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1955-06-04 第22回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月四日(土曜日)     午前十時三十分開議  出席分科員    主査 稻葉  修君       宇都宮徳馬君    上林榮吉君       牧野 良三君    村松 久義君       相川 勝六君   橋本登美三郎君       志村 茂治君    田中織之進君       井堀 繁雄君    兼務 山本 勝市君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 松田竹千代君         建 設 大 臣 竹山祐太郎君  出席政府委員         郵政事務官         (監察局長)  青木  亮君         郵政事務官         (郵務局長)  松井 一郎君         郵政事務官         (貯金局長)  小野 吉郎君         郵政事務官         (簡易保険局         長)      白根 玉喜君         郵政事務官         (電波監理局         長)      長谷 慎一君         郵政事務官         (経理局長)  八藤 東禧君         建設政務次官  今井  耕君         建設事務官         (大臣官房長) 石破 二朗君         建設事務官         (計画局長)  渋江 操一君         建 設 技 官         (河川局長)  米田 正文君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君         建 設 技 官         (営繕局長)  木村 恵一君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   岩尾  一君         大蔵事務官         (主計官)   鹿野 義夫君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  行広 清美君         日本電信電話公         社副総裁    靱   勉君     ————————————— 六月四日  分科員太田正孝君辞任につき、その補欠として  橋本登美三郎君が委員長の指名で分科員に選任  された。     ————————————— 同 日  第一分科員山本勝市君が本分科兼務になった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十年度一般会計予算運輸省郵政省及  び建設省所管  昭和三十年度特別会計予算運輸省郵政省及  び建設省所管  昭和三十年度政府関係機関予算運輸省及び郵  政省所管     —————————————
  2. 稻葉修

    稻葉主査 これより予算委員会第四分科会を開きます。  本日は昭和三十年度一般会計特別会計、同政府関係機関予算建設省所管について質疑に入ります。質疑通告順によってこれを許します。相川勝六君。
  3. 相川勝六

    相川分科員 建設大臣にお伺いいたします。大臣は現在の大臣中でも地方実情にはよく精通された方であって、地方住民の生活安定、国土の保全についてはよく御努力になっておりますから、非常に期待を持って質問いたします。  私が申し上げたいことは災害地、ことに累年災害と申しますか、常習災害地対策のことでございます。毎年毎年災害があるたびごとに、国がいろいろな補助金を出して復興をやっておりますけれども、これについてもいろいろ問題があります。特に今後災害がある地域についての対策は、現在のままでは済まされない実情にある。これは全国幾つも各地方ございますが、私は一例をとって自分の郷里の宮崎県について言いますると、六十年に百二十三回災害があった。一昨年とその前二回は珍しく災害がなかったのでありますが、年に二回も三回もやっているものですから、統計からいえば百二十三回という数字になっております。そこで災害があるたびごと河川道路も荒廃しますし、政府から補助金なんか出してもらいますけれども、それではとうてい足りません。農協でも何でもすっかり貯蓄を出してしまった。ほかの県ではそういう災害が五年に一ぺんくらいあっても大騒ぎしますけれども、こういう常習地になるともう慢性になっておって、またかということで、補助金も少いし、毎年々々の災害で民力は疲弊しきっているものですからほってしまう。そこで奮起する勇気もなくなって、われわれ行って見ますと、どんどん大事な国土は荒廃して、河川の両岸は決潰したままになっておる。道路なんかでも昨年の災害で国道もまだ開通していない。せっかく水力発電所ダムを作っておるのに、毎年々々土砂が入って、貯水池のダムは砂防のダムに変形いたしまして、二、三カ所私見ましたけれども発電土砂のためにできないのです。もう何とかなるようになるだろうというようなわけで、全く投げやり的になっておる。そこでこういう累年災害地域については、現在の建設省農林省でおやりになっております対策だけでいいかどうかということであります。私は自由党内閣のとき、時の大蔵大臣小笠原さんに質問したところ、大蔵省としてはこの問題を考えて、何とかこれをやるべく研究しておりますから、すみやかに成案を得て累年災害地について方策を講ずるつもりでおります、こういうきわめて誠意ある答弁であったのであります。そこでわれわれもこれを期待しておったわけです。おそらく政府部内でも御研究になっておるのだと思うのですが、こういう累年災害について、普通のたまさか起る災害と同じような対策でいいかどうかということを深く研究してもらわなければならない。とにかく宮崎あたりでは河川災害だけで二十六年、二十七年、二十八年で起債が二十五億くらいになっております。それで、その元利償還に二億五千万円を出しておる。ほとんど元金を払わないで利子だけである。ところが実際上治水として積極的にやっていく仕事が、その半額の一億三、四千万円であります。災害債利払いに前の治水対策費の倍を払っておる。災害債利払いだけやって積極的な治水対策事業というものが全然できない。そうしてこの大事な日本国土というものがみすみす荒廃していっておる。災害があるたびにその災害の傷はどんどん大きくなっていっておる。大臣は御存じでしょうが、一ぺん地方をごらんになったらこれではいかぬという感じがするだろうと思います。大蔵省あたりでは非常に予算折衝において考えておられましょうが、建設省農林省、ことに建設省あたりでは、この問題について真剣に考えてもらいたい。こういう地域に対しては高率の補助をやってもらいますようお願いします。住民負担は極端にできませんから、何か高率の補助負担考えてもらいたいと思うのです。おそらくそういうことを考えておいでになって成案を得るように工夫しておられると思いますが、その際にそういう累年災害地とか常習災害地とかを指定するについて、どういう方針でおやりになるか、これは単に三年や四年の短い期間ではいけません。やはり終戦以来の災害地とかあるいは六十年間の災害地とか、だれがいってもこれだけは特別なものであるというように限定する方針で、測候所の記録あたりもとにして、まじめにやっていただきたい。単に各省の予算のぶんどり主義で、どこもここもやってもらったのでは常習災害地対策になりません。普通の災害地でありますれば毎年の補助金があるからよいのですが、そのうち特別の災害地といえば、どこに線を引くか、これは非常な問題だと思います。こういう問題について今いろいろ御研究の点もございましょうし、大臣の将来に対する抱負一つ承わりたいと思います。
  4. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 ただいまの相川委員お話は、私もほんとうによくわかるつもりであります。従来南九州あるいは四国の一部等がいわゆる台風常道地帯といいますか、必ず受ける地帯は特別の施策を講ずべきであるという特別立法考えを持っておられることも、かねがね承知をいたしておるのでありますが、昨今国会情勢が、さようないわゆる議員立法の形が少し産を越しましたようなこともあって、困難な情勢等もうかがえますが、政府としては今お話通り内閣以来この問題については十分検討をいたしておるつもりでありまして、本国会にもでき得れば予算と並行して従来の災害復旧国庫負担法改正をいたしたいと思いましたが、当面の問題に実は準備が手がまわりかねるといっては恐縮でありますが、問題が大きいだけに、あまり安易にこの問題を取り上げることはいかがかと考えまして、当面の予算の問題を片づけて、将来の大きな問題として、今財務当局と極力折衝に当っておるようなわけでございます。私としては、これを今国会にでき得る限りの限度において一応の筋を引いた改正案として提案いたしたいと努力を続けておるわけでありまして、その考え方としては、今お話のありましたように、いわゆる連年災害に対して国庫負担率を、最高は要するに全額国庫負担というところへ持っていかざるを得ないわけでありますから、その基準をどういうところに置いていくかということで、予算立法と相関連しまして、お話通り目下財務当局とわれわれの方との見解の違いを極力調整すべく努力をしておるようなわけでありまして、われわれとしてはお話のように非常に気の毒な地帯に対して全額国庫負担範囲をできるだけ広めるという方針もとに、いろいろな案を折衝いたしておるようなわけであります。  もう一つの問題は、いつかも申し上げましたが、占領政治に入りまして以後の日本予算制度に、継続費制度というものが——従来はこれがむしろ原則的であったにもかかわらず、非常にこれが限定をされまして、一時は全くこの影がなかった。公共事業費については御承知通り一年こっきりの予算になりましたことが、非常にこういう仕事効率を落したと私は考えておりますので、ある意味において占領政治の是正という一つの点として、これは元の財政方式による継続費制度というものを、建設省公共事業費予算のような仕事には、建前としてとりたい。河川については何年計画か、災害についても多少方法は違いますけれども、最低三カ年の間の予算継続制国会承認を願うという建前予算組み方に持っていくべきだということを今主張をいたしておるわけでありますが、この点も財務当局と、趣旨には反対はないのでありますが、方法論においてまだきちっとわれわれの主張通りに参りませんので、これは将来に大きな影響のある問題と考えまして、事務当局をして最大の努力をいたさせておるようなわけであります。この予算組み方の問題と、それから今申す連年災害に対する基準をどこに置くかという問題等が、今日まだ実は法案提案の運びに至らない主たる難点でありますが、これはお話通り一番大きな問題と考えますので、私も全力をあげてすみやかに御期待に沿うように改正案の原案を作りたいと日夜努力をいたしておるようなわけでありまして、なお国会の御意見等も十分伺いまして、所期の目的を達成いたしたいと考えております。
  5. 相川勝六

    相川分科員 今の大臣のお考えを承わりまして非常に喜ばしく考えまするが、ぜひこれを一つ国会提案することに御努力を願いたい。そうして議員立法ではなくして、政府提案としてすみやかに一定の方針をもって押切ってもらいたいと思います。そうしなければ、結局こういう民主政治の世の中でございますから、常習地帯というものがたくさん出てしまって、国費はそうありませんし、普通の毎年々々の災害補助金と同じような結果になってしまうのです。そこでこれは政府提案としてやっていただきたいと思っております。そうしてその年限、基準というものをできるだけ長い期間に置いてもらわなければ、長い期間の累積のために、民度は疲弊してしまって、負担力はなく、ほってあるのです。ですから大きな災害があっても、経済力があってみたりあるいは五年に一ぺんしがなかったというようなところと、そう大きな災害でなくしても、毎年々々のことでどうもこうもできぬでおるというところとは違うのですから、この辺の基準のとり方を、よく現地の事情を御了察下さってやってもらいたいと思っております。大きな災害でも、たまさかあることなら、すぐそのときに政府処置はできております。ところが連年あるところはそれがたまってしまって、どうもこうもできないでおる。これを一つ切に深く御考慮になっていただきたいと思っております。  そこで、これは余分なことでございまするが、今年の予算はいろいろ民主党内閣の公約の関係などもありまして、建設省住宅問題等には非常に力をお入れになった。これはわれわれ賛成です。しかし今度は住宅をたくさん作らぬで済むように、地方の安定をしてもらわぬと、地方がそういう災害なんかでどんどん土地が流されてしまっておれなくなりますと、都会にどんどん集中してきますし、相当の住宅をお作りになっても次から次に困ってしまう。だからまずもとを培養するという方面に、この次の予算くらいには一つうんと力を入れてやってもらいたい、これを建設省方針もとにやってもらいたいと思うのです。これがどうも私は欠けておるような気がします。その土地の連中を安定させて、都会に集中せぬでもいいような政策を一つ思い切って大臣の年来の御抱負としてやってもらいたいと思うのです。この程度で私の質問を終りますが、ぜひ一つ国会に御提案のことを願いたいと思うのであります。
  6. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 ただいまの御主張に対しては、心から全くその通り考えておりますので、今のところはもちろん政府提案のつもりで努力を続けておりますが、いずれまたこの問題は超党派的にお考えをいただくべき問題と考えますので、よく国会の御意思をそんたくして、すみやかに推進をいたしたいと思っております。
  7. 稻葉修

  8. 上林山榮吉

    上林分科員 ただいま相川委員から、災害に対する立法措置について適切な御意見があったようでございますが、それに対して政府の方でも積極的に考えたい、こういうことでありますので、ぜひそう願いたいと思います。ただいま農林関係において災害が非常に多い方面に対する議員立法をやろうじゃないか、こういう考えが台頭いたしまして、私もその世話人の一人でございますが、私はこの問題に関しては、建設省所管のものも含むべきであって、別々に出さずに総合的に出す方が、議員立法にしても政府提案にしても、いずれにしてもその方が効果があがる、こういう考えで、いろいろ会議等において自分意見を述べておるのでございますが、政府の方でそうしたような方面に対して何か総合的にお考えになる計画はないか、この点をまず第一点伺いたいと思います。  第二点は、私はこういう立法について、たとえば特殊立法というものを議員立法提案したことがございますが、各方面の協力を得て無事通過したのであります。あの立法でもやはり建設省農林省を含んで、当時の経済審議庁所管をしてもらって、審議会委員を作って、自由自在というか適切にというかいろいろな処置をしてもらう立法処置をとったのであります。今回もし政府議員立法を待つまでもなく大いにわれわれも積極的にやるということになった場合に、所管建設省にせよとか農林省にせよとかいうのでなく、私は経済審議庁性格が多少変って、いわゆる計画局になると仄聞しているのでありますが、そうなればなるほどこれは議員立法であって同時に全国的立場において立法するという方針をとる上においては、計画審議庁あるいは計画局計画庁ですか、そういうものにした方がいい。なお今言うようにどこをどうするかというのは、やはり審議会の議を経てやれば地域立法に偏しない。たとえば早害地帯に対する特殊立法があるようでございますが、それと似ているが、同時に審議会の指定を得てやるということになれば、もっと範囲が自由に指定できるというので、地域立法であると同時に全国的な色彩を帯びた立法という性格の方が立法の精神からいって非常にいいのではないか。こう考えているので、私どもが会議その他で議を進めていく上の参考として、建設大臣意見を承わっておきたいと考えます。
  9. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 ただいまの問題は、今ちょうど相川委員からも御質問を受けたわけでありますが、私の承知しているところでは、いわゆる南九州四国の一部等を含む台風の必ず通る地帯が一番お気の毒なわけで、台風日本中荒れますから、そのときそのときに各地に被害は起りますけれども、頻度からいえば必ず南九州四国は通る。その筋道というものは申すまでもなく特殊地帯だから、そういう特殊地帯のいわゆる台風地帯というのは変な言葉でありますが、そういった地域立法というものをやったらどうかという御主張はかねがね私も——実は自分はそっちじゃありませんけれども慫慂しかけた一人でありまして、私はそういうふうに沿革的には承知いたしております。ところが一時御承知のように地域立法といいますか特殊立法議員立法で非常にたくさん出ましたときで、ついにこのことが成りませんでしたが、目下そういうことが大きな政治問題となっているということも実は承知いたしております。このことに対する建設省考え方はどうかということでありますが、そういう地域立法国会において取り上げられるということも大きな理由があると思いますし、けっこうなことだと考えております。ただほかのことと違って災害だものですから、回数がひんぱんにあるということが一つの条件になってくるのか、被害の度合いかひといということを基準にするのか、やり方としては観念的には考えられるが、実行的には、政府で案を立てるとすると、なかなかむずかしい問題であろうと考えておりますので、政治的といいますか、国会側がこれをお扱いになることならば、これは従来の問題もありますからしやすいと思いますが、政府役人立場でこれを理論的に限定をしていくという方法は困難ではないかということを率直に感じておりますが、お説の通り経済審議庁等でそういう計画をするということも、一つの新らしい御提案としてわれわれは今後研究をいたしたいと思います。今政府事務当局立場考えておりますことは、そういう地域的な立法と実質的に結果的に同じになるように、いわゆる連年災害というものを、制度の上において特別に厚く考えていくという問題が、前内閣以来取り上げられてきている問題でありまして、これは建設省として財務当局折衝をしてすみやかに問題を解決いたさねばならぬ一つの課題に相なっているようなわけでありまして、私も就任以来これをできるだけ早く解決いたそうとして努力をいたしているようなわけであります。これは必ずしも今の地域的な特殊立法と形の上においては同じではありませんけれども、結果的なねらいというものは同じところをねらっていることになるわけでありますが、ただこれの標準の取り方等はやはりまだいろいろの研究を要する問題であることはもちろんであります。しかしこの点につきましては実は前内閣努力を下すっておりましたので、私就任以来財務当局との事務的折衝におきまして、原則としては大蔵省も了承をいたしているわけでありまして、これは結局は連年災害全額国庫負担にする、その全額国庫負担にする範囲標準をどこに置くかということに今最終の折衝をいたしているようなわけであります。従ってこれはお話通り建設省だけがやるべき問題とは考えておりません。災害を扱っている、少くとも農林建設両省は同じ基準で行くべきものだと考えておりますから、私の方がこれを解決すれば当然農林省もこれに従って解決いたすべきものだ、歩調を合せて進んで参りたい。今までの制度、沿革がありますので、これを予算も何も一緒にして経済審議庁でやることがはたして事務的にいいかどうか。これはいろいろ従来の経験を持っているそれぞれの省がやって、問題はただ国庫負担率最高度に上げるということに相なろうかと思うのでありますから、両省が一致してやりさえずれば解決し得る問題ではないか。同時に御質問の問題に関連して、先ほど相川委員にもお答えをいたしたのでありますが、これは単なる全額国庫負担範囲をどこにするかという問題だけでは済まないと思って、私は就任以来私の持論である継続費予算制度というものをこの際法制化していきたい。というのは今日公共事業費等は戦前は継続費制度でやってきた。川にしても五年十年という予算国会承認を受けて仕事をしてきたのが、アメリカのやり方を無理にやらされて一年こっきりの予算になりましたために、非常に予算効率が落ちたと私は思います。予算が少い結果、一年の三分の一ぐらいしか仕事をしないであとは来年の予算がどうなるかわからねということですから、非常に請負等においてもむだがあるのであります。ということからまず建設省としては、河川を第一に取り上げて、継続費予算制度をやっていこうということで準備を進めましたけれども、日が足りませんので、なかなかこれは大まかな政治的な協定でできるという問題じゃないものですから、本年度は実現をしませんでしたが、大蔵省原則には賛成をしておりますので、引き続いて用意を進めて、来年度予算にはぜひ実現をさせたい。同時に災害予算についても、少くも三年くらいは法律で継続予算建前を規定しておくというやり方をやりたいというのが私の考えで、これも原則的には大蔵も了承しておりますので、ぜひ実現をいたしたい。  同時に、これは小さいことのようでありますが、もう一つの問題は、災害の一カ所当りの金額というものはどこらに限度を置くかということが、一番問題になる点であります。いろいろ両方の迷惑が重なってきておりまして、実情に合せるためには非常に小さな災害まで補助しなければならぬ。そうすると実際の査定がなかなか手が回らないので、仕事がおくれたり何かして、国民に迷惑をかける。しかし役人責任責任で果さなければならぬから、つい事務的にめんどうなことになるということでありますから、これはある程度限度政府が直接補助をする場合においては、限界をもう少し考え直して、同時にその反面において、いわゆる小災害というものについては、今までのような厳密な個々の査定をしないで、県の責任において総括的に、ある程度補助率は下げても、助成の方法をとって、山村等において気の毒な小さな災害を目こぼしをせざるを得ぬような実情を解消したらどうかということを私は考えて、それには今の一カ所当り災害というものをある程度引き上げるかわりに、小災害程度というものを大蔵省に新しく考えさせるというような点などが、今実は財務当局折衝の点でありまして、先ほど相川委員にも申し上げましたが、これらの問題は性格的にも超党派的にお考えをいただく当然の問題と考えますので、事務当局としてはこの際ぜひとも一日も早く解決をして、本国会提案をいたしたいということで、実は九分九厘近くまで準備が進んではおります。今年度予算にこれを具体化することができれば一番よかったと思いますけれども、これをやっておりましたために、ある程度妥協をして、——内容をもっと早く妥協をすることは、これは将来に及ぼす影響が大きいと思いますから、私はむしろことしの予算とは切り離して、将来にわたってできるだけがんばりねばって、国会のお力をかりてこの制度解決いたしたい。できるならば、一応予算めどがつけば、その後に起る一番大きい問題としてこれを解決いたしたいと私は考えておりますので、いずれ予算委員会あるいは決算委員会建設委員会等のいろいろな御指示をいただいて、最後的な解決をはかって提案をいたしたいと考えておりますが、なお地域的な立法等につきましても、決してこれを考えるからそれはいらないんだという考え方は持っておりませんので、それらの点は一つよく国会側の御意見とあわせて考えて参りたい。
  10. 上林山榮吉

    上林分科員 事務当局及び建設大臣計画になっておる三カ年程度めどとして、継続費をあらかじめ承認していくという立法処置、これはもうきわめて適切であり、われわれも強く要望しておった問題でありますので、できるだけ急いで一つ提案を願いたい。おそらく党派を越えてこの問題に関してはほかの諸君も協力せらるるものと、私どもも確信しておる次第でありますから、努めてお急ぎを願いたい、こういうように希望を申し上げておきます。  次に私の言葉が足らなかったようでありますが、私も地域立法でよい、しかしその扱いとしては審議会制度というものを作って、地域を指定した方がいいという意味であったのでありまして、これは大臣等の考えと完全に意見は一致いたしております。災害の頻度が多いところは、経済的にもあるいは能率的にも非常なる迷惑をしておるのでありまして、これを立ち上らせるためには普通の考え方では間に合わない。そこで特別立法というものが必要になっくるわけでありますので、これが担当はいずれというふうに私はとらわれておりません。ただ第一線においては建設省あるいは農林省、また最後的にもこれは農林省建設省等が仲よく責任をとってもらわなければならぬ態勢が一番いいと考えるけれども、往往にしてこういう立法がまま子扱いになる憂いがあるので経済審議庁が、性格がもし伝えらるるがごとく変るものとすれば、そういう方面に担当せしめてもいいのではないか、ただしこれは建設、農林両現業省が実際の仕事としては担当していただかなければ、いうべくして少しくらい組織を拡充したところで、これはできないということも私も万々承知をいたしておるところであります。そこで大臣がただいまの答弁で災害継続費ないしは補助率を規定する立法によっても、われわれが提唱しておる災害に関する地域立法は決して影響しない、両々相待ってその効果を上げるべく努めておるのだという言明らしいお話を承わったので私は了とするのでありますが、聞くところによりますと、普通の災害はこの率まで、特別の災害が起った場合、あるいは災害の頻度の多いところはこの程度までといって一つの線をきめてしまう、今大臣の話では全額国庫負担である、こういうお話であったから安心はいたしましたものの、前段に申し上げた通り打ち切られる、一定の限度で打ち切られるものとすれば、これは相当慎重に段階を考え立法しなければならぬから全額もいいだろう、九割もいいだろう、あるいは八割もいいでしょうが、段階を経てそこに補助率というものをきめておかないと困る、こういうように考えるのでありますが、その構想においてはどういうふうに考えておられるか、承わっておきたいと思います。
  11. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 結局お話の段階は、一番上は全額、その次が四分の三、三分の二というふうに考えておるわけでありますが、そういう補助率を適用する基準をどこに置くかということが、先ほど相川委員お話がありましたが、これはいろいろ研究を要する点でありまして、今いろいろの研究基準としては連年災害という災害が、頻度を何年でどのくらいのところに置いておくかという問題と、それから今申す補助率を、段階をつける基準というものを何に求めるか、災害の大きさというものももちろんありますけれども、結局は補助率の問題は、地方財政の問題が基準になるのではないか、そこで地方標準税収入というものと災害との額の比率というものが、今研究をしております方法としては——このほかにもいろいろな条件をつけ加えればもちろんそれも考えなければなりませんが、まず大まかな基準としては、標準税収入と災害の額というようなもののつり合いを見て、今のような段階をきめていったらどうかと考えております。
  12. 上林山榮吉

    上林分科員 私は災害に限らず建設事業に対する建設省の態度は、むしろ御支持申し上げなければならないという気持を持っておる者の一人でございます。大蔵省には大蔵省立場がありますけれども、大蔵省としては必ずしもそう考えてはおらないと思う。基準なり立法の内容なりについては、大臣が言明しておる通り一つ極力御奮闘になって、これが成果を期するように要望いたしておきたいと思います。  次に、本会議予算委員会やあるいは建設委員会等で、住宅問題に対して最近大臣の答弁が——最初は非常に遠慮しておりましたが、最近は遠慮しないでありのままを答弁されておるので、幾らか誤解も解けたのではないか、こういうように考えるのでありますが、まだ説明が足らないところもある関係か、世間に誤解を与えておる点があるようでありますので、一つ伺ってみたいと考えます。  現在六大都市、特に東京では、建設省の調査によって、家賃が畳一枚幾らくらいの値段についておるか。東京だけでもよろしい、あるいは六大都市でもよろしいが、普通一般の家賃が、畳一枚で平均大体幾らくらいでありましょうか。私が調べたところでは、畳一枚で五百円から千五百円、それが私の資料でございますが、どういうふうになっておるか、もう少し詳しい資料があれば参考にまず承わりたいと考えます。
  13. 稻葉修

    稻葉主査 上林山君に申し上げますが、きょうは大臣はこれからほかの連合会があって、おいでになりませんので、なるべく昼前じゅうに建設関係を終りたいと思うのです。簡潔にお願いいたします。
  14. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 官房長から……。
  15. 石破二朗

    ○石破政府委員 ここに正確な資料を持ち合せておりませんので、大へん恐縮でありますが、お話通り、やみ家賃と申しますか統制外の家賃は五百円程度じゃないかと一応考えております。
  16. 上林山榮吉

    上林分科員 そうすると、世間で問題にしている中層アパート、いわゆる公営ではない、今度新しくできた公団の中層アパートですが、これは畳数にして、あるいは坪数にして幾らになりますか。それと今の一般の家賃と比べて、どれくらいの開きがあるか。この点などは、私はもう少し国民に説明をしてやる必要がある、こう考えますので、申し上げておきたいのであります。
  17. 石破二朗

    ○石破政府委員 公団の家賃につきましては、御承知通り、公団の資金は、民間資金あり、資金運用部資金あり、政府の出資金あり、地方の出資金ありいたしまして、この家賃を正直に申しましてまだ正確には決定いたしておりませんが、大体標準十三坪のアパートを作りたいと思っておりますが、高くても四千円程度、できれば月三千六、七百円程度におさめたいということで、金利その他について関係方面折衝中であります。十三坪につきまして三千六百円といたしますれば、坪約三百円という計算に相なるわけであります。
  18. 上林山榮吉

