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1955-06-01 第22回国会 参議院 決算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月一日(水曜日)    午後一時五十三分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山田 節男君    理事            青柳 秀夫君            谷口弥三郎君            野本 品吉君            岡  三郎君            中川 幸平君    委員            大谷 瑩潤君            西川彌平治君            白井  勇君            白波瀬米吉君            宮田 重文君            飯島連次郎君            島村 軍次君            近藤 信一君            小林 亦治君            市川 房枝君   国務大臣    厚 生 大 臣 川崎 秀二君   政府委員    厚生大臣官房会    計課長     堀岡 吉次君    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生省医務局長 曾田 長宗君    厚生省社会局長 安田  巌君    厚生省保険局長 久下 勝次君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    厚生省公衆衛生    局環境衛生部長 楠本 正康君    厚生省引揚援護    局援護課長   大崎  康君    会計検査院事務    総局検査第二局    長       上村 照昌君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和二十八年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十八年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十八年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)     —————————————
  2. 山田節男

    委員長山田節男君) ただいまから第十一回決算委員会を開会いたします。  昭和二十八年度一般会計歳入歳出決第、同じく特別会計歳入歳出決算、同じく政府関係機関決算報告書議題といたします。  本日は厚生省所管の部を審議いたします。厚生省からは、川崎厚生大臣のほか、山口公衆衛生局長安田社会局長曽田医務局長堀岡会計課長、なお、会計検査院側からは上村検査第二局長が見えております。  まず川崎厚生大臣に御説明をお願いいたします。
  3. 川崎秀二

    国務大臣川崎秀二君) 昭和二十八年度厚生省所管事項につきまして、決算報告批難されましたる事項は、補助金等経理予算経理及び不正行為等についてでありますが、これらはいずれも会計検査院指摘通りでありまして、まことに遺憾に存ずる次第であります。補助金等効果的使用精算の的確な処理につきましては、極力努力をいたして参ったのでありますが、今後とも一そう指導監督に努め、このような指摘を受けることのないよう十分注意いたします。また予算不当経理及び職員の不正行為につきましては、従来とも機会あることに厳重な注意を与え、その指導監督に留意して参ったのでありますが、かような批難をこうむる事態が起りましたことは、まことに遺憾に存ずる次第であります。今後さらに一そう事務監督及び取扱いを厳にするとともに、会計監査を励行いたしまして、この極事故等の絶滅に極力努力いたす所存であります。なお、厚生保険特別会計及び国立病院特別会計に関する財政健全化等につきましては、御要望の趣旨にかんがみ、適切な対策を講ずるよう善処いたす所存であります。
  4. 山田節男

    委員長山田節男君) 川崎厚生大臣衆議院予算委員会の方へもおいでにならなくちゃならぬそうでありますから、まず厚生大臣に御質問のある方は御質問をお願いいたします。  委員長から厚生大臣にちょっと質問をいたしますが、これは御承知のように、厚生大臣特別会計をも持たれてこの膨大国費を使う立場にあるわけです。従来の厚生省監査機構並びにその監査の結果等を見まするというと、これほど膨大予算を執行する省としては、監査に対する機構が非常に貧弱である。しかも能率はおびただしく上っていない。かような印象を得るわけでありますが、厚生大臣として今御説明もありましたような御趣旨で、従来よりももっと監査事務能率を上げ、効果的ならしめるということについて、何か具体的な御意図があれば、この際御説明を願いたいと思います。
  5. 川崎秀二

    国務大臣川崎秀二君) 今日ただいまただちにこれに対して具体的なる、機構膨大にするとか、あるいはあらためて組織を作るというような考え方はただいまのところは持っておりません。しかしながら厚生省所管予算につきまして、その施行が非常に各般にわたりまして、かつ膨大であるということは、委員長の御指摘通りでありまして、その意味では今日まで指導監督に留意はいたしてはおったものの、かような批難炉起りましたのでありますから、これに対処する具体策としては、今後において十分に従来の機構を動員するとともに、もしそれで足りないという場合に立ち至りましたならば、善処をいたすつもりでございます。
  6. 山田節男

    委員長山田節男君) この厚生省から提出されました、監査機構並びに業務実績調というのを見ますと、厚生省においての監査大臣官房会計課、それから医務局社会局保険局、こういったように尚部課に、その職場々々に応じて監査をやらせる、こういう建前になっておるわけです。これも御承知でありましょうが、この国会における決算委員会が非常にやかましいということではなくて、各官庁において自発的に綱紀粛正ということをやるからには、もう当然この会計監査事務監査というものは常時不断に行わなくちゃならぬわけです。しかもこれは大臣承知通りに、あらゆる種類の社会保険が、保険経理において赤字を出しておるということは事実であります。また生活保護関係にしましても、これまた年々莫大なる金を費やさなければならない。これは御承知のように、すべて社会保障的な国家予算支出については、これは各国ともいわゆる乱給の弊害を及ぼし、それがために国民の道義をを頽廃せしめ、これはきわめて厄介なものであります。そういったようなものをあずかる厚生省としまして事務監査会計監査に対する機構が、あまりに今日これは幼稚じゃないか、かように印象を受けるわけでありますが、今の大臣の御答弁ではまだ何ら具体的な案をお持ちにならない、これはまことに私どもとして遺憾です。過日新聞においてスポーツ局を新設するというだけの抱負を持たれる大臣としては、同時にやはり会計監査においてはよりよく厳粛、厳重であり、シビヤーであるべきではないかと思う。これも政府委員の方からまた具体的な説明も承り、質問もいたしますが、今の大臣のお言葉では厚生省としての監査に関して少しなまぬるいのじゃないか、こういう印象を受けるのですが、もう一度大臣の所信をお伺いしておきます。
  7. 川崎秀二

    国務大臣川崎秀二君) 私は率直に今日この監査機構膨大にするという考えはないということを申し上げたのでありまして、具体的に考えておらないということは、つまり機構上の今日の組織よりもさらに膨大という言葉が当りますかどうかは存じませんけれども、そういう意味で申し上げたのでありまして、監査を厳重にするための組織的な活動を従来より一層きびしくするということの意味においては、委員長の御指摘通り進みたいと思っておるのであります。現に昨年以来一年半にわたりまして問題になっておりまする赤字財政の問題は、現内閣責任部面も多少はありましょうけれども、従来の行政があまりに放漫であったということについての非難は各方面から受けておりますので、今回の健康保険赤字財政については就任以来苦慮いたし、同時に収納率の引き上げあるいは保険監査という問題に対しまして、あるいは一方からは監査がきびしすぎるというようなことが非難をされるような傾向をも生んでおるのであります。ことに本年二月鶴見前厚生大臣の末期から監査を非常にきびしくするように御訓令があったそうでありまして、これを受け継いで立もましたる私といたしましては、前厚生大臣方針をさらに一層強化いたしまして、少くとも保険財政等の面におきまして不正事項その他がないようにいたしたいと考えておる次第であります。現に私の直接の監督下にはありませんけれども、東京都においては甘々新聞をにぎわしておりまする汚職事件簿も進展をいたしまして、これは昨年の前期におきまする事件ではありまするけれども、きわめて重大な関心を持って眺めております。従ってひとり保険財政のみにとどまらず、他の部面におきましても会計検査院指摘をせられましたような補助金経理予算経理及び不正行為についての批難につきましては十分に考えまして、現在の組織機構をもって一応きびしく監査をいたしまするとともに、将来もし今の監査機構では足らぬということがありますれば、行政機構は、今日は内閣の大方針といたしましては機構を次第に縮小整理をするという方針ではありまするけれども、御注意の道に向っては善処をいたす所存でございます。以上委員長の御指摘を十分に体しまして、今後の対策をきめようと思っております。
  8. 山田節男

