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1955-10-14 第22回国会 参議院 建設委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十月十四日(金曜日)    午前十一時七分開会     —————————————    委員の異動 十月四日委員天田勝正辞任につき、 その補欠として田中一君を議長おい て指名した。 十月八日委員湯山勇辞任につき、そ の補欠として亀田得治君を議長おい て指名した。 十月十日委員亀田得治辞任につき、 その補欠として湯山勇君を議長おい て指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     石川 榮一君    理事            石井  桂君            近藤 信一君            武藤 常介君    委員            石原幹市郎君            小沢久太郎君            酒井 利雄君            湯山  勇君            田中  一君            堀木 鎌三君   国務大臣    建 設 大 臣 竹山祐太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設大臣官房長 石破 二朗君    建設省計画局長 町田  稔君    建設省住宅局長 鎌田 隆男君    中央気象台予報    部長      肥沼 寛一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○委員派遣承認要求に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する  調査の件(台風第二十二号及び第二  十三号による被害状況並びに対策に  関する件)(新潟火災状況並びに  対策に関する件)     —————————————
  2. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まずお諮りいたします。過般の台風第二十二号及び第二十三号によります被害状況調査並び新潟市の火災調査並びに対策等につきまして、委員を派遣いたしたいと存じます。別に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 御異議はないと認めます。つきましては、本院規則第百八十条の二によります委員派遣承認要求書議長に提出しなければならないことになっておりますので、その内容及び手続等につきましては委員長に御一任願いたいと存じます。御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 御異議はないと認めて、さようにいたします。     —————————————
  5. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 次に、派遣委員報告は、先般東北方面に宮本、北両委員を派遣いたしましたが、この両氏はただいま海外に出張中でありましたので、欠席しておりますから、次の機会に延期いたしたいと存じますから、御了承願います。     —————————————
  6. 石川榮一

    委員長石川榮一君) それでは、公報に記載してあります通り台風第二十二号及び第二十三号による被害状況並びに対策に関する件を議題に供します。  まず建設大臣から被害の一般の御報告を願い、さらに説明員の方々から補足して詳細な御説明を承わりたいと思います。
  7. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 大へん心配をかけました台風も、部分的には非常に被害が激甚でありましたが、二十四号、五号等おかげで大した被害もなく済みまして、御同慶にたえない次第であります。  二十二号につきましては、だいぶもう時期もたっておりますから、詳しいことは省略をいたしますが、御承知通り九州を縦断をいたしましたので、九州四国山口、広島というふうに被害を受けたわけであります。おかげ直轄河川で一箇所も破堤をいたしませんので、河川につきましては大きな被害はなかったわけでありますが、今度一番ひどいのは、山口などについては瀬戸内海の、ほかもそうですが、海岸堤防が非常にやられましたことと、それから今度の被害特徴は、宮崎、鹿児島おいて特にそうでありますが、住家が非常にやられまして、今までにも例のないことはありませんけれども、特に今度は雨が少くて、風が五十メートル以上も吹きましたので、鹿児島等は非常に住家がやられまして、住宅対策の方がむしろ大きな問題になりましたことが今度の二十二号の特徴であります。  二十三号は、御承知のように、比較的少かったので、主として山口に集中をしまして、豊後水道へ入りましてほとんど消えましたので、高潮の害、ちょうど満月でありまして、高潮の害によって海岸堤防がやられたわけであります。同時に、その際四国におきまして高知愛媛南予方面が相当ひどくやられたわけであります。  二十五号につきましては、お手元に差し上げてありますが、一時は非常に心配をいたしましたけれども、全く本土にかからぬで急に速度を速めて太平洋に出ましたので、一時は出水の、利根川を中心として心配をいたしましたけれども、手配を十分いたしておきましたが、荒川だけに警報を出した以外、そこまで至りませんで済みました。被害状況から見ますと、埼玉、千葉、東京というところが二億台でありましで、若干土木被害等を伴っております。  全体を通じまして直ちに手配をいたしまして、九州の方はちょうど道路局長が参っておりましたので、直ちに九州を一回り現地調査をさせまして、帰ってからもちろんその手配をいたしたわけであります。新しく置きました災害査定官を四名、すぐ九州に回しまして、処置に早く手を着けるようにいたしました。四国の方は河川局長高知愛媛南予方面をすぐ回らせまして、これも手配をいたしました。山口は、私は昨日、一昨日と山口に参りましたが、これも今申す主として海岸堤防でありまして、全体の対策としては、予備金の問題はおかげで、この間の国会で御審議をいただきました災害国庫負担法が非常に効果を発揮いたしまして、各県とも落ちついて、今までのように騒ぐ必要を感じませんので、事務的に手配を進め得るのと、こちらは査定官を早く、むしろこちらから催促をしておるような状況で回らしておりますので、すべて事務的に進行をいたしておりますから、大蔵省に対しても必要なつなぎ資金はすぐ出すようにあらかじめ閣議で了承を得ましたから、これも地方としてはすべて事務的に進行をいたしておるような次第であります。今のところ、もちろん全体を通じましても、予備金の範囲内において十分間に合う見当は確実でありますから、片づき次第、どんどん早く手回しをするようにいたしております。  住宅の問題につきましては、新潟の問題と関連をいたしますが、新潟の大火につきまして、これまた突発の問題でありましたが、幸いにしまして、今度の住宅対策のいろいろな施策がおかげで非常に役に立ちまして、公営住宅は、これは災害の方も同時に申し上げますが、三割の公営住宅は、ちょうど約千戸分の予算災害用として留保されておりますので、そのうち数十戸使っております以外は全部ありますので、これで新潟、それから今申す台風地帯に必要なだけはすぐ要求に応じて手配をさして、新潟も直ちに百戸はやるということで、すでにやっておることと思いますが、それ以外には例の住宅融資保険が非常に効果を発揮しまして、新潟の第四銀行から追加をしてくれということでありますので、すぐ二億、資金追加手配をいたしました。それからなお公庫の金融につきましても、もちろん前例もあることでありますから、地方の要望に応じてこれも対処する。それから増築資金が、御承知のように、新しく設けられましたので、これもまあそういうことを予想したわけではありませんけれども、この際でありますから、できるだけ活用してやったらよかろうということで、これも各県と手配をいたしております。昨日も山口に参りましたが、非常に海岸漁村でありますから家がずいぶんやられておりますが、公営住宅を建てろといっても、なかなか地元負担が困難で十分にいきません。そこで私は増築資金でやったらどうかというので、非常に喜んで、すぐ検討をすると申しておりましたが、漁村などはその方がどうも手ごろのように思っております。  それから新潟につきましては、すぐ住宅局長をやりましたのと、それから計画局の係官が数名直ちにその翌日参りまして、都市計画の、復興のための都市計画の準備に当らせまして、県会市会が三日目だと思いますが、臨時県会市会都市計画決定をいたしました。それに応じまして、計画局は直ちに計画現地おいてやるとともに、大蔵省に対してこれの予備金予算措置の交渉を始めまして、昨日最終的にこの都市計画の問題はきまりました。当初約一億五千万円と考えておりましたが、だんだん事務的に整理をいたしました結果、焼失面積は十一万坪で、罹災総戸数が九百十二戸でありますが、これに対して都市区画整理は十万八千坪、都市区画整理事業費九千六百万ということに、これは大蔵省ですでに査定決定した額であります。当然この半分を政府負担をいたすわけでありまして、これに対して予備金で一千六百万、昨日話がつきまして、これは実は本年度中の仕事の進捗から見てそれ以上はむずかしいという現実に立って、一千六百万、政府予備金から出すということにきまりましたので、これについてもどんどん仕事進行をいたしておるようなわけであります。  なお、おいで下さるとお聞き及びになると思いますが、前回の例によりまして、例の借地借家臨時処理法の問題が、新潟の方ですぐに問題が起りまして、市会県会臨時処理法を適用しろという決議が行われたわけであります。これは建設省としては積極論でありまして、法務省は相変らず消極論でありました。しかし何といっても、これは国会の議決を必要とするわけでありますから、今直ちに政府がイエスかノーかということを申すわけに参らぬわけであります。しかし問題が問題だけに、この方針が明らかになりませんと、紛糾がことさら大きくなるということでありますので、地方の要請にこたえまして、一応これは政府として決定をすべきことではありませんので、民主党政調会中心になりまして、政府関係方面協議懇談をいたしました結論として、これは次の国会おい新潟県選出の両院議員共同提案に基いて、前回も御承知のようにすべてこれは議員提案でありますが、この適用をするという、その場合は、民主党としてはこれに同意するという態度のところまでを一応決定いたしておるようなわけでありますから、現地おいてはそういうことを心得て都市計画進行に努力をいたしておるようなわけでありますので、これもあわせて御検討おきを願いたい問題であります。  大体災害の問題はそんなところでありますが、今度も山口へ参りまして自然いやおうなしに耳に入った問題は、例の補助金適正化の問題のその後の影響であります。まあ一方的にという見方もあるかもしれませんが、今度は山口県、非常に適正化におびえまして、なかなか町村長がやりません。それで堤防は切れているのだけれども、県がやれと言ってもなかなかやらぬという現状で、これは一に適正化の問題の反響であります。私ばかりそういう言い方をするのはどうかと思いますが、今日も閣議でそのことは率直に申しておきました。実は一つおもしろい例は、建設省査定官が行って、この前の災害でここからここまで復旧をするという現地査定をして帰りましたものを、会計検査院が行って、そんなにやる必要はないというので、ちょん切った。ちょん切ったところが、今度切れてしまってえらいことになっておりますので、地元は非常に憤慨をしておるというような例もありますので、私は今日閣議適正化そのものにだれも反対をするものはないであろうけれども、検察庁がえらいりきんで、高知県では町村長を引っぱったとかいうような、まあ何でもないときに引っぱっておるのでありますが、そういうことはほどほどにしないと、仕事そのものに響いてくる。もう反省は十分にしているのだ。程度を越えたことをしてもらっては困るということを、閣議で実は一応発言をいたしたのでありまして、皆さんにも御心配いただきましたが、私も心配したような現象が起っておりまして、これについてはできるだけ行き過ぎのないように、知事ともよく話をいたしておいたわけであります。  大体ごく大ざっぱに申せば、それくらいで、あと局長から詳しくまた御報告申し上げます。
  8. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 大体大臣の御報告で大綱だけはわかったと思いますが、大臣の御報告に対して御質疑がございましたら、御質疑を願います。
  9. 湯山勇

