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1955-07-29 第22回国会 参議院 社会労働委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十九日(金曜日)    午前十一時開会   —————————————    委員の異動 七月二十九日委員草葉隆圓君、阿具根 登君及び河合義一君辞任につき、その 補欠として横山フク君、藤田進君及び 湯山勇君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 英三君    理事            加藤 武徳君            常岡 一郎君            竹中 勝男君            山下 義信君    委員            榊原  亨君            高野 一夫君            谷口弥三郎君            松岡 平市君            横山 フク君            高良 とみ君            田村 文吉君            森田 義衞君            藤田  進君            山本 經勝君            湯山  勇君            相馬 助治君            有馬 英二君            寺本 広作君            長谷部廣子君    衆議院議員            加藤鐐五郎君            大石 武一君            大橋 武夫君   国務大臣    厚 生 大 臣 川崎 秀二君   政府委員    厚生省医務局長 曾田 長宗君    厚生省医務局次    長       高田 浩運君    厚生省薬務局長 高田 正巳君    厚生省児童局長 大宰 博邦君   事務局側    常任委員会専門    員       多田 仁己君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○請願に関する件 ○医師法歯科医師法及び薬事法の一  部を改正する法律の一部を改正する  法律案衆議院提出)   —————————————
  2. 小林英三

    委員長小林英三君) ただいまから委員会開会いたします。  本日は初めに当委員会付託請願議題に供します。速記をとめて下さい。    午前十一時一分速記中止    ————————    午後零時二十六分速記開始
  3. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記を始めて下さい。  それでは暫時休憩いたします。    午後零時二十七分休憩    ————————    午後三時四十一分開会
  4. 小林英三

    委員長小林英三君) ただいまから休憩前に引き続きまして、委員会を開きます。  医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案議題といたします。これから御質疑を願うわけでありますが、本日は提案者といたしまして衆議院議員大橋武夫君、大石武一君、加藤鐐五郎君がおいでになっております。政府からは川崎厚生大臣曾田医務局長高田薬務局長高田医務局次長が見えております。それでは質疑をお願いいたします。
  5. 高野一夫

    高野一夫君 私は提案者代表大石さんにまず伺っておきたいと思うのでありますが、あなたは昨年は衆議院に遺憾ながら議席をお持ちにならなかったのでありまするけれども、昨年休会中から引き続いて臨時国会にかけまして、この医薬分業実施の問題が、衆参両方委員会で慎重に審議されたわけであります。そのときに実施を目前に控えながら一年三カ月の延長が決定された。その延長が決定されるときにいかなることが両方委員会において討論において、あるいは質疑において最も強く希望されたかということを御承知でありますか。ちょっとあなたはいろいろな医師である議員方々とともにいろいろ御相談なさって、今回の改正案衆議院にお出しになったのであります。ところでお出しになったについては、少くともつい最近の問題であるところの、昨年医薬分業実施延期をされたというあのいきさつは十分御調査になっておると私は考える。そこでそのときに衆参両方委員が何を要望したか、どういうわけで一年三カ月延長したか、どうして一年三カ月延長せざるを得ないか、そのときに一年三カ月延長を認めるということについては、こうこうこういうことを希望するとか、希望せぬとかいろいろなことがあったであろうと考える。それを御調査済みでありますかどうか、あなたに伺いたい。
  6. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) お答えいたします。私は昨年は議席を持っておりませんでしたので、衆議院参議院におけるいろいろな論議につきましては、詳しく見聞いたしておりませんし、その詳しいことは存じておりません。ただおそらく一年三カ月延期になりましたのは、まだ実施をするには準備が不十分であるという皆様のお考え延期になったものと、こう考えております。
  7. 高野一夫

    高野一夫君 私が伺いたいのは、その点だけでなくて、各議員両方の当時の厚生委員が一年三カ月の延期を認めざるを得なかったについては、賛成あるいは反対の討論のときに、いろいろな希望を述べておられる。ほとんど附帯決議にひとしいような強い希望が出ておる、そういうことは十分お調べおきになってこの改正案をお出しになったのだろうと思いますが、それはどういう希望が付せられたかということは、あなた自身としても御調査になっておりませんか、御承知になっておりませんか。私、なければ加藤さんから一つ伺いたいと思います。
  8. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) じゃ加藤さんからお願いいたします。
  9. 加藤鐐五郎

    衆議院議員加藤鐐五郎君) 当時新医療費体系とか、そういうものも不完全であるという理由もあったように承わっておりますが、またこれは当然とにかく延期しておいて、しかる後に少し根本的にいわゆる二百四十四号を考えてみたいという考えもあったことは申すまでもないことであります。
  10. 高野一夫

    高野一夫君 遺憾ながら加藤さんの御答弁は、当時の衆議院における委員会並び参議院における厚生委員会実情と全く相違しております。それは参議院がまず先議になりまして、当時一年三カ月延長を打ち出すについては、ふたたびこの延長をやらずに、そうしてこの間準備を十分進めて分業実施をすべきであると、各委員から強い要望が付せられて、これをのんでいるわけであります。衆議院におきましてもすべての委員が、ほとんどすべての委員が、ことにあなたの所属される自由党の諸君は特に衆議院においては一年三カ月の延期期間が来たらば必ず実施する、そうしてそれまでに十分の準備を整える、こういうことを討論に対しているということは、これは速記録をごらんになればわかっているのであります。この一年三カ月の間に適当に考え改正するかもしれないというような考えは、衆議院長谷川委員が、たしか一人二人そういう人があったかもしれんけれども、そのほかのほとんどすべての委員はそうでない。特に参議院においてはそうでなかった。これはほかの委員からも御質問が出ようかと思うのでありますが、そういうようなふうにあなたがお考えになっているということは、当時の委員会についての一年三カ月延期について御調査なりお感じになり方が全然違っている、調査が足りない、こう思わざるを得ませんが、どうですか。
  11. 加藤鐐五郎

    衆議院議員加藤鐐五郎君) 私の記憶いたしておるところによりますと、当時は会期も短いことでありましたがゆえに、そういう私のような考えを持った者も相当あったと思います。私も現にそういう考えを持っておりました。
  12. 高野一夫

    高野一夫君 大石さん、または加藤さん、どちらでもけっこうです。大石さんは昨年議席をお持ちにならなかったので、どうも質問を申し上げるのがちょっと私つらい感じがするのでありますけれども、こういうような医薬分業実施についての根本的改正案を盛ったような、いわゆる大石案と称する原案衆議院に出され、そして全く医師法のことは骨抜きにひとしいと私は考えるのだけれども、そういう修正案衆議院に出された。こういうようなふうに、間近かに来年四月一日から実施せらるべき現在の改正法律、それを改正せられる意図があるならば、なぜ昨年一年三カ月延長の問題が起るそのときにおやりにならなかったか、こう私は思うわけです。そこでさらにさかのぼって、御承知通り医薬関係審議会設置法が昨年のちょうど今時分、もう少し前でありましたか、第十九国会にかけられた。これは申し上げるまでもなく、あなた方も御承知通りに、厚生省において各委員が集まって、いかにかして医薬分業実施のいろいろな具体的方策を検討しよう、こういう審議会である。その審議会ができるということは、その法案を通過させるということは、この審議会において医薬分業実施のいろいろな問題を検討させるということを御承認でなければならないはずです。もしもこういうようなちょっと大石原案、あるいは修正案のごとき、医薬分業実施根本問題に触れるような案をお出しになるというのだったら、なぜ一年三カ月延期する前にお出しにならなかったか、なぜもっと前の医薬関係審議会設置法案を出す前におやりにならなかったか。今度突如としてこういう法案をお出しになったような意図はどこにあるのか、こういうことをお尋ねしたい。
  13. 加藤鐐五郎

    衆議院議員加藤鐐五郎君) この医薬審議会というものは、親法案いわゆる第二百四十四号がある以上は、これは当然その法案改正されざる前においては、その子法案たるものは当然これは認むるのが当りまえである。ことに最後のときになぜ延ばす前に、こういう改正案を出さなかったかという御意見はごもっともな御意見でござりまするが、短期間にこういう根本的の問題を討議するということは、実際問題として政治上できないことでございます。この点は高野君御承知通りであります。それで最大公約数はとにかくそれで延ばして、その間に新たに改正すべき法案を提出するというつもりであったのでありまして、その賛成意図はいろいろあるでありましょう。しかし私どもはそういう考えのもとにあの延期をいたしたのであります。
  14. 高野一夫

    高野一夫君 昨年延期立法をやりましたときは、決して短時日でやったのではないのでありまして、第十九回国会から重ねて休会中連続して審議をして長時間かけてやったのでありますから、今日のようなこういう企てをおやりになろうとすれば、幾らでも私は機会があったであろうし、審議時間は十分あったはずであります。この審議会設置法案出して金を使わして各委員に努力さして、今日までいろいろ勉強をさせ、討議をさせながら、しかもなおかつ延期をはかって来年四月一日の実施をきめておきながら、突如として今日かくのごとき改正案が出されたということについては、私はとうてい納得することができないのであります。これは見解の相違だとおっしゃればそうかもしれぬけれども、そのときの医師である衆参両院議員方々と私は個人的に折衝したときに、その方々が何ということをおっしゃったかということは、今日私の耳に明確に残っております。私は申し上げません。そうおっしゃった方々は、おそらくよく自分の良識に訴えられて、当時の延期をやったときに、われわれはどういう考えをもってどういうことを言ったかということは、十分私は御記憶にあるはずだと考えます。これはあと質疑の状況では申し上げるかもしれぬけれども、今は申し上げません。とにかく現在突如としてかような根本的の改正案が出されたということについては、大石さん、加藤さん御両所の答弁によってとうてい満足することはできません。  そこで続いてお伺いいたしますが、私はいろいろの基本の問題についてまずお伺いして、今度の衆議院から回付された案についての問題を逐条的に伺いたいのでございますけれども、一応いりまじると思いますから、あるいは根本にさかのぼり、あるいはこの条文に触れるというお尋ねをするかもしれません。あしからず一つお含みおき願いたいと思います。まず今度の衆議院からの回付案を見まするというと、医師法の分におきましては処方せん義務発行が原則として認められているけれども、ただし書があり、しかもなおかつ一応一号から八号までの除外例が付されておる。総括的に見ましてはまことに実に巧妙にできた案で、ほとんど処方せんが出ないような仕組みになっているかのごときにも考えられるのでありますが、おそらくさような意図をもってこの文章をお作りになったんではないと考えます。そうしてまず第一取り上げていただきたいのでありますが、処方せん義務発行除外例といたしまして、ただし患者または現にその看護に当っている者が処方せん交付を必要としない旨を申し出た場合、医師自分が診療した患者処方せんをやらなくてもいいということになっておりますが、これはいかなる場合をさすのでありますか。具体的に申しますれば、患者は御承知通りに今日なおかつ日本医療制度実態を知らない。これは医者も教えない。薬剤師もどうも啓蒙運動が足りない。ここに責任があると思いますけれども日本のほんとうの医療制度を知らない患者が、処方せん交付を必要としない旨を申し出る場合、これは実際問題としてどういうことになるか、大石さん一つ……。
  15. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) お答えいたします。一、二の例を申し上げますと、たとえば患者医者からどうしても薬をもらいたいということを希望します。その場合には薬事法によりまして薬を医者がやってもいいことになっております。そのような場合には患者は薬をもらえば、別にさらに金を出し処方せんをもらう必要もない場合も相当あると存じます。その場合にはこの条文が適用されるわけであります。また今度は距離の問題が一切なくなりましたので、たとえばいなかにおります患者が、どうしても薬局へ参りますときは相当の距離がございます。そのような場合にはいなか医師より薬をもらう以外に道はなかろう、その場合には当然処方せんを受ける必要はなかろうと思うのでありまして、このような実例考えましてこのような条文ができたわけであります。
  16. 高野一夫

    高野一夫君 しからば現行法でも「患者から、薬剤の交付に代えて」、ただし書きがあるけれども処方せん患者が求めた場合には、医者はこれを拒むことはできないという規定は現在でもあります。患者処方せんをほしいと言う場合、その場合は交付しなければならぬという規定は現在もございます。今度の改正患者処方せんは要らないということを申し出た場合、必要がないということを申し出た場合に処方せんはやらなくてもいいということで現行法とは書き方が逆になっております。逆になっておりますが、あなたの今の御説明ではわからぬのでありますが、患者処方せんを私は要りませんということを申し出る場合があるであろうが、医者から薬をもらう場合そのときは処方せんは要らないのだ、こういうようなことになるのだろうと思いますが、この点についてもう少し明確な解釈一つ伺いたい。これは大橋さんからもこの点についてのもう少し法律的の解釈を伺っておきたいと思います。あとで私は具体的の場合について御質問申し上げます。
  17. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) ただいま御質問になりました「患者又は現にその看護に当っている者が処方せん交付を必要としない旨を申し出た場合」というのはこれは全く読んで字のごとき場合でありまして、患者あるいは看護者から積極的に処方せんの受領に及ばないということを医師に対して申し出をしたという法律的にはただそれだけの意味でございます。そのほかに別に含みはございません。
  18. 高野一夫

    高野一夫君 しからばこういう場合いかになりましょうか、これは大石さんの解釈大橋さんの解釈、お二人から伺いたい。医者のところに来た患者がありまして、医師誘導尋問式にあなた処方せんは要りませんかと聞いた場合にようございますと患者が言った場合、これはどうなりますか。
  19. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) 医者処方せん交付義務がありますからして、従って処方せん交付しようかどうかということを相手に尋ねることは、これは差しつかえありません。その場合に要らないと言えば、それはまさにこの場合に該当するわけであります。
  20. 高野一夫

    高野一夫君 私はそれをおそれるわけであります。患者は、私なんかも病気になったときは全くお医者さんに絶対服従でございますが、医師に対して要望があっても患者は弱い立場にありまして、いろいろな注文をつけにくい。たとえばこの注射の方がいいからしてもらいたいと思っても、行きつけの医師がこの注射がいいと言えば、なかなかこの注射をしてもらいたいということは言いにくい。そこで医者誘導して、誘導という言葉が悪ければ取り消してもいいですが、処方せん要りますかと言えば、患者はようございますと言うにきまっております。そうすると医師のところに患者が行って、そうして処方せんは要りますか、ようございます、薬はどこでもらいますか、私のところで差し上げましょうか、どうしましょうかと言われれば、先生何とかしてもらいたいと言いやすい弱い立場にある、ほとんどすべての患者がそうであろうと思います。ことに薬の場合は別としまして処方せんの場合はなおさら処方せんはどうしますかと言われた場合にようございますと言うのがほとんど、おそらく百人のうち九十何人はそういう返事をするであろう。そうするとここに一号から八号までのただし書きがありますけれども、これに該当するやいなやは別問題といたしまして、この「ただし、」のここでほとんど処方せん義務はのがれてしまう、こう私は考えるのでありますが、こういう点についてはどうなりますか。私どもはこの点について医師を信頼できるかどうかということになりますが、あなた方はどういうふうにお考えになるか。
  21. 加藤鐐五郎

    衆議院議員加藤鐐五郎君) 高野さんその点非常に御心配のようでありますが、今の実際の状態から申しますれば、さような心配さるような謙遜な方はございません、自分意思をだいぶん御発表になります。ことにこの文句につきましては、先般衆議院におきましては薬剤師側のお方の熱心なる御主張によって出たことでございまするがゆえに、さようなことは心配ないという御意見のほどであろうと、こう推察いたすのでありまして、私どもはこれを初め提案いたしましたときには、この文句原案になかったのでありますが、薬剤師業の方の御熱意によりましてこれを入れたようなわけであります。それはとにかくといたしまして、さように御心配にならなくとも十分患者の方は意思を表示されることだろうと思います。
  22. 高野一夫

    高野一夫君 加藤さんにお願い申し上げておきたいのでありますが、薬剤師出身衆議院社会労働委員が一人いることはいますが、しかしこれがいかなることを言ってその申し出でをしたかしれぬが、大石原案のようなものが出るよりは、少くともできるだけその幅を狭めて、圧縮して、しぼって条正案を作ってもらいたいということは、これは私が行ってもそうだろうと思います。それは、追いつめられてそうなったのを、本心からさように賛成したものだと軽々に誤認をなさらぬようにお願い申し上げておきます。これは余談でありますが、今あなたがお触れになったから申し上げる。そこで、私に心配する必要がないと先輩がおっしゃるのはそういうふうになるものならまことに仕合せであるけれども、今日の開業医実態から考えて、私はさように簡単に信頼することはできない。現在でも処方せんの求めがあったら交付しなければならないという規定があるけれども、これについても患者はほとんど知らない。これを患者に教えようともしない。こういうことによって、全く医療に関しては無知識である患者相手にとって、医師が要りますか、要らないかと言えば、自分の命を託した医師から言われれば、これはようござんすと言うのが、患者として、少くとも現在の日本社会における患者実情であり人情であろうと思います。それゆえに、すでに現在あちこちで、開業している医師諸君がこれで全部ひっかけられるのじゃないかということを言っておる人もあるのでありまして、これは個人々々の意見だから御随意であって、あなた方がそれをお認めになる必要もないでありましょうけれども、とにかく私はこの中ですべて誘導質問をされてひっかけられる、こういうふうに考えられるのであります。これは現在の開業医制度実態から考えて、私の心配は決して杞憂ではないと考える。これをどういうふうにしてあなた方は、もしもこのまま参議院を通過することになるならば、あなた方が、高野お前は心配する必要はないとおっしゃるような事態に日本全体の何万の開業医がなってくるように、いかにリードしてくださるか。あるいは厚生省に対して、何かこれについて十分の措置を講じさせるお心組みなり、お考えなり、希望なりをお持ちであるか、それを一つ伺いたい。
  23. 加藤鐐五郎

    衆議院議員加藤鐐五郎君) 私の信ずるところによりますれば、相当問題になっておることと思いまするがゆえに、全国の大多数の医者ほとんど全部、取り除きはございますが、この法律のあることを知りましたがゆえに、むやみに処方せんを出さないとか、あるいはこの法の精神を無視するようなことはないであろうと、こう深く信じております。
  24. 高野一夫

    高野一夫君 私は、あなたみたような方々はそうであろうけれども、あなたが信じておる、そう思っているというのでなくて、すべての開業医があなたのそういうお気持になるように、何らか適当な措置をおとりになる何かお考えでもあるか、あるいは適当な措置厚生当局にとってもらいたいと思われるような、そういうお考えでもお持ちであるかどうかということを私は伺っておる。あなたのお気持はよくわかる。
  25. 加藤鐐五郎

    衆議院議員加藤鐐五郎君) ただいま具体的にどうするということはわかっておりません。この法律実施されますれば、よくわかることであろうと思いまするし、またそれでも御心配ならば、厚生当局においてもしかるべき方法を講ぜられることであろうと、こう思っております。
  26. 高野一夫

    高野一夫君 この点について大石さんのお考え一つ
  27. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) 加藤さんと同じでございます。おそらくこの法律が制定されましたならば、厚生当局としても正しい医薬分業実施されるように、いろいろ啓蒙宣伝されるのでありましょう。そして国民に正しい医療の認識を与えることであろうと存じます。
  28. 高野一夫

    高野一夫君 大石さんも加藤さんも御自身は非常にそういう良識あるゼントルマンでいらっしゃるから、すべての医師がさようにしてくれるであろうというお考えにおなりであろうけれども、しかしながら、そういう考えに引きずっていく、指導していくについての特別な措置は、今考えおいでにならぬということだけははっきりいたしました。そこでこの問題について厚生省当局の意向はあとでまとめて伺いますから、今伺いません。  そこで、次にまた戻るかもしれませんが、もう一つ伺いたいのは、今度は、各号の一であるところの「暗示的効果を期待する場合」、これはどういうことになりますか。私はあまり医学の知識はございませんので、しろうとの私にわかるように、速記録しろうとが見てもわかるように御説明を願いたい。
  29. 加藤鐐五郎

    衆議院議員加藤鐐五郎君) これは実例を示せというお話しでございます。私から簡単に実例一つ申し上げてみたいと思います。たとえば、夜寝れぬ者がございまする、ある極量以上に達してもなかなか眠れぬ、そういうことが習慣性になりまして、どんどん薬をふやしていかんならぬような場合があるのでございまするが、そういう場合に、処方を見せますという、これでは寝れぬ、こんな薬では、この分量では寝れぬと、こう申しまするが、実際問題といたしまして、適当な処置をもって、眠れるという確信を与えますと、事実眠った例は私もしばしば持っておるのであります。これも実例でございまするのでその一つを申し上げますが、結核患者がございまして、なかなか眠れぬのであります。そこで私が見まして、今晩寝せて見せると言って、これはあまり催眠薬はどんどんふやしますというと害になりますので、乳糖を多量に盛りまして、今晩は寝れるぞと私言った。そこで、これは少しく悪い話かしれませんが、これに暗示を与えるために、婦長に向って、あまりよく寝たら起してやれといって、聞こえるがごとく聞こえざるがごとく私は話をいたしまして乳糖を多く盛ったのであります。そうすると朝まで寝た。その患者が、こんなに馬鹿によくきくが、いいじゃろうかと言ったから、大丈夫でございますと言ったのでありますが、それで四日も五日もそれを継続さしたのであります。これなんぞは私が遭遇した事実なんでありまして、この暗示的ということはそれなんであります。これは一例でございますが、そういう場合が他の疾病にも多々あると思われますので、こういう文句が使われるのであります。
  30. 高野一夫

    高野一夫君 それについて質問申し上げますが、不眠症だけですか、実例は。あなたがこの第一号に該当するような暗示的効果を期待する、そういう治療をしなければならないとお思いになる医学的に臨床上の病名はどういうものであるかということを、はっきりと伺っておきたい。速記録に残しておく必要がある。漫然とでなく……。
  31. 加藤鐐五郎

    衆議院議員加藤鐐五郎君) それを一々申し上げることはこれは別な機会において申し上げたいと思います、一例でございます。そういう場合がある。ことに、ほかの病気でありましても、平凡な薬を用いている場合がありますが、これはよくきくと言って、そうさせなければならぬ場合があります。これは医者の毎日見ておることでございますがゆえに、そういう暗示的効果を与える、むずかしい薬を使わぬ方がむしろ病状のためにいいことはあらゆる病気にあるのでございます。
  32. 高野一夫

    高野一夫君 加藤さんお年寄りだから、それでは一つ大石さんに伺いますが、不眠症だけですか、暗示的効果は……。
  33. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) 不眠症の場合は最もいい一例でございますが、その他にもたくさんございます。ただ、私どもは現在医療の実際から離れておりますので、たくさんの例を提示することは容易でございませんけれども、たとえば、いろいろと痛みを訴える患者がございます。腹痛みであるとか、頭痛であるとか、いろいろ痛みを訴える患者がたくさんございます。それらの場合は、それぞれ一々痛みがくる原因がたくさんございますが、どの原因を検討しても、痛みのくる、医者から考えて常識的に痛むはずがないと思われる場合がございます。そのような場合にも痛みを訴える患者がたくさんございます。そのような場合には、結局痛みどめを与えることが一番いいわけでございますが、御承知のように痛みどめというものは、大体において麻薬が中心でございます。麻薬をたくさんやりますことは、決していいことではございません。そのような場合には痛みどめの中に、先ほど加藤さんが言った乳糖なり何なりを適当に入れて、それ以上に暗示を与えます場合に相当効果がございまして、痛みを感じさせないことがたびたびあるわけでございます。このような場合もこれに該当する症状だと考えております。
  34. 高野一夫

    高野一夫君 先ほど加藤さんのお話に戻って伺いますが、患者が不眠症である場合に、睡眠剤を与えないで、別な乳糖なら乳糖だけを与えて、暗示的療法をやる、そういう場合があるということについて、私は決してそんな場合があるはずがないとは申し上げません。それは医学的の一種の治療方法でありますから、御随意でありますが、患者が眠れないということは、患者自身が一番知っておる。たとえば私が不眠症にかかって、私が眠れない、そこでたとえば加藤ドクターのところに、何とか一つ眠り薬かなんかで治療してもらおうとして私は行くのでありまして、医者にかかる前に患者自身が不眠症であることを一番よく知っている。その場合に、もしもあなた方が、ここでこれは暗示的治療法であるからといって処方せんを渡さないということになりましたらば、それは私はははあそれでは僕はこれは乳糖ばっかりだな、これは睡眠剤が入っていないかもしれんぞと、こういうようなむしろ逆にいろいろなことを考えないでもないと存じます。これは一つ不眠症の場合に限らず、ガンの場合でも、ヒステリーの場合でも、いろいろなそのほかの場合でも、これは今の痛みの場合でも、やはり同様であろうと考えます。それはどういうふうに解釈したらよろしいのですか。
  35. 加藤鐐五郎

