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1955-06-24 第22回国会 参議院 決算委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十四日(金曜日)    午後二時十八分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山田 節男君    理事            青柳 秀夫君            岡  三郎君            中川 幸平君    委員            石井  桂君            木内 四郎君            白波瀬米吉君            長島 銀藏君            島村 軍次君            三浦 辰雄君            久保  等君            小林 亦治君            木島 虎藏君            白川 一雄君            市川 房枝君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修藏君   法制局側    法 制 局 長 奥野 健一君   説明員    会計検査院事務    総局検査第四局    長       大澤  實君    日本電信電話公    社総裁     梶井  剛君    日本電信電話公    社副総裁    靱   勉君    日本電信電話公    社営業局長   吉澤 武雄君    日本電信電話公    社保全局長   米澤  滋君    日本電信電話公    社経理局長   秋草 篤二君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和二十八年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十八年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十八年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)(昭和二十八年度  決算公共事業に対する国庫補助  金、国庫負担金経理に関する件)     —————————————
  2. 山田節男

    委員長山田節男君) ただいまから第二十回決算委員会を開会いたします。  昭和二十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十八年度政府関係機関決算報告書  を議題といたします。  本日は日本電信電話公社の部を審議いたすことになっておりますが、その前に、地方公共団体国庫補助金負担金を不当に申請した場合の刑法上の解釈問題について審議いたしたいと存じます。まず奥野参議院法制局長説明を求めます。
  3. 奥野健一

    法制局長奥野健一君) 一般的にお答えいたしますと、災害が事実なかったにもかかわらず、災害があったという報告をいたしまして、その旨の補助金申請をいたして、国をしてそういう災害があったものというように誤認せしめて補助金交付せしめたという場合は、特段事由のない限りやはり詐欺罪成立があるのではないかというふうに考えます。  この点について、刑法上やや問題になろうかと思う点を指摘いたしまして、御参考に供したいと思うのでありますが、まず、この場合は国から補助金をとるということでありまして、一般個人財産をだましてとるというのとは違うわけであります。ある学説によりますと、詐欺罪というのは、個人の、個人的法益としての財産的法益を害する罪であるから、国家的法益に向けられた場合は刑法の二百四十六条の詐欺罪はないではないかという説もないではございませんが、しかし判例等によりますと、たとえば欺罔行為によって食糧不正配給を受けた場合、すなわち食糧緊急措置令第十条違反のような場合に、判例では、主要食糧不正受給について詐欺罪成立することを判例に示しております。そのほかにもたとえば虚偽封鎖預金支払い請求書によって預金の払い施しを受けたような場合も、やはり国家からではありますが、これについて詐欺罪成立を認めておる判例もあるわけでありまして、少数の説は、国家的法益に向けられる場合は詐欺罪成立しないという説がありますが、これはやはり国の財産であると個人財産であるといなとにかかわらず、刑法二百四十六条の詐欺罪成立するものというふうに考えます。  次に、問題点として考えられますことは、普通詐欺の場合は、人を欺罔して自分財物をとるという場合がおもな場合であると考えられますが、この場合は欺罔の手段を行う者と補助金を受ける者、補助金を受けるのは地方公共団体でありまして、欺罔行為を行うのはその機関でありますから、人格が別になりますので、欺罔行為をした者とその補助金を受ける者とが別人格であるという点が、詐欺罪成立するかどうかについての多少の問題点であろうかと思います。しかしこの点につきましても、財物交付を受けた者が犯人であることは必要ではないので、第三者に交付せしめた場合も詐欺罪成立するというのが多数の学説であり、また判例におきましても、刑法二百四十六条第一項の詐欺罪成立するがためには、必ずしも欺罔者において財物交付を受けることを要するものにあらず、欺罔者と、現に財物交付を受け、よって利益を受けた者とが同一人にあらざる場合といえども、その成立を妨げないという判例もございますので、欺罔行為を行う者と、補助金を受けるのは地方公共団体でありますから、別人格でありますが、といって詐欺罪成立を否定するわけにはいかないと思います。  次に、地方公共団体機関欺罔行為を行うことによって当該法人利益を得せしめた場合であるのでありますから、こういう場合に、やはり詐欺罪成立を肯定すべきかどうかということは、今言った他人に交付を受けしめた場合ももちろん詐欺罪になるという理論から見て、当然これを肯定すべきものであろうと思うのでありますが、この点につきましてもやはり判例がございまして、たとえば、合名会社の社員が火災保険の係員を欺罔して、保険金当該合名会社のために騙取して、その占有に帰せしめたというような場合も、その詐欺罪を認めておる判例がございます。従ってその法人機関欺罔行為をして法人利益を与える、ちょうど地方公共団体機関たるものが欺罔行為をいたしまして、補助金がその地方公共団体にくるという場合と同様であろうかと思います。すなわち、法人機関行為によって法人が利得を得る場合も、やはり詐欺罪成立はあるというふうに考えられます。  そのほか補助金の場合におきましては、普通の詐欺罪等と違って、私利私欲といいますか、その得た金を自分が使うのではなくて、法人地方公共団体のために使うのであるという点が違いますけれども、この点は、まあ犯罪の情状というようなことについては十分考慮され得ると思いますが、犯罪構成を妨げるものではないと思うのであります。そういう意味におきまして、国の公金を欺罔手段によりましてとった場合といえども詐欺罪成立を否定することは、特段に他の何らか犯罪阻却事由があれば格別でありますが、抽象的にいって、そういう場合はやはり詐欺罪成立するというふうに考えます。
  4. 山田節男

    委員長山田節男君) ただいまの奥野法制局長の御説明に対して御質疑のある方は御質疑をお願いいたします。
  5. 小林亦治

    小林亦治君 今局長のおっしゃったのは、ほとんど通説であり、判例も全部承認しておる、いわば法律家の常識であろうと思いますが、そこで阻却事由というのは、たとえば未成年者であったとか、気違いであったとかいったような場合であって、ほかにありませんね。
  6. 奥野健一

    法制局長奥野健一君) たとえば災害があったと報告するのでありますが、それが非常にまあ粗略と申しますか、過失によってそういうふうに思ったといったような、故意がなかったというふうなもし事由があれば、過失詐欺罪においては罰しておりませんから、故意犯だけを罰しておりますから、その事実を調査しないで、非常に過失によって被害ありと認めて報告をしたというようなことはめったに考えられないとは思いますが、過失で、故意がないということがはっきりしたような場合はやはり詐欺罪にならないと思います。
  7. 小林亦治

    小林亦治君 その場合は阻却ではなくして、最初から罪を犯す意がないんです。たとえば認識は過失であっても、当該首長が、これは大へんな災害だということを認定しているんですから、これはもうこの場合には犯意の問題で、阻却事由ということにはならない。阻却事由というのは、御承知の通り、一たん成立した犯罪が他の能力関係、そういうものによっていわゆる構成要件阻却せられる、そういうことじゃないでしょうか、犯罪がもう成立しないんですから。
  8. 奥野健一

    法制局長奥野健一君) 法律的に申しますとその通りであります。
  9. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 今の公共団体詐欺罪でありますが、たとえば欺罔してという中には、同じことを建設省なり農林省に同時に申請するというようなことは——これはまあ少し具体的なことになりますけれども、やはり悪意があるといいますか、故意にやったという中に入るわけでございましょうか。
  10. 奥野健一

    法制局長奥野健一君) 事実災害がないのに、しかも災害がないことを知っておりながら、災害がありという報告及び申請をするということは、それはもう故意があるというふうに考えるのであります。
  11. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 それはまあ根本問題でありますけれども災害はあった、あったから、それは申請に基いて適当な国の補助をもらうということは適法でありますが、二重に取るということは、私は不適法であると思いますが、知りながら、両方に提出して、両方から補助を受けたという場合は、やはり架空ではありませんけれども、ここにいう欺罔したということになるわけでございましょうか。
  12. 奥野健一

    法制局長奥野健一君) 法律上、ある所から補助を得れば、それについて二重に補助を取るということは、その場合に、もうすでに補助を受けておるというようなことを秘して、もう得ておるにもかかわらず、二重にもらうつもりで申請をして、二重に取るというような場合は、やはり詐欺罪を構成するんじゃないかと思います。
  13. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 いま一点お伺いしたいのでありますが、それは個人であればはっきり甲なり乙なりということがわかりますけれども地方公共団体となりますと、やはりこの犯罪成立するとすれば、何といいますか、犯罪人といいますか、主体になるものは公共団体代表者がなるのでありますか。あるいは個々に受ける具体的の事例に基いて、その局に当った者が刑に当るわけでございましょうか。非常にまあ幼稚な質問でありますけれども、その点をお伺いいたしたいと思います。
  14. 奥野健一

    法制局長奥野健一君) 刑法の建前といたしましては、すべて実行行為をやった者を押えております。ですから事実そういう報告なり申請行為を行なった者ということになります。ただ、ですからまあ町長とか村長という者が全然知らなくて、その下の者がそういう欺罔行為を行なったのであれば、その事実を行なった者が犯人になりますが、もし町長村長もその事実をもちろん知って、そういう文書等についての進達というようなことを認めて、自分名前によってそういうことを出すことについて認識し、それを許しておるというような場合は、やはりその町長村長行為者になる場合があると思います。
  15. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 そうしますと、この地方公共団体不正事件については、実際の当事者というものが罪に当るわけでありますが、やはり組織上、会社も同様かもしれませんけれども公共団体ではいろいろのまあ職務権限がありますので、一人でやれるという場合は比較的少いのじゃないかと思うのです。そうなりますと、内部における権限関係等からいたしまして、数名の人がそれに関与する場合が相当多いんじゃないかと思いますが、そういう場合は、やはりその数名の人が主体といいますか、共同正犯といいますか、あるいはどういう関係になるか知りませんが、いずれもその刑に該当してくる、かように考えていいわけでございましょうか。
  16. 奥野健一

    法制局長奥野健一君) 共犯関係になると思います。
  17. 小林亦治

    小林亦治君 ただ青柳さんの場合ですが、前の場合ですね。たとえば町役場土木課長町長に何ら相談もせずに、それから町長も何もそれを知らねといった場合に、この町長名前を使って補助金申請をしたという場合は、公文書偽造行使詐欺の上に加わるわけですね。そうなると思うのですが。
  18. 奥野健一

    法制局長奥野健一君) 町長が全然知らないで、下の者が町長名義をもってやるという場合は、その名義を使った行為者のみが詐欺関係においては犯罪人になり、しかもその公文書作成が全然事実と違う虚偽公文書作成をした場合は、やはり公文書偽造の罪がそれに加わるわけでございます。
  19. 小林亦治

    小林亦治君 内容虚偽でなくともいいでしょう。内容真実であっても、町長何の何がしという名前を使って、その署名捺印のものを作ったとしますれば、内容がたとえ災害の事実に全く合致しておっても、町長のあずかり知らざる間に町長名義文書成立したのでありますから、そこで公文書偽造が完成すると思います。その文書を使って補助金申請をしたといえば、結局まあ偽造した公文書行使が行われますから、公文書偽造行使、その点で、内容虚偽であろうと真実であろうとかまわんと思いますが、そこはどうですか。
  20. 奥野健一

    法制局長奥野健一君) 町長名義文書作成することを許されておるような権限が与えられてない限りはそういうふうになると思います。
  21. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 いま一点でありますが、そういうような事件が起った場合の告発というようなことは、国の代表としてはどこがやることになりますか。それからいま一つは、これも非常に幼稚なことを伺いますが、時効といいますか、この事実があってから、まあ決算委員会ではすでに済んだものを取り扱っておりますけれども、大体の時効関係はどういうふうになるのでありますか。
  22. 奥野健一

    法制局長奥野健一君) 最初のお尋ねはちょっとわかりかねたのでございますが……。
  23. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 まあ事件告発するといいますか、これを問題にするといいますか、それはだれがそういう告発をやることになるのであるか、あるいは会計検査院がするとかあるいは国がするか、あるいはだれかが個人的にそれを検察庁にするか、黙ってても警察がやるか、そういうような点についての質問であります。
  24. 奥野健一