    湯山勇君 ただいまの御報告で、それぞれ適切な措置をとっていただいておることに大へん感謝をしておるものでございますが、なお数点お尋ねいたしたいと思います。  それは新潟におきます臨時措置法の問題ですけれども、今のお話では、大体次の国会で通るという含みのもとに、現地で適当に措置するだろうということでございますが、これについては何か通牒とか指示とか、そういうものがなければやりにくいのではないかと思いますし、また聞き及びますと、何か法務局の方から民事局長が通達をするとか通牒を出すとか、そういううわさもちらっと聞いておるのでありますけれども、それらの点はどうなっておるのでございましょうか。
  10. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) そういう処置法務省の方でとってくれておりますが、なお詳しくは住宅局長から申し上げます。
  11. 鎌田隆男

    説明員鎌田隆男君) 罹災都市借地借家臨時処理法、これがまだ施行になりません間に紛争の問題が生ずるおそれがあるのではないかという問題であります。この問題につきまして法務省の方ともいろいろ連絡をいたしておりますが、法務省の方からその間紛争がなるべく生じないように行政指導をやる、こういうことで法務省通牒を近く出すことになっております。
  12. 湯山勇

    湯山勇君 次にお尋ねいたしたいのは、ただいまの新潟もそうでありますが、その他の台風による災害地域につきましても、国で御負担になる分は大体予備金心配ないけれども、地方負担の分につきましては、やはり相当起債その他の方法が的確に講じられなければ目的を達しないと思いますが、これらにつきましてはどういうことになっておりますでしょうか。
  13. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これはもちろん、国の額がきまりますと、大体県等でそれに応じて、御承知のように、その内輪においつなぎ資金の問題が講じられるわけで、これは今度建設省つなぎ融資は全部預金部で引き受けるということで、その他の省の分を郵政省関係資金でやる、こういうことがはっきりいたしましたから、そこで預金部の方の資金については要求があればすぐやるという話も、これもついております。従って、つなぎ資金も各県それぞれ今連絡をとっております。それから予備金に伴う話の地方起債の問題、これも自治庁とよく連絡をとっておりますから、この分についてはまず支障はないと考えております。
  14. 湯山勇

    湯山勇君 もう一点。大臣山口県の海岸の方をごらんいただいたので、海岸状態をよくおわかりいただいたことと思いますが、先般の、来年度の方針のところで、海岸については災害復旧というように限らないで、特別な立法措置考えておるというお話でございましたが、結局原形復旧だけでは現在あの地帯海岸はとても守っていけないという状態であると思います。で、今回災害関連して、その復旧につきまして、必ずしも原形復旧に限らないで、場合によっては改良復旧もしなければならないということについては、何かお考えいただいておるのでございましょうか。
  15. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) お話通り、現にそういう例を見ました。地盤が沈下しておることも原因でありましょうし、今までの分が数十年前のものでありますから、これをこのまま復旧をしても意味ないという所もございます。それについては河川局長現地でよく指導をいたしております。  今度一つ感じましたことは、建設省の分と農林省の干拓堤防の分と高さが違っておったり、それから通産省の分も違っておるというようなわけでありますから、山口についても、すぐ一つ関係機関全部の海岸堤防に関する委員会を作れ、そうして今度復旧するものは全部一つ工法その他についても、まちまちにならぬようにしようということを、とりあえず山口については知事中心になってやることに河川局長が技術的に指導して、そういう委員会を作ることにしました。これをやる以上は、一つ統一のある工法と高さをきめてかかろうと思っておりますから、この方針に基いて私は、大蔵省検査院もそんなわからないことを言わさぬように、理論的に押えて参りたいと思っております。  またずっと海岸だものですから、道路の問題と非常に密接不可分関係がありますから、この際第二国道あるいは国道等道路の改修とも関連をして仕事を進めるようにということで、やはり地元とも、とりあえずの穴だけは防いでおりますけれども、復旧は二度手間のことをしたくないというような考えで、非常に落ちついた気持でおりますから、両方あわせてお話のような線でやりたい。  それは山口現地対策でありますが、私は愛媛県に行った場合に感じましたことは、県の堤防町村堤防とが、何らの理屈なしに、まちまちに入りまじっておったりして、今度も切れた堤防がどこの責任なのかということが紛争一つのもとになっているというようなことからいたしまして、これは前からの懸案でありました海岸保全法というものを、どうしても早く作らなければいけないのじゃないかというふうに考えまして、実はまだ、この前のときは五カ年計画の中で、海岸の問題を予算である程度拡大をすることを申し上げたのでありますが、河川局長にも、この台風が起ると同時に、すぐ海岸保全法用意を命じておりますので、これはもちろん政府部内の調整という問題は私は解決する確信を持っておりますし、またやらなきゃならぬ問題でありますから、何とか一つこの際海岸保全法責任分担区分を明確にして、ただ災害復旧ということでなしに、一つ進めて参りたいという考えを一そう強くいたしておるようなわけであります。
  16. 湯山勇

