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1955-07-19 第22回国会 参議院 外務委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月十九日(火曜日)    午前十時三十二分開会     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     石黒 忠篤君    理事            鹿島守之助君            草葉 隆圓君            羽生 三七君            苫米地義三君    委員            梶原 茂嘉君            後藤 文夫君            佐藤 尚武君            岡田 宗司君            佐多 忠隆君            曾祢  益君            野村吉三郎君   国務大臣    外 務 大 臣 重光  葵君   政府委員    外務省参事官  安藤 吉光君    外務省アジア局    長       中川  融君    外務省経済局長 湯川 盛夫君    外務省欧米局長 千葉  皓君    外務省条約局長 下田 武三君    外務省国際協力    局長      河崎 一郎君    大蔵省主税局税    関部長     北島 武雄君   事務局側    常任委員会専門    員       渡辺 信雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件理事の辞任及び補欠選任の件 ○連合審査会開会の件 ○関税及び貿易に関する一般協定への  日本国加入条件に関する議定書へ  の署名について承認を求めるの件  (内閣送付予備審査) ○特別円問題の解決に関する日本国と  タイとの間の協定締結について承  認を求めるの件(内閣送付予備審  査) ○国際情勢等に関する調査の件(国際  情勢に関する件)     ―――――――――――――
  2. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) ではこれより外務委員会を開きます。  この際、委員の皆様にお諮りいたしたいのでありますが、本委員会理事小瀧君から、理事の辞任願が委員長手元に参っております。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  つきましては、ただちにその補欠互選をいたしたいと存じますが、互選の方法は、慣例によりまして、指名を委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 御異議ないと認めます。  それでは私より草葉隆圓君を理事に指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 次に、連合審査会に関する件についてお諮りをいたすのでありますが、本委員会に付託されておりまする日本海外移住振興株式会社法案につきまして、去る十四日、農林水産委員会から連合審査会開会を申し入れて参っております。本委員会はこの申し入れを受諾してはいかがかと存じますが、いかがでございましょうか、御異議ございませんでしょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 御異議ないと認め、さように決定いたしました。  そうしてその合同委員会開会の日取りを御相談いたしますが、木曜日ということにいたしたいと存じますが、いかがでございましょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) それでは木曜日ときめまして、その旨を農林水産委員長に回答いたすことにいたします。  なお、この移住振興株式会社法案につきましては、本委員会といたしましては、七月の五日に一回質疑をやっておるのでありますが、農林水産委員会等におきましては、連関事項として数回開いておるようでありますから、外務委員会としてももう少し質疑進行しておいたらどうかと存じますので、翌金曜日に外務委員会を開きたいと思いますが、いかがでございますか、二十二日でございますが……。
  8. 曾禰益

    曾祢益君 これは来週の定例日じゃいけませんか。
  9. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 来週の定例日もやらにゃいかんと思います。
  10. 曾禰益

    曾祢益君 それじゃ来週の定例日もやっていただくならばけっこうです。
  11. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 来週の定例日もやります。
  12. 曾禰益

    曾祢益君 けっこうです。
  13. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 今週の特に金曜日に、一つ外務委員会としての質疑を行うということにいたしたいと思います。それじゃそれでよろしゅうございましょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) ではそういうことに決定いたします。     ―――――――――――――
  15. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 本日はこの移住振興株式会社法案につきまして、衆議院の方でそれの関係官出席を求めてやっておるようでありますので、本委員会といたしましては、三条約についての質疑、並びに提案理由説明をいたしたいと思います。  まず関税及び貿易に関する一般協定への日本国加入条件に関する議定書への署名について承認を求めるの件を問題といたします。  これに関しまして、提案理由説明はすでに済んでおるのでありますが、御質疑のおありの方は順次御発言を願いたいと思います。
  16. 羽生三七