    法制局長奥野健一君) 何人から告発がなくても、検察庁がこれを知れば検察権を発動することもできますし、しかもまた何人といえども犯罪があることを知れば何人でも告発ができますし、また官公吏職務上そういう事実があること、犯罪のあることがわかれば、官公吏告発をしなければならないという義務刑事訴訟法上あります。それとただいまの時効で……、時効刑事訴訟法の二百五十条の第三号によりまして七年になって、おります。
  25. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 今お伺いしたので前段の件はわかったのであれますが、そうしますと、今までこういう会計検査院の指摘されたような事件がずいぶんあって、国が相当な損害をこうむってきておるようでありますが、それは今までは別にこういう刑事問題とはしないでずっときているのでありましょうか。あるいはそういうことが取り上げられているんでありましようか。私は今までのところでは刑事問題になっていないように思うわけなんです。もしそうだとすれば、先ほどのお話からいえば、告発をすべき責任者が怠慢であったというか、非常にそういう点を寛大に扱っていたというふうにも考えられるわけでありますが、まあこれが今問題になっておりまするので、あわせて伺っておきたいと思います。
  26. 奥野健一

    法制局長奥野健一君) 先ほど申しましたように、刑事訴訟法の二百三十九条によりまして、「何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。」、二項といたしまして、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」と、この二百三十九条の二項の規定は、一般にやはり会計検査院といえども官公吏として職務を行うことによって犯罪があると思った場合には、告発しなければならないという適用があろうと思います。ただ会計検査院法の三十三条によりますと、「会計検査院は、検査の結果国の会計事務を処理する職員職務上の犯罪があると認めたときは、その事件検察庁に通告しなければならない。」と、この検察庁に通告しなければならない義務は、国の会計事務を処理する職員についての職務上の犯罪があったと認めた場合というふうに限っておりますから、会計検査院法の三十三条だけでは、地方公共団体職員等についての規定の場合はこの三十三条には含まれないのでありまして、そういう意味であるいはそういうことをやらないのか、あるいは犯罪があると認めなかったのか、その点はちょっと私にはわかりませんが、それはそれとしても、一般刑事訴訟法の先ほどの二百三十九条の第二項によってまあ告発すべきものと思いますが、おそらく告発しなかったのは、それは犯罪があるというふうに判断、思料がその点に達していないのじゃないかと考えております。
  27. 中川幸平

    中川幸平君 そのたくさんのことで言われれば一律に言えるのですけれども、戦後どうも県にしても農林省にしても、末端農村迎合主義というか、甘やかすというか、この末端土地改良にしても災害復旧にしても、そう心臓強く工事を出すわけじゃないのですけれども、県の耕地課なりあるいは林務課なりなぞは非常に心臓強く皆教えるのですね。そういうことをしたら非常に負担が重いじゃないか、まあまあやれというようなことで、そこへまた農林省の方から査定にきても、そういう辛いことを言うというと、農村を理解せぬやつだというようなことでやられますから、まあ少し目にあまるけれどもがまんしておこうというようなことがだんだん重なって、その不当なことをした者がうまく農村を指導してくれるというような傾向にだんだんあって、林道の開さくなんかにしても、地元負担しないで、補助金だけでまあ工事を完成した。それからまたその末端公共団体にしても、私利私欲のためにするのじゃなきゃ罪悪じゃなかろうというようなことでやってきておるのがたくさんあって、そういうのが発見されて、会計検査院からやかましく言われてきておる。それが告発せずに済んでおる事件も多々あると思うのですが、そういう場合に、実際にそれなら県の査定に来たとかいうような者が犯罪になるのですか、両方とも犯罪になるのでしょうか。
  28. 奥野健一

    法制局長奥野健一君) 犯罪といたしましては、災害じゃないのに災害があるということでまあ国から不正に補助金を取れば、もうすべて犯罪になるので、たまたま検査があったからなかったからという、検査があることによって犯罪になるということではないと思います。ただ会計検査院といたしましては、犯罪の摘発とか犯罪のための調査ではなくて、ただ会計検査であるという使命がそこにあるというので、犯罪の方はあまり追及しないというふうな態度で、従って犯罪ありと思料するというところまで認定がいかないで、告発等の手続がないのではなかろうかと思うのでありますが、ただ先ほどの検査があったかどうかということによって犯罪成立するかしないかということとは、全然関係がないと思います。
  29. 中川幸平

    中川幸平君 いや、災害のないものをあったごとくするのじゃなしに、その災害復旧工事を過大に見積るのですね。地元は割合にそういう心臓は強くないから、小さく見積るのですよ。それを県の方から来て、あすこは見ましたが、あすこは重いじゃないかということで大きく指導するのですね。とにかくこつちはかりに過大に見積ってあってもよくわかっておっても、そういうことは言わないで、うまく農林省へ通すようにする。だから農林省から来て、大よそはわかっておっても、それをそういうことを言ったら、農村に理解のない役人であるというようなことで、そのままに帰られることがあるのですね。そういう場合には両方とも犯罪になるのじゃなかろうか、こう思ってお尋ねしたのですけれども……。
  30. 奥野健一

    法制局長奥野健一君) 地元町村の者と県の者が共謀してそういう、事実無根でもないでしょうけれども災害を非常に過大に報告をして、大きな災害として補助金をとるというような場合であれば、その両者がやはり共犯という関係になり、一方は幇助的な関係になる場合があろうと思いますけれども、結局共犯という形になろうと思います。それからそれをさらに農林省といいましたか、その決定する方でそれをやはり知りながら通したということであれば、その職員はやはり背任して国に損害をかけることになりますので、背任罪ということになるのではなかろうかと思います。
  31. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 先ほど青柳委員の御質問に対してお答えがあった関係でありますが、一つ被害案件を、たとえばよく例に指摘されているのですけれども、あるいは農林と建設、あるいは建設と運輸と、こういうことで両方へ同じ被害のやつを出している。その場合一つの省の関係が決定された後になおかつ出しているというのは故意にしていることは明らかだから、御説明のようにそれは確かにいかん、犯罪を構成する、こういうお話があった。ところが現実は中には違っているのがあるかもしらんけれども、とにかく被害ができて早急にこれを回復しなければならん、これは農林省へ出したものやらあるいは建設省に出したものやら、どうも現実の場所についてはこういった例は幾つもあるというのであわててというか、あるいは安全を期して両方へ出したというようなことですね。で、まあそのあとがまた一つの大きな問題だと思うんですが、一つは決定してきたのにかかわらず、相かわらず前の申請通りにしてまた二軍にもらえば、これはもう先ほどの御説明通り間違いはないでしょうが、一つは来た、一つは来ない場合に、ずいぶんこれは事前検査式なことで見付かって幸い防がれているんですけれども、初め両方へ仕事がどちらに属するんだかわからないものだからやったというような問題は、これはいわゆる故意といったようなものにならないようでもあり、しかしまた、考えようによれば、これはデリケートなんですが、両方へ出したからあわよくばといったような考えがあるかもしれない。これは現実ケースケースの問題かと思うんですが、そこを一つ一括して考えられるという問題なのか、ケースケースの問題なのか、その点はどうでしょうか。
  32. 奥野健一

    法制局長奥野健一君) その点私もよく存じませんが、実際問題として、まあどっちからでもくればいいというので急いで出すという、その段階だけでは犯罪にはなるまいと思います。それからあともうずでにもらってから二重にもらうというのが犯罪になるのではないかと思います。
  33. 山田節男

    委員長山田節男君) ほかに御質疑ございませんか——ではただいま承わった奥の法制局長には、今後参考人を呼び、その他の具体的な事態にぶつかった場合にまた御所見を承わるかもしれません。本日はこれで終ります。速記をとめて。   〔速記中止
  34. 山田節男

    委員長山田節男君) 速記をつけて。  次に、日本電信電話公社昭和二十八年度決算報告書を審議の議題といたします。検査報告批難事項は第二千二百二十五号から第二千二百三千一号までであります。  ただいまお見えになっておる方は、向って左から会計検査院大澤検査第四局長梶井総裁靱副総裁秋草経理局長中尾施設局長田辺運用局長、なお後の方に山本職員局長吉澤営業局長永田資材局長関建設部長辻畑観察部長茅野経営調査室調査役の方々が出席されております。まず、本件に関しまして梶井総裁説明を求めます。
  35. 梶井剛

    説明員梶井剛君) 日本電信電話公社といたしまして検査院から事業経営全般について御批判なりまた御注意を受けましたことは、まことに私ども責任でありまして、これらの御注意に対しましては、私どもは十分に注資して、かような不当事項、または不正事項について再発しないように努力いたしたいと考えておる次第であります。経営全般につきましても、また個々不当事項につきましても、検査院の御指摘は全くその通りでありまして、まことに私どもは遺憾に存じておる次第であります。  二十八年度は国会の御承認によりまして料金の値上げをきめていただきました。そのために事業の損益は著しく改善されたのでありまして、建設資金が相当増額され、その建設資金の増額に対しましては、われわれは従来よりも一そうの努力を傾倒いたしまして、事業全般にわたって改善合理化を推進しなければならないということを痛感しておる次第であります。建設工事中二十五年、六年、七年におきてましては、かつて検査院から強く御注意を受けました通りに、繰り越しが相当著しく、工事の進捗がきわめて緩慢であったのでありますが、二十八年度におきましては極力その弊を取り返すために、設計、施工につきてまして督励いたしまして、早期に計画を樹立し、物品の手配等もかなり順調に行われました結果、年度内における建設勘定の支出はほとんど平準化されて参りました。しかしながら、個々工事のやり方あるいは内容につきましては、御指摘のありました不当事項通り不手ぎわで今度改善すべき点も相当ございます。この電信電話事業の経営の根幹は、国民の要望せられております通信機関としての使命を十分達成するために、一回線でも多く増設いたしまして、その利便を増進することにあるのでありますから、勢い建設勘定におきまして、われわれは最も経済的に能率約に資金を活用しまして、その目的を達成しなければならぬのであります。従ってこの五カ年計画実施に当りましても、特にその点を公社の全員に注意いたしまして、できるだけ加入者の開通を多くし、かつまた早期に開通し、また回線の増設をできるだけ多くした次第であります。  資材の調達につきましても、これは建設並びに保守について多大な影響のあるものでありますが、かつて在庫量が非常に多過ぎまして、その回転率が著しく悪かったのでありますが、その後年々在庫量を適正な量にまで圧縮するように努めておるのであります。この点につきましては検査院からも多少在庫量について適正化の方向に向っておるというおほめをいただいたのでありますが、しかしまだ所期の目的に到達しておるわけではありませんので、今後におきましても在庫量の減少ということにつきましては努力するつもりでおります。  個々不当事項につきまして大別して申しますと、計画がまずかった、あるいは実施部門が跛行しておる、事務的連絡が不完全である、協力が不十分であるというようなことが幾多あったのであります。これらの不当事項につきましては、もちろん私どもとしましても社内における鑑査をできるだけいたしまして、検査院から御指摘を受けない先に是正したいという考えのもとに努力しておるのであります。しかし、なお御指摘の通りな件数がございますので、われわれはその検査院の御指摘につきましては、幹部それぞれに十分に周知し、かつ適切な処置をいたしまして、そうして今後とも合理化、能率化、経済化、ということにつきましては、単に処分ばかりにとどまらずして、実際にその実をあげるように、関係の人々に周知せしめておるのであります。しかし、従業員の数もまだ非常に多いのでありまするから、すみずみまでこの考え方に徹底しておるとは言い得ないのでありまして、今後ともこの趣旨を末端まで徹底するように努力し、そうしてかような不当あるいは不正事項を防ぎたいと考えておるわけであります。  不正事項につきましては、以前から見ますると、その件数はかなり減少いたしました。しかし、御指摘のこの不正事項はまことに不都合な問題でありまして、これは綱紀粛正上捨ておきがたいことでありますから、責任者は厳重にそれぞれ処分して、今後再びかかることの起らぬようにいたしたいと考えておる次第であります。  一応検査院の御指摘に対しまして公社としての考えを申し上げました。
  36. 山田節男

