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1955-05-27 第22回国会 参議院 社会労働委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十七日(金曜日)    午後二時四十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 英三君    理事            常岡 一郎君            竹中 勝男君            山下 義信君    委員            榊原  亨君            松岡 平市君            横山 フク君            高良 とみ君            相馬 助治君            有馬 英二君            長谷部廣子君   国務大臣    労 働 大 臣 西田 隆男君   政府委員    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生省薬務局長 高田 正巳君    労働政務次官  高瀬  傳君    労働大臣官房会    計課長     澁谷 直藏君    労働省労政局長 中西  実君    労働省労働基準    局長      富樫 総一君    労働省婦人少年    局長      藤田 たき君    労働省職業安定    局長      江下  孝君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君    常任委員会専門    員       磯部  巌君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   説明員    厚生省公衆衛生    局環境衛生部長 楠本 正康君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○労働情勢に関する調査の件  (労働行政方針に関する件) ○社会保障制度に関する調査の件  (赤痢予防注射等に関する件)   —————————————
  2. 小林英三

    委員長小林英三君) これより委員会を開会いたします。
  3. 江下孝

    政府委員江下孝君) 最初にお断わりを申し上げたいと思いますが、当委員会から提出を要求されておりました経済六ヵ年計画関係資料日雇い労働関係資料でございますが、事務的に提出を急いでやってきたのでございましたけれども、今日の委員会まで実は間に合いませんでした。目下急いで資料を作成いたしておりますので、できるだけ早い機会提出するようにいたしたいと思いますので、御了承をお願いいたしたいと思います。(「了承了承」と呼ぶ者あり)
  4. 小林英三

    委員長小林英三君) 本日は労働情勢に関する調査議題といたしまして、昭和三十年度の厚生省関係予算並びに労働行政方針についての前回に引き続きまする質疑を行うわけでありまするが、今政府委員から、各位から要求されました資料提出がおくれるというわけでありますが、ほかに御質問ございましたら、一つお願いします。
  5. 山下義信

    山下義信君 少し時間があるようですから、私一、二お尋ねしてみたいと思うのですが、失業対策の全般の計画関係資料が出ないのですから、それ以上具体的に聞きようがないのですが、少しまだ私に合点のしにくいところがあって、大臣説明を承わってはっきりしないところがある。それは今年度の失業対策計画について、数字的なことは資料を待つのですが、結局新しい失業者と見られるものが大体二十万と、こういうのです。それで従来の失業者が、つまり日雇い労働者といいますか、直接雇うものは、従来の登録失業者とか完全失業者とか、求職者数というのは別にして、今日までやってきている従来の失業対策対象者が昨年は十七万、今年は二十二万でやろうとするのでしょう。結局西田労相が繰り返して言われるように、十分力を入れてやるのだが、遺憾ながら新たに増加する失業者対策をやるのが精一ぱいで、いわゆる従来のものは残すという形になるのだということを繰り返される。そうすると新たなる失業者というものが二十二万か今年出てきて、従来労働省が引き続いて世話をしておる俗にいう失業対策対象が二十万前後ある。それで四十数万の対象者を目がけて今年度の失業対策を立てておるのですか、どうですか。そこはどういうふうになっておるのですか。
  6. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 昨年二十九年度の労働省での予算の面における要失業対策は十七万人、それから職業補導所等に入れて職業補導をやるのが年間について四万八千人、それから緊急対策事業で九億円予算を計上しております。それから鉱害復旧事業でやっておりますものがこれも九億円何がしの計上をしてやっております。これが大体二十九年度から三十年度の初めころまでの対象ですが、今度三十年度予算では、労働省予算に計上したものだけで、特別失業対策事業で昨年度に比べて三万名ふえました。それから一般対策は二万人ふやしております。五万人になっております。それから緊急就労対策というものが、臨時的なものであったのを、道路事業の方に振り向けることによって五十億円予算を計上しまして、結局四十一億円増を見ておる。鉱害復旧事業の方も九億何がしのものを十三億でしたかに計上しまして、これで今までよりかよけいに人を吸収したい。結局道路整備事業鉱害復旧事業とで四万五千人ばかりの人員増加を見込んでおるわけであります。それから統計国勢調査等によって知識労働者といいますか、そういう人たち吸収を約一万人予定いたしております。結局十万五千人、これを対象にいたしまして、これが二十五日間就業するということで予算に計上されておりまして、これを二十九年度並みに二十一日間の就業日数に切りかえますというと、統計とそれから国勢調査を抜かしまして、約十三万名、従って統計国勢調査の一万名を入れますと約十四万名二十九年度よりか失業対策収容人員がふえる。それから職業補導の方も今度新規採用をふやしまして、夜間の職業補導をいたしますために、これを五万名か六万名程度は収容できる。これも四万八千に比較いたしますと約一万名程度はふやせる。これだけのことを予定いたしまして二十九年度分と合算しますというと、三十一万乃至三十一万四、五千くらいの失業対策に従事する人員、あるいは職業補導所に収容して将来の失業対策事業に回す、あるいは技能養成等によって、大体これで今までのことからいいますと、何とか切り抜けていけるのじゃないかというだけの経費労働省だけの予算だけでは計上しておりませんけれども建設省通産省、その他で総合的にやればいいのじゃないか、こういう見当で予算を編成しております。
  7. 山下義信

    山下義信君 なかなか一ぺんには覚えにくいですが、大臣はすらすらすらすらとおっしゃるのですが、一ぺんには覚えにくいのですが、それは今度出る資料の中に書いて下さるのですね……。じゃ、そこでちょっと聞こう。建設省予算の中に入っておるのは幾ら要るのですか。
  8. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 五十億入ったうちに、暫定予算として九億入っておりますから、結局四十一億の増加になっております。道路整備事業の中に四十一億入っております。
  9. 山下義信

    山下義信君 それが失業対策に使う建設省関係予算ですか。
  10. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 今まで緊急対策事業費として建設省に計上してあったものが、道路整備事業費の中に四十一億の増で含まれておる。
  11. 山下義信

    山下義信君 暫定の九億、それは港湾も入っているのですか。
  12. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 港湾は別です。港湾運輸省です。
  13. 山下義信

    山下義信君 そうすると、港湾が……。
  14. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 港湾の方は労働省予算の中に計上されておるもののうちから五千人分を運輸省の方に今度は予算を移しかえて実行する……。
  15. 山下義信

    山下義信君 金額は幾らですか。
  16. 小林英三

    委員長小林英三君) 山下発言を求めて下さい。
  17. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) ちょっと訂正いたしますが、港湾事業だけが別ワクになって、二億二千万円……。
  18. 山下義信

    山下義信君 わかりました。
  19. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 鉱害復旧事業が四億一千万円、水道事業が二億円……。
  20. 山下義信

    山下義信君 わかりました。これは表を出してもらわねば話がわからぬ。住宅関係資料の中にありますか。
  21. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 住宅関係の中には失業対策事業としてはっきりした区別はまだしておりませんけれども、普通の木造建築をやりますと、失業者をすぐ吸収しても、技術を要しますのでなかなか困難な点もありますので、耐火建築不燃性建築をする場合に、コンクリートするような場合だけにしか、失業対策の場合にはなかなかなりかねると思うのですが、これは具体的に建設省との間に人員その他についてはまだ検討いたしておりません。
  22. 山下義信

    山下義信君 住宅関係経費では私もわからぬと思うのです。それでこれはつまり経審の方の案ですから、資料が出てみぬとわからぬが、政府説明では住宅関係仕事に相当吸収する……。
  23. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 相当吸収をしてもらいたいと考えておるのですが……。
  24. 山下義信

    山下義信君 それ具体的に出ていますか、予算か何かに、これからですか。
  25. 小林英三

    委員長小林英三君) 政府委員発言を求めて下さい。
  26. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 住宅建設の中に要失業対策費としてはっきりした区分は現在まだ出ておりません。今申しました通り建設省とこれから話し合いまして不燃建築にする場合に、パーセントどのくらいのものを必要とするかということを労働省と話し合って結論を出したいと考えております。
  27. 山下義信

    山下義信君 大体プランはわかるのですが、問題はその失業者をどういうふうに就労させるかということですね。建設省の方でこれをやってもらうのだ、これは通産省でやってもらうのだ、これは運輸でやってもらうのだということのプランはわかるのですが、それは何ですか、失業者の何といいますか、事業場によっては大移動をやりますか、どうするのですか、どういう計画ですか、大体の構想は……。
  28. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 労働省に計上してありまする失業対策事業費は、労働省失業者状態に適応するような一応プランを作りまして、そうしてそういう内容のもとで建設省に実施してもらうという条件をつけて建設省に移しかえることにしております。それから建設省に計上されております予算は、これは昨年度分の建設省の実績を一つ説明申し上げて下さい。
  29. 江下孝

