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1955-06-23 第22回国会 参議院 運輸委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月二十三日(木曜日)    午後二時二十六分開会     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     加藤シヅエ君    理事            仁田 竹一君            早川 愼一君            木島 虎藏君    委員            入交 太藏君            岡田 信次君            川村 松助君            一松 政二君            山縣 勝見君            高木 正夫君            内村 清次君            片岡 文重君   国務大臣    運 輸 大 臣 三木 武夫君   政府委員    運輸省海運局長 粟澤 一男君    運輸省鉄道監督    局長      植田 純一君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 細田 吉藏君    運輸省航空局長 荒木茂久二君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人の出頭に関する件 ○日本航空株式会社法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査)     ―――――――――――――
  2. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) それでは、ただいまから運輸委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。日本航空株式会社法の一部を改正する法律案審査のため、参考人より意見を聴取してはいかがかと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 御異議ないものと認めます。  参考人の人選、日時、その他手続につきましては、委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。     ―――――――――――――
  5. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 日本航空株式会社法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  6. 早川愼一

    早川愼一君 第四条役員の数を限られた理由一つお聞きしたいのですが、つまり、会社法で定員をきめなければならぬ以上、まあ定款で定め得る以上、本法はすでに第四条人数制限されておる、これの立案の趣旨一つ伺いたいと思います。
  7. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 従来は御存じのように商法に一任いたしまして、定款規定したわけでございますが、この日航という会社基本法であります日本航空株式会社法に基本的なそういった部分が定款に譲られておりましたのを、基本法に入れたらいいじゃなかろうかという考えのもとに、日航法に入れたわけでございます。
  8. 早川愼一

    早川愼一君 その基本法に入れたのは、十人という数をきめられたのは、どういう意味でしょうか。あるいはこれはすべて十人というのは、会社に従事する常勤の人だけをもって構成するという趣旨のもとに、第四条ができておるのですか。
  9. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) この十人が全部常勤といいますか、毎日出勤する重役ということ、それだけだというふうに限定はしていないわけでございまして、会社運用によりまして、トータル十人でございますが、そうたくさんの非常勤重役は置き得ないと思いますけれども、この中には若干の非常勤重役を置き得る数字であると、こういうふうに考えたわけでございます。
  10. 早川愼一

    早川愼一君 そうしますと、取締役は他の兼職を許さないという規定がありましたですね、その点は非常勤には適用がないのですか。
  11. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 非常勤の方につきましては、第四条の四の運用によりまして、運輸大臣承認を得て兼職を認める、こういう建前でできておるわけでございます。
  12. 早川愼一

    早川愼一君 そうしますと、十名という人数は、今の御趣旨からいうと、必ずしも十名という限られた――第四条の四を考慮に入れると、十名というものは何か常勤に限る数字か、そういうものを含めての十人か、そういうことは四条自体としてはどういうお考えですか。非常に十人といいますと、そのうちから兼職を許すものがあるとすると、その点はこう人数を限らなくともいいのじゃないかという気がしますが、どうでしょう。
  13. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 実は現在、定款上二十五人になっておりまして、実際は二十四人でございますが、一般的に多過ぎるという空気が相当強いものでございますから、そういった面を勘案して、それからまた会社の実際の運営の実情、及び他の会社で申しますと、たとえばこれと同じような法律的性格かと思いますが、国際電信電話会社非常勤が三人というような数字でございますので、そういったものを勘案いたしまして、この辺が適当の数字であろう、こういうふうに考えたわけでございます。従って、若干の非常勤重役が置かれることになると思いますが、その際には四条の四の運用によりまして、他の職を持っておられる方がこちらの重役になることもできる、こう考えます。
  14. 早川愼一

    早川愼一君 そうしますと、今まで役員数が多いために非常に会社運営上困る、何かそういう実例があったからこういう十名に制限されたと、そう解釈していいのか、あるいは一般に会社というものは十人程度のものだというお考えで十人ということにされたのですか。
  15. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) こういうふうに政府出資の数が多くなってきますと、いろいろ政府出資会社とか政府関係機関というようなものを一応参考にいたさなければならぬわけでありますが、その数が大体十人以下というのが多うございますので、その辺が適当ではないか、こういうふうに考えたわけでございます。実際は会社最高経営陣というものでございますので、多いからして積極的に悪いというわけではないと思いますが、まとまったコンパクトな合議体として運営する方が事柄がスムーズに能率的でないか、こういうふうに一応考えたわけであります。
  16. 早川愼一

    早川愼一君 もう一度お尋ねいたしたいと思います。あまり積極的に十人に限らなければならぬ御事情もないようですが、そもそも日本航空株式会社最初設立のとき、民間資本が十億、その後ふえまして十三億かと思いますが、そうしますと、そういうものの成り立ちを無視して今十人にされるという理由、たとえば常勤を十人に限る、そういう意味ならやや了承できるのですが、ただこの会社に参加した人を、最初からの成り立ちを無視して人数をこういうふうに制限されることについて、何か特別の理由がなくてはおかしいじゃないか、こういう感じがします。何かそこには御意見があるのでしょうか、それは単に他の会社との振り合い上こうされたと了承してよろしいですか。
  17. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 積極的な理由というわけではございませんが、先ほど申し上げましたように、こういった政府出資あるいは政府関係機関のそういった執行機関の数と比較いたしまして、一面またそういった今御指摘のような沿革があるわけでございますが、それが多過ぎるという非難もありましたので、そういった点を種々勘案いたしまして、このようにいたしたのであります。
  18. 一松政二

