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1955-07-08 第22回国会 参議院 決算委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月八日(金曜日)    午後一時五十六分開会   ―――――――――――――    委員の異動 本日委員市川房枝君辞任につき、その 補欠として八木幸吉君を議長において 指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     山田 節男君    理事            青柳 秀夫君            野本 品吉君            岡  三郎君            中川 幸平君            石川 清一君    委員            小沢久太郎君            西川彌平治君            白井  勇君            白波瀬米吉君            宮田 重文君            飯島連次郎君            島村 軍次君            三浦 辰雄君            大倉 精一君            亀田 得治君            久保  等君            近藤 信一君            白川 一雄君            八木 幸吉君   国務大臣    内閣総理大臣  鳩山 一郎君    法 務 大 臣 花村 四郎君    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    建 設 大 臣 竹山祐太郎君    国 務 大 臣 川島正次郎君   政府委員    法制局次長   高辻 正巳君    法務省刑事局長 井本 臺吉君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君   ―――――――――――――    会計検査院長  東谷傳次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   法制局側    法 制 局 長 奥野 健一君   説明員    農林事務次官  平川  守君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件昭和二十八年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十八年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十八年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)  (昭和二十八年度決算中、国庫補助  金、国庫負担金経理に関する件)   ―――――――――――――
  2. 山田節男

    委員長山田節男君) ただいまから第二十六回決算委員会を開会いたします。  昭和二十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十八年度政府関係機関決算報告書議題といたします。  本日は国庫補助金国庫負担金経理に関する件を議題といたします。  ただいま御出席の方は、鳩山内閣総理大臣花村法務大臣、一萬田大蔵大臣竹山建設大臣。なお、河野農林大臣川島自治庁長官は後刻お見えになることになっております。会計検査院長東谷君、それから大蔵省主計局長森永貞一郎君、法務省刑事局長井本臺吉君。今川島自治庁長官がお見えになりました。なお、参議院法制局長大蔵省主計局次長正示君等がお見えになっております。なお、総理大臣は本委員会に三十分間御出席という約束のもとに出席願っておりますので、さよう御了承願いたいと思います。  まず委員長から一言総理大臣並びに各閣僚諸君に対しまして、今回おいで願った理由並びに本委員会総理大臣以下各大臣に対しまする御質疑の総指的なものを申し述べたいと思います。  実は本委員会は本日で二十六回目の委員会でございまして、目下昭和二十八年度の決算報告書を四月以来審査いたしております。その中におきまして、私ども決算委員会におきまして補助金の問題が実は非常に重要な問題となっておるのであります。これは去る第十九回国会以来、あるいは補助金に関する小委員会等を本委員会に設けまして、かなり広範にわたり、また微細にわたって調査をいたしたこともあるのでございます。しかるところ、今回会計検査院昭和二十八年度の決算報告書を本国会提出いたしまして、これをいろいろ審査してみまするところ、この補助金行政というものが、いかに多大なる国損をもたらしつつあるか、単に国損をもたらすのみならず、それによる国民道義の頽廃ということは、まことにこれは黙視し得ない段階に入っておることを拝見いたのであります。ここに詳しいことは申し上げませんが、二十八年度の会計検査院決算報告書を見ましても、政府全体の会計検査院の調べました件数というものは全件数の約九%、一割に満たないものを早期検査あるいは事後の検査をいたしまして二千二百三十二件という批難事項が挙げられております。この金額は実に百四十八億円を余るということになっておりまして、しかもその中で百億円というものは、会計検査院早期検査によってこの不正なる補助金使用を防止し得たという事実を、われわれの前に示されておるのであります。終戦以来、会計検査院批難事項を見まするというと、年々むしろ幾何級数的な増加を来しております。昭和二十二年度は三百八十六件、二十三年度が六百十三件、二十四年度が七百五十件、二十五年度が千百十三件、二十六年度が千百十八件、二十七年度が千八百十三件、二十八年度におきまして二千二百三十三件というようなことになっております。この批難事項に挙げられたいわゆる国損とみなすべきものが、昭和二十六年度におきまして三十億五千八百余万円、これが二十八年度におきましては実に百四十八億円余になっておるのであります。かような事態の推移を本委員会において審査いたしまするというと、まことに憂うべき情勢になっておるのであります。ことに本委員会におきましては、先月二十七日並びに三十日両回にわたりまして、この決算報告書に現われました最も著しい補助金の、あるいは国庫負担金の不正な使用をしたものと認めるものを本委員会に呼びまして、いろいろその間の事情を私ども聴取いたしたのであります。われわれがここで審議して、非常に憂えている事実が如実にわれわれの前にこれが露呈されて参りました。かようなことからいたしまして、会計検査院指摘いたしておりまするけれども、今日農林省、建設省、運輸省、各省にわたりまするこの補助金の総額は昭和二十八年度におきまして一兆円の予算で約三千億になる。ただいま申し上げましたように、この一般会計予算並びに政府関係特別会計二千二百三十二件だけで百四十八億円の国損があるといたしますと、それが全体の九%といたしまするというと、全体におきまして千五百億に近い国費の浪費があるのじゃないかということも、実は私どもは類推せざるを得ないのであります。このことが今日ことに市町村のような小さい事業主体におきまして、この補助金をもらうがために手段を選ばない、あるいは詐術を用い、全く国家からただで金をもらわなくちゃ損だというような気風がずいぶん全国的に風靡している。先ほど申し上げました七件の案件をここに聴取いたしましたところ、明らかに地方自治体におきまして国庫補助金をもらわなくちゃ損だ、しかもそのほとんど全部が補助金によって自己負担を避けるということ、また設計過大によりまして補助金に下回る工事をいたしまして、そうしてその余剰金市町村一般経費に充てている、こういう事態もあるのでございます。かようなことでは正直者がばかをみるということで、全く市町村自己負担災害復旧等をするのはばからしいというようなことになる。このことがいろいろ粗漏工事になる。工事に手を抜いたりなんかいたしまして粗漏工事が頻繁となり、またそのこと自体が次の災害におきましてはまた全部やり直さなくちゃならんというので、天災が全く人災になりつつあるのじゃないかというような実はわれわれ実態をみておるのであります。かようなことが年々激しくなるということは、これはまことに鳩山総理としましては、今日行政最高責任者として綱紀粛正を重要な政綱としてやっていらっしゃるにかかわらず、こういう事態がますますびまんするということは、まことに憂慮にたえないのであります。かようなことからいたしまして、私どもはこれに対する何かこういったような不正な補助金使用を防止する方法はないか、かねがね参議院法制局長、あるいは会計検査院等に相談をいたしまして、現行法におきまして何とかこれを防止する方法はないか、たとえば刑法の二百四十六条にありまする詐欺罪というものを明らかに構成するようなものは、何とかこれに対する刑事的な措置はできないものか、あるいは会計検査院法の三十三条に国の会計職員が不正を働いた場合には、これを検察庁に通告しなくちゃならんというこの規定を、これを修正して何か効果的な対策はないだろうかと、実は本委員会におきまして御意見が出たのであります。たまたま本国会会期中におきまして鳩山内閣におかれましては、こういう補助金の不正な使用を防止するという法案大蔵省から出され、閣議に附されましたところ、いろいろ異論が出まして、これは新聞の伝えるところでございまするけれども竹山建設大臣は、こういう法律がなくても、何か行政的措置において事務監査等強化することによってこれを防止し得るのじゃないか、あるいは川島自治庁長官は、行政監察強化によってこれを防止する方法があるのじゃないか、こういう御意見が出たやに新聞で拝見いたすのであります。なおまた、今朝の新聞記事を見まするというと、この法案刑事上の処罰はやめて、行政罰だけにしたらいいじゃないか、そしてそういう法案出したらどうだというようなことが次官会議で議せられたやに報告されておるのであります。かような私どもが今問題にしておりまする補助金に対しまして、政府も非常な関心をもたれて、そういう法案を出される御意図があるということを私どもは見まして、大へんこれは力強く感ずるのでありますが、同時に先ほど申し上げましたように、私どもが第十九国会以来、この補助金の問題を全般的に掘り下げて研究いたしまするというと、今のように行政処罰にする、刑事罰を抜いてしまうというようなことで、果して所期の補助金不正使用が防止できるかどうか、私ども過去のこの審議の経験並びに知識からいたしまして、非常に疑問に感ぜられるのであります。こういうようなことで、実は今日鳩山総理並びに各大臣の方々に当委員会に御出席を願ったわけであります。どうぞさような気持で、私ども今日この国庫補助金並びに国庫負担金経理に関しまして、総理大臣並びに各閣僚諸君一つ忌憚のない御意見を承わり、また各委員からもこれはきわめて制約された総理大臣のお時間でございまするけれども、各委員からの質問、御意見等をお聞き下さいまして、何とか速急にこのおびただしい乱費に対しまして、補助金の乱脈な行政を一日も速かに是正いたしたい、かように考えておるわけでございます。  まず、鳩山総理大臣から、この問題に関しまして閣議にもすでに問題になっておることでございまするから、われわれ委員に対しまして、総理の御所信を伺いたいと存ずるのであります。
  3. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 必ずしも適正を期し得ない現状はまことに遺憾に存じます。会計検査院にも一そうの努力、あるいは各庁監査強化等によって、ぜひこういう事故の起きないようにいたしたいと思いますが、政府といたしましても、目下立法措置検討中でありまして、すみやかに国会提出いたしたいと思っております。この間の閣議で、法上案を提出しないというようなことを建設大臣が話したような記事がありましたけれども、そういう事実はございませんので、自主監査の要綱を建設大臣から説明があって、行政措置のみで十分だということを建設大臣が言ったことはありません。不日、国会提案をしたい、立法措置をしたいというように考えております。
  4. 山田節男

    委員長山田節男君) この点に関しまして、私もう一言御質問いたしますが、そういたしますと、鳩山総理大臣としては、今国会会期中に、題目は知りませんが、要するに補助金の不正な使用を防止する法案を必ずお出しになる、しかもこれは私ども新聞承知をすると、大蔵省の作った初めの原案が、閣議あるいは次官会議において、次第に何といいますか、弱くなっていくというように新聞で拝承するのでありますが、そうじゃなくて、あくまで初めの作られました法案国会にお出しになる、こういうつもりでございますか。
  5. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 大蔵大臣から答弁をしてもらいます。
  6. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 大体大蔵省原案であるのでありますが、罰則のところの点について、今検討を加えております。どういうふうになりますか、もう少し検討を加えてみたいと思います。
  7. 山田節男

    委員長山田節男君) 各委員から、総理大臣の御出席の時間が制限されておりますので、総理大臣に対する御質疑を願いたいと思います。
  8. 亀田得治

    亀田得治君 先ほど、総理大臣のお答えによりますると、今国会中に政府より適当な法案を提出したい、こういう言明がありましたが、私は率直に言って、なぜもっと早くこういう法案が出されないのか、ただいまの総理大臣の答えの中で、閣内ではあまり異論がないようなことを言われましたけれども、相当やはりそこに積極論消極論、いろいろなこともあって、今日まで延びておるのじゃないか、こう感ずるのです。あなた御承知のように、すでに第十九国会に、政府提案で一度補助金適正化に関する法案が出たことがございます。当時は審議未了になっておりますが、その当時に比較いたしますると、先ほど委員長から概略昭和二十八年度の結果についてお話しがありましたが、全くあの通りです。第十九国会でそういう法案政府から出されたときよりも、もっともっと情勢は早くそういう法律の必要を要求しておると私考えるのです。そういういろいろな不当な事項が統計的にもずっと少くなってきておるということであれば慎重に審議される、それもわかりますが、統計数字の結果はそうじゃないのですから、私はもっと早くですね、この国会法案が出されるべきであった。だからそういう意味では閣内にも相当いろいろな意見があってもめておるのじゃないか。われわれが考えまするのは当然でありまするし、そういうことではせっかくこういう法案が作られましても、あとの運用というものがなかなかこの法律の趣旨に沿っていかないおそれもありまして、私はそういう意味一つこのおくれた理由ですね、これをもう少し明確にしてもらいたいと思うのです。  もう一点は、先ほど委員長からも御指摘がありましたが、その内容です。で、十九国会に出された政府原案の中では、刑法罰則規定だけでは足らない。ということで相当将来にいろいろな場合を考えて、罰則規定というものが書かれておるのです。これも先ほど私が申し上げましたように、そういう規定必要性というものは、そのとき以上にこれは深まっておるのです、実際上。総理大臣はこまかいこと一々知られないかもしれませんが、これは総理大臣一つ退席されてから、ほかの担当の大臣に具体的にもっとただしてみたいこともあるわけですが、実際はそういう情勢なんです。そういう情勢ですから、たとえ出すにしても、どうもわれわれが新聞で見ますると、国会等があまりやかましい、うるさいからこれを出しておこうというようなことで、相当緩和されたそういうものが出てくるのじゃないか、こういう心配を禁ずることができないわけです。一体第十九国会に、その当時はもちろん吉田内閣でありましたが、しかしああいう立案をされたことは、おそらく事務当局がどうしてもいろいろな情勢からこれは必要だということで出てきておるのだろうと思いますから、これは内閣がかわりましても、こういう点についての考え方はそんなに変るべきではないと思う。そうすれば、その十九国会に出されたものよりも、あるいは手ぬるい、もっとこういうふうにすべしということならば、これは大いに考える余地もあるのですが、ただいまの大蔵大臣答弁を聞きましても、その点に相当いろいろ異論があるようです。そういうことでは、私はもうこの法律を作る出発点に、それに対する心がまえというものにおいて、いささか足らないものを感ずる。この二つの点について一つ総理大臣忌憚のない考え方をもう少し詳しく承わりたいと存じます。
  9. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 第一におくれた理由。おくれた理由閣議の表面に現われませんから、私ちょっと存じません。建設大臣から何か理由があるかどうか、とにかくこの点に対して答弁をしてもらいます。  それから法案の詳細についてもよく存じませんので、関係当局から説明をしてもらいます。
  10. 山田節男

    委員長山田節男君) 竹山建設大臣鳩山総理からの御指名がございましたが、御答弁願えますか。
  11. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 委員長のお指図に従います。
  12. 山田節男