    政府委員江下孝君) ただいま大臣から申し上げましたように、失業対策事業費につきましては、失業者吸収は、これは公共職業安定所窓口に集まりました失業者対象といたしまして、これにあっせんをすることになっておるのでございます。それから公共事業、つまり建設省関係予算におきましての失業者吸収につきましては、これも実は緊急失業対策法によりまして、そのおのおの事業種目別一定の率を定めまして、その率まではまあ安定所窓口から失業者吸収する、あるいはまあどうしても事業主体吸収できないというような対象につきましては、事業主体縁故募集を認めておりますけれども、原則といたしましては、そういう場合、一定の率は安定所窓口から失業者吸収しなければならない、こういうことに相なっております。その方法で現在やっておるのでございます。
  30. 山下義信

    山下義信君 その手続はわかるのです。そのルートはね、やり方はわかるのですが、私の伺っているのは、実際にその失業者仕事をさせるには、その就労場所へ行かなければ仕事ができぬのですから、安定所窓口をくぐろうと、事業場縁故で使ってもらおうと、要するに仕事のある場所失業者がからだを移していかなければならないのですから、それは失業者のいる所に建設の失対事業もあり、港湾の失対事業もあればそれでいいけれども、その建設省が行おうという事業場失業者を動かしていかなければ就労させることができぬじゃありませんか。旅費も要れば、向うへ行けば住む場所も要る。そういう計画はどうなっているかというのです。失業者が動かなければならないのですが、旅費失業者に与える就労場所のそういう計画は一体あるのかないのかということです。
  31. 江下孝

    政府委員江下孝君) お答え申し上げます。そういう公共事業失業者吸収します際に、お話通り一番問題となりますのは、地域的にそういう失業者の蝟集する地帯から離れた地域に公共事業が行われるという場合に問題となるのでございます。私ども今までやって参りましたのは、これは山間僻地等で相当大規模な失業者救済事業が起りますれば、もちろん飯場の施設等も、十分事業主体とも相談して作ってやるということになりますが、大体現在まで実施いたしております実情を申し上げますと、比較的失業者の集まります場所から比較的近い地帯におきまする公共事業等失業者吸収いたしております。大都市周辺等におきます道路事業、あるいは大都市におきまする港湾事業というようなものに失業者吸収いたしております。なお、先ほど実はこの点につきましては特に閣議の決定をいたしまして、失業者遠隔地への就労の場合、できるだけ通勤区域内にいい仕事があればいいのでございますが、そうでないような場合にも、トラックによりまして特別に輸送をするように、これは事業主体、あるいは私の方からもごくわずかでございましたが、運びます自動車のガソリン代を一部国庫予算に組みまして流したというような実情もございます。いろいろまあそういう遠隔地への就職につきましては努めておりますが、なかなか遠い場合には仰せの通りぴたっとまだいくまでには至っていないのでございます。
  32. 山下義信

    山下義信君 大体時間が来たようでありますから、私は残余の質疑は次に譲りたいと思うのですが、ちょっと一つだけ聞いておきたいのですが、いろいろ労働省の持っている職業補導機関ですね、今度新しいものができるようでありますが、ここで職業補導をいたしまして、計画は六万のものを収容させるということですが、それはどういうふうにしてやるのですか。
  33. 江下孝

    政府委員江下孝君) 一般公共職業補導所というものが全国に二百七十ヵ所設置してあります。これは国庫の補助によりまして地方庁が設置をいたしております。
  34. 山下義信

    山下義信君 わかりました。御答弁中ですが、要するところ、何ヵ所あってそこに何人収容できて、何ヵ月の期間だからということでずっと算術的に出して六万というのですか、大体の考え方は……。
  35. 江下孝

    政府委員江下孝君) そうです。
  36. 山下義信

    山下義信君 大臣一つ伺っておきましょう。失業者の中で、あるいは日雇い労務者の中で、一般的に失業者の中で生活保護階層に転落していくものが大体どのくらい、それから最近の情勢はそういう生活保護を受けなければならぬようなものが減少するようであるか、増加するようであるか、大勢はどうなんですか。
  37. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 実際の数については詳しく存じておりません。労働省でやっておりますのは、職業安定所に職を求めて来る人の主として就職あっせんをしておるのでございます。来ない人の実情までは労働省職安の方ではちょっと手が伸びませんので、調査をしてないだろうと思いますが、私もその点は今まで調査をするように命じたこともございません。
  38. 山下義信

    山下義信君 いや、大臣はこれは一つその点はぜひ御勉強願わなければならぬ。それで生活保護関係厚生省だから、労働省職業の紹介をするもので、それから先それが、失業者がどういう生活状態に陥っていくかというその先のなれの果ては知らぬ、存ぜぬというのじゃない、知っているはずだ。下僚は知っているはずだ。これは非常に生活保護関係と密接な関係がある。先般大臣はできるだけ失業対策吸収するのだが、万やむを得ぬものは生活保護法でカバーしていかなければならぬといって、生活保護の活用に言及をされた。そうしてその生活保護関係労働者関係は非常に密接なんです。これがスムーズにいくか、連絡が緊密にいくか、計画がタイ・アップしているかどうかわからぬが、使うときにも考えなければならぬし、使っておる対象失業者が、これをゆるめるとどれだけ生活保護階層に転落するかどうかということは知っていなければ失業対策というものの筋が通らぬのです。それでどうです。最近はそういう生活保護に少しでも失業対策の手がゆるむと、すぐに生活保護階層に転落する、そういう情勢が多いが、そういう関係が大分緩和された傾向にあるかどうかということは、失業群のこの環境というか、生活状況というものは、いやしくも失業対策仕事をする労働省というものは握ってなきゃならぬ。大体の方向だけは私は知ってなくちゃならぬと、こう思うのです。
  39. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) さっき御答弁申し上げたように、私は実際問題としてそういうことを詳細に知っておりませんが、今メモが来ましたが、全国的に抽出調査をした結果によりますというと、失業対策事業に従事しているうちの二割が生活保護世帯だと、毎月あるいは年間に平均してどのくらいの人たち生活保護世帯に転落しているかという数字は、詳細にまだわかっていない、こういうことでございますが、詳細にわかったら一つ職安局長から御答弁いただきまして……。
  40. 江下孝

    政府委員江下孝君) 連絡をしまして……。
  41. 山下義信

    山下義信君 厚生省とよく連絡する方がいいですね。——この失業対策の中には第三国人は入りますか。
  42. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 入っております。
  43. 高良とみ

    高良とみ君 関連質問失業の数が出ておりますが、そのうち婦人の数はどのくらいになっておりますか。
  44. 江下孝

    政府委員江下孝君) 最近の抽出調査、これはまだ正確にまとめておりませんが、三割ちょっとじゃないかと思いますが……。
  45. 高良とみ

    高良とみ君 それもやはりこの職安へ職を求めに来た婦人の数だけと了承してよろしゅうございましょうか。
  46. 江下孝

    政府委員江下孝君) さようでございます。
  47. 高良とみ

    高良とみ君 それからその職業補導所に来た人たちもある程度失業者ですが、それは加算されておりますか、おりませんか。
  48. 江下孝

    政府委員江下孝君) 別でございます。
  49. 高良とみ

    高良とみ君 総計をちょっとおっしゃっていただきたい。大体の、昨年度の総計を、三割という……。
  50. 江下孝

    政府委員江下孝君) まあ職業補導所一般補導所につきましては三万五千でございますが、このうち私の、今ちょっと手元資料を探して、あとで御返事申し上げますが、大体三分の一は女性じゃないかと思います。
  51. 山下義信

    山下義信君 今私の聞いた第三国人の数はどのくらいですか。
  52. 江下孝

    政府委員江下孝君) 約一万五千でございます。
  53. 山下義信

    山下義信君 私は次回に今度できる家内作業補導所ですか、大変これはいいと思います。この計画や、その他関連して労働省はこの失業者のいろいろ、何というか、職業補導職業あっせん、そういう面からいろいろと考えて、また失業者生活状態や将来のことをいろいろ考えているそういった内職関係職業補導関係で、次回に私が承わりたいと思いますから、予告しておきます。私の質問を……。
  54. 高良とみ

    高良とみ君 この次に資料をお出しになりまするときに、審議庁か何かお出しになるときに、昨年度までの婦人職安へ来た人の数、年次的な数、それから職業補導所へ来た人の数、そういうもののいろいろこまかい数字をお出し願えますと、今度の家事指導所のカバーし得るであろうという婦人の数も大体理解できると思うので、どうぞその資料を性別にお出し願いたいと思いますので、要求いたしておきます。
  55. 小林英三

