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1955-05-23 第22回国会 参議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十三日(月曜日)    午後一時三十五分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加藤シヅエ君    理事      木島 虎藏君    委員            入交 太藏君            岡田 信次君            黒川 武雄君            一松 政二君            高木 正夫君            内村 清次君            大倉 精一君            片岡 文重君            三浦 義男君            平林 太一君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   参考人    日本航空株式会    社社長     柳田誠二郎君    日本航空株式会    社専務取締役  松尾 静磨君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸一般事情に関する調査の件  (航空事業に関する件)     —————————————
  2. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) それでは、ただいまから運輸委員会を開会いたします。  運輸一般事情に関する調査中、航空事業に関する件を議題といたします。  本日は、日本航空会社現況及び経営等につきまして、日本航空株式会社社長柳田誠二郎さん、同専務取締役松尾静磨さん、この御両人より御意見を伺うために、参考人として御出席をお願いいたしました。今日は御両者いろいろお忙しいところおいでいただきまして、まことにありがとうございました。  それでは日本航空株式会社社長柳田さんから、日本航空現況及び経営につきまして、御説明をお願いいたします。
  3. 柳田誠二郎

    参考人柳田誠二郎君) 本日は私と松尾専務をお呼びいただきまして、日本航空会社の現状、将来につきましてお話を申し上げる機会をちょうだいいたしまして、ありがたくお礼を申し上げる次第であります。  日本航空会社は、御承知通り昭和二十六年の八月に会社ができまして、その年の十月の末から実際の仕事を始めたわけであります。当初は資本金一億円をもちまして仕事をやっておりましたのでありまするが、その後一昨年二十八年の十月に資本金がちょうど十億になりましたときに、政府航空事業重要性、また航空事業が非常に資本その他を要する、こういう二つの見地から、純然たる民間仕事でありましたものを、日本航空株式会社法という法律を特に出しまして、これを改組いたしまして、一昨年の十月から現在の日本航空会社半官半民日本航空会社として経営をいたしまして今日に至ったのであります。  民間事業といたしまして出発をいたしました際のことは、委員の皆様御承知のことと思うのでありまするが、平和条約の締結の批准を済まされる前でありましたけれども日本の各方面の要望に応じましてこの会社ができたのでございます。当時三つばかり政府に対しまして仕事開始を申請をいたしたのでありまするが、国家的見地におきまして、これを一社に取りまとめた方がいいだろう、こういうことで日本航空株式会社というものができまして、先刻申し上げました通り資本金一億円をもちまして国内仕事をする、こういうことを第一の任務といたしまして出発をいたしたのでございます。  その後、だんだん仕事が広がりまして、十億まで民間資本を集めたのであります。その民間資本十億集まりましたとき、だんだん国際線を始めるという機運が出て参りましたので、そこで先刻申し上げましたような政府考えをもちまして、これが改組されまして今日に至ったのでありまするが、昨年の二月から国際線を始めまして今日に至ったわけであります。  経営の状態を言いまするというと、日本航空会社が新しい政府法律によりまする会社改組をされまする一昨年の十月末には、一億五千万円ほどの欠損を持っておったのでありまするが、改組をいたしまするときに、飛行機、建物、その他を再評価をいたしましたところが、再評価の益が相当ありましたので、この欠損を全部償却をいたしまして、一昨年の十月には無欠損会社といたしまして、新しい半官半民会社出発をいたしたのであります。  当時の状況といたしましては、国内線は大体そろばんがとれたのでありまするが、その後の物価の高騰、また一般給料増加、それから国際線開始をいたしまするにつきましていろいろな方面に規模を拡大をいたして参りませんければならない、そういうような関係をもちまして、その経費の割り振り、かような割り振りを受けるというようなことからいたしまして、その後の経営におきましては、国内線赤字を出す。先刻申し忘れましたけれども、一方におきまして物価が上る、一般給料が上る、それにもかかわらず国内線料金はそのままに据え置いた、こういう関係をもちまして、国内線につきましても、欠損が出て参った。なおまた国際線につきましては、これは後ほどさらに詳細に申し上げたいと思うのでありまするが、仕事の性質上、なかなか初めから利益を出すということは困難でありまして、相当の努力をいたしたのでありまするが、国際線相当決損を出した。国内線にも、ただいま申し上げましたような理由からいたしまして、赤字が出る。こういうことが重なりまして、国際線を始めました第一期には二億九千万円ばかりの赤字を出しました。それから第二期でありまする昨年の四月から昨年の九月まで、大体四億八千万円ばかりの赤字を出したわけであります。さらに昨年の十月から本年の二月に至りまする第三期の決算におきましては、七億六千万円ほどの赤字を出しておるのであります。今日まで、新しい半官半民の今日の会社は、十五億円ほどの欠損を持っておるわけであります。御承知通り、現在の資本金は三十三億でございまして、このうち政府出資が二十億、民間出資が十三億、合せて三十三億でありまするが、これに対しまして、ただいま申し上げましたような十五億円の赤字が出ておるわけであります。  何ゆえにかような赤字が出たか。こういう問題でありまするが、これにつきましてはいろいろの理由を申し上げることができると思うのであります。その一つといたしましては、御承知通り戦争によりまして航空事業というものは全部日本の国から払拭をされたわけでありまして、しかも戦争が終りましてから七年間というものは、航空事業に関することは研究をいたすことすら禁止されておった、こういうような次第でありまして、全く新しい仕事を戦後に作らなければならない、こういう建前におかれたわけであります。御承知通り戦争によりまして日本産業は各方面とも非常な損害を受けたのでありまするが、今日やっておりまする重要産業というものは、その損害にもかかわらず、何らかの資産を戦争前から引き継いでおったわけでありまして、これは各事業につきましては相当な力を与えておると思うのでありまするが、航空事業につきましては戦前からの遺産というものは全然なく、すべて戦後にこれを画策をいたしまして実行せなきやならぬ、こういう状況におかれておったのでありまして、これが一つの非常な、日本航空が当面をいたしておりまする大きな問題なんであります。  それから第二には、航空事業を始めまするにつきましては、どうしてもある程度、いろいろな意味において、海外からの技術的の援助を得なければならぬということでありまして、御承知通りパイロットを雇う、これについて相当の高給を払わなければならぬ。あるいはまた飛行機整備をいたしまする場合に、この整備の技術を修得するために外国人を雇わなければならぬ、これに対しましても相当給料を払わなければならぬ。こういう非常に、ある意味におきましては残念なことをやらなければならぬのでありまするが、これもやむを得ない事情でありまして、この不利を忍んで仕事をして参ったわけであります。  それから第三には、国内線について申しまするというと、飛行機外国飛行機を買ってくる。また先刻申し上げましたように、これの運航、また飛行機整備、これも外国の力を借りてやらなければならぬというわけでございまして、飛行機仕事コストというものが非常に高からざるを得ないのでありまするが、しかも一方、国内料金というものは、日本生活のスタンダードに即応した料金をきめませんければ仕事にはなりませんので、非常に低い料金をとって仕事をせなければならぬという立場におかれておる。運航コスト外国並みであるにかかわらず、国内料金日本固有生活水準に即応した標準できめられておる。そこに大きな仕事の上の困難があったわけであります。なおまた国際線について見まするというと、私ども今、香港から東京東京からホノルルホノルルからサンフランシスコと、こういう国際線をやっておるのでありまするが、この国際線運航に当りまして一番大きな競争をしておるのは、御承知パンアメリカン航空会社競争をしておるのでありまするが、このパンアメリカン航空会社アメリカ政府から莫大な補助をもらっておる会社であります。年間二千八百万ドル、約百億円の純粋の補助をもらっておる会社でありまして、しかもその歴史が古く、かつまたアメリカの大きな国力を背景といたしましてこの仕事をしておるわけであります。その持っておりまする販売網切符を売る一つ組織でありますが、これは全世界にわたりまする非常な大きな販売網を持っておるわけでありまして、話に聞くところによりまするというと、世界の至るところに対して切符を売っておるわけでありまするが、自分の社の飛行機からよその社の飛行機に乗りかえる、そういうことができるだろうかということをパンの店に行って聞きまするというと、世界中のどこの地点におきまする問題でありましても、二時間以内にお客さんに返事ができるというような膨大な組織を持っておるわけであります。この資力があり、この経験を持ち、この補助を受け、この組織を持っている航空会社と、私どもは火の出るような競争をいたしておりますので、当初におきましてはなかなか、この販売網に食い込んでそうしてお客をとるということは困難な時代がありましたので、かような大きな競争に当面をいたしまして、地盤を確立するまでにはある程度の損失は免れないと、はなはだ残念でありまするが、かような立場におかれておった次第でありまして、先ほど申し上げましたような欠損累積をいたして参ったのであります。  しかし、この欠損を分析をいたしてみまするというと、四億八千万円というのは昨年の四月から九月一ぱいの決算でありまするが、この大部分というものは、飛行機償却とそして金利というものを合せまするというと、約五億円ほどになるのであります。それから今期の決算で七億六千万円ほどございまするが、利息償却を入れまするというと八億ばかりになるのでありまして、いわゆる普通の意味においての営業上の損——償却金利を除きました営業上の損というものは、割合に少い金額でありまして、この七億六千万円のうちで、利息を入れましての営業上の損というものは一億一千六百万円ほどしかございません。この点も一つ御記憶をいただきたいと思うのであります。  かような次第でありまして、十五億円ほどの損失累積をいたしたのでありますが、もしこれに対しまして政府の方におかれましてある程度の御援助を願う、援助してやる、こういうことをおきめ下されば、この情勢は非常に変るのではないかと思うのであります。  先般航空審議会が開かれまして、その航空審議会民間航空の育成はどうしたらいいかということの結論を出されましたのでありますが、そのうちには、まず第一に、交通税を免除したらどうか、こういう案が出ておるのであります。ただいま大阪まで料金が五千円でありまして、それに二割の交通税がつきまして、これは六千円になっておるわけであります。私どもの希望といたしましては、この交通税二割を免除していただく、そうして同時に、会社料金を五千円から六千円まで上げることをお許しを願いたい、こういうことを政府にお願い申したわけであります。そうしますというと、現在の収入が二割増加をいたすことになりまして、これが年間にいたしますと大体四億円の収入増加になるわけであります。この四億円の収入増加をいたしますれば、国内線赤字は全部これによりましてなくなる、余ったものである程度国際線赤字も消し得る、こういうことになるわけであります。これが、二割ということは少しむずかしい、一割だけは考慮してやる、こういうことに大体政府の御意向がきまったように承わったのでありますが、一割でも、これをぜひこの際、ある期間を限りましてでも、実行いたしていただきたいと思うのであります。かりに一割ということになりますというと、年間二億、半期一億、こういうことになりまして、会社の経理が非常に助かる、こういうことになるわけであります。なお、航空審議会におきましては、国際線をやっておる場合には金利が高い、こういうことにつきまして、金利についてもある程度の補給をしてやる。国際線に関する限りにおきましては、国際線専用飛行機を買った場合には、その金利が、一般日本金利が高いために、外国並み金利が使えない場合には、その差額だけを一つ補助しよう、こういうことを審議会で決議をされたのでありますが、この精神をやはり政府の方でもお考えおき願うことになりまして、今度政府におきましては三億五千五百万円ほどの補助をしてやる、こういうことで、その中にある程度の利子の補給ということが見込まれるようになりました。なおまた、パイロット訓練をいたしますにつきましては、非常な資金が要るわけでありまして、昔は国が商船学校というものを作りまして、そうして船員になる人を国家費用におきまして教育いたしまして、そうして船会社訓練をされた人を出されたわけでありまするが、現在の財政状況に即しまして、政府が力を出すというわけには参らぬように聞いておるのでありまして、現在非常に金のかかる仕事を私ども会社自体がやっております。一人のキップテンを作るには、およそ八百万円乃至千万円見当費用がかかるわけでありまして、こういう費用は非常な財政的な負担を会社に与えておるわけでありまして、これにつきましても政府はある程度今回の予算におきましてめんどうを見てやる、こういうことをおきめを願ったのであります。なおまた、外国人パイロットは非常に給料が高いのでありまして、日本人のパイロットとの給料差額だけを政府はある程度見てやる、こういうようないろいろの補助一つ考えおきを下さることになりまして、その総額が先ほど申し上げましたような、三億五千五百万円になっておるのであります。  で、もし今度の議会におきまして、交通税を一割ある期間免除をしてやる、また三億五千五百万円の補助をしてやる、さらにまた国家資金をある程度飛行機仕事に使うようにめんどうを見てやる、こういう大きな方針をおきめいただくことができますれば、ただいま申し上げましたような十五億円に上りまする欠損も、累次欠損を縮め、さらにまた進んでは、この累積いたしました赤字も埋めていくことができるのではないかと思うのであります。もっとも累積した赤字を埋めるまでには、あるいは今後二年なり三年なり先のことにはなると思うのでありまするが、だんだん仕事がよくなっていくということははっきり申し上げることができると思うのであります。私ども考えといたしましては、航空事業というものは、将来非常な資金を要する。これは海外におきまする各航空会社資本金、さらに最近にはドイツがルフト・ハンザを復活いたしまして、航空事業を再開いたしたことになったのでありますが、その資本金が、日本の円にいたしまして百十億見当資本金をもって立つことになっておりますので、我々といたしましてはさらにこれから、どんどん資本を多くして参らなきゃならぬと思うのであります。本年度は政府におかれましてあらためてさらに十億円を支出してやる、こういう御方針がきまったように承わっておるのでありまするが、これも議会の御承認を得て実現される運びになると思いますが、ぜひこれも実現をしていただくようにお取り計らいを願いたいと思うのであります。  ただ、この日本の現在の財政状況からいたしまするというと、飛行機所要資金を全部政府にお願い申し上げるということは非常に困難であろうかと思うのであります。これはどうしても、できればある程度民間資本を使う、またできればある程度外国資本を利用するということが必要ではないかと思うのであります。国内資本を使うということになりますれば、やはり航空事業相当の成績を上げましてもごく普通の意味の、高率ではありませんが、ごく常識的なインヴェスターのインヴェストメントの誘引をできるくらいの配当をするということが必要なんでありまして、単に赤字が消えたということでなく、ある程度利益が出て、配当ができる、その配当を目当てにいたしまして、日本の国の大衆が飛行機事業投資をする、こういう形態をぜひ実現をするようにしていただきたいと思うのであります。先刻申し上げましたような各般の政府の力添えということが実現いたしますれば、その金額のいかんにかかわらず、国家航空事業を非常に大事にするのだということが一般に了解をされることになりまして、おのずから一般のインヴェストを誘引することができるのではないかというふうに思うのであります。  なおまた外国資本、これにはいろいろ議論がありまするが、この資本金として外国資本を入れるということはおもしろくない、これは航空法にもそういう投資を規制をいたしまする規定があるのでありまするが、金を借りまして経営につきましては発言力がない、発言力のない金を借りるということは一向に差しつかえないことだろうと思うのでありまして、これは一つ実現機会がありましたらばぜひ実行をいたしたいと思うのであります。外貨導入につきましてはいろいろ議論がありまして、外貨導入するのはおもしろくない、こういう議論があるのでありますが、消費的なものを買うために外貨を輸入する、これは非常におもしろくない外貨導入と思うのでありますが、将来に向って収益を生む、また国の力をふやしていく、こういう種類のものを買うための外貨導入ということは、これは日本の国にとりまして差しつかえないばかりでなく、望ましいことであろうと思うのでありまして、このことも一つぜひ実行いたしたいと思うのであります。ただこれを実清いたす場合におきましては、航空会社の将来がどうなるかということがやはり金を貸す方といたしましては十分に見て参る問題でありますので、この点につきましては、やはり会社収益、国の援助ということが将来どうなるかということが非常に大事なことだと思うのでありまして、この点の整備をまず第一にいたさなければならぬというふうに考えておるわけであります。  私どものやっておりまする仕事は、大きな国策を担当をいたしておりまする部面もありますので、昔は商権拡張というものは船のフラッグに従って伸びていくと、こういう言葉があったのであります。これは必ずしもいわゆる国権の伸長というような意味でなくて、ごく商業的な意味考えてよろしい問題だと思うのでありますが、今日におきましては飛行機の行く所に商権拡張があると、こういうことを言われておるのでありまして、これはまあ非常に飛行機が国際的に伸びていくということは大事なことだろうと思うのであります。かように私どものやっておりまする仕事は国の大きな政策の担当をいたしておるのでありますが、具体的に申しまするというと、これは一種のサービスを本体とする仕事をしておるわけなんであります。何ゆえ日本航空会社飛行機に乗るかと申しますと、飛行機運航が非常にいい、また機内におきまするサービスが非常にいい、そういうことが主体となっておりまするので、理論的に申しますれば、ただいま申し上げましたような商権拡大、また進んではこれによって人の往復が多くなりましてだんだん相互の理解が深められ、大きな見方からすれば、平和を促進する一つの有力なる武器である、こういうことが言われるのでありますが、具体的に仕事をするのは何かと申しますれば、ただいま申し上げましたようなことでありまして、サービスを提供する、これは船会社でも同じことでありますが、サービスを提供する、こういうことが主体になっているのでありまして、このサービスを提供するということにつきましては、単に規則ずくめ仕事をやっておってもこの仕事はできないのでありまして、やはりやる人が一つ十分な責任を持ち、そうして十分な創意をもって仕事をやる、こういうことが非常に大事なことではないかというふうに思っておるわけであります。  現在われわれはそういう精神をもって一つこの仕事発展をさしていきたい、こういうことを考えておる次第でありまして、これは会談ではありまするが、会社の将来の経営につきまして非常な重大な影響を及ぼす本質的な問題であると考えますので、御参考までに申し上げたいと思うのであります。御承知通り、イギリスのBOACは国営でありまするが、国営になりまするまで何十年間民営事業といたしまして十分なる発達をいたしまして、そうして世界的に航空網を完成いたしまして、そうして十分な基礎のできました戦後において、初めて国営になったわけであります。国際的にしのぎを削って進んでいく、そういう仕事につきましては、やはり個人の責任とか創意というようなものを多分に含めました企業形態でないというと、十分な発展ができない。発展をしきったあとで、非常な大きな国策的の仕事をしておるんだからして、これを一つ国家的の経営体に直す、これは当然起り得る問題であると思うのでありまするが、現に発展の途上にあり、かつまた仕事の本質がサービスの提供にあるという点を考えまするというと、やはり今日の日本航空会社法によってきめられました企業形態というものが、しばらくそのままで進んで行くということが一番いい方法ではないかというふうに考えておるのであります。この点を一つ参考までに申し上げておきたいと思います。  これだけで一応の御説明を終りまして、御質問を受けたいと思います。
  4. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ありがとうございました。  それではこれより質疑に入りますが、御質疑のおありの方は、柳田社長または松尾専務取締役、どちらにでもお名ざしで御質疑をお願いいたします。
  5. 片岡文重