    委員長山田節男君) ほかに御質問
  9. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 大臣にお伺いしたいのでありますが、福能文補償金がアメリカから来ておるということですが、今日まだそれが被害者にわたっておらないという話を聞いておりますが、その後の状況に対して大臣のとられる処置を伺っておきたいと思います。
  10. 川崎秀二

    国務大臣川崎秀二君) 政府委員より述べさしていただきます。
  11. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) 福龍丸補償金につきましては、厚生省所管のものといたしましては、船員保険におきまして、福龍丸船員の治療に当りました費用、これを厚生省に、受け入れる、これは船員保険特別会計並び厚生省国立病院において治療した費用というものに充てるということになっておりまして、その点はすでに受け入れ済みでございます。厚生省関係としては、先般日にちははっきりいたしておりませんが、受け入れ済みでございます。
  12. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 それではもう一つ承わりたいのですが、黄変米厚生省の方でつき直して配給されるという話を聞いておりますが、これに対する衛生上の保障は十分立ち得る手段が講ぜられておるかどうかお尋ねいたします。
  13. 川崎秀二

    国務大臣川崎秀二君) これは私十分承知をいたしておりますので、詳細に御答弁申し上げます。本年の二月の末でありましたか、黄変米処理に対しまして、厚生省としては昨年から食品衛生調査会にこの化学的研究をゆだねておったわけであります。二月の末に答申が出まして、これをつき直せば無害であるというような結論学者の間に出たのであります。この学者には、東大の、いわゆるこの問題を大きく国民関心をそそる問題になりました動機を作りました学者のいわゆる反対意見を持っておる者も一部入っていただきまして、その結果、満場一致で出た結論でありますから、学的な研究としては、われわれはこれを厚生大臣諮問機関として諮問をいたしましたに対する答申でありまするから、尊重はいたすことにいたします。しかし配給するということの問題になりますると、これはたとえ無害である、有毒ではないということの結論がつきましたにしても、すでに国民に相当心理的な影響を与えておる問題でありまするし、またたとえ希望者があるにいたしましても、この希望者配給をするということはいかがなものであろうかという二つの意見をつけまして、厚生大臣といたしましては、数次の閣議並びに閣僚懇談会において、農林大臣に対し、すなわち配給責任大臣である農林大臣に、厚生省としてはああいう学者答申を得ておるけれども、しかし保健衛生建前からして配給については慎重に取り扱ってほしいという旨を申し述べたのであります。しかるところ、河野農林大臣は、部内におきましては配給をしたいという一部の意見もあるそうでありまするが、全般的な政治配慮のもとに、今後黄変米はあのままの形では、たとえばつき直しても、いわゆるお米としては配給をしない、将来加工して他のものに用いることがあっても、配給をしないという方針を一昨日の衆議院農林委員会でありますか、あるいは予算委員会でありますかに答弁をいたしておりますので、私としては農林大臣配給の実権を握っておりまするけれども、それに至る経緯につきましては、保健衛生建前から直接勧告をいたした筋もありまするので、これは願ってもなき仕合せであると思いまして、大体黄変米の問題はそれをもって一応のピリオドが打たれたものと思っておる次第でございます。
  14. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 もう一つ承わりたいのは、先年来、国立病院地方移譲方針で事が運ばれておったそうですが、これは御承知通り予算を伴うことで、その後の状況に対しまして、大臣としての御所見と将来の御決心を承わりたいと思います。
  15. 川崎秀二

    国務大臣川崎秀二君) 国立病院地方移譲につきましては、その後地方側受け入れ態勢もなかなか整わず、また財政上相当大きな経費もかかり、現実に即して進まなきゃなりませんので、今日のところ国立病院を大幅に地方移譲するという方針はないのであります。以上お答えいたしますが、なお足りなければ政府委員から答弁をいたさせます。
  16. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 もう少し詳しく承わりたいと思います。
  17. 曾田長宗

    政府委員曾田長宗君) 御承知のように、一昨年及び昨年度度におきまして、十カ所の国立病院地方移譲いたしました。それ以上に移譲を遂行するということにつきましては、いろいろ無理があるというふうに考えまして、強行いたさなかったのであります。ところが本年の三月三十一日をもちまして、この国立病院移譲に伴いまして、国有財産処理に関する特別の法が定められておりましたが、この期間も切れましたので、昭和三十年度におきましては、実際問題といたしまして、私どもといたしては予定をいたしておるところはございません。しかしながらこの年度に至りまして、こちらから特別に移譲を推進しないというような意向が地方に伝おりましたところ、地方からは数カ所移譲を考えてもらえないかというような話が若干出てはおるのであります。しかしながら私ども今までこちらから持ちかけましたときに、いろいろ無理だ、引き受けられないというようなお話であり、それももっともな理由があるというふうに思っておりました。今度若干そういうように、あるいは引き受けてもいい、引き受けたいというようなお話のあるところがございましても、これについては慎重に考えなければならぬ、軽々しく移譲するというわけにもいかないというふうに考えておるわけであります。率直に申し上げますれば、私どもの方として、移譲を予定いたしておるところは今のところございません。しかし今までの経緯がございますので、一応移譲可能性というものだけはふさがないようにしておくことが適当であろうというようなところから、本年度予算には千八百万円くらいと思いましたのですが、そのくらいのものが一応予算の案には組んでございますが、これは決して私どもの方に一つ見通しがあってという意味ではございません。いわば今申し上げましたような事情に応ずる措置として組んだ次第であります。
  18. 山田節男

    委員長山田節男君) 大谷君ちょっと。今衆議院予算委員会の方から質疑者厚生大臣出席を待っておられるという情報が参りました。御質問大臣に対する御質疑ですか。
  19. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 もう一つだけ。引き揚げの問題に対する見通しにつきまして大臣の御所見を承わりたいと思います。
  20. 川崎秀二

    国務大臣川崎秀二君) 引き揚げの問題は、重要な問題でありまして、中共ソ連にはなお相当な在留同胞が残っておることは、はなはだ遺憾といたしておる次第であります。これは従来は政治の及ばない力を赤十字などが発揮をしてくれまして、非常に引き揚げ努力をしてくれ、また政府としても今日までこれと対応しつつ事を運んで参ったのでありますが、幸いにいたしまして、ソビエトに対するところの新たなる国交打開の動きも御承知のごとく起り、本日からはロンドンにおきまして、松本全権マリク全権との間に日ソ交渉の本格的な皮切りもできようという段階に到達をいたしましたので、その際、政府といたしましては、まず何よりも第一に、抑留同胞引き揚げの問題を第一の議題とし、優先的にこれを取り扱って、従来きわめて不明であった在留同胞の数を把握するとともに、行方不明者の消息についても的確なる資料を得、迅速に引き揚げをいたしたいという決意であることは御承知通りであります。厚生省といたしましては、この内閣基本方針とも即応いたしまして、引き揚げの問題に対し、日ソ交渉第一の皮切りといたし、また中共に対しても、多少政治的な立場中共ソ連とは違いまするけれども、これに準じまして引き揚げの問題は迅速に促進いたしたい。私ども所存では本年度中には大体の引き揚げを完了するくらいの気がまえをもって当りたい、かように存じておる次第でございます。
  21. 近藤信一

    近藤信一君 先ほどの大谷委員質問に関連しますが、大臣から黄変米の問題について、これは一般的な食糧としては配給しないで、政府としては加工をして配給するというような御答弁があったのであります。しからばその加工政府が直接加工して黄変米処置をするのかどうか、もしそれを加工回わして販売した場合、黄変米による赤字は一体どのくらいになるか、この点を承わりたい。
  22. 川崎秀二