    湯山勇君 ありがとうございました。
  17. 田中一

    田中一君 新潟都市計画は一応の成案ができたと思うのですが、それを一つお示し願いたい。そうしてその考え方は、どういう考え方でおるかということを御説明願いたいと思います。同時に、あとの次に作る建設というものが、ただ融資してそのままの形で市民に建てさすのか、あるいはまあ百年の大計を立てるために、まあ鳥取が一つの例ですが、あれは不満足です。あんなものじゃいかぬと思いますが、まあ何かそうしたあらゆる制度を利用した恒久性のあるものを建てるのか、そういう計画一つ説明願いたいと思います。
  18. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) お話のような点で、この際地元も非常に熱意を持っておりますのと、こちらとしてもすぐ数名やりまして、思い切ってやれということで、幸いに順調に進んでおるわけで、やり方としては墓地問題——ちょうど焼けた中に墓地が相当あるのであります。これは飯田の場合もあったようでありますが、墓地の問題はこれは焦点の一つであります。そういうことを含めて、田中委員お話のように、今度の計画は相当思い切ってやる。同時に、住宅対策をこれにマッチする意味おいて、公団の不燃性の建物が必要とあらばこれもやるという用意を整えておりますし、それから不燃性、例の防火帯の問題も、できるだけやる。実をいうと、今度は商業都市中心だものですから、公営住宅本位ではちょっと、まああのくらいの部分、三割くらいの分はどうでもこなせますけれども、むしろそれよりは融資による、町に相応した復興をしなきゃならぬと初めから考えて、そういう方に力を入れておるような次第であります。なおこの計画については計画局長から申し上げたいと思います。お手元にゲラ刷りが行っております。
  19. 町田稔

    説明員町田稔君) ただいま新潟市の復興根本方針につきまして、大臣から申し上げましたのでございまするが、お手元に配ってございます新潟火災復興計画にございますように、土地区画整理の総面積は十万八千坪になっておりまして、これに対しまして区画整理事業費が九千六百余万円要ることになっております。それでこの計画内容でございますが、新潟市につきましては、かねてから都市計画決定になっておったのでございますが、この都市につきましては戦災を受けておりませんので、事実この都市計画の実施はなかなか困難だったのでございます。今回この焼失いたしました十万八千坪につきまして、かねて決定をいたしておりました都市計画に従って、この部分につきましては再建をはかるということにいたしました。従来決定いたしておりました幹線街路を、計画幅員通りに拡幅いたすことにいたしております。特に焼失いたしました地域中央通りまする街路につきましては、今大臣お話のございましたように、防火帯を一本通しまして、この機会に、将来の火災等に当りましても焼失を最少に食いとめる措置をいたしておるのでございます。その他各区画街路にいたしましても、すべて従来よりも相当程度幅員を広げて計画をいたしておるのでございます。なお、今大臣お話のありましたように、この新潟市の焼失いたしました区域には、非常に多くの墓地がございまして、これが実は都市の問題となっておったのでございますが、この機会に、今回の計画におきましては、これらの墓地整理いたしまして、数戸の納骨堂を設けてそこに収容いたし、できました空地は将来、公園として維持をしていくという計画にいたしております。  なお土地区画整理が早く決定いたしますことが、本格的な建築をいたしますのに最も早急に必要といたしますので、この地区につきましては、土地区画整理事業を実施いたしますために必要な区域決定を、建設大臣からもうすでにこの土地都市計画審議会に付議をいたしております。今後大体一カ月間くらいのうちに、土地区画整理事業は換地の決定を終了いたしてしまいたい、こういう目途のもとに現在進んでおります。  大体復興計画内容は以上の通りでございます。
  20. 田中一

    田中一君 今、戦災を受けなかったが都市計画計画が立っておったというのですが、それはいつから立てたものなんですか、その計画は。
  21. 町田稔

    説明員町田稔君) これは戦前、だいぶ古くなりますが、大体昭和七、八年ごろに幹線街路につきまして計画決定をいたしております。
  22. 田中一

    田中一君 大臣は思い切った措置をとって将来に備えるというような指示をしておると言いますけれども、昭和七、八年のものがそのままこれで——そういうものがあったから、これでもってこれをやろうということは、あまりに、二十何年たっている現在、ことに戦後の現在、あるいは世界全般からみるところの日本の国土のあり方都市あり方というものを考慮に入れないものじゃないかと思うのです。そんなものが今大臣の言ったような思い切った措置じゃないのです。私は都市形成というものは、今から二十何年前に立てたものを、あったからそれをここにそのまま取り上げるというようなことじゃなくて、この都市形成根本から今考え直さなければならない時期だと思うのです。ことに新潟は日本海に面して、風は強いでしょうし、それからまた雪も降るでしょう。従って、ただ二十何年前にやった、官僚が作った案が、それが今あるからといって、そのまま使うという程度のものでは、また再びそれをどうしなければならないというような問題が起きるかもわからぬのです。拙速をとうとぶのは今の状態としてはいいでしょう。いいでしょうが、そのために二十数年前の計画をそのまま持ってきて、ここでやろうなんて考え方は、これは少くとも竹山建設大臣、もう一ぺん考慮しなければならぬと思うのです。内容をお示し願いたいと思うのです。今ここで前段の懇談の席においても、私に新潟に行けというようなお話がございましたから、行って参りますが、二十何年前の計画のままをこれに当てはめてやるというようなことでは満足いたしません。またそのような考えであってはならないと思うのです。  たとえば横浜市の計画にしても、三十年前の計画をそのまま今まで踏襲しているということはあり得ないのです。御承知のように、自動車の台数もふえております。それから木材資源というふうなものも枯渇しております。こういう見地からみて、日本の本当の経済上、あるいは日本の新しい憲法になった今日の国の規模からいっても、ただ数十年前の規模であってよろしいということは絶対に考えられません。新潟の市民があるいは自動車を十名に一台、二十名に一台持たなければならぬ時期になるかもわかりません。こういう点を考慮して考えなければいかぬと思うのです。そこで拙速をとうとぶというのは非常に結構ですけれども、この際一つわれわれが納得するような形で明日の都市というものをお考えになって考慮願いたいと思います。さもなければ、われわれ新潟へ参りましても、二十年前の官僚の作った頭でもって新潟市を作るということは、これはもう少し考えていただきたいと思うのです。
  23. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 計画局長の申したのは、都市計画が全然立っていない所じゃないという意味で、すでに立っているから、この計画を基礎においてやったという意味でありまして、もちろん昔立てたままをやっているつもりはありません。今の状態に応じて、焼けたあとの県や市が十分将来のことも考えてやっておることでありますが、なお具体的な問題はいずれ資料を提出して御審議願いたいと思います。
  24. 石井桂

    ○石井桂君 私もその点お伺いしたいと思ったのですが、なお私も都市計画審議会委員をかなり長い間やっておりまして、都市計画のやり方は多少心得ておるつもりですが、原案は二十何年前に作られても、毎年々々あれば数回の都市計画審議会が開かれて、そうしてその時代の要請に従って、国家百年の計を先へ見込んで、改訂をしばしば加えているはずです。焼けた都市でも、焼けない都市でも、私はそう思う。そこで町田計画局長の言い表わし方が非常に悪かったと思うのです。すでに二十年前の計画であっても、都市計画は数十年たった先の道路の工夫を考えて、今たとえば六メートルか八メートルあったものでも、将来は、火災とかいろんな場合には、三十メートルとかあるいは四十メートルとか、そういうものの計画があるはずなんです。そういうことについての経過をあわせて御説明しなければ、私は田中さんの御議論が出るだろうと思う。そこでまあ今度の計画はどういうふうになっているかわかりません。お示し下さるそうでありますが、その辺はどうなっているのですか。戦前二十年前の形がそのままになっているのですか。
  25. 町田稔

    説明員町田稔君) 私の説明が大へん足りませんでして、今石井先生がおっしゃった通りでございます。計画そのものの、最初の計画決定昭和七年でございますが、その後、この計画につきましてはすでに地元おいても検討いたしております。ことに今回の計画におきまして、幹線街路だけにつきましては、昭和七年ごろ計画ができておりますけれども、その他につきましては、区画街路につきましては当時の決定がございませんので、今回新たにこれを補足いたしまして計画を立てております。それからなお幹線街路につきましては、当時からすでに計画といたしまして、将来のことを予見いたしまして、幅員は二十七メートルになっております。現在これを実施いたしましても、この都市については適当であるということを考えたのでございます。ことにここの罹災状況のところに書いてございますように、焼失面積が十一万坪でございまして、新潟市の全面積と比べますというと、一%に当っておらないのでございまして、実はこの地域だけにつきまして、他の焼失いたさない区域との関連考えずに、特に決定的な理想的な都市計画を実施するということは、なかなか困難な実情にあったのでございます。それで田中先生のおっしゃいましたように、いろいろなことをこの計画をきめる際に考えはいたしたのでございますが、多少周囲との調和等も考えまして、実施計画を立てざるを得なかった点もございます。この点は現地おいでなさいました際に、そういうこの地域についての計画が多少妥協的である点についてお感じになるかもわかりませんが、そういう事情もございますので、御了承いただきたいと思います。
  26. 田中一

