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1955-05-16 第22回国会 参議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月十六日(月曜日)    午後一時五十八分開会   ―――――――――――――    委員の異動 五月十三日委員木島虎藏君辞任につ き、その補欠として最上英子君を議長 において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     山田 節男君    理事            青柳 秀夫君            谷口弥三郎君            岡  三郎君            中川 幸平君    委員            石井  桂君            小沢久太郎君            大谷 瑩潤君            鹿島守之助君            西川彌平治君            飯島連次郎君            奥 むめお君            島村 軍次君            常岡 一郎君            三浦 辰雄君            小林 亦治君            白川 一雄君            市川 房枝君   国務大臣    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    法 務 大 臣 花村 四郎君   政府委員    法務大臣官房経    理部長     竹内 寿平君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    会計検査院事務    総局検査第二局    長       上村 照昌君    最高裁判所長官    代理者    (事務総局経理    局長)     岸上 康夫君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和二十八年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十八年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十八年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)   ―――――――――――――
  2. 山田節男

    委員長山田節男君) 只今より決算委員会を開会いたします。  本日は、前回委員会におきまして二十八年度決算につきまして総括的な質問大蔵省当局にいたしたのでありますが、前回は正示主計局次長にいろいろ詳しい点について御質問が行なわれたわけでありますが、本日は大蔵大臣に御出席願いまして、大臣のこの二十八年度決算に対しまするいろいろな総衆的な御質問を残されておるわけでありますから、一萬田大臣に御質問願いたいと存じます。  なお、大蔵大臣に申し上げますが、前回の当委員会におきましては一般会計予算の翌年度への繰越金の問題、これが約一千二百億円余りあるわけであります。これに対するいろいろな理由もありましょうが、これについて各委員から御質問があったわけであります。第二には歳計剰余金が二十八年度決算におきましてはやはり四百億円余りあるわけであります。これに対しての大蔵大臣としてのいろいろ御所信なり、また今後の大蔵大臣としてのお心がまえ等について意見を伺いたい、こういうような御意見があったわけであります。詳細は、正示主計局次長からこの間の質問についてはすでに御連絡あったかと存じますが、さような建前で本日大蔵大臣の御出席を求めたのであると御了承を願いたいと思います。  それでは御質疑のおありの方は大蔵大臣並びに正示主計局次長阪田理財局長見えることになっております。なお、理財局高橋国庫課長見えることになっております。大臣衆議院予算委員会においでになりますのを時間を御無理願って、大体二十分聞いていただくということになっておりますから、どうぞそのおつもりで、各委員の御質疑をお願いいたします。
  3. 岡三郎

    岡三郎君 前回決算委員会において大蔵省の方から昭和二十八年、二十九年度繰り越し見込み及び剰余金見込等について説明があったのですが、その中で私がこの決算報告を見て、著しく眼につく点について質疑をしたのですが、これはやはり大臣にする方が適当であろうというので延ばしてきたことについて御質疑を申し上げたいと思うのです。  防衛庁関係の費用ですが、非常に繰り越されておる。これは昭和二十八年度においても二十九年度においても、二百億以上の繰越金というものがあるわけなんです。これがまあ主要な繰越金のものになっていると思いますが、これについても一応原主計局次長の方から説明があったわけですが、決算の様態を見ると、非常にずさんな金の使い方と申しますか、他の省もありまするが、特に防衛庁保安庁関係使い方の跡ですね、それが昭和二十八年度決算検査報告でここに出ているわけなんです。これを見るというと、他の省と比較しても著しく使用方法が拙劣で、しかもいいかげんな使い方であるというふうに見られる点が多いのです。たとえば乾電池類を一年分も買って非常なロスを出したとか、あるいはジープの見積り積算とか、そういったものがいいかげんであったとか、具体的な事例がずっと出ているわけなんです。こういうふうにしてみるというと、どうも使用方法というものが、まあ防衛庁自体新しい役所ですから、なれないせいがあるにしても、どうも十分な金の使用方法考えられていないのじゃないかというふうにとれるわけです。そういうふうに使って、しかも年度末に二百億以上繰り越されているということ等をみれば、この防衛庁予算についての予算編成について、基礎が不確実な点がないのか。それから予算の要求及び否定について、事業遂行の確信をもって厳密に行われたかどうか、こういう点も具体的事例を通して非常に疑わしいように考えられるわけです。簡単に申し上げますというと、非常に予算見積りその他が甘かったために、こういうふうな多額な剰余金と、しかも拙劣な使い方というものが、ここに出てきたのではないかと、こういう質問を申し上げたいと思うのですが、これに対して大蔵省の御回答を一つ大蔵大臣答弁を願いたいと思います。
  4. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) ただいま御指摘の特に防衛庁関係繰越金が多い、私もやはり今回そういうような感じを持っておりますが、ただしかし最近の情勢は、前年度に比べて、少しずつではありますが、減少はいたしておるのであります。なおかつ、しかし本年度、三十年度に繰り越されるものが二百三十億くらいあったかと私は記憶するのでありますが、これはしかしこういうことは、防衛庁費査定において甘く見た結果ではないかという御質問に対しては、決してそうじゃありません。他と同様な立場で、特にまた防衛庁費というような費目については決して甘いどころじゃなくて、どちらかというと厳重に私は査定してあるように思うのであります。また査定したのでありますが、ただこの繰り越しの起るのは、これはなお厳密に十分な調査をしてみたいと思うのでありますが、仕事の性質から工程が非常に長きにわたるようなこともある。そういうふうなことがおもな原因じゃないか、こういうふうに考えておるのであります。甘く査定したことはないことを申し上げておきます。
  5. 岡三郎

    岡三郎君 これは軍事費というものの処理については、イギリスにおいてもアメリカにおいても、またわが国においても、過去においては相当使い方については問題があったと思うのです。それで、今繰り越し原因についてこういう点があるのじゃないかというふうにお答えがあったのですが、もう少し繰越金の内容について、特に防衛庁関係について御検討があったと思うのですが、それをもう少し詳細に、こういうふうな点がこうなっているのだというふうな御説明を願いたいと思うのですがね。これは大臣でなくても結構ですが、大臣から願えば特にいいと思うのですがね。
  6. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私が承知しておる限り申し上げますが、なお、足らないところは政府委員から御答弁させますから、御了承願いたいと思いますが、この繰越金のおもなものはやはり私の記憶では艦船建造費その他施設費、こういうものが実は大きな費目に上っておると思うのであります。これは予定のように工程がいっていない、あるいはまた施設についていろいろな諸種の事情から何しろ困難であるというふうなことであろうかと思うのでありますが、なお、政府委員から詳しく御説明をいたします。
  7. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいま大蔵大臣からお答えなりました通り施設費あるいは艦船建造費というようなものでございますが、それを御承知のように繰り越し事由別に分けて申し上げますと、事故繰越明許繰越というふうな、まあ根拠によって分けておるわけでございますが、昭和二十八年度の実績から申し上げますと、大部分はいわゆる明許繰越になっております。これは岡委員承知通り、ただいま大蔵大臣お話になったような費目につきましては、事前に国会の議決を得まして明許をいただいておるわけであります。この御趣旨は大体やはり国費支出に当りましては、むろん余分な予算を組んではいけないのでありますが、実行に当りましても、十分慎重に実行いたしまして、やはりむだのないような経理をするというところにあろうかと思うのでありますが、大体明許繰越が大部分でございまして、昭和二十八年度二百五十三億のうち、二百五十一億が実に明許繰越ということに相なっておるわけであります。残りの二億がいわゆる事故繰越、こういうことになっております。しかも明許繰越は、ただいま大臣の仰せられました通り施設費あるいは艦船その他の大規模な工事、あるいは物品の納入というようなものに関係いたしておりますが、これらにつきましては、設計あるいは土地の選定、それから購入の場合の検収、その他につきまして、十分慎重に進めて参りまして、いやしくも国費使用に当りまして乱に流れないようにということが、そもそもの基本になっておると思うのでありますが、ただ防衛庁といたしましては、先ほど岡委員もおっしゃられましたように、なお役所ができてから新しいものでございますから、いろいろ不なれな点もあったことも事実かと思っております。
  8. 岡三郎

