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1955-07-23 第22回国会 参議院 外務委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十三日(土曜日)    午前十時四十三分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     石黒 忠篤君    理事            草葉 隆圓君            羽生 三七君            苫米地義三君    委員            平井 太郎君            梶原 茂嘉君            後藤 文夫君            佐藤 尚武君            曾祢  益君            井村 徳二君            野村吉三郎君   政府委員    外務政務次官  園田  直君    外務省移住局長 矢口 麓藏君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       渡邊 信雄君   説明員    外務省移住局参    事官      石井  喬君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本海外移住振興株式会社法案(内  閣提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) それではこれより外務委員会を開きます。
  3. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 ごく簡単に二、三点続けてお伺いしたいのでありますが、輸出入銀行との関係であります。輸出入銀行業務との関係については法律規定があるのでありますが、実質的に見ますと、従来の御説明から見ますと、相当重複するといいますか、ぶつかると申しますか、そういう面があり得るように思われるのであります。現在輸出入銀行関係でどれほどの投融資が中南米方面にあるかということと、それから実際上の区別をどういうところに基準を置くのかということ、この点を伺いたいと思います。
  4. 石井喬

    説明員石井喬君) 私からお答え申し上げます。輸出入銀行中南米方面にどのくらい投資しておられるという御質問でございますが、これは私ただいま資料を持っておりませんので、いずれ調べまして御返事申し上げたいと思います。  それから輸出入銀行業務範囲に属するものは、この会社業務範囲から除かれているというわけでございますが、この点につきましては、この会社法を作ります際にいろいろ議論がございまして、私どもはむしろこの補完的の作用を行わしめるという意味で、業務範囲としては一致させておいてもいいのではなかろうか。輸出入銀行現実の問題として取り扱っておりますのは相当大きなものだけでございます。従いまして性質的には同じものであっても、小さなものは実際上の問題として輸出入銀行は取り扱っておりません。従いましてもし輸出入銀行が取り扱わない程度の小さなもので、やはり同じような目的向うに出て行こうというものがある場合には、この会社がやることができるようにしておいてもいいのではないかというのが私どもの当初の主張だったわけでございますが、大蔵省側見解といたしましては、そうではなしに、むしろ輸出入銀行がこれはとうてい見込みがないというのではねたようなものについては、この会社が扱うようなことがあっては非常に困るという強い要望がございまして、いろいろ議論いたしました結果、これは移民振興という観点で、しかもこの事業を外地において行なっていくのだという観点に立ちまして、輸出入銀行業務範囲に属するものは一応これを除いて別個にやっていこうということにきまった次第でございます。
  5. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 輸出入銀行業務に属するものは除くということに法律でなっているわけですが、大小の区別はそれにないわけで、結局何らかの標準を持ってこないと、重複する場合に今後も困るのではないかと思うのですが、大蔵当局ともあらかじめ御相談おき願いたい。  第二は、社債問題であります。発行規定があるのです。これはおそらく国内社債市場発行されることだろうと思いますけれども、そうであるかどうかということと、当然社債としてこの償還について優先条項があるわけであります。他の債権者優先して社債権者には償還をしていくわけであります。この条項とそれから十五百万ドルの外資関係、これは別段のトラブルがないかどうか、この点を一つ伺いたい。
  6. 石井喬

    説明員石井喬君) 社債発行につきましては、これは原則といたしまして大体国内においてということも考えておりますが、私どもは将来におきましては、この中南米その他、現地におきまして相当成功して金を持っておる連中がございますので、日本移民事業の促進という意味からいたしまして、できるだけこういったような資金を使いたいということを考えておりますので、ただ単に国内だけではございませんで、将来は国外においても社債発行することを考えております。  それからこれの優先償還外貨との関係でございますが、これにつきましては、外貨の方は御承知のように国が保証しております。国が保証してこれをやっておりますが、この会社目的自体ということからいたしまして、もし両者が相平行して返していかなければならないというような場合には、この会社といたしましては、もちろん社債発行いたします際には、業務上の成績その他を考えまして、当然出し得るめどのもとに発行するのでございますから、まず両者が競合してどっちかが返せなくなるというようなことはあり得ないことだと思いますが、もしそういう事態が起りました場合には、その外資の方につきましては、これは移民事業というものの本質と申しますか、基本的な画からいたしまして、国が保証をいたしておるという関係がございますので、私は会社といたしましては、この社債を、これは純粋にコマーシャルベースで、その他の保証も何もないものでございますから、まずこの面を償還していくということになるのではないかと考えております。
  7. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 最後に、これは大蔵省の方がいいかと思いますけれども、十六条の「手形の買取」の条項であります。あの条項意味合いはどういう意味合いであるかということ、それに関連して予算関係がどうなるかということ、それから、おそらくこの条項は、外資償還についての実質上の保証意味しておるのであろうと、それの取扱いの規定であろうと思うんであります。しかし、手形を買い取りましても、その手形債権債務関係は、政府と今度は会社との間に残るわけだろうと思うのであります。従って保証をするということになりますれば、さらにその際に新しく保証法律を出して処理することになるのか、そういう点についての御見解を承わりたいと思います。
  8. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。この十六条の条文意味合いでございますが、この点は、この委員会におきましてたびたび御質疑がございましたように、アメリカの三銀行が今回の千五百万ドルの借款を認めていただいたのでありますが、その際に、一番大きな条件といたしまして、元利支払い政府か全面的にギャランテーをするということでございました。ただ政府ギャランテーをいたすという方法にいろいろあるわけでございますが、一番端的な方法といたしまして、この三銀行発行いたしますところの手形を、満期日の前日までにこれをすっかり買い取るという契約をする、こういう形におきまして、一切、いわば元利支払いについて御心配をかけない、こういうことにいたすのが、最もいろいろな関係から申しましても適当である、こういうことでこの規定が設けられておる次第でございます。  なお、この規定に従いまして、附則の十二項でございますが、これによりまして、昭和三十年度におきまする限度額というのがきめられておるような次第でございますが、この法律をお認めいただき、両条文が働きます場合におきまして、御指摘のように、アメリカ銀行との関係におきましては、全部政府元利支払い保証する形におきまして、この会社借款をすることができるわけに相なるのであります。  そこで第二の点といたしまして、こういう契約を結びまして、現実にこれをどう動かしていくかという面から、会社政府との間の債権債務関係が残るわけでございますが、この点は、まあ今後の業務の運営、現実会社が、昨日もいろいろ御議論もございましたように、現地営農資金その他に対する融資をいたしまして、あるいはまた会社みずからがいろいろ事業を営むというような関係から、資金繰りがどういうふうになっていくかの問題もあるわけでございますが、まあ大体におきまして会社が、昨日もお話しがありましたように、三年が期限でございまするから、そのときにこれを十分償還をできる能力がある。また経理の面から申しまして、それに支障がないということでございますれば、まあ会社政府との間も何らの問題なくいくわけでございますが、これがどうしてもできないという段になりますと、やはりこの契約権はこの法律によってお認めいただくわけでございますか、現実予算をその場合どうするかという問題につきましては、そのときの経理実情等から、必要なる予算処置を講じなければならない場合も起り得るわけでございます。いずれにいたしましても、この際としては、政府としては、の法律によりまして契約の権限をお認めいただく、かような次第でございます。
  9. 曾禰益

    曾祢益君 すでに同僚委員の方、あるいは農林委員会との連合審査の際に多くの質疑がなされたので、あるいは重複する点もあるかと思うのでございますが、この移民の送り出しについてこれを援助していかなければならないことは、これは申すまでもないところであります。この会社考えられた基本的な考えといいますか、大体この提案理由の御説明ぶりや、あるいはその他の参考資料等見ましても、主として企業移民といいますか、そういうものを考えられておったのではないかと思われる節があるのであります。またこのあるいは銀行借款の問題も、大きく言うならば、やはり農業漁業よりももっと工業的な方面、短期に回収ができるような事業というところが中心ではなかったかと思うのであります。ところがだんだんこのお話しの、衆議院等でこの法案審議の過程におきまして、一体この中南米移民というものは、結局まあ将来の行き方はいろいろあるが、現状においてはやはり農業移民か主ではないか、そういう実態に即して考えるならば、やはり農業移民援助するような趣旨に即したこの種の振興株式会社等を作るにしても、そういう点に重点をおかなければならないのではないか、こういうような意見方々から起ってきたのではないかと思うのであります。  そこで最近の、目論見書等を見れば、事業内容というようなものに農業面のことがクローズ・アップされつつあると思うのであります。またそういうふうに農業を主にして考えるということになれば、一体その採算の問題等々から、果して初め考えておったようなことがうまくいくのか、そうして外国銀行からの借款についても結局政府保証しなければならない、 そうなってくると、ほんとうにこの農来移民バック・アップするような態勢、これを初めはほとんどあまり国民負担なしにやっていくつもりで、大体事業そのもの営利会社的な方法で、コマーシャルベースでやるつもりであったのが、農業移民の方のバック・アップに重点をおいていく限りにおいては、やはり政府の方の国家負担となるような傾向が出てくる、そういうふうな感じがするのですが、その点は一体どうであるのか。どうも中小企業というようなものを主体に考えておられたのではないか、それと農業移民との関係、どういうふうに考えておられるか、これらの点について御説明を願いたいと思います。
  10. 園田直