    委員長山田節男君) 次に会計検査院説明を求めます。会計検査院検査第四局長
  37. 大澤實

    説明員大澤實君) 三百六十ページ以降に掲げましたことをかいつまんで申し上げますると、まず三百六十ページに事業損益の概要を申し上げてあります。ここで御覧になっていただくとわかりますように、公社全体については五十億余の利益をあげておるのでありますが、電信事業と電話事業を分計して見ますと、電信事業が非常に欠損をしておって、それを電話事業でカバーしておるという状態でありまして、電信事業の合理化ということが将来の大きな問題として残るのではないかと思う次第であります。  次に三百六十一ページに「建設工事について」と書いてありますのは、建設工事の予算の消化と申しますか、工事の進捗度が非常によくなって参ったことを一応申し上げておるのでございまして、工事の量は、二十七年度に比べますと多くなっておりますが、それをどんどん工事を進捗せしめて相当よく使用されておるということは非常によく認められるのであります。ただ、その中に絶対的な金額としますと三億、約四億でありますが、パーセンテージにしますれば大した金額ではないのでありますが、進捗をあせるあまりといいますか、たくさん進めたということにしようとする気持が多少働いたのではないかと思われますが、年度末におきまして契約をされまして前金払いをされる。だから炊事自体は何もまだ着手していないのに対して前金払いをされたのが約一億五千万円、それから年度末に材料だけを購入して翌年度に繰り越した、これも工事の実体が進んでいないわけですが、これが約二徳、三値五千万程度のものが、本来ならば繰り越すべきものが繰り越しでなくて、決算額に上っておる、そういう状態になっております。こうした工事進捗に努力される点はよくわかるのでありますが、年度末において、それを何といいますか、実際以上に決算されるということは慎しまなければならぬ問題ではないかと考える次第であります。  次に、三百六十二ページの「電信電話拡充五箇年計画について」と書いてありますが、二十八年度以降公社が立てられた五カ年計画の進捗度を一応申し上げたのでありまして、電話の方は初めの計画よりも相当進んでおります。電報、電信の方はまだ当初の計画までいっていない。なあ結局これは結論しますると、電報の機械中継化、中継の機械化という方式をどこに持っていかれるかという点に相当技術的に困難な点があろうかと思いますが、一日も早くこれを克服されて、中継機械化を促進されることが、最初に申し上げました損失の是正の点からいっても必要ではないかと考えられます。  最後に、三百六十三ページの末の方に「資材の調達管理および運用について」と書いてありますことは、これも資材の回転率が昨年に比べると相当上昇しておる。しかしながら、内容をよく割ってみますると、現場ですぐ要る物を資材局を通して購入してすぐ決算したというものを除きまして、一応貯蔵品として持っているというものを見ますると、まだ回転率はもう少し向上させる必要があるのではないかということと、在庫の中に非常備物品、と申しますのは、結局購入してすぐ現場で使うものでありますが、それが在庫になっているものが約十一億円ある。これはまあいわばすぐ使う予定で買ったものが、計画変更その他で使われずに在庫になっておる、こういうもので、一つの死過蔵物品になる危険のあるものでありますから、こうしたものの利用に対してさらに努力する必要があるのではないかと考えられます。  以上総論的に書いてあることの御説明を終りまして、三百六十五ページの二千二百二十五号でありますが、これは大崎の電話局で、いわゆる代非番号の制度、といいますのは、たとえば、千一番を回せば、一番から九番まであいているところへどこでもかかるという代表番号の制度を作ってお客さんの利便をはかろうとした。その装置を約五百九十万円で作られたのでありますが、大崎の電話局の管理の加入者の数が一ぱいになっておりましたので、せっかくこの代表番号を作るような設備をしながら、今度はお客さんに話して、あなたの番号をとっかえてくれということを折衝しなければ、せっかく作った代表番号の装置が稼働しないという状態でありまして、現在もこれが動いていないという状態でありまして、電話爵号、電話管理の端子のあきの見通しもよくつけずに、代表番号制度の工事をされたということは、計画が当を得なかったのではないかと考える次第であります。  次に、三百六十六ページの二千二百二十六号は、これは日本橋の電話局の加入者増設工専でありますが、これは従来月木橋の電話局に入っておりました加入者を、新らしくできました千代田の電話局の方へ移しかえたために、日本橋の電話局の端子にあきができた、それに加入者を入れようという工事をされたのでございます。本来ならば、千代田の方へ移せばすぐあくのでありますから、すぐそこへ加入者を入れるというように手配すべきものでありまして、当初の計画もそういうようにやってあったのでありますが、途中ちょうどこの工事の最中に、電電公社の機構改革がありまして、その間の連絡が不十分であったために、工事の発令が延びまして、しかも延びた工事の発令を見ますると、一部の工事の発令がそのときに忘れられていたというような事情もありまして、非常に延び延びになりまして、当初の計画よりも約七カ月遅延してようよう収容したというような状態でありまして、もしも当初の計画の通りいけば、もっと早く開通できて、相当な収益をあげ得たのではないかと考える次第であります。  次に、二千二百二十七号というのは、九州の鳥栖の電報電話局で、従来の建物がいたんだので新らしく作られたわけでありますが、これに従来鳥栖は磁石式という一番古い、といいますか、制度の電話局でありますが、これを今度新しくするのに何をやるのか、英霊式にするのか、あるいは東京のような自働式とするのかというような計画がまだ十分に熟していないうちに建物だけ作ってしまった。これはわからぬのでありますから、結局なるべく余裕のあるうちに自動式でも収容できるような局舎を作ってしまおう……、ところが、またそこに共電式を入れるか日勤式を入れるか、あるいは従来の磁石式のままでいくのか、はっきりしないで、局舎はできたものの、その電話局は使われずに、一部は事務庁舎に使われておるというような状態でありまして、計画の熟さないうちに出先で建物を作ってしまったという点に、部内の連絡不十分の点があるのではないかと思われる次第であります。  次に、三百六十八ページの二千二百二十八号は、まだ使い得る電動発電機の能力が、その電話局としては能力が足りないというので撤去しましたときに、ほかの電話局で使えばよかったのを、これをもうスクラップとして売ってしまった。性能検定をして使えば、まだ使えるかどうかはっきりわかったと思うのでありますが、技術認定、いわゆる性能監査を行わずにスクラップとして売ってしまった。そのために相当な安い値で売ってしまって、公社としての損失を招いたのではないかと考えられる事項であります。  次に、二千二百二十九号に書いてあります借上機械の解約がおくれたといいますのは、これはレミントンランドの統計機械を一応借り入れまして、統計に使っておりましたところが、レミントンランドよりもI・B・Mの機械の方かいいから、それに切りかえようということになりまして、I・B・Mの機械を借りながら、もう一方レミントンランドの機械の解約をおくらしておった、そのためにかような使わない機械を借り入れて、それに対して相当な借入料を支払っていた。これなども内部における連絡が十分とれておれば、新しいものを借り入れたのだから古いのは解約していいのじゃないかということが早期にわかって、早期に解約ができて、相当な借入料が、一年分約二百二十五万円が、これだけのものが払わなくても済んだのではないかと考えられる次第であります。  次に、二千二百三十号に書いてあります不正行為は、一つは習志野の電報電話局で、電報電話料を集金してこれを横領してしまったというのと、もう一つは室蘭の札幌電気通信部室蘭駐在所で、架空な支払いをしまして金額を横領した、この二件でありまして、金額としてはさほど大きな金額ではありませんですが、こうした事項がたとえ一つでも二つでも出てくるということは、はなはだ遺憾なことに存ずる次第であります。  最後に出ております三百七十一ページの二千二百三十一号は、これは公社でいろいろな軍気通信工事を施行さるる場合に、一々親場へ行って調査し、測量しなくても、図面の上でどこへどうしたらいいかということのわかるような一つの図面を作ろうということで、電気通信施設記録図というものを二十五年度以降作成されたわけであります。これはアイデアとしましては、構想としましてはきわめて適当な構想だと思います。それで大いに調査をされまして、この記録図を相当たくさん作られたのでありますが、作ったあとの補正を十分にされなかった。一度作っても相当変化がありますので、変化の部分の記入が漏れておったりしまして、せっかく相当な金額を費して作りましたこの電気通信施設記録図というものが、ほとんど役に立たなくなってしまった。大体二十五年度から二十七年度までに約一億余の金額を費されておるのでございますが、そのうちもうすでに役に立たぬといって廃棄したものもあります。残っているものも、ほんの何かの参考に資するという程度で、役に立たなくなってしまった。これは検査院としましてもこの前の年に、こいつを大いに補正して利用してもらいたいという意味の照会も発しているのでありますが、結局はだめになってしまった。そこで公社につきましては二十八年、二十九年度以降は、これはあまりどうも複雑過ぎるというので、一応従来の方式を変更されまして、もっと簡単なもので、あらためてこうした記録図を作ろうという方向をとって進んでおられるようであります。これも一度に全面的に採用することは困難だからモデルの局を作って、だんだんと及ぼしてゆこうという方針のようであります。まあこれからあらためて発足されることはけっこうでありますが、こうした一億一千余の金額を費した記録図がむだになってしまったということは、まあ当時の事情もありましょうが、はなはだ遺憾なことだったと考える次第であります。  以上御説明終ります。
  38. 山田節男

    委員長山田節男君) 先ほど梶井総裁から総括的な御説明があったのでありますが、この総裁報告に対しまして、何か補足される必要があれば補足していただきたいと思います。ありませんか。
  39. 靱勉

    説明員(靱勉君) ございません。
  40. 山田節男

    委員長山田節男君) ありませんか。それでは質疑をお願いいたします。——では委員長から一つ質問いたしたいと思いますが、二十八年度はたしか従来の電気通信省の所管から電電公社が発足した年度だと思うのでありますが、そのときに公社のいわゆる五カ年計画をお立てになったように記憶するのです。その進捗状況を簡略、簡単でよろしゅうございますから、お述べ願いたいと思います。  それからもう一つは、例の目下建設中のマイクロウエーブの計画も大体計画された通りに進捗しているのかどうか、この点あわせて御説明願いたいと思います。
  41. 靱勉

    説明員(靱勉君) 五カ年計画の進捗状況につきまして、簡単に御説明申し上げます。  五カ年計画におきましては、建設資金総額五カ年間に約二千七百七十二億と、こう概計いたしまして、年々五百億から六百億の建設予算を立てるということを発足いたしたわけでございますが、二十八年、二十九年度、現に参議院で御審議をいただいておりまする三十年度の予算におきましても、建設資金の総額というものは当初予定しているより相当圧縮されております。ことに昨年度におきましてはデフレ政策と申しますか、そういう関係もありまして、せっかく整備した予算におきましても、外部資金の社債の発行を二十七億余り制限されて、結局一般公募の社債としましては七十億ということでございましたが、それが四十二億余りということになった。それ以外に、予算におきまして事業収益を相当見込んだのでございますが、一方におきましてデフレの影響、一方におきまして私どもの収入の予定と実績とは年間約四十二億の差になって、結局四十二億少なかったということになりますが、それは各事業でいいますと、まさに市外通話料におきましてほとんどそれと同額の減少を示しているのです。これは単にデフレだけの影響ではございませんで、あるいは以前におきましては特急通話という三倍の料金をもっておかけになっていたのが、即時あるいは準即時になったために、普通通話より少し高いところ、至急通話より安いという特定料金に切りかわったために、結局通話度数はふえましたが、収入はそれだけ上ってこないという結果がおもな原因でございますが、そういうようないろんな事情から、建設資金の総額というものは予定したように私どもちょうだいできなかったのであります。  一応一番利用者に直接関係のある電話の増設と、それから市外電話をおかけになるときのサービスの状況、すなわち市外電話回線の増設、こういうものにつきまして、五カ年計画の予定と実績を簡単に申し上げますと、二十八年度におきましては、電話十四万ということになっておりましたが、実績におきましては二十一万、これは共同電話等が入っております。一つの電話線であるいは二個以上の電話がつくというのを加算いたしておりますが、二十一万ということになっておりますし、市外電話回線におきましては十九万五千キロという予定でございましたが、二十六万キロ余りやった。昨年度におきましてはやはり加入者増設も当初の予定では約十四万ということでございましたが、十八万、十九万近く開通を見た。市外電話回線におきましては二十六万五千キロというのが三十二万キロというような形になりましたので、五カ年計画の第一年度、第二年度の、要するに利用者に直接関係する、いわゆる私ども開通工程と申しておりますが、それにおきましては計画より上になっておるということでございますが、先ほど申しましたように、建設資金が予定通りに、計画いたしました通りにちようだいできなかったために、基礎工事、すなわち新たに電話局を作る、あるいは今まで手動式の電話を自動にかえるというように、非常に基礎工事に資金の要する面におきましては、たとえば電話局の建設を例にとりますと、計画におきましては二十八年度は二十一局を計画しておりましたが、実績におきましては十九局、二十九年度におきましては三十四局計画しておりましたが、実績は三十局というふうに、大体一割ないし二割の諸設備において減少を来たしております。これは一方におきまして加入者開通の工程が非常に増したと申しておりますが、毎年申し込みがふえて参りまして、前年にたまった、要するに申し込んでもその年につかなかった電話を解消していくというようなことになりませんで、私ども積滞電話と申しておりますが、この積滞電話がむしろだんだんとふえてくる。相当ただいま申したように、つけましたにかかわらず、たとえば二十九年度におきましても現在全国に四十数万のすでに申し込まれた方で電話がつかないものがある。これを私ども三十年度、今御審議願っておる予算におきましては十八万五千電話をつけるという予定にいたしておりますが、これでもやはりこの四十数万というのは絶対数としましては、三十年度末においてやっぱり解消できないというような状況にありますので、諸設備の若干の犠牲のもとにおきましてやはり加入者増設あるいは市外回線の増設というものはこれをやらざるを得ない、こういうような形になっておる次第であります。  そこでこれが大体五カ年計画の計画と実績と御説明申し上げた次第でございますが、マイクロウエーブの計画につきましては、現任東京−名古屋−大阪、この間におきましてはテレビの中継及び電話の通話のために現在回線が動いております。しかしながら、もちろん東京−名古屋−大阪だけでは満足できないのでありまして、これをさらに大阪から広島−福岡、それから北の方に向いましては仙台−札幌というところまでまず延ばしまして、これを第一期の幹線マイクロウエーブのルートとして現在実施をいたしておる次第でございますが、大体におきまして若干予定よりおくれている点もありますが、大阪−福岡間におきましては二、三カ月の予定よりおくれる程度でできるという大体見通しを持っておりますし、東京−仙台−札幌におきましては大体予定通りできるというような形になっておりますので、来年度におきましては福岡、札幌というものを貫通いたしましてサービスに提供できる、こういう状況に相なっております。  以上簡単でございますが……。
  42. 山田節男