    片岡文重君 ちょっと、議事進行について……。松尾専務からの説明は、質問によってなされるのですか。一応専務としてのお立場からめ御説明はあるわけですか。今の社長の大体の説明で、それをもととして御質問申し上げて、それに参考人の方の方でどちらか御専門の方がお答えになる、こういうことなんですか。
  6. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 専務として、何か特に参考意見としてお述べになることがございましょうか。
  7. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) いいえ、御質問でお答えいたしたいと思います。
  8. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 御質問によりまして、柳田社長あるいは専務からお答えしていただくようにいたしたいと思います。
  9. 高木正夫

    高木正夫君 ちょっとお尋ね申し上げますが、外国航路だけの収支と申しますか、これはまあ、総経費なんかの関係もありますから、はっきりしたことはわからぬと思いますが、直接の収入と直接の経費と申しますか、それはおわかりでございましょうか。
  10. 柳田誠二郎

    参考人柳田誠二郎君) 高木先生の御質問にお答えいたします。ここに持って参りました数字があるいは直接御質問の点にはそのまま当らないかもしれないと思うのでありまするが、先ほど申し上げました昨年の上期でございますね、四月から九月までの決算で四億八千七百万円赤字が出ておる。そのうちで国内線赤字が一億九千二百万円、国際線赤字が二億九千四百万円、これは運航に関しましてははっきりしたそろばんが出るわけでございますけれども一般経費をどういうふうに国内線国際線とに割り当てるかということはいろいろ議論があったわけですが、一応の結論を出しまして、国内線損失が一億九千二百万円、それから国際線損失が二億九千四百万円、合せて四億八千七百万円、こういう数字を出しました。
  11. 高木正夫

    高木正夫君 それは総経費なんかの分配の関係によりましょうね。
  12. 柳田誠二郎

    参考人柳田誠二郎君) はあ、さようでございます。本社で家を借りている、この費用をどういうふうに割り当てるかというので、たとえば間接費が大体九億円ばかりかかっております。国内線の間接費が三億九千万円、それから国際線の間接費が五億二千万円、こういうふうに分けております。直接費の方は、これはもうはっきりいたしておりまして、国内線が八億一千八百万円、それから国際線が五億七千二百万円、これはもうそろばんがとれますのであります。高木先生の御質問の方は間接費の振り分けでございますが、実際はそうなっております。
  13. 高木正夫

    高木正夫君 そうですが。それからもう一つ、何と申しますか、日本航空会社ができないとした場合に、つまりドルかせぎといいますか、その金額はどういうことになりましょうか。
  14. 柳田誠二郎

    参考人柳田誠二郎君) 昨年の上半期、ただいま申しました四億八千七百万円の赤字を出しましたのですけれども、円では赤になっておりまするけれども、ドルの計算によりまするというと、大体五十万ドルほどの利益になっております。差引勘定五十万ドルほどの利益になっております。今期は大体百万ドル近くの受取勘定になっております。百万ドルほどの計算になっております。先般御承知の輸出会議がありまして、一体日本航空会社、それから私どものほうの子会社でありまする日本航空整備会社がどの程度にドルをかせぐかということを、輸出会議に計画を出しましたのでございますが、それによりますると、三十五年度、少し先のことになりますが、航空会社で差引勘定千五百四十万ドルかせぐ、それから整備会社、これは外国飛行機がこちらへ参りましたときに、いろいろその日その日の整備をする、あるいはまた外国飛行機をこちらへ持って参りまして、全面的にこれを解体いたしまして整備をするこういうような仕事を大規模にやるわけでありまするが、三十五年度に九百万ドルかせぐと、こういう計画が出ておりまして、この時代が来ますというと相当の国際貸借の改善に資することができると思っております。
  15. 内村清次

    ○内村清次君 ちょっとこれは委員長にも御意見を伺いたいのですが、またきょうの委員のお方々の御意見もあると思いますが、ただいまの柳田社長の申されました最後の、創意責任を持つところの問題が、これが一番含みのある私は言葉だと思います。この言葉は今回政府の方でも十億の資金、それからまた交通税というようなものの一割引というようなものと関連いたしまして、日本航空株式会社の改正法案が用意されておるということは、先般運輸大臣も言っておられたようでございますから、そこでこの法律案を審議いたしまする過程におきまして、今再度一番重要な関係でありまする日本航空会社関係の方々を呼んで意見を聴取する機会があるかどうか、もしもその法案の内容からいたしまして、聞く機会があれば、おのずとまあきょうの質疑もその点に触れないというようなことも考えられますが、もしもそういう機会がないとすれば、この際一つ法案の概要というものは、あるいは新聞その他でよくつかんでおられる委員の方々もいらっしゃると思いますからして、その点までに質疑をやっていいかどうかということですね、この点はどういうふうにいたしますか。
  16. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) さあ、それは委員の皆様にお諮り申し上げたいと思うのでございますが、今日はほかの政府委員も呼んでございませんので、日本航空社長専務だけが参考意見をお述べになるようにお呼びしてございますので、時間たっぷり十分にあらゆる角度から御質疑をなさいまして、なお今おっしゃいました法案との関連においてまだ質疑が残っているというような委員各位の御意見でございましたら、また理事会にお諮りして、あらためて航空関係参考人をお呼びするというふうにいたしたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。それでよろしゅうございましょうか。
  17. 内村清次