    政府委員園田直君) アメリカとの借款契約の当初におきましては、契約相談中の表面上のアメリカ移民は、日本の人口問題に対するアメリカ援助ということからきておりまして、従ってアメリカ側の言い分は、なるべく移民の数をふやすことに金を使ってもらいたいというような表面上の意見でございました。しかし民間銀行から出す借款でございますから、当然いろいろの希望条項等を見てみますと、採算のとれる投資をしてもらいたいというような希望も内々にはあったようでございます。で、われわれといたしましては、移民を、企業移民というものを大きく持ち出しました理由は、世界各国趨勢でもございまするが、われわれといたしましては、ただ単に、たとえば企業移民というのは、われわれは決して工業移民あるいは技術移民のことだけを称しておるわけではございませんので、農業工業漁業中小企業、こういうものを全部含んで企業移民というものを考えております。農業移民に例をとりますると、今まで裸ですき、くわだけを持って行った者に、これに土地購入資金であるとか、あるいは農耕機具等を買う資金援助するとか、あるいはいろんな組合共同施設、販売その他の施設をやる資金援助するとか、こういうことによって、今までの農業漁業——漁業はこれは一部でございますが、工業中小企業というものをそういう資本技術援助してやる企業移民にしたい、こういう考え方でございます。従いまして逐次そういう方向に変ってくるべきだとは考えまするが、当面は、今までとの関係もございまして、御指摘通りにやはり今までの農業移民というものが条件になるでございましょう。しかし、農業移民もそのうちを類別いたしますると、大部は御承知のごとく雇用移民の方が非常に数が多いのでございまして、先般来からまあこの会社について、そういう点からこれは国策会社であるのか営利会社であるのかはっきりしないと、こういう御指摘を受けているのでございまするが、われわれはあくまでこれは公益優先国策会社である。しかし国家資金が不足であるから、そういう目的を遂行するためにも、この会社採算がとれる程度にはしたい、こういうつもりでおります。  御指摘のように、そういう観点から、企業移民への切りかえというものがなかなか緩慢であって、当初の間は資金回収が短期間ではなくて、困るような点があるのではないか、そういう点はわれわれも十分心配をしているところでございます。
  11. 曾禰益

    曾祢益君 まあ企業移民ということの持つ意味いかんによりまして、今次官が言われたような、必ずしも農業移民関係のないということではないことはわかるのです。私は、実は実情はあまりよく知らないのですけれども、大体この開拓事業みたいなことをやりながらやっていくような移民がまだ相当多いとするならば、ただちょっとした農機具等のあれを援助してやるというようなことだけではとても足りない。相当な資本をおろしてやって、これは会社で直接やる場合もあるでしょうが、相当大がかりな長期資金を伴わなくして、果して相当多量に農民移住ができるのかどうか、これが一つ。  いま一つは、受け入れ国側希望が那辺にあるか。まあわれわれとすれば、農業移民もしたいし、さらにはいわゆる企業移民もやっていきたいわけです。しかし、これはまあ国によっても違うでございましょうが、しかし一般的に言うならば、相当大規模労働力を入れていい、少くもそれは日本人を入れてやろうというところは、多くはイタリア人なんかと違った、結局勤勉にして、向うから見れば使いでの多い農業移民を、相当苦しい、悪条件でもやってくれる農業移民を求めているというところにズレがあるのじゃないですか。この実情等関係はどうなんでございますか。
  12. 園田直

    政府委員園田直君) 御指摘通りでございまして、特に中南米等におきましては、移民受け入れ国要求というものは、必ずしもわれわれの考えているようなものではなくして、相手国行政上の要求から受け入れする国がございまするので、そういう点がただいままで、移民されたあと条件移民される前の条件というものが君子いろいろの問題があったように考えております。従いまして、幸いに戦後各方面からいろいろ業種を指定し、あるいは移民条件等向うの方から指定して、中南米以外の方からどんどん申し出がきておりまするし、移民協定ども進む趨勢にございまするから、こちらといたしましては、相手国を刺激しないように、相手国要求もこれは取り入れなければなりませんが、具体的に言っては、中南米というものを少し重点をそらしまして、他の方向にこれを分配をするとか、あるいは相手国の、条件のいいところを選ぶとかいうように考えております。
  13. 曾禰益

    曾祢益君 そこでやっぱりどうも相手国希望にも合致し、かなり多くの移民を送り出し得るためにも、やはり相当大規模な、農民……、それが開拓的な仕事も引き受けるようなことを考えて、それに即応する応援体制援助体制をどうしたらいいのかということがやはり中心になってきはせんかと思うのです。  そこでいま一つそれに関連いたしまして、これもまあ私よく知らないので教えていただきたいのですか、一体、今の移民関係外交的に何名入れてくれるかというような話で、しかしそれは別に国際的な協定の裏づけもなしに送られていくのですか、国によってですか、どういうふうな関係なのですか。つまり言わんとするところは、今、次官も言われたように、移民協定というようなものを結ぶことの可否、またそのことによってどうも今までの、最近のブラジル移民の問題なんかもよくは知らないのですか、非常に成功した者もあれば、失敗した場合にはだれも責任を買わないような非常にみじめな状態に置かれているということが、国内でも問題になっていると思うのですが、一つは国と国との協定で、そうしてはっきりと移民の種類、性質等協定して、そうしてそれに即応する十全な体制をとって、やはり政府責任をとって、日本人を、同胞を送り出して、送りっ放しになってしまうことがないように、また日本側及び現地のブローカーみたいなものに食いものにされないように、またそういう悪意ではなくても、その失敗した場合の責任はだれが負うのだということについて、非常に世論上問題になっていると思うのです。そういうような意味から、移民協定といいますか、外交上もう少しその点をかっちりして、従って国民に対してもっと政府責任をとれるような体制をとることの必要をどうお考えですか。
  14. 園田直

    政府委員園田直君) 最初の方の御質問でございまするが、御指摘通りに戦後、開拓農民といいますか、そういう大がかりな農民の方がふえておりまして、戦前はわずかに開拓農民は五%から一〇%の数字でございますが、戦後は、ただいまは四〇%にふえております。従いましてそういう点については十分御指摘通りに注意いたしたいと思っております。  なおこの移民外交の点でございまするが、御指摘通りでございまして、移民されたあと移民方々資金、またはその他の援助の点は別としたしまして、移民される前の条件と、移民されたあと条件が食い違っておって、しかもそれが政府政府の正式な協定なり条件契約等で進められたものではございませんで、単に個人と向う会社、または団体との契約、あるいはいろいろな企業団体と、こちらの企業団体との、あれとの契約で行われましたために、いろいろな食い違いがあった場合に、外交政府としてはいろいろな要請をしたり、あるいは問題が起った場合に、何らかの方法でいろいろ調停をする程度のことでございまして、何らはっきりした責任の限界、あるいは相手国に対する抗議というか、そういうものができなかった点が非常な欠陥であると考えておるわけであります。従いまして、できるだけ相手国了解のもとに移民協定を結ぶべきであると考えまして、逐次そういう方向に、在外公館等を利用して、在外公館等にも移民専門外交官を配置をして、必要あるごとに話し合いを進めておりますが、遺憾ながらただいま協定の締結ができかかっておりまするのはボリビアのみでございまして、ドミニカも大体その方向に進んでおります。一番今問題の起っております中南米につきましては、これについて意見を申し上げることは相手国を刺激いたしますので、なかなか申し上げにくいのではございますが、実際上はただいま曾祢委員からおっしゃいましたように、中南米国々におきましては、為政者とそれから一般国民との間に若干の食い違いがあるようでございます。為政者というのは、開拓地あるいは他の民族でできないような非常な困難な開拓あるいはその他の業務を、日本人を使うと非常に有利にゆくからというような行政上の要求から、中南米政府は、政界の変動あるいはインフレ等によって若干変動はございますけれども、やはり入れたいという希望があるようでございますが、一方国民あるいは労働者の方からいうと、日本国民がそういう困難な土地を切り開いて自分たちの領分を侵すのではなかろうかというような点と、もう一つ戦前からの日本帝国主義といいますか、軍国主義といいますか、何か組織を作って、勢力的に進出をしてきて、日本人が建設をするのではないか、こういうふうな点から、一般国民の方の移民に対する関心為政者移民に対する関心とは相当な食い違いがあるようでございまして、中南米等のごとき実情の国に対しては、ただいま協定を進めるということはなかなか困難でもあるし、かえって協定などを持ち出すことはやぶへびのおそれもございますので、こういう国々におきましては、なるべく在外交館等を通じて内々に相手国政府折衝をいたしまして、いろいろな向う団体あるいは企業団体契約を結ぶ際にも、なるべく進んで政府がこれに裏付けして、立会をして、そうして何らかの事件があった場合に、政府としてもこれに発言権を得るようにしたい、こういうように考えております。
  15. 曾禰益

    曾祢益君 なかなかむずかしい点も断ると思うのですが、今のところではやはり国との個々の話し合いによって、少くとも政府政府話し合いによって何名までは許可する、その点は内容までタッチしないにしても、ワクというような話し合い外交交渉によってきめているのですか。
  16. 矢口麓藏