    委員長山田節男君) ほかに御質疑ございませんか。
  43. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 この決算報告、それからまた説明書を見ますと、電話の方はともかく、今お話しもありましたが、着々盛業の方に入っているようですけれども、電信の方についてはなかなか思うようにいかない。今お借りした資料をちょっと見ましても、収支はなかなか電信事業は思うようにいっていない。毎年その赤字というものは漸増をしているんですね。今、資料をはっきりこなしていないかもしれませんが、二十五年度あたりから見ましても、事業収支のいわゆる損というものは三十七億、それから翌年が五十五億、その後二十七年が七十八、二十八年が九十七、二十九年は百十三と、こういういわゆる累増している。これの五カ年計画についてというところを見ても、中継機械化計画というものをまずやりかけたが、何かそれについても多少再検討をしなければならんかのような意味のことが書いてあるわけなんですが、この電信と電話というものは、ある意味において軌道と、それと同じ軌道会社がやっておる自動車といったような両々相待つ感じのものもありますから、ある意味において一つ事業というふうに、これは他の関連事業におけるサービス面を持っているというふうな、一つの公社のことでもあり、その性格からいって思われないことはないわけですけれども、しかし累年こういうふうに赤字を増大していくということは、どういうところにその原因があるのか。また機械化を進めていくというのに、同じ資料によれば、二十七年度から二十八年度へのあるいは二十八年度から二十九年度への人件費関係は、電話と同じように電信の方も一割一分というものが、大体一割一分と同じような数字が前年に比べてやっぱり多くなっておる、額として。機械化して大いに能率を上げて行くという問題と取り組みながら、しかも結果においては今のところそんな数字が出ておるように見えるのですが、そういった間の原因、ことに電信の比較的不振の原因、赤字を増しておる原因、これに対して五カ年計画との関係における中継機械化及び今日その中継機械化をやりかけたが、新技術の導入といったようなことから再検討も必要であるといったような事情ですね、この辺を一つ説明願いたい。
  44. 靱勉

    説明員(靱勉君) ただいま御指摘の通り全般的に電信事業の趨勢というものは年々赤字を増してきておる。今委員からおっしゃられた通りでございます。その観測は全く間違っていないのでございまして、この事情につきましては、いろいろ市報につきましての悲観論もあるわけでございますが、私ども考えとしましては、電信というものはともかく国民に提供するところの電気通信機関といたしましては、これはもう明治の初年から、電話より二十年も前から発達したものでございまして、これは明治から大正へかけまして電気通信としての役割、国民との接近と申しますか、使命は、郵便と同じように電信というものは働きをしてきた。ところがだんだんと電話が発達して参りまして、各国の情勢を見ましても、電話の方が実際の商業通信簿におきましてはもう明らかに便利でございます。これが非常な勢いで発達してゆくという情勢は、これは否定できないのであります。先ほど申し上げましたように、五カ年計画の設定で、電話は非常によくなりつつあります。つい先日二百万という加入者を突破いたしたのでありますが、まだまだわが国としては電話というものはそう普及されていない。世界でも非常に後進国といいますか、普及率においては非常に低い国になっておるわけでございます。  そこで、やはり電信というものは国民のまあどの層に対しましても、またいかなる村落に対しましても、電気通信の機関として提供できるということは、公共的使命からいっても私はこれは廃止できないと、こう考える。従って電信を最も経済的にやるということならば、私は必ずしも赤字というものを解消できないとは考えませんが、やはり国民全般に電信、電話のサービスを提供するという観点からいいますと、これはなかなか経済的には国難な問題があります。料金を非常に高くいたしますれば、それは利用率はぐんと減ります。これはもうどこの国でも経験されていることでございますし、私ども戦後の料金値上げにおきましても、そういう傾向というものは現われておるのであります。ところが現在電信におきまして一書経費のかかるのは何かといいますと、結局人件費、夜間一通、二通の電報でも、これは夜だから取り扱わないというわけにはいかんということで、結局戦後の状況におきましては労務費というものが非常に大きなウエートを持ってきたということで、先ほど来三十億の赤字から百億の赤字に達してきておるという御指摘は、まさにベースアップその他の点で、労務費の増加ということが非常に大きな部分を示しておるのでありまして、ベースアップしたその期におきましては電信の赤字がぐっとふえておる。要するに支出がふえるということになるわけであります。それで五カ年計画におきまして一応電信の合理化を計画せなければならん、しかしながらこれは不便にするということでないのでありまして、できるだけ人手を省く方法を考えてみたらどうか。  大体わが国におきまして一通の電報がAのところからBへ届くためには途中大体二回中継される。二回中継されるということは、人が何人必要かといいますと、直通で行きますれば発信局と着信局一人ずつおればいいわけでありますが、二回中継というと、そこに一人ずつおらなければならん。結局四人の人で一通の電報を送受信する。さらにそれを配達するという手数がかかるわけでありまして、そこで一つの方法上しては、その中継というものはなるべく手数をかけないように、要するに一人と一人でもって通信ができるようにするというために、中継の自動化ということが考えられる。諸外国におきましてもこれが発達しておるわけでございますが、先ほど委員長の御質問に、電信のことに触れないで恐縮いたしましたが、二十八年度におきましては四局の自動化を計画し、二十九年度におきましては七局の自動化を計画いたしましたが、これがあまり進捗しておりません。と申しますのは、この検査院の御指摘にもあります通り、当初水戸に初めやりまして、その後金沢、松江、それから松山、なお宇都宮、最近に宇都宮をやりましたが、青森にもできておりますが、宇都宮になりますと、また少し簡単な方式でできるだけ設備費を安くしたいということで、さらに技術の進歩によって、水戸にできたものと宇都宮にできたものはかなりまた形態も小さくなっておるというような形になっております。それから、要するにこれは県の中心部に集中するのに、できるだけ中継をやめて自動的に中継できるようにするという考え方でございますが、これは東京なり大阪なり、あるいはその他の地域に非常に大きな範囲で、中継の中心地になっておるところを中心として自動化ができて参りませんと、その効果があまり発揮できんというような次第もありまして、当初予定したものも、あるいは大都市にむしろ本局くらいにしてしまった方がいいだろうというような計画上のその後の検討もございまして、若干おくれております。  さらにもう一つこれの問題としてよく考えなければならんのは、非常に人が浮いて来るということで、大きな局の中継を自動化することによって職員の数が相当減る。しかしそれをどこに転換していくかということが、やはり職員の配置転換の問題としては労働条件としてなかなかこれはむずかしい問題であります。私どもこの事業は先ほど申したような五百億以上の建設資金でどんどん拡張して参る事業でございますから、首切りという必要はないわけでございますが、やはりある事業から他の事業に転換するには、これは相当準備を整えてやらんと職員としても非常にこれは大きな打撃でございます。そこいらを勘案いたしまして、今後配置転換の計画と合せてさらに中継の自動化を適時に推進していかなければならんと思っておりますが、これだけが万能薬とは考えておりません。私ども当時計画したときに、これがかりに全部われわれの五カ年計画ができましても、電信のこの支出の減は十億くらいではなかろうかというような見当をつけておったのでありまして、ただいま申されたように百億の電信の赤字をいかに解消するかということは御指摘の通りまことに重大な問題でありまして、私ども最近郵便局等におきましてあるいは電報を受け付けないというようなお話がございますが、町にある赤電話等から、あるいは加入者の電話、昔は登録しないと電話で電報を申し込めなかったというようなそういう機関は、むしろ窓口機関と申しますか、要するに利用される方が簡単に利用される機関はふやします。できるだけ金のかからない方法でいきたいというようなことと、これは外国の例を引いてはなはだ恐縮でございますが、日本は電報の逆数は世界第二位です。国民一人が一年一通話、アメリカはあれだけの国でございますが、電報通数は日本の倍くらいで非常に電報通数というものは少いのであります。アメリカのウエスタン・ユニオンでは非常に赤字に困ったのでありますが、全くの純然たる会社で、結局どういうことをやったかというと、機械化と各従業員の電報の負担率というものをどの程度に見るかということによって赤字を現在解消しております。  欧州各国におきましては、英国におきましてもこの赤字に悩んでおりまして、昨年倍の料金の値上げをしました。そのかわり通数が八割に減ったというような形になっておるので、なかなか各国ともこれは悩んでおる問題でございますけれども、私どもやはり電報の取り扱いの能力をもう少し検討してみる必要があるんではないか。一日に五十通程度の取り扱いでございますと、大体よその国では一人ぐらいであります。日本ではまだその程度に参っておりません。これら私ども今後単に自動中継というだけの問題ではなく、そこいらをサービスを落さないで、いかにしてこれをもう少し合理化ができるかということを、すでに公社内にも小委員会を作りまして、大体結論を、直ちに実施できるもの、あるいは今後相当長期にわたって順次実施していくものというふうに分けまして計画しておる次第でございますが、結局これは労働の時間に間があくということでございます。夜聞取り扱いがなくても、一通でもあればこれは届けなければならん、あるいは取り扱わんということにより、せっかくの労働がむだになっておるという点をいかに解消していくか、こういうような、ごく卑近な例で申しますと、いなかの方で夜間人を置かないで、特定局の前に電話のボックスを置きまして、そこから電話で電報を打っていただく、そうしますと電話機だけを置いておきますれば、その特定局の方に一人泊めておく必要がなくなる、こういうようなことを考えて、現に少しずつ実施しております。しかしながら、これは容易な問題ではないのでありまして、今後私どもは何とかサービスを落さず、しかも労働条件の問題等すべて勘案いたしまして、何とかできるだけこれは赤字を解消したいというような気持で目下いろいろの案を作成しておるような次第でございます。
  45. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 だんだん御苦心の点でありまして、まあこの点はよろしく早く機械化という問題をやはり考えなければならんだろうと思いますが、まあしかし、それについては今苦衷を述べられた一つに、いわゆる従業者の問題も当然考えなければならんだし、その転用に当ってもずいぶんめんどうな問題が起ると思うのです。  この機会に私ちょっと、そっちの方面は知らないので、うかつな質問になるかと思いますが、この今の従業員の組合ですね。従業員の組合というものは、今の電電公社、つまり電信、電話ともに一つの団体としておられるのか。つまりあるいは電話関係、それから電話関係というような何かしら区分によっておやりになっているのか。地方などに行っても、今も話が出たようですが、電話局に行っても、電信電話という、まあどこどこの電報局、こういったような別の建物であり、かなり離れたようなところもあるのですが、こういったような考え方からいって、私ども全くのしろうとからいうと、電信と電話との関係というものは、従業員の組合自身も変っているかとも思われるのですが、その点はどうなんですか。
  46. 靱勉

