんど全部にわたる土地の希望を申し出てきております。同時に、これまた御承知の出光興産がイランの石油を——前には製品を輸入しておったのですが、原油を輸入する方がいいということで原油を輸入することになったのでどうしても精油所がいる。これが競願になりまして長い間決定しなかった。どちらの言い分を聞きましても相当の面積がいる。これはもっともなんで、あそこで二つ、昭和石油希望通りにすれば出光の方に非常に支障を生じます。出光の希望に従えば昭和石油、シェルの計画に支障を生ずる、こういうことになりますから、そこで先ほど申しましたように四日市の問題を解決する必要がありますから、やはり元へ戻ってシェル、昭和四日市に行って、そうすれば三菱化成はすぐ隣りですから運送等の価利もいいというので、四日市へ行ったらどうかという相談をしましたところが、いろいろ難点は言っておりましたが、結局四日市でいこう、こういう結論になった。ただしはじまりは実は四日市はこれまた御承知と思いますが、すでに東海硫安とかそのほか二、三の石油会社に土地の一部を貸し下げております。だから昭和、シェルに貸すのはその残りであります。残りを最初払い下げるつもりでありました。大蔵省もぜひ払い下げにしてもらいたい、そうしないとあとがいろいろ厄介だからという話でありました。私どもも払い下げがいいと思ってそのつもりで話しておりましたところが、途中からこの四日市をあるいは防衛燃料に将来自衛軍の方で使わなければならぬかもしれないという説がかなり衆議院等にも出まして、そこでその問題が片づくまでは払い下げということにせずに貸し下げにしておいてもらいたい、こういうたっての要求がありましたので、その意見も入れまして、とりあえず昭和石油四日市の残地を石油精製に必要な限度においてとれを貸し下げる。ただし地上物件についてはどうせ貸し下げてもしようがありませんから払い下げる、こういうことで話をつけたわけであります。今の東海硫安関係は、東海硫安もこれは硫安会社の中では一番今コストが高い会社です。これは結局生産高の関係がありまして、どうしても設備の拡張をし、あるいは硫酸を作るというようなことをしなければならないので拡張の計画をもっておりますが、そこでこれはむろんその拡張の計画もわれわれとしては承認しまして、東海硫安に必要な土地は保留して、その残りを昭和石油に貸し下げるということにして、これまた話がついて、現在土地をどういうふうに——東海硫安の工場はそこらじゅう物置とか何とかいうものも旧燃料廠の建物を使っておりますために分散しております。そうすると非常にこの土地の利用度が下りますから、これは東海硫安はできるだけ一つの所へ固めて、そして残った土地を使いいいようにしてやる必要がありますので、その調整を今東海硫安とそれから昭和石油の間で話し合っております。その話し合いは、まあ話が、もしいろいろわれわれが口を出す必要があれば口も出してやるつもりでおりますが、現在は両者の間で話をして、昨日あたりは話をして、もう大体何とか話がつくのではないかと思っております。  それからあとのお話の河野農林大臣から云々と、あれは閣議了解事項であるのが本当でありまして、一体国有地の処分でありますから、大蔵省関係でできるわけです。ただわれわれが関与しますのは、石油化学、石油製糖という事業がからみますから通産省がこれに参加してくる。それで大蔵省から国有財産としての貸し下げなり、払い下げをしてもらえばいいわけでありまして、別段閣議決定は要しないそうでありますけれども、まあ問題がかなり長いこと混雑したことでありますから、閣議の了解がついていないと、またいろいろ誤解が生ずるだろうと思いますので、そこで閣議へ出しまして、何回か話し合って、そうして了解をつけた、こういうわけです。ただ農林大臣の方は、ちょっとこれは直接に私は聞いておらないのですが、東海硫安は非常に今のところでは弱い、これを少し強化して、農林省としてはあれを一つの理想的な肥料工場にしたいという希望を持っておるわけでありますから、そこで、そういう意味で東海硫安希望は十分いれてくれるようにという農林大臣からの要求は、私も一度ちょっと聞いたことがありますが、これは、特に農林大臣はアメリカへ行く前に高碕代理農相や、それから官房長官にはその話をして行ったのであります。別段干渉したとか、そのために閣議決定をすべきことを了解にしたということはございません。東海硫安を何とかもり立ててやりたいという農林省の希望を観測して、そのことを申し伝えておるということは事実であります。それだけでありまして、新聞にもいろいろ推測記事が出ておったようでありますが、そういうことはないのでありまして、まあ、アメリカへ行った農林大臣もこちらの決定を了承しておるわけであります。非常に簡単でありますが、そういうことで御了承願います。
  82. 高橋衛

    ○高橋衛君 この四日市燃料廠の御決定に関連しまして、土地は一年ごとの契約ということで貸付にしておられるようでありますが、そこに註が書いてあって、「此の場合、借地法及び国有財産法により長期の借地権が発生することはいうまでもない。」こういう註が出ておるのであります。私どもその通りだと思うのでありますが、そうすれば形は一年ごとということになりましても、たとえば将来の防衛計画というようなことの含みを持ってこういうようにやるというただいまの御説明ではございますが、実質的にはこれは動かし得ないということになるかのように考えるのでありますが、その点はいかがでございましょうか。
  83. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) その点はお話の通り、貸付でも払い下げでも実質的には大した差は起らぬと思います。それで貸し下げる場合に、どうせ貸し下げるなら二十年なり三十年なり、国有財産法で許される限度において長期の貸付をしたらいいじゃないかというのも、私はそう考えて大蔵大臣には話したのであります。ただ大蔵省としては手続上やはり一年、ことにやらないと、財政法か何かの関係で工合が悪いというようなことで、技術的な関係から一年ごとの貸付ということにいたしたわけであります。しかしそれでは事業をする方は、一年で取り上げられるということではこれはたれでも事業はできませんから、そこでそのことを昭和石油なり、シェルは非常に心配しておりましたので、これは言うまでもなく国有財産法や、あるいは何と申しますか、借地借家法ですか、等の法律が適用されるのだということを申したわけであります。
  84. 高橋衛

    ○高橋衛君 先ほどの御説明でも、防衛関係に必要のある場合においてはこれを国において使用することができるようにという立場から、これを払い下げじゃなしに貸付にしたという御説明であります。かつ、「四日市の処理方法に関連し将来予見される防衛上の必要性を明確にするものとする。」ということが付け加えられているのでありますが、そういたしますと、その点はほとんど実質上差異がないところの貸付にしたということによって、何も確保されたことにならないような感じもいたすのでございますが、その点いかがでございますか。
  85. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 実際のことを申し上げますと、いろいろ防衛燃料について研究いたしたのであります。普通の燃料は現在でも民間から買い入れております。それで間に合っているし、将来ともこれは間に合う。ただ一部の何か百オクタンカ以上か何かの燃料については何か特別の幾らかの施設を要する。これも現在考えているのでありますが、これがもし国内で作るという場合には、これまた民間会社にある程度施設について政府がめんどうを見てやれば、どこの会社でも喜んで作る性質の燃料でありますから、実際においては私どもは国営燃料廠まで作る必要はない、こういう判断をしておるわけであります。しかしそれでも心配だということで、今申しましたように、万一今後日本の防衛計画の様子によっては、あそこで特にあの全部でなくても、一部ででも国営燃料の製造設備をするということも考えられますから、そこで貸付ということにしておきました。むろん貸付をしておるそれを国家が必要で取り上げる場合には、相当の補償もしなければなりません。そのことはそう容易にできるものでないというふうに考えております。実際においてはそういうことは起らないだろうと思うし、また万一どうしても民間の会社でやらせられないというような非常事態が起った場合は特別でありますが、私は昭和石油などの人にも話したのですが、一年ごとの貸付はそんなに心配することはないですよ、日本が共産革命でも起ったなら全部のものを国有にするということになるときがあるかもしれない、あるいは英米と戦争でもするときでなければ、実際においてはこれを取り上げて、全部あそこの燃料を、日本の防衛上必要の燃料を国営でやるというようなことは、これは想像がつかないことである。だからこれは手続上あるいはいろいろの関係で一年ごとの貸付としているが、実際においてその心配はないのだということを申しておるし、また実際そう考える。だからもし突っ込んで言えば、貸付でも払い下げでも同じじゃないか、防衛云々のことは余計じゃないかと言われれば、それもそう言えないことはない。
  86. 高橋衛

    ○高橋衛君 先ほどの河野農林大臣との関連においてもう一点お伺いしたいのでありますが、先ほどの御説明によりますと、当初から東海硫安の肥料工業の合理化に必要な面積と申しますか、地域は十分に通産省として考慮されたということであります。それに関連して一方において河野農相から高碕代理農相及び官房長官等に、農林省としてはあれを一つのテスト・プランでありますか、一つの有力な政府の息のかかった工場にしたいというような意思表示があった。またそれに応じてこれをなし得るような方法にもっていきたい、もっていけるのだというような趣旨において支障がないのだというお話がございましたが、その二つのものの根本の考え方には相当差があるのではないかと思う。ただ単純に肥料工業の合理化という面と、農林省のお考えになっている東海硫安をどういうふうにするかというようなものの考え方には、肥料工業の規模において、またやり方においても相当大きな食い違いがあるのではないかというような感じがわれわれにはされるのでありますが、その点についてはさらに伺いたいと思います。
  87. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 農林大臣がどういうことを具体的に考えているか、私は実は知らないのです。これは農林大臣個人の考え方で、いろいろ農林行政の上から考えて、肥料を大いに増産したい、あるいは安くしたいという上からあそこの工場をもっと力を入れてやれば、まあ安くなり、適当な肥料ができるというふうに考えておったでありましょう。けれども東海硫安そのものは、すでに河野農林大臣の考えがあるなしにかかわらず、ある程度拡張しなければならぬ事態でありまして、そうしなければ実際現在どうもコストが下らない。大きな硫安会社では、東海硫安が多分一番コストが高いという実情です。これはいろいろ設備に欠陥があるようでありまして、今まで石原産業から硫酸を買っておったが、これも石原産業がほかの事業をやっておるので、硫酸がだんだん供給が減るとか、そのほか種々なる難点があり、それは東海硫安自体がすでに拡張計画を持っておる。それに従ってわれわれもその拡張計画というものを知っております。それにはむろん支障のないように土地は十分ある。ただ問題は、飛び飛びにある物置とか何とかいうものをある程度整理してくれれば、両方とも土地の利用価値が上るということだけでありまして、農林大臣の考え方いかんにかかわらず、東海硫安事業は相当拡張するという始まりからの考え方であります。
  88. 高橋衛

    ○高橋衛君 そういたしますと、通産大臣のお考えとしては、東海硫安については単純な肥料工業の合理化と申しますか、あれだけを先に改善するために必要な程度の土地を保留するという当初の考え方は、全然お変りになっていないというふうに了解してよろしゅうございますか。
  89. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) その通りであります。これは農林大臣の考えというものは、ただあそこを少しいい工場にしたいということだけ、ちょっと聞いておりますが、実際にどういう計画を持っているのか知らないのです。またそういう点農林省だけで、現在東海硫安計画している以上にそんな非常に大きな計画があるとも想像しておりません。前から考えておることと少しも今の私の方の考えは変っておりません。それでいくものと思います。
  90. 高橋衛

    ○高橋衛君 次に昭和石油に、精製設備に必要な土地を結局貸し下げの形でお渡しになるわけでありますが、この四日前の土地については先ほども御説明がありました通り、要するに、日本におけるところの石油化学を相当発達させたいという考えから、結局この御説明にもありますように、三菱グループとシェルグループとの計画を相当中心としている。目的としておられるようにお話しは見受けるのであります。そうしますと、昭和石油そのものが、現在たしか株は半々になっておると思いますが、さらに金融的な面から申しますと、実質的には八。%程度までシェルの支配するところであるというふうに伺っているのであります。石油の精製と石油化学との関連において、結局中間製品が石油化学の方に持っていかれて、いろいろな特殊の製品になるという過程をとる。そうすれば形の上で二つの工業が相関連する。この工業が相並んでおるということになりましょうが、実質的には有機的な完全な連絡ができなければ、これは困難じゃないか、民間の事業におきましては、そういうふうな資本系統が違うとか、または完全に利害が違うという場合にはいろいろな困難な事情が起きるということもあるのであります。この場合について考えてみますると、シェルは昭和石油に対しても相当な力を持っている。相当なと申しますか、圧倒的な力を持っている。一方石油化学についても、これは技術はおそらくはシェルに依存するより道がないのではないかと想像されるのであります。これについても、日本の方はそれほど強い圧力を持ち得ない。そうすればこの四日市の全体が、おそらくはシェルにほとんど壟断される、自由にされるというような私ども非常に危惧の念を抱くのでありますが、その際、昭和石油そのものについて一体どの程度日本側として、これは日本側、英国側というふうなけちな考えじゃございませんが、やはり日本としては日本の発言権と申しますか、力が十分に向うの技術なり、向うの資本を十分に活用しながら、日本の経済を十分に発展せしめていくことができるというふうな自主性がなければ、私ども非常に残念だと思います。その点についてはどういうふうな確信を通産大臣としてはお持ちでありますか、その意一つ説明願いたいと思います。
  91. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) まあ三菱化成とシェルとは新しい会社を作ります。何という名前になるか知りませんが、化学工業の方の会社です。それの原料の方を昭和石油の方から供給するということになりますから、仕事の上では両者はまあ非常に密接な関係がある。  それからお話しのように資本の関係はシェルの方はシェルだけであります。これはこちらから特に圧迫してどうということもできません。昭和の方も日本側の資本としては弱いんですから、これは昭和の方の資本的な背景を強化するということは一つやってやりたいと、かように考えております。
  92. 高橋衛

