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1955-06-22 第22回国会 参議院 外務・農林水産委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十二日(水曜日)    午前十一時四分開会     ―――――――――――――  委員氏名   外務委員    委員長     石黒 忠篤君    理事      鹿島守之助君    理事      小滝  彬君    理事      羽生 三七君    理事      苫米地義三君            大谷 贇雄君            草葉 隆圓君            重宗 雄三君            高橋  衛君            横川 信夫君            梶原 茂嘉君            後藤 文夫君            佐藤 尚武君            岡田 宗司君            佐多 忠隆君            曾祢  益君            山口 重彦君            井村 徳二君            須藤 五郎君            野村吉三郎君   農林水産委員    委員長     江田 三郎君    理事      秋山俊一郎君    理事      白波瀬米吉君    理事      三浦 辰雄君    理事      戸叶  武君    理事      千田  正君            青山 正一君           池田宇右衞門君            大矢半次郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            田中 啓一君            長谷山行毅君            飯島連次郎君            奥 むめお君            溝口 三郎君            森 八三一君            亀田 得治君            清澤 俊英君            小林 孝平君            三橋八次郎君            東   隆君            棚橋 小虎君            菊田 七平君            鈴木 強平君     ―――――――――――――  出席者は左の通り。   外務委員    委員長     石黒 忠隆君    理事            鹿島守之助君            小滝  彬君            羽生 三七君            苫米地義三君    委員            大谷 贇雄君            草葉 隆圓君            高橋  衛君            梶原 茂嘉君            後藤 文夫君            佐藤 尚武君            岡田 宗司君            佐多 忠隆君            曾祢  益君            山口 重彦君            須藤 五郎君            野村吉三郎君   農林水産委員    委員長     江田 三郎君    理事            白波瀬米吉君            三浦 辰雄君            戸叶  武君            千田  正君    委員            青山 正一君           池田宇右衞門君            田中 啓一君            長谷山行毅君            飯島連次郎君            溝口 三郎君            森 八三一君            溝澤 俊英君            三橋八次郎君            東   隆君            菊田 七平君            鈴木 強平君   国務大臣    外 務 大 臣 重光  葵君    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    農 林 大 臣 河野 一郎君    国 務 大 臣 高碕達之助君   政府委員    経済審議庁総務    部長      酒井 俊彦君    経済審議庁計画    部長      佐々木義武君    外務省参事官  安藤 吉光君    外務省条約局長 下田 武三君    大蔵省主計局長 森永貞一耶君    大蔵省主計局次    長       原  純夫君    文部政務次官  寺本 広作君    農林省農地局長 渡部 伍良君    農林省畜産局長 原田  傳君   事務局側    常任委員会専門    員       渡邊 信雄君    常任委員会専門    員       安樂城敏男君   説明員    外務省経済局次    長       西山  昭君    食糧庁業務第二    部長      桑原 信雄君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○農産物に関する日本国アメリカ合  衆国との間の協定締結について承  認を求めるの件(内閣提出、衆議院  送付)     ―――――――――――――   〔外務委員長石黒忠篤委員長席   に着く〕
  2. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) それではただいまから外務農林水産連合審資会を開会いたします。  慣例によりまして、外務委員長たる私が委員長の席を汚すことになっておるそうでございますから、さよういたしたいと思います。  農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  質議に入ります前に、委員諸君に一言お断わりを申し上げておきます。本件につきましては、私と江田農林水産委員長との間に協議をいたしたのでありましたが、その結果、連合審査会は、本日一日をもって終了することに申し合せができております。そのおつもりで御質問を願いたいと思います。従って本日は農林水産委員諸君に優先的に御発言を願うことといたしまして審議を促進して参りたいと存じますので、御協力をお願いいたします。  それではこれから質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言を願いたいと思います。
  3. 森八三一

    ○森八三一君 本件につきましては、昨日農林水産委員会で、外務当局出席並びに農林事務当局出席をいただきまして、ごく概要についてのお話しを承わったのでありますが、その過程におきましては、まだ十分了解のいたしかねる点が多々残されておりますので、質疑に入ります前に、経審長官の御出席もありますので、あらためて本件協定が成立いたしまするまでの経過につきまして御説明をいただきたい。と申し上げますのは、昨年の十一月、当時の通産大臣でありました愛知さんが渡米をされ、当時の総理渡米をされまして、本件に関する折衝が得たわれ、それを基礎としてこの協定ができたように承知をいたしておるのでありますが、その出発の当初において、日本側アメリカ当局に申し入れました当初の日本側考え方というものは、どういうような内容のものであったのか、一例をあげますれば、贈与に関する部分等は、昭和三十年度分といたしまして千五百万ドルということに決定をされましたが、当初の案は二千九百余万ドルというものであったというようなことでもあるのであります。こういうような変更が、将来、主として農林水鹿委員会で問題として取り上げようとしておりまする国内における食糧自給度を高めて参りまするために、きわめて急速に解決をしなければならん国家的な要請を進めて参りまする場合に、農業開発の面において、農林当局が従来考えておりました計画、その以後の実態から考えまして、今申し上げまするような贈与部分等相当に変革されて参りますることによって、その計画推進の上にも重大な支障が巻き起ってくるのではないかということも予測をされるわけでありますので、そういうような問題などを検討して参りまするのには、何といたしましても、当初日本側考えました交渉がこういう結果を得るに至りました経過について詳細に承知をいたしませんと審査が進みません。そういうような意味合いからいたしまして、今申し上げましたような経過につきまして、一応御説明をいただきたいと思います。
  4. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの御質問にお答えいたしますが、余剰農産物受け入れの問題につきましては、昨年の十月以来、これは折衝されておったのでありまして、前内閣当時にやられておりまして、愛知通産大臣及び吉田総理等アメリカに行かれまして、大体の折衝がついておりまして、一億ドル農産物を引き取るということになっております。そのうち御承知のごとく千五百万ドル贈与としてやる。残りの八千五百万ドルの中の七割は日本側がこれを長期借款としてとる。三割はアメリカ側日本において使用する。こういうふうな了解のもとに話が進められておったのでありますが、十二月、新内閣ができますと同時に、これを引き継いだのでございますが、そのときにはまだ支払い条件金利等の問題が解決されなかった。そのまま引き継いだのでありまして、大体の数量、その他の問題につきましては、十一月中にアメリカにおいて取りきめられておったのであります。従いまして私どもはこれを引き受けまして、実行いたしまする上につきましては、その数量、その取引条件等について、いいか悪いかということを検討いたしました結果、大体これは引き継ぐべきものだ、またこういうふうな解釈のもとに折衝を始めまして、まず最初、この支払い条件をどうするか、金利幾らにするかということをやったのでありますが、私ども予想しなかったことは、これは円で買いつけて、円で支払っていいものだ、こういう所存でおりましたところが、それはなるほどそうでありましたが、その円については、支払いのときにおける日本の円貨、ドルとのクローズがつく、こういうふうなことになりまして、それを会計上のことからいろいろ考えてみますると、円で買って、円で契約して、円の借款が時期の変化によって、円の価格が変るということは、これはどうしても認められないというので、ドルクローズを落すようにいろいろ折衝したのであります。ところがアメリカ側といたしますと、ほかの国ともやっておる条件が、いずれもドルクローズをつけておるということで、なるほどそうでありますので、どうしてもこれは変更することはできぬ、こういう状態でありましたから、そのドルクローズをつける以上は、むしろ円で借款なするかわりに、ドル借款にしておいて、支払う時期において、日本の都合において、あるいはドルで払うとか、あるいは円で払うとか、どちらでも選択自由になるように交渉いたしたのであります。ついに交渉の結果はこちらの希望通りに、支払いの場合においてはドルまたは円でやってよろしいということに相なったのでありますが、金利の問題につきましては、最初から、二分五厘くらい、こういうことの希望条件を出しておったのでありますが、いろいろ折衝いたしました結果、ドルで払う場合には、これは四十年の年賦といたしまして、最初の三年の据置期間は、無利息にするということになりましたから、そういたしますと、二分五厘大毛くらいになるわけであります。三年間の無利息期間を入れますと、もし円で払うということになりますと、これはやはり四十年年賦として、初めの三年間は無利息でこれを据え置く、あとは四分の利息をもって計算する、こういうことに相なりまして、ようやくその点で妥結いたしたような次第であります。
  5. 森八三一

    ○森八三一君 ただいまの経審長官お話しをいただきました、その前の過程があったのではないかと思うのであります。と申し上げますのは、農業開発にいたしましても、ただ、昭和三十年度、八千五百万ドル贈与分が、千五百万ドルという一年限りの計画でございましては、長期開発々進めて参りまする資余計画等も、樹立をされないということになると思うのでございます。というようなことからいたしまして、その折衝過程におきましては、昭和三十年度一カ年だけの交渉ではなくて、三カ年程度折衝が行われ、取りあえず、昭和三十年度はこういうことできめるというような経過があったのではないかと思います。それから贈与分につきましては、そういうようなことからいきまして、必ずしも日本政府が申し入れをいたしました当初の交渉というものは、こういう筋のものではなかったはずのように承知をいたしておったのでありますが、それがこういうことに落ちつきました、その交渉経過内容について承わりたい。
  6. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの御質質問に対しましてはアメリカ農産物余剰農産物処理法案等から考えまして、大体アメリカ側では十億ドル範囲において大統領にその処分をまかせており、そのうち七億ドル外貨をもって、アメリカから言えば外貨ですね、外貨をもって処分することはよろしい、あとの三億ドル贈与する。こういうような権限を三カ年間渡しておるわけでございますので、その三カ年ということにつきましては、最初のものは一年でございますから、あとの二年につきましてはどうするか、この問題につきましては交渉当時相当話があったのでありますが、そのことにつきましては、その当時の交渉に当りました外務省条約局長から御説明いたします。  ただ私がただいま解釈いたしておりますることは、このあとの二カ年は必ずしもわれわれのオブリゲーションになっていない。で、日本側がこれを希望するという場合は、今後これを折衝を進めていく。こういう考えでありますが、必ずしも二年三年はくくられておらない。それはこちら側の希望によればこちら側から先方折衝し、実行することができると、こう解釈しておりまするが、なお詳細のことは条約局長から御説いたします。
  7. 下田武三

    政府委員下田武三君) 前内閣時代のことでございまするから、前内閣時代事務を担当いたしておりました者として、前内閣時代経緯を簡単に御説明いたしたいと思います。  御指摘の通り内閣最初この問題を取り上げましたときは、十分アメリカの法律、つまりただいま経審長官仰せになりました三年計画、十億ドルという長期アメリカ側考えであるということは、十分日本政府考慮に入れてもらいたいと考えておったわけであります。それからまた仰せのように数量等も当初は一億三千万ドルくらいのものを持ち出しておることも事実でございます。しかしながら前内閣時代におきましても、三年間引き続き買うという約束は、日本側からいかなる形においてもいたしませんでした。先方も腹がまえは三年ということを考えておりました。わが方も三年ということを頭に置いて交渉したのでありますが、いかなる意味の約束もいたしておらないのであります。それからまた数量の点も一億三十万ドルないし三千五百万ドルというものを考えておりましたが、これは十億ドルのうち七億ドル買付になりまして、そうしますと、年にまあ二億三千万ドルくらいのところを何十カ国に分けるということでございますので、日本だけにそう大きな量を割当てるわけにもいかないというアメリカ側考慮もございますし、それからまた日本希望する数量品目等のにらみ合せも考えますると、やはり八千五百万ドル程度農産物が適当であるというところに、前内閣時代においてすでに八千五百万ドルの購入、及び贈与は一千五百万ドルというところに前内閣時代にもうきまっておったわけでございます。また金額のみならず、品目につきましても小麦、大麦、米、綿花、葉タバコ、それから贈与の方は脱脂粉乳等を含んでおりますが、そういう品目も前内閣時代にすでにきまっております。また経審長官仰せになりましたように、すでに積立金の中の使用割合、つまり米側が三〇%、日収側が七〇%という使用割合を前内閣時代におおむねきまっておったのでございます。それ以後は先ほど経審長官仰せになりました通り経緯で、五月三十日に妥結いたしたような次第でございます。
  8. 溝口三郎

    溝口三郎君 ただいま経審長官から御説明を承わりまして、昨日農林水産委員会におきまして、外務当局農林当局から従来の経過、ただいまの現状について承わったのでありますが、まだはっきりしない点がある。今繰り返して森委員から質疑をいたしたのでございますが、昨年の秋、前内閣愛知使節団渡米いたしまして、余剰農産物受け入れについての交渉をやった当時、金額では日本側希望は一億三千三百万ドルを三カ年、約四億を希望する。ほかに二千五百万ドルずつ三カ年贈与希望する。そういう大体の意向でもって行ったと思うのでございます。昨年の十一月にワシントンで、受け入れについては総額一偉万ドルにきまった、贈与は千五百万ドルにきまったというので、そのあと、ただいま御説明のように、ドルクローズ等の問題から今日まで延びてきました。この六月の末日までに国会承認を求むるという経過になってきたのでございますが、先般来経審長官は、今後の新協定については、持々刻々内外情勢が変るから、それの上に判断をすべきだ、ただ非常に有利な条件であるから、自分としては、なお買付希望したい。どっちつかずのようなお話でございますが、昨年の秋、この問題をアメリカ交渉したその時期に、この借款によって将来経済開発事業の目標を立てまして、それに基いて、私は交渉したと思うのです。ただ漫然、借款をして、そうして幾らでもいいから余剰農産物受け入れて、そうして受け入れただけの金で、あと何とかするのだというような、そんな考えじゃなかったと思う。たとえば農業開発にいたしましても、今資料が配付されておりますが、愛知用水八郎潟機械開架石狩川沿岸の篠津、この四地区について総額五百六十億円を五カ年ないし六カ年で事業をやりたい、そのうちで二千万ドルは、大体世界銀行で貸してくれるが、あと余剰農産物で処理したいという見こみで行ったと私は思っている。しかも、五百六十万円の事業費のうちでも、現在の制度でありますと、国費の負担になる分が約六割あるわけです。その分は贈与にしてもらいたい。そうして、あと地元で要る分を低利な長期借款によってやりたいというようなことで私は行ったと思う。先日来、将来の問題については、これは何も約束はしてない。どうなるかよくわからんが、さしあたり本年度は八千五百万ドル受け入れをきめていきたいというようなことでございましたが、その当時に、昨日お伺いしましたら、農業開発等についての内容は、向うにも何ら話はしてないようなお話なんです。それは私は不可解なことだと思いますが、もう少し交渉内容に立ち入って御説明をお伺いたしたい。
  9. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 私はただいまの御質問に対しましては、全く反対の意見を持っておるわけであります。昨年の農産物受け入れ一つ目的は、開発にあったかも存じませんですが、その受け入れます数量、それから品種、価格等につきましては、これは日本農業に影響するかしないかということが非常に大きな問題だろうと思う。それからもう一つは、日本対外貿易に大きな影響をするかしないかということが大きな問題でありまして、開発用資金をこれだけほしいから、これがために余剰農産物を買うのだ、こういうのはむしろ、それは全然目的がないとは申しませんが、それは従であったろう、こう存ずるわけであります。従いまして長期借款で得た金をどちらに使うか、何に使うかという問題につきましては、これはもちろんアメリカ側と、大きなワクについては相談いたしますけれども、細則につきましては、これは日本の自主権をもって処理していきたい、こういう所存でございまして、初めの交渉経過から申しますというと、私はこれははっきり申しり上げかねますが、私が聞いておる範囲でございますが、日本輸出貿易を振興するためにこの金を使いたいというようなことと、それから農地開発に使いたいというようなことで、アメリカ側了解を得ておったようであります。ところが、あとになって、輸出開発に使うということには、ちょっとアメリカ側は困る、むしろ日本の内地の産業開発に使ってくれないか、こういう希望があって、それで、あれが初めの考えでは、輸出入銀行の方の資金に回したい、こういう考えであったようでありますが、しかし、これを中途で変えまして、私どもになってから変えまして、これは日本産業開発電源開発に使う、そうしてあと農業開発に使う、こういうふうに変った、こういう実情でございまして、日本といたしますれば、実際問題から申しまして、これは長期産業開発に使うということは非常に有利である、低金利長期のものであるから、これはいい、こういうことは私どもは大きな、これを受け入れます重要なるファクターになっておりますが、その目的でこれをやった、こういうふうには私はとっておりませんわけであります。従いまして、現在農林計画といたしております愛知用水のごときも、来年はできればこれを使いたいというので、予算に入れておりますが、かりに来年できなかったときに、これは何といいますか、これは政府投融資関係なり民間融資なりでもってこれを補って、この計画は実行いたしていきたい、こういう所存でございますが、もしできますれば、これを使いますが、できなかったら、そうしていきたい、こういう所存でございます。
  10. 溝口三郎

    溝口三郎君 昨年アメリカ側交渉しました当時には、品目等について一億万ドル受け入れ計画した。その内容については、その当時話し合いがなかったのであります。輸出入銀行等に対してこの借款を回していきたい。それはその後になって情勢が変った。電源開発に移った。それは高碕さんになってから、電源開発が初めて出てきた。初めから出ていたのは農業開発で、私が申し上げたように、農林省は約六百億の事業計画をもって、そうしてそれが実行できるようにというので交渉に行った。ところが六百億のうち、三十億が今度決定になったようであります。その当時、何にも交渉をしなかった電源開発が、この際百八十二億も出てきた。この協定によりますと、大きなワクについては、日米双方の合意によってきめられた範囲内で、農業開発電源開発生産性の向上、この三つだと思いますが、この大ワクはきまった。内部の金額等については、これは日本政府で随意に決定することになっておるように伺ったのでありますが、農業開発の三十億の配分については、これはあと大蔵省から伺いたいと思いますが、六百億の事業費について、三十億で本年度配分になるらしい。ただいまのお話では、これがもし、この次には受け入れるかどうかわからない。受け入れなければ、この事業国内で融資なり、政府資金でやっていくように政府考えておると言うけれども、そんなに簡単に食糧増産に、五年ばかりの間に五百億も六百億も、これは経審長官経済六カ年計画をおやりになったから御存じと思いますが、六カ年計画で千三百五十億を計上していただいた。この点については、私は別の機会に申し上げますが、そんなに簡単に食糧増産に経費が回っていかない。しかも愛知用水法案は、すでに国会に提案されてきた。この将来の見通しを、借款による食糧増産計画農地開発計画というものをほんとうの動かない計画を立てないと、これは非常に危険なことが私はあると思うのです。そこまでまだ来年のことだから、内外情勢を見てそのときの判断によると言っておりますが、農林大臣は先般本会議において趣旨弁明があった際に、愛知用水八郎潟北海道開発等にこの事業費を充当していきたいのだという希望を持っているということを農林大臣は言っておられた。経審長官も非常に有利な条件だから個人としてはやってもいいというようなふうにおっしゃるが、先般外電で新聞紙上等では、アメリカではすでに新年度において余剰農産物処理等について本年度と同じ程度の支出をするようにということが、目下検討中だというようなことがあるのでございますが、そういうようにアメリカでも三年計画がある。日本でも最初三年計画を持ち出したのです。そしてその間に大きな問題は農業開発の問題があった。で、農林大臣は、この程度のものならば、計画している食糧輸入量範囲内にある、買い付けについても国際市場によって買うのだから損はないのだということまで言うていられるのです。だからはっきりした政府は態度をきめて、食糧の外国依存は困るけれども計画を立ててやっていくということは、この際私は言明なさった方が国民は安心するのじゃないかというふうに考えるのですが、アメリカでもすでに、来年のことではないのです。七月一日からアメリカは今度の新年度についての実施をしていきたいということを言われているのですから、その受け入れ体制についてどういうふうに経審長官はお考えになるかお伺いしたいと思います。
  11. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) だいまお説のごとく、私は日本食糧増産計画というものは、日本の現状から申しまして単純なる経済問題だけでなくて、社会問題その他いろいろな点から考えまして、とうしてもこれは実行していかなければならん。それには狭小なる土地の耕地面積をどうしてふやすか。その点については愛知用水八郎潟はもちろんのこと、あるいは北海道の方の開拓及び干拓事業というものはどうしてもこれは実行していかなければならんという考えは十分持っておりまして、これに対する計画だけは十分立てていきたい。その計画に対する資金の裏づけはそのときの状態に応じてやっていかなければならない。こういう考えでございますから、その意味から関連いたしまして、私個人の考えといたしますれば、こういうふうな条件で、あるいはより以上のいい条件でこのアメリカ余剰農産物を持って来て、長期資金が供給されれば非常に便利だと思って、私自身の考えではぜひ実行いたしたいと、こういう所存でございますが、まだ閣議としてこれは決定しておりませんわけなのであります。しかし現在の情勢から申しまして、世界の農産物の生産は順次増加しております。そうして特にアメリカにおいては米のごときも非常に生産がふえておるようでございます。だんだん世界の食糧品の市場はバイヤース・マーケット――買手のマーケットになっておる。こういう状態でありますから、私は今後日本の態度いかんによって、買い付けするということになれば私は容易にできるだろうと、こういう考えでございます。実は最近におきましても、私は個人的に、閣議の了解は得ておりませんですが、個人的に先方は来年度は売るだろうかどうだろうかという、こういったようなことを小当りに当ってみますると、どれぐらい買ってくれるのだ、売る、売らんの問題ではないのだ、幾ら買ってくれるのだ、こういうことの御質問を受けた。こういう状態でございますから、私はこちらの腹さえきまっていけば、買う方は私は来年度は容易だ、こう思っておりまして、楽観しておるようなわけなんでございます。そこでつまりどういうふうな結果にいくかということを見ることが必要でありますから、私はこの今回の余剰農産物受け入れましたにつきまして、日本国内に対する影響、これに対する国民の考えいかんということをよく確かめて、よく慎重に考えまして、そうして来年度はやるならばより有利な条件折衝いたしたい、こういう所存でございます。
  12. 溝口三郎

    溝口三郎君 ただいま経審長官は、個人的には、アメリカとの話合いで、向うで売るのをどのくらい日本側希望するかというようなお話があったが、まだはっきりしていない。御承知のように私は米については問題があると思う。麦については昨年は空前の大豊作で三千万石とれたが、本年度は二百二十四万トン輸入しなければいかん。そのうちの余剰農産物の関係は四十万トン程度、先日新麦収穫予想を発表しましたが、すでに大麦については昨年よりは三百万石減収になっておる、昨年よりか麦はどうしても、食糧輸入依存は困りますけれども、食べるものとしては私は昨年よりか余分に輸入をしなければ需給の計画が立たんのじゃないか、それならば、一体将来どうなるのだということを、目先に多少の有利な条件はあるかもしれませんが、それはよくお考えになっていただいて、受け入れるならば受け入れて、そしてこの借款によって事業計画に着手するのです。愛知用水もすでに着手しかかっておる。そのほか八郎潟も棚ざらしになりかかっておる、北海道も……。そういうものについて早く根本方針を、政府は高碕さんが先に立って立てて行くことをしていただかないと、来年の今ごろきめればよいのだというような、ゆうちょうなことは、これは時々刻々内外情勢を見ながらやっていくという答弁が先般あったようでありますが、早急に態度をおきめになっていただきたいと思うのです。それから高碕さんの方の関係かどうか知りませんが、電源開発の百八十二億は高碕さんになってからそういう問題が出てきた、これに対してそういう場所を選定なさって、そうして総事業費はどのくらい、そのうち本年度は百八十二億を電源に持っていって、何年間に完成するかというようなお見込みは、経審長官としておわかりになっておりますか。
  13. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げす。ただいまの溝口さんの御意見は私は非常に尊重しお聞きするわけでございますが、ただ来年の今ごろきめたらいいという、そんな考えはいたしておりませんから、さっそくわれわれはこの取引をすると同時に、もう七月から来年度になるわけでありますから、これはなるべく早く政府の態度をきめていきたいと、こういう所存でございます。御意見に従いまして私は早くやりたいという所存でございます。  なお、電源開発の方に百八十二億回したが、これはどうするかというお話でございますが、大体政府電源開発に対する出資額につきましては、電源開発会社に大体三百億という予定をしておるのでございますが、その予定の中にこの資金を繰り入れまして、この電源開発に使うという予定をしておりました金を輸出入銀行の方に回す、こういうような工合にやっておりますから、電源開発に百八十二億やったからこれは新らしくやれというのじゃなくて、電源開発会社の既定の方針の中の政府出資というものをこれに振りかえた、こういうだけでございますから、これをもってどこにやる、こういうふうには充てていないわけであります。従前の計画政府出資にかわるにこの金を持っていって、政府出資――投融資のものを輸出入銀行に持っていった、こういうふうに振りかえただけでございますから、さよう御承知を願います。
  14. 溝口三郎

    溝口三郎君 その点明確にしたいと思いますが、ただいまの御答弁では、電源開発資金は三百億なんで、三十年度でその資金のうちに百八十二億の借款が充当されるのか、その三分の二ぐらいは借款によってやっていくということなんでありますか。
  15. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) その通りでございます。
  16. 溝口三郎

    溝口三郎君 従来は電源開発事業については開発銀行が運用部資金の六分五厘ぐらいの、利子でやっておったが、今度はどういう貸付条件でおやりになるのですか。
  17. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 電源開発会社に対しましてこの金を使用いたします金利条件等は、まだ最終的にきまったわけではございません。ただいまのところ大体年四分くらいの金利で貸そうということにいたしております。
  18. 溝口三郎

    溝口三郎君 最終的に決定にならぬというのですが、いつごろ決定になるお見込みなんですか。
  19. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) できるだけ近いうちに閣議におはかりいたして、きめたいと思いますが、大体年に四分というようなことで考えております。
  20. 溝口三郎

    溝口三郎君 借款条件ドル払いにして、三分で四十年くらい。電源開発にはそれを約四分で貸していくというと、政府は剰余金が出てくるようなことになるが、それはどういうことになるのですか。
  21. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 先方に返します場合に、ドルで返せば三分、それから日本の自由な選択によりまして、円で返します場合には四分ということになっております。従いましてこれが四十年先まで全部ドルで越せば、そこに一分の利ざやが出てくるわけでありまして、その間に円払いが起りますと、そういう利ざやはなくなるというようなこともございます。それからまた何かの、四十年の長い間でありますから、何かのことで、借款の返済が、特別会計を作りまして、借款の返済をいたしますが、その返済金が少しでも足りませんと、この協定の細目によりまして、残額を全部繰り上げて払わなくてはならぬというようなことにもなっておりますので、その辺のことを考えまして、とりあえず四分ということで考えたわけでございます。その他事務的な取り扱い経費等、その他若干予想してございます。
  22. 溝口三郎

    溝口三郎君 電源開発にはとあえず四分で貸し付けるのだ、ドル払いならば三分なんだけれども、長い間たから円払いになるかもしれない、そんな不確定なことでは。私は初めから経審ではドルで三分で返す、実は二分五厘くらいで返したいのだ。ところが世界銀行がちゃちゃを入れてきたから、それじゃ円でもやってもいいのだというので、返す原則はドルで返すことにきめていられるのじゃないか。たからそこでやはりドルで返すことにしていけば、これは一分やっていけば、百五、六十億くらい剰余金が出てくる。それをとっておいてあとでどうするか。  なお関連して伺いたいのですが、農業開発には幾ら金利で貸し付けると予定しておりますか。
  23. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 四分で貸します場合に、これは必ずしも借款をいたしました金利とそれを使って日本政府が貸し付ける金利と、これは必ずしも一致させる必要はないと思うのでございまして、それは他の国内の金融的な貸し付け資金その他の状況も考えまして、まああまりおかしくないような条件ということもあわせて考えまして、四分といたしました。農業開発につきましても、同様に四分で君えております。
  24. 溝口三郎