    説明員(靱勉君) 電気通信関係の従業員の方々は単一の組合を結成しております。従いまして、今御質問の電信に従事される人も電話に従事される人も、すべて全国で電気通信労働組合というところの組合でありまして、大体結成率も非常によろしくて、十五万余りの組合員を持っておる、こういう形でございます。
  47. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 そこで、これけ従業員諸君はいやな顔をするかもしれないのだけれども、まあたとえば公共企業体等の賞与と申しますか給与等においては、予算総則等で、特にその企業体がある一つ利益を上げたりした、あるいは特に予算を節約して出したとかどうしたとか、こういうような一つの弾力条項といいますか、ああいうようなものをもって現在企業体はやっていると思うのですが、これはまあ公社ですから別とはいいながら、およそ給与の考え方の問題の中には、そういう報奨的にある一つの線が、業務成績的な線があってもいいのじゃないかと私は思う。これは考え方によって違うのですけれども、私はその点が必ずしもあっては悪いというものではなかろう、こういうようなことを思うと、こういった赤字がどしどし雪だるまのようにふえていくいわゆる電報関係、電信関係と、それからまあ時代の要求によって、今までおくれていただけに非常な勢いで伸びていき、その成績もどしどし上っておられるこの電話関係、こういうものがプールされて一つのところにいく。で、同じ待遇である一つの単一労組を作っておられるという問題については、私何かちょっとそっちの方の道にうとい者としてはおかしく思うのです。こういった問題について、これはなかなか管理者の立場としては、下手なことを言ってはまことにあとがめんどうな問題にもなるので恐縮ですが、私はしかしそういうふうに考えている。悪いからそれじゃあとたんにがたんといけというのじゃありません。また、現在の従業員のベースというものが、必ずしもいわゆる基本人権の尊重といった線から、あるいは今日の平和な文化的な生活をやっていくという意味からいって大へん十分だなどとは思っておりませんから、私は今直ちにどうとかというのじゃないが、一つ考え方として、しかも今の転職ないしは失業、あるいは社会保障というものがまだ日本としてはなかなか行き届かない中において、こういった企業、公社もみずからその理想な掲げていかなければならない、こういった面もあろうかと思うのです。  だからそれらと全体を考えて、何か一つの改善あるいは刷新といったものをやっていく場合に、私はそういった線をある程度考えていくというのも一つの方法じゃないか。先ほども申しておるように、社会保障なりその他のそういった人たちに対する保険なりそれらのものが整備されていない中で、ただ一つこの公社だけをつかまえて、お前さんの方は赤字だからそれは非常にいかんじゃないか。そんなことをやっているからいけないのではないかということを直接私は言おうと思いませんが、そういう問題についての考え方は何かお考えになっているのですか、これは考え方だけでけっこうです。
  48. 靱勉

    説明員(靱勉君) 実はこの問題は私ども電気通信省の当時からなかなか職員のやはり勤労に対しましては、何かそこに反映したものを給与できるようにいたしたいという考えで、当時公社になっておりませんでしたが、能率向上対策というものを出しまして、それぞれ予定の収入を上回った額につきましては、それの幾分かを職員の勤労に報いるという方法を実は非公式にとったことがあるのであります。現在におきましては、それは公社形態になりましたし、また予算総則におきてましても、その方法を認められまして、相当従いまして歴史的に言えばここ五、六年という沿革をとったわけでございますが、そういう形の際に電信と電話の問題、いろいろ問題がございましたが、しかしこれは結局通信事業というものに対しましては、普通の物の生産とは違いまして、収益があるから、それに対して全体としましては電気通信省の当時の公務員、現在の電電公社の職員に対しまして、勤労に報いるということは、これは是認されますが、さて内部にわたりまして電信電話、たとえば予定収入を上回らなかったというだけで、能率向上対策……要するにいろいろとたとえば予算できめられました夏季手当とか年末手当とか、まあこれは別としまして、それ以外に勤労に対する報奨としましては、その事業によって区別するという考え方も以前は持っておったのです。  現在におきましては、これに対しましてはやはり相当正確な予定を立てまして、これに何と申しますか、一つのノルマといっては語弊がありますが、基準を設けまして、これに対しまして非常に努力した、あるいは節約をしたというようないろいろな要素を考えて、この能率向上対策というものの分配を考えたのです。従って決して通信局別に均一ということはございません。あるいは局の状況によりまして差がございますが、そこいらで全体として若干の差違を認めておりますが、給与体系の全体といたしましては、すでに予算で、予算総則が定められ、しかも特別給与というものはこれこれであるというふうに大体公社においてもきめられておる。全く予定以上に収入が上り、業績賞与というものについてのみそこに若干の差を認めるということだけに終っておりまして、電信はこれは赤字と申しましても、ある意味において職員のこれは怠惰とか成績が悪いということによって原因しているのじゃないということを考えますと、その差別は私はむしろ妥当を欠くのではないか。すなわち全体の能率のあり方、それからそれに対する努力のあり方というものに対して、その年度におきまする予定収入を上回ったもの、あるいは経費の節約ができたものを、やはり目標を各通信局に与えております。それによって全部が同じではございません。たとえばある通信局が平均かりに千円であった場合、他の通信局が五百円というようなこともございましょう。そういうだけの差違を認めまして、電信自体と電話と特別区別するというような考えは現在持っていないような次第であります。
  49. 岡三郎

    ○岡三郎君 これは、まあごく素朴に聞きたいのですが、電話の需要がありますね。需要があるに対して五カ年計画で工事を進めるということになっておるわけですが、この二千二百三十一号のように、電気通信施設記録図の補正をしなかったためにその用をなさなかったと、その釈明がここに出ているのですが、全体としてですね、責任者として総裁あたりが電話の工事を五カ年計画によってやった場合に、計画通りにいってないというふうなときには、その計画通りにやらせるような措置を御命令なされるということもあると思うのですが、そういった点は一体どこでやられるわけですか。五カ年計画の進捗を特に管掌しているところ……。
  50. 靱勉

    説明員(靱勉君) 五カ年計画の問題は、これは主として建設の問題でございますので、計画は現在の組織におきましては運用局その他あるいは営業局、そういうところから充足計画というものが出まして、あるいは市外通話の疏通計画というものが出まして、工事計画というものは現在施設局で作りまして、そうしてそれの実施は各通信局並びに本社におきましては建設部が全国的にその建設工事の工程管理をやる、こういう形になっておりますので、計画通りいっているかどうかの調整というものは施設局においてにらみ、さらに建設部におきましてはその工事の実績を毎月とりまして、どういうふうな進行状況を示しているかということを監査して全体の調整をとっていく、こういう形になっております。
  51. 岡三郎

    ○岡三郎君 ここのあなたの方で書いた説明書によると「五カ年計画が基礎となる発達調査の不備によって、計画遂行に支障をきたしている面もあるとして指摘を受けているものがあるが、今後は十分なる発達調査を行いこのような不備をなくするよう努力する」と、こうあるのです。いろいろと計画してどこにどういうふうに敷くかというふうな問題について、前の計画がおくれていれば次に支障をきたしてくるということも関連されると思うのですが、こういう発達調査の不備を是正するために十分なる措置をとったかどうか、この点はどうなっておるのですか。
  52. 靱勉

    説明員(靱勉君) この発達調査の成果と申しますか、結果的に申しまして、現実の姿になった場合にこれが誤っておったということは単実でございまして、御指摘の通りでございます。ただこの発達調査が非常にむずかしいのでございまして、戦後のいろいろな異常な変化というものに少し引かれまして、その調子で延びるのではないかというような調査をした場合もある。もちろん関係地方の機関のいろいろな資料に基きまして、また面接加入者、まあその都市の調査でございますか、非常に抜き出し式の調査でございますが、それでどのくらいの需要があるかということを見て、全国的にまとめまして、発達調査の結果を出しておるわけでございますが、どうも現実におきましては、終戦後の二十六、七年ごろの非常にまだまだこういう異状な状態になっておったものが、またことに一つは朝鮮ワームというようなものもありましたし、いろいろなそういう平常状態でないものでございますから、どうも発達調査、これはまあお前たち能力がないとおっしゃられればその通りでございますけれども、適去においては私は非常に困難ではなかったかと思う。ある程度飽和状態に達して自然増だけを見ていくという発達調査でございますので、これはかなり正確なものができまして、諸外国におきましてはそういう計画であるいは十年、十五年先を見通して準備して計画していく。従って計画に不経済なことがあまりない。  ところがこれは戦後そういうようなことをやりましたし、ようやく公社になりましてそういう体制を整えて参りましたから、過去のいろいろな資料につきまして欠陥もございますし、またそういう異常な変化があったために、どうも現在の得ておる発達調査の資料をそのまま信用できないというような形になりました結果、こういう計画をやってみて、さらにそれができ上ったときにどうも少し大き過ぎた、あるいは過去におきましては、この公社以前におきましては、むしろ作り方が小さくて、ようやくでき上ってそこに電話をやったところが、すぐまた隣に建てなければならぬというようなことにもなりましたし、そういうふうで、まあ鳥栖の例等、局舎はできたが、電話は入らんというような御指摘も受けておりますが、その点まことにこれは発達調査の能力が結論的には足りなかったということでございますが、私ども今後どういう、現在までどういう施策をとったかということで、常にその実績を対照しましてその補正をやっております。発達調査の結果を補正いたしますとともに、今後といたしましては、さらにそこにこの機能を充実したいということと、どうしてもこういう非常に多くの建建設資金を投じて固定されるというような事業におきましては、長期の計画を持たないとどうしても不経済になるということで、長期計画の設定について一つの確固たる組織を作りたいということで現在検討を進めておりますが、発達調査の結果につきましてはまことに私どもも遺憾に存じておるのであります。
  53. 岡三郎

    ○岡三郎君 これは会計検査院の方にちょっとお伺いしたいのですがね。「不備をなくするよう努力する。」と、二十八年度の決算説明書に電電公社の方から書いてあるわけです。今言ったように非常にむずかしいものだとも思うわけですが、二十九年度において大体この状況はどうですか、検査院の力で少しはわかりますか。
  54. 大澤實

    説明員大澤實君) 主として発達調査の不備とかという問題が問題になりますのは、東京とか大阪、大都市が多いのであります。これは実際われわれも結果的に不備であったと思われる点を指摘したのがあるのでありますが、これは私自身が当事者になって果してうまくいくかということになりますと、はなはだその点自信がないのであります。しかしながら、大体におきまして一度計画をして、そいつをまあ一年もたたんうちに変更せざるを得ないということは、結果論から見ても発達調査が不備であったのではないかと感ずるのでありますが、二十九年度の実績はどうかという御質問でありますが、実はまだ東京近郊のこうした調査を現在二十九年度の分についてはやっておりませんので、正確なところは申し上げかねますが、二十八年度でいわゆる五カ年計画の当初にはいわば工事を急ぐというのでまだ十分に調査のないところまで手をつけた。これが工事の進行とまた発達調査とは並行していっていますから、昨年よりは減っておるだろうと思います。しかしまだ実際は結果がちょっと今のところわかりませんので、何とも申し上げられません。
  55. 岡三郎