    一松政二君 ちょっと関連して、その重役の問題について……。先ほど航空局長国際電信電話会社の例を引かれたけれども、日本航空とは、政府出資その他は形は似ておるが、事業の性質はちょっと違うと思うが。二十五人の今の定款は、これは合併やらいろいろのいきさつで二十五人となっておったんだろうと思うのですが、人数制限してきたのは結局、会社運営よりもむしろ何か月々の手当とかボーナス――ボーナスはほとんどないだろうと思うが、非常勤の人に月々払う給料か何かに目をつけて、結局、滅した方がいいじゃないかというのか、どうなのですか。
  19. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 非常勤重役に対する手当は月五千円でございますから、その金額会社の負担に影響があるからそれを軽減するという趣旨ではないのでございます。
  20. 一松政二

    一松政二君 それだったら、先ほど早川さんが言ったように、何か経営人数が多過ぎるので意見がまとまらない、内部分裂をしてまことに工合が悪いから、少数精鋭で一丸となっていくというような趣旨か。何かの理由がないと、ちょっとおかしいと思うのですが、その点はどうでしょうか。
  21. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 内部分裂をしたとかなんとかいうことはないわけでございます。先ほどから申し上げますように、ほかの機関等をしんしゃくいたしまして、十人に落ちついたわけであります。
  22. 一松政二

    一松政二君 日本航空というのは一つ客引き商売でしょう。それで幾ら手当を出さないで、ごひいき筋が多ければ多い方が、むしろ会社のためにいい。そんなパンに乗らないで日航に乗れというて、むしろ五千円くらい手当を出しても、重役にしておくことがいいか悪いかは別問題として、ひいき筋は一人でも多い方がむしろ日航のために、収支の面からいってプラスの方が多かろうと私は思う。そこで特別の非常に筋の立った理由はなさそうに思うのですが……。それに私は今申し上げましたように、国際電信電話はそれは、君、電報はこっちを通してくれということはないわけです。ところが、日本航空のようなものは競争相手幾らでもある。それで国内でも外国人でもみな、できるだけ日本航空にファンを持つ方が、こういうものの会社経営には私はいいと思うのだから、十人に限るということは、これは最も私は当を得ない改正ではないかとあれは考えているわけです。でありますから、今航空局長お話を伺いましても、ただ国際電信電話その他類似のような政府出資のものが大体十人になっているということだけでは、会社そのもの営業目的が全然違っておりますから、それは私は当らないと思うのです。これは意見になりますからそれだけを申し上げておきます。それで関連質問は一応終っておきます。
  23. 山縣勝見

    山縣勝見君 関連して。今この常勤以外の役員について五千円というお話がございましたが、それは大体五千円と監督官庁としてお考えになっているという程度なんですね。
  24. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) これは監督官庁がどうこうということではございませんで、従来ずっと前から、この設立当初から、そういう金額を支払っているということであります。
  25. 山縣勝見

    山縣勝見君 そうすると、もちろんこれは株式会社なんだから監督官庁が勝手にきめる問題ではないと思うのですが、大体その程度報酬とお考えになっておられますか、今後とも。
  26. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 今までもそうでございますから、恐らく将来も報酬の方はその程度で、結局、給料といいますか、手当といいますか、なるだろうと思います。
  27. 山縣勝見

    山縣勝見君 実は御質問したいのは、五千円が問題にあらずして、非常勤日本航空会社から支給する給与が五千円程度だというその非常勤に対して、現在の日本経済事情から見て兼職禁止するようなこと、並びにまた政府がそれに対して認可を与えるということと、日本の現在の経済事情から見て兼職禁止さるべき役員が月給五千円内外である、しかもそれに対して政府認可制をもって臨むというようなことが、現実に即しているかどうかという問題でありますが、これは現実に即していない、それはそういうような非常勤というものの本質とそれに対する給与は五千円内外とお考えになっているという点に対して、重大なといいますか、現実を無視した事実ではないかと思うのですが、その点いかがですか。
  28. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) その非常勤の方だけを抜き出して考えますと、おっしゃったような点が生じてくるわけでありますが、会社取締役は本来常勤といいますか、その運営責任を持って当るのが建前であろうと思いますので、法律規定は本来この会社運営を担当する重役を対象として規定したわけでございますので、従って、四条の四のただし書でこれが運用上入っておるということでありますので、今非常勤の方だけを抜き出してお考えになりますと、今御指摘のようなものが結局クローズ・アップされてくるわけです。
  29. 山縣勝見