    羽生三七君 質問に入る前に、この件はさきに昨年仮加入となり、それからさきにまた期限の延長、それから今度のこの議定書署名と、いろいろ移り変りがあるし、なおまた最近、今付託されておる案件について一体どの程度各国署名が進んでおるのか、その見通しはどうかというような問題、さらにまあもっとさかのぼって言えば、率直に申し上げて、どうも僕らにはガットのいろいろなめんどうくさいことがよくのみ込めないので、そういう点もっとわかりやすく説明をしていただくとともに、さきに申し上げた最近のこの案件に関する一般的な状況を少し詳しく説明していただいて、それから質問に入ったらいかがかと思いますが、お取り計らい願いたいと思います。
  17. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) いかがでございますか、今羽生委員の御要望がありますが、さよういたしてよかろうかと思いますが……。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) それじゃそういうふうにいたします。そうしますというと、今の御要望に応じたような御説明をどなたかから……。
  19. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) お話しのように、ガット規定及び組織はかなり複雑でありますので、簡単な解説を二つ作りまして、一つは「ガット解説書」、もう一つは、「関税及び貿易に関する一般協定への日本国加入条件に関する議定書説明書」、これでできるだけ簡単に概要を要約いたしましたのでございますが、お話しもございましたので、なお簡単に大体の組織、現状、最近の状況等を御説明申し上げます。  ガットとは、関税及び貿易に関する一般協定、ゼネラル・アグリーメント・オン・タリフス・アンド・トレードの略称でありまして、関税、その他輸出入に関連する事項についての無条件最恵国待遇の許与、関税その他貿易障害低減通商上の差別待遇除去、こういったことを主目的とした国際協定でありまして、一九四七年十月三十日に成立し、その締約国は現在世界主要貿易国の三十四カ国であります。その三十四カ国の貿易数量世界貿易数量の八〇%以上に達しております。なお本協定各国国内法との関係上まだ正式発効には至っておりませず、現在は各締約国間における特別の議定書によって暫定的に適用をされておる状態であります。  ガット協定本文附属関税譲許表の二つからなっております。協定本文は三部からなっておりまして、条文の数にしますと、三十五条あります。第一部は関税等についての最恵国待遇及び附属関税譲許表適用並びに特恵関税に関する規定が盛られております。第二部は関税以外の各種貿易障害低減通商上の差別待遇除去に関する規定が盛られております。第三部は主として手続規定を含んでおります。  協定各条の簡単な説明は、お手元にお配りしてあります「ガット解説書」というパンフレットがございますが、それの六ページ以下に逐条的に書いてございます。なおガットの機構としては、毎年一回、及び必要に応じて随時開かれます締約国団会議というものがございます。それとその締約国団会議の間に開かれます会期間委員会、インターセッショナル・コミティーという委員会がときどき開かれます。そのほかに事務局がございます。この締約国団会議、それから会期間委員会事務局、この三つが現在のガット機関であります。  で、御承知のようにわが国はかねてからガットへの加入を希望いたしまして、一九五二年の七月に加入のための関税交渉の申請をいたしましたが、当時は関税交渉が行われないことになりましたので、その年の一九五二年の十月にいわゆる仮加入に甘んぜざるを得なかったのでありますが、本年二月二十一日から関係締約国十七国と関税交渉を行いまして、それが六月の七日に終了して、その結果、わが国加入のための議定書というものが作成されまして、目下署名のために開かれております。で、右議定書発効、すなわちわが国正式加入が成立するためには、八月十一日までに全締約国の三分の二以上が加入決定賛成投票を行うことが必要でありまして、その投票がありますと、この議定書は九月の十日に発効して、わが国正式加入が成立いたします。この二月の二十一日から六月の七日までかかって行われました交渉の結果、どういう関税譲許がなされたかというのは、附属A表B表として詳しいものがございますが、それを簡単に概略を書きましたものはこの加入条件に関する議定書説明書の六ページ以下に「附属関税譲許表概要」として要約して載せてございます。  今までの状況でこの加入議定書署名をした国は十四ございます。カナダ、チリ、デンマーク、ドミニカ、フィンランド、ギリシャ、イタリア、ニカラグア、ノールウェー、パキスタン、ペルー、スウェーデン、アメリカウルグァイ、この十四の国が加入議定書署名しております。加入決定賛成投票をすでにいたしました国は九つでございます。カナダセイロン、チェッコ、デンマークギリシャパキスタントルコアメリカウルグァイ、現在はこの九国でございます。なおこのほかの国にも早く加入決定賛成投票をするように目下交渉中でございます。大体の見通しといたしましては、先般関税交渉に参加した十七国、これは加入決定賛成をしてくれるものと期待しております。そのほかに関税交渉には参加しなかったけれども日本最恵国待遇を許与するという意思表示をしましたトルコセイロン、これは加入決定賛成をすでに両方、トルコセイロンもしております。賛成でありますから、十九はこれは大体確実と、こう思っております。で、日本加入が成立するためには三十四のうちの三分の二、つまり二十三カ国の賛成投票が必要でありますが、そのほかにまだ加入賛成をしてくれるであろうと思われる国がありますので、これはまあいろいろな関係で今国名を申し上げることを差し控えますが、数国ございますから、加入はおそらく大丈夫成立すると思っております。  ガット加入をした場合にどういう利益があるかという問題でありますが、これはいろいろ利益があると存じますが、大きく分けて三つ利益があると存じます。  第一にガット加入によってガット締約国から低率なガット税率適用条約上の権利として受けることができる。加入のためには関税交渉をすることになっており、わが国も今次関税交渉により、関係国わが国主要輸出品に対する税率低減させることができたのみならず、今後もガット主催のもとに関税交渉が行われる場合には、そのたびごとわが国主要輸出品に対する関税引き下げ交渉できるとともに、第三国間の関税交渉の結果なされた関税引き下げ条約上の権利として均霑することができる。これが一つの大きな利益であると思います。  第二に、ガット締約国から貿易上の最恵国待遇及び輸入された貨物についての内国民待遇条約上の権利として受けることができる。すなわちこれによってわが国ガット締約国より正当な理由なくして差別的な輸入制限を受けず、またその国に輸入された後は、課税その他の取扱いについて、その国の産品より不利な待遇を受けないという交渉をすることができます。  第三の理由としては、世界主要貿易国を含むガットに参画することにより、適宜わが国の意向を伝え、貿易政策上に反映せしめることができるとともに、世界貿易の大勢を十分把握し、わが国経済を伸長ならしめるために役立つ、こういう利益があると存じます。  ガット組織協定のごく概略、最近加入賛成投票見通しガット加明にによって受ける利益等、大体簡単に御説明申し上げたつもりですが、御質問がありましたら……。
  20. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 今国会で検討されております輸入砂糖国内における価格安定の措置の問題がありますですね。あれは考え方によれば、輸出国別関税の性質を持っておるようにも児得るわけです。従ってあの措置ガット趣旨から言うならば、これに背反するのではないかという疑念を持っておる向きもあるようであります。この面はどうなるのか、あるいは何ら差しつかえがないのか、多少疑念があるのですが、そういう点について御説明を願いたいと思います。
  21. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) まず今回の特別利益の徴収が、関税、その他輸入に関連してかけられるところの課金であるかどうか、こういう点がまず大きな問題であろうかと存じます。私ども考えといたしましては、今回の措置は、本来ならば輸入いたしましてからこれを国内に転売いたしまして超過利潤が発生するわけであります。その際に超過利潤を吸収すべきところを、手続簡素化をはかる意味におきまして、輸入割当の際にあらかじめとるという考え方であります。これは輸入に関連する課金ではない、こういうふうに考えております。かりに輸入に関連する課金考えたにいたしましても、砂糖につきましては、今回ガット関税交渉におきまして、ガット加盟国と何らの約束もいたしておらないわけであります。引き上げ自由ということになっております。かりにこれを輸入に関連する課金考えましても、ガット規定には違反しない、こういうふうになるかと考えております。
  22. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 品目が何らか明記されていなければ、ガット関係においてはすべて自由と、こう考えてよろしいのですか。
  23. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) これは私ども前提として、まあこれは輸入に関連する課金でないと解釈しております。かりに輸入に関連する課金であるとどういうことになるか、こう申しますと、現在砂糖関税率原糖が二〇%、精製糖が三五%であります。これをかりに二〇%なり三五%なりに据え置く、あるいはこれを引き下げる、こういう約束をいたしますと、もしかりにこれが関税、これに類する課金であるということになりますと、ガット譲許税率に反して、それ以上に関税または輸入に関連する課金を徴収したということになりまして、ガット規定に抵触することになるわけであります。もともとこれは輸入に関連する課金でなく、国内課税だ、しかもそれは本来ならば、これを転売して得るべきところの超過利潤手続の面からして輸入割当のときにあらかじめ徴収する。こういう考え方でございますので、ガット規定には何ら反しない、こう考えております。
  24. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 その考え方解釈というものは、ガット加盟国を通じて当然に承認されるものだと理解するのですか。
  25. 北島武雄

    政府委員北島武雄君) これは輸入に関連する課金であるかどうかという点については、今までこういうことについて問題になったことはございませんので、かりに各国が問題にいたしますとすれば、総会の席上においてそれがある国から取り上げられるかもしれないのであります。私どもといたしましては、これは輸入に関連する課金ではないという解釈をしております。それから後段の方の、もしこれを輸入に関連した課金であった場合にはどうかという場合には、もしガットにおいて何らかの譲許税率約束いたしておりますればこれは工合が悪い、こういうことに相なっております。
  26. 羽生三七

    羽生三七君 これ非常に抽象的なお尋ねなんですが、このガットのたとえば前文なんかで、相互生活水準を高め、完全雇用並びに高度の実質上の生活向上をはかるということ、それから貿易障害を実質的に軽減すること、国際通商における差別待遇の廃止を目的とするというこの大目的がこの関税及び貿易に関する一般協定趣旨だろうと思うのです。そういう場合に三十五条を引用したり、あるいは今お話しになったように三分の二を辛うじて確保する程度で、三分の一は署名しないというような場合に、一体このガット協定の大精神に基いてこれにのっとるような調整をする機関というものはどこにもないのか、いやなら署名しなければいいんだということでお互いがかってを言っておればいいということなのか、このガットのほんとうの精神に基いてそういう調整をして、お互い国際通商における差別待遇を廃止し、相互生活水準を高めるために寄与するような国際的な調整機関というものはどこにもないのか、これを一つ伺いたい。
  27. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) もちろんこのガット規定は高い理想のもとに非常にたくさんのことを盛っておりますので、みんながこれに賛成して全面的に適用するということは一番望ましいのでありますが、非常にたくさんの規定を盛っておりますので、国によっては全面的に適用するということであれば、自分の国はガット関係全面的適用ということをお約束できないといったような国も出る可能性を予想して、三十五条という適用を保証しなくてもいい、こういったエスケープ・クローズがあるわけであります。従ってみんなが賛成してもらうことは望ましいのでありますが、しかし三十五条を引用するということもまあ規定上は可能であります。それをその場合に調整する機関、特別のものはございません。ただまあ締約国団会議といったようなものが開かれましたときに、非公式にいろいろ話し合いをして、なるべくみんなが賛成するというようにしたいというような話し合いをするということはもちろん可能でございますが、三十五条の適用を阻止するための調整機関といったようなものは特別にはございません。
  28. 曾禰益