    ○岡三郎君 能力がないなんてまあ当局から言われてしまえばずいぶんむずかしいものだということもわかるのですけれども、しかしこれをどの程度まで質的に充実してやるかということによってずいぶん違ってくるのじゃないかと私は思うのです。根本的の一つのこれは問題であって、やはり年々発達していくものに対していろいろとお考えがあると思うのですが、「量的な進歩と相まって質的向上が要望される」と検査院の方であるわけですね。この点については無能力などと言わないで一つやってもらわにゃならぬと私はこう考えておるわけですが、この五カ年計画の末尾に、「また、東京電信電話管理局では、加入者端子設備工事あるいは線路工事が完成しておらず、また、前納を原則としている設備負担金等を収納していない早期に加入者開通工事だけを施行したため、加入申込の取消等により開通工事完成後これを撤去したものが九二三件ある。」、こうあるのです。ずいぶんこれはもったいない話だと私は思うわけなんですがね。幾ら申し込んでもさっぱりしてくれない。そういうふうになっているのに、こういうふうに一生懸命に工事を施行したが取り消して撤去したと、しかも九百二十三件、こういうことになってくるというと、まあ相当やはりこの企画といいますか、それからその施工に当っての周到なる準備というか、そういったものがさらに要望されると思うのですが、設備負担金等を前納させるということ、これの場合はさせなかったのは一体どういうわけですか。
  56. 吉澤武雄

    説明員吉澤武雄君) お答え申します。たまたま東京におきましてそういう例があったのでありますが、一般工事を施行いたしまするに、やはり加入者の大体希望が、申し込みがだいぶたまっております。それに対しまして基礎設備が一気に完成するわけであります。そういう場合になるべくその基礎設備及び端子が完成しますと同時に加入者の開通を一挙にやる、これがまあ加入者のサービスを早くするゆえんであります。かたがた公社といたしましても設備の稼働率を早くする、こういう意味で実は東京に集中的に局ができ、あるいはまとめて設備を工事するというようなことがいつごろできるかということを予定されますと、申し込みがあります加入者を大体予定しまして、それに対しましてこれは申し込みの際におきましては大体聞くわけでございます。依然として申し込みを継続するか、そうです、こういう話になると、そういうのを選びまして、宅内の工事を先にやっていくわけです。そうしますと、いよいよ基礎の宅内の設備ができますと、次に一挙にその開通をする。これが計画的でありかつまた加入者にサービスもいい、現在こういう方針であるのであります。  たまたまその際におきまして、それじゃ事前に設備の負担金を納めさせたらいいじゃないか、こういうことがありますが、実は今の設備負担金は開通の際に取るということはやはりその時期がおくれるわけでございます。その意味でやりました結果、実はいよいよ工事ができて、さてその際におきまして設備費を納めていただくと、こういうときに事態がやはり金が今ないのだ、こういうので申し込みを取り消した例があったわけでございまして、その点は最近におきましては十分同じような工事の完成を期しまする場合におきましても、あらかじめ加入者の宅内を早くやる場合におきましても、取り消せないような方法を講じております。  実は東京におきましては、二十八年度におきまして膨大な六万数千という加入者増設が予定しておるのでありますが、このような結果になったわけであります。
  57. 岡三郎

    ○岡三郎君 つまりここには前納を原則として、前納させないというのはどういう場合前納させなくていいのですか。つまり今のようにやっていくと、現在は直っているというふうに言われておりますが、この取り消しをするという問題ですね、その前に工事しているわけでしょう。工事している場合に、このみんなが困って、早くやってくれやってくれというのを取り消しをするなんとという状態が九百二十三件もあったということになれば、その何かこう電信電話公社自体でもえらい損害をして、しかもむだをして、他にそういったことをやれば何ぼでもできるところを、こういうような罰金か何か取ることはできないのですか。でなかったらあるいはもう今後そういうところには当分敷設しないと、何かそういうことがなければ、これはむだな話で、そういう点はどうですか。
  58. 吉澤武雄

    説明員吉澤武雄君) 今のおっしゃる点につきましては、一応現在の設備費というものはいつ取るか、こういうことはどうなっておるかということでございますが、申し込みを承諾いたしまして、その承諾するときにいつ幾日までに設備を東京でしたら三万円、それに公社債を六万円納めてくれ、こういうことで納めた場合に、初めて工事に実際着手するのがほんとうの扱いである。それを先ほど申したように、大体は当時は取り消しの例がほとんどございません。かつまた一挙にこの敷設をする方を急ぎましたために、その手続をまずして、早くつけて、そうしてその設備費及び公社債をいつ幾日までに納めてもらいたい、こういうことにしたわけであります。従って本来ならば設備費を納めてから工事をやるわけであります。そうなりますというと、非常に設備費をちょうだいしてから実は早くても一週間かかる、あるいは個々にやれば、それが実際は設備が一万できておりましても、最後の一万つけるという場合には一月もかかる。こういうふうな例がございますのを防いだ結果、そのような半面実は取り消しが出たわけであります。  その場合に、しからば何か処罰の方法はあるか、こういうことでありますが、実際の問題といたしましては、宅内の工事はやりましたけれども、そのあとにすぐその電話機なりあるいは設備の転換も可能な分が相当あります。そういうことと、そういうふうな取り消した人につきましては、はっきり電話局の帳簿上に記録いたしまして、当分まあ実は取り消したけれども、もう一回つけてくれというような場合を防いでおります。処罰ということは別にこの加入関係の申し込みというものを解除するという公社側のつまり取り消しでございます。それ以上は実は処罰の方法はございません。しかし実際問題といたしまして、そのような人を防ぐいろいろな方法は、現場において十分運用面において講じていきたいというふうに考えております。
  59. 岡三郎

    ○岡三郎君 ずいぶん気の長い話で、それは皆そういうふうにやってくれるならば、そういうふうにやってもらいたいと思うのだが、場所によってはずいぶんそれと違って、幾ら言ったってなかなかいばってやらないし、ところがこういうふうにやってもらったのだが、あとで取り消してものほほんとしておるというのでは、これはありがたいことだよ。金ができたらやってもらおう、工事はそっちの手持ちだということで、今のところはそれじゃ前納を原則としててきぱきやっておりますか。前納でない場合は、どういう場合に前納をしなくても工事をするのか、それを教えてもらいたい。私のところは敷いてくれないから、それを教えてもらいたい。
  60. 秋草篤二

    説明員秋草篤二君) 岡委員の御指摘されたのはまことに痛い問題でありまして、実はまことに私ども内幕の話を率直に申すわけでありますが、この総論にわずか三行出ておりますので、われわれこれを検査院から指摘されまして、幹部会に諮り、総裁の前で審議したときに、実はこの不当事項のここの六件よりもこれが一番びっくりぎょうてんした問題だったのでございます。こういうことは前代未聞で、確かにこれだけ切実な要望がある電話を先につけてやる、金をとらなかったというようなことはほんとうになかったことですが、昨年、一昨年度の非常に架設を急いで各電話局を督励してやったため、急いだあまりそれぞれの電話局において増収を上げよう、早く工事を完成しようというそういう熱意が少しあり過ぎたために、あやまってこうした粗漏を来たしたのでありまして、これはもうほんとうに何とももう弁解の余地はないのであります。今後この種のようなことが絶対にないように、厳重に注意いたします。前納してからつけるということが規則であります。こういうことは私ども内々幹部会等でも恥じ入っておる次第であります。どうか一つ今後非常にいい経験と考えまして、注意いたす次第でございます。
  61. 岡三郎

    ○岡三郎君 私は実はこれを読んでいって、私は実はこの点で実に驚いた。このいろいろな事項があって、一番最後の二千二百三十一号の釈明にGHQ云々とあるので、考えさせられる点があったにしても、まあまあということもあるわけですが、前納を原則としているが、前納でなくてもやってくれるようなことが今でもあるのですか。現在、今はもうそういうことは絶対に一つもないのですか、どうですか。
  62. 秋草篤二

    説明員秋草篤二君) これはあくまでも前納の原則で、規則になっております。これも正確に内容を調べますと、東京の電話局でこの数だけ全部原因を探求したのでございます。そうしますると、完璧にこういうことをやっていない局もあるわけであります。中にはこの九百何件の中で二つか三つくらいこういうものにかかった局もありますし、ごっそり百二十とか百三十くらいかかった局もあるのであります。あのときデフレ経済が非常にありまして、去年あたり相当響いたのでありますが、不景気のために電話を申し込んでおりましたが、急激に電話を敷けないような家庭の事情とか商売の事情といったことも、これはまれにはあるわけでございます。これは当然な話でありまして、これは数件はあってもやむを得ないと思います。  しかし内容的に見て、ある電話局は百とか百二十ある、ある電話局では完璧にそういう手落ちのないようにやっておるものもあるわけであります。従いまして、そういう規則も全般的に営業局とか何かでそういう指令を出したのではなくて、やはりそうした工事を急ぐという気持から少し先走ったという点ははっきり申せるのでありまして、規則はもう前納ということになっております。
  63. 岡三郎

    ○岡三郎君 まあ加入者の方からいうと、前納しないでもやってもらえるということが一番いいのですが、需要が非常に多いので、あるところでは厳格にぴしぴしやって、あるところではこういうふうにやっているということになるというと、これは不公平だと私は思う。その事情について詳しく聞く時間が今ないので、この点は時間があったらまた後刻聞きたいと思うのですが、開通工事完成後にこれを撤去した、やったら撤去することはまたひまと金が要るのだけれども、撤去しなくてもいいのじゃないかと私は思うのだが、これはどうですか。開通工事完成後これを撤去した、撤去すれぱ撤去する費用も要るし、ひまもかかるのだと思うのですが、せっかくやったならば、それはそれだけで、何とかそれを利用するような方向へ促進すべきであると思うのですが、これはちょっとまた違ってくるかもわからぬけれども、これは撤去するとというのは、戒めのため加入申し込みを取り消したから取っ払ったのだ。しかし一たんそこへ設備したならば、しゃくにさわるけれども、また公社も損をするのですから、また掘り起したり何かする必要ないじゃないですか、これはどうなのですか。
  64. 梶井剛

    説明員梶井剛君) 今撤去と申しておるのは電話機の撤去であります。線路の撤去じゃないのです。ですから使わないといううちに電話機をそのまま置いておいてもどうにもなりませんから……、そういう点でございます。
  65. 岡三郎

    ○岡三郎君 それはそれとしてよくわかりました。それならば……。  それで最後の二千二百三十一号の事項ですね、これは一億千四百十万円を支出した。それでこの説明書にも電電公社がいわれていることはよくわかるのですが、記録図の保管者、作成者、連絡者の不明確にもよるのではないかと考えられる節もあると思うのですが、また実際的でなければ早急に改善すべきであったと、こう思うのですが、これらの点についてはどうでしょうか。
  66. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) ただいまの御質問にお答えいたします。当時作りましたときには、電気通信省の文書整備課というところが司令部から言われましてこの作成に当ったのでありますが、この記録図を作る場合に、絶えず現場で建設工事が行われたり、あるいは特別工事といたしまして少しまとまった保全工事が行われました場合、その工事が行われた工事長あるいは工事の担当役から、一々修正の図面が保管者のところに参りまして、保管者がそのつど修正していかないと結局実情に合わないものですから、そういった修正をどこでやったか、あるいはまた保管者のほんとうの責任者がだれであるかといったことが、当時非常に急いだこともありまして、必ずしも現場段階に十分徹底していなかった、こういった点が一番まずかったわけであります。
  67. 岡三郎

    ○岡三郎君 それでは現在二十八年度以降においてあらためて整備し直すことになっておる状況であるこの残余の分の活用、これはどの程度になっておりますか。
  68. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) 使うものといたしまして、計画面にこの施設記録図を使う場合と本設計に使う場合と二つありまして、計画面に使うものにつきましては、従来やりましたものを参考といたしまして相当新しく作る場合の非常に便益を得ておる。しかし設計面に使う場合には、非常にそのもの自身が正確でなければなりませんので、今度やります場合に、二十八年度から新たにモデル局を選定いたしまして、全国一斉にやってしまうということが非常に無理のために、たとえば昭和二十八年度におきましては、群馬通信部管内と、それから横浜の中央電話局の管内にモデル局を置きまして、そこでどういう方法によって設計に応用したらいいかというようなことを試験実施いたしまして、それによって十分検討いたしまして、工事を進めていくことにいたしたのであります。昭和二十九年度、昨年度は線路と市内機械部門を関東と中国の電気通信局の管内で施工いたしまして、そしてその作成と、先ほど申し上げました補正をどういうふうにやったらいいかということを徹底的に検討いたしております。
  69. 岡三郎