    溝口三郎君 農業開発にも四分で貸し付けられることはわかるのですが、やはり電源開発と同じように。先ほど末私が申し上げたように、農業開発は当初の見込みが、着手すれば六百億の事業費になる。初めはそのうちの約六割は贈与を期待しておった。その贈与ができなくなった。そしてこの六百億の約三十億しか回らない。二十分の一なんだ。二十分の一だけのものを四分で借りても、あと資金運用部の資金なり、高い利息の金なんかを借りなければ、この次号ができないようなことになってくると、これはせっかく仕事を始めても、農民がみんな強制徴収でもされるような、そういう事態が私は起りはしないか。高い利息で、二十分の一の資金を借りて、そして着手していくのですから……。そこでそういうような剰余金が出たようなものについて、もう少し利益を均霑して、余剰農産物は御承知通り非常に問題があるのです。これで日本農業を圧迫するかどうかという問題もあるくらいだ。そういうような危険を侵してまで余剰農産物による借款によっていく場合に、電源開発、私は何も電源開発を非難するわけじゃないけれども、突如としてそういうものが出てきて、電源開発事業資金の、六・七割にはいくのだ。農業は十分の一くらいしか回らない。来年はわからないのだ。非常に高い国内の利子で仕事をやっていくといったようなことになると、最終決定は、金利を御決定になっていないようなお話なんですが、もっとできるだけ安い金利で、三分で借りたら、来年の交渉をなさるときには経審長官希望のように、二分五厘くらいで借りて、そうして農業もできるだけ均霑さしてやっていくような御方針で進めていただきたいというふうに考えております。あまり事業費が少いから、きのう農林水産委員会をやって、農業開発事業配分はどうするのだ。ところがきのうはきまらない。きょう大蔵省で出てこられたら伺おうと思っているのですが、新聞に出ていましたからきまったかもしれない。あの新聞に出ているようなことでやっていくと私は大へんなことになるのではないかと思う。そこで来年からのことはわからぬようなことで、それはひもがついていないような御答弁なんですが、できるだけ必要な輸入量のうちに最も一番有利な条件借款をして、そうして農業開発に着手したものは支障ないように進めていくという根本方針を経審長官は立てていただきたいと思うのであります。その点についてもう一応経審長官の決心をお伺いしたい。
  25. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 御説のごとく私は四分というものは決して安い金利とは思っておりません、農業開発をするにいたしましても。ただ私は電源開発会社をこの前にやっておりましたときに、大体外国に対する電源開発会社の借款は四分以上払えないというようなことを言ったわけでございますが、電源開発会社は政府出資が相当ございまして、これは当分配当しなくてもいい。それで開発銀行の金を六分五厘か七分、平均して四分につくだろう、こういうようなことでやっておるのであります。長期開発になってくれば、四分というものは決して安いと思うわけにはいかないわけです。これはできるだけ下げたい、こういう所存でおりますわけでございますが、今度の農産物受け入れにつきましても特別会計を作っていきたい、その中にはやはり一部分のものは国家の必要上、生産性本部などというようなものにも一億円出さなければならない。これは果して資金が回収できるだろうか、これは一つの経費のようなものになる、こういうようなことを考えますと、ここで相当のゆとりを持っておかなければならない、こういうような意味から先般来大蔵当局のほうではやはり四分ぐらいにしようじゃないか、こういう相談があるのですが、一部分の考えでは、これは三年間無利息なんだから、三年間ただにしたらどうか、こういう御意見もあるようでございますから、これはまだもう少しもみたいと思っておりまして、まだ四分というものは決定しているところにはいっておりません。大体今の空気では四分にきめるだろう、こういうことになっておるようです。御意見もあるようですから、よく考慮して取りきめたいと思います。
  26. 溝口三郎

    溝口三郎君 もう一ぺん経審長官にお伺いしたいのですが、事業の大ワクについては電源開発農業開発生産性向上という、この三つの、アメリカと協議した範囲で、配分金額については、これは日本政府決定して、アメリカはこれには関与しないのですか。その点明確にしておきたい。
  27. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 私ども了解では、電源開発に百八十二億、それから農業開発に三十億使う。一方生産性本部には一億五千万円を使う、こういう大ワクだけは向うと話し合いをつけているわけでございます。その中の金をどっちへ使うか、どういうふうに回すかということは、これは日本政府考え通りにいく、こういうことになっております。
  28. 溝口三郎

    溝口三郎君 条約局長にお伺いしますが、ただいま経審長官は、金額アメリカとの交渉決定したのだというお話でございますが、きのうはそういうふうに私は伺わなかった。その点についてもう一ぺん確めておきます。
  29. 下田武三

    政府委員下田武三君) 仰せ通り交換公文にも明らかになっておりますように、使用目的につきまして合意、すなわち電源の開発農業開発生産性向上という三つの主要目的につきまして、交換公文で合意が出ておりますが、その中におきましては全然日本側の自由に、随意に使えるということになっております。その金額約束と申しますよりは、交渉過程でインフォームはいたしましたが、協定並びに交換公文の方では金額についての約束はございません。目的についての約束だけでございます。
  30. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 先ほど私が申し上げましたことはインフォーマルで話しておることでございまして、今の条約局長の言うことが本当でございます。私はまだよくその事情を知らなかったわけなんですが、何に幾ら使うのだということは、それだけの数字は私は言ったのですが、それじゃお前の方は電源開発に百八十億は多過ぎる、こっちにもっと回せとかどうこうということは言っておりません。ただその報告だけはいたしておるわけなんでございますから、その金額のきめ方については条約局長が言う通りであります。さよう御承知願ってけっこうだと思います。
  31. 溝口三郎

    溝口三郎君 ただいまの御答弁ではっきりいたしましたが、私先刻来申し上げたように、まだ金利についても最終決定してないのであります。そして農業開発については非常に少い配分になりそうなのであります。ということになると、これはまだ二百十四億の配分については金利もきまっていないのに、それだけきめておいて、そうして最初の予定通りの六百億の仕事をやるというから問題が起きて、今もってこの農業開発配分ができないようなことになって、日本政府だけできめられるなら三十億の中の配分決定する場合には、もう少し全体に二百十四億の配分についてもできるだけ農業開発に均霑して円滑にこの配分計画ができるように、金利も関連するからという御答弁だから、私はまだそんな余裕があるのじゃないか。そして先ほど伺っておれば、長い間だからドル相場が下って円で支払うようなことが出るかも知れんというような、そんな不確実なことは今考えずに、あくまでも三分で四十年で返していくという見込みなのだということを、この際経審長官としてきめておいていただきたい、四分なら積立金利が三百億ぐらい余ってくる、そういうものを再配分するということをこの際御考慮になっていただきたい、その点についてお伺いいたしたい。
  32. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) その金利の問題につきましては、政府全体としてのほかの方の振り合いもあるものですから、借り入れた条件そのままの金利で雪行するということはできないだろうと思いますが、なるべく御希望に沿うように話を進めていきたいと思いますが、できるだけ農業開発の方に行けばというこういう御意見でございますが、この点につきましては、私は本年度計画につきましては大体アメリカ側にもそういうことを言っておるものでございますし、それでこの三十億をさらにふやして電源開発の方を減してどうこうということは私は不可能だと存じますが、今後のものができました場合に、これは十分御意見もありますから考慮していきたいと存じております。
  33. 溝口三郎

    溝口三郎君 農業開発の三十億の内部の配分問題について新聞等に報通されていましたが、そういう点については、農林省から御出席になっておるのでございますから、あとでお伺いいたしたいと思います。経審長官に対しては一応この程度で。
  34. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 委員諸君にお諮りいたしますが、経審長官は建設委員会から出席を切望されているそうでありますが、本日午前は当委員会に御出席を願うことになっており、経審長官は本案が予定の期日があるので、なるべく早く成立をすることを希望しておられるのでありますから、なるべく短かい時間に切り上げて帰ってこられるようなことで、この際一時退席されていくことをお認めいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  35. 江田三郎

    江田三郎君 今の溝口委員からの質問に今経審長官がお答えになっていたのですが、これは愛知用水の公団法が別に出ておるわけなんです。で、大体公団法を出された以上は、政府としてはこれにどういうような金を使うかということは考えて出されていると思うんです。そのほかに今度の三十億の中で、新聞によりますと篠津地区等々にも金を回すということが出ているわけです。従ってそういうことに今後全部でどれだけの金が要るのか、そうしてその中で国が補助をするものがどういう工合になり、国内で調達するものがどうなり、それから外資に待つべきものがどのくらいになるんだということが一つはっきりしませんと……。私たちとしてはそうなるというと、それじゃ外資に待つべきものについては世銀の関係がどうなって、それから今経審長官としては、今の政府の閣議決定ではないけれども、個人的にはアメリカに対して来年もこういう形で農産物を売いてくれるかということを交渉しておられるということは言われましたが、そこで全体の構想がはっきりわかりませんと、一体来年も再来年もどういうような、今年と同じような問題が出るかという私たちの見通しがつかんわけです。それで今年だけの問題は今年だけの問題ですが、来年もあるいは再来年もこの程度のもの、あるいはもっとそれ以上のもの、あるいはそれ以下のものが入ってくるということによって、国内の米麦なり、あるいは脱脂粉乳なり、そういうものに対する影響についての考え方がおのずから変らなければならん。今年だけのものなのか、来年もこの程度のものが入るのか、もっとそれ以上のものが入るかということによって私たちとしましては、いろいろ国内農業の観点から考えていかなければならんのですが、その点が大蔵省なり農林省の方からはっきりできて、そうしてそれに対して経審長官あとから御出席いただいて、そういう問題について経審長官の個人でお答えになりますか、あるいは政府を代表してお答になりますかしりませんけれども、そういうものはやはり答えていただかないと、この法案に対する審議を尽さないことになりますので、その点をお含みの上でぜひあとで必ず御出席していただくということでありますなら、ほかの委員会の都合もあることなら、私たちも決してここで無理を言うわけではありません。
  36. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 私はアメリカとの折衝をいたしておりました関係上、どうしても本月内に、最近の機会に日本の態度をきめて向うへ回答しなければできないことでありますので、私はこれは非常に重要なことだと思ってやっておることであります。ほかの委員会にはお断わり申し上げたいと思う。これは十分御質問にお答えいたしたいと思っておりますが、ただいまの質問の農地の計画等につきましては渡部農地局長が見えておりますから御質問にお答えいたします。
  37. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) それでは御出席の件は断わられて本委員会で熱心に諸君の御所論を聞いていただくことになりましたから、さような御承知を願います。
  38. 江田三郎

    江田三郎君 今お尋ねしましたが、ついでですから、一つ農林省の方で……。
  39. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) お手元に外資導入農地開発事業資金計画案という一枚の表をお配りしております。この表につきましては先ほど、けさの新聞等において引用されまして、いろいろの意見が出ておる、こういうお話でありますが、初めにお断わり申し上げておかなければいかんのは、まだ大蔵省と最終的にきまっておりません。けさも民主党の国会対策委員長のところでやりましたけれども、まだきまりません。それを前提にして申し上げます。総資金量につきましては、ここにありますように一番上の表で愛知用水、篠津、八郎潟、機械開墾、合計。一番右の端の欄で見ていただきまして、五百六十一億を要する計画になっております。これは先ほどからお話がありますように、昨年愛知通産大臣等がアメリカへ持って行った表から、その後の検討の結果、相当金額を減じております。たとえば愛知用水等につきましては、コンクリート・ダムをロックフィル・ダムに変えるとか、あるいは機械開墾につきましては、その後の現地の事情に応じまして、計画を精査の結果、この程度でいい、こういうふうな関係から減じたのであります。そのうち世界銀行から借りる分につきましては、第一段目の後段で五十九億を借りる、うち愛知用水には三十六億、篠津には八億、八郎潟には十億、機械開墾には今のところ三億というふうな計算になっております。残りをいわゆる円資金でまかなわなければならないのであります。残りは五百二億になります。そのうちただいままで余剰農産物関係として見合っておりますのは、三十年度の分のうち合計四十億になっておりますが、三十億であります。その三十億をどういうふうに配分するか、こういうことが今問題になっておるのであります。備考に、(1)でありますが、各事業の進度に応じて配分をするということが書いてありますが、これは実は機械開墾につきましては、本年度の当初の予定では開拓道路の建設だけを予定しておったのでありますが、余剰農産物関係の交渉おるいは三十年度の予算の審議が遅れているというような関係もありまして、実際に実行可能な事業がどれだけで、しかしどうしてもやらなければならぬ事業はどれだけである、それに要する金が幾らであるということで、その最高限度機械開墾については約二億程度必要となっております。それを増せばいいということで、大蔵省交渉しておるのであります。さらに篠津につきましては排水事業及び客土事業が主になっておりますが、それの事業計画を精査の結果、三億ないし五億あれば十分であるというふうに感じておりますので、その残りを愛知用水に回すということにしておるのであります。当初の計画では愛知用水、篠津、機械開墾の計画は一応愛知用水が二十一億八千、篠津が五億あまり、機械開墾が三億あまり、こういうふうにしておりましたけれども、機械開墾と篠津、これは御承知のように久場仕事ができませんので、着手が遅れると、それだけ残念ながら事業量が減りますので、そういう点を最小必要限度を算定して、どれだけ回すかということをただいま協議中でありします。これは三十年度の三十億の配分につきましては、一両日にはきまるという見通しを持っております。三十一年度以降の円資金の問題につきましては、先ほど来お話がありますように、余剰農産物を毎年継続するかどうか。継続した場合に農業開発農林省といたしましてはできるだけ回してくれというお話をしておりますけれども、それがどうなるかということと関連しまして、預金部資金から幾ら回すか、一般会計から幾ら回すかという点がきまるのであります。しかしいずれにしましても、円資金は従来農業開発に、灌漑、排水、開墾等に、農民にかける負担をオーバーしない同程度の負担以内でいかなる財源の資金でもいい、それを融通する。それからもう一点は、従来の食糧増産費に食い込まない、そういう二つの点を農林省条件といたしまして、将来の金は融通だてするという話し合いになっております。外資導入に基きます農業関係の資金計画の内訳を概略申し上げた次第でございます。
  40. 江田三郎

    江田三郎君 どうも外国から借款をして、借款の方は何か非常に急いでおられますけれども、それをどういう工合に使うかということが、まだ使い方がきまらんというのは何かおかしな話のように私たち思うのですが、それはそれとして、今のお話を聞きますと、こういうような五百六十億というような膨大な資金が要るわけで、しかもその中には世銀関係なりあるいは円資金につきましても、従来の食糧増産費に食い込まないとか、あるいは従来の農民の負担以上にはしないということになると、相当余剰農商物のような資金に期待されていると思うのです。従ってここで一たん愛知用水でもあるいは篠津でも、その他どこに持っていくのか知りませんが、そういうものが一たん始まったなら、この事業をやり遂げるためには、必然的にあとからあとから余剰農産物のような借款をしていかなければ専業ができない、こう考えてよろしいわけですか。
  41. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 私は三十五年度までのこういう計画を立てます以上につきましては、余剰農産物ができなかったからといって、これをやめるわけにはいきません。余剰農産物ができれば計画は非常に容易にいくだろうとは思いますが、財政投融資そのほかの面におきまして、この計画を一応政府が立てて、これを中途でやめるということくらいばからしいことはないのでありまして、これはいろいろな方面に表われておりまして、私は経済六カ年計画を立てるというところはそこにあるのでありまして、いやしくも立てた以上は、これを実行する方法についてどうやるかということを考えなければいけない。しからば来年度、再来年度はどうなっているかという御質問だと思いますが、そういうことはそのときの状況に応じて考えなければならない。来年余剰農産物ができますれば、実行は非常に容易になりましょうが、できなかったら、それはやめるのかというと、やめるわけにはいかない。各方面からしぼり出してもやっていかなければならない、こういうことでやっていきたいと存じているわけでありまして、全部余剰農産物に来年も再来年もよるというふうに安易な考えはいたしておりません。
  42. 江田三郎

    江田三郎君 非常に力強いお話をお聞きしたのですが、何にいたしましてもこれは五百六十億という計画では、その中で初年度においても円資金分として四十億円というものを計上されておりましたが、これもまず最初の年から三十億円以内ということに狂うてくるのですが、もしこれが来年あるいは再来年余剰農産物による借款がないということになりますと、五百何十億円というようなものが、そう長官のおっしゃるように、インフレでもやるのなら別でございますけれども、簡単に私は出るものじゃないと思うのでございまして、それではあらためてお聞きしますが、一体政府としては今後この六カ年聞に、ただいま農地局長が言われました食糧増産の経費というものは食い込まないということでございますが、その食い込まないというのは何を限度として食い込まないのか。そうしてこれをやるためにはさらに国の補助金というものは幾ら要るのか、これだけのことをやるのに……。そうして農林漁業金融公庫の資金にいたしましても、今年度あたり非常に窮屈なようでございますが、もし余剰農産物でいかん場合には、農林漁業金融公庫から出すのか、開発銀行から出すのか、どういうあてがあるのか、その点を一つお伺いいたしておきます。
  43. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 円資金の分につきましては、ここに掲げております事業を遂行するに必要な総資金のうち、世銀から融資を受ける以外のものでありまして、その資金は結局は、従来の国営、県営、団体営の国庫負担、県負担、農民負担の区分によって分担されるのであります。従来は国営の分だけにつきましては国が全部を出して、県負担分につきましてはあとから徴収する。団体営、県営の分については補助金でする。県あるいは地元負担分は、それぞれ県なり恥元の土地改良でありますれば、農林漁業金融公庫あるいはその他の資金源から出して事業を行なっていく。なお今度の計画では一応それらを、今の国が負担する分、県の負担する分、地元の負担する分、全部の資金を掲げたのがこの表でありまして、たとえば愛知用水につきましては初めにやはり愛知用水公社によってその資金を償って、それを先ほども申し上げました従来の負担区分によって償還さしていく、こういうふうにしておるわけでございます。従いましてこの円資金の中の金は初めに用意しなければいけません。これは今の考えではそれぞれの主体で別々に区別せずに、愛知用水では愛知用水公社がまとめて出して、あとで償還する。篠津、機械開墾につきましても、原則的には同様な考え方をしておりますが、多少やり方を変える場合ができてくるかもしれません。と申しますのは、機械開墾につきましては、特例会計がある程度やって、ある程度いけば機械開墾につきましても公社を作るなり、公団を作るなりという説が出ておりますが、これはきめておりませんので、そういう場合には原則的には今の趣旨でやりますけれども、多少違ったことが出てくるかもしれません。今申し上げましたように、初めにこの金をそれぞれの各自の責任において融通して、あとは従来の補助率によって負担して出すということになるのであります。従いまして資金源としては、次年度以降、余剰農産物がありますれば、余剰農産物条件は三十年度と同じになる。そのほかの費用につきましては、先ほど申し上げましたような、将来において農民なり府県が負担を償還する場合に、従来と異った、従来よりより以上の過重の負担とならぬような無利子の金あるいは低利の金ということを予定しなければいかんわけでありまして、そういう勘定に合うような資金計画をいろいろ作っております。たとえば余剰農産物が来年も三十億あるとすれば、今の結論を申し上げますと、愛知用水については、国庫の金が、三十年度三十一年度、十億円程度余剰農産物があるとすれば、無利子の金は三十一年度以降に約百三十億余りなければいかぬ。そのほかは六分五厘の預金部の金でやっていく、こういうふうな試算ができております。これは余剰農産物のやつが減ればもう少し無利子の金をふやさなければいかぬことになり、余剰農産物のあれがもっとふえれば、国庫負担分をもっと少くしていく、こういうふうな試算ができるのであります。
  44. 江田三郎

    江田三郎君 私の質問したことに対して答えていただきたいのでありまして、私どもが心配しているのは愛知用水の金じゃなしに、今度の金で三十億がどういう工合になるかしりませんけれども愛知用水あるいはその他の事業を一たん始めると、ここに書いてある五百六十億というような大きな金が要るのだから、従ってこの金というものは、高碕官長はもしそれがこなくてもどんなことをしてでもやるのだと言われましたけれども、五百六十億という農業投資がそう簡単に私どもは、日本の現状において、しかもこれはプラス・アルファですから、従来やっておるところの農業投資より別にこういうものが出るということは考えられないわけなんでして、従って一たんここで事業を始めると、今度は事業を始めたがために、来年も再来年もアメリカの今の方針が続く限りは、余剰農産物によるところの借款もしなければ済まぬのではないかということをわれわれは考えるわけですが、ところがそういうものがなくてもやるのだということなら、それなら具体的にその金はどこから出るかということを一応お聞きしておかなければならぬわけなんです。それについて今の渡部局長の話はただ抽象的な答だけであって、一つも具体的にはなっていないわけなんです。そこでこういうことがどうあろうとも、従来やっておるところの食糧増産のための公共事業費に出していくのだ、これは一般にですよ、そうしてそのほかに今言われたことは農民の負担というものは、これがために、この事業によって特に今までの糞業と違った大きな負担にはならぬのだ、こういうことでありますから、そこで一体これだけの事業をやるためには、あとからでも先からでもよろしい、国が補助すべきものは幾らになるのか、そうしてそのほかのものをかりに、高碕長官は余剰農産物の方がこなくても国内で調達すると言うのだが、それを調達するという場合には、どの資金をお使いになるのか、簡単に言われましたところで、一体そういうようなものは、今後非常に、高碕さんのやっておられるところの三カ年計画か何か知りませんが、そういうところの資金源と非常に大きな競合関係を生ずるわけですから、それをはっきりと言っていただきたいということなんでして、局長の抽象的答弁では困るわけです。もっとも大蔵省との関係がまだ具体的段階になっていないとおっしゃるならば、それは仕方ございませんけれども、自信のあることを言われるなら、自信のあるように一つはっきりしていただきたいと思うのです。
  45. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) そこで今のお話でありますが、大ざっぱに申し上げまして農民及び県が負担する分は大体半分、五百六十億の半分、それは国営では六割の国庫負担になっております。それから団体営では三割とか四割とかいうのがありますから、 それをひっくるめて申し上げます。大体総所要資金の半分内外が国の負担、こういうふうにお考え願いたいと思います。それの各年次の出し方は、従来ならば先にその半分を地元から取っていたのを、初めに国でめんどうをみてやる、こういう形式に原則としてなる。こういうことを申し上げておるのであります。なお、コンクリートな数字については、先ほど申しましたように試算はいろいろありますが、お話のように大蔵省と最後的に、冒頭にお断わり申し上げたように話がついておりませんので、ここへは出さなかったのでありますが、いろいろなケースの試算をやっております。
  46. 江田三郎

    江田三郎君 農民及び県の負担は五百億の中の半分だということになると、あとの二百五十億というものは余剰農産物借款によらないでやるといった場合には、どこから出すのですか、そうして従来の食糧増産に使ってる金というものは食い込まさないと言われましたが、従来の食糧増産に使っておる金はあなた方の標準としてお考えになっておるのはどれだけの金かということです。
  47. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 先ほどからお話申し上げますように、償還は建設後二十年ないし二十五年で償還金を取りますから、ただいまの国の負担以外のものがそういうように長く延びますので、年々の経費はそう大きい経費になりません。国も当制余剰農産物以外は、預金部資金の利子と余剰農産物の利子と見合って無利子の金を出すということならば、一般会計の金しかありませんので、それを出すことに、事業の建設中にはなりますが、それらを出す場合は、先ほど申し上げますように、余剰農産物の金、将来にわたる農民の負担が、先ほど申し上げましたような従来より以上の負担にならないようにという観点から、逆算的にそれでは毎年、国の一般会計の無利子の金を出す金額幾らあるかということが出てくるわけであります。それを年度割で割るのでありますが、たとえば愛知用水について、先ほど申しました試算で言えば百三十億を五年間で出す、こういうことになりますので約二十数億のものを一般会計から出さなければならない。それで、それじゃ従来の食糧増産費のワクに全い込んではならない、こういう条件をつけておりますから、当然それだけの分はここ数年来の食糧増産費として計上されておるものにプラスしてもらわなければならない、こういうことになります。
  48. 江田三郎

    江田三郎君 暑いから私の頭が悪いんかどっちかわからんのですが、やっぱりここにある五百億という金は、円資金として六カ年間に要るわけですね。そうして、その中で、初年度の三十億円というものは、この余剰農産物でやる、あと国内の金で調逃しなければならない、調通しなければ事業はできないのでしょう。そこで調達する金は余剰農産物のほうの借款がないということだったら、どこから調達できるのかということを私は繰り返し聞いておるのでして、どうもあなたの答弁と食い違うのですが、私の質問の仕方が悪いのですかね。
  49. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 私はその点で答えておるのでありまして、最初に申し上げましたように二年度、三年度余剰農産物を期待する、もしそれがない場合は従来の農民の負担以上にならないようにする、ということは先ほど申し上げましたように、農民の負担というのは、団体、県営では公庫から七分正座なり六分五厘の金を借りて地本負担で出さなければならない、それとくるめて元金の勘定を出すわけです。従って当初に出す金は、もしかりに余剰農産物がないということになれば、たとえば三十年度の九十三億は預金部資金と一般会計から出さたければならない、こういうことになります。そういうことを申し上げておるのであります。そのワクが、今のように預金部資金から何ぼ出して、一般会計から何ぼ出せばいいかということは、この事業を建設して、その以降において、農家が償還する場合の元利金の計算のもとが、従来の負担以上にならないようにという前提を置いておるわけであります。
  50. 江田三郎

    江田三郎君 農民の負担分のことまでまだやっていないので、たとえば三十一年度の九十三億、それから三十二年度の百十四億、こういう金はどこから出るのですかということを聞いておるのですよ。それで、よくもう一ぺん言いますよ。この余剰農産物の方で、これを出すと言うのなら、それならそれも一つの答えなのです。そうでなしに、ほかのところから出すと言うのなら、その出すと言っても、簡単なものではないのですよ。九十億とか百十億とかいう金が預金部資金から右から左へすぐいくとか、公庫の金が右から左へすぐいくとか、そういうばかなことはあり得ない。そういうふうに簡単にできるならば、高碕さんの三カ年計画でも何でも簡単なものですよ。そう簡単なことを言っても、不換紙幣を発行するわけでもないし、インフレでやるわけでもあるまいから、そういうでたらめなことを言っても答弁にはならないと思うのですよ。だからもう一ぺんあなた方のいう食糧増産のための経費には食い込まないと言われますが、食糧増産のために今後標準的に使われる金は幾らであり、これだけは絶対に確保するということがまず問題になるのですから、それは幾らですかそうしてそれは幾らということとは別問題に、この借款でやらん場合には、その金はたとえば公庫から出すとか、開発銀行から出すとか、預金部資金から出すとか、その出どころはどこかということを言っているのです。
  51. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 申し上げたつもりでありますが、もしかりに余剰農産物がなければ、お金の出どころは一般会計と預金部であります。その預金部から幾ら出す、一般会計から幾ら出すかということが、先の農家の負担を償還に当って従来よりよけいな負担にならないようにするということが、逆に出てくるわけであります。それから食糧増産対策費のワクということは、端的に申し上げますれば、今年の二百六十億内外ということなんであります。
  52. 江田三郎