  13. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 私の名前が出ましたので、今総理から指名お話しのありましたこの法案審議がどうしておくれたかということの一部分でありますけれども、率直に申し上げますが、予算関係法案の直接のものでなかったということも想像されまして、予算と同時に提出にならなかったことは御存じ通りで、この点は当の大蔵大臣からお話しがあろうかと思いますが、たまたま御指摘の、閣議で話が出ましてから、それが原因で遅れたようにお感じであろうと思いますが、見ようによってはそういうこともあろうかと思いますけれども、私が閣議で申したことは、この法案だけで問題がすべてが解決するとは率直に私は考えません。これは補助金適正化が十分でないということは、政府官庁われわれがその責任を痛感しなきゃならぬわけでありまして、国会法案提出する前提として、われわれはこのよって起る根本の原因を一そう検討をいたしまして、前内閣は前内閣としてのお考え法案を作られたのでしょうけれども、われわれは政治的責任考えて、みずからこれに対処すべき方策を、総理お話しのように、一そうわれわれは強く考えて、その対処すべき方策検討しようじゃないか。少くとも私は建設省に関する限り、今までの検査が十分であったとは思わない。また会計検査院指摘を受けますほとんど大部分というものは、ほとんど全部というものは、現に二十八年度は全部が災害復旧事業であります。こういう事態というものに対しても、われわれは行政的な処置にどこかに欠陥があるのじゃないか。これをただ厳罰主義による法律だけで解決をするということで、果して解決ができるかどうかということは、前内閣は前内閣でありますし、われわれはまたわれわれの新しい内閣としての考え方で、閣議でおたがいに検討をしようということが話が出、また私もそのことを申したわけでありまして、その後私も自分でやるべきことは閣議報告をいたして、現にその線に沿って努力をいたしております。同時に私はその際も決して法案全体を不必要と申したつもりはありません。従って政府全体がやります努力の方向と法案とが並行して、御心配をいただく補助金の不適正というものを是正していくということになろうかと思いますから、私はそういう政府処置と並行して法案を新しい内閣として検討をして見るということは、これはまた私は許されるのではないか。いかにも事務当局法案であるから、前内閣のものを踏襲すべしというお考えも一応ごもっともでありますけれども、現に衆議院においては提案をされた法案審議未了に終ったということは、法案内容にいろいろな意見があったということは事実であります。そういう点を前提にして、われわれは新しい内閣でこの法案を、われわれが責任のある立場にあるものといたしまして、ただ出たから前内閣法案をそのまま踏襲をするということでは、政治的責任を果すゆえんでないと考えまして、われわれは法案を、今大蔵当局が中心になって検討していただくわけでありますから、従ってすみやかに検討をして、総理のおっしゃるように本国会に間に合うように出すということには、何ら私は異論を持っておるのではありませんから、この際、私の立場も明らかにすると同時に、今日までの経過を申し述べる次第であります。
  14. 亀田得治

    亀田得治君 一つだけ総理大臣に聞きます。不当事項が、会計検査院報告書によりますと、実にたくさんあるわけですね、件数として。ところがそういう不当事項関係のある役人ですね、それらに対するこの行政上の懲戒処分、これがまたきわめて少いのです。時間がないそうですから、もう細かくは申し上げませんが、そこに非常な開きがあるわけです。これは私は今建設大臣がああいうことをおっしゃるけれども、後ほどもう少しそういう点についてももっと具体的に聞きたいと思う。しかし全体として見て、この不当事項報告され、それに対してほんとうの申しわけ的な数しか懲戒事項というものがないのです。これは普通の民間会社とか、そういうところでは絶対に許されないことなんです。刑事罰ということになれば、これは相当なことですが、内部における行政官としての戒めすらはっきりとられておらないのがたくさんある。私はこういうことについて鳩山総理大臣は一体御存じか、どういうふうにお考えになっておられるか、この考え方一つ一点だけ追加して聞いておきたい。
  15. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 先ほど会計検査院の一そうの努力、あるいは各官庁監査強化をしたいということを申したのでありますが、やはり監査強化が必要だと私は考えております。従って、あなたのおっしゃる行政庁懲戒処分が少いということは、そういうことはあるかもしれません。よく将来はそういうことのないようにいたしたいと考えます。
  16. 大倉精一

    大倉精一君 時間がないようですから、私は総括的にお尋ねをしておきたいと思うのですが、毎年々々の決算会計検査院指摘事項がだんだんふえてくる。金額もますます莫大な国損を生じてくる。この事実は総理大臣もすでに御承知通りだと思っておりますし、また本件に関しては、従来しばしば本会議におきましても、決算委員会でも決議案なりあるいは意思表示をしておるわけでありますが、ここで私は端的にお伺いしたいのですが、総理大臣とされまして、こういう莫大な国損というものを発生することを防止する点につきまして、総体的に具体的にどういうような方針でお臨みになるお考えであるか、そうしてどういうような具体的な方法というものをお考えになっておるか、これを一つ端的に、しかも具体的にお考えをお伺いしておきたいと思うのであります。
  17. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 政府としては官紀の振粛をあらゆる方面からやっていかなくてはならないというように考えます。
  18. 岡三郎

    岡三郎君 今の総理の御返答を聞いて、まあ国政全般について執行されておる責任者総理としては、一々の法律については十分知らないという点もわかる気がするけれども、しかし決算によって取り上げられてきておるこの補助金については、もう十五国会からずっと言われてきている問題なんです。それで鳩山総理も第一次内閣を組織するときに、前内閣のああいったような状態にかんがみて、綱紀を粛正しなくてはならぬ、そういうことで、本年の一月十二日に全国の管区監察局長会議を開いて、その資料に基いてこれらの適切な処置をとりたい、こういうふうに内閣としての方針を定めて、また選挙公約においても、これらの問題については補助金を急速に整理して国民の負託にこたえたい、こういうふうに内閣公約としてこれは言われてきたと私は了承しておるわけなんです。その点について、今鳩山総理が、この法案内容その他経緯というものを十分に知らないというのでは、何かこの綱紀粛正というものが単なる選挙の美辞麗句であって、ほんとうにこの内閣綱紀粛正をやり、新生活運動をやるのかという疑問を私は持たざるを得ないと思う。だからそういう点について十分法案内容について知らない点があったとするならば、その点はさておくとして、一応ただいま総理法案をこの国会中に提出したいと、こう言明されたわけですから、この国会御存じのようにあと二十日有余です。両院で十分検討するということになれば、相当の時間が要るわけです。また再び審議未了ということになれば、これは国民にかなえの軽重を問われると私は思うわけです。そういう点でいつこの法案提出なされる所存であるか、この点を明確に一つ総理からお聞きしたいと私は思う。
  19. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 大蔵大臣から答えてもらいます。
  20. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今のところ来週早々には出せるつもりでいたしております。
  21. 岡三郎

    岡三郎君 来週早々というといつ頃になりますか、来週の火曜日ですか、その点を一つお聞きしたいと思う。来週といってももう十日以降になると思うので、非常に法案審議上時間というものが私は重要だと思うので、くどいようですが、はっきりお聞きしたいと思う。
  22. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 来週の火曜の閣議にかけまして提案をいたしたいと考えます。
  23. 岡三郎

    岡三郎君 その場合において一番問題点は、私は何も刑事罰を強行してやれというふうに言いたくはないけれども、今まで各委員及び委員長が言ったように、この問題は単に行政罰の範囲では是正できないというところに来ているほど、この根幹というものは深いわけなんです。そういうわけで、これが是正した暁においては、すみやかにそういったような刑事罰というものを廃止することについて私は大賛成なんですが、現在の段階においては、建設省でも農林省においてもその他補助金関係の各省における実際の運営を見てみれば、どうしてもこれは必要ではないのか、こういうふうに考えておるわけなんです。それで法案提出の場合において、その刑事罰行政罰かというものは、すでに閣議においてそれは行政罰にするということで法案の作成を命じておるのか、まだその点は十分検討してこの委員会の意向に沿って刑事罰にする余裕があるのか、その点について一つ明答をしてもらいたいと思う。
  24. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) ただいま関係大臣ともその点について検討、相談をいたしておるわけであります。
  25. 大倉精一

    大倉精一君 先ほどの私の質問に対しまして総理大臣綱紀粛正をやりたい、このたった一言の御答弁をいただいたわけですが、綱紀粛正ということは、すでにわれわれが長いこと耳にたこのできるほど聞いております。私のお伺いしていることは、綱紀粛正であればその内容を具体的にどういう形でもって、どういう方法でもってこういう莫大な国損を防止していこうとされるのか、その具体的な内容をお伺いしておるのです。それを総理大臣綱紀粛正をやります、この一点張りでは、これだけでは私は納得がいかないので、重ねて一つ総理大臣の御所見をお伺いしておきたいと思います。
  26. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 各省の監査の当局がみずから範を示して綱紀を粛正することに努めなければならないというように考えます。
  27. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私は簡単に総理に所信をもう一応ただしたい。この補助金に関してこういう毎年不正不当がわれわれ国会報告されて参っておる、よって起る原因について、これは政府並びに官庁にもいろいろな欠陥があると思いますけれども、また一面、これを受ける地方自治体なり、あるいは一般の第一線にもかなりこれに依存をする弊風が浸透しているように思うのであります。従って法律的の措置をすれば事足れりというのは、私はこの補助金に関する措置としては万全とは言いがたいと思う。従って総理綱紀粛正を常に唱えておいでになるが、もちろん直接率いられる政府官庁に関してお考えのあることと思うけれども、一般民間に対してびまんしている補助金行政に対して過度の行き過ぎの、極端な補助金に対する依存度の調整等については、何か特段の総理としてのお考えがおありのことと思いますけれども、この点についての所信を端的に伺いたい。
  28. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 補助金の制度にはいろいろの弊害があることはよく聞いておりますけれども、どうも補助金制度が悪いからといってやめるわけに参りません。やむを得ず現在の制度でやっていくより仕方がないと考えておりますが、補助金制度がある以上は、それによって生ずる弊害もできるだけ少くなるようには万全の策を講じなければならないと考えます。
  29. 八木幸吉

    八木幸吉君 総理にお伺いをいたしたいのですが、先ほどから会計検査院指摘されました不当不正の事項が年々累加いたしておるということは、すでに皆さんからお話があったわけでありますが、私はこれをなくするために立法措置を講ずるというお話でありますが、先ほど竹山建設大臣からもお話のありました通り法律を作るということはあまり望ましいことではないので、できれば法律を作らなくても、政府の内部においてかような事態の発生しないような行政指導と申しますか、十分内部の官紀振粛に努めていただきたいということをまずお願いいたしたいのであります。しかし、もうことここに至りました以上は、法律を作ることをもっとも不可といたしまする私どもにおきましても、やはり刑事罰を伴うたところの補助金の適正使用に関する法律案の一日もすみやかに提案されむことを希望いたすものであります。  会計検査院指摘されました昭和二十七年度の不正不当事項は、金額にして百二億九千万円、昭和二十八年度が百四十八億円になっておるわけでありますが、その純国損が幾らになっておるかといえば、昭和二十七年度におきまして三十六億四千万円、二十八年度で二十八億円になっておるわけであります。特にここで総理にしかと頭に入れておいていただきたいと、こう思いますのは、この国損金額というものは会計検査院検査が一割にも満たないきわめてわずかな実地検査の結果であるということを十分一つ頭の中に入れていただきたいと思うのであります。少しわずらわしいですが、数字を申し上げますと、昭和二十七年度で会計検査院検査をしなければならぬという個所が一万二千三百余個所あったうちで実地検査されたのはわずかに二千五百個所であります。割合にいたしますと二割に過ぎないのでありまして、ことに一番問題の多い災害復旧事業関係におきましては、実地検査は全国の十万九千の個所のうちで九千三百五十九個所、パーセンテージにして八%五に満たないのであります。これは昭和二十七年。それから昭和二十八年度における、この検査のパーセンテージが九%二にしかなっておりません。そこでただいま申し上げました会計検査院指摘した昭和二十八年度における不当事項百四十八億円というのは、一割にも満たない検査の結果が、しかもかような金額になっておるのでありますから、実際は一千億円以上に私はこの不当な金額がなっておるのであろう、こう思うのであります。そこで私の総理にお願いしておきたいのは、昭和三十一年度の予算を編成されまするときに、会計検査院の機能をもっと拡充されるように真剣に御考慮を願いたい。本年は会計検査院予算のふえた金額は二千七百六十余万円でありまして、総額は四億何千万円ときわめてわずかであります。ところが、会計検査院が早期審査をいたしましたがために、昭和二十八年度で補助金を事前に減らさした額が百十億円になっております。つまり早く会計検査院検査したために補助金をやらなくて済んだ金が百十億円になっております。ところが、事後になって検査をした結果、不正を発見したのがわずかに七億数千万円にすぎないのであります。この早期検査会計検査院がするということは、非常に、今の数字でも明らかでありますように、国損を減らす一番近道であると私は思うのでありますが、しかもそれがわずか八%内外しか検査をしない結果がそのようでありますから、この人間をふやし、その能率を上げて、そうして補助金を初め国費の効率的使用のために予算をお使いになったならば、最も予算の能率的な使い方であると私はかたく信じております。そこで総理にお願いしたいのは、どうかいろいろな方法もありましょうけれども会計検査院の機能を拡充して、その能率を発揮することが国費の節約の上で最も私は近道である、こういうことを特に総理の頭に入れておいていただきたい。これが一点。それから……
  30. 山田節男

    委員長山田節男君) 八木君、実は簡単に……。
  31. 八木幸吉

    八木幸吉君 もう一分か二分……。内部的なことでありますが、災害復旧事業でいろいろ便乗工事であるとか、二重査定であるとか、疎漏工事であるとか、出来高不足であるとか、会計検査院指摘しました点が約八カ項目ほどありまして、この項目別に、農林省にいたしましても建設省にいたしましても、どういうふうにしたらかような原因を除くことができるかという具体的な項目別の対策委員会というものをお作りになりまして、そうしてまずその対策をお立てになって、いろいろ検討されるということが内部的に不正工事をなくする最大の一番近道であると私は思いまして、従来決算委員会でも各省の方にこのことをお願いいたしておりますが、果して各省でやっておいでになっておるかどうか。ぼんやりでなしに、項目別に対策委員会を設けて慎重に考える。  それからもう一点は、補助金の総花的なやり方をぜひ是正してもらいたい。極端にいえば、静岡県等では補助金が農家一軒について一円にしか当らなかったという実例もあるわけでありますから、もっと補助金の総花的な傾向を真剣に一つ検討してもらいたいという、これらの点を特に総理がおいでになりましたから、お願いかたがた御意見を伺っておきたいと思います。
  32. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) ただいまのお話の第一点の、会計検査院の機能の発揮について考えろということは、私も非常にその必要を感じます。私もその適正を期するために最も有力なる方法というものは、会計検査院の一そうの努力に待つより仕方がないと思います。会計検査院の一そうの努力を得るためには、その機能を発揮せしめなければなりませんから、機能の発揮のために考えろという御希望に対しては十分心の中に置いておきたいと思います。  第二点の復旧事業についての対策委員会のこと、この点も必要なことでございますから、復旧事業対策委員会についても、ずいぶん治山溶水のことはむずかしいとは思いますけれども予算の制約によってなかなかむずかしいことではあるけれども、もとをきわめる話でありますから、それに対しても心を配りたいと思います。  第三の総花的の傾向については、これも注意をいたしたいと思います。
  33. 大倉精一

    大倉精一君 僕の質問に対して結論的なものが出ていないから、一言だけ……
  34. 山田節男

    委員長山田節男君) 総理大臣は、衆議院の本会議がすでに二時半というので待っておりますから、簡単に願います。
  35. 大倉精一

    大倉精一君 私の質問がどうも途中でたびたび切られるのですが、最後に一つだけ、先ほど総理の御答弁の中で、各省の監察を十分に強化をして粛正あるいは適正化をはかりたい、こういう御答弁があったのですが、各省の監察を十分に強化するということは、これは内容的には相当困難が伴うと考えております。従ってこれをほんとうに言葉通りにやるとすれば、現在の人員では不可能である、あるいは現在の予算では私は不可能であると思っております。従って総理の先ほどのお答えは、これは人員の面においても、また予算の面においても、その他効果的な裏づけを持ってそういうお答えを願った、そういうお答えがあったという工合に了解しても差しつかえありませんか、最後にお尋ねしておきたいと思います。
  36. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) これは大蔵省の方から……、大蔵省もそういうような考え方をしておるものと思います。各省の監察の強化を欲しておるのは大蔵省当局でありますから、大蔵省当局において監察の費用は考えておるものと思います。
  37. 山田節男