    ○高橋衛君 ただいまの御説明で、昭和の資本的な背景を一つ強力にされるという御説明で、私どもは大体ある程度安心できるのじゃないかというふうにも考えるのですが、しかし何と申しましても現状においてはシェルが圧倒的な力を持っている。それでことに民間企業であるというような観点から、なかなかこれは困難な問題ではないかと思うのでありますが、ことにこの石油化学等につきましては、今後やはり財政投融資の相当な対象にならざるを得ないことも私どもは考えるのですが、しからば結局シェルの資本によって大部分が支配されるというような結果にもなるように考える。従って財政投融資の今の面、つまり日本の資本がすなわち石油精製及び石油化学の面に相当喜んで注ぎ込まれていくというような経営形態でなければ、やはり通産大臣がいかにそれを希望しておられましても、そういうふうな方向にいくということはなかなか結果においては非常に困難ではないかというふうに感じられますが、非常にくどいようでありますが、その点も一つ説明願います。
  93. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) いや、それはお話しの通り資本の関係は非常に簡単ではございません。シェルの方は三菱が背景になって相当力を入れるつもりでありましょうから、これは大体において心配がない。昭和の方はいささか日本側の方が弱体であることはお話しの通りで、これはどうしても強化していく。あるいは三菱にも参加してもらうというような方法は、これはおいおいとりたいと考えております。ただこれはなかなかデリケートな問題でありますから、そう急速にやりますと、かえって、——これはシェルにはほとんど異論はないようであります。日本側の資本が目下入るということについては異論がないようでありますが、むしろ日本側の方にいろいろの問題があるのではないかと思っておるのでありますから、これはまあそろそろ一つやってやろうとこう思っております。
  94. 高橋衛

    ○高橋衛君 その点に関しましては、石橋通産大臣のその御手腕と御信念に信頼いたしまして、私の質問を終ります。
  95. 藤田進

    藤田進君 勢頭数字の御発表をいただくことになっておりましたが、二百八十億の電力事業に対する投融資、これについては発表があったわけですが、これに加えて電源開発会社が当該それぞれの電力会社の区域内に、本年度どれだけの工事量を受けて仕事をすることになるか。それからもう一つば九社の電気会社に対してはそれぞれ総工事量というか、その点の御発表をお願いしたい、こういうふうに申し上げたわけですが、これは資料が文書でできがたいようでありましたから、口頭でいただけばメモいたしますから。
  96. 川上為治

    説明員(川上為治君) 九社に対しますこの総工事量でございますが、これは全部で一千一百四十二億程度でございます。これを各地区別に申しますと、北海道が六十六億、東北が百二十四億、東京が二百六十六億、それから中部が百八十六億、北陸が四十九億、関西が百九十五億、それから中国が八十三億、四国が四十三億、九州が百二十七億ということになっております。  それから電源開発の方につきましては、全部で三百六十億程度要るのでございますが、この三百六十億の中で工事費としましては三百八億程度でございます。この三百八億の内容につきましては、こまかい計算がまだできておりませんが、今ちょっと三百八億と申しましたのは財政投資、この関係のものが三百八億でありまして、この発電、送電、変電工事、これが全部で三百二十四億ということになるわけでございますが、この二百二十四億の内訳につきましては、北海道が五十四億、それから東北が三十四億、東京が三十六億、それから北陸はゼロ、中部が百八十億、関西が十五億、それから中国、四国がゼロ、九州が四億四千万円ということになっております。大体この財政投資の方が三百八億でありますので、この振り分けにつきましても大体その比率によって分けられるのじゃないかというふうに考えております。以上です。
  97. 藤田進

    藤田進君 電力事業に対する二百八十億の融資は、これは今言われた総工事量の比例ではなくて、この中に電源工事、あるいは送変電設備工事、こういうふうにあるわけでありますが、この査定についてはどういうことでおやりになっておるか。今これを数字で見ますると、総工事量に対してはそれぞれ二一%から三〇%くらいまでの開きがあるわけですね、この融資に対して。それからこれはおそらく通産省の方でしょう、査定せられてこれを減じたものによって見ると、これは八二%から四〇%くらいまでの開きがある。こういうふうになっておるわけでありまして、聞くところによると、私のところにも若干資料がありますが、一定の方程式でもって出されたようなふうにみえるけれども、どうも結果的に見てわれわれそうも感じないと思うのです。大ざっぱに言って、わかりやすく言ってどういう査定になるわけですか。
  98. 川上為治

    説明員(川上為治君) 実は私もかわって来たばかりで、あまりこまかい内響をよく存じませんが、まあ工事量だけで大体資金配分をしたわけではございませんで、工事垂、それから金利の平準化とか、あるいは資金じりの問題とか、そういうものを一定の方式によりましてかみ合せまして、そしてこれを配分しておるということにいたしておるわけでございます。なおこまかいやり方につきましては担当の課長が来ておりますので、課長の方から一つ
  99. 藤田進

    藤田進君 いや、いいでしょう。  そこで大臣にお伺いいたすわけでありますが、これは高碕さんお見えになればむしろ高碕さんの方かもしれません。財政投融資に関連して午前中来調査を進めたわけですが、電力事業に対してはおおよそ総額の半額になんなんとする二百八十億が振り向けられておるわけです。それの内容が今お答えもありましたようにかなり科学的に配分したと言われておるわけで、それはそれだけの方程式を使えばそれで数字に間違いはないでしょうが、ただ政策とせられて、今電力事業の中では非常なる電力料金の地域差がついておる、これが少々のものじゃないのですね。これはまあ大臣御承知だと思いますが、何しろ半額というようなところと、まあそこに北陸あたりに比べれば倍額とかいうようなことなんですね。それは電気料金が安いところに皆集って来たらいいじゃないかと、人間も工場もというようなことになりましょうが、なかなか交通機関その他でそうはいきませんし、そうすればやはり政策とせられては、米のようなわけにはいかないといたしましても、やればできないことばないが、当面地域的な電力料金のアンバランスのないような政策が必要ではないだろうか。午前中も指摘いたしましたが、北海道、中国、四国、九州というようなところは非常なコスト電気代が高くてあらゆる産業がうまくいかない。また産業誘致もなかなか運ばないという実情にあるわけです。そういう面からいたしますと、今電力事業でこの資本費が、こういった金利というようなことがおおよそ六〇%から占めていると言われている。今日ではかって六〇%前後であった人件費というものは大きく圧縮されて一七%から一八%になっている、人件費というものはもう一七、八%になってきていると思う。終戦直後は六〇%前後であったわけですね、総収入に対して。それになりかわって現在資本費がもう五〇ないし六〇%になるということです。これは事業者の資本を見るとそうなっております。これに加えて二千億から減価償却が不足しているとかいうようなことも言われている。こう考えてきますと、その資本費、金利というようなものが非常に開発に伴って膨大する。ところがこれを結果的に見ると、たとえば電源開発会社の投資を見ましても、今度は中部が百八十億といったように、中国、四国などは全然ゼロ、これに対して九州は四億程度という状態、これは地点がないのだとおっしゃるかもしれませんが、これは行く行くは開発せられるはずなのです。そこへもっていって六分五厘ですか、開銀の非常に安い利息の金というか、こういうものはそういう電気料金のアンバランスという、きわめて大きなアンバランスというものは考慮に全然入ってていないと思います、全然これは。むしろこういう財政投融資の面で、この安い金利などは電気料金の高いところにできるだけ配分をして、それからそうでない地域には比較的金利の高いものでがまんするとか、何かそういう操作があってしかるべきものではないだろうか。これはやはり何というか、電気料金の高いところほどおおまかに見て政治力が弱いように見えます。結果的にそうなる。何しろ政治力の強いところに恩恵は傾斜的にそこに集中してしまうということになるのですが、石橋通産大臣の時代にはそういうことがないように一つ打開してもらいたい。電気事業全体を通じて私は高碕さんにも要望したいと思います。これは今度の二十年度投融資を見ましてもそういう点が全然考えられていない。この点はいかがお考えですか。今後三十一年度を迎えるわけですが、重要な問題だと思うわけです。一つ今後の方針をお聞きいたしたいと思います。
  100. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 地域差の問題はまあその場所にもよりますが、全然地域差をなくすということは、やはり産業の分布上よくない点もありますから、たとえば東北とか北陸とかいうところの自然条件によって料金が安くあるところは、やはりある程度安いということを維持する必要があると私は思う。全国一律にすることがいいか悪いかということが問題だと思う。だが資金配分については、これはいろいろめんどうな計算をしておるのでありますが、これはこの前この委員会で栗山さんか何かから御指摘がありましたように、各会社の内部保留を考えて、内部保留のできるところは内部保留のことを考慮して、まあ会社として経営上弱いところにできるだけ資金をつけてやる、こういう考え方一つの方程式を作ったわけです。ただしこれをその内部保留というものを全部差っ引いて、その残りだけということになりますと、これはまた今のお話しのように金利関係が起ってきますから、やはり金利の平準を各社の間ではかってやる必要があると、こういうので、結局その金利平準のために資金をつけるというようなことも考慮しまして、その結果総合的に出たのが今申し上げました各社配分した数字であります。ですから御指摘のこの地域差を全然なくすということになれば、これはまた別になりますが、私は今度の方式である程度地域差、自然条件のいいところはやはりその自然条件を認めてやる。でこの会社の経営上資金が相当余裕のあるところはその余裕を考慮して、それだけ国家資金を注ぎ込む量を幾らか減らす。ただそれを全部減らせば金利の点が起りますから、金利の点も見てやる。こういうことでずいぶん、まあ細かく言えばいろいろの批評は起りましょうけれども、とにかく一応まあ公平に分配したつもりであります。それからこれはなお今後検討しまして、欠点があれば、三十一年度にはなお直しますが、三十年度においては、実は特にこの参議院の商工委員会において皆さんの御議論を承わって、その御議論に従って実はこういうめんどうな方式を作って割当てたわけであります。
  101. 藤田進

    藤田進君 いや、こまかいことは大臣にお伺いしても、そこまではおわかりになる方がむしろ無理だと思うのですが、しかし今言われた内部保留の点は、必ずしも電気料金の安いところは内部保留が多いのじゃないのです。これは数字が出ておりますが、これは電気料金の高いところが案外もうけているという現象さえあります。ありますが、それはいいのです。その点は内部保留は考慮せられるということについては当然だろうと思うのですが、そうでなくして、電力政策としてはやはりこういう必需品と言いますかね、基幹産業の原動力といったようなこと、従って公益事業というような規制を受けているところはやはり地域差がないのがほんとうなんです。しかも今大臣言われますが、この間まで地域差はなくて、日発があって卸し売り料金でもってやはり調整をやっていたわけですね。ここ長い間戦争を通じても、また戦後も、昭和二十六年当時までは六年間ばかりもこんな地域差なしでやってきたのですね。地域差なしでやってきた。それがむしろ異例になってきているのですよ、現在は。むしろ工場その他も昭和二十六年からここ三年ぐらいの間にほとんど日本産業設備というものは電気料金が原因になって、集中的にどこかにできたということであれば、その実情に沿わなければ無理がありましょう。そうじゃないのです、そうじゃない。そういう点から見れば、やはりむしろ電気料金がこんなにアンバランスになってしまったところに無理がある。これは現在地方議会などは大へんな問題にしているわけです。そのために電力協議会ができたり、地域差をなくしてもらわなくちゃ困る、これは北海道やそれから四国や九州や中国なんかで今では連合的な声になって現われてきているわけです。まだ大臣のところに行っていないかもしれませんがね。そういったような面から見ると、経営の大半を占めるこの金利、資本費ということについては当然考慮せられなきゃならぬのじゃないか。それがつまり開銀などでは、これは政府が自由に操作ができるわけですが、こういう点にアジャストされるのが至当ではないだろうかということを申し上げておるわけです。それはどういう論拠でいけないと、地域差はむしろ当然だとおっしゃること自体も私は了解いかない。地域差はもともとなかった。そういう政策で来たわけですから、突如として再編成でこういう地域差になってきて、今では弱い地域は高い電力料金を払っておる、こういう実情なんですね。水害などあった場合でも、水害があればその地域で一つまかなえというわけじゃなく、国家がプールして補助もいたすわけです。必需品という、公益事業という電力でありますから……。
  102. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) お話しのように私は詳しいことは知りませんが、地域差は戦前はあったわけですね。それで、そのために北陸とかいう方面にはある程度工場ができた。で、お話しのように、北海道とか今後日本の産業政策として産業を起さなければならぬというところについては、また特別の考慮を要すると思いますが、まあ全然地域差をなくすのがいいかどうかということは、これは疑問だと思う。お話しのように地域差をなくせという議論もあると思いますけれども、同時にまた地域差を大いにつけてくれという要求もだいぶ強く来ております。ですから、産業政策上電気料金の関係で工場が誘致されるというところは、私は誘致されるようにした方がいいのじゃないだろうか、東京、大阪、名古屋、というところだけにすべての産業が集中するという傾向を打ち破る一つのてことしては電力料金などがあるのじゃないかと思う。ただし、今お話しになった北海道というようなところはこれから産業の助長をしなければなりませんから、これはまた特別の考慮を要するだろうと思います。そういう点は一つ全体の日本の産業政策とからみ合って今後の研究をして参りたいと思います。
  103. 藤田進

    藤田進君 そうすると、大臣は地域差はむしろ奨励するという立場になりますか。実際に今水火力調整金の一部を残されて、地域差の多少のなごりは、これは地域差を調整するなごりは残っているわけです。漸次減少していくといわれる調整金も今年度もまだ残っているわけです。これは要するにそういう地域差というものを否定する観念に立っておるわけですね。その点どうなんですか。地域差を奨励されるわけですか。
  104. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) それは水火力調整金は、九分割したときの急激なる変化を避けるためにそういう調整をしたものと私は聞いておりますが、これも漸次水火力調整金はやめる方向へ現在すでにもつていっておるわけであります。やがて水火力調整金というものはなくなる時期がくるのじゃないかと、むろんその結果を見て、その結果によってお説のようないろいろな弊害が起れば、また再考はいたさなければならぬと思いますが、現在までの経過は漸次水火力調整金は減っております。もうすでに非常に少く現在はなっております。従って、それはやはり地域差をつけていくという方針が今まで九分割以来漸次また復活して参っておるものと考えております。
  105. 藤田進

