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1955-05-24 第22回国会 参議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十四日(火曜日)    午後一時五十八分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加藤シヅエ君    理事            早川 愼一君            木島 虎藏君    委員            入交 太藏君            岡田 信次君            黒川 武雄君            高木 正夫君            内村 清次君            大倉 精一君            片岡 文重君            三浦 義男君   国務大臣    運 輸 大 臣 三木 武夫君   政府委員    運輸大臣官房長 山内 公猷君    運輸大臣官房会    計課長     梶本 保邦君    運輸省鉄道監督    局長      植田 純一君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 細田 吉藏君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   説明員    大蔵省主計局主    計官      岩尾  一君    日本国有鉄道総    裁       十河 信二君    中央気象台総務    部長      北村 純一君    中央気象台予報    部長      肥沼 寛一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本国有鉄道総裁就任の挨拶 ○運輸一般事情に関する調査の件  (昭和三十年度運輸省関係予算及び  日本国有鉄道予算に関する件)     —————————————
  2. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) それでは、これから運輸委員会を開会いたします。  最初に、新しく日本国有鉄道総裁就任されました十河信二さんから、運輸委員会に対して新任のごあいさつを申し述べられるために来られましたので、十河総裁発言を許します。
  3. 十河信二

    説明員十河信二君) ただいま御紹介にあずかりました十河信二でございます。  このたび、不徳非才の私がこの重大なる国鉄の難局をお引き受けいたしまするにつきましては、私もすこぶるちゅうちょいたしたのでありますが、お前は昔長い間国鉄に奉公をしておったのだから、いわばお前は祖国の国難に召集されたようなものだ、だから引き受けろ、という皆さんの御推挽をいただきまして、私も一大決意をいたして引き受けた次第であります。  まず第一に皆さんに申し上げたいことは、国鉄が、不幸にして、たびたび重大な事故を起しました。まことに申しわけない次第であります。私も、国鉄関係しておった者といたしまして、非常に責任の重大であるということを痛感しておる一人であります。私就任に当りましても、まずもって国鉄皆さんが安心して旅行していただけるようにしなければならぬ。国民の貴重な生命財産をお預かりする国鉄でありますから、何と申しましても、安全確実が第一でなければならぬと思うのであります。この点につきましては、たびたび皆さんからも御注意もあり、また、かねて当局者も努力して参ったところでありますが、いろいろな関係上、物的設備も十分でありませんし、戦争以来多少人心の弛緩ということもあるかと思いますので、それらの点をでき得るだけ急速に回復いたしまして、皆様に御心配をかけないで、安心して御旅行していただき、また荷物を送っていただくようにいたしたいと考えております。  なお、そういうふうにいたしますにつきまして、私は、国鉄国民国鉄である、国民国鉄国民のために国民にかわって経営をお引き受けいたしたのだ、そういう観念に立ちまして、できるだけ国民皆さんから御注意もいただき御協力も得まして、本来の使命達成に精進いたしたいと覚悟いたしておるものであります。  世間で、国鉄一家というふうな言葉で、いろいろな御批評をいただいております。私、初めて国鉄就任いたしました当時の後藤新平総裁が、国鉄のごとき大きな企業経営するには、どうしても職員一同家族のごとく一丸となって当らなければならぬ。また、職員だけでなく、職員を送り出しておる家庭におきまして、家庭が融和しなければ従ってその職員が職責を完遂することに支障を来たす、家族もまた国鉄職員と同様に、一致団結して協力しなければならぬ。これが国鉄の大家族主義であるということを、教えられたものであります。今日いわゆる国鉄一家というのと全然趣きを異にしているのじゃないかと、私は考えているものであります。従って、誤まれる国鉄一家の存在を許すことはできない。国鉄が正しい、昔の後藤新平総裁から教わったような家族主義ならば、私は今日でも国鉄はやはりそういう家族主義の精神でもって経営するのがいいのじゃないかというふうに考えているものであります。ともかくも、国民の貴重な財産をお預かりし、貴重な生命をお預かりするわれわれといたしまして、決死の覚悟で皆さんの御期待に沿うように努力いたします。何さま、一朝一夕にこの改善ができるものではないということは申すまでもないのでありますが、皆さんの力強い御指導、御支援を願うとともに、若干の時日をかしていただくことをお願い申し上げたいと存じております。  いずれ、今後はいろいろと御指導、御支援をいただくことと存じますが、就任に当りまして私の決意を御披露申し上げて、ごあいさつにかえたいと存じます。ありがとうございました。     —————————————
  4. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) それでは、運輸一般事情に関する調査中、昭和三十年度運輸省関係予算及び日本国有鉄道予算に関する件を議題といたします。  まず、運輸関係予算につきまして、山内官房長より御説明を願います。
  5. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) それでは、私から昭和三十年度運輸省所管予算について御説明申し上げます。詳細な点については、お手元に差し上げました資料をごらん願いたいのでございます。  まず歳入予算でありますが、昭和三十年度歳入予算総額は九億九千百九十三万五千円でありまして、前年度予算額に比較しまして約五千七百万円の減少となっております。  次に、歳出予算について御説明いたします。当省の昭和三十年度予定経費要求総額は二百四十億二千九百六十二万五千円でありまして、これを前年度予算額二百二十八億六千二百九十八万一千円に比較いたしますと、十一億六千六百六十四万四千円の増加となっております。  以下、そのうち、おもな経費について御説明申し上げます。  まず第一は、外航船舶建造融資利子補給に要する経費といたしまして三十五億六百五十万六千円を計上しましたが、これはさきに決定をみました「総合経済六カ年計画」に基き、今後六カ年間に外航船の船腹を百三十六万総トン増加し、日本海運発展と、これによる外資の増収をはかる目的で、本年度貨物船油槽船を合せ十八万九千総トンを建造いたし、これが所要借入資金に対する利子補給を行うためであります。なお本年度建造分に対する利子補給契約限度額として十億四千六百七十三万四千円、及び損失補償契約限度額十一億四千二百七十万円を、国庫債務負担行為としてそれぞれ計上いたしました。  第二は、国際航空事業補助に必要な経費として三億五千五百万円を計上しましたが、御承知のように、日本航空株式会社が現在運営している国際線は、北米、香港の二線でありますが、これが経営内容を見ますると、操縦士外国人をもって満たしている関係上、人件費が相当膨脹し、また航空機購入全額借入資金をもってまかなっている等、国が何らかの助成策を講じない限り、各国との競争に立ちおくれ、これによる外貨増収も望めず、ひいては日本航空界の将来に暗影を投ずる結果となるのでございまして、ここに前述の補助金を交付いたしまして本事業の健全なる発展をはかるためであります。なお以上のほか、大蔵省所管として日本航空株式会社に対し、前年度同様十億円の政府出資要求しております。  第三は港湾関係でありますが、本年度要求額は、港湾事業に要する経費として三十二億七千七百九十七万円、港湾災害復旧事業に要する経費として二十億六千八百三十一万一千円、港湾施設災害関連事業に要する経費として四億八千百七十四万円、港湾事業付帯事務費として七千七百十四万九千円、合計五十九億五百十七万円を計上しましたが、これらはいずれも、貿易の振興、輸送力の増強を裏づける港湾施設整備拡充するためのものであります。また災害関係予算は、昭和二十九年度以前の災害による港湾施設復旧促進ぜんとするものであります。なお、このほかに北海道港湾事業費六億六千六百万円を総理府所管に、特別失業対策事業費三億一千万円を労働省所管として要求しております。  第四は、本年度より新たに自動車損害賠償責任保険特別会計を設置し、これが所要の手続を今国会に提出しておりますが、本特別会計に要する予算として歳入歳出予算とも二十七億九千七百十一万一千円を計上し、また一般会計から本特別会計への繰り入れとしまして二千六百三十六万六千円を計上いたしました。  最近における自動車事故傾向を見まするに、自動車増加に伴いまして自動車事故の件数もまた年々増加の趨勢にあるのでありますが、事故被害者、特に人身殺傷事故被害者に対する損害賠償その他の救済につきましては、はなはだ不十分でありまして、今や一つの社会不安となっていると申しても過言でないのであります。これに対しまして、今回自動車損害賠償責任保障法(仮称)を制定しまして、自動車による人身殺傷事故について、民法の特例を定めて、自動車所有者及び使用者賠償責任を加重するとともに、賠償責任について、原則として強制保険制度を実施して被害者に対する確実迅速な救済を行い、さらに加害者不明の事故の場合も、同様な救済を行い得るよう措置いたす所存でありますが、本制度の社会保障的な性格にかんがみまして、保険については、特別会計を設けて国の再保険を行い、同時に、再保険事業事務費及び加害者不明の事故の場合に支払われる保障金の一部を国が負担しようとするものであります。  第五は、気象業務整備拡充でありますが、本年度気象官署としての要求額は二十四億二千八十四万六千円でありまして、このうちおもなものとしては、上高層気象観測業務関係で一億五千八百七十五万一千円、水理気象業務関係としまして五千五百十一万一千円、水害緊急対策関係で一億七千三百十九万九千円、測候所新設、新営関係としまして一千四十二万九千円等であります。これら台風等により年々こうむっております莫大なる災害を、観測適確予報業務敏速化とにより最少限にとどめ得るよう、気象観測通信施設等整備を実施するために必要なものであります。  第六は海上保安庁関係でありますが、本年度要求額は六十億八千九百七十三万九千円でありまして、このうちおもな事項を申し上げますと、巡視船等建造費として二億六千二百十一万八千円、航空機購入費として六千四百十七万五千円、航路標識整備費として二億七千八百二十四万一千円等であります。これらは、海上保安業務重要性にかんがみ、その強化をはかる目的をもって、九百トン型水路観測船一隻、三百五十トン型巡視船一隻、六十トン型灯台見回船一隻を建造し、また哨戒用として航空機二機を購入するほか、航路標識新設改良改修を行うためであります。  第七は、観光事業補助に要する経費といたしまして五千二百四十九万一千円を計上しましたが、海外からの観光客は年々増加傾向にある現状にかんがみまして、さらにこの誘致を推進し、これによる外貨増収をはかることも、これまた現在の日本として必要なことと思われます。これがため、本年度は従来の方法を改め、新たに財団法人国際観光協会を設立しまして、この国家的事業を強力に実施させるため、事業費の一部を補助するに必要な経費でございます。  第八は航空保安等関係でありますが、本年度要求額は六億九千七百五十八万二千円でありまして、このうちおもなものを申し上げますと、航空大学に必要な経費として一億九千五百六十四万六千円、東京国際空航及び小型機用飛行場整備に必要な経費として三千百九万円、東京国際通信局整備費としまして五千七百十九万円を計上しましたが、これらは航空事業発展途上、不可欠の乗務員養成し、現在在日米軍が行なっている航空交通管制業務をすみやかにわが国へ移管できるよう、前年度に引続き航空交通管制要員訓練を行い、国際空港として羽田飛行場整備し、最近の小型機増加と相待って阪神及び調布の両飛行場小型機用飛行場として整備し、及び東京国際通信局香港回線通信施設改善する等、航空行政の円滑なを運営を期するためのものであります。  第九は、離島航路整備補助に必要な経費として四千七十五万七千円を計上しましたが、これは離島航路整備法に基きまして、赤字航路経営者に対する営業費補助と、事業用船舶建改造借入資金について利子補給を実施するためであります。  第十は、地方鉄道軌道整備補助に必要な経費として二千百三十七万五千円を計上しましたが、これまた地方鉄道軌道整備法によりまして、鉄道新設、大改良工事とかあるいは国民生活上欠くべからざる路線であって、しかもこれが赤字経営である場合、これ等に対し補助を実施するためであります。  第十一は、鉄道鉱害復旧補助に必要な経費として五千八百六十五万九千円を計上しました。これは戦時中の石炭乱堀による鉱害復旧を促進するため、日本国有鉄道補助するためでありますが、本事業炭鉱地帯失業対策事業としての性格をもあわせ有するものであります。  第十二は、国際地球観測年観測に必要な経費といたしまして、気象官署に二千四百二十万三千円、海上保安庁において三百五十一万一千円を計上しましたが、これは国際学術連合会議の決議により二十五年目ごとに全世界一斉に地球物理学的な精密観測を行う、いわゆる国際地球観測年観測昭和三十二年八月から開始される予定でありまして、わが国としてもこれに協力して観測を実施する必要がありますので、その準備を行おうとするものであります。  第十三は、航海訓練所における練習船整備費として二億三千五十万円を計上しましたが、これは昨年度購入しました貨客船を練習船銀河丸として改装し、また神戸商船大学の学生に帆船による乗船実習を行わせるため、練習船海王丸帆装工事を施工するためであります。  第十四は、小型船舶職員養成補助に必要な経費として二百七十万円を計上しましたが、これは小型船舶職員養成を行う団体にその所要経費の一部を国が補助するものであります。  以上が当省所管昭和三十年度予算概要でございますが、何とぞ、御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  6. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 次に国有鉄道関係予算について、植田鉄道監督局長より御説明を願います。
  7. 植田純一