    委員長小林英三君) なお皆さんにお諮りしますが、労働省関係の、本日の質疑はこの程度にいたしまして、残りは次の機会にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 小林英三

    委員長小林英三君) 御異議ないものと認めます。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  57. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは速記を始めて。  次に、社会保障制度に関する調査議題といたしまして、厚生省関係、特に赤痢予防注射等に関する件を問題といたします。  本問題につきましては、榊原委員から質疑のお申し出がございますから、本件の調査を進めることにいたしたいと思います。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 小林英三

    委員長小林英三君) 御異議ないものと認めます。榊原君。
  59. 榊原亨

    榊原亨君 私はまず厚生当局にお伺いいたしたいのでありますが、最近群馬沼田市におきまして、水道の中に赤痢菌が入っておりましたために、非常なたくさんな人に赤痢がうつりまして、ところがそのほかに福島県、栃木県、福岡県等にもいろいろ水道による赤痢菌の蔓延があるというようなことでありまして、厚生省とされては、何か通牒をお出しになったというようなお話でありますが、その実情を簡単に御報告をお願いいたしたいと思います。なおいろいろ時間が長くなると御迷惑でありますから、簡単に要点をつかんでお話を願いたいと思います。
  60. 山口正義

    政府委員山口正義君) ただいまお尋ねの群馬沼田市の赤痢集団発生でございますが、これは五月の十四日に初発患者が出ましてから五月二十五日までに患者が二百二十名、うち死亡が一名ございまして、保菌者検索によりまして、一万五百三十四人の中から保菌者を三百五十三名検出しているのでございまして、その症状は、比較的軽症の者が多いのでございますが、中には高熱、嘔吐、痙攣を伴う疫痢症状の者が数名ございまして、そのうち一名死亡いたしましたことはただいま御報告申し上げた通りでございます。その原因につきましては、ただいまいろいろな点が考えられるのでございまして、疫学的にいろいろ検討いたしているのでございますが、ただいま榊原先生から御指摘のように、水道によるのではないかという疑いが考えられるのでございます。そのほか飲食物関係、特に給食関係ども疫学的に検討いたしているのでございまして、まだはっきりこれが水道によるものであるというふうに断定するところまではなっていないのでございますが、いろいろ検討しなければならぬ部面があるのでございます。たとえば水系感染にいたしましては比較的長い期間に出ておるというようなこと、それからかなり重症な者もあるというような点、発生の仕方が長い期間にわたりまして、一つの大きな山を作らないでなだらかに出ておりますというような点から考えまして、検討しなければならない点があると思うのであります。しかしながら沼田市の例はそれでございますが、そのほかただいま御指摘のように水系感染と認められますものが、ただいま手元に持って参りました資料によりましても、昭和二十五年に三件、二十六年に十件余り、二十七年にも十件ばかり、二十八年に五、六件、二十九年にも七、八件というように、水系によると思われます赤痢集団発生が、赤痢並びに伝染赤痢症集団発生が出ておりますので、私ども水道は、防疫上の立場から、伝染病予防立場から、不純な水を流すということは保健衛生上不適当でございますので、そういう立場から水道を普及していかなければならないという立場に立っておりますときに、このような水系感染による伝染病集団発生があるということは、まことに申しわけないことでございますので、こういうことが今後起らないように、私ども重々注意をして参らなければならないというふうに考えているわけでございます。それでただいま御指摘のございました今回の沼田市の、原因はまだ検討しなければならない点もございますけれども、これから夏季に向いまして伝染病の、消化器伝染病の流行いたします時期でございますので、そういう点を特に注意しなければならないという意味合いから、水道管理面についても特に注意をするようにというような通知を出したわけでございます。
  61. 榊原亨

    榊原亨君 私はしろうとで何にもわからないのでありますが、水道を消毒しましたら赤痢菌はおらなくなるのですか。
  62. 山口正義

    政府委員山口正義君) 水道の消毒につきましては、塩素滅菌をいたしまして、病原菌を殺すという措置をとっているわけでございます。
  63. 榊原亨

    榊原亨君 そういたしますと、今おあげになりましたものは、沼田市は今言ったような実情調査中であるそうでありますが、今までおあげになりましたものは、塩素滅菌をしていなかったということでございますか。
  64. 山口正義

    政府委員山口正義君) 先ほど申し上げました水系感染の例でございますが、ごく一部のものを除きましては、大体会社その他の専用水道でございますので、こういう事態を起しました所には滅菌措置が講じてなかったというようなことが認められているのでございます。
  65. 榊原亨

    榊原亨君 今まで、今回お出しになりましたような通牒をお出しになりましたことがありますか。
  66. 山口正義

    政府委員山口正義君) 出しました日にちにつきましては正確にただいま手元にございませんで申し上げかねますが、通牒を出しておりますし、またこの水道管理につきましては、しばしば講習会を実施いたしまして、措置を講じているわけでございます。
  67. 榊原亨

    榊原亨君 次回までにその通牒をお出しになりました内容と日にちを資料としてお出しを願いたい。  続いてお尋ねいたしたいのでありますが、会社の水道にいたしましても、何にいたしましても、これを管理、監督いたしておられるところはどこでございますか。保健所でございますか。会社だからもう保健所も何も見ずにおられるというんでしょうか。
  68. 山口正義

    政府委員山口正義君) 衛生面の点につきましては、所管の保健所がいろいろ指導しているわけでございます。
  69. 榊原亨

    榊原亨君 そういたしますと、すでに今までさような不祥事が起っているのでありまするが、これらについて監督の責任にある保健所長並びに当該監督官ですか、何ですか知りませんが、その人たちをどういう処罰をされたでありましょうか。これは御承知のように刑法におきましても、水道を汚穢した者につきましては、体刑もしくは罰金刑に処するというのが刑法にあるわけです。それで保健所がその職業上の過失でございましても、明らかにこれは刑法に触れると思うのでありますが、その点はどんなふうな処罰をされましたか。
  70. 山口正義

    政府委員山口正義君) 現在までのところ、処罰した例はないのでございますが、これは先ほど申し上げましたように専用水道でございまして、その管理の責任は事業主自体が持っておりまして、水道法の中に規定がないのでございます。
  71. 榊原亨

    榊原亨君 刑法百四十二条から百四十七条に至りますまでの条項に、保健所の人たちはそれに関係ないとおっしゃるんですか。刑法第十五章に「飲食水ニ関スル罪」というところに明らかにそのことが書いてあると思うのですが、保健所の人たちは責任がないというのですか。
  72. 山口正義

    政府委員山口正義君) ただいま御指摘の点は、まことに御指摘通りでございますが、今まで実際、先ほどから申し上げております集団発生のありましたときに、その原因の追及等今までいたして参っておったのでございますが、実情をなかなかはっきり、どこにどういうふうな欠陥があったかということをつかみにくい場合が多いのでございまして、これが会社の私のものでございますので、その点十分なことができなかったのでございます。
  73. 榊原亨

    榊原亨君 それがたとえ会社でございましても、町でございましても、私の住宅でございましても、水道である以上は、それに塩素滅菌をすべきであるといって監督していなければならぬ保健所が、その監督を怠ったために、業務上の過失として赤痢菌が入ったとすれば、明らかに刑法に触れる問題だと思うのですが、あなたは刑法に関係ないとおっしゃられるのですか。また当局といたされましても、そういう信賞必罰と申しますか、大体責任の所在をはっきりさせてやるということは、国鉄と同じで、国鉄の紫雲丸が沈んで総裁がやめるのと同じことじゃないか。それはどういうことですか。保健所ができるときには、保健所法を議会を通過させるときには、責任なんというものは、わずか六年たったらなくなるというお約束だったか。それが今日に至って厚生省赤痢菌をばらまいている、そういうことで、一つもその責任者は処罰しておらない。刑法にふれる処罰だけじゃない。その保健所長を処罰しておりますか。
  74. 山下義信