    ○内村清次君 けっこうでございますね、そういう取扱いをしていただければ。  それではお伺いいたしますが、先ほど申しましたように、確かに社長の言われましたように、まあ現在は日航の経営状態はこれは赤字の何と申しますか、累積と申しますかですね、そこでお困りになっておる。しかし現況としては、これは発展過程の現況であって、どうしてもやはり国際的にも国内的にも、航空事業は総体的に発展させなくてはいけないと、これは国の発展と同時にやらなくてはならぬ、まあこういう結論の上から申しますると、やはりこれを全部国営に持っていくか、あるいはまた現在の半民半官の程度で、しかもまた政府の認可権、あるいはまたその他の大臣の権限の強化というような政府の発言権の強化でいくかと、この二つの道があるだろうと思うのですが、しかし今社長が言われましたような創意工夫、それから責任体制の確立という問題は、やはりここにまた一つの考察かなくちゃならぬと思うのですが、そういう見地から今、日航としてはどの点を重点としてお考えになっておるかですね、まあこういう点に対しまして、現在の整備されつつあるところの法案と対照されて一つ意見をいただいておけば非常にけっこうだと思うのですが……。
  18. 柳田誠二郎

    参考人柳田誠二郎君) 内村先生の御質問は、一番デリケートな問題だろうと思うのであります。ただいま出ておりまする法案の実態というものを私どもははっきりは公式には知っておりません。大体こうなるらしいということの範囲において聞いておるだけなんでありまするが、私の意見を率直に申し上げまするというと、第一に、国鉄あるいは専売公社、こういうものは国内におきましての一つの独占企業体でありますので、私どもがかりに国内だけの仕事をしているということでありましたならば、あるいはこれを一種の公共企業体ということに変えられるということも一つの考案ではないかと思うのであります。ただその場合に各方面と十分に緊張いたしまして、そうして仕事をやっていく、間違いのない仕事をやっていく、これが非常に私大事なことだろうと思うのでありますが、この緊張味を下部の人まで一つ徹底してやっていくということが、果してさような場合に十分に思う通りできるかどうかということになると、飛行機仕事ということが非常な進歩的なものであり、かつまた飛行機整備運航ということにつきましては、その万全を期さなければならない、こういうことになるというと、そこに必ずしも問題がないというふうには考えておらないのであります。ことに海外におきましては、資本の力によりましてあらゆる手段を講じ、そうして完璧な運航をする、人命に対する尊重、こういう観念が非常に徹底しておりますので、そろばんを無視してもやっていく、こういう精神が徹底しておると思うのでありますが、残念ながら日本の国情におきますというと、やはり資力というものを背景にしていろいろな問題を考えなければならないような立場に置かれるだろうと思うのであります。ことに国家的な仕事において浪費があっちゃいかぬ、むろんわれわれといたしましては、浪費ということにはこれはもう十分に気をつけておるのでありますが、さらに一歩進んでよりよき運航、よりよき整備をするという場合に、果して今日のような国力、今日のような財政力においてこれを補うだけにみんな緊張してやり得るかということは一つの大きな問題ではないかと思っております。これが国際線に出ますというと、先刻申し上げました通りサービス競争サービスと申しますというと、先刻申したほかに宣伝をどうするか、お客の誘引をどうするか、こういうような問題があるのであります。客をふやすということは、これはどうも言葉としては実に妙な言葉なんでありますが、現実の仕事といたしましては、これが非常に大きな問題でございます。たとえば私どもはハワイで一つハワイの日本人あるいは二世の方にたくさん乗ってもらおうと思いまして、新聞に半面の四分の一くらいな広告を出しますというと、翌日にはパンアメリカンが必ず全紙にわたる広告を出す、こういうせり合った競争をやっておる、あるいは日本のスチュワーデスが非常に親切であるというので、日本のスチュワーデスをわれわれが使っておるのでありますが、そうしますとパンアメリカンは二世の日本人を使いましてスチュワーデスを養成しておる。こういう問題になってきますというと、これはよほどそういう面を端的に自由に、それからまた敏速に考えないというと仕事ができにくいのじゃないかと思うのであります。実は昨年の春は非常にハワイ、ロスアンゼルス方面から日本人並びに日系の人が来たのでありますが、秋はこれが減ったわけであります。なぜ減ったかと申しますと、われわれの方の仕事がふえたにかかわらず、その仕事担当される人をふやすことができなかった。何ゆえにできなかったかと申しますと、外貨の割当を取ることができなかったためにそういうことができなかった。そうなってきますというと、これはよほど商業的といいますか、経済的といいますか、そういう心持でやらぬというと、なかなか仕事はできにくいのではないかと思うのであります。先ほど申し上げました通りに、私どもは代理店を海外に六百ほど持っておるわけであります。パンの方はどのくらいか知りませんけれども、BOACは世界に五千の代理店を持っておるのですが、これがみんな有機的に働いておるわけであって、そういうことを考えますというと、当分の間はやはり経営というものが、一つの伝統といいますか、一つの伝統を持ちましてみんながほんとうに力を出してやるということでないと、金がかかって効果が上らない、従いまして赤字がふえる。との赤字はすべて政府めんどうをみてくれるのだ、こういう気持になりましたならば、とうてい国際的な仕事はできないのではないかと思うのであります。お聞き及びのことと思うのでありますが、今日イギリスのBOACがややもすれば客が少くなっておる。これに対しましてオランダのKLM、それから北欧三国がやっておりますSAS、これが全くの商業的な意味合いにおきましてみんな勉強をして仕事をやっておる。日本人が大体この一社の飛行機に乗っておる。何ゆえか。どうも乗って気持がよくないということだけで乗らない。その辺のことも発展過程にある日本航空といたしましては十分に考えていかなければならぬかと思うのであります。でありまするからして、そういう創意責任の生きるような仕組みを残しておくか、あるいはそういう仕組みにしていただきたいというのがわれわれの希望でありまして、具体的にどういう法案が出てくるかということは、今日私どもはっきり聞いておりませんが、そういう仕組みが残り、あるいは仕組みがさらに助成されるような意味合いに改正されるというふうに一つ援助をいただきたいと思っておるわけであります。
  19. 片岡文重

    片岡文重君 先ほどの御説明を伺っておりますると、累積している欠損の事由は、もっぱら何といいますか、客観的な事情によって赤字になるのが必然的な状態に置かれておるというふうにうかがえたのですけれども、今日会社の内部といいますか、その機構なり、組織なりの上からもっと工夫していけば、こういう少くとも膨大な赤字を防ぐことができるのではないかというような点について、つまり経営の内面についてお考えになったことがあられるかどうか。またあったとすれば、どういうふうにされたらよいとお考えになっておられるか、その点を伺いたい。
  20. 柳田誠二郎

    参考人柳田誠二郎君) 片岡さんにお答えいたします。私どももこの欠損につきましては、私も専務も非常に責任を感じておるわけであります。ことに新会社になりまして国家から資本金を出していただく、これはわれわれといたしましては非常にありがたく考えておるわけでありまして、内部の仕事の合理化ということにつきましては、一昨々年あたりに内部に合理化委員会というものを設けまして、人件費、物件費各方面にわたりまして節約、また不合理のないように極力努力をいたしておる次第でありまして、先般申し上げました通り航空審議会の要望事項の中にも、最後に、航空会社自体が合理化をはかれ、同時に販売、その他については、合理化と同時に積極的に仕事をしろ、こういうことのお話がありまして、その点については、十分身にしみてやっておるわけであります。  その合理化として、ごくはっきりいたしておる点を御参考までに申し上げたいと思うのでありますが、従来、日本航空会社は北海道に行く途中に三沢に寄る、大阪に飛ぶ前に名古屋に寄る、それから大阪から福岡の間で岩国にとまるわけでありますが、これを最近、昨年でありまするか、三沢、名古屋、岩国にとまることをやめたのであります。何ゆえに初めにさようなところでとまったかと申しますると、これはやはり一つの公益的の仕事でありまするので、できるだけ日本の皆さんに一つ便宜をはかりたい、こういうことが私どもの願望であったのであります。ところが飛行機は御承知のように着陸をする、離陸をする、そういうときに非常に油を食う、また飛行機自体に損耗がある、こういうことでありますので、実はその損を見ながらも多少便宜をはかるということを主として考えておったのでありますが、だんだん国内線経費が一方において物価が上る、給料が上る、その間鉄道は御承知のように二回賃金を引き上げておったわけでありますが、私どもといたしましては、一方におきまして日本の国の生活水準に合う、同時に低物価政策ということが一つ日本の国民の生活を安定させるのだというねらいで、それをしんぼうしておったわけであります。しかしだんだんそういう状況が強く私どもの方の経費の方にかかって参りましたので、その三カ地点を廃止をいたしました。これは一つ運航上の合理化の一つであります。なおまたただいまは御承知のように東京から大島へ出て、大島から大阪へ出る、これをすぐ焼津の方に出まして、そして大阪へ出る、こういうことができれば、飛行機運航の距離が非常に短縮されまして、相当利益になる。これも政府並びにアメリカの軍の方に一つお願いを申し上げておるようなわけであります。これがまた実現すれば経営上大きな合理化になると思うのであります。それから人員はただいま日本航空会社が千人近く人を使っております。これにつきましても、私どもといたしましては、この人のふえる、これは一面において雇用をふやすという意味においては、どうしてもこれは一つ発展的の仕事としては国全体の利益のために考えなければならない問題なのでありますが、しかし会社の経理という面から見ますると、これもまあふやし得ないのでありまして、海外において非常な発展をする、どうしても人をふやしたいという場合においてすら、これをまあ合理化といいますか、経費節減の意味で節約しているわけであります。御承知のように、サンフランシスコから東京までは料金が一等で六百五十ドル、二等で四百八十八ドル、ところが向うで人を使いまして、普通このセールスの担当者は、月に五百ドルでも出せば十分に人が使えるわけであります。ですから一人の人を雇いまして、一カ月に一人の客をとりますれば十分に経費がつぐなうのでありまするが、しかし大蔵省その他の関係をもちまして、そういうふうな人の採用も今はまあ押えているというのが実際の状況でありまして、なお外国航空会社と、よく人の比較でありますが、これはどうも比較のしようがないのでありまして、結局持っている飛行機一機当りにどのくらいの人がかかっているか、こういう数字を出すのでありますが、この数字によりますると、アメリカ会社よりはやや私どもの方が人が多いのです。ただし、これをヨーロッパの諸会社、これは大体地勢その他運航の距離等からいいますと、日本によほど似ておるのでありますが、このヨーロッパの諸会社は、日本に比較しますると三割から五割くらい人がよけいかかっておるのであります。私どもアメリカとヨーロッパの中間よりも、むしろアメリカに近い数字を出しておりますので、この点につきましてもまあ十分に注意をしておるつもりなんであります。なおまた一般の給与、これについてはいろいろ議論を受けておるのでありまするが、先刻申し上げました通り、私どもの方は戦後に出発をいたしました会社でありまして、何らの財産を戦前から引き継いでいないのであります。そこで一番私ども苦心をしておるのは、一般社員の諸君に対する厚生施設の問題なのであります。日本にありまする大会社は、戦前から相当の厚生施設をそのまま引き継いで持っておるわけでありますが、われわれといたしましては、厚生施設をふやしたくても厚生施設がふやせない、これが現状でありまして、金の面から見るというと、節約という、合理化という以上のことを私はやらざるを得ない立場に置かれておるわけでありまして、こういう厚生施設のごときは、もう少う会社がよくなりましたら、ぜひ急速にこれを私は充実したいと、こういうふうに考えておるわけでありまして、片岡先生のお話の、御注意の点はありがたく一つ拝聴いたしまして、さらに合理化その他につきましては十分の配慮をいたしたいと考えておる次第であります。
  21. 片岡文重