    ○岡三郎君 私ばかりやるといけませんが、もうあと一、二点質問させてもらいたいと思います。  今のような状態でいうと、何かしらこれを指摘されたからこれを何とか生かさなければならぬという程度で、これは違っておるかもわかりませんが、何か持てあましておるような気分を受けるのですが、これは会計検査院の方としてこの記録図というものを、これを今後利用するのに効果的であるか、電信電話事業その他についてこういったものを補正して、実際問題として生きて使い得るかどうか、この点についてはどうなのですか。
  70. 大澤實

    説明員大澤實君) そこに書いてあります。古いといいますか、二十五年度からかかったのを実物を私見たのでありますが、何といいますか、あまりに複雑過ぎて、しかも今のような補正が行われていないので、これを将来活用されるということはほんの参考程度にしか活用できないのじゃないかという感じを受けます。今度新しくされたものはもっと簡単でありまして、横浜で実物を拝見したのですが、今度のやつはあのままいったら相当活用のできる図面じゃないかというような、ばく然としたといいますか、概略を申し上げますとそういう感じがする次第であります。
  71. 岡三郎

    ○岡三郎君 それはその程度にして今度ちょっと常識的なことを一点お伺いしたいんですが、電話の必要度といいますか、 いろいろとあると思うんです。公共性と独立採算制の電々公社としては、利潤というふうな点、これの両面考えてどのようにお考えになっているか、ちょっと総裁にお伺いしたいと思うんです。
  72. 梶井剛

    説明員梶井剛君) もちろん通信事業は公共性を第一に考えます。しかし需要供給の関係によってこれが支配されるものでありますから、自然需要の多いところに優先的に施設を拡充していかなくちゃならぬということは、これは避けがたいのであります。そういう意味において利用の多いとこというのは、多くは利用価値の非常に多いという意味であります。でありますから、そういう収入の多いとこが需要が多いというような現象になっておりますので、独立採算制と公共性とはさほど矛盾はしておらぬというふうに考えております。
  73. 岡三郎

    ○岡三郎君 もう一点。これは電話を拡張する場合において、電話の売買業者が市中にありますね。これが電話の開設に従って市場価格がずいぶん浮動しておる。そういうようなところを逆にみると、ずいぶん新聞広告にもいろいろなところにも出ておるわけですが、売買に出てくる電話局の名前を見てみるというといろいろとこうあるわけです。どうしても需要と供給の関係でなかなかかからんようなところ——需要が多くてそれが充たされないようなところが非常に高いというふうに考えるわけです。そういった程度をみるというと、しろうと考えですが、調査の参項として、あんなに電話がやみで高くて——やみだか何かわからんけれども、高くなっている方ではこうなんだということをしろうと目に考えれば、そこをある程度開拓すれば、その範囲の需要者の期待に応えられるというふうに私たちは考えるわけです。そういう点で中央の方面は相当緩和されてきているというふうに考えますが、今のところは逆に都市周辺が非常に高いわけです。こういった点でやはり確かに独立採算で企業の合理化という面から考えて、いろいろと問題があるとしても、やはりそういうふうな点から拡張していく場合に、相当考えてもらわにゃならぬじゃないか、私はこう思うんですが、これは私のしろうと考えですが、そういった点はどうでしょう。
  74. 梶井剛

    説明員梶井剛君) 東京が終戦後非常に破壊されておったんですが、その当時中央部の方が多く破壊された。そうして自然人々が郊外の方へ移住して行った。それで郊外が非常に電話が欠乏したという状況になっております。それからそのうちだんだんと復旧するに従いまして、やはり電話は一つの経済活動でありますから、中央方面がだんだん復旧して参りますと、今度は中央の方に非常に電話の不足が起って参る。われわれとしましては日本全体の経済活動がこれに役立つためからいうと、やはり最も電話を使う度数の多いところから解決してあげないと、結局効用の実があがらぬ、そういう点から考えまして、中央の方の部門、ビジネス・センターの方をまず先に手をつけなければならないという観念になりまして、全体からみまして、東京全体は相当電話は欠乏しております。でありますから、もし金が許すならばビジネス・センターと同時に住宅地域もやるべきなんだと思っております。しかし順序として金の許す範囲内でやりますと、ビジネス・センターから外郭々々へとだんだん進行しております。現在のところほとんど省線内部は解決がつきました。今省線の外部に手をつけております。たとえば新宿の局を今作っております。それから白金の局を作っております。それからそのうち中目黒の方へ作ります。それから玉川のところにも作ります。また一番今困っているのはいわゆる荏原とそれから荻窪でありますが、荏原の方は中目黒に局舎を作りますので緩和されて参る。中野が非常に困っておりましたが、これは新宿によって解決がつく、荻窪はどうしても中野の一番先の郊外になるものですから、高円寺付近にもう一つ局を作らなければ解決がつかない。一年に一つの局を作りますと、どうしても東京のような大都市では十億くらいかかってしまう。ですからここが欠乏してここに早く作らなければならぬということがわかっておりましても、一度に全部ができないということであります。  それからもう一つは、これは日本人の欠点かもしれませんが、外国では住宅地域に一つの共同電話、一回線で何戸も電話を使うのです。一つの電話を一日に三戸で使って、たとえばそれぞれ四度使っておれば十二度使う。日本ではやはり住宅電話は一日に三度か四度しか使わない、そういう所に共同電話をわれわれは極力勧めておるのであります。ところが日本人は他人と一緒に使うということに対して何となく秘密が漏れるような、感じが悪いような感を持っておりまして、なかなかこの勧誘に応じてくれないのであります。そのために住宅電話の緩和というものが外国のようにうまくゆかない。しかしいずれ金が許すようになりましたならば、漸次これは解決するつもりでございまして、ここ二、三年で東京全体でさような不自由なところはなくなるだろう。次に来たるべきものは、むしろ中都市でございます。中都市は一つの局しかない。それは現在においては行き詰っておる。それをすっかり解消しなければならぬものが相当数あります。やはりこれは大都市から中都市、ついで小部市というふうに順々に移らなければ——やはり需要供給の関係からいいまして、やむを得ずそういう順序を踏んでやっておりますので、その中間におきまして今申し上げましたように、中都市の電話の値段が、やみ値が東京より高いなんというような現象は生じておりますけれども、ここ数年ならずして、そういう問題はおおよそ解決がつくのじゃないだろうか。一度に解決がつけられないということで、われわれ財源の関係で非常に苦しんでいるわけであります。一つどうか御了承願いたいのであります。
  75. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 今共同加入を勧めている問題との関連ですが、私は共同加入というのは、たとえば甲乙といったものが普通の形だと思うのです。そこで今の梶井総裁の言われる点は、私も同感なんですが、ここで一つ私はお伺いいたしたいのは、いわゆる赤電話と称せられる最近の店頭電話、あの問題をめぐって新聞等にも一時報道されているやに思いますが、隣接のその近所の普通の人たちがその赤電話というものを実質上甲乙式に電話機は自分のところにないけれども、利用ができる。つまり一軒のたばこ屋に赤電話があるとすると、隣りの魚屋さん、それから片方隣りの薬屋さん、その薬屋さんの隣りの大工さん、そういう五、六軒のものがその一つこの機械というものを使う。その電話番号というものを今の例でいえば、たばこ屋さんの了解のついたいわゆる小さいグループにおいて、それぞれたとえば名刺においても広告においても、その電話番号をかけることによっていわゆる便利を受けるというこの問題なんです。国鉄等においてよく国鉄一家といわれて、国鉄の経営等がなかなか思うようにゆかない。それについてはいわゆる国鉄一家といわれる、あるいはその外郭団体によってやっておられる仕事であって、今日公企体になったのだから、ある部分においては直接国鉄自身がおやりになって、そうして収益を上げて全体の国鉄のサービスの改善というものに努むべきじゃないかということが、この委員会でもだいぶ出たのです。それとの関連におきまして、今の赤電話をめぐってのその利用の方法に関して、何か電電あるいは元の逓信でしたか、とにかくそういったものの外郭団体のような一つの団体がその世話をする、一軒幾らでしたか、一日十円とか何かそういうものを出せば、おそらく度数制のほかに、十円でしょうが、出せば、そういった五軒七軒という、置いているたばこ屋さんの了解のついたグループというものが、いわば甲乙式に、電話機こそ自分の家にないが、実質上甲乙式に非常に便利にやっている。それでそのたばこ屋さんに電話がかかってくれば、そのたばこ屋さんの娘なら娘が電話が来ましたよといって教えることによって、非常な収益や便利を受けるというような仕組が今日何か行われようとしているように聞くのでありますが、一体この点はどういうふうにお考えになるのですかということが一つ。  それから、もう一つの問題はそれとは違うのでありますが、最近金融機関一般銀行等の前を通りますと、電話料金は当行を御利用下さいというのが、大きな看板で出ているのです。従来は私はあまり気が付かなかったのですが、そういうものはあまりないのでしたけれども、この点に対して私は従来であれば、いわば郵便局——いわばというか、郵便局に出していくのが普通だし、そうやっていたのに、最近は銀行屋さんが大へんそっちの方にいかにも何か力を入れているような感じで大きな看板にその点を出している。そこで私は事情がわからないのでお聞きてしたいのですが、郵便局というものに納めた場合は、おそらく郵便局の仕組からいって、その納入金というものはその日のうちに整理されて、そうしておそらく電電公社の方に、つまりキャッシュというか、あれが入るだろうと思うのです。ところが銀行の場合は一体どういうふうになるのでありますか、何かそれと違って、そういう取扱いによってのある程度の銀行として必要な経費は見てやるということが、電電との間に成り立ったかこそ、ああいうふうにやっており、しかも第三者が見ますと、従来の郵便局の場合と違って何かもう少し余地がある、つまり銀行のようにある期間あるいはその月の分ならその月の三十日に納めればいいとか、あるいは翌月整理して、最後の月末に来たのはその日には納められないから、あるいは五日間以内に納めればいい、こういうようなことによって、今日の今融機関の事情が事情ですから、大いに銀行のサービスかたがたああいった広告を出しているのかと思うのですが、この点も事と次第によっては電電公社としてサービスを、つまり納入者の便利をはかるという利益はあっても、ある意味においては銀行にどうもやられておるといえばおかしいが、いささかサービスが過ぎるというような、何か私はそういう感じがしないわけでもない。要するに私は国鉄の場合に非常に皆のいうように、こういった公社になったこの電電ですね、これがだんだんとやっぱり一家といったような気持、あるいは外郭団体との関連において、できるならば、自分の電電自身のいわゆる血となり肉となる経営の内容をよくしていけるという仕事を他の方に、それぞれ事情があるかもしれないけれども、まかしていくことによって、将来またどうも公社となってからは、自分でやった方がいいのに、他の団体等にやらして得もとれないで、ほかのところに食わしているというような非難があってはならないので、私は公社になってからまだ日もないところでありますから、そういう点を何か少し気になるものですから、お聞きするのです。何かつまらぬようでありますが、私は国鉄一家に対する非難というものと、これは比較的新しい公社というものに対してそういうようなことの誤解のないようにしたいという意味からお聞きしたいのです。どうなんですか。
  76. 吉澤武雄