    曾祢益君 議事進行といいますか、外務大臣来ておられるのですが、もし何だったら、皆さん外務大臣質問があるのならば、今のガットのやつに挾んで、外務大臣せっかく来ておられるのですから質問したらどうかと思うのです。大体何分くらいおられるのでしょう。
  29. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 外務大臣はきょうウ・ヌー首相の陪食があるそうでございまして、十一時五十分にはおそくとも席を立たれるそうであります。
  30. 曾禰益

    曾祢益君 そこで外務大臣から、さっき委員長委員会に諮られました何か説明外務大臣からあるのですか。そうでなければほかの、せっかくおられるのですから、こちらから質問してよければ五分でも質問さしていただきたいと思います。
  31. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 外務省からの御説明外務大臣からでないのだそうです。お立ちになったあとで……。
  32. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 議事進行について。私外務大臣の御出席お願いしたのですが、それは日華平和条約議定書に関する問題として、台湾の問題について本格的ないろいろ全般的な御質問をしたいと思ってお願いをしたのですが、これはさらに問題が非常に大きな問題でして、ぜひ総理大臣も出ていただいて、一緒に御質問をしたい、こういうふうに思っておりますので、それできょうは私は外務大臣に対するその問題の質問は留保しておいて、この次の機会に御一緒お願いをしたいと思いますから。
  33. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 佐多委員に申し上げますが、佐多委員の土曜日の相当おそくなってからのお中入れであったので、直ちに申し入れたのでありますが、総理大臣は今日は出席ができない、それから今週中はいろいろきまっていることがあってむずかしい、来週はどうなるかわからない、こういうお答えでありました。それは事務の方から申し上げたことと思います。そういうわけであります。そこでお二人そろえてということになるというとむずかしいことになるのじゃないかと思うのですが、そうして日華条約に入る今度は順序になっておりますので、ここで外務大臣に対して分けてお尋ね下さることができるものがあったらやっていただくことが、進行上一番いいのじゃないか、こう思います。
  34. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ガットその他の関係でもし外務大臣お尋ねの方が別におありになって、その点できょう外務大臣に御答弁を願うような仕儀になるのならば、むしろそういうふうにお進め願って、日華条約に関する問題は来週でもけっこうですが、来週はわからんというようなことでなしに、ぜひ総理に御出席を願って、一体として質問を受けていただきたい、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  35. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) ガットについて外務大臣に御質問というのは皆さんございますか。
  36. 曾禰益

    曾祢益君 佐多委員がそういうあれなら、ガットに限らなくても私一つ質問したいことがあるのです。いいですか。
  37. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 総理質問される、もしそれが何と申しますか、あまり党派的の何ならこれはなんですが、そうでなくて、まあ外交一般的のことであるならば、できるだけ御質問の要旨でも前もって伺いたいのです。昨今の何は、本委員会あたり質問応答は、相当外国に響いておりますから、十分慎重にやりたいという見地で、そういうふうにお願いができれば非常にありがたいと思います。十分に対外的にも響かしておく必要がありますから。
  38. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) ガットについての御質問を今やっておるのでありますが、だいぶ途切れ途切れになって御質問がないようなんですけれども、そこでこれで質問を打ち切るのじゃありませんが、一応ガットに関する質問は一応この程度でとめおきまして、次の日華平和条約附属議定書第二項の有効期間延長に関する議定書締結について承認を求めるの件に入りたいと思うのでありますが、その間に外務大臣の御出席中に、日華条約について特に御質問がありますればもちろんのこと、それ以外についても御質問がありますれば御出席中に一つ願うことにいたしたいと思います。     ―――――――――――――
  39. 曾禰益

    曾祢益君 せんだって両派社会党委員長が四巨頭会談を前にして、四巨頭会談に対するアッピールといいますか、訴えというようなものを国際平和促進見地から行なったのであります。これは私から内容等を一々申し上げなくとも、外務大臣も全委員の方も新聞等で御承知だと思いまするから、内容は省略いたします。同時にわれわれとしては、これは両派社会党のとった措置でありまするが、でき得るならば別の形におきまして、この四巨頭会談を前にして、日本国会各党一致国際平和促進確立意思国民にかわって明らかにすることが適当ではないか、かような見地から両派社会党から議会各党に、共同で何らかの決議案を作ることを促しておったのであります。  そのことは議会内のことでございまするから、それはそれといたしまして、新聞の伝えるところによりますると、政府政府として、独自な措置として、あるいはスイスにおりまする日本在外使臣を通じて適当な日本国意思を伝達する措置をとるかに、これは鳩山総理は言っておられます。またその後の新聞報道によりますると、外務大臣としては、閣議において決定の上でございましょうが、声明を出すというようなことが伝えられておるのであります。  そこで今申し上げたような、四巨頭会談を前にしての、政府としての四巨頭に対する要請、あるいは訴え、これらの点についていかなる措置をおとりになったか、またとられんとしておるか、あるいは声明等について政府の見解を国民にどういうふうに知らそうとしておられるのか、この点について伺うとともに、政府から見るならば、今私が申し上げましたような、本日でも議会が超党派的に両院において共同決議案がきまるならば、そういうことを好ましいとお考えであるかどうか、議会政府との関係において、議会のかかる措置に対して政府は、これはもとより内容によるでしょうけれども各党一致という前提の上に立って、かような議会措置についていかにお考えであるか、この点を伺いたいと思います。
  40. 重光葵

