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1955-07-26 第22回国会 参議院 建設委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十六日(火曜日)    午前十時四十四分開会     —————————————    委員の異動 七月二十五日委員西岡ハル君辞任につ き、その補欠として加藤武徳君を議長 において指名した。 本日委員加藤武徳君及び堀木鎌三君辞 任につき、その補欠として西岡ハル君 及び深川タマヱ君を議長において指名 した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     石川 榮一君    理事            石井  桂君            赤木 正雄君            武藤 常介君    委員            石原幹市郎君            小沢久太郎君            酒井 利雄君            西岡 ハル君            宮本 邦彦君            横川 信夫君            北 勝太郎君            村上 義一君            湯山  勇君            田中  一君            永井純一郎君   政府委員    運輸省港湾局長 天埜 良吉君    建設省河川局長 米田 正文君    建設省道路局長 富樫 凱一君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    調達庁不動産部    補償第二課長  佐藤 長治君    建設省計画局長 町田  稔君    建設省住宅局長 鎌田 隆男君   参考人    間組常務取締役 高田  昭君    P・Sコンクリ    ート株式会社社    長       平山復二郎君    工 学 博 士 藤井 眞透君    日本道路協会理    事       近藤謙三郎君    日本大学教授工    学博士     鈴木 雅次君    中央大学教授  細野日出男君    財団法人日本財    政経済研究所会    長       青木 一男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○熊本白川改修直轄工事施行に関す  る請願(第七三号) ○長野美和ダム建設反対に関する請  願(第八六号)(第七二二号) ○地盤変動対策事業促進に関する請願  (第一三六号) ○茨城県久慈川改修工事促進に関する  請願(第二四一号) ○災害復旧工事完成促進に関する請願  (第二七四号) ○滋賀県百瀬川災害土木助成工事継続  に関する請願(第三九八号) ○熊本市房ダム建設促進に関する請  願(第五六六号) ○熊本球磨川改修工事促進に関する  請願(第五六七号) ○熊本県球磨郡の災害復旧事業促進に  関する請願(第五六八号) ○風水害対策特別立法化に関する請  願(第八八二号) ○富山県片貝川砂防工事施行に関する  請願(第一一六三号) ○新潟市海岸決壊防止に関する請願  (第一二二二号) ○利根川支流神流川等護岸工事施行  に関する請願(第一二二四号) ○静岡朝比奈川災害復旧工事促進に  関する請願(第一三〇九号) ○米軍演習に起因する水害防止対策の  請願(第一四四二号) ○災害復旧費国庫補助増額等に関する  請願(第一五〇四号) ○岩手県金ケ崎町の水害対策に関する  請願(第一五五四号)  山形県戸沢村地域水害復旧対策等  に関する請願(第一六四六号) ○岡山県金剛川改修工事施行に関する  請願(第一六九一号)(第一六九二  号) ○放射一号線道路中五反田駅ガード等  築造に関する請願(第二号) ○三号国道三太郎峠改良工事施行に  関する請願(第七号) ○道路との関係における車両制限令制  定反対に関する請願(第九〇号) ○青森県市川、岡三沢問道路舗装に関  する請願(第二〇六号) ○重要幹線道路舗装促進に関する請  願(第二一四号) ○道路整備費財源確保等に関する請  願(第三二〇号) ○昭和三十年度道路予算等に関する請  願(第三四五号) ○県道藪原高山線の一部を国道編入  にするの請願(第三五〇号) ○府県道畑山安芸線改良工事促進に関  する請願(第三七三号) ○道路整備費財源確保等に関する請  願(第五一三号) ○道路との関係における車両制限令制  定反対に関する請願(第五六九号) ○国道一号線舗装工事促進に関する請  願(第五九四号) ○道路整備費財源確保等に関する請  願(第六五三号) ○国道八号線舗装に関する請願(第六  八七号) ○天龍川沿岸道路開設に関する請願  (第七九六号) ○道路整備費財源等に関する臨時措  置法の一部を改正する法律案中一部  修正に関する請願(第八〇六号) ○雲仙観光道路有料道路とする請願  (第八〇八号) ○道路整備費財源確保等に関する請  願(第八〇九号) ○道路整備費財源等に関する臨時措  置法の一部を改正する法律案中一部  修正に関する請願(第八六〇号) ○千葉県野田市から川間村、埼玉県庄  和村を経て春日部市に至る路線を二  級国道に指定する等の請願(第一〇  九二号) ○二級国道線埼玉県皆野町地域内の  親鼻橋架設に関する請願(第一一〇  六号) ○鹿児島串木野市内国道舗装工事  継続に関する請願(第一四三八号) ○放射号路線駒沢、瀬田間の工事中  止に関する請願(第一四九一号) ○県道今津小浜線国道編入に関する  請願(第一六〇四号) ○国土開設縦貫自動車道建設法案中一  部修正に関する請願(第一六〇五号) ○二級国道宮崎福山線串間市内今町  橋を永久橋に架替するの請願(第一  六七〇号) ○鹿児島市山之口町道路舗装工事施行  に関する請願(第二八八〇号) ○鹿児島串木野市内風道舗装工事  継続に関する請願(第一六九八号) ○住宅難解決に関する請願(第九七  号) ○建築基準法一部改正に関する請願  (第二七五号) ○静岡浜松市田町にアーケード式防  火建築許可請願(第四三八号) ○住宅対策に関する請願(第四四五  号) ○住宅施策強化に関する請願(第七六  五号) ○公営住宅法中一部改正等に関する請  願(第一〇八五号) ○高知県安芸市の都市計画に関する請  願(第三七二号) ○鹿児島県財部町街路都市計画街路  事業実施地区に指定するの請願(第  一四三二号) ○建設工事請負契約是等に関する請  願(第一六六四号) ○国土開発縦貫自動車道建設法案(衆  議院送付予備審査)     —————————————
  2. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  請願を審査いたします。まず、付託されました請願は、河川局関係から先にやりたいと思います。さように御了承願います。  河川局関係の第七十三号、熊本白川改修直轄工事施行に関する請願矢嶋議員紹介であります。これを議題に供します。河川局長から御説明願います。
  3. 米田正文

    政府委員米田正文君) 白川改修直轄施行については、かねてから地元の要望もございましたが、特に二十八年の水害の結果、全州の改修計画を立て実行する必要を認めましたので、本年度三十年度改修調査費として二千万円計上をいたしますと同時に、災害関連事業費といたしまして、直轄災害関連事業費というものを予算に計上いたしました。これは来年度から直轄施行をする準備としての本年度の措置でありますので、ただいまのところ、来年度から建設省としては直轄事業編入をいたしたいという予定で進めております。
  4. 田中一

    田中一君 これは橋の中流部直轄でやるのですか、どうなっています。
  5. 米田正文

    政府委員米田正文君) 直轄区域としては、中流部でなくて、子飼橋のすぐ上の区域からの予定であります。
  6. 田中一

    田中一君 そうすると、ずっと上の方の砂防工事の必要な部分がたくさんありますね、あれは全然やらないのですね。
  7. 米田正文

    政府委員米田正文君) あれは、計画としては全体を立てますが、施行の方法としては、下流直轄工事でやり、中流は県の工事としてやり、それから上流砂防は県の工事としてやる、こういうように工事施行を分けてやります。
  8. 田中一

    田中一君 そうすると、子飼橋といいますか、あの橋のちょっと上からやるのですか。
  9. 米田正文

    政府委員米田正文君) そうです。
  10. 田中一

    田中一君 今工事やっていますね。
  11. 米田正文

    政府委員米田正文君) 災害復旧、やっています。
  12. 田中一

    田中一君 災害復旧やっていますか。そのどれくらい上ですか。
  13. 米田正文

    政府委員米田正文君) すぐ上の方に学校があるのですが、学校の上になります。ちょうど川か曲って来ておる、あの子飼橋の上で曲っておりますが、一回りしてまっすぐになる所があります。そこから……。
  14. 田中一

    田中一君 採択
  15. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 本件はどうしましょうか。採択に異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択と決定いたします。  第二、第八十六号、長野美和ダム建設反対に関する請願、これは私の紹介であります。  本件は、前国会にも請願をしておりますが、さらにもう一つ別な人から出ております。七百二十二号に載っております。この天龍川総合開発一環としての美和ダム建設でありますが、地元の猛烈な反対がありまして、当時私ども建設委員会で派遣をされまして事情を調査したのであります。それ以来依然として反対は続けておるようでありますが、これに対しては建設省はどういう処置をしておりますか、御説明願いたいと思います。
  17. 米田正文

    政府委員米田正文君) このダムは、御承知のように、天龍の総合開発計画一環として着手をいたしておるものでありまして、本年度予算を計上いたしております。お話し通り地元用地買収及び家屋移転等について反対相当にございました。しかし、現地における建設省及び県並びに地元との間に数次にわたる折衝が行われて、逐次解決をして参りまして、現在のところまだある程度反対者もございますけれども、全体から見れば、もうダム建設について了解を得ておると信じております。従いまして、このダムについては、予定通り工事を進めてゆきたいと考えております。
  18. 田中一

    田中一君 私はまあこのほかにもこういうケースのものがあるので、一体どういう形で話し合いをつけておるか、補償の問題はどうなっておるか。それも、耕地なら、坪当りか反当りが、幾らになっておるか。具体的な何といいますか、解決されたものと、それから全体が解決されないならば、解決しようとする考え方、それに対して一ぺん資料を出してほしいと思うのですがね。
  19. 米田正文

    政府委員米田正文君) 適当なものを一つ作ってみます。
  20. 田中一

    田中一君 これは解決するというのは、解決するなら採択するわけにいかぬじゃないですか。
  21. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 一応伺いますが、この反対の趣旨は、今残っておるものはどういうような反対ですか。要するに、そのダムの地点に対して絶対反対をして、その上流部にまだ適当のものがあるじゃないか。その方を調査せずして、しゃにむに美和村のダム位置をあくまでも建設省が堅持する。地元の意向を聞いて、もう一度上流部にあるところを調べてくれたらどうか。調べた結果において、もしいかぬということであれば了承するというような主張であったのです。現在もそうだと思うのです。ですから、美和村がそのダムができるために大半の水田宅地を取られてしまうのであり、その上流部ならば非常に犠牲が少い。であるからして、位置について若干の利害得失はあっても、その村を救うという立場から上流部調査してほしい、こういうことが主張のように思ったのです。現在どうなっておるかわかりませんが、問題はこれらの反対者の諸君は、この村はほとんど水没する、ほとんど今まで山間部においても理想郷と言われるくらい豊穣な水田を持っておった所が、全滅してしまう、これには耐えられない、こういうのが主張であります。もしどうしてもそれを応じなくてはならぬとするならば、下流の方から相当土地を提供してもらいたい。ところが、下流部ではあまり提供しないらしい。そうすると、その村はその村だけで考えますと、ほとんど水田宅地を取られてしまって、行く道がないというところにおるように思われる。これを解決しますには、おそらくここまで来ては、位置を変えるわけにいきませんが、下流のこれによって利益を均霑に受けるところの多数の町村からでもある程度土地を提供さして、分散してもいいでしょう、ある程度まで田地を与えて農家の生活が維持できるようにしてやるべきじゃないか。その脚力関係が十分でないような点が非常に不満のように思われているらしい。こういう点については、一つ建設省ではさらに力を入れて、もう三年も戦っておっていまだ反対者があるのは、非常に彼らにおきましては悲壮な考えを持っておると思うのです。ですから、その点を一つ御考慮願いまして、地元の一応意見を聞いて、下流部にもできる限り利益を受けるところの町村は進んで田地を提供して、水没するところの家族を吸収をするという態度をとってもらえればいいのじゃないかと思うのですが、この点に対して一つ十分に御配慮を願いたい。
  22. 米田正文

    政府委員米田正文君) かえ地については下流部で用意をしておるのでありまして、現在行く八の移転先というものも計画いたしておりますから、その点はもう解決しておると思うのです。前のお話の下流ダムサイトを持ってきたという点については、私どもとしてもいろいろと研究をした結果でありまして、最後に残しました案が二つありまして、下流の今の土地とそれからもう一つ上流にもう一カ所、二つあったのですが、地質調査の結果、技術的に見て下流は適当だという結論に達したので、今の位置に決定をしたのでありますが、そのために右岸側補償がふえたわけです。まあそこの人たちが非常に従来から反対をしておる。これの人たちの問題も大体県が中に入って解決をしておりますから、遠からず私はこの反対の問題は解消するというような見込みを持っております。
  23. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 了承しました。これは保留に願います。  本件関係しまして、七百二十二号も同様ですから、これも保留に願います。  第三に、第百三十六号地盤変動対策事業促進に関する請願江田三郎君の紹介であります。この説明を願います。
  24. 米田正文

    政府委員米田正文君) 御承知のように、地盤変動地盤沈下対策が、特に四国、中国筋、近畿に至るまでの区間で非常に最近顕著になっておりますので、私どもとしては一応全体の計画を立てております。で、この線に沿ってやっておる次第でありますが、その後本年度さらに新たに一千万円の調査費を計上いたしまして、全面的に地盤沈下調査をいたす予定であります。これは来年度予算に間に合うように調査をいたしたいというので、すでに調査にかかっておるような次第であります。で、事業量が非常に多いのに、従来から非常に予算が少かったのでありますが、本年度はむしろ二十九年度に比べると倍額に近い予算を計上いたしておりますので、われわれも逐次これを促進することに努力いたしたいと考えております。
  25. 石井桂

    石井桂君 地盤変動対策事業というのは、主としてどんなことですか。
  26. 米田正文

    政府委員米田正文君) 事業内容は、これは私ども河川関係あるいは農林省農地関係等内容になっております。それで、地盤沈下したために、ある海岸においては従来海岸の潮が入ってこなかったたんぼに、地盤沈下したために潮が入るようになってきた。このために耕作が不能になったというような所が非常に多く出てきておるのであります。そういうように、排水が非常に悪くなっておる。われわれとしては、今やっておるおもな仕事は、防潮堤を作り排水をよくするというような仕事をおもにしております。
  27. 石井桂

    石井桂君 そういう点になりますと、土手を高くして潮を防ぐ、それは、この地盤がいつごろ沈下が終るのか、あるいは変動が終るのかわからないから、いたちごっこになって、それが不足すればまた上るということになるのです。もっと抜本的な調査がないと……。
  28. 米田正文

    政府委員米田正文君) これは全体の調査は、本年もう一度やるつもりで調査に入っております、一千万円の予算で。全体から申しますと、地震影響瀬戸内海沿岸が下っており、それから日本海は上っておる。こういう日本の島が、全体として、日本海側が上って太平洋側が下っておる、こういう変だ現象を来たしておる。それで今日のところだんだん沈下がひどくなりつつある進行状態であります。いつとまるかというのは、なかなかむずかしい問題でございまして、まだわれわれにもはっきりした結論は持っておりません。けれども、さしあたり今困っておるのですから、その問題を解決しながら見通しを一つつけたいというのが、今日の状況であります。(「採択」と呼ぶ者あり)
  29. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 これは僕は何か、農林省でも建設省でも、この問題は問題にしているのですが、これはちょっと皆さん考え方が違いやせぬかという僕は気がしている。というのは、この前名古屋とかあの付近を中心とした地震で急激に下った。これは急激にといっても、半年か一年かかっておりますが、あのときに地盤沈下が起ったのです。
  30. 米田正文

  31. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 ええ、南海地震。だから、南海地震の直接の影響でそういった地盤沈下というものがいわゆる地盤沈下である。その後の地殻変動による永続的な地盤沈下というものとは別に考えるのが本当じゃないか。むしろ永続的な地殻運動地盤ということに影響する何か……。これは地質学の問題じゃないかと私は思うのです。で直接の工事の問題は、現にはっきり現われたものですね、こいつをともかく応急に復旧してしまおう。が、これがまだ実際は進行していないということなんですね。問題はそれなんじゃないですか、きょうここに請願になって出ているのは。
  32. 米田正文

    政府委員米田正文君) お答えしますが、今とっておりますのは、お話しのように、南海震災に基く地盤沈下一つ災害の性格のものとして予算化しております。それで今おっしゃられるように、根本的な地殻変動等によるものは別個の考え方をしております。これはお話し通り、理学に関するものが非常に多い。学震学者とかあるいは地質学者、あるいは地理調査所海洋気象台というような所で、それぞれ研究をしております。また大学研究しております。それで、今度私どもがやろうという研究は、それらの今までの研究を総合してみよう。南海震災影響ももちろん一つの問題としてやりますけれども、その他の一般地盤沈下傾向というものをつかまえてみよう、総合的に結論を出してみようといりような企てを今やっておるのであります。
  33. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 議題になっているのは、この請願は今私が申し上げましたようなもので、予算がつかないために未復旧のもの、それからまたその後災害として認めて、あれは二十六年かなにかに出たものは災害として認める。その後にわかったのは災害として認めないというような扱いを大蔵省でやっているはずなんです。その二つの災害と認めたところの地盤沈下、それから災害と認めないと大蔵省でいっているところの実際にやらなければならぬ復旧量、これがこの地盤沈下対策事業というものじゃないかと私は思っておりますが、その量と、皆さんの方でこれくらいな量をやらなければいかぬというのと、実際にやった号とは、ごく大ざっぱなラウンドナンバーはどのくらいです、建設省関係で。
  34. 米田正文

    政府委員米田正文君) 地盤沈下は総体として、少し数字は違うかもしれませんが、ラウンドナンバーを大ざっぱに申しますが、大体八十億程度南海震災に伴う地盤沈下として当初計画しております。その後これは非常に進みが悪くて、まだ十億足らず程度進行でありまして、全体として見ればまだ非常に進捗率が悪い状態であります。
  35. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 その後に災害として大蔵省が認めないといっている量はどのくらいありますか。
  36. 米田正文

    政府委員米田正文君) その正確な数字をまだつかんでおりませんけれども相当にあるようです。たとえば大阪のごとき、大阪、尼ケ崎のごときは、これは南海震災も多少の影響はありますが、これは東京と同じように、地下水影響、いわゆる井戸の水を汲み出すことによって起きる地盤沈下というような問題があります。で、これらの顕著なものについては、御承知のように、すでにやっておりますけれども大阪東京はやっておりますけれども、その他一般のものについてはまだ手をつけておらないという現状であります。
  37. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 今の、そうすると、一般のものについてはわからないというのは、計数的にはまだ大蔵省とあたったことがないということですか。
  38. 米田正文

    政府委員米田正文君) その関係の総括的なものはまだつかんでおりません。
  39. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 わかりました。
  40. 湯山勇

    湯山勇君 この来年度予算に入れるという構想ですね、それは今どの程度構想を持っておられるのですか。
  41. 米田正文

    政府委員米田正文君) 私どもとしては、南海震災に基いて今とっておりますものを優先、やりたいという予定です。で、そのほかに、今申し上げましたように、特に顕著なものがあれば、これは計画の中に入れてみたいと今は考えております。この総合的な調査はことしかかりますので、それが完結し次第、結論を出したいと思います。
  42. 湯山勇

    湯山勇君 いつごろ大体調査完結予定ですか。
  43. 米田正文

    政府委員米田正文君) 年内にはやりたいと思っております。
  44. 湯山勇

    湯山勇君 ちょっと関係が違うかもしれませんけれども、即盤沈下に伴う水道なんですが、これは査定工事量がまだ数億残っておると思うのです、南海地震当時の……。にもかかわらず、本年度はわずかに三千万円しか組まれておりません。これはまあ水道工事がどっちになるかということも問題ですけれども、そういうところから見ますと、地盤沈下に対する対策というのは非常にまあ、さっきお話しのように、おくれているのみならず、十二号、十五号台風被害が、これは台風被害というよりも、むしろ地盤沈下に伴って台風被害が大きかったというように見る方が妥当だと思うのです。実際に地盤沈下地帯に対しての被害が大きいわけですから。そこで、私はまあこの地盤沈下対策については、被害が徐々にくるために案外無視しておるような傾向があるように思いますけれども、早急にやらなくちゃならないと思うのですが、そこでその来年度対策というのは建設省だけでおやりになるのか、もう少し総合された機関において企画立案される御予定なのか、その辺どうなっていますでしょうか。
  45. 米田正文

    政府委員米田正文君) 私どもとしては、今申し上げました調査費は総合的な調査機関研究をいたしたいと、その結論は純科学的な見地から出していきたい。それが出れば私ども計画はおのずからきまってくる。で、またそれが出れば、ほかの水道にしろ農地にしろ、同じような根拠から計画が立つものと思いますので、今のところ工事計画各省分が一緒に出るという考え方までは行っておりません。今は研究としては総合的にやりたい、その出た結果で、それぞれの省で計画を立てるようにいきたい、こういう考え方をしております。
  46. 湯山勇

    湯山勇君 そこで地盤沈下に対しましては、一般災害と同じように、災害がこれだけという、何といいますか、区切りがないわけでございます。ずるずるまだ続いている。そこで大蔵省あたり意見の中には、これは一応落ちつかないと幾ら対策を立ててもむだじゃないかというような意見があって、だんだん対策がおくれているというようなことも聞くのですけれども、今回やられる調査並びに対策は、そういう経過的な段階においてやろうというのか、その経過的な段階、今調査の結果これはもう少し待ってやろうと、落ちつくまで待とうというのか、その辺はまだおきまりになっておりませんか。あるいはきまっておれば、どういう態度一つ……。
  47. 米田正文

    政府委員米田正文君) まだそういう地盤沈下現象の確定的な結論が出ておりませんので、今の直接のお答えになりませんけれども、私どもとしては、現在地盤沈下進行中だからといって、それが落ちつくまで待っておるというわけには、現実の事態としてはそういうわけにはいかない。やはり進行中であっても、あるいは将来またつけ足しをしなきゃならぬ事態になることが予想されても、私どもとしてはやっぱり現在の段階において処置をすることが必要だと考えております。そういう措置でいきたいと思っております。
  48. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択に異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択します。  第二百四十一号、茨城県久慈川改修工事促進に関する請願、一松定吉君の紹介です。御説明を願います。
  50. 米田正文

