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1955-04-13 第22回国会 参議院 外務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年四月十三日(水曜日)    午前十時三十二分開会   —————————————    委員の異動 四月十二日委員郡裕一君及び松原一彦辞任につき、その補欠として中川以 良君及び深川タマヱ君を議長において 指名した。 本日委員伊能芳雄辞任につき、その 補欠として木内四郎君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     石黒 忠篤君    理事            小滝  彬君            鶴見 祐輔君    委員            伊能繁次郎君            木内 四郎君            草葉 隆圓君            西郷吉之助君            中川 以良君            梶原 茂嘉君            後藤 文夫君            佐藤 尚武君            岡田 宗司君            佐多 忠隆君            曾祢  益君            羽仁 五郎君   国務大臣    外 務 大 臣 重光  葵君    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    国 務 大 臣 杉原 荒太君   政府委員    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁防衛局長 林  一夫君    外務省アジア局    長       中川  融君    外務省欧米局長 千葉  皓君    外務省参事官  寺岡 洪平君    外務省参事官  矢口 麓蔵君    外務省経済局長 湯川 盛夫君    外務省条約局長 下田 武三君   事務局側    常任委員会専門    員       渡辺 信雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国際情勢等に関する調査の件  (旅券法に関する件)  (ソ連との国交回復に関する件)  (防衛分担金に関する件)  (防衛計画に関する件)   —————————————
  2. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) それではこれより外務委員会を開会いたします。  大臣出席について申し上げておきますが、外務大臣及び防衛庁長官は御出席になっておりますが、御要求の他のお一人の大蔵大臣は、御出席になるという確定の通知がただいま参りましたが、出られる時間がちょっと今確実になっておりません。追って申してくるということになっております。さよう承知を願います。  それから、十一日の委員会におきまして、防衛庁長官が三時から御出席のことになっておったのですが、いろいろ手違いがありまして、私の方には、六時でなければ出られないという通告があったのですが、長官自体はその予定に従ってお帰りになった。ところが御承知ようなことで、二時近くで委員会を済ましましたために、帰られてすぐ私に電話で御連絡がありましたが、委員は済んでおった、こういうよう事情でありました。そのことだけ私から申し上げておきます。
  3. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 十一日のこの委員会の際に、ただいま委員長からのお言葉がありましたよう事情によりまして、大変御迷惑をかけまして恐縮に存じております。
  4. 曾禰益

    曾祢益君 大体何時ぐらいまで外務大臣おいででございますか。午前中はずっといいんですか。
  5. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私は十一時半には用事ができておるのですが、なるべくその前に一つお願いができればと思っております。
  6. 曾禰益

    曾祢益君 午後はどうですか。
  7. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 午後は二時から用事があるのですが、なるたけ早くお願いしたいと思います。
  8. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 午後は二時から用事があるらしいのです。
  9. 曾禰益

    曾祢益君 わかりました。
  10. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) それでは、そのことはそのくらいにして、小瀧委員にお願いいたします。
  11. 小滝彬

    小滝彬君 外務大臣お急ぎのようでありますから、私は簡単に一つ二つだけお尋ねいたしたいと存じます。外務省が近く決定を迫られておる問題のよう新聞では申しておりますが、北京のメーデー出席のために出かける人は、四月の二十五日ごろまでに向うへ着かなければならない、約六十人ぐらいおるということでありますが、この中共政府招請に対しましては、総評が非常な興味を持って、ぜひ渡航許可を得たいと要求しておるというよう承知いたしております。これはいかがお取り計らいになるのでございましょうか、外務省の御見解をお伺いいたしたいと存じます。
  12. 重光葵

    国務大臣重光葵君) このメーデー出席の申請があることを承知いたしております。これにつきましてはできるだけ便宜を与えるという方針で進んではおりますが、しかしどれだけこのうちに政治的の意図がどうあるかということも十分に検討しなければなりませんので、まだ結末をつけておらんようでございます。慎重に今検討中というふうに御了承を願いたいと思います。
  13. 小滝彬

    小滝彬君 まだ決定されないで慎重考慮中ということでしたら、私はその具体的な結論についてこれ以上質問いたしませんが、一体これまで貿易とか文化、人道問題について、共産圏へも特に必要のある場合は人を出すというようになっておったんですが、メーデーということになれば、また今度の行く人の立場などから考えますと、相当政治的な性質を持っておるのではなかろうかと考えるわけであります。これについてはもちろん党派によって全然立場は違うと思いまするが、私はこの種のものが許されるということになれば、私の経験から申しましても、どこかで何かがあると、相当多数の招請状がくる。それにもかかわらず、一度政治的な招請を応諾すると、今後のお取扱いにも相当大きな影響があるだろうということは、これは大臣も十分御承知だろうと存じます。もちろんいろいろむずかしい問題もありましょうが、この点はぜひ慎重に考えていただかなければならない問題だろうと存じます。ことに、こういう招請を大ぜいの者が受けるということになれば、結局それに対して呼び返しをしなければならないというよう関係も出てくるでありましょうし、また表面上は、もちろん為替管理法違反というようなこともないように見受けられましても、あるいはそういうことを誘発するおそれなきにしもあらざる心配があるんじゃないかと思いますので、こうした点は十分考えていただかなければならないことじゃないかと思います。そこで、これに関連いたしまして、私もう一つお伺いいたしたいのは、外務省では、今旅券法改正を考慮しておられるというようにも聞いておりまするが、その間の関係はどうなっておる次第でありますか。
  14. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 旅券法改正検討していることは事実でございます。これはいろいろ手続その他について簡易にするというよう趣旨をもって改訂を検討中でございます。しかしこれもまだ結論を得ておらないことを御報告申上げます。
  15. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) ちょっと先の件に関して連関質問曽祢委員から……。
  16. 曾禰益

    曾祢益君 これはまあ今外務大臣の御答弁の程度では、はっきりまだ結着がわからないわけですが、ただ小瀧委員の御質問が、含んでいる方向が、これがもし今の内閣外務大臣が大体同じよう方向にお考えだとすると、これは私はかなり大きな問題ではなかろうかと思うんです。というのは、鳩山内閣が、これは第一次内閣のときでありましたが、要するに中国まあ中共と言ってもいいんですが、中共との国交調整についても、はじめのうちは相互に受諾する条件国交調整考えるやに国民には印象を与えておられた。ところが実際はその後だいぶ変って参りまして、まあ国際義務の範囲内において貿易促進する、こういう線に後退している。もう一つは、まあ人事の交流文化交流程度については大体基本的に吉田内閣の当時とは変った交流を重加するというのが、これはしばしば言明された方針だと思う。そこで具体的な労働組合中国訪問等についても、これは一体もし相手方の政治的意図云々ということで、それでこの拒否を決するということになれば、これはいかなる場合においても或る国が、ことに労働団体と言っても中国においては事実上政府と非常に関係の深いことはもう明瞭なんです。だからそういういわゆるスポンサーのあれからいっても、全然政治に無関係だということは、これは言い切れない。もしそういうものもすべて政治的意図があるんであろうからという理由でこれを拒否することになれば、これは経済問題だって政治にからんでくる。文化問題でもこれは事実上は吉田内閣時代交通遮断と何ら変りがないという結果になりはしないかという心配が非常に多いわけです。もしそういうことになれば、これは鳩山内閣公約に反するのみならず、これは私は大きな政策として非常な間違いではないか。中国日本との間に人間が交流しても、それがあまりに、この間の李徳全が来たときのようなあまり新聞トップ記事にならないようになることがこれは望ましいのであって、あまりチャタレイ裁判みたいに禁断々々をやること自身が果して得策であるかどうか。これはもう少し近視眼的でなく、大きな考えでおやりになる必要があると思う。これは鳩山内閣公約通りに、基本方針を曲げられないということが、これほどの政党ということでなしに、日本対外関係中国関係は勿論であるけれども、墓表的に必要だと思う。そこで、現実には只今のメーデー招待のみならず、これは鉄鋼労連諸君中国に行かれる、鉄鋼貿易促進理由で、目的で行こうということについて、結局外務省はこれはまだ研究、まだ研究で、これを事実上はたな上げにして、そうしてこれを許可しておらない。これはそういう実例があるわけです。メーデー招待に応ずるか応じないかは、これは労働組合の自主的な判断に待つべきであって、これがいいか悪いかということを、例えばいいと、行こうという人もあるし、私の知っているいわゆる通称全労系労働組合は、自分労働組合立場からいって、いわゆるWFTU、世界労連につながる労働組合には行けないということをみずからきめている労働組合もある。そういうことはすべて自主的にまかせればいいと思う。もし政治的だからいけないというのなら、この前、吉田内閣のときでも国会代表が、国会代表と言っては語弊がありますが、国会代表された各政党中国人民共和国五周年成立祝典に行きました。また中国の公けの団体に招かれて視察をしている。そのときに政府許可をしている。そうなってくれば、政治的だからいかぬということになれば全部、オールストップということになりはしないか。またそういう観点から旅券法ども吉田内閣がやろうとしたよう旅券法を非常に縛っておくということは、はなはだ適当でないと考えるのですが、特定の問題に対する具体的な意見を求めるのではありません。広い観点内閣公約の線に沿って具体的な構想をこの際明らかにして硬く必要があると思うので、外務大臣のお考えを伺っておきたい。
  17. 重光葵

    国務大臣重光葵君) この問題は、私は一般方針としては、これは表明することはきわめて簡単だと思います。これはたびたび表明しております通り日本の国の治安に関係しない単に文化交流もしくは経済促進通商経済促進ということになれば、これはもうむろん問題のないことであることはたびたび申し上げた通りであります。しかしこれは御承知通りに、かような問題はそう簡単にまいりません。いろいろ内部の事情その他について検討を要する問題が多々あると私は思います。しかしその一般方針を国の利益に反しないようにこれを処置するということが政府義務だと思いますから、政府見解をその事件について慎重検討をした上できめるということは、これまた政府のやるべきことだと考えております。さよう考え方で、いまの表明された御意見は、概括的に申し上げて私は少しも異存はございません。さようなことで、実際問題を具体的に検討した上で私ども義務として判断をする必要がある、それよりほかないと、さよう考えておりますので、いまそれを検討中でございますことを申し上げたわけでございます。
  18. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 一般的に何ら異存がないというお話ですが、いまちょっと曽祢君も触れましたが、最後の鉄鋼労連の、鉄鋼に関連する労働組合諸君鉄鋼市場視察、さらには原料入手の問題、進んで中国鉄鋼業建設状況視察、こういうような特殊な任務をもって、すでに早くから申請している。それを却下された。まかりならぬといって却下されたことがありますが、そういうふうな扱いにされるつもりか。今の外務大臣お話だと、むしろこういうものは積極的にお許しになったほうがよいと思いますが、その点はどういうふうにお考えになっておりますか。
  19. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 今申し上げた通り、今提起された問題については慎重に検討中だということを申し上げました。そこで、ここで、その問題を具体的にこの委員会で私が言質を与えることはいかがかと思います。それは差し控えたいと思います。
  20. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 委員長、それに関連して。
  21. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 委員長へは質問の申し立てがない。ごく簡単にして下さい。
  22. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 今の旅券法の問題は憲法関係する問題で、行政府ただ判断憲法に保障されている自由が制限されるというようなお考えでは毛頭ないと思うのですが、その点お答えいただきたいと思います。
  23. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私はこれは憲法違反、そういう重大な問題に直接関係を持っているとは思いませんが、そういうことのないようにすることは当然のことでございます。
  24. 小滝彬

    小滝彬君 今、曽祢君、佐多君、また羽仁委員から質問されましたことについて、私ここで討論みたようなことは全然いたしません。が、しかし曽祢君の言われますように、組合が自主的にきめたのは全部許すということになったら政府責任はとれないだろうと思う。そうして羽仁さんのおっしゃる憲法の二十二条については、私はそれほどの絶対なる自由を許したものとは解釈しておりません。しかし幸いにして外務大臣は十分慎重に考慮している、そういう政治的な影響のある際には十分考えなければいかんというお言葉でありますから、私はこれを信用いたしまして、旅券法のほうに移っていきます。  手続の問題だけをお取り扱いになるなら、これはもちろん大事な問題ではないと思いまするけれども旅券法についての私どもが得ている情報では、不法行為者以外は渡航制限を加えないという原則でやろうとしている。売淫とか賭博、詐欺などの常習犯罪者及び公務を妨害する者以外は渡航制限は自由にするというようなお考えように聞いております。これは勿論羽仁さんたちの御意見には合致するでありましょうが、私はもしそういうことになれば非常に大きな政治問題を作りはしないか。ことに、それは国内の問題のみならず、また国際的な問題といたしましても、非常に中共と地理的に近い日本で、しかも大量の人がどんどん自主的に自分で行きたい者は許すということになれば、相当そのリパーカッションというものは大きいものがあるだろうと思いますが、この旅券法については、あるいは大臣は御存じなければ事務当局の人でもよろしいのですが、私、重大なる関心を持っておりますので、どういう方向審議されているかをちょっとお伺いしたいと思います。
  25. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 実は私は今審議内容の詳しいことは報告に接しておりません。おりませんが、またそれについて報告させることも、私、異存ございません。やらしてもよろしゅうございますが、この問題は私は今は審議のごく初期にあると私ども実は思っているので、いろいろ御意見あたりも十分に検討して、ただ今小瀧委員代表される御意見だけでもなく、一般的によく一つ意見を徴し、そうして手落ちのないようにいたしたいと、こう考えます。
  26. 小滝彬