    国務大臣重光葵君) ゼネバで十八日から開かれております四国会議の重要性は、私はここであらためて申し上げるまでもないことでありますから差し控えましょう。その重要性をまず第一に私は内外に向って、日本が認識しておる、日本政府は重大な関心を持っておるということを内外に示すことが必要であると、こう思いました。そのことは幸いにして国会の討論を通じて、何と申しますか、インタイムにこれは処理することができました。それは御承知の通りに、予算委員会における質問応答において、これはもうはっきりと総理も私も、その意味で内外に意思表示をしたのでございます。それは新聞通信等を通じて十分に報ぜられたわけでございまして、次いで日本としてやっぱり同様に内外に向って表示したいのは、この重要なる会議世界情勢の緊張緩和に貢献するような結果をもたらすことを期待し、またその実現につとめられたいと、こういう意思表示でございます。これも議会を通じてやる機会があったのでございます。そして、それが最も適当であり、また一番有効な方法であったと、これも先ほど申し上げましたこととともに、その結果は有効であったと、こう考えております。  そこで、その問題についてですが、さような方法で別に政府なり総理大臣なりが声明なり、また意思表示を別の方法でさらにする必要があるかないかということがここに起りますが、した方がいいか悪いかということが起ります。その問題については、まだはっきり今日までのところきめておりません。おりませんが、以上のような方法はすでにもうとられたわけでありますし、そこで何と申しますか、時間を争わなくてもいい問題でありますから、総理考えの熟するのを待っておるわけでございます。しかし、今申し上げる通りに、さような一般的の問題、国の意思表示は、申し上げます通りに、国会を通じてやったことが非常に効果的であったと、こう申し上げて差しつかえないと思います。  そこで、その次の問題はどういうことであるかというと、かような会議において、日本の実際の利害関係を伴う問題が討議されるかどうかということになりますけれども、これは具体的な問題になります。そこでこれも予算委員会のときの質問応答によって私は説明をいたしておきました通りに、自由民主国と申しますか、米英仏、この方面においては東洋、東亜の問題はこの会議においては論議をしない。一般的の軍縮の問題、ドイツ統一の問題、それからヨーロッパの安全保障の問題というようなことが主たる題目であって、それに東西両世界貿易の問題というようなことが入るかもしれぬ、けれども、まあその三つのことがおもな問題であるということは、これはもうすでにそう了解されておることでありますが、そこで、この日本関係の東亜問題が議論される可能性ありやいなやの問題、そこで米英仏の方面ではさような意向はない。この会議でわれわれのいう極東問題は議題にしたくない、こういう意向であることは確かであります。  しかしながら問題は、これはさらに第四の会議参加国であるソ連がこの問題を持ち出すかどうかということなんでございます。それは東西両世界、両地域の貿易の問題もその部類に属する、そこでソ連が東亜問題を出すか、こういうことでございますが、われわれの得ておる情報によれば、ソ連がかような問題をも討議したいという希望を持っておるように見えます。そうしてソ連は、さような場合には中共をも会議に加えることを提案したい、こういうふうに見えます。しかしアメリカを初めその他の国は、かような、主としてヨーロッパ以外の問題はまず議題としたくないということでありますので、もし、さようなことがソ連側から提案があった場合においても、内容について討論を進めるということはまず見込みはないように見えます。そこで内容でなくして、取扱いぶりについては議論がありましょう。さような問題は別の会議で、関係国をも集めて討議をした方がよくはないかといってはずすのじゃないかと観測せられるわけであります。というのは、米国あたりのとっておるはっきりした態度は、利害関係国の参加なくして、一切その国の利害に関係する問題を処理しないということを強く言っておる関係から見ても、そういうふうに観測されます。まあさようなことであります。  が、しかしながら、日本に利害関係のあること、また会議全体の推移、内容等については、これは日本としてできるだけ詳細、的確な情報を持たなければならぬのであります。そこで、かつまた日本の利害関係のあることはむろんのこと、会議全体のことについて日本は重大な関心を持っておるということを関係国によく理解をしてもらっておく必要があるのでございます。そこで米英仏等に対してはさような意味で、日本が重大な関心を持っておること、日本の利害関係のあることについては、特にいろいろな情報を得たきこと等について、十分申し入れをして、頼んでおるわけでございます。さらにスイスにおける大公使等に対しては、ゼネバにおいて、また十分さようなことについて的確かつ詳細な情報を集めて、そうして報告するように訓令をいたしたおるわけであります。  ゼネバの会議は、やはりきょうの新聞でも御承知の通りに国際連合で世話しておるという建前をとっておるようです。ハマーショルド事務総長自身が席にも列しておるということであります。そこで、従来国際連合に対する代表としてやっておりました沢田廉三大使、これがちょうどヨーロッパにおりますから、沢田大使にも訓令を出して、そうしてその間の連絡をとって、十分的確、詳細な情報をよこすように訓令を出しております。まあかようなことで、一応日本政府としてとるべき態度、とるべき手段はとっておるような次第で、大体それで当面の事態には対処しておるというふうに考えておるわけでございます。  そこで第二の御質問の、議会でそういうことをするがいいか悪いかと、こういう問題でございます。これはまあ私自身としていろいろ意見も申し上げてもいいのでございますが、しかし、かような問題については、議会はこれはいわば最高権威でありますから、議会としてよくお考えになって、そうして一応のお考えをきめて、何らかの資料なり何なりの意味で、われわれの方に御連絡を持たれることが、私は順序じゃないかと思います。ここで私の、こうした方がいいとか悪いとかいうことを申し上げるのは、これは私出過ぎるように感じます。そこで一つ十分に大きな問題として、責任ある態度によってこれを御処理になっていただきたいと、こうまあ私は考えるのでございます。もっとも、それについていろいろな、今申す通り資料その他について御用があれば、私はいつでもそのことについては御連絡を申し上げて差しつかえないと、こういうことをお答え申し上げます。以上。
  41. 曾禰益

    曾祢益君 議会関係については、今外務大臣が言われましたように、国会内の問題ですから、政府としては、国会ではこうしてくれ、あるいはこうしてくれちゃ困るというようなことを軽々にと申しますか、言われないのは当然だと思います。これはまあ国会内の問題として、各党の意見がきまりましたならば、あるいは政府の方にも要請するということもあるかもしれません。これは申し上げませんが、今の御説明によって、外務大臣が、特にこの前の衆議院の予算委員会等における論議を通じて、日本政府も、また議会も、全国民がこの会議に対して重大な関心を持っておる、またその意味は緊張緩和へのきっかけになってほしいという意味である、これがまた外にその意味において映ったことについて、それをアプリシエートされておることもわかりましたが、政府として当然の措置でありましょう。米英仏等に対して同様に日本の関心を伝え、また、ある意味においては希望もあるけれども、同時に日本関係事項については、日本をつんぼさじきに置くようなことのないようにという意味を含めたと思いますが、情報収集という形において訓令の措置をとるという、これはもうまさにそうでなければならぬと思うのであります。ただわれわれが、鳩山総理新聞に語ったところは、これはもうジュネーヴにおいて伝えるという意味は、これは米英仏三国ならば、これはもう通常の外交機関を通じて、当然のルーティンの外交として、政府の意向を伝えることがこれはできるわけです特にジュネーヴにおいて日本の使臣をして伝えさせるという意味は、これはもう言うまでもなくソ連に対してもやるというのでなければ、これはおよそナンセンスである。またそういう意味だろうと思う。この点については外務大臣はおそらく、さっきの御説明の中には、総理考えの熟するのを待ってまた考えるというような趣旨を言われたと思うのですが、少くともそっちに対しても何らかの積極的な、多少外交の通常のチャンネルを通じなくても、ただ米英仏だけにアッピールするのでなく、やはりソ連の最高指導者にも直接国民の気持を伝えるために、政府において、おそらく鳩山総理がそれをヒントしておられる、それは正しいと思う、方向において。手段等においては、これは外務大臣いろいろお考えのところがあろうと思う。そういう点についてはまだ御措置がないようでありますが、その点についても積極的にこの際お考えを願った方がいいのじゃないか、かように考えまするが、その点もう一ぺん、ソ連を含めての措置という意味において、外務大臣のお考えを明らかしていただきたいと思います。
  42. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 今の問題は、皆ソ連を含めておる意味で申し上げておるのでありまして、ただソ連にどうしろというのは、モスコーに今機関がないことは御存じの通りでありますが、かような問題について承認問題を引き起してもしようがない。これはどうしてもロンドン会議を待たなければならない。ソ連に言う方法を外交上持たない。従って一部通信なり議会を通じての議論というものは、これはもう英米仏だけじゃない、ソ連も毎日々々注意して聞いておるわけであります。そこでソ連に対することも含めて、当然その処置がとられたことになると思います。ただ日ソ交渉が開けておって、そのソ連側の全権のマリク氏はゼネバ会議に顧問か専門委員の資格で行っておるわけであります。そこで日本側の何と申しますか、全般的の意向は、マリク氏が交渉を通じてよく知っておるのであります。しかしそれでもって代用するというわけじゃございません。ございませんけれども、日ソ交渉が開かれておるわけでありますから、ソ連に対する日本の利害関係のことについて、直接四国会議のソ連の全権に言うということは、私は必要はないと思うのですね。これは日本考え方は、日ソ交渉によってロンドンにおいて的確に把握しておるわけでありますから、そこで一般的の平和、緊張緩和のことについてソ連にも日本意思表示をしたい、こういうことに帰着するわけです。それは今日までは議会を通じてされておるし、それからまた今申す通りに、そういう方面の意思表示はロンドンにおいてマリク全権は十分日本政府の意向は承知しておることでありますから、そのほかにとる手段がちょっと今見当らないので、まあそれだけで今日は満足すべきじゃないかと、こう考えておるようなわけです。
  43. 曾禰益

