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1955-06-16 第22回国会 参議院 建設委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月十六日(木曜日)    午前十時三十分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     石川 榮一君    理事            石井  桂君            赤木 正雄君            近藤 信一君            武藤 常介君    委員            石原幹市郎君            小沢久太郎君            西岡 ハル君            酒井 利雄君            宮本 邦彦君            北 勝太郎君            村上 義一君            湯山  勇君            田中  一君            堀木 鎌三君   国務大臣    建 設 大 臣 竹山祐太郎君    建設政務次官  今井  耕君    建設省河川局長 米田 正文君   事務局側    常任委員会専門    員       菊池 璋三君    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    中央気象台長  和達 清夫君    中央気象台総務    部長      北村 純一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○水防法の一部を改正する法律案(内  閣提出)     —————————————
  2. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  水防法の一部を改正する法律案を議題に供します。  質疑のおありの方は順次御発言願います。
  3. 田中一

    田中一君 まず第一に伺いたいのは、この法律の目前が洪水または高潮に際してのことをいろいろいっているのです。そこで、高潮の来る場所によって管理者が違うと思うのです。たとえば港湾ですと、これは全部運輸大臣管理者になっております。まあ海岸堤防崩壊が出ておりませんから、おのずからその地区々々の都道府県あるいは市町村管理者になっている場合があるのでありまするが、河川の場合はいいのです、しかし高潮の場合には、個人が持っている海岸線に対する権限までも建設大臣が持ち得るのかどうか。それから港湾に関する高潮水防活動というものは、運輸大臣と何らかの事前協定なり、あるいは何らかの方法をとらないと、できないのじゃないか、こう考えるのです。で、市町村の場合には、はっきり市町村単位でもって水防組合ができているからいいのでありますが、海岸線というものは、他の役所の管理分野個人の持っているものというような場合に対しては、どういう見解を持っておりますか。
  4. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) この中にもそのことは予想して部分的には入れておりますが、建設大臣運輸大臣とが協議を進めて、いろいろ具体的な問題の処理に当ってゆきたいというふうに書いておりますが、なお具体的には河川局長より申し上げます。
  5. 田中一

    田中一君 ここには「前項河川は」と書いてあるのですが、港湾はどうなるかというのです。これは河川の場合は、流れるところは港湾に流れるのですから、これはいいでしょうけれども港湾そのものの場合はどうか。これは河川の場合なんです。「前項河川は」云々と書いてある。ですから、港湾の場合には、運輸大臣水防活動指揮権を持つかどうかという問題です、私の伺っているのは。これは書いてないと思うのです。
  6. 米田正文

    政府委員米田正文君) 私から補足的に説明いたします。確かに、今おっしゃられる通り港湾管理者との関係については、水防法で明確でございません。ただ、今日の情勢上、ただいまもお話かございましたように、海岸管理についての基本法規がございませんので、明確でございません。が、私どもは、この予報あるいは警報をやるのは、どこまでも水防管理団体活動の対象になりますので、今日では、たとえて申しますと、大阪港湾関係でありますと、大阪市内水防管理団体がございますので、高潮等についてもその防禦に当り、その活動をすることになっております。そこで港湾の場合については、今のところ法規はございませんが、この警報あるいは予報によって、大阪については、水防管理者である大阪市長警報を出して水防活動をするという建前になるので、ただ建前だけでなくて、実際の運用については、ただいま大臣から申し上げましたように、運輸省十分連絡をとりながら、実際活動に支障のないようにいたしたい、こういう考え方を持っておるのであります。
  7. 田中一

    田中一君 そうすると、高潮というものは港湾には来ないという見込みなのですか。
  8. 米田正文

    政府委員米田正文君) もちろん港湾に来ます。港湾についても、高潮警報知事あるいは大臣警報を出してよろしいという建前に立っております。港湾機能管理とは直接の結びつきをこの水防法は持っておりません。水防自体としての活動港湾機能管理という問題とは、別途にいたしております。高潮警報によって水防活動を行うことは、この水防法によって市長が行う、こういう建前になっております。
  9. 田中一

    田中一君 この水害予防組合、これはこの水防法に関連する団体なんでしょう。全然違いますか。
  10. 米田正文

    政府委員米田正文君) この水防法に関連をする団体でございまして、この水防法でうたっております水防管理団体であります。
  11. 田中一

    田中一君 水害予防組合主務大臣はだれですか。
  12. 米田正文

  13. 田中一

    田中一君 そうしますと、結局、その事件が起きた場所というものが港湾の場合には、少くともそれを修理するとか、応急修理をするとか、あるいは予防防御工事をするとかいう場合は、これは運輸大臣と相談しなければならぬと思う。これは運輸大臣命令系統管理系統下にあるところのものとしなければならぬと思うのです。それで、ここにいう運輸大臣との協議事項というものは、河川に関するものなんですね。で、広義解釈をして、港湾に流れ注いでいるところの河川というものはこれはわかります。しかしながら、高潮というものは、河川ばかりに来るのじゃないのです。海岸線に来るのです。それから場合によったら、運輸省が直接自分の持っている施設に来るかもわからないのです。そういう場合に、これは一々運輸大臣の方、管理者の方へ連絡をとってやるというわけにもゆかぬと思いますから、市町村にしても、予防組合法なり水防組合法なりというものに、何か別の処理規定があるかどうかの問題ですね、水防法としてはっきり出ているものなら……。やはり事件の起る分野というものはおのずから制約されるのです。そうするとわかるのです、どの部分、どの部分ということが。農地の場合どうするか。これは農地私有地の場合、こういう問題があるのです。そういうところをもう少し明確にしないといけないのじゃないかと思うのですが……。
  14. 米田正文

    政府委員米田正文君) お説の通り基本法のない海岸施設等防御関係において、管理者との関係については、お話のように不明確の点がございます。しかし今日の立場においては、この水防法水防あるいは水防責任を、いわゆる洪水及び高潮に対して包括的に責任を負うという体制をとっております。従って、お説のように、だんだん管理者というものが明確になってくれば、おのずからそこに分界がまた新たになってくるのです。そこで、今日の状態では、私どもは、この水防法によって包括的に海岸も全部含んで水防活動をする、こういう建前になっておるのです。ただ事実上の問題としては、おっしゃられる通り港湾管理者があるものについては、港湾管理者事前協議をして実施をして参りたい、こう考えておりまして、そのためには水防協議会がございますので、水防協議会のメンバーとして、港湾管理者にも十分連絡をとる機会を得たい。なお、そのほかにもできるだけ密接な連携をとっていくようにして、万全を期したいと思っております。
  15. 田中一

    田中一君 私、実態を云々するのじゃないのです。法の立て方欠陥があるのじゃないかということを言っているのです。実態はその通りですよ。応急の場合にはそうしなければならないのです。法を無視してやっていい場合もあるのです。これは公共のためにやる場合には法を無視してもいいのです。けれども法律を立てる法律立て方というものに欠陥があってはならぬと思うのです。それを言っているのです。実態はおっしゃる通りです。それでけっこうです。ですが、これが河川に対する水防だけじゃないんですね。やはりここにある通り高潮というものを含んでおる。高潮というものは何も建設大臣あるいは市町村管理する範囲のみに来るものではないのです。海岸堤防法という法律はありませんから、明確になっていません。海岸線維持管理者はだれか、最高責任者はだれか、明確になっておりません。おりませんが、少くとも現在の段階において管理者が明確になっている分については、やはり法に規定しなければならない。ただ末端の事実起きる問題こして処置すればいいじゃないかという問題ではないと思うのです。法の立て方としてこれは僕は言っているので、私は、私の申し上げたことだけでもってどうこうとは言いません。言いませんが、私はこのままであっては、せっかく立法府というものがこれを審議を受けた場合に、当然これは起る疑問だと思うのです。これは私はこのままでは、実態はいいですよ、くどく言いません、実態はかまいません、その通りです。これは御考慮願わなければならぬと思うのです。それが第一点です。それは河川局長も認めているのですから、認めているなら何とか措置をとっていただかなければならぬ、こう考えるのです。
  16. 米田正文

    政府委員米田正文君) その点をもうちょっと補足しておきますが、これはただいま申し上げましたように、包括的に水防活動を規制しておりますので、洪水及び高潮について全面的な責任を持つ改正をしております。従って、直後の管理者とのつながりが、あるいは直接でなくても、水防法建前は貫けると思います。そこで、この水防精神は何かといえば、ここの第一条に書いてありますように、公共の安全をはかるというのが最終の目的でございますから、海岸堤防がかり私人のものであっても、その私人のものを破壊することによって、堤内地の膨大な地域を水害にさらすという危険がある場合には、かかる見地から、私人のものの水防水防団実施するという建前をとらなければならぬと思うのであります。そういう考え方で、総括的に全部水防法でもって責任を持ってゆくという体制にいたしております
  17. 田中一

    田中一君 それではよくわかりますが、お話のことは御説明通りで、しかし、それでは何も運輸大臣協議する必要はないのです。やはり一条にあるように、公共の安全ということで、二人も三人も命令系統がなくてもけっこうです。一つでいいのです、その命令ならば。その中にはいろいろ消防権警察権、いろいろな権利が総合して持たれる場合があるのです、非常時には。一人でいいのです。かえって二人にするのは間違いです。なぜ特に河川だけそうしたか疑問なんです。その面だけが強く強調されるものならば、そうするならば命令系統は一人でいい。もし協議するならば、事前協議する場合、他人の管理分野の権益を侵す場合には、この今あなたが言ったような公共の安全ということだけでいったら、ある人の家をぶちこわしてでも延焼を防ぐという消防活動もあるのですから、これはかまいません。これははっきりと消防法でできている。命令をするのは、何も決して、判断というものは建設大臣がするのではない。あるいは運輸大臣がするのではない。火事の場合には、やはり国家消防本部から流れてくるところの命令権があって、そこでだれの家でも延焼するときはこわすという非常活動をしなければならぬ。これはよくわかるのです。それならば、協議をするという必要はないのです。また協議をするということを入れるために、困難があるのです。そこのところは、どうも僕は、法律を立てる立て方として僕には疑問があるのです。
  18. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 田中委員の御意見、まことにごもっともでありまして、考え方としては今河川局長の申したようなわけで、協議をするといっても、全面的なことを、実は私は例にちょっととっただけでありまして、全面的なことを考えておったわけではないのでありまして、事実上運輸大臣その他いろんな必要な所と協議するのでありますが、今御注意のような趣旨では実はなかったわけで、私の説明が不足をしておりまして、あるいは大へん強く申し上げたようにおとり下さったから、そういうことになったかも存じませんが、趣旨河川局長の申すような趣旨でありますから、田中さんの御注意の点もよくわかりますから、法制上は非常に大まかにきめましたが、なお海岸法制化とともに、この問題は研究すべきものであるということをよく承知いたしております。
  19. 田中一

    田中一君 この、はっきりここに「前項河川」というのは、「二以上の都道府県の区域にわたる」ということだと思いますが、なぜ河川だけ……。
  20. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) ここの当面の問題は、今答弁を少しぼやっと申したから……。これは気象通報の方が運輸大臣所管だから、そのことの方が主眼で……。
  21. 田中一

    田中一君 その通りです。私もそれは理解しているのです。理解しているけれども基本法がないのです、海岸堤防に関連する。私もそう思っているのです。気象通報の問題は運輸大臣所管している。そういうふうに理解しているのです。そこでちゃんと管理権限というものが分れて現在あるのです。海岸提防法というものは、海岸堤防管理者が明確でないのが現状です。はっきりあるものに対してどうするか。それはひっくるめてやるなら別ですが、そうすると、河川局長の言われた広義解釈でもって、公共の安全のためにやるということならば、これはいいのですが、しかしながら個人の持っている私有地に対して、無届で何もせずにものをやるということならば、それに対して補償規定というものがちゃんとなければならぬのです。かりに個人の持っている私有地であるところの海岸を、やむを得ずそこをこわしたりなんかしなければならぬときは、そういう場合はそれだけの補償というものを、民法上権利があるのですから、そういうことに対する補償がなければ、今のようなこわしても何してもいいという暴言は考えられないのです。これは片手落ちです。今までの日本が、勝つために何十万人も戦争に行って死ぬということと同じです。そういうことはあり得ないのです。そこのところをもう少し明確にしてもらわなければ困るのです。
  22. 米田正文

    政府委員米田正文君) ただいまお話しのありました緊急時に所有権のあるものに損害を与えるというような場合については、その損失補償というのは水防法二十一条に前から規定をいたしております。ここは改正してないものですから、原文を見ていただかないとわかりません。
  23. 田中一

    田中一君 これでいいのです。こうでなければならぬと思います。しかし港湾の場合はどうなりますか。  そうすると、この水防法精神というものは、どこまでも公共の安全のためにやる活動ということにウエイトがかかっているのですね。そういうことですね。そうすると、水防法改正の分ではなくて、どうもあまり読んでいないから困るのですが、そういう点で、何ですか、他の、建設大臣管理していないものの部分に対する協議事項とか、事前における話し合いというものは、全部下部組織活動組織であるところの水防組合なり何なりが取り扱って、水上管理団体に一切まかしてあるということですか。そこから上ってきて、個人所有者なり現在の管理者なりというものに話しをして、まとめてやっているということですね、これは法律にきめないでも、そのままでやるからいいのだということですね。
  24. 米田正文

    政府委員米田正文君) 港湾の場合でありまして、たとえば大阪等につきましても、毎年水防計画というものを作ります。大阪市が中心になって水防計画を作る。そのときに大阪は御承知のように、淀川の筋の堤防水防はもちろんでありますが、海岸についての高潮防御計画も同時にその水防計画の中に作ることになっております。その計画に従って、これは工事計画ももちろんでありますが、連絡方法及び資材の運搬、人間の動員、すべてこまかく計画はされております、その水防計画の中において。従いまして、一朝有事の場合にはその水防計画に従って、市長が、いわゆる水防管理者としての市長がその計画に従って指揮をとる、とって活動を始める、そういうことになっております。
  25. 田中一

    田中一君 それじゃ、先に資料説明して下さいよ。
  26. 米田正文

    政府委員米田正文君) お手元にお配りいたしました御要求のありました資料を御説明いたします。水防法の一部を改正する法律案参考資料というものにつきまして。この順序が、実は御要求になった順序になっておりません。書類でいただいた順序になっておりませんので、恐縮でございますが、最初から御説明申し上げます。  第一は、水位観測所数調べでございます。これは今日日本全国におきまして水位を観測する個所が幾らあるかという調べでございまして、都道府県建設省実施をいたしておるものを合して掲載したものでございます。各都道府県別に申しますと、こういう数字になっておりまして、合計いたしまして、一番最後の右の下で、合計数が三千四百七十八個所でございます。ここで水位を観測いたしておるのでございます。  その次は、その第一ページ水位観測所の中の自記的に水位がはかれるような施設を持っておるものを、別に分けて抜き出して書いたものでございます。これは一番右の下の欄でごらん願いますように、合計三百九十三個所でございます。これも建設省及び都道府県管理をいたしておるものでございます。  その次の表は、験潮儀設置数調べでございまして、これがいわゆる海岸の潮の高さをはかる施設でございます。この合計が一番右の欄で、合計二百十七ございますが、この中には都道府県土木部所管しておりますのが八十九、建設省としては地理調査所所管をしておりますのが四でございまして、あとは、海洋気象台、その他運輸省農林省等のものを全部含めて二百十七でございます。  それからその次の表は、竣工せる多目的ダムロボット観測所一覧表でございます。これはロボット水位観測所ロボット雨量観測所、こう二通りになっております。水位をはかる施設と雨の量をはかる施設と二つになっておりまして、しかもこれが有線無線とにおのおの分れております。この有線というのはアメリカ製のものでございまして、レオポルト・スチーブンソン会社製有線遠隔操作施設というものでございます。現在のところこれが普通に使われておるのでございます。無線というのが木曽川にございますが、水位及び雨量についておのおの二でございますが、これは日本で初めて今度、丸山でこういう施設日本の研究によって作ったものでございまして、これは無線になっております。今後は、この丸山試験施設がうまく結果が現れますならば、おそらく今後はアメリカ製のものに取ってかわってこの方法が普及されると考えております。  その次の表は、ロボット無線雨量計水位計設置状況でございまして、これは各川筋に設備をされておるのでございまして、大部分中央気象台設置をいたしておるものでございます。この中に、一番最初木曽川と書いておりますのは、前のページのとダブっております。それから一番下の水位計と書いて木曽川がまた二と書いてありますが、これも前のとダブっておりますので、要するにこの表では木曽川筋の分は前のページとダブっておりますから、御了承願います。そういたしますと、ロボット無線雨量計水位計総数で今日六十が設置をされております。
  27. 田中一

    田中一君 六一ですか。
  28. 米田正文

    政府委員米田正文君) ここのこの表で一番下の方に六十四と書いてありますが、それが六十です。それは前ページとダブっております。  その次の表は、水防管理団体調べでございます。これは各都道府県から報告のありましたものをまとめたのでございますが内訳は、水防管理団体の中が水害予防組合とそれから市町村とに分れております。合計いたしますと、計の欄の一番下でごらん願いますように、総数五千七百八十一でございます。そのうち水害予防組合が二百二十三、市町村が五千五百五十八、こういう数字でございます。ただ、これは昨年末の調書でございますので、その後町村合併等が行われておりますので、相当修正をされることが予想されますけれども、去年末でございます。  それからその次の表は、水害予防組合主要河川配置状況調べでございます。川別水害予防組合が現在あります状況でございます。  その次は、水防に要する費用と地方交付税上の関係でございます。今日地方交付税法規定の中には、ここに書いてございますように、都道府県分普通交付税算定基礎となった河川費の中には水防費も含まれておる、こういうことでありまして、普通交付税のときに基礎になります県の財政需要額計算のときに、河川費というものを入れて計算をいたすので、その河川費の中には水防費も含まれておる、こういうことでございます。その後特に水害等財政需要が増大するというような場合に特別交付税措置が行われるのでありますが、この場合には、この中に水防多額経費を、その後予期せざる経費を要したというような場合には、この特別交付税の中から措置をされる建前になっております。市町村の分については、全国市町村に普遍的なものでないというので、普通交付税算定のときには入らないのでありまして、特別交付税のときに措置される建前になっておるのであります。  その次の表は消防団員に対する災害補償でございます。消防団員災害補償については、消防組織法第十五条四の規定によって、常勤の者の例に準じて、非常勤の者も市町村の条例の定めるところによって損害補償されることになっております。給付の種類及び内容は、療養補償休業補償障害補償遺族補償葬祭補償打切補償、こういう項目で現在実施をされております。  その次は水防による死傷者に対する扶助金等調べでございます。昭和二十五年度から二十八年度に至る四カ年間の統計を書いてございます。負傷件数は、二十五年度が三十五、二十六年度が十九、二十七年度が百四十三、二十八年度が三百三十六でありまして、それぞれ支給金額は十一万八千三十九円、六万一千四百九十三円、九十八万四千八百十二円、二百四十九万七千九十三円で、御承知のように、二十八年度は非常に水害が多かったために、二十八年度は非常に多額に上っております。一件当りについて申しますと、その下の欄にございますように、三千円から七千円台でございます。死亡件数は、その下に書いてございますように、二十五年度に十二人、二十六年度に五人、二十七年度十七人、二十八年度十人という数に上っております。その支給額がその下の欄に書いてございます。で、一件当り死亡者の場合の金額が、二十五年度は八万二千六百二十七円、これが次の年は十五万四十八円、次の年は二十五万五千六百六十二円、二十八年度は二十九万五千百二十五円、こういうふうに支給金額はだんだん増加をいたしております。こういう実情にございます。  それからその次は水防功労者報賞に関する省令の要綱でございます。実は、これはまだ内容をこまかに規定するところまで行っておりません。ごく考え方だけでございます。  一、水防法第三十四条の二の規定による報賞は、この省令によって行うものとすること。  二、報賞は、建設大臣が、都道府県知事の推せんに基き、賞状を授与して行うものとする。  三、報賞を行うに当っては、記念品賞状に添えて授与することができるものとすること。  四、報賞を受ける者が、当該水防により死亡した者であるときは、その者の遺族に対し、十万円を限度として報賞金を授与することができるものとすること。  五、報賞を受ける者が当該水防により不具廃疾となり又は負傷し、若しくは病気にかかった者であるときは、その程度に応じて相当な報賞金を授与することができるものとすること。 というような構想で、現在案を練りつつあるところでございます。  その次に、「報賞」に類似する用語のある法令の例でございますが、「報賞」という字を使っているものはいまだどこにも法律の中にないようであります。われわれの調べたところではないようであります。法制局でもないと言っております。が、まあこれに似たようなものという意味で調べてみますと、こういうように憲政功労年金法、あるいは警察法の中にも一郎ある。それから褒章条例は御承知のようにございますし、その次のページに、地方税法で税金を納付したものに報奨金を出すというような制度がございます。あるいはその次の遺失物法というようなものに報賞に類する類似のものはございますが、報賞ずばりというものはいまだございません。ごく参考にこういうものを書いたので、御要求資料にぴたりというものがございませんでした。  大体以上の通りでございます。
  29. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 ただいま局長の御説明の中に、水防による死傷者に対する扶助金等の調べで、二十八年度は死んだものに対して一件当り二十九万五千百二十五円となっておりますが、このごろああいうふうで、まあ方々の船なんかで死んだ人がありまして、あれでさえ相当の金を出しているのでありますが、一生懸命働いて、ことに水防の人は元気盛りの人なんですが、わずかこれくらいの金で一体いいとお考えなんでしょうか、どうでしょうか。
  30. 米田正文

    政府委員米田正文君) 大へんまあむずかしい問題でございますが、現在のところ、この水防に非常に類似をしておる団体としては消防でございますが、消防で立てておる原則、及び警察の場合も非常に近似しておりますが、そういう場合にはやはり労働基準法の中にうたっております災害補償の原則というものがその建前になっております。で、それで申しますと、死亡した場合にはその補償は千日分、それから葬祭料を六十日分というのが今日の基礎になっておりますので、大体かりに三百円の日給の者であるといたしますと、千日で三十万円、これにまあ六十日分加わる、こういうことになりますが、われわれも決してこれで十分なりとは思いません。けれども、まあ一応他の団体、特に消防との関連において平仄を合わしたという趣旨で、今度の補償規定を入れたのでございます。ただ、その点だけでなお不十分だという意味合いから、報賞という制度をさらにつけ加えまして、水防に従事した者についてはその当然受けるべき災害補償のほかに報賞金を受け得ると、こういう道を開いたのでございます。
  31. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 この扶助金なんか、つまり国から出す分も今後あるでしょうが、そういうものを入れて三十年度の予算が組んであるのでしょうか。
  32. 米田正文

    政府委員米田正文君) 今一応予算に組みましたのは、報賞金といたしましてことしの予算では三十六万円を組んでおります。が、これは今後そういう事態が起きれば、予備費等で措置をするという部内の申し合せになっております。
  33. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 それは報賞金として組んでありますか。
  34. 米田正文

    政府委員米田正文君) 報賞金として組んでございます。
  35. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 そうすると、その報賞金以外に、あるいは直轄河川なんかの水防に当っていてそれが死んだ場合に、この扶助金、そういうものはお組みになっていないのでしょうか。
  36. 米田正文

    政府委員米田正文君) それは組んでございませんが、建前は、直轄河川等で水防のために事故を起したという場合には、公務員及び公務員に準ずる者は、非常勤の者であっても役所に関係のある者は、当然公務災害補償補償をいたすのでありまして、他の一般の応援者の問題といたしましては、そういう場合にはこれは水防団活動の中に含まして実施をするというのを建前にいたしておりますから、それらについてはやはりこれは補償金の中から出す、こういうことになっております。
  37. 田中一

    田中一君 今の水位観測所数調べ、それから自記水位計、検潮儀、それからロボット観測所、こうした水防に関するいろいろな施設、こういうものを三十年度ではどのくらいのものが見込まれてあるんですか。そうして三十年度の計画としてはどうなっているかという点、それから都道府県がやる場合には、これは国が作って都道府県がこれを管理するのか、都道府県が自分で作っておるのかどうか、都道府県が作る場合には、補助金がどのようになっているか、それをちょっと説明して下さい。
  38. 米田正文

    政府委員米田正文君) 今度の予算に組んであります観測施設については、項目は河川水位調査費というので計上いたしております。その金額は三十年度予算で三千七百九十八万八千円組んでございます。これは内容は、雨量の観測施設とその管理水位、流量の観測とその管理でございまして、今年度新しく設置するものとしましては、雨量観測所を五十カ所、それから水位観測所を三十カ所本年度中に新設することになっております。
  39. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ただいま中央気象台長和達清夫君と北村総務部長が説明員として出席しております。
  40. 石井桂