    江田三郎君 これは一つ長官に確認していただきたいのですが、そうすると、食糧増産のために出す金の大体二百六十億というものは今後も出していかれる、そうしてこの余剰農産物の方の借款がなかった場合には、預金部もしくは一般会計から、これの事業を途中でやめはしないのですから、必要なものはそれだけプラス・アルファとして、これは新らしくお出しになる、こうはっきりした政府としての方針として了解してよろしうございますか。
  53. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの御質問食糧増産に来年二百六十億円も出すということにきめている、こういうことにつきましては、私まだ確認いたしませんから、これを一応よく検討いたしましてからお答えしたいと思いますが、しかしいやしくも政府がここにこれだけの案を立てた以上は、どんなことをしても、食糧増産に食い込まないで出すということの方針をとっていかなければならんかと思いますが、その数字につきましては、来年度は百十六億が減る、で、そのほか外国の金が入ってこない、余剰農難物がこなかったという場合にはこれをどうするのか、食糧増産の方に食い込まないか、こういう御質問だと思います。食糧増産が二百六十億円か幾らかということは私はまだ一応大蔵当局とよく調べた上でなければお答えできませんですが、しかしこれは必ず実行するということには御了解願っていいと思います。私はそう了解いたしております。
  54. 溝口三郎

    溝口三郎君 私はあなたに質問するつもりじゃないのですが、また質問をすれば切りがないと思うのですが、大蔵省が出ない、大蔵省がどういうつもりでいるのか、まだ決定にならないのに愛知用水はきまっている、法案も出たけれども、今朝の新聞を見ますと、篠津をやるとか、機械開墾をやるのだといったようなことが、これは決定にならない、余剰農産物でやるかやらんか決定にならんうちに、農林省の案じゃやるつもりでいたのであります。大蔵省の預金部資金から出すのか、一般会計から出すのかということが二、三日のうちにきまるということですから、この間に渡部さんから御答弁を願ってもこれはわからんのじゃないか。ただ私がお伺いしておきたいのは、新聞でははっきりしない点があるので、これは交渉をなさる場合どういう心持でやっているかを伺いたいのは、先ほど江田さんから御質問がありましたが、現在の食糧増産対策費、機械開墾、土地改良約二百四、五十億だと思いますが、それのワクにはしわ寄せはしないような根本方針であると、渡部さんはそういうふうに言っておられたが、今朝の新聞を見ますと、篠津はこれは現在国営でやっているのですが、これはさっきのお話の特別会計をあるいはこしらえて、国営事業のような仕事をやられるようになる、現在のを乗りかえていくのかどうかという問題と、機械開墾を一般会計の食糧増産対策費でやっていくようにという方針をきめたというようなこともあるので、ここら辺はどう交渉をしておられるのか、それは重大な問題だと思う。そしてなおもう一ぺんついでに申し上げて、これは経審長官に聞いていていただきたい。あなたは何か食糧増産対策費は数字的にはよくわからんがということを言っていられたんです。きのう三十年から三十一年度、三十二年度の三カ年の年次計画を、六カ年計画の前三カ年の年次計画をお出しになった計画部長は、そのときに、六カ年計画食糧増産は米麦を千三百五十万石増産の計画をしり、ただ三十年度には予算が少いので、これは百三十万石しかないが、将来二倍ぐらいの分量をやっていくのだ、そうして本年度事業費政府の国費の負担分と、公庫の金融の分を合わせて三百五十億出している。来年は六百八十億出すのだ、三十二年度は七百五十億出すのだ、こういう努力を、食糧増産のためにはあらゆる努力をしていく覚悟だということを、経審長官のところでは一応なさって国会に報告をなさった。大蔵省もそのワクについてはできるだけの協力をしようということをいっていたが、今、来年も食糧増産を、二百四、五十億のワクは食い込まないようにするというが、非常な違いが出て来た。そうしてその来年の六百八十億とか、三十二年の七百五十億にはこの五百何十億の借款による食糧増産は含まれていないといっていられるのです。だから私はどこまでもきのう六カ年計画の年次計画をお立てになって御発表なさったのだから、あれは千三百五十万石の食糧増産計画は、どこまでも自給度の向上については努力する、こういう問題は別にワクを立ててもらえるのだ、そこの方針をはっきりしないと、いつまでたってもどうも私は結論がつかないのじゃないか、そういう経過を私の方から教えてあげる。
  55. 江田三郎

    江田三郎君 その答えをいただくときに、溝口君からもふれておりますけれども、はっきりお答え願いたいのは、今農地局長なり、あなたにお尋ねしたときには、食糧増産の二百六十億になりますか幾らになりますか、数字は別にして、これには食い込まないということをおっしゃっているわけなんです。ところが一方きょうの新聞を見ると、もう現にこの事業の中のなんぼかは今年の食糧増産対策費の中でやるのだというようなことが、これは新聞発表ですよ、新聞に出ているのですからわかりませんが、そういうのが出ているのです。そうするというと、もう初年度から崩れてしまっているのじゃないか、あなたのおっしゃることが初年度から間違っているのじゃないか、そうするというと、今度は二年、三年、四年とこうやってきて借款の方がうまくいかんわ、いっても金は足らんのですから、そうなってくると、一体どういうことになるのかという非常な不安を持つから、高碕長官の方で政府を代表しての御答弁がいただけるのかどうかということを先ほども聞いたわけです。
  56. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 経済六カ年計画の三十六年度までにおきます食糧増産に対しましては、玄米換算として千三百五十万石、これに要する資金といたしまして、大体国庫は二千九百四十七億円入れる、それで融資を千百十八億入れる、こういうふうな計画を立てておるわけであります。これが年度別に分かれますというと相当金額になります。しかしながら来年度におきましても――本年度食糧増産計画に回した金は少かった、来年度は回す予定になっておりますが、それはただいま申し上げました数字は、愛知用水等のこういう事業も完成するものとして組んでおるわけであります。六年計画におきましてはですね、(「違う違う」と呼ぶ者あり)従ってこれはですね、千三百五十万石を増かする、それを組んでおるわけでありますから……。(「根っこから崩れちゃうからだめだ」と呼ぶ者あり)
  57. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) ちょっと後段の問題、新聞に出ていた話の問題でおりますが、これは大蔵省の話もまだ正式に承わったわけではないんですが、けさ開発庁の次長に会いましたら、大蔵省からは、特例会計を作ることが間に合わないから、篠津の方を余剰農産物の見返り円特別余計からつけておって、それでふえるから篠津の分の一部を、このいわゆる食糧増産費の分を機械開墾の根釧の方に回して、道路たけを早く確立したらどうだ、こういうお話があったように承わっております。これは金額を食い込むというお話ではないようであります。ただ金を早く使える方法はどういう方法があるかということを大蔵省の方でいろいろ考えているらしい、こういうことであります。なお、この点につきましては、私も大蔵省へいってどういう話か調べて、事業を遂行するのに支障があるのかないのかということを検討したいと思っております。
  58. 溝口三郎

    溝口三郎君 経審長官の先ほどの御答弁ですが、これは経審長官は数字のことは多分おわかりにならんと思う。これは事務当局に調べさせて、根本問題だと思いますから。六カ年計画食糧増産対策の千三百五十万石とこの事業とは全然別個のものじゃないかと私は承知しておるんですが、いつかの機会にこれを調べていただいてお聞きいたしたい。  渡部局長にお伺いしたいのは、何か余剰農産物についての世界銀行の借款については、従来の行きがかりのような仕事は、これは大きな仕事でも一般会計でやっていくが、愛知用水とか機械開墾、八郎潟とか、全然新しい仕事に、こういう事業費を回していくという方針から、今篠津の本年度の二億円ぐらいの事業費を、これを余剰の方へ入れて、その分の一般会計で余ったのを、これを機械開墾に回していく、そうすると機械開墾は本年度わずかに二億か三億だけれども、将来は三百億ぐらいになるとここに書いてある。その点については今質疑していてもきまらない。大蔵省の方と御協議になる点ですが、一般会計と余剰農産物資金について混乱をすると、 将来どっちの金だかわからんようになるから、その点を明確にしていただきたい。
  59. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) そういう問題がいろいろありますので、向うが会計法上この金をこう回したら、この金はこっちへこう使えるということが、私にははっきりまだしてないのです。いずれにしましても、引き続いてそういうことをやるという話ではないのでありまして、この夏着手するのに、できるだけ早く使うのに、余剰農産物の特別会計ができて、それが実施されるまでにはまだ多少間がありますので、篠津には一般の金も相当つけるようにしておりますから、暫定予算でもついておりますから、そういう点をにらみ合せて早く機械開墾の方に、道路建設の方に使えるような方法はないかということを検討しておるのであります。
  60. 森八三一

    ○森八三君 先ほど来の質疑を聞いておりますと、きわめて重要な問題にぶつかっておると思うのですが、この問題を究明いたしまするのには、財務当局の出席をいただきませんと、ここで経番長官と農地局長を相手にやっておりましても、財布を握っておりませんでは、さっぱりのれんに腕押しのような質疑になると思う。そこで時間も時間でありますから、しばらく休憩を願いまして、大蔵当局の出席を得て、この問題を究明するようにお取りはこび願いたいと思います。
  61. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 申し上げます。大蔵大臣は本会議終了後、本委員会に三十分間出席をして、別にやむを得ざるところがあるから退席をする、そのあとを受けて農林大臣が三十分間出席をする、こういうことで、与党と内閣の副官房長官との話し合いで委員長のところに通知があったのでありますが、大蔵大臣は、自分自身としては行かなければならぬところがあるから出席ができない、こういうことを今言ってきておるので、それでは本件の進行に非常に障害があるから、政府としてもお考えになって適当に処理されるようにということを委員長から申し入れてあります。しかし、いつ来られるか、どうなるかということはわかりません。そこで農林大臣出席を先にしまして、そうして大蔵大臣を待つということに出たいと委員長考えております。そこで時間が参りましたが、これより農林大臣出席を至急要望して農林大臣質問だけを済ませたいと思いますが、いかがでありますか。休みますか。
  62. 江田三郎

    江田三郎君 農林大臣には、ただこの問題だけでなしに、私どもとしましては、入ってくるところの農産物価格の問題、数量の問題、そういうような問題もいろいろあるわけですがその点一つお含みになって、とてもその問題に触れますと、これは三十分では済みませんから、そういう問題もあるということをお含みになって委員長の方で時間の……。
  63. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 委員長から今の何はさっそく通告しますが、三十分がこのために延び得るかどうかこれはわかりません。本案を通過させることについての政府の熱意がどこにあるかということでこれはきまることと思う。
  64. 森八三一

    ○森八三君 農林大臣は何時から三十分間という通告でございますか。
  65. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 本会議終了後三十分を経た後の三十分。
  66. 森八三一

    ○森八三君 そうしますと、時間が明確でありませんし、ただいまの質疑経緯から考えまして、先刻私議事進行の意味で申し上げましたそのことを究明しなければなりませんので大蔵大臣の出席が得たいと思います。どうしても他の公務のためということでございますれば、それは委員長発言のようなことになると思いますが、その前に、主計局がこの問題には十分関与しておると思いますので、主計局長を招致しまして事務的の審査を進めていくというお取り計らいをいただきますれば、かなり進行するだろうと思いますので、そういうような手続きを希望いたします。
  67. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) いかがでございますか。   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  68. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) それでは主計局長にすぐ出席していただく。そうすると、農林大臣は今予算委員会で答弁されておる。本会議終了後ということだが……、(「昼を食べようじゃないか」「一時間休憩どうです」「休憩しましょうや」と呼ぶ者あり)  どうですか。休憩いたすとしますと、一時十五分といたしましょう。一時十五分よりきっちり始めることにいたしたいと思います。それでは休憩をいたします。    午後零時四十五分休憩      ―――――・―――――    午後一時二十八分開会
  69. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) それでは午前に引き続きまして、外務、農林水産両委員会の合同審査会を開催いたします。
  70. 江田三郎

    江田三郎君 先ほどの問題は、いずれ大蔵大臣あるいは農林大臣その他の方々がお見えになってからまたお聞きしなければちょっと進行の仕方がないと思いますが、今見えておられます食糧庁の当局の方へ対しまして質問をいたしますが、まず第一は、今度入ってくるものの値段でございますが、これはFOB価格で、それに対して運賃がかかるわけですが、まず運賃は現在日本船とアメリカ船と大体どういうような数字になっておりますか。
  71. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) 船の運賃のことでありますが、今のところでは、第三国船が一番安くて、その次が日本船、その次がアメリカ船になっておりますが、大体現在のところで、アメリカからきますものは十四ドルくらいのところが現在でありますが、アメリカ船になりますと、これより三ドル程度高いんじゃないかというように見ております。
  72. 江田三郎

    江田三郎君 簡単に言われますが、小麦、大麦、米によって違うと思いますが、それぞれ日本船の場合、第三国船の場合は別になりますが、日本船の場合、アメリカ船の場合、それぞれ標準程度をお聞きしたいと思います。
  73. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) 大体私たちが現在想定いたしておりますのは小麦でありますと、ちょっと先ほど申し上げましたのと違っておりますが、日本船で太平洋岸のものにありましては十一ドル程度、それから米船といたしましては十三ドル程度、それからガルフ積みのものにつきましては日本船が十五ドル、米船におきまして十七ドルという程度に見ております。それから大麦につきましては、これは太平洋岸積みでありますが、日本船になりますと十二ドル程度、米船で十四ドル程度、それから米につきましては南部米になりますのでガルフ積みにいたしまして日本船が十九ドル、米船で二十二ドル程度ということになるのではなかろうかと想像いたしております。
  74. 江田三郎

    江田三郎君 それでこの協定にあります数字を算術的に金額をトンで割ってただいまの通貨を加えていきますというと、必ずしもこの価格が安いようにも思えないわけです。もっとも小麦、大麦、米、それぞれ質がございますから、体それぞれの、たとえば小麦の場合ハードとソフトとの違いがあり、米の場合にいたしましても、こちらへ来てから指定外米になる、普通外米になる、そういう差別がございますので、大体この協定によって買い入れるものは、小麦のそれぞれの種類、米のそれぞれの種類、大麦等につきましてどういう価格ということになっておりますか、運賃を別にいたしまして、FOBでどういうことになりますか。
  75. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) 米につきましては南部米のナンバー・ファイブの三五%ブライクのものを期待いたしたいというように考えております。それから小麦につきましては大体ソフト系のものとハード系のものとあるわけでありますが、大体の価格で見ておりますのは、米は百五十万ドル以内のものを期待いたしております。それから小麦につきましてはこれはウエスタン・ホワイトで見ておりますが、それの六十一ドル程度FOBであります。それから大麦につきましては五十四ドル程度のFOBを期待いたしております。
  76. 江田三郎

    江田三郎君 ちょっと大麦は五十四ドルとおっしゃいますけれども、三百五十万ドルを五万五千トンで割りますと平均は何ぼになりますか、六十三ドル幾らになるんじゃないですか。五十四ドルということになると、これは非常な違いがきますが、どういうことになりますか。――それじゃよろしいです。これはちょっと私もう一ぺんあとから計算してからお尋ねいたします。  それでまず第一に米の場合ですが、ナンバー・ファイブの三五%ブライクというものを私ちょっと、専門でないからわからないのですが、これは一体日本に来た場合は一体米の中のいい米になるのですか。南方米なんかと同じになるのですか。どういうことになりますか。
  77. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) これは日本に待って参りますと、現在配給いたしております日本精米の一、二等並搗き精度でございます。内地の一等品に匹敵するものを期待いたしております。大体それに合致する格をもっているものであります。
  78. 江田三郎

    江田三郎君 小麦の値段はウエスタン・ホワイト六十一ドルということですが、大体今予定しているのはソフトとハードだと言われましたが、ソフトとハードというのはどういう割合で入れるのか。ソフトとハードの場合それぞれの値段はどういうことになりますか。
  79. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) 大体小麦のこちらへの入れ方といたしましては、年間を通じまして、たとえば二百二十四万トンという数字を三十年度会計年度に輸入したいということを考えておるのでありますが、そ中で分けてみますと、大体ソフトが百万トン、あとのものはアメリカその他から合計しまして、ハード系のものないしはセミ・ハード系で入れるという計画をいたしております。従いまして、大体さような比率で今度のものを計画いたしたいと思っております。
  80. 江田三郎

    江田三郎君 今の比率で今度の場合も入るという、これは間違いないのでございますか。全体としてソフトが百万トン、あとハードで入れる。そうした場合には、たとえば小麦の場合にカナダ、アルゼンチン、オーストラリアとありますが、アメリカから入ってくるものが今の比率で入ってき、他の部分もその通りに入ってきて、ちゃんと百万トンとその他という振り合いになるわけですか。
  81. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) 大体の見当でございますが、二百二十四万トンのうち、ソフト糸で入れますものはアメリカから百万トンと見ております。あとアメリカからはさらに十五万トン程度をセミ・ハード系のものを入れたい。カナダはバニトバ、あるいは豪州はプロティンの多いFAQというもので、アルゼンチンのセミ・ハード系であります。
  82. 江田三郎

    江田三郎君 先ほどのウエスタン・ホワイト六十一ドルというお話でございましたが、ここに書いてある二千二百万トンを三十四万ドルで単純に割算いたしますと、六六・二ドルということになります。そうしますと、ウエスタン・ホワイト六十一ドルとどういう関係になりますか。六六・二ドルというのはこれは根拠のない数字になるのでございますか。どういうことになりますか。
  83. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) 六十六・何ドルというのはちょっと私わかりませんのですが……。
  84. 江田三郎

    江田三郎君 ここに余剰農産物受け入れについて買付計画の比較対照というものがありまして、その協定案によりますというと、小麦の金額に二千二百五十万ドル数量が三十四万トン、大麦が幾らと書いてありますが、先ほどちょっと申しましたが、大麦の場合にもあなたのお話では五十四ドル程度ということでありますが、これに書いてあるものを算術的に出していきますというと、割算いたしますというと、大麦の場合は六十三・六ドル、小麦の場合は六十六・二ドルということになって、今の第二部長の小麦、大麦の価格とは非常な違いがあるわけですが、そうしますと、この協定案の中に書いてある数字は根拠のないものを書いてあるのですか、どうですかというのです。
  85. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) これは何と申しますか、割算をいたしまして価格を出すということでございませんので、私たちといたしましては、いわゆる有利な価格買付けをいたすという趣旨になりますから、従いましてある程度当時想像いたしました価格よりも単価が動くということになりますと、それにつれまして、金額が固定いたしておりますから、数字が多少ずれて参るということになるわけであります。
  86. 江田三郎

    江田三郎君 ちょっとあと一つだけ聞いておきますが、この数出子が算術的平均で買うのではなしに、今おっしゃったような数字で買うのだということになりますと、たとえば大麦の場合の六十三ドルと五十四ドルというと、これは一割以上も値段が違っているわけです。それから小麦の場合でも非常な違いがあるわけでして、従ってこの数量が非常なふえ方をしてくるわけですが、そうなりますというと、片一方で出しているところの需給計画というものが非常な食い違いが出てきますが、それはそう解釈してよろしいですか。
  87. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) これはどういう種類のものを買うかというお尋ねでございましたので、私たちの需給計画いたしておりますその希望するものの計画をまず申し上げまして、話が逆になったものですからさようなことになったわけでありますけれども、大体大きく違わないところで、多少の数字的なずれというものは、単価の結果によりまして出て参ります。
  88. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) ただいま大蔵大臣が御出席になりましたが、長いことはおられないようであります。衆議院の予算委員会に出なければならぬ関係がございますので、この際、大蔵大臣に対する御質問をなるべく簡単に願いたいと思います。
  89. 森八三一

    ○森八三一君 午前中の質疑で不明とするきわめて重要な点がありますので、お伺いをいたしたいと思います。  と申しますのは、政府の立てられました経済総合六カ年計画に基きまする食糧増産計画は千三百五十万石という数字に相なっておるのでおりますが、これを遂行いたしまするための資金計画が、私ども承知をいたしておりまするところでは、とりあえず昭和三十年度は三百五十億、三十一年度は六百八十億、三十二年度に七百五十億程度承知をいたしております。しかしてこの金額は、今ここで余剰農強物の受け入れに関連いたしまして、農業開発計画せられております四地区の開発に所要する資金は全然関連がなく、別個のものであるというように今までは承知をいたしておったのでありますが、午前中における経審長官お話では、ただいま申し上げました三十、三十一、三十二年度食糧増産計画に伴う資金計画は、この余剰農産物受け入れによって別に計画推進されますので、四地区の開発に所要する資金は含んでいるのだというお話でございましたが、大蔵当局でもそういうように計画されておりますかどうか、その点をまず明確にしていただきたいと思います。
  90. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 含んでおります。
  91. 森八三一

    ○森八三一君 そういたしますると、ただいま私の申し上げました昭和三十年度は三百五十億ということでありますると、その三百五十億から、計画されておる別の四地区の開発に必要な資金が五十二億といわれますので、これを控除いたしました残額の資金昭和三十年度食糧増産計画ができるということになりますかどうか、それが第一点。  第二点は、もしそういうことになるといたしますれば、今回の余剰農産物受け入れによって、説明をされておりまする本年度三十億の資金が入るわけであります。その三十億の資金は、総合六カ年計画で予定されておる資金に余裕を生ずるということに相なりますかどうか。  それからさらに、この別個の計画によりますると、世界銀行からの借り入れも行われるということになりますので、それも資金の面から考えますると、その部分だけは余剰の数字が生まれてくる、こういう結果になりますかどうかをお伺いいたします。
  92. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これは経済審議庁で立てられておる計画であるので、私から申し上げるよりも経済審議庁から御説明をお願いした方がよろしかろうと思います。
  93. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) これは先ほど六年計画におきまして千三百五十万石の中に愛知用水のものが入っておるかどうかという問題でございます。千三百五十万石という数字には、その米の増産したものはその数字の中には入れておりませんが、資金計画は、六年計画の中に今回の愛知用水等も入っておるわけなんでございます。
  94. 森八三一

    ○森八三一君 私のお尋ねいたしましたのは、その総合六カ年計画に基きまして政府が立てられました資金計画の、私の承知をしておる三十、三十一、三十二と、この三カ年間の食糧増産に関する限りにおける資金計画は、おむね三百五十、六百八十、七百五十というような金額承知をいたしておるのであります。その金額が正しいということを前提に一応お伺いをいたすのでありますが、そういたしますると、その資金計画と、ここに議題になっておりまする余剰農産物受け入れに関連いたしまして別個に開発計画が進められるわけであり、その別個の計画に基く資金所要量というものが含まれておるのかどうか。それはただいまの大蔵大臣の御答弁で含んでおると、こういうお話でありますので、含んでおるといたしますれば、受け入れに伴う円資金が三十億別個に出て参りまするわけでありますので、経審でお立てになりました三百五十という初年度資金計画には三十億円の余裕を生ずるという結果になるのかどうか。それを差し引いたといたしますれば、余裕が生じないということでありますなれば、含んでおるというお話了解がいたしかねるという結果になるのであります。そのことをお伺いいたしたのであります。
  95. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) ただいまの問題は数字にわたりますから、計画部長から説明いたします。
  96. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 三百五十億の三十年度予算の中には、内訳は財政投資の分が、財政分で見ております点が約二百五十億でございまして、金融で見ているのは百億でございますが、その百億は農林漁業金融公庫等の金でございまして、愛知用水分はこれにプラスというふうに解釈しております。三百五十億に今の愛知用水の分をさらにプラスというふうに解釈していただきたいと、こう思うのであります。
  97. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると、先刻大蔵大臣と経審長官からお話しのありました総合六カ年計画計画されておる資金の中に入っておるというお話しと、入っていないという、ここに二つの数字が出て参りましたので、その点を一つはっきりしていただきたいと思うのでございます。
  98. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 三十一年以降の数字に関しましては、当然六百八十億、七百五十億と組みました中には、これは土地改良分の中として含まれるべき性質のものかと思いますが、本年、三十年度の分は、予算のきまりました分を集計いたしまして、農業に関しましては、こういう結果に相なっておるという次第でございますので、その中には含まれてございません。三十一年度以降には当然入っているというふうに御解釈願いたいと思います。
  99. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると三十年度資金計画の中には、余剰農産物に関して協定の成立いたしました三十億というものは含めておらんが、三十一年度以降はまだ余剰農産物受け入れるか受け入れないかということも未確定であるので、金額が明確でないという観点からしまして、含めておらんというように理解してよろしいのかどうか、重ねてお伺いいたします。
  100. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 三十一年度以降の数字に関しましては、これは予定数字でございまして、このくらいの金額があれば所定の、所要の増産が望まれるという数字でございますので、その中には愛知用水というようなのは当然含まれるわけでございますが、三十年度の分に関しましては、先ほど申しましたように、この六カ年計画を定めます際にはまだ愛知用水の問題等、あるいは余剰農産物の問題等もはっきりかたまっておりませんでしたので、その後予算がかたまって、その中から数字を抜きまして、大体今年度はこのくらい農業に使われるというような結果に相なっておりますので、その数字の中には愛知用水の分は入っておりませんと言ったのでございますが、ただ愛知用水の分はあくまで投融資の分に入って参りますので、その投融資の分は、先ほど申し上げました百億というのがもし何でありますれば、愛知用水の投融資の分を合わせまして百三十億なら百三十億というふうに申し上げるのがあるいは正当な数字かと思います。
  101. 森八三一

    ○森八三一君 どうも私頭が悪いからはっきりいたしませんが、そうすると、三十一年度の六百八十億という資金計画の中には余剰農産物受け入れを見込んで入ってくる数字を含めていらっしゃいますのか、そういうものは全然別であるのか、それをお伺いいたします。
  102. 佐々木義武

    政府委員佐々木義武君) 六百八十億、七百五十億と申しますのは、百万石あるいは百五十万石等の増産をするに必要な資金というふうに解釈してございますので、その中には、当然今後愛知用水の土地改良分がプラスになりますれば、その中に含まれているというふうに解釈していいのじゃなかろうかと思います。もちろんこの計数は何と申しますか、大量観察的に大きく観察したのでございまして、一つ一つの土地改良の、何郡の何反別がどう、何郡のどの工事がどうというふうにきめた数字でございませんので、当然この大きい金のワクの中にはそういう土地改良の費用は全部見ておるのだというふうに御解釈願ってけっこうかと思います。
  103. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると、総合大カ年計画に基く千三百五十万石の増産を推進するために予定される資金と、それから余剰農産物受け入れに伴って、それとは別個に計画されました四地町の開発に入り用なその年度の所要資金というものを、合計いたしましたものが六百八十億という見込みになると、こういうことになると思うのであります。そういたしますると、三十一年度に現実に余剰農産物受け入れに伴いまして別個に、大蔵省計画されておる原資以外のものが入ってくるとすれば、今申し上げました政府国内資金だけで予定をされている資金ワクのうちに余裕が生じるというようになると思いますが、そういうふうに受け取ってよろしいかどうか。  もう一ぺん申し上げますと、三十一年度には、まだ余剰農産物受け入れはきまっておりませんから、資金計画にそれを当てはめて見込むというわけには参りません。が、しかし総合六カ年計画に基く政府の増産計画はございますし、別個に計画されました四地区の開発計画もありまして、それに使用する資金というものもおおむねの計算はできる。そのため二つを加えて昭和三十一年度には六百八十億程度資金を必要とするであろう、こういうことでありますので、後日余剰農産物受け入れによって別個の資金が入ってくるということが確定いたしますれば、その金額だけは六百八十億のうちに余裕が生じてくるというように考えてよろしいかどうかということであります。
  104. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) この三十一年度の六百八十億、三十二年度の七百五十億というのは、これだけの金をどうしてもその年度においては農地開発なり食糧増産の方に持っていかなくちゃならぬ、そうしなければ計画は実行できない、こういう数字でございまして、これは何としても生み出さなければならぬ。その一つの手段といたしまして、余剰農産物が来年受け入れられるとすれば、その計画を遂行する上におきまして、よほど楽になってくるということは事実でございます。それだけ受け入れられたからこの六百八十億円の上にプラスするかと、こういうことはこれはできないと存じます。大体の計画はその計画通り、六百八十億の中にこれを持っていきたい、こういう所存でございます。  しからば余剰農産物が入らなかった場合はどうするかと、こういう御質問だと思いますが、それにつきましては万難を排してもこれは持っていきたいと、こういう考えでございますから、かよう御承知を願いたい。
  105. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると、大蔵大臣にお伺いをいたしますが、政府の立てられました総合六カ年計画に基く食糧増産計画、すなわち昭和三十六年度までに千三百五十万石というものを実施するために必要な年度割の資金計画というものが立ちますので、経審長官お話しのように、このことは万難を排して実施をするということになりまする場合の資金計画というものは、大蔵省としては預金部資金なりその他万般の準備がおありになるというように了解してよろしいかどうかをお伺いいたします。
  106. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) ただいまのお示しの数字、これは要するにこの食糧増産がさようにできれば私はいいと思いますが、なおある程度資金の量については検討の余地はあるかもわかりませんが、しかしそれだけの資金がどうしても要るということになりますれば、これが調達について大蔵省としてもできるだけの計画を立てて協力していく、さような考えを持っております。
  107. 森八三一