    曾祢益君 その点は、これは方法においてないかあるかという問題は、多少見解が違うのですし、これは私は米英仏だけでなくて、ソ連に対してもマリク・松本会談、これは別の意味の会談なんですから、何らか特別の措置をとられることが望ましいと思うのですが、これは意見の問題ですから申し上げません。  最後に、そういたしますると、新聞に伝わっているように、声明は今のところお考えになっていないわけですか、政府声明は……。
  44. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 今のところ政府声明……新聞は少し先走っておるようです。ああいうことも悪いことじゃないと思っているのですが、しかし今ちょっと……。
  45. 曾禰益

    曾祢益君 研究中ですか。
  46. 重光葵

    国務大臣重光葵君) ええ。そういうことをあまりしなくてもいいじゃないかという意見も相当あるのでございますから……。
  47. 羽生三七

    羽生三七君 今曽祢委員の御質問に対する外相の答弁で大体わかったんですが、せっかくそういうお考え政府も持ち、鳩山総理も外相も先日の衆議院の予算委員会でああいう意思表示をされ、今また重ねてそういう意のあるところをジュネーヴの在外機関を通じて何とか伝達するというお考えを持っておるならば、これはやはりもっと影響力の点から言っても、一歩進んで国会のことはわれわれ自身が考えることでありますが、政府みずから政府声明として国民、外部にアッピールするようにもっと積極的な方針をおとりになったらどうでありますか。どうせ在外機関を通じておやりになることなら、むしろ公然と全国民にも呼びかけるように、また対外的にももっとアッピールするような、そういう方針を積極的におとりになったらいいと思います。いかがですか。
  48. 重光葵

    国務大臣重光葵君) それは少しも異存はない。それは考えているわけです。いるわけですが、今申し上げる通りに、大体一応その手段はとったと思っておるのです。それは予算委員会の言論は、これは非常に響いておるのです。それからまた予算委員会の、どの委員会というわけじゃなく、国会を通じてのあれというものは、非常に有意義であったわけでありますから、まずそれに蛇足と申しますか、それに加えることがあるかないかを今検討いたしております。御意見はよくわかっておるのであります。
  49. 羽生三七

    羽生三七君 この機会にちょっと時間をいただいて、簡単なことですから、私これは質問というよりもむしろ陳情みたいなことになるのですが、中共からの引揚げ問題について、今御承知のジュネーヴで正規の機関を通じて交渉をお始めになろうとしている。そこで実は先日こういう陳情を私受けたのです。それは終戦のときに、満州で日本の開拓団が大量の集団自決をしているのですね。そこで陳情が来まして、この機会に、自分たちは、みんなが自殺をして、遺骨がどこにあるかということを知っている、埋葬してある場所を知っているから、遺骨収容の道を開けるようにしてもらいたいという陳情を受けて、それに関するいろいろな詳しい資料は近日持ってくるそうであります。それで、この話し合いの機会にそれも加えていただいて、そして何とか道の開けるようにしてもらいたいというたっての熱烈な依頼を受けたのでありますが、これはソ連ではない、中共の関係だろうと思いますが、何とか方法をとり得るでありましょうか、その辺ちょっと……。
  50. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 十分検討します。それはほんとうにお気の毒なことでした。それは研究といってもほったらかす意味でなくて実際やります。この席でどういう方法があるということははっきり申し上げられませんけれども、それは十分やります。
  51. 羽生三七