    ○石井桂君 私は報賞のことについてちょっと大臣の御意見を聞きたい。いただいた資料でも、報賞考え方は非常に画期的な規定のようでございますし、これは物心両面から水防の思想を高揚する上に非常に大切だと思うんですが、昨年ですか一昨年、外国から帰って来た人の話で、水防について非常に苦心している国は世界の国でオランダが一番だ、ある旅行者の一人が提防決壊している所へ視察に行ったところが、貴婦人が一人水にひざまで入ってれんがを積んでいる。それを聞いたところが、オランダの女王だった。それほどオランダの国に水防が徹底しているわけですね。これは水防施設とかいろいろな用意をすることも肝心ですが、国民がほんとうに郷土愛から水防が大切だということがわかって、そうして水防については立派な系統があって、しかも国民の尊敬する一番のえらい人までも水防の第一線に従事しているということで、率先垂範するというふうなことになって初めて、オランダはほとんど全国が海水より下の所にあるにかかわらず、大した水害を受けていないのじゃないか。日本は、二十八年の最近の例によりますと、あれだけの水の害があった。それからどういうことがなされているかというと、水防法のような立派な法律があるのですが、やはりその法の精神が生かされていないのじゃないかという気がいたします。大へんに方法はけっこうでありますけれども報賞制度の効果を上げるにはどうしてもやはりそういう国民の精神に、ほんとうに大事なことだということがわかるような方法が講ぜられなければいけないのじゃないか。  そこで、私はオランダの女王を例にとったのでありますけれども、別に日本の皇帝のえらい方をという意味じゃございませんが、この水防に関する機構といいますか、水防団指揮する地位とか、あるいはその上の建設大臣とか、そういう機構がはっきりしていて、その機構の一番上の人がまずそういうことに一番熱心だということが、国民に知れておらなければいかぬ、こう思うのです。そこでこの水防法による機構というものが、水防団の上に何があって何があるのだという御説明と、それからオランダの女王ほど行かぬまでも、それだけの御熱心が——この水防法によれば建設大臣が最高の責任者ですが、そういう何といいますか心がまえ、そういう点をお聞かせ願いたい。
  41. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) ごもっともなお話でございまして、実はきのうさっそくラジオ東京で、水防の用意はいいかということで私もひっぱり出されまして、東京と大阪の二元放送でたまたま今御指摘のようなことが話題になりましたし、私も、水防法を今国会で御審議を願っておるので、法律だけで水防ができるとは考えないけれども、これを一つの機会として水防体制をわれわれも整えるけれども、国民の側においてもそれぞれ一つ十分お考えをいただきたいということを申したわけでありますが、私もまだ、御指摘のように、私自身決して満足に努力をいたしておるとは思っておりませんけれども、やはり戦後の一時的な混乱かこの面にも現われておると思いまして、この点などは戦前のみずから守るという態勢に国民的な結束を導いて、その裏打ちをするために、民主的な水防法の機構を整備をいたしてゆくということであるべきで、それにはもちろん財政的な、あるいはまた報賞的な、補償的な制度を完備するということは、当然伴わなければならぬと思いますので、前の国会において立てられました水防の問題を、若干時間的におくれましたけれども、今年の水害に幾分でも効果あらしめようと思ったのが、今回の改正でありますので、私自身、また建設省をあげて、御指摘のような問題について国民の注意を喚起をする方法等は当然みずからが実行をして、それに伴って起ってくる問題だと思いますので、いろいろ御注意をいただいて最善の努力をいたしたいと思います。
  42. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 昨年の北海道における第十五号台風ですね、国有林だけでも五千五百万石といいましたが、実は最近の調べでは八千万石の風倒木があったし、あるいは公私有林全部を加えますと、実に大きな風倒木の量に達すると思うのです。これが北海道の水害に対する影響についてお調べになったものがありましたならば、伺いたいと思います。
  43. 米田正文

    政府委員米田正文君) その当時の水害調査につきましては、私どもでは河川筋のものについては調査がございます。風倒木につきましては、参考資料としての送付を受けた資料を持っております。今ここに持っておりませんけれども、役所にはございます。
  44. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 昨年の場合じゃなくて、将来こうむるべき北海道……。
  45. 米田正文

    政府委員米田正文君) その対策については、北海道庁で立案をいたしまして、今計画案を持って来られておりますので、研究をいたしております。
  46. 石井桂

    ○石井桂君 なお、水防法の中に緊急避難というような業務が含まれておりますか、どうですか。
  47. 米田正文

    政府委員米田正文君) 緊急避難は現在の法律の二十二条で「立退の指示」ということがございまして、これで立ちのき指示をする事項をうたっております。
  48. 石井桂

    ○石井桂君 もし立ちのき指示が手配が間違って、大ぜいの犠牲者が出たような場合には、どなたが責任者になりますか。
  49. 米田正文

    政府委員米田正文君) これは都道府県知事、あるいは都道府県知事命令を受けた職員、または水防管理者という三つの段階になっておりますが、その者が必要と認める区域の居住者に対しては避難のために立ちのきを指示することができるということになっておりまして、その適正であったかどうかは、その命令者の責任の問題だと考えます。
  50. 石井桂

    ○石井桂君 多くの場合には都道府県知事までは一々問い合せしていないと思うのですが、そういう場合には水防団の長が責任者ですか。
  51. 米田正文

    政府委員米田正文君) これは水防管理者でございまして、手っ取り早くいえば、市町村長であります。
  52. 石井桂

    ○石井桂君 どうしてこの質問をしたかといいますと、これは二十八年の災害のときには、私は現場を見に行ったのです。そのときに、和歌山県のある河川の、名前は忘れちゃったのですが、非常に水が早く出るので、退避命令をしなかった。そうすると、前の方の川が一ぱいになると同時に、うしろの堤が切れて、丁度中の島のようになって、見ていて大ぜいの人が死んだという例がある。そのときに私はやはり現場を見に行って、そのときに、そういう場合の責任者はだれかと聞いたのですけれども、あまりはっきりしないで終ってしまったのです。そこで、そういうような例がありますので、そういうときの措置を誤まった場合に、たれが責任をとって——そうしてそれは水防団員じゃないのです、被害を受けた人は。そういうものに対する補償なんというものはどういうふうにされるのですか。
  53. 米田正文

    政府委員米田正文君) そこまでのこまかい点に立ち至っての規定はございませんが、一応実際の場合には、市町村長が立ちのき指示をする。その判断はなかなかむずかしい場合もあろうと思いますが、故意、過失でない限り、最善の努力をしてやったものについては、私どもとしてはさほど責任を負わすべき性質のものじゃないのじゃないか。ただ故意、過失があれば別ですけれども、普通の場合は非常な努力をして、非常な善意をもってやった場合については、さほど責任を追及すべき筋ではないのじゃないかと思っております。
  54. 石井桂

    ○石井桂君 たとえば、緊急避難をするような場合には、警察官も動員して強制的にでもするという措置があわせて用いられますか、どうですか。そういう場合。
  55. 米田正文

    政府委員米田正文君) この水防法建前では二十二条でゆきますが、警察としての職務からも立ちのき指示ができることになっております。その場合に、どちらでやるかはそのときの状況によると思いますが、私どもは多くの、ほとんどの場合、水防におきましては市町村長が立ちのき指示をするというのが普通の場合になっておると思います。
  56. 石井桂

    ○石井桂君 私がお聞きしたいのは、非常に危険が迫った、その場合に、一般の住民が常識的にものを判断して、家財やなんかに執着がありますから、なかなか命令を聞かないわけですよ、丸腰の人では。そこでまあ責任市町村長にあるのだけれども、警察官を使って強制的に立ちのかせるようにする場合があるだろうと思うのです。その場合はあくまで、署長やなんかは責任者でなくて、水防責任者はやはり市町村長だと思うのです。そうして私が例にとったのは、つまり市町村長の命令が適切でなかったのがその場合なんです。それで何百人かの人が死んじゃったわけなんです。それで、その場合は土木出張所の技手かなんかが非常に機転がきいておって、橋のところへ通行どめの竹かなんかをしまして、通行をとめてかなり人命を救助している例があるのです。しかしほんとうは、そういう危いときには、市町村長はほんとうに責任があれば、市町村長が自治体の警察を使って、そうして被害のないようにと、一方、早く逃げろという命令が徹底されなければいかぬ。それがどうも徹底されていないように私は思うのです。そういう場合は、不可抗力かどうかというのは非常に大きな疑問があるのですが、大がいの場合は不可抗力で逃げられてしまうと、死ぬ者貧乏ということになってしまうわけです。多分その場合も、大ぜいの人は何も補償を受けないで私はなくなっていったろうと思うのです。そういう場合のことも考えておかないと……ずいぶんあるのじゃないかと思うのですが。
  57. 米田正文

    政府委員米田正文君) そういう場合に、この水防法の二十二条で立ちのき命令を出して、なお十分それが徹底しない、警察官でも使わなければ徹底しないという場合には、市町村長から警察署長に通知して、そうして強制的にでも立ちのかせるという方法は、警察官等職務執行法でできることになっておりますので、そういうことを遺憾なく実施をさせるように指導すべきだと思います。
  58. 石井桂

    ○石井桂君 結局、まあ筋はよくわかるのですが、理屈の通りに——非常の災害の場合は短時間でものを処理しなければならぬ。ですから、今の機構が実際に緊急避難を要する場合なんかに適切であるかどうかということの御検討は、さらにお願いもませんと、私はずいぶん大ぜい方々で死んでいる例を聞くのです。和歌山県下でも一つと、そのときに奈良県の何とかという川でも一つと、二カ所も聞いているのです。そこで、多分二年前にこの席でお聞きしたことがあるのですが、あまりはっきりしなかったのです。そのままに水防法が今日までなっておると思うのです。そういう非常に強力な手を打たなければならぬ今日、今の機構でいいかどうか、この点はどうですか。十分だとお考えになっておりますか。
  59. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) よく研究をいたしまして……。
  60. 田中一

    田中一君 この条文の質疑をしたいのですが、まずその前に、気象台と建設省が現在までやっている予報連絡、それからどちらが指導的になっているか、これでは建設大臣になっておりますが、現在まではどういう形でもってやっておるかということを聞きたいのですが。
  61. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これはよく今話し合いをいたして、こういう制度を作りましたから、一つ両当事者からお聞き取りを願いたい。
  62. 田中一

    田中一君 説明を聞きたいと思うのですが。
  63. 米田正文

    政府委員米田正文君) 従来は、洪水予報をやる河川につきましては、建設省、中央気象台及びその他の関係のものが連絡協議会というのを谷川ごとに作っているのでして、そこで事前協議をして、洪水予報計画を作っておるわけです。そこで、いよいよ雨が降り出しますと、その計画に従った行動に入りまして、気象台とわれわれの方は特に中心になって連絡を交換しながら、発表文書等も打ち合せながら、いたしております。
  64. 田中一

    田中一君 いや、いつも、たとえば、これはもう今まで予測しなかった雨量だったといって済ましてしまうのですがね。だから、今まで欠陥があったと思うのです。気象台と建設省の側との連絡といいますか、欠陥があったと思うのですよ。そういう点は、たとえば、今度の法律に盛り込んであるところの洪水予報の通知、これは都道府県がするとなっています。それから水位の通報、これも都道府県がやる。水防警報、これは建設大臣がやる。こういう工合に分れているのですね。それはここに来るまで、建設大臣がやるまではむろん気象台の方に問い合わしたりなんかしてやっていると思うのです。それから自分の方の観測施設というものの実態調べて、自分の現場現場からのものを勘案してやる、こうして出すのだろうと思いますが、その際、気象台は今まだ欠陥があるから、法律をもって縛ろうということになったのじゃないか。今までどうなっておったか。
  65. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 欠陥というよりも、今度はその点を積極的に、受持分担をよく話し合ってつながりをつけたという点がまあ新しい問題ですから、両方から一つ……。
  66. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 申し上げるまでもなく、わが国では小河川あるいは急流、あるいは比較的ゆるやかに流れる大河川などがたくさんあります。一般に、洪水予報を定量的に行うことは非常に困難な仕事であります。従って、現在は洪水予報は原則的に中央気象台の単独の責任において行われまして、その予報も定性的のものが多いのであります。しかしこの中で、大河川につきましては河川状況が人工的に整備されておりまして、一度溢水しますとその損害は甚大なものがありますので、そのような重要な河川、これは全国で十二河川ありますが、このような重要な河川につきましては、河川管理を行なっている建設省の地方機関と中央気象台とが共同して数量的な洪水予報を行う必要があり、また現在そのようにして洪水予報を行なっております。しかしこの両者が共同して洪水予報を行うことにつきましては、従来法的根拠がなかったので、この点、法律を整備する必要があるわけであります。右のような事情によって、今回洪水予報は原則として中央気象台の責任とし、重要河川について水位及び流量を数量的に示して洪水予報を行う場合には、中央気象台及び建設省の共同責任とする制度を法的に整備いたしたのであります。これが現状と今回の法律趣旨です。
  67. 田中一

    田中一君 そうすると、今気象台の方の御説明の中にあったように、建設大臣建設大臣の末端のそれを担当する、地建でしょうね、地建からの情報をもらうということになるのですか、これは。その気象台が末端においてくっついているところは、建設大臣なり気象台長というものではなくて、どっか下の方にあると思うのですが、どの辺でつながっておるのです。
  68. 米田正文

    政府委員米田正文君) これは全国にまあ分散しておるので、そこの地方建設局が主体になります。気象台は、その地区の管区気象台が中心になります。その両者が共同作業をやることになります。
  69. 田中一

    田中一君 私その連絡を伺いたいのは、もう一秒を争うというような問題が大きいわけなんですね。そこで、あまり曲り曲ってくるのじゃ、時間がかかってしょうがないのです。そこで、たとえば一地建なら一地建、気象台なら気象台だけの地域だけだったらいいが、二つないし三つにまたがるような大きな台風等があった場合、これはどう調節するのですか。
  70. 米田正文

    政府委員米田正文君) たとえば大阪を例にとって申し上げますと、大阪の地方建設局が中心でございまして、これが無電を持っております。それから出先としては、河川の上流部に三カ所なり四カ所無電発信所を持っております。そこで連絡はすべて中枢の地方建設局の企画部の中に集まることになっております。情報が全部集まってくる。気象台はもちろんその管区、その地区の管区に集まることになっておりますから、情報は全部その中枢部に集まって、その情報を交換して予報を出す、こういうことであります。で、数府県にまたがりましても、全部地建の一カ所に集まってきます。
  71. 田中一

    田中一君 地建の区域外の所はどうです。一地建の区域外の場合のときは、どういう連絡をするのですか。中部地建と近畿地建とまたがったような場合、連絡はどうするのですか。
  72. 米田正文

    政府委員米田正文君) そういう場合はないのです。
  73. 田中一

    田中一君 ないことはないでしょう。大きな台風が来て、三重から入って近畿の地建の方にも入り、それからこっちにも入って……。
  74. 米田正文

    政府委員米田正文君) これは川ごとに処理をしておりますから、水系は各地建ごとになっておりますから、そのおそれはないと思います。
  75. 田中一

    田中一君 気象台の方はその場合、どこへ連絡をとっておるのですか。気象台の方は川筋ごとにやっておるのじゃないでしょうな。
  76. 和達清夫

    説明員和達清夫君) この業務は、建設省と密接に連絡をとりまして、水系単位でやっております。
  77. 田中一

    田中一君 その部分は全部水系単位でもってやっておるということはわかりました。  そこで、水防警報ですね、これはやはり建設大臣の通知というものは全部地建が行なっておるということに了解していいのですか。
  78. 米田正文

    政府委員米田正文君) 建設大臣のやる分は大部分、地建で実施することになります。
  79. 田中一

    田中一君 先ほど河川局長は、各河川のある地点から無線々々と言っておりますが、その企画室ですか何ですか、そういう情報を受けるような部屋が地建にあってやっておるというのが実情だというのですが、私は今までそういうものを見たことがないのですが、実際にどういうものが自信を持って言えるものなのですか。
  80. 米田正文

    政府委員米田正文君) これはもうカサリン台風、アイオン台風、あれ以後そういう施設をだんだんと強化して参りまして、今日十七河川についてはすでにそういう施設を持ち、実施をいたしております。
  81. 田中一

    田中一君 それじゃ、現在気象台の方は十二河川でしたね。建設省の方のは十七河川ですか。そうすると、それ以外の河川に対してはどういう責任があるのです。
  82. 米田正文

    政府委員米田正文君) 私どもとしては、今度洪水予報を行う河川はそういう施設をだんだん完備していって、次第にこれを広げてゆきたい、こう思っております。整備のできたものから実施してゆきたい。
  83. 田中一

    田中一君 気象台に伺いますが、そうすると、気象台は十二河川と言っていましたね、さつき。建設省は十七河川。それ以外の重要河川または都道府県管理している河川、そういうものもやっぱり同じような洪水もあるのです。また小さい中小河川でもよく洪水がある場合が多いですね。そういう場合は、通報、警報その他のすべてのものに、だれが動くんです。この法律には河川という規定があって、そんな十二の河川とか十七の河川とか示していないのですよ、ここにはね。
  84. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 気象台では、三年間の計画をもちまして、日本全国水害防止施設計画いたしまして、それが本年三年目になりまして、本来ならば完成いたすはずでございますが、諸種の事情でまだ完成いたさず、この計画が四、五年延びております。そのために、現在では十二河川建設省と共同して洪水予報を出しておりますが、それが行われない他の河川は、大河川以外にも中小河川、非常にたくさんあるのでございまして、それは中央気象台単独の責任において洪水予報を出しております。もちろん、前に申しましたのと違いまして、設備が十分でありませんし、建設省と緊密に連絡はいたしておりますけれども、前に述べたように、しっかりした連絡がございませんので、定性的、つまり水量、流量というようなものを数字的に示してやるという段階には、他の河川では  参っておりません。
  85. 田中一

    田中一君 河川局長から。
  86. 米田正文

    政府委員米田正文君) これは建設大臣と中央気象台が共同して行う洪水予報については、今申し上げたように、重要な河川ですでに設備の整備しておるもの十七について、建設省としては今日試験的に実施をいたしております。それから本格的にもうやっておるものもございますが、今度それをいよいよ法律的にきめた、法律に根拠を持つ洪水予報実施して行こう、こういうことでございますが、その他の一般のものについては、その他たくさんの川かございまするので、その他のものについては、気象台が今お話しのありましたように、一般気象予報として実施が行われるのでございます。洪水予報としてはそういう状態で、今後重要な河川については施設を整備することによって、先ほどお話のあった定性的から定量的に進んで行きたい、こういう考え方でございます。  水防警報は、これはこういう洪水予報の段階からさらに一歩前進をしてきておる段階でございまして、洪水の危険がもう明らかになってきたときの段階でございます。洪水予報の段階から水防警報の段階へ入ってきたときでございまして、これは建設大臣都道府県知事がその警報をすることになっております。  ただ、じゃ、どこの川をするのかというのは、国民経済上の重大な損害を生ずるおそれがあると認める川で大臣の指定した河川について行うということと、都道府県知事はその大臣の指定した河川以外のものについてまた指定をしてゆく、こういう指定方式をとっております。
  87. 田中一

    田中一君 わかります、この法律の書いている条文はですね。ただ、都道府県知事は自分の方で現在管理しておる中小河川、いわゆる建設省は今伺うと十七の河川を担当するとなっております。それからそのうちの十三を気象台と一緒になってやる。気象台は他の都道府県知事管理している河川に対しては単独で通報を出す。  そうしますと通報は電話通報か何か知りませんが、少くとも一刻を争うような問題が多いのです。大河川というものだけじゃなくて、大河川に注ぐ中小河川から水を持ってくる所がまた多いわけですね。それから、そういう場合に都道府県にも水防に関するそうした意味の通報機関というもの、設備というものは相当完備されなくちゃならぬと思うのです、これは。そうしてそういう施設はどうなっているのです。何か建設省から出すような補助金なんかでもってそれを育成助成していることはあるのですか、現在。
  88. 米田正文

    政府委員米田正文君) お話しのように、だんだんそういう整備をする必要があると思いますが、まだ今日補助金としてやっておるものはございません。が、御承知のように、各府県はすでに無電施設をほとんど持つようになりました。そこで地方建設局との連絡もできるようになって参りました。無電連絡ができるようになって参りまして、非常にその点は整備されてきたわけであります。
  89. 田中一

    田中一君 また悪いけれども、ほかの都道府県が、自分の管理する建設省が担当する十七河川以外の河川ですね、に対してどういう形の水防に関するもとの通報施設というものを持っておるか、一ぺん調べて報告してくれませんか。
  90. 米田正文

    政府委員米田正文君) 承知いたしました。
  91. 田中一

    田中一君 従って、私は今のはわかりました、全貌は。そうすると、その連絡というものは何でやって、今までの事例から行くとどういうくらいの速度で行っておるか、事例をあげて下さい。
  92. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 洪水警報は気象情報の一種であります。この警報に対しまして、気象事務法の第十五条では、そういうような警報を出したときは直ちにその事項を日本電信電話公社、海上保安庁、運輸省または日本放送協会の機関に通知しなければならない、こういうのがございますが、今回それに加えまして、日本放送協会のあとに「建設省又は都道府県」こういうように、今回の施行に対してそれだけの、それに相当したものを加えられるということにしております。
  93. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 関連して。私、法案の審議のときに質問しようと思いましたが、さきの河川局長の御発言に関連し、また田中さんの今の発言に関連しますから伺います。第十条の二項に「建設大臣は、二以上の都府県の区域にわたる河川又は流域面積が大きい河川洪水により国民経済上重大な損害を生ずる」云々とありますので、この法案はむろん実際に起った場合にどういう河川にこれを通用するか、そういう具体的の問題にかかわりますので、建設省としてはすでに「流域面積が大きい」というものはどういうものか、「洪水により国民経済上重大な損害を生ずる」ものはどれか、また「洪水のおそれがある」ものはどれか、こういう河川がおわかりになっておることと思うのです。そこでそれらの河川を全部私はお示し願いたい。それによってこの法案の適用範囲がはっきりわかると思うのです。
  94. 米田正文

    政府委員米田正文君) 建設省としてさしあたりこの法律に基いて洪水予防の実施をいたしたいと思っておりますのは、利根川、荒川、信濃川、宇治川、北上川、最上川、阿武隈川、木曽川、天龍川、淀川、紀ノ川、吉野川、太田川、筑後川、石狩川、河賀野川、大和川等であります。で、これは第十条の二項にございます二以上の都府県の区域にわたる河川、あるいは流域面積が大きい河川、あるいは洪水の影響が非常に経済上大きいというようなものでありますが、なお、このほかにもこういう条件に当てはまるものはございますので、今後逐次整備をして数をふやして参る予定でおります。
  95. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 私は今お話しの、今後逐次整備して数をふやすとおっしゃるのが、それが疑問なんです。もう今まで水害に対してどういう河川はどれということがはっきりわかって、河川名が、どういう河川は流域面積からいって、あるいは国民経済上の損害からいっても、どれほどの洪水があるという観点から、その河川がすでにまあ整備ができておるかどうか知りませんが、少くとも河川名というものは、全国のどれの河川ということがはっきりわかっているはずだ、そういう気がするのでありますが、それを伺いたい。
  96. 米田正文

    政府委員米田正文君) 今私が申しましたのは、その重要なものについてすでに設備の整備ができておるものでございます。で、今後実施をいたしたいと思っておりますのは、今年度に四河川、これも御参考に名前を申し上げますと、大淀川、庄川、遠賀川、雄物川、この四河川をこの年内に整備をしたい。それからさらに次の機会に岩木川、米代川、多摩川、狩野川、黒部川、斐伊川、旭川、肱川、仁淀川、渡川、大野川、大分川、肝属川、川内川、球磨川、由良川、これだけの十六河川を整備する計画を持っております。
  97. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 国民経済上に重大な損害を生ずる河川はもっとほかにもたくさんあると思いますが、今のお話ではまだ日本河川に対して不十分だと思うんです。その観点から、あるいは河川局長は流域面積その他の観点でそういう川をおあげになるのかもしれませんが、たとえて申しますと、この前二十八年の水害にあいました和歌山県の有田川、これは流域面積は小さいかもしれません、あるいは建設省にとってはこれは損害は少いとおっしゃるかもしれませんが、相当大きな被害があった。ああいう所はこの対象に今後なるのですかならないのですか。
  98. 米田正文