    上林分科員 私は住宅金融公庫の住宅あるいは公営住宅の一種ないし二種、それに関する住宅対策は今の考え通りでいいと思っております。もちろん大臣の説明の通り、坪数は狭くなったが質は今までよりよくなったのだ、こういう点をもう少し私は一般に知らしめる必要があると思います。ただいま一番問題になっておる、新設の住宅公団のこの問題も、本会議委員会等の質疑を聞いておりますと、私は収入は三万円程度だ、あるいは二万何千円程度のものを基準にしているのだ、こういうふうに承知しておったところが、驚くなかれ四万円、五万円の収入がなければいけないことになっておるとかいうようなことが、本会議やその他の委員会等で論議されておるのを聞いて、われわれの考え建設省考えは違ったんかいなと思って、実は錯覚を起しておったわけでありますが、ただいま聞きまして、これは適当な家賃で、できるだけ安いにこしたことはないけれども、世間で言うようなそんなに高い家賃でもないし、間数としても十三坪くらいを基礎にしておる、しかも鉄筋だ、こういうことを考えると、私はこれは適当だと思っておる。収入が本会議質疑にあったように四万円、五万円という二とになっておるのかどうか、そういう基準が設けてありますか。
  19. 石破二朗

    ○石破政府委員 入居者の基準、家賃等はいずれ建設省で決定するつもりでありますが、御参考になるかと思いまして、前例を申し上げますと、住宅金融公庫におきましては、すでに賃貸住宅のためにも貸し出しておりますが、賃貸住宅に入り得る者の資格といたしましては、きめました家賃の——あれは四千円程度でございますが、それの大体六倍、月二万四、五千円程度の収入のある方は、抽せん等ありますけれども、うまく当れば、お入れするということにいたしております。従いまして、公団の家賃がかりに四千円となりますと、二万四、五千円というところが、やはり最低になるのじゃなかろうか、四万円云々のお話が本会議においてあったそうでありますけれども、これはお話通り、私どもまだ十分御説明が足りていないのじゃなかろうか、かように考える次第であります。
  20. 上林山榮吉

    上林分科員 四万、五万の収入を基準にしていない、二万四、五千円から、あるいは高くても三万円程度だ、こういうことになれば、私は、これは今の時代においては適当な家賃だと思う。今東京で、いなかの青年が参りまして、私部屋を世話したのでありますが、四畳半で五千円取ります。東京駅を中心にして約四十分かかる所でそういう状態です。四畳半一間ですよ。そういうような状態の所も相当あります。これは東京駅を中心にして四十分、これはあるいは一時間以上の所になるともっと安いかもしれぬ。(「それは例外だ」と呼ぶ者あり)例外ということはない。調べてみたまえ。例外では決してない。たくさんの例を持っておる。  そういうような状態になっておるのであります。だから、今後の住宅建設を戸数で数えることもよろしい——これは社会党はインチキだと言っておる。私は、今の英国あるいはフランスその他の国々の住宅政策を調べたのでありますが、それによりますと、修繕あるいは増改築、こういうもののウエートが非常に高い。また最近においては——これは西ドイツの社会住宅は別でございますけれども、それ以外の住宅でありますと、これはみんな民間住宅にだんだんウエートが移ってきつつある。これは新しい現象ですよ。だからそういう点から考えて、戸数をふやすことも一つ日本の特殊事情として考えていかなければならぬが、増改築もう八畳の間を一間作ったら若夫婦が住まえる、あるいはまた子供が大きくなって勉強部屋ができる、あるいは店舗などを改造して二間できる、こういうことにも金を貸してやる、あるいは便宜をはかるということが最も必要だと思っているのであって、この説明では大臣などは消極的で、どうもやむを得ずそういうことをやるのだとおっしゃった。私は戸数を建てることも大賛成であるが、同時にこれは新しい時代の住宅政策なんです。ヨーロッパにおいてはどんどんこれをやっている。これがむしろ中心になりかけておるところもあるのです。英国の住宅は古い住宅がたくさん建っておるから、そういう傾向のある点もありましょうけれども、私はこういう点を今後も住宅政策の中にもっと遠慮せずに盛っていくことが国民の実情に合っておるのだ、こういうふうに考えるのであります。そこで今後の住宅建設の基準は、かりにことし百万坪作ったならば来年度は百五十万坪作るというように、坪をもって計算の基礎というものを立てていくということが、最も合理的な予算の立て方である。これだけ日本の家の坪数をふやののだ。戸数にするからつまらない摩擦や誤解が起るのである。これは野党の諸君が悪いというのではなくて、建設省大臣の説明が悪い。こういうように考える。だからそういう誤解のないようにしていかなければならぬと思いまするが、今後民間住宅の建設を助成する方法をもっと積極的に、あるいは今申し上げた増改築の問題をもっと積極的に、あるいは坪数を基準にし、新しい住宅政策を諸外国の例を参考にして、日本の特殊事情も合せて、この際建設省としては一つ抜本的に対策を立て直す必要があると思う。  なおアメリカの住宅を私はずっと見て参りましたが、向うのアパートあるいは集合住宅というのは、ほとんど保険会社等が作っておる住宅なのである。だから建設省で公営住宅ではありません、例の住宅公団の住宅に自家保険をかけようとしたときに私は反対をしたものの一人でありまするが、その交換条件として火災保険会社の諸君に私どもが要望したのは、皆さんのこの資金を活用して一つここに十万戸なり二十万戸の住宅を作って安い家賃でこれを国民に貸したらいいじゃないか、そうすることによって初めて政府及び民間の協力によってここに住宅政策ができていくのだ、四十二万戸の内容について、四十二万戸というから誤解もある。だから坪数というものにより、あるいは民間住宅は世界の情勢はこういうようにやっているのだ、日本もこれをやるのだ、この見識に立って、もっと自信を持って住宅政策に取り組んでいただくところに誤解も少く、国民もよく理解するのだ、こう考えるのであります。まだ住宅問題について私は言い足りないことが多いのでありますが、この点だけを申し上げまして質問を終りましょう。
  21. 相川勝六

    相川分科員 ちょっと上林山さんの質問に関連して、くどいようですけれども、一言お願いしておきます。連年災害累年災害立法の問題については、上林山さんからいろいろ傾聴すべき意見もございました。また大臣抱負も聞きましたが、実はやはり今大臣がお考えになっておる方向でやるということは、これは経済審議庁ではなくして、建設省でやっていただきたい。それから農林省も結局いろいろこれにならってやってきましょうが、これは建設省の案が出てきたらまた出てくるのでありましょうから、まずほか様のことはほか様として、一つ建設省だけでやってもらいたい。これが現在の官庁機構としては手っ取り早くいきはせぬかと思うのであります。それから案をお作りになるときにはあくまでも高額災害、甚大な災害累年災害とは本質は別にして非常に災害の大きいところはまた当然立法に乗ってきますが、これは累年ということをもとにして、性質をはっきりしておやりになっていただきたい。これを一つお願いしておきます。多分そういうお考えだろうと思いますから、御答弁はいりません。
  22. 志村茂治

    ○志村分科員 私は数字のことについてちょっとお聞きしたいのであります。大臣予算説明の中には河川改修費は百五十億六千万円となっておりますが、われわれに配付されました三十年度の予算説明を見ますと、百五十二億一千六百万円、こういうことになっております。この数字はいずれがほんとうであるかということを聞きたい。さらにこの河川改修費が昨年度は百六十億になっておるにかかわらず、本年は百五十億という程度まで引き下げられたということは一体どういうことであるか、これを聞きたい。
  23. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 河川改修の予算が若干減っておりますのは、これは全面的に公共事業費は物価等の関係から全部一応基準を変えましたので、そういう関係で幾分減額をいたしておる面があるわけであります。それから今お話の数字の食い違いは、両方合せれば食い違わないのだ、一つ内容の違っておるのは、災害関連というのが、いわゆる災害と一般の支出との中間的のものの予算を、昨年と今年と組み方を変えております。そういうことで何か比較の場合に数字が内容的に違っておるのじゃないか、あるいは資料によりましてはこの前も申し上げたように、今年特別失対というものを労働省で新しく作りました。特別失業対策事業の中で五億円河川予算を見込んでおります。これは性質上特別失対ということで、労働省所管にしておりますが、実行の場合は建設省がこれを担当する、移しかえて使用するというようなものが五億円ありますので、実はいろいろ実質的な仕事で比較する場合には、五億円は河川に加えて比較する等の場合もありますので、あるいは何かそういうことでの食い違いかと思いますので、なおあとで調べることにいたします。
  24. 稻葉修

    稻葉主査 志村委員に申し上げますが、その問題はあとで独立してお話し合い下さって、疑問を解決されたい。次の質問を願います。
  25. 志村茂治

    ○志村分科員 それでは次の災害復旧のことは前の方たちが大分質問されておったようでありますが、それにつきまして本年度は二百八十七億の予算が計上されております。昨年度は三百七十三億、これだけの管算が計上され、その間に百億程度の相違があります。もちろん昨年度は災害が少かったということは知っております。そのためにある程度減少されておるということも考えられないわけではありませんが、この災害復旧の進捗率を見ますと、二十七年度災までの残事業の三分の一と二十八年度災害の総額の六〇%以上、二十九年度の総額の約五〇%以上の復旧を完成いたすよう、本年は事業を進めていきたいということを書いてありますが、このような進捗でいいのかどうか、すでにあなた方の三党の申し合せによって三、五、二の比例で三年間にこの災害復旧は完遂してしまうのだということを言っております。それから昨年でしたか、三、五、二の比率によって必ず予算を組むようにということを一応法律化しようという強い決意を建設委員会の方々は持っておったのであります。そのときに大蔵省としては、来年私の方からそれに近いような法律案を出すからもう少し待ってくれということを、確かに大蔵当局がわれわれに申しておりました。しかしわれわれはその法律案を強行する考えでおったのでありますが、会期の都合上これは委員会の決定だけに終ってしまったのであります。この進捗率を見ました場合、ここに計上されておるものは三、五、二よりははるかに低いものであると思います。それにもかかわらず災害復旧が百億も減らされておるというようなことであっては、今後の災害復旧はとうてい国民の希望するような程度には行われないじゃないかということを考えるわけです。特に災害の古い傷口から翌年度の災害がさらに二倍、三倍に大きくなるということが常識化されておるときでありますから、あらゆるものを除いてもまず災害復旧に重点を置かなければならないというふうに考えておるのでありますが、本年度特に百億も減らされておるということを見た場合に、これは大きな心配になると思うのであります。この点についての御意見がありましたら……。
  26. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 お話通り実額が減っておりますことは事実でありますが、これは実は年々災害の問題を一挙に解決するということはなかなか困難でありますので、ことしとしては、これで昨年に比べて残事業の進捗率が若干上回っておる程度のところを実は予算化したようなわけであります。実額が減っておるのはお話通り残事業が去年に比べて減っておるわけで、しかしこれで一挙に問題が解決するというわけではもちろんありませんので、一面において先ほど御答弁いたしましたように、災害復旧の国庫負担法の改正につきましては、私としても今せっかく努力いたしまして、財務当局と交渉をしてできるだけすみやかにこの法案を提案いたしたいと考えております。その中に今度は一つ三年で仕上げるという継続性を持つ予算建前立法化したいと考えておるような次第であります。
  27. 志村茂治

    ○志村分科員 そういう三、五、二というか何というか、いずれにしても三カ年間に至急に災害復旧をするということは、治山治水事業として欠くべからざる問題だ、これはだれしも承服するところでありますが、それにつきましても将来の計画はともかくとして、来年度の予算において多少前より進捗率がよくなったということはわかっておりますが、しかもそれをなお三年間に完遂するということから見た場合に、非常に遠い数字になっておるのではないかというふうに考えられるわけです。もちろん同じところにもう一ぺん災害が起れば、それによって前の災害は棒引きになるということが考えられるのでありますが、そのようなことを考えておったのでは私たちはほんとうの日本の治山治水事業というものは行われないのだと思っております。それによってこうむる損害が非常に大きいということを考えた場合には、まず本年度の——先のことよりも三十年度の予算をもう少し増額すべきであったということは、大臣ももちろん強く主張されたことと思いますが、大蔵省との折衝においてはどういう経過でこんな少い計画になったか、これを一つ御説明願います。
  28. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 もちろん私としては予算編成の際努力いたしましたけれども、今年は申し上げる程度でございましたことは、私どもとしてはまことに遺憾でありますが、今申す通り今後引き続いて根本的に解決をいたしたいと努力をしておるようなわけであります。
  29. 稻葉修

    稻葉主査 ちょっと志村さんに申し上げますが、大臣は閣僚懇談会に呼ばれておりまして、ちょっと行ってすぐ戻ってくるそうでありますから、ちょっと行かして下さい。
  30. 志村茂治

    ○志村分科員 それではこの問題は少し残っておりますが、あとに譲りまして、道路に関してお尋ねいたします。最近あるいは弾丸道路といい、あるいは中央道といい、いろいろな道路案が出ておるのでありますが、政府としては、これらの道路について、今後どういう方針で進んでいくのか、それをお聞きしたいと思います。
  31. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 いわゆる弾丸道路、それから中央道というものが計画されておりますが、東京−神戸間の高速度道路いわゆる弾丸道路でございますが、これはすでに調査を完了いたしまして、特別的な調査が残っておるわけでございますが、中央道につきましてはまだ資料が十分でございません。中央道審議会というものが昨年開かれまして、審議を続けられたのでございますが、資料が不足で、その資料ができるまで一時中止されております。その資料が最近でき上りましたので、その資料によりまして中央道の案を練りまして、さらに審議を続けるというようなことにいたしております。
  32. 志村茂治

    ○志村分科員 中央道はまだ調査が足りない点があって、今後さらに調査を続けるというような話も聞いております。それについてある程度予算を要求するというようなことも聞いておりますが、それは現在どういうふうになっておるのでありますか。
  33. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 三十年度予算には高速道路の調査費といたしまして、一千万円要求いたしております。中央道の調査につきましては、すでに一万分の地図の印刷ができましたので、この地図によりましていわゆるぺーパー・ロケーションをこれからやるわけでありますが、本年度には実際に調査するというところまでいかぬと思いますので、そのペーパー・ロケーションで一応全線にわたっての検討をするというようなことはなかろうかと思います。もし実際に必要ならばその一万円の中から所要の調査をいたしたい、こう考えております。
  34. 志村茂治

    ○志村分科員 そうすると東京−神戸間の高速度道路につきましては、二本が予定されておるということになった場合に、現在におきましてはいわゆる高速度弾丸道路の方に相当具体的な予算も盛られておるというようなことも聞いておるのでありますが、この二つの予定道路が想定される場合に、いずれか一方ということをはっきりきめてから、実行に着手されてしかるべきであると思うのでありますが、その点はいかがでしょう。
  35. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 実行いたします場合には、むろんどちらかをきめて実行いたさなければならぬと考えます。
  36. 志村茂治

    ○志村分科員 それでは建設省考えられております今の国道に沿う高速度道路の方については、具体的な事項は何もしていらっしゃらないのですか。
  37. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 建設省考えております点につきましては、本年度で調査が完了する程度でございます。実行についてはまだ具体的な見通しをつけておりません。
  38. 志村茂治

    ○志村分科員 次に道路五カ年計画について、ガソリン税が目的税となっておるのでありますが、最近またガソリン税が引き上げられておる。これは直接こちらの関係でないかもしれませんが、参考として聞いておきたい。これを陳情に来ている人の話に聞きますと、ガソリン税は今度引き上げるということになっておる、一キロ当り一万三千円になっておるということを聞いておるのでありますが、大体ガソリンの消費量が非常に増加しておるにかかわらず、大蔵省はこれを査定の場合にその増加量を一割かそこら切って捨ててしまっている。消費量はそれだけ伸びないのだという建前もとに、ガソリン税を引き上げなければならないということを主張しておるのであります。想像される消費量から考えるならば、今の予算収入は十分にあるわけであるにかかわらず切って捨てたがために、一キロリットル当りの税額を引き上げなければならなかったという結論になるのだということを言っておるのであります。それらについていろいろ正確な資料等も持ってきておるのであります。私今ここに持って参りませんでしたが、そういうようなことがあったのですかどうですか、それを伺いたい。
  39. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 揮発油税は従来一万三千円でございました。それを本年度は一万一千円に引き下げ、そのほかに揮発油の消費に対しまして地方道路税が四千円創設され、実質的には二千円の増になりまして、一万五千円になるのであります。それからガソリン消費量の問題でございますが、ガソリン消費量はただいま二百五十万キロを予想されておるのです。一方通産省の外貨割当の関係で二百六十八万キロを予想されておるようでありますが、これはあとで大蔵省から詳しく御説明があろうと存じますが、それぞれ見積りの時期にズレがございまして、同じガソリン量の見積りでありますが、時期が違うのでその差が出てきておるようでございます。なお詳しくは大蔵省から御説明を願ったらと思います。
  40. 鹿野義夫

    ○鹿野説明員 ガソリン税の二百六十八万キロという通産省の方と、税の対象としての二百五十万キロとの食い違いがいろいろ言われておりますが、一百六十八万キロというのは、上期の外貨割当の数字から一応推定しますと、二百六十八万キロくらいの消費量を考えたということなんでございます。その二百六十八万キロの推定は年度の推定をいたしておりまして、税の方の対象は年間になっております。ガソリンの消費量が月々だんだん上昇してきておりますものですから、年間と年度ではそこに約十万キロぐらいの食い違いができております。さらに二百六十八万キロの消費量の中には、在庫品の中の相当部分が消費されることを見込んでおるのでございますが、在庫品の中にはすでに課税済みの分が入っているのでございます。それが約五万キロ近くございまして、わずか二、三万の食い違いはまだあるのでございますが、それは航空用のガソリン等の非課税の対象になる見込みの分の差がさらに幾らかございまして、まあ端数程度の違いはございますが、税の基礎といたしましてはまるく二百五十万キロと見込んだということでございます。税の方としては、比較的税収入をかた目に見るということで、端数をまるくして二百五十万キロくらいにするというふうに踏んだのでございまして、頭から一割切りましたとか、そういう気持で積算はいたしておらないのでございます。
  41. 志村茂治

    ○志村分科員 ガソリンの消費量が年年増加しておるということは、はっきりわかっておるのでありますが、それでは資料として、昨年度のガソリン消費量並びに年々ガソリンの消費が増加しておりますその趨勢というのはあるだろうと思いますが、それはどんな数字になっておりましょうか。
  42. 鹿野義夫

    ○鹿野説明員 一通り申し上げますけれども、昨年度のガソリン税の消費量の中には、課税猶予の期間を短縮いたしましたものが若干入っておりますもので、昨年の量に比べますと、ことしの量のふえ方がそれほど大きく見えないようになっておりますが、昨年度の実績は二十九年の一月から十二月までは二百二十四万九千キロでございます。課税の取引量といたしましては欠減を入れまして二百四十三万四千キロ、航空用の免税数量を入れますと二百四十九万五千キロということになりまして、今の徴収猶予期間を若干短縮したという点を織り込みますと、取引数量は二百四十九万五千キロが二百三十九万八千キロというふうに大体見積られます。その二百三十九万八千キロに対しまして、ことしの三十年度は二百五十万キロというふうに見込んだわけでございます。
  43. 志村茂治

    ○志村分科員 わずか三カ月の間のズレで五%だけの相違があるとさつきちょっと聞きましたので、私は頭で計算したのですが、それから考えました場合には、年々の消費量の増加というものは、この四月で見れば二〇%違うのじゃないかと大体概算が出てくるわけです。そこでお聞きしたいことは、年年のガソリンの消費量は今までどのくらい増加しておるか、その傾向を一つ聞きたい。  それからもう一つ期間のズレがあるということで、年度と年間とのわずか三カ月間の違いで、その間にすでに五%の違いを見ておられるのです。二百万キロの中に十万キロも見ておる、五%見ておられるということになると、三カ月で五%違うのならば、十二カ月では二〇%違っているはずじゃないかということが概算されるわけなのです。昨年大体二百四十万キロということになって、その二〇%を見た場合には、二百五十万キロどころではない、非常に大きな数字になる、五十万キロくらいはふえるのじゃないかというふうに考えるのでございますが、さらに、正確なやかましい数字でなくても、トレンドみたいな、年々数がふえておる実績だけでも知らしていただけないか、そうすれば二百五十万キロということをきめられたこの数字が常識的に正しいかどうかということが判定できるのじゃないか、こういう意味なのであります。
  44. 鹿野義夫

    ○鹿野説明員 手元の資料をよく調べますから、時間をちょっと拝借したいと思います。もし今手元に持ちませんでしたら、また後ほど調べます。
  45. 志村茂治

    ○志村分科員 それでは次に質問を続けます。住宅に関する公団の問題でありますが、大臣は御説明の中に常に公団の住宅は産労住宅が非常に多いのだ、数字を見ましても二万軒のうち一万軒は産労住宅に該当すべきものであるということを言われておるのであります。そうしますと、産労住宅は従来五〇%近くの融資をしておって、あとの残額は工場とか会社が出資をして、住宅を、工員あるいは社員の社宅を作るというふうな建前でやっておったわけなんであります。従って公団においてはあらためて民間資金を動員すると言われておるのでありますが、産労住宅においてはすでに民間資金を十分動員しておったのである。しかもそれが無利息の金であったのであります。それをあらためて公団組織に持っていりて、そうして利息のつく民間資金を動員することによって、どれだけの利益が得られるのか、少くとも産労住宅の場合においては、むしろ利益ではなくなるのじゃないかというふうに考えられるのでございますが、その点はいかがでしょう。
  46. 石破二朗

    ○石破政府委員 お話通り従来の産労住宅昭和二十九年度におきましては住宅金融公庫に一万戸予定いたしておりまして、政府の方におきましてはこれに対して六割ないし五割五分の融資をいたしたわけであります。正確な結果はここに持っておりませんけれども、実はその六割なり五割五分融資いたしましても、やはり四割なり四割五分といういわゆる頭金を準備しなければならぬのでありまして、この二十九年度の一万戸の消化の実績でございますが、消化はできたと思います。大体消化はできましたけれども、いわゆる頭打ちの傾向にあるのであります。お話しの通り自己資金でありますから、まあ無利子といえば無利子でありますけれども、いずれも会社でございますので、この金はいずれただで寝さしておるものじゃない。従いまして相当の利回りが生じ得る金を頭金としてつぎ込むのでございますから、そこに一番の難点があったのじゃないかと思うのであります。従いまして三十年度におきましてはこれも全部やめるというわけにはいきませんので、七千五百戸に減らして残しております。今度の公団のねらいは、なるほど民間資金を入れまして、利息は相当従来の公庫の融資より高くなります。しかしこれを頭金として一時に取るよりか、少しは利息は高くても大体五カ年間に高い利息の分は返していただくというふうなことになります。今の計算で申しますと、公団の、それは分譲住宅というものでございますが、一万戸予定しておりまして、建築費は二月当り大体七十万円余りと考えておりますが、これについて当初五カ年間は相当よけい返す、分譲代金を払っていただく。一万一千円ないし二千円ずつ毎月払ってもらう。そのかわり頭金は一銭も要らぬ、こういう仕組みになっております。お話しの通り、事業主として、自分はそういう高利な金を五カ年間に分譲代金として納めるよりか、これを一ぺんに分譲代金として納めてしまった方が得だというふところ勘定がありますれば、分譲代金を繰り上げて納めていただいてもけっこうであります。早い話、簡単に申しますと、頭金を自分で用意されるのが、なかなか困難に見えますので、公団がこれを一般市中から集めまして、そうして頭金を立てかえてあげるというような格好をとったのが公団の分譲制度でございます。
  47. 志村茂治

    ○志村分科員 その場合に、会社が社宅として作った場合にはこれは家賃は問題外だと思います。会社の労務給の一部として払うということが従来の建前でありますから、これは普通の家賃とは、想像つかぬような安い家賃で入っておりますが、普通の賃貸住宅の場合には、その家賃は一体どのくらいの計算をしておられるのか。
  48. 石破二朗

    ○石破政府委員 上林委員にお答えいたしたところでありますが、公団の賃貸住宅は一万戸を予定しておりまして、この資金は政府の出資金と地方公共団体の出資金と、それから政府の低利資金と、それから一般民間の少し高い資金、これだけ入っております。問題は利息、それから償還年限でございますが、一応の計算はいたしております。民間資金につきましては大体九分五厘なら大丈夫、もっと安くやりたいとは思っておりますが九分五厘で五年間であります。政府の低利資金は六分五厘で二十五年間、出資金の方は家賃として回収するつもりであります。こういうものを七十年間に回収する。こういうものを総平均いたしまして、まあ全体が五分五厘で回る程度にしたらどうかというような計算をいたしておりますが、それにしましても元利均等でいくか元金均等でいくか、あるいは元金均等方式をとって、しかもそれを算術平均したような格好にする方が有利か、いろいろ今計算しておりますが、先ほど申しました通り十三坪の公団賃貸住宅の家賃は、予算の平均でございますが四千円程度以内にはどうしてもおさめたいと考えております。まあ先ほども申し上げました通り、私どもの気持としては、できれば三千六百円とか三千八百円とか、その辺におさめたいと思って、今いろいろ検討しておりますけれども、利息の問題等がありますし、それから償還のやり方がありますので、最終的なことは、ちょっとここではっきり申し上げかねるのでありますが、いずれ建設省において基準を定めたいと思います。
  49. 志村茂治

    ○志村分科員 私、予算委員会以来いろいろ大臣にも聞いて参ったのでありますが、今大部分の所得者は月収二万円以下が八〇%以上を占めておるというような状態であります。特にエンゲル係数が五〇にも達するような日本の生計費の内容であっては、家賃に支払い得る金額はきわめて少くなるのじゃないか、私の計算だと大体七%くらいになってしまう。家賃を、いわゆる家主業者というものは、昔は三割まで払ったということを言っておりますが、これも平均値ではないと思っております。もう少し低いはずだと思っております。また戦前と今ではエンゲル係数も違っております。国民の生活内容は苦しくなっておるのでありますから、その苦しいしわ寄せば、食生活は節約ができないから、当然これは家賃の方へ向けられていくはずであります。そうなりますと、家賃として大衆の——二万円以下の所得階級の人が払える金額は非常に少くなるはずだと思っております。従って戸数も大事であるけれども、家賃を安くするということが、住宅に苦しんでおる大衆のための政策であるべきだと考えております。従って、公営住宅をまずもっとよけい作らなければならないというのが、私の年来の主張であったのでありますが、公営住宅は百軒しかふえていないというような状態であって、主として住宅金融公庫の従来作っておりましたような三千円、四千円という高い家賃の家しか作れないというような現状になっておるわけであります。住宅金融公庫の住宅は、御承知のように今までは、戦前におきましては自力で住宅を建設してきた人々が、実際はそれを利用したという状態になっておるのでありまして、ほんとうに二万円以下のいわゆる少額所得者の階級の人々の手の届かぬ住宅であったわけであります。こういうような住宅に重点を置かれて、最も必要であるべき公営住宅はなぜないがしろにされておるのか、この点がこのたびの住宅政策の大きな欠陥ではないかということを、私はひそかに考えておるのでありますが、その点はどうなんでしょう。
  50. 石破二朗

