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1955-04-11 第22回国会 参議院 外務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年四月十一日(月曜日)    午前十時三十四分開会   ―――――――――――――    委員の異動 四月八日委員平井太郎君、鹿島守之助 君、杉原荒太君、大山郁夫君及び重宗 雄三君辞任につき、その補欠として、 伊能繁次郎君、伊能芳雄君、松原一彦 君、羽仁五郎君及び左藤義詮君を議長 において指名した。 本日委員大谷贇雄君辞任につき、その 補欠として、西郷吉之助君を議長にお いて指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     石黒 忠篤君    理事            小滝  彬君            羽生 三七君            鶴見 祐輔君    委員            伊能繁次郎君            伊能 芳雄君            草葉 隆圓君            郡  祐一君            西郷吉之助君            左藤 義詮君            梶原 茂嘉君            後藤 文夫君            佐藤 尚武君            岡田 宗司君            佐多 忠隆君            曾祢  益君            松原 一彦君            羽仁 五郎君            野村吉三郎君   国務大臣    内閣総理大臣  鳩山 一郎君    外 務 大 臣 重光  葵君   政府委員    外務省参事官  矢口 麓蔵君    外務省経済局長 湯川 盛夫君    外務省条約局長 下田 武三君    外務省国際協力    局長      河崎 一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       渡辺 信雄君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件国際情勢等に関する調査の件  (ソ連との国交回復に関する件)  (アジアアフリカ会議に関する  件)  (防衛分担金に関する件)   ―――――――――――――
  2. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) ただいまから外務委員会開会いたします。  外務委員会を大分前から開きたい考えでおりましたが、いろいろ委員諸君の御都合等もありまして、ついに今日に至ったのであります。国際情勢調査に関しまする件といたしまして、本日は従来大分たまっております国際関係の諸問題がございまするので、それについて総理大臣外務大臣等にいろいろお伺いをいたし、御意見の御陳述も各位に願いたいと思います。時間の都合が、本日は政府のほうでもいろいろな都合がありますようで、ただいまから約三時間続けてやることはできるように思われますので、そこで理事会で、ただいま御相談申上げたのでありますが、恒例の会派順序でもって、そしてそれぞれ質問の御希望に割当てまして、この三時間の割振りをいたしてみますというと、答弁質問とほぼ同じくらいの時間を見込みまして、自由党が質問時間三十分、緑風会十五分、社会党第四が十五分、第二が十分、無所属が十分、第十七控室が十分、大体こういう見当で会派順に御質問願うことにいたしたい、こういうことに理事会で打合せが済みましたので、大体の標準を右ようなことにして参りたいと思います。そこで質問の方におかれましても、また御答弁の方におかれましても、時間の関係上、すでにお述べになったことについて繰り返さないように、できるだけ御注意を願って進んで参りたい、こう思います。以上申し上げておきます。
  3. 羽生三七

    羽生三七君 議事進行。きょうは鳩山首相、それから重光外相が御出席でありますが、杉原防衛庁長官はなぜ出席ないのか。きょうは防衛分担金等の問題もあって、長官出席はぜひ必要と思うのでありますが、この点委員長から……。
  4. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 防衛庁長官に対しては御希望もありますので、すでに早く連絡をとっておきました。今日は神奈川県下の方に何か閉校式でありますか、開隊式でありますか、何か始める式がありまして行くので、三時には出席すると、こういう答えであったのであります。ところがそれが訂正になりまして、同時に施設も見なければならんから六時でなければ来られない、こういう話でありました。政務次官も同行する、そこで局長を出そうかということでありましたから、私はお断わりをいたした次第であります。
  5. 岡田宗司

    岡田宗司君 前々から委員長の方からも杉原防衛庁長官出席を要求されており、よくわかっておるはずです。それにもかかわりませず、まあ開校式をやるとか何とかいうことで、さらにその次に今度は新たに施設視察を追加するなんということは、これはもうこの委員会出席しないという口実のようにしか私どもにはとれない。それで今日の外務委員会防衛分担金等の問題にからんで、あるいは防衛計画の問題、それとのアメリカとの交渉問題等もいろいろあるのに、そうやって逃げられることは、私ははなはだけしからんと思います。この点について私は即刻委員長から出席をさらに向うに要求せられたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  6. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 委員長は本日の出席はできないと思ったからお断わりをした次第であります。日をあらためておやり願ったらどうですか。
  7. 左藤義詮

    左藤義詮君 この重要な、いま国民が非常に関心を持っている問題についての委員会防衛庁長官出席なさらない。しかも何か開校式とか、施設視察ということですが、政務次官もあげて全部そっちにおいでになっておる。伺うところによると、今日の午後あたりは、防衛分担金折衝について、アメリカからおそらく何らかの折衝があるのじゃないか。この問題が、しかも本予算提出には非常に影響する。予算委員会にぜひ十五日に御提出ということをお約束を願っておるのでありますが、そういう重大な段階に、当委員会はもちろんでありますが、この大事な問題を差しおいても、おいでにならなければならないほど、今日は重大な要件なんですか。これは一つ政府の方から、その間の軽重について、どうお考えであるか、御答弁を願いたい。
  8. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 杉原防衛庁長官はどういう用事があるか、私は少しも存じませんでした。ここへ参りましてから、そういうことを聞いたのであります。ちょっと返事をする材料を持っておりません。
  9. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 関連して。今総理大臣は、そういう事情がわからないからとおっしゃいますが、事情のいかんは別として、かって占領時代には、吉田内閣事渉外関係だからと言って、しばしば国会を軽視して、国会委員会、本会議等に出られなかった。これに対して国民は非常な憤激を覚えたから、ついに最後はああいう運命になられたのです。ところが今度は、事防衛隊なり軍関係のことであるから、委員会なり国会の本会議なりより重大だというようなおつもりで向う出席をして、儀礼的なものに向う出席をして、こちらをないがしろにされるという態度は、かって東条軍閥内閣時代に、主義が横行した時代やり方と何ら変らない態度だと思う。鳩山総理吉田総理と違って、国会を十分に尊重するということで、非常に、お努めになっておるし、現在その点に関する限りは、われわれは鳩山総理に非常な敬意を払っておる。その鳩山総理が、こういう事態をただ事情を知らなかったからということでお過ごしになるとは、われわれ非常に不満だ。こういう事態でいいとお考えになっているかどうか、総理としての御意見を承わりたい。
  10. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 杉原君がどういう用事であるかということも知りませんでした。なるべく委員会に将来は出席するように私は忠告します。
  11. 左藤義詮

    左藤義詮君 ちょっと関連して。私ども今内容がどうなっておりますか、私の伺っておるところでは、総理大臣閣僚を統率していかれるので、閣僚出張等をいたしますときは、一々総理許可を得ることになっていると思いますが、ただいま伺いますと、こういう重大な段階、私ども参議院としても出席を要求しているのでありますが、特に防御分担金の非常に国民が心配しておる問題をなおざりにして、開校式とか、あるいは施設視察ということにおいでになる。しかも、それが総理が全然御承知ない。総理言付を得ないで、これは勝手に行っておられる。内閣としてそういう統率をしておられないのであるかどうか。許可を得ずに行かれたのであるか。それとも許可を得ておることを総理がお忘れになっておるのか。内閣として、こういう閣僚行動について、予算編成の一番重要な急所であるときに、かような、私どもから見れば、緩急の度を誤まっておると思うのですが、そういうような行動をなさることに対して、全然御承知がないのであるか。総理許可を得ずに行っておられるのであるか、その点伺いたい。
  12. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 先刻申しました通りであります。
  13. 左藤義詮

    左藤義詮君 そうすると、許可を得ずに、総理了解を得ずに、閣僚が勝手に行動せられておる、かように了承いたしてよろしゅうございますか。
  14. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は記憶はありません。許可を得ないで行ったものと思います。
  15. 羽生三七

    羽生三七君 これで時間をあまりとるのもどうかと思いますが、そういうことで私はお尋ねしたのじゃないのでありますから、この辺で委員長なり委員会名前杉原さんに、今後こういうことのないように、よく警告を発しておいていただいて、この問題はもしできればこちらへ、施設視察なんか、いつでもできますから、こちらへ帰るように、委員会名前で要求していただいて。
  16. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) どうでございますか、これから、神奈川県へ行っているのを帰ってもらって、午後おやりになりますか。
  17. 羽生三七

    羽生三七君 やりましょう。
  18. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 委員会のすべての御希望が、多数の御希望がそうであれば、委員会の名をもって申してやりますが。
  19. 左藤義詮

    左藤義詮君 内閣としても、総理許可を得ずに行ったのですから、総理として、もお呼び戻しになるべきだと思います。(「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり)
  20. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 議事進行について。あと杉原君を呼んでやるかどうかは、あと昼食時間中理事会を開いて、適当におきめ願いたい。ただ杉原長官に対して、並びに総理に対して、こういう国会軽視態度、特に軍の関係において国会を軽視する態度は、われわれ、軍国主義の再現を非常に懸念するがゆえに、特にきつい警告を発しておいていただきたい。
  21. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 委員会において、そういう御意見が多々出たということは、十分申しておきます。杉原長官のことは先ほど私が申し上げたように、私としては、委員長としてきわめて遺憾に思うということを、委員部を通じて申してあります。委員会における状況を後刻申してやりますことにいたします。  そこで会派順序に従いましで御発言を願いたいと思います。小瀧君。
  22. 小滝彬

    小滝彬君 本日は総理の御出席時間も制限されておりますので、重光大臣に対する質問は午後といたしまして、できるだけ総理に対する質問だけをいたしたいと思います。  本日は防御分担金削減の問題について、いろいろ協議せられるそうでありますから、これに関連いたしまして、まずはっきりと総理の御意向を一お伺いしておきたいことは、去る六日の衆議院外務委員会におきまして、福田君の質問に答えて総理は、反共のためには社会保障の必要があるということを述べられて、かりに防衛庁費を減らしても、社会保障費をふやせば、実質的に防衛力がふえるとおっしゃった。総理はかって再軍備の必要を非常に強調せられまして、これがためには憲法も改正する必要があるというように言っておられました。いよいよ政権を把握せられますると、前吉田首相と同じような考えになられたということに対しては、私は敬意を表するものであります。が、しかし、進歩ではあるけれども、今、機微なる交渉をしている際に、こういうはっきりしない声明を六日に至ってまたせられますることは、防衛分担金削減があったならば、住宅建設費その他に向けようという、かっての取消された声明を蒸し返しておられますようにも思いますので、対外関係上も非常に重要でありますから、この点をまずはっきりと首相からお伺いいたしたいのであります。
  23. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 防衛分担金削減がありますれば、それだけ予算余裕ができるものですから、そこでそういう余裕ができたならば、社会保障費の方に回せると私は思って、そういうことを発言しました、今日でも防衛分担金が少くなればそれだけ予算余裕を生じまして、社会保障費のほうに回せると今でも思っております。
  24. 小滝彬

    小滝彬君 削減してすぐ社会保障の方にも回せるというようなことを依然としておっしゃいますというと、すでに最終の回答も来ておるというから、あるいは今度の議会においても、そうした問題が蒸し返されるおそれはないかもしれませんが、将来の問題としても非常に重大な関係がありますので、私は今おっしゃる点は、あるいは言葉が足りないかもしれませんために理解しにくかったかもしれませんが、こうした言動は、よく対外関係考えて正確にお示しを願いたいと思うのであります。しかし時間がありませんから、直ちにアジアアフリカ会議についての首相の御意向をお伺いいたしたいと思う。  この点は社会党の左派、右派で非常に興味を持っていらっしゃるでありましょうから、あとでたくさん質問がありますから、私は簡単に申しまするが、今度の代表には高碕経済審議庁長官が任命せられておる。そうして主として経済及び文化問題を取り扱わせるというような御意向のように承わっておりまするし、新聞でもそのように考えておりまするが、しかしこのAA会議目的は、経済以外にも非常に大きな目的があると思う。これに対しては、政府は一体経済、文化問題だけに局限して活動させることができるというような甘いお考えを持っていらっしゃるかどうか、この点を一つお伺いいたします。
  25. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) AA会議は非常に重要な会議だと思っておりますけれども、重要な会議ではあるけれども、何しろ議会開会中でありまするから、私並びに外務大臣出席ができないと思いまして、そこで高碕君に行ってもらうことにいたしました。
  26. 小滝彬

    小滝彬君 私は高碕君議会都合で行かれるというのではなしに、経済専門家をやられて、何かそういう方面に局限しようということを考えておられるようだと思う。この点が重要な質問点であるのであります。もちろん主催者側におきましても、なるべくこの会議は成功させたい、それには各国の立場を非常に困難なところへ追い込むようなことをしないような芝居の仕組みをするでありましょう。しかしただそういう甘い考え方だけではだめである。いろいろな決議とか、宣言というものを採択されるようになるだろうということを私どもは予期しておるのであります。今度の顔ぶれを見ましても、いろいろな種類の違った国の代表者が集まって、そうした考え方は十分あると察せられるのでありまするが、そうなれば、結局日本は今の自由主義国家との協調というものを基調として立っておる。しかし同時にアジアにおける日本であるからして、その間における日本立場というものは非常に機微なものがある。それに対する方針というものは、会議以前に公開の席上で申し述べられないとおっしゃるかもしれないけれども、それをあくまで追及しようとは思いませんが、それに対する覚悟のほどを外務委員会機会において、あるいは必要があれば秘密会でもけっこうでありますけれども、なるべくならば、国民に対してはっきりさしていただくことが、この際政府として答弁せられる道ではないかと思います。その点をお伺いする次第であります。
  27. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 外務大臣からお答えいたしたほうがいいかとも思いましたけれども、私から申し上げます。  外国の雑誌等見れば、AA会議に付託せられるような、想像したる案件が出ておりました。そういうような案件に対しても、相当な準備をして、そうして相談の上、高碕君が出れば適当だろうと今日は考えております。
  28. 小滝彬

    小滝彬君 ほかに準備をするかということを、方法をお述べになっただけでありまして、方針については何ら承わることができない、これははなはだ遺憾でありますが、本日は重光大臣も見えておることでありまして、いろいろ対外関係も考慮せられて発言を慎んでおられるかとも考えます。AA会議についてはあと質問者に譲りまして、これ以上追及いたしません。  それで、さっそくこれが衆議院でも問題になりましたが、対米関係及び対ソ関係についての質問をいたしたいと思います。ところでさらに六日の衆議院委員会状況を見まするというと、総理は同僚の質問に対しまして、一体こういう外交問題を政争の具に供しないように注意しなければならぬという警告総理の方から発せられたように私は印象を受けたのであります。しかし本日の会議もこういう重要な問題について国民関心が非常に高い。われわれは国民代表といたしまして非常に懸念するものがありますから、この委員会を開かれたわけてあります。われわれは総理質問いたしまするのは、決して政争の具に供しようというけちな根性でやっておるわけではありません。私も外交関係に何十年関係いたしておりまして、真に対外関係を心配するからこそ、いろいろ間違いないように、質問いたしますときにも、これが直ちにニューヨークなりロンドンにキャリイされることを前提として考えておりますから、そうした点はあらかじめ総理においても十分理解せられまして答弁をお願いいたしたいと思いますが、もしかりに政争の具に供したことがありとすれば、それはむしろ鳩山総理自身ではなかろうかと考えるのであります。選挙中にもいろいろおっしゃいまして、今にも中ソとの関係が調整せられるかのごとき印象を与える、あるいはこれは公約でないかもしれない、宣伝だけかもしれませんが、この宣伝をせられました結果、現内閣はなんとかして早くこの話を進行せしめたいあせりを持っておる、そのあせりがもとになって過般のようなつまずきが生じて来たというようなことを言わざるを得ないのであります。過日の衆議院委員会におきましては戒告決議をいたしておりますが、これはきわめて穏健な、本当に将来を憂えての決議と思いまするが、これに対する総理の御感想、またこれに対していかなるお気持をお持ちであるか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
  29. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 衆議院における戒告決議はもちろん尊重をいたします。
  30. 小滝彬

