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1955-07-07 第22回国会 参議院 決算委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月七日(木曜日)    午後二時十五分開会   —————————————   委員の異動 七月六日委員横山フク君及び荒木正三 郎君辞任につき、その補欠として石井 桂君及び久保等君を議長において指名 した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山田 節男君    理事            青柳 秀夫君            谷口弥三郎君            岡  三郎君            中川 幸平君            石川 清一君    委員            鹿島守之助君            西川彌平治君            白井  勇君            宮田 重文君            飯島連次郎君            島村 軍次君            三浦 辰雄君            大倉 精一君            亀田 得治君            木島 虎藏君   政府委員    大蔵省銀行局長 河野 通一君    農林省農林経済    局長      大坪 藤市君    中小企業庁振興    部長      秋山 武夫君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    大蔵省銀行局総    務課長     谷村  裕君    会計検査院    事務総局検査第    四局長     大沢  実君    住宅金融公庫総    裁       鈴木 敬一君    住宅金融公庫理    事       鈴木 憲三君   参考人    農林漁業金融公    庫総裁     山添 利作君    農林漁業金融公    庫監査室長兼検    査役      真板 栄一君    国民金融公庫総    裁       櫛田 光男君    中小企業金融公    庫総裁     坂口 芳久君    日本輸出入銀行    総裁      山際 正道君    日本開発銀行理    事       中村 建城君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○内閣委員長への申し入れに関する件 ○昭和二十八年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十八年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十八年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)   —————————————
  2. 山田節男

    委員長山田節男君) ただいまから第二十五回決算委員会を開会いたします。  まず本日の理事会で申し合せました事項を御報告いたします。  今朝内閣委員会との連合審査会がございまして、今内閣委員会に付託されておりまする会計検査院法の一部を改正する法律案、これにつきまして今朝本決算委員会からの質疑が行われたのでありまするが、私の方から内閣委員長の方へ申し入れをいたしまして、もしこの会計検査院法の一部を改正する法律案に対して決算委員会として申し入れ事項があった場合には、これを決算委員長から内閣委員長申し入れをするということにいたしまして、内閣委員会審議の都合がございますので、今日の午後の間に一つもし決算委員会申し入れ事項があれば出してくれとかような内閣委員長からの申し入れがあったわけであります。で、ただいま理事会におきまして諮りました事項は、例の会計検査院法第十六条の改正の問題であります。いろいろ理事皆さんとおはかりをいたしたのでありまするが、この局長事務官をもって充てるということは、今日の行政組織法の建前からみても、高等裁判所並びに会計検査院事務官をもって局長に充てるというようなことは少し妥当でないのみならず、有名無実と申しますか、のような結果になるのであるからして、むしろこれを削除した方がいいんじゃないか、かような意見が、大体皆さんの気持から言うと、多数の方がそういうような御意見に受け取れたわけであります。そこで皆様におはかりいたしまして、理事会状況はさような状況でございますので、皆さんに御報告申し上げまして、決算委員会としては、多数の意見としては、この十六条の、事務官をもって局長に充てるということは、これは削除する、従ってこの条は修正するという意見であるということを内閣委員長申し入れをしたらいかがかと、かように考えるわけでありますが、この点につきまして皆さんの御意見を承わりたいと存じます。
  3. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 異議なしです。けっこうだと思います。
  4. 山田節男

    委員長山田節男君) それでは今申し上げたように多数意見として内閣委員長申し入れることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山田節男

    委員長山田節男君) それではさように決定いたします。   —————————————
  6. 山田節男

    委員長山田節男君) 次に昭和二十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十八年度特別会計歳入歳出決算昭和二十八年度政府関係機関決算報告書  を議題といたします。  本日は農林漁業金融公庫国民金融公庫住宅金融公庫中小企業金融公庫日本開発銀行日本輸出入銀行の各部を審議いたします。  本日御出席方々は、皆様のお手元に配布してある通りでございますが、政府関係機関方々は、参考人として発言を許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 山田節男

    委員長山田節男君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。  まず、農林漁業金融公庫審議いたします。検査報告批難事項は第二千二百三十二号であります。ただいま農林漁業金融公庫からは山添総裁真板農林漁業金融公庫監査室長検査役会計検査院側からは大沢検査第四局長農林省からは大坪農林経済局長出席されております。  まず本件に関しまして山添総裁説明を求めます。
  8. 山添利作

    参考人山添利作君) 農林漁業金融公庫のごく概況を申し上げまして、まず御参考に供したいと思います。  二十九年度末におきまする公庫貸付残高は七百五十六億円でございまして、この中には特別会計時代からの引き継ぎました債権三百十六億ならびに農林中央金庫及び日本開発銀行からの債権を承継いたしました分二十五億円を含んでおります。三十年度貸付予定計画は御承知通りに二百六十億でございまして、この年度末になりますると、貸付残高は約一千億と相なる予定でございます。この貸付金のもとでありまする資金資本金借入金とに分けてみますと、一般会計並びに産業投資特別会計よりこの公庫出資を受けておりまする金額は、本年の当初におきまして四百六十一億でございます。さらに本年度一般会計よりの出資計画は十億となっております。なおそのほか現在日本開発銀行から、引き受けました債権、それに見合いますものとしての二十一億円が開発銀行から漁業金融公庫が借りておるということになっておりまするが、この二十一億円は本年中に出資に振りかわることになっております。そういたしまして、本年度末には出資金合計は四百九十二億円と相なることになっております。一方借入金は本年当初におきまして、資金運用部からの借り入れが二百九十五億円、産業投資特別会計よりの借り入れが三十億円、それから日本開発銀行からの借り入れが二十一億円、これは本年中に出資になる分であります。合計三百四十六億円でございます。さらに本年中に資金運用部から百九十五億円を借り入れることが予定せられております。また日本開発銀行からの借り入れ二十一億円は出資に振りかえられる予定でございますので、差引いたしますと、本年度末の借入金は五百二十億円となる予定でございます。    〔委員長退席理事青柳秀夫着席〕  次に、公庫業務を行なっておりまする方法でございますが、農林漁業金融公庫は直接貸しをいたしておりません。農林中央金庫都道府県信用組合連合会並びに地方銀行業務委託しておりまして、借入申込書の受理、審査貸付金の交付、その管理、回収というような事務につきまして委託しておりますのでありまして、公庫といたしましては一応濾過されましたものを審査をし、優先順位を勘案いたしまして貸付を決定いたしております。この委託されました金融機関責任といたしましては、借受者の方で元金もしくは利息の延滞がございました場合に、これが六カ月以上を経過いたしました場合にはその延滞額の二割を公庫に対して代位弁済をする、こういう責任を負つておるのでございます。検査業務委託をいたしておりますのは、先ほど申しましたごとく農林中央金庫、それから都道府県信用組合連合会、これは全部、それから地方銀行につきましては五十二行でございまして計九十九でございます。相互銀行等とか信用銀行等には業務委託をいたしておりません。なお、二十九年度中におきまするこれらの委託金融機関別取扱い実績を見てみますと、農林中央金庫が六五%程度でございまして、信用組合連合会が一二%、地方銀行は一四%ぐらいの割合となっております。  なお、御承知のようにこの農林漁業金融公庫貸付は、いわば、いわゆる政策金融でありまして、これは非常に行政等と密接な関係がございます。従って都道府県の協力を得ておるのであります。すなわち貸付対象となるべき事業重要性の問題、また農林関係にはなかなか技術関係のことが多いのでございますが、委託されました金融機関におきまして、そのような技術者をそろえますことはもとより困難でございまするので、その辺のことも都道府県審査をわずらわし、知事の意見を添付していただきまして、これを重要なる参考として貸付決定等を行なっておるのでございます。  次に、監査のことでございますが、昨年来会計検査院から広範にして活発なる検査をしていただきまして、これは私どもはもちろん、受託金融機関並びに金を借りております人につきましても非常に有効なる反省と鞭撻を受けておるのでございまして、この点は厚く感謝をいたしておる次第でございますが、昨年来公庫といたしましても、監査室を設けまして、でき得る範囲におきまして受託金融機関監査並びに貸付先状況の調査をいたして参っております。現在三つの班を設けまして、でき得る限り努めておるような次第でございます。  次に、資金回収状況でございまするが、貸付金返済は大体順調に参っておると存じます。昨年の四月でございましたか、この当時におきまする六カ月以上の延滞元利金は約一億円でございました。しかしこれは漸次増加をいたしまして、最近におきましては約五億円の延滞ということになっております。これはいろいろ原因もございますと思いまするが、農村におきましては、御承知のように二十八年、二十九年、二年連続の災害がございましたこと等もその原因一つをなしておる、かように考えておるのでございます。  以上が概況でございまするが、会計検査院から御指摘になりました事項は、貸付効果の上っていないもの三件、これにつきましては後に申し上げます。それから補助金のつく仕事がございますが、その補助金のつくような仕事でありましても、貸付当時に補助金のきまっていないという事案につきましては、一応補助金のないものとして貸付を行なっておりますが、もし補助金が交付されれば、これを公庫に返してもらう、繰り上げ償還をするということになっておる次第でございます。この補助金が返されていない、こういうものが相当あるわけでありまして、七千四百万円、五十二件でございます。これの現在までの処理は、すなわち補助金の繰り上げ償還が済みましたものは四五%となっております。なお、監査室におきまして北海道ほか十一府県を調査いたしましたところによりますると、この補助金の繰り上げ償還は漸次よくなっておりまして、二十九年度におきましては大体八六%が規定通り償還されておる、かような結果に相なっております。  その次に限度超過貸付となっております、すなわち公庫貸付事業費の八割以内ということになっておりまするが、工費が安くあがったとかあるいは計画が変更になつたとかの理由によりまして、結果的に見まして貸付限度を超過しておるものがございます。これが三千四百万円、二十九件でございます。この御注意に対しましてすでに処理済みのものは六九%でございます。    〔理事青柳秀夫退席委員長着席〕  なお、貸付目的以外に資金を流用いたしたもの、二千七百万円、九件ございます。これにつきましてすでに是正の処置をとりまして、済みましたものは九〇%でございます。  貸付効果が上っていないものと指摘せられましたものの第一は、昭和二十八年六月に千葉県の農村工業株式会社に対し、キヤラメル製造興業資金といたしまして二千三百万円貸し付けたものでございます。農村工業株式会社と申しましても、これは農業協同組合が九割以上の株を持っておる。すなわち農業協同組合の変形たる事業体でございます。これに貸付をいたしましたところ、貸し付けた当時にはすでに、この会社の業績はおもしろくなかった。信連の方も信用を断ち切つておつた、しかるにかかわらず、公庫といたしまして、その点に気がつかず、貸し付けてしまつたの審査がはなはだ不十分であったということでございまして、顧みまして、まことにこれは私ども審査が不十分であったことを遺憾に存じておるのでございます。このような事案につきましては、今後一そう審査を慎重にいたしまして、またこういうことがないようにいたしたいとうふうに考えております。この工場につきましては、事業再開の見込みもございませんので、他にこれを処分することを関係者におきましても考えておるのであります。まだその処分は方途が見つかつておりませんのであります。  第二番目は大分県の竹林協同組合に対しまして、二十七年の十二月及び二十八年の八月に一千百万円を貸し付けた件でございます。これは竹を割りまして、積み重ねて壁に張る材でありますとか、床にする材を作ろう、こういうことでございまして、新しい機械が発明されたということでございました。そこで公庫といたしましては、これを適当だと認めまして、貸付をいたしたのでございまするが、さて機械を作つてみると、うまく動かないというので、現在では手仕事でぼつぼつ仕事をやつておるような事情でありまして、当初の目的が達せられないのであります。何しろ新しい機械でありますから、さらに学者の意見等も聞いて、慎重を期すべきであったと思いまするが、まことにこれも遺憾に存じておる次第であります。このことの処置につきましては、なお研究をいたしておるところであります。  第三番目に、これは大分銀行の扱いでありまするが、二十八年十月に日田市の合資会社石井材木店に対しまして、林道資金一千五十万円を融資いたしました件でございます。これは所有山森が百八十町歩で、蓄積も三十五万石ある杉の美林ということでございました通例林道敷地になります部分につきましては、その敷地所有者承諾書を徴しまして、これを確認の上扱いまするのが通例になっておりまするのに、本件におきましてはそれを確認をしなかった。ところが、後になりまして敷地に当る部分土地所有者林道の敷設を許さない、同意をしないということになりまして、これは実行不可能に相成りましたのであります。これは取り扱いが十分でなかったということにつきましてまことに遺憾でございます。以来このことにつきましては一そう注意を厳重にいたしまして、このようなことが起りませんように注意をいたしておる次第であります。なお、この件につきまして五百万円ばかり滞つたのでありますが、これにつきましては今、月賦で償還をいたさせております。ごく概略でございますが御参考までに御説明申し上げます。
  9. 山田節男

    委員長山田節男君) 次に本件に関しまして会計検査院側説明を求めます。
  10. 大沢実

    説明員大沢実君) 二千二百三十二号に掲げておきました点は、ただいま総裁の方から御説明がありまして、ほぼ尽しておると思いますので省略いたしまして、全般的のことについてちょっと申し上げてみたいと思います。  農林漁業金融公庫は、御承知通り二十八年度から発足しまして、その前は農林省農林漁業資金融通特別会計という特別会計で経理しておったわけであります。この特別会計検査報告としまして二十七年度に掲げてありますことを、たしか今年の初頭であったかと思いますが、この席上で御説明申し上げたのでありますが、それの当時と、二十八年度と見ますと、二、三進歩した、改善されたという点は、二十七年度におきましては、同じ農林省内でありながら、片方では補助事業として査定して補助金を出しておる、片方補助事業でないとして、全額に対しての融資をしておるというような点が相当あったのであります。その点は二十八年度になりますと、ほとんど影をひそめて、たしか検査した結果一件あったと思いますが、あとはそうした初めから補助事業として補助金を出し、一方では全額に対して融資をしておるという点もなくなりました。この点は相当改善されたと思います。ただしかし初めはまだわからないので、非補助事業として融資しまして、その後補助事業として決定されて補助金が出る、それで繰り上げ償還をするという約束でやっておったのが、返つてこないというのは、ただいま総裁お話しがありましたように、まだ見受けられるのであります。その点につきましては、もう少し補助決定のときの農林省のなされ方が、農林漁業の方とで連携を十分させてやつてゆかれれば早期に発見ができて、繰り上げ償還の手続きもすみやかに行われるのではないかというように感ずる次第であります。  それから監査機構の点は、二十七年度において非常に不備であるということを掲げてあったのですが、その後ただいまの御説明がありましたように、監査室ができまして、相当だんだん監査が行われております。しかしながらこの膨大な融資に対してもう少し陣容をととのえる必要があるのではないかと考えられます。  それからその次は、都道府県意見書というものを過信し過ぎて、そのためにいろんな融資が出ておるのではないかという点を述べておつたのでありますが、その辺も相当改善されました。二十八年度検査のときを見ますと、都道府県がむしろ積極的におかしなやつを、各地元に繰り上げ償還を命じておる、慫慂しておるというような点も出てきておるので、相当改善されてきたのではないかと思います。  なお最後に一点、これは農林漁業金融のあり方として考究を要すると思うのでありますが、ただいまのところの法制上は、市町村に対しては農林漁業のこの資金融通はできないことになっております。というのは農林漁業者に対する融資でありますから、市町村にはできないことになっております。ところが市町村資金運用部その他の資金でいろいろ土木事業等をやつておるのでありますが、どうしても資金不足のために、農林関係仕事をやるときには、この資金に依存したがるというので、一つの過程として土地改良区とか、あるいは農業協同組合名義農林漁業資金を借りまして、それをそっくり市町村が転貸を受けまして、工事を市町村でやつて、従って返済資金というのは、市町村一般財源から毎年醵出して、農林漁業金融公庫の方へ返済する、こういうのは検査した結果相当たくさん見当るのであります。これは正確に申しますれば、農林漁業金融公庫のこの資金融通の法規の違反であると言わざるを得ないと思うのです。農林漁業者以外の者に貸し付けておることに実質はなるのであります。しかし、実質を考えますと、それがやはり農林漁業一つの発展といいますか、こうした農林漁業関係の施設の拡充ということに使われる点においては、またこうしたこともやむを得ないのじゃないかと考えられる。でありますから、結局結論と申しますれば、むしろ農林漁業金融公職法を改正されて、ある意味においては市町村にも貸付し得るのだ、農林漁業者以外に貸付し得るのだということにされたほうがいいのじゃないかというふうに考えておる次第であります。  以上簡単でありますが……。
  11. 山田節男

    委員長山田節男君) 本件に関しまして、農林省並び大蔵省として何か補足的説明は必要ありませんか。
  12. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) 検査院並びに公庫総裁から御説明がありましたので、農林省といたしましては、これ以上御説明申し上げることはないと存じます。
  13. 山田節男

    委員長山田節男君) 谷村総務課長、何か補足的説明ありますか。
  14. 谷村裕

    説明員谷村裕君) 銀行局長、ただいまちょっと所用がございまして伺えませんで、失礼いたします。私銀行局総務課長でございますが、ただいまお話しがありましたような次第でありまして、特に補足申し上げることはございませんが、今後とも公庫の運営につきましては、十分注意して参るようにいたしたいと思います。
  15. 山添利作

    参考人山添利作君) ただいま会計検査院の方から市町村公庫資金を貸し付ける道を開く方が適当であるという御意見がございました。これは主として災害復旧関係でございまして、農業等におきまする災害復旧団体で復旧いたしますのもございまするけれども市町村事業主体になりまして災害復旧をいたす場合が非常に多いのであります。その場合に正式の議論をいたしますれば、公庫といたしましては、農林漁業者負担金市町村から受ける、この範囲きり金は貸せないのであります。ところが実情といたしまして、まだその辺のところが明確でない際に、災害復旧は急ぎますから、当面団体資金の調達を負担する、こういう意味合いのものを貸しておるのでありまして、これはただいま御指摘になりましたように、はなはだアンビギユアスな点もございまするので、この点につきましてはとくと研究をして何らかの方法によりまして改善をいたしたいというので、せつかく検討いたしております。
  16. 山田節男

    委員長山田節男君) 本件に関しまして質疑のある方は、質疑をお願いいたします。  委員長から山添総裁にちょっとお伺いしますが、鳩山内閣になりまして、河野農林大臣は、最近デフレの影響といいますか、自作農が経営し得ない、いわゆる農地法によりまして土地が解放されて、せっかくできた自作農が転落する、これを何とかして救済しなくちゃならない、たしか自作農担保金融制度、これを必ずやるということを言っておるわけです。政府としてこの自作農担保金融制度というものを、ワクの点で言えば、農林漁業金融公庫にどのくらいのワクでやれるか、いろいろ指示があったのだろうと思いますが、この点につきまして簡単でよろしゅうございますから、もし現在それをおやりになっておるのだったら、その現況ですね、それを簡単でよろしゅうございますから、御説明願いたいと思います。
  17. 山添利作

    参考人山添利作君) これは新しい法案を要するわけでございまして、公庫といたしましては、現在の法制におきましては、農業者個人に金を貸し付けるということは、特別の災害以外は認められておりません。もちろん関係一つ、それから自作農維持創設資金をはっきりやる。ということで、法案提出になりまして、目下衆議院の方で審議中でございます。これのために要する資金は二十億予定されておりまして、これが本年の二百六十億の資金計画の二十億ということになっておる次第であります。なお、そのほか、これは自作農地維持創設ではございませんが、個人農業者に対する個人融資の道もこの際開くというので、それに充てまするものが七億円資金として計上になっております。
  18. 山田節男