    政府委員米田正文君) 私の現在の計画は、ただいま申し上げましたものを、主要な河川でかつ財政的な見地も加えて考慮をいたして計画をしておるものでございまして、今の有田川の方は、建設大臣洪水予防をする河川というものにまだ計画をいたしておりません。今日のところ私どもとしては、あの程度の規模のものは予想をいたしておりません。
  99. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 まあ具体的にいろいろとありましょうし、また具体的にわれわれは名前を知りたいと思いますので、今秋は、有田川の二十八年水害が非常に激甚でありましたから一bの例を言ったのでありますが、建設省としては、どれどれの川を今後この大臣のお考えになる河川になさるか、これを、この次あるいは午後でもいいですが、はっきりと名前をお知らせ願いたい、もしもおわかりになるならば……。まだこれはおわかりにならぬでしょうか。
  100. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは、河川局長は予算的な裏づけを事務的に考えておることと思いますから、私はまあできるだけ広くすべきものだと思いますから、よくその点は、御意見の御趣旨もよくわかりますので、今後努力してできるだけ拡大をして、できるならもう各地の河川にそういうことができることが理想だと思いますから、一応今事務当局が従来の案として考えておりましたことを御参考に申し上げた次第でありますから、いずれまた別の機会によく御意見も伺いまして検討いたしたいと思います。
  101. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 大臣に伺いたいのですが、費用の補助の問題ですが、これは水防施設設置にかかる補助金ですが、資材については補助はどういうふうにお考えになっておりますか。
  102. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) この点は、事務当局としては従来とも努力をして参ったので、今度も予算化そうということは率直に申して努力をいたしたのでありますが、経常的な予算としては、それらのものを備える設備をこの際予算化すことをまず前提としてやりまして、その中へたくわえておく資材は多々ますます弁ずるわけでございますが、これは予算の使い方からいうと、今あるものを使ったときに補充することがまず第一の問題である。それからもちろん広くこれに充足をしていくという問題もありますが、いずれにしても、この事態が臨時的に起る性質のものでございますから、これを予備費的な性格のものと考えて、そういう一つ予算要求を今は大蔵当局と話し合って、いざ必要の場合にはそれを充足する。あるものを使ってしまった場合にはということで、当面普通の予算ではそういうものをたくわえておく。まあ施設をことしも予算措置でいたしている次第でございます。
  103. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 そうしますと、資材は実は町村とか水防団体にとっては非常に大きな問題で、これが使い果して、その後補充するというのは、予算措置でこれは対処するということに大臣はお考えになっておるというふうに了解していいのですか。
  104. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 従来も、御承知のように、前内閣もこれを予備費で補充した例もありますので、われわれはそのことは財務当局によく申しておりますから、今の段階としてはそういうように考えておりますが、われわれとしてはこれも経常的な予算で充足することがいいということだけは承知はいたしておりますが、今はそういう段階でございます。
  105. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 それから公務災害補償の問題ですが、これはいろいろ死亡したり、けがしたりする場合には、市町村組合あるいはその他の組合に対していろいろ義務づけているようですが、これは国がこれらに対して補助をするというようなお考えはありませんか。
  106. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これもまあ率直に申すと、地方財政の現状から見て、国家ができるだけやってあげたいということで今度も努力をいたしましたけれども、この及ぼす範囲というものが非常に今度は広範になって参りまして、水防だけそういうものを補償すると、消防からあらゆるものに国家補償の問題が起ってくるものですから、そういう根本論をやっておってほかのことがおくれることは、水防全体から見て不得策だと考えましたので、今度はまっこうからすべての国家補償をうたうというやり方は、理想ではありますけれども、そこまでは行わずに、今河川局長が申し上げているようなそういう制度の形において、国家ができるだけ予備金等からこれを見ていくという建前をとったわけでありまして、将来とも、今御意見のような点をわれわれは放棄いたしたわけではありませんが、財政と全般の影響等も考えまして、できるだけ努力をいたしたいと考えております。
  107. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 この点については、これはいろいろ今おっしゃったように、消防法とかほかの関係もあることで、この点非常に考えなければならぬと思いますが、これは将来ですね、水防法改正する機会等もありましょうが、そういう点よく御研究願いたいということを私申しておきます。
  108. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 今の点は、前の点と、資材の問題とこの補償の問題につきましては、われわれも残った大きな問題の点として、今後とも努力いたすつもりでございます。
  109. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 この第二条第五項のこう門を今度ダムと改められましたが、ダムの操作も水防計画に入ることになりますか。それからダムは水力電気にも使いましょうし、あるいは用水にも使いましょうが、水防計画でこれを操作することになると、その点で非常に困るような点がありはせぬかと思います。これはどういうふうなお考えでありますか。
  110. 米田正文

    政府委員米田正文君) これは最近、御承知のように、洪水調節ダムが各所にできて参りました。従って、洪水調節ダムの原則としては、大雨の降る前にダムの中をからにするのが理想でございます。そこで、ダムの水を洪水期には流し出したりあるいはためたりすることを、下流の洪水軽減の立場から水防計画の中にはっきりうたっておくということのために、非常に必要になって参りましたこと。それから洪水調節容量のないダムの場合、特に発電等の場合に、これを無計画に扉を開けて大洪水を起したという例もございますので、これらは事前計画を立てておいてその計画通り実施をするという建前から、これを水防計画の中に入れるのであって、このために、従来水門、閘門という中で実際今日やっておりますけれども、しかしそれでは適当でないというので、ダムというのをはっきり生かしたのであります。
  111. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 洪水調節兼用のダムならばそれは十分水防計画の中に入りますが、今お話しの発電用のダムでも場合によっては操作させるということになりますと、事業者からいうと非常に迷惑をこうむるということになりますね。その関係は、発電なんかの関連法規とはどういうふうに処理されるのですか。
  112. 米田正文

    政府委員米田正文君) これは発電水利の許可のときに、条件に、下流の災害を防ぐいろいろな条件をつけております。管理規定を設けて、その中に洪水時の制限をいたしておりますので、そういう許可のときの条件によって洪水時の処置をできるようになっておりますから、それで水防計画に乗せ得るのであります。
  113. 湯山勇

    ○湯山勇君 私は本法の運用についてお尋ねしたいのですけれども、その前提として、予報とか警報とかいう言葉が非常に区別しにくいと思うのです。そこでそのことをまずお尋ねいたしたいのですが、大臣がやるのは何々予報と何警報、それから気象台がやるのはどういう予報、どういう警報、それから知事はどういうもの、こういうことをまず明らかにしていただきたいと思うのです。と申しますのは、今度改正になる気象台の方の任務として、これはやはり予報もあるし警報もしなければならないということに、気象台自身に任務が課せられております。と同時に、また水防警報というのは建設大臣が出すと思っていたのですけれども、気象台の方にもやはり、水防法による予報警報を気象台長が出さなければならないということになっておりますし、どうもその辺の関係が非常に難解なので、少しその点を明確にしていただきたい。私、関係法の勉強が足りませんから、あるいは明確になっておるのかもしれませんけれども、こういう関係はどういうふうになっておるのでございましょうか。
  114. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) なかなかむずかしいですから、河川局長から…。
  115. 米田正文

    政府委員米田正文君) 大きく分けますと、洪水予報水防警報とここで分れております。私ども建前では、洪水予報というのはやや時期が前でありますが、水防警報となりますと、水防団が準備活動を始める態勢になったときに水防警報になるのであります。初めの洪水予報は二通りございまして、中央気象台が一般的にやる洪水予報と、それから建設大臣と中央気象台とが共同して行う洪水予報と二つになるのでございます。ですから、その建設大臣と中央気象台との共同予報をいたすものは、その川の名前は建設大臣運輸大臣協議してきめることになっておりますが、そういうごく重要な河川については両者で共同予報をする、一般のものは中央気象台が単独で予防をやる、こういうことになっております。洪水予報にそういうふうな二つの方法があるということであります。それから水防警報になりますと、もう水防活動を始める段階になって、非常に時期が切迫してきておるときでございます。そのときには建設大臣都道府県知事がそれぞれ指定をした河川について水防警報を行う、こういう建前でございます。
  116. 湯山勇

    ○湯山勇君 そうしますと、いただいた資料の、気象業務法の方ですが、第十四条の二です。十四条の二に「中央気象台は、水防法第十条第三項の規定により定められた河川について、建設大臣と共同して、水位又は流量を示して洪水についての水防活動の利用に適合する予報及び警報をしなければならない」こうなっておりますが、今の御説明では、予報だけで、警報はする任務は気象台にはないというように思いますけれども、これはまた何か理由があるのでしょうか。
  117. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 予報の方はまあ問題ないと思います。警報でありますが、洪水警報というのと水防警報、これを全く分けて考えていただくといいと思います。で、その前に「水防活動の利用に適合する」なんという形容詞がありますが、それでちょっと混乱をするようでありますが、水防警報というものと洪水警報とは全く別でありまして、水防警報はこれは建設省、それから洪水警報は重要河川において中央気象台と建設省の共同において行うということであります。
  118. 湯山勇

    ○湯山勇君 そうしますと、この場合の予報の方はわかりますけれども警報の方はこれは建設大臣と共同しなくてもいいわけですね。
  119. 和達清夫

    説明員和達清夫君) この警報すなわち洪水警報のうちですね、重要河川建設大臣と共同で行うものは、共同で警報を発表する。そうでない、中央気象台単独の警報は中央気象台が出すということであります。
  120. 湯山勇

    ○湯山勇君 ちょっとわからないのですが、この建設大臣と共同して予報及び警報を出すと、こうなっておりますね、法文は。で、予報の方は建設大臣と共同してこれらの河川について出すということはよくわかるわけです。警報の方になりますと、これは建設大臣と共同して出す警報ということになれば、当然今の洪水警報ですが、それだけしかないわけですから、それ以外の警報建設大臣協議する必要がないのじゃないか。何か別なものがあるかどうか、その点が私どもよくわからないものですから。
  121. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 私の御説明不十分で申しわけありませんでした。気象業務法の定義によりますと、警報というのは予報の一つの種類でありまして、重大な災害の起るおそれのあるときに警告する予報警報というのであります。
  122. 湯山勇

    ○湯山勇君 まだそのほかに、水防法によらない、第十四条による——気象業務法の第十四条の二に、一般的には政令の定めるところによって「気象、高潮及び洪水についての水防活動の利用に適合する予報及び警報をしなければならない」というのが、ひとまず規定されておるわけです。今度第二項では、特にその中で建設大臣協議してやらなければならないものが規定されておる。ところが、その建設大臣協議してやらなければならないというのは、今度は水防法に返って見れば、予報、これだけで、警報の中で建設大臣協議してやらなければならないというのは見当らないわけです、私ども見まして。そこで、ここで建設大臣協議してやられるというものはどういうことになるのでしょうかということをお尋ねしているわけですが……。
  123. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 中央気象台総務部長から御説明申し上げます。
  124. 北村純一

    説明員(北村純一君) ただいまのお話でございますが、あるいは私意味を取り違えたかもしれないのですが、大体水防法の用語例に従いますと、洪水予報という言葉で今台長から御説明申し上げました洪水予報警報といったものを一括して表現しておるようでございますが、気象業務法の従前の用語例によりますと、予報警報とをそのつどわけましてやっておりますので、両方の法律の用語が若干、一方は概括的に、一方はこまかく書いておるという違いでそのために非常にわかりにくいのじゃないかと思いますので、御了承願いたいと思います。
  125. 湯山勇

    ○湯山勇君 そういう御説明を聞けば幾らかわかるような気がするのですが、この第十四条の二項の規定というのは、あまり漠然としておったのでは気象台長も御迷惑だし、大臣も御迷惑だと思いますので、念を押したいと思うのです。こうなっておれば、気象台長はこの二項の警報建設大臣協議しなければ出せない、こういう規定になっております。勝手にやれば法律違反になります。それからまた建設大臣の方も、今のように漠然としておった場合に、気象台単独で出される警報にもこの第二項の規定によって必ず共同責任を持たなければならぬということになりまして、この点は明確にしておかないと、私は今度の法改正の重点は予報警報の点を明確にしたところにあると思いますので、この点は一つ後刻でもよろしゅうございますから、明確にするような措置をおとりいただきたいと思います。
  126. 北村純一

    説明員(北村純一君) ただいまのお話でございますが、十条の二項に書いてあります通り建設大臣運輸大臣協議して定めました河川につきまして、水位と流量を示して、行なう予報及び警報については、共同責任があると思うのでございますが、その河川を含む地域におきましても水位、流量を含まないような予報、定性的な予報につきましては、中央気象台が単独でやるということになっておると思います。水位、流量を示して定量的な予報警報をやる場合に、運輸大臣建設大臣と共同して責任を負わなければならない。だから、そういうものを含まないで、ただ定性的な予報警報をやっております場合には、中央気象台が単独で責任を負う、こういうふうに読めると思いますので、責任の紛淆はないと思います。
  127. 湯山勇

    ○湯山勇君 私はそういう内容については大して存じてもおりませんから、ただ手続上の問題ですね、それについて疑義があるものですから、その点は何かきっと明確なものがあるのだろうと思いますから、これは建設省の方でおわかりでしたらお示しいただきたい。
  128. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) どうも専門的な問題で、私も何ですが、今までの話し合いの結論を聞いておりますと、先ほど総務部長の述べられた趣旨の取扱いを、それぞれの法律でひとまず準備がなければできなくなるような関係で、やっているので、水防法でいうのと気象台の予報及び警報というものを一つにして取り扱ってきている、その表現の仕方の食い違いが、今御指摘を受けたのでありますが、どうも両当事者の話し合いがそういう点で一致しているわけでありまして、多少表現で誤解を生むおそれもありますから、なおよく協議いたしまして、一般的に混乱の起らないように話し合いをいたしますが、また後刻それについての御報告を申し上げたいと思います。
  129. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 私からもお伺いしたいのですが、この水防法改正案は一段の進歩と思いますが、災害補償というもののねらいどころがほとんど、水害予防組合または市町村組合あるいは市町村に義務づけるということを強く規定しているようであります。ところが、その水害予防組合市町村組合というものは非常に、水防経費を出し惜しみといいますか、財源がありませんで、非常に困窮している実情でありますので、大体こういう大きな災害補償をこの法律規定いたしましても、私はなかなかこの災害補償の十分な保障ができないのじゃないか、こう思うのです。少くも水防法を強化するという意味合いは、現実にはあらゆる河川が荒れ切っている、しかも治山治水に対する予算経費はなかなか思うにまかせず、災害は年々漸増の傾向にある、こういうような状態でありますので、やむを得ずこの水防法を強化いたしまして、水防の完璧によって災害を防除したいというねらいであると思います。従って、これは大きな国の義務であるべきものを、この小さな地方の水害予防組合あるいは単独町村等にこの災害補償を全部責任を負わせるというようなことは、先ほど来小澤委員から御質問になりましたが、私もさように考えます。特にこの法文を見ますると、報賞という欄がございますが、報賞というのは要するにほめるということでありますが、これはほめるのもけっこうでありますが、その前に補償をある程度強化する必要がありますから、私はこの点は、この際これを予算的な措置で云々することはできませんが、先ほど来大臣からお話しがありましたので大体わかりますが、こういう水防関係をして起ったところの死亡、負傷等につきましては、国家が相当量の負担をいたしまして、この補償を完璧ならしめるようにして、勇敢に水防に携われるようにしていただかねば、この目標は達せないと思うのであります。おそらく、各県の水防管理団体等においては、この問題は大きく今度は論議されております。  現在各府県にあります水防管理団体というものは精神的な団体であって、財政的な裏づけが非常に少い。特に町村等から補助を取っておらない。反別割りのようなもので、ほんとうにわずかな金を分担さして、広範にわたる一つの組合組織をする形を作っておるのです。ほんとうにすみずみまでゆく財政的な措置というものはないのでありますから、こういう観点から考えてみまして、この災害補償は国家が少くとも二分の一程度は負担をする、補助をするという建前をとって、その線に沿うてしっかりした補償ができますような私は将来立法措置をしてもらいたいのですが、そういたしませんと、せっかく作りました災害補償もいわゆる空文にひとしい、要するに文章にひとしいということになりまして、目的を達していないと思いますので、この点に対する大臣の御決意、お考え等がありましたら、この際伺っておきたい。
  130. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) まことにごもっともな御意見でありまして、われわれもその点は責任を痛感をいたしております。率直に申して、消防団に比べて水防団なるものが、必要の度合いはむしろ大きいと思われるのに、実際の組織、またその裏打ち等が事実においておくれておったということは、これは認めざるを得ない。ものごとを一ぺんに完璧にすることはなかなか容易でありませんので、御不満の点はよく理解をいたしますが、この際まず基礎を作ると同時に、今お話しのような点について、今後皆さんのお力をもお借りをいたしまして、目的のところまで持ち来たしたい。しかし、当面決してなおざりにいたしておるわけではないので、現在予算化しておる額は僅少ではありますけれども、この裏には予備金等のことを十分に話し合いをいたして、望むことではありませんから、あらかじめ大きくばかりいたすことも何ですから、十分必要のある場合には必要の処置をとり得る用意だけはいたしておりますが、しかしそれで決して満足すべきものでもないと思いますし、なお報賞等の制度についてきわめて不徹底ではないかという御意見、これもまことにごもっともだと存じますが、一方消防の方にはこの制度がまだないようなものを強引にここまで持ち来たしたという努力は、事務当局の非常にねばり強い努力でここまで持ってきたようなわけで、御意見は率直に受けまして、これを一段と強化をいたすためには、今後とももちろん努力をいたしたいと考えております。
  131. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ちょっと速記を止めて下さい。   〔速記中止〕
  132. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 速記を始めて。  暫時休憩いたします。    午後零時二十五分休憩      —————・—————    午後二時十一分開会
  133. 石川榮一

    委員長石川榮一君) これより委員会を再開いたします。  午前中に続きまして、水防法の一部を改正する法律案につきまして質疑を続行いたします。
  134. 北村純一

    説明員(北村純一君) 午前中の湯山先生の御質問に対します説明が幾分不足しておったと思いますので、補足をお許し願いたいと思います。
  135. 石川榮一

    委員長石川榮一君) この際北村総務部長から補足説明の発言がありましたから、これを許しますから、北村総務部長から発言願います。
  136. 北村純一

    説明員(北村純一君) 中央気象台が気象業務法に基きまして行なっております予報及び警報というものは、非常に数が多いのでございまして、たとえば警報というようなものを一つ例にあげてみましても、気象警報とか、地面現象警報、津波警報高潮警報、波浪警報、浸水警報とか、飛行場警報、空域警報、航空機警報、海上警報というように、いろいろな種類のものを出しておりますが、洪水警報もその中の一つでございます。それでこの洪水予報及び洪水警報と一口に申しましても、その中がまたさらに目的によりまして、一般の利用に適合するように出しておりますものと、水防活動の利用に適合するようにあんばいいたしまして出すものと、二つに分けることができのでございまして、さきに申し上げました一般の利用に適合する洪水予報洪水警報というものにつきましては、気象業務法の第十三条第一項によりまして中央気象台がこれを専管するということになっておりまして、水防法には全然規定がないのでございます。それからあとの方で申し上げました水防活動の利用に適合する洪水予報及び警報につきましては、気象業務法の十四条の二の第一項及び水防法の第十条の第一項の規定によりまして中央気象台が行うのが原則となっておるのでございます。ただ、運輸大臣建設大臣とが協議して定めました河川につきましては、水位と流量とを示して行います洪水予報及び洪水警報がございまして、これにつきましては気象業務法の第十四条の二の第二項と水防法の第十条の第二項に規定されておるのでございます。それでこの水防法の第十条によりますと、この洪水予報及び洪水警報という言葉を全然使っていないのでございまして、この言葉を使わないで同じ意味を表現しております。ただ、水防法では洪水予報という言葉が、同法の十条の見出しにだけ洪水予報という言葉が使ってございます。この用法は気象業務法の言う洪水予報とを総括した語法ということになっておりますが、この総括的な表現というものは、気象業務法によりましても、気象業務法の第二条に「『警報』とは、重大な災害の起るおそれのある旨を警告して行う予報をいう。」と、こういうふうになっておりますから、両者の用語のうちに実は矛盾はないわけでございます。なお、水防警報という言葉が水防法にございますが、この方はただいま申し上げました洪水予報とは全然別個の観念でございますので、念のために申し上げさしていただきます。
  137. 湯山勇

    ○湯山勇君 今のように用語の概念規定が両方で違うと言われれば、それは一応了承しなければならないようにも思いますが、ただ法文の上に出てない洪水警報というものがやはり建設大臣と協同して出されなければならないということになりますね、今の説明であれば。ところが、水防法の方にはそういう洪水警報という言葉は一つも出てないのです。水防法に一言も出ていない警報が、とにかく、こういうふうに大臣と共同して出されると、こういうことになりますと、これはいろいろあとで問題が起るんじゃないかという懸念がありますし、同じように建設省設置法におきましても、北海道開発法におきましても、やはり洪水予報水防警報ということだけ指摘されまして、洪水予報というものがこれは具体的に存在しておるのです。それから水防警報も具体的に存在しておる。ただ、洪水警報というものは、そういう概念によって、どう言いますか、気象業務法の方から関連して、法律には出てこないで、ここへ顔を出すということになれば、運営上混乱が起る心配がありますので、それらの点についてはどういうふうに扱われるか、これはまあ取扱いの問題になると思いますけれども
  138. 北村純一

    説明員(北村純一君) ただいま申し上げました通りでございまして、水防法規定とそれから気象業務法の用語が違っておりますために、多少誤解を生ずるやもしれないというふうなお話でございますので、その点につきまして建設省と気象台との間では十分にこれまで審議を尽したつもりでございましたけれども、なお将来に疑念を残さないために、そういう意見につきましては、さらに両者間の協議を進めまして行き違いが起らないように措置いたしたいと思います。
  139. 湯山勇

    ○湯山勇君 一応了承します。
  140. 近藤信一

    ○近藤信一君 ちょっと逐条審議に入る前に、質問というか、要望というか、ちょっとお伺いしたいのですが、実は雨季になりますと、非常にため池なんかがたくさんございまして、二十八年、土十九年には、ため池決壊等で相当大きな被害を受けておる。そういう点から考えれば、やはりこの湖沼、ため池など、これらに対するところの水防活動も相当強力になされなければならぬと私思うのです。そういう点については、河川などには水防活動が非常に強力になされるが、そういうため池などに対しては、おもに今までの例などを見ますると、夜中にぱっと来て人命的な被害も受けておる。こういう事実もございますので、これに対するところの何か予防というのか、そういうような活動ができておるかどうか一つお聞きしたいと思います。
  141. 米田正文

    政府委員米田正文君) 今日ダムが大へん全国各地にできておることは、御説の通りでございまして、できておりますが、そのうち洪水調節を主とするもの、あるいは大規模な発電所のダム、こういうものはこの法律の中に大体明らかにしておりますが、今のお尋ねの小さいため池等については、具体的にこの中には織り込んでおりません。私どもの今の考え方としては、こういうものは水防警報の発令と同時にその管理者をして水防に当らせるという一般的な行き方を考えておるのであります。そこで水防団設置等は、ダムについてはできておるところが非常に少いのでございます。今後はそういう小さいため池等の防護措置、予防措置等については十分研究をいたしまして、水防活動のできるような措置を研究をいたしていきたいと思います。
  142. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 関連して私もちょっと伺いますが、ただいまのいわゆる小なる湖沼あるいはため池、これらのものは全国に約十万以上、あるいは二十万以上あるかもしれない。これらをやはり水防法の対象として建設省は考えていらっしゃるかどうか。それをお伺いしたい。
  143. 米田正文

    政府委員米田正文君) 今さしあたりこの法律の対象は、河川海岸、湖沼等の公共の安全のためにそれらの水防をするというように、非常に広範囲に扱っております。で広範囲な解釈からすれば、そういうものも当然水防の対象になるものでございますけれども、具体的に今日見ますと、われわれはこの法律の運用を水防団活動によって実施をしていくことにいたしておりますので、そういうものについて水防団の整備をすることが先決だと思います。今後はできるだけそういうものについても水防団活動の中に入れていくように、いわゆる水防計画の中に入れていくように進めて参りたいと思っております。
  144. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 ちょっと関連して一つ承わっておきたいのですが、私は今のお話しのため池なんかの場合、また発電所のダムのお話しもあるのですが、知事から出した命令が実際に実行されなかったときの責任は、そのダムの管理者にあるわけですか。
  145. 米田正文

    政府委員米田正文君) これはこの法律の体系から言いますと、水防管理団体責任者は水防管理団体の長、具体的に申しますと町村長、あるいはその町村の組合、あるいは水害予防組合の組合長というのが直接の水防法の対象になる責任者でございます。
  146. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 今私の申し上げておるのは、水防団がないところのものに対して、今日おそらく行政命令というようなことでやっておるのではないかと思うのですが、しばしば県から通知は出したけれども実行しなかった。これはまあ常識的には管理者にあると思うのですが、やはりこの水防法とはこれは別個になりますか。
  147. 米田正文

    政府委員米田正文君) これは今のお話しのように、小さいため池である個人のものというようなものは、やはりその所有者管理者でありまして、水防団の組織外のものになります。
  148. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 実は私具体的な例を申し上げます。一昨年あの宮崎の水害のときに、延岡の五ヶ瀬川ですか、あの川へ行ってみたときに、県からは発電のダムのゲートをあげるように命令が出ておった。ところが発電の会社はあけなかった。ところが大洪水の直前にあけたために、下流の方は非常な被害を受けた。こういった問題でもってだいぶ地方の農民はその責任の所在を究明しておったのですが、どうも責任のはっきりした場所がわからなくなってしまったのですが、こういった場合に何か法律でもって縛るような、責任をはっきりさせるようなものがこの水防法以外に何かありますか。
  149. 米田正文