    政府委員米田正文君) 久慈川については現在直轄工事施行中でございますが、工事施行中でございますが、工事の進捗がはかばかしくないという趣旨で、その促進をはかるべきであるという御意見でありますが、私どもとしても、極力そういう努力はいたしたいと思っております。本年度は全体の予算から見て、この御趣旨に沿いかねているような実情でありますけれども、できるだけこの促進は今後ともはかりたいと考えております。
  51. 武藤常介

    ○武藤常介君 久慈川は普通の河川と違って、激流で、一たん洪水があると、単なる作物が浸水するとかいうんじゃなく、土壌全部が押し流されるというような非常な特殊の状態にある川で、それで毎洪水ごとにずいぶん家屋も流失しておるんですが、すでに二十年になんなんとする状態におきまして、まだ四割程度しかいかぬらしいのですが、こういうものは改修をすればするほどに、直接に利益があがるんですから、いま少し重点的にこういう方面に力を入れたらどうかと思うんですが、当局の御意見はいかがです。
  52. 米田正文

    政府委員米田正文君) 現在やっております直轄河川の数は七十七本にも達しており、それぞれみんな重要な性格を持っておりますので、私どもといたしましては、それらのうちで最も経済効果のあがるところから優先やるという方針で進んでおります。ただ、久慈川は経済効果の大きいという点については、お話の通り、この中流部一帯は非常に大工事でありますので、その大工事の中心部を重点として今日仕事を進めております。御趣旨はごもっともでありまして、私どもとしても極力お説には沿って参りたいと考えております。
  53. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択いたします。  次に二百七十四号でございますが、災害復旧工事完成促進に関する請願、西郷吉之助君の紹介です。御説明願います。
  55. 米田正文

    政府委員米田正文君) これは従来から災害は三、五、二で三年でやる建前でありながら、工事が進んでおらぬという御趣旨のようでございますが、御承知のように、いまだ災害全部については二十五年度災害からの災害復旧事業が残っておるような現状でございまして、特に今年度予算の減額等があった次第で、われわれの当初の計画通りに進んでおらないような状態でありますことは、当委員会でも御説明を申し上げた通りであります。今年度以降の災害については、今度提案しました災害復旧の負担法を御議決を下さいましたので、今後は緊要なものを三年で進むという原則が打ち出された次第でございますので、この点地元の要望にこたえられると思いますが、過年災については、私どもとしては今後三十一年度からは三ヵ年で完成するような計画を立てて今進んでおる次第でございます。
  56. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択いたします。  次に、三百九十八号、滋賀県百瀬川災害土木助成工事継続に関する請願、西川甚五郎君の紹介議題といたします。局長の説明を求めます。
  58. 米田正文

    政府委員米田正文君) これは現在工事中でございまして、今後も継続して完成に努める予定でございます。
  59. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択いたします。  五百六十六号、熊本市房ダム建設促進に関する請願、深水六郎君の紹介であります。御説明を願います。
  61. 米田正文

    政府委員米田正文君) 熊本県の市房ダムについては、二十八年に着手をいたしましたが、当時から非常な反対がございまして、その折衝をまだ現地で継続をいたしておるような実情でございます。まだ今年は本格的な工事に着手の段階にまでは至らないのでございまして、本年はもっぱら用地取得、移転補償等の事務に専念をいたしたいと考えております。
  62. 湯山勇

    湯山勇君 今言っておられた反対というのは、まだ相当強いのですか。
  63. 米田正文

    政府委員米田正文君) まだ相当反対かございます。
  64. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 本問題は非常に複雑な事情があるようですか、ほんとうにまだ地元補償等の関係か十分でないようですが、局長のお考えはどうですか。
  65. 米田正文

    政府委員米田正文君) 非常に反対が強かったのでございますか、今年になりましてから、地元一つ協議に応じようという態勢か逐次見えてきておる状態であります。地元としては補償基準を示して現地と交渉を始めたいというので、その準備を今いたしておる状態でございます。
  66. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択いたします。  五百六十七号、熊本球磨川改修工事促進に関する請願、深水六郎君の紹介であります。この説明を願います。
  68. 米田正文

    政府委員米田正文君) 本河川も直轄工事として今日工事の実施中でございまして、実施中ではありますが、工事の進み方が遅々として進まないという御趣旨でございますが、私どもも促進をするという趣旨には全く同感でありますので、極力促進に努力いたしたいと思います。
  69. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択いたします。  五百六十八号、熊本県球磨郡の災害復旧事業促進に関する請願、深水六郎君の紹介であります。この説明を願います。
  70. 米田正文

    政府委員米田正文君) これも災害復旧が非常におくれておるというので、早くその完結をはかるようにという趣旨でありますので、先ほど申し上げましたのと同じように、前の二百七十四号の趣旨と同様に私ども考えております。
  71. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択に異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択に決します。  七百二十二号はすでに、八十六号と関連しますから、これを保留しておきます。  八百八十二号、風水害対策特別立法化に関する請願、西郷吉之助君の紹介、この説明を願います。
  73. 米田正文

    政府委員米田正文君) これは台風の非常に多い風水害地区の特別対策を立法化する必要があるという趣旨でございますが、建設省といたしましては、先般御審議をいただきました負担法の改正によりまして、一応この趣旨は織り込んだという考え方を持っております。
  74. 石川榮一

    委員長石川榮一君) どうですか、特別立法化に関する請願は。
  75. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 この趣旨は、米田君に伺いたいのは、この趣旨はあなたの方でこの間やった連年災害、あれと同じですか、内容は。
  76. 米田正文

    政府委員米田正文君) はい。
  77. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択に御異議ありませんか。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  78. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 速記を始めて。  それではこれは保留にします。  千百六十三号、富山県片貝川砂防工事施行に関する請願、石坂豊一君紹介、局長の説明を求めます。
  79. 米田正文

    政府委員米田正文君) 片貝川は本年度から工事に着手する予定で進んでおります。
  80. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択いたします。  次に、千二百二十二号、新潟市海岸決壊防止に関する請願、西川彌平治君紹介、港湾局長から御説明を願います。
  82. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) 新潟港の海岸昭和二十年ごろからとみに欠壊を始めておったわけであります。二十年の災害に非常な欠壊を生じまして、災害復旧を始めておるわけでありますが、ことに非常な欠壊が進みまして、三つ山があったのが二つ半も欠けてきたというような状態で、年々災害復旧費として相当額を計上して参ったんでありますが、今年のこの冬の災害でまた非常な欠壊を生じましたので、これではならぬというので、三十年度災害として一億八千万円ばかりの災害復旧費要求をいたしまして、至急それを復旧したい。なお災害復旧のみではなかなからちがあきませんので、二十七年から防災工事としても取り上げました。これが復旧防災対策に力を尽しておるわけでありますが、請願の要旨である今後二ヵ年以内に完全に予算措置をする、これはなるべく早く復旧するように予算措置を講ずるように努力いたしたいというふうに考えております。  なお、補助率につきましては災害復旧補助率並みになるということでありますが、現在四割の国庫補助になっております。これを五割の国庫補助までにしたいというふうに昨年あたりから盛んに折衝いたしておりますが、まだ本年度はそこまで参りません。来年度はぜひ五割の国庫補助まで上げるようにしたいというふうに考えております。なお、三十年度につきましては、昨年度とはずっと増しました予算にいたしまして、防災復旧費あるいは失業対策費と合せまして三億円に近い予算をもって、復旧に力を尽し得るという状態にございます。
  83. 石井桂

    石井桂君 この新潟の海岸決壊防止に関して、私も現場に行って見たことがあるのですが、非常に高い断涯の所をえらくえぐられて、そしてだんだん毎年減っていくようなんですが、あれはどんな防災対策なんですか。非常に潮流関係は強い力を持っているだろうと思いますが……。
  84. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) この点につきましては、在来決壊している汀線に護岸を作り、波に穿掘されないようにし、その前に波の力をそぐために潜堤と従堤を作り、こわれないように防護する工事を防災対策としてやっております。新潟の決壊をいろいろ今も研究中でございますが、要するに、あの海岸を砂が移動いたしまして、なくなって、その砂が大河津の分水によりましてなくなっておる。この点が非常に根本対策として考えなければならない点であります。一方、新潟港の維持という点から考えまして、年々中に土砂がかなりたまるのです。そういう土砂を現在のように港内にためておかないで、欠壊をしておる海岸の方に分水をして、つまり川を切り開いて流し出した。これが根本対策になってゆくのではないかと考えまして、今年度一千万円の準備費と調査費を計上いたしまして、できれば来年度はその工事に着手して根本的な復旧をしたいというふうに考えております。
  85. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 この問題は昔から非常にむずかしい問題でありますのでこういうものこそ土木試験所の方で水理上の試験をなすって、どういうふうになるかよく確めました上で施工することが当然だと思いますが、そういうことをしておられるのですか。
  86. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) この点につきましては御説の通りでありまして、実はこれを研究所でやるかあるいは現地で大きな模型を作ってやるかということについていろいろ検討しまして結果、これは現地で大きな模型を作りまして、模型実験によりその研究をして承りたい。それで、今年の計画のうちに入っております。これに従って研究をしてゆきたいというふうに考えております。
  87. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 本請願にはかようなことが書いてありますから、参考に申し上げます。昨年度の風水害におきまして八十数戸が倒壊流失をした、約二十メートル欠壊した。それがために市街地一帯の住宅地を侵さんとしておる状況であり、従って現在のような予算のつけ方ではとうてい新潟港の維持はできないから、二ヵ年以内に完成してほしということ。もう一つは、この事業は他に類例を見ないような特異性のある災害であるから、これを全額国庫負担にしてもらいたい。もしそれができないとすれば、防災工事費に対する国の補助率を災害復旧工事の補助率と同程度に引き上げてもらいたいかような実は強い要望も出ております。これは私どもも見ておりますが、非常に厄介な問題と思いますが、ほうっておけない問題ですが、今までは予算も十分でないようでありますが、今の見通しでそのくらいの、いわば継続費として何年間くらいで仕上げるつもりでありますか、局長のめどをお聞きしたい。
  88. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) 実は昨年災害復旧費として千八百万円、防災事業費として八千万円あげておったのです。今年度はそういうことではとてもだめだというわけで、災害復旧費として三千四百万円、防災事業費千八百万円、それから予備費の関係になりますが、当年災としてできるだけたくさんの額を上げたいというふうに考えますし、失業対策費として一千万円を上げておりますので、約三億近い金がことしは上げられると思います。しかしこれがもうせい一ぱいのところでありまして、来年度もさらにこれに上回る額を要求し、それで施行したい、こう思いますが、二ヵ年以内ということは、完成するということは非常にむずかしいことだと思います。しかし、この様子で二ヵ年半あるいは三ヵ年の間に効果がもう見えてきたというようにはなっていくというふうに考えます。  それから防災工事費に対する国の補助率でございますが、これを災害復旧費の並みに上げるということも、いろいろな点でむずかしいのじゃないかというふうに考えますが、ただ五割まで、重要港湾のことでもありますし、五割までは何とかして上げたいということで、現在までも一年半ばかりの間各方面に折衝しまして、三十一年度に  ついてはぜひ五割国庫補助までは上げたいというふうに考えております。
  89. 石川榮一

    委員長石川榮一君) どうしましょう。採択しましょうか、保留しましょか。二ヵ年でやるということと全額国庫負担を希望することと、それができなければ防災工事災害復旧並みにしてくれ、まあ趣旨はわかるのですが……。
  90. 村上義一

    ○村上義一君 この問題は運輸省の希望もあるだろうが、大蔵省との交渉にあることだろうと思う。で、むしろこれは採択しておいた方が僕はいいのじゃないかと考えますが、非常に厄介なこれは工事です。
  91. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択に異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 石川榮一

    委員長石川榮一君) それでは採択に決します。  千二百二十四号、利根川支流神流川等護岸工事施行に関する請願、これは私の紹介であります。  これは利根川の支川である重要河川の直轄の神流川でありますが、この神流川は非常に急流でありまして、護岸が非常に荒れておりまして、一応堤防はある程度できておりますが、護岸が十分でありませんので非常に乱流しております。この工事施行請願しておるわけです。これに対して河川局長の見解をお願いいたします。
  93. 米田正文

    政府委員米田正文君) 本件については、お話し通り、堤防の方の工事は進んでおりますが、護岸の方の工事がまだ十分行っておらぬのでございます、で、本年度はからす川筋の高崎市、それから藤岡市の先にそれぞれ護岸工事施行することになっておりますので、ここにこの請願の趣旨の全部かどうか、請願内容が護岸の区域を明確にいたしておりませんから、私どもの方で今考えているとぴったり合っているかどうか明らかでありませんけれども、趣旨としては、護岸を本年度進めることにいたしております。
  94. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択に異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択に決します。  それでは千三百九号、静岡朝比奈川災害復旧工事促進に関する請願田中君の紹介、この説明を局長にお願いします。
  96. 米田正文

    政府委員米田正文君) これは、この請願の趣旨は、静岡県の朝比奈川の昨年の災害でございまして、昨年の十四号台風による災害でございます。で、今年度予算で私どもとしては極力二十九年災も進めたいという意図で予算を配付いたしましたので、今これがすくに着手——ことしできるかどうかということは明らかでありませんけれども、県の計画の中にたぶん入るのではないかとも考えられますので、おそらくこの趣旨の一部は今年実現をすることと思います。
  97. 田中一

    田中一君 これは県から河川局の方に計画は来ておらないのですか。
  98. 米田正文

    政府委員米田正文君) 今予算を大体災害額の比例で各県に渡しまして、各県はそれに基いて、今度は、計画を持ってくることになります。まだその計画が来ておりませんけれども、それが出ればできることになっております。
  99. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択に異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択いたします。  第千四百四十二号、米軍演習に起因する水害防止対策請願、廣瀬久忠君の紹介。調達庁の佐藤補償第二課長の御説明を願います。
  101. 佐藤長治

    説明員(佐藤長治君) 本件と同じ趣旨の嘆願書というもので今月の十八日に私どもに参っております。さっそく現地調査いたしたいと考えております。
  102. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 今調査中で、内容はわかりませんか。
  103. 佐藤長治

    説明員(佐藤長治君) まだ調査に着手しておりません。さっそくやりたいと思います。
  104. 石川榮一

    委員長石川榮一君) その嘆願書並びにこの請願の大体の要望を一つ説明してもらいたいのですが、どういう水害が起るということの請願であるか。
  105. 佐藤長治

    説明員(佐藤長治君) 北富士演習場のA地区というのがございますが、これは被弾地区となっておりまして、弾を撃ち込むために、また戦車や重車両が走りますために、地盤がゆるんでおります。そうして雨が降りますというと、一時に水が流れ出る。その水が田畑を荒して、山中湖ですかに注ぎ込むと、こういう格好になっておるわけでございます。特別損失補償法という法律がございまして、これに基いて補助工事というのができることになっておりますけれども調査の上、法律上救済できればしたい、こういうふうに考えております。
  106. 石川榮一

    委員長石川榮一君) そうすると、調査の上おやりになりますか。調査の上、必要があればおやりになりますか。
  107. 佐藤長治

    説明員(佐藤長治君) さようでございます。
  108. 田中一

    田中一君 これは当然調査してくれという、調査して対策を進めてくれということですから、採択していいと思います。
  109. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 私は、これは採択はむろん当然でございますが、一体そういうことがあるなら、なぜ今まで知らぬ顔をしておられたのです、あなた方としては……。
  110. 佐藤長治

    説明員(佐藤長治君) この問題については実は私の方も初耳なのでございまして、この附近に忍野村というのがございまして、そこには大体同じようなケースがございまして、一昨年ですか、排水工事をやったわけでございます。ですから、そのときにわかればわかるようなものでございますが、私ども最近これを聞いているわけでございます。
  111. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 私はその米軍の演習地においても、また自衛隊の方の演習地においても、実際こういうことをされて水害が起っている実情を方々で聞いております。で、これはあとからやられて困っております。初めそういうふうに予算でも取ってこの水掛の防止対策は当然されるべきでございます。これは私は採択するのはむろんと思いますが、皆さんにお願いしたいのですが、同時にこれに対してもっと根本的にお考えを願いたいと思います。
  112. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 本件に対しては、事後の事態を収拾するということでなしに、そういう事態が起り得るような情勢が各地にあると思いますから、これを機会に、調達庁では全域にわたって、演習に対する国民の何といいますか、気分は非常に最近尖鋭化しておりますのも、これらのことがやはり原因をなすと思うのです。どうかこの地を調査するばかりでなく、全域にわたってこういうような点がありましたならば一般調査をしまして、事前にその工事をいたしまして、地元民からそういう苦情の起らぬような施策を講じていただきたいと思います。それに対して、調達庁の御意見を、この際お聞かせ願いたい。
  113. 佐藤長治

    説明員(佐藤長治君) 承知しました。
  114. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 これは委員長、そう言われるけれども、僕は昔実弾演習をやった所を端から調べたことがあるのです。これは例外なしに、これが起っておるのだ。起る所などというのじゃないのだ。例外なしなんだ。それを起ってからとか、そういうことはちょっとおかしいですよ。
  115. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 私の言わんとするところは宮本君と同じことです。それでありますから、弾をどんどんやられて、土地は荒廃して、水害の原因になるのは事実からいってもはっきりしておるのです。演習すなわち水害、このくらいの考えを持って、これは向うに対しても処置されるのは当然だと思います。
  116. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 湯山君も同様ですか。
  117. 湯山勇

    湯山勇君 同じです。
  118. 石川榮一

    委員長石川榮一君) そういう意図のあることを御了承願いまして、全般を調査をして、直ちにこういう事態が起らぬように事前に調査した結果によって工事をされて、その事態の起らぬようにしていただくようにお願いしたい。
  119. 田中一

    田中一君 私はそれじゃ承知しないですよ。一体被弾地に対する災害は人為的な災害なんですね。この実情を全部にわたって調べて、当委員会に報告書を出していただきたい。これはどっちみち、閉会になりましても、調査案件の継続をやりますから、ある時期に委員会を開いたならば、そのときにそれぞれ資料を持ってきていただいて、明細に御報告願いたいと思うのです。それを要求いたします。
  120. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 今の田中君の資料の要求ももっともだと思いますから、今の言明だけでは物足りませんので、その言明に従って調達庁もおやりになりますか。これから調査をされまして、それに対する工事計画その他の処置についての資料を、一応本委員会に御提出を願いたい。  これは採択することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択に決します。  千五百四号、災害復旧費国庫補助増額等に関する請願、吉田法晴君の紹介であります。河川局長説明を求めます。
  122. 米田正文

    政府委員米田正文君) これは二十八年災の福岡県の町村会から出ておる問題でございますが、国庫補助を三、五、二の割合で出すという話を聞いておったが、その後事実と相違しておるので、早く残余の災害復旧費を出して工事の完結をはかるとともに、町村財政の困窮破綻を救うようにという趣旨でございまして、その最後の趣旨は、残額の早期交付を借入金に対する利子の補給の措置でございます。今後の災害復旧施設、すなわち残額早期交付の問題は極力努力をいたしておることは先ほど申し上げた通りでございますが、借入金に対する利子の補給の問題は、これはまた借入金全部というわけではありませんが、一部については借入金の利子補給の道もございまするので、一部は要望は実現をいたす次第であります。
  123. 田中一

    田中一君 この請願を見ますと、査定額の三割しか来ていないというのですね。あとは地方が負担しておるというのですが、国は工事査定額の七〇%というものに対してはどのくらい負担する義務があるのですか。
  124. 米田正文

    政府委員米田正文君) これは工事査定額ということは、災害工事額ということと趣旨は同じだと思います。査定をして決定をした災害額、こういう趣旨でございますが、今年度一ぱいいたしますと、全国平均で五五%の進捗率に今年はなります。その間において、町村なり府県において多少のでこぼこはあると思いますけれども、全体平均としては五五%にまで進む実情でありますので、二十九年度には三割しかできなかったという次第でありますけれども、これは三十年度に入りますと、平均すると五割以上にまで進むわけであります。
  125. 田中一

    田中一君 私はそこに問題があると思う。そのために地方が全部自己負担で金繰りをしてやっておる。従って、利子の国庫負担ということは当然だと思います。今度三、五、二という比率をしっかりしょうということになっておりますが、金繰りに対する利子は国が負担するという程度のことは当然だと思います。そこでこれは一つ、この議会には間に合いませんけれども、政府の怠慢というか、予算編成のまずさが地方にこういう大きな負担をかけるということになると、単独立法でその始末を考えなければならぬと思います。私は政府の予算の使い方が不当に間違っておる使い方をするから、こういう結果になると思う。そういう意味で、こういう点が全国にどのくらいあるのか、これを一ペん表を出していただきたい。国会が休みになりますから、ゆっくりでいいから出していただきたい。おそらくこれは仕越し工事でしょう。仕越し工事というものは八十億程度とかなんとか言っておりまするが、これは大きな問題です。小さい府県や小さい市町村にしては耐えられないものですから、これはもう初めて出ましたが、わかるはずですから、それを一ぺん取り寄せていただきたい。
  126. 米田正文

    政府委員米田正文君) 承知いたしましたが、これはお話の通り、要するにこれは仕越し工事でございます。仕越し工事の表は一度差し上げてあると思います。
  127. 田中一

    田中一君 トータルでなく、明細を。
  128. 米田正文

    政府委員米田正文君) 明細を差し上げてもけっこうですが、その点についてはまだ打ち合せをいたしまして、適当なものを作りたいと思います。
  129. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択しましょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択に決します。  次に千五百五十四号、岩手県金ケ崎町の水害対策に関する請願、千田君の紹介です。御説明願います。
  131. 米田正文

    政府委員米田正文君) 本件は三十年度災害についての問題でございます。まだこれについては査定を済ませておりませんので、いずれ近く査定に参りますので、査定した結果、善処いたしたいと考えております。
  132. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 局長に伺いますが、この災害は、建設省相当災害ありと認めておりますか。
  133. 米田正文

