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国務大臣(
重光葵君) ゼネバで十八日から開かれております四国
会議の重要性は、私はここであらためて申し上げるまでもないことでありますから差し控えましょう。その重要性をまず第一に私は内外に向って、
日本が認識しておる、
日本政府は重大な関心を持っておるということを内外に示すことが必要であると、こう思いました。そのことは幸いにして
国会の討論を通じて、何と申しますか、インタイムにこれは処理することができました。それは御
承知の通りに、予算
委員会における
質問応答において、これはもうはっきりと
総理も私も、その意味で内外に
意思表示をしたのでございます。それは
新聞通信等を通じて十分に報ぜられたわけでございまして、次いで
日本としてやっぱり同様に内外に向って表示したいのは、この重要なる
会議が
世界情勢の緊張緩和に貢献するような結果をもたらすことを期待し、またその実現につとめられたいと、こういう
意思表示でございます。これも
議会を通じてやる機会があったのでございます。そして、それが最も適当であり、また一番有効な方法であったと、これも先ほど申し上げましたこととともに、その結果は有効であったと、こう
考えております。
そこで、その問題についてですが、さような方法で別に
政府なり
総理大臣なりが
声明なり、また
意思表示を別の方法でさらにする必要があるかないかということがここに起りますが、した方がいいか悪いかということが起ります。その問題については、まだはっきり今日までのところきめておりません。おりませんが、以上のような方法はすでにもうとられたわけでありますし、そこで何と申しますか、時間を争わなくてもいい問題でありますから、
総理の
考えの熟するのを待っておるわけでございます。しかし、今申し上げる通りに、さような一般的の問題、国の
意思表示は、申し上げます通りに、
国会を通じてやったことが非常に効果的であったと、こう申し上げて差しつかえないと思います。
そこで、その次の問題はどういうことであるかというと、かような
会議において、
日本の実際の利害
関係を伴う問題が討議されるかどうかということになりますけれ
ども、これは具体的な問題になります。そこでこれも予算
委員会のときの
質問応答によって私は
説明をいたしておきました通りに、自由民主国と申しますか、米英仏、この方面においては東洋、東亜の問題はこの
会議においては論議をしない。一般的の軍縮の問題、ドイツ統一の問題、それからヨーロッパの安全保障の問題というようなことが主たる題目であって、それに東西両
世界の
貿易の問題というようなことが入るかもしれぬ、けれ
ども、まあその
三つのことがおもな問題であるということは、これはもうすでにそう了解されておることでありますが、そこで、この
日本の
関係の東亜問題が議論される
可能性ありやいなやの問題、そこで米英仏の方面ではさような意向はない。この
会議でわれわれのいう極東問題は議題にしたくない、こういう意向であることは確かであります。
しかしながら問題は、これはさらに第四の
会議参加国であるソ連がこの問題を持ち出すかどうかということなんでございます。それは東西両
世界、両地域の
貿易の問題もその部類に属する、そこでソ連が東亜問題を出すか、こういうことでございますが、われわれの得ておる情報によれば、ソ連がかような問題をも討議したいという希望を持っておるように見えます。そうしてソ連は、さような場合には中共をも
会議に加えることを提案したい、こういうふうに見えます。しかし
アメリカを初めその他の国は、かような、主としてヨーロッパ以外の問題はまず議題としたくないということでありますので、もし、さようなことがソ連側から提案があった場合においても、
内容について討論を進めるということはまず見込みはないように見えます。そこで
内容でなくして、取扱いぶりについては議論がありましょう。さような問題は別の
会議で、
関係国をも集めて討議をした方がよくはないかといってはずすのじゃないかと観測せられるわけであります。というのは、米国あたりのとっておるはっきりした態度は、利害
関係国の参加なくして、一切その国の利害に
関係する問題を処理しないということを強く言っておる
関係から見ても、そういうふうに観測されます。まあさようなことであります。
が、しかしながら、
日本に利害
関係のあること、また
会議全体の推移、
内容等については、これは
日本としてできるだけ詳細、的確な情報を持たなければならぬのであります。そこで、かつまた
日本の利害
関係のあることはむろんのこと、
会議全体のことについて
日本は重大な関心を持っておるということを
関係国によく理解をしてもらっておく必要があるのでございます。そこで米英仏等に対してはさような意味で、
日本が重大な関心を持っておること、
日本の利害
関係のあることについては、特にいろいろな情報を得たきこと等について、十分申し入れをして、頼んでおるわけでございます。さらにスイスにおける大公使等に対しては、ゼネバにおいて、また十分さようなことについて的確かつ詳細な情報を集めて、そうして報告するように訓令をいたしたおるわけであります。
ゼネバの
会議は、やはりきょうの
新聞でも御
承知の通りに
国際連合で世話しておるという建前をとっておるようです。ハマーショルド
事務総長自身が席にも列しておるということであります。そこで、従来
国際連合に対する代表としてやっておりました沢田廉三大使、これがちょうどヨーロッパにおりますから、沢田大使にも訓令を出して、そうしてその間の連絡をとって、十分的確、詳細な情報をよこすように訓令を出しております。まあかようなことで、一応
日本の
政府としてとるべき態度、とるべき手段はとっておるような次第で、大体それで当面の事態には対処しておるというふうに
考えておるわけでございます。
そこで第二の御
質問の、
議会でそういうことをするがいいか悪いかと、こういう問題でございます。これはまあ私自身としていろいろ意見も申し上げてもいいのでございますが、しかし、かような問題については、
議会はこれはいわば最高権威でありますから、
議会としてよくお
考えになって、そうして一応のお
考えをきめて、何らかの資料なり何なりの意味で、われわれの方に御連絡を持たれることが、私は順序じゃないかと思います。ここで私の、こうした方がいいとか悪いとかいうことを申し上げるのは、これは私出過ぎるように感じます。そこで
一つ十分に大きな問題として、責任ある態度によってこれを御処理になっていただきたいと、こうまあ私は
考えるのでございます。もっとも、それについていろいろな、今申す通り資料その他について御用があれば、私はいつでもそのことについては御連絡を申し上げて差しつかえないと、こういうことをお答え申し上げます。以上。