    委員長山田節男君) 総理大臣は、すでに衆議院の方の本会議を開くので待っておるそうでありますから、まだ御質問のある方もあると思いますが、これで一応打ち切りたいと思います。  最後に、鳩山総理に重ねてお尋ね申し上げますが、今言明されましたように、来週早々閣議にかけて法案出したいということがわかりましたけれども、本委員会の先ほど来の各委員の御質疑を通じ、あるいは私のごあいさつにもございましたが、なまぬるいことではこれはいけないと思います。それからもう一つは、補助金というものに対する、先ほど申し上げましたように、もう府県、市町村、いわゆる補助金をもらう事業主体補助金に対する考えが今のようではどうにもならない。ですから、この考え方を変えなければならぬというのが今回の立法をなさる、法案としてお出しになる一つの大きな主眼だと思います。ですから、なまぬるいようなものをお出しになったのでは、本委員会が、先ほど申し上げましたように、非常にこれは最後的な何か処理をしなければならぬというこの結論から申しますと、そういうものはむしろ有害無益になることは明らかであると思いますから、その点は一つ十分総理におかれてお考え願いたいと存じます。  なお、大蔵大臣も、実は衆議院の方で先ほど来数次にわたって催促が来ておるわけであります。大蔵大臣に私一つ御質問申し上げますが、今の総理大臣と並んでお答えを願いたいと思います。補助金という性質ですね。今までのこの乱脈な行政によりまして、国民が全般的に持っております補助金に対する観念というものが、いわゆる公金、パブリック・ファンドと申しますか、公金というものに対する考え方が非常に間違ってきておる。大蔵省としてはこれを何とか一つ是正しなくちゃならぬじゃないか、こういうお考えが私はあるのじゃないかと思いますが、大蔵省法案を立案なさるに際しても、こういうことをやはり根本的な考えとして立案なさっているのかどうか、この一点だけを一つお伺いしたい。
  38. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 大蔵省といたしまして、この補助金については、ほんとう補助金の使命といいますか、効果を発揮する、そういう補助金に限って考えていく、こういう考えを強くとっておるのであります。ただ今回の三十年度の予算についても、特にこの補助金の整理につきましては一定の基準を設けまして、そうしてこの整理をしたいという考えを持っておったのでありますが、思うように実現を見なかったことはまことに遺憾に思っておる次第であります。これはしかし、今後なお、予算の編成に当りまして特に注意を加えましてやっていくつもりをいたしております。今日では、先ほどから問題に、あるいは御意見になっておりますように、出たこの補助金が最も適正に使われていくということが、まず私は大事じゃないかと、こういうように今考えて、法案提出考えておるわけであります。
  39. 大倉精一

    大倉精一君 この際、大蔵大臣にお伺いしておきますが、先ほど総理の御答弁の中で、各省の監察を十分にするというようなお言葉がありました。これに対するところの人員並びに予算の面については、当然大蔵大臣考える、こういう御所見のように相なっております。そこで私は、この際確認しておきたいのですが、大蔵大臣としましては、今の総理大臣の御答弁にあるように、会計検査院予算あるいは各省の監察、査察に必要なる人員、予算については、これは保証をするという工合に私は考えても差しつかえございませんか、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  40. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 予算をふやすということだけで十分なこの監察の機能を果せるとは限りません。しかしながら、十分監査の機能を果す、これを前提に置きまして、各省大臣とも相談しまして、適当に考えて、むろん必要とする予算考えていきたいと思います。
  41. 大倉精一

    大倉精一君 これは私は端的にお伺いしておるのですが、各省と相談するのはもちろん相談してもらわなければならないと思っておりますが、今の総理大臣の御答弁としまして、各省の監察を十分にする、強化する、こうおっしゃったのですが、これは各省の監察を十分にするということは、人員の面においても、予算の面においても相当な裏づけがなければ、今の総理大臣の御答弁は空文になると思うのです。そこで私は大蔵大臣にお伺いしておるのですが、この総理大臣の御答弁の裏づけになるような、そういう実のある人員なり、あるいは予算の面なりを大蔵大臣の所管として一つ保証、そういう裏づけをされるというお考えがあるかどうか、こういうことを私は確かめておるわけでありますから、もう一回御答弁を願います。
  42. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 必要と考えられる裏づけは、いたすつもりでいたしております。
  43. 亀田得治

    亀田得治君 大蔵大臣は、今度の国会では予算編成なりいろいろな問題で各省の大臣とずいぶん意見が対立しておる。ところが、この問題についても私ども相当意見が対立するのじゃないか、これだけは一つ大蔵大臣最後までがんばってもらいたい。で、私は時間がないようですから、いろいろ言いたいことがあるんですが、これだけでも一つ大臣の意思を通しませんと、大蔵大臣の、ほんとうにこれは予算を取られる方ではどんどん譲歩していく、これだけ譲歩したから、おれは一つきっちりこれを使ってもらいたい、これは当然大蔵大臣として言えることなんですから、これだけは絶対に一歩も譲らない覚悟で一つやってもらいたい、これは一つ要請しておきます。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  44. 山田節男

    委員長山田節男君) 簡単に願います。
  45. 石川清一

    ○石川清一君 私は、先ほどからの大蔵大臣の御答弁を聞いておりますと、非常にさびしく思う一点があります。大蔵大臣は、一兆億円予算を守るために血みどろの努力をしております。しかしながら、一兆億円予算はすでに二カ年にわたって実施をされておりまして、その初めの昭和二十八年度に約一千億近いロスが出ているのであります。いわゆる実の入っておらない国の行政が行われておるのでありまして、私は一兆億円の予算のワクをきめるのはこれは何でもない、この一兆億の内容が真に国民のために、国民の生活と産業の発展のために維持されているかどうか、この点に全生命をかけて一兆億円の予算を守らなければいかん鳩山内閣大蔵大臣の使命があると思うのであります。今この補助金の適正を問題にしておるようでありますけれども、これは単に補助金だけではなくて、現に防衛庁の予算の執行を見ても、非常なアンバランスがあるのであります。演習場ができておらないのに兵隊が充実されておる、しかもその一番不用な被服その他服類がもう二年も三年もできている、こういうようなアンバランスが各省の内部にあるのでありまするが、各省間においてもバランスがとれていない、アンバランスがたくさんあるのであります。これは一兆億円予算を守ろうとする前に、これに対する適切な措置が、鳩山内閣の一兆億円予算の裏づけとして、予算審議を通じあるいは今度の予算の実施を通じて明らかにせんければならん点だと私は思うのです。米を上げるのは、もうすぐ農林省の方はまるのみにしてでも、これをあしたからやってもらうことを私は希望いたしますと同時に、これに対する私の考えに対してお答えを願いたいと思います。
  46. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 全く同じ考えで、非常にありがたくお礼を申します。
  47. 山田節男

    委員長山田節男君) あと大蔵大臣また見えますから……、大蔵大臣ですね、今各委員の御質疑を総括的に重ねて本委員会を代表して申し上げますが、大蔵省のお作りになったこの法律案を見ますと、私たちはまだあきたらない、弱いです。それがわれわれ新聞によって見るように、もしこれが閣議次官会議で骨抜きになって、行政罰にしてやるようなものだったら、むしろこれは出さん方がいい、混乱を来たします。それから、これは後ほど法務大臣にも質問いたしますが、そういったようなものを出すということは、これは私はけしからぬと思うのです。本委員会としてそういうような、もしうやむやな法案が出るのだったら、これはもう了承しません。そのかわり、あるいはかねて話があったように議員立法で一つやろうか、こういう実は世論も相当参議院では強いのでございます。こういう点を十分大蔵大臣は勘案されまして、決してその原案を曲げるような法案を出されることのないように十分一つ努力願いたいということを重ねて申し上げておきます。  大蔵大臣は、今ちょっと衆議院の方へ行かれまして、またおいで願うことになっておりますから、どうぞ大蔵大臣……。  それでは花村法務大臣竹山建設大臣川島自治庁長官、おのおのお忙しいのでございますが、まだ若干時間お残りを願うように特にお願いしてありますので、御質疑願います。
  48. 岡三郎

    岡三郎君 竹山建設大臣に伺いたいのですが、先ほどの御答弁で、竹山建設大臣もこの法案提出には反対しているのではないのだ、ただ問題の内容についていろいろ検討をした結果が新聞その他に各種の形で出ているのだということを言われたわけですが、率直に言って、やはり建設大臣は、この法案を出さん方がいいとお思いになっていたのではないかと私は思う。それで六月の十四日の閣議で、この法案提出するということがきまって、その後七月の一日の閣議で、行政監察強化し、それからまた各省庁において十分行政面の指導を強化することによって、これを何とか是正していくというふうなことにきまったと、こういうふうに思っていたのが、昨日から本日にかけて行政罰にこれを改正して、そうして提出するというふうに私はとっておったおけなんです。その間においてその経緯をどうこう私は責めるわけではないのですが、竹山建設大臣としては、この大蔵省あるいは前内閣から来ておるところのこの法律案に対して、この行政罰でよろしいというところの一つ所論を、現実に即してお聞かせ願いたいと思う。現状においてこの刑事罰は必要ないと、行政罰でもやり得るのだという確信があったならば、その確信を主張されることは当然だと思う。ただわれわれとしては、そのようななまぬるいことでは現状においては是正できないのではないかと、こういうふうにその立場がちょっと違って来ておるわけですが、建設大臣一つ所論を聞きたいと思います。
  49. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 私は刑事罰行政罰にしろという主張を、かつてしたことはありません。それから今の閣議内容等についていろいろお話がありましたが、決して法案を頭から否定したということではないということは、先ほど申し上げた通りであります。私は前内閣の引き継いだこの法案提出するに当りましては、先ほども申したように、政府官庁にもっと責任を重大に感じて、この法案内容的な裏づけになる処置を講じなければ、国民を罰するだけが適正化のすべての方策だといったような考え方は、私は少くも政治家の一人といたしまして、それでは責任は果されないと考えましたから、この法案検討をするが、同時に私は自分の省に関する限りこの考えで、予算がきまって実行に移すに際しては、監査検査を厳重にするということを今準備をしているから、そのことを閣議にも報告をするから合せて考えてもらいたいという考えで、私は閣議にも主張をしておったようなわけでありまして、決して私は今御指摘のような刑事罰行政罰にしろという主張は、かつていたしたことはありません。ただ私は個人としての意見も言えということでありますから、個人としての見解をこの際申さしていただけば、今までのいろいろ私もこの補助金の不適正ということに対して、遺憾の意を感じておることは、皆さんに劣らんつもりであります。これは何とかしなくちゃならん、ただそれが今まで検査その他が不徹底であるということ、同時に法律の上では許されておるところの告発その他の処置が、会計検査院においてもとられてはおるけれども十分ではない。また各省も当然自己の責任においてやれることになっているにもかかわらず、一向それを十分にやっていない、しかし先ほど御指摘がありましたけれども建設省に関する限りは、検査院の指摘されたものについては、それぞれの行政処置は講じておるつもりであります。これは報告にあげてあります。しかしそれだけでは私も不徹底だと思う。そういう点で、むしろ刑法なりあるいはその他の法律に基いて、検査院及び各官庁がもっと徹底をしてやってみた上で、政府としては改めて考えるという考え方も私は必要じゃないか、いきなり自分のやることはやらずにいて、国民に刑罰を、そうして町村長を極端なことを言えば重刑に処するということによって、ただこの補助金適正化をやるという方策だけでは、私は政府としての責任を果すゆえんでないというふうに考えましたから、閣議でそういう主張をいたしたことは事実であります。
  50. 山田節男

    委員長山田節男君) 各委員の御質疑のなにもありましょうが、川島国務大臣一つお伺いしたいのですが、新聞によりますというと、この補助金適正化使用に関しては行政監察を拡充強化すれば間に合うのじゃないか、こういうような御意見が述べられたやに聞くのでありますが、この点に関しましてわれわれの参考のために、川島自治庁長官の御意見を伺いたいと思います。
  51. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 地方公共団体に対する補助金が不正に使われております場合に、これを何らかの方法において是正しなければならんことは当然でありまして、先般閣議でも問題になりました際に、これに対する取締法規を作ることは、それは別として、なぜ各地方団体がそうした不正を行うのかということを一応掘り下げて考える必要があるんじゃないかと、と申し上げるのは、法律には補助率が二分の一となっておる場合、実際は二分の一いってない。たとえば一例を学校建設で申し上げますると、老朽学校に対する補助金は二分の一であります。ところが単価の見方において現在三万円以上かかっているのを二万七千円の計算で金を渡しておる。従いまして地方の負担が加重されておる。現在の窮迫した地方財政の中でありまするからして、何とかして二分の一程度でもって仕上げをすると、自然水増しのような申請をする場合があり得る。ことにこれは災害の場合においてそういうことが往々あるんです。また一方災害に対する国の補助金は大体三、五、二、初年度三割、二カ年目は五割、三カ年目は二割という、こういう計算で渡すという方式になっていますが、実はその通りいってない。そこで各地方団体では一時の借り入れをして復旧工事をやって、それがいわゆる仕越工事になって百億近くも今日やっておる。その資金繰りと利息等に困っておる。こういう点も改めなければ、ただ法律だけ作りまして不正のあった知事、町村長を引っくくるだけでは、それでは決して改まらない。まず根元を改める必要があると、こう私は自治庁長官として考える、そういう発言をしております。同時に行政管理庁長官といたしましても、補助金が適正に使われておるかどうかということは、これを厳重に監査する必要がありますので、今年の地方の監察項目の中へ特にこれを取り入れまして、すでに各県にある監察同等に命じまして、補助金が適正に使われておるかどうかということを監査しております。報告が来ますれば、逐次これを関係官庁に送付して是正を求めるつもりでおります。ただあの法律だけでもって果して所期の目的が達せるかというと私はそれだけでは達し得ないと思う。それ以前に政府としてやるべきものはやらなければならん、こういう考えをもちまして、その点は着々手を打っておるわけでございます。
  52. 山田節男

    委員長山田節男君) 花村法務大臣にお伺いしますが……。
  53. 岡三郎

    岡三郎君 私ちょっと聞きたいのですが……。
  54. 山田節男

    委員長山田節男君) ちょっと待って下さい。みんな時間の制限があるんだから。
  55. 岡三郎

    岡三郎君 そんな制限があるようだったら、こんな審議は要らんと思う。制限は……。
  56. 山田節男

    委員長山田節男君) 花村法務大臣はこの点に関しまして御意見がおありになるだろうと思う。お伺いいたしたいと思います。
  57. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) ただいま川島大臣の述べられたように、補助金不当支出のよって来たる原因を探求しまして、そうしてその源に対する適切なる処置を講じていくことの必要なことは、これは当然でありますが、しかしこれと相待ってやはり立法の面においてもこういう不当行為を禁ずるところの法案も作りまして、そうしてその半面において不正行為を防止していくという二つの方法をもちまして、この不合理な補助金の不当支出に対する是正をして参りまするのが当面の緊急事であると、こう私も考えております。
  58. 岡三郎