    ○石破政府委員 お話しの通り現在の国民所得から見まして、三千円、四千円という家賃を払っていただきますことは、決して楽ではないと私どもは考えております。できますれば家賃の安い家を政府の手で供給するのが理想である、かようにもちろん考えております。昭和三十年度におきましては建設省としては、お話通り公団住宅を作りまして、分譲代金の若干高いものを作りましたけれども、公営住宅におきましては昭和二十九年に比べまして、御承知通り戸数を決して減してはおりません。災害の分を差し引きますと若干はふえております。  公営住宅の家賃の関係でありますが、お話のような点も考え合せまして、公営住宅昭和三十年度の家賃を二十九年度の家賃と比べますと、若干は下るように考えております。もちろん去年の公営住宅の中には第一種の中に四階建のアパートが相当多数あります。質が落ちているというところに一つの原因はもちろんありますけれども、昨年の最低は御承知通り一軒当り平均して九百五十円でありましたが、三十年度におきましてはいわゆる簡易アパート、いろいろ御批判の対象になっておりますが、これは八百十円という標準家賃を一応計算いたしております。公営住宅の家賃を総平均してみますと、ちょっと乱暴な数字かもしれませんけれども、二十九年度におきましては千八百四十四円ということでございましたが、三十年度におきましては、千五百六円ということにいたしております。なお一番問題になりますいわゆる六坪簡易アパートの建築でありますが、これは八坪木造と比較いたしますと、建築費はむしろ六坪——これは耐火でございますが、この方が若干は高いのであります。それでも耐用年数の関係がありまして、家賃におきましては八坪の木造でございますと九百五十円につきますが、六坪の簡易アパートでございますと、八百十円ということにいたして、低額所得者のためにもできるだけの配慮はいたしているつもりであります。何分にも手が回りかねる状況でありますので、比較的収入の多い方には若干家賃の高い公団住宅を利用していただこうというのが私どもの考え方があります。
  51. 志村茂治

    ○志村分科員 もう一つお聞きしたいことは、予算委員会大臣の説明などを聞きますと、なるほど増築というのは三万軒あります。しかし私は増築したからといって、日本住宅が三万戸ふえたとは考えられない。大臣もそれは認めておりましたが、増築のために出される金が三万戸に対して十八億五千万円だとすれば、一戸当り六万一、二千円という金額になる。この六万一、二千円の金を出して部屋が幾つできるかということを考えなければならない。大臣はこれによって各住宅に二間なり三間なりの部屋がふえることになれば、それだけ入居者の数もふやすことができるのだと言っておりますが、わずか六万一千円ばかりでそれだけの部屋ができますか。
  52. 石破二朗

    ○石破政府委員 住宅金融公庫で今度増築等のために貸し出す金三万戸分として予定いたしておりますが、一軒当り七万五千円に計算いたしております。何か数字の間違いかと思いますが、後ほど詳しく御説明申し上げたいと思います。これは増築費の五割を融資することになっておりますので、一軒当り十五万円の増築としています。その場合に半額の七万五千円をお貸ししようというわけであります。お話通り増築はもちろん住宅が一戸建ったのとは違いますが、現に二百数十万戸の住宅不足があると申しております。中にはいわゆる狭小過密といいまして、狭い家にたくさん人が住んでいるのも住宅不足の戸数の中に加えているわけであります。従いまして、そういう狭小過密の家に何坪かの住宅が建て増されるならば、それは住宅不足の解消になる、こういう理屈になるかと思います。なお貸し出しの条件等につきましては、最終的には決定いたしておりませんけれども、ぜいたくな建て増しには貸そうとは思っておりません。また住居部分がふえる目的を持たないような増築にはお貸ししないつもりにいたしております。ぜいたくな建物にはお貸ししないといいますのは、場合にもよりましょうけれども、すでに三十坪以上ある家にはお貸ししないということにいたしております。またその増築が単に物置を作るとかいうものにはお貸ししないというようなことで、いろいろこまかい条件をつけまして、住居部分の水準の向上に十分役立つものだけにお貸ししょう、かように考えております。
  53. 稻葉修

    稻葉主査 ちょっと先ほどのガソリン消費量の増加趨勢について発言をしたいということですから、鹿野説明員。
  54. 鹿野義夫

    ○鹿野説明員 先ほどの数字を申し上げます。二十五年から課税取引数量を申し上げますと、二十五年は四十三万二千キロリットル、二十六年は七十五万九千キロリットル、二十七年は百四十二万一千キロリットルでございます。二十八年は百九十八万一千キロリットルであります。二十九年でございますが、これは実績が二百四十三万四千キロリットルでございますが、先ほど申し上げましたように課税の猶予期間を短縮いたしましたもので、その点を勘案しますと、大体二百三十三万七千キロという数字になります。それに対して三十年度は二百五十万キロから五万キロの免税を除きまして、二百四十五万キロと見込んでいるわけであります。今申し上げました数量を除いた課税取引数量でございます。それから先ほど先生のおっしゃられましたように、ちょうどだんだんふえつつある傾向にあるときに一・四半期がズレたような形になっているわけでありまして、それは一番低い一・四半期と最終の一・四半期が比較されることになりますので、その差を四半期ごとに大体推定しまして、そのズレで十万キロくらいあるというのを、私は主計局の者でありますが、主税局も大体そういうふうに見込んでいると聞いております。
  55. 志村茂治

    ○志村分科員 一・四半期の数字はこの数字が出てくれば別段問題がありませんが、概算しまして二十六年が三十万、二十七年が六十万、二十八年、二十九年には五十万キロ程度ふえているということであります。二十九年が二百四十三万キロ、いろいろこまかい誤差はあるかもしれませんが、二百四十三万キロであって、今まで少くとも五十万キロ程度ふえているものを、今年わずか十万キロもふえないという計算をされているところは、大蔵省は切って捨てたのではないかと言われても仕方がないと思うのであります。どうなんでしょう、こういうことは。
  56. 鹿野義夫

    ○鹿野説明員 先ほど申し上げました外貨の方で、上半期は大体二百六十八万キロ見込みました。これは運輸省、通産省で主として御相談になって見込みを立てた数字でございます。それとの食い違いは若干の端数程度で二百五十万キロというのが、それに相当する数字であるということを今申し上げたわけであります。二百五十万キロを見込むにつきまして、ガソリン税を特に少な目に見積ろうというつもりでやった数字では——ガソリン税の消費見込みを立てるときに、主税の方とも一緒に相談した数字でありますが、特に消費見込みを少な目に見込んでやろうという気持でやった数字ではないと事務的に考えております。ただ全体として税の見込みとしては、若干かた目に見るというのは一般的な傾向にはなると思いますが、特に一割ぐらいを切り込むとかそういうような気持でやったものではございません。
  57. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 その点に関連して。二十九年の消費実績が二百四十三万キロということになりますと、ガソリン税の税収関係はどうなりますか。たしか二十九年度のガソリン税収入の予算は二百三十七億円であったのでありますが、これに従来の一万三千円をかけると相当の増額になると思うのです。二十九年度のガソリン税収入の予算との関係は、三十年度の予算編成に当ってはじかれたと思いますが、どうなっておりましょうか。
  58. 鹿野義夫

    ○鹿野説明員 先ほど申し上げました昭和二十九年度の二百四十三万四千キロは、徴収余裕期間を三カ月ズラしたために出てきておる数字でございまして、そのためによけいに税収が入っておるわけであります。その分を勘案して差し引きますと、二百三十三万七千キロという数字なんでございます。そこで今御質問予算の実績でございますが、予算の方は二百三十七億と見込んでおりますが、その後の実績は約二百八十八億になるかと思います。
  59. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 二百三十七億円に対して二百八十八億円というと、約五十億の差額が出ますね。この分はことしの道路予算との関係でどういうようになっておりますか。
  60. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 その問題は御承知のように前々国会以来の問題でありまして、臨時措置法で国会がきめました趣旨は、ガソリン税を全部道路材源にするという建前でありますが、法律の字句解釈からいうと、お話のように一般財政収入ということで、当然道路に来るという解釈に若干の問題がありますので、今実は政府提案の臨時措置法改正法案で、この差額を一般の決算の建前に従って、翌々年度の道路整備費の財源にするということを、明確に法律で規定することにいたして、提案をいたしております。そこで二十九年度の差額を三十年度にすぐに入れるということは会計経理上無理がありますから、一年飛ばした普通の決算の建前と同じようにしてその全額を——普通の剰余金ならば御承知のように半分を積み立て、半分を財源にするというのでありますが、これは全額を道路整備費の財源に振り向けるということに改正法案を出しておるわけであります。
  61. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 道路整備費の財源等に関する臨時措置法の関係から見たら、三分の二だと思うのですけれども、実はその点、その翌年に組み入れるのか、普通の余剰収入と同じように、一年置いてその次の年に組み入れるかということが明確でないことは事実で、そういう法案を出すことは非常に機宜の処置だろうと思うのであります。今同僚志村君が言われましたように、ガソリンの実際の消費量と、それからガソリン税の収入関係との間に、どうもガソリンの実際消費量を非常に過小に見積っておるという点は、すでに二十九年度で、消費量の増加に伴ってガソリン税が約五十億から自然増収がある。それがことしの道路予算には出てきてない。しかもガソリン税は目的税でありますから、ガソリン税を全部道路予算に使うことは当然のことなんですけれども、それ以外に特にこの内閣のいう公共事業費の重点を道路の整備費に置くということになれば、税収入の関係から見れば、ガソリン税収入だけで一般会計から道路予算に組み入れる面は全く取るに足りないものだ。われわれの計算によりますと、わずかに三億七千万円程度しか一般会計から道路予算に組み入れてない。こういうようなところにやはり今度のガソリン税の値上げ問題とも関連して——実際にはガソリン税が道路予算に振り向けられるという目的税ということで、これは各党あげて賛成したわけなんですが、その趣旨にもかかわらず、最近いろいろ物議をかもしておる点があるので、その点は一つ明確にしていただきたいと思います。  それから志村君が数字を上げて御質問を申し上げておるように、やはり私らも外貨予算の面から押えても、三十年度におけるガソリン税の税収入見積りは非常に過小だと思うのです。その関係から見て従来のような年間五十万キロくらいの増加率であるということば、いろいろ外貨予算等の関係から頭打ちになってきておるという点はあると思うけれども、通産省が、三十年度の外貨割当に用いている予定数量の二百六十八万キロでありますか、少くともその中から航空揮発油等で道路関係のガソリンに振り向けられない分を差し引いたといたしましても——私はこれはやはり道路予算関係がありますから、当然この委員会でも取り上げるわけなんですけれども、ちょっと過小見積りだと思う。この点は道路予算をよけい計上しなければならぬ竹山建設大臣として、一つ厳重にがんばってもらわなければならぬと思いますので、関連して伺っておきます。
  62. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 第一の点の、余剰といいますか、差額があった場合は普通の決算と同様に翌々年度の道路整備費に繰り入れるということを、今度の法案で改正をいたし、明確にいたしております。しかも半分でなしに全額を翌々年度の道路整備費に入れるということを実は明確にいたしまして、五カ年計画関係で法案は非常にややこしく書いてありますが、二十年度の問題は過ぎ去った問題でありますから、そのことの処置一つ上げると同時に、三十年度、三十一年度、今後の問題についても明確にその点を法文化しております。実は今各方面でこの見積り過小の論議があります点はよく私にもわかります。実際は率直に言うと、この点を法律で明確に改正をしなかったならば、大蔵省はこの余剰財源といいますか、収入の超過額は一般財源となるのでありますから、予算のときに過小見積りをすることもあり得るわけでありますが、今度は法律で全部一文銭残らず取り上げるということを明確にしたわけでありますから、ことさら意識的に過小見積りをしてみたところで、どっちみち取られることでありますから、その点はことしの予算編成の際はもう率直に話し合いまして、私の見るところでは事務的には決して意識的に過小見積りをしているとは思わないのであります。これはどうも主税局が従来の関連とそれから今お話が出ましたが、ちょうど経過的ないろいろな処置等がありまして、ちょっと総額だけの比較をすると相当の差額のように見えますが、いろいろ私の方もお話通り財源を一文でも多いことを要求した立場から、道路局長も実に綿密に主張をいたしましてこれならばと納得をした数字でありますし、しかも今申す通り今年度財源が差額が出ますれば、翌々年度で明確にそれを計画に載せることができるわけでありますから、私たちにしてみればこの差額の問題は今までのように実は気にする必要はない。確実に財源にいたしておるというわけでありますから、まあ政府部内としてはあまりそう問題になるほどの数字ではない。しかも逆に大蔵省は今度はわれわれから見るとぎりぎり一ぱいに近いところまで持ってきて、昨年の差額とはまた逆にほとんど実際はそう大した差額は出ないところまできているように、私は理解しております。
  63. 志村茂治

    ○志村分科員 大臣の今のお話ですが、翌々年度の決算によって出た金を全部道路に向ける、こういうことを言っておりますが、これは次善の策だと思います。本年度入るガソリン税は本年度になるべく使った方が早く道路がよくなるのでありますから、そういうふうにしていただかなければならないと思うのであります。またもう一つ、昨年はこのガソリン税が全額道路に向けられないで、地方譲与税に向けられておったという苦い経験もあるわけなのであります。決算においてその金が出たからそのまま道路に振り向けるといっても安心ができない。これは少し考え方が甘いのじゃないか。できるだけ厳重に取るべきであろうと思います。それにしましてもまたさっきの話に戻りますが、ガソリン消費税の見込みがなぜそのように低く見積られたのか。どうもわれわれとしては今までの趨勢から見ましてもあるいは三十万、六十五万、五十五万、五十万というふうに年々大きく伸びておるときに、ことしだけは二百四十三万キロに対してわずか七戸キロしかふえないのだという見方、それだけガソリン消費が最近急激に減っているという特別な事情でもなければ普通の計算では納得がいかぬと思うのですが、特別な事情が何かそこにあるのですか。もちろん私は大蔵省が特に消費量を意識的に下げたというふうなことを今論議しておるのではありません。結果としてこのように大きく引き下げられておるのであるが、それについては客観的なはっきりした事情がなければならぬというふうに想像するのであります。その点を伺っておきたいと思います。
  64. 鹿野義夫

    ○鹿野説明員 説明員といっても主計局の説明員でありまして、主税局の税制を担当いたしておりませんものですから、何分先生の御質問が微に入り細をうがっておりますので、御返答がなかなかいたしかねる点があるのであります。大体月別の実績は全部とらえてやっておりますが、ただ自動車が最近ふえている傾向は、特に二十八年あたりからのふえ方が、非常にはなはだしくなってきていると思うのですが、その点若干頭打ちの気味があるのじゃないか。ガソリン輸入の方の関係にしましても、外貨の方から見ましても、その点は大幅にガソリン、重油なんかの輸入を見積っておらないということから、すなおな気持で見たつもりなのでありますけれども、特に作為を織り込んだというのではないのであります。むしろその点ではやはり月別のこまかい実績等あるいは自動車の台数の月別の変化、こういうものから御説明を申し上げた方がいいのではないかと思いますが、もし時間がありますれば研究させていただいて、調査の上お答えいたしたいと思います。
  65. 稻葉修

    稻葉主査 この責任ある答弁は主税局長を呼んであとで御報告いたさせることにいたします。そういうふうに手配したいと思います。この点について建設省から御答弁がありますれば……。
  66. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 筋違いでありますから、代理答弁になりますが、その点は田中委員より御質問もありましたように、われわれは一文でも多く財源を確保しなければならぬということで、今度の予算を立てる場合においても通産省はもちろん、運輸省、いろいろの方面の資料を基礎にして大蔵省折衝したのであります。今度は今申す通り超過が出たからといって政府のもうけにはならないのでありますから、私たちも良心的にこの数字なら確実だというふうに見て立ったようなわけでありまして、まあ御心配のような問題は、私は今のところ実は感じてはおりません。ただ一応いろいろ御意見としてはよく出る問題でありますからわかります。  それからちょっとお話の中で、あとでまたごまかされやせぬかというお言葉もありましたが、この点も非常に明確に臨時措置法にも三十一年度はどう、三十二年度はどう、三十三年度はどうというふうにきちんと事務的にも話し合った結果立法化して、今提案しておるようなわけでありますから、その間においては決算に現われてくる数字を取り上げるわけでありますし、一文もごまかしようのないように立っておりますから、御安心を願います。
  67. 志村茂治

    ○志村分科員 先ほどの住宅の増築の点でありますが、この三十年夏の予算の説明によりますと、増築三万軒、一般会計から一億円、資金運用部等から十七億五千万円、合計十八億五千万円となっておりますが、この数字は違うのですか。
  68. 石破二朗

    ○石破政府委員 お示しの書類は、大蔵省の主計局の予算説明書になっておるかと思いますが、実は御承知通り住宅金融公庫におきましては毎年の政府の出資なり、融資のほかに回収金の一部をもってこの事業をいたすことにいたしております。従いましてただいまお示しのものは、おそらく新たに出資なり融資される金額ではないか、かように考えますが、実際私どもの方で計画いたしておりますのは三万戸分、二月当り七万五千円計二十二億五千万円ということで資金計画を立てております。
  69. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 これは私明後日の総括質問の際にも、きょうは大蔵大臣がお見えになりませんから、大蔵大臣並びに総理のおられるところで、建設大臣に伺いたいと思います。建設大臣だけ責めてみても始まらない問題でありますが、先ほどからだんだんとほかの委員諸君から出ておりますが、災害復旧関係の問題であります。特に二十八年度の災害につきましては、大臣も御存じのように、私らの和歌山県を筆頭といたしまして、全国的に非常な災害を受けたために、特別の臨時国会も開かれたような状況であります。この間本委員会において、二十八年災に対する予算措置及び予算計上の根拠を私の方から要求した資料が出て参ったのでありますが、その関係からいって、こまかい点は私あまり伺いませんが、率直にいって、二十八年災の仕越し工事が私らの県で約二十億以上になっておる。全国的に相当進んでおると思う。それが本年度の災害予算では、仕越し工事の分の支払いを済ませば、それ以後の工事は何もできないというような実情になるわけであります。それでこれは何とかしてもらわなければならぬわけなんですけれども、どうも何か昨夜大綱の妥結を見たという民自両党の予算修正にも、この点は八月か九月に予定される臨時国会で処理するというようなことで、全然過年度災害の分、ことに二十八年災に対するこれらの予算的な処置がなされないようであります。これはどうしたってすでに工事が完了して、支払いができない。こういうことでは、本年また——私らの和歌山県のごときは特に台風の通路でありまして、毎年必ずやられるわけであります。そういう関係上非常に困るわけでありますが、この点について建設大臣として、一応現に出しておる予算の面でのやり繰りはどうにもならないと思いますけれども、積極的にどういうように処置されるか。これは建設省農林省関係が一番大きいわけでありますけれども、一番大きな災害関係の直接担当の建設大臣から伺っておきたいと思います。
  70. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 この問題はお話通り、非常に大きな問題でありまして、本年度予算化しました額につきましては、いろいろな御批判をいただくことは当然であろうと思いますが、あの出ました額は、前回も申し上げましたように、昨年度の進捗率をやや上回る程度のところしか本年度は予算化し得なかったことは、私としてもまことに遺憾で、申しわけないと思っております。これに対して仕越しの問題の処理は、これで全部仕事ができないというふうには考えておりませんけれども、なお金融措置その他の措置はできるだけ考えなければならぬということは当然であると思いますが、なお先ほども他の委員にお答えいたしましたように、実は懸案として残っております連年災害に対する国庫負担率を引き上げなければならぬという問題が、建設省の今当面しておる一つの大きな課題でありまして、これは財政負担の当然伴う問題でありますので、私としては財務当局と極力今折衝をいたしまして、連年災害を受けたその災害に対しては、別個の補助率、すなわち最高全額国庫負担というものに持っていく立法措置を今極力努力して、できるならば本国会にそれを提案をいたしたい。  なおそれと関連をしまして、今もお話のありましたように、災害予算のきめ方が、今までは毎年々々の財政状況で言いわけしつつやってきたというような状況でありますから、少くも三年間に一応災害を片づけるという建前で、法律の根拠をこの負担法に盛って予算継続費予算制度に、一つ国会承認を願うような建前に私は持っていきたいという考えで、今負担法の改正をせっかく急がせておりますが、これは将来に及ぼす非常な大きな問題でありますので、拙速をもってある程度妥協をして片づけるということはしたくないと思いましたので、本年度予算とは切り離して、今後の予算の基礎になる問題として、今せっかく努力をいたしておりますから、その面でも今田中委員お話の問題は、一歩進めた解決策を立てたい。しかし今出しております予算はごらんのような状況でありますから、今これをどう修正するかという問題等につきましては、今日私から申し上げられる段階ではありませんので、いたし方ありませんが、私としては法律と、また今後の処理方針については、最善の努力をいたして、今御注意の点に応じて参りたいと考えております。
  71. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 今出しておる予算の修正でも、われわれ聞くところによると、民主党の党内でも二百九十億ですか、復活要求のときに、六十億の災害増額が削られてしまった。今度は歳出面で百何億かの修正が出ておると思いますが、その中にはこの過年度災害の分についての復旧費は一銭もない、こういうようにわれわれは聞いておるのですが、これはいずれ修正が出て参りましたら、本委員会で追及いたしますけれども、かりに予算的な処置がどうにもできないということになれば、今大臣の方からも、仕越し工事等については金融措置等でも何とかしてやらなければならぬというお考えを、ちょっとお漏らしになったのでありますが、そういうこともあわせて考えていただけるのでしょうか。
  72. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 そのことは予算の後におきまして、私としてもできるだけ考えて行かなければならぬと申しておるわけでありまして、今修正に伴ってどうこうというところまでは私も承知いたしておりません。
  73. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 それは予算がきまってからと、建設大臣としては言わざるを得ないと思いますので、私はこの問題は引き続き本委員会で、あさって総括質問で取り上げますが、特にこの問題は、政府の方から本委員会に出して参りました資料に基いて、二十八年災の災害復旧事業費の移動ということで出てきておる。それでは十六特別国会当時の査定金額が千五百三十五億になっておる。これは十六国会当時の関係から見て一番大きな十三号台風が入っていない。そこで口の各省当初の査定見込み額が千八百三十三億になったわけであります。これも臨時国会で特別委員会ができていろいろ論議された数字なんですが、その次にある予算積算基礎が一挙に千百五十七億に、これは大蔵省がそういう予算の積算基礎として千百五十七億というところにきめて、そうして二十九年度の予算を組んだ。そこに問題が起っておるので、これはその当時は吉田内閣でありますから、必ずしも今の鳩山内閣責任ではないと思うのでありますが、実際国会に出てきた資料から見ればそういうようになってきておる。それがその次の数字で再調査後の決定額として千五百五十四億四千七百万円、このイロハニのニの点についてはこういう説明がついている。二十九年度予算の積算基礎に織り込んだ削減を実地に当って決定するため、関係各庁が約一年間にわたって実施した共同調査の結果である。なおこの額には一部推計額を含んで、なお調査しなければならぬということになっておるのでありますが、一年もかかって、大蔵省を含めて、会計検査院から建設省、行政管理庁も含めて調査した結果が千五百五十四億、これは若干の推計額が入っているといたします。その処置が三十年度の予算に当って私何ら処置されていないと思う。その次の実行見込み額として千四百十二億、これで三十年度の予算が組んであるので、二十九年度よりは幾らか進捗すると思うのですけれども、本来ならそれではできない。従って三十年度予算が一応組まれたにいたしましても、実際に二十九年度がかりに千五百億と大まかに押える。それにもかかわらず千百五十七億しか推算のもと予算を組んでないのですから、ほんとうは、二十九年度の補正をやらないから結局仕越し工事というような形で、地方財政に大きな負担をかけておるものだと思う。この問題は、これは吉田内閣時代の責任には違いないのです。しかしその当時、現在の鳩山総理大臣も竹山建設大臣ももちろん含めて、われわれが各党一致で三、五、二比率でやるということになっておった。それが三十年度に二をやれば、もう昭和三十年度で二十八年災害は完成しなければならぬ。しかもこれは九割九分、場合によれば全額というような高率の国庫補助を法律できめているのです。ただそのときの国会の決議だとか何とかいうことであれば、院議が無視されるという場合はあると思いますが、法律できめて実施した二十八年度の災害の問題を、その後の財政事情からだということでやることは、これは私は許されないと思う。そういう観点に立ってこれは、たまたまそういう意味でこまかく資料を出してきたところに、二十九年度の災害予算を組むときに、とにかく大蔵省に大きなミステークがあったということを、この資料で国会へ明らかに出してきておる。私はそういう立場から、この問題については、どうしてもこの予算で何らかの処置してもらわなければならないところへ追い込まれてきておると思います。建設大臣、そういう意味で、ただいま政府の方でも予算が無修正で通過するということにはならないだろうと思うが、修正の点ではこれは当然民主党員の立場においても私は織り込んでいただかなければならぬ。政府ばかりにそれを持ち出された場合に、その点について考慮される御用意がありますかどうか。竹山さんから伺いたい。
  74. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 前段の基本の数字については、もちろん前内閣のことでありましても私も責任を感じておりますが、私の理解するところでは非常に大きな災害が起りまして、その金額を国会で大分やかましく言われましたが、その後依然として大蔵省考えておる数字と現業省との間に食い違いのままでその論争を続けておる。そのために地方が非常にいろいろな意味において迷惑を受けておる。だからこれはすみやかに政府部内で各省の間にこの基本的数字を調整すべし、そうしなければいつまでたっても、この問題は尾を引いて国民が迷惑をするというようなことから、私は、国会の御意思がそのときははっきりどこでどうということは承知しておりませんが、そういうことから政府部内で、ここに書いてありますように、各省間で、この基本的な数字を調整をするといってはおかしいかもしれませんが、よく実地について調査をしてみた上で、一致したところを見出そうということの努力をいたしまして、相当の時日を費して得ました額が約一千億というところに落ちつきましたから、そのことについてはあるいは従来主張していたものより下ったのだからけしからぬという御意見も出ましょうけれども、そういういきさつで、話し合いの結果といいますか調査の結果まとめた基本数字でありますので、自後その数字を基礎にして予算措置を講じて参っておるというように、私は経過を理解しておるわけでありまして、これはその現実の個々の問題になりますと、それによっていろいろな影響があろうということはよく想像されますけれども、両方がいつまでもいがみ合っていただけでは、問題はどうしても進展をしませんので、そういうことにいたして、建設省としても一たんそこで話をきめた以上は、その数字を基礎に予算を仕組んで参るということにいたしておるわけであります。なお数学的には必要とあれば河川局長から申し上げますが、大体私はそういう考え方で参っております。  なおお話しの、国会がきめた三・五・二を実行していないじゃないかという点についてもその通りでありまして、これは政府としてはまことに申しわけないし遺憾に考えておりますが、ずっとさきからそういうズレがきておるものですから、一ぺんにこれを穴埋めするということはなかなか容易ならぬことでありますので、今年としては、先ほど申したように昨年より若干上回るところでがまんをせざるを得ない。が、しかしこのことも、実は国会の意思が法律的に明確になっていない、制度化していないという点もありますので、先ほど申したようにこれは一つ法律で明確にしようという努力を、今いたしておるようなわけであります。  なお今回の予算の修正等に当って、どういう最後的な決定になりますか、私今のところ承知をいたしませんけれども、もちろん増額修正されることについて、このことに関する限り、政策の問題は別として多々ますます弁ずるわけでありますから、私もけっこうなことだと考えております。
  75. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 なおこの問題は大蔵大臣にあとの処理を伺わなければならないので、総括質問を本委員会のときまでこの問題については保留いたします。  次に、大臣の予定もあると思いますので、大臣に対する質疑をいたしますが、承わるところによりますと、これは定員法の関係でありまして、建設省に、終戦後、各官庁にありました営繕関係を統括した営繕局ができて、地方の建設局にも人員が約二千名の営繕部があるようでありますが、何かこの官庁営繕の関係が、事業量が少くなりつつあるというような関係から、今度人員整理をやられるというような考え方があるやに聞いておりますが、この点は建設省の中に営繕局でありますか、営繕部でありますか、専門の局ができて、その関係から非常にこの点は私いろいろな無駄も排除されてきておるし、官庁営繕も、もちろん一部特調関係の駐留軍関係や何かにつきましても、営繕の面ではこの部局が非常な能率をあげてきておるように私らには見えておるのであります。その意味で、ともすれば各省別に各営繕関係が思い思いにそれぞれ建設部だとか、そういう部局を持ってやるよりも、私はやはり予算効率的な使用という観点から見れば、むしろこういうものを現在よりも強化して、ここらでとにかく大いに能率をあげていただくということによって、国民の負担が恒久的に軽減されるような方向に進むことが非常に望ましいと思うのです。その意味から見れば営繕局は相当な実績をあげておる、本来ならばそのごほうびがなければならぬところへ持ってきて、今度人員整理ということはまるつきり逆行すると思います。この点について大臣——あるいはまだ定員法の改正案も出るようでありますけれども、私は前々国会で郵政委員長を長くやっておりましたが、郵政関係なんかで特にそういう事業的な面、経済的な面で能率が上っているような面では、今度の定員法の改正によって増員をされるような傾向にあるときに、相当な実績をあげている営繕関係を人減らしをやるということは、私は逆行すると思うのでありますが、この点についての大臣の御所見を伺いたい。
  76. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 ごもっともな御意見でありまして、これはお話通り、今度営繕局の定員の中から二百二十人の減員をするということは事実であります。私も就任直後からこういうことになりますことについては、はなはだ心を痛めておるわけでありますが、お話のように終戦後いろいろな時期、段階がありまして、大分混乱といいますか、非常に急激な激動期を過ぎて参りまして、いろいろな方面からの技術者が営繕局にようやく体形を整えて集中をして、官庁営繕のことを担当して参りましたことは非常にいいことだと考えておりますし、もちろん今後もまた各省に分割していくような考えは持っておりません。ただ防衛庁関係だけが多少独立のものを持っておる以外は、まとまっておりますが、実は官庁営繕そりものも、ことしはいわゆる不急不要建築を抑制したいという政府立場からいいましても、できるだけ延ばされるものは延ばしたいということでありますが、これはそんなに急激な変化はございませんけれども、御承知のように進駐軍関係等の仕事が大部分で、このためにお話のように非常に努力をしてくれて、無理な仕事をして非常にその成績が上ったということは事実であります。われわれもその努力には敬意を表しておるわけでありますが、肝心のそういう関係仕事というものが急激に減少をしてしまったわけでありまして、これは先行きふえる見込みはありません。一、二年足らずで駐留軍は帰りましょうし、そんな関係でありますから、自衛隊の関係のものは若干あるとしても、これは限られておりますし、一時的にいろいろな大きなボリュームのものを消化してくれた営繕の諸君に対しては、個人としては非常にお気の毒に考えておりますけれども、役所の制度上、仕事がだんだんとなくなっていくのに、将来明確な当てがあればいざしらず、そうでない限り、定員を維持していくということについて、私は人情としては努力をいたしたつもりでありますが、仕事の分量に応じて定員を減らすという現行定員法の建前からいたしまして、いかんともいたしかねるようなわけで、当初の計画よりは最小限度に切り詰めて二百名ということにいたしたわけでありますが、しかしこれは一面非常な経験を持つ技術者の諸君でありますから、十分その能力を生かして国家のためにも働いてもらいたいということを、別の面において考えての上であります。がしかし、これはなかなかどこへでも通用するという技術じゃないのでありますが、幸い御承知のように、今度住宅政策を取り上げて拡充をいたして参りたいと考えておりますものですから、そういう面で——まだ法案、予算の決定前に私が申し上げることはいかがかと存じますけれども、私としてはそういう面で十分これらの諸君の新しい働き場所を考えて、そうしてやっていただくことの方が、無理になくなった仕事にしばらくおってもらったところで、将来の仕事の展開というものは考えられませんしいたすものですから、万やむを得ずかような処置考えておりますが、しかしこのやり方につきましても、一時にやるようなことはいたしませんで、昨年やりました待命制度とほぼ同じような考えで、一年間の間に漸次処置をしていくほか、公団法の中で恩給の継続——これは初めての例でありまして、ある意味においては非常に無理だと思いましたけれども、がんばりまして、このために半月もがんばって、こういう制度も公団法の中に盛り込んでおりますから、お話通りこれらの諸君の今日までの努力に対して、消極的ではありますけれども、私としては十分できるだけのことをいたして、この事態の転換に応じて参りたい、かように考えておるようなわけでありますので、今後の処置につきましては、私も最善の処置を講じたいと考えております。
  77. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 そういたしますと、これは石破官房長からでけっこうですけれども、その二百二十名城を見込んだ予算を組んでおると、こういうわけなんでしょうか。それとも予算は一応現在の定員でやっておるけれども、別途定員法が改正で出てくると、それだけの分をやると、こういう形になるのですか。予算面では、待命制度であれば、ことしは定員の面では響いてこないのですか。どうでしょう。
  78. 石破二朗