    岡三郎君 先般の防衛分担金削減問題をめぐって、一応削減した資金を一般の減税なりあるいは住宅なり、その他内政費使用するという政府方針ですか、そういう公約に基いて折衝されたが、一応あれは防衛庁費の方へ全部吸い上げられた、そういうことで一時その交渉の途中において、もしも防衛分担金削減せられないような場合においては、防衛庁費削減をもってもするというふうな声が内部にあったというふうなことも伝えられておるわけです。そういうふうにして見るというと、防衛庁費というもの自体政府当局においても、内容的に見て非常に幅があるのではないかという気がするわけです。防御分担金が大体二百億なら二百億、あるいは百五十億、削減されないようになったら、これは防衛庁費からこれを捻出する方法もあるのじゃないかという話が寄りあった。その点が本当かどうかという問題と、そういうふうにやり方によっては非常に増減の幅が弾力性があるというふうに受け取れるのだが、その点は一体どうか、こういうふうな点を前の質問と関連して一つお答え願いたいと思います。
  9. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 防衛分担金削減がなかった場合にも、これを内政費に回すという考えは初めからありません。内閣考えましたことは、防衛庁費、それに防衛分担金、全体の防御に関する支出金を前年度ワク、具体的に言えば、千三百二十七億円の中におさめる、これがきまったことであります。その観点においてすべてを進めていったわけであります。特にまた安保条約行政協定等によりまして、防衛力を増強することは期待されております。また鳩山内閣といたしましても、国力に応じた防衛は増強する、こういう建前をとっております。
  10. 岡三郎

    岡三郎君 どうも、私の開こうとしておるのは、防衛庁費を事と次第によっては削減してもいいというふうな話が閣内においてあったわけですか。つまり防衛分担金削減が実行できない場合において防衛庁費削減してもよろしいかどうかという、そういう論議が閣内であったかどうかということです。
  11. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) ただいまお答え申し上げましたのでおわかりと思いますが、そういうことはありません。
  12. 岡三郎

    岡三郎君 そうするというと、防衛庁費の中で、現行予算の中においてどの程度、どこを削減するならば、削減されるかというふうに、具体的にお考えになったこともあるのですか。
  13. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 防衛庁費のどこを削減しようと考えたことがあるか、こういうことでございますか。
  14. 岡三郎

    岡三郎君 そうです。
  15. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは私どもといたしましては、防衛庁において、こういうふうな防衛力を三十年度にはしたいのだということについて、その申し出に対して査定を加える、こういうことであります。そうして防衛費が結局八百六十八億円、こういうふうに査定した結果なったわけであります。
  16. 岡三郎

    岡三郎君 どうも大臣、わからないのですが、今私が御質疑申し上げておる点は、かりに二百億なら二百億というものを防衛庁費から削るという段階になったときに、これはその当時重要な問題として検討されたと思うのですが、それは大体どういう費目削減するようなことをお考えになったかということを聞いておるのです。
  17. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私御質問を理解しにくいのですが、二百億というようなことは何も考えたことはありません。先ほど申しましたように、防衛庁費は八百六十八億、これを含めて千三百二十七億円、すなわちこれを全体として前年度防衛費ワク内にとどめる。そうすると自然ここで分担金について削減を求める、こういうふうなことになるかと思います。
  18. 岡三郎

    岡三郎君 そうするというと、防衛庁費の問題について、現行防衛庁費の中においても、全体が苦しい中において、防衛庁費そのもの例年繰越金が非常に多い。こういう点から考えて、どうしても防衛庁費自体が相当弾力性があって、そうして事と次第によっては、防衛庁費をある程度まで削減できるのではないか、こういうふうに考えておる一人なんです、私自体としては。それが金の使用方法並びに繰越金に具体的に出てきているのではないかと、この点を指摘したわけです。そういう点で非常に概念的な質問ですが、防衛庁費自体というものについて、もう少し大蔵当局としては厳密に査定して、そうしてこれが実際に効率的に使用されるように特に留意する必要があるのではないかというふうに、私は現在思っているわけです。そういう点で、当局としては甘くみていないのだ、これで大体防衛庁費のあれはいいのだというふうに、明許繰越でこれは差しつかえないのだ、こういうふうに言われておりますけれども、具体的に保安庁費として、昭和二十八年度、二十七年度に出ている具体的な問題について、会計検査院のパンフレットの中においても指摘されておるわけですが、「手持の物資がどの位あるのかもわからず、買う方だけはどんどん買い込んでいるといった向もある」、こう具体的に会計検査院報告に書いてある。そういうふうな、具体的な点から見ていると、「注文するにも自力で値段が立てられず、相手の言いなりになってしまっていると思われても仕方のない節もあるし」、こういうふうに「昭和二十八年度予算は適正に使われたか」という中において出ている。そういう点から考えて、具体的にもう少し、こういう予算使用については、他の庁にもあるけれども、他の庁においては比較的厳格に逐次やられてきているというふうに見受けられるが、どうも保安庁においてはルーズではないか、こういう印象をもって、私は今まで質問をしてきたわけです。その点について防衛庁費そのものについての検討の仕方はいろいろあると思うのです。結局アメリカの言うなり次第になって、防衛庁費というものは具体的に検討はされてきているといっても、何か外的な力によって一兆円という緊縮予算の中において、ともすればこれだけが特別扱いをされているような印象が、具体的な事項の中に出てきているというふうに、私たちは見てきているわけです。そういう点で、それがないというなら結構ですが、二百三十八億なり二百九十六億なりというこの繰越金、これが来年なら来年、昭和二十九年度はもう終ったわけですが、三十年度、三十一年度の当初で、推定ですが、二十九年度においては二百三十八億です。そうすると、これは将来ずっと、これがなくなるときはいつ頃になるか、これを一つお答え願いたいと思います。
  19. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 繰越金に対しまするお考え、私全く同感に思います。会計検査院が言っていることも、もっともと思います。これは私どもとしても、できるだけこういう繰越金がなくなるように、きちっと行くようにしたいと思います。むろん仕事の性格上、全部これがきちっとなくなるということはちょっとむずかしいと思います。全くお考えと同じですが、三十年度においては、そういう見地からできるだけそういたしたいということを御了承願いたい。決して甘く見ているわけではありません。
  20. 山田節男

    委員長山田節男君) ほかに御質問ございませんか。
  21. 岡三郎

    岡三郎君 もう一点。これは別な話ですが、これは大蔵委員会大蔵大臣に聞く質問かもしれませんが、繰越金について万分の百六十の三分の一を国債整理基金に繰り入れる、こういう問題は昭和二十八年度、三十九年度においては、根本的に改正するのについて方針を立てるというふうに言って延ばされてきているわけです。これをどういうふうに根本方針を立てられるのか、一つこの点、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  22. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) ただいま研究中であります。
  23. 岡三郎

    岡三郎君 どうも大臣答弁ははっきりわからないので……。
  24. 山田節男

    委員長山田節男君) 大蔵大臣は、先ほど申し上げましたように、衆議院予算委員会にお出でになるところを特にお願いして、こちらに二十分間ということを予算委員長と約束したわけでありますが、ほかに御質問がございますれば、一つ五分間くらい御猶予願ってよろしいと思いますが、御質問ございませんか。
  25. 白川一雄

    白川一雄君 前川の決算委員会で、保安庁繰り越しがあるのはジェットエンジン等について予定通り進まないからというような説明があったのでございますが、ジェットエンジンというようなものは、防衛生産としましては計画的にやらなければいけないものだと思いますが、なかなか二年や三年で、できないのが現状であろうと思います。そうしますと、防衛生産の、もう少し科学基礎をおいた計画というものができて予算を組むようにしませんと、なかなか私どもの見るところでは、おそらくジェットエンジンができるのはゆうに五年以上かかる。できたときにはまた次のものができているというようなむだはしはせぬかということを心配している。現在の日本防衛計画というものに対して、少くも日本防衛生産というものをつかんでもらわないと、アメリカの機材だけをもらっての日本防衛計画でございますと、防衛計画ができて、日本の産業が滅んでしまうという危険がありますが、前回の御説明によりますと、ジェットのことをいわれたが、一体ジェットをどういう計画大蔵当局としては予定して、これの予算を組むことをやっているのか、その生産計画というものを知りたい。
  26. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) まことにごもっともなお考えであると思います。今大蔵省ではまだジェット生産について具体的に計画を持っておりません。
  27. 白川一雄

    白川一雄君 そうすると、前回政府当局ジェットの点もあるから繰り越しがあるということは一応取り消して考えるべきですね。
  28. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 先ほど委員長から言われましたが、前回主計局の原次長が言ったのであります。ジェットエンジン云々の点につきましては私まだ聞いておりませんが、よく調べててみたいと思います。しかし現実にまだ大蔵大臣からお話のように今まで日本ジェットエンジン生産をやった事実はございませんし、まだ目下のところ具体的にどうということもはっきりきまっていないわけであります。おそらくその点は何かのお考え違いではないかと思いまするが、その点さらに調べまして述記録につきまして訂正する点は訂正をしたいと思います。いろいろ繰り越し事由につきましては、先ほど大蔵大臣お答えなりました通りであります。
  29. 白川一雄

