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1955-07-12 第22回国会 参議院 建設委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月十二日(火曜日)    午前十一時四分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     石川 榮一君    理事            石井  桂君            赤木 正雄君            近藤 信一君            武藤 常介君    委員            石原幹市郎君            小沢久太郎君            西岡 ハル君            宮本 邦彦君            北 勝太郎君            村上 義一君            湯山  勇君            田中  一君            堀木 鎌三君            遠藤 柳作君   国務大臣    国 務 大 臣 竹山祐太郎君  政府委員    建設大臣官房長 石破 二朗君  事務局側    常任委員会専門    員       菊池 璋三君    常任委員会専門    員       武井  篤君  説明員    大蔵省理財局地    方資金課長   牧野 誠一君    建設省住宅局住    宅建設課長   鎌田 隆男君   参考人    東京都副知事  佐藤  基君    東京財務局長 畑 市次郎君    東京建築局長 藤本勝満露君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○公営住宅法第六条第三項の規定に基  き、承認を求めるの件(内閣提出、衆  議院送付) ○参考人の出頭に関する件   ―――――――――――――
  2. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  ここで皆さんに御紹介申し上げますが、埼玉地区参議院議員補欠選挙におきまして、遠藤柳作氏が御当選になりまして、当委員会委員にせられることになりました。ここで御紹介申し上げます。どうかよろしくお願いいたします。   ―――――――――――――
  3. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 「公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件」を議題に供します。  速記をとめて下さい。   〔速記中止
  4. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 速記を続けて。  では、お諮りいたします。参考人として出席要求をいたしておりました東京都知事安井誠一郎君から、昨十一日議長あて書面をもって、本日の委員会出席できない旨の回答がございました。理由は、全国知事会が開催せられておる、同君が会議の会長を務めておるために、不本意ながら出席し得ないとのことです。そこで副知事佐藤暴君代理として出席させるから、よろしく御交渉いただきたいとの御返事でございます。以上のような次第でありますので、この際佐藤知事及び東京財務局長畑市次郎氏、東京建築局長藤本勝満露氏、この三氏を参考人として本件の御意見を聞くことにいたしたいと思いますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 御異議はないと認めます。それでは佐藤参考人及び藤本参考人から御意見を承わることに決定いたしました。  御意見を聞きますことは、「公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件」についてでございます。参考人の方の御出席を願います。  参考人の方々にお願いいたしますが、大へん失礼ですが、副知事佐藤君、財務局長畑君、建築局長藤本自己紹介をお願いしたいのですが……。佐藤君。
  6. 佐藤基

    参考人佐藤基君) 私佐藤でございます。知事代理として参りました。どうぞよろしくお願いいたします。
  7. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 財務局長畑市次郎氏。建築局長藤本勝満露氏。暑いから上衣をお取りになって下さい。  質疑のおありの方は逐次御発言を願います。
  8. 赤木正雄

    赤木正雄君 第一期公営住宅建設三カ年計画都道府県別実施状況調をもらいましたが、その中で、東京都は、二十八年度に五千三百六十七戸、マイナスは千戸、二十九年度に四千九百十戸、マイナスは千五百戸となっております。都民の多の人々は一日も早く住宅建設されるのを要望して、ことに東京都のごときは一そうその要望が多いと思います。しかるにかかわらず、東京都で、お話したように住宅は十分建っていない。その原因、いろいろな事情がありましょうが、それを詳細にお話し願いたい。
  9. 佐藤基

    参考人佐藤基君) ただいまお示しのように、三カ年計画が予定通りいかなかったということは、私どもといたしましても非常に遺憾に存じております。ただどうしていかなかったかという問題でありますが、これについてはいろいろ事情もあると思いますが、要するに財政関係なのであります。さらにこれをもう少し敷衍しますというと、一戸当り単価というものの決定について、東京のようなところは他の場所と違って相当単価が高いんであります。ところが、政府で決定しておる単価というものは、必ずしも東京実情に合わない。そこでその補助単価を基礎として二分の一とか三分の二の補助を決定せられる。しかしながら、実質上の問題といたしましては、二分の一にはもちろん足らんし、三分の二にも足らんと、そこで財政的のギャップが生ずる。そういう関係で、そういうものを何とかして埋めなきゃならんという関係があります。ことに過去三年間の財政計画を見ますというと、これは御批判もあるかと思いますが、公債財源に相当大きな額を期待しておったんであります。ところが、財政あるいは金融の事情等からこちらで期待しただけの公債発行が認められないという状況になりました。そうかといって公債が認められないからその限度においては建築を打ち切るということはいたしませんで、都の財政の許す限り他の財源、つまり税財源でございますが、一般財源からできるだけの補充をしたのであります。ところがここに表にあります通り、結果といたしましてはこういうふうな遺憾な結果になったのであります。なお、公債発行についての政府許可、これは私どもから申しますと、その許可が適時に行われますれば、建築も比較的早くできるのでありますが、何と申しましても、年度末の二月、三月ころに許可になったのでは、かりに許可になってもその金を使う立場になりますというと、とても建築が間に合わないので、そういう点も政府において十分お考えを願いたいというふうに思っております。大体はそういうことでありますが、なお詳しいことにつきましては所管の局長から必要によって御説明いたします。
  10. 赤木正雄

    赤木正雄君 今のお話はばくたるものでありますが、なお詳細にその点を確かめておきたいと思います。
  11. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) ただいま副知事から御説明をいたしました通り、まず補助単価の問題でございますが、これは政府全国的な基準に基く補助単価と、それから東京都の実際に基く補助単価との割合でございますが、この点につきましては、まあ、現在におきましては相当認められておりますけれども、当時におきましては、実績基準単価というもの、ことに土地購入につきまして、購入単価開きが相当ありまして、結局全体といたしましては、半額補助ということになりますが、実績面においては大体四割程度に当るような状況になっているわけであります。また起債財源につきましては、この時期のずれと、それからその額の問題とがあるわけでございますが、実は二十七、二十八、二十九年度、この三カ年間におきまして、当初の予算において四十四億八千七百万円を当初予算に計上したのでございますが、三カ年間の間に承認をされた額は合計十六億五千万ということになりまして、差引未承認が二十八億三千七百万円、こういう状況でございました。しかし先ほど副知事が申しましたように、起債が未承認になっているから仕事をしないというような状況ではなくて、この二十八億三千七百万円を一般財源に振りかえて仕事をしたわけでございますが、その振りかえた額は合計におきまして二十三億二千七百余万円を一般財源に振りかえておるわけでございます。従って差し引き五億円程度は結局起債部面におきまして未消化になった、一般財源を振りかえるだけの財政余裕が得られなかった、こういうような実情でございます。なお起債の時期のおくれましたことにつきましては、これは仕事をやります私たちといたしましては結局この気候のいい、しかも年度前半期承認をいただけるということになりますれば、仕事計画もそれからまた仕事の能率も非常に工合がいいのでございますが、諸般の状況からおくれておるというために、どうしても仕事が勢い繰り越しが出てくる、繰り越しのほかにさらに未消化分も出てくる、こういうような関係になるわけでございます。以上でございます。
  12. 赤木正雄

    赤木正雄君 今補助単価が実際に非常に安い、あるいは半額補助が四割程度にしか当らないというお話がありましたが、これは場所によっていろいろとありましょうが、具体的の例を一つ話してほしい。
  13. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 補助単価の点につきましては、建築費の方の関係はそれほどの開きを示しておりません。主として宅地取得の点におきまして相当の開きをきたしておるようなわけでございます。具体的に……。ちょっと今具体的の資料を……、この資料の中に入っておりますから、ちょっとお待ちを願いたいと思います。すぐ申し上げます。
  14. 赤木正雄

    赤木正雄君 今お手元にないようでありますが、この建築費の方にいたしましても、あるいはことに宅地の問題にいたしましても、やはり今後どういうふうにこの法案審議の上にわれわれ考えなければならぬかという点がありますので、なるべく早くこの実際問題を私は伺いたい、それによってやはり建設省の方にも、質問せんければならぬかと思いますから……。
  15. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 建設省の方にちょっと伺っておきたいのですが、いわゆる補助なんかの単価の見積りは全国全然一律でやっておるわけですか。
  16. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 全国一律ではございません。
  17. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 大体どういうふうになっているのか、大まかでいいですから……。
  18. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 予算は御承知通り全国一本の、建築費につきましても、土地費につきましても全国一律の単価ではじいておるわけでございますが、それを実際に配分します際には、その土地々々の大体の建築費状況、並びに土地取得費状況、これを勘案いたしまして差等をつけて配分をいたしております。
  19. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 もうちょっと具体的にどうですか、全国どのくらいの段階に分けているのか。
  20. 鎌田隆男

    説明員鎌田隆男君) 公営住宅単価につきましては、実施単価につきましては建築費の方と土地費の方との分け方で多少違いますが、建築費につきましては特地区イ地区ロ地区ハ地区と大体四段階に分けております。それから土地につきましてはややその土地々々によって違いますが、五段階に分けております。その組み合せでできております。
  21. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 そうすると建設省の方では大体土地建築費なり、その地方実情を見て、そう無理でない単価をはじき出してやっておるつもりですかどうですか。
  22. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) まあこれは全体の予算基準単価の問題に関連のある問題でございますが、やはり先ほど東京都からお話がありました通り、従来十分の実情に合う補助単価というところまでいっていなかった部面もあったかと思います。お話し通り東京都におきましては本来五割補助すべきものが実際には四割程度というお話がありましたが、具体的の数字につきましては一応別といたしましても大体それに近いような結果に昨年などはなったんじゃなかろうか、かように考えております。
  23. 赤木正雄

    赤木正雄君 かりに建設省といたしましては毎年ごとにどれほど補助して、どの府県がどれほど住宅を建てたということはこれは調査しておられるのでしょうね。
  24. 鎌田隆男

    説明員鎌田隆男君) はい。
  25. 赤木正雄

    赤木正雄君 もしも調査しておられるならば、二十八年度において東京都においては、今官房長お話通り補助費も少いんだ、その結果こういうふうに千戸も建たなかった、そういうことを御承知でありながらなお補助費を増さなかって、そのために結果は二十九年度にまた家が建たないのは当然ですが、そういうことを知りながらなぜ補助を増さなかったのです。
  26. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 一番の問題は、土地取得費でございます。御承知通り最近ここ数年間土地費の値上りが非常に急激でございまして、十分の土地費を見込むことができなかったわけでありますが、この公営住宅全体について昭和三十年度予算について申し上げれば、土地費がこれは耐火木造とで分けてございますが、木造は大体まあ土地費の安い所に建つという前提に立つわけでございますけれども、昨年は一律に一戸当り四万五千円でございました、それを今年は耐火分につきましては六万円に上げて予算を編成いたしております。なお東京都、その中でも土地費が高いと申しましても特に東京が問題でございます。東京公営住宅用地費につきましては特にこの点を考慮いたしまして、昨年は第一種公営住宅について申しますれば一戸当り八万円の土地費補助基準にしておったわけでありますが、今年は先ほどの配付いたしました暫定予算におきましてはこれを十四万円に上げております。あるいはまだこれで不十分かと思いますけれども、一応今年はこういう措置をすることによりまして昨年までのようなことは、この単価に関する限りは昨年までのようなことはなかろうと一応考えております。
  27. 赤木正雄

    赤木正雄君 今二月当り八万円とおっしゃいましたが、これは何坪ですか。坪当り……。
  28. 鎌田隆男

    説明員鎌田隆男君) 鉄筋コンクリートにおきましては大体におきまして一戸当り二十坪要るわけでありますから、その地坪当り負担は、八万円を二十坪で割りました四千円でありますか、今度は十四万円をやはり三十坪で割りますから約七千円であります。
  29. 赤木正雄

    赤木正雄君 単価坪当り七千円ですが、それは一体どういうところの土地東京都においては得られるお考えなのでしょうか。こういうふうに東京都はだんだん土地が上っております、それで一般の人が住み得るような土地に一万円より低いような坪当りでは、なかなか住宅として建っても、通勤にも非常に不便でもあり、またいろいろな施設もなし、それこそ家は建っても住む人が困ってしまうという関係もあり、それからこの間もとの委員会で申しましたが、このいろいろ法を審議しても、それならば交通をよくしなければいかぬ、そういうことを考えると坪当り一万円以下で、どういうところをお考えになっているか、これは具体的に知りたい、そうなれば……。
  30. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) お話し通り坪当り七千円で適当な土地を探すということは、まあなかなか困難なこととは考えておりますけれども、先ほど申し上げました通り、昨年に比べますと約倍近い増加をいたしておりますので、この範囲で一つ東京都でよく御勉強願いまして適当な土地を探してもらう、こういう趣旨であります。
  31. 赤木正雄

    赤木正雄君 これは東京都とかあるいは大阪府とかそういう問題でなしに、政府に私はお伺いしているのですが、かりに東京都下でも三多摩の奥の方はこれは坪当り一万円しないかもしれません。しかし住宅として住み得るようなところは一万円くらいで買えとおっしゃっても、東京都の人もきょう見えておりますが、行って買えるでしょうか、今度逆に政府に聞いてみたくなる、もう少し具体的に一万円で買い得るようなところはどういうところをお考えになっているのですか。
  32. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 私の方でも実は具体的に当っておるわけではありませんけれども、去年に比べまして一戸当り四千円を七千円に引き上げたこちらの趣旨を汲んでいただいて、東京都ではこれでやっていただけるものとかように考えております。
  33. 赤木正雄

    赤木正雄君 先ほど東京都に聞いてみましても、やはり建築費、ことに土地の費用が非常に上っている。こういうようなお話なんです。でありますから、それを考えると、果して東京都にたくさん家を建てて一般住宅を困らないようにしなければならぬと思っても、政府の要望し得るように一体東京都は金を出し得るかどうか非常に問題だと思うのです。また東京都のマイナスの数がふえやせぬか、そういう結果も考えられるのです。私はせっかく東京都の方がおられるのですから、両方から聞いたら一番はっきりするだろうと思うのです。
  34. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 都のほうから七千円くらいでどこにあるか、具体的に聞きたい。
  35. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 七千円、いわゆる環状線の中は私の方としては今の政府関係、都の一般財源との関係もございますので、環状線の中で一万五千円以上というのはざらにございますが、それは公営関係には予算措置としては持っていけないのでございます。そこでせっかくありましても、お断わりをせざるを得ないという実情でございます。そこでいわゆる鉄一筋を建てる、ことに環状線前後付近から中の方は八千円から一万五千円の間くらいで買いたいという希望でせっかくあせっております。それから一万円から六千円くらいの見当は、今度は環状線の外から二十三区の一番先のほうに行く手前でございますが、ぐらいのところが結局六千円から一万円くらいの間で買おう、そういう方針で進んでいる。それから先は四千円、三千円という値ぶみで、いわゆる北多摩とかあるいはこの二十三区の外廓の方の練馬とか、あるいは世田谷の外側の方は、そんなようなめど購入しているわけであります。全体のおさめ工合といたしましては、やはり公有地の問題、それから過去に借地をしておる地所がございますが、そういうようなところの建てかえとか、こういうのが非常に安く売りますし、あるいは五カ年保有農地住宅に転換する問題、こういうようなやつは非常に安く、一般市価がたとえば七千円くらいのところでも、二千円あるいは三千円で買える地所がございます。五カ年保有農地の転換につきましては、そういうものとひっくるめまして鉄筋の場所につきましては、平均して八千円ないし一万円くらいのところ、木造の場合でしたら四千円、五千円のところで納める、こういうめどでやっております。
  36. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 ちょっと僕も今のに関連して少し建設省に聞いておきたいのですが、大阪兵庫広島あたりが約二十九年度マイナスなんですが、これもやはり今東京都の言われるような大体同じ事情ですか。
  37. 鎌田隆男

    説明員鎌田隆男君) 傾向としては大体同じような点はありますが、一つ一つ少しずつその事情が違います。大阪には大阪府と市と両方で、それからその他の大阪市外の布施市とかいろいろな市がございますが、大体大阪マイナスになりました分は市の分でございます。それから兵庫県も同様に県営はほとんどやっておりません。市、町、そういうものが途中で工合が悪くなりまして計画変更になりましたものが入っておりますので、多少違いますが、傾向としては同じであります。
  38. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それにしても大阪は二百戸マイナスですが、六千四百六十四戸も建てておる。東京は一千五百戸もマイナスで四千九百十戸しか建っていないのだが、この東京大阪と比べた場合に、いろいろ先ほど東京都から事情は言われましたが、少し熱意というか、誠意というか、努力が足りないのじゃないかという気がしますが、どうですかれ。
  39. 畑市次郎

