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1955-06-23 第22回国会 参議院 建設委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十三日(木曜日)    午前十一時二分開会   —————————————    委員の異動 六月二十二日委員横川信夫君辞任につ き、その補欠として平井太郎君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     石川 榮一君    理事            石井  桂君            赤木 正雄君            近藤 信一君            武藤 常介君    委員            小沢久太郎君            西岡 ハル君            北 勝太郎君            村上 義一君            湯山  勇君            田中  一君            永井純一郎君   国務大臣    建 設 大 臣 竹山祐太郎君   政府委員    建設大臣官房長 石破 二朗君    建設省計画局長 澁江 操一君   事務局側    常任委員会専門    員       菊池 璋三君    常任委員会専門    員       武井  篤君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本住宅公団法案内閣提出衆議  院送付) ○住宅融資保険法案内閣提出衆議  院送付) ○公営住宅法第六条第三項の規定に基  き、承認を求めるの件(内閣提出、  衆議院送付)   —————————————
  2. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ただいまより建設委員会を開会いたします。  まず、日本住宅公団法案住宅融資保険法案、「公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件」を議題に供します。  この総括質問をいたしたいと思います。この三法案衆議院を通過いたしまして、本委員会は本審査になるわけであります。この三法案につきまして質疑のある方は逐次御発言を願います。
  3. 石井桂

    石井桂君 この三十年度住宅計画四十二万戸につきまして、毎回私ども質問しておるのでございますが、そのうちで国の施設として建てるものが十七万五千戸でございますが、その他が二十四万五三尺これは国の施設として建てる住宅については予算等も明細についておるようでございまして、一応実行をこの通りすれば、十七万五千戸できるとかも思いますが、二十四万五千戸の民間に三十年度建てられるだろうと期待する戸数については、私どもどう考えても、これはできそうもないように私は思います。そこで、できるのだ、できないのだということだけでは、水かけ論ですから、二十四万五千戸は民間施設としてできるという理由を、大臣から一つ納得のいくように、お聞かせ願いたいと思います。
  4. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 一昨日は法案の御審議、まことに感謝にたえません。  ただいま石井委員からの御質問でありますが、これはお話し通り政府資金処置を伴うものとは違いまして、個々の、一つ一つについて裏打ちをいたす方法はありませんので、計数的に分析をいたして申し上げるというわけには参りかねますが、客観的に申しますれば、昨年度までのずっと状況等基礎にいたしまして、二十万戸足らずのものが昨年は一応できておりましたので、これらの状況基礎にいたしまして、今回新しく処置をいたしましたものは、税法上の減税の処置と同時に、御審議をいただいておりますところの住宅融資保険法案に基きまして、五十七億の住宅資金供給をするといことが具体的な対策でありますが、その他いろいろ一般的な住宅資金供給について、できるだけ金融機関協力要請をいたしおりますほかに、できるだけ宅地の問題やあるいは資材の問題等についても今後努力をいたしまして、この戸数を充足できますように最善の配慮をいたして参りたいと考えておりますので、われわれとしては、今の社会、今の経済一般情勢から考えまして、強制的に不要不急建設物を押さえはいたしませんけれども政府の意図が国民のある程度の共感を得たとも考えまして、住宅一般民間資金等の投資も集中をいたそうという空気は各方面に現われて参っておまりすから、これらを私たちもあらゆる角度から協力努力をいたしましていたすならば、この程度の民間住宅建設は可能である、かように考えておる次第であります。  なお、数字の点につきましては、この数字をかれこれ申す意味ではありませんけれども、あわせて申せば、今までの住宅統計そのもの内容につきましても、私は前内閣以来のやり方基礎にして立案はいたしましたものの、一度戦後の混乱の時代を経過しておりますから、この際一つ相当徹底して住宅の現況を調査いたしまして、今後の施策になお一そう数字的な、またいろんな角度からしっかりした基礎検討して参りたい。しかしそれだからといって、この数字基礎を不用意にぐらぐらするという意味ではありませんけれども民間自力建設その他の問題はこれはなかなかっかまえにくい事態もありますから、そういう点につきましてよく一つ一方において検討はいたして参りたいと考えますけれども、しかし今予期しております二十四万五千戸というものの実現には、前段申し上げましたように、最善努力をいたしてこの目標を達成いたすようにいたしたい、かように考えております。
  5. 石井桂

    石井桂君 ただいまの御説明によりますと、大体昨年は十九万戸できたのでありますが、今年は二十四万五千戸ですから、五万五千戸の増加でございます。その増加についての措置としては、税法上の措置住宅融資保険法によるところの五十七億の融資によって、まあまかなっていくというような御計画であるようでございます。私は今の段階では、大臣から承わる答弁としては、それ以上はむりだとは思いますけれども、大体税法措置によって五万五千戸のうちどのくらい建つ見込みか、あるいは五十七億の融資保険によりまして何戸ぐらい建つ見込みか、大体のめどがないと、私どもはちょっと、これを二つやるんだから五万五千戸ふえるのだろうというのでは、これは主観的な問題になって、客観的な説明にちっともならぬものですから、何か見当が、五十七億で一戸について五十万円ずつ貸せば一万戸だとか、そのくらい期待しているのだとか、あるいは二十万円ずつ貸せば二万何千戸というような、その辺の御計画はないのでしょうか。
  6. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) ごもっともでありまして、二十四万五千戸のうち、御承知通り、一応増改築といいますか、増築分を一万五千戸一応は見ておりますので、正味の分を二十三万戸と考えておりますが、これも資金的な裏打ちをするといいますか、十七万五千戸のように正確に行くわけではありませんが、大体そういう目標で、従ってお話し通り保険制度の五十七億が何戸分になるかということは、これはまあ計算の仕方で出ぬわけではありませんけれども、これも公庫貸付のように正確に行くものとは、いろいろな種類が中に入って参りましょうから、考えられませんので、この分で何戸、税法上で何戸ということは、数字的な根拠としては非常にあげにくいと思います。税法の問題は全体にカバーするのでありますが、しかしこれは逆説的に申すならば、感じといたしましては、昨年のお話し通り約二十万戸に対して二十三万戸を期待したということは、三万戸の増加分は、その分だけが引き抜いての問題じゃありませんけれども、全体として三万戸の増加を期待しているということについては、今まで税法及び資金的な措置をいたさなかった昨年度に比べて、これらの措置をいたすことによって、三万戸増のものを予想しても、これらが実現し得るという全般的な考え方のもとに立っておるわけでありますから、今の税法によって何万戸、資金供給によって何万戸ということを割り出すということは、少々無理があると思いますが、心持としてはそういうような考え方でおるわけであります。
  7. 石井桂

    石井桂君 この問題についてこれ以上大臣から御答弁を詳しく求めることは望めませんが、四十二万戸のうちの二十四万五千戸の民間住宅ということがはっきりしませんと、実はわれわれあるいは国民の待望する四十二万戸の、非常に何といいますか、あこがれている目標が根底からくずれてしまうのです。そこで、どうも二十四万五千戸の方がはっきりわれわれに納得がいかないように私は思うものですから、これをしつこくお聞きしたわけなんですが、それではまあ大体見方相違でございますから、私どもは二十四万五千戸は非常に無理じゃないか。無理だとすれば、私どもは次に考えることは、実は住宅を建てて、建てた住宅国民に非常に喜ばれるような形のものであってほしいというように考えるものですから、順序として四十二万戸は政府の期待するごとくはっきりつかめないものであるならば、建てられる住宅が質的によくてしかも四十二万戸に近い数であれば、政府の所期の目的が達成せられるのではないか、こういうふうに考えて、むしろこの中のひどい非難のあるものの質を改善するようにした方がいいじゃないかという考えを持つわけです。四十二万戸の方ははっきりできるのだということがわかりさえすれば、少しくらいまずい素質のものでも、思い切ってのんでしまおうかという判断もできるわけですが、四十二万戸ができないで、これが三十九万戸か三十八万戸とかいうことになってしまうならば、どうせそんな信頼できない数ならば、むしろあまり小さい住宅を建てて、国民あとから苦しませる、あるいは金融公庫で借りた場合に、非常に今までは楽に借りられた階層が、もう借りられなくなって、あと五年か六年働かなければならない、頭金を作るために努力しなければならない、こういうことを少しでもさせたくないということで、これに取りついてやかましく言っているわけなんです。そういう趣旨でございますので、もし今大臣がお答え下さいました以上に何か御答弁できる資料がありましたら、お話をいただきたいと思います。
  8. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 御趣旨はまことにごもっともでありまして、私たちもこの二十三万戸と一万五千戸という数を固めますためには、決して簡単にきめたつもりもありませんし、あらゆる角度から検討いたしました結論でありますので、われわれとしてはそんなに非常にこれは実行とはかけ離れるということは毛頭考えておりませんが、しかし十七万五千戸とは性質が違いますから、お話のようにいろいろ見方相違はどうも避け得られないと思うのですが、いろいろ検討いたしましたわれわれの立場といたしましては、この目標は必ず実現ができるし、また最近の情勢から見れば私たちは十分やり得るというふうに考えておりますが、決して全体を通じましてこれはほおっておいてできるというものではありませんから、十分いろいろな御注意は伺って、この確保のためには最善努力をいたしたい。なお、いろいろ御注意をいただいて、この中でなお検討を要する問題がありますれば、その検討をいたすことには、何らやぶさかではありません。
  9. 石井桂

    石井桂君 その数のことに関連する問題ですが、公営住宅法による三カ年計画の今回の二次計画は十五万五千戸。で、第一回の三カ年計画よりも少くこの案を作られておるようでございますが、大体計画というものは百パーセントまず実行しなければいけないのは、それはその通りでありますけれども、何か非常に歩どまりのことを心配されて、前年度よりもむしろ積極的でなければならない計画が、消極的に陥っているように私ども考えますが、三カ年計画前回の第一期計画に比べて、落ちた理由はどういう理由ですか。
  10. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) お話し通り、十八万戸を十五万五千戸にいたしました点は、いかにも消極的なような感じを与えておると思いますけれども、決してさようなわけではありませんので、それは今御審議をいただいておりますところの公団住宅というものが、われわれの考え方といたしましては、公営住宅に相匹敵するところの国家の資金を重点的に注入をする住宅対策でありますので、もちろん中身についてはいろいろ違いはありますけれども、当初公営住宅法の御立案をなすった当時の予算考え方というものをもとにいたして考えていくならば、今度の公団住宅というものは、あの計画には入りませんけれども政府住宅対策としてはそれに沿っていくものだと考えますので、われわれは実質的には公営住宅内容というものは決して低下をいたしたとは考えておりません。しかし、一応公営住宅法に基きましての計画でありますから、公団住宅をこれに加えるというわけにはいきませんから除いて計画をいたしました結果、今年度の五万戸を基礎にいたしまして、経済の六カ年計画国民所得の漸増を基礎に一応考えまして、三年間に漸次増加を見た集計が十五万五千戸ということにいたしておりますので、これも前回三カ年の結果から見ますと、計画量に対する実施量が、いろいろな諸般の経済変化が激しいときでありましたから、計画通りに行っておらなかったということももっともなことでありますが、われわれとしましては、今後立てます計画はあくまで計画実現をいたす責任を感じておりますから、ことしの予算基礎にいたしまして、来年度再来年度というものを百パーセントに実現をするという前提で立てましたから、実質的には、御承知通り、前三カ年計画と決して後退はいたしておらぬつもりであります。
  11. 石井桂

