○
説明員(
小峰保栄君)
食糧管理特別会議の二十八年度の
検査結果について御
報告申し上げます。
二十八年度は御
承知のように未曾有の
内地米の凶作に会いまして、
内地米の買い入れが非常に減った反面、
外国食糧が平年の約五割増ということになったのであります。
内地米が三百七万トン減つておりますが、外地米が百五十一万トン。大体平年作ですと百万トン以下、九十五、六万トンというのが
外米の
輸入量として普通なわけでございます。百万トンといいますと大体六百五十万石くらいになります。この内外の米麦、これの売買をいたしますについて、
食糧管理会計として収入支出とも六千四百億円という大きな金を使つているわけであります。
会計検査院といたしましては、前年度に引き続きまして、
外国食糧の購入、それから売り渡し、こういうところに重点を置いて
検査したわけでありますが、それ以外に小麦粉の加工、こういうふうなものからも問題が出ております。
先ほど来お話がございましたように、二十六年度、二十七年度購入の
外国食糧についても非常に大きな損害を出したのであります。二十八年度購入の分につきましては、
白色病変米という新たな
事態が出ましたのを初め、やはり
相当な
国損をきたすという状況になっております。
まず千八百五十八から千八百六十一号にまとめました
輸入米の購入と売り渡しであります。これは二十七年度の
検査報告にも
ビルマの
黄変米という問題を詳細に御
報告したのでありますが、二十八年度
輸入米につきましては、
黄変米といいますと、従来は
ビルマ米だけから出ていたといっても言い過ぎではないくらいに、ほとんど全部
ビルマ米だったのでありますが、二十八年度になりますと、
ビルマ米のほかにトルコ米とかあるいはイタリア米とか、そういうようなものからも黄色い米が出てきたわけであります。それから二十八年の七月に
輸入されましたコロンビア米は、これから初めて
白色病変米というものが出て、大きな騒ぎになったわけであります。いろいろ
外米の悪いものを買うという大きな事実につきましてはいろいろな原因があると思いますが、先ほど
農林大臣からも御紹介がありましたように、いわゆる
積地検査基準だったのを
着地検査基準に変える、これが一番大きな問題と思うのであります。こちらに持ってきたものについて買う。従来は
向うで買ったものをそのまま引き取る、こういうやり方だったわけでありますが、それを大きく転換しようというので、私どもこれはぜひこういうふうにしてはどうかということを言っていたのでありますが、
食糧庁もこの
方針に御転換の
準備をされておるようであります。それから
積地検査基準で購入いたしますと、結局
輸入商社というものの取り扱いぶりということが問題になるわけでありますが、これがどうも従来有効適切な
処置を
当局としてはおとりになっておらん、それから
商社の
責任感もどうもはたで見ておりましても稀薄じゃないだろうかとも思われるようなふしが
相当に多かったのであります。
まず
ビルマ黄変米の
輸入と売り渡しでありますが、これは二十七年度に黄色い米がたくさん入ったわけでありますが、二十八年度もゼロになっていないのであります。ここにございますように一応不適格とされたものが千百六十九トン、そのほかに四千五百トンほどあやしいのがあったのでありますが、十分
検査をいたしまして、大丈夫ということになりまして、現在千百六十九トンほどが完全に不適認定を受けて
主食に回らない、こういう
状態になっております。それからこの二十七年度に
輸入しました
ビルマ米の
処分ということについてよく調べたのでありますが、先ほど御援用になりました、この二百二十七ページの表をごらん願いたいのであります。
用途によって非常な差があります。
菓子用になりましたものは、同じ
黄変米でも
トン当り五万円で売れておる。それから
輸入の原価でありますが、一
トン当り七万四千円、トンで見ますとぴんときませんが、一升に換算しますと百十四、五円になります。これぐらい原価がかかっているのでありますが、それを一番高いもので五万円、一番安いのは左のアルコールでありますが、一万五千五百七十円であります。一万五千五百七十円を一升当りに換算してみますと、一升二十四円くらいになってしまいます。百十四、五円で
