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1955-06-07 第22回国会 参議院 決算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月七日(火曜日)    午後一時五十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山田 節男君    理事            青柳 秀夫君            野本 品吉君            岡  三郎君    委員            大谷 瑩潤君            西川彌平治君            白井  勇君            長島 銀藏君            宮田 重文君            島村 軍次君            三浦 辰雄君            久保  等君            近藤 信一君            白川 一雄君            市川 房枝君   国務大臣    農 林 大 臣 河野 一郎君   政府委員    食糧庁長官   清井  正君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    厚生省公衆衛生   局環境衛生部長  楠本 正康君    会計検査院事務    総局検査第三局    長       小峰 保栄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和二十八年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十八年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十八年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)   —————————————
  2. 山田節男

    委員長山田節男君) ただいまより第十三回決算委員会を開会いたします。昭和二十八年度一般会計歳入歳出決算昭和二十八年度特別会計歳入歳出決算昭和二十八年度政府関係機関決算報を議題といたします。本日は農林省所管のうち、食糧管理特別会計を審議いたします。会計検査院検査報告批難事項は千八百五十号から千八百六十四号まででございます。本日は河野農林大臣清井食糧庁長官伊達監査課長桑原業務第二部長会計検査院側からは小峰検査第三局長並びに吉田農林検査第一課長がお見えになっております。大臣衆議院予算委員会で非常に御多忙であられるのを、特に御臨席願つて、時間は大体二十分以内と、こういう御注文おいで願つておりますので、大臣の御説明の後は、まず農林大臣への質問をしていただきたいと存じます。  まず、河野農林大臣説明を求めます。
  3. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 食糧管理特別会計昭和二十八年度決算に関しまして、会計検査院から御指摘を受けました事項の概要について御説明申し上げます。  御承知のように、昭和二十八年度は数次の災害により、内地米の凶作をきたしました年でございまして、当時の食糧需給事情から見まして、世界のあらゆる地域からの食糧の購入に極力努力せざるを得ない実情でございまして、もちろん前年度来の苦しい経験にかんがみまして、従来不良外米の入って参りました地域、新たに買付を行う地域等からの輸入につきましては、特にできるだけの注意を払ったはずでございましたが、年度途中において、いわゆる白色病変米の発見という新たな事態も起って参りまして、外国食糧輸入に関し、数件にわたって御指摘のような結果と相なりましたことは、真に遺憾に存ずる次第でございます。その後不良食糧輸入防止対策強化徹底輸入方式改善等処置を講じました結果、本年に入りましてから病変米の発生を見ておりません。現在なお約十五万トン程度のものが在庫となっておりますが、その一部のものにつきましては、最近厚生省当局より通報を受けましたが、主食として配給することは国民納得を得る必要があるので、その処置につきましては慎重に検討の上決定いたしたいと存じておりますし、残部のものにつきましても、厚生省当局十分連絡の上、国損最小限度にとどめることに留意しつつ処分方法決定を促進いたして参る所存でございます。  なおまた、当時外国食糧輸入につきましては、積地検査基準により、輸入港において本船船側で引き受けをする方式をとっておりましたので、その後の輸入業務につきましては、輸入商社との間に別に契約を結んで、これを行わせておったのでございますが、政府から取扱い商社に支払いました金額と、商社から実際のこの運送人に支払いました金額との間に相当開きがございましたことにより、これまた御指摘を受けましたことは遺憾に存じております。この問題につきましても、その後着地検査基準により、輸入港の倉庫等政府の指定する場所で引き渡しを受ける方式に切りかえ、また取扱い商社から運送人への代金決済方法につきましても、双方の中央代理機関の間においてこれを行うよういたさせておりますので、今後このような事態は防止し得ると存じております。  概略以上の通りでございますが、何分にも食糧関係業務におきましては多額の国費を取り扱い、貴重な外貨との関係もございますので、それぞれ御指摘の趣旨をも十分にわきまえ、内部の監査方式等にもなお改善を加えまして、健全な運営をはかって参りたいと存じている次第でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。以上。
  4. 山田節男

    委員長山田節男君) 河野農林大臣に御質疑をお願いいたします。
  5. 岡三郎

    岡三郎君 毎年この食糧庁関係においては、輸入食糧の問題でいろいろと問題があるわけですが、しかしわれわれもしばしば検討した結果、農林省の苦衷もよくわかる点もあるわけですが、大体最近においてはやはり売手市場から買手市場に完全に移行して、きたそういうふうな状態の中で、過去において向うの業者が売り込んできた品物に対して、なかなかこっちが余裕を持って選択をすることができなかった当時の模様もわれわれわかるわけですが、しかし現状においてはさらに改善をして、国損を生じないように鋭意農林当局でも御検討になっておると思うのですが、農林大臣として食糧買付に対していろいろと御検討あったかと思うわけですが、一つ就任以来の食糧庁関係について、大臣がその輸入食糧買付その他においてしかじかと方針なりその他を申し渡したようなことがあったらばそういった問題について、輸入食糧に対してしばしばこういうふうな黄変米とかいろいろな問題が起つておる。そういう問題について抜本的に買付方式を変えたらどうかというふうな考え方もあったかとも思うのですか、しかしこれも貿易との関連で簡単にはゆかぬ問題だとわれわれは思っておりますが、一つ考えを聞かしてもらいたいと、こう思うのです。
  6. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御指摘通りでございまして、国際情勢が変化して参りましたので非常に米麦は買いやすくなっておるわけでございます。従いまして、この機に私といたしましては相当改善を加えまして、食管特別会計を有利に運用して参るように努力いたさなければならぬという考えのもとに、今年度から輸入商社を、従来の特定の商社をこれを変更いたしまして、たとえばタイビルマ、台湾、朝鮮、中共、アメリカというような地区につきまして、従来、たとえばビルマでございますと、これを三つの商社が独占いたしておったのでございますが、これは今お話しのように、集荷をいたす必要からそういう実情にあった当時のことは決して私は悪いという意味ではございませんけれども、事情が変化して参ったのでございますから、商社をもう少しふやしたらよかろう。そしてしかも一流の商社をこれに加えてゆかなきゃならぬだろうというようなことから、通産大臣と十分協議いたしまして、別に定める表によりまして、これらを、たとえばビルマにつまましても三社であったものを十一社、タイにつきましても八社でありましたものを十四社というようなふうに、それぞれの実情を十分考慮するとともに、従来独占的であったものを、商社の数をふやして競争を十分にさせるように取り計らつて、そして輸入の低廉、合理化を期することにいたしました。幸いにその結果多少の効果は上げておると私は考えております。  なおまた、御指摘のように貿易関係がございますので、ただいちずに有利なという点だけで入れるわけにも参りません実情もございますことは御承知通りでございます。従いまして、たとえばビルマでございますると、わざわざビルマから大臣が見えまして、ぜひ三十万トン買ってほしいという要望がございましたが、これを種々折衝いたしまして、二十二万トンにこれを押えるとともに、これには十分に病変米でありますとか、砕け米でありますとかいうような点について厳重な規格注文つけまして、これと契約をすることにいたしました。  これはタイにつきましても同様でございます。たとえば朝鮮の場合を例にとりますと、これは新聞等でしばしば報ぜられたことでございますが、朝鮮から米を売るというような交渉がたびたびございました。これは百八十五ドルでぜひ買ってくれという交渉がありましたが、私はわが国の実情から考えまして、これを国際的な市場価格と勘案いたしまして、とにかく百八十五ドルは自分としては買えない。農林省食管会計としてはそういうものは買うわけには参らぬ。ただしこれが国際関係において、ないしは貿易裏づけ等の全体の勘案から、国策として決定するならともかくといたして、私は農林大臣立場としては、これは百八十ドル程度までより買うことは困難であるということを強く固持いたしまして、そのために朝鮮米輸入がいまだに未決定になっておりますが、私といたしましては、農林省食管十分経済的立場に立ってすべての問題に当る。これをまた別に内閣として、外務、通産、その他の立場からの主張とこれを適当に合致せしめなければならぬ場合のあることはむろん私は忘れやいたしませんけれども、とにかく私の農林省を所管いたしておりまする立場におきましては、以上の点は固く堅持して参るということに下僚をそれぞれ指導いたしておる次第でございます。その他アメリカ米輸入等につきましても、これについてはいろいろ余剰農産物関係等につきましても世間で御意見もありますけれども、これらにつきましても国際価格を絶対に逸脱しないという点は強く主張して参るというようなこと等々について、私は食管会計を十分これを健全に運営していかなければならぬ。たとえば、お尋ねがあることと思いますが、この運送運賃等につきましても、運輸省公定価格によって、規格によって従来やっておりましたために、これが港におきましては競争の激甚な競争価格、つまり市中価格といわゆる運輸省公定価格との間に開きが出てきておる。それらについて今会計検査院の御指摘のような問題が起ったのではなかろうかと私は思うのでございますけれども、これにつきましてもそういう煩瑣を避けるために、庫入れした後において買うということにして、この点についても相当に経費が出てくるように、実はこれらも早急に取り運ぶようにいたしておるわけでございまして、今後国内運送等につきましてもそれらの点については十分注意を払って参るように、運賃だけ申しましても六十数億の運賃マル通に支払いしておるような実情でございますから、これらに対しましても合理的にこれを改訂して参りたいと私は考えており、その点をそれぞれ指示いたしてやつておる次第でございます。
  7. 岡三郎

    岡三郎君 まあ減収加算等の問題があって、今までよりも食管特別会計が非常に操作がきつくなるのではないかというふうな点もあるし、それから農林大臣がまだ就任以来そう長く月日がたっておらないので、直ちに実効を表わすということはむずかしいと思いまするが、今の輸入食糧にいたしましても、後刻逐条的にこれを審議することになると思うのですが、滞貨量がふえてくると、やはりその処置というものも相対的に考えていかなければならない。つまり配給として、飯米としてこれを売り渡すということは困難であるとしても、やがてはこういった食糧を何らかの方法によって処分しなくてはならぬということになるというと、その処分方法というものが一点と、それからこれはまあ幾らといってもなかなか実効が上らないのですが、まあ八万トン程度黄変米在庫量が逐次ふえて、特に白色病変米という困難なものが出てきたために、さらに滞貨量が十五万トンとふえてきておるということから考えて、まあ砂糖の問題とか、あるいはその他の農林行政について競輪、競馬等の問題も含めて、いろいろと施策を述べられて参りましたが、他省との関係で、直ちに農林大臣の意向をそのまま政治に反映するということにはなかなかゆかない実情にあると思いますが、とにかく少し強引にでも食糧買付の問題についてもこれを下僚を督励してやるということになれば、相当面食管会計において有利に展開できるのではないか。それから売り渡す場合にもここの千八百五十八号に出ているように、まあアルコールに五千九百二十一トン売り払って、そのトン当り価格が一万五千五百七十円経度になっている。ところが同じものを菓子にした場合に、ここでまあトン当り五万円になっておる。これが同じものならば、やはり食管会計操作という点から考えて、でき得る限り有利にこれは売り払わなければならぬというところも出てくると思うのですが、そういった点で非常に厚生省との関連で、白色病変米とか黄変米というものを、一体どの程度加工したならばいいのかという点についての最終的な結論はまだ聞いておらぬわけです。これをみそに使うならば毒が解消するような話も聞いたり、あるいは菓子にした場合に、結局砕米のかわりにこれをやろうとした場合に、病毒が一体どの程度変化するのかということもわからぬ。そういうふうにしてゆくというと、明確に処理という問題について基、本方針というものを立ててやつてもらわぬというと、そのつどの行政に陥るのではないかと、こういった心配があるのです。  これは一つの私は注文にもなると思うのですが、輸入米については、今の農相の御弁明の通りに実行してもらいたいということと、それから実際にそれをやる場合に、私はやはり商社がどれほど能率的にまた献身的といいますか、もちろん商社としてもうけというものを考えるにしても、農林省当局に対していい実績を上げた商社というものは、これは将来ますますその買付量というものをふやしてやることが、いわゆるある程度信賞必罰といいますか、そういった点は非常にむずかしい問題があるとしても、やはり統計的にゆけば、まじめに買付をやり、まじめにこちらで商取引をするという商社というものも、長い年月がたてば明確になってゆくと思う。そういう点で商社を、ふやされたということはいいことだと思う。競争意識を強めて、不良品を買付けないように努力するということはいいと思う。そういったことについて、昭和三十年度の買付については当然決算に現われてくるのは一年ないし二年おくれてくるわけですが、そのときに三十年度の買付において二十八年、二十九年の当時に比べて不可抗力の点があるとしても、相当顕著に実績が上ったというふうな方向を河野農林大臣に期待したいわけです。  もう一点は、それとともに困った食糧払い下げ等についても、やはり基本的な対策を立てて、食管に穴ができるだけできないように処理してもらいたい。これは大まかな質問ですが、前にやつていた保利農林大臣ならば、もう少し個々についてゆくこともいいのだが、新任早々大臣にあらを探すのは能ではないと思うので、大局的に立って御指導願いたいという注文をつけておいて、お考えがあったらお聞きしたいと思います。
  8. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 黄変米処理につきましては、事食糧でございますので、何に利用いたしますにつきましても、国民納得理解の上に立って処分いたさなければならぬと思うのであります。しかもその処分の仕方が、今御指摘になりますように、用途によって非常に価格が違って参りますので、とかく世上疑惑も生まれがちのことでございますので、私は先般衆議院農林委員会において、衆参両院のしかるべき方々の御協力を願つて適当な、法律的な基礎に立ちませんでも、農林省でお願いする委員会のようなものに一つ協力を願うことにして、その委員会の御納得を得て処分するようにしたらどうだろうかという、私見でございますが、意見を申し述べて、何らか実現をいたしたい。それで衆参両院の代表の方の御納得の上に立ってこれを処分するならば、私はここに世上疑惑も解消することもできましようし、また、ないしは相当思い切つた処分もこの御了解の上に立ってやるならばできるのじゃなかろうかというような点からいたしまして、いずれにいたしましても、いつまでもこれの責任を回避して放っておくということが、金利、倉敷等もかさみます一方、だんだんこれは品物も悪くなるということでございますから、何とか早く処分しなくちゃいかぬ。それは農林省事務の専任にまかすということはよろしくないという考えから、議会でも一応終了いたしましたらば、そういうことで早急にいたしたい。しかも厚生省の御意見を伺うということはもちろん必要なことでございますけれども、御承知通り厚生省学者の、学究の方々意見もなかなか一致しないようでございます。これが全部一致するということはなかなかむずかしいようでございます。そういうようなことで、さればといってこれが一致をいたさなければ処分がしにくい、食糧としては絶対処分ができないという立場にありますので、これらにつきましては、多少常識的に衆参両院の御理解の得られるというような方途で処分して参るということが、一番いいことじゃなかろうかというようなことも実は内々私は考えて、御協力願うように今お願いを申し上げておるところでございまして、できればそういうことで早急に何らか解決の道を見出したいと実は努力をいたしておるわけでございます。  なお第二点の、買付外米外麦輸入につきましては、御指摘通り十分、微力ではございますが、最善を尽したいと考えておる次第であります。
  9. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 ほんの二点ばかりお伺いいたしたいと思いますが、実は二十八年に私タイビルマ、インドの方へ旅行さしていただいたわけですが、その節にお米の買付の状況も実は視察をさしていただいたわけです。ところが今おっしゃる通りに、商社がみな買い付けまして、それをこちらへ、また政府の方へお取り次ぎをしておるという手順であるように伺ってきたわけです。しかし向うへ行っておりますその商社買付をする人は、まあ学校出たてぐらいの、ごく若い経験のない人たちが多いように見受けたのです。そうして向うに行っておりましての生活状態相当ぜいたくな生活をして、まあ向う人たちから指弾を受けるというような行為も相当あるように見受けられる。ですからこの黄変米であるとか、病菌米であるとかいうようなものの買付の場合も、われわれはそれを見たり聞いたりしたときに、果して正当にそれが運営されておるか、買付されておるかという点に対して多少の疑いを持って帰ってきたようなわけであります。ですから私は今伺いたいと思うことは、そういうような食糧に適しないような米を買い付けるようなことのないように、農林省自体が直接に何か方法をもって向うでお買い上げになって、そうしてこららへお運びになるというような構想をお持ちになっておるかどうか、またどうしても商社を通さなければならぬという、そこにどういう理由があるのか、それを承わりたいと思います。
  10. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 御指摘のとでございますが、何さま非常に食糧の少なかった当時のいきさつがそのまま今日まで続いてきておるのでありまして、今政府といたしましては、商社が持って参りましたものを、先ほども御説明申し上げました通り、今までは同うで買ってそれを運んできた。今度は、こちらへ参りまして港へ陸揚げいたしまして、倉に入れて、そこで政府検査をいたしまして、それで適格品であれば政府は買い上げるということに変えたのでございまして、そこで不合格であれば買わないということにいたしておりますから、今御指摘のような、商社責任においてこちらの日本の国内の港の倉庫まで入れるのだ、入れた、そこで政府はよければ買うのだということにいたしますので、まさかそとで不合格になったからといって、それは政府としては、またいろいろ問題も起るでございましょうから、簡単にそれだけで事足りるとは考えておりませんけれども、従って私はこれらの先輩であります石黒忠篤さんだとか、荷見安君だとかいう人に、実はそれぞれ現地に行っていただいて、現地実情等十分調査を願うということにせっかく準備をいたしておるわけでありまして、私はこれらの御報告も承わって、根本的な案は考えたいと思っておりますが、まだその運びになっておりません。今準備中でございます。しかしいずれにしましても、現在とっておりまする、改革いたしましたことは、こちらに着いて、こちらの倉庫で調べて、そこで政府合格品であれば買い上げるということにいたしましたので、しかし、なかなか御承知通り、今度出ました病変米はなかなか検査もむずかしいようでございますし、しかもその後においてもいろいろのことがあるようでございますから、困難なこことは考えます。できればそういう危険なところからは買わないのが一番いいのでございますけれども、それも事情がそういうわけにはいきませんので、最善を尽してやりたい。今御指摘のようなことにつきましても、これら両君の調査の上で、もし必要があれば、決して私はこの制度が一番よろしいので、このままいかなければならんとは考えておりませんから、十分調査いたした上で善処したいと考えております。
  11. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 もう一点承わりたいのは先ほどのお話です。食糧品としては今までの悪いお米を用いないというような御意見のようですが、しかし主食として用いないのであって、食糧としては菓子なりあるいはその他のみそなりにお使いになるということでございますが、やはり国民衛生の上に果してこういう影響があるか。これはわれわれとしても非常な関心を持つことでございますが、まあ厚生省の方では一応つき直せばもう毒はないという証明を学者から取っておるから大丈夫だと言うておられますが、農林大臣として主食として配らないとおっしゃるのか、あるいはその他の食糧には毒さえなければそれを使用するとおっしゃるのか、その辺をはっきりしていただきたい。
  12. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) もちろん主食配給制度でございますから、これは絶対に国民理解、御協力のない限り配給はいたしません。これは私は堅持するつもりです。ただし他の菓子用途でありますとか、ほかの用途でありますれば、厚生省の御了解があれば、御支持があれば、これは私は使ってもいいのじゃないか、こういうふうに私は考えております、
  13. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 先般あちらで聞きましたのでは、玄米輸入をすれば、こちらで白米につき直す、そうすればこういう問題は起らないということを聞いておりますが、そういう処置をおとりになるお考えはございませんか。
  14. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) これは私、よく事務の方からお聞き取りいただきたいと思います。私の了解するところでは、できれば、たとえば朝鮮の米を入れるにいたしましても、こちらで米ぬかが、家畜の飼料が入用ですから、その道が一番いいと思います。しかし先方先方都合で、機械都合で、脱穀から白米になるまで機械でこしらえ上げて売るというような商習慣もございましょうし、それを玄米のままでやれば、果して病変米等のものが絶対に防止できるというようなことであれば、それについて十分考慮していいのではないかと思いますが、必ずしもそうじゃないようにも承わる、それらの点につきましても十分研究いたしたいと思います。
  15. 山田節男