    参考人畑市次郎君) 東京都が公営住宅建設熱意を欠くではなかろうかという御質問があるであろうと覚悟して参ったのでありますが、そこでこの建設省から出された資料によりますと、七、八、九の過去三カ年間において一万三千六百七十二尺こういうことに相なっておるのであります。この数字はその通りでございますが、東京都がとりました過去三カ年間における住宅政策について付加して少しく説明を述べさせていただきたいと存じます。  東京都は公営住宅以外に、都単独事業といたしましていろいろやっております。戦災によりまして七五%の地域を失い、非常な災害を受けておりますので、割合東京都は富裕団体と称せられておるのでありまするが、人口増その他で財政事情は非常に最近苦しくなっております。特に衣食の問題、それから衣の問題、食の問題が解決した後におきましては、住宅行政については熱意を私ども持っておるわけであります。そこでなるべく短期間に多くの住宅を建てたい、こういう配慮から、すでに御案内と思いますけれども一般公庫住宅に対する補助貸付、頭金と称せられた一割の貸付、これも二十六年、二十七年やりました。ところがこの一割ではとてもうちが建たないというので、二十七年度限りでこれをやめたのであります。二十六年、二十七年二カ年におきまして六千百四十四戸分に当るだけ補助を出しておる。  それからいま一つは、他の道府県でいまだ試みておりません一つの方法をとっております。と申しますのは、民間の自力によって建設しようとする熱意のある人々に対して二十八、二十九、三十、二十八年からでありますが、当初大体土地買収、建物の建設費その全体に対して大体三分の一の貸付をしようということで今日まで参っております。それが二十八、二十九、二カ年にわたりまして五千二百四十二戸これをいたしております。私先般関西の地方へ参りまして、この事情をつぶさに検討を加えたのでありますが、まだこの方式をとっておる府県というものは、私あまり聞いておりませんが、そういうことで自力建設の助成という意味でさような措置をとっております。  それからいま一つは、住宅協会に対する補助貸付、例の二割五分の補助貸付でありますが、これはずっと今日までやっておりまして、これが七、八、九、三カ年にわたりまして三千戸こういうことになっております。従いましてこの建設省から出てありまする一万三千六百七十一以外にこの都単独事業といたしましてやりましたその戸数を足しますと、合計三万八千戸になっておるわけでございましてこの点は一つ御了承をいただきたいと思います。  それからいま一つ委員長いま五分ばかりよろしゅうございますか、申し上げたいことは、全体の都の行政においてほかの行政費に対して一般財源である税の、住宅建設に対する充当額が少くはないかという私ども疑念も持ち、皆さんからもあるいはそういうおしかりを受けるのではなかろうかと私考えておったのでありますが、これはそうではございません。首都建設のために道路の復旧、復興やら、あるいは区画整理やら、それから六三制整備等、いろいろ緊急実施しなければならん仕事が山積しておるのでありますが、特にこの住宅行政に対しましては公営住宅、それから都単独事業、これらに対する税充当額というものは決して少くはないと、こういうふうに申し上げてよかろうと思います。御案内通り東京都はまだ二部教授の撤廃の域に達しておりません。二十六年から今年度まで千五百教室やろうというのでありまするが、いまだ来年の四月におきましても二部教授を存続しなければならんというような状況下にあるのであります。これは全国都道府県それらに対しまして比較した場合において、二部教授は非常に飛躍的に多いという状況でございまして、二部教授の解消のためにする従来の税充当額と、それから公営住宅と、それから都単独住宅、それに対する税充当額は大体同等額になっております。幸いに二十八年度におきまして義務教育の教員に対して国庫負担金の二分の一をいただくことになりましたので、その際に二部教授の方へは若干の税を充当したわけでありまするが、それにいたしましても今申し上げたような状況で、これ一つとして満足に私ここで説明できないような状況でございます。この点は住宅行政に対して都が非常に熱意が薄いということはないということを一つ私から申し上げたいと思います。ただ遺憾ながらこの住宅建設につきましては、その他の投資的経費における場合と同様に、起債財源にある程度依存せざるを得ないというのが現状であります。二十七年度におきまして起債が一億、二十八年度に三億、二十九年度におきましては、二十九年度分といたしまして十億いただいたのであります。これは二月のころにおきまして四億、それから三月ぎりぎりの決着において六億ということでございます。従来非常にそういう面でこの起債承認がおくれたこと、また都の特殊性にかんがみまして、いま少しいただきたいが、なかなかいただけないというようなそれらの事情が錯綜いたしまして、まことに申しわけないような現状でございますが、以上を申し上げましてこの点を御了承いただきたいと存じます。
  40. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 ただいま都の方のお話しで、都の実情に即したやり方でいろいろやっておられる事情がわかりまして、ある程度了解できるのでありますが、しかしこの表を見ますると、都営住宅建設の今までの実施状況を見ると、いかにも東京都だけが非常に成績が悪くて、実は公営住宅建設全体についてもわれわれ少し疑問を持つような面まで出る状態なんで、この点はもう少しやはり東京都としても建設省とよく打ち合せ、連絡をとられてやってもらいたいと思うのでありますが、また建設省の方も全然実情に沿わないような単価計画されておるということであれば、同じ来方を繰り返すに過ぎない。これは私どももう少し検討してもらいたいと思います。  それから副知事に一点承わっておきますが、この間の委員会でも、これからいよいよ住宅建設公営なり公団なりいろいろ始まるわけでありまするが、今でもすでに東京都の人口が少し集まり過ぎて、過大というか、膨大都市ができかかりつつあるのであります。これは今後食糧の面、あるいは屎尿処理の問題、あらゆる面で非常な困難な、大き過ぎる都市になるんじゃないかと思うのでありますが、だから今後住宅建設される場合に、あまり遠く持っていけば、交通の面いろいろありまするけれども、非常に膨大に過ぎる集団都市ができても、困るんじゃないかということについて何か考慮を払われつつ将来の建設計画考えておられるかどうか、そういう構想について一つ承わりたい。
  41. 佐藤基

    参考人佐藤基君) ただいま石原委員から申された通りきわめて同感でありまして、御承知通り東京は毎年三十五万ないし四十万という人がふえ、非常な過大都市になる心配があるので、これをどうすればいいかというようなことは、首都建設委員会とも連絡いたしまして目下研究しておるのであります。たとえば衛星都市と申しまするか、周辺に適当な集団を設ける、その設けるために産業の分布をどうするか、あるいはまた都内における、ことに繁華街におけるところの工業地帯と申しますか、そういう所の工場等を制限することがいいかどうか。そういうふうな問題に関連しまして、過大都市にならないように何とかしたいということは、一生懸命に研究しております。住宅問題もそれに関連して研究しておる次第でありまして、ただいま石原委員のおっしゃる通り過大にならんような方途を講ずるつもりでおります。
  42. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 もう一つ承わりたいのでありますが、これは一つ計画とか研究するということだけでなしに、やはり首都建設委員会等でも真剣に考えてもらって、それから今の政府住宅問題を一枚看板にやっておるのでありますから、禍根を残さんような住宅建設を都市計画と関連して私はやってもらいたいと思う。それと関連して地方鉄道なんかが沿線の土地を提供して、これは自分の会社の将来の利益をはかろうというようなこともあろうかと思いますが、そういうふうなことによって、割合に遠く離れておるが、比較的便利なところで、安くいろいろな住宅建設ができるのじゃないかというようなこともありそうに思うのでありますが、そういうようなことはどうでございましょうか。地方鉄道、郊外電車等と連携をとって、少し離れても比較的便利なところへ集団住宅を作っていくというような、そういう構想を幾らか考えておられますか。そういうことは話はあるけれども、実際問題としてはそういうことはないか、何か御意見を承わっておきたい。
  43. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 住宅建設につきまして、やはり一番現在大事なことは、交通機関との関係、もちろんその他の水道とか、下水とか、あるいは道路の問題もございますが、交通機関の関係はやはり都市生活においてきわめて重大な問題でございますので、公営住宅を建てる場合、その他の都単独住宅を建てる場合でも、非常に大事でございまして、ただいま副知事から申し上げましたように、大きな構想の中で、やはり独占的構想における都市のほかに、やはり通勤都市というものを構想に考えております。主としてその構想は、できるならばやはり国鉄線、省線の利便する場所を第一義的に考え、その次が私鉄関係の沿線、それからさらにはバスの利用度というものを考えておるわけでございます。第一義的には国鉄の利用というような線から、そういうようなものを構想に考えております。
  44. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私の言ったのは、私鉄とかそういうようなところに協力さして、割合に安くその付近の土地を出させて、自分の会社もこれは将来利益するのでありますから、そういうことによって比較的安くていい場所が得られはしないだろうかという気持なのですが、そういうような具体的な何はないのですか。
  45. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 具体的なそういう点についての交渉というようなものは、現在持っておりません。
  46. 赤木正雄

    赤木正雄君 先ほど都単独として三万数千戸をお建てになっている、これはけっこうなことであります。これには民間住宅資金に貸付けするとか、あるいは住宅協会補助貸付けしているというようなお話しでありますが、一方幾ら建築費が高くても、国からとにかく補助していくのでありますから、補助する方の仕事には都としても金をお出しになった方が、都全体の財政にはいいように思うのですが、そこに都単独仕事をするよりも……、その観点で何かありはしないか……。
  47. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 先ほど財務局長から三年間に三万八千と言いましたが、これは二万八千で、ちょっと間違いましたですが、戸数としては二万八千でございますから訂正いたします。それから結局どちらが利益かということにつきましては、私たちの考える点は、一つは現実に住んでいる都民各位の御要望の非常に熾烈である点を考慮に置きまして、それからもう一つ財政的にどういう結果をもたらすかというような点を考慮いたしておるわけですが、たとえば三年間に公営住宅を一万三千余戸作りましたが、これの中で都といたしましては起債を含めまして四十四億五千七百万円を使っております。ところがその他の都単事業、都の単独事業といたしまして、この三年間に使いました金は大体十億でございます。十億便いましてできました家の数は一万一千三百戸程度ができております。要するに都で単独でやって金を貸し付けたりしておる事業の方は、一万一千戸の家が建つのに、約十億を都は出しておる。ところが公営住宅の場合は一万三千戸で、都費負担だけで四十四億五千七百余万円になっておる、こういうような実情でございます。必ずしも質的に、またあるいは都市計画的に見まして、都単独事業がすぐれているということは大いに考慮に値いいたしますが、現下の住宅逼迫の緊急度合い、いわゆる都民の御要望の度合いというものもあわせ勘案し、財政面とにらみ合せて、こういうような実情になっておるようなわけでございます。
  48. 赤木正雄

    赤木正雄君 これは建設省にお伺いいたします。都といたしましては単独で、十億くらいな金で一万一千三百戸も建ちます。公営住宅には四十四億を費して一万三千六百七十一とこういう結果になりますと、やはり住む方の人あるいは都の財政からいいましても、東京都には公営住宅の金は三十年度から一文もお出しにならないで、全部都でやってもらった方がよくはありませんか。
  49. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 実は私どもはそうは考えませんので、(「おかしいな」と呼ぶ者あり)やはり公営住宅は国の費用と地方公共団体の費用を最もよけいに要するものであります。最も多額の国費と地方費を要するものであります。その結果は住む人から申しますと、最も経済的負担が少くて住む方が利用できる結果になるかと思います。従いまして東京都がなるほど比較的少い金で多くの住宅建設の助成をなさっておること、まことにこれはけっこうでありますが、私どもといたしましては、やはり公営住宅趣旨は生かしていただきまして、この五万戸のうち東京都まで幾らということはきめておりませんけれども、その分はぜひ作っていただきたい、かように考えております。
  50. 赤木正雄

    赤木正雄君 それは建設省の独善で、つまり住む人々もいろいろ調べてみなければわかりませんが、十億の金で一万一千三百戸建てまして、どういう人が住んでいるのか、一々調べてみなければわかりません。けれどもかりに考えてみまして、とにかく約四分の一くらいの金で大体同じ家が建つ。それならば、住宅はこういうふうに二百七十万戸もとにかく足りなくて困っておるという観点から言うならば、一日も早くたくさん建てた方が、建てるように措置した方がいい。そうすると、東京都のごときは今言う通り都単独でやってもらえば、どんどんわずかな金で建つ。何も建設省が無理をして東京都に公営住宅を建てなくてもいい。
  51. 石井桂

    ○石井桂君 私東京都のことにあまり口を出したくなかったのですが、ただいまのような御説明であると、当然赤木さんのような疑問が出る。一体この公営住宅を除いて都単独事業をやるということで、これをおやめになったところを見ると、こっちは家賃が高くなる。そういうことでそちらの方に主力を置いたごとき御説明では、公営住宅事業負担の低い階級の住宅政策をないがしろにしたという方向に進んでいるかのごとき印象を与えるような御答弁でありますので、たとえ私が東京都出身であっても、これは東京都の住宅政策に鼓を鳴らして責めなければならない、こういうふうな立場になりますから、もう少し御親切に、納得のいく御答弁を承わりたい。
  52. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 先ほどの説明にちょっと足りない点がございました。都民の各位の御要望、御承知のように都民に相当の階層がありまして、どんな階層からも住宅の不足の声を聞いております。先ほど十億かけて一万一千戸も建てたということの御説明を申し上げましたが、この階層の、利用する方にというのは、結局自己資金、自分で金の調達できるこういう力のある部面の方で、要望の強い線、こういう方に勢い家が供給されるということが実情でございますが、公営住宅の方は先ほど官房長からもお話がありましたし、また石井先生からもお話がありましたように、一種の住宅にいたしましても、月収が三万二千円から一万六千円の間、あるいは第二種の人は一万六千円以下の月収の人だ、こういうふうな比較的庶民のうちでも中以下をねらっておる。こういう階層の方々のためには、やはりあくまで賃貸、しかも低廉な賃貸住宅、そのためには公営住宅が絶対に必要だ、こういう線を考えております。金の見合いからみて戸数が上った。こういうことをもって東京都は決して満足はしておるわけではございません。やはり庶民を対象とするところの一種、二種の公営住宅がより多くできることを期待し、またその方面の都民の御要望にこたえるということは、基本の大事な線であるということをつけ加えて申し上げます。
  53. 赤木正雄

    赤木正雄君 今のお話しによりますと、結局都でお建てになっている家は、大体金持の人に金を貸して建てるのだというのに、実際住宅に困っている方の人にはあまり関心を持たんと言っては、はなはだ失礼かもしれませんが、どちらかというと、この二千五百も建っていない点から見ても、そういう結論になるのであります。そうするとこれは住宅政策としてやる場合には、われわれは実際今もって穴ぐらに住んでおる人、あるいは同居して因っている人、そういう人になるべく安居のところをあげたい。それがためには六坪の家でもいいのだというふうなことになっているのでありまして、今までの都のお考えは今日の住宅政策とは多少考えにずれがあると申しましては失礼かしりませんが、いわゆる実際困っている人、公営住宅の人、これにやはりもう少し関心をお持ちなさるべきが当然ではないかと思うのでありますが、もう一つこれに重ねて、先に私質問してまだ御回答ございませんが、建築費のことでありますが、これはおわかりになったでしょうか。実際の建築費と、先ほどの建築費が非常に違うとおっしゃいましたが、一、二の例でよろしゅうございますからそれを一つ
  54. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 宅地の点が相当違いますので、宅地の点は先ほど申し上げた通りでございます。それからお話の点でございますが、本年度のごときは、従来の半額貸付、たとえば先年度は三千戸取り上げましたが、本年度はこれを二千戸にいたしております。それから今度は、一般庶民住宅としての公営住宅は、先年度実績四千五百戸程度になっておりますが、本年度は六千戸の公営住宅を確実にやってゆくつもりで予算措置も講じ、その態勢でやっておるような状況でございます。
  55. 佐藤基

    参考人佐藤基君) ただいま建築局長説明、多少都の気持が誤解されたような気がするので、ちょっとつけ加えておきたいと思いますが、私も実は最近都に入りまして、一般庶民のための公営住宅とか比率の問題、公営住宅は割当をやらないでおいて、できないでおいて、他の住宅の方に相当力を入れておるような気がしたので、国の住宅政策の見地から私も若干疑問を抱いたのであります。それでよく調べますというと、過去三年の公営住宅につきましては、予算関係、特に起債関係において、結果から見ると相当無理があった。先ほど財務局長から説明いたしました通り、初めの起債は四十四億でしたか、四十四億の起債予算に組みまして、実際承認されたのは十六億であった。こういうふうなことは、結果から見ましても、起債によるという度合いが強かったので、これがまた結果におきまして、公営住宅が十分できなかったという一つの原因にもなる。今年度においてはそれらの点を考えまして、当初の予算におきまして無理な起債計画をしない、なるべく現実に合うような起債計画をするという建前で、起債にたよる部分を比較的少くいたしました。これによって公営住宅建築も従前よりはずっと予定通りにゆく可能性がふえた。もちろんわれわれといたしましては、予定通り予定計画全部やるつもりでおりますけれども、これはやってみなければわかりませんが、過去三年のような数を余らせるようなことはないと思っております。なお公営住宅以外のものにつきましても、建築局長住宅の数を何とかしてふやしたいという一念から、先ほどああいうような説明をいたしましたのでありますが、これは都といたしましては、やはり考えは、何と申しましても公営住宅が中心であります。ただわずかの金で、公営住宅に入る人から見れば持てる階級になりますが、そういうものの要望も非常に強いので、かたがたそういうものをちょっとやったという程度と私は考えております。従って建設省政府考えられる公営住宅が第一義のものであり、またこれに最も力を注がなければならぬということは、都として十分に考えております。
  56. 湯山勇