    説明員吉澤武雄君) 第一の赤電話の問題について申し上げます。実は赤電話というのは公社の公衆電話というのと、そうして自分がそれを使う、この二つの利点があるわけでありまして、従って店頭としましては多勢の人の出入りする所に赤電話をどんどんふやしていくということは、これは今日加入電話の少いことにかんがみまして、あるいは喫茶店とか料理屋で十五円二十円というようなものがはびこるのも、そういう点にあるのじゃないか。こういうことで、最近におきましては赤電話を相当ふやしていき、非常にその点は一般の御利用を願っております、そこで住宅他にいきますと、まだまだ電話が不足なんです。そういう場合、たまたま住宅地の中心の店屋でございましたら、赤電話を据えつけて置く、これまた大へん歓迎されているのです。そういう場合にその店と非常に顔なじみの、ごく親しくつき合っているというようなときに、こういう電話がかかってきたから、その家にことずけをしてくれないかと言われるような向きに、そういうふうな赤電話がそういうふうなサービスをしてやるのが非常に便利じゃないかといった声もあるわけであります。これにつきましては、私どもは本来の赤電話というものはそういうことまでは考えておりません。しかし実際におきまして電話がかかってきまして、そのまま電話をつなぎぱなしにして呼びにいくということになりますと、大へん電話の保留時間が多くなりまして、これは迷惑でも、そういうことでなくて、この店にかけている電話はこの人におことずけ願いたいと、それでそこから娘なり子供さんが走っていく、あるいは電話をかけるならこの番号にかけてくれというようなごく平易な扱い方ができたらばということで、東京の通信局管内で二、三その試験的なものをやっているということに過ぎません。その場合にその赤電話を中心として何名ぐらいが一体利用できるのか、あるいは公社の線をふさいだり、あるいは料金を不当に高くとるということがあってはならないのでありまして、かりに試験をする場合におきましても、大体一回十円とかというようなほんとうのお礼をもらう、常識的に大体認め得るものであるかどうかということにつきまして、実は電話局自体がそのテストの運用につきましてやることになっております。そういうのは電話局自体よりも、あるいは電気通信に関係をもったよく電話について知っている人があったら、第三者としてあっせんの労をとってもらったらどうかということで、実は電気通信協会というのがございまして、これは社団法人でございまして営利団体でございますが、そういうのを一応データーをとる意味において電気通信協会がやってみたらどうかということで、電気通信協会があっせんの労をとっているということを聞いております。しかし、これが月々、この加入者の呼び出しを受ける、あるいはことずけを受ける人から、これこれのお金を電気通信協会がとるということは私ども認めていきたくありません。従って御指摘のようにそのような団体に利権を与えるという意思はさらさらございませんし、かつまたそれが本当にいいサービスであるならば、本格的にこの利用の状況なり、あるいは手数料をどのくらい取ったらいいかということをきめるのでありますが、まだその成果がはっきりいたしませんために、その結論を得ておりません。しかしこのようなことはほんとうに例外的な措置でありまして、本来ならば私ども現実にすでに着手しております多数の共同電話にしたらどうか、そうすれば何も走って行ってメモを渡す必要はありません。そうして公社といたしましても、その一個の電話によりまして非常に通話が便利になり、公社の収入を増すというならば、技術的に相当また研究の余地もありますけれども、多数の付近に電話をつけまして、子供の電話をこしらえて、電話の利用を増し、かつまたサービスもいいという制度に進んだ方がいいということで、目下その方向を研究しておる次第であります。
  77. 秋草篤二

    説明員秋草篤二君) ただいまの御質問の第二点でございますが、これは民間の銀行での電話料金の収納の問題でございます。御案内のように私どもの電話料金は逓信省以来電電公社になりまして、ごく最近まで規則によりまして、まず私どもの電報電話局で収納するのが一つと、もう一つは郵便局で、これは郵政省でございますが、郵政省の郵便局で収納するのが一つ、それえもっていって法律に基きまして日本銀行の代理店において収納する、これは日本銀行の代理店でございますから、各民間銀行が店舗を区別いたしまして、日本銀行の責任と名において計算において収納するのでありまして、その資金は民間銀行の預金経理とは違うのでありますが、この三つの仕組みによって収納されておったのであります。しかるに昭和二十八年に私どもの公衆電気通信法ができまして、この法律の中にもう一つ加えまして、民間銀行の名において計算において責任において収納することが可能になりました。しかしながら一応直ちには実施いたさずに今日まで参りましたが、諸般の情勢を考えますと、立法の趣旨も、できるだけサービスをして、加入者に便利な所にできるだけ店舗を多くして、便利に収納できるようにするのが、これが立法の趣旨でございまして、そこで私どもは一年それを施行を待っておったのでありまするが、この四月からこれを実施いたしまして、現在先ほどの三種類のほかに四種類の機関と申しますか、で電報電話の収納ができるようになっておるのであります。そうしますと、昨今銀行におきましては、非常に預金のかき集めということに非常に熱意を持っておりますので、まあある銀行におきましては一生懸命看板を出しまして、あるいはチラシなどを配って、電話料金は当店へというようなことで、自然サービスも向上する、そこで、じゃあどういう変化が起るかというと、今までの日本銀行代理店に入っておった金が民間銀行の金になるというだけであって、多少の増減はあると思いますが、実際問題とすると、まあほとんどその機関に対する、民間の人から見れば代理店であろうが民間銀行であろうが、まず変りなかったわけであります。その点はまだ統計的には見ておりませんですが、ほとんど差異はないわけであります。ただ銀行としますと、今度は自分預金になりますから、ここが先生の御指摘された、特別に民間銀行にわれわれが何らかのフェーバーを与えたのではないか、こういう点があるいは御懸念されている、御注意されている御趣旨かと思うのですが、そういう点は毛頭ないのでございます。ただ法律が施行された場合に、この施行をしばらく待っておった理由が、そう現在の制度でも痛痒を感じておりませんようですからやっておったのでありますが、一方電々公社におきましては、昭和二十八年度から御案内のように、公社債というものが発行しなくてはならなくなったのであります。これはおそらく先生方が御案内になる以上に、私どもは、銀行というものに対して新らしい業務としてなかなか接触を保ち、頭を下げて資金調達をはからなければならんのであります。御案内のように、毎年のワクというものも思うように売り切れませんので、ことに地方銀行などになりますと、応募額はわずかでございますが、なかなか思うように買ってくれないと、こういう点がございますので、別に何もないというものの、多少のギヴ・アンド・テークで、そういう法律もあることだから、ここらで実施しようじゃないかということで、郵政大臣と大蔵大臣の認可を得まして、この四月から実施した次第でございます。
  78. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 今のはわかりました。伺いますが、そうすると、たとえば六月分の電話料金について、その銀行が集めた料金はいつまでに出せということになっているんですか、それだけお伺いいたします。
  79. 秋草篤二

    説明員秋草篤二君) これは政令に基きまして一週間というのが政令にございます。私どもは一週間というものは、政令でありますが、できるだけ商売気を出しまして資金の歩どまりというものを少なめに銀行へ交渉するのであります。最初は四日間ぐらいでやってくれんかと言うのでありますが、向うとしては一週間寝かしてくれと、今のところは協定、契約を結びまして五日間になっております。それからつけ加えますが、郵便局は先生のおっしゃるように、翌日に私どもの方に入るんじゃないかということではないのでありまして、実際問題とすると、昔などは四十五日とか二月などということが電通省以来あったのでありますが、昨今はそれも非常に改善されまして、大体十日前後ということになっております。
  80. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 この機会に梶井総裁にお伺いしたいのでありますが、それはこの日本電信電話公社法の一部を改正する法律案が提案されまして、国際電気通信株式会社の株式を電電公社に政府から移譲するというお話がございますが、これに関して総裁の御意見がどうであるか、あるいはこの問題が起るにいたりましたいきさつ等がありましたら伺いたいと思います。
  81. 梶井剛

    説明員梶井剛君) これはただいま衆議院の逓信委員会におきまして議員立法として立案されつつあるというふうにわれわれは漏れ聞いております。御承知の通り、国際電気通信会社は資本金三十三億で発足いたしまして、その固定資産、財産というものは三十二億三千万でしたか、というものはわれわれの公社の財産をそのまま現物出資したということになっております。あのときの法律案によりますると、その出資した株式は政府が保有し、そしてなるべくすみやかにこれを民間に売却するということに規定されております。ところが約今から二年前に国際電気通信会社は発足しておるのでありますが、その間に売却せられました株式は三十三億のうち十九億、現在十四億二百万円が大蔵省の手にまだ残っておるのであります。で、株式の額面は五百円でございまして、現在配当は八分でございます。この状態におきまして、株式の市価と申しまするか、売買はわれわれ自分が経験しておりませんので正確にはわかりませんが、大体四百円前後、つまり額面の八割程度になっておると思います。従いまして大蔵省があとの十四億というものを売却処分いたしましょうとしますと、約二割の損をするというような情勢にありますために、大蔵省はもちろん処分を急いでおられるのでありますが、すでに二年数カ月というものがその間に経過してしまった、また今日のデフレの状況、また証券界の不振の状況からしまして、今後直ちにそれが処分できるかというと、ちょっと見込みが薄いのじゃないか、その間に国際電気通信は八分の配当をしておるわけでありますから、年々歳々その配当は大蔵省の所有になる、雑収入になるのでありますが、現実にわれわれといたしましては、二十八年度の予算におきましては、三十三億というものは全部売却されまして、その資金がわれわれの拡充資金に充当されるようにして予算の財源として組まれてあります。ところが不幸にしまして、十九億だけが収入になりまして、あとの十四億というものがそのまま残ってしまいましたから、それが歳入欠陥になりまして、支出がそれだけ越えてしまうというような状態になっておるわけであります。この状態がいつまでもいつまでも続きますと、結局そこに懸案のまま残ってしまうという状態でありますので、われわれとしましては、もしそういう法案が成立しまして、われわれの手に十四億というものの株式が戻りますると、今後はそれの八分の配当というのはわれわれの収入になり得るということになるわけです。ただ世間のルーモアを申しますると、われわれがさような株式を持つならば、過去におけるがごとくわれわれがそれに対して干渉するとか、統制しやせんかというようなことが言われておるのでありますが、今度の立法を漏れ聞きますと、その株式に対する議決権を放棄するというふうに書かれるようであります。従って、私どもは国際電気通信に別に干渉するわけでも何でもない、ただいわゆる安定株主として一時それを持っておる、将来におきまして事情が許すならば郵政大臣の認可を得てそれを売却していく、五百円以上の額面になったならば売却していくというような情勢になるのではないだろうかという意味で、別に私どもはこの法案に対して反対の意向は持っておりません。
  82. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 よくわかりましたが、それではお尋ねいたしますけれども、今のような事情によれば、むしろ政府とも密接なる御関係があるわけでございますので、政府に対して強くそういう意思をお話しになって、政府の方でそういう問題を立案される方が正しい行き方ではないのでございましょうか、その点に対してはどういうふうにお考えになっておりますか。
  83. 梶井剛

    説明員梶井剛君) これは今仰せの通り、原案は政府が提出された法案であります。その法案の修正でありまするから、政府から提出するのが至当ではないかというお説でございますが、ごもっともだと存じます。しかし、議員の立法といたしましてすでに審議しておられることでありますから、それをわれわれが進んで横取りして、そうして政府から提案するというわけにも参りませんので、現在の成り行きにまかしておるというだけのことであります。
  84. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 いま一言お尋ね申し上げますが、ただいまの御説明によりますと、安定株主としての地位において所有されると、それでこの国際電気通信会社に対して、干渉という言葉は少し強いかもしれませんけれども、この会社が創立された当時のいきさつなり趣旨を拝見いたしますると、独立した会社としてやっていくことが好ましいので、そういうものができるという趣旨に反しないようになることが法文に明記されるという御説明がございましたが、その点はくどいようでございますけれども、はっきりしておるのでございましょうから、重ねてお尋ねをいたします。
  85. 梶井剛

    説明員梶井剛君) もともと法案の趣旨は、国際電気通信会社は純民間会社であるということが法案の精神であります。従って、現在のまま政府が十四億のものをいつまでもいつまでも保有しておられるということは最初の立法の趣旨にもとるような結果になるのだろうと思います。しかし、大蔵省としても市価が五百円以下であるというと、どうしても処分ができないのでありまして、これはそういう証券界の情勢上やむを得ない次第だとわれわれは思うのであります。その間に先ほど申しましたように、配当というものが当然われわれに入るべきものが大蔵省に入っておるという一つの現象が生じておるのでございまして、私どもとしましても最初の立法の精神に反しようという気は毛頭、もしわれわれが株主になりましてもありませんです。従って、法案に今度の創案として議決権が行使されるということであっても一向差しつかえないし、また情勢が変化しましてだんだん株価というものが額面以上になりましたならば、われわれはそれを郵政大臣の認可を得まして売却して、それをわれわれの拡充資金に充てたいという気持は持っております。しかしまた、国際電気通信会社の方で、むしろ株価の変動を防ぐためにわれわれに安定株主としてある程度持ってもらいたいという御希望があれば、しいてそれを売却しないでもいいのではないかという感じもありますけれども、しかし立法の精神はそうでありまするから、別にわれわれはそれを保有して将来何かしようという気は毛頭ないのであります。
  86. 山田節男

    委員長山田節男君) ほかに御質疑ありませんか。——質疑ないと認めます。  それでは昭和二十八年度決算日本電信電話公社の分、決算報告批難事項第二千二百二十五号から第二千二百三十一号までの質疑は一応終了することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 山田節男

    委員長山田節男君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後五時七分散会