    委員長山田節男君) 大臣はもう時間が超過しましたが、ほかにおありになれば簡単に御質問願いたいと思います。……委員長から河野大臣に希望をかねて申上げておきたいと思いますが、輸入食糧の、ことに米の、病変米の問題につきまして、前々国会から継続調査になってまだ結論が出ておらんわけです。ことに昭和二十六年度、二十七年度の決算報告を審議するに当りまして、これはもちろん自由党内閣のときで、非常に国損をきたしておる。なお、中間報告的に二十八年度の買入れ検査検査状況は、二十七年度よりもっと悪いと、こういう報告を受けて、非常に心配しておる。当決算委員会の主張によって、大蔵省を説得して、会計検査院事務官を二名、東南アジアの米を輸入する国々を実は視察に回らしたわけです。その報告を実は受けておるわけです。どうしてもこれは病変米輸入しない抜本的な施策を政府は早急にやるべきである。こういうことは十九国会以来当委員会において、政府に重ね重ね注意をしておるわけです。昨年度から輸入契約の仕方も違つて、過般われわれ実地見学で、改善されたあとは著しいものがあるというように見たわけであります。しかしこういうものはあくまでチェックしなければいけない。同時に今、大臣報告通り、十三万八千トンという滞貨をどう処理するか、これは廣川弘禪君が民主党におられますが、廣川弘禪君が大臣になっておられた当時、これは麻袋問題も含めて、われわれとしては非常に困った問題が起きておるわけです。当委員会としてこの問題をいまだに継続調査の問題として扱っておる。なるべく早く本国会において結論を出したいと思っておるわけです。  先ほど来各委員の御質問によって、河野大臣も抜本的な対策をお考えになっている。これはまことに結構であると思う。当委員会として、なるべくこの問題に対しては早く結論を出したいと思っておりますが、これは質問になりますが、昨年われわれ会計検査院事務官を二名派遣したといういきさつから見ましても、抜本対策一つとしまして、少くとも東南アジアの米を年間相当輸入するという数ヵ国に対しまして、日本の公館にやはり米のアタッシェを送る。そうして常時市場の検査、あるいは出来高、出来工合検査、こういったようなことをやつて、そうして商社を指導する。なるほど、われわれ今回視察しますと、われわれがいまだかつて見ないようなりっぱな米が入っております。しかし価格の点において、品質をさらによくするという点において、やはり現地農林大臣が、ライス・アタッシェといいますか、こういうものを置いてもペイするのです。ですからこれはまあどうしても私は国民の建前から考えて、商社にまかしてしまつて、きめた値段で持ってくれば、合格すればそれでいいのだというのでは、まだまだこれは輸入食糧に対する対策としては感服できないのです。さらに竿頭一歩を進めて、やはりビルマとかあるいはその他の米を、タイであるとか、そういったところには農林省から常時そこにいるアタッシェでもおいて、よりいいものをより安く持ってくるということを当然やるべきであります。  この点に関してそういうお考えがあるかどうか存じませんが、当委員会としてこの問題でまだ結論を出し得ない難問題であります。大臣におかれまして、今後当委員会あるいは衆議院決算においてもしかりでしようが、この国会として切なる希望を一つ河野大臣は幸い非常なりっぱなお考えを持っているように私見ますから、ぜひ一つ近いうちに抜本的な対策を立てられて当委員会にお示し願いたい、それによってこの問題は一応結論を出したいと実は思っております。他の食糧庁の関係局にも御相談なさつて、抜本対策の具体的のもの、それを必ずやるというものがあればそれをお示し願つて、当問題を一応これは終了いたしたいと思いますが、その事情をお含み願つて、ぜひ一つ近い将来にわれわれに具体的な策をお示し願うように希望いたします。
  16. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) 大へん有益な御指示をちようだいいたしまして、実は先ほど申し上げましたように、私就任いたしましてから直ちに、東南アジアを中心にして、これらに有力な調査団を派遣いたしたいということで、先ほど申し上げました通りに石黒、荷見両氏を、中心にして出発していただくことにいたしておったのでございますが、たまたま国会が開会せられましたその他等の事情のために、準備は一応整つておるのでございますが、まだおくれておるわけでございます。そういう事情でございますので、私はこれらの方々に十分お願いいたしまして、そう、長く調査がかかるわけではございませんから、いずれ一ヵ月もすれば帰っていただけると思いますから、その七でただいま御指摘になりましたようなこと等も十分考慮におきまして、一つ抜本的な対策を立てまして、そうして先ほど御指摘になりました輸入会社ということも一つの参考資料にいたしまして、十分御趣旨に沿うようにいたす決意でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  17. 山田節男

    委員長山田節男君) ほかに御質疑なければ、大臣の御退席を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 山田節男

    委員長山田節男君) どうぞ……。続いて会計検査院側説明を求めます。小峰検査第三局長。
  19. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 食糧管理特別会議の二十八年度の検査結果について御報告申し上げます。  二十八年度は御承知のように未曾有の内地米の凶作に会いまして、内地米の買い入れが非常に減った反面、外国食糧が平年の約五割増ということになったのであります。内地米が三百七万トン減つておりますが、外地米が百五十一万トン。大体平年作ですと百万トン以下、九十五、六万トンというのが外米輸入量として普通なわけでございます。百万トンといいますと大体六百五十万石くらいになります。この内外の米麦、これの売買をいたしますについて、食糧管理会計として収入支出とも六千四百億円という大きな金を使つているわけであります。  会計検査院といたしましては、前年度に引き続きまして、外国食糧の購入、それから売り渡し、こういうところに重点を置いて検査したわけでありますが、それ以外に小麦粉の加工、こういうふうなものからも問題が出ております。  先ほど来お話がございましたように、二十六年度、二十七年度購入の外国食糧についても非常に大きな損害を出したのであります。二十八年度購入の分につきましては、白色病変米という新たな事態が出ましたのを初め、やはり相当国損をきたすという状況になっております。  まず千八百五十八から千八百六十一号にまとめました輸入米の購入と売り渡しであります。これは二十七年度の検査報告にもビルマ黄変米という問題を詳細に御報告したのでありますが、二十八年度輸入米につきましては、黄変米といいますと、従来はビルマ米だけから出ていたといっても言い過ぎではないくらいに、ほとんど全部ビルマ米だったのでありますが、二十八年度になりますと、ビルマ米のほかにトルコ米とかあるいはイタリア米とか、そういうようなものからも黄色い米が出てきたわけであります。それから二十八年の七月に輸入されましたコロンビア米は、これから初めて白色病変米というものが出て、大きな騒ぎになったわけであります。いろいろ外米の悪いものを買うという大きな事実につきましてはいろいろな原因があると思いますが、先ほど農林大臣からも御紹介がありましたように、いわゆる積地検査基準だったのを着地検査基準に変える、これが一番大きな問題と思うのであります。こちらに持ってきたものについて買う。従来は向うで買ったものをそのまま引き取る、こういうやり方だったわけでありますが、それを大きく転換しようというので、私どもこれはぜひこういうふうにしてはどうかということを言っていたのでありますが、食糧庁もこの方針に御転換の準備をされておるようであります。それから積地検査基準で購入いたしますと、結局輸入商社というものの取り扱いぶりということが問題になるわけでありますが、これがどうも従来有効適切な処置当局としてはおとりになっておらん、それから商社責任感もどうもはたで見ておりましても稀薄じゃないだろうかとも思われるようなふしが相当に多かったのであります。  まずビルマ黄変米輸入と売り渡しでありますが、これは二十七年度に黄色い米がたくさん入ったわけでありますが、二十八年度もゼロになっていないのであります。ここにございますように一応不適格とされたものが千百六十九トン、そのほかに四千五百トンほどあやしいのがあったのでありますが、十分検査をいたしまして、大丈夫ということになりまして、現在千百六十九トンほどが完全に不適認定を受けて主食に回らない、こういう状態になっております。それからこの二十七年度に輸入しましたビルマ米の処分ということについてよく調べたのでありますが、先ほど御援用になりました、この二百二十七ページの表をごらん願いたいのであります。用途によって非常な差があります。菓子用になりましたものは、同じ黄変米でもトン当り五万円で売れておる。それから輸入の原価でありますが、一トン当り七万四千円、トンで見ますとぴんときませんが、一升に換算しますと百十四、五円になります。これぐらい原価がかかっているのでありますが、それを一番高いもので五万円、一番安いのは左のアルコールでありますが、一万五千五百七十円であります。一万五千五百七十円を一升当りに換算してみますと、一升二十四円くらいになってしまいます。百十四、五円で輸入したものを二十四円で売った、こういうような事態であります。平均が二万五千九百五円、これは一升にしますと三十一、二円であります。こういう安い値段で売ったわけでありまして、何とかこの辺の用途によっては、少々の黄変菌がありましても別に差しつかえないと、こういうことでいけるのでありますから、何とかこの辺の売り方もあまりひどい国損をきたさないような処置がとれないものだろうか、こう考えておる次第でございます。内容を一々しさいに見て参りますと、ずいぶん妙な取扱い、たとえば一般には引き取り運賃なんか引かないのでありますが、その蔵にあるまで売つてしまう。それをわざわざ引き取り運賃を差っ引いて安くして売つているというようなケースもございます。  それから次が千八百五十九号のトルコ米でございますが、これは二十八年度に、ちょうどあの二十八年の十一月ごろ、横浜へ入ったのであります。黄変米で大騒ぎをしていた時期でありますが、五千二百七十一トンを四億四千八百万円でありますが、これが全部黄変しているというので相当びっくりしたのであります。それからまた従来黄変米といえばビルマ米だけだったのでありますが、こんな大量にビルマ以外の米からも出たというのも当時としては相当みな驚かされたケースであります。これが結局四億四千八百万円のものが保険をかけておりましたので、国の損は比較的少くて済むのでありますが、この検査報告を作りました当時、一億一千何ぼくらい損をしてしまう、保険を取ってなおこういう損になるということであります。この買い方でありますが、これは最初江商株式会社、これに注文をいたしまして、黄変粒混入率一%以下、当時の主食に適する標準ということでありますが、黄変粒混入率一%以下ということでトン当り八万五千円、一升当りにしまして百三十円といいますか、この値段で買ったわけであります。ところがこの江商が外国の商社に全部下請けさしてしまいまして、そうしてその下請けした商社が雇った船が大へんなボロ船であったわけであります。船齢四十九年、そうしてこちらへ持って参りますとスクラップにしてしまう、こういう船に積んだのであります。そしてトルコから、普通のビルマあたりから持ってきます場合よりも、トルコから南の、暑いところを通つて持って参りますので、よほど大事にしませんと黄変粒の増加がひどいわけでありますが、こういう船に積んで、手当も非常に悪かったらしいのでありますが、五千何百トンは全部黄変をしてしまった。主食にならぬ。これなどはちょっとどうかと思う案件であります。その船はこっちへ持ってきまして、大阪ですぐにスクラップにしてしまっております。  それから千八百六十号、コロンビア米でありますが、これは白色病変米の発端、トップを切ったケースでありまして、これから白色病変米が出まして、あれだけの大騒ぎになったわけであります。これは二十七年の十二月にコロンビアから輸入することになりまして、このときに千トン買う約束をしたのであります。ところが商社が、下請けの米を集める人が不適当な人だったと見えまして、なかなか物が入らないで、二十八年の四月、約束してから四、五カ月たってようやく三分の一、三百三十三トン、これがきたわけであります。それが日本へ着いたのが七月でありますが、厚生省検査しまして、その結果がわかったのが八月であります。検査の結果がわかったときに工初めて白い非常にきれいな米でも黄変米と同じカビがついているということが発見されたわけであります。ところが検査がおくれたりした関係もありますが、検査の結果がわかるのがおくれたりした関係もありますが、配給されてしまった、大部分が主食用として配給されてしまった、こういうふうになっております。一部が配給されないで原材料用として安く売った、こういうことになったのであります。  千八百六十一号、これは昨年からたくさん委員会でも御意見の出ました白色病変米をまとめた案件であります。もう皆さんよく御承知の案件でございますし、私どもも先ほど委員長から御紹介がありましたように、食糧検査をしております課長以下二名、ビルマタイ現地視察に参りまして、その報告もこの席上でさせていただいておるのであります。この検査報告を出しました以後に変りましたケースだけを一つ御参考に申し上げておきます。  この検査報告を出しますときまでにわかっておりましたのは、二十九年九月末現在で十三万八千トン、購入価額八十六億というものがストックされていたのであります。その後これは少しふえまして、先ほど御紹介がありました十五万一千九百六十六トン、これがことしの二月現在であります。ざっと十五万二千トンというものがストックされております。購入代金が九十三億一千二百万円、検査報告を作りましたときよりも六億ばかりふえたわけであります。それから保管料でありますが、保管料も二月までに三億一千七百万円払つております。普通ですと大体この保管期間というものがそう長いものでないわけでありますが、大体三分の一くらいで済むわけであります。これはストックになって主食に配船できないために、一般の場合よりよけいに払ってしまったということになっております。購入価額が九十三億、それから保管料が三億一千七百万円であります。  それから千八百六十二号、アルゼンチン小麦であります。これが二十八年の七月に買いましたのですが、七万六千トン、金額にして二十九億、これが品質が思いのほか悪くて、非常に不経済な結果をきたしている、こういうことになっております。虫害粒の混入というものが非常に多かったのであります。こちらでちょっと購入の時期というものを、あとから考えると誤ったわけでありますが、端境川にたくさんのものを輸入した、そういう関係にあります。大体一%以内のものが買えると思ってその値段で契約したところが、入ってきたのは一番よくて二%、最高五・五%、こういう悪いものが入ってきたわけであります。そういう関係で、これはアルゼンチンで規格が変りまして、二%ということが普通ということに変ったわけでありますが、それを知らないで一%以内ということで契約をした、そのためにかなりのこれも損をしております。アルゼンチン小麦は初めて輸入したのではないのでありまして、二十四年、二十五年度に二十万トン程度輸入したのでありますが、これはものが悪いために長い間売れなくて、二十八年度になっても千八百トンくらい残っておるといういわばいわくつきといいますか、悪いということが前にわかっていたのが、これはいろいろ貿易協定の関係もあるので買った。われわれとしては、貿易協定があるにしても、そう悪いものを持ってくる必要はないのじゃないか。こういう考え方で、検査報告に載せたわけであります。  それから次が千八百六十三号の小麦粉の加工と運送、このケースでありますが、二十八年のあの凶作で、二十八年の十月に食糧緊急対策に関する閣議決定がなされたのであります。食糧が不円滑になるとこれは大へんなことになりますから、閣議決定、それに基いて食糧庁でいろいろな方法をおとりになったのでありますが、その一つとして、あとから見てもどうもこれはちょっとまずかったのではないかと思うのがこれであります。これは小麦を四万トンいきなりひいて粉にしてしまったわけであります。小麦で持っていれば品質も変りませんが、四万トン、しかも福岡——九州に製粉能力があるということで、四割近いものを九州で、福岡の管内で粉にしてしまったわけであります。その次に大きいのが兵庫の管内でありますが、兵庫、熊本、佐賀もありますが、九州で粉にしたものを、当時鉄道輸送が逼迫しておるということで、船に乗せました。御承知通り船は非常に運賃が高くかかるわけでありますが、そうして東京とか大阪の大消費地に持ってきたわけであります。東京に持ってきたのが約二万トンでありますが、この東京、大阪に持ってきたのが、初めはこれは価格調整用として、小麦粉の価格が上らないようにということで、これは一応売らないで持っていよう、こういうお考えであったのであります。その後だんだん時がたちまして、品質が下ってくる、それで売り始めようとしたのでありますが、物がよくなくて売れない。それでことしの三月までかかって全部売ったのであります。そうしてそのために、これも当時の検査報告を作りましたときの評価で約一億五千九百万円ばかり不経済の結果をきたした、こういうケースであります。私どもとしては、あの二十八年の凶作のあと、十月に閣議決定があったのであります。当時いろいろな対策をお立てになり、これは当然なことだと思います。これを粉にしてこちらへ送り始めたのは十一月、十二月が最盛期だったのであります。これが二月ころまでかかっておるのでありますが、あの時期になってあまり食糧不安もないときに、しかも小麦の価格はあまり上っておりません。そういう時期に四万トンものものを粉にしてしまわなくてもいいのじゃないか。小麦でお持ちになっていても一向に非常対策としては差しつかえないのじゃないだろうか。製粉能力は当時非常にあったわけであります。そういうふうに考えてこれを掲記したわけであります。  それから最後に千八百六十四号の運送賃の支払に当り処置当を得ないもの、これは港へ入ってきます輸入食糧、これを船側渡しで受け取りまして、それを荷役にして倉庫まで揚げる、港頭倉庫まで揚げる、こういう委託契約であります。そうしてこれはなかなか金がかかるのでありますが、横浜ほか二十二港へ到着しました輸入食糧の分が五十一億四千七百万円ほど支出しておるのでありますが、このうち約半分の二十六億五千三百万円、これを検査して見たわけであります。そういたしますと、この五十一億の約半分に近いものが麻袋代であります、輸入食糧の麻袋代、それから残りましたものの大部分というのは、ここにございます沿岸荷役料とか、はしけ回漕料、それからほかの港への回漕のはしけ料、機帆船料、こういうものでありますが、これが合計で八億二千八百万円、二十六億のうち八億二千八百万円、ところがこの八億二千八百万円の中から、食糧庁がこれを支払ったわけでありますが、一億三千七百万円ほどでありますが、商社に差し引かれまして、残りが実際にこの運送、沿岸荷役なり何なりの運送業務をやった実務者に行っていた。八億二千八百万円のうち一億三千七百万円ほど差っ引かれて、まあ頭をはねられておるということがわかったわけであります。この委託運送、これは今申し上げましたように、輸入食糧の陸揚げとか倉入れ回漕、こういう輸入業務及び輸送業務をやるわけでありますが、これは運輸省のいろいろなやかましい規定がございまして、この輸入商社にはやれないのであります。これを専門にやる業者が港におるわけであります。輸入商社はこれを国から委託を受けましても自分ではやれないのであります。そうして港の指定業者に全面的にこれを委託しないとやれないわけであります。それから委託の料金はすべて運輸省の告示できまっているのであります。これはマル公と違いまして、定額料金でありまして、その最高幾らというきめ方じゃないのでありまして、定額料金、それから一部は実費契約というのがあるのであります。今の、運輸省が指定していない料金については食糧庁と輸入荷札との間で実費の契約を結ぶというのでありまして、いずれにいたしましても、これは国が払いましたものがそっくり運送をやる実務者に全額行くべき性質のものであります。それを一億三千七百万円というような中間差し引きがあるというのはおかしいじゃないかというので、これは相当数が多かったのでありますが、調べてみたわけであります。そうすると非常にどぎつい結果が出たのでありまして、この表をちょっとごらん願いたいのであります。  横浜、名古屋、大阪、神戸、門司から代表的に差し引きした額の多いものをここに拾い出したわけでありまして、まず第一の横浜がはしけ回漕料、これが一番下をごらん願いますと、三割三分はねられた、こういうことになっております。その次が二割九分、みんな二割から三割、ひどいところは四割近く、三八%も頭をはねられておるという事実がわかって驚いたのでありますが、結局全国平均いたしますと、今の三割三分とか三割八分というのは、これは一番ひどいやつを拾い出したのですが、全体を平均しますと一割六分から二割ぐらい平均で頭をはねている。こういうような結果が出てきたわけであります。こういうものは、やはり実費で支払ったもの、あるいは定額料金で委託契約に基いて支払ったものなんだから、頭をはねさせるようなことをするのは穏やかじゃないじゃないか、こういう考え方でこれは批難したわけであります。
  20. 山田節男

