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1955-05-13 第22回国会 参議院 社会労働委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月十三日(金曜日)    午後三時五分開会     —————————————    委員の異動 五月十三日委員菊川孝夫君及び大和与 一君辞任につき、その補欠として山本 經勝君及び藤原道子君を議長において 指名した。     ————————————— 出席者は左の通り。    委員長     小林 英三君    理事            常岡 一郎君            竹中 勝男君            山下 義信君    委員            榊原  亨君            高野 一夫君            谷口弥三郎君            横山 フク君            田村 文吉君            森田 義衞君            阿具根 登君            藤原 道子君            山本 經勝君            相馬 助治君            有馬 英二君            長谷部廣子君   国務大臣    厚 生 大 臣 川崎 秀二君   政府委員    厚生政務次官  紅露 みつ君    厚生大臣官房    会計課長    堀岡 吉次君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君    常任委員会専門    員       磯部  巌君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度に関する調査の件  (昭和三十年度厚生省関係予算に関  する件) ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 小林英三

    委員長小林英三君) それではこれより委員会を開会いたします。  社会保障制度に関する調査を議題といたします。  本日はまず厚生省所管昭和三十年度予算及び厚生行政の方針につきまして、川崎厚生大臣説明を求めます。
  3. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) 私、第二次鳩山内閣の成立に伴いまして、厚生大臣たるの重責を汚すことに相なりましたのでありますが、何分にも浅学非才かつ若輩でありますので、十分なる御批判と御叱正を賜わりたいと存ずるのであります。この委員会におきまして正式にごあいさつをいたすのは初めてでありますので、あらためてお願いを申し上げる次第であります。  本日は、昭和三十年度厚生省所管一般会計及び特別会計予算案に対しての説明を申し上げたいと存ずるのでございます。  昭和三十年度の厚生省所管一般会計予算の要求額は、八百三十六億五千八百七十五万九千円でありまして、これを昭和二十九年度の補正予算を加えての予算総額八百三十八億一千六百三十七万六千円に比較いたしますと、一億五千七百六十一万七千円の減少となっておりますが、これを前年度の当初予算七百五十三億六千一百九十四万七千円に比較いたしますと、八十二億九千六百八十一万二千円の増加と相なります。また、これを一般会計予算総額に対比いたしますと、その八・三八%を占め、前年度の八・三六%に比べまして、むしろ微増を示しているのであります。さらに、前年度予算中には、生活保護費過年度不足分及び災害関係の臨時的経費合せて三十六億二千万円が計上されていたのでありますが、本年度におきましては、これらに相当する臨時的経費は、生活保護費及び児童措置費過年度不足分として十二億円が見込まれておりますほかは、少額の過年度災害復旧費が計上されているにとどまり、これらを通計いたしましても、十二億一千余万円にすぎないのでありまして、これらの経費を控除して前年度に比較いたしますと、実質的には二十二億円余の増加となっているのであります。  次に、この予算のうち、特に重要な事項について、その概要を御説明申し上げます。  第一は、社会保険の整備育成の施策に必要な経費についてであります。社会保険は、社会保障制度の主柱をなす制度として今日きわめて重要な意義と役割をになっておりますので、これを育成助長して参りますことの緊要なことは申すまでもないことであります。従いまして、前年度に引き続いて各社会保険を通じて、その事務費の全額を国庫において負担することとし、これに必要な経費として四十億九千一百余万円を計上いたしますとともに、厚生年金保険及び船員保険の長期と失業の給付費に対しましても、従前と同様、その給付財源の一部を国庫において負担することとし、これに必要な経費として十四億八千三百余万円を計上いたしているのでありますが、本年度の施策におきまして、特に重点となっておりますものは、  (一)、まず政府管掌の健康保険及び船員保険医療給付に対する国庫負担であります。政府管掌の健康保険の財政につきましては、前年度において約四十億円、本年度において三十億円の赤字が予想されるのであります。これは、医療機関の普及発達に伴ってその利用度が高められたこと、医学の進歩による医療内容の改善によって医療費が増高の一途をたどっているに反し、保険料収入デフレ施策の浸透に伴い鈍化傾向にあることに基因していると考えられるのであります。この赤字財政の再建整備をはかりますための抜本的な施策は、学識経験者等斯界の権威者をもって構成する審議会を臨時に設置いたしまして、その審議を待ってこれを確定する予定でありますが、当面の前年度及び本年度の赤字合計七十億円につきましては、国庫において負担することとしたのであります。ただ本年度において、その全額を一般会計において負担いたしますことは、財政規模等から見て困難でありますので、さしあたり本年度においては十億円を負担し、残余の不足財源は一応長期借入金によって操作し、明年度以降において毎年十億円程度を借入金の償還財源補てんのため、一般会計より厚生保険特別会計に繰り入れることといたしたのであります。これとともに、当面の不均衡な保険財源の改善をはかるため、保険料率を現行の千分の六十より六十五に引き上げるほか、標準報酬の等級改訂を行うことを予定している次第であります。  船員保険におきましても、疾病保険部門の収支不均衡による赤字が約一億五千万円見込まれますので、健康保険と同様、この不足財源の補てんを国庫において負担することとし、とりあえず本年度においては二千五百万円、明年度以降においては、毎年度本年度と同額程度を一般会計より船員保険特別会計に繰り入れることに予定しております。これとともに、健康保険と同様、若干の保険料率の引き上げと標準報酬の等級改訂等を行うことといたしておる次第であります。  (二)、次は、日雇労働者健康保険制度の強化充実であります。同保険制度は、発足後いまだ日が浅いこと、その特異な雇用形態と被保険者が低所得階層に限られていること等のため、その給付内容は一般の健康保険に比して劣っておるのでありますが、創設後最近までの実施状況に照らし、これを改善することが適当と考えられますので、給付期間を現行の六ヵ月より一年に延長いたしますとともに、新たに療養給付に歯科の補てつを加え、埋葬費及び分娩費等の現金給付をも実施することにいたしたのであります。