    ○湯山勇君 東京都の住宅、ことに公営住宅建設計画が意のごとくならなかった大きな理由として、起債が四十四億承認されなかったということをあげておられるのですが、このことについては、当然こういう計画を立てる以前に建設省当局とよく話し合いをなされていなかったと思います。建設省はこの四十四億の起債について、当時何らかの言質を与えておったかどうか、確約をしておったかどうか、これを承わりたい。
  57. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 確約はもちろんいたしておるわけではありません。自治庁とはいろいろ打ち合せはいたし、また東京都と私の方と、自治庁、大蔵省等といろいろ相談をしてやったことと思いますが、結果におきまして計画がその通りいかなかったということは、やはりどこかに欠陥があったのであろうとかように考えております。従いまして私どもとしましては、過去のことはいろいろせんさくしましてもしようがありませんので、昭和三十年度におきましては私どもといたしましては、自治庁、大蔵省とはその大筋につきましては話し合いをつげておるつもりでございます。簡単に申し上げますと公営住宅、これには公団住宅に対する出資十六億を含みまして、それの六割程度、つまり一般公共事業と同様でございますが、その程度地方債を認めよう、さらに富裕県とその他の県というものの区別も実際問題としてつかないように処置しよう、こういうことで自治庁とは私どもの方と了解をつけておるつもりでございますが、実際にこれを実行するに当りましては、従来も十分やっておったとは思いますけれども、今年は特に住宅政策政府も重点を置いておるわけでございますので、これまでのような少くとも結果において計画を実施できなかったというようなことのないように、十分の努力をいたしたいとかように考えております。
  58. 湯山勇

    ○湯山勇君 私は過去のいきさつはあまり知らないのですが、この二十七年、二十八年、二十九年の三カ年計画についても現在と同じような措置がとられたわけでございますか。当時はそういう措置はとられていなかったか。
  59. 畑市次郎

    参考人畑市次郎君) およそ予算を組むに当りましては、確信を持って組まなければならんのでございますが、これはすでに御案内のように、たとえば地方財政計画におきまして政府が毎年度公募債なら公募債のワクで幾らというワクをきめるわけであります。そこで私ども大蔵当局に折衝した場合に、地方財政計画における公募債のワクというものは、いよいよ市場公募をいたしたいということで日銀でワクをきめるのでありますが、争ういうことになりますと、つまりそれが三分の一あるいは四分の一になってしまう。かように当初きまったことであっても、実際にはそれが実現しないというのが現実の姿であります。その原因としましてはディスインフレ政策な実行するに当って、予算規模を国でもって圧縮するだけではいかん。今度は実際にその金融の面で圧縮しなければならぬというようなお考えであるやに私も承知しておるのでありますが、当初なかなか起債を幾ら認める、東京都に対して認めるというわけにも政府は相ならず、われわれの方としましては都の財政の全体の需要というものを勘案いたしまして、それぞれの適債事業について起債財源を充当するわけであります。年度の初めからそれぞれ関係当局にもお願いをし、大蔵省にもお願いするのでありますが、なかなか結論が出ない。結論が出ていよいよ起債許可が出ますころは、どうしても年度の終り近くになるというようなことであります。政府におかれましても、特に建設省では住宅についてはかねがね格段の配慮をしていただいておるのでありますけれども、なかなかこの起債問題につきましてはスムースにいかんというのが現状でございます。従いまして予算執行に当りまして相当額が、住宅ばかりではございません。その他の仕事につきましても、翌年度事業が繰り越されておるというのが現状でありまして、私どももはなはだこれは遺憾と思い、申しわけないと思っております。実情は右に述べたような次第でございます。
  60. 湯山勇

    ○湯山勇君 これは大臣にもお聞きしなければならないと思うのですが、「内閣は、昭和二十七年度以降毎年度、国の財政の許す範囲内において、国会の承認のあった公営住宅建設三箇年計画を実施するために必要な経費を予算に計上しなければならない。」こういう規定があります。そうするとこの計画が当時こういう手続を経て立てられたものだとすれば、今東京都のおっしゃったような四十四億の起債というようなことについても、一応閣議でも決定しておったと思いますし、内容としてはそれから政府もこのことについては、十分自治庁がどうとか、大蔵省がどうとかいう問題ではなくて、政府として、内閣としてこれは了解しておったことだと思うわけです。それが今日今までお話しのあったような事態になったということになれば、今度出されたこの承認を求める件についてもまた同じような心配が私はあると思うのですが、これについては官房長、どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  61. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) ただいま御指摘になりました条文は、予算上の措置というふうに考えておるのでございまして、その文面から申しますと、融資の問題、地方債の問題というのは、必ずしもその法文の中に正面から入らないかと考えますけれども、国の予算につきましては今年の五万戸につきましては、まあ不十分という御意見もあったかと思いますが、一応予算措置を講じておるわけであります。来年以降今後二カ年の問題でありますが、これにつきましても実はこの計画戸数が第一期に比べて少いのじゃないかというような御意見もあろうかと思いますけれども、私どもはこれを必ず実行するという建前で計画いたしておりますので、後年度予算措置は必ず講ずるつもりでおります。なお、後年度予算外のいろいろの措置につきましては、今具体的にきめてはおりませんけれども、今年の措置につきまして、先ほど申し上げました通り措置を、正式に閣議で決定したというまで内訳ができておらんと思いますけれども政府として所要の予算外の財政援助の措置考えておりますので、そういう方針が今後におきまして継続されるものと私は確信し、またそういうふうに必ず努力いたしますということをお答え申し上げます。
  62. 湯山勇

    ○湯山勇君 そうすると官房長は努力することをお約束になりましたけれども、しかし実際今東京都の方でおっしゃったようになるほど一応予算面に出てきたものはその計画通りのものが出たにしても、それに伴う起債等が将来どうなるかによって、せっかく立てたこの計画がどうなるかわからないという運命にある、このことは確認してよろしゅうございますか。
  63. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 先のことでございますから、いろいろ条件が違う場合に、この計画が動く可能性があるかと思います。念を押されればその通りでございますけれども、私ども公営住宅三カ年計画は今後の国民経済の伸びを勘案いたしまして、無理のない計画を作っておるわけであります。従いまして国の予算なりあるいはその他の政府資金というものは、大体そういう国民所得の伸びとか、国民の経済力の伸びに応じて変遷する、推移するものとかように考えておりますので、お尋ねのような場合は、理論的にはそうかもしれませんが、実際問題としてはこれが実行不可能になるというようなことは、今日の段階では予想いたしておりません。
  64. 湯山勇

    ○湯山勇君 東京都の方へお尋ねいたしたいと思います。起債承認が少かったために、こういうことになった事情は、一応わかったにいたしましても、ただいまいろいろお聞きしたように、そういう事情は単に東京都だけの問題ではなくて、全国の同じような問題であると思うわけでございます。それから先ほど都としての独自の住宅政策でもって三万戸近いものを建てられたというようなお話もございましたけれども、これも各府県ともに民間自力建設、そういうことはそれぞれの方策で、ただ同じような方法でやっておるかどうかは別といたしまして、それぞれやっておりますから、そうしてまた今年度以降の住宅計画にも、こういう民間自力建設の奨励とかその他の方法が講じられておりますから、これは必ずしも東京都が特に住宅政策に力を入れておるためにできたのだという証拠には私はならないというように思うのですが、これは大へん失礼な聞き方かもしれませんけれども、一応この点はっきり一つしていただいて、あとお聞きしたいと思います。
  65. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 起債の獲得につきましては、過去におきまして苦い経験を持っておりますので、本年度は先ほど石破官房長からもお話がありましたように、建設省を初めといたしまして関係省におきまして非常にお力をいただいて、協議しつつ、本年度起債東京都の起債計上についても十分注意、慎重にいたしまして、その獲得のめどを作って計上いたしてございます。従ってその消化の点についても、相当それに近似した結果が生まれ、仕事も相当実施面で成績が上ると確信いたしております。なお、東京都独自の仕事につきましては、他の県と変らないじゃないか。変らない部面も多々ございますが、変っておる部面もあるわけなんでございます。また絶対の戸数が相当にやはり東京都はふえております。一番変っている部面といたしましては、賃貸住宅公営住宅を建てる場合には、都下の市町村の建てる住宅につきましては、東京都は賃貸住宅の重要性を考えまして、積極的にやはり標準単価の四分の一程度をその市町村に交付しております。これは他の府県ではやっていないのでございます。国のいわゆる標準価格の二分の一のほかに、東京都としては四分の一を補助しております。そうして賃貸公営住宅の市町村公営住宅の促進をはかっております。その他貸付住宅という仕事も年々二千戸ないし三千戸やっておりますが、これもあまり他の府県でやっていない住宅、まあやっておる県もありましょうが、東京都が率先してやっておるようなことでございます。それから都の予算を使わない分譲事業というようなもの、これは他の府県とともども仕事を進めておるような状況でございます。
  66. 畑市次郎

    参考人畑市次郎君) ちょっと私から……。今まで私ども少しつべこべ申し上げて恐縮に思いますが、本年度安井知事は私どもの首脳部会議において、どうあろうと公営住宅予算に計上したものは、これは完全に実施をするという決意でゆけ、こういうわれわれに対して命令でございます。で、今藤本建築局長から話しがありましたが、そういう場合においてそれでは財源はその通りゆくかというと、起債財源が若干ございます。起債財源もこれだけは何として本皆さんの御配慮をいただいていただきたいのでありますが、ここで私はこれを申し上げるのはいかがかと思いますが、財源のそれは十分に配慮をしなければいけませんが、とにかく予算に計上したものは翌年度へ繰り越すことのないよう、完全実施する決意で三十年度は臨んでおるということだけ私から、財務主管局長としてここで申し上げさしていただきたいというので立った次第であります。
  67. 湯山勇

    ○湯山勇君 私がお尋ねしたのとは少し御答弁が違っておりましたけれども、一応それはそれだけにとどめまして、今年度三十年度東京都はそれではどれくらいな公営住宅を引き受けられるか、これは第一種、第二種の別はあると思いますけれども、どれくらいを引き受けられる力を持っておるというようにお考えでございますか。
  68. 佐藤基

    参考人佐藤基君) 現在の予算におきましては六千五百戸にいたしております。そのうち五百戸というものは、先ほど建築局長から申しました市町村、東京都内の市町村が建てる、それに対して四分の一補助するというのであります。従って公営住宅全体で六千五百戸であります。
  69. 湯山勇

    ○湯山勇君 それから公営住宅法第六条によりまして昨年の五月三十一日までには都の計画をお出しになったことと思います。従って三カ年計画ですね、これは全部明らかになるまいかと思いますけれども、三十年度は六千五百、それから三十一、三十二は大体どういう御見当でございましょうか。
  70. 畑市次郎

    参考人畑市次郎君) ただいま佐藤知事から申し上げた六千五百戸は今年度のただいまの現状であります。財政事情さえ許しますならば、もう何ぼでもやりたいと思っておるのでありますが、これはなかなかそうも参らん状況でございます。従いましてこの住宅建設をするためには、本年度は二部教授の解消はなるべくしたいという努力は払っておりますが、ほかの事業につきましては、前年度よりも規模を圧縮しなければならんというような現状であると思います。そこで来年、再来年の問題、これは今はっきりと何ぼというものの結論は出ておりませんけれども、税の伸び、あるいは他の経費の縮減とかいうような点を考えまして、少くともどういう事情があろうが、本年度よりはなお若干上回った、できるだけ上回った住宅を建てたいという今気持でおるわけでありまして、今三十一年度、三十二年度、これにつきましてはさだかに数字を申し上げられない現状であることは、まことに申しわけない次第でありますが、そういう気持で今臨んでおります。
  71. 湯山勇

    ○湯山勇君 これは私ども、まあそういう実質的なこともありますけれども、この公営住宅第六条第三項の規定に基く承認というのは、知事から出された資料によりまして三カ年計画によって、建設大臣が決定をいたしまして閣議にかけ、国会の承認を求めるということになっておるわけでございます。で、過去三カ年の実績を見ると、東京都が一番問題が多い。そこで当然東京都としては過去三カ年の実績に基いて昨年の、つまり昭和二十九年五月三十日限りに、建設大臣に今年度から後の三カ年はこうだという資料をお出しになったはずでございます。それを一つ明確にしていただいて、それについてお聞きしなければ、この三カ年計画というものが前回のものと同じような性格のものか、先ほど住宅局長が言われたように今度は自信のあるものであるか、その見当が立たないわけでありますから、そこで東京都の持っておられる三カ年計画、特に公営住宅に対する三カ年計画とはどういうものかこれをまずお尋ねしたい、こういうわけであります。
  72. 赤木正雄

    赤木正雄君 それに関連して私は建設省にお伺いしたい。第一種公営住宅十万、第二種公営住宅五万五千とありますが、十五万五千をお出しになった基礎を各府県によって知りたい。これがつまり東京都に関連する。どの県にはどういう……、これがないではできるはずがない。どの府県に……、それからお尋ねしたい。
  73. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 関連して私も建設省に伺っておきたいのですが、こういう計画を立てられるときには、補助はどのくらい、それから起債のワクは大体どのくらいにする、それから地方自力負担は大体どういうふうにしてもらう、こういう一応の計画を立てて閣議の了解を得ておられるのかどうか。今まで質問があったかもしれませんが、この点を二つ承わっておきたいと思います。それによって私は自治庁と大蔵省の起債関係の人にも、場合によって来てもらってただしておかなきゃいかぬと僕は思うのです。
  74. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) お話し通り閣議に詳細な資料を出したかという、資料を出して審議したものかどうかというお尋ねでございますが、府県別の申請数でございますとか、予定計画でございますとか、そういう資料をこまかいのは正直に申し上げまして、出して閣議の決定を経たわけではございませんが、まあ私どもといたしましては現在住宅不足が二百八十数万戸ある。さらに年々滅失、あるいは人口増というようなもので新規の需要が二十五万程度ある。これを十カ年に解消するためには、初年度四十二万戸程度のものが必要である、こういうところから出発いたしまして、そのうち公営住宅で何戸建てるかということにいたしまして、いろいろ国民の所得の状況、さらに地方財政状況・国の財政状況、さらに過去の公営住宅建設実績等を考えまして、初年度五万戸、今後三カ年間に十五万五千戸というような数字を出しておるわけであります。地方、各都道府県知事からは、公営住宅法に基きますところの公営住宅建設の予定計画というのは参っておるわけでございますが、これをお出し願った当時には、実は公団住宅というようなものも全然考えておらぬ当時のことでございますし、ところがこの公営住宅計画を立てます際には、これまでなかった公営住宅関係等も考え、さらに民間自力建設に期待する等のことも考えまして、地方から出ましたものと若干考え方の上において相違した結果に相なっておるかと思います。
  75. 赤木正雄

    赤木正雄君 今官房長お話しでは、公団のことは考えてなかったとおっしゃいますが、そういたしますと、公営住宅建設三カ年計画これについて承認を求める件、この案件は公団による住宅とはそういうものは全然関係なしに、これをわれわれは承認すべきものですか、あるいは公団を考慮しておるのですか、どちらですか。
  76. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 私の御説明が不十分だったと思いますが、昨年の五月現在で都道府県知事から報告いたしましたる際には、公団住宅が将来できるというようなことを予想せずに出てきております。そのことを申し上げたわけであります。
  77. 赤木正雄

    赤木正雄君 各府県の、これは住宅に限りませんが、各府県の要望する需要と、それから実際建設省の方でお考えなさる需要とは、ややもすると非常に相違があります。そういう観点から私は各府県の昨年の五月でもいいのでありますが、昨年の五月に各府県が要望しておられる数を知りたい。それに対してどういうふうに建設省が筆をお加えになったか、それを知りたい。
  78. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) ここに資料を持っておりませんが、大体のところは各府県からの要望を取りまとめてみますと、三カ年間で合計二十万戸程度という数字に相なったかと思います。
  79. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私先ほど聞きましたこの計画を立てられるときに、地方計画の中で公営住宅についてどのくらいワクを盛ってもらおうというようなことの打ち合せはできておるのですか、どうなんですか。
  80. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 地方債につきましては、一応の相談はいたしております。
  81. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 地方債のワクは大体どのくらい予定しておられますか。
  82. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 公営住宅建設のための計算上の地方負担額は総額約八十四、五億円に上るかと思いますが、その六割程度地方債によってまかなってもらうというような計画にいたしております。
  83. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 そうすると、それをだんだん地方の、たとえば東京都で三十年度に六千五百戸というような計画の場合に、東京都としては補助で幾ら、自力で幾ら、地方債のワクは幾らというような、大体前年度に即応したぐらいの計画があるのだろうと思いますが、そういうことと比較的つじつまが合っていくのですか、非常に懸隔があるのかどうか、そこらは建設省からでもあるいは東京都からでもいいのですが、そうぜんと、またすっかり計画が狂ってしまうのじゃないか。
  84. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 地方債の府県別の割当につきましては、近く協議して決定してもらいたいと思っておりますが、従いまして府県別の具体的の内訳はまだきまっておりませんけれども、総額につきましては大体の話し合いはつけております。
  85. 湯山勇