    山下義信君 議事進行に関連して、私は伺っておきたいのですが、ちょっと今様子を見るというと、厚生省の当局もはっきり問題を把握していないし、それで今質問に追うて、ここで局長、部長が相談して答えるというようなことではいかぬと思う。それでこれは非常に答弁が間違うと重大なことになってくるから、多少時間がかかっても、よく厚生省調査、研究をして、そうしてしっかりとした答弁をあとでさせる方がよいと私は思う。今私は榊原委員質問で初めて聞いて、問題をここで承知したので、私もよくわからないが、しかし事業場にある諸般の衛生設備は、これは工場衛生安全の面であって、その監督はおのずから制度がある。一般の公衆の用に供するようなものに対して、故意にいわゆる公衆衛生に危害を与えるような行為をした犯罪に対しては、今榊原委員指摘した刑法上の条文がある。それらについてのその監督はそれぞれ所管の行政機関がある。それで保健所が監督する範囲というものは、私はおのずからちゃんときまったものがあろうと思うので、かれこれ混同してピントのはずれたような答弁をここにしておくと、あとで取り返しがつかないことになる。それで榊原委員指摘された、提起されたそれらの事例というものはどういうケースか、どういうものか、よく質問の要旨を検討して、そうして調査の上私は答弁を求めたいと思う。ここで答弁に困っている状態を見ていると、興味があるが、そういうことでは意味をなさない。これは非常に重大な問題だから、確信のある答弁を、ことに法律問題等にからんでくると、いろいろ研究をしてみなければならぬ点もあるのではないかと思うので、よく委員質問を当局は聞いて、そこで場当りな、おざなりの答弁をしないで、今までの答弁はおざなりと申したのではないが、若し間違っておって、質問の要旨を取り違えて、間違った答弁をしては重大でありますから、よく慎重に調査して答弁したらどうですか。
  75. 榊原亨

    榊原亨君 今山下委員のおっしゃる通りであってけっこうなんでありますが、先ほどからいろいろ福島県、栃木県、福岡県、またこの沼田市の問題は、今検討中だというようなお話でありますが、一体、沼田市におきまして、塩素の消毒ということを完全にしておったかおらなかったかということはもうわかっておるはずです。それも調査しなければわからぬとおっしゃるのですか。
  76. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) お答え申し上げます。ただいま御指摘沼田市の塩素滅菌等の措置につきましては、きわめて遺憾な点を確認いたしております。たまたま機械に若干の故障がございまして……。
  77. 榊原亨

    榊原亨君 よろしゅうございます。そういたしますると、当然塩素滅菌をすべきものがしてないということです。これは私設の水道のところではない。沼田市という町の水道である。であれば、それは当然保健所長その他をすぐに処罰しなければならぬ。あなたたちも責任を負わなければならない。これは刑法上の罪になるかならぬかということは、山下委員のおっしゃる通りでありますが、おそらく私は業務上の過失になると確信しておるのでありますが、何か処置をしたのですか、処罰されましたか。
  78. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) ただいまも申し上げましたように、いまだこれらの点につきましては、果して水道の汚染によるものか否かということがはっきりいたしておりません。いずれこれらの点を慎重に研究をいたしまして、その結果に基きまして考慮しなければならぬ問題だと、かように考えております。
  79. 榊原亨

    榊原亨君 今度の沼田市の赤痢が、水道の汚染によるかどうかということは、御研究にならなければわからぬかもしれません。しかしながら沼田市の水道滅菌において不完全なことがあったということは、事実はわかっているはずじゃありませんか。であれば、即座に保健所長、それに関係ある者は、行政上の処罰をしなければならぬ。それをいまだ、てんとしてこれを科してないということは、一体どういうふうなことなんですか。保健所というものの監督というものが、非常なルーズなんです。あとからいろいろな事例をあげて当局に御質問したいと思うのですが、非常なルーズなんです。信賞必罰ということが行われておらぬということが、これ一つ見てもわかると思う。その点いかがですか。
  80. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) はなはだ、お言葉を返すようでありますが、もちろん塩素滅菌を十分していなかったということに対しては、これは重大な失策でございます。しかしながら、その結果、赤痢発生が、塩素滅菌を怠ったために出たことが確実になりまして、初めてそこに責任として現われると、かように考えております。
  81. 榊原亨

    榊原亨君 これらの点については、またあとからはっきりしたことを言いますが、塩素滅菌を怠ったということだけで、たとえ病気が出なくても、これは非常に重大だ、国民が毎日々々飲んでおりますところの上水道というものの滅菌を怠っておるという、その事実だけ、赤痢が出る出ないに関係ない。当然保健所としては監督すべきものである。当然政府としてはすべきものである。その事実だけでも、当局の責任がなければならぬ。赤痢の出る出ないには関係ないじゃありませんか。私そう思う。これが大体、個人の便所を消毒しなかったということじゃない。毎日々々何万という人が安心して飲んでいる水道というものが、滅菌が行われていないということになっては、われわれは安心して生活できないじゃないか。その点についての責任がはっきりした以上は、私、即座に処分しなければいかぬと思う。赤痢が出ていないから塩素滅菌をしていなくてもいいという問題については、受け取れない。この問題についてはあとから追及いたします。  そういたしますと、外国におきまして、水道が汚染いたしましたために赤痢が出た、あるいはその他の伝染病が蔓延したということが、最近においてどこか文献がありますか。その文献をお知らせ願いたい。
  82. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) その点はさっそく調査いたしまして、資料としてお手元に差し上げます。
  83. 榊原亨

    榊原亨君 おそらくこれは私は、最近外国におきまして、水道が汚染されまして、赤痢とか伝染病が出たということは私はないと思う。私はこれは日本の恥だと思う。大体厚生行政というものが、綱紀が弛緩しておるということがわかる。鳩山内閣ができたときから、綱紀の粛正ということを言っておりますが、厚生行政においては、かくのごとき弛緩を示しておるということがはっきりしておる。これは政府として当然責任をとらなければならぬ。  次に、ワクチンの問題で、アメリカのソーク・ワクチンのまねをしたのかどうかしりませんが、いろいろ副作用が出たというようなお話でありますが、これについての実情お話し願いたい。
  84. 山口正義

    政府委員山口正義君) ただいま榊原先生から御指摘の、東京都下におきまして、北多摩郡の村山、砂川両小学校におきまして、学童に対しまして赤痢の予防接種をいたしましたところ、相当多数の高熱の患者出しましたということにつきましては、まことに申しわけないものというふうに、遺憾に考えているわけでございます。  その実情を申し上げますと、今月の二十四日、時間といたしましては、大体午後一時ごろから始めたのでございますが、北多摩郡の村山小学校の第一分校在校生七百八十二名中の希望者三百六十一名に、赤痢のワクチンを接種いたしたのでございます。それから砂川小学校におきましても、同日、在校生一千二百名中の希望者八百二十三名に接種したわけでございます。そういたしましたところ、その日の夕刻から夜半にかけまして、発熱をいたしたものかございまして、二十五日には、村山小学校で欠席者が七十六名、砂川小学校で百九名ございました。二十六日には、村山小学校で六十二名、それから砂川小学校で八十四名、本日になりまして、村山小学校では欠席者はございませんが、砂川小学校で六十二名ございます。  その起しました症状につきましては、主として発熱でございまして、三十八度以上の発熱を呈しました者が出ているのでございます。しかし昨日の午後九時三十分の状態によりますと、村山小学校では、三十八度以上の者が二名、三十七度台の者が四名、それから砂川小学校では、三十八度台の者が六名、三十七度台の者が二十三名となっております。  それで、これに対しまして、報告を受けました東京都並びに厚生省では、さっそく係官を現地に派しまして、いろいろ実情を調べますと同時に、これらの発熱者の医療につきましては、万々手落ちのないように、学校の校医と協力いたしまして、東京都からは駒込病院長外数名の医師が参りまして、手当を加えて参っているのでございますが、今までのところ、以上のような経過で、漸次熱が下って参っているのでございますが、なお三十八度以上の熱を出している者が数名残っておりますという状態でございますので、私ども、こういう事態を出しましたことにつきまして、非常に遺憾に存じております。できるだけの手を尽して、一日も早くこれらの人が回復されるようにというふうな処置を現在とっているわけでございます。
  85. 榊原亨

    榊原亨君 お使いになりましたクローム・ワクチンにつきまして、学会で御発表になりましたときに、反対の御意見はありませんでしたか。学会でクローム・ワクチンというものが発表されて以来、反対の意見はなかったか。
  86. 山口正義