    石井桂君 大体今までの問題は数の問題についてお尋ねをいたしましたが、三十年度住宅対策を見ますと、住宅供給するべき対象でございますね、どういう階級対象とするこれは施策なのかということを、現われた表によって判断いたしますと、公営住宅の数が、今大臣は御説明下さいましたけれども、第一次計画よりも多少少い数である。その少い数に基く今年度の五万戸の公営住宅内容は、かなりまあ家賃を少くするというお考えが主となったせいでありますかどうですか、非常に小さいものばかり、国民の何といいますか、最下層でなくても、中産階級ぐらいが望めるところのものをみな日本公団法によるところの事業にしてしまいました。その結果、家賃は五割も六割も上ってしまったという結果になっております。また住宅融資保険法による貸付資金によってできる住宅のことを考えますと、これはなおそれ以上の人でなければ借りられない。それから金融公庫貸付率は一割上ってしまった。ますます住宅に困っている人が入れない。一番困って、一番苦しい層に対する施策が非常にお留守になってしまって、何といいますか、今まで第二種公営住宅ともいうべきクラスと、それから会社か役所でいえば重役とか局長以上のクラスでなければ利用できない、そういう施策だけが講じられているようで、何かこう、まん中の層が供給対象になっていないようなふうに私ども感じられるのですが、その点は大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  12. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) いろいろこのやり方については御批判もありましょうと思いますし、毎回申し上げるように、私たちもこのこまかい内訳が最善のものとも考えておりませんから、いろいろ御注意をいただくことによりまして、予算のことでありますから、実施の面について実情に合うように最善努力をいたしたいと考えますが、全体的なこの案を立てます考え方につきましては、私は次のように考えておりますが、これも御批判、御検討をいただきたい。  それは、いろいろな諸条件の変化でありますが、一つ地方財政が御承知のように非常に窮迫をして参りまして、戦後のインフレの時代と変りまして、なかなかいいことでも、政府の要求する計画地方の自治体において実現不可能な事態が各方面に起りつつある、また起ろうとしておりますので、政府全体もそうでありますが、今年の建設省予算を立てます場合に私が一番注意をいたしました一つは、地方負担をできるだけ拡大膨脹せしめないように、しかも政府政策を既定通りやることにできるだけ意を用いたつもりでありまして、たとえば、道路について負担率を引き上げまして、約六十億地方負担を軽減をいたしました点等も、道路キロ数からいえば反対のことではありますけれども、これが今日の事態に、将来のことは別として、対処するにはこうでなければできないと考えます。住宅の問題もそういう考え方で、公営住宅というものがいわゆる低家賃階層に対する政府住宅施策としては重点的なものであって、これをできるだけ伸ばさなければならぬという考え方には決して変っておりませんけれども、そうかといって、今までやって参りました地方負担建前を根本的に改めるならいざ知らず、そういう建前をとる限りにおきましては、この公営住宅全体の規模を思い切って、戸数よりも金額のワクにおいて、非常に拡大をするということは、地方負担の現状からわれわれは無理じゃないか。これでも約百億の地方負担を伴うわけでありますから、容易ならぬことだと考えて、そういう見地から考えますと、公営住宅全体を通じましてできるだけ地方負担を増さないで、そうして戸数をできるだけふやすという考え方をとったわけであります。それには御批判はありましょうけれども、第二種住宅に重点を置くということは、これはぜひともいたさなければならぬ一面の要求もありますから、そこで第一種のうちで単価から見て一番金のかかる進歩した中層アパートの分を公団地方負担の少い制度の方へ移すことによりまして、それを補い解決をするという考え方をとったわけであります。その結果、公団の方は頭金も要らないし、また多少公営よりは高くなるかもしれませんけれども、できるだけ公営に準じたところをねらい得るような建前公団によって補う。しかも地方負担を伴わない、ごく一部分を地方負担に期待するというやり方を講じまして、これを公営に準じた政策といたしたわけでありまして、これを公庫等全体の調和をとることによって、大体両面の要請にこたえ得るというふうに考えた次第であります。もちろん、さっき申し上げましたように、個々のこまかいやり方等につきましては、なお検討をいたすつもりであります。
  13. 石井桂

    石井桂君 それでは方向を少し変えまして、日本住宅公団法なるものによって、主として大きな都市の周囲の近県に集団的に住宅を建てられるような計画でございますが、今までの住宅が集団的に建った跡を見ますと、住宅だけ建てまして、それに伴うところの道路とか下水施設、その他学校だとか、そういうものの費用地方では非常に困りまして、そうして住宅はできるが、道路下水も形がないままに放置されておる。その結果、文化住宅衛生住宅を建てても、非常に不衛生な住宅となり、かつ道路などは、東京で例を言いますれば、家から出て大通りに出るまでが長ぐつをはくというような場所もあるわけであります。そこで、どうしてもそれを文句なしに住宅街を作ろうとすると、地方負担というものは非常に附属施設にかかるわけですね。それで公営住宅法の方をまた一方見ますと、そういうものはないし、なかなか十分に経費はございませんから、今度は日本住宅公団法による住宅を建てます場合には、そういうものの負担というものはどこがやるようになるのでございましょうか。
  14. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) お話通りでありまして、公団の中に今度宅地造成の分として約十億見込んでおりますが、これは今御指摘のような道路を初め、いろいろな宅地造成資金に充てたいと考えております。これで決して十分とは考えませんが、これは既定計画をくずさぬ範囲におきまして、都市計画その他の面からも十分協力をしてもらうことによって、今までそういう面での不十分な点を補って参りたい。しかし公団の百万坪は、公団の自分の建てる宅地としては三十万坪もあれば足りるわけでありますから、その他のものは、今お話しのような公庫あるいは公営宅地供給に向けていって、できるだけ今までさような面で不十分な点をこの公団宅地造成によってまず補って参りたい。かように考えております。
  15. 石井桂

    石井桂君 それでは、また他の方向でございますが、公営住宅建設関係におきまして、従来でもそうでございますが、建設費あるいは宅地を取得する費用標準が、建設省標準単価というものが、地方庁にとりましては非常にシビアでありまして、従来の実績を考えると半々の補助であるはずのものが、国庫補助が四割で実際地方費負担が六割になっておる。この状況は先般公聴会を開きましたときに、私は東京ばかりかと思っておりましたところが、長野県でもそうだということで、これはまあ確かに無理な、二分の一の補助と言いながら、実際は看板に偽わりありという結果になっておると思うのであります。そこで地方的に、実際に地方的の状況によって建設標準単価を変えたり、あるいは特に地価などはそうでございますが、やっぱり地方的に全体のプールの中で操作をしていただきませんことには、非常に地方負担が多くなります。先ほど大臣が、地方負担を減らすために公営住宅は小さくならざるを得ないというごもっとも理由をお述べになりました。それと同じような目的で、苦しんでいる公営住宅建設単価あるいは宅地単価につきまして、地方的に御考慮を払われる御意思がありますか、どうですか、伺います。
  16. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 従来御指摘のような事実があったものと私も承知をいたしておりまして、この点にはできるだけ一つ実際に合うようにいたして参るための努力は、お話通り、いたすつもりであります。それにはいろいろなことがあろうかと思いますが、一つは土地の問題がいつも一番大きな原因であろうと思いますので、これについては実際に合うようにできるだけいたすといたしましても、十分ではなかろうと思いますが、今申し上げた住宅公団宅地造成をこれにつけ加える等によりまして、一方においての足りないところを補って参りたい。それについては、衆議院の御審議の結果を経まして、政府の原案で住宅公団は少数の都市集中をするということは、今の段階としてはもう少し広げろという衆議院側の御意思もわれわれは受けておりまして、いずれ参議院の御審議を経まして、国会の御意思等もわれわれはよく尊重をいたしまして、公団運営に当りましても、今御指摘のような地方実情に合いますようにいたさなければならぬと考えておりますので、いろんな面をあわせて御趣旨のような努力をいたしたいと考えております。
  17. 石井桂

    石井桂君 こまかい点はさらにどっさりありますが、他の委員もおいでのようでありますから、一応私はこの辺にしておきます。
  18. 近藤信一

    近藤信一君 本年度計画で行きますと、高層建築、あれがなくなったですね。地方ではたとえば去年高層建築法ができまして、そのために今年度高層建築を建てようとしていろいろと予定いたしまして、造成計画なんかもずっとやってきたのですが、それが今年度計画でこれがなくなったということで、今まで手入れした費用なんかも本年度だめになってしまうのですね。そういうものに対して建設省は何かの方法で、もし昨年度のあれで計画していって本年度それがだめになった場合には、何かそれに対するあれがあるのですか。
  19. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) お話のような点が起ろうかと思います。これはだんだんと進歩でありますから、中層アパートにだんだんと発展していくということは好ましい形でありましたが、今度それを削りました点は、先ほど申したように、消極的な意味で削ったわけではなくて、それを公団に移したというのがわれわれの考え方であります。従って、公団運営を今の御注意のような点に結び合して考えて参りますのと、また残っております中層アパートやり方を、今のような地方的なといいますか、おそらく御趣旨はそういう意味だろうと思いますから、そういう方面によく公団計画調和をとって参りますならば、中層アパート全体の戸数というものは思い切ってふえたわけでありますから、それが公団でいくか公営でいくか、やり方には二色ありますけれども、結果的には私は地方の御要望に沿い得るものと、むしろ拡大をして参りますから、十分に御期待に沿い得るものと考えております。  しかし、その点については、今前段でも申したように、公団やり方につきまして、地方の御希望が熾烈でありますので、これは全体の計画をくずさぬ範囲におきまして、それらの御希望に合うように今後考えていくべきではないか。参議院の御意向等も伺って考えたいと思います。
  20. 近藤信一

    近藤信一君 先ほど石井委員からもちょっと質問しておられましたが、今度公団で建てられる家が六坪の狭小アパートがたくさん建てられるわけでありますが、そこでまあ私どもこの前の質問でも申しましたように、これは下層階級、いわゆる現在住宅を欲しておる人が対象でなくして、高級者が対象となるのではないか、そういうおそれがあるのではないかと、こういうふうにわれわれは考えておるのですが、それに対して、大臣はそんなことはない、安く入ってもらうという意図のもとにそういう計画を立てておるのだと、こう言っておられましたが、実際安く入ってもらうという考えだと言われるのは、一体実際計画の上からいくと、幾らぐらいの家賃で入ってもらえるか、こういうような具体的な一つ御所見を承わりたい。
  21. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 目標は、公団お話でございますか、全体のお話ですか。今安い対象になるのは、公団のことですか。
  22. 近藤信一

    近藤信一君 公団のことです。
  23. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) ごもっともなことでありまして、実は公団家賃計画公営のようにきちっと出して申し上げることが、誤解がなくてよいと思うのでありますけれども民間資金等のこともありますので、これは一応の目標でありますので、今後金利の引下げも、今一般情勢ににらみ合せて、予想しておる民間資金でもできるだけ引下げてもらおうという努力もいたしておりますので、きちっと公営のように家賃を計算したのを申し上げておらぬものですから、いろいろに誤解がありますが、これを全体的に申し上げれば、公営公庫住宅、従来の産労住宅に匹敵するような家賃考えて参りたい。御承知のように、金融公庫の方は、産労でも相当な頭金を要したわけでありますから、こっちの金だけで考え家賃よりはどうしても実質的に負担がかかっておったのでありますが、公団の方は全部公団資金でできるわけでありますし、いろいろかれこれにらみ合せまして、今のところ考えられますのは、公庫公営の間程度のところで十分やり得ると考えております。
  24. 近藤信一