    国務大臣川崎秀二君) 大へん的確な御質問ではありますけれども、私が答弁をいたす範囲に属しないものと思うのでございます。御承知のごとく、配給並びにこれに代わる措置といたしましては、すべて農林大臣所管でございまして、その農林大臣も今日のところ、黄変米を米として原形のまま配給する、あるいは再搗精して米として配給する意思はありませんということを答弁したまででありまして、第二の処置として、あるいは加工をして配給することになるかもしれませんけれども、それはなお考慮中である、こう答弁をいたしておりまするので、非常に適切な御質問ではございますけれども、私からは答弁いたしかねることを御了承願いたいと存ずるのであります。
  23. 岡三郎

    岡三郎君 関連して。これは厚生大臣にお願いということになると思いますが、従来輸入した黄変米を非常にストックしておる。これをどう処理するか、これは一昨年、昨年と決算委員会においても問題化しておる。それで、ともすると、厚生省の方では、それの滞貨の実情にかんがみてでもあるかもわからないが、無毒であるというようなことから、これを食べてもいいのではないかというふうに楠本さんあたりも盛んに言われておったと思います。医学的の立場から見てあるいは厚生省の言うところも正しいかもわからないけれども、しかしそういうふうに食べてもよろしいという論が出ると、また一方において、そういうような状態でないというきつい反駁論も出ておる状態です。そういう状態にあるので、厚生省としてはこの問題を先ほど大臣が言うたように国民気持といいますか、こういった精神的に与えるものが相当あるので、軽々にこれを食べていいと言っても、なかなか納得できない問題であるので、こういう点については十分今後慎重にやられるように、特段お願いしたいと思うわけです。それだけお願いしておきます。
  24. 川崎秀二

    国務大臣川崎秀二君) 御指摘の点は十分に体していきたいと思います。先般厚生大臣諮問機関である食品衛生研究調査会答申をしたというだけでも、あれほどの波紋を巻き起して、いかにもあれが配給をしてもいいのだ、配給をすることを原則にこの結論を出したような印象を一部与えたということは、はなはだ遺憾でありましたので、あの翌日私は事務当局を呼びまして、実は内輪の話ですが、もう過ぎ去ったことでございますが、当時はあれは次官決裁で一応したのであります。それで楠本君に、これは次官決裁で一応すべき問題ではない、これはどうしても私の耳に入れてもらわなければいけなかったと言いまして、自来黄変米処理の問題は、ことごとく私が直接聞いて、細かい配慮をいたしておるような次第でございます。仰せのことはごもっともでございます。先ほどの委員の方から御注意がございましたように、財政的にもあれはたしかやめますと、全部やめて何にも加工品にも使わないということになると、百十二、三億の損失にもなるものですから、一部の実際財政状況を知っておる官吏の中には、そういう点から何とかほかのものに振りかえたいという気持もあるようであります。しかし農林大臣ども、やはりそのことよりも政治的配慮のほうに重点を置かれまして、一切原形のまま、もしくは再搗精しても、米としては配給をしないという方針を打ち出されたのでございますから、厚生大臣としては、それ以上に保健衛生建前からこまかい配慮をすべきだと思いますが、ただいまの御注意は十分に承わりまして善処いたします。
  25. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 黄変米の問題について私も一言これは大臣に御注意申し上げておきたいと思います。それは大臣諮問機関からああいう答申があると、直ちにこれを追いかけて新聞で報道されておるごとくに、必ずしもあの結論に対して全面的な賛成ではない、むしろかなり一部では積極的な反対意見すら出ておる。私はせっかく国費を使ってあれだけ大きな調査機構を設けてやった結論に対して、まだ甲論乙駁するような情勢にあるということを非常に私どもは遺憾に考えるのであります。なぜこの点を特に私は大臣にしつつこく言いますかと言いますと、昨年私どもがビルマ、タイ等に参りまして、この問題を中心にしていろいろ調査もいたしましたが、この学問的な研究の不足が、あの外米を輸入するについての日本の外交上の不備、あるいは弱体をかなり私は表面化しておるように感ずる点が少くなかった。どうしてもこれはもう少し科学的に明確な根拠に立たざる限り、黄変米の今後のあとを絶つということができないという対外折衝上の理由もありますから、国内に対するああいったせっかくの結論でもあるにかかわらず、これを反駁する学問的の議論がいまだに内燃しておるということは、いかにも私は日本研究というか、学問というものの不統一、しかも政府中心となっておるにもかかわらず、新聞発表すれば、直ちにこれに対する反論が出るという実情は、私は少くとも国と国とが正式に外米輸入をめぐっての折衝をする場合には、依然としてこういう弱みが除かれないというか、そういう弱点をつかれるという危険を三たび繰り返すということになりますので、私は特に大臣にこの点を十分一つ注意していただいて、少くとも公けに発表する限りは、中からああいう反対論が出ることのないようにしていただいて、少くとも日本のこの問題に対する限りは、あるいは東南アジアの諸国に対しても、れっきとしたよりどころのある、これは権威のある調査結果であった、研究結論であったということを一つしっかり御指導願いたいと思うのであります。これが国内、国外に対する影響が大きいだけに、私はああいう不統一結論を出され、そうしてまた右顧左眄することがなからぬことをこいねがって、この点を特に私は大臣に強くお願いしておきたいと思います。
  26. 山田節男