    政府委員植田純一君) それでは、昭和三十年度日本国有鉄道予算概要につきまして御説明申上げます。  最初に、予算編成の基本についてでありますが、経済情勢影響などによりまして昨年以上の収入を上げることが不可能でありますので、避けられない経費増加もありますが、徹底的に経費の削減に努めまして一応収支の均衡をはかったわけであります。  次に収入支出予算につきまして、損益資本及び工事の各勘定別に御説明申し上げます。  昭和三十年度損益勘定予算は、前年度補正予算を基礎としまして編成いたしました。  まず収入について申し上げますと、鉄道旅客輸送人員は、前年度に比べまして三・二%の増、三十七億四千五百万人、人キロでは、八百八十億人キロといたし、旅客収入一千二百九十二億円を見込みました。また鉄道貨物輸送トン数は、前年度に比しまして一・二%の減、一億五千七百万トントンキロでは四百二億八千八百万トンキロといたしまして、貨物収入一千九十七億円を見込んでおります。  これら旅客貨物輸送に要する列車キロは三億四千五百万キロで、前年度に比しまして二・八%の増加となっております。  以上の旅客貨物収入のほか、雑収入等を合せまして、二千五百七十億円の収入を見込んでおります。  次に経営費について見ますと、人件費につきましては、昭和三十年度の昇給を見込んで算出いたしておりますが、このほか期末手当一・二五カ月分、奨励手当半カ月分、休職者給与等を見込んでおりまして、給与の額は、九百九十三億円となっております。  また物件関係につきましては、動力費の大宗であります石炭費として二百八十一億円、修繕費として五百七十七億円、その他業務費等合せまして経営費総額二千百五十四億円であります。  以上の経営費のほかに、資本勘定への繰り入れ二百九十二億円、利子百四億円、予備費二十億円を合せまして、損益勘定支出合計は二千五百七十億円となっております。  次に、資本勘定について申し上げます。先ほど申し上げました損益勘定より受け入れます二百九十二億円、資金運用部よりの借入金百五十五億円、鉄道債券発行による八十七億円、不用施設等売却による二億円、合計五百三十六億円を収入として計上いたしました。このうち五百二十一億円を工事勘定繰り入れることにいたしております。このほか出資としての一億円は帝都高速度交通営団の増資に伴うものであり、借入金等償還としての十四億円は資金運用部よりの借入金年賦償還額並びに既発行鉄道債券の一部の償還に充てられるものであります。  次に、工事勘定について申し上げます。昭和三十年度工事勘定予算は、前年同様資金が限られておりますので、工事の重点を施設維持及び取替補充におくことといたしまして、新規工事必要最少限度にとどめるという方針のもとに編成いたしました。その内容について申し上げますと、まず新線建設費についてでありますが、新線建設は前年度工事着手線の継続にとどめることとして二十五億円を計上いたしました。電化設備費につきましては、現在施行中の浜松−姫路間電化工事(稲沢−米原間は三十年七月開通予定)を引き続いて行うために五十億円を充て、その他工事と合せまして、合計七十一億円を計上いたしております。次に車両費でありますが、電気機関車、内燃動車、客車、電車及び貨車等の新造のほか、客貨車改造等も含めまして、百五十三億円を見込んでおります。以上のほかに諸設備費二百二十四億円を計上いたしており、改良係費を含めまして支出合計は五百二十一億円となっております。これらに要します財源としましては、さき資本勘定の御説明の際申し上げました通り資本勘定より五百二十一億円を受け入れてこれに充てることといたしております。  なお、以上の諸計画の実施に要します職員数は四十四万七千七百二十五人でありまして、給与総額といたしましては、休職者給与をも含めまして合計一千百九十四億円を計上いたしております。  以上、御説明申し上げました日本国有鉄道予算は、今後の経済界の動向にもよりますが、これに盛られました予定収入をあげますには、格段の努力が必要であろうと考えられますし、また工事計画もより一そうのサービス改善輸送近代化のためには決して十分とは申しがたいのでありますが、日本経済の安定に資するため、公共企業体としてより一そうの能率向上をはかりサービス改善に努めますとともに、さらに経営合理化を行いまして経費の節減に努力いたすよう指導監督をいたしたい所存でございます。  以上、昭和三十年度日本国有鉄道予算大網につきまして御説明いたしましたが、何とぞ御審議の上御承認あらんことをお願いいたします。
  8. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) それでは、これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  9. 大倉精一

    大倉精一君 きょうは運輸大臣は……。
  10. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 運輸大臣はもうじき見えることになっております。
  11. 大倉精一

    大倉精一君 大臣おいでになるまでに、気象台関係の方がおりますそうですから、気象関係予算について気象台の御説明をお願いします。
  12. 北村純一

    説明員北村純一君) それでは、昭和三十年度気象台関係予算あらましについて御説明申し上げます。  中央気象台関係におきましては、従前からやっております既定業務維持運営関係のために、本年度二十一億百五十万円の要求をいたしております。それ以外に、新しく今年度から始まるような新規業務というふうな業務運営に必要な経費といたしまして、おもなるものを御説明いたします。  第一番に、水理気象業務整備に必要な経費でございますが、その経費といたしまして、本年度は五千二百十一万七千円を要求いたしまして、これによりまして、本年度天竜川並びに北上川に起りますころのダム・コントロールに必要な業務整備をやりたいと思っております。第二番目に、水害緊急対策に必要な経費といたしまして、これは昭和二十八年度から引き継いだ第三年度計画でございますが、これによりまして、従前なお全国的に整備されておりませんだ地域につきまして、主として山岳地帯におけるところの降雨量観測に必要な設備並びにそれに必要な通報設備を完備いたしまして、水害の、特に洪水によるところの被害防止に努めたいと思います。その経費は本年度一億二千四百八十二万一千円でございまして、その対象といたします地域は、主として九州の残っておりましたところの長崎、佐賀、それから中国地方で残っておりました岡山、兵庫、それから東海地方で岐阜、愛知、静岡、福井、石川、富山、長野、こういった府県につきまして整備をいたしたいと思いますが、今後なお東日本の諸県が、約全国の四分の一程度残っておると思いますので、それらにつきましての整備計画いたしたいと思います。第三番目に、先ほど御説明のありました国際地球観測年観測に必要な経費といたしまして、本年度は二千四百二十万三千円を計上しておりますが、これは主として一般上高層観測オゾン層観測輻射観測に必要な経費でございまして、来たるべき国際地球観測年に対しまして本年度から準備を必要とするような経費を計上いたしましたので、順次観測年に近づくに従いまして、必要な経費を計上していくようにしたいと思っております。  第四番目は、上高層観測業務強化に必要な経費といたしまして本年度三千四百九十八万九千円を計上しております。これは上高層観測予報精度向上気象災害防止軽減に非常に関係が深いので、新たに鳥島の測候所上高層観測施設を設けまして、太平洋上における欠けたる観測点を充足いたしたいということでございます。五番目は、測候所新設に必要な経費といたしまして七百九十万九千円を計上いたしましたが、これは北海道紋別測候所新設いたしまして、この地方におけるとこの農水産業の発達に寄与すると同時に、オホーツク海の流氷並びに気団の影響観測いたしまして、北方から来ますところのいろいろな寒冷の予報に役立たせたいと思っております。第六はGMC——A方式によりますところの上層風観測に必要な経費といたしまして千二百九十二万八千円を計上いたしましたが、これは従前からあります上高層の測風施設が十分でございませんでしたので、これを最新式のものに改めまして、精度をよくしていきたいということでございます。その他、マーカス島の測候所維持運営に必要な経費といたしまして、三十年度六千二百三十七万九千円を計上いたしました。  それらを合計いたしまして、本年度要求いたしました経費総額は二十四億二千八十四万六千円でございまして、これを前年度予算の二十一億九千六百二十五万六千円に比べますと、二億二千四百五十九万円の増となっております。  これが大体のあらましでございます。
  13. 大倉精一

    大倉精一君 運輸大臣おいでになる間に、気象台の方にお伺いしたいのですが、本年度のこの予算の中に定点観測予算がないようになっておるのですが、これは運輸省としては北方定点観測船三隻の建造計画もあったと聞いておりますが、これは大蔵省で削ったのか、運輸省で削ったのか、どこで削ったのか、ちょっとお伺いいたします。
  14. 山内公猷

  15. 大倉精一

    大倉精一君 気象台の係にお伺いいたしたい。
  16. 北村純一

    説明員北村純一君) お話の通り北方定点の必要な経費といたしまして、船舶建造費を主体といたしまして約十八億八千万円近い金額を要求したのは事実でございまして、この経費北方定点重要性にかんがみまして、私どもこれに対しましてはぜひ必要なものだと思いまして、最後まで執拗な程度にまで御要求申し上げたのでございましたけれども、財政計画その他の御都合もありましてか、本年度においては実現することはできなかったのは、非常に残念に思っております。
  17. 大倉精一

    大倉精一君 私の聞いておるのは、実現できなかったことはこれでわかるのですが、どこでこれを削ったのかということをお伺いしておるのですが、一つ、大臣や官房長がおいでになっても遠慮されることなく、いろいろお話しされたいと思います。
  18. 北村純一

    説明員北村純一君) 別段遠慮しておるわけではございませんけれども、最後まで私どもといたしましては、この金額をいただくことにつきまして努力いたしました。もちろん運輸省でこれを削るということはないわけでございます。そういう趣旨だと聞き置きいただきたいと思っております。
  19. 大倉精一