    政府委員矢口麓蔵君) 私からお答えいたします。一番よけい出しておりますブラジルにつきましては、御承知のことと思いますけれども、北にはいわゆる辻機関というものがございまして、北と申しますのはアマゾンでございますが、南方には松原というのがございまして、辻機関は五千家族、それから松原機関は四千家族を送り出していいという了解ブラジル移植民院から……。
  17. 曾禰益

    曾祢益君 どこから……。
  18. 矢口麓藏

    政府委員矢口麓蔵君) 日本人のそれだけの家族日本から送り出してよろしいという了解をただいま申し上げました通りブラジル政府の中に移植民院というものがありまして、その移植民院から辻機関松原機関におのおの日本人を、前者は五千家族、後者は四千家族を導入してもよろしいという了解をつけてございます。これは前、初めてできましたときは単なる口頭の納車に過ぎませんのでありましたけれども、昨年の七月一日をもちまして、移植民院と辻と今の松原の間に取りきめができまして、紙に書いたものがございます。これを日本の大使館が復写してあります。でありまするからその程度日本政府も関与しておるのであります。  これを政府同士の取りきめにするかどうかということは、ただいま政務次官からお答えしました通り、いささか機微なるものがございますから、適当な時期がくれば切りかえたい、こういう工合に考えておるわけであります。一生懸命努力してやっております。  それから現在進行中のボリビアとの移民協定につきましては、お説の通り何年間に何人ということをはっきりうたうことになっております。内答につきましてはしばらくお待ち願いたいと思います、今折衝の段階でございますから。次にありますドミニカにおきましても、また公館ができ次第やりたいと思っておりまするパラグアイにつきましても同様に、そういったふうな人間の数ははっきりうたうつもりであります。
  19. 曾禰益

    曾祢益君 そうするとブラジルの場合は、結局向う国内行政許可権の発動として、それを特定の日本人機関なり何か、コンセッションみたいなものを与えて、こういうことで、それを政府立会人として裏書きしておる、こういうふうな責任関係だと思います。すると五千とか四千というのはそのときの一回限り、何年間に幾らということでなしに、とりあえず今のところ幾人までは許すというような契約になっておりますか、どうなんですか。
  20. 矢口麓藏

    政府委員矢口麓蔵君) これは言い落しまして失礼いたしました。アマゾンの移民を取り扱っております辻機関につきましては、五ヵ年間に五千家族のコンセッションをとりつけたのであります。それから南方の松原機関につきましては七年に四千家族であります。
  21. 曾禰益

    曾祢益君 それで、これもデリケートな話ですが、中南米は特に政情不安な状態が多いわけなんで、そういうまあ協定、正式の協定をすることが、今政務次官が言われたように、ある意味で当時の為政者は積極的であるけれども国民の方から見ると警戒的であって、分けの国際条約にすることに対してはなかなか機微な点があることもわかるんです。同時にこういうコンセッションはそのレイジームがひっくり返ってしまえばすぐその効果はなくなる。大使館がそれを裏書きしておったって、これは国際的な約束だといってそれを援用できないような危険もあるわけでしょうね。それらの意味について、やはりできるならば政府政府の間の正式の約束で、そうしていわゆる移民協定というものを量的にまた期間別に、それから同時に内容的にどういう種類の移民ということをはっきり分けて、そうして双方の権利義務を相当明確にしておくことが今後必要ではないか、大体そういうラインでお考えであるかどうかもう一ぺん伺いたい。
  22. 園田直

    政府委員園田直君) 移民の長期計画なり、この会社につきましては、業務計画にいたしましても、そういう機関と相手の政府権関ではなく、政府政府との間の話し合いでなければ計画も立ちませんし、なおまた移民される方々の一番不幸な問題が起った場合に責任の持っていく場所がなくて、ただ移民方々が相手の雇用者なり、あるいは向う相手国機関に泣きつく程度でございますので、何とかしてこれはやはり協定の方に持っていかなければならんと考えております。今のところ、そういう事情ではございまするが、特殊なところではございまするが、いろいろなところが今日移民というものに協定まで進まないというのは、やはり一番大きな問題は、日本人が同化政策をとらないで、何か一旗あげるといいますか、悪い言葉でございますが、出て行って稼ぎをためて日本に引揚げるとか、あるいは向うに行って日本村を作るとか、そういう無意識の間の、かっての、政府も間違いでございますが、移民された方々のお気持等も非常に影響しておる。その点が取り除かれれば私はさほど問題ではないと考えますので、移民というものについてはまず第一番に御指摘移民協定を早く結ぶ、こういうことが大事であると考えております。
  23. 曾禰益

    曾祢益君 そこでこの会社に対する疑惑なり、いわゆる反対的な国内意見の相当部分というものは、結局移民協定等による政府政府の約束でバック・アップされない今の状態をそのままにしておいて、そうしていま一つ、これはあと会社の性格の問題に触れるわけですが、まあとにもかくにも、ある意味では営利的な事業を推進し、ある意味では国際的な使命を受けたものができて、そうしてまたしかも基本的にはその会社移民の全面的な外交上あるいは内政上の日本国民の権利、義務、利益を保護するだけの使命も資格もないものができておる。結局悪くいえば食い物にされるのではないか、こういうところに非常に大きな不満や疑惑がある。会社そのものの性格や何かの問題よりも、全体の移民政策と移民の授受の体制国家的なバック・アップがないという状態からすべての罪というか、欠点をこの移住会社におっかぶせているきらいがあると思うから、そこでやはりこれは厳格に分けて、その協定等ができる十分な体制がまだ整ってないからと言って、それができるまでは一切の企業移民なり現地における振興体制をやるのをやめようという議論は私は正しくないと思う。だからそれは厳格に分けて、必要あるかどうかという意味において、移住会社法案はそういう意味で見ていきたいと思うのです。  そこで今次官お話しになったように、この会社の性格ということが非常に問題になると思うのです。これは移住事官の名前でここに出ておる参考資料等を拝見しても、私も同感であって、こういう公益的な事業移民事業の中に公益的な性格の事業がある。さらにはこういった振興的な、援助的な性格のものがあって、まあこの会社援助的な性格の方を、公益的な仕事を全部をやるわけじゃない。しかも受け入れる相手国の感情等を考慮すれば、政府のこれだけの資金援助なんかあるのだから、理屈だけからいえば、公社なり何なりにするのがほんとうであるけれども外交的な見地からいうと、公社はまずいから、法律による特殊法人にする。これは私はその点は同感であります。でありまするが、そうなるとこの会社はある意味ではコンマーシャル・ベースの仕事をしなければならぬ。そうして会社自身がある種の仕事をやると、結局今までこれはブラジルにあっていいこともしたかもしれないけれども、何々機関とか何々会社というものがコンマーシャル・ベース日本農民を連れて行って、非常に無責任なことをやってしまうという、そういうのと同じことじゃないか。もう一つ国民の税金を使っているだけさらに悪いものを作ったのだというような疑惑なり心配が出てくるのも無理からぬことだ。  しかもさっき申し上げたように、実際は農業移民を相当長期に援助していくような、相当の長期資金を流すようなことをやってやらなければ不親切なことになる。まだ企業移民を大量に送り出すような体制でない。ところがそういう方は十分におつき合いできないということになると、また何々機関、何々機関を、今度は国民の税金を使ってまでやってしまうんじゃないかという心配が、私はこの法案及びこの構想そのものに対する一等大きな点じゃないか。それらの点については十分に御留意の点はわかりますが、たとえば会社がやる直接の事業ですね、現地で、こういう点はほんとうに何といいますか、採算的にはコンマーシャル・ベースである企業の性質が、ほんとうに公益的なものでなければならないと思うのですが、それらの点についていかにお考えですか。
  24. 園田直

    政府委員園田直君) その点はわれわれが非常に心配しておるところでございまして、この法律案作成の経緯に主として大蔵省側から公社でいくべきだという強い意見が出ましたのも、国家資金の規制の面からと、それから公社にしなければ営利の方が先に立って公益性がおくれてに困ると、このいう御意貝であったのであります。それが外交上の見地からこういったようになったのでございますが、従ってこの法律案で書いてございまする通りに、社会案ではございまするが、この中の罰則、監督という権限は、他の国家資金の民間会社よりも相当強くしてございます。なおそればかりでなくて、一番そういう懸念が出て参りますのは、機構やあるいは運営上の問題よりも、資金の面から非常に左右されると考えております。従いまして、資金の面が十分であればこの会社を運営するのについては十分余裕しゃくしゃくとして公益性重点でいけるが、資金の面で追いつめられてくると、会社を運営するためにはやむを得ず営利上の方向に押されていくおそれがございます。そこで発足当初は国家資金とそれからアメリカ銀行からの借款でございますが、われわれとしては、この資金というものをなるべく、当初は若干の無理がございましょうから、いろいろ御指摘の点がございましょうが、発足いたしまして運営ができれば、なるべくその資金というのは海外に出ておられて移民で成功されて、そうして移民のために御理解の断る、援助をしたいというお気持のある方の御資金であるとか、国内的にもそういう面の資金を集めまして、しかもその資金はある業界からのまとまった資金ではなくて、なるべく分散をした民族資本ともいうべきものを集めて、これでもっていく方向に切りかえなければならぬと考えております。  なお、この会社の中で、直接この会社が投資をして事業を経営するという権限が一部認められておりまするが、これは当初は相当大幅になっておったのでございまするが、いろいろ考えまして、大蔵省とも相談をしまして、これはただいま御指摘になりましたように、営利上の方面に走るといけないから、そういう場合もあり得るというように相当制限をしてきてございます。  その事業というのは、たとえば南方諸国等におきましては特殊な、熱帯特殊事業というものを相当研究しなければならぬこともございましょうし、あるいは相手国によって特殊な産業でなければとうていやっていけないこともございまするし、でございまするから、そういう事業で、その事業をやって、初めて日本移民というものが特殊に発展をできると、しかも国内の業者とは競争相手になったり、あるいは反対の誘発をしないということから選んで、その中で採算が何とかとれるものをやるように、これは審議会あるいはその他の方法で十分検討したいと考えております。
  25. 曾禰益