    田中一君 三千七百万坪のうちの十一万坪だから〇・二九%といいますけれども、新潟町村合併をしたと思います。従って、もしも旧新潟市内からいったら何パーセントになっておりますか。町村合併をしたのですね。農地も入れたような市と数字の上であれしたから、それでいいというものじゃないと思います。どのくらいになりますか。
  27. 町田稔

    説明員町田稔君) 市街地面積だけにつきましてのこの焼失面積の割合につきましては、今ちょうど手元にございません。
  28. 田中一

    田中一君 私の言うのは、旧新潟市に対するパーセンテージをお示し願いたいと言っているのです。
  29. 町田稔

    説明員町田稔君) これは調査いたしまして、なおあとからお答えいたします。
  30. 田中一

    田中一君 われわれ行くならば、その前によくお示し願いたい。そうして今石井君が言うように、逐次改訂されようというならば、改訂されている事実をお示し願いたい。私はそんなことはないと思います。そういうような熱意のある都市計画委員新潟におらなかったと思います。なぜならば、その必要を認めないからです。その点は東京都とだいぶ様子が違うのじゃないかと思います。  それからもう一つ、今墓地整理して、その整理された墓地を公園にするということを言っております。これは私は現地を知りません。知りませんけれども、新潟は御承知のように、駅と万代橋を中心にして、両方に土地が分れていることを記憶しています。これはおそらく私有地だと思います。私有の墓地を取り上げて公園にするということだけでは、これは父祖伝来の、自分の祖先が埋まっている土地がそうなっていいかどうか。これは社会問題になると思います。それはお互いに納得するからいいというようなことで、強制的な措置をとるだけではやはり間違っていると思います。それから町の形成からみても、これはあとを商店街にしてもいいじゃないか、あるいは住宅街、あるいは何かほかに利用があるのじゃないかということも考えられると思うのです。そこでこの地域墓地を取り上げて、それを公園にするということだけで済むものかどうか。ただ机の上の計画であったのではないかという点も考慮しなければならぬと思うのです。その点はどういうことになっているか、真相は。
  31. 町田稔

    説明員町田稔君) 実は今回の火災に当りましても、この墓地が空地になっておりましたために、非常にこの地域火災の延焼を食いとめたという事実は、御承知のように、あるわけでございます。それでこの地域につきまして、墓地を空地としてやはり将来も残しておくということが非常に必要であるというように考えられるのでございまして、そういう意味におきまして、空地として保存いたしますのには、公園にするのが一番いいというように考え計画をいたしております。なお今田中先生のおっしゃいましたように、この墓地は寺院に属しておりますので、将来公園にいたしますにつきましては、実質的に各寺院との間の交渉は残っております。ぜひ、しかし公園として空地のままに保存いたしたいというように、計画といたしましては考えておる次第でございます。
  32. 田中一

    田中一君 空地があるから延焼をとめたというだけでは、延焼がとまるものじゃないのです。何もなければ燃えないのです。けっこうな話ですよ。しかしながら、日本の国土というものはもうこれ以上延びないという前提に立っているのです、われわれは。国土計画というものは空地をうんと持てばいいのでは、日本の人口は半分にしなければならぬ。そういうようなことではほんとうの計画にならないのです。もしここにいつでも火事を食いとめるような防火建築帯ができるならば、その空地は高度に利用される道があるのじゃないかと思うのです。ただ空地があったから火事がとまったということだけで、それを空地に残そうという考え方であっちゃならないのです。もう少し日本の狭い国土というものを十分に、経済的にもあるいは国民の保健上にも、あるいは一つ都市の上からいっても、総合的な研究をされなければならぬと思うのです。ただ墓地をそのまま、空地があったから火事がとまったんだから、これを空地にするのだというようなことでなくて、あるいはそこに防火壁を作れば火事を食いとめられます。あるいは今の防火建築帯を造成すれば、とめられる。そうすれば、土地の利用度はあるのです。また御承知のように、お寺なんというものは檀家がありまして、檀家がなかなかうるさいのです。寺院の所有といいながら、檀家の所有なんです。こういう点でいろいろな問題が起きると思うのです。単なる個人の持っている所有地とは違うわけなんです。こういう点はやはり、ほんとうの意味でもって都市計画の目的を達成しようとすれば、ただそれを空地があれば火事がとまるのだという知恵のないことじゃなくて、その都市の将来を考えて、そこに一応防火建築帯を設置するなり、あるいは道路をどうするなりという、いろいろなことがあると思うのです。その点は今の御報告では不十分です。今の御説明だけでは満足しません。従って、土地の人の話を聞かなければなりませんし、また所有者の話も聞きたいと思いますけれども、今のような程度計画でもってやられたんでは、将来の日本の国土というものはこの人口を収容する道がなくなります。そうして農地をつぶしたりなんかするようなことがあってはならないのです。こういう点はこの際、竹山建設大臣、抜本的な国土計画というものを立てなければならぬと思うのです。これはわれわれの党では持っております。従って、民主党の政調でも一つ御研究になって、モデル・ケースとして、今のようなイージー・ゴーイングなような形でやっちゃたまらぬのです。ことに新潟は油が安い所です。
  33. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) よく、御注意、わかりました。計画もおそらく、ただ私は墓場を空地にすればいいということではないと思うのです。道路も広めなければならないし、新しい道路も作らなければならぬということになれば、全体が変って参ることで、その中で今のような問題も起ろうかということでありまして、大体田中さんのお考えのようなふうに私は実行ができるものと考えておりますが、よくなお注意をいたしたいと思います。
  34. 田中一

    田中一君 大体私と石井君が今度行くようになるのでしょうが、どなたか局長でも一緒に行ってもらえませんか。
  35. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) だれか行きます。
  36. 田中一

    田中一君 だれかでなくて、局長行って下さい。今のような説明ではたまったものではありません。
  37. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 局長よりは、直接やった者をつける方があなたへの御説明が適切でしょうから、その点は十分御説明のできるような者をつけます。局長、まだ実は行っていませんものですから。
  38. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ただいまの田中、石井両君の御意見は、相当りっぱな御意見のように拝聴いたしました。もちろん建設省でもその線に沿うような御計画をなさっていると思います。たまたま今墓地の問題等を取り上げて論じておりますが、もちろん総合的な計画を立てられて、理想に近い都市計画をもって臨まれているので、資料がありませんので十分にその点を尽し得ませんが、答弁も十分でないように考える。またそれに不安を感じまして、委員諸氏から強い要望等があるようですが、今度参ります新潟市の火災調査の議員派遣は、住宅政策にも相当造詣の深い両君においでを願うわけでありますから、建設省からも責任のある係官をおつけ下さいまして、じっくりと話し合って、両君等の御意見等もお入れが願えるものならば入れてもらい、じっくりと御相談願いまして、あとで悔いのないりっぱな計画を立てるようにお願いいたします。  せっかく出張いたしましても、帰ってただ論議をするだけでは意味がありません。建設的なものがそこにまとまってくるようにお願いしたいのですが、両君にも、おのおの主張を貫こうというような独自の見解に立てこもるということでなしに、大所高所から建設省都市計画に協力するという態度で一つお願いいたします。
  39. 田中一

    田中一君 それは冗談じゃないですよ。建設省計画なんかに賛同しませんよ。今のような二十何年前の計画をそのまま当てはめようという、そんな貧しい考えには賛同できません。
  40. 石破二朗