    大倉精一君 これは復活要求をなさいましたか。何回くらい復活要求をしておられますか。
  20. 北村純一

    説明員北村純一君) 復活要求は、三回の機会を持ったと思っております。
  21. 大倉精一

    大倉精一君 気象台はこの定点観測の再開は非常に必要だということをお考えになっておると思うのですが、最後に復活要求をなすった場合に、これは大蔵省に直接要求をなすったのか、あるいは運輸省要求をなさいましたか。
  22. 北村純一

    説明員北村純一君) 私どもはこの復活要求の書類を運輸省を通じて出すことにしております。
  23. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、運輸省に御要求なすったわけですね。
  24. 北村純一

    説明員北村純一君) はい。
  25. 大倉精一

    大倉精一君 これは運輸省のどなたが直接担当しておいでになりますか。
  26. 北村純一

    説明員北村純一君) 官房会計課長だと思います。
  27. 大倉精一

    大倉精一君 官房会計課長、おいでになっておりますか。
  28. 梶本保邦

    政府委員(梶本保邦君) 参っております。
  29. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 大倉委員、ただいま運輸大臣が来られましたのでございますが、予算委員会の方の都合で、運輸大臣に対する質問を先に回していただきたいという希望でございますが。
  30. 大倉精一

    大倉精一君 むずかしい希望だ。だんだん順を追っていかないと、特別というわけにいきませんね。まあできるだけそういうことにしたいと思っております。  それでは、今の直接担当をしてみえる方にお伺いするのですが、気象台から復活要求を受理なすって、その後どういう工合にこれを取扱われたか、ちょっとお伺いしておきたい。
  31. 梶本保邦

    政府委員(梶本保邦君) それをまとめまして、運輸省としましてほかの部局と一緒に、大蔵省の方へ持って参りました。
  32. 大倉精一

    大倉精一君 大臣にお伺いしたいのですが、気象台長は渡欧される場合に、北方定点観測の再開に対して意見具申をして行かれたということを聞いておりまするが、どういう意見具申をされましたか、ちょっとお伺いしたい。
  33. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 事務当局の方で非常に折衝を続けたわけです。そのときにいろいろ意見書というものがあったのか、私は見ていないのですが、最後になって、どうもこれは事務当局の問題として解決ができないということで、私のところに持って参ったわけで、大蔵大臣予算折衝をする最後に残された——事務当局同士では解決のできぬ四つ五つの問題が残ったわけでございます。その中の一つに北方定点観測予算があったわけで、そのときにはもう文書で書いて行ったというよりかは、大蔵大臣に会うこと、幾らでありましたか、四、五回くらい会いましたか、やはり口頭でこの必要性を説いて、北方定点観測予算を獲得するために私としては、微力ではございますが、最善を尽した。結果においてはどうも成功しなかったのですが、できるだけのことはしたつもりでおりますが、まあ結果において成功しなかったということは遺憾に思っております。
  34. 大倉精一

    大倉精一君 いろいろ大臣としても御折衝なすったことを伺ったのですが、いよいよ実現が困難だというような段階に立ち至って、何とかこの実現をしなければならぬ、こういう御熱意があったのか。あったならば、どういう手を打たれたか、ちょっとその辺を、最後の最終段階を、大臣としての定点観測再開に対する御努力に対して、その状況をちょっと伺っておきたいと思います。
  35. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 御承知のように、十九億ばかりの予算だったと記憶いたします。それには観測船の、三そうであったか、建造が伴っている。まあ三そうできなければ、二そうでも一そうでもということも最後に考えたわけでして、成功しなかったわけですが、最後はそういうこともできないかということで、努力はしたのでございます。
  36. 大倉精一

    大倉精一君 私は、定点観測というものはむろん気象業務の中の一部であって、これだけが、何といいますか、気象の決定盤ではないと思います。ないと思いますけれども、しかしながら、この定点観測というものは、戦後非常に重要であるということが各方面から認識をされてきており、しかも前回の国会におきましては、当委員会あるいは水産、農林委員会が、おのおの決議をされておるわけです。で、それに対しまして、今度もまたこの定点観測の再開が実現できないということについては、これは私ばかりではなくって、国民諸君も非常に疑惑を持っておる、納得できないものがある、こう考えておるのですが、大臣は海上の定点観測について、この必要性について、どのような御認識を持っておられるか。前回本会議におきましては、鳥島その他の定点高層という、高層観測新設によってこれは十分補うことができる、こういう御答弁があったように私記憶しておるのですが、私はそれとこの洋上の定点観測とは少し違うと思うんです。そこにできたから洋上の定点観測は要らないのだと、こうは解釈しないのですが、その辺の御認識についてちょっと伺いたい。
  37. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 私もこの定点観測の必要性ということに対しては、十分その必要性を認めて、運輸省として予算の折衝にはいろいろ問題があったのですが、特に最後に四、五点残した中にこれを取り上げたのでございますから、重要性を認めればこそ最後の運輸大臣と大蔵大臣との予算折衝に持ち込んだのでございます。先般本会議で、オホーツク海の紋別測候所新設したり、鳥島に高層観測を開始するということを申し上げたのですが、これはそのことによって、定点観測はこの際やらなくても、そういうことで補えるとは思っておりません。これはやはり一助にはなるでしょう。しかし、これでもう北方定点観測というものの再開の必要はないというようには考えていない。やはり予算のいろいろな全体の都合上こういうことになったので、多少はそれを補い得ても、これはまた近い将来においては北方定点観測の再開を実現をしたいという熱意は、今日も変りがないのでございます。
  38. 大倉精一

    大倉精一君 私はこの気象業務全般としまして、昨年あるいは一昨年の台風災害、あるいは冷害等の折に、気象業務強化に関する世論というものは非常に高まってきて、そして各方面から関心を持たれてきたと思っております。従って、当委員会におきましては再三にわたる気象業務強化についての決議をしておるのですが、ともするというと、こういうようなじみな仕事は、いわゆるこういう災害が過ぎてしまうというと、再びこれが忘れがちになる。今度も果して、予算を見ておりますというと、気象業務強化ということについて若干の予算はふえておりますけれども、全体として一体気象業務はどこが強化されたかということについて、非常に疑問に思うんですが、大臣としては非常に気象業務はどのように強化されたかということを、確信を持って言えると思われますかどうか、その点についてちょっと伺いたいと思います。
  39. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) たしか二億数千万円の増額をしたのであります。大体において、今年度予算はまあ前年度に比べて削減をされている場合が多いのであります。しかしまあ気象業務の必要性とかいろいろな点から考えまして、二億数千万円増額をして、そうして一々どういうふうにそれを使っていくかということは、事務当局で説明をしてもらいたいと思いますが、全般としての気象業務の充実という点にこの金をまあ振り充てていくということで、これはやったのであります。しかし今御指摘のように、これがやはり科学的な面における科学振興であるとか、あるいは気象業務の充実であるとか、こういう方面における予算がなかなかとれにくいということの日本の現状は、御指摘の通りであって、これはやはり是正をしなければならぬ面で、じみと申しますか、直接に右から左へという効果もないが、しかしこれがいろいろな全般の国民生活に与える影響というものは非常に重大なのですが、えてして、予算上において必らずしも優遇されない。まあ気象業務に限らず、そういう科学技術面における研究という言うな面においても、そういう点があるわけでございまして、私自身としてもそういう政治の傾向については遺憾に思っている一人であります。これはお答えになったかどうかわかりませんが、考えておったことを率直に申し上げました。
  40. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 関連質問……。北方定点、それから南方定点の観測の日にちは、一年のうちに何日ぐらいでありますか。
  41. 北村純一

    説明員北村純一君) おそらく、両定点とも通年観測を必要とするというのが、まあ正しい答えではないかと思うのですが、いろいろの事情から、現在では南方定点は半年間、北方定点はやる以上はどうしても通年を必要とする、というふうな考え方を持っております。
  42. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 今までの、去年から大倉委員がいろいろ論じておられるのですが、定点観測がほんとうに必要ならですね、この海上保安隊の船とか、あるいは自衛隊の船とか、そういうものを借りてやるということは、考えられないのですか。
  43. 北村純一

    説明員北村純一君) この定点観測業務をやむを得ず中止しなければならないというふうな状態に立ち至ったあとにおきましても、アメリカその他と折衝している過程におきまして、アメリカから何か船を借りることができないかということを交渉すると同時に、国内に船で観測にたえるような適当な船はないかということをいろいろ調査をし、折衝もしたのでございますが、私どもの現在知っている範囲内で、他に転用できる船の中に北方定点観測にたえるような権能性を備えたところの船はないというふうに聞いて承ります。
  44. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 南方の方はどうですか。
  45. 北村純一

    説明員北村純一君) 南方につきましては、これまで使っておりました、中央気象台で使っておりましたところの観測船が、なお使用にたえるという見解を持っておりましたので、それを引き続き使用いたしているわけでございます。
  46. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 そうすると、必要であれば、日本に船がないから、自衛隊の船も何もないから、作らなければならぬ、こういうことですか。
  47. 北村純一

    説明員北村純一君) 私どもの知っている範囲内はでは、これを新造していただけないならば実行できない、こういうふうに考えております。
  48. 大倉精一

    大倉精一君 さっきの大臣の御答弁によりますというと、二億数千万円強化をしておる、こういうお話でございます。たしかに金額がふえておる。これは弱化ではないと思う。弱化ではないと思うが、しかしながら効果的な強化にはこれは非常に疑問があると思う。そこで今の定点観測のごときも、今の木島委員の御質問の通り、やらなければならぬということならば、たとえば三ぱいはできなくても、一ぱいなり二はいなり、こういう段階的な努力が払われなければならぬ。こういうことを具体的に積み上げて、そうして初めて気象業務強化というものが一段一段と上っていくことと思う。こういうような段階に対するところの御努力あるいは認識というものに対して、私は非常に疑問を持つわけです。大臣はここでやはり一隻あるいは二隻、予算外契約でも、とにかく何とか再開をするというような御意思がないかどうか、ちょっと承わっておきたいと思います。
  49. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 先ほど申し上げましたように、私もそういう線で、最後の折衝にはそういうことも考えたわけでございますが、成功しなかったので残念ではございますけれども、今年はこれは方法がない、明年度の問題、明年度予算でこれは実現をすべき課題だと、こう考えておるのでございます。今度の問題を通じて、予算折衝を通じて、また世論もこの予算を削減したことについて相当非難が起っております。こういう点で、北方定点観測再開ということに対しての相当認識も深まって参りましたので、これは明年度においては実現の可能性を持ってくるのではないかと、こういうふうに私は考えておるのでございます。
  50. 大倉精一