    委員長山田節男君) それでは川崎厚生大臣に対する質疑は一応打ち切ることといたします。  続いて会計検査院側説明を求めます。
  27. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 二十八年度検査報告厚生省関係を掲記いたしましたのは、補助金等経理に関するものが五十八件ございまして、そのほかに保険給付の不適正なもの、架空経理、犯罪の作合わせて六十二件になっております。  補助金等に関しますもののうち結核、性病及び法定伝染病等予防事業に対する国庫補助金に関しますものが二十九件ございまして、これらは国庫補助精算に当りまして、事業に伴う収入を差し引く場合に、その措置がとられておられなかったり、あるいは補助の対象とならない経費が含んでおるような事態から起っておるものでございます。  次に八百九十七号から九百十八号まででございますが、国民健康保険事業に対する国庫補助でございます。このうち助成交付金振興奨励交付金再建整備資金貸付金等は、いずれも交付します場合に、まず該当するかしないかという条件がきまるのでありまして、さらに条件に該当します場合に、幾らほど交付できるかという算出形式がございまして、それに基きまして交付されたものでございますが、その基礎になっておる事実に間違いがありましたために、超過交付になったもの、及び施設等の補助金で、設備をしていないのに、しておるというふうに精算書を作って出ておったために、補助額を返納する事態が起っておる案件でございます。   〔委員長退席、理事青柳秀夫君着   席〕  なお、このうちで八百九十七号、八百九十九号、九百十二号、九百十三号につきまして検査院で調べました返納額と、厚生省の方のお出しになっております説明書との金額にくい違いがございます。具体的に申し上げますと、厚生省の方が少くなっておるわけでございますが、その点につきましては、検査いたしまして検査報告を出したのちにおきまして、厚生省で調べられまして、新たな事実に基きまして厚生省でお出しになっておる金額で間違いないということを確認しておりまするが、この点一つ御了承願いたいと思います。  次は、水道事業でございます。これは九百十九号から九百二十五号まででございまして、そのうち上水道施設災害復旧事業補助金につきましては、その精算に当りまして過年度において施行済みの工事を基本額に入れたり、あるいは被害がないのに補助金が交付されたというような事態が返納を要するものでございまして、次の簡易水道九百二十四、九百二十五でございますが、簡易水道災害復旧事業補助金につきましては、事業を中止された等のために返納を要する事態になっているものでございます。なお、簡易水道災害復旧事業補助金は、御承知のように昭和二十八年法律第二百十六号に基きまする補助金でございまして、簡易水道が水害によりまして被害を受けた場合に、その施設等が復旧困難でありまして、公衆衛生上支障がある場合に交付するものでございますが、実際これを交付しておられるものにつきましてみますると、水質の汚染という事態に対して交付されておるものが相当あるわけでございますが、これらの分につきましては、百四十七ページに記載してございますが、五十九件のものにつきましては汚染しておるということはその後明らかではございますが、災害と因果関係があるかどうかという点が必ずしも明確になっておりません。と申しますのは、施設その他はもちろん被害があるわけではございませんで、水質の汚染でございまして、ものによりましては災害前に水質を調査されるということも、これはなかなか困難で、実際問題の扱いはなかなか困難とは思うのでありますが、中を見てみますと、汚水等の入るような川からすでに飲料水をとっておったような事態で、前とあとと災害関係でどういうふうにかわったかという点について、はなはだ疑問のある事能が、ここに記載しておりますように五十九件に上っておるわけでございまして、これらにつきましては、これが特殊立法ではございますが、今後かような事態につきましては、十分その点について配慮をして、便乗等の事態の起らないようにやっていくべきではないか、かように考える次第でございます。  なお、補助金等につきまして百三十六ページのところに書いてございますが、生活保護が御承知のように保護費関係が相当厖大な経費に上っておりまして、これを検査院として検査するということは相当実情困難ではございますが、生活保護を適正にすると同時に、不必要な保護給付等につきましては、これを取りやめ、経費を有効的に使う必要があるのではないかという考え方から、一部調査いたしました結果、生活保護をいたします場合に、医療給付等におきまして保護を受ける当人の収入等は十分これを考慮した上で決定することになっておりますが、その考慮が必ずしも十分でなかった事態、あるいは、看護婦がつき添います場合に、一人で数人につき添っているという事態に対しまして、そのつき添った一人に数人分の看護料が支払われておるというような事態もございまして、生活保護費の適正及び必要な生活保護を十分やっていくというために、かようなものについての監督を十分やっていくというような面について考慮する必要があるのではなかろうか、かように考えているわけでございます。  次は九百二十六号の保険給付でございますが、先ほどからお話がございましたように、厚生保険特別会計赤字のような事態でございますので、果して保険給付が適正に行われているかどうかという点について抜き検査をいたしたわけでございまして、検査をいたしましたものは受給者が七千二百十四名についていたしました結果、百一件、不正受給といたしましては八百十八万余円になっているわけでございます。これでごらんになればおわかりになりますように、一番大きい不正受給の原因は、事業主との使用関係がないのに療養の給付をしたもの、これが八百余万円のうち五百八十余万円に上っているのであります。これらに対しましては受給者の資格を十分検討することが最も肝要であろうかと思います。この点につきましては、健康保険法等の改正もございまして十分やることにはなっているわけでございますが、現在の厚生保険特別会計の現状にかんがみまして、十分にこの点に留意される必要があるのではなかろうかと、かように考えているわけでございます。  次は九百二十七号、国立旭川病院の架空経理でございます。これは石炭代の名義で出しました金のうち七百九十八万余円を諸会議費、接待費、専門医を招聘する経費等に使用されている事態でございます。これにつきましてはまず考えなければならぬと思いますのは、石炭代が余って架空経理が起ったという事態から考えまして、予算の適正配付ということをまず考えるべきではなかろうかということと、それから使われました経費の内容を見てみますと、会議費、交際費等も相当ございますが、これらについては予算の許す範囲にとどむべきでありまして、またその他病院としてはやむを得ざる経費と思われる面もございますので、こういう点については十分留意して、他の経費で節約できるものはもちろんその面で考慮し、どうしてもいかないものにつきましては予算配付をする際等におきまして相当考慮して、架空の経理をなされないようにすることが望ましいのではないかと、かように考えております。  次は九百二十八、九百二十九の不正行為でございますが、この点については書いてある通りでありまして、特に補足して説明する点はないと思います。
  28. 青柳秀夫

    ○理事(青柳秀夫君) 御希望があれば厚生省側からの御説明を願いたいと思いますが、いかがいたしますか。——それではただいまから御質疑をお願いいたしまして、その間また質疑に応じて厚生省側のお話を伺いたいと思います。御質疑を願います。
  29. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 それでは、厚生保険特別会計赤字は二十九年度でどれだけぐらいになりますか。その額と、もしそれを解消するのには政府としてどういう措置をとられるか伺いたいと思います。
  30. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) 私からお答えを申し上げます。昭和二十九年度における厚生保険特別会計健康勘定の収支の見込みを申し上げます。まず収入の面でございまするが、保険料収入が三百八十六億七千九百十三万円、別に積立金の収入が十八億ございます。これは前年度以前にこの勘定に剰余を生じましたので別途積み立てておきました金を繰り入れて充当をいたすものでございます。これに雑収入を二千四百八十六万一千円加えまして、収入合計四百五億三百九十九万一千円の見込みでございます。これに対しまして保険給付費は四百三十五億六千八百八万二千円でございまして、このほかに予防的な事業をやっております関係で、業務勘定に繰り入れておりますものが九億百七十二万八千円、雑支出三千二百万円を加えまして、支出総計は四百四十五億百八十一万円と相なる見込みでございます。従いまして、差引約四十億円の赤字昭和二十九年度に生ずるわけでございます。これも先ほど申し上げましたように、積立金よりの収入十八億を加えましての数甲でございまするので、二十九年度限りの収支で申し上げますと、四十億にプラス十八億、すなわち、五十八億円の赤字ということになるわけでございます。  そこで、この四十億円の赤字措置につきましての御質問でございます。これにつきましては、医療費、その他保険給付費の支払いを今年度におくれまして決算をするような建前になっておりますので、昭和三十年度におきましてこの処理をいたすことを考えて、ただいま国会の方に予算が提出せられております次第でございます。言葉をかえますると、この赤字の二十九年度赤字約四十億円につきましては、昭和三十年度予算において処理することにいたしてあるのでございます。  そこで、簡単に昭和三十年度予算の大綱だけ申し上げることにいたします。まず収支を見込んでみますると、相当行政措置によりまして支出の抑制をいたしましても、昭和三十年度だけで約六十一億円の赤字が生ずる見込みでございます。そういたしますると、前年度の四十億と合わせまして、約百億円の赤字が生ずるということになるわけであります。そこで、これに対しましては、一般会計から十億円の財政援助を得まして、これは予算上一般会計からの繰り入れとして計上してあるわけであります。なお、六十億円は長期資金の借り入れを予算に計上いたしておる次第でございます。別途、この六十億円の借入金につきましては、特別会計法の改正法律案も本国会に提案されておるのでございまするが、昭和三十一年度以降六カ年にわたりまして一般会計からの繰り入れ金によって弁済をする計画でございます。かようにいたしまして、結局、約百億の赤字のうち七十億円は国の一般会計の援助によりまして解消するという見込みでございます。残りの三十億につきましては、現行健康保険法の法律の範囲内におきまして、保険料率を千分の五だけ引き上げまして、約二十五億七千万円の収入を見込む。それから標準報酬等級改定によりまして、四億余円の収入増をみまして、合わせて収支のバランスをとるように予算措置を講じ、またその裏づけとなる法律案の改正を御審議を願う段取りになっておる次第でございます。
  31. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 公衆衛生施設災害対策費の簡易水道施設の災害復旧及び施設補助金に予備費から相当の金が出ておりますが、そして、やはり、翌年度に繰越金もあるわけですね。その辺のいきさつはどういうものか御説明願います。
  32. 楠本正康