    藤田進君 この点は地域差が若干のものであれば、これはまたやむを得ないわけですが、今のような非常な大幅な地域差がついているわけです。この点についてはかなり時間を、要しますから、私はこれ以上質問しようと思いませんが、大臣ももう少し検討してみていただいて、また地方の声も、今これはここへ来ておる委員の間でもいろいろな議論があります。安くできるのだから安く売ったらいいじゃないかという議論があることはわかっております。しかしそういうふうに放任というか、自由な原価主義、個別的な原価主義ということではいけないのが今の電気事業であります。そのために一つ電力会社の中では少くともプールしておるわけですね。四国のごときは、高知は電源地帯であるから一割安くしろ、こういう要求が出てきている。これはそうはいかんから四国一円についてこれは同一料金であると、会社の中では地域差を認めないという方針、いいですか、ところが、これが会社別には大きなアンバランスを一生じている。川や道一つ隔てて電気料金が違うという結果になる。これは四国の場合は瀬戸内海を隔ててだが、本州の場合にはそういう実態が出てきておるのです。これはやはりそういう電気という特殊なものから考えても、この点は検討していただきたいと思う。これが要するに次にお伺いしようとする電源開発会社の今後の運営なりあり方についての問題に関連してくると思うのです。大臣はそんなことを言われるけれども、高くつくところは高く売ったらいいので、そういうところに事業がどんどん入ったらいいと、こうおっしゃつているわけですが、しかし、じゃ電源開発会社のことに今度は入りますが、これはどうも開発しても、かなり最近の開発はコストが悔いですね。しかしそのまま佐久間や只見川水系の新規発電所を当該それぞれの電力会社に払い下げするというわけにいかぬ。だからこれは融通会社的なものにしたらどうかということも起きていると思います。しかし特定な工場に直送すればできないことはない。送電線をもって、新潟の県営である三面などは村上に直送しておるところもあります。しかしそういうことをやれば、多目的ダムでやれば、電力料金の面でカバーする面は比較的ウェイト、比率を少くすれば料金を安くすることができる。ですから他の用水その他にこれは使うという意味合いでですね。けれども純然たる電力ということで作られたダム発電所というものはかなりな高いコストになっておる。そういうような面もあって、これはやはり電源開発会社というものを融通会社にしなければならぬという議論が今出てきていると思います。これはかつての口発というものの再現になるのか、あるいはそうでない新しい融通会社というものになるのか、その点が今もってつまびらかでありません。幸いに高碕さんもお見えになっておりますから、一つこの点を、若干の食い違いはあるようにも承わっておりますが、通産大臣と高碕さんとの間には。高碕さんの言動等、つぶさに私はいろいろな言われているものを読んでいますが、あなたもまだこうだというふうには言っておられない。これは小坂さんはなかなかはっきり言っておられる。しかしこれはかなり今後の財政投融資の面なり、あるいは日本電力行政全般について、もうそろそろここらで再編成後三年にもなりますから、あの分断はどうもおもしろくなかった、あれはおれは反対だ、今あれはおそらく賛成だという男は一人もいない。あれは司令部がやったというのでみな逃げておる。高碕さんも逃げておる。小坂さんは日発の解体にまさかりをかついで乗り込んできたわけです。今ではおれは反対だったのだと、こうおっしゃっているわけで、まだぶちこわして跡始末が十分できないうちに、今度また新しくそういうものを作ろうというふうにも見受けられるわけです。電力行政を担当されている通産大臣と岡崎さんの電源開発会社の今後の運営方針について、法改正等にもさかのぼって、どう始末しようとお考えなのか。これはおそらく来国会に出されるであろう電気事業法あるいは電源開発会社法ですか、そういったようなものに関連するだろうと思います。ここらの御所見をこの際承わりたいと思います。
  106. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 私が先にお答えしますが、実は開発会社の作ります電気をどう処分するか、それから開発会社を今後お話のように融通会社にするか、それともできた設備を付近の電力会社に売ってしまうかというような問題はまだ十分打ち合せておりませんので、最後の決定に達しておりません。ただまあ事務的にはいろいろ検討して、融通会社としておくのが最も適当だという議論がありますし、そうでない議論もむろんありますが、今のところは大体できた電気は融通的にこれを使うという方向へ現在さしずめそういうことになると考えております。
  107. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 電源開発会社ができましたときには私は初代の総裁であったのですが、実際の仕事の運営、先のことよりも運営ということから考えていかなければならぬということから考えまして、あのときの時分から私は総裁といたしまして、どうしても九電力会社の協力を受くるにあらざればあれはできない、特に技術的に。そういうようなことから考えまして、とにかくまず最初に開発するということが先決問題である。それから後、でき上るときになってからぽつぽつこの電力自分が打つか、あるいけ融通会社にするか、あるいは開発したところの発電所を電力会社に渡すか、この問題は考えなければならない、こういうふうな考えで、初め発足いたしますときには、この問題につきましては、とにかくよく九重力会社協議をした土で自分たちはやるのであって、九電力会社の仕事を助けるのである、競争会社ではない、協力会社だ、この点をよく強調いたしまして、まず発足いたしたのであります。しかるにお説のごとく今日もう三年になりますか、もう三年になる。すでに大きな発電所もできるという場合でありますが、私のただいまの考えといたしましては、これはある程度のものはやはり自分が持っていくということも必要でないかとも考えられます。またものによればこれは自分が持っているということによって、かえって経費がかさむというような場合もあるだろう、こういうふうなことも考えております。それは融通むげに考えていくものだと、こう存じておる次第でありますが、この点につきましては、まだよく通産大臣なりとも折衝いたしておりません。また鷲見の交換もいたしておりませんが、この問題は逐次よく検討いたしまして、誤まりのないように処理いたしたいと存じております。
  108. 藤田進

    藤田進君 高碕さんに続いてお伺いいたしますが、これはそういう問題については主としてあなたの方が起案せられることになるだろうと思います。佐久間なりあるいは胆沢ですか、方面なり、漸次仕上っているわけです。発生電力を生みつつあるわけです。そういうことからいいますと、追って相談をするという、そういうあまりゆうちょうなかまえであっては、これは事態は進展いたしております。しかもこの跡始末である料金はどうするとか、今問題になっている国家投融資をした結果生じたその利益、たとえば下流増に対する措置をどうするとか、そういうような点が全然——御検討なさっているでしょうが、結論が出されておりません。そういたしますと、あなたの一応のこの問題に対する電力行政の中心問題に対する日程とされては、臨時国会は無理だとしても、来たる通常国会までには、いずれにしてもどちらかに、今の電源開発会社はとにかく開発するだけ、あとはどうにかなるだろうというやつは、どうにかなるだろうという事態ではなくなってきたわけだが、それを来たるべき通常国会までにはがっちりとした案を持たれる御予定かどうか、承わりたいと思います。
  109. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 御説の通りでございまして、これは相なるべく早くその問題につきましては、よく検討いたしまして方針を定めたいと、こう存じております。
  110. 藤田進

    藤田進君 そうしますと、少くとも通常国会までには政府の開発会社なり、これに関連して九電力の問題もありましょう。そういった事柄については一応の成案を持たれると理解してよろしゅうございますか。
  111. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 電力の再編成問題とか再々編成と申しますか、そういった問題についての結論を出すということは非常に困難だと思っておりますが、現在持っております電源開発会社電力をいかに処理するかというところの問題につきましては、通常国会までには大体これは見当をつけたいと存じております。
  112. 藤田進

    藤田進君 続いて、それに関連する重要な問題ですから確かめておきたいのですが、御承知のよりに今電力料金は大きなアンバランスがあるわけです。北陸だ、あるいは関西だというのと、お隣りの中国、四国、九州ということについてずいぶんアンバランスがある。これが一面開発というものに対するブレーキになっている。産業誘致のいろいろな問題もめる。かつては少くとも日発解体というものに反対せられているほとんど百パーセントの人々は、やっぱり日発というものがあることで電力融通も円滑に行くし、給電の指令も一本でありましたから、効率的な運営が水力においてもなされたというような需給の面、また料金面でもアンバランスのない政策が一供して行われ得たので、そうしてよく日発を解体すべきでなかった、あの方がいい、開発もその方が進んだ、こうおっしゃるわけですが、すべての場合、この地域差をやはり是正し、アンバランスのない方向に処理されるのが至当だと思うのでけが、どういうお考えですか。
  113. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) この問題は主として通産大臣にお考え願う点だと思っておりますが、私はある程度の地域差はやむを得ないかとこう存じておりますが、しかしできるだけこの間の融通性を持って価格を均等し得るよう持っていきたい、こう存じております。
  114. 藤田進

    藤田進君 少くとも現在のアンバランス、地域差というものは半額というようなところ、あるいは逆に倍というような、そういうものはお認めにならないという意味でございますか。ある程度はやむを得ないであろうということは、現状を打解せられる方向で今後電力政策、ことに電源開発株式会社の運営等の立案をせられるのかどうか、承わっておきたいと思います。現状に大きなアンバランスがあるわけですが、ある程度とおっしゃるが、数字はけっこうですが、しかし少くとも現状のようなアンバランスではいけないという意味なのかどうか。
  115. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) そういう国家の莫大な資金を投じてあれかけの電源開発株式会社を作ったわけでありますから、この機関を通じて現状のアンバランスをなるべく少くして、そうして持っていきたい、こう存じておる次第であります。
  116. 藤田進

    藤田進君 お願いします。
  117. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまのに関連して、今復元問題がやかましく論議されておりますが、どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。それを一つお伺いいたします。
  118. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 各府県から復元問題が出ておることは十分承知しておりますが、現存においてはどうもその要求通りに復元するということは困難であります、実際問題として。そこでこの富山とかというようなところでしきりに言われるのですが、やはり新しい開発をこれからの部分について一つ県の——、今のちょうどお話と違いますが、あそこらは霊力の地域差がなくちゃ自分たちの産業が興隆しないということや強く言う児でありますから、それらも今後の電源開発その他によってやってもらいたい。今までの過去のものを復元するということは、かりに富山県だけでなく各地にありますが、それが実際問題としては実行困難であるということを申しております。
  119. 海野三朗

    海野三朗君 先ほどの点、ちょっともう一つ。四日前のあれにつきまして、あとに備考というところに、「一、本件の処理に当っては特に国の財政負担を伴なうこととなるような条件を附さない。」というが、これは一体どういうことなんですか。税金を免除するというわけですか。
  120. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) そういう意味ではなくて、たとえばどこの道路を直すとか、港湾を直すとかというような条件はつけない、こういうのです。
  121. 海野三朗

    海野三朗君 ああ、そうですか。そこでいまの払下げと貸し下げですが、一ぺん貸し下げてしまえば、それは長期間にわたって貸すというわけで、ほとんどただ安い値段でくれたというような結果とひとしいのですね。つまりそうなるんですよ。それはただ使っている。安い値段でつまり借りておるということでありますから、安い値段で大資本を大会社にただくれてしまったというような結果とさらに変らないのじゃありませんか。買収ということをしないで、ただ貸し付けるというのである。どうもここに長期間にわたって貸し付けるというような条文があるようですが、その辺についてはどういうふうにお考えになっておられますか。
  122. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) そういう議論もございまして、今日それじゃただ取られるようなことじゃないかという議論も確かにあります、お話のように。ですから特に大蔵省あたりとしては払い下げを希望しておるのであります。しかし、あるいはここに書いてあったかどうか忘れましたけれども、もし政府の方で今の防衛関係等の問題が解決しましたら、そうして政府が非常に払い下げを必要とする場合には、借りているものがその払い下げを受ける今一種の義務を負うということになっております。それから貸し付けを受けている方も実をいうと、相当の金を出しても払い下げてもらって、あと年々歳々めんどうな干渉を受けない方がいいということでありますから、もし払い下げということになれば、これは事業者としては喜んで払い下げを受ける。ですから、これはまあ今後の問題でありますが、今後どういうふうに政府方針がなりますか、防衛庁の問題がもうあらためてあすこを取り上げて防衛燃料廠を作るというような必要がないという結論になれば、その場合には払い下げるつもりでいる……。
  123. 海野三朗

    海野三朗君 大臣が午前中御出席にならなかったのでありますが、その際に投融資の問題について私は強く政府当局に要望したのであります。このお金をつまりどういうふうに貸し付けるという、漠然としたただここに結果を出されておる。昭和三十年度政府資金産業設備に関する運用基本方針というところの最後参考資料としては電力業に二百八十億、あるいは鉄鋼業幾ら、そうして総計で約五百九十五億円、こう出してありまするが、この配分の仕方について、どの会社にはなんぼ、どういう設備に対してなんぼというところの資料の提出をしてもらいたい。それができなければ今までの開銀融資については非常に国民の疑惑を招いている点が多々ありまするので、この細目を一つ明示してもらいたいということを要求したのでありますが、官房長は一存ではいかないというようなお話でありましたけれども、これを一体発表するというと、どうも世間が非常に困るというふうに考えられまするが、一体フェア・プレーではっきりされたらいかがですか。この点については通産大臣いかようにお考えになっておりますか。海運業百六十億、石炭産業に五十五億というようなことで、ただ漠然とこれだけではこの商工委員会としてもその細目をよくはっきりつかむことができない。これではただ大ざっぱなところをぱっと見せられただけで、さらに審議の核心に触れていない。先ほど河野委員から、藤田委員から、それから苫米地委員のみな質問は、要するところそれをはっきりしてもらいたいというところの御質問にほかならないように思ったのであります。そういう点については通産大臣どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか、私はこれをはっきり示してもらいたい、もし公表できないのであるならば、この委員の人たちにでも親展にでもして知らせるということにしてもらわなければいけない、私はこう思う。この点については大臣いかにお考えになっておりますか。
  124. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 私はこういうことはしろうとでありますから、大してかくす必要もないことだと思っておりますが、しかしまあ開銀などの意向もありましょうし、借りている方のなにも、いろいろの事情もございましょうから、十分一つ打ち合せまして、その結果できるだけ御希望に沿うようにいたしたい。
  125. 海野三朗