    小滝彬君 一般的に御意見をお述べになるのはまことにけっこうでありますけれども民主党結党以来、政策は非常に社会党に近づいていて、社会党の意向が強く反映された様子でありまするが、ただいま申しました旅券法については国家的立場から十分お考えを願いたい。そうしてしかも日本のデリケートな国際的立場、また日本の外交の基調というものも十分お考えになり、慎重なる審議あらんことを希望いたしまして、旅券法についての質問を終ります。  次に今朝の新聞をみますというと、ソ連行きのスケート選手に対しまして、元ソ連代表部が査証を与えたるやの報道があって、外務省事務当局が非常に困惑されておるということが伝えられている。この関係における事実はいかがなものでありますか。
  27. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 実は今朝の新聞報道されましたので、どういうことかといって外務省の……。(「もう少し声を大きくして」「世界中聞えるように」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  28. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 静粛に願います。
  29. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 今朝の新聞外務省が初めて知ったようなことであります。今どういう事情かということを関係当局のほうで調査中だという報告がございました。
  30. 曾禰益

    曾祢益君 議事進行について。これは委員長から小瀧委員にぜひお願いしていただきたいのですが、先ほど外務大臣は十一時半頃までしかおられないということで、今日は御承知ように、主として、これは理事会の相談で、防衛分担金防衛問題等についての質問をやるということを、これは大体常識的に打ち合せがあったと思う。従ってその点をお考え願って、皆さんに時間を十分にお与えになるように、小瀧委員にも一つ考え願いたいと思います。
  31. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) ちょっと申し上げます。ただいま大蔵大臣出席されましたが、予算折衝に残っておる問題があるから、十二時に大蔵大臣は退席をしたい、こういう御希望を御承知おきの上で御質問を願いたい。
  32. 小滝彬

    小滝彬君 それではもう、曽祢委員からの御注意をありがたくちょうだいいたしまして、たった一つだけ質問して、これで質問を打ち切ります。今朝の放送、また新聞をみますというと、防衛分担金問題については、大体百億ぐらいの線を言ってきたとか、あるいは千三百二十七億に対してもう四十五億つけなければいかんという条件がついたとか、いろいろありますが、もしもうすでに発表されていい段階になっておりますならば、幸いにしてただいま外務委員会を開いておりますから、この席上で発表し得る限りわれわれにお聞かせ願いたい。われわれを通じて国民にお示し願いたいと思います。
  33. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 防衛分担金に関連する交渉を今やっておりますことは、大要御承知通りであります。これは予算を提出する前にぜひ片づけたい問題でございます。そこで、一日もしくは時間を争って、早く交渉結末をつけたいと思って昨今やっておるわけでございます。この交渉につきましては、第一次的には、わがほうの考え方、これは予算編成方針に盛られた考え方を十分にアメリカ側に徹底をした段階でございます。それに対してアメリカ側から意見の表明があったことも事実でございます。しかしその双方意見調整はまだ最終的にできておりません。この交渉は、日本側はむろんのこと、米国側においても極めて理解ある態度で進んできておるということだけは申し得ます。そこで、私といたしましては、双方の納得のいく程度において、満足のいく程度において、なるべくすみやかにこれを妥結したい、結末をみたい、こういうことで進んでおりますが、この内容を詳細今日申上げることはまだ時期尚早であるということを、あしからず御了承を願いたいと思います。これが申し上げる時期が参りましたならば、むろん議会に対しても、機会があればまた一般に対しても、私はその全貌を公表するつもりにいたしております。
  34. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 私は日ソ交渉交渉地についての問題に関連して、簡単に外務大臣にお伺いします。わが方としてはニューヨークを適当と認めて先方に提案したのであります。それに関連して、総理発言等によって、相当異様な感じを私自身も受けたのであります。一般にもやや不安の念を引き超したことは御承知通りであります。ただ単にそれが異様な感じとか不安の念ということにとどまっておれば、それはそれでいいのでありますけれども、その事柄自体が、御承知ようソビエト側の正式の交渉文書に引用せられて、外交的のある効果を公けに出したのであります。そうなると、私は事柄は相当重要と思うのであります。それに関連してこの八日でありますか、再度日本側ニューヨーク交渉地に提案した文書において、総理の九州における発言に関連した事柄は、全く事実に反するということを明記されておるのであります。そうなれば、私はまた事柄は相当重要と思うのであります。第一、その間の経緯を私は伺いたい。もしあの事柄が全く事実に反するということであれば、私は当時適当の方法によって取り消す処置をするなり、あるいはそれにかわる適当の方法誤解を一掃することが当然政府責任ではなかったかと思うのであります。それについての外務大臣の御見解、またその経緯をこの際お伺いしたいと思います。
  35. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 御質問事項日ソ交渉に関する事項だと思います。そして日ソ交渉に関することは、これは事柄はきわめて重大でございます。重大でございまして、国民全体がこれに対して非常に大きな関心を持っておるということもお話通りであります。さようでございますから、私といたしましては、この全貌はもう国民の前に遅滞なくさらけ出すことがいい。発表することがいい。こう考えて一切の交渉の経過及び文書は発表いたしておるわけでございます。そこで今御指摘の、向う文書に事実に違ったことを述べております。そうでありましたら、事実に違ったことは、これはこちらからもはっきりと指摘することが必要であるので、それを指摘して回答をいたしておる次第でございます。その事実がなかったならば、なぜそのときに取り消さなかったか、こういうことであります。それは今総理談話として新聞記事がございまして、しかしながらその新聞記事について、総理談話が正確であるかどうかということを、実は総理自身に私は確かめたのでございますが、そういうことはなかったことを、事実に反することを私は確かめ得たのであります。しかしその当時は、すでにもう日本の希望する所は第三国の地点において交渉するということであったことは、周知のことでありまして、もう先方はむろんのこと、一般においてもこれに対して疑いを持っておらなかった。おらなかったので、私もたびたびそれは言ったりしておりまして、意思を表示しておりました。さようなわけでございますから、すぐそのときに正式に取り消すという手段は、これはむしろ選挙中のことで、またいろいろそれに対して派生的のことも生じてきますし、そういうことを正式に取り消すということは、そういう理由でもっていたさなかったわけでございます。これに対しては、今言われる通り、御批評もございましょう。しかし私はそう考えました。そこでその問題をまた公文書に蒸し返してきたのでありますから、これは、はっきりとこちらの事実でないことを言うことが適当であろうと思って、公文書にそう返答したわけでございます。先方においてはそれらの点において誤解のある経緯は少しもないのでございますから、さように取り計らいました。
  36. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 その間の経緯は私もだいたいお話通りだろうと思うのであります。ただ一つ私の腑におちない点は、当時の新聞報道によりますると、だいたい第三国に話し合いが結着するであろうということは、これは大臣お話し通り一般の予想であったようでございますけれども新聞報道によると、総理大臣はおそらくその第三国の土地はソ連のほうでは受け入れないであろうという趣旨報道があったのであります。このことは私、結果において先方がああいう引用をしたことと思い合せまするというと、相当重要なことではないか。少くとも、選挙中ではありましたけれども、取り消すということがあのときの状況から困難であるにしても、外務当局としては何らかの措置を一般に対しておとりになるというふうなことが、やはり必要でなかったかと思うのであります。おそらく今後もこれまでの状況で推移するといたしますればですよ、それに類したようなことが起ってこないとも限らない。そういうことが本来の本筋の外交折衝にいろいろと思わざる支障を与え、日本の威信にも関することにもなるので、一般国民としては、はなはだ不安にたえないところなのであります。ひとつ将来については政府としても十分そういう点について慎重に戒心されんことを私は希望するわけであります。  それから第二点は、外務大臣のアメリカに行かれての折衝の問題であります。それについては私くどくどお伺いするつもりはありません。ただ先方が断わって参りました声明でありましたか、回答でありましたかの中に、日本政府の極東情勢に対する見解について話合いをする云々という事柄が特に出ておったように思うのであります。それから察しますると、外務大臣向うに行かれて話合いをされる大きな問題の一つに極東問題の情勢の見解についての話合いがあったに違いないと思うのであります。どうも現在のところ、日本政府アメリカ側との間において、極東の情勢についての見解に多少の隔たり、差異があるように思われるのであります。これは防衛関係等にも関連して来る問題でありますけれども外務大臣の極東情勢に関する見解、これをこの機会にお伺いしたいと思います。アメリカ側の意向に関連して……。
  37. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 今のアメリカの……。
  38. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 アメリカ側見解と隔たりがあるのかないのか。
  39. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 極東の情勢についてアメリカ側見解が一致しておるかどうか、こういう御質問でありますが、これは実は非常にむずかしい問題でございます。私は違ったところがたくさんあると思います。しかし私は極東の問題を中心にしての日米全体の両国の一般考え方については見解の相違はないと思います。そこでどういうことが極東の問題についてそれじゃ違いがあるかといいますと、これは一般問題でなくして、個々の問題についてはいろいろと私は気持の差もあろうかと思います。それらのことは、たとえば中共の問題ということについても、これはとくと双方の間の持っておる情報その他の意見を交換して、これらについて一般問題に対すると同様に理解を深めていく、また意見を一致せしめるように努めていくということが非常に重要な点だと考えております。そこで経済問題にしても東南アジアの問題にしても、こちらにも注文もございましょうし、向うもまた希望もございましょう。それらの点について十分に意思の疎通をやるということは、日米両国の全体的の関係から申して極めて有益なことである、こう考えておった次第でございます。
  40. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 防衛庁長官に対する質問があるのですけれども、あとに廻すことが適当であれば、時間の関係上そういたします。
  41. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) それでは、それをあとにしていただきまして、岡田君。
  42. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 まず外務大臣にお伺いいたします。私は分担金折衝の経過につきましてまだ発表する時期でないというので、この折衝の経過等については、まあお伺いしても答えが得られないのでいたしませんが、とにかく分担金を減らすという折衝はおやりになっておる。これには、やはりなぜ向うに向って減額を要求するかという理由があろうかと思うのであります。この理由はすでに新聞紙等にも散見しておるところでありますが、まだ当局の方からはっきり、いかなる理由で分担金の減額を要求しておるのかということを聞いておりません。従ってここで、この減額を要求するその理由を説明していただきたいと思います。
  43. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 防衛分担金の減額を折衝いたしていることは先ほど申しました通りであります。この防衛分担金は、これはときどき、そのときの必要に応じてその分担金の減額を交渉するということに条約上なっております。なっておりますから、今日の状況においては日本側の防衛力も漸増したわけです。で、漸増するに応じてそれをやるというわけです。漸増しているという事実に基いて分担金の軽減を交渉することは当然であるし、そこに根拠を持っていると、こう考え交渉いたしている次第でございます。ただしそれじゃ今どういうことを言って、向うがどう言っているかということは申し上げられないことを御了承願いたいと思います。
  44. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 アメリカの日本に駐留する軍隊が、陸上部隊ですが、これがだんだんに減らされていっておるようで、最近も北海道から陸上部隊は全部撤退するというようなことも伝えられております。こういうふうに、まあアメリカの軍隊が漸次、陸上部隊だけですが、日本から撤退すると、これがやはり減額を交渉する理由になっておりますかどうか。
  45. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 米軍の撤退状況その他は、米軍当局から通報と申しますか、連絡があるわけでございます。しかし今日防衛分担金交渉についてどれだけ撤退するというような通報はあったわけではございません。しかし先年度から今年度にわたるいろいろの情勢の変化を計算に入れて、そしてそのときどきに必要な交渉をするというこの条約上の根拠に基いて、日本の防衛力が漸増するに従ってそういう交渉に応じるという向う立場になっておりますから、それによってやっているわけで、今アメリカの軍隊がどういうふうになっているかという、この的確のことについて最近特に通報があったわけではございません。
  46. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 この防衛分担金なるものは、これは行政協定の二十五条の2の(b)に基きますというと、「合衆国が輸送その他の必要な役務及び需品を日本国で調達するのに充てるため、毎年一億五千五百万ドルに相当する額の日本国通貨を合衆国に負担をかけないでその使用に供すること。」と、こういうふうにあります。従いまして、これは日本にアメリカ軍が駐留しておって、それに対する役務需品の提供のために必要な金だろうと思います。従いまして、事実アメリカ軍が撤退していく、だんだんに少くなっていくということになれば、その必要もまたそれだけ減ずるわけです。従ってこれは私はやはりアメリカに対しまして防衛分担金を減らしてもらう折衝の重要な根拠になっていく。まあ伝え聞くところによると、アメリカ軍が一個師団ですか、減った。それをやはり理由にしておるということが、新聞紙で伝えられておったのですが、これは実際と相違するところかどうか。それは否定なさるのであるかどうか。
  47. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私は今さようなことは否定はいたしません。いたしませんが、そうしてまた、むろんさような情勢は新たな情勢として考慮に入れての交渉であることももちろんでございます。しかし軍隊をいつどれだけ引いて、またどれだけ持ってくる、もしくは飛行機をどうする、軍隊を動かすという、その重大な変化を今具体的に受けておって、この交渉をするのじゃないということを申し上げたわけです。
  48. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 この防衛分担金の問題につきまして、行政協定の二十五条の2の(b)に「定期的再検討の結果締結される新たな取極の効力発生の日まで」云々とあるのでありますが、この「定期的再検討」というのは、一体どういうことを意味するのか、これはどういうふうな了解があるのか、何年に一遍ずつやるという了解になっているのか、それを伺いたい。
  49. 重光葵