    ○森八三一君 その次にお伺いをいたしますのは、この余剰農産物受け入れに関連いたしまして、当初これは現内閣ではなくて、その以前であったと思いますが、相当額の贈与を期待し、交渉されておったはずであると思います。それが最後に妥結いたしました結論は、文書でお示しを願っておりますように、贈与分は本年度は千五百万ドルということに決定をみたのでありますが、この贈与分が減少をしたことによって、それぞれの当初の事業計画が実際には相当に変革を生ずるという結果になるのではないか。これは金利等の面からそういうことが考えられるでありますが、そういうような支障が起ってきておりまするかどうかという点が一点。  それから第二点は八千五百万ドル受け入れに関連いたしまして、その積み立ての円資金の使途については、午前中の委員会で条約局長の御説明によりますれば、対米関係には何らのひもはついておらない、日本政府の責任でそれぞれの使途についての配分決定するというお話でありました。そういうことになりますると、ただいまお示しになっておる政府の案でありまする農業開発に三十億、生産性向上に一億五千万円、それから電源開発に百八十二億五千万円というこの内容については、さらに今後必要によって再検討が要われるという余裕を残しておるのかどうかということについてお伺いいたします。
  108. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 昨年来余剰農産物受け入れの当初におきまして、贈与分を四千万ドルにするとか二千万ドルにするとかいうことは大体聞いておりましたが、結論といたしまして千五百万ドルになったわけであります。これは政府といたしますれば、贈与分が減ったからといって計画に何らそごをきたしておりませんで、初めから計画は千五百万ドル贈与されるものとしてこの十二月以来計画を立てておるわけであります。  従いまして、今回の計画につきましては昨年、一昨年の計画とはあるいは多少違ってくるかと存じますけれども、現政府計画がそごをいたしておりませんことをお答え申し上げておきます。  それから八千五百万ドルの中の七割、五千九百五十万ドルというものにつきましては、大体の用途別についてはアメリカ側了解を得る必要がありますが、その内訳につきましては自主的に日本側が、日本政府たけで自主的にこれをやっていっていい。ただしこれは借金でやっておるものでありますから、その結果については報告する義務があると存じます。
  109. 森八三一

    ○森八三一君 そうしまするとその二百十四億につきましては電源開発に百八十二億五千万円、生産性向上用途に一億五千万円、農業開発に三十億というのは、アメリカ了解がなければこれは変更することはできないということになるのでありますか。
  110. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) アメリカ了解がなければとおっしゃるのですが、これはただいまこういうふうに使うということの了解をすでに得ておるものでありますから、これを変更いたします場合には一応通告する必要があると存じます。
  111. 森八三一

    ○森八三一君 さらに外務大臣にお飼いいたしますが、三十年度余剰農産物受け入れに関しましてはただいま審議中になっておりまする数量がはっきりし、その条件も一応明らかになったのでありますか、すでに来月一日からもう向うの会計年度が新年度に入るわけであり、先刻経審長官お話しのように、国内の諸般の開発を進めて参ります場合にそういうような資金が得られるとすれば、それを進めていくのに非常に仕合せになる、都合がよくなるということでありますので、新年度受け入れについて折衝が開始されておるのではないかというように想像いたすのでありますが、そういうような模様についての情勢を伺いたいと思います。
  112. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) この協定は今年度協定でございます。次の協定についてはまだ何も着手をいたしておりません。もっともそれはあるいは個人的の準備的にやっておる話し合いの向きもあるかもしれませんが、政府としてはそれは全然まだ始めておらんわけであります。これは秋ぐらいで政府としてはやっても間に合うと、こう考えておるのでありますが、いずれにいたしましても、次のことは次の情勢によって決定しようと、こう考えております。
  113. 森八三一

    ○森八三一君 最後に大蔵大臣にお伺いいたしますが、この余剰農産物受け入れに伴って国内でその使途をきめて、開発等に振り向けられまする資金配分については、事が農産物の輸入でありまして、国内における生産農家の諸君にとっては事きわめて重大な関心が払われておることでありますし、農産物の輸入によって生ずる円資金のことでありますので、農業開発に重点的な配分がなされてしかるべきであるというように思考されるのでありますが、今後そういうようなことを重点的に考えて取り運びをされる意図がありますかどうか、お伺いいたします。
  114. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お説のように余剰農産物の買い入れをした場合におきましては、できるだけさような考えでいきたいと思います。
  115. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 申し上げますが、大蔵大臣には衆議院の予算委員会から出席を求められておるということであります。本件政府の御要望で、できるだけ早く審議を終了して進行をいたしたいと私も思っておるのでありますが、きわめて重大な問題であります。そこで合同審議をやっておりますが、合同審議は冒頭申し上げたように本日一日で打ち切らざるを得ないのであります。そこで大蔵大臣に御質疑がなおありますならば、衆議院の予算をできるだけ早く切り上げて、そしてここに再び御出席をいただきたいことを委員長から申し入れようと思いますが、御質問がありますか。
  116. 江田三郎

    江田三郎君 質問あります。
  117. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) そういうことでありますから、どうぞ一つあちらをできるだけ早く切り上げて御出席を願います。
  118. 清澤俊英

    清澤俊英君 農林大臣に伺いますが、今非常に重大な問題で討議しておるのです。と申しますことは、午前中農地局長に対して愛知用水等その他の資金計画についてお伺いしたのです。その資金計画農林省側としては今までの言明によりますと、懇談会あるいは一昨日の私の正式な質問等に対して、食糧増産六カ年計画と、この愛知用水と他三カ所の計画とは別なのた、別ワクである、こうい、う建前ずっと通ってきておる。午前中の江田君から局長にいろいろ資金計画についての質問もそれが中心でやられておる、それがわからんので、今こうやって大蔵大臣も経審長官も全部来ていただいておるのでありますが、それが中心であります。ところが、確かにお聞きの通りでありますが、経審長官も大蔵大臣も、本年は計画外の三十億の余剰農産物の金が入ったからそれは別ワクで使うのだ、来年度からは経済六カ年計画の中に全部入るのだ、こういう御答弁なのでございます。一体農林省と終審並びに大蔵省等でどこでそういう大きな食い違いが出たか。どうもこれがこのワクの中に入るのだということならば、もう少し勉強してくる筋がありました。ワクの外だというのでいろいろ研究してきておるのに、ワクの中だということになると困ります。いろいろなめんどうな問題がこのあとへ残るだろうと思います。このワクの中で、六カ年計画の中に愛知用水も全部これが入るのだということになったら、いろいろな面で私は非常にめんどうな問題が出てくると思いますが、その点はまだはっきりしておりませんからお伺いしません。どういうわけでそういう違いが出て来たか、その点をはっきりしていただきたい。
  119. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 今年この六カ年計画を作り、予算を編成いたしました当時には、予算の中にありまする特別に愛知用水に三十億を振り向ける分は入れずに六カ年計画を作ったと考えております。ところがこれは計画として、将来長きにわたって愛知用水を取り入れていくわけでございますから、本年一年ではございませんから、来年度分からは当然これは六カ年計画の中に入って、計画は含まれていく、こういうふうに考えております。
  120. 江田三郎

    江田三郎君 これはちょっと委員長にお伺いしますが、午前中に私お尋ねした問題については、農林大臣と大蔵大臣と一緒におってもらわんとどうも困るのですけれども、また農林大臣帰られて、それから大蔵大臣来られると、こういうことになりますか。
  121. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 私も政府の都合、衆議院の要望、それらに対する政府判断というものを代言するわけに参りません。どうなるかわかりません。
  122. 江田三郎

    江田三郎君 農林大臣、大蔵大臣と一緒にここへ来られますか。お前はお前、わしはわし、近ごろ仲が悪いから別々に来られますか。(笑声)
  123. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) それは委員会の御要望がありますればむろん一緒に出席いたします。
  124. 江田三郎

    江田三郎君 先ほど来森委員清澤委員からも尋ねられておることでありますが、私はもう一つ端的に具体的にお尋ねしたいのですが、ここに農林省としての外資導入農地開発事業資金計画案というものが出ておるわけであります。これでいきますというと、合計五百六十億円という金が六カ年間に要するわけですが、本年度は先ずその中の愛知用水を、三十億円が幾らになるのかわかりませんが、始められる。そうした場合に、来年から以降はやはりこの余剰農産物借款でやられるのかどうかわかりませんが、経審長官のお答えではやるかもしらん、やらんかもしらん、こういうことではっきりいたしませんが、かりに余剰農産物借款がないということになると、この計画による円資金の調達分というものは非常に大きな額になりますが、そうなった場合に、今まで食糧増産費として使っている数字、これは農地局長の説明では二百六十億ということでございますが、それが余剰農産物借款があろうとなかろうと二百六十億というものは今後も続けて、これにこの外資導入農地開発事業というものの資金が食い込むことが絶対にない、こういうことははっきりお約束していただけるか。それから一たんこれを始め出しますと、これは打ち切るわけにいかんということになりましょうが、かりに余剰農産物借款がない場合には、その際には預金部資金なり一般会計の方からその分は出すのだということですか、これはあなたは出す方ではありませんけれども、しかしあなたのお考えもやはりその通りでございますかということ、さらにどうもこれは新聞で見ますのではっきりいたしませんが、すでにけさあたりの新聞を見ますと、篠津でございましたか。どこでございましたか、この予定事業の中の若干部分については食糧増産費の方から出すのだというようなことが出ておりますので、その点私たち不安に思っておったのですが、その点は農林大臣はその通りやるということになりましょうか、あなただけのお答えでは困るので、大蔵大臣と一緒でないと困るのですが、少くともあなたに関する限りは、大蔵省の分の責任を持ってまで大丈夫と言い切れますか。
  125. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。今の余剰農産物が入らなくなった際にどうなってくるかということでございますが、私といたしましては、現在の条件であり、こういう推移であれば、なるべく余剰農産物を入れてこの計画を進めることが一番よい。入らなくなったらどうするか、入らなくなった場合にはむろん、これは現在全国各地に散在いたしておりまする土地改良を縮めて、この一点に集中するということは妥当でございません。妥当でございませんから、これは多少の……、しからば全然それをしないかというと、そこまでは私は言いきれませんけれども、方針としては、全国の既定、もしくは予定しておりまする土地改良の仕事はその方針で続けていく。愛知用水資金につきましては別途これを調達して、そうしてこの余剰農産物の方から回しまする金は別途これを調達してこの仕事を続けていくという方針でいくべきものである、こう考えております。
  126. 江田三郎

    江田三郎君 これはまあ絶対に言い切れないというようなことをちょっと間にはさまられたことだけは要らんことであって、そのことをお取り消しになったらばそれでいいわけで、あなたの方が最終的な権限を持っていないから、そこで二人おられるところで、こうやってもらうと一番いいということを私に言っているのです。あとで時間の都合がどうなるかわかりませんから、単独で一つ答えだけいただいておきたいのですが、まあそれじゃまたあとで……。
  127. 森八三一

    ○森八三一君 今の大臣のお言葉は……、先刻私は大蔵大臣に御質問いたしました結果は、総合六カ年計画で、余剰農産物が入ってくるか、入ってこないかということはわかりませんから、そういうことは刑問題として資金計画は立っておるのです。立っておることをおやりになるのか、おやりにならんのかというと、経審長官は、万難を排してこれはやらなければならん、これは国際収支の面からいっても、国民の食生活の問題からいって当然なことであって、経審長官のお答えは私はもっともだと思う。それに対して大蔵大臣はそれを忠実に守っておやりになるかどうかということに対して、全幅の協力をいたしますと言うのですから、そんなに大臣はその遠慮せずに、大蔵大臣は協力すると言うのですから、そうあいまいな御答弁をなさらずに、はっきりするということの御答弁を期待いたします。と同時に、そこで資金計画としては、余剰農産物が入ってくるか入ってこないかわからんのですから、一応国内でまかなうという前提で立っておるのです。そこで入ってきた場合にはそれだけ資金計画は余裕を生ずるのではないだろうかということを経審長官にお尋ねいたしますと、経審長官は非常にゆとりが出てきて都合がよくなる、こういうことで、余剰を生ずるという結果になると思います。入らない場合、千三百五十万石の増産でこの最小限度の穴埋めをするということでありまして、これで、日本経済自立を非常に順調に持っていくという姿のものではないと私は思う。ほんとうに切りつめた最小限度の計画であると思う。そこで明年度そういうような余剰農産物受け入れを一応予定せずして資金計画が立っており、それに対して大蔵大臣は協力をするということでございますので、一応財務当局としては最悪の場合といえども資金の手当は考慮されておると思う。  そこで幸いに国内の農家に不安や圧迫を与えずして、余剰農産物受け入れることが適当であるという結論が出て、入って参りました場合には、資金に余裕を生ずるのですから、その生ずる余裕部分は、これは大蔵大臣の御説明によっても、農産物の輸入によって資金が得られるわけであるので、農業開発の方に重点的にそれは振り向けるべきであるという質問に対しまして、そういう方向に持っていきたいということでございますので、余剰を生ずるということでありますれば、その余剰部分は以上申し上げましたような経審長官のお答え、大蔵大臣の御意思というものからして、農林大臣は少くとも千三百五十万石の計画プラス・アルファーというような計画を立てられて、一刻も早く食糧国内自給態勢が確立されるという方向に持っていかれてしかるべきだと思いますが、そういう御意思があるかどうか、今の御答弁では非常に何か消極的で困りますので、もう一ぺん質問いたします。
  128. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 私も全く同意見に考えておりまして、すでに経審長官に、来年の余剰農産物が入ってきた場合には、その金の使途については今年の比率では困るということの申し入れをいたしております。
  129. 森八三一

    ○森八三一君 来年はもちろんそういうことになりませんが、今年度の分につきましては、二百十四億の配分が三十億と一億五千と、百八十二億五千万円というふうに、これは閣議決定でありますか、何でありますか、まだそこまではお伺いいたしておりませんが、そういう数字が示されておりますが、そういうような趣旨から申しますれば、さらにこの比率は、農業開発に重点的に振り向けられてもよろしいというふうに私は受け取るのでありますが、そういうような点についてさらに政府計画を変更するような御努を払われるべきであると思いますが、河野農林大臣としてはどうお考えになりますか。
  130. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 御承知通りこの余剰農産物の取りきめにはいろいろな経緯がございまして、その経緯が、初めから結論になって出ましたものから出発をしておりませんので、その経過におきましてだんだん変化もございました関係から、結論がこういうことに私はなってと思うのでございます。従いまして、また農林省といたしましても、土木事業の土地改良の事業に着手いたしますまでに相当の準備が必要でございますので、ただみだりに着手するわけにも参りませんので、それらの点からいたしまして、あらかじめ十分なる計画と用意のもとに立てなければなりませんので、本年はこの愛知用水並びに今一部考えております、かねて考えております北海道、青森等について今どうしていこうかということを考えているのでございまして、しかも大分着手時期がおくれて参りましたので、本年度はこの程度でいいじゃなかろうか、明年から刑にこれができるなら至急用意をして、始めなければいかぬ、こう考えております。
  131. 溝口三郎

    溝口三郎君 今朝来経審長官にお伺いしていたのですが、本年度受け入れの分については閣議で決定している。農業開発のためには三十億、受け入れについては個人的には話し合ったこともあるけれども内外情勢を見た上でないとお答えできないということでございますが、先般本会議で趣旨説明があった際は質疑がありましたが、農林大臣はそのときに、この余剰農産物受け入れについては、これは食糧の輸入計画範囲内にあるのだから差しつかえない、そうして購入についても、これは国際市場の市価で買い上げるのだ、だからこれは日本農業を圧迫するようなことはないから、ぜひこういうもので愛知用水北海道開発等の仕事をやっていくように希望していものだという御答弁があったのであります。そうしますとこの余剰農産物受け入れについて昨年の秋、前内閣アメリカ交渉していた一億三千万ドルを三カ年間、四億購入したい、そういうような希望を持って、そうして農業開発では約五百六十億の事業を推進していきたいというので出発いたしてきたのであります。今後におきまして、今年度においては今のところ三十億ぐらいしかない、その配分がまだ今もってできない。先ほどの御答弁で、愛知用水その他北海道等に本年度から着手なさるようなことがあったようでありますが、これをもし着手することになるというと、将来ますます余剰農産物資金は多額のものを入れないと事業が困難じゃないか。今までの食糧増産対策事業に影響を及ぼさないようにするためには、どの程度余剰農産物借款をすべきかということについても至急におきめになって、そうして買い付けるものならば、日本政府はこういう希望を持っているのだということをはっきり方針をうたっていただいたらいいのじゃないか。  どうも外務大臣のお話でも、この秋ころまではまだ向うと交渉しなくてもいいのだというのでなくて、アメリカでは七月一日から余剰農産物の処理を、新らしい協定を進あて準備をしていると思うのです。こっちだけ秋でもいいとか、来年のことだから今はまだ何もしなくてもいいのだ。そうして愛知用水その他の事業は着手していけば、何とか国内でできるだけの努力はするということを経審長官は言うておったのでありますが、そんなに簡単に五百六十億の資金は出ないと私は思う。その点について適正な輸入計画を必要な限度において、私は余剰農産物借款によって農業開発をできるだけ有利に進めていくという根本方針を立てていただきたいと思う。その点について農林大臣からこの際あらためて言明していただきたいと思います。
  132. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) ごもっともな御意見でございますが、実は私といたしましては農産物価に影響のないように、もちろんこれはただいまの状態では差しつかえない、将来もこの数量のいかんは御承知通り海外の国際市場とも関連いたして参ると思うのであります。またわが国の豊凶とも影響があると思うのであります。そういうことでございますから、数字について今年は計画の中でちゃんとやっております。しかし将来の見通しは、これはまた各省の間にそれぞれ御意見があるかもしれません。しかし私といたしましては、当分の間はわが国の現在の食糧事情である限り、国内の生産事情である限り、この程度の数字でいくことは、これは一方において資金国内の土地改良事業に使って、そうしてこの目的を達成していく上においては妥当なことである。ただし大蔵大臣からその資金が他の面で出てくるからそういうものを使わぬでもよろしいということであれば、これはまた別たと思うのでありますが、私は諸般の情勢を勘案いたしまして、今溝口さんからお話しのように、なるべく早くこういうものはきめて、そうしてそういうものを推定してきめていくということが決して悪いとは考えていないわけでございます。しかも先ほども申し上げましたように、われわれとしては常に相当の準備期間が必要なんでございますから、なるべく早く、来年のことでも今から計画も立てなければなりませんし、またその資金その他についてもちゃんとしていただくことは大へん結構だ、こういうふうに考えております。
  133. 江田三郎

    江田三郎君 先ほどちょっとお尋ねしかけたんですが、今度入ってくる農産物の値段と数量の問題です。まず第一にここに、協定に書いてあるFOB価格ということになっておりますが、これを金額数量で割算いたしますと、たとえば小麦の場合には六六・二ドルになる、大麦の場合には六三・六ドルになる、これは運賃は別です。そうした場合に、二部長説明では、小麦はウエスタン・ホワイトで六十一ドル程度、大麦は五十四ドル程度ということになると、大麦等の場合にはほとんど三割近く値段に相違があるわけですが、そうしたときに数量がふえるということになってくるわけで、従ってこの需給計画に影響してくるということになりますが、そう理解してよろしうございますか。
  134. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) その点は御指摘の通り数字は違って参ります。違って参りますが、非常に大きな数字の中で違って参ります数字が非常に少いということが第一点。第二点は、この輸入の全体の計画が完了後にくるというものではないのでございますから、他の輸入のものについて勘案ができる、こういうふうに考えております。
  135. 江田三郎

    江田三郎君 これはそうかといって今の買付計画の、たとえば麦を米に振り替えるとか、あるいは綿花に振り替えるというようなことは私はできぬのだと思いますが、そうしますと、麦については今年の日本の麦はもうとれているわけですから、そうしてここに書いてある大麦なり小麦なりというものを、一応小麦三十四万トン、大麦五万五千トンということになっておりまして、これで三十年度の需給計画を立てられておる。そうするとこの需給計画に書いてあるところの数字というものは、この値段の食い違う分だけは必然的に違ってくる、こうならざるを得ぬのですが、そうですか。
  136. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) そのものの輸入量については値段が安ければ数字が多くなって参ります。しかしわが国の大麦の輸入量の全体は、大体今ここで今年の麦の実収もだんだんわかって参りますから、それと勘案してふやしていかなければならない場合もあるし減していかなければならない場合もある。これは従来もそういうふうにいたしております。
  137. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連質問。ちょうどここに余りものの話が出ましたからお伺いしますが、昨年のMSA協定のとき五百四十万ドルくらい余っていた。これは何に使用するかわからないが、小麦でも買おうか、こういう説明であったと思うのですが、それは何に使用したのですか。われわれ粉乳が入っては大へんだと思ってずいぶん追及しましたが、小麦でもと、こういうお話でございましたが……。
  138. 西山昭

    説明員(西山昭君) 小麦の購入に充てました次第でございます。
  139. 江田三郎

    江田三郎君 今の大臣の説明では、日本の麦との関係でなしに、輸入麦の麦価の関係でその全体を調整していく、こういうことのようでございますが、そうしたときにここに余剰農産物で入る分はふえる。しかしながらほかにアメリカから買う分か、あるいはその他の国から買う分がそこで調節を受ける、こういうことですね。
  140. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) そういうことでございます。
  141. 江田三郎

    江田三郎君 結局は本年度の麦の買入数量というものは、小麦については二百二十四万トン、大麦については六十七万三千トンでいくのだ、こう解釈できるわけですが、しかしそれにいたしましても、なぜ一体小麦の場合に持越量を本年度よりふやさなければならないのか。本年度の小麦の持越量が、四月一日の持ち越しが二十五万トンになっておりますが、この需給計画によりますと来年四月一日の持ち越しが四十三万四千トン、ざっと十八万トンふえるわけです。大麦についても同じことがいえるわけで、四万七千トンが十三万二千トンに外国麦の方の持ち越しがふえるわけですが、なぜ一体こういうようなものをふやしていかなければならないのか。この需給計画を立てた根拠を承わりたいのでありまして、われわれの承知しているところによりますと、本年度が去年と同じような世界市場の農産物の出来ではないとしたところで、やはり過剰ぎみには違いない、買手市場には違いない。今後とも値段は漸落歩調をとるのだとわれわれは解釈していますが、そういうわれわれの解釈が正しければ、ここで持ち越しを本年度よりも来年度ふやすということは当を得ないように思うのですが、その点はどうお考えになっていますか。
  142. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 従来資金関係にも非常に窮屈でございましたし、また御承知通り、そういう事情からいたしまして、米等につきましては、ことに早場米を食っていくというようなことで、食糧事情が非常に先食い先食いというような格好になっておったことは御承知通りであります。そこで政府といたしましては、そういうことを食糧の安定度を強化する意味におきまして、大体食糧におきまして、麦ならばどのくらい、米ならどのくらいという持越量の希塁を充足することのできるように、順次持越量をふやしていくことがいいだろうということに基いてできるだけ持越量を――さればといってでたらめに持越量をふやしませんけれども、大体この程度の持ち越しがあることが食糧の安全度を確保するのに必要だということで、それに基いてふやしておるわけでございます。
  143. 江田三郎

    江田三郎君 この持越量の場合に、米と麦を一緒にして考えるというわけには私はいかぬと思うのでありまして、米と麦とは相当事情が異なっておると思います。そこで米の問題については米の問題であとでまた聞きますけれども、すでに最近の国内の麦の在庫状況を見ましたところが、私どもは現在の持越量が少な過ぎてるということは決してないと思います。また地域的によるというと非常に偏在して、農業倉庫が麦で一ぱいになっておるというところもあるわけで、それでそういう状態よりも、さらにこの小麦において十八万トン、大麦において約八万トンほどのものを持ち越しをふやす。それで国内麦についてはそういう問題が起きませんけれども、外麦についてなぜこうふさなければならぬのか。国内の麦ならこれは持越量がふえておったところで、少なかったところで、日本の農民が作ったものを日本政府が買うのでありますから問題がありませんけれども国際市場の場合に、世界の大勢として大麦や小麦の麦類が下っておるという場合に、なぜ一体二十万トン以上の持越量をふやさなければならないかということは、今の御説明では納得できない。しからば河野さんにお聞きしますけれども、今でも麦は足らぬのですか。
  144. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 御承知通りパン食がこれだけ盛んになってきまして、内麦と外麦とを、これは米と麦ほど違うとは申しませんけれども、内麦は御承知通り、昨年の価格のきめ方と質の関係等から非常に内麦に対する需要度が薄うございまして、割合に一般の希望が少なかったために、今日非常に全国各地の内麦が倉庫にありますることは御指摘の通りでございます。しかし外麦におきましては、必ずしも今江田さんの御指摘のような事情ではない場合がございまして、外麦について非常に需要が多いが、それがなかなか満たされぬようなことがあるという場合がありますので、これを一つ今後は均分して、そうして適当に国内の、ことに食糧の要求に対して充足のできるようにしていこうじゃないかという考えのもとにやっておるわけでございます。
  145. 江田三郎

    江田三郎君 そういう御説明になりますというと、小麦の場合に持越量というものを、パン食ということを盛んにおっしゃるわけですが、そうしますとこの持ち越しというものは、パン食に通したハード系の小麦と、こういうことになりますか。大体今のこの政府の方からわれわれの方に資料として出されたものを見まして、四月三十日、四月末日現在の麦の在庫量を見ますというと、やはりウエスターン・ホワイトが非常に需要量が多いわけでありますす。市場の方の様子を見ましたところで、どうも軟質麦が多いのじゃないかという問題が出ているわけでして、先ほどの説明を聞きますと、これは委員長説明でありますが、今度の本年度の輸入に当っても、百万トン輸入する計画になっておるところのソフト系のものはほとんどアメリカからだ、こういうことになっておりまして、従って今度の余剰農産物で入るところのアメリカ麦というものもやはりほとんどこれはいうまでもなくソフト系になってくるわけであります。そういうようなパン食ということをお考えになるならば、それに重点を置いて、そのための在庫をふやさなければならぬということになるならば、これは買付先というものはもっと別な問題が出てくるのじゃないか、四月三十日現在の在庫の数字を見ましても、河野さんのおっしゃるパン食転換のためというのはちょっと納得がいかないのであります。
  146. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 御指摘のように、外麦の需要が大体半々くらいありますことは御指摘の通りであります。従いしまして持ち越しの場合にもそういうふうな傾向で持ち越さなければならぬことはもちろんでございます。ただ私は例を今パン食ということにとったのでございまして、全体の粉の需要の点から、製粉会社等の要求の意から考えてそのくらいのものを持つことが妥当じゃないか、これはむろん必要以上のものを持とうという考えは毛頭ないのでございまして、その程度のものを持つことができるならば、それは好ましい状態だろう、こういうふうに考えているわけであります。
  147. 江田三郎