    大倉精一君 これは毎年同じ回答になるのですが、来年は来年はということでもって、今までこう過ごしてきた。ところが、台風は来年を待っていないわけです。台風というものは。日本の国の台風災害というものは、もう何回もわれわれは経験しております。そこでこれに対する予防の措置として、やはり気象業務強化しなければならぬということは、だんだん世論が高まっています。もう去年高まっております。世論というものは、だんだん高まってくるのじゃなくて、もう高まっちゃった。国会においても決議されておる。あるいは各方面からたくさんの決議文あるいは要請文等も来ております。特に全国の知事会議、あるいは都道府県議会の議長会議、あるいは市町会議あるいはまた中央気象台、あるいはまた学問的に最高の権威を持っているところの気象学会、こういう非常に各方面からこの決議文、要請文が来ておる。これをまた来年はやる可能性がある……。来年になれば、また来年はとなる。こうなってきたら、これはやはり日本気象観測に大きな破れ目がいつまでもできてくる、こういうことになるのですが、これはたくさんな金ならいざ知らず、一隻つければ六億か七億で済むわけです。ですから、こういうことはやろうと思えばできると思う。今からでも私はおそくないと思いますが、大臣はさらに何とか、来年と言わずに、今年北方定点再開に必要な措置というものについて考えてもらいたいと思うのですが、何とか御考慮願えませんか。
  51. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) すでに政府が予算案を提出済みでございますから、これを原案を提出した政府がここで修正をするということも、財源の点からも困難でございますので、これは今すぐに何か方法はないかといっても、なかなかこれは妙案は私は持ち合していないのでございます。
  52. 大倉精一

    大倉精一君 大蔵省の主計官岩尾さんにお伺いしたいのですが、主計官として予算の査定の場合に、やはり国民の要望とかあるいはその緊急性、必要性というものを十分にお考えになって、そうして査定をなさるのが本当だと思うのですが、定点観測に対して大蔵省当局としては本年度はやらぬでもいい、まあそういう大してやらなくても済むものだからと、こういうようなお考えを持っておられるのか。気象業務に対して特に定点観測に対してどういうふうな御認識のもとにこの予算というものを削ってこられたか、これに対する見解を承わっておきたい。
  53. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) 御説明いたします。定点観測の問題は累次の国会の決議もございましたが、これは台風、特に去年の洞爺丸、東北、北海道におきます凶冷対策を中心に、世論が非常に問題にされたことだと思います。われわれといたしましては、先ほど運輸大臣からお話しいただきましたように、運輸省の御要求を頂戴いたしまして、慎重に検討したのでございますが、その際にわれわれが考えました考え方は次のようなことでございます。  まず第一に、定点観測というのは災害のために発達をしてきたものではないということでございます。定点観測業務は国際航空のために発達をしてきたものでございまして、現在国際民間航空条約に基きまして、北大西洋及び北太平洋におきまして実施をしておるわけでございますが、特に北大西洋におきましては航空機の運航回数というものを中心に、航空機の運航回数を大体八割、それからそれ以外のものを二割というような算定で、経費の分担をやっております。また太平洋におきましても、御承知の通り、アメリカがコースト・ガードを使ってやっておったわけでございますが、最近非常に航空機精度向上いたしまして、特に定点観測をやって多大の経費をかけるよりも、航空機精度向上によって十分まかなえるのじゃないかというような考え方が強くなって参りまして、北大西洋並びに太平洋におきましても、逐次定点というものは縮減をされておる。さらに一九五三年におきますトロントの国際気象機構におきます高層委員会におきましては、現在の情勢におきましては、定点の維持よりもむしろ離島における気象の観測の方を強化すべきであるというような勧告を行なっております。そういった点をまず第一に検討いたしまして、それから第二点といたしましては、定点は気象予報の確度向上の点から申しますと、点としての意味を持っておるわけでございますが、この点としての意味がどの程度の効果を持つであろうかということを検討したのでございます。その際に、現在大陸中共におきまするところの気象の情報というものがよく入っておらない現況におきまして、北方におきます一点の増加ということが気象予報に対して多大の効果を生むというふうには考えられない。むしろ陸地におきます測点の増加の方が大きな効果を生むのじゃなかろうか、ということを検討したわけでございます。この点につきましては、先ほども御質問がございましたけれども、南点すらも現在半年しか観測いたしておりません。われわれといたしましては、むしろ南点を通年やる方がいいのじゃないかというようなことも考えております。  それから第三に検討いたしましたのは、気象確度の向上の点から、定点はどのような意味を持つであろうかということでございます。御承知のように、現在地上観測並びに高層観測が行われておりますが、地上観測の気圧、気温等につきましても、船で行います観測というのはやはり、動揺あるいは波、日照り等の関係で、地上におきます観測よりも精確度において劣ることはやむを得ない現況でございます。さらに最も気象におきまして大事でありますところの上高層観測におきましては、船においては多大の制約を受ける、こういう現況であると思います。こういった点も考えまして、特に陸地における上高層強化が必要ではないかということを考えるわけでございます。  それから第四に、先ほど申し上げました凶冷の問題でございますが、東北北海道におきます凶冷対策といたしましては、オホーツク海の高気圧の観測が最も大事なわけでございますが、この点につきましては、特に北海道のオホーツク海沿岸の流氷観測のための測候所を作ることがむしろ、北点の再開よりも先ではないかということを考えたわけでございます。さらに第五点といたしまして、先ほどからるる御説明になっております金額の問題でございます。気象台の本年度予算が二十四億でございますが、要求にかかわります定点観測船三ぞうの建造資金は十八億八千万円であると記憶しておりますが、その程度の巨額の資金でございまして、全体の財政の状況等を考慮いたしまして、われわれといたしましては、むしろ陸地の多くの測点をふやす方がいいのではないかというような結論を持った次第でございます。  しかしながら以上のような検討の結果、北点につきましては、今回は予算計上をいたさなかったわけでございますが、累次の国会の御決議もございますので、できるだけ災害予防の見地から、気象機構を強化するという点につきまして検討いたしまして、先ほど大臣にお話しいただきましたように、たとえば紋別測候所新設でございますとか、あるいは上高層の鳥島観測所の強化、あるいは秋田、輪島、潮岬におきます上高層観測強化、あるいは通信網の整備、あるいは水利水害対策の整備というような点に予算を計上いたしまして、できるだけ災害予防のために前進をしてもらうように配慮したつもりでございます。
  54. 大倉精一

    大倉精一君 どうも、大蔵省の今の御説明によると、少し独断じゃないかと私は思うのですが。そういうような点について、気象台気象関係の専門家と十分意見交換をされたことがありますか。
  55. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) 御説明いたします。予算の折衝は大体九月から開始されまして、本年は大体三月末まで行なったわけでございますが、その間気象台関係の方々には累次大蔵省の方へおいでいただきまして、いろいろと御説明をいただき、われわれが疑点とするところはできるだけただしまして、私といたしましては万全を期したと思います。
  56. 大倉精一

    大倉精一君 新聞で見ますというと、何か気象業務の中でも、二、三の人が、北方定点よりもほかの方を優先にすべきだと、こういうことを大蔵省の方へそういう意見を持ち込んでおる人があったと聞いておりますが、そういうことがありましたか。
  57. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) そういう方にはまだお目にかかっておりません。
  58. 大倉精一

    大倉精一君 今のあなたの見解によるというと、離島の観測強化すべきであるというようなお話でございましたが、これは世界の国のどこの地域にも当てはまるものじゃないと思う。日本の国で定点観測が必要であるということは、日本の国のこの地形からいって、洋上に一点なければ観測上非常に工合が悪い。従って、日本の場合においては、離島の観測があれば、洋上の観測が要らない、こういうことにはならぬと思うのですが、その辺の御見解はどうですか。
  59. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) 私は定点が不要であるとは申し上げておらないのでございまして、まず離島の利用、それから更に測点が増加することはそれだけ予報確度というものが向上するわけでございますから、できるだけ財政の許す範囲で測点の増加をはからなければならぬと思いますが、現在におきまして、鳥島に上高層観測機構を強化しております。これは離島の利用という面から、まず定点にも優先すべきものである、こういうふうに考えております。
  60. 大倉精一

    大倉精一君 あなたは今、十八億という金が巨額である、二十四億という総体の予算に対して巨額である、と。これは大蔵省の方では、定点観測あるいは定点観測に限らず、そのものの必要性に応じて金額が巨額あるいは少いという工合に考えられておるのか、全体の予算と比較して大きいとこういう工合に考えられておるのか。私は十八億という金は大きいといえば大きい、大きくないといえば大きくない。あなたは、さっきの御発言によると、気象台関係は二十四億と、それに比較して十八億は大きいとおっしゃる。しかし幾ら大きくても、十八億というものは必要であれば計上しなければならぬ。二十四億にこだわる必要はないと思いますが、その点の見解はどうですか。
  61. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) 私が巨額と申しましたのは、現在の気象の仕事というものを維持するだけで二十四億の金を使っております。ところが、一定点の復活に十八億八千万円が必要である。そういたしますと、さらに少額の金で現在の気象機構というものを強化していくことが可能ではないかという意味合いで、十八億八千万というものは巨額であると、こういうことを申し上げたわけであります。
  62. 大倉精一

    大倉精一君 私はどうもあなたの見解が納得できないのです。私もしろうとです。私もしろうとなんですけれども、しかしながら、かりにこの気象学界の最高権威であるところの気象学会、ここからも北方定点の再開が必要であるというこういう決議がきておるわけでありますが、あなたの御説明によると、必要であるかもしれないが、差しあたってそう大したことはないという御発言ですが、そう大したことはないのですか。そう確信をもって言えますか。気象学会とあなたの見解と異にしておるのですが、それをあなたは確信をもって、そう大したことはないのだ、とこう言われますか。
  63. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) 大したことはないというふうには申し上げておらないのですが……。
  64. 大倉精一

    大倉精一君 そうなる。
  65. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) 気象学会の方で御説明される場合には、全体の財政のワクあるいは気象台の総体の予算、現在の観測維持していくために必要な予算というものは考慮に入れないで、これが必要であるという結論が出されているのではないかと思いますが、私が現在陸上の測点増加の方が先ではないかということを申し上げておるのは、現在の国家財政の状況、または気象台におきます常時観測に向けられておる経費というものを頭に描きまして、その面から申し上げておるわけでございます。
  66. 大倉精一