    片岡文重君 従業員の数にまで触れて御答弁いただいたのですが、今重役は大体何人くらいおられるのですか。
  22. 柳田誠二郎

    参考人柳田誠二郎君) 重役は取締役が二十五名、監査役が二名、現業の重役が十一名でございます。社外重役は……その点につきまして、御質問外になるかと思うのでありまするが、重役が非常に多いという議論を非常に私ども承わっておるのでありますが、これは向後も問題になると思うのでありますが、意見を別にいたしまして、従来の経過だけを一つ申し上げたいと思うのであります。現業の重役は、これは日本の大会社を見ますと、必ずしも現業重役の数は、数の上においては多いということは出てこぬではないかと思うのでありますが、問題は社外の重役が非常に多いのではないかと、こういう問題が起るのでありますが、社外重役は大体におきまして、うちの切符を売っておりまする代理店の首脳者の大部分が社外重役であります。この点だけを一つ御報告を申し上げます。
  23. 片岡文重

    片岡文重君 パイロットは今ほとんど外国人のようでありますけれども、これは大体いつごろ日本人に全部切りかえることができるのですか。
  24. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) パイロットは、国内線でこれは機長と副機長と二人でやっておるわけでございますが、大体十七組いるわけでございます。そのうち十七名が機長で、副機長が十七名、この十七名はこれは全部日本人でございます。もうすでに。それから十七名の機長の中の十二名がすでに日本人に切りかわっております。あと四、五名が外国人でございますが、これは本年の夏までに全部日本人に切りかわる予定でございます。それから国際線は、これは国際的な航空法の規定によりまして、機長とそれから副機長と、それからナヴィゲーター、航空士でございますね、それから航空機関士、これだけ四名の乗員を乗せなければいかぬ規定になっております。そのうちには、国際線の機長、副機長は今のところ全部外国人でございます。航空士、それから航空機関士、これは半分以上日本人でございます。航空士、機関士はおそらく年度内に、本年内には大部分日本人に切りかえる予定でおります。なお国際線につきましては、まず副機長を今四名養成しておりまして、これが順次国際線の副機長になりまして、また国内線の優秀な機長を順次国際線の副機長から機長にもっていく。国際線が全部日本人の乗員に切りかわるまでは、やはり二カ年を要すると考えております。なお、ちょっとつけ足しますが、今国内線で機長になっている人たちは、戦前やはり五千時間から一万時間飛んだ連中でございます。これをアメリカに四カ月ほどやりまして、再訓練をやりまして、しかも帰ってきてから、小さい飛行機に乗せまして訓練をやる。やはりそういう経験のある操縦士で、現在機長になるのには、約一千万円各自経費が必要なわけであります。
  25. 片岡文重

    片岡文重君 そうすると、全部日本人によってまかなわれるということは、大体二カ年後でなければならないという結論になると思うのですが、それでよろしいですか。
  26. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) そうでございます。
  27. 片岡文重

    片岡文重君 今、整備を行う経費は大体どのくらい見ておられるのですか。
  28. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) 国内線の方で、国内線に使っておる飛行機は七機でございますが、国内線の半期、六カ月でございますが、六カ月に四億八千万円程度でございます。それから国際線で、半期約二億……。
  29. 片岡文重

    片岡文重君 何機ですか。
  30. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) 国際線は五機でございます。
  31. 片岡文重

    片岡文重君 今伺った整備費用を、国際線大体二億、国内線大体四億八千万円、半期に支払われるのは、もちろん日本航空会社内の人たちによってなされるのではなく、日本整備会社、それに支払っておられる経費、こういうことに承知してよろしいですか。
  32. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) これは国内線は、日本航空整備会社にメインテナンス、維持をやらしているわけでございます。これは最近機構を変えまして、部品は日本航空補給をやる。しかし小さい消耗品程度、それからほんとうのマン・アワー、これは整備会社の方でやる。それから国際線の方は、今のところ、まだアメリカのユナイテッド航空会社、ここに委託しております。もちろん、これの部品は日本の方から補給しております。大体今年末ぐらいにはアメリカに頼んでおります国際線整備の基地を東京の羽田に移したい、こういう計画でございます。
  33. 片岡文重

    片岡文重君 国際線のユナイテッド航空に頼んでおられる整備、そしてそれに支給する部品、これは近い将来に羽田に移されるというお話でしたが、羽田に移すということは、日本航空整備会社にやらせるということなのですか。それとも日本航空が直接その整備に当るという意味なんですか。
  34. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) 国際線に使っております飛行機は非常に近代化された飛行機でございまして、初めから整備会社でやることはなかなか技術的に困難であります。それで、まずもって国内線のダグラスの四型の整備を十分にすでに習得いたしましたので、なお格納庫は現在まで一つしがなかったのですが、今度、今年の秋までにもう一つの格納庫を整備会社の方で建てる計画がありますので、それが完成いたします時期に——すでに今この国際線飛行機の技術的な準備を十分やっておりますので、整備会社に持ってきてやらせる、こういう計画でございます。
  35. 片岡文重

    片岡文重君 念のために伺いますが、整備会社社長はどなたがおやりになっておりますか。ついでですから、その重役の氏名、おわかりの範囲でお知らせ願いたい。
  36. 柳田誠二郎

    参考人柳田誠二郎君) 整備会社社長は私がやっておりまして、松尾さんが専務をやっております。それから常務が三人おりまして、従来日本または満州において航空事業関係をいたしておりましたものが三人おります。そのほかに平重役は、日本人が一人、アメリカ人が三名、監査役は日本航空の常務取締役二人がなっておる、そういう陣容でございます。
  37. 片岡文重

    片岡文重君 そうしますと、社長さんも専務さんも整備会社航空会社とを兼ねておられるようでございますが、そのほかに、両社に関係しておられる重役の方々は大体どのくらいおられるですか。
  38. 柳田誠二郎

    参考人柳田誠二郎君) 日本航空会社の人であって、同時に整備会社……。私と専務、そのほかに監査役が二名、普通の取締役二人おります。常勤の常務取締役は、これは日本航空会社には全然関係のない人がやりまして、この三人が中心になりまして仕事をやり、私と専務が週二回ずつ整備会社に参りまして仕事を総括してやっております。
  39. 片岡文重

    片岡文重君 そうしますと、これはあるいは関係外だということに御答弁があるかもしれませんが、今日日本航空整備会社は大体どのくらいの経営、どのくらいというよりもどういう程度の経営をされておられるのですか、その経営政策といいますか……。
  40. 柳田誠二郎

    参考人柳田誠二郎君) きょうは数字を実は持って参りませんので、ただいま数字的なはっきりしたことは申し上げられないのでありますが、整備会社日本航空会社飛行機整備は一切これをやっておるわけであります。日常の仕事、それからオーバーホール、そのほかをやっております。外国航空会社は数社がございますですが、これらの会社の日常の整備と申しますか、ライン・メンテナンスというものをやっております。  収入から申しまするというと、むろん整備会社といたしましては、日本航空会社収入が大部分でありますが、外国仕事収入もだんだんふえて参っているわけでございます。近くアメリカの軍の方の整備も引き受けるというようなことになるのではないかというふうに考えております。ただ作業をする場所が非常に狭いものでありますので、注文は各方面から参りますのですが、まだそれらの注文を全部お引き受けする程度には参っておりません。
  41. 片岡文重

    片岡文重君 仕事が米軍のも引き受けるという発展段階にあられるということは、大変けっこうなことですが、その会社の経理状況はどういうふうになっておられるか。
  42. 柳田誠二郎

    参考人柳田誠二郎君) 会社ができましたときは無配でありましたが、その次の一期、二期は配当を一割やりましたが、最近におきましてもある程度の利益を計上しておるのでありますが、経済界全体の動きを考えまして、なるべく利益を社内に蓄積した方がいい、こういう見地で二期無配にいたして、今日は無配当であります。しかし当初よりも技術がだんだん進んで参りましたし、かつまた、全体の運営というものが進歩いたして参りましたので、最近は海外におきまして同じ仕事をやるに比較いたしまするというと、実際にかかる時間は多いのでありますが、これをドルと円との比較にいたしてみまするというと、結局日本でやる方が安いという結論が出て参ったのであります。だんだんさような関係をもちまして 名方面から引き合いがふえているわけです。
  43. 片岡文重

    片岡文重君 最初草創当時は無配で、それから二期一割内外の配当をされて、二期からその後二期間配当にした、それは配当し得なかったからではなくて、内部資本の蓄積のために配当を行なわなかったという御説明のようでありますが、そうすると将来はどういうふうにみておられるのですか。
  44. 柳田誠二郎

    参考人柳田誠二郎君) それでは一つ多少御質問の点よりもお答えを申し上げまする範囲が広がるかもしれませんですけれども整備会社の成り立ち、それから私どもがどういう気持で整備会社をやっておるかということを御参考までに申し上げたいと思います。整備会社は二十七年の七月一日に会社ができまして、そのときは資本金が五千万円、日本航空会社が三千万円出資をいたしまして、トランス・オーシャンという会社が千万円、ノースウエストが千万円、あわせて五千万円の会社を作ったのであります。何ゆえ外国会社資本を入れまして合弁会社を作ったかと申しますると、その当時は日本航空会社資本金もまだ四億くらいでありまして、日本航空会社自体が非常に資本金を必要としておる時代であったのでありまして、もし外国から資本を集め得るならば、この資本を利用した方が利益である、こういう結論で外国資本を入れたのであります。なおまたこれに加えまして、整備という仕事は戦前にもむろんあった仕事でありまするが、七年間も空白時代がありまして、そうして新しい飛行機整備をする、これにはやはり外国の技術というものをほんとうに虚心坦懐に学ぶ必要がある。その学ぶ方法といたしまして出資を受ける、外国会社も金を出す、そういう一つのつながりがありまするというと、技術の提供、技術獲得の取りきめというものも非常にスムースにいくのではないかという考え一つであります。でありまするからして、一つ資本の力を利用するということと、一つは技術の導入を容易にする、そうして仕事を始めるのがいいのではないかということでやったわけであります。  なおまた整備会社——これは御承知のように羽田というものが非常に世界的にも珍しい所でありまして、ヨーロッパの飛行機が全部羽田へ集まり、羽田からまた帰って行く。一方アメリカ飛行機はすべて羽田へ来まして、また羽田から帰って行く。近東の飛行機もむろんそうであります。そこで日本の羽田というものは飛行機世界的に集まる所であります。こういう地点というものはおそらく世界のほかにはないのではないかというふうに思っているのであります。そこに飛行機整備会社を作るということは、将来におきまして、日本世界的な仕事一つやり得る、この仕事を通じまして、日本がドルをかせぐという見地から見ますると、非常にりっぱな仕事になり得るのではないか その場合に やはり外国人経営陣に入っているということは、外国仕事を取る上におきましても非常に便宜であるのではないか。事実またその後の経過を見ますと、外国人がいるということで非常な便宜を供与されているわけなんでありまして、そういう三つの見地から外国資本を入れたわけであります。  現在資本金は三億五千万円、だんだんふやして参ったのでありまするが、われわれといたしましては、この整備というものは飛行機運航の生命に関する問題でありまして、これには最新式の設備と最高の技術を使ってこれをやりたいというふうに考えているのであります。それには先ず第一に資本が要るわけなんでありますが、航空会社から十分の資本を持っていくということはできないのであります。航空会社としてはまず飛行機を買うということが非常に大事なんであります。そこで民間資本を集めるということを一つの眼目といたしまして、幸いに相当利益がありましたので、一割の配当をしたのでありまして、日本航空会社欠損を出しているのに、整備会社が一割配当するのはけしからぬじゃないか、こういう議論があったのでありますが、一割というのは今日の時代におきましては決して高い配当ではないのでありまして、金を借りる場合においては大体一割見当利息というものは当然払うのでありまして、もし一割の配当によりまして民間資本が集め得るということになれば、これはまあいわばもっけの幸いというふうに見ていいだろうと思うのでありまして、私は民間資本によりまして整備というものをりっぱにしてゆく、さらにできれば外国資本も入れまして、整備というものをりっぱにしていく、そうして日本航空会社運航をりっぱなものにする、同時に海外からの注文を受けまして、そうして日本の労働、日本の技術というものを利用いたしまして、外貨収入をはかろうという目算を立ててやって参ったのであります。しかし一割の配当をいたしましたけれども、当面の急務といたしましては、日本航空会社整備料金をできるだけ一つ引き下げるということが大事である、こういう見地からと、それから先ほど申しましたように、こういう不況の時代にまず内部を固めるのがいいのではないかという二つの見地からいたしまして、無配を断行いたしまして、そうして一方におきましては会社の内部を固め、一方におきましては日本航空会社整備料金をできるだけ安くする、こういう方針でやっておるわけなんであります。しかし最近には、昨年でありますか、ベトナムからDC4三機オーバーホールしてもらいたい、又軍の方から十二機ほどの仕事をやってもらいたい、一機やりまするというと、日本の労銀だけで約二千万円ほどの収入になるわけでありまして、労働力を活用して国際貸借をよくするということにおいては相当に役に立つのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。先刻松尾専務からお話がありました通り、ようやく格納庫一棟増設することができることになりまして、アメリカにおきましてやっておりまする6Bの整備日本へ持ってくる、同時に軍の一つ仕事の引き受けもやりたいと思っている。場合によりましたら、現在アメリカの方で使っております格納庫が一つあくのではないかというふうな見通しもありますので、そういうふうになりますると、備整会社としてはさらにりっぱな仕事ができる、こういうふうになるのじゃないかというふうに考えております。
  45. 片岡文重