    衆議院議員加藤鐐五郎君) 私のごとき老医ではだめでございますが、いやしくもその医者を信頼して、その医者の診察というものは、その人に満幅の信頼を払っておるので、そこでこの暗示的効果というものがあるわけでございます。もちろん差しつかえない薬でありましたならば、それは盛ってもよろしゅうございますが、これによって患者は非常な心服をして敬意を払わんような医者のところへは私は行かないと思う。命を預けることです。そこでこの暗示的効果というものが、非常に効果を発揮するのであると思います。
  36. 高野一夫

    高野一夫君 私の質問とすっかり的がはずれているので、重ねて伺いますが、私は暗示的療法が必要がないとかあるとかそういうことを言っているのじゃなくて、これは臨床医術の問題ですから、あなた方の世界のお仕事ですから、あなた方といえども、あなた方は衆議院議員だから取り消しますが、医師諸君の臨床は、自分の専門の範囲においておやりになる。その医術について、私何もこれは申し上げません。けれども暗示的治療法はやると、こうおっしゃるわけでしょう、その暗示的治療法、その暗示的治療法をやるのだから薬の本体、たとえば不眠症に対して睡眠剤が入っていると、こういうことを知らさないで、そうして乳糖なら乳糖で睡眠剤であるかのごとく思わせて、そうして治療をしていく、それでだんだん睡眠剤なら睡眠剤の量を減らしていこう、こういうのが暗示療法の効果である、それはそれでけっこうである。けれども不眠症であるということを、私が不眠症患者ならば、医者にかかる前に私が一番よく知っている。それだから信頼した医者にかかるのですから、薬をそこでもらえばそれを信頼して飲みます。飲みますよ。飲む上においては暗示的効果は上るでしょう。けれどもそのときにあなた方は、あなた方は取り消しますが、医師暗示的治療法だから睡眠剤が入れてないが、入れてあるかのごとく思わせて、実は乳糖だけ入れてあるんだ、こういうような意味において暗示的治療法の治療の効果を期するんだから処方せんをやれない、こういうふうになれば、不眠症である私は確かに不眠症なんだが、その不眠症である診断を伺ったにもかかわらず私に処方せんを下さらない。これはこの処方せんの中には、これはほんとうの睡眠剤が入れてなくて、何か暗示療法かなんか、ほかの重曹か乳糖かが入れてあると思うかもしれない。それはどうなります。
  37. 加藤鐐五郎

    衆議院議員加藤鐐五郎君) 理論としてはそういう場合があるかもしれませんが、いやしくも医者を信頼して来たときに医者は、これは暗示だから、暗示的薬であるから処方せん出しませんなんていう、ばかげたことを言う医者はなかろうと思います。特に処方を書いて差し上げますと、いろいろ神経過敏な人でございますがゆえに、これは私におまかせ下さった方がいいんじゃないかと言うのが当り前でございます。それで、これは暗示乳糖であるなんていうことは決して申すものではありません。第一号に該当するのであるなどという医者は治療医じゃないのであります。ことに実際問題といたしまして、理論としてはあなたの理論はあるでありましょうが、実際問題といたしまして私ども同士が見てもらうときに、何を君入れておるというと、まあ聞くな、こう言うんです。何が入れてあると、それでは君きかんよ、こうわれわれが批評しますから、われわれも聞かないんです。ところが医者に見てもらうときに、君何と何の処方をやるなんていうことを聞くものではなかろうと思います。そこに医術の妙味がございます。決して暗示々々ということを金科玉条、これが全能であると申すものではありませんが、さような御心配は私はなかろうと思います。
  38. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 関連して。私は今加藤先生のように、そう医師を絶対に信頼して必ずしもかかっておるわけではありません。それで必ずしもお医者さんの言われることだけをそのままに、まあ私と言ったらいけないですけれども日本人のある部分は、あるいは半分ぐらいは少くとも、そうお医者さんの言う通りを絶対に信頼していないと私は考えておりますが、そうしますと個々のお医者さんが薬を出さない場合といえば、大体八つぐらいあると、そうすると八つの中で一、二が多くの場合に問題になると思います。一と二がですね、それで処方せんが出ない場合は、これはどっちかと、暗示自分がかけられておるのか、あるいは自分にその病気を言ってはならない、患者に知らしてはならないほどの、重いというか、悪性の病気であるかというふうに必ず考えると思うのです。たとえば私は両親が胃ガンでなくなっておりますので、もし医者のところにいって自分が工合が悪い、これは処方せんは出さない、この薬を飲みなさいと言われたら、必ず私は、これは胃ガンになっているんだ、こういうように思うのですが、そうすれば逆にこういう場合をあげておることが暗示でなくて逆暗示を与える結果にならないかということをおそれるものですが、先生方どういうふうに……。お医者さんとして。
  39. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) お答えします。実はそのような場合もかなりあると思います。私どもはそのような場合があることをもおそれまして、私どもが作りました原案においては、このような個条書にしないで、医者がどうしても治療上、特に診療上必要ある場合と認める場合にはということで、そのような場合を防ぐ意思だったんですが、それでは法律的にあまりルーズであるという各党の皆様の御見解でもあったので、このような案に変ったのでございまして、おっしゃる通りの御心配のことはやはりあり得ると私も思います。
  40. 高野一夫

    高野一夫君 よくあなた方がガンだとか結核だとかいうお話をお出しになるのでありますが、ガンであるということを患者に知らせるというと、どうも療養上よくない、そういうときは処方せんを出さん方がいいというお話を伺うのでありますが、ガンの場合においては処方せんを出さん方がいいとお考えになるか。そうしてその場合があるとするならば、これは一号に該当するのであるか、二号に該当するのであるか、あるいはそのほか三、四、五、六、いずれに該当するのであるか、どれに該当するとお考えになりますか。
  41. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) お答えいたします。  それは大体において、このただし書きの第二号がおもでございますけれども、ときによっては、第一号なりあるいは第五号なり多少のそういうことにも関係があろうと考えております。
  42. 高野一夫

    高野一夫君 そういうことになりますと、この一号も二号も非常に解釈が重宝で、幾らでも拡大解釈ができることになりますので、たとえば先ほど大石さんが、どこか痛い、胃が痛いときに、麻薬なら麻薬、あるいは麻薬の鎮痛剤を与えるということはいかぬから、何かほかのものを与える。こういうふうな場合は、ほかに、胃が痛いとか何とかいうのじゃなくても、それに類した場合は幾らでも私はあると思うのです。そういうような場合に、一々これが一号に該当したり二号に該当したりするのでは、大ていこの中に入ってしまいはしませんか。単なる医師考え方によってこれはきめられるのでしょう
  43. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) お答えいたします。それは先ほど申し上げましたように、たとえば腹痛を起す原因は、二十種も三十種もございます。たとえば急性虫垂炎の場合であるとか、急性胃カタルの場合とか、胃潰瘍とかいろいろございます。われわれは医者でございますので、たとえば腹痛を訴える患者の場合には、必ずまず腹痛の原因がどこにあるかということを第一に調べます。腹痛はいろいろおそろしい病気がございます。急性虫垂炎、胃潰瘍、大腸赤痢であるとか、いろいろおそろしい病気がたくさんございますから、その病気が何ものであるかということを、根本的にまっ先に調べます。そしてそのような原因がわかれば、それに対処して、それ相当の麻薬なり何なりを薬を与えまして正しい処置をいたしております。ただどれにも該当しない場合には、これはヒステリー的な病状でございますが、これは一々麻薬を与えるということは正しいことではございません。従って、麻薬でない、たとえば重曹であるとか、乳糖であるとかを与えたり、あるいは適当に麻薬の量をふやさないように、習慣性にならないように、そのような処方せんを与えない方がいいと思います。また腹痛を訴える場合には、どの場合でも麻薬をやるという場合ではございませんので、その点を御了解願いたいと思います。
  44. 高野一夫

    高野一夫君 これは、あと二号、三号、各号にも該当すると思いますが、医薬分業を実際的に法律のあるなしにかかわらず実行している諸外国では、自分のところに調剤室を全然置いてない医者はどういうふうにやっているのですか。あなた方のおっしゃる暗示的治療法については、西洋医学を日本で勉強して西洋流の医術をおやりになっている日本開業医諸君が、暗示的効果を期待する場合には、そのために処方せんをやらない方がいい。そのほか、二号においても「処方せん交付することが診療又は疾病の予後について患者に不安を与え、その疾病の治療を困難にするおそれがある場合」は出さなくてもいいとこうおっしゃるが、アメリカでも、それからイギリスでも、そういう場合に、それじゃ薬を自分のところで調剤して与えましょうというならいいけれども自分のところに全然調剤する設備も何にも置いてない外国の開業医は、一体そういう患者をみた場合には、どうするのでしょうか、処方せんを渡さぬのでしょうか、どうしますか。
  45. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) お答えいたします。私も外国の実際の開業医の例を見ておりませんので、どういうことをやっておるのかお答えできないのでございますが、しかしおそらくいろいろ考えれば、たとえばそのような場合には、しかるべき病院に入院させるとか、いろいろな方法があると思います。詳しいことはお答えできません。
  46. 高野一夫

    高野一夫君 一々軽い患者に対して、不眠症であるとかどうとかいうようなものを、幾らアメリカが、そのほか英国、ドイツであろうとも、一々入院させるということは、そんなことはありっこないと思う。相手が金持ちであったり、社会保険のいろいろな特典があったりする場合は別として、そうでない者が一々自分のところで医者処方せんを書くのは、この治療の効果を伴わないからいかぬ、こういうふうに考えますのは私はおかしい。私は、外国の医師が同じ臨床医学をもっていろいろ患者をなおす場合、それを日本開業医がやるというならば、私は同じ範疇にあるべきではないかと思うのでありますが、外国じゃ事実においてはどんどん処方せん出しております。そしてそれを町の薬局に持っていって調剤してもらっているあなた方のおっしゃる暗示的効果を期待する場合であろうとも、病人に不安を与えない場合であろうと、そういう場合であろうとは問わず、処方せんを与えて薬局に行って調剤をしても、それでごうも差しつかえない。もしもあなた方のおっしゃるごとくであるならば、外国においてもそういう場合は処方せんを出さない方がいいということになるはずなんだが、外国じゃ喜んで処方せんを出す。日本じゃ処方せん出したがらないというのはどういうわけですか。
  47. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) お答えいたします。私は、外国の実例はわかりませんけれども、かりにそのような場合にも処方せんをどんどん出しているとすれば、私は、私ども日本医者の方がはるかにその点ではすぐれていると考えております。
  48. 榊原亨

    ○榊原亨君 加藤先生にお伺いするのですが、今、高野君がおっしゃるような場合には、事実医者の手元に錠剤を持っておりましてそういうものを与えることによって、今のような場合をできるだけ防ごうと努力しているように私は聞いているのでありますが、そういうお話を加藤先生お聞きになったことはないのでありますか、いかがでありますか。
  49. 加藤鐐五郎

    衆議院議員加藤鐐五郎君) 私は、錠剤というものがだんだん発達して参りまして、いろいろ調剤上まことにめんどうをかけるために、だんだん錠剤ができて、この錠剤とあの錠剤とまじえて飲ませるということが、だんだん医薬上発達してくるものだと思います。それですから、榊原君の御質問のような場合は、今後ますます多くなると、こう思っております。その場合においては、錠剤を与える場合においては、錠剤の元封のままに与えますれば、それに要領が書いてあるかもしれませんが、錠剤だけを分配する場合にはいろいろ書いてありません。
  50. 高野一夫

    高野一夫君 榊原君ないしあなた方の調査と私の調査と、ときが違うのかもしれませんが、私の承知している外国の例に関する限りは、錠剤を投与する場合でも、必ず処方せんを書いて患者に一応与えていると考えております。これは私の調査でここに報告はございませんけれども、私がいろいろ資料によって調査した結果から申し上げますれば、錠剤を投与する場合は必ず処方せん交付している。  そこで次に伺いまするが、「病状の短時間ことの変化に即応して薬剤を投与する場合」これはどういう意味でありますか。第三号。
  51. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) お答えいたします。これは非常にむずかしいものと思います。これは私たちの案が修正されたわけでありまするが、これはちょっと私どももこの例は少いかと思うのでありますが、たとえばジギタリスを投剤するわけでございます。これは大量に投剤する場合もございますし、少量に投剤する場合もございますが、そのような場合をさしているものと考えまして、この修正を喜んで受けたわけであります。
  52. 高野一夫

    高野一夫君 短時間とはどのくらい……一日とか二日とか、あるいは何時間というのですか。
  53. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) これはいろいろございます。ジギタリスの場合には、結局、量、からだの中に与えられる全体の量が問題でございますから、これは、一週間、十日の場合もございます。大量に投与する場合は、一日、二日の問題、さらに、たとえば、現在抗生物質でございますが、あのようなものを与えます場合に、四時間おきなり六時間おきに与えておりますから、こういうものもその中に入ると思います。
  54. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) これは、修正当時の予想されておりました短時間というのは、数時間程度の意味で、単位で何日というのを短時間というふうには考えておりません。念のために申し上げておきます。
  55. 高良とみ

    高良とみ君 先ほどの御質問に関連することでありますが、外国でも病気をいたしまして錠剤を投与される場合、決してその箱ごと与えたり、そういうことはしませんし、そういうものを処方でもって何日分なんという、必ずピルを三粒あるいは二粒、三日というのはほとんどない、二日くらいしか与えてくれない。そしてその状況を見てまた必ず来い、こう言いまして、非常に注意深くしておりまするから、たとえば睡眠剤におきましては、二日以上続けて飲むことは許可することがないものですから、それを間違って患者がほかのものと併用して弊害を起すということがない。その他のことにおいて、非常に厳密である。それを二日分を四日分与えたりした薬剤師は、その医者から全然信用を失うということで、完全に医師薬剤師は協力してやっているということが私どもの経験でありますから、追加して、その短期間というのは、ごくもう時間の問題、あるいはまあたまたま多くて二日以内というふうに、多くの例をヨーロッパ及びアメリカにおいて見ておるということを追加しておきます。
  56. 高野一夫

    高野一夫君 ただいま大橋さんは短期間について衆議院の修正のときは時間の問題である、こういうようなことでここに病状の短期間ごとの変化ということでありましたが、それで一日、二日ということはこの中には入らない、こういうふうに確認してよろしうございますか。
  57. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) 印刷物がいろいろ配付せられておりますが、念のために申し上げますが、衆議院におきまする委員会の修正原案におきましては短期間ではなく、短時間となっております。それによって一つ解釈をお願いいたします。
  58. 高野一夫

    高野一夫君 ただいま一つの方は短時間、一つの方は短期間となっておったものですから、そういう御質問を申し上げたのでありますが、この点は明瞭になりました。  次の第四号、これについて大石さんないし加藤さんにお伺いしたいのでありますが、「診断又は治療方法の決定していない場合」こういう場合はどういうのですか。こういう場合には処方せんを出さなくてもいいという御見解を伺いたい。
  59. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) お答えいたします。これは医者の言葉で申し上げますと、一回目には初診だけです。患者を見て診断がすっかり的中して診療方法がきまるということはあまり多くございません。実際的には何回も診察したり、いろいろな経過を見ているうちに、初めて診断が次に的確な治療方法がきまるのでございます。たとえば診断は一回目の初診でついたといたしましても、その後の治療方法なり何なりは一回だけでなく、何回も患者をみているうちに治療の方法がきまるわけでございます。そうしてそう長いことを言うのじゃありませんが、初めて患者をみまして熱のある患者がおります。その場合に何から熱がきたのか。三十九度から四十度の熱がある、その場合にその熱が肺からきたのか、結核からきたのか、腸チフスからきたのかというような診断がつきません場合には、的確な処方せんを書いて治療する薬を与えることができないのでございます。診断がつかないうちは治療方法がきまりませんから、どのような処方せんを与えていいかわかりません。しかしながらその症状に応じまして何らかの処置をしなければなりません。いろいろな薬を与えることがしょっちゅうございます。かような場合には処方せんを与えるわけにはいきません。一日二回か三回も症状が変るかもしれません。その場合に処方せんを与えることは不可能であるし、またその処方せん患者の納得のいく処方せんは出せない。診断は確定しないから、対症的なものでありますから……。従いましてこのような場合にはやはりどうしても処方せんを出さない方が治療上正しいと考えております。
  60. 高野一夫

    高野一夫君 私はここに一つの大きな疑問を持つのでありますが、患者を診断して病名がきまらぬ、とにかく何か悪い病気をしているのだが、その病気のよってきたるところがきまらぬというのに、薬を与えることがあるのですか。これがどうしてもわからぬ。
  61. 加藤鐐五郎

    衆議院議員加藤鐐五郎君) 病気がきまらぬ場合に実際問題といたしまして、あなたの病気はまだ診断を明確にすることはできませんで、それで最初から知らぬ顔をして家においでになって下さいと言うことは、医者としてはできぬことでございます。その間に何かもうしばらく症状のはっきりするまでお帰りになってよかろうというので、一種の薬を与えていくというのが、これは当然の道行きのことでございまして、それが医者患者一つの安心感を与える道でございます。
  62. 高野一夫

    高野一夫君 私は病気がきまらぬのに薬を与えるということが、最も適当な臨床医術であるということは、これはどうしてもあなたのお話を伺っても納得できません。大学病院などにおいては薬を出しますか。診察がきまらない、どうも君は熱があるが、何の熱かわからないからあしたまた来たまえ、よく見て上げようと患者にはっきり言うことが、なぜ悪いのでしょうか。その熱が結核からくるのか、腸チフスからくるのか、肋膜からくるのかわからないから、もっと慎重にみてみよう。これが良識ある医者のやり方じゃないかと思うのであるが、それをごまかしておってとりあえずこの薬をのませておけば安心がいくというようなやり方については、私はどうも昔の野蛮的な時代ならいざしらず、今日相当文化の発達した日本において、いまだに病気がきまらないのに薬を与える必要があるというあなた方の考え方はどうしてもわからない。
  63. 加藤鐐五郎

    衆議院議員加藤鐐五郎君) 実例を申します。たとえば熱が出て食慾がふるわない上に少し下痢して腹が痛い場合、それはどういう原因か不明な場合があるのでありまして、その場合にチフスの疑いがある。それでチフスの疑があるかもしれぬとこう申します場合に、その疑いが明確になるまでお前は家に帰って寝ておれということは、これは理論としてはできるかもしれませんが、決してこれはやぼの沙汰ではないのでありまして、消化器をその間に健全にしておく、あるいは頭が痛ければ緩和するということは医師として当然なことでありまして、しばらく経過を見ましょうと言ったときに、経過をみる間は何もしないで、水を飲んでおれというような不親切なことは言えまいと思いますし、また患者もあなたのようなお方ならとにかくだが、大がいの方は何かその間に一つ頭が痛むし、食慾もふるわないから、相当の対症療法を講ずるということは、医者の私は良識として当然のことであると考えております。
  64. 高野一夫

    高野一夫君 大石さんは加藤さんに比較して何十年かあとで大学をお出になった方であろうと思いますが、あなたにしてもなおかつ今の加藤さんのような答弁をなさいますか。
  65. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) 加藤さんのお答えは私は、非常に正しいりっぱなお答えだと思っております。なおそれに追加いたしまして、たとえばこういう場合がございます。急病患者をかつぎ込んできた。何の病気かわからないけれども非常に心臓が弱っていて呼吸が苦しい。強心剤を与えなければならぬ場合がございます。そういうような場合には薬を与えることが必要でございます。たとえば非常に吐いて吐いて猛烈に吐く患者がございます。このような場合に、その吐くのが何の原因からなのかわからない場合にも、その吐き気をとめることが第一の治療でございます。このような場合にも注射をしたり、薬剤を投与するということが必要だと思います。これはほんの実例であります。
  66. 高野一夫

    高野一夫君 その場合に、吐き気の薬ですよ、胃の消化剤ですよということを患者に知らせることがどうして悪いのでしょうか。これまでのあなたのお答えではよくわからない。非常に吐いている、とりあえず吐き気をとめましょうと言って吐き気の薬をあげます、こういうことになるわけなんだけれども、それが一つの対症療法になるかもしれませんが、私は診断のきまらない別に薬を与える必要はないという意味で質問をしているのでありますが、今のあなたの引例の場合の、吐き気をとめる必要があるというなら、薬をあげる必要があるかもしれませんが、その場合に原則として処方せんを渡してこれは吐き気を止める薬が入っております、病名はわからないけれども、とりあえず胃は健全にしておかなければならないから、消化剤を入れてありますということを、どうして言ってはいけないのですか。そこがどうもわからない。
  67. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) その通りでございますが、たとえば薬を投与する場合に、危険がございます場合には、医者が監督して十分その経過を見て薬を与えることが必要で、処方せんを与えることが害となるということよりも、処方せんを与えて患者の手を離させるということが危険なのでございます。そういう意味も入っておるわけであります。
  68. 高野一夫

    高野一夫君 昭和二十六年の第十国会のときに、この現在の改正法が参議院を通過して衆議院にかかったときに、当時あなたはたしか厚生委員であられたように思っております。ちょうど昭和二十六年の六月二日に、福田昌子さんが、当時の医務局長であった東龍太郎博士、これは御承知通り医学出身者、この人にこの場合の質問をされている。これは御記憶であろうと思うのでありますが、このときに同じ医学出身者である当時の医務局長の東龍太郎氏はこういうことを言っておられる。私は医者でございますが、臨床の医者でないので、専門が薬理学でありますので、従って考えがきわめて学問的でありますが、診断のつかない場合は、何も薬を出す必要はないというのが私の考えでございます。こういうふうに言っておられる。さらにこれに対していろいろ福田さんが質問しておられますが、引き続いて東さんは、私はそういうふうな自分の専門の立場から、あまり患者に対して薬をやらんで、いろいろ影響を与えるような、そういうやり方というものを信用しない。そういうことをやるべきでないという考えを持っている。こういうことで、従って診断のつかない場合に薬をやる必要はない。やるべきではない。こういう考え方を、あなた方と同じ医学をやられた当時の医務局長の東龍太郎さんが言っておられる。これは速記録に残っておる。これについては、そうすると同じ医学出身者でありながら、あなた方の考え方と医務局長としての東龍太郎さんの考え方とは全く対照的である。これは東さんの考え方が非常に誤った考え方であるということに、あなた方とすればなるわけでありますが、どういう御見解か、大石さんに……。
  69. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) その通りでございます。私は、東さんが、実際の臨床医者としては、その考え方は間違っておると断言してはばかりません。その今お読みになりました中に言っておる通りに、私は実際臨床家でないからわからないという前置きして書いてある通りであります。
  70. 高野一夫

    高野一夫君 大橋さんに伺いますが、あなたはこの病気がきまらない場合、診断のつかない場合に、薬をやるということ、そういうことが、現在日本においてはほとんどすべてが行われておる。これについてはどういうふうにお考えになりますか。それはやむを得ないことだとお考えになりますか。よってきた病気の本体がわからんのに、むやみやたらに薬をやる必要はないじゃないかという、この当時の東医務局長の考え方をおとりになりますか。どちらが正しいとお考えになりますか。
  71. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) 本修正案を提案するに当りましては、ただいまのように、医学者の間で診断または治療の方法の決定していない場合に、薬を与えるべきであるという考え方と、与えるべきでないという考え方と対立しておることは承知いたしておりますが、私は国会の立法者の立場といたしまして、そうした医学上の専門的な問題について、黒白を決定するということは考えておりませんでしたが、従ってこの問題はそうした問題をどちらに決定するかということは全く無関係に、かりにそうした場合において薬を与えるという医者があったとしたならば、やはりその場合に処方せん交付義務を免除することが至当である、こう考えてこの案を作った次第であります。
  72. 高野一夫

    高野一夫君 かりに診断が決定しない場合、治療方法が決定しない場合、薬を投与する必要がないでもないということに一応いたしました場合に、なぜ患者処方せんを渡していかんのでしょうか。それが暗示的効果とか何とか、前の方に引っかかるならば、そこへしぼられるならば別として、すべての場合に、診断または治療の決定しない場合に薬を投与する場合、その場合は暗示的効果を期待しようとすまいとにかかわらず、あらゆる場合を想定して、この場合は処方せんをやらない、これはどういうわけであるか。それまでして患者処方せんをやっちゃいかん理由があるのか。
  73. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) 今日の実際上の医者の業務の実情から見まして、こうした場合においては処方せん交付する義務を免除することが適当であると、かように考える次第でございます。
  74. 高野一夫

    高野一夫君 どうもどこまでいっても堂々めぐりでしょうがありませんが、しからば一応次に移りますが……。
  75. 山下義信

    ○山下義信君 今の問題について関連質問出したいと思う。先ほど大石衆議院議員の御答弁の中にですね、今はちょうど専門家の御論争でありますから、われわれが口を入れる場合でないのですけれども答弁の中にですね、処方せんを出さないということは、患者を離さないという目的もあるのだというお言葉があったのですね。つまり言いかえると処方せんを出すということは、患者医師との離縁状になるのだという意味の、患者を離さないためには処方せんを出さないのがいいのだと、引きつけておくのがいいのだというようなお言葉があったと思うのですが、治療上そういう場合があることもわれわれはわかりますが、ことごとくしかりというような、そういう目的が含まれているようにお答えになりますることは、いささか妥当を欠くのではないかと思いますので、その点を明確にしておいていただきたいと私は思うのでございます。
  76. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) 山下委員のおっしゃる通りでございます。そのような特別の場合にだけは、そのような心がまえもしておく必要があるが、これが広く多くの場合に適用するとは考えておりません。
  77. 高野一夫