これらの給付内容の向上の裏づけとして、従来と同様に、療養給付費の一割を国庫において負担することとし、これがための経費として一億九千八百余万円を計上いたしたのであります。  (三) さらに、国民健康保険につきましては、従前に引き続き、その健全な運営を助成することを目的として、療養給付費の二割に相当する金額を各保険者に対して助成交付金として補助するため、四十八億二千九百余万円を計上いたしますとともに、赤字の保険者に対し、前年度同様、その再建整備を促進するための貸付金として三千万円を計上いたしたのであります。  第二は、結核対策の強化に必要な経費についてであります。過般の実態調査によりますと、我が国の結核患者は二百九十二万人と推計され、そのうち、入院を必要とするものは百三十七万人の多きに達していることが明らかにされ、その禍害の広さと深刻の度は想像以上のものであることが察知できるのであります。従いまして、結核撲滅の施策を一段と強化することといたしたのであります。まず、患者発生の予防と発病の早期発見のため、健康診断及び予防接種の強化徹底をはかることとしたのであります。すなわち、健康診断の実施対象を従来の学校、収容施設、事業所等集団生活者と指定地域の三十歳未満の者より学令に達した者以上の全国民に拡大したこと、要注意者に対しては六カ月後に精密検査を新たに行うこととしたこと、最も感染のおそれのある患者家族の予防措置の強化、特に狭隘な住宅に家族と雑居している患者に対しては、隔離療養室無償貸与制度を試験的に設けたこと、一般住民に対する健康診断及び予防接種費用の減免率を従前の一〇%から五〇%へと大幅に引き上げたこと等でありまして、これらの施策に必要な経費として約四億八千三百万円を計上いたしたのであります。また、結核療養所の病床につきましては、いまだ不足を告げている実情にありますので、国立一千床、公立三千六百床、法人立五千四百床、合計一万床を前年度と同様に、増設いたしますとともに、結核回復者の後保護施設二カ所を新たに設置いたしますほか、国立結核療養所の諸施設の整備等に必要な経費として十一億三千六百余万円を、結核回復者保護施設の経営費の不足財源に新たに二分の一の補助を行うに必要な経費及び国立結核療養所の維持運営に必要な経費等として九十九億二百余万円を、従来と同様医療費の公費負担に対する補助に必要な経費十六億一千二百余万円を、その他結核予防従事者の研修、実態調査等に必要な経費を含め、結核対策のため総額百三十一億五千五百余万円を計上いたした次第であります。  第三は、覚せい剤及び精神衛生対策の推進に必要な経費についてであります。  (一) まず、覚せい剤対策につきましては、さきに内閣に覚せい剤問題対策推進中央本部を設けて、覚せい剤に対する総合施策の樹立と推進をはかって参ったのでありますが、さらに、取締りを一そう強化いたしますとともに、広く国民にヒロポン禍害のおそるべきことの認識を深め、青少年の施用防遏に協力を求めるため、一段と広報活動を活発に展開することにいたしたのであります。特に、覚せい剤中毒者を収容してこれに必要な医療を行うため、精神病院に二千百床の病床を併設することにいたしたのでありまして、これら覚せい剤対策に必要な経費として、一億二千六百余万円を計上いたした次第であります。  (二) 次に、精神衛生の面におきましては、患者保護の立場より、また、公安上より見まして、保護収容すべき患者に比べて病床の不足が顕著でありますので、公立及び法人立に二千二百床の増床を行いますほか、国立精神頭部療養所施設整備のための経費を含め、一億八千九百余万円を計上いたしたのであります。また、国立療養所の経営のための経費及び都道府県知事が本人の保護と公安上の必要に基いて命令する措置入院の経費並びに精神衛生相談所の運営に要する経費等、七億三千三百余万円を計上いたした次第であります。  第四は、受胎調節に必要な経費についてであります。受胎調節は最近における人工妊娠中絶の激増傾向にかんがみ、従来、主として母体保護の見地よりその普及指導をはかって参ったのでありますが、さらにこれを促進いたしますことが人口対策の見地からも緊急不可欠と認められますので、家族計画思想の一そうの普及徹底をはかることにいたしたのであります。このための施策として、さしあたり受胎調節普及度の最も低いと思われます生活困窮者に対しまして、受胎調節に必要な器具、薬剤等を無償または低廉な経費で提供することとして、三千二百余万円を新たに計上いたしましたほか、前年度に引き続き保健所が中心となってその普及と指導を行なって参るために必要な経費として、二千六百余万円を見込みました次第であります。  第五は、水道施設等公衆衛生関係施設整備充実に必要な経費についてであります。  (一) まず、公衆衛生の基礎施設であります水道施設の整備普及公衆衛生の維持向上を期する上におきましてきわめて重要でありますので、その整備に意を用いてきたのでありますが、特に、下水道施設は、整備に巨額の経費を必要とするため、その普及がはなはだしく渋滞いたしておりますとともに、事業費の中に占める労務費が比較的高い事情等をも勘案いたしまして、本年度より緊急就労対策の一環として整備することとし、従前に倍する四億一千八百万円を計上したのであります。また、飲料水に基因して消化器系伝染病の多発する農山漁村に対し、簡易水道の布設を助成するため六億四千万円を計上いたしましたほか、特別鉱害復旧臨時措置法及び臨時石炭鉱害復旧法に基いて特別鉱害及び一般鉱害対策事業に対し補助を行うに必要な経費並びに南海地方の震災に基因する地盤変動対策事業に必要な経費等一億六千五百余万円を見込んだのであります。  (二) 次に、公衆衛生第一線機関として重要な機能と役割をになっております保健所につきましては、C級からA級への格上げを九カ所行いますとともに、老朽施設十カ所を改良整備し、さらに、エックス線等の重要設備の整備をはかる等のための経費として一億三千四百余万円を計上いたしまして、その機能の強化に努める所存であります。さらに、運営費におきましては、要員の充足状況を考慮して、実人員を経費算定の基礎といたしました反面、給与の単価を実情に即して若干の引き上げを行うこととしまして、その所要経費十六億一千七百余万円を計上いたした次第であります。  第六は、国立病院等医療機関の整備に必要な経費についてであります。医療機関の整備につきましては、医療体系の中枢機関としての国立病院をして名実ともにその指導的役割効率的運営を遂行せしめるため、相当大幅な整備改善を行いますに必要な経費として十二億二千二百余万円を見込みましたほか、一般地方病院の需要に応じて貸し出しを行うため、ラジウムを設備するための経費一千六百余万円を新規に計上いたした次第であります。  また、公立一般病院につきましても、医療機関整備計画にのっとって、その整備を助成促進するため四千五百万円を計上いたしますとともに、引き続き国立病院の一部を地方へ移譲することとし、これを促進するための経費として一千八百万円を計上いたした次第であります。