    説明員楠本正康君) お答えを申し上げます。簡易水道は一昨年災害のありました折に、特別立法といたしまして災害対策として実施をいたした分がございます。なお、そのほか平年度補助事業といたしまして、一般簡易水道を従来実施して参っておるわけでございます。ただ、特別立法といたしまして、災害対策として実施いたしました分につきましては、補助率に差等があるわけでございます。従いまして、災害関係の特別立法関係の簡易水道につきましては、御指摘のように災害でございまするので、むろん、予備費から支出をいたしております。ただ、御指摘のごとく、この予備費支出の緊急のものをなぜ繰り越しをしたかという点でありますが、これはまことにごもっともでございますが、ただ、御承知のごとく、一昨年の災害特別立法の施行につきましては、実施の地域が政令によって指定される関係になっております。ところが、この地域指定が著しく予定よりもおくれまして、一番おそく指定を受けましたところは四月三日、すでに新年度に入ってから指定を受けたというような事情がございます。かような指定がおくれました関係並びに設計土のいろいろな監査その他によりまして支出がおくれてしまいまして、やむを得ず繰り越しの措置をせざるを得なかったわけでございまして、これらの点はまことに御指摘のように、予備費から緊急を要する災害でありながら、事情はともあれ、おくれました分については、はなはだ遺憾に思っておる次第でございます。
  33. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 一般会計の繰越金のうち、特に戦傷病者、戦没者遺族等援護費の方で六億五千万円の繰り越しがありますが、これはどういう理由でこういう巨額な繰り越しを生じたのですか。これを一つ
  34. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) ただいま御指摘の年令関係の繰り越しでございますが、裁定が決定いたしましてから、遺族の取りにくるのが年度内におくれましたということと、それがまあ大部分の理由でございますが、若干通知が次年度におくれましたという次第で、繰り越しが行われた次第でございます。
  35. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 声が小さくて聞えませんが、もう少しはっきり。
  36. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) 年金の裁定をいたしまして、その裁定に基きまして、遺族が取りに来るわけでございますが、その取りに来るのが年度内におくれたということのためによる部分が大部分でございます。なお、若干は裁定の通知が次年度にわたったというふうなことのために繰り越しいたしました分があるのでございます。
  37. 野本品吉

    ○野本品吉君 これは、二十七年度までは、だいぶ、戦傷病者、戦没者遺族援護の方はいわゆる百七十何億かの予算で遺族対策が行われておったわけですね、八年度からそれが恩給の方へ繰り入れられたんで、八年度は援護費が二十何億と私は記憶しているのですが、その二十何億の中で残りが六億、繰り越しが六億五千万というと、どうもそこら辺がはっきりしないのです。  それから今の御説明で裁定したけれども、取りに来る者が、それを受け取りに来るのがおくれるというのはこれはどうも私は常識ではちょっと考えられない。のどから手の出るほどほしがっている人たち、一刻も早く支給せよ、早く支給せよと言って、血の叫びをあげておる人たちが、それを受け取りに来るのがおくれているというのはちょっとわからんのですが、その辺の事情をもう少し……。
  38. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) 二十八年度の財源は、実は二十七年度からの繰り越しが四十億ございまして、それから八年度予算に上げましたのがお話のごとく二十八億でございます。それからなおお話にもありましたように、恩給費を移用いたしましてそういう措置を講じております。それが七十何億、合計二十八年度の財源としましては、百四十四億六千六百三十四万円というものを二十八年度のこの財源に充てておったのであります。  ところで、御指摘のあすにもほしいという金というお話はごもっともでございます。そのうちに裁定はどんどん進めておりましたが、国会等からもおしかりを受けまして、裁定を進めるにつきましては、できるだけの努力はいたしたのでございますが、それらの裁定につきまして、裁定の結果通知いたしますその通知について、これだけの金額のうち、その辺の事情をつまびらかにはいたしておりませんが、若干受け取りにくるのが年度を過ぎたという人があった。それからなおかつ裁定後の通知が年度にわたって御本人の手元へ、次年度以降へわたったという、そういうふうな関係等がございまして、甘四十四億のうち御指摘のような六億五十万円次年度に繰り越すというふうな次第であります。
  39. 島村軍次

    ○島村軍次君 今の受け取るのが遅れたという問題はお答えなかったようですが、事実問題として裁定があったら、裁定のしっぱなしなんですか。そして受領証でも持っていって受け取りにいかなければ受け取れぬのですか。私の聞いている範囲では、裁定の通知はあったけれども、半年ぐらい金がこない。県の世話課にいきますと、そうすると、裁定はあったが、本省の方に話してあるが金がこないと、こういうふうなことを言っているようですが、その間の手続きはどうなるんですか、その点をはっきりしておいて下さい。受け取りにくるのが遅れたというようなことははなはだどうもおかしいのではないかと思うのですが。
  40. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) 指定の郵便局に参りますというと、金があるとかないとかではございませんで、郵便局の方はその問題については立替え払いをすることになっておりまして、金がなかったとかあったとかいう問題で支払わないということはないと思います。お話の点は、裁定をいたしましてから諸般の手続きを経まして本人のところへ通知をする。通知をするのに若干の日にちがかかって、場合によっては年度を繰り越すようなことがあったというふうなことだと思っております。
  41. 島村軍次

    ○島村軍次君 私はそれを聞くのではないので、手続が——裁定があった、それも関連がありますが、受け取りにこないから遣れたのだと、こういうお話をされる。受け取りにくるまで、裁定があってからずっと放置してあるのか、それから郵便局というものに、たとえば裁定があって、どこどこの郵便局まで取りにこいという通知がしてあるのか。課長でなくても、関係の人でもよろしうございますがお伺いします。
  42. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) 所管課長の大崎援護課長から説明させます。
  43. 大崎康

    説明員(大崎康君) お答えいたします。  ただいま会計課長からお答え申し上げましたように、裁定をいたしましてから一カ月程度遅れてその当時はおりました。従いまして裁定をいたしましても、遺族の方は裁定通知を持ちませんと現金化できませんから、その間支払いが遅れたわけでございます。それからもう一つの原因といたしましては、遺族の方の中にはもちろん一刻千秋で現金にかえたいという人が大部分でございますけれども、たとえ当該年度内に通知を受け取りましても、若干受け取りにこられるのが遅くなる方もございます。従いましてその間繰越額が生じたわけでございます。
  44. 島村軍次

    ○島村軍次君 繰り越しの問題もさることながら、手続の問題を私は聞いているんです。通知がいきますね。通知がいったら——私の方は事実問題を話せといえば、私は話してもよろしいが、通知がきたけれども、まだ受け取らんというのです。その受け取らぬということは、だから取りにいかねば受け取れぬか、こういうことなんです。そうすると、現金というものの裁定の通知があったら、支払い命令官といいますか、府県なら府県の世話課へ全体の予算というか、そのうちの裁定のあったものについては、この総額において支払いを府県知事なら府県知事が委任されて、そしてその範囲において、府県知事から、裁定のあった何々のものは何日までに現金がきたから受け取れ、こういう通知がされるのかどうかということをお聞きしているんです。
  45. 大崎康

    説明員(大崎康君) お答えいたします。裁定通知書は、都道府県を通じまして遺族の方々に手渡すわけでございます。それからもう一つの支払いの関係は、これは郵政大臣が行うことになっておりまして、郵便官署でこれが取り扱いをなしているわけであります。
  46. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで、取り扱いの方法についてはわかりました——いや、方法というのは、所管官署というのはわかったが、そうすると、裁定の通知がいったが、そのものの受け取り方ですね。これは郵便局が扱うのか、郵便局が扱う場合には、裁定の通知をもらったが、郵便局から通知があるまで待たなければならぬのか、あるいは裁定の通りに受け取りにいくのか。私が知っているのは、裁定通知があってから、七、八カ月たってもまだどこからも通知がない。で、世話課にいって聞いたら、話してあるから至急にくるだろうというようなことで、どこへいっていいかわからんというような話を聞いたことがあるのです。それは一体どういうところに不備があるのか。つまり郵便官署にまかすということだけお話になったのでは、ちょっとわかりかねるのです。従って繰り越しの問題も、これは二十八年度のやつはそういうような手続上の問題から出た問題もあると同時に、二十九年度においても私はそういう問題がたくさんあると思う。その点を一つはっきりお聞かせを願いたい。
  47. 大崎康

