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1955-06-03 第22回国会 衆議院 予算委員会第二分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科員昭和三十年六月二日(木曜日)委員長指名で次の通り選任された。    主査 藤本 捨助君       纐纈 彌三君    中曽根康弘君       松浦周太郎君    三田村武夫君       倉石 忠雄君    小坂善太郎君       周東 英雄君    赤松  勇君       阿部 五郎君    柳田 秀一君       岡  良一君    三宅 正一君     —————————————    会 議 昭和三十年六月三日(金曜日)     午前十一時二分開議  出席分科員    主査 藤本 捨助君       纐纈 彌三君    松浦周太郎君       三田村武夫君    小坂善太郎君       周東 英雄君    八田 貞義君       阿部 五郎君    柳田 秀一君       岡  良一君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 川崎 秀二君         労 働 大 臣 西田 隆男君  出席政府委員         文部政務次官  寺本 広作君         文部事務官         (大臣官房会計         課長)     北岡 健二君         厚生政務次官  紅露 みつ君         厚生事務官         (大臣官房会計         課長)     堀岡 吉次君         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      山口 正義君         厚 生 技 官         (医務局長)  曾田 長宗君         厚生事務官         (薬務局長)  高田 正巳君         厚生事務官         (社会局長)  安田  巌君         厚生事務官         (児童局長)  太宰 博邦君         厚生事務官         (保険局長)  久下 勝次君         厚生事務官         (引揚援護局         長)      田辺 繁雄君         労働政務次官  高瀬  博君         労働事務官         (大臣官房会計         課長)     渋谷 直蔵君         労働事務官         (婦人少年局         長)      藤田 たき君  分科員外出席者         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  楠本 正康君     ————————————— 六月三日  分科員小坂善太郎君及び三宅正一君辞任につ  き、その補欠として八田貞義君及び水谷長三郎  君が委員長指名分科員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十年度一般会計予算文部省厚生省及  び労働省所管昭和三十年度特別会計予算厚生  省及び労働省所管     —————————————
  2. 藤本捨助

    藤本主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。  この際一言ごあいさつを申し上げます。私が当分科会主査の職務を行うことになりましたが、性来乏しいものでありますので、皆様の御協力によりまして議事運営に大過なきを期したいと存じております。何とぞよろしくお願い申し上げます。  なお本分科会は、御承知の通り昭和三十年度一般会計予算中、文部省厚生省及労働省所管、並に昭和三十年度特別会計予算中、厚生省、及び労働省所管審査を行うことになっておりまするが、審査の都合上、まず所管全部につきましてそれぞれ政府の御説明を聴取したる後、一応の予定としまして逐次各省別に質疑を行い、理事会の申し合せ通り、四日中には審査を終了いたすよう議事を進めていきたいと存じますから、何とぞ御協力をお願い申し上げます。  それでは昭和三十年度一般会計予算中、文部省厚生省及労働省所管、並びに昭和三十年度特別会計予算中、厚生省及労働省所管を一括して議題とし審査に入ります。  まず文部省所管につきまして政府の御説明を求めます。寺本政府委員
  3. 寺本廣作

    寺本政府委員 昭和三十年度文部省所管予算大要につきまして、御説明申し上げます。  昭和三十年度文部省所管予算額は、千二百三十一億千十二万五千円でありまして、これを前年度予算額千百九十一億六千七百九十五万四千円に比較いたしますれば、三十九億四千二百十七万千円を増加いたしております。  なお前年度予算額のうち、義務教育費国庫負担金昭和二十八年度給与費負担金精算分八億二千八百二十九万二千円、国公立文教施設災害復旧費六億四千九百三十三万五千円、国立フランス美術館創設費五千四百五十万円の当然減少額及び本年度予算として国立フランス美術館建設費国庫債務負担行為額一億円を考慮いたしますれば、実質的には五十五億七千四百二十九万八千円の増加となっております。従いまして、文部省予算額一般会計予算額に比較いたしますと、その比率は前年度一一%が一二%強となっております。  次に昭和三十年度予算額のうち、重要な事項について申し述べたいと存じます。  第一に、義務教育費国庫負担金に必要な経費であります。義務教育機会均等と、その水準の維持向上とをはかるため、義務教育費国庫負担制度を確立し、公立義務教育学校教職員給与費の実支出額の二分の一及び教材費の一部を負担するため必要な経費でありまして、給与費として、本年度は七十七万六百九十四人の児童生徒増加に伴いまして、教員数の増一万二千五百十人の人件費を含めまして、七百二十四億二千万円、教材費として十二億八千万円を計上したのであります。  なお、二十九年度における地方税制の改正及び地方財政の現状にかんがみまして、本年度からは昭和二十八年政令第一〇六号を改正いたしまして、その適用を地方普通交付税の不交付団体である東京都、大阪府及び神奈川県にとどめ、その他の府県につきましては、義務教育費国庫負担法の趣旨を完全に実施し、前年度奄美群島復帰処理費として別途計上いたしました分をも吸収し、原則通り支出負担に切りかえることといたしたのであります。  第二は、文教施設整備に必要な経費であります。国立文教施設につきましては、戦災を受けました国立学校特に大学付属病院その他の建物復旧と、老朽校舎改築と、前年度に引き続き原子核研究所建物を新営するための経費二十一億三千九百七十九万円を計上し、また公立文教施設につきましては、これが整備に必要な経費五十四億九千百七十六万千円を計上したのでありますが、単価並びに木造、鉄筋比率は前年度を踏襲するとともに、全体として工事量も昨年同様四十一万坪程度を確保したのであります。  なお危険校舎改築は、八千四百九十二万九千円が増額されておりますが、これは高等学校分について予算執行上考慮することとなっており、特殊教育振興をはかるため養護学校施設整備費として、新たに千七百四十八万二千円を計上し、また僻地教育振興見地から僻地小、中学校集会室に八百六十九万八千円を、不正常授業解消のため千五百八十七万五千円を、それぞれ増額計上いたしましたが、このほか昭和二十九年度発生災害鉱害復旧対策に必要な経費六億七千六百九十九万七千円をそれぞれ計上したのであります。  第三は、育英事業拡充に必要な経費であります。優秀な学生生徒で、経済的理由により修学困難な者に学資を貸与する事業を行なっている日本育英会に対して、奨学資金貸付と、その事務費補助に必要な経費四十一億二千七百六十七万千円を計上したのであります。  なお貸付金のうち、大学生については、従来採用学生の一〇%が月額二千五百円を貸与されたのでありますが、本年はこれを三〇%に拡充月額三千円に引き上げ、また新制大学院博士課程学生に対しましても、修士課程学生同様月額一万円または六千円を貸与することとし、さらに定時制高等学校生徒採用率生徒総数の一%から二%に引き上げたのであります。  第四は、科学振興に必要な経費であります。人文、自然両科学部門におきまして、不断に基礎的応用的研究をつちかうため研究者重点的に交付または補助するため必要な経費十億五千万円を計上いたしたのであります。特に本年度わが国産業振興し、国民生活充実向上に密接な関係を持つ化学研究促進補助金として一億五千万円を、従来の総合研究及び機関研究原子核放射能障害研究費として五千万円をそれぞれ増額計上したのであります。  なお民間学術研究機関等に対する助成に必要な経費七千四百六十六万千円を、国立大学等の有為な教官、または研究員を海外に派遣留学させるための経費六千万円を、また学術情報資料整備拡充に必要な経費八百四十七万八千円を、それぞれ科学振興費の項に計上したのであります。  第五は、私立学校助成に必要な経費であります。私立学校教職員相互扶助とその福利厚生をはかるため、私立学校教職員共済組合に対し、その給付費の一部及び事務費全額補助するため必要な経費三千二百二十七万八千円を、私立学校振興会に対し、私立学校施設設備応急最低基準まで引き上げるに要する資金の一部を政府出資金として七億五千万円をそれぞれ私立学校助成費の項に計上したのであります。  第六は、社会教育特別助成に必要な経費であります。明るい平和な住みよい社会を建設し、新生活運動推進するため必要な経費五千万円を、青少年団体社会活動を育成促進する等社会教育振興のため必要な経費七千万円を、それぞれ社会教育特別助成費の項に計上したのであります。  第七は、文化財保存事業に必要な経費であります。文化財保存事業は、終戦後逐年その成果を上げてきておりますが、本年度も前年度に引き続き国宝、重要文化財のうち特に建造物保存修理費重点を置きまして、その充実をはかるため必要な経費三億五千三百四十五万七千円を文化財保存事業費の項に計上したのであります。  なお、前年度に比較いたしまして六千三百三十五万八千円の減少を見ましたのは、法隆寺保存事業が一応完了し、また災害復旧費減少したためであります。  第八は、国立学校運営に必要な経費であります。国立大学七十二、国立高等学校八、大学付置研究所五十六、大学付属病院十九を維持運営いたしますのと、新たに大阪大学に薬学部を、弘前大学及び佐賀大学にそれぞれ農学部を、鹿児島大学に県立工業大学及び県立医科大学を合併して工学部、医学部を、香川大学に県立農科大学を合併して農学部を設置し、また茨城大学及び静岡大学にそれぞれ夜間短期大学を、さらに東京大学原子核研究所創設する等の措置を講ずる等のため必要な経費三百九億三百十七万五千円のうち、二百二十九億六千九十八万円を国立学校の項に、五十六億七千三百三十五万四千円を大学付属病院の項に、二十二億六千八百八十四万円を大学付置研究所の項に計上したのであります。  このほか、産業教育理科教育及び学校図書館振興定時制高等学校及び通信教育整備特殊教育振興僻地教育振興学校給食助成外国人学生の招聘、在外教育学術文化担当官の設置、幼稚園教育振興その他文部行政に緊急欠くべからざる諸般の施策を講ずるため必要な経費をそれぞれ計上したのであります。  以上は、文部省所管に属する昭和三十年度予算大要につきまして御説明申し上げた次第であります。何とぞ御審議の上御賛成あらんことを希望いたします。     —————————————
  4. 藤本捨助