    国務大臣重光葵君) その定期が何年目であるかということについては何もございません。ございませんが、これは必要によってやる定期的で、あまり不定期的にやってはいかぬから定期的にやろう。それでわれわれは、大体これは年々検討するのだと了解して、それで向う交渉に応じておるわけでございます。
  50. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 どうも今の定期的ということの御解釈が、あまり私ども常識的でないと思うのです。それはそれといたしまして、定期的ということをこちら側では毎年と解釈して、毎年予算編成の前に、アメリカに向って分担金の軽減を交渉すると、こういうふうに言われたと、とってよろしゅうございますか。
  51. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私は大体そう考えております。
  52. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そこで問題になりますのは、やはり行政協定二十五条の2の(b)の「毎年一億五千五百ドルに相当する額の」、こういうことが行政協定にはっきり規定されておるわけであります。ところが昨年これにつきまして、若干の減額が行われておりまして、この一億五千五百万ドルに相当する五百五十八億円が、二十九年度には五百三十二億八千万円になっておるわけであります。そこでお伺いしますのは、この減額の問題ですが、これは毎年もとの五百五十八億円を、即ち一億五千五百万ドルに相当する日本金を基礎にして、そこからの減額を交渉するのか、あるいはまた、今すでに減額されたものは、定期的に再検討の結果、両方合意されたものとして、その次の年には、それからさらに交渉をするのか、その基礎はどこにあるのかをお尋ねしたい。
  53. 重光葵

    国務大臣重光葵君) それはその議事録に書いてあります通りに、定期的に毎年交渉するわけであると了解いたしております。
  54. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 今お伺いしたのは、この協定のうちにある一億五千五百万ドルを、毎年その基礎の上に交渉をするのか。それとも前の年、だんだん減らされてきて、合意されてきたとすると、その次の年には、こちら側が防衛力の漸増と同時に、さらに減らされたものを基礎にして、たとえば三十年度の場合におきましては、二十九年度には一億五千五百万ドルに当る五百五十八億より減っているわけですが、五百三十二億になっている、それからさらに減らすことを交渉するのかどうか、その点です。
  55. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 今申し上げた通りに、毎年これは交渉するということになっている。昨年は七百万ドルの減額があったのであります。これは昨年限りのものであるとして、交渉当事者は了解しておったのであります。だから今年はまた交渉する。毎年定期的に、今年はさらに去年よりも多くの分担金軽減を得たいと思って、今交渉しているわけであります。
  56. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますと、この一億五千五百万ドルというものが基礎である、こういうことでございますか。
  57. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 条約はその通りになっております。
  58. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますと、ここに「定期的再検討の結果締結される新たな取極の効力発生の日まで」云々とありますが、この定期的再検討の結果新たに締結されるというのは、一億五千五百万ドルという基本を変えることになる。そうすると、今あなたが言われている定期的に交渉というのは、この行政協定の二十五条の2の(b)に基く「定期的」という意味とは違うのではないのですか。ただ事実上、定期的に毎年交渉するのだということにすぎないのじゃないですか。
  59. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 非常に法理論がこんがらがってきましたが、毎年一億五千五百万ドルから引いてもらおう、こういうことに了解いたしております。
  60. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それはその事実上の交渉であって、これによりますというと、「定期的再検討の結果締結される新たな取極め」というのは、この一億五千五百万ドルを動かす交渉を定期的に行うという意味になっていると思うのですが、その点はどうなんですか。
  61. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私は法理的に考えて、そうはならぬと考えております。
  62. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 この点は法理的に、そうならぬというが、どうもこれは一億五千五百万ドルを改める意味で、いつも一億五千五百万ドルを基礎にして、それから毎年定期的に交渉するという意味ではないように思うのですが、それはそれで。
  63. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 法理論の御議論なら、私もいたしてよろしゅうございますが。
  64. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それを一つお伺いしようかと思います。
  65. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 条約にそう書いてあるから、その条約を変えるということは、あとの定期的のなんでは私はできないと思う。条約に書いてある。
  66. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 行政協定に書いてあるわけです。
  67. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 行政協定は条約です。
  68. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますと、これはだいぶ、また問題がこんがらがってくると思うのですが、伝えられるところによりますと、この分からの減額の交渉、それから日本の防衛力の漸増計画に要する費用、こういうものとのからみ合せにおいて、どうも防衛分担金プラス防衛庁費が、二十九年度予算防衛分担金プラス防衛庁費よりも、さらによけいになる場合も生ずるかと思うのですが、そういうことはあり得ることかどうか。
  69. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 将来ならないように努力をいたしている次第でございます。
  70. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 委員長からちょっと注意を申し上げますが、十一時半になりました。十二時には少くとも大蔵大臣は退席されますので、このままで行けば大蔵大臣にはかえって御便宜かもしれませんが、せっかくおいでを願ったのですから……。
  71. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 大蔵大臣に移るつもりでおったのですが、そこで次に大蔵大臣にお伺いいたしますが、この防衛分担金が減額されるその額は全部防衛費に充てられるおつもりか、或いは一昨日のこの外務委員会におきまして、鳩山総理大臣は数たび繰り返して、防衛分担金が減額されれば、それを社会保障諸費の増額、住宅建設のほうに回すということを何べんも言われておった。これは大蔵大臣としてはいかなる方針をもって臨まれるか。この予算の問題にからみまして重要な問題でございますが、その点はっきりしたお答えをお伺いしたいと思います。
  72. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) ちょっと……、ただいま曽祢委員から大蔵大臣のおかちの前に一言外務大臣質問したいということの御要望がありましたが、よろしゅうございますか。
  73. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 今の関連ですか……。途中で折らないようにして下さい。今私の聞いたのを済んでから……。
  74. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私のこの予算編成に当りましては、内政費を防衛庁費……、分担金の削減をそこに求めておりませんで予算を組んでおる次第でございます。こういうことは私は存じません。
  75. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますと、しばしば選挙中に民主党が公約され、また政府の閣僚たちや、各地でもって演説をしておった、ラジオで言っておったのは、防衛分担金を減らして、それを社会保障諸費の増額に充てるとか、住宅建設に充てるとか、こう言っておった。で、総理大臣もおととい、はっきりそう言っておる。これはそうすると総理大臣大蔵大臣予算編成方針がまるで食い違っておるということになる。これは民主党内閣は年がら年じゅう閣僚の言うことがちぐはぐなんで、もっぱらそれが何というか、民主党内閣の特徴かもしれませんけれども、これはどうなんですか、その点は。
  76. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) それは私は実際具体的に予算編成に当っておるわけです。それから一方この防衛分担金等については、これは交渉しなくてはどうにもまだ結果がわからん。従いまして希望的な交渉の結果によってはいろいろとまた考え方によって意見もあるものと思います。私、今申しましたのは、具体的に予算を今回編成する場合に、そういうことはこの分担金についての交渉の結果に待たたきゃならない。そのことを、そういう未定なことを頭に置いて内政費の財源を考えるということは、これは適当でない、こういうことなんでございます。
  77. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 未定のことを頭に置いて予算編成は考えない、こういうことですが、しかし政策というものは、或る一定の方針を立てて、それに従って進んで行くものだと思う。で、未定のもの、未定のものというけれども、その数字がはっきりする前に、そろばんではじき出す前に一定の方針というものを立てておかなきゃならんはずです。おそらく鳩山総理大臣はその方針を言われたんだ。ところが大蔵大臣はそれを未定だ未定だと片づけてしまうということになると、総理大臣の言うことも民主党の公約もこれは皆未定でもって、実際には行わないのだということをあなたがはっきり言明されたにひとしいわけなんですが、その点はいかがですか。
  78. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) そういうわけには私はならんと思います。これはこの交渉の結果、分担金の削減がかりに思うように行ったとしますれば、そうしたらそのときに防衛庁費がどういうふうになるか、その結果ではむろんこれはそこに財政上の余剰ができる、これがいろいろの使途になって行く。ですからやはり防衛分担金の削減と、この防衛庁費というものが、どういうふうに折り合ってくるかということがきまらないと、私は何とも実際的には言えないのじゃないか。そこが折り合ってそこに余裕ができれば、防衛庁費はこのくらいで、それから分担金はこう、そこに余裕が出てくれば、これは同じ財政的な余裕になるのでありますから、これはいろいろに使い得るということには疑いを持たないわけです。
  79. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 私、結果をお聞きしているのではなくて、現われる結果をお聞きしておるのではなくて、私はあなたが防衛分担金の削減についてどういう方針を持っておるかということをお聞きしておるんです。
  80. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) それは予算編成大綱に明らかにしております。私はこの予算編成については、防衛庁費と分担金を今計したものが二十九年度の、その同じ額のワク内で編成をする、こういうことを申し上げたのです。
  81. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますと、鳩山総理大臣がここで何べんも言われたことは食言である、あれは事実に基かざるものである、こういうふうにあなたが言われたと同じなんですが、それでよろしゅうございますか。
  82. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) いや、私はそういうふうに少しもならないと思います。私はごく具体的なことを考えて話しておるのであります。総理お話になるようなこともあり得るのであります。(笑声)これは折衝の結果にやはりまたないと……。
  83. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 只今の大蔵大臣のお言葉の中に、防衛分担金と防衛庁費を合せたものがまあ昨年度より大きくならないようになる方針だと、こうおっしゃる。そういたしますと、防衛分担金の減じただけはこれを防衛庁費に充てるということを言われたと同じである。そういたしますと、そのめどから言えば、結局社会保障諸費も住宅費もこれはそのほうを減額してふやすわけには行かないということと同じなんです。そういう方針防衛分担金の減額分はこれを防衛庁費に充てる、そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  84. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) それで政策的にはこのワク内、前年度のワク内でもって行きたい。そこでなるべくこの防衛分担金の削減について交渉をまとめよう交渉をしよう、こういうことになると思うのです。
  85. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますと、前年度のワク内にとどめるということの中には、防衛分担金の減額だけその防衛庁費をふやすということで、前年度のワクに収めるという意味が含まれておると思うのですが、そう解釈してよろしゅうございますか。
  86. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは、この防衛庁費がはっきりしておりませんから、財政当局としてはそういう考え方にならざるを得ないと思います。
  87. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 防衛庁費がはっきりしておらないというけれども、防衛庁のほうから防衛庁費の要求は出ておるはずだと思うのです。それをはっきりしておらないというのはおかしい。また防衛庁費の要求をあなた方の方ではちゃんと防衛分担金と防衛庁費の合計したものの中におきめようとするならば、防衛庁のほうから出ている予算を切り詰めて、その中へおさめるという、ちゃんともう方針もあるはずだと思うのです。それをお聞きしているのです。だから防衛庁費がわからんなんということは、予算をもう数日うちに提出しようという時期に言われるのはおかしいと思うのです。ただ問題は、防衛庁費が出ているのをあなたのほうでもって、どこでもって切り盛りをするかということにかかっておるわけなんです。そこのところはあなたの方針にある。すなわちあなたが防衛庁費と分担金とを合わしたものを去年の額にとどめるか、あるいはまたそれをいかにして浮いた部分を社会保障諸費なり、住宅建設費に回すかどうか。これはあなたの手腕なり、方針にあるわけです。そこを私はお聞きしているのです。
  88. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) その防衛庁費についてはまだ確定を、決定をいたしておらない。
  89. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 またあとで大蔵大臣にお伺いいたします。
  90. 曾禰益

    曾祢益君 先ほど岡田委員の御質問に対する御答弁にもありましたし、また小瀧委員質問趣旨も、まあわれわれがここで、まだ交渉のさ中にある防衛分担金交渉経緯を、秘密会なら別ですが、公開の席上でお話し願うということは、これは適当でないとわれわれも考える。従ってそういう点をあまり深くお聞きすることはいたしませんが、ただ非常に遺憾なことは、実際政府から発表ではないけれども新聞には非常に詳細に、政府の態度はこうで、アメリカの返事はこうであるということが、これは一つ新聞にいわゆるスクープとして出ているわけじゃない。各紙に筋が全部出ているわけです。ですからただいまの岡田委員なんかの指摘されておるように、実際問題は二つあって、一つは防衛庁の庁費のほうも、これも実はアメリカに相談しなければ総額はきまらない。ここが私は政治的に非常に問題だと思うのです。それが現に七百八十億程度にアメリカのほうとしては当然に……。もうこの前の七百四十三億は、四十五億引いたのは、これは日本が勝手に引いたのであるから、これは基礎数字と認めない、こういう事実を主張している。従って防衛庁費のほうは少くとも七百八十億は最小限度の数字である。こういうことに話しがなっておる。一方はいわゆる分担金、これもまあもちろん二つあって、ただいま問題になっている行政協定できめられてしまっておる五百五十八億すなわち一億五千五百万ドル、これを基礎にして、それをまあ多少でも政府としては、希望として二百億、アメリカも百億程度は色をつけるということになっているが、もう一つの交付金でないほう、施設費のほうが去年は五十億程度あったものが、さらに四十億程度向うがジェット機の滑走路の拡張のための費用としてこれを要求している。こういうふうに、もうすべてそういうことを各紙が一致して書いている。従って岡田委員が指摘されたように、まあ政府の腹づもりは、これは去年の程度の千三百二十七億円程度考えておるが、しかしアメリカの方との交渉の結果においては、アメリカの方からいえば千三百七十二億というベースで、それよりか多少少い程度しかできないだろうということが新聞にも出ておるのです。一体これは外務大臣とアリソン大使との交渉内容がかくも堂々と新聞に出ているというのはどういうわけなのですか。この点についてはっきりした御答弁をいただきたいというのが第一点、これは外務大臣にお伺いいたします。  第二点は、ただいま岡田君と外務大臣との質疑応答の中で問題になったとにかく行政協定では何と言っても一応そのベースというものは五百五十八億円というものがきまっている。それを定期的に検討した結果、協定の何と言いますか、形式的並びに実質的のその部分だけを改訂するのか、あるいはそのつどの了解ができるのか、これはまあ法理論というか形式論としては議論がある。とにかくこれをいつまでも、日本が独立した、まあサンフランシスコ条約が効力を発生した当時の米軍の日本における配置状況というものは、いつまでもこの防衛分担金の、少くとも交付部分、施設費のほかに交付部分をいつまでも支配する数字でなければならないということは、これはもう理屈に合わないことは明瞭なんです。そこでこの点を情勢に応じてどういうふうに変えて行くのか。そのつどやりますと、これは確かに感じからいっても、まあ内政干渉的になって非常にまずいと思う。現実にアメリカ軍隊がおることは事実なのであって、さらに実質的に行政協定というものは非常に不規則で、ああいうものは当然に国会の承認を経て正式の条約にすべき性質のものです。まあとにかく国際的には条約があるのですから、これはいきなり廃棄するわけにはいかない。しかし必要に応じて改訂すべきは、これは明瞭だと思う。その点と、いま一つはこれまた岡田委員が指摘された通り、分担金のほうはこれは何と言っても一応行政協定という条約によってしばられておりますが、しかも具体的に数字がベースとしては五百五十八億というふうにしばられております。これを改訂することが必要だと思いますが、今度は日本予算で、日本が自主的にきめるべきこの防衛庁費のほうが、これも今の質疑応答にあれされたように、こちらの政府予算をきめて折衝するんでなく、これは内閣の非常な不手ぎわになるわけですが、とにかくこちらできめないでアメリカと相談して日本のその予算を、これは別に条約で幾らにするという、協議するというようなことは何もありません。これまで、そういう部分までアメリカと交渉によって、予算をもう数日後に提出しなければならないときにアメリカと交渉している。こういう点を行政協定あるいは安全保障条約の改訂という大きな見地からこれを直して行くことがどうしても絶対に必要だと思います。従いまして、この分担金の方の二十五条の改訂と、それからまあ簡単に言えば自衛軍費ですが、今保安庁費と言っている……。この分については少くともこんなようなふしだらなことにならんように、これをどういうふうにして日本で自主的にきめるというふうにアメリカとの関係を変えて行くかということについての外務大臣のお考えをお答え願いたい。
  91. 重光葵