    委員長山田節男君) 農林省側に伺いますが、先ほど河野農林大臣の御説明があったわけでありますが、ただいまの検査院側の説明に何か補足して説明することがあれば、御説明を願います。
  21. 清井正

    政府委員清井正君) ただいま検査院の方からお話しがあり、先ほど私の方の大臣からもるる申し上げたのでございますが、私どもとしまして一言申し上げたいと思います。  先ほど検査院の局長の方からのお話しがありました通り昭和二十八年の産米が未曾有な凶作でありまして、それに対しまして外国からの食糧輸入等につきましては、平年にない非常な苦労を実はいたした年でございます。御指摘の中にあがりましたあるいはトルコ米、あるいはコロンビア米等につきましても、今まで買ってないところから新たにまあ買ったというようなところもございまして、とにかく二十八年度は未曾有の内地米の凶作ということに対処するために、いろいろな措置が新らしくとられなければならなかったし、また外国米の輸入につきましても、新らしい地域から買わなければならなかった、こういうような事情があったのでございます。しかしながら、その実行過程におきまして、検査院の御指摘を受けるような多くの事柄が発生をいたしておりますることは、私ども責任者といたしましてもまことに恐縮に存じておることでございます。  特に病変米の問題につきましては、他の機会におきましてもしばしば御説明申し上げたのでございますが、先ほど大臣も御説明申し上げました通り、現在在庫病変米につきましては、その処置につきまして目下慎重に検討をいたしておるところでございます。ただいたずらに保存いたしておりましても、国損を生ずるばかりでございますが、さりとてこれを軽卒に処置するということも問題がございますので、その処置につきましては、私どもは厚生省の御意見等も十分伺って、また有識者の御意見等も十分伺いまして、その措置につきましては、急ぎまするけども、なお非常にいろいろな事情を勘案いたしまして、慎重にいたさなければならないと考えております。  ビルマ米につきましての御指摘の中にも、特に価額の問題につきましても御指摘があったのでありますが、まあその当時ビルマ黄変米でありまして、ほとんどこれは一般に相手にされないものであるというわれわれの立場からいたしまして、できるだけ早く一つ適当なところに売りたいというような気持も実は手伝っておったのでございますが、それぞれの用途につきまして価額が違ってきますのも、当該用途に当りますところのほかの競合物資と申しますか、ほかの競争原料との価額も見合って、とにかく一時も早くこれを適当に処分をしたいというようなことでいたしましたために、非常な使い価額でこれを売却いたしましたということのために、検査院からの御指摘を受けたような次第でございます。  トルコ米の輸入につきましても、非常に老朽船を使用したという実績がありまして、そのために御指摘を受けたのでございますが、この船舶の使用につきましても、業者といたしましては相当いい船を使いたかったのでございますが、当時の輸入食糧の状況からいたしましても、一刻も早く国内外国食糧を入れたいという要望もございましたので、老朽船とは知っておりましたけれども、国際的には一級船ということに登録されておったという実情もありましたので、船齢の古い船でありましたけれども、それを使用いたした。その結果が、積み込みました米が非常な質の悪いものになったというようなことで、御指摘を受けたようなわけであります。  それからコロンビア米につきましても、ただいま御指摘を受けたのでございますが、この点につきましては、特に白色病変米のもとになったという意味におきましても非常に問題があるのでございますが、特に外米売り渡しの問題につきましても御指摘を受けたのでございます。いずれも私どもといたしましては最善を尽しましたつもりでございましたけれども、その間いろいろの不手際等もございまして、検査院の御指摘を受けたことははなはだ遺憾でございますので、その後の処置といたしましては、先ほど大臣から申し上げました通り検査制度を着地検査制度に切りかえまして、また特に最近病変米対策といたしましては、申すまでもなく、現地におきましてできるだけ無菌証明をいたす措置をとりますとともに、船積みの際あるいは倉庫において検査をいたすような措置をとりますし、あるいは着検制度によりまして、着地においてこれを検査いたしまして引き取るというように、検査制度を切りかえまして、本年二月からこれを実施いたしておるような次第でございます。いろいろ私どもといたしましてもできるだけ改善の措置はとっておるつもりでございます。  なおその他アルゼンチン小麦の購入の問題につきましても御指摘を受けたのでございますが、まあ当時食糧事情の問題のみならず、これは先ほどの御説明にもお触れになったのでありますが、アルゼンチンと日本との貿易協定の関係から、鉄鋼との関係で、ある意味においては少し高いものを買ったことは事実でございます。食糧庁だけの立場から申し上げますと、高いものを買うということは決してよくないことでございますけれども、アルゼンチンとわが国との貿易取りきめの関係で、羊毛、鉄鋼、小麦、この三つがコンビネーションの取引になりまして、多少高値に買った事実があることは認めざるを得ないのでありますが、そういうようなことによって非常に高い物、しかも質の悪い物を買った、その結果欠損を起したということによって御指摘を受けたことは、恐縮に々考えている次第でございます。  小麦の加工輸送でございますが、これはただいま申し上げましたような、非常に二十八年産米の凶作対策のために、特に閣議で決定をいたしまして、その措置の一つといたしまして、努めて大消費地に小麦を加工いたしましてすぐに消費できる形態にいたして、諸物価、ことに主要食糧価格の値下りに充てようということでやったことであります。たまたま関東方面は加工工場が全部一ぱいでありましたので、加工能力があいておりました九州方面で加工いたしまして、それを東京、その他冷害地方面に輸送をいたしたのであります。そこで備蓄をいたしたのでございますが、実際はこの問題につきましては、これをそんなに使わずに済んだという結果になりましたために、一部その処分がおくれまして、非常に損失を起した点であります。御指摘を受けたことははなはだ残念でございましたが、われわれの方といたしましても凶作対策の一部としてやりました、その結果として、それが入り用でなかったということになったのでございます。その点は御了承願いたいと思います。  それから運送賃の支払いでございますが、この点もまた御指摘がありましたが、確かにこういう事実があったのであります。先ほど来申し上げました、今度は着検制度に切りかえましたので、全部運送は着地の倉庫に入るまでは商社責任をもってやるということになっております。それに対しまして、私どもの方では代金を支払うのでございますが、その当時は着港の本船で一度売買契約を結びまして、それから本船から運搬をまた別の委託運送契約というふうに二重に分けてやっておったのであります。これは買ったものがどこの港につけるかというのは、そのときの食糧事情によって違っておりまして、あらかじめ予定をいたしておらないので、港々の港湾事情によりましてそれぞれ事情が違うので、一括した措置はとれないので、これを形式的にきめておったのでありますが、この委託運送業務の問題といたしまして、支払った運賃の中に公示料金とそうでないものとがございまして、私どもが支払ったにもかかわらず、商社運送人にはそれ以下で支払っているという事実がありましたことについて御指摘を受けたのであります。この点ははなはだ遺憾に考える次第でございますが、その後私どもといたしましても、代金の支払方式改善いたしまして、全部中央で決済をいたすことに切りかえたのであります。すなわち輸入食糧商社の代表機関が下請け業者の代表機関に直接代金を支払うということに改めまして、そうして個々の業者に支払うことによってこういう問題の起らないようにただいま切りかえて処置をいたしておりますので、今後はこういうことがないように考えておる次第でございます。  いずれにいたしましても、多くの点につきまして検査院の御指摘を受けましたことは、私どもといたしましてもはなはだ遺憾に存ずる次第でございますが、今後できるだけ所要の措置をとりまして、万全を期して参りたいと存ずる次第でございます。
  22. 山田節男

    委員長山田節男君) なお、病変菌の問題について答弁をされるべく、厚生省の小谷食品衛生課長が出席されております。また楠本衛生部長も後刻出席いたすことになっております。それでは御質疑をお願いいたします。
  23. 白井勇

    ○白井勇君 食糧庁にお尋ねいたしますが、食糧管理業務について一々直接食糧庁が当っておりました業務を、順次ゆるめていくというようなお考えがあるのか、と申しますことは、たとえば内地米の集荷につきましても、今度農業団体か矢面に立ってやっておる。また輸入の面につきましても、従来手が伸びていなかったという点もあるわけでありますが、だれが考えましても、今までのようにいろいろな事故品を入れないというようなことを考えまして、最も経済的にあげるということを主眼に措置をするならば、やはりこちらから実際その力がありまする技術者が現地にいって、積地において抑えるということが一番効果的だと思います。今度の着地検査ということによって、これは従来よりも非常に効果が上  っているということは言えると思いますけれども、もっと効果的にやるならば、やはりこれは現地に行ってやるということが一番いいと、こう考えられます。今度着地検査になりました実態をこの間見たわけでありますが、それを見ましても、全部を食糧庁が実地にやっておるということでなしに、できるだけ他の団体等によってやれるような面は、そういう手を使ってやっていくというようなふうに変っているように私たち思うのですが、順次そういうふうな方向に、できるだけ現業としては、直接でなく、その他のものを使ってやれる面は、そういう方向に切りかえていくというふうな、食糧管理全般につきましての考えがあるかどうか。
  24. 清井正

    政府委員清井正君) 食糧庁全体のやり方といたしまして、逐次政府が手を抜くといっては語弊がありまするけれども、ほかの機関でやれることはそれにまかせるというふうな措置をとっているかという御質問でございますが、これは全体のやり方としては、必ずしもその方針をとっているわけではないのであります。御指摘外国食糧の点につきましては、先ほど来大臣に対する御質問の中にもございましたが、これはできますれば、ただいまのお話しの通り有能なる経験者が現地に出向きまして、現地において検査なり諸般の手続をいたしまして、そうして現地で買ったものを政府が輸送するというふうに、現地において全部の諸般の手続を済まして、完全なものを内地に運んでくる、こういうふうにするやり方もあろうかと思うのでありますが、ただ実際問題といたしまして、先ほど来大臣が御説明申し上げましたようなことで経過をいたしております。現地におきましても、現在タイビルマ等には食糧庁からも係官が一人常駐いたしております。その他食糧庁から専門家が随時長期出張いたしておるということで、できるだけその趣旨に合うようには努力いたしておりますけれど、も、全部そこで買ってしまって、そうしてこれを政府が運送してくるというところまでは徹底していないのであります。なかなかそういう意味におきまして、国費等も考えなければいけませんし、手続等もありますので、そうまでしなくてもできる点があるのじゃないかと思います。ただこれは良質のものをできるだけ安く買ってくるという立場からいたしますれば、そういうことも考えるわけでありますが、この点は先ほど大臣から申し上げた通り外国食糧輸入方式全般の問題といたしまして、十分検討いたして参らなければならない問題だと思っております。  その他の面につきましても、ただいまお話がありましたが、着検方式に切りかえたのでございますが、何しろ検査官もそうよけい全部充てるというわけにはいきませんので、民間機関に手伝わせるということは実際にいたしております。しかし今度は責任が全部着地に切りかわりますので、輸入食糧商社といたしましても、今までもむろん努力はしておったわけでありますけれども、今後は今より以上にいろいろ品質のいいものを運んで来るように腐心をしておるようであります。逐次その効果が上りつつあると私どもは信じておる次第であります。
  25. 白井勇

    ○白井勇君 会計検査院に伺いますが、この上っておりまする六つ七つの問題のうち、これはやつぱりどれもこれもまことに全部けしからぬものである、こういうことであるものでありますか。あるいはただ一応やむを得ないと思うが、一応叱りおくというような程度のものも、ここに上っておるものか、それはどうなんですか。
  26. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 全部一律に同じ程度の悪さということは、これはどの省でもないのでありまして、この中でもAクラス、Bクラスの差はあるのであります。たとえばアルゼンチン小麦、それから小麦粉の加工、こういうようなのは当時の事情貿易協定、私ども賛助協定のことは十分に検討しまして、そうして鉄鋼のバーターみたいなあれだったわけでありますが、これはある程度高いものを買っても、こちらから高いもので輸出できれば、全体とすれば損はないわけであります。ただ高いのも高いし、物もおそろしく悪いということで、これは掲載したわけであります。  それから小麦の加工でありますが、これは当時の食糧事情ということは、これはあとからふり返ってみても相当緊迫していたことは、これは事実であります。ただ私どもはこれが気がつきましたのが二十九年の二月ごろであります。大量の小麦粉を一挙に作って、しかも九州あたりから船で送っている。二十九年の二月ごろ東京におりまして、それほど食糧がえらい危ないというような印象は実は一般の人は私は受けていなかったと思うのです。というのは、それが端的に小麦粉の値段に現れております。小麦粉はあまり上っていないのであります。前年の九月くらいまでは相当に上っております。その後は大体もう上らない。これは食糧庁の御調査でそうなっておるのでありますが、そういうところに現れていると思うのでありますが、そのころにな  って四万トンものものを粉にして、東京、大阪あるいは冷害地へ置かなければ緊急対策と言えないかどうかという点であります。閣議決定のことをさっき申し上げましたし、食糧庁の長官からもお話がありましたし、閣議決定は決して粉にしろということは書いてない。大消費地に備蓄すると、こういう趣旨の決定でありまして、粉にするしないは、これは食糧庁で御判断になっておやりになったことであります。そういう点を考えまして、私どもとしては、これは当時の食糧事情も十分考えても、やはりこれは検査報告に載せるべきじゃないだろうか、こういう考え方で載せたのであります。あとの処分ということになりますと、これは五月くらいまでは学校給食に少し出しただけで、全然売らないでお持ちになったわけであります。梅雨期を控えて品質低下がひどいわけでありますが、梅雨期を控えて大急ぎで入札をしてみたが  一向に落ちないという、こういうような事実もあるのであります。その辺も考えました上で、ここに載せたのでありますが、ものによってはAクラス、Bクラスというのがあるということは御了承願いたいと思います。
  27. 白井勇