    ○湯山勇君 私は答弁を一つ都の方から。
  86. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 三カ年計画建設省へ出しておるかということについては、建設省からお話が出ましたごとくに出しております。そうして当時におきましては、三十年から三十二年の間において、計画といたしまして、公営住宅三カ年三万六千戸を提出いたしております。
  87. 湯山勇

    ○湯山勇君 その資金計画等については全然触れておりませんか。たとえば起債は何ぼ要求する、そういうことについては。
  88. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 数字といたしまして当時資料は提出してございません。
  89. 湯山勇

    ○湯山勇君 ありませんか。
  90. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) はあ。
  91. 湯山勇

    ○湯山勇君 それでは過去三カ年の今の四十四億の起債云々の関係、そういうことは考慮しないで、今度はどうあってもこの一二万六千は建てるという御決意のもとになさったのかどうか、これはどうでしょう。
  92. 畑市次郎

    参考人畑市次郎君) この問題は前々から建築局の方から私どもに相談がありましたが、先に申し上げたように、今の公共事業のワクというものは都の財源財政事情からいうと著しく負担が大きいと申しますか、そういう現状なんです。従いましてそういう現状下においてはどうしてもその起債財源に相当額を仰がなければならぬという結論になるわけでございまして、私その当時まだ内容的に起債は幾らであるということを今承知しておりませんけれども、相当額の起債がこの中に充当されたという記憶がございます。
  93. 湯山勇

    ○湯山勇君 またその問題は別にお尋ねすることにいたしまして、最後にお尋ねしたいのは、先ほどの都独自の住宅政策、これは相当裕福な高額所得者対象というような住宅がたくさん建っておるというお話でございましたが、公営住宅を要求する階層と、それから今の自力建設のできる、相当まあ今日の生活では高額所得者の階層、それらの階層別の需要については都は何か資料をお持ちでございましょうか。
  94. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 一応の資料はございますが、本日は持って参りませんでしたが、大体のところは先ほどちょっと申しましたように、賃貸住宅、いわゆる公営住宅の場合において一回募集をいたします。千戸とかあるいは千五百戸とか公営住宅、ことに第一種を募集いたしますと、そうするとこの戸数の高よりも平均して大体六万人前後の、六万世帯といいますか、六万口前後の申込みが統計的に参っております。それからその他の民間の自力建設といいますか、自己資金なりあるいは資金融通を半分得て、半分は借用金でやると、こういうような階層の人たちが都へ申し込んだのに対して大体一般公営の場合は百倍程度になるのに対して、大体十倍程度の申し込みが来ておるというような実情であります。詳しい資料は本日ちょっと持って参りませんでした。
  95. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  96. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 速記を始めて。  暫時休憩いたします。    午後零時四十三分休憩    ――――・――――    午後二時三十二分開会
  97. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 休憩前に引き続きまして、これより委員会を再開いたします。  「公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件」を議題に供します。  政府からの出席は竹山建設大臣も聞もなく出席します。石破官房長鎌田宅建設課長参考人は、午前中と同じように、佐藤藤本、畑、三参考人の方々です。大蔵省から理財局の牧野地方資金課長、これは出席いたします。自治庁は財政部長が今地方行政政府委員として立ち会っておりますので、その時間を見計らいましてこちらへ参りますが、見通しといたしましては後藤財政部長、大村理財課長、柴田財政課長、この三氏が逐次参られることになっております。  それでは参考人の方々に対しまして御質疑のおありの方は、逐次御発言を願います。
  98. 湯山勇

    ○湯山勇君 午前中お願いいたしました資料がもしお整いになりましたならば、その内容を御説明いただきたいと存じます。各階層別の一つの……。
  99. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 今、もう一つ資料が参った上でお話を申し上げたいと思いますので、もうちょっとお待ち下さい。
  100. 湯山勇

    ○湯山勇君 じゃ待ちますから……。
  101. 田中一

    ○田中一君 先ほど同僚議員の質疑を聞いておりますと、宅地の造成費が低いというようなことをおっしゃっておる。そこで現在都有地として都が持っていらっしゃるところのあき地です。この調べをちょっとお出し願いたいと思うのです。そうして公営住宅補助金を返しているという理由は、宅地がないというようなところに大きなウエイトをかけられておるような御説明があるのですが、一体都有地をどのくらい持っておるかということ。それから別の面から見れば、相当有利な高価な土地を持っていらっしゃる都が、そういうものを安く払い下げをしておる。たとえば大手町の貿易産業会館の敷地のようにあれは千八百坪ある。千八百坪のああいう一等地です、今日では。それを一球四万円で払い下げる、こういう事実から見ても、そうしてまだあそこは八百坪程度しか使っておりません。あとの一千坪は遊んでおる。うっちゃっておけば四万円どころか四十万や五十万の無価があるのです。このような都有地がたくさんありながら、安く特定のものに払い下げをする、こういうことをやっておりますが、これは副知事は前会計検査院長として十分この点は、私がこういう質問をしますと、あなたは身につまされるものがあるのじゃないかと思うのです、実際において。そうして宅地がないと……。従ってどのくらいの宅地をこれは持っておるか、それを一つ資料としてお出し願いたいのです。これは明細にしたいと思うのです。これは何も都を苦しめるわけじゃないのです。  それから現在までの公営住宅の敷地として都有地を使ったことがあったかどうか。使ったならば、どの団地のどれは都有地であったか、買った場合にはどの団地のどれは都は幾らで買ったかということをお示し願いたいのです。もしもそういうような都の持っておる土地がありながら、いわゆる宅地が高いから、国の宅地に対する補助金が少いから家ができないのだということはあり得ようがないと思うのです。従ってその点を全部資料に基いて御説明願いたいと思うのです。都は幾らの都有地を持っておるか。そのうちのあき地はどのくらいあるか。そうして従来までの昭和二十一年以来国庫負担住宅資金、補助金ですね。それから三カ年公営住宅になってからの敷地、宅地ですね。それから過去三カ年間の宅地、これはその団地に対しましては都有地は一ぺんも使わなかったかどうか、こういう点を、これは副知事に御答弁願いたいと思うのです。  それから現在の大手町の貿易産業会館のようなああした一等地です、今日では。表れを四万円で特定なる人間に払い下げをしておる、その金は全部まだもらっていない、東京都がまだ担保で取っておる。あなたの方はそういう金がありながら、庶民に対するところの住宅、国家の公営住宅というものをうっちゃっておるという現実ですね。これを一つ正式にそうした面において二十一年度から昨年二十九年度までの点について詳細御説明を願いたい。
  102. 佐藤基

    参考人佐藤基君) ただいまの点でありますが、実はここに資料を持っておりませんので、資料を整えまして資料によって御説明したいと思います。  それから大手町の土地についてはまだ詳しいことは実は聞いておりませんので、よく事情を調べたいと思います。
  103. 田中一

    ○田中一君 大手町の貿易産業会館の敷地千八百坪については、あなたの方で副知事が詳細知らなければ、私が時間があれば御説明、してもいいのです。少くともあれが四万円で払い下げられたという事実を、前会計検査院長としていろいろな評価をなさっていらっしゃる佐藤さんとしてどうお感じになりますか。
  104. 佐藤基

    参考人佐藤基君) あの土地につきましては三年ばかり前に都の財産処分につきましては審査委員会という制度がありまして、その委員会にかけて適正値段を出してもらって、それによって払い下げたということにたっております。
  105. 田中一

    ○田中一君 産業会館の問題はまた後日に譲ります。ただ、建築局長並びに財務局長、お二人があなた方が自分のところで出しておりますところの都の建築月報、私は都の建築月報に基いて御質問するわけですけれども、うそを言っていらっしゃる。たとえば二十九年度公営住宅計画というものは、あの月報を見ますと、六千五百六十二戸となっております。それはあなた方が作ったものですよ。そうして本年一二月末現在で竣工したものが二千六百九十六戸、完了したものが四百七十八戸であります。まだ半数にも達してない。従って全部の完了というものはまだしてないですね。一体これはいつごろ完成させようという見込みにあるのですか。この政府から出しているところの資料というものと違うのです。
  106. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) ただいま月報の話でございますが、私の方で予算あるいは決算でもって出すものと、それから月報で出すものとはちょっと統計のとり方が違っておるわけでございますが、と言いますのは、いわゆる換算戸数というものと、それから事実の竣工状況というものとちょっと食い違いがあるのです。一例を申しますと、一軒のうちが五割できており、もう一つのうちが五割できていると、換算のときには二月落成で二月末竣工だとこういうことになっております。それから事実関係においては二戸ともが未完成とこういうような関係で、いわゆる統計のとり方が違うという状況でございまして、月報の方は事実関係をとつておりまして、それから予算等の出す数字は換算戸数で出しておる。まあこういうような関係で、いずれも事実ではございますが、ちょっと基礎計算が違うというようなわけでございます。
  107. 田中一

    ○田中一君 そういうような事実はけっこうです。現在の、三月末なら三月末現在の二十九年度公営住宅の進捗状態ですね、これを一つお示し願いたいと思うのです。
  108. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) ちょっとお待ち願います。今すぐわかります。
  109. 石川榮一

    委員長石川榮一君) その資料はありますか。
  110. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) はい、今ちょっと……。
  111. 石川榮一

    委員長石川榮一君) それではそのなには調べてから伺うとして、さらに田中君から……。
  112. 田中一

    ○田中一君 二十九年度計画分ですね、六千五百六十二戸というものは完成いたしましたか、全部今日では。きょうは七月の十二日です。
  113. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 六千五百六十二戸という二十九年度の分は、都営の場合が六千戸になって、それから市町村営、こういうようなものが残余になっておるわけでございます。そこで六千戸の中で千五百戸程度実は未消化になっておりますので、四千五百戸が着手した戸数になっております。そしてその中で繰越になっておるものが千二百戸程度、そしてあとは二十九年度ででき上っておる、こういう状況になっております。それから繰越になった分は、現在もちろん木造関係はほとんどできておりまして、鉄筋の仕事部面が多少残っておる。まあ要するに、繰越分につきましては九割程度はもうすでに竣工しておる、こんなような状況でございます。
  114. 田中一

    ○田中一君 その千五百戸は当然これは返したものですからこれは差し引きます。そのほかに千二百戸というものを繰り延べしてあるというのですか。
  115. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) はあ。
  116. 田中一

    ○田中一君 それは二十九年度分じゃないですね。三十年度分ということになりますね、結局。
  117. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 繰り越された事業はもちろん繰り越し予算として三十年度の中に繰り入れてありますから、三十年度仕事量は、前年度から繰り越された千二百戸分に新しく組んだ六十尺公営は新しく市町村として六千五百戸でございますが、六千五百戸に千二百戸足した分だけが、公営住宅の三十年度仕事量になります。
  118. 田中一

    ○田中一君 もう少し明確に説明してほしいのです。先ほどから伺いますと、三十年度は六千五百戸建てるつもりだったとこういう、そうすると今、三十年度に着工したものは千二百戸、従って合計七千七百戸ですか。七千七百戸は三十年度事業ということになるのですか。
  119. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 仕事量から言えば、まさしくその通りでございます。
  120. 田中一

    ○田中一君 私は仕事量や何かを伺っているのじゃない。公営住宅を三十年度に作るのは何戸かと伺っているのです。
  121. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 七千七百戸でございます。
  122. 田中一

    ○田中一君 では七月十二日の今日までに、その残り六千五百六十二戸から千五百戸差し引くのですか。その上にまた千二百戸差し引くのですか。それが実数ですか、この三十年度公営住宅建設戸数というものは。
  123. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 三十年度は七千五百戸でございます、公営住宅は……。
  124. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 今あなたは、六千五百戸にプラス繰り越しが千二百戸とおっしゃいましたね、そうすると七千七百戸になると思うのです。
  125. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 失礼いたしました。七千七百戸でございます。
  126. 田中一

    ○田中一君 私の伺っているのは、二十九年度の実数を伺っているのです、でき上った……。あなたの方の月報を見ますと、計画は、六千五百六十二戸というのが二十九年度公営住宅計画数なのです。それから千五百戸はそれは国に返した、千二百戸は三十年度に繰り延べた、そうすると二十九年度の実数が残るのではないですか。そのうちで完成したものが幾らあって、七月十二日現在で未完成のものが幾らあるかと伺っている。
  127. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 六千五百六十二戸から、千五百戸は未消化で、五千六十二戸二十九年度で着手をいたしまして、それから千二百戸は繰り越されます。従って差し引き三千八百六十二戸というものが二十九年度ででき上った戸数でございます。千二百戸の繰り越し分は、現在はすでに九〇%はでき上っている、こういう状況になるわけであります。
  128. 田中一

    ○田中一君 こういうことは、これは二十九年度だけの特殊事情ですか、それとも例年こういうようなことで公営住宅建設をやっているのですか。
  129. 畑市次郎

    参考人畑市次郎君) では私から東京都の予算編成の方式を概略申し上げて、それから……。
  130. 田中一

    ○田中一君 私は東京都の予算編成を伺わなくてもいいのです。もしあなたが御説明するなら、全部私の財政上の質問に対してお答えできますか。私の伺っているのは、二十九年度の繰越とか河とかいう問題は、毎年そういうことをやっておるのですか。
  131. 畑市次郎

    参考人畑市次郎君) はい。
  132. 田中一

    ○田中一君 そこで特殊事情があるならば、どういう事情かと伺っているのです。
  133. 畑市次郎

    参考人畑市次郎君) それでは今のにお答えいたします。私の方では予算を編成いたしまして、大体二月ころになりますと、その予算消化が年内にどのくらいになるかということを見きわめます。そこでその年度で完成できないものは、一部はこれを不用額として、一部はこれを翌年度事業繰越をいたしております。その事業繰越は年度末において幾らだということは、二月ころのことですからまだはっきりいたしませんので、予算の概算繰越をいたします。で、大体六月ころになりますと、年度を経過いたします。そこでこれを精算繰越に切りかえまして、そうして精算繰越分が翌年度において幾ら、それからその年度における新たなる事業量は幾ら、その合せたものがその年度の現実の事業量になる。それからまた年度の終りになりまして、事業が完全にいかない場合には、その一部を不用額としてその一部を翌年度に繰り越す、こういう方法をとって参っております。この事柄は住宅建設につきましても同様でございまして、毎年度、これはまことに遺憾なことでございますけれども財源その他の関係でそうせざるを得ない状況でございます。御了承願います。
  134. 田中一

    ○田中一君 そうすると二十九年度公営住宅を作った実数は三千八百六十二戸、こういうわけですね。それから融資住宅とあなた方が称しているものですね。これは最高十五万円程度のものを融資するということになっているようですが、これは三万円でも二万円でも……率の限度はどのくらいか。一番低い限度はどのくらいですか。
  135. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 一番低いのは、八・五坪から十八坪の間の住宅を目安にして貸しているわけであります。金額にいたしますとちょっと計算しませんと……、八・五坪で坪当り三万三千円の計算でございます。八・五坪の三万三千円、それの半額、十四万円くらいですか、その程度が最低でございます。それから最高が二十九万五千円くらいでございます。二十九年度実績でございます。そうして平均のところが大体全体の平均で一戸当り二十三万五千円くらいまで貸しているという実績でございます。
  136. 田中一

    ○田中一君 これは金利幾らで、保証人はどうで、どういう計算になっているのですか、その貸付の条件は。
  137. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 先ほどのをちょっと訂正させていただきますが、一戸当り八・五坪以上三十坪までの新築住宅、しかし貸付限度は八一五坪から十八坪までであります。だから三十坪までの家を建てる方でも貸付は十八坪を限度で貸す。それから長屋及び共同住宅は一戸当り床面積が前段申し上げました条件に該当するもの、それから利率は年六分五厘でございます。期間は十年間というようなことであります。その他都内に三年以上居所または住所を有し、それから税金を完全に納めているもの、それから金融公庫より融資を受けていないというようなことが条件でございます。その他ございますが、大体の条件はそんなようなことでございます。
  138. 田中一

    ○田中一君 二十八年度は貸し付けたのは二千四百八十六件で貸付金額は三億三千万とあなたの方の資料には出ているのです。そうしてこれは増築分とか何とかというものもむろん貸しているのでしょう。新築に限るのですか。
  139. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 新築だけでございます。
  140. 田中一

    ○田中一君 担保を取るとか、保証人とかというのはどういう条件になっているのですか。
  141. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 都内に居住する月収三万円以上、もしくは五十万円以上の資産のある保証人のあることもやはり条件になっております。  それから先ほどお話しになりました二十八年度と二十九年度とは貸付の条件を……これは都条例できまっておるわけですが、条件を変えました。それで、二十八年度の場合には十五万円を基準として条例ができております。で、二十九年度におきましてはその条件をまあいささか緩和したということになっております。
  142. 田中一

