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1955-06-20 第22回国会 参議院 社会労働委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十日(月曜日)    午後二時四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 英三君    理事            加藤 武徳君            山下 義信君    委員            榊原  亨君            高野 一夫君            松岡 平市君            横山 フク君            阿具根 登君            河合 義一君            山本 經勝君            有馬 英二君   国務大臣    厚 生 大 臣 川崎 秀二君   政府委員    厚生政務次官  紅露 みつ君    厚生大臣官房会    計課長     堀岡 吉次君    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生省医務局長 曾田 長宗君    厚生省医務局次    長       高田 浩運君    厚生省薬務局長 高田 正巳君    厚生省社会局長 安田  巌君    厚生省保険局長 久下 勝次君    厚生省引揚援護    局長      田邊 繁雄君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君    常任委員会専門    員       磯部  巖君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度に関する調査の件  (お年玉つき年賀はがき寄付金の運  用に関する件)  (保険医監査に関する件)   —————————————
  2. 小林英三

    委員長小林英三君) ただいまから委員会を開会いたします。  本日は、社会保障制度に関する調査を議題といたします。
  3. 山下義信

    山下義信君 私はこの際、お年玉年賀はがき寄付金の問題につきまして、厚生大臣緊急質問をいたしたいと存じます。
  4. 小林英三

    委員長小林英三君) 山下委員の今述べられましたお年玉はがきによる寄付金指定団体に関する問題につきまして、まず冒頭に質疑を許したいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小林英三

    委員長小林英三君) 御異議ないと認めます。
  6. 山下義信

    山下義信君 お年玉はがき益金が、御承知のごとく最近は約五億円の利益を上げておるのでありまして、この五億円がいかなる団体によりまして配分されるかということは、申すまでもなく非常に重大な問題でございますので、私はこの際厚生当局、すなわち厚生大臣はこの問題についてどうお考えになっておられますか、どういう御方針をおとりになりますかということについて伺いたいと思うのでございます。申すまでもなく、このお年玉はがき益金、すなわちこれによる寄付金社会福祉方面に使うという関係法律はちゃんと明らかに現存しておるのでありますが、それに従いまして今年まで五カ年、このお年玉はがきのいわゆる寄付金は、法律の立法の精神に従いまして、共同募金その他社会福祉を所管いたしまする厚生省監督団体を経まして、全国社会福祉団体配分をいたしまして、非常に多くの保護者に恩恵を浴せしめておるのでございます。しかるに今回、郵政当局はいかなる考えでありますか突といたしまして——どもも最近新聞によりましてその事実を知ったのでございます。同時に、一昨々日あたりから、昨日あたりにかけましては、全国社会福祉関係者が東京に集まりまして、この問題に対して非常に憂慮をいたしておるのでございまして、問題が発生いたしましたことも非常に突然でございまするし、また郵政当局が企図いたしまするその真意も那辺にありまするか。私どもといたしましては非常に怪訝にたえない点があるのでございます。私どもといたしましては、従来共同募金その他の団体によりまして、この寄付金が有効適切に使用せられておりましたことを確信いたしておるのでありまするが、おそらく郵政当局は、この五億円の寄付金厚生省監督下にありまする団体から、いわゆる取り上げて、郵政省の支配する、すなわち郵政省関係者のこの人たちによりまして、あたかもあの国鉄が弘済会のごときものを持っておりますと同じように、郵政省外郭団体を作って、そうしてみずからこの年賀はがきの年々生むところの五億円のこの巨額な金の運用郵政省一味によりまして、あるいはその古手官僚をこの団体に配置し、いわゆる郵政省外郭団体としてこれを作り、そうしてあたかも共同募金その他の社会福祉団体がするがごとき事業、言いかえますと、厚生省のやるべき、厚生省監督を受くべき、厚生省のその所管下において行うべき社会福祉に対するところの仕事郵政省のその目の光の下で被らの一味が特殊の団体を作って、そしてこの巨額な金の運用をはかろうとする意図ではないかと私どもはそんたくするのであります。それ以外に彼らがかようなことを企てる理由は、私どもとしては推測し得られないのであります。事は非常に火急の状況下にある模様でありまして、ここ数日のうちにこれを決定せざれば、承わるところによりますというと、数億万枚のはがき印刷の表面に、本年まで、この年賀はがき共同募金等を通じて寄付するとか書いてありますはがき印刷を、彼らの団体によりましてこれを奪って、そうして勝手にするというならば、その団体の名を入れなければなりませんので、非常に急いで、彼らはこの徹底をはかろうとしておるということでございます。私はこの際、厚生大臣はこのことを御承知になっておられるのかどうか、新聞には十七日に郵政大臣川崎厚生大臣に申し入れしたと記載いたしておりまするが、同日このことを郵政審議会に付議して、法律は、あらかじめ厚生大臣協議することを明記しておりまするが、もし新聞の記事ならば、その日に厚生大臣にこれをただ単に話したというのでは、協議したという事実にはならぬ。あるいは厚生大臣は、早くからそのことを御承知相なって、何か川崎厚生大臣としてのお考え郵政当局にお話しになっておるのではないかと思われる。あるいはそういうことはないのであるかもわからぬ。わが国社会福祉行政をつかさどっておられる厚生大臣の、私はこの問題に対しまする厳固たる御方針を承わりたいと思うのでございます。
  7. 川崎秀二