    説明員(石破二朗君) ちょっと申し上げますが、実はこの新潟市の今回焼失しました地域を近代都市として再建するためにも、実は田中先生あたりの御意見も十分取り入れまして計画いたしているのでありますが、実は御承知通り計画局の所管は区画整理のことだけでありまして、お話の不燃都市としての諸計画は、あるいは防火帯の実施とか、あるいは公団住宅建設とか、その他公庫の住宅資金融資についての配慮とか、こういう点につきましては住宅局の方でいろいろ計画もいたしておりますので、その点御了承願いたいと思います。
  41. 田中一

    田中一君 そんなセクション、セクションのことを聞いているのではない。だから、大臣に質問しているのです。大臣は総合的な考慮を払われていると思うのです。従って、そういう意味の、計画局長だから、住宅局長だからというので聞いているのではない。大臣一つの新しい都市建設に対する考え方を聞きたいと思うのです。官房長は大臣に答弁させまいとしてそういうことを言うのでしょうが、(笑声)行く前にわれわれが納得するような形の今までの経過をお示し願わなければ、行ったところが何にもならない。  もう一つちょっと伺いたいのですが、海岸堤防を出したいというような御希望があるように聞きましたけれども、思いつきはやめて下さい、思いつきは。ほんとうに決意を持ってやろうとするならば、われわれがかつてこの委員会で準備しましたところの法案というものを十分に大臣自身が検討して、そうして閣内の調整をはかった後に、信念をもって建設省が出すとするのか、あるいは議員提案でもけっこうです、閣内の調整をとった上にやるように考えて下さい。こんな海岸堤防の問題は、われわれは長い間ここで論議し、政府を鞭撻し要求しておったのです。ただ一つの現象を見て、建設大臣の思いつきみたいなことをやるならば、この建設委員に対する侮辱ですよ。本当に信念をもって出すなら、出すような決意をはっきりお示し願いたい。われわれは一日も早く出していただきたい。出さなければならぬ。これが日本の国土計画の盲点です。だれも所管のない、だれも管理者のないような海岸線が延びているという日本の現状から見て、しなければならない点です。再三再四言っている。今思いつきのようなことを言っているようですが、どんな信念をもって出そうとしているのか、明らかにしていただきたい。来たるべき通常国会も近いのですから。
  42. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 新潟の問題については、私がそれぞれ事務的に用意をいたしておりますが、政府が金を出してやる以上は、十分に世間の批判を入れまして、満足に近いものにいたすつもりでやっているつもりであります。  なお海岸堤防の問題は、お話のように、今日まで国会の御論議のあったこともよく承知をいたしております。私の申した意味は、国会における御論議、御審議を得ればそれで十分でありますが、政府としても私の責任の立場から、このことは慎重に考えて参っておったのです。決して急にこのごろ思いついて申しておるつもりはありません。同時に、これは政府全体の問題を取りまとめて政府としての提案をいたすわけでありますから、今建設省として用意をいたしているということを申したのであって、私としては全力をあげて、政府の最終的決定国会に提案ができますよう、今後努力をいたすということを申し上げた次第であります。
  43. 田中一

    田中一君 それは建設大臣の御答弁、けっこうですが、これは問題は国会にあるのではないのです。あなた方各省間にあるのです。われわれがかつて出したところの海岸保全法、これでもって論議の中心点は、閣内におけるところの各省の要求がばらばらでまとまらぬところに、この法律の成立がなかった原因があったのです。従って、あなたがそういうふうに発言をなさるのは、これから努力するというならば、とっくにわれわれが努力しておるのです、今までに議員提案で。ほんとうに確信がある閣内調整ができるというならば、今の言葉は受け取れますが、ただそれができない間の発言は単なる思いつきの、われわれを頭からなでておるような発言なんです。われわれはもっと今まで真剣に討議して、審議してきたが、ただ閣内の調整ができないから、やむを得ず流産になっておるのです。私はもう一ぺん熱意をもってあなたに答弁していただきたい。
  44. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) いや、田中委員のおっしゃるようなことでありますから、私は申しておるのであって、決して私は皆さんの御意見をそらしておるつもりはないので、要するにお話通り政府部内の官庁間の意見が統一をしなかったから今日までこの問題が現実化されなかったということでありますから、私も閣内において十分このことの調整をすみやかにとって、そうして政府として責任のある提案をいたすように最善の努力をいたす。まだそれが決定を見ません今日においては、遺憾ながら、私としてはさようにお答えをする以外には方法はないわけでありまして、御指摘のように、私も政府部内の今までのような不体裁なようなことのないように、必ず一つまとめ上げたいという熱意においては、十分信念をもって申し上げておるわけであります。
  45. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 大臣にお伺いしたいのですが、今年災害が非常に少いということはこれは御同慶の至りですが、災害が少いために一応予備費で間に合うとおっしゃいましたが、これは建設省、それから港湾局、農林省、みな意見があるのですが、そういうものが予備費で間に合うという意味でございましょうか。
  46. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) これは率直なところ、まだ全部最終的に拾い上げてきちっと計算をいたしたわけじゃない、進行中でございますから、私としても数字的に申し上げるわけにはいきませんが、大体の感じとしては、今各省の分を集めても大体間に合うのではないかと、かように考えております。
  47. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 それで実は、今年きまりました予算の支出負担行為をあるパーセンテージで押えてあるわけですね。それは大蔵省に言わせれば、今年の予備費が足りない、それであるいは災害が多くなった場合を幾らか見込まなければならぬから、支出負担行為を押えてあるというようなことなのですが、本年の予備費で間に合うという見込みがつけば、これは早く解除するという方法をとってもらいませんと、これまで非常にそれがおくれておるわけです。それで決算委員会なんかでいつも、つまり予算が消化し切れないで繰り越しをする。それは公共事業費が一体非常に多いのだというような議論があるが、これは公共事業費が決して多いのではないので、そういう事務的ないろいろな隘路があるためにおくれると思う。この解除をどういうふうにするか。これを一つ解除してもらいたいと思いますが、これに対する大臣のおとりになっておる方法、それから御意見を承わりたいと思います。
  48. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) お説の通りでありまして、実は今年も、前年の予算のときのように、一割を留保しようという大蔵省の主張がかなり強かったのでありますが、私は、それはいけない、とにかく全部割り当てるということで、建設省に関する限りは、全額を割り当てました。ただ、御承知通り、全部を一ぺんに支出するわけではないのでありますから、大蔵省は一方的な考え方で一割を留保するぞというようなことを申しておりますが、私はそれは了承いたさないということは閣議でも申しておる。それはまあ済んだことでありますが、これはお話通り、今の予備費の状況から見まして、近く大蔵省もこの留保の態度は解除することと考えております。なるべく早くやるつもりでおります。
  49. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 これは現実の問題として、各府県に予算は来た、しかし支出負担行為が押えられておるために仕事ができなくて困っておる、という現実の問題があるので、これをいつごろしていただけるか、大臣の大体の意向を聞きたいと思います。
  50. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) なるべく早く一つ、片づけたいと思います。
  51. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 これは先ほども申し上げましたように、ぜひ早くしませんと、もう冬になりますし、仕事もできませんから、この点はぜひ大蔵省に早く言ってもらいたいと思います。  それからさっき、会計検査でいろいろ計画の変更をした、それがためにこわれたというような事例があるというのですが、会計検査がそういう、つまり建設省で認定した計画を変更する権限があるのですか。
  52. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) それは実はこのごろ始めたいわゆる事前検査というやつですが、今まではみな事後の検査であったのです。ところが、去年あたりからですか、事前検査というやつで抜き打ち的にやって回っておる。たまたまその例で査定官がきめてきたやつを、あとでもって、ここまでということでやってきたわけですが、これなども私はおかしなものだと思います。
  53. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 事前検査で、つまり計画を変更する権限があるのですか。これは会計検査院としては不当だと思うというようなことで、建設省にアドヴァイスする、建設省がそれに対して圧縮するというようなことではないかと思うのです。ですから、建設省は圧縮は全然できないのだ、これは技術的にできないのだということで強くがんばるということにしていただきませんと、会計検査が技術的にあまり知らぬので、ほんとうに建設省が見た点を乱されるということは非常に困ると思うのですが、こういう点について大臣は会計検査に強く申していただきたいと思います。技術的に見てぜひ必要だということは、がんばっていただきたいと思います。
  54. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 実は会計検査院長も、建設省は信念的にやってくれてまことに敬意を表するというような、おせじともつかぬようなことをこの間も申しておるようなわけで、私もお話通り、技術的に必要なことは信念をもって主張しろということを申しておりますから、実はけさ帰ったばかりで、まだ事務当局に今の話はしておりませんが、これは結局小さい問題ではないと思いますから、防災課長を近くやってこの事実について一つ調べさしてみたいと思います。そうして必要な主張は必要な主張とし、やらせて参りたいと考えております。
  55. 石井桂