    委員長山田節男君) これは大坪局長にお伺いしますが一方河野農村が今のような構想を実現しよう、一方におきましては自作農創設特別措置特別会計ですか、これが何か二十六年かに始まつたと思うのですが、この所管はあなたのところですか。
  19. 大坪藤市

    政府委員大坪藤市君) ただいまのお話の所管は、農地局でございます。
  20. 山田節男

    委員長山田節男君) そうしますと、山添総裁にお伺いしますが、今のこういったような自作農担保金融制度とそれから従来あります自作農創設特別措置特別会計ですか、これとのかみ合せばどういうふうになっておりますか。
  21. 山添利作

    参考人山添利作君) 新らしい制度ができますれば、正規に残りまする特別会計といたしましては、政府が法律上の義務に基いて土地を買い入れる場合、これを買い入れるわけであります。またそれを売りますが。これはどういうことかと申しますと、たとえば新らしく不在地主になった、どこか移住をいたしまして不在地主になったといえば、その土地を処分しなければなりません。これは一定期間内に農地法に基きまして処分をするのでありますが、処分が一定期間できないという場合には、国家がこれを強制買収するわけであります。そういう意味におきまして依然としてこの特別会計が残るわけであります。また未懇地の買収、このことも特別会計で扱つておりますので、この関係においては残るのであります。しかし、今申しましたように、非常に例外的な場合における国家に対する土地の強制移転の場合並びに未懇地の買収の場合についてのみこの特別会計が機能するのでありまして、いわゆる金融的な意味を持ちまする自作農の維持もしくは創設という事柄は公庫業務の方に移る、かようなことに相なるわけであります。
  22. 石川清一

    ○石川清一君 総裁にお尋ねしたいのでありますが、ただいまの現況の御報告は、主として会計検査院の報告の事項にわたって御報告ありましたが、御報告は、この会計検査院の報告にあるように、一千四百十八件、五十八億円という貸付金を調査した結果、二百八十件で四億七千万円、これだけの金額が問題になった。ところが、この報告の中で適正に処理を済ましたのが百十件一億、大体全体では一件五百万くらいになっておるのでありますが、処理されたのは一件百万円ですか、ぐらいの小さな件だけしか処理されておらない。大きな貸付の金額の件はそのままになっておる。こういうような状態であります。しかも千四百件ぐらいしか調査をしておらない。しかもそのうちのほんのわずか一部分のようであります。そうしますというと、これを、全部の貸付金額、現在八百億以上のものに当つてみますというと、百億ぐらい問題になるようなものがあるんじゃないかと、こういうようにも想像されます。ことにデフレの影響の強い今日、もう少し親切な御報告が、内容を詳しくしてあるべきだと思いますが、ただ今日は、これだけの具体的な説明だけで、来年、再来年こういうような事件がもう起きないと、こういうように保証でき得るような現在の状況でありますかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
  23. 山添利作

    参考人山添利作君) 先ほども申しましたように、会計検査院の御指摘に基きまして、現在までに是正の処置をいたしましたものは、補助金をもらって繰り上げ償還をしていないもの、これにつきましては約四五%処理が済んでおるのでありまして、また貸付限度が超過になっておる、この件につきましては、処理済みが六九%でございます。それから資金貸付目的以外に流用をいたしておると、このものにつきましては、処理済みが九〇%になっております。まあ、できるだけ努力をいたしまして是正の措置をとつておるのでありますが、問題は、まあ、不当と指摘されました、貸付そのものに間違いが非常に起つておる、こういう件につきましては、これは受託金融機関並びに私ども等ともどもに一そう慎重にいたしまして、このようなことがないようにいたしたいと存じておりますが、これは現在の運用上におきましても、そうひどく事件を起すようなつもりはございません。相当の自信を持ちましてやつておるのであります。ただ補助金の繰り上げ償還をすべきものがされないという事柄は、非常に件数も多数に上りますこと、並びに、先ほども話が出ましたが、市町村災害復旧等をいたします場合に、はなはだ資金が、市町村の財政も苦しいというような事情もございまして、われわれといたしましては、金融機関を督励いたしまして、補助金を出します側の都道府県との連絡を密にして、絶えずこの繰り上げ償還されるように努めております。これはよほど思想の徹底等やかましく言って参りますつもりでございまするけれども、なお、若干将来もこういう件は出てくる心配がございますことは、これは正直に申し上げた方がいいと思います。なお、この限度以上の、結果的に貸付超過になります分につきましては、これは受託金融機関等、私どもの方で直接監査に力を尽しますることのほかに、何分多数の件でございますから、受託金融機関を十分に、事後監査ということにも骨を折つていただきまして、こういう件はすみやかに、会計検査院の御指摘を待つまでもなく、処置できるように努めて参りたい、かように考えておるのであります。金が余りますと、たまたまこれを他に流用するということもございます。会計検査院指摘の最後になっておりますこれも、事後監査の徹底ということによりまして防いで参りたい、かように考えております。
  24. 石川清一

    ○石川清一君  私が今質問しましたのは、この二千二百三十二号を例にとりますというと、これはたまたま会計検査院指摘をされまして明らかになったんでありますが、これが指摘されなかった場合は、償還計画に基いて、一年の支払う金利と償還金の若干を支払つておけば、このままに終る案件であります。そういうような、こういうように、発見をさせずに、一年だけの償還分だけ支払つて現実を糊塗しているようなのが相当あるのじゃないか、たしかに一年分の支払いをしているけれども、不良貸し出しが、不良債権がそういう形で見送られているものが相当出てくるのではないか、こういう点を心配して御質問をしたのであります。
  25. 山添利作

    参考人山添利作君) この不良債権と申しますのは、会計検査院が最初に三つおあげになりました点は別として、先ほど申し上げましたように、最近におきましては、六カ月以上延滞になっておりますものが元金利息合せまして五億円に上っております。これは一年前におきましては一億円であったのでありますが、急増をいたしておりますが、これはやはり公庫貸付は、初め据置期間が一年間ございます。そういう償還期に入っておりますものがふえるということのほかに、いろいろ考えたのでございますが、やはりこれは農村の二カ年間にわたるところの災害のしりというものがやはり相当きているのじゃないかというような推察もいたしております。また事項別に当つて見ますると、この返らないものにつきましては、実は土地改良などは少いのでございまして、やはり林道並びに水産関係の冷蔵施設というようなものに多いのでありまして、林道等につきましては、最近と言いますか、昨年来は必らず地方庁で実査をしてもらう、山に必らず行って見た上でやつてもらう、図表だけでは判断をしない、こういうことにいたしまして、できるだけそういうようなことの起らないように慎重を期しております。もっとも中には、せつかくつけた林道災害によりまして需要が思うようにいかない、こういうケースもございますけれども、何しろ個人融資は、まあ何と申しましてもリスクが多いわけでございまして、十分気をつけて参りたいと考えております。
  26. 石川清一

    ○石川清一君 先ほど委員長から農地担保金融制度について質問があり、お答えがあったようでありますが、かりに今度の農林大臣の新しい施策としてこれが取り上げられても、百億の資金量を持つには日にちがかかると思います。それとこれを比べまして、これは本年度において約一千億の資金量を持つ大きな金融機関でありますが、これが直接活発に適正に農村自作農の維持の面、生産拡大の面に利用された場合には、その農地担保金という制度は、この陰に隠れて、ある程度解決できないものを何とか簡単にバランスをとつていくというような、積極的なこの制度の運用で、担保金融制度を消していくというようなお考えをお持ちになりますか、どうですか、お伺をいたしたいと思います。
  27. 山添利作

    参考人山添利作君) 自作農の維持政策は、これは農業政策そのものの結果でございまして、自作農維持のために、行き詰つた場合に、低利の金を貸すというのは、結局結果において始末をするということでありまして、元来これを防止するために、まあ一番多いのは価格の問題だと思います。米価の価格の問題、あるいは災害補償の問題あるいはその他の生産性向上に関する問題、すべてが結局自作農維持ということから考えれば、自作農維持政策でございます。この程度の金融におきましても、土地の生産性を上げますることでありまするとか、あるいは共同施設を援助いたしまするとか、あるいは個人施設も今後堆舎にいたしましても畜舎等にいたしましても、その他やつていこうということは、いずれも農家経済の安定ということが眼目でございます。しかしどのようにいたしましても、やはり農家にとつてみますれば、災害ということ、自然災害もございまするし、病気というようなこれまたやむを得ない事情が起ることもございます。そういう一般政策をもって救い得ない事態が起ることは、これは部分的にやむを得ないのでありまして、そのような行き詰まりを来たしました場合には、これは低利資金を供給し、一方農家経済の安定計画を立てまして、これに周密なる指導と援助を与えまして更生をはかつていく、こういう施設はこれはまあどうしても必要だと考えております。しかし一体何と言いますか、石川委員のお述べになりました心持ちはよくわかります。
  28. 島村軍次

    ○島村軍次君 ちょっと簡単に承わりますが、今の二千二百三十二号の(1)、(2)は大体総裁説明でわかりましたが、結末についてははっきりしておらんようですが、ちょっと結末を述べていただきたいと思います。あるいは償還計画をお立てになってどの程度に……。たとえば千葉県の分は処分建物はあるがそのままだというお話があったのですが、それに対して処置をどういうふうにお考えになっておりますか。
  29. 山添利作

    参考人山添利作君) これは工場の再起ということはむずかしい。それで売ろうと、そこで一時カバヤという岡山県か何かにあるそうですが、そこに話がございましたが、条件が合いませんので、この話は立ち消えになりました。やはり何らかの他の工場を利用するべき新しい企業者を探して、処分をして債権回収いたしたい。こういうつもりでおりまして関係者におきまして気をつけておる次第であります。  それから大分県の竹材の問題であります。これは現在手工業のような形でぼちぼちやつておる程度、これではとうてい一千万円の償還はできません。地元の発明者は今度はこういう機械をやつてみたいというような話を持ってきておるのであります。これも留下慎重に検討をいたしておるわけであります。なお、この点につきましては、いい機械ができればそれで出初の目的を達するわけであります。それがいかんということでありますれば、これは最終的な処分をしなければならぬだろうと考えております。まあそういう状態でございます。  三番目の、石井材木店につきましては、一千万円貸し付けましたうち五百万円はまだ銀行にございましたのでそれは償還せしめ、あとの五百万円につきましては月賦でただいま返してもらっております。これは来年くらいには片がつく見込みでございます。
  30. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 この公庫農林漁業資金融通特別会計以来引き続いておやりになって、しかし公庫として開店されたのは二十八年、そういうときに私の当時聞いておりましたのはまあ何々金庫、金融機関等からの人と、それから農林省特別会計をやってた人と、それから新たに公庫ということに発展されて、従ってそれに必要な新しい人員を入れるためにその公庫としてとった方、公庫としてとった方についてはともかくといたしまして、他の金融機関等からきた人と、それからいわゆる特別会計をやってた関係の役人の方から公庫の人としてきた方との間に、いわゆる待遇上、これは標準のとり方いかんにもよりますけれども、待遇上ある程度差があったということを聞いたことがあるのです。私は今会計検査院等も指摘された業務遂行上についてのいろいろの欠点、これを是正されようという気組みでおやりになることを御表明になりましたから、また総裁はおやりになると思うし、また新たな業務もふえる。それに対してはいろいろと態勢を整えて万全を期せられることと思うのだけれども、あの当時、発足当時に聞いたようないわゆる役人の方の出の諸君と、それから金融機関方面から公庫にお入りになられた諸君との間に、ある程度の俸給に対するアンバランスがあるやに聞いているのです。もしそういうことで今でもあれば、これからますます縦横できるだけの連絡をつけて、この業務の遂行をやつていかれるについて、内部的にもそれはいささか残念なようにも思う。多少支障といっては大きいかも知れませんけれども、これは人間のことだからしてそこに何となく士気上らざるところがあるのではなかろうか。そういうことがあったのでは一つの心配だと思うのですが、そういう点はありませんか。
  31. 山添利作

    参考人山添利作君) どうしても役人の給与は安いと申しますか、安いのでありまして、この公庫にいたしましても農林省よりは若干いいのであります。それにしましても出発当初ある程度の開きがありましたことは事実であります。だんだんでこぼこ調整には努めております。しかしその事柄がひどく公庫の全体としての事業運営に支障があるというようなことはございませんですから、特に最近といいますが、だんだん公庫ができ上ってきますれば、人の気分も融和しておりまして、御懸念になりましたようなことはございませんから御安心をいただきたいと思います。
  32. 山田節男

    委員長山田節男君) 委員長からもう一つ御質問しておきますが、批難事項の二千二百三十二号に述べられた三つの事例を見ましても、二十八年度の決算報告ですが、農業漁業金融公庫としてこういったような貸し付けをする場合に、原則としてといいますか、大多数はいわゆる机上査定である。現地査定をやつていないのじゃないかというように感ずるのですが、少くとも一千万円以上のものになれば、他の官庁の場合をいえば、当然これは机上監査とか机上査定は許されるべきものじゃないだろうと思う。この事案についてはどうですか、全部机上査定でおやりになつたのですか。これを伺いたいと思います。
  33. 山添利作

    参考人山添利作君) 貸付案件は一年にいたしますと一万四、五千件になっております。従ってこれは委託金融機関審査ということは一応まかして責任が負わしてございまする関係もあります。事実不可能な点もございまするから、図上といいますか、書面上の審査にとどまっておるのであります。疑問のありますものは行ってみるということをいたしておりまするけれども、しかしこれもただいまの状況といたしましては、やはり書面によりました図上疑問というような程度でありまして、あまり実地踏査はいたしておりません。しかし余裕ができますれば、ぜひさようなふうにあるべきものだとは考えております。
  34. 山田節男

    委員長山田節男君) 真板監察室長にお伺いしますが、あなたの監査室昭和二十九年六月にできたというのでありますが、あなたの監査室長なり検査役という監査の機能は一体どういうようなのか。それから大体昨年の六月以来すでに一年経過しておりますが、これは数字上の資料は求めませんが、大体どういう活動をしてどういう実績をあげておられるか、これは概略でよろしゅうございますから説明を求めます。
  35. 真板栄一

    参考人真板栄一君) 昨年六月から監査室が発足いたしまして、そのときに委員会におきまして申し上げたのでありますが、一カ年のうちに受託金融機関全部にわたりまして必ず一回は審査をいたします。またその取扱いの状況監査いたすことにお約束をしたわけであります。それから貸付先につきましては、大体六百ぐらいを調査いたしたいということであったわけであります。いろいろ予算あるいは人手の関係で実際にやりましたのは、二十五都道府県を実施いたしまして、受託者といたしましては約六十をやりました。それから実際に監査をいたしますると、貸付先におきまして二件、あるいは三件というような貸付の件数がございますので、それを総合いたしますると、七百六十五件ほどの調査をいたしたわけでございます。その金額は約三十八億に上っておりますが、そのうちで検査院が御指摘をなさつておりまするように、補助金の繰り上げ償還をしないとか、あるいは限度超過になっておりまするもの、あるいは用途外に流用をしておりますもの、そういうものをあげますると約十七%が不当な使用ということに相なっております。私ども会計検査院検査とは多少異りまして、一面金融機関でありまするために、貸付金回収ということをまず頭におきまするとき、それは単なる不正である、不当であるとかいうことだけではなしに、いかにしてその債権回収されるかということを念頭におきます。従いましてたまたま補助金はもらっておりましても、事業の運営が非常に伸びておるというときに、もらった補助金を直ちに繰り上げ償還をしろといってもでき得ないような実情があります。その場合には事業計画の変更をさせまして、その補助金を返させないというようなこともしております。従いまして多少とも検査院から見ますると、手ぬるいというようなことがお考えのうちに浮ぶかもしれませんが、これは監査機能を持つと同時に、金融機関としての立場から当然のことだと存じます。  それから検査役といたしましては、一応監査検査を明確にするために、検査は内部事務検査ということにとどまっております。従いまして内部におきまするところの業務審査状況、要するに貸付決定が適正に行われておるかどうか、業務方法書並びに融資要綱その他の諸規定に照らしまして、適正に運営されておるかどうか、それから管理回収につきまして担保権の設定が滞りなく行われておるかどうか、回収の点に遺憾はないかどうかということ、それから経理の面におきましては、手数料の支払いが適正に行われているかどうか、と申しまするのは、手数料は貸付金の残高を基準にいたしまして、支払われております。たまたまこの残高を見る場合に、受託者の報告のみによりまするが、実際におきまして延滞額を控除しなければならぬようになっておりますので、その延滞額の中には約定日の到来後においての延滞補助金の繰り上げ償還あるいは用途外流用の繰り上げ償還ということを命ずる場合もあります。その場合に確定日付をもちまして繰り上げ償還を命じたその日から延滞になりまするから、さようなことがはたして控除されて手数料が支払われておるかどうかということを検討するのでございます。それから総務におきましては、物品の購入が適正に行われておるかどうか、あるいは旅の支出、超過勤務、そういったような点につきまして検査をいたしております。それとこの検査役総裁に直属しておりますので、その結果につきましては、年二回定期的に行うほかに常時行うことになっております。
  36. 山田節男

    委員長山田節男君) なお、大蔵省河野銀行局長も今出席されました。
  37. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 この二千二百三十二号の千葉県の農村工業株式会社に対する問題でありますが、これは農林中央金庫の扱いでこうなっておるということになっておりまするが、農林中央金庫で一切のことを調べられて、それを農林漁業金融公庫の方に申し出があって、農林漁業金融公庫の方はその書類を机上の審査でお出しになったかどうか、その点をお伺いいたします。
  38. 山添利作

    参考人山添利作君) この件につきましては、工場そのものは資金を貸し出す当時についてはもうすでに動いておる、前からやつておるのでありまして、軍の方から敷地、建物の払い下げを受ける、それまでは賃貸でありましたが、払い下げを受ける。それから機械を改良し、また増設をいたしたい、こういうことでございました。私ども正直に申しますと、千葉県は有数のイモ産地でございまして、どうしてもこれは澱粉をあめにする、これは必要だろう、現にそれまで仕事は動いておりましたようなものでありますから、そのまま私の方は貸したのでございます。しかし貸す当時にはすでに内容が悪くなっておつたというのでございますが、実は私の方であらためての直接の調査はいたさなかったわけでございます。
  39. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 それでは私はこの問題について参考にいたしたいものですから、これに関する一切の書類を、ありましたら御提出を願いたい。それはどういう調査を農林中央金庫でされたか。そのときの調書一式、それから県の方の意見を聴取された場合、県がどういう意見を建てておったか。その他それに付随する書類でございます。と申しますのは、まあこれは済んだことでありますけれども、六月に二千三百万円貸し出しておるにかかわらず、四月にはもう非常に状況が悪くなって六月には欠損金が七千五百万円出ているというような非常にまずい事件でございまして、総裁も非常に御苦心になっていることと思うのでありますが、実態を知るためには、ただこれではあまりに簡単でございましてよくわかりませんので、どういう手続をとってこの二千三百万円が出たかという、その御認定になった、その実情を認識したいわけなんであります。それをお願いいたします。
  40. 山田節男

    委員長山田節男君) 今の青柳委員からの請求の書類お出しを願えますか、お願いいたします。
  41. 山添利作

    参考人山添利作君) 提出いたします。
  42. 山田節男

    委員長山田節男君) ほかに御質疑ありませんか。
  43. 岡三郎

    ○岡三郎君 今聞いていますというと、実地に調査するということが割合にないような印象を受けたのですが、この一千万円以上のような金額の場合においては、いろいろと申請者は数多くあるが、最終的にここへ貸し出すというときには、その貸し出すというところのいわゆる企業ですね、こういったものを一応調査して出すということが私は常識じゃないかとこう思うのですが、数ある申請書を全部実地査定してどうするかということは不可能としても、いよいよ最終的にここへ貸し出そうというときには、そこへ貸し出す前に、そこの経理状態とか企業状態というのを見てやるのは、金を貸す方としてはこれは当然の処置だろう、最低限度の処置だろうと、こう思うのですが、この点についてはどうですか。
  44. 山添利作