    山縣勝見君 関連質問でありますから、その点を重点的にお伺いしたいのでありまするが、確かに第四条の四には運輸大臣承認を得た場合においては、兼職禁止規定除外規定がありますけれども、やはり明らかに現実的に見て、第四条の四を常時適用せざるを得ない。また適用するようでなければならない。日航というものが実際に、先ほど一松委員お話のように、いわゆる公社的存在よりもむしろ企業性を十分に持った企業体として十二分に活用した方がいいのですが、こういう点から見れば、私は十人が十五人でも、練達堪能な、しかも経済人として有能な人を集めて、もちろん株式会社重役会にはあまり多くおりますとまたいけないこともありまするけれども、しかし必ずしも十人に限定しない。しかも、兼職禁止してはおそらく、現在の経済界事情から見て、しかも政府認可制というようなものをもってしては、おそらく私は日本航空のためになる一流の財界人は集まらぬと思うのです。現在この日本航空をどうするかということは、政府がせっかく助成措置を講じて日本航空会社をもっと業績を向上さして、そうして国家資金を有効適切に活用したいということが目的だろうと思うのでありますが、それならば、どうしても企業性を持ったものにしなければならぬ。純然たる公社性のものでもって、たとえば国鉄の二の舞を来たさしめるということではいけないのでありますから、国鉄の現在悩んでいるその欠陥というものを、日本航空会社改正に当ってもよほど考慮しなければならぬ、そういう点から見れば、私は少くとも非常勤の者というのは必ずしも人数を限定しないで、ことに兼職云々というのは、これは実際、たとえば会社経営というふうなものの実態から見れば、これはむしろ私は逆効果を来たすのじゃないかと思うのです。  ことに、私は基本的にこういうふうに考えるのですが、これは運輸大臣から伺いたいと思うのでありますが、大体日本航空に限らず、すべて政府は何らかの助成措置を行わんとする際には、必ずその反面、政府監督を強化するという問題がたえず出てくる。これは国家資金でありますから、国民の金を集めた資金でありますから、政府がこれに対して監督を強化して、有効適切な資金運用をはかるということは当然でありましょうけれども、多くの場合それが逆効果として、かえって政府の企図するところと反対の結果を招来する。そういう面から、やはり今回日本航空に対して助成措置を厚くするのに、そうして結果として有効適切な措置ならいいと思うのでありますが、たとえば非常勤役員人数制限、ことに兼職禁止認可制、こういうもののごときは、私はむしろ政府の企図されているところとは、結果としては逆の結果を来たしゃしないかと憂えるのでありますが、これらの点に対して大臣の御意見を伺いたいと思います。
  30. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 非常にむずかしい点だと思います、その点は。というのは、これはやはり国民の税金を一会社補助金として注ぎ込んでいくのですから、そういう意味からいたしまして、利子補給などの場合よりきびしい一つの援助の仕方であります、一会社にやるわけですから。そうなってくると、そこで政府がある程度その会社に対して監督権を強化するということはやむを得ないのじゃないか、こう思うのであります。しかしどの程度にするかということは、やはりわれわれとしましてもこの点については、どの程度が適当だということについては、これはなかなかめんどうだと思います。法案を提出いたしました運輸省としては、この程度が適当であると考えて提出いたしたわけでございますが、そういう点を委員会としてよく御審議を願わなければならぬ点だと思います。  また非常勤の点につきましては、これは山縣委員から御指摘のように、これは例外規定ではなくなると思うのでございます。実際問題として、非常勤の場合における兼職禁止の条項が、やはり実際非常勤の場合は何かの職をお持ちになっていることが実際問題として多いと思いますが、その人数の点については、今まで、最初日本航空ができたときにはいろいろないきさつがあったでしょう。二十五名というのはいかにも多い。いろいろ民間資本を集める場合に、各方面の協力を得たわけでございますから、どうしても人数が多くなった。また現在においても十三億のその資本構成の中には、やはり重役も多くなる要素を持っておると思います。そういう点から、非常勤も、五千円とは申しますけれども、あまり会社経営体として重役の多い形ということも、それ自体経費ということばかりでなしに、いろいろな点でそういう会社経営形態というものが、ただ単に月五千円だけにとどまらない場合もあるのではないかという感じもいたしますために、いろいろな方面から寄っての資本構成から考えてみて、これはもうどんな人数になるのであるか、ある程度はやはり制限をして、機構はできるだけ簡素化された形で経営するのがよくはないかということで、人数制限をいたしたわけでございます。
  31. 山縣勝見

    山縣勝見君 ただいま大臣の御所見を承わりましたが、さすがに人数の点については私も二十五人は多いと思います。ただし、十人がいいかどうかということに対しては、十人では少し少いかと思うのであります。というのは、やはり日航は今後相当国際性を持って、そしてあらゆる分野から、これを大きくいえば航空事業というものはいろいろな事業総合性の結果に基いて運営していかなければならぬ点が相当あるから、やはり各方面練達経験者財界人を集めるという点から見れば、常勤者を入れて十人でございますから、十人では少し少いのではないかという感を抱くのであります。  なお、認可性兼職の問題は、先ほど来るる申し上げた通り、私の見解としては、第四条の四に基いて、結局、実際上はほとんど兼職認可するということに相なると思いますが、そうなれば、初めから規定上それを認容して、そして練達な人が法令上においてもこれを吸収し得るような道をとった方が適当ではないかと思うのであります。  それから会長制を認めない理由はどういう点にあるのでございましょうか、その点を。
  32. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この会長――日本会社にも会長はありますけれども、実際問題として社長会長との関係というものが、やはり取締役会を代表するということになってくると、やはり非常に複雑な機構になりはせぬか。会長があり、社長があり、あるいは会社代表権を半分ずつに分けたりしておるのがありますが、これは一応民間株式会社形態ではございますけれども、一面に国策会社的な性格も否定することができない、資本構成の上から。そういう会社として、あまりに、何と申しますか、機構が複雑になることもいかがかと最初考えたのです。会長を置こうという線も考えたのでありましたが、むしろ社長、副社長、こういう単純な形の方が、こういう会社一つ機構としては好ましいのではないかということで、結論はこうなって、過程においては、そういうことも考えました過程もございました。しかし法案を提出する場合には、そういう考え方でこういうことにいたしたわけでございます。
  33. 山縣勝見