    ○石破政府委員 大臣が待命制度的なものということを申し上げたかと思いますが、いわゆる待命制度予算にはなっておりません。十月の末に百五十名、十二月の末に五十名、三月の末に二十名、計二百二十名。まあこれも仕事の推移を見てもちろん整理の計画は立てておるわけではありますけれども、年度の初めの方に一ぺんに定員を大幅に落すというようなことになりますと、やはり転職その他に非常な影響がありますので、なるべくずっと年度の終りの方にウエートを置いて整理の計画を立てておる、こういう意味のことを申し上げたのでございます。いわゆる正式の待命制度予算措置は講じておりません。
  79. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 どうも関係の諸君は実に、ほかの官公庁の諸君もそうでありますけれども、非常にまじめな技術者ばかりなのでございます。そういう関係から見て非常にピッチを上げてきたのに対するほうびが首切りでは、これはちょっと納得がいかぬと思うんです。その意味で特に私ここで取り上げるわけであります。今新しくできる住宅公団法の中にも恩給の継続というような面で、御考慮になっておるようであります。それからいま一つは防衛庁の営繕関係自分の方でやる。しかし自分の方でやるというよりも、これは防衛庁が民間の建設業者にやらしている関係があると思います。そういう意味で建設省自体の新しくできるであろう住宅公団等に配置転換ということで、ある程度の吸収はできると考えられますが、できればやはり防衛庁等がみずから営繕関係を持つ必要もある。私はそういう意味で防衛庁とも話し合って、どうしてもこれだけの整理がやむを得ないものだとすれば、配置転換等について格段の御努力を願いたいと思いますが、いかがでしょう。
  80. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 今申し上げましたように、私としても一つ最大の努力をいたすつもりでありますが、ただ防衛庁の方はこっちから持っていくどころの騒ぎではなくて、向うも特別調達庁などにも、私の方と同じような現象が起っておりまして、実は率直な事情は、むしろ困っているので私の方へ逆に頼みに来ておるような始末でありまして、ほんとうにまじめな技術者で技術を生かしていくという点においては、どうも今の定員法というものは——これは営繕ばかりじゃないんですけれども、他の技術の方においても仕事の分量に応じて定員をきめるということが理屈の上ではその通りなんですけれども、全くゆとりのない建前で、これは私実は公務員制度全体の定員法の制度について、技術者だけの問題じゃないですけれども、特に考えようじゃないかということをしばしば主張して、今検討してもらっておるようなわけでありまして、どうも仕事をするだけさせておいて、要らなくなれば始末をしなければならぬという考え方といいますか、人情はもちろんでありますけれども、事実にぴったりこない感じを私は抱いておるわけであります。この点についても私は今後努力をいたしたいと思いますし、当面の今御心配のような点につきましては、官房長の手元で最善の考慮をいたしておるようなわけであります。
  81. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 その点は一つ引き続き長年努力をしてきた、また相当の実績をあげている諸君のことでありますから、人情大臣の竹山さんの御努力をお願いします。  次に河川関係で一、二点伺いたいと思いますが、最近電源開発の関係、防災等の関係で各重要河川ダムが建設されております。これはそれぞれの目的を持っておるので私もけっこうだと思うんですが、しかしこのダム建設に伴う河川の護岸といいますか、そういうようなものが相当の距離にわたって増強をするということをやらない、特にダムの上流部面においてはそういう関係が必要になってくると思う。これは私の乏しい経験でありますけれども、どうも十分総合的に勘案されていないような感じを持ちますけれども、この点については建設省として、特に防災ダムは直接電気だとかそういうようなものには関係はないといたしましても、特に電源関係等で相当大きなダムが建設されるというようなことになりますると、その上流のダムの水をたたえる部面の護岸の問題については、これはやはり河川行政の面から見て、私は大いに考えなければならぬ問題だと思うんですが、そういう点について、どういうようにお考えになりますか。
  82. 米田正文

    ○米田政府委員 ダムお話通り全国各地で今たくさんやっております。今のお話にございましたように、ダムができますと、その上流の堤防の問題が起きる場合がございます。大きいダムといいますか、むしろ山間僻地でやるダムについてはそういう問題はないんですが、平地に近いところへ作ったダム等ではそういう例がございます。こういう場合には一貫して計画を立てるべきでございますが、その具体的な問題については、必要に応じてそういう計画は同時に立てるつもりでおります。
  83. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 特にその点については留意を願いたいと思いますが、河川局長も御存じの私の郷里紀ノ川に農地災害関係で井堰の統合で、相当近代的な灌漑用のダムができました。その一番下にある岩出にできる関係から岩出町及び田中村、それから安楽川町——米田さんはあの地形はよく御存じだと思うんです。それからその上の藤崎の関係からいうと王子村というところ、これは農林省建設省と話し合って下さって、若干の護岸の強化は処置していただいているんですけれども、非常な災害のあとで紀ノ川にかかっておる橋が、今度は相当考えて途中のピーアを抜いて水はけが非常によくなっておる。そういう意味で技術的には調整できるようにやっているんだというふうに、農林省の建設部長の桜井君でしたか、そういう点は建設省とも話し合って十分処置しているということなんですけれども、関係の農民なり住民等については、一たび洪水の時期等にダムの技術的な水量の調整によって、現在の護岸堤防では十分これを防ぎ得るかどうかという点について、まだ非常に懸念を持っておる。そういう意味でこの前あそこに農林省関係ダムの工事事務所の開所式がありましたときにも、私現地で指摘しておいたんですけれども、何かその点については近畿の地建の方からでも連絡があって、特別にダムの方の工事は農林省の方の所管でありますが、建設省で特にあそこは問題になっている河川だけにお考えを願っておる点があるかどうか、米田さんに伺っておきたい。
  84. 米田正文

    ○米田政府委員 岩出付近で今やっております農地関係災害復旧の合同堰の問題につきましては、これはあのダムをやることによって上流の堤防に危険を与えるという問題は、その後両省折衝いたしております。筋道だけ申し上げますと、建設省でやっておるものは建設省の一貫した紀ノ川の改修計画というものがあって、その計画に従う予算を執行しておるのですが、突然途中から合同堰が出てくると、従来の計画にプラスされて問題が出てくるわけです。そこで筋道としては農林省所管予算でその追加分は当然実施すべきだ、こういう筋道になるのですが、しかし農林省としてはわれわれの方の今の災害復旧の工事であるために、そういう全体の計画までは及ばない、その点は建設省として考えてもらいたいという希望がございました。そこで農林省の出せる範囲においてある程度の護岸増強に資するというように話がまとまりました。その他のことについては、建設省においてその計画を変更して工事を進めることにいたそうという話し合いになりまして、これらの具体的な工法、金額等については今研究をいたしております。
  85. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 それから河川局長にもう一点。これは例の西牟婁郡冨田川の問題ですが、やはり改修問題が非常に緊要になってきておるのです。まあ和歌山県は直轄河川は紀ノ川だけでありますけれども、あの改修の問題について、国の方として何か特別に御考慮願えるかどうか。従来いろいろ調査等をやっていただいたことがあるのですが、調査の結果、あの改修について、かなり根本的なことをやらないと、災害のたびに特に下流で河床が相当高くなってきている関係から、耕地が荒れるのであります。この点について、先般国の方から調査費をもらって基礎的な調査は相当できておると思うのでありますが、いまだに結論を出していただいておりませんが、いかがでございましょうか。
  86. 米田正文

    ○米田政府委員 お話通り、富田川については現在調査中でございます。調査をいたしまして、計画を立てる順序になりますが、やはりまだ計画を策定しておる道程にございます。直轄河川という名前がちょっと出ましたけれども、あの程度の川については、現在国でやるという考えはいたしておりません。私どもの現在の考え方としては、県のいわゆる中小河川事業としてやるべきものだ、こういうふうな考え方計画の確定をしたい、こういうふうな考えを持っております。
  87. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 道路局長が見えているので、二点ばかりお伺いいたします。一つは有料道路に関する問題であります。今度の特定道路整備事業の特別会計関係ですが、この特別会計全体としての予算は、二十九年度より若干ふえておると思うのであります。ところで、地方公共団体への貸付金は、前年度より約三億円近く減っていると思うのです。特に二十八、九年あたりからこの地方公共団体へ貸し付けていただくことによって計画を始めておるところがありますので、そういうような関係は、予算がこういうように削られると、非常に支障を来してくると私思うのであります。その点、三億近く減っておるわけでありますけれども、聞くところによると、二十八年分はまだしも、二十九年度以降の分については、従来のままで打ち切りだという説も出ておるのでありますが、その点はいかがになっておりましょうか。
  88. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 有料道路特別会計から借り入れます金額は昨年度と同額でございます。貸し付けになります分はお話のように少し減っておりますが、これはただいま御審議願っている予算に修正があるかと聞いておりますけれども、今お願いしております予算ではさようになっております。その考え方は、二十七年に着手したものと二十八年に着手したものと——二十九年には着手いたしておりません。二十七年に着手したものをできるだけ早く完成いたしまして、料金を取るようにしたいと考えて組んでおります。二十八年度に着手いたしましたものは本年から三カ年くらいの計画にして、中には金額の少いものもございますので、金額の少いものについては来年度において完成したいというふうに組んでおります。お話にございました打ち切るということでございますが、打ち切るという考えはございません。ただ、予算関係で重点的にやっていきたい考えでありますので、一時休止状態になるものが出るかもしれぬという考えはございましたが、しかし予算が修正されるということでありますと、この点も救われてくるわけであります。
  89. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 これは地方的な問題で、おつき合い願っている主査にもはなはだ恐縮なんですが、私の方の高野山へ通ずる有料道路、あれは一昨年の災害等の関係から考えましてもぜひとも早期に完成さしたい、これに地元官民一致してそういう要望であります。特に有田の奥に高野山を通じて連絡することになれば、一朝災害の場合において一番強力なる交通網になるのですから希望しておるわけであります。二十八年から毎年予算の当初においては一千万円以上を予定していただけるのでありますが、実際にいよいよ予算を執行するという過程になりますと、一千万円以内で、二カ年引き続いて若干ずつ出していただいておるわけであります。今年度はこういうように予算が全体として削減されていて、今のお話から見れば今後三年くらい継続して完成しなければならぬことになるので、ぜひやっていただきたいと思います。この点は御答弁はいりませんが、御考慮を願いたいと思います。  それからいま一つ。先ほど河川局長に伺いましたが、紀伊半島の海岸線を通っている国道四十二号線に、富田川にかかっている俗に郵便橋と言う木造の橋が現在あります。富田川がはんらんをするたびに、水が出るたびに落ちるのがこの郵便橋の代名詞のように言われておるのであります。これは国道にありますし、海岸線における唯一の連絡線なんですから恒久的な橋をかけていただきたいと思うのであります。これは道路局長も御承知だろうと思うのでありますが、道路法はわれわれ議員立法で出しております。私、当時たまたま建設委員をやっておりまして、議員立法提案者になっておるわけでありますが、小委員長の田中角榮君と私の間の話では、ほかのところから比べれば国全体として重要な路線であるから一級国道に入れる、実は裏の話を言うわけではありませんが、そういう了解もあって私も提案者になっておるのです。その後日比谷の松本楼で審議会をやっているところへ私出向いて、最初のときにはお願いもしたわけです。現在二級国道ということで、二級では上の方らしいですが、今そういうふうな関係になっております。そういう関係から見てむずかしいというような点もあるいはあるかもしれませんけれども、海岸線で非常に重要な橋梁になりますから、一つ抜本的なことを考えていただきたいと思うのでありますが、早急に計画していただけるかどうか道路局長に伺っておきます。
  90. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 ただいまお話の国道につきましては、私ども前の国道であったときから重要視しまして、重点的に改良はいたしてきております。これは三重県と和歌山県と両方から改良いたしておりますが、何分にも全線にわたって狭い道路でありますので、非常な金がかかります。計画的にやっておりますが、本年度も重点的にやるつもりではございます。  ただいまお話の富田川の橋につきましては、なお詳細に調査いたしまして、できれば計画の中に入れたいと考えます。
  91. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 四十二号線の問題で、海南市から下津へ行く間の隧道も現に工事を進めていただいておるわけでありますが、あそこには最近われわれが反対したにもかかわらず、大島に米軍の電探基地ができた関係もあるので、駐留軍関係の方からもあの道路の整備をしろということを、政府には要求しているのだという。われわれが向うの関係の人に会うと、そういうこともありますけれども、それはともかくといたしまして、災害があるたびにあの海岸線の幹線が寸断されておる。そういう点で国道の整備の問題については、従来も、ただいまの御答弁を待つまでもなく、非常に重点を置いてお考え願っておることは、地方民としては感謝いたしておるのでございますが、一つお骨折りを願いたい。  最後に一つ、これは大臣がおられませんので政務次官から御答弁を願いたいと思います。実は建設省の職員だけではございませんが、この十五日に夏季手当が支給せられるわけであります。予算面では〇・七五しか、この間の暫定予算には入っていないのでありますが、これは最近どうも人事院がサボタージュをやっているために、公務員のベース・アップ等も行われない。昨年当然勧告を出さなければならぬ時期に、勧告を出さぬといえば人事院が法律違反になるので、保留というようなずるい態度をとってきたために、現在一昨年のベースのままに据え置かれております。別途地域給の改正等で、若干の実質的な賃金の向上ということについても、これも百五十億からの予算を伴う関係から、いまだに実現なくして今日に及んでおりますが、片方デフレの影響下にあるとはいいながら、労働者の生計は決して楽じゃない。そういう点からこれらの官公労に、建設省の職員も含めてでありますが、せめて一カ月分にしてもらいたい、あと〇・二五を出してもらいたいということで、今それぞれ各省でも話があることと思います。すでに暫定予算は成立したけれども、これには〇・七五しか入っておりません。本予算も今月中くらいに成立すると思いますが、法律では年末手当をたしか一・二五を計上することになると思います。支払いの時期は若干おくれてもいいと私は思うのでありますが、その意味で本予算が成立した暁に、年末手当の一・二五のうちから〇・二五だけ繰り上げて、せめてお盆に一カ月分くらいの手当を建設省の職員にも出してやっていただきたいと思うのです。そういうことについて、特に政務次官会議等で御相談願いたい。いずれ予算がきまれば、精力的に働いてもらわなければならぬ職員諸君でありますから、一つお盆のはなむけとしてやっていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  92. 今井耕

    ○今井政府委員 夏季手当の問題につきましては、かねてから承わっておる問題であります。過日も実は建設省の労働組合の方と大臣やらわれわれいろいろ懇談いたしましたが、何分これは建設省だけの問題でないのでありまして、政府全体よく相談いたしまして、可能な程度において善処したい、こういう考えを持っておるわけでございます。さよう御了承願います。
  93. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 今すぐ予算的な処置を講ずるといこうとはむずかしいと思います。また本予算の成立しないときに繰り上げ支給ということも、ちょっと理屈に合わぬと思いますが、おそらく〇・七五では職品諸君は受け坂らないだろうと思う。そうこうしているうちに結局本予算が成立することになれば、年末の一・二五の中から繰り上げて、せめて一カ月に満たしてやっていただきたい。これはきわめて政治的な解決方法で、われわれの方針から見れば、きわめて譲歩した妥協案ということになるのですけれども、特に今井さん、次官会議等で、分科会における非常に強い要望だということで——分科会で決議をしても、その決議の効力云々というようなことになると思いますから、われわれそこまではいたしませんけれども、ぜひ一つこの問題は、支給日が迫っておるだけに、勤務関係でいろいろ基準法その他の規則を論議すれば、特にまだ予算が成立しない間の、やりくりの間の役所の仕事の能率という点にも影響すると思います。われわれそういうようにはやらしたくないと思いますので、一日もすみやかに結論を出していただきたい。これは希望いたしておきます。  これで私の質疑は、保留した問題を除いて一応終ります。
  94. 稻葉修

    稻葉主査 志村茂治君。
  95. 志村茂治

    ○志村分科員 もう時間も過ぎておりますから、最も重要な点を一つ伺います。改良工事と復旧工事との割合は、今どのようになっておりますか。
  96. 米田正文

    ○米田政府委員 災害復旧事業費として計上しておるものと、その他のいわゆる改良と一般に言われますものとの比率については、河川関係いたします分では、今年度の予算は大体半々でございますけれども、改良費の方がやや多く、数字的に申しますと、三百十五対二百八十七、ですから六百三億のうち災害が二百八十七億というふうな数字であります。
  97. 志村茂治

    ○志村分科員 終戦後において、降雨量が非常に多かったということも災害が大きくなった一つの理由だろうと思うのでありますが、もう一つ、今の災害は人為的災害、政治的災害だといわれる理由の一つは、戦前においては改良工事の方が非常に多かった、そして復旧工事が少かったということになっておるのでありまして、戦争以来やりっぱなしの、ただ復旧工事だけやるというようなことで進んでおったがために、災害が非常に大きくなったということは、確かに言われると思うのでありますが、その点に関連しまして、ことし特に改修工事費が百億も減っておるというような点を見ますと、本年の災害が幾らだかわかりませんけれども、災害復旧費をいかに出しても災害の方が大きくなるというような結果が生ずると思いますけれども、少くとも戦前の水準までは一刻も早く持っていっていただきたい。これが災害を防止するための根本的対策考えておるのでありますが、そのように御努力願いたい、こういうことをお願いいたします。
  98. 稻葉修

    稻葉主査 午前中はこの程度にとどめ、午後二時半まで休憩いたします。    午後一時三十二分休憩      ————◇—————    午後二時三十九分開議
  99. 稻葉修

    稻葉主査 休憩前に引続き会議を開きます。  午後は昭和三十年度一般会計、同特別会計、同政府関係機関予算中、郵政省所管について質疑に入ります。橋本登美三郎君。
  100. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 最初にお尋ねいたしますが、現在御出席の政府委員は、どういう関係政府委員が御出席でございますか。
  101. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 政府委員としては、郵政省関係は大体みな参っております。
  102. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 実はきょうの問題の質疑には大蔵省政府委員の答弁を求める必要があって、事前に、午前中に大蔵省政府委員の出席を事務当局まで要求しておきましたが、その方はどういうふうになっておりますか。
  103. 稻葉修

    稻葉主査 橋本登美三郎君の要求の大蔵省政府委員としては岩尾主計官が参っておって答弁をすることになつ  ております。
  104. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 お見えになっておりますか。
  105. 稻葉修