    近藤信一君 公庫公団の中間くらいのあれでやられるだろうとこういうお話ですが、私どもは今までいろいろ見ておりまするあれによると、従来も公庫住宅と、それから地方公共団体が公党住宅として公庫から金を融資していただいて建ててやっておるような住宅でも、でき上ってみると、相当高い家賃になっておるのです。この前も新聞に出ておりましたが、五、六千円の家賃だと、結局、これでは実際の勤労者が入るというようなことは夢のようなことだろうなんて新聞に出ておったのですが、実際に建築してみると、実際高い家賃でなければ入ってもらえないような結果に相なるのが、今までの例であったと思うのです。それで、今大臣公庫公営の中間くらいだと予想はしておられるが、実際建ってみてから、ほんとうに困っておるような人は入れないような結果になるおそれがあるのじゃないかと、われわれは心配するのです。
  25. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) その点は、私は決してそういうことはないと確信をいたしておりますが、計数的に何千何百円ということを申し上げておらぬだけのことでありまして、大体の見当は立てておりますから、なお官房長から申し上げてもよろしゅうございますが、決してそういうことにはならぬと思います。なお、今お話しのような、やってみるとだんだん高くなるというのは、やはりだんだんと希望がついて参りまして、なかなか役所でやっているようなものでは満足しなくなって、これは進歩だからけっこうなことでありますが、質をよくするというようなことでつい高くなるということと、それから一般的の問題でもありますが、宅地がどうしても予想より高くなってそれで家賃が重くなってゆくというようなこと、それから産労住宅でいえば頭金がなかなか大きいものですから、それを計算の入れ方によっては高くなるといったようなことが伴うわけだらうと考えますから、そういうことをよく勘案をいたしますならば、公団は全額政府の金で建ちますし、宅地も別途に考慮をいたしておるようなことからいたしまして、決して御心配のようなことは絶対にいたすつもりはない。  ただ、なぜこの家賃を明確に簡単に割り切って申し上げませんかというと、これは決して内輪にあいまいなところがあるわけではなくて、御承知のように、資金の組み立て方が、民間資金政府の財政投融資、それから地方出資と預金部資金、あるいは郵便年金の資金等、いろいろな資金を組み合せておりますので、それが個々の面に参りまして、種類、やり方等を、予算では二つの、賃貸及び分譲ということにしておりますけれども、これは地方実情に合うようにいたしますためにはいろいろ工夫をすべきだと考えて、そこでこのいろいろな金利の、ゼロから九分近い金利の資金というものを、組み合せ方によりましては、家賃あるいは分譲の価格というものが非常に出て参ります。というのは、全体を平均すれば同じなんですけれども、初めにある程度高くして、あとで安くするというやり方を勤労住宅等でやる方がいいか、これを全部長い間の均等償還でやる方がいいかというようなことも、これは相手によっていろいろ実情に合うようにいたすべきだと考えて、それを今われわれが何千何百何十円だと申しますと、それがいかにも機械的に固定をした考え方になりまして、将来かえって誤解を生むおそれもありますので、全体のワクから申せば、もう平均して計算すれば機械的には出るわけでありますが、そういう数字公営のようにことさら単純に申し上げないという趣旨は、資金の種類が今いろいろあるということから出るだけの原因でありまして、決してわれわれはそれが実行の面におきまして、申し上げているようなこととかけ離れたことになるということは考えておりませんし、またそういう場面はないということをはっきり申し上げておきます。
  26. 近藤信一

    近藤信一君 最後に一つ、これは先ほどの石井委員の四十二万戸の問題とからんでくるのですが、この公団住宅が二万戸ですね、今年度。今から今年度予算がきまるのだが、これから果して二万戸完全に年度末までにできますか。そういう確信を持っておられるのですか。
  27. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これはお話通り、一年まるまるあるわけではありませんから、困難だといえば困難でありますが、ある意味においては、当初からそのことを覚悟の上での計画でありますので、私は実現し得ると確信をいたしております。ということは、決して大きなことを申す意味ではありませんので、二万戸の家を全国に非常にこまかくばらまくというわけでもなし、大体地方的な都市集中して参るのと、一戸建じゃありませんので、非常に大きな地域を必要とするわけじゃないということと、政府の国有地等も用意をいたしておるような関係で、当面二万戸分の宅地というものには決してそう不可能に近いような苦心は考えておりませんのと、それから資金的には、申すまでもなく、百六十六億を直ちに充足し得る用意をいたしておるわけでありますから、従来の公営等におきまして、政府の金はきまったが地方の起債がなかなかうまくいかないというようなことで、資金の面で困難を来たしたことが実情でありますから、宅地資金の面でこれが直ちにそろうならば、あとは現実の仕事の問題でありますから、これを手順よく運ぶならば、私は決して二万戸の建設はそんなに不可能に近いようなこととは考えておりません。もとより努力はいたしてゆくつもりであります。
  28. 田中一

    ○田中一君 最初に伺いますが、大臣は、先般九日の日にこの本委員会で参考人に来ていただいて参考人の意見を聞いたこと、当時御出席になっておりましたか。
  29. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 実はほかの委員会に出ておりまして、政務次官にかわって出てもらいました。
  30. 田中一

    ○田中一君 政務次官から詳細御報告がございましたか。
  31. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 大体のところは了承いたしております。
  32. 田中一

    ○田中一君 では、九日の日の参考人の御意見を御了承なすっていらっしゃるという前提のもとに、まず総括的な質問をしたいと思います。  杉村教授の意見によりますと、公団形式というものは一つ経済統制の方式として生まれたものだ、こういうような定義をしておるのです。従いまして、今の鳩山内閣としては初めての公団方式でございます。また商工委員会でしたか、農林委員会には、愛知用水の公団の案も出ております。従って、このような公共企業体のうち、統制経済的な政策のもとにかような構想を持ってこられたかどうか。そうして今の住宅公社が提案され、かつまた愛知用水の公団が提案されております。この二つから関連いたしまして、どのような構想から出発されて公社案というものをお立てになったか、公団という形式をおとりになったか。こういう点をまず根本的な問題として、民主党の政策として、統制経済に対するもの、あるいは自由経済に対するものという点の御意見を伺いたいと思います。
  33. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 私は教授の意図がどこにあるかということを直接確かめたわけではありませんから、今それをかれこれ申す意味ではありませんが、この今度の公団が統制方式を前提として考えられたということは、あるいは戦時中の公団のことを連想をされてお考えになったのではないかというふうに私は受け取っておりますが、これはもう申すまでもなく、戦時中の公団はほんとうに統制方式、資材の統制を目標にして作ったものでありまして、まさに統制方式でありますが、今度の公団は絶対にそういうことを考えたものではありません。これは国家資金をもってやるならば、国家あるいは地方公共団体がやればいいのでありますが、それよりもむしろ民間資金を加えて、もっと自由な立場で、役所よりも思い切って企業性を持ってといいますか、統制とはまるで反対の方向に立って住宅建設をいたすことの方が、全部とは申しませんが、必要だと考えて、公団方式をとったわけでありますから、統制方式とはむしろ反対の方向を企図しておるというつもりであります。
  34. 田中一

    ○田中一君 自由党内閣時代に、これは戦後ですよ、戦前ではないのです、戦後かずかずの公団並びに公団に類似のものが生まれておるのです。たとえば鉄道にしても、専売公社にいたしましても、こういうものが出ているのです。従って、このような形の構想といいますか、そういうものから出発したものと見られるのですが、大体学問的な定義からいうと、経済統制の方式から来たところの公団である、あるいは公社であるというような考え方を、学問的に杉村教授は言っているのです。従って、公社という構想が公団に移ったといたしましても、少くとも前例があるからこういうことをするのだというのじゃなくて、非常に建設が遅々として進まないところの住宅問題解決のために、やはり統制方式といいますか、まとまったですね、民間にばらばら自由にさすのでなくて一つまとまって腰をおろしてやってみようと、こういうようなつもりでできたものと思うのです。もしも資金を集めるために会社や公団でなくてはならぬというなら、民間にやらしてけっこうなんです。たとえば、損害保険協会並びに火災保険協会にやらしてもいいのです。民間資金でやるならば、少くともそうした資金を吸い上げて一つの系統立ったところの住宅建設をやっていこうというならば、奥にはやはり住宅統制といいますか、かようなものがひそんでいなくてはならぬと思うのです。従って、これが一種の修正資本主義という御議論のところかもわかりませんが、しかしもう少しですよ、なぜ公団を作らなければならないかというのを、十分にわれわれ納得いくように御説明願いたいのです。
  35. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 今例にお引きになりました国鉄、専売公社等は、申し上げるまでもなく、公共企業体という範疇でありまして、そういうものの考え方かと言われれば、若干それに以たところはあると思うのは、政府民間資金とを合せたその中間的なものがいわゆる公共企業体でありまして、私は、ニューヨークのあの道路、橋梁あるいは地下道をやっておりますものは公共企業体であり、それの狙うところはニューヨークの市域を越えた川の両岸を含むためには、ニューヨークという行政区域だけでやることはむしろ適当でないということも非常に大きな理由になって、他の州にまで及ぶ公共企業体で道路、橋梁をやっておりますが、そういうものと考え方においては一脈の考え方が共通なのは、今回のものが、住宅政策を広げていく場合において、行政区域を越えて考える必要も、実施上はその方が便利であると考えた点なども、いわゆる御指摘のような公共企業体的な機構として考えたわけでありまして、決してこれは統制方式のための公団とは考えておりません。  しかし、住宅政策というものを政府が強力に政策として推進をいたしていくという立場からいえば、お話のように、民間の自由な住宅建設をただやれやれということだけではできませんから、公営及び公庫制度に加うるに、みずから住宅建設宅地造成をやる。公団の機構というものは、これに備える考え方というものは、住宅政策を国家が強力に推進する一つの方策であるということは確かでありますが、しかしそれは、重ねて申せば、いわゆる統制経済を前提としてのものではないと考えております。
  36. 田中一

    ○田中一君 どうもはっきりいたしませんけれども、ではもう一つ伺いますが、一体国民が自分の力で住宅を持つことはできないんだという理由ですね、これを一つ。それから投資として住宅建設というものがどうして成り立たないかという点。この二つの点につきまして、御見解を伺います。
  37. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 私は、住宅を自分の力ではできないというはっきりした前提というものは、考えておりません。元来がやっぱり自分の住宅は自分で建つということが、私は本来の姿だと思う。しかしこれは政策として、困窮者といいますか、低収入の者が、なかなか普通の方法住宅がみんなできるとはわれわれ考えられませんから、そういう面について国家が援助をして、いろいろな方法住宅が容易にできるようにこれを補っていくということが、私らの立場での考え方でなければならぬというふうに考えておりますから、これはやはり国民のいろいろな層がありますから、その層に応じたそれぞれの政策考えていくようにというふうに考えております。
  38. 田中一

    ○田中一君 第二の点はどうです。住宅というものが投資物件として可能であるか、不可能であるか。
  39. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 今の申し上げたような考え方からいえば、私は投資の対象となるべきものだ。ただ、戦後の経済の激動期において、こういうものになかなか向き得なかったということは、経済全体の戦後の過渡期といいますか、情勢であって、世界全体からいえばやっぱり住宅に投資が行われておるわけでありますから、日本も経済が安定をしてくれば、住宅に投資は当然行われるものであるし、政策としては、住宅に投資が行われるようないろいろな援助をいたすことが、われわれの立場における政治だと考えております。
  40. 田中一

    ○田中一君 それでは、もしも建設大臣が言われるように、住宅投資というものはペイするんだ、採算が合うんだ、いわゆる妥当なる利潤を上げられ得るんだというならば、なぜ公団を作る必要がございます。なぜ民間資金を吸収する必要があるんです。政府には、一方においては補助政策で持っておりますところの、これは自由党の政策ですけれども、持っておりますところの公営住宅というものがある。
  41. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) その点は、先ほど申し上げましたように、私たちは前提が、みずから家を建てることを政府が援助するということの建前で出発をいたしておりますから、従来やってきた公庫あるいは公営制度を引き続いて行うと同時に、公団もこれにつけ加えていくということでありまして、また逆にいえば、民間自立建設というものもわれわれは認めておるということも、そういうわけで、全部ができないとは考えておりません。
  42. 田中一