    曾祢益君 そこで、この会社のやる事業の中で、渡航費の貸付けですが、この問題があると思います。私は実はほんとうに無知を暴露することなんですが、昭和二十七年からですか、貸付制度がとられておるそうですが、その実情ですね、つまり成績ですね、これはどうなっているのでしょうか。
  26. 石井喬

    説明員石井喬君) 私からお答え申し上げます。  昭和二十七年からその制度を始めまして、これは条件といたしまして、据置期間が四年間、それからあと八年間にこれを返すということになっております。従いまして本年度一ぱいは据置期間でございますので、まだ元金の償還という時期には参っておりません。ただその間でも今度新しくこの会社が発足いたしますと、据置期間中は無利子にするということになっておりますが、現在そうなっておりませんので、利子の徴収はいたしております。これが非常に成績が悪くて、全体で今までに返ってくるはずである利子の額が二千百万円ほどございます。そのうち五十九万円ほど返って参りました。全体として二・七%にしか過ぎないというのが実情でございます。
  27. 曾禰益

    曾祢益君 そこでこの会社が、まあ外務次官も言われたように、資金がそれはまあ潤沢な方がいいわけですが、とにかくよけいな、公益的でない、採算目当ての営利事業をやっていかぬという、しかもコマーシャルベースに乗った事業をやらなければいかぬという、こういうような制約に置かれておるときに、との渡航費の貸付について、これは政府からこの渡航費の貸付の事業を委託されるのですか、どういうことになるのですか。
  28. 園田直

    政府委員園田直君) 海外連合協会に貸付は委託をいたします。回収はこの会社回収をいたします。
  29. 曾禰益

    曾祢益君 そういたしますと、貸付の事業は委託するが、政府との関係においては、会社政府に対する債務を負うわけになるのですか。
  30. 園田直

    政府委員園田直君) 会社責任をとるわけでございます。
  31. 曾禰益

    曾祢益君 そこでそのことがこの会社の営業に非常に支障を来たすようなおそれはないのですか、不幸にして。
  32. 園田直

    政府委員園田直君) 海外渡航費というものの特殊性からして、これの未回収の赤字のために、事業のみ考えても、うかつにすれば公益性から営利性の方へ走るおそれがありまするのに、渡航費の未回収によって大きな赤字が出るということは非常に心配はしております。ところがその後大蔵省といろいろ打ち合合せをいたしまして、次のような方法で、大体渡航費というものをどうやってカバーするかということを考えております。それは利率がただいまのところは五分五厘でございます。それを今度は非常に、大蔵省にいろいろ御相談を申し上げて年三分六厘五毛に則り下げる相談かでき上っております。  次には貸付の期間でございますが、ただいままでは、御承知通りに八年間で、四年間が据置でございまするが、今度はこれを二十年間に延長いたしまして、据置も四年を五年に延ばしまして、しかもその据置の五年間というものは無利子でございます。従いまして渡航されてから五ヵ年間の間は利子も元金も返さなくてもよろしいということになって参りまするので、農業移民にいたしましても何にいたしましても、五ヵ年間無利子で払わなくてもいい。六年目から払うということになりますれば、これで完全とはいえませんが、今までよりも相当利子も下りましたし、ある程度渡航の特殊性というものはこれで発揮できるのではなかろうか。  なおまた天災地変、あるいは本人が死亡した、あるいはやむを得ざる事由、これはいろいろ検討いたしまして、条件が非常に違っておるとか、あるいは土地が不適であったとか、そういうやむを得ざる事情があると認めた場合においては大蔵大臣と外務大臣が協議をした上で、そうしてこれは貸付の期間をさらに五ヵ年間延長することができる、こういう申し合せもやっております。  なおまたさらにその土に、それだけやってもなお渡航費というものがやむを得ざる事情によって返ってこないで赤字が出て、これで会社が倒れる、そういう段階では債権処理法というものを次期国会でお願いをして、そしてそれによって損失を政府が何らかの方法で償っていく、こういう申し合せができておりまするから、これだけの申し合せがあれば、渡航費によってこの会社の運営不能になることはまあないのではないかというように考えております。
  33. 曾禰益

    曾祢益君 まあこれは基本的な考えとしては、この補助金で出し切りにしていいのじゃないかというようなことが考えられると思いますが、そこまで考えないにしても、今までよりも非常に大蔵省としてはよほど譲歩したところだと思うのです。外務省の考えにおいて、それで一つやってみる基礎ができたというふうに考えておられるならば、私としてはそれ以上申し上げません。  それから今お話しの中にあったように、この貸付の事務を実際委託されるのは何とかという——海外協会ですか、そこでこれがまた一つの世論の対象になってくるわけですが、要するにこういったものが一体どういう性格でどういう事業をしておるのですか。
  34. 石井喬

    説明員石井喬君) 海外協会連合会は移民に関する実務と申しますか、いわゆる移民事業と称せられておりましたもの、これは募集、選考、訓練、それから一番大きなものとしては啓蒙宣伝の問題であります。そういった公共的な移民に関する実務というものを外務省といたしましては連合会をして行わしめるという格好でございます。金の面はこれは多少の寄付金もございますが、ほとんど全部を国から委託費を出しましてまかなっております。
  35. 曾禰益

    曾祢益君 どうもこういうような事業は、もちろん場合によって政府が直接どこまでもやるということも適当でない画もあるでしょう。しかしいやしくも日本の同胞が、しかも事実においては海外の事情に非常に暗い農民が、いやしくも海外に行くというような事業については、もっと政府が直接に責任を負うような機構が元来正しいのではないか、それを公益的な法人であるからといって、啓蒙等はいいかもしれませんが、募集だとか貸付、いろいろな債権上の問題までも、権利義務の問題もあるし、とにかく責任を持つ機関としてこういうような法的に不明確な機関にやらしておくのは一体いいのですか。
  36. 園田直

    政府委員園田直君) 海外協会連合会についてはこのあり方並びにこれに委託することについては、しばしば御指摘を受けておるところでございます。法律案作成の経緯等においても、海外協会連合会を廃止をして、そうしてこの会社に一本に一元化すべきであるという意見も相当強く出て参りました。それを今日のような形態でお願いするに至りましたのは、海外協会連合会の成立は、御承知通りに、政府予算というものもございませんので、主として地方の移民に理解のある有力な方々の集まりによってそうして海外協会連合会を作って、これに対しては政府として実費程度の補助しかできなかったわけでございます。本年度におきまして、外務省から千二百万、農林省から六百万、千八百万の補助金を出しておりまするか、これも実費と寄付金とによって移民に理解のある方々の御援助を願ったということでございます。ところがそういう半面、またいろいろ御指摘を受けるように、いろいろな問題があるとか、あるいは実費かないために寄付という程度がさらに突っ込んで、苦労して移民する方々から手数料として金を少し取り過ぎたとか、いろいろな問題が起っております。ところがこの国内移民の募集、選考あるいはその他の啓蒙宣伝、こういう問題等につきましては、全国的な問題でございまするし、やはり全国的に組織を持ったもので、しかもこの国民的な移民に対する世論というか、要望というものが盛り上ることも考えなければなりませんので、かつまた一方からは御指摘受けましたように、何ら政府が監督権も罰則権も持たないようなものに重要なる渡航費その他を委託するということも確かに困る点もございます。従いまして、折衝しました結論といたしましては、海外協会連合会というものを改組強化をする、改組強化の方針は、第一は人的機構の変更、第二は資金面の充当、それから第三は下部組織を持った全国的な機構を作る、こういう三つの面から検討をして、さらにこれを次期国会において法的な裏づけをして、国家としてこれを監督もし、あるいは罰則その他も設けて、不正事件や間違ったことがないようにしたい、このように考えております。
  37. 曾禰益