    政府委員米田正文君) この六月の災害でございますので、相当災害があると思いますが、ここに書いてありますのは、恒久対策として金ケ崎橋の永久橋かけ替え、それと北上川及び胆沢川堤防の補強工事、こう書いてございます。応急対策としては、そのほかに、被害農家に対する低利長期融資、復旧工事に対るす国庫補助等の措置を講ずる、こういうことでございますが、主眼は金ケ崎橋永久橋のかけ替えということでございますが、これは査定をして見ませんと、条件に合うかどうかわかりませんので、永久橋に査定し得るかどうかは、現地を調査した上でないとはっきり申せません。   〔「保留」と呼ぶ者あり〕
  134. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 調査中ですから、保留にします。  千六百四十六号、山形県の戸沢村地域水害復旧対策等に関する請願田中君の紹介です。説明を願います。
  135. 田中一

    田中一君 これは御承知のように、先般の本年度災害の問題ですけれども、これはいろいろになっておりますけれども建設省関係のものだけ一つ……。
  136. 米田正文

    政府委員米田正文君) 実はこの請願要旨がないので、ちょっと要旨をお読み願いたいと思います。
  137. 武井篤

    ○専門員(武井篤君) 一、被害農家に対し長期低利の営農資金貸付措置を願いたい。  二、補助工事に対する高率補助をはかられたい。  三、補助金の早期一括交付を講ぜられたい。  四、地元負担金に対する金融措置を講ぜられたい。  五、被害農地に対する代換作物の種子並びに病虫害防除薬剤、肥料等の無償交付措置を講ぜられたい。  六、二級田道に沿う本村蔵岡及び古口部落内道路並びに沿道浸水家屋敷地の盛土に対する助成の措置を講ぜられたい。  七、最上川中流河川改修工事の国営化をはかられたい。  八、最上地域最上川支流河川の砂防工事の早期施行をはかられたい。  九、罹災農家に対し製炭原木の払い下げを優先的廉価に特売の許可をせられたい。  これだけであります。
  138. 石川榮一

    委員長石川榮一君) これに対する局長の関係を伺います。
  139. 米田正文

    政府委員米田正文君) いろいろ内容は分れておるようでございますが、私ども関係では、その中で災害復旧の問題災害の高率補助とその早期完成の問題でございますが、これは先ほど来から申し上げたような趣旨で災害復旧を進めておりますので、大体その方針に沿っていけると思います。最上川の中流地区云々というのがございますが、最上川全線にわたって直轄工事計画を今進めておる、その途中に直轄工事が抜けておる区域がございます。多分そこのことではないかと思いますが、これらは今後調査をした上でないとはっきりしたことはまだ申せません。
  140. 石川榮一

    委員長石川榮一君) どうですか、保留でよろしゅうございますか。
  141. 田中一

    田中一君 これはどっちみち当委員会で調査に行こうと思っておりますから、調査の上でもって採否をきめていただくから、これでけっこうです。ただし、調査に行って下さい。
  142. 石川榮一

    委員長石川榮一君) それでは保留にいたします。  次に千六百九十一号、千六百九十二号。岡山県金剛川改修工事施行に関する請願です。島村君と江田君の紹介は同じ請願でありますから、一括上程いたします。
  143. 米田正文

    政府委員米田正文君) 本件については、この河川はこの河川流域に工場地帯等があって非常に利水事業に貢献をしておるけれども改修工事が行われておらぬので、至急に改修工事をやるようにという趣旨でございますが、まだ私どもとして十分調査をいたしておりませんので、今後調査をいたした上で方針をきめたいと思います。
  144. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 保留に御異議ございませすか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 保留に決します。  河川局関係は一応済みました。次に道路関係に移ります。  第二号、放射一号線道路中五反田駅ガード等築造に関する請願、重宗雄三君紹介
  146. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 五反田の駅の所の新京浜国道に通じますガードが狭隘であることは、われわれもよく・知っております。これの改修につきましては東京都も計画しておることではございますが、実はあの辺は東京都の道路網を将来どうするかというようなことがきまってきませんと、どう改修するかがきまってこないわけでありますが、実情は非常に交通困難をきわめておりますので、適当なる処置を考えたいと思います。
  147. 石川榮一

    委員長石川榮一君) これは採択に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 石川榮一

    委員長石川榮一君) それでは採択に決します。  次に、第七号、三号国道三太郎峠改良工事施行に関する請願
  149. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 七号でございますが、これは三号国道の三太郎峠の改修についてでありますが、これは五ヵ年計画でも一部を考えております。十億ほどかかるのでございますが、他は第二次五ヵ年計画に考えなければならぬと思っております。
  150. 石川榮一

    委員長石川榮一君) それでは七号、三号国道三太郎峠改良工事施行に関する請願、これはただいま五ヵ年計画に織り込んでやるということになっておりますから、採択することに御異議ございませんか。
  151. 田中一

    田中一君 今道路局長は第二次五ヵ年計画と言いませんでしたか。
  152. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 榮一次にも一部入れております。
  153. 田中一

    田中一君 隧道ですね。
  154. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) ええ、隧道でございます。
  155. 田中一

    田中一君 今やっておりますか。
  156. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) やっておりません。榮一次は本年度予算にやっておりません。来年度以降になります。
  157. 石川榮一

    委員長石川榮一君) これは非常に要望が強いのですが、本気にやりますか。
  158. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) これは全体が十億ほどかかる事業でございます。それでこの峠の改修は本気にやらなければならぬと思っておりますけれども、まだ熊本県といたしましても、熊本市以南の改修が残っておる状態でありますので、それらの点を考えて、後年度に考慮いたしたいと思っております。
  159. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択に決しまして差しつかえありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択いたします。  第九十号、道路との関係における車両制限令制反対に関する請願、羽生君紹介、御説明願います。
  161. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 最近自動車が非常に大型になり、また重量も増して参りましたので、道路の構造を保全する上から、ある程度の制限はやむを得ないと考えておりまして、車両制限令案を考えております。目下事務的に調査研究中でございますが、われわれの考えといたしましては、この大きな自動車に対処するためには、根本的には道路の改良をしていかなければならぬのでありますが、過渡的にはかような制限令もやむを得ないと思っておる次第でございます。
  162. 田中一

    田中一君 私はこの請願採択するのに賛成なんです。まだこういう考え方は実際に地方々々にあるわけなんですね。政府の方でそういう制限令を作ってしまったならば何ですが、試案であるならば、こういう地方の要望というものは当然あるわけなんですから、私はこれは採択していただくようにお願いしたい。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  163. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択しますか、どうですか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) これはわれわれの考えておる制限令には反対であるという請願でございますが、われわれといたしましては、過渡的にはかような制限もやはりやむ得ないと考えまして、目下制限令案を事務的に進めておるわけです。これにつきましては、なお運輸省との折衝も必要であるわけでございますが、道路当局としては以上のような考えを持っておるわけでございます。
  165. 石川榮一

    委員長石川榮一君) どうですか、保留しては。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  166. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 速記を始めて。
  167. 田中一

    田中一君 私はこれは当然だと思うのです、要望は。請願の趣旨は当然だと思うのです。従って、採択をして、それを勘案して政府はどういうことを考えるか、どういうそれに制限令を出すかというのは、これは別個の問題だと思うのです。そういう国民的要望があることは間違いないのです。従って、そういうことを勘案して、これはわれわれは採択して、それも勘案してあなたの方で立案すればいいのであって、これを採択しないというのはおかしいのです。何も政府に仰合する必要もない。国民の意思ですから、国民の要望なんですから。
  168. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 私はここで一つだけ伺っておきたいのは、制限という中には指導的な意味は入っておりますか。たとえば、この道路は狭くて自動車は危ないというような標識を立てるというようなことは、考えておいでになりますか。
  169. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) それはむろん、制限する以上はそういう標識が完備しなければ、制限できないのであります。
  170. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 ここは制限道路だから通っちゃいけないという標識じゃなくて、この道路は狭いから気をつけろというような、そういう標識は立てますか立てませんかということです。そういう……。
  171. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) そういう標識も考えております。
  172. 田中一

    田中一君 これはもとは、今言う通り道路整備五ヵ年計画を考えておりながら、一般財政からは三億八千万しか出さないでしょう。そういうように政府の責任なんですよ。そういうように道路整備五ヵ年計画というものが立って、われわれが自由にどんなものでも通そうというような気持でもって通しておる。これが国会の意思なんです。それをまた、さっきと同じように、金の使い方が悪いから、国民にしわ寄せするということになるのです。だから、私は道路に制限するなんというのは、人命とか保安の上からいっていかぬというならあり得ますけれども、橋の上でも落ちそうだからいけないというならわかりますけれども道路です。これは国道があるでしょう、おそらく。公開されている道路というものは、不当に通っちゃいかぬとかいいとかいうことは、あり得るものじゃないと思うのです。公安上いかぬというなら別ですよ。しかし、そのときには正しい予算の使い方をして、一日も早く道路の整備をすればいいのですよ。私はこれはもう国民全体の意思として、これは正しい請願だと思います。これが採択されて、これを勘案しながら、道路局長としては、一面道路整備に対する予算をたくさん出して、そういうことのないような道路整備をする。同時に、公安上やむを得ないというなら、制限してもよろしいと思いますが、そうでなくて、私は第三次試案の内容を知りません、知りませんけれども、公開されている道路というものは、公安を害さないにかかわらず、国の方の財政上の欠点から、財政上の見地からこの整備かできなくて、通っちゃいけないということは、これはあり得ない。その意味で、強く採択することを要求します。
  173. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) ただいま田中委員のお話でございますが、道路の構造の保全上制限すると申しましたことは、間接的には、交通安全のために制限するわけであります。それは道路の幅の狭いところに、その幅に比較して大きな自動車が通りますと、自然に輪が道路のふちにかかるようになります。これが道路を破壊する原因にもなり、また事故の原因にもなりますので、そういった道路を制限することを考えております。むろん、われわれといたしましては、この反対のあることも十分に承知いたしておりますし、できるだけ制限の少いようには今後考慮していきたいという考えでございます。
  174. 武藤常介

    ○武藤常介君 これは何ですな、いわゆる県の事情によって、道路は必ずしも一般的でありませんから、そこへ持ってきて、だんだん大きくなった自動車が来るというと、一朝にして道路がこわれてしまう。茨城県のごときは、国道が約三ヵ月ばかりこわれておるのでありまして、それを迂回するために県道を通りましたところが、わずか一ヵ月のうちにほとんど使用に耐えないような道路になってしまった。こういう例もありまして、ますます自動車が道路にそわない拡張、拡大をして、これはある程度のやはり制限が必要じゃないかと思います。
  175. 田中一

    田中一君 これは何ですか、政令でやるのですか、省令でやるのですか。
  176. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 政令でございます。
  177. 田中一

    田中一君 これは案文を見せていただきたい、あるならば。そこで、これは、もしかりに県道ならば県が、村道ならば村が、これはおのおの公安を害するという見地からするならば、これは制限は当然だと思うのですよ。それはそうだと思うのです。しかしながら、原則として、今武藤君が言ったように、地方々々で条件が違うような場合、考えてみるというと、そういう制限をするという原則を立っちゃいかぬと思うのですよ。また公安上困るというなら、それはやってもいいでしょう。やってもいいが、その請願そのものは一つの国民の意思として採択するのは当然だろうと思うのですよ。
  178. 石川榮一

    委員長石川榮一君) どうしましょうか、いろいろ意見がありますが。
  179. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 今、田中委員は認められておるのです。そこで、物理的に不可能というようなことは政令で案があることだから、これは保留しておいて、この案を見せていただいた後に、また次期国会でもしようがないので、考えたらいいのじゃないかと思います。本日はどうです、一時保留ということでもって一つ……。
  180. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 趣旨はどちらもよくわかるのですが、一方は道路政策を遂行してこういうものをなくしようという、一方はそうやると今の交通事故が多くなって困る、現実の事態として、その暫定措置としてこ木をやらして、それをもととして国の道路整備の推進が鈍りはせんかということが心配がある。どちらにも意見がありいろいろ議論がありまするから、この点を勘案されまして、いずれ政令を出す場合においては一応当委員会にも見せてもらいまして、そうして委員会の意見も聞いてもらいたいと思うのです。その上でこれを決定することにいたしまして、これを一時保留することにしたらどうでしょう。
  181. 田中一

    田中一君 保留採択とは、天と地の違いなんです。従って、どういう形のものか、政令は出るものなのです。出そうというのでしょう。それならば、国民の希望、要望として、請願としてこれは採択されることはちっとも差しつかえないと思うのです。
  182. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 意見がまとまらないで採択保留主張が二つあるわけです。
  183. 湯山勇

    湯山勇君 これは長野県という特殊な地域の要望と解釈したならば、そういう制限令の制定に当ってこの県の要望をよく考慮してやつでもらいたいというふうに解釈すれば、採択しても差しつかえないのじゃないかと思うのです。いかがなものですか。   〔「採択賛成」と呼ぶ者あり〕
  184. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択した場合に、道路局長の道路行政の立場から、どうしてもある程度の制限をしなければ現在の交通事故を防ぐことはできないところの状況である。ある程度のものを出さなくてはならぬという事態になっておるという説明なんです。これは相当の御決心があるようだから、これを押えるためにやるということになってはどうかと、こう思うのですがね。
  185. 武藤常介

    ○武藤常介君 私はだいぶこの問題について論議がかわされたので、道路局長もこの論議を十分御理解になっておるし、この論議を中心にして将来の政令を考えられることと思うから、私は採択に賛成します。
  186. 石川榮一

    委員長石川榮一君) それではかようにいたしましょう。今の論議をよく御了承願いまして、そうしてこの制限を出すような場合には非常な慎重な態度をとられて、ほんとうにやむを得ないものに限ることにいたしまして、この趣旨を尊重して道路政策を推進してもらうという建前をとっていただくことにしまして……。
  187. 田中一

    田中一君 ちょっと速記をとめて下さい。
  188. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  189. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 速記を始めて。  それでは採択に決しましょう。  第二百六号、青森県市川、岡三沢間道路舗装に関する請願説明を願います。
  190. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 後年度に着工いたしたいと考えます。
  191. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択に決します。  第二百十四号、重要幹線道路舗装促進に関する請願
  192. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 御趣旨ごもっともでございますので、この線で努力いたしたいと考えます。
  193. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択に決します。  第三百二十号、道路整備費財源確保等に関する請願
  194. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) この請願のうちガソリン税率を一万三千円にするということは、本年度は一万一千円に減税されましたので、これは一万三千円にならないわけであります。それから税収実績を後年度に繰り入れるという問題は、臨時措置法改正いたされましたので、御趣旨の通り実施できるわけでございます。
  195. 田中一

    田中一君 今、道路局長、ガソリン税が一万一千円と言っていましたね。地方道路税はあれはガソリン税ですか。
  196. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 地方道路税はガソリンの消費にかけられますが、名前は地方道路税でございます。
  197. 田中一

    田中一君 そんなごまかしを言っちゃいけないよ。これはまだ、この二つの法案とも衆議院を通ったかもしれぬけれども、こっちはまだ通っていないのです。これも私は当然国民の要望として採択すべきだと思うのです。(「採択々々」「異議なし」と呼ぶ者あり)
  198. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ちょっとお諮りいたします。本件に関する法律案が目下本院において審査中でございますので、その議決を見るまで本請願保留にしておきたいと存じますが、いかがでしょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  199. 石川榮一

    委員長石川榮一君) それでは保留にいたします。  三百四十五号、昭和三十年度道路予算等に関する請願
  200. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 前と同様であります。
  201. 石川榮一

    委員長石川榮一君) これも採択。  三百五十号、県道薮原高山線等の一部を国道編入するの請願
  202. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 将来国道の再建等の行われます際に、考慮いたしたいと考えます。
  203. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択。   三百七十三号、府県道畑山安芸線改良工事促進に関する請願
  204. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) これは目下着工いたしております。引き続き着工  の計画であります。
  205. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択に決します。  五百十三号、道路整備費財源確保等に関する請願。  全部同様でございますから、保留に決します。  五百六十九号、道路との関係における車両制限令制反対に関する請願。  これも羽生君と同じです。これも採択します。
  206. 田中一

    田中一君 速記をとめて。
  207. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  208. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 速記をつけて。  五百九十四号、国道一号線舗装工事促進に関する請願
  209. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 五カ年計画で全部舗装する予定でおります。
  210. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択に決します。
  211. 村上義一

    ○村上義一君 これは年度を切りつめてなるべく早くやってもらいたいという趣旨以外に、一年間のその当該年度工事について工事の進捗秘匿を進めてほしい、経済的な進捗度をもってやってほしい。非常にだらだらしておる。そのために重量トラックが迂回して、町村道を非常にこわしておる。その点において地方は非常に困っておると、こういう趣旨なのであります。
  212. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 御もっともでございます。できるだけ御迷惑かけないように努力いたしたいと思います。
  213. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択いたします。   六百五十三号、道路整備費財源確保等に関する請願。  前同様でありますから、保留にいたします。  六百八十七号、国道八号線舗装に関する請願
  214. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) これも五ヵ年計画で実施いたしております。できるだけ早い機会に完成いたしたいと考えております。
  215. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択いたします。  七百九十六号、天龍川沿岸道路開設に関する請願
  216. 田中一

    田中一君 これはおそらく道路局長、簡単に言えぬだろうと思うのですが、伺いますが、調整つきましたか、この道路について。
  217. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 本件に関しましては経済企画庁で調整をいたしておりますが、まだ結論に達しておりません。しかし道路局に関します分については、われわれも予算措置を講じております。
  218. 田中一

    田中一君 もう少し詳しくしてほしいのですがね。この二本の道路ですね、国がどのくらい予算の措置をとるか。同時に、県負担がどれくらいあるのか。電源開発会社はどれくらいあるのか。大づかみでけっこうです、政府の方の考え方を明らかにして下さい。
  219. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) これは佐久間ダムの水利権許可に伴って起りました問題でございますが、この補償のために道路計画されたわけでございますが、この道路のうち建設省の所管するもの、それから農林省の所管するもの、電源開発会社の所管するものこの三つに分かれております。どの分をどの省あるいは会社が負担するかということが企画庁で進めております調整の内容でございますが、この結論はまだ得ておらないのでございます。先ほども申し上げましたわれわれの関する分と申しますのは、天龍川の右岸の地区の道路でございまして、この分につきましては、われわれとしても計画を立てさしあたり五ヵ年計画では五千万円程度を入れまして、一応待避所等の整備をはかり、自動車の通れるようにいたしたいと考えております。
  220. 田中一

    田中一君 五ヵ年計画というのは、道路整備五カ年計画を言っているのですか、五ヵ年継続工事という意味ですか。
  221. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 五ヵ年整備計画というわけでございます。
  222. 田中一

    田中一君 これは五千万円でいいんですか。これはもう来年五月には水没するのでしょう。
  223. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 今申し上げましたのは道路局に関する分だけを申し上げました。それからその他の分につきましては、まだ調整ができておりませんので、私も承知いたしておりません。
  224. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  225. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択いたします。  第八百六号道路整備費財源等に関する臨時措置法の一部を改正する法律案中一部修正に関する請願
  226. 武井篤

    ○専門員(武井篤君) このただいまのは、御裁決になりました道路整備費財源等に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の中でもって、条文が趣旨と一致しないとか、煩瑣で解読しがたい。ガソリン税収以外の一般財源から支出された道路費が後年ガソリン税収に肩がわりされて引き込む建前となっているとか、道路費即ガソリン税の概念、言いかえるならば、ガソリン税実収入額以外の一般財源は道路費には充当しないとする概念を法文の上に示すこととなる。これは本法制定の精神に反するばかりでなく、道路整備の進捗と国民負担の公正を期する上においてはなはだ重大であるから、こういう点を直してくれ。こういうわけなんでございますが、もうすでに御裁決になった問題でございます。これは不採択じゃないかと思いますが……。
  227. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 不採択。  八百八号、雲仙観光道路有料道路とするの請願
  228. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) これは雲仙に新しい道路を作って有料道路にしようという趣旨と考えますが、この問題については、現在の道路を改良した方がいいとか、あるいは新しい有料道路を作った方がいいか、ただいま研究中でございます。
  229. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 保留。  第八百九号、道路整備費財源確保等に関する請願。  同じですから、保留にします。  八百六十号、道路整備費財源等に関する臨時措置法の一部を改正する法律案中一部修正に関する請願。これは八百六号と同じでありますから、不採択にします。  千九十二号、千葉県野田市から川間村、埼玉県庄和村を経て春日部市に至る路線を二級国道に指定する等の請願
  230. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) この線は東京の大環状線と言われる二級国道の一部でございますが、この一部の路線を変更することに請願されておることと考えます。これは将来国道網検討の際に考慮いたしたいと存じます。
  231. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択で異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  232. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択。  千百六号、二級国道線埼玉県皆野町地域内の親鼻橋架設に関する請願
  233. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) われわれといたしましては、本年度より着工することで予算をつけておりますけれども、なお大蔵省との折衝がございますので、まだ確定したとは申し上げられません。
  234. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択に決しました。  千四百三十八号、鹿児島串木野市内国道舗装工事継続に関する請願
  235. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 継続施行する予定でございます。
  236. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択に決しました。  千四百九十一号、放射号路線駒沢、瀬田間の工事中止に関する請願
  237. 田中一

    田中一君 これは昨年の暮に、一方的に政府が東京都に向って、この工事の着工を許可したものですね、これは。
  238. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) そういうことでございます。
  239. 田中一

    田中一君 この問題はまあ今まで長い間の問題で、地元のああいう反対があるにもかかわらずやっておりますけれども、大体三十メーター道路ということで話し合いがつけてあるにもかかわらず、十一メーターしかやらぬということを、やはり当局は言っておるんです。いや、やるんだと言ったところが、財政の裏づけがなければできないことなんで、結局六百万か、その程度のものを東京都が出して、あとは防衛費で、防衛分担金でこの道路を作ろうという、一種の軍用道路なんですね、これは。そこでこれは道路局長も個人的には再三折衝があったんでしょうが、この際あえて私が請願紹介したというのは、ほんとうに今まで話し合いでやっておる部分を実行させる意図があるのかないのか。また東京都は予算上これを、三十メートル道路については第四号を放射線としての建設をするのかどうかという点を、詳しくお聞きしたがったんです。
  240. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 放射四号につきましては、三十メートルで実施いたす考えでございまして、この予算の裏づけも国としてはいたしております。軍用道路というお話もございましたが、もともと行政協定による安全保障費から費用が出されたことは事実でございますが、軍用道路として特別の設計をいたすものではありません。これは東京都の都市計画路線一つでございまして、この現在の路線が非常に狭隘であり、交通に支障を来たしておりますので、この改良は緊急の必要があることと思い、われわれといたしましてはこの線をすみやかに改良いたしたい考えでございますが、田中先生の言われるような問題もこれにはございます。できるだけ地元意見もお聞きいたしまして、この問題の円満な解決をいたしたいと考えておる次第でございます。
  241. 田中一