    ○田中一君 どうも、この公団法に基く二万戸の住宅をつけ加えた方がプラス・アルファになるというようなお説のように伺うのですが、実際に民間資金並びに地方公共団体がこの公団に投資をして、どのような利益があるのですか。いわゆる企業として成り立つものだという前提のもとに、どのくらいの利益を予想しているのですか。むろん物質的にもあるいは精神的の面にもですね、どのような利益を想定して、民間資金並びに地方公共団体の資金を吸収しておるのですか。
  43. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは先ほども申したように、民間資金住宅に入るであろうということは一般論を申し上げたのであって、公営公庫及び公団は、政府が困難なる住宅建設を促進するためにいたす施策でありますから、これに投資をしようという地方公共団体の資金も、あるいは民間資金も、これで非常な利益を予想してやるということは初めから考えておりません。しかし、必要なだけの民間資金に対する金利は、これは払わなければ、普通の経済を無視するわけにはいきませんから、金利は払いますけれども、これでもうかるというようなことは、もちろん出資する諸君もそんなに予想していることではないし、政府はもとよりそんなことを考えているわけではございません。
  44. 田中一

    ○田中一君 利益を目的にして公団が設立されたとは思いません。しかしながら、地方公共団体が出資をいたしまして、どのような反対給付といいますか、物質的にも精神的にも利益があるかということを伺っているのです。それを私は、今日全国的にとうとうと流れておりますところの住宅政策のうち、地方公共団体は、公団法に基く住宅建設というものは、従来まで一貫してきたところの公営住宅方式に対しまして一つの後退であるというような意見が、みなぎっておる事実を知っておるのです。おそらく、政府が四十二万戸のいわゆるふろしきをすみからすみまで一応数字で埋めようというところに、強制された地方公共団体の出資ではなかろうかと思うのです。で、地方公共団体がどのような経緯でみずから進んでこれに投資をしたい、そうして協力をしたいという意思表示があったか、どの県からどうあったか、一つ、あるいは町村でもけっこうですが、お聞かせ願いたいと思うのです。
  45. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 地方公共団体の出資というものが利益を生まないということは、これはもう初めからわかり切った話でありまして、そういうことを地方も予想しておらぬことは、従来の公営住宅同様であります。住宅政策そのものが利益を生むつもりではありませんから、そこで非常に反対だというお説もありますが、私は必ずしもさように考えておりません。先ほど申し上げましたように、公営住宅でやるならば、半額の地方負担は、強制といっては言葉が適当でないと思いますが、当然負担をする建前の下に住宅政策が遂行をされておるのでありまして、それに比べれば、公団地方出資というものは、全体の額からいえば、一割にすぎないものを地方が分担をしてくれということで、何も強制をいたしておりません。これは法案そのものからごらん下すってもおわかりの通り、十六億が必ずそろわなければ公団は発足をしないというのではなくて、漸次地方の実際に合って出てきてくれればそれを受けていこうということでありまして、強制はいたしておりません。  また地方からどうかということのお話でありますが、これはまだ法案が成立をいたす前に地方に割りつけて、出すか出さぬかということを申すわけにも参りませんから、さようなことはいたしておりませんが、私は今の情勢から言うならば、この程度のものは地方も出資してもらえると考えておるような次第であります。
  46. 田中一

    ○田中一君 私は、何も物質的な利益を言っているんじゃないのです。かりに大阪市なら大阪市でも、府でも、若干の投資をした。だから、大阪市に公団住宅が何戸建てられる割当があるのだ、このように考えておったのですけれども、そうすると、たとい今十六億を予定しているころの起債というものが負担し得る、出資し得る地方公共団体がございましても、そこには原則としてやらないという方針なんですか、必ずやるという方針なんですか。私はやるという方針のように了解しているんですが、どうですか。それを私は利益と言っているんです。
  47. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) それは、地方へは原則的には、お話通り、出資をある程度していただくという趣旨が、公団地方公共団体との事業の一環性を保つためにやるわけでありますから、必ずしも金が目当てではないわけでありますから、伴っていくということが当然予想されるわけでありますが、そのやり方につきましても、衆議院においていろいろ御意見が出まして、できるだけ地方へ分散しろという御趣旨等もありますので、今われわれとしては、そういうこともあわせて、やり方については検討をいたすべきと考えている次第でありまして、現実の問題としては、お話通り、やる所へ建つということが、結果的には当然起ってくると思っております。
  48. 田中一

    ○田中一君 では、十六億の起債というものがどこを想定し、またそこにどういう形でその資金が調達され、そうしてどのような反対給付といいますか、その出資をした地元に対して利益が確保されるかという点の構想を伺いたいと思うのです。
  49. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 利益という言葉でわかりやすく申せば、要するに、お話の意図は、何戸のそこへ家を建つかということだと思いますが、そういうことが当然予想されて参ります。ただ、それを今のところ、当初の考え方は、公営の方を全国的にばらまいて、公団はある程度集中的にやったらどうかという考え方を当初より持っておりましたことは事実でありますけれども、それを、衆議院の御審議の中から、もっと分散をすべしという強い御要求が出ておりますし、今後参議院の御審議等を通じてよく御意見を伺って、われわれは実行に移したいと考えておりますから、今のところでも、どこへどのくらいに割当をするかということは、全く白紙の状態であります。
  50. 田中一

    ○田中一君 これは白紙の状態とおっしゃるけれども 一応の構想がなくては、こうしたものは盛り上らぬと思うのです。従って、今政府が持ち出した原案というものを、計画の原案というものを、これは公団ができれば総裁がきめるのだというようなことをおっしゃらないで、率直に今持っているものを御説明願いたいと思うのですが……。そういう確実さがなければ、総裁がきめるのですということじゃこれは納得できないので、今言う一応の原案というものをお持ちだと思うのです。それを御説明願いたいと申し上げているんです。
  51. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) それを、先ほど申し上げましたように、当初は、東京、大阪、名古屋とかいう大都市集中してやることが、住宅緩和の方策としてよかろう、あるいは北九州といったようなところをある程度予想をいたしたことはありますけれども、さようなことも何も最後的にコンクリートにきめたものではなかったのでありますが、そういう考え方もいいけれども、なおもっと地方的に、こういう住宅要請がある所にはある程度分散をせよという衆議院の御意図もあるものですから、さような考え方とよく実際に合うように、今検討をしていこうということで、何もあるものを隠しておるわけではありませんが、率直に申して、今そういう段階でありますので、これらはむしろいろいろ御意見をお聞かせ願って、われわれは地方の全体の住宅政策及び地方実情に合うようにいたして参りたいと考えております。
  52. 田中一

    ○田中一君 せんだっての杉村教授の意見としては、相当大幅に建設大臣の権限が強化される、権限が強いというように言われておるのです。で、理事五名、監事三名以上という、「以上」という点ですが、何名くらいまで理事、監事を持とうとするのか。そうしてどのような形で、どのような分野から理事、監事を持とうとするのか。私、今までいろいろなものを調べてみますけれども、何名以上の「以上」というのは無限大です。理事五名以上というのは、理事を五百名置いても差しつかえない。監事三名以上になっておりますが、監事を百名置いても差しつかえないということなんです。そういうところは、どういうお考えを持ってこういう規定をし、なおかつどういう分野から何人くらい選ぶような構想か。これだけくらいは一つ構想はあると思いますから、一つ説明願いたいと思います。
  53. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 建設大臣の権限が非常に強過ぎるというお言葉でありますが、これは決してそういうことを意図して立法しておりません。これはごらん下ざればわかると思いますが、これに似た制度と何も一般的な建前は変っておりません。特別なところは一つもありませんので、他の公団、公共企業体等の方式をそのままとっておって、形式的に建設大臣の名前が出てくるものですからいかにも強そうに見えますが、特殊なことは考えておりません。  それで、今理事を五人以上というのはおかしいじゃないか。これも実はほかの例をそのままとっておる最近の立法例の表わし方でありまして、何十人も置く考えではありませんので、いずれはきめる問題ではありますが、私の今の気持を申せば、やはり五人程度のところが当然であろうかと考えております。そうしてどういう方面からということについては、法律にも明記はいたしておりますように、委員のうちの二人は、地方の団体の代表というような考え方も持っておりまするので、いろいろなこの事業を実行する面でスムーズにいくように、中央地方が一体になって動けるように考えておりますので、それ以上どういう面からどうといった具体的なことは、別にきめておりません。
  54. 田中一

    ○田中一君 いや、むろんおきめになっていないから、構想を伺っておるのです。そういうものは何もない、たとえば理事五名以上置くといっても、何名置くかということはない、たくさん置くということはないというあいまいなことでは、御答弁にならない。従って、理事は何名くらい置くつもりであるか、監事は何名くらい置くつもりであるか、そしてそれは大体出すのに、分野から見てこの方面からこう、あの方面からああ、こうしたいのだということを伺っておるのです。
  55. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 今申し上げましたように、大体今法律で書いておりますように、五名程度を目標考えておるわけです。それからどの方面からだれ、どの方面からだれということは、全く今考えておりませんので、公団を進めていくに適当な方面の人を物色をしていこうということになろうかと考えます。
  56. 田中一

    ○田中一君 今五名以上とか三名以上とかいうような立法例があるならば、一つここで御説明願いたいと思います。
  57. 石破二朗

    政府委員(石破二朗君) ここに資料を持って参っておりませんが、たしか帝都高速度交通営団はこのような規定がついております。なおそれだけではなしに、ほかにも数例あると思います。
  58. 田中一

    ○田中一君 この杉村教授の言葉を借りてばかりいて失礼しますが、建設大臣の権限が強いということは、いろいろ理由を述べておられるのです。まあ読んでも非常に長々いたしますから読みませんけれども、非常に官治的な色彩が強い。こう言っておるのです。十分民間資金も吸収しておるのだから、非常に民主的な運営をするのだ。従って、国家統制というか国家の権限を弱めて自由にさせるのだということは、今までの御答弁のうちに見られるのですが、その上に立って、なお官治的な色彩が強い、こう言っておるのですね。こういう点は、杉村教授の批判といいますか、意見というものを、十分部内では御検討なすっていられるかどらか。われわれはもう非常に、五名か六名の参考人の意見を聞きまして、いろいろ感じさせられるところはございます。われわれ知識が低いものでございますから、それで、そういう点やはりどの委員も同じだと思うのですが、これは十分そしゃくなすって、これらに対する一応の御見解を、次の機会でいいですから、あらためて全般を通じまして一ぺん御意見を伺いたいと思うのです。
  59. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) いや、よく検討いたすことには決してちゅうちょいたすものではありませんが、感じで言われたとすれば、あるいはここの条文でこれが不適当だという御指摘があれば、われわれもよく検討いたしますが、これの組織的な部分というものは全部最近の立法例で、今度できるほかの公団等も全く同じような書き方をいたしておりますので、特に官僚統制的な面というものは私自身何も感じておりませんが、よくその意見を具体的に検討いたすことにいたします。
  60. 石川榮一

    委員長石川榮一君) この程度で休憩いたします。    午後零時十八分休憩    ————・————    午後二時九分開会
  61. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ただいまから委員会を再開いたします。  午前に引き続きまして、日本住宅公団法案住宅融資保険法案、「公営住宅法第六条第三項の規定に基き、承認を求めるの件」につきまして、総括質問を続行いたします。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  62. 田中一