    ○田中一君 二十九年度は四月から二月まで千七百八十三件で貸付額が三億五千万円になっております。そこで二十八年度単価を見ますと、二月当り約十三万程度なんですね、貸付けが……。こういう家がこれは家と言えましょうか。これは二分の一貸付けですから二十六万円の家なんです。あなた、二十六万円の家は金持ちに与えて、低額所得者に対する低額家賃の公営住宅はうんと減らしているという現状は、先ほどほかの委員からも質問があった通りなんです。そこで財務局長に伺いますが、あなたは東京都は熱意をもって住宅政策を遂行していることを非常に強くおっしゃっていましたが、これは事実しておらんのです。しておらん証拠なんです。もしあなた方がほかの府県でやっておる例を見せろと言えば例を見せましょう。たとえば北海道にしましても、長野県にしましても、福岡県にしましても相当大きな住宅政策計画しまして実現しております。従って東京都は結局こういう現状から見ても、人口の比率からいって、あるいは住宅の不足度の比率からいっても、熱意を示していないということなんです。で、これの財源的なものは起債がないからできないというような一本調子の御答弁、あなたの方で一般財政一般予算の取り方でもってこの今の千二百戸並びに千五百戸の、まあ千二百戸は今できたとおっしゃいますが、千五百戸程度の残っているものはやる意思がないのですか。私の調べたところでは、最近の例を言いますと、国庫負担住宅のこの分にしても、二十五年度は二百七十六億を返却しております。二十六年度は百六十億を国に返却しております。二十七年度はどうやらできておりますけれども、二十八年度は千戸、二十九年度も千五百戸、従って、二十一年度からの数字を私は示してもいいのですが、必ず返しておるのです、補助金を……一番低所得者が低家賃で借りたいという公営住宅は返しているのです。これでは少くとも住宅難解消のために努力しているとはいえません。現に返しておるのです。従って伺いたいのは、二十一年から、国庫負担住宅ができてから、年度別幾ら国に補助金を返しておるかということをちょっとおわかりでしょうからお示し願いたいと思います。
  143. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 今の年度別に幾ら返しているという全体数字資料は、これもあとで申し上げます。全体数字ができておりませんから、あとで……。
  144. 田中一

    ○田中一君 ではその実際の返さなきゃならないという重大な理由というものを一つまずお示し願いたいと思います。これも年度別に、この場合にはこうだ、あの場合にはああだと、かりに二十五年度で重大な支障があって返したという場合には、それを次年度において克服して全額やろうというのがこれが熱意というものなのです。返せばいいのだというものでないのです。二十五年度は何かの理由によって二百七十六戸分を返した。しかし二十六年度はこれを返さない。何とかこれを完成しようというので努力すべきものだ。それを二十六年になると百六十戸返しておる。従って住宅建設には東京都は熱意を持ってないと断定されても、これじゃやむを得ないですね。一番都民が望んでいる家なのです。従って総括的に全体を通じて金がないからという理由じゃないと思うのです。何か一千百億からの年度予算を持ちながら、たかだか二千万か三千万のものができないということはあり得ないと思う。たとえこれが鉄筋にいたしましてもその問題は解消される。持てる者への融資というものは三億三千万、二十九年度は三億五千万ある。これをこっちに振りかえればできるのです。ですから年度別に重大なる理由、こういう理由があってできなかったのだ、返したのだということを解明していただきたいと思うのです。
  145. 畑市次郎

    参考人畑市次郎君) ただいまのお話しを伺って、私も非常に説明の立場は苦しいのですが、それで先刻申し上げますように、住宅の論議の場合に、他のいろいろな仕事財政需要ということも申し上げるということは、いかがかと存じますけれども財政当局といたしましては先刻申し上げたように、本年におきましては先般の都議会において、公営住宅予算を他の経費と区別いたしましてまず組みました。そこで住宅建設のために邁進しようという決意を新たにしたのでありますが、従来におきましてしからは住宅それ自身だけがないがしろにされておったかどうかという問題であります。これは非常に苦しい答弁になるのでありますが、お許しをいただきますならば、ちょっとここで申し上げたいのですが、御案内通り東京都の人口は年間三十五万から四十万ふえる。そういたしますと日本の人口の三分の一は東京が背負っている。しかもその背負い方は社会増に基く人口増が八割だ、こういう現状であるわけであります。こうした現状は直ちに財政の需要にいろいろ響きます。住宅の問題にすぐ響くは言うに及ばず、御案内のように、昨年におきましては都の小、中学校の学童の増が十三万人もあった。これに要する経費というものは膨大なものでありまして、税の伸びをこの方面にだけ充当しても、なおかつ足りないというような現状であります。こまかい話になりますが、この人口増が招来いたしますところの屎尿、塵芥処理のためにも膨大な経費を要する。それがすべて行政全般なり、投資的経費もそれに響くのであります。先般申し上げました通り一つとして私たち財政を担当いたします者としては、都民といたしましても満足されるような事業ができ得ない。いずれも中途半端と申しますか、これでいいというものはないのであります。そういう現況下にありまして、常に当初の計画は齟齬したり、これがために事業繰り越しになったり、住宅で申しますならば相当額起債財源等に待ったものが、なかなか意のごとくいかぬということから、これを国の方へ、せっかくではありながら返却せざるを得ないという、こういう実情であります。そこで私の立場といたしましては、財政当局の立場としては公営住宅に非常に不熱心であるというような、こういう今の御意見でございますけれども、六・三制にいたしましても、あるいは区画整理にいたしましても、その他公共事業、単独事業にいたしましても、大体住宅とおっつかっつのような現状であるというような事柄でございます。さりながら本年度に入りまして、国が住宅行政に非常に力を入れる機会におきまして、この住宅建設促進のためにわれわれ全部は一つこれに邁進しようという決意になりましたので、従来のこれらに対しまするいろいろな御批判は十分にいただきまして、私ども戒心いたしまして努力したい、こういう立場であることを一つ御了承いただきたいと思います。
  146. 田中一

    ○田中一君 おそらく昭和二十年ではあなたの方では四千六百十五戸作っておる。おそらくこれは当時のことですからマッチ箱のようなものでしょうから、そういうものはおそらくあるかないかわからないと思います。実数を示してみますと、昭和二十一年度は二千九百二十四戸、二十二年度六千五百七戸、二十三年度六千四百八十五戸、二十四年度五千七十一戸、二十五年度三千六百六戸二十六年度三千七百戸、二十七年度三千三百十八戸、二十八年度五千百四十七戸、二十九年度四千五百十六戸、そこで一応今年は六千五百戸というものを予定されておりますが、これは実際建設省住宅局長としてどう考えておりますか、六千五百戸というものを三十年度計画としてそう持っておるそうですが、実行できると考えておりますか。
  147. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 実はまだ東京都と公営住宅建設戸数の打ち合せをいたしておりません。従いまして六千五百戸になりますか、六千戸になりますか、まだ十分の打ち合せをいたしておりません。しかしながらそれに大体似た程度の戸数の公営住宅はどうしても建てていただかなければいけない、かように考えております。そこで午前中も申し上げましたが、従来と若干違うかと思いますのは、これに要する予真上の措置でございますが、まず土地費につきましては従来一戸当り平均八万円程度でございましたのを十四万円に上げております。これとて十分とは申せませんけれども、従来に比べますと相当楽になるだろうと思います。それから地方債の問題でございますが、これにつきましても、従来もいいかげんに放置しておったわけではないと思いますけれども、特に今年の予算編成、その後の地方財政計画の審議の際等におきましては、特に今年は住宅関係地方債は、従来に増して重点的に扱ってもらいたいということを閣議でも十分大臣から申しておるはずでございますし、私も自治庁の事務当局とは十分折衝をいたしておるつもりでございます。公共事業並みに起債を認めようというところまで事務的に話し合いもついております。そういうようなことと、さらに東京都の方々は今年は特に住宅を一生懸命やりたいとおっしゃっておるようでございますから、まあどの程度に落ちつきますか、六千戸になりますか、六千五百戸になりますかはっきりしませんけれども、その公営住宅は必ず建つものとかように思っております。
  148. 田中一

    ○田中一君 政府は、東京都が自分の都有地というものはどのくらい持っておると確認しておりますか。
  149. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 確認いたしておりません。
  150. 田中一

    ○田中一君 政府が都の都有地がどのくらいあるか、確認しないで、八万円を十四万円に上げたら土地が入るのじゃないのです。東京都はまだまだ住宅を建てる土地を持っております。私は自分ではっきり申し上げます。持っておりながら、そういうものをうっちゃっておいて、そうして金さえあればというようなことを考えるのはおかしいと思う。  そこで政府に伺うのですが、これはやはり東京都は、私が見るところでは、金がないということを理由にして、このように毎年々々延ばしているのです。それで三十年度は相当腹をしめてやらぬと、悪い方に、間違った方にばかり金を使っているのです。私にはそう見えるのです。そうして金がない、金がない。指摘せよといえば、幾らでも指摘する。佐藤さん、金がないというなら、悪い方に使っているということをぼつぼつ申し上げてもいいですから。
  151. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 重ねてお答え申し上げたいと思いますが、政府におきましても、予算上その他財政上、従来にもまして十分の財政的の援助もやりたいと思いますし、さらに東京都も一生懸命でやってくれることと思いますので、この戸数が何戸になりますかわかりませんけれども、割当戸数は実施不可能になるというようなことは、現在のところでは絶対に考えられないと、かように考えております。私どもも、その意気込みで、東京都を指導なり監督していく。毎年々々こういうふうに計画以下の戸数しか建たない。しかも一番住宅事情の悪い東京都におきまして、いろいろ御事情はありましょうけれども、少くともことし程度の慎重さをもって計画されたものが、どういう事情がありましょうとも、建たないというようなことはまことに相済まぬわけでありますから、これに間違いないようにやるつもりでございます。
  152. 田中一

    ○田中一君 宅地の都有地の、都の持っておる宅地のあいている所は調べがつきましたか。
  153. 畑市次郎

    参考人畑市次郎君) ただいま住宅建設用地として都が取得しておりますもの以外に、雑種財産として処分可能なもの、これは私どもといたしましては、住宅建設用地となり得るもの、可能なものは、それに充当するつもりであります。自余のものにつきましては、これはできる限り早く売却処分いたしまして、それを財源にいたしまして公営住宅建設財源に充てる、その他公共あるいは公共用施設の財源にいたしたい。そこで都におきましては、二、三年前におきましてこの都有地の実体調査をいたしたのであります。いずれまたいろいろと御指導や御指摘をいただきたいと存じておりますが、戦争中及び終戦後の道義頽廃期にお寺まして、これが不法占拠せられ、その他の事由によって、法律的な方法によって解決しなきゃならぬものがいろいろございまして、今にわかに、そくざにこれが使用できないようなものも若干ございます。これらにつきましては、われわれ当局といたしましては、万全の措置を講ぜんといたしまして、今努力中でございますが、仰せのごとく、都で持っておる土地につきましては、これをできる限り住宅建設用地に充当するということは当然であり、またそういう配慮のもとに、できるだけの努力を建設方面に払いたい。  先刻仰せになりました資料は、できる限り早い機会に、一つお手許に御提出申し上げ、またいろいろ御指導をたまわりたいと思います。
  154. 田中一

    ○田中一君 そういう資料がありますなら、次回にもう一ぺん呼んでもらって、今言うたような――私が伺っているのは、宅地がない、宅地がない、宅地を買うのに金が少いと言うが、都有地があるという現実を忘れてはならないのです。従って、今まで過去十カ年間に、少くとも都の持っている宅地をどう使用したかということ、買ったのはどこを幾らで買ったかということをお教え願わなければ、論議にならない。私が政府に言うのは、都がこうだ、こうだというので、やたらに起債をやったり、土地の一戸当り単価を上げてやったりということは、軽々にしてはならないのです。国費の乱費なんです。現に自分の方で持っているものを使わないで、これは調べようはないのです。こういう点は十分に注意してもらわなければならぬのです。従って、これに関する質疑というものは、資料が出てきたらもう一ぺん、はなはだ恐縮ですが、都知事も一緒においで願って、私の質問に答えていただきたいと思います。
  155. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) なるほど御意見通り、都有地を一方では持っているのに、公営住宅用の用地取得に困難のゆえをもって土地単価を上げることは、国費の乱費というような御意見もあるいは成り立つかと思いますけれども、私どもといたしましても、午前中もお話がありました通り、実は一戸当りの十四万円ということでも、決して十分とは考えておりません。従いまして、これをもって国費の乱費に相当するものだとは毛頭考えておりません。ただ、お話通り、一方では都有地があるのだからというお話がありましたが、やはりこれは公営住宅というものは、使います土地――公有地でありましょうと、民間のを買い上げるものでありましょうと、やはりこれは値段は適正に評価さるべきものであろうと考えております。従いまして、まあ簡単に申し上げますれば、都有地の坪当り何十万円というような土地をかりにお持ちでありましても、これを公営住宅にすぐ転用すればそれでいいじゃないかというようなふうには、私は考えておりません。
  156. 田中一

    ○田中一君 私も考えておりません。私はそういうことを言っているのじゃない。あなたは反駁するために反駁するのですか。私もそう考えておらないのです。たとえば今大手町の一千坪遊んでいる敷地にしても、まだ金は全部渡っていないように聞いております。これなどは今売れば、五十万円でも八十万円でも売れるでしょう。そういうもので財源を得て、宅地が取得に困難ならば、そういうものの財源でやったらどうかということを申し上げているのです。  それからもう一つ伺いますが、財源のことまで立ち入ってあなたに質問してははなはだ申しわけないのですが、たとえば、現にやっているところの数寄屋橋から土橋にわたるところの海面使用、あそこの川の上には現にりっぱな建築物ができている。あれは一体幾らの権利を東京都は取っているのですか。あれはただ水面使用、海面使用という問題じゃない。ちゃんとりっぱな建築物ができているのです。それをもし都知事の権限であるならば、水面使用の権限を都知事は持っておりますから――しかしながら水面であろうと何であろうと、りっぱな建築物ができているのです。これは一体権利、使用料を取っているのですか、どうなんですか。
  157. 畑市次郎

    参考人畑市次郎君) この問題は、もうすでに御案内と存じますけれども、これはいずれ建設局長が参りまして詳細に御報告申し上げた方がいいと思いますが、もともとあれはハイ・ウェイが目的でございます。そこで都があの仕事の直営をいたしたい。その場合においては、これは税でもってまかなうという工合になる。で、起債が得られれば、それはそうするのが一番いい、こういう考えであったことは当然であります。さりながら、それが参らぬというので、あの会社ができまして、そうして会社に土地を貸しまして、そうして会社はハイ・ウェイの下をそれぞれ倉庫その他の目的に供せしめて参り、都に対しましては地代を払う。この地代の定め方につきましては、東京都では、外部の不動産の会社の方々もわずらわしまして、厳正なる価格審査の委員会の議を経まして、その料率をきめたわけであります。かような方法によって今それをやっておるのであります。まず、その使用料が幾らで地代が幾らか、今資料はございませんけれども、それははっきりとそういう方式できめておることだけは申し上げられますので、資料その他につきましてはまた資料として差し上げ、かつまた御説明を申し上げる機会を得て、建設局長からいたしたいと思います。
  158. 田中一

    ○田中一君 宅地がないということをおっしゃるけれども宅地はあるのです。今言ったように、浜離宮の方までずっと続いておる川なんです。もしも、あなた、宅地土地と言っておりますけれども、あれは堀割のはずなんです。水面のはずなんです。それはなるほど水の下には土地はあるかもしれませんけれども、たしかあれは水面使用、海面使用でもって許可しておるはずなんです。そうしますと、ああいうものをもし作るとすれば、建築物ができておるのですから、あれはガードでもってやかましいかもしれませんけれども、あの個所に住んでいる人もたくさんいるし、ホテルもあるし、従って、もしあそこに住宅を作るとすれば、それは可能なはずなんです。まだあります。まだまだそういう空地はうんとあるのです、都の権限に基くものが。従って、それが特殊の営利会社にどういう条件で許可をしたか知りませんけれども、ああいう形のものを作るとすれば、まだまだ宅地があることを指摘したいのです。それを実行していない。そうして一部の営利会社にそれを払い下げる、あるいは許可するという形が、今までの東京都政の一番の悪いところなんです。私が指摘したら数々のそういう問題がたくさんあります。これはもう関連がないわけじゃない。りっぱに住宅に関する宅地造成という面においては関連があるのです。あるから、申し上げておるのです。質問の趣旨は何も住宅にはずれておるとは思いません。そういう問題を一つ知事に伺いますけれども東京都はそういう形でもって必要な宅地、また当然いい環境の宅地も、一部の営利会社に許可したりなんかしているのです。こういう事実を佐藤さん、あなたどう感ずるのです。
  159. 佐藤基