    山縣勝見君 これは議論にわたりまするから、議論にわたることはできるだけ避けたいと思いますが、私の見解を申し上げれば、現在の日本の経済的な立場から見れば、今後は別でしょうけれども、会長社長はおそらくこれは現業の、常勤の、しかもこれを専心行う人でなければならぬと思うのです。しかも航空事業に対して相当、技術的にもまた経営の面においても、専門的な知識を持った人であることが適当です。しかし現在の日本航空段階においては、会社全体の大きな運営をどうするかという点については、必ずしもさような人が最高責任者として適当であるかどうかということに対しても疑問を持つので、現在の日本航空の発展の段階、また日本財界経済界の現状から見て、一番私が適当だと思うのは、やはり専心それに当る社長、しかもそれは航空事業に対して相当専門的な知識経験を持った人。しかもその上には、さらに私は、法律に一応触れるかもしれませんけれども、最も適当な形としては、兼職を許さるべき、しかも日本経済あるいは国際経済全体にも相当知識経験を持っているような会長を置いて運営するのが、一番いいのではないかと思うのですが、これは意見にわたりますからよしますが、そういう意味から見て、大体私は、なぜこういう質問をするかというと、日本航空運営というものに対して、基本的な考え方、たとえば兼職の問題、会長制の問題、それらを通じて基本的に、いかにも公社に対する政府監督権を重視して、一つ企業体は、もちろん政府助成に基いた企業でありますけれども、航空事業というものは、もっとフレクシブル運営をまかしてその業績をあげるのが適当ではないか、そう思いますので、ボードの問題にしても、もう少しフレクシブルを持たして、もう少し何らか政府重圧のもとにおいてボード運営されてゆくという観念を、少しでも取りたいという観念において申し上げておるのですが、それからもう一点簡単に伺いますが、私は日本航空会社の今回の改正の重点は、やはり国鉄にも通ずる問題であって、やはり今後日本航空というものは、企業体として、政府助成のもとにおいてできるだけ柔軟な運営がされるべきである。そしてそれによって企業性を全面的に発揮して、赤字経営から脱却して、さらに健全な会社の基礎のもとに国際的に打って出るということが必要ではないかと思うのですが、私は今回の改正に当って特に注意さるべきことは、日航法が制定された以後の日航業績、これが当初政府が考慮されて、そして大体改正前の、日航法の制定されたときにおける日航業績予想と、その後の日航法に基いて運営された日航業績に、非常な懸隔が出ておるのですが、私は先ほど来ボードを中心にお伺いしているのは、その点をつきたいためお伺いしているのです。  会社経営は、いろいろ御議論もありますけれども、やはりそういう点に、日航が過去、制定後の運営に、法律重圧のもとに運営して、いわゆる柔軟性を欠いたために赤字予想以上に膨大になった。この点が今回の改正においても相当考慮さるべきではないかということでございますが、この当初制定されたときのもくろみと、その後の業績との間に、非常な経営赤字の増大であるが、それに対してどういう理由で間違ったか、またその原因はどこにあるか、今後さような赤字は今回の改正によってどのように克服され、また経営上改善されるかという点を、お伺いします。
  34. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 新日航が発足しますときに、将来の収支予想を立てて、おそらく委員会でも資料を配付してごらんいただいたと思うのです。そのときの実績とはだいぶかけ離れてきた。国際線国内線とに分けて考えまして、国際線につきましては、実は支出の方、いわゆる経費の面も若干上回っておりますが、収入面でそうまできていなかったという点に、見込みが違った大きな原因がある。国内線につきましては、実は収入面におきましては、いわゆる人の乗っておる数からいいますと、お客さんの数から申しますと、大体予想数字に来ているわけでございますが、支出の面で整備費予想以上に高くついておるということが、収支のバランスの予想が食い違ってしまう原因だろうと思います。なお、国内線につきまして収支が合わない原因について申しますと、この前に御説明申しましたように、運賃に対する算定が甘過ぎたという点がありましたので、これは是正をいたしたわけであります。
  35. 山縣勝見