    高野一夫君 治療上必要な応急の措置として投薬する場合、安静を要する患者以外に、薬剤の交付を受け取る者がいない。このいわゆる看護者がいない場合、こういう場合でありましょうけれども、これはどういうことになりましょうか、とりあえず第五の「治療上必要な応急の措置として」投薬する場合、これは実際問題としてはどういうことが考えられましょうか。
  78. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) 修正案を検討する際におきまする解釈といたしましては、「治療上必要な応急の措置」というのは、処方せん交付して薬剤師から薬剤を受け取るいとまがないという場合、こういう意味に解釈いたしております。  それから次の「安静を要する患者以外に薬剤の交付を受け取ることができる者がいない場合」というのは、これは本人が安静を要する、従って絶対安静の状態にある。そういう場合にその者に処方せんを与えましても、これによって薬剤師のところに行って薬剤を受け取るだけの仕事をしてくれる人を頼むことができない、こういう場合になっているというように、いずれも相当厳格に解している次第でございます。
  79. 高野一夫

    高野一夫君 とりあえずあとの方から伺いますが、自分の回りにとりあえず処方せんをもって薬局に薬を取りに行く者がいない、現在はいないかもしれませんが、また友人でも現われてくるかもしれないのでありまするし、そういう特殊な場合を想定してそういう第六号として、一般の場合として「安静を要する患者」と、こういうような場合には処方せんを渡さなくてもいいと言うが、渡したっていいじゃありませんか。それは患者がむだにするかもしれません。それをあるいはその医師から調剤をしてもらった方がいいと思ったら、もらうのです。あるいは隣り近所の人を使いに頼む。あるいは下宿をしておるならば下のおばさんに頼むということもあり得るでありましょう。それをそういうようなものがあるないということを、一々医者が家庭の事情、近辺の事情を聞いて判断をしなければならないということになるわけでありまするけれども、これは大へんなことになろうかと思う。処方せんを渡してなぜ悪いのか。それを患者が利用しようと利用しまいと、患者の随意ではないかとこう思う。
  80. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) その五はまあいろいろな場合がございますが、その六の場合も大体五に含まれる可能性が多いのでございます。で私はこの六「安静を要する患者以外に薬剤の交付を受け取ることができる者がいない場合」、このような場合はごく少い例でございまして、おそらくこれはまあ山の中に行き倒れになっておる患者を、医師がたまたま通りかかって手当するとか、医者が呼ばれて手当するとかというようなごく限局された場合だけの問題だと私ども考えております。五の場合には、これはまあいろいろ常識的に考えましても例がある場合でございまして、この場合はこの通りの……、六の場合になりますと、特殊な場合だけを考えておるのでございます。
  81. 高野一夫

    高野一夫君 今御両者の御答弁でございますが、六はきわめて山の中とか、そのほか特殊な場合、そうして五はきわめて緊急な応急の措置を講じなければならない特殊な場合、こういうようなことを限定的にお考えになって、五号、六号をお置きになったと、これでよろしゅうございますか、そういうふうに解釈して。
  82. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) おそれ入りますが、もう一回……。
  83. 高野一夫

    高野一夫君 この六は、今のあなたのお話しのように山の中とか何とかきわめて特殊な場合を考えての話である、六は。それから五は、いわゆるこれは「応急の措置」というのは、緊急治療に関するようなことでしょう。そういうようなきわめて特殊な場合であって、これまたきわめて限局して解釈された上の五号である、こういうふうに考えてよろしいですか。
  84. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) 高野委員のおっしゃる通りでございます。
  85. 高野一夫

    高野一夫君 そこでただいま私は一応こまかくまだ伺いたいのでありますが、またほかの委員からもこれについて質問がありましょうから、そのあとでいたしますが、ただいま伺っただけで、一号から八号までの間に、七号八号は客観的情勢ではっきりきまった場合、一号から六号までは全く診療に当る医師の一人考えで、勝手におそらくこのいずれかに該当せしめる、こういうことになる。そうすると、ある場合においては診断がきまらない、治療方法がきまらない、ある場合におきましては病状が短時間ごとに変化をする場合、ある場合には応急の処置である、ある場合には安静を要するのに別に看護人もいない、ある場合には病気の予後について不安になり、ある場合には暗示的効果を期待する、こういうようなことを考えた場合は、私は臨床医家でないからわからぬけれども、われわれしろうとがたとえば患者立場から考えた場合に、どうも医者にかかる大ていの場合が一号から六号までの中に入ってしまいそうな感じがする。しかし先ほどのお考えでは、きわめて限局された解釈であるという話を伺って一部分は心を安んじておる次第でありますが、普通の医師がこれを見てこれに従って医術の開業に従事する場合に、おそらく主観的に判断すれば、ほとんど一号から六号のどれかに私は入ってしまうのじゃないか、こういうふうに考えるのでありまするが、どんなものでしょう。私は医者でないからわからぬですけれども、どうもわれわれしろうとから考えて、患者であった場合を考えますれば、どれかに該当する場合がほとんどである。
  86. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) お答えいたします。これを項目にしますと一号から八号まで、だいぶあるようでございますが、これは実際直接扱います患者自体はごく一部分でございます。決して多い部分ではございません。また一部分でもあるし、四でございますが、四としましてもこれは患者をみるうちの、そのうちの患者、このような患者は、患者のうちのごく初めの段階だけでございますし、全体から見ましてわれわれが診療する場合は、これはごく一部分のものだけでございます。
  87. 小林英三

    委員長小林英三君) ちょっとお待ち下さい。皆さんに申し上げますが、ただいま本会議におきまして防衛三法案討論中でありまして、今調べさせますというと、大体五時十七分に終りそうであります。時間が間に合わないといけませんから、この辺で一たん休憩いたしまして、採決が済みましてから再開いたしたいと思いますので、五時半まで休憩をいたします。    午後四時五十五分休憩    ————————    午後五時四十四分開会
  88. 小林英三

    委員長小林英三君) これより休憩前に引き続きまして委員会を開きます。
  89. 高野一夫

    高野一夫君 ほかの委員にもうしばらく質問の時間をお許し願いたいと思いますが、先ほど私は一から六号までの中に、ほとんどの患者の診療に行った場合にはどれかに該当してしまう。従ってただし書きもそうであるけれども、一号から六号まででほとんど全部処方せんを出さなくてもいいような仕組みになってしまうということを非常に心配してお尋ねしたわけであります。  そこでさらに私は第四号に戻りまして伺いたいのでありまするけれども、この四号の「診断又は治療方法の決定していない場合」は処方せんを出さなくてもいいということになりますれば、これは診断または治療方法が決定しないで、しかもなおかつそれをしぼって特別に治療上支障がある場合、あるいは暗示的効果を期待するような場合、そういうような場合には処方せんを出さなくてもいいというのならばまだわかる。まだわかりますが、このままの文章で、診断または治療方法の決定しない間はどんな方法であろうとを問わず、処方せん出してよかろうと悪かろうとを問わず、すべてこの中に入ってしまう、これについてどうお考えになりますか。これが一点と、もう一つ、先ほど大石さんはたとえば胃が痛い、胃ガンであるか胃かいようであるか何かわからぬが胃が痛むからとりあえず痛みをとめる投薬をする、あるいはまあそれに類似したようないろいろな例をおあげになりましたが、そういうような場合は、すでに胃が痛いのだということがきまるわけです。それがもっとなお掘り下げて、それが胃ガンであるか胃かいようであるか何であるかはわからぬけれども、とにかく胃が痛い、あるいは吐きけを催す、吐きけを催したのは中毒によるかあるいはほかの症状によるかわからぬけれども、とにかく吐きけの一つの症状がある。この吐きけの症状があって、これに対して投薬する必要がある。これをとめなければならぬ。一方においては胃が痛い。その原因はわからぬけれども、胃が痛いという症状がある。これに投薬をして対症投薬、対症療法をする。これは考え方によっては、すでに胃が痛い、吐きけがあるということは、これは一つの診断じゃないか。一部診断、根本的にはわからなくても、末端的には診断がついたということにはなりませんか、ほんとうに胃かいようであるか、胃ガンであるかはわからなくても。
  90. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) 修正案をこしらえました当時の気持から申し上げたいと存じますが、実は本修正案ができます前の原案におきましては、医師処方せん義務を免除いたします場合を二つの場合に限っておったわけであります。その場合に、一つの場合は、患者または看護者からその医師に薬剤を交付してもらいたいという希望申し出があった場合、第二は「処方せん交付することが患者の治療上特に支障があると認める場合」、こういうことになっておったわけでございます。しかしてこの修正案におきましては、この原案の第一にありました患者がその医師から薬剤の交付を受けることを希望する場合というのは、これは処方せん交付についてのことであるから、厳格にいえば、その処方せん交付を必要としない旨を申し出たという場合に書き改めることがより適当であろうという判断のもとに修正せられまして、これは修正案ただし書きの前段に規定をいたしたわけでございます。それから「処方せん交付することが患者の治療上特に支障があると認める場合」というのは、修正者の気持といたしましては、この原案で実質的には差しつかえないのであるけれども、しかし原案の字句というものが「処方せん交付することが患者の治療上特に支障があると認める場合」というので、非常にばく然たる表現を用いておる。従って厳格に解すべき「治療上支障のある場合」が広く解釈されるおそれがあるから、これを厳格に制限したい、こういう趣旨をもちまして、この場合はさらにこまかく分けまして一号から六号までにくくったようなわけなのでございます。従いましてこの一号から六号までは、すべて「処方せん交付することが患者の治療上特に支障があると認める場合」の一例と申すよりも、その場合は一号から六号までの場合である、こういうふうに限定いたしました意味でございます。従って一号から六号までの字句には、あるいは厳密に申しますると、ただいま四号について御指摘になりましたごとく、治療上支障があるということが明確に掲げてないものもありますが、しかし修正者のつもりといたしましては、この「治療上支障がある」ということが大前提となっておるのであって、そうしてしかもその場合のうちで一号ないし六号に該当するものだけが処方せん交付義務を免除されるのである、こういうふうに修正したつもりであります。
  91. 高野一夫

    高野一夫君 しからば、先ほど私がお伺いしました四号の「診断または治療方法の決定していない場合」というのは、診断または治療方法が決定していないで、しかも治療上特に支障のある場合、こういうふうに限局して解釈して差しつかえない、解釈すべきものである、こういうふうに解釈してようございますか。
  92. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) 解釈といたしましては、もちろんその通りでございます。
  93. 高野一夫

    高野一夫君 私は大石君に伺いたいが、先ほど私が申し上げた胃が痛いという場合には、胃ガンであるか、胃かいようかわからない場合は、診断が未定という場合は、あなたは四号に該当するとおっしゃった。そうすれば頭が痛くても、どこが痛くても、普通の場合にはこれに入る場合が多いのである。そこで私が言った通りに胃が痛い、鎮痛剤を与えるということであれば、それに鎮痛剤を与えて痛みをとめるということ自身一つの診断がついておる。その根本はまだわからぬと思うのでありますが、そうするとこの四号にはそういう場合は該当しないのですか。
  94. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) お答えいたします。胃が痛い頭が痛いということは症状でございます。診断というのは、少くとも病名がわからないまでも、どこのところが悪いからだという場所なり何なりがわからなければ診断と申されないのであります。今言った場合は、痛いということだけでは症状だけでありまして、診断とは申されないのであります。
  95. 高野一夫

    高野一夫君 しからばさような対症療法をする場合には、病名がわからない限りは、四号の診断未定の場合に該当する、こういうふうにあなたのお考えで行くならばその点は非常に広くなる。しかも大橋さんの考えで行けば、先ほど特にそのうちで支障ある場合、こういうふうに限局しておる、こういうわけですから、あなたもそういうふうにお考えになるわけでありますか。
  96. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) お答えいたします。大橋君の解釈通りであります。
  97. 高野一夫

    高野一夫君 そういう解釈を一般の何万の開業医がされましょうか。これについてはどういうふうな方法を講じてこれをわからせるということで何かお考えになったことがありませんか。あるいは厚生省衆議院要望されたことでもございましょうか。
  98. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) 実は衆議院におきましても、審議の期間があまり十分でなかったために、新しい法案の趣旨徹底の方法についてまで具体的に論議はしておられないのでありますが、しかし私どもの常識的な基礎から判断いたしますというと、新しい法律が成立いたしましたならば、すみやかに厚生大臣において関係者に徹底するような措置を講じていただく必要があると思っております。また医師会、薬剤師会その他の関係機関に対しましても、その普及徹底につきまして十分な御協力をお願いすべきものと、かように考えておるのでございます。ことにただいま御指摘になりました一号ないし六号のごときは、きわめて解釈が微妙でありますので、これについては厳格な解釈厚生省としてはっきりお定めいただきまして、事実法律の予想した以上に広く解釈されることのないように、厳格な解釈を徹底させるように措置してもらわなければならぬ、かように考える次第であります。
  99. 高野一夫

    高野一夫君 曾田医務局長に伺いますが、ただいま大橋さんの御説明通りでありますが、私はこの法律全体に対する見解は、厚生大臣が見えてから伺いますけれども、もしもこの法律が通過した場合に、医師法二十二条のただし書き、第一号から八号までの解釈、これが誤まりなくしかも拡大解釈されないように適正に解釈されるようにどういうふうにして運営されるつもりであるか。たとえば書類でも出しますか。それとも何か通牒でも出しますか。どういうふうな方法でその周知徹底方をはかることができるとお考えになるか、簡単に一つ
  100. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 御承知のように本案は議員提出の案でございます。また議院修正を受けた案でございますが、私どもとしましては、この趣旨がどこにあるかということは、よく皆様方のお考えというものを体しまして、また十分に検討してこの運用に誤まりなきを期したいというふうに考えておるわけであります。私どもとしましては、結局書類というわけにも参りませんが、通牒におきまして、かように政府解釈し、さように運用いたしたいということを明らかにいたしたいというふうに考えております。
  101. 高野一夫

    高野一夫君 この法律解釈をして、そうして次官通牒か局長通牒で出した場合に、通牒による解釈通りにうまく徹底しないで、あなた方が通牒の趣旨に違反しておると考える、すなわち明らかに医師法二十二条の違反行為であると考えられた場合はどういうふうに処置されるつもりでありますか。
  102. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) 御承知通り今回の法案原案におきましては、医師法二十二条の処方せん交付義務に違反した場合の罰則を削除することにいたしておったのでございます。しかし衆議院の修正におきましては、やはり従来通り罰則を付加すべきことは至当である、こう考えまして罰則を残してあるわけでございます。従いまして厚生省においてお作りになりました公権的な解釈というもの、これに違反した場合におきましては、一応それは二十二条の規定の違反の所為であるという推定が立て得るわけでございまして、これに対しては当然刑事罰が適用になるものと私ども考えておる次第でございます。
  103. 高野一夫

    高野一夫君 その点は明確にお答えいただくことができましたが、そこで大石さんに伺いたいのだが、大石さんおいでにならないから、大橋さんに伺いますが、実は御承知通り薬事法におきまして、医師に調剤を許す場合は、医師みずから調剤しなければならないことになっております。ところが御承知通りにあるいは看護婦、奥さん、女中、書生というものにやらせる。そういう場合が多いように世間に伝えられかつそう見られておる。これはもしその通りであれば、明らかに薬事法違反であると考えておるわけです。それで厚生当局にお尋ねしたいと思うわけですが、私ども薬事法厚生委員会委員として立法いたしましたときには、医師みずからの調剤というものは、限局して医師がみずから手を下すという意味に狭義に解釈すべきものであるというので、医師みずからの調剤ということになったわけであります。ところが実際においてはそうじゃない。われわれもほとんど医師みずから調剤しておるところを見たことがないような状態で、こういう点については、あなたは法律家として、前に法務大臣にもなられたわけてありますが、どういうふうにお考えになりますか。これに対する取締りが厳重に行われているとも言えないかと思いますが、これは大いにどしどし取締りをやってそうして厳重に薬事法通りに励行さすべきものであるとお考えになりましょうか。
  104. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) 薬事法というものが調剤について定まっておりまする以上は、医師の調剤はすべて薬事法に従って調剤すべきものであることはもちろんであります。しこしして医師の調剤につきましても薬事法のあらゆる条項が適用になるわけでございますから、その趣旨に反するような調剤が行われる場合、これを取締るということは当然のことであると考えます。
  105. 高野一夫

    高野一夫君 薬務局長に伺いますが、ただいま大橋さんの解釈もありましたが、医師みずからの調剤行為、これが励行されていると考えられますか。またこれに対していかなる取締りをされているか、そうして取締りの結果、何らか適当な処罰と申しますか、そういうことをなされた事実がありますかどうか、そういうことについて伺いたい。
  106. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) これの取締りを薬事監視員に会いましてやったことはございます。しかしいずれも注意をして、その点についてあらためてもらいたいという注意を促した程度でございまして、このために特に罰則を適用して罰せられたという例は、実は今日まで私の承知するところではございません。この取締りについて、しからばもう少ししっかりしたらいいじゃないかというおしかりがあるかもしれませんが、実際問題といたしましては、この取締りは相当むずかしいのでございます。常時病院、診療所に参ってその仕事ぶりを見ておるというわけにも参りませんので、実際としては非常にむずかしい取締りであるということはこれは申し上げたいと存ずる次第であります。ただ全然やっておらないのではない、やったことはあるというふうに御了承願いたいと思います。
  107. 高野一夫

    高野一夫君 これは法律規定してあるのでありますから、しかも人命に関する調剤行為であるから、医師みずからの調剤行為ということに規定してあるのでありまして、これに対する取締りは、実際問題として薬事監視員が行ってもなかなかその現場をつかまえることはむずかしいと思います。そこで患者自身医師が調剤しているのか、あるいは看護婦や書生がやっているのか、奥さんがやっているのか、そういう違反行為が行われているかどうかということを患者自身がよく判定ができるように私はすべきであろうと思うのです。ところで町の薬局に対しましては、厚生省は厳重なる薬局の基準を設けておられる。たとえば調剤室は総ガラス張りでなければならない、外から全部調剤行為をやっているところが見えなければならない、こういうような薬剤師に関する調剤行為については厳重なる基準を設けておられる。ところが一たび医師みずからの調剤行為を厳格に規定されながら、その医師の調剤に対してはほとんど何らの基準がない。わずかに医療法施行規則第三章第十六条によりまして、わずかに、たった三つの、三カ条の単純なる規定が、採光、換気とかいうようなところが設けてあるにすぎない。これはどういうわけでありますか。厚生省としては、これは調剤行為が現在医師のところで行われておる、あるいは病院の薬剤部で行われ、また町の薬局で行われるとするならば、町の薬局と同じように総ガラス張りにしなければならない。なぜそういう片手落ちの基準を設けていられるのであるか。一方の方の私は薬局にこういう基準を設けたということは、薬局の向上のために非常にいいことだと思うのです。反対していない。非常にいいことだと思います。同様に開業医のところに行って薬をくれと、窓からのぞかなければ中はわからぬ、こういうようなことでなくて、町の医師の調剤がよく見えるように、どういう行為が行われているか見えるような、なぜその基準を置かないのであるか。これは医務局長の所管であるならば医務局長から、どちらでもけっこうでありますから、ここに非常なこういう区別が行われているということについて、明快に一つ答弁を願いたい。
  108. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 医療法の関係といたしまして私お答え申し上げます。御指摘のように病院の構造設備の一部といたしまして、調剤所の備えるべき条件を三つばかりあげてあるわけでございます。この病院診療所の調剤所は、これはあくまでもこの施設における医師が責任を持ちまして調剤を行うということになり、あるいはその医師薬剤師をして調剤させるということになっておりますが、一般にいかなる処方でも持ち込まれたものに対して調剤をするというふうにはなっておりません。この薬局の構造設備として最低限必要な条件というものは一応この程度であろうというふうに考えて定められておるのであって、ただいろいろ医学あるいは薬学の進歩に応じまして、必要が生じますれば、その辺は逐次また改良されて参るものと考えております。薬事法関係につきましては薬務局長から答えていただきたいと思います。
  109. 高田正巳

    政府委員高田正巳君) 病院、診療所の薬室につきましては、ただいま医務局長からお答えがございましたように、今日の法律の体制では薬事法によらないで、これは医療法関係で基準を定め、また取締りをいたすという建前に相なっております。従いまして薬事法がここまで入って参らないことになっておるわけでございます。このことは他の関係におきましても、たとえば病院で、薬品を院内で製造をいたしますような場合におきましても、同じような建前に相なっておるわけであります。その趣旨といたしまするところは、先ほど医務局長からお話がございましたように、院内でいろいろ投薬される薬については医師が責任を持つと、こういう建前で、それに必要な限度において医療法関係でこれを規制していく、こういうふうなところにその趣旨がある次第でございます。一応つけ加えまして御説明申し上げます。
  110. 高野一夫

    高野一夫君 この点について医務局長にもう一度伺いますが、現在厚生省調査でもわかるであろうと思いますが、薬局には平均いたしまして一カ月わずか二枚半しか処方せんが来ておらない。だから従って医薬品販売業とかそういう小売業をやらざるを得ないというのが実態である。その一カ月二枚半しか来ないような、調剤ができないような薬局にそういうむずかしい基準が設けてある。しかも一方開業医や診療所、あるいは病院の薬剤部なんというものは毎日数十の調剤が行われておるところである。そういう意味においては、数からいたしましても、患者自身立場からいたしましても、調剤行為に関する限りは、現在は少くとも医師の調剤室なり、病院の薬室なるものが薬局の調剤室よりははるかに重要性を持っていることになるわけです。それをただ一方は一般に開放している、一方は特定の患者である、こういうことの理屈だけでもってこういうような基準の相違を置くことは私は妥当でないと思う。そして今のあなたの御説明を聞くと、実際問題からして患者立場から考えて、まことに私は当を得ないと思うが、この医療法による病院の、あるいは診療所の調剤所、薬剤部なるものについての基準、規格を、薬事法による薬局に対する規格、基準に匹敵するくらいに改善させる、基準を高める、こういうふうにあなたはこれを改めていくことはお考えになりませんか、曾田さん。
  111. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 先ほども申し上げましたように、医学、薬学の進歩に応じましてこれを改めていくということは考えております。
  112. 高野一夫

    高野一夫君 医学、薬学の進歩に応じてはどっちも改めることは必要であります。これはもう当然のことであります。伺わなくてもわかり切っている。そこで現在の薬局におけるそういう高度の基準が設けてある。それと対して、病院、診療所の調剤所の基準をどうお考えになるかということを私は聞いておる、だからそういうふうに病院、診療所の調剤部、薬剤部の基準を高度に高める、あるいは総ガラス張りにして患者から見えるようにして調剤をする、もっと医者の調剤も薬局同様の基準によるようにされてしかるべきだろうと思う。しかも現在において調剤行為は、町の薬局よりも病院、診療所の調剤部の方がはるかに数十、数百倍の調剤が行われておる。この実態を見て、あなたはどういうふうにお考えになるか、これを改正されることについてお考えになったことはないか。
  113. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 先ほども申し上げました通り調剤数の多少ということは別といたしまして、建前といたしまして、広く大ぜいの不特定の医師から送られました処方に対して、調剤能力を持っておる薬局というものと、医師がみずから診療いたしました患者というものに対して投薬をいたす、薬品の調剤をいたすというところでは性格がかなり変ると思うのでありまして、私どもとしては必ずしもそれは同規格でなくてもよろしいというような考えを持っておりますが、現在の医療法の規定のままでいいかということに対しましては、先ほど来申し上げておる通り、私どもといたしましては、時々実情に合ったようにこれは改正して参るべきものであるというふうに考えております。
  114. 高野一夫

    高野一夫君 大石さんに伺いますが、これはあなたの原案に従っておるようなことであって、原案はすでに修正されたものが配布されておるのでありますから、あえて原案には触れないつもりでありますけれども、この改正案が提出されたゆえんのものは、結局は医薬分業なるものの実態を破壊して、骨抜きにして、そうして薬剤師の調剤行為を封ずるか、あるいは少くとも医師の調剤行為と薬剤師の調剤行為を同格に見るというのが、あなたの最初のお考えであったわけです。そこでその点には、それは改正されたから触れませんけれども、いわゆる新医療費体系を定めますときに、診療報酬と、調剤報酬をはっきり経済的に区別いたしました。これは現在厚生省でさらに調査を進めておるわけでありますから、この秋には決定をするということでありますけれども、この医師の技術と薬剤師の技術を中心にして技術料をもとにしたところの診療報酬と調剤報酬を新体系で区別したということは、どういう意味であるかということをお考えになりますか。これは非常にこの改正案と実質的な関係があるのであります。
  115. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) ただいまの調剤報酬と診療報酬と区別して、その両方をもり立てていくということは医薬分業の建前に浴う正しいことだと考えております。
  116. 高野一夫