    白川一雄君 私も是非防衛計画に対して、日本防衛生産にマッチした計画を立てていただきたいということを希望するから申し上げているわけです。前回委員会でどうこうということを取り上げるわけじゃないのですから、ジェットを少くとも研究するということも必要に迫られていると思いますが、どうぞ当局では、現在民間にでもジェットを、あれやれ、これやれと、政府は慫慂されているはずなんです。なかなか簡単なものでないから、もう少し積極的に科学に対してぜひ謙虚な気持の計画というものを進めて、予算考えていただきたいという希望を申し上げたのであります。
  30. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 全く私同じ考えであります。是非そう努力いたします。
  31. 山田節男

    委員長山田節男君) ほかに御質疑ございませんか。大臣も約束の時間がもうすでに経過しておりますから、大体以上をもちまして昭和二十八年度決算に対する総括質問を終りたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 山田節男

    委員長山田節男君) では御異議ないものと認めましてさよう決定いたします。     ―――――――――――――
  33. 山田節男

    委員長山田節男君) 次に各省別質疑に入ります。  本日は法務大臣がお見えになっておりますので、これから法務省審議に入りたいと思います。御質疑をお願いいたします。  法務大臣にお伺いいたしますが、昭和二十八年度歳入歳出決算報答に関して法務省からも説明書が出ているわけです。その不当事項あるいは不正行為に対しまして、この事項に関しまして、法務大臣として当委員会に総括的にあるいは別個に何か御意見があれば、質疑の始まる前に、法務大臣から一言お願いしたいと思います。
  34. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) 検察庁その他所管の各庁における経理上の不当事項につきまして、国会の御審議をわずらわしますことは、まことに遺憾に存ずるところでございます。昭和二十八年度不当事項は六件でありまして、これを過去数年間の数字と比較いたしますれば、その件数は著しく減少をいたしておりまして、改善に努めた成果をある程度お認めを願い得るものと信ずるのでございます。がしかし、このうちには、特に宮崎地方検察庁の多年にわたる経理紊乱事件などが含まれており、何とも申訳のない次第でございます。法務省としましては、従来より職員犯罪等、この種不当事項の根絶に意を用いまして、あらゆる機会に職員の注意を喚起しておりますほか、事務の運用により、不正、不当の事項の起らないような方法を講ぜしむるようにいたしておるのでございまするが、今後とも一層この点に留意をいたしまして、監査監督を厳重にし、不当事項の絶滅を期する所存でございます。なお、個々の事件につきましては、のちに政府委員でありまする経理部長より詳細に説明をいたさせたいと存じます。
  35. 山田節男

    委員長山田節男君) 竹内経理部長も今日はお見えになっておりますから、そのおつもりで御質疑願います。なお、竹内経理部長からただいまの法務大臣の御説明に補足されるようなことがあれば、この際、お願いいたします。
  36. 竹内寿平