    田中一君 これは私も実際に実地調査をしてみまして、駒沢——瀬田間というものにどのぐらいな自動車交通量があるかということをお調べになったことがありますか。
  242. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 調査いたしております。
  243. 田中一

    田中一君 同時に、駒沢−三軒茶屋間にどのくらい車が通るか、三軒茶屋と渋谷の間にどのくらい車が通るかということをお調べになったことがありますか。
  244. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) これは警視庁の調査がございます。
  245. 田中一

    田中一君 そうすると、一番草が通らないところを三十メートル道路を築造して、一番車が通る、困っているような問題のところを何も手をつけない。これはありようがないと思うのです。ただ、これは御承知のように、合同委員会で決定された厚木飛行場へ通る東京都と結ぶ線の一つの費用ですね、この予算を持っているんです。第四号放射線というものに乗っけてこの分担をやろうということになったので、これはあなたよく知っているはずですね、私もよく知っておりますから。そこで両方ともこの部分だけを、この戦災を受けない人家をつぶしちゃって、どこに出口があるんですか。どこも出口がないじゃないですか。もしほんとうにあなたが放射四号路線をねらっているならば、まあ渋谷の駅あたりのガード下の一番激しい所とか、あるいはそのうしろ側に、南口ですかにあるところの道路をやっていますね、あれでも先にやった方が正しい行き方なんです。車のあまり通らない所をなぜそういうふうに三十メートル道路を作るのか。またもう一つは、二十メートル道路はあるのです、玉川電車に沿って。もう一つは、もう少し南の方にここに二十五メートル道路のようなものができております。その間になぜまたここに三十メートル道路を作らなきゃならぬかということは、かなり疑問と思うのです。ただ例の安全保障諸費の一億何千万とかいう金が、これを使いたいために放射四号線に乗っけて工事をするんだ。ごまかしなんですね。玉川電車に沿っていたっていいんです。あなたは、計画は玉川電車を拡張しようという計画だけだ。実際に短期に三十メーター道路をあの部分だけやってしまって、何の効果があるんです。どういう効果があるんです。むだな金を使っちゃいけません。
  246. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) あの線の改良は、現在の両側が五、六メートルのきわめて狭い道路で、交通に支障を来たしておるという点から、出発したのであります。田中先生の言われるように、どれだけあの部分に交通量があるかと言われますと、これは渋谷駅前の交通量に比べてわずかなものであることは事実でございますが、そこで十一メートルという幅員を計画したわけでございますが、たまたま放射四号という都市計画道路があるものでございますから、それに伴って、この際三十メートルでやっておいた方が将来のためである。さしあたりはあそこだけが三十メートルになって、一二軒茶屋の所が十五メートルか二十メートルだということは、理屈に合わないということも、これは理屈でございますけれども、一ぺんに道路を全部を改良するわけにはいきませんので、まずやれる所は都市計画の線に合せてやるというふうに考えたわけでございます。
  247. 石川榮一

    委員長石川榮一君) これは保留にしてはどうですか、研究しようじゃないですか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  248. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 保留にします。  千六百四号、県道今津小浜線国道編入に関する請願
  249. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) これは旧北陸街道かと思いますが、これは将来国道再検討の際に考慮いたしたいと思います。
  250. 村上義一

    ○村上義一君 あの北陸道路とは違うのであります。つまり、これは今国有鉄道の予定線に密接に並行しておる線であります。で、小浜、舞鶴地方から京阪神に結ぶ一番ショート・カットになる線で、福知山以東と京阪との交通路線です。
  251. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 小浜、舞鶴から京阪に出る線でございます。これは将来国道再検討の際に考慮いたしたいと思います。
  252. 石川榮一

    委員長石川榮一君) これは採択いたします。  千六百五号、国土開発縦貫自動車道建設法案中一部修正に関する請願。  専門員から説明してもらいます。
  253. 武井篤

    ○専門員(武井篤君) この請願は、法案中第三条記載の別表予定路線——別表がございますが、この予定路線を削除してもらいたい、こういうわけであります。この理由とするところは、提案の路線は山地開発にあせるのあまり、既開発地の重要交通を没却したうらみがあるということが一点。それから第二点は、交通量が適正な交通量の想定に基かなければ、道路の効率的構造というものはきめることができない。交通量をきわめず、適正構造を想定せずして、高速自動車道路路線を選定することはあり得ない。この提案は交通量の点において不適格となる路線を包含する懸念が多分にある、というのが第二の理由。第三の理由は、通過地点のいかんは局地的利害に直結する。ゆえに確信のない路線をあらかじめ法定すれば、将来調査の結果、その路線が大局的国民利益に反することが明らかになった場合といえども、その沿線の局地的牽制を受けて、これが是正を不可能ならしめる懸念がある。そういうことで、第三条記載の別表予定路線を削除してもらいたい、こういうことであります。
  254. 村上義一

    ○村上義一君 請願の趣旨は一応ごももっとだと思いますが、これは根本問題なんですが、懸案になっておるのですが、保留にしたらどうかと思います。
  255. 石川榮一

    委員長石川榮一君) これは今、御承知のように、本委員会で審査を始めておるんですから、今の意見は一応聞くといたしまして、ここで採択することはどうかと思いますが、保留にいたしたいと思います。  〔「保留」と呼ぶ者あり〕
  256. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 保留に決します。
  257. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 時間があまりおくれましたが、もう少しごしんぼうを願います。  千六百七十号、二級国道宮崎福山線串間市内今町橋を永久橋に架替するの請願
  258. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 永久橋にかけかえる予定でございます。
  259. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択いたします。  千六百八十号、鹿児島市山之口町道路舗装工事施工に関する請願
  260. 町田稔

    説明員(町田稔君) この件につきましては、はなはだ申しわけございませんが、計画局の方に連絡がなかったものですから、まだ調べておりません。
  261. 田中一

    田中一君 これは国会があるうちに委員会で答弁を願います。きょうだけ保留にします。
  262. 石川榮一

    委員長石川榮一君) それじゃ、まず採用するとして保留します。  千六百九十八号、鹿児島串木野市内国道舗装工事継続に関する請願
  263. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 本件に関しましては、本年度継続実施する予定でございます。
  264. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択することにいたします。  以上をもちまして道路関係は済みました。  次に住宅関係に移ります。第九十七号、住宅難解決に関する請願
  265. 鎌田隆男

    説明員(鎌田隆男君) 本請願住宅対策全般にわたる非常に大きな請願でございますが、この請願の趣旨は非常にけっこうだと存じます。ただ本年度予算あるいは法律の決定をいたしておりますので、この通り政府として実施することは困難かと思いますが、この御趣旨はけっこうだと存じております。ただ、この中の一つ老朽住宅に対する補修費の問題、この問題も住宅の問題としては非常に大きな問題でありまして、今後いろいろ検討いたしたい、こういうふうに考えております。
  266. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択にしますが保留にしますか。   〔「採択」と呼ぶ者あり〕
  267. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択に決します。  二百七十五号、建築基準法中一部改正に関する請願
  268. 鎌田隆男

    説明員(鎌田隆男君) 建築基準法の中の用途地域内の建築制限は、最近化学工業の発達とか、あるいは害を除きますところの除害設備、そういうようなものの進歩によりまして、ただいまの規定に改正を加える必要があるというふうにわれわれ感じております。目下いろいろ検討いたしておりますが、この請願にありますように、商業地域内の豚舎、きゅう舎、鶏舎というようなものの建築制限につきましても、趣旨は同様でございまして、同時に考慮をいたしたい、こういうふうに考えております。  なお、この請願の第二につきまして、学校、病院等の環境を保護するために、映画館とか、あるいは製材工場のような騒音を発生するようなものを遠く離してくれということでございますが、これは趣旨はけっこうでございますが、学校とか病院は非常に広範に都市内に点在しておりまして、こういう騒音を発生するようなものの建築物の制限をしますのは、かなりの権利制限ということにもなりますので、慎重にこういう点を考慮いたしたいと考えております。なお、従来も騒音のあるもののそばに学校が来るというような場合に、相当いろいろな場合がありますので、将来こういうものの改正研究いたしたいと思います。
  269. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 保留にいたしますか。
  270. 田中一

    田中一君 これは何か、そのまま全部実行しないでも、このうちの一部でも将来改正しようというような意図があるならば、採択した方がいいと思うのです。
  271. 鎌田隆男

    説明員(鎌田隆男君) この建築物の用途地域の問題とからみまして、制限の規定と、今建築基準法にございますその表で、たとえば何馬力以上のモーターのあるものをどこに作っちゃいけないとか、いろいろありますが、最近モーターの騒音を防止するような設備が非常にまた進歩いたして参りましたし、それから化学工業も今まで想像しなかったものもできて参りまして、その害毒を大いに流しているというようなそういう状況もありますので、その問題につきましては将来よくいろいろ研究いたしたい、こういうふうに考えます。
  272. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択に決します。  次に四百三十八号、静岡浜松市田町にアーケード式防火建築許可請願
  273. 鎌田隆男

    説明員(鎌田隆男君) これは二十五メートルのすでに幅員がきまっております国道の一部に、その上に当るところに建築のアーケードを作るように建築基準法改正をしてくれというような請願のように見受けるのでございますが、ちょっと道路法との関係もございまして、道路の上に建築物の一部を作るということは、いろいろ問題も多かろうと存じますので、この点ちょっと研究いたしてみましても困難ではないか、こういうふうに考える次第でございます。ただ、道路でなくして、道路の幅がちゃんときまっておりまして、その余分にある公有地がありました場合に、その上にアーケードを作るというような場合は、けっこうかと存じております。その道路の幅員がはっきりきまっておりまして、その上にアーケードを作るということは、ちょっと困難ではないかと存じます。  それからなお念のために、このアーケードではなくて、公共道路の上に架設的な軽金属のおおいをかけるという場合は、これは許可をいたしております。この請願の意味は、たぶんこのアーケードを作るのはそういうものじゃなくて、上にずっと部屋もある建築物を作らしてくれ、こういう請願のように見受けますので、ちょっと困難ではないかと存じます。
  274. 田中一

    田中一君 これは浜松の従来の区画整理問題にからんで、こういう形ができるならば区画整理を賛成いたしましょう、こういうことなんです。そこで問題は、五メートルの歩道が両側にある、車道が十五メートルあるというのが計画線なんです。それをどっちみち、これは国が払うのじゃないのです。地元の人間が現物でもってそれを提供するわけですから、そこで両側の五メートル分というものを公共歩道としないで、これを私道——私の道とする、十五メートルだけを車道にする。あと五メートル分は歩道としないで、地元民が通路として提供するという形になればできるのでありまして、このような進歩した考え方をあなた方が持たなければ、区画整理なんという——国民の負担において環境をよくするというような方法がなかなか困難なんですね。これは一つの方法としてやらすんです。御承知のように、沼津のあの商店街は、あれは道路じゃない、通路です。通路でも、やっぱり人間が通っている歩道なんですよ。こういうこともあり得ることなんですから、このような考え方をしなければ、もうどこにもぶつつかるわけなんです。こういう交渉を、ちょうど計画局長がいますから、こういう考え方一つ、抜本的に区画整理というものを、あるいは都市計画というものを完全に遂行するには、問題の解釈の問題なんです。同じ通路、同じ人が通る歩道なんです。道路としちゃできない。しかしながら通路ですね、民有地に通路の上に建てるなら、通路として国民、市民に提供するならばできるということがあり得るのですから、これは土地の利用というもの、地価というもの、こういう問題が経済的に非常に問題が多いのですから、都市の中心部においては、このような考え方を持たなければならないのじゃないか。これは私の私案というものをここに織りまぜてきたのです。これは四年間闘争をやっている結果、こういう妥協案というものを作り出したわけなんです。で、建設大臣の竹山さんも考えようじゃないかということを言っております。これは保留でもけっこうですが、これは計画局長、それから住宅局長、道路局長に、いずれこの問題だけについて一ぺん委員会でもって御意見を伺いたいと思いますから、この点、私の意見を申し上げて、保留でも何でもけっこうです。
  275. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 本件は浜松市だけに済めばいいのですが、非常に広範にわたる点もあると思うので根本的な研究をすることにいたしまして、一時保留にしておきますが、御異議がありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  276. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 保留にいたします。  四百四十四号、住宅対策に対する請願……。
  277. 鎌田隆男

    説明員(鎌田隆男君) 本請願も住宅政策全般にわたることでありますが、そのうちの(一)(二)となっておりまして、(一)は公営住宅の一戸当りの建坪数を一つ小さくしないでくれということでございます。これもすでに予算で決定いたしておりますが、あの予算の範囲内においてこの趣旨をなるべく取り入れて、できるだけ坪数を小さくしないように実行上いたしたい、こういうふうに考えております。  それから「地方負担に対する起債を別わく、長期低利の全額起債とする」こうありますが、別ワクにすることは、今年いろいろ私どもも希望いたしましたが、実行はできませんでしたが、ただ今度の起債計画当りまして、公営住宅には優先して起債額を決定する、こういうふうに自治庁の起債の方針をきめてありますので、大体こういうような御趣旨は尊重したいと思います。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  278. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択に決します。  次に七百六十五号、住宅施策強化に関する請願、これも同様ですか。
  279. 鎌田隆男

    説明員(鎌田隆男君) 同様です。
  280. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択いたします。  千八十五号、公営住宅法中一部改正等に関する請願説明を願います。
  281. 鎌田隆男

    説明員(鎌田隆男君) 本請願は、公営住宅法の中で、市町村が公営住宅を実施する場合に、都道府県に政府の補助以外にまた補助をさすような改正をしてくれ、こういうふうになっておるのでございますが、公営住宅法の建前は、事業をやります事業主体になる地方公共団体は、都道府県も市町村も一視同仁に考えておるわけであります。そういうことはできないことはないようになっております。都道府県は事業をやる市町村に対して、財政的技術的援助を与えなければならない、こうありますから、与えることができるというふうにありますから、やろうと思えばできますが、そこまでいくことは、ちょっと、先ほど申し上げました建前から、むずかしのではないかと、こういうように考えております。なお研究いたしたいと思います。
  282. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 保留したらどうですか。保留にします。  住宅関係は終りまして、計画関係をいたします。  三百七十二号高知県安芸市の都市計画に関する請願
  283. 町田稔

    説明員(町田稔君) 本請願は、安芸市におきまして都市計画としてきまっております三つの路線を、早く着工できるようにしてもらいたいという趣旨のようでございます。この三路線のうち、一路線は本年度から着工の見込みでございます。あとの二路線につきましては、後年度において考慮いたしたいと思います。
  284. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択。  千四百三十二号、鹿児島県財部町街路都市計画街路事業実施地区に指定するの請願
  285. 町田稔

    説明員(町田稔君) 本件につきましては、財部町は都市計画法の適用を昭和十三年から受けておりますが、都市計画街路が未定でございますので、この決定を待ちまして措置をいたしたいと存じます。
  286. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択しますか——採択しましょう。  次に、官房関係ですが、いますか、官房関係は。千六百六十四号、建設工事の請負契約是正等に関する請願、これはお手元に差し上げてあります。試みに私が紹介しておるのを申し上げますが、第四項の「現行建設業法に最低落札制限に関する条項を挿入すること、」とありますが、これはすでに議員立法で審議中でありますから、この項を保留いたしまして、あとは大体において妥当なものと思いますので、採択に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  287. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 採択に決します。  以上請願に関しまする報告書につきましては、これを委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  288. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 御異議ないと認めまして、さように取り計らいます。  それでは、これにて暫時休憩いたします。    午後零時五十五分休憩      —————・—————    午後二時十八分開会
  289. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ただいまから委員会を再開いたします。国土開発縦貫自動車道建設法案議題に供します。  参考人の各位にごあいさつ申し上げますが、本日は非常に猛暑の中にもかかわりませず、公私非常に御多用の際と存じますが、お差し繰り下さいまして、本委員会のために参考人として御出席をたまわりまして、まことにありがとうございました。お礼を申し上げます。御了承と存じますが、ただいま国土開発縦貫自動車道建設法案が上程されておりまして、この法案の審議に当りまして、まず権威のある道路建設に関する方々の御高見を拝聴いたしまして、そうして委員会の審議の重要な参考にいたしたい、かように考えましてお願いするわけであります。大変暑いところで御迷惑と存じますが、参考人の方々には率直に忌憚のない御意見をお述べ下さいますよう切にお願い申し上げます。  まず本法案の路線地質について高田参考人からお伺いいたし、さらに道路建設の技術の方面から平山参考人から、また本法全般にわたる問題等につきまして藤井、平山両氏からもお伺いしたいのであります。なお近藤参考人からはやはり本法案に対する全般の立場から一つ意見をお伺いいたし、鈴木参考人からは、国土総合開発の面から本法案の問題につきまして御意見をお願いしたいのであります。最後に細野参考人からは、交通路を主としてのこの法案に対する御所見を御発表願いたいと思います。以上のような形から参りますが、もちろん皆さんのお考えで、今申し上げました、私どもが大へんあつかましい申し出でありますが、主としてということを申し上げましたけれども、各般にわたりまして、皆様の御検討下さっておりまする点につきましては、あらゆる面に御論及下さって差しつかえないのでありますから、本法案の審議に対する御批判、御意見等は腹蔵なく御発表を願いたいと存じます。  まず参考人の高田昭君からお願いしたいと思います。
  290. 高田昭

    参考人(高田昭君) 御指名によりまして私の意見を申し述べます。何分この法案を拝見いたしましたところ、路線がごく簡略に示されてあるだけでございまして、詳しいことがわかっておりません。私もごく簡略な点でしか申し上げられないのは残念でございます。  日本地質は御承知通り非常に複雑しておりまして、国土の面積の小さい割合に非常な複雑した地質と、さらに日本は雨量が多い関係上浸食作用を受けまして、地形上非常な複雑した状態になっておるのが日本状態でございます。従いまして、ここに縦貫的な道路を、しかもこの案を拝見いたしますと、山中に主として作られる計画になっておりますが、全体の形から申しますと非常にトンネルの多い道路になるのではないかと私は想像しております。と申しますのは、高速度道路の建前といたしましてカーブの半径に制限があります。また勾配にも制限がある。もちろん道路の路幅にも注文がございます。従いまして、トンネルといたしましても相当大きな幅を持ったトンネルが必要になって参ります。そういたしますと、山ならばトンネルがどこでも掘れるじゃないかという構想ならば一応うなずけるのでございますが、また近ごろもトンネル掘さくの技術が進歩いたしまして、相当大きな断面を持ったトンネルを短期間に掘さくすることができるようになっておりますが、しかしそれも地質状態いかんによって可能な場合、不可能な場合があるのでございまして、でありますから、ただこれを机上におきましてできるかできないかということは簡単に申し上げられないことでございます。これは先ほども申し上げましたように、地質が非常に局部的に違っております。地質がたとえ同じでありましても、風化作用によってあるいは山くずれなどがある所などもありまして、同じ地質と申しましても、今度はその状態が違っておる所がございますので、計画にありますような有効幅員八メートルのトンネル、これを掘さくしますときにはどうしても直径十メートルのトンネルが必要になります。こういうトンネルを掘るということは、日本どこでも可能であるということはとうてい望めないことであります。でありますから、地質的に申しますと、路線予定位置が決定しましたあかつきにおいて可能か不可能か、あるいはトンネルの大きさをどの程度にすれば適当であるかということを申し上げることができるのでありまして、ただいまのところ、この国土開発縦貫自動車道建設法案の資料というので拝見いたしましたが、この路線だけにつきましては、可能なところもありましょうし、あるいは不可能なところもあるのじゃないかということしか申し上げられないのでございます。何か具体的にもう少し御質問がございましたら説明させていただきます。全般的にはこんな意見でございます。
  291. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 次に、平山参考人から道路建設技術の方面から主として御意見を発表願いたいと思います。
  292. 平山復二郎