    羽生三七君 どうぞお願いします。
  52. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 四カ国共同会談に対する日本政府の気持、これは一応示されたというお話でしたが、その場合に昨日の四巨頭の冒頭の演説によると、国際緊張の緩和という一般的な問題からもっと進んで、アメリカ自身が今まで平和的な共存、異なるイデオロギーあるいは異なる社会体制の中の平和的共存という問題については、非常に疑問を投げかけていたにかかわらず、昨日のアイゼンハワーの冒頭演説には、むしろその平和的な共存の必要と可能性を積極的に打ち出したという一つの大きな進歩があるし、のみならずフランスあるいはイギリスの代表の発言によると、単に平和的共存というような面だけでなく、さらに一歩を進めて平和的な協力への方向を押し進める、この点はイギリスあるいはフランスで強調しているのみならず、ソ連のブルガーニンもすでにそういう方向を東西貿易障害の打開の問題等で大きく打ち出していると思うのですが、世界情勢はこういうふうに変ってきている。そしてそれが今度の冒頭演説の非常に大きな特徴の一つである。こう私たちは考えるのでありますが、この点について外務大臣はどういうふうにお考えになっているか、伺いたい。
  53. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私も方向はそういう方向だと思います。しかし実際の外交の動きとして、今日何というか冷い戦争から平和共存に移って来た。さらに今日はもう平和共存どころじゃない、互いに平和協力をするんだ、こう結論してしまうのは飛躍的だと私は考えます。今はようやく、悪い場合には原子爆弾の戦争も予期しなければならない、それをどうやってくい止めようかというその緒論に入ったのだと私は思います。これをどうしてもくいとめなけりゃならぬのだ、そのためにはまず問題の解決というよりも、さような気持を国際政局上に作っていく、これが一番必要だというのが今度の会議の主要な目的だ、また主要な意義だと私はそう思っています。しかしそれが成功すれば、すぐ共存はおろか協力にもいきましょう。しかしその何というか、厚い氷を打ち砕くためのが今度の会議だ、これはしかし私だけじゃない、大体世界の輿論はそういう工合に言っております。だからこれが失敗したら、これは非常に不幸なことになるので、あくまでこれは失敗を許されない会議なんですから、私は今日からみても、ある程度の期待はかけ得ると、こう思って、さらに将来の平和的に発展する平和の鍵は一そうとびらが開けられるはずだと、こう観察はいたしております。実際問題としては、実際外交としては、この希望すべきところと現実のところとは、よほどやはり正確に測量していく必要があると私はそう考えます。お話の、御意見の方向には私は向いておることを決して否定いたしません。
  54. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 実際の外交政策として非常に慎重でなければならぬというお話はよくわかるのですが、同時にその慎重の名の下に無為にして、なすことなくして、ただ世界の大勢その他のあとをようやくついていくというような態度で非常に遅れをとっているのが、特に日本の外交じゃないかということを痛感をするのですが、そういう意味ではきのうの各代表の演説をもう少し積極的な場面に踏み込んだものとして受け取り、そういうものとして対策を考えるべきだと思うのです。この点については外務大臣と相当意見は違うのですが、これは意見の問題になりますから、これ以上は申し上げませんが、そういうふうな消極的な態度をとっておられる別な現われが、この会議において極東の問題の扱い方に対する受け取り方にも出ているのじゃないかと思います。先ほど外務大臣は極東問題に関しては、アジアの諸問題に対しては、自由諸国三カ国は取り上げないことにきめており、話がきまっているようだというふうに受け取っておられますが、なるほどアメリカ考え方はそうであると思います。しかしイギリスは、たびたびイーデンは、この会議に参加する場合に国際緊張の緩和に役立つような問題はすべて一つさらけ出して、単にアジアに限らず、世界全般にわたって論議することを妨げないし、むしろ論議すべきだ、もちろん自分の方からそれを提案することはしないかもしれませんが、そういう提案が具体的になされたら、この論議は取り上げてやるべきだ、というふうな決意をもって臨んでいる、こういうふうに考えなければならないのじゃないか、その点ではアメリカ考え方とは若干違っている。この点ははっきり認識しなければならないじゃないか。同時に外務大臣はこの問題がまだ出ていないようなふうにおとりになっておりますけれども、ソ連のブルガーニン代表はすでにこの問題をはっきり提起して、中共の国連加入の問題、さらには台湾の処理の問題等について、別途国際会議を開くなりなんなりして、とにかくこれを問題として取り上げ、そして何らかの解決の方向を大きく打ち出してしかるべきじゃないかということをすでに昨日の演説ではもう具体的にはっきりと出していると思う。そうだとすれば、それに対応して先ほど申しましたようなイギリスの態度その他があるとすれば、必ずこの問題は取り上げられて、何らかの方向がきめられてゆく。それならばそれとして、わが国もそれに対応する態度、考え方をもう少し具体的にはっきりと用意をし、きめていかなければならないと思うのですが、それらについて非常におくれているような感じがしてならないのです。その点を外務大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  55. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 今のお話はほとんど全面的に御意見のようでございました。非常に御意見は謹聴いたしました。私のこの問題に対する観測は先ほど申し上げた通りであります。これは繰り返して申し上げる時間を省きたいと思いますが、先ほど申し上げた通りであります。極東の問題もおそらく今後私はこの会議じゃない、別の会議で取り上げられると思っております。それに向って今日本側としては十分な用意をしなければならぬ、その何を今やっておるわけであります。まあいろいろ御批評は非常にありがたく伺いました。
  56. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 この問題日華条約の問題にも関連しますので、時間がありませんから、他の機会にいろいろ詳しくお聞きしたい。
  57. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 この巨頭会談日本にどれだけ利害関係があるかということは、まだ電報も短かくて十分検討できませんけれども、非常に私注意を引いたことは、フランス代表が軍縮で節約したその金でそれを未開発の援助計画に使う、この提案です。これはアイゼンハワーも言ったことがあるし、それからイギリスのアトリーが非常にこの点をはっきり選挙戦にも打ち出して、綱領の一つの中に軍備を縮小して、それで未開発の援助をやる、これは吉田内閣におきましても、東南アジア――アメリカの援助を得、あるいは国連の援助を得て未開発地に対しまして、ことに主として日本は東南アジアに対しまして……、今この巨頭会談でこの問題が出たのですよ。日本におきましてもこの世界の大きな動きに協力いたしまして、賠償は賠償で払えばいいということではなしに、賠償の問題と、さらにこの東南アジアの未開発、それどころではない。実はこれはわれわれの方のいろいろな事業上から、南米からそれからアフリカに至るまで、現在日本に対しましていろいろな土木事業、大きな開墾から電力から、そういう引き合いが出て、かなり日本の技術を尊重されておるようです。今巨頭会談にこの未開発地の援助の問題が出ておりますので、この問題につきましては英、米、仏、ソ連も反対なかろうと思います。この世界の今行われておる技術の画期的な進歩に伴うところの自然改造、あるいは未開発地域の援助計画に対しまして、日本も協力する必要がある、協力せずにぐずぐずしていると諸外国で分け前……日本の協力する余地がなくなるおそれが非常にあるので、この機会におきまして、各国の動きをも注視しつつ大きな一つ計画を立てる。それは人類の福祉のために非常に役立つことと思いますので、この点を一つお願いしておきたいと思います。
  58. 重光葵

    国務大臣重光葵君) はいわかりました。     ―――――――――――――
  59. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) それでは関税及び貿易に関する一般協定への日本国加入条件に関する議定書への署名について承認を求めるの件に戻ります。御質疑を願います。
  60. 羽生三七

    羽生三七君 この協定加入することになった場合に、それと関連して国内的に関税法あるいは関税定率法というものを作るような必要は生ずるのかどうか、これはいかがですか。
  61. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) その必要はございません。
  62. 羽生三七

    羽生三七君 必要はない、そうですか。英国はこれには参加しないということはほぼ明らかになっておるのですが、それとは別個に日英通商航海条約の話も進んでおるように聞いておりますが、それはどの程度現在話し合いが進んでおるのか、お話し願いたいと思います。
  63. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) イギリスは四月十九日にステートメントを発表いたしました。それは日本ガット加盟が実現した場合に、日英間にガット関係を発生させないために英国はガットの第三十五条を発動させるということを明らかにしたわけであります。その際に、日本ガット加入問題についてはしかし同情を持っておる。現在は日本に事実上の最恵国待遇を与えておるが、将来もこの点についてはおそらくは変更がないだろう、なお日英通商関係を強化するために、日英間に通商航海条約締結しようと交渉する意向である、大体こういった趣旨声明をいたしました。これはイギリスの総選挙の前でありまして、大体この態度は変っておらないようであります。しかし現在具体的に通商航海条約交渉にはまだ入っておりません。
  64. 曾禰益

    曾祢益君 これはパンフレットといいますか、説明書の方にあるのかもしれませんが、私、手元にないんで恐縮ですが、ごく大ざっぱに、今度の関税譲許によって、品目別、国別にどれくらいの、主としてアメリカカナダ等だろうと思うのですが、輸出の伸張が期待できるのか、この点と、それから今度逆に日本関税譲許、これはいろいろ品目が多いのですが、これが今までと比べて、原料品は除いて、製造品等についてどれほどの実質的の譲許になっておるかおらないか。従ってある種の品目等について、国内産業との競争関係において十分にこれでも大丈夫だというような自信を持っておられるか、これを大ざっぱにわけて、輸出と輸入との影響ですね、これを概括的に御説明願いたい。
  65. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 詳細なことは、あるいは通産省の政府委員等から詳しく御説明できるかと思いますが、今度の十七カ国の関税交渉の中で、一番時間もかかり、大きな譲許を行なったのはアメリカとの関税交渉であります。で、これにつきまして、ずいぶんたくさんの品目がございますが、それはこの説明書の、関税譲許表の概要というところに概略書いてございます。これで一体どれくらい対米輸出がふえるか、大ざっぱに申しまして、これはなかなかこの予想というのはむずかしいのでありますが、大体二千万ドルないし三千万ドルぐらい年間でふえる、こういうように考えております。で、日本の行いました譲許は、これは日本関税率は御承知のように戦後相当、特殊のものを除きましては低率になっておりますので、今度の譲許では引き下げをやったものは比較的少いのであります。で、対米譲許としましては、据え置きを約束したものが百五品目、それから引き下げましたものが六十四品目でありまして、その据え置きの百五品目も有税の据え置きが九十二、無税の据え置きが十二であります。で、これは関係各省とも十分協議しまして、日本国内産業に対する影響は極力ないように努力しておりますので、あまりこれによって、非常に痛手を受けるというようなものはないと思います。関税の譲許の模様は、非常に各国にわたってたくさんございますが、結局ここの大体解説に書いてある程度一つ願いたいと思います。非常に長くなりますから、何か特別に御質問がありますれば……。
  66. 曾禰益