    参考人佐藤基君) 一部の営利会社にそういう事実があるかどうかという点でありますが、高速道路につきましては、都でどうしてもあれはやらなければならぬというので、十分研究した結果、あの高速道路会社でやるのが一番いいということを当時結論として得て、それに甚いてやっておるのであります。ただ、現状において少し竣工がおそいので、その点私非常に関心を持っておりますが、一日も早く高速道路ができるようにと思って、関係局を督促しておるという状態であります。
  160. 田中一

    ○田中一君 これも伺いたいのです。あれが浜離宮の方を回ってずっと国道におりるのだそうです、計画は伺っておりますけれども、あちらの方は一部の営利会社に貸さないでも、りっぱに住宅となります。そのハイ・ウェイの下が住宅になるのです。省線の下に住んでおる人もおるのです。これはりっぱになり得るのです。これは従って、そういう工夫をもって宅地を造成するということを考えずに、金をもらって物を買うという考え方であってはならないのです。そこに大きな東京都の住宅政策の間違いがあると思うのです。それがみんな汚職の温床になっておるのですね。こういう点ははなはだ遺憾だと思うのです。  そこで、続いて伺いたいのは、二十年、二十一年、二十二年、この三年間で建てた約一万三千戸程度住宅、この住宅は現在どういうような状態になっておりますか。
  161. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 古い戦後の住宅につきましては、当時においては土地の所有権が民間のものが多いのでございます。いわゆる借地の上に建っておる。それから場所によりましては、当時の焼け跡、学校の敷地あるいは公園の一部、そういうような所に当時は建てて、ともかく戸数を上げて応急措置を講じたのであります。そういう実情でございまして、まず学校の敷地等は第一に、その次に公園敷地、こういうような所はできるだけ早く取り壊しをして、そして他の適当な住宅に移転する方針を立てて進めております。それから一般の民有地を借用した分につきましては、この分はその民有地を財源の許す範囲で買い上げて、そして土地並びにその家ぐるみで住んでいる方に売ると、こういう方針で進んで参っておるような状況でございます。
  162. 田中一

    ○田中一君 戦後三カ年くらいで、建った家というのは、売ろうとしても買わないのが実情なんですね。これは義務づけられておるのです、修繕、維持、管理というものは。これは当時もそうでしょう。屋根が飛んでしまえば、家主であるところの都がこれを修繕する義務があるでしょう。そうでしょう。そうすると、安い家賃で借りている方が得なんです、買うよりも。それで、かりにあなた売ると言いましたが、売った場合には、その地上権というものは一体どうなるのですか。そのままで住んでいる者に売る場合には、地上権というものはどういう形で評価し、また売っているのです。
  163. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 現在そういう民有地、あるいはまた都有地もございますが、そういう所に建って売却をする場合は、先ほど来申し上げておりますところの土地価格の評価委員会でもって適正値段、地上権の問題等もあわせ考えて、そして年賦で売却する方法をとっております。
  164. 田中一

    ○田中一君 七坪か八坪というものは、当時の家賃であれば、実際安いものなんです。そして雨が降っても風が吹いても、家主が直してくれるとしたならば、おそらく買う者はおらぬと思うのです、実際言うと。そしてそれが地上権まで、土地までが自分の権利になるならば……。従って、この戦後三カ年間の家というものはどれくらい売却され、どれくらいそのままで置いたか、その実情一つ説明願いたいと思うのです。
  165. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 今数字の点はちょっと……。それでは、時間をいただきます。
  166. 石川榮一

    委員長石川榮一君) この際申し上げます。大蔵省理財局の牧野地方資金課長、自治庁の後藤財政部長、この両氏が出席しております。
  167. 田中一

    ○田中一君 この三カ年の家は約一万三千戸程度あるのです。これはおそらく平家だと思います。一万三千戸。これをこの上に五階にしますと、あるいは三階に作り直しますと、一万三千戸は幾階に建ててもかまわないのです。そうすると、二万六千戸というものはその上に建つのです。従って、宅地があるというのです。わかりましたか。今あなたの方で宅地があるということを立証するために申し上げたのですよ。この一万三千戸分というのは、二十年、二十一年、二十二年というころの、住むにたえないようなスラム街なんです。見ないでもわかります。そうすると、そこに一万三千戸建っている。同程度のものを立体的にやる場合には、三階にする場合には、二万六千戸というものは余分に建つというのです。これは間違いございません。建つのです。従って、東京都には立体化するところの工事費は余分にやって、宅地なんか一銭もやる必要はございません。そんなものは必要ないのです。六千五百戸建てるのならば、これはおそらくばらばらな所もあるでしょう。また団地になっている所もあるでしょう。これを整理して、現在いるところの居住権を持っておる者に優先的に借りる機会を与えるならば、黙って二万六千戸建つのです。二万六千戸の空地があるのです。宅地があるのです。こういう計算は理論でなくて、事実において行われることなんです。従って、宅地があるというのです。そういうものは私は折があったら見たいと思いますけれども、住むにたえない家に違いないのです。買えといっても、大体六百円か七百円払って住めるものならば、買うはずがないのです。買えるような者は住んでいやしません。それこそ全く公営住宅がほしいような人間が住んでいるのです。
  168. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 宅地問題に問題が行きましたから、ちょっと御説明申し上げます。  まさしく、現在都営住宅で持っておる宅地の総面積は大体百六十万坪ございます。その中で六十二万坪くらいが借地でございます。あとの残りが都有地になっておる。六十二万坪の中で大体三十九万坪、四十万坪程度が民有地を借用しております。あとは国その他の公共団体から借用しておる分でございます。  そこで、この高層に建てかえの問題は、もちろん、お話通り、数年来研究もし、その実行にすでに着手しております。しかしその建てかえをする場合に常に問題になるのは、居住者はおおむね、地上権あるいは土地の評価を当時の取得価格で買えるものだという誤解を多く持っておられて、そうして安く土地を買おうということがおもな理由になって、むしろ買いたがる。売ってくれという要望、陳情が非常に強いのであります。そうして、しかもそれは年賦でもってやるわけであります。その場合に、民有地の場合でしたら、民有地所有者が、都に貸すならよろしい。あるいは都が買うのならよろしい。しかし住んでいる人に直ちにその借地権を移管するということについては、ほとんどの土地所有者というものが反対でございます。そういうために、処分もできません。従って、お話のように、高層化の問題を考えざるを得ない。  御承知のように、青山の一丁目の所とか、青山のもとの青山師範だった五丁目でございますか、ああいうような場所は、当然にその必要がありまして、そういう所について、すでに十カ所余りの場所に手をつけております。そうして交渉を進めております。しかしその場合には、従来住んでおる人は、もちろん建設省の御了解、御援助を得まして、優先的に抽せんなくして公営住宅に入れてもらえるという特例をしいていただいて、交渉を進めておるのでございますが、家賃の問題で相当部分の人がそれに入れないというような状況が出てきます。そこでやはり新しく建てかえをする場合には、その新しくできた家に入れない人たちを移す方法を講じておるわけでございます。その場合にやはり職場の関係、それから通勤の時間あるいは通勤費の関係、いわゆるその住んでいる方々の生活体験の全体を見ないと、ただ優先的に入れてやるからということでは、実施が困難でございまして、ともかく年余にわたる折衝といいますか、お話し合いを住んでいる方としなければ、高層化ということはむずかしいのであります。その間に補償の問題いろんな問題がからみ合いまして、その御趣旨の線には沿って実施をしておるような状況でございますが、新しく土地を求めてすぐ建てるという場合とは、非常に速度の点で違うわけであります。  そこで、やはり予算は単年度でございまして、二年以上にわたるそういうような仕事についての予算措置等につきましても、継続費がございませんので、なかなか困難を伴っておるような事実上の問題もございますが、ともかく地元の人たちと納得をしつつやっておるような状況でございます。具体的には、勝鬨橋等のそばあたりの二種住宅等はすでに実施をやった場所でございますが、他の場所につきましても、そういう場所を逐次やっていきたい、かように考えておるわけでございます。
  169. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 大蔵省並びに自治庁から見えておられるようですから、午前中の続きの点について御質問いたしたいと思います。公営住宅実施三カ年計画について、いろいろ聞いておりますと、これを閣議できめられる際に、大蔵、自治庁、こういう方面と必ずしも緊密な連絡がないようにも考えられたのでありますが、地方でこれをやる場合には、国の補助と、それから地方団体がそれぞれ持っておる自分の金と起債計画、こういうものによってやらなければ、これはとうていやれないのだろうと思うのです。それで東京都等が非常に計画を余すといいますか、計画通りに行っていない大きな原因の一つに、起債のワクが必ずしも考えておったもののようにいかない。いかないばかりか、きょういろいろ聞いてみますると、非常にそこに大きな食い違いが出ておる。これは東京都ばかりじゃなく、大都市の計画通りに行っていない地方も、大同小異の原因があるようだということでありましたので、今度出ておりまする三カ年計画等についても、これに即応するある程度起債のワクを地方財政計画計画しておるかどうかということと、それらの計画については、建設当局と相当の打ち合せを遂げておるかどうか、そういう点についてあらかじめまずもって聞いておきたいと思います。大蔵当局と自治当局から一つ
  170. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 公営住宅の本年度の分につきましては、建設省からいろいろ、そのほかの住宅建設計画等をこの際御一緒に、いろいろ御相談がございまして、それで地方債の計画自体の中には、公営住宅に幾ら、あれに幾らというようなことに目下のところなっておりませんが、全体として、地方負担と思われます額の六割程度地方債でまかなえるようにという計算で、算入されております。その点は話の食い違いはないと存じております。
  171. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 六割というと、割合に多数の額を……。地方負担の六割。そうすると、四割くらいが自己資金で、あと六割が起債という意味ですか。
  172. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) さようでございます。ただこれは東京都にどうとか、あるいは大阪府にどうとか、あるいは住宅だけはこれで必ず六割だとかいうほどのところにはまだ話が行っておりません。これはほかにもいろいろ国が補助金を出します事業がたくさんあるわけでございますが、そういうようなものをひっくるめましても六割程度ということで、先般成立いたしました予算案を編成する際に、それと並行して私どもの方でいろいろ計画を作る際に、そういうふうに編成しておりますという程度でございます。
  173. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 そうしますと、午前中東京都でお話のあった、二十九年の建設計画起債に仰ぐべきもの四十四億幾らと申請したが、許可が十六億程度であった、こういうお話であったのでありますが、そうすると、これは大体政府の方で考えておる起債たり自己負担割合等からはじき出して、四十四億というものは、起債に仰ごうとした部分が非常に多過ぎたということになると、いろいろ割り出してみたければわかりませんが、六割というと相当なことで、それがずっと地方割合に平均して流れておるのじゃないかと思うのでありますが、この点どうでしょうか、東京都の方。起債にたより過ぎていた部分があまり多過ぎたために、計画に狂いを生じたということは……。
  174. 畑市次郎

    参考人畑市次郎君) 私の方は、先刻から申し上げましたように、いろいろな都市経営に当り税財源を充当し切れない部分で、しかもそれが適債事業起債の適当なものに対しては、その財源の部分を起債に仰ぐという方式をとっておるのでございます。そこで政府当局におかれましても、東京都の財政力等を御勘案の上、起債額をきめるわけでありますが、従来東京都は、許可を申請した額とその許可額というものには、相当の隔たりがあります。そのために、一方的な言いぐさで恐縮ですけれども、そのために事業の執行率が少かったというのが今までの現状でありまして、三十年度から、先刻建設当局、大蔵当局からそういうお話がございましたので、特に起債を充当する額につきましては、その本旨にのっとって今年はやってゆきたい。そういう方針のもとに、三十年度住宅建設は完遂いたしたい、こういうつもりであります。まだ住宅以外のいろいろな適債事業のそれにつきましては、さだかにそこまでの方針が決定せられてはおらないと存じますが、これにつきましても、ある程度起債の増加を望んでおるわけでございます。
  175. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 ちょっと、自治庁の財政部長をできたら呼んでもらいたいと思うのですが……。  それから畑参考人が午前中ちょっと述べられたのですが、住宅とか、あるいは厚生施設とか、学校関係とか、まあ都でもいろいろやらなければならぬ事業がたくさんあるわけでありますが、そういうものを比べてみて、起債に仰いでいる部分、税財源、自己財源でやっている部分、そういう比率ですね。特に住宅起債の方へうんと回しているとか、そういうことはないですか。午前中ちょっとあなたが触れられたようですけれども、ほかの方との比率、比較等がそこでわかれば、示してもらいたい。
  176. 畑市次郎

    参考人畑市次郎君) 二十九年度につきましては、政府から特に住宅建設につきましては格別の御配慮をいただいたのでありまして、起債許可額の、一般会計について言いますならば、七割程度は私は公営住宅建設のための起債許可をしていただいたわけであります。
  177. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 東京都がやる起債計画の七割くらいを公営住宅に充てたというのですか。
  178. 畑市次郎

    参考人畑市次郎君) そうです。
  179. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それが二十九年度では十六億五千万円にしかなっていない、こういうことですか。
  180. 畑市次郎

    参考人畑市次郎君) これは当初の住宅起債は四億でありまして、それがあとで八億五千いただきましたから、十二億五千であります。先刻建築局長が申し上げましたのは、二十七年度の一億、二十八年度の三億、合せまして十六億五千、こういうことでありまして……。
  181. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 いや、私が午前中聞いたのは、起債許可の申請は四十四億八千万円して、許可になったのが十六億五千万円ということは……。
  182. 畑市次郎

    参考人畑市次郎君) それは三カ年であります。
  183. 赤木正雄

    赤木正雄君 この第一種公営住宅、第二種公営住宅合計して十五万五千戸でありますが、これに要する国の費用は幾らになりますか。
  184. 鎌田隆男

    説明員鎌田隆男君) 第一次三カ年計画の十五万五千戸に対します予算はどれくらいかかるかということは、大体試算をいたしたものはありますが、まだ確定いたしたわけではございません。ただ二年、三年目は多少規格をよくしてくれとか、いろいろそういう修正の御意見が衆議院の方にもございましたので、そういうような修正点も入れまして、大体合計三百五十億ないし三百七十億くらいは要るのではないかという、これは見当でございますが、修正のやり方にもよりますが、大体そのくらいは要るだろうというふうに考えております。
  185. 赤木正雄

    赤木正雄君 それは、今おっしゃった三百五十億ないし三百七十億は、国が出す豊川なんでありますか。
  186. 鎌田隆男

    説明員鎌田隆男君) さようでございます。国の予算でございます。
  187. 赤木正雄

    赤木正雄君 そのことについて、大蔵省とはあらかじめ了解の上にできたのですか。
  188. 鎌田隆男

    説明員鎌田隆男君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、試算の程度でございまして、大蔵省と別にこれは協議いたしておりません。
  189. 赤木正雄

    赤木正雄君 それならば、よし、ここに十五万五千戸と申しましても、予算措置が何らないのでありますから、いわゆる空文に属してしまって、何の権威もない。ただ、あなたが試算だけで、どういう観点から財源措置をするのですか。
  190. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) ただいま申し上げました三百七十億と申しますのは、建設省限りの一応の試算の数字でございまして、お話通り、大蔵省とは打ち合せの数字ではございません。ただ私どもがこの公営住宅建設計画、三年に十五万五千戸を提出いたします際には、もちろん大蔵省と十分打も合せておりますし、閣議でも決定したものでございまして、この金額を幾らということはきめておりませんけれども、およその見当は大蔵省においてもつけておることだと思っております。ただ、これは戸数だけについては大蔵省も十分納得いたしておりますが、ただ質の問題につきましては、これがすぐ予算総額に響くわけでもありますので、これから予算編成等におきまして十分努力いたしたいと、かように考えております。
  191. 赤木正雄

    赤木正雄君 では、今朝もちょっと尋ねたのでありますが、その十五万五千戸お出しになった基礎は何によるか。そういうふうな考えならば、これは百万戸出しても同じだと思うのです。なぜ十五万五千戸と遠慮して、百万に出されなかったのですか。
  192. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) まお試算と申しましたのは、どの程度の確度を持った試算かということに結局なるわけでございますが、正直のところ、住宅建設課長が一応自分の希望を入れまして試算したものでございます。たとえて申しますれば、木造の戸数は漸次減らしますとか、今年初めて計画いたしました一戸当り六坪の住宅等も今後はこれをなくす、こういうような建設課長としての希望を入れまして、十五万五千戸と、そういう数字であります。
  193. 赤木正雄