    政府委員米田正文君) それは水防団活動の対象になる水防はこれでございますけれども、一般のそういう今お示しになった具体的な例については、これはそれぞれの法律で処置をいたしております。たとえば河川にあるダムの操作については、河川法の規定によってそのダムの操作の管理規程を設け、洪水時の措置等を命じておりますから、これに違反をすることになるわけであります。水防法以外に洪水防御の措置を講ずる他の法律としては、河川法等が一番有力に動いております。
  150. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 私は水防法非常にけっこうだと思うのです。ただ現実の問題として、常にこういう新しい法律ができても、現実の忘れた問題がむしろ大事なことが多いのではないか。たとえばここにあるこの災害の補償ということも、賠償までいかなければ、なかなか適切な活動というか、そういうことが困難になってくるのではないか。先ほど小澤先生からお話があったのですが、私は建設省として、この水防法をお出しになると同時に、もう一段ほんとうは現実の問題をもう少しとらえて、そうしてそれを解決されるようなことをされたら、非常にこの水害を防ぎ得るのではないか。都城へ実は私行ってみたときに、あそこの発電ダムは県の方の水利権許可のときには、排砂門を開いて年々河床の上昇を防ぐということに条件がついておったんです。ところがあすこの発電所の閘門の排砂門というものはかって開いたことがなかった。一昨年の洪水のときにまあ開いたということです。そのためにあの下流がその土砂によって非常な災害を受けているのです。私はあの河川流域をずっと見て回った。で、御存じのように、あのときには地元からあのダムを撤廃しろという運動まで私は起ったように覚えているのです。で、こういう水防法ができると同時に、この水防法をより以上強化するためには、私は平常のそういう行政的な実は扱いが案外緩慢になっているというか、まあ発電会社が、今の場合発電会社なんですが、発電会社が実行しない、それを実行させないというようなところにも大きな一つの欠陥があるんじゃないかというふうに湛えられます。で、これを一つ励行されることと、それからもう一つは、私ここで一つ先ほど私が申し上げましたこの補償ということを建設省で将来お考えになっていただいたらいいんじゃないかという気がするもんで、私が考えていることをちょっと申し上げて、そして御意見を承わりたいと思うんです。で、実は、私はこの洪水のときに一等おそろしいのは、やはり洪水の山の高くなったときだと思う。で、渡良瀬の沿岸で建設省が遊水池を重要視されておるのは非常にけっこうだと思うのです。それと同じように、私は今日日本の国の重要河川で、上流の方で早くかすみ堤みたいなものを作って、耕地へ溢水されれば洪水の被害が大きくならないということがみすみすわかっているけれども、おそらく建設省としてもやりたいんじゃないかと思うのだけれども、そういった場合の補償措置がとれないということで、耕地には溢水できない、あるいは原野には溢水できないというようなことのために、洪水被害を非常に大きくしているのじゃないか。私は全国を見て回って、今日堤防を高めるという仕事はなかなか困難なことである、それから河川幅を広げるということもなかなかこれは困難なことである。そういうようなことを考えるときに、場所によっては当然かぶってしまうようなところへ、その洪水の山を人工的に導くようなことを計画されると、これは私洪水被害を非常に低減できるものじゃないか。その場合に、一つ補償といいますか、そういうような規定さえできれば、実現できるように思うんでございますが、建設省は今そういうことをお考えになっておいでになりますか、どうですか。
  151. 米田正文

    政府委員米田正文君) ただいまのお話しは河川計画のまあ根本の問題の一つでございます。現在の築堤方式あるいは上流ダム方式等に加えて、遊水池方式というものが、これが今日の河川計画の基本になるべき問題だと思っております。そういう点につきましては、実は二十八年の筑後川の洪水はんらんからいろいろと研究をしております。で、理論的には、技術的な計画としては非常に簡単な計画が立つのでございますけれども、実際それじゃここに遊水池を作るということになると、そこの所有者、土地の所有者の了解を求めるというような点がまあ非常に困難になって参っております。実情の問題として困難になって参っております。そういう計画を実は研究をしておりますし、それを一部地元へ御相談をしてみているのでございますけれども、なかなか実行の段には、いろいろな難点で実行がまだ困難な実情ではありますけれども、私どもも将来の今後の河川計画としては、一つの大きい問題としてぜひこれは計画に取り入れていきたいという考え方で進めております。今地元と話してみてもなかなかうまくいかないということの中には、ただいまのお話しのように、補償問題の額及び支払いの方法、その責任者というようなことが、まだ今後明確にしていかなければならん点が残っておりますので、これがはっきりして参れば、だんだん現地の了解を得て、実行可能になる時期があるものとみております。
  152. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 次に、水防法の一部改正に関する部分を中心とする逐条の審議をいたしたいと思います。逐条にわたりまして順次御質問のある方は御質疑を願います。説明を求めつつ質疑をいたします。ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  153. 石川榮一

    委員長石川榮一君) それでは速記を始めて。  それではページの順によりましてページごとに質疑をいたしたいと思います。まず第一ページから質疑をお願いいたします。
  154. 湯山勇

    ○湯山勇君 これは大臣が見えたらお聞きしようと思っておることなんですけれども、この際議事を進めるためにお聞きしたいのですが、警報をですね、これを完全に良心的にといいますか、やるとすれば、現在どれくらいなこの観測所とかその他のものが必要か。これは気象台の方ではそういうことはお調べになっていらっしゃいませんでしょうか。ちょっとお答えしにくいかもしれませんと思いますから、もう少し具体的にお尋ねいたしますが、この第二条の七にありますような警報を行うのには、現在の設備でいいかどうか。それから、たとえて申せば、今定点観測など問題になっておりますけれども、北方定点観測の船がないというようなこともいろいろ指摘されておりますが、そういったようなことが充足されなければ、この水防法の目的としておるような警報について、良心的という言葉はちょっと語弊があるかもしれませんけれども、まず安心して警報を出すというようなことができないのではないかというようなことをまあ心配しておるのですが、その点についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
  155. 和達清夫

    説明員和達清夫君) わが国の河川には、非常に短かい時間で雨が降りましてから下流に水の来るものと、多少の時間の余裕のあるものといろいろございます。多少の時間の余裕のあるものにつきましては、その上流地帯に十分なる雨量の観測設備とこれを通報する設備がございますれば、かなりにまで警報を出すことができます。しかし、時間の余裕のないものにおきましては、非常にすみやかに山岳地帯に降った雨を把握することが、それでも十分に間に合わないときが多いので、雨が降ることを予報しなければならないことが多いのであります。こういうように一般に雨を予報するとなりますと、これは非常にむずかしい問題であります。このためには、いわゆる普通の天気予報だけでなく、特に雨の強度と時刻というようなものを、こまかい地方において予報を行うという施設はまだ日本では十分ございません。しかし一昨年の水害にかんがみまして、水害対策のための設備というのを少しずつでありますけれども、本年三年目に当りまして設備いたしておりますので、まあこういうような設備がだんだんできますと、その予報の方も相当にまで進んで参るかと思っておるのであります。で、現在では、降りました雨をできるだけすみやかにはかり、知らせるということにおいて着々と設備が行われておるという段階にあります。
  156. 湯山勇

    ○湯山勇君 そこで、私がまあこういうことをお聞きするのは、昨年の十二号と十五号でしたか、その関係でですが、十二号のときにずいぶん警報が早く出されまして、ずいぶんその手配をしたわけです。ところが、十二号の方は案外軽く済みまして、そしてあまり警報の出されていないそのあとできた十五号が、ちょうどその反対の側からやってきたわけです、地形によりまして……。そうすると、十二号のときにもう資材を使ってしまっておって、十五号の方はまあ上流にまかせるというような格好になったために、被害が非常に大きかったというような事例もあるのでございまして、そうすると、これは警報を非常に確率を高めようとすれば、勢い慎重になって、そして災害防止ということの目的に反するようなことにもなりかねない。そうかといって予防ということに重点を置けば、非常に確率の低い予報に、警報になりまして、そうするとそれはこういう警報なり、予報なりの効果がなくなってしまうといったような問題が起ってくるのじゃないか。現に昨年の例から考えて見ましてそういうことがあったものですから、それでもしやるとすれば、これをこの通りやっていこうとすれば、この両者の調整というものはかなりむずかしいものじゃないかと思うのです。そこでできるだけ確率の高い、そうしてしかも水防の目的を達するということになれば、これは私はまあ今まで通りのような程度ではなかなかどうも目的を達しにくいのではないかという懸念もありますので、そこで一体今までどの程度の確率でもって警報がなされて、警報がなされたものがどの程度の確率を持っていたかということがおわかりでしたら、それもお示しを願いますし、そうして今のような対策については、これは建設省側からも御答弁をいただきたいと思います。
  157. 和達清夫

    説明員和達清夫君) この洪水予報をいたしまする連絡会というのが、中央気象台と建設省との間の協議の結果できましたのは、キャスリン台風におきまして利根川が非常な水害を起したときが契機であります。その後同じような台風、アイオン台風が参りましたときに、私どもはその連絡会を作りまして、両者が努力した結果と信じておりますが、利根川に関しては被害はこうむりませんでした。私どもは現在におきまして、これが完全とは存じておりませんが、できることをできるだけきちんとした方法によりましていたしたいというのが願いであります。この洪水警報は今現にやっておりますので、相当の効果をあげており、また設備の方も着々といたしておりまするので、今後よりよくなると思いますが、その詳しい、どういう場合に、どういうふうに出したということは、ここでちょっと具体的に申し上げられません。
  158. 米田正文

    政府委員米田正文君) 洪水予報あるいは水防警報を発するにつきましては、それの施設を整備することが非常な先決の問題でありますけれども、それに伴う人員、優秀な人員を配置するということも重要な問題でありまして、そういうことを、全国各地に整備をしていくという目下段階でございまして、今日理想的な整備まではまだ相当な時間を要する状態にあることは、先ほど資料を提出いたしまして、水位の観測所数、あるいはおのおのの観測所などの数字を申し上げた次第でございますが、今日の段階でできるだけ広くこの方法をとりたい、こういうふうな考え方を持っております。先ほど気象台からも話がございましたように、建設省としてもアイオン台風以来この方面に力を入れて参っております。二十八年の十三号台風のときの水害については、淀川では非常にいち早く洪水予報を気象台と共同して実施いたしまして、下流に対する予報が非常に早く行われまして、下流民から非常な感謝を受けたような例もございます。この予報実施することによって、今後は成果をできるだけ上げていきたいと思っておりますが、的確にいつもいつもあたるというわけにも参らぬかと思いますが、できるだけ私どもはセフティ・サイドの方の予報で今日いかなければならぬのじゃないかと考えておるような次第であります。
  159. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 それに関連して、この6及び7には、量水標、あるいは水防警報とは洪水又は高潮とありますが、それに対して警告されるに先んじまして、まず降雨量ということを全然うたってない。各流域における、これほどの降雨量があったということをお出しになるのが警報になるのですか。
  160. 和達清夫

    説明員和達清夫君) この水防警報という中に、私はその警報を出す資料といいますか、概況が入っておると思います。
  161. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 それなら農林省の森林測候所でやっている降雨量ですね。これもやはりあなたの方と関連して出ているのですか。
  162. 米田正文

    政府委員米田正文君) 先ほど申し上げましたように、洪水予報をやる川については、洪水予報連絡会というのを設置しておりまして、関係のものがみなその協議会に入っております。そして今のような森林測候所もその中に入っております。そしてそれらの通報の順序、時期等を水防計画の中で定められておるのでございまして、一般的に申しますと、利用できる気象観測所のものはほとんど全部網羅する建前になっております。
  163. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 中央気象台で降雨量をむろん方々でとられておられますが、やはり森林測候所でも方々やっておりますから、それらとの関連がありますれば、農森省関係もこの項に入っておりそうなものでありますが、それが全然入ってないのはどういうわけですか。
  164. 北村純一

    説明員(北村純一君) ただいまのお尋ねは、気象台の行います洪水予報、場合によりましては気象台と建設省とが共同して行います洪水予報に関連してのお話だと思うのでありますが、それにつきましては、気象業務の関係から申し上げまして、森林関係であろうと、あるいは建設省関係であろうと、気象台プロパーのものであろうと、それはデータをいただきまして、それで降雨量とかその他の予報を出す、その予報洪水予報の中に盛り込まれてくるわけでありまして、二条の七項にあります水防警報と書いてありますのは、そういうものとは全然関係なしに、洪水警報が出ましたあとに、水防団に対して水防を行う必要があるということを警告して行う発表だと、こういうふうになっておりますので、気象台とは全然関係のない種類のものであります。
  165. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 山が非常に降雨量が多かった、そういう場合に、あらかじめ下流の人々にこれほど雨量があったということを知らしておく必要があると思います。それはどういう観点から下流の人のところに知らせるのですか、この法律について言いますと。
  166. 北村純一

    説明員(北村純一君) 先ほど申し上げましたように、下流の方、その他、一般の方に対しまして水防活動に必要なような予報あるいは警報というふうなものは、気象業務法の十四条の二によりまして行うことになっております。それで今お尋ねの趣旨はちょっと私よくわからないのでございますが、この水防警報とは別個に洪水警報というものがございまして、都道府県知事はもちろんのこと、一般国民に対してもそれを周知するというふうに水防法の十条、あるいは気象業務法の十四条の二によりまして決定されておりますので、そういう点の防災には差しつかえない、こういうふうに思います。
  167. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 もう一ぺんくどいですが、お尋ねしますが、農林省関係の水源地域の降雨量、それはあなたの方にすぐ知らせ得るような組織になっておりますか、どうですか。
  168. 北村純一

    説明員(北村純一君) 気象業務法の規定によりますと、気象観測所以外の観測施設がございます際に、その観測しましたところの、特に官庁の場合は、気象台のきめておる技術士の基準に従って観測しなければならぬことになっておりますが、そのうちで気象台で必要と思われますものを、官庁の場合は、運輸大臣から協議いたしまして、その通報を受ける。民間の場合であれば、それは法律上の義務として通報をしてもらうというふうな措置をとることになっておりますので、私ども予報を出すのに必要な資料がそういうところにあります場合は、気象台以外のところからもこれをもらい受けるというような仕組みになっております。
  169. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 私は実際問題を聞いておるのです。実際問題として、森林測候所の降雨量の調査は相当重要なものなのです。それが実際にすぐ下流の人に洪水があるかもしらんという予報警報とか、何とかに利用し得るようになっておるかどうかという問題なのです。
  170. 北村純一

    説明員(北村純一君) 森林測候所の施設にもよるのでございますが、そのデータが先ほど説明申し上げましたように、ロボット式で即時にデータが通報されるところの観測データは、予報にそのまま反映すると思うのでございますが、その他のものはこれを長期間集計いたしまして、その統計の成果によりまして、その辺の傾向を知って、それが将来の予報のペースになる、こういうふうな意味合いで統計にする程度ではないかと思います。
  171. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 統計その他にはそれは役に立ちましょうが、実際どんなに洪水が来るかというふうなことは、山奥の降雨量が非常に影響するのです。それを将来の参考にするために統計するために役立つというようなことでは、何にもなりはしない。それが実際にどれほど設備してあって、あなたの方の関連性がどれほどうまくいっているか。かりに森林測候所が百あるとすると、その百の降雨量状況がすぐあなた方に関連して、それを警報の中に盛り込まれるようになっておるかどうか、それを聞いておるのです。
  172. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 私どもとしましてはあらゆる気象の観測の材料で、これが役立つもので、手に入るものはあらゆるものを活用しております。それでも足りませんので、水害対策の費用をもちまして、山地にロボット雨量計を昭和三十年度までに約百九カ所つけまして、自動的に雨が降れば通報してくるという設備をつけております。しかしこういうふうな設備を非常にこまかくあまねくつけることはできませんので、その間を補うために自記雨量計の、長い間の期間、人がいなくても観測できるようなものを置きまして、しかもその記録をとり、調査して、そして代表的なそういうものの中から、他の部分も類推できるかどうかを調査するというふうな方法によって現在いたしておるのであります。
  173. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 もう一つ違った面から、昭和九年と記憶しておりますが、石川県の手取川の大水害があった。あれはもっとも降雨量もありましたが、その一番大きな原因は上流の大崩壊、その大崩壊のために莫大の土砂が出て、それが大水害の大きな原因になった。こういう観点からして、大崩壊を起すような場所とか、将来洪水に対してどういうふうな措置をするかと、そういうことは当然建設省といいますか、あるいはあなたの方といいますか、やはり、水防警報といいますか、その一環としてお考えになるべきと思いますが、それは気象台としてはどういうふうにしておられますか。
  174. 和達清夫

    説明員和達清夫君) この洪水関係する予報警報をいたしますのには、そういうような山くずれでありますとか、堤防とか、その他の問題、いろいろのものを全部総合しませんと、ほんとうのものができないのでありまして、正直に申しますと、現在ではまだまだ十分の調査研究を要する段階とも言えるのであります。そういう面も現在大いに調査研究いたしておりますけれども、全部まだ尽すまでには参りませんが、しかし、現在得られましたところの地域全部それに入れまして、そして、この予報警報を行なっております。
  175. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 これに関しては、あまり技術的に入りますから、その点はよします。
  176. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 次に第二頁の公務災害補償について、第六条の二につきまして、これはこの部分だけについて、一応、質疑をいたします。
  177. 田中一

    田中一君 資料にちょうだいした普通交付税並びに特別交付税、この二つがあるのですが、この災害補償というものが一応条例できめたとしても、もしも、その地方の小さな町、小さな村なら村でもってきめたものならば、財源的に限度がしれているわけです、大体において。そうすると、条例できめると言いながら、基本的な基準がないと、財政の豊かな町は一人当り補償が大きくなる。そうでないものはできないというようなことがあるのですよ。そこで、私が資料要求として、地方交付税とどういう関係を持つかということを伺ったんです。結局、これはどういう考え方なんです。基準となる一つの方針を政府が示して、そうして、組合なり、あるいは市町村なりが、それによって補償のプラス。アルファを考えるのか、どういう考えでやっているのか。一応、納得するような形の補償ということになりますと、結局、財源がないということになると思うのです。それが災害の来る市町村、個所というものは、おおむね、きまっているわけなんですね。割合に比較的わかることなんです。そういうところに災害々々といって、災害復旧でもって非常に地方負担が多くなり、なおかつこの補償ということになりますと、そうすると、財源がなくなってくるのは当然なんですね。その場合、今言う地方交付金でもってまかなっていこうということになるのでしょうけれども、基準はどこに置いて、条例にまかせたといって条例にまかしたのでは、これは財源から見て非常に少ないものにならざるを得なくなってくる。それは不公平です。どういうふうになっておりますか。
  178. 米田正文

    政府委員米田正文君) この公務災害補償については、根本的な考え方としては、この公務によって災害を受けた者の当然受けるべき補償権利という点をまず決定することと、それとその裏づけになる財源の問題と、二つになると思うのであります。そこで、第一項の前段の問題は、最も重要な問題として置きまして、後段の財源の問題でございますが、これは、実は、今日の情勢では、現行法では補助することができるということになっておりますのを、今度補償規定にかえたわけでありますが、補助では、従来の実績から見ると非常にひどい例は、死亡しても一万円の見舞金しか出しておらんというような昨年の例もございます。で、そういうことでは、この犠牲者に対してまことに相済まんというので、この規定を入れたわけでございまして、そういうわけで市町村財政が非常に窮屈だということは明らかでございます。われわれとしては、窮屈ではありますけれども、まず市町村建前として払うことにして、その財政が非常に苦しくなれば、今のお話のように私ども特別交付税の制度によってカバーしていきたい。で、このときにはおそらく事実問題としては、そこの村には相当災害があることだと思いますから、そういうものを一緒にいたしまして、災害の額が相当出て参りますれば、それについて特別交付税を考えるという建前にいたしたい。基準についてはもちろん条例にまかしてありますけれども、法文上は条例にまかしてありますけれども、しかし、そうまかせっ放しではこれはいけない一で、基準を作って全国大体同じレベルで措置いたすようにしたいと考えております。で、条例の基準、あるいは準則というようなものを作って指導をして参りたいと思っております。その指導の原則は、消防団の今回やっている補償の基準によりたい、こういうふうな考え方を持っております。
  179. 田中一

    田中一君 一昨年の水害のように、ああいう大きくなりますと、いろいろなものがだんだんふえてくる。そうするとこうですか、私が要求した資料の中で、水防による死傷者に対する扶助金等調べというのは、一応今までの過去の実績を出してみまして、これは大体一件当り金額はだいぶ上ってきておりますが、これは当然だと思うのです。これはおそらく、物価あるいは賃金にスライドしてこうなったと思うのですが、そしてもしも金がないという時分には、短期融資でもして、とりあえず補おうという考え方をもっておるのですか。金がないという場合に、特別交付税並びにと言っても、これはあとの災害なり、死傷者を確認してそしてくるのです。従ってこれはまあ応急には間に合いっこない。これはおおむね翌年度、災害の年度内にやる場合もありますが、おおむねこれはあとになってきます。そうしてまあ三・五・二の比率でもってやるとしても、やっぱり長期になってくるのですね。そうすると、それに見合うような補償ということになりますと、これはもうとても、かりに死亡した場合でも、負傷した場合でも、こういう大きな財源が多くなる。ない場合、どうしてもまかなえないような場合には、短期起債でもたてるつもりであるかどうかという問題です。
  180. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 私から申し上げます。その問題は、あらかじめ予算処置を講じておくというわけにもいきません問題でありますから、お話しのように、金融の処置、あるいは予備金の処置等、その事態に応じて最善の努力をいたさなければならんと思うし、私は現在そう考えております。
  181. 田中一

    田中一君 これは大臣に言ってもらうと非常に安心なんですが、もう少し聞きます。この問題は非常に重要なんです。この問題が明確にならないと、こんな人権というか、個人権利というものを尊重するのはけっこうですが、裏づけのその財源がなければ、いたずらなトラブルが起きるばかりなんです。大臣からの今の御発言けっこうです。  もう一つ、伺いますが、金のない場合には起債をしてくれますか。
  182. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) まあ率直に申して、この分に限っての起債というようなことは、現実の問題としてはあり得ないと思いますし、災害の応急処置等の問題と関連していましょうから、そういうことは起り得ましょうし、私も努力しなければならぬと考えております。
  183. 田中一

    田中一君 これは仮定に対してはお答えできないというような、一萬田さんと同じようなことを言っちゃ困るのですが、(笑声)すべて仮定なんですから——法律も仮定なんですよ。そこでそういうことを言われると、一体二十八年度災害というものが、一カ所で死亡の数、十名になっておりますが、十名というものはどういう所でどういう死傷があったかということを明らかにしなければならぬのですが、これはめったにそんなことはないだろうけれども、困るのです。あった場合どうするかということを考えなければならぬと思いますよ、一ぺんにどかっと十人、二十人死ぬ場合があります。そのとき一人に対して百万円とか一千万円とかの金をやるという場合には、金がないんです。村や組合なんて特にそうです。そういう場合にどうするかということがなければこれは問題です。明確にしてほしい。これは地方ででき上っても、裏づけの金がなければ非常に困ると思うのですよ。
  184. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これはまあ率直に申せば、お話のように、これを財政的に当然の国家義務とすれば問題は割り切ってしまうわけですが、そういう制度が今のところ一般的でないものですから、現実の処理としては、われわれはこういうものに対して国家ができるだけの、今のお話のような金融の処置とか、予備金の処置とかということによって、誠意を持って処置するということ以上のことは、今後の努力によっては別でありますけれども、今の段階としては、決して私は仮定の問題として無責任に申すわけではなくて、努力をいたしておりますけれども、いろいろな諸制度、いろいろなこれに類似のものとの関連において、今の段階ではこれ以上のことはできませんので、そこで、そういう事態が起りました場合には、それに応じて最善の努力をいたすということを申し上げておるわけであります。
  185. 米田正文

    政府委員米田正文君) 十名は、各都道府県の集計でありますから、二名、三名というふうに出ております。十名一度にどっと出ることはないと思います。というのは、これはその付近の人が、一般の人が被害を受けることが多いのですが、一度に相当の人数の人が被害を受けるということは相当多いのですが、水防団そのものがかたまって被害を受けるということは非常に少いという意味でございます。それで財源の問題、一言つけ加えますと、今の段階では私どもとしては、筋道としては特別交付金の制度を活用して、これによってカバーしていきたいと、こう考えておりますが、なお消防は御承知のように各府県ごとに互助会の制度を作っております。各市町村が全部で都道府県ごとに互助会を作って、ある会費を出しまして、それを補償に当てるというような制度を作っておりますので、これも、そういう問題を次の段階で研究をしていきたいと思っております。
  186. 田中一