    国務大臣川崎秀二君) ただいまのお年玉年賀はがきの問題につきましては、十七日以前におきまして松田郵政大臣から、これらについて郵政審議会協議をするという話し合いは私に対してありまして、すでに二回にわたってそういう話し合いがありましたが、それに対する具体的な方針というものは一切承知をいたしておらず、松田郵政大臣との間に私が取りかわしまする会話も、主として今日の政局問題、あるいはその他の問題に中心が置かれておるような関係で、この問題について深い話し合いをしないうちに、新聞紙上で非常な取り上げ方をせられておって非常に迷惑に感じておるわけでありますが、明白に申し上げたいことは、話し合いがありますれば、すなわちこのようなことにいたしたいというような話でありましたならば、私としても十分、この法案が成立をしました基礎からいたしまして、自分の考え方を十分に持っております。しこうして郵政省がこのようなことを言い出しましたことについては、在野当時聞いておった話も割合記憶を持っておりますので、あるいはそのことではないかと思っておったようなことが、新聞紙上を通じて初めて承知をいたしたのであります。私はこの社会福祉行政をつかさどるものとして、郵政省郵政審議会にかけて、このお年玉寄付金配分について、新しい団体を作るなどということについては、絶対に反対であります。従ってこれはあらゆる政治力を動員をして阻止をしなければならぬと考えております。それはただいまお話の通り社会福祉の面を受け持っておりまするのは、もとより厚生省だけではなく、失業対策の面につきましては労働省も相当な大きな幅を持った役所であります。しかしながら今日社会福祉行政の主管をし、しこうして将来のわが国におけるところの社会福祉行政というものを展望いたしますときには、これを漸次統合強化をするということが、一元的にするということが目標でありまするから、従ってこれに逆行するような、いささかなりともの面が現われまするならば、これに対しては、われわれは単なるセクショナリズムということでなくして、むしろコンセントレートする意味において、われわれとしては断固反対せざるを得ないのであります。しかしながら郵政省が言い出しましたことにつきましても、必ずしも全面的に私は、これが新団体を作るということに対しての反対は別でありますが、たとえば郵政省社会福祉事業についてこの金を使ってほしい、それには一般的な社会福祉事業ということならば、当然国は補助金融資その他の施策を通じてやっておることであるから、お年玉はがきについては、何らかこのお年玉はがきによって、病院なり、養老院などというものができたということを明確にするために、具象的なものにしてほしいというのでありましょうが、まだその通知も何も受け取っておりませんが、聞いたところによると、そういうことであります。そういうことの方針については、私はあえて反対ではございません。従って、郵政省の申し入れにつきましては、もしそういうような線で交渉がありまする際には考えをいたしてみたいし、また従来、私の責任ではございませんけれども、従来厚生当局がこれに対してどういう措置をしておったかということについては、目下鋭意研究をし調査——私個人で調査もいたしておりまするが、郵政省の言い分が全部間違いであるというふうにも思われない節もありますので、その点については、郵政当局と相談をいたしまして、今後善処をいたしたいというのが、私の今日のこの問題に対する考え方であります。
  8. 山下義信