    大倉精一君 ここに海上保安庁だとかあるいはいろいろな船が新造される、こういう予算もあります。これらも聞くところによりますと、海上保安庁あるいは運輸省あたりも、気象業務に対する定点観測ほど熱心な要求ではなかったと、こう聞いておるのです。私はこういうふうなものも必要かもしれませんけれども、やはり同じウェートをもって、定点観測船を一ぱいあるいは二はい、こういうものは当然考慮すべきものである、こう考えておるのですが、これは今のあなたの御見解によるというと、これは大蔵省としては全部削減されるというのがほんとうです。そういう確信があれば。しかしこれは大蔵省の見解だけでは私は済むのではなくて、日本の毎年起ってくるところの災害予報に対する非常に大きな問題だと思うのです。ですから、私はこれはあなたの見解はどうも納得できないのですが、気象台の方から今の大蔵省の見解についての、そういう理解についての御見解を伺っておきたいと思います。専門家から。遠慮なく言って下さい。官房長、しかってはいけませんよ、何を言ったって。
  67. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) お答え申し上げます。先ほど岩尾主計官がおっしゃいましたように、昨年の秋からいろいろ折衝があったのでありますが、私も一度お目にかかって説明したわけでございます。で、先ほど定点観測を今年落しました五つばかりの理由をおっしゃったようでございますが、確かにこういう事情もあるわけでございます。で、今おっしゃったのは、ただ私どもの説明が十分でなかったという点で、多少の、これは財政の方の担当者との意見の相違かとも思いますが、ないでもないわけでございます。  最初の、航空が主であるということでございますが、これは確かに、定点は第二次大戦の結果、航空輸送をやるということで、大西洋で始まったものでございまして、航空機の回数によって経費を分担したということであったのであります。ただ、アメリカがあまり多くの経費を負担するということで、たしか昨年の七月だと思いますが、アメリカは定点観測経費ばかり要って困るから引き揚げるというようなことを発表いたしましたところ、各国で反対いたしまして、それは今までは航空機が主要であったけれども、航空機の性能も上ったのであるが、しかし実際この定点観測を行なってみますと、今までなかった海上の資料が得られるということで、非常に大事だから、これは航空だけの問題ではない、われわれも経費を分担するから続けてほしいということで、結局のところ、点の数は減少いたしましたけれども、経費を負担する国はふえまして、たとえばイタリアのごときは全然船を出しておりませんけれども、天気予報の資料が必要だということで経費を分担する、そういう事情になったわけでございます。天気予報の方に重点が移っていった、飛行機の方は性能がよくなってそういう点がなくても飛べるような状態になった、この点の私どもの説明があるいは足らなかったのではないかと思うのでございます。  それから離島をまず先にやるということでございますが、これも確かにそういうトロントの会議の結論がございます。そういう意味におきまして、日本の南の方には幾つかの島がありますから、この島を強化するということは非常に大事だと思うのでございます。ところが北点は御承知のように北緯三十九度、東経百五十三度でしたかと思いますが、あの点を中心として半径約千キロのところには何もないのでございます。御承知のように、日本は島国でございまして、資料があまりない、現在中共の資料も入らない、そういう状況でわれわれどうやら人気予報を毎日やっておりますのは、高層の資料があるからでございます。高層の資料によりまして、およその状況をつかんで、あとは国内の地方観測でこれを補足していくというやり方を現在とっております。そういう意味におきまして、非常に広範囲の、大ざっぱではあるが、しかし変化の傾向としては間違いないものをつかみたいと、こういう意味におきましては北点がほしい。定点につきましてはいろいろと、日本海定点が要る、東シナ海の定点がほしいとかいうようなことが新聞紙上に伝えられたわけでございますが、しかし今の財政の状況から見まして、そういうことは実は二の次でございまして、北点一点だけはぜひほしいと利こう思っておるのでございます。この点の説明も私どもの説明があるいは不十分だったかと思うのでございます。この定点を要求いたしましたときの理由といたしましては、海上における資料の正確なものがほしい、それにはスタンダードになるものがないからということが第一でございまして、それは海難に関係する問題でございます。第二が、今申しましたような気象の基本資料として高層観測が必要だということでございます。第三は、凶作の問題でございまして、北方から来る気象の全般の状況をつかみたい、そういうわけでございます。で、私技術の方ばかり担当しておりまして、あまり折衝には——一回行ったわけでございますが、そういう説明が不十分であったことはあるいはあったかと思うのでございます。で、先ほど主計官のおっしゃったことは、もちろんああいう事情はあるわけでございますが、多少の説明の不十分だということは、私どもこれは今残念ながらもう少し説明を詳しくいたすべきであったという気がいたすのでございます。
  68. 大倉精一

    大倉精一君 主計官にお尋ねしたいのですが、今の肥沼予報部長のお話ですというと、もう少しやはり説明したほうがよかったというような御意見でありますが、そこで私は、すでに大臣もおっしゃったように、予算がきまって提出されておりますから、この予算を組みかえるということも非常に困難だろうと思います。そこで主計官としても、今の肥沼部長の御意見通り、やはり定点観測は必要だと、がしかしながら財政の関係で本年度は計上できなかった、あるいは見解の相違で本年度は一応削った、しかし来年度は何とかしてやりたいと、こういうお考えがあると思うのです。こういうお考えがありませんか。何とか来年度は一つ計上して、そうしてこの北方定点というものは再開をしたいと、再開をするように大蔵当局としても協力したいと、こういうお考えをお持ちになっておると思うのですが、その点いかがでしょう。
  69. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) ただいま予報部長説明が不十分であるというふうにおっしゃいましたが、私は今予報部長がおっしゃいましたことは、予報部長説明の際に聞いております。従いまして、第一に申されました航空の問題につきましても、私は決して定点の観測災害関係がないというふうには判断いたしておりません。ただその発達の経路が航空を中心に発達したものである、こういう判断をしたことを申し上げたわけであります。また船舶の安全というようなことを中心に予報部長が御説明をされたことも事実でございます。  なお、ただいまの来年度の問題でございますが、これは来年度の財政規模なり何なりを検討いたしまして、具体的に気象台なり運輸省からの要求をいただいた上で検討いたしたいと思っております。
  70. 大倉精一

    大倉精一君 私は、具体的に要求をいただいた上でというのではなくて、この問題は非常に大事な問題であるから、しかも相手が自然現象ですから、これは一刻も私猶予できないと思う。ことに大臣も来年度は何とかしたいというようなお話があったのです。そうして専門家からもこれは大事なものであると、こういうようなお話もありましたので、大蔵当局としても、来年度はこれを何とか再開するように努力をしたいと、今年度再開の経費は計上されておりますから、来年度も当然出て参る、ですからその場合に大蔵省としても何とか努力したいというお考えがあると思うのですが、どうですか。
  71. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) 先ほど申し上げました通り、具体的にどれとどれということは、この段階では申し上げることはできないかと思いますが、災害予報のために、できるだけの予算を計上して前進をはかりたいという気持は持っております。ただ定点を認めるとか、あるいはぜひ復活したいというようなところまで具体的な意見は持っておりません。
  72. 大倉精一

    大倉精一君 どうも私の質問の要領がおわかりにならぬようですけれども、来年度は必ずやれると言っておるわけではなくて、その努力をすると、来年度は何とかして努力をしたいと、こういうお気持になっておるだろうということをお伺いしておるのですが、そういう努力をしようとも考えられぬわけですか。
  73. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) 気象予報の確度の向上災害予報という面については努力いたしたいと思っておりますが、具体的に定点だけに限定いたしまして、この復活に努力したいというふうには考えておりません。
  74. 大倉精一

    大倉精一君 この分で行くというと、どうも来年も落ちてしまうことになりそうです。大臣も来年度は何とかしたいとおっしゃっておる。そうして気象関係も何とか再開したいと、ただひとり大蔵当局だけがこの定点に対しては非常に冷淡である。何と言われても、この定点観測重要性については、第二義的にお考えになっておられるように思う、ずっとお話を聞いておるというと。大事ではあるけれども、しかしというただし書がついている。今の御答弁によると、来年度もそういう努力をされる形勢が見えないように思うのですが、その点はどうですか。
  75. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) 第二義ということではなくて、財政のワクから考えまして前後の順位をどうすべきかということであると思います。まだ具体的に気象台の来年度の御計画を承わっておりませんので、ここでお話しいたすことはできませんけれども、来年度気象台として災害予報のためにどういうようなことを考えておられるか、そういうようなことを具体的に承わった上で検討いたしたいと、こういうふうに考えておるわけであります。  なお、定点の復活につきましては、先ほど御質問もございましたように、現在のような三隻の新船を作って十八億八千万円というようなことだけで今後もずっと行く方がよいのかどうか、あるいは先ほど御質問のあったように、海上保安庁の船を利用するとか、あるいはその他の船を利用するとか、とにかく北点の気象のそういう観測を再開するためにはできるだけの手段を講じていくというような形で措置する方法もあるかと思います。そういうふうな点で具体的に要求が参りませんと、御返答はできないと思います。
  76. 大倉精一

    大倉精一君 どうもあなたの御発言は私納得いかぬところがある。海上保安庁の船を利用するとか何とかほかの方法はないか、こういうお話ですが、もうこれは木島委員の御質問によって、これに利用する船は日本にはないとはっきりしておるのです。従って定点観測を再開しなければならぬという場合には、新しい船を作らなければならぬということになるし、また定点観測というものは、これまで部長のお話のように世界的に定点の数は減っておる。数は減っておるけれども、世界的に上高層観測というものは必要である。しかも日本の場合に、この地形からいって洋上の定点観測は必要であるというそういう専門的なお話からいって、船云々ということよりも、まず第一番に定点観測というものは必要だ、何とかして再開しなければならぬということ、これは通念だと思う。常識だと思う。そうするには船を作らなければならぬ。三ばい作るか、二はい作るか、一ぱい作るか、これは別問題です。とにかく定点観測を再開するということ、それに対す予算的な考慮、それに対する努力をする、来年もそういうものが出てきたならば努力をする、私はこういうことはそういうお気持になられてもしかるべきだと思う。重ねてお伺いします。
  77. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) 先ほど北村総務部長から船がないというお話がございましたけれども、現在南点に行っております海防艦、約一千トンの船でございますが、あつみ丸、これはもと北点の観測に従事しておった船でございまして、アメリカの北点の経費分担打ち切り声明によりまして、これらの海防艦が北点に行くことをやめたわけであります。従って当時気象台の方でも、この船は非常に困難であるということを言っておられましたけれども、少くとも一千トンの船が北点の観測に従来従事しておったというような事実、さらにまた海上保安庁ということを申し上げましたけれども、私はこれはまあ一例でございますが、たとえばアメリカにおきましてコースト・ガードのやっております仕事を見ますと、海上保安庁の船を半年は警備船として使い、あとの半年は観測に使うというような形で利用できるならば、かりに海上保安庁の船を新設いたましても、その船が警備の船として、あるいは観測の船として利用できるだろうということも考えられるのではないかという意味で申し上げたわけでございます。また隻数でございますが、隻数もこれは交代ということを考えていきますと、一隻だけではやはり非常に困難かと思います。やはり最小限度三隻という船は必要であろうと思います。そういう点を考慮いたしますと、現在のやり方だけでやっていくということは、なかなか財政上むづかしいのじゃないか。そこでそれぞれの工夫をしていただいて、まあできるだけ安いあるいは少い財政資金で多大の効果をおさめるという方向で検討を願い、そしてその上で来年はどうするかということを検討いたします。こういうふうに申し上げておるのであります。
  78. 大倉精一

    大倉精一君 南方のあつみ丸のことをおっしゃったけれども、私はあの船は観測には適しないと思う。これは本会議でもちょっと質問申し上げたら、運輸大臣は、十分に検査をしておるから大丈夫だとおっしゃっておった。大丈夫でなければ行かないと思いますけれども、あれは終戦直前にできたボロ船でして、ほかに船がないから出しておるので、台風が来ると台風圏を逃げ回って観測をしておる。はなはだしいときは九州の陸地が見えるという所まで来て観測をしておる。これじゃ定点の意味かないのです。私は南方のあつみ丸は定点観測には不適当だと思う。任務を達成できないと思います。それは別問題としまして、今あなたのおっしゃったように、何とかほかの船を工夫をしてと、こうおっしやるならば、来年工夫しなくても本年度工夫すればいい。そういう工夫する余地がありますか。あなたに伺うのが無理であれば、一つ気象台の方に伺いたいと思うのですが、そういう工夫ができるならば、来年工夫しなくても本年度工夫すればいい。その辺はどうなんですか。
  79. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) 大蔵省といたしましては、予算要求をちょうだいをいたしまして、それについて計上するかしないかということを判断いたしますので、具体的な計画をちょうだいした上で検討するということになると思います。
  80. 大倉精一