輸入したものを二十四円で売った、こういうような
事態であります。平均が二万五千九百五円、これは一升にしますと三十一、二円であります。こういう安い値段で売ったわけでありまして、何とかこの辺の
用途によっては、少々の黄変菌がありましても別に差しつかえないと、こういうことでいけるのでありますから、何とかこの辺の売り方もあまりひどい
国損をきたさないような
処置がとれないものだろうか、こう
考えておる次第でございます。内容を一々しさいに見て参りますと、ずいぶん妙な取扱い、たとえば一般には引き取り
運賃なんか引かないのでありますが、その蔵にあるまで売つてしまう。それをわざわざ引き取り
運賃を差っ引いて安くして売つているというようなケースもございます。
それから次が千八百五十九号のトルコ米でございますが、これは二十八年度に、ちょうどあの二十八年の十一月ごろ、横浜へ入ったのであります。
黄変米で大騒ぎをしていた時期でありますが、五千二百七十一トンを四億四千八百万円でありますが、これが全部黄変しているというので
相当びっくりしたのであります。それからまた従来
黄変米といえば
ビルマ米だけだったのでありますが、こんな大量に
ビルマ以外の米からも出たというのも当時としては
相当みな驚かされたケースであります。これが結局四億四千八百万円のものが保険をかけておりましたので、国の損は比較的少くて済むのでありますが、この
検査報告を作りました当時、一億一千何ぼくらい損をしてしまう、保険を取ってなおこういう損になるということであります。この買い方でありますが、これは最初江商株式会社、これに
注文をいたしまして、黄変粒混入率一%以下、当時の
主食に適する標準ということでありますが、黄変粒混入率一%以下ということで
トン当り八万五千円、一升当りにしまして百三十円といいますか、この値段で買ったわけであります。ところがこの江商が外国の
商社に全部下請けさしてしまいまして、そうしてその下請けした
商社が雇った船が大へんなボロ船であったわけであります。船齢四十九年、そうしてこちらへ持って参りますとスクラップにしてしまう、こういう船に積んだのであります。そしてトルコから、普通の
ビルマあたりから持ってきます場合よりも、トルコから南の、暑いところを通つて持って参りますので、よほど大事にしませんと黄変粒の増加がひどいわけでありますが、こういう船に積んで、手当も非常に悪かったらしいのでありますが、五千何百トンは全部黄変をしてしまった。
主食にならぬ。これなどはちょっとどうかと思う案件であります。その船はこっちへ持ってきまして、大阪ですぐにスクラップにしてしまっております。
それから千八百六十号、コロンビア米でありますが、これは
白色病変米の発端、トップを切ったケースでありまして、これから
白色病変米が出まして、あれだけの大騒ぎになったわけであります。これは二十七年の十二月にコロンビアから
輸入することになりまして、このときに千トン買う約束をしたのであります。ところが
商社が、下請けの米を集める人が不適当な人だったと見えまして、なかなか物が入らないで、二十八年の四月、約束してから四、五カ月たってようやく三分の一、三百三十三トン、これがきたわけであります。それが日本へ着いたのが七月でありますが、
厚生省で
検査しまして、その結果がわかったのが八月であります。
検査の結果がわかったときに工初めて白い非常にきれいな米でも
黄変米と同じカビがついているということが発見されたわけであります。ところが
検査がおくれたりした
関係もありますが、
検査の結果がわかるのがおくれたりした
関係もありますが、
配給されてしまった、大部分が
主食用として
配給されてしまった、こういうふうになっております。一部が
配給されないで原材料用として安く売った、こういうことになったのであります。
千八百六十一号、これは昨年からたくさん
委員会でも御
意見の出ました
白色病変米をまとめた案件であります。もう皆さんよく御
承知の案件でございますし、私どもも先ほど
委員長から御紹介がありましたように、
食糧の
検査をしております
課長以下二名、
ビルマ、
タイの
現地視察に参りまして、その