    江田三郎君 私どもは去年のMSAの麦の輸入に反対いたしましたが、しかし当時はたまたま米が非常におととしは凶作であった。そういうようなあとを受けてで、全体としての日本食糧が足らんからというので、あの小麦輸入は六十万トンでしたか、大麦十万トンというような数字についてもある程度うなずけたわけでありますが、私はそういう一つのこのMSA小麦を買ったということの惰性として、今度やはり同じようにアメリカから余剰農産物、これは条件は違いますけれども、入れてくるのじゃないか。そこでそういうような去年の数字と今年の数字と非常によく似ているわけですから、そういうことのために、これはあなたの方は、これだけの外麦というものは持ち越しておらなければならぬと言われますけれども、私はそうじゃないのじゃないかと思う。これは明らかに去年の惰性で必要以上のものを買っているのじゃないかと、そう考えざるを得ないわけで、従ってまあ来年の余剰農産物受け入れがどうなるかわかりませんけれども農林大臣お話しでは、来年も再来年もやはりこういうものを入れて、片っ方で農業開発をやっていきたいということになると、この調子でずっと入ってきたら、これはとんでもない小麦過剰になってしまう。そういう点をわれわれは非常に心配するわけです。あなたは小首をかしげられますけれども、あなたはほんとうは腹の中ではそうだと思いながら、それはゼスチェアとして……、(笑声)そういうことじゃなしに……。
  148. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) これは一つこういうふうに御理解願いたいのです。余剰農産物アメリカから輸入いたしますもののすべてであるならば、必要以上のものを持ってくると、押しつけられて持ってくるということになりますけれども、これは御指摘の通りと思うのです。私はそうじゃないのであって、アメリカから輸入をいたしまする小麦の従来の全量の一部であるということは、過去の数字でおわかりいただけると思うのであります。でありますから、もしそれだけ余るから要らんじゃないかというならば、余剰農産物の方を入れるにいたしましても、これはまた別のことが言える。で、他の国から入れておる分と勘案いたしまして、日本の全体の小麦の輸入するものから考えてみますれば、私はこれだけのものをアメリカから従来入れておりました分に加えましたところが、決してそれがわが国全体の小麦の輸入量から見れば余ってしまう、だからそれだけ入れたものが持ち越しになってしまうのだという数字にはなるまいと、こういうふうに私は考えるのであります。  しかも、これは今もう一つここでまあ蛇足かもしれませんが、申し上げておきたいと思いますことは、ここで国内麦の実収がいよいよ明確になります。明確になりますれば、いずれ下期におきましては輸入の再調整はむろんするのでございます。その際にさらに今年の実収を勘案いたしまして、下期の輸入の米麦の再調整はすることにいたしておりますから、その点も一つあわせてお含みおきをいただきたいと思います。
  149. 江田三郎

    江田三郎君 これはアメリカその他から全体入れるものの中のこういう数字だから、これだけが決定的な要素ではない、そうおっしゃいますけれども、やはり私条文は覚えておりませんけれども余剰農産物の今度の協定には、アメリカその他友好国の通常の取引を阻害するようなことがあってはならぬ、こういう意味のことが私はあるように思うのですが、そうじゃないのですか。もしそうだといたしますというと、今のそう融通無碍なことはできないわけでありまして、すでにあなた方から出していただいておりますところの輸入実績と今年の輸入計画を見ますというと、たとえば小麦の場合にアルゼンチンからは二十九年度においては二十九万九千トン買った。それが三十年度では十九万六千トンに減っているわけです。それから大麦の場合におきましても、オーストラリアの場合は十六万一千トンのものが九万三千トンに減っているわけでありまして、これは果してこの通常の取引を阻害しているのかどうか、私よくわかりませんけれども、われわれの受ける印象は、だいぶ通常の取引と変ってきておるのじゃないか。特にオーストラリアの大麦の場合には二十八会計年度において二十五万二千トン、それが二十九会計年度では十六万一千トン、それが三十年度計画では九万三千トンというふうに、非常に、減ってきているわけでありまして、かようなことを考えます場合には、アメリカだけから余剰農産物を輸入するのではないわけでありますが、ほかの方でやりくりができるといったところでなかなかそう簡単な問題じゃないのだ。しかも値段の点から考えてみますと、小麦でも大麦でも買付量は量においてまだふえるということになるのでありますから、そういう点は今度の協定によりますところの通常の取引を阻害するということは絶対にございませんか。
  150. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) もう一ぺんお答えを申し上げます。御承知通り、今ここで御説明申し上げておりまする分は六月までの分でございまして、これは御承知通りでございます。でございますから、すでにわれわれといたしましては、これを入れることによって影響のないという数字をつかんで実はやっておるわけでございます。それを今御指摘のように持ち越しが多くなる、この持ち越しはそれだけ過剰だ、さらに引続いてこういうことでこれが全部入れる場合、持ち越しがふえていくということになれば、これは江田さんの御指摘のように大へんなことだと思います。しかしそういうことにならぬように、たとえばわが国の、これも江田さんすでに御承知通り、小麦の需要量、粉食の需要量というものは非常な速度で需要が増大していきつつあることは御承知通りと私は思うのであります。そういうことでございますから、それらの点を勘案いたしますれば、この純度の数字を新たにわれわれが要求するということは、従来の取引に影響のある数字とは……、影響がないというふうな考えのもとにこれに賛成しておるような次第でございます。
  151. 江田三郎

    江田三郎君 農林大臣は小麦の需要というものが増加している、こういうことを言われるのですが、一体小麦のどういう種類の需要が増加しているのか、うどんの需要が増加しておるのか、パンの需要が増加しているのか、またあなた方としては一体麦を食う場合の指導方針としてどちらを考えておられるのか。もしハード系の小麦の需要がふえるのたったらば、将来ハード系の小麦の需要が大事になってくる。アメリカのようにほとんど従来のソフト系のものを入れることで取引の量をふやしていくということは、やはり日本の麦の需要からいって危険じゃないかと思いますが、そうお考えになりませんか。
  152. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 非常に重要なことと思うのでありますが、食糧の改善と申しますか、粉食の奨励をいたします場合に、私は第一に重点をおいていくのは国内の大麦の需要を増していくこと、こういうふうに考えております。そう言うと麦飯を食わすつもりかというお小言を頂戴するかもしれませんが、私はわが国の農業の生算事情からいって、そうありたいものだ、こういうふうに考えているのであります。  次には、今の点はパンを奨励するかどうか、その他うどんを奨励するかどうかということになります。これらはいずれも価格政策等と勘案いたしましてやっていくこともある程度可能ではないか。これにつきましては、むろん私一存でどうこうということではないのでありまして、むろん国内食糧、食生活の改善は、各種の方面の御意見を伺ってやらなければなりませんけれども、いずれにいたしましても、小学生、学校児童の給食の関係等からいたしまして、われわれの想像以上に米食が粉食に変っておるという事実は否定できない。少くとも二千万石以上のものは、従来のわれわれの、戦前の米の事情を考える者からいたしますれば、二千ないし二千五百万石ほど麦の方に変っておる事情にあると思えるわけでありますから、一年々々相当に大量のものが変更されているというふうに考えられますので、この点については大いに慎重に検討して指導していきたい、こう思っております。
  153. 江田三郎

    江田三郎君 これはすでにあなたの方の需給計画の中には、そういうような今度の麦の消費増というものが織込んであってこの数字が出ているわけであります。先ほど三十年度じゃない、二十九年のうちに入るのだと言われましたけれども、とにかく来年も再来年もやはりこういう形をあなたの方で考えておられるわけです。そういう際に、日本の麦の全体の計画から考えて、私はやはりアメリカのソフト系の方ばかり、まず借款ができるからということでついていってしまうということは非常に危険なことじゃないか。しかもそういうことを入れて、そのほかのことについては何も束縛がないなら、あなたのおっしゃるようなそういうことならよろしいが、そうでなしに、通常の取引を阻害してはいかんということなんでありまして、通常の取引を阻害しないでアメリカからソフト系のものがたくさん入ってくるということは、やはり将来の麦の需給関係から見て、方針としてあまり正しくないように思うわけです。  それから一体この麦の消費量というその内容でございますが、これについては今度のアメリカ側の円資金使用計画の中には、米国農産物の市場開拓というものが七億二千万円あるわけです。七億二千万円というのはアメリカでは大した金じゃないかもしれませんが、われわれの感覚からいうと大へんな金でありますが、一体アメリカはどういうふうな市場開拓を考えておるのか。それはアメリカの自由であって、何をしようと日本政府の関知せざるところである。そうしてアメリカの意思によって日本の食生活の方向というものをきめられるのかどうか、これは一体とうなんですか。
  154. 西山昭

    説明員(西山昭君) この農算物の市場開拓につきましては、まだアメリカ側とこまかい点について話し合いをいたしておらないのでありますが、大体の予想といたしましては、粉食の改善あるいは四節の改善、あるいは農業の調査のための人員の交流、こういういろいろな諸目的に使われるのじゃないかと想像いたしております。
  155. 江田三郎

    江田三郎君 もしその通りであれば、一体それはアメリカの方で自由に方針を考えて、アメリカの方で自由にやることなのかどうか。日本の市場をアメリカの市場のために、向うの方でどういう計画を立てるかわかりませんが、それに対してはわが国の関知せざるところで、向うで一切を立てる、こういうことになりますか。
  156. 西山昭

    説明員(西山昭君) 本件につきましては、アメリカ側が円の使用をいたします場合には、日本経済に悪影響を及ぼさないようにするという大きい前提が一つございまして、それから具体的には、この農産物市場開拓のために円貨を使用いたします場合には、さらに両国の利益となるようにするような事情になっております。
  157. 江田三郎

    江田三郎君 抽象的な答弁ではそう言えば済むかもしれませんが、そんな簡単な問題じゃない。それじゃ具体的に一体日本としてはどういうことをされては困るというふうにお考えになっておりますか。
  158. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) その問題につきましては、根本的に日本のじゃまになっては困るということでありまして、私ども具体的の案として、使います場合には、日本のパン食を奨励する、小麦を食べる、パン食の奨励だとか、あるいはイタリアで作っておるマカロニの機械を持ってくるとか、そういった方面にやっていくというのがこちらの方の希望になっておる次第でありまして、大体当事者も承知しておるわけですが、そういった農産物の宣伝をするとか、日本の食生活の改善について合致するような方策についてよく相談していきたいと思います。
  159. 江田三郎

    江田三郎君 アメリカの注文することに対してこちらから相談をつけるというならよろしいが、そうしたアメリカからくるものは麦だけじゃございません、米もあります、たばこもあります。  まず米についてお尋ねしますけれども、米について先ほどお尋ねいたしましたところ、南部米のナンバー・ファイブ、三五%ブロークンで百五十ドル見当、こういうお話でありましたが、しかし百五十ドルというものに対して船賃を日本船で十九ドル、あるいはアメリカ船で半分アメリカ船になるわけですが、二十二ドルというようなことになれば、私は今の国際価格から見て非常に高いものだと思うのですが、それは農林大臣はそうお考えになりませんか。
  160. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答えいたしますが、品質の点を考えますと、まずまず妥当な価格たろうと考えております。
  161. 江田三郎

    江田三郎君 しからばこの米は指定外米ということになるのですか、ビルマ米とかタイ米と同じように配給するようになるのですか。少くとも百五十ドルに運賃をかけて、それで高いものじゃないということになれば、それじゃビルマ米やタイ米と違った指定外米としての配給でなければならないと思いますが、それは一体どう思いますか。
  162. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) かわりに……。
  163. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) 現在南部米は外米として配給いたしております外米の中で一番いい質のものということになっております。
  164. 江田三郎

    江田三郎君 私は事務当局は事務当局らしく良心的に答えてもらいたいと思う。最近ビルマから入っている米は一体どうです。非常にいいものが入っているじゃありませんか。従来のようなビルマの黄変菌というような米とは違って、着検制度になってからりっぱなものが入っているじゃありませんか。一体今度入ってくるこの米というものは、少くともビルマから今入れている米の値段から考えた場合には、今度入ってくる米というものは非常に高いものであると、こう言わざるを得ないと思います。私の考えていることは違っておりますか。
  165. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) お話しのようにビルマから入ります米は、昨年度あるいは一昨年度に比べまして非常にいいものが入ってきていることは事案であります。私が申し上げましたのは、食糧庁としまして、この消費状況の一般の調査をいたしております。それによりますと、従来の消費者の方の評判なり、私たちの見た、検討していきました場合におきまして、南部米の方がビルマの米あるいはタイの米よりも、品質あるいはその他の点においていい地位に立っているということを申し上げたわけであります。
  166. 江田三郎

    江田三郎君 今までのビルマ米ということを庁さされれば、評判が悪いのはきまっております。今世論に出てくるのは過去のビルマ米が出ているのでしょう。今入っているりっぱな米のビルマ米というのは、まだ世論にはちっとも出てこないはずなんです。そういう現在入っているビルマ米、CIFの値段、これと今のFOBの百五十ドル、それに運賃を加えて百七十ドルということを考えたら、ビルマ米とは非常な相場の違いなんです。それを考えたらこの百五十ドルというFOBの価格というのは高過ぎる、こう断定せざるを得ないと思うのですけれども、私の言うことは違っておりますか。
  167. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) 今まで確かにタイ、ビルマの米が前よりもよくなってきていることは事実でありますけれども、しからばと言いまして、ビルマから現在二十二万トン買いまして、その後これに幾らか追加買付いたしたいと思っておるところでありますが、これを三十万にいたしましても、同じようなものが来るというところまでの期待は今できないのじゃないかというふうに見ております。
  168. 江田三郎

    江田三郎君 それはあなたの方がビルマ米について必要以上の厳重な制度をとるからその数量が集まらぬわけで、私は今のビルマ米は対する日本政府の態度というものは必要以上に厳重な態度をとって、当然もっと入るべきものをおさえていると思うのです。そうしてそういうおさえられた結果入っているビルマ米というものを考えたら、今度の百五十ドルのFOB価格と比べたならば、これは明らかに高過ぎる、これはあなたがどういう説明をしたところで高過ぎると思うのです。しかもこの輸入計画を見ますというと、たとえばタイの場合におきまして二十八年度は五十一万トン、二十九年度は三十万トン、そう入れておったものが、今度は二十九万トンに下る。ビルマにいたしましても二十九年度は二十六万七十トン入っておったものが今度は二十二万トンというふうに、高碕長官の東南アジアとの結びつきというものを考えたならば、もっとわれわれは東南アジアの米をできるだけ買わなければならぬ立場だと思います。それを東南アジアの米を買わないで、そうして高いアメリカの米を買うというのは、私は高碕さんの方針からいたしましても少し変だと思うのですが、あなたはそうお考えになりませんか。
  169. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 私ははなはだうかつでございまして、ビルマの米がそんなにいい米になっていることは実はきょう初めてお聞きしたのでありまして、従前ビルマなりタイの米というものは相当悪いものだ、こういう先入主があったものでございますが、そういうふうに品質が漸次改善されて参りますれば、私はどうしても東南アジアの貿易を促進します上におきましては、もうほかに売るものがないのだから、ビルマにいたしましてもタイにいたしましても、できるだけその米を買っていきたいということについては、もう委員長の御意見と全く一致しておるわけなのであります。その意味から申しまして、私は来年度のごときも、米をアメリカから持ってくるということについては相当考えなければならぬ、こういうふうな考えでおるわけでございます。
  170. 須藤五郎

    須藤五郎君 関連質問。今ビルマ米が問題になっていますが、中国の米も同じく大きな問題になると思うのです。今度の日中貿易協定で中国は米を乙類物資にして二十万トン輸出する能力があるということを発表しておるのです。中国の米はアメリカの米に比べてトン当り二十ドルほど安くついているはずです。質も河北米で非常にいいということは日本で証明済みです。この米をなぜ輸入しようとしないで、逆に減らして、昨年は八万四千トン入っておる。ところが今度の三十年度計画によりますと四万一千トンというような計画になっておるように聞くのでありますが、なぜ中国の安い米をこんなに減らして、そうして高いアメリカの米をそんなにたくさん買わなければならないか。これは私は国家経済からいって大きな損失だと思うのですが、あえてそういう損失をやろうとする政府の御意見はどういうところにあるのです。  それと同時に、先ほどの高碕長官のおっしゃったように、東南アジアの方面からの米を少くするということは、日本輸出が非常に減ずるということになり、日本経済が非常に困るといり状況になると思うのです。アメリカ日本に余った米を、小麦を押しつけることはしますが、そのかわり何も買おうとしない、そうしてそういう押しつけられた米を買って、せっかく日本の物を買ってくれる東南アジア方面のものを買わないということが起れば、日本の貿易状態は非常に悪くなると思うのですが、それに対する御意見を伺いたい。
  171. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 中共の米は御指摘の通り品質も優良でございます。価格も割安でございます。しかもこれはできるだけ買いたいと思っております。今御指摘の数字は、少し統計の書き方が悪いのでございまして、昨年の買い付けた分が四月以降に入ってくるものが、三月以降と申しますか、入ってくるものが四万何千トン残っている。これだけがそこに書いてあるのでございます。これは向うから話し合いがありますれば、決して買うことを拒否しようという気持は持っておりません。
  172. 須藤五郎

    須藤五郎君 私たちは今度中国と貿易協定を結ぶ際において一番苦労して努力した点はこの点なんです。この点よく農林大臣考えておいていただきたい。そうしてこれを中国から二十万トンくらいの米を入れなければ日本の物は出ないわけなんです。ですからここを大いに努力して、中国米を二十万トン入れるという腹を一つきめていただきたい。
  173. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連です。二十九年の輸入実績としての小麦ですな、小麦二百十万六千トンと、こういうことになっております。輸入計画としての二十九年度予算は百九十六万三千トン、もうすでにこれを上回っておる。そこでお伺いしますが、まだ未輸入のものが四十五、六万トンあるんじゃないですか、未輸入のものが、これから入ってくる二十九年度分が……。
  174. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) 二十九会計年度買付けましたものが三十会計年度になって入ってきますものは小麦で二十七万トンでございます。
  175. 清澤俊英

    清澤俊英君 まだ残っているものが……。
  176. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) いや、しかしこれは三十年度のただいま差し上げてございます二百二十四万トン到着買い付けベースというものの中に織り込んでございます。
  177. 清澤俊英

    清澤俊英君 三十年度は何も出ていない。二十九年度にまだ注文したもので未到着のものが米で相当あるし、小麦でも相当あるし、大麦でも相当あるでしょう。その分が幾らですか。
  178. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) 二十九会計年度中に買い付けまして、三十会計年度になりまして到着するもので需給計画に織り込んでありますものに、米が三十万七千トン、小麦二十七万四千トン、大麦二十二万トンがございます。
  179. 清澤俊英

    清澤俊英君 それにしましても約三十万トンからある、二十九年度からの持ち越しになる。そこで大体ここに入りました数字を詳しくは計算しておりませんが、概算しましても、アメリカから先に入るものが、二百二十四万二千トンの輸入計画のうち、百十九万トンの上に八万トンが加って二百二十四万トンを上回るぐらいになると思うんですが、八万トンがふえますから。この間の農林大臣にお伺いした数字からいいますと、小麦協定が百万トン、それに通常輸入が七十五万トン、それに三十四万トンの八万トンとしますと、幾らも残っておらない。そのほかアルゼンチンやその他のものをまぜれば、現在すでに上回っておる。要するにこれでもまだ上回っておる。その上、今江田さんが言われる通り、ここに価格の差が出て、また小麦を入れればまた上回る。そこにもってきてうまくまあ調整がついて輸入ができるとなりますと、三十一年度では今度四十四万三千八百トン、まあ大体この係数が全部というわけではありませんが、こういうものを計画されるということになりますと、相当額小麦がまた余分に逐次入ってくるということが予想される。大体どれくらいあなたは……、繰り越し麦を持ってくるということが正しいとして、どれくらい持ったらいいという事を考えておられるのでありますか。
  180. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 今のお話は、小麦協定で百万トン、そのほかに七十五万トン、こういうふうにして計算されますが、それは少し計算が違うように思います。
  181. 清澤俊英

    清澤俊英君 計算は大臣が違ったんでしょう。
  182. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) それはそういうお話であれば、少し私の申し上げたことは誤解していただいたのでありまして、詳細の数字は軍務当局から詳しく申し上げることにいたします。
  183. 江田三郎

    江田三郎君 今の大臣の答えは、実は大臣がこの前清澤君に答えた答弁が、誤解を引き起すような答弁をしておられるのでありまして、清澤君の方の誤解ではないのであります。  あなたは小麦協定が百万トンということをはっきり言われましたから、そういうことになるのであります。それはそれにしまして、まあ高碕長官がビルマ米について大いに考えているということは、これは非常にけっこうなことです。ちょうどついでですから申しますけれども、実にビルマの今年の米の買い付け方法は残酷だと思う。たとえば、黄変米という、ある問題が起きたためにビルマの方は戦々きょうきょうとしておる。ところが、積み出しの状況を聞いてみても、はしけで本船まで持ってこさして、そこでペケだと言ってまた持って帰らすということをして、そのために船積みも非常に能率が悪く、おくれて予定通り着かぬという状況もあるわけでありまして、私は特に東南アジアの経済提携について深い関心を持っておられる高碕長官としては、今後ビルマ米につきましては特別に御研究を願って、取引方法の改善等を考えていただきたいと思います。何にいたしましても、ああいう新興国でありまして、行政的な能力は劣っておると思うのでありまして、やはりこちらが親切な指導をしていかなければ、ビルマとのほんとうの提携はできないことになる。これを少数のインポーターあたりにまかしておくということは、日本のために非常な損失だと思います。それは余分なことを申し上げましたが、そういうことはそういうことにいたしまして、とにかく今度のこの南部米の一般の外米として配給するところの米をF・O・Bで百五十ドル、そうして運賃を加えた場合に百七十ドルをこえるという数字は、これは明らかに高過ぎるわけなんです。これはビルマの米やタイの米、そういう南方の米を考えた場合に高過ぎるわけでありまして、その点は今後の買付けに当って、今の二部長の言われた数字は数字として、ビルマ等から入ってくるものと勘案して、もっとこの価格の改訂を求める意思はあるかどうか。
  184. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 御指摘の点十分考慮いたしまして努力いたしたいと思います。
  185. 江田三郎

    江田三郎君 私は大麦の五十四ドルというのは、これはまあ大体そういうことじゃないかと思いますけれども、小麦につきましても、軟質小麦が六十一ドルというのは、これまたほかから考えていくならば少し高いじゃないかと思うのであります。こういう点は私も的確な事情はわかりませんから。しかしこういう問題については、かりに買うといたしましたところで、ここに書いてあるような、今言われたような相場というものは十分検討を要すると思うのであります。特に、輸入小麦の六十一ドルにいたしましても、この協定案に出ている二千二百五十万ドルというものを三十四万トンで割るというと、平均値は六六・二ドルということになるわけでありますから、私はこういう協定案の六六・二ドルというものは、何を根拠にしてお出しになったのか、あるいは大麦の場合に、三百五十万ドルを五万五千トンで割ると六三・六ドルということになるのです。これは一体何を根拠にしてお出しになったか。これは私は何も今後影響のないものじゃないと思います。日本政府アメリカ政府とが寄って一つ協定案を作ったんですから、この協定を作るときには一体どういう相場というものを考えてこの協定案をお作りになったのか、今後の実際の買い付けに当っては、これとそれとは違うといたしましても、この協定案を作られたということについては、私はその根拠を承わりたいと思います。
  186. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 協定案では大体金額だけをきめたわけなんでございまして、それに対して、数量というものは、これはそのときの相場、世界市場によってきめるということになっておるわけでありますから、ここに二千二百五十万ドルに対し三十四万トンということは、ある一つの仮定をもってきめた数字でございますから、数量は当然変更する、金額は変更いたしませんが、数量は変更するもの、こうお考え願いたいと思います。
  187. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) ただいま衆議院の上林山委員がおいでになりまして、はなはだ恐縮ですが、衆議院予算委員会で大臣をというのですが、農林大臣でしょう。できるだけ早く回して下さるよりお願いいたしますということを言ってこられたんです。御答弁中でございましたから私は拒絶をいたしました。御答弁が済んでいるのですが、農林大臣どっちを重要視されるか、それはあなたのお考えで……。もしそっちへおいでになるとすれば、政府の方から衆議院の方へお断わりを願います。
  188. 江田三郎

    江田三郎君 今の高碕長官の御答弁を聞きますというと、この数字は大したことではないように言われますけれども、しかし、私はそれはおかしいと思うのであります。とにかく両国の政府協定案というものを出しておるのです。日本政府当初案というものがあり、そうして協定案というものがあるわけでありまして、それを作られるときに、一体今の小麦や大麦の相場が何ほかということがわからんで、こんなものを作られるはずはないのでありまして、大麦の場合には、これでいきますと六十三ドルになるものを、第二部長の方は五十四ドル程度考えておるということでありまして、ほとんど二割から相場が違うわけでありますから、そういう点は少し違いすぎると思うのでありまして、これはこの実際の買付は別だと言いましても、一たんこういうものがあると、私は、やはりこれは単なる白紙ではすまぬと思います。一つ、出てくるものはどういう形でどこに影響を及ぼすか、影響ないとは言えません、しかし、また私どもがこの委員会でこう問いただしてみれば、そういうことになりますけれども、もし私たちが、この政府が出された資料というものを、このまま受け取ってみたら、どういう感じを持ちますか。そうしますと、この余剰農産物協定というものは、これは表面に出ているものと実態とは違うのだ、少くともこの点については違うのだ、今度は裏面は穏やかなことが出ているけれども、逆に今度は裏の方にひもがついているのじゃないかという無用な想像もいたさなければならんと思うのでありまして、その点、私どもといたしましては、この協定の全部にわたって、非常にこまかく聞いてみなければ安心できぬと、こういうことになると思うのです。私は、あなたの考え方は、でたらめを言っているわけではないと思いますが、そういう点については長官はどうお考えになりますか。
  189. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) この贈与の分につきましては、これはアメリカの商品金融会社のこの価格贈与を受けると、そういうわけでありますから、これは金額と同時に数量はきまりますが、この買い入れの問題につきましては、値段はどこまでもマーケット・プライスであって、世界競争価段ということになっておりますが、その当時の相場が大体ここに書いてあるような数字であると、こういうことできめたいと、こういうわけなんでございますが、なお当時の取りきめにつきまして、交渉いたしました責任者、条約局長から説明いたしますが、私はこんな数字は、価格が安くなれば、この数量は、現在の価格によって二千二百五十万ドル相当するだけのものは取るということは十分努力いたします。するのは当然であると存じますが、その当時の責任者からお答えいたしします。
  190. 下田武三