    藤本主査 次に厚生省所管について説明を求めます。紅露政府委員
  5. 紅露みつ

    紅露政府委員 ただいま議題となりました昭和三十年度厚生省所管予定経費要求額概要について御説明申し上げます。  昭和三十年度厚生省所管一般会計予算要求額は、八百三十六億五千八百七十五万九千円でありまして、これを昭和二十九年度補正予算を加えての予算総額八百三十八億一千六百三十七万六千円に比較いたしますと一億五千七百六十一万七千円の減少となっておりますが、これを前年度の当初予算七百五十三億六千一百九十四万七千円に比較いたしますと八十二億九千六百八十一万二千円の増加と相成ります。また、これを一般会計予算総額に対比いたしますと、その八・三八%を占め、前年度の八・三六%に比べまして、むしろ微増を示しているのであります。  さらに、前年度予算中には、生活保護費過年度不足分及び災害関係臨時的経費合せて三十六億二千万円が計上されていたのでありますが、本年度におきましては、これらに相当する臨時的経費生活保護費及び児童措置費過年度不足分として十二億円が見込まれておりますほかは、少額の過年度災害復旧費が計上されているにとどまり、これらを通計いたしましても十二億一千余万円にすぎないのでありまして、これらの経費を控除して前年度に比較いたしますと、実質的には二十二億円余の増加となっているのであります。  次に、右の予算のうち、特に重要な事項についてその概要を御説明申し上げます。  第一は、社会保険整備育成施策に必要な経費についてであります。  社会保険は、社会保障制度の主柱をなす制度として今日きわめて重要な意義と役割をになっておりますので、これを育成助長して参りますことの緊要なことは申すまでもないことであります。従いまして、前年度に引き続いて各社会保険を通じて、その事務費全額国庫において負担することとし、これに必要な経費として四十億九千一百余万円を計上いたしますとともに、厚生年金保険及び船員保険長期と失業の給付費に対しましても、従前と同様、その給付財源の一部を国庫において負担することとし、これに必要な経費として十四億八千三百余万円を計上いたしているのでありますが、本年度施策におきまして、特に重点となっておりますものは、まず政府管掌健康保険及び船員保険医療給付に対する国庫負担であります。  政府管掌健康保険財政につきましては、前年度において約四十億円、本年度において三十億円の赤字が予想されるのであります。これは、医療機関普及発達に伴ってその利用度が高められたこと、医学の進歩による医療内容改善によって医療費増高の一途をたどっているに反し、保険料収入デフレ施策の浸透に伴い鈍化傾向にあることに基因していると考えられるのであります。この赤字財政再建整備をはかりますための抜本的な施策は、学識経験者等斯界権威者をもって構成する審議会臨時に設置いたしまして、その審議を待ってこれを確定する予定でありますが、当面の前年度及び本年度赤字合計七十億円につきましては、国庫において負担することとしたのであります。ただ本年度において、その全額一般会計において負担いたしますことは、財政規模等から見て困難でありますので、さしあたり本年度においては十億円を負担し、残余の不足財源は一応長期借入金によって操作し、明年度以降において毎年十億円程度借入金償還財源補てんのため、一般会計より厚生保険特別会計に繰り入れることといたしたのであります。これとともに、当面の不均衡な保険財政改善をはかるため、保険料率現行の千分の六十より六十五に引き上げるほか、標準報酬等級改訂を行うことを予定している次第であります。  船員保険におきましても、疾病保険部門の収支不均衡による赤字が約一億五千万円見込まれますので、健康保険と同様、この不足財源補てん国庫において負担することとし、とりあえず本年度において二千五百万円、明年度以降においては毎年度本年度同額程度一般会計より船員保険特別会計に繰り入れることに予定しております。これとともに、健康保険と同様、若干の保険料率引き上げ標準報酬等級改訂等を行うことといたしておる次第であります。  次は、日雇労働者健康保険制度強化充実であります。  同保険制度は、発足後いまだ日が浅いこと、その特異な雇用形態と被保険者が低所得階層に限られていること等のため、その給付内容一般健康保険に比して劣っておるのでありますが、創設後最近までの実施状況に照らし、これを改善することが適当と考えられますので、給付期間現行の六カ月より一年に延長いたしますとともに、新たに療養給付に歯科の補綴を加え、埋葬費及び分娩費等現金給付をも実施することにいたしたのであります。これらの給付内容向上の裏づけとして、従来と同様に、療養給付費の一割を国庫において負担することとし、これがための経費として一億九千八百余万円を計上いたしたのであります。  さらに、国民健康保険につきましては、従前に引き続き、子の健全な運営助成することを目的として、療養給付費の二割に相当する金額を各保険者に対して助成交付金として補助するため、四十八億二千九百余万円を計上いたしますとともに、赤字保険者に対し前年度同様、その再建整備を促進するための貸付金として三千万円を計上いたしたのであります。  第二は、結核対策強化に必要な経費についてであります。  過般の実態調査によりますとわが国結核患者は二百九十二万人と推計され、そのうち、入院を必要とするものは百三十七万人の多きに達していることが明らかにされ、その禍害の広さと深刻の度は想像以上のものであることが察知できるのであります。従いまして、結核撲滅施策を一段と強化することといたしたのであります。まず、患者発生予防と発病の早期発見のため、健康診断及び予防接種強化徹底をはかることとしたのであります。すなわち健康診断実施対象を従来の学校収容施設事業所等集団生活者指定地域の三十歳末満のものより学齢に達したもの以上の全国民に拡大したこと、要注意者に対しては六カ月後に精密検査を新たに行うこととしたこと、最も感染のおそれのある患者家族予防措置強化、特に狭隘な住宅に家族と雑居している患者に対して隔離療養室無償貸与制度を試験的に設けたこと、一般住民に対する健康診断及び予防接種費用減免率従前の一〇%から五〇%へと大幅に引き上げたこと等でありまして、これらの施策に必要な経費として約四億八千三百万円を計上いたしたのであります。また、結核療養所病床につきましては、いまだ不足を告げている実情にありますので、国立一千床、公立三千六百床、法人立五千四百床、合計一万床を前年度と同様に増設いたしますとともに、結核回復者の後保護施設二カ所を新たに設置いたしますほか国立結核療養所の諸施設整備等に必要な経費として十一億三千六百余万円を、結核回復者保護施設経営費不足財源に新たに、二分の一の補助を行うに必要な経費及び国立結核療養所維持運営に必要な経費等として九十九億二百余万円を、従来と同様医療費公費負担に対する補助に必要な経費十六億一千二百余万円を、その他結核予防従事者の研修、実態調査等に必要な経費を含め、結核対策のため総額百三十一億五千五百余万円を計上いたした次第であります。  第三は、覚醒剤及び精神衛生対策推進に必要な経費についてであります。  まず、覚醒剤対策につきましては、さきに内閣に覚醒剤問題対策推進中央本部を設けて、覚醒剤に対する総合施策の樹立と推進をはかって参ったのでありますが、さらに、取締りを一そう強化いたしますとともに、広く国民ヒロポン禍害のおそるべきことの認識を深め、青少年施用防遏協力を求めるため、一段と広報活動を活発に展開することにいたしたのであります。特に、覚醒剤中毒者を収容してこれに必要な医療を行うため、精神病院に二千百床の病床を併設することにいたしたのでありまして、これら覚醒剤対策に必要な経費として、一億二千六百余万円を計上いたした次第であります。  次に、精神衛生の面におきましては、患者保護の立場より、また公安上より見まして、保護収容すべき患者に比べて病床不足が顕著でありますので、公立及び法人立に二千二百床の増床を行いますほか、国立精神頭部療養所施設整備のための経費を含め、一億八千九百余万円を計上いたしたのであります。また、国立療養所経営のための経費及び都道府県知事が本人の保護公安上の必要に基いて命令する措置入院経費並びに精神衛生相談所運営に要する経費等、七億三千三百余万円を計上いたした次第であります。  第四は、受胎調節に必要な経費についてであります。  受胎調節は最近における人工妊娠中絶激増傾向にかんがみ、従来主として母体保護見地よりその普及指導をはかって参ったのでありますが、さらにこれを促進いたしますことが人口対策見地からも緊急不可欠と認められますので、家族計画思想の一そうの普及徹底をはかることにいたしたのであります。このための施策として、さしあたり受胎調節普及度の最も低いと思われます生活困窮者に対しまして、受胎調節に必要な器具、薬剤等無償または低廉な経費で提供することとして、三千二百余万円を新たに計上いたしましたほか、前年度に引き続き保健所が中心となってその普及指導を行なって参るために必要な経費として、二千六百余万円を見込みました次第であります。  第五は、水道施設等公衆衛生関係施設整備充実に必要な経費についてであります。まず、公衆衛生基礎施設であります水道施設整備普及は、公衆衛生維持向上を期する上におきましてきわめて重要でありますので、その整備に意を用いてきたのでありますが、特に下水道施設整備に巨額の経費を必要とするため、その普及がはなはだしく渋滞いたしておりますとともに、事業費の中に占める労務費が比較的高い事情等をも勘案いたしまして、本年度より緊急就労対策の一環として整備することとし、従前に倍する四億一千八百万円を計上いたしたのであります。また飲料水に基因して消化器系伝染病の多発する農山漁村に対し、簡易水道の布設を助成するため六億四千万円を計上いたしましたほか、特別鉱害復旧臨時措置法及び臨時石炭鉱害復旧法に基いて、特別鉱害及び一般鉱害対策事業に対し補助を行うに必要な経費並びに南海地方の震災に基因する地盤変動対策事業に必要な経費等一億六千五百余万円を見込んだのであります。  次に、公衆衛生第一線機関として重要な機能役割をになっております保健所につきましては、C級からA級への格上げを九カ所行いますとともに、老朽施設十カ所を改良整備し、さらにエックス線等重要設備整備をはかる等のための経費として一億三千四百余万円を計上いたしまして、その機能強化に努める所存であります。さらに運営費におきましては、委員充足状況を考慮して、実人員を経費算定基礎といたしました反面、給与単価実情に即して若干の引き上げを行うこととしまして、その所要経費十六億一千七百余万円を計上いたした次第であります。  第六は、国立病院等医療機関整備に必要な経費についてであります。医療機関整備につきましては、医療体系中枢機関としての国立病院をして名実ともにその指導的役割効率的運営を遂行せしめるため、相当大幅な整備改善を行いますに必要な経費として十二億二千二百余万円を見込みましたほか、一般地方病院の需要に応じて貸し出しを行うため、ラジウムを設備するための経費一千六百余万円を新規に計上いたした次第であります。  また公立一般病院につきましても、医療機関整備計画にのっとって、その整備助成促進するため四千五百万円を計上いたしますとともに、引き続き国立病院の一部を地方へ移譲することとし、これを促進するための経費として一千八百万円を計上いたした次第であります。さらに無医村または医師不足町村解消国民健康保険の健全な運営に資するため、国民健康保険直営診療所整備拡充を行うこととして、これに要する経費として二億円、伝染病予防上必要欠くことのできない隔離病床一千八百六十六床の整備のための経費として一億五千余万円をそれぞれ計上いたしました。  第七は、生活保護に必要な経費についてであります。生活に困窮する者に対してその最低限度生活を保障し、その自立を助成するために必要な経費でありまして、扶助の種類は同様であり、保護基準につきましても結核患者に対する栄養加算の改善を行いましたほかは、従前と同様といたしているのであります。反面、不況の進行過程にかんがみ、保護人員は前年度補正予算算定の基礎人員に対し、各扶助とも五%の上昇を見込んで所要経費の算定を行いました結果、扶助費は合せて三百四十三億九千四百余万円となり、前年度に比して十七億四千四百余万円の増加となっているのであります。しかしながら旧軍人恩給及び日雇い労働者健康保険の実施に伴う減少見込額十九億円、前年度不足見込額十億円をそれぞれ加除一たしますと、扶助費の純計は三百三十四億九千四百余万円となり、かえって前年度より八億八千二百万円の減少となっているのであります。これは旧軍人恩給の裁定進捗に伴う減少見込額の増加が六億四千万円、過年度赤字計上分が前年度より十九億八千六百万円の減少となっているためであります。  右のほか、保護施設事務費に七億二千七百万円、生活保護法施行のための経費に四億三千余万円が見込まれ、これらすべてを合せまして生活保護に関する経費として三百四十六億五千二百余万円を計上いたした次第であります。  なお保護の実施につきまして、洩給または濫給の防止をはかってその適正な運用を期するとともに、指導的職員の資質の向上をはかるため、都道府県の基幹委員人件費として全額国庫負担の委託費を交付することとし、これに必要な経費として新たに八千九百余万円を計上いたしたのであります。  第八は、児童保護に必要な経費についてであります。まず措置費につきましては、施設の増設に伴う児童増加を見込みますとともに、デフレ施策の影響をも考慮して、保育所及び母子寮の援護率を若干引き上げることといたしましたほか、前年度不足分二億円を含めまして算定いたしました結果、その所要経費は五十六億四千余万円となり、前年度に比べまして八億三千余万円の増加となっているのであります。  また盲児及び肢体不自由児等の身体障害児に対し、育成医療を施し、あるいは義肢等の補装具の支給を行うための経費児童相談所及び一時保護所の運営に必要な経費並びに保母養成所に必要な経費等三億二千二百余万円を計上いたしているのであります。  第九は、世帯更生運動の推進に必要な経費についてであります。疾病、失業または事業の失敗等によって経済的破綻を来たし、あるいは自立の道を失って被保護階層に転落するおそれのある世帯に対し、その再起更生のため適切な措置を行いますとともに、必要な資金を低利で融資してその生活意欲を振起せしめて自立更生をはかることと、たしたのでありますが、その実施につきましては、都道府県をして都道府県社会福祉協議会を通じて右に述べましたような生活困窮者に対し自立更生に必要な生業、技能修得、事業継続及び支度等に必要な資金貸付を行わせることとし、国はこれに必要な経費の二分の一を補助することとしたのであります。このための経費として、三千万円を計上いたしたのであります。  第十は、社会福祉施設整備充実に必要な経費についてであります。生活保護施設整備につきましては、養老施設重点をおいてその増設整備をはかりますとともに、老朽施設の補修改良のための整備をもあわせて行うことといたしまして、これに要する経費一億八千二百余万円を、児童福祉施設におきましては、前年度に引き続いて保育所及び母子寮の増設を中心として整備拡充を行うこととして、四億円をそれぞれ計上いたしておりますほか、身体障害者の更生援護施設、同和地区の生活改善をはかる総合福祉施設、公益質展の整備等のため四千九百余万円を計上いたしたのであります。また、民間社会福祉事業振興をはかるため、昨年設立されました社会福祉事業振興会に対する出資金として、さらに一億円を計上いたしまして民間の社会福祉施設整備充実を期している次第であります。  第十一は、戦傷病者戦没者遺族及び留守家族等援護のための経費についてであります。戦傷病者戦没者遺族等援護法に基く遺族年金、障害年金及び障害一時金の支給等に必要な経費といたしまして三十億四千八百余万円を、また未帰還者留守家族援護法に基く留守家族手当、障害一時金及び療養費等に必要な経費として十四億二千七百余万円をそれぞれ計上いたしました。右のうち、遺族年金及び留守家族手当は、旧軍人恩給の公務扶助料の引き上げに対応して本年十月以降若干の増額を予定いたしておるのであります。また療養の給付を受けるもののうち、大部分のものは本年十二月二十八日をもって法定の療養給付期間を経過することとなりますので、なお三カ年間これを延長することを予定しているのであります。  第十二は、引揚者の援護に必要な経費についてであります。昨年度中の海外からの引揚人員は、集団及び個別を含めて三千二百七十四人となっておりますが、中共及びソ連地区には未だ相当数の残留者が帰還を待望しているものと想像されますとともに、両地区とも残留者の帰還が引き続き期待されますので、一応集団三千人、個別五百人、戦犯釈放百人を予定いたしまして、その輸送、帰還手当の支給、食事、被服、日用品及び医療等の給与を行うに必要な経費のほか、集団収容施設の補修整備のための経費を含め、六千九百余万円を計上いたしまして、その受け入れ援護に遺憾のないことを期しているのであります。  なお、引揚者の定着援護に必要な住宅施設につきましては、建設省所管に計上されております第二種公営住宅のうちより、八百五十戸を引揚者用に建設する予定にいたしている次第であります。  右に申し述べましたほか、らい予防及び国立らい療養所の経営費等らい対策に必要な経費として十七億三千四百余万円を、法定伝染病予防費の補助として七億円を、アヘンの専売事業の円滑な運営をはかるために新たに設けられたアヘン特別会計の固定運転資金に充てるため、同特別会計に対し繰り入れを行うために必要な経費として三千五百万円を、戦傷病者及び身体障害者に対し更生医療の実施または補装具の支給等諸種の援護を行うために必要な経費として三億四千四百余万円を、母子世帯の経済的自立を助長してその福祉の増進をはかる母子福祉貸付資金に必要な経費として五億円等をそれぞれ計上いたしたのであります。  以上、昭和三十年度厚生省所管一般会計予算のうち、若干の重要な施策につきまして御説明申し上げたのでありますが、このほか保健衛生、社会福祉の各費目につきましても、それぞれ所要の経費を計上いたしておるのであります。  次に、昭和三十年度厚生省所管特別会計予算大要について御説明申し上げます。  まず第一は、厚生保険特別会計についてでありまして、さきに申し述べましたように、健康保険においては、前年度及び本年度赤字補てんとするため六十億円の長期借り入れを見込みますとともに、収支均衡を失いました保険財政改善に資するため、保険料率引き上げ標準報酬等級の改訂を予定いたしております。また日雇い労働者健康保険におきましては、給付期間の延長と給付の改善を行うことといたしました。  右に要する経費として健康勘定におきましては、歳入歳出とも五百三十二億七千九百十二万円、日雇い健康勘定におきましては、歳入歳出とも二十二億二千三百二十八万三千円、年金勘定におきましては、歳入四百五十億一千九百九十二万円、歳出九十二億九千五百六十二万八千円、業務勘定におきましては、歳入歳出とも二十八億三千五百六十一万四千円を、それぞれ計上いたしました。  第二は、船員保険特別会計についてでありますが、健康保険について申し述べましたと大体同様の措置をとることといたしておるのであります。これに要する経費といたしまして、歳入四十五億九千八百二十五万八千円、歳出四十億六千七百六十五万三千円を計上いたしました。  第三は、国立病院特別会計についてであります。さきに述べましたように、国立病院施設整備を行うために必要な経費を大幅に計上いたしましたほか、三億円の債務負担行為を計上いたしているのであります。前年度に引き続きまして、血液銀行、高血圧の治療センター、ガンの治療センターをそれぞれ若干個所整備いたしますとともに、もっぱら地方一般病院に対し貸し出しを行うためにラジウムを設備することといたしまして、これら総体の経費として、歳入歳出とも七十八億五千四百六十六万八千円を計上いたした次第であります。  最後は、アヘン特別会計についてであります。アヘン法に基いてアヘンの輸入、売り渡しの事業を独占的に行うため、昭和三十年七月一日を期して設置することといたしており、本年度は、輸入三十五トン、国内産の収納二・五トン、製薬原料としての売り渡し三十二トンを予定いたしまして、所要の収支を見込みました。すなわち歳入歳出とも一億九千六十三万七千円を計上いたしました。  以上昭和三十年度厚生省所管一般会計及び各特別会計の予算につきまして概略御説明申し上げたのでありますが、何とぞ本予算案の成立につきましては、格別のお力添えをお願い申し上げる次第であります。     —————————————
  6. 藤本捨助

    藤本主査 次は労働省所管の御説明を求めます。高瀬政府委員
  7. 高瀬傳

    ○高瀬政府委員 今回提案されました、昭和三十年度一般会計及び特別会計の予算中、労働省所管分につきましてその概要を御説明申し上げます。  まず第一に、一般会計におきましては、歳入において、総額三億十五万九千円で前年度の二億三千四百十九万四千円に比較して、六千五百九十六万五千円の増加となっておりまして、この主たるものは、国家公務員等退職手当暫定措置法に基いて受け入れる特別会計等の失業者退職手当負担金であります。一方歳出におきましては総額三百三十九億七千七百三十三万八千円で、前年度の二百九十二億六千八百五十七万三千円に比較して、四十七億八百七十六万五千円の増加となっております。なお、このほかに建設省所管の官庁営繕費に五千六百三十二万七千円を労働省関係分として計上いたしておるのであります。  次に、この歳出の内容について概略を申し上げますと、その一は、失業対策の拡大強化であります。経済諸施策の進展に伴いまして、失業情勢は必ずしも楽観を許さない実情にありますので、現行、失業対策事業のワクの拡大をはかり、これを再編成するとともに、新たに特別失業対策事業として建設的な事業を大規模に実施するのほか、失業保険制度改善し、適用範囲の拡大、給付内容の適正化等の措置を講ずることによって失業者の生活の安定を期することとし、これに必要な経費として、失業対策事業費補助百六十八億二千万円、失業保険費負担金百十七億四百万円政府職員等失業者退職手当三億六千万円、合計二百八十八億八千四百万円を計上いたしております。  その二は、労使関係の安定促進であります。国民経済の自立達成を期するためには、労使、関係の安定をはかり、産業の平和を確立することが強く要請されている現情にかんがみまして、民主的労働組合を育成し、健全な労使関係を発展助長するため、労働教育の整備充実をはかるとともに、労働組合の福祉厚生活動の促進、労働金庫の適正なる運営等の施策を強力に推進することとし、これに必要な経費として、六千百七万五千円を計上し、なお労使関係の合理的かつ、円滑なる調整をはかるため、中央労働委員会並びに公共企業体等労働関係調整委員会に必要な経費として、一億一千二百六十三万五千円を計上いたしております。  その三は、労働経済に関する統計調査の整備充実であります。労働経済に関する統計を迅速かつ、的確に収集整備してこれを分析し、労働行政施策基礎資料とするとともに、労使その他関係方面に提供し紛争議の合理的解決、生産の増強等に寄与するため、前年度に引続き毎月勤労統計、労働生産性統計、職種別賃金実態調査及びその他労働事情に関する統計調査を実施するほか、新たに地域的に発生する失業情勢を迅速的確に把握し、失業対策に万全を期するための地域別等就業失業調査を実施することとし、これに必要な経費として、一億八千九百十九万九千円を計上いたしております。  その四は、労働関係における国際協力強化であります。国際労働憲章に規定されている義務を履行し、積極的にこれに協力するために、必要な分担金及びILO関係の諸会議への出席旅費等の経費並びにわが国の労働事情に関し海外広報活動を実施するための経費として、九千五万九千円を計上いたしております。  その五は、労働保護行政の円滑なる運営の確保であります。労働者の保護と福祉を積極的に推進し、労働生産性の向上をはかるため労働基準行政を一段と刷新整備するとともに、産業災害の防止と、職業病けい肺等この種疾病の特殊性にかんがみまして、これが予防及び特別保護の方途を講ずるほか、中小企業における労働者の技能水準の向上をはかるため技能者養成施設に対し助成を行うこととし、これに必要な経費として、十二億五千七百二十四万六千円を計上いたしております。  その六は、婦人及び年少労働者の保護助長であります。婦人及び年少労働者の特殊性にかんがみまして、これら労働者の保護と福祉の増進をはかるとともに、一般婦人の社会的地位と生活向上をはかるため、地方婦人少年室の行政機能強化するほか、前年度に引続きまして、各種調査の実施、啓蒙資料の発行等を行うための経費として、六千百十万九千円を計上いたしております。  その七は、就職の促進と職業補導事業拡充であります。現下の雇用情勢にかんがみまして、就職の促進をより一層強力に実施する必要がありますので、公共職業安定所の職業あっせん機能強化して、これが効率的運営をはかるとともに、産業界の要求する技能労働力の円滑なる需給調整をはかるため、前年度に引続き一般公共職業補導所を運営するほか、新たに家庭婦人、未亡人等を対象とする家庭内職、家事サービス等の職業補導事業を実施することとし、これに必要な経費として、三十億百十九万二千円を計上いたしております。  その八は、その他一般行政事務に必要な経費であります。  以上の経費のほか、大臣官房等における行政事務費として三億二千八十二万三千円を計上いたしておるのでございます。  第二に、労働者災害補償保険特別会計につきまして申し上げます。この会計の歳入、歳出はいずれも二百三十二億五千六百七十三万円で前年度の二百四十億四千八百二万九千円に比較して、七億九千百二十九万九千円の減少となっておりまして、歳入の主たるものは、保険料収入の二百九億九万九千円と、支払い備金受け入れの十五億円であります。また歳出の主たるものは、労働者災害補償保険給付費の百七十五億三百五十五万一千円でありますが、本年度は労働者の業務災害被災者に対する療養給付の適正充実をはかるため、前年度に引き続き労災病院の整備拡充を行うとともに、懸案事項でありましたけい肺病罹災者等の予防及び保護強化するため、今国会に提出し審議をお願いしております「けい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法」に基き、けい肺患者及び外傷性せき髄損傷患者に対する療養、休業、配置転換給付並びに、けい肺健康診断を実施する等のため十二億八千四百六十五万五千円を計上いたしております。  第三に、失業保険特別会計につきまして申し上げます。  この会計の歳入、歳出はいずれも四百五億九千三百五十八万四千円で、前年度の四百二億九千六百五万一千円に比較して二億九千七百五十三万三千円の増加となっておりまして、歳入の主たるものは、保険料収入の二百五十億六千七百五十八万二千円と、一般会計より受け入れの百十七億四百万円であります。また歳出の主たるものは、失業保険給付費の三百四十二億四千二百万円でありますが、特に本年度におきましては、本会計の積立金より生ずる運用利子収入のおおむね二分の一を充当することにより、労働者の福祉増進をはかるため、職業補導施設及び宿泊施設等の保険施設拡充整備することとし、これに必要な経費として、五億五千万円を計上するのほか、失業保険法の一部を改正し、適用範囲の拡大と、保険給付の適正化をはかることといたしております。  以上をもちまして、労働省所管関係予算大要説明を終ります。  何とぞよろしくお願い申し上げます。
  8. 藤本捨助