    参考人平山復二郎君) 道路の技術の問題でございますが、道路の技術と申しましても、どういうものを作るかによるのでございますが、この法案を見ますと、山の中を開発するのだという面もございますが、また一方非常に高級な百二十キロも走るような道路を作って、そしてここに書いてある文句を見ますと、国土の普遍的開発、画期的な産業の立地振興ということによりまして大いに開発をしていくのだ、こういう二つの面が盛られてあるようでありますが、この点どうも疑問があるのでございます。人の少い山の中を開発するのに、そこにもつて参りまして、いきなり百二十キロの三億も四億もかかるようなものを作るということは、従来鉄道が経て参りました発展の条件から申しましても、どうもこの点ふに落ちないのでございます。未開発を開発するならば、その開発に応じた適当なる道路建設があってしかるべきではないかと思うのでございます。そうしまして、もしも山の中を開発するというところの開発に応ずる道路を作るならば、これは費用も、百二十キロを走るような道路を作らなくてもいき得ることと存じますので、その点は問題はないと思うのでございますが、百二十キロも走るような道路を作ると仮定いたしますならば、何でわざわざたくさんトンネルを掘らなければいけない、また工事も非常にやっかいである所になぜかける必要があるかという点が、技術的に見ましてわからないのでございます。われわれ技術者といたしまして、もしも高級のものを作るならば、なるべくそういう所を避けていきたいのが常識でございます。この法案は今までの常識をぬきんでるのだというような御意見もございますが、この点は私ども技術者といたしましては決してそうでないと思うのでございます。百二十キロも走るような道路になりますれば、世界でもそうやたらにあるものではございません。しかし今日道路技術が非常に進歩いたしまして、こういう道路も十分できる段階になっております。またここにも書いてございますこういう高速自動車というものは、確かに日本の将来にとりまして取り上げなければならない問題だと思うのでございますから、この点は差しつかえないと思うのでございますが、しかしこれも交通といたしまして、道路だけが必ずしも交通ではないのでありまして、ことに日本のような場合でございますと、海もございますし、また飛行機もございますし、鉄道もございますし、河川もございますから、こういうものも全部いろいろ考案した上で、こういう一キロに何億もかかるような道路というものは着手すべきではないかと思うのでございまするが、この法案は初めから日本の背骨を通るということにきめられてしまっております点がどうかと思うのでございまして、高速道路の網を作るということならば、もっともだと思うのでございますが、初めから山のまん中を、日本の山の背骨を高速道路を通すときめてしまうことは、どうもふに落ちないのでございます。百二十キロは、よくこの前東京から大阪間の中央道路の問題がございましとたきに、建設省に一応国土開発中央道路調査審議会というものができまして、いろいろ検討したのでございますが、私もそのときに委員に列しましたときにその問題が出たのでございますが、そのときでも平均百二十キロ走るという道路は、局部に百二十キロ走るのとはまるで違うのであります。局部に百二十キロ走るというところができましても、平均百二十キロで長い距離を走るということとは全く違うのでございますから、その点にもどうもその当時法案を出された方もそういうところに誤解があったのじゃないかと思います。東京大阪間を三時間とか四時間とかで走る道路を作るならば、それこそ山の中へわざわざもっていってそういう道路を作ってもそれは実際無理ではないか、できないことはないが、そういう必要がどうしてあるのかという点を疑うものであります。開発のためにやるなりそういうものを作らなくても十分やり得る方法があると思うのでありまして、その点どうもこの法案に対してわからないのでございます。  それからよく大陸の高速道路の話が出るのでございますが、日本のような国と大陸というものは地形が非常に違うのでございまして、かっての鉄道のいろいろな発達からごらんになりましても、その点非常に違うと思うのでございます。ことに東京大阪のような区間にそういう道路を作りましても、東京大阪間を直通する荷物というものはそう余計あるものではないということが、外国の高速道路を作りました例から見ましても考えられるのでございます。そういう点からも、こういういきなりまん中を北海道から鹿児島まで通るような、景気はよろしゅうございますけれども、果して技術的に見ましてどうかという点に疑問をもつのでございます。そういう点から見まして、私は高速自動車交通網の調査を根本からやりまして、そうして将来のために研究していくということならばもっともでございますが、いきなりまん中に縦貫高速道路を作るというようにきめてしまうことには、技術的に見まして非常に疑問だと思うのでございます。そういう高速道路になりますと、ちょうど急行列車しか走らない鉄道を作るようなものでありまして、もしも今日急行だけしか走らない鉄道を作りましたときに、果して山の中で作るのがいいかどうか、こういうことを考えるのでありまして、そういう点からもこの国土開発縦貫自動車道路というこの考え方にはどうも納得できないのでございます。
  293. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 次に藤井参考人から、やはり道路建設全般につきましての技術的の見解をお願いいたします。
  294. 藤井眞透

    参考人(藤井眞透君) 所見を申し上げさせていただきます。  この法案の各条を拝見いたしまして、非常に雄大なる計画であるし、交通の新しい時代を作るというような意気込みの計画と私は拝見したのでございますが、これを実行するには非常な困難を伴わなければならない。それで要点だけを申し上げますと、第一に毎年々々発達しつつあるこの交通に対してわれわれ国民は改良計画でこれをやっておりますが、この改良計画をはばんで、一つの新しいこういう自動車道路を作るだけの余力があるか、これをやるためには別に考えなくちゃならない。それから技術的に非常に困難でありますが、これは不可能なことはないと思いますが、しかし、今日われわれが考えている土木施工機械の現在の種類がさらに新しい考案ができ、そのキャパシティーが非常にふえて、今日われわれが想像もしないような建設機械ができなくちゃこれを経済的にやってゆくことはむずかしいと思っております。道路工事は一体に技術とレジスタンスの点を選ぶのが主ですけれども、これは自然の地形を征服してゆこうというような中央道路工事を考えますと、現在の土木機械が飛躍的な改良、進歩をしなくちゃ経済的にはやってゆけないと思っております。  さらにまたこの計画は、普通の道路計画の国民の。パブリック・ユーテリティーの関係からでなく、特殊な要求すなわちある意味においてはこれは総合開発の見地から計画されているように思っております。TVAが河川を中心として総合開発をやったように、これは道路を中心として総合開発をやるものと私は考えておりますが、これに対しては非常な広い視野に立って、また深く掘り下げて研究しなくちゃならないと思います。その開発道路ならば、現在各地でやっているように奥地林道式の二十キロ、三十キロのスピードの道路でも開発はできますが、これはそのスピードを百キロ以上にしようというのが非常な飛躍だと思います。この百キロの自動車道路をこういう山の中へ作るということは、先ほど甲山さんもおっしゃったように技術的にも非常に困難があるし、これを克服するためには経済的の考慮とそれから施工機械の新しい発達を促さなくちゃ経済的にやっていけないと思います。それでまた、ことに日本のような山国——山間が多いのですから、この工事は非常に困難だと思います。ドイツのアウトバーンやら、アメリカの各地のフリー・ウエイ等から考えますと、日本の方はその点においては非常に困難だと思います。  それからこの案についてもう少し私の注意したところを申し上げますと、この高速自動車道と一般とのつり合いと申しますか、連絡と申しますか、これがもう国際的の結論としては、大都市はすべて還状式にデトアを作らなくちゃならない。そして、これはやはり東京とか大阪に執着しているようですけれども、もっと大都市から離してもいいと思っております。それからこの大自動車道を実行するに当って忘れがちなのは、たとえばアメリカではハドソン河でフェリーでやっていけないときにホルランド・トンネルを作るし、すぐまた交通が増加してワシントン・ブリッジを作るし、リンコルン・ブリッジを作る。常に毎年々々交通の施設を増大していっているのですが、たとえば東京においても京浜国道を作るし、新京浜が必要になってくるし、さらに第二、第三の京浜国道が必要になろうとするときに、こういうのをほっておいて中央道もしくは高速道をやっても、これは都市の周辺の交通量の緩和には私ならないと思っております。しかし構想としては非常に雄大であるし、これをあらゆる角度から広い視野に立って研究し、また深く掘り下げて必ずある合理的な解決が達成できると思っておりますから、調査審議の深く方針を立てられんことを希望してやみません。
  295. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 次に近藤参考人から、道路全般に関しまして御意見をお聞かせ願います。
  296. 近藤謙三郎

    参考人近藤謙三郎君) この法案は田中精一さんの構想を基礎として立案されたものであると推察せられます。私はその構想をよく了解しておるつもりでありますが、その骨子となるものを要約すると次の三つになると思います。すなわち、自動車道の建設によって日本の交通に刷新を加える。次には山地の開発をはかる。次には国土の中央部を縦走するいわゆる背骨自動車道路を設けて交通路の根幹とする。この三点のほかにも田中さんはいろいろと珍らしい着想を持っておられるようでありまするが、それらはいずれかと言えば枝葉の点であろうかと思います。  さて第一の交通の刷新、これにはもはや議論の余地はありません。自動車道を建設するのは日本ではまだ早いという意見もあるようではありまするが、それは間違いであると思います。たとえば道路延長一キロ当りにどれだけの人口がぶらさがって生活をしておるかということを考えまするならば、日本にまさる国は世界にないのであります。国土狭隘、人口稠密のゆえに日本道路は交通ひんぱんでありまして、高い効率を示すべき条理であります。自動車道路建設費がかさみますから投資効率の点が大きな問題となりますけれども、もしも日本の自動車道が国民的採算に合わないとするならば、諸外国ではなおさら採算に合わないはずであります。  第二の要点は山地開発であります。開発の余地の存する限りやらねばならぬことであります。しかし私はしろうとでありまするから、山地にどれだけの生産力があるものやら、どれだけの人口が山に入ってどれだけの生活水準を保ち得るものやら見当がつきません。思うに、これは農林省当局に御下命あって、しかと確かめていただかなければならぬ問題であろうかと存じます。  以上二つの目的を一発で解決しようというのがすなわち第三の国土開発縦貫自動車道路構想でございましょう。まさに一石二鳥の妙案であって、多数の方々の共鳴を得たのももっともであろうと存じます。しかしながら、かりにもし一石二鳥の思惑がはずれまして、二兎を追うて一兎をも得ないという結果になったら大へんでありまするが、私はその心配があると思います。その理由を条項を追って申し上げます。  その一つ道路の効用のはかり方であります。道路は車という仲介物を通じてのみ役に立つものであります。従って、その道路から一台の車が受ける利益とその道路を通る車の数とを掛け合わせた積でもって道路の価値をはかることができます。それ以外には計算の方法はございませんし、また観光道路と開発道路と果してどっちが大切であろうかなどということに思い惑う必要もないわけであります。従って早い話が、交通量一万台の道路には交通量一千台の道路に比べまして十倍の金をかけてもいいというバランスが成立するのでございます。  その二は道路の交通容量であります。普通の郊外道路について申しますると、標準二車線の道路にころ合いの交通量は一体どのくらいかと申しますると、大体一日五千台程度のものでございます。しかし、それにもかなりな幅がございまして、道路に金を惜しまないアメリカでも一万台の交通量を二車線の道路でがまんしておるという実例もあるのでございます。二車線で一日五千台、つまりころ合いの交通量というものはどこらあたりかということを申し上げまするというと、東海道では戸塚から藤沢にかけての現在状況がちょうどそれでございます。ちなみに現在施行中の道路五ヵ年計画では、市街地は別といたしまして、その他の部分では総じてこの二車線道路の完成に目標が置かれておりまして、これが日本国道整備の現階段であります。交通量がだんだんふえるに従いまして、道路の規格は二車線から三車線へ、三車線から四車線へ、さらに中央分離式四車線へと進んで参ります。四車線ともなれば、車の追い抜きが楽になりまするので、走行速度は著しく高くなります。もちろん交通量もぐんと大きくなります。とは申しながら、混合交通、交叉点、勾配、曲線その他の障害がもたらすスピードの制約は免れないわけでありますから、そこで自動車専用の高速規格が要求せられるという順序に相なります。  およそ車には急がぬ車とてはございませんが、高速道路建設費は、添付参考書類にもキロ当り二億円ないし三億円とあるがごとく、普通の道路よりは一けた多くがかりますので、ある限度以上の交通量がなければ投資の採算は成り立たないわけでございます。その限度いかんと申しまするに、外国におきましても、一日の交通量が一万台の予想が立たない限り高速道路建設は行われないというのが通例であると思います。英国のごとき実に三百六十万台の四輪自動車があって、人口割合にして日本の九倍もの自動車を走らせながら、いまだ一本の高速道路も作っておらない国もあるくらいであります。もっとも英国はこの点におきまして大へんおくれた国であると私は考えております。  その三点に移ります。以上によって道路、なかんずく自動車道路計画当りましては、交通量の想定が欠くべからざる要件であることを御了解下さったことと存じます。さて本案は北は稚内から南は鹿児島までの路線を法律できめようとしておりまするが、これらの路線のうち果してどれだけの区間に高速自動車道の企画を要求するに足るだけの交通量が予想せられるのでございましょうか。第一次建設予定の中央自動車道につきましては、いかにも交通量の調書が添付されておりまして、昭和四十年度において一日一万七百三十台と書いてございます。計算書まで整っておるくらいでありまするから、お疑いにならぬかもしれませんけれども、私には何としても信用することができないのでございます。皆様の御判断の便利にまで私は生きた資料を提供いたしたいと思います。資料の一つは、東海道交通量の現在の実績でございますが、東京——横浜間では旧京浜国道が一日交通量九千六百台、新京浜国道が一万三百台、合計約二万台であるのに対しまして、静岡県浜名湖付近におきましてはただの七百台でございます。京浜間とはけたが二けただけ違うのでございます。この七百台のうちには東京——大阪間の長距離交通も、また近回りから起りまする近距離交通量もみんな含まれておるわけでございます。同一の路線でありながらかくも大きく開きがあるとは不思議なくらいでありますが、これは二つの大切なことをわれわれに教えるものであると思います。すなわちその一つは、およそ道路交通の重要部分というものは近距離交通でございまして、遠距離交通の占める分量はきわめて少いということでございます。その二は浜名湖付近の沃野、それは山岳地に比べまして格段の生産力があると思うものでございまするが、この沃野から発生する交通量は案外なまでに少いということでございます。東京——神戸間の五百キロを五時間あるいは四時間ですっ飛ばす、こう申しますから、だれしもうれしくなります。けれども近距離交通の重要性を忘れて健全な交通政策は立てられるものでは決してございません。  資料の第二は、モンブラン・トンネルの予想交通量についてでございます。イタリア半島は御承知のようにアルプス山脈によってヨーロッパ大陸からほとんど完全に遮断せられております。従来標高一千三百メートルから二千五百メートルの峠を越える道路が六本ほどございますけれども、いずれも険峻であるばかりでなく、冬は積雪となだれのために交通が途絶いたします。そこでイタリア、フランス、スイスの三国が協力事業として新たにモンブラン峠の下をトンネルで抜くということにきめまして、ただいま工事中でございます。延長十二キロの大工事でございますが、開通の暁にはイタリア全土をスイス、フランスに直結し、ドイツ、ベルギーはもとより、英国からの自動車まで呼ぶことができますので、影響圏の広大なることは中央山岳道路の及ぶところではないのでございます。さて、慎重な調査研究の後に調べ上げられました予想交通量は何万台であるかと申しまするに、年間三十一万台、一日平均量に計算をし直しますと、ただの八百五十台でありまして、浜名湖付近の七百台とどっこいどっこいというところでございます。国境に関税があるというハンディキャップはありまするが、観光の点におきましても日本アルプスの比ではないはずでありまするのに、わずかに八百五十台とはどうしたわけでございましょうか。思うにほかではありません。いかに重要都市を連ねる幹線路でありましても、距離が遠くなれば交通量はがた落ちに落ちるからであります。また付近一帯が平地に恵まれず山地であるために、付近から発生する交通量がきわめて貧弱であるからであると思います。なおこの際御注意いただきたいのは、長さ十二キロのモンブラン・トンネルはアルプス山の横っ腹を一本だけぶち抜こうというやむにやまれぬ必要であるのに対しまして、中央山岳道にありましては、日本アルプス山脈を縦の方向に約十七個、その合計延長実に約五十三キロというものをトンネルで抜こうというのであります。東京から名古屋まで三百キロの行程のうち六分の一以上をトンネルで抜くような実例は世界中を探しましてもないはずでございます。  資料の三を申し上げます。およそ二つの都市間の道路交通量というものは、両都市間の距離の二乗に逆比例するという公式が外国の交通学者によって提出せられております。この公式に従いまするならば、三十二キロを隔てておりまする東京、横浜間の交通量一日二万台というものは、かりにもし横浜が三百キロの遠方、すなわち名古屋の位置にあったといたしましたならば、交通量は百分の一、すなわち二百台に減る、こういうことを示すものでございます。  その四点に移ります。交通量に関する私の心配が不幸にして的中したといたします。しかも法の命ずるところに従いまして、中央山岳自動車道の建設を強行したといたします。その結果はどういうことになりましょうか、一方では東海道二車線国道の両側に人家が立ち並んで動きのとれないような中を、一日一万台の自動車がひしめきあって二十キロのスピードで歩いておる。これに対しまして、中央道ではその何分の一にも足りないような自動車がとぎれとぎれに百二十キロの快速ですっ飛ばして、外側車線は交通閑散のままにペんぺん草が生えてヘビが昼寝をしておるという姿さえ私の頭に浮んでくるのであります。高速自動車道はすべからく予想交通量の順位を追って建設を進めなければなりません。端的に申しまするならば、真に建設の必要に迫られておりまするのは山ではなくてこの東京であります。郊外道路はもちろん劣悪でありまするけれども、バスがそれでも二十キロないし三十キロの運行速度を保っております。これに対して東京都心のバスというに、すでに十五キロがあやしい、自動車がもう二倍の数にふえましたならば、東京の幹線街路はデッド・ロックに陥るのは目にみえておるのでございます。さればといって私は山に道路を作ってはならぬというのではございません。山には山道をつけねばならぬのであります。昔はそれを木馬道というもので済ませましたのでありますが、今日ではトラック道でなければなりません。そうして山の面積は広大でありますから、あたかもその道路は毛細血管のごとく全面に浸透しなければなりません。さてその山の道路の構造はどうあるべきかと申しまするに、標準二車線の道路が一日五千台の交通量に十分足りるということを思い起していただきたいのであります。こういう工合にいたしまして、高速道路と山地開発、この二つはおのずから別々の命題に属するものだと思う。一石二鳥の妙案が二兎を追うて一兎をも得ないという結果に終る懸念は濃厚であります。  その五に移ります。どうもお前の話は目の先の計算に拘泥し過ぎるようであるが、都内は都内で考えるとして、国土計画百年の大計を案ずるに当り、背骨の道路に当る縦貫道路を設定して、これを根幹として、肋骨に当る連絡路を左右に派出するという構想にはりっぱな合理性を認めるべきではないかというお叱りを受けるかもしれませんが、私も数理を捨てまして、私なりの構想を申し上げたいと思います。背骨道路と肋骨道路との構想は、天意にかないますところの動物の身体にかたどるのでありますから、一つ構想でございましょう。しかしそれは骨の形でありまして、骨と道路とは違います。交通は血液の循環に、そして道路は血管にこそかたどるべきものでしょう。血管の配置を見ますのに、心臓から出るや間もなく上下と左右とに分れておのおの適当な配列についております。日本は細長いとは申しますけれども、その幅は二つないし四つの県を入れておるのであります。たった一本の中央縦貫道路構想が果して適当でございましょうか、もし足りないと見て、両側におのおの一本を追加建設したといたしましょう。中央の高地を走る縦貫線はおそらく見捨てられて廃物に終るのは必定でございましょう。また血管の太さを見まするに、流れる血液の量に応じて少しもむだがございません。稚内から鹿児島まで四車線の一つ断面として押し通すという道路構想が果して適切であるでしょうか。さらにその血管のあり方を見まするのに、主脈は必ず弾力性のある組織によってやんわりと保護せられております。肉を養い、臓腑を養う血管を通すために、何を好んで嶮峻の骨をくり抜く必要がございましょうか。現在ありますところのわが国の道路網の形は、われわれの祖先が長い間の経験を積み重ねた後作られたところの尊い成果であるというべきではございますまいか。中央山岳縦貫道路建設によって、日本道路網を組み直すという構想は雄渾をきわめておりますがゆえに、それは角をためて牝を殺すにも似た暴挙ではないとは言い切りがたいものがあります。  結論を申します。本案の根底をなすと思われる構想において、以上述べましたごとく疑義が存するのでありますから、振り出しに返って検討することが一番よいと思われるのであります。しかし自動車道の建設の必要につきましては疑問の余地がございません。のみならず法律の名前を適当に改め、かつ第三条の路線の決定をしばらく留保するにおきましては、のっぴきならない難点だけはなくなると思うのであります。よってこの際路線を法定することなく、その選定方を交通量の想定、交通量の大小に適応する道路構想、企画、財政計画建設管理の方式等の重要事項にあわせまして、政府及び審議会のすみやかなる調査審議にゆだねるというごとく、原案に修正を加えて御制定あってしかるべきではないか。かように考えます。
  297. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 次に鈴木参考人から国土総合開発の見地から本問題を御論及願います。
  298. 鈴木雅次