    山下義信君 問題は非常に重大でございますが、しかしきわめて簡単明瞭であります。従いまして、ただいま厚生大臣から、率直に申し上げますというと、私が杞憂いたしましたことがむだでありまして、以外にも明確な、しかも厳然たる御答弁をいただきましたので、この上は何をか言わんやであります。ただいま大臣の御答弁にありましたように、新団体の企図というものは、これはあくまでも非常な不都合なことでありまするから、断固としてこれは中止していただかなくてはならない。その方法はどういうふうになさるかは、これは大臣の御手腕に待つのでありまして、われわれがこれを御追及申し上げる限りではありません。しこうして今の御答弁の中にありましたように、これらの寄付金の使用の方法につきまして、共同募金が受け入れて、その郵政省側の希望をどういうふうに取り入れるかということは、今後の御研究、御検討に待ってもよろしいと思う。これはこれらの国民全般から集まるところの寄付金性格というものは、私どもといたしましては、きょうは議論するわけではありませんが、共同募金の金と全くこれは理論的には同一なんです。そういうものがひもつきとなって、この金の使い道が一々指図されるということになりまするというと、元来共同募金プール制であって、その集まった金がいろいろに使われるところに意義のありまする——それに反して特別の使い方をさせるということがどうであろうかということは研究の余地がありますが、しかしながらこの寄付金使い方につきましては、時代の推移に伴いまして、有効適切に研究を講ずるということはいつの場合にも必要でありまするから、その大臣の御意思につきましては、われわれも一部御同感申し上げ得る点もあるのであります。ただ新団体を作ることはあくまでもこれは反対だ、やらさないということでありますれば、私は大臣の御言明を深く信頼いたしまして、この問題の解決に期待をいたすのであります。  なお念のために承わっておきたいと思いますことは、この種の団体がかりに作られるといたしまするならば、その事業目的が、社会福祉関係事業目的といたしまするならば、これは財団法人のかりに申請をするといたしますると、それの認可厚生大臣にあると思いますが、いかがお考えに相なりますか。第二は、財団法人団体ということになりますると、私は実際におきましては、それがどこに設立せられたといたしましても、これが監督ということは非常に困難であると思いますが、その点はどうお考えになりましょうか。第三といたしましては、この種の社会福祉に非常に深い、しかも重要な仕事をしようとする団体は、厚生省が持っておるところの社会福祉事業法精神から申しまするならば、この種の団体社会福祉法人として設立せらるべきが妥当である、そうなくてはならぬ。よしんば、かりにこういう団体を作るといたしましても、共同募金に似通うような仕事をするということになりますれば、共同募金はすでに法律社会福祉法人でなければならぬと明記してあるのでありまして、同じような性格のものを作るとするならば社会福祉法人によってこれが設立を見るべきが建前であると考えるのであります。これは今郵政省がこういう陰謀したこの計画に対して云々するのじゃありません。関連いたしまして、この際これらの事業団体設立するときの厚生省との関係をここに明確にいたしておく必要がありまするが、社会福祉法人でなくてはならぬと私は法の建前から確信する。しからば厚生大臣認可がなければ、この種の共同募金に類似する多くの国民大衆から金を集める、そういう金を集めてそしてしかも非常に巨額、非常に複雑な社会福祉事業をしようとするならば、その団体は必ずや社会福祉事業法精神に基いて社会福祉法人の手続によるべきである、私はかように信ずるのでありまするが、厚生省当局のこの種団体に対しまする設立に関する御方針はいかがでありましょうか、この際明確にしていただきたいと思うのであります。
  9. 川崎秀二

    国務大臣川崎秀二君) ただいまの質問は大体三つに分れておりまして、第一、第二の問題についての区別につきましても、また再質問していただかないとちょっとわかりにくかった点もありますが、まず第一に、今回のお年玉年賀はがきの問題に関連をして、郵政省といいますか、郵政審議会が結論を出すわけでありますが、その途上におきまして、厚生省としては絶対に反対であるということの言明は先ほど申し上げた通りでありまして、これは厚生省と申しますか、厚生省ももとよりでありますが、同時に私は内閣といたしまして、こういうものを存置すべきではないというふうに考えており、これらは閣内におきましても十分に意見が通りまするように適当な措置をとりたいと思っておる次第であります。また、このような新団体設立は不適当であり認めないということの方針は次官がすでに外部に対しまして申しておる通りでありましていこれもそのように御了解を願いたいと思うのであります。  第三に、社会福祉事業に対する助成事業であるから社会福祉法人にしろと、もしそういうものがどうしても社会福祉仕事をやりたいということで発足をする場合におきましては、私はただいまお説の通り福祉法人の方が適当だろうと思います。しかし今回の問題が発生しました経路からいたしまして、お年玉年賀はがきというものと結びつかないで、ただ社会福祉法人を作ろうなどということは事実上はないのであります。つまりこの問題に関連してこれは起って来たことでありまするから、これはもしそれがどうしても形成するということに、組織をしようということになりますれば、これは一種の私は政治問題になる、かように考えておる次第であります。
  10. 山下義信