    藤本主査 これにて昭和三十年度一般会計予算文部省厚生省及労働省所管昭和三十年度特別会計予算厚生省及労働省所管政府説明は全部終了いたしました。  午前はこの程度にとどめ、午後は一時から会議を開くことといたします。それまで暫時休憩いたします。    午後零時四分休憩      ————◇—————    午後一時四十三分開議
  9. 藤本捨助

    藤本主査 休憩前に引き続いて会議を開きます。  昭和三十年度一般会計予算文部省厚生省及労働省所管並びに昭和三十年度特別会計予算中、厚生省及労働省所管を一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑は通告順によってこれを許します。八田貞義君。
  10. 八田貞義

    八田分科員 厚生大臣に御質問いたします。四月における自然休会明けの本会議におきまして、河野農林大臣は、厚生大臣との間に昨年十二月末覚書を交換して、高温殺菌乳の消費奨励を促進することになったと言われましたが、どのような内容を持った覚書か、それを一つお知らせを願いたいのであります。
  11. 川崎秀二

    ○川崎国務大臣 ただいま御質問の点は、河野農林大臣が昨年の暮れに、私の前任者であります鶴見厚生大臣との話し合いで、牛乳の処理問題について、農村方面におきまして、なるべく販売を自由な形で、かつ積極的に行うような仕組みにしてほしいという要望が高くなりましたので、特にこの問題について何分の結論を出すことにしようということに、双方の申し合せは一応なったそうであります。しかしながら、これについてどういう申し合せの内容にするかということにつきましては、厚生省側と農林省側との間に意見を具体的に交換するという段階に入る前に、たとえば市部は低温をするとか、あるいは農村部は高温殺菌でも差しつかえないとかいうような問題があったり、さらに集団給食に対して参議院の方から、厚生省が考えておったようなことに対して、御反対の意見などがありまして、その結果具体的な取りきめをするに至らずして今日に至っておるのが実情であります。その際何とか取りまとめしょうということで、両者の意見は一致をした。ところが具体的な内容に入らぬうちに大臣が更迭し、そしてその後この問題に対しては、参議院の厚生委員会もそうでありますが、委員長を中心として国会側において、厚生省の考えておることに対して、ちょっと待てというような有力な意見が台頭してきましたので、それらの事情もありまして、今日までのところ具体的な取りきめになっておらぬというのが実情だそうであります。
  12. 八田貞義

    八田分科員 今のお話によりますと、農村方面においては高温殺菌乳を認めようという申し合せであったように伺いましたが、農村方面に高温殺菌乳を許そうということは、省令五十八号が五十二号に改正されましたときに、すでに次官通牒といたして出ているのでございます。それをさらに申し合せ事項として、中小都市にもやろうという申し合せがあったように私は伺っているのであります。その点について厚生大臣からもう一回、中小都市も対象に入れてそういう申し合せをなすったかどうかお聞きいたしたいのであります。
  13. 川崎秀二

    ○川崎国務大臣 そういう申し合せばまだいたしておらぬそうであります。厚生省としては、とりあえず市部は低温殺菌としても、農村部では、食生活改善とかあるいは消費の普及という建前から、高温殺菌でも差しつかえないことにしようという考え方を持っているのでありますが、これを具体的に取りきめするに至らずして今日に至っておりますので、もとより中小都市に対しても、こういう措置を講ずるという段階には至っておらないのであります。
  14. 八田貞義

    八田分科員 そうしますと、農林省のこのたびの本予算におきまして、中小都市を対象とするところの高温殺菌乳の奨励について、二千二百八万円を計上いたしております。ここに問題があるわけでございまして、この省令五十二号において、農村に高温殺菌乳を認めるという次官通牒は、大体一石から二石限度内の消費を目的としている。すなわち家庭能力を対象とした高温殺菌の処理方法を考えているわけであります。ところが中小都市になると、一石、二石というような少量では済まないはずであります。相当大量の牛乳を処理しなければならぬ。従って高温殺菌乳を中小都市に認めるということになると、施設費において低温殺菌乳の処理費と何ら変らないという結果になってくるわけです。この点について、農林省は予算面に中小都市をはっきりと対象としてうたっておるのであります。これにつきまして厚生大臣といたしまして、どのようなお考えでこの中小都市を対象とする高温殺菌乳の補助費というものを認められるか。これをいかぬことであるといたしまして、これの撤回を迫られるかどうか、大臣の所見をお伺いいたします。
  15. 川崎秀二

    ○川崎国務大臣 予算措置としてただいま御指摘のようなものが農林省の関係に載っておることと思うのでありますが、農林省は具体的に実施する場合におきましては、いずれ厚生省と十分連絡して取りきめるということになっておりますので、それに対してもとより私どもは今日の日本の食生活改善あるいは牛乳というものを奨励するということの基本方針に対しては、農林省とそう考え方が違うわけではないのでありますが、これが処理の具体的実施について一応そういう計上になってはおるものの、具体的な実施プランというものについては相談をするということになっておるそうでありますから、相談があるものと思っておるのであります。その際においては厚生省の考え方も十分に申し述べて、この実施が円滑にかつ国民の食生活改善の上に大きく役立ち、かつ牛乳の需給関係が円滑なるバランスをとって進む方向に進めたいというふうに考えてはおりますが、詳しくは環境衛生部長から御答弁をさせていただきたいと思います。
  16. 八田貞義

    八田分科員 大臣は農林省の方から申し出があった場合に、それについて自分の考えを言うというような態度でありまするが、そうじゃなくて、中小都市に高温殺菌乳を認めることは消費の面においても高い値段につく、決して十円牛乳というものにはならない、しかも衛生の点から考えてみても非常に欠陥が多いということによりまして、十分にこれは考えられることであります。あとでまた私は申し上げようと思いますが、このような中小都市を対象とすることは間違っておるということで、お待ちになっていないで、まず厚生大臣の方から積極的に農林大臣の方に働きかけまして、中小都市を対象とする高温殺菌乳の奨励を撤回していただくようにお願いいたしておるのであります。
  17. 川崎秀二

    ○川崎国務大臣 私といたしましては、第一に考えなければならぬことは、厚生省としての立場から申せば保健衛生の点でありますから、その点について農林大臣が食生活改善という見地からのみ実施をいたすことに対しては、保健衛生の立場から具体的な意見を申し述べたいと思っております。ただいま御要望の点は十分に私どももしんしゃくいたしまして善処するつもりであります。
  18. 八田貞義

    八田分科員 高温殺菌乳の大量消費ということは衛生上あるいは経済上から無理があるということで、低温殺菌乳の処理方法が発達して参ったのであります。それを中小都市まで高温殺菌乳を及ぼしていくということになって参りますと、三十年前に逆行するということになって参ります。高温殺菌乳というものはバック式によって処理を行うのでありますが、牛乳びんはガラスでできておりますから、ガラスびんの外側が熱くなりましても熱はガラスを浸透することが弱いのであります。たとい外側は熱くなりましても内部の方へは熱が浸透しない。従って牛乳びんの中の細菌は殺菌されないという状態が起って参るのであります。しかも高温殺菌乳の中におけるところの細菌層の動態というものは、処理工場の方法によりまして違って参ります。だから画一的にこうなるというふうには言い切れないのでございます。ただし概括的に言いまして、大切な乳酸菌は死滅するか減少いたしまして、アルカリ生成菌は逆に増すということになって参りまして、腐敗を早めるような結果になってくるわけであります。私がこのように申し上げているのは、バック式によって牛乳消費量を高めるということは保健衛生の面からいって非常に遺憾にたえない、心配にたえないということを大臣に御認識願いたいので申し上げておるのであります。しかもこの高温殺菌乳をもしも中小都市に許すことになりますと、製品ルートが非常にふえて参りますので、サンプルを一体どういうふうに集めていくか、またその個々のプラントにつきましてどのような監督をやっていくか、現在の人員ではプラントの監視が月一回やるように定められておるのでありますけれども、年一回中小都市において行われているというのが現状であります。このような状態におきまして、高温殺菌乳の処理工場が多数ふえたような場合に一体どういうふうにして処理していかれるか、この点につきまして環境衛生部長に衛生監視の点からお伺いいたしたいのでございます。
  19. 楠本正康

    ○楠本説明員 お答えを申し上げます。ただいま大臣からもお話がございましたように、なるほど予算の面では中小都市に集団給食を対象として施設をするように農林省で計上してあるようでございます。しかしながらこの具体的な実施に対しましては当方に相談をいたすことに相なっております。従いましてその場合に十分衛生上安全な措置を講ずるよう農林省と相談をいたしまして決定をいたす所存でおります。従いましてただいまの御指摘のように今後非常にたくさんのいかがわしい処理場ができて監視に困るというようなことのないようにいたしたい、かように考えておる次第であります。
  20. 八田貞義

    八田分科員 私が時間をつぶして申し上げておりますのは、中小都市に高温殺菌乳を許すということになりますと、現在の衛生検査実施員でばとうていまかない切れない。しかもその処理方法におきましても非常に衛生上疑わしい点がたくさんあります。このような欠点を持った高温殺菌乳を中小都市に許すということは厚生省の立場におきまして強く農林省を啓蒙していただくように私、お願いいたしましてこれに関するところの質問は打ち切ります。  それからもう一つ厚生大臣にお願いいたしたいのでありますが、ラジウムの購入費といたしまして予算が千六百五十万円計上されております。その理由といたしまして、ラジウムは高いので個々の医者があがない得ない、それを国家においてあがなって一般医師の便宜に供するんだ、こういうことが会計課長の御説明であったように伺っております。ところが原子力の研究発達の結果、安価なコバルトなどが応用されるに至って参りましたので、かような高価なものを購入する必要がない、コバルトをもって十分にラジウムのかわりとなし得るということが今日の医学の常識になっておるのでございます。ですからこのような高いラジウムを買う必要を認めないので、お医者さんが買っておらぬのであります。決して高いから買わないのじゃなくて、必要性を失ったので買うことをやめておるのです。この点につきまして大臣の御所見をお伺いいたしたいのでございます。
  21. 川崎秀二

    ○川崎国務大臣 ただいまのラジウムに関する御質問でありまするけれども、これは純技術的な問題でありますので、ただいま医務局長を呼びまして答弁をさせますが、主要用途に対するところの相違ではないかと私は考えますので、たとえばラジウムにかわってコバルトだけでも十分にそれをまかない切れる、そういうものは今日ではコバルトでやれるのだということも言い切れないのじゃないかと、私は常識的には考えておりますけれども、しかしこれは医務局長が参りまして十分に答弁をいたしまするから、御了承願いたいと思います。
  22. 八田貞義

    八田分科員 それでは健保の赤字問題について大臣にお伺いしたいのでありまするが、今日社会保険が崩壊の危機にあり、赤字問題が大きく取り上げられております。厚生省はその対策といたしまして、医療給付の圧縮の方途に出ておりまして、指導、監査を強化し、審査もいよいよ引き締めていく方針のようでございます。われわれが指導、監査の強化に憂いを抱くのは乱診、不正を行なっている医師をかばうとか、自己が恐怖を感ずるからではございません。保険の赤字支払いの原因が乱診と不正のために拍車をかけられたという厚生省の宣伝に対し、そうではなく、社会保険の危機は政府自身の施策の当然の結果であり、赤字社会保険発展の増高の数字であって、これを私的保険事業と同じ営利性の基礎に立って赤字克服を言われるところに問題があるのでございます。健康保険は掛金をかけて金額を給付する性質のものではなく、一定の金額を月掛いたしまして、健康にして文化的な最低限度生活を保障するレアルタームでなければなりません。従って健康保険は当然営業としては存在できないものでありまするから、国家が補償すべき性質を本来持つものであります。厚生大臣は三十年度予算編成に当って、医療費に対する国庫負担の問題について大蔵大臣と折衝されたと言われまするが、どのような観点からまたどのような折衝をなされたか、ここに明らにしていただきたいのでございます。
  23. 川崎秀二