    曾祢益君 これは私はこの会社が直接にやるのは適当でないと思います。この会社は当然に、今おっしゃったように国内面に広く啓発宣伝等の仕事もありましょうから、広い民衆的な基盤を持っておる点も必要でありましょう。元来はこれはほとんど政府の仕事なんでして、それをどこで区切っていくか。かっては拓務省で、今は外務省が半分ばかり仕事を継承したようなことで、今度移住局ですか、一局ができるようになった。と同時に国内方面においては、何といっても農業移民というものが——農民の送り出しが主であるから、そこで農林省の役割というものも相当に大きく増加することになり、しかもそこに中央官庁と地方自治体との関係もありましょう。なかなか行政機構として考える場合にはそう簡単にいかない部面がありますし、直接の行政機構でないいい点も……、他のこういったような公益法人等がいいという場合があると思うのですが、この点はぜひ真剣にお考え願いたい。  まあ率直に言って外務省なり元の拓務省なりのほんとうの意味の手足、あるいは農林省的ないい面を加えた手足のいいものができることが、何といっても一方における外の事業会社とマッチして重要性がある。その体制が十分ないのに会社法だけが出てきていることが、多くの議会における議論、特に農林委員会、これは衆議隊においても参議院においてもいろいろな御意見がある私は根本じゃないかと思う。大いにごもっともな点心ありただ、外務大臣の監督権のことに関連して、法律上あるいは了解事項として、農林大臣と協議すればいいというような問題じゃない。もちろんそれはそればかりからきているのでなくて、農林省のテクニカル・アドバイスの必要な面もありましょう。やはり国内における送り出しあるいは啓発、世話の事業をどういう主体でどういう機構で、どういう人的構成でやるかということが、この会社の法案とマッチして出ていないところが、これが基本的な欠陥だと思う。  どうも地方の有力者あるいは移民関係の経験者という中にも、いい人があるけれども、われわれからいっても露骨にいえばブローカー、また役人の古手で使えない者がこういうところへ蟠踞している。こういうような者から金が出るということに、ある意味では地方のボス勢力がはびこり過ぎてくる。こういうような非難は、私は決して軽軽に無視できないものがあると思う。  でありますから、意見になって恐縮ですが、こういう点を真剣に一つぜひお考え願いたい。ことに外務省は今度は局までできてやるのですから、今までと違って、少くともいいかげんということでに悪いけれども行政官庁かやる部分を公益法人だからやらしていいというそういうやり方に間違っておる。官庁としてやるべきことは外務省なりあるいは農林省がかわってもいい。直接責任のとれるようにはっきりした体制をとり、必要とあらば法律による特殊法人を作ってもいい、営利会社でない、そういう法的根拠も明らかにされたりっぱな体制をぜひ作っていただきたい。これはまあ希望でございます。
  38. 園田直

    政府委員園田直君) ただいまの点につきましては、海外協会連合会のいろいろな意見等は十分耳に入っておりまするし、そういう決意をいたしております。なお海外協会連合会の改組、強化につきましては、農林省、労働省とよく協議をしてやることになっておりまするので、十分協議をして、基本法としてそういうふうに進めたいと思います。
  39. 曾禰益

    曾祢益君 最後に一つだけ伺いたい。今拝見したところによると、先ほどちょっと私が申し上げました衆議院の農林委員会の諸君もそうですし、当院の農林委員会の諸君からも提起されている問題に関連しているところだと思いますが、要するにこの会社の監督、あるいは許可を外務大臣がやるに当って、資金関係の方で大蔵大臣と協議しなければならない、これは大蔵大臣が持っている権限であって当然だと思います。一方においていろいろな先ほど申し上げたような理由があって、率直にいえば外務大臣だけじゃ信用ができぬということの現われとして、この法律の二十三条において外務大臣が協議すべき関係大臣として、大蔵大臣のほか農林大臣を入れてほしいという御意見がある。これは一応無理からぬことでありますが、一体行政官庁の許可権内容からゆけば、これなんかは筋かちょっとおかしくはないか。そういうことになれば、運輸関係について運輸大臣とも協議する、通産関係は通産大臣に協議する、だから少くとも法律の改正案としてはちょっと筋が法律的には立たない。しかし背後の政治的の要求によくわかる。まあどうなるのかということを、本委員会における最終結論までの間の状況を見ておったわけです。何ですか、今度に次官の交換覚書でこういうことをやられたのですか。外務大臣が海外移住振興上の事業計画、資金計画及びその変更について認可しようとするときあらかじめ農林大臣と協議する。第二項で、外務省は海外移住振興株式会社の運用に関し農林省に密接に連結する。私はこれは参考資料ですからこういうことについてあまり言うのはどうかと思うのですが、これは当然でしょう。大いにこの会社の運用ばかりじゃなくて、移民事業そのものについて先ほど申し上げたような国内体制の点から特に農林大臣、農林省と大きく融合していいことをやってもらわなければいかぬ。この事業計画、資金計画の変更について農林大臣に協議するというのだったら、これは農林省だけと了解事項をやらずに、各大臣とみんなやらなければならぬ、これはちょっとおかしいじゃないか。
  40. 園田直

    政府委員園田直君) この問題も法律作成の当初から非常な問題になっておったのでありまして、農林省、特に外務省との間に率直に申し上げて意見食い違いが相当ございました。それはやはり自分の所管事務を完全に遂行したいという各省の意見は当然なことではございまするが、今法律案に書いてある大蔵大臣と外務大臣の協議事項を農林大臣とも協議すべきであるという農林省の意見と、それから外務省としては責任の所在が不明確になることは非常に困る。従って同一内閣であるから、あるいは次官会議においても、当然関係官庁か協議し、あるいは人的交流等もやって、円満に各省の御意見を伺わなければできない問題であって、それは法律的に明記すべきじゃない。ただ融資は、融資の条件には、資金の計画、こういうものに国家資金を出しておるのでありますから、これは主務官庁たる外務省と財政官庁たる大蔵省が協議するのは当然であって、事務官庁は、事業計画についてのみ協議をやっていただけば、大体同一内閣であり、各省の連絡会議があるからいいじゃないか、このように主張しておりましたが、結局政府として最後に裁定をいたしましたのは、その旨を法文中に書いて大蔵大臣ばかりでなく、農林大臣その他の大臣とも協議するということを法文上に書くことは、御指摘通り政府責任の所在を不明確ならしめるおそれがあるから、農林省のいわれることは、運営面において十分取り入れて、そうして協力をしてやれということで、裁定された問題でございます。  それで法律案が出ましてからも、いろいろ委員会等の御意見がありまして、そこでわれわれとしては、御承知通りに今度は特に海外移民の審議会を内閣に作りまして、その審議会では各省が持つ立案計画、あるいはその他重要な面もございまするが、一つの任務は、移民外交というようなことでいろいろ各種の要素が含んでくるから、特に農林省、次には労働省、それから通産省及び大蔵省、外務省、こういう関係者が集って、大臣も集って、そうしてここで協議をして案を作れば、いろいろな主張やあるいは協力関係がうまくゆくから、次にはこの次官の申し合せにおいていろいろ協議事項をやればいいではないか、こういうことでいろいろ折衝しておりましたが、最後に農林省と外務省か完全に一致をいたしまして、そうして連結を密にやろう。特に法文中には書いてないが、事業計画や、資金計画というものは、農業移民漁業移民というものが重点であるから、これは一つ事前に協議いたしましょう、こういう申し合せをして、そしていろいろ疑義を解消して、これで農林省も外務省も円満にやって参りまするから、よろしくお願いをしたい、こういう意味で申し合せをしたわけでございます。従いましてこの申し合せは当然関係のある労働省、通産省とも、こういう方針の申し合せをすることに相なっております。
  41. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 他に御質問はございませんか。
  42. 後藤文夫

    ○後藤文夫君 ちょっと一、二私お伺いいたしたいと思います。海外協会連合会のことは、だいぶ御質問があり、御説明があって、ほぼわかったのでありますが、質問なさった方もしばしばおっしゃったように、渡航費の貸付とかやる会で、ありますし、また募集等も、これから人数が多くなれば、かなりそういうことに手がかかると思うのであります。だんだん伺うと、海外協会連合会そのものの組織、機構、今日の能力というものが十分でないということを考えておいでになって、これを強化していくというお考えであるようであります。この仕事をごく正確にやるためには、むしろ行政官庁断るいは地方庁に委託して仕事をやられる方が事務的には正確にいくのではないかと思われるのですが、海外協会連合会というものは、啓蒙宣伝であるとか、その他一般に移民に関する世論を喚起したり、啓蒙したりすることに力を注いで、そういう事務的なことはむしろ行政官庁をお使いになる方が、ことに今後移民がだんだん多くなればなるほど的確に仕事がいくのではないかと思われるのですが、そういうようなお考えはないのでありますか、ただ海外協会連合会だけを強化すればいいというお考えなんですか。
  43. 園田直

    政府委員園田直君) ただいまのような御意見も中途において出て参りました。具体的に申し上げますると、雇用関係移民については職業安定所、こういうものを使えば非常に有利であるからという労働省側の御意見もあるし、あるいは地方の各県庁、あるいはその他にこれを委託するという意見も出て参りましたし、御説の通り意見も出て参ったのでありますが、いろいろ希えまして、非常に業務が分散されるということもございますし、あるいは地方官庁というものは委託事務で相当輻湊しておって、これ以上地方事務所に委託をさせることはわれわれとしては困るというふうな関係庁の御意見もございますし、今までのいきさつからいたしましても、いろいろな面がございまするので、結局ただいまのような移民に熱心な民間人を主体として、しかもその主体も下部組織を重点にして、直接移民の対象になるような人々も入って、海外協会連合会を強化、検討して、行政官庁が民衆を直接指導なり監督をせずにやった方がよろしいのではないか、こういうことから今のような結論になったわけでございます。
  44. 後藤文夫