    高野一夫君 しからば、医師の診療行為に対する技術をもとにした診療報酬と薬剤師の調剤行為に対する技術をもとにした調剤報酬を区別したことは、明らかに診療行為と調剤行為、薬剤師の業務と医師の業務とが患者に対して区別せらるべきものであるということを、報酬の経済の上で認めるものであるというふうに確認されることですね。今の答弁はそうでありますね。
  117. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) 原則的にはその通りでございます。
  118. 高野一夫

    高野一夫君 病院におきましては実質的に医薬分業が行われておるのでありますかもこれはとういうふうにお考えになりますか。あなた医師会の人としてお尋ねするのは妥当でないが、医学をやられた人、医師であられる人がよくおっしゃることには、この調剤行為と投薬行為と診療行為とが区別せられることは、治療上の責任を負えないことになる、こういうお考えがあって、しかもそのお考え根本になって今度の医師法改正案のごとく、できるだけ処方せんを与えないで、できるだけ医師の手元で調剤した方が治療上いいという考え方がその根本にひそんでいると思う。そこでこのことについて私は伺いたいのでありますけれども、病院においてすでに医薬分業が実質的に行われているのです。これでもって診療医師の責任が負えないというようなことがあるとお考えになりましょうか、これで十分であるとお考えになりましょうか。いや、加藤さんでなく、これは大石さんに伺っている。
  119. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) お答えいたします。お名ざしをいただきましてまことにありがとうございました。実は別に——われわれは初めて草案を作りましたときには、決して調剤と診療を別々にしては絶対に診療の責任が負えない、うまくいかないと考えたからではないのでございます。私は医薬分業でけっこうだと思います。この法案も、草案ではその建前になっておりますが、現在の日本医療制度、ことに開業医のあり方がどうしてもはっきりと調剤行為と診療行為とを明確にし、区別するということは非常な支障がございます。考え方も習慣もなれておりませんので、それはいずれ近い将来にはそうなりましょうとも、今のうちはやはり私たちの考えた程度が一番やりいいのではないかという信念のもとにやったわけであります。
  120. 高野一夫

    高野一夫君 趣旨としてはお認めになるし、実際問題としてどうもいろいろの考え方があるということになるわけであります。これを実際問題をもって議論をすればきりがないから、ここで一応これは保留いたします。  そこで問題がいろいろあちこちにまたがってまことに恐縮千万なんでございますけれども、よくあなたがたは強制医薬分業ということをおっしゃるけれども法律医薬分業をしなければならないということをきめることがなぜ強制でありましょうか。この点が私にはどうしてもわからないのであります。法律医師は診療をしなければならない。薬剤師は薬学の知識を応用して調剤しなければならない。しかしながらいろいろ除外例は置くけれども、その原則をきめて、そういうような専門に行くことが、それを法律できめることが、どうして強制と言わなければならぬのであるか。この点についてあなたがたの御見解を伺いたい。これは加藤さんもよく強制医薬分業とおっしゃるから、加藤さんの御見解もどうぞ、御答弁おっしゃりたかったら御答弁願います。
  121. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) もし私が強制医薬分業という言葉を使っておりましたならば、それは法律できめられた医薬分業であるからということになります。
  122. 加藤鐐五郎

    衆議院議員加藤鐐五郎君) 私は、通俗にそういうことを申すかもしれませんが、私自身強制なんという言葉を使ったことはありません。通俗的にそういう言葉を使うだろうと思います。
  123. 高野一夫

    高野一夫君 今ちょっと大石さんの、聞き逃したのですが、法律できめてあるから強制と称する、こうおっしゃるわけですか。
  124. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) さようでございます。
  125. 高野一夫

    高野一夫君 法律で、医師法の中に医師は診療しなければならない。しかも患者から求められた場合には拒否することもできない。そういうようなふうに医師のなすべき義務医師法できめられ、あるいはそのほか診療所に関すること、病院に関することは医療法できめられる。そういう場合にこれはすべて強制でありましょうか。たとえば弁護士法なんかがあって、弁護士はこういう仕事をするのだ、運転手はこういう仕事をするのだ、——私はいつもこういう議論をするが、判事はこういう仕事をするのだ、検事はこういう仕事をするのだ、こういうことをしてはいかぬ、こういうことをきめるのが法律だ。私の考え方でいえば、社会のいろいろな人たちが一つの学問を生かし技術を生かして、当然あるべき姿を定めたのが法律だと思う。そうするとこうしなければならぬ、こうすべきであるということを法律できめることは、ことごとく私は強制と言わなければならない。従って医師が診療するのも強制診療、運転手が運転するのも強制運転、左側通行も強制左側通行、ことごとく強制という文字を使わなければならない。なぜこの医薬分業に関する限り強制で、法律できめたものを強制という言葉をお使いにならなかったか。これは非常に一般の民衆に誤解を招く。私からいえば、これは非常に巧妙な言葉だと考えております。非常に巧妙に案出された言葉だ。いかにも医薬分業が圧迫々々で、法で無理じいに医薬分業をさせるのだという感じを与える巧妙なる言葉だと考えるけれども、そういうことをおっしゃるなら、法律のことはすべて強制だと言わなきゃならぬが、これはどうなるのですか。
  126. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) お答えいたします。私は先ほどもし私が強制医薬分業という言葉を使いましたならばと申し上げたのでございまして、私は普通強制という言葉を使っておらないように自分では記憶いたしております。で、もし不幸にして使っておりますならば、それはいわゆるまくら言葉でございまして、深い意味はございません。
  127. 高野一夫

    高野一夫君 もうよく御意思はわかりましたから、強制分業の問題はそれでおしまいにいたしますが、そこでもう一つ、今度は加藤先輩に伺いますが、よく日本の医学は、日本の医術は昔の日本の漢法医時代からの長い間の習慣、しきたりもあるので、そこですべて患者医師のみを信頼して、そうして医師がいろいろの仕事をやる——診療行為に限らず、調剤もやり得ることが長い間の習慣上からいっても非常に理想的なことであるということがよく医師諸君から言われているのでありますが、これについてあなたはどう御判断をなさいますか。
  128. 加藤鐐五郎

    衆議院議員加藤鐐五郎君) 日本は従来そういう慣習になっておるのでありまして、法律をもってその慣習を一挙にしてこれを除去するということはできないのでございまして、医薬分業という精神はわれわれはよくわかっておるのでございまするが、日本の今までの慣習が何十年間にわたって、いまだこれが完全にあなた方の思うように実行せざるゆえんというものは、国民がそれにまだ至っておらないのでございまして、すなわち私ども医師薬剤師とのかれこれ議論でなくして、いかに患者が治療に対してどちらを、どういうことを信頼するか、どちらが便宜であるか、どちらが安価にいくかということを私は国民自体が判断をして、かような状態になっておるようなことであろうと思うのでございまして、法律をもって直ちにこれを実行せよということは、これは啓発していくことはけっこうでございまするけれども、それを直ちに実行することが多年の慣習、現実の、現在の事実がこれにまだ到達しておらぬことであるのでありまして、これは国民の常識に待って漸次移行すべきものだ、こう考えておるのでございます。
  129. 高野一夫

    高野一夫君 誤まった慣習、あるいは誤まりでなくても少くとも社会生活上適正でない慣習であると考えられることについて、政府のみならず、その業務なり、その仕事に携わっておる者が、その適正ならざると考えられる慣習を改めることに率先してお互いに協力すべきものだと私は考えますが、それはいかがお考えになりますか。
  130. 加藤鐐五郎

    衆議院議員加藤鐐五郎君) でありまするがゆえに、この原則におきましても、医師法二十二条においても、原則にはあなた方の御主張を認めたわけでございまして、薬事法においても修正されましたるところのなにではそれを認めておるわけでございます。理想と現実とは違うということを申し上げておるのであります。
  131. 高野一夫

    高野一夫君 明治初年に医薬分業をその原則としてきめられてから、今日まですでに九十年近くなるわけでありますが、その間関係者がこの慣習の、昔の徳川時代からの誤まった適正でない慣習の改善に協力した事実があると考えられましょうか。私が承知している限りでは、すなわち医薬分業なるものは国民、患者の問題であるにかかわらず、医薬双方の闘争として八十数年来来ている。この事実が、適正ならざる慣習の改善に医師諸君が私は協力をしてない、むしろそれをふさごう、ふさごうとされて今日に至ったということは、長い間の国会中心の闘争、そのほか外部におけるいろいろな論争、対立、こういう協力すべき両者がそういう対立、抗争を続けて、患者にかわって論争を繰り返してきたという事実が、私は証明して余りがあると思う。それであなたがおっしゃるがごとくであるならばまことにけっこうだが、その事実が九十年来現われていないということは、まことに私は遺憾であると思いますが、あなたはこの事実をどういうふうにお考になりますか。
  132. 加藤鐐五郎

    衆議院議員加藤鐐五郎君) 私は現状におきまして、医者は治療の全責任を持っておりますがゆえに、全責任上こういう立場に立っておることであろうと、こう存じます。もしそれ実際それが現実に即したものでございましたならば、法律を出さなくても患者自体もうすでに何十年の経験を経ておることでありますがゆえに、医薬分業を国民の全体が要求することであろうと思います。夏暑くなれば法律を出さなくても薄着をします。これは明白な事実でございます。私はこの間も申したのでありまするが、羽織はかまでおれといったところで、やはりセビロが便利でありまするがゆえに、たれ言うともなくセビロにかえて参ります。これは実際の要求でありまするがゆえに、もし患者が、多数の病人が医薬分業をすべしという声が起りましたならば、医者の論争も薬剤師の論争も、それはのけておきまして、国民自体が国民自体の思想を必ず敢然として叫ぶことであろうと思います。そこに至らざるのは、これはいろいろの事情がありまするがゆえに、現実になお適さざることであろうと思う。しからずんば何十年来の論争が解決せざるを得ないのであります。国民は今の医者が治療の責任を持つことに私は信頼を払うというと、あなた方には少し気持が悪いかもしれませんが、そういう信頼が払われている現実であると、こう思います。
  133. 高野一夫

    高野一夫君 私は加藤さんに伺いません。大石さんに伺いたい。あなたは話がよくおわかりになると思うので、あなたに伺いたいのでありますが、日本の世の中は、私が申し上げるまでもなく明治時代、いろいろの社会的な改革が行われた。ことごとく法律規則によって一つの段階がつけられている。それがなぜ医薬に関する限り、法律規則によって段階をつけることがいかぬのであるかどうか。医療制度に関する限り、なぜ法律によって段階をつけて社会のいろいろの改善をはかることをなぜ諸君は反対されるのであるか。これがどうしてもわからない。民法の制定にいたしましても、刑法の制定にいたしましても、そのほかすべてが法律規則によって社会の改革が行われている。なぜ医薬制度だけそれがいかぬのであるか。その点についてあなたの方のお考えを伺いたい。
  134. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) お答えいたします。私もこの医療制度も当然法律を土台にして行わるべきであると思っております。その意味におきまして、私は法律医薬分業の制度を制定いたしましても、私はそれが決して悪いとは申し上げませんし、それに進んでいきたいと思いまして、私どもも草案を作ったわけでございます。ただ法律の二百四十四号は、来年の四月から実施するにつきましては、やはり今までの国民のものの考え方なり習慣なりからいたしまして、少しいろいろと不便な点があるように考えましたので、この程度の修正をいたしたのでございまして、決して法律を土台とすることに反対いたしておるものではないのでございます。
  135. 高野一夫

    高野一夫君 あなたのお考えの方がどうも適正であるように感じます。まあこれでその点については質問はやめますが、そこでこの改正案について伺いますが、これはいつから実施することになりますか。そうしていつから実施されてこれが直ちに、たとえば公布の日から実施されるということになるならば、少くともこの処方せん交付除外例改正するということは別問題といたしまして、この原則の実施というものは、公布の日から実施されるということになれば全国一円と、こういうことになるわけであります。そういう点についてのお考えはどうなったのであるか、修正案をお作りになった大橋先生の一つ考えを伺っておきたい。
  136. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) この法律は題名におきましても、医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律の一部を改正する法律、こうなっておるのでございます。そこで医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律というものは、昭和二十六年法律第二百四十四号をさしておるのでございまして、この新しい法律実施によりまして、公布の日から昭和二十六年法律第二百四十四号がかくのごとくに改正されることになりました。しこうしてこれが、それではいつから現実に適用されるかということになりますと、それは昭和二十六年法律第二百四十四号の適用の時期からその一部として実施される、こういうわけでございますから、従って来年の四月一日、新法実施の際に、こういうふうに現在の改正法を改めた上で実行に移す、こういう段取りになっております。
  137. 高野一夫

    高野一夫君 この点は非常に誤解を招く点だろうと思いますが、今のお話で、少くとも解釈としてははっきりいたしました。そうすると、これは公布されましても、とにかく来年の四月一日現在の改正法律実施される、いわゆる延期になったその期日でなければこれは運用されない。こういうことになるわけですね。
  138. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) さように解釈いたしております。
  139. 高野一夫

    高野一夫君 それからもう一つ。これは私医薬分業実態でも何でもないと思っておるのでありまするが、これがもし医薬分業の原則とかりにいたしましても、この法案の発効、そのほか、来年の四月一日からこれが実施されるといたしまして、地域的にはいかが相なりますか。
  140. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) この法律は先ほど申し上げましたごとく、昭和二十六年法律二百四十四号の一部として実施されるわけでございますが、この昭和二十六年法律第二百四十四号は、地域的に全国一斉に施行されることになっておりますので、従ってこの条文は全国一斉に施行されることになるわけでございます。
  141. 高野一夫

    高野一夫君 私は厚生大臣にちょっと見解を最後に伺いたいのですが、厚生大臣を呼んで来ていただきたいのです。
  142. 相馬助治

    ○相馬助治君 議事進行。厚生大臣を要求したようですが、その間暑いのにこうしてわれわれはほとんど待っておるわけにもいかないのですから、委員長よろしくやっていただきたい。というのは理事会において、本問題の重要性にかんがみて、専門的な方から質問をやるということがきめられておるから、私たちは聞きたいことが山ほどありますが、専門的な方に敬意を払って、関連質問等を発することが問題の進行策にはならぬと思って、先ほどからがまんしているのだということをつけ加えて、議事進行上の発言をしたい。
  143. 高野一夫

    高野一夫君 ちょっと速記をとめて。
  144. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記をとめて。   〔速記中止
  145. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記をつけて。  どうですか、今高野君から、厚生大臣が来るまで待ちたいと言っておりますが、その間ほかの諸君から他の質問をなさいませんか。
  146. 相馬助治

    ○相馬助治君 速記をと止めて下さい
  147. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記をとめて   〔速記中止
  148. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記をつけて。
  149. 相馬助治

    ○相馬助治君 ただいま議題になっておりまするのは、その内容とするところが衆議院修正案でありまして、これは予備付託になっておりました同名の法律の内容とは全く違う、全くという言葉はおかしいが、違うものなんです。そこで私どもとしては突然と言っていいほどにこの案を見せられたわけで、どうしてもこの修正案がどういう経路をとって成立したか、そのことを明らかにしておきたいと思うのです。特にここには全会一致をもって共同修正するために非常な骨折りをなされたやに聞き及んでおりまする大橋衆議院議員もいらっしゃるので、率直にこの共同修正案ができました間の事情を、そこに漏らされた少数意見等をも十分参考になるものはつけ加えて一つお聞かせ願いたいと思います。
  150. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) ただいま相馬委員から御質問のありましたこの修正案のできました経緯について御説明を申し上げたいと思います。  この最初の原案が提出せられまして、これに対しまして質疑提案者に対して行われて参ったのでございますが、この最初の案というものは、逐条に申し上げますと、第一点といたしましては、医師法の第二十二条の改正規定の変更の規定でございまして、医師処方せん交付することが義務である、これが原則であります。ただし、「患者又は現にその看護に当っている者が特にその医師から薬剤の交付を受けることを希望する旨を申し出た場合」、「処方せん交付することが患者の治療上特に支障があると認める場合」に、例外的に処方せん交付義務を免れる、こういう趣旨でございまして、こういうふうに医師法の二十二条を改め、また医師法第二十二にほぼ相当いたしておりまする歯科医師法の二十一条を同じような趣旨に改めた、これが第一点であったのでございます。  それから第二点といたしましては、ただいま申し述べました医師法第二十二条並びに歯科医師法第二十一条の処方せん交付義務に違反をいたしました場合には、改正法によりますると、五千円以下の罰金に処することになっておったのでございますが、この罰金を廃止したい、こういう点でございました。この罰金を廃止するという点は、医師、歯科医師がその職務上の義務に違反をした場合においては、当然の制裁として医業免許の取り消し、あるいは一時停止のような行政措置がとられる、従ってそれに加えて刑事罰を設ける必要はなかろうという趣旨で第二の罰則の削除の点が入っておったわけでございます。  第三点といたしましては、薬事法の第二十二条を変えること、これがその内容でございまして、薬事法二十二条によりまするというと、「薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない。但し、医師、歯科医師又は獣医師が自己の処方せんにより自ら調剤し、又は薬剤師に調剤させる場合は、この限りでない。」、これが現行法でございますが、医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律、昭和二十六年の法律第二百四十四号によりまして、「薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない。但し、医師若しくは歯科医師が左に掲げる場合において自己の処方せんにより自ら調剤するとき、又は獣医師が自己の処方せんにより自ら調剤するときは、この限りでない。」、 その医師、歯科医師、獣医師が、自己の処方せんにより調剤することのできます場合といたしまして、第一には、患者から薬剤の交付申し出のあった場合、それから省令の定めるところによって、診療上必要があるとされる場合、すなわち診療上必要がある場合であるが、それは省令において規定して置かなければならない、こういうのが第二でございます。  それから第三に、省令の定めるところにより薬局の普及が十分でない地域で診療をする場合、すなわちこれは、薬剤師に投薬を頼む薬局の施設がないところ、どの程度薬局の施設の普及がないかということについては、省令でもって定めなければならない、こういうことがきめてあったわけでございます。かつまた、この診療上必要のある場合を規定いたしまする省令及び薬局の普及が十分でないという地域を定めまする省令につきましては、厚生大臣が単独にこれを制定することはできないことになっておりまして、医薬関係審議会意見を聞いて、省令を制定するということになっておったのでございます。そこで当初の改正原案におきましては、この二十二条の規定を全面的に改めまして、薬剤師医師、歯科医師及び獣医師を同列に規定いたし、「薬剤師医師、歯科医師及び獣医師でない者は、販売又は授与の目的で、調剤してはならない。」、こういうふうに、従来の規定では原則として調剤は薬剤師だけがやって、医師、歯科医師医師は例外的に自己の処方せんによって調剤することができる、こういう建前でありましたものを根本的に変えまして、薬剤師医師、歯科医師、獣医師は同列に調剤ができる、こういうことに原則を規定したわけでございます。しかしながらこの原則は、必ずしもそのままあらゆる場合に通用させるという意味ではないのでございまして、その半面において新しく二十五条の二という規定を入れることにいたし、医師または歯科医師はどういう場合に調剤ができるかということを制限することにいたしました。それにつきましては、医師法第二十二条、歯科医師法第二十一条の新しい規定の各号に該当する場合だけであるということを規定をいたしておったわけなのでございます。
  151. 相馬助治

    ○相馬助治君 今お答え中ですが、私が尋ねましたことは、この修正に至る間の政治情勢についてお尋ねしたのです。ただし今のお答え下さったことも次にぜひお聞きいたしたいと思うところなものですから、私は今傾聴しておりました。従いましてそのことについてはいずれお聞きしたいと思いまするので、もう一ぺん私は質問の趣旨を申し上げて答弁願いたいと思います。  いわゆる大石案なるものが衆議院に提案されたということをわれわれは聞かせられ、後にそれが本委員会に予備付託になりました。その後新聞を見ると、自民両党において修正意見が起り、大体合意に達したということを新聞で承知いたしたのであります。そうしているうちに一潟千里に両社をも加えまして、本法案が全会一致をもって成立した、こういうふうに聞いておるのです。それ以上のことは知りませんので、その政治的な情勢についての御説明を私は求めておるわけであります。
  152. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) 質問の御趣旨を取り違えておりまして、私は修正案の内容についてどうしてそういう内容ができたかといういきさつの御質問かと存じましたので、便宜大石案の内容から申し上げたわけでございますが、そうでなくどういう事情でなったか、内容の点を離れての御質問でございますから申し上げますが、この大石案質疑の途中におきまして、衆議院社会労働委員会におきましては、何分にもこの医薬分業の問題は長年の問題でございまして、容易に解決は困難な問題ではございまするが、しかし来年の四月からいよいよこのままにしておけば改正法が実施されるのではないか、そうすればまたいろいろと問題が起るのであるから、なるべくこの機会に修正したいという気持は、衆議院委員会におきまする各党の委員の間に自然に一致をいたしておったと思うのでございます。従いましてこの問題には各党それぞれの政治的な立場というものはもとよりあるのでございますが、問題がこういうふうになって参りますると、個々の党派の政治的立場というよりは、むしろこの法案に対する個々の人たちのこの法案に対する立場というようなことの方が表面に出て参りまして、各党ともなかなか党内においても一致が困難であり、そうしてまたそういう点において、何党対何党というような関係において意見の対立があるような問題ではなくなってきておる。すなわち党派による意見の対立というよりは、各党を通じての医薬分業についての即行論とそれから慎重論と申しますか、こういうふうな対立になってきておったのでございますが、しかし何とかしてこの二つの対立した意見を調整いたしまするには、ある程度の中間的な案というものを持ち出して、これによってお互いに歩み寄りをいたすということ以外には解決が困難であろうということは、これも衆議院社会労働委員会においておのずからわき出た空気であったと思うのでございます。こういう空気が盛り上って参りましたので、ちょうど私はこの委員会におきまする理事をいたしておったのでございますが、何とかこの問題について各派一致の意見がまとまることができるならば一つまとめてみようではないかということを各派の理事の方々に申し上げましたところ、各派の理事におかれましても、できるだけ努力してみようというお話でございました。そこでその際においては、結局大石案というものは改正に対する一つの対案として出たわけでございますから、この大石案改正法というものを調整するといたしまするならば、その中間のところにおいて調整をする以外にはなかろう、こう思いましたわけでございます。従って考えられる一案といたしまして、医師法については原則的に大石案の趣旨を生かすことにする。それから薬事法については原則的に改正法律の趣旨を生かすことにする、罰則についてはこれは将来の問題として研究するという意味において今回は触れない、すなわち改正通りにいたしておこう、まあこういう程度で各党がそれぞれ御相談をお願いしたい、こういうことを申し入れたわけでございますが、幸いに各党の理事におかれましても、これに対して御賛成でございまして、各党それぞれ、それではそうした考え方で話し合いをしよう、こういうことになったわけでございます。そこでその翌日までの間各党それぞれ党内の意見についての御調整を願いまして、翌日の理事会において話し合いをいたしましたところ、各党ともそれぞれできるだけの努力をしてみようというお話になりましたので、その結果、それでは意見持ち寄るということになりまして、薬事法についての改正意見、また医師法についても大石案に対する修正の意見、こういうものが出て参りまして、そこでその間において調整をいたしました結果、大体理事会において各会派でまあとにかくこれでそれぞれ党内に持ち帰ってまとめようではないかという一案ができ上ったわけなのでございます。従って当初これが新聞においていわゆる民自案ということが伝えられておりましたが、それは社会党両派の方方もお入りになり、そうして大体これならばそれぞれ党内がまとまるのではなかろうかというお話し合いのもとにでき上った案でございまして、私どもは大体二の程度の線で各派一致の意見ができると、こうまあ思っておったわけでございます。その後社会党両派におかれましてはいろいろ御研究の結果、特に医師法の二十二条について当初の案、すなわち自民両党の案は、治療上支障のある場合というものについて例をあげて、例示的列挙をいたし、そうしてそのほかになお治療上必要のある場合、こういうまあ条項になっておったのでございますが、社会党両派におかれましては、その他というような形によって、支障のある場合というばく然たる概念によって処方せん交付義務を免除する場合を規定するということは乱用のおそれがあるから、その場合がどういう場合であるかということを制限的列挙にすべきである、こういう御意見が出て参ったわけでございます。そこで私どもは前日まとまっておりました——これは新聞では民自案とこうなっておりますが、これを全く改めまして、社会党の御提案の御趣旨によりまして、各号例示的列挙でなく制限的列挙に改めた、従って社会党両派におかれましても、その主張が完全に入ったものでございますから、そこで急にその日の午後全会一致の修正案がまとまった、こういう段取りでございます。
  153. 相馬助治