    ○川崎国務大臣 健康保険の収支均衡につきましての根本的な御質問でありますので、詳細にお答えをいたしたいと思うのであります。ただいま御指摘の中に、厚生省が、健保の赤字は主として乱診並びに不正行為の起ったことにあるのだと言ったようなお話でありましたが、私はさようには考えておりません。第一の原因はやはり何と申しても医療の機関が非常に多くなってきたということでありまして、これは健康保険に加盟をしておる被保険者自身の関心が高まり、常に健康な状態において日常公私の生活に献身したいという気持が国民全体に高まった結果であろうと思うのであります。従って治療を早期に実施をしていくという国民的な自覚が、かような大きな医療費の増し方になってきたのであって、御指摘の通り社会保障の実態というものが、制度そのものを乗り越えて進みつつあるということが第一の原因だと思っております。もとよりこれに伴って医者が行うところの治療の方法が医学の進歩とともに最もよくきく薬を使用するというようなことや、あるいは第三、第四の原因といたしましては、乱療、乱診などということもあるかとも思うのでございます。従いましてただいまの八田委員の見解は、厚生省はそういう乱療、乱診、不正の行為が多いからこういう増し方がきたのだというようなことに押しつけておるというようなことはございませんし、ことに私が就任をいたして以来の厚生省の見解は、ただいま私どもが申し上げました線に沿って処理をいたしたい、かような考えをいたしておるのであります。従ってこれに対する対策といたしましては、当然かような医療の機関がふえ、社会保障の実態が進みつつある状況に応じて、国が相当部分の責任を持つべきであるということは、かねがね社会保障審議会から勧告をされました趣旨に基きましても十分体得をいたしておりまするし、私は財政の状況が許し得るならば、医療給付に対するところの二割の国庫負担が理想であり、これを一日も早く実現したいということは第一回の社会労働委員会で申し上げて以来、少しもその気持に変化はないのであります。しかしながら御承知のように、本年の予算は一兆円というワクの中にしばられまして、中には積極的な振興政策である、たとえば住宅政策であるとか、あるいは社会保障の中におきましても、さらに前進をしなければならぬ施策などもありまして、国庫負担があのような十割というまことにかぼそい姿で実現をしたことははなはだ遺憾に思っております。そこでこれを制度的な方面から見るならば、単に赤字解消ということだけではなくして、国が一定額を負担するということの露頭が本年において現われたことでありまして、これとあわせて二十億の長期融資によって国が直接負担をするということは言い切れませんけれども、少くとも国の責任において処理をするという額もまた二十億に上っておりまして、これらを合せますと、赤字負担に対しますところの国の負担行為というものは、半額程度に上っておるわけであります。六十一億と見られる赤字に対して、三十億の負担行為をなした以上は、一方において被保険者におきましても、十分にこの赤字の実態というものについて、責任をもって処理をしていただく必要があるというので、これに伴っての料率の引き上げその他の措置を行なった次第であります。これが私の今回とりました措置でありまして、種々世上には御批判もありましょうけれども、今日の三十年度予算における政府管掌健康保険に対する処理としては、国と被保険者が責任を分担することの意味において、十分御了承をいただけるものと考えておる次第でございます。
  24. 八田貞義

    八田分科員 大臣の今の御答弁によりまして大体わかったのでありますが、そういたしますと、定額の国庫負担と収支面の均衡処置の両建によって行うということになったわけでございますが、それでは健保の赤字処置というのは、その六割から七割を長期融資によるところの応急策で切り抜けて、残余を被保険者事業主の負担によって解決しようというのが、今の赤字対策であるというように了解いたしますが、かりにこれらの対策が関係方面の反対を押し切って実行されたといたしましても、四〇%前後という給費の増高率に一、二年間対処し得るにすぎないと考えるのであります。そこで一体保険の赤字に占める医療費のパーセンテージ、そして支払い基金より支払われたところの、二十六年より二十九年にわたる各年度における総額についてお知らせ願いたいのであります。
  25. 川崎秀二

    ○川崎国務大臣 ただいまの後段の数字につきましては、後ほど申し上げますが、本年度赤字対策といいまするか、本年度健康保険財政に対する政府の責任ある措置としては、先ほど述べましたことで御了解を願いたいと思うのであります。将来にわたる恒久対策、少くとも三十一年度予算以降における、ここ二、三年の健康保険財政の収支の均衡化につきましては、御承知とも思いますが、厚生大臣の諮問的機関といたしまして、このたび新たに学識経験者を中心とする七人の委員を委嘱申し上げまして、鋭意研究を続けておる次第でありますから、これも御了承おきを願いたいと思います。  それからただいまお尋ねになりました昭和三十年度の保険給付費でありますが、これは五百十九億、医療給付費がそのうち四百三十一億であり、現金給付費が八十八億でありますから、五対一という関係に立つのであります。それで、昭和三十年度におきまして赤字が六十億でありといたしますれば、大体医療給付費の赤字ということは、五十億前後と見込めば、大体正確ではないか、もとより端数の数字まで出してお答えすることは、今日のところ見込めませんけれども、五十億と見込んでいただけばよいのではないかと思います。  それから診療報酬の支払い基金の支払い総額の調べでありますが、こういうふうになっております。政府管掌の分だけ申し上げます。二十八年度が二百五十七億九千三百五十五万七千円、二十九年度が三百五十億二千九百二十二万三千円であります。
  26. 八田貞義

    八田分科員 二十六、二十七年度はどうでありますか。
  27. 川崎秀二

    ○川崎国務大臣 申し上げます。二十六年度が百三十七億二千百万円、それから二十七年度が百九十六億八千百五十一万円であります。
  28. 八田貞義

    八田分科員 そうしますと、今の医療費の支払いというものが、大体二、三〇%以上くらい増加率を示してきているようであります。しかるにこの増加率に対しまして、国民所得のそれは大体一〇%内外というように承知いたしておりまするので、当然破綻は起ってくるわけであります。これはいいますならば、国民的悲劇でございまして、生命という絶対的なものを守る、医療技術の進歩に伴う費用の増高を、国民がまかなえないという現実にほかならないと思われます。物は経済事情によって変化高低を見ますが、医療技術というものは日に進歩の一途をたどって、後退せざる事実を為政者は知るべきであります。保険施策ほどこまでも経済係数の上に立てられるものではありますが、医療は常に医学の進歩によって拡充されねばならぬのが本質でございます。ペンキ屋のかいた富士山の絵も、横山大観のかいた富士山の絵も、同じく評価されるところに、すなわち医療技術を全く認めないというところに問題があります。政府は物だけの操作にたよって、赤字克服を考えられておりますが、一定年度の経験を経た医師を保険医に指定しようとするところのお考えがあるかどうか、この点について大臣のお考えを伺いたいのでございます。
  29. 久下勝次

    ○久下政府委員 私から現在まで検討しております事情を申し上げて、お答えにかえたいと思います。  現行の保険医制度につきましては、いろいろな御批判もございます。私ども自身もその欠陥のあることを認めておるのでございます。昨年でございましたか、参議院の厚生委員会におきましても、保険医制度について再検討すべしという決議が行われまして、その旨を私ども伺っておるような次第でございますが、ただ保険医制度の改正ということになりますと、いろいろ問題は複雑になって参り、ある意味では健康保険制度の根本にも触れて参る部分も出て参りますので、実は私どもとしても、真剣に今検討をいたしておるところでございます。今回の法律改正にも、できればその一部分でも間に合わしたいと思って勉強いたしておったのでございますけれども、各方面の御意見が必ずしも一致しない部分がありまして、次の機会に譲らざるを得なくなったのであります。先ほど大臣から申されました、健康保険制度の根本に触れた検討をいたします際には、当然保険医制度の問題につきましても具体案を得るように努めまして、いずれ御審議をわずらわす機会があると考えておる次第でございます。
  30. 八田貞義

    八田分科員 今保険医の資格の問題について検討されているという御返答があったのであります。保険医の資格について、どのような内容について検討されておるか、その点についてお伺いいたしたい。
  31. 久下勝次

    ○久下政府委員 まだ結論になっておりませんので、こういう機会に申し上げるのはいかがかと思いますけれども、たまたま御指摘のありました点に触れないで大へん恐縮いたしておりますが、医師の免許をとりましてから、一定年限経ちましたものだけを保険医にするというところまでは考えておらない次第でございます。現在御案内だと思いますけれども、医師免許をとりました人で、保険医になることを希望いたしますものにつきましては、保険医の指定前講習というものをやりまして、社会保険制度について、十分な御理解を願うようなことは積極的にやっておるわけでございます。国として医療を行う権能が、医師免許によって与えられました限りにおいて、それ以上は社会保険医療手続でございますとか、制度でございますとか、そういうものに対する御理解があれば、これを保険医としての指定を拒否するという理由はないものと考えておるのでございます。従いまして、私どもの検討は、ただいま御指摘のような趣旨ではなくて、現在の制度は個々の保険医を指定することになっております。生活保護法などでは、御案内の通りいわゆる機関指定という制度もございます。そういうような問題について検討をいたしておるのであります。  それからなお一部には保険医の定員制を設けたらというような強い意見も述べられておりますが、まだこれについては私どもは積極的な結論は得ておりません。検討の材料としては話題に上っている程度でございます。いずれにいたしましても、まだそれらの点につきまして十分な結論を得ておりません段階でございますので、もうしばらく検討の機会を与えていただきたいと思っております。
  32. 八田貞義

    八田分科員 それでは質問の方向を変えまして、政府の監査の企図するところは、わかりやすく言いますと、診療費の支出を少くすることが目的の全部のように考えられます。いわゆる過剰診療、濃厚診療を保険医の大多数が行なっているとの前提に発して、当局の欲する方向に指導し、果ては監査し、処分に及ぼうというのでありますから、監査の効果は点数の下降したという当局談ともなり、診療の実際面は一般に萎縮して、必要にして十分な域に達しないものの多くなるのは容易に想像されるところでございます。赤字克服策として打ち出されたことによる影響というものがすでに現われてきておると思いますが、参考までにお知らせ願いたいのでございます。
  33. 久下勝次

    ○久下政府委員 監査の問題につきまして私からお答え申し上げます。実は御参考にちょっと数字を申し上げてみたいと思いますが、最近の保険医の監査の結果の数字が出ております。昭和二十七年度におきましては千四百九十七名の監査をしております。昭和二十八年度におきましては四百八十七人、昭和二十九年度におきましては九百二十六人の保険医に対しまして監査が行われておるのでございます。監査に対する私どもの根本的な考え方は、赤字であるから監査をするというような考えは毛頭ないのでございます。大多数の保険医は社会保険制度に対する深い理解を示されまして御協力いただいておるのでありますが、しかしながら多数の保険医の中には、一部不正の診療をしたり、あるいは不正請求をしたりする事実があるのでございまして、大多数の誠実な、協力的な保険医に対しても迷惑を及ぼし、ひいては保険医制度の根本の考え方にももとるような方なしとしないのでございまして、そういう方々につきましては、いろいろな事実を基礎といたしまして監査を行なって、反省を求めるというような態度に出ることは、私どもとしては当然のことであると考えておるのでございます。そういう考えのもとに監査をいたしておるのでございまして、特に赤字になったから監査をやるということでなく、当然やるべきことをやっておるわけです。一昨年の秋ごろ以来保険医の監査の問題について出先の医師会などとの間にいろいろ意思の疎通を欠くものが若干ございまして、必ずしも十分な成果を上げておらなかったと思います。これがたまたま赤字が大きくなりまして大騒ぎになった際に出てきたものでありますから、何か赤字のために私どもがやったようにお取りになるかもしれませんが、そうではないのでございまして、赤字であろうとなかろうと、先ほど申し上げましたような趣旨におきまして、当然一部の不正不当な保険医の方々に反省を求めるのが至当であるという考え方のもとにやっておるだけのことでございます。数字的に先ほど申し上げましたように、昭和二十八年度には他の前後の両年度に比較して監査の数が非常に減ったのでありますが、これは相当感情的な問題があり、根本的な監査の批判などもございまして、地方庁の実施も鈍りましたような事情で、これに対する反省もし、その理解も得まして、当然やるべきことを力を入れてやっているにすぎない次第でございます。
  34. 八田貞義

    八田分科員 今私の質問いたしたのは、赤字対策といたしまして、診療の監査とかあるいは審査とかいった問題について強く出るというような対策が講じられて参ったので、診療点数が減ってきた、しかもことしの二月、三月ごろから京都には三点くらいずつ下ってきておる事実があるということを聞いておるのでありますが、その点について質問申し上げておるのでございます。
  35. 久下勝次

    ○久下政府委員 何か先ほどの御質問を保険医の監査ということと医療費の支払いの低減が直接結びついておるというように仰せになったように聞きましたので、先ほどのようなことを申し上げたのであります。私どもといたしましては、保険医の指導監査のみならず、被保険者の中にも被保険者でないものが不正の受診をする場合も相当あるのでございます。そういう問題でありますとか、あるいは事業主は正しい報酬の届出をなすことになっておりますのに、保険料の納付を少しでも逃げようとして虚偽の報酬の届出をするような場合がございます。そういう問題につきましては、全体の保険制度を正しく守っていきますために、当然私どもとしてはやるべきことであります。それと特に赤字になったことでもありますから、そうした不正不当の事項につきましては、全被保険者の福利のためにもこれを排除していくべきであるという考えのもとに、昨年来特に力を入れておることは事実でございます。それで、その結果であろうとほ思うのでありますけれども、この一月、二月くらいの二カ月間の診療報酬の支払いが私ども予想したよりも若干下回りました。一月に約一億五千万円、二月分が一億二千万円程度下回りまして、三月分は実は逆に見込みよりも少しふえておりますけれども、一応とにかく二カ月間にわたりましてさような数字が出たものでありますから、そういうことも若干の効果を上げておるのではないか。また同時に、関係者が健康保険制度というものを正しく利用するような機運が、そうした一連の行政措置に伴って現われてきた結果ではないかというふうに考えておるわけであります。診療費の支払いが減りましたことは、とりもなおさず監査を強化したりあるいは不正受診を抑制したりする結果だというふうに簡単に申し上げたつもりではないのであります。
  36. 八田貞義

    八田分科員 私はむしろ今の御説明と反対の考えを持っておるわけであります。不正ということは、被保険者とかあるいは保険者とか医師にも若干はあり得るということは容易に想像されます。しかしこれはいつでも一定率に存在を免れないということは社会一般と同様でございます。それが今回のように赤字対策として大きく打ち出されるところに問題があるのであります。医療費請求の低下現象というものは、医師の犠牲において言うならば、赤字解消協力して出た数字なのであります。どだい無理をして作った数字なのでありますから、従ってこのような医療請求点数の低下現象というものは一時的なものでありまして、今もお話のありましたように、一カ月か二カ月くらいのものでありまして三カ月を出るというようなものではございませんで、またもとに戻ってくる性質であります。まして開業保険医は社会保険の件数の八割を分担し、数において九割を占め、官公立その他の病院よりも圧倒的な医療機関となっておるのであります。しかも大臣御承知のことと思いますが、全体として受けておる医療費は五割にも満たないのであります。さらに外来一件当りの点数は大学病院の半分、五十点を少し上回るにすぎないようなのが現状であります。このような病院の治療に比し萎縮した診療は、さらに萎縮し、監査により多くの善良な医師の業務に暗い影を投ずることは、崩壊に瀕した国民医療にとどめをさすことになりほしないでしょうか。大臣の所見をお伺いいたしたいのであります。
  37. 川崎秀二

    ○川崎国務大臣 先ほどからだんだんの御指摘でありまして、ただいま八田委員の申されたような要素も相当にあるものと私も認めざるを得ません。しかしながら一方におきまして乱療乱診、不正行為というようなものも数多く指摘をされておりまして、これらに対してはそれぞれの委員会あるいは本会議におきまして、むしろ今日そういうことになってきたことの原因は、その点にあるのだという論者も中にはあるのであります。私は先ほど申しましたように、今日赤字をなしたる大きな原因は、医療の機会の増大であるというような点に重点は置いておりまするけれども、また一方におきましてそのような不正行為あるいは乱療乱診というものがあるということも認めないわけには参らないのであります。従ってこれらはそれぞれ論者の見解の相違によることと思いまするので、ただいま御指摘のような点については十分気をつけて、これが医師を萎縮せしめたり、あるいは医療の機会を縮減させるという、そのために国民医療が非常な危機に立つというようなことのないように牽制を加えますことは必要ではありまするけれども、これらの施策を全然行わないとか、あるいは保険医の監査というものを、今日考えておるより著しくゆるめるような方策をとったならば、健康保険財政というものもまた非常な危機に遭遇するわけでありますから、これらは多少見解の相違もございましょうけれども、私どものとっておりまする方針が、今日のところ大体妥当ではないかと考えておる次第でございます。
  38. 八田貞義

    八田分科員 この問題についてはまたさらにお伺いしたいのでありまするが、方面を変えまして、今私が申し上げましたように、善良な医師、不正をやらない善良な医師の生活状況というものは、非常に悲惨な状態にあるのであります。そこで保険医の所得税額と源泉徴収税額についてちょっと触れてみたいのでありまするが、今社会保険診療報酬のみによって生活している医師の場合について、たとえば月収六万円の人すなわち年収七十二万円の人は、所得税法第四十二条第二項の規定によって百分の十の源泉徴収税がかけられ、五万七千六百円の税額を納めることになっております。基礎控除、扶養控除を受けまして課税所得額は三万六百円となり、申告所得税額は四千八百七十円となります。そこですでに源泉徴収で五万七千六百円を納めてありまするから、差し引き五万二千七百三十円の過剰納入となるわけであります。これは月収を増したものについて見ましても同じことでありますし、また社会保険報酬八〇%、一般診療二〇%としまして、収入の比例の場合について見ましても同様のことが言われるのであります。従って所得税法第四十二条第二項の規定を百分の五の税率とすることによってこの過不足の矛盾はなくなってくるのであります。一つ御調査の上、租税特別措置昭和二十一年法律第十五号の一部を改正する御意思があるかどうか。この点について大臣の御意見をお伺いいたしたいのであります。
  39. 川崎秀二