    曾祢益君 だからもう少しその点について一、二点だけ伺いたいのですが、アメリカ関係が二千万ないし三千万という見込みだ、ほかの国全部集めてどういうふうになりますか。その点が第一点。  それから第二点は、これもまあ説明書にあるかも知れませんが、関税日本のほうで引き下げたものの中で、いわゆる奢侈品とか機械類等についておもなるものを挙げれば、たとえばどんなものがあるか、その二点だけ伺っておきたいと思います。通産省どうしたのですか。
  67. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 通産省退席しました。(笑声)
  68. 曾禰益

    曾祢益君 けしからん。(笑声)
  69. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) それではどうでしょう。この点については政府のほうも一つ今の御要求の要点を調べて……。
  70. 曾禰益

    曾祢益君 あとでけっこう……。
  71. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) それからわれわれのほうでも解説一つ読みまして、今日はこの程度で……。
  72. 羽生三七

    羽生三七君 一点だけちょっと。非常に私のこれは不勉強かと思うのですが、今この委員会質疑しておるこの案件ですね。これがこれだけで日本ガット加入というものは、国会承認を求めるの件というものは終るわけですか。つまり相手国が参加国の三分の二の署名があれば、これにわれわれが承認を与えれば、それで自動的に成立するのか、あるいは全部が済んだあとにもう一回何かこの国会へかかってくるのか、どうなんですか。どうも私よくわからないのです。
  73. 下田武三

    政府委員(下田武三君) ただいま問題になっております議定書につきまして、国会の御承認を得れば、それだけで日本側としては手続きが済むわけであります。もっとも政府といたしましては、国会の御承認を得た上で向うに通報をする必要がございます。
  74. 苫米地義三

    苫米地義三君 ちょっと私一点だけ。このガットの問題と、各国にこれがあるのですが、いわゆるダンピングの問題ですね、これが最近出血輸出なんということがありまして、日本にもそういう点がありますが、ほかの国にも実はあると思います。そういう場合にはガットとの関係はどうなりますか。
  75. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) ダンピング防止税及び相殺関税ということがこのガットの第六条に規定してございまして、通常の場合には無差別最恵国待遇を与えるが、しかしそれがダンピングに該当するといった場合には、相手国はダンピング防止税というものを考慮する、こういうことになります。
  76. 苫米地義三

    苫米地義三君 そのダンピングの裁定はどういうことできめるわけですか。
  77. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) ダンピング税を課することができますのは、原則として「ダンピング又は補助金交付が自国産業に損害を与えるか又は自国産業の確立の障害となる場合に」限ると、こういうことになっておりまして、その他の場合にはガットに加盟国の間では締約国団といったものの同意を必要とするということになっております。     ―――――――――――――
  78. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 議事進行関係上、この際特別円問題の解決に関する日本国とタイとの間の協定締結について承認を求めるの件に関しまして提案理由を聞くことにいたしだいと思いますが、いかがでしょう。
  79. 下田武三

    政府委員(下田武三君) ただいま議題となりました特別円問題の解決に関する日本国とタイとの間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  わが国とタイとの間には、第二次大戦中、特別円勘定に関する諸取きめ及びこれに関連する金の売買に関する諸取きめが存在しましたが、戦後これらの取きめに基く両国間の債権債務関係の解決のため、両国政府の間で折衝を重ねて参りましたところ、本年四月タイ外務大臣が親善使節として来朝するに及んで、両国政府間の話合いは急速に進展し、特別円問題の解決の方法に関する大綱について意見の一致をみましたので、その際両政府間の了解事項共同声明として発表いたしましたことは、御承知の通りであります。  その後、さらに両国政府は、右の了解に基き、特別円問題の解決に関する協定締結するための交渉を行なって参りましたが、本月初めタイ外務大臣の再度の来日の機会にその案文について妥結をみるに至りましたので、七月六日両国の外務大臣の間で協定文の仮調印を行なった上、七月九日にバンコックでわが太田大使と先方のナラティップ外務大臣との間で本協定署名を了した次第であります。  本協定により、わが方は、五年の分割払によって、五十四億円に相当するポンドをタイに支払うとともに、経済協力として、九十六億円を限度とする投資及びクレディットの形によりわが国の資本財及び役務を供給することを約し、タイは特別円問題に関する一切の請求権を放棄することになっております。右のうち、五十四億円相当のポンドは現金による支払い、九十六億円は投資及びクレディットによる資本財及び役務の供給になりますが、後者については、その期間、条件ないし態様がいまだきまっておらず、今後の話合いによって合意することとなっており、そのための協議及び勧告の機関として合同委員会を東京に設置することが規定されております。  本協定の実施により、わが国とタイとの間に存在していた重要な懸案が円満に解決されますことは、今後の両国の友好関係をますます強化するとともに、経済協力による両国間の経済提携が一段と促進され、ひいて、わが国のアジア諸国との政治的、経済的関係の改善及び発展に少なからず資するものと確信いたします。  よって、ここに本協定締結について、御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上、本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。
  80. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 本件についての質問はこの次に譲りますことにいたします。     ―――――――――――――
  81. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 政府から申し上げたい事項があるようですから……。
  82. 中川融