    海野三朗君 そこで公表しなくてもいいですから、なにも私ら委員にだけはっきりさせていただいたらいいと思う。たとえば鉄鋼業にしてもどこの工場をやるのであるか、また石炭鉱業にしましても、どこの炭鉱にどれだけやって、どの開発をするつもりであるかということをはっきりしていただかなければならない。そこで往々にして悪評が飛んでおりまするのは、開銀ですね、開銀が事実を知らないで、国家の金を勝手に開銀にまかしておくということは私はこれはいけないことだと思う。で十分これは国民の納得がいく金の貸付をしなければならないのじゃないだろうか、こういう点から考えまして、これはどうしても早急にその内容を明示してもらいたい。で官房長は一存ではいかないと言ってさっき逃げておられたけれども、今度は午後から大臣が見えたからには、これはどうしてもはっきりしてもらいたい。これは私だけではありません。与党の苫米地さんだってそれは言うておる。たとえば査定の問題だって、査定の問題がなぜいかないか、こういう御意見があるのです。苫米地さんは与党でいらっしゃるから先ほどは強くおっしゃらなかったけれども、この関係の深い機械工業とか、合成繊維工業、どこにこれが必要であるか、不必要なところに今までやったためしがあるのです。大分これは先ほども河野委員も発言された通りです。そういうのでありますから、これは審議しなければならない。また開銀としては昨年度及び一昨年度において融資して、その回収状況がどうなっておるか、大分焦げついたところがあるやに聞いておる。この焦げついたところ、はなはだよろしからざるところに貸し付けておる。そういうところは審議しなければならないのじゃないだろうか、そうしてやっぱりある程度はガラス張りにしてやっていただきたいものと思います。この非常に疑惑があるのですね。まあ通産大臣としては、これを早急にわれわれに内容を明示していただきたいと思うのです。
  126. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) たってのお話しでございまするので、お話しの通り秘親展ということで御報告したいと思います。でお答えしておきますが、まあ金額についてはこれは一つ御容赦願いたいと思いまするが、これはもう通産省所管の産業につきまして開銀の方に連絡しておる段階のものでございますので、海運とか造船とか、あるいは農林関係の産業等につきましては、それぞれの所管の官庁から開銀の方にしかるべき連絡があろうと思います。それはわれわれの方ではわかりません。通産省関係だけできるだけ御要望に沿いまするような形で文字通り秘親展として御提出したいと思います。よろしくお願いいたします。  なお開銀の回収状況、焦げつき状態は、これは実はわれわれ開銀監督官庁でございませんので、むしろ監督いたしておりまする大蔵省の方に御依頼願った方が全般の関係上適当ではないかと存じますが、さようお取り計らい願えれば幸甚に存ずる次第でございます。
  127. 海野三朗

    海野三朗君 その大蔵省の方にもあなたの方から資料を出すように手続してもらえませんか。そういうのでないと、大蔵省の人をまたここへ呼んでやるでしょう。
  128. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) これは委員部の方から御連絡願えればそれでいいと思います。そういうふうに。
  129. 吉野信次

    委員長吉野信次君) なおちょっと申し上げますが、高碕長官は四時半ごろに退席したいという御希望のようでありますから、その含みで御質問願います。
  130. 小松正雄

    小松正雄君 私はさっき藤田委員から御指摘されて御質問されておることに関連してでありますが、まあ聞くところによりますと、電源開発五ヵ年計画で七千七百三十億という多額な金を投じて、そうして日本の産業に万全を期する、そういう意味でこの電源開発というものは始められた、かように私は承知するものであります。しかしながらこの電源開発が施行されまして、昨年新聞で聞くところでありますが、電気関係で最も権威である松永安左衛門さんのお話では、水力電気は非常にコストが高い、これは原料が水であるために全く安く上るものだと考えて、そういう多額な金をもって五カ年計画で遂行して来たが、今日の段階では非常に金利、投資その他の関係から勘案すると、火力電気よりもはるかに高い、こういうことを言われておりまして、それについて先国会中にもいろいろ栗山委員等からも指摘されて、火力電気の方に切りかえるというような考え方はないか、こういうようなことも御質問されておりましたが、私も同感であり、この七千七百三十億という多額の金をもって完成させようと考えられたのであるが、そういう権威者からの話を承わってみますときに、火力の方が安いということであれば、火力の方は、もっともまた国内の需要を満たせるように火力を地域的に作る、こういうことにいたしますると、先もるる藤田委員よりも指摘されましたように、地域差の関係で、私ども九州でまあ小さな炭鉱をやっておるわけなんですが、この炭鉱業者の私どもが使っておる電力量というものはほとんど類のない、要するに倍以上払っておると言っても差しつかえない。なおまたこれはまあ話は別と考えられるかもしれませんが、そんな倍も出して使う電力代がその月に支払いができない場合には、これまた一割のプラスされた料金を加えて漸次払っていけと、こういうようなことでありますので、地域差をなくしないという考えであるならば、この七千七百三十億もをかけてなさらんとすることの方の電力が高いということになるならば、地域的に火力電力の新設をされるというようなお考えはないかということをまずお尋ねしたいと思います。
  131. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) これは高碕長官からお答え願った方が適当かと思いますけれども、まあ松永老人の主張は、それはわれわれの方の省で研究したところでは、これはまあある程度事実でありますが、そうかといって日本の水力を全部火力にしろ、置きかえろというようなことも、これまた実際問題としてできることではありませんし、また石炭との関係もありますから、そうその簡単に火力に全部切りかえるというわけにはいきませんが、しかし現在通産省としてはむろん火力にも相当の重きを置きまして、地域によっては火力発電をやる。ことに炭鉱地帯における低品位炭利用の発電ということにはずいぶん熱心に研究いたしておりまして、近いうちに最近常磐地区ではいよいよ一つ建設することになるはずであります。この結果によりましては、これは全国に相当普及されるものだと考えておりますから、この火力発電にも重きを置きまして、水火力適当に配分をしていきたい、かように考えておる次第であります。
  132. 小松正雄

    小松正雄君 そういうふうに大臣がお考えになっていただくということについては、私は非常に喜びにたえない次第でありまするが、そういう見地から私はまたここに重ねて御質問を申し上げたいと思いますが、いずれにいたしましても、今回の石炭合理化法案というものが通りまして、来年度からの石炭の炭価というものは通産大臣によって一定の炭価になさしめることにするということを先国会でも申されておりましたので、そこで私どもは高い電気を使って、そうして石炭を採掘している。言いかえて申しますならば、高い料金を払って、高い電力を使って出てくる石炭の炭価と、それから安い料金を使って出している石炭の炭価と、これが同一的な扱い方に、大臣のお考えから来年度そういうような制度をなさろうとすることになれば、そういう矛盾したことが出てくる。要するに電力の高いところはコストが高いと、こういうふうにみなされて、電力料金の安いところと高いところの差をつけた扱いをなさるということは、大よそできないことではないか。そういう意味合いからいたしましても、大臣から今お話しのありましたように、筑豊炭田で低品位炭をたけば、相当に量は出る。出てくる量によってまかなえる。しかも、またその火力発電所というものを一カ所五万キロ当りの電力会社を作り、資本としてはわずかに四、五十億あればでき上るということを昨年も聞いたわけでありますが、そういたしますと、この七千七百万以上もかけたことで安くなるであろうと考えられて、その総予算の中からさいた。こういった地方的に電力会社を作らせるという考え方があるかどうか、それをお尋ねしたいと思います。
  133. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) ただいまのところでは、この水力開発の計画も変えるつもりはございませんので、その方はその方で、やはり日本としては水力の開発はやらなければならぬ、こう考えておりますから、計画通りに水力の開発はやっていきたいと思います。そのほかに、特に低品位炭利用の火力発電というようなものは別途考えて参りたい、かように存じております。
  134. 小松正雄

    小松正雄君 そういたしますと、私は掘り下げてお尋ねしたいと思いますのは、電力会社というものが九分割されておりますが、国内で、火力であろうと水力であろうと、国がせずに、別途、たとえば小松がそういう意味合いからその地域に火力電気の発電所を自己発電として、たとえば炭鉱なら炭鉱組合を通してといいますか、そういう共同施設の一環として自己発電所を開設しようとする場合に、許可されるのか、あるいはまたそれに基いて国の投融資をしていただけるのか、あるいはまた九分割された、の管轄内にあるためその点はまかりならぬというのか、その点を一つ明らかにしていただきたい。
  135. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) お尋ねは、自家発電ですか。
  136. 小松正雄

    小松正雄君 そういうことでございます。
  137. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) それは、むろん自家発電は差しつかえないと思います。今度の常磐にできるのは、少し、あすこの会社が共同し、それから政府の方からも協力いたしまして、特に低品位炭の火力発電ということでこれは電気を起しまして、売電をするわけであります。電気として卸しをすることになっております。
  138. 小松正雄

    小松正雄君 そうなりますと、計画的に自己が発電所を作らんとする場合に、国の資金融資、本日ここに問題になっております財政投融資等が、私がもし自己的に発電所を新設しようという場合に、そういう投融資ができるのかどうか、これを一つ伺いたい。
  139. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) これは自家発電だからできないということにきめてあるわけではございませんが、まあ資金の分量にもよりますから、普通の発電、今の常磐炭鉱でやるとかなんとか、あるいは水力開発という場合とは、少し違うと思います。自家発電の場合には、財政投融資を面接するということには、ある程度難点が起るだろうと思います。
  140. 藤田進

    藤田進君 ところが、今年度投融資で住友共電に何か、何億か出しておりませんか、その難点が起るにかかわらず。
  141. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 実はけさほど御説明が、私あとでいろいろ聞いておりまして、訂正するチャンスを失いましたのですが、二百八十億のうち、こまかく見ますと、住友共電にやはり考えております。
  142. 藤田進

    藤田進君 幾らですか。
  143. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 二億円見当。これは初年度の調査費と若干の準備工事ということでございます。これは広い意味の一種の自家発電みたいなことになりますが、あすこあたりは専用の自家発とも違いますし、一部の一般供給もやっている会社でございます。そういうことで考えております。自家発も、先ほど大臣から申し上げましたように、電力不足のはなはだしかった時代におきましては、それぞれの本体の会社事業と、それから発電所の建設の計画とにらみ合せまして、積極的に開発銀行等の融資をあっせんして参りましたが、ところが、最近では、事業者の方の電源開発が相当進みまして、個々企業家の方で、自分で苦しい金繰りをして無理して発電所を作らなくても、一般の供給を受けた方がいいという声が大きいために、最近では実は自家発の財政資金申請は非常に滅っておりまして、ほとんど皆無に近い状況でございます。今ではむしろ、電気事業者あるいは電源開発会社の大容量の設備の方に力を入れた方が資金的には能率がいいではないか、そういうように考えてやっております。
  144. 小松正雄

    小松正雄君 私がかようにしてお尋ね申し上げることについては、先般の国会での石炭合理化法案に伴って炭鉱が運営される場合に失業者が出てくるという関係などを考えまして、ある電力会社の重役の方にそういう意味で火力電気の発電所を作られたらどうかということをお話し申し上げましたときに、その会社では、そういうものを作らなくても、現在でも、今持っておる電力だけでも余ってしょうがない、こういうような話があったのですが、そういうことからいたしますと、私どもの希望しておる、低品位炭をたいてもらうような火力電気の発電所というものの新設をするようなことには、この九配電の方々ではなさらないだろう。そういうことから考え合せまして、私ども中小炭鉱として一つ火力発電所を作ろう、こういう気配も今漸次起りつつあるわけであって、低品位炭を出していけば、これらに従事しておる人たちもともにやっていける、こういうことで考えておりますが、何分資金の問題で、これはやはり少くとも、一方からいえば失業救済的なことにもなり、国の資源がそういう低品位炭をもってなされるということになれば、高品位炭は何か科学的応用をもって別な角度から使用ができる。これは両々相待って、私は特にここで大臣にお尋ね申し上げて、それをもって確認したいと思いますが、そういう意味合いにおいて、どこかで自己が火力発電所を新設しようとする場合に、どこでしてもいいか。どこで発電所を作ろうとしても、許可になるか、ならないのか。あるいは九配電の横やりが出たために、そこはいけないとかここはいけないとかというようなことがなくて、私どもの地域のところで新設をしようということについては、大臣としては断固やってもいいという御決意があるかどうか、一つここで確認をしておきたいと思いますから、御返事を承わりたい。
  145. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) ちょっとむずかしい御質問でありますが、その地域の電力事情にもよると思いますが、今のお話、どこだか知りませんが、電力が余って因っておるというような場合には、それは少しその点は考えなければならぬと思いますが、しかし低品位炭利用する発電というものには通産省としては特に力を入れておりますから、それは十分考慮の余地があろうと存じます。
  146. 小松正雄

    小松正雄君 そういうふうなことになりますことについては、さっきも私申し上げましたように、自己発電所を新設せんとするに当りましても資金が非常に困難である、こういう意味合いから、国の投融資が必ずその会社新設金総金額に対する何十パーセント貸し与えられるか、こういう点も一つここで聞いておきたいと思います。
  147. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) それはあらかじめ何パーセントとかいうお約束をするわけにはいかぬと思いますが、これは今度の常磐などの場合は、電力会社と現地の石炭会社とが協力しましてやるのであります。そういうような形で何か御計画があれば、一つ計画を承わりまして、十分検討をいたします。
  148. 小松正雄

    小松正雄君 検討でなくて、地方的、地理的に、今の常磐の低品位炭をたくために、そういう会社を新設をされるということについては、政府としては、大臣としては、融資をするということになっておると私思います。ですから、私たちのところもそういう意味合いで、角度はどういう角度で生まれてくるか知りませんが、たとえば九配電と関係なしに、独自の立場でもって鉱業界全体でもってやるのか、あるいは小松一人でやるか、これは別といたしまして、そういうことができるということの前提は、低品位炭をたくということを前提として、そういう自家発電ができるということについては、大臣として融資をして、一応金額の差は別といたしまして・していただくということだけは一つここで言えないことはないじゃないか、かように思いますが、もう一ぺん……。
  149. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) ですから、どれだけということを申し上げるわけにいきませんが、低品位炭をたく火力発電というものには非常な関心をいただいておりますから、できるだけの御協力はすることができると思います。
  150. 古池信三