さらに、無医村または医師不足町村の解消と国民健康保険の健全な運営に資するため、国民健康保険直営診療所整備拡充を行うこととして、これに要する経費として二億円、伝染病の予防上必要欠くことのできない隔離病床一千八百六十六床の整備のための経費として一億五千余万円をそれぞれ計上いたしました。  第七は、生活保護に必要な経費についてであります。生活に困窮する者に対しその最低限度の生活を保障し、その自立を助成するために必要な経費でありまして、扶助の種類は従来と同様であり、保護基準につきましても、結核患者に対する栄養加算の改善を行いましたほかは、従前と同様といたしているのであります。反面、不況の進行過程にかんがみ、保護人員は前年度補正予算算定の基礎人員に対し、各扶助とも五%の上昇を見込んで所要経費の算定を行いました結果、扶助費は合せて三百四十三億九千四百余万円となり、前年度に比して十七億四千四百余万円の増加となっているのであります。しかしながら、旧軍人恩給及び日雇労働者健康保険の実施に伴う減少見込み額十九億円、前年度不足見込み額十億円をそれぞれ加除いたしますと、扶助費の純計は三百三十四億九千四百余万円となり、かえって前年度より八億八千二百万円の減少となっているのであります。これは旧軍人恩給の裁定進捗に伴う減少見込み額の増加が六億四千万円、過年度赤字計上分が前年度より十九億八千六百万円の減少となっているためであります。右のほか、保護施設の事務費に七億二千七百万円、生活保護法施行のための経費に四億三千余万円が見込まれ、これらすべてを合せまして生活保護に関する経費として三百四十六億五千二百余万円を計上いたした次第であります。なお、保護の実施につきまして、洩給または濫給の防止をはかってその適正な運用を期するとともに、指導的職員の資質の向上をはかるため、都道府県の基幹要員の人件費として全額国庫負担の委託費を交付することとし、これに必要な経費として新たに八千九百余万円を計上いたしたのであります。  第八は、児童保護に必要な経費についてであります。まず、措置費につきましては、施設の増設に伴う児童の増加を見込みますとともに、デフレ施策の影響をも考慮して保育所及び母子寮の援護率を若干引き上げることといたしましたほか、前年度不足分二億円を含めまして算定いたしました結果、その所要経費は五十六億四千余万円となり、前年度に比べまして八億三千余万円の増加となっているのであります。また、盲児及び肢体不自由児等身体障害児に対し、育成医療を施しあるいは義肢等の補装具の支給を行うための経費、児童相談所及び一時保護所の運営に必要な経費並びに保母養成所に必要な経費等三億二千二百余万円を計上いたしているのであります。  第九は、世帯更生運動の推進に必要な経費についてであります。  疾病、失業または事業の失敗等によって経済的破綻を来たしあるいは自立の道を失って被保護階層に転落するおそれのある世帯に対し、その再起更正のため適切な指導を行いますとともに、必要な資金を低利で融資してその生活意欲を振起せしめて自立更生をはかることといたしたのでありますが、その実施につきましては、都道府県をして都道府県社会福祉協議会を通じて右に述べましたような生活困窮者に対し自立更生に必要な生業、技能修得、事業継続及び支度等に必要な資金の貸付を行わせることとし、国は、これに必要な経費の二分の一を補助することとしたのであります。このための経費として、三千万円を計上いたしたのであります。  第十は、社会福祉施設整備充実に必要な経費についてであります。生活保護施設の整備につきましては、養老施設に重点をおいて、その増設整備をはかりますとともに、老朽施設の補修改良のための整備をもあわせて行うことといたしまして、これに要する経費一億八千二百余万円を、児童福祉施設におきましては、前年度に引き続いて保育所及び母子寮の増設を中心としてその整備拡充を行うこととしまして、四億円をそれぞれ計上いたしておりますほか、身体障害者更生援護施設、同和地区の生活改善をはかる総合福祉施設、公益質屋の整備等のため四千九百余万円を計上いたしたのであります。また、民間社会福祉事業の振興をはかるため、昨年設立されました社会福祉事業振興会に対する出資金として、さらに一億円を計上いたしまして、民間の社会福祉施設整備充実を期している次第であります。  第十一は、戦傷病者戦没者遺族及び留守家族等援護のための経費についてであります。  戦傷病者戦没者遺族等援護法に基く遺族年金、障害年金及び障害一時金の支給等に必要な経費といたしまして三十億四千八百余万円を、また、未帰還者留守家族等援護法に基く留守家族手当、障害一時金及び療養費等に必要な経費として十四億二千七百余万円をそれぞれ計上いたしました。右のうち、遺族年金及び留守家族手当は、旧軍人恩給公務扶助料の引き上げに対応して本年十月以降若干の増額を予定いたしておるのであります。また、療養の給付を受ける者のうち、大部分の者は本年十二月二十八日をもって法定の療養給付期間を経過することとなりますので、なお当分の間、これを延長することを予定しているのであります。  第十二は、引揚者の援護に必要な経費についてであります。昨年度中の海外からの引き揚げ人員は、集団及び個別を含めて三千二百七十四人となっておりますが、中共及びソ連地区には、いまだ相当数の残留者が帰還を待望しているものと想像されますとともに、両地区とも残留者の帰還が引き続き期待されますので、一応集団三千人、個別五百八、戦犯釈放百人を予定いたしまして、その輸送、帰還手当の支給、食事、被服、日用品及び医療等の給与を行うに必要な経費のほか、集団収容施設の補修整備のための経費を含め、六千九百余万円を計上いたしまして、その受け入れ援護に遺憾のないことを期しているのであります。なお、引揚者の定着援護に必要な住宅施設につきましては、建設省所管に計上されております第二種公営住宅のうちより、八百五十戸を引揚者用に建設する予定にいたしている次第であります。  右に申し述べましたほか、らい予防及び国立らい療養所経営費等らい対策に必要な経費として十七億三千四百余万円を、法定伝染病予防費の補助として七億円を、あへんの専売事業の円滑な運営をはかるために新たに設けられたあへん特別会計固定運転資金に充てるため、同特別会計に対し繰り入れを行うために必要な経費として三千五百万円を、戦傷病者及び身体障害者に対し更生医療の実施または補装具の支給等諸種の援護を行うために必要な経費として三億四千四百余万円を母子世帯の経済的自立を助長してその福祉の増進をはかる母子福祉貸付資金に必要な経費として五億円等をそれぞれ計上いたしたのであります。  以上、昭和三十年度厚生省所管一般会計予算のうち、若干の重要な施策につきまして御説明申し上げたのでありますが、このほか保健衛生、社会福祉の各費目につきましても、それぞれ所要の経費を計上いたしておるのであります。  次に、昭和三十年度厚生省所管特別会計予算の大要について御説明申し上げます。  まず第一は、厚生保険特別会計についてでありまして、さきに申し述べましたように、健康保険においては、前年度及び本年度の赤字を補てんするため六十億円の長期借り入れを見込みますとともに、収支均衡を失いました保険財政の改善に資するため、保険料率の引き上げと標準報酬等級の改訂を予定いたしております。また、日雇労働者健康保険におきましては、給付期間の延長と給付の改善を行うことといたしました。