    政府委員竹内寿平君) 今回の不当事項につきましては、説明書に記載いたしましたように、大体その説明所に尽しておるのでございますが、ただ五十番の札幌刑務所において数の子、身欠きニシンを購入いたしました件につきましては、この説明書を差し出しましたのちにおきまして、刑務所から提出されておりました報告の中に、若干の疑問があることが明らかになりまして、さらにその調査をいたしませんことには責任のある御説明を申し上げかねますことと、さらにこれに対する対策も立ち得ない関係なりまして、ただいま係官を札幌の方へ調査に差し向けておる状況でございますので、この分につきましては、もうしばらくの御猶予を頂きまして、正確な説明をさして頂きたいと考えるのでございます。  さらに四十八番の宮崎地検におきまする経理紊乱につきまして補足的に御説明を申し上げておきたいと思いますことは、本件が長年月にわたっておりますのと、内容がかなり複雑でございますので、私どもから出しております説明書の記載によりましては、御理解をいただきにくいのではないかと思いますので、若干の時間を頂きまして、事実の概要を御説明申し上げ、かつ私どものこれに対する考え方もお聞きを願いたいと思うのでございます。で、宮崎地検の事件でございますが、宮崎地検におきましては、昭和二十三年の五月から本件の不当事項が発生いたしております。御承知のように、検察庁は新憲法下裁判所と分離いたしまして、会計事務検察庁においてあずかることになったのでございますが、さような関係で当時職員の会計事務に習熟した者が少なかったという点もあったと思いますが、その頃会計課の中におきまして、職員の出張旅費とかあるいは事務費とか、そういうものを一時立てかえして融通するというような悪習が起ったのでございまして、それが逐次回を重ねて参りますうちに、あるいは接待費の立てかえもする、あるいは当時宮崎地検におきまして本庁はじめ支部等の新営工事をいたしておりましたが、そういうものの工事費も一部立てかえるというようなことを重ねておりまして、年間に配付されます予算にはおのずから限度がございますので、この立てかえを続けていきますうちに、あるいは保管金の中から立てかえ、回収をしますとその保管金の中へ入れるというふうにはしておりましたものの、だんだんつじつまが合わなくなりまして、昭和二十六年頃には何かここに、会計課の金の中に大きな穴があいておるんだということを、当時の検事正もおわかりになったようでございます。これに対する穴埋めの対策を苦慮しておりましたところ、昭和二十七年の五月末頃に会計検査院の実地検査が行われることになりまして、その当時三百余万円の穴があいておりまして、これを何とか糊塗して、会計検査院をごまかすといったようなことを考えまして、そして支部の日南に当時ございました保管金を一時見せ金として本庁に持ってきて糊塗する、こういうことがやがてまたその返還金の問題でいろいろと問題が起りまして、そうこうしておりますうちに、検事正であります支出官、歳入徴収官でございますが、この検事正が後進に途を譲って退官をいたされまして、新しい検事正が昭和二十八年の一月に着任をされまして、どうも大きな穴があるらしいということを部下から聞きまして、調査に乗り出しました結果、二十八年の三月にいよいよこれは不正があるということで、監督官庁であります福岡高等検察庁の監査を受け、さらに犯罪捜査にまで発展いたしました。係の者はそれぞれ処分を受けた次第でございますが、こういうような関係によりまして、この不当事項はでき上っておるのでございます。  それで昭和二十七年の五月末に会計検査院の実地検査がございました。その直前の不足額はどのようになっておったかと申しますと、それは合計いたしまして三百二十三万四千百二十七円九十三銭という数字でございますが、これを収入金の部で六十九万二千、立会封金のところで四十七万三千円、保管金のところで二百六万九千円という数字になっております。そしてこの立会封金、保管金は会計検査院指摘の二項と三項に当るものでございます。収入金の六十九万二千円はのちに申しますように、その後の流用がございまして、それを合せて会計検査院の一の部を構成するものでございます。こういうふうに収入金、立会封金、保管金から流用をいたしまして、不足額を生じたのでございますが、これを相互に収入金から、あるいは立会封金に、保管金にと埋め合せを、融通をしておりまして、それでも足りませんために、先ほど申しましたように、一部は本来の歳出金の架空支出をいたしております。その額は合計三百二十八万六百十二円となっております。その間に昭和二十六年中でございまするが、歳入徴収官でありかつ支出官であります検事正は松永志逸から川原一郎にかわっております。そして事務を取り扱っておりました会計課長も、図師敏から津田喜平に変更をいたしております。この変更の事情は、検事正につきましては後進に道を開いて退官をしたのでございましたが、図師会計課長が津田課長にかわりましたいきさつにつきましては、当時図師がそのような会計処理をいたしておりましたために、多額の不足があるという疑いを当時持たれまして、調査されました結果、わかって参りまして、そういう関係で図師敏を依願退官をさせまして、その退職金の一部が弁償金に充てられたのでございますが、遺憾なことにはこの図師を当時徹底的に調査するということがありませんで、依頼退官にさせ、その退職金をこの不足金に充てるというようなこそくの手段を弄したという点が、さらに次の不当経理を助長した結果になっておることを遺憾とするのでございます。そして話が相前後いたしましたけれども、先ほど申しました不足金の三百二十三万四千円余りでございますが、これが会計検査を受けるということになりまして、何とかこれを補てんして急場をしのぎたいというような考え方からいたしまして、当時会計課長の津田、それから会計係長の山下敏、そのほか福岡高検の宮崎支部の庶務課長をしておりました田原、これらが相協議をいたしました結果、田原の発議によりまして、当時日南支部に関税法違反被告事件等の換価代金、保管金でございますが、これが約六百万円あるということで、これを一時借りてきて、そうして穴埋めをしてはどうかというようなことを協議しまして、これを川原検事正に諮り、川原検事正も賛成を表せられましたので、係の者が日南支部に参りまして、その話をして小切手で三百三十四万五千円を振り出させまして、それを現金化して、この穴にそれぞれ埋めたのでございます。そして会計検査院の方はともかくも事なきを得たのでございまするが、日南支部といたしましては、一時見せ金ということで貸したのでありますので、何とか返してほしいということをたびたび申しております。ところが一たん領置金の中に、立会封金の中に返したものは、これはなかなか見せ金といってもすぐ引き出すことはできないのでございますし、また収入金に補てんいたしまして歳入に納付してしまったものは、これはもう戻しようがないわけでございます。係の者は一時見せ金とは申したものの、これをまた破ったり何かしてもとへ戻すという気にはなれませんために、そのままずるずるべったりに過ぎてしまったのでございます。このために、日南支部では非常にやかましく申しまして、それで会計課長としても放ってはおけないということで、二十七年の七月末になりまして、当時山下が会計係長でございましたが、この山下が図師会計課長から、前の課長から提供されました五十九万五千何がし、そのほか前の残り金の十一万何がし、それから見せ金に埋めたというので、本庁の方の立会封金を一部また破りまして、二十三万七千円、これらを合計しまして九十四万を日南支部へ返したのでございます。そうして宮崎地検の方は一応不足額は補てんされた形になったのでございますが、そのしわ寄せと申しますか、日南支部の保管金の不足という形をとって推移して参りましたところが、川原検事正は、二十七年の十二月に退官されまして、先ほど申しましたように若林現検事正が二十八年の一月着任されまして、本件がまあ発覚して参ったのでございます。  かような複雑な過程をたどっておりますが、なお、この川原検事正が会計検査院の実地検査を受けました際に、今後は決して立てかえ流用は許さんぞと固く言われたのでございますけれども、当時の職員の間では、旅費の立てかえなどをもう一回復活してやってほしいという強い要望があったようでございまして、山下会計係長はやむなくまた立てかえ流用を始めたようでございました。これがちょうど二十八年の三月末までの間に流用額が四十五万一千円余りとなっておりますが、これは新しい検事正の手元で全額回収をされております。この四十五万を先ほど申しました額と寄せまして、会計検査院の指摘されております検査当時の収入金の流用額五百六十四万七千円と、今の四十五万円を加えまして批難事項の(1)の中にありますところの収入金の流用額六百九万八千七百四円という数字が出ているように承知いたしております。  かくてその次は捜査の段階に入るのでございますが、この間に若林検事正が着任後間もなく、同地の地検次席検事と高検の宮崎支部の検事の両名から会計に不正があるらしいという報告を受けたので、さっそく日南支部の平部という副検事を検事正お呼びになりまして、事情を聴取しましたところが、大体今申しましたような流用の事実、穴のあいておる事実がはっきりいたしましたので、二月末ごろ福岡高検の検事長にその旨を報告いたしまして、福岡高検からは監査が行われました。そうしていよいよ犯罪のことが明白になって参りましたので、四月初め福岡高検の検事が現地に臨みまして、図師前会計課長が被疑者に立てられまして、徹底的な犯罪捜査が行われまして、大体ここに会計検査院指摘のような金額の数字が明確になって参ったのでございます。捜査の進展につれまして、監督責任者などから弁償金が提供せられまして、この大部分は日南の保管金の不足に補てんされました。そのほか、前に申しました通り、会計検査以前にすでに個人から収入金に直接返したり、あるいは会計検査直後に個人から弁償金の形で日南支部の保管金の不足に補てんしたものなどがございまして、その弁償金は合計いたしますると三百八万四千八百六十八円になります。日南支部の保管金の亡失額は三百三十四万五千九百十一円二十八銭という数字でございまして、これが補てんされました金額が二百七十三万二千九百六十九円二十八銭でございまして、差し引き六十一万二千九百四十二円が未補てんの状態になっておったのでございまするが、この部分につきましては、本年の三月に二十九年度予算をもちまして賠償、償還、払い戻し金の費目から二十二万円を予算示達をいたしまして、次いで新年度の三十年度予算から三十九万三千円の予算示達をいたしましたので、今日におきましては全部これは補てん済みとなっておるはずでございます。  以上が大体本件のあら筋でございまして、おわかりにくかったかと思いますけれども、こういう事情でございます。  それにつきまして責任者はどうなったかと申しますると、直接責任を負うべき者としましては、図師敏が刑事処分を受けております。これは懲役二年、三年執行猶予の判決を受けて、これは確定いたしております。そのほかに二宮文雄というのが業務上横領の嫌疑で捜査を受けましたが、これは起訴猶予になりました。そのほか行政処分を受けました者が、直接責任者としては七名ございます、原田、山下、田原、平部、尾崎、津田、門川という七名が懲戒処分、減俸、訓告といったような処分を受けております。それから監督責任者といたしましては、刑事処分の対象になりましたのは川原検事正でございまして、これは捜査の結果、起訴猶予処分になりました。それから行政処分としましては松永検事正、これはすでに退官後でございましたので不問に付されております。それから川原一郎氏も、退官後でございましたので行政処分としては不問に付されております。そのほか福岡の山井検事長、宮崎地検の次席検事、宮崎地検の次席検事は二人かわっておりますが、前の検事、それから福岡高検の次席検事、福岡高検の事務局長等がそれぞれ行政処分の対象に置かれて審査を受けたのでございまするが、前の宮崎地検の次席検事を除きましては、次席検事が訓告処分を受けましたほかは、いずれも不問に付せられております。そのほか、この本件に関連いたしまして、転任等によりまして機構の刷新をはかられたのでございますが、副検事が三名、検察事務官が三名、合計六名がそれぞれ左遷等によって異動を命ぜられております。  本件の発生原因は冒頭に申しました通りでありまするが、不当行為が何で行われ得たか、収納金をどうしてごまかしたかという点でございますが、収入金、立会封金、歳入歳出外の保管金でございます現金、それから架空支出方法、こういうものにつきましても、全部究明をいたしまして、それらの究明の結果に基きまして、それぞれ事務を改善をさせました。ここで詳細を省略さしていただきますが、そのために宮崎地検におきましては、人をかえたばかりでなく、事務の運用につきましても、かなり根本的な改革をいたしたのでございます。大体このような事実関係になっておるのでございます。  その他の不当事項につきましては、大体この説明書に書いてございますので、御質問によりましてまたお答え申し上げます。
  37. 山田節男

    委員長山田節男君) 花村大臣は他へ行かれなくちゃならんように承わっておるのでありますが、大臣に御質問のある方は、一つ時間をもう五分ばかりおいで願って、この際お願いいたします。
  38. 島村軍次

    ○島村軍次君 せっかく大臣御列席ですから、予算関係のあることを伺いたいのでありますが、法務省予算で、われわれ決算委員会で前年来調査をいたしました裁判所の施設、すなわち各裁判所の全国にわたる復旧費について、本年度は相当従来の既定計画を延ばすか、あるいはまた工事を中止せねばならん問題が相当あるやに承わるのでありますが、その点について一つ大臣の御所見を承わりたいと思います。
  39. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) ただいまの御質疑があまりはっきり聞いておりませなかったが、裁判所の営繕に比較をして法務省の営繕が繰り延べ等が多いように思うがどうかと、こういう御意見ですか。……ただいまの御質疑ごもっともと存じます。今日までとかく裁判所の営繕費よりも法務省のほうがどうも少きに失する感がありましたが、本年は大蔵省のほうへも何度となく交渉をいたしまして、大体において本年の営繕費としては法務省において間に合う程度はもらえることに相なりましたので、御懸念の点は多少緩和されるであろうと存じます。
  40. 島村軍次