    岡三郎君 私は予算を決定するまでは各閣僚が、予算委員会には何とか通してもらいたいというので、ずうっと出ているが、そのきまった一兆円の予算なら予算を使うのに、その使い方が一体どうなっているか。現内閣責任がないというならそういうことになるかもわからんけれども、しかし少くとも第一次内閣を結成して第二次内閣にわたってきて、その間において公約をしているわけなんです。そういう観点からいって、決算委員会に対しては時間を制限し、また途中において中坐し、それは必要があれば、それはやむを得ないと思うんです。何か委員長の発言から受けると、質問する方が時間の制限を受けて、ある程度までするというとストップ、またあっちこっち動いて、政府のどういうことか知らんけれども行くという、そういうことでは国民に対しても私は十分審議を尽せんと思う。そういう点で委員長におかれては、職権というものを一つこの際は十分発揮して、私はここで時間を十分とってやってもらわなければ、十分なる審議が私はできんと思う。その点を一つ委員長に希望を言っておいて、これは建設大臣、また川島長官に言いたいと思うんですが、もちろんわれわれとしても法律を作ってそれで万事事終れりなんということはだれも思っておりません。そんなことを言えば、われわれが何か法律を作ってそれで規制すれば事終れりというふうに考えているように、あなた方がみなそう思っているようにとるわけです。そんなことは少しも考えておらない。法律なんというものはなければなしにこしたことはないということは全委員の総意です。しかし累年にわたるところの不当事項の増加というもの、先ほど八木委員が言ったように、一割を調べても百億をこしている、だからこれを全部査定したならば一千億以上の不正、不当事項が出るのではないかとさえ類推されるような大きな問題であるからこそ、われわれは日夜審議しているわけです。この点については私は建設大臣にとやかく言おうとは思っていないけれども、われわれの意向としては、こういうものを法律を作って能事終れりという、そういう角度から各大臣に質問しているということではないということを、まずはっきりと了解しておいてもらいたいと思う。それで結局現行諸法規の活用と行政指導、監察強化などによって目的を達し得られるのではないか、こういう御見解です。しかしわれわれは累次、竹山大臣でない前の大臣のときに、それから建設省の各役人に対してもこの点についてずいぶん言ってきた。それで建設省がその点について累次成績をあげてきたということもわれわれは認めているわけなんです。それですから、竹山建設大臣行政機構を十分拡充して厳正にやれば何とかなるんではないかという気持もわかるような点があります。ありますが、しかし河野農林大臣がおらないから私は言わないんだが、農林省なんということになったら、これはとんでもないことですよ。これは想像のつかないほどの乱脈きわまる状態なんです。そういうふうなことを考えていった場合に、われわれももう第十五、第十六国会以降、この問題についてはずうっと見守ってきたわけです。しかも吉田内閣のときにおいては是正できなかった。それが鳩山内閣において綱紀を粛正し、前内閣の欠陥を改めて何とか再出発して、国民の期待に沿いたいという現内閣の意向というものが、こういう補助金の欠陥を指摘して積極的にこれを是正していこう、こういうふうになるならば、法律万能主義ではなくして、このよってきたるところをもっともっと深く検討して、われわれは法案を、六月の十四日のきまった頃に出してもらいたかったわけだ、実際は。われわれは地方の地方団体あるいは事業団体が悪いことばかりしているようにも思っておりません。地方財政が窮乏して、ついこういうことになることもわかります。わかりますが、中には、やっていないことをやっているようにして書面に出すし、実際問題として一方には行政整理が叫ばれて、官吏の首を切れといっておきながら、出てくる書類にはめくら判を押してやっているという現実がここにあるわけなんです。だからこれはなまなかのことでは解決がつかないということで、われわれは真剣にやっているわけでありまして、建設大臣の言われる点についてもわかる点があるけれども、確かに建設省が改善をしてきたからといってそれで十分やり得るとは私は思えない。そういう点でこの点については国費の使用を適正にするという内閣方針一つこれで貫いて、その結果を十分一ぺん見たい。それによってもちろん中央の機構というものも十分検討していただき、川島自治庁長官の言っておられるように、監察機構も相伴ってやる、つまり地方にもやらせる、そのためには中央もしっかりやるのだ、中央も今度しっかりやろう、地方もしっかりやってもらわなければならぬ、不満足だけれども、こういうようなやり方以外には現在のところないのだということで、私はもっていってもらいたいというふうに実際考えているわけなんです。この点について火曜日の閣議で決定されると聞いておりますので、建設大臣が今先ほど言われたことは、私も十分わかるとしても、一つそういうふうなわれわれの意向を十分一つ了解してもらって御努力願いたいと、こういうように思うのですが、いかがですか。
  59. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 全く岡さんのおっしゃることと私の申し上げていることとは率直に申してぴったりしていると考えております。岡さんの御心配のような気持で、私はこの問題に当っておるので、実を言えば建設大臣という気持でなくて、国会議員として、また政府として何とか岡さん御心配のように、戦後の混乱の時期であったとは言いながら、こういうような状態が続いていくことは実はおそろしいことでありますから、何とかしなければならぬという点については、全く同感であります。ただ私の申し上げておる気持も、皆さん方が法で片ずけると考えておるなどということを決して僣越に申し上げた覚えもありませんし、そんなことを考えているわけでもありませんが、たまたま私が政府の一員としている以上は、この法案政府が出すというに当りましては、今言ったような感じが政府立場からいたします。ことに建設省はほとんど全部が補助金でやっている役所の私の責任立場から申しますならば、法律を出す、厳罰主義法律を出す、それはけっこうですということだけで私は済まされぬのが私の立場でございまして、さような意味において、この機会にといっては語弊があるかもしれませんが、長い間の皆さんの御努力のその実現の前には、われわれは一そう責任を痛感をして、みずからの処理すべきことをやる、そうして国民に対しても、あるいは窮屈になるかもしれないけれども、この法制のもとにおいて建て直しをやるのだということを申し、またそういうことを現実に実行していくことが政府のとるべき態度であり、この法案に対処するわれわれの心がけであると考えて、私は終始発言いたしているようなわけで、私の言葉が足らずして、岡さんのほんとうの真意に対して冒涜をいたしたようなことがありましたならば取り消します。どうかあしからず御了承願いたい。
  60. 岡三郎

    岡三郎君 ちょっと私は建設大臣に申しておきたいことがあるわけですが、改善されたといっても、建設省に関しては、昭和二十八年度は不当事項四百五十一項、それで国庫負担金、補助を除外すべきもの、一項二十万円以上のものをあげてみると百六十四件、一億円以上の金になっておるわけです。ですからよほどやられても私はこういう状態だと思うわけですが、ですからその点について全体的な意向を考えてみて、そうして一つ実効があがるようにやってもらいたい。これは先ほど委員長が言ったように、なまぬるいものをこの際出すなら出さん方がいいじゃないかという意見に私も賛成です。そういう点で、出すとするならば実効があがるようにやってもらいたい。  それから川島長官にちょっとお伺いしますが、行政管理庁というのは一体何をやっているのか、失礼ですが……。それで二月に行政管理庁がいろいろと行政監察強化するというので、二月の十六日の庁議で国鉄会館など、とかくの批判のある外郭団体の徹底的調査、地方公共団体の国に対する寄附が地方財政に及ぼす悪影響の問題、接待費調査、窓口行政、許認可事項の能率的向上など、こういうものを取り上げる、こういわれておったわけです。これは川島長官のときではないといいますが、それ以後行政監察としても相当仕事をされておるわけですが、実際面として、補助金ではないが、農業共済保険のやつですね、ああいうものを見たらばほとんどでたらめだ。全部そのために前年度では百六十億以上金を国庫から支出しておる。本年も二十数億支出して、その金がどうなっておるかさっぱりわからない。実際問題でこれに出ておるところの事項を見ても、もう農業共済再保険の問題なんかについてはまるで競輪、競馬ののみやみたいな仕組になっておるわけだ。災害がこなければ損をするような仕組でやっておる。そうしてその金が末端の災害を受けた農民に回っていかないで、途中の団体がこれをからくりしてやっておる。こういうような点で私は行政管理庁というものが、補助金あるいは政府の出資金についてもう少し何とか具体的にやってもらわねば困るという意見を前から持っていた一人なんですが、たまたま補助金関係についておいでになっているちょうどこの際ですから、一つ川島長官が行政管理庁に対する今後の仕事ぶりの所見ですね、これは自治庁長官として非常にお忙しいので、あるいは実施担当の実務者に私は言った方が適当かと思うのですが、一応監督責任者としての長官の意見をお聞きしたいと思う。この点について……。
  61. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 行政管理庁の監察部では、一般国政に関する監査をやる規定になっておりますが、全国各県に部がありまして、若干の人員が配置してあるのですが、何といたしましても経費の少い官庁でありまして、思うだけの調査ができないのを私は平素から遺憾と思っておるのであります。そこで毎年重点的に問題を取り上げて、その年に監査をする仕事をきめるわけであります。三十年度分としては特に補助金の問題を取り上げます。そのほかに国鉄の監査、その他十数目あろうと思いますけれども補助金問題もその一つの大きな項目として取り上げておるわけでありまして、監査の結果は、これは最終的な結論を待たずして逐次中間報告を受けておりまして、その中間報告は必要なものは関係各省にこれを配付いたしまして、関係各省の参考に供し、その反省を求めておるわけでありますが、監査の結果は一般に公表はいたさん建前になっておるのでありまして、従って世間にはいかなる行動をしたかということがあまり明白になっておらんのでありますけれども行政部内におきましては、相当監査の結果に重きを置きまして、その結果に基いて綱紀が相当粛正されているのだと、私はかように考えております。これは毎月全国から多数の監査報告が参りまして、そのたびに一々関係官庁に回しておるわけであります。ただ人員が少いのと、雑費、旅費が非常に少いのでもって、その計画だけの監査ができないことは遺憾でありますけれども、経費の許された範囲内におきまして最大限度に今日は活動さしておるつもりでおります。
  62. 八木幸吉

    八木幸吉君 河野農林大臣は最もこの補助金の問題には関係があるのですが……。
  63. 山田節男

    委員長山田節男君) お答えいたします。先ほど來河野農林大臣出席を再三要請したのですが、米価問題をどうしても今日線を出さなければいけないので、事務次官を通じて今催促したのですが、農林省からは平川事務次官がかわって来ておられます。それから先ほど岡委員もお触れになりましたが、実は川島自治庁長官は衆議院の地方行政委員会に呼ばれているのですが、もし流してでも実はおってもらいたい、大いに職権を発動してやっていいのですから……。
  64. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 今日は参議院、衆議院両方とも地方行政委員会がありまして、両方から呼ばれているのですが、当委員会の御質疑はなるべく繰り合しても参りますから、今日は一つ御勘弁願いまして、大蔵大臣と二人並べておいて質問するという予定になっておりますから、どうぞ一つお順いします。
  65. 山田節男

    委員長山田節男君) 今秘書官からも再三お話ありましたけれども、せっかく……。
  66. 岡三郎

    岡三郎君 その点で。それは十分わかるけれども、私が言ったように決算委員会に対して……、予算委員会とこれは頭とお尻の問題だと思う。これで初めて国民の税金というものが生きてくる。そういう点で言いたくはないけれども、何か知らないけれど、気がねをしいしい質問している状態では十分できぬ。それは国政でお忙しいことはよくわかりますから、この点は委員長で十分了解つくことはいいけれども、これは今日一日で終らない。一つこの補助金については十日間ぐらい連日私はやらなければいかんと実は思っている。これもむちゃだと言えば、また一つ両方で引っ張りっこしているということになって、これはまたおわびだ、おわびじゃない、つまらんことを言いたくないから、適切に運用してもらってけっこうだと思います。
  67. 山田節男

    委員長山田節男君) 今の御発言はよくわかっております。実は川島国務大臣、秘書官に申し上げたのですが、衆議院の地方行政の方は大臣がお見えなければ流すというので、それは流してくれ、きょうは重要な委員会であるから流してもらいたいということまで実はお願いしておるわけであります。また大臣に御出席願うということもなかなかこれはむずかしいことでありますから、もう少しがまんしていただいて。
  68. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 私は向うへ行きまして、一応顔を出しまして……。どうせこの決算委員会はまだ幾回もお開きになるようですから、ぜひ出席さしていただいて十分に……。
  69. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 簡単に川島長官に御質問申し上げます。この会計検査院指摘事項の中にいろいろございますが、長官の方の御関係の最も深い問題が一つあるのです。それは山口県のある町におきまして、災害のときに、船が沈没しないのに沈没したことにして、その沈没した写真をつけて政府から金を三百余万円受け取って一般庁費に充ててしまった、こういう事件なんです。そこでこの間、参考人として町長に来てもらいましたが、これは四月に選出された人で、当時にいた人じゃありません。いろいろ事情を聞きまして、そういうことを政府に言って金が出る以上は、町会にも諮ったのか、またどういう提案をして、質疑があって、そういうことになったか、こういうことを聞きましたところが、全部そういうことをやってるのだ、それじゃもう何もないのにめちゃくちゃの提案をして、めちゃくちゃの質疑をして、それで結論としては政府から金が出ていた。非常に私はこの地方自治体というものの、あるいは地方議会まで、それらの信用というものがおけないのじゃないか。また補助金のいくのはほとんど市町村でございます。ですからこの地方自治を尊重するということは、一面極力やらなければなりませんけれども、こういう不当なことをやる市町村に対しては、長官の方で極力御監督をきびしくやっていただかなければとてもやり切れるものじゃない、こう思いまして御質問をするわけなんです。その点に対する、こういう補助金関係等に対する申請をしてくるが、補助を受け取る方の側の責任についてお答えを願いたいのです。
  70. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) ただいまの山口県の例を御引用になりましてのお話でありますが、実は地方団体に対する自治庁の監督権というものは、現在の実情においてはほとんどないのでありまして、わずかに助言、監督程度しか持っておらぬのであります。全く地方自治体の自主性を尊重して地方自治の運営をしておるわけでありまするからして、そういう場合が起りましても、いろいろの方面の監督はいたします。また助言もいたしますけれども、それに対して強力な監督権を発動するという権限もなし、また現在の自治体を尊重する意味からいっても、それは慎しむべきものだと、こう考えておるのであります。ただそうしたいかにも不都合な地方団体に対しては、今後補助を与えないとか、起債の場合に考慮するということは、これはあり得ることでありまするけれども、ただいまの山口県のことにつきましては、その後どういう措置になったか、私存じませんからして、なおよく調べまして、自治庁としての態度を御報告申し上げまするけれども、自治庁の性格がなかなかそういうものに対して強力な監督はできぬということだけは、一つ御了解願っておきたいのであります。
  71. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 補助の適正化法律を至急今度お作りになることについて、そういう点も御考慮願ってこれを作らなければ、受け取るのが補助金市町村なのですから、市町村の方に効果がないと思う。  それで法務大臣にお伺いしたいのですが、こういう問題については、これはまあ犯意がなければ刑には該当しないと思いますけれども、かりに個人の場合、今申し上げましたように、うその写真等で船を作った、金をとったとすれば、詐欺罪になるというような場合には、法務省ではどういうふうに御処置になるか。私がお尋ねするのは、会計検査院検査があれば告発するしないということは、だれがしようとしまいと法務省の責任ではないかと、これを放っておくのは、むしろ不正を見逃しているという怠慢の責任があるのじゃないか、かように思うわけでございますが、いかがでございましょう。
  72. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) 虚構の事実をかまえましてそして金をとった。相手方を欺罔せしめて金をとったという場合には、当然これは詐欺罪になりますることは疑いの余地はございませんが、もしかくのごとき犯罪が発生したといたしまするならば、法務当局といたしましては、直ちにそれに対する捜査措置を講じて参りますることも、これまた当然であると申し上げていいと思いまするし、今までさようにいたしております。
  73. 亀田得治