    政府委員山口正義君) ただいま御指摘の点、クローム・ワクチンに対します反対の学会の議論、反対の点につきましては、ただいま詳細に記録を持っておりませんので、後ほど正確なところを御報告申し上げたいと存じておりますが、この赤痢ワクチンにつきましては、昭和二十六年から赤痢のワクチンの検討を再び始めたわけでございます。戦前におきましては、榊原先生、御専門でいらっしゃいますので、申し上げるまでもないことと思いますが、まずあの際、厚生当局として赤痢予防ワクチンの検討がしばしば繰り返されたのでございますが、副作用の多い割合に免疫効果はなかなか上りにくいということで用いられなかったのでございますが、御承知のように、戦後一たん減少いたしました赤痢が、非常にまた蔓延して参りましたので、その対策一つとして、腸チフスに予防接種がございますように、赤痢にも予防接種が考えられれば、防疫対策一つの有力な手段になるのではないかということで、それぞれ専門の学者に検討してもらいまして、昭和二十六年、二十七年は主として研究室内の検討を加えてもらいました。大体ある程度の免疫効果を得られる、そして副作用もごくわずかであるということで、昭和二十八年から一般の希望者にこれを注射する、接種するということを始めているわけでございまして、その際に、最初にはその製法にロザンカリ・ワクチン、それからクローム・ワクチン、それからアルコール・ワクチンと処理方法はいろいろ、になっておりますが、ロザンカリ・ワクチンは二十八年の最初だけでやめてしまいまして、その後クローム・ワクチンとアルコール・ワクチンと両方を使っているわけでございます。
  87. 榊原亨

    榊原亨君 ただいま局長お話では、非常に私不可解に思うのでありますが、学会でクローム・ワクチンというものが推賞されて、これを御採用になるという以上は、厚生当局におきましては、一方的学者の意見だけでなしに、その学会で発表されたときに、反対の意見もあるならば、それを慎重に考慮されて、そしてこれを採用すべきであると思う。ところが今局長お話を承わりますというと、反対の意見があったかどうかわからぬから、これから調べて、あなたに知らせる、こういうような軽率なことで、このワクチン、しかもこれが人命に関するようなワクチンの御採用になるということについては、私は驚き入った話であると思う。もしも反対の御意見があるならば、あなたの耳に入っているはずであると私は思うが、採用になるときには、反対の意見はどうだということを十分お確かめになって、局長みずからお確かめになって、御採用の適否というものをはっきり出さなきゃならぬと私は思うのでありますが、それを今度は見なきゃわからぬということになると、一方的学者の意見、言いかえれば御用学者か何かしらぬけれども、それが、私はこういうことをやったのだから、ああ、それもよかろう、ああ、よろしい、よろしいということになって参りますというと、これは大へんなことに私はなると思うのでございますが、いかがなものでございましょうか。これは厚生当局が、今までたとえば日本脳炎のワクチンにいたしましても、いろいろな学問的な、ワクチンにしてもいろいろある。それを新しいものはいいでございましょうけれども、これはほんとうにワクチンをもって日本国民に対されるという公衆衛生の立場をとられれば、政治の面において、少くとも非常な慎重さが私はなくちゃいかぬと思う。私は驚いたことに、今あなたに聞いて、反対の意見がありませんでしたかと言うと、ああ、聞いてみなきゃわからぬ、調べてみなきゃわからぬと、驚き入った話だと思う。いかがです。それは。
  88. 山口正義

    政府委員山口正義君) このワクチンの製法につきまして、いろいろそれぞれ学者で御意見があるとは私も承知いたしておりますが、詳細な記録をということで私申し上げたわけでございまして、昭和二十六年、二七十年二ヵ年間にわたりまして、研究室内でいろいろ検討されました際の結論といたしまして、ロザンカリ・ワクチン、クローム・ワクチン、アルコール・ワクチン、三種を採用するのがいいのではないかという学者の方々のの御結論になりましたので、そこで二十八年から大々的に、大々的と申し上げましては言葉が悪いかもしれませんが、一般的に希望者の方に実施するということになったわけであります。
  89. 榊原亨

    榊原亨君 それでは次回までにこのクローム・ワクチンについての反対の意見の発表があるならば、その内容を資料としてお出しいただきたい。  次に、お尋ねいたしますが、今度の副作用、副作用とおっしゃいますが、この副作用は普通私どもがワクチンを注射しました場合の副作用の限界として容認せられる程度のものでございますか。その限界を逸脱しているものでございますか。お伺いいたします。
  90. 山口正義

    政府委員山口正義君) 個々の例につきましては、たとえば腸チフスのワクチンを注射します場合に、まあ人によりまして非常な高熱を出して苦しむ方もございます。しかし発熱の全体に対する率からいたしますと、普通の一般に認められる率よりも非常な高率になっているわけでございます。
  91. 榊原亨

    榊原亨君 聞くところによりますというと、今までは皮内注射をしておられたのに、皮下注射の方がよくきくからということで、〇・四CCの皮下注射をせよという御指令があったというのでありますが、それはほんとうでございますか。それが一つと、もう一つは、皮下注射をされましたのは、今まで何人の方にされました実験に基きまして、今度皮下注射をせよという御指令を出されましたか。
  92. 山口正義

    政府委員山口正義君) 第一点の、従来皮内接種をやっておりましたのを、皮下接種に変えたという点でございますが、この点につきましては、従来皮内接種を実施いたしておりましたのは東京都だけでございます。ほかの県、数県でやっているのでございますのが、皮下接種でございます。それで厚生省が〇・四に指命をしたかどうかということでございますが、これはその製造並びに検定の責任に当っている専門家の方々の御意見で、免疫効果を上げますために、〇・四を皮下接種するのがいいということで、厚生省と地方庁と連絡いたしまして、そういうふうに実施してもらうということにしたわけであります。
  93. 榊原亨

    榊原亨君 今まで子供に〇・四皮内注射をされました人数は何人ありますか。
  94. 山口正義

    政府委員山口正義君) 正確な数字を申し上げかねますることまことに申しわけございませんが、今まで実施いたしましのが、昭和二十八年が約十万人、それから二十九年が十五万人でございますが、そのうち東京都で実施いたしておりましたものを除きまして、あとは皮下接種を実施いたしておりました。
  95. 榊原亨

    榊原亨君 くどいようですが、それは〇・四ずつ注射をされましたのですか。
  96. 山口正義

    政府委員山口正義君) 〇・四CCずつでございます。
  97. 榊原亨

    榊原亨君 今度この注射をされますにつきましては、東京都内の方を選ばずに、村山とか、ああいうへんぴな所を選んでなさったということは、どういうことかということが一つと、あらかじめそういうことをされますのには、父兄に御連絡の上、了解を得ておられるかどうかということ、この二点についてお伺いいたします。
  98. 山口正義

    政府委員山口正義君) この今回の東京都で実施いたしました予防接種の実施主体は東京都でございますので、なぜこの北多摩郡の村山、砂川小学校を選んだかということにつきましては、私承知いたしておりますところでは、従来昭和二十八年、二十九年、二ヵ年にわたって実施いたしております東京都の衛生当局が、東京都下の市町村から希望者を選びまして、そうして予防接種を実施してほしいという所にこの接種を実施いたしておりますので、そういう意味でこの村山、砂川両校の所在地の市町村から希望があったもの、そういうふうに理解しております。  それから父兄の了解を得たかどうかということにつきましては、学校とも十分よく相談いたしまして、父兄の了解を得で今度の予防接種を実施いたしておるのでございます。
  99. 榊原亨

    榊原亨君 新聞に出たところによりますと、東京都の中央においてやりますならば、外食などのことで実験がうまくいかぬ。従って村山とかああいう所でやった方がいいということが新聞に出ておるのでありますが、そういうことはありませんですか。
  100. 山口正義

    政府委員山口正義君) 私の承知いたしておりますのでは、そういう理由はないと承知いたしております。
  101. 榊原亨

    榊原亨君 このワクチンを製造されます場合におきましては、もちろんこれは薬剤師がなすっておられると思うのですが、そのワクチンを製造しておられる薬剤師の名前を一つ承わりたい。
  102. 山口正義

    政府委員山口正義君) 製造に当りました者の個々の氏名は今ここで承知いたしませんので、後刻資料としてお届け申し上げたいと存じます。
  103. 榊原亨

    榊原亨君 私は法律のことはよく知りませんが、こういう予防注射液を作るのでもやはり薬剤師がなさるということであるのではないのですか、いかがでしょうか。薬事法によりますと、そういうことではございませんでしょうか。
  104. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) お答えいたします。薬事法上医薬品の製造をいたします場合には、その管理責任者といたしまして薬剤師が必要であることは御指摘通りでございます。
  105. 榊原亨

    榊原亨君 そういたしますと、このワクチンを作るのには薬剤師が管理いたしておらなければならぬのでありますが、その薬剤師のお名前を一つお知らせ願いたい。今わからなければ、この次まででよろしい。
  106. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) 取調べましてお答え申し上げます。なおつけ加えて申し上げておきまするが、この今回問題を起しましたワクチンは、薬事法上の外に実はある問題でございまして、実際問題としましては、研究をなさっておられまする専門の諸先生方がそれぞれの製造所の設備なりなんなりを借りて、先生方の責任のもとにお作りになっておるという格好になっておるのであります。そこで現実にその指導のもとにだれがやったかということにつきましては、調べましてからお答え申し上げたいと思います。
  107. 榊原亨