    稻葉主査 来ております。
  106. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 少しこまかい点について、郵政当局の政府委員から御答弁を願いますが、ことに最初に国務大臣としての松田郵政大臣にお尋ねいたします。もちろんこれは大臣就任からのものではありませんが、一応国務大臣として……。町村合併促進法第三十一条の、「日本国有鉄道、日本電信電話公社その他の公共企業体は、合併町村に係るその業務の運営に関し、町村合併の目的の実現に資するため、管轄区域の変更等必要な措置をすみやかに講ずるようにしなければならない。」これは政府提案の法律であります。これはこの条文から考えて、町村合併の目的を実現するに必要な諸問題については、政府はこれらの区域の変更等の処置を命令すると同時に、これが「措置」をというのですからして、必要なる予算的な措置も考えるのでしょうが、そういう措置を講ずる義務を持っておると解釈していいかどうか、その点を一つ伺いたい。
  107. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 もちろんお尋ねの通り政府の施策の一つとして、法律をもって町村の合併の促進をはかって参ったという点から考えまして、その町村合併の結果、これに伴う必要なる公衆の便宜をはかっていく施設をやっていくということは、政府は当然やらなければならぬ事柄と考えておりますが、郵政省といたしましては、もちろんその郵政省所管仕事に対しましては、予算範囲内におきまして極力その実現をはかっていかなければならぬ、かように考えております。
  108. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 今の大臣の御答弁では、そういう必要がある場合においては、当然これが措置を行わなくちゃならぬ、こういうお考えのようであります。そこで、昭和三十九年七月現在における町村合併の状況は、この電信電話関係からいいますれば、六百六十二局を統合しております。その他市外電話回線の開通等の問題があるわけでありますが、昭和三十年度の予算は、大体このころが基準になると思います。この二十九年七月現在において、こういう措置を講ずべき被統合局というものが千六百四、統合局が八百八十一、合計二千四百八十五の局が対象になっておるようですが、これは昨年の予算編成時における七月一日現在において、そういう計画になっておるようであります。そうなると、昭和三十年度の予算においては、これらを一挙に解決することは困難にしても、当然計画的にこれが措置を行うべきものと考えるのですが、昭和三十年度の予算においてはどういう形において、この計画が行われるかということです。
  109. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 御承知通り昭和三十年度におきましては、著しく町村合併の実の上った町村に対して、郵政省、電電公社におきましては、これに必要と考えられる局舎の整理、統合その他回線の延長等に対して、最初本年度といたしまして四十億の予算を要求いたしたのでございますが、御承知通り、五億円の公募債による財源より与え得られなかったような始末でありまして、その目的を完遂するに非常に距離のあるような状態になったのでございますが、本年度といたしましては、やむを得ずこれをもって、区域合併による五十二局を整備いたし、そうして市街回線三千八百キロを延長するということにいたしておるような次第であります。
  110. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 大臣の御答弁によりますと、本年度四十億円を要求して——大体八カ年計画で、これが昭和二十九年七月一日現在における統合局の数を基礎として、将来八カ年のうちに、最初の年間だけでも四十億円かかる、こういう計画もとに要求をしたが、いろいろ予算の都合上、公募公債として五億円程度が計上されたにすぎなかった、こういうことであります。そこで本年の四月現在の町村合併の推移——町村合併が済んだものは千三百町村になりまして、この数は四千三十局、なお促進法の終期である昭和三十一年の九月末までにおいては、今の見通しでは、町村数において二千百、局数において六千八百五十局というものが被統合局もしくは統合局になるわけであります。四月一日は予算期でありませんから、一応予算編成期の昨年七月一日現在をもってしてもけっこうですが、いわゆる促進法においては「することを得」ではなくして「措置をすみやかに講ずるようにしなければならない。」という一種の義務規定であって、これは町村に対する約束事であります。そういうような促進法に従って各町村が——もちろんこれだけの原因ではありませんが、こういうような便宜が与えられるというような建前をも含められて、町村合併が比較的順調に進んできておる。しかも国家がこれに対して何ら措置を行わない、こういうようなことでありますと、法律に対する国民の信頼感といいますか、あるいは権威に対しまして、国民が一種の懐疑的な考え方を持つに至るのではないかと思いますが、この予算の措置と法律との関係について大臣はどうお考えになりますか。
  111. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 全くお説の通りであると思います。非常な勢いをもって町村合併の実が上っており、町村合併を法律をもって促進したという政府立場から申しまするならば、それら合併せる市町村民のより便宜になるという期待をもって促進が実現されたという見地から見ましても、法律に明記せられておる通り、すみやかにその期待を満たすということに進めていかなければならぬ、かように考えるのでございますが、何分にもこの多くの市町村の合併せるものに対して十分な通信施設整備を行うことは、膨大な費用を要することでありまして、今日の国家財政の状態で直ちにこれを充足していくということはできない状態であると思います。さりながらできる限りすみやかにその方向に向って進んでいかなければならないと考えております。
  112. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 大臣の御苦心のほどは大いにわかるのです。ただきょう大蔵省の方も出ておられるようでありますから大蔵省との交渉経過等もお聞きしたいのですが、とにかくこういうような促進法という法律で第三十一条に一種の義務規定として国がなすべきことを約束しておる。従って金額の大小のいかんを問わず、少くともこれに大体において即応し得るような計画的な予算的措置が行われなくちゃいかぬのじゃないか。五億円という金額はどういう計画的な措置で行われたのか。昭和二十九年七月一日現在、すでにもうでき上っておる四月一日現在の町村合併の数から見て、年額五億円程度を支出しておったら何年間かかるか。大体の計算はおわかりでしょうからこれは事務当局でけっこうです。自分の村へかけるのに市外通話料を払ったり、あるいは三時間も四時間もかからなければ電話がかからぬ、こういう状態を何年問続けなければならないのか、一応事務当局で数字の調査もありましょうから、年額五億円で昭和三十年四月一日に誕生せられた町村の、非統合局の統合を行うためには何年間かかるか、御参考までにお知らせ願いたいのであります。
  113. 行広清美

    ○行広説明員 お答えを申し上げます。先ほど大臣からもお話し申し上げましたように、昨年の七月一日現在におきまして措置を要する対象局につきまして、大体局の間の距離が六キロ未満であるものは区域合併をいたしますし、またそれ以上に上りますものは、市外電話回線の整備拡充をやることによりまして、サービスの改善をはかっていくというふうに考えてみた場合におきましては、その所要資金は二百九十億月余に上るわけでございます。従って三十年度五億円ということで今後参るとなりますれば、それだけで相当の期間を要するということに一応なってくるわけでございます。なおまたその後におきまして増加してきますところの町村合併に伴って生ずる所要措置を講ずるといたしますれば、それ以上の所要資金を要するということは明らかなところでございます。従いまして政府といたしましては少くとも財政のワクを一応考えるわけでございますから、今後できるだけすみやかに整備拡充をはかっていくということにいたします場合におきましては、まず第一に当面の目標といたしましては、当初計上いたしました二百九十億という計画の幅のものをいろいろ技術的の工夫をこらしまして、できるだけ経済的な速度をもって促進をして参りたいというふうに考えております。同時にまた所要資金の確保につきましても、予算的に一そう努力して参るというふうに対処していきたいと考えておる次第であります。
  114. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 少し私の質問が下手なのか、ちょっとピントがはずれておるようでありますが、私の聞いておるのは、一応法律でもってこういう工合に措置を講じなければならぬという義務規定になっておるのであるから、金額の大小にかかわらず計画的にこれを進めていくという考え方があるのではないか。当初の要求は本年度は四十億で、八カ年の計画をもって行われた。しかし四十億は認められなかったということで、五億円を計上せられたというのでありますが、この五億円の根拠はどういう計画の基礎において計上せられたかということが一つと、もう一つは将来この五億円程度でやっていくならばどのくらいの年数がかかるか、また大体同一町村内で同じような電話がかけられるかということを聞いておるのであります。
  115. 行広清美

    ○行広説明員 当初考えました計画は二百九十億円に上ります計画を、少くとも八カ年程度で実施したいというふうに考えたわけであります。従いまして初年度として四十億円の要求をしたわけでございますが、しかし先ほどお話のありましたように、五億円のワクに圧縮せざるを得なかったわけでございます。これはこのままで参りますれば、約六十年余を要するというような計算に一応はなるのでございます。どういうふうな計画で五億円にしたかということにつきましては、一応財政のワクの関係上五億円に圧縮せざるを得なかったという他動的なものであります。従って今後一応計算上は六十年ということになりますが、ただ実施の場合におきまして、いろいろと工夫をこらしまして、できるだけこれを短期間にやっていくような措置を技術的面においても、また予算措置の面においてもやって参りたいというてふうに今の段階としては考えておるわけであります。
  116. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 どうも少し話がよくわからないのでありますが、五億円で六十年かかるという大体の要点だけはわかったのであります。国の金を使う。もし公社なり国が仕事をする場合にはある程度計画をもってものを考えるのではないのですか。八カ年でやって二百九十億、第一年度は四十億、第二年度は幾らと、こういう計画もとに四十億という金が三十年度においては要求せられたものであろうと思うのであります。そこで予算関係上五億円よりほかない。こういう建前においては電電公社との話し合い、協議の上において、八カ年ではこういう計画は実際上予算の状態から見てできない。従って十五年にするか二十年にするかという考え方、しかしとりあえず本年度は特に金融事情もしくは運用部資金等が困難であるから五億円である。来年度はこれだけ要求して、そうして何カ年間においてこの大事業計画というものを済ませたい。こういう計画があって金額がきまったと思うのですが、それを漠然とぽかっと五億円持ってきて、この範囲でやれということで電電公社に五億円の公債を渡したのか、それともそういう計画もと大蔵省と話し合いで、本年慶は苦しいが、来年度においてはもう少し都合をつけよう、従って八カ年計画は困難であるから相当期間計画考え直して、本年度はこれくらい、来年度においては大体これくらいという、そういう一応の計画があって予算というものは組まれるのが原則であります。その点についてはそう考えておらないのでありますか。
  117. 行広清美

    ○行広説明員 お答え申し上げます。一応私どもといたしましては、少くとも八カ年計画で二百九十億円に上る計画を実施したいということは、先ほど申し上げましたように、現在でも考えておるわけでございます。その場合におきましての所要資金の財源の問題といたしましては、政府出資を期待できれば一番いい方法だと思っているわけでございまして、ただこれも今後の財政事情に左右されることであるかと思うのでありますが、一応要するにわれわれといたしましては、少くとも八カ年計画で二百九十億円に上る計画は実施したい、さしむき今年度としては五億のワクしか確保できなかったわけでございますが、来年度以降におきましては、先ほど申し上げました趣旨が実現できますように、努力して参りたい、こういうことを今の段階としては申し上げられるわけであります。
  118. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 監理官の説明はその意味でわかりました。要するに八カ年計画範囲内において行いたいという方針にはやはり変りはないが、しかし本年度は予算の都合上五億円しか計上されなかったが、原則としては八カ年内に完成する考え方を変えてはおらない、こういう考え方のようでありますが、それならばそれでけっこうであります。その点について本年度五億円だけでがまんをし、次年度から相当急激な金になりますが、大蔵省の岩尾主計官が来ておられるようでありますが、そういうことについての話し合いはどういうことになっておりますか。
  119. 岩尾一

    ○岩尾説明員 ただいまの町村合併の問題でございますが、実は大蔵省といたしましては、最初に橋本先生のおっしゃいました町村合併法の考え方につきまして、多少違った考え方を持つわけであります。第三十一条に「公共企業体の協力」といたしまして、日本国有鉄道、日本電信電話公社は町村合併に伴って、その実現に資するため、管轄区域の変更等については必要な措置を講じなければいけない、こういうふうに規定しておるわけでございます。さらに第二十九条の第二項におきまして、同じように町村合併に伴います国の措置といたしまして、国は新町村建設計画の実施を促進するために、左に掲げる事業の実施について、事情の許す限り合併町村のために優先的な措置を講じなければならない、第二号といたしまして、その事業は政令に譲るとしておるのでございますが、政令には郵政事業をあげております。そこで今の二十九条と三十一条というものを考えますと、町村合併促進のために政府は、まず自分のやらねばならない国の施設につきましても、二十九条にございますように法令及び予算範囲内において、事情の許す限り優先的な措置を講ずる、こういうように規定をしておるのです。ところが三十一条の方は「公共企業体の協力」という表現で、これには国という言葉は出しておりません。従いましてこの場合に——先ほど先生のおっしゃいましたような、公共企業体が町村合併について必要な措置をしなければならない、その場合に、国が必要な援助もしなくちゃいかぬじゃないかということを前提にいたしましても、その必要な国の援助というものは二十九条にあげられております法令及び予算範囲内において、さらに事情の許す限り援助をしていくということになるのではないか、こういうふうに考えております。  そこで第二段といたしまして、町村合併の問題につきましては、もちろん法令に規定もございますので、できるだけこれが円滑なる促進をするために政府努力をしなければならないと思いますが、なお日本電信電話公社といたしましては、電々法に規定しております公衆通信のためのいろいろな仕事もあるわけでございます。そこで公共企業体というものが三十一条で管轄町村の合併について必要な措置をするということは、電々法に書いてあります公共性の一つの表現ではないかと思います。そういたしますと、電々という一つの公共企業体が企業性と公共性とを持って仕事をしていくという場合に、その公共性と企業性の調和ということをどの点に置いていったらよいかということが問題になると思います。われわれはもちろんもうかることはやらなくてはいけないし、さらに公共的なものもやってもらいたい、大体の考え方といたしまして、私は四つの範疇にわけてこの公共性と企業性との調和ということを考えております。第一の範疇は、公共性は非常にあるけれども全然企業性がないというふうな仕事、それから第二の範疇は、公共性はある、企業性もかなりあるというような仕事、それから第三の範疇は、公共性はない、しかし企業性が非常にあるという範疇、それから最後に公共性も企業性もないというような建設の仕事があるのではないか、こう思います。その場合に、たとえば法令では公益企業を必要最小限度におけるというような表現を使っておりますが、公社が全然企業的には採算が合わないけれども、公共的には非常に大事だというものをやる場合には、政府が出資をするなり必要な援助を行うということは、法令上通例行われておる考え方でございます。従いまして第一の範疇に入るものにつきましては、政府といたしましては出資その他適切な処置を講じていくべきではないか、こういうふうに考えます。第二の範疇に入ります公共性もある、しかし企業性もかなりあるというようなものにつきまして、どういうような判断をすべきかと考えますと、これは公共企業体の責任においてその仕事をやるべきではないか、それは公共企業体に課せられたる一つの使命ではないか、こういうふうに考えております。それから第三の範疇に入ります公共性はないが企業性があるというものにつきましては、もちろん公共企業体といたしましては、できるだけそういう仕事はやりたいのでありましょうが、公共性の見地からある場合に政府が監督等の措置を講ずることができるのではないか。それから第四の範疇に入ります公共性もない、企業性もないというものにつきましては、これは全然問題にならない。こういうような考え方で建設計画の資金その他について額を考えてみたのでございます。  そこで現在の合併町村につきましては、確かに現在合併した市町村におきまして多くの方が不便を忍んでおられると思います。しかしながら現在の公衆電気通信というものが置かれておる立場は、四十万になんなんとする積滞をかかえまして、毎年大体十八万五千程度の加入者をふやしていくというような現況でございますので、そういった公共性というものの先後の判断からいたしまして、私といたしましてはまず必要なる加入者増設というような方向に仕事を進めていって、なお余力あらば今申したような合併町村に伴う施設の向上という点にも力を注ぎたい、こういうふうに考えております。その場合に現在の計画でかりに三十年の九月に九千の町村が合併することになっておりますが、その九千の町村の全加入者は、わずかにと申しては非常に失礼でございますが、十九万五千でございます。現在毎年左右電話をつけていく数が十八万五千という状況でございますので、そういう点を考えまして、本年は必要なる加入者の増設という点に重点を置いておるような次第でございます。
  120. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 なかなか理論的なお考えですが、そうすると合併に必要な建設工事というものは、公共性はあるが、企業的採算性はない、従ってこういう仕事は積極的にやらぬという結論ですか。
  121. 岩尾一

    ○岩尾説明員 そうではございません。私の申し上げましたのは公共性が非常にあって、企業性が全然ない、たとえば運輸等において全然もうからない線を、ことに災害等の場合に運輸をはかるというような場合に、政府が補償あるいは補助等を行うというような範疇に入るものが第一の範疇で、第二の範疇としては、公共性もあり、かつ企業性もある、全然引き合わないという仕事ではない、こういう範疇に入るもの、そこで町村合併はその第二の範疇に入るべきもので、公共企業体の責任において行うべきものではないか、しかも町村合併法においてもそういうような規定の仕方をしておる、こういう解釈をしております。
  122. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 意味はわかりましたが、あなたはその最初のときに全加入のうちでわずかに十九万にすぎない。——来年の九月末の最終期における六千局が統合されたといたしましても、その加入総数はわずかに十九万にすぎないということは、それ自体その関係から見れば企業性が十分でないということではないですか、電電公社全体からいえばこの事業自体は企業性がある、これは間違いない。しかしそのうちの六千局という非常に膨大な局数ではあるけれども、その加入者というものはわずかに十九万であって、非常に少いのだということは、この面から考えれば、この区域に関する限りは企業性が少いということにはならないのですか。
  123. 岩尾一

    ○岩尾説明員 私の説明が非常に不十分で恐縮でございますが、私は企業性がないということのためにこの十九万五千ということを申し上げたのではなくて、企業性がないというのは、先ほども申しましたように、災害等の場合にどうしても電話の施設をつけなくちゃならない、それを電電公社に命じてつけさせたというような場合の、ほんとうに企業性がないということとの比較において企業性があるのではないか、こういうふうに申し上げたのであります。それから十九万五千の問題は、先生のおっしゃいましたように、むしろ逆に一般の市中の加入者につけることから申しますならば、それと比べればかえって公共性が少いのじゃないか、こういうことは言えると思います。
  124. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 多少御訂正になったようですが、そこでこの町村合併の交換局の統合整備に関して郵政省当局並びに電電公社当局は、これを全額国の出資によってやってもらいたいという要求でも出したのですか。われわれが予算措置において聞いておるところによれば、その四十億を最初要望したのは、資金運用部資金のなるべく安い金を借りたい、すなわち六分五厘の利子を払う、こういう建前において要求し、あるいはこれが今回の予算の説明においてはそれもできずして、五億円の公募公債のワクで縛られておるでのすが、要するに一般会計なり政府の出資によってこの整備統合を行おうというのが郵政当局のお考えなんですか。
  125. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 当初そういう考えで参ったのであります。すなわち政府の投融資関係から出資してもらう、公募債によらない……。
  126. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 投融資関係はけっこうですが、政府一般会計からの出資、そういう形で整備統合をやろう。今の岩尾主計官お話ですと、何かそういう形においてやることは不当である、こういうお話のようでありますが、果して郵政当局並びに電電公社当局は政府の金によってこういうことをしようとしたのか、やはり自己資金によってやろうとしたのか、自己資金にはいろいろあります。すなわち自分の収入によってやるのも自己資金、あるいは公募公債等、資金運用部から金を借りることも、自分責任において払うのでありますから自己資金であります。私の聞いておる範囲では政府一般会計からの出資によってこれをやろうとしたのではなくて、自己の損益計算においてこれをやろうという考え方から、但し一般公募はなかなか困難であるから、従って資金運用部資金からの幾らかでも安い利子をもってこれをやっていきたいという考え方でもあるようですが、今の岩尾主計官お話を聞くと、何か一般会計、国の方の支出において行うような考え方であるように聞こえたのですが、その点についての御説明を願いたい。
  127. 行広清美

    ○行広説明員 御承知のように、電電公社の電気通信設備の整備拡充につきましては、二十八年度以降におきまして五カ年計画を樹立いたしまして、整備拡充を推進して参っておったわけでございます。その当時におきましては、先ほど来問題になっております町村合併に伴う電話施設の整備につきましては、予想されなかったところであったのでございます。従って今後急速に町村合併に伴う電話施設の整備改善をはかっていくという場合におきましては、従来の五カ年計画に要するところの資金のワク外におきまして、その所要財源を確保したいというふうに考えて参った次第でございます。その意味におきましてでき得れば政府出資に仰ぎたい、もしそれが不可能な場合におきましては、資金運用部資金をお借りするということにせざるを得ないかというふうな感覚で参った次第であります。
  128. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 今の監理官のお話ですと、原則としては政府の出資に仰ぎたいという考え方のようですが、私はその点においては岩尾主計官の説に賛成であります。なるほどその区域だけ計算を切り離して考えれば、それは確かに公共性はあるが企業性はない、いわゆる企業的利益はないことは明らかである。明らかでありますが、それはその当座の間のことであって、今後十年、二十年の歳月を越せば、その地域もあるいは企業採算制に合うようなものになる可能性を持っておる事業である。そういう事業であるとするならば、政府の出資によってこれを持っていかなければならぬという考え方には私は同意できない。従って岩尾主計官がそういう考え方には疑問を持っておるという考え方は、私は当然だと思うのであります。そしてできるだけ安い利子においてこれを行うのは当然だと思うのであります。できれば六分五厘が三分なり二分なり、こういう特定な利子によって行われることは妥当でありますが、その建設資金を一般会計なりあるいは政府出資によって行う、こういう考え方については岩尾主計官と同様に疑問があると思う。それで現在なおかつ郵政省がその考え方において統一した考え方を持っておるのかどうか、いわゆる大蔵省との間にそういう議論が行われたようでありますが、その問題は抜きにして、今度の五億円の公債を認めてもらったのか、それとも大蔵当局の一般会計からの出資によって建設することは、法律上から考えてもいろいろ無理がある。従ってその考え方については郵政当局は大体納得して今度の公募公債の五億円というものを認めてもらったのか、いずれかを明確にしてもらいたい。
  129. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 私どもの考えといたしましては、むろん今度の五億円のみをもってして、この膨大な経費を要する事業の完成を促進せしめていくことの困難は十分承知しておることでございますから、今お話のように、安い金利の金をもって、企業性のある企業体であるから、そういう金をもってやるのが至当であるというお考えもございましょうが、何分にも電信電話の事業が大いに促進せられなければならぬ、地方経済の開発全般からいいましても、これを大いに促進したいという気持から、これを特に政府の慫慂によって町村合併をやったものに対しては、政府の出資によってやっていきたいという考えを当初においては持ってきたものでございます。
  130. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 そうしますと、大臣はなおかつ今日といえども、将来ともに電電公社に対して政府の出資が行われて、そしてその出資金によって行なっていく、いわゆる資本勘定の中に繰り入れた出資金によって行なっていく考えで、資金運用部資金あるいは公債等はその次善三善の策にすぎない、こういう考えですか。
  131. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 町村合併という特に政府の施策に基いて、そうして地方民に相当な期待を持たしてその合併を促進せしめたという建前において、この事業に関する限りは私はそういう考えを持っております。
  132. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 大臣のお考え方まことにけっこうであって、われわれもその方針については心から賛成するものであります。ただ、その方針については賛成にやぶさかではないのでありますが、現在の一般会計建前から見て、あるいはこのいろいろの考え方から見て、鉄道の新線建設のごときすらも政府出資によってはやっておらない。今電電公社のような一応独立採算制が可能であり、将来ともに可能であると思われるような、こういう事業に対して——局部的にはもちろん、これは将来ともにある期間は赤字でありますけれども、とにかく全体としてはまあ独立採算制の可能なこういう事業体に対して、なお将来ともにこの町村合併の統合のために約三百億近い、全体になれば九百億円になりますが、九百億円の出資というものが可能とお考えになられるかどうか、その点を一つお尋ねしたい。
  133. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 政府委員をして答弁をさせます。
  134. 行広清美

    ○行広説明員 大臣の先ほどのお話を補足させていただく意味で申し上げたいと思いますが、先ほど来大臣が申しております点は、町村合併促進法の建前からいって何らかの形における政府資金によってその財源を調達すべきである、こういうような趣旨でございまして、その場合には政府出資ということも考えられますし、またさらに資金運用部資金の融資ということも考えられる、こういうふうな意味でございます。
  135. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 いや、それは話が違うのですよ。岩尾主計宮の話では、公共企業体の仕事、建設事業のうち、これを二つに分けて公共性があるが企業性のないものについてはあるいは国が出資してやらなければならぬのじゃないか。しかしながら第二の場合においては、公共性があり、かつまた企業的に考えても可能なものについては、必ずしも出資の必要はないのじゃないか、こういうような考え方をしておるという建前で、この公募債の問題もあるいは預金部資金四十億の交渉についても、そういう考え方もとに郵政省当局並びに電電公社当局と折衝した、こう言っておるのです。従って一応これは予算を取る技術上の問題としては、政府の出資または資金運用部資金の金、こういう考え方ですが、その根本論をどう考えておられるかということをお聞きしたい。大臣はそれに対しては当然原則としては政府の出資で行わなければならぬ、これで私はけっこうだろうと思う。今の監理官の補足説明はかえって間違っておると、こういうふうに解釈してよろしいと思うが。
  136. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 私はこの町村合併の問題に限り、先ほど申し上げたような考え方を持っておるということは、企業性は私は減退すると思う。この町村合併の場合においては、当然予算の都合もあるけれども、できる限りは——政府の財政の都合もあって、そうしてわずか五億円でありますが、これを公募債に仰ぐというような建前をとりましたけれども、根本の趣旨としては先ほど申し上げたようなことでいきたいと思っております。
  137. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 大臣のお考えの方が原則論としてすっきりしておりまして、その点行広監理官の補足なるものは、非常におかしな説明であったことを了承されたようですからして、それ以上その問題は避けますが、そこで、大臣のお考えはけっこうであります。われわれもその方針で出資論を主張したことがありますが、なおいろいろの議論については議論がありますが、大臣がそのお考えもと主張なさることについてはもちろん賛成であります。そこでそういう建前で、そういう考えもと主張いたしておった大臣が、なぜ幾らかでも安い運用部資金の金を五億でも取ることができずして、それから一分ですか、五厘ですか、高い公募債に手を出されたということはどういう事情からでしょうか。
  138. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 公募公債によらざるを得ないときに、私は特に大蔵大臣にその償還に対して大蔵大臣は必ず適当な処置をとるということの言明を得て、それに承服をしたような次第であります。
  139. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 大臣のことですからして、適当に伏線を置いて一応譲歩なさったのでしょうが、そこで昭和三十年度の資金運用部資金及び簡易保険等のいわゆる政府資金と思われるようなこういう資金の扱い方を見ておりますと、御承知のように、これは郵政省関係ですが、簡易保険並びに年金の積立金の運用規定の改正まで行なって、そうして長期信用銀行あるいは興業銀行、商工中金、こういうような簡易保険の積立運用金の法律を改正してまで、こういうものを今度は考えてやろうという建前で、大体二十億円が予定せられておるようであります。でありますから、もし大臣のお考え方大蔵当局に徹底されれば、せめて五億円くらいは公募公債でちょっと七十億円の上に五億円だけ乗せるようなやり方をせずに、せめて簡易保険の積立金の中からしても五億円くらいはとれるべきではなかろうかと思いますし、特に資金運用部資金というものは、総額では、千六百八十三億円、簡易保険の中では大体において五百三億円、合せて二千百九十億円近くの膨大な郵政関係によって集めた金があるわけであります。その中から五億や十億くらいのものが——大臣のそういう政府出資で行うべきであるという基本的な強いお考えがあるのでありますならば、幾らかでも安い資金運用部資金なり、あるいは簡易保険資金等からこれを取ることができなかったか、あるいはまた——大蔵省当局から岩尾さんが見えておられますが、岩尾さんはこの問題に対してどういうお考えを持っておられるかをお聞きいたしたいのであります。
  140. 岩尾一