    ○相馬助治君 御承知のように私ども社会党としては、この医薬分業問題については、現在議論の中心はすでにその実施の具体的方法が何であるかという点にあるという観点に立って、同僚山下義信君が中心になって、いわゆる世上伝えられた山下案なるものを作成して、大かたに示したのでございます。それは御承知のように、その具体的方法を小なり明確にして、しかもそれを法律事項に引き上げたいというところに重点があるので、その点においてはこの法律案の内容の是非は別として、基本的態度においては、私どもはこの修正案そのものには一歩の前進であるとして敬意を払っているものであります。しかしそこで問題が起きますことは、従来審議会に諮問することを条件として、厚生大臣に一任されていた事項を、ここに法律事項として提示したというこの具体的なる現象に対して、医薬双方からこの修正案に対して、それぞれの賛成意見、反対意見があるはずだと思うのです。しかるにこの修正案は早急のうちに成立を見て、一気呵成に衆議院を通過したと承知いたしておりまするが、その間におかれて医薬両者の業界の意思等をも聴取されたかどうか、またさようなることはする必要を認めないとし、あるいは時間的余裕がなかったために、その意思等は聴取にならなかったかどうか。しかもこの修正案を成立せしめた後に、あなた方の意思を動かすような重要な業界からの意見が開陳されて、発議者ではあるけれども参議院においてかかる点は修正されることが望ましいというような重大なる点があるかどうか、これらの点についてお尋ねいたします。
  154. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) 衆議院委員会におきましては、この修正案を作ります前に公聴会を開きまして、医薬関係者はもとより、健康保険等の関係者につきましても、その意見を聴取いたしたのでございます。その公聴会における医薬双方の代表者の意見を聴取いたしました後に、修正案の作成の運びになりましたのでございますが、しかし修正案の大体の大綱ができ上って、これを最終案として採択いたしますまでの間に、医薬双方の意見を具体的にあらためて聴取するという手続はとっておりません。  それから衆議院の案がきまりました後において、業界からこの案について重大なる再検討の必要を痛感させるような意見の開陳があったかどうかという点の御質問につきましては、まだ私どもはさような申し出承知いたしておりません。
  155. 加藤鐐五郎

    衆議院議員加藤鐐五郎君) ただいまの相馬君の御質問に対しまして、法文及びその他のことにつきましては、委細大橋君からお答えいたした通りでありますが、一言御質問のうちにありましたことで申し上げたいことは、ざっくばらんに申し上げますというと、第一、私どもがこの二十二条の修正をいたしますときには、薬系の諸君の御意向を尊重いたしまして修正をひとまずいたしたのでございまして、これで御満足かどうかしりませんが、これだけやってくれればいいというお話がありまして修正をいたしたのであります。それから社会党の右派のお方より、こういうことを入れてくれというお話がございまして、さらに左派の方よりまた話がございましたので、よく懇談し、熟議いたしまして、結論がここに到達いたしまして、こうすれば満場一致通るという、ざっくばらんな話でございますが、そこでこれが真に一致した意見であったということを申しておきます。
  156. 相馬助治

    ○相馬助治君 私の質問は、修正に至る政治的過程をお尋ねしたので、懇切丁寧な御答弁によってその間の事情はよく判明いたしました。で、これに連関してあと一点だけ、私は厚生大臣に伺っておきたいと思うのです。  二の医薬分業実施に当って、省令事項の審議もいただ円滑に進捗しなかったこともあり、また分業可否の抗争というものが長い間繰り返されて参りまして、医薬分業賛成反対の態度はしばらくおくとして、これは心ある国民を非常に悲しませていたと思うのであります。で、問題はこの修正案を会期の最後のこの忙しいときに、私どもが真剣に取り組んでおりますときに当って、特に私が思いをいたしますことは、この修正案がここで成立することを厚生大臣は期待しているかどうかということ、それを聞く意味は、この重大な法律案であるからして、むしろこの際一歩を進めて、新医療費体系の成立等の時期をも勘案し、あるいは業界の意思等をも聞いて慎重審議をすべきことの方が、医薬分業論争に終止符を打つために利益であるとするか、政治的にこの修正案が成立してしまった方がこの問題に終止符を打つべく利益であると考えるか、こういうことを内容として、私は厚生大臣に御見解を承わっておきます。
  157. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) 本案が出ます前には、先般の国会におきまして御決議になりました一年間延長、すなわち昭和三十一年四月一日より医薬分業実施をする建前をもって、厚生省準備を急いでおったわけでありますが、本案が出ます前には、この秋に新医療費体系を整備し、しかして両院の御意思であります昭和三十一年四月一日から実施をするということについて、私は賛成をいたしておったのでありますが、その後衆議院におきまして、四党の共同修正案というようなきわめて円満なる解決の建前で、この案か修正の修正という形で参議院に回付されたのでありまするから、医薬分業の建前を貫徹する法律としては、理想的なものということはできませんけれども医薬分業への方向を促進する性格を有するものと考えられますから、この法律が制定せられることによって、医薬双方の関係者の医薬分業実施への円満な態勢が整えられまするならば、この法案が成立することを心から望んでいる次第であります。
  158. 山下義信

    ○山下義信君 ただいまの相馬君の質問に関連してですね、私も厚生大臣に伺っておきたいと思います。厚生大臣はこの法案の成立を望むと、すなわちこの法案賛成だという意思を明らかにされたのでありますが、それは医薬分業を前進せしめる性格の法案であるがゆえに、こういうことであって、答弁はよくわかる。いま少し私はこの法案を可とせられる、大臣がその観点でその性格上可とせられる、特に大臣が心を引かれてこの法案賛成をせられる点はどこであるかということを一、二点あげて御賛成の理由を明確にしていただきたいと思う。
  159. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) 法案の内容に対しまする賛否よりも、むしろ私ども今日持っておりますこの案に対しまする態度といたしましては、医薬関係の双方が十分に納得をし、かつこれらの問題に対しまして最終の判定を下すべき国民の代表たる国会が、しかも四大強力政党が賛成をしたという建前におきまして、最も賛成を表するものでございます。もとより現行法医薬分業の十分なる実地をいたしておりませんし、また昭和二十六年に成立いたしましたいわゆる法律第二百四十四号が実施をされますならば、最も理想的かもしれませんけれども、この案をお出しになりました提案者の趣旨からいたしますれば、今日の日本の医薬関係の分業に対する受け入れ態勢は必ずしも成熟をしておらず、従ってそれに対しまして最も円滑にこれらのことが実施をされるということの善意の趣旨をもって提案をせられたものと考えられますので、その後さらに薬事法第二十二条の関係が修正案原案としてお出しになりましたことから比べまして、修正案の修正はさらに前進をいたしておりますので、この点に最も大きな着目をいたしまして賛成の意を表するものであります。  しかしここに明確に申し上げるならば、四党の共同修正という形をとられて、政党政治の建前でということは、当然両院を通じての精神の流れにもなることと思いますので、このように衆議院におきまして円満なる調整がはかられ、かつ医薬関係者におきまして大いなる意見の相違もないということで調整ができますならば、その意味においては、厚生大臣として最も賛成であるということをこの際付加しておきたいと思うのであります。
  160. 山下義信

    ○山下義信君 私は、本案に厚生大臣が賛成される理由に、四党が、各派が円満に一致したという点を喜ぶということはこれは当然であり、また賛成理由の一つでありましょう。しかしあなたの政治的見解としては、厚生省の方針としては、いな、政府の方針としては、分業を前進せしめるのだということは数次御説明になっているところなんだ。従っていかに四党が一致したからといって、円満に話し合いがついたからといって、本法案か分業というものを後退させるという性格のものであったなら御賛成になろうはずはない。先ほどの御答弁の中にも、この法案は分業を前進せしめる性格のものであるから賛成するということをおっしゃった、そうであろうと思う。しからばどこが分業を前進するという性格のものであるかということを明確にする必要がある。本委員会の論議は、実はその点を明確にすることが一番大切であろうと私は思う。法文の疑義等を明らかにするはもとよりでありますが、総体的にはこの法案の性格はどういう性格を持っておるかということを明確にする必要がある。そこで大臣はどういう点がこれが分業前進の性格を持っておるかという御賛成の点を、これを一点でも二点でもあげて明確にせられることがよろしいと思う。ただいまの御答弁で大体は承わりましたが、私は重ねて大臣の御所見を求めたいと思うが、この衆議送付の本案は、第一番に処方せん交付義務が厳として原則を明確にしてあることです。そうしてその除外例の場合をぼうばくとして捕捉しがたいような立法にあらずして、その除外例の場合がしぼられて、これが非常に明確にされておる点であると私は信じておる。  それから第二点はかねて御論争になりました調剤権の確立については、ただいま大橋衆議院議員がお述べの通りに、従来の原則を、これが厳守されておることと、しこうしてこの分業前進のためには万々一あやまちなからしめるために、かつまたその推進を強力にするという意味で好ましからぬことでありまするけれども、万難を排して罰則を存置されたということです。私はこの三点は従来の分業立法であるところの、分業法であるところの現行法のそのままの性格を依然として維持しておる、性格を明確にしておるものであると私は解釈しておりますが、大臣の御所見はいかがでございますか。
  161. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) ただいま山下委員の申されたことに同感でございます。
  162. 山下義信

    ○山下義信君 私はこの際伺っておきたいと思いますことは、厚生大臣として、この法案を執行される上におきまして、この法律の内容について何らかの疑義をお持ちになる点がありますか。あるいはまた不明確とせられる点がありますかいなか。いわゆる政府として、行政府として、この法律を執行せられる上において、何らの疑義あるいは不明瞭な点はないとせられるかどうでありますかという点を伺っておきたい。
  163. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) 衆議院でこの法律案が通過をいたしまする際に委員会の採決に先だって私の所見を求められましたので、その際に明白にいたしておりまするように、この法案が通過いたしますれば、厚生省といたしましては、新医療費体系その他を整備をいたしまして万全を期するということを申しております。
  164. 山下義信

    ○山下義信君 参議院がこの法案を受け取りましてただいま委員会がかくのごとく熱心に審議するゆえんのものは、この法案成立の暁において、法律を執行する行政府がいささかでも法律の内容に疑義がある、もしくは不明確な点があるとするならば、後に災いを残すのでありまして、とうていそれでは執行ができようはずがない。そういう点を明確にいたしておきたいというのがわれわれの審議の目的である。そこで先ほど実は医務局長が重大な答弁をしたので、私は厚生大臣に伺っておるゆえんは、もとより法律を作りまするのには、立法意思というものをわれわれが審議して明確にいたすのは自他周知の通りであります。そこでこの段階においてはなお個々の法律の立法意思が、すなわち法律のこの意義が行政府にとって明確でないかどうであるか。もう衆議院審議で明確になつておるかどうか。すなわちこのままこの段階で法律を受け取っても何らの疑義、何らの不明瞭な点がもうないとするかどうであるか。立法意思はまだ不明確な点がありとするかどうであるかということを政府の所見を聞ていおかなきゃならぬ。先ほど高野委員質問に対して、曾田医務局長は、この処方せん除外例の八項目に該当する場合については、厚生省としては通牒を出してその内容を明確にする考でえあると言われる。すなわち厚生省はこの八項目の具体的なこの解釈を明確にするのだ。当然そうである。そうでなければ執行できようはずがない。そこでこの審議の状況、ただいまの段階でこの法律政府は受け取って、それらの八項目の具体的解釈について通牒を発し得られるかどうかということについて御所見を承わっておきたい。
  165. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) 曾田医務局長がどのような御答弁を申し上げたかしれませんが、大筋といたしまして、この法案の執行について不明確な点があるわけはないと考えております。従って細部の点につきまして、きわめて細部の点についてなお論議し尽されないものがありましたらば別でありますけれども衆議院におきましては十分なる論議の上、しかも政府の事務当局の意見も再三再四にわたる御質疑によりまして、相当深く論議せられたことでありまするから、大筋として不明確なものが残るということはないと思うのであります。ただ、ただいま御指摘の点につきましては、厚生省はこの法律にのっとって一そうこれを細部にわたり明確にする必要はあると私は存じておりまするし、先ほど私のおりました席上におきまして、大石委員もその点は厚生省にまかしてあるというような御発言もあったように記憶をいたしております。
  166. 山下義信

    ○山下義信君 私はこの点は非常に重要であると思いますので、ここで要求いたしたいと思います。それは当然衆議院審議の過程において、政府は本案の内容を知り、本案に対して執行部として責任を負えるかどうか。すなわち本案の執行が可能であるかどうかについては、ただいま大臣の言われました通りに検討せられたであろうと、また検討せられた形跡も承知しておる。従ってこの八項目の解釈を行政府として、厚生省としてどうこれを具体的に解釈するかという用意もできていると思う。われわれが審議しておるのは、この八項目の解釈をどうするかと、客観的なこの解釈をどうするかという点が、今日までの高野委員を中心とする質疑応答のこれが眼目であった。そこで私は本委員会審議を促進する意味において、政府に資料を委員長を通じて要求しますが、政府はこの八項目を具体的に解釈するという場合の厚生省解釈はどう解釈するかということを資料として本委員会に御提出を願いたい。これを要求いたします。これは委員会審議を促進する上に非常に私は有益な資料であろうと確信いたしますので、休憩中にでもよろしゅうございますから、御提出を願いたいと思います。
  167. 相馬助治

    ○相馬助治君 私の先ほどの質問に対して厚生大臣が答弁なさったのですが、私はもう一回明確に承わっておくのです。それは私はこの衆議院回付の修正案が成立することによって、医薬分業の抗争はなくなると思うかと、言葉を変えていえば、なくなると思えばこの修正案の成立をあなたは期待するであろうし、なくならないでむしろ悪化しておかしな考え方になるならば慎重に審議していただきたいという御意思を持つのであるといった意味でお尋ねをしたところが、それと逆に医薬間の抗争がないならばこの修正案が成立してうまくいくと思いまするし、その成立を期待しますと、こうお答えになったのです。私が聞いておることは逆に聞いている。本修正案が成立することによって、医薬間の争いはなくなるとお考えか、あるいはなくならないと思うかと、こう聞いておる。
  168. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) 私の今日感じておりますことでは、この法案が成立をいたしますれば、医薬関係のこの医薬分業をめぐっての争いというものは次第になくなっていくものと私は思うのであります。社会的事情が非常に変化をいたし、また将来にわたっての展望ということは許されませんが、今日の段階におきましては、長い間抗争を続けて参りましたこれらの非常なる争いも、先ほど大橋委員から御説明がありましたように、このことを憂慮して調整をいたされました努力も加わりまして、必ずや大筋においては次第になくなっていくものと確信しております。
  169. 高野一夫

    高野一夫君 関連して大臣に伺いたいと思うのですが、私が大臣に伺いたいと思うことがだいぶ山下委員、相馬委員から御質問になったわけでありますが、そこで大臣はこの改正案が通過することは、各党が衆議院において円満妥結した結果であるのと、医薬関係者が、医療担当者がこれを納得したならばと、こういうようなお話があったわけでありますひところが衆議院における各党の円満妥結は別といたしまして、果してこの医療行為の、一般の診療行為の担当者である医師と、医療行為の一般の調剤行為の担当者である薬剤師が、この衆議院から回付された為に納得をしているとお考えになるかどうか。同時にこれは最も多く患者に関係するわけでありますが、いまだ診療費体系の結論も出ず、点数の算定も行わない、かような場合に健康保険団体あるいは国民健康保険の関係、それらの方面もこの改正案に納得ができているとお考えになるかどうか伺いたい。あなたが御承知通りに、ここに医薬関係者だろうと思いますが、相当傍聴に来ているゆえんのものは、衆議院から回付されたこの修正案に非常なる不満をお持ちであろうからだと察している。もしもお持ちでなければ、不満をお持ちでなければ、みんな衆議院の送付案の通りに、回付案にある通り参議院で通過してもらえるのであると安心して傍聴人が一人も来ません。これがこりいうふうに入り切れない——入り切れないかどうかしれませんが、入り切るだけ入ってあとは入れない。この医薬関係者、いわゆる医療担当者がこの患者に対して共同の責任を負わなければならない関係者がこういうふうに立錐の余地もなく傍聴に来られるということは、私はこの回付案を研究されて、そしてこれに対して相当の、あるいはわずかか相当かしらぬけれども、とにかくこれに満足をしておられない。こういうことはこれは現実の証明だろうと思う。従って先ほど大臣がおっしゃったような医薬、医療担当者双方が納得したならばと、これはどういうところからかように大臣は理解されたか。同時にまた保険団体、最も密接な関係のある健康保険あるいは国民健康保険の団体がこの衆議院回付案に納得したとお考えになるかどうか。まずこの二つを一つ伺いたい。  それともう一つついでに伺います。この前から、今期国会になりましてから、この社会労働委員会においてこの問題について私は、劈頭から大臣にお伺いしている。大臣から明確なる御答弁を得ていることが数々あるのであります。ところで医薬関係審議会設置法案が通って、審議会ができてこれに予算を組んで、そうして厚生省はここで準備を進めようとしておられる。一方においては新体系の調査、新体系の点数の算定もやろうとしておられる。しかも一面、二度以上かかったこの審議会も今度は全くふいになってしまう、こういうわけでありまして、これで各党の円満妥結、あるいは医療担当者、患者側の円満理解が得られるならばということだけでもって、行政措置を講ぜられるべき厚生省の主管大臣として、ただそれだけでもって御満足が行けるものであろうかどうか、こういう点については、私はどうも大臣の先ほどの相馬委員、山下委員に対する御説明では多少理解しがたい点があるのでありますが、これを率直に一つ大臣の御見解を承わりたい。
  170. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) ただいまお尋ねのことを私の答弁といたします際に、順序として後段の方からお答えをいたしたいと思うのであります。衆議院参議院を通じまして、予算委員会あるいは社会労働委員会——本委員におきまして、特に熱心なる医薬関係の諸問題について御議論がある際におきまして、私の所見をただされまして、私は個人としては、この昭和二十六年に成立いたしましたいわゆる医薬分業法以上に医薬分業に対する推進の気持を持っておるだけではなく、さらにいま少しく積極的なる医薬分業法なるものを当時も考えておったものの一人であることを明らかにいたして今日に至っております。厚生大臣といたしましても、またこれは医薬問題については、すでに国会意思が決定したことでありまするし、ことに厚生大臣としては、医薬双方に円満なる了解を求めつつ医薬分業を推進しなければならぬ立場に置かれておりまする関係で、個人の意見を申し上げることは許されませんけれども、それでもなおかつ厚生省当局としては今日まで医薬分業を建前として進んできたのであります。その医薬分業とは、昭和二十六年に成立をいたしました改正法の一日も早き実施を目途といたしましたことを建前として進んできたことは事実であります。しこうして昨年の暮には、これまた両院一致の決議をもちまして、来年の四月一日からと再延長をする、しこうして先ほどいろいろ御議論がありましたように、その再延長になりまする際の各賞の御論議におきましても、再び延長しない、しこうして大会派に属せられる方々討論速記録などで調べてみますると、一つ法律が通って、その施行以前に違う法律が出るということは民主政治の破壊であるという極論をせられた代表者も昨年はあったのであります。これらの御議論を承わっておりまするので、今国会におきましてはおそらく医薬関係に対する何らの法的措置というものが行われないのであろうということを期待をし、またそういうふうに観測をいたして答弁を続けて参ったのでありまして、しこうして御承知のごとく本年度の予算におきましては医薬分業推進費用といたしまして、調査費用といたしまして、促進をする建前としての調査費用といたしまして、新たなる費用が計上され、昨年以来計上されておる経費を本年継続費として継続して計上されたものを合せますると、一千百万円以上の経費になっておるわけでありまするから、これに力を得まして、本国会が終了いたしましたならば、医薬分業に対して十分なる準備の実務段階に入りたい、こういうふうに考えをいたしておったのが、本修正案が提出される以前の厚生省考え方でありまするし、また修正案が提出をせられましたときの原案から見ますると、昨年の国会の御意思ともだいぶ違っておりまするし、医薬分業の建前とはかなりの距離がありまするので、その際は私といたしましても、閣議におきまして現在の修正案があのままの姿で通るならば政府としての今日の立場はないとまで申しておったような次第であります。その後衆議院の各派におかれましては、非常にこの形勢を憂慮されて、先ほど大橋議員の御発言の通り改正法と今回提出になりました修正案の中間的調整をするということが最も今日妥当な姿ではないかということに御発議があり、先ほど以来るる御説明がありましたように、各党におかれまして満場一致の決議をもってこの修正案修正案賛成をするということに相なったような情勢が生れてきたわけであります。しこうしてその修正案修正案、すなわち参議院に回付されました案によりますると、現行法よりは少くとも医薬分業に対して具体的に前進をいたしておる。改正ほど明確に一期限を画したものとは言えないけれども、とにもかくにも医薬分業の方向を促進する性格を有しておる。しこうしてその性格については、先ほど山下委員から御論議になりましたような重要な点についての前進が見られますので、これならばおそらく医薬関係者の大勢はこれを政治的に認めざるを得ない形勢が生れてくるのではないかと厚生大臣としては観測をいたし、そのような情勢が生れるならば、本法が成立をすることをもって、一応の医薬関係の長年にわたる抗争も終止符を打たれるのではないかというように観測をいたしておるのが私の今日の姿であることを御承知おきを願いたいと思うのであります。
  171. 小林英三

    委員長小林英三君) いずれこの食事の休憩もいたさなくちゃならぬと思いますが、この辺で三十分ばかり休憩をいたしまして、開会いたします前に、理事委員長打合会をいたしまして、今夜の委員会質疑運営等につきまして相談をいたしたいと思いますが、この辺で休憩いたしたいと思います。御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは八時十分まで休憩をいたします。なお八時に委員長理事打合会をいたします。  暫時休憩いたします。    午後七時三十八分休憩    ————————    午後九時五分開会
  173. 小林英三

    委員長小林英三君) 休憩前に引き続きまして委員会を開きます。  その前にちょっと御報告を申し上げたいと思いまするが、先ほど来別室におきまして、本委員会の本日の運営につきまして、委員長理事打合会を開いておったのでありますが、委員長理事打合会におきましては議がまとまりませんでありました。そこで今後の本委員会の運営につきましては、この委員会の決定に基いてやらなければならないことになりましたから、これをあらかじめ御報告を申し上げます。
  174. 相馬助治

    ○相馬助治君 議事進行。ただいま委員長報告によりますと、委員長理事打合会においては今晩の議事をどういうふうに運ぶかについて合意に達しなかったということでございまして、まことに委員としては遺憾です。しかし今晩のこのあとは一々この委員会に諮ってなさるということですが、けさほどの委員長理事打合会において打ち合された質問の順位、すなわち専門的な人を先にしてそれから各委員を順々に発言を許す、しかもこの質疑中に委員長速記には載っておりませんけれども質問予定者の氏名をそのお持ちの紙に記録されたように記憶しておりますが、それらの現実は生きていて、しかもそれらのきめたことは生きていて、そのあとのことが不調に終ったと本員は了解しますが、私の了解は間違っておりませんか。
  175. 小林英三

    委員長小林英三君) お答えいたします。けさほどの委員長理事打合会におきましては、できるだけきょうじゅうにこの医薬分業の問題につきましてきまりをつけたいものだという打ち合せをいたしております。途中で多少本会議の模様等によりまして時間のズレがあったのでありますが、先ほど相馬君のおっしゃいました委員長速記録のないときに、懇談中に参考に皆さんから承わりました質疑者のお名前は、これは私の考え方といたしましては、けさほど委員長理事打合会においてきめておりますように、適当の機会に休憩をしてさらにその後の運営につきまして、委員長理事打合会において諮ることになっておりましたから、その際に、それらの質疑者等の時間、あるいは場合によりましたら順序、それらのものについてもきめたいと思っておったのでありますが、これは参考に聞いておいたのであります。ところが、ただいまの委員長理事打合会におきましては議がまとまりませんでした。従いまして、これらの問題すべてをあげまして、今後本委員会の決定に基きましてきめていきたいと思います。
  176. 高良とみ

    高良とみ君 議事進行。私は中立的な立場で伺っておるのでありますが、本案については、衆議院は四党一致した提案であったように承わっております。従って各党において——緑風会は別として、それぞれ党議で御審議になったものと考えるのであります。私どもまあ両方のお話を伺うと、薬剤関係の方でも御不満が多々あると思う。医師関係にもまた同じく御不満があるように伺っております。でありますが、諸賢の御尽力によりまして、ようやくここまで歩み寄りましたものでありますから、なお今後新医療体系その他でもって時間もとることでありましょうから、一応これで不満なところもありましょうが、お互いが譲り合いましてさらに今後実施までの期間に、もしよりよくするために期間がありましたならばそれをやる。ことに国民本位に立って、医師側も、薬剤師側も、国民のためにいつまでもこういう問題で争っていただくことは、私ども国民として望ましくないものだというように思うのでありまして、どうかできるならば、できるだけ御採決願って、賛成賛成、反対は反対、一つそういうふうに御運営いただきたいということを、委員長にとくに権限においてお願いいたしたいと思うのであります。
  177. 藤田進