    榊原亨君 そうしますと、それは薬事法に違反しておるんじゃありませんか。
  108. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) 法律の問題についての御質問でございまするが、この新しい医薬品を許可いたします場合には、治験例を必要とするものと治験例を必要とせざるものとがございます。それでワクチン等は治験例を必要とするものでございます。それで研究をいたされまして、そうして研究室の中でこれがいいということになりましても、治験のデータというものがそろいませんと医薬品としては認めないのでございます。さようなわけ合いでいろいろその間に、研究の過程におきまして疫痢ワクチンはどういうふうな基準で、どういうふうに作ったらいいということがだんだんときまって参ります。そういたしますると、ワクチンの場合におきましては、薬事法で許可をいたしまする場合には、たしか三十三条だったと思いまするが、その疫痢ワクチンの製造基準というものを作るのでございます。これは厚生省が作るのでございます。そういたしまして、それができて初めてそれに従った医薬品の製造が認められる、こういう段階になるわけでございます。
  109. 榊原亨

    榊原亨君 そういたしますと、まだ医薬品としての基準もはっきりしない、医薬品としておきめも願っていないものを、何万人という人に何年間にもわたって厚生省は注射をしておった、薬事法違反をしておったということでありますが、これはゆゆしき問題であると思いますが、その点はいかがですか。
  110. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) 私からお答えをいたすのが、適当であるかどうか存じませんが、先生よく御存じのように、ワクチン等の研究過程におきまして、それが一つの医薬品として公認をされ、そうしてそれが予防接種法なりなんなりによって国民にさされるという段階に至りますまでにはいろいろな過程があるように私も承知をいたしております。今回の問題も、先ほど公衆衛生局長からお話がございましたように、二十六年、七年は研究室の中の研究の段階であり、二十八年、九年と希望者に接種をして、実際のフィールドのあれをやってみるという段階であったわけでありまして、この点は薬事法の外にはありまするけれども、すべて医薬品の性格上さような治験データを集めますことは、実際問題といたしまして容認をいたしている次第でございます。
  111. 榊原亨

    榊原亨君 これが千人あるいは二千人というのであったならばよろしい。ところが二十八年から十万人、十五万人という、そういう多数の人に、まだ医薬品ともなっていないものを、また薬剤師の監督にも置かないものを、研究室の中でただ作ったものを注射して、これは疫痢がなおるのだということで、厚生省が大手をふってやっておられたということの責任は重大だと思う。これは明らかに薬事法の違反だと思うのですが、山口衛生局長いかがですか。
  112. 山口正義

    政府委員山口正義君) ただいま榊原先生の御指摘の点、これはたびたび繰り返して申し上げます通り、またただいま薬務局長からもお話し申し上げました通り、二十六年、二十七年で大体研究室内の研究が終りまして、そうしてこれを実際に疫痢対策一つとして取り上げ、しかもそれによりまして、ただいま薬務局長からも申し上げましたような例数を得るというようなことも、片方で民主的にできるということでございます。それでその数が千、二千ならばいいけれども、こんなにたくさんのものをというお話でございますが、ただこれは予防接種というようなアクチンによる防疫対策、防疫効果というものの判定の、判定と申し上げては語弊があるかもしれませんが、予防効果を見るという点では、数におのずから、いろいろ御意見があるかと思うのでありますが、私どもといたしましては、この十万ないし十五万程度の数は差しつかえないのではないかというふうに考えて進んだわけでございます。
  113. 榊原亨

    榊原亨君 私の言いますのは、おわかりにならないかどうかわかりませんが、すでに実験を終って、これは有効であるから、絶対無害なものであるから、これは疫痢の予防ができるというのなら、医薬品として薬剤師の立ち会いのもとに製造をはっきり薬品としてされるのならいい。それが数年にわたって薬剤師の立ち会いもなければ、ただ研究室で作ったものを薬事法に違反して、何千人も何万人もという人に使っておられるということについて、私は何といたしましても、薬事法違反だと思いますが、あなたははっきりお認めになったらいかがですか。法律にはっきり書いてあるじゃないか。
  114. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) 重ねての榊原先生の御質問でございまして、お言葉を返すようで恐縮でございますが、薬剤師が立ち会っておったかどうかということにつきましては、実情をつまびらかにいたしませんが、すべて新しい医薬品が出て参ります段階におきましては、薬事法の外におきまして、たとえば他の抗生物質等に例をとってみましても、新しいものがメーカーなり、あるいはメーカー以外の大学の教室なり、いろいろなところで研究をされました場合に、それがある程度動物実験その他でこれは非常にいいと、大丈夫だというふうなことが確認された暁におきまして、これをそれぞれ医療機関に試験的にお使いを願いまして、そうして臨床的にこれを用いてみるというふうなことは幾らも行われておることでございます。そういたしまして、その場合におきましては、あくまでもそれはお願いをしまする方の側と、それを使って、これを医療に用いられる先生方の側との御責任において、その問題を研究過程として御処理願っておるわけでございます。
  115. 榊原亨

    榊原亨君 そういたしますると、今おっしゃいますような実験的過程におきますものを、昭和二十八年に十万人実験をいたしておる、昭和二十九年に十五万人、今度は村山のあそこで実験をされたのですか。あれはその臨床例を集めるために村山の学童に注射され、実験をされたのですか。今の薬務局長お話だと、まだデータが集まっていないから実験をしたと言っておられる。昭和二十八年に十万人、昭和二十九年に十五万人、今度は村山の何千人という学童にまたデータを集めるために、薬事法にもきめてない医薬品を薬剤師の許可、薬剤師の監督のもとにおいて行われなければならないものに関しましても、薬剤師も置かずに、研究して作ったものを、それを実験的に子供に多数やっておられる。昭和二十八年に十万人、昭和二十九年に十五万人、全部それらの多数の人を実験に供されておるわけですね、今のお話ですと。
  116. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) 私が実験というふうな、もしさような言葉を使っておりますれば、この際取り消しをさせていただきたいと思います。なお私が先ほど御説明を申し上げたのは、今回の事例をさして申し上げたのではないので、薬事法の違反ではないかというふうな法律問題として榊原先生の方から御提示がございましたので、薬事法の一般的な扱い方というふうなものにつきまして、他の例等をあげて御説明を申し上げたような次第でございます。その辺は御了承を願いたいと思います。
  117. 榊原亨

    榊原亨君 これ以上押し問答はいたしませんが、何といたしましても、これは薬事法違反であります。従いまして次回までにはっきりした政府の御答弁を御用意を下さいまして、御答弁を願いたいと思います。
  118. 高良とみ

    高良とみ君 関連して。御承知の通り学童はまだ自分の生命あるいはその他を守るだけの責任者でないのでありますが、それの中から希望者をというお話がありました。そうするとその希望というのは、そういう程度のまだ確定されていないものに対して注射をすることについては、親の承諾の印をお求めになったかどうかということをまず伺いたい。それからこのことについては、先ほど公衆衛生局長からのお話がありましたが、水道なりあるいは給食なりという言葉があったと思いますが、そういうものを管理しております上に間違いがあったときは、しかもそれが集団で行われたときは、そうしてそれがその結果として児童が病気になり、あるいは生命を侵されるということもあり得るのでありまして、そういうことは一面からいって子供たちにとってはおそるべきおとなの連中だということになるのだと思う。子供たちは学校で行われることに対しては、全面的な信頼を持っておりますし、ことに先生かこれはいいのだというようなことを言われた場合には、親の判をもらうことさえもうっかりするくらいに、学校なり政府なりを信頼しているのでありますが、それが実験的に使われるとか、あるいは間違いがあっても誰も責任をとる人がないというようなことは、これは児童を守る上からいいましても、重大なる問題だと思うのであります。そこで今後ともに水道の汚染あるいは給食の中に腐敗物があった場合にどこが責任をおとりになるのか、その点を明らかにしていただきたいと思うのであります。その二つの点をお答え願います。
  119. 山口正義

