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国務大臣(
川崎秀二君) 健康保険の料率の引き上げは、非常に重大な問題であると私も認識をいたしております。しかしながら今回、昨
年度におきまして四十一億の赤字を見、本年もまた六十一、二億と推定をされるところの赤字が予想されておる健康保険の財政の収支均衡について、何らの具体策を持たずして
厚生大臣がこの国会に臨むことは、無責任もはなはだしいと
考えておったのであります。
もとより従来
自由党内閣のとっておりました赤字はすべて国において融資の形で負担をするというのも
一つのやり方とは思います。しかしこれは赤字が増大をしてきて、それを国家が最後には国庫負担の形でなしに、赤字をそのまま融資の形で始末していくということは、いつまでたっても健康保険に対する国民全般の認識、あるいは健康保険に加入をしておるものの、自分の対内におけるところの財政の
措置ということについて、認識を喚起するゆえんでもなければ、これは健康保険を将来崩壊に導くものであるということに私は
考えをいたしまして、できる限り今年中の赤字対策は、恒久対策とも関連はいたしまするけれ
ども、一応の締めくくりはつけて、国会に臨むのでなければ、責任ある厚相の立場ではないと
考えたのでありまするので、まず第一に行なったことは、一割の国庫負担を大蔵
大臣に対し、終始要求をいたしたのであります。幸いにしまして、各党、各派を超越をいたしまして、非常な御支援も受けました結果、それでもなおかつ財政当局は編成の過程におきまして、国民の納税をもって、一部の健康保険の、千四百万とはいえ、一部の国民の、一部の階層の者の
ために国庫が負担をするということはあやまちであるという
議論を持っておったのでありますが、これに対して終始粘りました結果、一応十億の定額国庫負担ということを実現をいたしたのであります。これと同時にほぼ一割の国庫負担に見合うところの、その他二十億の融資も、
年度当初において決定をいたしたのでありまするから、国が赤字財政に対して、およそ半額の責任を持つということになりますれば、一方において保険の料率を引き上げて被保険者にも御負担を願うことが、この際他の国民に対するところの被保険者の責任ではないかと、私は今日
考えをいたしておるのでありまして、この
考え方には毛頭変更する
意思はございません。その際に私のとりました態度といたしましては、でき得る限り
患者の一部負担だけは避けたい。かりに将来どんな結論が
社会保障制度審議会あるいは社会保険審議会または私が今回来
年度の
予算対策をもからめての恒久対策といたしまして作りました七人
委員会の結論が出るにいたしましても、
患者の一部負担をせよというような声にかりになりましても、それは多くの人々の
議論を聞いた後に決定をいたすべきことでありまして、今日では社会保障の後退になる
患者の一部負担だけは避けたいという
考え方から、この二つの線を、国庫負担と料率の引き上げという二つの線を強く押して今日に至ったという過程を御了承を願いたいと思うのであります。この点につきましては、いろいろ御
議論がありまして、御反対がことに労使双方においてある。中立の
委員は大体これに対して賛成であるという、非常に奇妙な形が、社会保険審議会並びに
社会保障制度審議会に出ましたけれ
ども、その
意味合いをもって今日全国民的視野からとった手段
方法であると御了解を願いたいのであります。しかしこれはいろいろ御
議論もありましょうから、私の所信だけを申し述べておいたわけでございますが、ただいま御
質問のこういう料率の引き上げは、むしろ七人
委員会等の結論をも得て出すべきではなかったかということでありましたが、そのような結論を待っておりますると、国会に対するところの責任も、また
予算に対するところの責任も果し得ませんので、一応
厚生省といたしましては、料率の引き上げを断行するという
措置をとった次第であります。