    政府委員下田武三君) 江田先生の御心配なさる点は、まことにごもっともでありまして、私ども交渉の際にもその点を一番気をつけておったわけでございます。それで、協定の第一条におきましても、トータルの価格だけは書きましたが、数量は全然書かないという建前にしたわけであります。つまり物が安くなればたくさんもらえる、物が高くなれば減るということでありまして、協定自体は価格のトータルだけで押える。もう一つ、念を入れますために、交換公文の第一で、第一条に基き購入する農産物は「世界市場における競争価格で行われるべきものと了解される。」という、わざわざ了解を明文で取りまして、もし先ほどのお話のようにアメリカの米が世界の競争価格よりも高いという場合には、これは日本はそんな高いものは買えないということを言えるだけの明文の了解を取りつけておるわけであります。
  191. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) ちょっと連関で、私、聞きたいと思いますのは、条約局長に伺いますが、農産物の処理のアメリカの法律ができ、その下において協約ができたのでありますが、むろん穀物の量と、農産物の分量と価格とは連関がありますが、剰余農産物という以上、量の問題が第一だと思う。それの協定に、量をきめないで、金額をきめることを第一にされたという理由はどこにありますか。
  192. 下田武三

    政府委員下田武三君) 第一に、この農産物価格がやはり変動いたしますので、量をきめるということになりますと、逆に量から単価をきめていくということになりまして、この金額が動いてしまいます。日本といたしましては、見返りの積立円をまた借款日本に受けようという場合にそのトータルの金額が動くということでは借款も何もできなくなりますので、先ず金額で押えるという考え方をとった次第でございます。
  193. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) もう一つ……、その点は了解をいたしますが、条約にも書いてありますように、日本国に悪い影響を及ぼさず、日本国の貿易の通常の取引においても悪い影響を及ぼさないように剰余農産物の処理をするということが目的なんです。そうだとすると、それは分量できまるべきものであって、価格できまるべきものでないと思いますが、その点はどうですか。
  194. 下田武三

    政府委員下田武三君) 農産物が非常に大きな変動をいたすようでございますると、これは金額のトータルだけでは、これが倍になるか、あるいは五割もふえるということになりますと、提供を受ける日本側といたしましても、これは大へんなことでございます。しかし、まあ、最近の相場を見ましても、そう大きな波は打っておりませんので、たとえ金額のトータルたけを掲げましても、日本が受けることになります分量が大幅に変動を来たすという気づかいはないという見通しのもとに、金頭のトータルだけにとどめました次第でございます。
  195. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 私はその点について今の御答弁では了解ができませんが、あとは意見になりますから、これでとどめます。
  196. 江田三郎

    江田三郎君 今の問題は私としても納得できませんが、私はまあ、今の問題とは別に、こういうふうに聞きただしてみなければ、その内容というものがわからぬということになると、条約に関係するほかの部分についてもやはり聞きただしてみなければ、どうも表面はいいことが書いてあっても、今度は、これとは逆に内容がおかしなことになるのじゃないかという心配をせざるを得ないのですが、そこで私がその一つの例としてお尋ねするのでありますが、この愛知用水等の農業開発をする場合は、一体この設計というものは日本政府が自由に設計をするのでありますか。あるいは、この設計についてはアメリカ側のどこかの機関に頼んで設計をするのでありますか。そうした場合の設計料というものは幾らになりますか。その点はどうですか。
  197. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 愛知用水につきましては、世銀借款に関連しまして、エリクフローア・アソシェーシュンとパシフィック・コンサルタントというのに世銀が諮問をいたしまして、その技術的確認によって、これは世銀の対象になり得るという判定を下しているのでありまして、さらに、対象になるものを、具体的にどういうふうな設計をし、どの程度の機械を導入しなければいかんということについては、世銀としては従来のコンサルタントを使うというふうなことを言っております。従いまして、ただいまのお話の点で、愛知用水につきましては、世銀借款との関係上、外国の技術を、設計を頼めば、その金額は世銀の借款の中に取られる分は含まれるということになります。
  198. 清澤俊英

    清澤俊英君 先般本会議でこの点を質問したのです。経審長官は、ひもは絶対についていない、自由にやれるのたと言う、これと食い違っておりますか……。
  199. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 余剰農産物に関する限りにおいては、そういうひもは、ついておりません。ただいまのお話は世界銀行との借款についてのお話でありまして、全然違っております。
  200. 江田三郎

    江田三郎君 経審長官の答えた分は、これは余剰農産物借款に関する分であって、今の渡部局長の分は世銀の方だと、これは別だといいましたところで、これは少し終審長官、苦しいと私は思うのでありまして、やはりこれは違いますよ。二つは別ですよ。別ですけれども、これは切って離せぬような計画になっているのじゃないですか。これを、すっとぼけてしまうのは、どうかと思う。ちょっと答弁は待って下さい。ちょっとその前に、今の渡辺農地局長のお話によりますと、何やらコンサルタントというものでやってゆくということですが、私は、設計というものは、ただ図面をかくだけじゃなしに、それに伴って、どういうどこの機械を使わなければその工事はできぬというようなところに関連してくると思いますが、そういう考え方は、少し考え過ぎでございますか。それから、さらに、こういう設計料というものが今までもばかにならぬのでありますが、今度の場合に、これは最終までやってみなければわかりませんが、この設計料というものは、農林省としては、木次号を遂行するための設計料というものはどの程度妥当だとお考えになっておりますか。どこに頼むにしろ、どの程度までは設計料を出すべきであると考えておりますか。これは将来、あとで、やったあとでもう一ぺん問題になりますから、農地局長でなしにこれは農林大臣の方から、はっきり答えておいていただかなければ困ります。
  201. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 世銀がやる場合に、先ほど言ったように、世銀としては金を貸すのでありますから、世界銀行の建前ですが、どうしても、日本の技術者の言うことのみならず、世銀が最も信用する……これは日本とほかの国と違うので、ほかの国では技術のコンサルタントというものの制度が確立しておりますので、それによるというので、どうしても世銀としては聞くのだと、こういうことであります。
  202. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 事事実をお答えいたします。今、大体六、七%の設計料という話があるそうであります。しかし、私、不敏にして、こういうものはどのくらいが妥当だということはよく勉強しておりませんので、実際問題を取りきめます際には、各方面の意見を十分伺いまして、妥当なものにいたしたいと考えております。
  203. 江田三郎

    江田三郎君 これはまあ世銀の方の関係だから、余剰農産物借款とは関係ないと言っても、余剰農産物借款でその金を注ぎ込んでゆく事業に関連しておることでありますから、先ほど高碕長官に申しましたけれども、全然関係のないようにおっしゃらんで、この問題は考えていただかなければ困ることです。そこで、一体、六、七%といいますと、何しろ工事の事業資金からいいまして、膨大なものになってくるわけなんでありますが、農林大臣も、少くともこういうものを、個人のく社でなしに公団を作ってやらそう、そうして政府のほうで愛知用水の公団法というものを国会にお出しになっているのですから、これについては十分の検討があってしかるべきである。すでに公団法というものが国会に出ておるのですから、それまでには、そういうことについての、もっとはっきりしたものが出ていなければならぬと思うでありまして、従って、今、六、七%という話が出ているが、あなたの方ではどの程度までは設計料を出して妥当だとお考えになっておりますか。一体、私はこれはおかしいと思うのです。世銀あたりから金を借りるのに、一々向うの言うような設計をしなければ金を貸さぬと、そう日本はばかにされる必要はないと思うのでありまして、農林大臣のあなたの部下でもこのくらいの仕事の設計ぐらいできぬことはないと思いますが、そこで、今、一体、農林省では、これだけの仕事のできる技師はいないのでありますか。
  204. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 決して私はわが国内の技術のあり方を軽視するものではありませんけれども、何分非常に工事が大規模でございまして、考えようによっては、今までわが国で経験したものよりも規模も大きいものでございますから、従って最も慎重を期する必要があるだろうということで、従来しばしば技術者をアメリカに派遣して調査をする、勉強をさせるというようなことをしておるようなことは、よく江田さんも御承知通りであります。そういう関係でありますので、なるべく取り入れるべき技術指導は取り入れて万全を期する方がいいじゃないかということは考えておるのでございますが、ただ、今の設計料につきましては、まだ具体的な問題に入っておりませんので、実は私もまだ勉強しておりませんが、いずれ公団でもできて、いよいよそういう運びになり、その必要に迫られるまでには、十分勉強いたしまして、万遺憾なきを斯していきたいと考えております。
  205. 江田三郎

    江田三郎君 これは農林大臣、近ごろ非常に慎重な発言をされるから、まあ、あまりものを言われんのだから仕方がありませんが、しかし、これは経審長官の方はそういうことの専門家でございますから、大体こういうことに対しては、設計料はどの程度かということをお考えになっていると思いますので、終審長官からお伺いしますが、さらに、そのときに、あなたは一体どの程度の設計料を妥当とお考えになっているかということと、そういう設計料というものは、今農林大臣からのちょっとその間のいきさつの話からいきますと軽視できない数字になりますが、そういうものは、一切この公団の負担になっていくのか、公団と関係のあるところの農民なりあるいはその他の国民の負担になっていくのか、それとも、それたけのものは国が全部みるのか、一定程度みるのか、そういう点は一体どうお考えになりますか。
  206. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) これは事業費の中に入るべきものと考えます。従って、事業費に対する国の負担分たけを国が負担するということになる。ただ、先ほどのお話の中に、大体この愛知用水の全体の事業の設計料でないのでございまして、その中のどのくらいの率になりますか、今、事務当局の話によりますと、大体百七十億の事業分量の設計をしてもらうということになるだろうと、こういう予想であります。
  207. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) この愛知用水の全体の設計は頼む必要ないと思いますが、たとえばタムを作るといった場合、従前のタムでなくて、ロックフィルにするとかいうような、日本で、かつてやったことのないようなものにつきましては、万全を期するために外国の設計を頼むということは、私はいいかと思っております。大体設計料は高いのですよ、向うのは非常に高いのです。私どもあまり喜ばないのでございますがね。喜ばないけれども、これはやはり必要ならばやむを得ない、やらなければならぬと思っております。五分ないし六分とるのです。だから、よほどこれは慎重にやらなければならぬと思っておりますが、先ほどの関連質問お話がありました余剰農産物の問題ですが、余剰農産物の金を使うときには、その金はアメリカの技術をもって導入したものでなきゃならぬというようなことは断じてありません。これは、はっきり申し上げておきます。ただ世界銀行との折衝上、愛知用水が、これをアメリカの設計を頼むということになっておることは、これは事実でありましょうが、たまたま愛知用水の方にこの余剰農産物の金が回されたというだけに過ぎないのでありまして、たとえば電源開発に百八十二億持っていく、それじゃ、それを持っていくのに、電源開発アメリカの設計でなきゃならんというふうなことは断じてありません。ですから、さよう御承知願いたいと思いでます。
  208. 江田三郎

    江田三郎君 高碕長官もお認めになるように、非常に高い設計料、 その全部の設計でなくても、一部分につきましても非常に高い設計料ということになるので、そういうことがこの負担になってくるということになると、利子が安いのやら高いやらわからんということにもなってくるわけで、そういう点につきましては、私ども非常に不安を持つわけですが、その問題はその問題にしまして、私ばかりあまり質問しましても委員長にしかられますから、この程度でやめますが、最後にもう一つお聞きしておきたいのは、この贈与の分でありますが、この学童給食用の脱脂粉乳、それから制服、こういうものは、公式議事録によりますというと、「協定第三条に定める贈与は、贈与に関する討議が条件に関して相互に受諾することができる取極に到達したときにのみ行われるものと了解される」ということでありますが、これを見ますと、向うの承諾といいますか、外交上の言葉を私は知りませんから、平民の言葉で申しますが、そういうものがなければ、なかなか、これは、ちょっとできない、いかんということになるのだろうと思うのですが、これは、体、向うは、どうせいと言っているのです。これはわが方はどうすると言って言るのですか。これは具体的にどうきまったのですか。
  209. 西山昭

    説明員(西山昭君) 千五百万ドル贈与物資の取り扱い方につきましては、御指摘の通りに、米側と話し合いをつけて実施することに相なっておりますが、実際上は日本側で、目下、関係の当局、主として文部省及び農林省その他におきまして実施計画を検討中でございまして、その計画がまだ最終的にでき上っていないような状態でございます。
  210. 江田三郎

    江田三郎君 だから、そういう問題について、こちら側はどう考えておるか。そうして、こちら側の案がきまっておっても向うとの話がつかないのか。こちら側の案ができないのか。もし、こちら側自体の案が、今われわれに急いでこの協定国会承認しろというようなことを言っておられるにもかかわらず、贈与の部分についてすらですよ、愛知用水のこともきまっておりませんけれども贈与の部分についてすら、また日本政府としての態度がきまっていないというような状態でありますと、一体この協定というものは何もかも、みな、きまっていないのじゃないかということになっちまうのですよ。日本政府の内部でこれがきまっていないのですか、どうなんです。
  211. 西山昭

    説明員(西山昭君) 日本政府の内部において最後的にきまっていないのでございますが、大体もう考え方は米側と話をしておりまして、米側におきましても異存がないように了解いたしております。
  212. 江田三郎

    江田三郎君 では、こちらで何をきめても向うでは異存がないということなら、先ほど言いましたところの協定第三条に定める贈与云々ということは意味がないことになるのですか。これは、こう書いてはあるけれども、こちらで、日本の国の方で話がまとまれば、それでもう一切いいということになるのですか。
  213. 西山昭

    説明員(西山昭君) 日本側が一方的にきめていいというわけではございませず、協定に書いてあります通りに、米側と相談をしてきめる建前になっておりますが、細目的にまだきまって、日本側計画が完了しておりませんので、米側に最終的な話をしていないという状態がございますが、大まかな話し合いにつきましては従来ほぼすでに進めておりまして、米側におきましても異存がないように見受けられるということでございます。
  214. 江田三郎

    江田三郎君 もう私ばっかりしゃべりましたから、やめますが、ただ私が受ける印象というものが、たとえば、この協定案に書いてあるところの小麦、大麦その他の数量にいたしましたところで、これに、かりに書いてあるだけだといって、一向その確定的なことはわからん。しかも、その中を聞いてみると、食糧庁当局の方は、このFOBで南部米を百五十ドルで買うというような、非常に高い値段で買おうとしている。これは今後折衝でやっていくのだということでありまして、まるで、この具体的なことは、今後を待たなければ一切わからん。贈与で使う金についても何に使うのかわからん。あるいは見返り円資金使用につきましても、この愛知用水等の問題になりますと、一向に要領を得てこない。一体、愛知用水だけに使うのか、どこどこに使うのかも、まだきまらん。まるで内容が白紙のような状態で、国会に対して内紙委任状を求められるということは、少し私は乱暴じゃないかと思うのでありまして、政府の力が、この国民の非常に信頼のある、強力な政府でございますればそういうことはございませんが、近頃はどうも少数党内閣も、何かかんか、新聞を見ますというと問題が多いようでありまして、この政府でこういうことを白紙委任状を求められるのは、私、無理じゃないかと思いますが、それについては一体外務大臣はどうお考えになりますか。
  215. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) この協定について、細目についてまた話し合いが完了していない点のあることは、今お話通りでございます。しかし、この大要と申しますか、この協定の骨子については、すべて決定をしておる通りでございまして、その細目だけがまとまらんので、今御審議を願うのは時宜を得ていないと、こういうことにはならんように私は増えます。細目については、この委員会等における御議論をも十分参照いたしまして、手落ちのないように関係各省と相談の上にやりたい。こう考えておる次第でございます。
  216. 千田正

    千田正君 これは、外務大臣、あるいは農林大臣でもいいのですが、この余剰農産物の買い付けに際して、海上運賃ですね、灘上輸送運賃は、これは協定によると五〇%アメリカ側が引き受けるということになっておるんですが、アメリカの国旗を掲げて運送する船舶に対しては五〇%は引き受けると、海上運賃及び海上運賃に対する海上保険料、こういうものは一体どういうふうに今後やるつもりですか。それは大変に輸入額に対して影響するのであります。  もう一つこれは農林大臣に聞いておきたいんですが、昨年千葉県の銚子沖で、アメリカ側の輸入小麦の船舶が暗礁に乗り上げて坐礁した。そうして小麦がほとんど流失しまして、非常な損害をこれは受けたんですが、そのときの一体補償はどちらがやったのか。この問題なども、私は将来日本のこの余剰農産物買い付けに関して、この海上輸送の運賃並びに保険料というものは日本のインカムになるかならんかという、非常に影響を及ぼすと思うのであります。先ほどの江田委員質問のいわゆる設計料と同じような問題でありまして、これは日本の輸入単価に及ぼすところの影響は大きいと思うのでありますから、その点を一つ説明願いたいと思います。
  217. 西山昭

    説明員(西山昭君) 海上運賃につきましては、本件協定に基きます物資の輸送の半量を米船によって運ぶことに相なっておりますが、この協定の建前は円貨で買い付けることになっておりまして、米船を使用いたします場合にはドル貨を使用することに相なりまして、円貨で買い付けます趣旨と矛盾してくることに相なるわけでありますので、この協定にあります四百万ドルの輸送費と申しますのは、五〇%の米船を使用いたします場合に、米ドル日本の輸入業者が支払いました部分に対しまして米国政府ドルを払い戻すという規定に相なっておるわけでございまして、日本側といたしましては円貨を積み立てますが、ドル貨は使用しない、こういう形に相なるわけでございます。負担の問題につきましては、通常の食糧買付と同様の契約に基きまして、輸送費を日本側が負担することに相なるわけであります。ただし米ドル使用は必要でない、こういうことに相なるわけでございます。  それから保険につきましては、日本側が自由につけられることに相なっております。
  218. 須藤五郎

    須藤五郎君 関連して……。昨日の外務委員会で岡田委員質問であったと思うのですが、その答えに対して、アメリカの運賃が高いではないか、なぜアメリカの船を五〇%を使わなくちゃならぬか、こういう質問がありましたとき、外務当局は、アメリカの運賃は高いが、もしも第三国や日本の船よりも運賃が高い場合い、その差額はアメリカが負担するのだという意味の答弁があったと思うのですが、それは確かにそうでありますか。その点を一点……。  もう一点は、おそらく、アメリカが余った小麦や米でありますから、変質をしているのも、あるいは、なきにしもあらず、そういうものが日本に来ました場合、昨年の黄変米のごとく泣き寝入りをしなければならぬのか。クレームの問題はどういうふうに処置をするのか、その点を……。
  219. 西山昭

    説明員(西山昭君) 第一点の、米船が割高な場合の差額の問題でございますが、これは明白に、国際運賃の相場よりも高い運賃であります場合には、その差額を米国政府が負担するということに明白に相なっております。五百五十条の昨年の買付も同様でございまして、その点は間違いないことを確信いたします。  第二の、品質の開顕でございますが、これは通常の買付と全く同様でございまして、日本側の輸入業者が、完全に、品質、価格、その他自由裁量によりまして商業ベースによって買付をいたすわけでございまして、これによって生じましたクレームは、通常のクレームの処理によって解決いたすことに相なっております。
  220. 須藤五郎

    須藤五郎君 その船賃の差額をアメリカが負担するという条項は、どこに明示されているのか。それから国際運賃といりのは何を基準としているのか。カナダの船などですと非常に安いが、このカナダの船とアメリカとの運賃の差額をアメリカが負担するというのか。どの差額を負担するというのか。それからクレームの問題はどこに明示されているか、答弁してもらいたい。
  221. 西山昭

    説明員(西山昭君) 第一の、差額を支払うという根拠は、協定の第二条の第二項に書いてございます。具体的には、「海上通貨のうち、農産物が合衆国の旗を掲げる船舶に積載さなければならないという合衆国における要件の結果として生ずる超過の費用を除く。」、こういうことに相なっております。  第二の御質問の、差額の決定の基準でございますが、これは、具体的に船を雇います場合の、そのときにおきます相場の差額をもとにする次第でございます。
  222. 千田正

    千田正君 そこで、先はどのお答えが一つ漏れておりますのは、この前の小麦の買付によって買ってきた何万トンでしたかな……。銚子沖において座礁して、これが非常な損害をこうむった。これは日本側の、農林省の特別会計からその損害を負担したのかどうか、こういう問題が一つと、もう一つは、これは外務大臣でも高碕長官でもよろしいんですが、この五〇%はアメリカの国旗を掲げたいわゆるアメリカの船舶で輸送する。あとの五〇%は、あるいは日本の船、あるいはその他の外国の船で運ぶとしまして、今御承知通り日本の海外における海上輸送の競争は、相当買付にしても、輸送にしても、きびしい競争の中に立っているのであります。一隻でも多く外国の品物を運送することによって日本の船舶関係の収入を増そうと、業界は狂奔している姿でありまするが、この半分の五〇%というものは全部これを日本の船舶に充てるという強い考え方を向うに申し入れてあるのかどうか。その点を一つ承わっておきたいと思います。
  223. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 私は、日本といたしますれば、日本の消費する物資については、全部日本の船舶を使いたいということの目的のために、相当長期にわたってこれは折衝いたしたのでございますが、この余剰農産物の処理の規則として、五〇%だけはアメリカの船を使うということなんで、アメリカの国旗を掲げている船を使うということになっているものでありますから、しからばその運賃が高くついちゃ困るというので、運賃が高かった場合にはそれだけを払い戻すということで、ようやく妥結したわけなんでこございます。
  224. 千田正

    千田正君 海上のこの保険の問題は先ほど自由だというお話がありましたが、大体御承知通り、世界におけるところの海上輸送の問題は、大体重点ははマリーン・インシュアランス・ロイスを中心として、世界各国がそこに絶大に信用をかけている。この問題に対しては、全然そういうことに関係なしに、日本側の海上保険会社が十分にこの保険を獲得できる、こういうような意味において、相当この問題も、今の五〇%の船舶と同じように、日本側の海上保険会社にこの保険をつけさせる、こういうことも、ある程度進んでおられるのですか、どうですか、その点を承わっておきたいと思います。
  225. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 先ほどの銚子沖の話もお答えいたしませんでしたので……。  御承知通り政府が外麦、外米を買います場合には、全部着地で、こちらで買うことになっております。従いまして、その輸送中の事故は商社の負担でございますから、政府といたしましては、これに関係はございません。  今の保険にいたしましても、これは今まで着地検査で買うことになっていますから、その間のことは、むろん政府はいろいろあっせんをなさることはおありと思いますけれども、また、することが必要でございましょうけれども、もちろんわが国の商社の扱います分につきましては、わが国の商社はそれぞれ国内の保険会社を使ってやるという従来の慣例によってやることと考えます。
  226. 千田正

    千田正君 そうすると、農林大臣お話によると、まあ買付商社の、積み込み商社の自由選択にまかせる、海上保険は……。そうだとすれば、特にやはり日本側としましては、日本の海上保険会社を選ぶべき方向に指示するのは当然だろうと思いますが、そういうお考えを持っておられますか、どうですか。
  227. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 従来もそういうふうにいたしておりますから、これにつきましても、むろん、そういうふうにすると考えております。
  228. 東隆

    ○東隆君 私は先般の本会議質問をいたしましたが、そのときに、ただほどおそろしいものはない、こういうことを言ったわけであります。しかし私は、先ほどから委員各位の質問を問いて、ただほど高いものはないと、こういうような感じがいたしたわけであります。私は、日本の自主的な立場において決定をすべき範囲のものはほとんどまだ未確定にあり、それから確定をしているものは先方の意思が十分に働いているものばかりが決定をしていると、こういうふうに申し上げてもいいんじゃないかと、こういう感じがいたしたのであります。それで私は、まず最初に、一億ドルのうち一千五百万ドル贈与、それから八十五百万ドルのうち三〇%が先方の使うもの、残りの七〇%がこちらの自主的な意思によって使うものだ、こういうことになっておるわけであります。そこで、そこのところはもう当然協定の中で決定をいたしておると思いますが、問題は、私はそれらの配分の問題だろうと思います。そこで、当初、借款によってやる仕事は、貿易の伸張と農業開発、こういう方面に重点を置いてやるのだと、こういう意味で大分交渉されたと思いますが、それが、農業開発が残ったのは、これは私は不思議だと思うのです。というのは、先方余剰農産物日本に入れて、そうしてその余剰農産物の市場を開拓するために金まで使ってやろうとしておるのですから、国内で農地を開発をして、そうして食糧の増産をやると、こんなことになれば、当然市場が狭ばまって参るのですから、そっちの方面が残ったのは、私は非常に御努力をなすった結果だと、こり考えるのでありますが、しかし、それにしても非常にこれは金額が少い。そこで、この非常に少い金額なんですが、どういうわけでこういうふうに少くされたのか。私は、当初もっと大きな構想のもとに農地の開発の問題が考えられておったと思う。それが一千万ドルにも足りない金額に押えられておるわけであります。この関係に至った交渉経過を私はお聞きしたい。
  229. 西山昭

    説明員(西山昭君) 当初第一次的にアメリカに出しました希望金額は、買い付け品目としましては一億三千万ドル程度でございまして、それが交渉の結果八千五百万ドルに減りまして、それに比例しまして、農業開発用といたしましては当初五十億円程度見込んでいたわけでございますが、これが三十億円に減りまして、その他、生産性の向上に一億五千万円、電源開発に百八十二億円、こう決定いたしましたのは、やはり日本側の内部の財政投融資計画に基いてきめた次第であります。
  230. 東隆

    ○東隆君 この、ちょうだいをいたしました当初の案その他においては五十億程度でございますけれども、しかし私は、国民に宣伝をされた範囲はこういうような小さなものでないと思いますが、ここに集約をされたと思うのですが、その当時の構想を私は農林大臣にお聞きしても、ときが少し違うようでありますけれども、その当時の構想をお聞きしたい。
  231. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) ちょっと私にはわかりかねますが。
  232. 東隆

    ○東隆君 この八千五百万ドル使用の中に農業開発が三十億に滅らされている。その場合に、当初政府が宣伝されておったのは、おそらく農業開発を中心にしてやられておったので、その当初の宣伝の内容というものはもっと大きなものでなかったか。というのは、今の情勢でありますと、ほとんど愛知用水だけに限定されるような状態になっています。今日の新聞で、やっとこさで、あとの三つが、中に、つけたりのような形で入っているようなわけです、従ってもっと大きな構想があったわけです。その構想をお聞きして、そうして、またあとからお聞きしたいと思います。
  233. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 最初政府計画しましたのは、愛知用水その他農業の改良に五十億、これは最初の案でございまして、四百八十億の借り入れの当時の数字でございまして、それが実際には今御審議願っております二百十四億に減りました関係から、これが一十億に減少して参った、こういうことに御了解願っていいのじゃないかと思います。ただし、事業をいたす地点におきましては、この五十億を予定しておりました当時の地域は、今なお、農林省考えておりまする愛知用水、北海道、青森、八郎潟等で、これについては変更いたしておりません。
  234. 東隆

    ○東隆君 私はその次に、電源の開発関係の問題は、これは突如として交渉過程において出てきた問題であります。これは相当先方の意思が強力に働いている結果であると こう思いますが、日本における電源開発の個所その他は、想像つきますけれども、この際、はっきりさせていただきたいと思います。
  235. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) 電源の開発の話でございますが、これは前内閣当時、初め交渉いたします際にいろいろな計画を持っておったことは事実でございますが、その後、財政投融資の関係から検討いたしまして、電源開発に使うことが一番適当じゃないかという結論を得ましたので、そういうふうに変更したわけであります。
  236. 東隆