    小滝彬君 今これを尊重するという御意向でありまするので、私は、ぜひそういうようにやっていただきたいと要望するものであります。これは私だけの要望ではなくして、あの翌日の、たとえば毎日新聞を見ましても戒告決議は当然である。そうしてこれまでの総理言動について相当峻厳なる批判を加えている、これは毎日だけではございません。いろいろたくさん新聞の論調を持ってきておりますが、こういう状態でありまするから、ぜひとも首相はこうした国民の声を常に体せられまして、いわゆる総理のおっしゃる超党派外交的なところをはっきり示していただきたいと思うのであります。  そこでまず対米関係について申しまするならば、総理はしばしば議会において米国側日本意向が十分わかっておる、何らの誤解はない、こういうふうに仰せられておりまするし、またその他の機会においても、このような発言をせられておりまするが、総理は今でもアメリカ側では、こうした日本政府の対中ソ外交についても十分な理解をしておるというようにお考えでございましょうか。
  31. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) その点はその通り考えております。
  32. 小滝彬

    小滝彬君 もしもそういうようにアメリカに大した誤解もないというお考えでありまするならば、私どもは実に不思議なことを見いだすのであります。それはこれまで問題になりましたように、政府の方ではぜひだれかをアメリカに派遣して、そうして一般的な外交問題についての話し合いをさせなければならぬというので、重光外相アメリカに派遣せられることを決定せられたようであります。一体それほど誤解がないならば、外交的な慣例を飛び越えて、ああいうとっぴな申し入れをする必要が、どこにあるか。この点をわれわれは疑わざるを得ないのであります。私自身から申しまするならば、過般の本会議においても申しました通り、なるほど代表者アメリカへ派遣するのもけっこうなことであるが、しかしそれよりもまず閣内を統一して、二重、三重の外交をしないでそうして総理自身ももう少し言動を慎しまれることこそ、まず第一に海外諸国日本を正しく理解するゆえんであるということを申し上げましたが、そのほうはむしろ二の次にして、まず人を派遣せられようと、無理をして派遣せられようとしたことは、一体さっきおっしゃることと矛盾があると思いますが、これに対する総理の御見解をお伺いいたします。
  33. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私はアメリカにおいて誤解があるとは思いません。現在の外務省のやっている方針について誤解があるとは思わないのです。けれども、やはり日本の国情、われわれが何を考えているかということを直接に外務大臣からアメリカ外務省のほうへ申し出ておくほうが、将来においても非常に有利だと考えますので、自然休会を利用して、短期間であるものですから、自然休会を利用してやるのには、どうしてもああいうような少し焦ったようなやり方をした結果になったのであります。その手続きにおいて幾分かの不注意なことがあったことは認めざるを得ませんけれども、しかしながら、短期間においてやるのには、どうもあの方法をとるよりいたしかたなかったのであります。
  34. 小滝彬

    小滝彬君 一般問題について誤解もないのに、できれば早くやろうというお気持外相向うへ、派遣せられようとした。気持としてはわからんわけじゃございませんが、一体なぜああ急に、四月一日に決定をして五日に派遣するというようなことを考えられたか。これが非常に不思議であります。と申しまするのは、三月三十一日に参議院暫定予算を大体可決するだろうということはずっと前からわかったことであります。この四、五月の暫定予算がそうごたつくはずはない。三月三十一日には……。そうして四月の十五日頃に本予算を出すということを総理みずから申しておられる。このことはだいぶ前からわかっている。それを四月一日まで延ばして、そうしてここへ出そうとした。しかも四月初めに重光外相向うへ行かれますというと、八日はグッド・フライデーで、九日、十日と休みがある。このくらいのことは外相も知っていたはずである。しかるにもかかわらず、外相はこれほど急がれた。そうして防衛分担金削減問題というのは、これは外務省が勝手に書いたのだということを、民主党の副幹事長は述べておられる。もし民主党側の言うのが、正しいとすれば、それじゃ、防衛分担金の問題についてしかりとすれば、どんな問題があったのかということを私どもいろいろ想像してみますというと、三月三十一日に沢田国連大使がソボレフ氏との交渉を督促している事実を見出すのであります。そういたしまするというと、こう急がれたのは、ソ連との交渉について急に了解を得ようとせられたのじゃないか。ソ連との交渉関係があるのじゃないかというように世間でも想像しているものがありますが、この点については、実際の考え方はどうでありますか、お伺いいたしたい。
  35. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) ソ連や中共に対してのわが国の方針、それも説明しておくほうが両国のためによろしいと考えましたので、しかしながら、それのみではなかったのであります。
  36. 小滝彬

    小滝彬君 説明しておいたほうがいいということくらいで、あれだけ波紋を起すような措置をとられたことは、これは非常な失態であったと考えまするが、私どもはもしその点はまあたくさんの問題の一つであったとすれば、やっぱりアメリカあたりで想像しているように、防衛分担金の問題が非常に大きかったのじゃないかという疑点にまたあと戻りしてくるわけであります。四月四日のニューヨーク・タイムスは、重光外相の渡米は防衛問題に失敗したならば、その責任はアメリカに転嫁して国民にはよい顔をしようとする苦肉の策である、こういうことを述べておる。また、同日読売新聞のワシントン特派員の坪川君も井口大使に対してダレスが、純然たる国内問題であるところの防衛分担金の問題を、急に持ち込まれるということは、まっぴらだというふうに言ったとかいうような報道さえ漏らしているそうであります。しかし、もしこれがそうでなかったとすれば、私は少くとも非常に時期が悪かった、こういう重光派米の時期が悪かったというように断ぜざるを得ないと思うのであります。  一体こういうことを質問いたしますると、外務省から来ている諸君も、なぜ古いことをごちゃごちゃ言うのかというように考えるかもしれませんが、私はこれが全然外へ漏れないで、こういう交渉が行われてだめになったとすれば、何も取り上げるべき問題ではないということは十分承知いたしております。しかし、一体誰がこれを外へ漏したか、あるいは河野大臣であったという人も、根本長官であるという人もある。いろいろ閣内でもそれが問題になったというように言われますが、いずれにいたしましても、政府の非常に最高の地位の人がこれを漏して、そして漏したからには向うからもどういう返事が来たかということを発表せざるを得なくなった。しかもその結果が拒絶でないにいたしましても、外遊を延ばすように言って来たということになりまするというと、自然これは国内的には反米感情を醸成するのに利用せらるるおそれもありまするし、また、対外的には日米間の協調が円満に行われていないかの印象を与えるということになることは、私から申し上げるまでもないところであります。四月四日のU・Pでキャリーしておるところを見ましても、米国の拒絶をソ連側も巧みに利用するだろうという趣旨を述べておりまするが、まことにその通りでありまして、これは確かに現内閣の黒星であり、いわゆる国威の失遂するやり方であるということは、衆議院でわれわれの同僚が指摘しておる通りでございます。こうしたいろいろな角度から考えまして、非常な大失態であったというように総理はお考えにならないのでございましょうか、その点もう二度お伺いいたしたいのであります。
  37. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は政府の非常な失態とは考えません。
  38. 小滝彬

    小滝彬君 衆議院であれだけ論議せられましたけれども、この戒告の趣旨は実行しようとするけれども、こうした問題を起したことは依然として、軽く見ておらるるようでありまするが、これに対して私はそういうお考えであれば、少し重光大臣にお伺いいたしたいのであります。この情報が漏れたのとアリソン大使に会って外相がお話しになったのとは、一体時期的にどういう工合になっておるでしょうか。大体慣例からいえば、こういう問題は双方で話し合って交渉するのが常のようであります。この問題は公表するべきでなく、閣僚が漏らしただけかもしれませんが、正式に向う交渉する前に情報が漏れたということは、是が非でもこちらが行くのを引き受けろ、無理を徹底させようというような感じを与えたおそれが非常にあるのじゃないかというように想像いたしまするが、この時間的な関係は一体どうなっておるのでしょうか、外務大臣にお伺いいたします。
  39. 重光葵

    国務大臣重光葵君) それは私から詳細的確に御説明いたしましょう。この問題がきまりましたことは、今お話の通りに四月一日の午前中でございます。午前中でございますが、私はこう考えました。お話しの通りに、これは相当相手の都合も聞かなければならん、そういう点においてできるだけ無理のないようにしなければ目的を達するわけにも参りません。儀礼的にもそう考えまして、そこでそういうふうなことに決定をいたしました以上は、一刻もすみやかに向う都合を聞いて、そうしてできるだけこちらの考え方了解をしてもらいたい、こういう考えのもとに、閣議の中途から、私は、ほかにハル軍司令官が離任をして出発するので、その見送りということもあったのでございますが、そのときにすぐアリソン大使に接触のできる機会をもねらったのでございます。そこで特に前もって向う都合を聞くというようなことの不自然さをなくして、そのときに出合いましたから、私は、アリソン大使にひまがあるというので、こちらの考え方、こういう工合に考えておるのだが、君の本国政府都合はどうだろうかと折り入って話をしたのでございます。大体それが決定の直後十二時から一時までの間と御了解下さいまして差しつかえございません。そこで向うは実うは実はなかなかワシントンもいまこんでおるので、時制の都合が果してどうかと思うけれども、自分も全力を注いで一つ都合をつけるように尽力してみよう、都合によったら自分も一緒に行っても差しつかえないからということまで話をして、私は帰ったのでございます。むろん日米の関係にはわれわれは少しも誤解はないと、こう思っておりますけれども、これらのことについて、やはりいろいろ話し合いをするとこいうことが、これはやはり将来のために決して不必要なことではないと考えまして、さようなわけで話を申し入れたわけでございます。それから日本新聞に出ましたのはその翌朝だったと私はいま思っております。  さようなことが正確なことでございます。
  40. 小滝彬

    小滝彬君 ただいま重光外務大臣から詳しい御説明を承わってだいぶ様子がわかりましたが、いまの重光外務大臣答弁は、総理もお聞きになったと思いますが、閣議の決定があったから、それに準じた措置を早くとらなければならないというので、最大の注意を払って外相が、行動せられたことは、いまの答弁でも十分明らかであります。ところが根本官房長官あたりは、重光が選んで渡米すると言ったからこうなったというようなことを言っておる。しかしいまの答弁から推察いたしましても、外務当局としてはこういうことは非常に無理であるということを知っておった。そのことがはっきり出てきておると思うのでありますが、こういう問題については、何と言っても実際の取り計らいについて、十分そうした技術的な経験と知識を持った者を信用して、それにあらかじめ閣議に諮られる際にも、その実際を探求した上で、こうした急いだところの決定というものはせらるべきであると私は思うのであります。現に外務省の首脳部の新聞に述べておるところも、言い出したのは総理大臣であるということを述べておる、こういうのがわれわれの想像するところであり、いまの答弁から考えましても、それが実情であったろうと思いますが、なるほど外交の筋書を立てられるのは、政治家がなるべく介入せられて、いろいろ策を立てられるのもいいのでありますけれども、これを実行するという面では、そうした問題を取り扱っておる者の意見を十分徴した上で決定せらるべきものと思いますが、今後もこうした間違いが起るかもしれません。この点についての総理のお考えをお聞きいたしたいのであります。
  41. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私からちょっと釈明をいたします。私は先ほど総理の言われた通りに、この議会自然休会を利用して、外交上においてでき得るだけの努力をすべき問題だという意見については、私は少しも変ったことは考えておりません。そしてまたこの自然休会になると、直ちにかような手段を考えるということにつきましても、私は総理に全然御同感の意を表したわけであります。私は事の成否は別として、かような任務に当っていくことが私の職責であると、こう考えまして、私はやろうと、こう決心をいたしたわけであります。むろんそれは総理との意思の合致の上でやったことでありまして、意思が異なって、これが行われたわけでも何でもございません。むろん私といたしましては、総理の御要請があればこそ、私の意思の発動があるわけでありますから、完全に御同意を表して、私の職務をできるだけのことをやってみようと、こういうことで実は最善を尽したつもりでございましたが、いろいろ問題が紛糾することに相なりましたのは、まことに私は遺憾に存じておるのでございます。  しかしこの問題によって、日米関係が特に悪化するとか、さようなことは今日まで少しもないのでございます。そういう全局を害するようなことはないと私も思っておりますから、さように一つ御了承を得たいと思います。
  42. 小滝彬

    小滝彬君 私はこの点についてさらに追求しようとはいたしません。ただしかし自然休会に行かれることであったならば、もっと前に折衝できたであろうという点を非常に遺憾に思いますが、特に総理に対しまして、こうした外交上の技術上の問題については、もっと外交当局の言も徴して実行するというお気持になっていただきたいということを要望いたしまして対米関係質問を終ります。  次に、対ソ関係につきましては、私依然としていまの説明は説明として、総理外務大臣との間に意見の食い違いがありはしないかと思うのであります。三月二十五日、私が本会議質問いたしましたときにも、重光外相との間には意見の相違はないというふうに言っておられますが、しかし四月六日の衆議院外務委員会を傍聴しておりますと、露光外務大臣は、日ソ交渉にはニューヨークが最も適地であるということを言っておられるし、その後の外務省の発表でもそうした考えを述べております。ところが総理が、先方がモスコーもしくは東京を希望するなら、それほどこだわる必要もなかろうと答弁したことを記憶いたしておりますし、おそらくこれは議事録に載っておると思いますが、総理はその交渉地について、一体どういうことを考えておられるか、もし向う希望すれば、これも変えようというので、交渉が始まらん前から、テーブルの上にすべてのカードを出してしまおうという御意向かどうか、はっきりとお答えを願いたいのであります。
  43. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 将来交渉地をいずれにするかということについては外務省に一任しております。
  44. 小滝彬

    小滝彬君 いやしくも国家の最高責任者である総理が、まあどっちにしてもいい、それを考慮する余地があるということを、あらかじめこういう公開の席においておっしゃいましたならば、交渉者の立場は一体どうなるか、これをよく総理としてはお考えにならなければならないと思う。現にソ連日本側に対する回答の中にも、総理が福岡で述べられたことを引用されておる。なるほどこの引用したことは私は正しいとは思いません。しかし国家の最高責任者がそういうことを言っておきながら、外務省に一任したとおっしゃってもなかなかその取り計らいは困難であるということを十分総理は認識していただかなければならないと思うのであります。  さらに私は時間もありませんから次の問題に移りまするが、同様なことは日本の領土に関する問題についても言えると思う。一月三十日に同僚の曽祢君が予算委員会において質問いたしたのに対しまして、南樺太、千島はソ連側が返還しないものということを言っておられる。あるほど歯舞、色丹などと、南樺太、千島とはその性質が変っておるということは、私も十分承知いたしております。しかしながらこういうあいまいな表現をせられ、曽祢君に追及されてから、やっと返還を主張すべきものと思うと、こういう答弁をしておられるのであります。私は総理が最初はまあ無条件に戦争状態終了の宣言を受けて、それから交渉しようという態度をだんだん改められましたことについては敬意を表するものでありまするが、しかしこういう交渉の内容ともなるべきものについて、こういう態度をとるということは、一体自主独立の外交というようなことを、しきりにちょうちょうなんなんとするところの現内閣において、一体どこに自主外交があるか。共産圏の諸国に対しては、いろんな問題についてだんだん向うから申し入れがあると最初は相当もつたいぶった理屈をつけて、日本側の案を出しがておきなら、まあそれほどこだわる必要はないだろうというようなことで、だんだん折れていかれるということになれば、これは大へんな問題であります。ことにこの南樺太、千島の問題というようなもの、この問題は国民感情にも非常に悪い影響を与える。またいま申しましたように、何かと言えば、自主外交を言う人が、共産圏に対しては何でも折れていくということは、私はどうしても承服できない。なるほど交渉が始まりまして、交渉者が妥協するということは、私もみずから体験しておるから承知しておりますが、こういうことをあらかじめ言われるということは、どういうことであるか。そこでこの領土問題について首相の真意はどこにあるかはっきりと、この外務委員会を通じて表明せられんことを要望いたします。
  45. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 先ず交渉地について申しますけれども交渉地を東京もしくはモスコーでも、どちらでもきまったところでやった方がいいだろうというような意味を申したこともあります。それはソビエトからまだノートが来る前の話でありまして、ソビエトがノートをよこしまして、交渉地は日本が望む所でやってもいいような意味の手紙が参りまして、それで外務省の方で、それならばニューヨークが一番いいだろうという返事をしたわけなんです。そういうノートの来る前に言った話と、ノートが来た後にニューヨークという返事をした後の政府態度とは、おのずから違わなくてはならないと思っております。  それからいまの千島の問題ですけれども、千島というのはどれだけの群島を指すかということは、昔から問題があるのでありまして、明治七年のときからでも、千島列島というものはどれだけのものかということは、必ずしも一致した意見があったわけではないのであります。今日まだ交渉を始める前から、どれだけを要求するのか、どれだけの要求をしないのかというような御質問を受けましても、返事のしようがございません。それですから、この点については、この程度において話をしない方がいいと思いまするから、御了承願いたいと思います。
  46. 小滝彬