    ○田中一君 午前中に引き続いて、先般の参考人の意見に対して建設大臣の御所見を伺いたいのですが、建築学会会長の武藤清君がこう言っておる。大体今までの建築学会が持ちますところの住宅政策の大綱というものは、三点にしぼって考えられる。その第一点はこれは国の住宅対策全体に対する意見ですから、そのつもりでお聞き願いたいと思います。第一点は、狭小住宅が占めている建設の割合が非常に多い、その結果狭小な住宅増加によって庶民階層住宅水準が低下する。従って、その計画の規模の配分を適正な割合にしてほしいと、言葉をかえて言うと、大きなものを含めてほしいと、こういう工合に言っておるのです。第二点としては、都市にあっては全面的に耐火構造として質的の向上をはかり、そうして災害防止と国費の合理的な使用をはかっていただきたいのだ、都市におけるところの耐火建築の採用ということを強調しておる。第三点としては、この第一点と関連して高層集団住宅の形式を採用してくれ、そして土地の利用度を高め、地域の膨張を抑制して都市経費の節減をはかってほしいと、こういうように言っておる。同時にまた、従来までの応急的な住宅政策から一歩前進して、総合的な近代的都市の改造という点にまで考え方を掘り下げて、そこから施策してほしいと、こう言っておるのです。で、ことに政府考えておりますところの公団方式、公営方式、それから公庫方式、この三本立でやるということになっておるけれども個々別々な面だけで、別々な歩み方をするのではなかろうか、従って、一元的な計画性に欠けるのではないか、こういう点を指摘しておるのです。  そこで、こういう点はこれはまあ今日では少くとも住宅に関心を持つ者の常識なんです。私は武藤君がこういう意見を述べられたにつきまして、私の方から質問しております。では、政府案というものは参考人の言っておるところの考え方を尊重しておるか、あるいは考え方にマッチしておるか、こういう質問をしますと、やはり官学におられる立場からかもしれませんが、どうも法案そのものを十分に検討して参りませんから、何とも申し上げられない、こういう答弁なんです。従って少くとも建築学会会長が学会の総意として発言された問題に対しまして、建設大臣は、この公団法がそのうちのねらいの相当大幅な役目を果しておるものと考えられるかどうか、そうして今申し上げた三点、次の都市改造の問題、それから三本立によるところの計画の一元性の欠如という点について、一つ親切に細かにうんちくを傾けて御答弁願いたいと思います。
  63. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) ただいまの学会の御意見は結論から申せば、いずれも尊重すべきことであって、非常にわれわれの今後の政策実行の面においてすべて取り入れなければならない問題であると考えております。御批判が十分いただけなかったということは残念でありますが、あらかじめ政府の具体的な計画等を差し上げてあれば、あるいはそういうことができたかとも思いますけれども公団法の法案だけではなかなかその具体性が的確に御批判していただけなかったということも無理がないと思うわけでありまして、今後さような点については注意をいたしたいと思いますが、今御意見のありました三点について今後考えていこうと思いますことを申し上げるならば、狭小過密住宅とでも言うべきものが多くて、質的な低下であるという御批判はもう今日までたびたび御注意をいただいた点でありまして、われわれは決して悪意と言いますか、知りつつやっておる意味ではありませんが、もう言いわけを申す必要もないので、できるだけこういう線を実行の面におきまして、今年度予算の範囲内におきまして御注意のような点を改められるだけ改めて参りたいと考えております。  それから耐火構造の問題は、これもしばしば申し上げておりますように、われわれとしては最大限の努力をいたすつもりでありますが、これも今後の実行の面におきましてそういうふうにもって参りたい、御趣旨については何ら異議を差しはさむ点はありません。  それから高層の集団住宅を作れという御趣旨も、これもわれわれは考えて参っておる点でありまして、これは主として今後の実行の場合におきまして、公団住宅においてさようなことの実現をはかるべきであって、公営住宅等ではなかなか費用の関係上思うにまかせないと思いますから、公団住宅計画は一応四階建中層アパートということで予算基礎にいたしておりますけれども、これは予算基礎でありまして、その年の情勢に応じまして、費用の許す限り高層集団住宅実現をはかっていきたいという念願を持っております。  それから三本立の計画に一元的な計画性を持たせなければならぬという御注意、これもわれわれの一番憂慮いたしておる点でありまして、三本立とはいいながら、相互みな関連性を持っておることは重々心得ておりますので、今年度実行にあたりましても、これを地方的、都市的に、またこまかく言えば都市内においても中央と周辺と、いろいろな点につきまして、もとより建設省が企画をいたすべき責任でありますから、これを三者ばらばらにならぬようにする点については最大の努力を払って御注意の点を守って参りたいと思います。  同時に、総合的な近代的構想ということに進んでいく点につきましては、実は御承知通り首都建設委員会というものがありまして、首都圏構想というものについて今日までだいぶ時間をかけて研究審議を続けて参っておりますが、私は就任以来この問題はきわめて重大だと考えまして、ある意味においては一つ一段と飛躍した構想を打ち立てたいと思いまして、最近もしばしば会合なり準備を進めておりまして、御承知のロンドンの都市計画等を一つのモデルに考えたりいたしまして、この際全国の都市計画はもとより建設省の当面の仕事としてやってはおりますが、首都建設については特に一つ力を入れて進めて参りたいと考えて、今日も委員会散会後都知事初め東京都側と首都建の関係者が寄りまして、今原案作成中の首都圏構想について相談をいたすようなことにいたしておりますように、お話通り今度公団等を中心とするこの住宅計画は、ただ一面においては急速に住宅を建てなければならぬという当面の要請にこたえなければなりませんが、同時に、国家が莫大な負担をしてやる以上は、これを総合的な、お話の近代都市構想に積極的に効果をあらしめるように、この住宅政策と首都建設構想というものとがタイアップするように今準備を進めておるような次第でありまして、なかなか現在の中央地方の財政の状態からいたしまして、理想の実現には容易でないとは思いますけれども、これは長い目でみて、首都建設構想というものを今日こそしっかりとしたものにいたして参なければならぬということを考えておりますので、いずれこの点につきましては、大体の構想なりできましたら、ぜひこの委員会にもまた御批判をいただきたいと思っておりますが、中はまだ十分に自信のあるところまで参りませんので、もっぱら準備を進めておるような次第であります。
  64. 田中一

    ○田中一君 狭小住宅が占めておる割合が多いという点、耐火構造のものが少いという点は、結局四十二万戸の数字を合せるためにそのようになったと理解してよろしゅうございまか。
  65. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは御質問に対して抗弁するようになって恐縮でありますが、しばしば私も申し上げた通り、狭小住宅ということは、ことさら狭小住宅をやったわけではなくて、公営住宅制度のもとにおきまして低家賃の家を作るということになりますと、勢い耐火構造にするためには坪数をある程度減少をいたさなければならぬということに相なりまして、大へん世間の批判を受けておるわけでありますが、この点等もいろいろ工夫をいたしまして、できるだけそういう一方の欠陥を避けるように実行の面においては努力をいたしたい。それから耐火構造の面におきましても、今回の三本立を全部合せますと、前年度の耐火率に比べまして約倍の耐火率を持っております点は、私としてはこの点については今回の建前は一歩も二歩も前進をしたものだというふうに考えております。
  66. 田中一

    ○田中一君 どうもおかしいですね、答弁を聞いておりますと。どこまでも耐火建築にするから狭小なものになるというのですが、耐火建築にしてゆっくりしたものを作ればいい。それがなぜ作れないかと伺うと、耐火建築にするから少いのだ。どうもずっとこの住宅法案に関連する建設大臣答弁というものは、どこまでも四十二万戸四十二万戸という数字で頭が一ぱいになっておるのじゃないか。何でもかんでも四十二万という数字に合せなければならぬということにきておるのじゃないかと思うのです。これは建設大臣の責任じゃないでしょう。これは私の伺ったのは、大蔵大臣から伺ったのですが、しかしながら当面の当事者としてはその数字に合せざるを得ないということになっているからそうだと思うのですが、どうも四十二万戸にこだわって、いわゆるあなたの考えていらっしゃるようなものができないのじゃないかというような私も気がするのですが、そこで、先ほどの杉村教授に関連してさっきからの質問一つ続けてみたいのだが、今ちょっと非公式に聞いたのですが、資金運用部資金から来る金というものは、償還期日は二十五年にしたいというように今非公式に伺ったのですが、二十五年に必ずなりますか。
  67. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 大体二十五年にいたしたいと考えております。なお、前段のお話につきましては、くどいようでありますが、決して御趣旨のような意味ではないということは、第二種公営住宅におきまして、六坪の簡易アパートは二十四、五万程度のものであって、木造八坪の家と、その建設資金においては多少多くかかるということでありまして、これは費用の点や、戸数をしいて増そうということではなくて、むしろ家賃を千円のものを八百円程度に下げるという努力といいますか、そういう点にねらいがあったわけでありますが、これらもいろいろ御批判を受けておりますので、必ずしも六坪と八坪の振り合い等はこれに固執することなく、予算的には有無相通ずるほとんど似たような費用でありますから、実態に応じてそれぞれ入る人の御要求に応じていこうと考えております。
  68. 田中一

    ○田中一君 二十五年償還の資金運用部資金を借りる、それから地方公共団体の場合はどうなりますか。
  69. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは多分公団の十六億の分だと思いますが、これは出資でありますから、一応そういう償還の年限の問題は考えておりません。
  70. 田中一

    ○田中一君 預金部資金は償還するのですね、そうするとこれは、本会議だったと思いますけれども建設大臣は、地方公共団体の出資というものは起債をもって充当さしてやろうという心がまえがあるのだということをおっしゃっておりました。地方公共団体はやはり払うのです、借金ですから。そうすると地方公共団体が借りる、住宅公団に投資する資金として借りる金というものは預金部資金から出すのですけれども、これは何年償還でございますか。
  71. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これはその分は預金部資金になりますか、あるいはほかの資金になりますか、個々のケースとして今後考えなければならぬと思いますが、預金部資金について言えば、大体申し上げたような二十五年という程度のことになろうかと思いますが、出資でありますので、これが回転をして運転をして行く等のこともありますから、他の借入金とはおのずからまた別個に考慮したいと思います。
  72. 田中一

    ○田中一君 ですからもしかりに、地方財源がありあまっているところはないのです。金の余裕がある県はないのです。従って地方自治法の一部改正というような法案も出ているのです。地方財政の再建をはかるような法案も出ているのです。そこで財源の点もやはり国が心配しなければならぬと思うのです。そうする場合に何年ぐらいの償還で預金部資金地方は借りるのかを伺っているのです。かりに政府があっせんする公団資金と、それから地方公共団体がやはり同じような財源から借りる資金の償還というものは、同じように考えていいのですか、言葉をかえて言いますと。
  73. 石破二朗

    政府委員(石破二朗君) 同じ住宅につぎ込むわけでございます。従ってそういう意味においては償還年限も同一にするという議論も成り立つかと思いますが、公団政府資金を借り入れる場合の償還年限につきまして特に考えておりますのは、実はこれは民間資金というものが相当含まれております。民間資金はある程度短期に償還しなければなりません。そうしますと、建設当初の資金繰りの関係上、どうしましても預金部資金を特に普通の場合よりか長くしてもらわなければ困るというような点が主な理由になりまして、賃貸住宅については二十五年、分譲の方にはそういう関係がありませんので、大体二十年程度に考えておりますが、そういうわけであります。地方公団出資のために地方債を起します分につきましては、そういう資金繰りの関係がありませんので、同一に考えるというわけにいくまいと思いますが、この点につきましてはまだ私の方としましては、起債の条件その他については具体的に話し合っておりません。
  74. 田中一