    ○岩尾説明員 ただいまの五億でございますが、五億はわれわれの判断では、これを町村合併に特定をいたしまして、その分の公募債をふやすというふうには考えておりませんでした。先ほど私が申し上げましたように、政府といたしましては、特に町村合併に出資その他資金の援助は行うべきではない、公共企業体の責任において行うべきだ、こういう判断をいたしております。ただ全体としての建設計画を組みました場合に、電電の損益勘定その他から参りますと、自己資金以上に必要なる五カ年計画その他の建設工程を進める場合に足らざる資金は、公募債あるいは必要な資金運用部資金その他でまかなうべきだ、こういうことで、総体としての建設資金の足らざる分を補填する意味におきまして七十五億、それが当初七十億であったのでありますが、町村合併その他を建設計画としてさらにやりたいということで、七十五億ということにしたわけであります。結果的に町村合併に五億がさかれておりますが、考え方といたしましては、建設全体のワクに対する必要なる政府の措置ということで考えております。  それから、ただいま申されました運用部並びに簡保資金の配分の問題でございますが、簡保資金につきましては、国会の決議もありまして、運用範囲を拡大するということで、今回拡大されたわけでありますが、拡大された内容におきましては、地方還元並びに運用利回りその他を考慮いたしまして、一般的な財政投融資の原資としてこれが使われることになりますので、その場合には全体としての三十年度の財政投融資というものをにらみ合せて、必要な面に必要な金をぶち込むということでいたしまして、この点につきましては七十五億ということで話をつけたわけであります。  なお私は、公募債と借入金の問題につきましては、本来企業は建設工程を行う場合には、社債によってこれを行うのが通例でございます。かりに損益勘定におきまして赤字が出るというような場合に、借入金にこれを仰ぐべきである、そうでない建設工程については一般の大衆の資金を集めて、その建設を伸ばしていくということが普通の考え方ではないかと思います。そういう意味合いで、電電につきましても資金運用部の借り入れというようなお話もあったのでございますが、大蔵省といたしましては公社債でやるべきであるというふうに考えておるのであります。
  141. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 それは郵政大臣大蔵事務当局でありますから、いろいろの考え方の相違があるのは無理もないでございましょうが、大臣がお聞き取りのように、大分違っておる。大臣の方は町村合併促進法の第三十一条というのは、やはり政府国家の義務である。従って政府が出資を行うのが建前であるという考え方を、大臣としては持っておられる。大蔵省主計官は、三十一条というものは決して国が出資したりあるいは融投資についても世話をするような役割を考えていない。要するにこれは電電公社もしくは日本国有鉄道自体が自己資金において、みずからの責任において行うことを規定したのであって、あえて法律のこういう規定があるけれども、国家はこれに対して義務及び責任は持っておらない、こういう解釈のもとに、従って七十五億円の五億円というものは、電電公社及び郵政当局は町村合併に要する経費と考えておられるようであるが、われわれとしてはこういうものは一貫して建設計画の中に考えておる。であるからして、どうも考え方が違うようですが、今お聞きの点について大臣はどういうお考えでありますか。
  142. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 一つ政府におきましても、時々意見の相違があることは、その都度調整していかなければならぬと思いますが、先刻来申し上げておることは、郵政大臣としての考え方を申し上げたにとどまる次第であります。
  143. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 そこでこの問題については一つ大臣にお願いしたいのですが、とにかく大蔵省事務当局としてはこの法律の解釈が国務大臣と違っておる。いやしくも国務大臣考え方が、これは郵政大臣としての国務大臣かもしれませんが、とにかく国務大臣としてこの法律の解釈はこういうふうに考えておる。こういうことが他の省の事務官でありますから徹底しないのは無理もありませんが、あるいは今岩尾主計官考えておる考え方というものは、大蔵省最高首脳部もそう考えておるかもしれぬ。あるいは大臣もしくは政府委員の地位におられる大蔵省の方々は、大臣と同じ考え方かもしれませんが、とにかくこの根本問題についてそういう相違があるということは、今後の建設にも大きな影響があります。従って適当な早い機会においてこの促進法第三十一条に対する考え方、及び政府にある程度責任があるのかないのか——岩尾主計官からいえば責任がないという話であります。大臣は、責任があるから政府の出資によるべきである、こういう考え方で非常に炭と雪ほどに考え方が違っております。従って近い機会において大蔵大臣もしくは責任ある大蔵政府委員と十分なる協議を遂げられて、この三十一条に対する考え方というものは、郵政大臣考えておられる通りなのであるか、あるいは大蔵省事務当局各位が考えておられる考え方であるのか、それによってはこれからの予算の編成において重大なる差異が出てくるわけであります。将来ともに今の岩尾主計官のような考え方であるというならば、全然考え方が違うのですから、大臣がお考えのように出資を要求してもとうてい不可能なんだ。これが大蔵省全体の基本的な考えとすればとうてい出資はできない。のみならずいわゆる資金運用部資金の金あるいは簡易保険の金すらも使えないというような考え方にまで立っておるようであります。岩尾主計官の話を聞いておると、そう言っておるようであります。そうなるとこれは根本的な問題になってきて、将来の予算の編成、昭和三十一年度の予算編成の問題についても、この基本的な問題についての了解がなければとうてい満足した予算の編成ができないということなんです。であるからして、先ほどから質問がありました昨年七月一日の建設計画にいたしましても、これを八カ年計画として進めていくという考え方自体を大蔵省としては考えておらない。すなわち一般建設計画とこれらを一緒にして、総合的な建設計画の上において建設計画がふえてきたからして、その分だけを見たにすぎない、こういう考え方のようであります。こういう考え方で立っておるところへ約二百九十億円の建設計画資金を要求しても、話に乗ってくれないのは当然である。であるから今回の予算の編成期において七十億円という一般建設に関するもののみが問題になって、町村合併の方は問題にならない。いわゆる大臣の政治的交渉によって五億円を乗っけた。乗っけたけれども、これは大蔵当局の事務官としては、建設計画全体がふえたからして、その一部を増加したにすぎないという建前であれば、いかに郵政当局や公社当局が別個な計画を立てても無意味である。こういう見解になるのでありますから、郵政大臣のお考え方であるならば、当然郵政大臣としてはそういう考え方大蔵大臣並びに事務当局関係者に十分徹底せしめ、かつまた了解に至る必要があると思うのですが、この点に関する郵政大臣考え方をお聞きしたい。
  144. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 国家建設全体としてこれを見ていくときには、むろんすべての建設がおのずから国家として均整のとれたものでなければならないと思います。しかしながら郵政当局といたしましては、通信関係のことに重点を置きたいという考えを持っておる。しかしながらそういう考え方の際におきましては、至急にその調整をはかることにいたします。
  145. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 その問題は大臣大蔵大臣と一応考え方について調整をとられるそうですから、いずれ次の機会においてその結果をお知らせ願いたいと思います。  そこで先ほどの岩尾主計官お話のうちで、ちょっと私が納得できないことは、電電公社等が資金運用部資金もしくは簡易保険積立金という金を使うことは、建設関係でないのであるから不適当であるというようなことがありましたが、それはどういう意味ですか。建設事業については公債等によるべきだというところの意味がちょっとわかりませんでしたが、もう一度御説明願いたいと思います。
  146. 岩尾一

    ○岩尾説明員 国鉄あるいは電電というような公共企業体の建設資金の拡充、これをどういう方途で拡充していくかという問題でございますが、公共企業体といっても一種の企業体でありますから、企業体としての資金の拡充の方法としてこれを考えますならば、いわゆるその企業の拡大となるべき建設あるいは工事工程、工事計画につきましては、一般の公社債等によってこれを資金に仰いで、一般大衆がこれを持つという形で資金を集めていくのが至当である。反対に現在、たとえば損益におきます営業収支が非常に赤であるというような場合には、資金運用部資金から借り入れるというようなことになるのであります。
  147. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 最後の方がちょっとわからないのですが、要するに企業体は預金部資金の金もしくは簡易保険の金を使うべきでない。いわゆる一応金もうけといいますか、企業体としての仕事をしておる事業体は、民間から資金を集めて、それによってやっていくべきであるというお考えのように思いますが、そういう意味に拝承してよろしゅうございますか。——そうしますと、今度の簡易保険積立金運用規定の中に、国会の議決もしくは承認を必要とするもの、すなわち国有鉄道、電電公社あるいは郵政事業、こういうものが今度簡易保険積立金運用規程の拡大の中に入れられましたが、これは岩尾さんは個人の意見というのでお逃げになりましょうから仕方がありますまいが、一応あなたの個人意見でもけっこうであります。あの簡易保険積立金運用規程が拡大されて、改正法律案が出ておりますが、その中に国有鉄道、電電公社、郵政事業というものが入っておりますが、これはどういうふうにお考えになりますか。
  148. 岩尾一

    ○岩尾説明員 私が申し上げましたのは、公共企業体の必要なる資金の使途によりまして、借り入れあるいは社債発行等の方途が違うのではないか。それは原則論としては建設工事のような企業の拡大となっていくものについては、資本がふえるわけでございますから、一般の社債等の形でやっていくのがいいのであります。しかし損益の赤字のようなそういう借入金につきましては、その運用なり何なりによって道を開いてもいい。その両方を考えましてそういう規定になっているかと思います。
  149. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 そうしますと資金運用部資金及び簡易保険積立金は赤字を補填するようなものであれば、そこから金を使うのはいいが、建設方面に使われるのはそこから出すべき規定でない、こういう御説明ですか。しかし今回政府提案として提出されている簡易保険積立金運用規定の改正は、そういうようには解釈できないのです。当然いわゆる運用部積立金の中からして電電公社の発行する公募債を買ってもよろしいし、あるいは長期建設資金の貸付をやってもいいような規定になっているのですが、あなたのお考えと今度の法律の内容とは違っていると思いますが、この点どうお考えですか。
  150. 岩尾一

    ○岩尾説明員 今申し上げたのは、そういう資金調達の本質論でございまして、実際の場合には、たとえば本年におきましても国鉄に八十億、電電に七十五億というふうになっておりまして、国鉄はさらに百五十五億の運用部の借り入れを行なっております。これはそういう本質論からいうならば、電電につきましては七十五億の公社債の発行を認めるということになるのが正しいけれども、本年の公社債市場は百五十五億しか発行限度がないだろうというので、残りの八十億だけが国鉄に割り当てられる。そうすると残った国鉄の建設なりその他の工事のためには金が足りない。それでは運用部から出そうじゃないかということに実際にはなって、本質論が一応くずれてきております。さらにそういう本質論から申すならば、現実的には外国等におきましても、公共企業体の社債というものは非常に利子が安いし、償還年限も長い。半永久的な五十年とか九十九年という公債が非常に多いのでありますが、わが国では七年で、非常に短期であります。公社の負担にもなることでありますのに、運用部の方は六分五厘というふうに安くて、しかも十五年の償還期限でありますから、どうしてもこの方が有利である、この金を借りたいという気持もありまして、実際運用がそのように非常にくずれていると思います。
  151. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 私は理論の上から考えても、あなたの考え方にはどうも納得ができかねるのですが、いやしくも資金運用部資金の今度の法律の改正の趣旨は、必ずしもそういう赤字の問題を引き受けて、建設に関する資金というものは資金運用部資金、もしくは簡易保険積立金のうちから出さないという建前でできているとは考えないのです。逆にこれを考えれば、できれば一般の金融市場を圧迫しないためには、とにかく公募公債としては安い利子でありますから、ああいう安い利子を各銀行に押しつけるということは、相当銀行家にとっても迷惑だろうと思います。そういう比較的安全ではあるが、安い配当率の公債を押しつけるよりは、そういうものはかえって政府の資金のうちから出してやって、金融市場を圧迫しない方が原則としてはいいのではないか、これくらいに考えるのです。あなたのように公共企業体の運用資金に資金運用部資金、簡易保険の積立金の金を使うべきではないという原則論には私はどうしても賛成できないのです。なおまたその運用規定というものはそういうものではない、かように解釈しておりますが、その点はどうですか。
  152. 岩尾一

    ○岩尾説明員 私ちょっと間違っておりまして運用部資金等の直接の借り入れというふうに判断しておりましたが、先生のおっしゃいましたのは今度の改正につきまして、簡保を今申しましたような公社債券に運用することがいいか悪いかという御質問のようでございますから、訂正いたします。その点につきましては、今度の運用によりまして公社債についても簡保資金をもって運用していく道が開かれたわけでございますが、現実にその道が開かれた上にもかかわらず、今申しましたような、財政投融資全体としては簡保資金による社債の消化が認められていないということになるわけでございますが、その点は、先ほども申し上げましたように、一応運用の範囲を一般財政投融資計画全体として考えてもいいというような改正になりましたので、簡保資金あるいはその他の資金につきましても、すべてこれを財政投融資全体の計画の中に織り込みまして、必要な運用に即するようにしたい、こういうことでございます。
  153. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 訂正されたようでありますから、それ以上——この問題については一応打ち切りますが、そこでなお岩尾主計官にお願いやらまたお考え方をお聞きしたいのですが、電電公社の建設資金として、あなたのおっしゃるように、大蔵省が七十五億の公債のワクを認めたのですが、最近のいわゆる電電公社及び国鉄の状況を見ると、四月が電電十二億五千万円、これは六カ月分で大体七十五億になるわけであります。五月はもちろん十二億五千万円消化しているようですが、六月の暫定予算ではこれを十億円にとどめております。おそらく六月における金融市場を勘案して十億にとどめたと思う。二億五千万はあとに繰り越されたような状況にありますが、この七十五億円の公募公債については政府は十分なる措置をもちろん行なっておりましょうが、昨年のごとくに七十五億の公募公債が認められても、実際上消化されたのは四十五億にすぎない。こういう状況では、はなはだ国会がこれを承認政府予算案として提出された権威にもかかわり、かつまた電電公社から見れば五カ年計画の遂行にも大きな支障を来すのみならず、ことに本年における町村合併によるところの交換局の統合問題をも控えている、こういう状況でありますから、この七十五億の公債消化については、強い言葉で言えば、大蔵省当局は責任をもってこれが消化を努力してくださるだろうと思いますが、これに対してのお見通しについて、及び大蔵当局の決心のほどを一つお伺いしたい。
  154. 岩尾一

    ○岩尾説明員 橋本先生のお説の通りだと思います。昨年は不幸にいたしまして社債市場が非常に不消化でありましたために、せっかくの予算が消化できないということになったわけでありますが、本年度としましては公社債市場の状況は大体昨年と大差はない、むしろ預金の増によりまして、多少緩和しているのじゃないかというような考え方をいたしております。そこで最初百五十五億という算定をいたしましたときには、十二億五千万で十二カ月にしまして、ある月に十五億という月を二月ほどやるということで算定したわけでございますが、私直接の担当ではございませんが、非常に民間等にお願いをいたしまして、また電電、国鉄も努力をいたしまして、四月五月はこの消化ができたのでありますが、六月はどうしても金融機関の方でしてくれませんで、十億ということになったのでございますが、昨年におきましても毎月十億ということでなくて、十、十一、十二、あるいは一月というような月は、多少消化がよくて十五億というような月もございますので、そういった各月の消化状況とにらみ合せて、最大限の消化をやるように努力をいたしまして、できるだけ百五十五億が消化できるようにいたしたいと思います。
  155. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 できるだけ七十五億円の消化に努力するようなお考えで、けっこうでありますもぜひともそうしてもらいたいのですが、万一これだけのものが消化できないと、いわゆる建設計画には大きな影響があります。もちろんこれは主計官の方でも御承知でありましょうが、現在の日本の電話の普及状況は世界で二十一番目であります。四等国でありますから、二十一番目くらいが相当かもしれませんが、人口百人に対して大体三・二人くらいの電話の普及率を示しております。ほとんど南アフリカ連邦と同じくらいの普及率でありますが、そういう状況ですから、産業開発のためにも電話の増設というものが非常に重大な役割を持っておる。そういう関係ですから、ぜひともこの建設計画に狂いのないように、われわれとしてはいたしたいし、かつまたそういう意味において、かって本会議においても拡充決議案というものの通過を見ておるわけであります。もし七十五億円という公募公債が困難を生じた場合に、大蔵当局としては何らかの便法を講じて、実際上の建設資金においてまごつかせないというお考え方があるかどうか、その点をお聞きいたしたいと思います。
  156. 岩尾一

    ○岩尾説明員 もし百五十五億の公社債が全体として消化し切れない場合、いろいろの場合が想定できるわけでありますが、昨年のように非常に後期にそういう状態に追い込まれた場合、あるいはその結果が相当年度末にならないとわからないというような場合において違うと思います。本年は、先ほど申しましたように 預金の増加によりましてかなり社債市場も好転するのではないかという動きもありますので、金融機関の引き受け等についてできるだけ努力するつもりでありますが、もしそれができなかった場合には、その当時の状況によって非常に違うと思いますが、私直接の担当でございませんので、あるいは多少見方が間違っておるかとも思いますが、そのときにおきます財政投融資計画の現況というものを見まして、その現況で手当ができるならばできるだけの手当をしていこうということになるのではないか。たとえば一時借入金の借り入れの方法等もございますし、運用部の方で振りかえることができれば振りかえるというようなことも、年度末の状況、財政投融資全体の進行状況を見まして、そういう措置が講ぜられるなら講じ得る。これはむしろ私の方が理財局なり何なりにそういう点で折衝する立場にあるわけでございますが、できるだけ努力をして消化することにいたしたいと思います。
  157. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 非常に岩尾主計官の好意あるお考えでありまして、まことに満足の至りでありますが、そこで郵政大臣にお聞きしたいのですが、先ほど来の質疑応答をお聞きのように、一応形式としては今のところ大蔵省としては七十五億というものを全体的な建設計画として考えている、こういうふうに考えておりますが、郵政大臣はそうではなくて、やはり別個の建設第一次計画、第二次計画といいますか、あるいはAの計画、Bの計画といいますか、一応別個の計画として、ものを考えておられるようであります。われわれも大体町村合併に関する建設計画というものは、従来の一般建設とは事が違うという解釈のもと考えておるわけなのであります。そこで本年度五億円の金額ではとうてい、これは満足どころではない、非常に不満が出ることは明らかでありますから、当然補正予算の道を講ずべきであると考えておるわけであります。というのは、われわれ地方へ参りましても、町村合併で同一区域内の支所といいますか、出張所というところへ電話をかける場合において、半日もかかる。いわゆる市外電話でありますから、ものによっては半日も一日もかかる、こういう状態で非常に不便を訴えておる。従ってその地方の人たちは、町村財政が苦しい折柄ではありますが、その建設費用を一部分もしくは大部分を自分負担してもやってもらいたい、こういうようなことで事実一部においてはそういう施設が行われておるわけであります。こういうことは結局地方の財政を困難ならしめ、かつまた地方民に負担を与えておるのであります。特に国家の要請で行われたこの町村合併によって、地方民もしくは地方公共団体に負担を与えておるわけであります。こういうような現在の状況でありますから、できるだけ早くこれが実現を見ることがやはり地方財政においても必要な状態でありますから、私は五億円で本年度はよろしいというのではなくて、少くとも補正予算の形において、ことに簡易保険等の積立金運用規定においての道も開かれておるのでありますから、補正予算のことを考えるべきであると考えるのでありますけれども、大臣はこの点について、補正予算を将来出すお考えがあるかどうか、御意見をお伺いいたしたいのであります。
  158. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 要するに私どもといたしましては、単に当局として考える場合には、おのずからその業務に重点を置くものでございますが、さらに一段と高いところから、また新たに考えなければならぬ、そういう考え方をもっていたしましても、地方開発のために、電話の普及率を今日の程度より急連に進めていかなければならぬということはお説の通り考えておりますので、この方面に対しては決して五億円をもって満足しないのみならず、今後機会あるごとに大いにこの電話普及の促進に財源を得たいと考えておりますが、補正予算のことについては今のところでは考えておりません。
  159. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 補正予算のことについては考えておらないというのは、政府自体が臨時国会を召集して補正予算を出すことをまだ考えておらないから、原則的に考えておらない、こういう話であって、もし各官庁において補正予算を必要とし、そういうことを政府考える場合においては、郵政当局としては、その機会においては補正予算を要求する考えであると解釈してよろしいですか。
  160. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 その通りでございます。機会あるごとにこれを進めていきたいということであります。
  161. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 次に国際放送について、時間がありませんから簡単にお聞きいたします。今回の郵政省の予算におきましては、国際放送は昨年とほとんど変りませんが、いわゆる百キロ放送というものが、当該委員会から要求せられておるわけでありますが、その予算的措置はできておらないようであります。現在国際放送は、もちろん郵政大臣及び皆さんが御承知通りに、大体世界の主要国家においては、百キロ放送はまず普通の出力であって、特に大きい出力ではありません。アメリカのごときは二百キロ放送及び二百五十キロ放送。ソ連も大体同様であります。ことに大陸向け放送は、最小限度が百キロの出力を持っておらなければ大体において意味をなさない。南方のような島国でありますれば、五十キロ放送でも相当に感度がよいのでありますけれども、いやしくも大陸向け放送については、原則としても最低が百キロである。もうここ一年か半年のうちには二百キロ放送が原則ということになる。こういうのがわれわれの党の意向であり、かつまた常識であります。しかるに民主党内閣は、非常に宣伝に重きを置き、国際親善に重きを置くにかかわらず、今回の予算的措置においてもこの百キロ放送というものが考慮せられておらないのであります。この点については、大臣の百キロ放送の考え方、そういうものを一つお聞かせ願いたいと思うのです。
  162. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 私は大臣就任とともにまず考えましたことは、国際放送を強化しなければならぬということでありまして、従ってそのためには、お説のごとく、まず現在の五十キロを百キロにしていくことが第一である。かように考えて、現在の十二方向を十四方向にするというとりあえずの計画を立てまして、その予算を要求いたしたのでありますが、放送協会に対する交付金はわずかに六千三百万円にとどまったような次第でありまして、それによりましてわずかに現在の十二方向を十三方向に進め得られるという程度になったわけでありますが、ただ放送協会としては、現在の機械設備を改善して、この六月から百キロ放送をもって国際放送ができるようになると考えるのでありますが、これではむろん満足するものでありませんで、どうしても最初の予定通り、できるならばなお一方向あるいは二方向進めていくようにしたいと考えておる次第であります。
  163. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 今の大臣の御答弁のうちで、百キロ放送がNHKによって近く行われるというようなお話でありますが、放送法の建前では、海外放送に対する支出の責任はどちらにあるとお考えでありますか。海外放送に対する支出ですね、その予算はNHKが持つのが建前か、あるいは政府が持つのが建前か、その点をお聞きしたい。
  164. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 先般御承認をいただいた交付金によって放送協会がやるのでありますが、このほかに番組費の点については、協会が多少出しておるということを承知いたしております。
  165. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 これは大臣にお聞きしても無理ですが、そうなりますと先ほど——なぜ私がそんなことをお聞きするかということは、NHKが百キロ放送をやるから、大体百キロ放送は始まる、一応これでは満足しないが、なおこれからも努力するというようなお話でありましたが、これは政府は、この前の予算の審議においては、少くとも昭和三十年度の予算においては、五十キロ放送の電波料しか支出しておりません。それに伴うところの最小限といいますか、これは考え方の相違ですが、番組編成費を出しておる、すなわち電波料、これは五十キロ分を出しておるのでありますが、NHKが百キロ放送をやることは、従ってNHKの金において行われるのですが、これは放送法の建前からいえば多少無理がありはしないか、こういうことを聞いておるわけであります。
  166. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 お答え申し上げます。御指摘のように、国際放送は政府の命令によりまして放送協会が実施しております。それに必要な費用は交付金の形で政府から交付するわけでございます。ただいま御審議を願っております予算におきましては、五十キロの放送をもって国際放送を実施するために必要な交付金ということに算定上はなっておりますが、先ほど橋本先生からお話がありましたように、諸外国も百キロあるいはそれ以上の電力をもって国際放送をやっております。政府とじましても、この際ぜひ増力したいということで、いろいろ準備は進めてきておったのでありますが 政府の財政上、ことしの予算におきましては、百キロに増力するだけの費用を見込むことが一応できなかったために、一方向、一時間の増加だけにとどめました次第でございます。  しかし、ただいま申し上げましたように、施設そのものは、国際電信電話株式会社の手によりまして、この六月にはでき上ることになっておりますので、ただいま放送協会におきましては、政府の認可を得て、試験的にこの百キロワットの機械を使ってみたい、こういう計画がございます。これはどこまでも試験でございまして、試験的に放送協会がかくかくの計画でしたいということが出てきたならば、政府としても考慮してみたい、こう考えておりますが、これは政府の命令による国際放送の実施計画とは一応別なものであると考えておる次第であります。
  167. 稻葉修