    小滝彬君 私はそういう交渉の内容を突っ込んだつもりでなしに、私も十分対外関係考え質問したつもりでありまするが、どうも誤解があるようであります。先ほど交渉地の点についてお話になりました点は、多少記憶違いがあるかと思いますが、その点は私追及いたしません。だがしかしあの六日の外務委員会の記録はあると思いまするが、その記録を御覧になり、また私どもが得た印象というものを考えて下さいますれば、過般の外務委員会における答弁ぶり、あるいは曽祢君に対する答弁ぶりからして、非常に危惧の念を起すので、この際、概括的にはっきりした声明を承わりたかったのでありまするが、これ以上質問いたしましても、かえってそれこそ今後の交渉に悪影響があるかとも思いまするので、その点はそれではこれだけにいたしておきます。  ところで私は先ほど選挙の公約などと申しましたが、前から非常に交渉を一日も早くまとめようとあせっていらっしゃるということは、これは世間周知の事実でありまして、総理も御否定できないだろうと思います。ことにその実際的の措置ぶりを考えましても、ただ単に全権派遣は選挙前にやるかもしれないとおっしゃっただけでなしに、最初から杉原君を代表に送るというようなことを内定せられた。又杉原自身も二月二十一日湘南において三月中に交渉を開始して、四月または五月中に、平和条約締結の見込みであるというようなことも言っておられた。こういうように早く全権を内定せられ、また非常にその後もいろいろあせっておる状態でありまして、杉原君が防衛長官になられましてから、また松本君が代表に内定せられた、こういう事実を今度は結果的に見まするならば、松本君を代表に内定しておいたということは、ソ連側が日本交渉を開く上の便宜を提供したもの乃至は元ソ連代表部の権限が認められておらない、それを事実上認めさすための便宜を与えたものというふうにも解せられないわけではないのであります。このソ連側が元ソ連代表部の地位を認めさせようという努力は、前内閣時代からもやっておったことはよく承知しております。ところがなかなかその手がない。そこで今度は松本君が全権に内定されて、日本におるからそこへ手紙を持ってきたというふうなことになっておるのでありまして、実はそういうことを予定して内定をせられたというふうに見ることもできるのじゃなかろうかと思われるのであります。一体交渉を急がれるからして、向うは、どうしてもニューヨークで渡さないものなら、日本で受取ってやろうという考え方、これは一体非常に甘い考え方ではなかろうか、もし申し込みだけはニューヨークへして、その返事の方は日本でやるということになれば、ソ連のいまねらっておるところは、日本外交機関を置くということ、すなわち国交再開よりもその方が最初からでき上ったならば、国交を再開するについては、ますます熱意を失うおそれなきにしもあらず、こういうふうに思うのでありまして、こういう場合には、当然向うに対して、ニューヨークにおいて回答さすことを求めることもできたはずであります。ことに沢田大使は、日本へ、東京において回答を手交するらしいという情報も、こちらによこしておるくらいでありますら、それをニューヨークに持っていくことも、十分できたはずでありますが、一体今後はどういうようにおやりになられるか、私はこれは非常に重要だと思うのであります。だんだんに引っ張られて、東京でいろいろな話合いが進むということならば非常に熱意を持っておられる国交再開の問題がむしろかえっも頓挫しやしないかということもおそれるのでありまして、この点についての総理のお考えを承わりたいのであります。
  47. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) とにかくソビエトは私に対して、日本希望する所で交渉をして差しつかえないという意味のノートが来ましたから、そこで日本は、ニューヨークが適当な地であると思う、ニューヨークにしてもよいということを指定したわけでありますから、一応はソビエトもこれを承知するはずです。それですから、どういうわけでこれを変更したかということを聞きもしないで、ニューヨークを不適当な地ときめるわけには参らないと、ただいまは思っております。
  48. 小滝彬

    小滝彬君 総理のお答えは私の質問に対するお答えではないのであります。私が申し上げるのは、予備交渉と申しまするか、手紙のやりとりを東京でするということはだんだんに向うの思うつぼへはまるおそれがあるが、だんだんその交渉の地という問題と離れまして、その前提となる手紙のやりとりがいまだに東京で行われておる。しかもそのやりとりの相手方になるものを内定したようにさえ国民は思っておる。松本君が東京におってしょっちゅうソ連側のドムニツキイと交渉するということになれば、今後の交渉に非常に影響があるので、これはもうおやめになるのか、今後もまあそういうことには断る必要はないというので、松本君を介していろいろなことの返事をもらわれる気持であるかどうか。そうしたときには断って、むしろニューヨークでせっかく沢田大使もおるのだから、そこで申し入れたら、それに対して返事をするのが当然である。それをおやりになるお考えはないのか。その点を聞いておる次第であります。
  49. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 便宜私からお答えする方がよかろうかと存じます。私どもは、ソ連との戦争状態、この関係は少しでも早く平常関係に復したいと、こういうことを祈願しておるわけなのでありまして、それがために交渉地も日本希望するところで差しつかえないということを言って参りましたから、それならば、こちらが希望しておるのは、先方の知っておる通りニューヨークであるから、ニューヨーク意見が一致したと認めて、すぐ交渉を開きたい、こういうことを申してやったのでございます。そこで交渉を開くのが、ニューヨークで開かれる段取りになったと、こう解釈せざるを得ませんでした。そこでしからばニューヨークにおいてだれに交渉せしめるかということの決定をしなければならん段取りになりました。それで評議の結果、松本俊一君をその交渉の任に充てる。これは内定でございいます。しかしその後の何によりまして、これを正式に任命するかどうかということはさらに考えなければなりません。今お話の点は東京で、ずるずると東京の代表部を承認するようなふうになっては困るんじゃないか、これは前内閣時代からいろいろ注意深く扱ってきた問題である、こういうお話でございましょう。それは私はその通りだと思います。その通りだと思いますが、公文書を受け取るとかいうことが、すぐそれじゃその承認の問題になるかということになりますと、それはそうはならぬと私は思うのです。それからまたニューヨークで文書の交換をすることが、それではそういうことをすべき任務を持っておるかというと、それも持っておるわけじゃございません。これは日ソの関係外交関係はございません。国交はございませんから、これを正式にやる場合においては中立国を介するよりほかに仕方がないと思います。しかしです。日ソの国交を回復したい、こういう日本側の念願でもあり、また先方もそれをたびたびその希望を表示して来た。向うの方が先に表示して来ておるのであります。さようなことであるとすれば、今日のような国際関係において戦前の国際関係とは違って、文書の受け取りのごときは、あるいはニューヨークでやり、またあるいは便宜東京で事実上受け取るということは何も承認の問題に私は関係はないと考えております。しかし今お話の通りに、それがために東京におけるソ連代表部がずるずるに認められたという形になって仕事をするということは、これは堪えられぬことでございます。これを明かにしてそれを進めていかなければならぬ、さような考え方を持ってやっておるのでございまして、御心配の点は私は御尤もと考え、またそれに十分注意を払いつつ、今後も進みたいと、こう考えております。なお、ちなみに申し上げますが、こちらの回答は従来の経緯を追うてニューヨークで沢田大使を通じてやらしております。これも今御承知通りに、そういう権限を持っておるというわけではございません。従来の経緯でそれを進めておるわけでございます。
  50. 小滝彬

    小滝彬君 重光大臣のおっしゃった承認の前提にはならん、その法律的な点はわからないわけではありませんけれども、だんだんそういうところへ引っぱり込まれるおそれがありはしないか。もし向うが本当に国交回復したい腹なら、ニューヨークでもどこでも返事を出さなければならぬ。それを断わっているところは、どこかほかに魂胆が、今申しましたような魂胆があるかもしれないから、注意してもらいたいという点にあったのであります。ところでニューヨークでやるということを、もう一度公文書を出したおっしゃいますが、そのように私ども新聞紙を通じて承わっております。であればことほどさように、総理のほうでそれが侵されるような発言をされるということは、重光大臣交渉せられる場合にも非常に不利であろうと思われますので、その点を特に私は本日は首相に対して、すベての質問を向けたのはこの趣旨にあったということを御了解願いたいと思います。もう時間もございませんから、私はこれ以上質問いたしませんが、民主党としては、先ほどから申しまするように、選挙の際にいろいろおっしゃった関係もありまするため、出来るだけそういうことにこだわらないで、一つ早く話を始めていきたい。これを結末に持っていきたいと思っていらっしゃるだろうということは十分わかります。しかし総理が平素強調しておられるところの超党派外交の真髄というものは、国家のための党であって、党のために国家百年の計を犠牲にするようなことがあってはならない。これが本当の超党派外交でなければならないと私は信じております。私はこれについて総理答弁を求めませんが、一体日ソ基本条約ができますときにも、予備交渉を六十数回、本会議も七十数回やったということであります。四年以上にわたって、しかもその間に内閣が三遍もかわった。このくらいな困難をすでになめて来ておる、そういうソ連との交渉であり、あすから、なるべく公約を尊重せられて、今まで、言ったことをできるだけ実行したいというお気持もあるでありましょうが、こうした国家的な見地から十分警戒して、その交渉を外務当局を信用して、立派に成功に導かれることを希望し、この点について軽率なる発言などをやらないように強く警告いたす次第でございます。なお、これと同時に重光外務大臣は、こいねがわくば霞ケ関の伝統を尊重せられ、かつ平素から重光大臣みずから述べておられますように、外交の継続性というものに十分留意せられまして、あるいは場合によっては万が一鳩山首相とたもとを分たれなければならないというようなことがあるといたしましても、国家百年の計のためには過ちなき外交をせられまして、将来の歴史家が重光外交の名をもって、万年にこの重光外交の功をたたえるように十分御留意あらんことを要望いたしまして、私の質問を終ります。
  51. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) この際お諮りをいたしますが、NHKとラジオ東京からテレビをとりたい、こういう要望があります。許すか許さんかは委員長がやるのでありますが、私はあまり電燈でチカチカやられることは好みません。しかし許している先例もあるようでありますが、差しつかえございませんか。いかがでございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 差しつかえなければ、こちらが差しつかえない限りにおいてやらせるということで、御承知を願いたい。
  53. 佐藤尚武

    ○佐藤尚武君 私主として総理大臣に御質問申し上げたいと思います。と申しますることは、今までの委員会で、重光外務大臣に対しては一両度質問したことがありますが、本日は幸い総理の御出席もありまするから、今申し上げたように、総理のお考えを承わりたいというように思うのであります。  日ソ交渉の問題その他につきましては、先ほど来小瀧委員との応答でだいぶ政府態度も明らかになって参りました。私は今までいろいろないきさつがあったああいう問題については、一切触れたいとは思いません。ただソビエトなり、中共なりを相手にしての交渉をこれからお始めになる、中共との問題は今現実の問題とはなっておりませんけれども、私の申し上げたいのは、そういう国々を相手にする場合に、先方は完全に統制された態度をもって臨んで来る国々である。向うがその交渉に当りまして、態度を二本にも三本にもしてやって来るということでありまするならば、問題はありませんけれども、そうでなくて、完全に統一された一本の姿でもってやって来るという国国を相手にしての交渉であるとしまするならば、当然日本側におきましても、政府態度を一致せしめられて、そうしてこれに当るということにするのでなければ、交渉の結果がどういうことであるかということは多言を要しないことであります。先ほど来の御応答によりまして、政府のお考え方もその点において十分慎重にしておられるようでありまするからして、それは大へん幸いなことと思いまするが、これは私からもその点を、と申しまするのは、政府態度に何の食い違いもないように、一本の姿でもって交渉に当られるという点に十分の注意を払っていただくように、私からも御要望申し上げておきたいと思うのであります。  次は、私の考えを申し述べ、かつまたこれに対して政府態度をお尋ねしたいと思いまする点は、バンドンの会議のことでありますが、今回の会議アジア、アフリカ諸国の代表のみによって組織されておるという点、非常な特異性を認められるわけでありまして、政治的にも、または経済上におきましても、非常な重要な意義をもたらすものであるということは、すでにうかがえるところでありますが、私はそういう会議に臨む日本態度決定に当りましては、事前に十分な研究、もしくは検討を加えて行かなければならぬ、これはもちろんのことであります。総理も先ほどこのバンドン会議に対しては、その重要性を十分に認めておるというような御答弁でありましたがゆえに、その準備の点においても、組閣早早のことではありましたけれども、できるだけのことはやっておられるだろうと想像するわけであります。ただ今回の会議には、インドからはネール首相みずから出席いたしまするし、中共からもまた周恩来首相が参列するというようなことでありまして、いかにこれら両国、その他もそうでありましようが、特にこれら両国がこの会議に力を入れているかということは、想像に難くないのであります。そこで私の申し上げたいことは、このアジアアフリカ会議におきまする空気といたしまして、おそらく新興国が多い関係からして、アジアアジア人の手で、アジア、アフリカの問題はアジア、アフリカ人の手でとという空気が、自然と会議を支配するというようなことになりはしないかと思うのであります。それも無理からぬことであろうとは思いまするが、ただ考えなきゃならぬことは、アジアアジア一本でもって立って行くというわけには参らないので、もちろんアジアばかしでなくて、ヨーロッパもアジアに依存する点が多いのに多いはありませんが、アジアもまた欧米に依存しておる点が十分にある。それをこの何百年来の歴史の上からして、新たに解放された国があるとか、あるいは独立を獲得した国があるとかいうような点から、ややもすれば感情に走って、そしてアジアの問題に関する限り、欧米人の容喙を許さないのだ、自分たちだけでやって行くのだというような考えになりがちかと思うのであります。しかしこの点は日本立場としては十分に考えなきゃならぬことであって、日本自体、明治維新以来、欧米の文物をいち早く輸入し、これを消化してやって来たればこそ、五十年乃至六十年の間にあれほどの進歩発達をもたらしたわけなのでありまするからして、この態度はもちろん今後も十分続けて行かなきゃならぬことで、アジアに立てこもるというような、そういう狭い考え方は、日本としてはとってはいけないというわけであります。従いましてこのバンドン会議に対する日本態度としては、今申し上げたような日本そのものの立場を十分に腹におさめて、そしてその会議に臨まなきゃならぬものであろうというように考えるのでありまするが、ことにインドはインドで、第三勢力というようなものを基調としたいろいろな意見を開陳するでありましょうし、中共はまた中共で、異なった観点からアジアの独立、アジア諸国の完全独立というようなことも強調するかもしれませんので、日本には日本立場があるのであって、その日本立場を忘れて、そして会議の大勢に支配されるようなところがありましてはいかがかと思うのであります。もちろん政府はそういう点に十分の考えを持って使節をお出しになることとは思いまするけれども首相のそういう点に関しまする心がまえと申しましょうか、それをお尋ねしたいと思います。
  54. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 佐藤さんの第一の御注意、すなわちソ連や中共は統一されているために、一方的の意見を誓うが、日本の方は分裂していては太刀打ちにならぬという御注意がありますが、もちろん世の中に、重光外務大臣と私との間に意見のそごがあつたように伝わっておりますけれども、そういうことは全然ありませんので、私は何か考えがありますと、重光君にこういうような考え方はどうですかと言って、すべて相談した上でやっております。必ず一方的でない、分裂せざる、二元的でない意見でもって折衝をしていくつもりであります。どうぞこの点は御安心願いたいと思います。  バンドン会議はいろいろなむずかしい問題が、日本として態度を決するのに非常に困難な問題が出て来るだろうと私も想像しております。手っとり早く言えば、台湾の問題などについても論議されるらしいのであります。こういうようないろいろな問題が起きそうなバンドン会議でありますから、非常にただ経済的の問題だけではなかなかすまされない会議になるだろうと思います。そういう場合に、日本日本の特異性に顧みて多数のいろいろな意見にこずきまわされないようにしろという御注意も、これもごもっともな話でありまして、十分いろいろの問題をあらかじめ予想して研究したのちに、全権ともよく相談して間違いのないような態度をとりたいと考えております。
  55. 佐藤尚武