    ○古池信三君 ちょっと高碕長官にお伺いしたいのですが、先ほどこちらで承わっておりますと、電気料金の地域差の問題が質疑応答されたのですが、私はこの電気料金の地域差の問題というものは、結局は電力事業の機構と非常に深い密接な関係がある。そういうものを度外視して電気料金の地域差を考えるということは、ほとんど不可能じゃなかろうかとさえ考えておるわけです。それで御承知のように、再編成前の日本発送電株式会社の存在しておりました時分には、あの会社がわが国におけるほとんど重要なる電源を所有しまして、これを配電会社に対して卸売をした。従って一つの大きなプールによって、電力の卸売料金の操作によって、どうでも末端の電気料金が調整ができたわけです。その時代においてはそういうことは全国的に料金の調整ができましたけれども、再編成後九つの電力会社がそれぞれ独立した会社として存在している、しかもおのおのが独立採算制でやっていく、こういうことに参りますと、これは簡単にいかぬのじゃないか。特に日本のように電源が非常に偏在しておる。あるいはまた石炭にしてもこれは相当偏在しておる。さらにまた需用の面からいいましても、ずいぶん地域的な違いがあるのですから、これを一律に簡単に平準化していこうということは、ほとんど今のままの状態では不可能じゃないかと思うのです。かりに、国民の日常生活に端的に関係のある電灯料金であるとか、あるいは家庭等で使っている普通小口のモーターなんか使う電力料金、こういうふうなものは、これは政府のお考えで全部一律にきめることはできるかもしれませんが、相当多量に電力を使うような場合、化学肥料であるとかその他原料的に電気を使うという場合のその電気料金の地域差をなくしていこうというようなことは、これは容易なことじゃないと思う。まあ機構をそれに応ずるように変えていくか、あるいはまた政府が特別な税金の面だとか、金利の面だとか、その他の助成措置を講じていくか、そういうふうな画期的な措置を講ぜられれば別ですけれども、そうでないと、現在の機構そのものに大きななたを振るわなければこれは実現できないのじゃないかと考えるのでありますが、先ほど高碕長官はできるだけ地域差をなくするように努力したいというお話ですけれども、これは今の電源開発株式会社がかりに卸売でもって操作をするといたしましても、電源開発会社の今後所有する電力というものは、全体の電源から考えたら、ごくわずかなものです。それだけでもって全国電気料金を左右するということは、とうてい私はむずかしいだろうと思う。若干の程度はやれましょうけれども、大きなものにおいてはできないだろうと思う。これについて、先ほど長官のお話もございましたので、長官の真意はどういうところにあるのかということを一つ聞きたいと思います。
  151. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 先ほど申しましたのは、パブリック・ユーティリティーに対しての電力ということから考えると、政府といたしましてはなるべく地域差がないようにしていきたい。このままで九電力会社が競争状態になっていくということになれば、これはその地域差が非常にひどくなる。これはなるべく押えていきたい、こういう考えでございますが、しかし一面大量電力を使用するという方面から考えますというと、現在の方針は、電力が足りない、足りないというところの方針で、今いろいろ検討されておりますけれども、私はこれは近い将来においては電力は相当余るものだ。また余るようにすべきのが政策だと思います。十分な電力が供給できるということになったとき、これは相当な地域差があるべきものだと思いますが、これは私先ほど申しましたある程度言える。特に最近でございますが、私は東北地方に参りましたときから、東北地方では電力の供給地でありながら、電力が非常に割に高いということのためにおくれた産業がたくさんある。こういうようなことは当然是正さるべきものだ、こういう考えでございます。特に電力ができ、十分その水もある、また立地条件からいって、中央の工場をできるだけ分散せなきゃならないという高所大所から国家の政策を考えましたときに、これはその間にある程度の地域差はもってくるということ。工場を誘致し、また人口を配分し、あるいはそのほかの大きな見地から見て必要かと、こう存ずるわけであります。そういうわけでありまして、先ほど申しましたことは、今の全体の電灯だとか、そういうふうなことにつきまして申し上げましたが、誘致ということの問題でも考えたわけであります。
  152. 古池信三

    ○古池信三君 大体わかりましたのですが、パブリック・ユーティリティーと申せば、昔は全部電気はそんなふうに考えられていた時代もあったと思いますけれども、今から考えればほんとうに、郵便、電信、あるいは鉄道だとか、そういうふうなものと同じように、ほんとうのパブリック・ユーティリティーとして考えるべき範囲は、ほんとうに日常生活に必要な電灯料金であるとか、あるいは動力であるとか、そういうことが至当であって、ほんとうの産業の大きな原料になると特に考えられるような電力については、これはもうパブリック・ユーティリティーの範囲を出ておる。むしろ一つの産業として考えるべきであるというふうに思いますので、その点は私も絶対、長官の説に賛成をするものです。  そこで東北はなるほど電源地帯でありながら非常に高い。これは何とか安くしようということはよくわかりますが、しかしやはりこれもコストとの相談ずくの問題であろうから、コストを下げていくというためにはできるだけ工場をそこへ集めて、まあ作業の密度を高くしていかなければ、これはなかなか下らないというようなことにもなります。そうなると、今急に工場を東北に集めるということは、これはとても言うにやすくして実はできない。将来長い年数をかかってやるということならばこれは別でありますけれども、そうでないとすれば、何らか他動的な力でも用いなければむずかしいじゃないかと。そういうふうなあらゆる力を用いて国としてやられる意思かどうかという点について、少し疑問を持ったもんですから、お尋ねしたわけなんです。
  153. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 大体御心配のような点はよく考慮しておりますのですが、どうも東北の田一剛力をほんとうに開発するためには、あの電力の質をよくしなければならぬ。今日では豊水期には八十万キロある、渇水期には三十万キロ、こういうふうな結果になっております。そういうふうな点は、やっぱり国家の力をもってそうしていい質にしていくということを考えております。従いまして、国家の資金を使いますから、比較的電力会社も安い金利の金を使う、そうすれば電力が下る、こういうふうに考えております。
  154. 古池信三

    ○古池信三君 ついでで、はなはだ恐縮ですが、この際伺っておきたいのは、原子力の発電の問題です。これに対して、長官は一体どんなふうな見通しを持っていらっしゃるか。これはどうせ五年、十年の先のことだと思いますけれども、しかし今からそれに対する国家としての構想を持ち、順を追うてそういう方面に、その促進についての御努力が必要じゃないかと思うのですが、それについてのただいまのお考えを承わりたい。
  155. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 現在までのアメリカ及びイギリスで研究されました報告によりますというと、大体原子力発電というものは〇・七セント、一キロ当りかれこれ二円五十銭くらいになる、こういうふうな数字が出ておりますけれども、これは順次もっと安くなる、こういう考えでおります。私は前国会にも答弁いたしました通りに、大体電力にこれが使用されるのは十年くらいかかるだろう。けれども、これを電力として使用する上においては、日本は一番適している国である。ほかのエネルギー資源が少いから、これを努力いたしまして早くやれば、五年くらいにこれは使用されることに相なるだろうと思いまして、五年ないし十年の間には、ある程度は原子力を電気として使用する時期が来るだろう、こう思っておりますが、これは十年先になりますれば、相当安い電力を原子力によって得る時期が来るだろうと思っておりますが、この機会に一言申し述べたいと存じますが、然らば、将来原子力になるのだから、日本の水力電源の開発は足踏みしたらどうか、こういう愚見があるだろうと思いますが、これはおそるべき章見だと思います。水力電気の開発というのは単なる電力の問題ではなく、治山治水、その他多目的ダム、こういうような点から考えますというと、あるいは現在においては利息が高いから相当水力電気の開発も高くなる、こういう見方もありましょうが、国家全体として考えますれば、今の時代において、無理であるけれども、これをやっておきさえすれば、将来はすぐ雨が電力になる。あとのメーンテナンスの費用はかからない。これはゆるめちゃいけない。原子力のために水力電気の開発を足踏みする、こう考えることは間違っておると思います。
  156. 古池信三

    ○古池信三君 ただいまの長官の御報告を承わって、大体私もそんなふうに考えておったので、非常に力強く思っておるのでありますが、それでは一つ、非常に現実的な問題になりますけれども、今年度の電源開発会社工事あるいはそれに対する資金の手当というものは、工合よくうまくいっているのかどうか、これについてちょっとお尋ねしておきたい。
  157. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 昨年は二百七十億でございましたが、本年は三百二十億という政府融資を行なっております。開発計画の方からいきますと、当事者の方は三百八十億ということを言っておりますが、三百八十億がいいか悪いか、これはまだ検討する価値がありましょうが、できるだけこの意味におきまして、あとは民間投融資なりそのほかの費用をもってこれをまかなっていって、予定に竣工し得るようにこの資金のめんどうを見ていきたいと、こういうふうに思っております。
  158. 古池信三

    ○古池信三君 どうかぜひとも、ただいまの長官のお話のように、こういう事業を途中で遊ばせないように、非常なスピードでもってこれを完成していくように、資金面においても政府として十分に御援助をしてもらいたい、こういうふうに私は考えております。
  159. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまの原子力についてでありますが、今お話しのように、おそらくこれは実現するのは十年後だろうという御見解は、私は非常に当っていると思うのです。それで、今から濃縮ウランを買い入れるというような約束をするのは少し早いのじゃないかというように思うのですが、国内においてもウランの鉱石が相当ございます。この間調査しても、その報告がずいぶんあるのです。それでありますから、濃縮ウランの買い入れなんということを今から約束しておかれるというのはどうかと思うのですが、その点については経企長官としてはいかなる御見解をお持ちになっていますか。
  160. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) この国内のウランの資源を開発するということは、また検討するということは非常に大事なことでありまして、これは着々と実行に移しつつあるわけでございまして、今回アメリカから買い入れます濃縮ウランの問題は、これは将来日本でウランができた場合の実験用のために今やっておる。これはごくわずかの金額でございまして、金に直しても二十万ドルくらいのものであります。二十万ドルを投資するということは、それで原子力の実験用の炉を作り、またそれによって人間を養成していくということのためにやるわけでありまして、将来に大きもなのを買うとかなんという約束は何にもいたしておりませんで、あれによって、アメリカから得た濃縮ウランによって実験をし人を養成しつつ、一方日本のウランの資源の開発、同時に全体の研究等も進めていきたい、こう考えております。
  161. 海野三朗

    海野三朗君 この濃縮ウランにつきましては、濃縮ウランを売り出しているところはアメリカばかりではなくて、ソビエトにもあるしイギリスにもあるし、そういうふうなところがあるから、そう取り急ぐ必要はないというのが相当学者の意見であったのです。でも、あわてて買う約束をなさったようでありますが、ああいう点ももう少し学者の意見をおくみ取り願ったらいかがですか。私はこう思うのですが、それはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
  162. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 十分学者の意見をよく取り入れまして、検討いたしたわけなんであります。現在のところ、濃縮ウランを作っておりますのは、アメリカのほかにはイギリスとソビエトでありますが、ソビエトはまだ売るということは発表いたしませんし、また売らぬと思います。またイギリスの方も、まだこれは売るということは言わない状態でありますから、将来あれらの方で安いものが得られるということになれば、これはどしどし必要に応じて買っていきたい、こういう次第でございます。
  163. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまの御答弁、それはまあそれとして拝聴いたしておきまするが、この濃縮ウランを売りに来たこの間のあのアメリカからの四、五名の人、会社の社長あるいは専門家が来ましたときに、私が出ていろいろこれを吟味してみまするというと、その技術者は、何と、日本の日平産業のような社長なんですね、社長は。ただ単なる商売上のことで来ておるのです。来た学者にいろいろ私が突っ込んで聞いてみると、あの濃縮ウランというものは、手の裏返せば、すぐ原子爆弾に使用できるというような含みを持っておるのでありまして、私は実はあぜんとしたのでありまして、そういう点は政府御当局においても十分お考えになってのことでありますか。またそこまではお考えにならなかったのでありますか。あの濃縮ウランから出てくるトリウムなんぞは、これはもう原子爆弾にすぐ使う。そういうものについてのある約束をしておられるか。アメリカに対してそういうような約束をしておられる、その出たものは他国にはやらないようにというような、こういういろいろなややこしい、つまり束縛と申しますか、条件をつけておられたようでありますが、それを御存じないかのように私には見受けられたのであります。あのときの言葉では、シビル・ユースという言葉を使っております。というのは、平和的な利用とこう訳すけれども、シビル・ユースといったって、あれは非常に意味が深いのであります。そういう方面の訳し方、つまり外務省あたりの訳し方についても私は非常に異なった見解を持っておったのでありますが、そういうことにはお考えなしに、単に原子炉の実験程度というお考えでお約束になったのでありますか、その点ちょっとお伺いいたします。
  164. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) ただいまのお話の、ホプキンスが来たことは、あれは政府が呼んだんではありませんし、あの人から原子炉のウラニウムを買ったわけでもなく、彼はまたウラニウムを売りに来たのではありません。それははっきりしておきます。ウラニウムを買う買わぬということは、アメリカの政府との間に折衝いたしましたわけでありまして、これは根本的にこれを戦争用に使わない、使っちゃいけないということが取りきめられておるわけでありまして、またそういうふうな目的でこっちも買うのではありませんし、向うもその目的で売っておりませんので、ただ単純にこれは実験用にするというだけの考えで、今お話しのごとく買い入れたわけであります。
  165. 海野三朗

    海野三朗君 それから今度は通産大臣にちょっとお伺いしたいのですが、小松さんからの話のときに、電力は余っておる所もあるからというふうなお話。電力が余っておる所があれば、電気をもっと安くさせるべきものじゃないか、こう私は思うのですが、通産大臣、いかがなもんでございましょうか。もし電力が余っておる所があれば、電気料金を安くしてこれを売りさばくようにせしめなければならないのじゃないか。電力は余っておるとおっしゃって——どうもそのへんちょっと、私次から次を考えてみると、おかしいように考えるのでありますが、電気料金につきましてもいろいろ議論があるのですけれども、先ほどのお言葉に、電気が余っておる所があるから、石炭ではそう発電所をすぐ許すわけにいかないという意味の御答弁があったように思います。
  166. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) そうではないので、小松さんから火力発電の何か御相談をなすった電力会社が、実は電力が余っているからそれは要らないということを言った電力会社があるということを小松さんからお話がありましたから、実は私、それは知らないのです。そういう電力会社があるということは初めて伺ったようなわけであります。もし、だから、そういう場合があればという仮定のことを申したわけで、決して私の方から余っている会社があるということを申したわけじゃありませんし、事実豊水期とかなんとかいう特別の場合はどうか知りませんが、一般的に申して、今余っておる電力会社があるということは承知いたしておりません。平時には余っておらないと思います。
  167. 海野三朗