    ○石井桂君 先ほどちょっと聞き漏らしたのでお伺いしたいと思いますが、新潟の焼け跡の区画整理をやりますと、最近にでき上ったあの土地区画整理法ですか、あの適用になる。そうすると、あれには新しい制度として立体換地の制度がある。立体換地をするとすると、あれが第一番のモデル・ケースになる。そういう方面の御用意はできておるのでしょうか。あのときに立体換地の法律は通したが、事例がないから条件がなかなかそろわない。これが施行になるまでに用意しておくということであれは、通ったわけです。そこで借地人やなんか入らないときに、三階とか四階の一室を換地するという、それが必ず起ってくる。だから、これは新しい土地区画整理法の第一番のケースになる。その責任が非常に大きいと思うのですが、その点どういうふうになってきておるのですか。
  56. 町田稔

    説明員町田稔君) 今の立体換地の問題でございますが、現在区画整理計画を設計立案中でございまして、盛り場につきましては、場合によりますと立体換地の問題が起るかもわかりませんが、まだ現在までのところ、決定いたしておりません。
  57. 酒井利雄

    ○酒井利雄君 大臣にちょっとお伺いしたいのですが、海岸堤防のことです。またお話を承わりますと、所管がはっきりしておらぬようなお話でありますが、私らがちょうど昭和十八年、瀬戸内海の大潮害の時、議員として広島、山口に再度視察に行きましたが、帰ってきましてから、現地を見ましたときの情況——あれはいろいろの所管になっておると思うのです。干拓ですから、第一線の堤防が決壊しますと、裏が水田でありますれば農林省の所管になる。また裏が国道でありますと、あの当時は内務省でありまして、内務省の所管になる。その裏が鉄道でありますと鉄道省の所管になる。ですから、農林省でわずかな田地を復興するのに膨大な資金を投じたら、採算がとれぬ。それを放棄した場合には、その次には国道がありますから、今なら建設省でやらなければならぬ。建設省もこれは採算がとれぬから、これはやがて国道はやめてほうっておく。その裏にまた港湾というものがあり、鉄道があり、それからまた塩田になるところがあると大蔵省の所管になるものでありますから、この第一線の復旧というものはいろいろ所管が分れておりますが、これは各省の責任でやるべきものじゃないと思うのです。それですから、これは国がこぞってやるべきものである、こういうふうに私は報告したわけなんです。そうしたら、その通り各省の次官を集めて君から説明してくれというので、私は説明しました。そのときに各省のなわ張り争いを直して、国が復旧すべきであるというように申し上げて、その通り全額国庫負担復旧したと思います。現在の所管はどういう工合になっておりますか、お伺いいたします。
  58. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) お話通りなんでありますが、その後制度的に新しい進展がないわけでして、やはりお話通り、今までと同様に、建設省の分、農林省の分、通産省の分というふうになっておりまして、それを一括した責任とかいうふうなことがないものですから……。しかしお話のように、災害復旧の当面の問題については、各省協力してもちろんやるわけでございますが、まあ明確な分はまだいいのですけれども、不明確なやつもその中にはあるわけです。そういう点をやはり制度的に明らかにするには、海岸保全法というようなものでやはりしていくことが必要だろうという前からの御議論なんだと思いますが、しかし私はまだ当時のお話のような問題がその後何ら進展していないと申し上げる、そのおいでになった当時の現状と同じだと申し上げるよりないと思います。
  59. 酒井利雄

    ○酒井利雄君 これは何とか閣議で統一しまして、第一線の国道堤防ですから、やはり建設省なら建設省一本の所管にして、私はやるべきものじゃないかと思うのです。それから中には埋め立てして工場地区になっている所もあります。それからまた漁港とか商港になっている所もあります。漁港なり商港になれば、これは通産省の所管になる。お前の方でやれと、そういうことになる。それなら通産省がほうってしまえば、その裏にまた水田がある。水田があれば農林省だから、農林省でやれというふうになったら、これは際限のないことでありますから、これはやはり閣議で何かを一つおまとめになって、私は第一線の堤防だけは、これはやはり建設省なら建設省一本でいくということでやるべきだと思っているのです。その点一つよろしくお願いします。
  60. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ほかに御意見ありませんか——。私からもちょっとお伺いいたしますが、大臣が数回にわたって海岸保全法関係で所見を述べているのでありまして、まことに心強いところであります。私どもこの問題と取り組みまして、すでに法案を準備しまして、前々国会に提案しようとしたのですが、なかなか農林省との関係、運輸省との関係と、非常に険悪な状態になりそうでありまして、従って委員会も合同委員会で相当紛糾するというような形になったものですから、一応形勢を静観しているのでありまして、その法案もある程度微温的でありましたが、それすらもなかなか問題が絶えない。これは要するに、三省の所管大臣が政治的に解決をして後に、一本で出さなければだめだ。それがなければ、必ず各委員会で紛糾します。委員会が連合委員会で紛糾するという状況になります。ですから、その点を一つ、間違いないと思いますが、農林、運輸等の所管大臣と閣内で御相談願いまして、基本線を打ち出して、その主体性はもちろん建設省中心になり、各省の意見も取り入れて下さいましてもけっこうですが、主宰しますのは建設省、こういう形でもって、中小河川と同じように、あるいは直轄河川と同じように、海岸堤防というものは建設省責任を負うべきものだという観念に立って立案してもらいまして、この際各省間の意見の調整をはかって、主導性を失わないような案を一つ次の国会に出してもらいたい。これは長年のわれわれの要望なんです。これは建設当局ばかりじゃありません、多くの人が要望しているわけですが、ややもすればセクションの強い各省の関係がありますので、困難だと思います。どうかこの際御検討願いまして、次の国会に御提案願いますよう強くお願いいたします。  もう一つお聞きしたいのは、今年も九州三県の災害復旧をやるわけでありますが、さしあたり困っておりますのはつなぎ融資だと思います。先ほどつなぎ融資は大体見通しがついたと思うということで安心しておりますが、わかりましたら、具体的でなくてもけっこうですから、予備費の現在の使い残りはどのくらいあるか、災害復旧費の大まかな必要費は、明年度さしあたりやる場合、あるいは本年度やる場合、年度末やる場合、どのくらい見込んでおりますか。それに対して各県からつなぎ融資として要望しているものがありますが、その要望に対してどのくらい満たせるか、そのつなぎ融資でまかなっていくことができるかどうか、わかりましたら数字をお示し願いたい。私は実は十六日に立ちまして、例の長崎の伊之浦の橋梁の竣工式に委員長として出ることになっておりますので、明日にでもその資料をいただきたいと思います。  それからこの前、大臣からも明年度の予算編成に関する御構想を伺いますうちに、公債政策を取り上げているようですが、その後閣内においてこの問題を論議された事実がありますかどうか。まだそれがないとすれば、これからもおやりになると思いますが、一つ、現在の財政状況等から考えますれば、この災害を克服するためには、どうしても治山治水の根本対策を推進しなくちゃならないと思いますので、やむを得ずこの公債政策をとらざるを得ない、こう思います。特に今回は災害もさほど被害が激しくありませんで、大体において見通しは七千四、五百万石はとれるだろうというようなことも報道されているわけでありますから、この際各河川関係を持つ地域に呼びかけて、農村の諸君からも相当な公債が募集できる。できるならば各流域ごとに、例をあげますれば、利根川開発証券、北上川開発証券というふうなものに分類しまして、そうしてそういう地域からも、農民からも、盛り上る災害復旧の意欲、河川改修に対する意欲等を、その公債面でもって盛り上げさしていただくようにしたらどうか、こう思います。もし財界等で非難がありましても、これは一般の日本銀行がしょい込みになるような公債であってはならないのですが、現在の状況からみますれば、災害になれております地方では、相当にこの問題を重視しまして、公債に応じようという空気が相当各地にあるようですから、この点等も一つ御研究なすって、できるならば各河川の総合開発証券というものを作られて、それにその土地の公債を集中さして、それに似合うような国費を十分つけていただくというふうにして、県民ともに協力態勢をととのえられて、スムーズに治山治水の根本対策災害復旧等が進められるような施策をこの際願いたいと思います。全部私の意見をどうということはありませんが、この際公債政策に対して考えておられます現在の心境を伺いたいと思います。
  61. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 前の分は、最近の資料をなるべく近いやつをまとめてお手元にお届けいたします。  あと予算の問題については、実はまだ政府としての問題は、事務的にもちろん、建設公債を含む建設省予算要求大蔵省に出しまして、第一回といいますか、大体事務的な説明は終了いたして、今主計局がこれに基いて向う側の検討をいたしている段階であります。きょう実は閣議で、大蔵大臣から今日までの各省の要求をただ一覧表で報告があったわけでありまして、これに対して大蔵省としてどうするかというような問題は何ら発言はありませんし、もちろんこれについては大蔵省側が一応の原案を、党とも相談した上で、いわゆる予算編成方針なるものを出してきてからの議論になろうかと思いますが、まだそこまで予算編成方針に触れておりませんので、大蔵大臣としての考えはいずれにあるかもしれませんけれども、政府として、まだどういう予算編成方針でいくかということには何らタッチをいたしていないという段階でありますので、御了承いただきたいと思います。  もちろん私としては、今委員長お話しのような線で、最善の努力をいたしておる段階でありまして、経団連方面にもよく私は説明をいろいろな機会にいたしまして、決してわれわれの考えていることが単なるインフレ原因を作るようなものであるとか、あるいは安易な公共事業費の拡大だけを考えておるのじゃないという点については、いろいろな機会にいろいろな方面に努力をしておる。今後もその努力を続けるつもりでありますので、御了承をいただきたいと思います。
  62. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 中央気象台の予報部長の肥沼寛一君が出席しておりますから、今後の予報に関して何か御質問がありましたら……。
  63. 湯山勇