    山下義信君 私の前段伺いましたのは、今郵政当局考えているのは財団法人としてやろうとしておる。社会福祉法人としてやるならば、必ずやあなたのところの許可が要る。厚生省当局反対するならば法人組織ができない。財団法人でやろうとする−財団法人でやろうとするならば郵政大臣認可でもできる。しかしその事項が社会福祉事業である限りにおいては、さような財団法人認可申請は、やはりその事業目的からいたして厚生大臣にこれは認可申請すべきものであると思うがどうであろうかということが一点、それからその財団法人というものが好ましくない。実のところは財団法人というものは監督権というものが行き届かない。社会福祉法人になれば、厚生大臣として十分監督ができるように社会福祉事業法に明記してある。そこで財団法人というものは、できるだけこの種の団体としても厚生省としては好ましくないという方針をとられるかどうかということが前段の質問であったのであります。
  11. 川崎秀二

    国務大臣川崎秀二君) ただいま財団法人の場合はどうかということでありますが、それはかりに認可をいたすにいたしましても、その場合におきましては、当然社会福祉仕事に携わるわけでありまするから、それに対しては、認可に対する認可権といいまするか、許可に対しては当然厚生大臣許可も要るものと私は思うのであります。そういうふうにしなければならないと思っております。  それから第二の問題は、私は当然、お説の通り国民の零細な寄付金で、しかも四億八千万から五億に上るというような数字を出してきておりまする今日、なおこれが国民大衆一般に浸透いたしまして、さらに増加の傾向をたどっておるような勢いからいたしましても、当然社会福祉法人とするのが適当であると考えております。
  12. 山下義信

    山下義信君 私が念を入れて伺いましたのは、先ほど厚生大臣がこの種の計画反対であるからやめさせる−もうこれで私はこれを承わりさえすれば、いろいろあとは大臣政治力でやってゆくので、私どもは期待しておる。また信頼いたしておる。しかしながら大臣には権限があるので、すなわちこの種の団体設立財団法人であろうと社会福祉法人であろうが、後者的な−もちろん前者の公益法人たる財団法人であっても、その目的社会福祉法人でありますならば、言うまでもなくただいまの仰せの通り、従来の例によりまして厚生大臣認可権大いにあずかって権限があるのでありまするから、私はこの際大臣は意を強くされまして、この問題の解決に対してはきぜんとしてお臨みを願いたいと思うのであります。  最後に、私がこの機会にお伺いいたしておきたいと思います共同募金あり方につきましては、ちょうど検討するよいチャンスではないかと思う。この制度ができましてすでに年月を経過しております今日のあり方は、これまた法律上にはわずかに一、二条の規定で、その名前の許可ぐらいの程度にしてありますが、今日のあり方は、開始当初GHQの示唆にありまするそのままのあり方になっておりまして、端的に申しますれば、政府監督というものが全然ないことになっておりまして、野放しのままであります。従いまして私どもといたしましては、共同募金運営、またその使途等につきまして、政府が適切に干渉にならない程度におきまして、適当な監督指導が必要ではないかということを最近われわれは考えておるのでありますが、この際私はこの点に対する厚生当局のお考えを承わっておきたい。また一つには、最も密接なる社会福祉協議会との関係等も十分この際検討いたしまして、そうして今後の運営が妥当を欠くことのないように対策を立てるべき時期ではないかと考えるのでありますが、この際大臣の御所見を承わっておきたいと思います。
  13. 川崎秀二

    国務大臣川崎秀二君) ただいまの最後の御質問は、御指摘通りでございまして、内部干渉するなどというような気持は毛頭ございませんが、このような社会的な問題になる問題の発展の方向によりましては、政治的な問題にも大きな影響を投げようとしておることでありますから、従って共同募金会あり方というものにつきましては、従来より一そう政府と密接なる連絡というものが必要なのでありまして、そのような意味合いでは厚生省共同募金会のこの問題のみならず、一般にわたりまして適切なる指導をいたすべきものだと考えをいたしております。
  14. 山下義信