    ○田中一君 では、この起債の問題につきましては、次回の委員会に自治庁長官をお呼び出しを願ってよく聞いてみたいと思います。  五十二億の民間資金の投入といいますか、これは先般も本間参考人がこういうように説明をしておるのです。この金があのような利率では大体二十億程度が最高の限度だ。けれども生命保険の会社の団体には四十億と言ってきた。こんなものは出せない。出せないが、まあこれから一ぺんに金が要るのではないから、そのうちにどうにかなるからぼつぼつ出せるようになるだろう。それならば四十億くらいの程度のものはいいじゃないかというような点でもって、非常に熱意のない考え方でこの四十億というものを承知した。こう言っておるのです。これは速記録にちゃんと残っております。そうして償還は五カ年というように伺っておりますけれども、一応五十二億の金が生命保険の団体、損害保険の団体、それから銀行というものから出るといたしますと、これは五カ年償還ということになりまして、あと三十一年度はどういう形でこれは出資されるのか。それから今の地方債です。地方の投資の金をどういう——三十一年度はどれだけになるかという一つの見通しがあると思うのです。公団を一年で作って、それをそれっきり休業するのじゃないと思います。それで一応年次計画考えられると思う。民間資金とそれから地方負担の金との年次計画を一応お示し願いたいと思うのです。
  75. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) まだ資金別の年次計画というものは実はお示しするところまでは固定しておりませんが、大体は今年の筋を追うていく考えでおりますけれども、これは民間資金情勢政府の財政資金情勢等からにらみ合せてきめて行くべきものと考えておりますが、まあ今のお話しの保険会社側の言い分というものは、ある意味においては、熱心か不熱心かということは言葉で表現はなかなか困難であろうと思いますが、政府が大いに要請をして保険会社に出資を求めたということも半面においては事実でありまして、おれの方に余っておるから出してやろうと言ったのでないことは確かにそうでありますから、そういう意味において幾らでもあるからやるのだということではないと思いますから、大いにこの際政府住宅政策協力して、苦しい中でも他にもっともうかる道があるのだけれども、まあそれはがまんして政府政策協力をいたしましょうということの結果でありますから、あるいはいろいろそういう商売の立場からの発言があったことであろうと私は想像しておりますが、今日の段階としては、今予定をいたしております五十二億について、私が前にも申し上げたように、保険会社及び銀行等の資金協力を得るという見通しをはっきり持ってやって参ろうと考えておりますし、保険会社側もこれにはいろいろ言い方はどうありましても、結果的にはこの協力をするということは確約いたしておるようなわけであります。
  76. 田中一

    ○田中一君 しかし来年になってこれが出ぬことになりますと一体どうなるのですか。一応三カ年あるいは二年くらいの年次計画は持たなければならぬと思うのですが、その点は頬かぶりで考えておるのですか。聞くところによると、八百名の人間を機構整備してやるということですが、それは来年、再来年の計画というものがなければ、そういう新しい機構を作ってやる必要は何もないわけです。
  77. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは全体は、前に申すように、おおむね十カ年計画という前提のもとに今度の計画を立てました次第でありますから、その範囲におきましては、今年の計画を基盤といたしまして、全体的には漸次増加をする方向に向ってそれぞれの三本建を進めて参りますが、今私の申しましたのは、その中で民間資金を来年幾ら、どこの会社から幾ら取るかという個々の具体的の問題につきまして、一々のことを決定いたしておるというわけではありませんので、そのことを申し上げたのでありますので、この建前をもって一カ年の住宅計画を進めていくということは、すでに政府としての決定をいたしました基本線であります。
  78. 田中一

    ○田中一君 三十一年度はこの資金計画というものは一応のめどがあると思う。私はそれを伺っておる。それを原則として地方の投資、それから民間資金の投資というものはどうなっておるかということを伺っておるのです。
  79. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 今申す通り三十一年度個々の具体的な計画は近く作成に入ります来年度予算の編成に当って決定いたしていく問題でありますから、今個々について数字的には申し上げかねますけれども、今年度計画の線を推して来年度計画に相なるというふうにお考えをいただけば、これは大して間違いないと考えております。
  80. 田中一

    ○田中一君 なるほど八月になりますと、また三十一年度予算の原案を組むことになるでしょうけれども、もしも地方出資並びに民間資金というものが来ない場合には、運用部資金または政府出資でもって全部百六十六億といっておる本年度計画を下回らない予算を組む自信があると、こういう工合に理解してよろしゅうございますか。
  81. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは私は民間資金を加えた政府財政資金建前公団建前でありますから、この建前はもちろん堅持をいたして参りますが、財政資金が多くなるか民間資金が少くなるかということは、政府の全体の財政投融資計画というものとの関連において起ってくる問題と考えておりますので、われわれとしてはこの計画をこのままで押し進めたいとも思うし、また欲を申せば財政資金というものが多いに越したことはないわけで、しかしこれは全体の予算方向民間資金との関係、財政投融資の関係等を総合的に考えなければなりませんので、今これだけを切り離して、財政資金で行くか、民間資金で行くかということは簡単には申し上げかねると申し上げておるわけでありまして、建前としては、この民間資金を含めた財政投融資を基本にした行き方を公団はとって参るというわけであります。
  82. 田中一

    ○田中一君 ちょっと話がそれますけれども、私はここで八百名くらいの機構を整備して、そうしてその職員によって百六十六億の資金をもって二万戸を建設しようという計画だ、しかし来年度はわからぬ。非常に何もこまかいことを聞く必要はありません。ただ百六十六億を下回らない資金を手に入れて公団という経営を円滑にやっていくのだという御答弁がないと、私は八百名ないし九百名の職員を入れるということ、これ自体が非常に危険と思う。再び首切り役を公団の総裁におっつけるということになる心配があると思う。伺いますと内閣委員会では大体百九十七名、いわゆる二百二十名営繕首切りの人員が大体公団に押し込めるということを言明なされたそうでありますが、これは非常にけっこうと思う。しかし八百名以上の人間がいなければこれはできないというならば、私は次年度せめてまあどの株式会社でも設立年限というものは株式会社ではちゃんときめてあるのです、定款に。この会社は三十年、あるいは二十年とか、あるいは五十年とかときめてあるものなんですね。存続年限なしに一年でやめるかもわからないというところに八百名の人間を擁するということは、これは非常に危険だと思うのです。もしも一年乃至二年、三年程度の計画がないならば、これは公団という組織を大幅に機構を作らないで、この法律にありますように、付則にあるように、設置法も改正されてこれが建設省の営繕局でもこの仕事の受託ができるというふうになるわけでございますから、もしせめて三年程度の計画が立たないならば、これは機構はできる範囲に縮小して、あとは営繕局がこの仕事を——それも管理その他の問題じゃなくて、実際の設計その他営繕に関する仕事をやってゆくというような形に持って行った方が非常に危険が少いのじゃないかと思うのです。もう建設大臣も首切りというやつはいやでしょう。よくわかります。それを大幅にまた公団に入れて、あるいは政府が変る、政変があるとかいえば、これは年次計画を持っていなければまた新しい首切りをしなければならないじゃないですか。こういう危険が多分にございますから、一つども審議する上において、前提として安心してこれが審議できるというような形の計画をもし今できなければ、一つ次回の委員会までに構想をお示し願いたいと思います。
  83. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは先にも申し上げたように、そういう御心配はよくわかりますが、政府の立てました十カ年の計画というものが基礎をなしておりますから、十ヵ年先の第二次計画をどうするかということは今具体的にはきめておりませんが、十カ年計画というものの前提としてこれを立てておる次第でありますから、端的に申して公団は今年は年度半ばに出発をいたすということから見ても、これは最低のものと私は心得て、今後進めていくことにもちろん話をいたして出発をいたしたわけでありますから、その今の御心配の点はどうか、われわれとしても同じ立場に立って考えて参ることでありますから、どうか御心配いただかなくとも私は十分御審議いただいて差しつかえないと考えております。
  84. 田中一

    ○田中一君 では、地方出資または民間資金の出資がなかった場合には財政投融資でもってまかなうという自信はおありなんですね。
  85. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これはこの建前をとるつもりで考えておりますが、この相互の間の金額等は今申したようにどうそのときの情勢によって若干の変化はありましょうが、守れなくなってしまうというようなことは実は考えておりませんし、もちろん住宅政策のための計画でありますから、財政資金民間資金等の割りふりが変りましても、今お話通りいずれかの資金でこの計画を遂行するのが政府考えであります。
  86. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 ちょっと、大臣でなくてもかまいませんけれども、土地区画整理事業というのがどういう仕事をされていますか、明らかにしていただきたい。大臣でなくてもいい。
  87. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) この公団の中での……。
  88. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 すべての土地区画整理事業……。
  89. 澁江操一

    政府委員(澁江操一君) 土地区画整理事業は、現在は都市計画実行する一つの手段としまして、ことに都市内の宅地の造成整理、これをやる場合、あるいは都市内の公共施設、たとえて申しますれば公園とか、街路とか、こういったものの用地の取得整理のための手段としまして事業をいたしております。これが前に国会でございますか、御審議願いました土地区画整理法の根拠に基きまして実行いたしておるわけであります。土地区画整理事業の特色は、環境整備、公共施設の整備でございますとか、あるいはそういう公共施設の整備をすることによりまして都市の環境整備をあわせていたす、これが土地の価格価値を引き上げることになるのであります。その見返りといたしまして、これに対する減歩をかけることによりまして、それらの手法を織り込みまして、この公共施設の一方では整備をする、かような方式でもってこの土地区画整理をいたしておるのであります。
  90. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 市街地を造成する、これはもう家を建てるところでは必要でありましょうが、しかし土地の区画整理もその中に入っておると思う。従ってこの土地区画整理事業の一環として市街地の造成は当然入るものと思いますが、いかがでしょう。
  91. 澁江操一

    政府委員(澁江操一君) 御質問の趣意をもう一度。
  92. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 土地区画整理事業の一環として市街地をどういうふうに作るのだと、そういう計画は当然この事業に必ず入るべき性質と思いますが。
  93. 澁江操一

    政府委員(澁江操一君) 御質問に対する答弁として、正確な的を射ておるかどうかわかりませんが、土地区画整理事業の一環として市街地の計画、整備が入るかというのでありますが、現在やっておりますことは、都市計画法に基く市街地の都市計画、これがまず前提になりまして、その計画実行する手段として土地区画整理事業を行う。こういう関係に立って仕事をいたしております。
  94. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 今度のこの法案の中に市街地を作るための土地区画整理事業をこの公団が施行すると、こういうふうにあります。でありますから、その観点から考えても、先ほどの土地区画整理事業に対してやはり市街地を作るということが含まれているように思うのであります。
  95. 澁江操一

    政府委員(澁江操一君) 土地区画整理事業の目的そのものが市街地の造成にある、こういうわけであります。この公団法のこの規定は健全な市街地の造成、これは土地区画整理事業が本来そういう目的を持っておるものでありますが、なおそのことを明らかにする意味におきまして規定をいたしました。土地区画整理事業はもともと市街地の健全な整備をはかることを目的として考えられておる制度でございます。こういうふうに考えて差しつかえないと思います。
  96. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 従ってですね、都市計画委員の決定をすることでありましょうが、その都市計画として決定された区域内においては、どこに市街地を作るのだということははっきりしていることと思いますが、その点はどうですか。
  97. 澁江操一

    政府委員(澁江操一君) お説の通りであります。
  98. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 それならば、その都市計画事業として決定した区域において市街地を作るためのこの公団としては、どういう事業をするのでありますか。
  99. 澁江操一