    ○島村軍次君 予算の内容についての問題になりますが、地方検察庁の経費は法務省所管でしょう。
  41. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) さようでございます。
  42. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで大臣は、一々各検察庁あるいは裁判所等の建築費の内容については御存じないと思うのでありますが、全国では検察庁及び裁判所を多く一つにして、裁判所と検察庁とを同一庁舎にしてやっておられるところも相当あるようです。その場合に、ただいまのお話は、実際に私は合っておらんのじゃないかと思います。すなわち長い間計画されてやりさしになっておるもの、あるいはその工事が中止になっておるようなところが相当あると思うのですが、直接大臣でおわかりがたければ、また後の機会に承わってもいいと思うが、ただいまの御答弁によりますというと、本年度予算の上では差しつかえない、大蔵省へ交渉してうまくいくだろうというお話ですが、これは丁度ほかの局長もおいでになっておるようですから、アウト・ラインだけでも一つ説明を願いたい。
  43. 花村四郎

    国務大臣花村四郎君) 詳細の点は私ではわかりませんから、経理部長から御答弁を申し上げたいと存じますが、まあ大体においてただいまも申し上げましたように、本年度予算としては、大体において今まで継続いたしておりました仕事並びに新規に起さねばならぬ最低限度の営繕費等に関しましては、どうにか間に合い得るというところまで進んでおるのであります。実はお説のように裁判所と法務省と同一庁舎にしておるところもありまするし、またせざるものもありまするが、この点はいろいろ御意見がありまして、同一にする方がいいではないかという御議論も相当あるのでございまするが、裁判所としてはやはり別な官庁であるから建物もやはり別個にする方が理想的ではないかという見地に立って、合同庁舎にすることをなるべく避けたいという御希望もありまして、かたがた同一庁舎で行き得ない部分も相当ありまするが、しかしゆき得る部分は建築費あるいはその他この維持費等にかんがみ、あるいは国民の便益等からいろいろ考えまして、合同庁舎がよろしいというような個所に対しては、やはり合同庁舎でゆくというような行き方で進んできておるわけであります。  それからなお一点、今まで建築を進めておった庁舎で工事をやめておるものがあるのじゃないかという御意見でありましたが、やめておる部分はございません。がしかし、予算関係で多少おくれぎみの点は、これはございまするので、多分その点を中止しておるのではないかと、こう御覧になっておるのではなかろうかと存じます。なお、詳細については経理部長から申し上げます。
  44. 山田節男

    委員長山田節男君) 大臣に御質疑はございませんでしょうか、ほかに……。それでは大臣どうぞ御退席を願って、今の島村委員からの御質問に対しては竹内経理部長答弁願います。
  45. 竹内寿平

    政府委員竹内寿平君) ただいま大臣からお話がございまして、大体間に合っておるというお言葉でございましたが、これはまあ予算措置としてまずまずという意味をおっしゃったものと私は理解いたしましたわけでございますが、各庁の実情、希望、こういう充足率という面から申しますと、検察庁におきましては地元の東京にあります最高検察庁、高等検察庁、地方検察庁もまだ未着手の状態にございます。それから大阪高等検察庁、地方検察庁も旧来のままでございます。それから北海道、札幌の高検、地検も同様でございます。地検におきましてはかなり終戦後新らしくはなりましたものの、まだ十数個所は昔のままの状態で、裁判所と同居の状態になっております。支部検察庁、昔旧裁判所構成法時代には区裁判所と申しておりましたのが、ただいまでは支部になっておりますが、この支部はほとんど大部分が裁判所と同居の状態になっております。わずかに充足をしておりますのは、新憲法下新たにできました区検察庁、この面はかなり充足をいたしております。こういう状態でございまして、検察庁施設はまだ満足すべき状態には到底なっておらないのでございます。大臣が先ほど申しましたのは、本年度予算措置としては、まことに窮屈な折から、かなり満足すべき措置を得た、こういう御趣旨を申されたものと解釈します。
  46. 島村軍次

    ○島村軍次君 あまり突っ込むこともどうかと思ったのですが、あなた方は大臣に対する教育がちと悪いのじゃないか、実際の情勢を大臣御存じないですから、まあその程度にとどめますが、事実われわれが地方に出ますというと、この要望というものは非常に強い。しかも建築は一たん計画されたやつが途中で中絶されたり、工事が延ばされたものが強くわれわれのほうの耳に入っております。裁判所とあわせて、これは数字を示して、大臣のよく了解を得ておいでにならんと、本年度の一兆予算ワクだといっても、むだなことがずいぶん地方で出て来るのじゃないか。今、答弁は要しませんから、これは大臣教育を一つ経理部長ですか、十分おやりになる必要があると思う。それだけ申し上げておきます。
  47. 石井桂

    ○石井桂君 宮崎の地検の不当行為の原因がここに書いてありますが、それは主として旅費の立てかえ、事務の諸経費に使用したと書いてあるのですが、私も長い間役人をしたことがあるのですが、この旅費なんというものは収入の一部だと大体考えておられるが、こういうことに不自由をするようなことだと、予算が非常に貧弱でこういうことをするようになったんじゃないかと思うのだが、この当時からすれば今はそういう点改善されておるのですか。つまり旅費の立てかえとか事務の経費とかいうものは非常に必要なものだ。そういうものの立てかえが原因で不正がだんだん大きくなったことを見ると、検察庁というのは人の悪いところを縛る役所ですから、こういうことはあるべからざる場所だ。やむを得ずやったというのは、きっと何か予算が非常に窮屈で、係の人が責任を感じてやったとか何とかいうことがもとじゃないかと思う。そういう事態が今は改善されておるのかどうか、そういうことを伺いたい。
  48. 竹内寿平

    政府委員竹内寿平君) 旅費の立てかえの点につきましては、もちろんただいまは改善されておりまして、立てかえではなくして、資金前渡制度によりまして、概算払いで先にもらっていくということにさせておりまして、この点は違法はないことにしてありますが、この宮崎の場合につきまして、それじゃその旅費を立てかえなければならぬような緊急性があったのかどうなのかという点をいろいろな角度から検討いたしましたところが、まあ第一には、この資金前渡制度を活用していなかった。で本件がはっきりいたしましてから、実は昨年からこの資金前渡制度を活用させておるわけでございますが、もし年度途中で旅費の予算がなくなるといったような場合には、本省の方へ申請をして参りますれば、認可をいたしまして、一時立てかえを正式に認めましてやらせたこともあったわけでございまして、全くこれは運用に対する知識が乏しかったと申しまするか、そういう不手ぎわから起ったものであります。
  49. 山田節男

    委員長山田節男君) 法務省決算検査に対しまして会計検査院側の説明を求めます。
  50. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) 二十八年度法務省関係で検査報告に掲示しましたのは六件でございます。で四十八号の宮崎地方検察庁の点については詳細御説明がありましたので、特に補足する点はございませんが、かように長期にわたったということはいろいろの事情もございましょうが、結局その衝に当る方々が、事務局長あるいは会計課長というような人が当っておられまして、そういう関係、あるいは途中において検事正が徹底的な処置をとられなかったというところから長く続いたわけでございますが、その間検査院といたしましても、二十七年に一回検査に参りまして、ただいま御説明がありましたように日南支部から三百万円の見せ金を積まれまして、実はそのまま帰ってきたという点もございまして、はなはだ実はこの点については遺憾に考えておるわけでございます。  それから四十九号の方は外へいの工事が粗漏であったという点でございまして、特に説明を補足する点はございません。  五十号につきましては、先ほどもちょっと御説明がございましたが、これは札幌刑務所で数の子とニシンを四百七十万円ぐらい買われたわけでございますが、これを買われるに当りまして、本省の矯正局から、数の子につきましては予定単価を五百十二円、ニシンにつきましては百円ということを指示されまして、これに基いて一応指名競争契約をやった形をとっておられるわけでございますが、その指名競争契約をやられたとなっております時期と物品の現実に発送されておる時期とを考えまして、正当に指名競争契約が行われたという点は認められないという点が第一でございまして、その次は数の子の予定価格五百十二円でございますが、五百十二円に対しまして五百円で落札したという形にはなっておりますが、五百十二円で実際買われました数の子は三等品でございまして、三等品でございますればもう少し安くて済むわけでございまして、予定価格にとられましたものは一等品の価格にも匹敵するものになっておるわけでございまして、価格の点から申しまして、さような点から約九十万円ぐらいが高価になっておると、こういうふうに考えて検査報告を出しておるわけでございます。この点につきまして先ほども説明がありましたが、指名競争契約をするより以前に物品が発送されたのは、契約が形の上だけでおそくなっているのであって、実質上は、物品発送前に競争契約がなされたというような説明があったわけでございますが、この点については、先ほども説明がありましたように、私の方でさらに調査いたしました結果、正当に入札されたという事実は毛頭認められない。と申し上げますのは、具体的に申し上げますと、入札に参加したという人に対しまして一、二調査いたしました結果、さような事実は認められないという点もはっきりしておるわけであります。ただこの点の詳細につきましてはさらに調査しなければ、責任の帰属の点が必ずしも明確になっておらぬ点もございます。この点につきましては、法務省におきまして係官を派して、現在調査中でございますので、この調査を待って、私の方でもさらに調査の上、主任者関係の処分については十分考えたい、かように考えておるわけでございます。  次は五十一号で、ございますが、これは東京拘置所で輪転機一式と付属品を買われたのでありますが、これが二年間たった後におきましても、その使用されておる期間はごくわずかでございまして、これは官庁用の謄写印刷をするということで買われたわけでございますが、実情から見て、謄写印刷をし得る見込みが必ずしも十分にあったというふうな状況に認められないのにかような高性能のものを刑務所に買われたため不経済になっていると、かように考えておるわけであります。  次は不正行為でございますが、二十八年度に掲載してありますのは、個別事項としては二件、全体で不正事件としましては四件、二百万円の金額に上っております。昨年まで掲載したと大体同じような事項でございまして、昨年から見ますと、相当件数、金額も減っておる状況でございまして、おそらくこの点は法務省において相当監督その他を厳重にされ、取扱いについても考慮されておる関係で減ってきたのではないかと、かように考えておるわけであります。
  51. 山田節男