    参考人(鈴木雅次君) 国土総合開発の見地からいたしますれば、高速自動車道路が必要であることはもちろんでありまして、従ってわが国における高速自動車道路網の研究調査を促進するというねらいにおきましては賛成であります。しかし本案の内容におきましては、非常に疑問の点が多いのでありまするから、その点を修正していただきたいと思うであります。というのは、この第一条に「国土の普遍的開発をはかり、」あるいは「画期的な産業の立地振興」もしくは「及び国民生活領域の拡大」ということをうたってありますが、これは国土総合開発の見地からしましてもこいねがうところでありまするが、しかしその程度が非常に問題であると思います。ことに路線の選定いかんにおいては、その効率というものが非常に違うのではないかと思われるのであります。というのは、わが国の工場というものは、おおむね港湾の周辺に集まっているのであります。昭和二十七年によりますると、港湾の周辺の工場によって生産された一年間の生産額は三兆二千億円に上ったのであります。これは、その数字日本の工場生産の七〇%に及んでおるのであります。かくのごとく港湾の周辺に工場が蝟棄する原因は、わが国の産業構造といいますか、工業構造の必然から蝟集、集まってくるという点が非常に大きいのであります。港湾の周辺においてのみ生存し、あるいはここに立地することが非常に有利であるという工業の種類は、たとえば貨物の、重量工業であるとか、あるいは貿易依存の工業であるとか、または汚水排除の工業であるとか、それらに関連した工業であるというようなものを拾い上げますと、少くとも五十数種類あるのであります。そのうちどの部分がこの第一条にうたわれてありますように、この産業立地の振興について、それからどれだけが阻害されるか、こういうことになりますと、その量はこれはよく研究してみなければわかりませんが、私の感じから言えば、きわめて少いものではないかと思われるのであります。もしこういうふうな第一条にうたわれておるような目的が、十分にこの道路路線によって達せられぬということになりますならば、これはもっと効率の高い路線があるかどうかということの研究をする必要があると思うのであります。そこで本案におきましては、基本調査というものが審議され、研究されることになっておりますが、その基本計画というものがすでに予定線のワクのうちにおいて計画される、こういうことがたしか第五条にあると思いまするが、そうなりますると、最も道路計画において重要でありまする経過路線位置というものが初めから法定されることに相なるのであります。非常な効率その他順位については問題がありまするこの路線というものが初めから法定されるということは、その後の研究の自由調達といいまするか、あるいは公正適正を期することができないと思うのであります。でありまするから、十分科学技術的の研究を尽してその後に決定せられるべき路線の経過地のごときものは、これを初めから法定しない方がいいと思うのであります。将来の研究の結果これを決定するという自由を存していただきたいと思うのであります。初めから研究にワクをはめないようにお願いしたいのであります。  それから次に、この事業を遂行するには、一般自動車道によって建設するというようなことが第四条かどこかに書いてあると思いますが一般自動車道というものの現在の存在、国土計画的の存在でありまするが、これはきわめて微弱なものであります。数字から言いますると、一般自動車道の総延長は百八キロにすぎないのであります。ところが、日本道路網のうちにおいて自動車の通れる規格のものを拾っても、少くも七万七千キロメートルくらいあると思うのでありますから、従って今の一般自動車道というものの存在というものは千分の一、二というようなきわめて微弱な存在であります。これを規律しておりまする道路運送法という法律がありまするが、そういうような法律をもって、果してこういう大きな交通政策上に重大革新を及ぼすような大問題を規律できるかということに大きな疑問があるのであります。ことに、こういうような高速自動車道というものは、わが国の道路網の幹線中の幹線となるのであります。従って、既存の道路網との関係、または現在の道路網にとっての影響というものは実に大きいものでありまするし、また新設の高速自動車道の効率を十分発揮する上におきましても、今までの一般道路網との関連を密接に考えなければならぬのであります。従って、この計画は当然わが国の道路網の一環として研究し、また実施すべきものであると思うのであります。それを現在きわめて微弱なる存在でありまする一般自動車道を規律する法律をもってこの重大問題をはかろうということは、これは妥当でないと思うのであります。堂々と道路行政の本筋でありまする道路法によってこれはよるべきものであると思うのであります。もっとも、現行の道路法におきましては多少これを実行する上において完全でないという点がありまするならば、当然これは道路法を改正すべきものである。かような重大問題が起ったのでありまするから、当然道路法もこれは改正するにやぶさかであってはならぬと思うのであります。それから現在の特別整備の道路関係した法律がありまするが、これも一般自動車道の存在に比べますれば、今日においてはやや大きな存在とはなっておりまするが、しかし今度考えておりますような、高速自動車交通網というようなものに比べますると、まだ小さな存在であると思いまするから、その法律によるということもどうかと思いますので、道路法の特別法をこのために制定して、そうしてこの企画実施に悔のないようにしていただきたいと、この点を申し上げまして、本法における一つのねらいでありまする高速自動車網の研究調査ということを促進するという意味においては賛成いたすのであります。  ただし、先ほど申し上げましたような二点、たとえば今の第三条の別表の経過地点というようなものをしさいに法定して縛ってしまうというようなことは、これは削除していただきたい、それから道路運送法によらずに道路法によっていただきたい、この二点が私の修正のおもな点であります。
  299. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 次に細野参考人から、交通論の立場から御意見を発表願います。
  300. 細野日出男

    参考人細野日出男君) 交通論の研究者といたしまして、交通経済と交通経営、交通政策という三つの立場からこの案について意見を申し上げたいと思います。  近代交通機関は、これは国民経済の拡大発展の原動力であります。かって過去一世紀におきましては、鉄道がその役割を果して参りました。ところが、鉄道線路はもうたいていの国におきましては、ほぼ行き渡っておりまして、その後自動車道が出て参りまして、最近では一流国家におきましては、道路建設ということが国民経済の拡大発展の原動力の役目を果しているようであります。アメリカにおきましても、年間五十億ドルの道路投資をやる、アイゼンハワーの十ヵ年計画によれば一千億ドルにさえも達するというようなそういう道路拡充計画というものは、これは国民経済の推進力としまして非常に大きな資金の源泉になり、また経済の動きというものを円滑化するということにおいて大きな効果があるわけであります。また交通機関は先行性といいまして、産業開発あるいは生活改良というような点から見まして、先だつて行わなければならないという性格を持っております。従って、今度の法律案は画期的な長期総合開発のための国策としまして、まことに雄大なけっこうなものだと存じます。また、それが衆議院の超党派によりまして四百三十人というような絶対多数の議員の皆さんの提案でもって行われたということも、これもはなはだ感銘すべきことだと思うのであります。しかしながら、この法律案につきましては、やはりいろいろ疑問があり、問題とすべき点が非常にあると思いますので、交通論の立場からその所見を申し上げたいと思います。  まず、高速自動車道の性能という点でありますが、これは一般道路交通に比べますというと、安全性が高いということは、これは言うまでもないことであります。また大量輸送能力を持っておるということも、これも異論のないところであります。また高速ということにつきまして、これこそ高速自動車道と言う通りでありまして、経済の生命であるわけでありまするが、一般に社会経済において高速ということを尊ぶのは何であるかと申しますと、これは旅客交通、旅客交通においては非常に高速ということを尊ぶわけであります。ことにそれが短距離交通になればなるほど、高速ということの効果が大きくなってくるわけでございますが、旅客交通、観光交通におきましては、高速ということは、ある程度コストが高くてもついていけるという問題を持っております。  しかしながら、貨物については少し話が違ってくるわけであります。また旅客交通、観光交通のほかに、貨物のうちの値段の高い、いわゆる製造工業品というような系統のものは、これは運賃負担力の高いものでありますから、高速を特に尊ぶ、値段の高いものでありますから、高速を尊ぶということなります。それから、この法案のどこにも出ておりませんけれども、例の自衛隊の移動、国防上のモビリティ、重機械化部隊の迅速な機動性という点から申しますと、これは、高速自動車道は最も効用を発揮するということだと思っておるのでありまして、しかしながら低廉ということにつきましては資料にはコストの低下ということがうたってありますが、従来の道路交通における自動車に比べれば、コストは確かに低下すると思います。しかしながら、総体的に、交通機関であるところの鉄道に比べて安くなるかどうかということは、これはすこぶる疑問でありまして、はなはだ疑問の点が多いのであります。それは、鉄道は、日本におきましては、過去の安い時代の投下資本でもって経営されておりますから、資本費の負担が非常に少いのであります。また、本来大量輸送機関といたしましての性能を持っておりますから、鉄道の運賃は非常に安い。そのうちでも特に低級貨物につきましては、国鉄貨物運賃の七級以下、あるいは二十一級以下といったようなところは、これは旅客運賃の値段、あるいは高級貨物の運賃の値段において非常に安いものになっております。コスト以下に安いものになっておりますだけに、鉄道貨物運賃というのは非常に安いのであります。原料、燃料あるいは食糧といったような系統の貨物につきましては、鉄道運賃は日本におきましては格段に安いのであります。これに比べて、高速自動車道ができれば、そこを通るこれの貨物の運賃が鉄道よりも安くなるということは、これはなかなか考えられません。短距離のものは別でございますけれども、中距離以上長距離の交通ということになりますというと、これはとても高速自動車道をもってしてコストが安くなるということは言えない問題ではないかと思います。またトラックは、安くするためには、いきおい大型化が必要になって参ります。今の日本の自動車の大部分は、実はオート三輪、一トン車、せいぜい四トン車程度というようなところでありますが、こんな小型の自動車では、高速自動車道の貨物輸送の経済性は得られないわけであります。アメリカにおきましては、大型のトラックは、トレーラ運転をやっておる、十五トン車、あるいはそれを二つつけて三十トン車というようなトラック列車の運転によって、初めてある程度の経済性が得られるということでありますので、日本の貨物自動車が高速自動車道ができたからそういう大型のものになるかどうかという問題、そういう大型のものというものに高速自動車道以外の本来の貨物の、オリジンあるいはデスィティネーションに行くところでもって、そういう大型の自動車が通らなければ何にもならないと思います。従って、理論的に道路網というものが、やはりそういう大型の自動車を通すような道にならなければ、高速幹線自動車道だけのために大型化するということは困難であるという事情を含んでおるのでございます。  それから低廉という点から申しまして、旅客交通でも、比較的近距離のような、あるいは庶民的な交通という点につきましては、これは鉄道よりも安くなるということはなかなか考えられない。いただきました資料の中には、神戸の方から富士などへ行きますのに、急行列車で行けば九百七十円、バスで行けば六百五十円だ、九百七十円に対して六百五十円だという資料が出ておりますが、これは、六百五十円というのはどこからお出しになりましたか、私にはわかりかねますけれども、旅客、つまり日本の鉄道というのは三等主義であります。三等運賃というのは非常に安いのであります。しかも遠距離逓減制をとっております。アメリカは一等オンリイでありまして、遠距離逓減制をとっていない。そこに個人の乗用車というものは圧倒的に発達して鉄道の旅客が全く商売にならなくなって、年々六億ドル前後の赤字を全米の鉄道で出しております。旅客輸送で六億ドル以上の損失をこうむっております。そういう状況になってきておりますけれども日本の場合におきましてはその点は非常に違う。やはり三等旅客というものはこれは高速自動車道によるところのバスあるいは個人乗用車で旅行するものに比べて、鉄道の方がはるかに安いのであるということを考えなければならないと思います。  それから次にこの法律では高速自動車道を非常に多目的に使おうという趣旨が、これが実はこの法案の最大の特徴であると思うのでありますが、これは先ほどもいろいろお話しのございました通り、どうも二兎や三兎を追って果してそれをみんな得られるか、あるいは一兎も得られずに終るのではないかというような、そういう疑問がないとは言えないと思うのであります。国土開発あるいは産業の振興、生活領域の拡大ということは、これは非常に耳ざわりのいいことでありまして、また望ましいことでございます。しかしながらそのためには、この一本だけただ高速幹線だけでこれはどうにもなるものではないと思います。これに付帯するところの自動車道路網としての支線網が相当行き渡らなければ、こういう国土開発まではいき得ない。つまり高速自動車道ということは、従来大経済地域と大経済地域との間にかけた橋のような性格、あるいは場合におきましてはそういう性格が強いと思うのであります。途中にはあまり用がない、そういう性格のものであります。ところがこの法律案のものはその途中に用がすこぶるある、途中にすこぶる用があって、しかも全体としてハイ・スピードを出すというようなところに少し矛盾が感じられるのであります。つまり支線網の拡大ということはぜひ必要でありますが、支線の規格、バスあるいは乗用車の場合はどうでもいいわけでありますが、トラックの場合、もし幹線の経済性のために大型トラックを通すということになりますと、支線の橋などもやはり大型のトラックが通れるようにならなければこれは意味がない。そこに問題がある。また支線がふえるということは、非常に立体交差がふえるということになります。高速自動車道はもちろん全面的に立体交差であります。立体交差というのは、非常に経費のかかるものであります。いわゆる有料高速自動車道の世界の最初のものは、アメリカのぺンシルヴァニア・ターン・パイク、ナチスドイツでやりましたアウトバーンは別でありますが、 アメリカにおきましては、フィラデルフィアからピッツバーグの先ペンシルヴァニア、オハイオ州境に至る三百二十七マイルという東京大阪間に当る距離ですが、立体交差がたしか十二か十三しかないのであります。三十マイルごとに一つしか交差点がない。これでもってハイ・スピードを出していけるということであります。ところが支線がたくさん入ってくることになりますと、ある程度その出入り口のところでクロッグ(停滞)を生ずる、ことに有料道路になりますと、そこにトール・ゲートができまして、そこで通行料を取ることになります。この通行料を取るということが非常な停滞の原因になります。私は自分で自動車を運転して、かつてニューヨークのハドソン川のトンネルを通ったことがございますが、フィラデルフィアからトンネルの近くまで一時間半でとばしていきますが、ホランダ・トンネルの手前二マイルぐらいのところから三尺きざみ、一寸きざみ、五寸きざみといった程度で動かざるを得ない、それはトンネルの入口のトール・ゲートのためでございます。わずかに二マイルのところで二時間かかる、結局四時間以上を費さなければならないというようなことになりましたが、そのトール・ゲートというものは高速自動車にとって非常に厄介のことでございますから、このトール・ゲートというものは都市に入るところの支線においてはよほどたくさん設けなければ、飛行機と同じように途中は早いけれども、町の中に入るとおそくなるというような現象を生ずるようなことになると思います。これは支線が多くてトール・ゲートが多いということは高速性を阻害する傾向を持つものだということであります。  また、高速幹線自動車道によって沿線の産業が開発できる、あるいは都市ができるとか、新農村の開設ができるというような問題につきましては、国鉄のかっての山間部線というものがたくさんあるのであります。それぞれの山間部線というものは、スピードの点においてはなるほど幹線自動車道にはかなわないかもしれませんが、運賃が安いという点から申しますと問題なく向うの方が安くやってきておる。しかるにその山間部の沿線に新都市や新農村工業地帯ができたかという問題、これは実はわれわれは現実に反省してみなければならない問題でありまして、交通機関はこれはあくまでも手段であります。従って工業都市とか、新農村といったようなものを作るということのためには、それができ得る可能の他の条件が備わっていなければならない。人間が住みつけるところであるかどうか、人間が住めるような平地が得られるのか、水が得られるのか、その他のいろいろな生活施設といったようなものが得られるのか、そういうところは住むに魅力のある所となり得るのであるかというような各種の条件があるわけでありまして、工業立地だとか、都市造成ということについての諸条件が備わっていなければ、単に交通路ができたからといって、それはサハラの砂漠に鉄道を敷いても貨物が出てこないというのと似たような性格を持つのではないかと考えます。で高速度自動車道の多目的性、たくさんの目的を持っておりますとか、旅客交通の便宜、観光をよくして国内観光あるいは外人の観光客を招致するといったようなことは、これは確かにその目的を相当達成することができると思います。また高級貨物や国防上の効用というものは確かにこの目的は達せられると思います。また、就労対策という面から見ますと、膨大なる建設事業でありますから、非常に大ぜいの労働人口を収容いたします。その面におきまして確かに効用はあります。しかしながら国土開発、あるいは新産業の造成というようなことになりますというと、そのままそうなりますということを、安心して言い得ることはできない問題を多分に含んでおると思うのでございます。  次に、高速度自動車道の建設の問題について申し上げます。これにつきましては、先ほどから路線網を今からきめてしまうことは早過ぎるという御意見がたくさんに出ております。私もそれは全く賛成であります。今までどの程度に御研究になったか存じませんが、今までの拝見したところの資料では、いかにも賛成論的な資料ばかりでありまして、反討論的な反対の立場からの資料は全然出ていないのであります、いただきましたのは……。そこに問題があるのであります。国会でもって四百三十人の多数でもって提案された通りにきまっていくというようなものに対しては、どうしても立案側において迎合的な資料だけ出すというような危険があるのではないかと思います。その点いただきました資料のうちにマイナスの資料が何も出てないということを私は遺憾に存ずるのでありますが、この路線網につきましては、ことに問題になりますのは、やはり三千キロの幹線に対して六千五百億円の建設費である、それに対して付帯支線網が二百五十キロでその建設費が一千二百億円であるというような数字を拝見しておりますが、この支線網というものができなければ、地方の開発には役に立たない。ところが支線が多くなればゲイトがふえ、交差がふえてハイスピード性を阻害するというようなことを含んでおるということ、それから北方積雪地帯、これは東北幹線の方の仙台以北の地帯、ことに十和田地帯は非常な深雪地帯ですから、北海道もずいぶん深雪地帯だと思いますが、鉄道なればこそ除雪を徹底的に行いまして、二十四時間、一年中の開通を期するのでありますけれども道路においてはこれは非常にむずかしいと思います。ことに非常に幅の広い道路において除雪するということは、大きなブルトーザーを幾台も運転しなければならないわけでありますが、大へんな経費のかかるものであります。しかもこれらの深雪地帯におきましては、幹線だけの雪をどけてもこれは意味がない、それに接続するところの支線の雪をどけなければ、これは幹線は生きてこないわけであります。ですから接続支線の除雪という問題を含めて考えなければなりませんものだけに、北方深雪地帯におきましては高速度自動車道というものの効用には、一年のうちの重要な時期を占める積雪地区の効用低下という点にはなはだ問題があるのではないかと思います。  それから建設費の問題につきましては先ほどいろいろお話が出ておりますが、中央道だけでも千三百五十億ぐらいでできるということに対しましては、私どうもそんなにうまくいくか、そんなに安くできるかということを感じますが、それは実は用地買収補償費、物件移転等の補償費だけでもこれは大へんな問題である。電源開発あるいは東京の地下鉄の新線建設といったような問題で一番厄介な問題は補償費の問題であります。しかも佐久間地区で何十億の補償費を払い、奥只見のあの五十一軒の農家の所有地、物件を買収するために八億何千万円の補償費を払った、こういうことなのでありまして、土地収用法の二十六年の改正以来、土地の収用ということは非常にむずかしくなりました。非常に高い補償費を払うというようなことが行われてきております。これを考えますというと、補償と同時に換地を与えるというようなことはいろいろ御案にあるようでありますけれども、しかしながら補償費の問題においても非常に建設費が高くなる前歴が歴々としてあるのであります。これは土地収用法の改正といったような問題を考えていただかなければならない問題だと思いますけれども、そこに建設費についてはなはだ問題があると思います。  それから高速度自動車道の経営につきましては、経営体の問題につきまして、国が建設するということでありますから、当然これは国の公共企業体のようなものをお考えになっておられることであろうと思いますけれども、国以外のものにも許すということでありまして、国以外のものは何を想定しておられるのか、民営の高速度自動車道会社を想定しておられるとすれば、これは世界的に長距離高速度自動車道ではそういうものは存在しません。民営のものはとんど存在しないということを考えなければならないと思います。かわって国以外のものとすると、あとは府県でありますが、府県がちりちりばらばらなみみずの線のように、自分の県内だけの高速度自動車道を建設して、そしてそれで独立採算をやるといったようなことはちょっと考えにくいことであります。やはりこれは国がやるならば国が徹底的に国の手でやらなければならないものではないか、ただ部分的に、初めのうち民間にやらせてあとで買収するという案も考えられるかもしれませんが、買収のときには必ず買収費の問題で問題を起します。やはりこういう大々的の自動車道を考えられるからには、国が全面的に責任を負ってやられるということが必要ではないかと思います。  それから営業費はどうなるかということであります。ゲートの数がふえますと、ゲート・キーパーの給料だけでも、これは大へんなものになってきます。インター・セクションにはことごとく、四ヵ所ゲートを置くということになりますから、これは二十四時間サービスということになりますと、このインター・セクションの数がふえればふえるほど、大ぜいの従業員を雇わなければならない。東海道の戸塚辺でありますと、昼だけ有料でありまして、夜は番人がいないから、昼間はあまり通らないで、夜だけ盛んに通るという現象が出ておるぐらいであります。二十四時間ゲート・キーパーを置かなければとうてい独立採算の自動車道の運営はできないだろうと思うのであります。  それからトンネルがたくさんあります。長いトンネルはすべて換気装置、排気装置が必要である。これは大へんな費用であります。ニューヨークのハドソン・トンネルなどの換気装置の経費は実に莫大なものであります。これをやはり経費の中に非常にたくさんに入っております。それから除雪費が高くつくという問題、それから次に使用料を払ってくれるところの利用車の数の問題でありますが、これは先ほど詳しくお話がございました、一万何千台の自動車が通るといったような統計が出ておるようでありますけれども、それはいつのことかということを私もやはり非常な疑問を感ずるのであります。日本の自動車の総数は百十万台をこえておると申しますけれども、大都分は軽自動車であります。軽自動車はこの高速自動車道を走るというような積載力がありません、またお客も乗れませんからして、そんなところには参らないわけであります。どうしてもこれは相当の大型車が使うということになりますと、ことにアメリカにおきまして高速自動車道が独立採算的にペイしておりますということは、個人乗用車が圧倒的に多いということが、これが根幹であります。営業用車というものは、数の多い個人乗用車の負担において走っておるということが、これは大部分の場合であります。ところが日本におきましては、個人乗用車がどれくらいあるか、東京都のこの間の陸運局の協議会におきまして得ました資料によりますというと、三万台ほどの個人乗用車があるということでありますが、このうちの二万何千台が公用及び社用の自動車であります。純粋の個人用の自動車というものは三千台しかない、おそらく芸能人くらいしか持っていない、こういうような現況であります。公用自動車や官庁の自動車で走り回る、こういうことが多い。しかしながら自分の自動車で自分で走るというのは非常に少いのであります。この点はアメリカの有料自動車道の独立採算制というようなことと非常に性格が違うという点は考えてみなければならないのではないか。また従って利用者の数が相当多いように出ておりますけれども、その利用者の中味は何であるか、どういう階級が利用するのか、個人自動車につきましては、少くとも庶民には縁なき衆生だ、縁なきだというような感が深い。庶民が自分で自動車を持つなんということは、日本におきましては、運輸省の中には、そのうち国民経済の発展によってなんという、自然に発展していくようなことが書いてありますけれども、なかなかそんなものにいく見通しが立つとは思わないのでありまして、個人乗用車は国民の富の程度に比例する。富の程度がよほど格段に高くならなければ、個人乗用車はふえない。従って高速自動車道を本来通るべき負担者の圧倒的な部分を占めるはずの利用者の数が非常に少い。公用車、社用車が大手を振って通るのが落ちだという危険がないかということを考えます。もしこれが非常に大きな利用者の数と層を得るということになりますと、これは直ちに七番の総合交通政策の問題としまして、国有鉄道に甚大な影響を及ぼすという問題になって参ります。  次に、六番の総合国民資金計画の立場から言いますと、貧乏な日本におきまして、少い国民資金を集中的に配分しなければならない、これは至上命題だと思うのでありますが、その立場からみて、この道路建設の準備というものはどうであるか。これは私として何とも申し上げられないのでありますが、この点こそ最も御研究になっていただかなければならない点だと思うのであります。たとえば交通関係だけに限定して、実はこの案では電源開発が終るから、電源開発に続いてその金を使うというようなお考え方があるようでありますけれども、交通系統だけについていいますと、実は国有鉄道の北方幹線というものは極端に行き詰っております。明治二十年来の単線のままであります。東北本線も単線のままできておる、羽越線にしましても北陸線にしましても、これは非常に行き詰っております。国鉄はこの拡充のために資金がなくて非常に苦しんでおりまして、そのために国民経済上の輸送の不振という問題が、特に北海道との連絡におきましてはなはだしい問題が起っておるのであります。そういう国有鉄道の北方幹線の増強というような問題、あるいは電化の問題、これも資金が足らなくて、ちぎれちぎれのみみず式な電化しかできておらないのでありますが、この問題、ことに最近の首都交通の行き詰まりの状態からみて、これは言語に絶するものでありまして、首都交通難の打開、これには莫大な資金が要ります。国鉄資金だけでも八百億円程度の経費を計上しておるようでありますが、先日来東京市政調査会主催の大都市交通研究会におきまして、交通学者、公益事業学者が集って研究を進めておったのでありますけれども、少くとも地下鉄の系統、高速度系統が国鉄以外の面におきまして七、八百億円以上の建造費が必要であります。そのほかに高速自動車道というものを設けますと、この金額が莫大なものになってくるわけであります。そういう首都文通、全国の旅客交通量のほとんど四割を首都交通圏において運んでおるのでありますが、そういう交通圏の行き詰まりという問題に関しては、国家は政治の面で何も御配慮がない。こういうものと比べてどちらが先かという問題は、やはりたとえば限りある資金ならば、国会においてこそ考えていただかなければならない、こう考える次第でございます。  次に総合交通政策の立場から申し上げますと、鉄道と自動車との競争調整の問題は世界的な難問であります。どこでもまだ解決一つもついていないというむずかしい問題であります。これは結局自動車があとから出てきて、鉄道があるということを前提として自動車というものは存在しておる。そうしていわゆる運輸量のすみずみに当るところだけを自動車が救う。自動車は機動性に、弾力性に富んだ有利な立場にある。鉄道というものはその点弾力性がない。投下資本の重圧に陥るというような点から、苦しい目にあっております。世界的に鉄道というものは夕陽産業、斜陽産業に陥りつつある。そのことが結局鉄道のサービスの低下をきたしつつある。そのことは国民経済社会のために果して妥当であるかどうかという問題でありますが、これはそうではなく、自動車が幾ら盛んになりましても、鉄道は所によっては自動車に置きかえるという所は出て参りましようけれども、大部分においては鉄道をやめるわけにはいかない。またサービスを低下せさるわけにもいかない。しからばその鉄道と自動車の両立するような政策いかんということが、これが実に総合交通政策の一番の難関でありますが、日本のような貧乏国においては、交通面について二重投資ということは非常に問題である。個々の競争をできるだけ回避するということが必要である。世界の総合交通政策のやり方といたしましては、大体三通りあるのであります。公正競争の立場に立ってやらせるということであります。同じ立場に立って競争させるということであります。アメリカがその政策をとっておりますが、うまくいっておりません。道路においてはアメリカは政府が非常に補助しております。飛行機についても補助しておる。鉄道に対しては補助しないでおいて、公正競争ということは事実存在しないのであります。それからヨーロッパ流に、強権をもってこれを統制する。両方に命令を出して調整をさせるというやり方、それから最後に経営者を一つにしてしまう、総合経営をやる。これはイギリスの労働党が四七年の運輸法によりまして断行しました。運輸の国有であります。これは鉄道と自動車の問題が根幹でありまして、鉄道と自動車を一本の形でもって経営すれば、この調整問題は解決がつくというところから、四十マイル以上の長距離自動車というものを国有にするということを断行したわけであります。相当成績をあげておったと思いますけれども、やはり資本主義政策あるいは保守政策をとります保守党が天下を取りましてから、これをひっくり返しまして、また民営に戻すということで今やっておるのであります。また労働党が天下を取れば国営にしてしまうぞというようなことを言っておるのでありまして、イギリスの交通政策におけるところの総合経営というものは、ある程度成功したように私は聞いたのでありますけれども、保守党はそうは見ていなかった。ここにつまり世界的な三つのやり方がありますが、どれが今決定的なことかということは聞いていないのであります。日本におきまして、国有鉄道は比較的世界の鉄道に比べて国内独占の地位が高いのであります。本来いい成績をあげております。運賃のレベルが不当に低いために経営困難の様相を呈しておりますけれども、利用効率がいいという点から見れば世界一の状態であります。これが幹線道路というようなものができまして、そちらがペイするような状態になった場合には、相当大きな交通目黒の転移がある。そういう転移がありますというと、大量輸送機関としての鉄道としては、これはやっていけなくなる。サービスが落ちる。それを落さないためには、運賃の値上げを必要とするような問題も起って参ります。国会におかれましては、この法案につきましては、どこについても国鉄の問題については何にもタッチしておられないようでありますが、こういう法律を通される場合には、やはり国鉄のこうむる影響に対する政策を少くも考えておおきになるということが、総合交通政策の立場から必要だと思うのでございます。  結論といたしまして、この法律案は四百三十人の議員の共同提案ということで、通過疑いなしという感覚を一般に与えておるようであります。そのためでありましょうか、実はおれはほんとうは反対なのだけれども、賛成しておかないとバスに乗りおくれる(笑声)というような考え方がどうもあるように実はちょいちょい聞くのであります。この点は一つお考えいただきまして、とかく日本の官庁は、官庁のことを申し上げてはなんですが、非常に対立的な意識が強く、セクショナリズムであります。総合行政というものに一番欠けておると思うのでございます。国会こそがこの総合調整をなさるところだと信じますので、これらの国土開発縦貫自動車道建設法案につきましては、国会が大所高所に立って交通政策の総合、もちろん国土開発総合政策の一環としてでありますが、そういう交通政策の総合ということを国会において十分にお考えいただくことを望んでやまない次第であります。  この法律案そのものにつきましては、私はやはり路線の決定を今からしておくということは将来困るのではないか。それからあまりにげたを行政機関に預け過ぎておる。内閣総理大臣がやれ、あるいは審議会がやれというようなことが多過ぎると思いますので、もっとこの問題は国会自身が責任をおとりになって、お調べになるということが必要ではないかということを感ずるのであります。  長々と失礼いたしました。
  301. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 次に、財団法人日本財政経済研究所会長としての青木一男君に、参考人として財政経済の面から本問題の御研究をいたされた点々御発表願いたいと思います。
  302. 青木一男