    海野三朗君 もう一つ、ちょっと私はお伺いいたしたいのは、東北の方のいなかの方を大臣はお歩きになったことはないでしょうね。村に行って見ますと、街灯さえもない村がたくさんございます。それで全く夜は歩けないのですよ。電灯がないものですから、運転手さえもが方角を間違えまして、昼ですというと、山とかそういう所が目安があるから、運転手は間違わず行けますが、街灯が一つもないのですよ。そういう村が山形市からじきに近く、二里、三里ほど離れたところにあるのです。そういうような所はざらにございますが、電力行政の立場からして、売れる所にはどんどん売っているが、そういうふうな所がたくさんあるので、これは公益事業の立場からしても、そのいなかの方に電灯をつけるようにしていかなければならないのじゃないか。この間私は、山形の方で病人がありまして、ハイヤーをかって行ったんです。そうしたところが、道を間違えて、何ぼたっても行けない。そうしたところが、とんでもない所に連れて行っておる。運転手自身が間違っておる。街灯がないのです。目標がないのです。そういうふうな、村といっても相当大きい村ですが、そういうのがたくさんございます。そういう点について大臣はどういうふうにお考えになっているか。東京のまん中にばかりいらっしゃるというと、御存じないだろうと思うから、私はそういうところで大臣の御注意を喚起したいと思いますので、そういう点についていかようにお考えになっていらっしゃいますか。公益事業でありますから、ひとしく人間であるから、電気の恩恵に浴さしてやりたい。
  168. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 街灯どころか、室内灯もない所もありまして、実は日本はずいぶん電灯は普及している方だという話もありますが、お話のような東北のみではないのです。いなかに行くと、街灯のない所が相当ほかにもたくさんあると思います。これはいろいろのコスト関係で、電力会社がそこまでなかなかやってくれないという点もありますが、おいおいそういうことも通産省としては指導して、できるだけ電灯が地方に普及するようにいたしているのであります。いろいろ設備その他の関係で、十分のことはまだいっておらないと存じます。
  169. 小松正雄

    小松正雄君 大臣に一点だけお伺いしておきたいと思いますが、先般の国会で通過いたしました石炭合理化法案に関連してですが、これの実施が、事ここにきまったということについては、業者で、あるいはまたそれに付随する従業員等の関係において組合等におきましても、いつごろ大体そういうことが発足され実施されるか。要するに、八月三十日でああいうふうに法律がきまった。大臣のお話では、おそらく九月までには発足するであろう、こういうお話であったのですが、今日までまだ何という形も見受けられないので、憂慮している炭鉱もあるわけです。そのことだけ一つ、ここで大臣にお聞きしておきたいと思います。
  170. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 詳細は局長に申させますが、今非常に急いで準備をいたしております。が、審議会もようやくできましたし、できるだけ早く、もう間もなく発足ができると思います。
  171. 齋藤正年

    説明員(齋藤正年君) 法律は九月一日から施行いたしました。それから審議会の方は、今大臣からお答えいたしましたように、今月の下旬には第一回の審議会を開くことができるようになると思います。それから事業団の方は、来月早々スタートしたいということで、現在もっぱら人選問題をやっている段階に来ております。できるだけ早くということでございますが、人事問題がございますので、その関係が固まらなくて若干おくれている。事務的には、大体当初予定したような速度で進んでいると思います。
  172. 河野謙三

    ○河野謙三君 経企長官に伺いたいのですが、伺いたいのは六カ年計画です。あれはかねて御説明を伺いましたが、われわれが承知しているところでは、非常にそうそうのことでありましたし、ほんとうに最終的のコンクリートされたものじゃないと私は思う。その後においてどの程度まで六カ年計画について作業が進み、また修正の必要が起った点もあるでしょう。また極端に言えば、六カ年計画の出直しという点もあるかもしれません。それらにつきまして、六ヵ年計画について御発表後今日までいろいろ変化があると思う。それについてお伺いしたい。
  173. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) ただいまお説しのごとく、本年の一月に発表いたしました六カ年計画は、かくあるべきだという一つの筋を作った。そうそうの際に作ったのでありますが、その当時も申し上げましたごとく、この数字は順次変るべきものだということを申し上げておったようなわけでありまして、その後だんだん深く掘り下げて見てみますというと、かつ、現在の日本の経済の推移等を見ますというと、これはよほど数につきましては検討を要する点があるというので、国会終了後、八月一日から各方面の専門家の方々をお願いいたしまして、連日連夜この検討を加えているわけでございますが、これで根本において動かないものは、日本の人口は六年後に九千三百万になる、労働力はこうなる、この数字は動かないのであります。しからば、こうするについては輸出入をどうすべきかというような数字につきましては、先に発表いたしました数字よりも、今日の現状に即しますると、本年のごときは輸出は十六億五千万ドルと、こう見ておりましたのが、幸いにこれは世界の情勢も違いますし、また国内の情勢も変りまして、これは今日では十九億ドル近くになる、こういうふうに相なります。またそんなに失業者が出ないだろうと思っておりました失業者が、思ったよりもよけい出る、こういうような点もありますものですから、こういう現状に即しまして、将来の目標につきましてはできるだけ緻密に、そうして検討を加えまして、輸出のごときも大体二十四億ドルと見ておりましたものを二十六億ドルに持っていかなければならぬ、こういうような数字も出たようなわけでございます。そういうような工合に、全体の鉱工生産にいたしましても、また農産物の増産計画にいたしましても、食糧の増産計画にいたしましても、逐次再検討を加えまして、各専門家を通じ、また同時に、各省内の意見も調節いたしまして、ただいませっかく検討中でございますが、大体十月の中ごろまでに、素案でございますが、これができ上るだろうと、こう存じておりますが、しかし今申し上げました通りに、六カ年計画というものは、これは計画経済でもって政府自身がこれを強く法の力をもって強制すべきものでなくて、できるだけ自由主義、つまり資本主義の経済の機構のもとにやっていくわけでありますから、その目標というものにつきましても、その当時における経済情勢等から判断いたしまして、逐次変っていくものだと、こう存じますから、今後できますものも、これは第一次六カ年計画というふうなことの数字を出したい、こんなふうに進んでおるわけであります。  以上、現在の情勢をごく簡単に申しましたのですが、詳細のことにつきまして御質問がありますれば、政府委員からお答えいたします。
  174. 河野謙三

    ○河野謙三君 十月の末までに一応の検討を終りたいということでございますが、十月の末までに検討を終るということは、今後三十三年も、四年も、五年も、この六カ年計画を通じての検討を終る、こういうことでございますか。それとも、従来のように最終年次を終っても、その中間の三十四年も五年も、これは内容的にはないのだというようなことで、十月までの検討を終るのですか、これを伺いたい。
  175. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) ただいままでの審議の経過からみますと、十月の中ごろまでに終りますのは、大体六ヵ年間の各主要なものの事業量等、最終年次の目標というものをはっきり定めなければならないというふうに考えます。その間、年次の橋渡しの方はどうなるかという問題でありますが、これはただいまの情勢から見まして、最終目標あるいは六カ年間の事業量がきまりました上で、来年度予算等をも勘案しながら橋渡ししていきませんと、中間の段階はなかなかむずかしいのでございますので、最終年次におきましてはもちろんこのくらいの量は可能だという判定で作ったわけでございますが、中間段階におきましては、あるいはもうちょっとおくれるのではないかという感じを持っております。
  176. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、もう少し具体的に伺いますと、三十一年、二年があって、三年、四年がなくて、五年がある、こういうようなことになるのですか。
  177. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) ただいまのところでは、三十五年がありまして、六カ年間の事業量が出て参ります。それから三十三年、三十四年には作るつもりがございません。三十二年が中間目標のような格好になりまして、三十一年度に関しましては、もう予算期も近いのでありまして、これは何と申しますか、目標計画じゃなくて、むしろ実施計画ということで、予算と合して作るというような格好になろうか、こういうふうに考えます。
  178. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、長官に伺いたいのですが、三十一年度のものは実施計画である。それが十月の半ばか末か、場合によったら十一層になるかもしれませんが、できるんですね。三十一年のものは実施計画ができるわけですね。
  179. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) この三十一年度の実施計画につきましては、大体この十月までに、予算の編成すべき方針はそこできめるわけでありますが、方針はきまりますけれども、今度いわゆる実施計画と相なりますと、これは大蔵省との間によく打ち合せをいたしまして、この定められたる方針のもとに今度は実施計画、つまり予算は大蔵省の責任においてきめるということにしていきたいと存じます。と申しますことは、根本の方針として、これだけの計画を実行するためにはこれだけの金が要る、その金に幾ら赤字が出る、その赤字は何によってこれを補っていくかという、つまり政府の根本方針をきめなければなりません。ですから、計画方針については十月中にきめますが、この実施計画につきましては、予算と一致するように相なりますから、その方針のもとに実施計画が今年度予算として立つと、こういうふうに考えてもらいたいと思います。
  180. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、三十一年度の計画というのは、事前に大蔵省と折衝をしながらきめるのですか。大蔵省とは独自の立場で、六カ年計画の一環として三十一年度の計画をきめるのですか。
  181. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 六カ年計画そのものも大蔵省とよく折衝しつつ進めておるわけでありますから、最近のものの三十一年度につきましては、もちろん大蔵省と折衝しつつこの計画も進めるわけであります。
  182. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、この近々のうちに六カ年計画の中の二十一年度の実施計画がきまって、それが発表になったときは、即、それは予算の裏づけがあるものと、こう心得てよいわけですね。
  183. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 三十一年度に関しましては、従来からの経過から申し上げましても、ちょうど今ごろから、現状を基礎にした、しかも将来の方針の線に沿いました実行計画という案を作るわけでございます。それが国民所得が幾ら、あるいは貿易の見通しが幾らというふうに、諸般の経済指標が出て参りまして、それを基礎にして予算が編成されるのが従来の例であります。そのときには、予算と全く一体になっておるわけでございます。本年度に関しましても、早くその点がきまっておれば問題はございませんが、こういう時期になりますと、三十一年度に関しましては、実施計画としては予算と一緒にきめていくというような基準になろうかと考えております。
  184. 河野謙三

    ○河野謙三君 ちょうど私がお伺いしたいのは、従来大蔵省の予算編成方針は、大蔵省というか、政府全体の予算編成方針と、長官のところで立てられます六ヵ年計画、こういうものとばらばらなんですね。どこまでも計画は絵にかいたぼたもちであって、かりに計画立てましても、これが大蔵省によってずたずたに査定され、ずたずたに変更されて、われわれから見ると、計画というものはナンセンスである。そういうことを繰り返してはいかぬと思います。ここに通産省の方がおられますが、かりに通産省のいろいろの予算にいたしましても、あなたの方の六カ年計画の一環としての三十一年度の予算計画立てられましても、その範囲内においてのことでなければ、私は経済白書なんというものは要らぬと思うのであります。また六カ年計画というものは意味がないと思う。そこでわれわれはその計画は非常に信頼したい。またそれでなければ六ヵ年計画なんというものは意味がないですから、大蔵省の予算編成方針と、長官の方で立てられた六ヵ年計画、この関係いかんということを私は伺っているわけです。伺うというよりも、私の希望は、六カ年計画立てられました三十一年度の実施計画というものは、即、大蔵省はこれによって拘束を受ける、政府全体が責任を持っているんだ、こういうふうに受け取っていいかどうか、そう受け取れるように私たちは希望したい、こういうことであります。従来同様に、これが大蔵省によってまたけちょんけちょんにやっつけられて、何だかわけのわからぬものになるんですかどうですか。そうすれば、私は経済企画庁なんというものはやめてもらいたいくらいに思っております。
  185. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 御説の通りでございます。私どもは同感でございます。この六カ年計画が完璧なものであれば、もちろんこれは予算というものは六カ年計画というものを基礎において、それによって予算は組み立てられるべきものである。もっとも小さな数字につきましては、これはむろん予算の技術がありますから、これは大蔵省でやるべきものだと思いますが、その予算を立てる根本方針は六カ年計画というものを基準においてやるべきものだと、こう存じておるわけでございます。それになるように、信頼し得るような完璧にできる六カ年計画立てるということにつきまして、ただいま日夜努力しておるわけでございますから、さよう御承知を願いたいと思います。
  186. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、従来やっておるもの、今度十月末か十一月か、われわれは楽しみに待っておるのですが、それが発表されたときは、それはこの予算の裏づけがあって、三十一年度においてそれが予算となって出てくる、こういうふうにわれわれは信頼をおいていいわけですね。
  187. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 御希望に沿い得るようにやりますが、十月末のものにつきましては、ただいま申しました通りに、これは計画がきまるわけでありますから、その計算を基礎におきまして、今度裏づけのある予算ということになりますれば、そのときの先ほど申しました予算編成におきまして、その赤字をどうするか、そういった根本の政府方針に従ってこれはきまるわけでありますから、予算の裏づけのある実施計画というものは予算とともに発表されるということに相なると思います。
  188. 河野謙三

    ○河野謙三君 くどいようでありますけれども、さっき伺いますと、実施計画を作るについては大蔵省と相談しながらやっていると、こういうことでありましょう。だから、大蔵省と無関係に実施計画を作って、大蔵省にこれを呑めというんじゃないらしい。そうすれば、計画と実施とは大してズレが起らないんじゃないですか
  189. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 三十一年度の予算の編成と六カ年計画の三十一年度の分をどうするかというさっきからの問題でございますが、これは本来であれば、三十一年、三十二年の分もずっと前にきまっておりまして、そうしてそれに従って、現状の変化に応じて、三十一年の実施計画というものをその線に沿うがごとくあらためて作りかえをしまして、そうして予算に直結するということであれば、一番まあ格好がぴちっといくわけですが、ただいま申し上げましたように、ただいまの段階では、六カ年間の事業量はこれはまあ大へんなものでありまして、その問題の審議で非常にまあ手間取っておりまして、そこで来年度三十一年度そのものに関しましては、目標計画というものは別にあって、そうして実施計画というのはそれを受けてまたやるんだというふうな時間的な余裕はないわけであります。従いまして、おそらく三十一年度に関しましては、目標計画なるものと実施計画とはほぼ同じものとして作る以外に、もう時間的に手がないのではないかと思います。その際には、当然予算の編成そのものとからみますので、大蔵省と一緒に相談してやっていきたい、こういうふうに考えております。
  190. 河野謙三