    国務大臣重光葵君) それでは今の御質問の順序を最後の点からお答えしましょう。  安保条約、サンフランシスコの平和条約と同時に安保条約が締結された。そうしてそれから又行政協定ができた。これは私は日本の戦敗という不幸な歴史の遺物だと、こう考えております。そこで日本が十分に国家再建をやって、そうしてかような条約の必要でないようにする時期がすみやかに来たらんことを希望せざるを得ないのであります。それに向って一生懸命にこれをやらなければいかん。しかしそれと同時に、不幸にして戦敗後の日本を安全に、国際関係の中を国家として航海していく場合において、こういう条約ができておる。できておる以上は、これについては十分にこれを尊重していくということが、また国家の安全であるゆえんだと私は考えております。いまかような条約をこしらえた方がいいか悪いかということは、しばらく別問題です。しかし日本が敗戦という遺憾な事績のあととして、これができたことは事実であります。そうでありまして、この安保条約によってどういうそれでは軍事上の負担が日本にあるか。日本はこれをはっきりと安保条約によって日本の国防を充実していくということがある。これは漸増という言葉であるわけであります。これは条約は尊重しなければならんと思う。それは行政協定にもある。その趣旨で全部できておる。そうして行政協定の二十五条によって防衛分担金のことまでも細目として測定されておるわけであります。だからそれによって進んで行かなければならん。しかしいまこれらの条約をそれでは日本が改めればいいじゃないかというお話、これは私はむしろ私に対する質問じゃなくして、これは日本国民全体に対する質問でなければならんと私は思う。そこでさような時期の来たらんことを、私は私の領分において全力を尽したいとこう考えておる。しかしそれは慎重に私は考えないと、日本の将来を安全に導くという点においてはよほど慎重に考えんと、ことを急ぎ過ぎても私はいかんと思う。それは国民的に自信をつけて実力をつけて、そうして時期をあやまらず、しかもおそ過ぎてはいけません。時期をあやまらず、さようなふうにもっていくことは当然だと私は考えております。ただそれに至る国民的の準備は着々と進めて、わきめて用意周到にやらなければならんと思います。これは国家全体の問題であるのであって、日本は過去のあやまちを繰り返してはならんと、こう考えております。  それから交渉のことについて新聞にいろいろ出ておるじゃないか——私も新聞を全部見たわけではありません。新聞はごくわずかしか読むひまはございませんが、しかしずいぶんと記事のあることは承知いたしております。そこでその記事中には、正確でない部分もむろんあるのであります。いまは国民外交、国民外交というようなことを、私どももほとんど各国の事例にかんがみて、むしろ最大限の考量をして、国民外交の趣旨に沿って実はやっておるのでありますが、しかしあまり正確でない記事等が広く流布されることは、交渉にいい影響を及ぼすものでないということも御心配通りであります。これはわれわれとしてはむろんそういうことのないことを希望します。それから外務省に関する限り、最も注意深くこの点を扱うておるということも私ははっきりと申し上げます。しかし、ずい分新聞通信記者も、非常に有能にしてきわめて勉強される方でいろいろな結果がそこに現われてくると思いますが、これはそういうことについて国民的にわれわれも国民で外交をやろうとする少くとも心がけをもって努力しておるということでありますから、国民的に、何が国家のために利益であるかどうかということも、少し一つ考えていただきたい。これはただ外務省だけのことではない。政府はむろんのことであります。しかし政府以外の方々もさような点は十分に一つ考えていただいて、国家的に不利益にならんようにしていただかなければならんと、こう考えております。ただしそれがために私は外務省がいろいろなことを、たとえば取締り——取締りという言葉は非常に悪い、私は使いたくないのでありますが、なお機密のもれない措置を外務省の中においても、また外においてもしなければならんという、この点においては私も全く同感であります。しかしそれと同時に、これが全部外務省の力の及ぼすところだけであると考えられるのもどうかと思います。これは一つ国民的に努力を進めるように私どもはしむけていきたいと、こう考えておる次第でございます。
  92. 曾禰益

    曾祢益君 私は他の大臣への質問がありますが、岡田君に先にやらせます。
  93. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 大蔵大臣にお伺いしたい。けさの新聞によりますと「防衛分担金削減問題の早期解決をはかるため十二日早朝から外務、大蔵両省が中心となり在京アメリカ大使館、米軍事顧問団らとの間に専門家会議を開く」云々と出ております。そこでこれは予算の問題についてのお話し合いだと思うのでありますが、こういうよう向う防衛分担金の折衝をする場合に、大蔵省側が専門家会議に出るわけでありますが、その際にこちら側の予算の全体の方針を説明して、あるいはそのうちにおいて特に防衛庁費の関係、すなわち自衛隊の増強というような問題について、こちら側の予算等を説明して向うの合意を得るのか、あるいは了解を得るのか、そういうことを専門家会議でされるものかどうか、その点をお伺いしたい。
  94. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) そういう専門家会議はありません。
  95. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 これは誤報ですか。
  96. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 誤報です。
  97. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 誤報ならば結構だと思います。  次にお伺いしたいのですが、分担金の減額折衝の際に、分担金自体の減額だけでなくて、防衛庁費の増額という問題の詳細、すなわち自衛隊の増強計画というものを、向うと同時に話し合っておられるのか。
  98. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは外務大臣が主管してやっております。
  99. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それはまあ外務大臣がおやりになり、主管だろうが、あなたは前に防衛分担金の折衝をやるとか何とか盛んに言われておったのだから、ことにこれが予算と関連があるのだから、あなたが知らないはずはないのだからお伺いしておるのです。いかがですか、その点。
  100. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) いや私はむろんアメリカとは接触はいろいろの面で持っておりますが、しかし私は日本経済の現状がどういうふうになっておるか、あるいは日本の財政状態がどうあるのか、あるいは国民生活がどうあるのか、こういう基礎的なことについてできるだけの知識を差し上げる、こういうふうなことをやっておるわけであります。
  101. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 まあその点はお答えがないからその次に進めますが、それでは次にお伺いしますのは、MSA協定による余剰農産物の、まあ日本円でもつて買ったものですが、昨年度分の一千万ドル、三十六億円の使途ですが、あれは現在どういうふうになっておるか。それから次には本年度分の余剰農産物の交渉が現在どの段階にあるか、そしてあなたはこれをどういう方針で処理して行こうとされるのか、本年度の余剰農産物の問題についてのあなたのお考えをお聞きしたい。
  102. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) MSAから来ました一千万ドル、三十六億円になりますが、このうち若干の数字の記憶違いがあるかもしれませんが、七億二千万ドル前後の金、これが使途がきまりまして、使っております。あとはまだ話がないと申しますか、使途がきまっておりません。
  103. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 使途がきまっておらない。なぜきまらないのか。本来ならば三十六億ぐらい、そう大した金額ではないので、早くきまりそうなわけですが、これがきまらないのはアメリカが一々うるさいことを言って来るので、それで、こちら側も思うように使えないのできまらないのかどうか、どういう理由できまらないのか。
  104. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは協定で事実上こちらが自由になかなかやり得ないのです。
  105. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 岡田委員に申し上げますが、もう五分以上超過しております。
  106. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 お答えがないのです。さっきの質問の。本年度の余剰農産物についてどういう方針でもってお臨みになっておるかということを、まだお答えがないのです。
  107. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは余剰農産物は、こちらが使い得る金は、円貨にしまして約二百十四億になるのでありますが、要するに八千五百万ドルの七割使える。これが二百十四億であります。これはまあ主として私は電源の開発及び農業開発資金に充当したい、こういうふうに考えております。
  108. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 その第二回の日本側で使い得る部分も第一回の分と同じように、まあアメリカ側とのいろいろむずかしい問題が起るものか、それともその額はこちら側で自由に使えるものか、第一回の分と第二回の分と同じものか。
  109. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) その第二回の分につきまして、少くとも電源開発あるいは農業開発、こういうふうなところで自由に使えるようにただいま交渉をいたしております。
  110. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 その交渉の見通しは、そういうふうになりそうなのか。どういうふうになりそうなのか。それともやはり第一回のと同じようなことになりそうなのか。その点はどういうことなのか。楽観的なのかどうか、そこをお伺いしたい。
  111. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは面接な交渉を経審長官がやっております。私が報告を受けた限りでは、ただいま申しましたようになりそうであります。
  112. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 鶴見委員はよろしゅうございますか。……そういたしますと、梶原委員の防衛に関する御質問が、御質問時間の余りがあるのであります。
  113. 曾禰益

    曾祢益君 その前に私の防衛に関する質問も簡単にしたいと思います。
  114. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 曽祢委員は持ち時間がすでに尽きておりますが、時間がありましたら一つお願いします。
  115. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 防衛庁長官に、改めて来ていただいたのですから、私どもお伺いしたいと思うので、持ち時間で制約しないでやっていただきたい。
  116. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) それはやりますが、一応済まして……。
  117. 曾禰益

    曾祢益君 持ち時間ではなくて大蔵大臣の時間です。持ち時間は別にきめてなかった。
  118. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 一昨日、本日と司じような割合で、三時間を割り当てていく、こういうことにしておったのであります。
  119. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 防衛庁長官もおられますし、これに関連して防衛庁長官からも……。
  120. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) それは防衛庁長官は御出席がまだ続きますから、どうぞ願います。順序といたしまして……。
  121. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 先般の参議院予算委員会で、佐多委員質問に対して鳩山総理はこういう答弁をされておるわけであります。それは佐多委員質問は国際情勢なり、極東の情勢から見て、政府の防衛に対する基本的な考え方に対する質問であったのであります。総理は世界大戦あるいは戦争の原因が近く勃発するものとは考えておらない。従って日本の国防問題も急を要する問題ではないと考えておる。ゆえに分担金の減額についても防衛庁費の問題についてもよく相談をして、なるべく減額をして、それがほかの仕事に向けられるようになることを衷心より希望する、こういう趣旨であります。言いかえれば、現在の諸般の情勢から見て、防衛分担金はもちろんのこと、本来の防衛庁費についても減額することが望ましい、こういう趣旨に聞いたのであります。またその他の場合における政府発言においても、そういう趣旨が繰り返し繰り返し現われておるのであります。できれば現在の日本の防衛力、自衛隊の費用も減らしたい。そうして社会保障なり、その他の施設に回したい、こういう政策ように了解するのであります。従来前内閣においては、これは御承知ように安保条約を基本にして日米両方で一つの防衛の態勢ができ上っておるのであります。その態勢の中ででき得る限り日本自体の自衛力を財政とにらみ合せて漸増していく、そうして少くとも本土においてアメリカが駐留をしておる、この現状を脱却していきたいという政策であったように私は思うのであります。ところが現在の内閣においては、それとかわって、最近国際情勢から日本の防衛力自体も、これを減少することが好ましい、こういうふうに理解されるのであります。現在の防衛の施策を担当されておる長官とされて、あるいは現内閣として自衛力をどう持って行くのか、情勢によってこれを減額して行くのか、また情勢によって急速増すのか、それらの点についていささか私は疑念を持つのであります。現在行われておる分担金の減額の折衝に関連しても、多分にその基本についての点が明確でないように思われるのであります。まずそれらの点について、先ほど外務大臣にも質問したのでありますけれども、現在の政府の極東における情勢についての考え方がアメリカと相当の違いがある。それからこの段階においては防衛力を停頓し、あるいは縮小して行くことが好ましい、こういうふうになっておるようにも考えられるのであります。杉原長官の自衛力増強と言いますか、防衛力を今後どう持って行くのか、この点についての考え方をお伺いいたしたい。前内閣とどこが違うのかということにもお触れを願うと好都合だと思います。
  122. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) ただいまの梶原委員の御質問にお答えいたします。この防衛についての大体の考え方の基本は、吉田内閣以来ずっと、先ほど梶原委員のおっしゃったよう方向できておると思います。基本的には私もやはり吉田内閣時代からとられておる方針と特に違ったふうには考えておりません。これは特に私から申し上げるまでもなく、わが国の独立の実を上げるという上からしまして、いろいろとまだなすべきことが各般にわたっておるのでありまするけれども、その間にあって、独立国の態勢の実を上げる一つとして、ある程度の自衛力を備えて、いわゆる自主防衛の態勢を作るということは、やはりこれは必要なことであろうかと、吉田内閣以来もそういう趣旨だったと思います。そうしてまた一方その態勢の整備に応じて、逐次駐留軍の撤退を見るように持って行きたいと、こういう考え方だったと思います。そうしてその点において、今考えておりますことも、本質的に変りはないと思います。先ほど梶原委員から、総理のおっしゃったことに関連してお話がございましたが、今極東の情勢あるいは世界全般の情勢というものは、これはいろいろの見方があります。こうだと断定的にはなかなか言い切れないものがあると思います。それとともに、また一方国内の財政経済状況、ことにこの三十年度という年は、何としても経済の将来の発展のための基礎の地固めという上から非常に大事な年である。従って防衛力の漸増といっても、そこにおのずから制約がある。そういうふうに私は解釈いたしております。
  123. 梶原茂嘉