    政府委員(澁江操一君) 公団宅地として造成される地域、これは既成の市街地である場合ももちろんございます。従って現在までもう都市計画の適用されて計画が決定されておる地域である場合もあると思います。しかしここで考えられておる公団の区画整理事業におきましては、必ずしもそればかりではございませんで、都市計画が従来決定されていない。たとえて申しますれば、東京都の場合で申しますれば、衛星都市に相当するような地域につきまして、新しく都市計画を適用しまして、都市計画を立てて、これに基きまして区画整理事業を行う、こういう場合が想定されるわけであります。二様の場合が考えられるというふうに思います。
  100. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 従って、この公団が仕事する場合には、その前提として都市計画として決定された区域についてまずもってきめなければいかぬ、こうなるでしょう。
  101. 澁江操一

    政府委員(澁江操一君) お話通りでございます。
  102. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 もう一つ承わりたいのは、首都建設委員会で決定する事業とこの都市計画で決定する事業と、どちらに重点を置かれていますか、どちらが一体先行といいますか、あるいはどちらを主としていくのですか。
  103. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 実は首都建設委員会で今やっておりますことは、大きな首都圏構想といいますか、広くいろいろなものを取り入れて考えていこうとしておりますから、まただんだんと段階が進んで、個々の具体的な問題にあるいは立法処置をお願いするという問題も起るかもしれませんが、今のところは、全体の大まかな輪郭をきめる方に進んでおるようなわけでありますから、公団がやりますことは、個々の具体的な家を建てる地域、または宅地を造成する地域というものに現実にぶつかっていくわけでありますから、全体の首都圏構想というものをもとにして個々計画公団実施していくというふうに考えて参っておりますから、いずれが主いずれが従というようなことには実は考えておりません。
  104. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 一つの例をお話しいたしますと、あるいはこの国会を周辺とした地域は中央官衙建設地域と、こういうふうなことを首都建設委員会で決定されていまして、この観点からこの地域には住宅も自由にできないというふうなこともあるのであります。そういうことがありますから、かりに公団で土地整理区域内に入っていて事業をしようと思っても、また首都建設委員会の方の事業の関連から非常な支障を来たすということも事実あろうと思います。そういうことは一体どちらを主としてきめるのですか。
  105. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) ごもっともなことでありまして、これは前後いたす場合もありますし、いずれが重いかというような問題もありましょうが、まあ私の考えでは、建設省が一応いずれを主にとるべきかというようなことの判断をいたして、具体的に解決をいたして参りたいと考えております。たとえば今お話し通りの官衙計画というようなものは、住宅政策で侵すべきでないと考えますが、一方先般解除をいたしました緑地の計画のごときは、これは住宅政策の立場から先に決定をした緑地計画に、内容的に計画の変更を求めていったというような次第もありますので、大体私は事態に即応する——即応するといいますか、将来の首都圏構想というものは尊重をいたして、そうしてその中で住宅政策を進めていくために、相互調整をはかって参りたいと考えております。
  106. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 大体わかりましたが、この首都建設委員会で決定されると、また中央官衙のごとき非常な権限を持っておられるように思われるのです。現に私もその事業の計画上に非常に迷惑をこうむった一人なんです。それでこういう公団で事業をしようと思いましても、これは首都建設委員会の関係上仕事はできぬというふうなことがありましても、これは土地区画整理事業以上に重大な権限を持ってきたように今思うのであります。それでその観点を明らかにしておかないと、非常に将来事業をする者は迷惑する。公団で仕事しようと思っても、かりにこういう地域にあるかどうか知りませんが、という場合が起っても、仕事はできないということになります。その観点からもう一度はっきりしておきたい。
  107. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) まことにごもっともなことでありまして、これは終戦後いろいろな、まだ不安定といいますか、未確定な事態が多いときに、いろいろ立てました計画もありましょうしいたしますから、その計画そのものがもう永久に固定化してしまうということでは、お話しのように実際に合わない面が起るということはよくわかりますけれども、私実は就任以来首都圏ですでにきまった計画の変更を求めたのが、日比谷の図書館の問題といい、あるいは緑地の問題といい、実はむしろ直してもらったケースの方が多いようなわけでありますが、私の気持としましては、首都圏構想というものが、部分的な固定した計画も大事でありますが、それよりもロンドンのあの計画のような、もっと雄大な構想で、一体首都に一千万入れようというのか、一千二百万の人口にしようというのか、それには行政区域を越えて全体の計画をどうするかというような点を、もっと広い範囲において立てていくべきもののように私は今考えまして、すでにきまった計画等を尊重はいたしますけれども、もう少し遠い将来に向って首都圏構想というものを立てるべきだというふうに、今委員会の諸君とも話を進めておりまして、いろいろそれの基礎的構想というものを、この間の、つい数日前の委員会においてきめまして、それをもとにして具体的計画を今立案中でありますが、そういうものがだんだんと成長いたして参りますれば、戦後きめました計画等についてもお話し通り、実態に沿わない面については再検討をいたさなければならぬし、またそれが将来に向って大事な計画であったとするならば、尊重をいたしていかなければならぬかとも考えますので、よく御注意の点は理解いたしたつもりでありますから、今後も運営の面におきまして、さような方に持って参りたい。今回の住宅政策についても、その点はよくマッチをいたして参りたいと考えております。
  108. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 大臣の構想では、非常に大きな考えを持って土地区画整理をやらなければいかぬと、それは私もその通り思うんであります。でありますから、これは一つ東京都を離れたほかの地区におきましても、相当大きな構想を持って、やはりその土地に適した土地区画整理事業を計画しなければならぬ。でありますから、われわれ今この法案に基いて公団その他が住宅として家を建てたいと思いましても、根本的の土地区画整理事業が進んでいないと、私はほんとうはやっていかれぬと思うんです。その観点がありまするからして、よしここはもう公団が家を建てるには適当と思っても、一般の環境あるいは交通その他を考えて、その土地全体の大きな構想からやってもらわぬと、非常に将来迷惑をきたすというふうに私は思います。それで何といってもこれは土地区画整理事業をまず先行して、十分考えて、しかる後にこの公団でやる市街地を作らせる。従って、非常な無理をして土地区画整理に入れさせて、それからこれを市街地に作る、そういう無理をしないように、まずもって大きな構想で土地区画整理に入れるというふうにしてほしいのです。これに対する大臣のお考えを承わりたいと思います。
  109. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) まことに適切な御注意でありまして、私もさようにいたしたいと考えておりますし、今現実のこの計画を遂行するにつきましても、そういう点はよく注意をいたしましてやって参りたいと考えております。
  110. 田中一

    ○田中一君 赤木さんの質問に関連するわけですが、私は全然反対なのです。先ほど大臣は、武藤参考人の都市改造という面にまで住宅政策の面から発展したいというような、学会の話といいますか、意向があることを申し上げたところが、それも勘案したいという話でございました。私は都市というものは結局入れ物でございます。入るものの生活あるいは働き、勤労ですれ、そうしたものから見ますと、将来都市というものが立体化されて、日本のような狭い土地は面積としては縮小されなくてはならぬという考えを持っておるのです。私が提案しておりますところの法案審議になりましたら、詳しくお話し申し上げますが、御説明申し上げますけれども、もうあなたの御存じのように、飛行機に乗って東京の空を飛んでみますと、日本の狭い土地の中で、いわゆる首都という東京、この大きさには一驚を喫するのは私ばかりじゃないと思うのです。この狭い貧乏な日本が、野放しでどんどん横に広がってくる、都市というものは。これは都市じゃないですね。やはり人間が自由放任でどこへでも住宅を建って進んでいくというようなことは、これは政策ではないのです。少くとも都市政策というならば、都市政策に含まれておるところの住宅政策というものは、今建設大臣が首都圏において大きな構想を持って横に延ばしていくという、東京都ばかりに限定されない考えを持っていこうというのは、私は絶対反対である。そういう構想を持つものじゃないと思う。そこで首都圏の方の計画に話が飛んでいってしまったのですが、住宅政策というものと都市計画というものは不可分なものです。それでこまかい問題につきましては計画局長に伺いますが、大臣がどこまでも衛星都市的な計画をもって、都市計画をもって、そして住宅政策を完全になし遂げようというお考えなのですか。あるいは私どもが常に言っておりますところの都市の立体化、そして集約したこじんまりしたものか、あるいは自分の住宅から往復で二時間、三時間かからなければ自分の職場に通えないという都市並びに住宅考えていらっしゃるのか、どちらか一つ説明願いたいと思います。
  111. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 私の伺っておる限りにおいては、赤木委員も田中委員お話も少しも私は食い違いを感じておりません。全く同じ意味の御主張と私は理解して答弁をいたしておるつもりでありまして、私が首都圏構想を大きく持っておるという意味は、都市を無限に拡大をするという前提で申し上げておるのではありません。御承知のように、首都圏のいろいろ御指摘をいただきましたように、すでに決定をいたしました部分的な計画というものだけでは不十分であると考えますから、現実の問題としては東京都はどんどん膨脹いたしておるのでありまして、これを田中委員お話しのように、都市計画の見地から規制をいたして参りたいということはだれも望むところであり、私も決して異論を持っておるものではありませんし、都心において高層化していくと、必要以上に拡大をしないようにしていくと。しかし現実には御承知通り、ある意味において無秩序に衛星都市が起りつつありますから、これらを交通あるいは住宅、いろんな角度から産業とマッチした衛星都市といいますか、周囲に分散した都市を作っていくということは、これは従来各方面から検討されて参りました都市計画のこれは一環の一部であると考えておりますから、さような意味で今赤木委員の御意見に私も同調いたしたわけで、従って、そのことは前段での田中委員のお答えをいたしました私のことと、何ら矛盾を感じておりません。その内容としては田中委員のお考えはわれわれも尊重すべきものと考えております。
  112. 田中一

    ○田中一君 昨年住宅金融公庫はたしか二億円だと思いましたが、四億円か、二十万坪の宅地造成をやっておりました。この説明を私は伺ったのです。これはおれの責任じゃないとおっしゃればそうかもわかりません。しかしその思想そのままをやはり、本年度予算にもその構想そのまま入っておるのです。たとえば宅地造成事業費として十三億三千八百七十八万円というものを計上しております。この宅地造成はどこに土地を求めようとなさるのですか。
  113. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 前の国会での御質疑の趣旨は私は理解できないかもしれませんが、私の考えでは、御承知のように、公庫宅地造成に関する貸付というものは、求められてやっておることでありまして、これは要求が熾烈でありますから今度もやるつもりでありますが、これは申し上げるまでもなく、公団のようにみずから計画的に宅地造成をするという積極的な面からではなくて、金を貸してくれ、宅地を作るために資金を融通してくれという方に資金を融通いたすわけでありますが、しかしおのずから計画性は持たなきゃならぬということは心得ておりますけれども公庫制度でも一定の地域に集中して宅地を作るというところまではおそらくなってはおらぬと思いますので、そういう点は今度公団の方がそういう意味で指導的な宅地造成をする。公庫は求められるままに資金のある限り宅地の取得に金を出す、こういうことに私は理解をし、今後はそういう考え方運営をいたしていくつもりです。
  114. 田中一