    山縣勝見君 あまり一人で質問いたしましていけませんから、なお一点だけ御質問申し上げたいと思います。今回の政府助成の反面、監督規定を強化されたのでありますが、これは役員問題等もありましょうが、さらに重要な点は、会社運営に当って資金計画あるいは事業計画、そういうふうなものに対して相当広範囲の命令権法令上確保されておりますが、従来の法律は、第十二条で、重要な施設の譲渡というものに対して監督権規定されております。私はやはりこういうふうな、もちろんこれは政府の財政資金の相当投下された会社でありますから、先ほど大臣が仰せられたようなこともございましょうけれども、会社運営という、営業という点になれば、やはり一つの純然たる営業であって、他の一般の会社と同じでありますから、営業という点になればできるだけ――もちろんこれは重役の問題になりますが、もしもそういうふうな政府の方針に反する場合においては、役員の任命権というものは、認可制は少くとも上級のものに対しては政府はお持ちになっているのであるから、法令上の会社運営については、できるだけそれらのボードが、会社の最高首脳部というものが自由闊達に運営計画を立ててそうして運営できるようなふうにいたした方がいいと思うのでありますが、従来の第十二条を相当強化して、今回の第十二条の二に相当いろいろな命令権を確保されておるのでありまするが、これに対して何らかもう少し会社運営上幅のある運営ができまするようなお考えがありますやいなや。あるいはまたどうしてもこういうふうなものを置かないといけないのであるかどうか。それについてお伺いしたい。
  36. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 実際の運用としては、いろいろ事業の内容干渉はできるだけいたさないつもりでございます。今山縣さん御指摘のように、実際資金の構成からいたしますならば、政府資金の方が圧倒的に比重が重いのであります。こういう事業の性質上、やはり企業性と申しますか、そういうものを生かしたい。こういうサービス事業というものが、国営とかあるいは公社企業形態よりも、やはり民間企業のよさを維持する方がいい、こういう見解で、いろいろ公社案の見解を持つ方もあったのでありますけれども、それはわれわれとしてもとらたかったのでございます。  しかしながら、今後やはり国際航空にいたしましても、これは相当路線を延ばしていかなければならぬ。まあ今一番われわれは考えておりますのは、東南アジアの航空、来年の一月一日にはバンコックまで延ばしたい。これはまあ必ずしも飛行機を特別に必要ではございませんし、ある程度の乗客もある見込みでございます。一月一日くらいにはバンコックまで延ばしたい。できるだけすみやかに、その次はラングーン。賠償問題もございますから、まあこれはその次に、明年中にはこういうことを実現したいと思っておるのであります。行く行くはニューデリーくらいまでは日航機が行くようにしたい。そういうアジアの航空の次には南米なども考えられますが、どうしてもこれは、今の香港航路から先に延ばすことが必要であります。  そうなってくると、やはりこれは相当の期間政府の補助を必要とする。あるいは航路を延ばす程度によりまして、今日の補助よりももっと大幅な国家助成を必要とすることが起ってくると思う。そういうことを考えてみますると、会社自身の資金計画で、その自己資金の調達方法等で会社経営できるならば、いろいろ資金計画とか予算の計画でありますとか、収支計算、収支計画でありますとか、必ずしもいろいろ政府の方で、そういうものを提出したり、あるいは指示したりする大幅な権限は要らぬかもしれませんが、自己資金だけではとてもやれない、やる余地はないわけでありますから。そうなってくると、これは実際に一々企業の内容にわたって干渉して会社経営がやりにくいようなことは、実際にはいたしませんけれども、そういう資金調達の方法が政府の補助あるいは政府の出資金に頼らざるを得ない事情から、ある程度法制上の建前としては、政府がそういうものに対して指示もできる権限を持つことが、これは法制上の建前としては当然ではなかろうかということでいたしたのでございまして、しかしその権限を利用して、せっかく民間企業のよさを残したいという点から、こういうやはり株式会社形態を残しておるのでございますから、実際運用の面において、政府企業経営において非常な干渉をしようという意思はございません。
  37. 山縣勝見

    山縣勝見君 ただいま運輸大臣から、ボードの問題、会社運営上の問題に対して、実際の運営上に当っては、先ほど来私の述べておりまする見解にほとんど近い見解を承わりまして、私は非常に欣快に思います。できますれば、さようなこと、また法制上、ある程度の国家の財政資金の投下されるものに対しては、法制上の形として必要な形が必要だということはよく了承されるのであります。ただし、せっかく大臣のお考えがさようなことでありますから、法制上必要な最高限度においてはこれを適当な改正をいたすようになおお考え願えますれば、非常にけっこうだということを申し述べて、私の質問を打ち切ります。
  38. 一松政二