    梶原茂嘉君 一応長官の御見解はわかるのであります。しかしながら一般に与えておる一つの印象は、三十年度においては、国内の経済面の態勢を固めるために、防衛庁費なり、分担金を併せた現在の防衛の金額を減少するのだというふうな印象は必ずしも与えておらないよう感じがするのであります。それじゃことしはこうだけれども、三十一年度においては、こういうふうにふやすのだということにも言及はされておらない。ともかく自衛力の増強についての基礎的な考え方というものは、きわめて明確を欠くという印象を与えておると思います。けれどもお話ように、極東の情勢を直ちに結論をつけることは、これは誰もできないと思います。安保条約から起っておる現在のこの防衛態勢を、にわかに自衛力を増強して行って、そして少くとも本土においては駐留軍がいなくなるように一日も早くしたいという方針だけは、これは私は厳守をされることが肝要じゃないかと思うのであります。それだけ申し上げて、私の質問を終ります。
  124. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) お諮りいたしますが、小会派の方にも質問をさせてもらいたいという御希望で、羽仁委員からのお申し出がありますが、防衛庁長官はよろしゅうございますか。よろしゅうございましょうか。……それじゃ羽仁委員
  125. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 私は防衛庁長官に伺いたいことがいろいろあるのですが、第一にはこの防衛力というふうな、実質上における軍隊というようなものに近いものに対して、防衛庁長官としては、当然そういう力が絶えず議会のコントロールのもとになければならない。もしそうでないと、再び軍閥のようなものが復活してくる。そういう意味で全力を挙げて、現在存在している、そういう防衛力というものが、民主的な防衛力となるために、絶えず厳格なる議会の監督のもとにあるという御努力をいただいておることと思いますが、その点についていかがでしょうか。
  126. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) お答えいたします。御承知通り羽仁委員の御指摘の点はきわめて大事な点であるのでありまするが、これはすでに国会の意思によって決定せられております自衛隊法によって、法律によっても、すでにそのこともはっきりとしているところでございます。その中には御承知通りいわゆる防衛出動という、これは防衛隊の行動の最も重要な任務の一つに属する場合でございまするが、これの発動については国会の承認を要する、こういうことになっておりますし、またこの自衛隊法とは別に、これは憲法上当然のことでありまするが、この自衛隊の編成等の大綱、その規模、これは予算措置乃至法律によって、つまり国会の意思によってきまるようになっておる次第でありまして、それに従ってやって行くつもりでございます。
  127. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 どうか一つ国民が非常な心配をしている、最も心配している点でありますから、あくまで民主的な力として成長して行くように、根本的な点でも、それから細かい一々の点でも御努力を願いたい。われわれも国会議員としてこまかい点にまで絶えず監督の義務を尽すつもりでおります。  実は一昨日御出席がなかった点については今のような点から、こまかいことまで言うというふうにお感じになるかもしれませんが、私としましても非常に残念に思いましたのは、今の重大問題に関係するからであります。  続いてお伺いしておきたいと思いますのは、特に私としてはやはり第二の重要な点は、防衛力を日本が持っていることは、あくまで目的は平和にあるのだということが、いやしくもあいまいになって参りますと、とんでもないことになると思います。けれども、なかなか毎日武器を扱っておられる方々ですから、どうしても戦争が目的のようにお感じになってくるのじゃないか、もしそういうふうな傾向が生ずると非常におそるべきことになるので、現在おかれている防衛力というものが、あくまで平和以外に何もないのだということにあることも、これは当然のことだと思います。その意味におきましても、やはりただいま梶原委員からも御質問があったのですが、極東の情勢についての商いレベルにおける判断というものは、やほり防衛庁長官が先ほどは、いろいろ議論のあることだとおっしゃっておられましたが、この際伺っておくことが必要じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。もし伺えればその方が国民のために仕合せだと思います。
  128. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) ただいま羽仁委員お話の中にありました、その情勢とも非常に関連すると思いますけれども、まず第一の点、つまり自衛隊というものはあくまでわが国の独立と平和を守ることを目的とするということです。その点は、これもまた自衛隊法に明記しているところであります。これはまたきわめて至当なことが実体として規定せられていると思います。申すまでもなく、防衛ということだけで国の安全は守れない。いろいろとありましょうが、それとあわせてまた、ことに外交という、そういうのが両々相待ってわが国の独立と平和を守る、こういうことに貢献しなくてはならんことだと思います。  ただいま私に、極東の情勢について見たところを言えと、こういうことでございまするが、この点はなかなか簡単に、皆さんが見ておられる以上のことを私申し上げることはむずかしいと思います。
  129. 小滝彬

    小滝彬君 実は杉原長官には、私は本会議でも述べたのですが、それは質問の仕方が悪かったのかもしれませんが、長官として、独立と平和を守るために働いておられるからには、非常な重大なる関心を持っておられるわけだろうと思うのです。そうしてなるほど、国内の治安とかいろいろあるけれども、国際情勢によって支配されるところが多いのです。こうした見方によっては、あなたの今後の自衛力増強の気持にも非常に影響してくるので、今の情勢を見てどういうふうに大体の、責任発言という意味でなしに、杉原氏はそういう専門家であるから大きな抱負を持っているだろうと思います。ことに六カ年間の防衛計画でもしようという人だったら、大体の情勢をどう見ておられるということは確かにあり得ると思いますので、そういう点を聞かせてもらったら仕合せだろうと思います。ぜひどうぞお願いいたします。
  130. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 せっかくあなたのような非常な立派な長官が就任されているのですから、そうして民主的な防衛力という意味からも、やはりそういう高いレベルの御見識を承わっておきたいと思います。
  131. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 極東の方面が世界のほかの地域に比べて確かに不安定的な、要素が非常に多いということは、これは事実だと思います。それがどういうふうに今後発展していくか、ことに具体的に見ますというと、台湾海峡を差しはさんでの中共国民政府との関係の今後の推移だとか、あるいは仏印における情勢だとか、あるいは南北の朝鮮半島の関係の今後の推移、それからさらにまたいろいろ今後欧州方面の情勢、それから、それから来るソ連、その他アメリカの極東政策、あるいは世界政策がどういうふうに動いてくるか、これは非常に複雑であり、私は自分の能力の限りに検討はしておりますけれども、そこにつまり非常に平和の方向向う傾向も確かにあり、また、しかし必ずしもそう楽観ばかりしておれぬ要因も非常に動いておるようにも思うし、今後の推移、ことにこの間は小瀧君、相当先のことを言え、こういう御質問でありましたが、これはおそらく何人といえどもお答えするには困難な問題だと思います。
  132. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 実は一昨日のわれわれの質疑応答もお聞き下さると非常に仕合せだったと思うのでありますが、重要な質疑応答があったのでありますが、そのうちの一つに、私は、台湾をめぐる現在のアメリカの動きには国際的に非常に鋭い批判を受けているものがある。イギリスの新聞一つにも、台湾にアメリカの国防線があるというふうなことは、常識のある人間を納得させることはむずかしい。それからまた中国から台湾に出た一つの勢力というものが、中国本国に向って戦争をしかけるのに、外国がそれを助けるというようなアメリカの現在の政策はほとんど狂気に近い、狂いじみているというような批判もあり、その中で最も穏健なマンチェスター・ガーディアンの論調でさえ、アイゼンハワーがアメリカの軍部の動きを押え得ないで、非常に態度をあいまいにしていることは国際的に非常に危険だ。アメリカの統合参謀本部の中には、シベリア鉄道まで爆撃しようというような危険な意見さえ現われている。こういうことに対してイギリスの世論は同調しようとしていません。昨日の新聞でも労働党の党首は、アメリカが台湾を中心に戦争を始めるときに、イギリスはこれに協力すべきでないという意見を言っておられますが、一昨日の鳩山総理の私の質問に対するお答えでは、台湾問題の武力的解決というものは希望しない、どうかそれが平和的に解決されることを希望するという答えであったと思いますが、これらの点については、やはり現在日本の持っております防衛力というものが、民主的な平和的な力として、いやしくも昔の日本の軍閥のようなものにならないためには、防衛庁長官がやはりその最高の地位においてはっきりした識見を示されることが私は非常に必要だと思うのです。  しかし、これらの点について、一々こまかい点について伺っているのではないのですが、一言伺っておきたいのは、極東に現在いろいろな問題はある。しかしながら、それらの問題の解決は平和的に解決され得るというふうにお考えになっているのか、もちろんその点についてあいまいにお考えになっているというふうなことは毛頭ないと思うのですが、一つその点についてだけでも伺わせていただきたい。
  133. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 非常にむずかしい御質問であります。そのうちの、極東におけるいろいろの問題の中で、何と言っても今、中共国民政府とを中心にした、ソ連とほかの国などの関係については、これは一つの非常な焦点になっていると思います。いろいろの見方はありましょうが、私はその中の非常に注目しておかなければならぬものとしてかねて考えておりますことは、ほかの第三国関係もさることながら、中共国民政府との関係自体というもの、これを今後の点に非常に注意すべきことだと考え、その観点から特に情勢に注意して見ております。
  134. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 次に伺っておきたいのは、やはり現在の防衛力が民主的な平和的な新しい防衛力になるか、それとも古い軍閥的な侵略的なものになるか、そうして国民を圧迫することになるかという分れ道の点は、防衛力というものが必ず常に最も広い意味における国民生活の安定、国民経済の安定という、国民生活のバランスの上にのみ存在し得るものである。そのバランスを破って存在するようになれば、それはすでに防衛力ではない。むしろ破壊力になる。国民に対する経済的な負担、また一般的な政治的な圧迫ということになるという点についても、これはもうお答えいただかないでも、御同感いただけることと思います。  私は最後に伺いたいのは、自衛隊の中で行われている教育に関して、最近二、三新聞を通じてわれわれが知り得た知識に心配なるものがありますので、二つ伺っておきたいのですが、その一つは、選挙の前に自衛隊の幹部の一人の方が新聞紙に向ってなされておる談話の中に、これはどの程度正確に伝えられたのかわかりませんから、いろいろお調べを願わなければならぬ点もあるかと思いますが、長官の御意見をこの際伺っておきたいのは、その幹部の一人が、選挙の際に自衛隊員の投票というものは、当然自衛隊、防衛力というふうなものに反対する政党に行くのは少いだろうということを語られているのを新聞紙上でわれわれは見ました。これは実に恐るべきことだ。かりにそういう事実がどの程度まであったのか、それはそおらく信頼すべき新聞報道するところですから、全くないことではないと思う。また、その幹部が個人的な意見を述べられたということもあるかもしれない。しかし、今日国家公務員全体はずいぶん、ほとんど常軌を逸するよう政治活動の制限を受けております。私は、そういう公務員一般政治活動に今日加えられているよう制限は全く不当なものだと思いますが、今、防衛力に関係する幹部の方々の政治上の活動ということには、これはなかなか危険なものがある。私は、今新聞紙に伝えられているようなことについての長官の御意見は、どういうふうにお考えになっているだろうか。  時間をあまり取ると恐縮ですから、続けて第二点を伺っておきたいのは、これもやはり新聞紙を通じてわれわれも知り得たのですが、最近自衛隊の中で小泉教授の著わされた著書を特に自衛隊員に読ませようというような計画を持っておられるやにわれわれは知ったのですが、その点について、これはどういうことを意味するものであろうか。自衛隊員に特定の政治上の意見を与えようとしているのでは毛頭ないだろう。そこで伺っておきたいのは、この問題についてはどういうふうにお考えになっているのか。結論としては、自衛隊員の教育は非常に重大な問題であって、自衛隊員は、まず第一義的には、民主主義的な市民としての識見を持っていなければならない。ところがもし教育を誤れば、民主的市民としての識見はなくて、特定の軍国主義的な考え方に陥るのではないか。そういう意味から、こまかいことを伺うようにお聞き取りいただかないで、それらの点についての識見を伺わせていただきたいと思うのであります。
  135. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 自衛隊の任務というものがはっきりと国の意思によってきめられておりまするから、あくまでもその任務を本意に考えていかなければならないものと思います。そしてまたその任務を正しく遂行するためには申すまでもなく、人間として、また日本の民主主義的な国家の一員として、その点から見てりっぱな人格の陶冶ということが基礎になっていかなければならないことは申すまでもないと思います。そういう観点からして、特に今防衛庁関係にいろいろと学校がございますが、そういうところでも教育をやっている次第でございます。先ほどの第一のほうの点は、一つ取り調べてみます。  小泉先生の著書のことは、私少し耳にしておりますが、すでに採用したかどうかはまだ聞いておりません。しかし私の考えでは、小泉先生の御意見などは非常にりっぱな点があるよう考えております。そしてまたいろいろの任務とか、人格の陶冶とかいう見地からして有益なもので、ありま片寄ることなく、またそれらに資する上からして、いろいろなものを含めてやっていくということは当然必要なことだろうと考えております。
  136. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 今例にあげました三つの点につきましても、十分お調べ下さることをお願いしたいのですが、そういう問題についての長官の御意見も率直に伺っておくことが必要だと思うのです。どうか今申し上げておりますような意味において、防衛力がいやしくも古い軍閥の危険な方向に陥っていかないように最大の御尽力をいただきたいと思うのですが、その点について最後に伺っておきたいのは、自衛隊内の教育については現在どういうふうにやっておられますか。そうして今後どういうふうにやっておいでになるおつもりであるか。それはちょうど西ドイツにおけるいわゆる防衛力の問題についても、国際的に非常な問題を起しております。そういうことは日本の場合にも、国際的にもやはり注目されている点であると思いますので、ドイツの場合の国際的な世論としては、西ドイツが現在持っている軍隊というものが、その教育の方針を軍人によって決定されるならば、これほど危険なことはないという批判が与えられておりますが、日本の場合にはもちろんそういうことはあり得ないことだと思います。けれども、先ほどの選挙前の一幹部の談話にせよ、それから小泉教授の著書に関する新聞報道にせよ、防衛庁自身が防衛庁内の教育をやっていくということについて十分考えていないのじゃないか、これらについては現在どうなされているのか。それから将来として、私は特に防衛庁内の教育については、やはり日本にはずいぶん教育関係に権威の方々もあられることですから、そうして軍隊教育をやるというものじゃないはずですから、一般教育の基礎については国立大学なり、そういう国家の教育に関する機関がそれぞれあることなので、それらの協力を求められて、軽率に教育、または軽率に教科書、参考書を防衛庁の内部だけで決定するというようなことでなくやっていただげることが、国民の希望する点てはないかと思いますが、それらの点について伺っておきたい。
  137. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 先ほどもちょっと触れましたが、自衛隊員として立派な資格を得るためには、何としてもまず人格の陶冶と、それからまた自衛隊員としての使命の自覚という、この点がやはり基礎になっているものと思います。そうしてまた、その趣旨で教育をやっておるわけであります。それにしましてもいろいろと教育について、まあ教育こそが、ことにこれからの自衛隊を作っていく場合の基礎をなすに違いありませんので、教育については相当その方面の立派な御意見をできるだけ一つお聞きして、そうしてやっていくようにしたいと考えております。
  138. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 今、申し上げておる最後の点は、非常に重要な点であり、どうか防衛庁及び自衛隊が、自衛隊員の教育についてみずから決定する資格があるというようにお考えいただかないことを重ねてお願いをして、私の質問を終ります。
  139. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 中川委員、何か時があったらというお申込がありましたが……。
  140. 中川以良