    参考人山添利作君) これはいろいろ事業の紙類にもよることでありまして、たとえば公庫貸付金につきまして半数は土地改良等であります。このような仕事につきましては、平生から厳重なる府県の指導と監督がございます。従って比較的そういうものは、何と申しまするか、新しく見直す必要は少いのでありますが、農村工業でありますとかいうような問題、いわゆる営業的と申しますか企業的と申しますか、そういう案件につきましては、これは十分審査をいたす必要があるのでありまして、もとよりこれは受託金融機関において審査責任を負つておりますけれども、なお、それにつきまして疑念のありますものにつきましては、公庫でもさらに照会をし、必要によりまして実地踏査もいたしております。現在の状況といたしましては、まだその点は十分でございません。将来この点につきましてはさらによく考えて参りたいと思っております。
  45. 岡三郎

    ○岡三郎君 さらによく考えていくというそれは、十分考えてもらわなければならぬと思うのですが、現在までに貸し付けていく段階として、その程度ならばこれは数あるその申請者の中から選んでいくということについて、非常に私は欠陥があるのじゃないかと思うのですが、その点について、だからこれは将来考究するということではなくして、現実に少い資金を多くの需要者に、必要とするものにこれを貸し付けていく場合に、その企業能力とか、そういったものを調べないで出していくということは、これは私は常識的で考えられないのだがね、銀行局長にこれは聞いてもしようがないと思うのだが、銀行局長はそういうことはどう思うのか、銀行局長の方として、一般市中銀行なんかこんないいかげんなことをしていないでしよう。こんないいかげんなことをしていたら、どれだけ金があってもつぶされてしまう。そういうふうに経営内容がたちまちのうちに悪くなってしまう。ただこれが一般の予算から資金を仰いでみたり、あるいはその他のまあ公債というのですか、あるいはその他の一般の長期債、そういったような資金を仰いでいるから、資金面において割合にのんきだから、こういうことをやつていられるように私は印象を受けるのです。銀行局長、こういうやり方についてあなたはどう思うのですか。
  46. 河野通一

    政府委員河野通一君) ただいま総裁の方から御説明がありましたように、できるだけ実地について個々に審査をするということの必要性は十分私どもは感じております。今後もちろんこういうことについては注意をいたして参らなければならぬと思いますが、ただ一つだけ普通の金融機関の場合と違います点は、代理金融機関がやはり相当な責任を負つていることになっております。これは同様なる金融機関の中でたとえば中小企業金融公庫につきましても、やはり代理金融機関を通じて出しております場合には、代理金融機関責任ということになりますから、その点においては自分自身のやはり負担になる分があるのでありますから、非常なルーズなやり方をするということはまずないという点もあるわけであります。従いまして普通の金融機関が直接貸す場合における審査の程度と若干その点は趣きを異にしても私は差しつかえないと思いますが、それにいたしましても、直接に実地について審査をする件数なり割合なりをもう少し多くしていかなければならぬということは私も認めております。今後これらの点につきましては、公庫自体についてもさらに一そう勉強してもらうことが必要であろうというふうに考えております。
  47. 岡三郎

    ○岡三郎君 この回収不能の場合ですね、これは実際にその代理金融機関はどの程度の実際責任をしよっておるわけですか、具体的に。
  48. 山添利作

    参考人山添利作君) 回収不能額の二割です。
  49. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうすると、国民金融公庫の方は、回収不能のときには半額と、こうあるわけですね。農林漁業金融公庫の場合に二割というのがどうもそこのところがラフになるのじゃないかということを指摘したいのですがね。これは銀行局長、なぜこれは二割にして、国民金融公庫の場合は五割にしたのですか。こういう説明をしてもらいたい。
  50. 河野通一

    政府委員河野通一君) これは国民金融公庫農林漁業金融公庫との場合におきましての例は今お話の通りでございますが、さらに中小企業金融公庫におきましては代理金融機関責任が八割の場合、それから代理金融機関責任が三割の場合、二つのやり方をとつておるのであります。これはおのおのその仕事の内容及びその性質からみまして代理金融機関委託をする公庫との間の関係がいろいろな場合がありますので、一がいにこれをすベての公庫について同じ責任割合ということに一律に統一するということは、必ずしも私は適切とは考えておりません。しかしながら私の私見を申し述べさしていただきますならば、農林漁業金融公庫の場合における代理金融機関責任の程度は、やや低過ぎるのではないかというふうに私は考えております。この点はかねがね農林漁業金融公庫当局者にもいろいろ再検討をお願いいたしておるのでありますが、ただこれは従来からのやはりいきさつ、つまりずっと長くそういうことでやつて参っておるという一つの事実もございますので、早急にこれを変更するということもむずかしい点も私どもわからぬじゃありません。従いまして、この問題についてはさらに受託金融機関責任をはっきりするという点から、農林漁業金融公庫当局者にもさらに検討をしていただきたいという点であるというふうに考えておる次第であります。
  51. 岡三郎

    ○岡三郎君 この銀行局長の言葉を聞いても、それから総裁の言葉を聞いても、その金を借りた者に対する取り立てを必要以上にきびしくしろといっているわけではないのだけれども、その不当な借り方をしている者に対する措置というものが、これは補助金関係等から考えてみても、これは同様になまぬるいと思う。そういうようなことが国民に知られたら——これはまだよく知られている問題でないけれども、知られないから、ほんとうに困つた金を借してくれという者には貸してくれないで、そうしてこういうふうな必要でない者に金をやつたり、しかもそれを取り立てるのはあまり緩慢過ぎるという私はやはりそしりを受けざるを得ないと思うのですが、その点でちょっと総裁に聞きたいのは、二割というふうな代理機関……、それは実際どの程度責任を負つておりますか、実際の問題として。
  52. 山添利作

    参考人山添利作君) この制度ができました当初は二割の、責任を果すのは、最終的の場合、たとえば十年間の貸し付けでありますと、十年間のしまいになって二割の責任を果す、こういうことであったのでありますが、それではまずいというので、現在では六カ月延滞が起りますれば直ちにその際二割の代理弁済をいたすことになっております。そのことについて金融機関が怠つておるという事例は一つもございません。
  53. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうするというと、それでは資料として、この農林漁業金融公庫において貸し出したやつが焦げついておるという点について、これは二十八年の四月に発足しているから、その前の分もあると思いますが、その焦げつきはなぜ焦げついているか、それに対して代理機関がいつどれだけ責任をとって弁償したかというふうな一つ資料を出してもらいたい。  それで銀行局長に聞きたいのは、二割では低過ぎる、これはその借りる立場でいって、農林漁業金融公庫自体が、こういうふうな代理機関が二割というふうなことでは代理機関は要らぬと思う。というのは、一億円借りても二千万円、一千万円なら二百万円だから、そうすると結局六カ月になったからいいようなものの、今の話では十年ともいっておりますよ。インフレになれば、昭和二十年から昭和三十年にかけたら、そんな金は鼻くそみたいなことになってしまう。そういう、からくりという言葉は語弊があるが、からくりで金がいつの間にか消え去っていくということはゆゆしき問題である。まあ六カ月にしたからいいようなものの、そういうようなことでずっと焦げつきがあるということになれば、これは二十八年から発足したのだから、一つの例として言ったわけですが、すみやかにこれは代理金融機関にもうちょっとぴちつとしたものを与えなければならぬ。それで何割くらい、いつごろそれを是正するか、一つ私見でもいいから聞かせてもらいたい。このままでは私はいかぬと思う。二割でほうっておくということは、これは国家資金としていかぬと思う。何割くらいやるか、私見を聞かしてもらいたい、専門的な立場から。
  54. 河野通一

    政府委員河野通一君) この点は御参考のために申し上げますと、先ほどもちょっと申し上げましたように、中小企業金融公庫は甲種と乙種の貸し出しがあります。その乙種の方は、代理金融機関は三割の責任を負つております。公庫自体が七割の責任を負担する。なおその場合には貸し出しの審査公庫自体が行うということになっております。それから甲種という方は、八割の責任を代理金融機関が負う、二割だけを公庫が負う、そのかわりこの場合においては形式的には公庫自体が審査をいたしますけれども実質的には代理金融機関審査を大体信頼してやる、そのかわり代理金融機関責任が非常に重い、こういう仕組になっているのであります。この場合が農林漁業公庫の場合にぴったり当てはまるかどうか、これは農林漁業公庫融資の性質と、中小金融公庫融資の性質と違いますので、一率に申し上げることはできないと思いますが、今申し上げました中小公庫における乙種の代理貸しのやり方などが、この農林公庫の場合における代理貸しの、代理金融機関責任の限度等を考える場合において参考になるのじゃないか。具体的に申し上げますと、その場合は三割、従ってこれはさらに国民金融公庫における場合等もありますが、はなはだしく二割という代理金融機関責任が軽過ぎて、代理金融機関が非常にルーズな査定をし、審査するということには、私はなっておらぬと思いますが、しかし程度としてはやや代理金融機関の負担の程度が軽過ぎるというふうな程度に考えております。従ってこれをさらに八割ぐらいに代理金融機関責任を多くするとか、そういった極端なことはやるべきでないというふうに考えております。やや代理金融機関の負担を上げる程度でいいのじゃないかと考えております。
  55. 岡三郎

    ○岡三郎君 ただ問題は、今農林漁業公庫の当事者から聞くと、今後実地査定を十分やつていきたいと言っても、現状においては、公庫自体が直接にやる分量というものを大体完璧にいつごろやるのかということになってくると思うのであります。それとの関連で代理金融機関の弁償する率をどの程度にするかという問題とやはり比較しなければならぬと思うのだが、そういった点で総裁にもう一ぺん聞きますが、私としては、うんと申請があると思いますし、最終的にきめていく場合に、あんた方はこれは商売なんだから、結局それぞれの系統を見て大体わかると思う。金融機関がそのくらいわからなかったら、ボロ会社にみな金を貸して、あとでお手上げになるというようなそんなばかなことは、専門家として私はないと思うのでありますが、そういうことで最終的にしぼってここへ出そうというときに、貸出先はうんと縮小されるわけですね、うんと縮小される。そのときにあなた方の方でその点を千分実地に調査して貸し出すという方法をやらなければならぬ、こういうふうに私は先ほど言ったわけであります。いつまでにそのような方法できちっとやってもらえますか。
  56. 山添利作

    参考人山添利作君) これは現在二割の負担でございますが、そのために受託金融機関がルーズになっているというふうに私は実は感じていないのであります。むろんこれで十分だとは思いませんけれども、そういうふうには考えておりません。  なお、貸付につきましては、御承知のように私どもの対象になりますのは農林漁業団体であります。土地改良区、農業協同組合でありますとか、これらの団体は、自己資金そのもの、いわゆる資本というような意味におきましてはむろん低いのであります。概して申しますれば、十分ではございません。しかし、これはどうしてもこの金融目的から貸付をやつていかなければなりませんので、必ずしもその資金状況だけということに考えるわけではございません。  極端な例を申しますれば土地改良区のごときは本来資金というものはないわけであります。やはりその政策によってきめられるところの事業、またはその事業が完全に行われる、こういう点を考慮に置いてやるのであります。しかし御指摘になりますように、たとえば漁船等につきましてはたくさん申請がございます。その場合にはもとよりこの貸付金額と資金との割合等、いろいろな状況をとりまして、点数をつけまして、そうして優先順位と申しますか、そういうものを決定するようにいたしておるのでありしまして、資金等の点を決して閑却しておるわけではございません。本来受託金融機関におきまして、平生取引をしておる相手方に限らんのでありますが、そういう相手方等が多いわけでございますから、また貸し出しに当りましては、受託金融機関において、これはやはり金の貸付でありますから、十分調査をいたしておるのでありまして、さらに疑義があれば私どもが面接調査をする、こういうようにいたしておるのであります。しかし何と申しましても、いかに念を入れましても、事が事柄でございまするから、これは今後ともにますます、ますますといいますか、今後ともに一そう留意をいたしまして、大口のもの、あるいは多少でも疑念のあるものにつきましては、これを一そう慎重に取扱い、あやまちのないようにいたしたい、かように考えておるのであります。そういうふうに考えておるのでありますが、いつどういうふうにどうなるかということにつきましては、できるだけさように努めたい、こういうところで御了承を願いたいと思います。
  57. 岡三郎

    ○岡三郎君 それで総裁に聞きたいが、今の銀行局長が言うには、三割程度の受託機関の負担を適当と思うと伺いましたが、今まで農林漁業金融公庫においては、こういった点について何らか献策とか、そういった点を引き上げて、そうして金融公庫の損害を軽微にしようというような申し出とかそういったことをやつたことありますか。
  58. 山添利作

    参考人山添利作君) 先ほど申しましたように、公庫になりましてから、六カ月過ぎたら直ちに代理返済をしてもらうということにいたしましたが、さて、この公庫の対象になっております仕事は、通常の中小企業公庫等とはちょっと様子が違うのでありまして、普通の営業者に対して金を貸すというのではございませんのであります。従ってここに金融機関責任を加重いたしますることは、むろん審査を一そう厳格にするという意味におきまして価値は、価値といいますか、必要だとは考えまするけれども、一面こういう長期の、しかも営業でない、団体の行います事業につきまして長期の資金融通するという場合に、これを現在の二割を引き上げるということにつきましては、これは受託金融機関といたしましては非常にそこに困難を感ずる点があるだろうと考えております。
  59. 岡三郎

    ○岡三郎君 これでやめますが、どうも自分の腹が痛まないからそういう程度でやつていられると私は思うんだ。ここまで私はそういうお答えを聞けば言いたくなるんですが、結局公庫の方で十分それはできないということになれば、代理金融機関にある程度まで精密なる調査をさせなければならない。このためにはやはりいいかげんなことをしておったならば、代理金融機関責任をしょわなければならぬというところでそれが遂行される現状だと私は思うんですよ、現段階は。そういうような点で一つもう少し総体的に検討してもらいたいと思う。  それでルーズにやつていないと総裁は言われるが、多くの案件があるから、この程度やむを得ないということと思うんですが、それならばこういった不当事項というものが起つてきたということは、よほど何か政治的な関連があるのかということを私は言いたくなる。しかも相当厳密に厳格にやつておるけれども、ままこういう問題が起つてくる。ここに列記されているような事件が起つてくるのだということになれば、公庫自体は厳密に、ルーズでなくしつかりやつているけれども、だがこういうような、ここに出ておることは非常にルーズな案件だと私は思う。こういうルーズな案件が出ておるということを私は指摘しているわけなんだが、厳密の中でどうしてこういうルーズな案件が出てくるのか、こういうふうに私は言わざるを得ない。それにはやはり具体的に総合的に、こういうものがなくなるように何とか一歩進めてもらいたいというのがわれわれの気持なわけです。これでやむを得ないんだと、二割を三割、四割に上げたならば、代理機関がそれはやり切れないんだということは、金を貸す責任を持つ当事者としてはなまぬるいと私はどうしたつて言うんです。なまぬるいから、その点から九仭の功を一簣に欠くということを指摘したいのですがね。  私はそういう点でもう少し農林漁業金融公庫の方では総体的にこういう点を防止するためにもう少し御努力、御検討を願いたいということを最後にして質問をやめます。
  60. 石川清一

    ○石川清一君 私は今のを逆にお聞きしますが、農道のような場合、いわゆる奥地林の開発のために長期資金を借りる、昨年のように十五号台風で全部やられてしまった、奥地林は計画的に伐採できなくなってしまった、こういうような場合まずどうするか。それから小水分の電力開発のために借りると、かりに当時二百戸あったのでありますが、二年の冷害のために三分の一ぐらいに減ってしまった、その負担能力がなくなってしまった、そのような場合、あるいは災害復旧資金を臨時に借り、復旧をした。ところが再び災害にあったと、こういうような場合、今のこの金融制度の中で問題が最終的に解決されるかどうか、この点についてどういうお考えを持っておられるか。
  61. 山添利作

    参考人山添利作君) 災害が起りました場合には、一時償還を延期してくれという要求がございます。その場合には御相談に応じております。ただし、これは声ほど具体的にはなりませんのでありますが、しかし要求のあります場合におきましては、その償還能力がないものはこれは次年度以降に延ばしていく、かような取扱いをいたしております。また、それだけで済まないで、林道なんかが災害を受けた場合にどうするかということがありますれば、まだそういう事例はございませんけれども、必要があればこれは追加融資をしなければならんと思います。取り立てることは取り立てる、適切な措置をとることは適切なる措置をとる、かように考えております。
  62. 石川清一

    ○石川清一君 電力の場合。
  63. 山添利作

    参考人山添利作君) 電力の場合におきまして、その戸数が減ったというような事例はございません。ただ一つ、北海道におきまして当時ダムを作りますのに、もとダムがありましたところにダムを作る計画だったんです。その当時はまだボーリング等をいたしておりませんので、地盤が悪いために事業費のよけいかかりました事例はございます。まあこれの処置には私ども非常に苦心をしておりますが、そういう事例はございます。
  64. 大倉精一

    ○大倉精一君 ちょっと私聞きたいのですが、この専門員の方から配付された資料の中で、受託金融機関の申し込みに対して審査すると、この審査について、大体どういうような基準でどういうような方法審査をされるのか、ちょっとその点をお伺いいたしたいと思います。
  65. 山添利作

    参考人山添利作君) これはそれぞれ申し込みの様式というものが私どもに作ってございます。たとえば事業につきましては事業目的であるとか、経済効果であるとか、経費であるとかいうようなこと、それから資金の調達の面におきまして、公庫から借り受けるのは幾らであるとか、自己資金は幾らであるとか、かようなこと、並びに法人でございますれば、最近の貸借対照表等をつけまして財務状況審査することにいたしております。直接の窓口に当ります受託金融機関におきましては、そのような要件と同時に、さらに一般的に具体的に当事者と話し合って審査をいたしております。かように考えております。
  66. 大倉精一

    ○大倉精一君 そこで批難事項の(ウ)の項にあるのですが、土地改良事業、漁港修築事業等に対する貸付金のうち、一部のものについては市町村に転嫁されて、市町村事業を施行している状況でありというのがあるのですが、こういうような計画の実体というものは、この審査の過程において発見できないものですか。
  67. 山添利作

    参考人山添利作君) これは必ずしも発見できないということではございません。農地等の災害復旧をいたします場合に、土地改良区でありますとかあるいは農業協同組合等がやりまう場合もございまするが、市町村災害復旧事業主体になります場合がしばしばございます。その場合に、農業者といたしましては市町村負担金を出すわけであります。むろんこれは条例によりまして作るのでございますが、公庫の建前といたしましては、その負担金に対して資金融通すると、こういうのでございます。ところが、場合によりますと、市町村におきまして事業をやります場合に負担金をとらないで、市町村だけでやつてしまうと、こういうことがあり得るわけであります。またあるわけであります。その場合にはどういうことになるかと申しますと、公庫から貸しました金が実質上は市町村事業費に対して貸されたような結果になるのじゃないかと、こういう点でございます。これは確かにその通りでございます。さればといって、これを救済せざるわけにもいかないのであります。私の方の書面の上におきましては、これは借り受け申請人の負担ということになっております。しかし、実情を調べてみますと、必ずしも最終的に負担しない。当面は負担するけれども、最終的には負担しないで市町村だと、すなわち市町村に金を分担金という名前で出し、それを市町村があとで返してくれると、こういう関係が起るのであります。そういうケースにつきましては、ただいまでは非常にアンビギユアスにやつておりますので、これを公庫が直接市町村に貸し出せるような、災害復旧に限定しなければならぬと思いますが、そういう方途を開くか、あるいは業務方法等においてその点を明確にするか、何らか措置を検討したいと、かように考えておるのであります。
  68. 大倉精一