    田中一君 私は、それはいかぬですよ。とにかく三十三条に、水防施設設置の費用というものは、結局二分の一なりあるいは三分の一なりの補助をするといって積極的に援助している。そしてなおかつこのために利益を受ける市町村で費用の負担もさせている。そうしていて、今までは何らそれくらいの程度のものはうちはもらっていないから、水防活動をしても——ところがそうした活動がにぶってしまう。しかしながら死ねば百万円、二百万円ももらえれば死にたくなる者があるかもしれない。死にもの狂いで働く者もいるかもしれない。そうして一面、ただ公務によるところの死傷というものに対して補償という問題を打ち出すならば、これをただ単に、何もしないで補助しないからお前の方で勝手にやれということは片手落ちなんですよ。施設を強化することにも補助し、なおかつこれによって水防が全うしたといった場合に、利益の負担も、近在の流域の人間に利益の負担をさせる以上、国がやっぱり考えなければならぬ。なるほど財源がどれくらいできておるか、あなたが言っているように、互助機関があってそこでやっているという問題それならもっと問題が新しくなるのです。全国の、お示し願ったところの団体が互助機関を持って、その互助機関に基金が幾らあるかあかして下さい、明瞭に。数々ちょうだいしましたこのうちの、五千なんぼといううちにみな互助機関がある、そして財源が幾らあるかということを明確に資料として出してもらいたい。そしてその金がなければ、私は何も急速に国が補助しろとまでは言わないです。今言うこっちにあるところの費用の補助、利益を受ける市町村の費用負担もある、こうなっておりますね。一応水防施設をするための費用というものを補助されてあれば、その金だけは、なるほど法律ができて、公務の災害を受けた場合、予算がとれるからあるでしょう。これはわかるのです。しかしながらもし固まってない場合はどうするかということを考えなくちゃ、死んでも死にきれないようになるのです。その用意の問題です。それをしないで、できるだろうということでは納得できない。ことに互助機関があって適当にやるだろうではいけない。強制しておるのです。法律の裏づけがなければいかぬ。裏づけはしいて財政措置をとらんでもいいのです。従って建設大臣から、たとえば自治庁なりと話し合って、この場合特別交付金というものがなかなか急速に間に合わなければ、短期融資でも、人情があれば、やってやるという、あたたかい発言を速記録に残さなければならぬ。われわれ何のために審議しているかわからぬ。権利があっても裏づけの義務がなかったらどうするか。これは建設大臣が地方水防活動水防施設を拡充して、水防精神というものをもっと高揚する意味において、大臣から責任ある答弁をして下さい。
  187. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 先ほど申し上げたように、今河川局長が互助共済の制度を考えようというのは、こちらの水防団の方に今あるわけではなくて、消防団がそういうものをやっているから、これでとってもって今後の方策の一つに考えようと申したわけでありまして、今の田中委員お話のように、当面この問題に対する政府の心がけとしましては、先ほど私が申し上げたように、今の諸制度から通じまして、国家が直ちにこれを正面から補償するということは、金額の問題よりも、制度的に非常に波及するところが大きいものですから、われわれとしては、そういうことを個人的にも、また省としても希望をいたしますけれども、直ちにその段階まで割り切るということが困難だものですから、これは今御非難もありますように、いかにも一方的な制度のようでありますが、これが消防その他今日の制度でありますから、一応この段階まで水防法も前進するため、裏打ちがなかったら、はなはだ相済まぬですから、その的確な裏打ちというわけではありませんけれども、別に報賞制度を設けて、これは財源としてはわずかな頭を出しておりますが、必要とあれば予備費から充当をすることによって、その事態に対応するだけの、できるだけの処置を講じようということが、この段階における考え方でありまして、従ってこの義務を課したその財政処置についてどうするかという、まっこうからの御意見に対しては、まさにいろいろ御心配の通りでありますから、私は今これに対して、この分だけをどの交付金からという準備をいたしておるわけではありませんから、特別交付金の制度及び、いずれはその必要な全般的な災害対策を考えなければなりませんから、資金の問題、もちろん短期融資の問題等、予備費の問題等もあわせて起った事態に対して、法律を出しました政府の責任の果せる限度において最大の努力をいたしますと同時に、この制度をもって私はすべてが完璧とは考えませんから、いろいろ御意見をもとにいたしまして、次の段階への研究を重ねて、御期待に沿うようにいたしたい、かように考えるわけであります。
  188. 田中一

    田中一君 この資料に出ておりますところの、消防組織法第十五条の四という規定は、これはもう自治体の機関としてあげられておるわけですが、これはやはりむろん損害補償という問題になりまして、負担というものはみな自治体が負担することになっているんです。そしてここにそのこまかい給付の種類の内容が出ておるわけですが、そこで観点を変えて、建設大臣に伺っちゃ筋違いかもしれぬけれども、消防対策ですね、国はどのような財政措置あるいは補助というようなものをやっていられる。それからもう一つ、消防というものに対する地方財政上のウエートはどれくらい行っているか。それから現状ですね、どういう形の運営になって予算が組まれておるか、自治体の。これを一つ明らかにしていただきたいのですが。できなければ、この消防関係の人を呼んで下さい。これをモデルとしてやろうという考えならば、法律で一つ規制して、そうしてその裏づけというものが——弱体な市町村とか組合なんかにまかせちゃならぬですよ。
  189. 米田正文

    政府委員米田正文君) ただいまのは、資料は今すぐ調べてお作りしてよろしゅうございますが、ただいまも消防組織法の第十五条をお読みになったように、これは町村の固有事務という立場に立っております。で、同じく水防も地方自治体の固有事務という考え方に立っておる。そこで消防の国の補助については、消防の施設に関する補助をいたしております。その点については、今度の水防法施設に関する補助をするという建前でこれは軌を一にいたしております。その他については国の補助を求めないという建前に立っておる。そこでわれわれとして努力いたしました点は、報賞という制度をこれにつけ加えた点が、消防にない制度をこれにつけ加えたのでございます。この点はまあ趣旨は違います。災害の補償ではございませんけれども報賞という名目でこれを幾分でもカバーしていこうという考え方でございます。
  190. 田中一

    田中一君 今報賞の問題を伺っているんじゃないのです。報賞なんというものは、私は好ましくないですよ。そんなもの別にしてこれを伺っているのです。報賞というものはアルファーなんです。これは権利、義務なんです。この義務は、第六条の二というやつは、あっちは何も紙切れくれるか、一万円くれるかわからないんです。こんなもの考えてないんですよ。ごまかしちゃいけません。六条の二の権利の義務というものに対する義務の裏づけを、これは何もここでもって国が出しますということを言ってくれというのじゃないんです。今建設大臣も言ったけれども、これは起債なんということは所管の問題じゃないから言いにくいかもしれない。努力をしてくれるということになっておりますが、消防の方の実態というものは現にどうなんですか。これは火災とそれから災害の場合とはおのづから違うんですよ、実際に、完全に気象台の方とも連絡をとって、絶対死傷者を出ないという状況になれば、これは洪水じゃないんだから、そういう場合には非常にいろいろな種々の条件によって出てくるのが大災害なんですよ。われわれが予知できないものからくるのですよ。だからやはり多少そうした意味の思いやりというものがないと、地方自治体はあまり一生懸命やりませんよ、水防なんというものは。消防というものは消防自動車一台買っておけば、はなやかでいいけれども水防活動というものはじみだから、災害を一ぺんでも二へんでもくっているところは一生懸命です。
  191. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) よくわかりますが、要するに、ものをわれわれは段階的に進めておるわけで、御承知のように消防に対して、水防の方は非常にその点がおくれておったものですから、この段階はまず消防の段階まで進んで、それからなお今田中委員お話のように、国家がこれ以上積極的に乗り出すということを、この機会に一挙に解決をし得れば、私も非常に御期待に沿い得たと思いますけれども、現実が非常におくれておるものですから、それを乗り越えていくところまでは飛躍ができなかったというのが率直な事態でありまして、御意見の点はよくわかりますので、われわれも今後において努力をいたしたいと思いますが、われわれの考え方としては、今河川局長の申すように、一切消防においても政府は補償の態勢にはないのでありますから、しかし現実は消防よりももっと今まで待遇が悪くて、それだから水防が進まないという点をまず改めて、同じレベルまで持っていく、しかしそれだけではいかにもわれわれとしても相済まぬと思うので、事態はまるで別な問題ではありますけれども報賞の制度をこれにつけた。これは別だ、とおっしゃる通りわれわれも別と考えておりますが、まあ今回の改正は、その段階でありますので、今の問題は一つ今後の研究に待ちたい。しかし起りました事態に対する処置は、今申す通り、私はそれぞれと連絡をとりまして、十分できるだけの処置はとりたいと思っております。
  192. 田中一

    田中一君 今の誠意ある建設大臣のお言葉を信用しましてよろしゅうございます。  で、六条の二の2と3の関係なんですが、ここで見ますと、建設大臣運輸大臣協議しなければならんという、二以上の都府県の区域にわたる河川、それから流域の面積か広いということになっておることと、それからこの六条の二の2の問題だがけ建設大臣運輸大臣協議してきめるということになっておるのですか、それをもうちょっと詳しく説明して下さい。
  193. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 田中委員にちょっと申し上げますが、今は公務災害補償に関する関係のをやっておりますので、六条の二じゃありません、第十条になるのですから。
  194. 田中一

    田中一君 わかりました。
  195. 湯山勇

    ○湯山勇君 補償のことについて、消防に準じてという点ですね、これは消防の方は常勤者がありますから、常勤に準じてということはなるほどよくわかるわけですが、水防の場合は、こういう準拠するものがないと思うわけです。そうするとこの常勤の者がなければ、その人の生活の程度、収入によって、補償は給与の何日分とかそういうことになれば違って参りますし、それから世界的、世界共通といいますか、ホフマン方式というものがありますが、そういうものでやればこれは非常にむずかしい問題がたくさん出てくるし、また額も相当多額じゃないかと思うのですが、こういう点については何らかの御検討があったのでしょうか。
  196. 米田正文

    政府委員米田正文君) これは水防団お話通りまだ常勤制度はございませんので、日額を決定するということにありますと、いろいろ問題があると思います。われわれとして今考えておりますのは、警察官に援助したものの災害給付に関する法律というのがございます。これの例に準じて補償をいたしたいと、こう考えております。これはやはり基本といたしましては、労働基準法の災害補償の基準をとりたい、そうしてその実施については、警察官の場合と大体同じ取扱いにしてゆこうと考えております。
  197. 湯山勇

    ○湯山勇君 そこで今おっしゃったようなやり方をしますと、労働基準法によれば、やはりその人の収入というものが基礎になりますね。そうすると結局この水防によってなくなった人の遺族補償というものは、人によってうんと違ってくる。たとえば月収二万円の人と一万円の人とでは、同じ水防で死んでも、一方は一方の倍もらうというような形になるのかどうか。
  198. 米田正文

    政府委員米田正文君) お話通り、その人に応じてきめなければならぬ問題でございまして、警察の今申し上げた関係では、給付基礎額を二百五十円から四百二十円までの間に段階をつけてやることになっております。水防の場合についても、その範囲内についてやることを基準にいたしたいと考えております。
  199. 湯山勇

    ○湯山勇君 これは今度の紫雲丸にしても洞爺丸にしてもですけれども、そういう何といいますか、限定ということは非常に問題があるわけでして、差別をつけるということにもいろいろの問題があると思うのですが、まあしかし遺族補償で現在の生活を維持してゆくとすれば、そういうことも考えられないことはないでしょうし、しかしまあそれらのものとこの水防での殉職ということとは相当性格が違うと思うのですが、今のようなことをなさいますと、水防によって殉職したためにその家族が非常に生活に困ってくるというような事態も起るわけでございましょう。そこでこれは今そこまで御答弁いただかなくてもいいと思うのですけれども、たとえば子女の教育だとか、それから就職の問題とか、いろいろそれにからんだ問題ができてくると思いますので、いずれこれをお示しになるまでにはまだ時日があると思いますから、それらの点も十分御検討いただきたいと思います。それだけ一つお願いしておきます。
  200. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 関連して、ちょっとお伺いしますが、公務災害補償に関する水害予防組合を中心とする補償の問題が先ほど来あり、その財源措置についてはいろいろ論議もあり、建設大臣の誠意ある言明もあったのでありますが、水害予防組合に対しましては特別交付税はないと思いますが、水害予防組合というものは非常に弱体なものです。いわゆる予算というものが非常にどこでも小さなものです。要するに資材を買い求めるぐらいの程度しかとれません。実態はそうです。そういうものがこの大きな災害補償を引き受ける、また義務づけるというようなことになりますと、この水害予防組合に対する特別交付税に該当するようなものの国の支出の方法がありますか、その点を伺います。
  201. 米田正文

    政府委員米田正文君) 今のところございません。
  202. 石川榮一

    委員長石川榮一君) そうなりますと、今の水害予防組合に対しては、何ら国からは特別交付税のようなものも出さない、何も出さない。ただ水害予防組合自体はこの法律によって義務づけさせられるということになるわけですか。
  203. 米田正文

    政府委員米田正文君) そういう観点からだけ申しますと、今おっしゃられる通りでございますか、水害予防組合もこれはいろいろございます。今のようなお話は非常な財源的に窮屈なところがあるかもしれませんが、また非常に財源の割に豊かなところもありまして、一律ではございませんが、今日の建前としてこれに直接補助をするという道が開かれておらないのであります。
  204. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 水害予防組合が今のお話のように非常に裕福であり、あるいは貧弱なところがある、こういうものを対象にしまして、この災害補償というものが公平な補償全国に行われると思われましょうか。私は非常にそこに大きなギャップができまして、相当出すところもあり、先ほど来お話がありましたように、ほんとうに涙金にすぎないものしか出せない。同じ洪水に対処しまして犠牲的の水防精神を高揚してゆく場合そういうふうな不公平なことを義務づけて、そうしてこの法の目的が達し得るというようなことを考えますことはどうかと思うのですが、その点いかがです。
  205. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) この点は、私はこう考えております。今お話通り、直接水防組合が当ることは当りますけれども、それの基礎になるものは町村だ、従って町村財政の問題を考えていくことによって、今の段階として私はできるだけの処置はとり得ると考え、直接まあ水防組合の問題も今後検討はいたさなければならぬと思いますけれども、財政の基盤は市町村をもってやっておりますから、そういう面で事態の解決はなし得るし、またそれよりほかに道はなかろうかと考えます。
  206. 石川榮一

    委員長石川榮一君) もう一つ伺いますが、その点は、私は埼玉県の管理者団体の連合会長をしておりますが、町村におきましては今のような仕組になっております。大部分のものは、広範にわたりまして地方自治団体とは別個にいたしまして独立の機関といたしまして、従って財政は全然町村と離れております。独立の団体行動をとっておるような事態が多い。そういうものがもしこの水害予防組合を通して何らの交付税的なものを出すことができないとするならば、行政的な運営において、おのおの町村がこの水害予防組合の単位団体になり財政を負担をするというような運営を求めまして整備をさしておく必要があると思います。今お話しになりましたようなことは大部分ではありません、三分の一くらいと思うのです。あとは大部分は自主的にやっておる。そういうような状態でありますから、そういうような欠陥が現在起っておりまするから、その点はもしできるならば、行政措置によって地方に向って町村が予防組合の単位団体になって、この予防組合に対して財政措置をみてやるというようないわゆる省令とでも申しましょうか、行政的な運曲目をはかっていただきまして、なるべく全国的に公平に公務災害補償水防に関しましてできますようにお願いしておきます。
  207. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) まことに適切な御注意でありまして、私どもさようにいたさなければなるまいと考えておりますから、よく検討いたします。
  208. 田中一

    田中一君 では何ですか、水害予防組合というものは漸次なくしていこう、そうして市町村一本にしようという考え方でも含みを持っておるのですか。
  209. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これはいろいろ歴史もあるし、それぞれ地元の人たちの熱意をもとにしてやってゆくような意向から、形式的な制度だけを作ることはいかがかと思いますが、しかし何と申しても、一面においては経済を無視したことはできませんから、そういう点で漸次今委員長お話のような点も考慮いたしまして、水防団体そのものの整備強化という面を浮き上らないように、現実に即した点で一つ漸次検討いたして参りたいと考えて、別に今田中さんのおっしゃるように一挙にこれを変えるということもいかがかと思いますから、よくその点は実情に合せて考えて参りたい。
  210. 田中一

    田中一君 漸次つぶれていくものはやむを得ない。こういう議論になりますと、水防組合、民間の予防組合をやっておるものは手を上げちゃいます。従って漸次そういうものを解消して町村の自治団体に統合しよう、集めてしまえというような傾向になるわけですね。それから今河川局長が言っておるように、豊かな水防組合があるというのであれば、豊かな水防組合実態をお示し願いたい。これはちょっと失言じゃないかと思う、僕は。お示し願いたい。どこが豊かか。
  211. 米田正文

    政府委員米田正文君) 私が先ほど申したのは、いろいろ内容があると、こういうので申し上げたにすぎないのでありまして、実は頭に浮んだのは淀川の右岸と左岸に水害予防組合がございます。これは非常に古い歴史を持っておりますし、財政基盤もしっかりしておりますので、ああいうところになりますと、せんだっても水防をやりましたが、全員団服を新調してやれるくらいの能力を持っておるのであります。これはまあ特例でございまして、それだから非常に水害予防組合が財政がいいという趣旨で申し上げたわけではございませんから。
  212. 田中一

    田中一君 淀川の水害予防組合は基金がどのくらいあるか調べて下さい。それからもう一つ、消防の方の基準ののっとってやろうという意向らしいのですが、まあ百万円くらい要るでしょう、一人。そうするとどのくらいの——死亡者一人百万円出すということ、それから何か二年にわたると一時金をやる、この消防の方は出すわけですね。それはどのくらいの額になって、それをやるだけのものを淀川の水害予防組合が持っているかどうかということを一つ報告して下さい。これは取り消した方がいいですよ。何も団服を作るのですからいい気持ですよ、村人たちは。水防団や消防団はいい気持で作っているのです。だからあなたが豊な所もあるということは、建設大臣の答弁があったからいいようなもので、あれがなかったらちょっと失言だと思います。
  213. 米田正文

    政府委員米田正文君) それでは取り消します。
  214. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 次に、「第十六条の見出しを」というところから同じ三ページの第二項、第三項までを議題に供します。
  215. 湯山勇

    ○湯山勇君 私は先ほどの結末をつけておきたいと思いますが、先ほど予報警報についてお尋ねしたときに局長の方からは、大臣の出す予報警報洪水予報とそれから水防警報である、こういうお答えがありましたが、先ほどからのいろいろ質疑によりまして、大臣が出されるのは気象台長と協議で出される洪水予報洪水警報、これが加わるということをこの際一つ御確認をしておいていただきたいと思います。
  216. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) さように考えております。
  217. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 別に御質疑がございませんでしたら、三ページの第十条の二項で予報の通知の方から……。
  218. 田中一

    田中一君 ちょっと待って下さい、あるのですから……。この運輸大臣協議するのはこれだけのものなのですか。ほかには協議しないのですか十条の二項だけの問題ですか。
  219. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 法律上ぴちっときめるということを明確にするのはここでありますが、その他のことについては、またいろいろ事実上の協議はいたします。
  220. 田中一

    田中一君 そうすると、なぜ建設大臣運輸大臣協議していかなければきめられないかということを御説明願いたい。
  221. 米田正文

    政府委員米田正文君) これは洪水予報をやりまするには気象の関係、水象の関係、いわゆる雨量水位、流量というものを総合的に組み立てまして、それから洪水の判断をいたすのでございますから、その所管としては上流地域についての雨量等の気象の観測施設を持っております気象台と、それから下流の河川につきまして、その河川の中に持っております建設省水位量水標と、そういう施設が一体になって初めて完全な洪水予報ができますので、両省が協議いたしてきめるという建前をとっております。
  222. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 追加しますと、こういうことですね。川を的確にはっきりと公式にきめておかないと、いよいよ緊急の場合にいろいろちぐはぐがあったりなんかして、手違いが起っちゃいけないから、そこで川をきめるということは、両省が公式に話し合ってきめる、協議してきめると、まあ法律に書かなくても事実やればいいのですが、このことは非常に対外的に明確にすることを必要とするから、こういうことにいたした趣旨と心得ております。
  223. 田中一

    田中一君 どうも今のところ私にちょっとばかり納得できないのですが、「建設大臣は、二以上の都府県の区域にわたる河川又は流域面積が大きい河川洪水により国民経済上重大な損害を生ずるおそれあるもの」、ここまで考えて参りますと、国民経済上軽微な水害の場合には要らない、それから流域面積の小さい場合は要らない、他府県にわたらない場合は要らないということに限定されますね。それから「洪水のおそれがあると認められるときは、」、これはよろしいのですが——それから「中央気象台」も今の関連でわかりましたが、「その状況水位又は流量を示して関係都道府県知事に通知するとともに、必要に応じ報道機関の協力を求めて、これを一般に周知させなければならない。」と、その必要に応じ報道機関の協力を求める、これは運輸大臣関係ない。これを一般に周知させる場合には、運輸大臣協議する関係があるのかないのか。そういう点を見ますと、なぜあるのかわからない。
  224. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 先ほど申し上げたように、現在の段階においては、設備その他の関係からいたしまして、言葉を逆にいえば、これらの条件というものは、いわゆる重要河川というものを対象にしてこういう共同の動作をする。それはどことどこの川にするかということを両省大臣が明確にきめておかないと、通報が混乱するおそれがあるわけですから、そういう意味で長たらしく書いてありますが、要するに、重要河川をどことどこにきめるということは、両省大臣がやっていくということが結論であります。
  225. 田中一

    田中一君 わかりました。わかりましたが、なぜ運輸大臣ときめなければならないのですか。
  226. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) それは御承知のように中央気象台の所管大臣運輸大臣でございますから、要するに中央気象台と建設省の通報機関とが共同の責任において川を限定する、川の範囲をきめるということがねらいであります。
  227. 田中一

    田中一君 そうすると、中央気象台というものと建設大臣協議する場合には、運輸大臣協議しなければいけない、こういうことになるのですね。それも先ほどからの説明のように気象台の方は十二、建設省の方は十七という河川にいっているのですね。十二の河川に対する問題だけを運輸大臣がきめる、こういうふうに要約して考えればいいのですか。
  228. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 今経過的なことを申し上げておったから多少食い違いがあった感じがあるかもしれませんが、最終的には両省大臣がこの法律に基いて共同動作をする、川は一致させるわけであります。まだそれで今あらかじめ幾つということはきめていないのだから、いろいろなことを申し上げたかもしれませんが、十二なり十三なり、そこらの川の範囲できめるつもりであります。
  229. 田中一

    田中一君 しかしさっきからくどく言っているのは、念を押して聞いたのですが、気象台の方では十二の河川を考えている、それから建設省の方は十七の河川を考えているという御説明があったのです。ことに流域面積が大きい河川、そういうふうにきめると思うのですが、そうするとその十二以外の五つの河川については、中央気象台は責任を負わぬ、協議しない、こういうことに理解していいのですか。
  230. 北村純一

    説明員(北村純一君) 先ほど台長から御説明した中で、あるいは言葉が足らなかったかもしれませんが、中央気象台の方で、全国十二河川と申し上げましたのは、現在洪水予報連絡会というのがございまして、それが建設省側と中央気象台とが協力してそれを運営している数が十二でございますので、それに関連します実在の河川を十二河川と申し上げたわけでございます。それで、この十二の河川がそのままこの新しい法律規定による建設大臣運輸大臣協議によって指定されるかどうかということはまだ未定でございまして、あるいは十二になるか十三になるか——多分まあ実績があるのでありますから、そういうところに近い線が出るだろうと思いますけれども、そこのところを断定しては申し上げておらないわけであります。
  231. 田中一

    田中一君 これは赤木委員からもだいぶ質問があったのですよ。それ以外のものをどうするかという質問があったときに、だんだんふやしたいと思ったけれども、そうはいかないと、河川局長、そういうふうにさっき説明していたですね。この水防計画の指定のときに、そういう説明があったのですよ。実態はどういうつもりなんです、これは。全部の河川に向って、全部それをしようというつもりなのか。いわゆる流域面積の大きい河川というのは、先ほど読み上げましたのですよ、たくさん、幾つか数を。それだけのことなのか。それだけのことを、これを言っているのかどうか。なおかつ二つ以上の都府県にわたる条件があるというのですかね。これ全体をどういう工合にわれわれは解釈したらいいんですか、総括的に御説明願いたい。
  232. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 総括的に申し上げますと、これは一面からいえば、理想的に全部やるのがいいという考え方も起りますが、設備その他の関係からいって、そういうことは事実不可能に近いので、法律の予想しているところは、重要なものについて共同動作をとって、流量まで十分のことをやると、その他のことは軽くてどうでもいいという意味ではありませんけれども、設備その他からいって、十分責任をもって流量まで指示できるような、そういう処置が今すぐにはできかねるから、そこで、ある程度の範囲で限定したものについて、責任をもってそういう処置を講ずると、その他の河川については、従来の方式をできるだけ精密に計画的にやっていく、こういう考えで、また将来のことはいろいろ情勢の変化のこともありましょうから、今そこまで法律が予想的なことを書きますと、事態がかえって混乱をいたしますから、こういうことは現実的にきめていくという趣旨で今の段階を考えておりますわけで、将来の点はまたいろんな角度から検討をいたして参りたい。
  233. 田中一