    中川以良君 私は外務大臣大蔵大臣に特にいろいろお尋ねしたいと存じておりましたが、御退席になったので、これはまことに残念でございます。そこで杉原長官がおいででございますので、一、二お伺いしたいと思います。  私はきょうの外務大臣大蔵大臣の御答弁を承わっておりますると、いかにも内閣が不統一である、それからほんとうに出まかせの答弁をしておられる。今までのおっしゃったことと非常に矛盾撞着だらけ、この点きょう牽強付会の御答弁になったことに対しまして非常に遺憾に思います。  私どもは、選挙の際に鳩山総理大臣その他の各大臣が、いわゆる分担金の減小をして、これを社会保障制度のほうに、あるいは建築関係の建設に持っていくということをしばしば言っておられる。ところがきょう大蔵大臣の説明を聞きますると、全くそれとは異った御答弁をしておられる。いわゆる防衛庁費と、それから分担金との合計額は前年度と同じであればいいようなことを言っておられます。この点杉原長官に伺いたいのでありまするが、いやしくも事外交の問題、また防衛関係の問題はいわゆる安保条約、これに伴うところの行政協定によって、今の段階では日本だけでは何ともならない問題である。こういうような問題をも、外交の問題はかって鳩山さんは、外交調査会を設けてこれは超党派的にやらなければならんということを言っておられた。しかるに選挙に臨むや、いわゆる選挙宣伝と申しまするか、どちらにもいい顔をしようとした、ああいうことをやっておられる。私どもが指摘した通りに、今日まことに遺憾なる状態に追い込まれておりますることは、もう国民全体が承知通りであります。防衛の問題にいたしましても、自分らだけで勝手におきめになっておやりになったのであるが、今日アメリカとの折衝が非常に困難な段階に直面をしておられる。こういうことを考えまするときに、あのときにおやりになったことは、これは全くあさはかな考え方、いわゆる選挙宣伝に重点を置いたために、十分に思慮が足りなかった。組閣以来相当日数がありたにかかわらず、米軍当局との折衝も十分でなかった。この点はまことに手落ちであったよう考えるかどうか。それともなお今日もわれわれの主張は正しかったと杉原長官お考えでございますか、どうですか。
  141. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 今の中川さんの御質問、いろいろな点に亙っておるのでありまするが、防衛に関する点について申し上げますと、第一次鳩山内閣のころ、予算編成の大綱として大体全体で一兆億の大ワクというもの、そうしてそこからして、それの一環として防衛費の総額というものも大体前年度並み、こういうふうのワク内ということが適当だろうということでああいうふうにきまったことだと思います。そうして第二次鳩山内閣になりましてその方針を踏襲してきておるわけであります。で、防衛力の漸増と言いましても、もしそれが、つまり防衛費の総額が前年度よりも上回るようになっては内政費のほうも圧迫する、そういう趣旨から、第一次内閣においても、やはり前年度のワク内ということがきまったことと私は了解しております。  それから分担金についてのアメリカ側との交渉のことでございまするが、これは今度のことに限らず、今までも、吉田内閣時代でも非常な御苦心をなさってきておることは私もよく承知しております。今度も決してそう問題を、いろいろな問題がありますからして、そう簡単に考えてはいかんことはだれしもこれはそう考えることだと思います。そうしてまた、それには相当の長い時間も今までの例から見ましてもひっかかっておることでございます。何分第一次内閣ができてから間もなく総選挙となり、それから次いで第二次の内閣となって、その間時間的にもこり問題の交渉にかなり窮屈になっておる感じが私はいたします。
  142. 中川以良

    中川以良君 この問題はただいませっかく折衝中でございますので、私は深くこれを申し上げたくないのでありますが、少くともこういう重要なる問題を扱いますのに、すなわち防衛分担金の削減が可能であるというふうに政府は断じておられた。それを言われます前にはある程度の折衝がアメリカと持たれておったと思うのです。あなたはまだ御就任早々浅いから、あるいは自分は知らないとおっしゃるかもしれないけれども、その折衝が十分持たれないにかかわらず、その結論が十分にまだ出てこないにもかかわらず、先ばしって分担金削減可能なりと言った点はまことに軽率であったとお考えになるかどうか、お答え願いたい。
  143. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) その点は先ほども申しますように、どうしても今の財政経済の全体の状況から見て、防衛費の総額というものを今年、前年並み以上に持っていくことはこれは無理である。それでどうしてもそれがためには……、そうして一方ある程度、先ほども申しましたよう趣旨において、防衛力のいわゆる漸増はきわめて必要とする。それがためにはどうしても防衛分担金の減額というものが必要なんで、これはどうしても努力目標という意味において、一つ方針としてこれを持っていかねばならぬ、こういうふうな趣旨から政府でもその線を出したことだと考えております。
  144. 中川以良

    中川以良君 どうも御答弁がだいぶピントが狂っておるのでありますが、これ以上私は申し上げませんが、どうぞ一つこれから、外交の問題とか、事対外的に重要なる関係を持つ防衛問題等につきましては、どうぞこれを選挙の具に供するとか、あるいは政争の具に供するというそういうようなことのないように、あくまでも国家本位に考えていただきまして、慎重なる御態度をお願いいたしたいと思います。  それからさらにお伺いしたいのでありまするが、先ほど大蔵大臣は、本年度の防衛庁費に対しまして、全くまだわからぬというようお話でありましたが、これはまことに奇怪千万な話であります。そこで長官にお伺いしたいのでありますが、むろん防衛庁において十分に御計画はできておると思います。たとえば、基本的な方途等については先ほどちょっとお触れになったのでありまするが、今後六カ年計画というものはどういう方向にお持ちになっておられ、しこうして常に現内閣がおっしゃっておられるように、あくまでも自主性を確保して、少数精鋭主義でいって、防衛関係の経費を減らしていこうというようなことをお考えになっておられるようであります。そういう意味合いを含んで、本年度の防衛費に対しましてはどういう御計画であるか、一つ概略でけっこうですから、その基本的要素をお示しを願いたいと思います。
  145. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 防衛庁とし三二十年度において実現したいと計画しておりますことは、その要点を申し上げますというと、陸においては機甲団を二つと、それから海においては警備艦、掃海艇等、難船等も合わせまして総計約一万トンくらい、それから海の航空機の方でございますが、それは哨戒機等を合わせまして全部で約四十六機くらい、それから空の方では練習機が非常に多いのでありまするが、それに実用機を合わせまして、全部で約二百三十機くらい、これはアメリカ側から供与を期待する分が大半でございます。大体そういうことを中心にした計画を持っております。そうして今要求しておるところでございます。
  146. 中川以良

    中川以良君 その中に、精鋭主義によりまして、いわゆる従来の方針と変って人数が少くて済むんだ、経費も少くて済むんだという点があるのでございますか。
  147. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 一般的になるべくいわゆる少数精鋭主義ということで行きたいと思いますが、これは今後の全貌においてそういう線を出したいと思いますが、これを三十年度の分について見ますと、先ほど申しました陸の機甲団、これは来年度の計画の中では非常に主要なものでございますが、それの装備において今の趣旨を表わしていきたいと、こういうふうに考えております。
  148. 中川以良

    中川以良君 大体少数精鋭で大いに訓練をされて、防衛力の充実をなさる御方針だと思うのであります。先ほど来の御答弁を伺いまして、私は今日防衛力を充実する際に、この防衛力はいろいろこういうふうに論議をされておる、政府でもまたまちまちの御答弁をされておる。こういうことになりますると、私は国家の防衛のために、身を挺して誠心誠意努力をしておる隊員の士気に大いに関係するものがあるのではないか。こういう隊員の士気を、あくまで防衛力の本来の目的に沿うようにこれを統一し、この士気をふるわしていくという点につきまして、あなたはどういう隊員の今後のいわゆる精神上の訓練に対して御方針を立てておられますか。
  149. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 私はその点につきましては、自衛隊の任務として公けに定められておりますところの「わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、」ということが任務の中にあるのでありますが、それがために国を守るんだということが任務としてきめられておることでございますが、これが私はほんとうの意味の、正しい士気がそこから沸いてくるものだと思います。これがもしそうでたくしてほかの、たとえばいわゆる侵略の手段というふうなことでは、私はほんとうの道義的の勇気、士気というものは沸いてこないと思います。しかし今きめられておりますところの任務は、これはほんとうに正しいことだと思います。そこからほんとうに沸いてくるものだと思います。
  150. 中川以良