    ○後藤文夫君 今度の予算で五千五百人でありますか、大体予定が。これに渡航費の貸付をする金額は五億円以上、かなり大きな金額の渡航費貸付事務をやることになっているようですが、これは連合会をだんだん法律でも出して強化したものになさろうという御計画はあるようですが、さしあたり今年はこれでおやりになるのでありますが、それだけの能力は十分にあるのですか。
  45. 園田直

    政府委員園田直君) 渡航費貸付は今までもずっと海外協会連合会かやっておったものでございます。法律的裏づけをすると申しましても、これは明年度というわけでなくて、次期国会に直ちにやりたいと考えております。この法伴案を御相談申し上げるにつきましては、その海外協会連合会に委託するのであれば、海外協会の法的惜置もして同時に御相談するのがこれは当然ではごさいますか、今日おくれております理由に、この渡航費を考えて、海外協会連合会に委託をするのかしないのか、会社業務内容によって直ちに海外協会連合会の法的裏づけをするにしましても差異が出て参りますので、この法律案が通って、初めて連合会に渡航費を委託するという法的性格が生まれて参りますから、それから法的措置をするという関係でおくれておるわけでございます。
  46. 後藤文夫

    ○後藤文夫君 それはそれでけっこうなんですが、率直に申せば、この法律案が——案がきまったわけですから、案がきまります間にこの海外協会連合会をどうするかという構想もほぼおできになったものだろうと思うのですが、それはあとに回しまして、ついでに伺いたいのは、貸付の事務を海外協会連合会にやらせる、回収会社がおやりになる、貸付と回収とが別々なものになりますから、貸付をする場合の責任と、回収責任とが一つにならないおそれがあるのでございます。大体ものを貸して回収するというのに、同じ責任者がやらないと、貸す方は勝手に貸して、回収の方は非常に困るといったようなことも起るし、また貸したときのいろいろな事情というものも心得ておって回収というものを考えていかなければならない。貸付の対象についての理解というものを、直接に回収責任を持つものが承知をしておらなければならない。この貸付と回収との仕事が、委託とは申しながら、全く分れてしまうということは、実は非常に工合が悪い問題だと思うのでありますが、その辺の不都合はどういうふうにして調節をされるつもりでありますか。
  47. 園田直

    政府委員園田直君) 仰せの通りに、海外協会は貸付の事務だけやることになりまして、貸付の回収の背任は会社が負うわけでございます。貸付事務をやる方と、回収をやる事務とが別個であれば、御指摘のような懸念もあるとは思いますが、この貸付事務は農林省、労働省、外務省がいろいろな基本方針を示して、一つのワクを示して、そうして厳重な監督をしてやらせることになっておりますし、全国的な面でございまするから、やはり今のところは海外協会連合会にやらすべきであると考えておるわけであります。回収移民国の外国に散在しておる個所でございまするので、なかなか協会連合会としては回収もできませんし、本会社は将来は必要な地点には支店等も置きますので、この会社回収をしたい、このように考えております。
  48. 後藤文夫

    ○後藤文夫君 まあちょっとわかりかねるのですが、私のお尋ねしたのは、貸付の専務を委託するところで貸付をすベきものを選択をするのでありますから、いろいろな条件を示されても、選択をするのは貸付の事務を委託されたところでやるのだと思うのですが、貸付はそれは会社が貸し付けるのですけれども、事務を委託したところで、事務だけは協会がやるのですか、貸付の相手の選択などもそうですか。今度は回収の方は、会社の方では貸付の場合の選択をした人には何も責任はないということになるわけでございますが、その間の関係も何か連絡調節がうまくつかないと非常におかしな問題になると思いますが、いかがですか。
  49. 園田直

    政府委員園田直君) 仰せの点は確かにございます。従いまして法的裏づけをしてやる場合にはそういう点を十分考えて法制をしたいと考えております。
  50. 後藤文夫

    ○後藤文夫君 なおもう一つ伺いたいのは、会社業務方法について、会社開始の際に決定をして外務大臣の認可を受けるという条文がございます。この業務方法を、会社の仕事を開始する際にというのですから、この会社が成立する当初に業務方法をきめる、これは会社業務方針というものを大体きめるということになるものでしょうかどうなんですか。業務方法というのはどういうことを意味しておりますか。
  51. 石井喬

    説明員石井喬君) 私からお答え申し上げます。会社業務内容がきわめて単純でございますと、たとえば国内のいろいろな輸出入銀行でございますとか、農林中央金庫でございますとかいうような一つのまとまった事業だけをいたしております場合は、おそらくは相当こまかい規定まで業務方法ということを規定できるかと思います。従いまして、それが会社の運営方針を完全に決定してしまうということになると思いますが、こういうふうにその事業内容かかなり多岐にわたっておりまして、おまけにその事業が国によっていろいろ内容が違うばかりでなく、さらに非常に広いところでございますので、一つの国の中でも非常に違いが出てくるということになりますと、この業務方法で、きわめて大きなワクというものはきまってくると思いますが、こまかいいわゆる業務方法的なものはこれは当初にはなかなかできないのじゃないか。従いまして大ワクと申しますか、ほんとうの大きな方針みたいなものだけはきまってくるというふうに了解いたしております。
  52. 後藤文夫

    ○後藤文夫君 この法案の十条の「会社は、業務開始の際業務方法を定め、」、この業務開始の際定める業務方法というのはどういうことを予定しておりますか、それを伺いたいと思います。
  53. 石井喬

    説明員石井喬君) 業務開始の際の、本来でありますれば、この会社業務を開始いたします際には、こういうものがすべてできていなければならないのでございますが、この会社の当初の営業印度の事業計画、資金計画、収支予算といったようなものは「最初の営業年度の開始後遅滞なく」ということで、一応会社ができましてから会社の当事者によりまして具体的にはいろいろのものがきまって参るというふうに考えております。
  54. 後藤文夫

    ○後藤文夫君 ちょっと私のお尋ねしていることがおわかりにならないかと思いますが、この十条に「業務開始の際業務方法を定め、」とあるから、開始されたらすぐその業務方法を定める、その業務方法は一体どういうことを、何も具体的にこうだということでなくてもよろしいのですが、どういうことを、今お話しによりますと、業務がかなり多岐にわたっておると、私はこの多岐にわたっておるこの業務方法を定めることが非常に必要なんだと思うのです。そうすると先日来、質問応答の際に出ております問題が、一体この並んで掲げておるたくさんなこの業務の中で、重点が一体どこに置かれたか。それかどういう見通しで、だんだんには私は変化するだろうと思うが、まず当初はどこに重点を置いてどういうことをやるか。そういうことが開始の際にこれが非常に業務方法として定められることによって、この法律の運営されていく行き方がほぼ明らかになってくると思う。この法律自体は実は非常にどうやるのだかわかりにくい。これは何でもやれるようになっていて、しかもいろいろ説明を承われば、何らそう多岐に一せいにやるようにはいかない。大体重点移民に対する貸付、融資で、その他の事柄は余力があれば順次やっていくように思われる。その点この業務方法ということが、一体そういうことについての大方針をきめられるべきではないか、こういうふうに思うのですが、そうするとおおよそこの法律案を審議する際に、開始の際に定められる業務方法の大ワクというものはどんなものであろうかということをわれわれは承知しておきたいと思うし、またそれがはっきりきまらないというならば、それはどういう方法によってきめるのか。会社に重役ができて、重役にかってにきめさせるというのではなく、やはり関係官庁その他が相当な発言、審議をしてきめていくのでありまして、よりより移民審議会でおやりになる、おきめになるというお話が出ましたが、この法律においては何を移民審議会においてやるのだということは一つもないのでありますから、移民審議会に何がかかるやら……、大体そういうつもりだとおっしゃっても、これが何年も法律が施行されていく間において、そのときに移民審議会にかかるのか、かからないのか、はっきりしないようなんでありますから、やはり責任のある政府関係の方から大体そういう方針を伺っておきたいと思うのです。  たとえば移民審議会にかけるということでありますならば、この法案の中ではどういう事柄が移民審議会にかけるつもりなのだということを、ことに今の業務方法というような問題は、政務次官からもお話しがございましたが、移民審議会にかけるというお話しが前にはあったかと思いますが、おおよそどういうワクでもって、これは移民審議会には必ずかけるおおよその方針をきめて、まあそれも当事者にまず立案させることもけっこうでありますが、各省が発言をする機会を必ず与えるのだというようなことになっておりませんと、あとでいろいろな各省の関係においても不必要な摩擦を起すおそれがあるのじゃないかと思うので、このことを伺うわけであります。そういう趣旨で一つ御答弁を願いたいと思います。
  55. 園田直