    湯山勇君 私は、これは別に気象台に対して文句を言う意思はないのですけれども、今回の二十二号の台風の進路が、中間でいろいろ予報されたのに比較して、北の方に向いていった、二十三号は予想以上に衰弱をした、あるいは二十五号は急速に方向が変ったと、こういうことで、どの台風もみな気象台の方で当初予想を立てて注意されたのと違っております。違っておるということが、今度の場合はいい変り方であったためによかったのですけれども、これがもし逆に変ったとしたら非常に重大な問題だというふうに思います。それから昨年の場合においても十二号、十五号、これも十二号の場合にはずいぶん全国的な警戒をしたわけですけれども、これは大体予想したような行き方をしないで、十五号もまた予想外の方向をとって被害を起しております。そこで、水防法などができた関係で、私は今回の予報はずいぶん注意して聞いておったのですが、果してあの程度の予報しか現在ではできないのかどうか、これがまずお聞きしたい点でございます。ことにあの二十二号の場合は、北東あるいは北々東ということをしょっちゅう言われましたけれども、実際に通ったあとを見ますと、ほとんど真北の方向に向いておりますし、それから二十三号の場合は、豊後水道に入ってしばらくはどちらを向いて行くかわからない、つまり台風の目がつかめなかったというようなことも言われておるようでございます。そして山口県の方に上陸をして、被害を起しております。こういうことを考えてみますと、今日の日本の観測能力をもってしては、この程度のことが精一ぱいなのか、あるいはもっとどうすれば正確にできるのだというようなこの方法があるのかどうか、これは一つ率直に御見解を御表明願いまして、当然政府おい措置しなければならないものであれば、昨年、本年と続いてあったような予報の、何といいますか、不的確さを是正しなければ、せっかく水防法ができましてもむだな費用を使い、人心を不安に陥れるということだけにしかすぎないのじゃないか。極端にいえば、こういうことが考えられますので、その辺のことについて一つ率直な御意見を伺いたいと思います。
  64. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) ただいまの御質問、まことに私どもふだん思っておりますことと同じでございまして、ごもっともだと存じます。ただ予報の精度と申しますと、実は非常に困難な面がありまして、私どもよく言われるのでありますが、現在原子エネルギーさえも開放されたようなときに、あすの予報さえうまくできないのではということをよく言われます。しかしこれは一つ考えを願わなくちゃならないことは、実験室内でいろいろ研究いたしますことは、繰り返して正確な結論を得て、それを応用していく問題でございます。ところが、気象の問題に関しましては、実際現われてくる現象を待って、それを観測する。しかもその現象は何が原因であったかという条件は全然知らずにいるわけでございます。そういう意味で、これは申しわけのようになって恐縮なんでありますが、予報の精度というのは現在まだ一般の方々の要望されている点からかなり遠い現状でございます。  その一例を申し上げますと、先ほど例に上げられました昨年の十二号台風と十五号台風でございますが、十二号台風は、気象台の予報に反して、沿海州の方へ行ってしまったために、被害はなかったのでありますが、次の十五号台風は、予想の方向としては大よそ一致はしておりましたけれども、速度が非常な速度で、予想以上の速度で、そして函館でああいう洞爺丸事件といったようなものを起してしまいました。ところが、これと全く同じケースをアメリカでもやっておるのでありまして、八月の末と九月に、キャロンという台風とエドナという台風と二つ現われました。この最初の台風はニューヨークあたりから上陸して、何といいますか、デトロイトといいましたか、あの辺で非常な災害を与えております。日本とちょうど逆であります。次に出ました、アメリカではハリケーンと申しておりますが次のハリケーンを非常に警戒しましたところ、これは予想に反して大西洋の方へ行ってしまった。順序は逆でありますが、日本と同じようなことをやっておるのであります。施設その他の面からいえば、アメリカは日本より非常に進んでおります。予報の技術についてはそれほど違っているとは思わないのでありますけれども、外国の例もそういうような状況になっております。  今年の台風につきましては、二十二号は最初、先ほどもお話がありましたように、北東に行くといいながら、だんだん西の方へ行ってしまって、九州のところをまっすぐに北へ上ってしまったという状況でありますが、なぜこういう結論が出たかと申しますと、気象台でやっております予報が、先ほども申しましたように、この方法をとれば必ずいいのだという方法がございません。そのために、いろいろの方法を総合して結論を出します。ある方法によりますと、北東の方へ行かぬらしいという結果が出ますが、ある方法によりますと、そうでもないという結論が出ます。そういうものを総合いたしまして、それに経験を加えてやっているのでありますが、実際の状況はあのようであります。  で、もう一つここで申し上げておきたいことは、最近非常に予報がはずれるのじゃないかという感じを世間の方が持っていると思うのでありますが、しかしこれは実はそうでないのでありまして、以前台風の観測について十分でなかった時代には、台風が日本のすぐ近海に来てからでないと、われわれ予報も警報も出せなかったのであります。しかし最近米軍の観測などを利用いたしますと、かなり遠いところに台風が出ましたときにも、その現在出ている状況は正確につかめる。そういたしますと、報道関係などで、台風が出ますと、これは一体どこへ来るのだということをかなり前から聞かれます。現在は北緯二十五度、あるいは六度、日本の南約千キロでありますが、そのくらいの位置に出たときに、すでにどこへ来るということを聞かれ、気象台は発表せざるを得ない立場にあります。そういう意味で、前よりは正確にはなったけれども、しかし非常に早くからやられるというところで、予想はなかなかうまくいかない。で、新聞紙上などに現われる結果から見ますと、いかにも前よりも、かえって精度が悪いというようなふうに見えておりますけれども、しかし以前のように、四国あるいは紀伊半島、あのすぐ南に来てから予想をしろといわれて、昔のようなやり方をするより、現在の方がずっと精度は上っているわけであります。そういう状況でありますので、私ども台風災害その他を考えますと、もっともっと精度を上げなくちゃならぬということにつきましては、非常に努力しているのでありますけれども、現状は今の通りでございます。  それから、それについて何か方法が一体あるのか、政府で。やろうとすればできる方法があるのかというような御質問でございますが、それにつきましては、日本は現在アジア大陸の東の海の中にある山脈のような国柄であって、正確な観測はその細長い島の上でしかやっていない。海の方の資料は一般の商船から知らしてくるものしか得られない。そういう点で、海の方の資料が十分にないということ。それから、非常に前から予想をいたしますためには、かなり広い状況を把握していなくちゃいけない。それは海だけでなく、大陸方面、ことに天気は西から変るということはよく昔から言われていることでありますが、西の方の資料が得られない。そういうような状況で、まず観測の整備ということが大事でございます。これにつきましては、昨年来定点観測とかいうようなこともかなり報道されたようでございますが、しかし広い海で、陸と同じような観測をするということは、これは何といっても不可能でございます。で、せめて可能な範囲の観測をするということ、これはぜひお願いしたい。定点観測については予算要求してございます。まあこれでは不足でございますけれども、しかし陸と同じような観測をすることは恐らく不可能でありますので、これでがまんせざるを得ない。その次にもう一つ、観測があればいいかと申しますと、これではいけないのでありまして、現在でも台風がどこに出ていて、どのくらいの強さであるかということは正確に私どもつかんでおります。南洋に出たときにすでにわかるのであります。これは飛行機の現在の観測によればわかるわけであります。問題はそれがどちらへ向いて、どう動いてくるかという予報の問題でございますが、これは先ほどアメリカの例をとりましたけれども、どこの国でもその予想については手をやいている現状であります。これはやはり一国だけでは間に合わないのでありまして、各国のやり方を総合して、今後どんどん技術を進めていくという問題になると思います。  要するに、施設の整備が必要であるが、それだけではいけない、予報の技術を今後進めていかなくちゃならない。そういう状況であります。以上であります。
  65. 湯山勇