    中川以良君 今の御答弁に私は敬意を表するものであります。私はどうも終戦以来、日本が今日、経済も復興し、国民生活も安定をして参りましたが、大事な大事なものの取り戻しができていない。それは何であるか、やはり新日本の建設には新しい精神がたければならない、その魂の建設ができていない。この防衛力の充実も、魂のない防衛力の充実は、これはやがて共産軍に献上するいわゆる戦力となることは火を見るよりも明らかであります。そういう意味においてどうぞあなたは、この魂をしっかりと新日本にふさわしい新日本魂を打ち込んでいただきたいことを特にお願いを申し上げまして、私の質問を終ります。
  151. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 まず杉原防衛庁長官にお伺いするのですが、その前に民主党の幹部として、民主党内閣の一員としての杉原さんにお伺いしたい。それは民主党の防衛計画というものがあった、これはいろいろと言われておりますが、その大要をお聞かせ願いたい。
  152. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 先ほど申しましたような防衛についての大体のことは考えておるのでありますが、それにつきましても、従来も各方面でいろいろと考えを練ってきておられる。そうして一作々年でございましたか、二十七年でありましたか、自由党の総裁吉田さんと改進党の総裁の重光さんが、両党首会談というものでございますけれども、その際の了解事項の重要な一つとしても、防衛については一つ両党とも超党派的といいますか、なるべくそれでいって、しかもそれも大体の計画を、長期的の計画を立ててやっていこう、こういうことが了解になっておったと思います。それから自衛隊法ができます前後にいわゆる三党の防衛折衝というものがあって、その際にも自由党のほうでも一つの、五カ年計画というようなもののある程度の案を作っておられたように思います。それからまた当時の改進党においても一つの案を作っておる。そういうことは皆さんが御承知通りでございます。それがまた一つは、むずかしいことではあるけれども、ある程度の計画性を持たしてやっていくことが必要だというところから出てきておるものだと思うのです。私らも実は一方政府で、これも簡単ではないけれども経済の再建というものについていわゆる長期計画を立て、その際またそれに見合う大体の防衛計画というものも立てていきたい、こう考えておる次第であります。もちろん今後の日本の財政経済、財政規模等のワク、そういう点を十分考えてみなければ、防衛の一応の計画も立たないわけです。いろいろむずかしい条件もありますけれども、大体の大綱というものを何とか一つ作ってやっていきたいと、こう考えております。その内容につきましては、これは一つ検討を要する点が多いのでありますから、そうして一方防衛庁の事務当局におきましても今まで一応の研究を進めておりますから、まだ研究段階にある状態でございます。
  153. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますと、民主党はまだ防衛計画をお持ちになっておらん。先ほどからいろいろ言われたのは、これは改進党時代の、吉田さんとそれから重光さんのお話なので、民主党もどうも防衛計画というものはないように、これから作るのだというふうにお伺いしたのですが、さようでございますか。
  154. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 民主党としては、防衛態勢の整備につきましては一つの、国力に応じていわゆる少数精鋭の自主防衛態勢を作っていって、そうしてこれに応じて、わが方の整備に応じて駐留軍の撤退を見るようにしてゆきたい、こういう方針をとっておりますが、これの具体的の計画というものについては、民主党としてまだ成案を得るに至っておりません。
  155. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますと、民主党は具体的な成案を持っておらん、こういうふうに考えます。ほかの政策についてはいろいろと選挙中にも御発表になった、しかし防衛計画ではお持ち合わせにならん、こういうことだと思いますが、その通りでございますか。
  156. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 防衛力の先ほどから申します整備、増強の計画につきましては、まだ成案を得るに至っておりません。
  157. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それでは民党主の防衛計画についてお伺いしてもむだでございますから、それはお伺いいたしません。先ほど杉原防衛庁長官お話ですと、今防衛庁で立てておる計画は吉田内閣時代からの引き継ぎで、大体それと変らないのだ、こういうふうに言われたように思うのですが、さようでございますか。
  158. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 防衛についての私の大体の考え方を申し上げましたのは、吉田内閣の時からずっといわゆる国力に応じて、そうして自主的の防衛態勢を整備し、そうしてアメリカの駐留軍の撤退を見るようにする、そういう点だったと了解しておるのですが、そういう意味において変っておりません。
  159. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 二十九年度に保安隊を自衛隊に切りかえ、そうして保安隊の陸上兵力十一万を自衛隊にして十三万にした、そのほか航空自衛隊、海上自衛隊もふやしていった。あれは一昨年の秋、池田勇人君が吉田首相の特使としてアメリカに渡って向うといろいろ折衝をした、いわゆる池田・ロバートソン会談なるものによってある点の了解に達して、それが施行されたのだ、こういうふうに思うのですが、その通りですか。
  160. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 私はその間の消息をつまびらかにしておりません。
  161. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 その間の消息はお知りにならないけれども、今防衛計画を立てておられる、その立てられる際に、二十九年度から始まった自衛隊の増強計画というものの成立についてお知りになってないはずはないと思う。そこでその内容は、こまかいことはお伺いしませんが、自由党内閣のときにこの会議の了解に基いて基礎を定められた計画を進めておられるというふうに考えてよろしゅうございますか。
  162. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 今二十九年度に出てきておりますのは、その会議云々とおっしゃいますが、そういうものに基礎を置いておるのではございません。
  163. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そうすると一昨年の池田・ロバートソン会談、もしくは日本とアメリカとの話し合いの結果に基いて日本の防衛力の増強の具体的計画が進められておるということは、あなたは否定されるわけですか。
  164. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 私はその池田・ロバートソン会談なるものの消息については、先ほどお答えした通りでございます。
  165. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それではその点はそれだけにしておいて、私は、どうも先ほどからあなたが言われる、吉田内閣時代からの引継ぎという点から見ますというと、どうもそういうふうに思われる。民主党自身が計画をお持ちになっていないのだから、その引続きでやられているものと思う。とすれば、基礎はそこにあるように思います。まあそれはあなたが否定されるのだから別といたしまして、今あなたの立てておられる三十年度の計画、今も御説明になったのでございますが、これが本年度限りのものなのか、いわゆる六カ年計画の一部をなすものか、そこをお伺いしたい。
  166. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) まだいわゆる長期計画というものは成案を得るに至っておりませんが、しかし今後のことも考え、現状においてなし得るところを現実的に考えてみて、先ほど申しましたような計画を立てた次第であります。
  167. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 防衛計画がまだ成案を得るに至っておらんが、しかし三十年度の計画なるものはただどうも一年きりのものとも思えないし、今のあなたのお話からも、将来に続くのだ。そうすると概括的にいってこれは防衛計画の一部だ、こういうふうに解してよろしゅうございますか。
  168. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) これは防衛というのはもちろん、申すまでもなく一日でなるものでなく、非常に時を要するものでございまするから、こういう計画を立てまする際にも先々のことを考慮に入れ、勘案してやっておる次第でございます。
  169. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 くわしい成案はお持ちになっておらないけれども、あなたは肉づけをしないでも、大綱の方針というものはお持ちになっている、そうすると防衛計画の場合には、大体人数というものがかなり問題になって来る。あなたのお持ちになっておる六カ年計画において、現在のあなたの考えでいいと思うのです。将来具体的に、なおこまかく具体化されるところは別として、現在のあなたの構想で、大体陸上兵力はどのくらい、海上兵力はトン数にしてどれくらい、あるいは人数にしてどれくらい、航空兵力は機数にしてどれくらい、人数にしてどれくらい、これを六カ年計画の最終においてどういうめどをお持ちになっておるか、お伺いしたい。
  170. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) その点大体の見当をつけたいと思っておるのでありまするけれども、しかしこれは非常に検討すべき点が多岐にわたっておりまして、まだその数字的の目標を得るに至っておりません。
  171. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そうしますと三十年度の計画は一年きりの、行き当りばったり計画というふうに解釈してよろしゅうございますか。
  172. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) もちろん先先のことを見当をつけること自体も非常に大事だけれども、むずかしいのでありますが、こういうことを一つ段階的の基礎としてやってゆきたいと思っております。
  173. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それ以上お伺いしても水かけ論になりますから、それはそれでとめておきますが、今度は三十年度のこれらの計画について向うから飛行機の供与を受けるとか、あるいは艦船の供与を受けるとか、またコンバット・チームを二つふやすについて武器を受けるとか、こういうふうに向うから供給される武器の数最というものも関係があると思います。従いまして、これらの計画は向うと話合わなければできないと思うのですが、これはやはりアメリカ側と話し合ってこういう計画を立てられたのであるか。
  174. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) わが国として、まずこれくらいが必要であろうということをきめまして、それに伴いまして向う側からの装備等の期待限度がどれくらいあるだろうということ、それについては連絡いたしております。
  175. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますと、兵力量をきめる場合には連絡をしておるということになる一わけですね。
  176. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 私のただいまお答え申した通りでございます。
  177. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 次にお伺いしますのは、そういうふうに今おきめになって、ここにこういう数字が大体三十年度のめどとなった。こうなって参りますと、今度防衛分担金の折衝の問題で、たとえば防衛分担金が百億とか何十億とか減らされる。それで先ほどの大蔵大臣の話からいって、今度は防衛庁費をふやす、こういうことになってきますと、今ここで進められておる計画以上のものがここに付け加えられてくる可能性もある。その際にはこの計画よりもざらに大きくなるものかどうか、この点をお聞きしたい。
  178. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 私の方で計画いたしまして、大蔵省に対してそれに伴う予算を要求しておりますこと以上の増加ということは考えておりません。
  179. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますと、防衛分担金がたくさんまげてもらえた、向うの方では防衛計画をもっと大きくしろと言うときに、あなたの方では、これは動かさないのだ、これ以上金が来ても、これはおれの方で使わないのだ、こういうおつもりですか。
  180. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 私の方といたしましては、私の方の計画に基いて要求しております私らの計画それ自体が実現することを期待しております。
  181. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 アメリカ側は昨年来陸兵をだんだん日本から引き揚げていく、しかし、海軍、あるいは空軍というものは依然としてとまり、なおこれは拡張ざれる傾向にあるようでありますが、この陸兵がだんだん減らされてゆく、昨年減らされた分に見合って昨年はふやされたのか、あるいはこちらがふやしたので向うが減らしたのか、これはどちらか私知りませんが、しかし本年度はこの機甲団の二つの増加、あるいは海軍、空軍の増加ということは、やはりこれはアメリカ軍がそれに見合うだけ減るということをやはり前提としておるものかどうか、あるいはそれについて何らかの話し合いがあるものかどうか、その点をお伺いしたい。
  182. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 先ほどから申しますように、われわれといたしましては、自衛力を国力に応じて漸増して、そして整備していく、そしてその整備に伴って逐次駐留軍の撤退を可能なように持っていきたい、こう考えておる次第でございまして、今の御質問の点に対しては、今申し上げましたようなことでもってお答えにしたいと思います。
  183. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますと、こちらがふやすからこれだけ向うに引いてもらいたい、こういうことでないようで、まあこちらがふやす、あと向うさんが、お前の方ふやしたのだからそれじゃおれが引こう、こういうふうに意思の疎通がなくて、向う側の好意というか、向う側の自発的な撤退を待つ、それの条件を作るために日本の軍隊をふやしているのだ、こういうことでございますか。
  184. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) わが方として逐次整備しますことが、駐留軍の撤退を可能ならしめるゆえんだと考えておる次第であります。
  185. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そこには何らの了解とか意思の疎通とか、あるいは交渉とかというものは全然ないのですか。
  186. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) アメリカ側といたしましても今まで、もともとが安保条約というものは、日本の武装が全然なかった、そういう現実の実情から見て、暫定措置としてやられてこられた措置でございますから、わが方の態勢の整備に伴って向うでも、予想しておりますように安保条約の改訂といいますか、そういうことの可能になるものと考えております。
  187. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 先ほど外務大臣お話で、また民主党の幹部の方々のいろいろなお話でも、われわれは自衛力を漸増させて、それによってアメリカ側に漸次撤退してもらうのだということをはっきり言っておるのです。ところが今お開きしているというと、両者の間に意思の疎通もなければ何もない。ただこっちでふやしていくというと向うさんがいつか引いてくれるだろう。どうも外務大臣の言われたこととだいぶ印象が違うようですが、そんなあいまいなものなんですか。
  188. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) これはわが方の態勢が整備してそうしてくれば……、その点、今以上にはっきりした点が出ないのは心もとないじゃないかという意味のことをおっしゃいますけれども、私はいろいろとここで言うよりも、現実にこういう態勢を整備することそれ自体が、実際上撤退を可能ならしめるゆえんだと信じております。
  189. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 いや、民主党の内閣の閣僚がはっきりしたことを言うから、はっきりそういう関係があるのかと思ってお伺いしたら、はっきりしておらないので、ただまあ実情をそういうふうにするのだということなら、それ以上追及してもしようがありませんから、それ以上お聞きいたしません。  次にお伺いしたいのは、MSA協定によって、前から引続きおるのでありますが、これに基いて軍事顧問というものが防衛庁、自衛隊におるわけです。これはたしか最初が六百五十名とか、一年以内にだいぶ減らすというようなことだというふうにあのときに私どもは説明を受けたのでありますが、現在アメリカの軍事顧問は防衛庁、自衛隊にどのくらいの数おるか、そしてその一番上の人はいかなる階級であるか、お伺いしたい。
  190. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 御承知通り、このMSA実施上のためのいわゆる顧問団というのは、アメリカの大使館の一部としてで、防衛庁にいるわけではありませんが、その数は今政府委員から御説明いたします。
  191. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 顧問団の数は、今正確な数字を持っておりませんが、約三百名くらいであります。で最高の階級の人は陸軍少将です。
  192. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 この軍事顧問ですが、これはあのときの説明ですというと、アメリカの方から日本側に引き渡された武器等のまあ管理というのがおもな任務になっておるのです。しかし、今後日本がその自衛力を増強していくということになりますというと、やはり向うから武器を、日本で作るのでなくて、向うから武器をもらうようになる。そうするといやでも応でも軍事顧問団の最高の陸軍少将の人とあなた方とは、そういう点で計画の折衝をしなければならぬ事務上の問題も起ってくると思いますが、その日本防衛計画を進めていく場合に、やはりこの軍事顧問団と武器の数量等の点から具体的な話をされるのかどうか。
  193. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 先ほども申しますように、わが方としての増強というのをどの程度にするかということは言うまでもなくわが方で決定することであります。それでただ、それに伴って必要とする装備等、それが国内で調達するもの、またアメリカ側のMSAによる供与に期待するものというように分れるわけでありますが、この軍事顧問団とは、それは今のMSAに関する供与業務、それを任務としておるわけでありますから、その点については向うの援助の業務については、供与を受ける問題については相談をするわけであります。
  194. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 まあ兵器の数量とか何とかいうものは、吉でしたら軍機の機密であります。ところが現在の日本のまあ自衛隊というものは、武器の数量等は全部アメリカの方からある程度供給を受けておるということから、そういうものは全部明らかになっておる。そういたしますと、よその方に対してはともかくとして、アメリカに対しては軍機の機密というものはないわけですね、どうでしょう、その点は。
  195. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) アメリカとの関係につきましては、今申しますように軍事顧問団とは、向うから供与を受くる装備等について相談するわけでありまして、その点むしろ何といいますか、向うから供与を受けるのでありますから、その装備等についての機密、これはその装備等の機密そのものについては今御承知通り、MSA協定に規定があるわけでございまして、そういう点アメリカ自身としてもまた機密の構成があることだと思います。
  196. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 私の聞いておるのは、よそに対して、たとえば日本人に対して、たとえばアメリカ人以外の外国人に対しては機密であるけれども、アメリカの軍に対しては機密はない、こういうことを聞いておるわけです。
  197. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) これは日本の装備等についての機密というものに関する法律の適用というものが、アメリカ軍に対しては適用はないと思うのですが。
  198. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますと、アメリカ軍に対しては、装備等について日本側では機密はない。従いまして、まあ独立国の軍隊としてあまりしっかりした基礎を持っていない。こういうことを言わざるを得ないのですが、これはそれだけにいたしておきます。  私は次に、防衛分担金との関係でもう一度お聞きしたいのですが、今こういうような計画を立てられた。ところが防衛分担金向うの方で交渉の結果うまくうんとまけてくれた、そのかわりお前の方はそれだけ再軍備、自衛隊を増強せよ、こういう話になってきた、それから武器の方もそれに基いてもっと引き渡してやる、こういうことになりますと、計画を改めて、今までお持ちになっていた計画をさらに増加されるおつもりがあるかどうか、その点はいかがですか。
  199. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 先ほどお答えいたした通りでございます。
  200. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますと何ですな、アメリカ側の方の防衛分担金をまけるまけないの問題にかかわらず、これだけのものを維持して、増加していくのだ、こういうことでございますね。
  201. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 私どもの方としては、先ほど申しました通り考えております。
  202. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 次にお伺いいたしますが、予備自衛官の問題ですね、例の自衛隊法ができましたときに、陸上の何についてたしか二万五千予備自衛官を作る、こういうことであったと思うのですが、非常に成績が悪い。今、一体二万五千名の定員に対してどのくらい予備自衛官なるものが応募しておるのか。
  203. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 大体私の記憶では二千二百台だったように思います。なお最近のところは、御必要があれば防衛局長からお答えいたさせます。
  204. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 最近のところでは約四千名近くであります。
  205. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 四千名にいたしましても、二万五千にはなはだ遠いおけです。そして防衛庁長官はこれについて御検討になったと思うのですが、なぜ予備自衛官がかように応募者が少いか。これは単に月千円という手当が非常に少いということなのか、それともこの自衛隊をやめて行った人たちが、もう自衛隊に関係するのはごめんだ、また戦争に引っ張り出されるようなことがあっては大へんだ、こういうよう考え方から予備自衛官になる人が少いのか、あるいはそのほかに理由が、これは御検討になっていることと思うが、その点をお開きしたい。
  206. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) これはいろいろの事情がございましょう。その中ですでに就職している人たちが、年に何週間以内でしたか、二十日以内でしたか、そういうものを召集ということがございます。そういう点では、その人自体の問題のほか、雇い主の方のいろいろな都合というようなこともあるようでございまして、そういう点なども一つ理由になっておるかと思います。
  207. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 これは非常な欠陥で、政府の、もしくは防衛庁が考えておりました予想と違ったことになっておりますが一これを残していくために方法を何とか改めるおつもりか、それとももうこれはどうにもならないから、こういう自衛官の制度をやめるより仕方がない、こうお考えか。
  208. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) やめるつもりは全然ありません。そうして今までの、私が先ほど二千二百台と申しましたのは、そうして今聞いてみますと四千何名といいますか、これはずっと発足いたしましてから経過を見ますと、絶対数においてはなるほど少いけれども、逐次ふえてきておるのであります。私の記憶にあったのは、多分これは三月初めごろのたしか現在員だったんじゃないかと思っておりますが、逐次ふえておることは事実でございます。なおこれについて検討する必要があると思っておりますが、これをやめるという意思は全然ございません。
  209. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 やめない、しかし検討をする、こういうことになって参りましたが、この検討はどういう点におかれるのか。たとえばもっと法律によってこれを強く義務づける、それともたとえばこういうような制度について別な方法で刷新をはかる、どっちの方法をおとりになりますか。
  210. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) これに特に法律によってさらに義務づけを強くするとか、そういう方向のことは考えておりません。この予備自衛官の制度というものは私は必要だと思いますので、そしてもっと増加していく必要があると思っておりますので、それの実現を容易にするよう方向考えていきたいと思います。
  211. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 二十九年度より三十年度、また三十一年度というふうに、防衛庁のほうでは、先ほどのお話ですと自衛隊を増加するおつもりだ、そうするとそれに伴って予備自衛官の定員も増加していくおつもりかどうか。
  212. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) これはまず今のところはむしろ定員を充足するということの方が先でありまして、私は現在のところ令すぐ増加ということは考えておりません。
  213. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 もう一点お伺いいたします。前に防衛庁法を論議いたした際、あるいは自衛隊法を論議いたしました際に、前の木村防衛庁長官は、大体二十万くらいまでは今の募集制度でやっていけるということを言われておったのです。それからは別の方法考えなければなるまいということを言われておった。徴兵制度とは言っておりませんが、そういうことを言われておった。杉原長官は、この現在の募集制度というものは、これは財政上からいいましても、またいろいろな観点から限度があると思うのですが、今のような募集制度というものは大体どの程度までで限度か。これはやはり木村防衛庁長官の言いましたような二十万ぐらいが限度かどうか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  214. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) まあ今おっしゃるのはつまり志願制度の、大体志願制度にどれぐらいか、この点は今までよく、これは木村さんに限らず、ほかの方面でもそういう点をいろいろ検討した人の大体の概算として、二十万か、せいぜい二十一、二万というふうなことが出ておるということは聞いておりますが、実は私まだ研究不足でございまして、その点また非常にこれはむずかしい問題だと考えておりまして、まだその辺の検討をするに至っておりません。
  215. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 これからだんだんと陸上自衛隊をふやしていきますというと、こういう問題にそう遠くない将来において当面することになると思いますが、これはまあ防衛庁長官として、おそらく実は何らかのお考えを持っておるのじゃないかと思うのですが、その点について、あなたはこの今の志願兵制度を変える意志はないかどうか、それをあらためてお伺いしておきます。
  216. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 今のところございません。
  217. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 曽祢さんに御相談しますが、今度は第二控室の順序でありまして、御発言があるならばですが、羽仁委員から二、三質問をしたいということでありますが、順序はあなたの方でありますが、お譲りいただけませんか。
  218. 曾禰益