    委員長山田節男君) 御質疑のある方は御質疑をお願いいたします。委員長から竹内経理部長にちょっとお伺いしますが、この批難事項としてあげられておる第四十八号の経理のびん乱関係について、こういったようなやはり長期にわたり、しかも何といいますかいろいろな手段を講じてやったということは、これはまれに見る事件ですが、どうも法務省関係では現金面の内部監査が不徹底ではないか、かような印象を受けるわけですが、こういう事件にかんがみて、法務省として経理監査の一面に、特に監督を厳重にしなければならんと思うのですが、何か最近において監査という面について新らしい制度を設けられたかどうか、あるいは新らしい監査方法を実施されておるか、この点を一つお伺いしたい。
  52. 竹内寿平

    政府委員竹内寿平君) ただいま御指摘の通り、本件は全く異例の事件のように考えます。私は監督者並びに会計課長といったような会計の首脳部の者によりまして長期間にわたって、しかも発見されなかったといったような条件をずっと見ますると、このような事例があちこちにあるのだとはとうてい考えられないのでございまして、全く異例なことであると存じますけれども、それにいたしましても、今言ったような監督者が長年発見ができなかった、しかも監督者がこの渦中に入っておって、しかも犯罪捜査の対象に考えられるといったようなことは、まことに遺憾な点でございまして、その具体的な防止策といたしましては、まず第一に考えられますことは、事務の方から申しますと、経理関係に携わる職員が長年にわたりまして同じポストにおりますことは非常に危険を伴うということを感じるのでございまして、事務取扱者の選考につきまして、人を選ぶという点で慎重を期してもらうことはもちろんでございまするが、事務をある期間たちましたならば交替させる、そして引き継ぎを厳重にさせるという方法をとりました。それからさらに振り出し関係の、支出関係の印鑑とか小切手帳、その保管、捺印、こういったような問題をなかなか支出官みずからやるということは、実際問題としてできないのでございまして、これを予算執行の責任に関する、予責法と言われておる法律の精神から申しましても、この事務補助者を正式に発令をいたしまして、その責任を明らかにするという方法をとるべきであるという会計検査院の御示唆もございまして、昨年六月一日から私の依命通牒を出しまして、全国の経理担当者につきましてこのような措置をとっております。それから会計事務そのものについての知識が乏しいということが、悪意で不当経理をやったというのではなくて、善意で不当経理をやる面が看取されますので、事務取扱者につきましての事務を研さんさせるために、法務研修所の研修科目の中にこれをとり入れまして、基礎的な知識はもちろん、技術面におきましても研さんさせる措置をしております。  なお内部監査に関しましては、歳入金、立会封金、保管金、歳出金等につきまして、こういう処置をとれという具体的に指示をいたしておりまするが、なお本省の経理部に監査係というものがございます。これを強化いたしまして、たとえば検察庁につきましては、最高検察庁においても管内の事務監査をいたしております。その事務監査はもっぱら事件の処理の適、不適を監査するのが目的でございますが、これに加えまして、会計事務をもあわせて監査するということから、本省の経理部の監査と、最高検の事務監査とを同じ時期にやるということにして、使うべき旅費を使わないでほかの方に回したといったことがあるかないか、そういうことを具体的に、事務の方と経理の方と両面から監査するというやり方を今年は採用してみたいと考えております。さらにまた経理部の中の経理事務監査、経理関係の監査でございますが、これの陣容も非常に貧弱でございますし、これの監査のための出張旅費等も予算的措置を十分いただいておりませんので、三十年度予算におきましては、この点を特に強調いたしまして、予算折衝に当ったのでございますが、いろいろな関係で前年度予算しか、しかもその節約の予算しかいただけませんので、十分成果をあげることはできないかとは思いますが、今申しましたような方法をあわせ用いることによりまして、内部監査の実効をおさめたい、かように考えておる次第でございます。
  53. 山田節男