    ○佐藤尚武君 ただいま鳩山総理大臣の御答弁、私から申上げまして、御答弁としてはきわめて満足に感じました。どうぞそういう態度でもってバンドン会議にお臨みになるように切にお願いする次第でございます。その会議の問題の一つとして、私は日本立場から言いましても大なる重点を置かなければならん点が一つあると思うのであります。それは未開発地域の開発の問題であります。この問題は、これは先ごろの東京において開かれましたあのエカフェの会議におきましても、各国の代表から自国の事情、実情について、それぞれ重要な発言があった模様であります。元来未開発地域の問題は、日本立場から申しましても、非常に重要な問題であるように私として感ぜざるを得えないゆえんのものは、日本の人口問題の解決の上から言いましても、そういうふうに考えられるのでありまして、近来におきまして日本の移民問題が大分民間においても唱えられるようになり、政府においても取り上げておいでになるようでありまするが移民の問題はきわめて重要な問題であるに相違はございません。が、しかしながら本当の意味での移民、技術ないしは労力の供給という点におきましては、やはり各地における未開発地域を開発するということが非常に大きな意味をもたらすものではないかと思うのであります。地図を拡げてみましても、南方諸国なり、あるいは南米諸国なりにまだ未開発のままに放擲されておる地域は広大なものが残っておるということは今さらあらためて言うまでもございませんが、この地域を未開発のままに今後も長く長く放擲しておくというようなことでありましたならば、それは単に日本のためばかりでなく、世界全体の人類の福祉の点から言いましても遺憾なことであり、できるだけ早く開発すべきものであろうと考えるのであります。適当に開発されるならば、もちろんこれら未開発地域を領有している統治国に対しましても、大きな利益をもたらすということはもちろんのことでありまするが、それと同時に、全世界人類の幸福の上においても、大なる寄与を受けることになろうかと思うのであります。そこで今から申しますというと、三年ほど前からでありましたと記憶いたしておりますが、国際連合の総会において、この問題が取り上げられ、そうして国際連合としても、未開発地域に対する技術援助の方法を講じなければならんというようなことになり、それ以来、今のエカフェもそうでありまするが、その他にも技術援助の組織を作って参っているようであります。その翌年でありましたと記憶いたしまするが、例のトルーマン大統領就任の際に、ポイント・フォアの考え方が発表され、続いてまたその翌年にコロンボ計画ができたというようなわけでありまして、欧米諸国もこれら未開発地域に対して深甚なる考慮を払うようになってきたというわけで、これは私は大いに慶賀すべきことであると思うのでありまするけれども、国際連合の今の技術援助の問題にしろ、ポイント・フォア、アメリカ側の措置にしろ、ないしはコロンボ計画、それらの努力にかかわらず、まだ成果から申しまするならば、微々たるものであるようにうかがえれるのであります。そこで私は申すのでありまして、もっともことしあたりアメリカにおきましても、今までより、今までは数億、年に一億ないしは三億ドル程度の援助を与えておったようでありまするが、ことしは一そうこれを拡大して、新聞の報道によりますれば七億とか八億とかというような資金を支出するというような計画もあるように思われまするし、だんだんにそういうように力がよけいに加ってくる方向に向いているようでありますけれども、まだまだ十分ではない。吉田総理が昨年外遊をした際、帰りにアメリカを通られたときに、ワシントンのたしかプレスクラブでありましたか、そこで演説をした中に、南方諸国の開発に対して、アメリカは年間四十億ドルの支出を決意しないことには、これら地方が逐次赤化されて行く、そういうおそれが十分にあるのだというような意味の演説をされたのでありました。私はこの吉田総理発言は、その四十億という数字がどこから出てきたかということは、御当人に聞いたこともありませんのでよくはわかりませんけれども、とにかく巨額の金を必要とするのだということについて、アメリカ人の注意を喚起したということになったのであります。吉田首相の六年に亙る施政に関しましては、功罪半ばするものがあると思いますけれども、昨年のアメリカにおける、今申しましたその発言は、これはまことに時宜を得た問題であったと思っているのであります。その吉田首相発言はかなりアメリカでも注意を引いた模様でありまして、多くの重要な新聞あたりでも、これに対して批評を加えて参っておりまするが、四十億はとにかくといたしまして、年間数十億の資金を供給するということでなければ、今申し上げましたような大がかりな開発はできない相談であると思います。ところがここに注意をしなければならんことは、受け入れる国々の心理でありまして、なるほど未開発地域を開発されるということは非常に必要なことではあるとしましても、一国ないしは数国の膨大な資本によって、これらの地域が支配されてしまうということに対しては、非常な懸念を持っておる模様であり、又その懸念を持つのが、これは当然なことでなければならんと思うのです。資金がなければ開発はできない。しかしその資金を受け入れる側において、そういったような心理状態であるとしまするならば、この資金が順調に入って来るわけはございません。単に資金ばかりでなくて、これらの地域を開発するというためには、非常に大きな労力と、ことには技術的な知識を必要とするのであります。その技術なり労力なりを供給し得る国は、たとえば日本のごとき、或いはイタリアのごとき人口過剰な国々で、そしてかなりの程度技術の進歩しておる国々からは、これをその方面で援助することができるわけでありますけれども、これも又多数の労働者、労力を一時に入れるというようなことでありましたならば、受け入れる側から言いまして、大きな危惧を感ぜざるを得ない。資本に対してもそうである。労力、技術の方面に対してもそういったような懸念があるとしまするならば、いかに未開発地域の開発という問題が全人類のために必要なことであるにしろ、実行はなかなか困難ということにならざるを得ないので、そこで考えられまするのは、何とかしてその受け入れる方にも又送り出すほうに対しましても、ある第三者の仲介を考えて、そうして順調に資本も入ってくる、受け入れる国においても心配なくこれを受け入れることができる、同じように労力、技術が入って来るというような仕組みを考えなければならんと思うのでありますが、幸いそこに国際連合というものがあるということをわれわれは思い出すのでありまして、この国際連合なるものの旗じるしの下、資本も労力、技術も注入されるということでありまするならば、受け入れ側の心配というものは私は多分に解消することができるというように考えるのであります。国際連合の重要性というものは、そういうところで発揮されなければならんと思うのでありまするし、又国際連合内部におきましても、この国際連合自分自身でファンドを持って、資金を持って、そうしてみずからこの開発に乗り出さなければならん、それが一番いい方法であるということを論じておる向きもあるようである。私個人の意見でありまするけれども、そういったような仕組みを強力に持ち出し得る国は、それは日本のほかにも多々ありましょうけれども日本のごときは最も適当な地位にあるのではなかろうかと思う、その点であります。つまりアジアの一国として存在しておる日本、しかも相当の程度技術を持っておる日本、労力も供給することができるという日本、ただないのは資本だけであります。この資本はアメリカとかイギリスとか、そういう方面からこれを受けることができましょう。世界におきましても、最も大なる資本国といいますのは今ではアメリカを除いては求められないようでありまするが、とにかく資本はそういう方面からこれを期待することができるのではないかと思いまするし、つまり仲介的な立場に立つ第三勢力と申しまするか、国際連合のようなものをその中に入れて、そうして国際連合の仕事としてやるということ、そうなりまするならば、よしんばアメリカから資本が供給されるにしましても、それはすでにアメリカの資本ではない、国際連合のになります。日本から労力、イタリアから同じように労力ないし技術が入るといたしましても、それは日本ないしイタリアの労力ではなくて、国際連合の労力ということになるのでありまするがゆえに、受け入れ側におきましても、私はそう心配なくこれを受け入れることができるようになるのではなかろうかと思うのでありまするし、そういう点に関しまして、順次そういう空気を作ってゆく、それが実現のできるような空気を作ってゆくという上において、日本のごときは農も適当な地位にあるのではなかろうか、こういうふうに思うのであります。幸いに今度のバンドン会議などが開かれるというような場合におきまして、未開発地域の問題等はかならずや議題として取り上げられるべき問題であろうと思いまするし、そういう場合に日本の全権が果してどういうふうに発言ができるかどうか、これは予測はいたしかねますけれども日本側の考えとしまして、今申し上げましたような方法でもって、大きな問題を解決する方向に進めてゆくという努力をするというだけのことは、日本としてやるべきことではなかろうかというように考えるのでありまするが、そういう点につきまして、総理がどういうふうにお考えになりますか、もとよりこれは突然こういう問題を持ち出しまして政府のお考えはいかがでござると開き直っても、これは仕方のないことであります。大体の考え方として総理はどういうふうにそれをお考えになるか。もし幸いにして私の意見に対して同感を表せられるというようなことでありましたならば、政府としまして、あるいは外務省としましても、そういう点に一つ大きな力を入れていただく、そういう空気を醸成してゆくという上において、大きな力を入れていただくというふうに御努力をお願いしたいと思います。そういう点で総理大臣の御意見を承わりたいと思います。
  56. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 今重光君が自分が答弁すると言いますから、重光君から答弁いたさせます。
  57. 重光葵

    国務大臣重光葵君) この問題は実はバンドン会議を中心にしていろいろ研究をいたしました主要な問題でございます。外務省を中心としてやっておりまする関係で、むろん総理も同じ考えの下に私どもはやっておるわけであります。便宜私からお答えしてよろしうございますか。ごく簡潔に、できるだけ簡潔に申し上げたいと思います。私はバンドン会議――今お話しになったことは主として経済の方面だと思います。政治の方面は今お話しのうちにありませんでしたが、私は政治面において大きないろいろな問題が起ってくると思います。経済の方面では今お話しの点が一番重要な点だと思います。そこで東南アジアの開発といって、これはずいぶん長い間、戦後長い間議論をいたされておりますが、しかしどういうふうに今緒についておるかといいますというと、個々の国々、元の植民地方面の問題に対する英米のやり方等につきましては、これは相当な成績をあげておると私は思いますが、今全体にこれを見て、まだまだこれはごく準備時代と申すよりほかはないと思います。特に日本といたしましては、それじゃどういう東南開発に――重要に違いはございませんし、これは異存はございません。誰も通商問題の前提になるのは、未開発地の開発の問題が重大であることは、これは論を待たぬところでございます。しかしそれではどういうふうに日本が手を出すことができるか、また貢献することができるかと申しますというと、私は政治的にはまず第一に日本の戦後に持っておる平和主義の徹底ということをやらなければならぬと実は考えております。これを徹底せしめて、いやしくも日本に平和的でないような野望があるように見られるということは、絶対これは払拭するように努力いたさなければならぬ、こう考えております。しかしさような日本側の真意が徹底するにつれ、日本の援助を求める空気が強くなると思います。未開発地の開発についても、日本側の貢献し得る方法がだんだん出て来ると思います。今日では誰もが言うように、日本は貧乏国だから資本は供給することはできぬ。しかしながら技術は相当提供することができる。そこで技術援助ということが今日の段階においては主になるわけでございます。そこで資本はアメリカが出してくれるだろう、イギリスが出してくれるだろう、そう私は簡単には参らぬと思います。そこで大体の空気を申しますと、御承知通りアメリカのポイント・フォアも、あとはスタッセンのやっておる軍事援助ということにも関係を持つわけでありましょうが、軍事援助は御承知通り紐付きであるというので、東南アジア外国では非常に不評判でございます。そこでコロンボ・プランで、東南アジアの各民族、各国もその中に入っておって、開発にみずから自主的に加わっていくという、このコロンボ・プランが、大変東南アジアあたりで評判がいいわけでございます。国際連合の技術援助の方法も同じような意味を持っております。そこでこれは、先ほど東京を訪問されましたアメリカのスタッセンと、いろいろ東南アジアの開発の問題、また今お話しになりましたようなことについて、私は意見の交換をいたしてみました。ところが、これは私の口から言って差しつかえないと思いますが、こういうのでございます。アメリカのほうもやはりコロンボ・プランによって進めていくことが一番実際実績をあげる上においていいのであって、そうして東南アジア各国、各民族の希望にも副うものであることを発見した、よくわかった、そこでコロンボ・プランによって一つ進めていきたいと思う。日本もコロンボ・プランには、アメリカが非常に尽力して入るようにということでわれわれも努力した。そうして去年の十月に入った。そのコロンボ・プランによって一つできるだけ内部からその方向に努力して貢献してゆきたい、こういう意思表示がございました。これは実際的なやり方として非常な進歩だと私自身考えたのでございます。そうして国際連合の技術援助の問題とこれは互いに相競合するわけでございますが、少しも差し支えはございません。さような関係アメリカのほうも相当な資金をこの方面に使うという方針のあることは御承知通りでありますが、さように、もし開発の資金をどう使うかということが具体的に進んで来ますならば、一そうその点は順調にいきはせぬかと思います。コロンボ・プランの今日までの成績は、コロンボ・プラン自身の報告によりましても相当あげておるようでございます。その中には日本も技術援助、農業、漁業等に相当貢献し得る地位におりますのでございます。そうしてコロンボ・プランにつきましては、これはイギリスの主催したものでございますが、事務的の予備会議を九月二十九日から十月十五日まで開きたいから、一つシンガポールに参加国は代表を送ってもらいたいということを言って参りました。そうしてその上の閣僚級の政治会議は、これに引き続いて十月十七日から十月二十二日までにシンガポールで開くということを言って参りましたので、ややこちらの方面も具体性を持って来つつあるように感じます。それかといって、こういう問題について、少しも、何というか教育宣伝の方面をゆるがせにしては相なりません。特に日本側の立場等について十分理解を進めるということが必要でございますから、AA会議には当然のこととして、こういう点を十分注意をして参りたいと、こう考えておる次第でございます。
  58. 佐藤尚武

    ○佐藤尚武君 時間がないようですから簡単に結論だけ申し上げたいと思います。  総理大臣並びに外務大雨の御答弁によりまして、政府が非常に南方未開発地域問題に重きをおいておられるということはよくわかりました。それは大変結構なことだと思うのであります。ただ重光大臣の言われた中に、経済問題に先んじて大きな政治問題があるのだ、それは日本の平和的意図、それを了解させることが必要だ、こういうお話でございます。これはもとよりのことで、そのためにこそ私は国際連合の旗じるしのもとでやるがいいと申し上げたのでございまして、国際連合、つまり平和維持機構でありまする国際連合に旗を持たせまつるならば、そういったような日本の意図も十分に披瀝できるし、また各国において了解されることと信じまするがゆえに、私はそう申し上げるのであります。コロンボ・プランがすでにかなりの程度成績をあげているということも私承知しております。ただアジアの人口が、いかにも急速に増大してゆきまする関係上、現在の生活程度をやっとこさ維持していくに足るくらいにとどまっているから、私はかれこれ申し上げるのでありまして、それは先ほどのエカフェにおきましても、その点はかなり論議されたところと承知しておりまするし、またそういうような事情にあって、コロンボ・プランないしはその他の計画によって、かなりに実績があがりつつあるということは、エカフェの代表者たちも承認をしております。と同時に、はなはだしく不足しているのであります。ことに資本の欠乏ということを自分たちは痛感させられているのだということも、同時に付け加えて強調しているのであります。しからば、その資本はどういうふうにして供給することができるか、現在のような調子でもってコロンボ・プラン、つまり自己の国の自発的な計画、それに対する援助というようなやりかたでもってやっていけるかどうかということに、私は大きな疑惑を持つのでありまして、そうでなく、やはりまとまった一つの力、すなわち国際連合のもとにおきまするやり方というものを私は考え出さなければならない。またそういうことをすでに唱導している人が多々あるのでありますが、それを強力に進めていかなければならんだろうというのがそこであります。つきましては、そういう点において、一つ外務省その他政府の諸機関において十分に研究を遂げられまして、そうして先ほど私が申しましたごとく、東亜における日本の地位というもはそういう方面においてこそ十分の力を注がしめる上に適当の地位にある日本と信じまするがゆえに、あえて政府当局者の御考慮をわずらわしたいと申し上げる次第でございます。これで私の質問を終ります。
  59. 岡田宗司