    ○白井勇君 今のAクラスというのはどれですか、たとえて申しますと。
  28. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) どれがAかBかとおっしゃられますと、ちょっとここで私として申し上げにくいのでありますが、まあ黄変米処理というような、二年も三年もこうした処理をしているのでありまして、まああるいは白井先生のおっしゃるAに入るものかもしれません。それからトルコ米でありますが、これなども当時の事情はありましたかもしれませんが、これは二十八年の五月二十一日の契約なんであります。まだ凶作ということがはっきりしない時分の契約であります。それからその次のコロンビア米も、これは先ほどもちょっと申し上げておいたのでありますが、二十七年の十二月に会社と話し合いがきまった案件でありまして、二十八年のあの凶作とは全然関係ないのであります。凶作後にこれは大変と、大急ぎで世界中から米を集めたというような事情ではないのでありまして、トルコ米にしましても、ことにトルコ米は一流の商社であります、日本の一流の貿易——ちょっと申し上げましたが、江商でありますが、こういう人のところへ頼んだものが五千トンみんな黄変してしまうというような結果を来たすことは何としても工合が悪いのではないか。下請の外国商社に任せ放しであったのでありますが、しかも乗せた船は先ほど申しましたように、船齢で四十九年というような船でありまして、そういうようなことになると、どうもこれなんかは質が悪いのではないか、こういう印象を受けておるわけであります。
  29. 白井勇

    ○白井勇君 先ほどお話がありました、たとえば小麦粉の問題のようなのは会計検査院としても軽い意味におっしゃっておるように私承わったんですが、これはやはり現業をやりますというと、まあこういうことも結果的に見れば、いいことではありませんけれども、やはりやむを得ないような面もあるんじゃなかろうかというようなことも考えられるわけですね。むしろ食糧庁がそれはまことに悪かったとあっさりあやまっていることが——二百三十五ページのあなたの方の言分そのままを呑み込んであやまっていることがむしろちょっとどうかというような気もするわけなんですが、この二百二十七ページのあれですか、たとえば処分をしたものというものは、これは会計検査院のお立場からすれば、むしろお金をかけても、そのままで持っていった方がいいんじゃないか、こういうお考えですか。
  30. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 小麦粉の委託加工でありますが、これは私ども、何といいますか、Cクラスなんかに属する案件とは思っておりません。もしそうなれば、これはいさぎよく不問に付してしまったのでありますが、いろいろな事情考えまして、そう急いで粉にして置いておく必要があったかどうか、むしろ品質のいたみやすい粉にしておく必要があったかどうか、加工余力がないというならば別問題であります。案にも書いてありますが、相当の加工能力があるのであります。小麦にして置いておいてもいいんじゃないだろうか、そういう点がこれを掲載したポイントになったわけであります。それから食糧事情が悪くなりそうだということは、十月頃はこれはごもっともな考え方だと思うのでありますが、一月ぐらいまでかかって九州で粉にして機帆船に積んで東京、大阪あたりへ持ってくるほどの事情があったかどうかという点になりますと、当時私ども、先ほど申し上げましたように二月、三月にこういうことを食糧庁でおやりになっているということがわかったのでありますが、当時でもどうも少し行き一過ぎではないかと考えてこれをまとめたわけであります。現在あるいは検査報告を作るときになって考えついたわけではないのでありまして、これはそう軽い案だとは私は思っておりません。  それから黄変米の売り方でありますが、これは先ほどちょっと御紹介がありましたが、原料から逆算するというやり方をとっておるのであります。これをアルコールにする場合に一升にすると二十四円とか二十五円になってしまうというのは、ジャガイモ、サツマイモ、イモの代用品に米を使うという考え方であります。イモを使ってあるいは外国から輸入した糖蜜を使って、こういう非常に安い原料を使って、アルコールを作るのと同じにするためには、黄変米を一升二十四円か二十五円で売らないと損をするであろう、こういう考え方でこれはできておるのであります。すべて原料からの逆算方式で計算をしておられるのでありまするが、どうも私ども何ぼ何でも百二十円も百十五円もかけてビルマあたりから持ってきた米を二十四、五円で売ってしまうほかに方法がない、こういうことはどうも解せないのであります。当時は黄変粒一%が限度だったわけであります。黄変粒一%以内のものは毒はない、こういうふうに当時——今は変って参りましたが、二十六年度、二十七年度の黄変米輸入した当時は、黄色い米が百粒に一粒以内ならば毒じゃないんだ、こういうのが厚生省でお立てになった標準なのであります。そして農林省もそれによって黄変米の使途をきめていた時代であります。現在では白いのでさえも毒がある、こういうふうになりましたから、これは考え方がだいぶ変ると思うのでありますが、当時の情勢として、たとえば連続加熱をするとか、普通の家庭ではかまに入れてたいても百度以上にはなかなかならんそうですが、高圧がまをもって処理すれば、当時はまあ無毒になるだろう、こういうようなことで、たとえば菓子は五万円とか、蒸溜酒は幾らとかいう比較的高い値段でお売りになっていた時代なのであります。ノリなんかは何で一体こんなに安くする必要があるか、ノリで売っているのは二万五千円でありますから、三十四、五円にしかつきません、一升にして。ノリなんかに使うなら、黄変米だったら一向差し支えないわけであります。そういうものに使うのにもやはり非常に安くされておる、こういうところに私どもとしては当時はいろいろな疑問を持ったのであります。しかしうしろにちょっと触れておきましたが、警察なり検察庁に黄変米の横流しで上ったケースもあるのであります。これは二十七年の検査報告にも和歌山県の部にあげておきましたが、これは神奈川県でありまして、いろいろなうわさも実は聞くのでありまして、黄変米として指定用途で売ってもらったものが、実は主食に化けてしまったとか何とかいううわさも、これはうわさでありますから、私どもとしては検査報告には書きませんが、検察で問題になったはっきりした分はここに御参考にあげたわけであります。こういうようなことを考えますと、そう黄変米だからといって、イモの代用品の値段で売らなければほかに方法がなかっただろうか、これについて大きな疑問を持つわけであります。
  31. 白井勇

    ○白井勇君 この千八百六十四号は、これは一億三千七百万円余りのものを、頭をはねているというのを食糧庁が承知の上でそういう契約をやっておったということでありますか。
  32. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) これは一つ食糧庁にお聞き願った方がいいかと思うのでありますが、私どもが調べた範囲では、食糧庁は全然知らなかったとは言えないのじゃないかと思いますが、これはむしろ食糧庁にお尋ね願った方がいいんじゃないかと思います。
  33. 岡三郎

    岡三郎君 この千八百六十三号の小麦粉の加工ですね。この加工とこれに似ているかどうかわからぬけれども、前に審議した麻袋の問題——食糧庁はでかい商人ですから、半官じゃないけれども、商売をやっているのだから、日本一の商売会社だと、こう思うのだが、経済の見通しというのですか、先見性というのですか、一体どうなるのだとか、本当に足りなくなるのか、足りるのか、そういう点で個人会社よりも幾分ラフじゃないかというふうに私は感ずるのです。これは程度の問題だと思うのですが、それで九州で四万トン粉にした。これは膨大なものですが、麻袋のときにもずいぶん買い込んじゃって、そのときには清井さんちょっとおいでになったけれども、どうなんですか、いろいろと誤差が出てくることは私も当然だと思いますけれども、一体九州でなぜ粉にしなければならなかったのか、その理由を一つ説明して下さい。
  34. 清井正

    政府委員清井正君) ただいまの御質問の点でありますが確かにこれは御批判を受けるとそういう問題はあると思います。率直に申しますと。しかしこれは私どもが現業をやって参りますと、やはり用心に用心をするということがどうしても加わるわけなんであります。取り扱っておる品物主食でありますので、いざという場合に間に合わないので、これは早目に早目に用心をしておくということになるのであります。それがよそから非難を受けますと、しなくてもいいのにしたじゃないかという結果がままあるわけだと思います。この点も検査院の御指摘を受けておるのでありますが、小麦粉製品と申しますか、そういう製品の価格が変動しないのにやったじゃないかと、こういう御指摘も受けたのでありますが、一方私どもから言わせますると、そのときのやみ米の価格も、東京あたりで申しますと、五月が一升百四十五円、六月が百九十五円、十二月が二百十九円になったというふうに、やみ米が上ってきておるということもあったのであります。一方小麦もそうじゃないかということを見まして、用心にこしたことはないというので、備蓄ということと都市消費対策ということで、消費都市に備蓄並びにそういう対策をしたということにいたしたわけなんであります。その点で御批判なり御指摘を受けたわけでありますが、なぜ九州でやったかという点でありますが、その点は当時相当全国的に非常に米は大変だというわけで、麦を全国的に無制限売却をいたしておったわけであります。そこで東京附近と申しますか、関東、東北、中京方面のそれぞれの工場では、非常にそれに対して需要がありまして、フルに運転いたしておった。そこでどうして加工いたしましても、フルに運転いたしておったところで加工しておったのじゃ何も対策にならない。むしろ政府が委託加工すれば、その分だけ自分のところでやるやつをやめるわけでありますから、そういうことじゃ何にもならないということで、能力的にいっても間に合わないというので、たまたま能力のあいておりますところの九州、関西でこれを加工さした。加工したものをまた違った方面へ遠距離に運んだということになりましたので、結果的にはそれが実際問題としては発動することなしに持っておりました。そのために一部学童給食に売ったきりで、あとはだんだんとやっておったということになりましたので、御指摘を受けたわけでありますが、われわれの方の立場といたしましては、現業、殊に主食をお預りしているという立場がありますので、やはり早目早目と申しますか、御批判を受ける以上に、われわれが心配してやり過ぎるという点まで確かにあるのじゃないかと、私自身も感ずるのでありますが、その点も一つ御了承を願わなければならぬ点じやなかろうかと思う次第であります
  35. 岡三郎

    岡三郎君 その点会計検査院指摘しているように、一ぺんに多量のものをやらなくて、順次やってもいいのではないかというふうに指摘しているのですがね。一ぺんにやはり大量に加工したという場合は、何かわけがあったのでしょうか。
  36. 清井正

    政府委員清井正君) やはりそのときの原麦の所有状況あるいは加工能力の状況から、早目にやっておいて、できた製品を輸送して置いておきたいという気持からやったものだと私は思うのでありますが、やはりそれは確かにこれをやりまするというと、このときはそのときの状況によって逐次やっていくということも、これは確かにそうあるべきはずだと思います。しかしそのときの実際問題、そのときは非常に逼迫した事情にあったと思うのであります。そこで持っている原麦、それからできた粉を運ばなければならぬという問題もありまするから、そういうことを勘案しながら、なるべく早く所定のところに運びたいということから、こういうふうにやったのだと私は思うのであります。原麦で持っておって逐次加工するということも、それはあるべきなのでありますが、やはり消費するものが小麦粉で消費するものでありますから、やはり消費形態にできるだけ近づけしめておこうということが、対策として一番なんだろうという観点から、小麦粉にしてやった。それが実際小麦粉にいたしたときに、備蓄能力と申しましょうか、貯蔵能力が少いために、かえって財政上の損失はふえたということになったのでありますが、われわれといたしましては、その当時の米の作柄から、とにかく麦対策の一環として、ぜひやりたいということでやりましたことが、こういうことに御指摘を受けることになったのであります。
  37. 岡三郎

    岡三郎君 私もすなおにそういうふうに解釈いたします。いたしますが、補助金の使い方なんかを見ると、風水害とか、凶作なんということがあるというと、絶好なるチャンスだという立場の人もあるらしいのですね。ですから何かあるというと、みんなそれに突っ込んでやってしまえという傾向が——農林省にあるとは言いませんよ。言いませんけれども、補助金事業等でみると、下の方の地方の自治体が、大体そういうルーズな点があって、それを規制するための指導が不十分であるという指摘があったが、それで今のは臆測で失礼なことを言っているわけですが、とにかく麻袋の問題にしても、こういう問題にしてもそうであったと思うけれども、逆にいろいろな例から考えてみるというと、必要でもほんとうに必要であったのかどうかという点が、時日の経過に伴って必要でなくなったという解釈ですね、その解釈がこの決算の取り上げられた事項になってきて、いると思うのです。解釈のしようだと思うのですが、第三局長も、そう人が悪いとは思わないから、故意に、これは善意にやったが、工合が悪くなったというならば、あらかじめ取り上げないと、こう解釈したいのですが、しかしまあそういった点で、凶作とか風水害等があるというときには特段に一つ……。むだが起こりやすいからそういうときに対する処置として、やはり幹部の方々はそういう点についても、もちろん根本的には国民に対して、配給遅配とか、そういった食糧品の高騰とかいう問題が起っても困るけれども、その点のかね合わせばむずかしいと思うが、とにかく十分気をつけて、この点をやってもらいたいという点が一つと、それからもう一点は、最後の運送賃の支払い、これはそのランディングチャージ、陸揚げとか何とかいう問題がずいぶんあると思うのです。また陸に揚げてから、それを倉庫まで輸送する、そういう点で、これは当然取り扱い業者がもうけるのは当りまえだと思うのですが、そのもうけ方が  一億三千七百万円では少し多過ぎるのじゃないか、こういったように解釈してよろしいかと思うのですが、大体取り扱い業者が実際に仕事をしていく場合に、農林省から支払う価格との関連というものについて、まあどの程度妥当とお考えになっておりますか。つまり農林省がですよ、取扱い業者に払いますね、払う。それがどの程度が妥当であるし、それが実際に取扱い業者にいくのにどのくらい払うのが公正であるかという、その辺の基準も一応いろいろと状況によって違うと思いますが。大体公正な標準というのは、どんな程度でしよう。
  38. 清井正

    政府委員清井正君) 前段の、御注意をいただいたのでありますが、まことに私どもも主要食糧の需給をお預りいたしておるのでありますが、同時に膨大な食管特別会計をお預りしておるのであります。従って需給につきましては万全を期すとともに、同町にこれによりましてできるだけ国損を起さないようにいたさなければならないことは当然でございます。そういう意味合いにおきまして、御批判を受けましたこの対策につきましても、私どもといたしましても、なお十分注意すべきところがあった点はあろうかと思うのであります。その点につきましては、会計検査院の御指摘等にも十分触れておるのでありますが、私ども今後食糧の需給対策と、それによって及ぼすところの国の財政、ことに食管特別会計の運用といった両面を常に緩和しながら適切にやっていかなければならない、こういうふうに思っておる次第でございます。  それからあとの方のお話でありますが、運賃を差引きましたと申しますか、私どもから委託運送賃で払いました中にも、公示料金とそうでない料金と両方あるのでありますが、あるいは業者に入札さして見積りましたものを実費扱いにして払ったもの、いろいろまあ中に含まれておるのでありますが、そういったもののうち、私どもが会社に払ったものが会社から末端に、末端にと申しますか荷役業者にいく場合に、ある程度のピンはねと申しますか、そういう形になっておつたということが問題になっておるわけでございますが、私どもといたしましても、どの程度がいいのかという点は、なかなか実はむずかしいのでございまして、この程度がいいということもはっきり申し上げられないのでありますが、ただ私ども予算上考えますと、御承知通り、シー・アンド・エフでもって入りました食糧はいわゆる保険料が加わります。それから今度は輸入業務、荷役が入るわけです。それから諸掛り、あるいは手数料、手数料というのは今度のマージンになるわけでございますけれども、これもいわゆる輸入食糧価格の〇・五%というふうに押えておるわけです。それから、その欠減の問題がありますが、そういったようなものが、いわゆる船が着いてからのあとのチャージということになるわけであります。それから、今まで予算上の大体の形といたしまして計算いたしておりますのは、大体外米で四二%、それから純良な、よい米の準内地米は四・八%、シー・アンド・エフ価格でたてるわけでありますが、その程度で適当か  ということで予算上組んであるわけであります。しかし、まあ具体的に個々の問題にわたりますので、正確には申せませんが、予算上この程度組んであるという御説明で御了承願いたいと思います。
  39. 岡三郎

    岡三郎君 一億、三千七百万円というこの差ですね、これはやはりひどいと思いませんか。
  40. 清井正

    政府委員清井正君) 金額からだけでは判断がはなはだむずかしいのでございますが、たしかにこういうふうな事態が起こっていることは私どもといたしましても遺憾に考えておる次第でございます
  41. 岡三郎

    岡三郎君 それで実際問題として、実際に運送をしていく人たちの費用が削られるということになるというと、取扱いが雑になったり、いろいろとあると思うのですよ、そういう点で、まあ取扱い業者というものが一定のマージン取つてやるということは当然ですが、ここら辺に瓶扱い業者の妙味というものもあるのかもわからないけれども、できるだけ実際に取扱つている業者が、取扱った業者がある程度やつていけるという、言葉は変ですが、もうけが出るようにある程度やらないというと、運送人自体が非常にルーズになるというか、取扱いが非常に雑になる、これはまあ心配があるのじゃないかというふうに常識的に考えるわけです。そういう点で、実際の運搬人の方に取扱いの料金がいくように一つ考えを願いたいということです。  それはそのくらいにして、それからもう一点は、厚生省の方にもちょっと聞きたいのですが、これは百二十七ページの最後に「当時厚生、農林両省においては高熱処理をすれば黄変米を使用しても害を残さないと認め、おおむねこの設備を持つ者を選定して売り渡したものであり」云々と、こう書いてあるわけです。そうすると、この基準がその後変更になったのかどうか、この当時の高熱処理という考え方ですが、それがその後変化したかどうか、一つちょっと厚生省の方から聞きたいと思っておりますが。
  42. 山田節男