    政府委員山口正義君) ただいまお尋ねの第一点の親の承諾を得たかどうかという点でございますが、これは先ほど経過を御説明申し上げました際に、御報告申し上げたのでございますが、今回実施いたします際、学校当局と相談いたしまして、学校当局では親の承諾を得て、そうして家庭で希望される方々に実施したわけでございます。  それから先ほどからしばしばお叱りを受けているのでございますが、今回のワクチンは、予防接種、薬事法の外にあるというふうに薬務局長からお答え申し上げているわけでございますが、これを実施に移します場合に、先ほどから申し上げましたように二十六年、二十七年でもう心配ないという大体の見当はついたわけでございますが、しかしなお念を入れる必要はこれは当然あるわけでございまして、予防接種法に基きまして、予防接種をいたします場合には、薬事法に基きます国家検定をいたしておるわけでございますが、この赤痢のワクチンにつきましても、国家検定と同じ方法によりまして、言葉をかえますれば、国家検定に準ずるという言葉になるかと思いますが、安全試験、力価試験、雑菌試験、それから物理化学的な試験というものを実施いたしまして、これを従来やって参ったわけでございます。従いまして二十八年、二十九年相当実施いたしましたので、先ほどから榊原先生にお叱りを受けているわけでございますが、これらの経緯において、今まで今回のような事態がなかったので、今回こういう事態が起ったということに対しましては、まことに申しわけないと思っているのでございますが、その原因がどこにあったかということにつきましては、今それぞれの専門家に集まって検討してもらっているわけでございます。  水道、給食等によりまして、伝染病発生した場合、その責任を誰がとるかという問題でございますが、これはその場合々々でいろいろな、どこに欠陥があったかということがあると思うのでございまして、その場合々々を徹底的に究明いたしまして、そうして責任の所在をはっきりいたさなければならぬ、そういうふうに考えているわけでございます。
  120. 高良とみ

    高良とみ君 今の御答弁の中に、希望者にした、しかも学校当局もこれに参加しているというような場合に、それはその希望者というのは、ちゃんと家へ持って帰った紙に親の承諾書をお受けになったと思うのでありますが、そのときはそれによって間違いが起った場合は、その親も、たとえば子供の死亡その他があった場合には、親も半分責任を持ってもらうということはちゃんと予告してあるのですか。それから学校もこれを勧めた、場所を提供したというときに、やはり学校もその責任を負うということを、あなたの方は期待して親の承諾書をちゃんと責任者がとっておられるのですか。あるいはただ親の承諾書を得て、学校が全責任をおとりになるおつもりでありますか。その点も、小さな子供たちはそこまで責任を持ってもらわない限りは、生命の保証ができないわけなんです。ことに必要でないと思う人たちもあるでございましょうが、その点どこに責任を課しておられるのでありますか。親でありますか、学校でありますか、あるいはそれともどこでありますか。
  121. 山口正義

    政府委員山口正義君) 学校当局が通知書を出しまして、保護者あてに通知書を出しまして、そしてその承諾書を学校当局が集めて持っているわけでございます。
  122. 高良とみ

    高良とみ君 なお、今榊原先生からもお話のあったことは、要するに今までこの保健所なり、あるいはそういうことを実施した場合の責任の所在が明らかでないということと、いまだかつて、先ほどお述べになったようなたくさんの責任の発生その他に対しても、何らどこに責任があるのかわからないということであると私も思うのでありますが、私どももその点を、一般の最近の公衆衛生なり、あるいは厚生省の行政のルーズなことは、これは薬事の方におきましても、あるいはいろいろなヒロポンや麻薬や、その他の普及状態から見まして、よほど引き締めていかなければならないと思うのです。御苦心だろうと思いますけれども、これはよほどの決心をもって、信賞必罰でもって間違いのあったことははっきりなさらないと、この悪癖はどんどんいくと思うのです。私どもは子供の口を借りて言いますならば、子供たちがその辺で動物を殺すために買ってきた注射器が、かえってヒロポン普及のために使われても、その辺はちっともけじめがないのでありまして、こんなふうな状態でありますと、おとなのわれわれに対する世界はおそるべき世の中だというふうに感じているわけです。たまたまここへもってきて、こういう集団赤痢であるとか、集団ワクチンの弊害というようなことが出てくれば、この際はっきり責任を明らかにしていただく方が、私どもおとなの、あるいは国会としての責任が明らかになると思うのでありますが、その点は榊原さんの御質問に添えまして、どうぞこの次までに、こういうわけでこういうふうにしてこれが出たので、こういうふうに処罰し、こういうふうに今後のそういう続出の弊害をとどめる方法を講じましたということを伺わないと、私どもは幼き者に対して申しわけないとさえ思うのであります。それを希望いたしまして、私の質問を打ち切ります。
  123. 榊原亨

    榊原亨君 先ほどのワクチンの製造された場所はどこでありますか。
  124. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) ワクチンは今先ほど申し上げましたように、専門の先生方の御指導によりまして、場所としては国研、それから伝研武田、それから兵庫県の衛生研究所、さようなところで作る、さようなところの設備を借りて作っているというふうに承知しております。
  125. 榊原亨

    榊原亨君 先ほど高良先生がおっしゃいましたように、全体としての厚生行政の綱紀の弛緩というものははなはだしいものがある、こういう問題が起るのもやはり、水道の問題にいたしましても、厚生省水道赤痢菌をまきながら、またこれを治療しようというその治療の方では熱を出して、こういう醜態をする。こればかりではない。厚生行政の弛緩というものは、たとえば言うてみますというと、この間浅草でにせ薬局がチクロパン、これはあなた方は御存じだ、にせ薬局をやっていた、そうしてチクロパンをどんどん売り出していた。このチクロパンについては、早く立法化しなさいということをこの前の国会に申し上げた。今度の国会には何にも出ていない。そうしてチクロパンを売っていたのでございますが、これは薬局の中にもいい薬局もあるし、悪い薬局もある。これは仕方がない。仕方がないが、にせ薬局がどんどんチクロパンを出している。これを摘発してきたのは警察です。もしもほんとうに保健所がほんとうの力で取り締っているなら、すぐこれがわからなければならぬ。保健所の監督というものは、取締りというものは全然できておらぬ。この問題については、今時間もありませんから、この次にでも私は追及いたしますが、こういうことを公然とやっているのに保健所は何にも知らぬことになっている。  また指圧療法につきましても御承知の通り、これは今度の国会に出るかわかりませんが、この指圧療術師というものにつきましても、これは今から八年前にその当時業を営んでいた者には届出によって業を営ませているはずであると私は思う。ところがどうですか、大へん失礼でありますけれども、この参議院の国会の中におきまして、無届の指圧療術師が公然と業務を営んでいる。そうして麹町保健所が三回にわたって注意をしたにもかかわらず、てんとしてそのままやっている。麹町保健所は何らそれに対して処罰もしなければ、そのまま仕方がないと泣き寝入りしている。そういうわけで法律を作るおひざ元の国会においても無届であるところのもぐりの指圧療術師がおります。それを保健所が注意をしても、てんとして、少しも取締りができていないという実情であります。これは何としても私は保健所の業務怠慢であると思うが、いかがです。  また北海道の、給食に使いますところの国産の粉ミルク、これが非常に中毒を起しているのでありますが、この北海道の粉ミルクを作った工場はおそらくその地方の保健所が監督しているはずだ。その保健所の所長を処罰しましたか、この問題について。いかがですか。大問題を起したままでその保健所長はそのまま首がつながっているという問題、保健所長だけの問題ではない。この食品衛生の取締りをすべき上層部の者も必ずこの責任を負って左遷せなければならないが、一つもそれが行われておらぬじゃないか。  輸血の問題はどうです。私はこれを聞きたいと思う。輸血が、きょうの新聞にも出ている通り失業者が月に三回も四回も血液を取っている。これは輸血というものはどうして……三国取って悪いかどうかということは、どういうふうな取締りでこの輸血の取締りをやっているか、それをちょっと承わりたい。血液採取の取締りをどうやっているか。
  126. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) 血液銀行の、採血をいたしました血液を一般に供給をいたしまする血液銀行は、これは薬事法の中で規制をいたしているわけでございます。これらの業務につきましては、先ほど申し上げました製造基準というもので取締りをいたしております。
  127. 榊原亨

    榊原亨君 私の言いますのは、血液を売りに来た人に、この血液は、あなたはもう三回も四回も取っているからだめじゃないかということを、ちゃんと取り締らなければならぬじゃないですか。それを取り締っているか。何を基準として取締りをやっているのか。
  128. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) その製造基準の中に、貧血を調べて、血液の基準が、ちょっと数字は忘れましたが、これこれ以下であってはならない、さような血液は取ってはならない、こういうふうな基準がございまして、技術的にはさような方法でこれを取り締っております。
  129. 榊原亨

    榊原亨君 その今の基準が責任をもって実行されているということをここに御言明になることができますか。
  130. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) その基準は確実に実行されているものと、私は確信を持っております。
  131. 榊原亨

    榊原亨君 もしも実行されておらなければ、あなたは責任をとりますか。
  132. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) 責任をとらざるを得ないと存じます。
  133. 榊原亨