    大倉精一君 どうも質問の要点が違うのですが、あなたは来年度工夫する余地があるだろう、それを工夫して何とかやってもらいたい、こういうお話なんですが、あなたは工夫する余地があるとお思いになるのですか。工夫する余地があれば、この財政困難な折に、運輸省としても気象台としても、工夫をして、あの三ばいの新造計画を立てなかったと思います。あれを立てた限りにおいては、工夫する余地がないと、こう考えるのですが、あなたは工夫する余地があるとお考えになっておりますか。
  81. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) 私が申し上げましたのは、大倉委員からの質問で、来年お前は北点の再開をするための努力をするかしないかという御質問でございましたので、来年気象台の方からそれぞれの要求が出まして、私は災害予防のためにできるだけの経費を計上したいと思いますが、財政の事情を考えて、少い資金で効果を生むような配慮をいたしたい。そこでその場合に気象台の方で持ってこられる要求というものがそういった見地にはまるものかどうか、そのためには、たとえばほかの必要な経費を入れるならば、幾ばくの資金も入らないという場合もありましょうし、あるいはこの程度であれば入るという場合もありましょうし、そういう点を考慮いたしまして、来年度予算要求としてどういうものが出てくるかということを見きわめた上で御返答いたしたいと、こういう意味で御説明したのであります。
  82. 大倉精一

    大倉精一君 気象台の方にお伺いしたいのですが……。
  83. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 大倉委員にちょっと申し上げますが、大臣への御質問はございませんでしょうか。
  84. 大倉精一

    大倉精一君 それはありますが、これ一つだけ終ってから御質問申し上げます。  気象台として定点観測に新造船を作らなくても、何とかほかのもので間に合わして、再開できるような、そういう工夫をする余地がおありになりますか。
  85. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) ただいま南点で使っております船は、これは前に運輸省の首席船船検査官の検査を受けたのでありまして、北点では危険だということでございますが、南点につきましては、これは御承知のように、台風は天気図で書きますと、その上をどう動いてくるかということがよくわかるのでございまして、早目に逃げる、そういう意味におきまして、生命の危険はまず避けられるということで、南方ではまず使える、北方におきましては、ことに冬期でございますが、非常に長い間の暴風雨が続く、そういう所で、これを逃げておったのでは、北点の意味がありませんので、北点に使える船はありません。先ほど総務部長の申し上げたのは、こういう意味でございます。かわりに使える船があるかということでございますが、これは現在中央気象台が持っております凌風丸という船一隻、千二百トンばかりのものでございますが、これは在来北点に使っておりまして、今北点が取りやめになりましたので、ほかの方に使っておりますが、これ一隻は使える船でございます。それ以外は、私承知している範囲ではございません。
  86. 大倉精一

    大倉精一君 じゃ、この点についての質問はちょっと保留いたしまして、大臣にちょっとお伺いします。気象台気象業務強化ということについては、気象台そのものの機構の問題が私は大きな問題ではないかと思うのであります。今確かに気象台は、付属機関のようになっておると思うのでありますが、これをさらに強化をして、外局なりあるいはまた総理府に所属させるなり、何か根本的に、抜本的に、そういう機構の問題について強化されるというお考えはございませんか。
  87. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 私が考えているのは、やはり予算の面だと思います。もう少しやはりいろいろ気象の業務を充実させるためには、いろいろな案があるわけです。予算に縛られているのですね。だから機構の問題よりも、こういうまあ目にはすぐには見えないけれども、こういうことかやはり国の政治の中において相当の重みを持ってくるということにならないと、機構だけでは解決できない。むしろこういう気象台のような面にこの予算をできるだけよけい取るということが、やはり気象業務強化のために必要だと、こう考えております。
  88. 大倉精一

    大倉精一君 確かに予算をたくさん取るということが終局的には強化をする最大のものだと思いますが、それがためにも今のような付属機関であって、そして運輸省のどこかの窓口を通して間接的に予算の折衝をする。何か聞くところによれば、運輸省の文書課ですか、官房文書課が受付の窓口になっているやに聞くが、そういうところにいろいろ非常に予算的に弱体性がうかがわれるのじゃないか。ただいまの主計官の御発言から察知しましても、やはりこの気象業務というものが付属機関的なものじゃなくて、やはり外局なりあるいは総理府に所属させるなり、何とかその機構上に強化をする必要がある、こういうことを私は考えるのですが、そうじゃありませんか。
  89. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) その面もございましょう。結局は財政の面で相当いろいろ仕事ができる予算があるということが一番だと思いますが、いろいろ機構の点についても、御指摘もございましたので検討を加えて参りたいと思います。
  90. 大倉精一

    大倉精一君 それではこの機構の面については十分一つ御検討を願って、ほんとうに気象台国民気象台としての役割を果せるように一つ御努力願いたいと思います。さらにこの気象台予算関係が全体として私は非常に貧弱だと思う。聞くところによるというと、超過勤務手当等につきましても、気象台の人員が毎日の定常業務といいますか、日常業務といいますか、そういうものに必要な数以外に台風や災害時に最高の能率を発揮するのに相当の予備費がなければならぬ。本年度は少し台風時の時間外勤務の予算があるというのですが、私はこれでは不十分だと思うのです。全体として私は人件費その他も不足しておると思うのですが、この点についていかがですか。
  91. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) そういう気象台、まあ全体として運輸省のそういう面における予算が少いということを、各省に比べて少かった運輸省、この中でもやはり気象台などは特にお困りであるということをしばしば私ども聞かされたので、今年度予算には相当改善を加えたのでございます。しかし、それが思うような理想的なものだとは思えませんが、今年度予算は昨年度に比べるとだいぶ改善を加えたつもりでおります。
  92. 大倉精一

    大倉精一君 私は専門家に聞くところによるというと、一人当りの経費の割合が、昨年でいくと気象台は七千六百七円、一般の省では少くとも五万円近くになっておる、外務省のごときは二十二万円になっておる、こういう数字を私は承わっておるのです。さらに気象台ではこの予算が少いために、たとえば航空路の予報をやる予報官が飛行機にも乗れない、飛行機にも乗ったことがない人が航空路の予報をやっている、あるいはまた海上の気象警報をやる予報官が、これまた船に乗ったことがないというような実情を聞かされておるのですが、これは事実なんですか。
  93. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 政府委員からお答えをいたします。
  94. 北村純一

    説明員北村純一君) ただいまのお話しでございますが、一人当りの経費は幾らというのはどういう御計算かよくわかりませんので、詳しい御返答をちょっと今ここでいたしかねるわけでございますが、航空予報をやる者が飛行に慣熟していないとか、あるいは海洋の観測の経験がない者が海洋に関する予報をやっているというふうな御非難でございますが、若干そういう傾向がございますけれども、実際問題といたしましては、関係の機関とそれぞれ協議いたしまして、できるだけ慣熟飛行、あるいはうちの観測船に便乗させるというふうな機会をとらえまして、この不足の点を補っていくように努力しておりますので、そのうち改善されるものだと思いますので、御了承願いたいと思います。
  95. 大倉精一

    大倉精一君 他の部面の質問は一応保留しまして、他の委員から大臣に御質問のある方はしていただいて、それから継続したいと思っております。
  96. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  97. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 速記をつけて。
  98. 内村清次

    ○内村清次君 長崎前総裁が十二日の日に直接の責任では紫雲丸——四国連絡船の問題で辞任された。三木運輸大臣は、後任の総裁については財界人をこれに当てるというような御方針が、これは新聞を通じまして、おそらく何と申しますか、国内にその方針が発表せられたようであります。その間にいろいろとその後任総裁の選定に当っては御協力なさっておったようですが、今回の二十日の閣議決定では、先ほどこの委員会で就任あいさつをされました新総裁は、十河信二総裁が決定された、こういう経緯になっておるようですが、そこで大臣が財界人を御選考になったというその目的と申しますか、その御方針と申しますか、これはどういうところにあったのですか。
  99. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 私は今の国鉄はいろいろな、二つの大きな問題があると思う。一つの問題は、やはり国鉄財政の立て直しという面だと思う。もう一つは、国鉄の信用の回復だと思うのです。これはいろい国鉄の歴史も長いでしょうけれども、今日ほど国鉄の信用の失墜しておる時代はなかったと、私の記憶に誤まりがなければ、そう思うのであります。そういう二点が今の当面する国鉄の課題であります。これには、そういう意味からして全然国鉄に今まで関係のない財界人を持ってきて、財政の立て直しということは、一面からいえば一つの経理能力ということに関係をしますから、国鉄は世界でも一番大きな企業でしょう、こんな大きな企業はないわけですから、単にイデオロギーばかりでは国鉄経営できるわけがない。これは一つの経営能力がなければならない。それは財界の、しかも財界でもいろいろ大きな事業を経験されておるような人が国鉄の再建に当ることは適当なんであります。また信用の回復という面から見れば、いい面もあるのですけれども、一面からいえば、国鉄一家というような形容の中には相当国民の非難がその中に加わっておる。こういう点はやはりこれは外からそういう関係のない人がやって国鉄を改革することがやはりこれはしやすいのではないか。こういう二点からきわめて執拗に、財界の人を出てもらいたいと思いまして、一々ここで名前をあげますことはかえって御迷惑でしょうからあげませんが、相当な努力を払ったのであります。しかしまあ私が考えた一つのこの選考の範囲というものが、一流財界人と申しますか、そういう人を中心にして考えたのであります。それはこの大きな国鉄の世帯をやっていくためには、経営能力も要るし、又世間から見ても安心してまかせるという信頼感もなければ、ずっとクラスを下げてというわけにいかぬのじゃないかという点でこの交渉をしたのですが、交渉をして感じますことは、財界人が国鉄の現状に対してこわがっている。外から来る人々がこれはもう入って行けばどういうことになるか、とにかく大へんな責任を負わされて……そうしてこれは非常に、何といいますか、興味を持っておる人は何人もいました。国鉄というものに対して興味を持っておる。しかし自分が出ていってやるということになれば、非常に何か不安で、そういう不安のところへ入っていくというような気持でちゅうちょされて、相当関心を示した人もあったのですけれども、成功しなかったことを私は不本意に思っております。今度はやはり民間人が出るべき機会であったと思います。しかしまあいろいろな都合でそういうことにならなかったことは私は遺憾に思っておるのです。十河さんが適任ではないというのではない。今はやはりそういう人が出てもらいたかったのでありますが、これが外国ならば、こういう国鉄のような題字なことに対しては、月給は要らないでも出ていってやろうという人がおると思う。アメリカなんかにはそういう人がおるのですが、やはり日本の社会環境というものは、そういう人がなかなかいない。あるいは私のそういう選考といいますか、お願いをした範囲が狭かったのかもしれませんが、なかなかいない。そういうことで一番奇怪だと思うのです。それを果せなかったことを遺憾に思っておる。まあ十河新総裁は三十年も前に国鉄におられた。三十年前の国鉄というものは信用も持っておった。最近の国鉄というものがいろいろ批判が起っておる、そういう点で責任の一端をかつぐべき人はないということと、また私がいろいろ話をすると、もう自分にはほかに何も野心がない、最後の御奉公としてやってみようという御決意が、真剣にお考えになっておるということで、まあ財界の人はなかなか出てはもらえないし、国鉄総裁というのもいつまで空席にして置くわけにもいかぬし、そういうことで十河さんの決意等から考えまして、一つ国鉄をこの機会に立て直しをして、前に飯を食ったことがあるのですから、国鉄に対して愛着をお持ちでしょう。その愛着を持っておる十河さんとして、今日の現状としては忍びがたいものがあるに違いない。そういう意味からいって一つ総裁に就任をしてもらって財政面あるいは国鉄の信用の回復ということに一つ働いてもらうことが、これは次善の策です。私が一番先に考えていた案とは違うのです。そういうことでお骨折り願いたいということで、十河氏を推薦したのであります。率直にいきさつを申し上げた次第であります。
  100. 内村清次