    政府委員園田直君) 移民審議会にかけまするのは移民全般の長期計画、それに伴うこの会社法案に関係のある問題、基本方針、業務方法——業務方法と申しまするのは、主として融資の条件、あるいは本会社が直接経営を行うところの事業の対象、あるいはそういう総ワクというものを考えておりまするが、そういう業務方法、あるいは各省で調整を必要とするもの、こういうものは必ず審議会にかけるつもりであるばかりでなく、審議会設立の当初からそういう申し合せをいたしております。
  56. 後藤文夫

    ○後藤文夫君 もう一つ業務方法というものは、この第十条の言葉をもう少し御説明願えないでしょうか。何かその業務方法というのは非常にさまつな手続みたいなことか何かであるならば、それは別にここで深く伺う必要はないのですが、開始の際に定める業務方法というのだから、かなり根本的なこの会社の運営方法についてのことを定めるのだと思うし、またそうこれが最初に定められなければならないと思います。この法案を審議するに当ってもおおよそそういうことの方向がはっきりしなければならぬ。それが具体的にはどこできまるのかということを承知したいので、十条が大体それに関連あるのでありますかないのですか、まだ私にははっきりわかりませんが。
  57. 石井喬

    説明員石井喬君) 私からお答え申します。私ども考えておりまする業務方法は、たとえば貸付の場合におきましては、国によっていろいろ違うとは思いますが、最低はこのくらいでなければならぬ、最高はまたこれよりこえてはいかぬ、これは抽象的なものになると思います。国によっていろいろ違いますというようなものが出て参ります。それからたとえば投資というようなことになりますれば、これはどの程度移民を入れる事業でなければいかぬ、こういうようなことがきまってくる。それからもし直営というようなことを考える場合には、直営の事業とは一体どういうものであるか。つまり移民関係のないような仕事をやらせるようなことはいかぬ、すべてが移民振興のためにならなければならないというような点からいたしまして、まあ仕事の、業種別の大きなワクと申しますか、ただいま申し上げましたようなことがきまってくるというふうに考えております。
  58. 後藤文夫

    ○後藤文夫君 なお伺いますが、今のところはわかりました。そうするとこの業務方法というのは、今お話しのあったようなことであって、第一条並びに第八条に会社業務として、第八条に「次の業務を行う」と書いてございますが、これはたくさんなことが並べてある。こういう業務の中でどういう点にまず重点を置いて、どういうふうに今後運営していくのか。この目論見書で一応御説明がありましたが、各業務のこのウエートのつけ方などというものをまずここでおよそきめていくという趣旨では……、この業務方法を定めるということはその趣旨ではないのであって、そういうことは審議会の方にかけてはっきりおきめになるということなのでありますか。
  59. 石井喬

    説明員石井喬君) 私どもはただいま仰せのように考えております。つまり当初の年度においてどういう点に重点をおいていくかというようなことは事業計画でだんだんきまっていく、従いましてその基本的なものにつきましては当然審議会なりその幹事会なり、あるいは初めには各省連絡協議会というものがございますので、そういうものにかけてきめていくというふうに考えております。
  60. 後藤文夫

    ○後藤文夫君 私は当初の一年切りのことを申すのではございません。会社ができて当分の方向をどうするか、特に一年々々のことは、それは事業計画でわかりますから、その一年々々の事業計画を論議する際において、今後三年なり五年なりの見通しはそういう重点をどこにおくかということがきまっておらないで、毎年々々事業計画を審議会あるいは各省々々でまた争うということになりましたら、全くまた紛争の種を残すことになるから、やはり会社を設置する当初において、この会社の当分の方向、向い方というものが明らかにされておらなければならんと思うのです。この目論見書にありますこの間からの御説明によりますと、農業移民営農資金その他の貸付というような事柄が大体重点的に行われて、六五%はその方に向けるのだ、あとの三五%をその他の方へ向けるのだというような御説明でありますけれども、それは一応ただばく然たるそういうお見込みでありますが、むしろこの間からの御説明の建前からいきまするならば、会社の運営の方針は、大体農業移民並びにその団体等に対するいろいろな貸付、新しい移民に対する、古い移民に対する……、そういうことがまず重点になって、そうしてあとに余力があればほかの並べてある項目の仕事にいくのだというふうにしていくほかはない。それ以上のなかなか大きな新たな資力などというものは得られるわけではないから、新たに大きな資力が得られればほかにやることを考えてもいいかもしれませんが、どうも重点がはっきりしていないというと、運営の際にやはり非常に混乱が起りまして、同じコマーシャルベースでやるとしましても、非常に興味ある企業的な仕事と農業団体側に貸し付けるかなり小さい仕事というようなものとの間には相違がありますから、会社の運営自体の重心がどっちに触れるか、将来の問題についても非常な懸念がこの点にあると思うのであります。会社ができる際に会社のさしあたり当分の間の方向というものがおおよそ大ワクできめられる。六五%がよろしいか七五%がよろしいか、あるいは八〇%はその方にいくんだ、あとの二〇%はもし適当なものがあればやるんだというくらいの方針が立つのではないのですか。おそらくこのままいって、毎年事業計画及び資金計画というようなものをやはり各省関係で相談するとか、あるいは各方面希望者が審議会に集って相談するということになりますと、かなり混乱するのであります。最初にやはりそういう審議会の大ワクを立てていくということが必要であります。そのためには政府御自身が十分に検討された確信のある方針をもって審議会に臨まれて、移民のためのこういう資金ができたら、この資金をどう使って移民自体を今後どういうふうに発展させるというような大方針を立てることが、ただ会社のことでありますけれども、このきまり方が日本の今後の移民政策の大きな方向を決するかぎになることであると思いますので、とにかく法律だけ作っておいて、あとはこれを審議してこれからやっていくということにして、毎年ものをきめていくんだからということではいけないんだと思うのであります。またそういうおつもりでもないだろうと思いますから、お尋ねするわけなんでありますが、大体私の申し上げます趣旨には政府の方も別に異論があられるわけではないから申し上げるのですが、反対して申し上げるわけではないのであります。従って業務方向ということが今のようなことを含まないで、お説のような、むしろ非常に事務的なさまつなものであるとするならば、業務としてここに掲げておるのは、ただ一、二、三の順序で、重点はきまっておるように見えないのでありますけれども、もう少しはっきり重点をきめて、日本の今後の当分の間の移民政策に関連しての資金の使い方はこういう方向に向けるんだということをもう一応はっきり御説明願い、どこではっきり一応方針をおきめになるかということを伺いたいと思うのであります。
  61. 園田直

    政府委員園田直君) 業務方法は、いろいろな長期に亘る重点であるとか、あるいは融資の条件、あるいは事業の総ワクなどという会社通常の基本方針をきめることは御指摘通りであります。従いまして非常に重大な問題であるから、きわめて具体的に申しますと、農林、通産、労働等、移民は非常に各省に関係があり、専門的な技術なり意見を必要といたしますことは当然でございまするから、その業務方法の基本方針の決定は、まず事務連絡協議会で各省の幹部が打ち合せをして、そしてこの会社業務を開始する際において会社の幹部とも打ち合せをして、総まとめを外務省の審議会の事務局で立案をしてこれを審議会にかける、こういうようになっております。従いましてこれは当然審議会にかけて、さらにそのかけたものをその会社にやって、会社はそれに基いて進めていくと、こういうふうにするように話し合いをきめておるわけであります。
  62. 後藤文夫

    ○後藤文夫君 私の尋ね方が悪いかもしれませんが、お尋ねしておる事柄は一、二、三と目論見にお書きになる。法律業務範囲として一、二、三と並べておりますが、先日からこれに関連した御質問が出ておりますが、一体この当分の重点はどういうふうにおきめになるか、御説明はありますけれども、そういうことをはっきり方針にきめられておくことが必要じゃないか。欲を申せば、法律自体がそのことをきめておいてくれれば非常にいいのでありますが、第一条を見ましても、ずっと前からきまして「資金の貸付を行うほか、」、行うまでが本体であって、そのほかに、必要に応じてこれこれのことをするということになっておりますが、結局この全体がまあどこがしり、頭ということでなくて、どこでも力のあり次第、金のあり次第やれるように見える。そうして第八条として、順序として一、二、三、四と並べてありますから、渡航費の貸付というものが一番重要のように見えますけれども、しかしどれに重きをおいてやらなければならぬということもはっきりしておらぬのであります。これはどれに重きをおいてやるかということは、非常に移民政策のすべり出しに大事な問題であるから、どれにでも食いついてやりたいときはやれるように法律はできておりますが、この法律だけでは運営の内容が当分どういう方向を向いていくかということが実ははっきりしておらない。それがどうしてきめられるか、法律ではっきりきめられないならばどういうようなところではっきりきめますか。それは当初やはりはっきりきめておかなければならぬことであろうと思います。第十条の業務方法というものは、そういうことでおきめになるならば、それはここに一つの点が出ておるわけですけれども、これは必ずしもそういうことをきめるのでないということでありますると、この業務として掲げておるところの、運営されるところの今後の方針というか、重点の向け方というものがどこにあるかということを、もう一度はっきり伺いたいのであります。それはただここで伺うということだけでなく、政府機関なりこの会社をしてどういうふうにどうきめさせるのであるかということを伺いたいと思います。
  63. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) ちょっと政務次官からお答えのあります前に石井事官に伺いたいのですが、石井事官の御説明だと、業務方法ということは、国によって利率が違ったり何かするから、そのことを具体的に個々の国、個々の業務を開始する際にというようにこれを解釈されているように私は思うのですが、そういう意味でなく、後藤委員は、会社というものが発足する際に、大きな移民方針といったようなものを、業務範囲が広いものですから、具体的にどういうような順序でやるかといったようなことを出されるんじゃないかというふうに言われるように私は思うのです。そこが、そんなことではないので、個々の国における貸出については利率も違うから具体的にいくのだと、これは非常にこまかいことになってしまう。そこがどっちかということじゃないかと思います。質問応答を伺っておって、そこを一つはっきり……。
  64. 園田直