    ○河野謙三君 何かこう、だんだんわかるようになってきたが、要するに、計画立てるまでは、それぞれ方々と御相談なさるでしょう。相談された結果できた計画、実施計画につきましては、今度それが大蔵省によって従来のように左右されないように、私はぜひ一つ責任をもっていただきたい、こういうふうに思うのです。  先ほど北海道の電力の問題が出まして、私はちょっと一言触れてみたいと思うのですが、この電力問題に限らず、前国会通産省から総合燃料対策というものが出ましたね。あの総合燃料対策というものも、企画庁で立てたところで、六カ年計画内容にあるところの将来の産業構造というものが確立されなければ、その裏づけとしての燃料対策はどうあるべきだ、電力がどうあるべきだ、そのときの水力はどう、火力はどう、また原子力がどうということでなければならぬと思うのです。ところが、産業構造を将来どっちに持っていくんだという方向が示されないときに、総合燃料対策が立っているというのは、私はおかしいと思うんです。これは要するに、企画庁とは別に、通産省でこの産業構造の六カ年計画を持っておられるのか。私はそうじゃないと思います。北海道の場合、政府はしきりに、今担当大臣はどなたですか、北海道の開発ということで、毎年相当の金も注ぎ込んで北海道の開発をやっておられる。私はあんなものはものにならぬと思うんです。というのは、私は狭い範囲で、先日釧路へ行った。釧路で、ある工場を視察しますと、どうしてもこの工場は座り立たぬというのです。どこにネックがあるかというと、第一に賃金が、あの北海道のいなかで一日に五百円ないし六百円の賃金を払う。これは東京と同じです。むしろ高い。そして電力はもう少し高い。これもやはり倍近い。電力が高くて賃金が高ければ、産業が興るはずはない。そこへもってきて、北海道の開発は、人間がいなければ開発できっこない。賃金が安ければ人間が食えないという点で、私はまあいろいろ九電力の問題があるでしょうが、やはり地域差というよりも、北海道がああいうふうに大きく開いておっては、一方において北海道の総合計画をやっても、電力の地域差というものに手をつけないということでは、何にもならぬと思いますが、そういう点について、私は当然北海道の電力の地域差というものは、北海道開発の一環として、賃金問題とともに、電力問題というものを片づけなければ、あの北海道担当の大臣が、幾らジープで北海道をとんで歩いても、どうにもならぬ、私はこう思いますが、そういう点についてはどういうふうに長官はお考えになりますか。
  191. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) ただいまお話しのごとく、北海道のごときは、どうしても日本の人口配分というふうな点からいい、また今後の未開発資源が豊富であるという点から考えて お説のごとく、電力はもうできるだけこれ心安くするということにし、また住んでいる人たちも、今のようなあの釧路とか、ああいう寒い所に、九州と同じような家に住ましておいて、そうして移住しろとか行けとかいっても、無理である。そういうような点は、実施計画等も勘考いたしまして持っていかなければ、根本的な解決はできないだろうということは、ただいま河野委員のおっしゃったことと全く同感でございまして、そういうふうな方針で今後進んでいきたいと私は存じております。
  192. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうすると、結論は、北海道の電力というものは、ある程度政策的に手を打たなければならぬ、こういうお考えをお持ちになっておる、こういうことですか。
  193. 高碕達之助

    ○国務大臣(高碕達之助君) 電源開発会社としては、幾春別、それから糠平、足寄というふうな所をだんだん開発いたしまして、もうこの十一月にはある部分の発電もできるというふうなことになりまして、だんだん豊富なる、かつ低廉なる電力が供給できると存じますから、あれが実行に移りますれば幾らか可能になり得ると存じております。
  194. 古池信三

    ○古池信三君 昨日私が要求しておきました生産性向上の問題、これについて詳細なる政府側説明をお聞きしたいんですが、きょうは時間も過ぎましたので、これはまた他日説明をしていただくことにしまして、二、三、質問だけいたしたいと思います。  一体この生産性の向上ということ自体は、非常にこれは大賛成で、けっこうなことだと思いますが、政府としてこの問題を本気に取り組んでやられるつもりなのかどうか。ただアメリカからそういう勧めがあったからやるとか、あるいは西欧諸国でもやっているから、おつき合いにやるんだというおつもりなら、これはやっても大した効果はないと思います。本気になってこの問題を取り上げて、日本の産業知命くらいのつもりでおやりになる、そういう迫力を持っておいでになるかどうか、これをまずお聞きしておきたいと思います。
  195. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) いや、むろんこれは、アメリカから勧められずとも、やるべきことだと私は考えております。実は生産性向上本部の話が始まったのは、私が通産大臣になる前からでありますが、これはもうぜひ強力にやりたいと考えております。
  196. 古池信三

    ○古池信三君 それからこの生産性の向上をやる産業については、特別に重要な産業を選んで、こういう産業については特に力を入れてやるというのか、あるいはもうあらゆる産業を全面的に、どの産業もくまなくやろうというお考えなのか、それを一つ伺いたいと思います。
  197. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 現在のところでは幾つか、今チームができているのも限られておりますから、全部やるというわけではありませんが、しかし日本には中小企業があるものですから、中小企業については特に注意をしてもらうようにし、この間も名古屋付近のチームが、中小企業の人たちに行ってもらってやっております。
  198. 古池信三

    ○古池信三君 それから、お配り願った資料をちょっと見ますと、生産性本部の予算というものは、国から五千万円の補助ですか、それから民間の寄付金あるいは受益者負担金が一億三千万円、これは大体寄付金あたりは予定通り入っておるのでしょうか、どうでしょうか、担当官の方から……。
  199. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) お答えいたします。大体受益者負担が工になっておりますので、事業が進展するに従いまして入っております。
  200. 古池信三

    ○古池信三君 それからこの余剰農産物の方も、これは時期が少しおくれたようでありますけれども、確実に入るのか、どうか。
  201. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) そういうふうに政府部内で進んでおります。
  202. 古池信三

    ○古池信三君 国の補助金の五千万円というものは、一体何に使われているのですか。
  203. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 積算の基礎はいろいろございますが、生産性本部事業に対しまして、一般的な補助金として出ております。
  204. 古池信三

    ○古池信三君 これは、五千万円といえども国庫の金を使う以上は、よほどこれははっきりと有効適切に使われるように政府は指導してもらいたいということを私は要望すると同時に、先ほど大臣のお話のように、ほんとうに徹底して、この日本の産業の生産性向上をやろうというなら、五千万円くらいでは少いではないか。これはもっと相当額の予算を組んで、力を入れてやらなくちゃならない。またそれだけの値打のあることではないかと思うのですが、これに対してはどんなにお考えになっていますか。
  205. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) これは御説の通りです。本年度はさし、つめでありますから、これでスタートしましたが、来年度からはもっと一つ強力に予算も増額しなければならぬと考えております。
  206. 古池信三

    ○古池信三君 こういう仕事は非常に国民的な運動としてやらなくもやならぬと思いますので、なまはんかな、不徹底なことであったら、これは大した効果はない。やる以上は、あくまでも徹底的にやるべきだ。こういう考えを私は持っておるわけですが、それと同時に、今やっておられることは、日本からチームを作って、アメリカの方に勉強にやる。またアメリカから専門の人を呼んで、こちらでいろいろその指導を受ける。こういうことが主になっておるようです。あるいはまたそれに伴って、普及宣伝というようなこともあると思いますけれども、実際わが国の工場設備というものは、まだまだ近代化されておらぬものが非常に多いと思うのです。従って、こうやればいいということは、よく向うへ行って見学してくるなり、あるいは当方へ来てもらうなりして、話を聞いてよくわかったとしても、さてこれを実行に移す段になると、なかなかこれはできないということでは、これは画龍点睛を欠くわけでありますから、従ってこの運動に対して、相当額の予算を政府は考えるといっておられまするけれども、それだけではやはりまだ不満足だ。結局これによって設備の近代化まで力を入れなくちゃならぬ。その設備の近代化のために、これまた相当額の予算を組むような考えがあるかどうか、これも一つお聞きしておきます。
  207. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) これはそのつもりで今検討いたしております。今までも、まあ御承知のように、設備以外にはある程度資金を出しまして、中小企業庁その他も今年度相当やっておりますが、なお生産性向上本部の研究の結果も取り入れて、その上で一つ実施するように、ぜひ三十一年度からはやりたいと考えております。
  208. 古池信三

    ○古池信三君 それほど生産性本部が非常な人員をそろえておやりになるのはけっこうですが、こういう問題についてはわが国でもすでにもういろいろ、生産性という言葉は使わなかったかもしれませんが、能率増進であるとか、あるいは経営合理化であるとか、そういう意味で既設の機関が相当あると思います。こういう既設の機関をこの際は全面的に利用して、渾然と一体になって大きな運動を進めていかないと、ただ生産性本部だけが独走していったって、それでは大した効果はなかろう、こういうふうに思うのですが、そういう場合に、他の能率団体とか、それらのものと十分な協力態勢ができているかどうか。
  209. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) 実情を御説明申し上げます。本部はいわば、何と申しますか、捕鯨におきます母船のような役目をしておるというたとえを私どもよくしておるのでありまして、つまりキャッチャー・ボートに当りますのが各団体、既設のものもございますし、もしそれが足らない場合には新たに作らなければいけないのではないか。本部自身がこまかく——こまかくと申しますか、あまり自分で実行を担当するというのは、適当ではないではないかというふうに考えて指導しております。  ただし、本部の活動は大きく分けて二面ございまして、一つは対外的な関係、つまり生産性チーム派遣でございますとか、専門家の招聘でございますとか、こういうふうな対外的な問題、これはアメリカ政府との関係上、本部みずから当らなければならない。しかし国内の関係は、極力既設ないしは、適当にない場合は、新しく作りました実行団体がこれに当るのが適当であるというような方法で指導をし、また本部もそういうふうに当っておるわけであります。
  210. 古池信三

    ○古池信三君 それからこの資料の中に受益者負担金というものが出ておりますが、これは大企業であるとか、大きな会社であればそれ相当の受益者の負担金を出すことも大したぐちでないかもしれませんが、ところが事中小企業になりますと、たとえ相当な利益があるとわかっても、相当な負担金を納めてこれに参加するということは、実際問題としては相当困難ではないかと思うのですね。こういう場合においてこそ、国の予算を使うなり何なりして、十分中小企業合理化あるいは生産性向上ということを指導育成していかなければならないと思うのですが、これらに対しては何らかの腹案がおありになるのですか。
  211. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) ただいまのところ、極力負担能力のない中小企業に対しては軽減をしたいという本部の方針、非常にけっこうだと思うのですが、ただ遺憾ながら、ただいま先生が御指摘ございましたごとく、非常にまだ財政的に基礎が貧弱でございまして、事志と違っておるのでございますが、まあ次第に財政的な基礎も、余裕と申しますか、充実いたしますならば、当然負担金におきましては、負担能力のない所はこれは軽減しなければならないのではないかということで、来年度の計画等にはそういうものを織り込んだ計画を作っておるようでございます。
  212. 古池信三

    ○古池信三君 それからまあ生産性向上をほんとうに有効ならしめるためには、やはり労働者側と十分なる理解を得て、協力を求めなければ完全じゃなかろうと思うのです。だんだんと労働団体の中でも、相当これに賛成をして協力してきておられる団体もあるようでありまするが、今なおこれらに対して協力をあまり進んでやっておらないという団体もあるように承知しておるのです。これらに対しては委員としてもよほど力を入れて、単に通産省だけでなく、労働省その他の関係省とも連絡をされまして、心から労働者諸君がこの問題に取り組んで、国の産業の興隆のためにやるのだというような気持を持ってくるように、これはぜひ努力をしてもらわなければならないと思いますが、これに対してはどんなお考えですか。
  213. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) お話のように、労働団体の方もだんだんついてこられまして、総同盟はきょういよいよ正式に参加するという調印をしました。そのほか、まあ今まともに反対しているのは総評であります。ほかの個々の組合もだんだん理解して参りまして、ついてくる傾向を持っております。われわれとしても一つこの上とも努力をし、本部も政府も努力をして、各労働団体が一致してこの運動に参加するように今努力しておりますし、今後もやるつもりであります。
  214. 古池信三

    ○古池信三君 それからこの問題は一体、期限を切ってやるのですか。あるいは恒久的にやる問題ですか。
  215. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) これのモデル・ケースと申しますか、諸外国の例で見ますと、イギリスでは終戦直後に、米国との間にアングロ・アメリカン・プロダクティヴ・センターというものを作りましたのでございますが、一昨年にそれを解散いたしました。解散いたしまして、直ちに英国だけで、なおより強力な団体を作って、この運動を推進しております。私たち事務的にやっておりましても、相当長期間にわたりまして根強くやらなければ効果もあがらない運動ではないかと考えております。
  216. 古池信三

    ○古池信三君 大体私了解いたしました。どうか一つ、この問題には真剣に取り組んで、今後強力に推進していただきたいということを要望しておきます。
  217. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまの古池委員の発言に関連しておるのでありますが、この生産性のチームを組織して、この間アメリカにずっと行ってきたようでありますが、あの行った人たちを見まするというと、ほとんど大企業中心なんですね。小さい方の人ではあまり行っておらぬ。これはチームを作って、見せることは非常に私はけっこうなことだと思うのです。しかしその仕事が大きい会社の方だけに集中しておるような感じがするのです。私はそういう点を非常に憂えるものでありまして、こういうものができると同時に、今度は小さいものの方がみなボイコットされることになるということになりゃせぬかと、こう思うわけです。  それから財政投融資のことについてでありますが、たとえば鉄鋼のことについてみますると、金を融資するところは大会社ばかりなんです。それでもう少し下った、まあ大とまではいかないでも、中でも相当やっておる所があると思うのです。そういう方には金があまり融資しておられないようでありますが、過日、衆議院にあの大阪の薄鉄板の工場の職工たちがわんさとおしかけて来ていた陳情に私は列席したのですが、つまり設備改善されていないと。それだから高くつくのだ、何とかしてくれ、われわれはもう飯の食い上げになるといって来ておったわけでありますが、融資されるのにも大会社ばかりに融資されていかれるようでありまするが、中小企業の方に対しましてはどういう方面から金を出して救っておられますか。中小企業金融公庫あたりはもうわずかな金でありますから、とてもけたが違うのでありますが、そういうたとえば八幡、富士、日本鋼管以下の会社で、こまかいものがたくさんある。そういう方面に融資はどういう口から融資しようとお考えになっていらっしゃいますか。  その二点をお伺いいたします。
  218. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 鉄の財政投融資関係のお話のようでございますが、それは鉄の会社は、これはもうみな大企業ばかりで、中小企業というのじゃないだろうと思います。いろいろ単独平炉あるいは厳正、メーカーも、これは普通の企業から比べれば大企業であります。そういうような所は、大体その合理化ないし設備更新の計画で、国の産業政策上これはぜひ推薦すべきもの、しかも午前中お話ありましたように、その結果がコストの引き下げ、あるいは製品の品質の向上、こういう方面に相当効果のあるものとしますれば、役所といたしましてもこれを推薦いたしまして、その投資の効果をあげさせたいと考えております。現に過去におきましても、単圧メーカーあるいは平炉メーカー等相当な推薦融資を行なっておるのであります。たとえば尼崎の問題、あるいは日亜製鋼の問題、あるいは淀川製鋼の問題等、いずれもそれぞれの設備の近代化、合理化等のことについて開銀から金が出ているのであります。従いまして、たまたま今年は一応各社の第一次の合理化計画は終ったわけであります。新しい合理化計画の推薦はございませんが、結果的には比較的大会社中のまた大きな方にかかっているかもしれません。しかしそれにつきましても、午前中申し上げましたように、鉄鋼関係においては特殊製鉄等の会社も、これも鉄の中では中小企業でございまして、推薦される。いずれにしましても、巨大企業だけに偏するということは考えておりません。機械企業でも同様でございます。  それから生産性本部の方の問題でございますが、これはたまたま参りました第一次の計画の中で、鉄のチームのごときものはあるいは大会社等があるように見受けられるかもしれませんが、しかし先ほど課長から申し上げましたように、中小企業の方も、現在名古屋地区の中小企業のチームを派遣しております。それからおって自動車部品でありますとか、あるいは靴の関係等につきましても、それぞれチームを派遣しまして、向うのいろいろな現実のやり方を学ばせたいと考えております。まあこの選んだ会社の中にも、どうも鉄の大きなものばかりがというお話かと存じますが、これは必ずしもそうではございません。たしかこの間参りました中でも、鉄の中では比較的中小の部類にある会社もあったかと存じます。決して大企業とか、あるいは巨大企業だけにどうということはないと思います。なおこの運動は先ほど申し上げましたように、将来とも続けられますので、落ちた会社はこの次ということもございましょうし、全体としてこの生産性を向上し、製品の価格を下げるというような運動として展開して参りたいと、かように考えております。
  219. 海野三朗