    田中一君 今の段階ではそういう表ができれば表を作って下さい。これだけのものだと。ということは、これは基本なんです。水防法というのは、何も特定なる川の水防法じゃないのですよ。五千五百というものをやっているのですよ。五千五百という水防団体があるわけなんですね。そのうちの母体のものはこれだけといって、その水防に対する法律によって行動するものが優先するわけですね、この部分だけは。そういうような印象を与えるのですよ。
  234. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) それはしろうとの私が言うのはなんですけれども、こういうふうに御理解いただいたらどうかと、一般的に水が出るぞといったような、そういう予報警報といったようなものは、これはもう気象台とともにできるだけの処置はとるということでありまして、この特別的な処置というのは、要するに、大きな川で時間的に奥と川口とが距離があるものですし、被害の範囲も広いと同時に、水がどれだけ出るぞというようなことをあらかじめ通報できるようなことも必要であると同時に、またそういう可能な川についてこういう問題をやるのであって、水が出るぞといったのじゃなくて、これはいつ何時にはどのくらい水が出るぞというようなところまで気象台と関連して通報するもんだ、そういうような通報のシステムは、短かい地方的な川にまで現実の問題としてもなかなかやれますまいし、やれればけっこうなことで、これは科学の進歩で将来すべての川にいくということをわれわれは理想としなければなりませんが、当面そこまではなかなかできませんから、そこで期待はいたしますものの、その期待と現実とをこんがらかしちゃいけませんから、法の今日考えておりますことは、そういう特殊な予報、通報というもののなし得る川というものを限りますと、やっぱり大きい川、経済的には重要な川、非常なまた危険性のある川とか、いろいろありましょうけれども、そういう特別の川を選ぶことはおかしいじゃないかという一面もありますけれども、また一方からいうと、そういう科学的に処理のできる川という意味で川を限定して考えておる、こういうふうにおとりを願います。
  235. 田中一

    田中一君 大体わかるような気がいたします。そうすると、支流というものは包含されますか、されませんか。上流における支流ですね、これはみんな流域として考えられますか。たとえば利根川というものは、利根川の中流に注いでいる支流ですね、こういうものは水域という概念で考えていいのですか。
  236. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは、現実の問題としては、その水量が何尺出るぞというような地域というものをあらかじめ予定して、その地域に対して予報する。山の奥までの問題は、やれればけっこうですけれども、漠然としたことをやるよりは、利根川でいえば、栗橋から下流までの地帯というような方法になるだろうと思います。
  237. 田中一

    田中一君 うまく逃げていますね。そうすると、これは、利根川の本流に注いでいる水というものは、利根川本流から流れる水だけではないのです。その面には、まだいろいろな予報する設備が整わないから、とりあえずある部分だけをここでもってきめておこう——自己満足にとどまるような気がするのです。実際に水というのは、あるいは思いがけない水量でうんと水が出る場合もあるし、利根川本流にしても、そういうたくさんありますよ、河川がね。それにも及ばない一部の予報し得る設備施設のある部分だけということでは、ちょっとごまかしているような気がするのです。
  238. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 私に専門的に補足してと——それは決して山奥をほったらかすという意味じゃなく、山奥と川口とでは水の出方と洪水の出方と、地域で違うのでありましょうから、両方で共同動作をやるのは、そういう洪水が当然予想されるような地帯について、そういう組織的な予報をしようというのであって、ほかを除外するという意味ではないでしょうが、無制限にぱっとやっておけば、通報の仕方がまた変ってくるというようなことで、今のような、地域を限定するということも出てくるだろうと思いますが、なお専門的に一つ。
  239. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 たとえて申しますと、淀川流域におきまして、大阪府内の下流の分はわかりました。琵琶湖周辺の河川、これは淀川流域でありますが、これは川は小さいが、滋賀県というところは、非常に大きな耕地関係の問題があります。こういうようなものは全然当てはまらないわけですね、現実に。
  240. 北村純一

    説明員(北村純一君) ただいまのお話のようなものは、水防法の十条によりまして、建設省と中央気象台が協力してやる範囲には入らないと思うのでございますが、気象業務法十四条の二の第一項によりまして、気象台はそれに必要なる予報警報をすることになっております。
  241. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 実はこの問題は建設省の方の御答弁を願いたい。実際問題として、田中さんの御質問と非常に関連しているのです。
  242. 米田正文

    政府委員米田正文君) これは、琵琶湖の水位予報する予定でございます。というのは、御承知のように長年の、あそこは観測施設を持っておりまして、琵琶湖の水位は、従前からも必要に応じて発表しておりましたから、今後この法律洪水予報の制度が明確になれば、本格的に予報いたす予定でございます。
  243. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 そういたしますと、琵琶湖の水位は、琵琶湖流域の各河川もそうでしょうか。この河川でも野洲川とか姉川とかたくさんあります。そういう各河川にもやはりその措置というものができていますか。
  244. 米田正文

    政府委員米田正文君) それらはもう少し——よく私は承知をいたしておりませんが、いずれにしましても、各市町村は、水防関係のある市町村というものは水防責任を持っておりますから当然、水防団の有無にかかわらず、市町村水防責任を持っておることになります。
  245. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 琵琶湖は野洲川、姉川、そういう河川よりもむしろ湖面の水量が非常に影響するのです。これにはどういうふうにお考えですか。
  246. 米田正文

    政府委員米田正文君) これは私どもの今の段階における考え方は、鳥居川の量水標で琵琶湖の水位の表現をいたしております。それと上流各地と湖岸の水位は、大体今までの長い間の経験で関連がついております。そこで建設省としては、鳥居川の水位を発表いたしまして、あとは県がそれぞれのつながりをつけておりますから、県自体でそれぞれ判断をさせる仕組みにしたいと思います。
  247. 田中一

    田中一君 もう一点。さっき気象台の方では、水系ごとに——水系ごとにと言っておりましたが、水系という観念は支流は入らないのですか。
  248. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 水系ごとに洪水予報連絡組織ができるということを申し上げたのであります。気象台といたしましては、もちろん水系を考えまして、全国の山岳地方の資料は極力入れております。
  249. 田中一

    田中一君 そうすると、共同協議する部分に対しては、特定のその水系のうちの一部分ということもあり得るのですね。
  250. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 特定河川の特定部分であります。
  251. 田中一

    田中一君 そういう意味ですね。それでいいのですか、建設省の方は。
  252. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) いや、こういうことでしょう。山奥にも施設があるので、やはりその施設を利用しなければ、その水系の予報はできないから、その範囲を全部をやるが、水の出る地帯というものをきめておいて、あらかじめ水は何ぼ出るぞという予報をする対象のところは、対象としてきめるけれども、多くの方を除外していくという観念じゃないでしょうか。それを水系という意味で気象台の方で言うておるわけでしょう。
  253. 田中一

    田中一君 さっき湯山君の質問に答えて、水防警報という中には、雨量も入れば、雨量計も入れば、何もかももちろん入るということを言っているのです。そうすると雨量計というものは、たとえば利根川の中流地区に降る雨と、支流に降る雨と、雨量計がどっちにあるかといえば、雨のうんと降る山の方に雨量計が十分に働かなければならぬのです。古河辺にある雨量計では、厳密には計算というものは出てこないのです。そういうものを全部含んでいるのが水防警報の仕事だということを言っておるが、結局、予報するのはそのある部分だということになると、水系じゃないのです、部分ということになるのです。特定ならば水系ということにならぬのじゃないか。われわれの利根水系というのは、利根川もあれば支川も入っておるところの地域というふうに私どもは了解しておるのですが、私ども考え方は間違いかどうかわからぬのですが、水系というものは、この利根川という川を形づくっておるところのあらゆる支川も入り込んだものをいっておると思っておりますが、それは違うのですか。
  254. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) それは違いはしません。
  255. 米田正文

    政府委員米田正文君) そこはわれわれの考えておるのと気象台の考えておるのと、表現がちょっと違ったかと思いますが、われわれの今考えておりますのは、全水域にわたって雨量の観測所があり、各水系については、その河川筋については、量水標が設置されておるわけです。そこでそういう関係から予報するのですが、建設省の今の考え、水位、流量を示して行う予報というものは、下流の水位測定地点を対象にして予報します。従って栗橋、佐原、野田あるいは八斗島というような地点を定めて、水位、流量を示して予報をする。ただ気象台の言われるのは、全体の水域から見れば、そういう水位、流量を示さぬでも、降雨量は三百ミリあったという場合には、大体各河川に相当な出水があると、こういう表現を使われるのだろうと思いますので、そこで全体について予報されるという考えが出てくるのであって、私どもがいう水位、流量を示してというのは、地点を対象にいたしております。
  256. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) それは食い違いはないのです。
  257. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 次に、「洪水予報の通知」——第十条の二から第十条の五までを議題に供します。
  258. 田中一

    田中一君 先ほど私からだいぶ聞いたのですが、そこで質問だけ私勝手にしますからごめん下さい。十条の四の4の「公示しなければならない」、この公示というのは、これは結局水防警報を出すということを指定し、かつこれを公示しなければならぬ、そういう意味ですか。
  259. 米田正文

    政府委員米田正文君) ここに書いておりますような条件を備えておるもので、それを大臣または都道府県知事が指定したものであります。
  260. 田中一

    田中一君 この中には全部ある通報と通知、まず一つ、これはどういう解釈をするのか教えて下さい。通報と通知、これは短かい時間でもって両方するのだろうと僕は了解しているのですが、公示ということがまずわからないので、通報と通知とどう違うか、ちょっと説明して下さい。
  261. 米田正文

    政府委員米田正文君) ここで使っております通知というのは、都道府県知事建設大臣洪水予報を行なったもの、それの通知を受けた場合に、これをさらにその下部組織に流す、それを通知と呼んでおります。それから通報というのは、そういう通知を受けた水防管理者または量水標の管理者が、水防計画の中に定められている個所、たとえて申しますと、栗橋の量水標管理者が地建の本局の調査課長なら調査課長に通報する、これを通報と呼んでおります。
  262. 田中一

    田中一君 そうすると通報というのは、それでもう終点だということですね。通知はその中継所だというわけですね。それでいいのですね。  今度は公示です。公示というのは、やったということを最後に締めくくりするために、文書か何かしらぬけれども、そういうものではっきりとそれを分けに知らせるという意味なんですか。通報、通知したものを最後に……。どういうことなんですか。
  263. 米田正文

    政府委員米田正文君) これはまた別でございまして、建設大臣または都道府県知事が、第一項の規定によって、河川等を指定したときに、それを建設大臣の場合ですと、官報で公示する。それから都道府県知事の場合には、県の公報で公示する、こういうことでございます。
  264. 田中一

    田中一君 そうするとこれは結局跡始末ということですか。跡始末というより、洪水の通知をしたものを文書でよこそうということですね。
  265. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) それはさっきの前の場合と同じように、その範囲をあらかじめ、この範囲にはこういうことをするのだという地帯を公示しておいて、それから今の通知、通報の問題が起る。第一項を受けてのやつであります。
  266. 石井桂

    ○石井桂君 大へん迂遠な質問ですが、洪水予報とか水防警報という対象になるのは、さっき赤木委員が御質問になったことにかなり関連があるのですが、数年前六甲山がくずれてばっと泥が流れましたね、ああいうものが対象になるかということをお聞きしたいのですが……。長い雨でもっと山がくずれる。それで、水だけだと大したことがない。しかし泥もあれは一緒に流れたので非常にひどかった。芦屋川ですかね、あれで地下鉄まで埋まってしまったわけです。そういうものが水防法の対象になるかどうか。
  267. 米田正文

    政府委員米田正文君) この法律そのものの対象が、水害防御が目的でございます。そこで、土砂がくずれましてもやはり一つの、そのときには水と土秒とが一緒になったものでありまして、やはり水害を見て私はいいと思っております。そこで問題になります、じゃ六甲河川の問題はどうかということになりますと、洪水予報については、これは相当流れる時間のある川でないと、技術上むずかしいのでございます。そこで問題は、水防警報の中に入るかどうかという問題でございますが、大雨のあります場合に、私は知事のもとに水防警報が行われることを今のところ予想いたしております。まだ確定をいたしておりませんで、各県ともどこどこで水防警報をやるということが確定いたしておりませんから、はっきりは申し上げられませんけれども、大体の予想としてそういうふうに考えております。
  268. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 今、石井さんから六甲の例が出ましたが、それを言うのですよ。神戸のごとき、小さな川ですけれども、莫大な被害があるのです。そうすると、大きな河川はさっき田中委員の御質問通り、下流の方はちゃんと指定しますがね。小さな川で莫大な被害があっても、これから全然除外されておる。そうすると、河川局長は六甲は流域が短いから云々とおっしゃいましたが、あそこにかりに二百ミリ三百ミリもの雨が降れば、降雨量そのものは十分警報を出していい河川です。そういうことを一体どう処理なさるか。
  269. 和達清夫

    説明員和達清夫君) 気象上の方には、地面現象注意報とか地面現象警報というのがありまして、大雨、大雪等によりましての山くずれ、地すべり等の地面現象の注意報あるいは警報、こういうのを中央気象台の責任において出すことになっております。先ほどから大きな川の上流、あるいは初めから小さい川というようなものがお話しになりましたが、これは流量、水位を示して予報するということは非常に困難なことでございます。それで気象台におきましては、定量的にはまだ十分でないが、そういうおそれがあるというような定性的の注意報や警報は、そういう上流地帯あるいは山岳地帯には出しております。
  270. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 次に「第十六条第一項中」というところから六ページの四項の末尾までを議題に供します。  別に御質疑がありませんようでしたらば、さらに引き続きまして、三十三条の末尾までを議題に供します。
  271. 田中一

    田中一君 これはだいぶ問題があるのですよ。この「利益を受ける市町村の費用負担」というもの、これもやはり先ほど言ったように、基準がなくちゃならぬと思うのですがね、基準が。それからその範囲、これはただぽかっとこういう工合に、政令か何か出すのかどうかしりませんけれども、「関係市町村以外の市町村」、「関係市町村」というものと「以外の市町村」というものと、これの限界をどこできめるかということです。これは大へんなことなんですよ。今の大きな川、利根川の本流の、たとえば水上辺でもって何かして、それが全部の支流から流れる水の百分の一の水位と百分の一の水防をやった。水を一応とめたならとめたとするのです。そうすると、百分の一分の利益をその下に全部均霑させるということもあり得るのですね。へ理屈をいえば、なってくるのですよ。非常にこれはあいまいなんですね、こういう規定をすると。ずるい規定なんですよ。そうしてまた紛争を起すような規定なんですね。これをどういう区域で、どういう考え方でもって負担させるかという基準をお示し願いたいのです。
  272. 米田正文

    政府委員米田正文君) お説のように、この分担をきめるということは非常に困難な問題でございます。で、私どもとしては今からこの作業をやるわけでございますが、今考えております方針としては、過去の水害実績をまず第一条件にしようと思っております。想像で配分をきめることはなるべく避けたい。従来実績があって、そのときに被害を受けた。で、各村がそれぞれそのときにどの程度の被害があったかという算定はできますからして、それを基準にしてやる考えであります。
  273. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 これは非常に危険な問題でしてね、堤防のないときにはずいぶんはんらんして、水害があったでしょう。河川改修をやりましてすっかり情勢が変っておりますから、過去の水害を基準にするとおっしゃいますと、これは非常に危険性があるのじゃないですか。
  274. 米田正文

    政府委員米田正文君) 私どもも大へんむずかしい問題だと思っておりますが、今一応考えておりますのは、先年キャスリン台風で切れました栗橋の上流については、やはりその下流被害を受けた区域は全部、程度の多寡はありますが、分担をすべきだという考えに立っております。それで、そういう考え方で今から操作をしてみるのですが、いろいろと問題があろうかと思います。その辺はなお研究する余地が残っておると思います。
  275. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 もうちっと言いますと、こういうものは刷物にして話さぬとお互いに誤解しますが、利根川の例では、明治四十年ですか明治四十三年ですかの水害では、東京のあすこらの観音さんまでつかってしまうという例があったのですが、これは河川改修はなかったからあれですが、それまでも過去の水害の例とされたら、大へんなものなんですよ。
  276. 田中一

    田中一君 そうすると、これは下流が一番負担しなければならぬことになる。どうですか、下流はいやおうなしに、それはもうその範囲が、単なる利益を受ける市町村、「当該水防管理団体の区域の関係市町村」になるのですね、結局。いいですか。このほかに、「以外の市町村」ですからね。下流というのは、常に負担をしなければならぬ。こんなことでは、こういう水域関係の代議士はみんな落選しちゃいますよ、そんなことをすると。(笑声)こういうことは区域でもって利害が……。
  277. 米田正文

    政府委員米田正文君) それは非常にむずかしい問題ではございますが、現在水防に当っている第一線の市町村においては、自分だけの負担において水防経費を全部負担をするということは、非常に困難だ、今日財政の問題から見て非常に苦しい、こういうことを非常に強く主張し、関係の市町地に分担方を交渉もしておるような実情でございます。私どもとしては、今言ったようなことで、極力努力をしてみるつもりでおります。
  278. 田中一

    田中一君 私はどうも、今のこれをやったのは民主党の内閣じゃないでしょうけれども、自由党の跡始末でしょうけれども、原案は自由党時代でしょう。どうも、こういう考え方は非常に危険なんですよ。限界がわからないのです。御承知のように、年に二千億も災害を受けた場合もあるのですね、災害というものを見ると。二千億の災害を守るには、あるいは五百億程度の水防をしなければならぬこともあるかもわからない、金額は別にして。そういうものの負担というものを、どういう工合にそれを折衝して負担させるかということはい大問題なんですよ。私はこんなことをして逃げちゃいかぬと思うのですよ。政府が何ら権限がなくちゃ、政府は何しているかということになっちゃう。これはもう少し大臣、聞いて下さいよ。そうして一つの方法とすれば、こういう意味の金を、特別な金を国あるいは地方公共団体が取って、そうして負担するのならまだいいのですがね、均霑されますから、そういう形でやればですね。私はどうしても、これを公平にするなんということになったならば、おそらくこれは政治家の仕事じゃ、政治家じゃできませんね。やっぱり独善的な官僚が一つの計画を立ててがっとおっつけることによってできるのであって、政治家がこれをやったらば、それは毎日あらゆる陳情が来て、どうにもなるものじゃないですよ。こういう点はどういう考えを、建設大臣、持っていますか。
  279. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは決して独善的な気持はないので、まあ河川局長は自分の事務的にやる順序を言ったまでの話で、私は法律建前はやはり、自主的に水防管理団体が中心になって、関係市町村あるいは、程度は薄いけれども、それに関連する市町村の協力を求めて協議してきめてゆくということで、これは何ら一方的にきめる方法は考えていません。それから、従って、都道府県知事がそういう取りまとめをしてもらうということは、第一項といいますか、水防の当事者としての都道府県知事がやられる。それに対して建設省、私がそういうことの円満な成立のために努力をするということは、これは決して惜しみませんけれども、あくまでもこれは建設省が割りつけて取るといったような考え方で行くべきものではないので、本来の性質が自主的にできる水防管理団体ですから……。ただ、法文の書き方等が「関係市町村以外の市町村」というような表現は、あるいは非常に熟した文章であるかどうかわかりませんけれども、こういうことも従来の沿革をそのまま表現してきてこういうことになっておるわけですから、非常に程度の濃いところと薄いところとできるわけでしょうから、これによって非常な混乱が起るというようなところまで予想はいたしておりませんし、またそういうふうに取りまとめて参りたいと考えております。
  280. 田中一

    田中一君 ちょっと伺いますがね、竹山さん、あなた利根水系をずっと歩いたことありますか。
  281. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) この間歩かせられました。
  282. 田中一

    田中一君 そうすると、例の昭和放水路というものがなぜ開さくされないかということが一つ、小見川の背割りにするかつけかえにするかという問題が、なぜあの血の雨を降らしたかということをよく知っていますか、歴史的なものを。私はあなたの御説明に反対じゃないのですよ。事務的におっつけるならば一応おっつけられるかもしらぬけれども、政治的にこれを解決すればなかなかできない、ということを言っている。昭和放水路というものを開さくすれば下流部というものはうんとよくなることはわかっている。ほかの水が来ないことになるから、よくなることはわかっている。これは竹山君なんか、どう解釈するか非常な問題だと思うのですよ。事務的におっつければ一応おっつけでもって済むかしらんけれども、これを政治家が介入してやる場合には、判断がつきかねることが多いということを私は申し上げているのですよ。ですから、現に建設省がどうにもならないでいる小見川の背割り工事にしても、つけかえ工事の問題にしても、昭和放水路の開さくの問題にしても、あるいは印旛の農林省と建設省がけんかしている状態にしろ、利根水系一つ取り上げましても、この水域におけるところの洪水予防の、水防活動の費用の受益者負担ということは、これは実に広範囲にわたりまして、一体ほんとうにそういうものが成立するがどうか知らぬですよ。そういうものの基準を作る政府は勇気があるかどうか。やってみせますというなら、なんにも言いません。
  283. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) お話しのように、水の問題がむずかしいことは私も抽象的にはよく心得ておりますが、しかし一応水防管理団体というものを整備して参ろうという以上は、費用の負担の問題に逃げるわけにいきませんし、同時に今お話しのいろいろないわゆる水系、水防の根本にわたってのいきさつ、困難は、これはもう歴史的によくわかりますが、それと別個とは申しませんけれども、一応利根川にしてもどの川にしても、水防という自体だけを取り上げてこれに対応する水防体制というものを整えていくということには、私はある程度の一致点が見出されるであろう。それ以上水防団体が、今申すような利根川水域の根本的改革というものをみずからやろうということになれば、これはなかなか容易な問題じゃありませんけれども、これはやはり政府とそれぞれの関係機関との間で漸次解決をいたしてゆく問題であって、それとは全然別とは申しませんけれども、別の立場に立って当面する水防の問題に対する費用負担なりまた管理団体の整備強化をはかるということについては、私は、話して漸次これを整備して行くということにはある程度の一致点は見出されるであろう。お話しの通り、それをどの範囲に広げるかという現実の問題になりゃ、これはなかなかそう機械的には参りますまいけれども、これはやはりいろいろな沿革等を考慮して、実態に沿うように漸次整備をいたして参るということより、当面はいたし方なかろう。その気持、その態勢というものを法律化したわけでありまして、この法律が非常な強制的に割りつけていくという観念は考えておりません。
  284. 田中一

    田中一君 大臣、具体的にだいぶお説明になるけれども、皆的はずれなんです。あなたの立案なんだからよくわかるのですよ、提案なんだから。それでは伺いますが、藤原ダムができたおかげでもって、それも広義水防なんですが、これができたために、犠牲者が相当数いるわけですね。これに対して自分の土地なんかを提供して、広義水防の役目を果しているのです。これに対して、銚子のはずれからあの水域の本流水域の人たちはみな負担しておりますか。これは受益者負担です。
  285. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) ちょっと申し上げます。個々の具体的な問題については、お話しのような問題もありましょう。しかし、今実際問題として水防管理団体で対象となる範囲の仕事というものは、またおのずから、将来のことは別ですけれども、ダムの問題からすべてのことを水防管理団体が直接当っておるわけじゃありませんから、そういう点においては私は決して焦点をずらして申し上げておるわけではなくて、この際の問題としては水防団体のやり得る範囲の問題を予想してゆく。従って、ダムと放水路の問題などということは、これはまた別の見地に立ってそれぞれの負担をして仕事をしておるわけですから、それに応じた負担の問題は別途に考えられるべき問題だと思います。
  286. 田中一

    田中一君 私の言っているのは、今竹山さんがるるおっしゃるけれども、そうではないのです。水防という、水害から守ろうという、そして自分が守るためにですよ、それに関連する者はもちろんのこと、それに関係する以外の者が、利益を受ける場合はその費用を負担しなけりゃならないというのですね、受益者負担の精神というものはですよ。ダムを作ろうと何を作ろうと、同じなんですよ、広義水防という問題から。水防組合とかなんとかいうものを私は言っているのじゃない。水防という一つの目的から調節ダムを作るのですよ。多目的ダムを作るわけですよ。そこで、それにはやはり犠牲がある。犠牲と費用です、結局。費用の負担ですよ。そういうものを国が作る場合には、ダムを作る、これは洪水調整のためにやるのです。これは広義水防なんですよ。そのときに、銚子のはずれまでの人々から、そのまず負担の、費用でもいいです、工事費でもいい、それを負担させるかどうか、国がやった場合。いいですか、それから犠牲になる者がいますよ。非常に長期にわたってこれも、あすこにいた林何とかいう委員長とか、藤原ダムの水没着たち何十家族の人たちがこれが犠牲になっている。水防の功労者なんですよ、しいて言えば。これに対して受益者が、補償なら補償でもいいから、負担したかどうか。現にしていないじゃないですか。そういうことでありながら、これは大きな政治が水防をやるのです。大きな政治が水防をやっているのです。今度は非常に小さくしまして、部分的なものの場合ですよ。大きな組合のものですら、なかなかそうしたものは負担し得ないものが、個個の事件について納得ずくでそれが、話し合いがつくということは考えられないということを言っているのです。従って、別の方法はないのか。そしてやるならやってけっこうです。今竹山建設大臣が言っているように賛成なんです。当然やっていいと思うのですよ、これは、原因というものは人為的なものじゃないのですから。しかしながら、それを分担させる比率というのは何であるかというと、政府は基準を作るというのです。おそろしいと思うくらい考えていない。基準を作るというけれども、個々の負担ケースは違うのですよ。従って、基準を示さなければならないと思うのです。そんなもので話し合いがつくならば、この委員長はとっくにもう利根川の王様になっていますよ。いまだに、利根川の総合開発をやったところで、何にもなっていない。そんなもんなんですよ。ただ、自主的に小さいものにまかして、知らぬ顔をするというのは、不親切きわまる。これはどういう自信を持ってやるのですか。
  287. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 田中委員お話、よくわかりますが、私は利根川の根本的治水計画というものは、国の責任においてこれは漸次地方と一緒になってやっておるし、またやらなけりゃならぬ問題でありますが、それにはその計画に伴う負担の問題等が現実にも起っておるし、また今後も処理をしなければならぬことは当然であります。しかし、それと水防管理団体のやる仕事というものとは、表裏一体ではありますけれども、全部が一つではないのでありますから、その根本計画等を補足しあるいは援助していくための水防管理団体の費用の負担というものは、それに応じた費用負担というものを考えていくということが、今回の法案の考え方であって、私はそれをやることが、根本問題もできないのにこれをやるというのはという意味は、実際これはやっておることでありますし、その現実を基礎にして漸次整備をいたして参ろうということで、非常に飛躍した考え方でおるわけでもありませんが、しかしお話しの通り法制上整備をしていくということになれば、今までの歴史的な成り行きまかせというわけにはいきますまいから、こちらも研究をいたしまして、筋の通るように負担の関係等もある程度のところまではこちらも作って、それを示していくということはやらなけりゃなるまいと思うのでございます。
  288. 田中一