    赤木正雄君 私どもは、課長さんの希望だけを委員会で審議してこれを承認するなんてことは、迷惑千万で、もともと第一期工事計画の二十七、二十八、二十九の三カ年に十八万戸、これもほんの希望だけで、これと同じことです。予算に対しては何ら大蔵省とも折衝なさらず、これは建設省の希望となっているのでありますから、東京都のごとく住宅のあまり建っていない所もありますが、要するに十二万四千幾らにとどまったと思うのです。そういうふうに、もしもあなたのような計画が、こういうものが出るならば、これは住宅だけでなくても、あるいは道路事業にしても、一億の道路を作るのだと、そういう希望をお出しになってもいい。河川事業にしても、一億八千万の希望をお出しになってもいい。ただ一課長の希望をお出しになって、十五万五千と、今朝も言っているのですが、それをお出しになった基礎が、なぜ十五万五千にしたのか。これは各県の要望もありまして、それをどういうふうにとったか、それがわからない。
  194. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 先ほど私が申し違えたかと思いますが、建設課長が試算程度と申し上げましたのは、今後二カ年のこれに要します国の予算額についてでございます。そしてここに御審議を願っております十五万五千戸につきましては、先ほどもお話し申し上げました通り、内閣において決定した数字でございまして、これは責任を持って必ず遂行するという数字になっております。  なお、どうして十五万五千戸と計算したかというお尋ねでございますが、今後十カ年間に住宅不足を解消するという大きな一応の目安をおきまして、そのためには初年度四十二万戸を建設しようということに計画し、これの内訳等につきましては、すでに御審議を願いました通り、いろいろの方式によるというわけでありますが、公営住宅につきましては、今年は五万戸、こういうことにいたしております。この五万戸を基礎にいたしまして、昭和三十一年度、三十二年度には、それぞれの国民経済の伸びを勘案いたしまして、三十一年度におきましてはこれを五万二千戸と考え、さらに昭和三十二年度におきましては五万三千戸、今年度の五万戸と合せまして、合計十五万五千戸かように計画いたしておる次第でございます。
  195. 赤木正雄

    赤木正雄君 十カ年計画住宅の不足を解消しようという観点から、公営住宅の三カ年分が、ここに試算というものが出ておりますが、では、あと七カ年はどういうふうになっておりますか。
  196. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) その後の七カ年の計画につきましては、いろいろ検討はいたしておりますけれども、ここでわれわれの考えを申し上げまして御批判をいただくというところまで、まだ参っておりません。実はこれに関連しまして、従来統計があやふやというわけではありませんけれども、今年はこの八月一日を期しまして、従来よりかさらに徹底した住宅調査もやりたいと考えておりますし、それらの数字も勘案いたしまして、今後の住宅建設計画を漸次固めて参りたい、かように考えております。
  197. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私は、つまり二十九年度において東京都が計画したら千五百戸も狂ったという、この原因をここでよく究明しておきませんというと、また三十年度でも同じような問題が起るのではないかと思うから、いろいろ質問を続けているわけでありますが、その大きく狂った原因として、東京都では起債許可が適時にないし、思うようなことが得られなかったということをあげられたわけであります、一つの大きな原因として。それで今大蔵当局から聞きますというと、地方財源のうち六割くらいを起債に充てているんだと、こういうお話であったのですが、地方のどの都府県に幾らくらい起債を認め、しかもその事業はどういうものに、どういうふうに割り当ててゆくかというようなことは、大蔵省でやられるのか、自治庁でやられるのか、両方共同でやられるのか、どういうふうになっておりますか。
  198. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 地方債の制度がただいま許可制度のようになっておるのです。その許可の権限は自治庁にあるわけでございます。その際に、大蔵省の方が御相談に乗るということはいたしております。
  199. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 そうすると、つまり非常な狂いができてきたということは、さっきも聞いたのですが、東京都がおよそ割り当てられるであろうと思われる基準より、はるかに越えて起債の方を考えておったのか、それとも、自治庁なり大蔵省当局の方で、住宅ばかりということも考えられぬというわけで、非常にそこに大なたをふるって削減されたため、計画が狂ったのか、そこを私少し確めておきたいと思うのですが、どっちなんでしょうか。
  200. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) これは東京都その他富裕な地方自治体につきまして、今のような制度ではどこにでも若干似たような問題が起きるわけでございますが、富裕団体であって一般財源が豊富であるから、地方債というような借金をして利子を払うというようなものは、依存せずに、自分の一般財源を何らかの形でひねり出しておやりなさいということを、これは数年前から自治庁も、それからまた大蔵省の方もそういうような思想に同調しまして、臨んでおるわけでございます。その結果、東京都、あるいはその他の富裕府県、あるいは富裕な市町村の地方債の額というものが、例年やっております仕事の大きさとか、あるいは財政力というものに比べまして、かなり低いというふうに、これは地方団体の側から見て当然そう思われるだろうと思います。それで数年間、例年低い額の地方債がついておっこということで、団体の方にいたしますと、来年はもう少しつくのではないかということで、前の年よりも余分に期待しておった。自治庁、大蔵省等もだんだんにやる、そういう態度ばかりでもいかんのではないかというような考え方にだんだんなっているように私思います。しかし東京都の期待せられるほどはつかないというようなことで、その間に狂いができているというふうに存じます。
  201. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 これは今大蔵当局から言われたのでありますが、われわれも地方でやりたい仕事が非常にたくさんあるにかかわらず、なかなか起債をつけてもらえないで、地方の県でも非常に苦労をしておるわけでありますが、そこで今の大蔵当局の話その他から総合して見るというと、どうも東京都が少し住宅建設、ことに公営住宅などについて起債の方へたより過ぎておった。逆を言えば、言い方は悪いかもしれませんが、住宅建設の方に対して少し熱意というか、努力、どうしてもこれをやり遂げなければならぬのだというような気持が、私は薄かったのじゃないかというふうに思えるのでありますが、これはどうですか。佐藤知事は、過去の責任といわけじゃないのですから、あなたが今後住宅を大いにやるのだという気持なら、かりに起債のつき方が少くても、あらゆる工夫努力をして計画を進めて行ってもらわにゃならぬと思うのでありますが、そういう面について率直にあなたのお気持を聞いておきたいと思います。そうでなければ、こんなものを承認したところでどうにもならぬというわれわれの気持が、だいぶ強いのです。
  202. 佐藤基

    参考人佐藤基君) ただいまのお話、私も同感でありまして、過去の、ことに二十七、八、九年の三カ年の実績を見ますというと、当初予算における起債総額は、先ほど申します通り、四十四億八千七百余万円、それからこれに対しまして三カ年間の当初予算一般財源充当額は、その十分の一にも足らぬ四億三千余万円、こういう状態なんです、当初予算は。その後になりまして、起債四十四億八千七百余万円に対しまして、起債許可になったのが合計で十六億五千万円ということになっております。そういう関係で、初め考えたほど起債によれなかったのでありますが、しかしながら、それでも東京都としてはこの公営住宅の重要性にかんがみまして、ほうってもおけないので、一般財源当初四億三千万円に対しまして、一般財源の決算は二十七億五千七百万円、非常な努力をしておるわけであります。こういう関係でありまして、従来におきましては、当初の起債計上額、起債による額がきわめて多いということを感じまして、それが、それのみじゃないかもしれぬが、それが一つ建設計画を予定通り実施できなかったということの大きな原因であるということを考えまして、安井知事とも相談いたしまして、三十年度におきましては、起債による部分をずっと減しまして、大体六割程度にしておる。過去三年間におきましては自己財源は約一割程度、今度は自己財源は四割程度に上るのでありまして、東京都の起債に対する態度もすっかり変えたんであります。これによって初めて、政府の方針でもあり、東京都でもぜひやりたい公営住宅の実施計画が予定通りに行くものだ、予定通りにやらなければならぬ、そういう決意をもって予算の態度も改めたわけであります。
  203. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 自己財源を四割程度まで増したというお話と、先ほど大蔵当局が言われた起債部分を六割程度考えているというのと、まあマッチ、偶然か計画的かわかりませんが、マッチするわけで、ぜひ一つそういうふうな計画でやっていただいて、あまり東京都で大きな地方債のワクを取られてしまうと、地方は何にもできないということになっちゃうので、住宅は大いにやってもらいたいと思いまするけれども、大きな地方債のワクを東京都でごっそり持って行かれたら、われわれ地方は何にも仕事ができぬということになりますから、ぜひそういう考えでやってもらうように願いたいと思います。
  204. 湯山勇

    ○湯山勇君 大蔵省の方へちょっとお尋ねいたしますが、今の東京都の場合、自己財源でもってそういう公営住宅なんかやってもらいたいという指導をしておるために、非常に、今の石原さんよりもう一つ悪く考えれば、そう国の世話になっていないのだから、都独自の案で独自の住宅を建てれば、都の負担も少くて済むし、家数もふえると、こういったような気持が従来あったのではないかというように考えられるのですが、そういう点について大蔵省はどういうふうに把握しておられるか。また副知事は、そういう点お考えになったことございますか。
  205. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 国から地方債その他あまり世話にならないから、勝手な住宅を勝手なふうに作っておればいいんだというふうに、東京都でそんなふうに思っておられるとは私ども承知しておりませんです。やはり東京都も地方債を過去数年間、東京都から見られるとずいぶん少かっただろうと思うのですが、それでなるべくふやしてほしいということで、国の方針と並行して仕事を運んで行きたいというふうにいろいろ希望を持っておられたというふうに、私ども承知しております。
  206. 佐藤基

    参考人佐藤基君) ただいまのお話東京都は勝手にやろうとは考えておらぬのであります。何と申しましても、やっぱり都民のための公営住宅、これは第一であります。いろいろな事情でそれ以外のものを若干やりました。これはつけたしで、公営住宅を第一にやりたい、最も重点を置いてやりたい、こう思っております。
  207. 湯山勇

    ○湯山勇君 そこでお尋ねしたいのは、従来は起債を九割なら九割期待しておった、しかしそれはもう期待できないという今日の状態において、じゃ、四割は自己負担でやろうということになれば、従来の行き方をがらっとお変えにならないと、これはただ単に住宅だけじゃなくて、全般的にお変えにならないとできないのではないか。相当大きな全般的にわたる政策の変更、といえば大き過ぎるかもしれませんけれども考え方の変化がなくちゃならないと思うのですが、そういうことも、これは都としては知事以下みな十分御了承の上なのかどうか。それからお変えになるとすれば、どういうふうに、住宅政策で従来のものを全般を見通して、ただ公営住宅だけというのじゃなくて、他のものも含めて、どういうふうに御検討になっていらっしゃるか、これも一つお伺いいたしたいと思います。
  208. 佐藤基

    参考人佐藤基君) 住宅問題につきましては、都といたしましても、結果から見るというと予定通りに行っていない。不熱心というふうな見方もできるかもしれませんが、都としては一生懸命やっておったのであります。ところが、過去の実績を自己反省と申しますか、ひややかに見るというと、あまりうまく行っていたとは言えない。そこで、知事が新たに三選をしたという関係もありまして、新たなる気持をもってやろうというので、せんだっての都議会におきましても、予算編成について重点的にやろう、いわゆる総花的でなく重点的にやろうという考えをもちまして、その重点を三つ上げましたが、その一つがこの住宅でございます。そのほか、二部教授の解消とか、失業対策というものも上げておりますが、とにかくこういう三つの重点、その一つの重点がこの住宅政策でありまして、そういう意味におきまして、知事三選を期といたしまして、従来と心を入れかえて住宅に重点を置き、国家的に貢献してゆきたい、都民に対する貢献をしたい、こういう考えでおるわけであります。
  209. 田中一

    ○田中一君 関連……。重点にやるのに六千五百戸、重点にやるために六千五百戸公営住宅を建てようという計画を立ったのですか。
  210. 佐藤基

    参考人佐藤基君) ちょっと、御質問の趣旨がはっきりわかりかねますが……。
  211. 田中一

    ○田中一君 それじゃ、もう一ぺん言います。三つの政策を重点的にやろうと、公営住宅建設も重点的にやるというものの一つだと、それが六千五百戸だ、こういうのですね、結論から申しますと……。
  212. 佐藤基

    参考人佐藤基君) 公営住宅については六千五百戸であります。
  213. 田中一

    ○田中一君 私が過去十カ年間ずっと見ますと、六千四百八十五戸作った年もあるのです。従ってその六千五百戸作るのは重点的だとは言えないのですよ。東京都と地方の状態から見ましても、六千五百戸が重点的なものだということには見られないのですがね。約三十年度が千百億ぐらいの財政規模でしょう、あなたの方は。それは、六千五百戸は幾らになりますか、金にして……。
  214. 佐藤基

    参考人佐藤基君) 六千五百戸と申しましたのは公営住宅でありまして、そのほかの住宅を入れますと、一万二千戸予定しておるのでありまして、決して都としてもそう少い数とは思っておらないわけであります。
  215. 田中一

    ○田中一君 じゃ、あなた、副知事は知らないのですよ。今までの過去の都の住宅建設実績をお調べになったことがございますか。副知事に伺っています。
  216. 佐藤基

    参考人佐藤基君) 過去の実績はここにありますが、それは過去の数から申しますれば、過去で一番大きかったのは、二十一年の七千五百。けれども、これは、金額とか規模からいって、今度の六千五百戸とは大ぶん違っております。数だけで言われてもちょっと困るのですけれども……。
  217. 田中一

    ○田中一君 政府の方針は、今度減ってきているのですよ、規模が。政府の方針は今までのような大きなものでない、小さいものも入ってきている。この三十年度からは、数を合わすために……。質は低下しているのです。昨年度よりも本年度は質が低下しているのです。公営住宅の第一期三カ年計画は十八万戸なんです。第二期三カ年計画は十五万五千戸なんです。量においても質においても低下しているのです、現在。それが重点的な施策として六千五百戸作ろうというのですか。
  218. 佐藤基

    参考人佐藤基君) その、質においても低下しておると言われるけれども、それは前年度との比較でありまして、終戦直後の数の非常に多かったときの質というのは、御存じの通り、もう今つぶれかかっておる家でありまして、これはもう比べものにならないと思っております。
  219. 田中一

    ○田中一君 第一期三カ年計画は十八万戸の計画なんですよ。いいですか。第二期住宅三カ年計画というものは十五万五千戸なんです。数において低下しているのです。わかりますか。それから質においても、六坪以上ということをうたっておるのです。今までは八坪以上ということになっておった。従って、質も低下しておるということを申し上げておるのです。都が重点的にやるというのはおこがましいですよ。六千五百戸建てるのに重点的というならば、今まで通りに二万戸でも建ってごらんなさい。それなら重点的になりますよ。従って、財政規模というか、全体から見るその財政規模ですね、三十年度の、比率はどういうふうになります。他の事業と三つを重点的にやろう、こういう三つのものと比べてですよ、財政的な比率はどうなります。
  220. 畑市次郎

    参考人畑市次郎君) 今のお話はごもっともでございまするが、従来東京都が現実に予算を組んだ方式のところで御了承いただきたいと思うのですが、三十年度にありましては、従来のごとく多くの事業繰り越しをいたさぬ、年間においてこれが完全に建設をする、建築を了する、こういう前提をとったのでございます。もしここで多くの戸数を計上いたしましても、従来のごとく不確定財源に多くを期待して、これがために翌年度事業を繰り越すようなことはいたさぬ、こういう方針をとったのがこれであります。いま一つは、御案内のように、今年度の経済の実態を見まするというと、非常に税収も東京都の場合にはことしは伸びも少かろうということであり、一方においては失業救済の事業とか、あるいは生活保護費がふえるというように、出費が非常にかさむというような現状下であります。かような現状のもとにおきまして、これ以上もし住宅建設の方へ充当するというようなことになりますと、他の行政費の支出に著しい支障を来たすという現状でございますので、まず精一ぱい、今のところの現状では、この程度予算に計上している、そうして年間に完全にこれを消化するという方式をとったのでございます。
  221. 湯山勇

    ○湯山勇君 それで今のお話は大体了解できましたが、今度は宅地ですね。昨年度までの最大の障害であった宅地については、本年度のまあ六千五百、繰り越しも合わせて七千七百でございますか、これについては十分見通しがおありになるわけでございますか。
  222. 藤本勝満露

    参考人藤本勝満露君) 宅地につきましては、大体二十二万坪程度が必要だと、かように考えております。これは都の分だけでございます。市町村の分は市町村でもちろん手はずをいたしますし、これは従来の実績に徴して百パーセントできる、かように考えておりまして、東京都の自身の分、繰り越しの分はもう九割も竣工している状態でございますから、心配はございません。新しい分として、二十二万坪程度が必要でございますが、すでに五万坪程度は確実に手に入って、今その分について設計を進めて、仕事を着手しております。残りの十七万坪については、手順といたしましては評価委員会へかけるというところまで持っていきたい、また持っていくような、おおまかな全体としてそんなような順序になっておりまして、まず土地の面についてはさほど心配がない、かように考えております。  それから先ほどの、午前中のお話の階層別の問題についてちょっと申し上げておきますが、大体この一月一日の総理府統計局の調べでは、月収が一万六千円以下の程度の者が都民の中で二八%程度、それから一万六千円から三万二千円程度の、いわゆる第一種公営住宅階層の者が四七%程度、それから月収三万二千円以上の者が二五%程度、都民の月収の層でこういう層が出ております。それからもう一つ、都でもって「三十年度都政に関する都民の要望」というので、抜き打ちといいますか、三千人ばかりについて「住宅対策に望む」という項目で調べた中では、都営住宅をぜひ多くやってくれという階層が五六%、それから金融公庫を多くという人々が一九%、それから都の貸付金を要望する者が八%、それから産業労務者等社宅をという者が六%、それから民間貸家をふやせという者が六%、その他五%、これが今抽出の調査の一つの統計になっておる。これを参考にしている次第でございます。
  223. 湯山勇