    片岡文重君 整備会社は、そうして外貨もかせぐし、ますます業務が拡大されていくということは非常にけっこうでありまするので、その点については私も一そう隆盛ならんことを祈るものでありますけれども日本航空会社の方は、政府とそれからその余の金を民間から集めてやっておる。で整備会社の方はその外国の技術を導入する必要からということと、資本関係、両方でその外国資本を入れて、政府のというか、国庫からの出資をやらなかった、これはどういうことなんでしょうか、その仕事の内容として、仕事の上ではもちろん違いますけれども会社の性質という点からいったならば、日本航空会社も、日本航空整備会社も大体同じような方向で進んで行かれて差しつかえないものじゃなかろうかと考えられるのですが、この点はどういうことなんでしょうか。
  46. 柳田誠二郎

    参考人柳田誠二郎君) 航空の仕事と申しますのは、先刻も申し上げました通り、国の発展と非常に密接な関係がありますので、海の上におきまするその航路権と申しまするか、船会社の持っております航海権、これに匹敵する航空権というものが非常に大事なものだろうと思うのであります。そのために日本航空法におきましても、外国航空会社日本航空会社資本の三分の一以上の出資はできない、役員もまたそれに相見合うような規定があるわけであります。そういう見地外国資本が入ってくるのは、国として好ましくない、こういう考え政府の方で持っておられるのであります。ところが整備会社の方は片岡先生の御指摘になりました通り仕事の上におきましては分離ができないのでありまするが、これは整備をするといううしろ側にある仕事なんでありまして、大体その管掌の官庁からいいましても通産省が非常に関係を持っておりますので、一つの技術といいますか、技術会社になるわけでありまして、これには外資が入ってくるということも問題はなかったのであります。そこで政府といたしましては、航空会社を十分に何といいますか、一方において援助するけれども、これを監督する、そうして日本航空会社整備会社の大株主なんでありまするからして、実際問題といたしましては、政府が必要の場合には十分に整備会社に対して、必要な指示をすることができる、こういう建前になっておりますので、政府の意図というものは航空会社を通じまして整備会社まで通じておると、こうごらんをいただいてよろしいだろうと思うのであります。
  47. 片岡文重

    片岡文重君 趣旨としては今おっしゃられた通りかと存じますが、しかし日本航空の方は日本航空法にも定められてある通り、その三分の一以内であるならば外国資本といえどもこれは認めておるはずだと思うんです。むしろ外国にその鵬翼を伸ばすという観点からするならば、むしろある程度は提携して外国資本も入れ、のみならず行政協定の面からいっても、また技術の面からいっても、現に外国パイロットその他を入れておる、また入れざるを得ない状態にあるのですから、お話の筋から言えば、むしろ日本航空の方がこの現在の日本航空整備会社のような組織であって、整備会社は結局仕事の内容からいっても、その航空というきわめて強度の安全度を要求する整備仕事は、むしろ政府の十分な監督権がやはり要求されるのじゃなかろうか、それにもかかわらずこの逆な行き方をとっておるということについて、どういうふうにお考えになられるでしょうか。それと同時にもう一つは、結局その最高幹部は同じ方々がやっておられるということになると、その分離せられた理由というものも何か非常に、先ほどの御説明の趣旨からすると食い違ってくるんじゃなかろうかとさえ考えられるんですけれども、そういう点についてどういうふうにお考えになっておられるでしょうか。
  48. 柳田誠二郎

    参考人柳田誠二郎君) 今のお話によりまするというと、整備会社の方をもっと厳重にやって、外資など入れてはいかぬ、航空会社の方がむしろ外資を導入してもいいんじゃないか、こういう御質問のように承わったのでありまするが、その点につきましては先刻申し上げました通り航空事業というものの国家的の性質から申しまして、政府がそういう立法をいたしまして、三分の一ということであるけれども、なるべくならば一つ日本だけの資本でやったらどうか、こういう精神だろうと思うのであります。現に外国資本を入れて仕事をやっておりまする会社というものはほとんどないわけでありまして、南米の諸国においてパンアメリカンの資本を入れてやっておるというのがありますが、これは非常な例外でありまして、イギリスでもオランダでもスウェーデンでもフランスでも、まあほとんど世界航空会社が自国資本でやっておる。こういう例にならって日本でもやはり一つの将来の見通しの上に立ちまして、そういう立法をせられ、またその立法の精神拡張せられまして、実際の行政的な部面に現れておるのではないかというふうに考えております。  なお整備会社整備というのはお話の通りでございますが、整備をいたしますにつきましては、一定の厳重なマニュアルがありまして、そのマニュアルに従いまして十分な整備をいたすわけでありますので、一つ会社として十分経営者が責任をとりまして、その経営に当りますならば、技術面におきましては、かりに政府の監督がなくても十分なる整備ができるわけであります。ことに最近におきましては、パイロットというものの気持がもう非常に従前とは違っておりまして、またわれわれもさように注文しておるのでありまするが、自分の技能を磨くことは必要でありまするが、同時に一定の整備というものが十分にマニュアル通りにできておりませんければ、絶対に飛行機を飛ばすことをがえんじない、こういう形式をもちまして整備というものが十分にできておりますので、その点につきましては、御心配をいただかなくてもすむのじゃないかと思うのであります。  なお、私と松尾専務社長であると同時にまあ専務をやっておるわけでありまして、実際はほんとうの意味の姉妹会社であるのでありまして、しかしこの別な会社に残しておくというのはそれはどういうところに意味があるのかと言いますると、それは先刻も申し上げた通り海外仕事一つとろうというこれは一つの大きなねらいを持っておるのでありまして、海外仕事をとるという場合に、これが日本航空会社整備部門であるということになりますると、整備の依頼が来なくなるのではないか、こういうことを懸念しております。この見方は単に私がさように考えておるばかりではなく、外国人の見方がやはり別な整備会社、こういう方が注文がしやすいし、またその方が安心をして注文ができるのだ、こういうことを言っておるのであります。これは一つの心理的なことで、それでは具体的にどういうことだということになりますと、なかなかこれはむずかしい問題なんでありますが、実際外国航空会社仕事をやってみますると、そういう感じを強く受けるわけであります。そこでまあこの態勢をとりまして、そうして外貨をかせいでいきたい、もししいて問題がある場合においては、日本航空会社のふだんの整備、いわゆるライン・メンテナンスというものだけは将来日本航空会社が自分でやるということも考えられるわけでありますが、オーバーホールというような問題とか、あるいは御承知のことと思いますが、チェックをやるわけでありますが、ときどきのそのタイム・チェックというものはこれは相当仕事になりますので、そういうものとオーバーホールだけは整備会社でやるというふうに仕事を分離してもいいのじゃないかということも考えておるのでありますが、今私と松尾専務はただ名前を列してそうして実際の仕事はやっておりまするが、別に整備会社の方から御厄介になっておるということもなく、これはやっておるわけでありまして、人事その他につきましての意思の疏通その他につきましては、一つ会社と変りのないようにやって参っておるのであります。全く外国との——それはなぜかと申しますと、たとえば軍の方から注文がくる、お前の方は幾らでやってくれるかという場合に、原価の計算をする場合に実際のこの作業、それはきわめて簡単でありますが、本社機をどうするというような問題が起って参りまするときに、日本航空会社の一部分としますると、本社機の計算その他が非常にむずかしい問題になってくるわけなんであります。アメリカ人はそういう細かい点を非常にやかましく言うのでありまするが、そういう点の計算その他におきましても、別会社になっておりまするというと、世帯が小さいだけに非常に簡単でありまして、先方の納得の行くような説明がしやすい、こういう大きな利点もあるわけであります。かたがた現状のままでしばらくゆきまして、さらに将来まあどうしても合併というようなことの問題が必要があると認められましたならば、そのとき一つまた問題を考慮しよう、こういう方針で参っておるのであります。
  49. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) 先ほど来御説明申し上げましたのをちょっと補足いたしたいと思いますが、整備仕事は製造事業と違いまして、非常に遊び時間が多いのです。たとえば毎日の飛行機整備にいたしましても、飛行機がたとえば札幌まで飛んで帰って来た際故障がなければ仕事がないわけであります。大きな故障がありますと、一ぺんにどかっと人間が要る、非常に波がある。それで整備というものはその遊び時間ですね、波のあるそこの遊び時間を有効にかせぐためにはどうしても日航以外の仕事を、外国飛行機、あるいは自衛隊なり、あるいは米軍の飛行機仕事をとっておりますと、その遊び時間で仕事ができる、そうしますと、従いまして日本航空整備上のコストも安くなってくる。それからもう一つ社長が申し上げました通りに、たとえば私たちはパンアメリカン機と火の出るような競争をやっておるわけでございます。それでパンアメリカンの飛行機を、かりに整備会社が今日航に合併いたしました場合、パンアメリカンの飛行機をそれでは東京整備を引き受けてやろう、こういうことになりましても、それではどうもパンの方でも競争している会社が引き受けた場合、たとえば同じ飛行機が出る場合に、自分のところの飛行機を先に整備して出して、おれのところはあとになるのではないかという気が確かにある。私たちもたとえばパンアメリカンにホノルル辺りで頼もうかと初め計画しておったのでありますが、非常にホノルルではパンアメリカ飛行機日本飛行機と一緒に立つ場合がある、うちのをおそく出してパンの方を先に出すのではないか、こういう心配がどこにもある、これは別会社でありますと、外国航空会社はそういう点は安心して整備ができるが、別会社であることが外国飛行機整備を引き受けるということには非常に有利である。もう一つ整備だけをやっておる専門整備会社ということは技術の信用上非常に、海外にもそういう意味では仕事をとる上に非常に有利ではないか、こういうように考えております。
  50. 片岡文重