    田中一君 私は反対しているのじゃないですよ。けっこうだと賛成しているのですよ。事実において、これは河川局長に聞きますがね、ほんとうにあなたやれますか、調整とれますか。ほんとうの自信のほどを聞きたいのです。
  289. 米田正文

    政府委員米田正文君) これはまあ、先ほどからお話のございますように、関係市町村に分担を命ずるという、幾ら分担をするかということになると、事務的には非常に困難な問題でございます。しかし私どもは、今日の実情から、その出先市町村だけが全部の責任を持つということは適当でない、それから著しく利益を受けるものがある程度の負担をするというのは必要であるという考え方に立っているのでございまして、先ほど藤原の例がございましたが、これは藤原の建設に要する工事費は、下流の銚子に至るまでの沿岸の県に全部分担を命じているのでございます。で、従って、水域全体として水防の藤原のダムの負担をするという原則に立っております。で、この水防については、今日の方針としては、水防市町村の固有の事務、こういう考え方に立っておりますので、市町村が当該市町村が自分だけで全経費を負担するということは、非常に苦しいという財政的な状態にあるので、それから受ける利益を、非常に著しく受ける市町村がその一部を分担するということは、私は理論上も正しい、こう思っております。私ども現実に、じゃ幾ら負担をさせるかということについて、非常に困難だというのは御指摘の通りでございまして、そこで、私は今考えておりますのは、従来の実績による損害額程度におよそのめどをおいて負担をしていこう、負担をさせるようにしたい、こういう考え方でおります。
  290. 田中一

    田中一君 過去の実績とか、災害の実績なんかはだんだん改良されているんでしょう、実績にはならないのですよ。それは今度は逆になってくるのですよ。右岸が堤防を改良していくと、こちらには災害は起きない。それより低い、改良していない左岸に今度は起きるんですよ、起きる場合はね。災害に実績がない。どうしてきめますか。私はね、この条文を反対しているんじゃない、賛成しているんですが、これだけでそういうものを市町村に預け放しであっては、これは不親切きわまるものだと言っているんです。その基準も個々のケースで違います。これこそ、私はこれは本来急がないものならば、市町村の代表の皆さんに何人か来てもらって、参考人の意見を聞いてきめるべきものです。実際は、さっきの問題といえども、この問題といえども、そういう法律を政府としては、きめればいい。強制されるのは市町村なんです。それをお前たちの間で、不明確な、明確でない、はっきりとつかむことのできないような利害というものを、法律できめて、その分担をお前たちがきめろということになると、これはよって来るものは自然なんですよ。人為的なものじゃないのです。天災地変なんですよ。それをね、国でもってまかせっ切りで、お前たちで話し合ってきめろという規定は、不親切きわまるのです。時間があれば関係市町村の方に来てもらって、あなたたちやれるか。やれますという自信があれば、それはけっこうだ。私は反対しているんじゃないのですよ。どこまで政府が関与して、一つのこの形を与えてやるかということです。これは時間があれば、ほんとうに参考人を呼んで聞きたいのです。実際にもっといい方法があるのではなかろうかと思うのです。法律を作って、政府は知らぬ、紛争はそちらでおやりなさい。けんかしてけんかして、いよいよお互いが疲れて、最後には政府に持ってくる。あるいは知事に持ってくる。知事がきめてやる。こういう不親切なことはいたずらに、現実に非常に困難な災害を受けそうな所ばかりの地方負担というものをますます重くし、かついたずらにお互いの紛争を生むばかりだということなんで、預けっぱなしということは、それはいいでしょう、建設省は、建設大臣は。法律をきめてこれをやれということは、明確になっていないから、やりようがないんですよ。だれだって余分に出したくないんです。災害は、悪影響がない方がいい、金は一銭でも出したくない、それが地方自治体の実情ですよ。ましてや、その相手がお互い同士地方自治体の場合ならばいいけれども、やはり予防組合的な民間団体があるとするならば、これはもういろいろな紛争を起すということは明らかですよ。そんなにおとなしく、ここでもって百万円かかったからお前たちこうしてやってくれ、そうですが、それではよろしゅうございますといってやるものではないんですよ、実質は。  ですから、こういうことをいうならば、災害の、水害の起らない方途を国がもっと積極的に考えるべきです。利根川の問題は、昭和放水路を流すならば、三千の水が流れるならば、ほかには水害がないのだということは、広義水防なんです。また上流においてダムを三つも四つも作るならば作るということをきめてやるということが、広義水防なんですよ。そうすれば、こういう末端の水防組合なんというものの負担というものは軽くなるのですよ。従って、そういう見地からいえば、もう少し根本的に、派生的なこまかい末端にものを申しつけるということをしないで、国全体が根本的な水防計画を立てるべきだと思います。しかしながら、そういう個々のケースは問題がありますが、それはそれで水防組合、けっこうなんです。ことに、そういういたずらにトラブルを起すような問題を残して、あとはやれということは、立法の上の不親切なんですよ。考え方はいいですよ。もっと別に考えなければならない。広義水防を考えなさいということを言っているのですよ。
  291. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 御趣旨はごもっともで、私もそれに同感であります。ただ、河川局長は多少希望的なことを申し上げておるので、いろいろ御心配をいただいておりますが、私はこの法律によって非常に過度の負担を水防団体にかけようということを予想しているのではないので、実際も今いろいろな組織でやっておってくれるわけでありますが、それをある程度法的に整備をいたして参るということでありまして、これによって非常な負担増をするということは、事実もできませんし、そういうことは考えておりませんので、まあ法律建前は今の実態をむしろ明確にしてゆくということを考えておるようなわけで、これを裏づけする根本の水防計画というものをもっとやれとおっしゃる点については、私も同感でありまして、これはなお別に努力をいたして、水防団体をしてほんとうに働けるようにいたすのは政府の責任であるということには、全く同感であります。
  292. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 この問題、結局、実際やっておられることに関連してこういうことになったのでありましょうが、そうすると、実際の問題としてかりにどこどこの例はこういうふうにあった、そういう例を示してもらえば、お互いに納得し得るのです。ただ空論にいっておりますから……。でありますから、今までの例はこうなっているのだ、今まではどこに水防組合があって、その利益はその下流のどこにあったからこうなったという、実際の例をお述べ願えれば、私は審議は進むのではないかと思うのです。
  293. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) ただいまの御注意の点は、なお資料的に御参考に出すといたしまして、根本の考え方といたしましては、これで地方に過度の負担をさせるというようなことを立法の趣旨に考えておるわけではありませんで、できるだけ沿革的にできておるこういう制度を法律的に整備いたしまして、できるだけ合理的にいたして参りたいという努力は考えておりますが、極端な負担の増加ということはいたさないように注意をいたします。
  294. 田中一

    田中一君 私は負担増になるということを言っているんじゃないんですよ。かかったものはかかったものなんです。そのために、自分の田畑の冠水を免れたり人畜の生命の安全が保てるならば、金は幾らかかってもいいんですよ。そういうことを言っているんじゃないのです。全財産をうっちゃったってやりますよ、命がけになれば。そういうものを一応はっきりと、これがその関係市町村以外の利益者なんだということの規制なくして、この法律の上にですよ、どこまで伸ばそうったってわからぬのです、それは。そういう立法の措置は不親切だと言っているのです。精神を反対しているんじゃないんです。地方負担が多いから反対じゃないんです。自由の生命上りも尊いものはないんです。何をうっちゃったって、負担をします、その人間は。自分の生命の危険を感じた人間は、やるんですよ。その区域の人間はやりますよ。しかしながら、一里も二里も離れた所にも利益者があるんです。それを明確にしないで、ぽんとこの法律一つでもってやることは、私は立法としては不親切である、こう言っておる。従って、別途の方法を考えないかと言っておるんです。
  295. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 御趣旨はよくわかっておるつもりでありますが、今まで管理団体というものを民主的に自主的な機関としてこの法律建前が立っておるのですから、政府がこれを命じてやらせるような建前をとっておらないところに、こういう法の建前が出てきておる。補償の問題といい、いろいろな面において、そういう点にいろいろ御意見もあることもわかりますし、問題点のあることも承知いたしておりますが、建前上、従来の制度沿革を基礎にこういう立法をいたしております。従いまして、この表現の仕方が非常に的確であるかどうかの御批判はありましょうけれども、そういう意味において、関係市町村が費用の分担をするという今までの現実を表現をし、その範囲等は多少広く書いてあるかもしれませんが、これもまた今までの実際にもこういう場面があったと考えてこういたしたわけでありますから、法律建前としては一つこういうことで考え方を御了承いただければ、実行の場合におきまして、いろいろ御注意の点はなお今後よく慎重に検討いたしまして、必要以上のトラブルの起らぬように注意をいたして参りたいと考えております。
  296. 田中一

    田中一君 建設大臣の言うことは、わかるんですよ。反対しているんじゃないんですよ、私は。ただ、それでは政令なら政令でこういうのが利益者、こういうケースが利益者関係だということをきめるとかなんとか、通牒なら通牒でもいいが、示して下さいよ。反対しているんじゃないんですよ。
  297. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) よくわかりました。これは今具体的に政令案なり何なりをお示しすれば、一番的確でありましょうが、いろいろなケースがあるものですから、それらの問題を、よく御注意の点を取り込みまして、できるだけ早い機会にまた御意見も伺い、実態に合うように、示すべきところは十分示して、混乱の起らぬように注意をいたして参りたいと思います。
  298. 田中一

    田中一君 今大臣は政令なら政令できめると言った。政令できめるのですか。この条分にはありませんがね、政令できめるとは。
  299. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) いや、この場合を申すわけではありませんが、全体を通じて、政令できめなければならぬところもありましょうし、またお話しのように、いろいろ注意的なことを言わなきゃならぬ面もありましょうしいたしますから、いろいろな段階、いろいろな場面がありましょうが、そういうものはよく研究をいたしましてきめて参りますから、その都度また一つ御意見を承わりたいと思います。
  300. 田中一

    田中一君 個々のいろいろなケースがあるから、自分で一応どうしてやるかの問題が起ってくるから、それまで採決しないでいいというのですか。
  301. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) いや、そういうわけではありませんので、これは実施の問題でありますから、実施の面に当っていろいろ個々の問題が起るでありましょうから、内容はよくまた御意見を伺って遺憾なきを期したいという意味でありまして、今当面問題となっております点は、これは政令できめるべき問題とも考えません。
  302. 田中一

    田中一君 くどく伺いますが、私はこの問題に反対しているのじゃないですから、弁解しないでいいですよ。ですから、こういう工合にやるのだとか、こういう範囲を考えておるのだとか、こういうケースがあったとか、その場合にこうだったとか——これは強制法なんでしょう。今までは任意にやっている。ある村が水につかって困れば、隣村から応援にいく。握り飯を持っていく、土俵を作る俵を持っていく、見舞金を持っていきますよ。これはやっていることですよ。慣例ですよ。しかしながら、法律でここで規制すると、義務づけられるということです。従って、大胆に義務づけるのもけっこうですよ、受益者なら受益者という認定が正しく、みんなが認め、また自分も認めるならば。そうでないものに及ぼそうという動きも起きると思う。従って、受益者の範囲が、どこからどこまでの者が受益者なのかということを明確にしなければいかぬということですよ。
  303. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) よくわかりますが、これは抽象論として示しても意味のない問題でありましょうしいたしますから、よく御趣旨のような点を何か的確な例等をもって申し上げることにいたしますが、これはあくまできちんと法律ですべて細部まで強制するというのではないのでありますから、協議が整わない場合にはなかなかきまりませんしいたしますから、この法律に基いて示す基準というものもおのずからそういう地方で協議する基本になるような基準を示す以外には、法律に基いて強制的な範囲をあらかじめ的確にきめてしまうというのは、法の趣旨ではなかろうと考えております。
  304. 田中一

    田中一君 河川局長は自信を持って言えばいいんですよ。実施に当っては困難でありますと言われておるが、それでは何か困難でない方法を考えなさいよ。実際は困難でございますと言っている。そんなものに認められませんよ。
  305. 米田正文

    政府委員米田正文君) 私非常に慎重に申し上げたので、どうも叱りを受けたような結果になりましたが、淀川の右岸の水害予防組合では、これは一番川べりが一といたしますと、一番川な遠い市町村がその三分の一というように比例で、きめておる実例もございます。だから、私は先ほど洪水の実績による比例と申し上げましたけれども、それもおよその比例でございまして、きちんと何割と、損害額に正比例するというわけにはいかぬと思います。大まかの考え方に結局はなるかと思います。そういろ実例もございますので、実績方針を基礎にいたしまして、従来の慣行等も参酌いたしまして、基準を示して、実施をするようにしたいと思います。
  306. 田中一

    田中一君 締めくくりをしますがではこういうふうに理解していいですか。この条文を見ますと、最後には都道府県知事のあっせんできまるということになっているのです。従って、都道府県知事はどういう基準をもってあっせんするかということなんです。これは相互のけんかじゃないのですよ。事実において、水防活動をして、その水害から守ったということなら、はっきりわかるのです。金にすれば百万円、五百万円というものはわかるのです。そうすると、あっせんする知事というものは、五百万円なら五百万円かかったというものから、分担の比例を考えるわけです。従って、都道府県知事はこの法律が発効したら直ちに、その水系ごとに実情に即した一応の基準をきめて、関係市町村並びに受益をする市町村との間のトラブルは絶対に避けるようにいたします、こういう措置都道府県知事にとらせます、ということに理解してよろしうございますか。
  307. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 御承知のように、今度のは、都道府県知事水防計画を立てなければならぬということになっておりますから、それに伴う水防団体の活動の費用等の負担分担は、ただいま田中委員お話のように、知事責任をもって一応きめなければならぬ。それをきめる段階において話がむずかしくなれば、いろいろ協議するということになりますから、大体においてただいま田中委員お話通りに心得えております。
  308. 田中一

    田中一君 それは違う。一応知事は自分の川はわかっておるから、そういう問題のないように一応の基準を示す。水防活動をする区域は関係町村でわかっておるから、どことどこが、こういうケースの場合はこうだという基準を示して、末端の紛争の起らないように措置するということを言って下さい。
  309. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 実際の方法としては、田中委員お話のようなことになろうと思います。
  310. 田中一

    田中一君 了解しました。
  311. 石川榮一

    委員長石川榮一君) それと関連して、私も意見を申し上げたいのですが、この条項の今の論議は非常に重大でありますが、水防管理団体関係町村、いわゆる利益を受ける関係町村と区別しておること自体に誤りがある。利害関係のあるものは全部一つの水防管理団体に統合して、拡大強化すべきだ。できるならば、各県ごとに一本の水防管理団体を作って、全県的の見地から、特に重要な、利益の多い所と薄い所と格段の差をつけまして、たとえば三段階も四段階もつけまして、広範にわたって水防管理団体を作りますれば、今のようなトラブルも起らない。それができないような場合、他府県にわたった大きな問題に対しては、これは国がきめるというような建前をとっていけば、非常にこの条文も生きてくると思います。この条文を作りました考え方は、私も賛成です。待望しておったのです。ですが、技術的には非常に困難です。困難ですから、いやしくも受益のあると認められますものは、行政的な面から考えて参りまして、広範にわたって水防管理団体を作らせ、その線に沿って段階をつけて年次負担をさせまして、その経費によって、大きい、先ほど話のありました淀川のような模範的の優良な水防管理団体を作り、これに国が助成をするということになりますれば、町村ごとのかち合いもなくなると思います。こういう点もお考えおき願いまして、この条項にとらわれることなく、こういう点を御検討いただきたいと思います。
  312. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) あまり実際にとらわれ過ぎました条文の書き方で、いろいろ御心配をかけましたが、委員長の明確な御注意をいただきまして、私たちも今そういう考えのもとに運営をいたして参りたいと考えております。
  313. 田中一

    田中一君 あなたの質問に対して建設大臣はああいうことを言っておりますが、水書予防組合法ではそうなっていないのです。今委員長の言った意見も取り上げて何とか善処しようということは、水害予防組合法を改正する意思があるのですか、こう伺っておるのですが。
  314. 米田正文

    政府委員米田正文君) 今水害予防組合法を改正する予定はございませんけれども、ただいま申し上げましたことは、なるべく市町村の連合体のようなものを作って、いわゆる町村組合のようなものを作っていきます行き方でも行けますので、できるだけそういう行き方で運用の円滑を期したいという御趣旨だと思います。私どももその点には異存はございません。
  315. 田中一

    田中一君 そういうことは水害予防組合法には何もないのですがね、連合体が云々ということは。市町村単位なんですから……。どこの水害予防組合市町村単位でやっているので、連合体というものはこれは交渉の相手方になると書いてないですよ。
  316. 米田正文

    政府委員米田正文君) ただいまのはちょっと誤解があるようで、申し上げますが、水防法でも市町村の組合を作れることになっておることになっておりますので、市町村組合等の方法を推進するということで努力をしたいと思います。
  317. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 さっきの河川局長お話の中に、既応の水害のあった地域に対しては云々とおっしゃいましたが、これはごく非常に重大な問題で、もしもそういう御意思ならば、どこまでも議論をしていきたい。その点をもう一度だけ明らかにしていただきたい。
  318. 米田正文

    政府委員米田正文君) 私は先ほど申し上げましたのは、その負担の配分の基準を従来の洪水の被害の実績におおむね応じてと、こう申し上げましたのは、非常にまあ内容的にいうとあいまいな点があるのです。というのは、洪水の実績といったって、非常に古くからあるので、そういう点では非常に不明確だと思いますが、私どもまあ、その地区の人が常識的に見て、従来水害を受けたときにどこどこはこれだけあったと、大体その程度ならよかろうというような意味を含んでおるのでありまして、できるだけ新しい、それからみんなの納得する洪水というものを対象にして、一例をきめたらどうかと、こういう趣旨でございます。
  319. 赤木正雄

    ○赤木正雄君 大体御趣旨はわかりましたが、つまり河川改修をやらない場合の災害の対象と、河川改修のできておる今日とは、根的本に違っておるのです。河川改修をやらない所の災害をもって今日の災害を、水防組合の対象にされてはたまらないのです。だからして、それをはっきりしてほしい。言いかえるならば、堤防のない場合の災害と、堤防ができてからも災害は起きますが、その堤防のできた後の災害範囲というものは、これは根本的に考えを違えてかからぬと、非常に影響するところ大きいと思います。
  320. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 今御注意の点は、よく一つ十分に考慮をいたして参ります。
  321. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 次に「第五章中第三十三条の次に次の一条を加える」、いわゆる「費用の補助」の欄に移りまして、第三項の末尾まで議題に供します。
  322. 田中一

    田中一君 これは二項を見ますと、やはりこの最初に戻るのですが、三分の一以内の予算の範囲内における補助というものは、これはやはり先ほどきめようといっている十七河川か十二河川か知らぬけれども、それだけにとどめているのですね、この場合は。
  323. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) そういうわけじゃありません。補助はもっと広く考えております。
  324. 田中一

    田中一君 広くというならば、じゃ、先ほどの水防警報を出す十条の四に指定する河川というものを、まず出してもらわなければならぬわけです。これと見合うでしょう。
  325. 米田正文

    政府委員米田正文君) あれとこの場合の河川とは違います。
  326. 田中一

    田中一君 その河川の定義が、全部同じじゃないですか。
  327. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは似たような書き方をしておりまして……。
  328. 田中一

    田中一君 十条の2ですよ。
  329. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) ええ、十条の2。似たような書き方をしておりまして、そういう心配が出るのもごもっともと思いますが、これはいわゆる直轄河川というような考え方を頭において書いておるわけです。必ずしも先ほどの共同の予報をする河川とこれはぴったり一致をしておるわけではありませんので、この方は現実には広い範囲を予想しております。それからこの中で設備の整ったものも、まず共同の予報をするという考え方でありまして、たまたま文字がよく似ておりますが、あの河川を対象に考えておるというのじゃありません。
  330. 田中一

    田中一君 もう一ぺん、くどいようですが聞きますが、今大臣が言ったように理解していいのですか。河川局長、これはどの河川にもそうなるのですね。
  331. 米田正文

    政府委員米田正文君) どの河川にもというとちょっと範囲が広過ぎますが、非常に小さい河川までは考えておりませんけれども、十条の二項でうたっておりますものとは、範囲がだいぶんこちらの方が広くなっております。
  332. 田中一

    田中一君 じゃ、この補助は申請すればくれるのですか。それとも、ここにあるように、十条の二項にあるように、中央気象台と共同してやるという部分にだけくれるという意味じゃないとすれば、どの範囲だということが明確にならなければ困ると思うのですがね。
  333. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは予算の額からおのずから範囲がきめられるわけでありますので、できるだけ広くやりたいという趣旨で、法律には限定をしておりません。将来予算がふえればできるだけ広げて参りたい。ごく俗っぽくいえば、直轄河川及び重要河川のところまでをまず大体予想しておる、それからのところは、その他の中小河川ということを大体考えております。しかしこれは金とのつり合いでありますから、その法律はぴちっとしておかない方がよかろうと思います。
  334. 田中一

    田中一君 これは申請するのですか、それともあなたの方で独断的にくれるのですか。
  335. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは建前としては、申請をすることに——大体金の額にも限度がありますから、大体県と見当づけることにいたしますが、もちろん申請されたら必ず出るというふうに予算的には無制限にありませんので、建前は申請に基いてやります。
  336. 田中一

    田中一君 新しい補助規定ですが、なるべく政治的に利用されないようにお願いしたいと思うんですな。
  337. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは法律に取り上げましたから新しいようですが、前内閣、ずっと前から続いている建前のやつを立法化したわけで、決して全くの新規ではありません。
  338. 田中一

    田中一君 これは昨年でしたかな、小澤君が大臣になったときに、一億という金を分配したんです。ところが、やはり岩手県には余分に持って行きましたよ。これはだいぶん注意したんですよ。やっぱり持って行ったんです。
  339. 湯山勇

    ○湯山勇君 今年度、大体どれくらい予算がございますか。
  340. 米田正文

    政府委員米田正文君) 水防施設費としまして、本年魔二千百三万七千円を今要求予算に組んでおります。
  341. 湯山勇

    ○湯山勇君 2と3と合わして、昨年はどういうふうになっておりますか。
  342. 米田正文

    政府委員米田正文君) 昨年は水防施設費の補助として二千四百七十五万。
  343. 田中一

    田中一君 そのほかに、河川局長に聞きますが、一億でしたかね、俵や資材なんかを買うのは。あれは一昨年……。
  344. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) あれは予備金から支出しております。
  345. 田中一

    田中一君 そういうものがある。
  346. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) それはさっきも言いましたように、水害が出て跡始末をするときには、そういうものを望んではならないけれども、考えなければならないので、あとから河川局長から申し上げましたように、これは継続してだんだんに持っていこうというやつですから、はなはだ不十分ではありますけれども、そういうふうに……。
  347. 田中一

    田中一君 天龍川はダムが多数できまずから、あまり災害はありませんから、これは建設大臣は天龍川には持っていかぬでしょう。
  348. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) そういうことは……。
  349. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 私からもちょっとお伺いしますが、この水防施設設置は大体水防倉庫だと思いますが、この倉庫の補助金の対象は十坪以上ということに大体内示をしておるようですが、各河川の内情を見ますると、なるべく数多く暴風の場合に緊急にその倉庫から搬出してやらなければならぬことになっておりますので、十坪ということになりますと非常に大きくなりまして、一里に一カ所、あるいは六キロに一カ所というようなことになって、実情に即さない。そういう点から緩和されまして、できるだけこれはなるべく分散しまして、たとえば五坪程度まで引き下げることができるようでしたらばさようにいたしまして、第一線の活動を便ならしめていただきたい。もう一つは、一年中倉庫に置きますと、盗難にあいましたり、あるいは資材が腐ったりいたしまして用が足りなくなりますから、従って各村には集積倉庫を置く必要があります。だから集積倉庫と第一線の堤防にあります倉度の二つに分けまして、これらの配分に適正を期してもらいたい、こう思いますが、御意見を伺います。
  350. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) まあ額が少いので十分御期待に沿えませんが、今委員長の御注意の点は、実施上において考慮いたしたいと思います。
  351. 湯山勇