    委員長山田節男君) 先ほど四十八号について竹内経理部長から御説明を聞くと、どうもこういったような事件が起きた根本的な原因一つは、やはり会計事務というものを、先ほどお話を聞くと、係長級の者が全部そういったような操作をしたということは、これはわれわれとしても一番遺憾なのは、会計事務に対する監督指導というのですか、監査が不十分である。そういう事務を下僚に全部まかせきりであったというところに、こういったような非常に複雑、奇々怪々な問題が起きた。ですから先ほど御説明になった御趣旨はわかりますが、要は、やはりこの問題にしても、検事正が常に会計事務については特に把握していかなければならぬ、ことにこういったような法務関係は相当、先ほど言われたような保管金とか、その他現金の手数料とかにおいて、いろんな意味において入ってくるわけです。そうすれば会計事務というものは相当科学的に、それから人員においても相当整備をしないと、こういったような事件が全く起らないとは言えないのですが、本委員会としては、特に各省の事務監査、会計監査についてもなるべく自主的にやりたいということを強く言っておるわけです。今の御趣旨はわかりますが、もっと科学的な、いわゆる大福帳式なものではなく、科学的な複式簿記式に会計事務を整備するのが緊急を要するのではないか、かような見解も持たれるわけです。当委員会としては各省の監査、ことに会計監査機構の総括的な調査もしておりますが、これは会計検査院、あるいはその他等からも十分やはり知恵も借りて、根本的に監査機構を充実する必要があるのではないか、かように私は考えておるのです。今の御説明は大体了承できますが、なおさらにこの点は特に慎重に考えていただきまして、かような意味においての経理のびん乱、あるいは国損等について一層厳重に御努力願いたいと思います。かように考えます  ほかに御質問ございませんですか。……会計検査院の方の上村検査第二局長見えておりますので、これに関連して御質疑を願いたいと思います。……それでは法務省関係は一応これで終了いたします。  次に裁判所の方に移りたいと思います。検査報告の、三十三ページでございますが、第一号の不正行為について国損を与えたものという事項でありますが、本日は最高裁判所の岸上経理局長がお見えになっております。御了承願います。本件に関して岸上経理局長の御説明を求めます。
  54. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) 二十八年度決算報告といたしまして、検査院の方から御指摘になりました不当事項、裁判所関係は一件ございます。それは東京地方裁判所の八王子支部及び八王子簡易裁判所の庶務課長島田事務官が、その在職中に昭和二十五年の四月ごろから二十八年の十月ごろまで、約三年半ほどの間継続的に、裁判所で保管しておりまする保管金、民事関係の保管金及び刑事関係の保釈保証金等を取扱い中にみずから領得して横領した、こういうようなことでございます。その金額は合計して五百五万九千円というふうに相なっております。で、これは裁判所といたしまして、まことに申しわけない事項でございまして、約三年半の間不用意に発見できなかったという点も、裁判所の監督の責任にある者の責任上まことに遺憾なできごとでございます。  発見いたしましたあとに、本人の島田事務官は懲戒免職になりまして、さらに刑事の訴追を受けまして、八王子の裁判所で横領罪で懲役三年という刑の言い渡しを受けまして、目下東京高等裁判所に控訴中でございます。それから監督責任者の関係でございますが、本庁である東京地方裁判所の所長、それから八王子裁判所の支部長、これはいずれも裁判官でありますので、裁判官分限法の適用を受けることに相なるものと思いますが、目下東京高等裁判所でその審理中でございます。それから同じく本庁である東京地方裁判所の事務局長、それから会計課長というのが監督関係職員だということに一応なるのでありますが、これにつきましては、事件が発覚しました当時間もなく、いずれも裁判所法に規定してありまする所長からの戒告という処分を受けております。なお両名ともその後の昇給時期に一回昇給をストップされたという処置を受けております。なおそのほかに公務員法上の懲戒上の問題ということも問題になり得るのでありますが、これは今申しました裁判官の方の分限の方の処置とにらみ合して決定するのが妥当かというので、目下その審理中であります。  なお、被害金額の中で補てんされましたものは、ただいまの五百五万九千円の中で、本人である島田某の方から九十二万五千円というものを事件発覚後間もなく弁償いたしました。その後本人の所有しております不動産を処分して幾分の弁償に充てるということで、今その措置をしておりますのでございますが、換価する方法がなかなか思うように進みませんので、まだその実現は見ないのでございます。最近になりましてさらに五万五千円ばかり弁償できまして、結局現在までに合計約九十八万円ほどの弁償ができたのでございますが、残余は未回収という状態でございます。  こういう事件が起りまして、最高裁判所の方といたしましても、その原因等についていろいろ研究いたしたのでございますが、いろいろ理由もございますが、一つはこの八王子の場合は、当時庶務課長でありました島田事務官が大体一人で金銭の出し入れ、それから処分というふうなことをやっておったのが実情でございます。私どもの方といたしましては、現金の出納関係はなるべくたくさんの者の手を経て、いわゆるチェック・システムになるようにということは以前からその励行に努力いたしておるのでございますが、支部等は全体の職員が比較的少いという関係からその励行が十分でないというところもございまして、八王子なんかもそのやり方がまずかったということを、あとになってでございますが感じたわけでございます。そこで八王子につきましては、差し当り島田事務官の免職後新しい庶務課長を任命しまして、その下に会計係長という者を置きまして、そこに若干の会計係員を配置しまして、出納管理はその会計係長にやらす、庶務課長はそれを監督する立場に立つ、そういう方法で、ある程度一人で全部やるという方法をやめまして、何人かの手は経るという方法に改めたのでございます。それからさらにまた別の面から、発見が三年半も発見しなかったという点でございますが、これはその間に実は最高裁判所あるいは高等裁判所、あるいは地方裁判所の本庁というものから、年に一回、または二回とか会計検査には参っておったわけであります。しかしながら、なお会計検査院の方からも検査を受けておったのでございますが、その際にわからなかった一つ原因でございますが、その島田事務官が銀行の預金高証明というふうなものを偽造しまして、銀行の預金残高が実際よりも余計あるというふうな証明番を偽造しておったのを看破できなかった、それでそのままに発見できなくて済んだというふうな結果に相なっておりまして、はなはだ監査が不徹底であったことは申しわけなく存じておるのでございますが、そういうふうなことにちなみまして、これは八王子だけじゃございませんが、全国的に各庁から一定の期間に会計関係決算報告書を出させまして、その報告書に基きまして、東京の方において直接に日本銀行の本店と連絡しまして、銀行における残高と報告書にある残高とが一致しておるかどうかという点を調査するということを始めまして、これは現在実施中でございます。そういうふうな方法によって、この事件を契機といたしまして、不備な点を改善するということについて、できることは始めて行くということで始めておるわけでございます。  なお先ほどもお話ございましたが、内部の監査ということも、もちろんこれはこういう事件のみにかかわらず、励行しなければならないのでありますが、さらに一そう監査の励行をしたい。御承知の遡り裁判所関係ではこの保管金関係についての事件がときどき出まして、これは裁判部のほうの書記官のほうの関係と会計のほうの関係と二つに所管が分れております関係上、その辺の連絡が従来円滑を欠くといううらみもございましたので、そういうふうな書記官の方の関係と会計の方の関係の連絡を密にするというようなことも特に最近注意いたしまして、そういう不正の余地がないようにしたいというふうなことについても努力をいたしておる次第でございます。  簡単でございますが、一応御説明いたしまして、また御質問お答えいたします。
  55. 山田節男

    委員長山田節男君) この件に関しまして会計検査院から何か御説明の要があれば御説明願います。
  56. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) 特に本件については説明別を補足することはございませんが、私の方といたしまして、裁判所の、あるいは検察庁も同じでございますが、保管金なりを検査します場合に、その帳簿とかに当ります場合に相当日数がかかるわけでございます。この八王子の分にいたしましても、ある程度までおかしいじゃないかということを多少つかみかけて、最後まで行かなかったというような面も打ち明けて申し上げますとあるわけでございますが、今後の検査といたしましては、全部を全部詳細に検査するということはとうてい不可能だと思いますが、できるだけ見る場合に相当数日がかかっても、相当綿密に見ていくということを現在も励行し、今後も励行して、こういうものの発生をなるべく少くする、こういうふうにしていきたいと考えておるわけでございます。
  57. 山田節男