    ○大倉精一君 ちょっと、今の答弁の中でアンビギユアスというのはどういうことですか、なるべく日本語でやつて下さい。
  69. 山添利作

    参考人山添利作君) 公庫に参ります書類の上におきましては差しつかえないのでありますが、実体的にどうもおかしいと、こういうわけであります。
  70. 大倉精一

    ○大倉精一君 そこで、この公庫の金もあらゆる需要を満たすような裕福な資金ではないと思うのです。でありますから、本来ならばこれは市町村に貸し付けるというものは、これは公庫貸付対象にはなっていない。なっていないその対象に対して、結果においてはそういうところに金を貸す結果になる、ここに私は問題があると思う。従ってそういうような方面に、今おっしゃったような格好で融資をしなければならぬということは、これは別の方法で考えなければならぬのではないか。これを公庫の金で、結果においてそういう方面に貸し付ける結果になる、こういうことのためにほかに正当な貸付対象の方へ回さなければならぬのが犠牲にならなければならぬ、こういうことについては私はちょっと疑問を感ずるのですが、従って総裁は、現状においては、結果においては市町村の方に貸し付けるというような結果が生じてもやむを得ないと考えておられるのか、あるいはそれは別の方法でやるべきだ、公庫融資はあくまでも法律に定まったところの融資対象に向つて貸し付けなければならん。だから今指摘されているように、結果においては市町村に対して貸し付けると同様になるのだということにいかないのだ、こうお考えになっているのか、その辺ちょっと聞きたいと思います。
  71. 山添利作

    参考人山添利作君) 私の方といたしまして最終的ににらんでおりますことは、たとえば災害のこれは融資の問題でございますが、結局災害復旧をしたければならないと、これを市町村事業主体になってやるか、団体事業主体になってやるかという場合でありまして、市町村事業主体になってやります場合におきまして、市町村に金があれば問題ございません。また、市町村は預金部資金から起債を受けることができます。従ってその方から回し得ればこれまた問題はございません。ところが実情におきましては、市町村の財政が窮乏しておることは御承知通りであります。  そこで私ども災害のやり方といたしましては、府県と相談をいたしまして、大体これはまあ金が少いのでありまするから、府県に対してワクを作るわけであります。そのワクの中で、府県におきましては、本年度においてこれは政府補助金仕事をしようというのを作ります。一方では資金でやろうというのを作ります。その資金でやる府県のらち、どこを先にやらなければならんかというところは、また府県の判断によってきまるわけでありまして、その際に、今の団体でやります場合と、市町村事業主体になってやる場合とあるわけであります。で、ただいま私の、法律に矛盾しないような解釈といたしましては、ともかく農村が当面負担しなければならん資金融通しておるのだ、こういう解釈のもとに融通をしておるわけであります。しかし、それが事実におきましては、市町村事業主体でありますがゆえに、あっても負担金であればこれは問題ないわけでありますが、実は負担金もとれないのだ、そうすれば間に立って借金をしているのじゃないかというケースが生ずるのでありまして、これは好ましくはない。しかし現状におきまして、それを、そういうのは一切だめだということになりますれば、これは災害復旧上非常に困ると思いまするので、何らか解釈を一定するか、あるいは理論から申しますると、市町村が預金部の方から直接借りるのと、公庫から借りるのと、二度に出るのはおもしろくないじゃないかという理論上のこともありまするけれども、そこはまた実情に即してもう一ぺん考え直したい、かように考えておるところであります。
  72. 山田節男

    委員長山田節男君) お諮りしますが、まだ審議すべき他の政府関係機関責任者が見えておりますので、先ほど来いろいろ質問がありまして、そのとき農林漁業金融公庫への資料の提出の要求もありましたので、迫って資料も本委員会に提出されることと思いますから、本日は農林漁業金融公庫に関する質疑は一応終了したものとみなしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 山田節男

    委員長山田節男君) それでは、農林漁業金融公庫の分に関しましては、一応質疑終了ということに決定いたします。  なお、農林漁業金融公庫の方にお願いいたしますが、先ほど委員から要求のあった資料は、できるだけすみやかに御提出願いたいと思います。ありがとうございます。   —————————————
  74. 山田節男

    委員長山田節男君) では次に国民金融公庫の方を審議いたします。  国民金融公庫総裁櫛田光男君、同経理部長桐生和夫君、大蔵省河野銀行局長、並びに検査院側を代表しまして大沢検査第四局長が見えております。  まず、国民金融公庫総裁櫛田君の説明を求めます。
  75. 櫛田光男

    参考人(櫛田光男君) 御説明に入ります前に、まず御参考までに最近の国民金融公庫概況を申しあげてみたいと思います。  国民金融公庫は、御承知のように旧庶民金庫及び恩給金庫の権利義務を承継いたしまして、銀行その他一般の金融機関から資金融通を受けることを困難とするような国民大衆に対しまして、小口の事業資金を供給すると、こういう役割を持ちまして二十四年の六月一日に発足いたしたのであります。  現在その趣旨にのつとりまして、二十九年度末、すなわち本年の三月末でございますが、現在大体八種類の貸付をいたしております。その残高を申し上げますと、貸付残高総計で四百四億二千九百万円に相なります。そのうちで普通貸付と私ども称しておりますが、これが一般に中小企業と申しましても、小企業、零細企業の方々に対する小口の事業資金の供給でございます。これが三百二十八億円、件数にいたしまして三十一万二千件に相なっております。その他災害貸付あるいは遺族国庫債券担保貸付、あるいは母子家庭貸付、特別小口貸付等をいたしておりますが、これはいずれも大した金領には上っておりません。なお一昨年の十月から恩給担保貸付をいたしておりますが、それが現在におきましては二十億、件数四万件というのが三月末の残高でございます。そのほかに旧庶民金庫時代からいたしております更生資金貸付というものがございます。これは主として引揚者に対しまする着業資金と申しますか、小口の事業資金を供給いたしてきたのでございまして、その残高が二十九億円、件数にいたしまして二十一万九千件、総計におきまして四百四億円、件数総計が六十三万二千件という金額に上っているわけであります。  二十九年度におきまする概況でありますが、二十九年度におきましては、全体の貸付が四百二十億ありまして、その件数全体で三十万件に上ります。そのうち普通貸付が三百八十億、件数にいたしまして二十二万七千件というのをいたした次第でございまして、これの財源といたしましては、政府出資及び資金運用部からの借り入れ百十一億円、そのうち資金運用部に過去の借入金返済が約二十億円ございましたので、新規資金九十一億円、さらにまた貸付回収金が三百二十四億円ほどございました。並びに利益金と申しますか、内部留保等をもって四百二十億の貸付を実行いたしたような次第でございます。それが大体の現況でございます。  そこで次に二十八年度の決算におきまして会計検査院から御指摘があり、御希望なり御意見なりがございました点につきまして、いささか説明さしていただきたいと存じます。  大体二つの点でございますが、第一は延滞に関する問題でございます。二十八年度末、つまり昨年の三月末の現在におきまして、六カ月以上元金延滞額は十九万七千余件、三十億四百余万円に上っております。これが割合にしまして大体九・八%といったようなことになっております。この延滞件数の割合が多いのは、主として少額の更生資金貸付延滞が多いことによるものであるという御意見がございました。  その延滞の内訳をこの機会に申し上げてみたいと存じます。十九万七千余件、三十億の延滞に上るのでありますが、そのうちで先ほど申し上げました普通貸付、中小企業に対しまする事業資金に該当いたしまするものは、件数におきまして約一万件、金額六億八千三百万でございまして、金額の割合は二・八%に相なります。結局その大半、件数にいたしまして十七万六千件、金額にいたしまして二十二億八千万円弱と申しまするものが更生資金貸付延滞と、かようなことに相なっておる現状でございます。更生資金延滞につきましては、御承知通り旧庶民金庫以来昭和二十一年からいたしましたものでありまして、現状におきましては一件の残高平均が約一万三千円見当に相なるのでありますが、この資金は約二十億が都道府県経由で政府から庶民金庫時代に交付を受けたものでございます。なお公庫と相なりましてからさらに十億円一般会計から無利子で拝借をいたしまして、大体三十億円の資金を元手といたしまして貸し付けておるのでございますが、御承知のように、引揚者の引き揚げ早々の事業なり、あるいは仕事をされる場合の資金といたしまして、当初は三千円から五千円、二十三、四年のころには大体二万円、三万円という見当のものをお貸し出しをいたしたわけであります。その後の経済情勢その他の変化に伴いまして、かくのごとき多額の延滞を持つような状況に相なつたわけでございます。この点につきましては、かねてから意を用いておりまして、大体都道府県単位に引揚者の協力会を結成させていただきまして、私ども都道府県とその協力会と、三者が一体となりまして、できる限り私どものお客様と御相談の上、できる限りお返しを願うという仕組を大体この三年来組織的に実行いたしております。だんだんと成績が上っておるかに見受けられる次第でございます。  次に検査院から御意見といたしまして、他の金融機関に普通貸付業務委託した額は二十九年三月末現在で十万余件、七十八億六千三百余万円であると、その代理の場合におきまして、単に回収不能となったときはその回収不能元金の半額を補償すると、こういう代理契約をいたしておるわけでございますが、「回収不能となったとき」といたしておりますために、その期間を明示しないために、なおもってその補償を実行した例がないと、これは何とか補償をさせる時期を明確にして、受託金融機関貸付金に対する回収意欲の向上と、公庫自体の資金効率の向上をはかることが望ましいというのが御意見でございます。まことにごもっともなことであると存じまして、国民金融審議会の議を経まして、業務方法書を改正しまして、本年の五月十五日各代理金融機関と代理契約の改正をいたしまして、最終期限経過後一年をたつてなお償還がない場合には、その未償還の元利金の半額を即座にその代理金融機関において代理弁済する、こういうふうに契約を改めまして、本年の五月十五日から実行いたしておる次第でございます。ただいまのところ、私どもの代理店は約六百でございます。店の牧にいたしまして六百でございます。そのうちの約八割が信用金庫でありまして、その他相互銀行、信用組合並びに二十ほど銀行の店がございます。大体そういう現状でございます。この契約の更改は本年の五月滞りなく全了いたしております。従いまして、今後は御指摘のありましたようなことは全然起らないと、資金の効率化、あるいは代理店におきます貸付の厳正とでも申しますか、そういったようなことがさらに一そう期待ができると存じておる次第でございます。  なお、代理貸付につきましては、私どもといたしまして、その貸付の適正等を監督いたします意味合いにおきまして、昨年来さらに監督関係を強化いたしまして、特別に関東、甲信越駐在あるいは近畿駐在等の代理店検査を専門といたしまする職を作りまして、なおそれをさらに東北なり九州なり、中国なり東海地方なりというものを今後増設をいたしまして、万全を期したいと考えております。何とぞよろしくお願いいたします。
  76. 山田節男

    委員長山田節男君) 次に会計検査院側説明を求めます。
  77. 大沢実

    説明員大沢実君) ただいま総裁の方から御説明がありましたので、ほとんどつけ加えることはありませんが、ただ一言申し上げますと、この更生資金貸付昭和二十一年庶民金庫以来やつておられますものの滞り貸しというものは、先ほども説明がありましたように、非常に大きな金額になっておるのでありまして、約二十四億の金額が滞り貸しになっております。われわれが支所、本所などの検査をいたしました結果を見ましても、きわめて零細なもので、ときによるとその借受人が所在の不明になっておるものも相当中にあるのであります。これはどうしても将来の一つのガンになるのでありますから、徹底的に究明されて、徴収すべきものは徴収し、万やむを得ないものは、はなはだ好ましい方法ではないが、ある程度やはり償却されることが、公庫としての資産状態、財務諸表をはっきりさせるゆえんではないかというように考えられます。その点だけ一言つけ加えたいと思います。
  78. 山田節男

    委員長山田節男君) この点に関しまして御質疑のある方は御質疑をお願いいたします、  委員長から一言御質問いたしますが、ただいま総裁並びに大沢検査第四局長の御説明もありましたのですが、この更生資金の二十四億の焦げつきと申しますか、これはやはり会計検査院指摘するように償却するか、あるいけ政府の何かの名目で一般会計予算か何かでこれもなくしてしまう、これは当然当局者としては考えなければならん問題だと思うのですが、この点について何か具体的な案をお持ちかどうか。  なお、河野銀行局長にお尋ねしますが、こういったようなものは、ほとんど回収の見込みもない、行方のわからないものがあるし、しかも零細な一万円平均というようなものですが、こういったようなものは、一体金庫が今言つた償却措置か何かするについては、大蔵省としては何らこれに対して異議はないわけですか。
  79. 櫛田光男

    参考人(櫛田光男君) まことにごもっともな点でありまして、先ほど私も申し上げました通り、この点につきましては実は大へん心を悩ましました。もともと先ほど申し上げました通り貸付資金のうちの約二十億円見当は、昭和二十一年、二十四年と、都道府県経由で政府から御交付を受けたものでございます。そういった関係もございまして、都道府県においても大へんな関心を持っておられますので、この引揚者の団体都道府県と私どもと三者一体となりまして、これが整理につきまして鋭意現在仕事を進めておる次第でございます。逐次その成果が上っておるようでございますが、また御掛摘の通りに、行方不明とか行く先がわかりません、またそれを徹底的に追及いたしますということも、現在におきましては不可能であると見受けられるものもないわけではございません。従いまして適当な機会には、私といたしましてははっきりとけじめをつけまして、ある段階をつけて、ある程度は償却の措置を講じなければならないのではないかと、その準備といたしまして、現在三者一体となりましてやっておりまする更生資金の、主として大衆を中心といたしまする事業でありまするが、その成果をしばらくの間見守つていきたいと、さように考えておる次第でございます。
  80. 河野通一

    政府委員河野通一君) 今櫛田総裁から御説明がありましたようなことでありますが、私どももこの問題につきましては、なるべくすみやかな機会に何か格好だけでもきれいに整理することがいいのではないかということで、いろいろ検討は続けて参っております。今櫛田さんからも話しがありましたように、当事者の間でこれの整理方法についていろいろ検討しておられるようであります。その検討の結果を見た上で、私どもとしてもその方法が適当であると思いますならば、なるべくすみやかなる機会に適当な方法で整理をするということについては努力をいたしたいと、かように考えております。
  81. 山田節男

    委員長山田節男君) 重ねて、これはむしろ河野局長にお尋ねいたしますが、大体こういったような金融の対象が、どっちかというと生活の楽でない人をみるのでありますから、ことに更生資金のごときは多分に社会政策的なものであるから、これは一つのリスクとして大体何割くらいはとれないかということは、こういう金庫を創設した場合に、庶民金庫から受け継いでもうすでに八年以上もたっておるのでありますから、大体リスクというものの率を含んで私はいろいろな計画ができるのではないかと思います。さらにこういう三十億の延滞金があるわけでありますが、これにしましても、ほかの金融機関だったらこれだけの金利だけでも大へんなものです。しかしこういう特殊の金融金庫でありますから、これもやはり僕は性質上、これは国民金融金庫とすれば、これまた当然予期しなければならぬリスクだと思うのです。ですからこういうリスクをあえて持ちながら金融するというからには、大蔵省としても大体の、整理するについてもこれはまあ科学的な根拠があることはもちろんですが、その一つワクと申しますか、そういうものを大蔵省から金融公庫の方に言ってやらないと、なかなかそういったようなことでけじめをつけるということはむずかしいのじゃないかと思うのです。これはまあ十分あなたの方と国民金融公庫当局者とはいろいろ御協議や連絡があったのかもしれませんけれども、まあ外部の者から考えますとこれは当然予期すべきリスクであるとすれば、大蔵省としても、八年も九年もたっておれば大体この程度、こういう方法処理してしまえというだけのことは指示があってしかるべきじゃないかと思います。これはどうですか、できないですか。
  82. 河野通一

    政府委員河野通一君) 今お話しの点も非常にごもっともだと思うのでありますが、そういうことですつぱり整理をしてしまっていいかどうか、この問題はやはり私どもとしては十分に検討しなければいけない。今から振り返ってみますと、この金融そのものはあるいは金融と称すべきものでなかったかもしれないのです。しかし、やはり国民金融公庫金融業務として貸し出したことは間違いないのでありますから、やはりそれが回収に極力努めるということは、これは当然必要なことだと思います。しかしながら、今お話しのように、実態はまさにもう整理を要する段階に来ておるのでありますから、今委員長からお話しがありました点も非常にごもっともだと思います。今後ともそういう方向でできるだけ早く具体的な措置をきめて参りたいと、かように存じております。
  83. 石川清一

    ○石川清一君 ただいまの点を詳しくお尋ねしたいのでありますが、やはりもう少し詳しい御報告があつてもいいのじゃないかと思います。それは税金にしてもこれは滞納が長年続けば、それぞれ処置がとられておると思うのであります。この金融にしても、それは家族を含めて、死亡したとか、あるいは生活保護を受けて何年になるとか、あるいは入院をして、家財も全部売り払って、医療の保護を受けておる、そういうような幾つもの滞納のケースが出てくると思うのであります。一方において国の保護を受けておるような者は、それが非常に上長い間続く場合には、やはりそういう点を十分考えて検討されておると思うのでありますが、今までそういうようなパーセントあるいは人数等をお調べになって検討されたことがあるのでありますか、お伺いをいたします。
  84. 櫛田光男

    参考人(櫛田光男君) 何分にも件数が全体で二十一万、多いときは全体でもって三十万件以上の貸付をいたしてきたわけでございまして、若干そこで調査がすみからすみまで届くというわけには実は参らない点が多かったのでありますが、ただいまおっしやいましたような点は、各府県と協力いたしまして、できる限りのことはやつてきたっもりでおりますが、なお何分にも申し上げましたように件数が多いのと、おっしゃいますように、行方不明が何人ある、それからその回収不能のお客さんの現状が、たとえば国家の保護を別に受けておる、あるいは破産をしてしまったとか、そういった項目別で詳しくはまだできておりませんが、全体といたしまして、各府県並びに各支所におきましてその土地の引揚者の団体を中心といたしまして、それぞれ具体的な処理方法に今当っておる。全般的な統計はまだこまかに分けたところまではできておりませんのは大へん相済まないと思います。
  85. 山田節男

    委員長山田節男君) これは河野銀行局長にお尋ねしますけれども、前回審議しました農林漁業金融公庫の問題で実はちょっと御意見を聞こうと思ったのですけれども河野農林大臣が農地担保金融制度を作ろうというときに、大蔵省は相当反対したということを聞いております。これは反対ならば、おそらく河野局長が反対されたのだろうと思う。しかしこれは事実かどうか。それからもし事実とすれば、おそらく今の国民金融公庫の、あるいは住宅金融公庫あるいは中小企業の金融公庫、こういったような金融公庫というものが、今あなたがおっしゃったように、普通の銀行業務では割り切れないといいますか、多分に社会政策的のものがあって、普通市中銀行が相手にしないようなものを相手にするのだから、そこにどうしても普通の銀行業務とは違ったリスクは見なくちゃならぬ、これはわかるのでありますが、たとえば農地担保金融制度等に反対されたのが事実とすれば、やはり今あなたもおっしゃったように、こういう何といいますか、零細な農民に農地を維持させるために担保制度をとつても、結局延滞とか焦げついてしまうとか、こういうような見込みで反対されたのか。それからこういったような三つも四つもあげられておる金融公庫が、将来あなたは行政の方の責任者として、今のような金融公庫の、四つかありますが、こういったようなものを現在のままでずっとやってゆくのか、それとももっとビジネスライクに、今のように九年間も焦げついたものをほったらかしておるというような、こういうようなことは速急に償却させるとか、あるいはこれを国庫で責任を持つとか、何かそういったようなこともすでに大蔵省としても考えてもいいのじゃないか、また考えておられるのじゃないかと思うのです。この点について一つあなたの御意見でもよろしゅうございますから、伺いたいと思います。
  86. 河野通一