    海野三朗君 先ほど拝見しました鉄鋼のあれなどについては、大きい会社は五つか六つしか載ってなかったでしょう。だから、もう少しこまかい方の面にお金を融資してやらなければならぬのじゃないかと私は言うのです。その点はいかがなものですか。
  220. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 私が申し上げました意味は、小さい会社の方も、それは設備資金需要といいますよりは、むしろこれはいろいろ操業合理化あるいは整理というようなものがあるわけであります。で、こういうお金はずっと開発銀行から出すわけには参りません。これはむしろ運輸資金類のもので、やはり設備の近代化、合理化という点で、全体の国の設備能力等を考えまして、これはと思うものに出そうと思いますが、プルオーバーの転換の問題のお話がございましたが、これは実は前々からの問題でございまして、これは端的に、一体どういうものに転換したらいいかということのまず計画の問題があるわけであります。もう一つは、薄板のストリップで大規模になります方式では、やはりものによりましては、ことに極薄なんかはやはりプルオーバーの方がいいものができるということがあります。必ずしもプルオーバー設備全体をやめる必要もございません。その点は、むしろ現在プルオーバーにのっております各社計画を、一応役所で転換等をもう少し見なければならぬ。まだ的確に出て参りませんので、実は今年度の融資対象に持っていくということには参っておりません。これもいろいろ棒でありますとか型でありますとか、他に転換されましても、これまたその方の設備向上の問題がありましょうから、これはもう少し慎重に検討する必要があると、こう考えております。
  221. 海野三朗

    海野三朗君 その開銀の方からはあまりこまかい所に出されないというお話でありますが、少し下った所に融資するのにはどの方面から出ておりますか、その金の出口。開銀でないとすれば、どういう方面から金を融資する道がありますか。
  222. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 財政資金関係のあります融資機関としては、開発銀行中小企業金融公庫くらいのものであります。しかし先生のお話でございまするが、開銀は決して大企業にやっておるわけではありません。繰り返して申し上げますが、今年も機械関係等につきましては相当中規模、いわゆる中小企業金融公庫でいいます中小企業の範囲ではございませんで、もっと大きいところでございますが、その辺のところはこれは本年もいろいろ考えております。従って、まあ鉄はたまたま本年に、先生御指摘のようなところの改良計画はございません。従って、それを取り扱わなかったというだけのことでありまして、過去におきましては鉄のうちでは比較的中小のものも取り上げてやっております。また今後その機が熟しますれば、決して鉄のうちの、小さいからこれは開銀対象にならないというようなことはないと考えております。要はその計画の適否いかんと、こういうように考えております。
  223. 海野三朗

    海野三朗君 それによって、つまり開銀から来る場合もあるというお話ですが、中小企業金融公庫だけじゃ金は小さいのですよ。それ以上のところはどういう口から出して融資をされるかということを、私伺いたい。これが一点。  それからもう一つ最後に、米国から五十万ドル、それから百万ドル、これは議会で計上されておるというが、これの利子はやっぱり四分ですか。「日本生産性本部について」というこのパンフレットの中の二ぺ−ジにありますこの五十万ドル、百万ドルというのは、これはやっぱり利子は四分ですか。この点と、今の中企業ぐらいのところに融資するのは、開銀以外にどういう所があるかということを伺いたい。この二つを……。
  224. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) あとの方のお話でございますが、これはまあ長期の設備資金融資機関としましては、御承知のように、興業銀行もございます。長期信用銀行もございます。これは財政資金そのものではございませんが、金融債の引き受け等を通じまして、ある程度財政とのつながりのあることでございます。国の政策として開発銀行資金を出すのは無理だけれども、まあ興長銀等である程度のベースに乗るものであれば、これは興長銀の方から出るかと思います。また適当にわれわれの方であっせんしているところもございます。  それからこの五十万ドル、百万ドルの関係、これはアメリカの予算の支出でございますから、金利の問題はございません。
  225. 海野三朗

    海野三朗君 日本で借りるわけでしょう。
  226. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 借りるわけじゃございませんです、これは……。
  227. 海野三朗

    海野三朗君 借りた形になるのじゃありませんか。
  228. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) この本年度の五十万ドルと来年度の百万ドルでございますが、これはまことに簡単な資料で恐縮しておるのでございますが、お手元の資料に書きましたように、「渡米チームの滞在費、招へい講師の謝礼、渡航費、諸資料費等については米国政府がその対外援助費から支出することになっており」と書いてございます。それがこの五十万ドル、百万ドルということでございます。くどくなりますが、具体的に申しますと、生産性チームが向うに参ります場合に、渡航費は日本側では負担するのでございますが、サンフランシスコから先の旅費と滞在費と、一切米国政府が持ってくれるわけでございます。その費用等を集計しまして本年度は五十万ドル、これは完全なる向うの支出でございます。
  229. 海野三朗

    海野三朗君 向うの支出でありますから、結局これはMSAから来ているわけでしょう。そうじゃないですか。このお金は、向うで支出してくれるというのは。これは何も金利を払わなくてもいいわけですか、こういうものに対しては。
  230. 乙竹虔三

    説明員乙竹虔三君) これは米国政府の予算に計上されてございます向うの政府の支出でございます。
  231. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと、質問というのでもないけれども生産性本部の話はまあ、いずれあらためてもう少し詳しく伺いたいと思うのですが、さっきの中小企業の問題の点ですがね。まあこれは私の経験は古いけれども、私も昔、そのときは産業合理化という名前で生産性の向上ということをやった時代があるのです。そのときの経験にもやはり、そのときはまあアメリカのそういう方のテクニカルの方は、いわゆるテーラーのシステムが主であった。今日ではテーラーについてはいろいろ批評もあるし、アメリカももっと進んでおるでしょう。そのときの私の考えは、どうもアメリカ流の生産性向上の技術は日本の中小工業には非常に不適当である。そういう意味で、一切その方法をやらない。そのときはどこに何があるかというと、アメリカ流の技術の方じゃなくて、日本の組織の雑然たるところにある。私は最近のことは知りませんが、もし日本の中小企業の方の生産性が低いその一つの原因が、私が昔やったと同じような点が今日本の状態にあるなら、これは何もアメリカへ行ってお手本を習う必要はないのだ。日本日本自体で考える方が手っとり早い。そこでそういうことをやるのに、アメリカから金をもらっておるから、何かアメリカ流のそういうテクニックを用いないといけないのかどうかということ、もしそれがかまわないというなら、生産性本部は、中小企業に関して私は実情を知らないけれども、これが過去と同じような実情であるとするならば、やはり日本独特でやった方がいいと思うし、それならば今の組織がいいかどうかということは問題になると思います。この間の法律でも企業組合ですか、関係して、いろいろ中央会なり、あるいは何か今度できることになったでしょう。私は一体そういう協会こそこの問題の一つを取り上げてしかるべきものじゃないかという気がするのです。これは意見でございませんが、そこでそういう問題がだんだん来たときに、アメリカから今そこで援助をもらっておるようだが、その生産性本部というものに対する政府の予算もそうであるし、アメリカが貸すのですか、もらうのですか知りませんが、余剰農産物についての金もこちらに来ておるようだが、そういうものを分けて、今度新しく中小企業だけについてそういうことがもしやることが適当であるとするならば、分けてやれるかどうか。それはできぬと、アメリカからもらうからアメリカ流のものでなければいかぬというなら、また別に考えなければならぬのだが、そういう問題があとで起ることがあるかもしらぬということだけ一つここで申し上げておきたいと思う。それについてやはりお考えを願っておいた方がいいと、こう思うのです。これは質問じゃありませんから、この次まででいいのですから、そういう問題も一ぺん考えていただいた方がよくはないか。
  232. 海野三朗

    海野三朗君 そこで最後に大臣に私お伺いしたいのですが、農業にしましても、工業にしましても、日本の地からわいたものなんですね。日本の地からわいたもの。それでありますから、生産性向でもってチームを作って、見物するのはまことにけっこうなことなんです、見聞を広くするのですから。しかしながら、地からわいたということを忘れてはならないと思います。農業にいたしましても、これはインドに行ってみるとそうだ。インドの農業はやはりインドの地からわいたものでありますから、日本の農業をすぐさま応用はできないのです。そこにやはりインド的なものを加味しなければならないのです。そういう点から考えますと、この生産性本部も相当にやはりかじをうまく通産大臣がとっていただかないと私はいけないのじゃないか。農業にしても工業にしても、日本特有のものがあるのですね、地からわいたものでありますから。そういう点につい大臣ては何かのお考えを持っていらっしゃるだろうと思うのですが、その辺の一つ御信念を私は伺いたい。やはり地からわいた日本独特のものがあるのじゃないか。
  233. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) いや、お話しのように、日本は、日本の地からわいたと申しますか、日本の特色があるのでありますから、その特色は生かす。しかしいわゆる他山の石で、アメリカのやり方を見るなり、ドイツのやり方を見るなりして、また改めるところはたくさんあると思います。ですから、こういう機会に、ちょうどアメリカ政府からも勧誘されましたから、この機会にわが産業界の各方面の人たちがアメリカの産業を視察するということは、これはけっこうだと思うのです。ですけれども、それだけの費用で日本の産業の生産性が向上するとは私はやはり思っておりません。やはり今吉野委員長が言われたように、日本日本の欠点もあり長所もある。その欠点をこれから直すのは、やはり日本流に考えなければならぬと思うわけであります。それは十分考慮に入れてやるつもりであります。
  234. 吉野信次

    委員長吉野信次君) そこでもう一つ、皮肉に聞えては悪いけれども、石原次長さんとさつき長官がおられたとき、私は河野委員やなんかの問答を聞いておったのだけれども、あれは非常に大事な点だと思うのですよ。六ヵ年計画というものの計画、何だかさっき聞くと、計画があるのだけれども、それが大蔵省へ行ってみた−でないとわからないというような話があったから、それで、そこで皮肉に聞かれたら困るけれども、ちょっと皮肉になるのだけれども、実はこの前この委員会において言ったのだけれども、一体計画的の、計画経済じゃないかもしらぬけれども、ああいうことを計画してやるというときは、道具だてがないとやれぬのじゃないかということを申し上げたのです。そうすると、長官は、いや今度はそこで設置法を改正して、企画庁を置く。その企画庁にこの長官たる国務大臣が各省大臣に勧告をするということがある、こういう御答弁だったわけです。それで、これはおかしいじゃないか、同じ内閣のときに勧告するというのは、右のポケットから左のポケットへ入れるというようなもので、意味をなさぬということを言ったのであります。結局私の鷲見は古いと見られて、通らなくて、その通りに法律ができたわけです。そこで皮肉だと言われると困るけれども、私はこの次まででいいから、考えてもらいたいのは、大蔵省の予算云々の折衝をする前に、企画庁としては大事な六ヵ年計画の、少くとも三十一年度の計画というものはかくのごときものであるということは、これはあると思うのです。そしてまたそれが、そのうちで農林省の関係のは農林大臣、あるいは通産省関係のものは通産大臣に出す。金のかかるものは大蔵大臣に。そこで企画庁長官たる国務大臣はそのことをやれという勧告を大蔵大臣になされるかどうか、そのために法律を改正されたのだから。そうしてそこでわれわれ委員としては、これだけのものをやった、これだけの勧告をしたが、なお聞かないで、これだけの予算になったということが議会でわかれば、これは従来は、私も役人をやっておったけれども、今までの役所はそういう内部のことは門外不出なものだけれども、今度はそれがあれば、今度われわれもその企画長官の六カ年計画が非常に国家的に大事ならば、大蔵省はいかぬじゃないか、予算をふやせという手がかりができると思う。そこであの法律で改正されたその勧告権ですか、その勧告という規定をそういうように動かすようになるつもりでやったのだろうというと、皮肉になったら悪いのだが、皮肉の意味でない。せっかくやったのだから、そこを、この次の適当の機会でいいから、やはり長官として、そうしてまた私の希望からいえば、おそらくほかの委員も同じだろうと思うが、企画長官としてのなにはこうだった。これだけ努力して、これだけの勧告までやった。それでもなお結果においてはこの数字にしかできませんでしたということのお示しが願えれば、われわれは国政の審議に参与する上において非常によくはないか、こう思うのです。これは少しも、皮肉に聞かれては悪いのだけれども、せっかくやったのだから、そのくらいの意気込みでないというと、私はいつでも、河野委員が御心配になるように、金の方でみなひねりつぶされてしまっては、何のための六年計画なりや、こういうことになるだろうということを、ちょっと長官に、速記録に残しておいたのはその意味なんだが、お伝えを願いたいと、こう思うのです。   〔河野謙三君「すべてはお手並拝見ということだ」と述ぶ〕
  235. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは、本日はこの程度で散会いたします。    午後五時五分散会