報告もこの席上でさせていただいておるのであります。この
検査報告を出しました以後に変りましたケースだけを
一つ御参考に申し上げておきます。
この
検査報告を出しますときまでにわかっておりましたのは、二十九年九月末現在で十三万八千トン、購入価額八十六億というものがストックされていたのであります。その後これは少しふえまして、先ほど御紹介がありました十五万一千九百六十六トン、これがことしの二月現在であります。ざっと十五万二千トンというものがストックされております。購入代金が九十三億一千二百万円、
検査報告を作りましたときよりも六億ばかりふえたわけであります。それから保管料でありますが、保管料も二月までに三億一千七百万円払つております。普通ですと大体この保管期間というものがそう長いものでないわけでありますが、大体三分の一くらいで済むわけであります。これはストックになって
主食に配船できないために、一般の場合よりよけいに払ってしまったということになっております。購入価額が九十三億、それから保管料が三億一千七百万円であります。
それから千八百六十二号、アルゼンチン小麦であります。これが二十八年の七月に買いましたのですが、七万六千トン、
金額にして二十九億、これが品質が思いのほか悪くて、非常に不経済な結果をきたしている、こういうことになっております。虫害粒の混入というものが非常に多かったのであります。こちらでちょっと購入の時期というものを、あとから
考えると誤ったわけでありますが、端境川にたくさんのものを
輸入した、そういう
関係にあります。大体一%以内のものが買えると思ってその値段で
契約したところが、入ってきたのは一番よくて二%、最高五・五%、こういう悪いものが入ってきたわけであります。そういう
関係で、これはアルゼンチンで
規格が変りまして、二%ということが普通ということに変ったわけでありますが、それを知らないで一%以内ということで
契約をした、そのためにかなりのこれも損をしております。アルゼンチン小麦は初めて
輸入したのではないのでありまして、二十四年、二十五年度に二十万トン
程度輸入したのでありますが、これはものが悪いために長い間売れなくて、二十八年度になっても千八百トンくらい残っておるといういわばいわくつきといいますか、悪いということが前にわかっていたのが、これはいろいろ
貿易協定の
関係もあるので買った。われわれとしては、
貿易協定があるにしても、そう悪いものを持ってくる必要はないのじゃないか。こういう
考え方で、
検査報告に載せたわけであります。
それから次が千八百六十三号の小麦粉の加工と運送、このケースでありますが、二十八年のあの凶作で、二十八年の十月に
食糧緊急
対策に関する閣議
決定がなされたのであります。
食糧が不円滑になるとこれは大へんなことになりますから、閣議
決定、それに基いて
食糧庁でいろいろな
方法をおとりになったのでありますが、その
一つとして、あとから見てもどうもこれはちょっとまずかったのではないかと思うのがこれであります。これは小麦を四万トンいきなりひいて粉にしてしまったわけであります。小麦で持っていれば品質も変りませんが、四万トン、しかも福岡——九州に製粉能力があるということで、四割近いものを九州で、福岡の管内で粉にしてしまったわけであります。その次に大きいのが兵庫の管内でありますが、兵庫、熊本、佐賀もありますが、九州で粉にしたものを、当時鉄道輸送が逼迫しておるということで、船に乗せました。御
承知の
通り船は非常に
運賃が高くかかるわけでありますが、そうして東京とか大阪の大消費地に持ってきたわけであります。東京に持ってきたのが約二万トンでありますが、この東京、大阪に持ってきたのが、初めはこれは
価格調整用として、小麦粉の
価格が上らないようにということで、これは一応売らないで持っていよう、こういうお
考えであったのであります。その後だんだん時がたちまして、品質が下ってくる、それで売り始めようとしたのでありますが、物がよくなくて売れない。それでことしの三月までかかって全部売ったのであります。そうしてそのために、これも当時の
検査報告を作りましたときの評価で約一億五千九百万円ばかり不経済の結果をきたした、こういうケースであります。私どもとしては、あの二十八年の凶作のあと、十月に閣議