    政府委員河野通一君) 第一点の農地担保金融制度の創設に対して大蔵省が反対したというお話でございますが、この点は若干実際と、実はそうではないのであります。農林省が当初農地担保金融制度を作るために特別の銀行制度を設立しようというような構想が実はあったのであります。従いまして、私どもはその特別の銀行を作るということに対してその必要はないということを強く申したのであります。しかしながら、今委員長から御指摘のありました通り自作農の転落を防止し、これを維持してゆくということのために、農地を担保として金融をつける道が開かれることが必要である。これは実は御案内の通り、従来からも若干制限されたような形でやつておつたのでありますが、そういうことをさらにある程度拡張して行う必要があるという点は、われわれは大蔵省としても認めたのであります。同感であります。その見地から現在国会に御提出申し上げておりまする、ちょっと法律の名前を忘れましたが、自作農維持のために特別な不動産担保の金融制度を認める特別な法律が今提案されております。御審議をいただいておるのでありまして、これができますれば、今お話しのような点は相当程度緩和されるのじゃないかというふうに考えております。  それから第二点の、いろいろな形のいろいろな使命を持つた公庫制度があるわけであります。この四つの公庫はおのおの違つた使命を持っております。それと同時に、政府機関であるという点から、市中の金融を補完する。市中の銀行の手の届かないところを補完するという意味においては共通の使命を持っておるわけでございます。政府金融機関といたしまして運用が非常にむずかしいところ、これは総裁以下その公庫及び特殊銀行の首脳部の方が非常に苦心されるところは、やはり一方においてその政府金融機関は、今お話しのありましたように、市中の金融ベース、商業ベースに乗らないものについても金融をしてゆくということでなければならぬといち使命が一つある。しかし一方でその資金の源は国民の租税からなっておるのである。従って国民に対して非常に不当な負担を負わせることはいけないという一つの要請がある。従ってその二つの、場合によっては相矛盾するかもしれないような二つの要請をどこで調節するかというところが公庫の当事者としても非常に苦心されることであるし、私ども監督の立場におります者としても非常にむずかしい問題だというふうに考えております。これはどちらにも徹底して割り切れない問題じゃないかと思いますが、そういった点でこの両者の要請を適当に調節していく、その調節の仕方が、おのおのの公庫によってその仕事がみな違いますが、その仕事々々によってその調節の仕方もおのずから変つてくるというようなことになってくるだろうと思います。  非常に抽象的なお答えを申し上げまして申しわけないのでありますが、この点がやはり政府金融機関として最もその運営について苦心をしなければならぬところであるというふうに考えております。  それから第三点のお話は、先ほど来からお答え申し上げております通り、なかなか従来からの沿革もありまして、この整理を一挙にすぱつと割り切つてしまうということは、今までは実はなかなか思い切れなかったのであります。しかし会計検査院からの御指摘もありますし、まだ今日当委員会における委員長からの御指摘もありますので、従来から検討はいたして参つたのでありますが、さらに検討を急ぎまして、できるだけ早い機会にこれらの問題の整理がつくならばつけるように努力いたしたいということを申し上げます。
  87. 山田節男

    委員長山田節男君) ほかに御質疑ございませんか——それでは大体この国民金融公庫につきましてはまた後に問題があると思いますが、また今日ここに出席にならない方の質疑もあるかもしれませんが、一応質疑を終了したものとみなすことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 山田節男

    委員長山田節男君) それではさよう決定いたします。   —————————————
  89. 山田節男

    委員長山田節男君) 次に住宅金融公庫の方を審議いたします。  ただいま出席の方は、住宅金融公庫総裁鈴木敬一君並びに住宅金融公庫理鈴木憲三君、会計検査院大沢検査第四局長大蔵省河野銀行局長、建設省は、石破官房長兼住宅局長は他の委員会へ出席しておりますので、鮎川住宅経済課長が出席いたしております。  ではまず住宅金融公庫総裁鈴木君の説明を求めます。
  90. 鈴木敬一

    説明員鈴木敬一君) 住宅金融公庫におきましては、御承知通り昭和二十五年に創設いたしまして、今年の六月で満五ヵ年を経過いたしたのであります。この間融資総額大よそ八百億円でありまして、これによって建設し得た住宅は大よそ二十五万数千戸に上っておる次第であります。  当初から私ども公庫といたしましては、全般的に窓口業務は各種の金融機関委託をいたしまして、漸次その数を加えまして、現在のところ全国で大約五百六十ばかりに上っておるのであります。これらの金融機関の扱いますのは、全般的の資金の出し入れ、すなわち貸付の際の資金供給並びに元利の回収金の徴収というものを取扱ってもらっておりますと同時に、公庫委託先といたしましては地方公共団体、これは現在までのところ都道府県だけでありますが、これらの地方公共団体に向いまして借り入れ資金によって建設すべき住宅の設計、すなわちいかなる住宅を建てるかという設計の審査をしてもらいまして、それと貸付承認後において本人が住宅を建設する実況を都道府県の職員によりまして、現場で審査をしてもらいまして、その出来型に応じて数回あるいは十数回に分けて資金を貸し付けると、かような方法にいたしておりますので、借り入れ資金が他に流用せられるということは防ぎ得る方法であると、かように信じておる次第であります。  そうしてそのうち一番戸数において数の多い個人住宅の申し込みの窓口は、これらの委託金融機関でありまして、一定の業務取扱い規程に基きまして金融機関が、住宅に困窮する世帯であるかどうか、並びに公庫から借り入れて確実に所期の住宅を建て得るかどうか、及び回収元利金の負担にたえられるかというような諸点にわたりまして、金融機関審査をいたしまして、その貸付決定前に公庫、実際には公庫の全国に九つありまする支所でありまするが、これにそれぞれの金融機関から審査及び調査の資料を提供いたしまして、指揮を仰ぐと申しまするか、協議をいたしまして、公庫の支所において貸付決定の承認を与える。その承認する場合において、ことごとくの場合に予定貸付口数金額よりもはなはだしく超過する例でありますので、これを公正に、公開の抽せんの方法によりまして抽せんをいたすことが原則に実際相なっておりますが、その上で貸付の決定を与えまして、本人は建築に済干するというような組織になっております。  それで私どもの方の委託機関の一種類たる金融機関に対しましては、それぞれ貸付の際、受付から審査貸付の際にそれぞれの手数料を払い、また公正証書に基きましてこの債権の管理をいたしまする道程において回収手数料を支給することに相なっております。並びに都道府県に対しましては、設計の審査並びに現場検査に応じましてそれぞれ手放料を支給する、かような大体の手続に相なっております。割合にめんどうな手続という御非難をことに当初のうちにしばしば受けましたので、努めてこれを簡易ならしむるように改善いたして参ったのでありまして、だんだん借り入れ方々が数多くなりまして、貸付金によって住宅を建設してみる経験を経られた今日におきましては、まず手続上の非難、不平等も承わらないような情勢に相なって参ったと思っております。  ただいままでの実績は、大体概数を申し上げた通りでありまするが、何分貸付目的が庶民に、市中金融によらずして住宅資金を供給するという、先ほども質疑御応答の中に現われておりましたように、割合に困難なる貸付をなさねばなりません。一面ではまた住宅に困窮するということは、一家あげて日夜の悩みでありまして、これが供給の成果をあげますためにも、できるだけ親切丁寧にということを役職員一同心がけておりますと同時に、あくまで貸付金でありますから、これが回収につきましては、当然の目的でありまするように、回収の実績を円満にあげ得るように努力をいたしておる次第であります。回収の成績におきましても、委託先の金融機関等を督励指導いたしまして、最近の情勢におきまして、年間、回収期日をおくれずして所定の元利金を納入したパーセンテージは、全国通じまして約九七・五ということに相なっておりまして、これも年々改善の実をあげつつあるような次第でございます。しかしながら、何分常業の資金を貸すとか、あるいはまた生産設備を貸すとかいうような生産的の資金でないのでありまして、住宅を建設するという、いわば直接考えますと、非生産的な資金でありますと同時に、経済界の情勢次第によって債務者の方々において償還に困られるような場面もなきにしもあらずであります。たとえばある地方でニシンの漁が非常にないとか、災害をこうむつたとか、または債務者自身の死亡、失職、数多くの、二十五、六万に上る債務者中においてはいろいろな変遷経過もございますので、今後においても回収には極力順当な手段によりまして成績をあげてゆきたいと所期いたしておる次第であります。  なお、本公庫の経理につきましては、当初より不正不当なような結果を生みませんように、関係者一同固く努力を続けておるような次第でありまして、今回国会に会計検査院から御報告相なりました御報告の中においても、不正不当の事件は御指摘に相なっておらぬのでございまするが、その中で一、二御報告と申しまするかございますようでありまするが、たとえば回収の点につきまして現状を申し上げますると、六月以上一年未満の延滞口の数は、昭和二十八年度末において九百七十件、金額にして千二百二十七万七千円余ということに相なっておりまするが、同じ年度末の証書貸付契約高総額に比較いたしますと、この六月以上一年未満の延滞口は、件数において〇・五九%、金額において〇・〇二%に当るような次第でありまして、同じ計数が、前年度末における割合と比較いたしましても、若干の成績の向上を見ておるような次第でございます。なお一年をこえた延滞口につきましては、二十八年度末において件数で三百二十件、金額で八百七十五万六千円余でありまして、これを同年末の証書貸付契約高総額に比較いたしますると、件数においておよそ〇・二、金額において〇・〇一六%に当るわけでありまして、これは同様の計数に、前年度末の数字に比較いたしましてほぼ同様に相なっておりますので、一年おくれて計数が同様に相なっておりますので、実質上は大体成績が悪くはなかったものと私ども考えております。もちろんわれわれもこれで決して満足いたしておるわけではございません。また、およそ債権額は長年期でありまするから、年月を経るごとに何と申しまするか、陳腐化する傾向にありますので、この元利金の回収につきましては、順当な督励をたゆまず、今後においても努めてゆきたいと考えておるような次第であります。  なお、二十八年度におきましては御承知のごとく、七月まで暫定予算でありましたことが一つありまするし、本予算の成立がおそかったということもございまするが、ことにこの年度は不幸にいたしまして六月から七月、八月、九月と風水害等の被害が続々起つたのでありまして、家屋の流失あるいは全壊等の災害も数少からず全国でございましたので、従いまして建築資材の騰貴、あるいはまた大工賃、その他の人夫賃の騰貴等もありまして、著しく建築費の増高を来たしまして、それがために二十八年度におきましては、当初年度開始前に準備として第一回に二十八年三月に申し込みを受けまするし、続いて第二回といたしまして同年五月から六月にわたりまして個人住宅の募集をいたしたのでありまするが、各債務者におきまして、その建築工事の進捗状況が先ほど申し上げました値上り等のために思わしくございませんで、やむを得ず個人住宅につきましては十月にさらに追加受付約二万五千件を当せんさして追加したような次第でありまして、この二十八年度は私ども貸付の方式によりましては最も困難をきわめた年でありまして、最初の第一回、二回におきましては抽せん当せん後におきまして貸付決定をいたしますると、それぞれ設計を作りまして、その審査の申請を各都道府県へするわけでありまするが、これが今申しました建築費の増高並びに土地の値上りも原因一つであったかと思いまするが、われわれの考えました以上に期限通りに設計の審査申請を願い出られた数が少くありまして、世俗に言う落伍者が多かったのであります。しかしながら、われわれとしてはこの年度における事業計画通りになるべくこれを実行いたしたい考えでありまして、今の追加申し込みを受け付けたわけでありまするが、追加申し込みの際におきましては、第一回、二回の申し込みの際に思わぬ多数の棄権者が出たのでありまして、第三回においても相当の棄権者が出るであろうという予想をもちまして、予定の金額一ぱいにまでは建設を実行してもらいたい念願で相当数を割り当てたのでありまするが、この第三回の追加申し込みの際におきましては、一般物価が災害当時一時的に著しく高騰いたしましたものが落ちついて参りまして、物資によりましてはかえつて値下りするような傾向すら出たためもありましようか、また住宅獲得の熱意に燃える必要性のある方々の多かったためでありまするか、第三回の申し込み受付をしました結果は、予測ほどの棄権者がありませんので、いわば思いのほかに多数の方が満足な建築工事の促進をみたというような事実がこの年にあったのであります。  一体公庫事業はお貸付はいたしまするけれども、個々人の建設能力に左右せられることが非常に多いのでありまして、個々人と申すのは、債務者だけの問題でありませず、その関連する建設業者等のことをも含めまして、それらの人々が誠心誠意、熱意に燃えてやられましても思い通り建設ができんこともありまするし、またただいま申しましたような建設費の横ばい、あるいは若干の値下りでもありますると、意外に多数が進捗する、こういうような情勢に左右せられる次第でありまして、検査院から事業計画よりもよけいできたと認められると、こういう御感想を承わつて、これはしごくごもっとものことでありまするけれども、またわれわれとしましては見通しが正しく現われてこなかったということは大へん遺憾に存ずる次第でありますが、直ちに翌年度以降におきましてこれらの調整をはかりましたために、昭和二十九年度末における累計におきましては、二十八年度以前から二十九年度末までの累計において、おおむね予定事業計画通りに調整し得た結果をおさめておりますることをここにあわせて御報告を申し上げておきたいと思います。  もう一つ会計検査院からの御所感があるのでありますが、これは二十八年度末において相当な利益金が出た、たしか九億二百十九万円の利益が出たが、政府納付金をさらに納付しなかったと、こういう御指摘でありまするが、これはよく御承知下さいますように、公庫の国庫納付金に関する政令の規定に基きまして所定の経費を差し引きまして、すなわち諸種の損金を差し引いて規定通り計算をいたしておりますので、そのうち滞貸償却引当金繰入というのが損金として、及び固定資産減価償却引当金繰入、この二つは大蔵大臣の指示を得てその割合において計上することにしておるのでありまして、この年におきましても、大蔵大臣から滞貸償却引当金への繰り入れは年度貸付金残高の千分の十五に相当する額だけを引き当てて積立てるように、こういう御指示があったのでありまして、当該年度貸付金残高六百十一億九千四百が余円に対しまして、先ほど申しました九億余円の利益金は千分の一四・七に該当いたしますので、所定の千分の十五に満たない額でありまするから、利益金全額を引当金に計上いたしまして損金に立てましたために、剰余金として政府に納付すべき金がなかった。こういう事実を会計検査院から御報告下すつたものと了解いたしておるような次第であります。  はなはだ粗雑でありましたが、一応お聞き取りを願つておきます。
  91. 山田節男

    委員長山田節男君) 次に会計検査院側説明を求めます。
  92. 大沢実

    説明員大沢実君) 住宅金融公庫業務は比較的に業績が上っておるとわれわれは考えております。なお滞り貸も書いてありますようにありますが、比率からいうと比較的少くて、回収成績も良好ではないかと思っております。ただ将来の問題としまして、回収という問題が、非常にたくさんな個人住宅からの徴収でありますが、相当困難な問題になってくるだろうということを絶えずわれわれとしても考えておる次第であります。  なお、この検査報告にはかかげてありませんですが、公庫委託金融機関に対する資金の交付ぶりでありますが、委託金融機関が契約をされますと、大体その貸付契約のほぼ総額を委託金融機関に送付されておるのですが、実際に委託金融機関が金を払うのは、契約のときに何割、あるいは棟上げで何割、竣工で何割と、四回から六回にわたって委託金融機関に金を払う、いわば委託金融機関に対する資金の滞留が比較的多くなっておるわけです。年度末の貸借対照表を見ますと、御承知のように委託金融機関の預託金は二十六億からの金になっておる。これはもちろん余分に預託されているわけではございませんが、今のような貸付契約の総額を預託するということのやり方はもう少し考究を要するのではないか、必要な資金を出すのはもう少しずらして、おくらして交付する方がいいのではないかというふうに考えまして、具体的に北海道支所の検査をしましたときに特に感じましたので、その点は公庫の方に注意を促しておるような次第であります。
  93. 山田節男

    委員長山田節男君) 本件につきまして御質疑のある方は御質疑をお願いいたします。
  94. 島村軍次

    ○島村軍次君 ただいまの会計検査院のお話に預託を全額を出されるために、二十六億ということになりますると、しかもそれは残つておる残額だと思いますが、金利の計算をきれましたか、およそどのぐらいが金融機関として……。
  95. 鈴木敬一

    説明員鈴木敬一君) 便宜上私からお答え申し上げます。  会計検査院の方から非公式ながら割合に預託金の滞留が多きに過ぎやせんかという御注意のあった時期もありますので、必ずしも契約全額でもありませんけれども、比較的潤沢に流した時代もあったのでありますが、自後努めて必要な最小限度にということに心がけておりますので、ただいまにおいてはそういう事実はないものと御承知下すってけっこうかと思います。並びに今御質問のございました年度末の預託金の残額、御指摘の数字があったのでありますが、これは私どもの方といたしましては、予定いたしました建築工事が全国にわたって行われておりまするし、ことに多くの年度におきましては、御承知の鉄筋コンクリートのアパートの貸付による工事などがしばしば年度末をこえるような事態が多いのでありまして、最初の敷地の選定から設計、建築工市着手、それがまた気候等において、ことに寒中等は十分な工事の進捗を見がたいような時期も一、二月ごろございますものですから、おくれて年度をこすというような事例がしばしばございます。それから個人住宅につきましてもいろいろな障害のために、本人は誠心誠意一日も早く新らしい家に住みたいのはやまやまであっても、いろいろな事情のためにおくれるというのもございまして、どうしても私ども委託先の金融機関にある程度のランニング・ストツクがないと年度当初非常に不安であるというような状況もございまして、先ほど申し上げたように六百近くの委託金融機関がございますものですから、これを年度末等においてはできるだけ調整をいたすように努力はいたしておりまするけれども、思わざるところに多額の請求が一時に集つて参りますと、いわば委託金融機関は一昨取付状況にもなりかねない情勢もあるものでございますから、年度をこす場合には、大体の見当で二十数億ぐらいの資金が寝ることはやむを得ない、かように考えておるわけであります。  で、お尋ねの利息は、預託金には利息をつけて公庫に払つてもらうことにしておりますので、無利子で預託してあるわけではございません。日歩六厘の利息を払つてもらうことにしております。これがしかし、非常に何といいますか、当座預金みたいな性質で、いつ請求があるかわからない、あったらすぐ払わなければならんというような性質の資金でございますので、預託金利息の定め方等には非常に苦慮して、ただいまのところ申し上げたような利息にしておるわけであります。御承知願いたいと思います。
  96. 島村軍次