    ○内村清次君 運輸大臣のそのお気持も、また選考の方針もよくわかりました。同時にまた選考の過程において、大臣も財界人の一部の人でありましょうが、範囲はこれは広範というわけには行かなかったと思うけれども、そういうような適任者と思われた選考の相手が、国鉄財政の問題に対して相当関心というよりもむしろこわがっておるというような関係もあって、私もこの点はやはり一連の政府の責任があると思うのですよ。財政問題がここまで赤字が累積して事故増加しておる国鉄の財政その他施設面を眺めたときにおいて、また再度この面から事故が起りやしないかというような点を考えてみたならば、私はやはり一面そういうような考えを持つ人もあるのじゃないか。これはやはり累代の、累代と申しますと吉田内閣の方が長かったのでありますが、とにかく政府の責任にあると私たちは思っておるのです。そこで十河新総裁の今日のあいさつは、具体的ではないのですが、何らか具体的な問題を私たちは聞きたかったのですけれども、機会を得なかったのですが、具体的な方針をここでお聞きした後において、新総裁に対して適当であったか適当でなかったかという批判は差し控えたいと思いますが、ただ私はそういう面から二、三の点をちょっと、時間の関係もございましようから、端的に御質問したいのですが、その点は、これは先に私が運輸大臣の御就任と同時に、その御方針に対する質問をしました中に、国鉄の当面の財政の再建をするために、あるいはまた経営合理化をするために委員会を一つ作ろうじゃないか、こういうお話があった。で、私はこれはもう当然大臣としては取り組まなければならぬ第一の仕事であろうと思うのです。それが先ほど申しました吉田内閣の財政に対する欠陥を新内閣が、また新大臣が補てんせられる問題であろうと思うのですが、たまたま紫雲丸の事件の問題で、この問題がどうもただ一言の大臣のお言葉のようなことで消えてしまっておるような形になっておるのですが、これは大臣といたしましてはどういうお考えですか。
  101. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 今原案ができておるのですよ。紫雲丸事件が起ってそういうような善後措置等もあったので少しおくれたのです。国鉄経営調査会設置ということで、金曜日の閣議のここにもう了解案ができておるのですが、これは閣議の了解を得ておりませんが、読み上げてみましょう。    日本国有鉄道経営調査会設置に関する件  一、運輸省に、臨時に、日本国有鉄道経営調査会を置く。  二、経営調査会は、日本国有鉄道経営改善に資するため、運輸大臣の諮問に応じ、日本国有鉄道経営改善に関し必要な事項を調査審議する。  三、経営調査会は、学識経験者、及び運輸省職員を以って構成する。 こういうことで閣議の了解を得たいと思うのですが、これは運輸省職員というのは、その間の世話役をする人ですが、ほとんど民間人でもって二十四人の委員でこの調査会を設けたい、そうしてこの機会に国鉄の立て直し、財政面もありましょうし、先ほど申し上げましたが、いろいろ改善すべき点もありましょうし、こういう点も検討して、そうしてたとえば経営の面においては、徹底的に合理化のできる余地はどういうところにあるかといこと、あるいは運賃の改訂もこれは将来課題になって参ります。どういう程度に運賃の改訂もすべきであるか、まあいろいろ問題が多いのですが、これを根本的に国鉄の当面する諸問題をこの委員会に一つ御検討願って、そういう基礎の上に立って、そうして国鉄の再建をこの機会にこれは必ず実現したい、私もいつまで運輸大臣になっておるかしりませんが、しかし国鉄の再建というものに対しては責任を感じております。いろいろな事故が起って、あるいはまた国鉄の財政の内容を見るにつけて、これは何としても国鉄に対してこの際に一つ再建という問題と真剣に取り組んで、何らかのやはり結論を出してやらなければ、これはまあ将来もっと大きな問題になってくるということで、これは非常に責任を感じておる一人でございます。そういうことで少し時間的にずれましたけれども、最初に申し上げた考え方は貫いていきたいと、こう思っております。
  102. 内村清次

    ○内村清次君 そうしますと、これは吉田内閣の末期のときにありました臨時公共企業体合理化審議会、こういうのがありましたね、これは大臣も見られたことと存じますが、これはまあ専売公社その他電電公社という問題も入っておるのですが、大臣の言われましたのは、別途に、新規に国鉄の問題だけを調査あるいは合理化していくと、こういうことに承わってよろしゅうございましょうか。
  103. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 御承知のように、あれは全部の公共企業体全般に対しての問題でございますので、これはもう国鉄に限って、国鉄問題に限っての調査会を置きたい、しかもこれはだらだらとやるつもりはないのです。この調査会は、この法案にも六カ月ぐらいという期限を切りたいと思うのです。最長六カ月以内に結論を出して、それがやはり具体化するということにしたいと思っております。
  104. 内村清次

    ○内村清次君 これはけっこうですから、一つ至急にやっていただきたい。そこでまあ大臣とそれから十河新総裁が就任に当っての内諾をされたのか、承認をされたのか、お二人で新聞発表をしていらっしゃる。新聞発表の記事で私は言うのではございませんけれども、やはり運輸大臣としては、新総裁にこの点、この点、この点だけはぜひ一つやってもらいたいというような新方針というものを、これはまた指導方針と申しますか、そういうようなことを確かにこの就任に当っては要望されたと思うのですが、これはどういう点でございましょうか、御発表できればちょっと……。
  105. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) これは四点ばかりでございまして、その点をこういう点についてやってもらいたい。これはまあこちらが就任を交渉する場合の政府側の条件でございます。これはそのままの言葉ではないのでありますが、紙にそれを書いてちゃんと文書にして申し上げたのであります。その言葉は、今日ここに持っておりませんが、第一点に言ったことは、綱紀の粛正であります。国鉄の信賞必罰、綱紀を粛正して国鉄の信用を回復してもらいたいという点、もう一つは、国鉄の機構に対して再検討を加えて、責任の体制を確立してもらいたい、機構の問題であります。第三点は、国鉄財政の国鉄経営合理化して、そうして財政的な立て直しのために努力してもらいたい。四点は、紫雲丸事件の善後措置をすみやかにこれを終了してもらいたい。この四点が政府側が希望と申しますか、受諾を願う場合において申し上げて、特に強く希望して文書をもって申し上げた。これは同意をされまして十河新総裁は、公共企業体というもののあり方について、政府としてこれは、その場合は党ということでございます。政府与党としてこれは検討してもらいたい。どうも自分は公共企業体のあり方についていろいろ疑問を持つ点がある。これは一つ検討してもらいたい。できれば公共企業体がもう少し自主性が持てるような方向において検討してもらいたい。こういう希望がございました。これはちょうど国会対策委員長の砂田重政氏もその席におりまして約束をいたしました。政調の方でこれはとくと研究を、検討をすることにいたしますということが、就任のときに取り交された一つの、両方が出した希望の条件でございます。
  106. 内村清次

    ○内村清次君 それで、実は二十一日の日に十河新総裁が職員に対しまして、何と申しますか、就任あいさつが新聞記者団との会見において御発表になっております。私は今日の委員会で実は新総裁にもその発表せられました、これは方針でございますか、総裁としてのですね、ここで具体的に話を聞きたいと思ったんですが、その機会がなかったんです。この中には只今運輸大臣からも言われましたような指導方針というものが幾らか片鱗が見えておるようです。特に現在の国鉄経営委員会の強化、しかもその委員数の増加、また委員の構成、こういう問題にも言及されているようです。それから技術委員会の設置の問題、それから機構の改革の問題も言ってらっしゃる。車両の民有の問題に対しても言っておられるようですが、この四つの問題を一通り、これは新聞発表ですから、直接聴いておりませんけれども、この四つの方針を見ましても、たとえば経営委員会の強化の問題、それから機構の改革の問題に対しましても、やはり日本国有鉄道法というものを変えなくてはならぬというような考えがあるのですが、まあこの新総裁が発表せられたのが、この運輸大臣の言われたようなことで妥当だという大臣のお考えがあるかないかを先ず一つお考え願いたい。
  107. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 私は新聞で見た程度で、事前に打ち合わせはないのです。総裁が就任のときに言われたことは、おそらくまあ日ごろそういうことを考えておったために、それが就任のときにいろいろ質問もあったりして出たんだと思いますが、御承知のようにそれは日本国有鉄道法の改正を伴う問題でございます。むしろ課題としては、それはやはり政府の問題になってくるものが多いと思いますが、しかしそのほかのたとえば経営委員会の問題などについてはそれは私も考えておった方向であります。どうしても日本国有鉄道というものの経営は、一つのああいう膨大な組織ですから、管理能力というものが弱体である。もう少しやはり経営の母体と申しますか、これを少し強化する必要がある。それには経営委員会というものを廃止せよという声もございますが、私はやはりあれは強化すべきもので、経営委員会というものが今まで名誉職のような形になっておる。これでは私はどうも経営委員会という本来の最高の議決機関としての使命を果さぬのではないか。それでまあここに仮に十人経営委員を置くとすれば、五名はそういう名誉職的な財界の一流の人たちの意見を聞くことも必要でしょうから、それを専任ということになってくるとなかなか得られないから、そういうふうに会社等を経営されておる人に委嘱を半数はお願いするにしても、半分は経営委員会に専任して鉄道経営に対して最高の議決機関としての職務を果してもらうようにできないものか。そうしてそこできめられたものを総裁が執行するという形の方が、この膨大な企業体を経営する形としてはいいではないか。会社でいえば、これは重役会、そうして一方において平取締役会があれば常務取締役会があるというように、民間会社に例をとれば、そういう形に経営委員会をもっていくことがいいのではないか。そういう線に沿うて運輸省鉄道監督局にもやはりこれに検討、あるいは一本化する場合のいろいろなことについて現在検討を命じてある次第なのであります。それ以外のことについては、必ずしも私の考えておった点と一致するというわけでもございませんが、まあ本人がいろいろ就任早々でありましょうから、抱負があったことを言われたのでありましょうが、これは法律改正を伴うような問題については、これはやっぱり運輸大臣の方が言うことが適当だ、こう思っております。
  108. 岡田信次