    榊原亨君 そのほか、飲食店の取締りにおきましても、初めのうちは保健所ができたとき、進駐軍がやかましく言いましたときにおきましては、金網を張った。都内の飲食店を回ってごらんなさい、金網を張っていないところが多いじゃないか。またパーマネントだって、もぐりの免状を持っておらない美容師が公然として今コールド・パーマやその他をやっているじゃないか。保健所は何にも取り締っていない。こういうことでございますならば、われわれはこの保健所の取締り業務については、昔のように警察に移さざるを得ない。私どもは警察の方の方がよろしい。今のような無統制な、法文の上では取締りということができておるにもかかわらず、保健所においては何ら取締りをしておらぬ。こういうことならわれわれは警察にまかした方がいいです。昔のように……。これについてはわれわれ議論があるけれども、その方が早い。今のようなことで保健所が、これは大体保健所がこの治療ということに興味を持ち出したからだ。三木君がおりましたときに、保健所法を出しますときに、治療と監督というものは、取締りということはどうするかと言ったところが、治療をする保健所の職員とそれらのものを監督する保健所の職員とをはっきりさせますと、そういうお約束だった。ところが今はどうだ、速記を見ればわかる、その当時の……。それはどうだ。保健所はもう治療に一生懸命だ。わけもわからぬ人工気胸をして、まだレントゲンのこともはっきり知っていない者が見て、治療に一生懸命になって、何ら、浴場の取締りでも、旅館の取締りでも、あの修学旅行の学童に対するふとんが道ばたのほこりの中にたくさん積まれておる、この事実を保健所は何と見ておるか。一体保健所の取締りというものをあなた方はどう見ておるか。そういうような責任、綱紀が弛緩しておるから、水が出たり、水の中に赤痢菌がいてもわからぬような保健所の取締り、一つも保健所長並びにその職員というものが業務上の過失を犯した場合に行政上の処分をしておらぬ。ここに綱紀の弛緩がある。何ぼ鳩山内閣の厚生大臣が強弁を言ったってだめなんです。現実の面において……。紫雲丸を沈めたと同じことなんだ。それ以上の害毒を流しておる。私はもうこの保健所並びにこの保健行政、厚生行政の所管というものの怠慢、かつて下水道の問題につきましても局長に私はお願いした。新しい方法はどうだ。金沢とか何とかという学者がおって、私どもが持っていった学理的な議論ということに何らの批評も加えずに、一年も二年もそのまま待たしておった、われわれが持っていったやつは、もっと経済的だと考えているにもかかわらず、そのままにしておる。自分の御用学者を集めて、このワクチンの問題でもそうだと思う。御用学者を集めて、そうして一方的な書面に信頼してやっておる。上水道、下水道の問題、全部そうだ。厚生省は腐ってしまった、中が……。これは国鉄に次ぐ非常なる伏魔殿だ。厚生省は何と私が申しましてもこれに答えることはできぬだろう。この監督の不行き届きをあなたはどう思っておる。はっきりした答弁を願いたい。
  134. 山口正義

    政府委員山口正義君) ただいま榊原先生から数々の点について、保健所の不行き届きの点について御指摘を受けました。至らぬ点まことに申しわけないと存じておるのでございますが、まあ数々の点御指摘があったのでございますが、先ほどの保健所の性格そのものにつきましては、やはり榊原先生の御指摘通り、保健所は治療をすべきところではなくて、保健指導をし、また必要な衛生監視をするということが保健所の勤めであるというふうに考えているわけでございます。保健所における治療行為につきましては、先ほど人工気胸を例にあげて御指摘をいただいたわけでございますが、そういう点等も、保健所で治療行為を一部受け持ちましたときには、まだ人工気胸なんか十分一般に行われ得ないというようなこともあってやったのでございますが、しかし現在の事態は、そういう時代が過ぎてきつつあるのでございまして、私ども終戦後十年を経ました今日、公衆衛生行政全般にわたりまして、ただいまいろいろ再検討しているわけでございます。保健所の業務内容につきましても、今後改正していかなければならないというふうに考えるわけでございます。保健指導をいたしますものと、それから衛生監視をいたしますものと、その中の職員の性格は異なるのでございます。しかし決してこれは弁解にはならないかもしれないのでございますが、職員をなかなか充足できませんので、いろいろ手不足を告げているのでございますが、そういうために衛生監視が不十分だということは、これは決して言いわけにはならないと思うのでございますが、そういう部面もあるのでございまして、先ほどから御指摘の、保健所における監督面の不十分なという点、私ども今後保健所の性格を検討して参ります場合に、十分御注意の点は考えさしていただいてやっていかなければならないと考えております。
  135. 榊原亨

    榊原亨君 私は質問もうこれでやめます。
  136. 小林英三

    委員長小林英三君) 榊原君に御相談申し上げますが、あなたのこの問題に対しまする質疑について、最初から厚生大臣の出席を要求されておったのでありますが、委員長も先ほどからたびたび予算委員会連絡をとっておりますが、まだ厚生大臣は答弁に立っておられますので、いかがいたしましょうか、この問題につきましては……。
  137. 榊原亨

    榊原亨君 これはこの問題は非常に重大でありまするが、今日は厚生大臣がお出ましにならなくてもいいと思います。事務当局にいま一言お願いいたしまして、まあ大へん時間をとって済まぬのでありますが……、鳩山内閣ができましてから、厚生行政の面について、いろんな事故が起っておりますが、その起りました事故に対して、どういう責任者の処置をとられたかということを、一覧表を私は出していただきたいと思います。なお先ほどワクチンの製造場所でありますところの、このいろいろの場所がありましたが、その場所については、私は直接拝見に上るつもりでありますから、一つ御案内を願いたいと思うのであります。
  138. 有馬英二

    ○有馬英二君 関連して。今回の赤痢ワクチン禍と申しましょうか、この災難は、おそらく私考えまするに、ワクチンの製造の過程において、何があやまちがありはしないか、それからもう一つのことは、ワクチン接種の際に、何らか過失がなかったかということの究明、おそらくそういうことはもうすでに究明されているかもしれませんが、やはり当委員会としても、先ほどから榊原委員が数々御質問されたのでありますが、当委員会として、そのワクチンの製造に当った技術者をここへ呼んでいただきまして、どういう工合にして製造したかということを明らかにすること、それからなお接種をどういう人たちが接種しましたか。あるいは看護婦がしたのかもしれませんが、接種の状態をよく私は聞かなくちゃならぬと思いますが、責任者をここへ呼んでいただいて、参考人として呼んでいただいて、そうして明らかに、ここで一つ詳細を御発表願いたい、かように思うのであります。
  139. 榊原亨

    榊原亨君 今日私が質問しましたことにつきまして、いろいろ厚生当局が意見調整をしていただきましてお答え願わなければならぬものもございまするし、またこの問題につきましては、私は厚生大臣のはっきりと責任ある御答弁をお願いいたしたいと思いますから、私の質問につきましては、次回まで保留さしていただきます。
  140. 小林英三

    委員長小林英三君) なお今有馬委員からお聞きの通りの御意見があったのですが、有馬委員のおっしゃるように参考人をこの次に一つ……。
  141. 山下義信

    山下義信君 私ちょっと中座していて、その後の榊原委員の提起された問題が、あとどういうふうにして展開したか存じませんので、今の有馬委員の御希望はここで承わったのでありますが、与党議員からもそういう御意見が出たのでありますから、異議の申しようはないのでありますが、私は非常に重大だと思うのですね。それでこれは私どもも関連して、厚生大臣に聞いてみなくちゃならぬ点が多々あるので、そわで質問も保留せられてあるようでありますから、今日で済むわけじゃない……。厚生大臣は今日来ないのですか。
  142. 小林英三

    委員長小林英三君) 今日何回も折衝しているのですが……。
  143. 山下義信

    山下義信君 時間もありませんですから、今日はこの程度にして、今有馬委員の提起された参考人を呼ぶとか、どうとかということも引っくるめて、今後の運営の、運び方をどうするかということを、ちょうど幸いこのあとで理事会が開かれるのですから、理事会で一つ検討さしていただいたらどうかと思うのです。その上でこの問題の今後の進め方をきめることにしたらどうかと思いますから、私、議事進行の意見を出します。
  144. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは、本問題に対する本日の質疑はこの程度にいたしまして、残余は次の機会に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 小林英三

    委員長小林英三君) なお有馬委員から申し出の参考人招致の問題につきましても、散会後理事会を聞きまして、いろいろ日程その他相談いたしたいと思いますから、それらの問題も理事会に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 小林英三

    委員長小林英三君) 御異議がないようでございます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十一分散会