    ○川崎国務大臣 ただいまのは所得税法の改正の問題でありますが、今日まで保険医の性格から見まして、国は数次にわたりまして、なるべくこれを保護したいという考え方をもって、諸般の法律あるいは税制改正なども行われてきたことは御承知の通りであります。ただいまのような、たとえば年収七十二万円の収入のある者に対して、実際にはこういう源泉所得税がかかり、さらに他の税がかかっておるので非常に生活は苦しいのだというような具体的な事例をあげてのお話がありまして、これらについては、厚生省の方としては、医者の今日の立場を勘案をいたしまして十分に検討はいたしておりまするけれども、財政当局などの考え方においては、今日これを直ちに改正をして、さらに保険医の立場を守ろうというような考え方にはなかなか同調をしてくれる傾向はないと私どもは大体観測をいたしております。しかし御要望の向きにつきましては、常にこれらの実情を勘案をいたしまして、これは国民各層との均衡もとらなければならぬとは思いまするけれども、今日の医療行政の建前からいたしまして、保険医の立場を擁護するという施策は必要であると考えております。
  40. 八田貞義

    八田分科員 大臣にさらに申し上げたいのでありますが、私の申し上げた意味がはっきりしなかったと思いますけれども、今の月収六万円で年収七十二万円、この人は結局納め過ぎになっておるのが五万二千七百三十円なのであります。これが返ってくるには相当の日数がかかります。もちろんこの五万二千七百三十円というのは月収六万円についての例でございまするけれども、これからずっと多い人は、もっともっと金額がふえてくるわけであります。この金額が無利子で返ってくる。医者はこの間、この過剰納入につきまして、その金だけは銀行から利子を払って借りなければならぬということになっております。それを解消するためには、今の百分の十を百分の五に下げることによってこれが調整できて参るのであります。その点につきまして大臣に格段の努力をお願いいたしたいのでございます。  それから昭和二十六年以来総医療費は一八%増加いたしておりますが、健康保険の外来一件当りの平均点数は、昭和二十六年以来大差がないのでございます。例を申し上げてみますと、二十年度における外来一件当りの平均点は五〇点でございます。二十七年度においては五三、二十八年度におきましては五二・四であります。これに対しまして総医療費を見て参りますと、二十六年度におきまして五百五十億、二十八年度が九百四十億となっております。これをさらに入院費についてわけますると、二十六年度は五百五十億の中の百三十七億を入院費で占めておるのでございます。二十八年度では九百四十億の中の五百十七億を入院費でもって占めておる。すなわち医療費増加というものは入院費の増加でありまして、三倍となっておりまして、その四六%が結核の入院費であるということになって参ります。この際医療問題の核心は結核対策にあることをあらためて認識する必要があります。現在結核ベッド数は、国費の支出、または補助による増床の限界にきたのではないかと考えられますが、厚生大臣のお考えをお伺いいたしたいのでございます。
  41. 川崎秀二

    ○川崎国務大臣 ただいまお読み上げになりましたお考え方は、私どもも多く肯綮に値するお話であろうと考えております。結核対策の問題が今日医療問題の中心問題であることは、何人も否定することができない現実でありまして、これを強化するということが今後の医療行政のテーマにならなければならぬというふうに考えをいたしております。本年の結核対策費は全体におきましては二億円ほど減少いたしておりまするが、これは新規の事業に対しまする政府の全体の抑制政策を行いまして、総選挙で公約したる三つの政策の重点的使用ということに振り向けられたために、犠牲になりました部分が出て参りましたので、新規事業に対する抑制はされましたけれども、従来の線はなるべく充実をさせたいという考え方のもとに、結核対策におきましても、たとえば従来行なっておりました病床増加ということにつきましては特段の措置を講じまして、従前と同様の域にまで復活要求をなし、これを実現をせしめたのであります。今後といえども一そう病床増加ということによって、これらの結核対策の中心であるところの患者の収容に対して、計画的な推進を行なっていきたいことが第一の問題であります。もとより本年は健康診断の対象なども大幅に広げまして、新たに認められたこともあるのでありまして、かれこれ勘案をいたしますれば、結核対策に対しては総額において二億二千万円の減になっておりますけれども、内容的にはそう後退をしたとは私どもは考えておらず、御承知のごとく本年は経済地固め期でありますから、そのためにやむを得ず犠牲にしたものはありますけれども、これは来年度の躍進のための一時の屈曲であると考えまして、今後一そう結核対策充実に向って進みたいと思っております。
  42. 八田貞義

    八田分科員 大臣から、結核対策はベット数の増加にあるから、それに対して努力をするんだというようなお話があったのでありますが、私は国家予算から考えまして、このベット数の増加という問題はもう限界にきておるのではないか、こういうふうに考えておるのであります。もちろん要入院者は、厚生省の調査によりますと百三十七万ある、こういうふうな推定数があげられておるのであります。従って多数の入院できない患者がおるということは事実であります。これは決して病床不足しているからではないのでありまして、他の事情によって入院できないでおるのであります。ですから単にベット数をふやしたから、この問題は解決できるんだというのではないのでありまして、その点をよくお考え願いたいのであります。  さらにまた現在の国立病院におけるところのいろいろなベットについて考えてみますると、多数の入院できない患者がおりまするのに、逆に病床はあいておるという状態があるのであります。さらにまた現在入院している者につきまして、もう入院の必要がない、退院すれば退院できるというような患者が、現在ベットを占領いたしておる。これを入退院基準によって規制すれば、空床は減ってくるということは当然考えられることであります。さらに公人立と法人立の九千床の増床は、現在のような空床の増加の傾向と不適正な入院診療費では、増床の意欲を押えるために、実現困難でありまして、予算の不消化に陥るというふうに考えられます。今後は入院費、診療費の適正化による自然増で十分と考えられまするので、結核の治療を社会保険から切り離し、結核予防法一本として、統一ある効率的国家の援助を与えることによって、社会保険赤字解消し得ると考えられます。そこで肺結核の根本対策を検討し、結核治療の経済的統一をはかるため、結核予防審議会とは別に、国会内に特別委員会を作って、この問題について検討される御意思があるかどうか、大臣の御意見を伺いたいのであります。
  43. 川崎秀二

    ○川崎国務大臣 医務局長よりも答弁をしてもらいますけれども、ただいま御指摘になりましたようなことは、確かに一部分的にはあるのではないかというふうに私どもも考えておりまするし、そういう報告を聞いてはおります。しかしながらわが国の現状からいたしまして、増床計画を中断して、これは限界線にきたなどというような考え方には私ども立っておらず、現に相当多数の入院を要する患者が自宅療養をしておるという実情もありまして、結核対策の積極的な推進政策としては、でき得る限り財政とマッチさせつつ、増床計画はやはり既定方針通り進めていきたいと存じておるのであります。もとよりただいま御指摘のあったような入退院基準というものを十分に守りて、それがために長く入院をしておるという、いわば療養の行き過ぎといいまするか、療養の期間が相当長期にわたるような傾向に対しましては、ただいま御説諭の通り、当局としても十分考慮を払っていくつもりでおります。  最後に御指摘になりました問題でありまするけれども、これらについては十分検討をしてみたいと思っております。
  44. 柳田秀一

    柳田分科員 議事進行。この分科会でありまするが、非常に出席率が悪うございます。現在政府あるいは民主党の方においては、自由党と予算のやみ折衝をおやりになっておる。しかも実際に予算審議すべき本来の土俵であるところのこの分科会において、与党側を見ましてもこの通りの出席である。私は各分科会を見て回りましたが、どの分科会もこの通りであります。従いましてこれは国会法、衆議院規則によりましてこの分科会は成立いたしておりません。従って暫時休憩の動議を提出いたします。主査においてしかるべく善処されんことを望みます。
  45. 藤本捨助

    藤本主査 それでは暫時休憩いたします。    午後二時五十分休憩      ————◇—————    午後三時二十一分開議
  46. 藤本捨助

    藤本主査 休憩前に引き続き会議を開き、質疑を続行いたします。八田貞義君。
  47. 八田貞義

    八田分科員 児童施設の処置費が遅配しているということについて質問いたしたいと思います。  乏しきを憂えずひとしからざるを憂えるといいますが、そうでなくてさえ足りぬ足りぬの嘆きを繰り返している委託費を遅配して、そのようなことはないというようではお役所仕事といたしましてもはなはだひど過ぎるのであります。幾ら委託費がおくれましても、生きた人間を預っている以上一日だって食事抜きにしては置けぬし、医療費がないからといって医療を放任できるものではございません。神奈川県の肢体不自由児を預っている施設が、昨年の十一月以降療養費をもらえず惨たんたる苦労をしているのを初め、委託費の遅配は当然のごとく常識化するに至っております。万策尽きた施設は、いたし方がないから食糧その他の納入者への支払いを延ばすことによって調節しているのが現状であります。支払いが悪くなれば納入者ほそろばんをはじいて百円の値段のものは百五十円に売りつける結果となるようになって参ります。東京の場合三月の事務費を四月十日前後にようやくもらった。四月分の事務費は五月七日現在まだ施設に到着していない。ことにひどいのは肢体不自由児の施設でございまして、ここでは医療費の支払いが非常におくれ、神奈川では十月、十一月分以降がまだ到着しておらない、三月分以降の未達は青森、山梨、福井、石川、神奈川、千葉、宮城、東京の八都県にわたっております。どうしてこんなふうにおくれているかということについて会計課長からお答え願いたいのでございます。
  48. 堀岡吉次

    ○堀岡政府委員 そういう事実がありますといたしますと非常に恐縮千万であります。四半期ごとに予算は令達をいたしておりまして、府県の方からいく仕組みになっておりますが、現実にそういうことがありますならば、調べましてなるべくそういうことのないように努力いたしたいと思います。
  49. 八田貞義

    八田分科員 次いで医療報酬の支払いについて質問いたしたいのでございますが、一体保険医に対する医療報酬支払いというのはどのような順序で支払われているか、これについて一つお知らせ願いたい。
  50. 久下勝次

    ○久下政府委員 私からお答えを申し上げます。社会保険の、特に健康保険医療費の支払いのやり方について申し上げます。医師は前日の社会保険診療につきまして各一件ごとに請求書を作って翌月の五日までに支払い基金の各都道府県の支部に提出をすることになっております。それを受け取りました支払い基金支部におきましては、それぞれの支部に所属しております診療報酬審査会に付議いたしまして、そこで個々の診療報酬の内容につきまして五日から十日前後の期間を設けまして審査をいたします。審査をいたしました結果、今度は各保険医から参りました請求書を保険者別に区分をいたします。健康保険組合なら個々の健康保険組合ごとに、政府管掌であれば政府管掌を一括してそれを集計いたしまして、請求書をつけて各保険者資金の支払いを請求するわけでございます。大体そういうような段取りを経ておりますので、資金の請求は、先月分をその翌月の二十日前後から各保険者に請求をするようになっておるわけでございます。各保険者資金の状況に応じまして、その要求に基きましてこれを支払い基金に送るわけでございます。これは大体は現金の取り扱いではなしに、たとえば政府管掌の保険組合の例で申しますと、銀行を通じまして、銀行の口座に払い込むことによって基金に支払いをいたします。健康保険組合と政府管掌の保険組合とは、この辺の手続きが若干違いまして、各都道府県の基金支部におきましては、政府管掌分についてはこれを一括して資金の要求を基金本部に持って参ります。基金本部はこれを取りまとめまして、取りまとまりました都度厚生省の方に資金の支払いを請求して参ります。私どもの方では主として保険料の収納による資金の都合を見まして、逐次これを分割して基金に支払うわけでございます。それを受け取りました基金本部は、さらにこれを府県にやりまして、各府県基金支部では、この基金が集まりますと、これは各県によって多少の違いはございますけれども、各保険管掌別に支払いをすることは非常にめんどうでございますので、保険医を地域ごとに区分をして、一括して保険医に基金のあるごとに応じまして順次支払いをしていく、従って月によって遅速が出て参りますので、地域を漸次かえるというような方法をとって、長い目で見ますと公平に支払いが行われていくようにしているわけでございます。従来までの実績を見ますと、この赤字問題などが起きましたために支払いに遅速はできておりますけれども、大体ある月の分の診療報酬はただいまのような手続きを経まして、翌々月の終りまで二カ月おくれで支払うというのが慣例でございまして、最近はおおむねそういう状況になっておるわけでございます。
  51. 八田貞義

    八田分科員 今の順序はよくわかったのでありますが、しからば保険医に支払われるのは銀行から支払ってもらえるわけなんですか。
  52. 久下勝次

    ○久下政府委員 支払い基金の取り扱い銀行は一応全国的に一銀行扱いでありまして、同時に各都道府県で一ないし二の都道府県ごとの取り扱い銀行をきめております。そういうところにお医者さんは大てい口座を持っておられますので、そのお医者さんの口座に払い込むことによって支払いをするのが原則でございます。
  53. 八田貞義

    八田分科員 そうすると東京都の場合は一体どことどこの銀行を支払い基金では指定しておられますか。
  54. 久下勝次

    ○久下政府委員 富士銀行、住友銀行、三菱銀行、千代田銀行、これだけの銀行が取り扱い銀行になっております。
  55. 八田貞義

    八田分科員 幾つですか。
  56. 久下勝次

    ○久下政府委員 四カ所でございます。一般の全国的な扱い銀行が富士銀行でございますが、合せて四つでございます。
  57. 八田貞義

    八田分科員 東京都の場合を聞いているのです。全国の場合でなくて、東京都の場合に、どことどこの銀行を指定しているか。
  58. 久下勝次

    ○久下政府委員 大へん失礼いたしました。東京だけで申し上げますと、富士銀行は全国的な基金の扱いをしておりますと同時に、地方的な扱いもしておりますので、東京の場合にもやはり取扱い銀行に入っております。そのほかに千代田銀行と三菱銀行であります。
  59. 八田貞義

    八田分科員 この三カ所になったのはずっと前からでございますか。私の調査では、三菱と富士だけと聞いておるのでありますが、間違いないのでありますか。この点はっきりしてもらいたい。いいかげんに答弁されないで、はっきり答弁していただきたい。
  60. 久下勝次

    ○久下政府委員 どうもはっきりしないことを申し上げて恐縮でございました。富士銀行と千代田銀行は当初から扱い銀行になっております。私もうっかりいたしておりまして、二つの名前を重ねましたけれども、千代田銀行は最近三菱銀行に改名したそうでありますから、従って結局最初から地方銀行として千代田が入っており、全国的な扱い銀行として富士がやっておるわけであります。
  61. 八田貞義

    八田分科員 もう一つ伺いたいのですが、東京都の一カ月の支払額は、金額にしまして、また件数にしてどうですか。
  62. 久下勝次

    ○久下政府委員 東京だけの数字は今持ってきておりませんが、すぐわかると思いますので、後ほど調べまして御報告申し上げます。
  63. 八田貞義

    八田分科員 自分の調査によりますると、一カ月の東京都におけるところの支払いは十億、件数にしまして百件以上ということになっておるわけであります。この十億の支払いをたった二つの銀行に許しておるということは、これは想像すればもちろんいろいろなことが想像されます。外米の輸入問題につきましても、輸入商社を二、三カ所にきめておったために非常な問題が起って、最近は、七、八カ所にふやしたというふうになっておるのでございます。しかも月十億の支払いをするような厖大な金を扱うのに際しまして、たった二カ所の銀行しか許していない、またそういうような事情にあるということにつきまして、お考えになったことはありませんですか。
  64. 久下勝次

    ○久下政府委員 当初から全国的な取扱い銀行一行と、各地方ごとに大体原則として追加して一銀行を取扱い銀行とするということにいたしてやってき  おるわけでありますが、この理由は、主として支払い基金における支払いの事務の簡素化のためでございます。取扱い銀行が多くなり、保険医によって口座がまちまちになりますことは、支払いの事務の上にそれだけめんどうが加わりますので、別に深い理由はないのでございますけれども、そうした理由から、できるだけ取扱い銀行を限定しておきました方が、結局は事務が迅速に運ぶゆえんであると考えまして、その方針を続けておるのでございます。
  65. 八田貞義