    参考人(青木一男君) 私はただいま委員長から命ぜられた通り、財政経済の方面からこの問題を検討しました私の結論を申し上げます。  私はこの計画はわが国の現状から見て非常に画期的な意義のあるいい計画であるということをまず申し上げておきます。  私はただいま議員でございますが、議員になる前から実はこの問題には深い関心を持っておって、相当研究もいたしておりました。わが国の今日の現状は、敗戦の結果領土が非常に狭くなり、勢力圏も少くなって、これに反して人口だけが急激に増加しておるのでございまして、この資源と人口とのアンバランスということが、日本のすべての困難なる問題の根幹でございます。この問題の解決をはかることが、わが国の政治として一番大事な出発点であり、また結論でなくちゃならないのでございます。人口の調節ということはこれはまあ別な見地から論ぜられますが、とりあえずこの不足資源をどうして補うかということが焦眉の急務でありまして、それには私は国土の開発と輸出貿易の振興をおいてほかに策はないと思うのです。どうしてもあらゆる国内に残されておる資源を完全に開発するということに全力を注ぎ、しかしそれでもなかなかこの貧弱なる国土で、この増加人口を収容し得る、またこれらに衣食の道を与えるということは、 これは不可能でございますから、足らざるところはどうしても原料を外国から買ってきて、輸出貿易によって稼ぎ出すという以外に、私はわが民族の生きる道はないと思うものでございます。  この第一の手段の国土の開発でございますが、今日まで農業に最も重点を置いていろいろな政策が行われております。また最近では電源開発が重点的に取り上げられておるわけでございますが、私はあとに続く計画としては、こういう案がほとんど唯一のものではないかというふうに考えるものでございます。現状のまま至らば、だんだんジリ貧になるでございましょう。どうしてもこれは思い切って、われわれの経済において、少くともわれわれの狭き領土を百パーセントに活用するということに工面をすべきではないかと思うのでございます。わが国は山が多くて、とにかく耕地というものは二割くらいしかないのでございます。この残されたるところの山を中心とする国土というものを、ほんとうに活用するということが、われわれの責任であると思うのでございます。しかしこういうふうに人口が海岸あるいは平地に集中して、山間部に住まないということは、これはいろいろの気候その他の原因もありますが、交通関係ということが大きな原因であることはこれは疑いがありません。こういう意味におきまして、この日本の国の背骨ともいうべき山間地帯を縦貫自動車道路によって貫通して、そうしてここに新しき産業の立地計画を立てる、できれば農地も作る、あるいは牧畜の基礎も立てる、あるいは工業も今みたいに都市部に集中せずにほかへも作らせる、人口も都市集中の傾向を避ける、こういうような関係から考えまして、どうしても交通機関ということが私は先に立つものであることを信ずるものでございます。今までは自然に人口が増加し、それに応ずるために交通機関を整備したのでございますが、私は今申し上げたような日本の現状から見れば、まず交通機関によって国の運命を開拓することを考えるべきであると思うのでございます。その点においてはヒットラーがあのアウトバーンを作った功績に驚倒するものでございます。今日戦後の西ドイツの経済復興について、あのアウトバーンがいかに貢献したかということは、これは事実の示すところであるのでございます。  もちろんこの高速道路は単に今申し上げたような国土開発、新しき産業立地を考えるということ以外において、今までの状態においても、すでに産業の発展、入口の増加によってだんだん交通が行き詰まってきておる。ことに京浜あるいは中京、京阪神というような地域を結ぶ交通関係が行き詰まってきておる、何か打開策を考えなくちゃいかぬということも事実でありまして、この新計画がその要請に応じておることであるということも疑いないものでありまして、私はこの両方の目的をこの一つで達するということが、実はこのねらいであると思うのでございます。先ほど参考人の方が、いろいろと考えると、かえってあぶはちととずじゃないかとおっしゃったようでありますが、私は国家の計画としては、むしろそういうふうに総合的に考えることが正しいものではないか、そういうふうに信ずるものでございます。  先ほどこの計画を見るというと、いいことばかりでマイナスの方面が全然この参考資料にないというお話がございました。それで私はそのいわゆるマイナスの方面と見るべき点について私の所見を述べてみたい。私はこの計画のもしマイナス方面としてしいていえば、二つあると思います。  その一つは、資金計画でございます。これには莫大な金がかかる、一体そんな金ができるかどうか、またそういうことをして、ほかの仕事をほうっておいていかどうか。この点が一番大きな問題であろうと思う。それから第二は、こんな道を作れば、せっかく今までの耕地などをつぶすじゃないかというような点があろうと思います。まあ第二の耕地とかあるいは都市とか、そういうようなものを犠牲にするという点では、これは確かに一つのマイナス面でございます。しかしそういうふうな点から考えるというと、今まで大都市あるいは肥沃なる農地が続いておるところの平地、海岸線を通らずに、あの無人の野を行くがごとき山間部を通るということは、そのマイナス面を最も少くするゆえんであり、ことに一部には先ほど申した通り農地にいたしましても、その他の工場地帯にしても、新しいプラスになる面が出てくるのでございますから、そういう意味において計画の骨子というものは大体においてマイナス面を最も少くする案である、こういうふうに結論してよろしゅうございます。  それからまた一番大きな問題は、財政計画の問題であると思うのでございます。これが第一期の中央道路だけで千三百五十億、これが一通り完成ができて、全部で、まあ六千何百億を予定されておる。この計算は大まかな面でございましょう。さてこれが日本の財政計画にうまくはめ込んでいくことができるかどうかという問題でございますが、私は具体的に言えば、今後毎年毎年の財政計画と見合って実情に即した解決をはかっていくほかないことはこれは当然でございます。これはその他の一般計画と同様でございます。ただ概括論としてまあ二十年間に六千何百億、当初五ヵ年計画で千五百億弱、この程度計画日本の財政力から見て非常にむずかしい注文であるかどうかということをまず概括論として考える必要があると思うのでございますが、私はこれは可能である。そんなにむずかしい注文ではないという考えを持っております。第一期、五ヵ年計画の千三百五十億について見ましても、電源開発の五ヵ年計画によりますれば、あの電源開発会社だけの五ヵ年の計画金額は千八百億こえておるのでございます。この中央道の計画よりもさらにはるかに大きいのでございます。また三十年度予算によりまするというと、政府の財政投融資の総額というものは、地方債関係までも入れれば、三千億をこえておる計画なんです。さらに今度の国会で政府が発表した総合開発の資金計画によりますると、今後昭和四十年までにこの財政投融資によって国土開発方面に費される金額は、総計七兆二千億円、年額にして五千何百億円というものが予定されておるのであります。いわゆる日本の全体の資金計画のボリュームから考えてみまして、私は年額二百何十億か三百億という数字はそう驚くに足りないものと思うのでございまして、問題は国としてどこにその政策の重点を置くかということのこれは判断の問題に帰するのでございます。もちろん今まで資金は需要が多くて供給が足りないというのが実情でございましょう。しかしながら私は今までの資金の使い方に見て、私はもっと考え直していいんじゃないか。また一時は希望によって出しても効果というものはほとんど消えてしまって何をやったかわからないような方面に流れていっておる金も少くないと思うものでございます。この高速自動車道路計画は今申し上げました通り国家百年の計、日本の行き詰った国民経済の根幹を打開する道でございますから、そういう意味から言えば私は相当優先順位をこれに与えて、この計画を遂行する価値のものであるということを信ずるものでございます。ことにこれから産業を開発して国の生産力も国民の貯蓄もふえるでございましょう。そういう場合に最も優先的にこういうような積極方面に、長くわれわれの子孫が恩恵を浴するようなこういう事業に力を入れることは、やはり順序として正しいのではないかと考えるものでございます。  世間にはこの金額が非常に大きいというので、何か外資でも入れなければ、とうてい日本の国力ではできないというようなことを考えておる人もあるようでございますが、その点について私はそうでないという意見を持っております。これは当然われわれの貯蓄によって継続すべきであると考えます。またこの事業遂行には、相当多くの失業者を集中的にここに集中利用すべきでございまして、そういうような失業対策というような意味で使う経費は、これは貯蓄よりもあるいは国費で注ぎ込むのが理論上正しいのでございまして、そういう意味において国の経費、あるいは貯蓄によって作るべきであり、また作ることができるという結論でございます。その外資の導入の問題は、戦後わが国におきましても、日本の再建にはどうしても外資がなければできないというような考えが一時多かったのでございます。当時から私は非常にその点に疑義を持っておりまして、一昨年の初め、私はまだ議員になる前でございますが、そういうような外資導入論が非常に世論となっておったときに、どうもその考え方が少しおかしい、学問的に考えてもおかしいということを気づきまして、大蔵省の財務協会、すなわち大蔵省の別働隊のような外郭団体である財務協会の機関雑誌の財政という雑誌に、私は外資導入論の再検討という論文を発表しております。そのときからすでにその考えは持っておって、今でもその考えは変っておりません。それでそのあらましを申し上げますと、外資導入と申しましても、パテントとか技術の導入に伴って資金の外資の入るもの、これは別な関係で論外でございます。それから物資が入ってその代金を延べ払いにするというような意味の外資、これも別問題でございます、これはものが入る方がいいか悪いかできまる問題でございます。たとえば余剰農産物の購入に伴うあの外資の問題のごときは、その適例でございます。また日本の国に、日本事業に参加したいというので、外国から投資をするという場合もこれも別問題でございます。これは向うの方から希望するわけでございまして、この場合は、その投資は主として円の投資でございますから、いわゆる外資ではほんとうはないわけでございます。そういうふうな別の意味を持っておるものは別として、ここには資金を調達する、金を借りるということだけの目的のこの外資の問題について限って研究してみたのでございますが、私は当時この電源開発の資金を具体的に考えて、この論文を作ったのでございます。外資という問題は、本来為替関係、国際収支の関係を通して始めて意義があるのでございます。日本の過去の歴史をとってみましても、日露戦争のときの外債というものは、あれは軍艦や兵器を買うために外資が要る、為替資金が要るというので、外資でなければ目的を達しないようなあれは借款でございました。それから関東震災後の復興外債も同様で、復興資材を買うために一時に外貨資金が要るというので、あれは外債を募集したのでございます。ただ少し立場の違うのは、日本の電力外債でございます。これは直接には電力会社が社債の条件として、国内では低利長期の社債が発行できないというので、外債を発行したものでございますが、同時にしかし政府の外貨政策から見ても、外貨の獲得が一時必要であるというこの国の要請と一致した場合に、あの外債を許可しておるのでございます。さて今日本の外貨状況はどうかと申しますというと、ただいまでは約十二億ドルの外貨があるわけであります。この外貨が足りないからして、外債を起すという必要はございません。あるいは国際収支の状況が急変すれば、外貨が足りなくなるというおそれもないというわけではございませんが、しかしそういうような場合の対策として外債を起すということはこれは非常に不健全なことである。国際収支の逆調を借金で埋め合せるということは、これは非常な不健全なことです。ちょうど個人の経済でいえば、自分の収入よりもよけいな消費をするために借金を重ねると同じことでございまして、これはとらざるところでございます。どうしても国際収支は経常的の貿易その他によってバランスをとるのが原則でございまして、その場合の借款というのは意味をなさないのでございます。また外国から見ましてもそんな不健全な国際収支の国に金を思い切って貸す国はないはずでございます。こういうようなふうに考えると、一体この道路計画、今度の自動車道路建設に一体外資が要るかと申しますと、大体要らないのでございます。この千三百五十億なり、あるいは二十ヵ年で六千五百億の計画を見ましても、まあ大体三割は労賃として国内で円で払えば済む問題であります。物資としては主として鉄が百二十四万トン木材四万トン、セメントが六百万トンと予定されておりますが、その中で外国物資に関係するものは鉄だけであります。鉄は百二十万トンとして年額六万トン、これは鉱石でもって来る場合は三万トンで済むわけであります。そういう意味から外資の必要はないと言わなくてはなりません。それでかつての電力会社のような社債の条件等の問題でそれでは国内ではできない、外債でなければいけないという問題があるかというと、そういうことはないのでございます。もちろん現在でも国内の金融市場でこの中央道の必要資金を信用で調達することは、これは不可能でございます、ほとんど。しかし国家資金というものが今日ああいうふうに国策のために莫大に投下されておるのでございまして、期限にしても、金利にしても、この国会の意思によってどうでもなる問題でございます。そういう点から申しましても外債の必要はないのでございます。それから国内の通貨政策の見地からどうか。よく昔から外債を起せば国内が景気がよくなるという印象を持っているが、これはある一面から見れば真理でございます。それはどういうことかというと、外債を起せば直接には国内のインフレーションの原因になるからでございます。国家資金または国民の貯蓄によってこういう事業資金を調達する場合には、財政が均衝財政である限り、これがインフレーションになることはない。また貯蓄によってこの資金をまかなう限りインフレーションになることはありません。ただそういう場合に財政が赤字財政である、あるいは国家機関からして融資をさせる場合に、その財源を日本銀行の貸し出しに求むというような特殊の場合になれば、国内資金で調達した場合も通貨増発というインフレーションの原因になるのでございます。そうでない限り健全財政下において、また国民の貯蓄でまかなう限りにおいては、決してインフレーションにはなりません。しかるにこの外債を発行した場合には一応全部がインフレーションとして現われるのでございます。なぜかと申しますれば、たとえばこの事業をする公団なり、あるいは公社なり、あるいは会社がどうしてそれでは円資金を作るかといえば、その募集した外貨を国なり日本銀行あるいは為替銀行に売ってそのかわりを円として受け取って、それを物資購入あるいは賃金として放出するからでございます。それだけつまり無条件にインフレーションの原因に一応なる。ただその場合に普通の赤字公債等の場合のインフレーションとどこが違うかといえば、その円資金を裏付けとして外国に外貨があるということなんです。これは全く違うのです、実質的に。しかしこれを国内の通貨政策の上にこれを反映させるにはこの外貨を利用して国内に物資を輸入して国民からして金を巻き上げる、今度はあべこべに。前に一度ばらまいた金を取り上げるという政策をとらない限りは、インフレーションになるのでございます。ところが日本の今の現状においてその外貨資金を利用して物資を輸入することが適当かどうかということを考えると、これは非常に考えものなんです。物資と申しましても二体何を意味するか、食糧にいたしましても、御承知通りこの間のまあああいうふうな寛大な条件で食糧を入れるだけでも、あれだけの大問題になる。それからわれわれの着る着物の原料を入れようといっても、今はあり余るほどある。たとえば鉄のごときものを考えても今はもう国内で消化し切れずに輸出しなければさばき切れないという現状です。これ以上何を入れるか……、私は無条件に輸入を許していいのは輸出原料である。これは輸出原材料は無条件に入れていいが、しかし輸出がふえるということを前提とするわけですから、これはなかなかその点からネックがあって、これ以上むやみにふやしても仕方がない。また輸出に使えば、今申した通り通貨吸収の目的は一部非常に少くなってしまう。それから端的に言えば通貨政策からして、インフレーションを避けようとすれば、国民の消費物資を思い切ってやるよりほかない、いわゆるぜいたく品を入れるほかない。そういう今の日本の経済機構ではないのでございまして、そういう意味から考えましても、こういう外債を発行するということは、通貨政策上非常なこれは難問題を残す。いわんやこれは借りた金ですから利息も上げなければいかん、将来は元金も返さなくちゃいかん、将来国際収支の非常な大きなマイナスの要因であると存ずるのでございますから、これは軽軽にむろん考えるべきではない。そういうことを政府でも先ほど申した通り、一部は国費によって、一部は国家財政資金によって、われわれの働きの実績によってこの事実を将来われわれの子孫のために残すというのがわれわれの責任であり、そうしてその金額は先ほど申した通り、われわれ国会人が政策の重点をどこに置くかということによってきめられる問題であり、決して過当なる金額ではないということを私は確信するものでございます。  当初申し上げました通り日本の現状を打開するためには、どのくらいの思い切った政策を始めなければ日本の国は行き詰まるのでございますから、多少の欠点はございましょう、また研究不十分な点もございましょうが、まずこの程度計画を出発点として、これをだんだんに合理化し、またその実現の程度もそれはそのときの国力、いろいろな情勢からあんばいしていけばいいのでございまして、方針としてはこれは衆議院であの通りの熱意をもってやられた法案でございますから、ぜひ当院において本委員会の御賛成を私は強く希望するものでございます。
  303. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 一応参考人の方々の御所見を伺ったんでありますが、この際各参考人に対しまして、その参考人の方を一応御指名を願いまして質疑のおありの方は御質疑を願いたいと思います。
  304. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 私青木さんに聞きたいと思います。これは少し問題がはずれるかもしれませんが、この事業についてとにかく莫大な金がいる。六千五百億という金が要ると思います。そこで、ちょっとピントがはずれているかもしれませんが、過去九カ年間のわが国の水害の状況を見ますと、行方不明あるいは負傷あるいは死者、この数が十万人あまり、そうしてこの公共事業費の損失が二兆三千億なんです。こういうふうな莫大な損害を受けておるわが国の情勢に対して、どうしても治山治水の根本をやらなければいかんというので、昭和二十八年以来根本調査をいたして、一兆八千億という金を要する、こうなっております。私はこの国土開発縦貫自動車道路建設も必要でありましょうが、日本の国がこういうふうな困った状態にある場合に、この治山治水、それを完璧してあるいは現在の道路も保護する。また多くの人命を助けるということを先にやるべきものか、あるいはこういう道路を先にやるべきものか。日本の財政の観点からどちらを国民は最初にやるべきものと考えるか。これを資金面に最も堪能なる青木さんから承わりたい。
  305. 青木一男