    岡田宗司君 鳩山総理大臣にお伺いいたします。過日の総選挙の際に当りまして、あなたの率いられる民主党閣僚並びに有力なる方々は、吉田内閣アメリカ一辺倒外交をかなり強く批判攻撃をされて、自主外交ということを大いに強調されておった。総理大臣あなた自身もそういうことを言われておったように私は記憶しております。そこでまずお伺いしたいのは、いわゆるアメリカ一辺倒外交に対して、あなたの言われる自主外交とはどういうことであるか、吉田外交との相違点を一つあなたからはっきりお示し願いたいと思います。
  60. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私はしいて吉田外交アメリカ一辺倒だという言葉は用いませんでした。私は大体においてアメリカと親善関係というか、協力関係外交の基本としていくやり方は、やはり日本としてはいたし方がないと思っております。とにかくしいて自分の心持を言えば、あるいは安全保障約条にしても、行政協定にしても、日本は軍隊を一人も持っていないときの条約だもんですから、あれを自然的にというか、何もわだかまりなしに読んでみれば、そう対等の国同士の間の条約ではないような気もいたしますけれど、現在においてはそういうようなことに手をつける時期じゃないと思います。やはりアメリカとの協力関係はできるだけ外交の基本としていかなくてはならないと思っております。ただソ連や中共に対してさっき重光君もこういう言葉を用いましたけれども、つまり戦争状態終結未確定の事態に置いておくというのは、非常な誤ったやり方だと思います。これとはどうしても国際関係を正常化して、そうしてなるべく自由に交通をし、貿易を増進していくことにしたほうが、世界第三次大戦を避ける上において、非常に有力なる要素となると思いまして、そうしてソ連や中共との国交を調整するということに骨折りたいというような考え方を持っております。これをただ共産主義はきらいだとか、あるいはソ連や中共のやり方はうそが多いというようなことで、仲間はずれにしておくということは、非常な誤ったやり方だと思います。私はソ連というものも最近はヨーロッパ関係においてもそうと思いますけれどもアジア方面に対しても、これは第三次世界大戦を避けたいほうにソ連は向っているものと思っていたんです。それでこの頃のドイツに対する態度にしても、まあこの間新聞に出ておる記事を見ましても、外国の雑誌を見ましても、ソ連が世界の平和を維持していきたいという希望を持っておることはなお疑いのないような気がするのです。それですから、先刻から非常に私がソ連や中共との国交調整に急ぎ過ぎておるというような非難もありましたけれどもソ連や中共が平和攻勢というかなんというか、しりませんけれども、とにかく世界第三次大戦を避けたいという希望がある間に、日本との国交調整をすることも非常にいいことだと思います。そういう希望中に早くソ連や中共と国交調整をしたいと思ったものですから、まあ急ぎ過ぎたというような非難も起きたのかもしれませんけれども、いい時期のときにやるべきだと思っておる次第であります。以上をもって……。
  61. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ吉田内閣外交のもとにおきましては、ソ連や中共と国交を回復するということに対しては強く反対をして参りました。又(「反対なんかしない」と呼ぶ者あり)貿易の問題につきましても、中国との貿易はこれを拒否する態度に出ておったのであります。(「拒否なんかしない」と呼ぶ者あり)更に又アジアの諸国との国交回復につきましても、あまり積極的ではなかったのです。こういうようなことは、アメリカ側日本外交について、こういうことを好まない、そこでアメリカとの関係を第一にし、アメリカ一辺倒という立場をとって参ったので、そういう態度をとったものと思います。  今首相のお言葉ですと、ソ連なり中国なりは今日戦争を避けるという意図を持っておる、従って日本としては今日それらの国々と国交の調整を図りたいという考えを持っておられるようですし、まあ中国との貿易の問題についても吉田前首相とは大分違った態度をとっておられるようです。恐らくアジアアフリカ会議に出られる態度についても、今日、吉田内閣が当面した場合とは違った態度をとっておられると思うのであります。そういたしますと、あるいはそのアメリカ側が好まざることをやるようになります場合に、それをぐんぐんと押し切ってやるつもりで臨まれますかどうですか、その点をお伺いしたい。
  62. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私はアメリカソ連や中共との国交を正常化せんとする日本立場に対して反対をしてくるというようなことはあり得ないと思っております。その点でアメリカ日本との間に国際関係が困難になるというようなことは起り得ないことだと思っております。
  63. 岡田宗司

    岡田宗司君 あいるは正式に表向きに反対をして来ないというふうに言われるかもしれませんが、しかしアメリカ側が今も日本のそういう動きに対して好まないという態度を示しておることは、いろいろな点から推測されるわけです。これはまあ新聞紙にも現われておるところでありますし、向うの官辺筋の意向どもときどき向う新聞などに出ておりますが、それらを見ましても喜んでおらんようでありますが、こういうような点も日本の利益の立場からあえてアメリカの不快をも押し切って進めていく覚悟をもっておられるかどうかということを重ねてお伺いしたい。
  64. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は日本がとる立場は当然なことだと思っておるのでありまして、アメリカがこれに対して反対をしてくるということはあり得ないことだとかたく信じております。
  65. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 ちょっと関連。総理のその信念、私たちも全く同感ですが、イーデン新首相が新総理就任のメッセージをアイゼンハワー大統領、ダレス国務長官並びにモロトフ・ソ連外相に送ったそのメッセージの中に、イギリス政府は両陣営のいずれの側とも友好関係を維持していく意向であるということを表明をいたしております。これは儀礼的なものでありますからといって片づけてしまえば、それまででありますが、そうでなくて、やはりイギリスが特に米ソ両国との間の友好関係維持を強調した、イーデン新総理がこれを強調したということが、非常に注意をしなければならない点であるとして問題にされております。イーデンのこういう態度あるがゆえに、これまで御承知通りしばしばイーデンとダレスとの意見が食い違ってきたことも事実であります。しかも世界の大勢その他から考えて、イーデンのその考え方が、ヨーロッパにおいても、さらに世界においてはなおのこと支配的になり、アメリカもそういう空気を考慮しなければならない。そういう意味で、対日政策も極東政策も再検討を迫られているという段階であるというのが、今の世界の情勢だとわれわれは判断をしております。そういう点から考えれば、今の総理のその確信をもっと高々と掲げて、東西呼応しながら世界の情勢をそういうふうに導いていかれることこそが、世界の平和を維持するゆえんであり、先ほど重光外相も主張された、日本の平和主義を強調する好機であると思うのですが、それに対して総理はどういうふうに考えておりますか。
  66. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私は全く同感であります。イーデンもただいま御紹介になりましたような意見を申しましたけれども、前任者のウィンストン・チャーチルも同じようなことを言っておりまして、そうしてアメリカとはときどきイギリスは意見を異にしてまで自分の主張を実行して参りました。私はどうしてもチャーチルは先見の明があると思って、非常にえらいやつだと思っていたわけです。(笑声)それのまねをしたというわけでもありませんけれども、(笑声)これはいいことだと思って、ソ連や中共とも早く国交を調整しなければいけないということを考えたのであります。チャーチルが、一九五一年頃やめるというようなうわさがありました。うわさがありましたときに、自分は世界の平和があるという見通しがつくまではやっているということを演説しました。それがイーデンに譲ったのは、イーデンがやはり自分と同じ意見をとってやってくれる、いい跡継ぎがあるから安心してやめるというわけではないかと推測をしておった、かような次第であります。私はどうしても、世界の平和、世界第三次大戦を避けるということがわれわれの務めであり、第一の目標でなければならないと考えております。
  67. 岡田宗司

    岡田宗司君 われわれも第三次世界大戦を避けるということが日本の最大の務めであると、こう考える点については同じであります。その場合に、先ほど首相は、イギリスのチャーチルがときどきアメリカ意見の食い違いもあり、また衝突もしたということを言われておりましたが、今後日本がこの考え方を貫いていこうといたしますならば、あるいはアメリカ考え方アメリカの政策と衝突する場合もあるいは予想されるのであります。そのときに首相は、チャーチルのように、これとの衝突も、あるいは意見の齟齬があっても、これを押して行くという覚悟を持っておられるかどうか。これはまあチャーチルに私淑されておるようでございますから、念のためにその点をもう一度お伺いしておきます。
  68. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) アメリカも、とにかく最初は意見が違っておりましても、イギリスのやっていることを認めていったのでありますから、正しいことは結局は通るものと思ってやっていくより仕方がないと思っております。
  69. 岡田宗司

    岡田宗司君 正しいと思うことを一つ貫いてやっていただきたい。アメリカがこちら側の意向に同ずるように一つ御努力を願いたいと思いますが、さてそこでソ連との国交回復の問題についてお伺いしたいのですが、ソ連との国交回復につきまして、かなり急いでやられるようなおつもりと思うのであります。そこで、早く交渉を開始するというふうに御努力をなすっておると思うのでありますが、交渉地の問題がまだいろいろ意見の相違があるようであります。最初われわれが伝え聞くところによると、向う側から、モスコーか東京かいずれかにというようなことを言ってきた。その後御説明によりますというと、日本側の希望する所で、こういうことでニューヨークを選ばれたようでありますが、なぜ東京が悪いのか、ニューヨークの方がどうしていいのか、それを固執しなければならぬ理由がどこにあるのか、その東京でやっては悪いという理由がありましたならば、それをお聞かせ願いたい。
  70. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 日ソ交渉目的は、もうこれは双方とも一致したところでありまして、すなわち日ソの関係を正常化したいということでございます。しかしながら双方とも今日まで、たとい法律的とは申しながら敵味方の関係に相なっております。さような場合に、交渉地をさような色のついた所でやるということは、その平和を回復する、正常化するという目的に十分沿うかどうか、これは考えなければならぬ。それよりも、平和を目的としておる国際連合、ソ連も加入をして主要国であり、日本としては、加入はいたしておりませんが、国際連合の主義に共鳴して今日まで政策を立てておる。その所にかような平和回復の交渉をするということが一番目的に沿うゆえんだと私は考えております。この考えは正しい考えだと私は確信をしております。目的を達するためにそういう案によることが適当であると、こう信じておる次第でございます。
  71. 岡田宗司

    岡田宗司君 ニューヨークは国連の所在地であります。しかしながらこれは中立地帯でもなければ何でもありません。アメリカの都市であります。ソ連が今日アメリカとああいう関係になっておるときに、たとい国連の本部がある所でありましても、アメリカという土地に属しております以上、これは適当ではないように向う側で思うのもまた理由があるものと思います。もし中立国を選ばれるならば、なぜ他の土地を選ばれなかったかということも一つどもお伺いしたい。それから国交回復をしておらない、また法律上に戦争終結になっておらない国々との国交回復にどちらかの首府を選ぶということは、これはいけないことだと、こういうふうに言われております。われわれは、向うが高飛車にモスコーでやるんだ、お前の方が出てこい、これでは応ずるわけにはいきません。しかしモスコーか東京か、日本側でもってどちらか選べ、こういうときに、東京を選んでなぜ悪いか、こういうことも言えるでありましょう。また第一次大戦後において日本ソ連との国交回復をやりましたときに、これは時間は長くかかっておりましたけれども、当時日本の統治下にありました大連、次いで東京でやられたようであります。こういうような事態から、私は東京でやることが何ら差しつかえないと思います。そこで一つこの問題については早くこの交渉地の問題などというものは解決していただきまして、実際に進めるように努力をしてもらいたいと思うのですが、その点に対する首相並びに外相の御意見を伺いたい。
  72. 重光葵

    国務大臣重光葵君) お答えします。交渉地はニューヨークでするならばそれはアメリカの領土内であるからというお話がありました。それはソ連がそう言っております。今ソ連宣伝はみんなそこに集中して、なかなかアメリカソ連との敵対関係とは言わないけれども、国交の非常に悪いアメリカでやるということはソ連は賛成できないということをしきりに宣伝をいたしております。しかしアメリカの領土ではむろんございます。ございますが、それならばソ連は国際連合の一員としては、平和事業をあすこを中心として、これを認めてやっておるわけです。そこでもしそういうことについて向うに異存があるならば、これは異存ははっきりと言って差しつかえないわけであります。しかし日本希望する所で交渉することを承諾しておるのでありますから、私は日本のその交渉地を国際連合の所在地、所在の機関におる人間にやらせる、こういうことば、今日の国際情勢においてきわめて適当なことであると私は信じておるのであります。それから日ソ国交回復の歴史的の事実に言及されました。それは御承知通りに、ヨッフェとの会談は東京で初めやりましたが、難航に難航を重ねて、これは全然失敗でございました。その次に大連でやりました。これも今お話の通り、大連から東京に来たのじゃございません。東京から大連に行ったのでございます。これも失敗でございました。それからさらに長春に参りました。満洲国の新京でございます。ここでやりました。これも失敗をいたしました。しかしながら日ソ国交回復の基本的条約ができたのは北京でございます。北京で、わが日本公使芳沢公使と、先方のカラハン大使との間にようやく交渉が妥結いたしたのでございます。これは中立国であって、そうして双方の目的を達するのに非常に適当な土地であったと思います。さようなことを実は考慮いたしまして、私は双方の国の首都でやるということは必ずこれは成功するというふうに考えられませんから、そこで、すべての便宜のある平和事業の中心であるところの国際連合のある所で、国際連合の機関に密接な関係を持って交渉することが目的を達するゆえんだと判断を下しました。これについてはソ連も異存はなかったのでございます。この事実を申し上げてお答えにいたします。それから、ちょっと今お話のなるべくそういう問題については早く片づけて、先に進める、その御趣意については私は少しも異存はございません。これは初めから国交回復を正常化したいというこちらの希望によって進んできたわけでありますから、少しも異存はございません。しかしやはり順序順序でけじめをつけて進めなければ、先に暗影を投ずることになりますから、十分にその点は私どもも正当と考え立場は支持していきたい、こう考えております。
  73. 岡田宗司

    岡田宗司君 今のようないきさつでありましても、たとえソ連側の宣伝でありましても、アメリカを喜ばないという向う側の意向であります。こちらは飽くまでも国連の所在地をということでニューヨークを突っ張って参りますと、なかなか意見が合わない。そこで両方の合意する土地をさらに求めるということも会議を早く開く道になるのではないかと思うのですが、その点について両方の合意を求められるような土地について考えておられるかどうか、その点を一つ
  74. 重光葵

    国務大臣重光葵君) その点は御意見といたしまして伺っておきます。しかし私のそれに対するお答えは先ほどのお答えで一つ御了承を願いたいと思います。
  75. 岡田宗司

    岡田宗司君 次にお伺いしたいのは、先ほど小瀧さんへの首相の御答弁なりあるいは重光外相の御答弁によりますというと、アメリカ外相が行かれるのは、単に防衛分担金の減額の折衝だけではなくて、いろいろな外交問題について、特にこれは言明はされませんでしたけれどもソ連との国交回復あるいは中国との国交の調整や交易の問題等についてアメリカと話し合うということも含まれておると感じられるのであります。ところがアメリカからああいうようなことで、今はその時期でないということで断わりの回答が来た、しかしこれは今その時期ではないということのようであります。そこでこれは首相にお伺いするのですが、もう一度その適当なる時期を内交渉して重光外相向うに派遣するおつもりがあるかどうか。
  76. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 確かなことは存じませんが、アメリカのほうでも六月、ころならば重光外相に面会する時期があるような報告がありまして、確かなことは存じませんけれども、そういうような場合には、そのときの情勢に従って重光君をわずらわすようなことができるかも知れないと存じておりますが、ただいまのところでは重光君をわずらわすかどうかということは決定しておりません。
  77. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 時間が来ました。次に曽祢委員
  78. 曾禰益