    ○東隆君 農業開発の面は公団を作られておやりになるのでありますが、電源の開発の方面は、公益事業関係でございますけれども、これは会社でもっておやりになるのか。そうして聞くところによりますと、電源の開発その他に対するところの国家の財政投融資は、私は限界に達していると思う、その資本の構成において。従ってこのプライベートの形で、国家がもちろんバックをいたしまおりますけれども、そういうものに国家が借用した金を投資するという形には、私は不適当な組織ではないか、こう考えます。これをもう少し、電源源開発の会社等を、たとえば公団のような形のものに作りあげる考え方はないか。
  237. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 御承知のごとく、電源開発会社の株式の九〇%、大多数は全部政府が出資いたしまして、それで会社自身も、総裁初め役員は全部政府から任命するというふうになっておりまして、純粋なる民間会社でないという、すこぶる公社に近いものであります。公社ではありませんが、近いものでありまして、その資金といたしまして、本年は大体三百十五億を投融資の関係で開発に使わすという方針でありますが、その中に百八十二偉五千万円を入れたわけなんでございます。電源開発の大体の状況から申しますれば、大体本年ぐらいから来年ぐらいが山になっておりまして、今後は逐次開発資金は得られなくなってくる。で、従前の継続しております事業を完成いたしまするにつきましては、この資金が必要であるわけでありますから、それを使うわけであります。どの工事にこの金を幾ら使うかということは、ただいまわかっておりませんが、電源開発会社用として百八十二億五千万円を使うというふうに相なっておりますが、電源開発会社を公社にするかいなや、こういう問題がただいま問題になっておりまして、今検討中でございまして、まだこれは確定いたしておりません。いろいろ検討いたしております。
  238. 東隆

    ○東隆君 この八千五百万ドル資金のもとになります余剰農産物の輸入、そのことが非常に大きな影響を日本農業に与えておりますので、従ってその得られたところの資金というものは非常に高価なものだと思うわけです。従って、これを電源開発に投資をしまする場合に、会社というような組織に対して貸す場合と、それから公社という形における場合に融通する場合において、非常に違った形で、国家が相当責任をもってやる場面が出ると思う。従って今後日本電源開発を進めていく場合に、今の情勢ですと、ますます国家の投融資、従って、また国家が資本を投ずるというような関係がますます大きくなっていくだろう、こういうふうに考えて参りますると、公社の方向に当然進めていくべきものじゃないかと、こう考えるのであります。これは話は別になりますから私はやめますが、そこで、この八千五百万ドルのこの分け方そのものについては、交渉の結果、日本の自主的の考え方で決定したものでないわけです。そう考えてよ乙ざんすか。この三つに分けた――農業開発と、電源の開発と、それから生産性の向上、こう三つに分けたのですが、これは交渉過程において決定をしたもので、そこまでは自主的だ形ではないわけです。そういうふうに解釈してよございますか。
  239. 酒井俊彦

    政府委員(酒井俊彦君) これは協定によりまして、どういう目的に使うかということは両国政府が合意することにはなってはおりますが、その三つの目的に使いたいということは、日本側希望によりましてきまったことです、従って相談はいたしますが、まあ自主的に日本側希望できまったと、こういうふうに御了解いただきたいのです。
  240. 東隆

    ○東隆君 私は、先ほど愛知用水その他の設計その他のことを江田君がお聞きになって、それに対するところの介入の状態を私はいろいろ知ったのでありますが、電源の開発においても、先ほどお話があったように、設計料であるとか、あるいはその他のことは、もうすでに以前から進められておるのですから、当然大きな関連を持ってくると思うのですが、そういう関係はどういうふうに進められているのか。
  241. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 私は、以前、電源開発会社におりました関係上、アメリカの技術は導入いたしましたが、設計につきましては、アメリカ人に頼んで、五%とか四%とかいう設計料を払ったことは、電源開発会社は今日までないのでございます。技術を導入するためには、あるいは幾らか……一カ月に千ドルで人を雇うこともありましょうけれども、その設計を外国に依頼したということは、今日まで、今日まではないわけであります。
  242. 東隆

    ○東隆君 私は、只見川の調査その他から始めて、そして相当アメリカその他の方面から入ってきていることを承知をいたしております。従って設計その他の方面においても、今お話がございましたけれども、非常に関係があるということは、私は想像がつく。そこで一番私の非常に残念に思うことは、電源の開発その他の方面においては私は今申し上げませんけれども愛知用水その他特に水田の開発というような問題について、私は、水田はアジアが一番たと思っているし、アジアの中でも日本が一番発達をしているのでございまして、そこに本当の私は集中された技術があってしかるべきだと思うのですが、それが実はどうもあまり多く重用をされておりません。それから愛知川水等中心にいたしましても、あるいは機械開発等の問題にいたしましても、この機械その他は、これはアメリカの方から入ってきたことは、これはもう火を見るよりも明らかなことで、従っていろいろな名目で、国内で生産をされるものは、これを輸入をしないとか、あるいはいろいろなことをお話になると思いますけれども相当量これが入ってくると、こういうことを想像いたしている。それは北海道でいろいろな開発計画が進められた場合に、農具を輸入することだけを仕事にするところの公団を設立するのだというような話までも出たことがおる。そういうことは、これは実際私は立ち消えいたしましたから問題にいたすべきでありませんけれども、従って農具を入れることは、これは非常に大きいことになってきます。従って調査その他の名目で進められた仕事の背後には、やはり先方の大きな機械を製造する会社その他の力が相当入っているわけです、事実上入っているわけでありますから、私はそういうような点をあれこれ考えあわせたときに、この計画は自由的な形で進めるのだ、こういうふうに言われておりますけれども、しかしどうも相当先方の力がこれに加えられることがあることをおそれているわけであります。従ってこの点について、本会議で私は総理大臣に質問をいたして、総理大臣は、これは自主的にやるのだと、こう申しておりますが、しかし先般からのいろいろな話をお聞きしておりますと、非常に心もとない点がございますので、機械の導入その他について、私は、はっきりしたことをおきめになっておく必要があろう、こう思いますので、従ってそういうようなことについてどの程度考えになっているか。それをお伺いいたしたいと思います。
  243. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 今これに要する機械を輸入することについていろいろお話でございましたが、たとえば機械について、これはアメリカから買うということではないのでございまして、むろんアメリカのものもたくさんあるでしょうが、世界各国から優秀なる機械を買ってくるということになっておりますので、何分私もあまり寡聞にしてよく詳しいことはわかりませんけれども、欧州方面からボーリングの機械とかその他ですでに買おうとしておるものもあるというようなことで、これは二番いい機械を各国から買ってくるということになっておるそうでございます。
  244. 千田正

    千田正君 関連して……。今の東委員の機械の問題ですが、これは余剰農帳物と同じように余剰機械類を買い付けなくちゃならないような方向にもっていかれませんか。その点は全然新らしい機械を入れる、こういうふうにもちろんお約束になっておるとは思いますが、余剰農産物と同じように余剰機械を買い付けさせられるのでは、これまた日本の立場からいうと、まことに残念に思いますけれども、その点はどうであるか。これを一つ一応聞いておきたいと思います。
  245. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 機械類は多くアスムービング・マシーンと言いましょうか、土木建築用の機械でございますが、これをこう見るというと、今まで私どもの経験によりますと、日本の製品と、それからドイツ及びアメリカの製品と、見たところはそう変らないのでありますが、材質の関係上使ってみるというと傷み工合が非常に違う、こういうふうなことのために、電源開発等におきましては相当数量を初め入れてみた。それで国内の生産業者によくそれを見せて一層の研究をしたわけであります。最近に至りましては余ほどそのほうの日本の機械技術が進歩して参りまして、ある種類につきましてはもうほとんど外国の力を借りなくてもいい、こういう工合に進んでおりますが、ただ採算上を見ますと幾らか高くつくこともありましようと思いますけれども、これは高い安いということよりも、外貨を節約するということから、国内でできるものは国内でと、こういう方針をとっていきたいと思っております。
  246. 東隆

    ○東隆君 私は先ほどの機械の導入その他のことをお聞きいたしたのは、今度の農地改革でもって愛知用水のほうは公団になり、その他のものはどういう方法でお進めになるのか、公団の形式をとられるのか、それをお聞きいたします。
  247. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 北海道方面のは規模もそれほど大きくありませんし、差し当りはそれだけで大規模になるのではないのでございますから、現在考えておりますことは、政府で直轄でやっていこうと考えておりますけれども、将来だんだんこの事業か大きくなっていきますれば、経営その他の点において考え直さなければいかん場合が来るかも知れない。今のところまだ未決定であります。
  248. 東隆

    ○東隆君 私は、今北海道のものを公団でやらない、こういうお話であり、直営でおやりになる、私はこれは反対をするもりではございませんが、なぜ公団でやらなければならんか、それから電源の開発等もなぜ公団にしなければならんか、この問題は、私は比較する場合に、日航機を私は考えてみる。日航会社ですね。日本航空会社です。これを考えなければならん。当初日本航空会社は約二十億の資本、そのうち十庶は国が出した。五億はこれは民間から出して、それからあとの、五億は外国のものを入れてもらう、こういうような形で一応成立をいたしたわけであります。その後増資の形が行われて、民間から入っておらないようです。そういうのが航空公社でありますが、国内線ぱ非常に利益をあげておる。しかしその使用するところの飛行機も、使用人も、ガソリンも、ことごとく、これはよそから入れておるわけであります、従って利益の一部分は結局持っていかれる、こういうような形になっております。国際線はこれは赤字。こういうような形で外の埋め合せをする、こういうような形で、日本航空そのものの中味は、非常に、国内から金を取り上げて、そうしてそとのほうにみんな出しておるというような形になっておるわけであります。どうしてもあれを一応公団の形に作り上げていって、そうしてやっていく態勢がこれはむろん必要だと思いますが、そういうようなことから、国内における開発問題を中心にしての公団を一応考える必要があるのではないか。ことに電源の開発等においてはそのことを大きく考えるべきじゃないか、こういうことから先ほど機械の問題だのその他をお尋ねしたわけであります。自主的な意思を私はもう少し大きく発揚をするためにも、取るべき形式はもっと国家が力を入れた形でなければならん、こういうことからお聞きをしたわけであります。その点もう一度お答えを願いたいと思います。
  249. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) この経営上、これを公団にしたがいいか。あるいは現状のままでいいかということは、電源開発会社のこともあり、これは相当考慮する必要があると思っておりますが、自主的にやるかいなかということは、公団だから自主的にやれるとか、あるいは現在の状態では自主的にやれないとか、こういうことは私はおそらくない、こう存じております。
  250. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 先ほど申し上げました北海道その他の点は、今までは政府といたしましては直営でやるというつもりでおったのでございしますけれども、これについていろいろ大蔵省方面その他にも意見もありまして、今研究中でございますから、先ほどの私のお答えがそうでなかったら、子、ういうふうに御了解願いたいと思います。
  251. 清澤俊英

    清澤俊英君 四条の第二項につきまして、前段、「アメリカ合衆国のこれらの農産物の通常の市場取引を排除し、」まではよろしうございますが、そのあとの「又は世界の自由諸国間の貿易関係を実質的に害することがないように合理的な注意が払われるべきことを合意する。」これはどういう意味合いになるですか。
  252. 西山昭

    説明員(西山昭君) 後段の「自由諸国間の貿易関係を実質的に害することがないように合理的な注意が払われるべきことを合意する。」という趣旨は、たとえて申しますれば、わが国といたしましては、通常の買い付け先といたしましては東南アジアの諸国、特にタイ、ビルマ、中国その他がございまして、アメリカから、この協定に基きました結果、これらの地域からの買い付け量をことさらに減らすということはないようにという趣旨でございます。
  253. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは、この意味合いは、この前のMSA協定の場合には、「アメリカ合衆国の通常の市場取引を排除し、又は」というような形になっておる。「排除しあるいは妨害をしない」となっておるかも知れませんが、それと違うところがおるのですか。
  254. 西山昭

    説明員(西山昭君) 表現が若干変っておるかと思いますが、内容的には同じことと御了解いただきたいと思います。
  255. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますると、ただいま配付を受けておる買付予定の数量など合計しますと、大体百九十四万トンぐらいになると思うわけでありますが、百五十四万トン、三十年度計画が百三十一万トンかと思いますが、予算を上回ることにはなりませんか。どこかを減らさなければならん。従って先ほどの御答弁では、中共等からまだ三十万石ぐらい買うんだ。買う余地がないわけです。こういうことになりますが、それは具体的にどういうことになりますか。
  256. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 会計年度の関係で数字がいろいろになって出て参りますから、数字によって詳しい御説明政府委員にさせることにいたします。
  257. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) 三十会計年度としましての輸入到着数量として需給計画上織り込んでおりますものは、米ですと百三十二万二千トン入れまして、これによって辻褄を合せて配給の操作をやって参るということでございます。それに対しまして、それではこの会計年度中に幾ら買うかという問題でありますが、これは現在それに対して見合います三十会計年度中の買付計画といたしましては、百十九万五千トン買い付けて進んで参るということになるわけであります。その百三十二万二千トンと百十九万五千トンの買い付けとの開きといいますのは、先ほど申し上げました、前年度に買い付けいたしましたけれども、現物の到潜いたしますものが三十会計年度に入ってから到着いたしますもの。それから百十九萬五千トン買い付けいたすわけでありますけれども、会計年度の終りごろ買いますものは次の期に入ることになりますので、さようなことになっております。
  258. 清澤俊英

    清澤俊英君 なかなか買付年度の会計年度と米穀需給年度が違っているというようなことから、そういう計算でいくと実に面倒なんです。そこで、あなた方がここへ出された資料で、三十年度輸入予定数量というものを中心にして私は言っておるのです。こういうものをちゃんとあなた方が、三十年度にはこれだけ入れるという数量が書いて渡してある。これを計算に入れますと、大体の予定量の最大を出しますと、百六十六万万何千トン、それから最初のものを出しますと、二十三万トン、最小限度幅がありますから、これからそれを引きますと、ふえても百三十一万何千トンという数字が出てきます。こういうものを渡してある。そうすれば、ほかから何も買い入れないじゃないか、こういうことを言っているのです。
  259. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) それはちょっと調べましてお答え申し上げます。
  260. 清澤俊英

    清澤俊英君 次にお伺いしたいのは、このアメリカにおきまする一九五四年法の規定というものが、この契約にどれくらいの牽制力といいますか、何かを持っておりますか。
  261. 下田武三

    政府委員下田武三君) 本協定の第一条に明記いたしておりまするように、農産物の購入というものは、御指摘の五十四年法の第一章の規定に従うということになっております。ただし、法律の中を見ますと、アメリカ国内の需要を考慮に入れまして、対内的の考慮から掲げた政府の方針なり気持なりを書いたものでございまして、それらはアメリカ限りのことでごございまして、わが方はそのことを約束するということには相ならない次第でございます。
  262. 清澤俊英

    清澤俊英君 この第四条の第一項ですかにおいて、「両国政府が合意する場合を除くほか、日本国内で消費するもの」と、まず規定して、「日本国によるこれらの農産物の取得は、これらの又は同様の農産物アメリカ合衆国に対する非友好国が入手する可能性を増大する結果をもたらしてはならない。」こうなって、非友好国というものの規定が、五十四年法の百七条には、「この法律において、「友好国」とは、(1)ソヴィエト社会由義共和国連邦又は(2)その他の国若しくは地域で世界共産主義運動を統制している外国の政府又は機関の支配又は統制を受けているもの以外の国をいう。」と、こう書いてありまして、三百四条へ参りますと、「大統領は、(1)友好国に対し、ソヴィエト社会講義共和国連邦又はソヴィエト社会主義共和国連邦の支配若しくは統制を受けている国との食料品、原材料及び市場の取引について独立することを援助し、並びに(2)この法律に基いて売却又は譲渡が行われる農産物が非友好国に対する同種の又は同様の農産物の入手可能性を増大する結果とならないことを確保するように、この法律で定める権限を行使しなければならない。」こう規定してある。もしこの契約をして参りますると、非友好国に対しまする貿易に対して、独立を援助するようなことをやらなければならぬ。その「独立」という意味は、少くとも取引に対する独立であろうと思います。そうしますと、まお中共やソ連の貿易を盛んに今外務大臣が考えておられるが、この条項は、私は非常に障害になるんじゃないか。これをもっとわかりやすく一つ
  263. 下田武三

    政府委員下田武三君) 先ほど申し上げました通り農産物の購入は、アメリカの法律の第一編、協定では第一章と申しており三すが、また農産物贈与は第二章によって行われるわけでありまして、ただいま御指摘の規定は第三章に当るわけでありまして、これは夫はこの中のものを拾いまして、日本が取得して差しつかえないものは協定に書いてございます。そこで御指摘の第三条でございますが、ただいま仰せになりましたのは、第三百四条の(1)の、「独立することを援助し」という問題でございますこれは協定には全然取り上げておりません。(2)の方の、非友好国の農産物が流れる可能性を妨げるという点は協定で書いてございます。第三百四条の(1)の、非友好国から「独立することを援助し」という規定は、これは先ほど申し上げましたように、アメリカ国内事情から申しまして入った規定でございますが、何分日本が共産圏から食糧をもらって生きておる国ではございません。従いまして、共産圏からの食糧の供給からの独立というようなことは、現在日本では問題にならないことでございまするから、協定にも書く必要がないと認めまして、全然無関係といたした次第でございます。
  264. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) ちょっとこの際諸君に申し上げます。大蔵大臣が約束通り、すみやかにお帰りになりました。そこで各大臣がお並びになりました。連関の問題もあるようでありますから、そういう問題についてこの際大いに御質問になったらいいと思います。少なければ、なお、いいでございましょう。(笑声)
  265. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私はせっかく各大臣がおそろいですから、端的に御質問いたします。それは午前中の審議から、かなり質問が繰り返されて参りましたようでありますが、私ども農林水産を担当する委員の一人といたしましては、両国の利益のためにということが前文にうたわれている協定ではありますけれども、少くとも日本農業の見地に立ちましては、私どもは必ずしも好ましい協定だとは考えないわけであります。特に、農業に事を限って考えますときに、先ほど高碕長官の経過説明等をつぶさに拝聴しておりますと、最初農業開発並びに貿易の振興、ここに一大重点が置かれて、この協定が前吉田内閣の当時から取り進められている、ところが、それが現内閣に及んで、史如貿易の振興が電源の開発ということに、大きな資金運用の転換をなされているということ、その経過説明等を徴しても、私どもはどうも納得がいかない。特に、あらい数字をあげますならば、電源開発に関しては総資金の三百億円、それに対して三十年度にこの見返り円資金から百八十二億が支出されようとしている。それに対して食糧増産の関係を見ますと、全体の計五百六十億の資金需要に対して、わずかに見返り円資金からは微々たる三十億が支出されようというのが現在の状況であります。しかし、先ほどの経審長官外務大臣の打ち合せの最後の御答弁をひそかに伺っておりますと、これは別に、アメリカから内政干渉なり、あるいは、ひもつきで、こういう電源開発農業開発資金の振り分けがなされているのではないというお答えであり、また、われわれの聞くところによれば、なお、この点については若干含みのある答弁のように私は拝聴しておったのであります。ところが国内の状況を見ますと、この主要食糧である米麦を生産している農家、並びにこの学童給食用ということで入って参ります乳製品のこのことを聞き及んで、日本内地の主要食糧の増産の農家はもちろんでありますが、なかんずく酪農を主体とする畜産農家のごときは、これは著しい圧迫というよりは、すでに折角飼っている牛を、今、手放しつつあるのが、現在暴落の過糧をたどっている酪農家の現在であります。ですから、直接に、また間接に、日本農業に対する影響は、私はこれは、はかり知れざるところがある。こういう見地から、少くともわれわれがこの好ましからざる協定を多少でも考慮する余地があるとすれば、私は、この資金が、日本農業の少くとも食糧自給度の向上に至大な貢献をするし、左たそれが国民食糧の確保、あるいは経済自立のためにも大きな一つの礎石になるという意味において、われわれは、この協定考慮する余地があると考えるわけであります。そこで私は経審長官外務大臣にお伺いをしたいことは、先ほどの含みのある高碕長官のお答えでありしたが、この農林当局から私どもに提出されております外資導入農地開発事業資金計画案というものを、私ともが、しさいに検討いたしますと、われわれ委員の手本に今日まで三回にわたって修正された資料が提出をされている。第一回の三十年の四月という日付で提出された資料を見ますと、その中の第一年度、三十年度の円資金分はちょうど三十億になっている。第二回にわれわれに提供された六月十四日の資料によると、それが同じ円資金分が第一年度三十年度において三十七億あまりになっておる。さらに最近六月二十日に私どもに配付された資料によりますと、それが四十億二千五百万になっておる。ですから、われわれは、少くとも正規の国会に提出されたこの資料をもって信ずべきよりどころとすれば、六月二十日に提出された見返り円資金分の四十億二十五百万というのは、必要最小限度の数字と私は判断をいたすわけでありますが、この点についてまず農林大臣の確信を得たいと思います。
  266. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) お答え申し上げます。実は愛知用水計画が、先ほどもお答えの中に申し上げた通りに、ダムの作り方が、コンクリート・ダムとロックフィルダムというように変って参っておるのであります。これは技術者の設計が最近変りまして、いずれをとるかというようなことで実はいろいろ意見がありした。その関係で、今御指摘になりましたように、設計が変ってきましたために資料が変ってきたということで、最終の差し上げました資料で御信用いたたきたいと思います。
  267. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると、四十億二千五百万という見返り円資金分は、第一年度三十年度資金としては必要最小限の金額であるということを確認したわけです。その上に、さらにこの資料によりますと、機械開墾には、世界銀行の借款分として、この表に計上されている資金のほかに一億八千万しかもこれは御承知のように年利五分という見返り資金よりは高い利子のつく金を、この資金計画の表のほかに一億八千万も必要とするし、なお三十二年度からは上記の機械開墾の三倍の規模をもって追加開墾事業を実施する予定である、こういうことが備考にうたってあるわけでありますから、私どもは、午前中からの審議を通じまして、明年のことはしばらく別にして、われわれとしては、少くとも三十年度しかも出発しようとする愛知用水のごとく、あるいは北海道の篠津泥炭地の開発の状況等から考えまして、どうしても必要最小限の農業開発の金が、見返り円資金において四十億が期待されているとすれば、私は、経審長官並びに大蔵大臣もおいでになるわけですが、別にアメリカにそう深い制肘を受けておらないという先ほどのお答えでありますから、この際、一つ各大臣の間で十分御連絡、お打ち合せを願って、最初農業開発のためには五十億が予定されでおったという経過等にかんがみまして、私は四十億程度の金は、この際、第一年度において、ぜひともこの農業開発に回していただくことが安当たろうと考えるので、そう大きなことは申しません。この点について一つ考慮の余地が先ほどの御答弁を通じて私はあるようにお聞きとりをしておったわけでありますが、この点については、一つ経審長官外務大臣、あるいは大蔵大臣に最後のお答えを願いたいと思います。
  268. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) この最後の六月二十日に提出されました、農林省の外資導入農地開発事業資金計画につきまして、円資金として四十億二千五百萬円ということ、この中には三十億円の余剰農産物による資金が入っているわけであります。
  269. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 四十億二千五百万円というその資金については、私ども了解するところでは、三十億の円資金が入っておるというお話しでありますが、これは、そうすると、あとの十億はとこから支出するわけですか。
  270. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 預金部資金その他から借りる、こういう予定であります。
  271. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 先ほどの預金部資金とかあるいは大蔵省の一般会計とか申しますが、これは農業開発のこの資金に関しましては、高い利子のつく金では、とうてい農民の負担が耐えられないということであり、しかも先ほどの経審長官のお答え、御熱意等も、食糧増産に関しては重点的に万難を排してやっていきたいというお考えでもあったので、 この四十億の資金源について、先ほどの三十億が含まれておるということであれば、あとの十億に関しては、どこから、しかも利子その他についてはどういう資金源の金であるか、その点をここで明確にしていただきたいと思います。
  272. 原純夫