    説明員(大崎康君) お答えをいたします。裁定通知書をもって郵便局に参りますれば、通常の場合——というと大部分のケースでございますが、郵便局において支払いをいたすことになっております。
  48. 島村軍次

    ○島村軍次君 しつこいようですが、裁定通知書と、自分の受け取りの判だけ持っていけば、郵便官署は、その裁定通知書によって直ちに支払う、こういうお話なのですね。ところがね、あわせてお聞きしますが、やはり郵便局というものは、いろいろなものを払うときに、郵便局の官署というものは所管がありましてね、あなた方現金におふれになったことはありませんでしょうが、所管があってですね、こういう裁定がいったからというので、こういうものについては、各人ごとの通知がいくものか。あるいは一般的に総額についての予算配付というようなものがあるのか。そういう点がどういう扱いになっておりますか。事務の方でけっこうです、課長でなくても。
  49. 大崎康

    説明員(大崎康君) 郵便局の方には別に支払い通知が普通参るわけであります。その支払い通知というのは、都道府県を通じまして、遺族の手に裁定通知書が渡ったとほぼ同じ頃に郵便局の方には支払い通知が別の系統から参るわけでございます。それが結局、遺族が裁定通知書を持ちまして郵便局の方に参れば支払うことになっておるわけでございます。
  50. 島村軍次

    ○島村軍次君 ところが裁定通知はあったが、支払い通知が半年もするのに来ない、こういう事実があるのですが、それは一体どういうわけですか。
  51. 大崎康

    説明員(大崎康君) そういうふうなことは一般にはないと私どもは考えておりますけれども、なお、そういうことがありましたならば、私どもで調べてみたいと存じます。
  52. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで私はこれが官庁間の連絡不十分の結果じゃないかと思うのです。ただいま支払いの方はこれは郵便局でやられるということだからというような簡単な考えであって、せっかくあの一日千秋の思いをもって受け取らんとする人が、遺家族の援護資金なんかの支払いはまことに数も多いということはわかります。数の多いということはわかりますが、非常に延びておるというのが現実なんです。それをもっと具体的に全体的にどういうふうな、二十八年度においてどう、二十九年度においてどうという数字はおわかりになると思うのです。もしそれが裁定通知は出したが、支払い通知が出ておらんというようなものがおわかりになるかならんか。あえてそれを追及するわけじゃありませんが、これがやはり国の全体の決算の上にも関係もし、繰り越しが多くなる原因だと思うのでありますが、私は希望を申し上げておきます。もしおわかりなるようでしたら、その具体的の問題はあとからでけっこうですから、一応お知らせを願いたいと思います。
  53. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) お話の点につきましては、ただいま詳細にいたしておりませんので申しわけございませんが、別途御通知、お返事申し上げたいと思います。
  54. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 これは会計課長でしたか、繰り越しが発生した原因が二つあるというお話でありましたが、そのほかにはありませんか。そのほかの事由はありませんか。裁定が遅れたということ、あるいは裁定をしたけれども受け取りに来るのが遅れて問題を起した、この二つの理由以外にはありませんか。
  55. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) その二つが理由と思っておりますが、先般来お話いたしました裁定通知と支払い通知とのズレというふうなことがありますれば、それが一つのあるいは原因になるかと思います。これらの点については先ほど申し上げたように、事実を調べまして別途御連絡申し上げようと思います。
  56. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それを加えても三つのおもな理由があるわけですね。そのほかにはありませんか。
  57. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) ただいまのところはそれらが原因と、こう考えております。
  58. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると残り六億五千万はすでにもう全部支出済みになっているわけですな。
  59. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) 六億五千万につきましては二十九年度に繰り入れまして、なお二十九年度には予算に計上しました三十二億円、そのほか恩給費を移用いたしまして二十九年度では百十九億程度ですが、この程度のものを支出済みでございます。
  60. 島村軍次

    ○島村軍次君 二十九年度の今決算はおよそ済んでおると思いますが、繰越額はどのくらいの予定ですか。
  61. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) 二十九年度から三十年度への繰り越しはただいまのところ十一億九千万円程度を考えております。
  62. 島村軍次

    ○島村軍次君 そうすると、先ほど飯島委員がお尋ねになりました六億五千万円の二十九年度の繰り越し額は、ただいま三つの理由によって事務の手続上遅れた、だからして一年を経過したのちですから、六億五千万円については全部完了した上で、さらに十一億九千万円の繰り越しが出た、こう解釈してよろしいのですか。
  63. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) 二十八年度から二十九年度に繰り越しました六億五千万円と、二十九年度から三十年度に繰り越し見込みの十一億円とは、中身はもちろん同一本人の分というわけではありませんので、予算的に二十八年度から二十九年度へ六億五千万円を繰り越し、二十九年度においては恩給費よりの移用等を加えました総金額のうち、なお十一億何がしを繰り越したということで、六億五千万円は一応二十九年度においては使ってしまったということでございます。
  64. 島村軍次

    ○島村軍次君 会計課長は一々六億五千万円が全部完済されておるというはっきりした御答弁はおそらくきょうでは御困難でしょう、事実上。それは官庁の仕事上、そういうふうなことがあり得るということは考えられるわけですが、しかしこの問題私は特にしつこく聞きますのは、ともかくも長い間の遺家族に対する資金というものは、ああいう経過によって初めて予算が可決されて、遺族の気持になってみますと、先ほども申し上げたように、まことに一日千秋の思いで生活に困難をしておるというようなものが非常に多いわけです。そういう場合に一般の事務と同じような考え方でなくして、もっとあたたかい気分で早く手続を運ぶという、その親切がほしいのです。これは私のお願いなんです。同時に官庁の仕事として支払い通知は出すのが当然でありましょうが、これはやっぱり官署が違いますと、もとは厚生省でお出しになる。しかし支払い通知はこれは郵便局の扱いになる。これもやむを得ませんが、もっと敏速に運ぶような内部連絡というものがほしいのじゃないか。これは金額の多少にかかわらず、今日の社会情勢から見てあるいは援護費の予算成立をみた点からみまして、もっと今のような点を強く会計課長みずから一つ陣頭に立って部下を指揮され、そうして郵便官署との間の連絡をとって敏速に運ばれんことを希望を申し上げます。
  65. 野本品吉

    ○野本品吉君 島村さんがだいぶお聞き下さったので、そう面倒なことをお聞きするつもりもないのですが、まあ今までのお話を聞いておると、裁定通知を出した、その裁定通知を発送したものがどういう状態において郵便局の窓口から払い出されておるかという実情については、厚生省としては調査あるいは連絡、そういうことはおやりにならないのですか。
  66. 大崎康

    説明員(大崎康君) お答えをいたします。両者間の連絡につきましては、裁定が進みますに従いまして、いろいろ御指摘のような点もありましたので、常に密接なる連繋をとっております。最近においてはそのようなことが絶無ということは、あるいはどうかと思いますが、ないというふうに私どもは信じております。
  67. 野本品吉

    ○野本品吉君 そうしますと、出された裁定通知書が、それがどのように結末がついているかということの実情を、厚生省としては絶えず把握されておるということですね。
  68. 大崎康

    説明員(大崎康君) 今日におきましては、裁定通知書を出しました後における支払いの遅延ということはないと考えております。
  69. 野本品吉

    ○野本品吉君 もう一つ、これは思うでは困るので、私は刻々発送された裁定通知書が、現実にどう結末がついているかということを把握されて、それに対してこれをさらに促進するとか、完全な処理をしていくようにすることが、厚生福祉というようなことを大使命としておる厚生省のこれは当然考えなければならないことである。そこで先ほど来お話しのありましたように、もしそういう事実があちらこちらにあるとしますならば、私はその結果の処理に対する把握が十分されておらないんじゃないか。だから思うという答弁以外に出ない、私はそう思うのですが、どうでしょうか。
  70. 島村軍次