    片岡文重君 大変詳細にわたって御説明でよくわかりましたが、そうしますと、何か私にはいよいよこれは別にしておくということがおかしいじゃないかというように考えられてくるのですけれども、たとえば今の松尾専務説明になった仕事の繁閑というような問題は、むしろ経営母体を大きくしておいてその繁閑の調節というものをはかる方が、これは企業経営のいろはではないかと私は思うのですが、仕事を忙がしいときにはやはり日航の方の手の空いておるものを連れてきて手伝わせる、それから閑なときには今度はその日航の方へ手伝いに行かせるということでお互いに融通できるようになるので私は大きくしておいた方がいいのじゃないかと思いまするし、また今揚げ足をとるようで恐縮ですが、そういう意味ではないのですから、そういう意味でお聞きいただきたいのですが、競争相手の会社から仕事をもらうときに都合が悪いというような点についても、少くともこれはなるほど商法にいう会社としては別会社になっておるでしょうけれども、その経営陣が全然同一人であるならば、その程度のことはやはり国際競争に乗り出しておられる外国の商社がこれを御存じないということは私はなかろうと思う。やはり会社の名前はなるほど別会社だけれども、実体は同じだということで、競争相手のお話については私はあまりその理由にはならぬじゃなかろうか。まあ特に日本航空の方が非常な赤字経営を続けておられて、しかもその赤字経営を続けておる日本航空経営者が少くともかつては一割前後の配当をされた整備会社経営者になっておられる。しかもそれを切り離しておって、赤字経営をしておる日本航空には多額の国税が、国の税金によって経営されておるというような点を考えてみますと、ますますこれは国民の負担を少しでも軽減をするという意味においても、赤字を少くするためには若干でも黒字になっておる会社と同じ形態にして、機構にして、組織の中に組み入れていくべきではないかと、こう考えられますが、そういう点についてはどういうふうにお考えなんでしょうか。
  51. 柳田誠二郎

    参考人柳田誠二郎君) 御質問の点でございますけれども、大体御質問の点に該当するようなことを前に申し上げたと思うのでございますけれども一つ会社にして、人が要る場合には日本航空の人を使ったらどうかと、こういうお話がありましたけれども整備の人というのはちゃんと整備の技術を持っている人でないとかいかぬのでございまして、日本航空の方には今はそういう実際現場で仕事をするような能力を持っておる人はおりませんので、結局整備会社にある人を間断なく波のないように使っていくと、こういうことは松尾専務からお話のありました通りそういう意味合いでありまして、一緒になったから暇のときはその人を日本航空会社の方に返してくれとか、忙しくなると日本航空会社から連れてきて働く、大きい方が利益じゃないかという点につきましては、まあそういうふうな特殊な技能を持っている人が働くという点で一つ御了承おきをいただきたいと思います。  それから私も専務も向うの重役をやっておる。まあ首脳者が一緒だからして別会社だという気持がせぬだろうと、こういう御質問でありますが、見方によりましては確かにお話の通りなんです。しかしそこは先ほど申し上げた通りで、これは全く一つの心理的な問題でございまして、外国人は、経営の首脳者というものは同じだけれども、実体は違う、そこに差別があるのだと、こういう見方をしておるのでありまして、なお先ほど申し上げました原価計算というような点につきましても、非常にそういう点が重く見られておるので、それらの点も一つ御了承おきいただきたいと思います。  なお配当をしておった、これは先ほど申し上げました通り配当と申し上げましても、やはり金利の一割だけでございますから、一割で金を借りておったというふうに考えておりまして、私は今日でももし一割の配当をしまして、そして資金が集まれば、これは国家的に非常な利益だと、こういうふうに今日でも考えております。  なお御参考までに申し上げたいのですけれども、先ほど申し上げました通り、当初は資本金五千万円で二千万円だけは外国会社から資本が入って参ったのでございますが、その後増資をしまして三億五千万になりましたのですが、外国会社ではその後の出資はあまりいたしておりません。ですから増資部分というのは、大体において日本航空会社がしょい込んで持っている。こういうことになっております。この点だけ一つ申し上げておきます。
  52. 片岡文重

    片岡文重君 この点は、これ以上に入りますと議論になるようですから、質問としては打ち切って、次の点を二、三聞きたいのですが、日本航空の場合、国際線国内線を両方やっておられて、国際線に対して、パンアメリカンを初め、激烈な競争をやっておられるというお話でありましたけれども、たとえばフィリピン等を見ても、すでに国際線は縮小して今はやっておらないのじゃないかと思うのですが、そしてもっぱら国内線整備充実というところに力を入れてやっているようです。日本における国際航空の発達ということは、これは十分力を入れてやらなければならない仕事でありまするので、その点について平素御努力をいただいていることは感謝いたしますけれども、なお今日の経理状態を見てみまするときに、航空機の、特に国際線等における航空機の利用というものと、それから一般国民の生活水準というものとを、いろいろな角度から検討してみましたときに、今日の逼迫した国家予算の中で、なお年々巨額の費用投資してまでこれをやっていく必要があるのかどうか。必要はもちろんあるでしょうが、その限度と言いますか、そういう点についてどういうふうにお考えでしょうか。国際線に対して……。
  53. 柳田誠二郎

    参考人柳田誠二郎君) 国内線国際線との二つに問題を分けて考えてみたいと思います。私どもも、会社出発いたしまするときに、片岡先生のお考えになったようなことを考えました、日本の国情その他につきまして。——ただ、しかし、こういうことを一つ考えおきを願いたいと思うのでありまするが、われわれの会社は、ある程度の赤字を出している。しかし飛行機の利用によりまして どの程度に社会的な利益が生まれてきているか、たとえば北海道の方が東京一つ仕事に来る。あるいは北海道の役人の方が本省に来て打ち合せられる。こういう場合に飛行機を利用される方の経済的な利益というものは、これは私は相当大きなものがあるのではないかと思うのでございます。そこで日本航空会社経営といたしましては、今日まで国内線につきましても相当赤字を出しましたけれども国家的にこれを見た場合に、相当の私は社会的の寄与をしているのじゃないかと思うのであります。また今日利用されておられます階層の方は、これはまあ飛行機に乗り得る階層の方が利用をされておるのでありまするが、しかし将来に向って会社がよくなりますれば、今日の経営というものが基礎になりまして、料金を安くする、従って利用度というものが非常にふえていく。たとえばアメリカのごときは、一年に三千五百万人の人が国内線を利用している。日本におきましては、月に大体三万人見当の人が乗るに過ぎないのでありまするが、やがて私も相当な数まで利用というものがふえてくるのではないかと思うのであります。現に北海道地方の方なども非常な便宜を得て、少からず感謝の言葉をいただいておるのでありますが、そういう見地におきまして一つこの赤字の問題をごらんおきを願いたいと思うのであります。要するに、将来に向ってのやはり日本の経済の発展、国民の生活水準の向上ということを前提として私どもはこの仕事をやりたい、こういうふうな気持でおります。なおまた、国際線につきましては、先ほども申し上げました通り一つの国の発展ということの大きな見地考えておるわけであります。実は昨年から本年にかけまして、南米に二回不定期の飛行をやったのでありまするが、これも要するに南米におりまする五十万人近くの人が、ぜひ日本飛行機を飛ばしてもらいたい、そういうほんとうの熱望がありましたために、私どもこれをやったわけであります。要するに日本とのつながりを一つ日本飛行機でやってもらいたいということが、海外において働いている人の非常な大きな希望でありまして、日本飛行機に乗って、いつでも祖国と連絡ができるということは、海外において働いている人に非常な勇気を与える、こういうことがあるのでありまして、これは一つの商売と同時に、そういう国民としての一つの気持を持って私ども仕事をやっている、こういうふうに一つごらんおきを願いたいと思うのであります。お話の通り今日の状況から言いまするというと、なかなかこれは無理な仕事でありまするが、そういうことを考えていただきますると、多少お許しを願う点があるのではないかと思っております。
  54. 片岡文重

    片岡文重君 なお質問したい点が二、三あるのですが、時間があとわずかですから一応打ち切って、なおもしお伺する機会がありましたら……。
  55. 一松政二

    ○一松政二君 私はいわゆる国際線競争がますます激化する、それから飛行機はますます新しい大型のものに向う、ことに太平洋ではほとんどウェーキの中継をやらなくてもいいようにパンアメリカンなどでも考えているということでありますが、そういうことに対して日本航空はどういう対抗策をお考えになっておるのか承わりたい。
  56. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) 現在日本航空はダグラスの6型Bを国際線に使っております。これは現在の段階におきましては世界の第一流機でございます。しかし、ただいま一松先生からも御質問がありました通りに、飛行機の製造は日々に性能が進んでおります。たとえばただいま一松先生からおっしゃいました通りに、ダグラスの7C、コンパウンド・エンジンをつけましたこういう飛行機、これは私たちは東京、ウェーキ島、ホノルル、サンフランシスコと途中二点に着陸しておりますが、このパンアメリカンが注文しております7Cという飛行機は、ホノルルでワンストップでアメリカに行く、こういうことになりますと、どうしても競争に勝てない。競争会社が性能に進んだ飛行機を使いますと、どうしてもこれに対抗した飛行機を使わざるを得ない、こういうことになると思います。これは世界の各航空輸送業者の大きな悩みの一つでありまして、飛行機は年々進んでおりますので、それを競争上、一社が使えば使わざるを得ないということは事実でございます。それで日本航空といたしましても、でき得ればこの次の飛行機を7Cにするか、あるいはイギリス製のブルタニアあたりにするか、あるいは一足飛びにジェット・エンジンをつけた飛行機を買うか、まだそこまではっきり結論を得ておりませんが、少くとも年内にはその結論を得まして注文をせざるを得ない。こういう新しい飛行機は、注文いたしましてから少くとも引き取るまでに二カ年を要します。現在そういう程度に考えておる次第であります。
  57. 一松政二

    ○一松政二君 私はこの航空事業のような仕事を、一応国家の要請によって、まず今の日本航空を始めたわけですが、とかく日本人は非常に性急なので、新規な事業を始めて損がいくと、非常にこれはやかましく言う。私は少し実業家出身でもあるために、新規の事業は始めてから二、三年は、どうせもうほとんどすべての仕事はまあ損することが常道だということは考えておる。ただしかし、いたずらなる損は国民が迷惑するから、経営の合理化はやらなければならぬけれども、その損に目がくれて、あるいは言葉のあやはあるかもしれませんが、今の日本航空経営については、私は社長専務も、むしろもっと積極的にやりたいだろうと思っているだろうが、どうも一方においては損もあるし、国の財政も窮屈であるし、大蔵省もやかましいというので、心ならずも消極経営に堕しているんだろうと思う。その一言がさっきの、人一人雇えば五百ドルで六百五十ドルかせげるのにという言葉があったようですが、私も昨年ニューヨークで、ニューヨークの従業員の方を見て非常に気の毒に思ったんですが、もう少し日本航空というものを国民に知らしめる必要があるんじゃないか。ただいたずらに損をしておるというふうに考えられがちなのは、私は日本航空のために、はなはだ惜しむものであります。昨年私がKLMに乗った場合に、バンコックまで私ら議員が五人と一人ついて、ほかにたった二人しか乗っていなかった。バンコックまでたった七、八人乗っているわけですが、つい一週間ばかり前に、私は友人がやはりKLMに乗ってベルリンに行くためにサザンプトンに行くというので見送ったが、乗っているのは十人くらいしか乗っていない。これは私が乗った飛行機ではなく、ロッキードのコンストレーションじゃないかと思いますが、非常に型も大きく、新しい飛行機になっておりました。一体KLMというものは、さっきこれは民間のように承わりましたが、国がどういう保護をしているのか、どういう経営方法をとっているのか、おわかりでしたらちょっと参考のためにお聞きしたいと思います。
  58. 柳田誠二郎

    参考人柳田誠二郎君) 今、一松先生から、日本航空のことにつきまして激励の意を含めてお話を承わりまして、はなはだ恐縮に考えておる次第であります。多少資金の上から仕事の面の拘束を受けておる感がなきにしも実際はあらずでございまして、もしそういうお気持でございましたら、大いに一つその点を御宣伝いただきたいとお願い申し上げます。実はこの間ICCの会議でたくさんの人が参りまして、KLMからも重役が参りました。資本金は一時政府が全部出しましたけれども、その後業績が非常によくなりまして、持っている株をほとんど民間に売り出して、経営上におきましては政府から人がみえておりますけれども、ほとんど政府のいわゆる干渉というものはなく、全く商業的といいますか、そういう見地において仕事をしておる、こういうお話がありました。なお整備というような点につきましても、非常に資本が豊富でありますので、りっぱな整備組織を持っております。また最近はいい飛行機も買った、こういうことのお話がありました。私も日本航空のやり方によりましてはKLMと同じようなスタイルに将来進み得ると思うのであります。先ほど申しましたように本年度に相当補助交通税の免除、いろいろの意味においての免除を受けますれば、収益もどんどん改善して参る。かつまた海外におきまする評判、これは始めましてから一年とちょっとでありますが、私から申してははなはだ手前みそになるのでありますが、非常に日本航空というのは評判がいいのでありまして、国内線に対する日本人の評判以上に国際線に対する外国人の評判がいいと申し上げてもいいような、そういうような次第でありまして、収益の状態も改善して参りますので、時期が参りましたならば、あるいは政府が今日持っておられます株の一部を民間に放出し、民間戦争前におきまする満鉄の株と同じような一種の財産株として、日本航空会社の株を持ち、この株に対しては非常な高配というものは希望できないけれども、一定の配当というものは確保されまして、安心して持っておられる、こういうスタイルになり得るのではないかというふうに思う。かつまたそうすべきであると考えておる次第であります。
  59. 一松政二