    ○湯山勇君 次に、大蔵省の方へお尋ねいたしますが、先ほどの御説明にありましたように、東京都のような所は富裕県だからなるべく起債にたよらないでやってもらいたいという方針は、今年も、若干の緩和はあるにしても、続けていかれるのでございますか。
  224. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) その方針は若干の緩和をしたらどうかということで、ただいま自治庁と大蔵省の方と、その他いろいろ話を続けておる段階でございまして、若干の緩和はあるけれども、続くということに結論において相なるというふうに存じております。
  225. 湯山勇

    ○湯山勇君 そうすると、まあもちろんこの地方債のワクというものは、住宅だけということにひもがつくわけではないと思いますけれども、しかし実際は非常に大きな部分を占めておる関係もありまして、現在東京都が六割の起債を期待し、四割の自己資金を用意しておる。けれども、今のように、割当のいかんによっては、その東京都が期待しておる六割もとうてい住宅に回すことができないような起債の割当になるという事態もあるのではないかということを心配するのですが、これはどうですか。
  226. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) これはただいま、私どもの方で、この間ほかの作業を始めたばかりでありまして、まだどこの都道府県にこういう公営住宅の問題、幾らということは、まだ予算も通ったばかりでございますから、はっきりしたことは申し上げられないのですが、昨年あるいはその前の年と違いまして、本年は住宅につきましては、なるべく東京都その他の御要望にも沿うようにいたしたいということで、今検討をしているところでございます。
  227. 湯山勇

    ○湯山勇君 地方債のワクは昨年よりも少くなったのじゃありませんでしたか、予算のときは。
  228. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 地方債全体としては大体同じでございますが、若干数字は狂っております。
  229. 湯山勇

    ○湯山勇君 百十二億か百十億が、減っているのじゃないですか。
  230. 牧野誠一

    説明員(牧野誠一君) 内訳を申しますと、赤字団体の再建整備法案が今出ておりますが、その関係の分を予定しておりますので、その分が、一般事業をやる地方債というものが若干減っております。
  231. 湯山勇

    ○湯山勇君 減っておりますね。そこで、私はもう少し今の点をお聞きしないと、実際は東京都で期待しておられるような起債のワクもむずかしいのではないかと思うのです。というのは、昨年よりも事業に対する起債のワクはたしか百十億だったか少くなっていると思います。そこでこの三カ年計画の検討に当りましては、やはり自治庁長官、大蔵大臣においで願って、もう少し今の点を追及しないと、どうも態度を決定しにくいのじゃないかということを思いますので、これは一つ適当な機会に理事会でお諮り願いたいと思います。私はきょうはこの程度でとめますから……。
  232. 石川榮一

    委員長石川榮一君) この問題について、建設大臣は御出席のようですが、この三カ年計画承認を求むる件につきまして、これに対する起債の問題等を大蔵大臣とある程度の話し合いをしておるというようなことはありませんか。単なるこれは住宅建設課長等の御進言に基いて、いわゆる十五万五千戸なるものを立案したのであって、内容的な資金面に対してはあまり折衝しておらないというようなのが、今までの御発言だったのですが、湯山委員の御発言もあったことですから、その間の事情をおわかりになるだけ建設大臣から御説明願いたいと思います。
  233. 竹山祐太郎

    ○国務大臣(竹山祐太郎君) これは、住宅審議会は大蔵省も参加をしておりまして、いろいろな角度から審議をいたしまして、その上で閣議に諮ったわけでありますから、閣議に諮る前には、大蔵省及び自治庁とは十分の連絡をとった上で閣議に諮っておりますから、私の承知する限りにおきましては、政府生体の了承のものと考えております。
  234. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 逆に、東京都の方で、かりに六割くらいをまあ起債考えておると言われるのであるが、考え通り起債承認されたかった場合、さらに工夫努力をして、もう少し自己負担を増してでも、この今年の六千五百戸ですか、この計画は何としてもこれはやり遂げる決意であるというのかどうか、副知事から一つ承わりたい。
  235. 佐藤基

    参考人佐藤基君) 起債の問題でありますが、東京都は従来と決意を新たにしまして、起債依存額もずっと減しておるのでありますから、ぜひこれだけお願いしたいと思っております。
  236. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 いや、お願いしたいというそれはわかるのですが、これはどこの府県でも、起債考えておる全額がいろいろの事業に来るということは、これはおそらくないと思うのです。だから、これだけは期待しておるが、かりに来なかった場合でも、この公営住宅六千五百戸は、何らかの自己財源を捻出してやるのかどうかということを、これはやはり承わっておかないと、そうでなければ、大蔵大臣出てこいだの、自治庁長官出てこいということになりますから、決意のほどを聞いておきたいのです。
  237. 佐藤基

    参考人佐藤基君) 起債ができなかった場合とおっしゃるが、そういうことはぜひないようにしたいと思っておりますけれども、万一そういう場合があったら、やはり公営住宅の重要性にかんがみまして、予定通りやる決意でおります。
  238. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 わかりました。
  239. 湯山勇

    ○湯山勇君 建設大臣から今そういう御言明がありましたし、私も当然そうだと思いまして、午前中の質問をいたしたわけでございます。ところが、まあ午前中の質疑応答の経過に徴してみますと、実は以前にもやはり三カ年計画を出されて、それは当然閣議決定の結果、総理大臣の責任において国会にお出しになったもので、当然その当時東京都が要求した四十四億の起債というようなものもこの計画の中では考慮されたものと、そうでなければ、今回のように東京都はとうてい割当消化できない、そういう事情がありましたので、当然まあ閣議決定、そうして国会にお諮りになるのだから、自治庁、大蔵省あたりとも十分それらの点についての御了解がついておるものという前提のもとに、午前中いろいろお尋ねしたのですけれども、実はそうではないというようなお話もありましたし、また御答弁のいかんにかかわらず、現実に東京都は四十四億の起債の前提のもとにこの計画承認したというにもかかわらず、実際は十六億何がし、起債は三分の一強にしかなっていないわけでございます。同じような事態が今回の三カ年計画についても起った場合には、これはとうてい、全国が今回のこの実績のように六割とか七割とか、こういうことになりまして、せっかくの政府の重要政策であるところの、今年度に限っていえば、四十二万戸の住宅建設さえもこれは困難ではないかというような心配がありますし、また三カ年間の計画というものを決定するということも非常に危ないのではないか、こういうことを感じまして、いろいろ質問したわけですが、今大臣がまさにそうでなければならないということの御答弁がありましたので、重ねて大臣にお尋ねいたしたいのですが、その午前中からの質問によりまして明瞭になりましたことは、東京都の公営住宅がうまくいかなかったのは、土地が非常に高かった、それから起債が、今申し上げましたように、予定したものよりもはるかに少かったという二つの点があげられておるのでございます。そこで土地の方につきましては、ただいま都の局長から、大丈夫、自信があるということでございますから、それは別といたしまして、起債の問題については、私ども非常に心配しておるのは、再建整備等の関係起債は別として、こういう事業に回る起債は昨年度よりもさらに窮屈になっているということを聞いております。そうすると、果して各府県がこの計画を実施するのに必要な起債が今回措置されるかどうか、これが非常に心配なので、自治庁、大蔵省等にも聞いてみたいと思ったのですが、大臣でその辺の消息がおわかりでございましたならば、一つ説明をいただきたいと思います。繰り返し申し上げるようでございますけれども、同じ手順を踏んだ前回の計画が今日のような結果になったことにかんがみまして、こういうことをお尋ねしているということをお含みの上で、一つ御答弁いただきたいと存じます。
  240. 竹山祐太郎

    ○国務大臣(竹山祐太郎君) 計画につきまして前回の分との比較は、これはかれこれ過去の批判がましくなりますので、お許しをいただきたいと思いますが、私は今度の十五万戸を決定するに当りましては、すでに御批判もあったように、第一期計画よりも第二期計画が少くなって、住宅政策なんておこがましいというまさに御批判を受けておるわけであります。しかし、私は決して過去の分にどうこうというのではなくて、今年の予算編成の実際に立脚をして、少くもこの三年間はこの方式を確保し得るという点で、大蔵当局とも基本的な線で一致いたした結果が、この十五万五千戸に相なっておるわけでありますから、従って、大蔵省の財政的な負担はもとよりのこと、その裏づけになる地方債の問題につきましても、本年度は、お話通り地方債の総ワクは決してえらい膨張はいたしておりません。おりませんけれども、その中において地方財政計画を立てます際に、住宅については最優先にする。あの十六億の地方の分についても別ワクをすでにはっきりと出しておりますように、私は少くも昨年度に比して、住宅起債がさようなことにならぬだけの用意は十分にいたしたつもりであります。しかし、これは各県がそれぞれこまかい点につきましては、政府予算の一成立を先般見たばかりでありますから、今後それぞれの折衝が自治庁を初めそれぞれの間に行われて、この消化ができるように向けて行くべきでありますから、今の御質問のあった東京都との関係について、都が政府予算の決定前におきめになったいろいろの計画というものは、これは最大限度の熱意を持ってきめられたものであって、当然政府予算が正式に決定をし、まだ実は全部それぞれ具体的に割当をいたしたというわけではないのでありますから、公営、公庫、公団等、これから実はほんとうの詳細な実施計画については、きのうも知事と一緒になってお話しをしたようなわけで、綿密に打ち合せをいたして参りたいと考えておりますから、それらの実施の計画に伴って、地方起債の問題も自治庁と具体的に話しが進むものとわれわれは予期して、またそういう手順で進めておるような次第でありますから、今年度計画については、もとより御心配はかけないつもりでありますし、来年度、再来年度の問題につきましても、さような意味において、突然的な事態が何か起らない限り、今大蔵当局との間に了解、理解をいたしておる方針といたしましては、今年の予算の基本的計画を基礎にいたしまして進んで参るつもりでありますから、そういう立場から考えますれば、十五万五千戸というものは、財政的にも、また地方債の裏打ちから申しましても、私は御心配をかけないで済む。もとより努力はいたさなければならぬことは当然でありますけれども、そういうことの実は確実なる、別の意味においては、非常な御批判を受けることを覚悟の前で、堅実な計画をいたしたつもりでありますから、過去のことはいろいろ理由もあり、御批判もありましょうけれども、さようなことはこの際一つの契機を切りまして、今都知事または副知事の決意でお話しがありましたように、都も一つ、過去は過去の理由があったでありましょうけれども、この際一つ政府の方針と相協力をして、思い切ってやってゆこうという決意をお聞き取りいただくならば、ともに私は協力をして、必ず御期待に沿う計画は実現をし得ると、かように申し上げるわけであります。
  241. 湯山勇

    ○湯山勇君 大臣の大へん御明快な御答弁がありましたので、私はこれで了解いたします。
  242. 赤木正雄

    赤木正雄君 大臣に一つ。今住宅に対する起債は最優先するとおっしゃいましたが、ただし、今のお言葉で特別な事態が起らない限りとおっしゃいました。この特別な事態と申しますと、たとえていうと、水害があって多くの家が流されるとか、そういう治水関係における特別の事態は、これは今大臣のおっしゃった特別の事態と考えていいかどうか。
  243. 竹山祐太郎

    ○国務大臣(竹山祐太郎君) 私は少し慎重過ぎたかもしれませんが、災害が起ったから住宅計画を打ち切るというようなことは、実は予想しておりません。財政計画全体が今の方向で進んでいくものと考えますけれども、これはまあ生きた政治のことでありますから、何かまた変化が起らぬとも限らぬから、用心のために申しただけであります。水害が起きて住宅計画を変更する意思はありませんし、さようなことは予想しておりません。
  244. 赤木正雄

    赤木正雄君 私はそれでは困るんです。家を建てることはむろん大事であります。が、家が流れてしまって、ほんとうに耕地のない人、これは、家を建てるために起債を持っていくからすべてはあとにしろと言われては、耕す田もないのでありますから、これは私は特別な事態と考えなさるが当然と思うのです。あまり最優先に考えられては因るので、そういう場合には、私は住宅が大事か、あるいは――住む所も大事でありますが、やはりそれこそ耕地も何もなくなってしまった、それでも起債ができない、住宅の方に回しますから起債ができない。それでは困りますから、特別の事態ということを十分お考え下すって、そういうときは特別の事態として、場合によってはやむを得ぬというふうな考え方にお願いしたいと思います。  それからもう一つは、実は大臣がお見えになる前に、私は、この公営住宅建設三カ年計画はあまりにそうやかましく言わなくても、簡単に審議していいと思ったんですが、先ほど官房長お話で、どうも十五万五千戸そのものが関係課長の試算に基いておるというふうなことを言われたのです。それでははなはだ迷惑千万で、それなら三十万戸でも、百万戸にでも、なぜなさらなかったかということを言うたんです。今大臣のお話で、十五万五千戸は、財政的観点から、これならば着実にできる、こういうお見通しでこれにしたとおっしゃるなら私はわかりますが、先の官房長お話では、納得し難い。今の大臣のお話を聞きまして、その点は了承いたしました。まあ私はこれで……。
  245. 竹山祐太郎

    ○国務大臣(竹山祐太郎君) もう申し上げる必要はなかろうかと思いますが、赤木先生の御心配の災害の問題は、私も取り違えておったかもしれません。そういう御趣旨はよくわかりますが、私の申したのは、災害等のために住宅全体の既定計画を待ったをするようなことは、私としてはいたさぬつもりで既定計画に邁進をする、ということを申し上げた次第でございます。  後段の問題は、お話趣旨、何か言葉の上での説明が不十分だったかもしれませんが、これは事務的には、念には念を入れて、大蔵事務当局とは練り合ったものでありますから、どうぞ御安心をいただきたいと思います。
  246. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 ここらでどうでしょう、大体質疑も尽きたようですから、議事進行をしては……。
  247. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 速記をとめて。   〔速記中止
  248. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 速記を始めて。  他に御質疑もないようでございますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  249. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  参考人の方々はお帰りをいただきますが、だいぶ暑いところを午前、午後にわたりまして、長時間に質疑応答をして下さいましたが、本委員会は決してあなた方を責めるわけではありませんで、いわゆる住宅政策をもう少し熱心に推進してほしいという、東京都がその模範でなくちゃならない、いわゆる東京都という特別の都市でありますから、そういう面から、他の自治体をリードするというような考え方に立ちまして、技巧にわたるような住宅政策でなしに、大綱をつかまえて押し出していただく、こういう観点に立って、三選安井都知事の政治政策を実現に移してもらいたい。それには打ってつけの住宅問題であろうと思います。きょうの委員諸君からの熱心な御質疑に対しましては、いろいろ御議論もあったと思いますが、一つ虚心坦懐に御検討を願いまして、委員諸君の意のありますところとされまして、新しく住宅政策が確立されて、明年度東京都が模範的に公営住宅が実現されるようにいたしまして、本日の労苦をそのとき笑っていただけるようにいたしたいと思います。まことに御苦労さんでした。
  250. 田中一

    ○田中一君 佐藤君に申し上げますが、さっき残してある答弁を近い機会に聞きますから、お含み下さいね。あなたの方で保留してある御答弁ですね、伺いますから……。
  251. 佐藤基

    参考人佐藤基君) いろいろ御鞭撻いただいて、ありがとうございます。幸いに安井都知事も三選を機として、気分を新たにし、ことに住宅政策につきましては、重点の一つとして一生懸命やるつもりでありますから、どうぞよろしくお願いいたします。いろいろありがとうございました。
  252. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 御苦労さんでした。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにして、お述べを願いたいと思います。
  253. 近藤信一

    ○近藤信一君 討論を省略して、直ちに採決をしていただきたいと思いますが……。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  254. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 討論を省略して、直ちに採決をしたいとの動議が出ましたが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  255. 石川榮一

    委員長石川榮一君) それでは、さように決定して、討論を省略いたします。  それでは、これより本件の採決をいたします。「公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件」を問題に供します。本件を承認すべきものと決するに賛成の方の挙手を求めます。   〔賛成者挙手〕
  256. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 全会一致でございます。よって本件は、全会一致を一もって承認すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によりまして、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  257. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 御異議ないと認めます。よって、さように決定いたしました。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次、御署名を願います。   多数意見者署名     石井  桂  赤木 正雄     近藤 信一  武藤 常介     石原幹市郎  小沢久太郎     西岡 ハル  宮本 邦彦     北勝 太郎  村上 義一     湯山  勇  田中  一
  258. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 速記をとめて。   〔速記中止
  259. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 速記を始めて。  それでは、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十四分散会    ――――・――――