    山下義信君 私の質問は、この段階におきましてはこの程度にいたしておきます。  重ねて申し上げておきますることは、社会労働委員会ができまして久しぶりに委員会の力をかけて解決しなくちゃならぬ問題がここに発生をいたしました。あたかも農林委員会における減収加算の問題のごとく、当委員会の面目にかけ、厚生省社会福祉行政の浮沈にかけて、この問題の解決をいたさなければならぬことに直面した、当面したと私は解釈をいたしております。ただいま大臣の御言明によりまして、その御解決を期待いたしておるのでございますが、でき得るならば、私どもといたしましては、大いに大臣を鞭撻し、また失礼でありますが、その御努力をバック・アップする意味におきまして、何らかの所見もここで決定いたすのがよいのじゃないかとも考えるのでございますが、私の質疑はこの程度にいたしておきたいと思います。   —————————————
  15. 高野一夫

    高野一夫君 私は前回の質問に関連して伺いたいのでありますが、大臣からでも保険局長からでもどちらからでもけっこうでありますが、それは先般来私が問題にしているのは、年々四、五百億ずつの医療費の激増を見ている。この問題を取り上げているのである。そこでその内容については明日私は資料をもって質問をし御答弁も願いたいと思っておりますが、そのために不正に請求され、不当に支出される各種の医療費、この問題を何とかして防止しなければならぬ、こう思っているわけです。そこで先般私は石川県における保険医監査の、病院監査の問題についてお尋ねいたしたわけでありますが、それに関連して今日は一言だけ伺っておきます。  それは保険医監査をやる場合に、保険医自身がこれを拒否する、あるいは病院従業員その他第三者がその検査妨害をする、その二つの場合があると思うのであります。その本人が拒否した場合あるいは第三者妨害をしたというような場合が、刑法第五章の「公務執行妨害スル罪」の何カ条かのうちのどれかに該当しないものか、その点と、それから、もしも該当するならば、そういうような考え方告発されたことがあるかどうか。告発されたことがあるとするならば、事例をあげて御説明願いたいと思います。
  16. 久下勝次

    政府員員久下勝次君) 保険医監査をいたします場合に、従来時折、大衆が集まりまして監査執行妨害された事例がたびたびございますが、私から申し上げるまでもなく、公務執行妨害の罪は、ただいま御指摘のように刑法第九十五条に規定がございまするように、公務員の職務を執行するに当りましてこれに対して「暴行ハ脅迫」を加えるという積極的な作為が必要でございます。従来たびたび大衆が集まりまして、実質的には監査の遂行が妨害をせられておりまするけれども、私どもが最近数年間に経験しております事例におきましては、この刑法第九十五条に書いてありまするような積極的な「暴行ハ脅迫」の段階に至らない、すれすれの程度になっておる事例が多いのでございます。さような懸念のありまする場合には、あらかじめ警察当局とも連絡をいたしまして、警察官の立ち会いを求めたりなんかいたしておりまするけれども、その場合にも、積極的な暴行脅迫作為の事実が起っておりませんのが従来の実情でございまするので、従いまして保険医監査を行いますために、刑法第九十五条の公務執行妨害罪成立をし、あるいは成立をする懸念があるとして告発等をいたした事例はございません。  ただ御参考に申し上げまするけれども、昨年の四月十六日に厚生省及び大阪府の監査に当りました公務員監査妨害せられましたことによりまして、これは健康保険法の八十八条ノ二の罰則の適用のあることになりまするので、その関係上三名の保険医告発した事例はございます。これは公務執行妨害罪としてではございません。健康保険法第九条ノ二の規定による診療録検査を拒んだ疑いがあるということで告発をした事例がございます。
  17. 高野一夫