    ○一松政二君 政府出資が多くなればなるほど、公共企業体、あるいは官営に近いものにすべきじゃないかという意見の方もあるようですが、私は日本航空については、これは衆議院でもそういう意見であったと思いますが、従来はこれをなるべく純民間会社として、できるだけ官の干渉を排除する、経理面における監督は、これはどうせやむを得ませんけれども経営形態としてはなるべくフリー・ハンドにやられるようにしたいというのが、今日まで両院における議論であったと思うのであります。で、われわれも今後の日本航空としては、そういう方針が適当じゃないかと私ども立場からは考えております。そうして先ほども申し上げましたように、こういう激烈な競争場裡に出て、そうして一年か二年私は相当赤字が出ることは、これは経営の不合理な点か、あるいはまずさの点があれば別問題でありますけれども、激烈な競争のあるところにもっていって、新しく出ていけば、当分の間、これはもう最初から赤字の覚悟でなければならぬ。それがもうかるかのごとき、かりに考え方をもって株主になる人があったら、それは私は間違っておると思うのです。それでもしこれは損をするがゆえに縮まるということであれば、これはゼロまで縮まらなくちゃならぬ。結局日本航空というものはもう国際線にはたえられないということになるというと、日本人の海外に行くのは、まるまる全部をいわゆる外国航空会社に支払わなければならぬことになって、そうして他日ほぞをかむの悔いがあるだろうと私は思う。それでできるだけ国会はむろんのことでありますけれども、国民の間に誤解を生まないようにして、そうしてできるだけ積極的に経営方針をお考え願わないというと、今お話の通り日進月歩の航空界であるし、そうしてますます飛行時間は短縮されると思う。でありますからもし今松尾専務のお話のように二年も、どうしても二年かかるに違いない。ロッキードにしてもダグラスにしても、注文してから二年かかるというのはこれは常識でありますから、もうそういう新鋭機が太平洋に現われて、それから注文したのでは、もう二年立ちおくれになるわけですから、どうかそういうことのないように、私はあらかじめ一つ手を打つように関係者の了解をとりつけて、おくれないように、おくれることは結局退嬰であって、自然に萎縮する形になる危険が私はあると思う。一たび乗り出した以上は、不退転の決意を持ってやられることこそ、その難局を突破し、今の赤字をもって黒字に転じ得るゆえんでないかと思うのです。どうか私はその意味において合理化と節約は当然のことでありますが、必要な経費とそれから必要なあらかじめ打つべき手はどんどん打っていって、あるいは資金計画についても、あるいは有利な外資でも考え得る余地がある場合は、むしろそういう方面にも手を伸ばして、そうして国内線もまだ私は積極的にやる必要がある。国際線においては特に格段の意を用いて、一つ今日黒字をと、私はそんな性急なことは申しません、何年かかかるに違いない。日本が航空界に乗り出したのが、もうすでに戦後約十年間ギャップがあったのですから、そう性急なことは申しませんけれども、大いに羽翼を伸ばすようにお考えをしていただいて、経営の衝に当られたいということを私の要望といたしまして、今日の質問は終っておきます。
  60. 岡田信次

    ○岡田信次君 私ちょっと運賃の問題で一、二お伺いいたしたいのですが、大体航空運賃というのは何というか原価主義といいますか、あるいは多少政策の面、政策運賃というか、どういう立て方になっておるのですか、まず伺いたいと思います。
  61. 柳田誠二郎

    参考人柳田誠二郎君) 岡田先生にお答えいたします。今大阪まで、大体一マイル当り十六円何がしかを取っておる。これはむろんその計算の基礎は原価主義によったわけでありまするが、先刻申し上げました通り飛行機の値段、それからパイロット、油の値段、こういう国際的な値段から、それを直接の運航費としてだんだんに原価で計算していくと 相当大きな、高い金額になります。しかし、それではとうてい日本人に乗ってもらうというわけにいきませんので、政策の意味を加えまして、現在まあ五千円というのがきまったわけです。ただ先刻申し上げました通り交通税を免除していただきまして、これは六千円ということになれば引き合うのでありまして、これは理屈から言いますと、五千円と六千円との間に一つの原価というものがあるわけであります。それが政策的に五千円というふうにきまっておる。ただ当初きめました場合におきましては、利用率がふえて参りますれば、これは十分にそろばんがとれたわけですが、利用率がだんだん減ってくる、同時に一般の生計費といいますか、物価、労銀、そういうものが高くなりまして、先刻申し上げました通り、そろばんが合わないようになりまして、そこで今日といたしましては、交通税を免除していただきまして、一つの原価に接近をするように政府にお願いしたい。それができなければ、一つ運賃引き上げを認めていただきたい、こういうことをお願いをしているわけであります。もっとも原価の中には配当とか、そういうものが十分に織り込まれておらないと私は思うのであります。健全な企業というものをやった場合に、どの程度の積み立てをして、どの程度の配当をしたならば、それは健全な企業経営になるかということまでは、そこまでいきまするというと、相当高いものにならないというと、引き合わなくなるわけであります。原価主義に立脚しながら、非常に政策面の考慮が深く払われているというふうに、抽象的にお答えを申し上げざるを得ないというのが現状でございます。
  62. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) ちょっと御参考に、マイル当りの運賃を外国のと比較したのを申し上げます。先ほど社長が申し上げました通り、日航の国内線のマイル当りの単価は四セント五、十六円二十三銭、それからニューヨーク・ワシントンが六セント六九、それからニューヨーク・シカゴは六セント二二、欧州に行きますと、ずいぶん高くなりまして、ロンドン・パリ間がマイル当り十セント八四、それからパリ・ニース間が、これがやはり十セント三八、ルクセンブルグからブラッセル、これが八セント四四、ブラッセル・ハンブルグはやはり十セント三、ブラッセル・ベルリンが十セント三、こういう工合になっておりまして、先ほど社長が申しました通りに、マイル当りの現在の日航の運賃は、世界の各社に比べまして、非常に安い運賃であります。
  63. 岡田信次

    ○岡田信次君 これはただいまの松尾さんのお話は、国鉄の運賃が諸外国の運賃と比べまして、大体諸外国が二倍半から、今お話しになった通り、欧州のごときは、四倍から三倍になっていて、その影響をこうむっておると思うのですがね。大体国内航空の方は、利用率は八〇%というように私ども伺っているのですが、国内航空のちょっと八〇%は、各国にはあまり例がないのじゃないですか。だから、従ってあまり対鉄道との運賃の関係を考慮されないで、まあもちろん国民の負担という点もありましょうけれども、独自の運賃を設定せられたらいかがですか。
  64. 柳田誠二郎

    参考人柳田誠二郎君) 今、松尾専務からお答えを申し上げた通り日本では大体十六円、それがアメリカでは二十二、三円、ヨーロッパでは三十六円、十セントですから三十六円、非常な差があるわけであります。われわれとしては、この運航は大体外国コストによっておるわけであります。日本では、運航費が諸経費の七割五分ぐらい、それから六〇%、六割ぐらいですか、それから外国では、運航費が五〇%、間接費が五〇%、日本では、運航費が六割から七割ぐらい、それから間接費が三割ないし四割、ですから直接運航費というものは非常にたくさんかかっておるわけであります。これはどうも節約の方法がございませんので、料金というものはその見地からいきまするというと、どうしても外国並み料金を取らなければ引き合わぬと見てもいいだろうと思いますけれども、鉄道の関係がありますので、まあ引き上げができないのであります。鉄道でも私鉄でも御承知のように、戦争前から非常に大きな財産を引き継いでおるわけでありまして、そういう意味から言うというと、非常に安い固定資産、あるいは安いローリング・ストックを使っておる、こう言うことができるでありましょうが、航空会社はそれもありません。かたがた今お話の通り、どうしても運賃を上げなければならぬ、こういう問題がありますので、ただ運賃を上げました場合に、現在持っておりまする八〇%の利用率が維持できるかどうかということが、非常に疑問であるわけであります。ことに一昨年の十月から、政府が御承知のような金融政策をとりまして、非常に不景気、こういうことになりまして、昨年の暮あたりから、目に見えてお客が減ってきたわけであります。最近はただ好時節のために、これはよほど改善はされましたけれども、昨年の初めからでありますけれども、現実に強く航空界に響いてきましたのは、昨年の十月ぐらいからお客が非常に減ってきた。そこで運賃の引き上げということも非常にちゅうちょしたわけであります。しかし今日となりましては、そういうことも言っておられませんので、一割の運賃の引き上げということを政府にお願いいたしまして、今、岡田先生のお話のような趣旨で動いておるわけであります。われわれとしては、できればもっと料金を上げたいのであります。ただ、それはあくまでも利用率とのにらみ合いで一つやっていきたいというふうに考えております。一般の景気が上昇して参りますれば、当然そういう問題を考えていいのではないかと考えております。
  65. 岡田信次

    ○岡田信次君 国際線の方のやつは、太平洋横断なんか、料金協定があったわけですか。
  66. 柳田誠二郎

    参考人柳田誠二郎君) 国際線は御承知のように、IAT協定によりまして運賃がきまっておるわけであります。アメリカ日本との間、六百五十ドル、二等が四百八十八ドル、大体マイル当り三十六円見当の計算になっております。ですから、運航を全部国際並みですっかり計算しまして、その原価の上に立って今の料金がきまっているわけです。ですからその料金によってわれわれは運航した際に、日本人が非常に働くというようなことになれば、外国航空会社よりも日本航空会社経営上非常に楽だということが言えるかと思います。ちょうど戦争前に日本の船舶が外国の船と競争して非常に強かったというのと同じような事態が起り得ると思うのですが、まあ一日も早くそこまでもっていきたいというふうに考えております。
  67. 岡田信次

    ○岡田信次君 もう一つお伺いしますが、日航が今の国際航空に出る前は、たしかパンアメリカンでも協定をやっておって十一セント何がしだったのではないですか。日本側が出るので、今お話のように十セント何がしに変ったと記憶するのですが、そう簡単に協定というのは変えられるのですか。
  68. 柳田誠二郎