    委員長山田節男君) 岸上経理局長にお尋ねいたしますが、二十八年度の裁判所の決算を見ますと、裁判所施設費、公務員宿舎施設費、災害復旧及応急諸費という項目の中に非常に多額な繰越金が出ておる。殊に公務員宿舎施設費のところですが、支出済額としてあげられているのが三千二百七十四万円であって、繰越が二千三百六十三万円になっておるわけですが、予算額と予算の執行額との差があまりに 多すぎるのですが、どういうふうに支出されたか、御説明願いたい。
  58. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) ただいま御指摘の点は、金額的にはお尋ねの金額は繰り越しになっておるのでございますが、それの事情と申しますかについてちょっと申し上げますと、御承知のように、公務員宿舎費は予算建前から、ほかの庁舎の施設と少し違いまして、これは予算的には一たん大蔵省のほうの公務員宿舎費に計上になりまして、予算が成立しました後に、そのうちの一部を大蔵省の方とお話をしまして裁判所所管に移しかえを受けるということで実施して参っておるのでございます。その関係から、二十八年度の場合にその大蔵省の方から予算の移しかえになりました時期を調べてみましたのですが、二十八年の七月十日付で予算のうちの一部が九百四十七万三千円というものが、これは暫時予算関係で一部だけでございますが、移しかえになりまして、それからその後に二十八年の十月一日付で残額の四千四百五十二万七千円というのが移しかえになっております。そういう関係から十月に入りまして移しかえになった。それから最高の方といたしましては具体的な計画にかかるおけであります。官舎につきましては敷地の選定というふうな問題もございまして、私どもといたしましてはできるだけ急いだつもりではございますが、結果的に見まして、ただいまお話のように二千数百万円という金額が繰り越しだと、こういう事情に相なっておるのでございます。まあ事情はそういうことで、予算が裁判所に移しかえになるのが普通よりも何カ月分おくれたということも一つ原因かと存じております。これは毎年同じような何カ月かのズレはあるのでございますが、おくれることは感心いたしませんので、その後も三十年度も同様でございますが、大蔵省の方と折衝して、できるだけ早く移しかえを受けるようにしまして、予算の消化を早くしたいというふうに努めている次第でございます。
  59. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 今の御説明わからないわけじゃありませんがね。ここに不用額がそのうち出ていますね、不用額が。ということは結局あれですか、おくれたけれども、いわゆる施設建設の契約ができて実施しておって、そうして支払いだけがこういう形でおくれているというそういう段階なんですか、この仕事の仕方は。
  60. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) この二十八年度のおくれました分、繰り越しなりました分は、二十九年度で全部消化いたしまして、現在はもちろん官舎ができているわけであります。一部不用になりましたのは、各庁へ予算を送りましたところが、実際の入札が少し予算よりも安かった。それでそれをほかへ利用することができなかったという関係で、僅かでございますが、一部不用額になっているという状況だと存じます。
  61. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 いや、今のは二十八年度だから、もちろん今できているにきまっているけれども、それは施設関係が、こういった翌年度への繰り越し関係になっているのだが、それはあれですか、もういわゆる支払い関係だけが繰り越されたといったような、仕事の段階は事実はできていたのだと、その年度の境のときにはと、こういう意味なのかしらんと、私の言うのは……。
  62. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) これはこの繰り越しました額につきましては、契約自体年度を越えておるわけです。ですから年度の変り目におきましては繰越額の分は、これは工事がまだ着工できていないという状況でございます。
  63. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 それじゃ全くのいわゆるずれちゃったやつですが、それと同様に六月、七月の災害だと思うのですが、予備費からも出して、繰り越し関係がありますね。あなたの方は鈴鹿簡易裁判所同区検察庁庁舎火災復旧費、予備費から三百九十五万三千円、これが翌年度への繰越で二百三十七万二千円、事実支出済みの方はわずかに三分の一ちょっと、百五十八万一千円と、こうなっていますね、これはどういう関係ですか、ついでに一つ……。
  64. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) この鈴鹿の簡易裁判所同検察庁の分は一般の災害じゃございませんで、二十七年の七月の十一日に出火によって焼失いたしたものでございますが、その後私どもの方といたしまして、その復旧費を予算的に予備金として大蔵省の方と話し合いを続けておりましたのですが、その関係で妥結がずっとおくれまして、二十九年度になってから予備金の支出がきまったと、そういうふうな関係から、私どもの方としてその後大急ぎでやりましたのですが、ここに書いてありますように二百三十七万は繰り越しせざるを得なかった、こういう状況でございます。
  65. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 この予備費は結局いわゆる予備費であって、二十七年の七月に火災になった。そのときには予算がないから、しかも復旧をしなければならんからして予備費ということは当然ですね。そいつがその年には実を結ばないで、次の二十八年度予算編成期を迎えたわけですね。そのときには普通にいえばいわゆる営繕関係の方に入ってくるのじゃないかと思われるのですが、それをなおかつ翌年度の予備費という形であなたの方はいって、しかもこういった三百何十万のうち二百幾らを残したというわけは、何かやはりこれは……、しかも火災のあとなんだからして、おそらく場所は特段の変化がない限りその跡へやるでしょうし、理由があったわけなんですか。
  66. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) ちょっと今私は間違いまして、火災がありましたのは二十八年の七月でございます。二十七年と申しましたのは間違いでございますので、訂正いたします。
  67. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 今日、法務省なり裁判所から始まって、だんだんに各省の問題が究明されて参ると思うのでありますけれども、こういう会計上の不当事件なり不正事件というようなものの起らないようにするには、会計検査院の方へ私ちょっと私見を述べてお伺いしたいのです。  会計検査院で、まあ限りある人数で全部の各官庁のすべてに眼を通されるということはなかなか思うように行かないと思うのでありますが、そこで各官庁で異動がありますたびに責任者が新らしくなりまして、裁判所でいえば裁判所長、検察庁で言えば検事正というような方が新任された場合、やはり所管事項についての事務の引き継ぎということがあるわけであります。そのときにいわゆる今決算委員会で問題になっているようなことはどらかといえば、ごく附帯的のこととして扱われているのじゃないかと思うのであります。一番重要なる事務引き継ぎというのは、その省のそれぞれの何といいますか、法規上各省できめてある主要な事務がございますから、それにほとんど大部分の力が入っている。経理のほうはまあいわば引き継ぎがないといってもいいくらいに軽く扱おれておる。また実際そういう検事正なり所長という方はえらい方ですから、結局会計課長あるいは主任というようなところでさばかれちゃって、平素の仕事もほとんど力が入らん、こういうために、まあ全体から行えばパーセンテージは僅かでしょうけれども、こういう問題が起ってくる。そこで私は事務引き継ぎというときに、もっと会計検査院関係のこの決算関係、この経理関係に重点を置くように引き継ぎをしていただけるように政府全体の各省とも扱われる。  これからが私の質問なんですけれども会計検査院の方で、その事務引き継ぎのあったときの経理のごく簡単なものでいいのですけれども、それをおとりになって、その程度はどういうふうにするか、検事正なら検事正がかわられたときに、それをどういうふうにするかは、私よくわかりませんですけれども、とにかく責任者がかわられる。あるいは通産省でいえば通産局長がかわられる、大蔵省関係なら財務局長がかわられるというような、一定の相当重要なる人がかわられた場合には、そこの予算関係についての責任をはっきりする。前の方はこうなっておるぞということをちゃんと判を押して責任を負うてよそへ行く。新らしい人はそれを引き継いで在職中はちゃんとやるというやり方ができれば、これは相当な会計検査院とされても資料になるのじゃないか。また新らしく着任された人も仕事の心がまえというものが違って来るのじゃないか、こういうふうにも思うのでございますけれども、そういうようなことについての何かお考えがありましたら伺いたい。
  68. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) いろいろの事故を少くするためには、大体間違いの起らないような組織にすることと、それから組織と、まあそれに含むかもしれませんが、牽制し得るような立場にする、それから監督者が十分監督するというような点が考えられるのじゃないかと思うのですが、それで実際問題を見ましても、この裁判所、検察庁でも、検事正が非常に経理に熱心な方と、そうでない方との場合が具体的の場合にはあるようにも思われるわけですが、非常な熱心な方の場合には相当厳格にもやられ、間違いの起らないように見ていっておられるように考えるわけでございます。それでいずれにしましても、監督者が十分責任を持って見ていくということが根本になるのではなかろうか、こういうふうに考えるわけであります。  それから事務引き継ぎの場合におきまして検査院が現在とっておりますのは、出納官吏が交替する場合には金櫃検査、金がどれだけあったということをとっておりますが、前の支出官がこれだけで、あとの支出官がこれだけだというような事務引き継ぎを明確にした書類は実はとっておらんわけでございます。  で、ただいまお話のように、事務引き継ぎを厳格にするということが不正を防止する、少くとも早期に発見し得るということはお話通りだと考えますが、証明関係その他につきましては、事務引き継ぎが重要なことだということはお話通りだと思いますが、どういうふうにするかという点は、全般にも関係しますので、よく考慮し、うちの方で相談もしてみたいと、かように考えます。
  69. 山田節男

    委員長山田節男君) これは第一号の今までのに関しまして岸上経理局長の御説明を聞いても、われわれ同じようなことが法務省の第四十八号においても言い得ると思うんです。たとえば第一号の不正行為事件の三年半もこれが露見しなかったというようなことは、やはり内部監査に徹底を欠いておったんじゃないか。また係長あるいは課長ぐらいの者に会計事務一切をまかして、上司はこれを知らなかったというようなことが、こういうふうに長期にわたって不正行為が行われたということが言い得ると思うんですが、これは先ほど法務大臣がおっしゃいましたように、やはり内部監査といいますか、ことに手数料、あるいは多額な金の受理があるわけですから、こういうものに対して当然最高裁判所としても厳重な指導監査をすべきだと思うんですが、まあ最近において特に会計に関する監察機能というものを強化拡充される必要があるだろうと思うのです。これについて何か具体的な実施されておること、あるいは今後実施されんとする案があれば当委員会で御説明願いたいと思います。
  70. 岸上康夫

    説明員(岸上康夫君) ただいまの点は、私どもの方といたしましても、ぜひそういう方向に行きたいと思いまして、実は二十九年度の終り、ことしの一月ごろに新しい試みといたしまして、保管金関係の監査と申しますか、経理状況の監査を励行するという意味も含めまして、書記官のうちの主席書記官という者を、主席書記官という制度が昨年から全国的に今できましたのでありますが、この主席表記官というのは、裁判事務の方の書記事務一般の指導監督をするという職責を持っているのでありますが、その主席書記官の方とそれから会計課長の方と、これが合同いたしまして、そうしてこの裁判関係の保管金、民事予納金、保釈保証金というものの監査及び指導ということを全国的にやる計画を立てまして、実はこの二月ごろに、全国全部の支部、簡裁までは手が及びませんでしたが、重要なところにつきまして約半数ほど実は実施いたしました。で、この結果を各庁から報告をとっているのでございますが、これは相当たんねんに事件関係の方と会計の方と合同いたしておりますので、事件の方の記録を一々調べる、それと会計の方の帳簿とつき合せるというような方法で、今までよりも一そうたんねんにそういう方面の監査をやる、そうして同時に職員を指導するというふうなことをいたしまして、これはいろいろ報告を見ますと、まあやった方が結果的に見ましてなかなかよさそうでございますので、予算の方は非常に窮屈でございますが、何とかやりくりいたしまして、本年度もさらにこの方法を進めて参りたい、こういうふうに考えております。
  71. 山田節男

    委員長山田節男君) 裁判所に関しましてほかに御質問の方ございませんか。別にないようでございますから、一応裁判所に関する質疑は終ることにいたしたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 山田節男

    委員長山田節男君) それでは御異議ないものと認めまして、一応裁判所関係質疑を終了いたします。本日の委員会はこれで散会いたしますが、あと御懇談申し上げることもございますから、しばらくお残りを願いたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時六分散会