    ○島村軍次君 非常にうまくいっておるようですが、一応九百余万円の利益をあげたということはどういうところに原因があるのですか。
  97. 鈴木憲三

    説明員鈴木憲三君) 総裁がただいま説明いたしました滞貸償却引当金というものは昭和二十八年度は九億百万でありますが、これは公庫が普通の一般の企業と同じように貸借対照表を作り、損益計算書、普通の会社と同じような方式で、企業会計原則によりまして、ほぼそれに適合しまして、収入と支出とのバランスをとつておるんであります。で、おもだった収入と申しますのは、普通の会社の損益勘定と同じでございまして、収入のおもだったものは貸付金の利子、これから金融機関に対する預託金の日歩六厘という利息と、それから延滞者に対する、ごくわずかでございますが、延滞損害金と、それから若干資金に一億円でも二億円でも余裕がございますときには、有価証券を数日間買う場合がありますが、そういう有価証券の利息というのをいうのでございます。それから支出の方は、一般の事務費、それから大蔵省所管資金部に対する借入金の利息と、それから受託金融機関並びに地方庁、県庁に対する手数料というのを払っておりますが、それがおもだった支出でございます。  で、二十八年度におきましては、二十八年度の損益計算によりますと、いわゆる収入の方が二十八億九千六百万円ございます。そうして損失、これはまあ支出の方でございますが、支出の方は今申しました九億一百万という滞貸償却引当金を入れまして、ちようど二十八億九千六百万というふうに見合つておるのでありまして、一言にして簡単に申しますと、収入から支出を引きました残りが、ちょうど九億一百万になっておつたと、これが御承知の民間におきまする会社におきまする貸付金に対する貸し倒れ償却命とほぼ同様の性質のものでございまして、大蔵大臣の指示を受けまして、その金が収入から支出を引いたものの差額が年度末の貸付金残高の千分の十五以内の場合には、公庫の資産状態を健全ならしめるために、貸し倒れ引当金として計上してよろしいと、こういうふうに相なっておりまして、それが二十八年度は千分の十四・七に当ったと、こういうわけでございます。
  98. 島村軍次

    ○島村軍次君 手放料のうちで、銀行に預託した手放料が、率にして幾らですか。それから設計審査委託といいますか、都道府県にやられる場合、その手放料の率を一つ
  99. 鈴木憲三

    説明員鈴木憲三君) この金融機関に対する手数料は、いろいろ三つに分れておるんでございまして、貸付手数料と申しまして、金融機関公庫との間に、公庫と債務者との間にいろいろ手続がありまして、最後に公正証書による弁済契約が締結されたという場合に、その契約一件につきまして今ちょっと調べておりますが、いろいろ区別がございますが、その分と、それから回収手数料と申しまして、毎月この債務者は金融機関に参りまして元金と利子を払つてもらいます。その払つてもらうそういう手続を金融機関はしてくれますが、それは毎月金融機関が扱つてくれるその元利金の回収に関する件数一件につきまして、六大都市の金融機関は百七十円、毎月一件百七十円、それから六大都市以外のところは、今度本予算の成立によりまして少しく増額が認められまして、一件百五十円、毎月百五十円というふうに相なっております。それで先刻申し上げました初めの貸付契約に対する単価はいろいろと分れているのでございますが、東京と大阪だけは公庫からの貸付金額に対する総領に対する百分の一・八、それから東京、大阪以外の土地金融機関に対しては百分の一・五というのが最初申し上げました貸付手数料というのでございます。それでまたそれ以外に非常に金融機関が骨を折り協力をしまして、非常に回収成績がよろしいという場合には、一種のボーナス的な意味をもちまして、回収奨励金というのを出しております。これは予定回収すべき金額に対しまして八五%以上の成績を上げた場合、これは一年に三回ずつ計算しまして出しておりますが、そういう奨励的な意味の手数料、こういう三つに分けて出しているのでございます。なお、本年度からは強制執行でむずかしい事態が起った場合に、金融機関に協力をしてもらった場合、実費弁償というような意味におきまして、若干、一件千四百円ばかりの手数料というものを出すことに相なっております。公共団体に対しまする手数料は、これは非常にまあ複雑になっておりますが、二十八年度のときの全部の実績は六億一千二百万でございます。
  100. 白井勇

    ○白井勇君  ちょっと私伺いますが、本年度から建築単価というものは従来通りにして、融資率ですか、それを下げたというふうに聞いておりますが……。
  101. 鈴木敬一

    説明員鈴木敬一君) お答えいたします。標準建設費が幾らか少額になったと申しますのは耐火構造だけでございます。木造住宅の方は異動はございません。それから融資率は約五%程度ずつ下りました。産業住宅等は融資率は据え置きであります。大体のことはそれだけでございます。
  102. 白井勇

    ○白井勇君 そういう場合に、住宅公庫のみにおいて、まあ一つの社会情勢を判断してそういう率を下げるものでありますか、あるいは監督官庁の指揮命令によって下げるということになりますか。
  103. 鈴木敬一

    説明員鈴木敬一君) 実際上のことを申しますると、予算措置できまるような実態になっております。その結果、この間国会を通過、成立いたされました三十年度予算においてさように相なっておるわけであります。
  104. 白井勇

    ○白井勇君 私がお聞きすることをちょっと簡単にお答え願えれば簡単に済むことですよ。私がお尋ねしておりますのは、そういうふうな五%下げますことは、それはただ公庫だけできめることか、あるいは監督官庁の、建設省でありますとか、そういうところの命令によって定めるものかということを聞いているのです。
  105. 鈴木敬一

    説明員鈴木敬一君) 命令と申してもどうかと思いますが、双方協議の上できまると申し上げるのが順当かと思います。
  106. 白井勇

    ○白井勇君 そうしますと、少くとも去年よりも今年は、建てようとする者は、社会状態からいいますと階層が上の者になってくるという結果になるわけですか。非常に、先ほどのお話しのように土地もあまり最近は上っていないので、一応上り切ったわけで、材料費も少々下つているということになるでしょうが、最も建ちやすい、そういうものが率が下つてくる、こういうことは、国民経済関係がよくなって、個人の負担能力がうんとできた、こういうふうにも私は見れないと思うのですが、要するに、そうしますれば住宅公庫としては貸し出しの対象というものを去年よりも少し上げてくる、こういう政策に変ったというふうに解していいわけですか。
  107. 鈴木敬一

    説明員鈴木敬一君) 結果においてさようなことになると思います。
  108. 白井勇

    ○白井勇君 私は御注意申し上げておきたいのですけれども、先ほど総裁は、職員が親切にやるように大いに監督していらっしゃるようですが、これはもう頭を下げるようなことのない御商売ですから無理もないと思いますが、少くとも住宅金融公庫自体は、これは非常に職員はいばったものであるということだけを申し上げておきます。
  109. 石川清一

    ○石川清一君 私はちょっと火災保険のことについてお尋ねしたいのですが、これはもう自動的に強制的に火災保険にかけておるようでありますが、その保険会社については、これは公庫の上の方から下へ特定の会社を指定をして流しておるのか、それとも委託をされておる金融機関個人との間できめるのかどうか、この点をお尋ねしたい。  続けてお尋ねしますが、その場合に滞納があった場合、いわゆる保険金を未納にして相当長く、失効するような時期まで置いた場合、それに対してはどういうようにするのか。  それからさらに、金融機関が保険会社の代行などをしているのではないかと思いますが、そのときにはある程度二重のマージンを取っておるような、いわゆる強制的に加入をしておるものですから、そういうような点も考えさせられますが、まあこういうような点について簡単にお答えを願いたい。
  110. 鈴木敬一

    説明員鈴木敬一君) 簡単に申し上げますが、現在ありまする内地の保険会社全部に特約をいたしまして、入っていただければ——入っていただくことは契約上の義務になっておりまするが、入っていただけたら全部の保険会社に入っていただきます。ただし事故のあった場合の保険料の支払いとか、あるいはまた保険会社の保険料の収入割合とかいうものは、全部の火災保険会社について一定の割合を設けております。それに従って保険料収入、あるいはまた事故による保険金支払いをしてもらう契約に、保険会社公庫と契約をいたしております。ただ保険会社の数も多いものですから、その世話をする幹事会社一社を指定しておりまして、副幹事会社二社を同時に指定して、それらのものが全体の火災保険会社にかわつて証書を出すとか、いろいろな諸計算をするとか、そういう世話をしてもらったのにすぎないのでございまして、特定の一会社にどうということはいたしておりません。
  111. 石川清一

    ○石川清一君  さらにお尋ねしますが、私はいろいろ聞いてみますというと、もう少し保険会社あるいはその他代行店である銀行等に強く交渉すれば、企業体としての、金融機関としての住宅金融公庫の利益がもう少し上ってくるのではないか、こういうふうに感じますが、そういう点はありませんか。
  112. 鈴木敬一

    説明員鈴木敬一君) 火災保険について公事が利益をちようだいするのもいかがかと思いますので、一切火災保険付保につきましては公庫はびた一文ちょうだいしないことにいたしております。ただ幹事会社と連絡をいたしまして、私ども委託先である金融機関に付保のお手伝いを若干してもらっております。これは火災保険会社金融機関に若干の手数料を払うべきものだとか、そういう筋合いはないとかいうような問題もございますけれども公庫に関与いたしておりません、さよう御承知願います。
  113. 山田節男

    委員長山田節男君) まだいろいろ御質疑があるかと思いますが、まだ政府関係三つ残つているのでありますが、時間が大へん少くなりましたので、一応この住宅金融公庫に関しましては質疑を終えたものといたしまして、後日の機会にまたいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 山田節男

    委員長山田節男君) それでは住宅金融公庫に関しまする質疑は、一応終了いたしたものと認めます。速記をとめて。    〔速記中止〕
  115. 山田節男

    委員長山田節男君) 速記を始めて。  次に中小企業金融公庫の部を審議いたします。  ただいま出席の方は、中小企業金融公庫総裁坂口芳久君、同じく中小企業金融公庫理事の塙金太君、中小企業庁の振興部長の秋山武夫君、会計検査院大沢検査第四局長が見えております。  まず、坂口総裁説明を求めます。
  116. 坂口芳久

    参考人(坂口芳久君) 私ども公庫は御承知のように公庫の中で一番新らしいものでございまして、一昨年九月から事業を開始いたしまして、中小企業者に対しまして長期の資金を貸す機関として発足いたしました。今日まで会計検査院の御報告の中にもございました通り、二十八年度におきまして百十二億、約五千件、それから昨二十九年度におきまして二百二十七億、ちょうど二万件、これだけの貸付をやりまして、この三十年度に入ったわけでございます。  ただいまの貸付は大体におきまして一件の平均が二百二十万、期限で申しますと平均二年十カ月程度でございます。まだ公庫始まりまして新らしいものでございますから、事務その他非常に十分とは申せませんが、できるだけ公庫設立の趣旨に沿うように努力いたしておる次第でございます。  今回検査院の方から御注意を受けました事項は、御報告にございまするように、公庫の貸しました貸付のうち、四十件の使途の流用の点でございまして、そのうち御報告の中にも書いてございますように、二十二件はこちらに御報告になるまでに私たちの方で処理済みにいたしまして、残りの十八件につきましては、その後十五件は繰り上げ償還をいたしまして、そのうち八件は完済いたしました。またその残りのうち二件は、代理店におきまして公庫貸付を肩がわりいたさせました。なお一件はただいま抵当権実行の申し立てをいたしております。  こういうわけでございまして、一番指摘されましたことは、公庫資金の使途の点でございます。この点につきましては検査院の御報告の中にもございまする通り、内部におきまして監査機構を充実いたしまして、昨年度から実行いたしております。ただいままでのところ三百九十三店舗につきまして監査件数三千二百四十七件の実査をいたしております。そういたしまして今後使途についての流用のないようにいたしたいと存じます。  以上はなはだ簡単でございまするが、検査院の方から御指摘を受けました注意事項に対しましてのお答えといたす次第でございます。
  117. 山田節男

    委員長山田節男君) 次に会計検査院側説明を求めます。
  118. 大沢実

    説明員大沢実君) 記述してありますことはただいま総裁からも御報告ありましたので、その程度でありますが、中小企業金融公庫として将来注意しなければならん点を検査報告に掲げてある以外の点でございますが、これが発足されて開発銀行から、開発銀行というより、むしろ復興金融金庫ごろからの貸付債権の承継されたのがここに書いてありまする相当の金額を承継されたのであります、百二億……、そのうち一年以上延滞しておりますものが二十二億ほどありますので、これの回収ということは相当これから肩がわりされた中小企業金融公庫として努力される必要がある事項ではないかと考えられる次第であります。
  119. 山田節男

    委員長山田節男君) 本件に関しまして質疑のおありの方は質疑をお願いいたします。  私から一つ坂口総裁に質問いたしますが、この復興金融公庫から承継されたものは、この中には、これは復興金融金庫で貸し付けたものの総領の中から中小企業に貸し付けたもののみを承継されたのか、あるいは昭和電工のようなものもまじっておるのか、この点をお伺いしたい。
  120. 坂口芳久

    参考人(坂口芳久君) 中小企業の貸し付けの条件に合いまするものだけを承継いたしました。
  121. 山田節男

    委員長山田節男君) ほかに御質疑ございませんか。
  122. 石川清一

    ○石川清一君  今の委員長の言うた不良と思われる債権について特別にお考えになり、あるいは措置をとつたのはありますか。
  123. 坂口芳久

    参考人(坂口芳久君) ただいまのこの復金関係債権は大体四十二億、概数で申しますと四十二億引き受けをいたしました。そのうちからただいままで約六億を回収いたしております。なお今後も回収には努力いたしたいと思っております。
  124. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 今の問題について私もう一点伺いたいのですが、特に開発銀行当時から引き受け分についてはずいぶん再三回収については努力をなすつているようですが、事実はなかなか回収困難というか、不能に近いものがかなり多いと思う。四十二億のうち回収できたのが六億というお話ですが、残りの三十六億ですか、これについての大体の見通しというか、お見込みが大体おわかりでしょうか、それらについての方針なりお考えを伺いたいと思います。
  125. 坂口芳久

    参考人(坂口芳久君) 将来の見込みは非常にむずかしいのでございますが、復金の関係以外の債権も承継いたしておりますので、この全体につきまして、今度十三億ばかりの滞貸償却準備金というようなものをいただきたいことになりまして、そういうことになりまして、今度のこの議会にお諮りいたしてあると思いますので、回収し得る金額につきましては今はっきり申し上げられませんが、実情に合いまして、あるいはこの債務の保証に対して追及いたしましたり、あるいは担保の処分をいたしましたり、また連帯関係になっておりますものは、中に払える人もありまするが、組合関係で、中には払える人もありまするのに払えないというようなものにつきましては、連帯関係を解きまして、払える人から取るというような、いろいろなことをやりながら回収をいたしております。しかしあまり無理にもなかなかできないものもありまするので、その点いろいろ苦慮いたしておる次第でございます。
  126. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 回収ほとんど不可能という、つまり不良債権に類するのがあると思います。そういうものについてのつまり損失補償等はどういうふうにお考えですか。
  127. 坂口芳久

    参考人(坂口芳久君) 今のお話は、損失補償と申しますと、代理店からでも補償をとるというお話でございますか。
  128. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 つまり最終の借り受け者に対して……。
  129. 坂口芳久

    参考人(坂口芳久君) 償却ということでございますね。
  130. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうです。
  131. 坂口芳久

    参考人(坂口芳久君) 償却いたしましたのは、引き受けいたしましてから約一億くらいのものを償却いたしております。それは復金分だけじゃございません。全部の債権につきましてそれくらいのものを償却いたしております。
  132. 山田節男

    委員長山田節男君) ほかに御質疑ございませんか。  それでは本件に関しましては一応質疑は終了いたすことに御異議ございませんか。——それでは本件に関しましては一応質疑が終了したものと決定いたします。   —————————————
  133. 山田節男

    委員長山田節男君) 次に輸出入銀行の方を審議いたします。日本輸出入銀行総裁山際正道君並びに日本輸出入銀行理事高橋一君、会計検査院側大沢検査第四局長大蔵省からは谷村総務課長出席されております。  まず山際総裁説明を求めます。
  134. 山際正道

    参考人(山際正道君) 御下命によりまして日本輸出入銀行状況に関しまして概略を御説明申し上げたいと存じます。  御承知通り日本輸出入銀行はわが国の貿易の輸出の構造が、将来その重点を重工業製品の方面へ向けられねばならぬという意図から、その貿易を金融的方面から促進する意味をもって、この銀行が作られたわけでございます。  昭和二十五年の末に設立せられまして、二十六年二月から業務を開始いたしたわけでございます。自来今日まで四年半を経過いたしたわけでございまするが、説明の便宜上お手元に計表によって提出いたしておりまするが、これをごらんいただきますと、すぐにお気づきいただきます通り、当初の両三年間というものは、実はこの銀行の業績はまことにふるわなかったのでございます。その理由といたしましては、わが国の貿易、ことにこの輸出貿易に関しましては、重工業製品、船舶、車両、重機械その他の工場設備等を海外に輸出するということは初めての経験でございました。自然その方面の仕事に製造業者も、また貿易商社もなれておりませんという点がございます。それに加えまして、当時いわゆる朝鮮ブームの影響によりまして、国内の市況が非常に活発でございますために、遺憾ながらその方面の輸出はふるわなかった関係上、自然本行の業績におきましても、その両三年来はその業績が十分上らなかったのでございます。二十八年の下期に至りまして、その様子はやや変つて参りました。これは主として外国からの船舶の注文が多くなったことに原因するのでございますが、この下期を転機といたしまして漸次活況を加えて参っておるわけでございます。  ごく大まかに申し上げますと、昭和二十八年度一年分の仕事の量は開設以来の三年間の分にやや匹敵するのでございます。この趨勢は幸いにして二十九年度も引き続き進捗いたしまして、二十九年度の業績は、それに至るまでの前三年あまりの業績に匹敵するというふうにふえて参っておるわけでございます。自然当初の数年間は、与えられました資金におきましても、相当の余裕領を存しておったわけでございまするが、ただいま申し上げましたように、最近活況を呈しました関係上、漸次、資金はむしろ窮屈な状況に立ち向つておるのでございます。今後ますますこの方面の輸出は増強する必要がございまするので、自然三十年度の予算におきましては、さらに出資金借入金を合せまして二百二十億円の予算を御計上願つているような次第でございます。その原因といたしましては、これは先ほども申し上げました製造業者もしくは商社等がいわゆるこの種の製品の売り込みにつきまして相当経験を重ねて参つたということ、それからまた一面には、国内の市況がさえないということの反対現象といたしまして、輸出の増進に極力力を加えて参つたということ、これらが相加わりまして業績が漸次上向いたしておるわけでございます。また海外におきましても、日本の重工業製品がなかなかその品質がよろしいということの認識も漸次ふえて参っておる模様でございます。かたがたこの二十八年度下期以降というものは、大体において満足すべき方向に向つて貿易が伸びておると申し上げてよろしかろうと思うのでございます。  この種の金融といたしまして、私どもが最も留意いたしておりまする点は、むろんこれは貸付先から当然確実なる償還を求めますることはむろんでございまするが、特にこの種のものについて申し上げたいと考えますことは、それにも劣らず重要なことといたしまして、この日本の品物を質入れました外国が、十分にその代価を払つてくれるということの確認ということが、これが非常に大事な点だと思うのでございます。本行を設立いたしまして、国内の製造業者なり、あるいは商社等に資金融通をいたしますゆえんのものは、要するにこれによって外貨の獲得をめざすのでございまするから、いかに国内において回収上懸念なしといえども、その最終の目的である外貨の獲得ということが達成いたしませんといたしますならば、本行の機能は十分達成し得ないということに相なろうかと存ずるのであります。ところが外貨財源の確保につきましては、単に日本の品物を買いました相手方の業者の業績いかんということのみならず、その国の国際収支の状況、為替政策等がもう一つそこに加わつて参りまして、そのために実はこの種の資金融通をいたしますについては、非常に複雑かつ困難な問題にしばしば逢着いたすのでございます。しかしながら、私どもといたしましては、この種、わが国の金融方式から申しましても、全く新しい種類とも申すべき分野でございまするので、極力研究研究を重ねながら適切なる融資の実行に進むという態度で努力いたしている次第でございます。幸いにいたしまして、今日までのところは、回収その他概して順調に推移いたしているのでございまするけれども、しかしながら御承知のように、この種の輸出につきましては、国際競争の状況は、日に激甚を加えておりますその結果といたしまして、同じく品物を輸出するにいたしましても、その支払いの条件というものが漸次売手方に不利になって参っております。たとえば年限のごときは最も著しい例でございまして、比較的長い年賦でないとなかなか物を買つてくれない、これは日本ばかりでなしにヨーロッパ各国、その他日本の競争相手となりまする国がいずれも同じようなことで条件を提示いたしております。日本といたしましても、やむを得ずかかる条件に従って物を売つていかなければならぬという状況にございまするので、自然本行の貸付金も漸次長期になって参ります。そういたしますと、長い年月の間には思わざる事故も起り得るわけでございまするので、今日まで無事に推移いたし得たということをもって、将来を安心するわけには毛頭参りません。極力時々の情勢の推移に留意いたしつつ、わが国の非常に大事な問題であるこの種輸出振興ということにつきまして、金融上から本行に与えられました責任を十分に果して参りたい。かような努力で苦心をいたしているような次第でございます。  ごく概略を申し上げましたので、あるいは御疑問の点、おわかりにくい点も多かったと存じますが、なおお尋ねをいただいてお答えを申し上げたいと存じます。
  135. 山田節男