    委員長山田節男君) 楠本部長にちょっと御注意申し上げますが、先ほど河野農林大臣説明によると、本年の二月の末現在で十五万一千五百トンですか、病変米を含めて配給し得ない主食が貯蔵されているわけです。今河野大臣説明によりますというと、この病変菌の問題について、厚生省側のいわゆる学者経験者のいろいろ研究の結果を待って、この十五万トンに余る主食処置について考えたい、厚生省においては今日までこの病変菌についての統一した見解がまだない、こういう説明を受けているわけです。ただいまの岡君の質問関連して、厚生省として、この病変菌について、この十五万トンに余る生食を配給する一つの鍵を握つておられるわけです。病変菌に対する厚生省の今日までの研究の経過、その結果について、概略御説明願いたいと思います。
  43. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) 最初に高熱処理の点につきましてお答えを申しますが、ここに掲げてございます基準は先ほどもお話が出ました黄色い米についての基準でございます。その黄色い米というものはほとんど姿がなくなりまして、白い、外見上は何ら支障のない米でございます。ただこの米も培養検査をいたしますと、菌の附着が証明できるというのが現在の黄変米でございます。従いまして私どもといたしましては、一応従来の黄色い米を対象にした基準と、今回白い米、つまり培養して辛うじて菌を発見し得るような米とはおのずから基準に差があっていいのではないかと考えた次第であります。ただこの点は御承知のごとく問題になりまして、現在に至っているわけであります。従って、その後黄変菌がついております米の取扱い基準というものにつきましては、いまだ、たとえば高熱処理をすれば、よろしいとか、こうすればいいとかいったような結果は得ておりません。  次に御指摘のように、私どもといたしましては、いまだ研究の完成をいたしておりませんが、ただ一応暫定措置といたしまして、食品衛生調査会という諮問機関に諮問いたしました結果、再搗精をすれば支障なしという結果を得ておりますが、しかしながらこれにつきましてはまだきわめて一部の学者の間に若干の異論がございます。そこで私どもといたしましては、先般もこの席上から大臣が御答弁申し上げましたように、厚生省としては、食生活に不安を与えたり、国民納得しないものを無理に食べろというようなことはこれは慎まなければならんことでありますので、一応国民納得を待つ以外に方法はないのである、かように考えている次第であります、従いまして国民納得を待つには、私どもといたしましては、今後も鋭意研究を進めまして、たとえ反対の学者が言ったことでも率直に受け入れて、その点をまた研究し直してみるという態度で進めざるを得ないのじゃなかろうかと、かように考えております。ただ従来の研究の経過並びに結果を報告せよ、というお話でございますが、これに関しましては、私どもといたしましては、昨年来各専門家のいらっしゃる研究機関に研究を委嘱して、現在に至っております。もちろんこれらの委嘱機関の中には、従来反対を唱えた一部の学者にも当然研究をお願いしてございます。なお、これらの研究を現在までまとめましたところによりますとですね、現在までは別に白い黄変米、つまり外見上正常な黄変米が特に有害であるという資料は得られておりません。しかしこれはあくまで現在までの経過でありまして、まだこれで国民納得しないならば、さらにあらためて今後研究をしていかなければならんと、かように考えている次第であります。
  44. 山田節男

    委員長山田節男君) ちょっと今の楠本部長説明によると、国民納得するまで研究しなくちゃならんというけれども、国民は要するにこれにしろうとであって、専門家ではないのです。そこで今のような御説明ですと、研究の成果ができて国民納得するような厚生省として統一した黄変米に対する科学的な結論が出されなくちゃならん、今のあなたの説は逆じゃないですか。
  45. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) 失礼を申し上げました。国民納得するという意味は、すべての学者が一致して異議を唱えないという状態が、おそらく国民納得していただけるのではなかろうかと私は考えております。従って、現在はきわめて一部学者ではありますが、多少反対をいたしますならば、これはやはりその点を解明しなければ、国民の御納得はいただけないものと、かように考えておりますので、さような意味で申し上げた次第でございます。
  46. 岡三郎

    岡三郎君 そうするというと、千八百五十八号の、高熱処理をすれば、まあ、白色病変米にしても、黄変米にしても大丈夫だと、こういう加工品はなんですか、つまりここでは厚生、農林両省においては、高熱処理をすれば、黄変米を使用しても害を残さないと認めたのでしよう、そうですね、そうしてこういうふうに売り払ったわけです。私は十五万トンも倉庫にねていることは国家の現状からみてですよ、それはゆゆしい問題であるというふうに思うわけです。さらばといって、これをすぐ解消するために配給に廻して、これを国民に食わせるということは絶対にできない。それで今楠本さんが言ったように、研究して全部の学者が一致するということもなかなかすぐはこないような印象を受けているわけです。それでもちろん異論のある人もよろしいのです。ただここに取り上げてあるように、高熱処理をすれば黄変米を使用しても害を残さない、黄変米の病菌と白色病変米の毒素というものは違うかもわかりませんが、しかし高熱処理ということ、こういうふうなことによって、たとえば、みそならみそ、あるいはしょうちゅうならしょうちゅう、これは大体毒性がとれるというふうな点について御研究あって、そうして少くとも滞貨がふえていくぐらいの量はふやさないというぐらいのことをやらなければ、今の現状では逐次ふえていくという傾向は阻止できないと私は思っているわけです。そういう点でここにあるように、高熱処理をすれば黄変米を使用しても害を残さないと認めたのだから、それを認めなければ、これは当時インチキやつたということになる、売り払うために勝手に基準を作ったのじゃないかというふうに悪口言いたくなる。だから一応認めたならば、それを一つの基準として何とか滞貨量を増加しないために、国内において飯米用ということを固執しないで、しかし一ぺんに出せば、品物価格が影響を受ける、業者自体というものも反対するし、生活を脅かされるということもあるので、一ぺんにうんと出すということもできないと思う。そういう点で逐次多角的に御検討なされて、そうして再搗精しても飯米としてはまだ問題があるというならば、次善の策を立てて、食管会計に対して赤字を幾分なりとも解消していくという措置が決算委員会としてはほしいわけなんです。その点をもう少し聞かしてもらって、そうしてできるならば、ノリとかアルコールなどに売らないで、もうちょっと何とか気のきいた方法で穴が大きくならんように売つてもらいたい。しかし売ることによって毒を食わしたのじゃまた困ると思いますが、そこのところを明確にお答え願いたい。できなければまた研究ということになるでしょうが。
  47. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) お答え申し上げますが、真っ白い、外見上正常なぴかぴかした黄変米と、黄色いぼろぼろの黄変米との間には、私どもは常識的にも当然菌量に、つまり毒量に著しい差があると考えております。従いまして従来は一〇%まではみそ、しょうゆ等の原料に差し向けて差しつかえないということに相なっておりましたので、白い米の場合にはさらにそれ以上の高率で差しつかえないと思うのが当然の考え方かと存じます。しかしながらこれはあくまで一つの常識的な判断を含めて、そこに大きな問題が出て来たものと考えます。ところがその後いろいろ毒性試験あるいはいろいろなものを実施をいたしていますが、なかなか結論ができて参りません。ただ従来までの研究成績は別に先ほど申上げましたように、何ら食べて支障ありとの結論は出ておりません。従って、どうもその辺が一〇%までならみそとして大丈夫というような結論が生まれて来ない状況でございます。従って、これらの点はもう少しく研究しなければならんと存じます。私どもといたしましては、これは従来黄色の米でさえ一〇%をみそに許しておったのに、白い米であるならばと、こうまあ常識的に考えますが、これが学者のいろんな意見が出て参りますもとでありますが、私もかかる点は常識論は別といたしまして、非常に慎重な態度をとらざるを得ない立場に相なっておりますので、やはりこの辺も学者納得のいくまで研究をしてきめるべきものだと、かように考えております。
  48. 岡三郎

    岡三郎君 私はこの倉庫料ですね。その他を見るというと、まあ研究費をどのくらいとつてやつておられるか、大したものじゃないように想像するわけなんです。ところがこれだけの米を寝せて置くということは、これは容易なことではないわけです、実際は。そういうことになるというと、相当の金を食管会計から出して、そうしてもうとにかく原子科学をやろうという時代ですから、イスランジアの黄変米がどれだけ困難な問題かしらんけれども、ほんとうに何らかの結論を今さっき大臣にも言ったのですが、出してもらわなければ、いつまでたってもこの問題は解決しないわけです。そういう点で使用方法等にも問題があるけれども、とにかく抜本的に食糧庁としてもこの問題をただ厚生省の返事が来るのを待っているということではないと思うのですが、何か双方で、食糧庁の方も研究所があって研究されているのですが、他のものとまぜて使った場合に毒量が減るということによって使用可能になるのかどうか、むずかしい問題でしようけれども、今や解決をせねばならん段階に私は来ていると思う。そういうものがはっきりしないから、結局効率的に使用することができないから、アルコールに売つてみたり何かするということになってしまうと思う。だからそういう点で一つ現実に飯米用に対して、再搗精の問題もありましたが、他の部面におけるところの利用方法についても、これは食糧庁にもわれわれが注文するわけですが、食糧庁だつて困るでしょう、こんなに米が一ぱいふえて来たんじゃあ。私はこういう点で食糧庁長官にこれは一つ御返事を聞きたいのだが、食糧庁としては抜本的に、ただ厚生省だけに頼つておるという現状では間に合わん。自分の懐が痛まんから心配していないかもしれませんが、失礼ですが、とにかくのん気でないようにやつてもらいたいと思うのですが、どうですかね、食糧庁長官
  49. 清井正

    政府委員清井正君) 御批判を受けましたのでありますが、決して私どもはこれに対してのんきにやつておるわけではないのであります。御承知通り十五万トンというのは大変な数量であります。これを寝かすことによりまして、単に財政的には保管料の問題でありますが、同時に配給所の問題にこれはからんで来るのでありまして、私どもといたしましては一刻も早く処分について公式の処置方法々きめることを望んでおるわけであります。むろん私どもの研究の機関もありますから、研究者を置いて研究せしめております。しかし行政上の責任者は何といっても厚生省でございますので、私どもは厚生省の御意見に従わざるを得ないのであります。むろん私どもといたしましては傍観をいたしておるわけではないのであります。極力努力をいたしまして、厚生省とも常に連絡をとって努力をいたしておるのでありまして、一刻も早く解決をしまして、この処置について適切なやり方でやつていきたい、こういうふうに考えております。今後できるだけ努力をいたしていきたいと思います。
  50. 岡三郎

    岡三郎君 楠本さんにお願いいたしたいのですが、ずいぶん楠本さんも御心配になっていると思うのです。それで厚生大臣農林大臣の言うことも政治家として当然なのです。で、われわれも費用が潤沢にあるならば、こんなものは焼き払うなり海へ投げてしまつてもいいと思うのですが、しかしそうもいかんと思うのです。ということになれば、結論を出しにくい問題であればあるほど、非常に滞貨量がふえて来ているということから考えてみて、何とか処理をしなければならん段階に、今来ていると私は思うわけなのです。その点でむずかしい質問になるかわかりませんが、いつ目鼻がつきますか。
  51. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) これは御指摘のように、私どもも何とか一日も早くこの解決へのめどをつけたいと努力をいたして参っておりますが、何分にも研究の結果、毒性があるというようなことになりますと、これまでがいいとかあるいはこの程度がいいというようなことも考えられもしますし、また結果がはっきりいたします。ところが従来の、これまでの研究の結果では、くどいようでありますが、別に有害という何らの根拠は出ておりません。従ってこれに対して有害という学者納得させるにはきわめて困難な問題がございます。この辺を御了承いただきまして、一応一つ私どもも努力をいたしますが、まあ一つお願いをいたしたいという感じでございます。
  52. 岡三郎

    岡三郎君 時間もございませんのでこれで終りますが、私は前に食糧庁の研究所に行ったときに、みそを作る場合に、こういうものだけで作るわけじゃないのだから、他のものとまぜるから、混入率の工合によってはずっと毒性がかりにあったとしても微少になる、ほんとうのごく微量になるという点の説明で、みそにだいぶ使っているようななんで、それで差しつかえないのだというようなことを聞いたわけですが、みそで十五万トン使うわけにはいかないと思うのだけれども、とにかく米で食わせるというと、ここまで来た現状では、私たち自体としても食わせてよろしいというようなことを、とんでもないことを決算委員会できめるということはできませんよ。ですからそういう点の研究を十分早くしてもらうということとともに、他の方途によってこれをできるだけ損害を少くしてカバーしていく、そういう点でこの利用方法についても一つあまり穴が出ないように、五万円が適当であるのか、四万一千円のしょうちゅうが適当であるか、これは私が軽々に判断できないけれども、少くとも輸入して来た価格に対して、それほど穴ができないような利用方法によって、国民の衛生保健の方面においても影響がないような一つ立案をして、そうして食べても大したことがないというふうな御見解ですから、とにかく私変なことをあなたに言うかもわかりませんが、あなたが毒がない毒がないからと言って食わしちゃおうという印象を受ける。そうでないかもわからないけれども、あなたが慎重な顔をして少し危いかもわからないけれども、大体いいだろうぐらいに言っておけば、なかなか慎重であるから大体いいだろうということになって、逐次研究の結果、無理に厚生省は食わせようとしていないのだけれども、良心的にやった結果が、こういうふうな程度だからというふうな持っていき方の方が、まあ私は余計なことを言って申しわけないが、だけれども、何か厚生省は今まで食わしちゃおう食わしちゃおうという印象を与えたのではないかと思うわけなんだ。それに従って農林省の方が、食糧庁のほうが、大分倉庫に荷物をかかえて御苦労なされているということになってきたのじゃないかと思うので、厚生省ばかり責めるのじゃないが、何とかその点を厚生省自体としても研究を急がれて、厚生大臣は政治家だから、絶対にこれは食わせませんなんて、それはその通りですよ。私がそれになればそういうふうに言うでしょうけれども、それでは済まぬことになっているので、その結論を出すように一つ決算委員会としても、先般委員長が言ったように、何らかの処置をしなければならぬというふうにも言われておった。これは十分急速に手を打ってもらいたいということをお願いして、私は質問を終ります。
  53. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 今の問題なんですが、これは一体、昨年の九月には十四万トンだった、今度は十五万トン、九十数億という金目のものをかかえてきて、岡さんも指摘したように、だんだん新らしく入ってくるものでもふえるだろうということは当然考えられますが、こういうふうに格納して、そうしてその研究結果を待っているうちに、この物自体がいわゆる病変菌が増してくるという問題があるだろうと思うのです。これはどのくらいいわゆる日本の倉庫に置いて増してくるかという研究はなさっているのじゃないかと思うがどうですか。それは一つどちらさんからでもけっこうですが。
  54. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) ただいま御指摘の点につきましては、現在燻蒸の措置をとり、あるいは倉庫管理というものが発達をいたしておりますので、菌そのものが滞貨中に増加するというようなことは、管理がいい限りにおいては形えられぬのであります。
  55. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 それはまあ理屈の上で燻蒸を再々やる、そして非常に通風、換気をよくしてやっておけば、それは考えられません、ということは一応言えるがですね。それではそうあんたが言ったところを、食管の人に聞いてみて、いや少しふえていますということになると、いかにも自分たちの保管の態度が悪いからふえているというようなことになるから、なかなか言えないと思いますから、その点は一応省略しますが、こうなって、あなたの方でもって先ほど、いんぎん丁寧な言葉を使いながら説明をされていた、これに対して岡さんがいろいろと感想を述べた貸間もあったわけですがね。私はこういうような大きな数量をかかえて、いつまでもなるべく有利に高く売ろうという気持は、損をしまいという気持は、私は当然であり、わかるわけですけれども、こうやってあてどもなくやって、そうしてそのうちには、適切な管理といってみても、いろいろな事情から、ふえればったって減るものじゃない。つまり病菌がふえればったって減るもんじゃない。でありますから、そういうことを考えてくるというと、なるべく損をしまい損をしまいと思って、こういうふうになっているが、事案は、菓子に向けていたものが、菓子にも向け得ない、せいぜいしょうちゅう以下に落さなければならんということも私は考えられると思うのです。そうなってくると、会計検査院の御意見も私は聞かなければならんのですが、これに対する一体責任というものは何か。私どもは責任だけを追及して事足れりとするわけじゃない。けれどもあんまりめどのない話をいつまでも聞いていると、つい私は短気ですから、そういうことを聞きたくなっちゃう。これは誰の責任だという責任呼ばわりをするわけじゃないけれども、私は事実そういうおそれを多分に感ずる。ですから私は一つこれについてこれは会計検査院の方からお考えを聞いた方がむしろ適切かもしれない。お答えを願いたいのです。
  56. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 黄変米処理責任というお話でありますが、ただいま会計検査院といたしまして、これだけ大きな問題になりまして、決算委員会でもおきめかねられておる問題に対して、どこに責任があるというようなことをここで軽々しく申し上げる筋合いじゃないと思っておりますが、何といっても、これは黄変米を入れない算段をするほかないと思うのであります。少くともできるだけ減らす、それから燻蒸のお話もありましたが、燻蒸すると、どうもしろうと考えではふえない、少くともふえないだろうと思いますが、これはまだしつかりした、ふえない、あるいは新しく菌が繁殖しないというあれはないようでありまして、おっしゃる通り、ふえればって決して減るものじゃないのであります。しかもこれは港頭倉庫の立派なところに入っているのであります。そういうところに長い間貯蔵しておいても、品いたみ等もだんだん出て参りますし、何とか早くきめてもらいたいと思っておりますが、厚生省農林省食糧庁も、先ほどからのお話で、なかなか事が重大なだけにおきめになっておられないのでありまして、会計検査院として、とやかく言う段階では私はないように思うのであります。
  57. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 まあ一応の御答弁はそうかもしれませんが、この千八百五十八という検査報告の内容は、まず第一歩の内容というのは、病変米を入れたということは、これは不都合じゃないかという問題と、その次には、どうも、競合原料の価格等をにらみ合せて売ったというけれども、そうじやない。いささか安く売り過ぎたという点が指摘してある。最後にはその証拠にはと言わぬばかりに、ある工業組合に売ったやつを、さっそくそのうちの半分近くを、七分ばかりとって転売しているじゃないかというふうに、まあ簡単に言うとそういうふうになっているのですね。まあこまかく言えば、引取経費等も多額に差し引いたということも指摘してありますが、それは安くしようというために私はテクニックとして使ったと見ているけれども、要するに私ども論議していることは、現実に十五万トン、九十数億というものをかかえていて、しかも責任のある厚生省で、まあ厚生省ですわ、つまり公衆衛生からいってその方面で鋭意研究しているけれども、いつめどがつくともわからない。どうも研究にいかに熱心であったって、結果はいつ出るかわからぬ。しかも、私はちょっと意見が違うが、学者の全部が賛成しなければ責任は持てないなぞというような態度さえ見える。そうなってくると、学者というのはいろいろおられますから、私は千人が千人とも全部賛成だ、それなら大丈夫たというようなことになることは私はなかなか大へんだと思う。さればったって、岡委員の言うように、それはいいかげんなところで一つ、いわば国損になってもしょうがないじゃないか、あるいは場合によっちゃ、いい、いいと言って食わしちゃう、これには私は賛成しない。それで私はある程度事実問題として、国損というものが、もうできちゃったものについてのやむを得ない措置であるとするならば、これは私はできるだけ国損を避けるという大前提の上に立つことはもちろんだと思う。これは早くむしろ会計検査院もお手伝いになって、そうして非常な保管料、三億をこえる保管料、九十数億という難処理の問題を一体となって処理する方向に向うという考え方についてはどうか。従来の会計検査院の域からは脱しているようなものではありますが、この委員会でも言うように、いわゆる会計検査院法第二十六条いわゆる事前検査の根拠ともなっていると言いますか、事実非常災害等の場合、あるいは昨今でも事前検査的な御指導の線をもう打ち出しているのだから、ほかの仕事については。ほかの仕事についてはむしろ行き過ぎじゃないかとまで打ち出しているのだから、従って私は、この大問題については、むしろいわゆる事前検査的な考え方でもって食べさせるということは、これは厚生省のほうでも自信がないのだから、さらばといって今局長自身が言うように、ふえればといって減らないのだから、そうであったとすれば、次善の策としてどういう程度のものはやむを得んだろう、どこへ売るのはやむを得んだろう、その価格でやむを得んだろう、どういう程度のものはさらに落してどういうところでしか仕方がないだろう、こういうふうに行く途が考えられないだろうか。私は当然考えてもいいとさえ思うのです。端的な話でありますが、これについて伺いたいと思います。
  58. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) この千八百五十八号、これは白色病変米と分けまして、白色病変米のほうは千八百六十一号で経過を御報告する、こういうような考え方でただいま大問題になりました案件でありますし、検査院は従来から、これを比較的早く、病変米の問題を取り上げておりますしいたしますので、御報告する意味で書いたのでありますが、黄色い黄変米のほうは、むしろ三年越しに輸入しているわけであります。三年も同じようなものを輸入して、そのたびにえらい損をしているというのは、ちょっと緩慢じゃないかというようなあれで書いてあるのであります。それで、ここに出しましたように、先ほど申し上げた意味の代用品に売るというようなことも、なんぼなんでも、どうだろうか、こういう考え方でこれは出したのであります。それで検査院がいわゆる指導的な云々と、こういうお話でございますが、検査院は、それほど力を持っていないのであります。厚生省食糧庁がきめられるのをなかなかできない問題に対しまして、会計検査院がとやかく言うほどの力も持っておりませんし、そういう地位にも私はないと思うのでありますが、その辺も一つ御了承願いたいと思います。
  59. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 では局長、まあ一応ごもっともなんですけれども、私は確かにこんなようなパーセントの多い黄変米などを入れて、しかも年々入れるような格好にして、今度こそある程度制度を変えて着地検査になったから、あるいは買手市場になったというような事情から、着々直ってくることを期待し、現によくなっているだろうと思うのですが、とにかくできている問題、これについては、私は悪いことをするのじゃないかといっては語弊があるが、せっかくの国費を、たとえば公共事業の橋の問題、堤防の問題等に、一応原局としては分けた際に、手間を作って、暇を、暇というか、時間をさいて行って、それが適正に使われることを御指導になっている今日の段階からいくと、私はこの大量な、大価格な、しかも相当の滞貨のようなものを倉庫料三億数千も出して払って、しかも処置なし、なぜならば厚生省関係がはっきりした線を打ち出せないから処置なしといっている。これは、であるから、私はなるべく国損を抱えているという、そうしてその処置が今のところないという、しかも、あてどがないという、その現実の上に立っていくならば、私はこれはまあ、どういう程度のものはどこへ向け、そうしてしかも価格はどのくらい、どういう程度のものはどこへ向け、しかも価格はこういう事情でこうだというようなことの、せめて相談があった場合においては、むしろ会計検査院としても、光に申し上げたような各種公共事業の事前検査的な考えで、そのままではありませんが、そういった気持で何とかこれを処理するのが、私はどうしても妥当だと思うのです。もしそれを、おれはいやだ、検査院の機能ではありません、それはいやだというようなことで、そういった機会が仮りあったにかかわらず、せずして、実に原局としては実行する勇気をもたなくして、そうして、あげくの果てに半年、あるいはさらにたったあとになって、その品質はまさにますます低下しちゃって、保管上特に指摘されるような怠慢もなく、そうして低下しちゃったら、さっき言った、一番ここに指摘してありまする一万五千円級、ないしは二万五千円級にしか売れないというような仮りに事実になる。仮りのことは私は返事したくないというかも知れないが、理窟の上からいって、そういうふうに、特に私は会計検査院責任はまた免がれるものではない、こうさえ思うのですが、端的に話せば私はそう思うのです。でありますから、私は願わくはこの問題を、局長さんが今この際に明確なる答えをしろなどとも言いかねますが、どうか一つそういったこともお考えになって、委員としても私は十分この問題については事前御指導の線を打ち出すような御研究を願いたい、私はこういうふうに、しんから思っておるのです。
  60. 野本品吉