右に要する経費として、健康勘定におきましては、歳入歳出とも五百三十二億七千九百十二万円、日雇健康勘定におきましては、歳入歳出とも二十二億二千三百二十八万三千円、年金勘定におきましては、歳入、四百五十億一千九百九十二万円、歳出、九十二億九千五百六十二万八千円、業務勘定におきましては、歳入歳出とも二十八億三千五百六十一万四千円を、それぞれ計上いたしました。  第二は、船員保険特別会計についてでありますが、健康保険について申し述べましたと大体同様の措置をとることといたしておるのであります。これに要する経費といたしまして、歳入、四十五億九千八百二十五万八千円、歳出、四十億六千七百六十五万三千円、を計上いたしました。  第三は、国立病院特別会計についてであります。さきに述べましたように、国立病院施設整備を行うために必要な経費を大幅に計上いたしましたほか、三億円の債務負担行為を計上いたしているのであります。前年度に引き続きまして、血液銀行、高血圧の治療センター、ガンの治療センターをそれぞれ若干個所整備いたしますとともに、もっぱら地方の一般病院に対し貸し出しを行員ためにラジウムを設備することといたしまして、これら総体の経費として、歳入歳出とも七十八億五千四百六十六万八千円を計上いたした次第であります。  最後は、あへん特別会計についてであります。あへん法に基いてあへんの輸入、売り渡しの事業を独占的に行うため、昭和三十年七月一日を期して設置することといたしており、本年度は、輸入三十五トン、国内産の収納二・五トン、製薬原料としての売り渡し三十二トンを予定いたしまして、所要の収支を見込みました。すなわち、歳入歳出とも一億九千六十三万七千円を計上いたしました。  以上昭和三十年度の厚生省所管一般会計及び各特別会計の予算につきまして概略御説明申し上げたのでありますが、何とぞ本予算案の成立につきましては、格別の御力添えをお願い申し上げる次第であります。
  4. 小林英三

    委員長小林英三君) 次に、予算の細部につきまして、堀岡会計課長説明を求めます。
  5. 堀岡吉次

    政府委員(堀岡吉次君) お手元に配布いたしました横刷りの厚生省所管予算要求額事項別調というプリントを差し上げておりますので、それを御説明申し上げたいと思います。  それをまずあけていただきますと、第一のところは組織別の費用を計上いたしてあるのであります。それから次にめくっていただきますと、昭和三十年度の、事項別に前年度と本年度との比較対照を記載いたしたのでございます。これをめくっていただきますというと、その次の次のページに、事項別内訳というので下にページの番号が打ってございますところがございます。その欄から御説明を申し上げたいと思います。  まず第一番の人口対策費でございますが、そのうちの(1)の人口問題審議会は、これは人口問題審議会の経費でございます。特段申し上げることはございません。それから、以下全般にわたりますが、いわゆる一般的な庁費等につきましては、一割五分程度の前年度よりも節約を行なっておる、なお旅費等については二割程度の節約をするというような方針で予算が作られておりますので、それらを通じましてそういう減少になっておるということをあらかじめ御了承願いたいと思います。その次に、二番目に優生保護相談事業の経費、これも特段に申し上げることはございません。(3)の生活困窮者受胎調節普及事業費補助金、これは大臣から先ほど御説明申し上げました。大体想定いたしておりますのは、二十万人程度を想定いたしております。生活保護を受けておる保護者及びボーダーライン階層の人、これを対象にして器具の無料配付をし、それからボーダーライン階層の人については若干の金を取ることとし、なるべく低額に支給したいという、そういう予定でおります。それから(4)の人口問題研究所の経費、これは特段申し上げることはございません。  それから次のは、2の事項の医薬分業関係費でございます。そのうちの(1)は、医薬関係審議会の経費でございまして、特段申し上げることはございません。その次の(2)以下(3)、(4)、(5)、(6)と裏のページまで事項が五つ並んでおりますが、これは医薬分業に備えますためのそれぞれの所要の調査を行うための経費でございます。(2)の社会医療統計調査費は、統計調査部においてそれを行わしめる予定でございます。それから(3)は薬務局の方で取り扱わしめる予定でございます。それから(4)はこれも薬品の値段の卸値その他の流通の過程における価格の調査でございまして、これは薬務局に行わしめる予定でございます。それから(5)の医療内容調査、これは健康保険医療内容の調査をやるというものでございます。同様のことを国民健康保険で行うというのが(6)の国民健康保険医療給付実態調査でございます。(5)、(6)は保険局に行わしめる予定でございます。  それから次に3の科学試験研究費補助、これは特段申し上げることはございません。  4の国際会議でございますが、国際会議の(1)、(2)は、特段申し上げることはないと思いますが、(3)の諸会議費として新規の金額が四十万円でございますが、昭和三十年度内に、本予算年度内にアジア盲人会議それから東南アジアの歯科学術会議とそれから家族計画会議と、これだけのものが厚生省関係で日本において開催される予定になっております。それに要する若干の経費を計上いたしたのでございます。  それから次、三ページの5の事項の国立公園等運営費を御説明申し上げます。国立公園におきましては、在来は施設整備補助金ということで五千万円ないし四千五百万円程度の金額を前年度までは計上いたしておったのでございます。今年度からはこれに見合う額とて三千六十万円ですか、これを直接費としまして、まあ国立公園そのものは直接国が管理すべきものでありますので、国の直接の費用、直接費として補助金でなしに計上いたしておるという点が変っておる点でございます。その他は特段申し上げることはないと思います。  次の四ページの6、厚生統計調査費、これは私どもの統計調査部で行いまする諸般の統計の調査費でございますが、先ほど医薬分業関係で申し上げました社会医療統計調査費、これは向うのほうへ記載しておきましたので念のために申し上げておきます。  七番の優生保護、これは前年度同様でございます。優生施設の経費です。  八番、結核対策費であります。第一番にベッドでございますが、その内訳は、備考欄に記載しておきましたが、国立において一千、これは前年度同様であります。公立、法人立の数は、公立三千六百、法人立が五千四百、保険立はゼロになっておりますが、これは昨年は保険の方で三千六百結核ベッドを作ったのでありますが、御案内のように赤字でありますので、しかもこれは三分の一国の一般会計が負担して、三分の二を特別会計健康保険で負担しなければなりませんので、今年度は赤字が出るので保険は本年はやらないということで、計上額がゼロになっている次第であります。(2)は国立療養所の運営費でございまして、二十九年に一千床増床いたしました。そういう関係で国立療養所のベッド数が一千床三十年度はふえております。そういう関係の経費がふえておるということ、それからここで御案内の常勤労務者二千二百七十人を増員いたしまして、現在のつき添い看護婦にかわって行うという費用を三カ月分計上いたしております。