    ○島村軍次君 これは言葉じりをつかまえるようですが、裁定のおくれた事実についても、私は現に何回も、私直接じゃなかったが、行ったが、このくらい書類があるんですから、あなた方がおいでになっても早くやるわけにはいきません、こういう応待なんです。それはまだいいとして、裁定通知がきて半年になってもまだもらっておらん事実は、私が今でも持って来て証明します。それでもなおかつそういうことはないと思いますということをはっきり申されますか。この辺で質問を打ち切りますけれども、それはもう少し主管課長はもっと実情をよく御調査になる必要がある。下僚におまかせになるというとそういうようなことになりますから。
  71. 野本品吉

    ○野本品吉君 もう一つだけ。二十九年度の当初の遺家族援護費は、予算はどれだけありますか。
  72. 大崎康

    説明員(大崎康君) 三十二億五千五百万円でございます。
  73. 野本品吉

    ○野本品吉君 そうすると三十二億の予算を組んで取り組んだ仕事が、また二十九年度で約十二億繰り越しになっておる。これも先ほど来御答弁のありましたような理由でこういう繰り越しという結果になっているのですか。
  74. 大崎康

    説明員(大崎康君) 二十九年度におきましては、前年度の繰越額の六億五千万円と、今お話しがございました三十二億五千五百万円と、それから恩給費よりの移用が八十億ございまして、合わせて百十九億支払っております。百十九億の財源がございます。そのうちで十一億を繰り越しているわけでございます。
  75. 野本品吉

    ○野本品吉君 もう一つだけお聞きします。恩給の方からの移用額は幾らあったですか。
  76. 大崎康

    説明員(大崎康君) 八十億六千四百二十三万二千円でございます。
  77. 野本品吉

    ○野本品吉君 一応これだけにしておきます。
  78. 市川房枝

    ○市川房枝君 皆さんからお話しがありましたあとで、また同じことを伺うことになるかもしれませんけれども、先はどからのお話を承わっておりまして、非常に不満に思うわけであります。さっき主管課長は、それで裁定の通知があれば、それを郵便局へ持っていけばすぐ支払いが受けられるんだとおっしゃいまして、またあとで御訂正になりましたが、それはあとで、裁定のあったと同じころに、別な郵政省の関係方面を経由して郵便局に行くんだ、それが同じく一カ月ぐらいかかるので、ちょうど裁定の通知があったのを持っていけば受け取れるんだと、こういうふうにさっき御訂正になっているんですが、私は主管課長がそういう手続を直接御存じなかったといいますか、ということは、どうも何だか不思議に思われるんですが、それだけに、一体その裁定があってから直接受け取る間に約一カ月というお話がさっきからあります。さっきどなたからか、半年ぐらいというお話が出ており、私もそういうお話をしばしば聞いているんですけれども、一体厚生省当局は、裁定があってからどれくらいの期間に受け取っておるのか、それの数字的なものが拝見できるでしょうか。
  79. 大崎康

    説明員(大崎康君) 今までの実績によりますと、普通のものにおきましては、約一カ月程度で現金が支払われております。
  80. 市川房枝

    ○市川房枝君 言葉を返すようですけれども、どうもそうおっしゃっても、私どもがそうなのかというふうにちょっと考えられないんですが、何かどのくらいでこれだけ受け取っておるとか、あるいはこれは二カ月ぐらいだというふうなことを知ることのできるような資料がいただけましょうか。
  81. 大崎康

    説明員(大崎康君) さっそく調査いたしまして、御返事申し上げます。
  82. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 一つ伺いたいのは、伝染病院隔離病舎災害復旧費の補助金が相当額繰越金の中へ入っておりますが、こういう衛生上の問題は一日もゆるがせにできないことではないかと思うんでけが、なぜこういう補助金が残されるのか、それを一つ承わりたいと思います。
  83. 山口正義

    政府委員山口正義君) この災害の復旧費の伝染病院隔離病舎関係の補助金は、実際に年度内に処理されましたのに比較しまして多額に繰り越しておりますということ、これはただいま大谷先生から御指摘通り、事柄の性質上、一刻も早く処置しなければならないものが、このように時間をとって繰り越されましたということは、まことに遺憾なことと存じておるのでございますが、これは先ほど簡易水道につきまして環境衛生部長から御答弁申し上げましたように、災害地域の政令指定が予想外に手間取りまして、昭和二十九年の三月になりまして最終決定したというようなこと寺の理由もございまして、相当大幅な繰り越しが行われたというような事情でございます。御指摘の点はまことに遺憾に存じておる次第でございます。
  84. 小林亦治

    ○小林亦治君 私は途中から伺ったんですが、今までの御答弁を途中から聞いてもはなはだ不満足なんですが、かようなことでは、社会、厚生ですか、ともかく厚生の方の、本委員会のほかにあるんですが、その委員会の監視、監督を受けてなおかつこういう状態では、これはきょうはこの程度で打ち切って、これは決算の調査よりももう一歩進んで、査察に行きましょう。そういうふうにお計らい願わんと、一律一ぺんのわれわれの決算調査に堕してしまって、そういう場所じゃないんですから、ここは……。はなはだどうも不誠意であります。答弁もずさんなんであります。言い返して答弁しているのに、なお調査してみなければわからんというようなばかなことはない。私はきょうはこの程度で打ち切りを願って、決算委員会として具体的に調査してもらわなければ、この厚生省の分を結ぶおけにいかんと私は思う。いつもこの通りなんだ。久しぶりにきょう出てきたが、相も変らぬこういうような状態を、今国民は世論にのせてかれこれ言っている。ずうずうしい。ぜひそういうふうにお願いします。
  85. 島村軍次

    ○島村軍次君 ちょっとほかの問題をお聞きしますが、これは会計検査院にお伺いいたしたいんですが、社会保険診療報酬支払基金というのが特別会計にあるんです。これは会計検査院でお調べになったことがありますか。お調べになっておれば、その基金の総額、あるいはどういう制度でやっているのか伺いたい。
  86. 上村照昌

    説明員上村照昌君) ただいまお話しの基金に対しまして、実は検査をするという建前をとっておりませんが、断片的には厚生省に行った場合にどういう状況だということを聞く程度でございまして、数字その他は持っておりません。
  87. 島村軍次

    ○島村軍次君 会計検査院の審査する対象にならぬという理由はどういうわけでしょうか。
  88. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 言葉がはなはだ足りませんのであれですが、規定上は指定すればできることになっていると思いますが、現在はいたしておりません。そういうのを包みまして申し上げましたので、はなはだ遺憾に思います。
  89. 島村軍次