    参考人柳田誠二郎君) 料金の問題はIATのトラフィック・コンファレンスできめるので、これはなかなか議論がありまして、変えることは非常にむずかしいと思うのでございます。たまたま私どもが始めたのは昨年の二月でありますが、それから御承知のようにこのツーリストの二等の運賃というものが太平洋線に設定をされたわけであります。これは非常に大きな変革をもたらしたわけでございますけれども、実際問題として料金を変えるということは非常にやっかいな問題であります。むしろ世界的に見ますというと、料金を上げようという空気が非常に今のところは強いわけでして、下げるということはなかなかむずかしい。パンが急に下げたというようなことはございませんです。
  69. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 ちょっとお尋ねしますけれども、先ほど松尾さんはパイロット日本人にかえるのに約一千万円かかるとおっしゃったが、これはどういうことでございますか。
  70. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) パイロットの基礎訓練をするのは、りっぱな双発の飛行機を買ってやりますが、それは実際に自分が機長として乗る飛行機です。たとえば国内においてダグラスの四型、これで何十時間かを一人々々が訓練をやらなければならぬ。ダグラスの四型にいたしますと、一時間どうしてもこれは十数万円かかります。たとえばかりに十時間としますと百五十万円、二十時間としますと三百万円かかるわけであります。そしてこれは人によっても違いますが、機長になるためにはなおそれ以上のエマージェンシイの訓練をしなければならぬ。たとえば離陸直後にエンジンを二つとめて訓練をする、あるいは上に上ってから、エンジンを四つともとめてエマージェンシイの訓練をする、あるいは着陸する場合エンジンをとめて着陸する。かくのごとき最悪の場合に機長として安全に着陸できる、こういう訓練を徹底的にやるわけでございます。従いまして実際に実用機でそういう訓練をやります時間が相当ほしいわけであります。そのために相当費用もかかる。  それからもう一つは航空管制であります。今は全部地上からの無線電話でいろいろな指示を受けるおけでありますが、着陸する場合でも離陸する場合でも……。こういう場合の英語の訓練、これは主として今駐留軍が航空管制をやっておりますので、こういう英語の訓練あたりに相当期間を要する。特に戦前の操縦士は語学の訓練相当期間を要する、こういう点で相当のあれがかかっておるわけであります。
  71. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 副操縦士でやっておるときには、機長の監視のもとに実際操縦するのですか。
  72. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) 副操縦士になる場合でも、副操縦士の資格を取るための航空機の規定があります。副操縦士になるためにはやはり国内線にいたしますと、ダグラスの四型のそういう離着陸からあるいは航法の訓練を受け、検査を受けて実際上なるわけであります。従って機長と副操縦士と乗る場合には、離着陸は別でありますが、空中ではしょうがない場合には副操縦士なり機長が操縦かんを握ってやる、こういう方法であります。
  73. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 次に、先ほど片岡委員から問題にされたようですが、整備関係で別会社にやらしておる。その費用の問題が先ほどのお話では国内機では大体半期に一機当り七千万円、それから国際線では四千万円くらいな計算になります。二億で五機ですから……。これは走行マイル当りにするとどういう割合になるのですか、同じようなことになりますか。
  74. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) 国内線の方はマイル当りが三百八十一円、それから国際線は九十八万マイルですから、マイル当り百九十二円になります。
  75. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 おそらくこれはノン・ストップの回数が多いのでしょうがね。そこで今度日本航空政府補助金を出すということになって、今問題になったのは、整備会社を別会社にした方が経理上よいのかどうか。実際運航上その方が利益かどうかということが議論の焦点になるだろうと思います。ですから端的に言いまして、日本航空補助なり何なりをして、それが整備会社の方にすると流れていくのでは困ったものだという感じだと思います。私もそういうふうに思いますが、そこで修繕費の先ほどの取りきめは整備会社の言いなりなのか、あるいはそこらに一定のノルマがあって、厳重にその辺をチェックしておきめになっておるのかどうか。その点どうですか。
  76. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) 今の御質問では、整備コストが高くて言いなりほうだいに出しておるのじゃないか、よくわれわれも聞くのでありますが、マン・アワーはこれはアメリカ整備会社より現在は高くなっております。それはアメリカあるいは欧州の航空会社整備員のように何十年の経験がないということが一つと、それから設備が外国と比較いたしましてまだ十分でない、こういう点でございます。それからもう一つは、技術が外国並みに向上しますと、マン・アワーは非常に減りますけれども、それ以外にこの部品を全部アメリカから買わにゃいかぬ。そうして大量に常にストックしておかにゃいかぬ。何万点という部品を常にストックしておかにやならぬ。こういう点も高い原因になっております。  それからなおもう一つ、ここにわれわれの経験が浅いために、やむを得ず、そういうふうになっていることがありますが、たとえばエンジンのオーヴァー・ホールにいたしましても、現在日航では千時間でエンジンのオーヴァーホールをやっております。ところがアメリカの歴史のある会社の同じエンジンで、千二百時間、あるいはいいところでは千五百時間でオーヴァー・ホールをやっております。これは千五百時間でオーヴァー・ホールをいたしますと、整備費が五割安くなる。しかも予備エンジンがそれだけ少くて済む、こういうことになるわけであります。しかし現段階で日本でそういうことを一足飛びにやっていいかということは、はなはだ疑問でありまして、順次これは経験を積んでそこまでもって行かにゃいかぬ。最近の機会に千時間のやつを、当局の認可を得まして、千二百時間にもっていく予定であります。  そのほかに、なお小さい部品にいたしましても、それぞれ製造会社で規定がありまして、このギヤは、歯車は、千時間なら千時間で取りかえるべきだ、こういう製造会社の規定があります。しかし運送事業者としては運送事業者としての経験から、また別のマニュアルを作っているわけです。これは一千時間で製造会社では交換せにゃいかぬと言うが、何十年かの経験によって、これは千五百時間使ってもよろしいと、こういうマニュアルができているわけでありますが、私たちは悲しいかな、まだ経験が浅いものですから、運航安全第一になっておりますので、そこまで一足飛びにいかない。インスぺクターもそこまで自信がない。こういうわけでありまして、順次こういう面を外国並みに技術を向上いたしまして、自信を持って整備ができるようになりますと、大体私たちは外国、あるいはそれ以下に整備上のコストを引き下げることもできる。そのためにはどうしてもあとやはり二、三年は、これはやはり期間が必要じゃないか。しかも整備会社におきまして五百人くらいの技術員がおりますが、これの半分がやっと一人前になっておる程度でありまして、それ以外は随時訓練をやりながら、一人前に順次させていこう、こういう計画でございますので、現在は若干高うございます。しかし将来は、しばらく時日をかしてもらえば、外国並み、あるいはそれ以下にコストも引き下げることができるのじゃないか。なお日本に少くとも部品だけでも、ある程度の部品ができますれば、なおコストを引き下げることができる。しかし現在でもできる限り、簡単なものは日本の製品を使うようにしております。しかし何せ注文の個数が少いものですから、非常に割高になりまして、むしろアメリカで買うよりも高いものになる。これはどうしても航空工業が日本にないということと、それから技術的に十カ年くらいのブランクがあるということの影響、しかも設備が不十分でありますという点で、割高になっております。
  77. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 先ほどの御説明のときに、このランニング・リペアーをする人間は仕事が非常に不規則にくる。その不規則にくるから、ある一定の人間を抱えておかなきゃならぬ。その人間でオーヴァー・ホールや何か、一定の仕事ができるとおっしゃいましたが、飛行機の方ではそういうことができるのですか。なかなかめんどうじゃないかと思うのですが、実際問題はできるのですか。
  78. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) たとえばこの各ショップにいたしましても、各ショップには方々にいろいろ部品の工場、その他を持っておりますが、日航だけにいたしますと、やはり故障がないときには仕事がない。その合間に急がない仕事をある程度、軍なり、あるいは自衛隊なりの仕事を持っていれば、それだけコストは安くて済む、こういうことです。それからあるいはライン・メインテナンスにいたしましても、故障がないと仕事がないわけです。その間に外国の今六社くらいライン・メインテナンスに使っておりますがその合間に仕事がありますれば、その合間は何回にもそっちの方に何人か流用できる。しかし日航はこのアイドル・タイム、いろいろ遊び時間は、日航は整備として入っております。実際のかかったマン・アワーのコストにかけてやっておるわけであります。
  79. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 そうすると今までのことだと、整備会社を分けて、それで外国仕事も取るし、あるいは駐留軍の仕事も取るということで、整備会社の成績はだんだんよくなっていく。従ってこれから配当やなんかいろいろのものが入ってきて、あるいは修繕費も安くなって、ひいては日本航空の成績の向上になるんだ、こう理解してよろしゅうございますか。
  80. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) そういう工合に考えておりますが、できれば私たちは日航以外の仕事を、整備会社の全収入の約四割くらいにまでもっていくような目標で今考えております。
  81. 内村清次

    ○内村清次君 これは法案の改正と少し関係があるのですが、社長の先ほど言われましたように、現在の政府持株ですね。これが将来は一つ民間の方にさばくような程度までやりたいというような、これは社長としては当然なるお考えであろうと思うのですが、現在たしか持株の資本三十三億のうち、二十億だけが政府持株である。そこで民間においてこの株主の新株を引き受けるというような空気ですね、これが現在の状況からいたしまして、これは期待できないような状況まできておるかどうかですね、これはどういうふうな状態でございますか。
  82. 柳田誠二郎

    参考人柳田誠二郎君) 先刻お話申し上げました通り、うちの会社は二十六年の八月に一億円でスタートいたしました。一億円を二億円にするときは非常に困難でありまして、関係先、友人、全部一人々々歩きまして、そうして二億円にしたわけであります。ところが二億円から四億円にするときは、むろん配当はございませんでしたけれども航空事業はこれからどんどん伸びていくというので、これは割合に簡単に四億円……。それから四億円から十億円にするとき、これも意外に楽に十億円になりました。ところが政府出資をいたしまして二十億円の会社になる。それからが非常に人気がなくなりまして、非常にむずかしくなりました。どういうところに原因があるかよくわかわませんけれども、そういう関係になりましてから、非常に民間の人気がなくなりまして、二十億を四十億にする……、政府が十億、民間から十億出してもらいたい、そのときにはほとんど応募者がないのです。そこで代理店をやっておりまして、同時に会社の重役をやっておる方々に、国家的の仕事だからしてぜひ一つお願いをしたい。実はその当時の私の考えといたしましては株の値段が非常に安い。それから航空会社について世間の見る目が非常に変って参りましたので、人気がない。それで民間の増資というものが……、何とかしてこれだけで、政府が金を出すだけでやらせられないだろうか、こういうことを話しましたのですけれども法律の規定上株主の権利は平等である。政府に一株を割当てた場合には、民間にも一株割当てる。その場合に一人も応募者がないということははなはだおもしろくない。ことに国際線をやる。どうも国民の支持もないような航空会社ができて、飛行機が飛んでくる。そういうことになりますというと、海外日本人とか二世の連中が全然印象を変えてくるわけなんです。そこでできるだけ一つ援助してもらいたいというので、ただいま申し上げましたような代理店をやっている、代理店というのは日本航空会社切符を売る会社です。そうして同時に会社の重役をやっておる方に懇請をいたしましてようやく三億円だけ集まった。ところが今日になってみまするというと、御承知通り日本航空会社の五百円の株が三百何円、今度はお願いするにしても、なかなかむずかしいのではないかと思うのです。ただしかし、この三月の決算というものは七億六千万円ばかりの損失を出しておりまするけれども償却は六億何千万円という償却をしておるのですから、実際上のほんとうに目に見えてくる損というのは一億何千万円にすぎないのであります。御存じのことをお話申し上げるのでありますが、船会社が、大体郵船会社、商船会社すべて償却を入れますというと、大体半期に十億円見当赤字を出しておる。ですから、これは私から申し上げるのはどうかと思うのでありますが、航空会社の一年間の損がさようなわけでありますが、大体船会社に比べますと必ずしも……、まあ船会社は大体一年間に二十億円近くの損が出るわけで、そういうふうな数字を示しておる。それから政府は今度十億の出資をして下さる、あるいは三億数千万円の補助をする、こういうことになりますと、人気がよほど変って来ると思います。かりに額面を回復するというようなことになりますると、民間資本を集めるチャンスが出てくるのではないかと思います。財政上の金というものが非常に社会的その他の方面で緊急やむを得ざるものに振り向けられるということになりますれば、民間資本航空事業をやるということができるということになりますれば、この出資に対する意味合いというものがよほどよくなるのではないか。われわれとしてはできるだけ一つ民間資本を使いたい。できれば外国資本もある程度導入してゆく、こういうように考えておるのが現状でございます。
  83. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) もうよろしゅうございますか。……それではこれにて質疑は終了いたしました。  今日は日本航空現況につきまして、日本航空株式会社社長柳田誠二郎さんと同専務取締役松尾静磨さん御両氏には、お忙がしいところを大変な長時間にわたりまして、この委員会のために貴重な参考意見をお述べ下さいまして、まことに御苦労さまでございました。厚くお礼を申し上げます。  それでは、きょうの委員会はこれにて散会いたします。    午後四時二十三分散会      —————・—————