    ○湯山勇君 国の方で今年の二千四百幾万みてあるのですが、地方財政計画ではやはりこれに匹敵する額、あるいは三分の一補助というのがあれば、まあもっと大きくみてなければいけないと思うのですが、どんなになっておりますでしょうか。
  352. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは特別のワクというのではなくて、一般財政の前年度からの継続でありますので、自治庁と話をしてみてもらっております。
  353. 湯山勇

    ○湯山勇君 大体どれくらいということはわかっておりませんでしょうか。
  354. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは全体つっ込みだものですから、その額を私は明示申し上げられません。
  355. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 一次に附則に至る末尾までを議題に供します。三十四条以下末尾に至るまで、附則を除いてこれを議題に供します。
  356. 田中一

    田中一君 これはやはりさっきと同じなんですよ。災害補償の問題ですから、これは建設大臣が記録に残すようにさっきのと関連して答弁してくれれば私はいいです。さっきの公務災害補償と同じような速記に残すことをしてくれればいいと思います。
  357. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 御質問の趣旨は大体は了承いたしますが、私の申し上げる趣旨は、前にも申し上げましたように、これは国家が的確に申せば公務補償と同様のことをいたすということは、現在の制度においてはまだほかに例がありませんので、こういう段階ではなかなか困難であるということを率直に申し上げたわけでありまして、しかしそれだからといって、政府は水防に熱心に努力をされる方々に対してできるだけの償いといいますか、報いといいますか、同時に功労に対する感謝もあわせてやりたいというのが三十四条の趣旨でありまして、これに伴う予算はごくわずかではありますが、一応その頭だけの予算の用意はいたしておりますが、また必要によっては予備金等でこれは充足をいたして参りたいというのが三十四条の趣旨であります。
  358. 石川榮一

    委員長石川榮一君) そこで一応伺っておきますが、この水防に従事した者に対する災害補償に関して、広範にわたる遺族の扶養義務までも補償の対象にしておられますが、これらの大きな補償の問題は公務災害補償として前段にも出ておりますが、水防管理団体あるいは単なる市町村等では持ちきれないような場合が起るだろうと思います。そういうような場合に対して、この報賞という欄はあいにく人べんがありませんが、ほんとうに報賞であるかと思いますると、そうでもないらしい。そういう点がありますので、この報賞という欄は弾力性のある報賞というような意味合いにとりまして、これらの災害補償を補てんするような意味合いも含めて、この弾力性のある報賞を行なっていただくようにお願いしたいと思います。御意見を伺います。
  359. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 委員長の御希望はごもっともと思いますので、政府全体としてそういう方向に進みますように一段の努力をいたしたいと思います。なお、現段階におきましては、いわゆる人べんのある報償という制度を三十四条がいまだまだ対象といたしておるわけではないということだけは、先ほど申し上げた通りであります。
  360. 田中一

    田中一君 今委員長大臣も、人べんのある報償、人べんのある報償と言いますが、その三十四条の二の報賞を下の賞に人べんをつけろと言うのですね、そういう意味なのですか。
  361. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これはまあ委員長がおっしゃったから私不用意に申してはなはだ相すみませんが、いわゆる明確に申せば、国家が当然の報償といいますか、補償をするという建前の条文ではありませんという意味であります。
  362. 田中一

    田中一君 私はこんな三十四条の二の報賞なんていうことは問題にしてないのです。三十四条の災害補償の問題、これが一番重大な問題なんですよ。これは義務づけられているのです。従って、これは先ほど申し上げましたように、六条の二の公務災害補償と同じようになかなか広範にわたる災害補償なんですから、これは義務づけられておるのですから、財源等の措置がなかなか困難であった場合には、先ほど言ったように金融措置その他を考えて、この法の精神を率直に正しく施行されるように努力するという大臣の御答弁があったから、それで了承しているのです。  次の三十四条の二の報賞の問題は、もう少しよく説明を聞かなければわからないので、御説明を願いたいと思うのですが、要求した資料と、それからここに資料の中の水防功労者報賞に関する省令要綱と、「報賞」に類似する用語のある法令の例と、こう二つあります。そこでお伺いしたいのは、憲政功労年金法、これは尾崎さんだったと思いますね、あのために作ったやつでしょう、これはまあいいですよ。それから次に警察法、これはまあ軍隊の勲章と同じように上手におだててやらせようということですから、精神としてははなはだおもしろくない。しかしまあ現在あるのですからいいでしょう。位階勲等も、国会議員も死にますと何か勲章くれるそうですから、これはあるのだからいいでしょう。  それから次の褒章条例、これはまあ吉田内閣六年間の間にはあまりしなかったのですけれども、鳩山内閣ができますと、やたらにほうびをくれるというくせがあるのです。あれはどういう意味かと聞いてみますと、非常に安いものだそうですが、あれでももらえば国民が非常にうれしがるらしいのです。一連のそうした感覚というものが私には納得できないのです。紙きれと、それから三、三百円で造幣局へ頼めば作ってくれるというような勲章みたいなものをくれて、納得できないのです。その精神、やたらにおもちゃみたいなものをくれたがるというくせがここに出てきているのです。一体この三十四条の二の内容ですね、報賞というものがどういうものを意味するのか、ここに省令要綱が出ておりますが、これを見ますと、まず賞状を授与する、記念品を授与する、死んだやつには十万円以下の金をやる、それから不具廃疾または負傷、もしくはそれが原因で病気にかかった者にはその程度に応じて相当なごほうびをやる、けがしてごほび、不具廃疾でごほうび、そんなものはちゃんとここに出ているのですよ。公務災害補償であるのですよ。私はしいて言えば、こういう造幣局で作る安いメタルみたいなものをやって、公務災害補償金並びに水防に従事した者に対する災害補償というものをごまかして減らそうという意図のもとに作ったものではなかろうかと思うのです。そんなことはできっこないでしょう。われわれは権利を主張するかわりに義務を守っているのです。紙きれ一つのものなんか要りません。そんなものをほしがるという思想を植えつけることがこの民主主義国家にあっちゃならないと思うので、そんなものでなくて、もっともっとほんとうのものですよ。そういうものを表わすならば、もっと別な方法があると思うのです。水防法にからんでぼこっとこういうものを水防法だけに持ってくるということはどういう意図か、これは率直にごまかしなしに建設大臣考え方、そうしてこれを決定した閣議の鳩山さん以下閣僚の意思の決定というものを御説明願いたいと思うのです。
  363. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) その点は、たびたび申し上げておりますように、これは決して勲章でごまかそうという考えはありません。政府としては、水防に努力をして下すった人や、あるいはけがをした人、亡くなった人等に対してできるだけのそれに感謝して、慰める処置をいたしたいというのがこの三十四条の趣旨でありまして、田中委員のおっしゃる国庫が真正面から補償をするという制度は、今の段階としては、他の全般的な制度と合せて検討をいたしませんと、この分だけを今直ちにやるというわけに今の全制度がなっておりませんので、そういう点についてのわれわれの熱意も希望も決して捨てたわけではありませんが、今のところはそれができません。従って、それのかわりという意味では決してありませんけれども、われわれはこの水防に対する努力をした方々に対する感謝の気持をできるだけの範囲でやるということを率直にこれは表わしたわけでありまして、これをどういう方法でやるかということは、今資料としてお示しをいたしましたけれども、何もこれは閣議やなどできめたそれほどのきちっとしたものではありませんから、この趣旨を生かすために最善の方法はいろいろ研究をいたして参りたいと考えております。
  364. 田中一

    田中一君 国家公務員は公務員としての自分の仕事を遂行中に事故があれば公傷になるのですね。公務災害になるわけですね。従って、公務員と比べますと、これはごほうびが多過ぎます。従って、公務員と比べて、この水防法に基くところの水防団員が負傷したり死んだりした場合と、国家公務員の場合と、賃金その他で変っておるというような、湯山君の御質問に対して御答弁があったのです。だから一体どういう基準でやるのか。これはむろん国家公務員と基準は同じでなくちゃならぬと思うのです、公務災害補償は——と私は理解しておるのです。そこで、それで十分なんです。公傷ですから十分なんです、それからここにあるのは、水防に従事した者ということは、一応前段の六条の二の水防団長または水防団員と違う者もこれは含めて考えておるのですね。そうすると、これにもはっきりとここに損害補償というものは出ておるのです。これは団員だから余分に百万円いって、そうでない者だから三十万円だということではないと思うのです。もしあるならば、その考え方は、大体実態はどれくらいになるかということを示してもらいたいのです。もし違うとするならば、少いから鉛のメタル一つやってごまかそうという考え方なんです。そういうことをやろうとするならば、建設大臣が自分のささいな月給の中から、ちっぽけな記念品でもやった方がどのくらい感謝するか。ここに法律規定するなんということは、あまりにごほうびを上げたがる鳩山内閣の性格だと思うのです。第一次鳩山内閣誕生以来幾つやっていますか。これは国民の権利義務です。もしそれに愛情があるならば、大臣自身が自分で自発的に出したらいいのです。一体幾らの予算を三十年度に報賞金として組んでおりますか。
  365. 米田正文

    政府委員米田正文君) この要求予算の中に組んでおりますのは、三十六万円組んでおります。
  366. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 先ほども申し上げましたように、これは予算の額の問題ではないので、もし必要が起るようなことは好ましくないけれども、そういうことが起れば予備金等の措置をするということを私も先ほどつけ加えたわけで、必ずしも私はこれは額の大きい小さいの問題ではないということと、それからポケット・マネーもありませんけれども、そういう趣旨のものではないので、やはり明確にこの際やることだけは法律にしておく方がよかろうということで、別にこれは勲章をひけらかしてやることの意味ではなくて、こういうことも政府は考えているのだということを私は明確にしただけのつもりであります。
  367. 田中一

    田中一君 この資料の中に「報賞」に類似する用語のある法令の例の中に褒章条例があるのです。これでほうびを出すことができるのですよ。水防のために努力した人、水防のために功労があった者はもらえるのですよ。屋上屋を架すような勲章のやり方ですね。だからなぜ水防だけに持っていかなければならないかということが納得できないのです。
  368. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) お話のように褒章条例で勲章を出すことはできないわけでありますが、これは必ずしも勲章だけということを考えておりませんので、先ほど申したように、必要な事態に応じては予備金等でも加えて適切なことはやれるだけやりたいということを予想しておりますので、こう定めておるわけであります。
  369. 田中一

    田中一君 どうも大臣はどういう気持でもってこれを盛り込んだのですか、本当のことを話して下さい、本当の気持を。この立案——これをまあ伺うことは伺い過ぎかもしれませんけれども、だれがこんなことを考えたのです。どういう意図でもってこういうことをやったのですか。どうも今言うあなたの説明を聞くと、災害補償も十分にやります、それから公務災害補償も十分やりますとこう言っておいて、なお勲章をやったら喜ぶだろうからやるのだ、勲章をやるのはちゃんと褒章条例にあるのです。なぜ水防だけにやらなければならないかというのです。聞いてみれば、たかだか二千百万円程度の補助金しか予算に組んでいないで、結局お前たちはおだてられて死ねばいいのだということになってしまいますよ。勲章やるぞということなんです。勲章は別にちゃんともらえるのですよ。私はどうしてもこれは納得できないのです。なぜこういうものをしなければならないか。こういうものをしなければ、水防活動を十分にしないという日本人じゃないはずですよ。何も新潟県の災害に対して東京の人間が出張っていくのじゃないのです。自分の家の生命財産を守るために動くのです。当然ですよ、こいつは本人がやるのは、それにかかわらず、なぜこういうものをやらなくちゃならないかという意図が全然わからない。これは、僕だけしゃべらせないでなにか言って下さいよ。石井先生どうです、私はこれは納得できない。
  370. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) たびたび申し上げておりますように、別に他に意図はありませんけれども水防に対して政府もできるだけのことを感謝の気持を表わすということが必要であると考えて、財源的には不十分であるかもしれませんが、それは事態の起った場合にまた考えるとして、立前としてこういうことをやはり制度的に取り上げておいていただく方が——そのつど思いつきでやることの方がむしろかえって妙な感じを与えやしないかと思いますから、政府もこういう建前のものを当然考えているのだということを法律の中で明確にしておいていただくことの方がよかろうということで、こういうものを加えたわけであります。
  371. 田中一

    田中一君 大臣は御自分で大した意味がないと言っているのですよ。御自分で大した意味がないのだ。ほうびをやったらいいなら、ほうびはちゃんとやれるのですよ、報賞条例で。現にあなた、何百か出していますよ、鳩山内閣は。おそらく歴代でこんな出した内閣はないのですよ。
  372. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) いや、先ほど何度も申し上げるように、勲章は出せますけれども、わずかでも金を出すということは、この勲章の条例では出せませんから、そこで予算に伴ってわずかのことでも若干の金の出せるという建前をここにとったわけであります。
  373. 田中一

    田中一君 悪口言いますけれども、なるほど修正資本主義になってきた改進党らしいのですよ。金で死にに行く者ないのです。ちゃんと補償制度さえ確立していればこんなものは要りません。必要ないのですよ。
  374. 石川榮一

    委員長石川榮一君) だいぶ田中さんの御意見が激しくなって参りましたから……、一応私はこの条文をかように解釈しております。公務災害補償に関する法律規定は、その対象となるものに対しまして、財政的に非常な貧乏である水害予防組合あるいは単一町村等にこの義務を負わしておりますから、従いましてりっぱな災害補償がこの法律ができましても行われない。そこで今まで建設省はおそらく公務補償を固定補償として相当に努力したのではないかと思うのですが、ついにそれが成功に終りません。やむを得ませんから、こういう報賞というものの欄を設けまして、たとえ三十万円でも五十万円でも盛って、逐次これを拡大強化して、ある程度まで国家が公務補償に対して負担をしていこう、補助助成をしていこうというような突破口をここで作っておるのじゃないか、こういうように私は解釈してこの報賞の欄をまあみずから了解しておるわけですが、これは先ほど来田中さんの御意見のように、単なる報賞であるというならこれは意義ないと私は思う。私はそうではなくて、国家補償を目標としておるけれども、なかなか財政困難であり、広範にわたるそういうものが全国的にあらゆる面に現われるのですから、やむを得ませんから、この際は一つの突破口として報賞の制度を設けて、物心両面からこれを支援していこう、こういういわゆる何といいますか、漸進的な意味合いを持った——国家補償を将来実現するための第一歩を踏み出すのではないかと、かように私は好意に解釈しておるわけですが、これで私の意見は間違っておるかどうか。単なる報賞でしょうか。
  375. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 委員長の非常な深いお考えの御意見に対しては敬意を表するわけであります。たびたび申し上げておりますように、われわれも委員会のお考えは明確に承知しておりますので、そういう方向に向って努力をするということは、いささかもちゅうちょをいたすものじゃありませんが、現在の段階におきましては、この程度が実現し得る、はなはだ力足らずして恐縮に存じますが、まず最大の限度と考えてかような提案をいたしたような次第であります。
  376. 田中一

    田中一君 石川建設大臣——(笑声)石川委員長の考えを全面的に大臣承知されたのですか、認めたのですか。
  377. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 全面的に認めておりませんが、私の申し上げることもある程度まで努力しようという御答弁のように——(拍手)要するに水害管理団体に完全なる公務補償要求いたしましても、現在の段階では困難だと思いますので、それをある程度までカバーするという意味を含めてのいわゆる報賞という名前をつけたのではないかと、こう私は考える、さように一つ行政面から扱ってもらいたいと思う。
  378. 田中一

    田中一君 もう一ぺん根本的にこの法律を読み直します。従って私が参加しないでもこれをここで採決をやってごらんなさい、私はそういう精神から、この災害補償の問題にしても、公務災害補償の問題にしても、そういうごまかし立法であるならば、この法律の根本精神を国民に知らせて——このようなごまかしの法律を作っているということを知らさなければならない。私はおそらく衆議院においては、ここまでもし掘り下げたような論議をしておったならば、われわれ社会党の議員というものは賛成するはずがない。これはとても、そういうごまかし半分の法律であるならば、もう一ぺんよく検討しなければならぬ。公務災害補償の金が出ないから、銀メッキの勲章をやって、これでまあまあ物心ともにこれでもってお報いするというようなものなら、そんなものでもって尊い人命を投げ出すような重大な水防活動に従事させるというようなのは、ごまかしもはなはだしい。命を投げ出してやっておるのですよ。またさせようとしている。死ねばこうしてやるというのですよ。どういう考えでもって予算を組んでいるか。これは予算委員会でもって十分検討してみます、分科会で。
  379. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) ごまかしというお言葉に対してはいささか私は承服できません。私は現在の全体の法律制度のもとにおきまして、また現実の水防団体というものの現実を直視して、漸次これを理想の段階へ持っていこうという努力をいたしてでき上ったのがこの法律でありまして、この中に一点もごまかしは含んでおりませんし、水防という冷厳な事態に対して、法律でごまかしてできるものとは考えておりません。従ってはなはだ言葉を返えすようで恐縮ですが、この法律全体を通じて、いささかもごまかすつもりで作っておらぬことだけはお答え申し上げておきます。
  380. 田中一

    田中一君 私も言葉が過ぎたら取消しますが、しかしながら公務災害補償には予算の裏づけがなくちゃならない。それは三十四条の災害補償にもなくちゃならない。そこで予算面に何人ぐらいを想定して予算を組んでいるか、資料としてお出し願いたい。
  381. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 先ほどからたびたび申し上げておりますように、公務災害補償というものは、地方それぞれの団体が負担をするという建前はあらゆる法制の現在の状態であります。そういうことを前提として、この法律を作ったということに、今地方財政の現実からいくと実行困難ではないかという御議論は、私はこれは事実としてよく承知をいたしますから、そういう場合に裏づけ財源としてできるだけの考慮をいろいろな面から払うということを——払うべきであるし、また私は努力をするということを先ほどからたびたび申し上げておるわけでありますから、これを国家が補償をするという予算措置を講じていないということは初めから明らかでありまして、今それに対して数字的に申せというお話でありますが、申し上げる何ものもありません。
  382. 田中一

    田中一君 私が言っておるのは、今ここに資料として出ておる十名という者が死亡したと、それから傷害が何名か出ております。こういう法律を作って地方公共団体がどれくらいの負担になるかということを伺っているのです。
  383. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これはまあなお資料が不十分であれば整えますが、先ほど出しました資料が今までのところの全部でありまして、そんなに大へんなものではないのであります。これ以上の資料はなお御要求になれば出しますが、まあこれですべてであります。
  384. 田中一

    田中一君 たびたびくどく言うようですが、補償というものが完全に行われるならばこうした勲章は要りません。あなたは要るというのです。要る根拠を明らかにしていただきたいのです。それではやはり同じようにもらう側からの意見を聞いてみましょう。
  385. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは根拠といいますと、先ほど申すように、政府もできるだけのことをいたすという努力を表わすのが建前でありまして、そんなものは要らぬじゃないかとおっしゃられればそれまででありますが、私はやることが積極的に害があるとも考えられません。しかし政府はできるだけの予備金等も加えて事態が起ったら応分のことはいたしますというのが、この条文の思想でありまして、それだからといって、一方の補償の問題をごまかす気持もないことはたびたび申し上げた通りであります。
  386. 田中一

    田中一君 建設大臣にもう一ぺん念を押しておきますが、もしもこのように公共のために仕事をしなければならないというような、公共のために身を投じて仕事をしなければならないというような関連法があった場合には、ことごとくこうした報賞制度をとってもいいとお考えですか。またとるべきだとお考えですか。
  387. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) お尋ねの趣旨は、あらゆる方面においてやるべきかどうかということのように……そうですが、これは。
  388. 田中一

    田中一君 たとえば消防、警察、それからまだあります、そういう関連するものが。そういうものにことごとくこういう報賞制度というものを法律の全部に……。
  389. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 私はそういう大きい問題になると予想しますから慎重に申し上げておるようなわけで、政府としてはそれを全面的に国家補償をするという建前を今とる考えはありません。
  390. 田中一

    田中一君 これは国務大臣としての竹山さんからのお答えですね。
  391. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) そういう意味であります。
  392. 田中一

    田中一君 もしそれならば、ますますなぜ水防法だけにここに三十六万円の予算をもってこの報賞という項目を入れて法制化したかということに対して疑問を持つのです。もしも報賞制度をとらなければ、水防活動をする人がしないという前提があるなら、私は水防団員をここにお呼び願ってその意見を伺ってみたいと思うのです。どういうふうに考えますか。それから警察官でも、消防士でも、そういう方々をここに参考人で集めてもらって、こういうものがなければ働けませんという言質があるならば別です。それから消防士がおれにもこういうものをくれといえばこれは別です。そういうふうに国務大臣建設大臣と使い分けするような、使い分けして言葉をうらはらにするというのはおかしいと思うのですよ。建設大臣としての提案なんです、これは。
  393. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 私は何もうらはらにしておりません。今田中さんの御質問があらゆる制度に向って国家補償をする考えがあるかという御質問でありますから、これは建設大臣の答弁ではないと心得て、政府全体の制度に対する私の今承知をいたしておる態度を申し上げたわけでありまして、何ら私は答弁を二つにいたしておるつもりはありません。  それから、今報賞をもらう人の意見を聞いて、要らないといえばやめたらいいじゃないかと、これは私はあらゆる報賞制度において起ってくる問題であって、だれも一体報賞を受けるような場合に、それを要求してやる人に報賞をするなんていうのは、私はこれは少し言葉を返すようでありますが、主客転倒をしたような感じがいたしまして、そういうことを希望したり要求をしたりしない人こそ、その努力、その功績に対して感謝の気持をあらゆる方法でするというのが、私は日本の風俗であり、またそういうことが今までの社会のとってきた建前であり、まあ立場によって違いましょうけれども、私はそういう制度は決して悪いことではないから、これをいい意味において民主的に取り上げていくということが、水防の一つの助けになる、かように考えて提案いたした次第であります。
  394. 田中一

    田中一君 私は補償制度を伺っておるのじゃないのです。こうしたケースの活動する人たちに対して、報償制度、勲章をやる制度を全部織り込む方がいいというお考えを国務大臣として持っていらっしゃいますかと伺っておるのです。
  395. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これはほかの方の法律のことまで私はかれこれ意見を申す資格もありませんし、わかりません。私は水防法については、予算もそのことを用意いたしておりますから、このことをうやむやにするよりはむしろ制度的に明確に法律の中でうたっておく方がはっきりして、ベターだと考えまして取り上げたわけですから、他の団体なり他の法制でこれを入れることがいいか悪いかということは、そのつどそれぞれの場合において考えさしていただくべきだと考えます。
  396. 田中一

    田中一君 私はね、この報賞制度というものは初めて水防法で出てきた、従ってほかの類似の法律にもこういうものがあるならばあえて反対しない、よく理由を聞いてですよ。そうしてその審議をすみやかにするために資料の提出を求めてある。私は何もじゃましているんじゃないんです。水防法は大事だから早く通そうと思っているのです。そのためにくどくど言うよりも前もってこれだけの資料の提出を要求したんです。その中に案の定ないんです、そういうものは。そういうところから見ますと、類似の精神を持っておる法律の中にもこういうものがない。しかし建設大臣がどうしてもこれが必要なんだというならば、これはプラス・アルファであるならば、せめてないよりはあったほうがいいじゃないかという考えならば、ほかの類似の法律にも当然しなければならないという報賞制度の体系というものが生まれてくるわけです。そういうものを国務大臣として求められるかどうかを伺っているわけです。
  397. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは率直に申し上げますが、ほかに例がないとおっしゃる通り、新しい試みであることは事実であります。初めてこういう考え方法律化したことは、法制局でもいろいろ検討をいたした際にも問題になりましたように、新しい制度であることは率直に認めますし、新しいから私は取り上げちゃいけないという理屈もないと考えまして、われわれは新しい制度でも勇敢にいいことなら取り上げていこう、確かに田中さんのおっしゃる通り、これは最初の例であります。
  398. 田中一

    田中一君 従いまして私は探しますがね、さっそく。類似のこのような精神を持ってくる法律ですね——にことごとくこういう報賞制度を入れることの方があなたはいいとお考えですか、国務大臣として。
  399. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは先ほど申し上げましたように、そのケース、ケースによって考えるべきであって、水防のように報いることの少い、しかし非常に困難な仕事をやっていただくような場合においては、これは必要な一つの要素であると考えて取り上げましたけれども、あらゆる制度にこれを入れていいか悪いかということは、これは今私答弁の限りでありませんし、また必要な場合にはこれをとった方がよくはないかと考えます。
  400. 湯山勇

    ○湯山勇君 ずいぶん新しい試みであって、問題の議論も多いと思いますし、大体大臣の御答弁も同じところを回っておるような状態でございまして、やはりこの局面の進展は、このまま続けても進まないんじゃないかといような感じがいたします。で、この法案はなるほど急いで上げたい、私ども上げたいんですけれども、しかし今の審議の段階から申しまして、このままやってゆくということも、いろいろあとへ残る重大な問題もあると思いますので、本日はこの程度にしてあらためて冷却期間を置いて御審議願うようにお計らいいただきたいと思います。
  401. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  402. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 速記を始めて。  今日はこの程度で散会いたします。    午後五時五十二分散会