    委員長山田節男君) 次に、会計検査院側説明を求めます。
  136. 大沢実

    説明員大沢実君) 検査報告に掲げてあります以外は、特につけ加えることはありません。ただ年度末、二十八年百二十億という莫大な食糧証券とか国債とかいうようなものを保有して、まあ何と申しますか、金融機関といたしましては異例な状態であったのでありますが、これが漸次減つていくだろうという見通しであったのですが、二十九年度末にもまだ七十五億ほどのものが、こうした食糧証券、国債で保有されているような状態であるということだけを御報告申し上げます。
  137. 山田節男

    委員長山田節男君) 本件に関しまして御質疑のある方は御質疑をお願いいたします。——委員長から一つ御質問申し上げますが、この二十八年度並びに二十九年度業務概況を見ますと、二十八年度においては輸入金融が一件あった。しかるに二十九年度におきましては輸入金融が全然なかったというふうになっておるのですが、これは看板から申しても輸出と同時に輸入に対する金融も便宜を与えるためにこういうものを作られたわけですが、なぜこういう輸入金融に対する融資が少いのか、何か理由があれば一つ説明願いたいと思います。
  138. 山際正道

    参考人(山際正道君) 本行の行います輸入金融に関しましては、非常な特殊な制限が設けられておるのでございます。概略申し上げまするならば、要するに輸出品の原料となるようなものを長期の前払い契約によって輸入するような場合に、その前払い金の長期金融に当るという制限になっておるのでございます。しかしてその輸入し得る品目につきましては現在十種類に限定されております。ただ実際のこの輸入金融状況を見ますと、概してかかる長期契約によって輸入されますようなものは少うございまして、多くは普通の商品の決済、すなわち短期の金融によりまして、市中銀行、為替銀行等が取り扱うので十分参っておるのでございます。たまたま一件取り扱いましたのも、これは当時スクラップが非常に不足をいたしました。スクラップを輸入いたしますために相当長期にわたって前払いの要求がございまして、その長期資金のために本行に融資を仰いで参りまして適当と認めましたのでそれを実行いたしましたのでございます。その一件が相済みますると、実は該当いたします事例が今日までございませんでしたために、一件もなかったというようなわけでございます。
  139. 山田節男

    委員長山田節男君) もう一つ。先ほど総裁からもお話がありました造船の金融で、昨年であったと思いますが、日立造船ですね。インドネシアなんかのタンカーか何かを作った、二隻。これもやはり五年か幾らの年賦払いになっておるようですが、補償が何か向らの政府がやつたということになっておったらしいのですけれども、金がもらえないので、しばらく竣工した船が岸壁に繋がれたままで何カ月か放置されておつたことがあるのです。このときに輸出入銀行が中に入られて、何か結末をつけて船がインドネシアの方へ行ったというようなことを私一度聞いたことがございますが、ああいったような場合に造船業者が外国から受注をする場合に、政府が相手ならばこれはよろしいのでございますけれども政府にしても、インドネシアのあのような場合には一応輸出入銀行が介在して、それで補償が、果して能力があるかどうか、信用すべきかどうか、こういうことはあらかじめあなたの方で信用調査といいますか、これをお調べになるだろうと思うのですが、実際上どうなんですか、その問題につきまして……。
  140. 山際正道

    参考人(山際正道君) 融資を実行いたしますに当りまして、ただいま御指摘の点は本行といたしましても最も力を入れて直接調査をいたしておる点でございます。お示しのございましたインドネシアの具体的な件につきましても、その後順調に船舶の引渡しも終了いたし、なお、その支払いにつきましてはインドネシア政府が補償をいたしましたのでございます。その後第一回の償還期がこの六月末に参つたのでございまするが、インドネシア側、主として政府の都合によりまして、政府全額の年賦を繰り上げまして、一時に支払いをいたしてくれました。本件は六月末をもって全部回収を見るに至りましたわけでございます。
  141. 山田節男

    委員長山田節男君) ほかに。
  142. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 先ほど会計検査院からお話のあった常時余裕金が少くない。それの運用として食糧証券、つまり国債をかなり保有しておるというような話でありましたが、その後二十九年度末はどのくらいになっておりますか。
  143. 山際正道

    参考人(山際正道君) 本行の余裕金は実は純然たる余裕金と、それから一応貸し出しを承諾はいたしまするけれども、むだな金は使わせないという方針によりまして、使う方の側の金繰りを十分検討いたしまして、要るに従って月割りで資金を出すことにしております。で、御指摘の二十九年度末の一応の金額といたしましては七十六億円が上っておりまするけれども、うち二十二億はただいま申し上げましたすでに使途のきまっておりまするものを必要な時期まで留保いたします分でございます。  それから次に余裕五十四億につきましては、これは本行の性質といたしましてなん時大きな契約が成立いたすかも知れません。相当額の余裕をもっておりますということは、業者が入札に参加する、商談を進めるということに欠くべからざる要件に相成つておりますので、直ちにはこれは発動いたしておらんようなわけでございまするけれども、さような意味においては十分これが後楯となって活動しておる、こういう特殊な需要に基く形態だとわれわれは考えておるようなわけでございます。  なお、二十九年度末におきましてすでに融資を承諾いたしておりまする金額から比較いたしますると、資金量の絶対は八十二億不足いたしておる計算になっております。これはただいま申し上げました通り、要るに従って出して参りまするから、その間にはまた回収もございまするので、彼此相待ってその契約を実行するに差支えない限度においては、現在の資金において長期の融資承諾に応ずる、こういうことから生じて参っておる余裕金もございます。
  144. 石川清一

    ○石川清一君 二十八年度に十億四千八百余万円の利益を挙げておるようでありますが、その報告ではこれは資金の年間保有量が百五十一億もあって、これらの利子が主にあげられて、なっておるのじゃないかと思いますが、この資金が十分資金目的にかなった場合、正常な金融に向けられた場合に、十億ぐらいの利益がやはり上るのか、それともその場合には多くなるのでありますか、その点をお伺いしたいと思います。
  145. 山際正道

    参考人(山際正道君) 実はただいま御指摘の点は、この銀行の資金が十分に活用されていなかったということの結果なのでございます。と申しますることは、普通この銀行が扱いまする資金は比較的低利に出しておりますので、その当時は実は余裕金が相当ございましたために、これを国債その他の有価証券に売り渡しております。その方の利子の方が高いのでございまして、その結果、実は相当の利益ができたような計算になっております。その後だんだん資本金のほかに政府勘定から借入金をいたしております。たとえば見返資金の会計でございますとか、預金部資金の会計でございますとか、借り入れをいたしますると、これに対する利子が相当高いのでございます。見返資金はたしか五分五厘、預金部資金は六分五厘でお借りをいたしておりますので、それを最低四分の輸出金融に振り向けて参りますると、むしろ逆ざやになるようなことになります。むろんこの出資金がございまするので、その関係において欠損ではございませんけれども、自然三十年度の予算におきましては、一応私どもは固く見積りまして納付金はゼロということで予算の御承認を願つておりますようなわけでございます。たまたま十億なにがしの納付金を納めましたのはむしろそういった原因に基くものでございます。
  146. 島村軍次

    ○島村軍次君 今のお話によりますと保有の問題よりは逆に八十二億の不足が出る、そういうふうになると、この活動が活発になってくるに従って、長期金融ですから、資金不足というものが非常に考えられると思うのですが、それらに対する対策はどういうふうなことをやつておられますか。
  147. 山際正道

    参考人(山際正道君) その点は私ども銀行をおあづかりいたしております者の経営上最も注意し、かつ、苦心をいたしておる点でございます。で、ただいま申し上げました通り、八十二億の不足があるということも、その長期にわたる期間における回収金等を見込みまして、まずこの程度ならば融資に応諾しても実行できるというところで目安を立てておったのでございまするが、さらに将来の資金不足を考えまして、先ほどもちょっと申し上げました通り、三十年度の予算におきましては、出資金として百四十億、借入金として八十億円、合計二百二十億円をさらに御追加願うという予算を提出いたしておりますようなわけでございます。大体計画といたしましては、これらの資金量で、少くとも三十年度におきましては、二億ドルを下らざるプラント関係の輸出を実行したい、こういう準備で計画をいたしておるようなわけでございます。
  148. 岡三郎

    ○岡三郎君 今の資金需要の見込みで、大体今農林委員会等にかかっている砂糖特殊物資の輸入に伴う安定帯の設定に伴う吸い上げですね、あの金は輸出入銀行のいわゆる資金の引き当てになっておるというふうに承わっておりますが、それはほんとうですか。
  149. 山際正道

    参考人(山際正道君) たしか私どもが承わっておりまするところは、直接には産業投資特別会計から御出資をいただくことになっております。その産業投資特別会計資金として、ただいま御指摘の砂糖関係の会計からの繰り入れを予定されておるということには承わっておるのでございまするが、直接に砂糖の方が私どもの方に結びついておるということにも実は考えておりません。これはまあそうでないことにぜひ一つ大蔵省の方にもお考えを願いたいと思っておるところでございまして、まあむろん私どもといたしましては、ただいま申し上げました計画の輸出は、これに対して十分に資金融通ができるという態勢をぜひ確保いたしたいと考えております。
  150. 岡三郎

    ○岡三郎君  だから、かりにあの法案は、一応あまり評判もよくない法案かとみえて、あまり動いていないらしいのですが、かりにあれがストップした場合においても、産業資金特別会計の方から相当額輸出入銀行の方に入る、融通できるというふうに総裁はお思いになっておられるわけですか。
  151. 山際正道

    参考人(山際正道君) 私が申し上げまするよりも、政府の方からお答えを願った方があるいは適当かもしれません。私どもといたしましては、先ほど申し上げました通り、砂糖が直ちに私の方という直接の因果関係には考えておりませんのでございまするが、自然、できるだけの政府の御計画で、必要な資金量は御確保を願いたいと考えておりまするが、産業投資特別会計からちょうだいいたします金は出資金でございます。借入金の方でございますと、預金部その他から、もし政府が預余部資金の保有状況等にかんがみまして、お認めを願いますれば、期の途中において借入金を増加するという道もございまするし、かたがた万一さような場合におきましては、十分政府当局と御相談をいたしまして、少くとも私がただいま申し上げました程度の資金量というものは、三十年度においてぜひ確保したい、かように考えております。
  152. 岡三郎

    ○岡三郎君 ちょっと大蔵省の方に聞きたいのですが、今の点について、まあ産業投資特別会計に入れて輸出入銀行の方に見合らうというこの考え方ですね。こういった点については、従前リンク制度においていろいろと処置してきた。しかしガットの加入問題をめぐつて応急措置を時限的にするということで、ああいうふうな苦肉の策といってはあれだが、一つの方式を作られたと思います。そこであれを大蔵省の方として特別会計に入れて、そうしてまあ措置するということになるのですが、ああいうふうな法案一つのめどとして、どの程度輸出入銀行に対する資金ワクを考えているのか、まああれは一応ストップした場合における事後の措置をどうするとかという点についても十分お考えのことと思うが、簡単でけっこうでありますが、お答え願いたいと思います。
  153. 谷村裕

    説明員谷村裕君) 実は御質問になりました点は、特にいわゆる政府の財政投融資計画の根本をなす基本的な問題でございまして、私からお答えすべく非常に重要な問題でございますが、何といたしましても、余剰農産物の関係とか、あるいはああいった特殊物資の関係で、この際産業投資特別会計の方に金を入れて、そうしていろいろな方に政府融資として出すのでなければ、ただいまのところ財源が非常に苦しいようなわけでございます。特に輸出入銀行は、ただいま総裁からもお話しがございましたように、長期低利の資金の確保、こういう建前でございますので、預金部その他そういった借用金でまかなって参りますと、どうしても元が高くつきます。どうしても出資を仰がなければならぬ。しかも一般会計出資ということができないということになりますと、どうしてもこれを特別会計出資に仰がなければならない。そういう意味で、私ども大蔵省の立場といたしましては、ただいま提案されておりますいろいろないわゆる財源がぜひ確保されまして、全体として考えております財政投融資のいろいろな財源が確保されますようにお願いいたしたいと思っております。
  154. 島村軍次

    ○島村軍次君 これはやはり国民に対してよほど誤解があっては困ると思いますが、どうなるんですか。問題はたしか砂糖の特別会計から六十億か六十三億でしよう。それが産業投資特別会計に入る。しかしわれわれ聞いた範囲では、やはり総裁お話しになりましたけれども一つのプール機関のそれに入って、それの目的はやはり輸出入銀行への出資に振り当てる有力な財源になるんだと、こういうふうに考えられると思いますが、それはどうなんですか。やはりその点をはっきりお考えを聞いて、大体今の御説明でわかりましたけれども、これは全体の財政投融資関係にあるものだけれども、それはやはり資金が非常に少いので、そういう問題はやはり砂糖の問題ということでなくして、従来の輸出入関係から起つて大きな財源というか、そういうふうに考えられると思いますが、簡単でよろしうございますから、ちょっと。
  155. 谷村裕

    説明員谷村裕君) 御指摘通り、従来いわば事実上の問題としてやっておりましたいわゆる砂糖リンク制といったようなものがございまして、今度やつておりますことが実はそれを法制化したようなものじゃないか。しかもそれが従来輸出に関連いたしておりましたので、たまたまそういったことを法制化したらば、それからできた金を輸出入銀行に回したような結果にちょうどなるからいいじゃないかというふうなことが、何と申しますか、常識的ないし事実問題として考えられると思います。しかしたとえば余剰農産物等の受け入れにつきましても、この金をどういうふうに使ったらいいか、まあそれの使い方について、いろいろどれがどこにどういくかという、なかなかその当てをつけるというふうなことはむずかしいものでございまして、形式的にはわれわれとしては先ほど申し上げましたように、いろいろな形で入って参ります財源を、一体として政府財政投融資の財源として考えるということでございます。はなはだどうも抽象的に申し上げて恐縮でございますが。
  156. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 簡単に一、二お伺いいたしたいのでありますが、先ほどの総裁の御説明でしたか、融資先をきめるその機構なり、あるいは運用等について、一言お触れになったようですが、融資先の事業とか、あるいは財務状況はどんなふうに検査しておりますか。それからさらに融資の管理上適当でないという事実を発見した場合にはどういう措置をおとりになるか、そういう具体的な例があったら一つ一、二お聞かせ願いたい。
  157. 山際正道

    参考人(山際正道君) お尋ねの点は外貨債権をいかにして確保し、またそれの監査を行うかと、こういうお尋ねかと存じますが、この点につきましては、なかなか外国の商社のこと、また企業家のことでございまするから、実は調査は非常にむずかしいのでございます。しかし、たとえばそれに物を売ろうとする側が一体どれだけの信用調査をしたか、むろんそのデーターは出してもらいますし、できれば在外の日本の機関、また特別なものにつきましては外国銀行等に依頼いたしまして、ある程度の取引関係なり、信用状況なりの調査をいたすこともございます。また御承知のように国際的な信用調査機構もアメリカなり、イギリスなり等にございます。それらも必要に応じて利用いたしております。なお、万全を期ずる意味におきましてできれば銀行の信用状なり、あるいは銀行、保険会社その他有力なるものの保証状なりをあわせて提出してもらうことに努力いたしておりまして、今までやつておりますうちに、船舶以外のものは大体きわめて有力な銀行なり保険会社なり、あるいは大きな親会社等の保証状を何らかの形で取り付けております。また政府機関の保証をもらうこともございまするし、外国政府自体の保証を取り付けることもございます。また船舶などにつきましては、船舶自身を外国法に基きまして抵当をとつております。で、その船だけでむろん足りませんから、それを担保にして、外国のその船主が持っている他の船舶も担保に出してもらいます。それらの他の国の法律に基いて抵当権を設定してもらい、またタンカーなどでございますと、大体船ができますときは、このタンカーをどこの石油会社が使うというような長期契約ができるのが慣例でございます。そういたしますると、それを引き渡しますまでに、その契約のできた石油会社に対しまして、その用船料は船主に払わないで、直接こっちの銀行に払つてもらうということを約束いたしました。むろん債務者にも了解を得る。その場合々々に応じまして、あの手この手の債権確保の方途を講じました上でやつているわけでございます。常時、また貸し出しをいたしましたあとも定期的に各種の報告等をとりますことはむろんでございまするが、時に応じましてあるいは前段申し上げましたような機関を通じて最近の状況等について信用調査を続けるということで監視をいたして参る予定でございます。船の方はまだそれで引き渡しの方まで参つたのも少うございます。幸いに今までのところは格別心配すべき状況にも至らず、各種の報告等を聴取いたしましても、大体まず予定通りいくんではないか、こういう状況になっているのでありますが、先ほど申し上げましたように、だんだん長期にもなりますし、経済界の変動も激しうございますので、その点は要するに常時各種の方法を通じて、その調査なり、監査なりを怠らないというつもりで参りたいと思っております。なお、相当長期年賦で物を売りましたような場合の契約が固っている地方には、特に海外に駐在員を置きまして、これによって常時それらの債権の確保について配意させるということもいたしております。現在ではまだパキスタンのカラチに一名駐在員を置いているだけでございますが、今後は各種の賠償問題等が妥結を見ますれば、集中的にそれらの地方に置きますれば、その場所に駐在員を派遣するなり、あるいは中南米その他、もう少し各種の案件が重なりますれば、また特にそういう配慮も必要かと思います。そういうことのあるべきことを予想いたしまして、三十年度の予算におきましては、銀行の予算のもう予備金として三億円を計上願つているようなわけであります。大体それによって三十年度中に必要と考えられますことはまかない得るかと考えております。
  158. 山田節男

    委員長山田節男君) 時間もたちましたが、私もう一つ伺いたいことは、今輸出入銀行がおやりになっている事業の内容を見ると、わが国としてはプラント輸出が主で、ことに生産機械等を作つて、概してブラント輸出に重点をおかれているようですが、日本輸出入銀行法の第一条からいえば、たとえばサルベージあるいは建設事業、外国でいろいろなダムを作るとか、そういった建設事業、こらいったようなサービスの、輸出じゃないけれども、外貨を獲得する上にサービス産業もやはりあなたのところで融資すべきでないかと思う。このことは日本輸出入銀行法第一条に必らずしも抵触するものでないと思いますが、それに対する見解はいかがですか。  第二は、たとえば日本ビルマ賠償協定が結ばれまして、日本がいろいろ支払賠償、あるいはプラントなどで賠償する場合に、あなたのところはそういう便宜上、そういう賠償に関し、ましての何といいますか、介在機関としてある程度の、ことに日本の業者の便宜のためにあなたの方でこれに対する何と思いますか、援助と思いますか、機関として活動し得る余地があるのかどうか、この二点を簡単に御答弁願います。
  159. 山際正道