    一松政二君 運輸大臣に伺いたいのですが、いわゆる監督規定というものが、今までの日航法においても、これを監督し、数字をとり、実際上にいろいろなことを言うのは、一係官なのだ、大蔵省の。そうして大臣局長なんというものはほとんど最後の締めくくりかなんかに、その係官の属僚的な考え方を聞いておやりになっておるのが、実際に近いのだろうと思うのであります。各省の担当官がいつも予算を取るのに、大蔵省へまるで物もらいに行くようなふうに行っておるのが実情であると思う。監督規定を厳重にすればするほど、そこへそういう問題が起ってくる。今まででも私はかなり微に入り細をうがって、そうして場合によっちゃあ、結局、江戸のかたきを長崎でとるのか、あるいは自分の言うたことがさほど重点が置かれなければ何かはかのことですぐ当りちらすことが、人間だからありがちなんです。そうして肝心の目的とする営業の成績を上げる方は、手足を縛ることによって気をくさらして、そうしてこれは山縣委員も僕は同じ角度から論じられていると思うのですが、事業経営というものそそんなものじゃない。数字で表われて、そうして数字をひねくり回して、いろいろ理屈はまあつくかもしれませんけれども、大蔵省の一つの机の前におって何かきまりきったことをやる者と違いまして、それは実際、経営上においてはあらゆるいろんなことが起ってくる。それをあとから結果から見て、これはもう必ずその結果から見て、どうだこうだ言うにきまっているのですよ。そうしてその言うことをきかなければ金を出してやらぬ、これはけしからぬじゃないかというのが、大体落ちになりはしないかを私は憂えるのです。  これは運輸大臣でも、あるいは航空局長でも、あるいは大蔵大臣なり次官なりが、直接こうあるべきじゃないかと大局的にお互いに相談をして、そうして適当なところに落ちつくならば、私は何をか言わんやと思うのだけれども、多くの法律を厳重な監督規定にすればするほど、今度はその専門の係官ができてきて、その専門の係官はいかにも小じゅうと的存在になるわけです。これが私は官僚機構なり政府あるいは公社等のふるわない原因になると思う。それは人間でありますから、どうもその個人感情が、はさむなといったって場合によればそれははさむような事態が起ってきがちで、社長や専務は、会社経営よりは大蔵省の係官に頭を下げてその了解を求むることにきゅうきゅうとするような私は結果が心配になるわけなんです。今まででも私はあったと思うのですよ。それが今度は、法律上さらにそれを、当然今までだって金を借りる――これは銀行で金を民間の人が借りるにしても、何ら法律上の規則がなくたって簡単には借りられない。それじゃあもうからぬじゃないかと思うが、銀行に金を借りに行けば、みんなそれなんです。日本航空は、自分で借りるとなればどうしても政府の保証が要る、あるいは政府の口添えが要るということになれば、どうしても大蔵省の了解を得なければならない。これは規定がなくても私は資金面においてはもう現在監督ができると思う。また、それをやらなかったら大蔵省が承知しませんから、どうも厳重な規定ができると、かえってそれが所期の目的を達しない。さっき山縣委員の言われたように、会社をしゃちこばらして、そうしてどうもこの企業までかたくなってくるという心配があるので、おそらく運輸大臣もその点は私は同感じゃないかと実は思うのだけれども、その運用の、係官の考え方がまあ一番の問題になるので、私どもは、できればこういう問題はなるべく経営者の良識に待って、そうしてもしあやまちがあれば、これを厳重に是正する方策はとらなければならぬけれども、経営の微に入り細をうがって一々説明を求めるという方向には、なるべく運営をやっていただきたくないと考えるのですが、運輸大臣の御意見を承わっておきたい。
  39. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 一松さんの御指摘通り経営の内容に、微に入り細に入り、役人が干渉するということは、私はやるべきでないと思います。ただしかし、たとえば事業計画にしても、あるいは資金計画にしても、今後やはり相当な金額をこれは補助しなければならない。あるいは事業計画にしても、どこまで路線を延ばしていくかという計画は、政府が次の予算を組むにしても、どうしても知らなければならぬことで、またそれは補助が伴うのですから、事業計画なりあるいはまた資金計画なりということは、こちらがいろいろ干渉するというような立場ばかりではなく、これを大いに助成する立場からいっても、突然にこういうものが、計画書なしに、今すぐどこへ路線を延ばすからといったところで、政府補助金も出せるものでもございませんし、資金も出せないのですから、この政府監督権の強化は、いろいろ事業経営上に対してめんどうなことを言うという場合だけの立場でなくして、会社のいろいろな事業、国際路線なんかの事業計画を拡張する上においての便宜があるという面も私は考えられなければならぬと思うのでございます。  そこで、非常にこういう形態は、純然たるやはり資本主義的な経営のカテゴリーの中に入っていない。とにかく国の資金が二十億も三十億も、資金も、補助も出している。そうなってくると、またこれはタックス・ペイヤーの国民の立場からすれば、これはやはりわれわれの税金を使っておるのだから、それに対して、国民に対して責任政府が負うてもらわなければならぬという国民の感情がある。そこにやはり純然たる自己資本ではなく、政府資金が入ってきた会社はどの程度会社形態を持っていくかということは、非常にめんどうだと思うのです。国民の側から見れば、良識にまかしてそうして全部やらせるということは、私は国民の側からいえば、これは損をした場合にだれが一体責任を負うのか。おれの税金を使って、これはやはり国民責任を負うものがなければならないということで、ある程度のやはり政府がそれに対して監督をしてくれるということを、この事業の場合からいえば、そういう立場から要望されると思うのです。結局はどの程度にこの監督権企業性との線を引くかというところに、この法案を立案いたしました場合の苦心が存したということを、一つ御了承願いたいのでございます。
  40. 一松政二