    亀田得治君 関連して……。ちょっと法務大臣に聞きますが、今法務大臣がお答えになった通りに私どもは解釈をしております。おりますが、従来の検察庁の態度を見ますると、必ずしも積極的ではない。そういうふうにして国家から引き出された金を、引き出した地方の人が個人的な消費、つまり横領ですね、横領をしておらないで、いろんなほかの公けのことに使っておれば、どうせ公けの金なんだからというような考え方がどうも根底にあるように私考えるのです。従ってそういう点については私ども二、三具体的に、これはいかぬじゃないかというふうなことを検察庁にも申し上げたことがありますが、なかなかその点について尻を上げられない、実際は。私はそういう点は、今大臣がお答えになったのと実情は少し違うように思うのです。刑事局長が見えておられますが、今までのその扱い方ですね、一つ御参考までに聞かしてもらいたいと思います。
  74. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) この補助金を取り巻くいわゆる詐欺事件というものは相当にあるかと思いまするが、しかし今日まで法務省といたしましては、この種事件に対する統計も報告も実はとっておらぬわけでありますが、しかし各地方検察庁から参りました報告によりますると、昭和二十一年から本年の六月までに、この種事件で詐欺罪として有罪の判決を受けたものが四件あります。それから、ただいま公判に回っておる事件が九件ありまするが、これはなかなか今お話のありましたようにむずかしい問題でありまして、たとえば刑法詐欺罪に問うということになりまするというと、相手方をつまり欺罔して、そうして錯誤に陥らしめて金を取るということでありませんと、詐欺罪は成立しないのでありまするけれども、この補助金などについては、やはり金を出す方でも大体含んでおるというような面が相当にあると申し上げていいと思います。でありまするから、受け取る方は相手方をだまして取るのでなくて、相手方の方も承知の上で出しておるというような関係がありまするので、従って刑法のいわゆる詐欺罪に問擬することはむずかしいというようなことから、起訴をしてもなかなかうまくいかないというような点を考慮の中に置いて考えまするというと、そうなかなか簡単に参りませんので、あまり簡単に扱うと直ちに人権じゅうりん問題が起きてくるというようなことになりまするので、慎重さを加える意味において、あるいは第三者から見れば少し手ぬるいような感じを持たれることであろうと思いまするが、これはごもっともな御意見であると存じます。  そこで今回大蔵省出しまするごとき法案必要性が生じてくると、こう申し上げていいのじゃないでしょうか。
  75. 亀田得治

    亀田得治君 まあそこで大蔵省提案しておる法案が必要だ、私もちろんそれはわかります。詐欺の方法によらないでも、そのほかの不正な手段、こういうものを用いてやった。たとえば相手の官吏を一杯飲まして、そうして意思相通じてやったというようなことは、やはり不正な方法になってくるから、そういうものを対象にしていく、これは私、法案必要性がそこに大きくあると思う。それはいいのですが、たとえそういう法案ができても、どうも公金というものに対する検察庁の考え方が、こいつがまあ一つぴりっとしてきませんと、たとえこの法律ができても、今までのように、わずかはっきりしたものが四件、裁判中のものが九件、これでは私はなはだ手ぬるいと思う。ほんとうに個人のお金をごまかして取るよりも、公金をごまかして取る、これの方がよっぽど重いのですから、情は重いのですから、ほんとうに積極的であれば、会計検査院から毎年こういうふうにして報告があるわけですから、検査報告書でも検察庁で調べていく、それくらいの積極性があってもらいたいと思う。そうすれば、たとえば先ほど山口の例がありましたが、やはりこの報告書の中でも、たとえば福井県ですね、あそこでも全然災害が起きておらぬのに、ほかのところの写真を持ってきてそれで取ろうとしたのがあるわけですね。こういうものはこれは一見明瞭なんですから、検察庁が大いにそういうことはどんどん粛正していくのだという気持があるのなら、これは決算委員会の職務としてでも持っていく気になると思う。ところが実際はそうじゃない。だからこの点は一つ法務大臣の方で、よほど部内をやはり戒告をしてもらいたい。私これはお願いしておくのです。  続けて建設大臣一つお聞きしたいのですが、先ほどから法律だけではだめだ、その意見には私も同感です。できるならば、今までの法律でいろいろなことが処理されていく、これができれば非常にいいのですが、たとえば今法務大臣との問答で出たような、詐欺以外の方法ですね、そういうことで公金をごまかして引き出す。私はこれは情状は詐欺罪に該当する場合と少しも変らないと思う。結果において。その処分を二、三にすべき理由は少しもなかろうと思う。ある場合においてはむしろその事情はかえって悪い場合もあるでしょう。だからその点は建設大臣はどういうふうにお考えになりますか。その点だけからでも、新しい処罰を伴った法規というものが要るというふうに私は確信するのですが、いかがでしょう。
  76. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) まだ結論の出ない問題でありますから、私はそれにどういう刑罰を処するのがいいかという議論はいたしません。いたしませんけれども、これは私は個人としての感じを申し上げるならば、今法務大臣との間の意見を私は聞いておっても、刑法で罰せられないようなものをどんどんこの法律で簡単に処罰をしていくということについて、私は担当の役所の者としてみれば、これはなかなか内容については慎重に考えるべき問題があるんじゃないか。なぜ、それじゃ会計検査院が今のようなものを告発をして、刑法にどんどん訴えないのか、これは私は率直に申して、それは一面においては役人の方に不正がある。だから、役人の方の不正はどんどん役所が責任をもって処罰すべきである。同時にその役人の不正と並行して行われた町村長の処置刑法では罰せられないというのを、あなた方はこの法律で罰せよと、こういうあなた方の御意見と申してはどうかしらぬけれども、そういう考え方に対しては、私は率直に申して、全面的に無条件で、何でもかまわんから全部厳罰にひっかけていくということについては、私は法律はしろうとです。しかも刑法なんということは何もわかりませんから、内容的な批判をする資格はないのですが、国民の一人としての感じは、立法府の国会が、そういうことを、事が補助金だからということについては非常に私は責任を感じますけれども、法務大臣の今のようなお話で、現在の刑法では罰せられそうもないというようなものをどんどん罰していくのだということになると、その中身については、私は少くも慎重に考えるべきじゃないかという感じを持っております。これは、しかし私は政府という意味でもなければ、建設大臣という意味でもありません。お問いでありますから、私の所管の問題じゃありませんから、個人的な見解として気持を申し上げるのですから、間違っておったらどうぞ御批判願います。
  77. 亀田得治

    亀田得治君 それは非常に重要な問題です。建設大臣がそういう気持をもって閣議で反対されておるとしたら、これは私は大へんな間違いだと思うから、これはもう少し一つ、あなたの意見も聞きたいと思う。  それはこういうことなんですよ。刑法詐欺罪の場合には、相手方を誤認をさせる、それが一つの条件ですね。補助金等を取る場合にも、はっきりとした相手の役人をごまかすという手段がなくて、今度は逆に結託していく、こういう場合なんです。ところがそういうことは、普通の社会においてはないわけです、普通の社会においては相手は一人ですから。これは国の金を取る場合に、その国の官庁を構成しておる一部の人をごまかしていくわけですから、そこに二重に分れるわけでしょう。だから国の場合にはこういうことがあり得るわけですね。私はむしろ今の刑法をもっと厳格に解釈して、そういう場合には、その民間の人が補助金を取るその詐欺行為、それに対する共犯、国家に対する関係において、その役人はそういう形で罰せられないかと思っておるのです。しかし、それは法律上相当無理があると思う、これを共犯者として処罰するということには。だから、それはよくない行為であるという実質は少しも変らないと私は思う、その点だけは。ただ処罰に疑義があるというのは、ただ技術上だけの問題で、そんなことはいい。それは詐欺罪よりも情状が軽い、そんなことをお考えになる人は私はおらないと思う。その詐欺罪規定刑法で設ける場合に、国家の補助金の詐取ということが中心の議題になっていたのであれば、そういう点はもっと詳しく刑法規定を書いたかもしれない。しかし普通はそうじゃない、普通の詐欺の問題というのは。そういうわけなんですから、何も刑法処罰の価値のないと断定しておる行為を、この法律によって新しく処罰しよう、そういうことじゃない。当然これは犯罪という立場から見て、もう批判さるべき行為なんです。それが抜けておる。その点これは建設大臣も十分一つよく考えてもらいたいと私は思う。これは見解の相違ということじゃなしに、もう少し慎重にいかがでしょうか。
  78. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 考えろということでありますから考えます。
  79. 山田節男

    委員長山田節男君) ちょっと平川農林次官にお尋ねしますが、今大蔵省が出さんとする補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律案、閣議でいろいろ議論されたということについて大蔵大臣、それから川島国務大臣竹山建設大臣花村法務大臣等に御意見を伺ったのですが、あなたから本案について農林省としてはどういう考えを持っておるのか、この点を一つお示し願いたいと思います。
  80. 平川守

    説明員(平川守君) 閣議においていろいろお話があるようでありますが、少くとも事務当局といたしましては、かねてことに私どもの方では非常に補助金の種類も多く、その不正な使い方についていろいろ検査院等から御注意も受けております。われわれといたしましては、これの適正化、またそれについての現在考えられております法案に対しましては賛成をいたしております。
  81. 山田節男

    委員長山田節男君) それからこの法案に対しましての会計検査院側の御意見を承わりたいと思います。
  82. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) 会計検査院におきましては、御承知のように、数年来補助関係事業費の検査を重点的に、かつ統一的に実行を特にいたしておるのでありますが、相当な不当事項が上って参りますし、また普通の工事完了後に検査をいたしたのではもう工事ができてしまったあとのことで、もう少し早目に検査した方が実効が上るのではないかというので、二十八年災、二十九年災などにおきましては、査定が終りますと同時に、直後に時を移さず会計検査を実行いたしまして、これを私ども早期検査と申しておりまするが、早期に検査を実行いたしまして、これはまたおびただしい不当事項を発見いたしまして実は驚き入っておる次第でありまして、そのために会計計理の不当を防止し得た効果は相当大であると確信いたしておるものであります。  数年来の検査の結果にかんがみまして、昭和二十八年七月でありましたか、関係各省大臣に対しまして、これでは相ならない、改善を要求するという改善意見会計検査院法規定によりまして関係各省大臣に要望いたしたのであります。それと相前後いたしまして、その後しばしば会計検査院の事務総長の名におきまして関係当局に注意を発しておるのであります。よほど真剣に取っ組んでいただいておるようでありますが、まだ会計検査院から見ますると、机上の査定をできるだけ多く、実際の実地査定に移すということを、建設省が非常に大きなパーセンサージでやっておられるほかは、あまり私どもとしては改善されておるように考えておらんのであります。それは会計実地検査の結果にかんがみて申し上げるわけであります。  一方補助金を受けます側の市町村とか組合側を見ますると、財政窮迫といいますか、財政上の理由も反映いたしまして、できるだけ自己負担を免れたいというふうな気風が見えますし、工事に対しては便乗の工事費を要求するというような弊風が跡を絶たないような気持がいたすのであります。かような補助事業の現状並びに会計検査院検査の結果にかんがみまして、この際補助金を支給する方の側並びに支給を受くる方の側におかれまして一大猛省をされまして、補助金の正当なる使用になお一段の御努力をしていただくようにするために、補助金適正化に関する立法は必要なことではないかというふうに私ども考えております。
  83. 山田節男

    委員長山田節男君) 今の会計検査院長の御意見は、大蔵省の今、出さんとしておる原案ですね、こういった趣旨のようなものを出すことは望ましいという御意見ですか。
  84. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) 大蔵省といいますか、ただいま私どもの知り得た適正化に関する法律案でありまするが、詳しくは研究いたしておりませんが、あの程度の立法化は望ましいもののように考えております。
  85. 八木幸吉

    八木幸吉君 先ほど川島行政管理庁長官から、予算も人間も少いので一生懸命やっておるけれどもというお話がありましたが、行政管理庁の地方機関は千三百八十人の人員で、予算は二十九年度で五億四千四百万円、もっともいろいろ有効な調査が出ておることは私もよく承知いたしておりますが、必ずしも人間も予算も少いとは申せないと思うんで、どうか一つできるだけこの上ともに能率を発揮していただきたいということをお願いをいたしておきます。
  86. 島村軍次

    ○島村軍次君 それでは私は別の角度から一応お聞きしたいと思うんですが、会計検査院補助金に関する調査によりますというと、むしろ現在の弊害は、最も一番大きい問題は、受ける方の側が主体であるようであります。ところがこの受ける方は市町村が主体であって、まことに事務が煩瑣で、一々その収入役も自分の方の補助金がどういうものが来たかわからんというくらい数が多いというようなことになっておる。だからといってこれは私は不当不正の事項原因がそこにあるとは申すわけでありませんが、要するに国の助成金、補助金を効率的に使用するということが一番の問題だと思うんです。これは予算編成の問題にも関係を持つ問題でありますが、そこで逆の立場と申し上げたのはそこからなので、受ける方は、農林省は農林省で監察を強化され、建設省建設省強化され、行政管理庁は人員の少い中からやられる。民の声として聞きますれば、検査見えたり、あるいは監査を受けるに一年の事務の何分の一かを要すると、こういうような現状のところもあるわけであります。そこで私はむしろこの際親心をもってやるという、これは最もその補助金整理の基本的の問題に関連を持つと思うのです。それでなお甘くやれという意味ではありませんけれども、ともかくもそういう現状におきまして、やはり機構を拡充してということだけではこの問題は私は解決せんと思うのです。しかも予算には制限があるし、そこで私は昨年の、決算委員会が主体となって本会議において決議されました予算の執行に関する決議、会計検査院の拡充に関する決議のときにもちょっと触れたのでありますが、そういう考え方からいきますと、行政管理庁は先ほど岡委員は一体何をやっておるのだというふうな、そういう意見もあるということをお話になりましたが、今のやり方では非常に私中途半端ではないか。それと同時に、各省が各地においていたずらにこの監察制度というものを強化するということだけで、それでそれに対するスタッフがずんずんふえてくるが、監査を受ける方はこれは今のような状態でありますれば、事務が非常に煩瑣であるばかりでなく、検査院の報告によりましても、手続が繁文縟礼で、おそろしく厄介の上、分け方がまたいわゆる総花的なのに加え、手続がすこぶる煩瑣になっておるということが一つの大きな今日の補助金制度の欠陥ではないかと思うのです。  私はこの際そういう見地から、大蔵省で今度補助金整理の法律案をお考えになっておるということは、これはもうぜひやらなければならんと思うのでありますが、同時に補助金に関しまして、机上査定を実地査定にやれということは当然でありましょうが、行政管理庁の機構と、それから大蔵省でやっておりまするいわゆるこの予算の経済的効果などのために、予算編成の資料として作っておるこれも、私は実は中途半端だと思うのです。これは財務部でやっておられる、立会ってやられることにはなっておりますが、私はこれは徹底した予算編成の資料にはきわめて微温的なものだと思うのです。こういう問題と会計検査院検査というものはあわせて、そうして根本的に考える必要があるのではないか、こういうふうな考えを持っているのですが、行政管理庁の長官の御意見一つ伺いたい。
  87. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 現在の財政、行政に対する監察制度は独立機関であります会計検査院のほかに、行政内部におきまして行政管理庁が全国的に全般的に財政と行政の監察をいたしております。その以外に各官庁それぞれ、ことに現業を持っておる官庁におきましては監察官制度を設けまして、官庁独自の専門的の立場でもって行政監査をいたしておるのであります。従いましてややともするとこれが二重、三重の行政監察になりまして効果的でない。むしろこれは一元化すべきだという議論がかねてからあるのでございまして、これについては私どもとしても考究いたしておりますが、まだ結論は出ておりません。  会計検査院決算に対する検査と私どもがやっておりまする行政事務に対する監査、これは性質が違うのでありますからして、私どもは単に財政の方面だけでなしに、行政全般に向っての監査をいたしておるのでありますからして、これは性格が違いますけれども、各省ごとに持っております監察制度というものを一元化するの可否ということについてはこれは十分考究すべき問題だと、かように考えておるのであります。  それからもう一つの御意見は、あまりにも零細な補助金が各末端の地方団体にあって、それは不都合じゃないかということのように承わったのですが、それはまことに御説の通りでありまして、三十年度の予算編成に当りましても補助金の整理統合をやったのでありますが、そのうちのある程度は自由党と民主党の折衝で復活したことは御承知通りだろうと思う。政府といたしましては、補助金に対しては今後ともこれを適正化するために整理統合することは必要だと考えております。従いまして三十一年度の予算編成に当りましても、そういう方針で各省とも臨むことが私は望ましい、こう考えておるわけであります。
  88. 大倉精一