    ○岡田信次君 一つ大臣にお伺いしておきたいんですが、選考の問題なんですが、大臣は広く人材を求める、ことに国鉄関係のない人を得たいというふうに方針を立てられたが、そのお考え通りにならなかった。そこでその選考された場合に、現在の国有鉄道法の第十二条ですか、これに欠格条項があるんですね、これは言葉が適当でないかもしれないけれども、あなたは選考のじゃまになったというふうに感じられたかどうか。もしそう感じられたらこれをお直しになるお考えがあるかどうか。その点をお伺いしたい。
  109. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 今度の場合はなりませんでした、この規定が。まあ政治家というものに対してやはり選考の範囲を考えませんでしたから、やはり財界の人ですから、欠格条件で、これによってなってもらいたいという人がくずれたということはなかったと思います。
  110. 岡田信次

    ○岡田信次君 そうしますと、今の欠格条項ですね、厳重に適用しますと、大体銀行界とか保険界ということになっちゃうんですね。たとえば東芝社長なんかだめだというようなことになるんですが。
  111. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) こういうふうに聞いておるんですが、たとえば会社ですね、その会社の社長なら社長という地位におって総裁になることはできないが、やめれば——たとえばいろいろ、五項にございます「物品の売買若しくは工事の請負を業とする者」とか、そういうふうないろいろ国鉄との間にいろいろ事業関係りあったというようなことで、これが総裁になることが差しつかえるのではないかというような御意向だろうと思うんですが、これはやっぱり本人がその地位を去れば、これがすぐに適用になるのではないというまあ解釈から、財界人で鉄道の間に関係のあった人が、この条項によって支障があるとは考えませんでした。
  112. 岡田信次

    ○岡田信次君 ちょっとその辺私どもの考えと違うんですが、もう少しよく事務当局と御相談いたされまして、もしじゃまになることがあったら直していただきたい。
  113. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 研究いたします。
  114. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ほかに運輸大臣に対する御質問は今日はございませんですか……それでは御苦労さまでございました。     —————————————
  115. 岡田信次

    ○岡田信次君 先ほど来大倉委員気象台並びに大蔵省との質疑応答を聞いておりますと、どうも北方定点を置いた場合に、予報の確度に対して気象台が自信がない。いろいろあれは設けた方がいいと言われている関係もある程度あって、もしできた場合に、それに対する結果にあまり自信がないというふうに私は伺ったのですが、いかがなものですか。
  116. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 天気予報と申しますのは、これはほかの技術と違いまして、たとえば汽車が発明されて、汽車を動かせば物が運べるとか、あるいは通信技術が発明されれば、機械を整備されれば、通信は一応は完全にいく、そういうものじゃありませんので、世間の要望があって、技術のあるなしにかかわらず始まった仕事でございます。従って世間の要望の方がいつでも少し上回っておりまして、それに技術が追っかけていかなければならぬ。従っていつでも要望から申しますと、不満足のようなことなんでございます。で、定点が始まりまして、あれがなくても済んでいたじゃないかという意見もよく聞きます。しかしあれができてみますと、海上の正確な資料が得られて非常に好都合をするということは、これは間違いない事実でございます。で、それならそれがあるのとないのとでどれだけ違うかということになりますと、私ども、こういう点について気象台予算を非常に強力に大蔵省にお願いするということが、どうも何といいますか、やりにくいというのは、それならそれをやったがために、どれだけ技術が上るのだということが反面あるのでございます。そういう意味におきまして定点があれば、技術の向上は間違いない、しかし世間が要望するほどのように行くかということについては、これは一応疑問があるのでございます。しかしそういうようなことを次々に続けていかないと、進歩はあり得ない、そういう意味で私どもお願いしているわけです。
  117. 大倉精一

    大倉精一君 ちょっと参考のために伺っておきたいのですが、定点観測の問題は、もうだいぶ質問しておりますが、幾ら言ってもあなたは努力をするという答弁をなされませんので、はなはだ残念です。このくらいの答弁があってもよさそうなものですが、あまり慎重し過ぎるような気もいたします。しかしこういうことはできないものか、参考のため伺っておきたいのですが、定点観測は必要だ、これは御否定にはならぬが、今年度予算外の措置ですか——予算外措置としてかりに一隻なら一隻五、六億というものを何とか考慮をする、こういうようなことはできないものですか。
  118. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) 予算外と申しますと、債務負担になると思いますが、現実の資金の支出は伴わないが、債務だけを負担するというような御質問でございましょうか。
  119. 大倉精一

    大倉精一君 予算外で契約をして債務負担というような格好になるか、私は詳しくわかりませんけれども、そういうような何か別途に考慮して再開をするというような努力はする余地がないものかどうか。
  120. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) 債務負担の問題でございますと、やはりこれは予算と一緒に債務負担行為として国会の方にお願いしておりますから、これが通りませんとむずかしいかと思います。
  121. 大倉精一

    大倉精一君 そこで私は本来ならば大蔵大臣にお聞きしなければならないかもしれませんけれども、しかしながら具体的な査定の技術担当官としての認識といいますか、お考えをお伺いしておきたいのですが、気象業務に対する強化という点について、先ほどから強化をしなければならぬ、こういうお話になったようですが、どうも予算全般を見てみますというと、気象台予算の面で非常に冷遇されておる、結論から言って冷遇をされておるというふうに私は思われるのです。たとえば気象台一般官庁と違って事業を行なっておるのですが、これが一般官庁並みに取り扱われておる。中央は幾ら、地方は幾ら、こういうようなワクで縛っておるような格好だと私は思うのです。これは果して気象関係については、そういうワクで縛るということが適当であるかどうかということについて、お考えを一つお伺いしたい。
  122. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) ただいまの御質問は、先ほど先生のおっしゃいました各官庁と比べて非常に低いじゃないかというような御質問にも関連するかと思います。先ほど先生の申されましたのは、おそらく私の推定でございますが、各官庁におきます庁費というものを全部集めまして一人頭で割った計算ではなかろうかと思います。予算に載っております庁費と申しますのは、その官庁でやる事業のために購入する物品でありますとか、そういうものも全部入っておりますので、これだけを見ますると、たとえば農林省のようにかなり事業予算の多い所と、それから運輸省のように事業予算の少い所とでは差が出てくるのではないかと思います。現実には各官庁におきまして、たとえば自動車維持費であるとか、あるいは光熱、水道料であるとか、あるいは消耗品であるとか、そういったほんとうに官庁の経常的な仕事を遂行するために必要な庁費というものがあるのでございますが、この庁費は各官庁とも同じ金額で算定をするということにいたしております。そこでその算定をいたします際に、たとえばいろいろな関係で非常に経質のワクが中央官庁と、それからブロックの官庁と、それから各県あるいは県以下の小さい出張所のような所と、それぞれ違いますので違った単価を当てはめておるわけであります。これによりましてこの金額は非常に違うということでありますと、各官庁間の普通の仕事をされる経費に差があるということになりますが、この点は全官庁を通じて統一をとっております。気象台につきましては、先ほどお話いただきましたように、研究的な面もあり、あるいは行政的な面もあり、その辺がなかなかむずかしいわけでございまして、従来研究所という概念がかなり強うございまして、今申しましたような庁費もかなり少かったわけでございますが、今年はこの点を特に改めまして、大体八百六十万程度になったかと思いますが、そういった経常的な庁費だけをふやすということをやっております。
  123. 大倉精一

    大倉精一君 非常に抽象的になるのでこの質問は突っ込んではやりませんが、たとえば気象台の技術を担当している職員等が超過勤務手当を今まで一銭も予算として計上されておらなかった、これはまことに私は不思議だと思っております。本年度はそのために四百万円、だいぶ台風が襲来しているので計上されておりますが、これは気象台から要求された金額はどのくらいですか、超過勤務手当の予算は。
  124. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) ちょっと私不正確かと思いますが、私の記憶では六百万程度ではなかったかと思います。
  125. 大倉精一

    大倉精一君 それをどうして四百万に削ったのですか。
  126. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) ただいま申し上げましたように、現在各官庁におきます超過勤務につきましても、各官庁の特質に応じまして、たとえば大学の先生等におきましては超過勤務をつけないというような措置を講じております。従いまして気象台につきましても、先ほど申し上げましたように研究機関であるというような考え方からいきますと、なかなかむずかしいわけでございますが、特に台風襲来の措置のような場合に超勤をなさる場合もあろうかと思いまして算定をするわけでございますが、その際の私の記憶では、こまかい数字は覚えておりませんが、何回台風が来るかという積算が多少気象台と違っておったのじゃないかと思います。
  127. 大倉精一

    大倉精一君 どうも気象台が研究機関のような一般に認識を持っておられますが、この点はどうなんですか、研究機関ですか、あなた方の見る点は。
  128. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) 私申し上げましたのは、従来そういうような感触で予算の検討をやっておったようでございますが、私は現在の気象台は研究機関というよりは、むしろ行政機関的な要素の方が強いのじゃないかと、こういうように考えております。
  129. 大倉精一

    大倉精一君 通信従事員に対する技術手当、これは既得権であるから新しく設定しない。これは国家警察等においては新しくこういうことを聞いているのですが、気象台に対しては何にも認めていない。これはどういうわけなんですか。
  130. 岩尾一

    説明員(岩尾一君) 御質問は有技者手当のことかと思いますが、私はこまかい数字は記憶しておりませんが、有技者手当というのは、従来の郵政の特別会計におきまして、特別会計でありましたためにかなり予算のワクも楽でございましたので、特に通信関係あるいはそろばんの技術によりまして特殊な手当を出すというようなことで、必ずしも全体というのではなく、郵政会計だけでそういうような手当を出しておったのであります。ところが現在におきまして各官庁、たとえば気象台あるいは海上保安庁あるいは航空というところに同じような仕事をする人があるわけでございますが、政府といたしましては、むしろそういった特殊の手当をつけること自体がおかしいので、郵政当局におきまして、そういった手当も整理いたしまして、現在公務員制度調査会で検討いたしておりますが、そういった調査会の結論を待ちましてつり合いのとれたものにいたしたい、こういうふうに考えておりますので、本年度は計上いたさなかったのであります。
  131. 大倉精一

    大倉精一君 質問はいろいろあるのですが、時間の関係でやめますが、私は気象業務についての一般の認識を高めたいという関係から、必要な参考人に来てもらって、いろいろな陳述を聞く必要があろうかと思いますので、参考人を招聘して、そうしてこの委員会で意見を聞く、こういうことに願いたいと思いますが、お諮りを願いたいと思います。
  132. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  133. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 速記を始めて下さい。
  134. 岡田信次

    ○岡田信次君 さっきの大倉委員の質問に関連するのですが、この運輸省経費のうち、先ほどから問題になっておった庁費と旅費はどのくらいになっておりますか。今日おわかりにならなければ、この次までに……。
  135. 梶本保邦

    政府委員(梶本保邦君) 今日持っておりませんので、この次まで仕上げて持って参ります。
  136. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) では、この次までに提出して下さいませ。  ほかに御質問ございますか——ほかに御質疑もございませんければ、今日はこれにて散会いたします。   午後四時三十一分散会