    ○曾祢益君 私の伺いたい主なる点は、項目としては、すでに小瀧委員岡田委員等から挙げられたのでありまして、重複を避けたいと思いますから、まずアメリカ関係について、ただいま岡田委員質問に対し総理大臣は相当重要なことを御発言になったと思います。やはり東西両陣営とも仲良くしていきたい、そういう意味でイーデンの意見に非常に賛成である、こういうことを言われました。私たちもまことに賛成でありますが、ただイーデンが送ったメッセージの中には、もとよりそのほかにアメリカとの外交が基本であるということをはっきり言っておるわけです。私はこれはイギリスの立場として当然であろうと思いますが、そこでまた総理佐多委員の御質問に対して、アメリカとの協力あるいは親善ということは現状においていたし方ないということを、その言葉そのものは正確でないかもしれません、現状においてはいたし方ない、こういうことを言っておられます。ところがそういうことが、結局アメリカからこの間の重光外相派遣問題等についてかなり手ひどいいわゆるお灸をすえられたと世間が考えるような仕打にあった原因ではないかと思う。私は総理が、安保条約、これが不平等なものである、今はしょうがないかもしれぬ、将来はこれを変えていきたいというような意向を示されたことには、これも私は賛成であります。ただ総理の片言隻句をとらえるのではない。基本的なお考えがどうもはっきりしない。もちろん、だれも、これはソ連も中共もアメリカもそうでありましょうが、第三次世界戦争をこいねがっている者はいない。また東西両陣営の間に平和関係がなければならないし、日本もいずれの陣営とも全世界と仲よくしていくのは当然のわれわれの外交の基本でなければならないと思うのですが、今、当面する鳩山内閣の苦悶というものは、あまりに放言、あるいは少し甘過ぎる考えあるいは選挙目当ての中ソとの国交調整に力を入れ過ぎた関係で、その比重を、対米関係のほうを何とか直そうということが、重光外相派遣という、こういう背景ではなかったかと思うのです。従いまして、私はさっきの総理の御答弁を伺っていると、外務大臣は非常に渋い顔をしておられたように思うのですが、(笑声)あえて総理大臣にもう一ぺん伺いたい。対米関係については吉田外交を踏襲する、対米協調は外交の基本であるというお考えと、今申されたような、アメリカとの協力親善は現状においていたし方ない、こういうこととは、言葉のあやの問題になって、本質的に違うと思うのです。これは非常に重大な問題であるから、はっきりとした対米関係をどういうふうに考えられるかということを伺いたいと思います。
  79. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 私はどういう機会にいたし方ないと言いましたか、ちょっと……。いたし方ないと申しましたのは、安保条約にしろ、行政協定にしても、日本は軍隊を一つも持っていない国であるから、ああいうような条約をするのもいたし方ないと思いますという意味で言いました。アメリカとの協力関係というか、親善関係外交の基本としなくてはならないということも、いたし方なくやっているのだという意味で申したのではないのであります。その点はどうぞ御了解を願いたいと思います。
  80. 曾禰益

    ○曾祢益君 それでは結局、私たちはだいぶ喜んだのですが、(笑声)結局はそうではなくて、アメリカ関係を、協力関係を基調とする、こういうことになるわけですか。
  81. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) そうです。
  82. 曾禰益

    ○曾祢益君 ただいま岡田君の御質問に対して、重光外務大臣の派遣の問題はこの間のことでしばらく中止というふうに伺ったのですが、そうなりますと、アメリカ派遣の問題は、主としてやはり防衛分担金――予算に間に合わすように防衛分担金交渉をワシントンでひざ詰め談判するということが主たる目的であったということにならなければ理窟が合わないと思うのです。そういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  83. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) とにかく私はアメリカとの間に誤解があってはいけない、日本の主張はどういう意味でこういうことを主張するかということの基本を了解してもらうことが非常に必要だと思いまして、それで自然休会を利用してだれかが行ったほうがいいだろうと、こういうような考えを持ったのであります。
  84. 曾禰益

    ○曾祢益君 それならば、そういう必要はそのときはあったけれども国会が終ったころにはもう要らないというお考えですか。自然休会中ならお送りになるお考えであったわけですね。
  85. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) そうです。
  86. 曾禰益

    ○曾祢益君 一般的な了解を求め、あるいは了解を遂げるために、まあ国会が再開したらこれはもちろん問題になりませんね。しかし六月ころに、アメリカ都合のいいときには、また総理みずからかあるいは外務大臣を派遣するお考えであるか、この点を伺っているわけです。
  87. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) まあできるだけアメリカとの間に誤解があってはいけませんから、行けるような機会があったらば行ったほうがいいと思います。重光君と限るわけではありませんけれども
  88. 曾禰益

    ○曾祢益君 先ほど小瀧委員から、このアメリカ派遣問題について、特にこの問題について総理大臣のほうが非常に叱られておられたようですが、私はこの重光外務大臣も、そういう困難な異例な交渉をやれという総理意見が閣議で出たときに、それは困難であると、そういう点をもっと十分にこれを説明していくことが、外務大臣としてのそれこそ当然の責務ではないかと思うので、この点については必ずしも鳩山総理の思いつきだけが悪いのではなくて、これを補佐するといいますか、外交については、副総理外務大臣として、そういうアメリカに足元から鳥が飛び立つようなあわただしさで、防衛分担金交渉していくということは、全般的なアメリカとの了解をゆっくり求めるという大きな意味があるとするならば、却ってそれはマイナスになるというくらいのことは、外務大臣として閣議で主張されるということが、おそらく国民が期待しておったところではないかと思うのですが、外務大臣は、とかく閣議において、あまり十分なる発言権を認められてないというようなうわさを招いていることは、はなはだこれは内閣のためにとらざるところだと思いまするが、外務大臣のお考えを伺いたい。
  89. 重光葵

    国務大臣重光葵君) その点の御注意は、あるいはそうかもしれませんから、私も十分反省をいたしまして、御注意の趣旨を私自身参考にいたすことにいたします。
  90. 曾禰益

    ○曾祢益君 対ソ交渉についても、いろいろ同僚岡田委員から質問もありまして、私も交渉地の問題については必ずしもニューヨークが適当とは初めは思っておりませんでした。これはむしろジュネーヴとかニューデリーというようなものを考えたほうが、これはやはりソ連立場考えて、総合的に日ソ交渉を早くまた有効にやるという意味からいえば、必ずしもニューヨークが妥当であったかについては、やや疑問を持つものでありますが、この交渉地をどうするかということは、今交渉のそれこそさなかでありまして、ソ連がこの間一旦受諾したような形になったのを、またそれをくつがえしてくるということも、慣例上もおかしなことだと思いまするから、私はそれらの点について、交渉地をどうしろとかああしろとか、政府の最後の腹はどうだというような質問はいたしませんが、要はあまりそういう点にこだわらずに、やはり内閣があれだけ一生懸命にやろうと選挙中に言われたことは、私は決してこれは空宣伝ではないと信じたい。また総理気持は非常にそういうふうに考えられまするから、ありまテクニックにこだわらずに、そうしてすみやかに交渉地の問題にもいわゆる折り目をつけて、そうして本当に日ソ交渉を早く有効適切にやる考えであるかどうか、この点を伺いたいのであります。もし交渉地の問題等によってデット・ロックになるようなことがありとするならば、これは重大なる民主党の公約違反になるということを申し上げたいのであります。総理大臣のお考えを改めてもう一ぺん伺いたいのであります。
  91. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 曽祢君のお話はごもっともだと拝聴いたしました。
  92. 曾禰益

    ○曾祢益君 アジアアフリカ会議についてもすでに同僚委員から要点に関連する御質問があったので、タブるようでございますし、私自身も、国会の方の御許可を得て、いわゆる顧問といいますか、私自身はオブザーバーであり、むしろ監視役のつもりでおるのでありまするが、しかし一行に御同行申し上げる立場もありますし、それらの打ち合せ会も別途、内閣と申し上げることになっておりまするから、これもあまり内容に立ち入ったお話を申し上げるつもりはございません、今日は。ただ私は、はなはだ遺憾だと思うのは、これはやはり佐藤委員からもそういうようなお気持でお話があったかと思いましたが、何といってもこれは総理もしくは外務大臣、あるいは総理及び外務大臣、こういうようなことが主催国側からも希望しておるのみならず、またわが国の自主的な判断からしましてもこの会議のいろいろな重要性を考え、歴史的重要性を考えて、今さら高碕さんを代表にされたあとで蒸し返すようでありますが、これは決して高碕さんが云々というわけではありませんが、もう一ぺん外務大臣が、まあアメリカに行かれなくなった以上は、オープニング・アドレスぐらいはこれは総理外務大臣が乗り込んでいくというくらいの手を打つお考えはないかどうかをもう一ぺん一つ伺いたいのであります。これは私は決して思いつきじゃなくて、現実には一応四月中の議会の模様はわかりませんけれども、かりに議会があっても、総理もしくは少くとも外務大臣が首席代表で出られるのが私は当然だ、こう思っておりまするが、多少間をとりましても、開会劈頭のオープニング・アドレスには行って、それで議会の模様によっては次席代表に譲るというようなことは、私は儀礼的にも当然やるべきじゃないかと思うのですが、いかがに総理大臣及び外務大臣はお考えですか。
  93. 重光葵

    国務大臣重光葵君) このAA会議に対する代表の全体的の考え方は、総理も私も御相談のときによくわかっておるのでありますから、今曽祢委員の言われる通り気持で進行いたしておったのでございます。しかし議会の何で、予算案を提出し、本会議も始まる、これをどうしても今重要な一般政治並びに外交の問題、これに対する議会の仕事をあけるわけにはいかぬ、これが最高の責務である、こういうことで、これを次善の方策を講じたのでございます。議会の方で差しつかえがないということがはっきりすれば、これはその点はまだ御相談も何もありませんが、私一個のことについて申し上げれば、私は、それはどんなことでも最初の目的通りにこれに行くということも少しも私は辞するところではないのでございます。ただ問題は議会の仕事ということなんでございます。今お話では、議会がたとえあってもというお話でございますが、それはどうでしょうか、御相談の結果によります。
  94. 曾禰益

    ○曾祢益君 必ずしも、私、議会側ですから、もちろん議会尊重の立場に立つわけで、議会の用務がある場合に、しいてとは申しませんけれども、しかしおそらく四月中の議会都合によっては、あるいは少くとも開会のときには行かれるというような場合には、これは飛行機に乗ってちょっとバンドンくらいまで行ってくるくらいのお考えがあるかどうか、そのくらいなやはりウェートをおいてもらいたい。こういうことを申し上げたわけですから……。総理どうですか。
  95. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 重光外務大臣は、最初はバンドン会議出席するつもりでおられたのであります。ところが議会開会当初において、重光外務大臣議会出席しないで出かけるということは、とてもそういうことはできないというのが閣内多数の意見でございます。それで重光君が行かないことになったのであります。
  96. 曾禰益

    ○曾祢益君 その点は……。
  97. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) もう時間が参りました。
  98. 曾禰益

    ○曾祢益君 それでは最後に一つ、よろしゅうございますか。  私が今申し上げたのは、何だか日本政府態度が、アジアアフリカ会議には経済問題、文化問題という面だけで適当にあしらっておくと言っては語弊があるけれども、あまり政治問題に介入したくない、非常に消極的な態度で、そして総理外務大臣が出られなかったのだというような、こういう印象をもし与えたならば、これは非常にわが国のためにならないと思うので申し上げたわけであります。その点はもし議会都合がつくようならば、もう一ぺんお考えを願いたいと思います。  最後に、私は先ほどの佐多委員外務大臣との応答の際に、どうも話が少しずれておったように思うのです。外務大臣の御答弁が……。私は国際連合の、これは必ずしもアジアアフリカ会議の問題だけではありませんが、アジアアフリカ会議で、この未開発地域開発及び自治領、独立を得ていない国に対する同情、こういうようなことが非常に大きく取り上げられることは当然でありまして、そこで政治問題は別としても、経済開発、あるいは技術援助の問題は、特に東南アジアの国だけでもございませんので、いやしくもコロンボ・プランというようなものを持ち出すのではなくて、やはり国連というような、広い世界的規模で開発をやるべきだという、そういう点を打ち出すことが私は非常に大切であって、たまたまコロンボ計画に触れられたお話でしたが、そういう点は当然御考慮があると思いまするが、第二の点は、資金の関係からいっても、それはコロンボ計画なんかは、事実上はとても今のところイギリスやそれから英連邦諸国の内部からの資金では間に合わない。殊にアフリカの諸国、その他東南アジアに限らない大きな開発、アラブ地帯を考えたならば、やはり国連主義、そうしてそれはソ連も中共も加わるべき建前に立つ。それからファンドの問題についても相当思い切った提案をする。こういう考えが必要ではないかと思うのであります。その点が私はちょっと御答弁がずれていたと思うので、改めて私の質問にお答え願いたい。これば外務大臣からで結構ですが……。
  99. 重光葵