    藤田進君 先刻理事の皆さんお集まりいただいて御苦労せられたのでありますが、ただいま委員長の報告では、必ずしも一致点を見出すに至らなかった。いわばお互いの申し合せが不成立に終ったということなんですが、非常に残念なことだと思います。しからばといって強引に問答無用で、いずれにきまるとしても、採決ということについても、これはまた問題があろうと思います。理事会できまらなければここで懇談の形でもいいですが、どういう主張の対立でかようになったのか、私ども参考までにお聞かせいただきたいと思うのです。私どもの理事がどういう主張をしたであろうくらいのことは予想いたしますが、果してどういう対立点であるのかという点については私ども承知でありますから、委員長におかれて要約したその間の事情を一つ説明いただきたいと思います。結論だけは今伺いましたが。
  178. 小林英三

    委員長小林英三君) 藤田君にお答えいたしますけれども、数人の委員長理事打合会によりましてもこれはまとまらないのでございますから、本委員会におきまして運営の問題について今後皆さんが御相談願いましても、おそらく委員長といたしましてはまとまらないと考えます。ただせっかくの藤田君の御質問でありますから、簡単に委員長理事打合会におきまする懇談の簡単な内容だけ御説明申し上げて、そして質疑に移りたいと思います。  大体申し上げますというと、ある党派におきましては、この問題はいろいろの経過もあるが、とにかくまだ相当時間もあるのだから、どっちにきまるにいたしましても——たとえば継続審議あるいはこれを可決するか、否決するか、どちらにいたしましても、今晩中にきめてもらいたい、こういう議論が一つありました。それからもう一つの議論は、今夜はある時間、たとえば十時なら十時ごろまで質疑をしておいて、あす討論採決をすることにしたらどうか、こういう御意見もございました。これもごもっともな御意見であります。そういたしますと、また別な御意見の方は、あすは最終日だ、夜の十二時まであるといたしましても、最終日だから各委員会からいろいろと法案も回ってくる。それからきょうここで上げられますれば、あすの公報に載るのであります。ところがあす上げますというと緊急上程になる。最終日のときに緊急上程がうまくいくかいかぬかということも考えられまするし、またいろいろな問題もたくさんあり得るものと考えなければならない、最終日でありますから。そこでせっかく時間があるのだから、きょうここでイエスかノーかきめてもらいたい、こういうのであります。大体二つに分かれましてまとまらなかったということだけ御報告申し上げます。  ただいまから質疑を行います。
  179. 山下義信

    ○山下義信君 休憩前に私は政府に対して八項目の解釈についての政府のお考え方を資料としての提出を要求しておいたのでありますが、ただいまわれわれ委員の手元に政府の八項目中必要であると認められる六項目までの政府の本法律解釈がここに資料として出たのであります。これは言うまでもなく、この解釈のいかんということは非常に重大な影響を持つものでありまして、これがルーズに解釈されるということになりますと本法の精神がこれは喪失されることになりますし、かつまたあまりにこの基準が固定化しますというと、実情に沿わないのではないかとわれわれは第三者として考えるのであります。いずれにいたしましても、この解釈いかんということが非常に重大な問題であることは申すまでもありません。そこで政府が提出せられましたこの解釈について、いかなる心がまえでこういう解釈をしたか、すなわち本法の精神を生かすためにこれらの条項についてどの程度しぼり、こういう解釈をすればどの程度の弊害が除去せられるという考えでやったかという、この政府のとった解釈の基本的考え方というものをここで明確にしておいていただきたい、かように考えるのであります。言いかえますというと、この政府の資料について、そういう意味において当局の補足説明を求めます。
  180. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) こまかい点でございますので私から御説明申し上げたいと思います。もちろんこの改正案医師法二十二条に盛られております各号というものの解釈は、すでに再々御討議になりました趣旨に基いてこの各号を解釈いたす次第であります。その意味におきまして、私ごく簡単ながらこの各号を御説明申し上げたいと思います。お手元にお配りいたしました資料は、これは早急の際でございますので、言葉等について十分に練れておりませんのでありますが、その意味するところを御了承願いたいと思います。  まず第一に「暗示的効果を期待する場合において、処方せん交付することがその目的の達成を妨げるおそれのある場合」という点でありますが、これは医師の投薬の行為自身というものに心理的な効果というものをねらった場合でございまして、いわゆる暗示療法といわれるものであります。具体的に申しますれば、すでに提案者からの御説明にもございましたが、いわゆる神経症、その中には神経衰弱とかヒステリーというようなものが入るわけであります。これと薬品しへき症というようなたぐいのものであります。それからそのほかには普通の一般の疾患でありながら、その疾患に神経症症状を伴う場合、たとえば結核のような場合、非常に病気が長期になりまして、慢性疾患の常として患者が非常に神経質になります。さような場合にその薬品の何であるかというようなことを多少本人に知らせずに治療を行なった場合の方が効果が上がるというような場合でありまして、このようにいわゆる心因性の神経症あるいはこれに類似する症状を呈する場合というようなものがこれに含まれると考えております。  第二の「処方せん交付することが診療又は疾病の予後について患者に不安を与え、その疾病の治療を困難にするおそれがある場合」、これは比較的簡単でございまして、ガン、肉腫、白血病というような工合に、その結果が結局死に至るというような疾患、あるいはこの再生不能性貧血とか、あるいは血友病等のごとく直ちにこれが死亡を招くというものではございませんが、非常に治癒が困難な病気であるというような場合に、そしてそのおのおのに対しまして、ある程度の医学知識を持っておりますと、その治療薬処方からかような病気を推定できるというようなことになりますと、患者が非常に悲観をいたし、その病気の経過に一そう悪い影響を与える、かような場合を意味するものと考えます。  第三は「病状の短期間ごとの変化に即応して薬剤を投与する場合」、これは先ほども提案者から御説明がございましたように、私どもも、たとえば心不全——心臓機能の不全でございますが、かような病状に対して、ジギタリスの投薬を行う、こういうような場合にジキタリスはきわめて有効ではございますけれども、また毒性も強いものでございまして、この十分に効果を発揮させるというためには、その量を誤まりますればまた危害を生ずるというようなものでありまして、その投与いたします分量をきわめて厳密に調節して参らなければならぬ。そしてしかもこの投与がこの割合に短時間——一時間とか二時間とかいうような時間をきめまして、その前にこれまで与えました薬のきき方がどの程度であるかということを確認して、その次に飲ませる薬剤の分量をきめていかなければならぬ、かような場合にはあらかじめこの何時間ごとに何グラムずつ、あるいはどのぐらいの分量ずつ飲むということを患者に指示することができませんので、そのつど医師がこまかく指示を与えなければならぬ、かような場合は、ちょうどこの第三に当るものであるというふうに考えております。  それからその次には、ここにあげておきましたように、急性肺炎あるいは急性化膿炎というような急性の感染性に対しまして強力な化学療法剤を用いる、しかも大量にまたは継続的に用いてある程度この中毒すれすれの分量まで与えなければ、十分な薬の効果が期待できないというような場合も、ジギタリスの投薬の場合と同じような場合であろうというふうに考えております。  それから第四番目に「診断または治療方法の決定していない場合」、この点につきましては、広くこの項目を解釈いたしますると、この診断という意味がきわめて厳重な確定診断というような意味でございますと、かなり外来患者等の場合には広く解釈できるのであります。提案者の御意見、御説明というようなものを先ほどから伺いましても、さようにあまりに広義に解釈すべきものではない。またここに各号としてあげられておりますものが、原案に盛られておりましたいわゆる治療上支障のある場合というものを幾つかに分けて列挙されたものというふうに解釈いたしますので、私どもは診断または治療方法のいまだ決定していない期間において、とりあえず対応療法としてあるいは試験的な投薬を行いながら患者の様子を見て治療方針を定めていくというのでありますが、その際に患者処方せんの内容からかようにこの確定した方針でなしに薬の種類がときどき変わるとか、あるいは、患者の医学的な何と申しますか、常識から見まして、どうもはきりとした診断でなく、まずとりあえずこの投薬をされたというようなふうなことを察知いたしまして、そして医師の診断に対し疑惑、不安を持ち、そのために予後の疾病治療を困難にさせるというように考えられました場合がこれに該当するものであるというふうに考えております。  それから第五番目は、「治療上必要な応急の措置として薬剤を投与する場合」、これも割合に簡単でございまして、ある特殊の病気のために医師の診断を受けて処方せんをもらいましても、薬局まで行って薬をもらって、あるいは薬局から自宅に帰るというその間にも病気の急激な悪化ということが予想されるような場合には、とりあえずこの医師から薬を投与いたすということが必要であろうというふうに考えられる場合であります。  それから最後に六番目といたしましては「安静を要する患者以外に薬剤の交付を受け取ることができるものがいない場合」、患者が一人で医師のところに参りまして医師の診断の結果、これは絶対に安静を直ちに命じなければならぬというような場合、この患者はみずから薬局に行くことができず、さればといってこの患者にかわって薬局まで薬をもらいに行くものがいないというような場合が、この六に当ると思うのであります。  それから七号、八号は、これは明確でございますので、特別に申し上げる必要もないと思うのであります。  大体以上のようでございますが、先ほど申し上げましたように、私ども医薬分業を前提とする法文の組み立から見まして、医学常識上、医師処方せん交付を免除すべき場合は処方せん交付することが診療上支障がある、また医師みずからによる調剤が必要であるがゆえに、処方せん交付を免除すべき場合に限るとの立場をとって解釈をいたしておる次第であります。
  181. 山下義信

    ○山下義信君 大体政府説明を一応承わっておきますが、私は第四号の場合、これについては政府の所見は、この四号の解釈について一応の何といいますか、四号の表現をさらに敷衍したという程度であって、私はこの四号は非常に問題のうちの一つだと思う。「診断又は治療方法の決定していない場合」、これは全く医師の主観にまかせてあるように見える条項で、これは乱用になるかどうかという非常に疑問とされておる重大な点なのです。もっとこういうような場合は、特に診断の決定していないという場合あるいは治療方法の決定していないという場合、われわれしろうと考えてそう無制限なことじゃないだろうと思う。やはりこういう場合も、いわゆるそういう場合はきわめて限定されておるのじゃないかと私は思う。ここに提案者の中に医療をされる先生方もおられますから明快にしていただきたいと思うのですが、政府解釈になおこれ以上に客観性を付与するという考え方はありませんか。政府の方はいかがですか。
  182. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 大体私ども考えておりますことは先ほど申し上げたのでありますが、この診断という’意味におきまして、医師が一応の診断をつけ治療をいたします場合には、確定的な診断というものには立ち至りませんでも、大体かような病気であろうというふうな見当をつけまして、そうして治療を行う。そうして決してこれはまずやってみてしくじったらというそれほどの不安を持っておるわけではないのでありますけれども、ともかく一応これでもってやってみるということでこの治療を加えてみました。しかしやってみたところが十分な成績が上らない。それではこの方法がよろしいのだというふうに変ることは、これは間々あることでございます。私どもとしましては、かような場合におきましても、一応その診断をつけ、そうしてその治療をこの治療方法でまずやってみればよろしいというふうに考えまして、あとになってからそのときのは必ず正しくなかった——一つの試みにすぎなかったというようなことになりましても、一応さような方針が立ちました場合には、この診断または治療の方法が決定していない場合の中に入れない解釈がよろしいのではないかというふうに考えております。多少補足して申し上げます。
  183. 山下義信

    ○山下義信君 ただいまの政府の御説明しろうとの私としてもなお納得しがたい。それはそういう抽象的なそういう原則はいかなる病気にでも適用し得られる原則のように聞える。私はこの四号のような場合は、そんなに無制限にはやり得ない、こういう場合もしぼろうとすればできるのじゃないか。また無制限にそれか乱用せられぬような注意が自他ともに必要ではないか、かように考えるので、そういう点につきまして、しからば提案者の方の立法御意思がどういう点にあるかということを明確にしていただきたいと思います。
  184. 加藤鐐五郎

    衆議院議員加藤鐐五郎君) ただいまの御心配の点は、診断及び治療が決定せられる前においてという名義のもとに無制限に投薬をする、処方せんを出さぬでもいいようになりはしないかという心配であろうかと思いますが、私どもは診断、治療方法が決定しないということは、あらゆる病気にも遁辞としては言い得ることかもしれませんが、これは多く伝染病などの場合でございまして、きわめて限局された範囲においてこの文字が使われる、こう思うのでございます。
  185. 相馬助治

    ○相馬助治君 山下委員請求にかかるこの資料がわれわれのところに配付せられ、これに関して曾田医務局長から説明がございましたが、この資料は文章上には未定稿な面があると局長は申されておりますが、内容的には一応の確信を持たれているものと本員は了解しております。そうしますところの二十二条の規定違反、すなわち医師法違反の事犯が生じた場合の定木としてこの資料というものはきわめて重要なものだと思いまするので、委員長におかれましては、各委員に諮られて、本日のこの会議録のどこかにこれを全部速記として残されまするように私は要請します。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  186. 小林英三

    委員長小林英三君) 今の相馬君の御意見には御異議がないと思いますので、委員長においてさよう取り計らいたいと思います。
  187. 山下義信

    ○山下義信君 政府の資料についての私の質疑はこの程度にして他の委員にお譲りしますが、一つだけ私は承わっておきたい。それは処方せん交付義務について、処方せん交付を必要としない旨を申し出た場合は交付しなくてもいいということがあるんですね、これは高野委員から本日冒頭に御質問があったのでありますが、これは明確にしておきたいと思うんですが、これまた高野委員の御質問を反復することになるんですが、そういう場合に、つまり患者から特に処方せん交付を必要としない。処方せんは要りませんということを何にも言わない、何にもそういう申し出をしなかった場合に、医師処方せんを上げましょうかと聞くことはこの法律に沿わないおそれがあると思いますが、その点はいがかでしょう。
  188. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) この二十二条におきまする処方せんは、要らないという旨の申し出がございますが、この申し出につきましては、本人の自発的な任意な決心によってその申し出が行われるということは、これはむろん必要でございます。その自発的な任意な申し出か行われるに当って、医者がこれを問いただすということ違法であるかどうかという点のお尋ねでございましたが、私どもはその問いただし方が、その患者あるいは看護者の任意の意思を妨げるような形において問いただされた場合においては、これは明らかに法律違反の行為であると思いますが、その問いただし方が何ら誘導的でなくて、率直にその自発的な任意の意思を聞くという形で行われました場合は、これは何ら差しつかえないと、かように解釈をしておる次第でございます。
  189. 山下義信

    ○山下義信君 私は提案者意見と実は同意見でありますが、要するところ患者の方が要らないということに意思表示をしない場合に、医師の方が逆に処方せんを上げましょうかという聞き方をする、すなわち患者意思を確かめる、その言葉づかいその他の状況が患者の選択権、患者意思を動かし、左右させ、影響させるというようなことがない限りにおきましては、私はただいまの提案者の御意見と全く同意見でありますが、この点はよほど私は注意をする必要があると思うのです。政府はことに本法の施行に当りましては、かかる場合については慎重に検討する必要があると思います。それで患者が黙っておる場合はどうすればよろしいのでありもしょうか、交付しなくてもよろしいのでありましょうか、交付すべきでありましょうか、この点を提案者から伺っておきたいと思います。
  190. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) 質問をしましても、これに対して意思表示をしない、明確な意思表示をしない場合に、むろんこの申し出かあったと見るわけにはいかないと思います。
  191. 相馬助治

    ○相馬助治君 今の山下委員質問に連関してお尋ねしたいのですが、私たちが医者にかかった経験を見ますと、薬をもらうという段階に至りますると、医者患者である私の交渉でなくて、患者である私と看護婦の間の話し合いというようなことが実態的には多いと思うのです。そこで二十二条の規定は、処方せん交付を必要としない旨を申し出たことを確認するものは代理者であっても足りると発議者は考えておりますか。具体的に言うならば、医者が診察をして、そうして患者が待合室に戻った。そうすると間もなく看護婦が診察室に来て、先生、今の病人は処方せん要りませんと言いました、そこで医者処方せんを出さなかった。あとでそれが間違いである、すなわち看護婦にさようなことを言ったとか言わないとかいうような問題が起きた場合に、いわゆる当事者である医者が確認しなかったということは医者の手落ちになりますか。
  192. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) この規定を運用するに当りましては、むろん医者としては業務上必要な万全の注意をしてこの規定を取り扱うべきだと思っております。しかしながら、たまたま医者が不注意であるために、実際の事実に反しまして使いに当った看護婦を信用したために、ほんとうに患者申し出をしておらないのに申し出をしたかのごとく誤認をいたしたといたしますというと、その場合に過失があるということは言えると思います。ただし、これに対しまする罰則の適用につきましては、これは故意に基く行動でなければ処罰されませんので、罰則には触れませんが、しかし、この法規の趣旨から申しますと、さようなことはやはり医者として注意すべきことだ、さように考えます。
  193. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) 提案者からちょっとお尋ねとは少し離れますが、お答えしておきます。これはその本文にございますように、医者患者を診察して薬をやる必要があると認めた場合は、必ず処方せんを出すことが原則であります。でありますから処方せんを出さなければならないのであります。それで患者処方せんを要らないと言った場合は処方せんをやらなくともよろしいというその文句を入れたわけでありますが、それを逆から考えると、患者に薬が行く場合は処方せんは要らない、ところが患者医者から薬をもらいたいと言って希望してもらう場合は、この場合は処方せんを出さなくともよろしい、こういうのが根本でございまして、この裏の書き方になるわけであります。実際の書き方がそういうわけでありますから、医者から処方せんを上げますとか上げませんということは問題にならないと思います。患者に薬がほしいと言われた場合、これに対して処方せんを上げましょうか上げませんかということが問題になるのでございます。
  194. 相馬助治

    ○相馬助治君 そうすると、この法律には処方せん交付を必要としない旨を申し出た場合もあるが、事実問題としては、ここにしかも患者が薬をいただきたいと申し出た場合と同然であるというふうに発議者は考えているのですか。
  195. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) これは衆議院におきまして最初の提案を委員会修正いたしたものでございますが、その修正に際しての修正提案者考え方といたしましては、薬剤をその医師から受け取りたいという意思患者が持っているかどうかということは無関係に、ただ現実に処方せん交付は必要でないということを申し出でた、そういう場合を要件として処方せん交付義務を解除したという趣旨で修正いたしたわけであります。
  196. 山下義信

    ○山下義信君 処方せんは要りませんというさっきの相馬君の質問に今度はこちらが逆に関連するわけでありますが、処方せんは要りませんと言ったこの患者意思ですね、この立証はどういうふうにしてやりますか。
  197. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) 立証と申しますと、結局あとで争いになりました場合に、現実にそういう意思の明白な表示が患者または看護者から医師に対してあったかなかったかということをいろいろな資料によってまあ証拠立てるということになると思いますが、これは普通の場合には口頭で行われまするので、本人の証言あるいは医師の証言あるいは立会人の証言、こうしたもので証拠立てる以外には困難ではないかと思います。
  198. 山下義信

    ○山下義信君 次に、患者から、さっきお話が出ましたが、薬を下さい、この際薬をいただきたいという申し出でがありましたときには処方せん交付しなくてもよろしゅうございますかいかがですか。
  199. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) 薬をいただきたいという意思の表示は、これは処方せん交付を必要としないという意思の表示とは観念的に明らかにこれは相違いたしておるのでございます。何らかその場合、いろいろなそのときの状況によりまして、薬をその医者からもらいたいということが、同時に処方せん交付を必要としない旨の申出をもあわせて意味するというような場合が、状況から推定される場合が相当あるかもしれませんが、この修正案解釈といたしましては、この二つの申し出は全然別個のことでございまして、この際においては、処方せん交付を必要としないという申し出、これが交付義務解除の唯一の要件である、こういうふうに考えております。
  200. 山下義信

    ○山下義信君 私もその解釈に同意見です。従って先ほど大石議員から、元来処方せん交付しないということは、薬をたまたまいただきたいということと関連性があるので、実はそのことが主体性であるという御解釈につきましては、お間違いではないと思いますけれども、その限界を私は明確にしておく必要があると、かように考えております。  それから最後に私伺いたいと思いますことは、処方せん医師交付して、つまり患者処方せんは要りませんと言わない場合ですから、処方せん交付しました。処方せん交付すると同時に、その医師患者に対して薬はどうしますか、こう尋ねることはどう考えますか。
  201. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) 薬はどうしますかということは、要求があれば医者みずからが調剤して交付しようという意図でのことだと思いますが、その場合におきまする規定といたしましては、薬事法の関係になりますが、薬事法の二十二条によりますると、患者あるいは看護者申し出によって薬剤を調剤することが医師に許されておりますから、その場合にはその規定によって薬剤を調剤すると、こういうことになると思います。従ってそういう薬剤の交付について、医師に対して受けたいという意思患者あるいは看護者にあるかどうかということを確める医師の行為であると、こう考えるわけでございまして、この問題は医師法処方せん交付の問題とはおのずから別個の問題であると、こういうふうに考えます。
  202. 山下義信

    ○山下義信君 私は処方せん出して、ついでに医師患者に薬はどうしますかと聞くことは、本法の法律上何ら違反ではないと思います。しかし薬事法第二十二条の調剤権の原則の法の精神から照らしあわせますると、積極的に医師が薬はどうしますかと、処方せんを渡すと同時に薬はどうしますかということを患者に尋ねるというがごときは、あたかも薬の交付を勧めるかのごとき誤解を招くおそれのある言辞は、私は本法の精神、原則からいって好ましくないと考えますが、提案者におかれてはどうお考えになりますか。
  203. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) 薬事法におきまして医薬分業の原則がきまっておる、また医療関係者はやはりこうしたことが医療のために望ましいことであるということの、こうした医薬分業をできるだけ進めていくということを始終心がけるということは、これは私は当然社会的に要求せられていいことだと思います。従ってそういう意味合いにおきまして、医者がこの分業の精神によって、薬剤の交付に当っては患者の自由意思を左右するということは当然あってはならないと同時に、分業に協力するという意味におかれまして、薬剤師との実際上の仕事の割り振りを考えていくということもこれは確かに望ましいことであると考えております。従いましてただいま御質問になりました処方せん交付した上で、しかも自己に対して投薬を申し出させるというような意図をもって薬をどうしますかということを聞くということは、これば確かにそういう点から申しますと好ましいこととは考えません。ただ、これを法に照らしますと、それではそれは違法であるかどうかという点になるのでございますが、その行動に対しまして、患者あるいは看護者の自発的な意思を左右するというような意図、あるいはそういう結果がない以上は、これはまあ徳義上の問題として好ましくないということは言えますが、法律上違法であるとは断定できないかと思います
  204. 相馬助治

    ○相馬助治君 非常に大切なポイントなので、発議者の意図を統一していただきたいと思いますので、もう一度お尋ねいたします。私の質問に対する大石委員の答えと同一の問題を角度を変えた山下委員質問に対する大橋委員の答えは明らかに相違をいたしております。私自身は、大橋氏の答えは、とにかく立法の形から言うて妥当だと考えるのですが、大石委員に念のためにお尋ねしておきたいことは、処方せん交付を必要としない旨を申し出た場合というのと、先生、薬を下さいという者の申し出とはイコールでつながるやのお話でしたが、私は本法が正しく施行されるならば、かりに成立して正しく施行されるならば、先生、お薬を下さいという申し出を二通り考えるべきだと思います。一つは、医薬分業というものによって、こういうふうな法律になったのだから、今から処方せんをやるから、あなたは薬剤師に行って薬をもってきなさいと指導する面が一つあると思います。それから一つは、明らかにそういう言葉の中に処方せん交付を必要としない積極的な意思を盛られた患者申し出もあろうと思うのです。従ってこの本法の精神は、あくまで大橋委員答弁通りに私は理解するのですが、ともかく発議者の意思を統一して、この際御見解を明らかにして下さい。
  205. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) お答えいたします。私先ほどのお答え申し上げましたことは、言葉が足りなくて誤解をお与えしたと思うのでございます。私の言いたいことは、大橋委員の言った通りでございます。ただ以前私ども出しました原案が、患者が薬を希望する場合というのを具体的に考えましたので、根本的な考え大橋委員と全く同感でございます。
  206. 相馬助治

    ○相馬助治君 了解。
  207. 加藤鐐五郎

    衆議院議員加藤鐐五郎君) いろいろ御杞憂のためにいろいろ御質問がございましたが、ごもっともでありまするが、しかし、実際の状態におきまして、この法の精神というものが、一般医師に普及いたして参りましたときに、さようなことは現実においてなかろうと思います。また医者のこの処方せん交付しない事実を確めるというような悪意を持つ者もあまり多くなかろうと思いまするが、ただいま大石大橋君の答えられましたごとく、医師自体も大いに注意を払いまして、また、現実の問題としてさようなことはやはりなかろうと思いますが、しかし、破格の例外もあることでございまして、十分御質問の点は、われわれは深く考慮したいと考える次第でございます。
  208. 高野一夫

    高野一夫君 先ほど加藤議員から御説明があったように思いますが、この第四号に該当するいわゆる診断がまだつかない場合の処方せん発行を除かれる場合には、その場合としては、主として伝染病などの場合であるというようなお言葉があったように思いますが、これはどういうふうに考えますか。伝染病、主として伝染病ということで、それ以外のものは、いわゆる主として伝染病外のこととして、あまりこの範疇の中に入らぬ、かように確認してよろしいかどうか。
  209. 加藤鐐五郎