    ○野本品吉君 先ほど来お伺いしておりますと、食糧庁のほうでは、厚生省の承認と言いますか、よろしいということがなければ一つも出さない。それから厚生省のほうでは、全部の学者の研究の結果が一致しなければ、これも食品として出してもいいと言えないということで、いつ、この大きな問題が目鼻がつくかわからんということは、先ほど来の質疑応答でよくわかるのですが、ここで私は特に感じますのは、今のような不明朗なと申しますか、はっきりしない状態が長く続きますと、今、後入って来る新らしい米に対しても、国民がやはり、ああいうものが来るのだろう、ああいうものを配給するのだろうというような気持をもっと思うのですね。米を一つのわれわれ主食としておるのですが、これは、われわれは、安心して食べたものは、まずいものでも相当栄養的に効果があるのです。これはどうも食ったら体が悪くたるのかなんと、不安な状態で食べたものでは、いい米でも本当の栄養的な効果が発揮できないのだろうと私は思う。従って、先ほど来、皆さんから御意見の出るような、今はもう今までの問題の米は、こういう方法をこういうやり方によって、もう全部ないのだ、これから入って来るものは安心なんだと、そういうふうな、はっきりした線を打ち出すべき段階だという点については、考え方において今までの方と全く同感であります。そこで私は、食糧庁の方が食糧に不安感を抱かせないための細心な考慮を払って、いろいろと御心配になっておることも、これはよくわかりまして、そういうまた配慮がなければならんと思います。それから会計検査院検査は、まあ、いずれかと言えば結果論的なものなのです。従ってそこに食い違いのあることも、ある程度は承認しなければならんと、こう思うのですが、とにかく今までのような状態が長く続いていくことが許される段階でなくなっておることを、まあ政府としても、その仕事の当路者としても、もっと深刻にお考えになる必要があるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  61. 清井正

    政府委員清井正君) 先ほど三浦先生のお話しのありました点でございますが、誠にごもっともなお話しをお聞かせいただいたわけでございます。私どもといたしましても、この十五万トンに上る滞貨を持っておりまして、じんぜん日を過ごすということを考えますと、需給上にもまた財政上にも非常な問題を起すわけでありまして、一日も早く所要の解決を見まして、措置ができるようにということを望んでおったのでございますが、残念ながら今までは、一部につきましては御報告をいただいておるのでありますが、まだその他のものにつきましては決定がない状態になっておるのであります。先ほど大臣からも、この措置については、適当なるその他の御意見も聞きながら、すみやかに措置したいという趣旨のお答えを申し上げたのでありますが、私どもといたしましては、むしろ持っておって、さらに時がたって、今よりもさらに財政上損を起すような事態になりはしないか。こういう御心配の御意見でありました。三浦委員検査院に対する御質問も、私に対する御質問とも考えておったのでありますが、ただいまの御意見につきましても全く同様なんでございまして、御心配の趣旨はよくわかるのであります。ある程度いついつまでにわかるという見当がつかなければ、これは厚生省の方にも一生懸命やっていただいておるのでありますけれども、何しろまだはっきり、いついつとも見当がつかないということでありますので、さりとて、これをそのまま、じんぜん持っていきまして、さて何らかの結論があるのか、いつかということがわからないでは、非常な問題になるだろう、そういうような観点から、むしろそれを待つよりも、今なるべく国損を生ぜしめないという観点から、主食配給しないまでも、その他の用途にできるだけ適正な価格処分ができるというふうに考える余地はないものかどうか、ということが問題の焦点だろうと思うのであります。従ってそういう意味から申しますれば、配給の観点から申しましても、あるいは国損という観点から申しましても、どういうときに、どういう決算をするのが一番適切であるかという判断の問題になるわけであります。厚生省の方にもいろいろ御心配を願っておるのでありますし、また、かねがね検査院の方も現地に行ってみていただいたようなこともありますし、またその後、着検制度等によりまして、いろいろ検査院の方にも御心配を願っておるのでありまして、私どもといたしましても、これだけの問題でございまするから、何とかこれは目鼻をつけたい。むしろ、つかないということであるならば、そのとき初めていろいろな観点から考えて、こういうふうに措置した方が一般からも了承をされ、国損という観点からも一番適当であるというように措置しなければならないと思います。そういう意味において、大臣も先ほど御返事申し上げたのでありますが、とにかく私どもといたしましては、現在手持ちの問題の処分につきましては、ただいまの各委員の御趣旨を十分体しまして、関係方面とも十分相談いたしまして、できるだけ早くこの措置の実施に移したいと考えておる次第であります。
  62. 野本品吉

    ○野本品吉君 私は今申し上げましたが、今までのいろいろな大臣のお話しや何か、むしろ今後どういう点に気をつけるかという、そういう今後の問題です。しかし今までの問題の処置のつかない限りにおいては、今後どうするといっても、国民としてはすっきりした気持で受け入れるわけにいかん。だから今までのいろいろな問題について、根本的な対策をはっきり打ち出して、将来に向って国民に、不安と申しますか、疑惑を持たせるようなことのないようにしなければならない最終段階にきておる。こういうことなのです。  それからなお、ここでちょっと委員長に、皆さんに御相談していただきたいと思うのでありますが、先ほど来お話しを承わっておりますと、大多数の学者はみな毒性がない。反対の学者が一部である。こういうお話しなのでありますが、委員長のお計らいによって、両方の学者と申しますか、学者意見委員会としてお聞きできる機会を作っていただければ、私はこの問題の論議に非常な参考になるのではないかと思うのですが、あとで御相談を願いたいと思います。  もう一つ続いてお伺いいたします。先ほどの例のアルコール原料に売ったとかなんとかいう問題ですが、一万三千トンのうち、蒸留酒、それからアルコールの原料として売りましたものが九千四百三十トン、こういうことに、これではなるわけです。そうすると、この品物は大体においてアルコール以外に用途がなかったということですか。
  63. 清井正

    政府委員清井正君) 大体これは御承知通り主食用以外でありますると、加工用といたしましては、従来まあ菓子にしますとかということでありますが、このアルコール用と申しますか、酒造用に充てますのは、大体、米の用途としては重要な用途でございますので、この際もこういうふうに措置をいたしたわけでございます。
  64. 野本品吉

    ○野本品吉君 この不良の米を売ります場合に、これは売り渡しの手続、これはどういうふうにやりますか。ここの辺がいいだろうというので、話を持ちかけていくのですか。公告しておやりになるのですか。
  65. 清井正

    政府委員清井正君) 普通に売却いたしまする場合は、大体こういうような業界では、この売り渡し先ということにも書いてありますが、協同組合とかいろいろ事業団体の組合があるわけでございます。そこで、そういうようなところに、随意契約によって売る場合もございますし、原則としましてはそういうような業者に対して見積り売却をいたすというようなことをいたしますが、中には、各県別に配分いたしまして、県知事の責任においてそれぞれの単位の業者に配分していただく。まあいろいろな方途を講じてやっておるわけでございますが、この場合は特殊ないわゆる黄変米処分でございましたので、こういうような売り渡し先と書いてございましたそれぞれの業者に対しまして、一定の価格をきめまして、随意契約で売却をいたしましたわけでございます。
  66. 野本品吉

    ○野本品吉君 そこで、まあ随意契約でやったから、不当に安く売ったということはないと思いますが、さらに私お伺いいたしたいと思うのは、米から取れるアルコールの量ですね。これはジャガイモから取れるのと同じくらいですか。
  67. 清井正

    政府委員清井正君) ちょっと検討いたしましてからお答えいたします。
  68. 白川一雄

    ○白川一雄君 国の財政にこんな大きな損失を与え、また全国を騒がせた、こういう有毒な米を輸入した商社が、どういう形における責任をとり、どういう程度の犠牲を払っておるものか、その辺を会計検査院のほうで検査されたところをお尋ねをいたします。
  69. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) この黄変米、それから砕け米、白色病変米、大体これに分けてお話ししたほうがいいと思います。砕け米の場合には一定の率がございまして、その率をオーバーしたものを持って参りますと、それだけ業者が負担するわけであります。それから向うの外地の輸出先のほうの責任というのは、わかりますと、これはクレームの対象になるわけであります。  ところが黄変米病変米の場合には、現在ではこの黄変米につきまして、二十八年の十一月ごろから一%以内という条項が契約に入ったわけであります。黄色い粒が一%以内、それで一%以上のものが入りますと値引きをするわけでありますが、それまでは、黄変米が何%入っておりましても、全然値引きをしないで、全部食糧庁の負担、こういうことになったわけでございます。それから白色病変米につきましては、これは全部食糧庁の負担、業者は何ら責任を負わなかった、こういうのが実際の取扱いでございます。
  70. 久保等

    ○久保等君 食糧庁のほうにお尋ねしたいと思うのですが、現在の蔵の中で寝ておる十五万トン、といっても、いろいろ期間の長い短かいがあるかと思いますが、先ほど保管の問題については特に悪くなるおそれはないというお話しがあったのですが、私、直接食糧庁の方からお伺いしたいと思うのですが、現在保管しておりまする十五万トンについて、ときどきあるいは定期的にやはり検査をやっておるのかどうなのか、その点お伺いしたいと思うのです。
  71. 清井正

    政府委員清井正君) 私の方でも燻蒸をいたしております。それから一般の倉庫の管理に従いまして、一定期間に燻蒸いたしまして、同時に通風、採光等の一般の食糧倉庫の管理方法に従って管理をいたしておるわけでございます。
  72. 久保等

    ○久保等君 その程度だと、私は昨年もあの越中島の倉庫の方へ一ぺん行って、現場を視察したこともあるのですが、黄変米なりあるいは病変米なりの菌の発生には、まあ温度からいけば二十度以上あたりが非常に危険だというお話しも承わっておったのですが、あそこへ行ってみると、こういう食糧の保管倉庫としては、まあ、いいところに類するのだろうと思うのですけれども、しかしそれでも、あそこへ入ってひんやりするような、まあいわば病変米黄変米等を保管するのに特別適した倉庫だとも実は思えないのですし、特に梅雨期等を控えて、私は今後長く保管すればするほど、非常に品質の面における低下はもちろんのことですが、同時に黄変菌なり病変菌の発生を助長する結果になるのじゃないか。先ほど来いろいろ各委員から、長期に保管することはむしろ国損を増大していくというお話しもありましたし、品質を低下さしていくのじゃないかというお話しがありましたが、私も時にあそこの保管状況を見て、最初入ったときの病変菌なり黄変菌なりがあるという状況を前提にして、いつまでも考えておると、これは相当大きな結果的には違った結果が出てくるのじゃないか。従ってただいまの十五万トンの処理の問題については、私は何と言っても処理を直接責任をもってやらなきゃならぬのは食糧庁だろうと思うのです。農林省だろうと思うのですが、従って病変菌、黄変菌の問題が、学理的に、あるいはまた衛生的に見て、どうのこうのという研究は、これは厚生省が所管してやられることも当然必要ですし、また厚生省そのものも、先ほど来のいろいろ各委員の御注文にあったように、私は早急にこういう方面の結論も出していただくことは必要だと思うのですが、同時にやはり、食糧を現にかかえて、どう処理することが、国家財政のどれだけ負担を軽減するような結果になるか、あるいはまた国民主食配給という非常に重要な問題を、どう国民に不安感を与えないで処理をするか、この両者のにらみ合せを的確にやってきめるという最後のやはり断を下すのは、これは何と言ってもやはり食糧庁でなければならないと思うのです。そういう判断は、私が今言った保管の実情等をも考え合せて見た場合、この前、倉庫に入って見たときを対象にして、固定的な状態ではおそらくないのじゃないかという気持が、現地の保管状況等を私もちょっと拝見して、そういう気がしたわけなんであります。それだけに、やはりその経済的な考え方の上に、それから衛生的な考え方の上に、この両者のにらみ合せをどう、いつ腹をきめるかという問題は、やはり食糧庁が中心になって私は考えていくべき問題だと思うのです。それから責任者の問題云々も出ておるような、こういう重要な問題について、漫然とただ厚生省で学理的な面での結論が出るのを待って、そうして国民納得の上で処理をしたい、これはまあ、きわめて私は大臣の答弁としては、当りさわりのない、国民に不安感も与えないということで非常にけっこうと思うのですが、現実に保管せられておる十五万トンの処理の問題については、やはり私は、そういう両者をにらみ合せながら早急に結論を出すべきであるのを、漫然といつまでもかかえておっても、価格の面においては、結局品質の低下ということがないのだったら、まあかりに、五年も十年もかかえておっても、そのときに売り払ってみたところで、結局大した国損には……。倉庫料という問題が大きな問題と思うのでありますが、品物そのものの価値はまあ変らないということになるでしょうけれども、しかし私はそうは言えないのじゃないか、品物の価値そのものが低下していく危険性があるのじゃないか、また現に低下しているのじゃないかという気持もするわけなんです。従って今の御説明だと、保管の過程においても、初め倉庫に入れたときと、それから、その後の推移がどうなっておるかというようなことについての的確な試験あるいは検査等もやっておられないように承わるわけなんですが、そんなふうに承わっていいのでしょうか。ただ要するに虫がつくとか何とかいうことはしないように、駆虫その他をやっておられるという話なのですけれども、黄変菌、病変菌という問題が、倉庫に入った後の推移状況がどのようになって参っておるかということを、専門的な形で試験なり検査をやっておられないのでしょうか。
  73. 清井正