    国務大臣重光葵君) その御趣旨には私全然御同感です。少しも異論はございません。ただ資金の問題なんぞには、これは今、日本がどういう提案を、日本は資金は少しもない状況ですから、そういう点をどうするかというようなことは、よほどやはり技術的にも考えてみなければならぬと思います。趣旨は少しも異存はございません。もしバンドン会議で一緒に行かれるならば、できるだけ一ついい考えを出して頂きたい。
  100. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 次に羽仁委員
  101. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 私は時間の関係がありますので、非常に短かい時間で五つの点について伺いたいと思います。鳩山首相首相の地位につかれたのは非常な決意を持ってのことというふうにお察しをいたしております。ことに外交関係については、今まである意味においては非常に危険な方向に進んでいた外交の方向を、この際正しい方向に戻そうとせられることは、並々ならぬ大事業であって、これに成功せられるということであるならば、鳩山首相は、サー・ウィンストンと並んで国際的にも国内的にも感謝を受けられるだろうと思うのです。で、私は、このアメリカと友好関係を結んでいくということは、絶対に、つまり屈従的な態度であってはならん。友達を尊敬するゆえんは、やはりこちらの言うべきことを言うということでなければならない。相手の言うことだけに従っているということは、決して相手を尊敬するゆえんではない。で、必ずしも前内閣は屈従的態度をとられたというのではありませんが、しかし、サンフランシスコ条約結締当時の関係から、その点において国民が非常に悲しんでいた状態があった。それを脱却されようとするところに、あなたの国民の支持を受けられているゆえんがあるのだと思う。そこで伺いたいのは大体五点ですが、第一に、このアフロ・アジア会議について二つ伺っておきたいのです。先日の会議でも御意見を伺ったのでありますが、アフロ・アジア会議においての重要性ということを国民は非常に感じています。そこでやはり私は、この際もう一ぺんぜひとも鳩山首相がネールと会談せられる機会を作っていただきたい。それはもう詳しく申し上げませんが、ネール首相が今日努力されているところには、ちょうどサー・ウィンストンと同じように国際的にきわめて非常に高いレベルにおいて努力されていることは御承知通りです。そして、やはり首相がお考えになっていることもそういうようなところにあるだろうと思う。やはりこの機会を逸せずにぜひ会談をせられたいのです。それについては、事情が許せばぜひ会談をしたいというように先日本会議でもお答えがありましたので、そこで、ここで伺っておきたいのは、高碕さんが代表としてバンドンに行かれるわけでありますが、高碕さんを通じて首相はネール首相と会談せられたいという希望を表明せられる意思をお持ちであるかどうか。場合によっては日本にネール首相をお招きになるというような希望を伝えられるようなお気持がないだろうか。これがアフロ・アジア会議についての第一点。それから第二点として伺っておきたいのは、先日来、新聞等に発表せられておりますところを本日よほど外相も御訂正になったようでありますが、このアフロ・アジア会議の使命は実に重大です。先刻、首相は、イギリスのイーデン新首相が、イギリスとしては、アメリカにもソビエトにも双方に友好の態度をとっていきたい。これには同感だ。やはりアフロ・アジア会議における日本立場というものは、第一にはその点でなければならないと思うのです。そしてアジアが戦争の場所でなく、平和の場所になってほしいというところであろうと思うのです。ところで、具体的に必ず出てくる問題としては、一つは国連における新中国の議席の問題、いま一つは台湾の問題だろうと思うのです。この点については、特に昨日でしたか、八日の日本新聞に、アメリカのディーン前駐韓大使が、フォーレン・アフェアズ誌の中に、やはり何らかの方法で新らしい中国の国連の議席というものの承認ということが解決されることが必要であろうということを、アメリカのかなり高いレベルの方の御意見として発表されております。そこで最近のイギリスの論調を見れば、マンチェスター・ガァディアンという新聞をとって見ても、台湾をアメリカの防衛線として見ることは何人も信じ得ない。しかも最近のアメリカの国防会議等では、シベリア鉄道を爆撃するというような意見さえ出ている。こういう問題に対して、今日イギリスの街路といわず、乗合自動車といわず、下院といわず、ペルメルクラブの中でさえも非常な恐怖と憤怒とが溢れているということを言っております。最近のアメリカの新らしい中国に対する、あるいは台湾に対する態度は国際的に批判されているところがある。そこでこの点について伺っておきたいのは、鳩山首相はこのアフロ・アジア会議におけるこれらの問題に対して、日本はこのアメリカの最近のこうした批判を受けているような、イギリスの新聞ではほとんど気違いじみているというふうにまで言われているように、そういう気違いじみたようなアメリカの政策に追随していかれるおつもりか。それともネール首相が一生の念願をかけておられるような、アジアを平和な地域にするという意味において、新らしい中国の問題、台湾の問題も国際的に平和に解決されるというふうなほうにお立ちになるおつもりであるか。いずれであるか。この二点についてまず伺っておきたい。
  102. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) アジアアフリカ会議で、これを機会としてネールと会談をする希望を持っているかどうかということが第一点でありましたが、ネールあるいは周恩来と会談をするということはもとより希望を持つことは当然でありますが、ただいま向うに参りまして会うか、あるいはこちらに招聘をするかということについては何も考えておりません。  それから第二点は、平和目的としてAAコンファレンス、これは当然な事柄であります。そこでさっきもちょっと曽祢君の質問でしたか、だれかに答えたのでありましたが、台湾の問題などがやはりこのアフロ・アジア会議において問題となるだろうという、そういうような問題などについては十分あらかじめ審議をしていかなくてはいけない、今日まではまあツー・チャイナーズということを認めていることが一番世界の平和を維持していくゆえんになると思いまして、そういう考え方で今まではいたわけであります。それですから、中国が台湾を解放するということを直ちに着手するというようなことはどうも喜ぶことではないと思っておるのでありますが、必ずしもそれがアジアを平和にするゆえんじゃないだろうと思います。中国が台湾を解放せんとし、台湾が大陸に上陸せんとするような企てはお互いに捨つべきものである、そうして世界の平和をみずから守らなければならないというような考え方を今持っているのでありますけれども、よく相談をしなくてはこういう重大問題を決定するわけには参らないと思っております。
  103. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 第二点ですが、これは外相の訪米が中止された問題防衛分担費の問題でありますが、この点について二つ伺っておきたいのですが、これは日本予算があたかもアメリカとの交渉の解決によらなければ国会に出せないというような状況になっておることを国民は非常に悲んでいる。そこでぜひ伺っておきたいのは、高い意味における防衛というものは、やはり経済安定というものがなければ、肺病の人に鉄砲をかつがせるようなことをやって防衛にはならない。日本経済の自立という面をもっと主張せられるというお考えがないだろうか。第二には、先ほど、現存の状態において安全保障条約、行政協定の改訂ということを直ちに考えるという意思はないというお考えでしたが、しかし去る四月五日の毎日新聞の社説などにも、やはりこの防衛分担金の問題で、日本予算国会にも出せないというような状態が今後も続けられていくならば、その反作用は恐るべきものがありはしないか、従って先ほどお話にもありましたように安全保障条約、行政協定の上に問題がやはりあるのじゃないか、毎日新聞の社説も今度外相アメリカへでも行かれるならば、それの根本的な問題の解決ということを考えることが当然ではないかというように述べていますが、これは私は日本の今の世論を代表していると思うのです。そこで直ちにどうこうということを伺うのではありませんが、そういう点についてのお考えを伺いたい。それからそれと関連しまして、防衛分担金交渉を見ておりますと、アメリカ側が何本にもなって日本にかかって来て、現地の軍あるいは国防省あるいは国務省、それで大へん日本政府が苦しんでおられることを非常に日本国民は同情しておる。そこで、この防衛分担金の問題についてアメリカ側日本交渉せられるときに、アメリカ側において一本化せられることを主張せられることが当然であろうと思う。そこで最も高いレベルで話し合うことが当然に必要と思いますが、これらの点について首相のお考えを伺いたい。
  104. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 一国の防衛が、軍事ばかりではなくて、経済の自立ということが前提をなすものであるというようなお考え方については賛成であります。そういうような意味をアメリカに説明をしにくいのが重光君と話し合っていた要点であります。
  105. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 安全保障条約や、行政協定の問題についてはどうですか。
  106. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 安全保障条約や行政協定が、日本が軍備を一つも持っていないで、レベルが違った二つの国においての協定であるということはいなめない。それであるからして、ある時期には訂正されなくてはならないものであろうと思います。
  107. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 第三点は、ソビエトとの正常な外交関係の回復の点です。安倍野のおじいさんに対するお答え以来、国民は非常にあなたに期待しておる。そこで、二つの点ですが、第一は場所の点。これは先ほどからお答えを伺ってきて感ずるのですが、私はどうも日本外交というものが過去の状態を脱却せられることが必要であると思う。その意味で、重光外相がかなり自制せられ、慎重な態度をとっておられることには非常に敬意を表します。そこで、やはりこういう外交交渉というものは、まず当事者間の首府のいずれかでやるということが、これは当然であろうと思います。従って、まず当事者間の首府のいずれかが適当でないということになって第三の場所ということを考えるのが常識だったろうと思う。そこでもう一つは、先方から日本の好む所でというふうにおっしゃるならば、こちらからは、そちらの好むところでとおっしゃるのが私は当然と思う。こういうような点で、私はニューヨークというようなことが、やはりこれも私の考えばかりでなく、いろいろ見てみますと、去る八日のロイテルのワシントン電報で、ワシントンの外交官筋でジュネーブあたりのほうがいいのじゃないかということを言っておることを伝えております。私ども考えとしては、日本鳩山首相自身も御出席になれる形において高いレベルでお話を進められることがありがたいのじゃないかと思っております。東京新聞などを見ますと、ニューヨーク日本がやる場合は暗号電報も使えないのじゃないかというようなことも述べられております。そういう点がありますから、この点については更に根本的にお考え直しをいただいて、国民の期待に沿われることをお願いしたいのであります。それから第二の点は、やはり外交的に先方からある移度のことが与えられるならば、やはりこちらでもある程度のことを先方に与えるということが必要じゃないか。ところが中国とソビエトと日本との最近の実質上の外交関係は、向うから得るものばかりで、戦犯は帰してもらう、在留邦人は帰してもらう、貿易はやってもらうというようなことばかりで、ほとんど日本からは何を今までしていられるのかわからないのでありますが、そこで伺いたいのは、ソビエトから日本に対して戦争終結宣言というものがあった場合に、日本は何をなさるおつもりであるか。ソビエト、中国と最近交渉が頻繁であるのですが、それがいつも臨時の使節団のようなこと、あるいは民間、あるいは半官半民の形というものをとっておられて、あたかも日本政府がないかのような感じを与えていることも、国民の心配しておる点である。ソビエトあるいは中国と日本との間に何らかの意味において外交関係が開かれない以上は、外交上の代表ということはむずかしいにしましても、何らかの意味において、経済上あるいは文化上の代表機関というものが双方国に設置せられることが必要ではないか。それを国民は期待していると思いますが、それらの点についてのお考えを伺いたい。首相のお考えを伺います。
  108. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 外務大臣から先に聞いて下さい。
  109. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 今総理の御希望もありましたから、それでよろしかったら……。今の羽仁委員のお話は、大部分、私はこうやった方がよくはないかという御意見のように伺いました。これは伺って一つ私も参考に供することにやぶさかではございません。そこで、これは十分もう私よりもはるかによく御承知通りに、なかなか共産諸国との交渉はいろいろ複雑な裏面関係もありまして、非常に慎重にいかなければならぬように思います。今も慎重にやれというようなお言葉もございましたが、さようなことで、向うがこれだけこちらの何を受け入れたのだから、その次はこちらからすぐお返しをしなければならぬ、そう簡単に参りかねるかと思います。十分に一つそれらについて誤まりのないように進めていきたい考えを持っておることを申し上げて、御了承を得たいと思います。
  110. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 時間が参っておりますから。
  111. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 ただいまの点は、今まで日本国民が、いつも日本の外国に対する態度はパアマアストン的メソッドというか、武力によって相手を圧迫するか、そうでなければ相手の武力に屈服するというような状態を脱却できなかった、それを今日民主的な外交にどうか帰っていただきたいという意味で、先方とこちらとの間に合理的なかつ相互的な関係を確立していただきたいというお願いであります。  時間もないので、最後に伺っておきたいのは、中日貿易の点でありますが、先日、本会議でココムの枠をできるだけはずすということは賛成だというように首相もお答え下すったのは、非常にありがたいことでございますが、現在進行しておる中日貿易についてやはり一番必要なのは、中日貿易が日本国民経済生活にとって希望が持てるかどうかという問題でありますから、これに対して、単にこれが民間の交渉で進んでいくというだけでなく、政府としてやはりもちろん責任をお感じになっているわけでしょうが、十分の責任を持って、民間の使節によって解決された問題が実行に移されるような責任を十分に果されることを期待するのでありますが、いかがでございましょうか。
  112. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) できるだけ努力をするつもりであります。
  113. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 次に野村委員
  114. 野村吉三郎

    野村吉三郎君 私は専門家でもありませず、お尋ねすることは常識的なところだけでございますが、国家の非常に大事なことだと考えております。日本は独立自主、その外交をやるということは当然と思いますが、独立自主というものも絶対的なものではない。日本の国情がいろいろこれを制限しておる、こう思っておるのであります。日本は八千万人の国民に対して国内でできる食糧も衣料も不足しておるし、原料も足らない。自給自足できない国柄であります。どうしても貿易を盛んにならしめねば国民は飢餓に陥る。日本はその貿易の、トレード・ルートを大いに発展せしめなければならんのですが、まあ世界のいろいろな生産の状況、その分布しておるありさまを見て、わが国の貿易の大きな道は、どうも、将来は別ですが、近い将来にそう大変化ありとは思わんのであります。大体日本は貿易に圧迫を加えられればたちまち困る、太平洋戦争はどうして起ったか、満州事変、支那事変でいろいろ国交が悪くなりましたが、日本が仏印南部に進駐したのに対して、米、英、蘭その他から経済圧迫が来たら輸入がとまり、油が来なくなったというために、やむを得ず窮境を打開せんとして戦争にまで発展したと、私は当時アメリカにおりましてそう信じております。貿易はわが国民の生存に直結しております。貿易を盛んならしめるためには、わが国はどうしても国際信義を重んじ、諸外国よりに信頼すべき国であるというふうにして目的を達成せねばならんと思います。日本は四年前桑港において多数の国と平和条約を結び、同時に日米間に安全保障条約を結んで、それが議会の承認を経て批准せられ、三年前に発効しておるのであります。内容は先ほどのいろいろの御議論もあったように、これは正しい手続をとって改める方法を講ずるのは当然でありましょうが、これは遵守して行かなければならんということは申すまでもなく憲法第九十八条にも条約は守らなければならんとうたっておるように思います。しかしながら日本はまだ国交の正常化しておらない国との正常化を望むのは当然でありまして、日ソ国交正常化というのもその一つであると思います。政府がその実現に努力されておることは、国民が満足しておるところだと思います。ソ連全権が四年前サンフランシスコ会議で提案したところをみますと、むずかしい問題がたくさんありまして、これらの問題は直ちに日本の国運に関する大問題でありまして、日本としては慎重考慮せねばならぬ点が多々あると思います。領土問題、賠償会議を開いて賠償を決する問題、防衛の問題、宗谷海峡、根室海峡の日本側海岸、これを無防備にする。津軽、対馬海峡等の無防備、以上の諸海峡においてはあらゆる外国の船が自由通行できる。軍艇は日本海に面する国のみの海軍艦船が前述の海峡の自由通行ができるというようなことでありまして、その一つをとっても容易ならざる重大なる問題と考えております。そのとき以来四年もたっておりますし、ソ連考えも多少変ったでありましょう。これらの点は外務省の方々、関係当局の方が十分検討せられておることと私は思っております。今そういう細に入ることを避けますが、しかしながらドイツに対する平和条約、オーストリアに対する平和条約、この例を見ても、妥結までには数年はかかるのではないかと私は想像しております。同時に、日本はすでに結んだ条約は守らにゃならんのでありますから、問題は一そう複雑して参ります。日本は今十字路に置かれているなどの比喩などもありますが、それはともかく、鳩山総理大臣はこの際、民主主義が進歩した国がやっておるように、これはむずかしい問題とは思いますけれども、反対党の首領などに政府向うところをお示しになり、できるだけ超党派的な立場の調整をおやりになったらばいかがでありますか。交渉に当っては一つ日本として折衝したい、極力二つの日本となるのを避けにゃならぬと思います。すべての国は大体一つになっておる。そういうところの御用意ほどうであるか。当局者が折衝しておるのに、うしろから足を引っぱるというようでは、これは非常に国家のために憂うべきことだと思うのであります。こういう点においてある程度御成功になれば、外交の継続性ということも保たれて、ちょうどまあイギリスのようにいかんでありましょうが、一九四四年のポツダム会議をやっておる最中にチャーチルが選挙でやぶれて、そのあとにアトリー首相、べヴィン外相が出てきたが、外交は継続性を保っていって、イギリス政府には何ら支障もなかったというのは、うらやましいことだと思うのであります。こういう点について御意向はどうでありますか。そういうところにどういうふうに御用意があるのでありますか。私はバンドンの会議、先ほどから先輩諸委員からいろいろの質問がありましたが、これも重大な問題と思います。ここに二つの日本が現われておっては困るのでありまして、どうか一つにまとまってほしいと祈っておりますが、そういう予備工作を政府において、まあ外務省及び外務大臣においておやりになっておると思うのでありますが、この点も承わりたいのであります。  まあ時間の関係上一ぺんに申しますが、私は重光外相渡米問題、これは大きな問題に取り扱われて、新聞やラジオで初めて聞いた折に、日本の危機だというような大げさな文字を見て驚いたのであります。これはみずからあなどって外国がわれわれをあなどるのじゃないかというように私は感じましたし、当方が都合よいときに先方が都合が悪い、しばらく延ばそう、これは当りまえのことじゃないか。欧米の間でもありがちのことでありまして、私は現に一九四一年ワシントンで大使をしておったときでありますが、ルーズベルトが太平洋憲章を結んで帰ってきた直後、その折に、大統領がワシントンへ着くなり、私を呼び出していろいろの話をしましたが、そのときに大統領が言うのに、この会議はもっと早くやりたかったのだ。しかしながらチャーチルがたまたまバルカン問題が起って、多忙で、今日まで延期するのやむなきに至った。当時英米の関係でもそうであります。こういうことを回想すると、彼らの間では、話をして、あるいは電話をやって未成立のものがやみからやみに葬られておるのであると私は想像しておるのであります。まあ大した問題でないと思います。それで、今の内閣はオープン・デプロマシーをとっておられて、ガラス張りのうちで外交をおやりになっておるように思っております。これは時代の要求でもありましょう。しかしながら外交上には時に機密を要することもあり、一人相撲ではないのでありますから、当方、日本のカードをあまり机の上へ並べ立てるということは、又そいつを並べろという要求をするほうも無理じゃないか、そういうことをやるのが日本の利益に合致しないのじゃないかというふうに思っておるのであります。重要なることは内閣及び外務大臣が十分にお打ち合せになって、そうして内閣あるいは外務省から発表としてやられることが必要じゃないか。念のためこの点も伺っておきたいのであります。私のお尋ねしたい点はそれだけでございまして、簡明に御答弁を頂戴したいと思います。
  115. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 野村さんの最初におっしゃった超党派外交はまことに必要だと思います。私は内閣を組織する前に四党首会談がありましたときには、外交を超党派外交できめていかないと日本は非常に損するだろうという意見を四党首会談があるたびに申したのでありますが、さてやってみようというと意見があまりに違い過ぎて、超党派外交として四党首が集まれば何もできないという結果になるものですから、やむを得ず超党派外交はしばらく中止になっておる状態であります。しかしながら少くとも世の中の心配している重光君と私との間に外交上の意見について何かそこがあるように非常に伝えられておりますけれども、この点は全くないのであります。外務省の一部の人々はあるいは私の意見と違う人があるかもしれませんが、首脳部と私との間には意見の相違はないのであります。(「そんなの追っぱらっちまえばいい」と呼ぶ者あり、笑声)それはどうも……。(「吉田式にやりなさい」「吉田ワンマン式にやったらよろしい」と呼ぶ者あり)
  116. 野村吉三郎