    衆議院議員加藤鐐五郎君) わかりやすいために、私は伝染病、たとえばチフスの初期のごときは、かぜであるやらチフスの潜伏期であるやらわからぬ場合の一例を申しましたが、これは伝染病のみに限りません。たとえばまた、頭の中に腫瘍ができて頭痛がする、これは何であるか初めはわかりませんが、そのときにもこれはほうっておくわけにはいきませんから、対症的に措置をするということでありまして、これは伝染病のみと限局はいたしておりませんが、きわめて範囲の狭いものであろうと思います。
  210. 高野一夫

    高野一夫君 関連して厚生省からこの資料が出て、先ほど相馬委員、山下委員から御質問がありましたが、なお私は曾田医務局長説明で納得いたしがたい点がありますが、やはり第四号、この「診断又は治療方法の決定していない場合」と、この後段の文章も一々読み上げませんが、ここに書いてあるこの説明を読みまするというと、この除外例の第二号に該当するのと同じであると思うのでありますが、医務局長、これはどういうわけですか。探りを入れながら、そうして薬剤を投与する、しかも処方せんの内容を知らせることが医師の診断に対して疑惑、不安を与えると、こういうようなことならば、これは第二号と同じ範疇に入る。何も第四号をわざわざここにおかなくとも、第二号でたくさんではないか、こういうふうに思いますが、曾田さんいかがですか。
  211. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 先ほども申し上げましたように、私どもは一号から少くとも六号まで——七号も入るかと思いますが、かように列挙されましたものは、医師処方せん患者に投与することが治療上支障を生ずる場合というふうに初め原案考えられておりましたものを、具体的に列挙するというのがかような姿になったものであるというふうに考えておりますので、「診断又は治療方法の決定していない場合」というものも、ただ単にそれだけでなしに、かような場合にあって、そうしてしかもこの医師の診断治療に対し疑惑を生じて治療に支障を生ずる場合と、かように私どもとしてはしぼって解釈すべきものであるというふうに考える次第であります。
  212. 高野一夫

    高野一夫君 曾田さんに伺いますが、先ほどこの法律除外例解釈を厳重にして、そうして全国に誤まりなく通達普及せしむるために通牒か何かで出さなければならない、こういうお話であった。そうすると、ここにお出しになった資料はやはりそういうものに御利用になる、そういう意味でこの内容を御吟味になったものと考えます。ところで、正直にあなたの御答弁を聞きたいのでありますが、あなたの解説されたこの一号から六号までの範疇に入らないような場合が一体どれくらいあるかとお考えになりますか。入らないような場合は、普通の病院、診療所において、そうしてそこで治療を受けてこの一号から六号に入らないような場合を私はむしろあげた方が早手回しではないかと、こういうふうにも考えるのでありますけれども、あなたはこれは一号から六号までは、いろいろ種々雑多な患者を見た上でやはり非常にきわめて限局されたる範囲にすぎないと、こうお考えになりますか、あなたのお考えはどうですか。専門家でもあり、かつ厚生省においてその仕事の衝に当っておられるあなたとしてどうお考えになるか。ざっくばらんに正直に一つ御見解を聞かしていただきたい。あなたがそうだとおっしゃるかそうでないとおっしゃるかは、これはいずれは時がたてばきまることでありますから、責任を持って一つ答弁を願いたい。
  213. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 先ほども申し上げましたように、処方せん患者交付することが治療上支障を生ずるという場合としていろいろな場合が考えられると思うのでありますが、私どもが検討いたしました限りでは、ここにあげられております各号のうちにほとんどすべて含まれるというふうに考えております。
  214. 高野一夫

    高野一夫君 ちょっと待って下さい。(「逆だよ、医務局長ちょっと眠くなったな」と呼ぶ者あり、笑声)ただいまの医務局長の答弁であるならば、私が先ほど憂えたごとく——あなたにお尋ねしたのです。おそらく私は一号から六号までの間に入らないものをあげた方がまだ早手回しだ。大ていの患者、大ていの病気は一号から六号までに入っちゃうと私は思う。そこでこの中に入らない、すなわち必ず医者処方せんを発行しなければならないものをあげた方がまだ早手回しなんだくらいに思うわけです。医者が発行しなければならない場合が少いのじゃないか、こういうふうに念を押したら、あなたは今その通りだとおっしゃったが、その通りでよろしいのですか。
  215. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 私が申し上げましたのは、支障を生ずる場合というものはこの中におおむね入りますということを申し上げたのであります。支障を生じない場合が私はかなり多い。むしろ大多数の場合は支障を生じない場合であるういうふうに考えております。
  216. 湯山勇

    湯山勇君 私は小さい問題を先に一つだけお尋ねします。それは二十二条の例示の第六号です。これは文章が、余っておる言葉と足りない言葉があるので、このままやらしたのでは大へんだと思うのですが、それについてどうお考えですか。
  217. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) お説の通りこの第六号の文章は非常にふできでございまして、あるいは正確な文字通りに一字々々しぼって解釈をするということになりますと、非常に解釈に困難されるということもあるかと思いますが、その意味をはっきり申し上げますと、安静を要する患者以外に薬剤を受け取るものがない場合、こういう意味のつもりで書いたのでございます。
  218. 湯山勇

    湯山勇君 意味はよく先ほどの御説明でわかっておるのです。その意味と文章が合わないからお尋ねしたわけで、これは将来あるいは早急に御修正の御意思はありますか。
  219. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) これは機会がありましたならば、字句の整理の形で明確な文章に書き改める方が適当であると考えます。
  220. 湯山勇

    湯山勇君 これは施行が来年の四月一日ですから、それまでにやはりきちっと整えた方がいいと思うのですが、そういうことはお約束できますか。
  221. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) 提案者といたしましては、この文章の解釈がどうしてもむずかしいということでございましたならば、できるだけ——もしこの法案がこのまま立法されるといたしましたならば、できるだけ早い機会に、必要な字句整理のための修正を提案をいたしたいと存じます。(「議事進行議事進行」「緊急質問」と呼ぶ者あり)
  222. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記をとめて。    午後十時四分速記中止    ————————    午後十時二十八分速記開始
  223. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記を始めて。  質疑を続けて下さい。
  224. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 われわれの会派としては、十分これは審議を尽して、この国民が期待してきておるところの医薬分業制度の発足を間違いないものにしたいうとい考えのもとに、十分審議を尽してゆきたいという考えを持っておるのですが、しかしながら、時間を限られてそうしてある点にしぼってしまえというのであると、非常に私ども質問の要点を無理をしなければならなくなるのです。そういう意味において率直に御意見を伺いたいのです。  厚生大臣にお尋ねしたいのですが、新医療費体系というものはいつごろに御発表になりますか。
  225. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) 九月の上旬あるいは中旬には大体これを整備をいたしまして発表いたしたい所存で進んではおります。
  226. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 この五十二号の改正案が成立しましたとして、新医療費体系との関係はどのようにお考えですか。
  227. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) この法案が来年の四月の一日から実施をされるということについて、それの遺憾ないように準備をいたしたいと思って進んでおるような次第であります。
  228. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 それでは新医療費体系が出るも出ないもこの五十二号の実施には大して影響がないという意味でありますか。——言い方が悪ければ、新医療費体系持っておる内容とですね、この改正案の内容とは、お互いに並行しておるものであって、これ一方が出なければ他方が行われないというような性質のものではないと言われるわけですか。
  229. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) 厚生省としては、改正法が、すなわち二十六年の改正法が四月一日から実施をされるものと思って準備をいたしておりましたが、この法案が成立いたしましても、支障がないことになると思います。
  230. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 先ほど厚生大臣は、この改正法案衆議院において四党が一致した法案であるからして、これによるのが最善の医薬分業の現実的な方途であるというふうに御返事があったのですが、それでは、昨年この両院が一致して決定した三十一年四月一日から施行するこの二百四十四号というものについては、これは両院一致の決議なのですが、それよりも、まだ参議院において一方意見が一致しないところの、衆議院を通過してきたところの改正の方を重要なものであるというふうに考えられておるのでありますか。
  231. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) 両院の意思が決定をいたしまして、しこうして国会の議決となりました昨年の両院の議決は、これを衆議院の議決のあるまでは最上の手段なりと考えども準備をいたしておったのであります。しかしながら、その後政治情勢に変化があり、かつ昨年の国会における議決は、両院の院議でありますから、これが最高のものではありますが、その後における医薬分業実施するについての、衆議院の選挙があった後における政治情勢の変化というものが織り込まれまして、その間において新して国民の代表者としての意見が反映をされました以上は、今日の段階といたしましては、政党政治が今日の根幹であり、衆議院の院議は参議院にも相当に大きな影響力を持ち、またその以前におきまして相当に参議院の各会派におきましても衆議院と連絡をとり、整備をされておりますような関係をも見越しまして、私は今日ではこの法案を望むことを最良と考えている次第でございます。
  232. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 大臣もお聞き及びだろうと思いますけれども、私どもの会派、右派も多分そうであったと思いますが、この修正案を出すことには最初は反対しておったものであります。われわれは数医療費体系を持って新たにこれを問題にすべきところがあるならばしようというのが社会党の態度であったのであります。しかるに衆議院において民自両党からの改正案が出ましたので、これに対してわれわれが修正の案を出さざるを得なくなって、出したわけでありまして、必ずしもこれが社会党が積極的に出したところの法律案でないということは大臣はわかっておられると思います。形式において四党一致であるということは言い得るわけでありますけれども、内容的にはそういう事情をやはり政治的に了解されるのが、私は政治家のとるべき態度だと思います。そこで衆議院だけの意思決定であって、実は参議院においてもこれは民主的な政党政治が行われているのであります。そうしてさらに参議院においては緑風会という会派もあるわけでありますが、その意思がまだ決定しない前の衆議院だけの決定を、昨年衆参両院一致した決議よりも重要だと考えられる点について、もう一度所信をお聞きしたと思います。
  233. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) 法律の形態とまた政治情勢とは別問題でありまして、元来厚生省が、この法案が提出をされる以前におきましては、前国会の御決議通り準備を整えて今日に至ったのであります。しかるところ、いわゆる民自案なるものが発表をされ、その後各方面の意見を取り入れ、ことに公聴会なども開催をせられまして十分にその意見が反映した後に、妥協案として今日参議院にこのような案が回付をされたのであります。しこうして参議院に回付せられまして後、参議院の各会派にも相当な情勢が現われまして、今日結論はついてはおらぬとは私も想像いたしておりまするけれども参議院だけの会派でありまする緑風会等におかれましても、相当にこの案を支持せらるるやに聞知をいたしておりまするので、それらの点をも見越しますると、一日も早くこの法案が成立をいたしまして、しこうして今国会において医薬問題というものが最終の結論をなし、しこうして来年の四月一日までの間に大きな変化が起らずしてスムーズに実行されることは、厚生省といたしましては、医薬関係の最も円満なる発展を祈っておりまする関係で、そのような判断に立ちましては、この法案が一日も早く成立をされることが望ましいのではないかと考えておるような次第でございます。
  234. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 われわれの会派でまだ討議を十分尽したい人がおるわけでありますから、簡単にもう一つ重要な点をお伺いしたいと思いますが、大臣は、医薬分業の原則を確立することが日本の国民医療を促進する上において必須な要件であるというふうに考えておられるというように先ほどから承知をいたしております。そうして少くともこの改正案がその医薬分業を推進する第一歩を踏み出したものとして、これを賛成するというふうに——言葉は違うかもしれませんけれども、先刻言われました。そうであれば、昨年のものの方がはるかに医薬分業の目的には——はるかにという言葉には語弊がありますけれども、現在ここに提出されておる改正案よりも医薬分業の原則がより明らかになっておるように思われるのです。と言いますのは、文字の上から、法文の上からもそうでありますが、国民一般の感じから申しましても、私ども医師系あるいは薬剤師系というような、そういう特殊な立場には全然拘束を受けておりません。第三者の立場から見ておりまして、私どもはその審議が公平に行われておることもわかっておりますけれども、もしこれが、この審議の状態を知らない者が、すなわち一般の国民がこれを見るならば、この改正案に、より多く医師会の意思が反映しておるのではないかという疑いを与えておるということは事実であります。今日法案説明されておるところの、法案の提出者も、ここに、議場に来ておられる方々三人とも医師会に属するお医者さんであります。こういう事実は(笑声)——これは失礼しました、まあ大多数がお医者さんです。また私自身に働きかけてきたすべての衆議院議員医者でありました。そういう点から考えてみましても、この改正案医薬分業の骨抜きとは言いませんけれども、骨の抜きかけ、(笑声)すなわち骨が筋肉から離れかかっておるような状態であるというような疑いを少くとも国民にはかけておるのであります。そういう意味におきまして、私どもは慎重に審議をして、これが公平な最後の結論であるという結論に到達したいと思いまして、この委員会において慎重により時間をかけてそうして審議したいと考えたのでありますが、厚生大臣は骨の抜きかけ状態のものというふうには考えられませんか、しっかり骨が通っておるのか、それとも骨が抜けかかって、あるところの筋肉に災症を起しておるくらいの、昨年のときに比べてですよ。これが昨年のよりもより明確に医薬分業実施する上の原則をはっきりしておるとお考えですか、昨年よりも後退しておるとお考えですか、その点をお伺いしたい。
  235. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) 今度の修正案、ことにここに回付されましたものは医薬分業の筋を通しつつ日本の情勢にマッチするようにきわめて的確に書かれたものと解釈をいたしております。もとより衆議院に最初いわゆる改正案なるものが出されましたときは、その際において世上一般にはこれを骨抜き案であるという批評をしたものもあったようには聞知をいたしておりまするし、これに対する批評、私は批評をすることは差し控えたいとは思いまするが、今日参議院に回付せられたものはその当初の案とは非常な変化がありまして、ことに社会党の委員の方が御支持になったと伺っておりまするいわゆる山下案なるものの大要もこの中に織り込まれておるように解釈をいたしておるのであります。従ってこれを昨年の国会で議決したすなわち延長法案、すなわち昭和二十六年の改正法に比してどうかということでありまするならば、表現は的確ではないかもしれませんが、かりにこれを医薬分業に対する改正法をホップ・ステップ・ジャンプといたしまするならば、これはホップ・ステップには間違いない、かように考えておるような次第であります。
  236. 藤田進

    藤田進君 私は厚生大臣に対して質疑をいたさんとするものでありますが、先ほどの委員長のお計らいで若干の時間を限定してということになってかような事態になったわけでありますが、私どもが了解いたしました限りでは、まず当事者に近い高野さんの御質問を受け、さらに提案者、別途修正案をお出しになっておる山下さんの御質問を許し、そのあとそれ以外の者がやろうというのが理事会の決定であるということでありますために、一貫した御質問をなさるためにはおじゃまになると思って控えて関連質問もあまりとらないで進めてきたわけであります。もとよりわれわれは御承知のようにこの医薬分業の今日出された修正案については鋭意党としても検討して、ここらで何とかこの論争の終止符を打って、真に国民、患者に奉仕することができるようにという熱意から進めてきているわけであります。ただこの際ただすべきは十分ただしてこの修正案が立法化せられ、施行せられるに当って間違いがあったり、いやしくも患者に迷惑がかかったりしてはならないので、そういう意味合いも含めて十分なる質疑をし、かつすみやかなる成立をはからなければならぬという基本的態度であったことをここに質問に先だって態度を申し上げておきたいと思います。遺憾ながら質問の時間も非常に差し迫っているようでありますから簡潔に私は申し上げまするからそれにお答えいただきたいと思います。  総括的に申し上げと、昭和二十六年の法律第二百四十四号、すなわち明年四月一日から施行になりまするこの改正案に対して一部修正が出たわけであります。この法案が骨抜きであるかないかということは、あげて今後の運営に大きくかかっていると私は思うのであります。今後の運営にかかっていると思います。加藤修正案提案者の御答弁を同僚委員質問に関連して聞いておりますと、暗示的効果の期待という御説明を聞いてみても、これをもっと日本語へ当てはめていえば、悪い言葉でいえば、ごまかし療法のきき目を期待する、こういうことになろうかと思うのであります。しかしそれで病気がなおれば一つの手段でありましょうけれども、その効果に対して必ずしもプラス、快方に向う効果というだけでなしに、幾多のその逆効果が私はあることを事実をもって知っております。ことにガン患者のような場合に胃薬を長期間盛っていたけれども、とうとう手の及ばないようになり、次の医者を変えてみたところ、また暗示的効果をその方がねらって最後に県病院に行ったときにはどうにもならないという事例を私はよく知っておるのであります。こういう逆効果を逆効果たらしめないようにするのもかなり今後の運営にあろうかと思います。そこで厚生大臣にお伺いしたいのは、さようなこの法案が、かかって厚生大臣、あなたの運営、その判断、処置にかかっていると、こういう帰結から責任ある御答弁をいただきたいのでありますが、第二十二条について申し上げてみますると、本人が処方せんが必要としないという、こういうケース、これについてすなおに考えればそれで問題はないでしょう。先ほど、しかし幾多の質疑の中にありますように、処方せんは必要としますかしませんか、この問い方一つで、必要とする者が必要としない意思表示をせざるを得ないということもありましょう。これは一応留保するとしても、まあすなおに解釈すれば、一応解決したと、こう解釈しても、次の段階の、あの手でいかなければこの手、この手でいかなければあの手という形で大体八つのあの手この手がここに書いてあるように、やり方によってはまずその第一に私が危惧いたしますのは、次の各号のどれかに該当すれば、この限りでないというのですから、その一番を見ると、暗示的な効果を期待する場合、そのあと処方せん交付することがその目的の達成をさまたげるおそれがある場合、こうなっております。その場合にしからばだれが判定する。お役所に問うて許認可事項になっているのじゃないと私は理解する。今後の運営にどういうふうになさるのか、これはあげて処方せんを出すか出さないかをおきめになるお医者さんが御判定になるじゃないだろうかと、こう考えるのであります。しかもこれが心霊的な、心霊、つまり物的証拠に残らないそういう精神的なものであるがために、捕捉しがたい問題で立証はおそらくできないでしょう。絞殺されて死んだ者でも後日問題が起きて調べてみれば、これは他殺であったという事例はたくさん出ているじゃありませんか。そういう間違いはあるのであります。間違いであればいざ知らず、故意にこの第一項が使われるということになれば、この暗示的効果を期待したということで解決されてしまう。また第二の場合を考えてみましても、るる質疑の中で明らかにせられたように、これまた「処方せん交付することが診療又は疾病の予後について患者に不安を与え、その疾病の治療を困難にするおそれがある場合」、これまただれが判断するか。やはり処方せんを出そうとするお医者さんが判断せられることになるだろうと思う。こういうふうになって参りますから、私は山下義信委員から厚生省のこれら八項目に対する資料を文書で出すということになってお出しになったものに期待をかけていたわけですが、これはまことに私の杞憂を解決する役には何も立たない。ますます心配がふえるということでありまして、ここに川崎厚生大臣とされては、これら取扱いについてどういう確信と指導的な具体案をお持ちであるか、こういう点をまず第一点お伺いいたしたいと思います。  それから第二の点でありますが、以上申し上げたようにかなりこの問題に対する事案の証拠的な判定、把握はむずかしいだろうと私は予想いたします。大橋提案者からの御答弁を聞いてみても非常にむずかしいことがわかりました。しかし、これは監督官庁である厚生大臣の御答弁いかんでは解決するかもわかりません。これら事案について、一から八までとりあえずどういう立証のやり方をするか、実際の問題が起きた場合。あるいはまたこの法の、立法の精神のように運営せられていくかどうか、末端の業者の方で。そういうことを常にチェックせられなければならないと思いますが、そのチェックの仕方はどういうふうにするか。いつもお医者様の窓口に出ばって監督するわけにも参らぬと思います。しからば、これが別に厚生省の通達なりその他適切な方法でこれの運営が万全を期することができるかどうかについて疑問がりますので、これらの立証について、そういう事実があるかないかという、その把握についてどのような具体案をお持ちであるか、これを第二点としてお伺いいたしたいと思います。  第三の点でございますが、罰則については、御承知のように、特にカッコに入れて除外せられました。これには行政罰が残るのみで、刑事罰については除外せられたと、こうなって参りますと、この除外した趣旨については、私もまだ十分納得いたしかねるのでありますが、厚生大臣におかれても、この罰則を取ったことによってその心理的な、お医者さんに対して心理的な影響から——今の点は訂正いたします。質問をしてみなければだめなんだね。(笑声)そこで第三の点でありますが、当初厚生大臣におかれては、昭和二十六年に決定をし、昨年一カ年の延長を見ましたが、これについて、その施行を遅滞なくできるような準備がなされつつあったということであります。ところが、四党等によって衆議院においてはこれが修正をみたという、かかる上はこの線でいきたいということでありますが、しかし従来の立法例にならってみて、私はまだその事例をよく知らないのでありますが、こういうことでもみにもんで、そして昭和二十六年に決定をし、さらに昨年その上に立って延長ということでいろいろな問題が解決せられてまだ間のない今日に、かような、四党が出したその立場も私はわからないことはありませんが、原案を、つまり法律第二百四十四号の修正しないその前のこれを支持なさっていた厚生大臣とされては、過去やはり立法例としてこういうやり方があるかないか御検討願っているだろうと思うわけであります。こういうふうに延長もし、そして施行を見、経験して、この法の運営をしない前に、さらにかように修正を加えるというようなことは、おそらく事例にまれなんではないだろうか、それだけに過去の立法者においてはいろいろ論議はあったけれども、一たん決定すればやはりその施行を見て、さらに改善を加えるというのが、その態度でなければならぬかと私は思うのであります。四党会談に加わっている党の党員であると同時に、私は第二院のこの参議院に席を置いておりますから、党できめたならば、いやおうなしにこれはのむという態度は捨てたいと思って今申し上げているわけでありますが、こういう立場から、厚生大臣の御経験からして、あるいは省の御調査によって非常に修正を加え、延長をし、施行を見ないままに事態が遷延していくという事例が一体あるのだろうか、どうだろうか。あるとすればどういう法案についてあったか、事後の運営がそれがうまく行っているか、行っていないか、こういう点についてお答えをいただきたいと思います。  以上三点について御答弁をいただきまして、許されれば続けて質問をいたしたい。
  237. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) ただいまは、厚生省実施をする場合におきまして、参議院に回付をされた改正案は、たとえば医師処方せん発行の場合におけるところの例外基準と申しまするか、例外列挙規定というようなことについての実施に対してこの程度のものでは不十分ではないかという意味合いが第一のお尋ねであったかと思うのであります。早々の間におきまして法案衆議院において通過をいたし、しかして提案者委員会における御説明等もあったのでありますけれども、これを実施いたし細部にわたって医薬関係をリードいたしていきまする責任は厚生省にあるのでありますから、従ってたとえば医師法改正における処方せん発行の例外基準についての八項目に対し、これを施行する際における一つの基準は通牒で出す、その通牒で出す要綱はどうであるかということについて、先ほど医務局長から刷りものをもって——第七号、第八号は覚せい剤あるいは船中のことでありますから、これは明白でありまして、その他の項については、お手元に出しました基準によって行うのであります。なおこれが参議院に回付されまして、先ほど山下委員から休憩前に御請求になったことをもととして、もとより多少の準備はいたしておりましたけれども、直ちに印刷ガリ版をもって配布した程度でありまして、なお今後におきまして十分なる検討を加え、いわばこの基準に対し一そう今後実行するまでの間に厚みをかけて実行をいたしたい。すなわちこのことにおきましてなお発見しない事例もありましようし、できる限りこれを細密に、医師並びに医薬関係者にわかるように全国に浸透することが今日の厚生省の任務であると思いますので、これを端的に要約をいたしまするならば、さらに細部にわたって検討いたし、厚みをかけて基準を決定いたしましてからこれを頒布いたしたい、かように考えているのでありまして、これと同様に今後さらに委員会におきまして御質疑、または御質疑に関連をいたしまして答弁がありました提案者の御答弁、あるいは医務局長並びに事務当局の答弁をもさらに検討をいたしまして、これらについての実施を確実にいたすように今後努力をいたしたいというのが厚生省としての心がまえであります。  最後に御質問になりました、すなわち昭和二十六年四月に成立をして以来すでに今回の改正法をまじえて三回、すなわち法律がきまってから、二回もこれを延長し、または修正するところの法が出たという事例を知っているかということでありますが、そういうようなことも今日までの国会におきまして例がなかったことではないとは思います。思いますが、これは私のしろうと判断でありまして、どういうものがあったかということにつきましては、残念ながらここに的確な御答弁を申し上げることにはならぬことをはなはだ残念に思っておりますが、要するにもう少し深く突っ込んで申し上げますならば、昭和二十六年四月に制定をいたしておきながら本年から実施をする、すなわちいわゆる余裕期間をこのぐらいおいた法律の中で変ってゆくというような事例は、これは日本国会にはなかったのではないかというふうに私ども考えをいたしております。しかしながらこれらはすべて二十六年四月は占領下のことでありますが、もとより占領下といえども、事医薬問題に関してはそれほど圧迫があって行なったことではなく、GHQの多少の勧告などはありましたけれども、その当時におきましては憲法問題とは違いまして、かなり自由に討議をいたし、妥協案を作成いたしたのであります。しかしその当時の状況とは今日の社会情勢並びに政治情勢というものは相当に変化をいたしてきておりますし、慎重にこの医薬分業を進めてゆく形において念入りな注意深い配慮を払った結果、今日のような改正案がついに参議院に回付された、こう私は判断をいたしておるのでございます。
  238. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) ただいま、この法律案を制定して施行を延期してしかもそれを修正した例があるかという御質問でございましたが、明治年間におきまして民法が制定せられました当時、この民法に対して非常な物議がございまして、その施行期日前に施行延期いたし、しかもその後にその民法が全面的に修正せられまして、終戦前まで続いた民法になっております。まあ希有な例でございますが、さようなことであります。(「明治ですか」と呼ぶ者あり)
  239. 長谷部廣子