    八田分科員 事務の都合からとおっしゃるのですが、金額にしまして非常に大きなものでございます。単に支払いの手続の面から簡素化するために二カ所にしているのだということは弁解にはならぬと思います。十億の金であります。しかも今日の支払いの状況を見てみますと、まず日本銀行で小切手を切って、支払い基金から本店にいく、本店から支店の方に回っていく、そうすると支店は一カ月、一カ月の月末において金を預かっている高が多いほど支店長の顔が広い、そういうようなことで、当然支店の方に回った本店の支払い金額をすみやかにお医者さんに払うべきものを、月末に払わないで月初めになって払うことが現実において行われておる。しかも銀行において一週間以上も支払いが押えられているというような現状であります。その点について十分お考え願いたい。盛んに支払いの簡素化をねらうために二カ所に指定をしておるのだとおっしゃいますけれども、十億の金です。十分に調査になって、このような二つの銀行に限定しないでもらいたい。二週間も銀行にとめておいてどのような利子がつくか。その点についても十分に御検討願いたいのであります。二カ所の銀行ではなくして多数にふやした方が、むしろ保険医の便宜がはかられるものであります。どうかこの点を十分にお調べになって、二カ所の銀行に定めておくことは、金額の面から考えてもいろいろな想像ができるのでありますから、早急に改めるようにお願いいたします。
  66. 久下勝次

    ○久下政府委員 御指摘の点につきましては、私どももそのためにいろいろな弊害が起らないために、厳重な注意をいたしておるのであります。この銀行指定の問題につきましては、厚生省自身の決定よりむしろ支払い基金の方針に一応まかせております。多数の銀行から取扱い銀行になることを要望している向きもありまして、この点につきましては、むしろそうした多数の要望を押えるのに苦心をしているような現状であります。しかしながらそのために問題があるようでありますればこれは重大なことでありますので、私ども厳重に注意をいたしたいと思います。またこの方針が、果してお医者さんの便宜のため、支払い基金の事務運営上絶対のものであるかどうかということにつきましては、御指摘の点もありますので、十分検討いたしたいと思います。
  67. 八田貞義

    八田分科員 その点を十分に調査されまして、保険医の希望をいれて、多数の銀行に支払いをさせるように持っていかれることを希望いたします。  さらにこの支払い基金の事務員の数をお聞きしたいのであります。
  68. 久下勝次

    ○久下政府委員 東京に本部がありまして、各都道府県に支部がありますが、職員の総数は二千五百六十名であります。
  69. 八田貞義

    八田分科員 その職務事務費は、年間どれくらいになっておりますか。
  70. 久下勝次

    ○久下政府委員 ただいま申し上げましたのは、基金の籍のある職員でありますが、御案内の通りそのほかに審査委員がございます。これに関しては、他に本務を持っておられる方が大部分でありますが、若干の手当を差し上げて審査事務をお願いしております。この数が全国で千二百三十名で、これらに対する手当等も含めて、主として基金の予算はこうした事務費であります。建設費として若干事務所の建設もありますが、ほとんど大部分は事務費でありますが、昭和三十年度予算は収支総額十二億であります。
  71. 八田貞義

    八田分科員 十二億という人件費のお話を聞きましたが、自分の調査と当っているので非常にびっくりしております。すべて社会保険事業とか、慈善事業には、なるべく人件費を減らして医療給付の方にふやしていくということが必要であると思うのであります。このような膨大な人間をかかえていなければ支払い基金の事業が達成できないのでしょうか。少くとも慈善事業とか社会保険事業というような問題につきましては、なるべく事務費を節約していくべきものであると考えております。
  72. 久下勝次

    ○久下政府委員 御趣旨の点はごもっともでございます。もちろん支払い基金の事務費と申しますのは、御案内でいらっしゃると思いますが、各保険者から支払いの委託を受けます契約の場合に、実際にこういう費用がかかるからということで、問題はいつも支払い基金の理事会で、提起されまして、交渉が行われた結果、一件当りの事務費、従来十二円五十銭ずつの支払いを受けて基金の運営をやっておるものでございます。私どもの見ますところでは、実は非常に能率を上げてきておりまして、取扱い件数の増加の割には増員を極度に押えて今日までやらしてきておるつもりでございますが、なお昭和三十年度におきましては、特に政府全般の事務費節減の方針にも沿いまして、一応各保険者との間におきましては、一件当り十二円五十銭という事務費の話がついておったのでありますけれども、ただいまの仰せになった趣旨と同様に、事務費は極力節減すべきである、かような考え方から、私どもの方から支払い基金の方に話をいたしまして、結局一件当り十二円、一件当り五十銭の事務費の節減をはかるようにして、実際上の一たんきまった予算を実行してもらうように要請をしておるような次第であります。
  73. 八田貞義

    八田分科員 今の事務費の節減につきましての御方針を聞きまして、ほぼ了解いたしたのでありますが、今日のように診療の審査とか監査を厳重にして収納率を高めていこうということになりますと、そうして支出もやっていこうということになりますと、これを銀行にゆだねましても十分やっていけるのじゃありませんか。二カ所の銀行にゆだねておりますから、このような膨大な人間をしょい込まなければならぬのであります。診療監査を厳重にして収入率をあげていくというその人件費は、そのまま銀行の方に移しましても十分にまかなっていけると思うのであります。さらにこのような、一カ月に十億というような金を支払うという場合、これの金利を十分に見込みましてもやっていけるはずであります。二大銀行だけじゃなく、五大銀行あるいは六大銀行の支払いを盛んに保険医は願っておるのでありますから、このような面において支払い銀行をふやしていただく。そうしてできるならば支払い基金の人員を減少するように、ある程度の事務は銀行の方に移しかえるというような方策もといっていただくように御研究願いたいと思うのであります。そのことを希望いたしまして、私の質問は終ります。
  74. 藤本捨助

    藤本主査 それでは曾田医務局長
  75. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 ラジウム購入費といたしまして、たしか一千六百五十万円でございましたか、明年度予算案に盛り込んでいただいておるのでありますが。この趣旨は国立病院自体が使うということを主眼点といたしておるわけではございません。ただいま国立病院で持っておりますのは、全施設で一・六グラム程度になっておるのであります。これは今日の診療といたしましては、病院としても不足をいたしておるのでありますが、今般組んでいただきましたのは、むしろ民間の施設からもいろいろコバルトの購入、輸入ということを希望しておられる向きがあるのでありますが、御承知のように国外から輸入しなければならぬというような状況でもございますし、また診療所といたしましても、比較的小規模の個人的な診療所におきましては、絶えず使うものでもない。しかし、ときどき使いたいというようなことがあるということを聞いておりますので、今般一グラムでございますが、これだけ購入いたしまして、使用の御希望があるものにお貸しをするという意味でこの予算に組んだわけであります。これに対しましてコバルトが適当ではないかという御質問のようでありますが、この点につきまして、ラジウムがいいか、コバルトがいいかということでいろいろ検討をしてみたのでありますが、今のように私どもの病院、特に大きな病院におきまして治療に使うという点でありますと、最近はラジウムをわざわざ買いますよりも、むしろコバルトの方が比較的安価で、治療の目的にもかなうというように考えられるのでありますが、趣旨が今申し上げましたように、かなり舞阪の地にもこれを配置しておきまして、そうして外からの御要望に応じてこれをお貸し出しするという趣旨でございます。こういう点になりますと、半減期の長いラジウムの方が使いやすい、一々この放射能を測定して使わなければならぬという点がコバルトにおいては非常に不便であるということと、もう一つは、比較的強度の照射を行いますときには、御承知の通りにコバルトが便利でございますが、非常に微量の、数ミリ、あるいは十ミリ、二十ミリ、せいぜいその程度の非常にわずかの照射を行うということになりますと、ラジウムの方がより使いやすい。コバルトは一時に比較的強い照射を行う場合に便利であるというような事情がございまして、ここで私ども考えておりますのは、むしろ一ミリのピンを買いたいというふうに考えております。比較的緩慢な効果というものをねらっております。そういう点からいきますと、ラジウムの方が便利である、しかも値段におきましても、大量になりますと、コバルトとラジウムとでは非常に価格の差が出て参りますけれども、一ミリ程度のものでございますと、その放射性物質それ自身よりも、御承知のように、これをピンにし、あるいは容器の中に入れますので、値段があまり変って参りません。たしか一方が一ミリ一万六千円で、一方が一万八千円かなにか、それくらいのものになっております。しかもこの使用の持続期が、一方は御承知のように半減期がわずか五、六年、一方は千年以上にも及び、ほとんど半永久的のものでございます。その目的から考えますと、ラジウムの方が適当であろうというふうに考えた次第であります。
  76. 藤本捨助

  77. 柳田秀一

    柳田分科員 大臣がおられませんけれども、ちょっと政府委員にお尋ねします。先般社会労働委員会で問題になっておりましたけれども、国立療養所の付添婦の廃止問題に関する決議が行われました。今の段階ですぐに厚生当局が考えておるような結論を出すことは正しくない、こういうような決議があって、大臣もこの決議の趣旨に沿いたい、善処する、かように答えておられます。従ってこれに対して実際にどういうふうな処置をとられんとしますか。簡明直截に伺いたい。
  78. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 御決議に対しまして、私どもがそれをどういうふうに受けて具体化していくつもりであるかというお話でございます。この点につきましては、大臣も一応の見解を社会労働委員会においてお述べになったのであります。私どもとしましてはあの決議の御趣旨というものは十分理解できるのですが、さてそれではそれを具体的にどういうふうに取り上げていくかということにつきましては、さらに慎重に考えさせていただきたいというふうに思っている次第でございます。
  79. 柳田秀一

    柳田分科員 それではちょっと決議を読んでいただきたいのです。
  80. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 決議は次のようになっております。「付添婦制度に関する件。昭和三十年度において政府国立療養所の看護委員充実を計る意図であるが、これに伴って直ちに現行付添婦制度を全面的に廃止するが如きことは、実情にそわざるものと考えられる。よって、政府はこの実情を考慮の上、療養所管理の実態の改善のため、充分なる方途を講ずべきである。」
  81. 柳田秀一

    柳田分科員 それでもう大体結論は出ているわけです。直ちに全面的に廃止するということはいけない、こういうことなんです。だから、これを廃止するのかせぬのか、そのところを明らかにしていただきたい。
  82. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 ここに出ておりますように、私重要だと思いますことは、「これに伴って直ちに現行付添婦制度を全面的に廃止するが如きことは、実情にそわざるものと考えられる。」というふうにうたってございます直ちに全面的に廃止するというようなことがないようにという御趣旨につきましては、私これはそらんじてもおりましたわけなんであります。直ちにあるいは全面的にというような御趣旨でございますが、これを今まで私どもが考えておりましたこととどういうふうにかみ合せて参るかという点について、いろいろ具体的のことはまた各療養所の実情というようなものをよくにらみ合せて考えさせていただきたいというふうに申し上げたつもりでございます。
  83. 柳田秀一

    柳田分科員 あなた方が考えておられたことはいけないということをきめたのです。そういうことは今実情に沿わない。だから、あなた方も虚心たんかいに、委員が決議したのですから、自分たちの考えたことを、何とかこの文案にひっかからぬように、少しでも言いのがれのできるようにやほりやっていこう、そういうような考えじゃなしに、今直ちにそういうようなことをやるのはいけない、そういう趣旨なんです。家康は国家安康とかいう鐘の文句をいろいろなふうにもじりましたが、そんなもじり方じゃなしに、その文章は、今厚生当局が考えておるようなことは実情に沿わない、こういうことです。従って当分の間現状通りでいくのか、それともやはりあなた方が考えておったことを、委員の決議を尊重しましたというような何とか理屈だけつくならばやっていこうというのか、どうなんですか。
  84. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 ただいま申し上げましたように、この看護委員充実をはかっていただきたいというのが私ども御審議願いました予算案の内容なのでありまして、この限りにおいては御賛成を得たものというふうに考えておるのであります。でありますから、私どもが考えておりましたことを別に全面的に御否定なされたものというふうには思っておりません。この御趣旨に従って、今回御承認をいただきますれば、この予算案の実施に努めたいというふうに考える次第であります。
  85. 柳田秀一

    柳田分科員 それは確かに理想としては完全看護、完全給食というようなことはわかります。また事実つき添い制度というものがいい制度ではないことは、この間参考人を呼んでいろいろ聞いたときでも言われておるわけです。ただ今の社会情勢の現段階の中であのような政府の考えておられることは無理だ、こういうことです。だから問題は、これをどうやっていくかということで、これはすぐ結論が出るはずです。当分の間は現状で参りますとおっしゃるのか、それともやはり常勤の日雇い労務者として政府が考えておられるようにやっていかれるのか、その中間の案でやられるというのか。行き着く先はそれくらいしかないのです。ごく簡単ですが、どうなんですか。
  86. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 社会労働委員会におきましても私どもはいろいろ御説明申し上げたのでありますが、私どもとしては、ちょうだいいたしました予算をできるだけ効率的に実施して参りたいというふうに考えておるわけでありますが、その際に各委員の御意見としましては、それを非常に窮屈に強行するということがあってはいろいろ支障を生ずるぞ、そういう点について十分注意をして、直ちにと申しますか、この直ちにというのを文面通りに解釈いたしますれば、昭和三十一年の一月一日からきっちりと直ちに実施するということ、またこの予算が通ったからということで付添婦を全部一気にやめてしまうということがあってはならぬぞというような御意見と見ておりました。その点について十分考えて、さようなことはいたすまいというふうに思っております。
  87. 柳田秀一

    柳田分科員 大体御意図はわかりますが、予算は足らぬことはありませんね。二本建でいけ、こういうような大体の要求がありましたが、あなた方の今度の定員の改正と申しますか、正確に日雇い労務者が定員に入るかどうか知りませんが、もう一つは生活保護によるもの、この足らず前は資金運用部資金から、あるいは予備金からでも支出できるのですか。これは予算の面では支障を来しませんね。
  88. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 これは私の方からお答えをいたすべきかどうかわかりませんが、私どもの方としましては、療養所の職員の人件費が組んでございます。それから付添いの経費社会局の方の医療扶助費の中に入っております。そちらの方は今まで通りずっと残っておるというふうに私は了解しております。
  89. 柳田秀一

    柳田分科員 だから結局本年度予算がかりに通ったとしますね。そうして先般の社会労働委員会の決議を尊重して、当分の間従来通りやっていても予算の面において執行上不都合を来たすようなことはないでしょうか、その点を聞いておるのです。
  90. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 また私からお答えをいたしますが、私どもとしましてはさような事情が出ましても予算としては差しつかえはないものというふうに了解しております。
  91. 柳田秀一

    柳田分科員 予算面で差しつかえなければ、あなた方はやる考えさえあればそれはやれるわけです。予算の面で差しつかえがあったならば、これはいかに行政当局がやろうと思ってもやれませんので、今の答弁を聞いて安心しております。だからあとはほんとうに社会労働委員会の決議を尊重する御意図か、実際に今後あなた方の行政措置に現われるかにかかってきているわけなのです。これ以上は申しませんけれども、十分せっかくの決議を尊重されるように要望しておきます。  それから久下さんにお尋ねしますが、先般も予算委員会で問題になりました駐留軍健康保険の料率、千分の五十を千分の五十八に改めるように一致した要求があったのですが、いまだにアメリカの方が何かそれをしぶっておるとかいうので、厚生省で認可をお与えにならぬようですが、どういうふうになっておりますか。
  92. 久下勝次

    ○久下政府委員 駐留軍の健康保険組合の保険料率の問題は、大体ただいま御指摘の通りでございます。一応駐留軍労務者の健康保険組合の組合会におきまして議決がありまして、議決としては有効に成立はいたしておるのでございます。ところが私から申し上げるまでもなく、日本の法律の上から申しますと、事業主は調達庁が代理して形式的には大体日本の政府ということになっておりますけれども、保険料の事業主の負担分は実質的にはアメリカ軍が負担することになっております。従いましてこの決議が有効に実施せられますためには、アメリカ軍の了解がないと結局事業主の保険料の負担分がないことになるのでございます。それで調達庁といたしましてはその点について組合会の決議が行われます前から折衝をしておりまするし、また私どもも側面から応援をしたりしてやっておるのでごいますが、今日のところいまだに米軍からその承諾を得られない実情でございます。そこで調達庁からも、この認可をしてもらいましても結局実行ができないから認可を待ってくれというような内面的な連絡がございますし、私どもといたしましても、かりにこれを認可しても有効に事業主負担分が支払われない結果になりますので、今日のところまだ認可をしておらない状況でございます。実情問題としましては困りますので、事実上従来の保険料率によりまして、その範囲内で事業運営できるような便宜的な予算措置を講ずるようにいたしておる次第であります。
  93. 柳田秀一