    稻葉主査 橋本君に申し上げますが ほかに質疑の通告者が数人ありますので、だいぶ時間もたちましたし、なるべく要点を……。
  168. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 重要な要点だよ。これ以上の要点はありゃしない。国際親善は民主党の一枚看板じゃないか。ソ連、中共等に——ちょっと参考に諸君に聞かせるが……。  今長谷局長の御答弁は、いわゆる政府答弁であって、試験放送ではありますが、これから連日二百日間試験放送するわけでありますが、一応予算建前としては、そういう説明をする以外に方法はないでしょう。ないからやむを得ませんが、ただ受信料収入によってその差額というものを出しておるのです。こういうことは、現在の放送法の建前からいえば——その費用を現在の聴取者の放送受信料の収入によってまかなうことは、放送法の建前では、これは好ましくない制度なんです。そうしてもしこういうことを原則として、テレビジョンもしくは海外放送等も、NHKの収入によってこれを行うという建前であれば、もう少し法律を改正する必要があると私は考える。従って政府は、建前からいえば、国際放送というものは政府が命令をし、この費用を国が持つという法律の建前になっておるのですからして、従って今答弁されたように、試験放送の形において認めるのだ、しかし試験放送だからあえて五十キロの金を払わぬ、それでいいのだという一応の議論は成り立ちますが、実際上の問題としては、七月から、しかも連続試験放送を行うわけであります。そういう建前からいっても、これは当然政府としても、試験放送が一カ月か二カ月なら別問題ですが、これから三月三十一日まで試験放をやるということであれば、今後の問題に悪例を残すのではないか。従って政府が、百キロ放送が日本の現状から見ても必要であると考えられるならば、次の国会において補正予算の措置等が行われる場合においては、当然そういう道を講ずることの方が、お互いに法律を厳守し、法律を尊重するという建前からも必要じゃないかと私は思う。こういう意味において、これから二百日間も試験放送をやらしておくという建前でお考えになるか、それとも近い機会において補正予算等が行われる場合におきましては、これについても補正予算の道をお考えになっておるかどうか聞きたい。  かつまた、並木さんなどは外務委員でもって外国のことは非常に詳しいでありましょうから、御参考までに申し上げておきますが、せっかく今日まで五千万円ないし六千万円の金を使っておりますが、ことに日本にとって非常に重要な地帯でありますところの南米等におきましては、従来、これは昨年の十一月から波長の関係で少しよくなってはおりますが、不満足である。日本人が何十万という南米においては、昭和二十八年の十二月から毎月の統計をとっておりますが、昭和二十九年の十月まではゼロである、全然聞えない。それに対して政府は、南米方面に対して、いわゆる電波料と番組編成費というものを払っておるのです。かつまた歌州、これはわが同胞が行っておるわけではありませんが、国際的には重要な地区である。このヨーロッパにおいては、今日でも絶対に聞えない。この方面にも、もちろんこれはいろいろの方向向けで波長を出しておるが、日本の海外放送で大体において聞えるのは、北米西部、それからハワイ、豪州、、それから中国等においては十分な資料ではありませんけれども、一応華北、華中等においては大体聞えると思いますが、それより奥地においては感度が悪いと思います。インドシナ、タイ、ビルマ等最近日本として非常に重要に考えているこの方面においても、ほとんど聞える場合が少い。こういうような状況では年間五千万円ないし六千万円の金をかけて海外放送をやっておりますというけれども、予算委員会あるいは外務委員会はこれでいいのか、金は五千万円なり六千万円というものを使っている。しかもこれはある程度の出力を増せば完全とはいえますまいけれども、少くともある程度のものは可能になってくるのです。かつまた海外放送局の費用というものを調べると、アメリカは国営でありますから、別問題といたしましても、アメリカにおいても六十四億円というものが海外放送に使われている。イギリスにおいては四十七億三千万円、カナダにおいても、これは公共企業体ですけれども、七億一千万円、わが日本においては四等国の十二才の国とはいいながら、わずかに五千万円ないし六千万円の金が投ぜられているにすぎない。しかもその大部分は聞えないという状態である。こういう状態におりながら、なおかつ海外放送については今回も十分なるものが考えられないということは、非常に残念であると思う。昔は軍艦と鉄砲を持っていけばよかった、放送戦はやらなかったが、現在の終戦後の日本こそ、こういう宣伝機関によって日本ここにありという、日本考え方というものを国際的に知らせることが、日本として重大なる要件であると考えなければならぬ。この点については大臣も非常に努力せられたことはよく承知しております。その点においてはわれわれ感謝にたえないけれども、なお政府部内においては予算関係もありましようが、その金額というものは本年度においても最小限度に計算すれば、わずかに三千二百万円の増額をすれば、百キロワットのものも出せる、しかも二台できるのであります。そういうわずか三千万円、二千万円のことすらもできないということではどこに文化国家の責任があるのかと思うのであります。私がきょう予算委員会においてわざわざ言いたいゆえんのものは、ほかの人に聞いてもらいたいからこういうことを言うのであります。常識では逓信委員会で言えばよろしいのでありますが、もっと日本が文化国家を主張するならば、当然こういう問題については、金額は多少であろうとも、効果的なことを考えてもらわなくてはならぬと思う。そういう意味合いでわざわざ時間をつぶして参ったのでありまして、いろいろこまかい点において申し上げたいことがありますけれども、この一事をもっても、まだまだ私たちは日本考え方というもの一について考慮していかなくてはならぬ。従ってこういう問題についても農林予算、建設予算と同様に、現在の日本としてはそれ以上に重大なる予算であり、しかも金額においてはわずかに三千万円程度の金額であります。こういうような金額を次の機会に補正予算として御提出する御決意があるかどうか、これをお伺いいたします。
  169. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 まことに御同感でございまして、お説のように日本の国際放送は、国際放送をやっておるという程度にすぎないと私は考えておる。現在の国際情勢もとにおいて、わが日本の国としてはどうしても、輸出を振興させるためにも、外交の地ならし工作をやるためにも、あるいはまた観光客を誘致するためにも、文化を進めるためにも、わが国の国情、わが国の姿、日本国民の実情というものを広く世界一般に宣伝するために、国際放送というものを、今よりは全く別の観点から強く打ち出していかなければならぬと考えておるような次第でありまして、失礼な申し分でありますが、全くわが意を得たるお説に対して十分敬意を表し、従ってこれの実現を見るために機会あるごとに、少くとも今の日本の状態でできそうなことからとりあえず急速に進めていきたい考えを持っておりますから、補正予算でも出すような機会が参りましたら、必ず要求いたしたいと思います。
  170. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)分科員 時間も十分経過したようでありまして、他の委員の御質問もあるようですから、私の質疑は一応これをもって打ちとめておきまして、もし機会がありましたら、他日を期して質問申し上げたいと思います。
  171. 稻葉修

    稻葉主査 山本勝市君。
  172. 山本勝市

    山本(勝)分科員 橋本委員から郵政問題の重大なる根本問題について、きわめて適切な御質問がありましたが、私は松田郵政大臣にきわめて小さい問題でありますが、三点ばかりお伺いしてみたいと思います。時間は十分以内くらいで終りたいと思いますので、質問の三点を一度に申し上げますから、その三点についてお答えを願いたいと思います。  問題は、町村合併が行われました村の中における住民で、すでに電話を持っておる方が非常に不自由をしておる点を少しでも緩和したい、こういう点から御質問を申し上げるわけであります。それでそのうちの第一は、従来合併をしない前は独立した村になっておったために、電話をかける機会があまりなかったのにかかわらず、今回合併をして役場と支所という形になったために、あるいは役場と学校の間におきましても、これまでよりしばしば電話をかけなければならない事態になっているのです。隣村ならば独立している自治体ですから、あまり要はなかったのですが、同じ町村に入ったために電話をかける回数がふえておる。ところが先ほど橋本委員からも申しましたように、たいていの町村におきまして、合併町村が市外電話になっておるわけであります。市外電話になっておるのをいろいろ施設を拡充し、交換台をふやしてということは、これは根本的解決でありましょうが、それは費用の関係で簡単にはむずかしいだろうと思います。だんだんやってもらわなければならぬが、私手近なところでできることではないかと思うことをお伺いし、お願いしたいのです。それは交換戸ごふやさぬままで同じ町村に入ったのですから、それを市外電話として扱わないで、市内電話として扱えないのかということが一つ。と申しますのは、私どもの方の県の関係で申しますと、市内ならば電話料がいらないのですけれども、市外でありますと電話料を払わなければならない。それが実はある町村では月に十万円からかかる、だからこれは交換台がふやされる前に取り扱いだけを市内扱いにして、市外電話料をとらぬようにできないかどうかということが一点であります。  もう一つは電話を現に持っておる人が、これまでは別の交換局になっておったために、新しい村あるいは町の中に入っているのだからというので、そこの町の電話帳を見てもそこの名前が出てこない。たとえば具体的に申しますと、越ケ谷なら越ケ谷という町に増林という村が合併された、ところが増林の電話は松伏領の電話局になっておる、ところが今度越ケ谷に入ったものですから、当然越ケ谷の人だと思うから、電話をとっておるはずだというので、越ケ谷の電話帳を繰ってみても名前が出ておりません。そこで私は電話帳を作るときに、その越ケ谷なら越ケ谷というところへ、増林の局の何番ということを、名前だけ全部入れる。しかしそれは増林局の何番だということを書いておいてもらえば、よその人が電話をかけようと思って電話帳を繰ったときは同名が出ている。これは越ケ谷局でなくて増林局だということがわかるので、その面では救われると思う。これは電話帳を作るときの話ですから、少し分厚くなるだけのことで、大しためんどうじゃないのじゃないか。これでその点は救われるのじゃないか。この点が第二点なのです。  それから第三点は、これは技術的なことでよくわからぬのですけれども、役場と支所の間だけを特別な簡単な電話をつけられぬものかどうか。一般にほかのところは費用がかかるなら将来の問題にいたしましても、役場と支所だけは何か直通の線を引っぱって簡易のものができないものかどうか。この三点、質問の趣旨がわからなければもう一度申します。
  173. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 電電公社の副総裁がおりますから、この問題は副総裁からお答えいたさせます。
  174. 靱勉

    ○靱説明員 大臣にかわってお答えいたします。  第一点でございますが、現在電話局に交換機を設置いたしますには、それぞれ加入区域というものを考えまして、あるいは加入者の多寡によって基本料等も異なっております。ただいま御指摘の点でございますが、在来もこういうような方法をとっておりますのは、かなり密接した区域におきましていわゆる分局とか従局という観念でやっておるものでございます。ただ今回の町村合併数は非常にたくさんな数でございますので、あるいは中には非常に細長くいっているというような加入区域もあるわけであります。これを一本にしますには、今までの加入区域の距離あるいは加入者数という点からみますと困難な点が多いのであります。しかしながら一つの局とこれを統合する局と申しますか、両者が三キロとか四キロというふうな地域においては、なるべく早く統一するという方法をとりたいというここで、今回五億程度の特別予算を認められた場合におきましては、非常に経費がかからないで、しかも町村合併によって電話が利用上新たな事態に対してかえって不便になったというところにつきましては、そういう意味合いで早く解決していきたい、こう考えております。なお全体的に加入区域の編成につきましては、在来も相当不便が多いために特別の加入区域あるいは区域外ということにいたしておりましたのも、町村合併等の状況にかんがみまして若干の合併をやっております。今御質問の全部そうできぬかということにつきましては、全部はとうていできないような状況にあります。第二段としまして、電話番号簿をもう少し親切にして、同じ町村になったのに局を一々わきまえなければわからぬというような状態にするな、まことにごもっともな御意見でございまして、大体現在におきましては県単位に電話番号を設定しておりますが、局がわからないとその方の番号を引くことができない、こういう不便につきましてはただいまの御指摘の点十分私ども考えまして、もっと便利な親切な電話番号簿にいたしたい、こういうふうに考えます。  それから役場と支所につきまして、加入区域が合併できないで市外通話が非常に時間がかかるというような点の改善としまして、少くともそこだけは直通の線にしたらどうかという御意見でございますが、これは例外的措置としまして、加入区域がそれぞれきまっておりますので、その加入区域内の場所というものはそれぞれその交換機に入るということを原則にいたしておりますが、非常にサービスが悪い区域ておきましては、区域外あるいは他局加入という制度を認めましてやっておるのでございます。現在の公衆電気通信法に基くいろいろの制度もとにおきましては、若干その料金が高額になっておりますので、そこらは経費の負担の問題はあるようでございますが、その道は開かれておるような次第であります。
  175. 山本勝市

    山本(勝)分科員 質問の趣旨が一つ徹底しなかった点があるようであります。つまり同じ市内になった場合に、今までの市外の取り扱いでもよいから、時間はかかっても仕方がないが、市外電話料だけ払わないようにできないものですか。
  176. 靱勉

    ○靱説明員 今も申し上げましたように、Aという局に本役場がありまして、支所がBという電話交換機に入る、これをAの局に入れてしまうのであります。そうしますと市内電話で、ことに交換機を要しないで役場と同じ電話になるわけであります。市外電話はいらないのであります。しかしながら今先生のおっしゃるのは、それだけはともかく交換局を中継されてもよいが、料金だけは市内通話にしろ、こうおっしゃるのでありますが、これは一般の制度の問題でありまして、それぞれ制度がありますから、根本的に変えませんと、その特例というのは私は困難だというふうに考えておる次第であります。(「その制度というのは法律ですか政令ですか。」と呼ぶ者あり)法律に基きまして加入区域ごとに料金が設定されておるのであります。それの基本料は幾ら、度数料は幾らということも法律によってできておるわけであります。電話サービスの改善につきましては、それぞれ加入区域が設定されまして、市外通話は市外通話、市内通話は市内通話という体系になっておりますから、その点御了承願いたいと思います。
  177. 稻葉修

    稻葉主査 田中織之進君。
  178. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 橋本委員から前の電気通信委員長としての経験から、主として電気通信関係で非常に有益な質問なり意見が出ております。私はたまたまこの間まで郵政委員長をやっておった関係がありますので、できれば逓信委員会で掘り下げた質問をいたしたいと思っておりますが、この国会予算の専門でございますので、この機会に事務当局に二、三の点について、予算に関連した問題に限局して、御質問申し上げたいと思います。  一つは郵政省の多年の懸案でありました不良局舎の改築問題が、三十年度を起点といたしまして、今度改築増築の実行に移ったことは非常に喜ばしいことだと思うのであります。昨日の郵政大臣の本分科会における御説明によりますと、局舎の建設費について本年度は三十四億余万円を計上しておるということでございますが、これは昨年特に郵政委員会で相当長時間にわたって検討を加えた経過から見ますならば、これでは予算がきわめて不十分のように考えるのでありますが、あのときの局舎の改築計画というものでは不良局舎は大体六カ年ないし七カ年で解消するように計画を立てておったのでありますが、これは予算折衝の過程で変更になったのでしょうか。この三十四億余万円ではどの程度の局舎の改築が遂行できるのか。郵便局と郵政局その他の本省関係の建物とに分れると思うのですが、その比率がどういうふうになっておるか、この機会に伺いたいと思います。
  179. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 御承知のように、三十四億円をもってして十分であるとは決して考えておりません。しかし昨年は三十五億円、本年は三十四億円と、幾らかでもふえたわけであります。この局舎の改善の急を要することは全くお説の通りでございまして、そのためにこの八カ年計画をもって遂行していく予定は変ってはおりません。  なお比率その他については経理局長から答弁させます。
  180. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 ただいまの大臣の答弁を若干補足させていただきます。六カ年計画というふうな御決議を逓信委員会でちょうだいいたしまして、それをもととしていろいろと政府部内で打ち合せて、不良局舎の緊急復興計画というものをもって、年次計画が認められたことはまことに感謝いたしておるのでありますが、お話の本年度の金では六カ年計画は無理だろうと思っております。私どもも、単に財政の面ばかりでなしに、土地の購入とかいろいろなことを研究して、ただいまのところは実行上どうしても八カ年くらいになるのではないかというふうな考え方を持っております。しかし今後におきます土地取得の進捗状況その他の条件によりまして、あるいはさらにこれを短縮できるかもしれませんが、私どもとしては大体八カ年くらいは実行上必要ではないかと考えておる次第であります。  なお郵便局舎以外の施設についての問題でありますが、御指摘のように、私どもの唱えます計画の中に、郵便局を主体としてはおりますが、若干他の郵政局であるとか、その他必要な付属機関の庁舎の建設計画も含めてやっておるのでありまして、今その比率いかんということになりますと、はっきりしたことは申し上げられないのでありますが、私どもは全体としては利息とか何かを除きまして、三百億足らずはかかるかと見ておるのでありますが、その中で郵便局舎には少くともその三分の二はかかる、それ以外の緊急必要な庁舎等につきましては、三百億としますればその三分の一にも参らない程度で大体できるのではないかと考えております。
  181. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 比率というのは、三十四億円で郵便局のうちの局舎の改築ができるのは本年度何局の計画になるかということです。たとえば郵政局の建物でも、借りものに住んでおるというような実状も私ども承知しておりますので、そういうものもまるっきり手をつけないわけにはいかないと思いますけれども、これは国民と直接接触している窓口を普通の状態にしたいという趣旨から、委員会では決議をやったわけでありますから、その点をこまかいですけれども伺っておきたいと思います。
  182. 松井一郎

    ○松井政府委員 大体先ほど八藤政府委員からのお話のように、全体の建設勘定のうちで郵便局舎に直接充当するものは、おおむね三分の二程度になるわけであります。そこで私ども目下具体的に一局々々の調査をしておるわけでありますが、これが全部そろわないと広さがいろいろ違うものですから、局舎の数としては最終決定はできませんが、現在私どもの考えておりますのは、大体特定局が五十局程度、普通局が二十三、四局程度は手がつけられるのではないかと考えております。
  183. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 せっかくのことでありますから、もちろん郵政省関係の郵政局その他の官署の官築も含めての計画を立てられておるのは当然のことだと思いますが、できるだけ国民が直接接触を持つ窓口としての郵便局の不良局舎の一掃ということに重点を置いていただきたいということを希望しておきます。  そこでこの三十四億余万円の資金調達の内訳でありますが、資金運用部からの借り入れが五億円、簡易保険の方から五億円、あと他の特別会計からのいわゆる建設費の受け入れ関係が八億八千万円、あとは郵政の特別会計で直接組んでおられる、こういうふうに理解していいでしょうか。
  184. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 お答え申し上げます。借入金についてはおっしゃる通りであります。それから他会計の設備負担金についても大体その通りであります。それ以外に減価償却が約十億、それに利益金と申しますか、出資の差額金を大体五、六億程度見込んでおります。
  185. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 今度郵便局の窓口から集まってくる簡易保険の金の中から五億円をこの局舎の改築のために振り向けることになった新例は、いい新例を開いたと思いますが、別途住宅建設の関係には簡易保険の金が相当多額に——今度の政府の四十二万戸の住宅建設関係の原資として役立っておるのでありますが、簡易保険の金を集める窓口の改築にわずか五億円では、いささかバランスがとれぬのではないかと思うのです。簡易保険の運用範囲の拡大も、これまたわれわれ委員会としても、従来から郵政省をバックしており、今度局舎の改築がたとい五億でも、これはないよりはまし、一歩大きな前進だと思いますが、その点から見て同じ住宅建設の関係に相当出されておるのに比べて、この郵政省の関係は少いように思うのですが、その点は予算折衝の過程で郵政大臣は持ち出したのでしょうかどうでしょうか。
  186. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 郵政の仕事をよく御承知の田中委員のお考え、もっとも思います。しかし持ち出したというようなことはありませんで、住宅の必要なことはきわめて熾烈なものがありまして、局舎は古い、窓口はきたない、しかし窓口はある。ところがその窓口へ来るお客に家のない人もあるではなかろうかと考え、それほどに私は住宅の必要性を身みずから感じておりまして、これを先により重点を置くことがきわめて自然であろうかと私は考えておる次第であります。
  187. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 これは予算には当然組まなければならぬのであります。私は簡易保険の資金というものは、本年度においては——後ほど伺いますけれども、前年産より百四十六億もピッチを上げよう、こういうところまで行っておるわけであります。簡易保険の資金運用の範囲を拡大した機会に、ことしの予算大臣の言う点も一理あるけれども、やはりことしも百四十六億から、前年度よりも保険の収入を上げようということの、従業員の励ましになると思うのであります。今後一つ局舎の改築を、六カ年計画でも気長い話だと思っておるのに、先ほど八藤経理局長はどうも八年ぐらいになりそうだと言われた、これは金がないわけではないのであります。金はあるわけであります。その金の運用の点については郵政当局、ことにこれはあなたたちが、第一次に集まってる金を直接握っておるのですから、この金をこの郵政省の必要とする方面へ出すか出さぬかということで大蔵省——特に保険の関係は郵政省に運用権を一元的にしてからというものは、大蔵省に対して相当強く当られる立場を与えておるのでありますから、私はこれは大いにがんばっていただきたいということの希望を申し述べておきます。  そこで、保険関係で三十年度百四十六億の収入増加を見ておるようであります。これに伴って約三分の一が歳出もふえるのでありますが、そのうちで約百億ばかり保険関係の資金の増加を計画しておるようでありますが、昨日の大臣の説明でも、財政投融資との関係で本年度のいわゆる原資見込み額二千八百九十二億のうち、郵便貯金で一千百億円、簡保年金資金で五百三億、これは前の年の積立金でありますけれども、それを含めて一千六百三億円を郵政省が受け持ち、その意味で五十六%占めておる実情であるということであります。これは私、貯金局長もおられますから、保険局長と貯金局長の両方から伺いたいのでありますが、貯金の関係から見ますと、なるほど二十九年度の当初計画は貯金が九百億が実行見込みで、大体一千億になるのだ、それから保険の関係は二十九年度においても、計画と実際との比較は、今私の手元に資料はありませんが、当初の予定よりは相当ふえておることは事実でありますけれども、特に貯金の関係は今度の資本蓄積の増強というか、貯蓄の増強運動の関係から、預金利子に対する免税措置、こういう関係から勢い従来郵便貯金に預け入れをしていた面の預貯金というものが、どこかへ集まるわけでありますけれども、国全体の立場から見れば同じことになるかもしれませんが、貯金を扱っておる郵政省としては考えなければならないと思うのです。預金利子に対する免税措置の関係から見て、勢い普通銀行等への預貯金が流れる関係から、貯金の関係では二十九年度の当初計画から見れば、結局二百億増加するものだと見込んでおる点は、私は非常に甘いという見方が出るのじゃないかと思います。はたしてこれだけのものを貯金局長は三十年度に集め得るという信確があってこういう数字を出したのか、この点は大臣よりもむしろ貯金局長の方が主管でありますから、貯金局長にお伺いしておきます。
  188. 小野吉郎

    ○小野政府委員 今年度千百億増加の目標が高いのではないか、こういう御質問でありますが、私どもといたしましても、いろいろ前の実績等から検討いたしまして、また国民所得の増加の割合、最近における郵便貯金の増強状況、そういった面から見まして、非常に慎重に検討したのであります。必ずしも容易にできる増加高とは思いませんが、しかし過去の実績から見まして、到達し得ない目標だとは考えておらないのであります。と申しますのは、昨年は非常に異例でありまし、当初九百億の目標が予想外に伸びました。千十四億の実績を上げ得たわけであります。これはここ数年聞の実績を見ましても、非常に割合は高いのでありまして、二十六年以後二十八年まで、これは大体目標を少しばかり、三億から五億ぐらい上回る程度の増加を見ておるのみでございます。もちろんこの二十六年から二十八年までの目標にいたしましても、当初目標からいたしますと、補正予算等の機会にあるいは五十億あるいは八十億追加されております。当初の線からいけば実績はかなり上回っておるわけでございます。いずれにいたしましても昨年度非常な増進の好調を示しましたことは、これは疑いございません。かりに二十九年年度で千十四億の実績を上げたわけでございますが、これに対しまして過去の例から見ますと、二十九年度と二十八年度を比較して見ますと、二十八年から二十九年への国民所得の増加割合を乗じましたものに、さらに上回ること百七十九億の増加を示しておるわけであります。同様に二十七年から二十八年について見ますと、五十五億であります。さらに二十六年から二十七年におきましては百三十億、これは国民所得の当然の増加割合をこえて、いずれも増加を見ております。昨年は特にそういった増加分が非常に多かったわけでありますが、そういう見地からことしの目標をながめてみますと、千十四億に対しまして国民所得の増加割合は、前年度から今年度にかけて二%と組まれております。それをかけますと千三十六億、こういう数字が出るわけであります。その千三十六億を——これは従来の例から見まして、国民所得の増加割合のみにとどまった年次はないのであります。先ほど申しましたように、いずれもそれよりも四、五十億から昨年あたりは百八十億を上回っておるわけであります。今年度は最近の実績から見まして、さような大きな期待はかけておらないのでありますが、他面には前年度末の現在高をそのまま大体において維持したといたしまして、郵便貯金支払い利子で当然ふえますものが、二十九年度予算から三十年度予算に増加を見ますものは四十二億であります。これはもちろん千百億の中に入っておるのでありまして、千百億の内訳は、郵便局の実際の受け払いで純増を示したものに、現在高に対する支払い利子を加えたものでございます。そういう関係で四十二億は二十九年度予算よりもよけいに見込むことができるわけであります。それを計算いたしますと、かれこれ百七十数億になるわけであります。あと三十億見当の金をどのように集めるか、こういうことでありますが、最近の成績から見て、いろいろ新聞紙上にも悲観的なことが伝えられておりますが、これは私どもの判断では、一時的の現象でありまして、昭和二十九年度の供出の状況が、非常に従来から見まして早く促進されたわけでありまして、そういう収入が大体三月、四月ごろに入るべきものが、すでに一月、二月に入っております。そういうようなことで、二十九年度の貯金成績が非常な従来に例を見ない躍進をしたわけでありまして、一月あたりまでの成績は非常によかったのであります。超えて三月あたりになりますと、例年と違ってそういうものがすでに繰上って入っておりますので、三月はあまり期待できない。三月はあまり成績がかんばしくなかったのであります。また二十八年度の大災害の債務の弁済時期に当っておった。そういった一時現象が三月、四月の不調を来したわけでありまして、これは必ずしも日本経済全体の背景から貯金源が枯渇したとはわれわれ考えていないのであります。そういった面からいたしまして、さらにプラスの面として考えられますことは、さきに衆参両院の御承認を得ました郵便貯金の最高限度の引き上げでございます。十万円を二十万円に引き上げたわけでございますが、この面から計算いたしましても、現在十万円の最高限度で天井へつかえまして、もうこれ以上法律の建前からすれば預かり得ない限度にきておりましたものが、郵便貯金現在高四千四百億のうち約一割、四百億くらいあります。これを大体今回の法案改正で上げました二十万円で計算してみますと——もちろん二十万円になったのでそういうものが全部天井まで行くとは考えられません。ざっと四百億と申しますと、口数にいたしまして四十万口であります。その四十万口の十万円の天井のものに対しまして、重点募集をいたすといたしますと、かりに一万円ずつの貯金を吸収すれば、四十億出るわけであります。これは非常に楽観かもわかりませんが、そういった計算も成り立ち得るわけであります。他面田中先生御指摘の一般の預貯金の課税免除、こういった面の影響も多少あるかと思いますが、ただこの面におきましては、特に銀行方面との関係におきましては、郵便貯金の利用層と銀行方面の預金の利用層との間には、これは截然と区別されておるわけではありませんが、大半は大体郵便貯金のお得意、これは区別されておるようであります。ただ高額のものにおきまして銀行と競合するものがないとはいえないのでありますが、それはパーセンテージとしては非常に低いのでありまして、郵便貯金の利用層が勤労階級、特に下層な勤労階級、あるいは主婦関係、あるいは学生層、こういったところが非常に高い割合を占めておりますので、やはりそういった少額の貯金は、銀行の窓口よりも郵便局の方へ入ってくる。たといそういった利子の点における特典がつけられましても、そういった面はそう大した影響がないのではないか。もちろんこれは全然皆無とは申されません。その限度いかんということはなかなか判定に苦しむわけでありまして、マイナスの面として考えられるものではありますが、なお先ほど申しましたような数点のわれわれの武器とも考えられるような面もありますので、千百億の目標は楽々とは申しませんが、決して到達し得ない投げなければならぬ目標とは、考えておらないのであります。
  189. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 非常に小野貯金局長楽観をしておるようでありますが、それは必ずしも私はそういうようにいかないと思う。それはなぜかというと、これはまだ委員会へ出て参りませんからわかりませんけれども、今度の民主党、自由党の予算修正の折衝の基本的な線は、結局預貯金の利子免税その他の関係から、相当貯蓄が増強される。特にそれが民間の普通銀行等に相当入ってくる。従って財政投融資に計画しておる二百六十億ばかりが、一般会計から財政投融資の方へ振り向けるものを民間の蓄積される資金に振りかえて、租税による財政投融資はやらない、こういう構想で予算折衝が進められておるように新聞で拝見しておる。修正案が出て参りますれば検討を加えたいと思っておりますが、そういう関係からしましても、これはやはり今度の財政投融資の総額三千三百二十七億ですか、この中にも余剰農産物のひもつきの二百十四億を入れたりなんかして、きわめてずさんなところがあるわけです。果して予算政府計画されているだけの財政投融資ができるかどうかという点が、われわれがこの予算を批判する一番中心になっているわけなんですが、そこへ持ってきて今言うような形で、特に資金運用部の関係の資金については、水増しまではいかないにしても、相当甘く見ている、その面の資金量が予定通り集まらないということになれば、財政投融資計画は根本からくずれることになる。そういう意味で一つは心配しておるから、この質問をいたしておるわけであります。結局予定の目標だけやるということになれば、それだけ従業員に対するオーバー・ワークになる。従業員に対するベースその他については、郵政関係は公労法が適用されておりますけれども、仲裁裁定が出たって、いまだかって仲裁裁定をそのまま実施したことはないのです。郵政省は仕事の上で能率を上げるという点からやりたくても、大蔵省はなかなかうんと言わない。これは単にこの内閣だけの問題ではありませんけれども、そういう問題が出てくるのです。この点は今後よほど工夫をしてもらわないことには、それでなくても郵便貯金に民間資金が蓄積するということで、銀行局長や大蔵事務次官あたりが通牒を出して、委員会で大蔵省を呼んでとっちめなければならぬようなことも起るわけなんですが、そういう点でこれは十分考えていただきたいと思う。そこで同様なことは、保険の方についても言えると思う。二十九年度の当初計画が、年金と両方合して簡保年金資金で四百六十億の計画に対して、実行見込みが四百五十五億、三十年度は五百三億ということになっているが、二十九年度はわずかでありますが、当初の予定に達しなかった、そういう状況で、保険の関係は昨年度最高限度に引き上げたものを本年度から——去年は中途からでありますけれども、ことしは年度初めからやられるわけでありますから、そういう方面の効果もあるだろうと思うのでありますが、その点保険局長の見通しはいかがですか。
  190. 白根玉喜