    大倉精一君 建設大臣にお伺いしますけれども大臣は今度の大蔵省原案法案について反対なさっておるように新聞で見ましたが、この七月五日の朝日新聞には建設省の対策要綱というものが発表されております。そこで大臣にこの対策要綱を具体的に実施していくところの裏づけになるいろいろな自信がおありになると思うのですが、私はこの要綱というものは大蔵省原案法律でできてもこれはやらなければならぬと思うのですが、たとえば第一項の「国庫補助事業については事前調査、完工検査を必ず行うこととし、中間検査も励行する」、第二項には「特に災害復旧事業には実地査定を完全に行う」、あるいは第五項では「補助事業の申請の調査、使用などに対する監督を従来より強化する」というような項目があって、まことにけっこうだと思うのですが、これをやるについて一体具体的にどういう工合にその裏づけを充実したらやれるという自信がおありになるのか、ちょっと伺ってみたいと思うのであります。
  89. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 調査は事前調査と竣工検査と中間検査と三つやる計画を立てておりますが、一々のこまかい数字は省略をいたしますが、道路、河川、住宅、都市、災害復旧というのを、各局をもとにいたしまして、たとえて申せば事前調査は六万八千九十六件を調査いたします。それに要する所要人員は六千三百三十人、こういうことで、これには各局の者が出ることはもちろんのこと、地方の建設局の職員を動員いたしまして徹底的にやるつもりであります。ことに今検査院長からもお話がありましたように一番問題の点は災害でありまして、現に建設省災害以外の批難事項というものは二十五年度において三件、中小河川、道路、砂防各一件、二十七年度は都市計画に一件、二十八年度は一件もありません。今、岡さんでしたかどなたか御指摘いただきましたように、四百五十一件の不当工事数があり、批難件数は百六十四件でありますが、金額からいいますならば二十五年度が三億、二十六年度が一億、二十七年度は一億六千万円、二十八年度が一億円というふうに漸減をいたしております、何もないとは申しませんが。私は就任早々でありますけれども建設省の上下を一致して、世間の非難に対して全力をあげて努力しておるということは、私としては非常に職員諸君の努力を多といたしておるわけでありますから、この線を強化して、なお世間の非難されるような災害の問題に対しては一そう現地調査をやる。  率直に申すと、二十八年度は一番問題の多かった大災害でありますから、現地調査は事実上できはしない。それを図面調査でやったために非難が非常に多くなったということは事実であります。また、同時に検査院の報告によりましても、四百五十一件の工事数のうちで二百八十件は、事業主体が正当な自己負担をしていないというものでありまして、百七十一件はいろいろ工事の疎漏だとか、工事の出来高不足だとか、設計過大であるとかいうことに指摘をされておりまして、この点は、今川島長官も申したように、地方のそれぞれの機関が自己負担を何もことさら避けるわけじゃない、金がないから避けるのでしょうけれども、その点をきちっと設計通り検査院が追及をしますから、これは当然のことでありますけれども、その結果として、二百八十件という大部分のものが災害であり、しかもその大部分のものが正当な自己負担をしていないということによって批難をされております。  私は、実は農村関係の者でありまして、これは制度として考えなくちゃならぬと思うのは、御承知のように、昔は農村で被害が起ったときには、いわゆる、何といいますか、自分で働いて災害を復旧したということが、農村のある意味においての習慣でありました。それが現行の制度においては現金を支払わなければならぬという、会計検査院の追及に会うものですから……。実際は農民はうんと働いておる。働いておるけれども、帳面に載らないものだから、自己負担をしないのだということで責められて、これが今度は厳罰に処せられるということになりますと、善良な国民に一体そういう取締りでいいのかどうか。農林省は厳罰賛成とおっしゃいますけれども、少くとももっと実情に合ったように考えてやらなければ、善良な国民ばかりが罰されてしまうということを私は実はおそれているわけであります。そういう意味で、私は、建設省としては、精力のあらん限り、役所の責任において現地調査をいたしまして、善良な国民から不当な非難をこうむらぬように、役所の責任においてやるつもりであります。
  90. 大倉精一

    大倉精一君 今日、私は法案審議をしておるのではありませんので、私が申し上げるのは、かりに大蔵省原案の草案ができたとしても、この建設省の対策要項はぜひともやってもらわなければならぬと思いますが、たとえば、会計検査院の書物の中にも、よってきたる根本原因についてはさらに事業主体の財政経理面にまで立ち入って考究する必要がある、こういうことまで意見書に書いてあります。そうするならば、簡単に事前調査、あるいは完工検査を必ず行う、中間検査も励行する、あるいは補助事業の申請の調査、使用などに対する監督を従来より強化する、こういう工合に述べられておりますが、先ほどの総理大臣の御答弁にもあったように、総理大臣もそういうことを言っておられます。ところが、これは単なる作文ではとうてい実行が不可能であって、こういうことを励行するがためには、予算面においてもあるいはその他の面においても、相当大きな決断が要ると思うのです。その決断の御用意がおありになるかどうかということを私はお伺いしておるのである。  もう一つは、たしかに建設省関係はいろいろそういう事案も減少しておることは知っております。知っておりますが、閣僚として全般をごらんになるときに、たとえば農林省関係は非常に膨大なものがあると思っておるわけです。ですから建設省はこれでいいからということでもって全般を律するということは非常に私は危険だと思う。従って、閣僚の一人として全般をごらんになって、果してこういう要項というものを完全に実施される、そういう御決意がおありになるかどうか。これはむろん農林省関係についてもこの要項はやってもらわなければならぬ。私はそういう具体的な決意というものをお聞きしておるのであって、鳩山総理大臣からも先ほどそういう御答弁があったが、大蔵大臣は必要なものはやりますという変なことを言って途中からどっかへ行っちまったのですが、必要なことをやるというのは当りまえなことであって、私の心配しておることは、こういうことを今までやっておらなかったがために、年々莫大な国損出しておる。従ってこういう要項を作られた限りにおいては、そういう決意があるかどうか、そうして建設省関係においてこれをおやりになるがためには、一体予算をどのくらい増加計上しなければならぬ、人員は大体どのくらい、こういうふうな腹案があったら御参考までに承わっておきたい。
  91. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 大へんどうも議論をいたしまして……。今立てております検査計画は、人員を増加するということはこの時代においてなかなか実情に合いませんから、現在の職員に働いてもらってやります。なお、旅費も現在の予算の範囲内でやる計算を自信をもって立てたわけであります。なお、農林省の分はどうかとおっしゃられますけれども、これは農林大臣がおられるのに人の分まで私がかれこれ申し上げるわけには参りません。
  92. 岡三郎

    岡三郎君 建設大臣、山口県の先ほどの例はやはり建設省所管で、沈没していない船を云々とやった話があるでしょう。これは三百四十八万五千五百円、そのほか、建設省所管で批難事項に書いてあるものの政府説明書ですね。その中に、国庫負担金を還付させる手続中であるとか、還付させたいとか、こういうように書いてあるのですがね。今までで一番問題は、還付していないですね。中央の方で還付させるのにもちゅうちょしておるし、またさようにきまっても手続が非常に緩慢であって、また下の方は、一たんもらったものをいろいろな方法で使ってしまって返せない、実際、実情面から見ると、これは、今まで各局長に質問したところが、実際はむつかしいというふうにしばしば答えがあるわけです。それで農林省の方の問題になったわけですが、建設省においても、実際面として百パーセント実地査定をするというふうにして、次に中間検査ですね、一体出来高がどうなっておるのか、あるいは工事自体が規格に合っているかどうかというふうな点、それから最後に成功認定ですか、こういったものをやっていくということは容易でないと思うわけです。だからそういった点で、今の現人員と現旅費でやられるということになれば相当の決意を要すると思うわけです。そういうふうに建設大臣が思っていることは非常にいいことだと思うのですが、実際に有終の美をなせるように全部批難された事項についてこれを一応締めくくりをつけるという点が非常にむつかしいといわれておるのですが、その締めくくりをつけるについてどういうようにお考えでしょうか。つまり最後の決断をした場合に処理をどうするか。
  93. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 今お話の還付の問題はたしかに現実の問題として問題であります。今建設省関係では、二十五年度から二十八年度までに還付を命令したのは三百六十四件あります。そのうち、完全に収納し切ったものは百五十件でありまして、まだ未納の分が確かにあります。この点も私は厳重にもっとやるように……、これも事実の問題でありますから、お話の通り、百パーセント今すぐそろえろとおっしゃられても、ないものはないということで、何とか別のことを考えさせなければ、町村にないものを取ってくるわけにはいきませんから、実行問題については幾多の困難が伴いましょう。これは立法処置を講じたって同じことだと思います。そういう意味で、これは努力をいたしまして、一たん還付命令を出したものについては御指摘のようにこれを完納させるべく努力をいたします。これは結局役所の努力でやる以外に解決の道はないと私は思います。  それから今、検査の計画について大へん御疑問をお持ちのようでありますが、決して私は図上プランで申し上げているわけではないので、これほど皆さんに御心配をかけるこの事態でありますから、もう今の予算をどんなにやりくりをしても、またこれは抽象論じゃなしに、計算をしてみまして、決して余った金があるというわけじゃありませんけれども、他のものは抑えてもこれだけは必ず実施をするということで、今監察官が中心になって、ここへも来ておりますから、具体的に御指摘を下さるなら、具体的に説明をいたしますが、この計画を立てて実施をいたすつもりであります。
  94. 岡三郎

    岡三郎君 今のに関連して……。
  95. 山田節男

    委員長山田節男君) 花村法務大臣に御質問があるかもしれませんが、四時半に御用事があるということでございますが……、岡さんは……。
  96. 岡三郎

    岡三郎君 今続けてやろうと思ったのです、建設大臣に。
  97. 山田節男

    委員長山田節男君) 建設大臣ですか、じゃ済みませんが、はなはだどうも……。
  98. 八木幸吉

    八木幸吉君 会計検査院が、会計検査院法第三十一条で懲戒処分要求を昭和二十五年度から昭和二十八年度までに一件もやっておられない。それから同会計検査院法の第三十三条で犯罪ありと検察庁に通告されたのがわずかに三件であります。  そこで私伺いたいのは、刑事訴訟法の二百三十九条の第二項で、会計検査院は一体詐欺に類することは告発できないのかどうかということを、これはあと会計検査院に伺いますが、法務大臣に伺いたいのは、会計検査院報告を、たとえば二十八年度なら二十八年度を詳細に御検査になって、先ほど亀田委員からも、お話がありましたが、詐欺に類する行為があれば進んで告発するという強い一体気持はないのかどうか、この点を伺ってみたい。
  99. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) 会計検査院法におきましても、会計検査官がその職務の執行中に不正ありと認めた場合においては、検察庁に通告をせなければならんという規定もあり、また公務員法にもただいま申し上げました同様趣旨の規定が設けられております。従いまして検査官なりあるいは公務員にいたしましても、自分の職務執行の上において不正事実ありと認むる場合においては告発ないしは通告をいたさなければならないことは当然でありまするけれども、しかし検察庁といたしましては、その告発なり通告があるなしにかかわらず、もし犯罪に該当する行為ありと認め得る場合においては、もちろん進んでこれが捜査を進めて参りますることのできることはこれは当然であります。従いまして、この当然な趣旨に基いてやってきておるのでございまするけれども、しかし、なかなかその職務を執行しておるその者すらもなかなか不正事実の摘発が、ただいま申されましたように、容易になされておらんというような関係にありまするだけに、やはり外部から検察官がその捜査に当るというようなことは、証拠収集の上から申しましてなかなか困難なことでありますることは言うまでもございません。しかしながら、いかに困難であろうとも、検察官の方面でそういう犯罪事実ありと思料し得る場合においてはちゅうちょなく厳重にやっておると申し上げてよろしいと思います。
  100. 八木幸吉

    八木幸吉君 今お話の通りでありますけれども、実際問題として、会計検査院は国の経理事務を処理する職員の職務上の犯罪だけを検察庁に通告いたしておるというのが実情であると思います。そこで法務大臣に私は希望いたしたいと思うのは、会計検査院のこの決算報告というものがあるんですから、その中からこれは犯罪になるといったような問題を進んで調査するというだけの熱意があるかどうか、今御覧の通り補助金予算の執行の適正に関する法律案さえ、みなさんやかましくこれは作ろうじゃないかといっておる時期でありますから、すでに捜査の端緒は会計検査院報告で十分くろうとが御覧になればわかると思う。それを積極的に一体調査をなさる御熱意があるかどうか、ただ受けて立つという立場であるかどうか、そこのところをもう一つ突っ込んで伺ってみたいと思う。
  101. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) それはただいま申し上げましたように、犯罪の嫌疑が濃厚でありまする場合においては、ちゅうちょなくすみやかに捜査をいたしていきまするが、しかし犯罪があるかどうかということを探してまでもそれをやらなければならんということは、これはなかなか困難なことであろうと思います。御承知のように法務省もなかなか、今日検察態勢においても犯罪等と比較をいたしまして手不足の感のありますることは皆さんも御承知通りであろうと思いまするが、この手不足な検察陣営が、さらに進んでそういう会計検査の面まで首を突込んで、そして犯罪ありやいなやを捜査して検挙するというようなことは、これはまあ口では申すことができましても、果して実行ができるかといえば、これはなかなかできないと思います。従いましてそういう点も考慮に入れて、この会計検査院検査官もしくは公務員に、法律上やはり犯罪ありと思料する場合においては職務上通告なりあるいは告発なりをやらなければならんという義務を付加したものであると、こう私は申し上げてよろしいと思いまするが、しかしそういう法律検査官並びに公務員に付加しておるからといって、この検察官の責任が軽減されたという意味じゃありませんから、それでもう犯罪ありと認め得らるる事実がありますれば、それはもうどんどんやって参りますることは、これは言うまでもありませんが、しかしさらに突き進んで会計検査の中までも入って不正事件を掘り出すというようなことは、これはなかなかむずかしいことでもあり、またそういうことがとかく人権じゅうりん問題を伴うというような関係からいたしまして、今日の基本的人権を非常に尊重する今の時代においては、やはりこれは十分に考究し、慎重に考えなければならないんじゃなかろうかと、こう私は存じます。
  102. 八木幸吉