    高野一夫君 もう一点局長に伺いますが、病院でスクラムでも組んで、そして妨害をするというような場合は、それは労働組合の場合と私は違うと思うのですがね。だからあなたのおっしゃる解釈というものは、いろいろな労働争議なんかの場合のいろいろな判例とか、そういうようなものを土台にしての解釈じゃないのですか。そうでなく、保険医監査に対するそういう妨害について、第九十五条が適用されるかどうかという点について、本式に法理論として御研究になっての御意見ですか。
  18. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 実は具体的の問題のありました際に、公務執行妨害罪成立するかどうかというところまで突き進んでその場合々々に検討をしたわけではありませんけれども、先ほど来申し上げておりますように、監査をいたします場合、多くのやり方は、一定の場所に保険医においで願いまして、そこで診療録を調べ、必要な質問をするというような形で従来監査執行しておるのでございます。その際に大衆が押しかけて参りまして、場合によりますと、保険医がその保険監査場に入りますることを妨害をいたしましたり、あるいはその室内に大衆が入りまして、入口はスクラムを組んで他の人の入場を拒んで、入場をいたしました大衆が随時発言をいたしまして、実質上監査執行妨害をいたしております。そういうような懸念のあります場合は、大てい事前にわかりますので、多くの場合、警察官の立ち会いを求めておるのであります。警察官といたしましても、暴行脅迫の事実がありますれば、当然公務執行妨害の現行犯になりますので、手を下すはずでございますけれども、多くの場合はそこまでの事態に至らずに問題が済んでおるというようなことでございます。従いまして……。
  19. 高野一夫

    高野一夫君 それでよろしゅうございます。それで今あなたの答弁は求めませんが、私の言うのは、現在警察官を呼んで、そこまで至らない間に退場させる、こういうお話でありますけれども、そうでなく、私は法律論として聞いておる。さような場合にこの刑法第九十五条が適用ができるかどうか、退場しない場合に。その点を研究していただきたい。あしたほかの医療費問題と一緒にお伺いしたいと思いますから……。
  20. 山下義信

    山下義信君 議事進行の発言をいたします。先ほどの私の質疑応答のときに、この際当委員会として何らか意思表示をする必要があるのではないかということを申し上げたのでありまして、あるいは同僚議員の中に御意見がおありではないかと存じまして、差し控えておったのでございますが、この際私からお願いいたしたいと存じます。ただいま厚生大臣がはっきりとした力強い御言明でもありますから、あるいは委員会としての決議は一応見合わせまして、経過を見守るということもあるいは適当ではないかと考えますが、しかし厚生大臣に御尽力を願いまする上におきましても、委員会の力強い決議があるいは必要ではないかと存じまするので、この際先ほどの質疑応答に明らかになりました、また厚生大臣がはっきりと御言明に相なりました趣旨を簡明に取りまとめまして、当委員会の決議としていただきたいと私は存じます。その具体的な字句等につきましては、委員長、理事に御一任を申し上げたいと思うのでございます。お諮りを願いたいと思います。
  21. 小林英三

    委員長小林英三君) 山下委員からお聞きの通りのお年玉つきはがき寄付金の問題につきましての御意見があったのでありますが——ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  22. 小林英三

    委員長小林英三君) 速記を始めて。
  23. 加藤武徳

    ○加藤武徳君 先ほど山下委員から、お年玉つき年賀郵便はがきのことにつきまして、厚生大臣にただしたのでありまするが、厚生大臣から明確な答弁は得ておりまするが、なお、わが委員会といたしましては、さらにこの意を強くいたしまするために、決議をいたしたい、かように考えまするので、決議の案文を上程いたしまする動議を提出いたします。
  24. 小林英三

    委員長小林英三君) 加藤君の動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 小林英三

    委員長小林英三君) 御異議ないと認めます。
  26. 加藤武徳

    ○加藤武徳君 それでは決議の案文を朗読いたします。    決議案   お年玉つき年賀葉書寄附金の運用に関し、郵政当局が突然新団体設立してその実権を掌握しようとする計画は、わが国社会福祉行政の系列を棄し、かつ共同募金の前途に悪影響を与えるものであり「お年玉つき郵便葉書等の発売に関する法律」の当院における審議の経緯にかんがみ不適当である。よって政府は速かにこの計画を中止すべきである。   右決議する。
  27. 小林英三

    委員長小林英三君) ただいま加藤君からお聞きの通りの決議案を御上程になったのでありますが、今お読みになりました通りの決議案を当委員会において決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 小林英三

    委員長小林英三君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定をいたします。
  29. 川崎秀二

    国務大臣川崎秀二君) ただいま御決議をいたされましたことにつきましては、十分にその趣旨を尊重いたしまして、解決に努力をいたしたいと存じております。
  30. 小林英三

    委員長小林英三君) 本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十三分散会    ————————