    湯山勇君 私はこういう予報が百パーセント的中するとは思ってもおりませんし、またそういうことを望んでいるわけではないのでございます。それよりも、むしろ今日、今おっしゃったようないろいろの要素はあるにしても、表現は適当でないかもしれませんが、人事が尽されているかどうか、こういうところに問題があると思います。今いろいろ御説明がありましたけれども、もしいろいろ予算とか、そのほか施策の面で人事が尽されてないために、こういうことがあるのだということであれば、これはもうどうしてもこの際善処してもらわなければ、昨年、今年と、これは一方は悪く変ったし、一方はよく変りましたが、こういう不安定な状態では、せっかく警報を出しても、あるいは水防法を発動しても、だんだん信頼がなくなりまして、しまいにはもりもとと同じことになってしまう、こういうことも考えられますので、今おっしゃったのは、かなり遠慮がちにおっしゃったのじゃないかと思います。また学問的な立場でおっしゃった面もあるかと思いますけれども、そういうこと以外に、もっと現実的な、ここがこうなればこうだ、ここはこうしてもらえばこうだというような点もおありにならないのでしょうか。
  66. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 気象台は、まあ現在運輸省の付属機関でございますが、以前から形の上では天気予報をやる業務官庁でございましたが、内実を申しますと、気象学が十分進んでいないということから、研究所的な色彩を持った役所であったのであります。戦時中航空気象が発達いたしまして、その方面から研究的な色彩が次第に薄れると同時に、業務的の官庁に変ってきております。そうなりますと、今まで、現在の気象台の首脳部がそうでございますが、学問的のことばかりの方へ頭を向けていた人が多い。まあそういう関係もありますが、なかなかこれを社会と密接に関係をつけてゆく、そうして業務的な面を強く打ち出してゆく、そういう点はわれわれ自身反省しなくちゃならぬ面がかなり多いかと思います。それにつきましては、今気象台ももっとそういう点は強化すべきだということから、外局にして、付属機関では困る。もう少し行政面の方にもタッチして、企画を十分にして、災害対策を十分にするように、こういうことを私どももお願いし、運輸省の方でもそういう気になっております。その面が解決されると、多少はよくなるんじゃないかと、そうして予算その他についての折衝も、強力にできるようにしたい。それについてはもちろん私どもも十分、今までのように、単に象牙の塔にこもるというようなことでなく、社会と密接な接触面を持つということの反省は、相当しなくちゃならぬと思っております。
  67. 湯山勇

    湯山勇君 私は特にお願いしておきたいのは、今度の場合にしても、十二号の場合にしても、関係地区の人たちが、これは目に見えませんけれども、たとえば板で防御をするとか、あるいは屋根にむしろを置いて、なわを張るとか、そういう費用を集計しますと、この災害報告には出ておりませんけれども、莫大な金額に上っていると思うのです。そういうことを考えますと、やはり現在の状態であきらめるのでなくて、やはりこれだけ尽して、これだけしかできないんだという限界までやっていただかないと、定点観測船がないから困るとか、あるいはもう一つどこかに何かがあればいいんだがとか、これは大阪の気象台ではそういうことも言っておったようですが、そういうことでもって今の状態を黙認することはできないと思います。これはまあ大臣がおられたら、大臣からもぜひ閣議でそういう点やっていただきたいと思ったのですけれども、政務次官からぜひ……。今日に見えない消費が、ずいぶん大きかったのです。今度も、この前も……。そういうこともお考えいただいて、これは少々な金の問題じゃないと思いますから、ぜひ気象業務を強化するように御尽力願いたいと思います。また気象台の方も遠慮しないで、とかく象牙の塔にこもりまして、そういった問題は、それぞれ官庁にまかせっきりになりがちですけれども、どうか一つ国民のために、勇敢にそういう面については御尽力を願いたいと思います。ぜひお願いします。
  68. 石川榮一

    委員長石川榮一君) もう質疑はございませんか——。  これは予報部長にお願いするわけではありません、建設省に一応お話ししておきたいのですが、実は大きな河川には遊水地がたくさんあります。それには民有地もありまして、何十町歩という、利根とか荒川というところには水田がある。これが今度の災害によって実はある程度まで被害があった。その被害の原因は、予報が解除されたために、すぐにそれは放送される。そこで安心し切って、刈っているところのお米を取り込むことを待った。ところが、三時間待ったところが、えらい増水になった。それで大分押し流されまして、農村ではまいった所もだいぶあるのです。ですから、予報の解除のときには、予報官としてはむろん、中央気象台では予報によって災害がすでになくなったという見通しから放送されても、建設当局の方から、地元の方には数時間後にはどのくらいの水量が来るぞという点について予報しておいてもらうと、農村の方では取り入れようとしたところの水田に刈っておるものを取り込めたわけなのです。その被害が相当甚大なんです。これは一つ中央気象台の方の責任じゃないのですが、増水が、予報が解除になっても災害の見通しについて、一応台風は去ったとしますと、数時間後にはどのくらいの水量が来るということを、建設省の方からやはり地元に通達をするなり何なり、予報の形をとるということにしていただくと、農村は非常に助かりますので、今度は苦い経験をさせまして、刈り上げましたところの水稲を全部押し流されました。刈ってしまったところが、予報はもうすでに解除になったということで安心したところが、三時間後には秩父方面から荒川の方に対して非常に大きな水が参って、約二メートル近いものが来まして、とうとう押し流された事実がございます。こういう点は一つ建設省の方でも地建等に連絡していただきまして、そういう間違いの起らないように願いたい。  本日はこの程度建設委員会を散会したいと思いますが、次回は、九州、中国方面災害調査新潟県の河川調査等が行われますので、これらの報告中心といたしまして、建設行政に関する調査をかねて、来月の七日に委員会を開会したいと思いますが、いかがですか——。では来月の七日に委員会を開きます。さように御了承を願います。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十四分散会