明年の一月以降において実施されるということが出ております。その次の公立、法人立の方は、これは在来赤字の補てんのための補助金を見ておったのでありますが、今回はこれを計上いたさないということにいたしたのであります。次は、(3)の健康診断でありますが、先ほど大臣から御説明申し上げましたように、健康診断の範囲をかなり大幅に拡大いたしました。実施予定人員は、そこに記載いたしております。なおこれを行いますについては、保健所におけるレントゲン設備を整備しなければなりませんので、とりあえず二十台を整備するということで計上いたしている次第でございます。それから予防接種につきましても、これは健康保険の対象人員がふえておりますので、そういうことになっております。それから訪問指導でございますが、患家は結核に感染する一番の大きな根源でありますので、そこに重点をおきたいというので、人員を大幅にふやしたのであります。対象人員を大幅にふやしたということが増額のおもな理由でございます。  それから(6)は消毒及び物件廃棄補償費、これは特段申し上げることはないと思います。次が医療費でございます。これは前年度に比しまして一億八千万円の減額になっております。中身といたしましては、三十年度といたしまして、新規に結核手術に伴うエックス線検査を対象にしたということで計上いたしております。金額で減っておりますのは、単価の、主として化学療法における単価の減を見込んだというのがおもな理由であります。人員は若干ずつそれぞれ引き上げております。次に、六ページの下から二番目の居宅隔離室設置、これも先ほど大臣の御説明のとき申し上げましたが、テスト・ケースとしまして、現在静岡県で実施されて好評を博しておるのでありますが、一・一五の坪数でもって、一県五十戸、全県二千三百戸の隔離室を作りまして、非常に長期の開放性で、その家が非常に狭隘であるというような場合に、こういう施設をもって治療に充てるということで、本年度は新規に実施したいというので計上いたした次第であります。それから(9)の結核講習会、これは別段申し上げることはありません。(10)の結核回復者後保護費、アフター・ケアでございますが、アフター・ケアの施設の整備は、前年度と同様二カ所計上いたしてございます。この設備でございますが、これは府県が作っておるのでありますが、今まで非常に困っておりまして、新規に二分の一の補助金を交付するということで五百七万円の金額を計上いたしておる次第であります。その他結核関係の経費を備考のほうに記載しておきましたので、説明を省略いたしたいと思います。  裏へめくっていただきまして、八ページの9の精神衛生対策の関係でございます。ベッドでございますが、昨年は二千百床増床いたしておりまして、本年度は合計四千三百床の増床を予定いたしております。なお、これは備考欄にも記載いたしましたが、うち二千百床はヒロポンの患者を入れるという予定で作るつもりでおります。いずれにしろヒロポン患者も一般精神病の患者も同一の病院で取扱いますので、いずれにも自由に利用できると思いますが、覚せい剤問題がやかましいので、ただいま申し上げたように二千百床は覚せい剤の患者の治療に充てるということで計上いたしたのであります。それから(2)の運営費の、国立の運営費、これは国立の厚生省の所管の精神病療養所の運営費でございます。それから公立の方は、結核の際に申し上げましたと同様に、赤字補てんとして在来計上しておりましたのを、本年度は計上いたさないのであります。次の(3)の精神衛生費補助でありますが、措置入院費につきましては、措置入院の入院費でありますが、ベッド数、指定病院等におきましても、それぞれ前年度の一五%増しということで、措置入院をするベッド対象、それらをふやすということであります。なお、措置入院費、それから実費徴収率において若干の改善を前年度よりいたしております。相談所費補助は特段申し上げることはありません。  それから十番、覚せい剤対策でありますが、覚せい剤のベッドについては、先ほど精神衛生対策の方で御説明申し上げましたので、これをただここに書いておるだけでありますので、説明は省略さしていただきます。次に(2)の覚せい剤問題対策推進中央本部費、先般内閣に設けられましたので、その費用でございます。事務費でございます。それから(3)は啓発宣伝の費用でございます。六百万円を計上いたしておるのであります。  それから次に裏に移っていただきまして、事項11、らい対策、らいにつきましては、ベッドの増床は行わない内地では別段問題にいたしておりませんが、奄美大島、あそこにあります和光園でございますが、現地の調査をいたしましたところ、奄美では患者が相当あるのであります。ところが内地のベッドが実は余っておりますので、そこへ移せばいいというのでありますが、奄美の気候が暑いので、寒いほうへ移しますと患者のためによろしくない。健康上そういうことがありますので、奄美の和光園へ百五十床ベッドを新規に作るということにいたしておるのであります。それ以外にはらい関係は特段申し上げることはございません。  それから12の伝染病予防対策でございますが、(1)の防疫業務委託費、これも特段申し上げることもありません。(2)の法定伝染病予防費補助金、これが昨年より減額いたしておりますが、これはいつも七億円ほど計上いたしまして、昨年七億四千万円計上いたしたのでありますが、その四千万円というのは、過年度の赤字に充てるために計上いたした金額であります。従って中身は全然同様であります。それから隔離病舎は千八百六十六床の整備をするということで、その他は特段に申し上げることはございません。  それから十三番の事項、保健所費でございます。まず第一番に保健所の人件費でございますが、前年同様三分の一の補助金でございます。ただ先ほど大臣が御説明申し上げました通り、計上人員の職員数でございますが、二十九年度は予定数の九五%ということで計上しておりました。本年度は種々の状況から見まして七二%を計上したのであります。ただ単価におきましては、昨年の十四万五千二百六十円を本年度は十七万七千七百六十円ということで単価増をとって計上いたしたのでございます。それから次に裏に行っていただきまして、十二ページの(2)の設備整備費は、増額いたしましたのは主として結核関係の結核の予防費、そういう方面の設備を整備するということで増額をいたしたのであります。それから次が施設整備費でございますが、格上げは九カ所行う。在来毎年新設を大体五カ所なり十カ所ずつぐらい行なっておりましたが、本年度は一応見合せる。今後全部やめるという意味じゃございませんので、一応見合せるということで新設はいたしておりません。まあそのかわりというわけじゃございませんが、建物として非常に老朽になっておりましたり、宿屋を買い受けて改造とかいろいろ改良したような建物も数多い中にはございまして、活動に困っておるものもございます。それらについての改築の補助金を十カ所新しく計上いたしたのでございます。それから優生保護相談事業費補助金というのがここに計上いたしてございますが、本年度からは保健所費の中に一緒に計上するということでここに書いているのでございます。  それから十四番、性病の予防費でございますが、これは特段申し上げることはございません。大体前年と中身は変りございません。  