○市川房枝君 私もただいま
議題となっておりまする会計三案に対して、
承認に賛成をいたします。ただ先ほど小林議員が仰せられました
通りに、私も不満ながら賛成を申し上げたいと思います。
この機会に、
決算委員として
審議に参加しましたことから、感想あるいは官庁の方々に対しての希望を、少し申し述べさしていただきたいと思います。私は今度初めて実は
決算委員になりまして、具体的に
会計検査院の
指摘されました
検査報告によって、いわゆる
批難事項、不正
不当事項の審査をやったわけであります。それを拝見しますと、全く
国民の一人々々の立場から憤慨にたえないことばかりでございます。
国民たちが汗水をたらして納めておりまする税金が、こんなにたくさん不当な
事業、あるいは不正な
事業に費消されているということに対するふんまんがやる方なかったわけでありまます。これはまあ私ばかりでございませんで、同僚
決算委員の方々も同じだと思います。
決算委員会におきましての御
審議の模様を拝見しておりまして、
委員長初め各
委員の方々、いわゆる与党野党の別なく、熱心に
国民の代表としての立場から御審査になりました御態度に対して、私は本当に敬意を表しているものであります。そういう
考えをもって
決算委員会の
審議に出ておりまして感じましたことは、それぞれの
関係官庁の
大臣あるいは代表者の方々がそれぞれ御出席になりまして、
会計検査院の
批難に対しての御答弁、あるいは
委員からの質問に対してのいろいろなお答えがございました。ところが、ある
大臣は一体
検査院からどういうことが
批難されておるかということすら御存じなくて御出席になったと思われるような場合もございました。その他御
関係の
責任者の方々も、私伺っておりまして、これは大へん失礼な言い分かもしれません。いや、そういう方々はこの二十八年度の
決算について直接の御
責任のない方が多くいらっしゃったのかもしれませんけれども、割合にこの
批難事項に対して、それほど非常に悪かったのだ、済まなかったのだというふうな御様子が見えなかった。いや、それでも外側から見ますと、
関係官庁の方はただ
決算委員会に三十分なり、一時間なりちょっと小さくなっておればいいのだという話もあったように伺ったのでありますが、私初めてこの
決算委員会におりまして、そういう感じを実は持ったのであります。
そこでいわゆる
会計検査院からはっきり
批難をされておる
事項に対して
関係の官庁も、それをお認めになっておるのに、それに対するいわゆる
処罰というものが非常に軽い。いや、ほとんど
処罰されていない。ことに
批難事項の一番多かったのは、先ほどのこの
委員会の
決議の中にもありましたが、保安庁に対しての
批難事項が非常にたくさんございました。そのときに、私は今申し上げました非常に
処罰が軽いといいますか、何ら行われていないというようなことについて伺いましたところ、不正
事項ならば悪いのだけれども、
不当事項なんだ、
不当事項は本人が別に自分のふところにお金を入れたわけではないのだ。だからそれを罰するには当らないのだ、こういうような御答弁をいただきました。これは実に保安庁ばかりではありませんが、各官庁の
批難事項に対する
処罰というものが全体に非常に軽い。このことは私は非常に重大な問題であると思う。自分のふところへ入れないから大したことでないのだという
考え方、結局
政府のものなんだ、自分の金じゃないのだから、少しそれをどういうふうに使ったってかまわぬというような
考え方がそこから生まれてくるのではないか。これはいわゆる日本の
国民性とでも申しましょうか、自分のものであるならば大事にする、しかし人のものなら遠慮なく使う。
政府の金なら自分のふところがいたむのでないから、むだに使うというような
考え方が、これは現在の官庁といわず、会社その他の方にも私は現存しておるということも認めるのでありますが、これが一般のいわゆる公徳心がないのだ、自分のうちの植木ならば大事にするのだけれども、公園の植木ならば折って一向かまわないのだというふうなところにも出てくるのでありまして、非常にその根は深いし、これは非常に困難なことは思いますけれども、しかし私は官庁において
不当事項だからあまり罪がないのだという
考え方、これを私はどうしても改めていただきたいということを痛切に感ずるわけであります。実はそういうふうにずっと
批難事項を拝見しておりますと、これも少し誇張になるかもしれませんが、実は私はどうもお役所の会計というものは信用ができないのである、辛うじて
会計検査院だけは信用できる、その
会計検査院の
内容はよくわかりませんが、という感じを実は持ったほどであります。先ほどきょうの
批難事項の
決議に対しまして
関係の
大臣、その他の方々から、今後
決算委員会の
趣旨を重んじて、そういうことのないようにするというお言葉をいただきました。その
通りにできますならば、大へんにうれしいと思いますが、しかし昨年の
決算のときも同じように、こういう回答がなされて、こういうようなことが繰り返されただろうと思う。これは先ほどほかの同僚
委員の方からお話がありましたが、それであるのに今年は昨年よりも
批難事項がふえておるという
事態、きょうこういう会合が行われましても、二十九年度の
決算のときにはまたふえておるというようなことにも私はなりかねないのじゃないかということを実は心配するわけであります。従って
関係官庁のそれぞれの
責任の立場におありになります方々は、どうか
国民がみな税金払っておるのだということを御念頭にお置き下さいまして、不当不正
事項のないことはもちろん、節約といいますか、官庁の
運営において十分
注意をいただく、それでありませんと、実は
国民は税金を納めることがいやになってしまう。
国民が
決算においてのこういう
批難事項を一々知らないからまだいいのでありますけれども、これをこまかく説明をいたしますというと、私はみな税金を納めるのはいやだ、こういうことになりかねないのじゃないかと実は心配をいたしております。
これをもって私の
討論を終ります。