    参考人(青木一男君) 治山治水の事業の国策としてやはり根幹の計画であることは、私は全然同感でございます。少しも異存ございません。経済企画庁の発表した総合開発の構想によりましても治山、河川、砂防海岸、林道、造林その他に相当巨額の計画がおいてあるのでございまして、この中央道の計画を実現するからといって、それを今のお話しの治山治水の経費から差し引いて使おうということには結論はならないのでありまして、私は先ほど申した通り国策の選び方をどこにおくか、あるいは今までの計画を多少変える必要が起きるかもしれません。しかしその場合も今のお話しのようにどこに手を入れるかどうかということはそのときの問題でございまして、私はやはり治山治水というものが根幹であるとは信じております。それでこの計画もある意味から言えば、治山治水の計画に貢献するのじゃないか。たとえば山奥を通れば割合にダム建設等が容易になりますし、それから山地で事業をする場合に本交通関係が容易になるからして、やはり治山治水の根本計画をするにもこれは貢献するんじゃないかとすら考えております。しかしそれは別といたしましてこの金が別に浮いたものではございませんから、今後実現する場合には財政資金がどれだけふえ、国家資金がどれだけふえるということをあんばいして、その中の重点の置き方をきめる場合にやはりきまるべき問題でございまして、単にお話しのような治山治水の経費との軽重ということだけできめることはできない。私は治山治水も大事でありますが、この仕事もやらなくちゃいけない、こういうふうに考えております。
  306. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 治山治水とこの事業の軽重、優先問題でありますが、治山治水計画を一兆八千億という案を立てていながら一向それは緒についていない。しかも一方においては毎年々々膨大な耕地を流している。また莫大な人畜の死傷を出している。それを見ながらそれに政府が国の財政が貧弱の観点から十分の金を投じていない。この日本の経済において今おっしゃった、今ここに問題が出ている開発道路を作ってそれに金を幾分でも投ずべきがいいか、あるいはかりに多少でも金が余るならば、まずもって多くの人命を救うように重点的にやるべきじゃないか、こういうのであります。
  307. 青木一男

    参考人(青木一男君) 私は人命を救うという見地から考えますれば、直接の水害被害お話し通りでございますが、私はこの増加人口を大きく救うには、こういう積極政策でなければ道がない。このままいっても今みたいな根本の心配はない、人口がふえてしまって職を得られる人が少い、あるいは生活物資が不足するというような差し迫った根本問題がないならば、私はこういうような計画をする必要も差し当りはないとこう思うのでございますが、先ほど申した通りほんとうにこれは何百万の人口の問題でございまして、それを食べさせていくという行き方をとる場合には、こういう積極政策に手をつけていかなければ、とうてい解決の道はない。こういう見地から実は考えておるのでございまして、直接先ほどお話しのような水害等によりさしあたりのこの救済と軽重を比較して申し上げたわけではないのでございます。
  308. 田中一

    田中一君 今皆さん方の御意見を伺っておりますと、大体おいでになっておる技術家の方々はあまり感心しないという御意見のように伺ったのです。ことに別表をつけたことが、かえって実現の障害になるのじゃないかというような点がどなたからも発言されておるように伺っております。そこで私端的に伺いたいのは、まず高田さんに伺いたいのは、別表で示されたこの地点というものの地質等をお調べになってあるのかどうか。またあるいは他のいろいろな資料に基いてこの困難さを指摘されたのかどうか。この点を一つお伺いしたいと思います。
  309. 高田昭

    参考人(高田昭君) ちょっとお伺いいたしますが、別表と申しますと、この資料、これでございしょうか。
  310. 田中一

    田中一君 いえ、第二条でお示ししておりますところの……。
  311. 高田昭

    参考人(高田昭君) この法案のおしまいに出ておる別表のことでございますか。
  312. 田中一

    田中一君 そうです。
  313. 高田昭

    参考人(高田昭君) これは拝見いたしました。しかしこれは先ほど私が申し上げましたように非常に複雑した地質と地形のところであるにもかかわらず、ごく散漫などこどこ附近というようなことしかお示しになっていないものでございますから、的確な判断を申し上げることはできないということは先ほど申し上げたのでございます。ただたとえて申しますと、この東北自動車道路でもですね、青森から十和田町付近を通って盛岡市に至るというようなところでは、これは十和田湖の東側を通るか、西側を通るかというような点がございます。そういうようなところもわからないのでございまして、これはどうしてもそのルートをお示し下さらない限りは、ちょっと申し上げられないのでございます。ただルートによってはできないところがあると思います。これは建設省で前に東京大阪間の海岸線沿いの高速度自動車道路のルートの調査のお手伝いを、私前から内務省におりまして地質の方を担当しておりました関係上、お手伝いをしておるのでございましたが、その場合でもトンネルに計画のものが、計画のトンネルが安全にできるかどうかということが危ぶまれるような地点も相当あったのでございます。それは詳細な調査をしたにもかかわらずそういうような懸念の地点が出るのでございまして、たったいまの法案にありますような、ごくあらましなところではできるところもあるし、できないところもあると申し上げる以外にないのでございます。
  314. 田中一

    田中一君 この法案は今直ちにこれを建設するという案じゃないのです。この一番おしまいの理由にありますように、「高速幹線自動車道を開設するため、予定路線の設定及び建設線の計画決定等について規定する必要かある。」からこれをつくるのである、こうなっておるのです、従ってこの提案者はこれをやるんだということを申し上げておるのであります。そうしてあるについたは、どこをやっていいかわからん。従ってこの法律によってやるという意思を決定をいたしまして、国にさせまして、そうして調査あるいはどこがいいか、いろいろな決定あらゆる問題の計画をたてるんだという法律でございます。従ってこの法律によって今予定されたものは全部たてるのだというものじゃないわけです。そこで平山さん、藤井さんに伺いたいのは、この別表に示したとことのものを中心に御論議なすっていらっしゃって、反対だ、不可能だというような……これは近藤さんも通じてその御意思があったんですが……、ということにとどまったと思うんです。そこでわれわれと申しますか、私のほうの会派もそうですが、衆議院の四百三十名はどこをやっていいかわからないんです。そこで、やるためには、このような法律の規制が必要である、そうしてこれによって調査研究計画樹立その他の基本的な方針をきめるんだ、きめてもらおうという法律なんでございます。従ってこれによってすぐできるというもんじゃないと思います。するにはまた別の法律が必要なのでございます。それには今青木さんがおっしゃったような、資料としていろいろな財政問題その他の点の参考資料をつけてあるわけでございますけれども、この計画だけではできないんだ、いわゆる中央道というもの、この縦貫道路、この法律案に盛り込んだところの精神というものはつけられないんだという前提のもとの御意見ならば、これははなはだ失礼な言い分なんですけれども、われわれとしては必要がないし、われわれはこれをやるんだけれども、悲しいことには時間がございません、調査もできておりません。従ってこれから調査をして計画を立ててくれという政府に向ってそういう要求をする法律なんです。従ってその見地からはなはだ失礼でございますけれども、そのようなわれわれの意図というものを、御賛成かあるいは不賛成かという点を率直に平山さん、藤井さん、近藤さん、それから細野さん、鈴木先生はちょっと別な観点からおっしゃっておりますので、この四名の方に率直にこれは反対である、あるいは賛成である、あるいはまたこの路線かいいか、従ってもしこの路線をとるならば、自分の知っているこの方面がいいんだという点を、率直にお示し願いたいと思います。
  315. 平山復二郎

    参考人平山復二郎君) さっき申し上げましたように、高速自動車交通網は、きわめて自由な立場におきまして、科学的にも技術的にも経済的にも立って交通網を作られるというならば、全面的に賛成でございます。しかしこの法律を見ますと、どう考えても、このまん中を通す道路によって国が開発されるというようにしか思えないもんでございますから、私はそれならば反対だと申すのでございます。それだけでございます。さっき青木さんのお話がございましたが、国家百年のような大計を立てますのに、技術的な根拠なしに立てたものは、今まで成立したことはないのでございます。少し言葉が過ぎるかもしれませんけれども、戦前のいろいろな計画が、私らもあずかりましたが、技術的に反対のものをやりましても成功したことはないのでございます。その点はもちろん技術者にも精神は必要でございますし、勇気も必要でございます。またここに書いてありますように、きわめて高邁なる理想も必要でございますが、自然を相手にするものに、いかに高邁なる理想を持っていってもそれはだめなんでございます。われわれ技術者は、どこまでも技術的立場によっていきたいのでございます。高邁な理想はもちろん賛成でございます。しかし高邁な理想は、どこまでも科学的技術的な立場に立ってやりませんと、高邁な理想決して高邁な理想の目的を達しないことになりますから、その点を申し上げておるのでございます。このように縦貫道だときめております点につきまして、私は一言申し上げておるのですから、その点誤解のないようにお願いいたしたいと思います。
  316. 田中一

    田中一君 今の技術家を、あるいは技術を尊重いたしまして、総力をあげた日本の技術陣の調査研究、それから御意見を伺って、政府はこれを樹立するのだということでございますが、今の先生方の調査なり何なりを無視してやるのじゃないのです。われわれはしろうとでございます。従いましてそれをやるのだという意思を表わしたところの立法でございます。従ってこれによって、これが通りました暁には、政府は先生方の卓見、知識を拝借して計画を立てるのだ、こういうことでございますから、その点一つお間違えのないようにお願いいたします。率直に藤井先生並びに近藤先生、細野先生の賛成か不賛成か、これがいけなければここにこういう道の方がいいのだというふうな、率直な端的ないろいろ結論をお示し願いたいと思います。
  317. 藤井眞透

    参考人(藤井眞透君) 私の考えだけ申し上げます。こういう高邁な理想は非常にいいと思いますが、実際これを作る場合には、国がこう考えますならば、たとえば中央道については、富士五湖から名古屋の付近までは総合開発が成り立つのじゃないかと思います。しかし東京から大月、この辺まで作っても、みな東海道ばかり通って、あっちは通らないだろうと思います。それでまあ御殿場ぐらいから名古屋、あの付近には総合開発的には成り立つと思います。ただこれを百キロのスピードというのはむずかしいと思います。結局総合開発の中で、何十キロ……もっといわゆる現在の経済において耐え得る構造でなくてはならぬ。そのほかは、これが現在の経済的価値があるというのは、私よくわかりません。まあ先ほど申し上げますようなその区間だけはできると思います。そういうように考えます。
  318. 近藤謙三郎

    参考人近藤謙三郎君) 高速自動車道の計画に当って、一番大切なものは交通量の問題である。しかるに本案に掲げてありまする路線は、詳細な経過地の点は別といたしましても、この大切な交通量の考慮がすこぶる希薄でありまするので、この路線を法律できめられるということは反対であることはすでに申し述べました。  もう一つ、これは技術の問題ではございませんが、すこぶる心配になると思われる点がありますからつけ加えます。この前建設大臣が私設の中央道路審議会をこしらえられまして、私もその委員の一人として指名を受けて審議に加わったのでありますが、その際に長野あるいはその他の方面の村長その他から毎日私の宅へはがき、文書その他でどっさりと陳情が参りました。どういうことを言うか、このきわめて卓抜な計画を本年度予算で何とか始めるように一つごあっせんを願いたい、御尽力を願いたい、こういう陳情であります。この法案の精神は、田中先生から御指摘なさいましたように、これから研究するのだということでありますけれども、これが国民なかんずくその路線の付近の民衆に与えまする印象は全く別になるおそれがあるのであります。こういうことからして、法律できめた路線を別の路線に変えろとは何事か、こういったごく局部的のしかしながらきわめてやかましい法律に根拠をおく紛争が、将来国民的の大局の利益をまげてしまうという心配すらも私はあるように思いますので、そういう点から申しましても、今回路線を法定するということは、絶対反対でございます。
  319. 細野日出男

    参考人細野日出男君) 私は先ほどお話しのございましたように、この法律が縦貫自動車道路建設調査法ならば、全面的に賛成であります。しかしながら、路線まできめてのところは、まだ少し早過ぎるのではないかということを考える次第でございます。
  320. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 この資料でありますからして十分なことはわかりませんが、との図面で見ますと、高田さんにお伺いするのですが、この図面で見ますと、高田さんにお伺いするのですが、富士吉田以下はそれから飯田に通じていますが、まあ南アルプスだと思います。私は飯田から南アルプスを縦断したこともあるし、また山梨県から入ったこともあります。二、三回この辺の山を歩いております。高田さん現地を御承知かもしれませんが、これは結局赤石の辺をトンネルで越すのではないかと思うのですね。あの辺の地質相当厄介なものだと思うのです。私はトンネルに対して大した経験はありませんけれども地質の方から見ても、もしもあの辺をあなた御承知ならば、どういうような観窪川をお持ちになっておるか。もっとも現地を御承知なければ、何ら御回答なくてもよろしゅうございます。
  321. 高田昭

    参考人(高田昭君) ただいまの御質問のルートが、どういうふうになっておるかということをお示し下さらない限り、歩いた地点もあり、歩いてない地点もあるのでございますが、ただ全体的に申しますと、地質のいかんは多少そのトンネルの大きさとか、あるいは勾配とか、カーブの大きさとかいうものを技術的にあるリミットからはずせば、大ていのところはできると思っております。
  322. 湯山勇

    湯山勇君 ただいまの点でございますね、これは地帯構造の上から考えられる点もあると思いますし、地質から考えられる面もあると思うのですが、そうした場合に具体的にどこどこというのでなくて、こういう地質のところでは、こういうケースが出た場合には、非常に困難だというような点は、大体見当がおつきじゃないかと思うのですが、そういう幾つかの条件がもし御想定なされるのであれば、御説明いただきたいと思います。
  323. 高田昭

    参考人(高田昭君) これは先ほどもちょっと御説明申し上げましたのですが、同じ地質状態地質として同じであっても、岩の状態か一様でないのでございます。それも局部的に違っておるのでございます。でありますから、全般的にはこれはできると思いまするが、実際の計画としましては非常に困難な、莫大な費用を要することが予想される地域は、これを避けて計画するという観点からいかなければならないと思います。一がいにこういう地質のところでは悪いと……、たとえば砂防を広い区域にわたって必要とするようなところに道路を作るというようなことは、常識的にもこれは不適当でございます。しかし、同じ地質のところでも、非常に丈夫な岩質のところもございます。そういうようなわけでございまして、これは一がいには申し上げられないのでございます。しかし、先ほど申しましたように技術的な、設計条件を多少変更するならば、この案も建設可能と私は考えております。
  324. 田中一

    田中一君 近藤さんにもう一ぺん伺いますが、あなたのところに昨年この中央道の問題でずいぶんはがきや何かがきたという話ですが、そのように未開発区域人たちは要望しておるのです。これは一つの国民のある層、ある地域の希望でございます。同時にまた、これを国会が制定しまして、政府にこれをしいるわけなんです。そこでもしもこういうものを別表をつけずに、ある大まかな一つ予定線をつけずに、政府にこれをまかした場合に一体どうなるでございましょうか。私は今の官僚諸君が正しい官僚であるとは信じておりますが、いろいろな意味の陳情、請願その他によりまして、それこそどういう場合に、この法律を制定するわれわれの意図というものを歪曲されはしないかというおそれも多分に感ずるわけです。そこでこれは何もこの地点と示したわけでもないし、また地質調査もしなければ、その環境の調査もしておりません。またどういう資源があるかも調べておりません。しかしながら、ある一定の予定線というものを示さなければ政府自身が困るわけです。これはむろん法律できめますから、これが変更はむろん国会でもってこの法律を修正しなければだめでございまするが、しかしながらこれは議員立法でございます。議員の意思で立法権をもって立ったものでございますから、政府提案でも何でもないのであります。いわば行政府にこれをゆだねてさせるのだということになります場合には、やはり一つ予定線というものを示さなければ混乱するばかりでございます。その意味で私は予定線というものをやったのであって、もし実際に先生方、あるいはりっぱな技術者の方々の実施踏査の上に、技術的に見てもこれは不可能であるということになるならば、われわれは喜んでこの法律を変更する、このように考えて提案されておるものと承知しておりますから、ただこの地点をきめたという別表それ自体がいかんということは、われわれの深い考慮の面から出たということを御了解になれば、これは一応あることの方が親切であるのじゃないかということになりはせんかと思うのです。もう一ぺん近藤さんにその点の御意見を伺いたいと思います。
  325. 近藤謙三郎

    参考人近藤謙三郎君) 私が先ほどるる申し述べました意見は、高速自動車道路ということを前提におきまして述べました意見であります。かるがゆえに、経過地のみならず、あの路線の決定そのものがすこぶる不満であります。気に食わぬのであります。だから絶対反対だと申しましたが、あの路線を通ずる道路があって悪いかよいか、これはまたおのずから別であります。だからあの路線をもとにして御審議をなさる場合におきましては、自動車道路という形容詞をやめまして、ただの道路、あるいは開発道路、こういう工合にせられたら、これまた全く話が別でございます。自動車道路と銘打つにおきましては、絶対反対でございます。
  326. 田中一

    田中一君 どうも道路協会の近藤さんだから、道路運送法に基盤をおいた立法方法については御異論があるのも無理ないと思いますが、しかしながらこれはわれわれ建設委員会において道路法を審議して参りました。道路運送法は運輸委員会の所管でございますから詳しいことは存じませんけれども、ただ先ほど青木さんが言っているように、これは国策の一つとして、現段階においては道路法によろうと道路運送法によろうと道を作ることにはいささかも違いはございません。同時にまたこの第一条に掲げております目的というものが、少くとも国家的な大きな構想のもとに出発しているならば、道路法によらなければとか、道路運送法によらなければというのは、末梢の問題だと思うのです。これは従って、道路協会の理事の近藤さんだからどうも道路法に片寄るのは、建設委員会のわれわれとしては全部道路法を骨子としてやれというのと同じような議論になりまして、われわれそういう観点からでなく、青木さんがわれわれの意思を非常に率直に御意見として表明していただいたので、われわれは自分の意思を言う必要はございませんけれども、その点は道路法によるならばこの別表もよし、道路運送法によるならばそれはいかんというのは、もう一ぺんそれに対するほんとうのお考え、あるいはあなたに道路局長その他から何らかの圧力があったとは考えておりませんが、もっと率直に国家的見地から立って、道路運送法であろうと、道路法であろうと、そこに大目的を持つところの道路開設されるというなら、これは一つ御了承願った方がいいんじゃないか、かようにも考えておりますから、もう一ぺん御意見を。
  327. 近藤謙三郎

    参考人近藤謙三郎君) 世の中は広いものでございまして、私をあたかも建設省の犬であるかのごとく(笑声)言われる人もあるそうであります。とんでもないことでございます。私は道路気違い、なかんずく自動車道路気違いであります。これをやらなければ日本は決して金持にはならないというほとんど信念を持って、道路改良運動に身を挺しておる人間であります。建設省だの運輸省ということはあほな話でございます。で一部分には道路法に拘泥した議論を私も耳にいたしまするが、この法案におきまして、現在の法律、つまり道路法、かたや自動車運送法、この二つの法が現存しておりまする今日において、自動車道路道路運送業法の規定に根拠を置いて考えることはこれは当然であります。当然のことであります。ただし天下の日本道路法に自動車道路の一片すらないような日本道路法が一体あるのか、すべからく道路法を改正すべし、大々的に改正すべしという議論ならまた別でありますが、この条文に道路運送業法の規定による自動車道路だと、つまりほかの交通は一切排除するとまでは書いてございませんが、もっぱら自動車の用に供する道路、これがすなわち自動車道路でございます。人も通っちゃいけない。自転車も入るな、馬車も入るな、もっぱら自動車の交通の能率を上げるために自動車だけの通路にするぞよというのが自動車道路であります。さらにこれに高速という形容詞がついております。さらに工費の調べでは一キロ当り一番安い北海道の地区で一億八千万、多いところでは三億円の工費を見込んだ調書が出されております。明らかにこれは英語でエキスプレスウェイ、きわめて高能率の高速の道路でなければならない、そういう意味からいきまして、果して提示せられた路線がそれに相応する資格があるのかないのか、きわめて大きな疑問がありまするので、私は反対を申し上げておるのでございまして、私は建設省の犬でも運輸省の犬でも決してございませんから、誤解のないようにお願いいたします。
  328. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 今日はこの程度で散会したいと思いますが、本日は参考人の各位におかれましては、この猛暑にもかかわらず長時間にわたり忌憚のない国家的立場から御検討下さいまして、御意見をお聞かせ下さいましてありがとうございました。どうか本問題審議に当りまして将来また何かと御支援、御指導いただくと思います。まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  では、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十六分散会