決定があったのであります。当時いろいろな
対策をお立てになり、これは当然なことだと思います。これを粉にしてこちらへ送り始めたのは十一月、十二月が最盛期だったのであります。これが二月ころまでかかっておるのでありますが、あの時期になってあまり
食糧不安もないときに、しかも小麦の
価格はあまり上っておりません。そういう時期に四万トンものものを粉にしてしまわなくてもいいのじゃないか。小麦でお持ちになっていても一向に非常
対策としては差しつかえないのじゃないだろうか。製粉能力は当時非常にあったわけであります。そういうふうに
考えてこれを掲記したわけであります。
それから最後に千八百六十四号の運送賃の支払に当り
処置当を得ないもの、これは港へ入ってきます
輸入食糧、これを船側渡しで受け取りまして、それを荷役にして
倉庫まで揚げる、港頭
倉庫まで揚げる、こういう委託
契約であります。そうしてこれはなかなか金がかかるのでありますが、横浜ほか二十二港へ到着しました
輸入食糧の分が五十一億四千七百万円ほど支出しておるのでありますが、このうち約半分の二十六億五千三百万円、これを
検査して見たわけであります。そういたしますと、この五十一億の約半分に近いものが麻袋代であります、
輸入食糧の麻袋代、それから残りましたものの大部分というのは、ここにございます沿岸荷役料とか、はしけ回漕料、それからほかの港への回漕のはしけ料、機帆船料、こういうものでありますが、これが合計で八億二千八百万円、二十六億のうち八億二千八百万円、ところがこの八億二千八百万円の中から、
食糧庁がこれを支払ったわけでありますが、一億三千七百万円ほどでありますが、
商社に差し引かれまして、残りが実際にこの運送、沿岸荷役なり何なりの運送
業務をやった実務者に行っていた。八億二千八百万円のうち一億三千七百万円ほど差っ引かれて、まあ頭をはねられておるということがわかったわけであります。この委託運送、これは今申し上げましたように、
輸入食糧の陸揚げとか倉入れ回漕、こういう
輸入港
業務及び輸送
業務をやるわけでありますが、これは
運輸省のいろいろなやかましい規定がございまして、この
輸入商社にはやれないのであります。これを専門にやる業者が港におるわけであります。
輸入商社はこれを国から委託を受けましても自分ではやれないのであります。そうして港の指定業者に全面的にこれを委託しないとやれないわけであります。それから委託の料金はすべて
運輸省の告示できまっているのであります。これはマル公と違いまして、定額料金でありまして、その最高幾らというきめ方じゃないのでありまして、定額料金、それから一部は実費
契約というのがあるのであります。今の、
運輸省が指定していない料金については
食糧庁と
輸入荷札との間で実費の
契約を結ぶというのでありまして、いずれにいたしましても、これは国が払いましたものがそっくり運送をやる実務者に全額行くべき性質のものであります。それを一億三千七百万円というような中間差し引きがあるというのはおかしいじゃないかというので、これは
相当数が多かったのでありますが、調べてみたわけであります。そうすると非常にどぎつい結果が出たのでありまして、この表をちょっとごらん願いたいのであります。
横浜、名古屋、大阪、神戸、門司から代表的に差し引きした額の多いものをここに拾い出したわけでありまして、まず第一の横浜がはしけ回漕料、これが一番下をごらん願いますと、三割三分はねられた、こういうことになっております。その次が二割九分、みんな二割から三割、ひどいところは四割近く、三八%も頭をはねられておるという事実がわかって驚いたのでありますが、結局全国平均いたしますと、今の三割三分とか三割八分というのは、これは一番ひどいやつを拾い出したのですが、全体を平均しますと一割六分から二割ぐらい平均で頭をはねている。こういうような結果が出てきたわけであります。こういうものは、やはり実費で支払ったもの、あるいは定額料金で委託
契約に基いて支払ったものなんだから、頭をはねさせるようなことをするのは穏やかじゃないじゃないか、こういう
考え方でこれは批難したわけであります。