    柳田分科員 そうしますと厚生省の方で認可はしたいが一したいというと、これは少し私の言い過ぎかもしれませんが、そういう御方針でありましょう。片一方の現在問題になっております健康保険の方は千分の六十そのものが大体世界でも高いので、それをまた六十五まで上げようという厚生省ですから、五十八なんか文句はないと思います。ただ事業主の方が承知しないから認可しない、そういうことでありますと、現在の健康保険千分の六十を千分の六十五にする、これは行政措置でおやりになれると思いますが、六十五にするのにも御承知の通り事業主が反対しております。従いましてやはり事業主の反対があるからこれはやめよう、同じ理屈になりますが、相手がアメリカ軍であろうと日本の事業主であろうと、事業主においては変りありませんか、理論的にどうですか。
  94. 久下勝次

    ○久下政府委員 私はその両者の間には性質上の相違があると考えるのでございます。健康保険法というか、国会のおきめになりました法律によってそういうことを行政上きめ得ることになっておりますので、これは法律的には差しつかえなくできるものと思うのであります。健康保険組合の場合には、本来ならば料率の引き上げということにつきまして組合会の決議が成立いたします前提としては、当然に御案内の通り組合会には事業主と健康保険組合の代表者が同数ずつ出ることになっております。それで普通の健康保険組合の場合には組合会の議決が有効に成立いたしました以上、事業主の反対ということは考えられないのであります。ただ駐留軍健康保険組合は少しその点性格が違うのでございます。言いかえますと、これは形式的な法律上の問題としては、事業主となっておる調達庁関係者の選定した委員が賛成した形になっておりますから、そういう意味におきましては事業主は賛成したということが言えそうでありますが、しかし私から申しますまでもなく、保険料負担という面から申しました実質的な事業主は米軍でございます。これは全然同意を与えてないわけでございます。従いまして、料率を引き上げるということは私どもの問題ではなくて組合自体の問題でございますが、米軍の了解なしにかりに形式的に認可をしてみましたところで、実際問題として事業主負担分が支払われませんので、事業主負担分が支払われないにもかかわらず組合員、被保険者からは保険料を一方的に取り上げるというわけに亀参らないだろうというような考慮から、認可を差し控えているにすぎないのでございまして、ただいま政府管掌の料率を引き上げる問題と対照してのお話でございましたが、私は性格的に差があると考えておるのでございます。
  95. 柳田秀一

    柳田分科員 これは実際はあなたに尋ねるより調達庁長官にお尋ねしなければならぬ。あるいはこれは日米合同委員会に持っていかなければならぬ問題です。しかしながら厚生省は少くとも片一方においては料率千分の六十を六十五にお上げになっておるのです。そうしてそれもちゃんと正規の機関として決定してあるのですから、とにかく一応認可しておかれて、それをもって調達庁をして米軍との交渉をせしめる、これは当然のことなのです。ただしその実施に関してはそこに少しのクッションを設けることはやむを得ない。それくらいのことは厚生省は堂々とおやりになったらいい。片一方は事業主——事業主といっても、これは今言われましたように、実際には政府の機関で代表して決定しているのですから、ほんとの事業主はアメリカの縄張りでしょう。私はあまり詳しく存じませんが、先般配られた資料によりますと、大体駐留軍の労務者の費用はドル払いなんです。そして実際はドルで払わなければならぬものを、二十七年まではドルで払っておったらしいが、二十八年、九年と円で立てかえられておるということを聞いている。措置は私はできると思うのです。円で立てかえ払いをしておいて、あとでドルで払うということもできるのじゃないか。厚生省は少くとも一応認可だけされておいたらいい。それによって現段階で片一方では千分の六十まで上げているのだ。千分の五十を五十八に上げることは当然の要求だ。厚生省が認可した、これに基いて調達庁は日米合同委員会で米軍と交渉してほしいとやったらいい。それがあなたの方が受身の立場に立って、ことに相手が米軍だとすぐそういう態度になる。私は認可してもいいと思う。しかしそれを行政当局の行き過ぎだとはだれも思わぬと思うのですが、どうですか。
  96. 久下勝次

    ○久下政府委員 その辺になりますと、あるいは見解の相違になるかもしれません。日本の法律に従って健康保険組合を運営するということは、根本的には米軍も了承しておるのでございます。従ってそういう意味で組合会が有効に成立いたしました以上、私どもは、申請があれば当然認可をしてもいいと思うのでございます。しかしながら、ただし書をつけさせていただきたいのでございますが、問題は調達庁からも現に私どもの方に認可をしないでおいてくれという内面的な連絡もあるのでございます。これは率直に申しますと、政府部内でこういうことを出すのはいかがかと思いますけれども、調達庁としては、結局実質的に保険料を負担するのは米軍でありますので、組合会にいわゆる組織的な事業主代表の形で出ましたときに、その案に同意をする前提として、組合会前に米軍の了解を得ておくべきだというのが私の見解であります。そういうことをせずに、ただ当然のことだから賛成をするといって、組合会の議決を有効に成立させておいて、あとから委員会を開いてくれというのはおかしい。同時にまた、私どもが認可をいたしましても、被保険者側の意見を聞きましても、米軍が事業主としての支払いをしない風上、われわれは保険料の増額分を払うのはいやだということを明確に表明しておるのでございます。そういたしますと、認可はいたしましても、予算の執行はできません。予算の認可と同時になりますから、執行の可能性のない予算を認可することになりますので、そういう意味で私は差し控えておるのであります。結果におきましては、先生のおっしゃるのと同じように、認可をしておいて交渉するのだ、認可は当然すべきである。私どもはするつもりで折衝しておりますし、また日米合同委員会にサブ・コミッティーを作りまして、私どもの方からも代表者が参画して、そういうことを米軍に申し入れておるのでございます。従って筋としてはこの際認可をしておいて交渉するのがいいか、あるいは認可をしないでおいて交渉するのがいいか、これは手段の問題でありまして、実質上の差はないものと思います。
  97. 柳田秀一

    柳田分科員 これは十六万人の組合員ですから、相当大きいのです。あなたと話しておっても始まらぬので、これは第一分科会の方で承わることにします。  それから、今度の社会保障制度改悪の標準報酬改訂、料率の引き上げ、被保険者の適用範囲の縮小、継続給付の資格の制限、こういう改悪の政府案ですが、私は厚生当局も好んでああいう線をお出しになったとは決して思っておりません。大蔵省から追い詰められて、やむにやまれずお出しになったことはよく察しております。しかし、これは現実には明らかに改悪です。その証拠には、社会保険審議会ですか、それから社会保障審議会、どちらにも難色があるようです。先般予算委員会で、もしそういう諮問機関がノーという結論を出したらあなたどうするかと言ったときに、ノーとは言わないだろう、こういう大臣の答弁で、しかも結論が出ぬ先で水かけ論になりますから、それ以上追及しませんでしたが、現在ノーと出ているわけなんです。そうなってくると、立ちどころに赤字解消厚生当局の考えは根底からくずれてくる。料率の引き上げだけで二十五億ほどの財源を見込んでおられる。標準報酬の改訂でやはり五億ほどの財源を見込んでおられる。そうすれば三十億です。七十億の赤字解消の約半数は根底からくずれてくるわけです。大臣は労使双方に渡りをつけるために一牛懸命やっていると言っておられますけれども、おそらく労使双方ともそう簡単にのまないと思う。おそらく結論はノーであろうと思うがその場合どうされるのですか。
  98. 久下勝次

    ○久下政府委員 まず御指摘のような赤字対策、財政対策を考えまして、その一環としての法律案を国会に提案しておりますことは、御案内の通りであります。この問題につきましては、政府といたしましては、すでに予算にその趣旨を盛りまして、国会の御審議をわずらわしている次第でございます。従いましてそういう段取りに相なっておりますのに、諮問機関の意見が反対であるからといって、政府みずからが予算の修正に響くようた問題を出すことはいかがであろうかというような考え方もありまして、問題は国会の御審議におまかせをして、国会の御意見によって決する以外にはないと私は考えているものでございます。国会においてノーという結論が出たらどうかということでありますれば、これはそのときの問題でございまして、結局は予算がかりに通りましても、その執行ができない。結果において、昭和三十年度は一応私どもは努力して赤字の出ないようなことをいたしましたが、この分だけ赤字が生ずるという結果にならざるを得ないじゃないかと思います。今から私そう悲観的なことを考えているわけじゃございませんけれども、何とか一つ御説明を申し上げて御了承を得まして、少くとも健康保険は今年度赤字を出さないで済まし得るような対策を立てたいという考えでございます。
  99. 柳田秀一

    柳田分科員 今のあなたの答弁は大分重大な問題を含んでいる。実は国会の審議もあるんだから、予算に反するようなことを政府から言えない。政府はそうでしょうが、審議会の方もそういう線をお出しになることを期待するというような、表現は違いますが、多少そういうニュアンスの御答弁があった。これは私は重大だと思う。なぜ重大かというと、それは諮問機関であるから、諮問機関の決定通りやらなくてもいいんですが、順序が違っているのです。第一、諮問機関というトンネルを通じて、その諮問機関の決定を尊重されて、料率を上げろ、標準報酬を上げろ、適用範囲を狭めろ、そういうことを厚生当局案として、それに基く予算を国会に出されたならば、あなたの議論が立ってくるけれども、肝心かなめの諮問機関を通さずに予算を出されて、諮問機関にかけられている。ここに問題がある。これでは何のための諮問機関か。トンネルの機関ではなしに、ただ形式をととのえるためにあとでイエスを言ってくれという。これじゃ戦時中のいわゆる翼賛議会の精神とちっとも変らない。それじゃ初めから諮問機関は要らない。だからこういうように事後承諾を求めるといっても、諮問機関は事後承諾を与えない。国会の方も、今情勢を聞いておりますと、民主党の方でもあっさり否決されてもかまわぬというような空気があるらしい。そうなって参りますと、本年度健康保険赤字対策は、半分根底からくずれてくるのです。だから根本問題は厚生当局がトンネル機関を先に通じて、それからその諮問機関を尊重されて、−諮問機関の決定線を全部受けられるならなおさらそれに越したことはありませんが、諮問機関ですから十分尊重されて、そうしてそれに伴うところの予算措置をつけた原案というものが出てこなければならない。逆になっております。ここに問題があります。だから私は今あなたがおっしゃるような赤字対策が何とかうまくいくだろうということはとてもできないと思う。従っておそらく現状では両諮問機関とも、社会保険審議会社会保障制度審議会も、どちらもあなた方の御期待に反して、ノーという、あるいは全面的にノーというのでなくても、実質的にはノーという答申を出してくると思いますが、そういう際に、かりに国会の予算が多少修正されたにしても、とにかく予算が通った、ところが諮問機関の意思がかりにノーときた。そしてそれに予算措置が合わなくなってきた、その場合にどうされますか。やはり諮問機関の意思は一応承わっておく、聞いておくというだけで、政府の考えておられるところの原案を強行されるのですか。
  100. 久下勝次

    ○久下政府委員 まず最初に御指摘のありました諮問機関と政府の方針決定とが前後しておるために問題があるという御指摘はごもっともであると存じます。その点は社会保険審議会におきましても、繰り返し指摘をされた問題でございます。ただ現在の政府全体の、この問題のみならず全般的な問題の取り扱い方と申しますか、——かりに諮問機関があります厚生省としては、政府予算方針の最終的な決定がなくても、ある種の対策を考えて諮問をすることは不可能ではないと思います。不可能ではないと思いまするけれども、正式に政府の意見として予算の決定をいたします前に、予算関係のある方針を打ち出しますということは、実は従来の慣例からいきましてもできないと申してもいいくらいな実情であります。事前に意見を伺いましても、その意見の通りやろうと努力をしましても、最終的な予算の決定の際にはいろいろ政策全般の関係から、審議会等で事前に要望された通りにならない場合があるわけであります。そういう場合はもちろん、またかりに要望された通りになったといたしましても、最終的に政府の方針として正式に国会に提案をいたします場合には、法律の定むるところによって審議会審議を経なければならないわけでございます。そういうようないきさつになっておりまするので、事前に案を考えてやればよかったという御指摘の点はごもっともでありまするが、実は政府全体の方針が予算の折衝の最終段階に至りますまで、正式には決定ができなかったのであります。しかももうきまったときには予算の大ワクはきまってしまったという段階で、御質問ではございませんでしたけれども、私どもは社会保険審議会におきましてもその点は指摘されました。少くともこれから先健康保険についての根本的な対策を検討いたします際には、おそらくこういう慣例でありまするので、事前に財務当局等の了承を得て、政府全体の方針を必ず来年度予算にはこういうことを盛るということまで約束は得られないかもしれませんけれども、少くとも非公式な意味でも事前に審議会の御意見を聞くことにいたしましょう。その御意見に基いて予算の折衝もし、その上であらためて正式な諮問をするような段取りを進めることだけはお約束申し上げたい次第でございます。
  101. 柳田秀一

    柳田分科員 大体あなたの言われる通りだと思います。大蔵省の方は医療費の一部自己負担というような原案を出してきて、それで厚生省案が一転、二転、三転しておるのですから、それは事務当局の御苦衷はよくわかります。事務当局は受身の立場で御苦衷はわかりますが、最後に大蔵省から予算のワクを示されてきてああいう決定線が出たときに、なおトンネル機関を経なければならないので、こんなものはとうてい通らない。かりに予算をおきめ願っても、われわれはこれからこういうトンネル機関を通さなければならぬし、こんなものではトンネル機関を通るなんて考えられないし、実際に行政執行できませんというような、強い腹で大臣を補佐されないと、社会保障政策というものは実際に推進できません。大臣も、民主党内においても閣議においても相当検討したと思います。思いますが、最後には大臣ものんできた。自分の考えていた通りにはいかなかったが、最後にはのんできた。しかもそれによってその中でやれということで、あなた方もしぶしぶこういう作業を始められたと思いますが、とうていそれではトンネル機関を満足に通過しません。予算がかりに通ったとしても、実際に執行ができません、これくらいの強い態度で補佐しなければ、どの大臣がきても——今の大臣なんか、社会保障制度についてかなり深い熱意と理解とを持った大臣だと思うのですが、どの大臣がこられても、事務当局がそのような弱腰では、社会保障制度というものは実際に推進されぬと思うのです。社会保障制度審議会社会保険審議会にこんなものをかけられても、社会保険審議会がそうですかとのむわけはない。それはわかっている話です。あなた方もよくおわかりになっておる。しかも仕方がないからというのでやっておられるのですから、実際行政事務に当る方の御苦衷はわかりますけれども、実際にこれは大きな穴が出るだろうと思います。しかしこういうことは根本的な問題ですから、今あなたにどうこう言っても仕方がない。今後はやはりトンネル機関があるものは、先に通すという率直な御答弁もありましたから、この問題についてはそのくらいにしておきましょう。  それからこれも仮定の問題にはお答え願えぬと言われるかもしれませんが、吉田さんほどでもないからお答え願いたいと思いますが、国民健康保険が今二割の助成措置ができておる。法的根拠はございませんが、今までの状態ですと、おそらく医療給付に対しては二割補助しろ、こういう法律案が通過する見込みが大であると私は思っております。その際には現実においては今の助成措置では二割になっていないのです。やはりここで予算的に執行上不足分が起ってくると思いますが、かりにそういう法律が通ったとしましたならばどういう措置をされますか。
  102. 堀岡吉次

    ○堀岡政府委員 その法律の内容によると思いますが、それが義務費であるということになりますれば、これは将来予算を執行してみまして、不足が出るならば予備金から支出をするなり、あるいは適当な機会があれば予算補正の措置をするなり、あるいはまた被保険者数や医療費がどの程度に伸びますか、その算定のいかんに上りますが、その中でやれれば、その中でやることになると思います。
  103. 柳田秀一

    柳田分科員 その答弁けっこうです。この問題は、一本釘をさしたのは、かりに法律が通っても、それを現在の予算の中でいわゆる事務的な操作をされて、当面本年度は糊塗するというようなことをされる危険が多分にあるので、その点一本釘をさしておきたかったのです。足りなかったら予備金から出すという御説明ですからけっこうです。  それから従来社会保険単価の問題が盛んに取り上げられましたが、健康保険全体の赤字の問題に隠れて、少しこれが従来ほど論議されておらぬのです。あの当時保険局長の御答弁では、もう漸次満足すべき御答申をいただける段階にまできておる、こういう御答弁でありましたが、これもこの諮問機関ですが、どの程度まで作業が進んでおるか。昨年の秋にはもう大体満足すべきところまで各先生方も勉強していただいておって、審議が進んでおる、こういう御答弁でありましたが、どうですか。
  104. 久下勝次