    ○島村軍次君 これの所管局長がおいでになっておりましたら内容を一つ聞かしていただきたい。
  90. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) 私から概略の御説明を申し上げます。社会保険診療報酬支払基金は同じ名前の支払基金法という法律によって、昭和二十三年七月十日、法律で発足をいたしているものでございまして、社会保険の診療報酬の支払いを保険者から支払いを受けまして、これを中継ぎして医師、歯科医師等の保険医に支払いをする、こういうことが一つの重要な任務でございます。もう一つの任務は、保険医の委託を受けまして、保険者から金を受け取るのでございますが、その際に保険医からの支払請求書につきまして、その内容を審査するということが一つの重要な任務になっているのでございます。  これは法律に基く特殊な法人でございまして、基金は法律の定むるところによりまして百万円でございまして、そのうち四十万円を政府が醸出をいたしまして、六十万円はその他の保険者が厚生大臣の定めるところによってこれを醸出してやっているのでございます。東京都に支出基金本部がございまして、各都道府県に一カ所づつ基金支部がございます。本部の機構は理事制でございまして、公益を代表する理事、それから医療担当者を代表する理事、保険者を代表する理事、被保険者を代表する理事が参加いたしまして、理事会を構成いたしております。そのうち公益を代表する委員から理事長は出ることになっておりまして、理事会の互選によって決定をしているわけでございます。基金本部の理事長は基金に関する一切の法棒上の代表者になっているわけでございます。各都道府県には幹事という制度がございまして、これも保険者、被保険者、医療担当者、学識経験者、こういうような四者構成で、幹事がそれぞれの推薦によって選出をせられまして、公益を代表する幹事のうちから幹事長というものが置かれまして、各地方の支部の事務を担当しているわけでございます。  現在支払基金におきまして支払いをやっております一番大きなものは、健康保険法に基くものでございますが、同時に法律の定めるところによりまして、船員保険の疾病給付の支払い、共済組合法に基く疾病給付の支払い、それから日雇労働者健康保険法に基く疾病給付の支払い、ごく一部でございますが、国民健康保険の疾病給付の支払い、そのほかに結核予防法、生活保護法、身体障害者福祉法等に基く療養費の支払いにつきましてもそれぞれ、主としてこれは官署でございますが、契約によりまして、支払いを請負っておるわけでございます。支払い基金の事務費は、これらの支払いを委託いたしました各保険者、その他責任者から一件当り十二円ずつの事務費を取りまして、それによって支払いをいたしておるわけでございます。もちろん現金そのものはほとんど基金そのもので扱うのではございませんで、取り扱い銀行を通じて保険者からのまず支払い金を受け取り、そうしてさらに各地方に配分をして、各地方の基金支部におきまして、保険医の口座に払い込んで支払いを済ますというようなやり方をしているわけでございます。  簡単に事務の進め方を申し上げますると、前月の診療報酬の支払い請求書を翌月の五日までに支払い基金に各保険医から出してもらうのでございます。これを取りまとめ、分類をいたしまして、先ほど申し上げました審査につきましては審査委員会という三者構成の機関がございます。この審査委員会にかけまして、審査委員が個々の請求書全部につきまして審査をするのでございます。なおその前に基金の事務職員が事務的な間違いなどの事務審査は補助的にいたしておりますけれども、正式には審査委員会におきまして、請求書が適正であるかいなかを審査するわけでございます。その審査いたしました結果を各保険者ごとに、政府管掌の保険でございますれば、私どもの方の関係でございますが、各保険組合というように、各保険者に対しまして分類して、総額の支払いを請求するわけでございます。各保険者はその請求書を一応確認いたしまして、支払い基金に対しまして、銀行を通じて金を払い込むというやり方と、逆にこれは保険医の方に支払われるという形になっておるわけでございます。  支払い基金制度の任務と運用の大綱は以上申し上げたような次第でございます。
  91. 島村軍次

    ○島村軍次君 そうしますと、本部は直接その取り扱いをしないということなんですか。従って全国の取り扱い総額というものは府県の支部といいますか、そこに行かねばわからないというのですか。あるいは統計上にそういう取扱い総額をお出しになったようなものがありますかどうか。
  92. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) 支払基金本部の任務は、各支部の指導監督、企画等の問題でございますが、ただ政府管掌健康保険あるいは船員保険のごとく、中央で私どものようなところで一括して扱いをしているものがございます。そうしてそれぞれの管掌別の各基金支部で審査の結果まとまりましたものを、基金本部で取りまとめて、私どもの方に基金から請求があるわけでございます。その請求に基いて私どもの方としてはとりあえず基金本部に金を出しまして、基金本部が各県の請求に基いて配付してやるというような事務はございます。毎月々々の取扱いの金額件数は一カ月おくれぐらいでわかっております。ただいま手元に正確な資料を持ってきておりませんけれども、支払基金で取扱っております毎月の支払金額は八十億円弱でございます。
  93. 島村軍次

    ○島村軍次君 その総件数は、今の八十億というのは一カ月なんですか、そうすると総件数は……。
  94. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) 大へん申しわけないのでございますが、ただいま申し上げました金額は一カ月でございまして、それは件数にいたしますと、つまり請求書の枚数にいたしますと三百万件、いずれも一カ月です。
  95. 島村軍次

    ○島村軍次君 そうすると三百万件について、一件について事務費として十二円を徴収するということなんですね。
  96. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) おっしゃる通りでございます。
  97. 島村軍次

    ○島村軍次君 そうすると年額の収入は、一件当りの収入はどれくらいあるのですか。
  98. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) 支払基金の予算の総額で申し上げますが、大部分がこういう仕事でございます。事務費でございます。昭和二十九年度予算が十一億円ちょっとこえております。三十年度予算も十二億前後でございます。ただいま正確なそれ以下の数字を記憶しておりませんが、十二億円と記憶しております。
  99. 島村軍次

    ○島村軍次君 大体はわかりましたが、そうしますると、百万円の基金の特別会計といいますか、基金で、そうして月八十億、三百万件を扱う。年間の予算は十一億ないし十二億円でやっている。こう了解してよろしうございますか。それと同時に事務費としてお取りになったものの配分はどういうふうになりますか、その点。つまり府県の支部というものに対してどういうふうな配分をするか。それからもう一つ、それから生ずるあるいは剰余金等が出た場合に、基金にさらに別途の積立金等ができるはずでありますか。そういうものが現在あるとすればどれくらいあるか。しかもそれはどういうふうな費用に充てられておるか、こういうことを伺います。
  100. 久下勝次

    政府委員(久下勝次君) 一件当り十二円の事務費は各保険者から受け取りまして、これを支払基金本部において、予算として計上をしておるわけでございます。各地方の支部は取扱い件数の差がございますので、それぞれそれに応じました職員を配置しております。職員総数は約三千名おります……。失礼いたしました。二千五百六十六人でございます。これが各府県に配置してございます。それから外部から委嘱しております先ほど申し上げた審査委員の総数が一千二百三十三名でございます。この職員及び審査委員に対する俸給、手当、旅費その他の事務費を、審査件数に応じまして、まず職員の配分をし、その俸給等を本部から支給をいたしておるわけでございます。従いまして審査件数だけの比率ではございませんのでありますが、現実におります職員費はそのまま支払います。事務費等は取扱い件数に応じまして予算の範囲内で配分をしておるわけでございます。  それから剰余金のお話がございましたが、剰余金はただいままでのところは全然出ておりません。大体最近数年間の経過を申し上げますと、漸次事務費が増嵩して参り、職員も増加していかなければならないということから、むしろ先ほど申し上げた事務取扱費の単価につきまして引上げの措置を講じたりしてまかなっておるような実情でございます。本年は多少無理をして十二円五十銭の予定でございましたのを、十二円に私ども監督上下げさしたりいたしましたので、相当の無理がかかってはおりまするけれども、そういう状態でございまするので、剰余金を生ずる余地はないような次第でございます。
  101. 青柳秀夫

    ○理事(青柳秀夫君) それでは先ほど小林君から御発言がございましたことについてお諮りをしたいと思いますが、厚生省所管のこの決算については、ただいま質疑が行われておりますが、その間遺家族の援護費等についての答弁が明確を欠くといいますか、というような状況にかんがみて、この際、質疑を留保して、実際の監査といいますか、そういう点についてあるいは確実なる資料の提出を待ってから進めた方がよくはないかという御意見でございますが、いかがいたしましょう。お諮りいたします。
  102. 島村軍次

    ○島村軍次君 一応そういうことで、具体的な問題については理事会に御相談になって、その結果によってどういう方法をとるか、御相談になったらどうでしょうか。
  103. 青柳秀夫

    ○理事(青柳秀夫君) ほかに御意見はございませんでしょうか。それでは島村君よりの今の御発言もございましたので、理事会で一つ協議して進めていきたいと思いますから、本日はこの程度で一応審議を終るということにして、次回は理事会の協議の結果によってまた進めたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 青柳秀夫

    ○理事(青柳秀夫君) それでは本日はこれをもって散会いたします。    午後三時三十八分散会