    政府委員(中川融君) 中共に残留しておりますわが邦人の内地に引き揚げる問題につきまして、最近中共政府当局と直接の交渉を始めましたので、その間の経緯につきまして簡単に御報告申し上げたいと存じます。  御承知のように中共に残留いたしております邦人の引揚問題につきましては、一昨年来日赤その他二団体と中国紅十字会との間の話合いによりまして、相当数の邦人の引揚げが実現いたしたのでございますが、なお、いわゆる戦犯者と称せられるもの千六十九名が向うに抑留されたままになっております。なおそのほか一般邦人も六千名程度は確かに生存しておるという確実な証拠があるのでございます。これら六千名の一般邦人につきましては、中共側は日本に帰国を希望していないということを紅十字会が申しております。  なお、これらのうちでも本国におりまする留守家族等に対する通信等において、日本に帰りたいという希望を表明しているのが若干はあるわけであります。なお、そのほかわれわれ政府当局の計算によりますと、どうしても四万名ほどの邦人が、行方不明と申しますか、消息不明となって中国大陸におるのであります。これは消息不明でございますから、大部分はすでに死亡されたのではないかと思うのでありますが、消息不明となっておるのであります。これら消息不明者の情報提供方につきましては、日赤から紅十字に何回となく要請しておりまして、向うもできるだけのことをするということは約束しておるのでありますが、いまだにその情報がないのでございます。なお、六千名の、今の未帰還一般邦人につきましても、中共側はすでに帰国希望者はいないけれども、しかしもしまだ帰国希望者がいれば各個に帰国せしめる。集団帰国は一応終ったということになっておるのでありますが、その後この六千名の中からの帰国者はいないのであります。千六十九名の、いわゆる戦犯者につきましても、中国紅十字会は、これは政府の問題であって、中国紅十字会の問題ではない。しかしながらできるだけの御援助はいたしますということであったのでございますが、戦犯者につきましても、その後帰国の実現を見ていないのでございます。  こういう事情にかんがみまして、また国民及び国会方面におきましても、非常に強い、政府が直接この交渉に乗り出すべきであるという御要望が強かったのにかんがみまして、政府は今回在ジュネーヴの総領事に訓令いたしまして、これらの問題につきまして、直接、同じくジュネーヴにおります中共の総領事代理に対しまして、文書をもってこれらの要望を伝達いたしたのであります。この会見の模様はわが方の総領事から先方の総領事代理に対しまして、本月の八日に文書をもって会見の申し込みをいたしまして、その際中国大陸に残留している邦人の引き揚げ問題について、お話をしたいから会見をしたいという申し入れを八日にいたしまして、約一週間を経まして、十四日に至りまして、先方から翌十五日午前十時に自分のところで会いたい、こういう返事が参りました。十五日の午前十時というのはスイス時間で、日本では夕方の六時でございますが、わが総領事は中共の総領事代理を訪れまして、先ほど申しましたようなわが方の要望を、書いたもので手交いたしたのでございます。その際、先方の総領事代理は、中国大陸に残存している日本人で帰国を希望するものには帰国を許すのがわが政府の方針である。そうしていわゆるこの六千名という数字については、自分は知らないけれども、しかしこれらのうちで帰国希望者についての帰国問題は、すでに中国紅十字会と日赤との間に話し合いが行われているものと自分は聞いている。しかしながらこれらの大部分の人は国民政府時代に抑留された人たちであるので、情報をつまびらかにできぬ点もあるだろうから、日本側で帰国希望者の住所、氏名等がわかっておれば通知してくれればはなはだ仕合せである。なお、千六十九名の戦犯者はこれはやはり中国に対して罪を犯した人たちであるから一般邦人とは異なるけれども、なおこれらについても、できるだけ寛大な措置をとりたいというのが自分の方の考え方であるということを申しております。  なお、わが総領事から出しました申し出につきましては、本国に伝達して本国から何か返事があらば、さらに回答をしましょうということが、そのときの応答ぶりでございました。この回答ぶり、先方のわが申し出に対する正式の反応はまだございませんが、近く何らかの回答が来るのではないかと期待いたしておる次第でございます。  以上簡単でございますが、御報告申し上げます。
  83. 羽生三七

    羽生三七君 先ほど外務大臣に依頼をしておきました満州開拓団の集団自決者の遺骨収容についてもすみやかに御検討を願って、今度の話し合いの機会に加えていただくと非常に幸いと思いますので、御検討を一つお願いいたします。
  84. 中川融

    政府委員(中川融君) ぜひそのようにいたしたいと思っております。
  85. 下田武三

    政府委員(下田武三君) 最後に私、時間を拝借させていただきまして恐縮でございますが、これは実はお詫びになることでございますが、一言御説明申し上げたいことがあるのであります。  それは先般新聞発表を行いまして、同時にその発表の内容委員会に参考資料として配付させていただきました、日米間の原子力の非軍事的利用に関する協定の仮訳文につきましてでございます。これにつきましては、先般日本新聞で非常に大きく報道されましたのでありますが、英語の正文と日本語の訳文との間に食い違いがあるという点を指摘されてございます。ただ新聞によりますと、ワシントンにおきまして日本語の正文と英語の正文とが同時に仮調印されたように報道されておりますが、その点は実は事実と違うのでございまして、実在いたしますものは英語のテキストのみでございます。日本語のテキストは仮調印いたされておらないわけでございます。と申しますのは、原子力の分野は何分日本の法令にまだ取り入れられたことのない、全く新しい分野でございます。伺いますところによりますと、学者の間ですらまだ定訳がないというような熟語がたくさんあるということでございまして、私どもといたしましては、これは国内法令にありますれば楽でありまして、国内法令用語をそのまま条約に取り入れればよろしいのでございますが、何分国内法令がないところへもってきて、条約で初めて専門的な日本語を加えるという難題にぶつかりましたわけでありまして、これは最も慎重に取り扱わなければならないと考えております。もちろん政府の各関係機関のみならず、学者の御意見も十分伺った上で、なおかつ、これは細目の協定の話も相当進んで、細目がはっきりしまして、それからふり返って本協定の方のを見ませんと訳語ははっきりきまりませんために、最も慎重に日本語のテキストを作りたいと考えておったわけなのであります。そういたしまして、英語の仮調印するときに日本語を作ってすぐに仮調印するということは実際とうてい不可能であったわけであります。で、私ども条約関係者といたしましては、そういう日本語のものを発表するということは実は非常にいやだったのでございますが、ワシントンで仮調印の後に議会に送付するということになりました。議会に送付すれば、どうしてもアメリカでは新聞に出ると、そういう場合に日本のみ発表しないということは、これはいかんということで、むしろ発表関係の方の当局の利益を考慮いたしまして、とりあえず大急ぎで作りました仮の訳文を、仮の訳文であるとお断わりした上で、新聞の発表にいたしました。同時にそのあとすぐ委員会にそのずさんな仮訳文を参考資料として御配付することにしまして、従いまして非常に不完全な、今後修正を要する幾多の点を含むものを本委員会にも差し上げたことと相成りまして、その点は私どもまことに申しわけないと思っております。ただ今後十分学者方の御意見を伺いまして、いろいろな御意見は私どもの最も歓迎するところでございまして、現に新聞に発表された点以外にも、衆議院の外務委員会で岡田先生から他の点も御指摘がありました。そういう点を含みまして全面的に再検討いたしまして本委員会に正式に御審議をわずらわしますときには、完全なものをお目にかけたいと思っておりますので、その点御了承を願いたいと思っております。
  86. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 私からちょっと。実に個々のテクニカル・タームの訳は非常にむずかしいと、そこで私の関係しております電力経済研究所で、一昨年から、原子力に関しまして、いろいろな調べをやっております。それで取りあえずその各研究室の専門の、そうそうの専門家を集めて、術語の訳を一致させるようにということで、たびたび会合を催して、その成果は印刷物にして外務省にも差し上げてあると思いますが、ああいうものをそれぞれの出先にお配り下さって、余部がたくさんあると思いますから、もしなければ御印刷になって、そうしてなるべく一つ今回のようなことのないようにやっていただきたいと思います。われわれしろうとから見ましても、もうこういうのは定訳があるのじゃないかと思う。たとえばラディエイションといったようなことを、放射性物質と訳すということは、ちょっとどうも常識から言っても変なように思う。物質じゃないと思うのです、ラディエイションというのは。まあそういったようなことが、ややどうも今回の御陳弁以上にずさんであったような気がしますので、十分御注意を願っておきたいと思います。  本日の委員会はこれをもって散会いたします。    午後零時二十一分散会