それから公衆衛生関係施設整備費、地方衛生研究所整備費補助金、これも別段申し上げることございません。癌研究所の整備費補助金、これも別段申し上げることございません。  次の事項16の水道施設整備、まず簡易水道であります。簡易水道は前年度の当初額と同額を計上いたしておるのでございます。六億四千万円。それから緊急就労対策下水道事業費、これは先ほど大臣の御説明にもありましたが、約二億円の倍以上に当りまして、四億一千八百一万六千円というのを計上いたしております。それから特別鉱害、一般鉱害につきましては、それぞれ法に基くものでございます。それから地盤変動は、実は去年で打ち切る予定でございましたが、なお残っておりますので、南海大震災の分といたしまして三千万円を計上いたしておるのであります。それから(6)の過年度災害分は過年度災害でございます。それから次は(7)の上水道でございますが、上水道の事業費は、御案内のように毎年百億とか百十億とか大きな金額でございまして、この補助金は全くきわめて少額の補助金なんでございます。問題の中心は起債であります。起債につきましては、大蔵、厚生、自治庁、三者の間で厚生省の意見を尊重してやるということでありましたので、事業を執行する場合に当りましても、この補助金が非常に大きな問題であるという意味のものではないのでありまして、補助金がつくことによって、起債を認められるということが、実は打ちあけた話が実際の実情でございましたので、本年度より計上しないことにしたのであります。  17番目は食品検査費でございますが、これについては特段申し上げることはございません。  18番の公的医療機関整備、まず第(1)番の公立病院整備補助でございますが、大体前年程度の四千五百万円を計上いたしております。それから(2)の旧国立病院整備補助が、新規の形で計上されておりますが、実はこれは前年度予算にずっとありましたのでありますが、補正予算の際に二十九年度内は見込まない。国立病院の地方移譲は見込まないというので、ゼロに削減をいたしたのであります。従いまして二十九年度の、前年度予算額のところがゼロになって、新規の予算で千八百万円が計上されておるということでございますが、そういうふうな意味合いであります。相手があれば移譲する、現在のところは非常に困難だと思います。地方財政が非常に困っておりまして、先般もほかで話合いがあったのでありますが、結局なかなか財政よろしきを得られないということで、そういうふうになっております。話があればそれに対する補助金として執行する予定でございます。  事項19番の国立病院特別会計へ繰り入れ、これは繰り入れはその内訳を見て頂きますと、十六ページ裏をごらんいただきますと、例の病院の施設整備費が大部分でございます。引き続きまして五カ年計画を実施していくということで、十二億円の計上をいたしております。それからラジウムの購入は、先ほど大臣からも申し上げましたが、たしか一グラムと思いますが、購入をいたしまして、ラジウムの使用頻度が最近非常にやかましくなっておりまして、御案内のように、外貨をもって獲得しなければなりませんので、個々ばらばらにやったならばかえって不経済であるということで、ラジウム購入費を新規に計上いたしたのであります。  それから次が、事項20番の国家試験費であります。国家試験費におきましては、特段申し上げることはございません。ほとんど新規のことはございません。  それから21番の有機燐酸製剤対策、これは新規の形で、新規でありますが、二十五万円計上いたしております。これは御案内の、例の農薬。パラチオンであります。あの危険防止のために府県の係員に技術講習をやるということで、その金を二十五万円新規に計上いたしたのであります。  22番はあへん特別会計へ繰り入れ、これは先ほども大臣から御説明申し上げましたが、アヘン特別会計を設立いたしまして、それで売り払い残金でまた買う。こういうことにいたしたいということで、アヘン特別会計を作ることにいたしました。昨年は一般会計に一億円計上いたしまして、それをもって払い下げをしたのでありますが、一般会計でありますと一ぺんぽっきりになくなりますので、アヘン特別会計を作りまして、三千五百万円の繰り入れ、それを運転資金として、なまアヘンを購入して、メーカーに売り渡すということにして、特別会計を作るために、新しく特別会計に繰り入れる金額を計上いたしたのであります。  それから23番の特殊医薬品買上げ諸費が大幅に一億円ばかりの減額になっております。これは今申し上げたなまアヘンの購入費をここに一億円入れておりますので、それが大幅に落ちておるということでございます。また特別変ったことはございません。  次は、麻薬取締り諸費、これは取締り委員の増員その他単価の増でございます。また特別申し上げることはありません。  裏へ参りまして、十八ページの事項25、生活保護費でございます。生活保護費は、先ほど大臣から申し上げた通り、人員につきましては、生活扶助においては補正予算のときの人員の五%増を計上いたしております。それから中身としましては、変りございません。前年度と単価等は変りございません。ただ栄養改善は、結核患者の栄養改善でありますが、栄養改善と申しますか、大体四百三十円を七百二十五円、三十年度七月以降実施する予定で、そういう金額をあげて単価の引き上げなどを行なっておるという、単価のこの補てんが変った点でございます。それで十八ページの下から三行目の、恩給等による減少額という欄も御案内の通りでありますが、前年度十二億、本年度十九億の減少を見込んでおります。従って前年度よりも六億四千万円の減を見込んでおります。これは主として軍人恩給の問題でございますが、進達を厚生省がいたしておりまして、二十九年度に非常に大幅に進捗いたしたのであります。これの裁定が三十年度に出てくる。恩給の裁定が出てくるというような関係上、三十年度に二十九年度よりも多額の恩給による減少を見込んだのであります。それから前年度不足は、これも大臣から先ほど御説明申し上げました通り、本年度は二十九年度の赤字分を約十億円、二十九年度には二十八年度の赤字約二十九億円、それから予備費の支出は五億円あったと思いますが、減額になるわけでございます。  それから次の十九ページに飛びまして、事項26の生活保護監査指導、地方公共団体委託職員費、これも先ほど大臣から御説明申し上げましたが、まあざっくばらんに言いますと、府県の保護課の課長以下幹部だけを全額委託の職員にする。この財源は地方交付税交付金のほうからこっちに持っていくということだけであります。どうしてそういうことをしたかと申しますと、生活保護法の事項は全国的な同一基準で行うべきであるということがまず第一番。それからもう一つは、生活保護法の施行に当ります職員の素質なのでありますが、大体考えておりますことは、この方面の社会福祉の行政に何年間か経験のある人間でなければ困る、そういうようなことで条件を付してやりたいということがねらいなのであります。これは委託職員でありますが、身分はもちろん地方の吏員でございます。  それから27の身体障害者対策、まず(1)の一般の分として厚生医療の方は、予定人員が、先般も本委員会等で昨年度も御説明申し上げました通り、予定人員の中へいずれも計画いたしておりますので、その人員に対応するものを入れて計上いたしておるわけでございます。