    政府委員清井正君) 実は、そこまでは、やっていないのであります。御指摘の点、確かによくわかるのでございますが、私どもといたしましては、通常の倉庫の管理の状況におきまして、燻蒸なりその他の管理をいたしておるという状況でございまして、その後の状況ということまでは、遺憾ながらやっていないのでございますが、ただ実際問題といたしまして、倉庫の中では、割合に食糧倉庫としては、いい倉庫でございますけれども、そこに保管されていることが、これは幸いと言えば幸いでございますが、私どもといたしましては、さらにお話しの御趣旨もよくわかるのでございますから、この辺の処置も至急検討いたしまして、措置をいたして参りたいと考えております。
  74. 久保等

    ○久保等君 それから、先ほどちょっと問題になっておった一番最後の千八百六十四号の問題ですが、これはまあ会計検査院で二十八年度中の全体の半分程度について検査をしたという御報告になっておるわけなんですが、当然この会計検査院検査しなかった以外のものについても、こういった事例がやはり私はあり得るのじゃないかと思うのですが、食糧庁の方ではどんなふうにお考えになっておりますか。会計検査院のこういった指摘によって、他の会計検査院検査を受けなかった面についても検討してみられたらどうか。
  75. 清井正

    政府委員清井正君) これは、この御指摘にもあるのでございますが、私どもといたしましては、まあ一定の金額輸入商社に払って、運送業者に払っておるべきはずだったのでございますが、それがこういうふうな事態になったことは、はなはだ遺憾に思っておるのでございますが、この御指摘を受けました以外の運送については、別段調査をいたしておりません。しかしながら、こういうことの起り得る事態の原因についてよく探求いたしまして、その後、先ほど御説明申し上げました通り、この作業賃の払い方を変えまして、中央払いでいたしまして、個々のそれぞれの業者に扱わせないようにいたしておるのでありまして、その後にこういう事態は起っておらないというように確信いたしております。
  76. 久保等

    ○久保等君 だから、今後の問題は別として、昭和二十八年度中のものについては同じような方式でやっておったということですから、会計検査院検査をせられなかった面についても、まあ一応こういった問題が、金額の多寡は別として、率の高い低いは別として、十分あり得ると推定されるのですが、先ほどからいろいろと問題になっておりまするこの取扱業者の、まあ極端な言い方をすればピンはねですが、このピンはねの金額程度は、先ほどの御説明によると、まあ許されるのじゃないかというような御説明にも承われるわけなんですが、食糧庁としては、まあこの程度のものは妥当だというふうにお考えなのでしょうか。それとも会計検査院指摘されておりますように、むしろ過払いとでも言われるような、払うべからざりしものを払ったというふうに、まあ私どもにはこの報告書によると受け取れるわけなんですけれども、しかし食糧庁ではそうじゃなくて、手数料だと言われるのですが、しかし当然払うべき手数料は、これは会計検査院といえども当然認めざるを得ない。まあいわば、あまり名目がつかないですから、契約を、少くとも契約当事者になっておるという意味からいえば、なるほど若干の手数料はかかるでしよう。しかし少くとも総額の三割、あるいは四割近いといったようなものが、そういった程度の手数料に払われるというようなことは、これは非常識きわまると思うのですし、形も変えて言えば、まあ看板料に、名目の看板料に、三割、四割の実は手数料を払っておったというふうにもなると思うのですが、そういうことは常識的に許されないと思いますし、金額の点からいっても、二十八年度中の半分について一億四千万円近い金額だということになると、これは相当私はやはり問題があろうかと思うのですが、一体その点どんなふうに食糧庁ではお考えになっておるのですか。会計検査院指摘せられた通りだというふうにお考えになっておるのですか。どうですか。
  77. 清井正

    政府委員清井正君) 確かにこの点は、会計検査院より御指摘を受けた点は、その点があると私は思うのであります。ただ金額の点について、この程度はどうかということになりますと、なかなか判断いたしにくいのでありますが、確かに実費払いということに形式上なっておるが、実費でないということになっておる点、その点について御指摘を受けたのでありますが、確かにそういう点は御指摘の点はあると私は考えております。まあ実費ということの解釈の点が若干問題があったのでございますけれども、私どもといたしましては、こういう多額の金がこういった工合に実際の取扱い業者に渡らなかったという事実にかんがみまして、先ほど申し上げました通りのように、その後の支払の方法を変えまして、遺憾なきを期しておるのでございますが、この御指摘の点につきましては、金額の点の問題は別といたしましても、会計検査院から御批判を受けた点につきましては、その点は確かにあるのじゃないかと考えております。
  78. 久保等

    ○久保等君 こういった手数料というか、差額といいますか、そのものが取扱い業者の手に渡っておるということを、あるいはまた渡ってもよろしいんだというように、当初から食糧庁としては予見され、ないしは、そのことを知っておられたのかどうか、また当然取扱い業者にそういった幾ばくかの差額というものは支払うのだという気持でやっておられたのかどうか、会計検査院から指摘せられて、実は話はそうでなかったんだというふうにお気づきなのか、そのあたりの経緯を一つ伺いたいと思うのです。
  79. 清井正

    政府委員清井正君) この点もう少し詳しく御説明申し上げなければならぬのでありますが、この御指摘のあった点は、ここにも、御指摘の中にも書いてございますが、作業種類に応じて運輸省公示に基く料金のあるものと、そうでないものとの問題になっているわけでありますが、私の方で計算をいたしました場合に、公示料金のあるものは公示料金による。公示料金のないものは、これにかわるべきほかの市場価格とか、あるいは申請する価格とか、あるいは一般の人夫料というものを基礎といたしまして算出いたしして、それをプールいたしまして、はしけの単価をきめておるわけであります。それからもう一つ問題となりますのは、一たん船からよその港に持っていく。その場合の運送賃でございますが、地港へ運ぶ場合です。そういう場合には、私ども大体輸入業者をして機帆船業者に四半期ごとに見積りをさせるわけであります。輸入商社が見積りをするわけであります。その見積りによってきめました、輸入業者と、はしけ業者の決定した、いわば定めた契約単価を実費として支払っておるのです。こういうのが私どもの実態だったのです。その実費について、ただいま申し上げたような実際の支払いが実費でなかったということで、これだけの多額の差を生じたということで、御指摘を受けた点もあるのです。われわれといたしましては、そういうふうなやり方で運賃を計算をいたしまして、契約単価も、そのときどきではきめられませんものですから、前年の実績を基準にして数量をきめ、そこへ単価をかけるというようなことになっておりますので、そこで実際上に払う単価と、それを計算した元になるところの単価の基礎となる数量、そこで差があるわけであります。で、こういったような問題が起って参った、こういうふうに実は考えるのであります。私どもといたしましても、そういうことで、はなはだ御指摘を受けた点は遺憾と存じますので、その後は、相手方の請求書のほかに領収書もつけて私どもの方に請求してこさせるということにいたしまして、そういうようなことによって改善をいたす、そういうふうにいたしております。
  80. 久保等

    ○久保等君 今後の改善策は当然やってもらわなければならぬのですが、改善策の前にこの案件そのものに対しての処理として私どもはやはり問題が残っておると思う。少くとも実費弁償でいくのだという建前であり、またそういう考え方でとりきめて、現にその代価を支払ってきたということになっておるとすれば、結果から見て、こういう事態が出てきたということになれば、私は当然、まあ過払いであったというか、まあごまかされておったというか、とにかくこういう国に損をもたらす、国損をもたらすという実態が数字的に金銭的に明確になってきておる。この問題に対して、食糧庁としては当然返させる、返納させるというふうにお考えになっておるのですか。これはまあ仕方がないのだ、契約だったのだから仕方がないのだというふうにお考えになるのですか。この処理の問題についてはどんなふうにお考えになっておられますか。
  81. 清井正

    政府委員清井正君) その点は、私は返させるというところまで実は考えてないのであります。と申しますのは、先ほど申し上げました通り解釈にもちょっと問題があったものであります。実費というふうに形式上なっておったのでありますけれども、単価の計算は実費でなくして計算したところが、業者は実費で払っておったものですから、そこで、食糧庁の払ったものと業者の払ったものと違いがあったというところに御指摘の点があるわけでありまして、従って私どもといたしましては、その点につきましては、今後十分業者にも気をつけるように言ってありますし、その後の取扱い方法も変えて参ったのでありまして、本件については私どもは返させるというところまではいかなくてもいいのではないかと考えております。
  82. 久保等

    ○久保等君 返させなくてもいいではないかと思うというのは、非常に認識の仕方がわれわれに納得しがたいと思うのです。少くとも直接の実務者に支払われる金額というものが、ただ、たまたま途中の窓口というか、契約当事者というものがあって、そこで非常に大きなピンはねが行われておったという実情に対して、これはとにかくやむを得ないのではないかと思われるという、一体その根拠は私はどこから出てくるのか、ちょっとわからないので、もちろん手数料なら手数料という形で、これはある程度私は調べてみればわかることだと思うのです。大体こういう契約をせられた非常にラフな、非常にルーズなやり方そのものは非常に問題がある。がしかし、それこそできてしまった問題は別としても、その後の処理の問題として、私は少くとも国家の予算を使って物を運ばせるというような問題について、もう払ってしまったものだから仕方がないという程度では済まされないのではないかというふうに考えるのですが、特にここへ数字まであげられてはっきりしてきているものですから、会計検査院ではその点どんなふうにお考えですか。当然これは払ってしまったものだから取り立てるというのは苛酷だ、返させるということは苛酷だというふうにお考えでしょうか。それとも、ここにあげられた金額をさらにまた細かく分析して、手数料に該当するものは手数料に該当するものとしてやるとしても、ここにあげられた金額のほとんどすべては当然国に返させるというので妥当だというふうにお考えなのでしょうか、どうでしょうか。
  83. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) この案件でございますが、先ほど岡委員からも御質問のあった点でありますが、手数料は、これは別に払っているのであります。ここにございます金額は、手数料と称するものは一文も入っていないのでありまして、トン当り四十四円三十銭というものを手数料として別に払っております。それで私どもとしてはこれを強気で言えるわけでありますが、これは二通りに分けられる性質のものであります。片方の方は、これは金額は多いのでありますが、公示料金、先ほど申しました定額で払うべき性質の料金と、それから実費で払うという契約をした分とに分けられるのであります。手数料の点は、これは当然トン当り四十四円三十銭というのが、この商社が取っていいものでありますが、今の最初の公示料金で契約した分は、これは当然通り抜けに実務者に全額行くべき性質のものであります。それから実費ということで契約したものは、これは実費以上払っては相ならぬのでありますから、この分の差額は国で返してもらってもいいのではないだろうか、こういうふうに考えておるのでありますが、二段に、一つ分けていただきたいのであります。それから手数料は別に払っているということで、一つ御覧願いたいのであります。
  84. 久保等

    ○久保等君 会計検査院の指示されている内容そのものは非常に明確だと思うのですが、私も普通常識的に考えても、当然そうなければならないと思うのです。しかし先ほどの食糧庁長官の御説明では、全く過ぎ去ったものはどうにもならぬ——というまでは言っておらないですが、別に取り立ててどうこう思っておらないという、非常に、私はその点残念に実は思うわけですが、十分さらにこの問題については、会計検査院の指示もある問題であり、しかも内容は非常に明確な、はっきりした問題でありますし、私は特にその取扱い業者というものが商社であり、米の買付、運搬、その他について、いろいろと、この食糧輸入の問題については協力もして来ている取扱い業者であろうと思いますし、またその人たちはおそらく相当なその方面における手数料なり代価というものは支払われておるんだと思いますが、その問題を截然とここに区切りをつけて区別しなければならぬ問題に、何かそのときの惰性なり、あるいはまたそのときの多少何かその表面に出せない理由があって、多少おまけをつけてやっているんだという印象を受けるわけなんてすが、しかし、とんでもないことだと思うので、会計検査院の言われるような趣旨に沿って措置をせられる考え方がおありになるかならないか、この点お尋ねをしたいと思います。
  85. 清井正

    政府委員清井正君) この点は、お話しの御趣旨はよくわかるのでありますが、確かにこれは多少実費払いというところの問題の解釈にも実は問題があったわけであります。この点は先ほど御説明申し上げた通りであります。実費払いであるから、実費以上に払ったものはいけない、それはまさしくその通りでありまして、検査院の御指摘通りでありますが、私どもは実費払いという言葉を使ったのでありましたが、結局は業者が入札方法によって一定の単価をきめまして、きめましたものを私どものほうでそれを承認いたしました場合に、それを一応の契約単価として四半期ごとにその金を払っていたのであります。実費払いいたしましたけれども、その実費払いの内容が、ちょっと一定の、何と申しますか、一定の想定した場合を見込んでの実費払いでありましたので、本当の実績によって払うという意味の実費払いではなかったのであります。その点を実費払いというふうに扱っておりましたので、この点を会計検査院の御指摘を受けましたことは、はなはだ恐縮に存ずるのでありますが、そういうやり方をいたして参って来たのでありまして、その点が問題になった点であります。むろんこの点につきましては、使用者側にも遺憾な点がありますので、私どもとしても十分注意をしておったのでありますが、これは今後の措置といたしまして、十分適正な措置を講じておるつもりでございます。特にこの際あらためてこの件については、一定のものを返させるという措置は、それほどまでにしなくてもいいのじゃないかと考えております。
  86. 久保等

    ○久保等君 ここで終局的な結論なり、あるいは納得のいくような御説明を求めることは無理があるかと思うんですが、しかし先ほど来の会計検査院並びに食糧庁の長官の御説明なり、またこの決算報告書に基く内容等に基いて、私ども判断する限りにおいては、どうも私、納得しかねるんです。何か食糧庁と取扱い業者の間での話し合いで、もう抜き差しならない結果になってしまっておるんだというような印象を受けるわけなんですが、しかし契約そのものが、私は内容の面においてやはり実費弁償を建前とする契約であったとするならば、その契約内容が実は予想されなかったようなものまで含めた契約であったということであるならば、いかに金銭的なやり取りなり、支払いがなされておっても、その後においてやはり私は契約違反というか、内容の点をいろいろと悪く言えばごまかした——簡単に言えばごまかしたという事柄になっていって、私は当然返還請求ができると思うんですが、もしそうでないとするならば、食糧庁長官が、みすみすそういうことはわかっておった、三回なり四回のピンはねをやっておることを十分事前に承知しておった、しかし今さら食糧庁においては、そういう問題を掘り返えして、取扱い業者に話を持ち出すことが立場上できないんだというふうに、曲解をすれば私は受けとれるかと思うんです。しかしそういうことではないことを私は信じたいし、またそうであってはならないと思うんですが、しかしそうでないとするならば、私はこの問題について、やはり食糧庁といたしましても、何も取扱い業者に不当の損害を与えるわけではさらさらないわけです。当然自分のかかった経費あるいはまた手数料というようなものが支払われておるんですから、不当の損害を契約当事者に与える結果にもならないのですから、かりにそれが二年前、三年前の話であっても、私はやはり取り立てるのが至当だと思う。またそのことによって特別に損害を受ける人は何らないと思う。返還を受けることによって、もちろん国損を私は防止することにもなるわけですから、ぜひその点は十分にお考えを願う必要があるのじゃないかと思います。またさらに即答をお願いするわけにも参らなければ、後日この問題については、十分に一つ考えを願って御答弁をお願いしたいと思います。きょうのところは、この問題についての質問は、私一応今の程度にして保留をいたしておきたいと思います。
  87. 岡三郎

    岡三郎君 今の問題について「公示に基く料金のある作業料金については取扱い業者は同庁支払額の全額を運送人に支払うべきものであるのに、ここにポイントがあると思う。全額運送人に支払われるものを、途中の取扱い業者がさやを取ったということになると、この運送したもの——実務の担当した運送人が天引きされてしまう額で満足しているならば、食糧庁で払う料金が少し甘過ぎるという結論に私はなると思う。これは商行為の慣例であるというふりに思われているかと私は思うのですが、ともかく規定でいうと、会計検査院のほうで言うように、マージンは別だということになれば、結局この取扱い業者に払った金がそのまま運送人にゆく仕組にこれはなることになるわけです。そうなるというと、この差し引かれてもらった運送人が、それでジッとしてがまんをしている、一応それでトントンかもうけになっているとするならば、食糧庁が出している作業料金というものは、少し甘過ぎるのじゃないかということにもなると思います。結果からいえば。その点について、横浜に入港する食糧のうち、半分程度調査したということになっているわけです。ですから、他の港においても相当量あると推定されるわけなんです、ということになれば、今、久保さんが育ったように、法的には違法ではないけれども、結論からいうと、政府は過払いしているのじゃないか。法的には違法ではないけれども、作業料金——公示に基く作業料金について余計政府は少し払い過ぎているのではないか。これはどっちが泣いているのですか。つまり、こういうふうに差し引かれて取った実際の運送人が泣き寝入りになっているのですか。いや、そうじゃないのだ、大体常識的にいって、これは運送人を連れてくればわかるのですが、運送人は大体この程度で常識的なんだということになれば、政府のほうは、法的に違法ではないけれども、やや多く支払っているということになるわけです。結局この問題は非常に差額が不当であるというふうに考えられますので、その点いずれでしょうか。
  88. 清井正