    野村吉三郎君 ただいまの御答弁承わりましたのですが、まあ反対党の首領と打ち合せてやるということはむずかしいかもしれませんが、同じ日本だし、外国人が皆やっておるのでありますから、日本人だけがやれないという道理はない。皆が国を愛し、国利民福を考えておる人たちのなんでありまして、考えは、初めには違っておるかもしれんが、必ずそのある点に、ある程度の妥協はできる本のだ。二つの日本となって外国で折衝するというほどみじめなものはないと思いますから、まあそうお見捨てにならんで御努力のほどを私は切望いたします。
  117. 左藤義詮

    左藤義詮君 ちょっと関連をして……。
  118. 重光葵

    国務大臣重光葵君) その今のお話の点でございますが、私といたしましては、できるだけ努力してやりたいと思います。これは成否にかかわらず努力してやりたいと思います。また参衆両議院の外交委員会の、つまりこの席のごときは、私はできる限りそのつもりで御説明をいたし、またいたしたいと、こう考えております。
  119. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) これで一わたり各会派の御質問が済みました。それで持ち時間の余裕は、自由党は十一分ございます。草葉委員の御質問のお申し込みの順序になっておりますが、十一分でありますから、佐藤委員の連関質問ということはお譲りいただいたらば、大体そのくらいの時間は費されてしまうんじゃないかと思います。
  120. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっと自由党にお伺いしたいことがあるのですが、先ほど小瀧さんの御質問に、総理答弁されましたが、それについてちょっと御質問したいと思いますので、私に一分割愛いただけますか。
  121. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) それじゃ連関質問、よろしゅうございますな。草葉委員
  122. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 ただいまは、委員長からのお話のように、理事会の申し合せは私も尊重いたします。実は鳩山内閣外交、ことに鳩山総理外交方針に対しまする発言は、最近ネコの目のように変っておる。国民鳩山内閣外交方針であるかどうかすら疑っておる。まことに不安を持っておる。従って私はいろいろな立場から本日いろいろ御質問申し上げたいと存じておりましたが、理事会の申し合せ等を尊重いたしまして、今まで各関係委員から御質問になった問題で、鳩山総理の御答弁に腑に落ちない点、またまことに私どもけげんに思いまする点の三点だけを御質問申し上げて、はっきりと御答弁いただきたい。  第一点は、ただいま野村さんの超党派外交、さきに岡田さんから民主外交という問題で言われた点であります。これは民主党の結党宣言なり、要領を見ますと、「自主国民外交を展開して」と書いてある。自主国民外交の展開というのは、ただいまの御説明を聞きますると、おそらく鳩山総理は、超党派外交をもって民主自主国民外交という方針をとっておいでになる。しかし私ども最近のいわゆる新憲法下における国会の運営というのは、外務委員会を十分尊重し、これに対して政府考え方なり、あるいは秘密を要するときには、秘密委員会等をもっておやりになったらできる。(「君の方はやったか」と呼ぶ者あり)超党派外交というものは、旧憲法時代の思想ではないかと考える。(「吉田なんか一ぺんも出て来ない」と呼ぶ者あり)これに対する総理の所信を伺いたい。
  123. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 自主独立の外交という意味と、超党派外交という意味とは、さような観点が違っての文字でありまするから、自主独立の外交は、すなわち超党派外交なりというわけには参りません。(「その通り」と呼ぶ者あり)ただ超党派外交というのは、アメリカなどで党派が違っておるのによくバイパルチザン・コミッティというので、うまくやっていくのがうらやましいから、そういうような超党派的なものによって日本外交がきまっていったならば、さぞ外交はよくなるだろうというように考えるだけなんであります。超党派外交と自主独立とは必ずしも一致するものではないでしょう。
  124. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 そうしますると、言うところの自主国民外交というのはどういう方法でおやりになるつもりか。
  125. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 超党派外交によって自主独立の外交を樹立していきたいと思うのです。
  126. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 そうすると、さっきのお話とは違っておると存じまするが、この問題はそれで打ち切ります。  第二の問題は左藤委員の御質問並びにただいまの野村委員の御質問に対して、重光外務大臣と私との間には意見の不一致は全然ありません、こういうことをおっしゃっておる。ところが衆議院決議では、はっきりと内閣意見の不一致を文字に表わしております。これに対してさきに総理は、この決議は尊重しますとおっしゃった。そうすると、この決議によりますると、内閣は不一致であるということを決議しております。この点に対してはどういうお考えであるか。
  127. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 国会決議とか委員会決議というものは尊重するというのは当然の事柄であります。その外交委員会決議は何も重光君と私との意見が違っておるところを特に取り上げて、それを言ったわけではないと思います。すべてのものを総合してああいう決議案ができたものと思っております。
  128. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 これには、はっきりと、「ことごとに閣内に意見の一致を欠き、」とある。これを尊重するとおっしゃるから、意見は一致しておると言われることは私は矛盾ではないかというんです。
  129. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) そういうことの起らないように努めることが、すなわち決議を尊重するゆえんであると私は考えております。
  130. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 大体十一分が過ぎました。
  131. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 委員長もう一つ、領土の問題が……。
  132. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) ごく簡単に願います。
  133. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 小瀧君の質問に対して、千島とはどれだけのものかということは、必ずしも明治七年から一致したものではありませんということを言っておる。これは私はわが国の総理大臣としてはまことに、その答弁としては聞き捨てにならない答弁であって、自分の領土の千島が、それがはっきりしないということはどういう点から来ておるのか。はっきりしておると思う。外務省でもはっきりしておるはずであります。ことにサンフランシスコ会議におきましては、首席全権は、はっきりとこの点を明示しております。しかるに日本総理大臣が、ほかの国の大臣ならともかく、千島が自分の領土かはっきりしないということは、私はこれはお取り消しをいただきたい。
  134. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) ずいぶんむずかしいところに文句をつけるものだとつくづく思いました。(笑声)
  135. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 文句じゃありませんよ。
  136. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 千島はどの所属であるかということを、日本の主張として不明確だなどというようなことはあるはずはないのです。ソビエトにおいて、ソ連が、明治七年には、千島列島というものは大きな島を二つばかり抜かして千島列島といって交渉して来たことは御承知通りでありまして、ソ連において千島列島がどの範囲だということが確定しておるわけではないと申したのであります。
  137. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 それはとんでもないお話で、ソ連におきましては、すでに一九四七年の二月二十五日なり、あるいは四八年の三月十二日に、それぞれ憲法を改正して領土に編入いたしております。はっきりいたしております。これの中にはもちろん歯舞、色丹も含んでおります。しかもサハリン州という一州を設けております。それに対する御答弁一つ
  138. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 現在においてどことどこが千島であるということを言ったわけではないのであります。これからソ連との交渉をするに際しては、いろいろな事情によってそういうような談判をしてくるだろうからして、それでなかなかこちらの主張通りに決してまとまるものでないという意味で言ったわけであります。
  139. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 これは私は将来大へん大きい問題を残しまするので、むしろこの際かような問題は尾を引かないほうがいいからお取り消し願うほうがいいと存じます。
  140. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 時間が尽きました。お取り消しはありません。(笑声)そこで各会派にまだ御質問が残っておりますが、これをどうしますか。
  141. 羽生三七

    羽生三七君 さっきの私のやつは簡単に一問、小瀧さんの質問に対する答弁がどうしても腑に落ちないことがありますから、一問だけ簡単にお許しを願いたいと思います。
  142. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 一問だけおやりになって、簡単にやって、それでやめて、それからあとはどうしますか。ついでに伺っておきますが、防衛庁長官の問題について明日開きますか。(「それはあとで」と呼ぶ者あり)それじゃ理事の方にあとでお残りを願いまして、その相談をいたします。
  143. 羽生三七

    羽生三七君 先ほどの小瀧君の御質問防衛分担金削減の問題に関する鳩山総理のお答えがどうしても腑に落ちませんので、詳細はいずれ重光外相にお尋ねすることにして、鳩山首相がこの席におられる際に一点だけ明らかにしておいていただきたいのであります。それは、この防衛分担金削減できればそれだけ内政費へ廻すことができるので、これは社会保障との関係で非常にけっこうだからという御答弁がありました。これは小瀧委員はそれ以上追及されませんでしたが、もしそれならば、われわれ社会党の主張と全く同じなんであります。しかしアメリカ日本とは各種の協定で、防衛分担金削減するような場合には当然日本の自衛力漸増というものが期待されて、そしてアメリカ自身が、日本が負担するアメリカの分担金の削減に同意するという、そういう過程が予想されると思うのです。従って今度防衛分担金削減が事実実現できるとしますならば、――おそらく今明日であろうと思いますが、必ずそれについて何らかの話し合いとか了解事項と言いますか、そういうものがあると思うのですし、それから全然なしに無条件に防衛分担金削減アメリカが認め、そして日本の自衛力漸増に対して何の期待も要求もない、またそれで鳩山内閣が行くとするならば、全くわれわれ社会党の主張と同様である。これは御同慶にたえないところなんですが、その辺がどうも腑に落ちませんから、これは重要な問題だと思いますので、われわれ地方へ参っても、いろいろ質問を受けたときにこの問題に必ずぶつかります。放言ならとにかく、この委員会でおっしゃったこととしてはどうしても腑に落ちませんから、重ねてこの点一つ明らかにしていただきたいと思います。
  144. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 日本アメリカと条約によって防衛を漸増するという約束をしておりますので、防衛を漸増しないで防衛分担金削減してもらうということはできないと思います。それですから、防衛費を漸増すれば防衛分担金削減せられる。削減せられたるものはどこへ用いてもかまわないわけなんです。これは何も条約によって制限せられておりません。ただ見方によりますと、防衛力を漸増するという約束があるものだから、防衛分担金を減額され、削減せられたるものを防衛費の漸増のほうに流用するのだ、そういうように先にきめてかかるから、そういうこんがらかった意見がわいて来るのでありますけれども、防衛費を漸増するという義務を履行したあと防衛分担金削減ならば、その削減せられたものをどこへでも持っていけるはずなんであります。
  145. 羽生三七

    羽生三七君 もう一つ、いいですか。
  146. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) ごく簡単に。
  147. 羽生三七

    羽生三七君 それでは、今のことはわかりますが、そうすると、結局それは社会保障に回すとか何とか言われますけれども、内政費の全体のバランスには変りない。防衛庁費をふやしていって、それに見合うだけの分を何か社会保障費を非常に増額するような印象国民に与えるということはどうかと思いますが、これは質問じゃありませんから意見として申し上げておきます。
  148. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) まだ御質問がありますけれども、きょうの外務委員会は大体理事会のお話のようにこれで済ましたいと思います。外相は今日午後米国大使と会見の約があって委員会出席できないということでありますから……。
  149. 岡田宗司

    岡田宗司君 ただいまのお話ですと、これでもって今日は終る。午後は外相出席できないので、結局事実上委員会ができない、こういうことになる。ただいまの状況から見ますと、防衛分担金問題等についてはまだ十分に交渉経過についてもお伺いしてないし、又それと防衛計画の問題あるいは内政面との関係の問題についても今お伺いしておりません。従って今理事会を開くということは、それらの問題について午後にやるかどうかということを含めて、その際に杉原防衛庁上長官出席を求めるかどうかということでお話になるものだと私どもは期待しておった。ところがきょうは打ち切るということになりますと、これは少々事態が変って来るのじゃないかと思います。とにかく私ども防衛分担金の問題につきましては、外相、それから大蔵大臣並びに防衛庁二長官の三大臣の出席を要求して、これを続けていただきたいということを要求いたします。
  150. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 委員長から申し上げます。ただいま外相が午後に出られないというのは、ただいま委員長のもとに紙が来たのであります。午後に御出席ができることと私は思っておったのであります。そこで午後のこれから引続いての理事会では、防衛庁長官なしにやるか、あるいは防衛庁長官を呼んだ際に外相にも出て来てもらい、蔵相の要求は諸君からないのでありますから、新たに呼んでやるという御提案があってもよろしいのであります。
  151. 小滝彬

    小滝彬君 そういう工合で急に外務大臣が用ができたのはしようがないのですが、けさのお話では午後からも外務大臣がここに出られて……。
  152. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 私はそう思っておったのだ。
  153. 小滝彬

    小滝彬君 そこで外務大臣は何時ころからお見えになるのですか。午後は何時ころから……。
  154. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 実は今打ち合せをしなければならぬことで、今、私は通報を見たのです。三時過ぎからであります。いつまでかかるかということはここでお約束することはできません。しかし三時過ぎからやる。三時過ぎから私は用がある。僕は三時にここを出なければならぬ、三時までおやり下さっても私は少しもかまいません。
  155. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 一応委員会は閉じて、あとどうするか理事会でおきめになったらどうかと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  156. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) それではそういうようなことにいたしたいと思います。  ただこの際、委員長から申し上げておきたいのは、ただいま国際関係事情がいろいろな問題があるのでありますが、それに対しまして、国民代表である国会におきまして、政府に対してあるいは警告決議をするというようなことが衆議院にもあり、参議院においても御希望委員もあったようでありますが、私は十分に委員会意見の御陳述をそれぞれ代表によって尽されて、そうして(「十分じゃありません」と呼ぶ者あり)政府にも慎重な考慮をしていただくことが適当だと、こう思いまして、この委員会を開いたわけであります。で、この委員会の席上において、対米問題に関しまた対ソ問題に関してアメリカ誤解はないものと信ずる、しかしながら手続上不注意はあった、あるいは国際関係を悪化はしてはいない、遺憾な点はあったが悪化はしていないということで、不注意及び遺憾の点は政府といえども認めておられるのであります。ただその認め方がわれわれとはちょっと違うように思うのです。(「そうだ、そうだ」と呼ぶ者あり)そこで、今日の現状を十分に今朝から総理大臣外務大臣御聴取になったのでありまするから、これら不注意、遺憾についてお感じの点をもっと慎重に重くお感じになって、政府態度を一層慎重にしていただきたいという満場の希望であるということを十分に看取して善処なさらんことを、私は委員長として切望に堪えないのであります。これらに関しまして尊重をするというようなことで衆議院決議に対してはお答えがあったのでありますが、参議院のこの熱心なこの点についての国民の深い憂慮というものに対しては十分に将来御注意あらんことを私は委員長として希望をいたしておきます。
  157. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 御趣旨はよく拝聴いたします。
  158. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) それでは午前の委員会は一応閉ずることにいたします。    午後二時四分散会