補装具給付補助、援護事務費補助の方は少しずつ減ってきております。(2)の戦傷病者分は、厚生医療は前年度通り、それから補装具給付は、摘要欄に掲載しておる通りでございます。他は別段申し上げることはございません。(7)、(9)の国立光明療、国立保養所等が六百万円とか八百万円とか減額になっておりまして、大幅の減額のように思われますが、大きな施設整備を二十九年度にやりまして、それが三十年度にしないということのために、減額を見ておる次第であります。それから二十一ページの一番上の(10)の身体障害者実態調査費というのは、新規に百三十二万二千円計上いたしております。これは今から数年前、五年前ですか七年前ですか、はっきりしたことは忘れまして恐縮ですが、身体障害者実態調査を全国的にやったのでございます。その後数年間を経ておりまして、その実態を新しく把握するために、新規に計上いたしております。  それから28は消費生活協同組合貸付金、前年程度であります。  それから29の社会福祉施設整備費、これも大体前年度程度でございます。特段御説明申し上げることはございません。  それから30の社会福祉事業振興会出資費は、昨年主千万円で各方面からいろいろ言われましたが、ようやく本年度は一応一億という台に計上いたしまして、七千万円の増額計上をいたしたわけでございます。  それから裏にめくっていただきまして、二十二ページの事項31の世帯更生運動補助でございます。これも先ほど大臣から御説明申し上げましたボーダーラインのものに対する貸付金と申し上げますか、ああいうふうにお考えいただけばおわかりになるかと思うのでありますが、本年度はテスト・ケースでもありますので、金額は少額かもしれませんが、三千万円を計上いたしたのであります。本資金の貸し付けの利率は、年三分を予定をいたしております。  それから三十二番の災害救助費、ここで二億八千万円の減額になっております。(1)のところに、これはいつも当初予算には七千万円しか計上いたしておりませんので、災害発生の場合は予備費から支出するというのが通例でございまして、二十九年度の三億五千万円は、二十八年度の赤字、決算の不足分二億八千万円を計上いたしたのであります。実際上は前年度と同様ということであります。  それから次が三十三番、児童保護費、まず(1)の措置費でありますが、措置費の援護率につきましては、摘要欄に記載してあります通り、保育所関係について、三〇%を三六%に、母子寮の六〇%を六三%に引き上げるということで、単価その他は据え置きであります。援護率は引き上げる。なお過年度の赤字二億円を含んでおります。保育所関係の措置費の赤字二億円を含んで、五十六億四千九十四万円というものを計上いたしたのであります。なお大臣が御説明いたしましたように、施設が増加いたしましたので、それらの対象人員数は、もちろんそれを計上いたしております。それから児童相談所等には、特段御説明申し上げることはございません。あとは特段御説明申し上げることはございません。二十四ぺージの(8)季節保育所設置補助金、これは本年度計上いたしておりません。これはまあ、だいぶ普及されましたので、これは春と秋とに分れるし、数が非常に多いので、大いに事業はやってもらえるのじゃないかという期待を持ちながら、補助金を計上しなかった次第であります。それから次、(9)は、別段御説明申し上げることはございません。  それから三十四番、児童福祉施設整備、これは昨年度から六千万円程度減額になっております。一般的な施設の減額、施設整備費の一般的減額の方針によって若干減じたということでございます。  それから三十五番の母子福祉貸付金、これは昨年の五億七千万円が七千万円減額になっております。これは御案内のように、返還金として返って参るのであります。地方における特別会計を作っておりまして、地方では返還金をさらに財源にいたしておるのであります。その成績を見ますというと、非常に返還の成績がいいのであります。この種のものは、みんな悪いのがありがちでありますが、母子の方でありまするせいか、理由は別として、非常に返還がまじめに行われまして、運転資金としては七千万円の減額になっておりますけれども、大体この程度でやれるということであります。  三十六番の社会保険国庫負担でありますが、(1)の厚生保険特別会計繰り入れであります。これは例の政府管掌健康保険、年金保険等の取扱いの事務費であります。それから他会計繰り入れは、やはり特別会計の繰り入れ、これは特別申し上げることはございません。それから庁舎の新営費、社会保険出張所庁舎七カ所、公務員宿舎新営費、この点は別段申し上げることはございません。福祉施設費財源ゼロとありますのは、これは先ほど結核のところで申し上げましたが、結核ベッドを本年は、政府管掌健康保険は赤字でありますからやらないということのために、使わないということでゼロということであります。その次は健康保険給付費財源、大臣からるる御説明申し上げましたように、二十九年度の赤字は、政府管掌健康保険四十億、三十年度においては三十億、合計七十億と見積ったのであります。そこで七十億に相当する分は、十億は現金で入れる、あとの六十億は起債を立てる。そこで起債に相当する分は、今後数年間、六年間毎年十億ずつ入れるということで返す。でありまするから、政府管掌健康保険の赤字は、一応一般会計でもって尻をぬぐうという形であります。次は日雇健康保険の財源、これは国庫の負担割合は一割。そこで先ほど大臣から御説明申し上げましたが、摘要欄にございますが、新規に埋葬料、分娩費を加える、歯科の補綴を認める、それから給付期間は、在来の六ヵ月を一年に延長するということであります。傷病手当金等についての御要望があったことは十分承知でありますが、財源上今回はできなかったのであります。それから二十六ページの冒頭の厚生年金保険給付費財源、これが昨年より三億九千万円の増加であります。これは御案内のように、年金給付が毎年々々ふえますので、それに伴う財源であります。それから日雇健康保険施設費財源繰り入れゼロであります。これは実は二十八年、二十九年におきまして、日雇健康保険のための簡易な診療所を作りまして、その財源を一般会計から繰り入れておったのであります。ところが給付の方は大幅の延長をやろうということでありますので、もうそろそろ、その辺は健康保険並みにしようということで、財源繰り入れをやらぬことにいたしたのであります。  それから次には、船員保険特別会計繰り入れで、業務取扱い費財源は前に申し上げました通りであります。保険給付費財源、この中に、例の疾病保険分の赤字を一応一億五千万円と大体押えまして、六分の一の二千五百万円を計上してあります。従いまして今後二千五百万円ずつ、毎年これに相当する分として計上する予定であります。それから船員保険におきましては、政府管掌健康保険のように長期債を立てなかった理由のものは、船員保険は長期と短期と合併いたしております。従って自己財源を食うということで、長期債を別途立てなかったのであります。それから船員保険の福祉施設費財源ゼロとありますのは、これも結核の際申し上げました、去年はたしか二百だと思いますが、二百か百か、はっきりしたことは忘れましたが、結核ベッドを船員保険で作ったのでありますが、これも赤字でありますので、これはやらないということでゼロということであります。  