    政府委員清井正君) この点どういうふうに判断していいか、ちょっとむずかしい問題があるのでございますが、私どもといたしましては、公示料金のあるものは、公示料金を計算する、公示料金のないものは、これは、そのかわりといたしまして、市場価格のあるものは市場価格、そのないものは、一般の人夫賃等の価格をとりまして、公示料金と、そうでないものをプールして、一般料金を計算しております。それから他港に運ぶものについては、実費払いで計算いたしております。この実費払いについては、解釈上の問題について先ほど申し上げましたが、そういうことで計算をいたしましたもの、しかもその基礎となりますものは、運送距離あるいはその比率というのは、大体前年と同じような基礎の運送距離なり、運送比率でもって、それに単価をかけて計算をいたしておるということをいたしておりますが、やはりある程度実際に支払うものとは、ちょっと基礎的に実は問題のある点でありますが、これは実際上支払っていて、今の事務手続上そのときそのときによって計算するわけには行かないのであって、ある程度そういうことで契約をいたしておる、こういう実態になっているわけであります。そういうふうになっておるのが、実際問題として、輸入業者が受け、取った金と輸入業者が下に支払った金に差がありますが、どっちが泣いているかというと、これはなかなかむずかしい問題でありますが、実際に取扱い業者が相当多く、輸入業者は数が少いわけでありますから、それと実際の業者の競争ということも実はあるのじゃないかと思うのでありますが、現実の問題といたしまして、そこで一定の幅が生じたという現実になっているようなわけであります。
  89. 岡三郎

    岡三郎君 私の言うのは、結局、運送人がこれだけ引かれてもらってやっていける状態なら、これがここに書いてあるのは公示に基いた料金のある作業料金なんですから、この作業料金については、公示がある作業料金については、この減額したところの、いわゆる取扱い業者が運送人に払った裸の運送料、それで公示料金を変えているのじゃないのですか。そうでないと、法的にいって、何もみすみす取扱い業者がもうけるのを政府が奨励する必要はないのじゃないか。こういうふうにも極端にいえばとれるわけです。これは少し口の悪い言葉になりますが。ですから私は、そのところが甘いのか、そこに運送人が泣いているのか、運送人が泣いているということになれば、結局、公示の場合においてはそうなんです。契約したものが一定の価格契約した場合に、それを実際の工事人に請負わせるときに、大体二割なり三割なりを天引きしてやるから、ろくでもない建築ができるということは常識なわけです。だから結局運送人に支払われている金が不当であれば、どうしても荷扱いその他が、これはおろそかに、非常に極端に言えば、やはり品物が食うものであれば、食糧であれば非常に粗末に取り扱われるということは、これはみすみす別の被害を蒙むるということで、慎重に、ただ高いとか安いとかいうことではなしに、取扱い物品が物品だから、そこには、やはり妥当な値段というものを出さなければならないが、これで行くという料金がきまって、取扱い業者はマージンを別にとっているのだから。食糧庁のかわりとしてこの取扱い業者が事務処理するのだ、それだけなんだ、法的に言えば……。だから、どう考えてみても、取扱い業者がこれだけの金額を領得する、これは法的にいって、いけないのだ、工合が悪いのだ、だからその原因を食糧庁のほうでは考えて、運送人がそれで満足しているならば公示料金というものを下げる、そうして食糧庁の会計を少しでも豊かにする、そうではなくて、それだけの費用が要るならば、取扱い業者は実際の運送人にそれだけの金額食糧庁にかわって払うべきだ。だからこの契約は、法的にいって、常識的には別ですが、法的にいったならば、この取扱い業者は不当利得をしているのではないか。これは形式的に言えば、法的に言えば、公示料金というものは解釈次第によればおかしくなるし、それが正しければ下が泣いて、いわゆる、のれんのある業者が下の泣くことによって不当利得をしている。そのかわりに、実際に輸入食糧その他が粗末に取り扱われるのじゃないかという心配が出て来るわけであります。だから、この点について、先ほど久保さんが言ったように、もしもこれがはっきりとそうならば、取扱い業者から領得したその金を取って下の実際運送した人にやるべきか、それでなかったならば、公示料金を下げていくべきでなかったら、理屈には合わぬと、こういうわけですが、会計検査院どうですか。これはあとで食糧庁長官にも聞きたいのだが。
  90. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 料金が妥当だったかどうか、こういうところでありますが、これは公示料金は食糧庁でおきめになるのじゃないのでありまして、運輸省がこれたきめるわけであります。当時果してこれで妥当だったか、どっちが一体泣いたのか、それはなかなかわかりにくいのでありますが、ただ代行実務者が輸入商社から、何と言いますか、値切られると言いますか、たたかれると言いますか、そのために労務賃の支払いが非常に悪い、そこで横浜なんか、御記憶の方もあると思いまするが、一騒ぎが起ったという例もあるのでありまして、門司でもこれは騒いだのでありますが、われわれが聞いているところでは、主として代行実務者が受ける金が低いためにそういう現象が起きたんだということで、どの程度まで支配的なあれかわかりませんけれども、そういうことが言われた時代があるのであります。  それから、ちょっと御参考までに申し上げますが、公示料金の差というものは約一億三千万円ぐらいであります。それから実費の差というのは六百三十余万円ということになっております。下へもし流す——代行実務者は公示料金の分を流すとするならば、一億三千万円ほどの金がいくわけであります。それから実費を国が取り返すといたしますと六百三十余万円、こういうことになるわけでありまして、下へ流れる方が全体としては非常に大きいわけであります。
  91. 野本品吉

    ○野本品吉君 先ほどの私の質問が十分でなかったものですから、あるいは誤解があるといけませんから、さらにはっきり申し上げておきます。  会計検査院の御説明によりますと、一升百十五円の米が二十五円程度で売られている、その二十五円のは当時のイモのおそらく一貫目でありましょう。その価格相当している。こういうから、そのとき米を売る際に、この米からアルコールがどれほど取れるだろうということは、価格決定する際に当然これは考えられるべきことであったと思う。その米から取れるアルコールの量と一貫目のイモから取れるアルコールの量を知りたい、こういうことです。それは、あとでもけっこうですが……、もし会計検査院の方でこれについての資料がありましたらお伺いしたい。
  92. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 蒸留酒でありますが、これは切りぼしと黄変米を一トン当りの値段でやっているのであります。カンショ切りぼしが一トン当り二万八千余円になると思います。それで製品の歩どまりが切りぼしの方が少しいいと、こういうことで、黄変米の方を二万七千十五円、こうきめたのであります。結局、もとは切りぼし一貫目と米一貫目を見合いにしまして、歩どまりが米の方がさらに悪いというわけで安くしておるのであります。切りぼし一トンと米一トンが基準になっております。それからアルコールですが、これは先ほど申し上げましたように、輸入糖蜜、これも同じ目方で比較しておるのであります。輸入糖蜜がトン当り政府の工場渡しで一万七千百九十円、それからいろいろな経費を引きまして、一万六千百十九円になりますが、それを基準にして黄変米の値段をきめております。ですから、まあ私どもは、米とイモでは、同じ目方だと、だいぶん値段が違うと思うのでありますが、黄変米の値段のきめ方については、切りぼしカンショの一トン当り黄変米トン当りというものの値段を比較して、それがもとになってこういうものがきまるわけであります。蒸留酒にいたしましても、アルコールにいたしましても、大体同じような、あるいは旧式しょうちゅうというようなものも、大体そういう原料が米としてみると違うのでありますが、今のように主原料、アルコールの場合には糖蜜、それから蒸留酒の場合には切りこぼしカンショ、こういう主原料というものを大体同じ目方でとんとんというようなのが計算のもとになりますから、非常に違った旧式蒸留酒だと四万一千円、蒸留酒だと二万六千円、アルコールだと一万五千円というような計算になるわけであります。こういう計算の仕方になっておるわけであります。
  93. 野本品吉

    ○野本品吉君 その当時の黄変米がアルコール以外にも絶対に用途がないというならば、私は、同じ一トンの切りぼしからとれるアルコールの量と、米からとれるアルコールの量と同じであっても、この際はものを言わないつもりだった。ただ、このアルコール原料として売った価格決定の際に、この米からどれだけのアルコールがとれるという、その研究調査なくして米の価格決定されるわけがない、こう思うのです。そこを、ですから、どれだけのアルコールがとれるという基礎の上にこの価格決定されたか、これを聞きたい。
  94. 清井正

    政府委員清井正君) 私の方で計算いたしましたのを申し上げますが、この工業用のアルコールの原料用として黄変米の売却予定価格といたしまして、裸トン当りに一万七千三百六十七円という予定価格を立てたわけであります。どういう立て方をいたしたかと申しますると、アルコールに使います原料糖蜜との関係から比較いたしまして、アルコール一キロ当りの原料費として、糖蜜を三・三トン使いますので、その計算をずっといたしまして、アルコール一キロリットル当りに原料費といたしまして五万二千四百四十円という計算をいたしたのであります。一方また食糧黄変米の米を使う場合のアルコール量一キロ当りの燃料費が二万八百円でございますので、五万二千四百四十円の糖蜜の場合から燃料分を引き出した四万一千六百四十円というものを、製造されます二・二トンで割りまして、一万八千九百二十七円という単価を出しまして、これから集荷経費を千五百六十円差し引きまして、そして一万七千三百六十七円というものをアルコール原料の黄変米の売却予定価格、こういうふうにいたしたのであります。アルコールに使います糖蜜等の価格から比較いたしまして、それとの競争で、この糖蜜を使った場合はこのくらいかかるということから比較すれば、黄変米をこり程度にすればいいという計算をいたして、予定価格を立てましたのであります。
  95. 野本品吉

    ○野本品吉君 これは私はあとで調べてみまして、それからあらためてお伺いするようにいたします。
  96. 岡三郎

    岡三郎君 議事進行ですが、だいぶん時間もたっておりますし、これは問題があると思うのですが、一応さっきの質疑の問題もありますので、今日はこの程度にして、また日程を経てあった場合にやるならやるでいいし、もう一ぺん林野庁の方が来るならば、あさってなり、しあさってなり、その点は委員長におまかせしますが、一応この程度でおやめになることを提案します。
  97. 久保等

    ○久保等君 先ほどの私の質問をいたしました千八百六十四号について、ここの会計検査院報告書の中にも、二百三十七ページのところに、取扱い業者あるいは運送人等の名前も出ておるのですが、私、また事情によっては全部の内容について資料を出していただきたいと思うのですが、しかしそれも大へんですから、この二百三十七ページに載っておりますものだけについての運送人の会社はずっと名前が出ておりますが、この会社の所在地、それから、その会社の従業員の数、そういったようなものは、これは会計検査院でもおわかりと思うのですが、一応食糧庁の方から資料として、のちほどでけっこうですからお出しを願いたいと思うのです。一つその点お願いいたします。
  98. 山田節男

    委員長山田節男君) 今の久保委員からの要求の資料を御拠出を願います。  時間も大へん遅くなっておるようでございますが、ただいまの岡委員からの動議に対しまして御異議ないですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 山田節男

    委員長山田節男君) 一つ委員長から質問というよりもお願いでございますが、特に厚生省の楠本君にお願いしたい。当委員会としては、この黄変米の問題が先々国会からずっと継続調査案件になっておるわけです。今承わると、病変菌の問題について厚生省の一元的な結論がいつできるか、この問題の処理には、一にかかって厚生省の病変菌に対する結論を待たなければならん。で、お聞きしますが、大体いつ頃になれば今の統一した病変菌に対する厚生省意見がまとまるか、見通しがつきますか。
  100. 楠本正康

    説明員(楠本正康君) 現在サルその他につきまして動物実験を継続いたしております。すでに半年経過いたしております。ただ一部の学者によりましては、半年等ではとても結論が出ない、これがわかるのは少くとも一年の連続試食を便すると、こういう意見がございます。従いまして、かれこれ勘案いたしまして、そういった先ほど申しましたような学界すべてのまとまった結果をここに結論づけますには、半年程度は、かかるのではなかろうかと、かように考えておる次第でございます。しかし私どもといたしましては、その間できるだけ学者協力を求め、また納得を求めまして、できるだけ早いようにいたしますことにつきましては、十分努力いたしますが、それ以上どのくらい早くなるかということにつきましては、ちょっとここではっきり申しかねますが、しかしながら私どもといたしましては、逐次一つその結果でも発表いたしまして進んでいきたいと、かように考えておる次第でございます。
  101. 山田節男

    委員長山田節男君) 食糧庁長官に念のためお聞きしますが、食糧庁の研究所においては、この病変菌の人体に及ぼす影響について、統一的なといいますか、一応の結論が出ているのですか。
  102. 清井正

    政府委員清井正君) 食糧研究所において一部研究いたしておりますが、これは、ただいま厚生省の方から申しました研究の中に入って、一緒にやつているのでありまして、食糧庁だけの結論はまだございません。
  103. 山田節男

    委員長山田節男君) これはおそらく各委員とも御異議ないと思いますから、私から申し上げますが、こうしてもう、今年の二月現在で十五万二千トンの滞貨米があって、倉敷料にしても月間何千万円という倉敷料を払っている。これは実際、農林省厚生省と、そういう融通ができるかどうか知りませんが、今の楠本君の言われるような、動物実験をしなければならんので年月を要する、これはもちろんだと思いますが、一方で予を多少算増加すれば何とかなるのじゃないか。もっと時間的に短縮できるのじゃないか。当委員会としても、十五万トン余のいかんとも処理しかねるものが、いたずらに、倉敷料だけでも莫大である。二月の末で三億七千万円という倉敷料で、そうすれば、一カ月の倉敷料を払つても、厚生省としては相当もっと時期を早めるようにすることができるのじゃないか。これは食糧庁と厚生省と、お互いに責任を転嫁し合うということは、いたずらに、一つ政府でありながら、かような国損をますます多くせしめるということは、われわれとして黙視できないと思います。これは大臣にも申し上げたいと思いますが、幸い今日食糧庁長官もおられるし、楠本君もおられるのですから、で、本委員会がこの問題についていかに真剣に考えておるかということを十分一つ御認識願ったことと思いますから、かような点を十分一つ上司にも伝えられて、こういう、日に日に国損を重ねるというような経済的な損害を一日も早く解消したい。これは当委員会あげての熱望であるから、その点を一つ、とくとお帰りになったら上司にも相談されて、何とか一つ食糧庁も責任のある問題ですから、予算的な措置で何とを援助するような方法考えてでも、一日も早くこういうような窮地を脱するということが必要だと思います。この点も重ねてお願いしたいと思います。  なお野本委員からの御提案でありましたか、動議でありましたか、厚生省の病変菌に対する二つの見解について聴取したらばどうかという御意見でございます。もとよりこれは、委員の中には医科学の専門家もおられるかもしれませんけれども、医科学者でないわれわれとして、聞いて判断することができないのでありますから、いずれ委員会等に諮りまして、必要があればまた厚生省にお願いして、対立した見解をお聞きするかもしれません。この点は一つ御了承を願いたい。
  104. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 委員長の今言われたそれぞれに対する御注意と御希望、私はもう同感です。しかし今聞いていると、あと半年は少くともというのですね、金を増しても、動物の数を増すとか何とかのことをやつてもですよ、それは実際ある程度、少しは縮めることができるにしても、これはおそらく、生理学者の観点からいえば、必ずしも時間的にはそう縮められるものでもないのじゃないかと思われるのですが、それにつきましては、先ほど私は、自分の端的な希望というか、意見を申し上げたのですが、この問題をあと半年あるいはさらに延びるということになりますと、倉敷々々ということで、もちろん倉敷だけで大変なことですが、九十億をこえるような、金利なんか考えてみた場合には、これまた相当な損失なんです。でありますから、私は今委員長の言われた御希望にあわせて、一つ皆さんの御了解をいただいて、会計検査院において、そういった長い期間相当かかるということもおよそ考えられるのでありますから、これをさらに損をしない形において適当に処理するという問題についても、検査院が事前検査的な意味合いをもってその点御相談をなさるという問題も、検査院として御研究おきをいただきたいという、この問題を一つ私はお願いしたいのです。
  105. 山田節男

    委員長山田節男君) どうですか、今三浦委員の御意見ですが、会計検査院の方においても、科学的な結論というよりも、全体的にこれをいつまでも放置していいかどうか、これをいかにしたらいいかという問題です。国損を少からしめる意味において、もし研究の結果一つのまとまつた御意見が出れば、当委員会にその勧告案として御提出願えれば、いい参考になると思うのです。実は食糧庁としまして重要な監査機構、監査実績等につきまして、伊達監査課長も来ておられまするし、いろいろと質問さるべき点もあると考えますが、時間が今日ございませんので、ただいま岡委員からの動議にもありましたように、本問題につきましては、まだ質問相当残つております。それから今日各委員から要求された資料の提出等もございますので、本日は一応全般的な問題についての質疑は……、以上申し上げました残つておる問題については、いずれ次の会議においてこれをやる、かようにいたしたいと思いますが、そのことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 山田節男

    委員長山田節男君) それでは、昭和二十八年度の決算農林省所管のうちの食管特別会計の部、すなわち今日御審議願いました決算報告批難事項の千八百五十八号から千八百六十四号までの質疑は一応終了いたしたことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 山田節男

    委員長山田節男君) 御異議がないようでございますからさように取り計らうことにいたします。  本日の決算委員会はこれをもって散会いたします。    午後五時二十八分散会