    八木幸吉君 もう一つ、沈まない船を沈んだといって、にせの写真を出し補助金を取ったのがこの間の決算委員会の問題になったんですが、そういうものには検察権は発動されますか。
  103. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) もちろんただいまのようなお話でありまするというと、詐欺罪を構成することは明らかだと思います。ただその与えた方がその事実を知っておったかどうか、まあその疑問を持たれるという関係がなければ詐欺罪になりませんから、うそをつかれて金を出したんだという、それが事実であるとすれば、もちろん検察官として捜査を進めますことは当然でありまするが、しかし相手が承知の上で金を出したということになりますると、これは詐欺罪になりませんが、まあしかし、そうかといって背任横領という問題も考えられるのでありまするが、そこがなかなか紙一重でむずかしいところですから、下手にやれば人権蹂躪で、かえってあべこべにお叱りをこうむるというようなことでありまするので、それは、やはり、あくまでも慎重に、しかも不正行為は断固として見逃すことがないという気持でやっておるような次第でありまするが、まあ、ただいま言われたようなことも、なかなかこれは法律的見地から考えますると、むずかしいので、ただそれだけのことで直ちに詐欺罪が成立するものなりと断定することは、これはむずかしいと思います。以上のような意味に私は解釈いたしたいと思います。
  104. 亀田得治

    亀田得治君 関連して……。だからですね、調べてみなければわからぬでしょう。それを言っているわけなんです。これほど、それはあなたの方にも国会議員としてちゃんと報告書は行っておるわけです。その中で特に極端なものを摘出して話をしておるわけなんですから、だから、じゃあそれを調べてみようと言って手をつけてみなければわからぬでしょう。それを手もつけないで、ああでもない、こうでもないと言うから、これはやは非常に消極的なんじゃないかという印象を受けるのです。そういうことなら一つ検討してみましょう。これくらいのことは、やはり言ってもらって、実際上検討して、その結果どうであったかということを、やはり知らしてもらいたいですね、見解を……。
  105. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) ごもっともなような話でありまするけれども、(笑声)しかし犯罪事実があるかどうかということがはっきりしないのに、むやみに手をつけますると、すぐにそれがもう人権蹂躪問題として、なかなか大きい問題に相なってきまするので、まあ検察官といたしましては、やりたい面も相当あるでありましょう。きっと気持の上では、うようよしていると思うのですが、ただやたらに……犯罪が大体あるものであるという見当がつき、しかもそれに対する証拠も、こういうものと、こういうものとあるのだというので、証拠も読めるということで、大体の見通しがつく場合には、これはまあ、いやが応でもやりまするけれども、そうでないのに、これは海のものか山のものかわからぬというのに、うかうか手を出して、もしそれが問題にならぬということでありまするならば、これは大変な人権蹂躪問題で、すぐお叱りを、(「それは法務大臣じゃなくて弁護士の立場ですよ」と呼ぶ者あり)いや、お叱りをこうむることになりますので、ここがなかなかむずかしいところであり、しかも検察官としての苦労がここにあると私は申し上げてよろしいと思います。
  106. 山田節男

    委員長山田節男君) ちょっと、もう時間がきましたから、これは法務大臣、あるいはまた次回にもでも……今日は時間がございませんから……。
  107. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) なんどきでも一つ……。
  108. 山田節男

    委員長山田節男君) それから正示君にお尋ねしますが、実は大蔵大臣の御出席のときに質問したいと思っていたのですが、あなた、大蔵大臣に代ったつもりで御答弁願いたいのですが、第十九国会出し補助金予算執行の適正化に関する法律案、これがこの二十二国会で用意されたものは、たとえば体刑において十年が七年になり、それから詐欺の未遂は罰しない、非常にゆるやかにこれを出したところが、閣議でもって、竹山建設大臣とかあるいは川島自治庁長官が、いわゆる慎重論といいますか、そういうようなことで、行政罰だけにしてしまおうじゃないか、こうなってくると、何だか初めはトラだったのがネコでもない、しまいには、できやしないのじゃないかという気分を持っているわけです。もし川島大臣竹山建設大臣のような御意見閣議で強くなってしまうと、結局その行政罰だけを入れたような、実に何といいますか、十九国会の当時から言うと、もう全く目的を達成されないようなものを政府閣議で決定して出そうといった場合に、なお大蔵省としては、立案者として、そういうものでもなきにまさるというつもりで、来週の閣議にかけても、来週の国会提案することを大蔵省としては同意されるのか。一つその決意を大臣に代ってお述べ願たいたいと思います。
  109. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 御指名でございますから、私一応お答え申し上げますが、この点は内閣におかれまして、閣議のレベルにおかれまして慎重に御検討に相なるように承知をいたしておりまするので、私ども閣議の御決定に服従する以外にないと思います。大蔵省といたしましては、大蔵省立場は十分御説明申し上げまして、内閣あるいは閣議のレベルにおかれまして御考慮をたまわるようにいたしたいと存じております。
  110. 石川清一

    ○石川清一君 私は竹山建設大臣川島自治庁長官にお尋ねしたいのですが、法務大臣がおれば非常によかったのでありますが、今度の会計検査院報告の中で、一番明らかに、これは、詐欺と思われるようなこの事実に対して、法務大臣は、まああいまいな答弁をされたのでありますが、少くともこの問題を取り上げるそこにありまして、これを支持しようとする、いわゆる町村側あるいは県庁の土木関係を支持する立場にある監督官庁としては、建設省としては、正しい技術、いわゆる復興に対する正しい技術と、その上に立っている計画を背景として、大蔵省の財政金融に対する圧力に抵抗しなければならないでしょうし、また会計検査院検査に対するいわゆるきびしさに対しては、そういうもので対抗しなければならないと思います。また自治庁は、府県あるいは町村公共団体に代って、いわゆる災害のあった事実、あるいはそうでない補助金に対しては、正しい住民の輿論、こういうものを背景にして、大蔵省予算を折衝し成立せしめ、これが執行に当らなければならないと思います。ところがこの中で、今まで会計検査院の審査を通じて各省から、出て参りました場合に、そういうものが非常に欠けていると私は思います。今日の建設大臣答弁の中にも、私はやはり技術をもって、いわゆる復興計画に対する技術、その技術が政治的にあるいはゆがめられて、それが過大な見積り、あるいは過小な工事、粗漏工事をきたし、それを守るのが、私は技術的な立場に立って、建設省あるいは大蔵省にやはり予算の編成実施の面が対抗しなければならない。こういうように感じております。従って先ほど法務大臣の、あのあいまいな答弁に対して、今度も山口県のあの渡船の問題、技術的な面に立って、あるいは住民の輿論の上に立ってこれを支持すると、これは反対ではないと、こういうように支持するという勇気がございますかどうか、お尋ねをいたします。
  111. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) 例のことはお聞きになったのでございますので、ちっとも支持する気持はございません。先ほどからいろいろ御意見も出ておりますが、私は法務大臣に問うまでもなく、会計検査院がどんどん告発したらいい、そうすれば何も法務大臣にいろいろ説明を求めるまでもなく、そういう事態は前進すると思う。それを会計検査院がぴしぴしやらずして、法律の抽象論でやっても、事態はちっとも解決いたしません。従って私は、何もこのことを、悪いことを支持するという気持は一つもありません。どうぞぴしぴしおやり下さってけっこうであります。
  112. 石川清一

    ○石川清一君 それではもう一点、建設大臣にお尋ねをしますが、これは前の建設省の場合に私は問題に取り上げたのでありますが、これは千葉県印旛郡木下町地先、利根川本川木下第四機械浚渫工事の出戻りの手直しに対する不当工事として指摘された問題であります。私はこれはあえて建設省の側に立ちまして、技術的な立場でなぜ対抗しなかったかということを申し上げたのであります。終戦以来十年経過いたしておりまして、その中で建設省の最も力を入れておるのは利根川の改修であります。しかも建設省から最も間近いところで取り上げられておる工事が不当工事として指摘をされております。これは御承知のように、将監川に浚渫をした土砂を流すのを、地元の反対がありまして、これを堤内に一応あげまして、さらに出し工事であります。私はその当時の実情から考えまして、これは当然指摘される工事でないと、私は現地を調査してそういうように感じました。なぜ建設省は、十年たって、立派な工事に対する計画と実施の能力を持っておりながら、これをおめおめと会計検査院指摘に屈したか、こういうことをこの間も指摘をしたのでありますが、こういう点について、私は技術者が、当時の町村の情勢工事の現状から見まして、これは不当でないと、やむを得ない点と考えて、正当だと、こういうように――やむを得ないのだ、不当ではないと考えて主張したのでありますが、将来こういうような問題が起きまして、建設省が技術者を守るために、技術者がその当時の最大の努力をしておる、これを守るために、会計検査院にどこまでも抵抗しなかったら、今までのようなことを終戦以来十年間、これからも十年間また同じように繰り返すのではないかと思うのでありますが、こういう技術陣に対してどういうようなお考えを持っておるか、お尋ねをいたします。
  113. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) まことに御親切な御注意でありますが、私はその事件については建設省に落度ありと認めております。それは工事そのものの現場の技術者のやった行為は、私はあれは、ああやるよりほかに方法がなかったと思いますが、途中の事務的な手続においてそのことを正当に根拠づけておかなかったということを会計検査院から指摘をされておりますから、これは私は石川さんのお話のように、技術者の善意の努力は、私は敬意を表しますけれども、事務的に役所としての手続に欠けるところがあったと思いますから、これは検査院の言うところに屈した、屈したという言葉はよくありませんが、その指摘に応じてわれわれの態度を明白にしたわけであります。しかしお話が出ましたから率直に申しますと、ああいうことよりも、もっと私は実情に合わないと思いますのは、ごらんになったと思いますが、利根川の浚渫のために砂を吐き出しておる、それを低いところのたんぼへ持って行ってこれを埋めようとすると、これは会計法違反だからやっちゃいけないと、こう言う、それで要らないところへ山に積んでおかなければならぬ、こういうことも実はむだなことでありまして、検査院を責めるのじゃありませんが、これは制度が悪い。そこで今度私は設置法の一部改正をいたしまして、そういうことを合理的にできるようにいたしましたけれども、実をいうと、まじめに技術者がやっておることについても、当然農民から見れば、その砂は埋めてやったら双方ともいいと思いますけれども、それは会計検査院からみると不正だ、こう指摘されておる例もあるのであります。ちょうどお話が出ましたから申し上げたわけで、決して私は反抗する気持で申すのじゃないのです。これは役所同士の話でありますから、そういうことに合理的な、ちゃんと筋を通して参らなかった、とかく建設省は現場で仕事さえすればいいのだという技術者の気持でやっておる、それを制度的に一々検査院の立場からやられますと、今いうような点が出てくる、これは間に立つ事務官なりわれわれの責任であると思いますから、技術者が思う存分に働けるような制度を制度として私は改めて参りたい。大へんいい御指摘を受けましたから、われわれも反省をいたしますが、そういうことに、国民のためになるように私は進めて参りたいと考えております。
  114. 岡三郎

    岡三郎君 先ほどの還付するやつですね。これについて実効をあげてゆきたい、こういうふうに言われたわけですが、実際問題として現在残っておる還付件数が相当あるわけですね。それで、まあ今年もこういうふうに水害が所々方々で起っておる。それに対して一応処置をされるとしても、今後これに対する補助金その他考えてゆかなければならぬと思う。結局事故がずんずんふえてゆけば、限られておる人員で、やはり能力がある程度まで限定されると思うので、だんだんと事件が多くなれば、いつまでも、つながってゆくという心配もあると思う。それに対して、これは大臣というよりも、事務当局がそれらの還付するものを早急に片付けなければ、二十九年度、三十年度と、また事態が出てくると私は考えるわけです。そういう点で、それに対して、いつまでにそういったものを処理するのか。これはもうだんだん累年起きてゆけば処理できなくなると思うのです。そういう点をまあ、あわせて私は、将来法律を作ってどの程度まで実効があがるかという点について、それは一面において竹山大臣の言うことも私は妥当な点もあると思いますが、しかし私は、今までの分を処理するとしても、一つ将来こういった問題を、法律だけではなくして、両面からこれを是正してゆくということで漸次件数を少くし、そうして過去におけるものを整理してゆかなければ、あわせて限られた人員でなかなか実際には苦心の点が多いのじゃないかと思うわけなんです。そういう点で、建設省当局がこれに対して今後いろいろと態度をきめられてゆくわけですが、結局先ほど大倉委員も言ったように、他の省との関連もいろいろあるわけなんです。それで、結局竹山大臣が言うように、会計検査院がどんどん法律に基いてこれをやればいいじゃないか、こういうことになれば、結局建設省当局が一〇〇%事務上において実地査定をして、目こぼしはない、中央官庁自体には一応目こぼしはない。しかし具体的な実施方法においていろいろ悪い点があって、いろいろな問題が起ってくるということに対しては、これは摘発してもらいたいということにならなければ、ある程度は実地査定をして、あるところはやらぬということになれば、これは全体的にいって不公正になるわけなんです。こういうことを考えると、農林当局あたりは件数が非常に膨大で、実際に実地査定を全部やって、そうして目こぼしは中央においてはないというふうになって、実際に出てきたものを会計検査院が、これは中央は十分やったのだけれども、地方がいいかげんなことをやった、こういうものをどんどん会計検査院がやるということになれば、ある意味では会計検査院も腹をきめて断固やれると思うのですが、実際の状況は、机上査定というものが相当数多かったわけなんです。だからこれは内閣全体を通じ、補助金全体を通じて、これを会計検査院がびしびしやって、それで公正が期せられるかというと、どうも片手落ちという点も実際は出てくると私は思うわけなんです。だからまず政府としては、各省を通じて人数をふやすとか、どうとかいうことはやらぬとしても、実際に机上査定ではなくして、実地査定、これを全部やり得るのかと私は言いたい。それを全部やってゆくならば、会計検査院というものが、なまぬるいということも私はいえると思うが、会計検査院の苦心をするところも、結局一部限られたものを検査して、そうしてその中から抽出して、それでたまたま網に引っかかったものを告発するということになるという点について、会計検査院も相当苦心があるのではないかというふうにも思うわけです。その点で、これは政府当局全体について私は聞きたいのですが、机上査定をほんとうに根本的にやりかえるところの方針といいますか、それがあるのかどうか、私はこういう点になると思うのですがね。
  115. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) まず私の分から申し上げますが、問題は災害であります。しかし災害は昨年から、今、検査院長も言われたように、建設省に関する限りは現地査定をぐっとふやしまして、事実全部に近い程度にやって参った、最近は。そこで今年度からは、もう申しておる通りに全部査定という建前で、これはお話しのように、そう言っておいて一部分を残すということは、かえって混乱を来たしますから、言った以上は全部やります。ただしかし、そこで人の点に及ぶといいますが、ただこれは実際問題ですが、大蔵省にも意見があるのですけれども、そこで一カ所当りの災害の、何といいますか、わかりやすく言うと金額ですが、スケールをどこらでとめるかという問題が技術的には出てきます。非常に小さいものまで拾っておりますと、政府が直接検査をするといったって、これはもう時間に限られておるからできない。だから補助金のやり方等においても、これはできるだけ政府が直接責任を持つ分というものは、ある程度のところでとめる。それで全部を政府がやるという意味は、全部直接政府補助金の対象になる災害というものを、ある程度のところで限定をする。それ以下は、現にやっておりますけれども、県の費用でもってやるというやり方をやっておりますが、これを私はきっちりしていくならば……そうかといって、いろいろ意見がある、農村や山村へ行くと、こまかい災害を拾ってやらなければ気の毒です。ところが、それを拾うために補助金を非常に薄くばらまきますと、親切は親切なんですが、結果において間違いのもとになる。そこが非常に困難な点ですが、今大蔵省とわれわれの考え方は、ある程度の線で、人情はありますけれども、切って、そして、それ以上は全部否定で責任をもってやる、それ以下は県の責任においてこまかいところは見てもらうというやり方をとる以外に、これはできません。で、そういう方法で今事務的にも確信をもって計画を立てておりますから、今年度の災害についてはその建前をとるつもりであります。
  116. 岡三郎