    長谷部廣子君 私はお医者さんでもありませんし、薬屋さんでもございません。国民の一人として率直に大臣にお伺いするのでございますが、私が社会労働委員になりましたのがこの四月からでございますのですが、それまでは薬屋さんとお医者さんとは非常に仲のいいものだと思っていたわけなんです。ところでもう社会労働委員になってみますと、両方の方から陳情があるわけで、電報があり、手紙がありまして、ほんとうに御苦労様だと思っているわけなんです。そこでお互いの意見をお伺いしてみますと、なるほどと両方のことがうなずけるわけなんです。それで私もやはりよく考えてみまして、しかししろうとでございますので、本日各委員方々の御質問をからだじゅうを耳のようにして拝聴しておりまして、少しわかったのですけれども、これはもうもっともっと研究してみなければ私自身としてはほんとうのことがわからぬと思うわけなんです。それでこういうようにお医者さんと薬剤師方々と争わなければならない、兄弟のように仲のいい方々だと思っていた方々がこんなにも争わなければならないようになったというその原因がどうにあるかということを一言でいいから率直にわかるようにお答えいただきたいと思います。
  240. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) それはきわめて簡単なことではないかと思います。すなわち諸外国において行われておる医薬分業の体系をわが国においてもいたすことが医薬の関係を整備していくことであると、こう考えられて、医薬分業法というものが制定されんとしておるのであります。その形に実行いたすことにおきまして、今日まで日本社会情勢はそれほど成熟をいたしておらぬというようなことで、これに対する慎重な議論も、まあ急進というわけではありませんけれども、理想的な体系をとろうということのまあ争いが始まったというふうに御解釈をいただいてけっこうだと思っております。
  241. 長谷部廣子

    長谷部廣子君 それで現段階としては大臣はどちらの方々にウェートを置こうと思っていらっしゃるのですか。
  242. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) 双方の円満なる発展を望んでおる次第でございます。
  243. 長谷部廣子

    長谷部廣子君 それはそのお言葉の裏には、やはり患者とか国民とかそういうもののことを一番考えていただけるというわけでございますか。
  244. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) さようでございます。
  245. 山本經勝

    ○山本經勝君 先ほど相馬委員だったと存じますが、提案者の方に御質問になった際に、この修正案を出されるいきさつについて伺ったのですが、この中で私は非常に重要なことが一点落ちておるように感じます。これは私の間違いでありましたら訂正いただきたい。なお、そのことと関連をして厚生大臣にお伺いしたいのでありますが、あの問題が非常に紛糾しておる状況の中で、私も数回それらの会合に臨んだわけであります。ところで、医薬分業ということについては、これはもう今日もその状態は変っておりません。医師を業とされる皆さんの御意見医薬分業について賛成なんだ。またそれから薬剤師でも薬事に関係の業務に携わっておられる皆さんもこれまた賛成である。そこで非常に問題になるわけはもともとなかったと思う。ところが、私は全体をおしなべてみますというと、御承知のように公立あるいはまた国家の経営である、あるいはまた大きな事業所内における企業家の経営しておる総合病院の中では、医師薬剤師という二つの業務が一つの系統の中で医療に従事しておるりっぱな体系が立っているわけです。従ってそこでは何ら問題が起ってこない、明らかに医薬分業が行われている。そこで問題となってきますのは、市町村等一般において開業をなさっている医者方々、そうしてまたこれらの関係のやはり薬剤師という関係の間の問題だと思う。そこで非常に突き詰めた話を私は申し上げますが、この会合の席上で言われたことは、医師の皆さんがどのようにおっしゃったかと言いますというと、医薬分業はよろしいんだ。ただ問題はここで現在薬の調剤をしておる。これを投薬してやることによって医師の生活を守る方法が辛うじてできているんだ、そこで医師の本来の姿は診察なりあるいは診療というところにいわゆる重点があるのであって、言葉をかえていえば、技術によって生きる医者である。従ってその技術によって生きる医者の生活が、技術によって受ける報酬によって保障されるか否かということに問題はかかっている。こうなってきますというと、その保障ができない状態では医薬の分業というものがいわれる通りの概念の上に当ってぴしゃりと割り切られるという形は困るのだということが言われたように私は記憶いたしております。で、提案者のお三人の方はこれはよく御存じかと思う。そこで厚生大臣の先ほどからのお話を伺いますと、いわゆるこの修正案が非常にりっぱなものである、衆議院で四流の話し合いによって完全に意見が一致し、また医師並びに薬剤師、こういったいろいろの立場の、利害が相反するにもかかわらず、この点では意見が統一され、しかも今後の医療事業が円滑に行われるものだというふうに御期待なさっておるようでありますが、そもそも厚生大臣が医療費体系を再編成する必要があるということを認められたのは、昨年以来この問題が議会で問題になって、それから思いつかれた構想ではないかと私は判断する。そこで厚生大臣のお話し方、あるいはさいぜんからの質問に対する御答弁の内容から伺いますと、これは全く終始一貫せぬ大きな矛盾をはらんでおるように感じますが、この点につきまして、いわゆる提案者であるお三人の方に、どなたでもけつこうであります、それが御答弁をいただきたい。いま一つは、申し上げますように、新医療費体系なるものをお考えつきになった理由は、今申し上げましたように、医薬分業根本問題に触れて、この問題を収拾する方法がないものだから、思いつかれた思いつきではないかということを私は今なお疑っておりますから、この点について明快な御答弁をお願いしたいわけです。
  246. 大橋武夫

    衆議院議員大橋武夫君) 提案者としましては、医薬分業の問題を複雑化しておりまする一つの原因として、医薬間におきまするいわゆる経済的な問題、すなわち薬剤の調剤技術に対する報酬、それから医師の診療技術に対する報酬ということの区分が、今日まで画然としていなかった、そういう点にこの問題を複雑化しておる原因の一つがあるということを十分に認識いたしております。
  247. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) ただいまの大橋さんの答弁と、私の考え方は大体同様でありますが、私に対して特にお尋ねでありました新医療費体系は、私の思いつきではないかということでありましたが、それはそうではございません。すでにこの作成のための作業は、昭和二十六年以来続けられておりまして、昨年の九月、一応国会に報告いたしたのであります。しかしこれに対しまして、各方面におきまして御議論があり、新医療費体系に対する御批判があって、いわば昨年におきまするところのこの発表なるものに対しては、当時の医薬関係者並びに社会保障関係者におきまして、非常に否定的な考え方が強くなったのであります。その関係でこれを新たにいま一度整備し直す必要があるというような関係で、今日さらに検討をいたして、そして厚生省考えといたしましては、秋にはこれを実施したいということで進んでおるのであります。これを、まあいろいろな御質問がありまする際に、強調をいたしたのは私でありまするけれども、しかし新医療費体系なるものは、今日始まった問題ではなく、ひとり医薬分業のみならず、医療費あるいは健康保険、国民保険等の医療保障全般にわたるところの問題とも関連をいたしまして、出さにゃならぬ答案であることは御承知通りだと思います。
  248. 湯山勇

    湯山勇君 私はきわめて素朴なことをお尋ねいたしたいと思います。まず大臣にお尋ねいたしますが、時間がありませんので、ごく端的にお尋ねいたしますから、簡明にお答えいただきたいと思います。それは私はやはり両者間の調停とか、そういうことよりも、国民の医療に、あるいは国民の衛生思想の向上に、これがどう役立つかということを考えなければならないと思うわけでございます。そこでこの国民が医療を受けて、薬をもらったときに、その薬の成分、どういう薬だということを知っている方が、国民全体の医療の向上になると私は考えますが、大臣はどうお考えでございましょうか。
  249. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) 基本的にはそうであります。
  250. 湯山勇

    湯山勇君 それから次に提案者大石さんの方へお尋ねします。これは専門のお立場でございますから……。患者が前のお医者さんにかかっておってやってきた場合に、前のお医者さんがどういうことをやっていたかということがおわかりになった方がやはり治療がよくできるし、経過がよくわかって、患者のためになると私は思うのですが、どうお考えになられますか。
  251. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) お答えいたします。おっしゃる通りでございます。
  252. 湯山勇

    湯山勇君 そういたしますと、この法律によっていろいろ規定があるのでありますし、私もこの条文でよくわかる。たとえばこの患者も要らないと、看護に当っている者も要らないというのは、本来はただ要る、要らないとかという思いつきではなくて、たとえば、前と同じようなものをもらう。あなたは前もこういう薬だったが、今度も同じだが、処方せん要りますか、前と同じなら要りませんか、そういう場合は当然患者が要らないと言うと思いますけれども、そうでない場合ですね。そうでない場合は、これは国民の医療を向上さしていくためには、お医者さんの方も処方せんを出すように努力される。また厚生大臣とされましても、これは相当啓蒙指導をなさらなくちゃならないと思いますが、患者に対しては処方せんが必ずもらえるように、もらうようにするような啓蒙をなさる御予定かどうか。と申しますのは、私はこういうことがよくわかってくれば、今売薬なんかにも薬事法の四十一条とかで有効成分をちゃんと書くようにきめられておるそうでございます。で、これは非常にやはり役に立つております。何とかかんとか言いながら役に立っております。そこで要るとか要らないとかいうことを、そういうことじゃなくて、当然これはもう要らないということが明瞭である場合のほかは渡すということが確立されていなければならないし、また衛生思想の上からいって小学校の教科書に処方せんかという教材が出てそれを中心に親と子が話し合うことを、皆さんのお子さんがかえって処方せん質問を親にするというようなことは、私は確かに国民医療の向上になると思うわけです。そこで大臣は今重ねて申し上げて恐縮ですけれども、もらうように国民に対して今後啓蒙指導を必ず強力にやっていく、そしてまたお医者さん測の方は必ず渡すように一般に、そのお医者さんの仲間に一つ強力な運動を展開すると、こういうお約束をいただけるかどれうか、お伺いします。
  253. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) ただいまお話の通りのような傾向に馴致をいたしたいと私は考えておりまするが、わが国の伝統と風習というものを無視して行うというわけには参らず、それらについては国民自体の医薬知識に対する正確なる考え方が発展していくように馴致をいたす、そういうふうにいたしたいと考えております。
  254. 山下義信

    ○山下義信君 今のに関連して、厚生大臣に伺いたいのですが、全体的の指導については今大臣がお答えになりましたが、私は政府としてこの運営に十分留意のできる点があると思うのです。それは言うまでもなく、あなたの方の御所管の健康保険の上についてです。この点について十分御検討相なり、御配慮相なる御用意がありますかどうか承わっておきたいと思います。
  255. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) 健康保険はことに労働者の保険でありまするし、ただいま私が伝統と風習と申したのは、特に農村方面におきましてそのような風習が著しく残っておるというふうに考えられますので、そういう意味におきましても、医薬分業の体制をいよいよ深めるための一つの先駆者的の立場といたしまして、健康保険というものは非常に重要だ、こういうふうに認識をいたしておりまするから、従って仰せのように努力いたしたいと思っております。
  256. 大石武一

    衆議院議員大石武一君) 湯山さんにお答えいたします。おっしゃることは大体について原則的に私も賛成でございます。でき得る限りこの国民のものの考え方、習慣と歩調を合せまして、でき得る限りお考えの方向に進めたいと私も考えております。
  257. 湯山勇

    湯山勇君 ちょっと、大臣は少し誤解されておるところがあると思うのです。私はわが国の伝統と風習をこわすようなことを申してないつもりです。お医者さんで薬をもらうことを私は何にも申してない。お医者さんで薬をお渡しになる場合でも、処方せんを渡して、この薬はこうだということをやるように、国民にはお医者さんの薬をもらう旧来の伝統に従う場合でも、処方せんをもらうということの指導をなさるか、なさらないのであるか、これを聞いておるのです。伝統をこわすとか何とかということを申しておりません。  もう時間がありませんから、もう一つお尋ねいたします。それはそれと関連いたしまして、新医療費体系におきまして、従来出されました厚生省の案では、新医療費と調剤費は分かれております。その新医療費の中に処方せん代が含まれておりました。これが含まれるか、処方せん料がワク外に出るか、これは今一般国民に指導する場合に非常に大きな要素になります。含まれておるとすれば、どうせ同じお金のかからぬものならもらいたい、もらってもいい、毒にも薬にもならないし、お医者さんはどうせ処方せんをお書きになるのだから、それじゃもらおうということになりますし、処方せん料が別のワクになれば、これはお金がかかることならもらわないというようなことにもなると思うのです。で、そうなればこれはこの医療費体系がどうきまるかで、これをやることに非常に影響があると思いますが、これについては厚生大臣どうお考えになっておりますか。この点だけについて、もし御答弁のいかんによってもう一つだけ聞かしていただきたい。
  258. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) 作業の実態を知っております医務局長から答弁をいたさせます。
  259. 湯山勇

    湯山勇君 伝統の問題は。
  260. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) それは私の、何といいますか、あなたの御質問を誤解しての発言でありまするから取り消します。
  261. 湯山勇

    湯山勇君 処方せんの方は全力をあげて下さい。
  262. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) 承知しました。
  263. 曾田長宗

    政府委員(曾田長宗君) 処方せん料の問題につきましては、従来から私ども考えておりましたのは、一般の診察料と処方せん料とを区別することはきわめてむずかしい、またそれを区別することによって利点もありましょうが、また難点も考えられる。さような意味におきまして、私どもはでき得るならば、区別したくないというふうに思っておるのでありますが、これもいろいろ今日までの国民の間の習慣とか、あるいは何と申しますか気風というようようなこともございますので、この点については、さらに検討をいたして参りたいというふうに考えておる次第であります。
  264. 田村文吉

    ○田村文吉君 動議を提出いたします。この辺で質議を打ち切って直ちに討論、採決に入られんことの動議を提出いたします。   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  265. 小林英三

    委員長小林英三君) ただいま田村君から質疑を打ち切って討論、採決に入るベしという動議が出まして、賛成がございましたので、この動議は成立いたしました。(「委員長委員長」と呼ぶ者あり)  田村君の動議を議題といたします。田村君の動議に賛成諸君の挙手を願います。(「反対」と呼ぶ者あり)   〔賛成者挙手〕
  266. 小林英三

    委員長小林英三君) 多数と認めます。よって田村君の動議は可決せられました。  これより(「議事進行」、「発言を許しなさい」と呼ぶ者あり)討論に入るわけですが——ちょっと湯山君、議事進行ですか。
  267. 湯山勇

    湯山勇君 私は事ここに至ってですけれども、先にこの答弁いかんによってはもう一つだけ質問すると申したことを委員長は聞いておられましたか。
  268. 小林英三

    委員長小林英三君) 委員長は聞きません。田村君の動議の方が先でした。
  269. 湯山勇

    湯山勇君 私は動議の前に、私の質問の前に、そういうことをお願いしておったのです。
  270. 小林英三

    委員長小林英三君) 今動議が取り上げられたから ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  271. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記を初めて。  ただいま榊原委員からいたしまして、賛成者——加藤武徳君の賛成によりまして動議が出ております。「医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案討論は、討論者各会派一人とし、その発言時間は五分間以内に制限することの動議を提出いたします。」、こういうのが出ておりますからして、この動議に対しまして採決をいたします。(「提案者に対する質問」「動議に対する質問」と呼ぶ者あり)  速記をとめて。   〔速記中止
  272. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記を始めて。  それでは榊原君の動議に賛成諸君の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  273. 小林英三

    委員長小林英三君) 多数と認めます。  速記をとめて。   〔速記中止
  274. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記を始めて。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  275. 高野一夫

    高野一夫君 私は、衆議院から回付されました本法案に対して反対の討論をいたしたいと思います。  この修正案並びにそのもとである大石案を検討いたしますれば、これは医薬分業の——いわゆる任意分業の名をかりて、その実は医薬分業を実際的には行わしめないようにきわめて巧妙なる字句をもって逃げ道を作ったことは、特に医師法修正案であると考えます。そこでわれわれは、とにかくこの修正案につきましては、衆議院から回付されました修正案につきましては、わが参議院においては十分の時間をかけて疑義をただし、法的解釈を定めて、そうして今後政府がこの医薬分業の運営に支障を来たさないようにしたいと考えておったのでございます。そこで私はこういうふうに急いで、たった一日のうちのわずか数時間を限って質疑をやり、その質疑も強引に打ち切られなければならないというような参議院のこの審議を、まことに遺憾にたえない次第と考えます。これはできるならば休会中次の国会まで継続審査に付して、そうして十分議を練るべきであろうと考えておったのでございまするけれども、私はあえて継続審査の動議も提出いたさなかったのは、私は皆様の大多数の意思をくんで、いかにかして円満に議事を進めていただきたい、こう考えて継続審査の動議を提出しなかったわけでございます。ところで、この法案につきましてわれわれがただしましたところによるというと、提案者説明にいたしましても、あるいはこれが国会を通過した後にこの法律の運営の衝に当る厚生省事務当局の答弁にいたしましても、とうていわれわれが納得することのできない、理解しがたい点を多分にまだ残しているのでございます。このままでこの法案参議院を通過し、すなわち国民に対して順法の精神をしいることになりました場合に、果して円滑に正しいあるべき姿に導くことができるかどうかという点については、私は多分に疑問を持ちます。しかもこの法案の作成者が衆参両院にまたがる専門家の医師である議員諸君が中心になられて作成された案であるのでございますが、この国会に対して全国の医師会が強い働きかけをして、医薬分業の全面廃棄の運動をし、そうしてそのあげくがかようなる案に落ちついて国会に提出され、審議を進められたということ自体を、私はまた国会立場からきわめて遺憾千万に存じます。しかもこの医薬分業は、先ほど大臣からもお話がございました通りに、昭和二十六年に第二百四十四号が制定されて、しかも準備最中に昨年延期をして、そうしてまた今年突如として改正をする。いかにも法律をもてあそんで、一部の一方の反対意見をその意見に従って実施されない法律が軽々に国会において改廃される、かようなことは国会のあり方にはなはだしい不満を感ずるのであります。かようなことで一体国民は国会の制定した法律に何の権威を感ずるであろうか。国民は国会法律を作って公布いたしましたならば、いかにかしてその法律を守ろうと努めるわけであります。その準備、心がまえをするわけである。ところがその準備をし、心がまえを進めておる間に、実施されない前に再び三たび改正をされる、かようなことで国会が作った法律に国民が信頼をおくことができるでありましょうか。またわれわれ国会議員として、かようなことを国会議員がやって、そうして国民に国会を信頼しろ、国会議員を信頼しろ、こう言ったところで、果して国会の権威、国会議員としての見識を維持することかできるであろうか。このことは医薬分業是非の問題よりも、この法律の軽々たる改廃、国会のあり方、これについて私は非常な不満を感じ、そうして私自身非常な疑問を持つ次第であります。こういうことがひんぴんとして行われるようなことがございますれば、これは今後日本は円満たる適正なる法治国としての、国家としての体面を保つことはおそらく不可能ではあるまいか。国民が法律を守らないために国民を責める権利はおそらく国会議員としてはないと私は考える。この法律については、ことに昭和二十六年第十国会における法律は当時の自由党、当時の改進党も党議をもってきめた。それが実施をされない前に、社会情勢の変化が何かしらぬけれども軽々に——私も自由党の党員であるけれども、私の所属の自由党においても、そのほかの政党においても、これが実施されない前に軽々に延期をされ、改正される案が、有志議員であろうけれども、起るというこの事態についても、私は政党のあり方についてきわめておもしろからざる考えを持つのでございます。この法案審議に当りまして、われわれは先ほど来の大臣がおっしゃるように、新医療費体系がいわゆる国民の経済的負担、これがいかになるかということが最も大事な問題であります。しかも、これは政府においてはししとして調査を進め検討を加えられつつある。これが二、三カ月後には出ようとしている。これと関連をいたしまして、この医薬分業実施の問題を吟味することこそが適正なる国会における審議の状況であると考えている。その準備が進められている過程におきまして、こういう改正案が出たということを非常にまたわれわれは不満に思うのであります。  この法律は部分的には同意を表する点もございますが、また強く反対しなければならぬ点もございます。だから私はかように軽々に二百四十四号が延期され、改正されるのに対して非常に不満を持ちますので、この衆議院から回付されました三法律改正案に対しては、私は反対をいたすものであります。
  276. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 ただいま衆議院回付の改正案に対しては、すでに衆議院においてこれを修正しております関係上、日本社会党左派は、これに賛成するものであります。  しかしながらぜひともこの場合明らかにしておきたいことは、われわれは、これは国民の医療の将来に画期的な影響を与える重要な医薬分業に関する法律案であるがゆえに、十分審議を尽した上でこれを決定したいと考えたのでありますが、種々の事情のもとに、十分われわれは審議を尽すことのできなかったことをきわめて残念に思っております。従ってこの決定をするに当りまして私どもの会派といたしましては、特に行政当局に対してこの医薬分業の精神あるいは目的あるいはその使命につきまして、国民の啓蒙に十分の力を尽していただきたいと願います。特にこの第二十二条に対しては、きわめて私どもは疑義を持っておりますからして、この趣旨に対する懇切丁寧な解説を国民に徹底さすと同時に、医師側に向っても十分具体的に解明して誤まりのないことを期していただきたいと思うのであります。  医者の前における患者は、治療をする者と治療を受ける者、強い者、健康な者と弱い者との関係におかれておるのであるからして、この患者またはその看護に当る者が処方せん交付を必要としない旨を申し出た場合というがごとき、きわめて微妙な間に処するものに対しては、弱い立場に立っておる者を十分守るような、そうして医薬分業の目的を誤まらないような行政的な指導というものを国民医療に当るところの医師の側に対しても、治療を受けるところの国民の側に対しても十分徹底さしていただきたいと希望するものであります。すなわち医薬分業のこの法案がねらっておるところの分業、すなわち医師は治療に当り、薬剤師は薬剤の調剤や薬剤を出すことに十分注意をもって対するように、特に医師処方せんを出すということを原則として、この国民医療における合理的な医療の基礎が確立するようにしていただかなければなりません。現在の医療制度の不備から来るところの国民健康のこのような破壊を迅速に回復するために、この法律が十分社会的な機能を果せるように行政当局の特に努力を希望するものであります。  最後に、新医療費体系の確立とともに、今日の医療制度におけるところの根本的欠陥であるところの医療点数の引き上げの問題、あるいは薬価の合理的な価格に対する考慮……。
  277. 小林英三

    委員長小林英三君) 竹中君、時間でございます。
  278. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 はい。あるいは社会保険における国家の負担分の画期的な増大、こういう関連的な、国民医療に本質的な関係を持つところの料率に対する積極的な施策が厚生省当局によって行われることを希望せざるを得ないのであります。どこまでもこの医薬分業とい、精神、目的を持ったところのこの法律の施行に当って、これが国民医療の画期的な前進に寄与するものとするように当局、医療者、薬剤師が特別の努力をもってこの国民医療に当られることを希望して、この法案賛成するものであります。
  279. 小林英三

    委員長小林英三君) これにて討論は終結したるものと認めます。  それではこれより医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして採決をいたします。本案を原案通り可決することに賛成諸君の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  280. 小林英三

    委員長小林英三君) 多数と認めます。よって本案は多数をもちまして原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議におきまする口頭報告の内容、議長に提出する報告書の作成その他の手続につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  281. 小林英三

    委員長小林英三君) 御異議ないものと認めます。  なお報告書には多数意見者の署名を付することになっておりまするから、本案を可とせられる諸君は、順次御署名を願います。   多数意見者署名     加藤 武徳  竹中 勝男     藤田  進  長谷部ひろ     高良 とみ  横山 フク     相馬 助治  寺本 広作     田村 文吉  有馬 英二     森田 義衞  谷口弥三郎     常岡 一郎  山下 義信     湯山  勇  榊原  享     山本 經勝
  282. 小林英三

    委員長小林英三君) 本日はこれにて散会いたします。   午後十一時四十六分散会