三十七番の健康保険組合補助、(1)は事務費補助金、この中の組合事務費、これは被保険者数にかける単価ということであります。それから労働保険組合事務費といいますのは、日雇の関係の健康保険組合であります。それから次の(2)の結核病床整備補助金、これも健康保険組合の結核ベッドはやらぬということでゼロということであります。  それから次が三十八の国民健康保険助成費、まず助成交付金であります。給付費算定の基礎でありますところの受診率、一件当りの点数、一点当りの単価、被保険者数、このうち上の三つは、いずれも昨年より若干の増加を見ております。受診率一四八%、一件当り点数六十一・九点、一点当り単価十一円二十九銭、いずれも若干の増額を見ております。そこで被保険者数でありますが、被保険者数は、二十九年度の予算には二千七百二十一万五千人として計上いたしたのであります。三十年度は二千六百八十五万六千人を計上いたしておりまして、そこに減額を見ております。これは実は二十九年六月の実績が二千五百二十三万一千人ということでありまして、それの伸びを見まして、一応二千六百八十五万六千人という程度ならいいのじゃないかということで、こういうように計上いたしたのであります。それから次に裏に行きまして、事務費補助金であります。この事務費につきましては、被保険者数の減によるものであります。単価は前年同様であります。それから保健婦設置費につきましては、単価増の関係上、金額はふえております。人員も若干ふえております。それから直営診療所建設費は、去年の約半分、二億円だけを計上いたしております。それから再建整備貸付金、これはもうだんだん減額していくのは当然であります。その次の指導監査委託費、これは府県の事務費であります。  次は三十九の事項の引揚援護事業であります。引き揚げについては、大臣から御説明申し上げましたように、これは実ははっきり見当をつけかねますが、一応、集団引き揚げ人員を三千人と予定いたしております。そのほか、個別引き揚げ五百人、戦犯釈放百人ということで、単価等は全部在来通りであります。(2)の引揚者の集団収容施設補修費補助金、これは北海道の例の集団施設が非常にいたんでおりまして、それを補修するための補助金を新規に計上いたしたのであります。  それから次が留守家族等援護費でございます。まずその援護費でありますが、これは例の軍人恩給のベース・アップにスライドいたしましてベース・アップをするということで、そこに計上しました通りであります。それからなお、大臣から先ほど御説明申し上げました本年の十二月二十八日に切れます療養給付の期間延長、その分が本予算に計上いたしてあります。  それから次が41の事項の戦傷病者戦没者遺族等援護費、この年金でございますが、これも軍人恩給のベース・アップに伴うところの数字であります。十月一日より実施するということでございます。それから裏へめくっていただきまして三十ページ、そこの(2)、(3)という(3)のところに障害一時金というのが、何か新規の形で二千七百十六万四千円計上いたしておりますが、これは実は在来法律にちゃんとあるのでありまして、ちゃんと支給いたしておりましたが、それは年金の方から支給いたしておったのであります。実行上は。それを目を立てたということだけのことでございます。中身は何ら変りはございません。  それから次、事項四十二番目、旧軍人遺族等恩給進達費、これは先ほども生活保護のところで申し上げましたが、二十九年度において進達事務が非常に大幅に進みましたので、三十年度においての処理件数は当然減少いたしますので、そういう意味で減額になっておるのであります。  その他の経費二十五億二千二百二十八万三千円を加えまして、合計厚生省の一般会計の総額は一番初めのところに、一ページのところにこれは記載いたしておきましたが、八百三十六億五千八百七十五万九千円ということでございます。  それから次に特別会計の方でございます。特別会計は、まず健康勘定から入ります。健康勘定の方は、保険料収入でございますが、人員等は最近の実績から見ましてだんだん減っておるというふうなことで、最近の実績をとらえまして五百五万人ということで、去年よりも大幅に減っております。それから保険料率は、大臣から御説明申し上げましたように、〇・五%、七月から引き上げる。それから等級改訂等は八月の上旬から行うという予定でございます。それからあとは、一般会計で申し上げたことで、特段申し上げることはありません。  裏にめくっていただきまして、ページに特の1、2となっておりますが、特の2、日雇健康保険料等については、特別申し上げることはございません。  裏にめくっていただきまして、給付については、番号の5のところでございますが、保険給付歳出面、そこは先ほど申し上げましたように、六カ月を一年に延長するとか、前年度なかった埋葬費、分娩費を新規に入れたほかのことは特段申し上げることはございません。  それから特の3ページの年金勘定、これは特段申し上げることはございません。在来と何ら変っておりません。  それから特の4ページの業務勘定でありますが、これも別段申し上げることはないと思います。  それから特の5も別段申し上げることはございません。  それから特の6に行きまして、船員保険特別会計でございますが、これも健康保険で申し上げたと同様なことで進んでおりますので、特段申し上げることはございませんので、説明を省略させていただきたいと思います。  それから特の7ページ、国立病院特別会計でございますが、これも要点は一般会計のところで御説明申し上げましたので、特段この際は申し上げることはないかと思います。説明を省略させていただきたいと思います。  それから特の9ページの方に行っていただきまして、昭和三十年度あへん特別会計でございますが、これは全然新規なものでありますが、かつては、一般会計の繰り入れの際に申し上げた通りでありますが、三千五百万円の繰り入れをいただきまして、これを何回転かして、そうしてそれを会社に売り払うというだけのことでございます。  大分はしょりましてお聞き苦しかったと思いますが、以上をもって説明を終りたいと思います。
  6. 小林英三

    委員長小林英三君) なお、大臣に対しまする質疑は、次の機会にいたしたいと思いまするので、ちょっと速記を中止いたしまして御相談申し上げたいと思います。ちょっと速記をやめて下さい。    午後四時二十六分速記中止      —————・—————    午後四時四十一分速記開始
  7. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは速記を始めて。  休憩前に引き続きまして委員会を再開いたします。  昨十二日本委員会におきまして決定いたしました児童福祉施設調査及び全国児童福祉大会出席のための委員派遣の問題につきましては、これを取りやめることといたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 小林英三

    委員長小林英三君) 御異議ないと認めます。それではそういうふうに決定いたします。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十二分散会