    参考人(山際正道君) お尋ねの第一点の海外における建設事業等に対する金融の問題でございます。私どもは現行法の解釈を機械類、その他設備を作りますに必要な資材、それらのものが輸出されまして、それに伴って参りまする技術の提供というところまでが、本行の金融の対象となっておるように思うのでございます。たとえば現地でいろいろ人夫その他労務者を雇うというようなことにつきましては、これはむしろ外貨として獲得されるということよりも、現地の通貨が必要となる事態でございます。これらのものは本法の第一条の解釈といたしましては、直ちに全部それで解決し得るというふうに解釈しにくいのではないかというふうに考えておりますけれども、しかし相当量の資材なり、あるいは機械設備等が大部分出て参りまして、それに伴ってわずかに技術提供関係のサービスがいくという点でございますれば、それは程度問題ではございますけれども、第一条に該当する場合もあり得るかと考えております。が、労務そのものにつきましては、大体において一条で解釈するのは無理ではないかと実は考えておるわけであります。  それから第二のお尋ねの点でございますが、ビルマ賠償の問題でございます。実はあれに伴いますところの経済協力というものがございます。これは当然に私どもの方の働き得る分野だと実は考えております。賠償そのものの部分につきまして、私どもの方が働き得るかどうか、法律上の解釈といたしましては、必らずしもできぬことはないと考えます。これは政府がどの程度に支払いの方法をおきめになるか、たとえば比較的短期に決済がつくような繰り回しの仕方をなさいますならば、長期金融をH的とする輸出入銀行は必らずしもそれに関与しないでも解決がつくというふうにも考えております。実はそれらの点につきましては、政府の御方針をまだ承つておりませんので、賠償問題につきましては、この際何とも申し上げかねますが、少くとも経済協力につきましては、当然われわれの方でやり得る分野と考えていろいろ研究を続けております。
  160. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 サービスのことに関連いたしまして、今度私は海外に回ってみたのですが、イギリスあたりは建設業というようなものは、内地では今あまり仕事がないので、それでアフリカだとか、中近東あたりに非常に何と言いますか、国土総合開発といいますか、自然改造というものがございまして、イギリスはもとよりフランス、ドイツ、これはやはりエキスパートの、こういうサービスの中に入れまして、政府が大々的に援助しておる。銀行なんかも、たとえば最近トルコなんかが国立銀行を建てるというので、年賦払いみたいにして五年か何かで、それはどこでもほとんど建設業者という側は、日本よりも大きいのですが、銀行とタイアップしまして、これは国際競争だ。イギリスは五年、ドイツは六年、フランスは何とかというふうになっていて、サービスということはこの銀行のできたときには問題になって、われわれも考えておりますのですが、今日世界全体にわたるところの大自然改造、国土総合開発につきまして、これは非常に大なき問題であります。実は私は第一条でサービスが入るのかと思っておったのですが、そういたしますと、これは法律の改正を必要としますか。
  161. 山際正道

    参考人(山際正道君) 私がお答えするのは適当かどうかと思いますが、私ども研究をし、かつ、いろいろ当局と御相談をしております範囲では、全部を第一条でまかなうことは法律上無理である。従って各種の道路工事とか、あるいはその他河川改修、港湾建設等のものまでも、一時日本が、何といいますか、外貨を立てかえまして、そのサービスの面まで見るのだ、サービスと申しますのは、現地で雇用する人たちのサービスですか、そういうところまでいくとすれば、おそらく法律の改正を要するのではないかと考えております。
  162. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 それから今の賠償の問題ですが、たとえば私の方でビルマでバルーチャンの発電所をやつておる、ビルマ政府ともどもとやった契約におきましては、前渡金を出す契約ができている。ところが四月十五日以後になりまして賠償に繰り入れられまして、日本政府では出来高払いになるから、ビルマ政府と結んでいた契約よりも極めて不利な契約になっているのですが、そういうような事はやはりやむを得ないのですか、輸出入銀行で世話をしてやられる余地はないわけですか。
  163. 山際正道

    参考人(山際正道君) 現在の法律の解釈としましては前段申し上げましたようなわけでございまして、この問題はできれば一つ政府の方の支払いの方法で、途中で出来高に応じて何回も国民に払つてくれるということで、金融がらまく回転しまするように、短期に支払うのでございますから、あるいはそれに対して市中銀行が払うということも容易になりましょうし、何か現行法のもとにおいて考えるといたしますれば、むしろ支払い方法でやるより仕方ないと考えております。
  164. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 ビルマ政府の方が遥かに親切で、日本の今の法律では、非常に賠償が殖えたために、こちらは非常に困ったような事態が生じますので、今の法律を、何とか便法を講じてもらう以外に方法はありませんか……。
  165. 山田節男

    委員長山田節男君) 山際総裁に申しますが、私もヨーロッパに数回参りまして、ドイツの経済省、外務省、通商局ですか、貿易関係の機構を見ましても、あるいはアメリカなんかの、そういう輸出入銀行のような機構を持っておるものがある。しかもこれは非常に効果的にやつておる。私はアメリカにおそらくモデルをとつた法律だろうと思う。将来の国際貿易から考えますと、やはりあなたのようなこういう銀行は、国際的な一つ開発銀行が世界銀行と結ぶような場合に、今日のお話の貿易上から見ますと、これは実に何といいますか、科学的といいますか、非常にインターコネクトいたしまして、そうせざるを得ない。ですからただ単に日本の輸出入銀行というのでなく、やはりアメリカなり東南アジア、ヨーロツパにおいてこういう特殊の機能を持たなければならんものは、やはり国際的な一つの前提がいるのじゃないかと痛切に感ずるわけです。それと、今の鹿島委員指摘されましたが、第一条は当然日本として、サービス輸出というものは外国貿易ということに重要な問題です。第一条でできなければわれわれ国会としていかようにもこれは改正できるわけです。要はあなたが実際今日まで数年間に経験したそういう事情がなかったからといっても、将来あり得る、鹿島君の言われるようにあるのですから、現に外国——ドイツ、ヨーロツパあたりほとんどやつているのです。その点は一つあなたの経験によってどう解釈するかということは、もっと積極的に大蔵省とも連絡されて、大蔵省でも真剣に考えてもらわなければならないと思います。  大へんおそくまでになりましたが、大体これをもちまして日本輸出入銀行に対する質疑は一応終了したものとみなすことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 山田節男

    委員長山田節男君) それではさよう決定いたします。ありがとうございました。   —————————————
  167. 山田節男

    委員長山田節男君) 次に、日本開発銀行の分を審議いたします。ただいま出席の方は日本開発銀行理事の中村建城君、開発銀行の総務部長の正宗猪早夫君、会計検査院大沢検査第四局長大蔵省からは谷村君がお見えになっております。それでは中村理事から……。
  168. 岡三郎

    ○岡三郎君 その前にちょっと。開発銀行からは今日は小林総裁が見えておらんのですが、この点については小林総裁に所用があると思うのですが、やはり小林総裁をここへ置いてやるべきが至当だと私は思うのです。委員長が本日これを終りたいという気持もよくわかるのでございますが、しかし私はわからないことはないと思うが、また理事の方にも不足を言うわけではないけれども、やはり年一回のこの検査する場合において、各公庫、輸出入銀行等もそれぞれ忙しい中を総裁が出て来ているわけですから、この点一つ理由を聞くということよりも、やはりそういうふうにやったほうが至当であろうと、私は実は思うわけです。
  169. 山田節男

    委員長山田節男君) 今の岡君の御意見ごもっともでありまして、実は小林総裁が今日二時から世界銀行との実は打ち合せがある。二時まで待っておられたのです。ところが本委員会が二時五分前に開会されたのでここにあいさつに来られて、そういう関係でどうしても出席できない、中村理事をして答弁の任に当らせるから、こういう話でございました。もっとも開発銀行の分は極めて重要な内容を含んでおりますので、今岡君のおっしゃるところはわかります。ただ今日はどうしてもやむを得ぬ事情で小林総裁がお見えになっておりませんが、中村君並びに正宗君がお見えになっておりますので、一応開発銀行当局からの説明会計検査院説明を聞きまして、そうしてもし質疑がおありになれば、それについては次回のスケジユールとして総裁にぜひ出ていただいて、質疑をする、かようにいたせば時間の経済上節約できると思う。そういうように一つ御了承願いたいのであります。御異議ございませんか。
  170. 岡三郎

    ○岡三郎君  今、委員長がそう言われるので、それをあえて押し切ってとは言いませんが、まあ一つ時間的な関連もありまするので、今委員長が言ったように、一つこの際は、わざわざ中村理事も長時間待っておられたので、その説明会計検査院説明を聞いて、そうして次回にこの問題については十分検討する余裕を残して、一つ早期に閉会せられることをお願いいたします。
  171. 山田節男

    委員長山田節男君) それでは今の岡君の御動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 山田節男

    委員長山田節男君) それでは中村理事から説明を求めます。
  173. 中村建城

    参考人(中村建城君) ただいまお話しがございましたから、きわめて簡単にお話し申し上げます。  日本開発銀行概況について初めに簡単に申し上げますが、御承知通り昭和二十六年の四月に設立せられまして、同年五月の半ばから営業を開始いたしました。ぢょうど四年とわずかになるのでございますが、当初政府一般会計から百億の出資をもちまして、開業をいたしたのでございますが、その後御承知通り復興金融公庫業務を継承いたしました。さらに政府の見返り資金のうち、私企業貸付を承継いたしまして、金額がだんだん大きくなって参つたわけでございます。さらにその後、主として見返り資金、それを受け継ぎました産業投資特別会計並びに資金運用部から資金の供給を受けまして、その後、先ほどここに出ておられました農林漁業公庫、あるいは中小企業金融公庫ができましてから、それの取扱い範囲貸付金債権を譲りましたけれども、現在において最近五月末の貸付残高が、三千六百二十億ばかりになっておりまして、数字的には相当大きくなって参つた次第であります。さらに本年度は予算も成立いたしましたので、五百九十五億という予定をもって本年度の貸し出しを講じていくつもりでございます。そのうち政府から三百五億の借り入れをいたしまして、自分のところの回収と、利益の留保でもって残りの二百九十億をまかなう、かようなことに相なっております。  次に、ただいま御審議になっております昭和二十八年度におきまする大体の作業について簡単に申し上げたいと思います。  昭和二十八年度は、実は開発銀行につきましては、一番まあ数字的には大きかった年でありまして、当時貸付の額が、八百六十億でありますから、昨年、本年から比べますると、よほど多かった時期でございます。この昭和二十八年度は、これは例年の例でございまするが、うちの貸付につきましては、政府政府資金の運用に関する基本方針というものを定めまして、それにのつとりまして貸付を実行いたすのでありますが、大体これは毎年そう変つておりませんので、昭和二十八年度におきましても、電力の開発と外航船の建造それから国際貿易の改善に資するもの、あるいは輸入防遏と申しますか、自給度の向上に資すること、その他特別の漁業合理化に資するものに貸すという原則をもちまして、これにのっとりまして八百六十億の貸付をいたしたわけであります。  ただ二十八年度に、ちょっと変ったことがございます。それをあわせて申しておきますれば、一つは御承知と思いまするが、世界銀行から借り入れをいたしたのでございます。これは三電力会社におきまする火力発電設備の必要なる外貨資金でございまして、三社合計で、四千二十万ドル、円に直しまして百四十四億円ばかりでございますが、これが二十八年の秋に成立いたしまして、これは一時に借りたわけではございません。逐次必要に応じて現在も借り入れを続けておるわけであります。  第二は、先ほどもちょっと触れましたが、二十八年度におきまして、農林漁業金融公庫中小企業金融公庫ができましたので、それぞれの業務範囲と同じような、従来私ども貸しておりましたものを、この公庫に移しまして、その移しました金額は、検査院の報告にもございまするが、中小企業金融公庫に、昭和二十八年度において百三億でございます。これは実は昭和二十九年度にさらに十六億譲りましたので、総計で百十九億になります。それから農林漁業金融公庫の方へは、二十八年度には二十六億というものを承継いたした次第でございます。この二つが二十八年度中におきまして特に申し上げる事項だと思います。  さらにきわめて簡単に昭和二十八年度資金の収支の状況を申し上げまするというと、昭和二十八年度におきましては、政府から五百五十五億の借り入れをいたしました。それから貸付金回収が二百二十四億ございました。利息の収入が二百二億ございましたが、この利息は概して利益になりまして、それから政府に納付金をいたしますので、その納付金をいたしました残りが貸付資金になります。それが八百七十一億の貸付になります。これらを合せまして貸付をいたした次第でございますが、八百七十一億のうちの実は約四十億の分は、中小企業金融公庫ができます前に、つなぎとして中小企業の資金を約四十億ばかり一種の立てかえで貸しておるのが含まれておることを申し上げておきます。  かような貸付をいたしまして、しかして決算状況はどうなっておるかと申しますと、やはり私どもの方の一番の利益は、やはり貸付金の利息でありまして、これが二百五億ばかり。それから損失の一番大きいものが借入金の利息でございまして、これが二十八億ばかり、その他いろいろの収入、支出がございまして、さらにこれは規定によりまして貸し倒れ準備金に年度末現在高の一%を貸し倒れ準備金に積み立てます。それが三十二億でございまして、差引利益が百三十五億ということになっております。その他法律の規定によりましてその八割の百八億を政府に納付いたしまして、残りの二十七億が積立金として翌年度の運用資金になる。かようなことになっておる次第でございます。これが二十八年度のあれでございまして、二十八年度につきまして、実は検査院から詳細なる御検査を受けたのでございますが、特別の事件につきまして国会に御報告になった事項はないと承知いたしております。  なお、いつも問題になりまするのが回収でございますが、実は昭和二十八年度におきましては当初予定いたしましたよりも、実は回収が多かったのでございます。ところが昭和二十九年度におきましては主として炭鉱業の不況その他からいたしまして、当初予定より回収が減つて、そのために資金計画の改訂をいたした次第であります。それから昭和三十年度につきましては、ただいま二百二十億という回収予定をいたしておりますが、この四、五、六、三カ月におきましては予定通り入っております。しかし主として炭鉱関係がなお問題がございまして、ただいま政府としていろいろ御施策を練つておられますが、炭鉱関係は多少の懸念がございます。しかしながら一方におきましては回収関係が相当先行きよろしいので、まあいろいろ考えまして、ただいまのところは二百二十億の回収は何とか達成できるのではないかということを最後に付言いたしておきます。
  174. 山田節男

    委員長山田節男君) 次に会計検査院側の御説明を求めます。
  175. 大沢実

    説明員大沢実君) 開発銀行貸付について検査した結果、検査報告には特に具体的な事項は何も掲げてございませんが、融資上もう少し考慮を要するのではないかという点については、その都度開発銀行の方に意見を申し上げておる次第であります。  書いてありますうちで特に一つ注意を要しますと思いますのは、現在、中村理事からもお話しがありましたのですが、滞り貸しの点でありますが、この膨大な三千二百億という融資残高から見ますると、年度末の滞り貸しのパーセンテージは三・一%、一年以上滞り貸しになっておるのが二・三宅程度のものでありますパーセンテージは少いのでありますが、絶対的な金額はここに書いてありますように、九十九億円。一年以上延滞しておるのは八十億という金額になっておりまして、この八十億の一年以上の延滞は、実は復金からの承継の分がほとんど大部分で七十六億ということになっておりまして、こうした古い債権回収ということは、相当大きな問題としてこれから努力される必要があるのではないかと思います。  特にいわゆる零細なる貸付、一番めんどうだった零細な貸付中小企業金融公庫等に引き継がれたあとにおきましての比較的大企業に対する貸付でありますからこれに対する回収ということには相当御努力が必要ではないか。もちろん経済情勢によりまして、この貸付先というものはほとんど炭鉱、電力、造船というようなものでありまして、経済事情の変遷でなかなか困難な点もあるかと思うのですが、こうした大きな金額が滞り貸しになっているということは、相当回収に努力を要するのではないかと考えられる次第でございます。
  176. 山田節男

    委員長山田節男君) 本件に関しまする質疑はまた多岐にわたるものと思いますので、次回に譲ることにいたしたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 山田節男

    委員長山田節男君) それでは本件に関しましてはスケジユールを組みまして最近の機会において行うことといたします。なお、小林総裁の御出席を要望していることをお伝え願いたいと思います。  それから先ほど理事会の打合せ事項の御報告で一つ私忘れておりましたが、明日午後一時から例の補助金の不正防止に関する本委員会としてのいろいろ研究と申しますか、いたしたいので、鳩山総理、竹山建設相、川島自治庁長官、それから河野農林大臣、一萬田大蔵大臣等を呼びますので、一つぜひ御出席願いたいと思います。
  178. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 今の開銀に対してこの次までに審議に必要な資料を一二要求しておきたいと思います。
  179. 山田節男

    委員長山田節男君) それじゃ中村理事にちょっとお願いいたしますが、次回質問をしますが、あなたの方で今ここに指摘された二十八年度、でき得べくんば二十九年度までの、何かわれわれの参考になるような資料を御提出願いたいと思います。
  180. 白井勇

    ○白井勇君 ちょっと関連しまして、きょう聞きました各公庫あるいは銀行ですね。これはやはりこちらから注文がなくても、きょう持って来た輸出入銀行くらいの資料を持って来て、誠意を示すべきものだと私は思うのですが、ほかの持って来ないもの全部、これは持って来ていないわけですから、ああいうものもさかのぼってとっていただきたいと思います。
  181. 山田節男

    委員長山田節男君) これは一応終了しておりますが、きょう出てこない公庫に対しては、事務局から出させるようにしたいと思います。
  182. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私が要求する資料は、お宅の、開発銀行からは資料の出方が非常に少ないのです。だからこういう空虚なことではほんとうの審議ができませんから、もう少し積極的に審議に、便宜を与えるような資料の提供を願いたいということと、私は特に、これは特別の資料かもしれませんが、滞つておる承継債権の取り立て状況を少し審議する必要があると思うので、そういう関係資料、今までの承継債権年度別の概算状況……
  183. 中村建城

    参考人(中村建城君) 承知しました。
  184. 山田節男

    委員長山田節男君) 中村君、今の飯島委員の言われた資料に関連して、この検査院の決算報告に出ている電気業、運輸業、鉱業、金属工業、化学工業など、こういったようなものの内訳といいますか、たとえば電気業ならばどれどれというような……。それからあなたの方でやられておる貸付額ですね。それから今の飯島委員の言われたようなものを勘案して、一つできるだけ資料を出していただきたいと思います。それによりまして次回の開発銀行質疑の日程をきめることにいたします。
  185. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 もう少し、私の要求した資料で徹底しない面があるかもしれませんから、もう一言っけ加えますと、たとえば、前にいただいた資料のうち金額別残高表というのがあるのです。これを拝見すると十億以上の件数が六十六件であります。その金額の総計が二千四百二十億余になっております。たとえばこの六十六というのはどういうことですか。
  186. 中村建城

    参考人(中村建城君) 大きな電力会社それぞれ、それから私どもの方ではやはり炭鉱関係ですね。
  187. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そういうところ、これを資料で出していただきたい。
  188. 山田節男

    委員長山田節男君) それでは本日はこれをもって散会いたします。    午後六時四十六分散会