    ○久下政府委員 単価の問題の跡始末としてできました臨時医療保険審議会が、昨年の九月以来構想を新たにいたしまして、熱心な審議を継続いたしておりますことは、今日もまだ続いております。雑誌等に出ておったので、ごらんになったかと思いますが、小委員長の今井委員が、今井メモなるものを出して、いろいろ長い間それまでに論争のありました問題なり自分の意見なりを書き加えまして、相当長いものを、問題点をたくさん含みましたものを議題にいたしまして、それでずっと論議が続いておるわけでございます。この前の——先月の中ごろだったと思いますが、その次の小委員会がいろいろな都合で延びてしまいまして、一回抜けた格好になっておりますが、また近く開く予定でございます。この前の小委員会におきまして、もうあのメモの最後の項目——最後といいましても、個々の項目はたくさんございますが、最後のパラグラフといいますか、その辺のところまで話が進んでおります。しかしながら、実は話がそういうふうに進んでは参りましたけれども、また今日のところでは、個々の問題については議論がしっぽなしになっておるのでございます。ずいぶんいろいろな意見が出て、それを整理しつつ前へ進んでおりますけれども、議論の分れましたような問題を、最後にけりをつけながら前へ進むということではなしに、とにかく一応全部問題点を議論していこうということでやっておりますので、だいぶ時間がかかったのでありますが、最後のパラグラフにただいま到達しているというような状況でございます。そのあとどういう運びになりますか、もう一、二回やってみなければわからないと思いますけれども、小委員長がひそかに漏されたのでは、ある程度のところで意見をまとめて、最終的な決定をしないで、経過的に総会に報告して、さらにその後の方針をきめようじゃないかということを二、三回前に漏らしておられたことがございますが、どういう運びになりますか、そういうこともございましたので御参考までに申し上げます。
  105. 柳田秀一

    柳田分科員 今井メモが出ましたのは昨年のことでございます。今の御答弁のような段階はもう昨年私も聞いておるのです。これも三、四年来の懸案の問題なんです。従って、臨時という名前がついておるわけですが、三年も四年もかかってやったら、これはもう臨時ではない。大体こういうような諮問機関は、諮問された側から、いつまでに答申を出してくれということを言わなければ、いつまでたっても出ないと思う。むしろあなたの方は、いつまでも出ないのを希望しておられるのかもしれませんけれども、それでは私は嘱職のそしりを免れぬと思う。大体いつごろまでに結論を出せ……。これはかってサムソンがおりますときに、臨時医薬制度調査会ですか、何とか調査会というようなものを一月か二月で昼夜兼行でやって、諮問案の結論を出しております。それと同じことで、これは出そうと思えば一月か二月で出せる。引っぱろうと思えば、一年たって二年たっても出ない。もう三年、四年越しになっているのです。いつまでも出さない。実際いつまでに結論をつけるつもりですか、その見通しを伺いたい。
  106. 久下勝次

    ○久下政府委員 この審議会運営につきましては、前に何度も申し上げた機会があると思うのでありますが、実は厚生省から具体的な問題を提起して、その会の意見を問うというような形の諮問機関の扱いをしておらないのであります。問題を委員からそれぞれ持ち寄って、それによってどういう方向でどういう審議をしていくかということは、審議会自体の発意によってやっていこうじゃないかということが、最初から申し合せになっておりました。従って私どもといたしましても、行政当局が、こういう問題をいつまでに結論を出してくれというような態度には出ないという考え方で扱ってきております。決して結論の出ないことをいいことにして、漫然としておるつもりはないのでございますけれども、審議会運営の基本的な方針としてそういうやり方を従来しておりますので、ただいままでのところ、実はいつまでに出してくれというところの要求も従ってしておりません。
  107. 柳田秀一

    柳田分科員 私はやはりこれはほおかむりするのでなく、一定の時期を切ってやらなければいかぬと思う。実のところ単価一つ取り上げても、社会保険というものは非常な危機に見舞われる、単価の問題なしにしても、現在社会保険というものは危機に見舞われている。そこへ持ってきて単価の問題を入れると、二重に危機が来る。それだからといってほおかむりすることはいかぬ。危機は危機として大きく打ち出したらいい。現在の社会保険を正しく発展させるためには、現在の療養担当者にも反省を求めなければならぬ点は多々あると思う。今のように療養担当者が野放しではいけない。あれはもっと反省を求める必要がある。あるいはまた被保険者そのものにも、ただかかればいいんだというような考え方では、私はいかぬと思う。被保険者も、やはりこういうような保険組織というものはみなが守っていくんだというような考え方をもう少し指導育成するということが必要になってくると思う。同時にやはり政府も本腰を入れて、社会保障には金をつぎ込むということで、そうしてこのいろいろな危機というものをもっとさらけ出した方がいい。現在の単価実情に沿わぬのはわかり切っている。これをほおかむりしたのでは、いつまでたっても社会保険の危機は乗り切れない。現在の社会保険の危機はこの形で乗り切れても、単価の問題が出たらまたこれによって危機が出てくる。それで危機のファクターをみなさらけ出して、そうしてこれでどうやって日本の社会保障を推進していくんだ、しかも財政規模は今のところ一兆円のワク内であって、その中で社会保障費というものは大体このくらいという目安はつくのです。社会保障だけで五千億も七千億もということはだれも思っていないのだから、どうして危機を乗り切るかについて真剣な取っ組み方をやらなければいかぬ。ただ漫然とやっておったのでは危機は乗り切れない。だから七人委員会をお作りになって、いろいろな社会保険の危機の問題に対して御検討を願っている。その中には単価の問題も入るでしょう。しかしながら私は単価の問題は、それに関しては臨時医療保険審議会において従来から懸案になっているのだから、そこの結論を早く出させて、その結論をもって七人委員会に行かれて、そうしてそれを検討した方が社会保険の危機を乗り切るのに早道だと思う。それを今ほおむりしちゃったのでは、現在七人委員会が出した結論——七人委員会は単価の線は幾ら幾らの線まではお出しにならぬと思う。単価の問題は今のままではいかぬという原則論は出されても、実際臨時医療保険審議会という制度がある以上は、そこまではお出しにならぬと思う。そこへまた出てきたら二重の危機になります。もう少しくさいものにふたをせずに、堂々と四つに取っ組まれて、そうして療養担当者にも被保険者にも、要求するところは堂々と遠慮なしに御要求になったらいいと思う。そうしてみなで乗り切っていかなければ、社会保険の危機というものは、今政府がやっている小手先では実際乗り切れません。危機は危機として大きく出されたら、大蔵当局ももっと目が開けてくる。それを厚生省が隠そう隠そうとするならば、大蔵当局はいつまでたっても目が開けない。それで七人委員会の方はどうですか。これもやはり委員会の自主性にまかして向うさんの方で結論をお出しになるまで待とうという考え方で、そういう諮問機関に臨まれるのですか。大体これはいつごろまでに結論を出してくれという態度で臨んでおられるのですか、どちらですか。
  108. 久下勝次

    ○久下政府委員 健康保険の大幅な赤字を契機といたしまして、この制度改善につきましての、あるいは反省につきましての根本的な態度につきましての御意見はごもっともでありまして、私どももさような気持で問題と取っ組んでいるつもりてございます。そこで七人委員会につきましては、先日第一回の会合の際に大臣みずから出席されまして、七月末ごろまでに結論を出してもらいたいということを明らかに要望しております。これは八月には御案内の通り昭和三十一年度予算を編成いたさなければなりません。そういうための資料として必要であるからということを申し加えて要望しております。
  109. 柳田秀一

    柳田分科員 そこで七人委員会が真剣に現在の健康保険赤字解消できるような御審議を願う上にも一番いい資料として、やはり単価の問題を——臨時医療保険審議会の方の結論は、このままでは私は今年度中も出ないと思う。これは昭和二十六年単価会計以来の懸案ですから、これはいつまでたっても出ません。だからそこは期限を切られたらいいと思う。ある程度昨年の秋のお話では、もう大体において結論が出るような話もあったのですから、少くともこれを七月までに出してくれ、こう言うならば、その方もお出し願ってあわせて審議された方がいいと思う。それくらいしなければ健康保険の危機は乗り切れませんよ。  それからもう一つビキニの補償ですが、これは大体一人当りどれくらい補償するのですか。
  110. 久下勝次

    ○久下政府委員 資料が見つかりましたらば正確にお答えを申し上げますが、一般的な考え方を申しますと、福龍丸乗組員及び福龍丸以外の船舶の乗組員でありましても、ビキニの水爆実験によりまして身体に傷害を生じました船員に対しましては、船員保険法の定めます期間中の医療費全額船員保険の筋から支払いをするという建前で、それに要します費用、同時に御案内の通り傷病のため労務に服し得ない期間は傷病手当金を支給することになっております。傷病手当金も当然支払いをするということにして、これも船員保険から支払いをいたしますが、その所要額を合せまして、全体で約三千万円——すでに支払いましたものと将来いろいろの判断に基きまして支払うべきものと予想されます金額三千万円くらいが、二百万ドルのうちから留保されておるわけでございます。すでに支払いました分につきましては、船員保険特別会計の中に繰り入れられることになっております。
  111. 柳田秀一

    柳田分科員 それは治療費さらに傷病手当金、そういうものですね。いわゆる補償費というか、お見舞金というか、そういうものは出さないのですか。
  112. 堀岡吉次

    ○堀岡政府委員 たしか主管は農林省で扱っておると思っております。
  113. 柳田秀一

    柳田分科員 そうすると、まあ言えばわれわれ日本にとっては何ら責任も何もない、向うの禁止区域でないところでとっておったのにああいうような被害になった。そういうものによって犠牲をこうむって金が要った、その費用も船員保険でというと、船員保険に入っておられるすべての方々、あるいは事業主がそれぞれ醵出された金をもって会計をやっておるのですが、そこから出すのは、前から私はいけない、一応アメリカから金が来るまでは立てかえて船員保険から出しておいても、アメリカから金が来たならば別途出すということをやかましく言っておった。たとえばこういうことでございましょう。私が健康保険に入っておる、そうして自分の意思に反して戦争に引っぱられた。そしてけがして帰ってきた。そこでその治療費を健康保険から払ったのでは、健康保険の他の保険者はたまりませんよ。それは自分の意思でも何でもない。健康保険関係ないのだ。ただ本人が健康保険の組合員であったということです。それと同じことです。立てかえは船員保険から出しておいても、船員保険の会計から払うべきではないと思う。そうでなくとも社会保険がこれだけ赤字に苦しんでおるのに、ビキニの実験の被害を船員保険から払ったのでは、ビキニのようなものが三つも四つもあったら船員保険はたまらない。こんなものは船員保険の会計からはずして、アメリカから来たところの金で支払うべきである。立てかえは時間的関係では仕方ありません。船員保険の会計で払うのは悪例を残すことと思うのですが、どうですか。
  114. 久下勝次

    ○久下政府委員 結局結果におきまして、船員保険で払いました金は全部二百万ドルのうちから船員保険特別会計が受け取ることになっておりますので、おっしゃる意味の立てかえ払いになっております。ただいずれも、福龍丸乗組員その他の船舶の乗組員につきましても、船員保険の被保険者でありまして、しかもこれは漁業のために出漁中の被害でありますので、法律上の解釈は職務上の傷病ということになっております。そういう関係もございまして、船員保険法でこれに給付をしないというわけにも参らない。特に金が出ません当初は米国との話し合いもつきませんでしたので、当然これはアメリカから補償が来る場合のことを予想しまして、船員保険において支払いをしておったのであります。二百万ドルがきまりましたので、先ほど概数で申し上げましたが、船員保険特別会計へ二千九百十八万六千円、国立病院特別会計へ百五万円、それぞれ療養費として繰り入れることになったのでございます。この中には先ほど申し上げました傷病手当金も含んでおりますが、結果におきまして、船員保険法の建前からいって、これに保険給付をしないというわけにも参りませんからいたしますけれども、その所要額全額はアメリカからの補償によりまして支弁をされるということになるわけであります。
  115. 堀岡吉次

    ○堀岡政府委員 関連して御答弁申し上げます。ただいまの金は会計課長が預っておって、もう船員特別会計なんかへ入れたかと思っております。その手続のことは忘れておりますが、私の方でいただいております。
  116. 柳田秀一

    柳田分科員 最近また新聞に問題になっておりました給血者——血液を血液銀行に売ったりあるいは病院に売ったりする、これについて、私は昨年給血者に対して何らか制限する立法の意思があるかどうか尋ねておいたのですが、これは何らか法的に立法措置をやっておかないと、現在のような野放しにしておいたのでは非常な問題が多々あると思う。一々の問題はここでは申しませんが、あるいはその血をとる、あるいはそれを販売するブローカーその他すべてに関して、この給血に対する何らかの立法措置をとられる意思がありますかどうですか、それを一つ承わりたいと思います。
  117. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 この問題は先般も国会でいろいろ御討議がございましたのですが、私どもはその後もいろいろと検討いたしてみております。また最近新聞に一、二この問題が伝えられておるのでありますが、私ども根本的には輸血あっせん業者というものを一応認めて取り締りの法規を整えるべきか、あるいはかようなものを表向き認めることそれ自身がいろいろ弊害を生ずるものではないかということが一番の問題でございまして、私ども先般も申し上げたかと思うのでありますが、趣旨といたしましてはいろいろ条件をつけるといたしましても、なかなか取り締りは困難である、むしろかようなものを公然と認めることに伴ういろいろな弊害というものが起ってくるのではないかというふうに考えておりまして、御承知のようにただいまにおきましては、輸血を行いますときには輸血をいたす医師が全面的に責任を負うということになっておるのであります。ただこの間にあっせんというものが考えられましても、これはただ単純にその人を紹介するというような意味のものであって、その輸血といいますか、給血者が健康なりやいなやということまで、あっせん者が責任を持ち切れないのではないかというふうに考えておるのであります。実情は、いろいろ特定の検査所のようなところに頼んで、そこで血液検査をした証明書というようなものをもらって、それをそのあっせんされました給血者が持っていったりしているようでありますけれども、これにつきましてもただ血液検査をしたということだけで、それが給血者として十分支障のないものだというふうにも言い切れませんし、これは全面的に健康状態等を見、またいろいろな事情を勘案してきめなければ、血を受けます受血者も、あるいは給血者も、十分健康上万全を期し得ないということになります。私どもとしてはやはり新鮮血を輸血いたします場合には、輸血をいたす医師が十分責任を持ってやっていただかなければならぬ。従ってそこにあっせん業者というものが入ることは好ましくないというふうに見ております。身体検査あるいは血液の検査の機関というようなものについては、いろいろ都道府県立の公立、あるいは民間でもしっかりしたものがございますけれども、試験機関というようなものについての規制は、今後考えていかなければならぬのじゃないかというふうに考えております。
  118. 柳田秀一

    柳田分科員 やはりこの問題については、血を売る人を食いものにする、ほんとうにそれこそ吸血業者、血を供給するのじゃなしに血を吸う悪徳なるブローカー、ここに一つ問題点があるのと、それからやはりおっしゃったように、その血そのものが新鮮なる健康血であるかどうか、マラリヤ、梅毒というようなものを持っていないかどうかということと、最近は名前を二つも三つもかえまして連日のように血を売っておる、これは職業というよりは生活のためにやっておる。こういう点の規制は何らか立法措置をしておかななければいかぬのじゃないか。立法措置をすることによってかえって何とかというような御議論もありましたが、私はある意味において少し窮屈に規制をしておかなければいかぬのじゃないかと思います。多少窮屈に規制をいたしましても、乾燥プラズマもありますし——くどいようでありますが、そこを何とか立法措置をしておかなければ、今のまま野放しに放置しておくことはいかぬのじゃないかと思いますが、ごく簡単でけっこうですから、お答えを願いたいと思います。
  119. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 今お話のありましたプラズマの問題、血液銀行等の整備によって、この問題の範囲をできるだけ縮小して参りたいというふうに考えておりますが、今も御意見として拝聴いたしました点十分勘案して、さらに詳細に検討いたしたいというふうに考えております。
  120. 藤本捨助

    藤本主査 他に御質疑はありませんか——それでは本日はこの程度にとどめまして、明日午前十時より会議を開きます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十三分散会