    一松政二君 運輸大臣のおっしゃることもよくわかるのです。それに、私も国が資金をつぎ込み、援助するのに、野放しに自由にまかせろということを言っているのではございませんけれども、とかく大局の今のような線で監督するにあらずして、まあ俗にいえば、嫁いびりといいますか、小じゅうとめいた干渉がましい行為にわたりたがる傾向がある。外国に人を一人かりにとろうというても、これはもう最近のことであって、外国に人を一人とればすぐドルの問題があるということで、なかなか容易なことではうんと言わないといううわさも聞いているわけです。それで日航の当局に言わせると、一カ月に一人のお客さんをとれば、一人分くらい優に出てくるのに、もうサービスもできない、手不足で悩んでおるということも聞いたことがあるわけです。ところが、そういう今のような計画や、将来にわたる問題の相談ではなく、日々の微に入り、細をうがつように、従来においても為替の関係やら、従来の日航法によってかなり、ことに損などしているからやかましく言われているらしいのです。そこで、それがますますひどくなると、結局、角をためて牛を殺すという弊に陥らないようにしてもらいたいというのがわれわれの希望なのです。
  41. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは今後の行政指導において、御希望のように、こまかいところに一々干渉するようなことは断じていたさないつもりでございます。
  42. 一松政二

    一松政二君 私は、この今の運輸省に対する関連の質問は、一応これで終っておきます。
  43. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 第四条の三、第四条の四、十二条の運輸大臣関係監督の必要なこと等が議論が尽されたのでありますが、私もまあ簡単、率直にお尋ねいたしますが、いかにもこれは役人の喜びそうな法律だと思います。ところが、実業家人から見ますと、これは一種のナンセンスです。率直に申しますと、今日の日航を再建いたさなくちゃなりませんが、これでほんとうに再建をする力量のある実業家人、企業家人がおりますか。その見通しがおつきになるかどうか。これはこの法律で、私どもが望むような人はこんなものを見たら、おそらくあれですよ、重役を承諾なさらぬだろうと思います。そこでもう議論は尽きておりますが、このような法律によってあなた方が望んでおる立派な人が重役を御承認なさるお見通しがあるかどうか、これを私はお尋ねしておきたいと思います。
  44. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは御承知のように、株主総会でそこで互選をされまして認可を求めてくるのですから、イニシアチブは株主総会にあるわけです。政府の任命制度にはなっていないのですが、そういう点で、日航を愛し日航の将来の発展を願う株主総会は、適当な重役を御推選されるものと、こう期待しております。
  45. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 それはもう当然でありますけれども、ところが、株主総会で選挙いたしましても、受ける受けないはその人の自由なんでありますが、その人が果してこの法律を見て承諾をなさるか、承知をなさるかどうか。まずそれとてもやはり大臣認可を得なければならないということになっておりますが、大臣の許したいと思う人はなってくれずに、大臣がいやだと思う人がなる、選挙しなくちゃならないといったようなことになりはしないかということを、私は多分に心配しております。これは議論は尽きましたから、私どもから見ました場合に、このようなどうも監督認可、許可、兼職はまかりならぬ、しかも五千円の報酬をもらうためにというようなことになりましたのでは、とうていそうりっぱな人は重役にはならぬだろうと、私ども実業家人から見た感想を申し述べまして、これ以上私は申し上げません。
  46. 早川愼一

    早川愼一君 私資料をちょうだいしたいのです。現在の役員陣ですね、この人の名前、それから担当の職員のざっとした経歴、それから株主の名簿ですね、そういうものを一つ資料としていただきたいと思います。
  47. 一松政二

    一松政二君 私はまたほかの問題で大臣質問したい。
  48. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) では、早川委員よろしゅうございますか。――資料の要求、承知いたしました。
  49. 一松政二

    一松政二君 この日本航空の経理は、要するにお客さんがたくさんあることが一番必要なんです。国家が助成を出して、そうして資金まで悩み、そうして税金から赤字の補てんをしなければならないような会社を現在抱えておるのが、政府がこれに対してたとえば海外に渡航する日本人の、しかも税金の中から行く官吏、まあ公務員諸公、これの往復について政府はいかなる助成措置を、助成といいますか希望を公けにしておるか。これはまたいろいろ他の同業者との関連もあって、表向きに日本航空を利用すべしというふれも出されますまいが、しかしそれは以心伝心で、お互いに自国のものを利用するというのは、これはどこの国でも私はあると思う。それに対して現政府がいかなる措置をとられておるか、伺いたい。
  50. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) ちょっと速記をとめて下さい。
  51. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  52. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 速記を始めて下さい。
  53. 一松政二