    政府委員(原純夫君) 三十億のワクの中で、できるだけのことをやろうと考えております。ただいま渡部局長から、足らぬ分は預金部からでも借りたいというお話しのありましたのは、そういう御希望として承わっておるのでありますが、財政投融資の方は御存じの通りぴちっとしたワクを組んでおりますから、決して差額の十億がどこから簡単に出て参るというわけには参らないと思います。差し繰りを必要とすると思います。
  273. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それでは、私は聞かんとするところは、いかにも政府部内の不統一を……午前中から汗を垂らして夕方までやっておって、何のためにわれわれが審議しておったのか、さっぱりわからない。それで、大蔵省がそういう態度ならば、それでけっこう。それで、あと経審長官にお伺いしたい。その三十億で足りないということことだけは明確。従って、あとの十億を、一般会計なり資金運用部資金からは、どうも大蔵省では難色を示しているわけでありますから、私はあえて電源開発の百八十二億から持ってこいとは申しません。どこでもかまいません。見返り円資金の中から十億を農業開発のために融通をするというか、これを調整するという御用意がおありだろうと思いますが、その点を一つここで確言をしていただきたい。
  274. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 関係各省ともよく連絡をとりまして、御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  275. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 この際、私どもは、せっかくお揃いでありますから、大蔵大臣にも、この点について、農林大臣にもこの点についてのはっきりしたお答えをいたたきたい。相談の結果だめになったというのであるならば、われわれはもう一度連合審査を開くかもしれませんが、おそらく時間的にそのいとまがないことをわれわれはおそれるわけであります。これが今まで朝から汗を垂らしてやっている現状なんです。これは大蔵大臣も、中座されましたけれども、この点は明確にしていただかなければ、われわれとしては、この協定に必ずしも初めから賛意を表しようと思って臨んでいるのではない。この点については、あいまいでない答弁を願う。
  276. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 政府にお諮りいたしますが、御答弁の関係上、休憩をいたす必要がありませんか。  それでは暫時休憩をいたします。    午後四時五十六分休憩      ―――――・―――――    午後五時八分開会
  277. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) それでは合同委員会を再開いたします。
  278. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) それでは私から一つ御答弁申し上げます。  十分皆さん方のお考えを満足することができないだろうとおそれておるのでありまするが、財政の投融資もすでに決定したあとでもあり、今回は農業には三十億を予定しております。そこで愛知用水に対しましてこれを二十五億、五億程度一つ北海道の方に持っていこう、こういうふうにしまして、それで所要の四十億に対して依然十億足らんことは間違いないのですが、これを明年度以降において一つ繰り上げて進捗をはかる、かようにいたしたい、そういうことで一つぜひとも御了承を得たいと思います。
  279. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると、農林大臣は今のつまり三十億を増さなくても、さっきお話しのあった四十億は必要最小限度というお答えたったと思うのです。それで満足ですか。
  280. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 実は、詳細にこの間の経緯を御説明申し上げます。われわれのほうといたしましては、先ほども私は申し上げました通りに、計画の十分に整っておりまするまた準備も十分いたしておりまする愛知用水を、今年は三十億この方への繰り入れによりまして運営をしていくということにして参ったのでございますが、ところがこの間におきまして、北海道、青森等からいわゆる機械化によるところの開墾の方面から非常に熱心な御要望がありまして、これについてぜひこれを実現するように、今年度内にこれを着工するようにたいうことの切なる御要望がありましたので、最近に至りまして先ほど申し上げましたように、実は当初はこれらのものにつきましては、農林省の直轄工事としてやる予定でありましたので、三十年度の予算の編成に当りましては、愛知用水だけということで予算を組み、財政投融資等についても考慮いたして参ったのでございますが、ただいま申し上げましたようなことで地元の切なる要望にこたえるために、これをいかに運用して参るかということで、いろいろ目下大蔵省農林省とないしはまたこれら要望しておられる諸君との間にいろいろ折衝協議をいたしておる段階でございます。そういうことで農林省といたしましては、農林省のこれに相応する案を立て、大蔵省当局におかれましてもまたそれぞれお考えがあり、また私たちの所属いたしまする民主党その他の方面においてもいろいろ北海道議員連盟というようなものからもいろいろ御要望がありますので、それらのだんだん経緯から実はこれらを一度にやるとすれば、どうしても四十億要るということになったのでございます。しかし今大蔵大臣といろいろお話し合いをいたしまして、大蔵大臣からお答えをいたしました通り、今年度におきましては一つ愛知用水は一応もし北海道の方を始めるとすれば、愛知用水にはおおむね二十五億、その他に五億を割愛いたしまして、そしてこれを同時にこの事業を始めるようにして、そして明年度においてこれを繰り上げて予算化して、一つ十分明年度において予定の事業に達成するようにしていったらどうだということを、今ここで相談をしてきめたわけでございます。事情そういったことでございますので、どうか大蔵大臣の御答弁によって御了承をいただきたいと思います。
  281. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私はただいまの農林大臣の答弁では了承できません。少くともわれわれの委員の前に、まだわずか、一日そこらしか経たない六月二十日の資料――一体そうすると、これは各省間の連絡なしに出したということですか。大蔵省なりその他と連絡なしにこういう計画資料をわれわれに提出しているのですか。その点をあらためてお伺いします。
  282. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) その点はなは事務の連絡が不十分でございまして、今私がお答え申し上げましたことで御了承をいただきたいと思います。
  283. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私どもの聞くところによると、やはりわれわれにこういう農地開発関係の資料を提供されるについて、担当の事務を扱っている人たちは実に苦心惨たんをしておられることもわれわれは承知しておる。決してこれは単なる一省一部局の意見なり考でこういう資料が出てきておるんではないということは、われわれにも十分察しがつくわけです。それを正規の委員会に配付しておきながら、しかもこの期に及んでこの数字は少し間違っていました、これは党内の関係だとか、そういうことはわれわれは知りません。少くともわれわれに与えられた資料、最近の資料はわれわれは信用すべきものとしてこれを受け取って審議の資にしておるわけです。そういうことであるとすれば、私どもとしてはせっかくこの問題について午前中から経審長官やあるいは外務大臣の御熱心な出席と御答弁をわずらわし、われわれにしても、ついにきょうは本会議にただの一回も姿を見せずして、委員長以下ほとんど全員がこの問題に没頭しておるわけです。そういう不用意というか、ずさんと申しますか、そういう資料をわれわれに出すことは十分注意していただきたい。また大蔵大臣に私は先ほどのお答えでありましたが、見返り円資金に関してはアメリカのそういうひもがついていないということであれば、あと国内関係で十分御連絡をいただければ、私は電源源開発の百八十二億という金のうちの、さっきこれだけわれわれが熱心に要望しておるにもかかわらず、わずか十億、これに対してしかも逆さに振っても鼻血の出ないという返答はわれわれとしては受け取れない。一億でも二億でもとは申しませんけれども、全然考慮の余地がないのですか、百八十二億のうちから。
  284. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 資料の提出につきましておとがめをいただいたのでありますが、けさほどこの資料を御説明申し上げるときに、私は愛知用水については相当各省の打ち合せは進んでおりますけれども、その他についてはまだ問題が残っているということをお断り申し上げたつもりでありましたが、その点が趣旨が徹底してなかったように承わりますので、その点おわびを申し上げたいと思います。最初にけさこの資料をお配りしたとき、そういう趣旨で御説明を申し上げたのでございます。
  285. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 見返り円資金のうちで百八十二億が電源開発に回して、そのうちから十億程度回してどうだというお話しでありますが、実は今年の電源開発資金も今のところやはりまだ五十億ばかりどうしてもほしいという状況にあるのであります。これも全体の資金関係からがまんを願っておるような状況にあります。ここから十億差し引くということについて非常に困難な状況にありますので、御了承をいただきたいと思います。
  286. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると、結論としては、われわれの要望にはこたえられない。私は農林大臣にもう一点、これはお願いというよりも、ためを押しておさたい。これほどわれわれが熱心に、少くとも国内農業開発に熱意を示しておるにもかかわらず、農林大臣はかねて畜産の振興であるとかあるいは食糧自給度の向上なんということは、委員会で、はもっともらしく答弁しておるけれども、畜産農家の犠牲を目の前にして、しかも経審長官等におかれましては、実に熱心にこの点について考慮の余地を残しておるにもかかわらず、主管大臣の農林大臣がそういう態度であるということは、われわれとしては最もこれは遺憾とするところなんです。農林大臣のそういう考え方とすれば、われわれは今後の農林行政については、もう一度これは考え直す必要があろうかと思う。この点については、私は農林大臣がもし答弁の必要があるとお考えになればお答を願いたい。
  287. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 実は先ほど来申し上げました通りに、この土地改良に余剰農産物資金をどういうふうに分けるかということにつきましては、だんだん閣内においても十分協議をいたしまして、私といたしましても、あらゆる角度から検討いたしまして、最善を尽してこの結論に達したわけでございます。もちろんただいま御指摘の通りに、この酪農製品の入って参りますこと等がわが国の畜産業に及ぼす悪影響は十分われわれも了承いたしております。これについては別途これらの対策について万全を期さなければいかぬということ等につきましては、いろいろの立場からそれぞれ御相談を申し上げておるわけでございまして、これはすでに学校給費の関係等を従来とは趣きを変えまして、そしてこれは文部大臣との間にも、もしくは厚生大臣と三者の間で緊密な連絡をとり、またこの委員会の組織を変更するということ等によりまして、その悪影響を除去するとともに、畜産酪農製品の下落を阻止することにこれを考慮していかなければならぬということに考えておる次第でございます。  この今の土地改良費について、これをこのままでこれが増額することはできないということについていろいろ御意見をちょうだいいたしたのでありますが、今後におきまして、私も十分注意をいたしまし、て最善を尽して御趣旨に沿うようにいたしたいと湾えますから、よろしく御了承を願いたいと思います。
  288. 江田三郎

    江田三郎君 これは先ほど飯島委員の方から申したので尽きているようなものでありますが、とにかく余剰農産物を入れるということは、日本の農民にとって迷惑な話である。そこでせめてそこから出るところの借款というものを農業関係に入れてもらいたいということは、これはひとり私ども農林委員が申しているだけでなしに、先ほど来政府の各位がお聞きのように、当外務委員会の委員長もそのことを真剣におっしゃっておられるわけなんです。ところがそういうことについて、この借款の円資金み使い方については別にひもをつけられていないと、こうおっしゃりながらも、この百八十何億かの電源開発からこちらへ、農業の方へ持ってくることができないということは、私どもも納得できません。私はまあその点納得できませんが、もう一つ今大蔵大臣がおっしゃったことについてお尋ねしておきますが、この本年愛知用水に二十五億、北海道開発に、五億、他はその足らずは明年度以降において繰り上げて行うのだと、こういうことでございましたが、そうしますというと、この三十一年度については円資金分としてここに書いてあるところの九十三億四千万円プラス十億というものが出てくるということ、さらに三十二年度以降においてもこれだけの金が出てくると、こういうことになってくるわけでございますが、こういう点については、午前中に森委員なり溝口委員から大蔵大臣に質問をされたことに対しまして、経済六カ年計計画や三カ年計画の関係のあなたの、大蔵大臣の答弁を聞いておりますというと、別に問題はないように私は了解しておりますけれども、念のためにもう一ぺん聞いておきますが、三十一年度についてはどういうような円資金の調達なさるのかしりませんけれども、九十三億四千万円、本年足らざる十億を加えたものを調達される、そうしてその調達に当っては、これいは経審長官もあるいは農林省関係もおっしゃっておりましたが、今まで食糧増炭費に対して二百六十億程度のものを使っているというが、それには食い込まないか。これは今までの答弁を総合いたしますと、そういうことが出てくるわけでございますが、これは私の聞き違いじゃございません。間違いないわけでしょう。その点を念のために、あとでまた間違いが起きらや困りますから、大蔵大臣の答弁を求めます。
  289. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えしますが、円資金の量の関係につきまして、十億、明年度以降に特に考えましょう。これは私は考えるつもりをしております。これはまた一部預金部資金等の――ただこの余剰農産物等の買入れがない場合に、これはまた円資金の調達が問題があるのであります。あるいは一般会計がどうなるか、こういうことになる。これは私はこの一般会計に繰り込むということは、これは困ると思っております。これはこの余剰農産物がいよいよ買えない場合については、その際にさらにこれは別途に考えてみなくちゃなるまいと思っております。すぐそれを一般会計から金を出すというようなお約束はできない。
  290. 江田三郎

    江田三郎君 この今の十億の問題だけではないのですよ。これは来年度においては、この計画によりますと、九十三億四千万というものが、円資金分として書いてあるわけです。そして十億を来年へ繰り越すということになるとこれは百三億ということになるわけです。そこで余剰農産物による借款がどうなるかということは、これは私どもわかりませんけれども、しかし少くとも経審長官余剰農産物による借款がない場合でも、この預金部資金あるいは一般会社の方からそういうような資金は調達するのだということをおっしゃったわけです。それから午前中に大蔵大臣はただうわのそらで答弁をされておるのかもしれませんが、あなたが森委員なり溝口委員に答えられたところからいくと、やはり同じようなこの九十三億とか百十億という後年度計画についても、あなたは肯定されておられるのですよ。今になって違うというなれば別問題ですが、そこであなたの先ほどの答弁は、十億だけでなしに、今後のこれらの問題についてもはっきりと答えていただかなければならぬわけです。
  291. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私の午前中の答弁について御引用がありましたが、私は午前中におきましては、この経審から出ておる案については一つの経審の要求である。はたしてこういうふうな増産をする場合に、どれだけの資金を必要とするかは、さらに検討を経なくてはならない。しかるにそれだけの資金がまた要るとなった場合については、できるだけこれは協力をしなくちゃならぬ、こういうふうに私は申し上げてあるのでありまして、具体的にどれだけの資金が要るかということは、私は今後検討に待たなくてはなるまいと、かように考えておるわけであります。
  292. 江田三郎

    江田三郎君 一たんここで愛知用水の仕事を始めそうして北海道関係の開発事業が始まるということになりますと、もし途中で資金が切れたということになったら、これは大へんなことでしょう。今でも金が足りなくて困っておる。そうして大蔵省の原次長あたりは金の使い方についてまことにきびしい態度をとっておられる。そういう態度からいきますというと、少くともここで頭を出した以上は、そのけじめをつけなくちゃならぬということは申すまでもないことであり、原次長もわざわざここにおいでになった以上は、その点を慎重にお考えになって出てこられておると思うのです。ところが来年度において余剰農産物がどうあろうと、余剰農産物だけでは私はなかなかこの資金はできなかろうと思います。預金部から資金を出すのか、どこから出すのか、出していかなくちゃなりませんが、そうしますと、一たん始めた以上はどうしても来年度においてはこの九十三億プラス十億という金が要るということは必至なんですから、百億というものを出していかなければならない。そのときに今の大蔵大臣の答弁のように、あるいは午前中に答弁されたことが今あなたのおっしゃるようなことであって、私たちの聞き違いだというのならば、これは私もあとからよく速記録を読んでからもう一ぺん申し上げますけれども、しかしそれがどうあろうと、とにかく一たん始めた限りは、来年度においては九十三億プラス十億というものが要るのです。来年度九十三億プラス十億については、これはあなたの方ではっきり責任を負ってもらわなければならぬわけです。そのことは午前中の答弁いかんにかかわらず、先ほど申されました二十五億プラス五億、そうして足らざる十億については明年度以降において繰り上げてやるのだ、こういうことをおっしゃった限りは、この九十一億プラス十億だけは来年度において解決つけなければならぬということは、これは私は一つも誤解してないと思うのです。そのことは責任が負えるわけでしょう。
  293. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私の先ほど午前中の答弁、さらに今私が答弁しましたことは、実はこの計画については今事務当局でやれるかやれぬかということを検討していて、まだ確定案ではないと思います。それですから十分これを将来検討した上で、必要ありやいなやを考えなければならぬということで、答弁を保留した点であります。(「政府の責任だよ」「これがくずれる、くずれる」と呼ぶ者あり)
  294. 江田三郎

    江田三郎君 そうしますと、これは農林大臣に聞きますが、これは単なる農林省の勝手な計画なんでございますか。この資料の出来る経過等については、先ほど農林大臣からもお話しがあったし、農地局長からも話しがありましたが、これは私どもはきょうもらった資料なんです。私どもはこの問題は慎重に考えまして、外務委員会と農林水産委員会との連合審査をお願いして、今までいろいろな資料が出ましたけれども、どうも不確かじゃないかといって、われわれも因っておりましたところが、この連合審査に当ってこれが出たのですよ。しかも高碕長官は、一たんやり出した仕事はどこまでもやっはいくのだと、先ほど午前中に非常に元気な答弁をなすっておった。ところがこれがくずれてしまったら、議論したって何の意味もないじゃありませんか。これは一体何の根拠もない案なんでございましょうか。少くともこういう計画を立てるに当っては、世銀関係からでもコンサルタントか何かしりませんけれども、そういう諸君が来て、愛知用水だけでなくて、いろいろ他の地区にわたっても調査をされて、世銀関係のことの数字についてはある程度話ができたのじゃないかと思います。そうしますと、これが一体でたらめのプランであったかどうか。それともう一つは、世銀融資分としてここに書いておることも全然でたらめなんですか。この計画がでたらめなら、世銀融資分もでたらめになってしまうのですが、世銀との交渉というものは、何ら具体的なものはないのですか。
  295. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) これは先ほど申し上げましたように、こういうことでございます。当初愛知用水だけの三十億でやるということで予算を編成し、投融資をきめて参ったのでございます。そこで今の北海道の開墾その他のものが当初は明年度からやる予定でおったのでございますが、それを繰り上げて今年度から着手せよというような要望が強くなって参りましたので、それを相談中でございまして、それが明年度からやるか、今年度から着手するかということは未決定でございます。従って今差し上げております数字につきましては、今農地局長から申し上げました通りに、現在そういう方向で進むべく大蔵、農林両省の間で協議中で、農林省としては一部未決定がありますが、それは年次的に未決定であって、ただいま御指摘のありましたように、世銀の借款等につきましては、世銀との間に十分なる打ち合せを遂げておりまして、その他資金関係等につきましても、年次的に今申し上げますように新たに途中から明年度の予定でいたものを今年に繰り上げて実施するというような計画が入って参りましたので、そこに多少の誤解等も招きまた不確定な資料を差し上げたということは、先ほどお詫び申し上げましたような事情でございますので、御了承をいただきたいと思います。
  296. 江田三郎

    江田三郎君 ここで私わからなくなってしまいましたよ。世銀関係の分はこれは話ができておるのだ。しかし世銀関係のものを話をするなら、全体の事業計画がきまらなければ世銀関係との話合いができておらないはずでしょう。事業計画は何をするかわからないけれども、世銀は初年度は何ぼ、三十年度は十一億九十、三十一年度は三十三億六千貸してくれといったところで、そういうことができることなんですか。事業計画は今度大蔵省と話し合ってどう変るか知らんけれども、とにかくお前の方の貸す金だけはこういう計画で貸してくれということで向うがうんと言いますか。今の農林大臣の答弁でいきますと、世銀関係の方はコンクリートになっておる。あり得ないことじゃありませんか。愛知用水のこの事業だけについても、向うから設計や何かで注文をつけられるというような、世銀がそんなことをするわけのものじゃない。これはだれが考えても当りまえのことでしょう。片方の世銀関係はこういう話ができておるのだ。全体の事業計画はまだきまっていないのだ。これではわれわれは一体何々もとにして審議をしていいか一向にわからなくなってくるわけでありまして、余っている金ならともかく、よその国から借金をする金、しかも借金をするについては農民が非常に迷惑を受ける、そういう条件の下での借金であります。粉乳が入ったりあるいは先ほどの米や麦の価格を検討しましても、あるいは同じ小麦の品質を聞きましても、私どもとしては非常に納得できない、しかも金の使い方について何らどうも確定的なものがないということになったら、私はこういうような審議をこれ以上続けるのはむだだと思います。
  297. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) いろいろ御指摘でございますが、世銀との関係におきましては、この愛知用水だけでないように、北海道方面も世銀の調査はある程度完了いたしておりまして、大ワクについての了解を得ておるような次第であります。全体の、今ここに出しておりますものの大ワクについての了解はある程度進んでおるのでありまして、その内訳が今愛知用水の分はどういうことになる、北海道はどうなる。北海道の方も世銀はしばしば調査を済ましておるということでありまして、そういうことになっておる点をお答え申し上げます。
  298. 江田三郎

    江田三郎君 これは農林大臣、ときのついでにその場その場の答弁をされちゃ私は迷惑です。大ワクがきまっておるということは何ですか。大ワクがきまっているならやるべき事業がきまっているということでしょう。ただ事業の年次計画や少々の設計変更ということはあるかもしれないけれども事業がきまっていれば大ワクがきまっておるということでしょう。しかるに何ぞや、大蔵大臣の答弁を聞きますと、何も事業もきまっていないじゃありませんか。われわれは一体農林大臣農林大臣、大蔵大臣は大蔵大臣あるいは経審長官経審長官という個人を相手に話をせいということでは迷惑です。政府を相手にわれわれは質問しているのです。はっきり統一した答えをやっていただかなければ何を審議してもむだじゃありませんか。
  299. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げますが、この経済六カ年計画におきましては、三十年度は私今はっきりした数字は覚えておりませんが、約三百六十億という農業方面の予算を組んでおります。その次の年は六百八十億、その次の年は七百五十億、こういう大体の見当で、こういうことでいっておるわけであります。数字がちょっと違っておるかもしれませんが、三十年度の中には余剰農産物の三十億というのが入っておる、こういう計画で進んでおるわけなんでありまして、三十一年度以降のものにつきましては余剰農産物が得られるかどうかわからんというわけであります。
  300. 江田三郎

    江田三郎君 また違いました、答弁が。
  301. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 三十年度の分です、三十億が入っておるのは。あと計画につきましては一応こういうふうな大計画が第一年度ができて、第二年度でできないということでは、これは大へんなことになりますから、かりに余剰農産物が得られなくても、これは万難を排して、これを実行していかなければならぬというふうな場合につきましては、経済六カ年計画の数字につきましては、これは大蔵大臣もよく御承認を得ておるわけであります。十分大蔵大臣の御援助を得てこれを実行に移したい、こういう所存でございまして、これもけさ申し上げた通りであります。
  302. 森八三一

    ○森八三一君 ただいま経審長官から御説明があった通りでありまして、午前中に総合六カ年計画の中に含まれておる食糧自給度の向上の問題につきましては、昭和三十一年度に六百八十、三十二年度に七百五十というような相当膨大な資金を必要とするということになっております。これは果して実行できるのかどうかということを確めました。それに対して長官は、きわめて情熱をこめて、経済自立のためには万難を排してやるんだというお話がありまして、非常に心強く感じたわけであります。さらにそのあとを受けまして、大蔵大臣に、今経審長官お話しになりました通りに、大蔵省資金的の立場から十分御考慮を願えると思いますが、いかがでございましょうかという質問に対して、誠意をもってこれにこたえていくという明確な御答弁があったのであります。ところが先刻江田委員質問に対しまして、経済総合六カ年計画の中に含まれておる食糧増産計画の年次計画はまだ検討中のものであって、これからだということになりますると、経済総合六カ年計画というものは、これは政府の案ではないということになりまするし、午前中のお話と非常に食い違ってくるということになるので、この点は私も質問をいたしました一人として、非常に不愉快に感ずるのでありますが、今江田委員に対する答弁のように、午前中の答弁をお変えになるということでございますかどうか、その点を明確にしていただきたいと思います。
  303. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私の記憶の限りでは、午前中も先ほど申しました答弁と違わないと思っていますが、速記録をまだ読んでみませんけれども、私も午前中も、この数字につきましては、実は大蔵省としても検討を要する。むろんそういうふうな考え方について何も持ってないのですけれども大蔵省としては具体的にその資金を調達する責任を持たなくちゃいけない。ただそれでいいということは、計画を立てる人だけになかなか同調がしにくいのであります。これは実行の責任を持たなくちゃいけない。ですからその数字についてはまだ検討を要する。が、しかし、とうしてもそういうことを必要とするのなら、これは国策として国で、またそれぞれの資金がどうしても要るということなら、何かの方法でむろん私としても協力しなければならない。こういう趣旨でお答えしておるのでありまして、その具体的な数字は私自身も、おそらく事務官も十分今後検討を加えよう、こういうことであると私は考えております。
  304. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、経済総合六カ年計画食糧増産計画というものが、国際収支の観点なり、あるいは国民食糧の観点なりから、これは遂行しなければならないということに相なりますれば、それに所要の資金については、経審長官お話しになりました、さらに大蔵大臣も、全力をあげてこれに協力するという御意図であるというように了解してよろしいか。ただ総合六カ年計画に盛られておる数字が、経済自立のために変ってくるという場合は別です。それが確認せられた限りにおいては、そのことの遂行に要する経費は、これは万難を排して調達するというようにお考えになっておる、この理解してよろしいかどうか、重ねてお伺いいたします。
  305. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) お答えしますが、万難を排して執拗にやるとかいうことは、これは私非常におかしいと思います。いやしくも六カ年計画という以上は非常に合理性を持って実際やはり資金の裏づけが十分立つような、そういう計画がむろん政府としてきまると思います。そういうような形において必ず六カ年計画もきまりますから、そういうふうにここで政府が認めてやろうというときに、大蔵大臣もむろんその計画に同意を表するのですから、その計画には資金的な裏打ちもあると思いますから、むろん私も協力を惜しむものではありません。ただ万難を排するとか何とか、いかにも悲壮なようなふうな、そういうふうな行き方では六カ年計画なんかやれません。そういう点に若干私疑問を持っておるので、十分検討を加えてやりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  306. 森八三一

    ○森八三一君 さらにもう一つお伺いいたしますのは、江田委員からも今御指摘があったのでありますが、さらに飯島委員からも御指摘がありましたが、昭和三十年度における計画を推進して参りまするために、農林当局の計算によりますれば、見返り円資金関係で約四十億の資金を必要とするという特別開発計画があるわけであります。それに対して三十億だけが一応計画されておる。そこで二百十四億の見返り円資金配分については、経審長官外務大臣のお話も、別段アメリカとの関係にひもつきにはなっておりません。日本政府の独自な、自主的な立場に立って決定ができるというお話でありました。しかも、その当初の計画は、電源開発というものはなかったのであります。協定が成立したときにはありますが、最初の案は愛知用水と、それからその他として、輸出入銀行でありますかの関係と、生産性の向上ということでありました、その額が二百十四億円と決定したあとで、独自な立場に立って配分をおきめになる際に出てきたのであります。もう一つ考えてみなければならぬことは、この二百十四億円の資金の性質が、アメリカ余剰農産物の輸入によって生まれてきておるということであり、それが各同僚議員からお話しがありましたように、国内の農民には非常に重圧感を与えておるということでありますので、 この資金はできるだけ農業開発に使って、そういうような農民の不安等も解除していくという方向でなければならない。これにも経審長官も十分精神的には同意を表されておる。  そこで、それこれ考えてみますると、本年度事業を遂行するために四十億を所要するという際に、資金を必要とする面はあらゆる方面に存在しておると思いますが、農業開発にこの十億が振り向けられないということを、きっぱりおっしゃっておるのでありますが、閣内で相談をしてきめてよろしい。その結果はアメリカ政府に連絡をしなければなりませんけれども、向うのひもつきでないということであれば、資金の性質から考えて、当初の構想から考えて、十億程度のものが農業開発の方に回されないという筋合いのものではないじゃないか、もう一ぺん思考を願う余地が十分にある。午前中も、よくわかったので経審長官はさらに一つ考慮してみようというような含みのある御答弁もあったので、私はおそらくそういう趣旨において、額の問題は別といたしましても、考慮が当然払われるものであろうというように私は受け取っておったのでありますが、ただいまの大蔵大臣のお話では、もうきまっちまったのだから、これは動かしがたいというように受け取れるのであります。もう一ぺん御再考願う余地はございませんか。
  307. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) この際私から一言申したいと思うのであります。  ただいままで各委員からの御議論の趨勢、ことにただいま森委員からの御発言のようなことは、本日の合同委員会における多数の委員のお考えのように私は推測をするのであります。しこうして円資金のうちで、三割の日本側使用をすることについての自主的態度を認められた金頭、それの用途については大よそアメリカ側と相談があってきまっておる。そのきまり方は前内閣のときには農業開発輸出入銀行等におきまする融資というような輸出奨励の方面の交渉であったのが、後者が今回の現内閣交渉においてはアメリカ側からけられた。そうして国内開発の方に向けていくということになって、農業開発生産性向上と、そこに電源開発というものが出て、そのあとから出た電源開発が非常に巨額である。木協約の成立は、食糧問題は別といたしまして、国内農業開発、わが国の食糧自給という重大な問題から見るというと、ややもするというと障害になるおそれが多分にあるというものを、アメリカ側の余剰物である農産物を入れるのでありますから、せめてもの罪滅ぼしに、低利資金を、円資金として融通をするということに重きを置かなければならぬ態勢のもとにあるということは、アメリカの方でも認めておることだろうと思うのであります。しこうしてその日側の自由にきめ得る三つの項目については、なお決定のために考慮の余地のあるような御答弁であるのでありまして、また見方によりますというと、今具体的の問題になっておる愛知用水のごときは、農業開発ばかりでなく、区々たる事業でありますけれども、電源の開発にもなるのであります。そういう事態を御考慮になって、そうして農林大臣としては当初愛知用水だけにやるつもりで、自余の農業開発は来年ということを考えておられたのが、いろいろ政党的利害関係からして北海道、東北等にもあいきょうを見せなければならぬというようなことからお変りになったというような事情らしく思うのでありますが、そういうことをもとに戻す、あるいは割当の金額をできるだけ委員諸君の当然の希望の方に向けるというようなことに、閣内で至急御相談になるというようなことに願いたいと委員長考えます。  そうして本日の合同委員会は、主として農林水鹿委員会側の方の御発言を尊重いたしましてやったのでありますが、これ以上合同委員会を続けていくわけには参りません。明日は外務委員会を開いて、委員長考えでは一日でこれをあげたいと考えております。政府の切なる御希望といたして、両大臣並びに与党の国会対策委員長までおいでになって御懇請になった御趣旨に沿いたいと思うのでありますから、本日はこの程度政府が十分御考えになることを委員長として希望いたしまして、合同委員会を閉じたいと思います。政府の方で十分お考え下さい。
  308. 重光葵

    国務大臣(重光葵君) 今委員長のるる申し述べられました御趣旨を十分に拝聴いたしました。つきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、とくと協議をいたしまして、その結果を報告していきたいと思いますが、一両日でよろしゅうございましょうか、外務委員会でも。そうして今るるこの席で伺いましたこと十分に頭に入れて善処いたして、その結果を御報告申し上げたいと思います。
  309. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 合同委員会は本日だけをもって打ち切りにするということは、前々から農林水産委員長とも了解済みであります。本日開会の冒頭に私からも申し上げて御了承を得てあります。後においでの方は御承知ないかと思いますから、それを申上げておきますが、本日は私はこの程度で合同委員会をしまいたいと思います。政府がいかように御相談になりますか、それは政府の御自由でありまして、事柄はこの協約の前途にも関係がありますから十分にお考えを願いたいと思う。そうしてなお農林水産委員会としては非常な御議論がまだ残っておると私は思います。  それは農林水産委員会において御自由におやり下さることを私は希望いたします。  本日の委員会はこれをもって散会いたします。    午後五時五十八分散会