    岡三郎君 竹山さんの言うことは、まことに立派で、私、よくわかる。建設省もその実績をあげてきたけれども、ただ問題は、それだからといって、この法案は良民を縛るものだという、その点なんですよ、問題は。だから、われわれも、善意でやったんだが間違ったものを、これをどうしようということは考えておらぬわけです。これは実地に調査すればわかると思う。ただ問題は各省にあるわけでして、補助金は全体を通じて実際に農林省に対して、これは次官がいるけれども、今言った程度で、さて全部やれるかということになると、農林当局にもお考えがあると思うのですが、私はやはりそういった点で、建設省としてはこういう法律案をじゃまくさいという気持はもうよくわかったと、まあ言ってもいいと思うのですがね。ただそれだからといって、補助金全般に対して現行制度でいいんだ、もっと中央が抜本的に引き締めてやればいいんだというところが、私はちょっとやはり補助金全体に通じて飛躍しているのじゃないかと、こう思うのですがね、その点なんだが。
  117. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) よくわかりました。岡さんのお気持も私も十分わかっておるつもりでありまして、決して私も飛躍した理論で強引にやろうという気持ではありませんから、そこで先ほどからも申しているように、この法律をまっこうから無視して主張をいたしておるのじゃありません。まず私は、やるべきことはやると、その裏づけをして立法措置考えてけっこうだと思っておるわけでありますから、お話の通り、そんなに食い違いはないと思います。ただ実際の問題になりますと、まあ結果的に言いますと、法律出した以上は、その法律に基いて、これはおどかしだからと率直に言うわけにはいきませんから、それに従ってびしびし、とにかくやっていかなければなりません。そういう結果、今のいろいろのやり方等について、いい面もありますけれども、また反対にいろいろまた必要以上の問題を起すということも私は気持としては考える。しかし私は、決して今、岡さんのお話しのように、自分のところは要らないのだから、ほかも要らないだろうなんという、そういう気持でなしに、政府全体として何とかここで皆さんと同様に、世間に対しても、この補助金の問題はそんな批難のないように、しかし私は、なんぼ検査したってこれは間違いというものはあるのですから、それは一つ検査院で最大限度びしびしやってもらう。そうすれば、役人も締りますから……。そういうことは当然期待をいたしておるわけでありますから、よく一つお気持は十分承知をいたしておるつもりでありますから、もう理論的な議論をするつもりはありません。
  118. 岡三郎

    岡三郎君 私もこれでもうやめますから……。建設省でなくて、川島長官にお願いしたい。  五億何がしかの予算で、ある程度まで不足ながら人員を擁しているわけです。それで行政監察をやっておられて、内部的にこれを是正しておるという点も私、わかります。ただ問題は、これが特に参議院には行政監察という委員会もない。決算委員会一本でやっておるわけです。これは、作ろうといっても、参議院としては、これも含めてやったらいいじゃないかという意見で、特段に作らないでいるわけです。それで政府内部でやられておるということになると、都合の悪い点は政府内部で是正していくということで、微温的になるおそれがあるのじゃないか。だから、その点については、一つ中間的なものでも、ときどき参議院決算の方に対しても、行政監察の事情はこうなっている、実際においてこういうふうな仕事をしておるわけだという点について、報告なり事情説明というものがあってしかるべきではないかと私は思うのですが、この点はいかがですか。
  119. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) ごもっともな御意見でありますから、きわめて近い機会に、当委員会で最近の監査の状況を御報告いたします。
  120. 大倉精一

    大倉精一君 まあときどき途中で取られてしまうので、今度は全部一ぺんに質問しますから、それで漏れなくお答えを願いたいと思います。  私は、先ほど建設大臣の御答弁で、現在の人員で、現在の予算でこういう理想的な措置をやっていくのだというお答えを聞いて、非常に心強く感じておるのですが、それが実際できれば、私はこれに越したことはないと思いますが、先ほど私が鳩山総理大臣にお伺いしたのは、実はその点についての総理の心がまえをお聞きしたかったのです。私は毎年何千億というところの国損を減少するがために、相当の予算をこういう面に注ぎ込んでも、決して損はいかないと思う。今、日本には、たくさん仕事を欲している人があるわけです。ですから、私は、こういうようなけっこうな建設省の構想は一にかかって私は、機構運営と、これに伴うところの人員の問題と、予算の問題であると思う。そこに私は問題があると思う。そこで、そういうようなことから、先ほど建設大臣がおっしゃったように、現在の事情は、予算も人員もむずかしいから、こうおっしゃったのですが、鳩山総理は、そういう監察に必要な予算大蔵大臣の方で考えさせる、大蔵大臣もそういう必要な予算はこれは当然考慮します、こういう御答弁であったので、そういう工合に、遠慮なさらずに、必要な人員はどんどん御要求なすって、そうして国損を、中途半端でなくして、減ずるような方途を講ずるのが至当ではないか。そこで私は、その考えをもう一ぺんお伺いしたいと同時に、これに対する具体的な資料、計画をお作りになっておるようですから、一つ参考のために、お作りになった具体的な資料、計画を一ぺん見せていただきたい。それは、いつごろできますか、あわせてお伺いしたいと思います。  それから農林省の方に伺いたいのですが、今の建設省も、その構想といいますか、要綱といいますか、これは運輸省にしろ、農林省にしろ、私は非常に重要だと思います。これは今さらこういうものを作らなくても、とっくにやっていなければならぬことだと思います。従いまして、農林省の方でも、こういうふうな考えを持っておられるし、またおやりになるだろうと思うのですが、果して現在の人員並びに予算によって、農林省としてこういうようなことは自信がおありになるかどうか、あるいは具体的に何か計画をお持ちになっているかどうか、これも一つあわせてお伺いしたいと思うのです。  それからもう一つは、会計検査院の方にお伺いしますけれども、先ほど建設大臣は、そういうのはどんどん検査院から告発すればいい、こういうお話しでございましたが、検査院として、この告発に対してどういうお考えを持っておられるか、あるいはどういう御方針を持っておられるか、これを一つ参考のために伺っておきたい。  以上一つ漏れなくお答え願いたい。
  121. 竹山祐太郎

    国務大臣竹山祐太郎君) ごもっともなことで、実は私の気持は、行政を正確に実施することは当然のことという前提で、今これのために人員の要求をするということは、決して消極的な意味でなしに、まず自分のところの人員で、最大限度の努力をして入るということで行く。これはしかし抽象的でないのは、そういうことをなぜ確信を持って申せるかというと、実際、現在地方建設局というものはこれに使っておりません。本省の者がやっておるのですが、こういう際には一つやりくりをつけさせまして、地建の者も一緒に組ましてやるつもりでありますから、私は今の人員でやれる、何とかここでやりくりをつけてやる、同時に費用もそういうわけで工面はしてやるつもりでありますが、私の気持は、実は、やるだけやって、足りなかったら、お話しのように大蔵省に、これは人間は要求せぬが、必要なために、検査するのだから、旅費くらいは適当な機会に一つ考えてもらおうという腹は持っての上であります。  それから計画は実は立てておりますから、あとで御参考にごらんをいただきたいと思います。もうできておりますから、ごらんをいただきたい。
  122. 平川守

    説明員(平川守君) 農林省の方といたしましては、一昨年以来考査室というような機構を設けまして、現地の間違いのないような考査等をいたしておりますが、何分にも非常に件数が多く、非常にこまかいものがたくさんありますので、徹底して全部を調べるというわけにも参りかねておるわけであります。しかし建設省としてお考えになりましたような運用の問題につきましては、当然われわれの方としても考えるべき同じ事柄と思います。ただいま、われわれの方の具体的な仕事の状態に適応して、どういうふうな運用でやって参ったらよろしいかということを検討いたしております。非常に徹底的にやるということになりますと、それこそ非常に莫大な人質を要することになるかと思います。適当な人員の割り振りをしまして、できる限り目的を達するような方法等について考え検討して、近く具体的の案ができることと存じます。
  123. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) お答えいたします。会計検査院といたしましては、会計検査の結果、犯罪と認めるものがありましたときには、院法によって通告することになっておりますが、先ほども八木さんからお話しがありましたように、会計検査院法の三十三条では、国の会計事務を処理する職員に犯罪があった場合というふうに限られておるのでありますが、公共事業の補助などで問題になりましたのが、多くは、多くはというか、ほとんど全部は地方公共団体、市町村でありますので、従いまして国の職員でない、そこで通告をしてないというような実情であります。
  124. 大倉精一

    大倉精一君 農林次官にお伺いしますけれども、非常に抽象的な今のお答えであったわけなんですが、そこで、その御答弁を聞いておると、こういう建設省の方の要望はやらなければならぬが、農林省としては、これをやるがためには膨大な人員と膨大な予算が要って、ということは、なかなかむずかしい、こういうことだと私は思うのです。そこで、こういう問題は、建設省ではなくて、むしろ農林省がいろいろ問題の中心になってくるのではないかと思うのですが、これができないと、このほかに何か考えがあるかというと、私はないと思う、これは一つの作文であって、常識なんです。これが膨大な予算が要ってできないということになってくると、これはまた問題が別になってくると思う。これから御検討なさるということなんですが、これは一体、いつごろまでにあなたの方のこういう具体案はおできになるか、もう一回お聞きしたい。それから、あわせて川島長官に私が質問申し上げたことに対する御意見を、参考のために伺っておきたいと思います。
  125. 平川守

    説明員(平川守君) 建設省考えておられますような事柄は、当然われわれの方でも性質上同じことであると思います。ただ対象が非常にこまかくたくさんありますという関係で、それの実施のやり方につきましては、ある程度要約をしたような考え方をいたしませんと……、膨大と申しましたのはそういう意味であります。従って、そう人員の増加と申しましても、実際上過大なものを要求もできないわけです。(大倉精一君「できるでしょう」と述ぶ)私の方の実際のやりくりで、どういうふうにしたら具体的にもっと有効にできるかということを今検討しておるわけです。(大倉精一君「できやしないよ、今の人員では」と述ぶ)期間等については、正確に何日と申し上げかねますけれども、今月中くらいには一応めどをつけたい、かように考えております。
  126. 大倉精一

    大倉精一君 一ぺん見せて下さい。
  127. 川島正次郎

    国務大臣川島正次郎君) 地方団体に対する補助金は、農林省が一番数が多くて、しかし零細なんであります。その補助金が適正にゆくか、ゆかんかということのお尋ねであろうと思いますが、これには二つ問題があるのであります。第一は補助金を決定する時期が従来非常に遅れておるということでありまして、これはなるべく早く決定して、各地方団体に通知いたしませんと、地方団体でも予算を組むのに非常に困っておりますから、この点は各省に要求いたしまして、国会が終りますれば早急に決定してもらうということをやるつもりであります。同時に、その決定の際に、単価の計算におきまして、地方公共団体が負担が過重しないようにしてもらいたいということは、先般の閣議でも各関係閣僚の了解を得ておる点であります。この点がだんだん改善されますれば、自然、地方公共団体の補助金不正使用という面においては、いい影響がくるのではないかと私ども期待いたしておるわけであります。
  128. 岡三郎

    岡三郎君 議事進行について。一応まだ――河野農相なりあるいは一萬田大蔵大臣がおいでになるのを待っておったのですが、しかし時間も経過して、まだおいでにならんので、他日を期してまたこれは検討されなければならぬと思いますし、さらに政府の方としても二日の閣議にこれをかけて、そうして実際に法案提出する、その場合においては――私はこれは委員長にもお願いするわけですが、この法案は必ず決算委員会において審査されるようにしてもらいたい、またそういうふうになれば、十分これらの点について検討する余地が残るので、本日におきましては、竹山あるいは川島自治庁長官、農林次官もおりますが、長時間質問に答えていただいたので、本日はこの程度にして、次回は一つ委員長の方で適宜にはからって、この問題に対して十分実効があがるような方法措置をとってもらいたい。今日は一つこれで散会してもらいたいという動議を提出いたします。
  129. 大倉精一

    大倉精一君 今の動議は賛成します。私の要望することは、鳩山総理大臣がわずか三十分で、ここでどこかへ行ってしまわれる、これは非常に重要な問題であって、総理大臣決算委員会に出てくるなんということは、めったにないことなんです。それを三十分間でどこかへ行っちまうということは、これは、けしからんと思う。もう少し参議院決算委員会のあることも一つ知ってもらって、そうしてこの予算がいかに使われておるかということについても、総理大臣は十分に一つ関心を持っていただいて、次回は十分に一つ質問をする機会を与えてもらうように、委員長から特に善処方をお願いいたします。
  130. 山田節男

    委員長山田節男君) ただいま岡君並びに大倉君よりの動議でございますが、委員長もこれはごもっともだと思います。で、先ほど政府の方から、来週早々この法案国会提出するということに言ってきております。これがどの委員会に付託されるか、もとよりこれは議運で決定すべきことでありますが、よしんば決算委員会に付託されなくても、付託がたとえば大蔵委員会へ参りましても、当然連合審査会というものが持たれまするし、これは慎重な連合審査会を持たなければならぬと思います。そういう機会もございまするし、また次回この国庫補助金及び国庫負担金経理に関しては、今後まだ残っておる決算報告審議においても出てくる問題でございます。場合によりましては、大蔵大臣あるいは河野農林大臣の御出席を願って、あわせて審議すると、かようにいたすことにいたしまして、本日の本件に関しまする審議は、一応これで終了することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 山田節男

    委員長山田節男君) それでは御異議ないと認めまして、本日の議題でございまする国庫補助金国庫負担金経理に関する審議は、これをもって終了いたし、本委員会を散会いたします。    午後五時十三分散会