    曾祢益君 私自分質問を簡単にしたいと思います。
  219. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) じゃ簡単に。
  220. 曾禰益

    曾祢益君 先ほど防衛庁長官の防衛方針に関する基本的な構想についての岡田委員の御質問があったのでありますが、民主党のいわゆる防衛に関する基本方針は、簡単に言えば国力に相応した自主防衛体制を整える、そしてアメリカ軍隊を撤退させる、まあこういうことだと思います。ところが自主防衛ということは、これは非常にいろいろな意味があると思うのですが、そこに多少思想が混乱をする危険すらあると思う。つまり自主ということを徹底して考えるならば、一切の集団防衛体制に反対し、あくまで日本にいる人で日本を守る、こういう意味にも通ずると思われる。それが果してこの民主党の方針であるかどうかは私はわかりませんが、しかしこれは非常に基本的な問題であるので、またこれがいわゆるアメリカ駐留軍の撤退を求めるということと非常に関連が深いわけです。従ってただいま、もちろんこの防衛の長期計画を計数的にお求めすることはこれは私は無理だと思うのでそれは求めませんが、大体の基本構想は国力とにらみ合して、ある程度の達成目標というものをお考えになると思う。その達成目標を、日本で自衛軍をふやしたそのときには、ただ単にアメリカの陸上軍のみならず、海上、空軍等も少くとも日本には常駐しないでもやっていくのだという計画をお立てになるのか、果してそういうことが国力でできるのか、またその基本方針が、そこの目標が、戦略空軍あるいは戦略的な海軍の要素まで、いわゆる自主防衛ということを徹底してあくまで日本だけでやるということを一体考えておられるのか、それともいわゆる駐留軍というものを陸軍のみならず、海空軍まで一応撤退させる、しかしその防衛の構想そのものには自主防衛という言葉がインプライするような意味ではなくして、やはり集団防衛の構想そのものは考えて、そのワク内で常駐的な外国軍隊は、陸上軍のみならず、海空軍まで撤退してもらっても大丈夫だというところまで考えておられるのか、これは非常に基本的なことであります。ことに民主党の外に出している構想もあるから、これは意識的なミスリーディングかどうか知りませんが、非常にミスリーディングだと思うのです。もし集団防衛計画の一環としてのある程度の自主というものは、そこが非常にあいまいである。またこれは防衛庁長官が閣僚として、少くとも内閣の意思が統一され、またその背景にある民主党のそういう意思というものが、果してその意見統一はできているのかどうか。たとえば人の名前を言うのはどうかと思うが、辻政信代議士なんというのは非常にこれは自衛中立論者です。これは完全な集団防衛排撃論者です。そういうこともあわせて、一体杉原長官の基本構想はどうなのか、これを明らかにしていただきたい。
  221. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 私自身といたしましては、第一曽祢君の指摘されるいわゆる自主……、私はこう考えます。ほんとうの自主があってこそ共同もできるのだと思います。  それからもう一つは、今これはもう私から申し上げるまでもなく、大国たると小国たるとを問わず、自分一人で自分の国を守るということは事実不可能な実情にあることは申すまでもないことであります。それだから何かの意味における共同防衛といいますか、集団自衛といいますか、そういうふうなことは、これは実際に即して考えるとき、これは非常に考えなければいけないことだと思います。ただその態様とか何とか、これはまたしつかりよくいろいろな点から吟味していかなければならんことだと思います。
  222. 曾禰益

    曾祢益君 だからそれの際に従って、あなたのお考えはわかったけれども国民に与える印象からいうと、自主防衛云々ということを強く出すことは、どうも看板に偽りがあるのじゃないか、これは正直ではないのじゃないか、またそういうことも世論を混迷ならしめるゆえんじゃないかと私は考えるのと、まだお答えがなかったが、あなたのお考えはわかりましたが、とにかく思想統一が取れてないようだ。それはよけいな話のようですが、私がお答え願いたいのは、少くともただいま防衛庁長官としてお考えになっておる構想は、計数等についてはもちろん閣議を経なければなりません。また外交本考えなければならん、また国内の経済体制も重視しなければならないが、一応いわゆる六カ年計画なんということを立てようとするには前提がなければならん。だからその前提は、ただ陸上のアメリカ軍隊を撤退してもらって、海空の軍事基地はアメリカ軍とともに残すという程度考えておられるのか。それとも一応は軍隊は撤退しておらなくてもいいという、そうしてまあアメリカというか、あるいは国際連合でも結構であるけれども、やはり共同集団防衛の考えも持つけれども、一応は日本からは軍事基地がない、駐留軍がないということを考え、それは必ずしもアメリカの陸上兵力だけでないという計画かどうか、それは構想だから大体はっきりお示し願えるのではないか。構想そのもの、基本構想ですよ。
  223. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 今曽祢君のおっしゃっておる中に、曽祢君の御意見ですけれども、私も曽祢君の御意見と大体同じに考えております。
  224. 曾禰益

    曾祢益君 聞えない、何ですか。まあ答弁は求めません。私の意見を述べたのじゃありませんから、私の個人の見解と思われては困るので、あなたの構想を伺っておるわけなんです。明確ならしめるために。委員長、私の質問は終ります。
  225. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 時間がおそくなりましたので、簡単に申し上げますが、これはこの前の議会が解散されたじきあとでありましたために、当時議会がなかったので、私は非常に心配したことだったのですが、これは防衛庁、自衛隊に関する汚職の問題に関係していることでありますから、この際ぜひ伺っておきたいと思います。  それは新聞報道されましたのは、何か自動電波探知機とかいうものだったように思いますが、それを防衛庁、自衛隊で買入れられた。ところがそれが自動でもなければ、電波も探知しないというような、はなはだ性能の悪いものであって、かつ同じような種類の機械の市価、町で売っている値段よりも著しく高い。それを、不幸にして議会が開かれていなかったのですが、新聞関係が幸いにそれに注目せられて、そうして防衛庁のスタッフの方にお会いになって、それについての説明を求められた。ところがそれに対するお答えが、これもその言葉通りであるかどうかですが、おそらくそういう印象を言論機関に与えられたものと思いますが、われわれは商人ではない。従って品物のよしあし、値段の高い低いということをそうこまかく追及されても答える義務がないというようなお答えがあったよう報道されておりました。これはずいぶん国民にショックを与えたことであって、こういうようなことは御就任前のことですから、今すぐお答えいただくということは御無理と思いますので、お調べを願っておきたい。  で、以上先ほどから私が申し上げましたのは、御承知ように、軍部大臣文官制ということは、われわれの先輩のときからの非常な希望であって、不幸にして敗戦まではそういう理想は実現されなかった。ところが、民主主義の今日になって、現在そういう防衛力というものは文民のコントロールというか、議会のコントロールのもとに置かれるようになった。けれども日本には古い方の伝統が非常に強くて、新らしい方の伝統が非常に若いために、非常な御努力を願わなければならないと思う。杉原議員のような方が防衛庁長官になられたことは、私は、日本の今までそういう軍隊とか防衛力とかいうものの最高の責任をとられた方の中では最善の方が就任せられたというよう考えています。それで、どうか御就任中にその古い伝統というものを全く根絶して、そうして新らしい伝統を樹立せられるために、私は従来の方方を別に個人的に比較する意味ではございませんが、国際的な視野も持たれたあなたが防衛庁長官に就任せられたことに対して、非常に国民はやはり期待を持っていると思いますので、御在任中にどうか新らしい伝統を立てていただきたい。そのために先ほどから原則的な点まて伺ったのですが、法律に書いてあるというだけでなく、その法律に書いてある精神、常に議会の監督のもとに置かれ、平和を目的とし、国民生活のバランスの上に立ち、しかもその教育は一般的市民的教育の前提のもとに立つということが徹底しますように、具体的な措置を御立案、御実行いただきたいと思いますが、いかがてしょうか。私はあなたのような方が防衛庁長官になられたのは、今まで得られなかった絶好のチャンスで、この際そういうよい新らしい伝統をお立てになることができれば、せっかく御就任いただいたことに意味があると思いますし、そういう期待を持っているのですが、先ほどから申し上げましたような点を具体化せられるお考えがおありでしょうか、それを伺っておきたい。
  226. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 自衛隊、どこでもそうでありましょうけれども、ことに自衛隊などではりっぱな伝統を持つということが非常に大事なことだと思います。それがためには古い伝統の中にもいい部分は私はあると思う。そういう点はやはりもちろん尊重をして、そうして新らしいりっぱな伝統を打ち立てていかなきゃならんことだと思います。
  227. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) ちょっと速記をやめて下さい。   〔速記中止〕
  228. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 速記を始めて下さい。  それではこれをもって本日の外務委員会を散会いたします。    午後二時一分散会