    政府委員園田直君) 業務方法は、いろいろな当面の間の事業、あるいはその他の基本方針、あるいは重点、そういう大ワクをきめる程度でありまして、個々の問題をきめようとは考えておりません。それを決定しますのは、これは移民審議会でその大綱をまず討議、答申を得て、それに基いてきめたいと考えております。
  65. 後藤文夫

    ○後藤文夫君 それならば大体わかりました。何しろ法律の中に開始の際にきめる、毎年々々きめるというのでなくして、開始の際にきめると、こうなっており、粗末な取扱いをしてそういう個々の問題をきめるのでありますれば、最初にだけきめましてもなかなかいかない。これはまた逐次きめていかなければならない。最初にきめると書いてありますから、かなり重要なことをきめようとされているのではないかと思うのでありますが、これはただ会社の当事者ができてから、そこで勉強さした後に定められて、外務省の認可だけできめるというようなものでなくして、根本方針というものはもっと大きく定められなければならぬのではないかと思うので伺ったわけですが、御説明でほぼわかりました。
  66. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 簡単に一つお伺いしたい。現実における現地の金融健闘の資金等を、移民の企業資金なり営農資金に活用していくということは、私非常に大事なことであり、重要なことではないかと思うのでありますが、現在はそういう資金現地の金融機関の協力等によりて活用されているわけです。おのおのその方法に対しての協力というものは積極的に進むように努力をする必要があるのじゃないか、こう思うのでございます。今回のこの資金アメリカ資金なんですね。これまで現地資金が活用されておったところにプラスされるわけでしょうけれどもアメリカ資金日本移民事業に使われるということになるわけです。それについて現地の方でどういう感じをもって見ているか、これがどういう影響を与えておるかという点についての御見解一つ承わりたいと思ます。
  67. 矢口麓藏

    政府委員矢口麓蔵君) この移民借款ができそうでありますということは、相当早くから中南米、わが移民諸氏の働いておるところに伝わりまして、若干の反応があるのであります。また在外公館からも時に触れ折に触れ情報があるのでありまするが、まあ、大体の傾向を申し上げますると、この会社がどういう工合な進展ぶりをなすであろうか、もしそれ健全なる発達をいたしますならば、御承知通りサンパウロ周辺におきまするわが移民の成功ぶりというものは相当ございますが、現に余った資金の運用方法を十分心得ておらないとも言い得るわけでございまして、たとえば、たんす貯金をするなり、あるいは土地を買うだけのことしかやっておりませんので、より効率的に動くということになり、かたがた日本移民の発展のために役立つということになれば、相当入ってくるのじゃないかという見通しをつけておりますが、一にかかって今後の、当初の進展ぶりということにあると思うわけでございます。ただメキシコにおきましては、すでにそれができれば参加したいという日本人の成功した移民者の側からのそういう話も聞いておりまして、その他の国におきましても、大体ブラジルと同じような傾向でございます。
  68. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 私は、向うにいる邦人の意向じゃなくて、現地の金融機関とか、あるいは現地の、ブラジルその他の当局方面なり、あるいは金融機関の意向とか、そういう方向ですね、そういう方面はどういう目で見ておられますか。
  69. 矢口麓藏

    政府委員矢口麓蔵君) お答えします。外国の金融機関がどうのこうのということは、現段階におきましては別に反応ございません。ただ御承知通り、サンパウロに南米銀行といいます——これは日本人の経営している銀行がありますが、もちろんブラジル人も中に入っておりますが、その方からの話し合いがあり、せんだって具体的に一応の話をしたわけなんでありますが、大いに本件借款の出先機関と協力して、できれば手に手を取ってやりたいという意向を向うは示されておりますし、私たちも大いにその手を借りたいと、こう思っております。現在現われておりますのは南米銀行一行であります。
  70. 園田直

    政府委員園田直君) 今の御質問に補足してお答え申し上げますが、現地銀行で直接意見の開陳があったものはただいま報告しただけでございますが、その他の国々現地銀行から、本会社設立に対する情報に対して、反対とかそういう動きは今のところないようでございます。われわれといたしましても、当初は支店の開設も性急にはできませんので、これは現地でやっている銀行は、主としてやはり営利を重点にやっておりますので、一番困っているのは貸出の時期が非常におくれることも因っているようであります。調査のために……。  それからもう一つは、移民事業を助けるという点については、いささかお世話になっているわれわれが言うのはおかしゅうございますが、不足のような点もございますので、やはり現地の金融機関の計画に漏れて、助からない人々の方にわれわれは手をまず差し伸べるべきだと考えておりますので、情報の通報を願うことは、すでにそれぞれ処置をいたしておりまして、向うの具体的な金融の情報を得たいと手を打っております。
  71. 苫米地義三

    苫米地義三君 この目論見書を拝見しますと、資本金は初年度は一億五千万円、次年度から三億ぐらいという予定になっておりますが、この目論見書の損益の表を見ますと、三年度において早くも資本金の二割の収益がある。四年度は三割の収益がある。五年度は四割に相当するような収益があるように見えますが、そういうわけですか。
  72. 園田直

    政府委員園田直君) 外務省から出した目論見書に、政務次官がなかなか困難だというのはまことにおしかりを受ける答弁かもわかりませんが、三年度に本目論書に書かれたような利益が私は上らんのじゃないかと実は考えております。そのような利益が上るとすれば、先ほどから御指摘を受けましたように、この会社が相当無理をして資本金の集め方あるいは投資の仕方等について営利的な方向に走るおそれがあるのじゃないか、この目論見書は実は相当政治的な目論見書でございまして、(笑声)相手の三銀行等の関係もございますので、はなはだ申しわけないことではございまするが、目論見書通りに利益が上るとは実は考えておりません。
  73. 苫米地義三

    苫米地義三君 私の伺う趣旨は、それほど利益があるならば、この会社目的移民ですし、しかも農民移住ということが眼目でありますから、農民は御承知のような工合に定着するまでどんなにしても四、五年はかかるわけです。それが五年たって四割上るような余裕があるものなら、そういう定着農民に対して、もっと便宜をはかり得られるのじゃないか、それが移民法の精神じゃないかということです。この会社目的を達成するために、余裕があるなら、そういう方面に運用してほしいということを申し上げたいということが一つ。  それからきのうお話がありました、この会社は民間資金を集めるのだ、だから民間資金を集めるのに適当な人をよるのだというお話がありましたが、私はそれは重点がむしろ違うので、資金を集めるならば、これだけ人員があれば当然集まるので、それよりかむしろ資金を運用するという方面にたんのうな人を選定なさるのが妥当じゃないか。要は移民法案の精神によって、いかに多くの移民を海外に定着させることができるかという大方針にのっとったやり方をしてほしい、こういうことであって、その点は狂いはないだろうと思います。
  74. 園田直

    政府委員園田直君) 御指摘通り考えております。
  75. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 私が最後に一つ伺っておきたいと思います。業務範囲のところで農業漁業工業、その他の事業ということが数ヵ所に掲げられておるのでありますが、私は、局長からいろいろあらかじめ知識を得るため参考にいただいたいつかの案であったと思うのでありますが、外務省においては鉱山案をお考えになっておったように思うのですが、それがここに出ていないのは、その他の事業ということに含められたのでございますか。あるいはそういうことはいかんということに、政府でも案を練られた結果なったのでありますか。私は非常にこれは危険なことだと思いますし、それから大きな企業になるので、この会社の対象にはならぬと思うのでありますが、小さな企業で山を掘り当てれば、鉱山労働者移住させることも相当にでき、営利行為としてもある程度の金がもうかって、今の苫米地委員の御心配のところも解決をするのじゃないか。そういうことをやろうと思って、外務省は鉱山業というのを。農業、水産業の前に鉱業と、こうお書きになっておったのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  76. 園田直

    政府委員園田直君) 御指摘通りでございまして、当初においてはそういう意見もあったのでございます。しかし国内におきましても鉱山業というのは非常に危険な投資でございまして、しかもそういう方面のことを許しておきますると、いわゆる鉱山業の山を当てたという点があれば、この会社のためには非常に助かって、そのために定着農民等の資金が出てきますが、逆にそういう事業を許しておくために、かえってこれが営業投資本位になるおそれがあるので、中途において慎重を重点とする意味において削ったわけでございます。
  77. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 何か御質疑ございましたらどうぞ。  それでは本日の外務委員会はこれをもって終了いたします。    午後零時三十六分散会