    ○白根政府委員 お答え申し上げます。前年度におきまして簡易保険の計画といたしましては、四百六十億で組んだわけであります。その結果決算によると、四百六十九億になりました。予定としては、資金全体としてはふえたわけであります。ただ前年度におきましては、契約者の貸付は見込みを少し小さく見ておったわけでありまして、前年度におきましては契約者貸付を二十億と見たわけであります。ところがやはりある程度のデフレの影響もありまして、契約者の貸付は四十数億にふえたわけであります。そこで本年度におきましては、契約者貸付の面を前年度の実績にある程度プラス・アルファをいたしまして、大体五十三億と押えておるわけです。前年度の計画の際におきましては、契約者貸付は二十億と押えておりました。それを契約者貸付の分を本年度は五十三億と押えております。それでその契約者の貸付の面について相当な弾力性を持たしております。その上で立てた計画でありまして、しかも前年、度の実績に比較いたしまして、今年度の伸び工合もそう悪くは実はないわけでございます。この点は今田中先生おっしゃいましたように、八万円から十五万円に引き上げた効果が本年度において相当出てくるということになっておるわけでございます。前年度は確かに五億ほど計画に齟齬を来たしましたが、今年度は計画齟齬の原因である契約者貸付の原資を寡少に見るということをしないで、相当安全性を持った契約者貸付原資を別に五十三億と見まして、それに先ほどおっしゃいました五百三億を足して、全体の資金といたしましては契約者貸付を含めまして五百五十六億、こう踏んでおるのでございまして、前年度のようなことは万々ないと考えておる次第でございます。
  191. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 これは目標は貯金局の方より低いわけなんで、ある意味から見れば、資金を集められる条件としては貯金より保険の方が私はいいと思う。いい方が目標が小さくて、条件がちょっと普通にいくと、一般の金融機関へ流れる公算が多い貯金の方が見積りが大きいというところに、心配する点があるわけでございますが、国家のためにその目標が達成される陰には従業員の努力というものがあるわけですから、この点については特に郵政大臣に一番最後に、夏期手当の問題でも御質問申し上げますけれども、やはりこういう当初の計画がわれわれ多少事情に通ずる者から見れば無理ではないかと思われるような計画を立てておるのでありますが、結局その無理な計画を達成させようということになれば、すでに従業員にオーバ一・ワークをしいることになるので、勢いそれに対して報いる手を考えていただきたいと思うのですが、それはあとで夏期手当のときに大臣の所見を伺いますから、希望だけにしておきます。  そこで保険局長に伺いますが、この五百三億円、今年度において簡保の方から運用の原資に振り向けたのが、大体今度運用範囲も拡大されて、局舎の関係も五億円出していただいたわけでありますが、それではこの内訳は一体どういうことになっておりますか。
  192. 白根玉喜

    ○白根政府委員 お答え申し上げます。五百三億の運用の計画でございますが、まず第一に、先ほどおしかりをこうむりました局舎に対する五億でございます。それから金融債が二十億でございます。さらに住宅関係が五十億、内訳を申しますと、住宅金庫関係が三十億、それから住宅公団関係が二十億であります。市町村に対する貸付原資が四百二十八億、こう相なっております。
  193. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 これは別途この運用範囲の拡大に関する法案が逓信委員にかかっており、もう上ったかどうかわからないのですが、この市町村、いわゆる地方公共団体にいく四百二十八億は前年度との比較はどうなんですか。
  194. 白根玉喜

    ○白根政府委員 御承知のように、地方公共団体に対する貸付は前年度は四百五十五億であり、本年度は四百二十八億に相なっております。
  195. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 前年度四百五十五億であったこの簡保の関係の運用のワクを、本年度は四百二十八億に減らした事情は一体どういうことですか。地方財政の実情は昨年よりも今年は非常に苦しくなってきておる。そのいう意味で、これは当然地方から集まってくるわけであります。従ってできれば地方公共団体の運用の範囲をもっと拡大して、この零細な金を蓄積した人たちにできるだけ還元するようにということが、これまた私の委員長時代に、委員会で国会の総意を取りまとめた趣旨であったと思うのでありますが、地方財政が前年度よりも今年は非常に困窮するということが予想されるときに、こういう市町村方面への貸し出しを約三十億近くも減らしたのには、何か根拠があるのでしょうか、どうしたわけですか。
  196. 白根玉喜

    ○白根政府委員 御承知のように、地方公共団体に対する貸付総額は、前年度よりも非常に少くなっておる、また別途公募の面を加味していきますと、昨年度よりか多いのでございますが、貸付という形式からするところの総額は減っておるわけです。そこでその減ったところの総額を資金運用部と、それから簡易保険との割り振りの問題でございます。先生も御承知のように、貯金の金もやはり地方還元の必要があると思うわけでございます。従いまして貯金の金と簡易保険の金とが大体一本のときでも大宗を占めておったわけであります。そこで地方公共団体に対する貸付の総ワクの上で、どの程度簡易保険で持ち、どの程度資金運用部で持つか、こういうのが問題になるわけでございます。戦前までは大体簡易保険の持ち分は四割で、その当時における預金部の持ち分が六割になっておったわけでございます。そこで簡易保険の資金を資金運用部から分離して、郵政省で独立に運用したいという趣旨は、御承知のように、財政資金と違うという関係もございますが、加入者のために地方還元的な色彩を持ちたいという意味で、大蔵省の資金運用部から分離して郵政省が独立して運用することに相なったわけであります。従いましてやはりある程度の率を考えなければならない、多少前年度の年度当初の率とは違いますが、最終的な率からいきますと、大体私の方が四八%、それから資金運用部の方が五二%程度になっております。もっともこのパーセンテージを持ちまして機械的に分けるというのは相当困難な面もあると思いますが、大体それらの率で分けて参ったわけでございます。
  197. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 郵政省直接の、またこの保険の金を集めてくる局舎の関係で言えば、同じ住宅関係でも、片一方は五億、片一方は五十億と十倍の開きがある、それから地方公共団体への貸付の関係にいたしましても、二十七億減であります。反面に金融債の引き受けが二十億ふえております。これは範囲を拡大されたわけでありますけれども、これが長期信用銀行だとかあるいは商工中金の債券だとかいうようなものの引き受けをやるのだろうと思うのであります。必ずしもこれは独占企業を助けるというふうに機械的には私は考えませんけれども、この簡保自体をとって考えて参りましても、この資金は地方のものでありますから、私は地方公共団体への貸付を、ことしのように前の年より減るというようなことがないように、できるだけ今後注意をしていただかなければならぬと思う。その意味で何のために保険の積立金の運用権を還元したかということの国会側の趣旨にも私は沿わぬわけであると思いますので、この点は十分戒心をしていただきたい。  それからまた貯金局長に戻りますけれども、貯金特別会計の今度資金運用部から受ける、貯金の方から運用部の方へ預け入れる、利息の率は今度幾らになっておりますか。
  198. 小野吉郎

    ○小野政府委員 六分二厘ということになっております。
  199. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 全般的な関係を見て、この貯金局で集めた金を資金運用部へ持っていくのは、まあその六分二厘もらったやつが全部は預金者にはいかないわけです。それで全部これは経費を含めた形になるところに特別なことがあるのでありますが、六分二厘では結局ここで雑収入の八千万円を入れましても、四十四億一千万円の特別会計の赤字が出る。そこでこれを資金運用部特別会計から、例によって補給するという形になっておるわけですけれども、従って、貯金局が集めた金を預け入れる預金に対する利子という形をとっておるけれども、単なる利子ではないと思うのです。その六分二厘は、ことしはそれを増額することはできなかったのでしょうが、いわゆる貯金特別会計の独立採算制というような点から見て、いわゆる貯金コストというか、そういうような関係から見て、六分二厘では、結局雑収入の八千万円を入れましても四十四億穴があくわけです。その点は六分二厘という率をむしろ引き上げる方の交渉はやられたのですか、いかがですか。それから四十四億というのはこれは資金運用部の特別会計から四十四億一千万円を全部繰り入れるのですか。ほかの特別会計からも合せて四十四億を埋める形になるのですか、いかがですか。
  200. 小野吉郎

    ○小野政府委員 六分二厘の引き上げの問題につきましては、これは別段に持ち出しておりません。と申しますのは郵便貯金特別会計ができましたときに、資金運用部には各種の資金が預入されておりますが、そのときにはいろいろの経緯もありまして、各種の預り金の利子は一率に五分五厘となっておったのでございます。今度は郵便貯金につきましては五分五厘にすえ置きになっておりますが、もちろん当時五分五厘では採算がとれないわけであります。そういった面からいいますと、郵便貯金の性格そのものが純然たる企業式な会計というような形には完全になっておらないのであります。厳密に郵便貯金の標準的な経営コスト、こういったものを算定して、それを基準にきめたものでもないのでありまして、一応当時の資金運用部資金運営の全体の状況からいたしまして、この程度の利率なら赤字なしに払えるという、こういうところできまったのが、各種の預貯金に対する利子であったわけであります。もちろんこの金では郵便貯金歳出を十分カバー——できませんので、その当時はさらに不足分を一般会計からもらっておったわけであります。資金運用部といたしましても、当時ほとんど黒字はなく、どうかいたしますと、一般会計から逆に赤字補填を受けなければならぬような状況になっておったわけでございます。そういうことでありまして、ちょうど昭和二十七年度からいろいろ大蔵省とも話し合いまして、郵便貯金のコストの預託利子の引き上げを折衝いたしたわけであります。たまたま資金運用部会計も漸次赤字の状況から好転するような時運に際会しておりましたし、そういう関係で、昭和二十七年度を初年度といたしまして、郵便貯金のみにつきまして預り金に対する支払いの利子を、特例として、初年度を六分五厘といたしまして、漸次低下いたして五年先にはもとの五分五厘に返る、こういう特別立法が行われたわけであります。その後、六分五厘にはなりましたが、依然郵便貯金のコストは七分を上回っておりましたので、その不足分は三十億、四十億と赤字の繰り入れを特別会計から受けておったわけであります。昨年からそういった不足分の繰り入れば一般会計からは受けませんで、資金運用部にちょうどそれに見合う程度の黒字を生ずるようになりましたので、前年度は資金運用部資金の運用によってあがった黒字を全部郵便貯金の不足に充てる、と同時に、前年度におきましては当初わずか六億でございますから、これは資金運用部の黒字を全部あげましても、郵便貯金の不足分をカバーできませんでしたので、一般会計からも並行的にもらっております。今年度はそういった一般会計とのきずながなく、資金運用部の黒字を全部あげまして、四十四億一般会計からのつながりはなく郵便貯金運営の赤字をカバーできるというような状況になっておりますが、そういった関係から、この預託利子につきましては昭和二十七年を初年度として五年間の特例が設けられております。この五年間の特例の切れ目にどのような措置をとるか、これはいろいろ考究をしなければなりませんし、問題もあろうかと思うのでありますが、今日の昭和三十年度の予算を見ましても、依然郵便貯金の経営コストは七分一厘一毛——六分二厘ではその開きがかなり開いておるわけであります。ちょうど金額にいたしますと四十四億になるわけでありますが、そういうような現状になっておるのであります。もちろん郵便貯金の現在額がふえることによりましてコストは下って参ります。現に、利子の率におきましてはこれは利子を下げない限りコストは下りませんが、一般の経営の率においては漸次逐年下って参っておるわけであります。そういう事情でございましたので、田中先生御指摘の預託利子をどのように扱ったらいいか、これは確かに研究問題であろうと思いますが、本年度資金運用部資金法の関係が一部改正になりまして、従来五年以上は最高の利子をつける、これがいわゆる六分二厘に相当するわけであります。これを今回七年以上のものを設けまして、このものについては有利に扱う、このような改正が行われております。もちろんこの辺の運用は当然直ちにその妙味が出てくるとは申せないのであります。何しろそういう状況になっておりますので、一面先ほど申し上げましたような、この会計が独立採算とはいえ、標準コストを計算してそれ以上は経営上から出る、経営の不成績からくる赤字であるとはきめつけられておらない状況でありますので、現在のところでは預託利子は郵便貯金特別会計の歳入を決定する要素であり、その不足のものにつきましては、資金運用部に黒字のある限りにおきまして、不足をカバーしてもらっておる、このような現状になっておるわけであります。
  201. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 なお細部の点についてはまた委員にさしかわって逓信委員会で質問することにいたします。  最後に、ちょうど電波監理局長が見えておりますので、これは予算関係を持つといえば持つ、持たないといえば持たない問題でありますが、私は今日予算に関連するものに限定して質問したいと思います。先般電波監理局長のところまでお伺いいたしました、私の郷里の海南市に試験的に設置された例の電波の中継実験設備でありますが、期間が多少予定の三カ年より長くなったようでありますけれども、最近あれは一応実験が取りやめになるようでございます。そういう関係から、あそこは中継実験設備であるということが——私はあのときも御注意申し上げたように、十分徹底していなかった関係もありまして、私の居住する海南市だけで約百台のテレビを——相当ゆとりのある人たちですけれども、扱いが業者宣伝した関係もありまして入手したところが、今度はあの船尾山の実験設備が中止になる関係から、それが宝の持ちぐされになるというので、何とかあれを存続してもらえないかというような要請があるわけです。あれを設置した当初私、郵政省にお伺いしたのですが、実験設備であるからということでした。将来ああいう実験設備の結果に基いて、全国のどこでもテレビを活用することができるように役所としても国としても考え——その時期にマッチするかどうかは疑問であるということは、地方新聞等にも監理局長との会見のてんまつは一応報告はしておいたのですが、最近いよいよその実験設備を取りやめるということになったので、百台からのテレビを持っている人たちが一体今後どうするかという問題が出てきておるのであります。あれの恒久的な存置ということは当時も非常にむずかしいようなお話であったのですが、その点の可能性が今日でもないものか。  それからもう一つは、あそこでもすでに五カ月以上になると思っておりますけれども、実験をされ、ほかの地でもやられたように聞いておるのですが、テレビはかなり全国的に普及の傾向にあるのに対して、ああいう山などの関係で電波が十分キャッチできないのが、できるような中継設備というものについて何か国として——またこれは当然マイクロウェーブの問題として電電公社との関係においても考えられておることだと思うのでありますが、そういう見通しはいかがなものでしょうか。
  202. 長谷慎一

    ○長谷政府委員 お答え申し上げます。ただいまの海南市の施設でございますが、これは田中先生御承知のように、その近所にテレビジョンの放送電波は来ておるけれども、山の陰等の地勢の関係上、その町がちようど陰になるような格好のためによく電波が受けられない、それを何らかかような施設で補うことができないか、こういうことでいろいろ研究するのにたまたま海南市が地勢上好個の土地であったものですから選定をいたしてやったわけであります。その試験を始めます当時は、数戸だけが非常に無理をして受けておった状態でありましたが、試験後は、かような設備をしていろいろ研究してみましたところが、その効果が非常によく現われた。従ってただいまお話がございましたように、臨時のものであるということをNHKも極力周知に努めたようでありましたけれども、結果的には相当のものがあちらにもこちらにもできてしまったような格好で、この春で一応試験は済んだのでありますけれども、その試験を中止し、その施設を撤去してしまいましては、せっかく相当の経費を投じて受信設備をされた方々に非常に御迷惑がかかりますので、しばらくこれは続行する形でそのままにしておこう、そういたしまして今後そういう施設を置く基準というものを別途考えまして、恒久的なものに考えるということで、実は暫定的に延ばしておる状態であります。  なおこれは再度のお話になりますが、日本放送協会としては、今までは試験ということでありますので、実験費の方からいろいろな研究費を負担しておるのですが、しかし実質的に相当長期間置くということになりますと、経常費の方に組みかえた計画を立てなければならぬ、そういう内部的のものもございますが、また郵政省といたしましては、今まで試験という実験的なもの、臨時的なものとして認めてきたわけでありますが、それを一応恒久的なものと見ますのには、いろいろ設備上のいわゆる安定性、確実性というものを見ませんと、正式に認めるということは——いろいろ一般の聴取者の方方に対する影響ということからも考えなければいけませんし、そういうことで双方ただいま研究をいたしておりますが、いずれにいたしましても百人あるいはそれ以上の多くの方々が相当の費用をかけて施設をされたのに御迷惑のかからないような処置をしようということで研究をいたしておりますので、その点御了承願いたいと思います。  なおテレビジョンが日本国中できるだけ早く見られるようにありたいということは、関係者一同意を用いているところでございますが、今お話に出ました施設はその近所に電波が十分行っておりまして、たまたま地勢の関係上、山の陰になって受けられない場合の補助的な施設でございます。海南市で研究をいたしたものも一つ方法でございますが、また別な方法も実はあるわけでございまして、その土地、その土地によりまして、Aの方法が適しているところもございますし、Bの方法によって救済されるところもございます。それらの比較検討をいたさなければいけませんので、目下諸外国の例その他国内の試験等を通じまして計画を立てております。もっともこれは今申し上げましたように、電波がある程度行っておるところしかできない方法でございまして、全国できるだけ早くテレビジョンが見えるようにするためには、どういたしましてもお話に出ました電電公社のマイクロウェーブ施設ができまして、それぞれ適当なところにテレビジョンのための放送をいたす相当設備のりっぱな本格的なものを建てていきまして、それによってカバーできないところに補助的に海南市のようなものを置いていくということで、目下いろいろ全国的な検討をいたしておる段階でございます。
  203. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 テレビがかなり国民の間にファミリアになってきた段階でありますし、私たまたま海南市の問題を取り上げましたが、最近かなりいなかの方にもテレビを求められた人があるようでありますが、できるだけそういうものが有効に利用できるように、今後御努力願いたいと思います。  それから先ほど大臣にお願い申し上げ、御努力を願いたい問題を一つ保留いたしておいたのでありますが、いよいよこの十五日に夏季手当が支給せられるわけであります。先般六月暫定予算に法律にありまする〇・七五カ月分が計上されました。そのときにわが党の福田委員から大蔵大臣に対して、また労働大臣等に対して官公労の諸君がぜひとも最近の苦しい生活の状態にかんがみて、せめてこれをあと〇・二五足して、一カ月分の夏季手当をもらいたいというきわめて控え目の要求を出しておることを、わが党といたしまして、委員会において取り上げて要請いたしたのでありますが、まだ具体的な返事が得られないままに暫定予算は一応成立をいたしたわけであります。これの支給日も迫って参りまして、きょうこの国会の周辺は通りませんけれども、四谷公園できょうたまたま土曜日でもある関係から、官公労の決起大会が開かれて、いずれ代表が政府に向って〇・二五カ月分を増額して夏季手当一カ月分として支給していただきたいという要請に参ることと思うのであります。この点については、特に郵政二十五万の従業員を統括せられておる郵政大臣、現業官庁の主管大臣として、特に松田郵政大臣の格別のお骨折りと、また先ほどから申し上げましたように、政府の策定いたしました予算案の一行を確保する重要な資金確保の面を担当しておる郵務事業、また電波関係仕事もそれぞれの重要性を持っておることはもちろんでありますが、特に保険貯金等の関係を通じまして、国民と日常接触を持っておる窓口に——昔から郵政関係はその意味から見て従業員はまじめさを買われておる、標本として見られておる。この従業員諸君に対して、ぜひこのきわめて控え目の希望をいれていただきたいと思うのであります。その点を特に閣僚懇談会なり閣議なりでお骨折り願えますかどうか、大臣の御所見を伺いたい。  一つ方法としては、暫定予算もすでにきまっておりますので、六月十五日はさしあたり法律、予算できまった〇・七五を支給するということは、時間的な関係から見ればそれを支給することは今日やむを得ないことは私らも承知しておるのでありますが、もしできまするならば、いずれ今月末おそくとも来月のかかりには本予算も成立することと思う。ちょうどたまたまこの本予算には年末手当として一・二五カ月分を計上されておるのであります。その意味で先年の例もあるわけでありますが、年末手当の一・二五のうちから、せめて〇・二五を夏季手当に繰り上げ支給をしていただきたい。いずれ本予算についても、今は言明の時期でないかもしれませんが、聞くところによると八、九月に臨時国会を開いて予算の補正をやるということも伝えられておるのでありますから、この際夏季手当に繰り上げ支給した年末手当の穴埋めについては、臨時国会における補正予算の時期に措置することもできると思うのであります。何かそういう便法を一つ講じてやって、希望をかなえてやっていただきたいと思うのでありますが、大臣の御所見を伺って私の質問を終りたいと思います。
  204. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 郵政大臣といたしまして、多数の従業員をかかえておりますものといたしましては、御指摘になりました夏季手当の問題については、従業員たちの官公労の要請をかなえてやりたいという気持においては切なるものがございます。しかしながらこれはお示しのように法律できめられ、ただいまのところでは〇・七五以上を支給する道はないわけであります。またさらに各省にも関係のあることでございますし、政府としてはどうしても一律一体にやっていかなければならぬということでありまして、先般来この点について一再ならず閣議においてもわれわれの考え方を申し述べたのでございますが、現在までのところではいかんともなし得ない状態であるのであります。この点一般給与の点につきましても、ただいま担当国務大臣から至急に研究いたしておるという点もございまして、これからはっきりした結論が出まして、暮れになったらば〇・二五の暮れの分を繰り上げ支給してそれの穴埋めができる、あるいはまたさらに暮れの支給を増額できるというような見通しがつきますれば、先例もあることでありますので、喜んでそういうことにいたしたいと思いますけれども、そういう見通しのないときにおいて、暮れに支給する分を今日支給するということにいたしますと、かえってそれによって従業員諸君が暮れに苦しむ姿を見なければならないかと思いまして、今のところは何とも仕方ない状況であるということをお答えせざるを得ないのであります。
  205. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 この点は私の希望でありますけれども、結局繰り上げ支給するということになれば、早晩年末手当の支給日までに補てんの措置を考えなければならない、非常にむずかしい問題のようにあるいは大蔵当局は言われるかもしれませんが、当然年末手当は予算に組んでおるわけですから——もちろん、予算が成立しなければ支出するわけにはいかないと思うのですが、そうでないと今日の決起大会を契機にいたしまして、来週から相当官公労の遵法闘争は熾烈になってくると思うのであります。たとえば労働基準法その他の関係から見ますれば、最近の官庁業務を見て参りましても、一つ予算がこま切れ予算であるという関係もあるわけでありますけれども、相当やはり居残りその他の関係で、従業員諸君も努力いたしておるのであります。そういう努力の前に何ら報いられるものがないということになって、規則通りに定時登庁、定時退庁というようなことになれば、勢い行政面の渋滞を来たすということも考えなければならないと思います。幾ら総評を初めといたしまする官公労の諸君が、鳩山内閣に好意的な立場にあっても、これらのきわめて控え目の要求に対しても何らの考慮が払われないということでありますならば、不満を持たざるを得なくなるのはやはり人情であると思います。われわれはそういうような形で国政の面における渋滞とか、あるいは官公労を中心とする新しい労働攻勢、労働紛争が起ることは好まないという立場から、現状においてはすでに暫定予算はきまっておることでありますし、時間的にも非常にむずかしい時期になっておることは十分承知いたしておるわけでありますが、なお引き続き郵政大臣の、特に二十数万の従業員をかかえておられる現業官庁の尤なるものであるという立場におきまして、松田郵政大臣のこの問題の解決のための一層の努力を重ねて要請いたしまして、私の質疑を終る次第であります。
  206. 稻葉修

    稻葉主査 他に御質疑はございませんか。——なければこれにて運輸省郵政省及び建設省所管予算各案に対する質疑は全部終了いたしました。  この際お諮りいたします。昭和三十年度一般会計、同特別会計、同政府関係機関予算各案中、運輸省郵政省及び建設省所管についての討論採決は、これを予算委員会に譲るべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  207. 稻葉修

    稻葉主査 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。  これにて本分科会の議事は全部終了いたしました。分科員各位の御協力に対し、厚くお札を申し上げます。  これにて散会をいたします。    午後五時四十一分散会