    ○田中一君 では、十三億三千八百万円、この金でどういうところに宅地造成をしようとするか、むろん計画はあると思うのです。
  115. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは百万坪のうちには、必要によっては——三十数万坪今予定をいたしております。国有地の現物出資を得ました分の宅地造成をいたす分も、若干重なりましょう。それからその他の民間私有地に造成をいたしていくということが大部分であります。これは前の構想といたしましては、東京、大阪その他限られた都市を中心に考えておりましたが、先ほど来申すように、各地にある程度分散をしろという国会側の御要望ももちろんだと考えますから、この百万坪というものが数カ所に集中してやるようにはならぬと思いますので、今これを地帯別にどこどこというふうにまでまだ結論を申し上げる段階には至っておりませんが、必要なところへなるべく公団としては集中的に宅地の造成をいたしたいと、かように考えております。
  116. 田中一

    ○田中一君 この事業計画の案を見ますと、一般賃貸住宅一万戸、勤労者分譲住宅一万戸というものの宅地は、この百万坪の中に含まれておるのですか、含まれておらないのですか。
  117. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 大体大まかに見ますと、約三十万坪ないし四十万坪の範囲で二万戸は十分に宅地が足りますから、その他の分は公庫公営その他に、あるいは自力建設宅地に提供をするつもりで、宅地造成をいたすわけであります。しかし場合によれば、この百万坪の宅地造成をしないところで既存の宅地公団住宅を建つ場合もありますから、全部この中に包含をするとも考えられません。
  118. 田中一

    ○田中一君 現在建設省の方の住宅局の区分の中で、設置法が変りまして宅地課ができるでしょう。その場合、現在は宅地課の仕事はだれがやっているのですか。
  119. 石破二朗

    政府委員(石破二朗君) 今宅地行政について実は統括的に一ヵ所でやっておるという建前になっておりません。公営住宅宅地につきましては住宅建設課、それから住宅金融公庫の分につきましては住宅経済課、さらにもう少し広い意味で土地の行政、土地を対象とする諸般の行政という面におきましては計画局で所管いたして一おります。
  120. 田中一

    ○田中一君 それでは、今の三人の方が見えておるでしょうから、三人の方から、七十万坪の宅地造成の場所、今建設大臣かまだわからぬなんということはありようがないのです。従って、その計画局長考えておる土地の場所、坪数、それから住宅建設課長並びに経済課長が考えておるところの宅地の場所を明示願いたいのです。
  121. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) ごもっともなことでありますが、今申すように、実は宅地に関する行政といいますか、一応やっておることになっておりますけれども、これを一貫してやっておりませんから、公営住宅に関する宅地は当然そこで心配をするという限度においてやっておる。公庫公庫の分のことを考えておるということでありまして、新たに公団の百万坪の宅地計画というものを今のところで考えろと言っても、これは無理なことでありまして、そのために宅地課を置いて、この百万坪に限らず宅地制度やまたいろいろ取得の問題について今後努力をして参りたい、かように考えておりまして、はなはだ不用意じゃないかとおっしゃられればそれまででありますが、今百万坪の分がどこに何坪あるということは用意をいたしておりませんので、実ははなはだ申しわけありませんが、求められてもそれを個々数字的に提供するまでには実は至っておりません。
  122. 田中一

    ○田中一君 では、国の現物は出資の土地というものの場所、数量をお示し願いたいのです。
  123. 石破二朗

    政府委員(石破二朗君) 国の現物出資します約三十万坪程度の土地につきましては、大体のおもなところについては話し合いがついておりますけれども、具体的にまだ決定いたしておりません。
  124. 田中一

    ○田中一君 宅地の取得というものが、あなたがたが権力で命令してそれが取れるようなものでないことは、御承知通りですよ。少くとも百万坪の宅地造成をするといって予算を組み、そうして国の現物出資の分もまだ三十万坪というものが明確になっていないというようなことは、ありようがないのですね。私はこれはどこまでも、現在国に三十万坪と伺いましたから、国が現物出資として出しますところの宅地造成の予定地というものの資料を要求します。
  125. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) わかっている分だけについては資料としてお渡しします。何も隠しておるわけではありません。たとえて言えば、大阪におきまして火薬廠の跡を大部分を政府宅地造成対象として出すということは大体話がついておりますが、まだできるだけわれわれとしては広く残存国有地の中から求めて参りたい。これはお話し通り、具体的な問題でありますから、抽象的に幾らときめてみたってそれが具体的にきまらない限り、申し上げかねるのは御了承いただきたいと思うので、われわれといたしましては今後も努力をいたしまして、公団ができますならば公団及び建設省が手を尽して、残った国有地の中からできるだけ広く求めて参りたい、かように考えておまりすから、大阪の例等大体申し上げても差しつかえのない点につきましては、後刻資料として申し上げたいと思います。
  126. 田中一

    ○田中一君 私は建設大臣が隠していると思ってはいないのですよ。そうした用意がないと思っているのですよ。少くとも民間の土地ですとね、ここで言われると、それは自分で買って金もうけをすると思われても何だから、言われない方がいいのですが、しかし国の土地ならこれは話がついておると思う。これは予定がございますれば明示できると思う。決して建設大臣が隠しているのじゃなくて、言えないのじゃないかと思う。言う材料を持たないのじゃないかと思っているのです。ですから、伺っているのです。資料としてお出しを願いたいと思うのです。あとの七十万坪に対しましては、いわゆる衛星都市的な、先ほど建設大臣がうまい答弁をしましたけれども、やはりあるいは埼玉県か、あるいは神奈川県か、あるいは茨城県等、隣接の県のどこかに求めようというようなことを、このあなたの部下であるところの局長、課長級は、今までに再三再四言っておるのですが、あなたの構想の中には、他府県にわたるようないわゆる衛星都市的な構想を求めるような意図はないものと解釈してよろしゅうございますか。
  127. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 私さように申した覚えはありませんので、公団を作った趣旨からいたしましても、行政区域を越えた広地域の首都建設計画を進めるために公団を作るのだということが、設立の第一の条件といいますか、趣意にもなっておるようなことでありますから、御指摘のような東京都周辺に住宅地地帯が考えられる場合におきましては、考えたい。しかし実際問題として、国会で、どこどこに作るのだということを今私が言明をいたしますことは、御心配下さるように、ただ宅地をいたずらに暴騰せしめる弊害もありますし、これは実際に着手をいたしますときに慎重にかかって参りませんと、必要以上の混乱を起しては相済まぬと思いますので、何も案がないじゃないかとおっしゃられるのに対して、はなはだ相済まぬわけでありますけれども、私はことさら慎重に申し上げておるわけで、何にも手元にないつもりではないわけでありますけれども、この点は一つ御了承願いたい。
  128. 田中一

    ○田中一君 そうしますと、他府県にわたる衛星都市的な宅地を求めるということに了解していいのですか。
  129. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 誤解があるといけませんから申し上げますが、住宅公団がやります地域というものは、もちろん都市の内部にもできるだけやりますが、必要の場合においては、今申す広地域といいますか、他府県の区域まで及ぼすこともあり得る。この両方考えております。
  130. 田中一

    ○田中一君 そうしてひた隠しに隠していらっしゃる——構想がある、考え方があるというのだから、あるのでしょう。また思いやりがあって、土地の高騰を招来してはならぬから言えないのだということは了承します。けれども、一体こういう宅地の取得というものは簡単にできると思っておりますか。
  131. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) いつも申し上げておりますように、これは非常に大事なむずかしい仕事だから、陣容から立て直して、一つ真剣に取っ組んで参りたい。決して簡単とは考えておりません。
  132. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 私からも一言関連して。先ほど来大臣から公団の設立の構想につきまして伺いまして、非常に意を強うするところがありますが、この際一言意見を申し上げますと、先ほど来、東京都にいたしましても、中心部ばかりでなしに、行政区画を超越してまでも相当な構想を持ったところの宅地造成をやりたい、いわゆる都市計画の一環が、区画整理をして行政区域外にも及ぶことがあり得るということでありました。これは非常に大きな問題でありまして、私どもも、実際は今各地で市町村の合併が行われておりますが、貧弱な市町村が二つか三つ集まりましても、あくまでも貧弱な町村は貧弱な町村であります。従って、東京都のような、また大阪のような大都市は、この大都市に、大都市を中心としての大きな行政区画を作りまして、これを州と申してもけっこうです、あるいは特別都と申し上げてもけっこうですが、そういう広域な範囲にわたる大都市を中心とする田園都市計画等も必要であろうと思います。こういう構想は三十年、五十年の後を予想すべきものでありますから、こういう構想を中心として都市計画を立てるべきではないか。住宅建設でもそうあるべきだ。同時に、産業経済の規模も、原子力の利用等によりまして格段の進歩もあり、変化も起ると思います。及ぶ限りの変化を予想いたしまして、経済の変遷、産業規模の、何といいましょうか、膨脹、そういうものも考慮のうちに入れまして、住宅政策を進めてもらいたい。  もう一つは、用水の問題です。家を作っても、一番困るものは水です。飲料水のない所に住宅を作っても、意味がない。現在は至るところに飲料水にも事欠く都市が多い。特に東京もその例でありまして、昭和三十二、三年ごろには小河内のダムが完成いたしますわけでありますが、これすらも東京都の増大する人口をまかない得る飲料水ではないわけです。同時にまた、工業用水も非常に枯渇しておるという状態でありますから、水の面から日本の経済は規制をされ、人口も規制される、生活も規制されるということが必至の状況にあるのです。ですから、住宅建設をされる場合には、飲料水をどこに求めるか、また工業地帯をどこに設定するか、大都市計画を立てるならば、その工業用水をどこから取るかというようなことも先決にお考えを願いまして、将来間違ってむだな住宅建設をして、取りこわさなければならぬというような状態の起らぬように、その際は思い切った大きな構想のもとに、もちろん高層建築も加味しなければなりませんが、飲料水を中心とすることも特に重点を置いて御検討を願いたいと思いますが、そういう点についての御配慮はなすっておいででありましょうか、それを伺いたい。
  133. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) ごもっともでありまして、実は今首都圏の基礎的な構想は、大体東京の都心から五十キロの円周の中を大体地域別に検討をして、いろいろな地帯を考えていこうといったようなことも考えておりますので、当然数府県にまたがる構想になると考えております。その場合、住宅、産業、道路のことはもとより、水道のことも当然大きな問題として、現に千葉で工場を作って水が持ってこれないで非常に今困っておるようなことも目の前で見ておりますので、先般東京で相模の水を東京都に入れるということの十数年来の懸案を解決いたしましたが、ただ小河内だけでも足りないので、利根川から水を持ってくる問題を今日から着手をいたさなければならぬと考えておりますので、いろいろ御注意の点はまさに首都圏構想というものの中で考えていくべきものと思いますが、それはなかなか容易ならぬ総合的な大計画であります。建設省だけでできるとは考えておりませんけれども、一応われわれがその中心計画を立てまして、また皆さま方の御意見を伺う機会をできるだけ早く持ちたいと考えております。
  134. 田中一

    ○田中一君 それで、今石川さんから質問があったから伺いたいのですが、五十キロの円を描いてと言われましたので、大体構想がわかりました。早くからそう言ってくれれば、何も私は言いやしないのですよ。(笑声)これは首都建の案なんですよ。よく承知しております。そこでこれに付帯する道路とか、交通網その他の問題は、一体だれの負担でしょうか。道路あるいは電車、バスいろいろあるでしょう、水道、ガス、そういうものは一体だれの負担でしょうか。
  135. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これはもちろん、大構想に伴うこれの裏打ちのいろいろな計画につきましては、今後の審議決定に待つべきものと思いますから、今の制度で全部がそれをやり得るとは考えておりません。いろいろ構想に応じて問題の解決点を考えていかなければならぬと考えます。
  136. 田中一

    ○田中一君 それでは、私はこれは保留しておきます。
  137. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 大臣は今予算委員会の方の御都合があるそうでありますから、今日はこの程度で散会いたします。    午後三時二十五分散会