    一松政二君 もう一つ、蒸し返しかもしれぬけれども、取締役会長、いわゆる会長制というやつを――社長だとおそらく兼任は認められないだろうと思う、かりに許可をするにしても。そうすると、日本航空だけに朝から晩までおらなければならない、社長ということになると。それはさっきから論じられておる通り、やはり希望の人が得にくいと思う。これはやはり社長は専念するのであって、取締役会長はやはり相当の、まあだれが見ても、国際的に見ても国内的に見ても、広い視野にわたる人が私はある方がいいと思う。そうでないと、一つ企業社長ということになると、ある程度やはり限定されるんですね、手腕、力量という問題で。こういう国際性を帯びたような会社のものが、私はやはり単なる何かの一つの製造工業と違って、その利潤を上げるのに、工場の経営なり、あるいは組織的に何か動いていさえすればそれで事足りるということで私はないような気がするので、これはやはり会長制をこれにやめた理由が、先ほど私は運輸大臣から聞いたのだけではちょっと納得がいかないのですが、これを特に何かさっき、まあ仁田君が端的に言われたように、この規定を見れば、実業家なんかはばからしくて、だれがなり手があるかと、その点から見れば、その通りなんです。いわんや会長報酬幾らになるか知らぬけれども、大蔵省がやかましく言って、そうして航空の方のことをやっている主計官の方にいつ呼び出されて、大蔵省に日参するかもわからぬような所へ、私は相当な人物が行く気づかいないと思う。今までやっている人ならば、あるいはもう仕方ないから行くかもしらぬけれども、兼職禁止されてまさか、この法律をかりに改正するにしても、あるいはわれわれが修正するにしても、法の建前から行くと一応まあ社長まで兼職してよろしいとはまさかやれないでしょうから、兼職禁止になる。そうすると、兼職禁止会長はまあむろん得られないし、社長兼職禁止になるといえば、兼職を許される大物会長というようなものは社長になりっこはない。そこでもうその点でもある程度現在よりも私は、まあ現在はちょっと会長が欠員になっておりますけれども、現在よりは改悪じゃないかと思うのですよ。これを兼職禁止したのはさっきもただ専念するという意味で、専念といったって、これはお客さんの商売なんだから、自分が幾ら社長室におって、電話を受けたりかけたり、あるいは部下を督励してみても、別段それによってお客さんがふえるわけじゃない。お客さんがふえなかったら、これはもう日本航空に関する限り、これはもう根本的にだめなんだ。そういう意味で、これは大蔵省とあなた方だいぶん論じておるだろうと思うが、もう一ぺんあなたから御答弁伺いたい。
  54. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 大臣から御答弁申し上げた通りでございますが、普通の常識的に考えてみまして、会長社長というものの最高の責任というのはどこにあるか、はっきりしないのじゃないかというような気がしますし、やはり社長ということで、その人が会社経営の中心となって、その人が責任を持ってやる。その社長のもとに他の重役が一致団結するという体制が望ましいのじゃないか、こういうふうに思います。
  55. 一松政二

    一松政二君 これはもう、そうすると、意見になりますけれども、私どもはそれではやはり、どうもわれわれの希望するような日本航空というものじゃなくて、むしろわれわれから見れば、少し程度の下ったような日本航空というものの陣容ができそうな気がして、われわれは非常にそれを遺憾に考えるのです。これはまあ意見にわたりますが、また法を修正するも修正しないも、これはまあ航空局長に聞く問題でもございませんけれども、われわれが寄って一つお互いに意見を交換してみたいと思うのです。どうも、要は日本航空が競争場裏に立って、そうして営業成績を上げて、そうして国民にサービスができれば、それが一番いいことなんですから、監督規定を置いたり手足を縛ることが、私は繰り返しになりますが、逆効果を生む危険がある。私は野放しにしろという議論では絶対ございません。けれども、この法律改正をわれわれながめてみれば、その底に流れる考え方にわれわれと若干の食い違いがある。あるいは航空局長もおそらくそういうお感じを持っておるのかもしれませんけれども、それはもう立場もありましょうし、そこまで申しませんけれども、これから先はお互いの意見になりますからね。この航空法に関する限りは、一応この程度考えております。
  56. 早川愼一

    早川愼一君 ちょっと航空局長にお尋ねいたしますが、十二条の二の一項と二項ですが、二項は「適正な運営を確保するため」に「必要な命令をすることができる。」と、こうありますが、一項だけで不十分だという御見解一つ伺いたい。
  57. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 大体一項で、あらかじめ事業計画資金計画収支予算、その一番中心は資金計画だと思いますが、それを認可の上決定する。それから変更をしようとするときにも認可を要すると、こういうことになっておりますので、二項の働く場合はきわめてレア・ケースじゃないかと、こういうふうに考えております。ただまあ非常に事情の変更があったにもかかわらず資金計画に変更がなされないというような場合、それから資金計画の実施上非常に突拍子もないことがあるというような場合に、ごくまれに二項が使われると、こういうことだろうと思うわけでありますが、大ていの場合は一項で十分用が足せるものと、こう考えております。
  58. 早川愼一

    早川愼一君 営業年度はやはり何ですか、この会社定款によっていくわけですか。一年二期ですか。
  59. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 本会社定款でございますが、本会社の営業年度は二営業期とし、四月一日から九月三十日まで、十月一日から三月三十一日までとするということであって、営業年度はちょうど役所のやつと一致しておるわけです。
  60. 早川愼一

    早川愼一君 一年一期ですか、二期ですか。
  61. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 二期です。営業年度としては一つでございまして、それが営業期として二つに分れておりますから、決算は二回やっておるわけであります。
  62. 早川愼一

    早川愼一君 この十二条の「毎営業年度の開始前に、」ということは、一年の継続ですか。
  63. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) そうでございます。
  64. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  65. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) それでは、速記を起して下さい。  じゃ、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十九分散会